関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

日本のグラフィックデザイン2018 【東京ミッドタウン・デザインハブ】

今日は写真多めです。日付が変わって昨日となりましたが、日曜日の夕方に六本木の東京ミッドタウン・デザインハブで「東京ミッドタウン・デザインハブ第73回企画展 日本のグラフィックデザイン2018」を観てきました。色々とネタが溜まってますが会期末が近いので先にご紹介しておこうと思います。

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【展覧名】
 東京ミッドタウン・デザインハブ第73回企画展
 日本のグラフィックデザイン2018

【公式サイト】
 http://designhub.jp/exhibitions/3836/

【会場】東京ミッドタウン・デザインハブ
【最寄】六本木駅

【会期】2018年6月20日(水)~7月31日(火)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
若いお客さんがどんどん来て、結構な盛況ぶりでした。とは言え大きめの作品も多いので混雑感は無く快適に鑑賞することができました。

さて、この展示はアジア最大級のデザイン団体である日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)が発行している年鑑『Graphic Design in Japan』の2018年版の発行を記念したもので、その中に掲載されている作品を約300点も出品しています。特にポスターが多かったように思いますが、様々なプロダクトが並び面白いデザインばかりとなっていました。この展示は撮影も可能でしたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。なお、解説などはほとんど無いので、私の簡単な感想のみとなります。

永井一正「LIFE ポスター」
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こちらは富山美術館のオープニング記念展のポスター。赤鉛筆でライオン、フクロウ、チンパンジーを描いているようです。強い目と共に放射状の線が生命力を感じさせました。

佐藤卓 「デザインの解剖展:身近なものから世界を見る方法」
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こちらは2016年に21_21 DESIGN SIGHTで行われた展示のポスターやチケット、バッチなどの展示に関する品々。きのこ派の私としてはこのポスターが好きでしたw 愛着のあるデザインを斬新な感じで展示していた展覧会です。

こちらは中村至男展に関するポスターなど。
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シンプルでちょっとシュールな感じもあるのが面白いw 

花原正基 「フレンチレストラン」
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青い可憐な花…と思ったらよく観ると花と葉っぱが文字みたいになっていました。これは中々驚きのデザイン。

岡崎智弘 「ペーパーモデルキット」
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この写真のようなリアルなシロクマを作れるのかな? パーツの写真もあって、興味を引かれました。作ってみたいですねえ。

佐藤卓 「ガム」
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よく目にするガムの包み紙。こんなにカラフルな種類があったんですね。下の方は結構ポップな印象を受ける色合いが好み。

竹田美織 「化粧品会社」
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リボンが幾重にも重なったようなデザインが軽やかな印象の紙袋。色合いも爽やかで女子っぽい。

渡邉良重 「洋菓子店」
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これはクリスマスのパッケージデザインかな。簡略化されたトナカイが何とも可愛い。メリー・クリスマスがもみの木の葉になっているのも面白い発想でした。

酒井博子 「マルシェ」
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今回の展示で一番気に入ったのがこちらのポスター。色鮮やかで楽しげな野菜のデフォルメぶりが素晴らしくて、マティスのジャズみたいな躍動感まで感じられました。

加藤大翼 「ギャラリーの企画展」
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こちらはホワイトストーンギャラリー(東京)のミズテツオ氏の個展のポスター。作品の世界観と一体化するように情報を付加しているのに感心させられました。
 参考リンク:ホワイトストーンギャラリー(東京) 「ミズテツオ: MIZu」

菊池敦己 「美術館の周年記念」
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青森県立美術館の10周年のポスター。4色のシンプルなデザインですが、フォントの選び方も含めて遊び心を感じさせます。青森って青より緑のイメージありますよねw

小杉幸一 「航空会社のプロモーションツール」
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タンブラーや紙飛行機のカレンダーなどのプロモーショングッズ。特にこの紙飛行機は欲しくなりましたw タンブラーも飛行機好きには嬉しいデザインじゃないかな。

清水千春 「自主制作作品」
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こちらはアルファベットの形をしたブロック。積み木みたいなものかな。色も形も可愛らしくて子供が遊んだら楽しみながら知育ができそうw

佐藤卓 「デザイナーブランド」
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イッセイミヤケのポスター。バナナが服を着ているような雰囲気が秀逸ですね。黄色いシャツみたいに見えました。

中林信晃・安本須美枝 「ラーメン店」
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もやしが幾何学的に並んでいて何だろう?と思ったら、ラーメン店を表しているようです。きっとオシャレ系のラーメン屋何だろうなと想像してみたり。デザイン的には面白いですが、もやしラーメンなのかな?w

田頭慎太郎 「印刷・整版・レタッチ会社」
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近未来的でスピード感を感じるポスター。「旅をすると、たいていのことがどうでもよく思えてくる。」というキャッチコピーもあって、ちょっと意味深w レタッチの会社というのも納得の1枚。

飯田郁 「弁当箱・箸」
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わっぱのような丸いお弁当箱ですが、幾何学的で現代的な雰囲気がありました。お箸もシンプルかつカラフルで、非常にお洒落ですね。

