関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

美術を変えた9人の画家 【ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX】

早めに紹介しておかないと会期が終わってしまうので、差込でポーラミュージアムアネックスの「美術を変えた9人の画家」をご紹介します。
2年に及ぶ改装に入っていた銀座のポーラミュージアムアネックスが帰ってきたというので、早速観にいってきました。 ってか、改装ってビル丸ごと建て直したんですね。どおりで2年もかかるわけだ…。ここは無料で20時までやっている素晴らしい美術スペースですので、今後も大いに期待したい所です。

↓こんな感じに生まれ変わりました。
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今回の展示は復活記念ということで、箱根のポーラ美術館の常設作品の中から選りすぐりの11枚が展示されていました。
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【展覧名】
 ポーラ銀座ビル オープニング特別企画 美術を変えた9人の画家

【公式サイト】
 http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/detail.html

【会場】ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX
 新しくなって帰ってきました!


【最寄】東京メトロ 銀座駅・銀座一丁目駅 JR有楽町駅
【会期】2009年10月3日(土) ~10月25日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
以前のアネックスは普通のビルの中の部屋という感じで若干狭かったですが、そこそこ広い美術館らしいスペースとなって帰ってきました。絵画11点で丁度ぐらいのスペースです。無料でこれだけ素晴らしい内容というのもあってか、中々の盛況ぶりでした。
内容も「美術を変えた9人の画家」という展覧会名に相応しい面子で、まさにポーラ美術館の顔とも言える作品が揃い踏みだったのは驚きでした。(参考記事として、箱根のポーラ美術館で観た時の感想へのリンクも張っておきました。)
折角なので、11点全てをご紹介しようかと思います。美術ファンの方には今更ですが、各画家がどう美術を変えたのか軽く説明も入れようかと。 

クロード・モネ 「サン=ラザール駅の線路」 ★こちらで観られます (以前の感想はこちら
あちこちの展覧会で「印象派」の作品を観ますが、モネはその印象派の語源となった「印象 日の出」を描いた画家として、「美術を変えた画家」と呼ぶに相応しいと思います。この絵は、駅近くの線路で機関車が蒸気をあげている様子が描かれていて、その蒸気の微妙な濃淡や動きを見事に表現しています。今まで色々な場所で何度も観ていますが、観るたびに感動できる作品です。

クロード・モネ 「セーヌ河の日没、冬」 ★こちらで観られます (以前の感想はこちら
川に沈み行く夕陽を描いた作品です。川には氷が浮かび、夕陽のグラデーションを水面に映しています。郷愁を誘われる一方で、明るい色彩から穏やかさを感じました。

ピエール・オーギュスト・ルノワール 「レースの帽子の少女」 ★こちらで観られます (以前の感想はこちら
ポーラ美術館の看板娘まで着ているとは驚きです。このオープニングにかける意気込みを感じます。 この絵は可憐さ溢れる女性の横顔です。真珠のような肌が若々しく生命感に溢れていて、うっとりするような表情も魅力的です。 (と、メモに書いた感想が以前に書いた感想とほとんど同じだったw)

ポール・セザンヌ 「砂糖壷、梨とテーブルクロス」 ★こちらで観られます
セザンヌもまた近代絵画の父として、相当多くの芸術家に影響を与えているので、この展覧にぴったりの画家でしょう。この絵はタイトル通りのものがテーブルに置かれた静物画です。たくさんの洋ナシは皿の上から転がって皿からはみ出たような動きを想像させます。キュビスムに影響を与えたのが分かるような、三角や球のような形状が多いのも見所でした。

ポール・シニャック 「オーセールの橋」 ★こちらで観られます
点描の技法で新印象主義を開いたシニャックも時代を築いた一人でしょう。川に架かる橋とその向こうに見える教会らしき建物を描いています。離れてみると、点描による補色効果で点と点がくっつき、混ざった色に見えるのが面白いです。光の表現が広がって革新的だったようです。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「アザミの花」 ★こちらで観られます (以前の感想はこちら
フォーヴィスム等に影響を与えたゴッホも、美術のあり方を変えた画家として相応しいと思います。この絵は薄い緑を背景にアザミの青い花と緑の葉が描かれていて、全体的に爽やかな雰囲気です。その一方で、筆遣いの力強さからどっしりとした生命感も感じます。ゴッホの作品は間近で観ると絵の具の塗り方に驚きますので、是非近くで観ていただきたい1品です。

マルク・シャガール 「私と村」 ★こちらで観られます
今回のポスターの作品。個人的にはシャガールはあまり好みではなかったりしますがエコール・ド・パリを語る上では欠かせません。 青・赤・緑といった鮮やかな色彩は彼の典型的な画風だと思います。愛や故郷を題材にし続けた彼らしいモチーフも夢の中のような不思議な感覚を覚えさせます。

レオナール・フジタ 「誕生日」
エコール・ド・パリといったらフジタも重要人物です。日本的な乳白色と細い線が有名な作風ですが、これは多彩な色彩になった老年期の作品だと思います。テーブルを囲っている子供や窓の外から部屋の様子を伺う子供などを描いていて、絵本のような可愛さがあります。フジタらしい茶目っ気ある絵でした。

ジョルジュ・ブラック 「ギターのある静物(バラ色の背景)」
ピカソと共にキュビスムを作り上げたブラック。キュビスムは事物を分解し曲線や直線を多用して再構成するという手法ですが、この作品でもその独特の技法がわかります。バラ色のテーブルに乗った花瓶やギターの2次元を超越した立体的な表現を試みた手法が面白いです。

パブロ・ピカソ 「母子像」 (以前の感想はこちら
美術好きでなくても誰でも知っているピカソ。この展覧の最後を飾るのに相応しいでしょう。 ピカソの作風は何度も変わりますが、この作品は新古典主義時代のものでしょう。子供を抱く母の大きな腕や体の肉が大きな塊のようになっている赤ん坊からは原始美術のような力強さがあります。母子のふれあいの中に生命力が溢れているようでした。

パブロ・ピカソ 「帽子の女」
一般に、ピカソはわけのわからないお化けみたいな絵を描く!というイメージがあるようですが、これはまさにその典型ではw 黄色い帽子と赤いドレスを着た最後の妻ジャクリーヌを描いたものですが、顔はお化けそのものw 大きな片目や横向きの唇など実際の様子とかけ離れていますが、これは横向きや正面からの様子をダブルイメージにして表現しているように見えます。ピカソを完全に理解するのは難しいですが、彼の作風の変遷を知ると面白い作品です。


ということで、無料とは思えないほどの充実振りです。銀座の真ん中で無料、20時まで営業という多くの人が楽しめる素晴らしいサービスぶりとなっていますので、頻繁にチェックしてみると面白いかと思います。もうすぐ終わってしまうので興味を持っている方はお早めに…。
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THE ハプスブルク(ハプスブルク展) 【国立新美術館】

最近忙しくて更新できない日が多かったせいか、アクセス数もブログランキングも激減してモチベーションも低下気味です…。 そこで、気を取り直して今注目のハプスブルク展を先にご紹介して活気づけようと思います。ハプスブルクという響きだけでメチャクチャ混みそうな気がしたので、休日出勤した代休を使って平日に行ってきました。

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【展覧名】
THE ハプスブルク
Treasures of the Habsburg Monarchy
- 140th Jubilee of the Friendship Treaty
between Austria - Hungary and Japan

【公式サイト】
 http://www.habsburgs.jp/
 http://www.nact.jp/exhibition_special/2009/03/habsburg.html

【会場】国立新美術館 企画展示室1E
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2009年9月25日(金)~12月14日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況(平日14時半頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
平日でも結構混んでいましたが、想定の範囲内でよかったw それなりに自分のペースで観られました。コレクションを国別で章立てしている感じで説明も多かったのですが、これだけ集まると一気に全部理解するのは大変かもしれません。
とりあえず気に入った作品をいくつかメモしてきたのでご紹介。

<ハプスブルグ家の肖像画>
最初のコーナーはハプスブルグ家の人々の肖像です。ハプスブルグ家の人は、肖像画はありのままの姿を描かせていたそうで、18世紀~19世紀にかけては理想化された像になっていったようです。ありのままでもかなりのイケメン&美女ですw

ハンス・フォン・アーヘン 「神聖ローマ皇帝ルドルフ2世」
ハプスブルグのコレクションの基礎を築いた皇帝の肖像。この皇帝の名前を聞いて、今年の夏ごろにbunkamuraで開催された騙し絵展で、野菜や果物が組み合わさって描かれた肖像画があったのを思い出す方もいるかと思います。(参考記事 奇想の王国 だまし絵展
かなりの変わり者だったようで、生涯独身で画家等の芸術家にしか会わず、審美眼が鋭い人物だったそうです。変わり者と言われても流石、皇帝らしいどっしりとした風格が漂っていました。

アンドレアス・メラー 「11歳の女帝マリア・テレジア」 ★こちらで観られます
女帝、マリア・テレジアの肖像です。この展覧ではマリア・テレジア関連の品々が結構ありました。11歳とは思えないぐらい気品と風格を身につけていて、若々しさや意志の強さを感じる肖像でした。流石、ハプスブルグ家の黄金時代を築いた人は子供の頃からオーラが違いますね。
(参考:マリア・テレジアのwiki マリー・アントワネットのお母さんでもあります)

フランツ・クサファー・ヴィンター・ハルター 「オーストリア皇妃エリザベート」 ★こちらで観られます
フランツ・ヨーゼフ1世の妃です。左半身をむけ、振り返った姿が描かれています。質感までも伝わってくるような白いドレスを着ていて、穏やかな眼差しをしています。元々小顔でスタイル抜群(死ぬまでウェスト50cmをキープしたほど)な上、ボリュームのあるドレスが存在感を強めているようでした。隣には旦那のフランツ・ヨーゼフ1世の肖像も飾られていました。かなり本気で愛し合っていたようです。
(参考:エリーザベト (オーストリア皇后)のwiki 写真をみるとかなり絵に似ています。最後はアナーキストにやすりで刺されて暗殺されました…。 )

