Category | 過去の美術展 (2021年)
もう3ヶ月ほど前のことですが、年末に世田谷美術館で「生誕160年記念 グランマ・モーゼス展 素敵な100年人生」を観てきました。この展示は既に終了しておりますが4月から広島に巡回予定となっておりますので、簡単に振り返っておこうと思います。

【展覧名】
生誕160年記念 グランマ・モーゼス展 素敵な100年人生
【公式サイト】
https://www.grandma-moses.jp/
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00207
【会場】世田谷美術館
【最寄】用賀駅
【会期】2021年11月20日(土)~2022年2月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
年末でも結構多くのお客さんで賑わっていました。グランマ・モーゼスは損保ジャパン時代のSOMPO美術館などのコレクションでも観る機会があったので、結構人気があるのかもしれません。グランマ・モーゼスのまとまった形での展示は15年くらい前に損保でやった気がする(素朴派の展示だったかも?)けど、かなり珍しい機会なので楽しみにしていました。
さて、この展示はグランマ・モーゼスことアンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼスの大規模な個展で、作品のテーマごとに章分けされていました。グランマ(おばあちゃん)と呼ばれるのは70代から絵筆を取るようになり100歳まで描き続けたことに由来し、非常に高齢になってから有名になった画家といえます。もともと、主婦として趣味で刺繍絵をやっていたため、展覧会の冒頭には刺繍絵なども展示されています。リウマチになって刺繍絵が難しくなってから絵を描くようになった訳ですが、街のお店に飾ってあったのが偶然に著名なコレクターの目に止まり、有名になっていきました。その作風は素朴派というか素人の絵ではあるものの、どこか懐かしいアメリカの北国の農家の暮らしを描いていて心温まるものばかりです。かつての楽しかった時のことを思い出しながら描いていて、広い風景の中に多くの人物が描かれている構図が多いように思います。季節ごとのお祝い(特にクリスマス)や、メイプルシロップ、アップルバター、石鹸、ロウソクなど何でも自分たちで作ってる様子、農作業の様子や自然の厳しさなどを描いています。色も柔らかく絵本の世界のような優しい雰囲気がありつつ、ちょっと可笑しな感じもあって厳しくも幸せそうな光景です。特に結婚式やキルティングビーと呼ばれる催しなどは人々が生き生きとしていて、人々が団結していたこの時代と便利な現代ではどちらが幸せだったのか…とちょっと考えさせられるような気もしました。もう1つこの展示で興味深かったのがグランマ・モーゼスの人生観で、グランマ・モーゼスは自分が老いていると感じたことは無かったようです。90歳を超えても意欲旺盛で人生に前向きであるというのは非常に見習いたい姿勢でした。六十の手習いなんて言葉もありますが、この人は70からですからねw まさに人生100年時代の鑑のような人生訓でした。
ということで、期待以上に満足できたので図録も買ってきました。昨年のベスト展示の2位にも挙げたほど感動したのですが、紹介が遅くなりすみません…。いつかこうした展示がまた開催されたら是非観に行きたいと思います。
この後、カフェや常設も堪能してきましたが、そのご紹介は割愛します。この時の常設は特別展なみに面白くてお得でした。

【展覧名】
生誕160年記念 グランマ・モーゼス展 素敵な100年人生
【公式サイト】
https://www.grandma-moses.jp/
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00207
【会場】世田谷美術館
【最寄】用賀駅
【会期】2021年11月20日(土)~2022年2月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
年末でも結構多くのお客さんで賑わっていました。グランマ・モーゼスは損保ジャパン時代のSOMPO美術館などのコレクションでも観る機会があったので、結構人気があるのかもしれません。グランマ・モーゼスのまとまった形での展示は15年くらい前に損保でやった気がする(素朴派の展示だったかも?)けど、かなり珍しい機会なので楽しみにしていました。
さて、この展示はグランマ・モーゼスことアンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼスの大規模な個展で、作品のテーマごとに章分けされていました。グランマ(おばあちゃん)と呼ばれるのは70代から絵筆を取るようになり100歳まで描き続けたことに由来し、非常に高齢になってから有名になった画家といえます。もともと、主婦として趣味で刺繍絵をやっていたため、展覧会の冒頭には刺繍絵なども展示されています。リウマチになって刺繍絵が難しくなってから絵を描くようになった訳ですが、街のお店に飾ってあったのが偶然に著名なコレクターの目に止まり、有名になっていきました。その作風は素朴派というか素人の絵ではあるものの、どこか懐かしいアメリカの北国の農家の暮らしを描いていて心温まるものばかりです。かつての楽しかった時のことを思い出しながら描いていて、広い風景の中に多くの人物が描かれている構図が多いように思います。季節ごとのお祝い(特にクリスマス)や、メイプルシロップ、アップルバター、石鹸、ロウソクなど何でも自分たちで作ってる様子、農作業の様子や自然の厳しさなどを描いています。色も柔らかく絵本の世界のような優しい雰囲気がありつつ、ちょっと可笑しな感じもあって厳しくも幸せそうな光景です。特に結婚式やキルティングビーと呼ばれる催しなどは人々が生き生きとしていて、人々が団結していたこの時代と便利な現代ではどちらが幸せだったのか…とちょっと考えさせられるような気もしました。もう1つこの展示で興味深かったのがグランマ・モーゼスの人生観で、グランマ・モーゼスは自分が老いていると感じたことは無かったようです。90歳を超えても意欲旺盛で人生に前向きであるというのは非常に見習いたい姿勢でした。六十の手習いなんて言葉もありますが、この人は70からですからねw まさに人生100年時代の鑑のような人生訓でした。
ということで、期待以上に満足できたので図録も買ってきました。昨年のベスト展示の2位にも挙げたほど感動したのですが、紹介が遅くなりすみません…。いつかこうした展示がまた開催されたら是非観に行きたいと思います。
この後、カフェや常設も堪能してきましたが、そのご紹介は割愛します。この時の常設は特別展なみに面白くてお得でした。
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前回ご紹介した埼玉県立近代美術館の展示と同時開催されていた うらわ美術館の「大・タイガー立石展 世界を描きつくせ!」も観てきました。この展示も既に終了していますが、一部の作品が撮影可能となっていましたので、それを使ってご紹介しておこうと思います。

【展覧名】
大・タイガー立石展 世界を描きつくせ!
【公式サイト】
https://www.city.saitama.jp/urawa-art-museum/exhibition/schedule/p071488.html
【会場】うらわ美術館
【最寄】浦和駅
【会期】2021年11月16日(火)~2022年1月16日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
埼玉県立近代美術館に比べるとやや空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は前回ご紹介した埼玉県立近代美術館と同時開催されたもので、内容に違いがあるのか?と思ったら章立てなども同じで、同じ作品が展示されていたりもしました。埼玉県立近代美術館に比べると油彩作品がやや少ない感じに思えたかな。シルクスクリーンや漫画作品に関してはほぼ同じくらいで、本に関する展示が厚めだったように思えます(本のコレクションが強い美術館のイメージのせいかもしれませんが)
そんな中で特に目を引いたのが冒頭にあったこちらの作品。

