関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

映画「ジョーカー」 (ネタバレあり)

2週間ほど前に、レイトショーで映画「ジョーカー」を観てきました。この記事にはネタバレが含まれていますので、ネタバレなしで観たい方はご注意ください。

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【作品名】
 ジョーカー

【公式サイト】
 http://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/

【時間】
 2時間00分程度

【ストーリー】
 退屈_1_2_3_④_5_面白

【映像・役者】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【総合満足度】
 駄作_1_2_3_④_5_名作

【感想】
公開からかなり経ってから観たので割と空いていました。

さて、この映画はDCコミックスの『バットマン』に出てくる悪役のジョーカーが如何に誕生したかを描く内容で、コミック原作とは言え かなり重く暗い雰囲気となっています。アメリカでは公開初日に軍が出動して警戒するなど、「ダークナイト ライジング」の時の乱射事件が再発するのでは?と懸念されるくらい影響力の高い作品です。日本でも昨今の事件で増えてきた持たざる者による社会への報復(いわゆる無敵の人)に通じる所があり、その懸念もうなずけます。
まず、主人公のアーサーは貧困層で痴呆症気味の母親を養い、さらに障害持ちという過酷な状況で、それでもコメディアンを目指しているという同情せざるを得ない設定です。無力で四方八方から疎んじられて、これでもかと追い込まれていく様子は観ていて心痛むものがありますが、自暴自棄になって自業自得な面もあったりするかな。現実逃避で妄想に耽ることも多く、観ている側も妄想と現実の区別がつかなくなってしまう作りは中々に怖さを感じます。やがて追い込まれすぎて狂気に駆られていく様子は ここ数年の無差別事件の様相に似ていてリアルな問題に思えました。この辺は簡単に答えが出せない複雑な気持ちになるので、かなり切り込んだテーマだと思うけど この胸糞の悪さは昔観た「ダンサー・イン・ザ・ダーク」以来かも。富裕層の傲慢さや そこまで追い込む必要ある?ってくらい意地の悪さにやり過ぎ感があったので 途中から逆に冷めました。 ただ、暴動に発展する流れも昨今のパリの暴動にも通じるところがあり、これも社会問題を取り入れて提示している感がありました。好みではないけど、裁判記録を観るような重厚さがあります。

続いて映像についてですが、何と言っても主演のホアキン・フェニックスが凄みすら感じる演技で見事でした。古い映画ファンとしてはジョーカーと言えばジャック・ニコルソンを思い起こすけど、ダークナイト以降のジョーカーたちもそれに負けず劣らずで、特に今回はヤバいくらいの存在感です。表情や口調だけでなく、痩せ細った体つきまで役作りをしていて 一層にリアリティを出していました。

あとオマケというか、登場人物はしっかりとバットマンに通じていて、バットマン自身の子供時代や両親も出てきます。ジョーカーとの関わりもストーリーで重要なポイントとなっているので、シリーズ自体としても見逃せない所です。ただちょっと親父さんのイメージが変わりそうですが…w また、今回の日本語訳は絶妙な言い回しとなっている箇所があり、それも映画を盛り上げていました。


ということで、単なるアメコミヒーローの映画ではなく格差社会の問題に切り込んでいて、実際の事件のあらましを観ているような気分になりました。高い評価を受けるのも分かりますが、暗澹たる気分になるので満足度としては少し下げました。今年観た映画の中でも特に記憶に残る傑作です。


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【東京国立近代美術館】の案内 (2019年11月後編)

今日も写真多めです。前回に引き続き東京国立近代美術館の常設についてです。まずは概要のおさらいです。

 → 前編はこちら

【展覧名】
 所蔵作品展 MOMAT コレクション

【公式サイト】
 https://www.momat.go.jp/am/exhibition/permanent20191101/

【会場】
  東京国立近代美術館 本館所蔵品ギャラリー

【最寄】
  東京メトロ東西線 竹橋駅

【会期】2019年11月1日(金)~ 2020年2月2日(日)
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【感想】
今回も上階から下へと下るルートで観た順にご紹介していこうと思います。

 ※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れますが、撮影禁止の作品もあります。
 ※当サイトからの転載は画像・文章ともに一切禁止させていただいております。

