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[汝の隣人を愛せよ][今井麗 IMAI Ulala] 【東京オペラシティアートギャラリー】

先日ご紹介したICCに行く前に東京オペラシティアートギャラリーで展示を観てきました。企画展は準備中なので先に常設をご紹介しようと思います。今回は「収蔵品展069 汝の隣人を愛せよ」と「project N 78 今井麗 IMAI Ulala」いう2つの内容となっていました。

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【展覧名】
 収蔵品展069 汝の隣人を愛せよ
 project N 78 今井麗 IMAI Ulala

【公式サイト】
 http://www.operacity.jp/ag/exh230.php
 http://www.operacity.jp/ag/exh231.php
  
【会場】東京オペラシティアートギャラリー
【最寄】初台駅

【会期】2020年1月11日(土)~3月22日(日) ※2月29日~3月16日は臨時休館
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、今回の収蔵品展は「汝の隣人(となりびと)を愛せよ」という聖書の一節をタイトルにしていて、自己と他者との関係を問うようなテーマの作品が中心となっています(と言ってもテーマに沿ってるのか分からない絵が多いですがw) また、後半では今井麗(いまい うらら)氏という1982年生まれの現代画家が紹介されていて、こちらは撮影可能となっていました。詳しくはそれぞれ気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<汝の隣人を愛せよ>
まずは収蔵品展です。今回はシュルレアリスム的な作品が多めだったように思います。

39 加藤清美 「哀しき旅人その2」 ★こちらで観られます
こちらは今回のパンフレットに載っている作品で、枯れ木の側に茶色い服の旅人の後ろ姿と、空飛ぶ人物(女性?)が描かれています。2人はお互いの存在にあまり関心がないように見えて、特に空飛ぶ人がシュールに思えます。枯れ木のせいか寂しげな雰囲気もあって独特の世界観となっていました。
この近くには似たような雰囲気の作品が3点ありました。静かで人形のように無表情なのがちょっと怖いw

5 有元利夫 「花火のある部屋」
こちらは舞台のようなところを描いたもので、中央にはステッキを持ったドレスの女性、その周りを4つの噴出花火が囲っている様子が描かれています。しかし花火には勢いは感じられず、静かで静止したように見えるかな。マジックか儀式のようにも思えます。くすんだマチエールで、中世のフレスコ画を思わせる味わいとなっていて、一層にシュールに感じられました。
この近くにはスケッチもありました。
 参考記事:有元利夫展 天空の音楽 (東京都庭園美術館)

61 落田洋子 「完璧なプライバシー」
こちらは4本の煙突から煙を出すホテルと、その前に裸の男たちが無数に集まっている光景を描いた作品です。左右にはやたら大きめの人が雲のような(綿のような)ものを抱いていたりして、中々に不条理な雰囲気です。ホテルも缶の容器みたいに見えるし、ミニチュアの世界か夢の中といった感じに見えました。タイトルも意味深だけど意図は分からず。

76 相馬武夫 「午後の詩興」 ★こちらで観られます
こちらは今回のパンフレットに載っている作品で、服だけで人の頭の無い人物像と 裸婦がテーブルで向き合っている様子が描かれています。背景は草原で水晶玉のようなものを運ぶ給仕らしき姿があり、シュールな光景です。裸婦は無表情だし全体的に物哀しい雰囲気があるかな。空から降り注ぐ光のような表現もあったりして、何らかの意図はありそうでした。

40 河原朝生 「室内I:夏の終わり」
こちらは赤い壁紙の部屋の中から海に浮かんでいる船を観ている男女が描かれた作品です。女性は椅子に座っていて、男性はステッキを持っています。平面的で空虚な部屋で、静かな色彩と共に時間が止まったような雰囲気となっていました。これも描かれているもの自体は現実的だけど超現実的な感じになるのが面白い。

62 オノデラユキ 「古着のポートレート No.10」
こちらは空を背景に 服だけが撮られた白黒写真で、まるで人が着ている時のような感じになっています。透明人間がいたらこう見えるのではないか?という奇妙さがあり、やや迫りくるような雰囲気で不安も覚えましたw 発想が面白い作品です。

18 舟越桂 「[午後にはガンター・グローヴにいる]のためのドローイング」
こちらは廊下の奥で真正面を向いて立っているように見えて目を引きました。黒い服の男性の立像のドローイングで、目の表現などに舟越桂らしさを感じるけど温和な印象に思えました。立派な人物像なので完成作を観てみたくなります。

44 香月泰男 「シベリヤ・シリーズ 雪(窓)」
こちらは4つの黒い窓枠の中に4人の顔が描かれた作品です。目が三角だったりして素朴な表現ですが、苦しそうな顔や憔悴した顔などシベリア抑留の辛さが伝わってくるように思えます。恨めしそうに外を見る目が何とも悲しい。地獄の中のような印象深い作品です。