日本の象徴である富士山をポップな感じでデフォルメしたものをネオンにしていました。このあっけらかんとしたポップさは気持ち良いくらいですねw
その後は年代を追って、前回ご紹介したような作品が並んでいました。
こちらは別室(無料エリア)にあった立体作品

ここにあったのは埼玉県立近代美術館にあった作品とは主題の作家が違っていますが、方向性は同じで作家の肖像とその作品のモチーフを散りばめたものとなっています。
こちらはゴーギャンをモチーフにしたもの。

下の方にいるのはタヒチ時代の奥さんかな? ノアノアで観た気がします。
こちらはセザンヌ。

お腹の部分に「カード遊びをする人々」がいますねw この絵はほぼ同じものが3点あって2019年にはコートールド・ギャラリーの作品が来日しました。
参考記事:コートールド美術館展 魅惑の印象派 感想前編(東京都美術館)
こちらは裏側

りんごを始め、セザンヌがよく描いた静物のモチーフが散見されます。
こちらは岡本太郎

頭の上にリボンがあったり、岡本太郎作品に出てくるモチーフが凝縮されてますw よく研究されてた様子が伺えますね。
裏面はこんな感じ

「森の掟」の怪獣みたいなやつが鎮座していましたw
ということで、2館同時開催ということで過去に企画された瑛九の時のように別の内容かと期待したのですが ほぼ被っていたように思えます。とはいえ濃密な内容でじっくり観ると3時間以上かかりそうなほどだったので十分に満足できました。

【展覧名】
大・タイガー立石展 世界を描きつくせ!
【公式サイト】
https://www.city.saitama.jp/urawa-art-museum/exhibition/schedule/p071488.html
【会場】うらわ美術館
【最寄】浦和駅
【会期】2021年11月16日(火)~2022年1月16日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
埼玉県立近代美術館に比べるとやや空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は前回ご紹介した埼玉県立近代美術館と同時開催されたもので、内容に違いがあるのか?と思ったら章立てなども同じで、同じ作品が展示されていたりもしました。埼玉県立近代美術館に比べると油彩作品がやや少ない感じに思えたかな。シルクスクリーンや漫画作品に関してはほぼ同じくらいで、本に関する展示が厚めだったように思えます(本のコレクションが強い美術館のイメージのせいかもしれませんが)
そんな中で特に目を引いたのが冒頭にあったこちらの作品。

日本の象徴である富士山をポップな感じでデフォルメしたものをネオンにしていました。このあっけらかんとしたポップさは気持ち良いくらいですねw
その後は年代を追って、前回ご紹介したような作品が並んでいました。
こちらは別室(無料エリア)にあった立体作品

ここにあったのは埼玉県立近代美術館にあった作品とは主題の作家が違っていますが、方向性は同じで作家の肖像とその作品のモチーフを散りばめたものとなっています。
こちらはゴーギャンをモチーフにしたもの。

下の方にいるのはタヒチ時代の奥さんかな? ノアノアで観た気がします。
こちらはセザンヌ。

お腹の部分に「カード遊びをする人々」がいますねw この絵はほぼ同じものが3点あって2019年にはコートールド・ギャラリーの作品が来日しました。
参考記事:コートールド美術館展 魅惑の印象派 感想前編(東京都美術館)
こちらは裏側

りんごを始め、セザンヌがよく描いた静物のモチーフが散見されます。
こちらは岡本太郎

頭の上にリボンがあったり、岡本太郎作品に出てくるモチーフが凝縮されてますw よく研究されてた様子が伺えますね。
裏面はこんな感じ

「森の掟」の怪獣みたいなやつが鎮座していましたw
ということで、2館同時開催ということで過去に企画された瑛九の時のように別の内容かと期待したのですが ほぼ被っていたように思えます。とはいえ濃密な内容でじっくり観ると3時間以上かかりそうなほどだったので十分に満足できました。
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2週間ほど前に北浦和の埼玉県立近代美術館で展示を観てきました。特別展については準備中なので先に常設についてご紹介しようと思います。この展示は撮影可能だった作品の写真を使って参ります。

【展覧名】
2021 MOMASコレクション 第3期
【公式サイト】
https://pref.spec.ed.jp/momas/2021momas03
【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅
【会期】2021年10月23日(土) ~ 2022年2月6日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は常設展で、埼玉県立近代美術館では年4回テーマを決めて入れ替えていて、今回は2021年度の3期となってきました。3期の中でも前期・後期あったようで私が観たのは後期の内容となります。大きく分けて3つの章から構成されていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。なお、今回は撮影の際の設定を誤っていたことに気づかなかったので全体的に光が強すぎて色が薄く見えます。加工すれば良いんだけど大変なので…すみません。
<セレクション>
まずはこの美術館が誇るコレクションの中でも特に重要な西洋絵画が並ぶコーナーです。
ジャン=バティスト=カミーユ・コロー 「イタリアの想い出」

こちらはコローが晩年に若い頃のイタリア留学を思い出して描いた作品。版画になっても独特の柔らかい空気感や優しい雰囲気が漂っているように思えます。
ジャン=バティスト=カミーユ・コロー 「砂丘にて―ハーグの森の想い出」

こちらも版画。コローは木や森、水辺などをこよなく愛した画家で、これも森が主題になってますね。印象派の先駆けとなったのも頷ける光景です。
カミーユ・ピサロ 「エラニーの牛を追う娘」

こちらは印象派のまとめ役だったピサロの作品。細かい点描で描いているのはだいぶ年下のスーラの影響を受けて点描を用いていた頃に制作された為です。エラニーでの田園と人々をよく題材にしていて、ここでも長閑で心温まる情景となっています。点描でもピサロの温厚な人柄がにじみ出てるようにも思える。
ポール・シニャック 「アニエールの河岸」

こちらは新印象主義を代表するシニャックの作品ですが、ここでは割と普通の印象派っぽい感じで描かれています。この作品の次の年の第8回印象派展で分割主義を用いた作品を出しているのでその前の画風かな。静かな色調で後のシニャックの画風とはえらく違ってみえます。新印象主義の参加がきっかけで印象派展は意見が対立して終焉してしまうわけですが…。
斎藤豊作 「初冬の朝」

こちらは大正時代の埼玉県出身の画家。パリで新印象主義などを学んだようですが、ナビ派っぽい雰囲気に思えます。横長の画面に奥へと湾曲していく川のリズムが心地よく、対比的な色使いも鮮やかなのに派手ではなく温かみを感じました。手前にいるのはヤギかな。牧歌的で可愛らしい。
モーリス・ドニ 「シャグマユリの聖母子」

こちらはナビ派のドニの作品。子供を抱いて聖母子の見立てになっているのかな。鮮やかな衣や周りの花々など装飾的で華やいだ雰囲気も感じられます。幸せそうな絵ですね。
マルク・シャガール 「二つの花束」

こちらはシャガールの油彩。1925年の作品とのことで、晩年のような強い色彩ではなく落ち着いたややくすんだような色合いに思えます。キュビスム的な要素もありつつまだ現実的かな。花瓶の下に人の顔らしきものがあるのが気になりますw
パブロ・ピカソ 「静物」

こちらはピカソの1944年の作品。強烈な色彩と太い輪郭が特徴で、初期のキュビスムとは違った力強さを感じます。終戦後にピカソは、「わたしは戦争を描かなかった。…しかし当時のわたしの絵の中に戦争があることは疑いない」とも言っていたのだとか。
ポール・デルヴォー 「森」

