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《放散虫》 テーマ別紹介

今日はテーマ別紹介で、放散虫を取り上げます。放散虫は海のプランクトンの一種で、単細胞の原生生物です。5億年前の地層からも化石が見つかっていて、5回の大量絶滅でも生き残り 1万種以上にもなる驚異的な生き物です。現在でも世界中の海に暮らしていて、アメーバ状の体にガラス質(シリカ、二酸化ケイ素からできている)の骨格を持ち、奇妙なほどに複雑な形となっています。今も謎が多い生き物ですが、地層の年代測定に使われるという意外な側面もあり、地質学で大きな役割を担っています。今日は2019年の写真展を振り返る形で、当時使わなかった写真を追加しながらご紹介してまいります。
 参考記事:「放散虫(ほうさんちゅう)」~ 小さな ふしぎな 生き物の 形 ~ (FUJIFILM SQUARE フジフイルム スクエア)

まずこちらは様々な形をした放散虫の写真。
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幾何学的な文様みたいな不思議な形をしているだけでなく、骨格は石英やガラス製品と同じ物質の二酸化ケイ素(SiO2)で出来ています。単細胞なのに複雑な形をしていて一層に謎が深まるw 最大でも数ミリ程度しかないようですが、肉眼で見えない世界にこんなのがいるんですね。5億年前のカンブリア紀からこうした骨格を持つようになったようで、どうやってこうした形を作り出すのかはまだ謎のままだそうです。

こちらは放散虫の一種の体の仕組みを図解したもの
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こうして観ると生物っぽいかな。 北極海から赤道まであらゆる海に漂っているそうで、海面から深海5000m(8000mでも確認あり)まで生息している意外とポピュラーな生物です。

一体何を食べているのか気になりますが、このようになっています。
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さらに小さな生き物を捕食しているようです。消化器官はなく体に取り入れて消化する細胞内消化を多なっています。群体になったり藻類と共生する種もいるようで予想以上に複雑な生態のようですね…。

1993年に「しんかい6500」がマリアナ海溝の水深6300m付近で採取した石の中からも放散虫が見つかっています。およそ1億4000年前の中生代白亜紀最初期の頃の化石で本当に驚くべき存在です

「アーケオセノスフェラのなかま」
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綺麗な球体で、中にもう1層骨格があると考えられているようです。骨格がこんなに規則正しく作られるのが不思議で仕方ないですね。

「ループス・プリミティヴス」
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9個の筒を重ねた塔みたいな形となっています。筍とかにも見える… 一番下にはヒダが無く、どういう理由でこうした形になるのか気になります。

ちなみにこれらの放散虫の大きさはアメーバ状の体を入れても3mmに満たず、骨格の大きさは0.1~1mmと非常に小さい生き物です。

「ヘキサスチルス?のなかま」
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ウルトラマンのブルトンかエヴァのラミエルか…w こんなエイリアンじみた生物がいるとは…  しかもこれがガラス質なのもヤバいw

「シューム・フェリフォルミス」
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網状の中に外側の骨格を支える柱のようなものがあるそうです。猫の後ろ姿のように見えると思ったら、フェリフォルミスは猫のことなのだとか。

「オービキュリフォルマのなかま」
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かつてはドーナツ状の真ん中に骨格があったはずと考えられるようです。これが生物の化石とは信じがたい形ですw

生態だけでも驚きの連続の放散虫ですが、放散虫を調べると時代ごとに特徴的な種類がいるので年代測定に使えるそうです。地殻変動が多く地層が変形する日本において、1970年代に発見された放散虫による年代測定方法は「放散虫革命」と呼ばれるほど大きな役割を果たしているのだとか。

「アリエヴィウム・ヘレネ」
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3つの大きな棘と小さな棘が無数にある形が花のようにも見えます。真ん中の球体は層になっていて結構複雑な構造です。

「アカントサークス・エキノサークス」
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こちらは泡状の孔が空いていないツルッとした表面に見えるかな。メリケンサックみたいなw

「デヴィアトゥス・ヒッポシデリクス」
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こちらは半円形の珍しい形。無機的な幾何学模様のが多い中で有機的な雰囲気があるかも。

「アーケオディクチオミトラのなかま」
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なにかの蕾のような形の放散虫。中にはドーナツ型のしきり板があるそうで、これも見た目以上に複雑な構造なのかも

「パンタネリウムのなかま」
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まるで金剛杵みたいな形でどうしてこんな形に進化するのか想像もつきません。

放散虫は種類が多すぎて名前がついていない種類もいるそうです。まだまだ新種発見があるかもしれませんね。

「シュードポウルプス(?)のなかま」
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穴の入り口が結び目のように見える謎の構造。ここから餌を食べるのだろうか?? 何本もの柱で骨格を支えています

「ウィリリーデルムのなかま」
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まるで蜂の巣みたいですが、六角形は安定性が高く自然界によくある形なのでこれはある意味納得。しかし六角形以外にも五角形や七角形などもあるようです。

「アーケオトリトラブス・グラシリス」
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もはや何かの建造物のように見える3方向に伸びた骨格の種類。編み込まれたような無数の穴もきれいに並んでいます。

