関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち 【世田谷美術館】

前々回・前回とご紹介した静嘉堂文庫美術館の展示を観た後、バスで世田谷美術館に移動して「ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち」を観てきました。

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【展覧名】
 ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち

【公式サイト】
 http://paris2017-18.jp/
 https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00187

【会場】世田谷美術館
【最寄】用賀駅

【会期】2018年01月13日~04月01日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
土曜日に行ったこともあって割とお客さんが多かったですが、混んでいるというほどでもなく概ね自分のペースで見ることができました。


さて、この展示は今も昔もファッションや文化をリードしてきた パリに住む女性たち「パリジェンヌ」をテーマにした内容となっています。特定の画家や時代をテーマにしている訳ではない珍しい展示で、18世紀以降の各時代のパリジェンヌをとりまく環境や、その役割、芸術との関わりなどで章分けされていました。ごく簡単にメモしてきましたので、構成に沿って振り返ってみようと思います。


<第1章 パリという舞台 ~邸宅と劇場にみる18世紀のエレガンス>
まずはパリがフランスの中心となっていった頃のコーナーです。ルイ14世の時代の後、フランスの文化の中心はヴェルサイユからパリへと変わったそうで、文化の場として女主人が個人の邸宅を「サロン」として文化人を集めた交流を行っていたようです。このサロンによって新しい考えや芸術が広がっていったので、歴史的にもその役割は大きいものだったと思われます。また、舞踊の中心地もパリに移動したそうで、舞台のドレスや工夫をこらした髪型が刊行物によって流行していったようです。

ここにはサロンの邸宅の室内を描いた絵があり、割とこじんまりした空間で芸術論議をしていた様子が伺えます。また、日本の柿右衛門様式のティーセットやロココ時代のドレスなどがあり、様々な様式を取り入れた文化的に豊かな集いであったのも分かります。ドレスはこの先にも多く展示されているので、各時代の特徴を比べて観られるのもこの展示の見どころと言えそうです。

その先には当時の髪型と帽子の様子が分かる作品もありました。逆立った髪型や巨大な帽子を被った女性像の中には、船の形(当時のフリゲート艦)の形の帽子なんかも描いてあります。こうした帽子は他の展示でも観たことがありますが、なんど見ても奇抜で驚かされます。帽子の高さは1.2mもあるらしいので背が高い女性だと背丈と合わせて高さは3m近くあったんじゃないかなw
 参考記事:マリー・アントワネット物語展 (そごう美術館)

その先にはバレエの踊り子について取り上げていて、マリー・サレという踊り子についてやバレエの衣装なんかが紹介されていました。当時のバレエの衣装は結構重そうなドレスなのが意外でした。


<第2章 日々の生活 ~家族と仕事、女性の役割>
フランス革命を経てナポレオンの時代になると社会は大きく変化していき、フェミニズム運動なども起こりました。そして小説家や批評家として活躍する女性も現れたようですが、女性は結婚して母となり家庭を護るという価値観は依然根強く、女性は辛抱していたようです。ちなみにこの頃のフランスでは子供を育てるのは乳母が一般的だったようですが、ジャン=ジャック・ルソーによって母親が直接育てるべきという教育論が唱えられたそうです。その為か絵画でも母子を描く作品が強調されるようになったようで、ここにはそうした労働や日常での女性を描いた作品などが並んでいました。

ここには「良き母親」という作品があり、三人の子供と穏やかに過ごす女性が描かれていました。恐らくこれが当時 女性に求められた理想像で、現在でも少なからずこうした姿が求められている部分があると思います。また、アンリ・ファンタン=ラトゥールによる「窓辺で刺繍をする人」では2人の姉妹が刺繍をしていて、明暗の強さも相まって静けさと親密な空気が感じられました。これも女性像として象徴的かもしれません。
さらに隣の「アイロンをかける若い女性」という作品はこちらをふと観た女性が描かれているのですが、女性の目が強くて、目が合うような感じが面白かったです。17世紀オランダ絵画からの影響があるようで、強い明暗で写実的 かつ くっきり描かれているのも好みでした。

そしてここにはオノレ・ドーミエによる「青鞜派」という版画作品が2点あります。これは小説家を目指す女性を風刺したもので、背後で子供がたらいに頭を突っ込んでいるのに気付かずに小説に夢中になっている様子や、旦那のズボンのボタン付けを拒否する様子などが描かれていて、女性の社会進出に対して批判的な感じです。ドーミエ自身は権力に対して批判的な革新派なのですが、女性に対しては古風な価値観を持っていたという意外な側面が伺える作品でした。


<第3章 「パリジェンヌ」の確立 ~憧れのスタイル>
続いてはパリジェンヌというスタイルが確立されていく時代のコーナーです。この時代の展覧会を観ているとよく出てくる話ですが、昔のパリは不衛生でゴミゴミした街だったのをナポレオン3世が1853年にジョルジュ=ウジェーヌ・オスマン男爵に命じて大改造を行い、一気に近代都市へと変貌を遂げました。そうした状況を背景にファッション業界は重要な位置を占め、その働き手としても女性が活躍していくようになります。そしてパリジェンヌのスタイルは憧れの対象となり、やがて海を渡りアメリカなどにも広がっていきました。