この美術館のコレクションの中でも特に好きなのがこちらの作品。鉄道と裸婦はデルヴォーが好んだ題材で、コラージュ的な不思議な光景となっています。妖しさと美しさがあって神秘的ですらありますね。
梅田正徳 「月苑」

埼玉県立近代美術館は椅子のコレクションも充実していて、これはそのうちの1点。まるで花のようなデザインが何とも機知に富んでいますw 根本部分はちゃんと緑色になっているのも面白い。
梅田正徳 「Ran」

こちらも同じ梅田正徳 氏の作品。これは蘭の花をイメージしたのかな? 有機的なフォルムが優美な印象でした。
<かぐわしき女性像>
続いては日本画の美人画のコーナー。今回は小村雪岱の作品が充実していました。他にもあったんだけど鏑木清方とか撮影できなかったw
小村雪岱 「花の影」

再評価が進んでブレイクしそうな画家として名前が挙がる小村雪岱は川越の生まれということもあり埼玉県立近代美術館はコレクションが充実しています。細面の輪郭、つりあがった杏仁形の眼、華奢な体つきが「雪岱式美人」の特徴とのことで、この作品はそれがよく分かります。
参考記事:小村雪岱とその時代 (埼玉県立近代美術館)
小村雪岱 「お傳地獄 傘」

こちらは挿絵からの1枚。毒婦と呼ばれた高橋でん が、ゆすりとった金を懐にヤクザ者の恋人と相合い傘をしている所です。性格がキツそうな顔だけどスラッとした首筋に色気を感じますw 小村雪岱の作品は傘もよく出てくるかな。
小村雪岱 「深見草」

深見草とは牡丹の古い名前です。大ぶりで見事な牡丹を細身の女性が覗き込むような仕草ですね。小村雪岱の美人は鈴木春信の美人に通じるものを感じます。
小村雪岱 「見立寒山拾得」

こちらは小村雪岱の馴染みの芸姑をモデルに寒山拾得に見立てています。本物の寒山拾得は妖怪みたいな不気味な笑いをたたえる禅寺の僧ですが、この2人は可憐で似ても似つかないw 仲良く葉っぱに何かを書こうとしているように見えて、初々しい雰囲気がありました。
<特集:中野四郎>
この章はもはや小個展と言いるくらいの内容でした。冒頭の写真の彫刻や資料なども含めて彫刻家の中野四郎の作品が30点ほど並んでいて、撮影も可能となっていました。せっかくなので、こちらについては別記事で作者別紹介で取り上げようと思います。
ということで、今回の常設も久々に観た作品などもあって充実した内容となっていました。どういう訳かいつも特別展に比べると空いていますが、埼玉県立近代美術館に行く機会があったら是非こちらの常設も観ることをお勧めします。
おまけ;
先行でインスタに載せていた埼玉県立近代美術館の写真。
ここは建物自体も魅力があるので絵になります。
これは地下から吹き抜けを見上げて屋上を撮ったもの
こちらは目の前の北浦和公園
これは公園の裏手から撮った夕焼け

【展覧名】
2021 MOMASコレクション 第3期
【公式サイト】
https://pref.spec.ed.jp/momas/2021momas03
【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅
【会期】2021年10月23日(土) ~ 2022年2月6日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は常設展で、埼玉県立近代美術館では年4回テーマを決めて入れ替えていて、今回は2021年度の3期となってきました。3期の中でも前期・後期あったようで私が観たのは後期の内容となります。大きく分けて3つの章から構成されていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。なお、今回は撮影の際の設定を誤っていたことに気づかなかったので全体的に光が強すぎて色が薄く見えます。加工すれば良いんだけど大変なので…すみません。
<セレクション>
まずはこの美術館が誇るコレクションの中でも特に重要な西洋絵画が並ぶコーナーです。
ジャン=バティスト=カミーユ・コロー 「イタリアの想い出」

こちらはコローが晩年に若い頃のイタリア留学を思い出して描いた作品。版画になっても独特の柔らかい空気感や優しい雰囲気が漂っているように思えます。
ジャン=バティスト=カミーユ・コロー 「砂丘にて―ハーグの森の想い出」

こちらも版画。コローは木や森、水辺などをこよなく愛した画家で、これも森が主題になってますね。印象派の先駆けとなったのも頷ける光景です。
カミーユ・ピサロ 「エラニーの牛を追う娘」

こちらは印象派のまとめ役だったピサロの作品。細かい点描で描いているのはだいぶ年下のスーラの影響を受けて点描を用いていた頃に制作された為です。エラニーでの田園と人々をよく題材にしていて、ここでも長閑で心温まる情景となっています。点描でもピサロの温厚な人柄がにじみ出てるようにも思える。
ポール・シニャック 「アニエールの河岸」

こちらは新印象主義を代表するシニャックの作品ですが、ここでは割と普通の印象派っぽい感じで描かれています。この作品の次の年の第8回印象派展で分割主義を用いた作品を出しているのでその前の画風かな。静かな色調で後のシニャックの画風とはえらく違ってみえます。新印象主義の参加がきっかけで印象派展は意見が対立して終焉してしまうわけですが…。
斎藤豊作 「初冬の朝」

こちらは大正時代の埼玉県出身の画家。パリで新印象主義などを学んだようですが、ナビ派っぽい雰囲気に思えます。横長の画面に奥へと湾曲していく川のリズムが心地よく、対比的な色使いも鮮やかなのに派手ではなく温かみを感じました。手前にいるのはヤギかな。牧歌的で可愛らしい。
モーリス・ドニ 「シャグマユリの聖母子」

こちらはナビ派のドニの作品。子供を抱いて聖母子の見立てになっているのかな。鮮やかな衣や周りの花々など装飾的で華やいだ雰囲気も感じられます。幸せそうな絵ですね。
マルク・シャガール 「二つの花束」

こちらはシャガールの油彩。1925年の作品とのことで、晩年のような強い色彩ではなく落ち着いたややくすんだような色合いに思えます。キュビスム的な要素もありつつまだ現実的かな。花瓶の下に人の顔らしきものがあるのが気になりますw
パブロ・ピカソ 「静物」

こちらはピカソの1944年の作品。強烈な色彩と太い輪郭が特徴で、初期のキュビスムとは違った力強さを感じます。終戦後にピカソは、「わたしは戦争を描かなかった。…しかし当時のわたしの絵の中に戦争があることは疑いない」とも言っていたのだとか。
ポール・デルヴォー 「森」

この美術館のコレクションの中でも特に好きなのがこちらの作品。鉄道と裸婦はデルヴォーが好んだ題材で、コラージュ的な不思議な光景となっています。妖しさと美しさがあって神秘的ですらありますね。
梅田正徳 「月苑」

埼玉県立近代美術館は椅子のコレクションも充実していて、これはそのうちの1点。まるで花のようなデザインが何とも機知に富んでいますw 根本部分はちゃんと緑色になっているのも面白い。
梅田正徳 「Ran」