羽田純 「美術館の企画展」
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横山大観の「無我」がピラミッド状にいくつも並んでいるのがシュールw LOVEのEと日が一体化していたり中々面白いポスターでした。

小野恵央 「アミューズメント施設」
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NOSICAという一見カジノのような大人の遊び場のポスター。野鹿とトランプ、コインなどが混在する半ば抽象画のような構成が面白い。絵としても好みの作風でした。

森田賢吾 「美容院」
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私はこういう単純化に滅法弱いですw ちょっとアールデコ調な単純化に見えて好みでした。

井上悠 「紙コップ」
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観た瞬間に用途が分かる紙コップw おめでたい席で使えそうで、発想力に驚かされました。

植原亮輔 「インテリアショップのツール」
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TIMBER YARDという家具のお店のグッズ。材木置場というよりは森をイメージさせるかな。シンプルで洒落た家具が置いてありそうな気配がします。

浅葉克己 「住宅メーカーのデザインコレクション」
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カンディンスキーの絵を使ったポスター。右の方の格子の一部が歪んでいたりして、何かを意味していそうな感じ。音楽的なリズムを感じさせました。

菊池敦己 「音楽CD」
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鳥の形のモノクロのジャケットが洒落たCD。最近めっきりCDを買わなくなりましたが、これはジャケ買いしたくなるかもw

藤田佳子 「楊枝入れ」
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トリスのおじさんの楊枝入れ。木目が出ているのがいい味出していました。

窪田新 「地方公共団体の祭事/新聞広告」
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超ドSって書いてあるのかな?w 歌川国芳の浮世絵なんかを彷彿とさせる寄せ絵的な手法が面白かったです。


ということで、これでもほんの一部で楽しいデザインが沢山並ぶ展示となっていました。商業デザインにもアートを感じる品は多々あるので、こうした機会で振り返ってみると その面白さを再確認できると思います。残りの会期が少ないので気になる方はお早めにどうぞ。


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TOPコレクション たのしむ、まなぶ イントゥ・ザ・ピクチャーズ 【東京都写真美術館】

前回ご紹介した東京都写真美術館の展示を観た後、3階に移動して「TOPコレクション たのしむ、まなぶ イントゥ・ザ・ピクチャーズ」も観てきました。

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【展覧名】
 TOPコレクション たのしむ、まなぶ
 イントゥ・ザ・ピクチャーズ 

【公式サイト】
 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3050.html

【会場】東京都写真美術館
【最寄】恵比寿駅

【会期】2018年5月12日(土)~8月5日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらもお客さんは結構いましたが快適に鑑賞することができました。

さて、こちらの展示は東京都写真美術館が誇る34,000点以上の写真コレクションの中から「たのしむ、まなぶ」をテーマに古今東西の名品が並ぶ内容となっています。キャプションがほとんどなくて作品の隣には番号しかないようになっていたのですが、これは写真を観て自分がどう感じるか、何が見えてくるかを重視する趣向のようです。構成は題材ごとに7つの章に分かれていましたので、各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<1.まなざし>
まずは被写体となった人の視線が気になる作品のコーナーです。

1 ロベール・ドアノー 「ピカソのパン」 ★こちらで観られます
こちらはピカソを撮った有名な作品で、ピカソはテーブルに向かっていて、そこにはパンが置かれています。このパンが大きな指のように見えるのが面白い趣向です。ピカソは何故か右の方に視線を向けていて、何かを見つめているのかな? この写真は小学生の時に初めて観て、パンがでっかい手のように見えるのがちょっと不気味に思えたのですが、大人になって観るとピカソの作風(特に新古典主義の時代)の特徴も上手く取り込んでいるように思えました。

6 荒木経惟 「センチメンタルな旅より」
こちらはアラーキーの新婚旅行の時の写真で、新幹線の中で水玉の服の女性(奥さん)がじっと何かを見つめている様子が撮られています。視線の先が非常に気になる…w 何気ない日常を覗き込んだ感じもしますが、その鋭い眼光のせいか奥さんは芯の強そうな印象を受けました。
 参考記事:
  荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017- (東京都写真美術館)
  荒木経惟 写狂老人A (東京オペラシティアートギャラリー)

この近くには藤田嗣治を撮った写真もありました。

5 ウィリアム・クライン 「クリスマスの買い物、メイシーズ付近、ニューヨーク、1954年」
こちらニューヨークの人々が行き交う様子が撮られた作品で、3~4人のサングラスの婆さんたちがこちらをじっと伺うように観ています。目はサングラスで見えないけど、いぶかしげに観ているような…w それも3~4人もいると中々の圧を感じて面白かったです。
 参考記事:写真都市展 -ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち- (21_21 DESIGN SIGHT)

