関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

美のスターたち (感想後編)【岡田美術館】 箱根編2019

前回に引き続き箱根小涌谷の岡田美術館の「開館5周年記念展 美のスターたち ―光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい―」についてです。前編は2階まででしたが、今日は残りの3~5階についてご紹介していこうと思います。まずは概要のおさらいです。(この記事を書いている時点で既に終了しています)

 前編はこちら

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【展覧名】
 開館5周年記念展 美のスターたち 
 ―光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい―

【公式サイト】
 https://www.okada-museum.com/exhibition/archives/2018_2.html

【会場】岡田美術館
【最寄】小涌谷駅

【会期】2018年9月30日(日)~2019年3月30日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 3時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半も空いていて独占状態で観ることができたのですが、閉館時間が迫ってきて4階・5階はメモを取ることができませんでした。思い出せる限り書き残しておこうと思います。


<3階 日本絵画 金屏風・水墨画・春画など>
3章は日本画各種が並ぶコーナーです。

[3-1 金屏風]
3階に入ってまず驚くのがこのコーナーです。部屋一面に金屏風が並び壮観な眺めとなっています。

371 「紅白梅図屏風」
こちらは六曲一双の金屏風で、恐らく狩野派によるものと思われます。紅白の梅の花が入り乱れるように咲いていて、かなり花の数が多くて豪華な印象をうけます。また、木の周りには竹の柵がジグザグに並んでいて、縦の直線が多い構図となっています。それが幾何学的で奥行きとリズムを生んでいて面白い効果となっていました。

373 長谷川派 「浮舟図屏風」
こちらは六曲一双の金屏風で、源氏物語の51帖「浮舟」を題材にした作品です。薫の大将の恋人の浮舟を匂宮が連れ出し宇治川を渡るシーンとなっていて、小さい舟で身を寄せ合って心もとない雰囲気です。また、川は波の紋様のようになっていて、手前にある笹などと共に風を感じさせるかな。全体的に茶色がかって寒々した印象を受けるのも2人の行く末を暗示しているようでした。

[3-2 水墨画]
こちらは4点だけですが狩野元信や雪村周継などビッグネームの作品が展示されていました。

378 雪村周継 「瀟湘八景図」
こちらは瀟湘八景を1枚の小さな水墨にまとめた作品です。月の浮かぶ洞庭秋月や、漁村の様子を描いた漁村夕照、遠くの舟を描いた遠浦帰帆などお馴染みのテーマを簡潔かつ叙情的に表現しています。すらっと描いているようで情景が浮かぶのが驚きでした。

[3-3 春画]
こちらは部屋が仕切られていて春画が展示されています。

384 葛飾北斎 「波千鳥」
こちらは5点セットの作品で、墨の線だけを版木で刷って1図ずつ筆で彩色するという手の込んだ手法が使われています。春画なので男女の行為を描いているのですが、めちゃくちゃ細い線を駆使して細密に描いていたり 微妙な色彩で表現するなど気合の入り方が普通の版画よりも凄いかもw 葛飾北斎の知られざる画業を観ることができます。

他にも鳥文斎栄之や渓斎英泉の作品などもありました。

[3-4 後水尾院]
こちらは後水尾院の二条城行幸など、後水尾院に関する品が3点ほど並んでいました。

386 「後水尾天皇宸翰和歌書」
こちらは後水尾院の直筆の和歌書で、「故郷に 帰ればかはる色 もなし 山も見しやま 花を見し はな」と書いてあります。流れるように軽やかで、書においても卓越した才能を持っていたのが伺えます。近くには二条城行幸の大画面の作品もあって、少数ながらも秀でた天皇であったことを伝える品々となっていました。

[3-5 花鳥走獣]
こちらは鳥や獣を題材にした作品が並ぶコーナーで、今回の見どころとなる伊藤若冲の作品も展示されていました。

390 円山応挙 「子犬に綿図」
こちらは小さい綿の木が描かれ、その周りに白い子犬と茶色い子犬の姿も描かれています。2匹ともコロコロしていて、応挙がよく描いた狗子図の典型といった感じです。茶色の犬は毛をふわふわに、白い犬は太めの輪郭線で表現するなど2匹で表現方法が異なるのも面白く、どちらも ゆるキャラのような可愛さがありました。

391 伊藤若冲 「月に叭々鳥」
こちらは急降下してくる叭々鳥を描いた作品で、口を大きく開けて真っ黒な逆三角形の姿にデフォルメされています。上部には薄っすらと月も浮かんでいて、簡潔なようで勢いや技巧を感じさせる表現となっていました。

