Category | 過去の美術展 (2012年)
この前の日曜日に、銀座のポーラミュージアム アネックスで最終日となった「plantica/nomadic」を観てきました。(この展示は既に終了しています)

【展覧名】
plantica/nomadic
【公式サイト】
http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/archive/detail_201212.html
【会場】ポーラミュージアム アネックス (POLA MUSEUM ANNEX)
【最寄】東京メトロ 銀座駅・銀座一丁目駅 JR有楽町駅
【会期】2012年12月19日~2013年1月27日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間10分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日 時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_②_3_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて貸切状態でした。
さて、この展示は若手華道家の木村貴史 氏が2007年に結成したplantica(プランティカ)というユニットによる展示となっていました。planticaと木村貴史 氏は国内外で活躍して注目されているそうで、表現の場をストリートに求めるなど従来の生花の枠を越えた作風のようです。展示会場には少数の作品しかなかったので、さらっと簡単に雰囲気だけご紹介しておこうと思います。
まず入口の辺りには垂れ幕が並び、それぞれが路上に置かれた大きな生花?の写真となっていました。中には椅子が突き刺さったようなものもあり、驚かされます。
そして部屋の中にはそれらの写真に写っていたのと似た大きな作品がありました。生花と言うより大きな木の幹を活けたような大きさで、その枝葉の間に黄色いプラスティック?の椅子や自転車が突き刺さっていました。何故そのようなものを刺しているのかは分かりませんでしたが、インパクトがあります。しかし、これが意外と調和しているように見えるのが不思議で、一体感がありました。
この辺には映像もあり、様々な背景に置かれた作品を流していました。
もう1点、ひしゃげた空き缶に入った枯れた花も展示されていました。両方捨てたれたものを使った作品ですが、寂しげな感じがして、これも意外なほどに調和しているように思いました。その発想と美意識が面白い作品です。
ということで、斬新な華道を観ることができましたが、映像や垂れ幕を除けば2点しかなかったのですぐに見終わってしまいました。私は華についてはまったく分からないのですが、伝統を持ちつつ異質なものを取り込んでいる感じを受けました。もう終わってしまいましたが、記憶に留めておきたいと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
plantica/nomadic
【公式サイト】
http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/archive/detail_201212.html
【会場】ポーラミュージアム アネックス (POLA MUSEUM ANNEX)
【最寄】東京メトロ 銀座駅・銀座一丁目駅 JR有楽町駅
【会期】2012年12月19日~2013年1月27日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間10分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日 時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_②_3_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて貸切状態でした。
さて、この展示は若手華道家の木村貴史 氏が2007年に結成したplantica(プランティカ)というユニットによる展示となっていました。planticaと木村貴史 氏は国内外で活躍して注目されているそうで、表現の場をストリートに求めるなど従来の生花の枠を越えた作風のようです。展示会場には少数の作品しかなかったので、さらっと簡単に雰囲気だけご紹介しておこうと思います。
まず入口の辺りには垂れ幕が並び、それぞれが路上に置かれた大きな生花?の写真となっていました。中には椅子が突き刺さったようなものもあり、驚かされます。
そして部屋の中にはそれらの写真に写っていたのと似た大きな作品がありました。生花と言うより大きな木の幹を活けたような大きさで、その枝葉の間に黄色いプラスティック?の椅子や自転車が突き刺さっていました。何故そのようなものを刺しているのかは分かりませんでしたが、インパクトがあります。しかし、これが意外と調和しているように見えるのが不思議で、一体感がありました。
この辺には映像もあり、様々な背景に置かれた作品を流していました。
もう1点、ひしゃげた空き缶に入った枯れた花も展示されていました。両方捨てたれたものを使った作品ですが、寂しげな感じがして、これも意外なほどに調和しているように思いました。その発想と美意識が面白い作品です。
ということで、斬新な華道を観ることができましたが、映像や垂れ幕を除けば2点しかなかったのですぐに見終わってしまいました。私は華についてはまったく分からないのですが、伝統を持ちつつ異質なものを取り込んでいる感じを受けました。もう終わってしまいましたが、記憶に留めておきたいと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事
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先週の土曜日に、渋谷の松濤美術館に行って「シャガールのタピスリー展 二つの才能が織りなすシンフォニー」を観てきました。