この近くにあった森山大道「新宿#4.5118」という作品は狭い壁の間で3匹の猫が一斉に振り返った様子が可愛かったです。


<2.よりそい>
続いては主にポートレートのコーナーです。

25 植田正治 「<童歴>より」
こちらは子猫を猫つかみしている少年を撮った作品です。少年は笑顔で立っていて、子猫もキョトンとした顔をしているのが非常に可愛らしいです。いずれも無垢な雰囲気で、素朴な幸せが感じられる作品でした。童歴の作品を観るのも久々だったので嬉しい限り。
 参考記事:
  植田正治写真展 写真とボク (埼玉県立近代美術館)
  生誕100年!植田正治のつくりかた 感想前編(東京ステーションギャラリー)
  植田正治とジャック・アンリ・ラルティーグ -写真であそぶ- (東京都写真美術館)
  
31 ダイアン・アーバス 「一卵性双生児、ローゼル、ニュージャージー州、1966」
こちらは白いヘアバンドに黒い服を着た双子の女の子を撮った写真です。一卵性双生児なのでよく似ていますが、よく観ると右の子はハツラツとした表情の一方で左の子はやや怪訝そうに見えるかな。眉と髪型のちょっとした違いでそう感じられるのが面白かったです。それにしても双子の女の子の写真を観るとシャイニングの双子を思い出してしまいます…w(完全にトラウマです)


<3.ある場面>
続いてはちょっと変わった光景などを撮った写真が並ぶコーナーです。

61 W.ユージン・スミス 「楽園への歩み <ファミリー・アンド・フレンド>より」 ★こちらで観られます
こちらは葉っぱでトンネルみたいになった所から出ていく幼い兄妹の後ろ姿を撮った写真です。お兄ちゃんの手に捕まって慎重に進んでいるように見えるかな。ちょっと異世界から抜け出すような光景に見えて、小さいけど勇気を持って踏み出すような印象を受けました。

38 奈良原一高 「トイレット <消滅した時間>より」
こちらは岩だらけの砂漠の真ん中に立つ縦長の個室トイレを撮った写真です。MENと書かれていて1人の男性がそこに近寄っていく様子となっています。こんな砂漠に何故トイレ?というシュールさが面白く、背景とミスマッチした感じが印象に残りました。

40 エリオット・アーウィット 「ヴェルサイユ、フランス」
こちらは多くの絵画が並ぶ部屋の中を撮った作品で、何故か絵のない額縁の前に3人の人物が並んでじっとそれを観ています。額縁の中には張り紙のようなものがあるので、それを観ているのかな? 周りにはちゃんとした絵もあるのに絵のない所にお客さんが集まっているのが不思議で気になりました。 こういて野次馬は集まっていくのだろうか…w たまに貸出中の作品とかこんな感じにしてある美術館もあるので、それを想像させました。
 参考記事:【番外編 フランス旅行】 ヴェルサイユ宮殿


<4.会話が聞こえる、音が聞こえる>
続いては写真の中から会話や音が聞こえそうな作品のコーナーです。

73 ダイアン・アーバス 「ユダヤ人の巨人とその両親」
こちらは背を屈めていないと天井に頭が付きそうな若者と、その両親らしき夫妻が向き合って何かを話している様子を撮った作品です。若者は杖で体を支えているので、巨人症みたいな体質の問題で大きいのかもしれません。それを見上げる夫人はちょっと驚いたような顔をしていて、感嘆が聞こえてきそうな感じでした。

62 田沼武能 「浅草寺 賽銭箱をのぞく子供<東京 下町Part1 No.5>より」
こちらは恐らく浅草寺に初詣に来た様子を撮ったものだと思います。浅草寺の賽銭を投げ入れる所(賽銭箱ではなく賽銭エリアになっている)を柵の上から沢山の子供がじっと見ている様子が撮られていて、目線の先の沢山のお札のお賽銭を数えているのかも…。 その気持は痛いほど分かるw 大人でも気になるくらいのお札の集まり具合で、凄い!という子どもたちの心の声が聞こえてきそうでした。


<5.けはい>
続いては人は写っていないけれども人の存在を感じさせる作品のコーナーです。

90 北井一夫 「フナバシストーリーより」
こちらは団地のキッチンらしき所を撮った作品で、昭和っぽい雰囲気が漂います。所狭しと食器や台所用品が並んでいるのですが、雑多で片付いていないので生活感溢れています。住人はいないのですが、このキッチンを観るだけで住人の気質まで伝わってくるような写真となっていました。

この近くには植田正治の「小さな工場」もありました。UFOみたいな形の工場の写真です。

98 小畑雄嗣 「池田 <二月>より」
こちらは大きな観覧車を背景に、雪が壁のようになっている道を撮ったカラーの作品です。人っ子一人いない寂しい雰囲気と観覧車のミスマッチが面白くてシュールさと共に、逆に春になれば人が来るのではないかという気配を感じさせました。

87 アンドレ・ケルテス 「パリの椅子、1927年、パリ」
こちらは細い金属製の椅子が広場に無数に置かれた様子を撮った作品です。奥に1人だけ足早に歩いている様子が写っていますが、椅子に座っている人の姿は無くガランとしています。しかし微妙に向き合うようになっていたりして、普段はここで沢山の人が会話を楽しんでいる名残があるように思えました。寂しいようで想像力を掻き立てる作品です。
アンドレ・ケルテスは古本屋めぐりをして写真集を買い集めているくらい大好きな写真家ですので、是非とも個展を開催して欲しい…