今日は1930年代の作品のコーナーから

長谷川三郎 「アブストラクション」
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タイトル通りの抽象画。かなり単純で図形のような感じですが、落ち着いた色彩の取り合わせが好みでした。どことなく日本っぽい要素があるように思えます。

小出楢重 「海」
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小出楢重は人物や静物が得意なように思いますが、風景画も単純化ぶりが面白い。やや曇りがちで波も高めになっているように観えました。

ポール・ジャクレー  「『世界風俗版画集』より 鯉を売る老婆、茨城県水郷」
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フランス生まれで日本育ちのジャクレーによる版画。浮世絵の技術を使っていて、微妙な濃淡のある多色刷りとなっています。背中に大きな籠を背負って疲れて休んでいるのでしょうか。顔つきに疲労が感じられました。

北川民次 「ランチェロの唄」
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こちらはメキシコで活躍した北川民次の作品で、メキシコの風物を壁画風に描いています。ギターを奏で、人々は踊っているけどあまり楽しく無さそうな…w 実はこれは当時の戦時中の日本への批判が密かに込められているとのことで、民衆が虚ろで無力に「踊らされている」のだとか。色もくすんでやや不吉な感じがするのはその為なんですね。

石垣栄太郎 「リンチ」
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これはストレートにヤバい雰囲気の作品。黒人が大勢の白人にい縛り首にされているようです。明暗も劇的で、人々の狂気が渦巻くような暗い負のエネルギーがありました。

続いては戦時中のプロパガンダの絵画のコーナーです。

松見吉彦 「十二月八日の租界進駐」
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これは1941年12月8日の上海占領の様子を描いたものかな? 意気揚々と旭日旗を掲げて行進する様子は国威発揚にピッタリの画題に思われます。芸術が政治に使われる一例ですね。

新井勝利 「航空母艦上に於ける整備作業(三部作ノ内三)」
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こちらは三部作で三点とも展示されていました。タイトル通り母艦での整備の様子と思われますが、構図が斬新で絵としても面白い。広い空へと飛び立つ雰囲気がよく表されていました。

新井勝利 「航空母艦上に於ける整備作業(三部作ノ内一)」
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こちらも三部作の1つ。翼を曲げて格納され、プロペラを整備している様子が分かります。完成作のはずなのに背景は色が塗られず、手前が目を引くようにしているのかな? 日本画らしからぬ光景となっているのも面白い。

藤田嗣治 「○○部隊の死闘−ニューギニア戦線」
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こちらはエコール・ド・パリの画家として乳白色の裸婦で有名な藤田嗣治による戦争画。裸婦の画風とは全く異なる茶色がかった画面となっています。大画面で劇的な様子となっていて、歴史画への並々ならぬ意欲が感じられます。こうした戦争への積極的な貢献が戦後に叩かれる原因になるわけですが…。

続いては戦後のコーナーです。

「日本の児童画」
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こちらは1954~67年頃の子供が描いた絵画。児童画はアール・ブリュットからは除外されていますが、既存の美術とは異なる自由で純粋な発想においては共通しているように思えます。タッチもへったくれもないですが、強い筆致で生き生きしています。

北川民次 「画家の家族」
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再び北川民次で、こちらは1969年の作品。だいぶ作風も変わって平面的で輪郭が太くなっているように思えます。ミシンとレースはやけに精密に描かれているような…w ちょっと不思議な構成も含めて印象的な作品でした。

この辺には以前ご紹介した山下菊二の「植民地工場」や「あけぼの村物語」などショッキングな作品もありました。
3階のこの先は奈良原一高の写真のミニコーナーがあり、その先は前々回でご紹介した鏑木清方の三部作の展示となっていました。

少し進んで2階は1990年代以降のコーナー。

村上隆 「サインボード TAMIYA」「サインボード TAKASHI」
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上は模型のタミヤのマークとロゴに焼入れしている作品で、下は自分の名前入のサインボードのようです。いずれも兵士の形(恐らくタミヤの模型)の焼印の跡があって、アメリカや戦争を想起するかな。また、ジャスパー・ジョーンズの作品を意識しているようにも思えました。

ゲルハルト・リヒター  「抽象絵画(赤)」
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この日、窓展にもリヒターの立体作品がありましたが、こちらは絵画作品。何が描いてあるのかさっぱり分かりませんが、赤がちょっと不穏な雰囲気に観えますw かすれて流れを感じる画面となっていました。

ちょっと観る順番がおかしくなりましたが、続いては1960年代のコーナー。

赤瀬川原平 「ヴァギナのシーツ(二番目のプレゼント)」
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千円札を印刷して裁判沙汰になるなど かなり攻めてた赤瀬川原平の作品。タイトルからしてこれも問題になりそうな…w 1950年代以降にがらくたを使った作品の流行があったようで、こちらも廃材で女性器を表しています。オリジナルは作者自身によって廃棄され、こちらは1995年に回顧展のために作者監修の元で再作成されたものなのだとか。二番目というのはそういうことかな?

