Archive | 2009年10月
昨日の前編に続き後編です。今日は「3章 明治時代」をご紹介します。前編では「1章 徳川の時代」と「2章 開港の時代」をご紹介しましたので、読んでいない人はそちらから読んでいただけると嬉しいです。 前編はこちらです。

まずは概要のおさらい。
【展覧名】
大・開港展-徳川将軍家と幕末明治の美術
【公式サイト】
http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2009/exhibition/daikaiko/
【会場】横浜美術館
【最寄】JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅
【会期】2009年9月19日(土)~11月23日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間40分程度
【混み具合・混雑状況(祝日13時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
この展示は所要時間が2時間40分かかったようにかなりのボリューム感があったのですが、後半の3章も見所が多かったです。
<第3章 明治時代>
[1.明治政府と美術 (1)輸出用の工芸品]
ここから明治時代です。日米修好通商条約などの不平等条約を締結して、海外との貿易が始まるわけですが、生糸や茶といった品と共に美術品も主要な輸出品となっていたようです。明治政府はそれを奨励していたようで、それまで大名に注文を受けていた絵師や職人の受け皿として、美術品の海外輸出が盛んになりました。ここではそうした輸出用の品が展示されていました。
134 「ライティング・ビューロー」
寄木細工で作られた机です。寄木細工というのは箱根のお土産とかにあるモザイク模様のやつです。かなり大きい机ですが、細部までモザイク模様があって見事です。かなり手が込んでいて、いかにも輸出品っぽいデザインでした。
109 「大関 花鳥芝山象嵌香炉」
銀製の丸いトロフィーのような香炉です。球の部分の両脇に2匹の龍、球の頂上には鷲、台にも巻きついた龍がいます。これも緻密な細工で龍の鱗まで表現されていました。この辺から驚異的な作品が増えますw
112 「芝山蒔絵銀花鳥図花瓶(一対)」
とにかく精密でミリ以下の細い銀細工が施された花瓶。七宝などと組み合わされ華麗で繊細な雰囲気でした。半端じゃないw
123 初代 宮川香山 「高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水指」 ★こちらで観られます
丸くなって頭を押し込めているようなポーズをしている猫が、壷の上に乗っかっています。毛色は日光の眠り猫のようで、明治維新で目を覚ましたようだと言われたらしいです。猫をよく見ると小さな鼻のところまでしっかり作られていました。このコーナーにあるってことはこれも輸出品なのかな?
132 森村組(現ノリタケカンパニーリミテド) 「金彩色絵風景図ティーセット」
オールドノリタケってやつでしょうか。丸っこい六角形のティーカップが六角形の皿にのっています。細かい金細工がされていて、豪華な感じです。隣にはやはり六角形のティーポットも置かれていて、水玉のような金細工がレース状になっていて優美です。陶器の部分を薄い紫や緑で風景を描いているのも上品でした。
[(2)西洋画の受容]
このコーナーは西洋画が日本にもたらされたことによって、変化した日本の絵画美術をテーマにしていました。この美術館の常設作品も何点かあったかな。
137 チャールズ・ワーグマン 「街道」
これは今年の2月くらいに世田谷美術館の「十二の旅 感性と経験のイギリス美術」でも観たかな。この人は明治初期に特派員として日本に来て、日本各地の絵を描いた画家で五姓田義松、高橋由一といった画家を育てた人です。この絵は、手前から右奥に伸びる松並木の街道を傘を被った旅人が歩いています。左手には小屋のようなものがあり馬もいました。当時の街道・宿場の賑わいや自然を爽やかに描いている感じで、光と影の表現などが見事でした。
140 高橋由一 「愛宕山より品川沖を望む」 ★こちらで観られます
前述のチャールズ・ワーグマンに教えを受けた画家です。この作品はここの常設じゃないかな。横浜の町の瓦や屋根を丘から見下ろす構図で、右側に大きく木の幹が描かれています。空気遠近法やグラッシ(上層と下層が透けて見える絵の具を塗布する技法)が観られるという解説がありましたが、雲や光が西洋っぽい表現になっています。家の向こうに黒い煙があり、その煙によって見えない汽車の存在をうかがうことができました。
144 浅井忠 「八王子付近の街」 ★こちらで観られます
浅井忠はよく作品を見かけるので馴染みかも。全体的に茶色が多い絵で、道の両脇の家や奥にそびえる山が描かれています。山はぼやけていたり、道に落ちる影、家の中の暗がりなど、影の表現が面白い作品でした。
[(3)帝室技芸員と博覧会]
この前、皇室の名宝展でもご紹介しましたが、「帝室技芸員」は現在の人間国宝のような存在です。この展覧会でも魂のこもった作品が並んでいました。
参考記事:皇室の名宝―日本美の華 <1期> (感想後編) 東京国立博物館 平成館
155 狩野芳崖 「山村春景図」
山村の様子を描いた掛け軸です。手前の木は色も線も濃いけど、奥は薄く描かれています。ここら辺が西洋の技法なのかな? 力強さもあって見事でした。
169 高村光雲 「魚籃観音立像」
柔らかい雰囲気の観音像です。目をつぶってるけれども慈悲深そうな表情をしていました。
157 河鍋暁斎 「白鷲と猿」
前編の2章でもご紹介した河鍋暁斎。これは白い鷲が岩の上に堂々と立ち、岩の下にはおびえた顔をした猿が描かれています。岩はスピード感のある筆遣いで力強いですが、猿の毛などはふわふわした感じが出ていました。これは三菱一号館や岩崎邸をデザインしたジョサイア・コンドルの所蔵品だったらしいです。
ジョサイア・コンドルの参考記事:
三菱一号館竣工記念「一丁倫敦と丸の内スタイル展」三菱一号館美術館
旧岩崎邸の写真 その1 旧岩崎邸の写真 その2
197 二代 川島甚兵衞 「セントルイス万国博覧会 綴織額『動植綵絵 紫陽花双鶏』」
相国寺所蔵の伊藤若冲作「動植綵絵」30枚のうち15枚を刺繍パネルにした作品で、この展覧会では「紫陽花双鶏」を展示していました。遠くから見ると絵にしか見えないです。ちょっと色が薄いかな?と思うくらいかな。技術の高さに驚嘆します。
「動植綵絵」は現在(2009/10/30)、上野の皇室の名宝展(1期)に展示されていますし、絵画のような織物もあったので、皇室の名宝を観た人は一層この作品を楽しめるんじゃないかな。
173 正阿弥勝義 「瓢に蜂花瓶」
ひょうたんに蜂が止まっている感じの花瓶です。自然な感じで可愛らしかったです。
186 並河靖之 「七宝桜花鶏図花瓶」
澄んだ透明感のある黒色透明釉を使った作品です。桜の下で尾っぽの長い鶏が描かれています。黒が透き通るというのも妙な表現ですが、本当にそう感じるのですw なお、この人の作品も皇室の名宝展(1期)にもあります。両方いくと何倍も楽しいかと。
[2.明治の徳川家と美術]
ここは隠居した徳川慶喜の写真や絵画なんかがありました。結構上手いです。
201 徳川慶喜 「麦刈り」
最後の将軍である徳川慶喜が撮った写真に色が塗られています。麦を刈っている農夫達の後姿を撮ったもので、バルビゾン派(落穂ひろいで有名なミレーなど)の絵画を思い浮かべる題材でした。この写真の近くには絵画もあったのですが、そちらも指導を受けながら描いたとはいえ良い腕でした。
212 川村清雄 「水辺之楊柳」
洋風の油絵で、川と葦川で作業(洗濯?)する女性などを描いています。着物を着ているから日本だと思いますがアカデミックな感じの作風で西洋的でした。
[3.新たな美術の庇護者、横浜の原三溪]
214 横山大観 「草廬三顧図」
有名な三国志の「三顧の礼」のシーンを描いた2枚セットの掛け軸です。左には、丘の上にある家の窓から外を見ている人(孔明?)が描かれ、右には丘の下で馬に乗っている三兄弟が描かれていました。仙人でも住んでいそうな雰囲気で、独特の空間表現が印象的でした。
217 今村紫紅 「伊達政宗」 ★こちらで観られます
ウインクしている武将と思ったら、伊達政宗の肖像画でした。でかい十字架を背にあぐらを組んでいます。これは金箔の磔刑用の十字架らしく、秀吉からの不信に対して嫌疑を晴らそうとしているところらしいです。結構落ち着いた顔をしているように思いました。
218 今村紫紅 「近江八景(小下絵)」 ★参考記事
これは最近、東京国立博物館の常設で観た作品の下絵のようです。もはや完成品なのでは?という出来栄えでした。
★参考画像 (東京国立博物館の常設で撮った写真です)

215 下村観山 「小倉山」 ★こちらで観られます
屏風です。藤原忠平が林の中に座って紅葉を見ながら和歌を読んでいる様子が描かれています。風流な雰囲気が漂い、カラフルで鮮やかでした。
ということで、かなり充実した展覧会でした。あそこで観たぞ!?という作品も多かったのでそれだけ美味しい所を集めているのだと思います。特に皇室の名宝展(1期)に行った方はこちらも観てみると面白いと思います。