この辺は素描が並んでいました。小作青史の恐ろしげな絵(★こちらで観られます)や池田龍雄の妖怪のような禽獣記シリーズ(★こちらで観られます)などが並んでいます。

0 加藤ゆわ 「瞬秋」
こちらは2人の着物の女性が並んで歩く様子が描かれた作品です。1人は歯を出して笑っていて、もう1人は頭の上に載ったイチョウの葉っぱを観るように視線を上に向けています。葉っぱが頭に載ったのを かしましく笑い合ってる場面でしょうか。ハッキリ言って2人とも可愛くはないw 美化せずにありのままの日常といった感じに思えます。 画風は全体的に色が明るく平面的で滑らかな仕上げとなっていました。

1 相笠昌義 「みる人」
こちらは真っ白な壁の部屋で等間隔に並んでいる人たちを描いた作品です。どうやら絵画展の様子から絵画を透明にしたような感じらしく、人々が熱心に壁を眺めているような光景になっていますw 、また、やけに白い空白部分が広い構図となっていてガランとした雰囲気となっているのも面白い。近くには相笠昌義 氏の作品が他に2点ほどあって、どれも好みでした。


<今井麗 IMAI Ulala>
続いては今井麗 氏のコーナーです。多摩美術大学の出身で、オルセー美術館でマネの「アスパラガス」を観たことを画家志望の契機にあげているそうで、静物画を中心に描いているようです。ここは撮影可能でしたので写真と共にご紹介して参ります。

今井麗 「テラス」
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明るく爽やかな色調で平面的な画風かな。穏やかな光景の中にあるキャラクターの顔が特に目を引きますw 食べかけのケーキがあったりして、ここには描かれていない人の存在や その人となりを想像させるように思えました。

今井麗 「山型食パン」
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何の変哲もないモチーフですが、何故か瑞々しく幸せな雰囲気があるように思えます。親しみやすい画風ですね。

今井麗 「木星」
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唐突にウルトラマンのダダが出てきましたw この画家の特徴として、こうした玩具やキャラクターが静物に紛れている点があると思います。恐竜みたいな姿もいくつかあるし、ちょっとシュールな感じがありました。

今井麗 「パイナップル」
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パイナップルの剥かれた皮や芯といった食べない部分を描いた静物。 何故そっち?w モチーフの選び方に独特のセンスがあって面白い。

今井麗 「グラビア」
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バナナの上に熊の顔を載せたらポーズを取ったグラビア写真みたいになってますw 熊が手を合わせているように見えているのが騙し絵的で愉快でした。

今井麗 「リベンジマッチ」
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左にいる清掃員に変装した人物はカルロス・ゴーンですねw 2019年の作品なので世相を取り込んでいるようです。熊と猿がプロレスみたいになっていたり、何かのストーリーがありそうな感じでした。


ということで、今回も両方とも楽しむことができました。ここは他の美術館とは一味違った現代絵画のコレクションを楽しめるので、オペラシティを訪れた際に立ち寄ってみるのも良いかと思います。
次回は同じ東京オペラシティアートギャラリーの企画展についてご紹介の予定です。


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開かれた可能性-ノンリニアな未来の想像と創造 【NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)】

先週の休みに初台のNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)で「開かれた可能性-ノンリニアな未来の想像と創造」という展示を観てきました。この展示は既に終了していますが、撮影可能となっていましたので写真と共にご紹介しておこうと思います。

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【展覧名】
 開かれた可能性-ノンリニアな未来の想像と創造

【公式サイト】
 https://www.ntticc.or.jp/ja/exhibitions/2020/open-possibilities/

【会場】NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)
【最寄】初台駅

【会期】2020年1月11日(土)~3月1日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示はシンガポールと東京で開催される巡回展で、科学技術を用いたアート作品が並ぶ内容となっていました。科学と伝統を融合させるような作品もいくつかあり、テクノロジーへの多様な視点を紹介することで、決してリニア(直線的)ではない未来への可能性を想像させるのが目的のようです。展示は撮影可能となっていましたので、詳しくは写真と共にご紹介して参ります。

市原えつこ 「仮想通貨奉納祭」
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こちらは「サーバー神輿」で、展示会場にあったQRコードでビットコインによる投げ銭ができるという作品です。お金が入るとLEDファンが回転して人工知能が音声合成した祈り・煩悩の言葉が鳴り響き、「ワッショイ・セレブレーション機能」が発動するそうです。八百万の神もついに仮想空間にも進出した感じでしょうかw バズワードてんこ盛りのやり過ぎ感が逆に皮肉っぽくて面白く思えました。