392 伊藤若冲 「孔雀鳳凰図」 ★こちらで観られます
こちらは今回のポスターにもなっている2幅対の掛け軸です。2015年に再発見された140.8cm×82.6cmの大型作品で、右幅は白い孔雀が松を背景に立ち、周りには富貴の象徴である牡丹が咲いています。一方、左幅は松の上に立つ極彩色の鳳凰で、上を見上げるような姿勢で尾をなびかせているのが圧巻です。孔雀の体は透けるように描かれていて、かなり細かく毛並みが描き込まれているのが分かります。鳳凰もミリ以下の単位の細かさで丹念に描いていて、現実を超えた鮮やかさとなっていました。以前聞いた話だと、これは動植綵絵に先立って描いた作品じゃなかったかな。伊藤若冲の特徴が凝縮されているような作品です。

[3-6 日本の風景画]
続いては風景画のコーナーで、箱根に因んだ作品が展示されていました。

401 歌川広重 「箱根温泉場ノ図・箱根湖上ノ不二」
こちらは2幅対の肉筆画で、右幅は場所は特定できないようですが塔ノ沢温泉付近の光景らしく、川に橋が架かって2人の人が渡っている様子が描かれています。一方の左幅は芦ノ湖のカーブしている部分で、背景に白い富士山が見えています。いずれも淡く緻密な筆致で、版画の浮世絵とは異なる魅力を感じます。解説によるとこれは天童にいた頃に依頼されたそうで、「天童広重」と呼ばれる肉筆画の1つのようです。色を抑えているのは武家好みの表現とのことでした。

ここには他に東海道五十三次(3図のみ)や葛飾北斎の富嶽三十六景から特に有名な「神奈川沖浪裏」「凱風快晴」「山下白雨」などもありました。

[3-7 御舟・古径・大観の水墨画]
続いては速水御舟、小林古径、横山大観のコーナーです。各画家1点ずつ合計3点のみとなっていました。

403 速水御舟 「木蓮(春園麗華)」
こちらは縦長の掛け軸で、木蓮の花が水墨で描かれています。写実的でありながら情感たっぷりで、墨の濃淡だけで木蓮の色を感じるような繊細さが見事です。葉っぱの葉脈まで分かったり、滲みを活かした花の色など表現に富んでいて見ごたえがあります。 解説によると、俵屋宗達を学んだ成果がこの絵に現れているとのことでした。

ここには巨大な富士山を描いた横山大観の絵もあって、少数でも驚きの多いコーナーでした。


<4階 日本・中国・韓国の絵画と工芸>
4階に到達した頃には蛍の光が流れてきて、猛スピードで観る羽目になりましたw ちょっと1~2階で時間を使いすぎた…。4階は細かく節が分かれていて様々な作品が紹介されています。

[4-1 歌麿「深川の雪」と美人画の逸品]
こちらは美人画のコーナー。歌麿の「深川の雪」だけ後の方に展示されていました。

411 伊東深水 「三千歳」
こちらは化粧している女性を描いた作品で、ふと何かに気がついたような表情をしています。解説によると、この女性は歌舞伎の演目のヒロインらしく、罪人の恋人を想い待ちわびているようです。白い肌に真っ赤な口紅が艶やかで、伊東深水ならではのミステリアスな雰囲気もありました。

この近くにあった円山応挙も見事です。

415 上村松園 「汐くみ」
こちらは振り返る着物の女性を描いた作品で、手に紐を持っています。紐の先には海水を汲み入れた容器を乗せた小さな台車があって、引っ張って運んでいるらしく、これは能の「松風」の因んでいるそうです。女性は上村松園が得意とした清らかで雅な雰囲気の女性となっていて、気品漂う佇まいとなっていました。

この階の出口に向かうあたりに歌麿「深川の雪」もありましたが、今回も複製でした。本物はまだ観たことがないですw

[4-2 調度品]
こちらは蒔絵の棚などが展示されていました。柴田是真の作品もあったのですが、あまりじっくり観ていられなかったのが残念。

[4-3 朝鮮時代の美術]
こちらは朝鮮の絵画や壺などが並んでいました。特に目を引いたのは正祖の「葡萄図」という掛け軸で、画面の縁を這うように伸びる葡萄の蔦がリズミカルかつ自由闊達な雰囲気に思えました。

[4-4 日本の文人画(南画)]
こちらは4点のみで池大雅、与謝蕪村、渡辺崋山、谷文晁という日本の文人画を代表する4人の作品が並んでいました。まあ南画は大して好きでもないので ここはささっとw

[4-5 琳派]
ここは大好きな琳派のコーナーなのでもっと時間を取って観るべきでした…。俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一という琳派を代表する絵師たちの作品がならび、特に俵屋宗達が絵を描き本阿弥光悦が書を書いた作品が目を弾きました。絵も字も風流で、時間ぎりぎりまで観てきましたw 