まずは概要のおさらい。
【展覧名】
大・開港展-徳川将軍家と幕末明治の美術
【公式サイト】
http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2009/exhibition/daikaiko/
【会場】横浜美術館
【最寄】JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅
【会期】2009年9月19日(土)~11月23日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間40分程度
【混み具合・混雑状況(祝日13時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
この展示は所要時間が2時間40分かかったようにかなりのボリューム感があったのですが、後半の3章も見所が多かったです。
<第3章 明治時代>
[1.明治政府と美術 (1)輸出用の工芸品]
ここから明治時代です。日米修好通商条約などの不平等条約を締結して、海外との貿易が始まるわけですが、生糸や茶といった品と共に美術品も主要な輸出品となっていたようです。明治政府はそれを奨励していたようで、それまで大名に注文を受けていた絵師や職人の受け皿として、美術品の海外輸出が盛んになりました。ここではそうした輸出用の品が展示されていました。
134 「ライティング・ビューロー」
寄木細工で作られた机です。寄木細工というのは箱根のお土産とかにあるモザイク模様のやつです。かなり大きい机ですが、細部までモザイク模様があって見事です。かなり手が込んでいて、いかにも輸出品っぽいデザインでした。
109 「大関 花鳥芝山象嵌香炉」
銀製の丸いトロフィーのような香炉です。球の部分の両脇に2匹の龍、球の頂上には鷲、台にも巻きついた龍がいます。これも緻密な細工で龍の鱗まで表現されていました。この辺から驚異的な作品が増えますw
112 「芝山蒔絵銀花鳥図花瓶(一対)」
とにかく精密でミリ以下の細い銀細工が施された花瓶。七宝などと組み合わされ華麗で繊細な雰囲気でした。半端じゃないw
123 初代 宮川香山 「高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水指」 ★こちらで観られます
丸くなって頭を押し込めているようなポーズをしている猫が、壷の上に乗っかっています。毛色は日光の眠り猫のようで、明治維新で目を覚ましたようだと言われたらしいです。猫をよく見ると小さな鼻のところまでしっかり作られていました。このコーナーにあるってことはこれも輸出品なのかな?
132 森村組(現ノリタケカンパニーリミテド) 「金彩色絵風景図ティーセット」
オールドノリタケってやつでしょうか。丸っこい六角形のティーカップが六角形の皿にのっています。細かい金細工がされていて、豪華な感じです。隣にはやはり六角形のティーポットも置かれていて、水玉のような金細工がレース状になっていて優美です。陶器の部分を薄い紫や緑で風景を描いているのも上品でした。
[(2)西洋画の受容]
このコーナーは西洋画が日本にもたらされたことによって、変化した日本の絵画美術をテーマにしていました。この美術館の常設作品も何点かあったかな。
137 チャールズ・ワーグマン 「街道」
これは今年の2月くらいに世田谷美術館の「十二の旅 感性と経験のイギリス美術」でも観たかな。この人は明治初期に特派員として日本に来て、日本各地の絵を描いた画家で五姓田義松、高橋由一といった画家を育てた人です。この絵は、手前から右奥に伸びる松並木の街道を傘を被った旅人が歩いています。左手には小屋のようなものがあり馬もいました。当時の街道・宿場の賑わいや自然を爽やかに描いている感じで、光と影の表現などが見事でした。
140 高橋由一 「愛宕山より品川沖を望む」 ★こちらで観られます
前述のチャールズ・ワーグマンに教えを受けた画家です。この作品はここの常設じゃないかな。横浜の町の瓦や屋根を丘から見下ろす構図で、右側に大きく木の幹が描かれています。空気遠近法やグラッシ(上層と下層が透けて見える絵の具を塗布する技法)が観られるという解説がありましたが、雲や光が西洋っぽい表現になっています。家の向こうに黒い煙があり、その煙によって見えない汽車の存在をうかがうことができました。
144 浅井忠 「八王子付近の街」 ★こちらで観られます
浅井忠はよく作品を見かけるので馴染みかも。全体的に茶色が多い絵で、道の両脇の家や奥にそびえる山が描かれています。山はぼやけていたり、道に落ちる影、家の中の暗がりなど、影の表現が面白い作品でした。
[(3)帝室技芸員と博覧会]
この前、皇室の名宝展でもご紹介しましたが、「帝室技芸員」は現在の人間国宝のような存在です。この展覧会でも魂のこもった作品が並んでいました。
参考記事:皇室の名宝―日本美の華 <1期> (感想後編) 東京国立博物館 平成館
155 狩野芳崖 「山村春景図」
山村の様子を描いた掛け軸です。手前の木は色も線も濃いけど、奥は薄く描かれています。ここら辺が西洋の技法なのかな? 力強さもあって見事でした。
169 高村光雲 「魚籃観音立像」
柔らかい雰囲気の観音像です。目をつぶってるけれども慈悲深そうな表情をしていました。
157 河鍋暁斎 「白鷲と猿」
前編の2章でもご紹介した河鍋暁斎。これは白い鷲が岩の上に堂々と立ち、岩の下にはおびえた顔をした猿が描かれています。岩はスピード感のある筆遣いで力強いですが、猿の毛などはふわふわした感じが出ていました。これは三菱一号館や岩崎邸をデザインしたジョサイア・コンドルの所蔵品だったらしいです。
ジョサイア・コンドルの参考記事:
三菱一号館竣工記念「一丁倫敦と丸の内スタイル展」三菱一号館美術館
旧岩崎邸の写真 その1 旧岩崎邸の写真 その2
197 二代 川島甚兵衞 「セントルイス万国博覧会 綴織額『動植綵絵 紫陽花双鶏』」
相国寺所蔵の伊藤若冲作「動植綵絵」30枚のうち15枚を刺繍パネルにした作品で、この展覧会では「紫陽花双鶏」を展示していました。遠くから見ると絵にしか見えないです。ちょっと色が薄いかな?と思うくらいかな。技術の高さに驚嘆します。
「動植綵絵」は現在(2009/10/30)、上野の皇室の名宝展(1期)に展示されていますし、絵画のような織物もあったので、皇室の名宝を観た人は一層この作品を楽しめるんじゃないかな。
173 正阿弥勝義 「瓢に蜂花瓶」
ひょうたんに蜂が止まっている感じの花瓶です。自然な感じで可愛らしかったです。
186 並河靖之 「七宝桜花鶏図花瓶」
澄んだ透明感のある黒色透明釉を使った作品です。桜の下で尾っぽの長い鶏が描かれています。黒が透き通るというのも妙な表現ですが、本当にそう感じるのですw なお、この人の作品も皇室の名宝展(1期)にもあります。両方いくと何倍も楽しいかと。
[2.明治の徳川家と美術]
ここは隠居した徳川慶喜の写真や絵画なんかがありました。結構上手いです。
201 徳川慶喜 「麦刈り」
最後の将軍である徳川慶喜が撮った写真に色が塗られています。麦を刈っている農夫達の後姿を撮ったもので、バルビゾン派(落穂ひろいで有名なミレーなど)の絵画を思い浮かべる題材でした。この写真の近くには絵画もあったのですが、そちらも指導を受けながら描いたとはいえ良い腕でした。
212 川村清雄 「水辺之楊柳」
洋風の油絵で、川と葦川で作業(洗濯?)する女性などを描いています。着物を着ているから日本だと思いますがアカデミックな感じの作風で西洋的でした。
[3.新たな美術の庇護者、横浜の原三溪]
214 横山大観 「草廬三顧図」
有名な三国志の「三顧の礼」のシーンを描いた2枚セットの掛け軸です。左には、丘の上にある家の窓から外を見ている人(孔明?)が描かれ、右には丘の下で馬に乗っている三兄弟が描かれていました。仙人でも住んでいそうな雰囲気で、独特の空間表現が印象的でした。
217 今村紫紅 「伊達政宗」 ★こちらで観られます
ウインクしている武将と思ったら、伊達政宗の肖像画でした。でかい十字架を背にあぐらを組んでいます。これは金箔の磔刑用の十字架らしく、秀吉からの不信に対して嫌疑を晴らそうとしているところらしいです。結構落ち着いた顔をしているように思いました。
218 今村紫紅 「近江八景(小下絵)」 ★参考記事
これは最近、東京国立博物館の常設で観た作品の下絵のようです。もはや完成品なのでは?という出来栄えでした。
★参考画像 (東京国立博物館の常設で撮った写真です)

215 下村観山 「小倉山」 ★こちらで観られます
屏風です。藤原忠平が林の中に座って紅葉を見ながら和歌を読んでいる様子が描かれています。風流な雰囲気が漂い、カラフルで鮮やかでした。
ということで、かなり充実した展覧会でした。あそこで観たぞ!?という作品も多かったのでそれだけ美味しい所を集めているのだと思います。特に皇室の名宝展(1期)に行った方はこちらも観てみると面白いと思います。
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ちょっと前になりますが、今月半ばの連休に横浜美術館に行って「大・開港展-徳川将軍家と幕末明治の美術」を観てきました。かなりボリュームのある展覧でメモを取った点数も多かったので、前編・後編に分けてご紹介しようかと思います。なお、この展覧会は4回の展覧替えがあり、特に1~2期と3~4期で大きく変わるようですので、お目当ての作品がある場合は公式ページの作品リストで確認してからおでかけすることをお勧めします。

