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最近観た展示 (202206~07)

先週、コロナにかかってしまい1週間ほどふせっていました。それもあって最近ブログが停滞気味なので、最近観た展示をダイジェストでテンプレートだけでもご紹介しておこうと思います。

観たのは、
 ・スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち (東京都美術館)
 ・牧歌礼讃/楽園憧憬 アンドレ・ボーシャン+藤田龍児 (東京ステーションギャラリー)
 ・国立西洋美術館リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで (国立西洋美術館)
 ・ボテロ展 ふくよかな魔法 (Bunkamura ザ・ミュージアム)
 ・August Vilella個展「Memories」 (九段ハウス)
 ・ゲルハルト・リヒター展
 ・版画の〈うつす〉
 ・江口寿史イラストレーション展 彼女 —世界の誰にも描けない君の絵を描いている—





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【展覧名】
 スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち

【公式サイト】
 https://greats2022.jp/
 https://www.tobikan.jp/exhibition/2022_scotland.html

【会場】東京都美術館
【最寄】上野駅

【会期】2022年4月22日(金)~7月3日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらは日時指定で行ったのですが、非常に混雑していました…。
この展示はスコットランド国立美術館のコレクションを紹介するもので、ルネサンスから近代まで名だたる巨匠たちの作品が一堂に会するという豪華な内容でした。時代ごとに章分けされていて、西洋絵画の歴史を凝縮したような感じです。一方で、どの画家も1点~3点程度なので、もうちょっと各画家をじっくり観たいと思う気持ちもありました。(こういう大型展は毎回そう思ってますが)
その中でも「グランド・ツアー」や「グランド・マナー」、イギリスの肖像画家やラファエル前派など、ご当地ならではのコレクションが特に面白く感じ、質の高い作品に出会えました。



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【展覧名】
 牧歌礼讃/楽園憧憬 アンドレ・ボーシャン+藤田龍児

【公式サイト】
 https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202204_andre_fujita.html

【会場】東京ステーションギャラリー
【最寄】東京駅

【会期】2022年4月16日(土) ~ 7月10日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらはそれほど混むことなく自分のペースで観ることができました。
この展示は素朴派と呼ばれるアンドレ・ボーシャンと、日本の藤田龍児の2人を取り上げたもので、2人の間に特に交流などがあったわけではないけど響き合うものがあるということで2人展の形式となっていました。私はボーシャンの花の絵が好きなのでそれを目当てに行ったのですが、藤田龍児が予想以上に親しみやすい絵で好きになりました。ボーシャンは天然で素朴な絵を描いているというか、徴兵のときに身につけた測地術の描き方と植木職人としての目が為せる画風なわけですが、藤田龍児は一種の計算によって自分の美意識を反映させた素朴な絵画なように思えました。抽象的な絵だったのが大病の後に郷愁を誘うような画風へと変化していて、そうした変遷なども分かる内容が良かったです。気に入ったので図録も購入しました。





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【展覧名】
 国立西洋美術館リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで

【公式サイト】
 https://nature2022.jp/
 https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2022nature.html

【会場】国立西洋美術館
【最寄】上野駅

【会期】2022年6月4日(土)~9月11日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらはリニューアル記念ということで、国立西洋美術館のコレクションとドイツのフォルクヴァング美術館のコレクションが半々くらいで紹介されるという内容となっていました。半分はいつも観られるここの常設なのに2000円もするの?って最初は訝しがりましたw なので基本的にはフォルクヴァング美術館の品を中心に観ていったのですが、巨匠の作品の質も高いし、知らない画家の作品で良いのが結構あって、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの「夕日の前に立つ女性」などは特に印象的でした。

これ。撮影可能でした。
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他にも撮影可能な作品が多いので、スマフォやカメラを持参していくと良いかと思います。
全体的にボリュームもあったし、フォルクヴァング美術館の品だけでも十分に満足な内容です。