他にも以前ご紹介した尾形光琳の「雪松郡禽図屏風」などもあって、これも再会できて嬉しい作品でした。
 参考記事:岡田美術館の常設 2018年1月 箱根編

[4-6 風俗画]
ここは3点のみで、菱川師宣、葛飾北斎、英一蝶の肉筆画がありました。

[4-7 漆芸]
ここも3点のみです。中国2点、日本1点と少ないですが貴重な堆朱の作品もありました。

[4-8 近代日本画]
466 川合玉堂 「富嶽」
こちらは六曲一双の金屏風で、大きな富士山と松が描かれています。色が非常に鮮やかで、その大きさと共に富士山の堂々たる雰囲気がよく表れていました。

<5階 仏教美術>
最後、5階は仏教美術のコーナーで、仏画や仏像などが並んでいます。

[5 仏像・仏画・写経]
ここは時間切れで一瞬でしたが、金剛力士像が特に目を引きます。筋肉隆々で迫力があり、慶派のような作風に思えました。


ということで、せっかく行ったのに時間切れという事態になってしまいました。それというのも非常に濃密なコレクションが怒涛の如く並んでいるせいだったりしますw ここは携帯電話を持ち込めないとか、やたら入館料が高いといったマイナス面もありますが それを差っ引いても凄い美術館なので、箱根に行く際には是非立ち寄りたいアートスポットだと思います。

おまけ:美術館入り口にあった「深川の雪」のパネル
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美のスターたち (感想前編)【岡田美術館】 箱根編2019

今日も箱根編です。今回の箱根旅行では美術館にはほとんど行けなかったけど岡田美術館だけはダッシュで観てきました。その際「開館5周年記念展 美のスターたち ―光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい―」という展示が行われていて見どころが多かったので前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。なお、この展示はちょうど会期末だったため既に終了しています。

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【展覧名】
 開館5周年記念展 美のスターたち 
 ―光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい―

【公式サイト】
 https://www.okada-museum.com/exhibition/archives/2018_2.html

【会場】岡田美術館
【最寄】小涌谷駅

【会期】2018年9月30日(日)~2019年3月30日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 3時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。それでもペース配分を間違って2時間くらいで閉館となってしまい、4階5階はかなりのハイペースで見る羽目になりました。3時間くらい無いと私には厳しかったw

さて、この展示は岡田美術館の開館5周年を記念するもので、日本・中国・朝鮮の美術品を中心に岡田美術館の名品がずらりと並ぶ内容となっていました。常設と特別展の区切りが特に無いので、1階から順に気に入った作品を挙げていこうと思います。


<1階 中国陶磁・青銅器、韓国陶磁>
まず1階は磁器を紹介するコーナーです。節ごとに産地や時代の異なる陶磁器が並んでいました。

[1-1 日本・中国・韓国 工芸の名品]
この節は3国の名品を紹介するコーナーで、特に日本の品が目を引きました。

13 「色絵宝尽文八角皿」 鍋島藩窯 江戸時代
こちらは中央に寿の字が書かれた八角形の皿で、ほら貝や宝珠、笙、団扇、宝船、打ち出の小槌などの宝物が周りに描かれています。色彩が鮮やかかつ気品があり、おめでたいもの尽くしとなっていました。鍋島は後のコーナーでも多く観られますが、これは確かにその中でも名品と言えそうです。

8 「深鉢形土器(火焔式土器)」 縄文時代中期前半
こちらは縄目の文様がついた火焔式土器で、どっしりとした風格があります。これぞ縄文時代と言った感じの力強く燃えるような造形が見事で、古代の美的センスに驚かされる土器でした。

この辺には埴輪や銅鐸などもありました。

[1-2 古代の明器]
この節は中国の明器のコーナーです。明器とは墳墓に副葬する為の器物(俑とか)で、殷時代から始まった風習のようです。

24 「三彩鷹形水注」 唐時代
こちらは鷹の形をした水注で、くちばし部分から水を注ぐようになっています。立ち姿で表され三彩の色を活かした模様になっているのが面白い。鷹をモデルにした明器を観るのは初めてでしたが、希少な作例のようでした。

34 「緑釉楼閣」 後漢時代
こちらは高さ1.5mくらいある楼閣型の焼き物で、3層を4つのパーツを組み上げて作っているようです。上層部分には人の姿があり、窓から顔を出しているのがちょっと微笑ましいw 頂上には鳳凰らしき姿もあり、非常に凝った作品となっていました。

[1-3 宋磁]
続いては中国の宋時代前後の頃の磁器のコーナーです。

53 「澱青釉紅斑文瓶」 釣窯 金~元時代
こちらは胴部分が下に行くほど細くなっていく形の瓶で、丸みのある造形となっています。口の部分は百合の花のように5つの突起に分かれていて、可憐な印象を受けます。天青と呼ばれる淡い青色も鮮やかで、紫色の文様が有機的な不定形に施されていました。まるで近代の抽象絵画を思わせるようなモダンさの模様がある陶器です。