【展覧名】
大・開港展-徳川将軍家と幕末明治の美術
【公式サイト】
http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2009/exhibition/daikaiko/
【会場】横浜美術館
【最寄】JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅
【会期】2009年9月19日(土)~11月23日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間40分程度
【混み具合・混雑状況(祝日13時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
この展覧はその名の通り、横浜が開港して150年を記念した展覧で、さらに今年は横浜美術館が開館して20周年でもあるようです。開港から明治にかけて美術会にも激動があったようで、この展覧ではその時代の移り変わりと「横浜」というロケーションをフォーカスしていたように思います。
展覧は3章構成で、「1章 徳川の時代」「2章 開港の時代」「3章 明治時代」となっていました。今日は1~2章で気に入った作品をご紹介いたします。(作品Noと実際の展示順が違ったので、念のため作品Noも入れておきます。コーナーを間違ったらすみませんw)
<第1章 徳川時代>
[1.大御所家斉と幕末の徳川将軍]
このコーナーでは大御所とよばれた11代将軍 徳川家斉から最後の将軍(15代将軍)徳川慶喜に関連する作品が紹介されていました。
54 狩野晴川院養信 「四季花鳥図屏風」 ★こちらで観られます
やまと絵風の屏風です。右隻には金地に鮮やかな松や桜、サギやツバメ、孔雀などが描かれています。また、左隻には同じように秋草、もみじ、雪の積もった梅、鴨などが描かれています。つまりこれは右から左にかけて春夏秋冬の様子を描いた作品でした。ちょっと漫画っぽいデフォルメしてるような気がしましたが、豪華で優雅な雰囲気の作品で好みでした。
7 「銀細工 家斉所用 花車/生け花飾り/飾棚・提煙草盆/碁盤・将棋盤/飾物」
銀細工の身の回りの品のミニチュアです。作品名の通り、囲碁セットや茶道具、籠や盆栽など様々なミニチュアが可愛らしかったです。特に華道の花のような作品が見事でした。
8 「豆人形」
1cmくらいの本当に豆っこい人形です。半纏を着た猫の人形が特に可愛かった! 器用に作ってます。
15 伝狩野勝川院雅信 「徳川家定像」
面長で髭の剃り跡が目立つ精悍な顔をした侍の肖像です。これは「伺下絵」という本番の絵を描く前の習作みたいな絵らしいですが、かなり詳細に描かれていて完成品にしか見えませんでした。
23 「吹上矢来御門/御鳥籠/御花壇馬場及び御馬見所茶屋/
瀧見御茶屋の前庭/鳩の御腰掛から見下ろす瀧見茶屋/
地主山から見下ろす広芝」
風景画です。どこか西洋っぽい雰囲気を持った作品で、油彩で描かれています。浮世絵と同じ顔料を使っているようですが、そこに膠水を塗っているという説明がありました。秋田派に関係あるのかな?と思ったけど詳細はわかりませんでした。
28 騎兵用甲冑(胸甲、兜) 慶喜所用(ナポレオン3世の寄贈品)
ナポレオン3世から徳川慶喜に送られた西洋の鎧です。兜には葵の御紋が入っています。実はこの兜はもう1つあって、そちらは紋が上下逆さになっているそうです。友好目的だと思いますが、紋が逆さなんてもの送ってきたら喧嘩売ってるのか?って思わないのかなw いずれにせよ歴史的に貴重な品だと思います。
[2.大奥の美意識]
ここは女性らしい優美な作風の品々が展示されていました。皇女和宮や篤姫といった幕末の有名女性ゆかりの品も必見です。
57 狩野祐清邦信 「源氏物語 若菜図」
これも大和絵風の金屏風です。十二単を着た女性や中央に座る男性、屋敷と庭などが描かれていて、源氏物語を題材にした作品のようです。これまた大和絵らしい雅で優美な雰囲気漂う作品でした。
38 「小広蓋 黒塗牡丹唐草金銀蒔絵 篤姫(天璋院)所用」
唐草模様の金蒔絵です、蓋しか無いぞ?と思ったら、蓋だけ独立して作ったもののようです。篤姫所用の品らしく、手回り品や化粧品を入れて使っていたようです。隣には鹿児島の風景を描いた掛け軸(これも篤姫所用)もありました。篤姫の美意識を感じる品々でした。
34 「雛道具 薩摩切子 篤姫(天璋院)所用」
これは最近観た美術ファンも多いのでは? 今年の春にサントリー美術館で開催された、薩摩切子展にも出品されていたミニチュアのような雛道具です。 ★参考記事
薩摩藩の威信をかけた結婚だっただけにこうした嫁入り道具もかなり気合が入って作られていて、細かく精密です。 と、そんな背景を知らなくても可愛くて綺麗な素晴らしい品だと思います。
43 「黒塗牡丹尾長蒔絵文房具 和宮(静寛院宮)所用」
小さな筆入れと10本の細い筆です。牡丹と鳳凰が描かれていて繊細かつ優美です。女性らしい可愛さもありました。
<第2章 開港の時代>
1章はまだ江戸時代でしたが、この章は黒船が浦賀にやってきた頃から開港あたりの混乱の時代をテーマにしていました。欧化した様子なども窺い知れる一番面白味のある章でした。
63 高川文筌 「米利堅人等写真図」
ペリー、副使のアダムス、通訳のウリヤマス?の3人の肖像です。 ペリーは相変らずしかめっ面をしていますw アダムスはタバコをふかし、通訳は黒眼鏡をしていて怪しいw 3人揃ってそんな感じで不審人物図みたいになっていましたw
88 歌川(玉蘭斎橋本謙)貞秀 「御開港横浜之全図」 ★こちらで観られます
錦絵です。横浜港を斜め上から観たような構図で描かれています。湾内には日本、オランダ、アメリカ、イギリス、ロシア、フランスの軍艦がいます。また、細かく町並みが描かれ右上隅には富士山が描かれていました。ちょっとデフォルメしてありますが当時の様子を容易に知ることができる作品で面白かったです。
71 鋳鉄製焼印「日本政府之印」
「日本政府之印」と書かれた大きな印鑑で、外国への手紙に使われていたようです。「日本政府」って響きはこの頃からなのかな? かなり大きくて立派でした。
79 アントニオ・ベアト 「遣欧使節とスフィンクス」 ★こちらで観られます
これは昔、トリビアの泉という番組でも紹介されていたから知っている人も多いかも。エジプトのスフィンクスの前にいる20人くらいの侍を撮った白黒写真です。彼らは横浜鎖港談判使節団の団員で、鎖港を交渉しに行くついでに観光しているようです。侍とスフィンクスという異質な組み合わせが面白いですね。
84 フェリーチェ・ベアト 「横浜」
色を塗った写真です。西洋風の屋敷の前で米俵を運ぶ人々が写っています。西洋と日本がお互い原色のまま同居しているようで、融合している現在と違った面白さがあります。相当異文化だったんでしょうね。
85 フェリーチェ・ベアト 「東海道の風景、リチャードソン氏殺害の現場」
生麦事件の現場を撮った有名な写真で、これは教科書で観たぞ!と思い出しましたw 写真に彩色されたのどかな様子が写っていて、ここで歴史的大事件が起きたとは思えないほどのんびりしていました。こういう歴史の証人的な展示品が多いのもこのコーナーの醍醐味かも。
90 歌川(五雲亭)貞秀 「横浜商館真図」 ★こちらで観られます (第2部のところです)
これは福沢諭吉展にもあった作品かな? 着物を着た女性とドレスの女性が羽子板をしていたり、中国人?やターバンをした人たちが働いている様子が描かれています。翻訳を書いたものがあり「私」には「アイ、イキ」と書かれてありました、(英語と何語だろ?) 外国との交流が進んできた様子が興味深いです。
97 三代 歌川広重 「横浜海岸鉄道蒸気車図」 ★イメージ検索の結果
港を走る蒸気機関車の錦絵です。後ろには多くの外国船が居ます。日本の技法で描かれていますが風景は西洋みたいで、欧化した横浜の様子が伝わってきます。それにしても汽車がめっちゃ海っぺりを走ってるなあw
102 河鍋暁斎 「暁斎楽画第三号 化々学校」 ★イメージ検索の結果
妖怪の学校を書いた錦絵。閻魔っぽいのが鬼とか血の池が描かれたパネルを棒で指して説明しています。手前には河童が「SI RI CO TA MA」(尻子玉)と描かれたボードで河童達に教えています。ユーモアがあってキモ可愛い絵ですが、地獄まで欧化が進んでいるとはw 非常に面白いです。
ということで、美術展と博物展の中間的な感じですが、これは教科書で観たことあるぞ!というような品もあって、歴史の過渡期がよく分かるドラマチックな内容で面白いです。
そして、次回の後編は<第3章 明治時代>をご紹介します。現在開催中の「皇室の名宝展(前期)」同様に、帝室技芸員たちの魂がこもった作品を観ることができました。