ここには印象派の先駆けであるブーダンによる「海岸の着飾った人々」という作品があり、ドレスを着た女性たちが海岸に集まっている風景が描かれています。海岸は社交の場の雰囲気そのものといった感じですが、少しだけ海で海水浴している人の姿もあります。背景には着替え用の小さいテントがあるのですが、この頃は水着ではなく上着にズボンの姿で海に入ったらしく、それでも人目につくのを嫌がってテントごと海に入ることがあったと紹介されていました。
この辺にはコルセットしてフリフリした感じのドレスを着た女性を描いた作品も多く、まだまだ女性たちもあまり弾けてないというか、貞淑な感じもするかな。コルセットは気絶するほど締め付けるらしいので相当大変だったようです。

そしてその後にイギリス人のファッションデザイナー シャルル・フレデリック・ウォルトによって生み出されたオートクチュールについてのコーナーがあります。現在のファッションショーやモデルの活用を思いついたのもウォルトで、ウォルトによってデザイナー主導のモードが始まったと言えるくらい革新的なファッション界の巨人です。ここには手袋やサテンの靴、コルセットなどがあり 特に靴とコルセットは当時オシャレな人達がこだわったアイテムだったようです。また、着飾った人達を描いたコスチュームプリントもあり、髪型などもカタログのように描かれていました。(恐らくこうしたもので流行が広まったんでしょうね)

このコーナーには今回のポスターにもなっているジョン・シンガー・サージェントの「チャールズ・E. インチズ夫人(ルイーズ・ポメロイ)」があり、ウォルトのデザインに着想を得た赤いイブニングドレスを着た女性が描かれています。キリッとした表情と深い赤がエレガントな雰囲気を醸しているのですが、これはフランスではなくアメリカの女性をフランスの流行に合わせているようでした。まさに海を超えてもパリジェンヌが手本となっていたことが伺えます また、フランスからアメリカに帰ったウィリアム・モリス・ハントによる「マルグリット」という作品でも当時のフランス風のお下げ髪の女の子を描いていて、やや暗い象徴的な雰囲気がありつつもフランスからファッションに至るまで影響を受けている様子がよく分かりました。


<第4章 芸術をとりまく環境 ~製作者、モデル、ミューズ>
4章からは2階です。ここは女性がモデルを務めたり自身が芸術家である女性画家を取り上げたコーナーとなっていました。当時、絵画を学ぶアカデミーには女性は入ることができませんでしたが、印象派など新しい勢力に参加していたようです。

まずは印象派に参加したベルト・モリゾの静物がありました。モリゾの静物は珍しく20点ほどしかないようですが、静物も大胆なタッチで如何にも印象派風に描かれています。青い背景に器の中の白い花という爽やかな色彩で、モリゾらしい安らぐ雰囲気があったように思います。また、ここにはアメリカの印象派画家メアリー・カサットの作品もあり、ソファで本を読む女性が描かれていました。こちらも印象派そのものといった感じですが、色彩が濃厚でサテンが輝くような質感の表現などは独自性があり見事でした。
その近くにはカサットと姉と共にルーヴル美術館で観ている様子が描かれた作品もあり、そうやって絵を学んで行った様子が伺えます。

このコーナーでちょっと驚いたのはサラ・ベルナールによる女性の横顔の肖像(ブロンズ肖像)です。ミュシャなどに描かれた大女優であるサラ・ベルナール自身もこうした作品を作っていたようで、自宅にアトリエを設けて制作し、官展にまで出品していたようです。その腕前も中々で、凹凸のせいでやや老けた貴婦人に見えますが、彫刻家の作品かと思いました。ちなみにこの女性はサラ・ベルナールの恋人だった人のようです。

その先にはルノワールやロートレック、ピカソなどによる女性像が並び、ミューズとしての女性たちが紹介されています。洗濯女よりはモデルのほうが高給取りだったようですが、不安定な職業だったようです(今もそうでしょうけど) そして、ここに今回の目玉となるマネの「街の歌い手」がありました。流しの歌手がぶどうを食べてギターを持っている様子が描かれ、彼女のイヤリングはぶどうっぽい形をしています。これは代表作「草上の昼食」と同じモデルのヴィクトリーヌ・ムーランを使って描いたものですが、マネが道端でこういう女性を見つけてモデルの誘いを断られたらしいので、実際にその時の印象を込めているのかもしれません。灰色のドレスに黒い帽子という派手さはない格好ですが、たくましく生きている強さが感じられます。 なお、モデルのムーランもその後に画家として活動していたというのが最近の調査で分かったそうです。この時代の女性も懸命に頑張っていたんですね。