「ナポラのなかま」
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古代中国の鼎に似ていることから明治時代にはこのような3本足の放散虫は「かなえ」と呼ばれたそうです。足が4本ならエッフェル塔とか東京タワーみたいにも見えたかもなあw

放散虫は英名はラジオラリアというそうで、ラジオはラテン語で光線、放射、車輪を支える棒などを示すそうです。確かに放出して散った形の虫ですね。

「クロコカプサのなかま」
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一見すると棘のあるホネガイみたいに見えますが、巻き貝と違って螺旋に巻いていないのが特徴となっています。

「ミリフスス・ディアネ」
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こちらは綺麗に均整の取れたフォルムの放散虫。貝殻とかを思い起こしました。

エルンスト・ヘッケル 「自然の芸術的形態」(複写)
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こちらは約100年前に亡くなったドイツの生物学者いよる放散虫のスケッチ。放散虫の形に魅了されたらしく、こうしたスケッチを沢山残しているそうです。



ということで、恐竜より前からいるのに現在でもたくさんいて非常に不可思議で驚異的な生き物となっています。その形も面白いので観ていて飽きません。
ちなみに現在開催中の神保町ヴンダーカンマー(2021年9月4日~9月26日)の展示の1つとして9月12日、23日にはワークショップで放散虫を実際の顕微鏡で見るイベントもやっているようです。まだコロナで外出は難しい状況ですが気になる方はチェックしてみてください。
 参考リンク:神保町ヴンダーカンマー
 





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《恐竜》 テーマ別紹介

今日はテーマ別紹介で、恐竜を取り上げます。恐竜というと「数億年前に哺乳類より先に地球の覇権を得たものの隕石の落下で滅びた巨大生物」といったイメージがあると思いますが、実際にはペルム紀末の大絶滅(PT境界)の後は恐竜の先祖よりも哺乳類の先祖が栄えていました。また、ワニの先祖も恐竜を捕食するなど、決して恐竜が先に王者となったわけではありません。最初は二足歩行の小型の動物に過ぎなかった恐竜が三畳紀の後期からジュラ紀にかけて大型化して、ジュラ紀、白亜紀を通し一般に絶滅と言われるK-T境界まで栄えました。しかしそれも正確ではなく、獣脚類の一部の子孫は鳥となり、現在でも哺乳類の倍の1万種程度が繁栄しています。今日も過去の展示で撮った写真とともにご紹介していこうと思います。

 参考記事:
  世界最大 恐竜王国2012~恐竜オールスター、幕張に大集結。~ (幕張メッセ)
  恐竜博2011 (国立科学博物館)
  地球最古の恐竜展 (森アーツセンターギャラリー)


まずは何とか紀の時系列についてです。時期と特徴はこんな感じになります。

 古生代
  カンブリア紀 (約5億4500万年前~約5億0500万年前) 三葉虫などの時代
  オルドビス紀 (約5億0900万年前~約4億4600万年前) オウムガイや三葉虫の時代
  大量絶滅 6000光年以内の超新星爆発のガンマ線バーストによって全生物の85%程度が絶滅
  シルル紀 (約4億3500万年前~約4億1000万年前) 陸上植物の生まれた時代
  デボン紀 (約4億1600万年前~約3億6700万年前) 両生類、昆虫、シダ植物などが生まれた時代
  大量絶滅 気候変動によって海洋生物の大量絶滅。全生物の85%程度が絶滅
  石炭紀 (約3億6700万年前~約2億8900万年前) 爬虫類、哺乳類型爬虫類(単弓類)などが生まれた時代
  ペルム紀 (約2億9000万年前~約2億5100万年前) 豊かな生態系の時代
  P-T境界 火山活動(スーパープルーム?)による気候の大変動で90~95%程度の生物が絶滅

 中生代
  三畳紀 (約2億5100万年前~約1億9500万年前)恐竜の先祖、ワニの先祖、哺乳類の先祖が覇権を争っていた時代
  大量絶滅 火山活動?によって全生物の76%程度が絶滅
  ジュラ紀 (約1億9500万年前~約1億3500万年前) 大型恐竜の時代。被子植物や始祖鳥なども生まれた。
  白亜紀 (約1億4550万年前~約6550万年前) ティラノサウルスやトリケラトプス、プテラノドンなどの時代
  K-T境界 隕石?によって恐竜やアンモナイトが絶滅 全生物の70%程度が絶滅

 新生代
  第三紀 (約6500万年前~約250万年前) 哺乳類・鳥類が栄えてきた時代
  第四紀 (約258万8000年前~現在) 人類の時代


上記のように、地球は5回ほど大量絶滅に見舞われてきましたが、その次に来る時代は逆にチャンスの時代で、がら空きとなったニッチ(生態的地位)を埋めるように新しい種が台頭してきます。今回のテーマである恐竜は史上最大規模の絶滅(P-T境界)を生き残ったものから生まれたわけですが、この頃は地球上のすべての大陸が1つの「パンゲア大陸」で火山活動が活発で、スーパーブルーム(巨大噴火)がペルム紀末のP-T境界を引き起こしたとされています。恐竜は三畳紀から広大なパンゲア大陸で進化していくわけですが、三畳紀の初期は恐竜の先祖、ワニの先祖、哺乳類の先祖が新たな王者となるべく覇権を争っていたようで、意外にも最初は哺乳類の先祖が栄えていました。また、ワニの先祖も恐竜を捕食するなど、決して恐竜の時代ではなかったようです。 