【展覧名】
大・開港展-徳川将軍家と幕末明治の美術
【公式サイト】
http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2009/exhibition/daikaiko/
【会場】横浜美術館
【最寄】JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅
【会期】2009年9月19日(土)~11月23日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間40分程度
【混み具合・混雑状況(祝日13時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
この展覧はその名の通り、横浜が開港して150年を記念した展覧で、さらに今年は横浜美術館が開館して20周年でもあるようです。開港から明治にかけて美術会にも激動があったようで、この展覧ではその時代の移り変わりと「横浜」というロケーションをフォーカスしていたように思います。
展覧は3章構成で、「1章 徳川の時代」「2章 開港の時代」「3章 明治時代」となっていました。今日は1~2章で気に入った作品をご紹介いたします。(作品Noと実際の展示順が違ったので、念のため作品Noも入れておきます。コーナーを間違ったらすみませんw)
<第1章 徳川時代>
[1.大御所家斉と幕末の徳川将軍]
このコーナーでは大御所とよばれた11代将軍 徳川家斉から最後の将軍(15代将軍)徳川慶喜に関連する作品が紹介されていました。
54 狩野晴川院養信 「四季花鳥図屏風」 ★こちらで観られます
やまと絵風の屏風です。右隻には金地に鮮やかな松や桜、サギやツバメ、孔雀などが描かれています。また、左隻には同じように秋草、もみじ、雪の積もった梅、鴨などが描かれています。つまりこれは右から左にかけて春夏秋冬の様子を描いた作品でした。ちょっと漫画っぽいデフォルメしてるような気がしましたが、豪華で優雅な雰囲気の作品で好みでした。
7 「銀細工 家斉所用 花車/生け花飾り/飾棚・提煙草盆/碁盤・将棋盤/飾物」
銀細工の身の回りの品のミニチュアです。作品名の通り、囲碁セットや茶道具、籠や盆栽など様々なミニチュアが可愛らしかったです。特に華道の花のような作品が見事でした。
8 「豆人形」
1cmくらいの本当に豆っこい人形です。半纏を着た猫の人形が特に可愛かった! 器用に作ってます。
15 伝狩野勝川院雅信 「徳川家定像」
面長で髭の剃り跡が目立つ精悍な顔をした侍の肖像です。これは「伺下絵」という本番の絵を描く前の習作みたいな絵らしいですが、かなり詳細に描かれていて完成品にしか見えませんでした。
23 「吹上矢来御門/御鳥籠/御花壇馬場及び御馬見所茶屋/
瀧見御茶屋の前庭/鳩の御腰掛から見下ろす瀧見茶屋/
地主山から見下ろす広芝」
風景画です。どこか西洋っぽい雰囲気を持った作品で、油彩で描かれています。浮世絵と同じ顔料を使っているようですが、そこに膠水を塗っているという説明がありました。秋田派に関係あるのかな?と思ったけど詳細はわかりませんでした。
28 騎兵用甲冑(胸甲、兜) 慶喜所用(ナポレオン3世の寄贈品)
ナポレオン3世から徳川慶喜に送られた西洋の鎧です。兜には葵の御紋が入っています。実はこの兜はもう1つあって、そちらは紋が上下逆さになっているそうです。友好目的だと思いますが、紋が逆さなんてもの送ってきたら喧嘩売ってるのか?って思わないのかなw いずれにせよ歴史的に貴重な品だと思います。
[2.大奥の美意識]
ここは女性らしい優美な作風の品々が展示されていました。皇女和宮や篤姫といった幕末の有名女性ゆかりの品も必見です。
57 狩野祐清邦信 「源氏物語 若菜図」
これも大和絵風の金屏風です。十二単を着た女性や中央に座る男性、屋敷と庭などが描かれていて、源氏物語を題材にした作品のようです。これまた大和絵らしい雅で優美な雰囲気漂う作品でした。
38 「小広蓋 黒塗牡丹唐草金銀蒔絵 篤姫(天璋院)所用」
唐草模様の金蒔絵です、蓋しか無いぞ?と思ったら、蓋だけ独立して作ったもののようです。篤姫所用の品らしく、手回り品や化粧品を入れて使っていたようです。隣には鹿児島の風景を描いた掛け軸(これも篤姫所用)もありました。篤姫の美意識を感じる品々でした。
34 「雛道具 薩摩切子 篤姫(天璋院)所用」
これは最近観た美術ファンも多いのでは? 今年の春にサントリー美術館で開催された、薩摩切子展にも出品されていたミニチュアのような雛道具です。 ★参考記事
薩摩藩の威信をかけた結婚だっただけにこうした嫁入り道具もかなり気合が入って作られていて、細かく精密です。 と、そんな背景を知らなくても可愛くて綺麗な素晴らしい品だと思います。
43 「黒塗牡丹尾長蒔絵文房具 和宮(静寛院宮)所用」
小さな筆入れと10本の細い筆です。牡丹と鳳凰が描かれていて繊細かつ優美です。女性らしい可愛さもありました。
<第2章 開港の時代>
1章はまだ江戸時代でしたが、この章は黒船が浦賀にやってきた頃から開港あたりの混乱の時代をテーマにしていました。欧化した様子なども窺い知れる一番面白味のある章でした。
63 高川文筌 「米利堅人等写真図」
ペリー、副使のアダムス、通訳のウリヤマス?の3人の肖像です。 ペリーは相変らずしかめっ面をしていますw アダムスはタバコをふかし、通訳は黒眼鏡をしていて怪しいw 3人揃ってそんな感じで不審人物図みたいになっていましたw
88 歌川(玉蘭斎橋本謙)貞秀 「御開港横浜之全図」 ★こちらで観られます
錦絵です。横浜港を斜め上から観たような構図で描かれています。湾内には日本、オランダ、アメリカ、イギリス、ロシア、フランスの軍艦がいます。また、細かく町並みが描かれ右上隅には富士山が描かれていました。ちょっとデフォルメしてありますが当時の様子を容易に知ることができる作品で面白かったです。
71 鋳鉄製焼印「日本政府之印」
「日本政府之印」と書かれた大きな印鑑で、外国への手紙に使われていたようです。「日本政府」って響きはこの頃からなのかな? かなり大きくて立派でした。
79 アントニオ・ベアト 「遣欧使節とスフィンクス」 ★こちらで観られます
これは昔、トリビアの泉という番組でも紹介されていたから知っている人も多いかも。エジプトのスフィンクスの前にいる20人くらいの侍を撮った白黒写真です。彼らは横浜鎖港談判使節団の団員で、鎖港を交渉しに行くついでに観光しているようです。侍とスフィンクスという異質な組み合わせが面白いですね。
84 フェリーチェ・ベアト 「横浜」
色を塗った写真です。西洋風の屋敷の前で米俵を運ぶ人々が写っています。西洋と日本がお互い原色のまま同居しているようで、融合している現在と違った面白さがあります。相当異文化だったんでしょうね。
85 フェリーチェ・ベアト 「東海道の風景、リチャードソン氏殺害の現場」
生麦事件の現場を撮った有名な写真で、これは教科書で観たぞ!と思い出しましたw 写真に彩色されたのどかな様子が写っていて、ここで歴史的大事件が起きたとは思えないほどのんびりしていました。こういう歴史の証人的な展示品が多いのもこのコーナーの醍醐味かも。
90 歌川(五雲亭)貞秀 「横浜商館真図」 ★こちらで観られます (第2部のところです)
これは福沢諭吉展にもあった作品かな? 着物を着た女性とドレスの女性が羽子板をしていたり、中国人?やターバンをした人たちが働いている様子が描かれています。翻訳を書いたものがあり「私」には「アイ、イキ」と書かれてありました、(英語と何語だろ?) 外国との交流が進んできた様子が興味深いです。
97 三代 歌川広重 「横浜海岸鉄道蒸気車図」 ★イメージ検索の結果
港を走る蒸気機関車の錦絵です。後ろには多くの外国船が居ます。日本の技法で描かれていますが風景は西洋みたいで、欧化した横浜の様子が伝わってきます。それにしても汽車がめっちゃ海っぺりを走ってるなあw
102 河鍋暁斎 「暁斎楽画第三号 化々学校」 ★イメージ検索の結果
妖怪の学校を書いた錦絵。閻魔っぽいのが鬼とか血の池が描かれたパネルを棒で指して説明しています。手前には河童が「SI RI CO TA MA」(尻子玉)と描かれたボードで河童達に教えています。ユーモアがあってキモ可愛い絵ですが、地獄まで欧化が進んでいるとはw 非常に面白いです。
ということで、美術展と博物展の中間的な感じですが、これは教科書で観たことあるぞ!というような品もあって、歴史の過渡期がよく分かるドラマチックな内容で面白いです。
そして、次回の後編は<第3章 明治時代>をご紹介します。現在開催中の「皇室の名宝展(前期)」同様に、帝室技芸員たちの魂がこもった作品を観ることができました。
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もう東京では終わってしまいましたが、最終日1日前に大丸ミュージアム・東京で「古代カルタゴとローマ展 ~きらめく地中海文明の至宝~」を観てきました。ちょうど西洋美術館の「古代ローマ帝国の遺産 - 栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ-」をご紹介したので、他の展覧を後回しにして先にご紹介します。(まだまだ巡回するみたいだし) 今更遅いですが西洋美術館の展示と比較して考察すると非常に面白い内容でした。