ここには天目茶碗もいくつかありました。

[1-4 宋・元・明の景徳鎮官窯]
続いては官窯である景徳鎮の品々が並ぶコーナーです。

58 「白磁暗花束蓮文盤」 明時代 永楽年間
一見すると真っ白な円形のお皿です。しかしよ~く観ると蓮の花の文様が薄っすらと浮かんでいるのが分かります。これは白磁に暗花という淡い線彫りの技法で表しているようで、この文様は子孫繁栄の意味があるようです。透けるような白さも美しい器でした。

78 「五彩百蝠文壺」 明時代 万暦年間
こちらは大きめの壺の側面が無数の雲のような枠で区切られていて、その中に赤・緑・黄・青などの蝙蝠が無数に描かれています。蝙蝠は中国語では福に発音が似ているのでおめでたいモチーフなのですが、これは名前の通り百匹くらいはいるのではないか?というくらいの蝙蝠がカラフルに舞っていて目に鮮やかです。また、肩のしましま模様は八卦の文様になっているそうで、ここも豊かな色彩となっていました。

88 「青花アラベスク文双耳扁壺」 明時代 永楽年間
こちらは円形の扁壺で、両脇に耳がついています。中央にはアラベスク模様があり、イスラム圏のコバルトを使った鮮やかな青で表現されていました。白磁に異国情緒溢れる文様が浮かぶのが何とも美しく、この階の多くの陶器の中でも特に好みの作品でした。

[1-5 青磁の美]
続いては青磁のコーナーで、20点ほど並んでいました。

101 「青磁神亭壺」 越州窯 三国(呉)~西晋時代
こちらは神亭壺という穀倉や死者の住処を意味する明器です。壺の上に座禅した無数の小さな僧らしき姿があり、さらにその上には屋敷のようなものや楼閣まで表されています。明器ということで死生観も伺えるような面白さがありました。

95 「青磁柑子口瓶」 景徳鎮窯 清時代
こちらは一際滑らかで淡い緑色が美しい青磁です。側面に獣が円環を咥えたような耳が付いていて、シンプルながらも優美な雰囲気を湛えていました。

[1-6 清の景徳鎮官窯]
続いては清時代の景徳鎮官窯に関するコーナーです。

150 「粉彩団蝶文椀」 景徳鎮窯 清時代
こちらはお椀の側面に円形の枠が描かれ、そこに蝶が描かれてものが規則正しく5つ並んでいます。かなり細かく写実的で、触覚や鱗粉などまで描かれています。清時代の絵付けが非常に高度であったことが伺える作品でした。

この辺はカラフルなお椀が多かったかな。ピンクなど珍しい色のものもありました。

[1-7 玉器の美]
続いては中華圏の人が身につける「玉(主に翡翠)」を使って作られた作品のコーナーです。

160 「白玉蓮華文香炉」 清時代 乾隆年間
こちらは玉を使って青銅器の鼎を模した香炉です。取っ手には環も付いていて、饕餮紋を浮き彫りにするなどかなり手が込んでいます。小さいのに精巧で尋常ならざる技術が伺えました。玉はむちゃくちゃ硬いのに根気がヤバイw


<2階 日本陶磁・ガラス>
続いて2階は日本の代表的な産地の陶磁器が並び、和ガラス製品も少しあります。

[2-1 縄文の美]
再び縄文時代の品のコーナー。ここは点数少なめです。

163 「土偶」 縄文時代晩期
こちらは笑っているような土偶で、抽象化されて渦巻き文様のようなものが表されています。全体的には遮光器土偶にも似た形となっていて、その流れを汲んでいるとのことでした。

[2-2 肥前磁器と古九谷様式]
続いては有田焼や古九谷が並ぶコーナーです。

175 「色絵花鳥文瓶」
こちらは白濁色の胴に梅の木にとまる3羽の鵲とバラを描いた作品です。木はエメラルドグリーン、花は赤で 自由闊達な筆で描かれています。完成度が高過ぎないところが丁度良くて心地よく感じられるかな。味わいのある絵柄の作品でした。

この辺には古九谷も多数並んでいました。黄色と緑がどぎつい色彩で、私が苦手とする磁器ですw

[2-3 柿右衛門様式]
続いては有田の中でも白地を基調とした柿右衛門様式の作品のコーナーです。

194 「色絵波涛花散文美人像」
こちらは胸に手を当てて笑って話しているような着物姿の女性の陶器人形です。等身が長くすらっとしていて、切れ長の目が艶やかな雰囲気です。また、赤や緑で花や流水を表した着物も雅で、気品ある美人像となっていました。