市原えつこ+中臺久和巨 「天狗ロボット」
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こちらはロボットのNaoが天狗の面を付けている作品。デジタルシャーマン・プロジェクトということで民間信仰の天狗をモチーフにしています。触ることが出来て、頭に触れると野太い声で自分は天狗であることを告げて一喝してきましたw 見た目と声・話し方のギャップが凄くて中々シュール。ロボットがシャーマンになるという発想がぶっ飛んでいて驚きでした。

Waft Lab 「Solah Trabas(ソラー・トラバス)」
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「トラバス」というのは危険なドライブのスリルを楽しむジャワ島の一部のオフロードバイクの文化のことだそうです。ホイールが光ったりして、彼の地のデコトラみたいなものかな?w 共に流れる音楽はトランスとジャワの儀式を融合させたものだそうで、こちらも現地の文化や宗教をデジタルなものと組み合わせた感じの作品でした。

INTER-MISSION 「ラプス・プロジェクト(パノラマ・ラプス)」
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こちらは3つの映像作品で、「シンガポール国立博物館」「シンガポール国立美術館」「シンガポール美術館」をデジタル消去してはじめから存在しなかったように見せているようです。と、言われても現地の景色を知らないので どの辺が現実と違うのか分かりません…w これが上野とかなら身近なんですけどねw もし身近ならパラレルワールドか異世界に迷い込んだような不思議さが感じられそうに思えました。

やんツー 「造山運動」
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こちらは山を描いた絵…ではなくリアルタイムの仮想通貨の価格推移のチャート図です。タイトルの「造山運動」は地殻変動を指す言葉のようで、価格推移になぞらえているそうです。まあ、観た感じでチャート図と分かりますよねw むしろ急激に上がったり下がってたりする方が興味を引きました。仮想通貨って結局まともに使われずに投機の玩具みたいになってますけど普及するんですかね??

ヘリ・ドノ 「ガムラン・オブ・飲むニケーション」
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こちらは部屋全体が機械仕掛けの作品となっていました。人形たちが楽器を鳴らすような感じです。

一部分をアップにするとこんな感じ。この人形たちは見覚えがあります。
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この人形はワヤン・クリッと呼ばれるインドネシアの伝統的な影絵芝居のための人形で、ガムランと呼ばれる民族音楽を奏でています。考えてみれば人形劇とロボットは似たようなものなので、違和感がないかな。伝統とテクノロジーの融合は昔からあったのかも??と思わせました。

葉山嶺 「裁縫鳥の真珠」
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こちらは映像作品で、香港で撮った映像と、作者により野鳥の鳴き声を混ぜたもの。結構上手いので普通に鳥の声だと思ってました。 テクノロジーを使って人間以外の存在と人間による演劇的な会話 という意味があるようですが、解説も難解なので理解できたかは怪しいですw


ということで、中には理解が難しいものもあったので 分かったような分からないような感じですが、新しいテクノロジーを使ったアートの数々となっていました。安易に有用性や危険性を示すのではなく、思いもよらないような分野と融合しているのがユニークでした。


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画家が見たこども展 ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン (感想後編)【三菱一号館美術館】

今日は前回に引き続き三菱一号館美術館の「開館10周年記念 画家が見たこども展 ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン」についてです。前編は1章までご紹介しましたが、後編では残りの2章以降についてご紹介して参ります。まずは概要のおさらいです。

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 開館10周年記念 画家が見たこども展 ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン 

【公式サイト】
 https://mimt.jp/kodomo/

【会場】三菱一号館美術館
【最寄】東京駅/有楽町駅

【会期】2020年2月15日(土)~6月7日(日)(2月28日~3月16日は臨時休館)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半も混むことなく快適に鑑賞できました。引き続き各章ごとに気に入った作品と共にご紹介して参ります。


<2 都市の公園と家族の庭>
2章は公園や庭園の子供をモチーフにした作品が並ぶコーナーです。

41 モーリス・ドニ 「赤いエプロンドレスを着た子ども」 ★こちらで観られます
こちらは今回のポスターにもなっている作品で、花を持って歩く赤い服の女の子が描かれています。服は背景の花畑に透けるような表現で大きな斑点で描かれていて実験的な大胆さを感じます。少女は微笑んでいるようで可愛らしく幸せそうな雰囲気となっていました。

51 アルフレド・ミュラー 「ピクニック」 ★こちらで観られます
こちらは横長の画面に4人の女の子たちが樹の下にシートを広げてピクニックしている様子が描かれた作品です。1人は青い傘を担ぐようにさしていて、その後ろにはアヒルの親子の姿もあります。微笑ましい光景に思えますが、何故かみんな無表情というか沈んだ雰囲気があり、妙に暗い印象を受けました。素描のような表現も面白い作品です。