【展覧名】
チュニジア世界遺産 古代カルタゴとローマ展 ~きらめく地中海文明の至宝~
【公式サイト】
http://www.karutago-roma.jp/
【会場】大丸ミュージアム・東京(大丸東京店10階)
【最寄】東京駅
【会期】2009年10月3日(土)~10月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
大丸ミュージアムでこれだけの内容を観られるとは驚きでした。巡回先が多いせいか、会期がやたらと短かったのが残念です(この間のイタリア展もそんな感じでしたが…。) 私にとってローマ以上に知識が無く、カルタゴって何?って状態で展覧に行きましたが、この展覧で一気に知ることができました。
<第1章 地中海の女王カルタゴ>
まず、この章では「地中海の女王」と呼ばれるカルタゴの文化と、ローマとの争いについて紹介されていました。簡単にいうとカルタゴはフェニキア語で「新しい街」という意味で、現在のチュニジアの首都チュニス(北アフリカの地中海沿い)にあった文明です。 海洋貿易を元に繁栄を極めましたが、その頃台頭したローマと100年に及ぶ戦争(ポニエ戦争)になり、3度目の戦争で敗れ去りました。その後ローマ帝国の支配下の都市として再興するのですが、それは2章のテーマとなっていました。
この辺の経緯はこちらでも詳しく書いてあります。 http://www.karutago-roma.jp/special/carthage.html
1 「マスク」 ★こちらで観られます
ハニワ?w かなり大きなマスクで、目と口に穴が開いています。半月状の口を大きく開けて、叫んでいるような顔をしていました。隣には死者を守るマスクもありましたが、それはエジプト風だけどフェニキアっぽさもあるということでした。
59 「スフィンクス」
ライオンの体と女性の顔と乳房を持ったスフィンクス。ティアラをかぶり少しにこやかな顔に見えたかな。優雅な感じでエジプトのスフィンクスとは少し違っていました。
7 「奉納石碑」
縦長の石碑です。3段に分かれていて、上部は掌が書かれています。中部にはポニエ語で主神バアルとタニトへの誓願文、下部にはカヌーのような船が描かれていました。簡略化された感じでデザイン的にスタイリッシュな感じです。バアルと言えば、ベルゼバブとしてキリスト教の悪魔にされた神様かな?
57 「葬送用彫像:礼拝者」
墓の上に置かれた石灰岩の像で、理想化された死者(墓主)の姿らしいです。顔は細かいけれど胴は荒削りかも。当時の人の姿がよく伝わってくる石像でした。
28 「ハト形容器」
ハトの形をした水差しかな。背中から水を入れて口から出すんじゃないかと思います。ハトの形が面白くて可愛いです。隣には用途不明のイノシシみたいな置物もありました。面白い意匠で生活の余裕を感じます。
11-18 「マスク型ペンダント」 ★こちらで観られます
ずらっと小さなマスクの形のガラス製ペンダントが並んでいました。これは魔よけの効果があると信じられていたようで、埋葬品にされていたようです。やたらと目が大きくて宇宙人みたいな顔が面白いです。これだけガラスを加工できるのは高度なガラス技術を持っていた証拠みたいです。
47 「黒像式アンフォラ」
黒とオレンジのアッティカ陶器です。アッティカ陶器は何度か見たことがあるので、何故ギリシアの取手付壷がここに?と思ったら、これはギリシアからの輸入品らしいです。側面には盾と槍を持ったアテナと、兵士達が描かれていました。こういうアッティカ陶器は当時のカルタゴで人気があったそうです。ヨーロッパは昔から交易が盛んだったんですね。驚きです。
4 「女性頭部形マスク」
ダチョウの卵に彩色して作ったマスク。これも墓の副葬品として入れられたそうです。パッチリした目で、長いまつげも描かれていて可愛かったです。少女漫画のタッチみたいw
映像コーナー カルタゴの軍港
ここら辺で、映像のコーナーがあって、カルタゴの軍港について説明をしていました。カルタゴには形の違う2つの港があって、海に面した長方形の港と、その奥にある円形の港(ドッグ)を再現CGで解説していました。円形のドッグはまるで宮殿のようで、なんと最大220隻もの船を格納できたのだとか。ドッグの模型もありましたが、とても古代のものとは思えない壮大な建物でした。
40-41 「女性頭部形香炉」
ギリシアのデメテル女神と思われる女神の頭部を模した香炉です。頭の上に台のような冠を乗せていて、そこが炉になっています。均整の取れた彫りの深い美人でした。それにしてもギリシアの影響が強いですね。
38-39 「アシュタルテ女神像?」
愛と美の女神らしいので、イシュタル(アフロディーテ、ヴィーナス)のことかな? 響きとしてはキリスト教で悪魔化されたアスタロトみたいですね。 カゴのようなものを頭に載せている像でした。
51 「イシス女神小像」
エジプトの女神イシスの像もありました。小さくて墓の副葬品として墓を守る効果があると信じられていたようです。ギリシアだけでなくエジプトの文化も混じっているのが分かる像でした。
67 「奉納石碑」
この辺には8体の奉納石碑と骨壷などがありました。先ほどご紹介したものと同様に、手や誓願文や神のシンボルなどが描かれていました。1922年に見つかった遺跡で1000本以上もこうした石碑が見つかったのだとか。♀の形(アンク)やタントというシンボルなどが描かれていて、多様な文化と触れ合ってエジプトやギリシアの神も含めた多神教であったことが改めてよくわかりました。
ここら辺で、カルタゴの英雄ハンニバルについて説明がありました。ハンニバルは最強の将軍として名を轟かせ、ローマ軍に対し連戦連勝だったそうです。戦象と共にアルプス越えをして、イタリア半島に攻め込んだというエピソードもあるようですが、最後はアフリカで負けてしまい、第2次ポニエ戦争は敗北に終わりました。しかし、敗戦後も財政改革を行い賠償金問題を解決するなど軍師としても活躍し、改めてローマに恐れられる存在となりました。ハンニバルを恐れたローマは身柄の引き渡しを要求したのですが、それが決まったときにハンニバルは自ら毒杯を仰ぎ自害したそうです。
特別出展 「鎧」 ★こちらで観られます
これは前述のハンニバルの軍と関係があるのでは?と言われている金の鎧です。腹には女神ミネルバの顔、胸には2つの円形の胸当てがついていて、胸当ての間には花を模した部分もありました。豪華で芸術性も高い貴重な展示品でした。特別展示というだけあります…。
78 「有翼女性神官の石棺」 ★こちらで観られます
大きな石棺に彫刻された女性神官の像です。蓋はギリシア様式、女性神官はエジプト様式のモチーフ といった感じで、文化の融合が見られるという解説がありました。確かに今まで観たことが無いような、何かに似ているような、そんな感覚がありました。
79-86 「コイン」
金貨と銀貨です。それぞれ直径1cm未満から3cmくらいかな? 表面には女神の顔が彫られ、かなり精巧です。ローマ展でもコインを観ましたがこちらも負けていないです。文化レベルの高さが伺えます。
<第2章 ローマに生きるカルタゴ>
ローマとの3度の戦争に敗れ壊滅したカルタゴですが、初代ローマ皇帝アウグストゥスの時代にローマ統治下の都市として再建されました。その後大きな復興を遂げ、ローマ、アレキサンドリアに次ぐ第三の都市として「アフリカのローマ」とも呼ばれたほどだったそうです。
106 「マルクス・アウレリウス帝像頭部」
この像はストア派の哲学者でもあったローマ皇帝の頭部の像です。、立派な髭とカールした頭髪で、痩せた三角形の顔つきをしています。王と哲学者という2面を兼ね備えた風格が伝わってくるようでした。
117 「ヴィーナス像」
頭部と両腕の無い等身大のヴィーナス像です。西洋美術館の展示で観た作品と共通して、薄布をまとい衣のヒダが見事なところがローマ的な感じです。大理石のせいか一層清楚な感じがしました。 近くには頭部だけのヴィーナス像もありました。
127-146 「ローマ式ランプ」
様々なモチーフが彫刻されたランプです。コロシアムの剣闘士のようなモチーフが多かったかな。他にも妖怪のような顔や船と港の風景のようなモチーフもあって面白かったです。
さて、ここまでの内容も結構な驚きがありましたが、真の驚きは最後のコーナーです。 このコーナーはまるでモザイク壁画に囲まれているように素晴らしい壁画が何点も飾られていました。…これには本当に驚きました。よくこんな展示を実現したものです。
モザイクについてはこちらに詳しく説明されています。 http://www.karutago-roma.jp/special/mosaic.html
159 「水を注ぐ女神」「バラのつぼみを撒く女性」 ★こちらで観られます
縦2mくらいの大きなモザイク壁画の2枚組み。まるで額に入っているかのような枠が囲っています。「水を注ぐ女神」は、頭の上に花瓶を構えて水を注いでいる上半身裸の女神が描かれています。背を向けて腰をくねらせ、踊っているようなポーズです。衣が風になびく様な動きや構図も見事で、非常に優美でした。また、「バラのつぼみを撒く女性」も対になるように似たポーズで花を散らしている女神が描かれていて、こちらも素晴らしいです。この展覧でもかなり気に入った作品でした。
157 「ゾウとニシキヘビ」
象に巻きついた巨大なニシキヘビを描いたモザイク壁画です。象の腹からは血が滴る様子が描かれていてちょっとグロ怖い。狩猟をテーマにした内容らしいですが生々しい感じでした。
160 「ネレイスと海獣」
背を向けた裸のネレイス(ギリシアの海神ネレウスの娘)が、海馬ヒッポカンポスに載っているモザイク壁画です。イルカも右下のほうに見えます。これは水を題材にしているだけあって浴室に飾ってあったようです。ネレイスの緩やかなポーズが見事でした。
148-151 「野ウサギの追跡」「落馬する狩人」「野ウサギの捕獲」「狩猟からの帰還」
これは4枚セットのモザイク壁画です。落馬した瞬間や、野うさぎが猟犬に食いちぎられる様子など、狩猟の様子が生き生きと写実的に描かれていました。一気に観られるのが面白いです。
152 「メドゥーサ」 ★こちらで観られます
頭が蛇のメドゥーサが描かれたモザイク壁画です。普通、メドゥーサは恐ろしいものですがこの壁画はあんま怖くない。むしろ独特の美しさを持っているように思えました。どうやらカルタゴでは豊穣や魔よけとして好まれたようです。
ということで、素晴らしい内容でした。もうちょっと会期が長ければよかったのに勿体無いです。この後、岡山、岩手、京都、浜松、宮崎、名古屋と来年の11月まで長い旅に出るようですので、もし機会があったら行ってみると驚きがあると思います。
(巡回の日程などは公式サイトをご覧ください http://www.karutago-roma.jp/top.html)
おまけ: ついでに大丸・東京の1Fにある、ねんりん家さんでバームクーヘンを買いました。10分くらい並ぶ人気店です。
公式サイト:http://www.nenrinya.jp/