<第5章 モダン・シーン ~舞台、街角、スタジオ>
最後は主に1900年頃からそれ以降についてのコーナーです。1900年にパリ万国博覧会が行われた頃はキャバレーが次々と開店し、歌手や踊り子が活躍したそうです。仕事やスポーツに勤しむ女性たちも増え、活動的になった様子も絵に描かれています。ここにはジュール・シェレによるポスターや絵葉書、写真などがあり、カンカン踊りや舞台の様子、新聞売りや花売りをする女性が表されていました。中年の女性なんかは堂々としていて中々たくましいです。当時の1/3くらいの労働人口は女性だったらしいので、結構進出していたようです。
しかし女性が完全に自由だったわけではなく、女性がズボンを履けるのは自転車に乗る時だけ、しかも公園とか限られた場所だったりしたようで、女性のあるべき姿みたいなのは依然として残っていたのかもしれません。

この先にはモンパルナスのキキの写真なんかもありました。エコール・ド・パリの時代の画家達の作品によく出てくるミューズなので、この顔は覚えておくと良いかもw

そしてこの部屋の真ん中にはアールデコ期のドレスや第二次大戦後のドレスなどもあります。1960年代の宇宙をイメージしたドレスなんかもあって面白いコーナーです。第一次世界大戦で男が戦場に行った後はますます女性が社会進出していったわけですが、段々と動きやすい格好担っている様子が分かります。最後には戦後のファッション写真などもありました。



ということで多岐にわたる内容となっていました。パリジェンヌというか女性の社会進出みたいな内容にも思えましたが、パリジェンヌが単にオシャレなだけでなく逞しく生きてきたのもよく伝わりました。そのテーマが強いので好みの作品はそれほど多くなかったので満足度は普通ですが、こうした背景をご存知ない方はこの展示を見ることで近代芸術の背景も知ることができると思います。





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歌川国貞展~錦絵に見る江戸の粋な仲間たち~ 【静嘉堂文庫美術館】

10日ほど前の土曜日に世田谷の静嘉堂文庫美術館で「歌川国貞展~錦絵に見る江戸の粋な仲間たち~」を観てきました。この展示は前期・後期に会期が分かれていて、私が観たのは前期の内容でした。

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【展覧名】
 歌川国貞展~錦絵に見る江戸の粋な仲間たち~ 

【公式サイト】
 http://www.seikado.or.jp/exhibition/index.html 

【会場】静嘉堂文庫美術館
【最寄】用賀駅

【会期】
 <前期>2018年1月20日(土)~2月25日(日)
 <後期>2018年2月27日(火)~3月25日(日)
   ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
予想以上にお客さんが多くてやや混んでいる感じもしましたが、だいたい自分のペースで鑑賞することができました。

さて、この展示は江戸時代の浮世絵師 歌川国貞についての展示となっています。歌川国貞は59歳の時に師の名前を継いで三代歌川豊国を名乗ったので、三代歌川豊国の名前で紹介している美術館も多い気がしますが、いずれの時代も美人画を得意として数多くの作品を残しています。今回の展示でも美人画を中心にそれ以外の題材の作品もありましたので、簡単にいくつか気に入った作品をご紹介しようと思います。(作品リストに年数が書いていないので当記事の中では歌川国貞の名前でで統一しておきますが、豊国時代の作品もあります)

歌川国貞 「今様見立士農工商 職人」「今様見立士農工商 商人」
まず冒頭で目を引いたのがそれぞれ3枚続のこの2つの作品です。錦絵作りを行う様子と販売する様子が描かれているのですが、全て女性となっています。鮮やかな画中画や美人達の生き生きとした姿が華やかで、3枚続きならではの大画面の見栄えもありました。

その後には化粧をしたり子供を風呂に入れる女性など、様々な女性像が並んでいます。こうした日常風景も実は何かの見立てだったりしますが、当時の風俗が伝わってくると共に親密さが感じられます。こうした画題は後に西洋の印象派の画家たちも描くようになったのを考えると、浮世絵からの影響は表現だけでなく画題にも及んでいたのではないかと思います。

歌川国貞 「今様化粧鏡」(シリーズ作品)
こちらは「合わせ鏡」、「眉かくし」、「牡丹刷毛」、「眉毛抜き」、「房楊枝」、「鉄漿つけ」のシリーズ6点が並んでいました。いずれも手鏡の中に反射して映る女性像といった感じの構図となっているのが面白くて、お歯黒や眉毛抜きといったお化粧している姿が描かれています。特に「合わせ鏡」は鏡を合わせて女性の背中側まで描かれているという変わった構図で、ウィットに富んだ作品となっていました。
 参考リンク:今風化粧鏡(牡丹刷毛)

この近くにはポーラ美術館所蔵の日本髪の雛形や髪飾りなどが展示されていました。昔は髪型や化粧で身分が分かったりしたみたいなので、この辺が詳しくなると浮世絵の人物を見る時に面白くなると思います。