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【展覧名】
 ボテロ展 ふくよかな魔法

【公式サイト】
 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/22_botero/

【会場】Bunkamura ザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅

【会期】2022年4月29日(金)~7月3日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
会期末に行ったので混み合っていました。
こちらはフェルナンド・ボテロの久々の日本での個展で、これだけまとめて観られるのは滅多にない貴重な機会でした。サブタイトルにある通り、全体的に太って見える人物像をよく描くのが特徴で、ひと目で分かるユニークさがあります。初期作品から紹介されていたのですが、かなり早い時期からふっくらしていて、ギターのような楽器を描いているときに穴を小さく描いたことで ふくよかな魔法に目覚めたようでした。シュールさと親しみと可笑しみが混じり合った面白さがあって、全部太って見えるけど本人は太っている人を描いている訳ではないと言っていたのも面白いw 終盤は名画をモチーフにした作品もあり撮影可能でした。こちらも予想以上に楽しめたので図録を買いました。





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【展覧名】
 August Vilella個展「Memories」

【公式サイト】
 https://kudan.house/news/2022/06/%e5%b1%95%e8%a6%a7%e4%bc%9a%e3%81%ae%e3%81%8a%e7%9f%a5%e3%82%89%e3%81%9b-%ef%bc%8f%e3%83%90%e3%83%ab%e3%82%bb%e3%83%ad%e3%83%8a%e5%87%ba%e8%ba%ab%e3%81%ae%e3%82%a2%e3%83%bc%e3%83%86%e3%82%a3%e3%82%b9/

【会場】九段ハウス(旧山口萬吉邸)
【最寄】九段下駅

【会期】2022年7月2日(土)~7月18日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらは事前予約制でほぼ貸し切り状態で観られました。
この展示はバルセロナ出身のアーティストであるAugust Vilella(オーガスト・ヴィエラ)氏の個展で、JPSギャラリーが主催して旧山口萬吉邸とコラボしたものとなります。私の主目的は旧山口萬吉邸ではあったのですが、オーガスト・ヴィエラ氏の可愛らしく幻想的な動物たちの絵に癒やされます。地下の部屋で囲まれるように展示されて、静かにその世界観に浸ることができました。建物と共に作品も撮影可能だったのも嬉しい。
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建物の様子
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【展覧名】
 ゲルハルト・リヒター展

【公式サイト】
 https://richter.exhibit.jp/

【会場】東京国立近代美術館
【最寄】竹橋駅

【会期】2022年6月7日(火)~10月2日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらは事前予約制でしたが中は非常に混んでました。
ドイツの現代アートの巨匠であるゲルハルト・リヒターの大規模な個展で、絵画だけでなく写真、デジタルプリント、ガラス、鏡など様々な素材を使った作品が勢ぞろいとなっています。展覧会の監修も自ら務めたようで、時代順はバラバラなもののテーマごとに区切られていて、最初の部屋から度肝を抜かれるような光景となっていました。
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抽象的な作品が多いので1つ1つの作品について理解するのは難しいところもあるものの、直感的に分かる面白さや凄味があり 深く考えずに楽しんできました。この展示も大半が撮影可能となっているのも良かったです。





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【展覧名】
 版画の〈うつす〉

【公式サイト】
 http://www.tokyoartmuseum.com/exhibition.html

【会場】東京アートミュージアム
【最寄】仙川駅

【会期】2022年7月9日(土)~12月25日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
こちらは仙川の安藤忠雄ストリートにある安藤忠雄設計の建物を目当てに行ったのですが、若林奮、彦坂尚嘉、堀浩哉、辰野登恵子、舟越桂といった著名なアーティストの版画作品が建物内のあちこちに展示されていました。素描のようなものも多いのでじんわりした味わいではあるものの、其々の特徴を感じる作品もあったりして楽しめました。
安藤忠雄設計の自然光を取り入れた建物との調和も感じられ、静かな時間を過ごすことができます。
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【展覧名】
 江口寿史イラストレーション展 彼女 —世界の誰にも描けない君の絵を描いている—

【公式サイト】
 https://www.ima.or.jp/exhibition/temporary/20220716.html

【会場】岩手県立美術館
【最寄】盛岡駅

【会期】2022年7月16日(土)~9月4日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
岩手に遠征した時に観たもので、初日に行ったこともあり結構な賑わいぶりでした。
こちらは『ストップひばりくん』などで有名な漫画家の江口寿史 氏のイラストレーションの個展で、様々な雑誌や企業コラボで使われた原画やイラストが450点というかなりのボリュームで展示されています。中には大型絵画などもあり、いずれも清涼感ある美少女(ひばりくんは男ですがw)が描かれているのが特徴です。
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元々はギャグ漫画家だったのが、扉絵などでキュートな女子を描いていたのが人気を博して漫画を超えて現代の美人画とも言えるジャンルを築くに至っていて、コラボ先も様々です。この日は江口寿史 氏ご本人が美術館でインタビューを交えながらライブドローイングをしていて、その制作の様子も観ることができました。全作品撮影可能なのも嬉しかったのですが、この展示の図録が無かったのがちょっと残念。他のグッズは豊富でイラスト集はあったので、そっちを買っても良かったんだけどw
これのグッズ買いました
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10月には千葉にも巡回予定なので、一層に盛り上がる予感がします。