こちらも同じ梅田正徳 氏の作品。これは蘭の花をイメージしたのかな? 有機的なフォルムが優美な印象でした。
<かぐわしき女性像>
続いては日本画の美人画のコーナー。今回は小村雪岱の作品が充実していました。他にもあったんだけど鏑木清方とか撮影できなかったw
小村雪岱 「花の影」

再評価が進んでブレイクしそうな画家として名前が挙がる小村雪岱は川越の生まれということもあり埼玉県立近代美術館はコレクションが充実しています。細面の輪郭、つりあがった杏仁形の眼、華奢な体つきが「雪岱式美人」の特徴とのことで、この作品はそれがよく分かります。
参考記事:小村雪岱とその時代 (埼玉県立近代美術館)
小村雪岱 「お傳地獄 傘」

こちらは挿絵からの1枚。毒婦と呼ばれた高橋でん が、ゆすりとった金を懐にヤクザ者の恋人と相合い傘をしている所です。性格がキツそうな顔だけどスラッとした首筋に色気を感じますw 小村雪岱の作品は傘もよく出てくるかな。
小村雪岱 「深見草」

深見草とは牡丹の古い名前です。大ぶりで見事な牡丹を細身の女性が覗き込むような仕草ですね。小村雪岱の美人は鈴木春信の美人に通じるものを感じます。
小村雪岱 「見立寒山拾得」

こちらは小村雪岱の馴染みの芸姑をモデルに寒山拾得に見立てています。本物の寒山拾得は妖怪みたいな不気味な笑いをたたえる禅寺の僧ですが、この2人は可憐で似ても似つかないw 仲良く葉っぱに何かを書こうとしているように見えて、初々しい雰囲気がありました。
<特集:中野四郎>
この章はもはや小個展と言いるくらいの内容でした。冒頭の写真の彫刻や資料なども含めて彫刻家の中野四郎の作品が30点ほど並んでいて、撮影も可能となっていました。せっかくなので、こちらについては別記事で作者別紹介で取り上げようと思います。
ということで、今回の常設も久々に観た作品などもあって充実した内容となっていました。どういう訳かいつも特別展に比べると空いていますが、埼玉県立近代美術館に行く機会があったら是非こちらの常設も観ることをお勧めします。
おまけ;
先行でインスタに載せていた埼玉県立近代美術館の写真。
ここは建物自体も魅力があるので絵になります。
これは地下から吹き抜けを見上げて屋上を撮ったもの
こちらは目の前の北浦和公園
これは公園の裏手から撮った夕焼け
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先日ご紹介した山崎美術館を観た後、川越市立美術館で「没後70年 吉田博展」を観てきました。この展示は既に終了していますが、今後の参考として記事に残しておこうと思います。