<イタリア絵画>
ここから国別です。まずはイタリア絵画

ラファエッロ・サンティ 「若い男の肖像」
すげえ、ラファエロまで来てるよ…。赤い帽子を被った男性の像です。髪が長くて帽子の左右から出た髪が犬の耳みたいw 山や林を背景に、非常に優しい表情を浮かべていました。ラファエロ本人かと思いましたが違うっぽいです。

ロレンツォ・ロット 「聖母子と聖カタリナ、聖トマス」
左から順に、天使→聖母子(マリア、キリスト)→聖カタリナ→聖トマスの順で並んだ大画面の作品。マリアの青い鮮やかな衣が一際爽やかな印象でした。聖者達の頭上にある木から微妙に落ちる影の表現まで描かれていて驚きでした。

ジョルジョーネ(本名ジョルジョ・ダ・カステルフランコ) 「矢を持った少年」 ★こちらで観られます
何者かはわからないようですが、矢を持った赤い服の少年の像です。ちょっと女性っぽいかな。何かを訴えるような目でこちらをじっとみつめているのが印象的でした。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 「イザベッラ・デステ」
このイザベッラは才色兼備の女性だったらしく、これまた意思の強そうな顔をしています。ターバンのような帽子を被っていて、これは彼女が考案した帽子のようです。手には大きな獣の尻尾(羽かも)を持っていて、とても豪奢な感じでした。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 「聖母子と聖パウロ」 ★こちらで観られます
キリストを抱いたマリアと本を持った聖パウロが会話しているようなシーンが描かれています。パウロは注文主の姿を反映させているそうです。柔らかで鮮明な色使いで、肌に瑞々しい生気が感じられました。
ちなみに、最も偉大と呼ばれるカール5世は、ティツィアーノを「現代のアペレス」と呼んで、ティツィアーノにしか自分の肖像を描かせなかったという説明がありました。「アペレス」というのはアレクサンダー大王の肖像を描いていた伝説的な画家で、自分をアレクサンダー大王になぞらえてそう表現したそうです。

ヴェロネーゼ(本名パオロ・カリアーリ) 「ホロフェルネスの首を持つユディット」
生首を持っている若い女性を描いた作品です。これはユダヤの女性「ユディット」が、酒を飲ませ泥酔させた敵の将軍「ホロフェルネス」の首を切って、袋に詰めるシーンです。女性は至って冷静そうな顔で、奇妙な気品がありました。生首と美女というコントラストが面白かったです。なお、この展覧の半ばにも同じ主題の絵がありました。

ジョヴァンニ・アントニオ・ブッリーニ 「オルフェウスとエウリュディケ」
吟遊詩人のオルフェウスは、冥界まで死んだ妻エウリュディケを連れ戻しに行って、冥界の王ハーデスの許しを得たものの「地上に出るまで妻の顔を観てはいけない(後ろを振り返ってはいけない)」と言われたのに、最後の最後で観てしまったという物語を主題にしています。
(参考:オルペウスのwiki) 
この絵は、手を開き苦しそうな表情の妻エウリュディケと妻に腕を伸ばしているオルフェウスが描かれています。2人には強い光が当たったようにドラマチックで迫力がある画面になっていました。左下のほうではケルベロスが吼えてました。


<ドイツ絵画>
ここら辺で中盤です。ドイツ絵画は点数は少なめでしたが濃い内容でした。

アルブレヒト・デューラー 「青年の肖像」 
赤い背景に少し痩せた男性が描かれた肖像。痩せているけれども生気を感じる作風で、一目観た時に岸田劉生の作品を思い出したw 岸田劉生がどれほどこの人から影響を受けたのかがよく分かって面白いです。

アルブレヒト・デューラー 「若いヴェネツィア女性の肖像」 ★こちらで観られます
強い眼差しの金髪女性の肖像です。顔の両脇の髪は編んであり、後ろはネットでまとめています。これは当時の流行の髪形なのだとか。しっとりと繊細な線描で、人物の微妙な心情も表現しているようでした。

ルーカス・クラナッハ(父) 「洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ」 ★こちらで観られます
この展示で一番これが観たかった!w オペラなどでも有名なサロメがヨハネの生首を持ってる絵です。 また生首ですw 目と口を半開きにしているヨハネの首をお盆に乗せて微笑むサロメ。艶かしい雰囲気で官能的ですらあります。豪華な装飾品や髪型などはザクセン(ドイツ)で当時流行っていた格好のようです。生と死、生首と美女という取り合わせが奇妙な美しさを感じさせました。

<特別出品>
展覧会のちょうど真ん中あたりに、日本の浮世絵が50点ほどまとめて展示されていました。実はこれは明治天皇が友好のしるしとしてフランツ・ヨーゼフ1世とエリザベートに送ったものらしいです。

狩野永悳、住吉広賢、服部雪斎、松本楓湖、歌川広重(三代)、豊原国周  「風俗・物語・花鳥図画帖 2帖」
 ★こちらで観られます
様々な日本の様子を伝えている作品郡で、色鮮やかで保存状態も良い作品ばかりでした。近くにあった日本の自然が描かれた蒔絵もあったのですが、そちらも精密で驚くべき名品でした。

<工芸と武具>
絵画作品だけではなく、工芸品や武具もありました。

オッタヴィオ・ミゼローニ/モノグラムHCのマイスター 「ネプチューン像のある巻貝形鉢」
貝殻をイメージした鉢です。どっかで観たことがあるようなデザインだと思ったら静物画とかで見かけたことがあるかも。石を削って作ったとは思えないほど滑らかな仕上がりで素晴らしかったです。

作者不明 「ヒキガエル」
珊瑚の化石で作られたヒキガエルを模した置物。珊瑚の表面がポツポツした質感を生かして蛙の皮膚を表現しているので、かなりリアルです。これはルドルフ2世の所有物だったらしく、貴族でも限られたものしか観られないコレクションの一部だったようです。

フランツ・デ・ハミルトン 「神聖ローマ皇帝レオポルト1世」 「皇妃エレオノーレ・マグダレーナ」
これはちょっと驚きの肖像画です。黒地に銀と螺鈿のような虹色の貝殻を使って描かれています。銀と虹色が少し柔らかい光を放っているのが美しかったです。

作者不明 「古代風歩兵パレード用の兜と円盾」
黄土色した盾と兜です。重厚感とぎっしりと細かい装飾が見事でした。王様用なのかな? リアルにドラクエの武具みたいでしたw

作者不明 「シャーベット用センターピース」
かなり気に入った作品。5~6本の腕を持つツリー状のセンターピースに、貝の形のシャーベット入れがぶら下がっています。それぞれの腕の部分には一家のカメオがありました。これで誰のシャーベットかわかるのかな?w 使われ方が面白かったです。なお、解説によるとこの頃のウィーンでは美食の都と呼ばれ、中流階級でも1食に6品は出てきたのだとか。食べすぎではw

<スペイン絵画>
ハプスブルク家は政略結婚でスペインも勢力下に収めていただけあって、スペインのコレクションも豊富に持っているようでした。

エル・グレコ(本名ドミニコス・テオトコプロス) 「受胎告知」
右に清純を意味する白百合を持った天使、左にマリアが描かれています。青黒い背景で中央に上から稲妻のような白い亀裂が走り、鳩が舞い降りてきています。その亀裂のせいか、緊張感がある雰囲気でした。どっかで観た気がするので結構この絵は有名かも?

ディエゴ・ベラスケス 「白衣の王女マルガリータ・テレサ」 ★こちらで観られます
今回のポスターの作品です。今年の春頃に上野でやっていたルーブル展にもベラスケスの「王女マルガリータの肖像」という作品がありましたし、去年ここでやったウィーン静物画展でもマルガリータ像があったのでしょっちゅう描いてるのがよくわかります。
(参考リンク ルーブル展のマルガリータ ウィーン静物画展のマルガリータ
確か、許婚に送る結婚写真みたいな使われ方だったと思います。この絵もキリッとした感じでさすがお姫様って感じです。しかし、これだけ成長過程を観てると知り合いのように思えてくる不思議w

ディエゴ・ベラスケス 「皇太子フェリペ・プロスペロ」 ★こちらで観られます
マルガリータの弟です。女の子のようにも見えますが王子様です。病弱だったらしくお守りなどを身につけていました。しかしその甲斐もなくこの絵の2年後に死んでしまったのだとか。そのせいか可愛らしいけどどこか頼りなく影がある感じでした。近親交配が進んだのが病弱の原因と考えられるようです。

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ 「悪魔を奈落に突き落とす大天使ミカエル」 ★こちらで観られます
おびえる悪魔を踏みつけるミカエル。邪鬼を踏む四天王みたいなもんでしょうか?w 翼を広げ堂々としたミカエルは手に炎が燃えている剣を持っていました。結構線の細い感じの絵でフランスなどとは違う雰囲気を持っているように思いました。

<フランドル・オランダ絵画>
最後は大好きなフランドル絵画! ビッグネームも1~2作品ずつあって嬉しい内容でした。

ペーテル・パウル・ルーベンスと工房 「フィレモンとバウキスの家のユピテルとメクルリウス」
テーブルを囲って座る4人(神)とアヒルのような鳥が描かれています。皆、表情が豊かで筋肉や肉体の表現が緻密で豊満な感じです。優美な雰囲気を持ったルーベンスらしい作品でした。

ペーテル・パウル・ルーベンス 「悔悛のマグダラのマリアと姉マルタ」 ★こちらで観られます
あれ?マルタの妹のマリアってマグダラのマリアと別人だよな??と思ったら、この作品は2人のマリア(ベタニアのマリアとマグダラのマリア)を混同しているようです。
(参考:ベタニアのマリアのwiki)
この絵はいかにもルーベンスらしい優美で生気が溢れるような作風です。斜め上を仰ぎ見ながら足で宝石箱を蹴って懺悔しているマリアと、その左後には黒いフードを被ったマルタが描かれていました。こちらは何を思っているかはわかりません。ルーベンスの描いた女性は本当に素晴らしいです。