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メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年 (感想後編)【国立新美術館】

今日は前編に続き国立新美術館の「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」についてです。2章の途中から最後までご紹介して参ります。

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年

【公式サイト】
 https://met.exhn.jp/
 https://www.nact.jp/exhibition_special/2021/met/

【会場】国立新美術館
【最寄】乃木坂駅/六本木駅

【会期】2022年2月9日(水)~5月30日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
後半は最初のコーナーあたりに比べるとちょっと空いていたかな。大体どの展示でも後半になるほど空いてますw


<II.絶対主義と啓蒙主義の時代>
前編に引き続き、17~18世紀頃の作品のコーナーです。

23 ピーテル・クラース 「髑髏と羽根ペンのある静物」 ★こちらで観られます
こちらは典型的な「ヴァニタス」と言われる精密かつ意味深な静物画です。タイトル通り本に乗った髑髏と手前に羽ペンや倒れたグラス、奥にオイルランプなどが描かれています。それぞれのモチーフに意味があり、髑髏は死、本は努力や知識、オイルランプの煙は時の流れなどを示し、人生の儚さと共に信仰による救いなどを示します。手前のグラスには反射で窓が写りこんでいるなど質感表現も見事で、この時代のスーパーリアリティといったところでしょうか。一種の謎解きのような要素のある作品です。

33 レンブラント・ファン・レイン 「フローラ」 ★こちらで観られます
こちらは花の女神の名前がタイトルになっていて、花飾りのついた帽子の女性が横向きで手に果実のようなものを持っています。この構図はティツィアーノの「フローラ」などを参考にしたと考えられ、モデルはレンブラントの妻のサスキアと考えられていましたが、この作品が描かれる10年以上前に亡くなっています。まあ詳しいことは分かりませんが、顔は写実的であるものの周りは大胆な描写となっていて、それが違和感なく調和しているのが流石です。やや力なく儚げな雰囲気の女性像でした。

32 ヨハネス・フェルメール 「信仰の寓意」 ★こちらで観られます
こちらは大きな磔刑図の前で胸に手を当てて地球儀を足で踏んでいる青い衣の女性像です。左側には画面を塞ぐようにカーテンのようなものが描かれ大胆な画面構成に思えます。この女性は信仰を擬人化したもので、胸に手を当てる仕草は心の中の信仰、地球儀を踏むのはカトリック教会による世界の統治を示すそうです。また、十字架・杯・ミサ典書が乗ったテーブルは聖餐式を暗示、原罪を表す林檎、キリストの隠喩である教会の「隅の親石」に押しつぶされた蛇など宗教的なモチーフが散りばめられています。この頃、オランダはプロテスタントだったわけですが、家の中の教会でミサや集会を行うのは容認されていたようで、フェルメールも恐らく1653年の結婚を機にカトリックに改宗しています。フェルメールにしては珍しい題材であるものの、室内の人物という点ではフェルメールらしさを感じる複雑な構成に思えます。上からぶら下がってるガラス球が何だか気になりましたが、これも天を表すようで解説無しでは分からないものも多かったですw 精緻で陰影に富み、ややぼんやりした感じが特徴的でした。

38 ヤン・ステーン 「テラスの陽気な集い」
こちらは乱痴気騒ぎをしているテラスの様子を描いた作品。ヤン・ステーンはこうした愚かな人々の行いを描いて、その中に教訓を込める作風なわけですがこの作品でも遺憾なくそれが発揮されています。左の方には自画像と思われる姿もあり、自戒の意味もあるのかな?と思ったり。