三木富雄 「EAR NO.Y-8」
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アルミで作られた耳が強烈なインパクトの作品。よく観ると1つ1つ形が違います。何で耳なんだろう? 何で中央は耳が無いんだろう?と疑問が次から次へと湧いてきますw 作者は独学で美術を学んだようで、かなり独特な感性に思えました。


ということで、今回も個性的な作品を沢山観ることができました。ここは点数も多く特別展よりもボリュームがあるので、見応えたっぷりです。この美術館に行く際は、スケジュールに余裕を持って常設も観ることをオススメします。


参考記事:
 東京国立近代美術館の案内 (2019年11月前編)
 東京国立近代美術館の案内 (2019年11月後編)
 東京国立近代美術館の案内 (2019年07月前編)
 東京国立近代美術館の案内 (2019年07月後編)
 東京国立近代美術館の案内 (2019年03月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年11月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年06月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年12月前編)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年12月後編)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2014年01月)
 東京国立近代美術館の案内 (2013年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2013年03月)
 東京国立近代美術館の案内 (2012年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2011年12月)
 東京国立近代美術館の案内 (2011年06月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年12月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年04月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)


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【東京国立近代美術館】の案内 (2019年11月前編)

今日は写真多めです。前回ご紹介した展示を観た際、東京国立近代美術館本館の常設展も観てきました。こちらは撮影可能で 今回も目新しい作品が多かったので、前編・後編に分けて写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
 所蔵作品展 MOMAT コレクション

【公式サイト】
 https://www.momat.go.jp/am/exhibition/permanent20191101/

【会場】
  東京国立近代美術館 本館所蔵品ギャラリー

【最寄】
  東京メトロ東西線 竹橋駅

【会期】2019年11月1日(金)~ 2020年2月2日(日)
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【感想】
この日は結構お客さんが多かったですが、概ね自分のペースで鑑賞することができました。今回も気に入った作品の中から今までご紹介していないものを写真で並べていこうと思います。
 ※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れますが、撮影禁止の作品もあります。
 ※当サイトからの転載は画像・文章ともに一切禁止させていただいております。

松井康成 「練上嘯裂文茜手大壺」
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こちらは「嘯裂」というひび割れのあるピンク色の壺。陶器なのにモコモコした質感に見えて柔らかそうに観えます。段々に縞模様もついていて、非常に凝った作りとなっていました。

小林古径 「加賀鳶」
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こちらは江戸にあった加賀前田藩の屋敷お抱えの火消しを描いた作品。火消したちは前傾姿勢で素早く駆けつけている感じが出ています。題材は江戸時代ですが、幾何学的な家や構図はセザンヌからの影響のように思えました。

尾竹竹坡 「風精」
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こちらは風の精を描いた作品。風を抱えていて、日本的な風神っぽい容貌かな。金の風の流れが軽やかで、幻想的かつ装飾的な印象を受けました。

尾竹竹坡 「火精」
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こちらは火の精。こちらは筋骨たくましい姿をしていて、仏画の四天王や十二神将のような雰囲気があるかな。黒い肌に白と金の輪郭で描いていて力強さがあります。全体的にS字を描くような流れがあるのも面白い効果です。

尾竹竹坡 「流星」
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こちらはイタリアの未来派に影響を受けた作風となっています。円が連なる幾何学的でリズミカルな構図で、大きな身振りで動きやスピードを感じさせます。この女性たちは1人の女性が宙を舞って落下する軌跡を表しているとのことでした。

岸田劉生 「イブを待つアダム」
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体育座りをしてじーーーっと舞っている様子を描いた作品。目は遠くを観るようで待ち疲れて飽きてそうに見えるw 岸田劉生は一時期は牧師を志していたので、こうしたキリスト教関連の題材も残しています。