<6.むこうとこちら>
こちらは撮るものと撮られるものの関係性などをテーマにした作品のコーナーです。

104 NASA 「ミッション:アポロ(サターン)14号」
こちらは月面にアメリカの国旗を突き立てて記念撮影している宇宙飛行士が写った写真です。手前には影があって、撮影者の存在を感じるかな。強い明暗からは地球とは異なる月面の環境の様子も伝わってくるようでした。

108 アンリ・カルティエ=ブレッソン 「ニューヨーク、アメリカ」 ★こちらで観られます
こちらはガラスの向こうで笑っている帽子にメガネの紳士と、ガラスの反射でニューヨークの町並みが写っている様子が撮られています。手前には2人の男女も反射に写っていて、どうやら船からニューヨークを望む場面のようです。反射を使って夢をもたせるようなニューヨークの建物の大きさや、それを観る各人の心境などを1枚で表現しているのが凄い視点でした。
 参考記事:マグナムを創った写真家たち~キャパ、カルティエ=ブレッソン、ロジャー、シーモア~ (FUJIFILM SQUARE フジフイルム スクエア)

この辺は影や反射で撮影者の存在を感じる作品がいくつかありました。


<7.うかびあがるもの>
最後は写っていない何かが浮かび上がってくるような写真のコーナーです。

128-141 中平卓馬 「<日常>より」
こちらは2枚ずつ一見するとお互い無関係の写真がセットになって展示されている作品です。庭木 と シマウマ、象 と ベンチで寝る人、ライオン と ベンチで寝る人 など、それぞれ対になっているのは何かの隠喩なのか?と考えてしまいます。一方で、雨の道を走る自転車 と 洋食屋のショーウィンドウ の組み合わせは、雨が降って急いで洋食屋に向かっているのかも?というストーリーを想像させました。色々考えさせてくれる面白い趣向の作品です。

118-127 ルイジ・ギッリ 「モランディのアトリエ」
こちらは観た瞬間にモランディのアトリエだと分かるくらいモランディの絵そのものといった感じの写真です。モランディの静物に使われたモチーフなどは思った以上に忠実なようです。また、背景を くすんだ茶色にするために紙を貼っていた様子など、制作過程も伺えたのも良かったです。


ということで、豪華な面々の代表的な作品が並ぶ贅沢な内容となっていました。鑑賞者同士で話すのも推奨されていたので、それぞれの写真を観てどう思うか意見交換するのも楽しいかもしれません。まさに写真を楽しむと共に学べる内容なので、写真好きのみならず幅広い方にお勧めできる内容でした。

ちなみに写美の1階にあるカフェ メゾン・イチで2018年8月5日(日)まで「ピカソのパン」を販売しているようです。この日は普通にパイとケーキを食べましたが、メゾン・イチは何でも美味しいので写美に行ったら毎回寄りたいお店です。
 参考記事:メゾン・イチ 東京都写真美術館内のお店(恵比寿界隈のお店)



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内藤正敏 異界出現 【東京都写真美術館】

この前の日曜日に恵比寿の東京都写真美術館で「内藤正敏 異界出現」を観てきました。

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【展覧名】
 内藤正敏 異界出現

【公式サイト】
 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3052.html

【会場】東京都写真美術館
【最寄】恵比寿駅

【会期】2018年5月12日(土)~7月16日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
お客さんは結構いましたが、快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は異色の写真家とされる内藤正敏 氏の50年を振り返る個展となっています。初期は化学反応で生まれる現象を接写してSF的な作風となっていましたが、山形県の湯殿山麓で即身仏を観て以降、60年代後半から80年代にかけては主に東北地方で民間信仰をテーマにした作品を発表していきました。また、自らの写真に触発されて民俗学研究も手がけ、日本文化の思想体系を発見して研究論文を発表するなど写真に留まらない活躍をしています。さらに90年代以降はそうした研究と想像力を融合させて修験道の霊山を撮った「神々の異界」を手がけるなど、精力的に活動しているようです。展覧会は時期やテーマによって章分けされていて非常に点数が多かったので、章ごとに簡単にその様子をご紹介していこうと思います。


<初期作品>
まずは初期作品のコーナーです。ここにはSF小説の表紙にも使われた未来的な雰囲気の作品が並んでいました。

ここにはまず「トキドロレン」という時間泥棒連合という意味の作家の造語の作品があり、絵の具が混じり合うような感じで人の形になった写真とは思えないようなものがありました。エイリアン的な感じでちょっと不気味です。この辺にはそうした作風の化学反応を接写したような技法の作品があり、コラージュしたのか他の物体と一緒になっているものもあります。「キメラ」という作品なんかは暗闇の中に目がある表現で、バックベアードかハガレンのお父様みたいな…w 中々シュールで先進的な印象を受けます。 こうした作風はSF小説の表紙にも使われたようで、少し進むとSF小説が並んでいました。有名所では小松左京やレイ・ブラッドベリ、アーサー・クラークなんかもあって、名作揃いです。