18 ペーテル・パウル・ルーベンス 「聖家族と聖フランチェスコ、聖アンナ、幼い洗礼者聖ヨハネ」
こちらは中央にキリスト、左に聖フランチェスコ、右上に聖ヨセフ(後世に加筆)、聖母マリア、聖アンナ、洗礼者ヨハネといった聖家族が描かれた作品です。斜めの構図となっていて目の動きが中央の聖家族に向かうようになっていて、柔らかくも強い陰影と滑らかな肌がルーベンスらしい気品を感じさせました。ルーベンスは本当に遠くから観ても分かるくらい鮮やかな色彩ですね。

この辺にはベラスケスも2点ほどありました。有名どころが惜しげなく出てきますw

42 フランソワ・ブーシェ 「ヴィーナスの化粧」 ★こちらで観られます
こちらはロココ時代最盛期の画家による作品で、裸体のヴィーナスが身をくねらせ耳に手を当てて化粧をしているようです。透き通るような肌で、息子のキューピッドやバラ、腕に白い鳩を抱くなどヴィーナスの象徴も描かれています。ルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人の身繕いの部屋に置かれたそうで、明るく軽やかな色彩で華やかな雰囲気でした。ちょっと甘ったるいw

45 マリー・ドニーズ・ヴィレール 「マリー・ジョゼフィーヌ・シャルロット・デュ・ヴァル・ドーニュ(1868年没)」 ★こちらで観られます
こちらは女性画家による作品で、一時は新古典主義の巨匠のダヴィッドの作品と思われていたほどの腕前です。窓辺でソファに座ってこちらを観ている女性が描かれ、スケッチブックに絵を描いてるのかな? 強い光の輪郭が神々しいほどで、背景には割れたガラス越しに語らう男女や見えて何かを示唆しているようにも思えます。真剣な表情と陰影が非常に印象に残る作品でした。


<III.革命と人々のための芸術>
最後の3章は近代絵画のコーナーです。19世紀から20世紀初頭くらいの作品が並んでいました。

48 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 「ヴェネツィア、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の前廊から望む」 ★こちらで観られます
こちらはヴェネツィアの川と舟やゴンドラを描いた作品で、ターナーは44歳の時に初めてイタリアを旅して以来この国に魅せられたそうで、特にヴェネツィアを愛しました。実景とは微妙に異なり風景の魅力を強調しているとのことで、半ば理想郷のような光景に思えます。水彩画のような淡く透明感のある色彩で、やや湿気を帯びたような雰囲気すらありました。

50 ギュスターヴ・クールベ 「水浴する若い女性」
こちらは水浴する女性を描いた作品ですが、写実主義のクールベは理想化することなく現実的な女性を描いています。腰回りの脂肪やセルライトのボコボコまで表現してると解説されていましたが、確かにこれまでの時代の裸婦には無いようなお肉がw 特にお尻に肉が付いてて、美しさというよりもありのまま描くことを貫いているのが伝わってくるようでした。近くにあったアカデミズム画家ジャン=レオン・ジェロームの「ピュグマリオンとガラテア」(★こちらで観られます)と比べるとえらい違いですw

この辺にはコローなどもありました。

53 オノレ・ドーミエ 「三等客車」
こちらはお客がぎっしり詰まった三等客車を描いた作品です。粗いタッチで茶色がかった重苦しい色彩で、押し黙っているような雰囲気が漂います。一方で乳をあげる母など庶民の暮らしをリアルに伝えていて、この時代の空気感が伝わってきました。

56 オーギュスト・ルノワール 「海辺にて」
こちらはフランスのノルマンディー地方の海岸を描いた作品で、かなりぼんやりしているものの、その中にいる女性はくっきり描かれています。印象派と古典的な技法を組み合わせて描いていて、顔は滑らかで丁寧に仕上げ、服などは印象派っぽく描くといった表現となっていました。ルノワールの女性美も流石です。

この辺にはセザンヌの風景画もありました。セザンヌの理論がキュビスムに繋がっていったのが分かるような構図で面白い。

60 ポール・ゴーギャン 「タヒチの風景」
こちらはゴーギャンがタヒチに最初に滞在したときの風景画で、赤や黄色など目に鮮やかな色彩で描かれています。しかし割りと写実的に描いていて、色もまだドギツいほどでもなく控えめで素朴な印象を受けました。