続いては1923年9月1日に行われた第10回二科展の出品作のコーナー。関東大震災の当日が初日だった展示で、1日で中止となってしまいました。

津田青楓 「出雲崎の女」
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大胆な裸婦像で、何処と無くマティスのオダリスクなどを想起させるかな。太めの輪郭と明るい色彩のため生き生きとした印象を受けます。作者の津田青楓はこの絵を震災当日に会場で話題にしていたのだとか。

津田青楓 「婦人と金絲雀鳥」
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こちらは装飾的な壁紙を背景に座る婦人と、足元の金色の鳥が描かれた作品。周りが黄色っぽいので婦人の肌がやや青白く見えるようにも思えますが、存在感があります。微笑んでいて鳥とは違う画面外を観ているような目が印象的でした。

石井柏亭 「ナポリ港」
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ナポリの港町とヴェスヴィオ山を描いた作品。近景・中景・遠景の流れがCの字になっていて構図に流れを感じます。色も明るく爽やかな現地の様子が伝わってきました。

黒田重太郎 「港の女」
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こちらはキュビスム的なややカクカクした裸婦像。同じ髪型をしているので全員同じ人なのかも?? それぞれ異なったポーズをしていて1枚で多面的に女性を表しているように思えました。

古賀春江 「女」
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シュルレアリストで有名な古賀春江ですが、ここではシュールさはあまり無いように思えます。手が大きくてピカソの新古典主義の時代のような量感があるかな。独特のデフォルメぶりが面白い作品でした。

岡本唐貴 「静物」
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こちらはキュビスム的な静物画。とは言え平面に圧縮されたようにぺったりしていて、あまり多面的には観えないかもw しかし物の配置が心地よく感じられ、デフォルメぶりも好みでした。

住谷磐根 「工場に於ける愛の日課」
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こちらは廃屋となった焼物工場に足を踏み入れた時の印象を元に描いた作品だそうで、右の辺りに人物らしき姿もあります。無機的なものと有機的なものが混じり合っているように思えて、ちょっと不穏な色彩かなw 解説によると、この時代の人間と機械の間のアンビバレントな関係を感じさせるとのことでした。

続いては前回ご紹介した鏑木清方の弟子でもある川瀬巴水の版画のコーナーです。私は川瀬巴水が大好きなので、今回特に良かったのはここでした。

川瀬巴水 「『旅みやげ第二集』より 晴天の雪(宮島)」
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こちらは雪が降っているのに晴れているというちょっと不思議な光景を描いた作品。厳島神社も雪が積もって、爽やかさと神秘性が半々みたいな感じかなw やはり川瀬巴水の版画は色使いが絶妙で、旅情や郷愁を誘いますね。

川瀬巴水 「『旅みやげ第三集』より 加賀八田 秋の虹」
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こちらは強い風で木々や藁が傾いでいる様子と、虹が架かっている様子が描かれた作品。雲の下は青空で急速に晴れて来ているのかも。風とは逆方向に飛ぶ鳥の姿も力強くて目を引きました。

川瀬巴水 「『東海道風景選集』より 田子の浦の夕」
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赤く染まる富士山を背景に 荷馬車と手前を遮る松が描かれた作品。松は画面外にも伸びていって強い生命力が感じられます。日本の原風景のようで、富士の雄大さと 農民の素朴さが印象的でした。


ということで、今回も目新しい作品が多くて楽しめました。後半も面白い作品が多かったので、次回も同様に写真を使ってご紹介の予定です。

 → 後編はこちら


参考記事:
 東京国立近代美術館の案内 (2019年11月前編)
 東京国立近代美術館の案内 (2019年11月後編)
 東京国立近代美術館の案内 (2019年07月前編)
 東京国立近代美術館の案内 (2019年07月後編)
 東京国立近代美術館の案内 (2019年03月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年11月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年06月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年12月前編)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年12月後編)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2014年01月)
 東京国立近代美術館の案内 (2013年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2013年03月)
 東京国立近代美術館の案内 (2012年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2011年12月)
 東京国立近代美術館の案内 (2011年06月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年12月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年04月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)


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鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開 【東京国立近代美術館】