【展覧名】
シャガールのタピスリー展 二つの才能が織りなすシンフォニー
【公式サイト】
http://www.shoto-museum.jp/05_exhibition/index.html
【会場】松濤美術館
【最寄】神泉駅/渋谷駅
【会期】2012年12月11日(火)~2013年1月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構多くの人で賑わっていましたが、作品自体が大きいので特に支障もなく自分のペースで観ることが出来ました。ただ、館内が異様に寒くて難儀しました… 昼間は外より寒かったんじゃないかなw
さて、今回の展示はシャガールの作品をタピスリーにしたものが並ぶ展示となっています。サブタイトルになっている2つの才能というのはシャガールと、その作品をタピスリー化したイヴェット・コキール=プランス氏(女性)のことで、彼女はシャガールが最も信頼したタピスリー作家だそうです。イヴェットのタピスリーはシャガールの絵画の本質を失うこと無く、色彩やリズム、大胆な構図がそのまま写し取られ、時には絵画以上にシャガールそのものといえるものもあるようです。
展覧会内ではあまり詳しい解説などはありませんでしたが、驚かされる品がいくつもありましたので、いつもどおり気に入った作品と共に各コーナーの様子をご紹介していこうと思います。
参考記事:シャガール 愛をめぐる追想 日本未公開作品を中心に (日本橋タカシマヤ)
<サーカス>
まずは地下階からで、最初はサーカスに関する作品のコーナーです。
T-03 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「サーカスI」
これは縦2.3mもある大きなタペスリーで、赤い馬?の上で足を挙げて踊る女性が描かれています(織り込まれています) オレンジや紫など色鮮やかな色が使われ、まさにシャガールの絵がそのままタペスリーになったような色彩感覚です。隣には同じ絵のリトグラフも展示されていたのですが、再現率が高くてまた驚かされました。 躍動感と華やかな雰囲気のある作品です。
T-11 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「アルルカン」
これは縦3m以上 横5m以上ある大型タペスリーで、花嫁や逆立ちする女性、エッフェル塔とパリ、馬?、頭が逆さになった人、花束、楽器を弾く人などシャガールの作品でお馴染みのモチーフがリズミカルに並んでいます。こちらも華麗な色彩が音楽的に感じられて、そのハーモニーが非常に美しい作品でした。大きさにも圧倒されますが、糸を1本1本織りこんで作っているかと思うと途方も無い労力ですね…。
解説によると、これを織るためにコプト織りや中世ルネッサンス織りなど、技術のことごとくを惜しみなく用いたようでした。
この作品の反対側にはサーカスやダンスを題材にしたリトグラフが展示されていました。
T-13 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「ダンス」
これもタペスリーで、黄色を背景にバイオリンを弾く牛?の頭の赤い人物や、花束を差し出す青い女性、裸婦を抱きしめる男性などが描かれています(織りこんであります) 背景には人々と町並みもあり、全体的に補色関係の色合いとなっているためか一層に明るく観えて幸せそうな雰囲気がありました。この色合が実にシャガールらしさを出しています、
<聖書>
続いては聖書の物語のシーンを描いた作品が並ぶコーナーです。
T-10 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「平和」
これはこの展示で一番大きな作品(縦4m以上、横6m以上)で、青を背景に沢山の人々やライオン、蛇などが織られています。淵をグルッと囲むように人々が配置されている為か、被昇天図を見ているような気分になりました。中には磔刑のキリストや降下されたキリストらしき人物、ダビデらしき人物などもいて、聖書との関連性を意識させました。
この近くにはモノトーンな色使いのタピスリーもありました。地下階はこの辺りまでで、2階の展示室に続きます。2階のエントランスにはシャガールのモニュメンタルな作品の写真が並んでいました。オペラ座の天井画をはじめステンドグラスなどの写真があります。
<色の分割>
ここから2階の内容で、まずは色面の分割についてのコーナーです。シャガールは1つの色を基調として、その上で様々な色を散りばめるという手法を好んで使いますが、大胆な構成で色を分割した作品もあるそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。
T-07 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「青と黄色の横顔」
これは縦長のタペスリーで、中央あたりを境に左右に大きく色が分けられていて、右が黄色、左が青と緑というように、色面が大胆に分かれています。黄色の右半分には人々やラッパ?を吹く人などが織られ、左半分には大きな人の横顔と正面向きの顔があり、色もわかれています。色の分割も大胆ですが、そのモチーフも左右でだいぶ違っていて、インパクトがありました。
この隣には同じ作品のリトグラフもあり、比較することができました。
この先のガラスケースの中にはイヴェットが使ったタペスリーを織る道具が展示されていました。また、伝統的なゴブラン織りの図解書もあったのですが、そこに描かれたものと似たものがイヴェットの道具にはあるとのことでした。
<雄鶏と恋人たち>
続いては雄鶏と恋人という、これもまたシャガールお得意のモチーフについてのコーナーです。恋人は愛の象徴をして描かれているようです。
T-09 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「赤い雄鶏」
横たわる裸婦と、背後から顔を寄せる赤いフードの男が織られたタペスリーです。その左には巨大な雄鶏の姿があり、上の方には牛か馬のような頭も織られています。全体的に暗めの色合いで、裸婦と雄鶏が特に目を引きました。神秘的な雰囲気の作品です。
この近くにはエスキース(構想)もありました。さらに左側に人物がいるなど、完成作とは違った印象をうけました。
T-15 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「黒い手袋」
男性と女性の顔がくっついて一体化しているような感じの人物が描かれたタペスリーで、タイトルになっている黒い手袋は下の方で本を広げています。また、右下あたりにはパレットと筆があり、左側には街の様子が描かれています。詳しいことはわかりませんでしたが、パレットがあるので画家自身なのかな?
この隣にはこのタペスリーの為の原寸大の下絵もありました。その作成手順は、まず作品を撮影し、モノクロの左右反転写真を最終的なタペスリーのサイズに引き伸ばした後、そこに色の指定などのメモを入れていくようです。この作品自体はかなり大きいのに、色のブロックわけは非常に細かくなっていて、メモは小さすぎて読めないほどでしたw
<花束と人物>
続いては花束をモチーフにした作品のコーナーです。花束は妻のベラとの思い出に結びつく重要なモチーフらしく、恋人時代にベラから花束を貰ったのがきっかけのようです。
T-16 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「花の中の少年」
葉っぱに囲まれ所で少年がラッパを吹いている様子が織られたタペスリーです。山羊や鳥の姿などもあり、全体的に温かみを感じる色合いでした。何処と無く幸せそうな雰囲気です。
近くには花束をモチーフにした作品も並んでいました。
<地中海の青>
最後は海に関する作品のコーナーです。ユダヤ人のシャガールは、戦後に亡命先のアメリカから戻った後、南仏に住んでいたそうで、ここにはその時代の作品が並んでいました。
T-14 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「天使の湾」
花束を持つ人魚が織られたタペスリーで、周りは深い青で、背景には湾曲する浜があり空には満月が浮かびます。人魚は赤い髪で、花束を持っているものの表情は浮かないように観えました。
この近くにはこうした海の絵を描いた作品が並んでいるのですが、同じ港湾を背景にしたものが数点あり、同じ場所から描いたのかも?? また、隣にこちらのリトグラフもありましたが、リトグラフより色が深く感じられました。
帰りに入口付近で数分のVTRを見ました。イヴェットは絵を理解するために自らも絵を描いたりしていたようで、そのプロフェッショナルぶりに感心します。そのまま絵を写し取るのではなく、何がシャガールなのかをよく知っていたからこそ、こうした作品が生まれたのだろうと容易に推し量れました。
ということで、大作タピスリーが並ぶ展示で驚かされました。これだけの大型作品が一堂に会する機会は中々ないと思いますので、シャガールが好きな方は是非どうぞ。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
シャガールのタピスリー展 二つの才能が織りなすシンフォニー
【公式サイト】
http://www.shoto-museum.jp/05_exhibition/index.html
【会場】松濤美術館
【最寄】神泉駅/渋谷駅
【会期】2012年12月11日(火)~2013年1月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構多くの人で賑わっていましたが、作品自体が大きいので特に支障もなく自分のペースで観ることが出来ました。ただ、館内が異様に寒くて難儀しました… 昼間は外より寒かったんじゃないかなw
さて、今回の展示はシャガールの作品をタピスリーにしたものが並ぶ展示となっています。サブタイトルになっている2つの才能というのはシャガールと、その作品をタピスリー化したイヴェット・コキール=プランス氏(女性)のことで、彼女はシャガールが最も信頼したタピスリー作家だそうです。イヴェットのタピスリーはシャガールの絵画の本質を失うこと無く、色彩やリズム、大胆な構図がそのまま写し取られ、時には絵画以上にシャガールそのものといえるものもあるようです。
展覧会内ではあまり詳しい解説などはありませんでしたが、驚かされる品がいくつもありましたので、いつもどおり気に入った作品と共に各コーナーの様子をご紹介していこうと思います。
参考記事:シャガール 愛をめぐる追想 日本未公開作品を中心に (日本橋タカシマヤ)
<サーカス>
まずは地下階からで、最初はサーカスに関する作品のコーナーです。
T-03 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「サーカスI」
これは縦2.3mもある大きなタペスリーで、赤い馬?の上で足を挙げて踊る女性が描かれています(織り込まれています) オレンジや紫など色鮮やかな色が使われ、まさにシャガールの絵がそのままタペスリーになったような色彩感覚です。隣には同じ絵のリトグラフも展示されていたのですが、再現率が高くてまた驚かされました。 躍動感と華やかな雰囲気のある作品です。
T-11 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「アルルカン」
これは縦3m以上 横5m以上ある大型タペスリーで、花嫁や逆立ちする女性、エッフェル塔とパリ、馬?、頭が逆さになった人、花束、楽器を弾く人などシャガールの作品でお馴染みのモチーフがリズミカルに並んでいます。こちらも華麗な色彩が音楽的に感じられて、そのハーモニーが非常に美しい作品でした。大きさにも圧倒されますが、糸を1本1本織りこんで作っているかと思うと途方も無い労力ですね…。
解説によると、これを織るためにコプト織りや中世ルネッサンス織りなど、技術のことごとくを惜しみなく用いたようでした。
この作品の反対側にはサーカスやダンスを題材にしたリトグラフが展示されていました。
T-13 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「ダンス」
これもタペスリーで、黄色を背景にバイオリンを弾く牛?の頭の赤い人物や、花束を差し出す青い女性、裸婦を抱きしめる男性などが描かれています(織りこんであります) 背景には人々と町並みもあり、全体的に補色関係の色合いとなっているためか一層に明るく観えて幸せそうな雰囲気がありました。この色合が実にシャガールらしさを出しています、
<聖書>
続いては聖書の物語のシーンを描いた作品が並ぶコーナーです。
T-10 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「平和」
これはこの展示で一番大きな作品(縦4m以上、横6m以上)で、青を背景に沢山の人々やライオン、蛇などが織られています。淵をグルッと囲むように人々が配置されている為か、被昇天図を見ているような気分になりました。中には磔刑のキリストや降下されたキリストらしき人物、ダビデらしき人物などもいて、聖書との関連性を意識させました。
この近くにはモノトーンな色使いのタピスリーもありました。地下階はこの辺りまでで、2階の展示室に続きます。2階のエントランスにはシャガールのモニュメンタルな作品の写真が並んでいました。オペラ座の天井画をはじめステンドグラスなどの写真があります。
<色の分割>
ここから2階の内容で、まずは色面の分割についてのコーナーです。シャガールは1つの色を基調として、その上で様々な色を散りばめるという手法を好んで使いますが、大胆な構成で色を分割した作品もあるそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。
T-07 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「青と黄色の横顔」
これは縦長のタペスリーで、中央あたりを境に左右に大きく色が分けられていて、右が黄色、左が青と緑というように、色面が大胆に分かれています。黄色の右半分には人々やラッパ?を吹く人などが織られ、左半分には大きな人の横顔と正面向きの顔があり、色もわかれています。色の分割も大胆ですが、そのモチーフも左右でだいぶ違っていて、インパクトがありました。
この隣には同じ作品のリトグラフもあり、比較することができました。
この先のガラスケースの中にはイヴェットが使ったタペスリーを織る道具が展示されていました。また、伝統的なゴブラン織りの図解書もあったのですが、そこに描かれたものと似たものがイヴェットの道具にはあるとのことでした。
<雄鶏と恋人たち>
続いては雄鶏と恋人という、これもまたシャガールお得意のモチーフについてのコーナーです。恋人は愛の象徴をして描かれているようです。
T-09 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「赤い雄鶏」
横たわる裸婦と、背後から顔を寄せる赤いフードの男が織られたタペスリーです。その左には巨大な雄鶏の姿があり、上の方には牛か馬のような頭も織られています。全体的に暗めの色合いで、裸婦と雄鶏が特に目を引きました。神秘的な雰囲気の作品です。
この近くにはエスキース(構想)もありました。さらに左側に人物がいるなど、完成作とは違った印象をうけました。
T-15 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「黒い手袋」
男性と女性の顔がくっついて一体化しているような感じの人物が描かれたタペスリーで、タイトルになっている黒い手袋は下の方で本を広げています。また、右下あたりにはパレットと筆があり、左側には街の様子が描かれています。詳しいことはわかりませんでしたが、パレットがあるので画家自身なのかな?
この隣にはこのタペスリーの為の原寸大の下絵もありました。その作成手順は、まず作品を撮影し、モノクロの左右反転写真を最終的なタペスリーのサイズに引き伸ばした後、そこに色の指定などのメモを入れていくようです。この作品自体はかなり大きいのに、色のブロックわけは非常に細かくなっていて、メモは小さすぎて読めないほどでしたw
<花束と人物>
続いては花束をモチーフにした作品のコーナーです。花束は妻のベラとの思い出に結びつく重要なモチーフらしく、恋人時代にベラから花束を貰ったのがきっかけのようです。
T-16 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「花の中の少年」
葉っぱに囲まれ所で少年がラッパを吹いている様子が織られたタペスリーです。山羊や鳥の姿などもあり、全体的に温かみを感じる色合いでした。何処と無く幸せそうな雰囲気です。
近くには花束をモチーフにした作品も並んでいました。
<地中海の青>
最後は海に関する作品のコーナーです。ユダヤ人のシャガールは、戦後に亡命先のアメリカから戻った後、南仏に住んでいたそうで、ここにはその時代の作品が並んでいました。
T-14 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「天使の湾」
花束を持つ人魚が織られたタペスリーで、周りは深い青で、背景には湾曲する浜があり空には満月が浮かびます。人魚は赤い髪で、花束を持っているものの表情は浮かないように観えました。
この近くにはこうした海の絵を描いた作品が並んでいるのですが、同じ港湾を背景にしたものが数点あり、同じ場所から描いたのかも?? また、隣にこちらのリトグラフもありましたが、リトグラフより色が深く感じられました。
帰りに入口付近で数分のVTRを見ました。イヴェットは絵を理解するために自らも絵を描いたりしていたようで、そのプロフェッショナルぶりに感心します。そのまま絵を写し取るのではなく、何がシャガールなのかをよく知っていたからこそ、こうした作品が生まれたのだろうと容易に推し量れました。
ということで、大作タピスリーが並ぶ展示で驚かされました。これだけの大型作品が一堂に会する機会は中々ないと思いますので、シャガールが好きな方は是非どうぞ。
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前々回、前回とご紹介した西洋美術館の特別展を観た後、常設展も観て来ました。常設内にある版画素描展示室では「マックス・クリンガーの連作版画―尖筆による夢のシークエンス」が開催されていました。