歌川国貞 「娼家内証花見図」
こちらも3枚続きの大画面で、2階建ての屋内の様子が描かれています。恐らく花魁たちだと思うのですが、女性たちの多く描かれ喧騒が聞こえてきそうなくらいに動きのあるポーズをしています。そしてこの作品で面白いのが非常に強い遠近法を使っている点で、消失点が分かるような感じです。その効果で広々した家だという印象を受け、いち早くそうした西洋絵画の手法を取り入れているように思えました。

歌川国貞 「訛織当世島(くわえ楊枝)」「訛織当世島(金花糖)」
こちらは2枚セットで展示されていました。くわえ楊枝のほうはタイトル通り楊枝を加えた粋な女性、金花糖は子供と金魚を観ている女性が描かれているのですが、この両作品で面白いのは背景です。縦に波線のようなものが描かれていて、その縞模様がモダンでアールデコの建物の壁紙などを予見しているのような雰囲気です。どうしてこうした背景にしたかは分かりませんが、かなり洒落た印象になっていて好みでした。

歌川国貞・歌川広重 「風流源氏夜の庭」
こちらは既に三代豊国の時代だったと思います。遠近法や明暗の表現が使われた山と川の夜の風景を背景に、行灯を持つ女性と見送るような人物が描かれています。やや人物が大きすぎる感じもしますが、こうした表現も西洋画的なものを感じます。この作品は『偐紫田舎源氏』に題材したもので、歌川国貞はこの本の挿絵を手掛けたことで有名です。

この近くには源氏絵のコーナーがありました。

歌川国貞・歌川広重 「双筆五十三次」(シリーズ作品)
双筆というのは2人の合作という意味で、このシリーズでは人物を歌川国貞(三代豊国)、背景を歌川広重が担当しています。シリーズのうち10点ほど展示されていたのですが、人物と風景はいずれも独立した画面となっているものの、絵の中の土地に合わせた人物を描いているようでした。完全な合作ではないですが2人の巨匠のコラボぶりが面白いです。人物と風景の何が関連しているかは解説を読まないと分かりませんがw
 参考リンク:双筆五十三次

歌川国貞 「仁木弾正左衛門直則 五代目松本幸四郎 秋野亭錦升 後 錦紅」
こちらは今回のポスターにもなっている目玉作品です。鼻の高い役者が横向きで描かれ、肩から上しかない大首絵となっています。引き締まって凛々しい表情には緊張感があり、ちょっと悪そうな顔をしていましたw この横向きの顔というのもルネサンス(とその影響を受けた)肖像以外で見る機会は少ないので面白い構図でした

歌川国貞 「豊国漫画図絵 袴垂保輔」「豊国漫画図絵 将軍太郎良門」
こちらは2点セットで並んでいました。いずれも悪党を役者の見立てで描いたシリーズで、口をへの字に曲げて見栄を切るような憎たらしい表情をしていますw 個性的な雰囲気がある為か、こうした悪党を描いたシリーズは当時人気があったようです。

歌川国貞 「芝居町 新吉原 風俗絵鑑」
こちらは版画ではなく肉筆画。吉原の芝居小屋を描いたもので、大パノラマで芝居小屋の中のお客さんまでも描かれています。お客さんは何かを食べたり喧嘩したりしていて、お前ら芝居観てないだろ?wとツッコミを入れながら観てきましたw 配達している人なんかもいて、現代で言えば劇場よりは野球観戦のほうが雰囲気が近いかも。とにかく多くの人が描かれていて、圧巻の作品です。


ということで、それほど広くない会場に多くの作品が並んでいました。しかも発色の良い摺りが多かったので、満足度の高い内容でした。艶やかな美人が沢山観られる展示ですので、美術初心者でも楽しめる内容だと思います。


おまけ:
静嘉堂文庫美術館に行く前に、以前ご紹介した西庵カフェでお蕎麦を食べてきました。静嘉堂文庫の近くにあるしアートの図録なんかもおいてあるお店なので、この美術館に行く方にお勧めのお店です。
 参考記事:西庵カフェ 【用賀界隈のお店】

西庵カフェの外観
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洒落た雰囲気で時期によってはお花も咲いています。

内装はこんな感じ。
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静かな空間で美術展の図録なんかを観ながらくつろげました。

こちらはかき揚げ蕎麦の大盛り
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蕎麦もツユもかき揚げも美味しいですw この後デザートも頼んでそれも美味しいので何を食べても美味しいお店だろうと思いますw


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竹村京 ーどの瞬間が一番ワクワクする? 【ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー】

今回で箱根編は最終回です。前回ご紹介したポーラ美術館の常設を観た後、アトリウム ギャラリーで「竹村京 ーどの瞬間が一番ワクワクする?」を観てきました。この展示も撮影可能でしたので写真を使ってご紹介しようと思います。

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【展覧名】
 竹村京 ーどの瞬間が一番ワクワクする?