前々回・前回とご紹介した東京国立近代美術館の展示を観た後、同じ本館の所蔵品ギャラリー第10室で「鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開」を観てきました。

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【展覧名】
 鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開

【公式サイト】
 https://www.momat.go.jp/am/exhibition/kiyokata2019/

【会場】東京国立近代美術館 所蔵品ギャラリー第10室
【最寄】竹橋駅

【会期】2019年11月1日(金)~ 12月15日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
土曜日の遅い時間に行ったこともあってそれほど混んでいませんでしたが、夕方くらいまではかなり多くの人がいたようでチケット売り場には行列ができていました。

さて、この展示は美人画で名高い近代日本画家の鏑木清方のミニ個展で、普段は常設展示されている3階の一部屋だけとなっています。というのも、今回は新収蔵品のお披露目としての開催で、1975年以来 行方不明となっていた「築地明石町」「新富町」「浜町河岸」の幻の三部作が一気に収蔵されたので、それが今回の主役となります。簡単にメモしてきましたので、いくつか気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
 参考記事:清方/Kiyokata ノスタルジア (サントリー美術館)

鏑木清方 「墨田河舟遊」
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こちらは4階の常設展示のハイライトのコーナーにあり、これだけは別料金を払わなくても常設として観ることができます。(写真もOK) 文展への出品作で、江戸時代の舟遊びの光景を描いています。

右隻のアップ。
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屋形船の中で人形舞の宴が催されています。影の無い明るく柔らかい色彩で優美な雰囲気です。屋根の上で隣の舟を突いている人も気になるw

さらに屋形船の中をアップにしたもの
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人形の衣装まで華やかに描かれています。そして御簾越しの女性の表現が見事で、柔らかく繊細な印象を受けました。

こちらは左隻のアップ
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こちらも小さめの屋形船が描かれています。

屋形船のアップ
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この清らかで透き通るような肌の女性が清方の真骨頂ではないかと思います。着物の滑らかな輪郭線も優美さを強めているように思えました。

そして今回の展示の会場に入ると、「築地明石町」に描かれた着物の再現や、モデルを務めた江木ませ子のポートレートなどもありました。

鏑木清方 「明治風俗十二ヶ月」
こちらは12幅対の掛け軸で、1幅ごとに1~12月まで各月の風物を交えた美人が描かれています。かるた(一月)、梅やしき(二月)、けいこ(三月)、花見(四月)、菖蒲湯(五月)、金魚屋(六月)、盆燈籠(七月)、氷店(八月)、二百十日(九月)、長夜(十月)、平土間(十一月)、夜の雪(十二月)となっていて、階層や身分の異なる女性たちが季節と共に古き良き時代を感じさせます。髪を整えたりする身振りに気品が感じられ、いずれも華やいだ雰囲気となっています。

左:盆燈籠(七月) 右:氷店(八月)
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こちらの写真は以前に常設展示されていた時に撮ったものです。今回の展示では撮影不可となっています。
特に夏は涼しげなモチーフと共に清涼感があります。のんびりしていて郷愁も誘われました。

左:平土間(十一月) 右:夜の雪(十二月)
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こちらの写真は以前に常設展示されていた時に撮ったものです。今回の展示では撮影不可となっています。
12月はやはり寒そうな感じですが、11月は暖色系で温かみがあるかな。人力車とガス燈が描かれているなど、時代を感じさせるモチーフも清方らしさだと思います。
 参考記事:
  東京国立近代美術館の案内 (2010年09月)
  東京国立近代美術館の案内 (2011年12月)


次の作品をご紹介する前に、ちょっと掛け軸の各部位の名前をご説明。 これも以前に作った画像ですw
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掛け軸というと中央の部分が注目されますが、周りの部分にも絵を描くこともあり、そこに絵を描いたものを描表装と呼びます。

鏑木清方 「端午の節句」
そしてこちらが描表装となっている作品。中央の絵の部分には桃太郎の武者人形が座っていて、丸々と可愛らしい姿となっています。一方、中廻しから天にかけて大きな鯉のぼりと吹き流しが描かれ、青い背景がまるで空のように思えます。紅白の吹き流しは特に色鮮やかで桃太郎より目立っているようなw 力強く昇っていくような面白い表装となっていました。

この隣にも描表装の「弥生の節句」がありました。
そしていよいよ今回のメインである三部作が続きます。三部作は清方の思い出深い街の風情をそれに相応しいモチーフ・似つかわしい女性と共に象徴的に描いたものとなっています。