<三畳紀> 約2億5100万年前~約1億9500万年前)
この時代は哺乳類とワニの先祖も重要なライバルなので合わせてご紹介。

まずこちらは「イスチグアラスティア」という「ディキノドン類」の生物。
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恐竜ではなく爬虫類と哺乳類の特徴を併せ持っていた生物で「キノドン類」はP-T境界を生き延びてこの時代に栄え、哺乳類の先祖になっていきます。

こちらは「フレングエリサウルス」という恐竜類の生物。
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恐竜の先祖で、現在見つかっている中で最古の恐竜です。恐竜は三畳紀に生まれました。

こちらは「シロスクス」という「クルロタルシ類」の生物で、ワニの先祖のグループです。
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恐竜そっくりで、骨格から速く走れたと考えられるそうです。

こちらは「サウロスクス」というクルロタルシ類の生物(ワニの先祖)。
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三畳紀後期に捕食者として頂点に君臨していたそうです。これも速く走れたと考えられているそうです。

先ほどの「フレングエリサウルス」もそうでしたが、最初は恐竜といってもそんなに大きくなかったのですが、三畳紀の後期にかけて次第に巨大化していきます。巨大化の理由は諸説あるようですが、その1つに「大きいほうが食べられないから」という理由が挙げられます。(以前に観たディスカバリーチャンネルの恐竜番組でも体が大きいほど安全だったと言ってたのを思い出しました) 

これは「エクサエレトドン」という哺乳類になりきれていないキノドン類です。
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子供に乳や餌をやるなど哺乳類と共通する特徴があったようです。

哺乳類はこの三畳紀の末に現れたそうです。ちなみに哺乳類は、乳をやること、毛があって自分で発熱できること、よく聴こえる耳の3つの特徴があります。

と、ここまで哺乳類・ワニ・恐竜の先祖たちの三つ巴の戦いでしたが三畳紀後期に大きくなった恐竜が繁栄していきます。

左からエオラプトル、プラテオサウルス、エオドロマエウス。
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エオドロマエウスは2011年命名されたばかりの新種のようです。化石が確認されている最古の恐竜なのだとか。


<ジュラ紀> 約1億9960万年前~約1億4550万年前~
三畳紀に続くジュラ紀は、恐竜の多様化と大型化が進んだ時期です。ジュラ紀になるとパンゲアは北のローラシアと南のゴンドワナに分裂し、大陸間に海が入り込み砂漠だった内陸が温暖湿潤になるなど気候も変わっていきました。やがてローラシアはさらに東西に分裂し、その間にはサンゴ礁の発達によって多島海が広がり、羽毛で空を飛ぶ獣脚類(鳥類)の進化の舞台となりました。また、西ローラシアでは広大な低地が広がり大型化した恐竜たちの生息地となっていきました。

ジュラ紀には有名な始祖鳥(アーケオプテリクス)もいました。
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注目は足の親指で、現代の鳥とは違い後ろ向きの親指が無いそうです。現在の研究では始祖鳥より前に最古の鳥が出現していたことが確実となっています。

これは2009年に始祖鳥より古い空飛ぶ恐竜として発表されたアンキオルニス
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手足に羽が付いていて、恐竜から鳥類に進化したという仮説の問題点の1つを解消してくれる発見だったようです。

こちらはアロサウルス。
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最近の研究ではアロサウルスに羽毛があった可能性が高いと考えられています。2010年に発見された近縁の獣脚類コンカヴェナトルに羽毛が確認されたためにアロサウルスもそうではないかと考えられるようです。

一昔前は恐竜の再現といえば鱗のような肌をしていましたが、最近では羽毛が生えている再現を見るようになりました。中国で発掘された恐竜によって恐竜には羽毛があったのではないかという説が有力になってきているようです。羽毛は恐竜が1億年以上に渡って繁栄した大きな要因としても考えられているようで、恐竜と同じ先祖を持つ翼竜からも羽毛が見つかっていることから、恐竜と翼竜が枝分かれする前の原始爬虫類から備わっていた可能性もあるようです。恐竜の羽毛には体温調節、求愛行動、繁殖機能という3つの利点が考えられています。

こちらはヘスペロサウルス。
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てっきりステゴサウルスかと思ってしまいますが背中の板状の骨の形が違うそうで、ここで体温調節を行っていたと考えられているようです。

先述の体が大きくなったのは食べられない為という説の他に、気候がとても乾燥し植物の質が悪くなったため、草食恐竜が巨大化したという説もあります。つまり、干ばつになると植物が育ちませんが、体が大きくなると体内に長い時間エネルギーを蓄えられるようになるため、どんどん大きくなったという考えです。(現代の象の体が大きいのと同じような理屈のようです) そして、草食恐竜が大きくなると、それを狩る肉食恐竜も大きくならざるをえなかったらしく、こちらも巨大化していったと考えられます。