アンソニー・ヴァン・ダイク(?) 「男の肖像」
このダイクはルーベンスの助手として働いていた経歴を持つ画家です。この絵は頑固そうな男性を描いています。この絵もそうですが威厳と気品が格調高い作風で、彼に肖像を頼もうとする貴族は後を絶たなかったらしいです。

ハンス・フレーデマン・デ・フリース 「宮殿で奏楽する人々」
宮殿を細かく描いた作品。左には音楽を演奏している人達が描かれています。中央にある回廊は奥へと吸い込まれそうな遠近感が面白かったです。

ヤン・ブリューゲル(父) 「森の風景」 ★こちらで観られます
花のブリューゲルきたー! ・・・でも花を描いた絵ではありませんw 縦長に描かれた森の絵で、縦長に描くことで森に奥行きを感じる表現となっています。左半分は空とお城が見えて明るいのですが、右半分はうっそうとしていて謎に満ちた森の様子が描かれています。こういう物事の明と暗が同居する感じもブリューゲルらしくて好みです。

ウィレム・クラースゾーン・ヘーダ 「ハム、オウムガイのカップ、シャンパングラス、銀のデカンタのある静物」
題名の通りの物がテーブルの上に置かれています。どれも質感までもが伝わるほどの超リアルな絵です。特に銀と貝の光の反射は本物みたいでした。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 「読書する画家の息子ティトゥス・ファン・レイン」
レンブラントもしっかりコレクションに含まれていました。くつろいで楽しそうに本を読む少年の像です。口を少し開けていて、本を朗読しているように見えます。手や顔にあたる柔らかい光がレンブラントの光の表現の巧みさを感じさせ、非常に家族思いの暖かな雰囲気を持たせていました。



ということで、この展示もまたこの秋見逃せない内容だったと思います。会期末が迫ると混むことが予想されますので、興味がある方はお早めにお出かけしたほうが良さそうです。

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東京国立博物館の案内 【2009年10月】

「皇室の名宝―日本美の華」を観に行ったついでに、常設にも行ってきました。
このブログでも何度かご紹介していますが、いくら紹介しても頻繁に入れ替わっているという、恐るべしコレクション量だったりしますw

 参考記事:
   東京国立博物館の案内 【建物編】
   東京国立博物館の案内 【常設・仏教編】
   東京国立博物館の案内 【常設・美術編】
   東京国立博物館の案内 【2009年08月】

今回はあんまり観ている時間が無かったので、時代も順番もバラバラですw 何となく雰囲気を味わっていただければと思います。

近代の水墨画だったかな。ターナーみたいな感じだなと思いました。
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足元のにゃんこが可愛いです。
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有名な「月に雁」 馬と鹿の判も面白いです。
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浮世絵、百人美人。
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江戸時代の美人図押絵貼屏風。作者不詳です。
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与謝蕪村 「山野行楽図屏風」 左隻 
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上の作品の右隻
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扇が美しい屏風。
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左隻。似たような作品をどっかで観た記憶がある…。
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右隻。
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伝岩佐又兵衛「故事人物図屏風」 岩佐又兵衛はこの日見た皇室の名宝展でも「小栗判官絵巻」が展示されていました。
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円山応挙「秋冬山水図屏風」 応挙の作品も常設にあるんです! 観ないと勿体無いです。
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左隻
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右隻
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雪舟等揚「四季山水図(秋)」 普通、雪舟なんて滅多にみられません。ましてやこんな空いてるところで写真などw
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伝狩野元信「祖師図」 禅宗の祖師となるえらいお坊さんが描かれています。
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扇が沢山ありました。どれも見事です。
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伝土佐光信 「十王像(五道転輪王)」 土佐派らしい生々しい雰囲気ですね。
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十六羅漢像(第五尊者)
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狩野秀頼「観楓図屏風」 国宝です。
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すべて国宝です。左から、梁楷(りょうかい)「雪景山水図」、梁楷「出山釈迦図」、伝梁楷「雪景山水図」
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ということで、相変らず空いているのが勿体無くて仕方がないですが、ここの常設は国立ならではの豊富で質の高い内容となっています。皇室の名宝展に行かれたらこちらもチェックしてみてください。


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皇室の名宝―日本美の華 <1期> (感想後編) 【東京国立博物館 平成館】

前回の記事の続きです。まだ前編を読まれていない方は、先に前編をお読みいただけると嬉しいです。 こちらです。
<1章 近世絵画の名品>で既にだいぶ感動したのですが、後半の明治以降の作品もかなり面白い内容でした。

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【展覧名】
 御即位20年記念 特別展「皇室の名宝―日本美の華」
 1期 永徳、若冲から大観、松園まで 

【公式サイト】
 http://www.bihana.jp/
 http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=6890
 http://www.kunaicho.go.jp/20years/touhaku/touhaku.html

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)

【会期】
  1期:2009年10月6日(火)~11月3日(火・祝)
  2期:2009年11月12日(木)~11月29日(日)

 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。


【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時半時頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適 ※入場規制はありませんでした

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
後編も気に入った作品ばかりでどれをご紹介したら良いか悩むところですが、特に面白いと感じたものを中心にご紹介します。

<1期 2章 近代の宮殿装飾と帝室技芸員>
2章は明治以降の「帝室技芸員」の作品が展示されていました。この「帝室技芸員」は分かりやすく言えば、現在の人間国宝にあたるもので、幕府や大名の後ろ盾を失った絵師や工芸家の保護や制作活動の促進を目的として制定されました。当時の日本では美術品も主な輸出品だったのでこうした動きは国策に合っていたようです。まさに全身全霊を注いだかのような作品の数々に当時の外国の人も驚いたんじゃないかな?

荒木寛畝・野口小蘋 「旭日双鶴松竹梅図」
3枚セットの縦長の絵で、左から松と梅の花、2羽の鶴と旭日、竹とキノコが描かれています。真ん中が荒木寛畝(あらきかんぽ)作で、両脇が野口小蘋(のぐちしょうひん)作のようです。真ん中の鶴は、写実的で優美な印象を持っています(若冲の鶴を観た後だったので若干麻痺していましたが良い絵ですw) 両脇の松竹は上へと一直線に力強く伸びていて、鮮やかな緑色と相まって爽やかな印象もありました。3枚とも目出度いモチーフなのも面白かったです。

杉谷雪樵 「大納言公任捧梅花図」
全体的に白い雪が覆う屏風。右隻には屋敷が描かれ、左隻には小川と橋のある庭園で雪のついた梅の枝と扇子を持っている大納言の様子が描かれています。空には月が描かれ、周りの木々には雪が積もっていました。屋敷や景色が雪の中に消えていくような、雪と境が曖昧になっている表現が幻想的で美しかったです。

平福百穂 「玉柏」 ★こちらの「作品紹介」で観られます
金地の屏風です。右隻にはごつごつした柏の木と、緑鮮やかな葉っぱが大胆に描かれ、その枝にはつがいの鳩が描かれています。この鳩は明治天皇と香淳皇后の仲睦まじい様子を表現しているようです。左隻には岩場に生える竹林と上り坂が描かれています。こちらの竹も生命力に溢れ、鮮やかな緑色から爽やかな印象も受けます。緑が非常に印象的でした。

高取稚成 「赤坂離宮御苑」
これも屏風です。右隻には青く広がる池と、その周りの松や丘が描かれていて、優雅な雰囲気です。左隻にはオレンジっぽい色に紅葉した木々と小川などが描かれ、金地と相まって艶やかな色彩となっています。大和絵の優しく雅な空気に包まれていて、観るものを和ませるような屏風でした。

横山大観 「朝陽霊峰」 ★こちらで観られます
この絵はちょっと鳥肌が立ちましたw 右隻には黒い山々の上にのぼる満月と雲が描かれ、右隻に繋がっています。そして右隻には金色がかった雲の海から頭を出す金の富士山が描かれています。 さいわい、人の切れ間ができた時に観ることが出来たので、ちょっと離れて見たのですが、離れてみるとより一層、雄大さ・神々しさを感じ、心に訴ったえる力がありました。大観の作品でもかなりの傑作じゃないかな。

横山大観 「御苑春雨」
これも大観ですが、こちらは幽玄な雰囲気で、金地に墨の濃淡だけで湖と周辺の山や木々を描いています。題名の春の雨にかすむような表現が見事でした。しとしとと雨の音だけが聴こえそうな静けさに満ちた作品でした。

高村光雲・山崎朝雲 「萬歳楽置物」 (鋳造:野上龍起 蒔絵・螺鈿:由木尾雪尾)
「萬歳楽」というのは天皇即位の際などに4人で踊られる舞で、これはそれを彫刻にしたものです。見事な螺鈿の蒔絵の上に、精巧かつ優美な舞人が立っています。硬いブロンズでできているのですが、マントのように翻る服の質感は本当に服のように滑らかに思えました。蒔絵もかなり好みだったので、この作品は見所が多かったです。

大連窯業株式会社 「菊桐鳳凰文ガラス花瓶」
南満州鉄道(通称:満鉄)から献上されたという、大きなクリスタルガラスの花瓶です。日本の近代ガラス工芸における傑作なのだとか。 花瓶は2つあって、どちらも鳳凰(たぶんどっちかが雄です)が彫刻されています。どちらもかなり細かく描かれていました。帝室技芸員の工芸は半端じゃない…心からそう思い始めるのがこの作品あたりからでしたw