鏑木清方 「新富町」 ★こちらで観られます
まずこの新富町は 朱色の傘を持つ緑色の着物の女性がうつむいている様子が描かれています。新富町は古くから劇場を抱え 花街としても知られていたので、女性は新富町芸者で背景の建物は新富座だそうです。新富座は明治の頃は近代的な劇場だったものの、大正に入ると衰退して関東大震災で廃座してしまいました。それと関係しているかは分かりませんが、女性のやや憂いを帯びたような顔をしていて内省的に思えるかな。傘の色が明るくも上品で、モチーフにもリズムが感じられました。

鏑木清方 「築地明石町」 ★こちらで観られます
こちら今回の目玉で、木の柵の前でやや振り返る姿勢で立っている水色~緑の着物の上に黒の羽織を着た女性像です。築地明石町は明治期には外国人居留地になっていた為、ハイカラな街だったようで木の柵はそこに洋館があることを示しているようです。また、女性の髪は上流の婦人を思わせる「夜会巻」もしくは「イギリス巻き」と呼ばれる短めの髪型で、この作品では先程の写真のモデルを使って描いているようです。指には金の指輪が光っているので既婚かな。着物からは所々に朱色の部分がのぞいていてアクセントになっています。遠くを観るような目つきで凛とした印象を受けました。 一方、背景の柵には朝顔が巻き付いているので初夏と思われます。 薄っすらとマストのある舟の姿もあって瀟洒で爽やかな雰囲気となっていました。
 参考記事:浜離宮と新橋停車場~東京150年 江戸から明治へ~ (旧新橋停車場 鉄道歴史展示室)

鏑木清方 「浜町河岸」 ★こちらで観られます
続いては浜町で、扇子を持って口元に当てる若い芸子らしき人物と、背景に薄っすらと火の見櫓らしきものが描かれています。こちらは清方が6年暮らした町で、歌舞伎舞踊の振り付けで一時代を築いた2代目 藤岡勘右衛門が家を構えていたそうです。その為、この女性は踊りの稽古帰りらしく、着物も結構派手めです。若々しくて何か悩んでいるような顔が艶かしく思えました。

鏑木清方 「初冬の花」
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こちらの写真は以前に常設展示されていた時に撮ったものです。今回の展示では撮影不可となっています。
こちらは小菊という芸者を描いた作品で、赤と薄紫のストライプの着物姿でキセルを盆に入れれいるのかな? 伏目がちで所作が伝わってくるような奥ゆかしい雰囲気となっていました。この女性とは泉鏡花を囲む会で知り合ったそうで、泉鏡花の小説にも出てきそうな感じかも…w
 参考記事:東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)

この辺には泉鏡花の小説のラストシーンを描いた「晩涼」もありました。

伊東深水 「清方先生寿像」
こちらは弟子の伊東深水による清方の肖像です。結構老けている頃の姿で、原稿用紙をテーブルに置いてペンを持っています。遠くを観るような目で物思いに耽っているのかもしれません。テーブルには泉鏡花全集と美術雑誌『アトリエ』の抽象美術特集号が置かれていて、清方の仕事や研究の様子が伺えます。これを観た俳人の久保田万太郎は「清方先生の首を振るクセが出ている」と評したそうで、深水もそれを聞いて喜んだのだとか。確かに人柄までにじみ出てくるような肖像画でした。

この他にも新しく寄贈された「鶴八」という作品もありました。こちらはテレ東の「なんでも鑑定局」で有名な中島誠之助 氏が寄贈した作品で、3部作の発見の報を聞いて寄贈されたそうです。流石、いい仕事してますねw


ということで、ミニ展示ではありましたが3部作を始め清方の魅力の詰まった作品をじっくり鑑賞することができました。もう会期末が迫っていますので、気になる方は今週末にどうぞ。なお、2022年春には同じく東京国立近代美術館で「没後50年 鏑木清方大回顧展(仮)」が開催されるようで、その時にまた3部作を観る機会がありそうです。

おまけ:
北の丸公園の紅葉
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この後、あっという間に冬になってしまい、今年は紅葉の時期は短かった…。



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窓展:窓をめぐるアートと建築の旅 (感想後編)【東京国立近代美術館】