<ジュラ紀から白亜紀>
この時代はかつて恐竜研究の空白期となっていたそうですが、最近 中国などで見つかった新種の化石によって空白が埋まりつつあるようです。前期白亜紀になると大陸の分裂はかなり進行したそうで、恐竜は各地で進化していきました。

左から順にラプトレックスとプシッタコサウルス
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ラプトレックスはティラノサウルスに似た小型恐竜で、もしかしたら大型種の子供かもしれないそうです。ラプトレックスは毛が生えたいた可能性があります。
プシッタコサウルスは角竜類だそうで、後のトリケラトプスの先祖なのかな。

<白亜紀末期> 約7060万年前~約6550万年前
後期白亜紀になると北半球は現在の大陸の配置にかなり近づきました。そして白亜紀最末期には恐竜のなかでも最も有名なティラノサウルスやトリケラトプスが現れました。

こちらはトリケラトプス。
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最近の研究で、前足の甲を前向きではなく外向きであることがわかったそうです。

こちらはティラノサウルス。
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なんだかやけにお腹が大きな感じがしますが、これも近年の研究成果に基づく展示で立ち上がる時に前足を着いて前傾姿勢となる姿のようです。


<絶滅> 約6550万年前
恐竜は約6550万年前に絶滅したのですが、2010年の研究でその原因は隕石落下によるものだった可能性が高いと確かめられたそうです。私がよく観ているディスカバリー・チャンネルの番組では隕石はとどめの一撃であってその他の原因が複合的だと言ってましたが、結局のところ隕石が原因なのかな??

しかし恐竜は完全に滅びたわけではなく、ジュラ紀に飛行能力を獲得した獣脚類の子孫は鳥類へと進化し、現在でも鳥は哺乳類の倍の1万種程度が繁栄しています。



ということで、恐竜の研究が進むごとに姿や生態のイメージが変わって行っています。今回取り上げた元記事も2010年代なので更にアップデートされているかもしれません。恐竜展は定期的に行くとその変化ぶりも味わえるので今後もチェックしていきたいところです。


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《塩田千春》 作者別紹介

今日は作者別紹介で、ベルリンを拠点に活躍をされている塩田千春 氏を取り上げます。塩田千春 氏は記憶、不安、夢、沈黙など 形の無いものを表現したパフォーマンスやインスタレーションで知られ、時に恐怖すら感じるような生々しい作品もあります。現在は大規模な個展が各国の美術館を巡回していて、世界的な注目を集めています。今日も過去の展示で撮った写真とともにご紹介していこうと思います。

塩田千春 氏は1972年に大阪で生まれ、1992~1996年に京都精華大学美術学部で洋画を専攻、彫刻科で村岡三郎 氏の助手も務めたそうで、在学中にオーストラリアに留学もしています。19歳の時滋賀県立近代美術館でポーランドのマグダレーナ・アバカノヴィッチの個展を観たのを契機に、彼女のもとで学ぶためにドイツ留学を決意し、1996年に渡欧しハンブルグ美術大学に入学。1997~1998年はブラウンシュヴァイク美術大学でマリーナ・アブラモヴィッチに師事し、その後ベルリン芸術大学でレベッカ・ホルンにも師事しました。その後はベルリンを拠点に数多くの展覧会で作品を発表していて、すべて合わせると300以上もの展覧会に出品しています。2019年には森美術館で大規模な個展が開催され、2021年には台湾、中国へと巡回し、その後にはオーストラリアやインドネシアも予定されています。今日はその2019年の展示を振り返る形でご紹介してまいります。
 参考記事:塩田千春展:魂がふるえる (森美術館)
 

塩田千春 「蝶のとまっているひまわり」
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cc1.pngこの写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらは5歳の頃の絵。ミロ的な簡略化を想起してしまうのは考えすぎかなw 何故か鏡文字になっているサインや色彩感覚など、非凡なものを感じさせます。

この作品は牧歌的ですが、若い頃からちょっと生々しい表現が多いので、この後ご注意。

塩田千春 「絵になること」
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こちらは大学在学中にオーストラリアに交換留学に行っていた頃の作品。自分が絵になる夢を観たそうで、自身が絵画の一部となった感覚を表そうとしているようです。血まみれの事件じゃないのねw

塩田千春 氏には全身を使った作品がいくつかあり、こうした作風も特徴のように思えます。

塩田千春 「物質としての存在のあり方」
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こちらは京都の法然院を会場にしたインスタレーションの記録写真。生と死、輪廻転生などを表現しているそうで、「生まれた時に物質として見えるのはへその緒、死ぬ時に残るのは灰」という言葉からへその緒をイメージしました。

この個展もそうでしたが、会場と一体化するような作品も特徴の1つかもしれません。

塩田千春 「私の死はまだ見たことがない」
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cc1.pngこの写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらは180個もの牛の頬骨を使った作品。タイトルはマルセル・デュシャンの墓碑の「されど、死ぬのはいつも他人ばかり」に呼応しているとのことで、確かに他者の死を連想させるモチーフになっています。水を求めて集まってきたような配置になっていて、その中心には本人が首だけ出して埋まってるという…w 死んでいるのに生き物のように見えるのが面白い作品です。