【展覧名】
没後70年 吉田博展
【公式サイト】
https://yoshida-exhn.jp/
https://www.city.kawagoe.saitama.jp/artmuseum/tokubetutenji/toku-kako/bijutsu12021fall.html
【会場】川越市立美術館
【最寄】本川越駅・川越市駅・川越駅
【会期】2021年10月23日(土)~11月28日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
会期末頃に行ったのですが特に混むこともなく快適に鑑賞できました。
さて、この展示は明治時代から昭和にかけて油彩と版画で活躍した吉田博の没後70年を記念した回顧展となっています。吉田博については昨年にも上野の東京都美術館で個展が開催されていたのですが、私はコロナを警戒して行けませんでしたので、落ち着いていたこの時期のこちらに足を運びました。展示は時系列に沿っていて、経歴については以前の記事にまとめた通りですので下記の記事などを参照頂ければと思いますが、この展示でも初期から晩年まで代表作が並んでいて期待通りの内容でした。(同時期にSOMPO美術館で川瀬巴水展も観ていたので改めて比較して観ることもできた) 各章ごとに簡単に趣旨と気に入った作品を挙げて行こうと思います。
参考記事:
《吉田博》 作者別紹介
生誕140年 吉田博展 山と水の風景 (東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)
<プロローグ>
まずは渡米の頃のコーナーです。吉田博が大正14年に木版を始めるまでの作品が並んでいました。
1 吉田博 「雲井桜」
こちらは1899年にデトロイト美術館で中川八郎との2人展を開催した際に、唯一 同館が買い上げた「メモリーズオブジャパン」と同じ構図の作品です。満開の桜の下に女性が三人仲良く話している様子で、背景に薄い雲がかった月が描かれています。柔らかい色彩表現となっていて、叙情的な雰囲気がありました。確かにこれは日本らしいので外国人に受けそうな感じ。
3 吉田博 「渓流」
こちらは第4回文展の出品作で、赤茶のゴツゴツした岩山の渓流が描かれています。油彩ならではの深い色彩で、滑らかな水面と飛沫の動きを見事にとらえています。写実性が高くダイナミックな印象を受けました。
5 吉田博 「明治神宮の神苑」
こちらは初の版画作品で、まるで掛け軸のように見えます。版元の渡邊庄三郎との初作でもあり、俯瞰するような角度で明治神宮を描いています。色は少なめに思えますが初めての版画とは思えない完成度でした。
<第1章 || それはアメリカから始まった>
続いては海外を描いた作品のコーナーです。吉田博は3度目の渡米の際は絵が売れず、売れたのは震災で焼け残った渡邊庄三郎の版画だったようです。そこで自ら版元となることを思いつき、大正14年に帰国して彫師と摺師を雇い、私家版の刊行に乗り出し米国シリーズを完成させました。
10 吉田博 「グランドキャニオン」
こちらはグランドキャニオンを俯瞰するような構図の風景画で、地層のようにいくつもの色が使われています。明暗の付け方は水彩のように見えるかな。吉田博はグランドキャニオンに感銘を受けて9日間滞在して写生を重ねたようです。
この後は欧州シリーズが並んでいました。
24 吉田博 「ヴェニスの運河」
こちらはヴェネツィアの運河を行き交うゴンドラを描いた作品で、船着き場や建物も描かれています。割と写実的で、活気が伝わってくるようで、水面の表現が独特で面白く思えました。
22,23 吉田博 「スフィンクス」「スフィンクスの夜」
こちらは同じ構図の作品で、スフィンクスを横から見た構図で手前にラクダに乗った人達の姿もあります。色の違いで昼と夜を表現し、夜は特に神秘的な雰囲気となっていました。吉田博はこうした同じ構図で時間帯の違う作品をいくつか残しています。
<第2章 || 奇跡の1926年>
続いては代表作が生まれた1926年のコーナーです。吉田博の版画は30数度の摺りを重ね、時には自らが彫りと摺りを手掛けて、それを理解していたようです。そのこだわりぶりが垣間見られる作品が並んでいました。
25 吉田博 「劒山の朝」 ★こちらで観られます
こちらは今回のポスターにもなった作品で、朝日で赤く染まる山々を背景に手前にテントがあり朝食の支度をしている様子が描かれています。手前は割と粗い摺りで、奥行きを演出しているようで輪郭や色面の使い方も見事です。この作品も含めて日本アルプス十二題は割とデフォルメされているのを感じるかな。めっちゃ細かい表現もあるものの、輪郭と色面をよく使っているように思えました。
他にも渡邊庄三郎画廊のもとで制作し関東大震災で大半が失われた「帆船」の私家版と同じ構図のシリーズや版木、写生帖なども展示されていました。
<第3章 || 特大版への挑戦>
吉田博は1926年に山桜の希少な大木が売りに出されていると知り、特大版の構想を得て1928年までに6点を制作しました。長辺が70cmを超える大画面で、その大きさを目の当たりにできる作品が並んでいました。
47 吉田博 「朝日 冨士拾景」
こちらは富士山に朝日が当たる様子を背景に、手前の水辺や木々はまだ暗く描かれている作品。柔らかい陰影で油彩のようにすら見え、神々しい雰囲気となっています。版木と紙の収縮率の違いに対応できず摺りに大いに苦労したという逸話があるようで、近くに版木も展示されていました。そんな苦労の跡が分からないくらいの仕上がりで、流石の徹底ぶりです。
この辺には雲海など大きなサイズならではの見栄えのする作品が並んでいました。
<第4章 || 富士を描く>
続いては1914年の夏に1ヶ月ほど滞在した富士山のコーナーです。8合目に留まり好天の日は毎朝 頂上を目指していたほどだったそうで、そうした眺めを描いた作品などが並んでいました。
52 吉田博 「御来光」 ★こちらで観られます
こちらは雲の平原の彼方からオレンジの太陽が浮かぼうとする瞬間を描いた作品です。手前の岩山に山を登る人々の姿があり、笠をかぶって一生懸命登る姿と雄大で神々しい光景が対照的に見えました。
54 吉田博 「船津」
手前に民家、奥に富士山、軒先で馬が水を飲んでいる光景を描いた作品です。家の屋根の連なりと富士山が呼応しているようで、のんびりした雰囲気の中に構図の妙を感じました。
<第5章 || TOKIO を描く>
こちらは東京拾二題が並ぶコーナーです。吉田博はホイッスラーを私淑して連作を作ったようで、隅田川はテムズ河景を想起させるとのことです。
67 吉田博 「亀井戸」
こちらは歌川広重の「名所江戸百景 亀井戸天神境内」とほぼ同じ構図で太鼓橋を渡る人々と、それを覆う手前の藤の花が描かれた作品です。88回もの摺りで表現しているそうで、太鼓橋は水に写って円を描くように表現されています。人の顔などは描いていないものの、色が細やかで情感溢れる光景となっていました。
72 吉田博 「神樂坂通 雨後の夜」 ★こちらで観られます
こちらは夜の店先を描いた作品で、雨の後なので手前の道にお店の光が反射しています。その光の歪んだ感じが何とも神秘的で、店先の女性と相まって優美な雰囲気も感じられました。これは今回の展示でも特にお気に入りの1枚。
<第6章 || 親密な景色/人や花鳥へのまなざし>
続いては動物や子供、風景など様々な画題のコーナー。
78 吉田博 「きばたん あうむ」 ★こちらで観られます
こちらは大きな白い鸚鵡を描いた作品で、実物大くらいあるんじゃないかな。空摺りを多く用いていて、フワッとした羽の表現となっています。彫師では形にできず自ら彫るしかない表現もあるとして例に挙げたのが鸚鵡の羽だったそうで、その質感へのこだわりが遺憾なく発揮されているのがよく分かりました。
91 吉田博 「秋之銀杏」
こちらは縦長の画面で、左に大きな黄色いイチョウがそびえ立つように描かれています。中央辺りに赤い屋根の小屋のようなものがあり、その前でしゃがんで犬と遊ぶ人の姿もあり、のんびりとした雰囲気です。秋らしい澄んだ空気感で郷愁を誘うものがありました。
<第7章 || 日本各地の風景Ⅰ 1926-1930>
続いては日本各地の風景を描いた1920年代後半のコーナーです。
98 99 吉田博 「姫路城」「姫路城 夕」
こちらは姫路城を見上げるように描かれた作品で、手前に草原が描かれています。立派なお城ですが何処か物悲しい雰囲気があり、特に夕景のほうは儚さすら感じられました。
109 吉田博 「駒ケ岳山頂より」
こちらは山頂から雲海越しに富士山の山頂が見えている光景を描いた作品です。沸き立つ雲のダイナミックな雰囲気が登山家ならではの視点かな。吉田博の山への愛が感じられる作品でした。
<第8章 || 印度と東南アジア 1931-1932>
続いては1930年に長男とともに4度目の外遊に出たときの光景を描いた作品のコーナーです。インドに行く途中に見た光景などが並んでいました。
122 吉田博 「ヴィクトリヤ メモリヤル」
こちらは真っ赤に染まる背景にドーム型の屋根の建物が水面に写っている様子が描かれています。威厳がありつつ静かな情感があり、逆光だけど微妙な明暗で表現されていていました。旅情を掻き立てられて実際に観てみたくなりますw
この辺はやはり山の絵が多かったかな。外国に行っても山が大好きw タージマハルを描いた代表作などもありました。
136 吉田博 「マデュラの神殿」
こちらは恐らく南インドのマデュライのミーナークシ寺院の内部を描いた作品。千柱堂というところで巨大な神像のようなものやレリーフが並び、その下に床に座っている参拝者の男たちの姿があります。中央下には陽光が差し込み、そこに立つ女性が一際目を引きました。この作品も強い明暗だけど緻密に表現されているのが吉田博ならではの魅力でした。
<第9章 || 日本各地の風景Ⅱ 1933-1935>
続いては関西と桜を描いたシリーズが並ぶコーナーです。
150 吉田博 「金閣」
池越しに観た金閣寺を描いた作品ですが、金ピカではなく淡い色彩で手前の水面に反射して静けさ漂う光景となっています。戦前の金閣寺ってこんな感じだったんでしょうか。有名な場所ですが寂しげな感じすらありました。
153 吉田博 「京都之夜」
こちらは夜の店先を描いた作品で、赤い提灯を掲げていて手前の道は濡れてその光を反射しています。暗い中に2人の着物の女性が傘を持って歩いているのがぼんやり見えていて、夜の風情が漂っていました。私は街灯の反射光を描いた作品が大好きですw
他にも横浜の三渓園の桜を描いた作品なども並んでいました。
<第10章 || 外地/大陸を描く 1937-1940>
続いては1936年に朝鮮と中国を訪れた時の光景を描いたコーナーです。北朝鮮、韓国、満州などを描いた作品が並んでいました。
169 吉田博 「奉天市場」
こちらは大きな門を中心にその周りの市場の様子が描かれています。長いワンピースのような民族衣装を着ているので異国情緒を感じるかな。賑わっているようだけど何故か静かに見えました。吉田博の作品って喧騒ってのはあまり感じないんですよね。
<第11章 || 日本各地の風景Ⅲ 1937-1941>
続いては再び日本各地の風景のコーナーで、木版制作は1941年を最後に途絶えてしまいました。
186 吉田博 「竹林」 ★こちらで観られます
こちらは埼玉県のどこかとしか分からない作品で、竹林が描かれた縦長の画面となっています。鶏とその子供たちが群れているのですが、竹の大きさと鶏の小ささが対比的に思えて可愛らしく健気に感じられます。戦時中とは思えないほど牧歌的な雰囲気の作品となっていました。
181 吉田博 「陽明門」
こちらは陽明門を細かく描いた作品です。吉田博の作品の中でも最大の96回もの摺りでできていて、ほぼ水彩画のような仕上がりとなっています。砂利や石段の微妙な質感や細かい陰影など徹底ぶりが鬼のようでしたw
193 吉田博 「新月」 ★こちらで観られます
港に停泊する無数の帆船と、空に細い月が浮かぶ様子が描かれた作品。淡い色彩で静かな雰囲気となっていて、1人もいない時間が止まったような光景となっていました。
<エピローグ>
最後は戦後のコーナーです。戦後に発表したのは1点のみで、初期を思わせる作品となっています。
194 吉田博 「農家」 ★こちらで観られます
こちらは最後の木版画で戦後唯一の作品です。成増附近の農家の中を描いたもので、土間で火を起こしている農婦の姿や、奥で割烹着で作業する女性の姿なども描かれています。長閑で、不同舎で学んでいた頃の写生に通じる主題となっていました。
ということで、版画を中心に代表作から気合の入った作品まで数多くの作品を観ることができました。最近は吉田博の名前を観る機会が増えた気がしますが、日本より海外での評価が高い画家なので まだまだこれから認知度が上がっていくように思います。非常に魅力的な画風なので、今後もし同様の展示があったらチェックしてみることをお勧めします。