この隣にはアルル時代のゴッホの作品もありました。

65 クロード・モネ 「睡蓮」 ★こちらで観られます
こちらはモネを代表する連作の1枚で、大画面に紫や青の葉っぱが浮かび、赤い花を咲かれています。反射で映り込んだ木などは一体化していて、遠近感がないのですがこれはモネが白内障を患っていたのが原因のようです。しかしそれが却って大胆かつ抽象的な雰囲気となっていて、新しい表現に繋がっていったのを感じます。これだけ大型の睡蓮は久々で驚きました。


ということで、今回の展示は有名な画家ばかりな上に その画家の中でも良い作品が観られてかなり満足できました。長く記憶に残りそうな展示です。



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メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年 (感想前編)【国立新美術館】

前回ご紹介した展示を観たあと、同じ国立新美術館の1階で「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」を観てきました。この展示は既に終了していますが今後の参考にもなるので記事にしておこうと思います。

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【展覧名】
 メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年

【公式サイト】
 https://met.exhn.jp/
 https://www.nact.jp/exhibition_special/2021/met/

【会場】国立新美術館
【最寄】乃木坂駅/六本木駅

【会期】2022年2月9日(水)~5月30日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
時間指定の意味があるのか?というくらい混んでいて、あちこちで人だかりが出来ていました。

さて、この展示はアメリカのニューヨークにあるメトロポリタン美術館のコレクションを紹介するもので、ルネサンス前後から近代にかけて西洋絵画の歴史を俯瞰するような超豪華なラインナップとなっていました。名だたる巨匠の作品ばかりで日本初公開の作品も多々あり、絵画ファンには見逃せない内容だったと思います。3章構成となっていましたので、各章ごとに気に入った作品と共にその様子を振り返って参ります。


<I.信仰とルネサンス>
まずはルネサンスの頃からのコーナーです。ここは時代的にも神話や宗教画が中心となっていました。

8 フラ・フィリッポ・リッピ 「玉座の聖母子と二人の天使」
青と赤の衣を着たマリアが赤ん坊のキリストを抱いて座り、その背後に天使が向き合うように立っている姿が描かれた作品です。左の天使は巻物を持っていて、旧約聖書の一節が書かれているようです。また、キリストは真正面を向いて本を開いていて やや硬い表情に見えるかな。右足をこちらに向けることで奥行きを出していて、この時代の作品にしては立体感があるように思いました。

1 フラ・アンジェリコ(本名 グイド・ディ・ピエトロ) 「キリストの磔刑」 ★こちらで観られます
こちらは上部がドーム型になった作品で、キリストが磔刑にされて周りに多くの人が集まり、手前ではマリアが倒れ込んでいる姿が描かれています。打ちひしがれる悲壮な雰囲気や、槍で点かれてキリストの脇腹から血が滴る様子など細やかかつドラマチックになっていて、感情表現が豊かなのがルネサンスの特徴と言えます。作者は「天使のような修道士」という意味の通り名で、遠近法を用いて3次元空間を表現した最初の画家の1人とされています。まるでその場にいるような光景を表したのは画期的だったのでしょうね。

15 エル・グレコ(本名 ドメニコス・テオトコプーロス) 「羊飼いの礼拝」 ★こちらで観られます
こちらは中央に生まれたばかりのキリストが描かれ、その周りには礼拝しにきた羊飼いや天使などが描かれています。キリストから強い光が放たれているような陰影となっていて、神秘的な雰囲気となっています。くすんだ色合いや縦に引き伸ばされたような描写にエル・グレコっぽさを感じるかな。身振り手振りも大きくドラマチックで動きも感じられました。

17 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 「ヴィーナスとアドニス」 ★こちらで観られます
こちらは狩りでイノシシに突き殺される直前のアドニスと、狩りに行くのを抱きしめて止めようとしている恋人のヴィーナスが描かれています。仰け反るような裸体のヴィーナスやアドニスの踏み込む姿勢などは動きがあってルネサンスからバロック的な表現になっているようにも感じます。陰影も巧みで2人に光が当たって瑞々しい肉体美となっていました。

5 ラファエロ・サンツィオ(サンティ) 「ゲッセマネの祈り」 ★こちらで観られます
こちらはラファエロの20歳頃の作品で、キリストが最後の晩餐の後にオリーブ山で祈りを捧げている様子が描かれています。周りには寝てしまった弟子たちがいて、右上には天使がキリストに向かっていくような感じで浮遊しています。リアリティのある細やかな描写で聖書の場面を忠実に表し、画面は鮮やかでありながら落ち着いた色彩となっていました。若くして気品すら感じられる画風です。