<北海道開拓写真の発掘>
続いては北海道の開拓の様子を撮った写真のコーナーで、ここは4点のみです。これは内藤正敏 氏が撮ったものではなく武林盛一という写真家が1870~80年頃に撮ったもので、厳しそうな開拓風景が並びます。木材を運ぶ汽車など当時の様子がよく伝わるかな。内藤正敏 氏は写真の100年展の編集委員を務めた際にこの北海道開拓の写真について雑誌に載せたそうです。近未来的な作風の写真家だった人がこうした作品を研究するというのがちょっと意外に思えました。

<即身仏>
続いては運命の出会いとも言える即身仏の写真のコーナーです。内藤正敏 氏はこの出会いでSF写真をやめて民俗写真に切り替えたので、よほど衝撃を受けたのだろうと思います。ここにはミイラの顔のアップの白黒写真が並び、細かい陰影まで表されています、1体だけでなく複数体あって、厳かさというよりは強烈に訴えて来るような表情が確かに衝撃的です。写真家が感じたものが伝わってくるような力強い説得力がありました。

<東北の民間信仰>
ここからは主に東北の民間信仰をテーマにした作風となっていました。この章は3点のみで、「竈神 岩手県東和町」(★こちらで観られます)という作品は かまどの神様の顔らしきギョロっとした面のアップ写真となっています。ざらついた表面をしていて、岩のような質感です。シャーマニックな雰囲気もありプリミティブな力強さが印象的でした。題材自体がパワフルだけど表現方法がそれを倍増させているのがよく分かります。

<婆バクハツ!>
こちらは恐山のイタコ信仰をテーマにした写真シリーズです。イタコの婆さん達が顔を連ねた「お籠もりする老婆 高山稲荷」(★こちらで観られます)を筆頭に、生き生きとして まさに爆発するようなエネルギッシュなイタコたちの写真が並びます。入れ歯だらけで盲目で異形にも見える表情は山姥でも出たんじゃないかってくらいインパクトがありますw イタコで降霊しているシーンや、輪になっている様子など 独特の儀式も撮られていて民俗的な観点からも面白い作品じゃないかな。かなり高齢の婆さん達たちからこんなに力強い作品が撮れるというのには驚かされっぱなしでした。

<東京 都市の闇を幻視する>
こちらは1970~85年にかけて東京のアンダーグラウンドと言えるような場所を撮ったシリーズです。東京を歩いていると所々に江戸に通じているように感じたそうで、異界への入口の魅力として 狂ったような東京や帰る故郷の無い吹き溜まりなどを撮っています。ここには誰もいない街角をちょっと不気味な雰囲気で撮った作品や、はしゃいでいる若者、怪我して保護される人、街中で呑んだり寝ている浮浪者などを撮った作品が並びます。撮られた人は大概貧しそうに見えて駄目人間っぽさも漂っていますが、浮浪者の中には心底楽しそうな表情をしている人もいました。良くも悪くも、ありのままをさらけ出した人たちばかりなのかも。これも人の奥底まで捉えたような作品でした。

<遠野物語>
こちらは柳田国男の『遠野物語』を辿って訪れた岩手県の遠野を撮ったシリーズです。祭り、カッパ淵、墓、曲がり屋、神社、町の人々、面をかぶる人、遺影など、妖怪や風俗・宗教に纏わるモチーフが写し出されています。遠野物語の世界観に寄せているのか分かりませんが、ここでも信仰と人々が密接に関わっている様子が伺え、それが大切にされているのも伝わってきました。現実世界でありながら神秘的な雰囲気もあるシリーズです。
 参考記事:遠野の写真 (番外編 岩手)

<出羽三山>
こちらは修験道で名高い羽黒山、月山、湯殿山の出羽三山をテーマにしたシリーズです。(この辺からカラーもあったかな) ここでは仮面や仏像の顔をどアップで撮った作品などがあり、それらは剥落していたり やたらとリアルな面だったりします。私もこうした仏像等はよく観る方ですが、実物でもこれだけエネルギーが詰まった感じを受けることは それほど無いので、写真によって面の持つ力を引き出しているのだと思います。目をカッと見開いている顔が多いのも理由の1つかな。ここにも即身仏の写真があって、内藤正敏 氏の作風が凝縮されたような濃いシリーズでした。

<出羽三山の宇宙>
こちらは先程の出羽三山の写真と他の写真をコラージュしたようなコーナーです。炎を背景にした仏像や、地球を背景に仏像の目から上だけ撮った「びんずる尊と羽黒鏡、海向寺、出羽三山神社」(★こちらで観られます)など、一種異様でシュールさもありつつ、一層力を増すような表現となっていました。

<神々の異界>
こちらは信仰の対象となっている地を撮ったシリーズで、自然を撮った作品が多いかな。富士山から観た光景を星の軌跡と共に撮った写真(★こちらで観られます)や富士山頂の神秘的な光景を撮った作品が並びます。中には珍しいブロッケン現象(人に後光が差しているような山の現象)を撮ったものなどもあり、自然の神秘や不思議さ、畏敬の念などが込められているようでした。