【展覧名】
没後70年 吉田博展
【公式サイト】
https://yoshida-exhn.jp/
https://www.city.kawagoe.saitama.jp/artmuseum/tokubetutenji/toku-kako/bijutsu12021fall.html
【会場】川越市立美術館
【最寄】本川越駅・川越市駅・川越駅
【会期】2021年10月23日(土)~11月28日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
会期末頃に行ったのですが特に混むこともなく快適に鑑賞できました。
さて、この展示は明治時代から昭和にかけて油彩と版画で活躍した吉田博の没後70年を記念した回顧展となっています。吉田博については昨年にも上野の東京都美術館で個展が開催されていたのですが、私はコロナを警戒して行けませんでしたので、落ち着いていたこの時期のこちらに足を運びました。展示は時系列に沿っていて、経歴については以前の記事にまとめた通りですので下記の記事などを参照頂ければと思いますが、この展示でも初期から晩年まで代表作が並んでいて期待通りの内容でした。(同時期にSOMPO美術館で川瀬巴水展も観ていたので改めて比較して観ることもできた) 各章ごとに簡単に趣旨と気に入った作品を挙げて行こうと思います。
参考記事:
《吉田博》 作者別紹介
生誕140年 吉田博展 山と水の風景 (東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)
<プロローグ>
まずは渡米の頃のコーナーです。吉田博が大正14年に木版を始めるまでの作品が並んでいました。
1 吉田博 「雲井桜」
こちらは1899年にデトロイト美術館で中川八郎との2人展を開催した際に、唯一 同館が買い上げた「メモリーズオブジャパン」と同じ構図の作品です。満開の桜の下に女性が三人仲良く話している様子で、背景に薄い雲がかった月が描かれています。柔らかい色彩表現となっていて、叙情的な雰囲気がありました。確かにこれは日本らしいので外国人に受けそうな感じ。
3 吉田博 「渓流」
こちらは第4回文展の出品作で、赤茶のゴツゴツした岩山の渓流が描かれています。油彩ならではの深い色彩で、滑らかな水面と飛沫の動きを見事にとらえています。写実性が高くダイナミックな印象を受けました。
5 吉田博 「明治神宮の神苑」
こちらは初の版画作品で、まるで掛け軸のように見えます。版元の渡邊庄三郎との初作でもあり、俯瞰するような角度で明治神宮を描いています。色は少なめに思えますが初めての版画とは思えない完成度でした。
<第1章 || それはアメリカから始まった>
続いては海外を描いた作品のコーナーです。吉田博は3度目の渡米の際は絵が売れず、売れたのは震災で焼け残った渡邊庄三郎の版画だったようです。そこで自ら版元となることを思いつき、大正14年に帰国して彫師と摺師を雇い、私家版の刊行に乗り出し米国シリーズを完成させました。
10 吉田博 「グランドキャニオン」
こちらはグランドキャニオンを俯瞰するような構図の風景画で、地層のようにいくつもの色が使われています。明暗の付け方は水彩のように見えるかな。吉田博はグランドキャニオンに感銘を受けて9日間滞在して写生を重ねたようです。
この後は欧州シリーズが並んでいました。
24 吉田博 「ヴェニスの運河」
こちらはヴェネツィアの運河を行き交うゴンドラを描いた作品で、船着き場や建物も描かれています。割と写実的で、活気が伝わってくるようで、水面の表現が独特で面白く思えました。
22,23 吉田博 「スフィンクス」「スフィンクスの夜」
こちらは同じ構図の作品で、スフィンクスを横から見た構図で手前にラクダに乗った人達の姿もあります。色の違いで昼と夜を表現し、夜は特に神秘的な雰囲気となっていました。吉田博はこうした同じ構図で時間帯の違う作品をいくつか残しています。
<第2章 || 奇跡の1926年>
続いては代表作が生まれた1926年のコーナーです。吉田博の版画は30数度の摺りを重ね、時には自らが彫りと摺りを手掛けて、それを理解していたようです。そのこだわりぶりが垣間見られる作品が並んでいました。
25 吉田博 「劒山の朝」 ★こちらで観られます
こちらは今回のポスターにもなった作品で、朝日で赤く染まる山々を背景に手前にテントがあり朝食の支度をしている様子が描かれています。手前は割と粗い摺りで、奥行きを演出しているようで輪郭や色面の使い方も見事です。この作品も含めて日本アルプス十二題は割とデフォルメされているのを感じるかな。めっちゃ細かい表現もあるものの、輪郭と色面をよく使っているように思えました。
他にも渡邊庄三郎画廊のもとで制作し関東大震災で大半が失われた「帆船」の私家版と同じ構図のシリーズや版木、写生帖なども展示されていました。
<第3章 || 特大版への挑戦>
吉田博は1926年に山桜の希少な大木が売りに出されていると知り、特大版の構想を得て1928年までに6点を制作しました。長辺が70cmを超える大画面で、その大きさを目の当たりにできる作品が並んでいました。
47 吉田博 「朝日 冨士拾景」
こちらは富士山に朝日が当たる様子を背景に、手前の水辺や木々はまだ暗く描かれている作品。柔らかい陰影で油彩のようにすら見え、神々しい雰囲気となっています。版木と紙の収縮率の違いに対応できず摺りに大いに苦労したという逸話があるようで、近くに版木も展示されていました。そんな苦労の跡が分からないくらいの仕上がりで、流石の徹底ぶりです。
この辺には雲海など大きなサイズならではの見栄えのする作品が並んでいました。
<第4章 || 富士を描く>
続いては1914年の夏に1ヶ月ほど滞在した富士山のコーナーです。8合目に留まり好天の日は毎朝 頂上を目指していたほどだったそうで、そうした眺めを描いた作品などが並んでいました。
52 吉田博 「御来光」 ★こちらで観られます
こちらは雲の平原の彼方からオレンジの太陽が浮かぼうとする瞬間を描いた作品です。手前の岩山に山を登る人々の姿があり、笠をかぶって一生懸命登る姿と雄大で神々しい光景が対照的に見えました。
54 吉田博 「船津」
手前に民家、奥に富士山、軒先で馬が水を飲んでいる光景を描いた作品です。家の屋根の連なりと富士山が呼応しているようで、のんびりした雰囲気の中に構図の妙を感じました。
<第5章 || TOKIO を描く>
こちらは東京拾二題が並ぶコーナーです。吉田博はホイッスラーを私淑して連作を作ったようで、隅田川はテムズ河景を想起させるとのことです。
67 吉田博 「亀井戸」