14 ルカス・クラーナハ(父) 「パリスの審判」 ★こちらで観られます
ユノ(ヘラ)、ミネルヴァ(アテナ)、ヴィーナス(アフロディーテ)の三女神の誰が最も美しいか?をパリスが選ぶという頻出の画題の作品です。ここではパリスは牧童ではなく甲冑を着たトロイアの王子としての姿で描かれ、裸体の三女神を見上げるような感じとなっています。女神たちはほっそりした体に小ぶりな乳房というクラーナハ特有の姿となっていて、スラッとした印象となっています。それぞれ横向き、正面向き、後ろ姿となっていて、やや官能的な雰囲気すらあるかな。中央には水晶玉を持つメリクリウス(伝令の神)、左上にはキューピッドの姿もあって物語の流れも詰め込まれているように思いました。


<II.絶対主義と啓蒙主義の時代>
続いては王家による絶対主義の17世紀から、啓蒙思想が隆盛した18世紀にかけての時代のコーナーです。宗教改革/対抗宗教改革の影響もあって主題の幅も広がっています。

25 アンニーバレ・カラッチ 「猫をからかう二人の子ども」
こちらは兄妹らしき子供が右下の猫にザリガニのようなものを突きつけてニヤニヤしている様子が描かれています。猫は体を丸めて警戒しているように見えて可哀そう。。。子供の無邪気な残酷さのようなものを感じました。

28 シモン・ヴーエ 「ギターを弾く女性」
こちらはタイトルの通りギターを弾いている女性を描いたもので、かなり写実的に描かれています。陰影が濃くドラマチックな光となっていて赤みがかった肌なども含めてカラヴァッジョからの影響ではないか?と思わせる作風でした。この隣にカラヴァッジョがあったのでそう思ったのかもw

26 カラヴァッジョ(本名 ミケランジェロ・メリージ) 「音楽家たち」 ★こちらで観られます
こちらは駆け出しだった26歳のカラヴァッジョが、最初のパトロンとなったデル・モンテ枢機卿のために描いたもので、そのパトロンの元に集まった音楽家の青年たちが描かれています。後ろ姿で楽譜?を観ている人、リュートらしき楽器を持つ人などがいて、奥で角笛を持ってこちらを観ている人はカラヴァッジョの自画像とも言われているようです。濃い陰影で描かれた半裸の青年たちの肌が透き通るような白さで、気怠い表情も妙に色っぽいのでカラヴァッジョが同性愛者ではないかと言われるのも分かる気がします。解説によると左端にキューピッドもいるので「音楽」と「愛」の寓意が込められているのではとのことでした。これだけの傑作を目にできるとは驚きです。

27 ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 「女占い師」 ★こちらで観られます
こちらは今回のポスターにもなっている作品で、若者が占い師の老婆に占ってもらっている様子を描いたもので、周りには3人の女性の姿もあります。占いで気を引いている間に周りの女性達が宝飾品をスリ盗ってるわけですが、この時代の作品では占い師が出てくると大体こんな感じの胡散臭い役割ですw 若者も若干奇抜な衣装をしているのは芝居にヒントを得たのではないか?とのことで鋭い目線で警戒している感じがします。(老婆は囮なわけですがw) この画家は「昼の絵」と「夜の絵」に大分され、私は夜の絵の光の超絶技巧のほうが好きですが この絵も昼の絵は代表作と言えるほどの傑作となっています。非常に色鮮やかなのはカラヴァッジョの影響が指摘されているようですが、どうやってそれを知ったのかは謎なのだとか。これだけの実力がありながら死後急速に忘れられて、20世紀になって再評価されたというのも数奇な画家ですね。


ということで2章の途中ですが長くなってきたので残りは後編とします。前半だけでも驚いていたけどこの後も良い作品ばかりでしたので、次回はその様子をお伝えしようと思います。

 → 後編はこちら



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ダミアン・ハースト 桜 【国立新美術館】

GW中に六本木の国立新美術館で「ダミアン・ハースト 桜」を観てきました。この展示は撮影可能でしたので、写真を使ってご紹介して参ります。

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【展覧名】
 ダミアン・ハースト 桜

【公式サイト】
 https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/damienhirst/

【会場】国立新美術館
【最寄】乃木坂駅/六本木駅

【会期】2022年3月2日(水)~5月23日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
GWとは言え平日だったこともあり、事前予約なしでもそれほど混み合うこともなく快適に鑑賞することができました。