【公式サイト】
 http://www.polamuseum.or.jp/hiraku_project/02/
 http://www.polamuseum.or.jp/exhibition/20180113ag01/ 

【会場】ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー
【最寄】なし

【会期】2018年1月13日(土)~3月11日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は竹村京 氏という1975年生まれの女性アーティストの個展となっています。この方ポーラ美術振興財団の在外研究員としてベルリンで研修をしていたそうで、写真やドローイングの上に刺繍を施す手法が特徴のようです。展覧会は20点程度と小規模でしたが、その特徴がよく分かる内容となっていましたので写真を使ってご紹介しようと思います。

こちらはトランプらしき作品。
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よく見ると手描きみたいな部分と元々の絵柄のような部分があるのでコピーした上からドローイングしてるのかな? ちょっと観ただけでは意図が分からないので解説が欲しかったw

こちらはトランプの上に刺繍が施されている作品。
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これは解説によるとドイツ製のトランプを地にオーストリア製のトランプの図柄を日本製の絹糸で刺繍しているそうで、時代性や国籍の組み合わせの偶然性を表しているようです。ハートのマークの刺繍がポップで楽しげな印象に思えました。

この辺りにはこうしたトランプの作品が並び「Playing Cards 2017,Austrian Cards on German Cards」というタイトルで24点あるようです。

こちらもトランプに刺繍されています。
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ハートのキングのはずが刺繍はクラブになっているようなw 遊び心を感じます。

こちらはタロットかと思いましたがやはりトランプかな?
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よく見ると下地とずれて上から描いたような複雑な構成となっています。

こちらは下地のトランプの草花文と刺繍が一体化しているような作品。
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離れて見るとどこから絵なのかちょっと分からないくらい自然な感じに見えました。

こちらは「Playing Dominos in J.Cityのためのドローイング」という作品。
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このカードみたいなのはインドネシアのジョグジャカルタで流行っているドミノというカードゲームらしく、現地の人と遊んだ時の配置を日本の絹糸で縫いとめたそうです。楽しんだ瞬間を縫い止めて取っておくような作品に思えて今回の展示のタイトルはそういう意味なのかな?と考えながら観ていました。

こちらは「May I open the book?」という作品
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ちょうど節分のちょっと前頃に行ったので、豆まきの鬼かな?と思いましたが詳細は不明。背景の子供たちの写真と相まって、鬼なのに可愛らしい楽しげな雰囲気がありました。

こちらも背景に子供の写真を使った作品。
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下地のポーズを活かして手に持った本がめくれて飛び出したような遊び心が感じられます。左の子も大きな本を開いているように見えました。


ということで、小展示でしたがユニークな作品が並ぶ内容となっていました。もうちょっとキャプションがあったほうが楽しめるようにも思えますが、トランプの刺繍なんかは単純に面白い作品だったように思います。気軽に楽しむことができるので、ポーラ美術館に行く機会があったらアトリウム ギャラリーも覗いてみることをお勧めします。



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100点の名画でめぐる100年の度 【ポーラ美術館】(箱根編)

今日は写真多めです。先日ご紹介した箱根ラリック美術館を観た後に、ポーラ美術館に移動して「100点の名画でめぐる100年の度」を観てきました。何とこの展示は撮影可能(一部は不可)となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 100点の名画でめぐる100年の度

【公式サイト】
 http://www.polamuseum.or.jp/sp/best_collection_100/

【会場】ポーラ美術館
【最寄】なし

【会期】2017年10月1日(日)~2018年3月11日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間20分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は豊富なコレクションを持つポーラ美術館の名品の中から100点を選び、近代絵画の100年を俯瞰するという内容となっています。誰もが知る巨匠の作品が惜しげなく展示されていて、さらに撮影可能という嬉しい機会となっていましたので、一部の気に入った作品を写真を使ってご紹介していこうと思います。


<1 大自然を歩く -印象派前夜 1860s-1870s>
まずは印象派直前のコーナーです。

エドゥアール・マネ 「サラマンカの学生たち」
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スペインの逸話を描いたマネの作品。自然が主役ではないものの、マネの別荘の辺りの風景を描いたようです。黒い服の人物が目を引きます。

近くにはコローやクールベ、シスレー、ブーダンなど印象派の誕生には欠かせなかった画家の作品が並んでいました。


<2 雲と煙 -モネとモダニスム 1870s>
こちらはモネのコーナーです。特に充実しているモネのコレクションがならんでいます。

クロード・モネ 「散歩」
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アルジャントゥイユにいた頃の作品。穏やかで光を感じるモネらしい作品です。日傘の女性が優雅な雰囲気。

他にもサンラザール駅を描いた作品やセーヌ河を描いた作品など、モネの魅力がよく分かる作品が並んでいました。


<3 人物の研究 -セザンヌとドガ 1870s>
こちらはセザンヌとドガのコーナー。

ポール・セザンヌ 「4人の水浴の女たち」
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人物が三角形に配置されている作品。セザンヌはこうした構成を意識した作品が多いので、これはそれが特によく現れていると思います。