[2-4 肥前磁器の名品]
続いては肥前の名品のコーナーです。

199 「色絵椿繋文皿」
こちらは円形の皿のフチを沿うように白・赤・青・黄などの椿が描かれています。その色の配置が流れを感じさせ、優美な雰囲気です。上の方には輪が欠けている部分があって、それが何とも洒脱な仕掛けに思えました。

このコーナーにある名品は本当に素晴らしい品ばかりでした。流石に全部はメモしきれませんがw

[2-5 鍋島焼]
続いては私の大好きな鍋島のコーナー。幾何学的な模様や花鳥を描いた品まで幅広い題材となっていました。

213 「色絵野菜文皿」
こちらは夏野菜が描かれた皿で、なた豆・唐辛子・瓜・ナスなどが並んでいる様子となっています。その単純化が面白くリズミカルな配置となっている上、色も唐辛子の赤や葉っぱの緑、ナスの紫と言った感じでカラフルで軽やかな印象を受けました。非常に洒落た作品です。

ここも紹介しきれないくらい素晴らしい作品がいくつも並んでいました。

[2-6 古伊万里さまざま126件]
ここは揃い物の古伊万里など様々な品が展示ケースに並んでいました。小さくて可愛い器なんかもあってバリエーションに富んでいます。

[2-7 仁清と乾山]
続いては野々村仁清と尾形乾山による焼き物のコーナーです。

352 尾形乾山 「銹絵白梅図角皿」
こちらは兄の尾形光琳による白梅と、乾山による賛が描かれている四角い皿です。白梅はかなり単純化されて勢いを感じるかな。背面には兄の尾形光琳が絵付けをしたのは間違いない旨が記されているようで、皿全体に大きな文字で書かれていました。

この辺には以前ご紹介した「色絵輪宝羯磨文香炉」や「色絵竜田川文透彫反鉢」(★こちらで観られます)なんかもありました。ここもかなり華やかです。
 参考記事:仁清と乾山 ―京のやきものと絵画―  【岡田美術館】(箱根編2018)

[2-8 びいどろ-和ガラスの美]
2階の最後は和ガラスのコーナーです。

367 「藍色ちろり」 江戸時代
こちらは深いコバルトブルーのちろりで、胴は丸々していて口は細く長く伸びています。その繊細で洗練されたフォルムが色と共に涼しげで、現代でも通じそうな流麗な姿となっていました。

このコーナーには少数ながらも貴重な薩摩切子などもありました。力強い色彩が魅力です。


ということで、長くなってきたので今日はここまでにしておこうと思います。1~2階でかなり時間を使ったことで後半は途中でタイムアップになった訳ですが、とにかく見どころが多くて特に鍋島や京焼は見逃せないと思います。後半は今回の目当てである伊藤若冲や琳派の作品なども展示されていましたので、次回はそれらについてご紹介していこうと思います。


 → 後編はこちら



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アフリカ現代美術コレクションのすべて 【世田谷美術館】

先週の日曜日に用賀の世田谷美術館で特別展と常設展を観てきました。まずは会期末が近い常設展についてご紹介しようと思います。今回は「ミュージアム コレクションⅢ アフリカ現代美術コレクションのすべて」というタイトルでアフリカのアートのコレクション展となっていました。

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【展覧名】
 ミュージアム コレクションⅢ
 アフリカ現代美術コレクションのすべて

【公式サイト】
 https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/collection/detail.php?id=col00102

【会場】世田谷美術館 2階展示室
【最寄】用賀駅

【会期】2018年11月03日~2019年04月07日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は日本でも早くからアフリカの美術に目を向けてきた世田谷美術館が誇るコレクション展で、過去に開催した展覧会をきっかけに蒐集した作品などが並ぶ内容となっています。点数はそれほど多くないのですが、2章構成となっていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<1、アフリカの美術を展示する――仮面と神像から都市の活気へ>
1章は「アフリカ芸術展」(1961年日本)、「大地の魔術師たち」展(1989年フランス)、「インサイド・ストーリー:同時代のアフリカ美術」展(1995年日本)の3つの展示を回顧しながらコレクションを紹介していました。前者の2つの展示では やはりアフリカの魔術的でダイナミックな野生美に目を向けていたようで、当時のアフリカの情勢(1960年代に次々と独立)や、アフリカの美術界にはあまり関心を示されず、西洋社会からの好奇の視点で紹介されていたようです。しかしインサイド・ストーリー展はアフリカの20世紀美術の歩みをたどる試みとなっていたようで、作家たちとの交流もあったようです。ここにはエキゾチックで素朴な作品などが並んでいました。

4 不詳 「マネキン(アクラ、ガーナ)」
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こちらの作品だけ撮影可能となっていました。マネキンと言っても平面的なものですが、手の関節はネジ止めしてあるので動かせそうに見えます。素朴で愛嬌があり、洗練された美術にはない魅力を感じました。