<戦慄-東北芸術工科大学「内藤正敏の軌跡」展より 2004年>
こちらは2004年に開催された回顧展で使った大型プリントの写真が並んでいました。ここまで観てきた作品が順不同で並んでいる感じです。(いくつかここまでには無かった作品もあったかな) 大判で独特の世界観が迫ってくるように感じられて、ここだけで1つの展覧会が開催できるくらいの個性的な作品ばかりでした。

<聖地>
このコーナーはちょっとどの作品だか失念。リスト上では1点のみです。


ということで、民間信仰や都市のアンダーグラウンドなどまさに異界と言えるような世界観の作品が並んでいました。民俗的でエトスが凝縮されているので、強烈な印象と共に日本らしさも感じられると思います。もうすぐ終わってしまう展示ですが満足度高めだったので写真好きの方におすすめです。


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近代洋画の先駆者浅井忠7-浅井忠のドローイング- 【千葉県立美術館】

ここ1週間ほど千葉の展示をご紹介してきましたが今回で最終回です。前々回・前回の千葉県立美術館の展示とセットになっていた「近代洋画の先駆者浅井忠7-浅井忠のドローイング-」という展示を観てきました。

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【展覧名】
 明治150年記念 近代洋画の先駆者浅井忠7-浅井忠のドローイング- 

【公式サイト】
 http://www2.chiba-muse.or.jp/www/ART/contents/1523866842940/index.html

【会場】千葉県立美術館 第3展示室
【最寄】千葉みなと駅

【会期】2018年4月21日(土)~7月8日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。この展示も既に終わっていますが、今後の参考になると思いますので記事にしておこうと思います。

さて、この展示は明治時代に洋画の先駆者として活躍した浅井忠についてで、下絵やドローイングを集めた内容となっています。浅井忠はバルビゾン派に影響を受けたアントニオ・フォンタネージに本格的な西洋画を学び、同級生の仲間を中心に日本最初の本格的な美術団体「明治美術会」を設立し、後に東京美術学校の教授にもなっています。教授就任の後にはパリやバルビゾンにほど近いフォンテーヌブローやグレーを訪れ、明るい色彩で季節感豊かな作品を残しました。パリではアール・ヌーヴォーにも触れ、自らも装飾活動に取り込むようになったそうです。この展示はそうした洋画と共に、日本画や工芸図案、挿絵、大津絵など様々な作品のドローイングが並んでいました。6つの章に分かれていましたので、簡単に各章ごとにご紹介していこうと思います。


<1 最初のドローイング>
確認されている浅井忠の最初のドローイングは10歳前後の頃に日本画の指導を受けて描いた作品で、当時は「槐庭(かいてい)」という号だったようです。ここはその時代のコピーが展示されていました。

1 浅井忠 「槐庭時代画帳」 ★こちらで観られます
こちらは佐倉藩の御用絵師 黒沼槐山の指導の一環として描かれた作品です。と言ってもコピーで、絵葉書サイズの18枚ありました。松竹梅や小動物など簡潔に描かれていて、大人なら上手いというほどでもないとは思いますが、10歳の作品とは思えない程の完成度です。既に情趣ある表現となっているのは高い才能を感じさせました。ちなみに浅井忠は子供の頃から温厚で高い人格を持っていたようで、絵の才能も抜群だったそうです。黒沼槐山も敬慕の念を持って接し、もはや教えることは無いと人格も才能も評価していたのだとか。


<2 西洋画家としてのドローイング>
続いては上京してから本格的に西洋絵画を学び、活躍していった時期のドローイングのコーナーです。

3 浅井忠 「曳舟通り」 ★こちらで観られます
こちらは冒頭のポスターにもなっている作品です。かなり緻密に描かれたデッサンで、用水路のような細い川沿いの家と そこを行く舟や馬が描かれています。長閑な光景を線と濃淡で表現していて、写実的でありながらも情感溢れる作品となっていました。ペンなのでやり直しがきかない中でこれだけの作品が描けるのは高いデッサン力があった為だと思います。

6 浅井忠 「スケッチブック(7)」
こちらは従軍した際に描いた「金州城南門外」の下絵となったスケッチで、堅牢な城壁と橋を渡って入城する軍隊らしき人々が描かれています。これも簡潔な描写ですが、かなりその場の様子が伝わってきて、少ない線で表現する力量が伺えます。ドローイングだからこそ作者の実力がよく分かるように思えました。

この他にも同様に従軍画家として朝鮮半島に訪れた時のスケッチがありました。 また、在学中の作品や、房総半島へ写生旅行に行った際の作品、フランス留学中のスケッチなどもあり、結構幅広い時期のコーナーでした。


<3 墨と筆によるドローイング>
続いては墨によるドローイングのコーナーです。洋画家のイメージがある浅井忠ですが、幼少期に日本画の指導も受けていたので、墨によるドローイングも身近な技法だったようです。ここには意外な作品が並んでいました。

9 浅井忠 「田植之図」
こちらは「明治美術会」を立ち上げた年に描いたものですが、洋画家としてのスタートと相反して日本画風の掛け軸となっています。笠を被って田植えをしている人々が簡略化して描かれ、雨が降っているようで上から薄っすらと黒い線が刷毛で塗られています。人がジグザグに連なっていて、農夫の1人は立ち止まってじっと田んぼを観ているような仕草が目を引くかな。奥に行くほど うっすらと霞むようで奥行きも感じさせました。湿気が感じられるような叙情的な作品です。