沢山のものを集めて表現するという手法もいくつかの作品で共通しているように思えます。それが迫ってくるような存在感を出していてちょっと怖いものもw

塩田千春 「親戚の顔」
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こちらは塩田千春 氏の親戚の写真を並べた作品。ドイツの地で自分の帰り道がないように感じて昔のことを思い起こしたそうです。記念写真が多くて一家の歴史を観るような感じかな。一種のノスタルジーなのかもしれません。

先述の通り、記憶は塩田千春 氏の作品にとって重要なテーマとなっています。同様に夢など形のない観念的なものに関心があるようです。

塩田千春 「アフター・ザット」「皮膚からの記憶」
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cc1.pngこの写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
「皮膚からの記憶」は2001年の第1回ヨコハマトリエンナーレでも出品された作品。泥だらけのドレスをシャワーで流し落とすインスタレーションですが、「ドレスは身体の不在を表し、どれだけ洗っても皮膚の記憶は洗い流すことができない」とのことですが、ちょっと不穏なものを感じるw

塩田千春 「皮膚からの記憶」
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これだけ並ぶと無茶苦茶怖いですw このインパクトは一度観たらトラウマレベル

インスタレーションだけでなく映像作品も作られています。

塩田千春 「眠っている間に」
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こちらは映像作品。糸が張り巡らされている中で何人か寝ている様子が映されていました。糸が繭のようで人々は荘子の「胡蝶の夢」を観て夢と現実の狭間にいるとのことで、シュールさも感じられます。やはりここでも糸を使っていて幻想的な雰囲気を出していました。

映像でも塩田千春 氏自ら作品の中に登場することもあります。

塩田千春 「ウォール」
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こちらも映像作品。またもや自ら体を張っていますw 血が連想させる家族・民族・国家・宗教などの境界線を壁に喩えているそうで、「その壁を超えることの出来ない人間の存在を表現」しているとのことです。チューブの中の血が巡る様子は中々美しく、これもへその緒などを思わせるものがありました。

インスタレーションでは黒や血のような赤い色が多く使われているように思います。心身を表しているからかも。

塩田千春 「外在化された身体」
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cc1.pngこの写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらは心と身体がバラバラになっていくの表現しているようです。下の方に手が転がっていて、ボロボロのネットは心なのかな?

塩田千春 「静けさのなかで」
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cc1.pngこの写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらは9歳の頃に隣の家が火事になり、次の日に外にぽつりとピアノが置かれていたという体験に基づく作品。言い知れぬ不安と死を感じる一方で、廃墟的な美しさも感じられます。

黒い糸を張り巡らせた焼けた椅子の作品などもあり、黒はそうしたイメージを増幅させます。

塩田千春 「時空の反射」
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cc1.pngこの写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらは鏡を使ってドレスが2つあるように見えています。黒い糸はどうしても死を連想させるかな。純白のドレスなのにちょっと不穏というかw

この展示の際、これまでの特徴が合わさったような大型作品がありました。

塩田千春 「集積-目的地を求めて」
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cc1.pngこの写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらは沢山のスーツケースを階段状に赤い糸で吊るした作品。かなり圧倒的な光景です。

塩田千春 「集積-目的地を求めて」
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cc1.pngこの写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
裏から観ることもできます。作者の言葉によると「スーツケースの山を見るとその数だけ人の生をみてしまう。故郷を離れどこかに目的地を求め、どうして旅に出たのか。その出発の日の朝の人々の気持ちを思い起こしてしまう」ということで、このスーツケースは持ち主の人生そのものを表しているのかもしれません。連なり混じり合うような配置も作者の境地を反映しているようです。

最後に塩田千春 氏の作品を象徴するようなインタビュー作品。

塩田千春 「魂について」
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cc1.pngこの写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらはドイツの小学生に魂(ゼーレ)って何?と聞いたインタビュー映像。割と深い回答が多くてちょっとビックリ。塩田千春 氏病気で生きることに精一杯だったそうで、魂について今一度考えさせられるような映像でした。


ということで、ちょっと生々しいほどに生命や死、記憶や夢といったものを感じさせる作品となっています。海外で高い評価を受けていて 日本よりも海外での展示に忙しそうではありますが、ちょうど2021年9月4日から始まった奥能登国際芸術祭2020+にも参加されているようです。今後もそうした機会があると思いますので、また是非じっくり観たいアーティストの1人です。


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《インドネシアの現代美術》 テーマ別紹介

今日はテーマ別紹介で、インドネシアの現代美術を取り上げます。インドネシアはクーデーターによる強権政治の時代を経験し、その反発をエネルギー源とした作品が多く存在します。また、伝統文化や宗教といった歴史的な土壌を活かした作品や、近代化を取り上げた作品などが主なテーマと言えそうです。インドネシアのアートは意外と目にする機会が多く、表現方法も豊富となっています。今日も過去の展示で撮った写真とともにご紹介していこうと思います。