川端玉章 「群猿之図」
隆々とした力強さのある岩山に沢山の猿が集まっています。岩山から伸びる木にぶら下がっていたり、子猿?を抱きかかえていたり、踊っているかのようなポーズの猿もいます。よく観ると猿1匹1匹の毛のふわふわした感じが凄い! 毛の薄さを感じるのにふわっと見える表現は驚異です。左上がりの対角線上に伸びる木や、右上がりの対角線を描く崖の構図も面白かったです。

池田泰真 「山路菊蒔絵文台・料紙箱・硯箱」
金ぴかの蒔絵だー!!と、お宝臭がするとついテンションが上がりますw 硯箱、料紙箱、文台のセットで、古今和歌集の「濡れてほす山路の菊のつゆのまにいつか千年を我は経にけむ」という詩をモチーフにしているようです。観ているときは気づかなかったのですが、解説によると硯箱に「ぬれてほす」料紙箱に「いつか」、文台に「われはへにけん」という文字が見られるそうです。…見逃したw できればまた観て確認したいです。

石川光明 「古代鷹狩」
多分、象牙だと思うのですが、鷹匠と鷹の牙彫です。 と、文字で書くと一言ですが、実に繊細かつ写実的に彫られていて、並々ならぬ心血を注いだことが容易に想像できます。鷹匠の腕にとまった鷹は身をかがめて今にも飛び立ちそうで、鷹匠の表情はあたりを見渡しているようでした。乳白色の材質も優美で、滑らかな質感がこの作品の風格を増しているように思いました。

高村光雲 「矮鶏置物」
鶏のつがいかな? 2羽の鶏の木像です。結構可愛い顔していて本物みたいです。特に雄の尾っぽが見事でした。木目が残っているようにも見えました。

並河靖之 「七宝四季花鳥図花瓶」
「黒色透明釉」という黒地に、鮮やかな緑のもみじと逆の面には桜が描かれている七宝の花瓶。 この「黒色透明釉」は素人目に見ても凄かったです! その名の通り、透明感のある黒と言うか、鮮やかな黒と言うべきかw 実に艶やかな黒で、その上に描かれた桜やもみじを引き立てていました。この展示の中でもかなり気に入った作品です。

旭玉山 「官女置物」
先ほどの鷹匠と同じく官女を彫った牙彫です。結構でかくて驚きです! いくつものパーツを組み合わせているようですが、どこで接合しているのかわかりませんでした。 そして表現も素晴らしくて、何枚も重ね着した衣のひだが細かく表現されていて、その質感のせいか柔らかさを感じました。 本当に帝室技芸員は恐るべしです。

川之邊一朝ほか 「菊蒔絵螺鈿棚」 ★こちらで観られます
螺鈿のある蒔絵で作られた棚で、帝室技芸員たちによる全身全霊の作品と言って良いかと思います。明治天皇から命を受けて作られ、完成までに12年の歳月を要したのだとか。各分野の名工たちが名を連ね、至るところまで細かい金細工や螺鈿が施され、棚の中や台の裏側にも隙がありません。当時、「明治の3大製作」と呼ばれたそうで、その気合の入り方は尋常じゃ無かったです。必見の1点でした。

香川勝廣ほか 「花唐草透彫水晶入短刀拵(短刀「宗瑞正宗」の拵)」 ★こちらの「作品紹介」で観られます
この作品の隣に太刀もあったのですが、それと先ほどの棚を含めて「明治の3大製作」の1つのようです。名前の通り、鞘の部分に金で唐草模様の透かし彫りがされていて見事です。太刀より細工が細かくて好みでしたw

川島甚兵衛(三代) 「春郊鷹狩・秋庭観楓図壁掛」
物見遊山する貴族達を描いていて、壁一面のでっかい壁画だなーと思っていたら、なんと織物です。 しかも、でかいのに細部はミリレベル…。帝室技芸員のやることは半端じゃないですw フランスのゴブラン織というのに触発され、日本の伝統的な綴織で作ったものらしいです。色鮮やかで完全に絵画のようでした。

海野勝 「蘭陵王置物」 ★こちらで観られます
これまた精密の極地と言える作品で、「蘭陵王」を演技している役者の像です。斜め上に伸ばした右手に棒のようなものを持ちポーズをとっています。顔には金の仮面をつけ、豪華な衣装をまとっています。この服の細かい紋様には毛彫など様々な技術が駆使されている層で、彫金技術の結晶と言える作品のようです。なお、この仮面は着脱可能で、図録では外した顔を観ることが出来ます。(丸みのある顔で、切れ長の目をしていました)

濤川惣助 「七宝月夜深林図額」
縦長で、川とその側に生える木、空に浮かぶ月を描いた水墨画かな?と思ったら、七宝ですw この墨の濃淡のような色を出すために300種類もの釉薬が使われたのだとか。本当に帝室技芸員の根性は凄まじいですw 墨のかすれた感じや滲んだ感じまで表現されていました。たとえこれが普通の水墨画としても絵だけでも十分素晴らしいのに、凄いとしか言葉が出ません。

川合玉堂 「雨後」
かすむような池のほとりを書いた作品で、池からはうっすらと虹が出ています。消えるか消えないかくらいの虹で、爽やかさと儚い感じがしました。向こうに見える木々は途中でぼやけて霧の中に消えていて、光までも表現しているようでした。手前で蓑をかぶって船の上で作業する様子も趣がありました。

鏑木清方 「讚春」
屏風ですが、えらくモダンな雰囲気の作品です。右隻には緑豊かな皇居でのんびりしている2人のセーラー服の女学生が描かれ、背後ではクラシックな車が走っています。そして左隻には近代的な橋(隅田川の清洲橋)が描かれ、手前には小舟で暮らす母子の生活が描かれています。母子は貧しいようですが、舟には桜の枝があり意外とのんびりした様子です。左右では対照的な身分を感じますが、平等に訪れた春を楽しむ内容みたいです。左隻の貧しい母子の絵はよく皇室に収めたなーと妙なところで感心してみたりしていましたw

上村松園 「雪月花」 ★こちらで観られます
上村松園の作品は大好きなんです(><) 雪、月、花を題材にした3枚セットで、私の好みは雪です。この前、山種美術館の上村松園展でもありましたが、御簾の後ろに透けて見える表現が堪能できます。それにしても清よらかで優雅な美女たちは流石でした。

ということで最初から最後まで感動しっぱなしの展覧会でした。流石に混んでいますが美術ファン必見の展覧だと思います。
なお、平成館1Fでは参考展示で近代の大和絵も展示されていました。こちらは気づかない人が多かったようですがお見逃し無く。。。

次回は特別展の後に観た、東京国立博物館本館の常設の写真をご紹介します。


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皇室の名宝―日本美の華 <1期> (感想前編) 【東京国立博物館 平成館】

この秋、絶対見逃せない展覧会があります。それは「皇室の名宝展」で、かなり前から楽しみにしていました。早速行ってきたので感想を書こうと思うのですが、充実ぶりが半端じゃなく全部感動するぐらいの勢いでしたので、前編後編に分けてご紹介します。
なお、この展覧会は何よりも気をつけなければいけないのが会期です。1期と2期では全く内容が違うので、できれば両方行っておきたいところです。

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【展覧名】
 御即位20年記念 特別展「皇室の名宝―日本美の華」
 1期 永徳、若冲から大観、松園まで 

【公式サイト】
 http://www.bihana.jp/
 http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=6890
 http://www.kunaicho.go.jp/20years/touhaku/touhaku.html

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)

【会期】
  1期:2009年10月6日(火)~11月3日(火・祝)
  2期:2009年11月12日(木)~11月29日(日)

 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。


【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時半時頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適 ※入場規制はありませんでした

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
この展覧は今の天皇陛下が即位して20年/ご成婚50年を記念したもので、一言で言えば物凄い内容です。圧倒されっぱなしで感動の嵐でした。途中からメモを取るのをやめて図録を買うことにして、作品をじっくり楽しんできました。
今日は、1章の中で特に気に入った作品をご紹介します。1章はほぼ全部気に入りましたが、流石に全部は書けませんw

<1期 1章 近世絵画の名品>
海北友松 「浜松図屏風」
金の砂浜と銀(茶色っぽいけど)の曲がりくねった川が描かれた屏風です。高い視点から観た感じで、緑の松や鳥が舞っている様子も描かれています。屏風らしい雄大さを感じると共に、静かな雰囲気を称えていました。ちょっと離れて全体を観るとより見事です。

伝狩野永徳 「四季草花図屏風」
狩野永徳の晩年に作られた一門の作品ではないかというもの。豪放な永徳の作品とはちょっと雰囲気が違う気がしますが、優美な四季の草花が咲いています。金地で非常に絢爛な雰囲気でした。

伝狩野永徳 「源氏物語図屏風」
右隻左側は「蜻蛉」、右隻中央は「少女(おとめ)」、右隻右側は「常夏(とこなつ)」というように源氏物語の各場面が描かれています。宮中を描いた作品によくあるように、頭上から天井がない建物を見るような構図で、部屋の中には雲が立ち込めています。そこに数多くの貴族達がいて、その細部まで細かく描かれていました。十二単などは特に上品で華麗でした。また、左隻は「若紫」の場面で、庭に桜が咲いているのを女性達が鑑賞している様子が描かれていました。よく観ると桜の部分がちょっと盛り上がっていました。繊細かつ豪奢で、皇室に相応しい品格の作品でした。

狩野永徳 「唐獅子図屏風」 ★こちらで観られます
これを観るためにこの展示にきました! 教科書などで誰もが知っている作品じゃないかと思います。結構な大きさで、屏風と言うよりは壁画だったのでは?という説もあるようです。(秀吉が毛利との和睦の際に送ったとされているようですが、秀吉が城の壁画として作ったというほうがしっくりする説のようです。)絵の左側の木の枝が不自然に切れていて、その先にも続きがあったのでは?と想像できます。
さて、絵そのものについてですが、非常に力強い唐獅子が2頭、平行して歩いています。何か2頭で会話しているような感じもしますが気のせいでしょうかw たてがみや尻尾に多くの渦が描かれていて、それがパワーを感じる源なのかも?と思いました。背景の岩場も含めて戦国武将の豪放さが出ているようでした。必見です!