買ったのはストレートタイプの小サイズ。1050円也。

味が濃くて美味しかったです(><) 大丸ミュージアムのお土産に是非w


【展覧名】
チュニジア世界遺産 古代カルタゴとローマ展 ~きらめく地中海文明の至宝~
【公式サイト】
http://www.karutago-roma.jp/
【会場】大丸ミュージアム・東京(大丸東京店10階)
【最寄】東京駅
【会期】2009年10月3日(土)~10月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
大丸ミュージアムでこれだけの内容を観られるとは驚きでした。巡回先が多いせいか、会期がやたらと短かったのが残念です(この間のイタリア展もそんな感じでしたが…。) 私にとってローマ以上に知識が無く、カルタゴって何?って状態で展覧に行きましたが、この展覧で一気に知ることができました。
<第1章 地中海の女王カルタゴ>
まず、この章では「地中海の女王」と呼ばれるカルタゴの文化と、ローマとの争いについて紹介されていました。簡単にいうとカルタゴはフェニキア語で「新しい街」という意味で、現在のチュニジアの首都チュニス(北アフリカの地中海沿い)にあった文明です。 海洋貿易を元に繁栄を極めましたが、その頃台頭したローマと100年に及ぶ戦争(ポニエ戦争)になり、3度目の戦争で敗れ去りました。その後ローマ帝国の支配下の都市として再興するのですが、それは2章のテーマとなっていました。
この辺の経緯はこちらでも詳しく書いてあります。 http://www.karutago-roma.jp/special/carthage.html
1 「マスク」 ★こちらで観られます
ハニワ?w かなり大きなマスクで、目と口に穴が開いています。半月状の口を大きく開けて、叫んでいるような顔をしていました。隣には死者を守るマスクもありましたが、それはエジプト風だけどフェニキアっぽさもあるということでした。
59 「スフィンクス」
ライオンの体と女性の顔と乳房を持ったスフィンクス。ティアラをかぶり少しにこやかな顔に見えたかな。優雅な感じでエジプトのスフィンクスとは少し違っていました。
7 「奉納石碑」
縦長の石碑です。3段に分かれていて、上部は掌が書かれています。中部にはポニエ語で主神バアルとタニトへの誓願文、下部にはカヌーのような船が描かれていました。簡略化された感じでデザイン的にスタイリッシュな感じです。バアルと言えば、ベルゼバブとしてキリスト教の悪魔にされた神様かな?
57 「葬送用彫像:礼拝者」
墓の上に置かれた石灰岩の像で、理想化された死者(墓主)の姿らしいです。顔は細かいけれど胴は荒削りかも。当時の人の姿がよく伝わってくる石像でした。
28 「ハト形容器」
ハトの形をした水差しかな。背中から水を入れて口から出すんじゃないかと思います。ハトの形が面白くて可愛いです。隣には用途不明のイノシシみたいな置物もありました。面白い意匠で生活の余裕を感じます。
11-18 「マスク型ペンダント」 ★こちらで観られます
ずらっと小さなマスクの形のガラス製ペンダントが並んでいました。これは魔よけの効果があると信じられていたようで、埋葬品にされていたようです。やたらと目が大きくて宇宙人みたいな顔が面白いです。これだけガラスを加工できるのは高度なガラス技術を持っていた証拠みたいです。
47 「黒像式アンフォラ」
黒とオレンジのアッティカ陶器です。アッティカ陶器は何度か見たことがあるので、何故ギリシアの取手付壷がここに?と思ったら、これはギリシアからの輸入品らしいです。側面には盾と槍を持ったアテナと、兵士達が描かれていました。こういうアッティカ陶器は当時のカルタゴで人気があったそうです。ヨーロッパは昔から交易が盛んだったんですね。驚きです。
4 「女性頭部形マスク」
ダチョウの卵に彩色して作ったマスク。これも墓の副葬品として入れられたそうです。パッチリした目で、長いまつげも描かれていて可愛かったです。少女漫画のタッチみたいw
映像コーナー カルタゴの軍港
ここら辺で、映像のコーナーがあって、カルタゴの軍港について説明をしていました。カルタゴには形の違う2つの港があって、海に面した長方形の港と、その奥にある円形の港(ドッグ)を再現CGで解説していました。円形のドッグはまるで宮殿のようで、なんと最大220隻もの船を格納できたのだとか。ドッグの模型もありましたが、とても古代のものとは思えない壮大な建物でした。
40-41 「女性頭部形香炉」
ギリシアのデメテル女神と思われる女神の頭部を模した香炉です。頭の上に台のような冠を乗せていて、そこが炉になっています。均整の取れた彫りの深い美人でした。それにしてもギリシアの影響が強いですね。
38-39 「アシュタルテ女神像?」
愛と美の女神らしいので、イシュタル(アフロディーテ、ヴィーナス)のことかな? 響きとしてはキリスト教で悪魔化されたアスタロトみたいですね。 カゴのようなものを頭に載せている像でした。
51 「イシス女神小像」
エジプトの女神イシスの像もありました。小さくて墓の副葬品として墓を守る効果があると信じられていたようです。ギリシアだけでなくエジプトの文化も混じっているのが分かる像でした。
67 「奉納石碑」
この辺には8体の奉納石碑と骨壷などがありました。先ほどご紹介したものと同様に、手や誓願文や神のシンボルなどが描かれていました。1922年に見つかった遺跡で1000本以上もこうした石碑が見つかったのだとか。♀の形(アンク)やタントというシンボルなどが描かれていて、多様な文化と触れ合ってエジプトやギリシアの神も含めた多神教であったことが改めてよくわかりました。
ここら辺で、カルタゴの英雄ハンニバルについて説明がありました。ハンニバルは最強の将軍として名を轟かせ、ローマ軍に対し連戦連勝だったそうです。戦象と共にアルプス越えをして、イタリア半島に攻め込んだというエピソードもあるようですが、最後はアフリカで負けてしまい、第2次ポニエ戦争は敗北に終わりました。しかし、敗戦後も財政改革を行い賠償金問題を解決するなど軍師としても活躍し、改めてローマに恐れられる存在となりました。ハンニバルを恐れたローマは身柄の引き渡しを要求したのですが、それが決まったときにハンニバルは自ら毒杯を仰ぎ自害したそうです。
特別出展 「鎧」 ★こちらで観られます
これは前述のハンニバルの軍と関係があるのでは?と言われている金の鎧です。腹には女神ミネルバの顔、胸には2つの円形の胸当てがついていて、胸当ての間には花を模した部分もありました。豪華で芸術性も高い貴重な展示品でした。特別展示というだけあります…。
78 「有翼女性神官の石棺」 ★こちらで観られます
大きな石棺に彫刻された女性神官の像です。蓋はギリシア様式、女性神官はエジプト様式のモチーフ といった感じで、文化の融合が見られるという解説がありました。確かに今まで観たことが無いような、何かに似ているような、そんな感覚がありました。
79-86 「コイン」
金貨と銀貨です。それぞれ直径1cm未満から3cmくらいかな? 表面には女神の顔が彫られ、かなり精巧です。ローマ展でもコインを観ましたがこちらも負けていないです。文化レベルの高さが伺えます。
<第2章 ローマに生きるカルタゴ>
ローマとの3度の戦争に敗れ壊滅したカルタゴですが、初代ローマ皇帝アウグストゥスの時代にローマ統治下の都市として再建されました。その後大きな復興を遂げ、ローマ、アレキサンドリアに次ぐ第三の都市として「アフリカのローマ」とも呼ばれたほどだったそうです。
106 「マルクス・アウレリウス帝像頭部」
この像はストア派の哲学者でもあったローマ皇帝の頭部の像です。、立派な髭とカールした頭髪で、痩せた三角形の顔つきをしています。王と哲学者という2面を兼ね備えた風格が伝わってくるようでした。
117 「ヴィーナス像」
頭部と両腕の無い等身大のヴィーナス像です。西洋美術館の展示で観た作品と共通して、薄布をまとい衣のヒダが見事なところがローマ的な感じです。大理石のせいか一層清楚な感じがしました。 近くには頭部だけのヴィーナス像もありました。
127-146 「ローマ式ランプ」
様々なモチーフが彫刻されたランプです。コロシアムの剣闘士のようなモチーフが多かったかな。他にも妖怪のような顔や船と港の風景のようなモチーフもあって面白かったです。
さて、ここまでの内容も結構な驚きがありましたが、真の驚きは最後のコーナーです。 このコーナーはまるでモザイク壁画に囲まれているように素晴らしい壁画が何点も飾られていました。…これには本当に驚きました。よくこんな展示を実現したものです。
モザイクについてはこちらに詳しく説明されています。 http://www.karutago-roma.jp/special/mosaic.html
159 「水を注ぐ女神」「バラのつぼみを撒く女性」 ★こちらで観られます
縦2mくらいの大きなモザイク壁画の2枚組み。まるで額に入っているかのような枠が囲っています。「水を注ぐ女神」は、頭の上に花瓶を構えて水を注いでいる上半身裸の女神が描かれています。背を向けて腰をくねらせ、踊っているようなポーズです。衣が風になびく様な動きや構図も見事で、非常に優美でした。また、「バラのつぼみを撒く女性」も対になるように似たポーズで花を散らしている女神が描かれていて、こちらも素晴らしいです。この展覧でもかなり気に入った作品でした。
157 「ゾウとニシキヘビ」
象に巻きついた巨大なニシキヘビを描いたモザイク壁画です。象の腹からは血が滴る様子が描かれていてちょっとグロ怖い。狩猟をテーマにした内容らしいですが生々しい感じでした。
160 「ネレイスと海獣」
背を向けた裸のネレイス(ギリシアの海神ネレウスの娘)が、海馬ヒッポカンポスに載っているモザイク壁画です。イルカも右下のほうに見えます。これは水を題材にしているだけあって浴室に飾ってあったようです。ネレイスの緩やかなポーズが見事でした。
148-151 「野ウサギの追跡」「落馬する狩人」「野ウサギの捕獲」「狩猟からの帰還」
これは4枚セットのモザイク壁画です。落馬した瞬間や、野うさぎが猟犬に食いちぎられる様子など、狩猟の様子が生き生きと写実的に描かれていました。一気に観られるのが面白いです。
152 「メドゥーサ」 ★こちらで観られます
頭が蛇のメドゥーサが描かれたモザイク壁画です。普通、メドゥーサは恐ろしいものですがこの壁画はあんま怖くない。むしろ独特の美しさを持っているように思えました。どうやらカルタゴでは豊穣や魔よけとして好まれたようです。
ということで、素晴らしい内容でした。もうちょっと会期が長ければよかったのに勿体無いです。この後、岡山、岩手、京都、浜松、宮崎、名古屋と来年の11月まで長い旅に出るようですので、もし機会があったら行ってみると驚きがあると思います。
(巡回の日程などは公式サイトをご覧ください http://www.karutago-roma.jp/top.html)
おまけ: ついでに大丸・東京の1Fにある、ねんりん家さんでバームクーヘンを買いました。10分くらい並ぶ人気店です。
公式サイト:http://www.nenrinya.jp/