こちらは歌川広重の「名所江戸百景 亀井戸天神境内」とほぼ同じ構図で太鼓橋を渡る人々と、それを覆う手前の藤の花が描かれた作品です。88回もの摺りで表現しているそうで、太鼓橋は水に写って円を描くように表現されています。人の顔などは描いていないものの、色が細やかで情感溢れる光景となっていました。
72 吉田博 「神樂坂通 雨後の夜」 ★こちらで観られます
こちらは夜の店先を描いた作品で、雨の後なので手前の道にお店の光が反射しています。その光の歪んだ感じが何とも神秘的で、店先の女性と相まって優美な雰囲気も感じられました。これは今回の展示でも特にお気に入りの1枚。
<第6章 || 親密な景色/人や花鳥へのまなざし>
続いては動物や子供、風景など様々な画題のコーナー。
78 吉田博 「きばたん あうむ」 ★こちらで観られます
こちらは大きな白い鸚鵡を描いた作品で、実物大くらいあるんじゃないかな。空摺りを多く用いていて、フワッとした羽の表現となっています。彫師では形にできず自ら彫るしかない表現もあるとして例に挙げたのが鸚鵡の羽だったそうで、その質感へのこだわりが遺憾なく発揮されているのがよく分かりました。
91 吉田博 「秋之銀杏」
こちらは縦長の画面で、左に大きな黄色いイチョウがそびえ立つように描かれています。中央辺りに赤い屋根の小屋のようなものがあり、その前でしゃがんで犬と遊ぶ人の姿もあり、のんびりとした雰囲気です。秋らしい澄んだ空気感で郷愁を誘うものがありました。
<第7章 || 日本各地の風景Ⅰ 1926-1930>
続いては日本各地の風景を描いた1920年代後半のコーナーです。
98 99 吉田博 「姫路城」「姫路城 夕」
こちらは姫路城を見上げるように描かれた作品で、手前に草原が描かれています。立派なお城ですが何処か物悲しい雰囲気があり、特に夕景のほうは儚さすら感じられました。
109 吉田博 「駒ケ岳山頂より」
こちらは山頂から雲海越しに富士山の山頂が見えている光景を描いた作品です。沸き立つ雲のダイナミックな雰囲気が登山家ならではの視点かな。吉田博の山への愛が感じられる作品でした。
<第8章 || 印度と東南アジア 1931-1932>
続いては1930年に長男とともに4度目の外遊に出たときの光景を描いた作品のコーナーです。インドに行く途中に見た光景などが並んでいました。
122 吉田博 「ヴィクトリヤ メモリヤル」
こちらは真っ赤に染まる背景にドーム型の屋根の建物が水面に写っている様子が描かれています。威厳がありつつ静かな情感があり、逆光だけど微妙な明暗で表現されていていました。旅情を掻き立てられて実際に観てみたくなりますw
この辺はやはり山の絵が多かったかな。外国に行っても山が大好きw タージマハルを描いた代表作などもありました。
136 吉田博 「マデュラの神殿」
こちらは恐らく南インドのマデュライのミーナークシ寺院の内部を描いた作品。千柱堂というところで巨大な神像のようなものやレリーフが並び、その下に床に座っている参拝者の男たちの姿があります。中央下には陽光が差し込み、そこに立つ女性が一際目を引きました。この作品も強い明暗だけど緻密に表現されているのが吉田博ならではの魅力でした。
<第9章 || 日本各地の風景Ⅱ 1933-1935>
続いては関西と桜を描いたシリーズが並ぶコーナーです。
150 吉田博 「金閣」
池越しに観た金閣寺を描いた作品ですが、金ピカではなく淡い色彩で手前の水面に反射して静けさ漂う光景となっています。戦前の金閣寺ってこんな感じだったんでしょうか。有名な場所ですが寂しげな感じすらありました。
153 吉田博 「京都之夜」
こちらは夜の店先を描いた作品で、赤い提灯を掲げていて手前の道は濡れてその光を反射しています。暗い中に2人の着物の女性が傘を持って歩いているのがぼんやり見えていて、夜の風情が漂っていました。私は街灯の反射光を描いた作品が大好きですw
他にも横浜の三渓園の桜を描いた作品なども並んでいました。
<第10章 || 外地/大陸を描く 1937-1940>
続いては1936年に朝鮮と中国を訪れた時の光景を描いたコーナーです。北朝鮮、韓国、満州などを描いた作品が並んでいました。
169 吉田博 「奉天市場」
こちらは大きな門を中心にその周りの市場の様子が描かれています。長いワンピースのような民族衣装を着ているので異国情緒を感じるかな。賑わっているようだけど何故か静かに見えました。吉田博の作品って喧騒ってのはあまり感じないんですよね。
<第11章 || 日本各地の風景Ⅲ 1937-1941>
続いては再び日本各地の風景のコーナーで、木版制作は1941年を最後に途絶えてしまいました。
186 吉田博 「竹林」 ★こちらで観られます
こちらは埼玉県のどこかとしか分からない作品で、竹林が描かれた縦長の画面となっています。鶏とその子供たちが群れているのですが、竹の大きさと鶏の小ささが対比的に思えて可愛らしく健気に感じられます。戦時中とは思えないほど牧歌的な雰囲気の作品となっていました。
181 吉田博 「陽明門」
こちらは陽明門を細かく描いた作品です。吉田博の作品の中でも最大の96回もの摺りでできていて、ほぼ水彩画のような仕上がりとなっています。砂利や石段の微妙な質感や細かい陰影など徹底ぶりが鬼のようでしたw
193 吉田博 「新月」 ★こちらで観られます
港に停泊する無数の帆船と、空に細い月が浮かぶ様子が描かれた作品。淡い色彩で静かな雰囲気となっていて、1人もいない時間が止まったような光景となっていました。
<エピローグ>
最後は戦後のコーナーです。戦後に発表したのは1点のみで、初期を思わせる作品となっています。
194 吉田博 「農家」 ★こちらで観られます
こちらは最後の木版画で戦後唯一の作品です。成増附近の農家の中を描いたもので、土間で火を起こしている農婦の姿や、奥で割烹着で作業する女性の姿なども描かれています。長閑で、不同舎で学んでいた頃の写生に通じる主題となっていました。
ということで、版画を中心に代表作から気合の入った作品まで数多くの作品を観ることができました。最近は吉田博の名前を観る機会が増えた気がしますが、日本より海外での評価が高い画家なので まだまだこれから認知度が上がっていくように思います。非常に魅力的な画風なので、今後もし同様の展示があったらチェックしてみることをお勧めします。
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先日ご紹介したBAG-Brillia Art Galleryの展示を観る前に、京橋駅から直結の通路上にある京橋エドグランタウンミュージアムで「TERUHISA KITAHARA 鉄道コレクション展」を観てきました。