狩野常信 「唐獅子図屏風」
狩野常信は狩野永徳のひ孫で、右隻の狩野永徳「唐獅子図屏風」の対と成る左隻を補完しています。永徳に比べるとゆるやかで優美な印象を受ける唐獅子が1頭、口をあけて左から駆け寄ってくるようです。…ていうか、餌くれー!って時の犬みたいw 流石に右隻ほどのインパクトは無いですが、素晴らしい作品でした。

作者不詳 「萬国絵図屏風」
明治天皇が傍に置いていた作品。右隻には、上部に馬に乗って向き合う騎士が2人×4組描かれ、その下にはロンドン、パリ、ローマといったヨーロッパの28都市の景観図が描かれています。
左隻には、真ん中に大きな世界地図が描かれていて、左右の端には各国の男女が3列×7段・3列×7段で合計42人描かれています。世界地図は結構精巧でオーストラリアや南北アメリカ、南極っぽいものまで描かれていて驚くのですが、何故か日本に北海道がなかったですw 何しろ江戸時代以前に描かれた屏風とは思えないほど世界各国に通じていて本当に驚きますが、実はこれは宣教師達が教会を飾るために日本人に教えて描かせた初期洋風画らしいです。修復の際に、この絵の下からローマ皇帝像の下絵が出てきたのだとか。色々ミステリーを感じる一枚でした。

伊藤若冲 「旭日鳳凰図」
2番目の部屋に入ると、ずらーっと若冲の作品があって、これだけでも凄い内容になっています。まずはこの鳳凰図。羽の毛1本1本まで緻密に描かれた鳳凰が色鮮やかに描かれています。右上には旭日が描かれていて目出度い雰囲気です。鳳凰はなんとも艶やかで、目に知性があって人のような眼差しでした。


さて、ここで「動植綵絵」シリーズの登場です。この動植綵絵は全部で30枚あって(全て同じサイズ)、京都の相国寺に釈迦三尊像と共に寄進された作品です。今回の展示では30枚全てを一気に観ることが出来ます。この動植綵絵はほぼ全ての作品で「裏彩色」の技法が用いられていて、奥深い色彩表現となっています。また、動物の目には漆が使われているそうです。
(「裏彩色」についてはこのブログでも取り上げたので、こちらをご参照ください。)
30枚全てが素晴らしかったのですが、特に気に入ったものをご紹介します。

伊藤若冲 「動植綵絵 雪中鴛鴦図」
雪の積もった木の枝に留まる鳥と、川に潜っているのおしどりと川べりにいるおしどりの姿が描かれています。雪の表現手法が見事で、本当に粉雪が降っているような感じです。雪の静寂の中に、おしどりが潜る水音が聞こえてきそうな雰囲気でした。

伊藤若冲 「動植綵絵 向日葵雄鶏図」 ★こちらで観られます
若冲といえば何と言っても鶏です! 若冲が描いた鶏は鳳凰のような風格と生命感があります。この絵では白と黒の混じった尾っぽや振り返る仕草に華麗さがありました。そして、その頭上にあるヒマワリと朝顔も細かく描かれ、葉っぱが虫食いされていている様子など、写実的で夏の生命溢れる感じを味わえる一枚でした。

伊藤若冲 「動植綵絵 紫陽花双鶏図」
身をかがめる鶏と、見事な尾を持った鶏(こっちも少し前かがみ)が描かれ、右から上部にかけて白と濃い青のアジサイが描かれています。他にもピンク色の花もあって華やかな雰囲気でした。鶏のとさかの赤と尾っぽの黒も印象的です。

伊藤若冲 「動植綵絵 梅花群鶴図」
満開の梅の下、3羽の鶴が休んでいるように見えます。(よく見ると左後ろにもう1羽、背中を向けているので計4羽) 鶴の純白のような羽にも細かい模様が描き込まれ、羽の質感がよくでていました。左にいる首を上げた鶴はすらっとした感じで美しかったです。梅との取り合わせが見事です。

伊藤若冲 「動植綵絵 群鶏図」 ★こちらで観られます
数えてみたら全部で12羽の鶏が所狭しと描かれています。それぞれ違う毛色をしていて、細かく掻き分けられています。右を向くもの、左を向くもの、正面を向くもの など様々に群れている鶏は、若冲の鶏画の集大成のようにも思えました。

伊藤若冲 「動植綵絵 芦雁図」
空から舞い降りた雁の姿が描かれています。頭を下に向け翼を広げる姿は堂々として滑らかな軌道を感じます。右には雪の積もった木が描かれている以外はまっさらな背景で、画面の中に広々とした空があるように思えました。

伊藤若冲 「動植綵絵 諸魚図」「動植綵絵 郡魚図」
若冲が描いているのは鳥ばかりじゃありませんw これは海の魚を描いています。みんな左下を向いていて、ちょっと図鑑みたいですw 特に目を引いたのは諸魚図の蛸で、左に長く伸びた足には小さい子蛸が巻きついていたのが可愛かったです。


若冲の部屋の後も江戸時代のビッグネームが揃い踏みで素晴らしい内容です。ただし、狭いのが難点でした…。


円山応挙 「源氏四季図屏風」
これまた「少女(おとめ)」を題材にした作品です。金雲の海の中にある島のように、屋敷や野山が描かれていて、やまと絵のような優美でしなやかな雰囲気が漂っていました。応挙にしては珍しい画風になっているのだとか。

円山応挙 「旭日猛虎図」
墨の濃淡で大きな虎が描かれています。崖っぷちで空の太陽を仰ぎ見る様子で、全体からは迫力が伝わります。 しかし、その顔は可愛いw 猫みたいな顔をしていて、特に眼が猫目で可愛かったです。

岩佐又兵衛 「小栗判官絵巻 巻第1・11・13」 ★こちらの「作品紹介」で観られます
どこか妖しい雰囲気の絵巻物です。この物語は主人公の小栗が死んだ後、恋人の助けによって餓鬼の姿で戻り、神として祀られるまでの物語のようです。緻密で鮮やかな色彩で描かれているのですが、閻魔大王や餓鬼の姿は妖しいオーラがありました。車に乗っけられて運ばれる餓鬼の姿はキモ可愛かったかなw

山口素絢 「朝顔狗子図」
3匹の犬の絵で、後ろに朝顔が描かれています。左の犬が後ろ足で耳をかいてて可愛いらしいです。3匹ともまるっこくてまだ子犬なのかな? ほのぼのした雰囲気でした。

長澤蘆雪 「唐子睡眠図」
赤い前掛けをした子供が布団をかけられて眠っています。唐子というのは中国の子供のことらしいですが、ちょっとアホ面の普通の子供かもw とても安らかな表情をしています。 体は簡略化された感じですが赤ん坊のぷにっとした感じが出ていました。

酒井抱一 「花鳥十二ヶ月図」 ★こちらの「作品紹介」で観られます
一月から十二月までの12枚の掛け軸です。特に気に入ったのは「五月 燕子花に鷭図」「八月 秋草に螽斯図」「十一月 芦に白鷺図」でした。 12枚のどれもが花鳥の美しさや生命感が出ていて、対角線上に描かれているという特徴がありました。抱一の作品はいつも優雅です。

葛飾北斎 「西瓜図」 ★こちらの「作品紹介」で観られます
北斎80歳頃の掛け軸。浮世絵以外にも色々描いていた北斎ですが、この絵は静物画の趣きがある作品で、水平に真っ二つに切られたスイカの上に薄布がしかれ、その上に包丁が置かれています。さらに上部から薄くリンゴ剥きしたスイカの皮が紐につるされていて、白っぽい皮と赤みがかった皮で紅白になっていました。七夕の儀式を模しているみたいな説明もあって、意味深な感じでした。

ということで、この時点で大満足なのですが、これで半分です。本当に恐るべし充実具合です。次回は後編で2章についてご紹介します。帝室技芸員たちの超絶作品がめじろおしですw

おまけ;この日は天気が良くて、噴水では虹が出ていました。
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 → 後編の記事を書きました。こちらです。引き続きよろしくお願いします。




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【番外編】 京都旅行 銀閣寺・下鴨神社

今回も番外編で京都の記事ですが、この記事で番外編は一時中断して、次回から関東の美術展についての記事に戻ります。京都ネタも結構残っているので、いずれまたご紹介しようと思います。