勿論ここにはドガもありました。全部お見せるのもあれなので出し惜しみしておきますw


<4 光を描く-モネからスーラ 1880s>
こちらはモネやその後の新印象派のスーラなどの作品などが並んでいました。

ジョルジュ・スーラ 「グランカンの干潮」
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スーラはよく船を描いていて、代名詞的な点描の技法で描かれています。割と点が細かいのがスーラの特徴かな。

近くには点描を取り入れた頃のピサロの作品などもありました。他にもモネやセザンヌ、マネなどによるこの時代の作品も並んでいます。


<5 美しき女性たち-マネとルノワール 1880s>
こちらはマネとルノワールによる女性像のコーナーです。特にルノワールが充実していました。

ピエール・オーギュスト・ルノワール 「ムール貝採り」
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この美術館のコレクションの中でも特に好きな作品の1つです。子供の可愛さとムール貝採りという素朴な題材が楽しい。

他にもここにはこの美術館でも特に人気の作品が並んでいるので、見どころの1つだと思います。


<6 カンヴァスの上のサムライたち -日本近代洋画の黎明 1880s-1890s>
こちらは西洋画を学んで日本でも描き始めた頃の作品が並ぶコーナーです。

浅井忠 「武蔵野」
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バルビゾン派風の絵画を学んだ浅井忠ですが、ここでは武士の鷹狩という歴史的な場面を描いています。写実的で細やかな筆致からアカデミックな感じも受けました。

他に小山正太郎の作品などもありました。


<7 印象派の向こう側 -ポスト印象派の挑戦 1890s>
続いてはゴッホやゴーギャン、セザンヌなどポスト印象派の作品が並ぶコーナーです。このコーナーはそんなに点数は多くないのですが素晴らしい作品ばかりです。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「アザミの花」
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オーヴェル・シュル・オワーズのガシェ医師の家で描いた作品。晩年独特の大胆な筆致が残っているので、これは是非近くで見て頂きたい逸品です。

ポール・セザンヌ 「砂糖壺、梨とテーブルクロス」
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セザンヌの静物の魅力が詰まった1枚。球体や幾何学性、色彩の取り合わせなどが面白いです。

ポール・ゴーギャン 「異国のエヴァ」
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これは一見するとタヒチの様子のように見えますが、タヒチに行く前にパリ万博で観た異国の品を観たのを元に描いていると考えられているようです。いずれにしても原始を求めたゴーギャンの指向性が感じられる作品。


<8 モネ、水の世界へ 1890s>
再びモネのコーナー。こちらは水が描かれた作品が中心となっていました。

クロード・モネ 「睡蓮の池」
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ジヴェルニーの自宅の太鼓橋を描いた作品。睡蓮が水面に広がっていて、美しい光景です。どちらもモネの中でも特に有名なモチーフかな。

この他にも睡蓮そのものを描いた作品やルーアン大聖堂を描いた作品などもありました。


<9 1900年 -時代は動き、芸術が変わる 1900s>
こちらは印象派もあればその後の流れもある感じです。日本の近代洋画を導いた黒田清輝の作品なんかもありました。

アンリ・ルソー 「エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望」
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素朴派と呼ばれた偉大な素人アンリ・ルソー。人形のような人物や色合いがちょっとシュールな感じすら思えますが、どこか懐かしさを覚えます。

アンリ・ルソー 「エデンの園のエヴァ」
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何の植物か分からないうねったジャングルを描いた熱帯シリーズの1枚。エヴァと素朴な画風がマッチして非常に幻想的な光景となっています。

オディロン・ルドン 「アポロンの二輪馬車」
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ドラクロワがルーヴル美術館の天井に描いたアポロンの馬車に触発されて描いた作品の1枚。くすんだ感じの色彩や超現実的な光景がルドンならではの独特の世界となっています。

<10 色とかたちの冒険-フォーヴとキューブ 19000s-1910s>
続いてフォーヴィスムとキュビスムのコーナー。ここは撮影可能なものがありませんでしたが、ヴラマンクやブラック、ピカソなどがありました。ちなみにピカソの作品は全面的に撮影禁止となっています(多分、亡くなってからそれほど経ってないからかな?)


<11 Bonjour!巴里-パリと日本の画家たち 1910s>
続いてはパリと日本の画家についてのコーナーです。

佐伯祐三 「アントレ ド リュード シャトー」
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パリの建物をよく描いた佐伯ですが、ユトリロからの影響も感じさせます。しかし色彩の重厚さは独自のもので見事です。

近くにはユトリロの建物の作品もありました。見比べてみるのも面白いかも。


<12 美の競演-女性像にみる西洋と日本 1910s-1920s>
こちらは再び女性像に関するコーナーです。西洋と日本の女性像が並んでいます。

岸田劉生 「麗子坐像」
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岸田劉生といえば娘の麗子を描いた作品を真っ先に思い浮かべる人も多いのでは。こちらは細部まで緻密な描き方で、北方ルネサンス(特にデューラーあたり)を思わせる表現となっています。芸術の為とは言え子供ならもうちょっと可愛く描いてあげれば良いのにと毎回思いますw