まずは近代のインドネシアを代表するアーティストの作品からご紹介

FXハルソノ 「もしこのクラッカーが本物の銃だったらどうする?」
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こちらの銃はクラッカーでできています。インドネシアはクーデーター以降に強権的な政治の時代があり、それを批判するのも許されなかったようですが、この作家らが立ち上がって新しい美術運動を起こしました。

クラッカーのアップ
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色もピンクで玩具っぽい感じですが、背景に辛い時代があったのは推察できますね。

FXハルソノ「声なき声」
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こちらは指文字で「民主主義」を表している写真。右端には指が縛られた写真があり、民主主義を唱えることが困難だったことを示しているようです。その前に置かれているのはスタンプで、左から順に押していくと「DEMOKRASI」(インドネシア語で民主主義)となります。これは体験して持ち帰ることもできました。

FXハルソノは他にも「遺骨の墓地のモニュメント」というお墓をモチーフにした作品も観たことがあります。1968年~1998年のスハルト政権の負の側面がテーマになっている作品が多いのかも。
続いては他の作家による政治と歴史をテーマにした作品。

ジョンペット・クスウィダナント 「言葉と動きの可能性」
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こちらは30年間に渡ってインドネシアを独裁していたスハルト大統領の辞任スピーチを流しながら展示されていた作品。オートバイの上の旗はイスラームや学生のグループのもので、様々な思想が示されているそうです。独裁の終わりと民主主義の始まりを祝うという意味合いが込められているとのことでした。

アディティア・ノヴァリ 「NGACOプロジェクト--国家への提案」
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こちらはスーパーマリオのコインの音みたいなSEを使うインスタレーション。沢山の「NGACO」というブランドの建材が並び、モニタでCMのような動画を流しています。

よく見るとデタラメな品々ばかりで、目盛りの無い巻き尺など実際には役立たないものばかりです。「NGACO」はインドネシア語でデタラメさを意味する口語です。
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CM動画ではそれを叩き売りのようにどんどん値下げをしていました(コインの音はその値下げの時の音)最終的には90%オフだったかなw 国家への提言というタイトルに反して いい加減さを表していて皮肉しているのかなw

メラ・ヤルスマ「ワニの穴」
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こちらは作品に触れることができて、ワニの口の中に頭を突っ込むことができますw これは1965年ワニの穴を意味する場所で起きた「9月30日事件」を表しているそうです。調べたところ9月30日事件は先述の政権に繋がる軍事クーデターで、現在でもこの事件を取り扱うのは現地ではタブーとなっているのだとか。当時、鑑賞者はみんな面白がって頭を突っ込んでいましたが、そんな意味があったとは…。

ここまでクーデーター後の政権の暗い歴史をテーマにしたものでしたが、それより古い歴史や文化をテーマにした作品もあります。それを観る前に知っておきたいのがインドネシアの伝統工芸の品々。

「クリス」
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これは17~18世紀のインドネシアの霊剣で、神秘的な力があると信じられているそうです。現代でもインドネシアの結婚式の正装としてこうした剣を携帯するそうです。

インドネシアは7世紀頃は仏教国でしたが13世紀以降にイスラム教が広まり、現在ではイスラム教が86.7%、キリスト教が10.7%となっています。

「ワヤン・クリ ブトロ・グル」
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こちらは20世紀後半にインドネシアの中部ジャワで作られた影絵人形芝居用の伝統的な工芸品で、操作棒の部分には牛のツノが使われます。影絵なのにかなり細かい装飾でエキゾチックな雰囲気が面白い。
 参考記事:東京国立博物館の案内 【2010年11月】

このワヤン・クリはインドネシアの現代アートにも影響を与えています。

ヘリ・ドノ 「ガムラン・オブ・飲むニケーション」
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こちらは部屋全体が機械仕掛けの作品で、人形たちが楽器を鳴らすような感じです。

一部分をアップにするとこんな感じ。この人形たちは先程のワヤン・クリです。
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このワヤン・クリはガムランと呼ばれるインドネシアの民族音楽を奏でています。考えてみれば人形劇とロボットは似たようなものなので、違和感がないかな。伝統とテクノロジーの融合は昔からあったのかも??と思わせました。

ヘリ・ドノ「政治指導者へのショックセラピー」
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こちらもワヤン・クリから着想を得た作品で、指導者が最高位を巡って争う様子が表されているようです。私は観られませんでしたが30分に1回くらい電動で動くようです。皮肉が効いてて面白いw

政治や歴史だけでなく、宗教をテーマにした作品もあります。

アグス・スワゲ「社会の鏡」
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これはトランペットから「アザーン」というイスラームの礼拝時間を告げる呼びかけが流れてくる作品。目の前で立っている人が耳を澄ましているのが象徴的な感じです。他者に耳を傾けることの重要性を示唆しているようです。

メラ・ヤルスマ「プリブミ・プリブミ」
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これは先程のワニの作者で、路上で蛙の揚げ物を作って振る舞うという活動を撮影した作品。蛙は中国では食用である一方でイスラームでは不浄とされるようです。様々な民族が行き交う国ならではの文化的禁忌に疑問を呈するようです。意外と宗教にも客観的な目を向けてますね。