5 不詳 「床屋の看板(バマコ、マリ)」
6 不詳 「床屋の看板(アクラ、ガーナ)」
こちらは壁一面に並んだいくつもの床屋さんの看板です。黄色地に人物の頭部やバリカン・ハサミ・シャンプーなど床屋で使うものが描かれていて、テイストとしては先程のマネキンと似た感じです。不思議と地域が変わっても色合いやモチーフは共通しているので、アフリカではスタンダードなのかな? こちらも下手だけど味わいがあって力強さがあります。何故かリーゼントみたいな髪型が多いのも興味深いw 西洋美術の文脈から好奇の目で観てしまうのも致し方無いかもしれないと思う一方で異文化が感じられました。

この辺には1995年頃の現地の写真が並んでいました。多彩で強い色彩の広告などが写っていて面白いです。他には人形やおもちゃなども並び、素朴な温かみが感じられました。

10 サカ・アクエ 「母子像」
この作家はガーナのアーティストで、アメリカの美術アカデミーで学びガーナの美術を担った第一世代です。お腹の辺りで子供らしきものを抱えた女性像で、首が非常に長くスラッとした印象を受けます。ちょっとジャコメッティに通じるようなものを感じるかな。解説によると作者のサカ・アクエは劇作家としても活躍していたそうですが、その後に彫刻制作に専念したそうです。この作品の近くではサカ・アクエが編曲した「アクドンノ(トウモロコシで出来るお酒)」という民謡が流れていて、ドコドコという鼓のリズムに合わせて陽気なメロディとなっていました。


<2、1990 年代のアフリカ現代美術>
続いては1990年代のアフリカ現代美術のコレクションで、主に西アフリカの作家の作品を蒐集しているようです。第二次世界大戦の後、アフリカでは、新たな「アフリカらしさ」をどのように打ち出していくかが課題となったそうで、主にフランス語圏の国々では「ネグリチュード」という1930年代のパリで生まれた言葉が手がかりとなったようです。、黒人であることの誇りを取り戻す文学運動なども展開されたようで、この章ではアフリカの情勢などを感じさせる作品が並んでいました。

14 アブドゥライ・コナテ 「アフリカの力」 ★こちらで観られます(PDF)
こちらは天井から吊り下がった石と、その下の丘状に無数の卵のような物が並んだものと、背景に赤と黒の垂れ幕に虹のようなものが描かれている 3つセットの作品です。ちょっと意味は分かりませんが、政治や社会的な問題を示唆しているとのことなので、西洋の現代美術と同じような感じかな。赤い大地に虹が昇るようにも見えるし、卵の上に吊り下がる石に危うさがあるようにも思えるし、意味深な作品でした。

15 エル・アナツイ 「あてどなき宿命の旅路」 ★こちらで観られます(PDF)
こちらは今回の展示のポスターにもなっている作品で、使い古された木の臼を人に見立てて作った彫刻です。いくつも似たような像があり、臼の上の方に水平方向に木を括り付けているので手を広げた人に見えなくもないかな。アフリカに生きる人々の行く末を詩的に提示しているとのことですが、ちょっとくたびれた感じに思えました。

20 ムスタファ・ディメ 「空想の動物たち」 ★こちらで観られます(PDF)
こちらは朽ちた木材に釘などを刺して作った空想の動物像です。その風化具合が動物の毛のようで、動物のミイラを観ている気分になります。頭の部分は目鼻をくり抜いていて、結構シンプルながらもリアルな動物の頭蓋骨のように思えました。発想が面白い作品です。

18、19 パスカル・マルチーヌ・タユ 「トーテム94」「トーテム94(女)」 ★こちらで観られます(PDF)
こちらは都市に溢れる廃材を集めてトーテムポールのようにした作品です。プラスチック容器や麻布などを使って胴体を作り、植木鉢などで顔を作っています。人工の大量生産物だけしか使っていないのに、プリミティブなものを感じるのが面白い作品でした。

ソカリ・ダグラス・キャンプ 「私の世界 あなたの世界」 ★こちらで観られます(PDF)
こちらは3体セットの金属製の女性像です。いずれも等身大より大きく存在感があります。動きのあるポーズで、溶接部分が荒々しい点などからもエネルギッシュでパワフルな印象を受けました。


ということで、全く未知の世界でしたが予想以上に楽しめました。アフリカらしさを模索している節もあって、ステレオタイプなアフリカ観だけでは収まらないような展示だと思います。この常設は特別展のチケットで観ることができるので、特別展を観る際にはこちらも合わせてみることをオススメします。



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アートが日常を変える 福原信三の美学 Granby Workshop : The Rules of Production Shinzo Fukuhara/ASSEMBLE, THE EUGENE Studio Ⅱ 【資生堂ギャラリー】