【展覧名】
マックス・クリンガーの連作版画―尖筆による夢のシークエンス
【公式サイト】
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2012max.html
【会場】国立西洋美術館 版画素描展示室
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年11月3日(土・祝)~2013年1月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。
さて、今回はマックス・クリンガーという19世紀末から20世紀初頭に活躍したドイツの画家の版画の展示です。マックス・クリンガーはウィーン分離派やベルリン分離派にも参加していた画家で、版画にも強い関心を持ち多くの作品を残したそうです。著書の中では版画(銅版、木版、リトグラフ)や素描をなどを「尖筆芸術」と呼び、絵画や彫刻よりも空想の力が発揮しやすいと述べていたそうです。この展示ではそれを感じさせる連作などが並んでいましたので、詳しくは気に入った作品を通じてご紹介しようと思います。なお、この展示ではルールを守れば写真を撮ることができましたので、それを使っていこうと思います。
マックス・クリンガー 「眼鏡をかけた自画像」

これは自画像のエッチング。ちょっと神経質そうな顔をしているように見えましたが、細やかで陰影が巧みに思います。
マックス・クリンガー 「私室での陵辱」

これは西洋美術館が所蔵する唯一の素描で、優美なロココ調の部屋で陵辱が行われている様子が描かれています。手を挙げて抵抗している感じがするなどちょっと生々しい。部屋の雰囲気と対比的でした。
少し先には「手袋の取得に関するパラフレーズ-それを失くした婦人に捧ぐ」という全10点の連作が並んでいました。これは21歳だったクリンガーの実質的なデビュー作らしく、画家自身の自伝的な内容のようです。
マックス・クリンガー 「行為」

今回のポスターにもなっている作品です。これはちょっと前に観た覚えがあるのを思い出しました。ローラースケート場で女性が手袋を落としたのがきっかけで、青年は女性への想いを募らせるというストーリーで、これはその出会いの場面を描いています。リズムを感じる配置が面白いですが、何処と無く不安になる歪みを感じました。
参考記事:ルドンとその周辺-夢見る世紀末展 感想後編(三菱一号館美術館)
マックス・クリンガー 「凱旋」