途上国やアジアのアートに多い近代化/現地の風習をテーマした作品もあります。

ジャカルタ・ウェイステッド・アーティスト(JWA) 「グラフィック・エクスチェンジ」
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こちらは新しい看板と無料で交換することを提案して古い看板を集めたもの。映像ではその過程やインタビューなども流れています。消え行く風景をコレクションするような感じで、非常に興味深いです。日本でもノスタルジックな看板が消えていくのは寂しいものですが、その感覚は万国共通なのかも。

ファジャール・アバディ・RDP 「ありがとうの拍手」
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これは一種のドッキリ企画で、バスのない街の乗り合いタクシーに乗ってくる人に仕掛ける内容です。この乗り合いタクシーはサービスの悪さで有名なようですが、乗って10秒すると同乗者の仕掛け人達から厚い歓迎を受け、チョコレートまで貰えます。また、乗車料金も無料にしてもらえるというサプライズで、それをお互い楽しむというものでした。急に歓迎されて驚く様子はドッキリそのものw しかし晴れやかな顔をしているのが好印象でした。

続いては近代化に伴う人権などをテーマにした作品

ロラニタ・テオ 「妻たちのリスク」
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こちらは映像作品で、ロウケツ染めをするインドネシアの女性たちが映されています。

歌いながら作業をしているので楽しげに見えますが歌詞は中々に社会的で、働く女性の地位向上について歌っています。
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また、男性の役割の変化なども歌っていて、経済発展による社会構造の変化も伺える内容となっています。

ムラティ・スルヨダルモ「アムネシア」
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これは壁に何やらチョークで書かれている作品。手前にはミシンと黒い服のようなものがあります。

壁に書いてあるもののアップ。
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実はこれは黒い服を縫った枚数をカウントしているそうで、同じ動作を繰り返すのがこの作者が得意とする表現のようです。カウントしながらごめんなさいと言い続けるそうで、記憶と感情の欠如を集めるという意味があるそうです。ちょっとよく理解できませんが、これだけの枚数を縫うとか途方もないので驚きました。

アングン・プリアンボド「必需品の店」
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タイトルを観ると、どこが必需品やねん!とツッコミ待ちにしか思えませんw 明らかに要らなそうなものが沢山並んでいて、本当に必需品と言えそうなものってこの中にあるのか?と探してしまいましたw 解説によると今日のグローバル消費社会で本当に必要なものは何かを問いかけているということなので、私の反応は作者の意図通りだったのかもしれませんw

最後に現地で人気の文化をテーマにした作品をご紹介。

トロマラマ 「戦いの狼」
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88x31.png この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本」ライセンスでライセンスされています。
これはインドネシアでカリスマ的人気の「セリンガイ」というヘヴィメタルバンドのために作った映像作品と、それを作るのに使った版木です。コマ送りのアニメーションとなっていて、素朴で力強いのにスタイリッシュな雰囲気も感じました。 (ちなみに私はメタル好きなのですが、このバンドは全く知りませんでしたw)

トロマラマのこの作品は何度か目にしたことがあるので有名作なのかも?

こちらも映像の一部。
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木版画を1つ1つアニメーションにするという恐ろしく手間のかかる作品で、400枚以上の木版画を使っています。音楽もプリミティブな雰囲気の映像とよくマッチしていました。これと同様にボタンとビーズで作ったトロマラマのミュージックビデオを観たことがあります。どちらも発想が面白い。

他にも以前ご紹介したアルベルト・ヨナタンもインドネシアのアーティストです。
 参考記事:《アルベルト・ヨナタン》 作者別紹介

ということで、多彩なアーティストが活躍しているようです。アジアのアート展などではインドネシアは必ずと言って良いほど紹介されるので、そうした機会で観る機会があると思います。アートをきっかけにインドネシアについて調べてみるのも良いかも。



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《田根剛》 作者別紹介

今日は作者別紹介で、今まさに日本を代表する建築家になりつつある田根剛 氏を取り上げます。田根剛 氏は26歳の若さでエストニア国立博物館の国際コンペを勝ち抜き、その壮大なスケールの設計で世界的な注目を浴びました。建設する土地について調べ、時には負の遺産を活かすというスタイルで「Archaeology of the Future(未来の考古学)」と呼称しています。周囲に調和しつつ斬新さ・大胆さが一目で分かるのも特徴で、これからの一層の活躍が見込まれる方です。今日も過去の展示で撮った写真とともにご紹介していこうと思います。

 参考記事:
  田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the Future ― Search & Research (TOTOギャラリー・間)
  田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the Future ─ Digging & Building (東京オペラシティアートギャラリー)
  CITIZEN“We Celebrate Time”100周年展 (スパイラルガーデン)


田根剛 氏は1979年の東京生まれで、北海道東海大学芸術工学部建築学科に入学し、在学中にスウェーデンの工科大学へ留学して建築を学びました。卒業後にはデンマーク王立アカデミーにて客員研究員となりデンマークやイギリスの設計事務所に務めています。そして2006年に26歳の若さで国際コンペ「エストニア国立博物館」で最優秀賞授賞し、一夜にして世界的な注目を集めました。そして、2008年にはフランスで新進建築家賞を受賞し「世界の最も影響力ある若手建築家20人」にも選出されるなど、今注目の建築家です。2012年には日本の世間を騒がせたザハ・ハディド氏の新国立競技場のデザイン案がありましたが、その際、惜しくも採用されなかった11名のファイナリストに名を連ね、そのデザイン案の「古墳スタジアム」が更に注目を集める機会となったようです。 