さて、この展示はイギリスを代表する現代作家であるダミアン・ハーストの「桜」シリーズを一挙に紹介するもので、2021年にカルティエ現代美術財団が初めて紹介し、世界で高く評価されたものです。ダミアン・ハーストは有名なわりに関東圏では2008年の「英国美術の現代史:ターナー賞の歩み」(森美術館)で展示されたのは覚えているけど、それ以降は恐らく大型展ではお目にかける機会がなかったのではないかと思います。その為、ダミアン・ハーストといえば動物を輪切りにするというショッキングな作風というイメージのままだったのですが、今回の出品作はいずれもアクション・ペインティング風の大型絵画ということでちょっと意外でした。詳しくは撮ってきた写真と共にご紹介して参ります。


ダミアン・ハースト 「生命の桜」
DSC04937_20220523003058d4d.jpg
こちらは3連の桜。かなりの大型の画面で、実物大の桜を目の当たりにしているような没入感があります。花は明るく感じられ、幹も力強く伸びるなど生命力にあふれる雰囲気です。今回はこうした作品が四方の壁に並び、圧巻の光景となっていました。

絵を近くで見るとこんな感じ。
DSC04941_20220523003059253.jpg
かなりダイナミックな表現となっています。大型の筆で新印象主義のように点描したり、ジャクソン・ポロックのアクションペインティングのように絵の具を飛沫にして飛ばすような描き方をしているようです。

ダミアン・ハースト 「山桜」
DSC04946.jpg
こちらは2連の桜。所々に赤や白だけでなく緑や青、黄色など様々な色を混ぜています。関係ない色を混ぜたほうがリアルに感じられるというのが視覚の不思議で面白いところです。

ダミアン・ハーストはこれ以前に「ベール・ペインティング」という点描の抽象画を描いていて、それが木に見えたということで桜に繋がっていったと語っています。抽象と具象の合間で、子供の頃に観た母親の桜の絵や、ボナールやベーコンといった過去の巨匠に影響を受けたのだとか。

ダミアン・ハースト 「早咲きの桜」
DSC04980.jpg
似た作品が多いけどよく見ると色合いがちょっとずつ違っていて、これは赤みが強めかな。空も一際青々としています。これは特にボナールっぽく感じる。

こちらもアップするとこんな感じ。
DSC04981_2022052300310678a.jpg
幾重にも厚塗りされていて(と言うか飛沫を筆先から投げて叩きつける)、近くに寄りすぎると何だか分かりませんw 自然界にはルールが無いのでルールを作っては壊すという作業を繰り返したそうで、ロックダウン中に助手がいない時は1人で没頭していたのだとか。

ダミアン・ハースト 「神聖な日の桜」
DSC04995_20220523003107c0a.jpg
こちらも巨大な桜。これだけ大きいのは自信の現れでもあると語っています。本人は攻撃的な絵を目指していたのに、ある人から「恋している?」と聞かれて確かにそう感じることもあったようです。

ダミアン・ハースト 「この桜より大きな愛はない」
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一番の見所は奥の部屋にあったこちら。4面セットで最も大きく見栄えがします。本物の桜より枝の付き方がうねうねしているけど、それが勢いを感じさせて迫りくるものがありました。

休憩スペースではこの作品の制作の様子を交えたダミアン・ハーストのインタビューを流していました。
DSC05030.jpg
これは公式サイトでも観ることができます。軽くダミアン・ハーストが辿った変遷にも触れていて、作品を知らない空白期間も何となく分かりましたw

 公式サイト:https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/damienhirst/


ということで、ダミアン・ハーストの新たな一面を知ることが出来ました。あまり難しいことを考えなくても桜の木々に囲まれるような華やかで儚い雰囲気を味合うこともでき、開催期間にぴったりの内容だったと思います。いつかしっかりとした個展も観てみたいアーティストです。


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最後の印象派、二大巨匠 シダネルとマルタン展 【SOMPO美術館】

先日ダイジェストでご紹介した通り、GWの少し前に新宿のSOMPO美術館で「最後の印象派、二大巨匠 シダネルとマルタン展」を観てきました。

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【展覧名】
 最後の印象派、二大巨匠 シダネルとマルタン展