これは青年の妄想の中の場面。手袋が美しい馬車に乗っていて、優美な雰囲気があります。手袋は恋する女性そのものとして扱われているようです。
以前このシリーズを観た時に、手袋にまつわる機知を効かせた作品かと思っていましたが、こうして改めて観ていくと妄想と葛藤の作品なのかも?と考えが変わりましたw
マックス・クリンガー 「不安」

こちらは一転して手袋に押しつぶされそうになっている場面。悪夢のようで、叶わぬ恋に苦しめられているのかも知れません。
この先にもこのシリーズの妄想と歪んだ愛を感じさせる作品がありました。また、その先にはアモールとプシュケの物語の本なども展示されていました。
続いてはオヴィディウスの変身物語を題材にした連作「オヴィディウス『変身物語』の犠牲者の救済」。こちらは先ほどの手袋とほぼ同時期に作られているそうで、神話もクリンガーの想像力の源泉だったようです。
マックス・クリンガー 「第一間奏」

これはブランコに乗る女性が宙を待っている様子です。背景が幻想的に感じるせいか、不安な雰囲気があるように思えました。解説によると、こうしたブランコに興じる人物像はゴヤの作品を想起させるとのことでした。
参考記事:
プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影 感想前編(国立西洋美術館)
プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影 感想後編(国立西洋美術館)
マックス・クリンガー 「アポロンとダフネ III」

アポロンが牛を飛び越えてダフネに迫ろうとしたところ、牛が走りだしアポロンを乗せていったという場面のようです。アポロンは後ろ向きに座っていて驚いているのかな? 右のほうでダフネがぽか~んと見ているのが面白かったですw
続いては「死について II」という連作のコーナーです。死はクリンガーにとって重要なテーマだったらしく、「死について I」を作ったものの完結せず、続編としてこちらが作られたようです。かなり時間をかけて作られた連作のようで、ショーペンハウアーやダーウィンからの影響も受けているそうです。
マックス・クリンガー 「生に清く・・・」

中央の巨人は時間の擬人化で、手には空しさを意味する砂時計を持っています。崖に居るのはモーゼ、キリスト、ブッダで、いかなる宗教も時間の前には無力であると暗示していると考えられるそうです。そして手前の人物は死を恐れぬ人の象徴なのだとか。キリストをこういう姿で描くとはちょっと驚きでした。
マックス・クリンガー 「ペスト」

病室に紛れ込んだカラスを追いやる十字架を持った女性が描かれています。タイトル的にこれはペストや死の象徴だと思いますが、十字架を振り回しても意味が無いとでも皮肉っているのかな??
マックス・クリンガー 「死せる母親」

死んだ母親の上にいる赤ん坊という、悲惨な場面を描いた作品のはずですが、あまり暗さを感じません。クリンガーは「個は死に、種は生きる」という生物学的な思考を持っていたそうで、この絵でも背景の若い植物と共にそれを暗示しているようでした。
ということで、幻想的でちょっと不安な気分になる作品が並んでいました。あまり知らなかった画家だけにこれは貴重な機会でした。版画室の展示は毎回面白いので、西洋美術館に行く際にはこちらも観るとより楽しめると思います。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
マックス・クリンガーの連作版画―尖筆による夢のシークエンス
【公式サイト】
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2012max.html
【会場】国立西洋美術館 版画素描展示室
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年11月3日(土・祝)~2013年1月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。
さて、今回はマックス・クリンガーという19世紀末から20世紀初頭に活躍したドイツの画家の版画の展示です。マックス・クリンガーはウィーン分離派やベルリン分離派にも参加していた画家で、版画にも強い関心を持ち多くの作品を残したそうです。著書の中では版画(銅版、木版、リトグラフ)や素描をなどを「尖筆芸術」と呼び、絵画や彫刻よりも空想の力が発揮しやすいと述べていたそうです。この展示ではそれを感じさせる連作などが並んでいましたので、詳しくは気に入った作品を通じてご紹介しようと思います。なお、この展示ではルールを守れば写真を撮ることができましたので、それを使っていこうと思います。
マックス・クリンガー 「眼鏡をかけた自画像」

これは自画像のエッチング。ちょっと神経質そうな顔をしているように見えましたが、細やかで陰影が巧みに思います。
マックス・クリンガー 「私室での陵辱」

これは西洋美術館が所蔵する唯一の素描で、優美なロココ調の部屋で陵辱が行われている様子が描かれています。手を挙げて抵抗している感じがするなどちょっと生々しい。部屋の雰囲気と対比的でした。
少し先には「手袋の取得に関するパラフレーズ-それを失くした婦人に捧ぐ」という全10点の連作が並んでいました。これは21歳だったクリンガーの実質的なデビュー作らしく、画家自身の自伝的な内容のようです。
マックス・クリンガー 「行為」

今回のポスターにもなっている作品です。これはちょっと前に観た覚えがあるのを思い出しました。ローラースケート場で女性が手袋を落としたのがきっかけで、青年は女性への想いを募らせるというストーリーで、これはその出会いの場面を描いています。リズムを感じる配置が面白いですが、何処と無く不安になる歪みを感じました。
参考記事:ルドンとその周辺-夢見る世紀末展 感想後編(三菱一号館美術館)
マックス・クリンガー 「凱旋」

これは青年の妄想の中の場面。手袋が美しい馬車に乗っていて、優美な雰囲気があります。手袋は恋する女性そのものとして扱われているようです。
以前このシリーズを観た時に、手袋にまつわる機知を効かせた作品かと思っていましたが、こうして改めて観ていくと妄想と葛藤の作品なのかも?と考えが変わりましたw
マックス・クリンガー 「不安」

こちらは一転して手袋に押しつぶされそうになっている場面。悪夢のようで、叶わぬ恋に苦しめられているのかも知れません。
この先にもこのシリーズの妄想と歪んだ愛を感じさせる作品がありました。また、その先にはアモールとプシュケの物語の本なども展示されていました。
続いてはオヴィディウスの変身物語を題材にした連作「オヴィディウス『変身物語』の犠牲者の救済」。こちらは先ほどの手袋とほぼ同時期に作られているそうで、神話もクリンガーの想像力の源泉だったようです。
マックス・クリンガー 「第一間奏」

これはブランコに乗る女性が宙を待っている様子です。背景が幻想的に感じるせいか、不安な雰囲気があるように思えました。解説によると、こうしたブランコに興じる人物像はゴヤの作品を想起させるとのことでした。
参考記事:
プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影 感想前編(国立西洋美術館)
プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影 感想後編(国立西洋美術館)
マックス・クリンガー 「アポロンとダフネ III」

アポロンが牛を飛び越えてダフネに迫ろうとしたところ、牛が走りだしアポロンを乗せていったという場面のようです。アポロンは後ろ向きに座っていて驚いているのかな? 右のほうでダフネがぽか~んと見ているのが面白かったですw
続いては「死について II」という連作のコーナーです。死はクリンガーにとって重要なテーマだったらしく、「死について I」を作ったものの完結せず、続編としてこちらが作られたようです。かなり時間をかけて作られた連作のようで、ショーペンハウアーやダーウィンからの影響も受けているそうです。
マックス・クリンガー 「生に清く・・・」

中央の巨人は時間の擬人化で、手には空しさを意味する砂時計を持っています。崖に居るのはモーゼ、キリスト、ブッダで、いかなる宗教も時間の前には無力であると暗示していると考えられるそうです。そして手前の人物は死を恐れぬ人の象徴なのだとか。キリストをこういう姿で描くとはちょっと驚きでした。
マックス・クリンガー 「ペスト」