50 エドゥアール・ヴュイヤール 「公園にて、麦わら帽子」
こちらはチュイルリー公園で柵につかまっている麦わら帽子の子供を描いた作品です。その後ろには腰に手を当てて困った顔をしている母親らしき姿があり、その背後でも女の子が遊んでいます。母親は子供が言うことを聞かないのでうんざりした感じが出ていて、今も昔も親子というのは変わらないようです。絵の中の人の感情がよく表れていて、生き生きとしていました。

この近くにあったヴァロットンの「リュクサンブール公園」も良かったです。そう言えばヴァロットンの「ボール(ボール遊びをする子どものいる公園の一隅)」を以前この美術館で観たのを思い出しました。今回は残念ながらありませんが。

44 アリスティード・マイヨール 「若い少女の胸像」 ★こちらで観られます
こちらはマイヨールが彫刻家になる前に画家を目指していた若い頃の作品です。黄色を背景に紺色の服を着た少女がこちらを見て微笑んでいる様子が描かれています。陰影があまりなく対比的で明るい色彩となっていて、ゴーギャンの画風によく似ています。何故か下の方は未完成のように塗り残されていて、幻影のような感じにも思えました。

マイヨールも数点ありました。


<3 家族の情景>
続いては画家の子供など家族・親類を描いた作品のコーナーです。

53 ピエール・ボナール 「家族の情景」 ★こちらで観られます
こちらはレスタンプ・オリジナルに収められたリトグラフで、ボナールの妹夫妻とその赤ちゃんが描かれた縦長の画面となっています。夫妻は赤ちゃんをじっと観ていますが、今にもぐずり出しそうな顔をしているのが危ういw かなり簡略化された表現で、平面的で色数が少なく落ち着いた雰囲気があります。泣かないようにあやしている独特の緊張感が面白い作品でした。

66 ピエール・ボナール 「歌う子どもたち(シャルルとジャン・テラス)」 ★こちらで観られます
こちらは作曲家のクロード・テラスの家の2人の息子を描いた作品で、2人はボナールの甥っ子にあたります。2人で仲良く並んで1冊の楽譜を観て歌っているそうですが、歌っているというよりは本を読んでいるように見えるかな。兄は真面目そうで、弟も楽譜を目で追っている感じがします。柔らかく温かい雰囲気があり、親密な空間を覗いたような作品でした。ちなみに弟のシャルルは後に美術史家となりボナールに関する著書も書いたのだとか。

65 ピエール・ボナール 「小さな少年」
こちらはテーブルで猫を抱いている女の子?と、隣で観ている子が描かれた作品です。2人とも微笑んでいて可愛らしく、猫もまだ子猫のような幼さを感じさせます。猫はボナールの絵によく出てきますが、子供とセットだと一層に幸せそうな雰囲気になるように思えました。

61 ピエール・ボナール 「子どもたちの昼食」 ★こちらで観られます
こちらは中央に明るく灯るランプがあり、テーブルの両端で子供が食事をしている様子が描かれています。テーブルの上には猫がそれをじっと観ている後ろ姿があり、奥の方の市松模様の上にも白い猫(犬?)もいるようです。特に目を引くのがオレンジがかったランプで、柔らかい明暗表現によって温かみが感じられます。こちらも穏やかで微笑ましい光景となっていました。

68 モーリス・ドニ 「子ども部屋(二つの揺りかご)」 ★こちらで観られます
こちらは中央に観音開きの大きなガラスの窓があり、窓の向こうにはパリ郊外の町並みが見えています。そして窓の両脇には子供の小さめのベッドがあり、左には赤ちゃん 右には赤い服の女の子が座っています。お互い見つめ合っていて、2人はドニの長女とその妹のようです。中央の窓の存在が面白い構図で、明るい背景と共に爽やかな印象を受けました。

この辺はドニが多めでした。上階はこの辺までです。

上階の最後には記念撮影できる場所があります。
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前編でご紹介したヴァロットンの版画の中に入り込む感じですねw

続いては下階です。

74 ジョルジュ・ラコンブ 「立つシルヴィの肖像」
ラコンブは「彫刻のナビ」と呼ばれた彫刻家ですが、こちらは長女を描いた絵画作品です。赤いワンピースに赤い長靴を履いて草原の上に立ち、スカートの裾を持ってポーズを取っています。背景は暗く赤が目を引きますが、全体的には平面的でナビ派らしい画風です。顔は丹念に描かれていて、やや無表情に思えるものの可愛らしい女の子でした。