今日も写真多めで、前回に引き続き東京国立近代美術館の「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」についてです。前編は1~5章についてでしたが、今日は6~14章について写真を使ってご紹介して参ります。まずは概要のおさらいです。

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 窓展:窓をめぐるアートと建築の旅 

【公式サイト】
 https://www.momat.go.jp/am/exhibition/windows/

【会場】東京国立近代美術館
【最寄】竹橋駅

【会期】2019年11月1日(金)~2020年2月2日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半は撮影不可の場所もいくつかありました。撮影できた場所については写真を使って参ります。

<6 窓の外、窓の内 奈良原一高 『王国』>
6章は奈良原一高の初期の代表作『王国』に関するコーナーです。1958年の個展で発表されその後に写真集にまとめられたこの作品は、北海道の男子トラピスト修道院を撮った「沈黙の園」と、和歌山の女子刑務所を撮った「壁の中」の2つのパートから成っています。ここにはその中から窓が写った12点が展示されていました。

奈良原一高 「『王国』より 沈黙の園」
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一見すると西洋風に見えますが、受付口の看板が日本語で書かれていて函館付近のトラピスト修道院だと分かります。禁欲的な世界の内側と言った感じで、中世的な雰囲気がありました。

奈良原一高 「『王国』より 壁の中」
DSC09782.jpg
こちらは監獄の中から外を観る女性の囚人たち。右の女性は話しかけているようにも見えるかな。こちらも閉ざされた世界との境界を感じさせました。


<7.世界の窓 西京人《第3章:ようこそ西京に-西京入国管理局》>
続いては打って変わって現代アートのコーナーで、日本の小沢剛・中国の陳シャオシュン・韓国のギムホンソックという3人から成る「西京人」のコーナーです。西京人はアジアの何処かにある西京国という架空の都市国家を題材にしているそうで、ここでは入国管理局を模した作品がありました。

小沢剛・陳シャオシュン・ギムホンソック 「西京人」
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こちらが入国管理局。パスポートの代わりに「とびきりの笑顔か、お腹の底からの大笑い」または「お好きな歌を1小節」または「チャーミングな踊り」を係員に見せないと入国できないそうです。実際には無理強いされることはないですが、笑顔を見せる人が多かったかなw 

こちらは手書きのイラスト
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ここではチャーミングな踊りを見せている様子が描かれています。こんな平和な審査だったら楽しいでしょうね。

結構凝っていて、様々な小物も展示されていました。
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この近くにあった映像では子どもたちが入国する様子を流していました。


<8.窓からのぞく人II ユゼフ・ロバコフスキ《わたしの窓から》>
続いてはポーランドを代表するアーティストであるユゼフ・ロバコフスキの代表作の1つ「わたしの窓から」に関するコーナーです。ここは映像1点のみで、ユゼフ・ロバコフスキが住む高層アパートの9階から撮った広場の様子が映されていました。

ユゼフ・ロバコフスキ 「《わたしの窓から》」
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こちらはそのワンシーン。警官が車を呼び止めていた時の様子。ユゼフ・ロバコフスキはこうした窓から見える光景を1978年から22年にも渡って撮り続けたそうです。ナレーションで説明が入るのですが、それは真偽が定かではないのだとか。また、この作品では直接的には表現されていませんが、撮っていた期間には政治体制が変わった時期も含まれるので激動の時代の中の日常の風景に思えました。


<9.窓からのぞく人III タデウシュ・カントル《教室-閉ざされた作品》>
続いてもポーランドのアーティストのコーナーで、演劇家でもあるタデウシュ・カントルの「教室-閉ざされた作品」という作品が1点だけ展示されていました。

タデウシュ・カントル 「教室-閉ざされた作品」
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部屋の中に部屋がありました。黒い壁で不吉な雰囲気。元は「死の教室」という演劇で、ポンピドー・センターでの「ポーランド人の存在」展の際に立体作品としたそうです。

中を覗くとこんな感じ。マネキンがいてめっちゃ怖いw
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死者となった年老いた登場人物が自分の子供時代を表すマネキンを腕に抱えて学校に教室に集うという設定の舞台なので、こうしたマネキンが置かれているようです。延々と戦争で死んだ人を点呼したりするそうなので、見た目が怖いのも納得。ポーランドの苦難の歴史を表しているようでした。