他にもボナールや国吉、村山槐多なんかも好みでした。


<13 薔薇とキャベツ-静物画の魅力 1920s>
続いては静物画のコーナー。

小出楢重 「静物」
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このコーナーのタイトルを観てキャベツって何のこっちゃ?と思ったら、この絵に描かれてましたねw 色彩は強いのに軽やかさがあるのが小出楢重の魅力で、この作品でも野菜・果実が艷やかに描かれていました。

この近くには和田英作の薔薇を描いた作品もありました。


<14 描かれた日本のエレガンス-洋画の美人画 1920s>
続いては日本洋画の女性像のコーナーです。

岡田三郎助 「あやめの衣」
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沢山の着物を所有しモデルに着せていた岡田三郎助の作品。着崩して色っぽい姿が目を引きました。着物の柄も優美です。


<15 パリに集う異郷人たち-エコール・ド・パリの肖像 1920s>
続いてはエコール・ド・パリの画家たちのコーナーです。

ワシリー・カンディンスキー 「支え無し」
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色と形が音楽的なハーモニーを奏でる1枚。何が描かれているか分かりませんが、リズム感があって一目でカンディンスキーと分かる特徴があるのが面白いです。

この絵の近くには絵と一体化してみる体験コーナーみたいなのがありました。
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横からみるとこんな感じ。ここで遊んでから絵を見直すと何か違ってみえるかも?

シャイム・スーティン 「青い服を着た子供の肖像」
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ちょっと不機嫌そうな顔をした少女像。この構図やポーズは過去のルーヴルで観た巨匠の作品から学んでいるそうです。

近くにはモディリアーニやパスキン、ローランサンなんかもありました。


<16 魔術的芸術の魅力-シュルレアリスムの広がり 1930s>
続いてはシュルレアリスムのコーナーです。

古賀春江 「白い貝殻」
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空中なのか水中なのかマネキンのような人がポーズを取っているのが幻想的な作品。マネキンっぽいのはデ・キリコからの影響を受けているようです。海は古賀春江によく出てくる背景かも。


<17 みのりの季節-マティスとピカソ 1930s-1940s>
続いては主にマティスとピカソが中心のコーナー。とは言えボナールやデュフィ、マルケなどもあって充実しています。私は西洋画で最も好きなのはマティスかデュフィかという感じなのでこのコーナーは特に満足度が高かったです。

アンリ・マティス 「リュート」
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マティスならではの強い色彩の背景が目を引く作品。装飾的で軽やかな雰囲気が素晴らしい! リュートを持つ女性も優美な印象の逸品です。

ラウル・デュフィ 「パリ」
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水彩のように透明感のある色彩ですが油彩です。こちらも軽やかでのびのびした雰囲気がかなり好みでした。やはりデュフィは最高ですね。

このコーナーもピカソは写真が撮れませんが、いずれも素晴らしい作品が並んでいました。


<18 画家たちと戦争-揺れる時代の絵画 1940s>
こちらは第二次大戦の頃のコーナーです。

安井曾太郎 「中国風景」
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こちらは1944年に安井が中国を訪れた際に描かれた作品。のんびりしていて明るい色彩が穏やかですが、実際はこの頃は終戦近い時期なので世相は暗かったのかも。

<19 戦後の絵画-写実と抽象のはざまで 1950s>
こちらは戦後の日本洋画のコーナーです。

児島善三郎 「箱根仲秋」
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箱根の美術館に相応しい作品。児島善三郎の作品はいつの時代も好みですが、この単純化された作風も面白いです。色彩が強く感じられるのも素晴らしい1枚でした。


<20 それぞれの宇宙-描かれた幻想 1960s>
最後はすべて撮影不可でしたが、デルヴォーの大作を始め、シャガールの色彩や岡鹿之助の素朴さなど、各画家の個性溢れる作品が並んでいました。特にデルヴォーが観られて嬉しかったです。

この後、ポーラ美術館の日本画のコーナーもありました(ここも撮影不可) 大作が並ぶ光景は圧巻です。


ということで、豊富なコレクションをじっくりと堪能することができました。近代に限って言えば国立美術館にも匹敵するような充実のコレクションと言えるのではないかと思います。今回は近代絵画の流れに沿った内容だったので、美術初心者の方には美術の流れがよく分かる構成ではないかと思います。ポーラ美術館の凄さを再確認できる展示でした。




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ラリックの花鳥風月  ジュエリーと、そのデザイン画 【箱根ラリック美術館】

前回ご紹介した箱根ラリック美術館のオリエント急行でお茶した後、美術館の常設と企画展を観てきました。実際には常設を先に観たのですが、先に企画展をご紹介しておこうと思います。

DSC09487.jpg

【展覧名】
 ラリックの花鳥風月  ジュエリーと、そのデザイン画 

【公式サイト】
 http://www.lalique-museum.com/museum/event/detail.html?id=37

【会場】箱根ラリック美術館
【最寄】なし

【会期】2017年12月23日(土)~2018年04月01日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
結構お客さんはいましたが快適に鑑賞することができました。