買ったのはストレートタイプの小サイズ。1050円也。

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西洋美術館で「古代ローマ帝国の遺産 - 栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ-」を観た後、早足で常設展も観てきました。あまり時間が無かったので新館だけですが、写真を撮ってきたのでいくつかご紹介します。
(以前も同じようにご紹介したことがあるので、興味がある方はそちらの記事もご参照ください。 こちらです)
※常設展はフラッシュ禁止などのルールを守れば撮影可能です。(中には撮ってはいけない作品もあります。)
掲載等に問題があったらすぐに削除しますのでお知らせください。
ウジェーヌ・ドラクロワ 「聖母の教育」
アカデミスム成立に大きく寄与したドラクロワ。ロマン主義です。

ジャン=フランソワ・ミレー 「春(ダフニスとクロエ)」
夏に山梨県立美術館ミレー館で「ダフニスとクロエ」を観ましたが、あれとはだいぶ違って明るい感じかな。 バルビゾン派です。 ★参考記事

ギュスターヴ・クールベ 「もの思うジプシー女」
反逆児クールベ。写実的だけど神秘性がありますね。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「帽子の女」
この作品はここの看板娘では? ルノワールの女性美がよくわかります。

クロード・モネ 「陽を浴びるポプラ並木」
モネのポプラの連作の1つ。この道は開発されかけたのを、モネがお金を出して工事を延期してもらったというエピソードがあります。(うろ覚えですがw)

ローマ展に合わせて「ローマ未来の原風景 by HASHI」展をやっていました。薄暗い中でローマの写真展だったかな。かなり流して観たので感想は省略
会期;2009年9月19日(土)~12月13日(日) 公式サイト:http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/romahashi200909.html#mainClm

1Fの中庭の前には彫刻作品が並んでいます。

ウィリアム=アドルフ・ブーグロー 「少女」
アカデミスムの画家。この可憐さは一際目を引きますね。(私はロリコンじゃないですよw)

左:ギュスターヴ・モロー 「牢獄のサロメ」
右:ギュスターヴ・モロー 「ピエタ」
モロー好きとしては常設で観られるのは嬉しいです。モローはマティス、ルオー、マルケなどの先生でもあります。

ポール・ゴーガン 「海辺に立つブルターニュの少女たち」
この前のゴーギャン展にもあった作品です。この構図は斬新な気がします。 ★参考記事

ポール・セザンヌ 「葉を落としたジャ・ド・ブッファンの木々」
あんまりセザンヌって感じを受けないのは気のせいでしょうか。いつぐらいの作品だろう?

モーリス・ドニ 「踊る女たち」
ナビ派のドニ。ゴーギャンから影響を受けた一派なせいか、原始性があるけど優美で清楚な感じです。

ヴィルヘルム・ハンマースホイ 「ピアノを弾くイーダのいる室内」
去年この美術館で特別展をやったデンマークの画家ハンマースホイ。静けさ漂う神秘の画家です。

エルネスト・ローラン 「テラスの二人の夫人」
この画家は知りませんが、明るく穏やかで良い画風ですね。かなり気に入りました。

ラウル・デュフィ 「モーツァルト」
音楽好きのデュフィ。かなり好みの絵です。 そういえば夏前に見たデュフィ展にはバッハがあったなあ。 ★参考記事

ピエール=アルベール・マルケ 「レ・サーブル・ドロンヌ」
フォーヴィスムに加わりながら、淡い色彩のマルケ。穏やかな海が爽やかです。

キース・ヴァン・ドンゲン 「カジノのホール」
フォーヴィスムの画家ドンゲン。色鮮やかで題材も華やかですね。

ジョアン・ミロ 「絵画」
ミロといえば記号です。多分太陽と星かな。他は何だろうw 大きい作品だったせいか不思議なスケールの大きさを感じます。 ★参考記事

という感じで、今回もだいぶ端折ってご紹介しましたが、特別展に匹敵するくらい素晴らしい内容ですので、ローマ展に行ったら常設にも行ってみると面白いかと思います。
公式サイトでもかなり観られますので、リンクを張っておきます。
http://collection.nmwa.go.jp/artizeweb/search_5_area.do
(以前も同じようにご紹介したことがあるので、興味がある方はそちらの記事もご参照ください。 こちらです)
※常設展はフラッシュ禁止などのルールを守れば撮影可能です。(中には撮ってはいけない作品もあります。)
掲載等に問題があったらすぐに削除しますのでお知らせください。
ウジェーヌ・ドラクロワ 「聖母の教育」
アカデミスム成立に大きく寄与したドラクロワ。ロマン主義です。

ジャン=フランソワ・ミレー 「春(ダフニスとクロエ)」
夏に山梨県立美術館ミレー館で「ダフニスとクロエ」を観ましたが、あれとはだいぶ違って明るい感じかな。 バルビゾン派です。 ★参考記事

ギュスターヴ・クールベ 「もの思うジプシー女」
反逆児クールベ。写実的だけど神秘性がありますね。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「帽子の女」
この作品はここの看板娘では? ルノワールの女性美がよくわかります。

クロード・モネ 「陽を浴びるポプラ並木」
モネのポプラの連作の1つ。この道は開発されかけたのを、モネがお金を出して工事を延期してもらったというエピソードがあります。(うろ覚えですがw)

ローマ展に合わせて「ローマ未来の原風景 by HASHI」展をやっていました。薄暗い中でローマの写真展だったかな。かなり流して観たので感想は省略
会期;2009年9月19日(土)~12月13日(日) 公式サイト:http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/romahashi200909.html#mainClm

1Fの中庭の前には彫刻作品が並んでいます。

ウィリアム=アドルフ・ブーグロー 「少女」
アカデミスムの画家。この可憐さは一際目を引きますね。(私はロリコンじゃないですよw)

左:ギュスターヴ・モロー 「牢獄のサロメ」
右:ギュスターヴ・モロー 「ピエタ」
モロー好きとしては常設で観られるのは嬉しいです。モローはマティス、ルオー、マルケなどの先生でもあります。


ポール・ゴーガン 「海辺に立つブルターニュの少女たち」
この前のゴーギャン展にもあった作品です。この構図は斬新な気がします。 ★参考記事

ポール・セザンヌ 「葉を落としたジャ・ド・ブッファンの木々」
あんまりセザンヌって感じを受けないのは気のせいでしょうか。いつぐらいの作品だろう?

モーリス・ドニ 「踊る女たち」
ナビ派のドニ。ゴーギャンから影響を受けた一派なせいか、原始性があるけど優美で清楚な感じです。

ヴィルヘルム・ハンマースホイ 「ピアノを弾くイーダのいる室内」
去年この美術館で特別展をやったデンマークの画家ハンマースホイ。静けさ漂う神秘の画家です。

エルネスト・ローラン 「テラスの二人の夫人」
この画家は知りませんが、明るく穏やかで良い画風ですね。かなり気に入りました。

ラウル・デュフィ 「モーツァルト」
音楽好きのデュフィ。かなり好みの絵です。 そういえば夏前に見たデュフィ展にはバッハがあったなあ。 ★参考記事

ピエール=アルベール・マルケ 「レ・サーブル・ドロンヌ」
フォーヴィスムに加わりながら、淡い色彩のマルケ。穏やかな海が爽やかです。

キース・ヴァン・ドンゲン 「カジノのホール」
フォーヴィスムの画家ドンゲン。色鮮やかで題材も華やかですね。

ジョアン・ミロ 「絵画」
ミロといえば記号です。多分太陽と星かな。他は何だろうw 大きい作品だったせいか不思議なスケールの大きさを感じます。 ★参考記事

という感じで、今回もだいぶ端折ってご紹介しましたが、特別展に匹敵するくらい素晴らしい内容ですので、ローマ展に行ったら常設にも行ってみると面白いかと思います。
公式サイトでもかなり観られますので、リンクを張っておきます。
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今年は遺跡ものの美術展が盛んで、この古代ローマ展も予告の頃から気になっていた展覧です。夏のエジプト関連の展覧はことごとくスルーしてしまった(っていうか行く暇が無かった)ので、今度の展示も同じように見逃したらヤバイと思って、優先度高めで行ってきました。

