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【東京国立近代美術館】の案内 (2018年06月)

今回は写真多めです。前回ご紹介した東京国立近代美術館の展示を観た後、本館所蔵品ギャラリーで常設作品も観てきました。ここの常設は期間が設けられているので、まずは概要についてです。

【展覧名】
 所蔵作品展 MOMAT コレクション

【公式サイト】
 http://www.momat.go.jp/am/exhibition/permanent20180605/

【会場】
  東京国立近代美術館 本館所蔵品ギャラリー

【最寄】
  東京メトロ東西線 竹橋駅

【会期】2018年06月05日~2018年09月24日
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【感想】
5月にも訪れたばかりですが、内容は一気に入れ替わっていました。今回も気に入った作品の中から今までご紹介していないものを写真で並べていこうと思います。
 ※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れますが、撮影禁止の作品もあります。
 ※当サイトからの転載は画像・文章ともに一切禁止させていただいております。

参考記事:
 東京国立近代美術館の案内 (2018年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年12月前編)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年12月後編)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2014年01月)
 東京国立近代美術館の案内 (2013年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2013年03月)
 東京国立近代美術館の案内 (2012年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2011年12月)
 東京国立近代美術館の案内 (2011年06月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年12月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年04月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)


鏑木清方 「明治風俗十二ヶ月(盆燈篭(七月))」
DSC09026_20180722223323695.jpg DSC09027.jpg
こちらは12幅対で1ヶ月1幅となっている作品のうち7月を抜粋。右は女性のアップです。涼しげな浴衣と色白の女性が夏の風情を出していて爽やかです。

梅原龍三郎 「桜島(青)」
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強い色彩と共にどっしりとした風格漂う桜島。ナポリでヴェスヴィオ山と桜島は似ていると聞いて以来、桜島に関心を持ったのだとか。

速水御舟 「浅春」
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下の方に木を見上げながら杯を持っている人とかいるからお花見なのかな? のんびりとして春の訪れを感じさせる作品

藤島武二 「アルチショ」
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アルチショとは朝鮮アザミのことだそうで、鮮やかな紫の花が目を引きました。右下にある黄色い本もクロスに映えてアクセントになってる感じ。

萬鉄五郎 「立木風景」
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故郷の岩手県土沢に帰郷した頃に描いた作品で、この土気色の画面がこの時期の特徴です。うねうねした画面も独特で面白い。

伊原宇三郎 「室内群像」
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3人の女性が三角形になっている構図で調和を感じます。量感ある裸婦も見事でかなり好みの画風。

川口軌外 「静物(マンドリン)」
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キュビスム的な構成の作品。くすんでいるけど色彩が強めに見えるのは赤と緑のような捕色関係となっているからかな。

里見勝蔵 「室内(女)」
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大胆な色彩の裸婦。なんだか体がパーツに分かれそうな感じにも見えますが、デフォルメも面白い。

小泉癸巳男 「[昭和大東京百図絵]より 上野風景・表慶館と美術館」
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今回は小泉癸巳男によって関東大震災後の復興の様子が描かれた版画「昭和大東京百図絵」がミニコーナーとなっていました。美術ファンにはおなじみの東京国立博物館の表慶館も描かれています。今と同じようで結構風景が違いますね。

麻生三郎 「赤い空」
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こちらは終戦10年後くらいに描かれた作品。重苦しいような色彩で、何かを訴えているような人物が意味深でした。当時の社会情勢への心情を込めたのかな?