田根剛 「エストニア国立博物館」
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まずは出世作の実際の写真。上から観るとこんな感じで、むちゃくちゃ長くて滑走路みたい…と思った方は勘が鋭い。この博物館は元ソ連の軍用地の滑走路に接続する感じで建ってます。

この設計は負の遺産である軍用滑走路をエストニアの記憶として継承しようと活かした点が評価され、「メモリーフィールド(記憶の原野)」と名付けられました。2006年に最優秀案として選ばれ、2016年に開館しています。

こちらはエストニア国立博物館の模型。
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入口の大屋根も特徴かな。こんな大胆な案を26歳で考案したのかと驚きます。

こちらはサイズが小さめの模型。
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10年かかって作っただけあって、もはや地形と化しているくらいでかいw

田根剛 氏の大きな特徴として、徹底的に現地を調査し、その歴史やロケーションを建築に活かす点が挙げられます。

これは田根剛 氏の個展の際に床にあった資料。
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TRACE 記憶が発掘される といったことが書いてあり、遺跡のような写真がいくつも並んでいます。こうした資料からインスピレーションを受けて設計をしているようです。

このスタイルを「Archaeology of the Future(未来の考古学)」と自ら呼称しているようです。

田根剛 「古墳スタジアム」
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続いてこちらは先述の新国立競技場の最終選考案の模型。一見驚きですが、古代から続くオリンピックを日本の古代の古墳の形の競技場でというアイディアは秀逸ですね。お墓だけどw

この案を作る際にも古墳を調べたりしていたようです、神宮の森というロケーションを考えると緑が多いのもよく合いそうです。ちなみにご存知の通り、このコンペを勝ったザハ・ハディド氏の案は費用面などでケチが付き、後任の案は隈研吾 氏が選ばれました。

田根剛 「A House fro Oiso」
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こちらは大磯の家の模型で実際に完成した建物です。大磯は縄文の古代から人が住んでいた地で、縄文=竪穴、弥生=高床、中世=掘立柱、江戸=町家、昭和=邸宅 という各時代の住居を統合するというコンセプトとなっています。

こちらが実際の家の映像。
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違和感なく周囲に溶け込んでいて、落ち着きと洒落た感じがあります。確かに高床式倉庫っぽい見た目ですね。

こちらは部屋の中の様子。
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石壁の土台のような所が1階のようです。中もモダンさがありつつ落ち着くものを感じるのは日本の住居の歴史の結晶だからでしょうか。

田根剛 「カイタック・ツインタワー」
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こちらは香港の複合施設の選考案。九龍城や高層ビル群などをイメージしているようです。九龍城は魔境みたいなイメージですが、確かに多くの人の記憶に残っているしロマンがありますよねw これもワクワクさせてくれます。

田根剛 「Todoroki House in Valley」
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こちらは木々に囲まれた等々力渓谷の近くの家。森と共生するような佇まいで、洗練されているのにどこか懐かしくもあって、楽しそうな家です。

田根剛 「10 Kyoto」
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こちらは京都のプロジェクト。角度によってはピラミッドみたいな形をしていて、「条」で区切る京都の碁盤の目の歴史なども考察しているようです。この木は古材を再生させて使うようで、京都の山間部の工場で古材を集ています。

田根剛 「アルチュール・ランボー美術館」
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こちらはフランスの美術館の設計案で優秀案を受賞した作品。詩人のアルチュール・ランボーにまつまる建築として美術館と劇場の統合を試みているそうです。アルチュール・ランボーの故郷の風車小屋の中身を解体し、展示室と劇場にする計画だったようです。

田根剛 「LIGHT is TIME シチズン、ミラノサローネ」
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こちらは2014年にミラノのシチズンに作られたインスタレーションのデザイン。トンネルみたいなw

こちらもミラノのインスタレーション。時計の地板を8万枚・ワイヤー4000本以上使っているようです。
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こちらは2018年末に南青山のシチズンでミラノのインスタレーションを再現した際の写真。
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規則的にびっしりと金色の粒粒が並んでいる空間となっています。

そのうちの1つをアップで撮るとこんな感じ。
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これは「地板」という時計を支える基盤の部品だそうで、全部で12万個もの地板を使っているようです。

写真で観ると放射状のように見えますが、整然と並んでいます。
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光と時をテーマにしていて「光は時間であり、時間は光である」という考えで作られているのだとか。理屈抜きでも星空のように輝いて美しい光景です。


ということで、土地の歴史や文化を取り入れた設計が特徴の建築家となります。まだ40代なのでこれからの一層の活躍が期待される方です。最近では2020年に弘前れんが倉庫美術館が竣工するなど、大型プロジェクトを国内で観られる機会も増えるかも知れませんね。


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