二条城→京都御所と回った後に、バスで銀閣寺に向かいました。その後、下鴨神社にも行くコースでした。


向かう途中に焼いて日の浅い大文字が見えました。
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銀閣寺に向かう途中の哲学の道。この左隣に川が流れています。wikiによると、「哲学者・西田幾多郎がこの道を散策しながら思索にふけったことからこの名がついたと言われる」とのことです。紅葉したらもっと綺麗になりそうです。
参考:哲学の道のwiki
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やってきました銀閣寺。ご存知の方も多いかと思いますが、正確には東山慈照寺といって臨済宗のお寺です。
公式サイト:http://www.shokoku-ji.or.jp/ginkakuji/
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↑の門を右手に曲がると、生垣があります。ここもパンフレットとかでよく観るかな。
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ちょっと枯山水っぽい。銀沙灘(ぎんしゃだん)というそうです。
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これが観音殿 銀閣です!って工事中w 元々、金閣に比べると地味ですが、書院造で日本美を代表する建物として評価が高いようです。
室町幕府の八代将軍、応仁の乱より後に足利義政が造ったものです。そのせいか足利義政は風流な趣味人のイメージがありますが、政治的にはどうしようもない馬鹿で、飢饉で賀茂川に餓死者が溢れるご時世にも邸宅や御所を改築してたそうです。無駄な家督争いを巻き起こし、ついには応仁の乱を招きました。(しかも応仁の乱の時も無視して連歌や宴会を開いてたほどのズレっぷりですw) 数寄者も度が過ぎると危険ですね。
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向月台(こうげつだい)。築山かと思いましたが違うかな? なんでしょうかねw
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方丈と銀沙灘
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方丈から観る景色。左から、銀沙灘、向月台、銀閣寺
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方丈の隣にある国宝の東求堂
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東求堂の前にある池。ぽつんとある石は座禅石。庭は綺麗で良いですね。
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(左):樹齢500年の木
(右):洗月池
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裏手にはちょっとしたハイキングみたいなところがあって、さっきの池の裏を通ります。手前にある石が座禅石。向こうに東求堂と方丈が見えています。
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ここから先は急な坂道がありました。
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裏手の坂道を登ると、こんな感じで見晴らしの良い場所にでます。
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銀閣のアップ。紅葉しかかってるので綺麗に見えました。紅葉したらもっと良いんでしょうね。むしろここから観た銀閣が一番良いかもw
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これは屋根瓦の説明つきの参考モデルです。これで銀閣寺は終わりです。
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タクシーで一気に下鴨神社の桜門の前まできました。下鴨神社は京都の中でもかなり古い神社のようで、奈良時代まで遡るのだとか。
公式サイト:http://www.shimogamo-jinja.or.jp/
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舞殿。
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舞殿のアップ。賀茂祭(葵祭)の時、勅使が御祭文を奏上され東遊が奉納されると説明書きに書かれていました。
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名前が忘れましたが、舞殿の右側にあります。
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神服殿。夏・冬の御神服を奉製するところらしいです。
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振り返ると桜門と白壁が見えます。御所の承明門もこんな感じだったなあ。
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左から、舞殿、名前がわからないやつ、桜門。
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奥へと続く門
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左が印納社で、右が一言社かな。一言社~三言社の十二支の社がありました。
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印納社のアップ。この奥に国宝の東本殿、西本殿があるようですが、ここまでしかいけませんでした。
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戻って、舞殿の右奥に行くと御手洗川(みたらしがわ)というのがあって、そこに輪橋(そりはし)が架かっています。いつもは水が流れていないようですが、土用が近づくと水がわいてくるので、京の七不思議のひとつとされています。湧き上がる水泡を形どったのがみたらし団子の起源なのだとか。
ちなみに、この輪橋の近くで、尾形光琳の「紅白梅図屏風」が描かれたそうで、光琳の梅と呼ばれているそうです。
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御手洗池と井上社。みたらし団子の発祥の説明などもありました。
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桜門をもう一回w 見事です。これを撮った後、参道を南下して今出川通りを目指しました。
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これも京都七不思議のひとつ「連理の賢木(れんりのさかき)」 桜門を出てすぐのところにあります。 右隣にある縁結びの社のパワーで2つの木が1つにくっついたものらしく、この木で4代目とのことです。確かに絡まっています。
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さらに南下すると方丈記を書いた鴨長明ゆかりの社である河合神社があります。八咫烏命(やたからすのみこと)を祀っていて、サッカーの日本代表のマークとも関連があります。また、女性が美人になるというご利益があるようです。。
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舞殿。ここでも何か儀式するのかな。日が暮れて良い具合に灯りがともってきました。
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鴨長明の方丈の再現。鴨長明は下鴨神社の禰宜(ねぎ。神官のことです)の息子として生まれました。(高校の古文のときに、カモネギと教わりましたw) 余談ですが、同じく3大随筆の1つ「徒然草」の吉田兼好も、この近くにある吉田神社の神官の息子です。
この方丈は中は五畳半くらいで、見た目はしょぼいですが、組み立て式で移動可能です。こういう部屋の中で方丈記は書かれたんですね。
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本殿かな? 一応お参り。京都では神社にも参拝しまくったので、二礼二拍一礼の作法も板に付きましたw
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という感じで、この辺も見所が多くて、時間があったら行きたかった上加茂神社や南禅寺は行かず終いでした。御所の近くの相国寺とかも行けなかった…。 いずれ機会があったら行ってみたいと思います。


次回から本線復帰で美術館ネタです。3連休は充実した美術館巡りができました。


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【番外編】 京都旅行 京都御所

今日も番外編の京都旅行の記事です。今日は京都御所の中をご紹介。
↓この辺です。


ここは普通に行っても中には入れないので、事前に申請が必要となります。私は公式ページから申し込んでから行きました。公式ページにはコースの案内VTRなんかもあります。
公式ページ:http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/kyoto.html

御所といっても、中に入らないとこんな感じのだだっぴろい公園にしか見えないかも
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築地(ついじ)という土塀が延々と続いています。
内部のツアーは、清所門という門に集合でした。今出川駅からすぐです。ツアーは30人くらいの人数だったかな。清所門はちょっと良い写真がなかったw
ちなみに、御所の各門は身分の違いによって使い分けられていて、最初に入った清所門は日用品の運搬とかで出入りする門だったとか
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ツアー開始してすぐにある、宣秋門(ぎしゅうもん) 公家門と呼ばれて公家が出入りしてたみたいです。
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公家が車を止めた御車寄
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御車寄せの隣の諸大夫の間。参詣の際の控え室で、諸大夫の間→殿上人の間→公卿の間と3つの部屋は、身分によって入る部屋が違ったそうです。、一番左の部屋だけは襖でなく壁になっていて、直接中に入れず一回外に出ないとといけなかったらしいです。
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一番右奥の部屋の襖絵
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見事な虎が描かれています。
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真ん中の部屋。鶴の群れが描かれていました。
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鶴のアップ
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一番左。この部屋は奥が壁になってますね。
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これも見事な桜です。
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新御車寄
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紫宸殿(ししんでん)の西側
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紫宸殿の南西側。この門をくぐって紫宸殿に行くことは出来ませんでした
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承明門(じょうめいもん)。紫宸殿の正面の門です。
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承明門(じょうめいもん)から紫宸殿を覗きました。紫宸殿は皇位継承とか一番重要な儀式をしていたところです。平安の頃の寝殿造りを受け継いでいるのだとか。
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承明門。朱色の柱と白い壁が神社っぽいかも。
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承明門の前にある建礼門。ここは紫宸殿と一直線にあるだけあった一番格式が高く、天皇と外国の国家元首だけが通れる門らしいです。
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建春門。大名とかが入る門です。
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春興殿(しゅんこうでん)。大正天皇の即位礼の時に立てられたものらしいです。
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紫宸殿の裏手あたりにある清涼殿。ここも儀式用の御殿らしいです。何気なく写っている竹も、呉竹(くれたけ)と漢竹(かわたけ)といって中国から貰った竹らしいです。
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清涼殿は結構近くで観られます。ここも寝殿造りで、板張りで畳を敷いたところが少ないw 一応、ここに天皇が寝泊りしてたこともあるらしいです。
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清涼殿の右側。京都は夏に東から風が吹くらしく、東側に庭があります。
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大和絵があったので撮ってみました。謂れは分かりません。
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清涼殿の東側にある、御池庭。東側に池や木々を配することで風をひんやりさせたらしいです。美しい庭です。
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京都ではだいぶ庭を見ましたが、ここの庭は粗削りな岩とか無く雅な雰囲気が強いですね。
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蹴鞠の庭。左が小御所(こごしょ)で、右が御学問所(ごかくもんじょ)
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小御所。諸大名が謁見する際などに使われたらしいです。ここは寝殿造りから書院造に移行する様子がわかる様式らしいです。
確かこの辺で説明を受けたのですが、御所は何回も消失しているらしく、賀茂川の花火大会の火の粉で消失したこともあるのだとか。えらいこっちゃw
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御学問所。和歌の会とかやってたところみたいです。ここは書院造
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御常御殿(おつねごてん) 室町時代から天皇の住居として常に居たから御常御殿と呼ばれるそうです。ここも書院造です。
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御常御殿には15も部屋があるそうで、天皇の部屋は真ん中だったかな。屋根裏にも畳を敷いて、ネズミの足音が響かないようにしていたそうです。孝明天皇や明治天皇もここに住んでいたとのことです。
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御三間(おみま) ここは年中行事の間です。
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牛の絵
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仙人の絵かな?
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そろそろツアーも終了です。元の清所門に向かう途中、振り返ると御常御殿が見えます。
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これでツアー終了。1時間1kmくらいのツアーで、係員の解説もあるのでとても充実していました。京都に行ったらここもお勧めです。
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ここ参観ツアーを申しこめます。(無料)
http://sankan.kunaicho.go.jp/order/index.html

こんな感じでだいぶ堪能しました。この後、銀閣寺と下鴨神社にも行ってきました。それを紹介したら、また番外編を中断して、しばらく関東の美術展感想に戻ろうかと思います。


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【番外編】 京都旅行 二条城

先週・今週と忙しくてあまり美術展に行く暇も無かったのですが、ようやく落ち着いて明日からの3連休で観て周れそうな感じになりました。というか、むしろ一気に行くことになりそうなので、ネタが少ない今のうちに京都旅行のネタを書いておきたいw
余談ですが、ここ1ヶ月くらい美術館のネタが薄かったのは、9/19あたりから一気に展覧が始まったのですが、そのちょっと前は準備のための空白期間で、たいした展覧がなかったためでした。さらに9/20からのシルバーウィークは全部旅行に出て、帰ってきたら暇がなかったw そんなこんなで今後は美術展記事のラッシュになりそうです。


今日は京都の中でも観光客の多い二条城をご紹介します。
元離宮二条城公式ホームページ:http://www.city.kyoto.jp/bunshi/nijojo/
↓名前の通り二条の堀川通りにあります。