壁には戦争の頃と思われる新聞なども貼られていました。


<10.窓はスクリーン>
続いてはテレビやビデオ、PCなどをテーマにしたコーナーです。

JODI 「My%Desktop OSX 10.4.7」
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こちらはオランダ出身の2人組のアーティストによる作品で、マックのOS上でフォルダやファイルを開いたり閉じたりしている映像です。リズミカルで音楽的な感じにも見えるけど、バグってるかウィルス感染したような感じですw プログラムで作ったのではなく手動で作っているとのことで、驚きでした。しかし窓の展示ならそこはwindowsを使って欲しいw

この近くには他にも作品などがありました。意味は分かりづらいですw


<11.窓の運動学>
続いては実際に窓を使った作品などのコーナーです。

ローマン・シグネール 「よろい戸」
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会場で何やらバタンバタンという音が聞こえたのですが、それはこちらの作品でした。部屋の真ん中に鎧戸があり、扇風機のON・OFFで窓が開閉します。

開くとこんな感じ。
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背面の扇風機がONになり、両脇がOFFになっています。それが反転すると閉まる仕組みです。延々と繰り返されて無機質な印象を受けました。デュシャンのようにディメイドが別の意味合いを持ったと考えれば良いのかな?

ローマン・シグネール 「ロケットのあるよろい戸」
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こちらは映像作品で、やはりよろい戸を使っています。ここではよろい戸が開くと中からロケット(の噴煙)が出てくるという仕掛けになっていました。もはや窓というよりは砲門みたいなw これも窓のようで窓でないような作品でした。

近くには池永慶一の神戸での大規模な建築作品のプロジェクトの様子なども展示していました。

ズビグニエフ・リプチンスキ 「タンゴ」
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こちらは36人もの人間が1つの部屋へ出入りする映像作品です。ループしていて何度も繰り返すのですが、上手いこと人々が重ならないように編集されています。これはデジタル合成技術の無かった時代に緻密に計算して役者を別々に撮影し、フィルムを手作業で切り貼りして作ったのだとか。絶妙にタイミングがズレて現れる人々を観ているとアルゴリズム体操を観ているような気分になるw ちょっと可笑しい所もあって面白い作品でした。


<12.窓の光>
続いては山中信夫 氏とホンマタカシ氏の作品が並ぶコーナーです。山中氏はピンホールカメラを使った作品、ホンマタカシ氏は山中氏の発想を転換して富士山を撮った作品が並んでいました。

山中信夫 「ピンホール・ルーム1」
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こちらがピンホールカメラで撮った作品。何枚も張り合わせて大画面にしています。自分の部屋の壁い穴を開けて部屋自体をピンホールカメラにしてこうした写真を撮ったそうです。確かにピンホールは窓の一種ではあるかもしれないけど、発想のスケールが大きいw 他にも室内の様子も撮れている写真もあり、ピンホールカメラの特性を生かした不思議な画面となっていました。


<13.窓は希望 ゲルハルト・リヒター《8枚のガラス》>
こちらは撮影不可となっていました。部屋に8枚のガラス板が等間隔に立ててあるのですが、それぞれが65%の透過率となっていて35%は鏡のように反射するという特殊なガラスとなっています。そのため、見る角度によっては向こう側が見えたり見えなかったりして不思議な仕組みとなっています。ゲルハルト・リヒターは画家として有名ですが、絵画だけでなくこうした立体作品もウィットがあって驚きました。

会場内の作品は以上で、もう1つの章は美術館の入口にありました。


<14.窓の家 藤本壮介>
最後の章は会場の外にある建築作品です。

藤本壮介 「House N」
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こちらは3つの箱が入れ子状の構造になった建物です。これの模型は何度か観たことがありますが、まさか本当に建てるとはw 中に入る事もできるので、構造がよく分かるようになっていました。こうなると何処までを窓というのか悩みますw
 参考記事:日本の家 1945年以降の建築と暮らし感想前編(東京国立近代美術館)


ということで、後半もバラエティ豊かな内容となっていました。ちょっと方向性がバラバラで分かりづらいところもありますが、窓の持つ様々な魅力を改めて感じることができたと思います。この展示は撮影もできますので、気になる方はスマフォやカメラを持ってお出かけすることをオススメします。


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