前回ご紹介した展示を観た後、近くの資生堂ギャラリーで「アートが日常を変える 福原信三の美学 Granby Workshop : The Rules of Production Shinzo Fukuhara/ASSEMBLE, THE EUGENE Studio Ⅱ」という展示を観てきました。この展示は以前ご紹介した展示の第2期ですが、大半は全く異なる内容となっていましたので改めてご紹介しておこうと思います。

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【展覧名】
 アートが日常を変える 福原信三の美学 Granby Workshop : The Rules of Production Shinzo Fukuhara/ASSEMBLE, THE EUGENE Studio Ⅱ

【公式サイト】
 https://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/

【会場】資生堂ギャラリー
【最寄】銀座駅 新橋駅など

【会期】
  1st:2018年10月19日(金)~12月26日(水)
  2nd:2019年01月16日(水)~03月17日(日)
   ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は資生堂ギャラリーの開廊100周年を記念した第2弾となっています。第1弾では資生堂創業者の福原信三の美学を取り上げていましたが、第2弾では日常の中にある美や創造性を追求した福原信三の美学に共感したイギリスの建築家集団、ASSEMBLE(アッセンブル)による陶芸のワークショップとなっています。…と言っても、既にワークショップの開催時期は終了していて私が観たのはそのアーカイブ的なものとなっていました。この展示では撮影可能となっていましたので、その様子を写真を使ってご紹介していこうと思います。
 参考記事:それを超えて美に参与する 福原信三の美学 Shinzo Fukuhara / ASSEMBLE, THE EUGENE Studio (資生堂ギャラリー)

こちらが展示風景。壁際に陶器が展示され、部屋のあちこちにワークショップで使ったと思われる品が並びます。
DSC02635.jpg
今回のワークショップはイギリスのリバプールで「グランビー・ワークショップ」というセラミックメーカーでの制作の再現となっているようです。元々は放置状態にあったグランビー地区の立て直しを目指すコミュニティ手動の取り組みの一貫だったそうで、初期の制作物は改装された家々のためのデザインだったようです。

こちらは陶器作成に使う道具類
DSC02638_20190301003418e04.jpg
今回のワークショップを行ったアッセンブルは日本の陶芸についてリサーチをしたそうで、益子の土について研究しスリップキャスティング(鋳込鋳造)という方法で作ることにしたそうです。確かに鋳型のようなものと、型取りされたものが並んでいて轆轤とかはありませんでした。なお、アッセンブルが益子を選んだのは、民藝運動の中で英国人のバーナード・リーチと益子で作陶した濱田庄司の繋がりにも着想を得ているようです。

まるで工房の中のような景色となっています。
DSC02639.jpg
実際にここで作っていたようですが、行くのが遅すぎましたw アッセンブルはイギリスではターナー賞を受賞しているほどのアーティストで、ワークショップを通じて地域住民の創造や雇用といった問題にも取り組んでいるようです。アートで社会を変えようという大胆な試みは素晴らしいですね。

こちらは土をかき混ぜていました。
DSC02664.jpg
これを鋳型に流し込んで成型します。益子の土に古いガラスや陶磁器を細かく粉砕した再生骨材を混ぜて、この場で一から作っていたのだとか。

近くに陶片もありました。
DSC02663_20190301003416dab.jpg
こういうのを材料にしたのかな? 特にキャプションがあったわけではないので定かではありませんが…。

机の上には様々な円筒形の器が並んでいました。
DSC02641.jpg
スリップキャスティングによって決まった形を大量生産できるようですが、交換可能なパーツの組み合わせ次第で無限に近いバリエーションを生むことも可能なようです。

映像で制作の様子も流していました。
DSC02642_20190301003423c64.jpg
型も置いてあって、制作過程を伺うことができました。

そしてこちらが完成品。即興的な模様が何とも軽やかな品々となっています。
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グランビー・ワークショップには5つの制作のルールがあるそうで、
 ・偶然と即興を進んで受け入れることで、2つとないプロダクトを作る
 ・実験的プロセスを取り入れる。しかし、その形はシンプルでなければならない
 ・楽しむ心を忘れず、挑戦を恐れない
 ・独創性を豊かに発揮し、ありふれた事物に新たな視線を注ぐ
 ・リバプールのグランビー・フォー・ストリーツ地区の、雇用と創作活動の促進をサポートする
となります。最後のは方針ですが、4つのルールが見事に体現されているのが分かります。

こちらも色彩のリズムが面白い品々が並んでいます。
DSC02646.jpg
モダンでマティスのダンスやジョアン・ミロの作品なんかを彷彿とするような軽快さがありました。

こちらはマーブル模様の品々。
DSC02648.jpg
これも偶然できるような模様が面白く、唯一無二の品々となっています。

色だけでなく形も様々です。
DSC02653_20190301003414c68.jpg
確かにシンプルかつ同じパーツを持っているけど、それぞれに個性があります。それにしても優美な印象を受けるシンプルさですね。