この隣には同じ女の子をモデルにした頭部像もありました。

83 モーリス・ドニ 「サクランボを持つノエルの肖像」 ★こちらで観られます
こちらはドニの長女が3歳の頃の肖像で、テーブルに向かってさくらんぼを持ち 微笑んでいる様子が描かれています。優しい顔つきで、髪の毛がもしゃもしゃした様子まで丹念に描かれている点にドニの愛情を感じます。解説によると、後にドニの妻が亡くなるとこの子が母親代わりに兄弟の世話をしたそうです。その話を聞いたせいか、幼くして既に慈愛の表情を浮かべているようにも思えました。

やはりドニは子供を描いた作品が多めでした。聖母子に見立てたような宗教的な作品もあり、「美しきイコンのナビ」のあだ名を持っていたようです。


<4 挿画と物語、写真>
4章は挿絵と写真のコーナーです。ナビ派の画家たちはコダック社のカメラで色々と撮影していたようで、その写真もいくつか残っているようです。

89-92 ピエール・ボナール 「感情のアルファベット」
こちらはアルファベットの学習の為の本で、ボナールによって挿絵が描かれています。「友愛(amitié)のA」では子供と犬が戯れる様子、「不機嫌(bouderie)のB」では子供が俯いて母がじっと観ている様子、「秘密(confidence)のC」ではジョウロが2つ並んでいる様子が描かれているのですが… 中々理解するのが難しいw 特にCはシュールさすら感じるw かなり分かりづらいですが、あえて物ではなく感情でアルファベットを表現するところに個性が感じられます。解説によると、この本は未完成で出版できなかったようです。実際に当時の子供がどんな反応したか分からないのは残念w

107 モーリス・ドニ 「ボローニャのポルティコ(柱廊)の下のアンヌ=マリー、ベルナデット、ノエル」
こちらは回廊を歩く3人の女の子の後ろ姿が撮られた写真で、3人とも同じような服で大きな帽子をかぶっています。明暗が交錯する回廊の中、1人だけが手前で振り返っているのがドラマチックな印象で、可愛らしい表情を見せています。構図やタイミングが絵画的で、写真でもいかんなく感性が発揮されている様子が伺えました。

この近くにはボナールの写真もありました。
 参考記事:ピエール・ボナール展 感想前編(国立新美術館)


<エピローグ 永遠の子ども時代>
最後はエピローグとして晩年のボナールの作品を含む油彩の大型作品が5点ほど並んでいました。

111 ピエール・ボナール 「雄牛と子ども」 ★こちらで観られます
こちらはオレンジ色の雄牛と、その手前の柵に手をかけている子供を描いた作品です。子供は伏目がちで ちょっと沈んだ表情に見えるかな。全体的には色が明るく、特に雄牛のオレンジが目を引きます。解説によると、これを描いた翌年にボナールは亡くなってしまったようですが、そうとは思えない明るさと、理想郷のような幻想性があるように思えました。

他にも犬とベンチに座る「イザベル・ルコント・ドゥ・ヌイ嬢」や正方形の大型作品の「大装飾画、街路風景」(★こちらで観られます)も見事でした。


ということで、後半もナビ派の名品の数々を観ることができました。ナビ派は親密な空気感を表現することが多かったので、子供はうってつけの題材だったのかもしれません。今までと異なる面白い着眼点で、心温まる内容だと思います。コロナウィルスの影響で休館期間がありますが、会期は長めなので騒動が落ち着いたら洋画好きの方はチェックしてみてください。



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画家が見たこども展 ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン (感想前編)【三菱一号館美術館】

先週の休みに三菱一号館美術館で「開館10周年記念 画家が見たこども展 ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン」を観てきました。メモを多めに取ってきましたので前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 開館10周年記念 画家が見たこども展 ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン 

【公式サイト】
 https://mimt.jp/kodomo/

【会場】三菱一号館美術館
【最寄】東京駅/有楽町駅

【会期】2020年2月15日(土)~6月7日(日)(2月28日~3月16日は臨時休館)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
割と空いていて快適に鑑賞することができました。当時もコロナウィルスのニュースが大きく報道されていましたが、ついに2月28日~3月16日の間は三菱一号館美術館も休館となってしまったようです。今後の予定も変更になる可能性があるようですので、気になる方は公式サイトをご確認ください。

さて、この展示は近代フランスの画家たち(特にタイトルとなっているナビ派の画家たち)が「子供」をモチーフに描いた作品が並ぶ内容となっています。彼らは都市生活をよく描きましたが、その中には子供も含まれていて、様々な場面に登場してくるようです。展示は描かれた場面ごとに章分けされていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<プロローグ>
まずはプロローグです。19世紀末に子どもたちの存在は大きな主題となったようで、ここには有名画家の作品が並んでいました。