【公式サイト】
 https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2021/sidaner-martin/

【会場】SOMPO美術館
【最寄】新宿駅

【会期】2022年03月26日(土)~ 06月26日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
時間指定は無かったものの混んでいるという程でもなく概ね自分のペースで観ることができました。

さて、この展示は印象派の後の時代に新印象主義や象徴派を取り入れて独自の画風を築き上げたアンリ・マルタンとアンリ・ル・シダネルの2人を取り上げたもので、深い友情があったこともあって2人展という形となっています。ちょうど10年ほど前にこの美術館でシダネルの個展をやっていましたが、その展示が長らく記憶にあり今回も楽しみにしていました。(今回は特に細かいメモを取っていませのでシダネル については以前の記事をご参照ください) 3点ほど撮影可能となっていましたのでそれを使って簡単に振り返ってみようと思います。

 参考記事:
  アンリ・ル・シダネル展 (埼玉県立近代美術館)
  アンリ・ル・シダネル展 2回目(埼玉県立近代美術館)
  薔薇と光の画家 アンリ・ル・シダネル展 -フランス ジェルブロワの風- (損保ジャパン東郷青児美術館)

今回は時系列的だったものの2人が交互に紹介されるのでちょっと分かりづらい所もあったかな。写真が撮れたのは展示中盤以降の作品で、初期は撮れなかったのですがマルタンは割りと最初の頃から新印象主義のような大きな筆跡と明るい色彩が特徴のように思えました。

アンリ・マルタン 「腰掛ける少女」
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こちらはポスターを撮ったもの。明暗が深くて色が強く感じられます。印象派の筆触分割みたいだけど、俯いている女性からは象徴主義的な内面の表現も感じるかな。

アンリ・マルタン 「ガブリエルと無花果の木(エルベクール医師邸の食堂の装飾画のための習作)」
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マルタンは画家として名声を得てフランス国務院など国の機関の壁画をはじめ、大画面の仕事を多く残しています。今回の展示ではそうした装飾壁画の原画が出品されているのが目玉で、これは医師の家の食堂の装飾画の習作。実際に観ると習作と言えど十分に大きな作品で、目の前にこの光景が広がっているような迫力があります。のんびりとしながら色彩豊かで、強い光を感じる表現がマルタンの特徴かな。南仏を活動拠点にしていったのも頷ける画風ではないでしょうか。

アンリ・マルタン 「二番草」
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こちらは先述の国務院の「農業」に通じるモチーフが描かれた作品。小さな写真でも筆致の大胆さがわかるのではないでしょうか。額縁のように縁の部分を自分で描いているのも面白く、絵が引き締まって見えます。平和な光景で何かを意味してそうな感じが象徴主義からの影響かな。

一方のシダネルも充実した内容でした。初期は色彩が静かな作品が多く詩情を感じさせ 次第に象徴主義的な儚さすら感じさせる作品が出てきます。やがてフランドルに滞在した頃から画風が変化し、やがて「アンティミスト」という身近なもの(特に室内画)を情感を込めて描くようになってきます。

アンリ・ル・シダネル 「ジェルブロワ、テラスの食卓」
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こちらはシダネルらしさが詰まった作品。シダネルは春と秋は各地に取材に行き、夏はジェルブロワで過ごして周りでスケッチしてアトリエで仕上げ、冬はヴェルサイユなど暖かい所でサロンへの出品に備えるという生活をしていました。人が描かれていないけど、手前のテーブルに食事の用意があって存在を感じさせます。これは日本の留守模様に通じる人となりを想像させるような洒脱さを感じます。手前が暗くて奥が明るいのも絵としては変わってるけど日常感があってここにいるような気分になります。そしてこの落ち着いた色彩が何とも素晴らしい。明暗が強いのに柔らかい空気感で幸せな雰囲気です。

この他にも期待していた通りシダネルらしさを感じる作品が並んでいました。シダネルはジェルブロワでは自らバラ園を作ってそれを描くなど、観ていて心が癒やされるような光景を多く残しました。一方で寒々しく誰もいない冬の街や夜の街から温かい明かりの灯る家を描いた作品などもあり、叙情性の高い作風となっています。


ということで、大満足で図録も買いました。特にシダネルは私自身の絵や写真で参考にしている部分が大きいので、改めてその素晴らしさに浸ってきました。そんなこともあって今季推したい展示No.1です。


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