ということで、実際のワークショップを観ることが出来ないのは残念でしたが、素晴らしいアイディアの一端を観ることができました。アートとワークショップで雇用まで創出するという取り組みは日本でも展開して欲しいですね…。ここは無料で観ることができるので、気軽に立ち寄ってみるとよろしいかと思います。



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中国動物俑の世界 【松岡美術館】

今日も写真多めです。前回ご紹介した松岡美術館の展示を観た後、同時開催の「松岡コレクション-中国動物俑の世界」も観てきました。こちらも撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

DSC01325.jpg

【展覧名】
 松岡コレクション-中国動物俑の世界

【公式サイト】
 http://www.matsuoka-museum.jp/exhibition/exhibition.html

【会場】松岡美術館
【最寄】白金台駅

【会期】2018年10月24日(水)~2019年2月11日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
こちらも空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は古代中国の「俑」の中から動物の形をした作品を並べた内容となっていました。古代中国で霊魂は不滅で、墓所で先祖が不自由なく暮らせるようにと奴隷や動物を殉葬させていたのですが、時には5000人もの奴隷を生きたまま埋葬することもあったそうで、生産力を下げないようにとの観点から土を成型して焼いた俑陶を用いるようになったようです(決して慈悲の心からではないってのが恐ろしい話です) 俑は生前の住環境を再現するために、身の回りの調度品や器のみならず多種多様な動物に及んだそうで、今回はそうした動物の俑を取り揃えていました。詳しくは撮ってきた写真を使って気に入った作品をご紹介していこうと思います。


「緑釉 犬」 後漢時代1~3世紀
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これ何だろう?と思ったら犬でしたw ちょっと胴が短すぎる気もしますがマスコット的な可愛さがありますw 昔から警備や狩猟のお供だった犬は動物俑の中でも多く浸かられたのだとか。よく観ると帯みたいなのをつけてて番犬っぽいですね。

「灰陶加彩 鵞鳥」 後漢時代1~3世紀
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こちらは鵞鳥。薄っすらと羽根やくちばしに彩色が残っているのが分かります。てっきり食用かと思ったら、鵞鳥は視覚と聴覚が優れているので番犬の代わりに見張り役も務めていたのだとか。きょとんとした顔が可愛い。

「灰陶加彩 牛」 後漢-三国時代1~3世紀
DSC01444.jpg
こちらは牛。筋肉質で立派な体つきをしています。牛は儀式での犠牲や食用、軍需品の輸送、乗用など様々に用いられた動物で、国家が管理するほど重要な存在だったようです。

「黄釉加彩 牛」 唐時代7世紀
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こちらも牛で、牛車を引いています。牛車に比べると小さめに見えますが、きっと墓の主はこうして牛車に乗っていた身分の人だったんでしょうね。牛車も精巧な陶器でできているのが凄い。

「四神十二支 鏡」 隋-唐時代初期
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こちらは内側に四神、外側に十二支が表された銅鏡。一番下にねずみがいて、時計回りになっているようです。四神は玄武が下で青龍、朱雀、白虎の順かな? 南北がひっくりかえったように見えました。

「加彩 十二支」 唐時代7~8世紀
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こちらは頭が十二支で首から下は人という奇妙な像。酉と戌らしいけど、そうは見えませんw 残念ながら猪(中国では豚)は欠けていて所蔵していないのだとか。

「三彩 馬」 唐時代8世紀
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見事な唐三彩による馬。釉薬の色使いが絶妙で、鞍の部分や馬具なども色分けされています。ここまで観てきた作品の中でも完成度が高い品でした。

やはり馬は馬車や戦場で活躍したり、食肉、馬乳酒、皮、骨、馬肥と何でも使われただけあって点数多めでした。馬は陰陽思想で陽気に富んだ動物ということもあって、死者を蘇らせる力があるとも信じられていたのだとか。

「加彩 白馬」 唐時代7~8世紀
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片足を挙げて前掻きするようなポーズの馬。均整のとれたスラリとした体躯で蹄までもしっかり表されていました。動きを感じますね。

「灰陶加彩 騎乗駱駝」 唐時代7世紀
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最後にラクダ。ラクダもシルクロードの輸送に欠かせない存在として作られたようです。人が乗って交易隊でしょうか? こちらも表情豊かで見事な造形でした。


ということで、様々な動物の俑を観ることができました。当時の暮らしぶりを伺わせる品ばかりで生き生きしていたのも面白かったです。この展示も既に会期末となっていますので、気になる方はお早めにどうぞ。ぐるっとパスを持って行けば提示で観られます(庭園美術館と松岡美術館をハシゴするだけでほとんど元が取れる計算ですw)



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