11 浅井忠 「虎図」
こちらは7幅セットで並んでいました。所々破れたりしていて、描きかけのものも多々あります。描かれているのはいずれも虎なのですが、中にはヒョウみたいに見えるのもいましたw いくつも虎のスケッチを描いていて、仙人みたいな人(豊干禅師?)の顔の下書きもいくつも描かれています。(生首みたいに首だけいくつも並んでいますw) 何度も構想を練りながら描いている推敲の様子が伺えるかな。ドローイングはインスピレーションを直に観ることができるという楽しみ方があるのですが、これは制作過程がつぶさに観られた気がしました。

その先には小さめのスケッチが並んでいました。

15 浅井忠 「山賊(4人)」
こちらはタイトル通り4人の山賊が描かれた作品で、座って休んで話し込んでいる様子となっています。槍や剣を持っていて、出で立ちはステレオタイプなコテコテな山賊に見えますw 戯画的な感じもあり、やや漫画チックです。解説によると、これは実際にモデルを観ながら描いたのではなく、経験則で色々なポーズで描いているのだとか。何だか洋画の浅井忠のイメージとはだいぶかけ離れた雰囲気に思える作品でした。

この近くには「大津絵」というタイトルもあったので大津絵も研究していたのかも (大津絵とは、江戸時代にお土産として描かれたゆる~い戯画みたいな絵のことです)


<4 挿絵でのドローイング>
続いては挿絵に関するコーナーです。浅井忠は小説や旅行記の挿絵も手がけていたようで、特にフランス留学中に同宿だった国文学者 池辺義象とは度々共演していたようです。

22 浅井忠 「浅井忠 画 池辺義象 歌」
こちらが池辺義象と共演した作品で、4曲1双の屏風となっています。1曲ごとに絵と歌がセットになっていて、それぞれにウサギ・犬・馬・牛・人などが描かれ歌に合わせた内容となっているようです。こちらは簡潔かつ軽やかな表現となっていて、情趣ある作品となっていました。解説によると、人物や動物たちはほとんどが向こう側を向いていて、主題の歌よりも目を引かないように配慮されているとのことでした。そんなさりげない気遣いができるなんて、確かに人格者だったんでしょうね。


<5 装飾のためのドローイング>
こちらは1点だけでした。前述のようにフランス留学中に浅井忠は装飾美術にも興味を持ったようで、特に壁画に関心を持ったようです。ここには壁画装飾で最も注力した皇太子のためのタペストリーの下絵が展示されていました。

24 浅井忠 「武士山狩図下絵」
こちらが先述の作品の下絵で、下絵でも大型となっています。鷹狩のような格好で騎馬した3人と3頭の馬が描かれ、武士は弓を持って遠くを観ているようです。線で描かれたラフな下絵ですが、馬が連なっているためか動きが感じられます。解説によると、これは白描画とよばれる墨と筆だけで線を基調に描いたもので、油彩画を元にタペストリーとして織られる過程で、作品の主題が損なわれないように油彩とタペストリーの中間的なものとして調整のために用意したのではないかとのことでした。


<6 工芸品のためのドローイング>
最後は工芸品の為のドローイングのコーナーです。浅井忠は帰国後に京都に新設された京都高等工芸学校の教授となって、染色科でドローイングと、図案科で図画実習・図画描法を指導していたようです。陶芸図案では京都の陶芸家と交流し、自らも図案の研鑽もしていたらしく ここにもその交流を伺わせる作品が並んでいました。

25 浅井忠 「向付皿」
こちらは清水焼の清水六兵衛の原型に浅井忠が絵付けした作品です。長方形をズラして重ねたような形の5枚の器に、百合・鹿・鶏・アヒル・雁などが簡潔に描かれています。割とゆるい雰囲気があってどことなく尾形乾山を思い出すかな。墨一色ですが、黒を効果的に使って味わい深い作品となっていました。


ということで、浅井忠のドローイングを通じて様々な活動の様子を知ることができました。浅井忠は洋画のイメージが強かったので、結構意外な作品が多かったかも。もう終わってしまった展示ですが、今後の美術鑑賞に役立ちそうな内容でした。



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ガラス工芸の魅力 【千葉県立美術館】

前回ご紹介した千葉県立美術館の展示を観た後、セットとなっている「ガラス工芸の魅力」という展示も観てきました。

DSC09817.jpg

【展覧名】
 ガラス工芸の魅力

【公式サイト】
 http://www2.chiba-muse.or.jp/www/ART/contents/1523866842940/index.html

【会場】千葉県立美術館 第8展示室
【最寄】千葉みなと駅

【会期】2018年4月21日(土)~7月8日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示はガラス工芸の発展に貢献した作家と、千葉県ゆかりの工芸家によるガラス作品が20点程度並ぶ内容となっています。作家も4人だけなのであっさり観られるのですが、高い技術と美意識が込められた作品ばかりで素人目にも驚きがありました。この記事を書いている時点でちょうど展示が終わってしまいましたが、今後の参考になるかもしれないので記事にしておこうと思います。それぞれ気に入った作品と共にご紹介して参ります。