病室に紛れ込んだカラスを追いやる十字架を持った女性が描かれています。タイトル的にこれはペストや死の象徴だと思いますが、十字架を振り回しても意味が無いとでも皮肉っているのかな??
マックス・クリンガー 「死せる母親」

死んだ母親の上にいる赤ん坊という、悲惨な場面を描いた作品のはずですが、あまり暗さを感じません。クリンガーは「個は死に、種は生きる」という生物学的な思考を持っていたそうで、この絵でも背景の若い植物と共にそれを暗示しているようでした。
ということで、幻想的でちょっと不安な気分になる作品が並んでいました。あまり知らなかった画家だけにこれは貴重な機会でした。版画室の展示は毎回面白いので、西洋美術館に行く際にはこちらも観るとより楽しめると思います。
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前回ご紹介した「手の痕跡 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描」を観た後、下階で同時開催(ロダンとブールデル展のチケットが必要)の「Fun with Collection 2012 彫刻の魅力を探る」も観てきました。

【展覧名】
Fun with Collection 2012 彫刻の魅力を探る
【公式サイト】
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2012fun.html
【会場】国立西洋美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年11月3日(土・祝)~2013年1月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日13時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_②_3_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
こちらはロダンとブールデルの展示と続きになっているので、混み具合もほぼ同じで快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は美術品が並ぶ展示とは趣きが異なっていて、普段見ている彫刻はどのように作られているのかを知ることができる内容となっていました。彫刻作品は同じ銅像がいくつもあったり、同じものが大理石になっていたりと疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、この展示ではその謎を分かりやすく解明してくれます。こちらでも写真を撮ることができましたので、何枚か使って簡単にご紹介して置こうと思います。
入口に素材の違う4つの頭部像が並んでいました。

右から順に粘土原型、テラコッタ(粘土でつくった素焼きの焼き物)、ブロンズ、大理石となります。
制作はまずはデッサンから始まるようです。

デッサンを行うことでモデルの造形的特徴を理解・把握し整理するのだとか。上の階でロダンとブールデルも素描は大事にしていたと解説を読んできたばかりなので納得。
そして粘土。こちらで原型となる像を作っていきます。

大まかに肉付けした後、細かい表情をつけていくそうです。升目状の跡はこの後の工程によるものです。
この辺にはヘラなどの道具も展示されていました。
続いては粘土で出来た塑像の型(雌型)を取る作業です。

塑像の前と後ろで大きく2つに分け、さらに細かく分割した線にそって「切り金」という薄い金属版を差し込んでいきます。(先ほどの粘土像の升目状の後は切り金の跡のようです。)そして水で溶いた石膏を隅々まで行き渡らせ、補強や細かい調整を行なってこうした雌型ができます。
その後は雌型を使って石膏像を作っていく工程が紹介されていました。

石膏像はまず雌型から石膏を外しやすくするために離型剤を雌型に塗った後、石膏を溶いて雌型に流しこみ、さらに石膏に浸したスタッフを全体に貼り付けて補強するようです。雌型を合わせて固定して1日待って乾かし、乾いたら雌型を外していきます。
こちらの像だと雌型の線が見えるのですが、通常はこれを削るのに対して、ロダンやブールデルの作品にはこれを残しているものもあるそうです。
続いてこちらはテラコッタ。

テラコッタも石膏と同様に雌型を使って作られていて、雌型を合わせて内側から粘土を貼っていき、乾いて少し硬くなったら雌型を剥がし、そしてガス窯で焼き上げます。テラコッタは結構色が独特で好みです。
そしてこれは大理石へのコピー。

大理石はまず石切り(石割り)を行い適度な大きさにして、その後は「星取り」という地道な作業を行いながら作っていきます。この写真の星取り機で高さ・位置を記録し、それと見比べながら彫っていくようです。気が遠くなる工程ですね…。最後にヤスリやサンドペーパーで仕上げていきます。
こちらはロスト・ワックス法というロウを使う技法で作っているブロンズ像。先ほどの雌型を使って蝋原型を作った後、蝋原型に細かい修正を行い、こうした「湯道」というブロンズの通り道が作られます。

さらにこれを鋳型材で覆い鋳型を作り、鋳型の周囲に焼成窯を築いて焼成していきます。この辺の過程は結構複雑なので文章では説明しきれませんが、映像を観ると様々な工夫が凝らされていて面白かったです。最後に色をつけて完成。
この辺にはそうした作業に使う道具類も展示されていました。また、製作工程の映像を観ると各道具をどのように使っているかも分かりました。
ということで、作品自体はほとんどありませんが、分かりやすくて非常に参考になる内容となっていました。色々素材はありますが、大理石は一番大変そうです…。今後の彫刻鑑賞にも役立つと思いますので、ロダンとブールデル展を観に行かれる方はこちらもじっくり観てくることをお勧めします。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
Fun with Collection 2012 彫刻の魅力を探る
【公式サイト】
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2012fun.html
【会場】国立西洋美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年11月3日(土・祝)~2013年1月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日13時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_②_3_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
こちらはロダンとブールデルの展示と続きになっているので、混み具合もほぼ同じで快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は美術品が並ぶ展示とは趣きが異なっていて、普段見ている彫刻はどのように作られているのかを知ることができる内容となっていました。彫刻作品は同じ銅像がいくつもあったり、同じものが大理石になっていたりと疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、この展示ではその謎を分かりやすく解明してくれます。こちらでも写真を撮ることができましたので、何枚か使って簡単にご紹介して置こうと思います。
入口に素材の違う4つの頭部像が並んでいました。

右から順に粘土原型、テラコッタ(粘土でつくった素焼きの焼き物)、ブロンズ、大理石となります。
制作はまずはデッサンから始まるようです。

デッサンを行うことでモデルの造形的特徴を理解・把握し整理するのだとか。上の階でロダンとブールデルも素描は大事にしていたと解説を読んできたばかりなので納得。
そして粘土。こちらで原型となる像を作っていきます。

大まかに肉付けした後、細かい表情をつけていくそうです。升目状の跡はこの後の工程によるものです。
この辺にはヘラなどの道具も展示されていました。
続いては粘土で出来た塑像の型(雌型)を取る作業です。

塑像の前と後ろで大きく2つに分け、さらに細かく分割した線にそって「切り金」という薄い金属版を差し込んでいきます。(先ほどの粘土像の升目状の後は切り金の跡のようです。)そして水で溶いた石膏を隅々まで行き渡らせ、補強や細かい調整を行なってこうした雌型ができます。
その後は雌型を使って石膏像を作っていく工程が紹介されていました。

石膏像はまず雌型から石膏を外しやすくするために離型剤を雌型に塗った後、石膏を溶いて雌型に流しこみ、さらに石膏に浸したスタッフを全体に貼り付けて補強するようです。雌型を合わせて固定して1日待って乾かし、乾いたら雌型を外していきます。
こちらの像だと雌型の線が見えるのですが、通常はこれを削るのに対して、ロダンやブールデルの作品にはこれを残しているものもあるそうです。
続いてこちらはテラコッタ。

テラコッタも石膏と同様に雌型を使って作られていて、雌型を合わせて内側から粘土を貼っていき、乾いて少し硬くなったら雌型を剥がし、そしてガス窯で焼き上げます。テラコッタは結構色が独特で好みです。
そしてこれは大理石へのコピー。