1 モーリス・ブーテ・ド・モンヴェル 「ブレのベルナールとロジェ」
こちらは今回のパンフレットにもなっている作品で、絵本や少年少女向けの雑誌で挿絵を手掛けていた画家の2人の息子が描かれています。草原の中で2人揃って直立不動で立っていて、セーラー服(この頃流行っていた)を着て帽子を被っています。兄の方は髪も長いし女の子みたいに見えるかな。しかし無表情で仕方なく並んでいるような感じがしますw それが逆に子供っぽさを感じさせて面白い。画風は写実的で、長閑な光景に2人だけ立ってるのがちょっとシュールにも思えました。

この部屋にはルノワールが描いた子供の絵もありました。ルノワールにとっては得意分野ですね。

4 ウジェーヌ・カリエール 「画家の家族の肖像」
こちらは3組の母子が並んでいる様子が描かれた作品です。抱きかかえたり、手を置いたりしていて仲の良さそうな家族です。全体的にぼんやりして茶色がかっているのがカリエールらしい画風に思えます。大型の作品なのに静けさが漂い、瞑想的な雰囲気すらありました。

この隣にもカリエールの「病める子ども」がありました。5歳で亡くした子供を偲んで描いたと考えられるようです。

12 テオフィル・アレクサンドル・スランタン 「人形を抱く子ども」
こちらは赤と白の縦縞の服を着た人形を抱きかかえる1~2歳くらいの子供を描いた作品です。白い布をかぶっていて つぶらな目でこちらをじっと観ているのがあどけない感じです。全体的に落ち着いた色調で、穏やかな日常の幸せが感じられました。

10 フィンセント・ファン・ゴッホ 「マルセル・ルーランの肖像」 ★こちらで観られます
こちらはゴッホがよく描いた郵便配達人のジョゼフ・ルーランの家の末娘マルセルを描いた作品です。緑を背景に白い産着を着た赤ちゃんがキョトンとした顔で大人しくしているようです。やたら右肩の辺りが膨らんでいるようなボリューム感で、赤ちゃんなのにどっしりした風格がありました。

この近くにはゴーギャンの版画もありました。タヒチ時代に描いた作品です。


<1 路上の光景、散策する人々>
続いては都市生活の中の子供のコーナーで、路上で見かけた子供などがモチーフになっています。優しさや生命力を感じさせるだけでなく、時に小悪魔的な雰囲気の子供が登場する作品なども並んでいます。

18-21 ピエール・ボナール 「パリ生活の小景より」 ★こちらで観られます
こちらはボナールの12点セットの版画集の一部で、パリの町並みの様子が描かれています。その中にも子供たちが登場していて、馬車の様子を観る子供たちなどの姿があります。しかし私は子供よりもこの版画の大胆な構図や構成の方が面白く感じられました。「大通り」は通りを水平方向に描いたもので、そこに垂直の木がリズミカルに並んでいるのが心地よく感じます。また、「夕暮れの広場」では黒地に黒い服を着た人を表現していて、実験的な試みに思えました。

13 ピエール・ボナール 「乳母たちの散歩、辻馬車の列」 ★こちらで観られます
こちらは四曲一隻の屏風仕立てで、「日本かぶれのナビ」と呼ばれたボナールらしいジャポニスム的な要素が強い作品です。手前で車輪を転がして遊ぶ2人の子供とその母親、奥には乳母らしき姿もあり 背景には水平方向に並ぶ馬車が四曲に渡って連なっています。かなり簡略化が進んでいて、色彩は淡く少ない色合いとなっていて平面的な印象を受けます。それでも子供の元気な躍動感があり、やんちゃな雰囲気に思えるかな。余白の使い方なんかも日本画のような趣で面白い構図でした。

23 エドゥアール・ヴュイヤール 「赤いスカーフの子ども」
こちらは父親らしき人物と手を繋いでいる赤い服の女の子を描いた作品です。2人とも後ろ姿で、父親は肩から上は画面からはみ出ていて描かれていません。まるで子供だけをトリミングしたような斬新な構図が何とも現代的な感性です。また、全体的に暗めの色調で、赤の斑点で描かれた女の子の襟巻き?が強く目を引きました。先日観てきた写真家のソール・ライターはナビ派に大きな影響を受けているようでしたが、これを観るとソール・ライターの作品を思い起こしました。ナビ派はこの時点でこんな視点を持っていたのかと改めて驚かされますね。
 参考記事:永遠のソール・ライター 感想前編(Bunkamura ザ・ミュージアム)

大部屋の壁の一画だけ撮影可能となっていました。
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この壁にかかっているヴァロットンの版画が撮影可能です。折角なので何枚か写真と共にご紹介。