[岩田藤七]
まずは昭和に活躍した岩田藤七の作品がありました。岩田藤七は帝展や日展で活躍し、パリ万国工芸展において銀賞も受賞していたそうで、「岩田硝子製作所」を設けています(後にこの会社に藤田喬平も入社しています。) 戦後はヴェネツィアガラスを学び、ギリシャ・ローマの彫刻や縄文・弥生の土器などにインスピレーションを得た作品も制作したようです。ここには岩田藤七の作品が6点並んでいました。

2 岩田藤七 「水指」
こちらは底がやや膨らんだ白い水指です。側面には白や黒のざらついた斑紋のようなものがあり、模様かと思いました。ガラスなのに質感が面白くちょっと力強さも感じられる作品です。

5 岩田藤七 「瓶」
こちらは貝殻のような形のガラス器で、ひだに沿って線が入っていて全体的にやや青みがかっています。形が優美な一方でこちらも斑紋のような細かいムラがあって、それが模様のようでした。遊び心を感じる作品です。


[各務鑛三]
続いては岩田藤七と共に「工芸作家協会硝子部東京会」を設立した各務鑛三(かがみこうぞう)のコーナーです。日本で初めてクリスタルガラスを本格生産した「各務クリスタル工芸硝子製作所」も設立したそうで、一貫してクリスタルガラスの美しさを追求し、日展や帝展でも活躍したようです。
ここには2点のみ展示されていました。円筒形の水指は蓋が付いていて側面には内側に凹んだ金属製の細い柱のようなものが並び、規則正しく整然とした印象を受けます。鈍い光も美しい作品でした。


[藤田喬平]
続いては藤田喬平のコーナーで、9点ほど並んでいました。藤田喬平はガラスが冷えて固まる瞬間を留めた流動シリーズや、琳派に触発された飾筥シリーズなどで知られ、1977年からはヴェネツィアのムラーノ島の工房で制作するようになり、現地の伝統技法を取り入れた作品なども作っていたようです。今回の展示の作家の中では最も頻繁に観る作家だと思いますが、流石と思える品々が並んでいました。

9 藤田喬平 「流動三彩」
こちらはドロドロに溶けたような感じの造形の作品で、赤・緑・青などがマーブル模様のように混じり合っています。溶岩のような印象を受けて、まさに流動的な三彩となっていました。用途はわかりませんが面白い作品です。

14 藤田喬平 「ヴェニス花鉢」
こちらは今回のポスターの作品で、角?のような形の台の上に、逆三角形の器が付いたガラスの鉢です。
DSC09829_201807081937176bc.jpg
器の側面には青・ピンク・緑の縦帯が規則正しく並び、レース紋様が細かく施されています。恐らくこの技法がヴェネツィアのレースグラスを模しているのだと思いますが、恐ろしく細かくて驚かされました。台座もくるっと丸まって植物的な感じにも観えました。
 参考記事:あこがれのヴェネチアン・グラス ― 時を超え、海を越えて (サントリー美術館)

16 藤田喬平 「飾筥・紅白梅」
これは東近美工芸館の作品とそっくりに見えるけど同じものかは分からず…。八角形の箱型の容器で、側面には金地に赤・黒・白・銀などを使って紅白梅を表しています。ヒビ割れのような細かい黒が木の枝のように見えるのが面白いかな。色彩感覚は琳派的で、ガラスと言わなければ蒔絵だと思ってしまいそうです。実に豪華かつモダンな雰囲気の作品でした。
 参考記事:日本の工芸ー自然を愛でるー (東京国立近代美術館 工芸館)


[石井康治]
最後は千葉県出身の石井康治のコーナーです。石井康治は「いいちこ」やAGFの「炭焼珈琲」のボトルデザインでデザインコンペの受賞をするなどの実績があり、1989年にスタジオを設立し千葉と青森にガラス工房を構えたそうです。東北の木立や花、渓流、湖などを題材に鮮やかな色彩と金銀を使ったきらびやかな作品が特徴のようで、ここにもそうした作品が並んでいました。

18 石井康治 「環象文器」
こちらはほぼ球体の器で、上に口がついています。青紫がかった感じの紋様が側面に組み合わさっていて、葉っぱのような、若しくは流水のような不思議な紋様となっています。緑やピンクなど淡い色彩と模様が美しく、これが東北のイメージなのかな? 可憐な雰囲気の作品でした。

19 石井康治 「彩花文器」
こちらは赤く平べったい形(スコップの先みたいな形)の縦長の容器です。フチは赤く全体的に赤~ピンクがかっています。側面には花の模様があり、流水に浮かんで流れていくような印象を受けました。軽やかで華やいだ雰囲気の作品でした。


ということで点数は少ないものの、4人とも異なる個性を発揮している作品が並んでいました。もう終わってしまいましたが、今後も観ることがある作家だと思うので記憶に留めておきたい内容でした。



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