元離宮二条城の入口、東大手門。朝早過ぎてまだ入れませんでしたw
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南東の角
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8時45分にようやく開門。
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東大手門を入るとすぐに番所があります。門番ですね。
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国宝の唐門です。解説によると、切妻造で、桧皮葺の四脚門でその前後は唐破風造らしいです。
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表側のアップ。ぎっしりと彫刻が施されています。(クリックすると拡大されます)
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裏面。
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唐門を抜けると二の丸御殿が現れます。
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屋根のアップ。
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右側の屋根の彫刻部分のアップ。どこも贅を凝らしていて幕府の威信を感じます。
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残念ながら二の丸御殿の中は撮影禁止です。ここには大政奉還が行われた大広間一の間・二の間をはじめ、様々な見所があります。
美術ファンなら狩野探幽と狩野尚信の天才兄弟の襖絵は観ておきたいところです(超精密な模写だったりします) 狩野探幽の松の絵は特に見事でした…。
★↓のURLで一部観られます
 http://www.city.kyoto.jp/bunshi/nijojo/syoheki.html
 http://www.city.kyoto.jp/bunshi/nijojo/ninomaru.html

他にも分厚く精巧な彫刻がされた欄間なども目を見張るものがあって、かなり満足できました。

二の丸御殿から出て庭へ。
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(左):外から観た二の丸御殿。
(右):左の写真の左隅のあたりから、床下をみることができます。有名な鴬張りの仕組みが見えますが、よくわからないw
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二の丸庭園。
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京都には素晴らしい庭が多いですが、ここも相当のレベルです。
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鑑賞していたら鳥がすーっと飛んできました。なんてサービス良いんだw
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(左):本丸に向かう東橋
(右):本丸の石垣
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天守閣跡から見下ろす本丸御殿。
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帰りは北西の内堀から北側をとおって帰りました。
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内堀の北東
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築城400年記念 展示・収蔵館。ここは20分くらいで観られます。
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「秋冬の景物展 ~初公開!白書院の水墨花鳥図~」 2009年9月12日(土)~11月3日(火)を観てきました。水墨花鳥図は風流な感じでした。まあ、複製とはいえ狩野派の作品の後に観たのでインパクトは感じませんでしたがw
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という感じです。さすが幕府!という城でした。 そして、この後もう一つの権力の頂点である朝廷の御所に行きました。次回は事前申請して入った御所内部の写真をご紹介しようと思います。


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イタリア美術とナポレオン展 【大丸ミュージアム・東京】

もう終わってしまいましたが、シルバーウィークの最終日に東京ではたった2週間半しか開催されなかった「イタリア美術とナポレオン展」を観てきました。

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【展覧名】
 イタリア美術とナポレオン展 ~コルシカ島 フェッシュ美術館コレクション~

【公式サイト】
 http://www.daimaru.co.jp/museum/tokyo/index.html
 http://news.pia.jp/pia/news_image.do?newsCd=200909110000&imageCd=0

【会場】大丸ミュージアム・東京
【最寄】東京駅
【会期】2009年9月10日(木)~28日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
 ※写真はコンパクトデジカメで撮影しました。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日18時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
この展覧会はサブタイトルにあるようにコルシカ島(ナポレオンの故郷)にあるフェッシュ美術館が所蔵するコレクション展となっていました。フェッシュというのはナポレオンの母方の叔父であるジョゼフ・フェッシュ枢機卿のことで、相当の美術愛好家だったようです。以前は16000点もコレクションを持っていたそうですが、その後の政変などを経て流石に散逸してしまったのだとか…。それでもイタリア美術に関してフランス内ではルーブルに次ぐ規模のコレクションを持っているそうです。この展覧会でもボッティチェッリの作品など日本では中々観られない作品がありました。もう東京開催で終わってしまったようですが、せっかくなので感想を書いておきます。っていうか会期短すぎで勿体無い!

いつもどおり章ごとに作品をご紹介します。この辺は私にとって疎いジャンルなので、説明が欲しいところなのですがあんま詳しい説明はなかったかも。いつもより理解できていないと思いますがご愛嬌でお願いしますw

<第1章 光と闇のドラマ - 17世紀宗教画の世界>
マティアス・ストーメル 「イサクの犠牲」
横たわる裸のイサク(男の子)を短剣で刺そうとしている老いたアブラハムの手を、背後の天使が抑えている絵です。イサクに強い光があたって明暗がくっきりしていました。大胆でドラマチックな感じがするので、これはバロックかな?

サンドロ・ボッティチェッリ 「聖母子と天使」 ★こちらで観られます
ボッティチェッリが25歳の頃の作品。幼子イエスを抱くマリアとイエスを持ち上げるような天使が描かれています。マリアの視線は慈愛に満ちていていました。イエスもマリアを見上げていて 何かを訴えているように見えました。後ろの天使は何故か画面よりもはるか遠くを見るような視線で、絵の中に世界が広がっているようです。解説によると、この絵は師匠のフィリッポ・リッピの影響が出ているらしく、この絵と同じ構図の師匠の絵の写真もありました。どんぐり眼をしたイエスに観られるように、身近な生き生きとした子供を描くあたりがルネサンスらしいようです。ボッティチェッリといえば誰もが知っている「ヴィーナスの誕生」を思い浮かべますが、この絵では既に独特の優美さと神秘性を秘めた雰囲気が出ていました。

ルカ・ジョルダーノ 「聖セパスティアヌスの殉教」
半裸の男性に2本の矢が突き刺さって血を流している絵です。その目はまぶたが赤くなって大粒の涙を流しています。体は病的に白く、背景が黒い地面なのでコントラストがあえいます。迫真に迫る作品でした。

<第2章 日常の世界を見つめて - 17世紀世俗画の世界>
パウル・ブリル 「風景」
川と岩山を描いた作品。岩に当たる光の表現が面白い理想的な風景で、色彩が薄くて幻想的な感じがしました。この作品はあまり類のない珍しい作風なのだとか。

ジュゼッペ・レッコ(帰属) 「亀と魚のある静物」
中央にスポットライトが当たったかのように、仰向けになった亀の白い腹に目がいきます。結構リアルに描かれていて、周りにはグロいさかなも横たわっていました。亀の目はまだ生きてる感じでした・・・。

<第3章 軽やかに流麗に - 18世紀イタリア絵画の世界>
コッラード・ジャクイント 「サン・ニコラ・デイ・ロレネージ聖堂のドーム装飾のための習作」
 ★こちらで観られます
この人はゴヤの師匠で、ロココ様式の画家です。この絵は3枚組で、天国を主題とするフレスコ画の装飾プランの一部らしいです。後方は薄く前方は濃い色彩で、雲の上でくつろぐ聖人と、その頭上で舞う天使を描いています。柔らかい色彩が優雅で明快な美しさです。光に包まれているような感じの絵でした。

エティエンヌ・パロセル 「キリストとサマリア女」
非常に洗練された感じの絵です。この絵は、水を求めて井戸のそばで座るイエスと、敵対関係にあったサマリア人の女を描いています。イエスと女は話し合っているようで、女は「救世主が来ると聞いている」と言うと、イエスが「それは私だ」と答えているシーンらしいです。澄んだ目をしたイエスと、瓶を持った女の疑ってる目が対比的でドラマチックでした。

フェリックス・ジーム 「コンスタンティノーブルの景観」「ヴェネツィアの景観」
この頃になるとヴェネチアやナポリやジェノバでも、明るく優美で軽やかな表現が生まれたらしいです。この絵は港を描いた絵で、ちょっと傾いた船と10人くらいで漕いでいるゴンドラも描かれていました。水面にはその船や空の微妙な光の変化が表現されていて、印象派に通じるような雰囲気でした。

<第4章 ナポレオンとボナパルト一族>
リシャール、ケネル 「ナポレオンのデスマスク」 ★こちらで観られます
このコーナーはナポレオンの一族に関する作品や遺品が中心だったのですが、これはナポレオンが死んで2日後に直接顔から型を取ったデスマスクでした。鼻が高くて引き締まった顔をしていました。顔そのものが残ってるって凄いかも。ナポレオンの没落や王政復古、さらに3世の戴冠など波乱万丈な歴史についても紹介されていました。

フランソワ・ジェラール 「戴冠式のナポレオン1世」 ★こちらで観られます
これは教科書か何かで観た覚えがあります。豪華なマントをまとい、金の杖をつくナポレオンの肖像です。質感まで伝わってくるような精密さで、ナポレオンからオーラが出ているような雰囲気でした。

アントニオ・カノーヴァ 「ジョゼフ・フェッシュ枢機卿像」
最初にご紹介した、この美術館のコレクションの礎を築いたナポレオンの叔父の胸像です。厳格な道徳心と思慮深い気質の人だったらしく、表情からもそれが伝わるようでした。ちょっと温和な感じもしたかな。

ジュール・パスクワリーニ 「フェッシュ枢機卿」
これも胸像と同じフェッシュ枢機卿の絵なのですが、こっちは少し神経質そうな顔をしてるw 胸像と比べると確かに似てるけど、ちょっと雰囲気が違って見えました。

ロレンツォ・バルトリーニ 「エルザ・ナポレオーネ像」
可愛らしい少女の胸像です。カールした髪が肩まで伸びていて、そのカールにしなやかさがありました。品がありそうな顔立ちで、あごに親の特長が出ているという解説がありました。

アレクサンドル・カバネル 「ナポレオン3世」
お、カバネルの作品もある!と嬉しくなりましたw 威厳のある皇帝、ナポレオン3世を描いています。しかし、儀式用の服ではなく平常時の服で王座の前の立ってポーズをとっていました。この人も1世と同じように最後は不遇だったんですよね・・・。

ということで、あまり点数は多くなかったですが貴重な作品を楽しむことができました。本当に期間が惜しまれます…。大丸ミュージアムは、今やってるチュニジアの展覧も3週間しかやっていないし、本当に勿体無いです。
参考:チュニジア世界遺産 古代カルタゴとローマ展 ~きらめく地中海文明の至宝~


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ベルギー王立美術館コレクション『ベルギー近代絵画のあゆみ』 【損保ジャパン東郷青児美術館】