大理石はまず石切り(石割り)を行い適度な大きさにして、その後は「星取り」という地道な作業を行いながら作っていきます。この写真の星取り機で高さ・位置を記録し、それと見比べながら彫っていくようです。気が遠くなる工程ですね…。最後にヤスリやサンドペーパーで仕上げていきます。
こちらはロスト・ワックス法というロウを使う技法で作っているブロンズ像。先ほどの雌型を使って蝋原型を作った後、蝋原型に細かい修正を行い、こうした「湯道」というブロンズの通り道が作られます。

さらにこれを鋳型材で覆い鋳型を作り、鋳型の周囲に焼成窯を築いて焼成していきます。この辺の過程は結構複雑なので文章では説明しきれませんが、映像を観ると様々な工夫が凝らされていて面白かったです。最後に色をつけて完成。
この辺にはそうした作業に使う道具類も展示されていました。また、製作工程の映像を観ると各道具をどのように使っているかも分かりました。
ということで、作品自体はほとんどありませんが、分かりやすくて非常に参考になる内容となっていました。色々素材はありますが、大理石は一番大変そうです…。今後の彫刻鑑賞にも役立つと思いますので、ロダンとブールデル展を観に行かれる方はこちらもじっくり観てくることをお勧めします。
参照記事:★この記事を参照している記事
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先日の土曜日に上野の国立西洋美術館で「手の痕跡 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描」を観てきました。

【展覧名】
手の痕跡 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描
【公式サイト】
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/rodin2012.html
【会場】国立西洋美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年11月3日(土・祝)~2013年1月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日13時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
それほどお客さんも多いわけではなく快適に鑑賞することができました。
さて、今回の展示は誰もが知っている大彫刻家オーギュスト・ロダンとその弟子エミール=アントワーヌ・ブールデルについての展示です。この2人はいずれも近代を代表する彫刻家だけにしっかりと押さえておきたいと常々思っていましたが、今回は国立西洋美術館が誇るコレクションを中心に、テーマや制作当初のエピソードを交えながら紹介するという内容となっていました。しかも今回の展示は常設作品が多いためかルールを守れば撮影可能となっていましたので、いくつか撮ってきた写真と共に各章ごとに気に入った作品と共にご紹介できればと思います。
<第1章 古代やルネサンス彫刻の探求と成果>
まずは古代やルネサンス彫刻からの影響についてのコーナーです。19世紀後半のフランスでは彫刻家として成功するためには古代彫刻を範とし、アカデミーに従った作品を作ることが必要とされていたそうですが、ロダンは国立美術学校の受験に失敗し進学を断念していたそうです。しかし、ルーヴル美術館やイタリア旅行で触れたルネサンス/バロック期の彫刻から学び取ろうとしたそうで、ロダンは初めての3ヶ月のイタリア旅行の後にミケランジェロに影響を受けたポーズや筋肉表現の作品を生んだそうです。
一方、後にロダンの弟子になるブールデルは国立美術学校入学のコンクールで2等を取るなど優秀な成績を収めたようですが、アカデミーのシステムを嫌って飛び出したそうです。そんなブールデルも美術学校時代には古代やルネサンスの彫刻を繰り返し素描にしているようで、ロダンほど直接的に自分の作品に取り入れたわけではないようですが、そこから得た均衡の取れた構成が彫刻家としての出発点となっているそうです。ここにはそうした古代からの影響が見て取れる作品が並んでいました。
オーギュスト・ロダン 「青銅時代」

こちらはイタリア旅行から帰ってすぐに作られたものらしく、腰をひねる様子は古代からの伝統的なポーズだそうです。私には苦悩の表情とポーズのように見えたのですが、以前は「敗北者」と題されたこともあったそうです。しかしロダンは人間の起源を表す「青銅時代」と名付け普遍的な意味を持たせたのだとか。
オーギュスト・ロダン 「説教する洗礼者ヨハネ」

これは筋肉ムキムキで手足が非常に長く見えるのですが、腕の位置などは解剖学的には正確ではないそうです。しかし威厳に満ちていて話しけてくるような雰囲気でした。解説によると、これはイタリアの農夫がモデルなのだとか。
エミール=アントワーヌ・ブールデル 「瀕死のケンタウロス」

首が異常に折れ曲がった半人半馬のケンタウロスの像です。結構無理矢理なポーズだと思ったのですが、これはパリのシャンゼリゼ劇場のフレスコ画を立体にしたもののようで、正方形に収まるように作られているとのことでした。この苦悶の表情が真に迫っています。
この辺には西洋美術館の入口にある「弓をひくヘラクレス」の習作もありました。
<第2章 肖像・頭部彫刻>
続いては肖像と頭部像のコーナーです。身近なモデルの協力を得やすいことから、彫刻家の出発点が肖像というのは珍しくないそうで、ロダンとブールデルも数多くの肖像作品を残しているようです。ロダンは肖像・頭部像に多様性を見出しモデルの内面を表す作品を残したそうで、ブールデルはロダンの肖像を通じてモデルをそのまま写しとるのではなく、誇張し翻訳することで写実以上の真実を得ることができると理解していたそうです。
また、ブールデルは初期には出身地の名士の肖像で生活を助けられていたそうで、その後も評価の高い作品を産み出し、晩年にはアトリエで放置され半分崩れかかった状態の像を利用するなど偶然を取り入れた技法の作品も作ったそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。
オーギュスト・ロダン 「アンリ・ロシュフォールの胸像」

この人は政治家でジャーナリストでもあった人物で、ロダンとも交流があった人です。髪型やおでこが大きく胸の辺りが荒々しい感じで、厳格そうな雰囲気がありました。解説によると、この作品は一度発表された後に手直しされたらしく、こちらは手直し後のバージョンだそうです。手直し前より前頭部が強調されて知的な表情となっているのだとか。
この辺には画家のシャヴァンヌの胸像などもありました。
オーギュスト・ロダン 「ヴィクトル・ユゴー」

こちらは「レ・ミゼラブル(ああ無情)」などで有名な小説家の胸像です。ちょっと気難しそうな顔に見えるかなw ユゴーはロダンより前にも胸像のモデルとなったことがあったそうで、長時間のポーズを嫌い制作に際しては特別にポーズを取らないことを条件にOKしたそうです。
オーギュスト・ロダン 「花子の頭部」

いかにも日本人っぽい顔をしている日本人女性の頭部像です。このモデルは太田ひさという女優だそうで、マルセイユの劇場でロダンの目にとまったそうです。若干怖い顔をしているのは演じた役に応じたためのようです。
エミール=アントワーヌ・ブールデル 「首のあるアポロンの頭部」

こちらが半分崩れかかっていた像を使って作られた作品。私には風化した遺跡の像みたいに見えました。師のロダンもこうした技法を用いていたそうですが、面白い発想です。
<第3章 人体の動勢表現>
ロダンの代表作「地獄の門」は注文変更によって死ぬまで石膏像のままアトリエに置かれたそうですが、その制作に際して様々な派生作品を生んだらしく、身体を大きく動かす像など人体表現の実験の場となったそうです。一方、ブールデルはロダンの身近でその仕事を観ていたひとりで、ロダンから直接影響を受けた作品を残していますが、後に均衡のとれた構成や様式の統一性へと向かったそうです。ロダンは「粘土をこねて形成する人」であり、断片から全体を作りあげていく彫刻家であるのに対して、ブールデルは「建築家」で、全体の構造から細部を決めていく彫刻家だったそうで、こちらにはその違いを感じさせる作品が並んでいました。
オーギュスト・ロダン 「永遠の青春」