フェリックス・ヴァロットン 「ベレー帽をかぶる子ども」
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こちらは写実的な素描を版画にしたもの。この他の版画と比べるとかなり雰囲気が違っていて、写真のような精密さです。それにしても耳にこだわりを感じますねw

フェリックス・ヴァロットン 「街頭デモ」
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こちらは街頭デモの様子。散り散りになって逃げていくところでしょうか。何処が子供の絵なんだ?と思ったら左上に乳母車らしきものを押している女性の姿が…。巻き込まれたのかは分かりませんが、黒い服の中で白い服が目を引き 騒乱の混乱に一層の緊迫感が出ているように思えました。

フェリックス・ヴァロットン 「事故(『息づく街パリ』より)」
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こちらは事故の現場を描いた作品。凄惨な現場ですが、2人の子供がその様子をまじまじと見ています。子供が見たらトラウマになりそうな気はするけど、妙なことまで好奇心旺盛なのが子供だったりしますね。それにしても轢かれた人の表情が一番のんびりして見えるのは気の所為でしょうかw

フェリックス・ヴァロットン 「女の子たち」
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沢山の女の子が歩いている中、真ん中の子がこちらを向いているのが気になるw 何故かこの子は瞳がないのがちょっと怖いw 他の子の仕草や表情は大人びた雰囲気に思えました。

フェリックス・ヴァロットン 「突風」
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突風が吹いた時の一瞬を捉えたような作品。子供も母親の傍らで身をかがめてやり過ごしています。この強風で帽子を押さえるポーズは歌川広重の東海道五十三次を思い起こしました。自然に出るポーズだけに絵の中の人達が生き生きして見えますね。

フェリックス・ヴァロットン 「可愛い天使たち」
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タイトル的には無邪気で可愛い子供に見えますが、警官に捕まったホームレスみたいな男性を見て囃し立てている野次馬のようですw 子供ってこういう善悪の判断のない残酷なところがありますよね… ヴァロットンの冷徹なまでの観察眼が面白い作品です。


ということで長くなってきたので今日はこの辺にしておこうと思います。三菱一号館美術館はナビ派に力を入れているだけあって面白い作品が多く、特にヴァロットンはこの美術館イチオシの画家ではないかと思います。後半も様々な場面で描かれた子供の絵が並んでいましたので、次回は残りについてご紹介の予定です。

 → 後編はこちら



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朝鮮王朝の宮廷文化 【東京国立博物館 平成館】

今日は写真多めです。先日ご紹介した東京国立博物館 平成館の特別展を観た後、企画展の「朝鮮王朝の宮廷文化」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。なお、この展示は東京国立博物館の臨時休館によって実質上の終了となっています。

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【展覧名】
 朝鮮王朝の宮廷文化

【公式サイト】
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2006

【会場】東京国立博物館 平成館 企画展示室
【最寄】上野駅

【会期】2020年2月4日(火)~ 3月15日(日)→2月26日(水)をもって閉幕
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は平成館の1階の企画展示室で行われていたミニ特集で、朝鮮王朝の宮廷に関わる調度や服飾などが並ぶ内容となっていました。朝鮮王朝は1394年に首都を開京(現在の開城)から漢陽(現在のソウル)に遷し漢城と改称したそうで、漢城は風水に適した地でもあったようです。そこに古代中国の礼制に基づいた景福宮を造営し、その後 東方には離宮として昌徳宮が作られました。そして景福宮で国家行事を行い、昌徳宮で日常政務を行う体制となったようで、今回はそうした宮廷の品が並んでいました。ちょうどこの記事を書いた日から東京国立博物館は臨時休館になってしまったので、もう観ることはできませんが どのような内容だったかご紹介しておこうと思います。
 参考リンク:全館臨時休館のお知らせ 2020年2月27日~3月16日

「宮廷儀式図屏風」 朝鮮時代・19世紀
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こちらは宮廷で儀式を行う場面を描いた屏風。解説によると、王に慶賀を言上する礼のようです。

王の辺りをアップするとこんな感じ。
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肝心の王がいない!w これは玉座の後ろの日月五峰図屏風を王の象徴としているとのことです。日本や中国と似ているけどちょっと違う服装をしてますね。

「雑像(穿山甲)」「雑像(二口龍)」「雑像(沙和尚)」 朝鮮時代・19世紀
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こちらは何やらゆるい造形の像が並んでました。一番左のとか謎すぎる造形です。朝鮮の品って大体こういう緩さがあるような気がします。

趙斗淳 他(撰)「大典会通」 朝鮮時代・高宗2年(1865)
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こちらは1865年に編纂された法典です。1485年に施行された根本法典と補完するための書をまとめたものらしく、完全版と言った所でしょうか。意味は分かりませんが漢字で書かれていて読みやすい字体でした。