この前、Bunkamuraでベルギー幻想美術館を観てきたのですが、ベルギー美術にも興味がわいてきたので、同じくベルギーがタイトルに入っている、ベルギー王立美術館コレクション『ベルギー近代絵画のあゆみ』も観に行ってきました。

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【展覧名】
ベルギー王立美術館コレクション『ベルギー近代絵画のあゆみ』

【公式サイト】
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index.html
http://info.yomiuri.co.jp/event/01001/200904038395-1.htm

【会場】損保ジャパン東郷青児美術館
(東京会場は損保ジャパン東郷青児美術館ですが、既に色々と巡回してきたみたいです。)

【最寄】新宿駅
【会期】2009年9月12日(土)~11月29日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
 ※写真はコンパクトデジカメで撮影しました。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間45分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
この展示は「ベルギーの歩み」ということで、ベルギーの画家の絵も多いのですが普通にフランスの絵などもあって、「ベルギー王立美術館コレクション」という面も確かに要素としてありました。一応、歴史順に並んでいたので今回も章ごとに気に入った作品をご紹介。

<第1章 バルビゾン派からテルヴューレン派へ:印象派の起源>
ベルギー展にきてバルビゾン派からスタートするとは思いもしませんでしたが、この辺は西洋絵画では重要な流れなので、自然と歴史を辿ると行き着くんでしょうね。

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー 「セーヴルの高地、囲いのある牧草地」
高台の農地で牛と人がのんびりしている絵です。タイトル通り牧草地に囲いがあるのですが、ちょっと狭いw 背景には見晴らしの良い風景が広がり爽やかな感じでした。
コローはこれ以外にも「ファンプー沼の想い出、夜明け」という沼の周りの絵がありましたが、コロー展とかで観た絵に似てました。思い出シリーズかな。

イッポリート・ブーランジェ 「ディナンの眺め」
川の風景を描いています。川には島のようなような力強い岩山が描かれています。筆は細かいけれど、大きく取った空や岩山から雄大な感じがしました。

イッポリート・ブーランジェ 「聖ユベールのミサ」
教会とそこに集まる人々を描いた絵で、左のほうには湖も描かれています。しかし、教会はや人々は主役ではないようで、人々の顔は簡略化されていました。この絵の主役は「秋」の風景そのものという解説があり、なるほどと思いました。

カミーユ・ヴァン・カンプ 「フォンテーヌブローの森、カバの岩」
バルビゾン村のはずれにあるフォンテーヌブローの中の風景で、岩を描いています。カバの形ってことかな? 謎ですw 岩の上には赤い苔みたいなのが乗ってました。自然を愛している姿勢が伝わってきました。

テオドール・ルソー 「森のはずれ」
茜色に染まる空と、右に暗い森を描いています。森は神聖な感じで、暗いけれども細かく力強く描かれていました。自然への敬意を感じる作品でした。

<第2章 ベルギーのレアリスムから印象派へ>
このコーナーもヨーロッパ絵画の歴史みたいなコーナー名ですが、この前bunkamuraで観た、クノップフやロップスの絵もあって楽しめました。

アルフレッド・ステヴァンス 「外出の身支度」
室内で和傘?を持ったブルジョワ風の若い女性。白や水色の衣装と、ピンクの傘が優美さを増しているようでした。ちょっと傘が小さめで可愛いかも。

アンリ・ド・ブラーケレール 「アントウェルペンの水場の内部」
フランドル絵画からの影響を受けている作品のようで、細かく写実的に部屋の中と廊下が描かれています。左側の壁は金唐革かな?見事な装飾です。奥の廊下からは間接光が差し込んでいて光の表現も素晴らしかったです。

フェルナン・クノップフ 「フォッセ、モミの木の林」
幻想美術展のクノップフの作品にも神秘と静けさがありましたが、この作品も不思議な静けさがあります。林を描いた絵で、奥へと規則的に並んでいる木々が回廊の柱のように思えます。木の葉っぱは天井のようです。自然と奥へ奥へと目が行き、おぼろげな色彩もあって森の奥に吸い込まれていきそうな、妖しい幻想がありました。

ギュスターヴ・クールベ 「鹿の隠れ場所、プレジール=フォンテーヌの小川」
これはオルセー美術館にある大画面の作品を自ら縮小版として描いたものらしいです。この絵は彼の生まれ故郷オルナンの近くの風景で、小川のそばに3~4頭くらいの鹿が描かれています。周りのうっそうとた森が静かな雰囲気で、影の表現が美しい作品でした。 このコーナーの冒頭ではクールベが、羽根の生えた天使なんて観たことが無いと言って自然の風景を描いたという説明もありましたが、大画面の作品は神話や宗教画のみに許されていたのに風景画を描いたというクールベの革新性を説明していました。

フェリシアン・ロップス 「浜辺」
幻想美術展ではエロくて退廃的な印象を受けたロップスですが、こんな絵も描いていたんだ!?って思うような明るく光に満ちた作品でした。砂浜と人々がのんびりしている様子を描いていて、開放感がありました。 この作品は画家自身が自分の喜びのために描いたもので、人前には展示されなかったのだとか。 それで画風が違うんでしょうね。


<第3章 フランスの印象派と純粋な色彩>
このコーナーも印象派ぽい作品が多かったですが、ベルギー独自の路線を感じる作品もありました。

ギヨーム・ヴォーゲルス 「雪の夜」
この画家は40歳までは塗装工とかをしていたそうです。この絵は、ピンクと灰色が空を多い、雪道の白と相まって幻想的な絵でした。光が主体になっていて、輪郭がぼやけていますが、印象派とは違って、明るさよりも暗いベルギーの空を表現したかったらしいです。

アンナ・ボック 「ブルターニュの海岸」
モネの海岸の絵に似てるようなw 断崖絶壁の海岸を描いていて、硬そうな岩に光が当たっているのを感じる絵でした。

ジェニー・モンティニー 「冬の下校」
この作品は結構気に入りました。というかこの展覧会で収穫だったのが「光輝主義(リュミニスム)」という一派なのですが、この画家もその1人のようです。 沢山の子供が戯れている絵で、夕陽に近い空と子供の長い影が郷愁を誘います。子供の顔は簡略化されていて、筆の運びが早そうでした。

ジェームズ・アンソール 「バラの花」 ★こちらで観られます
今回のポスターの絵です。
アンソールも幻想美術展で観ましたが、その時はグロいイメージを受けましたw しかし、これまたアンソールのイメージが変わりそうな1枚で、 数々のバラが花瓶に入っている静物です。まるで夢の中のような神秘性を感じます。離れてみると優雅に見えますが、近くで観ると独特のタッチで異才を感じる気がしました。(そういう風に観ているからかもしれませんがw)

<第4章 ベルギーにおける新印象派>
ベルギーには「20人会」という芸術団体があったようで、そのメンバーによってスーラの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」など新印象派の手法をベルギーに紹介されたようです。それによってブリュッセルは新印象派の中心地となっていったという説明もありました。
参考:スーラの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」のwiki

テオフィル・ファン・レイセルベルヘ 「散歩」 ★こちらで観られます
大き目の点描で描かれている作品です。右を向いた4人の女性が描かれ、青みがかった白のドレスと背景の海の色が呼応するようで、爽やかな印象を受けました。

<第5章 光と親密さ>
このコーナーは結構気に入る作品がありました。エミール・クラウスら光輝主義(リュミニスム)は印象派とは違い、光の中で存在感を増すような表現を模索していたという説明がありましたが、その通りの絵が多かったです。

エミール・クラウス 「ロンドンの眺め、冬」
川を描いた作品。絵自体が輝いているんじゃないか!?ってくらい白く明るい光を感じます。薄い白みがあって、さらに水面の反射の光が強く描かれていました。神秘的です。

アルベルト・バールツン 「ゲントの夜」
運河のような川を描いています。所々にある灯が水面に映り、縦長の光の帯を作っていました。静けさを感じます。

ジョルジュ・ボイス 「夜明けの運河を進む平底船」
淡いオレンジに輝く空と、それを反射する川が描かれています。川には船がいて、周りには2羽の鳥が滑空している様子が描かれています。 光によって船の存在感が強まっていました。光輝主義はかなり好みかもw

アンリ・ル・シダネル 「黄昏の白い庭」
タイトルとちがって白くないですw むしろ全体的に緑です。長方形の庭が描かれ、淡い色使いの作品になっています。時間が止まったかのような雰囲気でした。

<第6章 フォーヴィスム>
前述の20人会は解散し、変わりに自由美学というのが設立されたそうで、フランスなどの新しい芸術のあらゆるものをベルギーに紹介していったそうです。その中には当然フォーヴィスムもあったようで、ベルギーでは「ブラバントフォーヴィスム」というフランドル絵画の影響を残した独自の発展を遂げたという説明がありました。

リク・ワウテルス 「鏡をみる青衣の夫人」
鏡に向かった女性を描いた絵です。 塗り残しの下地が見えて、絵は幾何学的な感じもするのでフォーヴというよりセザンヌの影響を感じます。色彩はフォーヴっぽい鮮やかさがあったかな。

ジャン・ヴァンデン・エコー 「庭にて」
これってフォーヴィスム? 印象派っぽいw 庭でくつろぐ女性と子供を描いています。光をさらに強調した感じでした。 隣に飾ってあった同じ画家のレモンの絵は全く画風が違って、濃くてべったりした感じの画風でした。

ピエール・ボナール 「逆行の中の裸婦」 ★こちらで観られます
ってかボナール??フランスだしナビ派じゃん?? と思いましたがあんまコーナーのことは気にしないことにしましたw 室内に裸婦の絵で、窓から差し込む光の中に立っていて、胸を張りピンとしていて存在感が凄いです。構図や部屋の内装も計算されている感じでした。これは素直にいい絵です。


ってことで、ベルギー独自の路線だけってわけではなかったですが、光輝主義のように面白い絵もあったので結構面白かったです。bunkamuraの展覧とセットで観るとより楽しめそうです。


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多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

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