男女の劇的な愛のシーンを表現したこの作品は、当初は「地獄の門」に組み込まれる予定だったそうです。(恐らく絶望とかけ離れているので組み込まれなかったのかな?) のけぞり手を伸ばす姿勢は躍動感があり、動きを感じさせました。
オーギュスト・ロダン 「私は美しい」

こちらは「地獄の門」に登場する「おちる男」と「うずくまる女」を組み合わせた作品です。近くに「うずくまる女」も単体で展示されていたのですが、こうして組み合わさると完全に違う作品に見えました。
エミール=アントワーヌ・ブールデル 「絶望の手」

こちらはロダンからの影響が伺える作品。手だけなのに言い知れぬ絶望感が伝わってきます。
エミール=アントワーヌ・ブールデル 「横たわるセレネ」

こちらは観たことが無かったのですが、こちらの美術館では半世紀ぶりの公開となるそうです。これまでの劇的な雰囲気から一転して優美で流麗な雰囲気があるように思えました。解説によるとこれは友人の奥さんをモデルにしているのだとか。
<第5章 素描と版画>
続いては素描と版画についてのコーナーです。(4章より5章が先)ロダン美術館には8000点、ブールデル美術館には7000点の素描が残されているそうで、ブールデルは教え子たちに彫刻家であることと同時に素描家であることが必須であると指導していたほどだったそうです。また、ブールデルはロダンの素描について、「修正や後悔、躊躇の跡がほとんど無い。ここでは精神が完全に理解した時にしか手は動き始めることはない。時には手は思考が開かれたと同時に動き始めるのだ」と語っていたそうです。
また、銅版画についてはロダンはイギリス旅行の際にアルフォンス・ルグロから学んだそうで、数は少ないようですが版画家ロダンの技量を物語っているとのことで、ここにはそうした作品が並んでいました。
オーギュスト・ロダン 「ヴィクトル・ユゴー」

先ほど彫刻でも出てきたユゴー。彫刻制作の際に素描を重ねたとのことだったので、これもその1つかな?(さっきの彫刻の1年前の作品) 意外と簡潔な部分もありますが、よく雰囲気が伝わってきて、多面的に描かれているようでした。
<第4章 記念碑制作>
最後は記念碑のコーナーです。19世紀フランスでは街の整備が進められる中で大型の記念碑の注文が盛んに行われていたそうで、ロダンとブールデルも注文を受けて公共彫刻を制作し、社会的な地歩を築いたそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。
エミール=アントワーヌ・ブールデル 「わが子を捧げる聖母」

こちらは「アルザスの聖母」とも呼ばれる本作品がアルザス地方にあるそうで、それはなんと6mにも及ぶ大作となっているそうです。幼子イエスのポーズがその後の磔刑を暗示しているような…。これを観た画家のドニは絶賛して、「この聖母はあらゆる時代の宗教美術の傑作である」と言ったとのことでした。
オーギュスト・ロダン 「考える人」

右のは美術館の庭に展示されているものです。ロダンで一番有名な作品かな? こちらは地獄の門の上に配置されているものの派生作品で、「神曲」「地獄篇」の作者であるダンテを表すものでしたが、後に「詩人」となり、さらに普遍的な「考える人」へとタイトルが変わっていったそうです。考える人は地獄について考えていると思うと、中々意味深です。
この辺には地獄の門の第三構想のマケットもありました。
おまけで外にある彫刻の写真も少々。
オーギュスト・ロダン 「地獄の門」

これが地獄の門! よく観ると確かに今回の展示にあった像なども組み込まれています。これは今回の展示で観る楽しみが増えました。
オーギュスト・ロダン 「カレーの市民」

こちらはロダンの初の記念碑彫刻で、カレーでイギリスの攻撃から街を守った6人の英雄を主題としています。依頼したカレー市は英雄の1人を際立たせたかったようですが、6人全員が等しい高さで、しかも悩んでいるような感じで英雄とは程遠い出来栄えとなっています。台座などでも発注者と意見が合わずに設置に12年もかかったそうですが、私はこの作品はかなり好きです。
ということで、普段よく見ている作品も多かったですが、制作背景なども知ることが出来て非常に参考になりました。この他にも素晴らしい作品は多く、2人の違いも分かりやすく紹介されているので、彫刻好きの方にお勧めの展示です。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
手の痕跡 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描
【公式サイト】
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/rodin2012.html
【会場】国立西洋美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年11月3日(土・祝)~2013年1月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日13時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
それほどお客さんも多いわけではなく快適に鑑賞することができました。
さて、今回の展示は誰もが知っている大彫刻家オーギュスト・ロダンとその弟子エミール=アントワーヌ・ブールデルについての展示です。この2人はいずれも近代を代表する彫刻家だけにしっかりと押さえておきたいと常々思っていましたが、今回は国立西洋美術館が誇るコレクションを中心に、テーマや制作当初のエピソードを交えながら紹介するという内容となっていました。しかも今回の展示は常設作品が多いためかルールを守れば撮影可能となっていましたので、いくつか撮ってきた写真と共に各章ごとに気に入った作品と共にご紹介できればと思います。
<第1章 古代やルネサンス彫刻の探求と成果>
まずは古代やルネサンス彫刻からの影響についてのコーナーです。19世紀後半のフランスでは彫刻家として成功するためには古代彫刻を範とし、アカデミーに従った作品を作ることが必要とされていたそうですが、ロダンは国立美術学校の受験に失敗し進学を断念していたそうです。しかし、ルーヴル美術館やイタリア旅行で触れたルネサンス/バロック期の彫刻から学び取ろうとしたそうで、ロダンは初めての3ヶ月のイタリア旅行の後にミケランジェロに影響を受けたポーズや筋肉表現の作品を生んだそうです。
一方、後にロダンの弟子になるブールデルは国立美術学校入学のコンクールで2等を取るなど優秀な成績を収めたようですが、アカデミーのシステムを嫌って飛び出したそうです。そんなブールデルも美術学校時代には古代やルネサンスの彫刻を繰り返し素描にしているようで、ロダンほど直接的に自分の作品に取り入れたわけではないようですが、そこから得た均衡の取れた構成が彫刻家としての出発点となっているそうです。ここにはそうした古代からの影響が見て取れる作品が並んでいました。
オーギュスト・ロダン 「青銅時代」

こちらはイタリア旅行から帰ってすぐに作られたものらしく、腰をひねる様子は古代からの伝統的なポーズだそうです。私には苦悩の表情とポーズのように見えたのですが、以前は「敗北者」と題されたこともあったそうです。しかしロダンは人間の起源を表す「青銅時代」と名付け普遍的な意味を持たせたのだとか。
オーギュスト・ロダン 「説教する洗礼者ヨハネ」

これは筋肉ムキムキで手足が非常に長く見えるのですが、腕の位置などは解剖学的には正確ではないそうです。しかし威厳に満ちていて話しけてくるような雰囲気でした。解説によると、これはイタリアの農夫がモデルなのだとか。
エミール=アントワーヌ・ブールデル 「瀕死のケンタウロス」