「団領(武官服)」「団領(文官服)」 朝鮮時代・19世紀
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団は丸、領は襟のことらしく 襟の部分が丸くなっています。似たような服に見えますが真ん中の絵の部分で文官・武官の見分けがつきます。

こちらは鳥のマークの文官
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この鳥の種類や数で階級を識別していたようです。2羽の鶴は身分が高そうな感じがしますが、実際の所は分かりません。時代によって規定も変わったらしいので、覚えるのも大変だったのでは。

こちらは獣のマークの武官
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モチーフは2頭の虎ですが、やはりゆる~いデザインですw 武官がこんな可愛い虎の服を着てたんですねw

「科挙及第図」 原本:朝鮮時代・16世紀
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こちらは官吏になる為の試験「科挙」の合格者の祝宴の様子を描いたもの。たくさん並んでいるのが文官と武官の合格者のようです。下の方には合格者の名前も書いてあります。中国の科挙は驚異的な記憶力や文字の上手さが求められるものですが、朝鮮もそうだったんでしょうね。まさにエリートの集まりです。

こちらは景福宮勤政殿の唐家の写真
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玉座の後ろにあるのが先程の王の象徴の日月五峰図屏風のようです。確かに太陽・月・5つの山が描かれています。

こちらは昌徳宮宣政殿の写真
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日常政務を行った宮殿の一部のようですが、かなり質素でお寺みたいな…。建築様式は日本とよく似ています。

「金冠」 朝鮮時代・19~20世紀
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こちらは宮廷で被っていた冠。見た目からして偉い人のものだろうと予測しましたが、縦に並ぶ金の線で階級が分かるようです。この5本の線(五梁)の冠は延臣の最高位の正一品という身分を表しているのだとか。金細工の鳳凰も豪華で、よくこんな冠が日本にあるものだとちょっと驚きでした。

「白磁硯」「長生白磁面取筆筒」「筆」「金銅水滴」 朝鮮時代・18~20世紀
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こちらは朝鮮王朝の上流階級の両班が使った文房具。特に教養がある両班をソンビと呼ぶそうで、清廉を心がけてこうした簡素な文房具で書画や詩文に親しんだようです。結構使い込んだ感じがするし、日本の侘び寂びに似たような質素さですね。

「鳳凰長生螺鈿二層箪笥」 朝鮮時代・19世紀
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こちらは同じ形の箪笥を2層にした籠(ノン)という品。右は下の段のアップです。螺鈿細工で蝶や鳳凰、鹿など様々な吉祥文様が埋めています。華やかでこの展示の中でも特に見栄えのする作品でした。

「日月松竹螺鈿衣装箱」 朝鮮時代・18~19世紀
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こちらも螺鈿細工による箱。分かりづらいですが、表面の右上に太陽、左上に三日月らしきものが表されています。木は松や竹で、勢いよく茂っています。朝鮮王朝は太陽と月のモチーフがよく出てくるのかな? 日本の品でも観ることはありますが、この展示だけでも何度も出てきました。

「牡丹蝶螺鈿箱」 朝鮮時代・17~18世紀
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こちらも黒漆に螺鈿の箱。日本でもこの組み合わせの工芸は数多くありますが、デザインに違いが感じられて面白い。

「長生七宝簪・粧刀・眼鏡入」 朝鮮時代・19~20世紀
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こちらは七宝でできた品々。簪は女性の髷髪に刺して使ったもので、夏は玉製 冬は七宝製を用いたとのことなので、ここにあるのは冬用のようです。

特に目を引いたのはこちらの眼鏡入
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鮮やかな青と透明感が見事です。形も丸っこくって可愛らしい

「三回装襦」「裳」 朝鮮時代・19~20世紀
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韓国の民族衣装といえばチマチョゴリですが、上衣の襦(チョゴリ)と下衣の裳(チマ)から成るようです。脇の部分に色がついてるこちらは両班が着た「三回装襦」で、庶民は「半回装襦」という脇下部分以外が色の違うものを着ていたのだとか。色で年代を分けたりもしてたようなので、服だけで身分がわかったんでしょうね。中国と似た制度に思えます。

「真鍮飯床器」 朝鮮時代・19世紀
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こちらは食器。これも身分ごとに食器の数が違うそうです。真鍮製のようですが私は焼肉屋とかで出てくる金属の食器がめちゃくちゃ苦手ですw これも日本と同じようで異なる点ですね。


ということで、ミニ展示でしたがあまり知らない韓国の宮廷文化について知ることができました。韓国の美術品というと青磁・白磁・ゆるい感じの書画あたりしか思い浮かばなかったので、目新しい感じがしました。もう実質的に終わってしまいましたが、今後の参考になる展示でした。


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