さて、この展示はルネ・ラリックの手がけた様々な宝飾品の原点とも言えるデザイン画を実物と見比べる内容となっています。この美術館は常設が主な見どころであって企画展は1室だけで行われている小展示といった感じですが、ラリックらしい凝った意匠の装飾とその制作の様子を合わせて観ることができました。いくつかのコーナーに分かれていましたので、簡単に各コーナーごとにご紹介しようと思います。


<1 ラリックの創作の原点>
まずルネ・ラリックについてですが、ラリックはシャンパーニュ地方のアイ村で生まれ幼い頃から豊かな自然の中で育ちました。森や野原を散歩しては自然を観る目を養っていたようで、それは大人になってからのデザインでも活かされています。
 参考記事:
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 感想前編 (国立新美術館)
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 感想後編 (国立新美術館)
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 2回目感想前編 (国立新美術館)
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 2回目感想後編 (国立新美術館)
  ラリック家の女神たち (箱根ラリック美術館)
  箱根ラリック美術館 館内の案内
  
このコーナーには鉛筆と水彩による絵が並び、木の芽や花などが写実的に描かれていました。花は角度を変えて描くなど、つぶさに観察していたことが伺えます。既にデザイン的な感じもしたかな。


<2 素材の追求 色彩をまとうジュエリーの制作>
続いては素材や色彩に関するコーナーです。
ルネ・ラリックは16歳で金細工師に弟子入りし22歳でフリーのジュエリーデザイナーとなりました。当時の宝飾品はは宝石の量で価値が決まっていたようですが、ラリックは伝統に囚われず自然の美しさを形にした宝飾品を目指し35歳で下請けの仕事を一切断り、独創的なジュエリー制作をスタートしました。

ここには蘭のブローチがあったのですが、これはまだ下請け時代の作品でダイヤがぎっしり使われています。とは言え、既にその形の面白さがありその後の活躍を予感させるものと言えそうです。また、少し先には花の形のデザインがありました。他にもアザミやトンボを組み合わせたものやスカラベなどのデザイン画と実際の宝飾品が並んで展示されているので見比べて観ることができます。象牙やエマイユ(エナメル)、バロック真珠、省胎七宝といった素材を使っていかにデザインに近い本物っぽい質感を出しているかがよく分かり面白かったです。そうした素材を自在に使いこなす技術も勿論素晴らしく驚かされます。


<3 デザイン画を読み解く>
続いてはデザイン画のコーナーです。ここには水彩で描かれたデザイン画があり、細かい書き込みで何かの指示もしているようです。白鳥、羽根、スカラベなどをモチーフにしたブローチのデザインを描いていたかな。ちょっと書き込みの解説が欲しかったw


<4 ラリックとジャポニスム>
続いてはラリックと日本美術に関するコーナーです。
ジャポニスムとは近代におけるフランスを始めとした欧州での日本趣味の流行のことですが、ここにはその火付け役となったサミュエル・ビングによる著書「芸術の日本」などが展示されています。また、ラリックによる菊をデザインした髪飾りのデザイン画もあり、日本的なモチーフに関心があったことが伺えます。
そしてこのコーナーで面白かったのが今回のポスターにも載っているツバメを2羽ずつ左右対(計4羽)にしたものを円形に並べたネックレスで、デザイン画と実物が両方ならんでいました。空を舞う様子が軽やかで非常に洒落た作品でした。羽根が非常に長くてかなり繊細な繋がり方をしているのですが、それが洗練された印象を与えてくれます。


<6 日本の心を探す>
ここは内容的にも4章と一体化している感じだったので、ちょっと区切りが分かりませんが、ポスターにもある緑のさくらんぼが付いている髪飾りなどがありました。へたの部分が細かいダイヤが連なっているなど豪華な作りで、こちらもデザイン画と見比べて観ることができます。形なんかは日本の簪そのものといった感じでモチーフも日本趣味と言えそうです。また、素材には鼈甲やエマイユが使われていて艷やかな印象を受けました。鼈甲なんて素材も日本っぽいかな。


<5 こだわりのジュエリー制作>
最後は制作に関するコーナーです。
ラリックは1898年頃に写真に夢中になったそうで、身近な自然を撮っていたようです。また、ジュエリー制作の際に白鳥の剥製を博物館から取り寄せて制作するなど、様々な方法で自然を観察して作品に取り入れていたようです。ここにはその白鳥の剥製とペンダントとデザイン画(今回のポスターに載っている作品)がセットで展示されていて、ラリックのこだわりの制作過程をダイジェスト的に観ることができました。特にデザイン画はかなり正確に描かれていて、その描写力と観察眼の確かさが歴史的な作家となった原動力と言えるように思いました。


ということで、小規模な展示でしたがラリックの嗜好や制作過程が分かるような内容となっていました。素材感や組み合わせの面白さなどはラリックの魅力そのものだと思います。ここの常設はさらに様々な作品が並んでいますので、次回はそれについてご紹介しようと思います。



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