【展覧名】
TERUHISA KITAHARA 鉄道コレクション展
【公式サイト】
https://www.edogrand.tokyo/
【会場】京橋エドグランタウンミュージアム
【最寄】京橋駅
【会期】2021年10月24日~2022年02月25日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間15分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
ここは京橋エドグランタウンの地下の通路にある小さな展示場なので、無料で誰でも観ることができます。今回は玩具のコレクションで有名で京橋エドグランのアンバサダーでもある北原照久 氏(京橋で生まれ育った縁があるようです)のコレクションの中から鉄道にまつわる品が展示されていました。写真を撮ってきましたので、それを使ってご紹介していこうと思います
こちらはドイツの老舗玩具メーカーのメルクリン社の駅の模型。

日本にも多くのファンがいるメーカーで、かなり精巧にできています。このいかにもドイツっぽい建物も玩具とは思えないクオリティでいい味出してました。
このケースはメルクリン社の車両と建物が並んでいました。

私は鉄道好きではありますが、正直なところ海外のことはあまり知らないので観たことがないものも多いですが、異国情緒も相まって非常に魅力的に思えます。
駅のアップ。かなり細かいところまで作り込まれています。

この時は単に飾られていただけですが、実際に走らせると滑らかに好みのスピードで走らせることができるようで、そこも人気の理由のようです。
デザイン性の高い機関車があって好み。

HOゲージはNゲージよりも大きいので見栄えもします。このまま部屋に飾りたいくらいw
こちらはアメリカの車両。メーカーは失念。

流線型が流行った頃の機関車かな。デフォルメされてるっぽいけどフォルムが美しい。
これは見覚えがありました。おそらくニューヨーク・セントラル鉄道かな。

こちらも黒光りする質感と流線型が好みです。
参考記事:流線形の鉄道 1930年代を牽引した機関車たち (旧新橋停車場 鉄道歴史展示室)
日本の機関車もありました。こちらは天賞堂によるC57

一部はお召し列車にも使われ貴婦人とも呼ばれました。模型も緻密で気品がありますね。
参考記事:
鉄道博物館の案内 (ヒストリーゾーン)
リニア・鉄道館 前編(名古屋編)
こちらはEF55

大宮の鉄博に実物がある機関車です。ムーミンみたいな顔をしているのが可愛い
こちらはC5520

やはり流線形の機関車が大好きですw しかし点検が為難い&換気が悪いので運転士たちには評判が良くなかったそうです。レトロさと近未来感の両方が感じられるデザインは美し過ぎるんだけどなあ。
こちらは子供向けの玩具でロマンスカーの先頭車両

私はこのロマンスカーに乗ってた世代なので懐かしい。大好きな車両でした。
こちらは電気特急こだま

新幹線が走るまではこの列車がエースでした。流石にこの列車の現役時代には生まれていませんが、私はこのボンネット型の国鉄色の特急が大好きですw
こちらは佐々木朋哉 氏による東急世田谷線のジオラマ。

昭和から平成にかけての車両を混在させて1/43のスケールですべて手作りなのだとか。どこか懐かしさを感じさせる風景です。
こちらは1950年代の日本製のファンシートレイン

機関車トーマスの人気で作られたそうで、顔が付いています。デザインのクオリティはいまいちですが、電池やゼンマイなどで走るようです。昭和っぽい雰囲気がしますw
ということで、非常にクオリティの高いものからノスタルジックな玩具まで様々な鉄道に関する品が並んでいました。ここは無料で通りがかりに観ることが出来るので、京橋駅を使う機会があったら立ち寄ってみると良いかと思います。

【展覧名】
TERUHISA KITAHARA 鉄道コレクション展
【公式サイト】
https://www.edogrand.tokyo/
【会場】京橋エドグランタウンミュージアム
【最寄】京橋駅
【会期】2021年10月24日~2022年02月25日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間15分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
ここは京橋エドグランタウンの地下の通路にある小さな展示場なので、無料で誰でも観ることができます。今回は玩具のコレクションで有名で京橋エドグランのアンバサダーでもある北原照久 氏(京橋で生まれ育った縁があるようです)のコレクションの中から鉄道にまつわる品が展示されていました。写真を撮ってきましたので、それを使ってご紹介していこうと思います
こちらはドイツの老舗玩具メーカーのメルクリン社の駅の模型。

日本にも多くのファンがいるメーカーで、かなり精巧にできています。このいかにもドイツっぽい建物も玩具とは思えないクオリティでいい味出してました。
このケースはメルクリン社の車両と建物が並んでいました。

私は鉄道好きではありますが、正直なところ海外のことはあまり知らないので観たことがないものも多いですが、異国情緒も相まって非常に魅力的に思えます。
駅のアップ。かなり細かいところまで作り込まれています。

この時は単に飾られていただけですが、実際に走らせると滑らかに好みのスピードで走らせることができるようで、そこも人気の理由のようです。
デザイン性の高い機関車があって好み。

HOゲージはNゲージよりも大きいので見栄えもします。このまま部屋に飾りたいくらいw
こちらはアメリカの車両。メーカーは失念。

流線型が流行った頃の機関車かな。デフォルメされてるっぽいけどフォルムが美しい。
これは見覚えがありました。おそらくニューヨーク・セントラル鉄道かな。

こちらも黒光りする質感と流線型が好みです。
参考記事:流線形の鉄道 1930年代を牽引した機関車たち (旧新橋停車場 鉄道歴史展示室)
日本の機関車もありました。こちらは天賞堂によるC57

一部はお召し列車にも使われ貴婦人とも呼ばれました。模型も緻密で気品がありますね。
参考記事:
鉄道博物館の案内 (ヒストリーゾーン)
リニア・鉄道館 前編(名古屋編)
こちらはEF55

大宮の鉄博に実物がある機関車です。ムーミンみたいな顔をしているのが可愛い
こちらはC5520

やはり流線形の機関車が大好きですw しかし点検が為難い&換気が悪いので運転士たちには評判が良くなかったそうです。レトロさと近未来感の両方が感じられるデザインは美し過ぎるんだけどなあ。
こちらは子供向けの玩具でロマンスカーの先頭車両

私はこのロマンスカーに乗ってた世代なので懐かしい。大好きな車両でした。
こちらは電気特急こだま

新幹線が走るまではこの列車がエースでした。流石にこの列車の現役時代には生まれていませんが、私はこのボンネット型の国鉄色の特急が大好きですw
こちらは佐々木朋哉 氏による東急世田谷線のジオラマ。

昭和から平成にかけての車両を混在させて1/43のスケールですべて手作りなのだとか。どこか懐かしさを感じさせる風景です。
こちらは1950年代の日本製のファンシートレイン

機関車トーマスの人気で作られたそうで、顔が付いています。デザインのクオリティはいまいちですが、電池やゼンマイなどで走るようです。昭和っぽい雰囲気がしますw
ということで、非常にクオリティの高いものからノスタルジックな玩具まで様々な鉄道に関する品が並んでいました。ここは無料で通りがかりに観ることが出来るので、京橋駅を使う機会があったら立ち寄ってみると良いかと思います。
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プロフィール
Author:21世紀のxxx者
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
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