海老原喜之助 「雨の日」
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海老原喜之助と言えばエビハラブルーと呼ばれた青色が思い出されるところですが、終戦後は作風が一変して宗教弾圧や思想統制といった社会的なテーマを手がけたそうです。暗く渦巻く雲に向かって歩いているように見えるけど、これも社会批判なのかな?? それにしても黄色になっても色彩感覚は流石です。

鴨居玲 「静止した刻」
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サイコロを振った瞬間で時間が停止したような光景の作品。ちょっと猿みたいな顔をした人ばかりなのは批判的な意味があるのかな。何故か左の方が余白になっているのも不思議。

桂ゆき(ユキ子) 「作品」
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こちらは平たいコルクで出来た作品。ちょっと横から見ると、画面から盛り上がっているのがよく分かると思います。 何だかキノコみたいに見える…w これは絵として分類されるのかさえも分からない前衛っぷりに驚きました。

山下新太郎 「靴の女」
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身支度をする女性を描いた作品。親密な関係を思わせる日常の光景の為か、ちょっとロートレックを想起しました。構図も良いし好みの画風です。

吉田ふじを 「旗日の府中」
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吉田博の義理の妹で、一緒にアメリカを旅した吉田ふじをの作品。兄の絵にも負けない高いデッサン力で旗が並ぶ日の様子を描いています。大きな木が立ち並んでいるから神社のあたりかな? 写実的で叙情性のある画風です。

竹内栖鳳 「雨霽(あまばれ)」
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霧に霞むような微妙な濃淡で描かれた作品。左隻に沢山の鳥が密集していて鳥の声が聞こえてきそうな風情が感じられました。

土田麦僊 「島の女」
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八丈島などの島の女性をモチーフにしているようですが、ゴーギャンに憧れがあるようでプリミティブな印象を受けます。平面的で簡潔な線で描かれていてリズミカルな雰囲気もあるかな。土田麦僊は竹内栖鳳に学んだけど、方向性はだいぶ違いますね。

下村観山 「ダイオゼニス」
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ダイオゼニスとはギリシャの哲学者ディオゲネスのことです。樽に住んでいたという逸話通りですが、肝心の本人は中国の仙人みたいな…w やや縦長の円がはみ出す構図も面白い。

今回は瀧口修造に関する特集が組まれていました。
【展覧名】瀧口修造と彼が見つめた作家たち コレクションを中心とした小企画 
【公式サイト】http://www.momat.go.jp/am/exhibition/takiguchi2018/
【会期】2018年06月19日~2018年09月24日

瀧口修造 「デカルコマニー」
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抽象画のような作品。岩肌のように見えるw デカルコマニーとはシュルレアリスムの使った技法で、絵の具を転写するものです。瀧口修造はいくつも作っていたようでこの辺に何点か並んでいました。

ウジェーヌ・アジェ 「紳士服店」
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パリの光景を撮った作品で当時の様子が伝わってくるのですが、そこはかとなく漂うシュールな雰囲気がシュルレアリストたちに注目されたようです。記録に徹するために主観を抑制しているので無意識が表出していると考えられたのだとか。

再び普通の常設に戻ります。

浅原清隆 「多感な地上」
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こちらも写実的なようでシュールな作品。靴の中から出てきてるのは毛のようなものでしょうか?? 夢の中のような不思議な世界です。

ジョゼフ・コーネル 「ウィーンパンの店」
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コーネル得意の箱! こちらは「ホテル」シリーズの1つでタイトルの由来はコラージュされている広告がウィーンパンの店だからだそうです。コーネルの作品は小さな箱に世界観が詰まっているようで面白い

奈良美智 「Harmless Kitty」
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悪意の無い子猫ちゃん… って、めっちゃ反抗的な表情だけど可愛いw 何でおまるに乗っているのか分かりませんが、子供の純粋さみたいなのを感じます。

ジョセフ・アルバース 「正方形讃歌」
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正方形を重ねて色彩の諧調になっている作品。配置が徐々に下に寄っています。意図は分かりませんがデザイン的な美しさがありました。


ということで、今回も多彩なコレクションの数々を楽しむことができました。この美術館は尽きることのない豊富なコレクションで 行く度に新しい発見があります。この美術館に行く際には特別展だけでなく、常設も合わせて観ることをおすすめします。

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