首が異常に折れ曲がった半人半馬のケンタウロスの像です。結構無理矢理なポーズだと思ったのですが、これはパリのシャンゼリゼ劇場のフレスコ画を立体にしたもののようで、正方形に収まるように作られているとのことでした。この苦悶の表情が真に迫っています。
この辺には西洋美術館の入口にある「弓をひくヘラクレス」の習作もありました。
<第2章 肖像・頭部彫刻>
続いては肖像と頭部像のコーナーです。身近なモデルの協力を得やすいことから、彫刻家の出発点が肖像というのは珍しくないそうで、ロダンとブールデルも数多くの肖像作品を残しているようです。ロダンは肖像・頭部像に多様性を見出しモデルの内面を表す作品を残したそうで、ブールデルはロダンの肖像を通じてモデルをそのまま写しとるのではなく、誇張し翻訳することで写実以上の真実を得ることができると理解していたそうです。
また、ブールデルは初期には出身地の名士の肖像で生活を助けられていたそうで、その後も評価の高い作品を産み出し、晩年にはアトリエで放置され半分崩れかかった状態の像を利用するなど偶然を取り入れた技法の作品も作ったそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。
オーギュスト・ロダン 「アンリ・ロシュフォールの胸像」

この人は政治家でジャーナリストでもあった人物で、ロダンとも交流があった人です。髪型やおでこが大きく胸の辺りが荒々しい感じで、厳格そうな雰囲気がありました。解説によると、この作品は一度発表された後に手直しされたらしく、こちらは手直し後のバージョンだそうです。手直し前より前頭部が強調されて知的な表情となっているのだとか。
この辺には画家のシャヴァンヌの胸像などもありました。
オーギュスト・ロダン 「ヴィクトル・ユゴー」

こちらは「レ・ミゼラブル(ああ無情)」などで有名な小説家の胸像です。ちょっと気難しそうな顔に見えるかなw ユゴーはロダンより前にも胸像のモデルとなったことがあったそうで、長時間のポーズを嫌い制作に際しては特別にポーズを取らないことを条件にOKしたそうです。
オーギュスト・ロダン 「花子の頭部」

いかにも日本人っぽい顔をしている日本人女性の頭部像です。このモデルは太田ひさという女優だそうで、マルセイユの劇場でロダンの目にとまったそうです。若干怖い顔をしているのは演じた役に応じたためのようです。
エミール=アントワーヌ・ブールデル 「首のあるアポロンの頭部」

こちらが半分崩れかかっていた像を使って作られた作品。私には風化した遺跡の像みたいに見えました。師のロダンもこうした技法を用いていたそうですが、面白い発想です。
<第3章 人体の動勢表現>
ロダンの代表作「地獄の門」は注文変更によって死ぬまで石膏像のままアトリエに置かれたそうですが、その制作に際して様々な派生作品を生んだらしく、身体を大きく動かす像など人体表現の実験の場となったそうです。一方、ブールデルはロダンの身近でその仕事を観ていたひとりで、ロダンから直接影響を受けた作品を残していますが、後に均衡のとれた構成や様式の統一性へと向かったそうです。ロダンは「粘土をこねて形成する人」であり、断片から全体を作りあげていく彫刻家であるのに対して、ブールデルは「建築家」で、全体の構造から細部を決めていく彫刻家だったそうで、こちらにはその違いを感じさせる作品が並んでいました。
オーギュスト・ロダン 「永遠の青春」

男女の劇的な愛のシーンを表現したこの作品は、当初は「地獄の門」に組み込まれる予定だったそうです。(恐らく絶望とかけ離れているので組み込まれなかったのかな?) のけぞり手を伸ばす姿勢は躍動感があり、動きを感じさせました。
オーギュスト・ロダン 「私は美しい」

こちらは「地獄の門」に登場する「おちる男」と「うずくまる女」を組み合わせた作品です。近くに「うずくまる女」も単体で展示されていたのですが、こうして組み合わさると完全に違う作品に見えました。
エミール=アントワーヌ・ブールデル 「絶望の手」

こちらはロダンからの影響が伺える作品。手だけなのに言い知れぬ絶望感が伝わってきます。
エミール=アントワーヌ・ブールデル 「横たわるセレネ」

こちらは観たことが無かったのですが、こちらの美術館では半世紀ぶりの公開となるそうです。これまでの劇的な雰囲気から一転して優美で流麗な雰囲気があるように思えました。解説によるとこれは友人の奥さんをモデルにしているのだとか。
<第5章 素描と版画>
続いては素描と版画についてのコーナーです。(4章より5章が先)ロダン美術館には8000点、ブールデル美術館には7000点の素描が残されているそうで、ブールデルは教え子たちに彫刻家であることと同時に素描家であることが必須であると指導していたほどだったそうです。また、ブールデルはロダンの素描について、「修正や後悔、躊躇の跡がほとんど無い。ここでは精神が完全に理解した時にしか手は動き始めることはない。時には手は思考が開かれたと同時に動き始めるのだ」と語っていたそうです。
また、銅版画についてはロダンはイギリス旅行の際にアルフォンス・ルグロから学んだそうで、数は少ないようですが版画家ロダンの技量を物語っているとのことで、ここにはそうした作品が並んでいました。
オーギュスト・ロダン 「ヴィクトル・ユゴー」

先ほど彫刻でも出てきたユゴー。彫刻制作の際に素描を重ねたとのことだったので、これもその1つかな?(さっきの彫刻の1年前の作品) 意外と簡潔な部分もありますが、よく雰囲気が伝わってきて、多面的に描かれているようでした。
<第4章 記念碑制作>
最後は記念碑のコーナーです。19世紀フランスでは街の整備が進められる中で大型の記念碑の注文が盛んに行われていたそうで、ロダンとブールデルも注文を受けて公共彫刻を制作し、社会的な地歩を築いたそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。
エミール=アントワーヌ・ブールデル 「わが子を捧げる聖母」

こちらは「アルザスの聖母」とも呼ばれる本作品がアルザス地方にあるそうで、それはなんと6mにも及ぶ大作となっているそうです。幼子イエスのポーズがその後の磔刑を暗示しているような…。これを観た画家のドニは絶賛して、「この聖母はあらゆる時代の宗教美術の傑作である」と言ったとのことでした。
オーギュスト・ロダン 「考える人」


右のは美術館の庭に展示されているものです。ロダンで一番有名な作品かな? こちらは地獄の門の上に配置されているものの派生作品で、「神曲」「地獄篇」の作者であるダンテを表すものでしたが、後に「詩人」となり、さらに普遍的な「考える人」へとタイトルが変わっていったそうです。考える人は地獄について考えていると思うと、中々意味深です。
この辺には地獄の門の第三構想のマケットもありました。
おまけで外にある彫刻の写真も少々。
オーギュスト・ロダン 「地獄の門」

これが地獄の門! よく観ると確かに今回の展示にあった像なども組み込まれています。これは今回の展示で観る楽しみが増えました。
オーギュスト・ロダン 「カレーの市民」

こちらはロダンの初の記念碑彫刻で、カレーでイギリスの攻撃から街を守った6人の英雄を主題としています。依頼したカレー市は英雄の1人を際立たせたかったようですが、6人全員が等しい高さで、しかも悩んでいるような感じで英雄とは程遠い出来栄えとなっています。台座などでも発注者と意見が合わずに設置に12年もかかったそうですが、私はこの作品はかなり好きです。
ということで、普段よく見ている作品も多かったですが、制作背景なども知ることが出来て非常に参考になりました。この他にも素晴らしい作品は多く、2人の違いも分かりやすく紹介されているので、彫刻好きの方にお勧めの展示です。
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