【展覧名】
国立西洋美術館開館50周年記念事業
「古代ローマ帝国の遺産 - 栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ-」
【公式サイト】
http://roma2009.jp/index.html
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/current.html#mainClm
【会場】国立西洋美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2009年9月19日(土)~12月13日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
※写真はコンパクトデジカメで撮影しました。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
よくぞこんな貴重なものを持ってきたなーと感心する内容で、まさに西洋美術の根本のような内容で面白い内容でした。早速、いつもどおり章ごとに気に入った作品をご紹介しようと思うのですが、何故か実際に置かれていた場所と、リストの章が違っているようです。 なので、メモを元に実際に置かれていた場所で紹介しようかと思います。章が間違ってたらすみませんw
<第1章 帝国の誕生>
世界史を履修していなかった私にとって、ローマ帝国って一体どんなものだったのか?というのは、もやーっと知っているものの詳しくは知らなかったのですが、この章ではしっかりとその辺を知ることができました。
「アウグストゥスの胸像 (オクタウィアヌス・タイプ)」
初代皇帝の胸像です。リアルな人間味があって、流石に立派で意思が強そうです。知ってる方も多いかと思いますが、この皇帝は暗殺された独裁官カエサルの姪の子です。「ブルータスお前もか?」のセリフで有名な暗殺劇ですが、これはオクタウィアヌスにとってかなりの教訓になったようで、初代皇帝アウグストゥス(=尊厳者?)となっても、自分は「市民の第一人者(プリンケプス)」であるとして、権力を市民から委託されているという形を取りました。そういう背景が理由で、この胸像もギリシアの様式を取り入れています。というのも、ローマの伝統的な様式は名家の主が死ぬと蝋で作られ権力を誇示するような表現らしく、「第一人者」を喧伝したいアウグストゥスにとってはギリシアの様式の方が妥当だったようです。そう聞くとそこまで考えて作られてるのかと重みを感じますね。
「皇帝座像(アウグストゥス)」 ★こちらで観られます
こちらはアウグストゥスをユピテル神(=ゼウス)として神格化した座像。左腕を上げて丸めた紙を持っています。大きくて迫力があり、眉間に皺を寄せたり腕の血管が浮き上がるなど細かい表現も見事です。皺の表現まで細かいのはヘレニズム時代の文化に通じるというような解説があったように記憶しています。なお、これが発見されたエルコラーノの街はポンペイと同様に火山の噴火で埋もれた都市なのだとか。悠久の歴史を感じます。
「カリアティド」
カリアティドというのは柱の代わりに用いられた女性像のことです。手にたいまつのようなものを持って重そうな衣装を着てどっしりした女性像ですが、スタイルが良くて端整で上品な顔をしていました。柱を女性像にしようと考える当時の人たちの美意識は素晴らしいですね。
「エウマキアの像」
羊毛の商人の娘の像で、古代ギリシアの巫女の格好をしています。うっすらと乳首が浮くぐらい薄い布をまとっていて、ヒダも見事に表現されていました。彫刻なのに薄布の感じが出るのは本当に驚きます。
<第2章 アウグストゥスの帝国とその機構>
この章は内乱で荒れた国内を建て直し、平和のをもたらした仕組みなどが紹介されていました。フレスコ画が多かったかな。
「イシスの儀式」 ★こちらで観られます
これはフレスコ画です。陰謀で棺に入れられ殺されたオシリスを、儀式で復活させた妻のイシスが描かれています。イシスは献身的な妻としてローマでも信仰されたようです。(余談ですが、他の展覧でイシスとホルスの親子は聖母子のモデルになったって話も聞いたかな) このフレスコ画の中央上部には踊る黒人(エチオピア人)、右には椰子の木、階段下の前にひざまづいているなど、場所や場面を劇のように描いていました。ローマはイシスのように他国の宗教も取り入れていた証拠のようでした。
「アポロ像」
頭に月桂樹を乗せた裸の青年。顔はアルカイック様式だそうで、左右対称で動きがありません。それに対して首より下はクラシック様式で左右非対称となっていました。作品が見事なだけでなく1つに2つの様式があるという解説も面白いです。謎の動物も一緒にいましたw
「ユピテル・アモンの竿秤」
バールのようなもの?w 「の字になった秤です。秤の腕にユピテルのおもりがあり、1~10の目盛のつりあう所で重さが分かるようでした。こういう尺度の統一は統治に重要な項目ですが、単なる道具でなく芸術的なところがあるのが流石ローマです。
「ディオニュソスとアリアドネ」
フレスコです。背を向けて練る裸婦(アリアドネ)と、その寝ている布団のようなマント?と持つ牧神パンと、ディオニソスが描かれています。ディオニソスはパンに持たれかかっているようです。これはミノタウロスを退治したテセウスに置き去りにされたアリアドネを助けにきたシーンなのだとか。古くてボロボロでしたがドラマ性のある作品でした。それにしても脱出用の糸まであげたのに、置き去りにされるとは酷いですねw
「骨壷」
薄く緑がかったガラスの壷です。洒落てて綺麗な壷だなーと思ったら骨壷でしたw 中には火葬された骨が入っていました。ヨーロッパは土葬かと思っていましたがローマ時代は火葬だったんですね。
「アウグストゥスのアウレウス金貨」などの金貨と銀貨
1円玉くらいの小さい金貨と銀貨。アウレウスというのは通貨単位のようです。表面にはアウグストゥスの横顔が細かく描かれていて、裏面にはそれを称える内容の文字が彫られているということでした。今も昔も経済は治世の要ですが、こんな精巧な金貨を日本の弥生時代くらいに作ってたとは…。恐るべき文化レベルです。
「金のランプ」 ★こちらで観られます
この辺には指輪などの見事な金細工の作品が多かったのですが、特に見事だったのがこのランプで、蓮の葉っぱのような蓋の付いた豪華なつくりです。謂れはわかりませんが、↑のリンクでちょこっと観られるので見事さがわかるかと思います。
「双頭の蛇の指輪」 ★こちらで観られます
小さな金の指輪ですが、蛇と蛇が向き合ったデザインが秀逸な指輪でした。ヴェスヴィオ火山の大噴火で沈んだポンペイで出土されたものとのことでした。
<第3章 帝国の富>
ローマ文化はギリシア文化を模範にしながら、ローマ伝統の様式を融合させていったようです。ニュアンスとしては中国を模範にした日本文化みたいな感じかな? このコーナーは滅多に観られなそうな作品もあり、一番充実したコーナーでした。
「バルテウス(馬の胸懸)」
多くの馬やローマ兵が戦っている像がついた馬の胸懸で、立体で躍動感と臨場感が素晴らしいです。やめてー!って感じで手で静止する姿などドラマチックでした。偉い人の馬につけてたのかな?
「豹を抱くディオニュソス」 ★こちらで観られます
ちょっと猫みたいな豹を抱いた裸のディオニュソス像。これはポンペイ同様にヴェスヴィオ火山の噴火で沈んだソンマ・ヴェスヴィアーナの街で出土したそうで、左手や指が欠けていますがほぼ完全な形で残っています。ディオニュソスに顔を向ける豹を、愛情深い表情で見つめる顔が印象的です。均整が取れて理想的な身体表現も美しかったです。
「アレッツォのミネルウァ」 ★こちらで観られます
これはこの展覧でも目玉といえる青銅のミネルヴァ像で、イタリア以外では初の展示となる貴重なものです。全身緑色になっている兜をかぶった面長の女神で、腰に帯のようなものをまとい、ヒダにボリューム感があります。動きは少ないですがすらっとした雰囲気で好みでした。
「エロスの噴水彫刻」
イルカを肩に乗せたキューピッド(エロス)の像です。可愛かったw
「砦形のサモワール」
これは砦の形をした置物のように見えましたが火鉢のようです。(中で水を温めるらしいです。) 取っ手も付いていて実用性と装飾性を兼ね備えているようでした。火鉢一つをとってもこういう美術性があるのは文化が豊かだった証拠なんでしょうね。
「水道の弁」
ローマといえば水道事業も有名ですが、これはその弁です。水量を調整する高度な技術が伺えます。結構な大きさですが、この大きさは統一された規格らしいです。本当に2000年近く前とは思えないレベルの高さに驚きっぱなしです。
ここから下の階になるのですが、点数は少ないものの素晴らしい部屋が待っていました。
「庭園の風景」 ★こちらで観られます
会場の壁に実際に取り付けられた壁画で、南壁と東壁があります。南壁は緑の生い茂る庭に少女の肖像と柱があり、その隣に貝の形をした噴水のようなものが描かれています。そして気になるのが上に描かれた首のようなものw これは生首ではなく演劇用の仮面らしいです。 そして東壁の上部中央には翼を広げた鳩がいて、さらに上には黒っぽい半円状の部分があり、鳩や金の林檎などが描かれていました。ちなみに、東壁の真ん中の四角く開いた部分には神像を入れていたようです。かなり大きい壁画で、見るからに貴重なものであるのがわかりました。素晴らしいです。
「モザイクの噴水」
室内用の噴水です。上部がドーム状になった噴水で、実際に使われていたように設置されていました。噴水奥の真ん中の部分は階段があって、そこから水が流れてきたようです(この後にある映像でその再現が見られました) また、両脇には庭と噴水がかかれていました。よく再現展示したものだとこれまた驚きました。
<バーチャルリアリティ映像作品>
「古代ローマ帝国 ポンペイ『庭園の風景』」 ★こちらで観られます
↑のリンク先に2つの映像があって、「庭園の風景」の壁画の元の場所の再現の一部がちょっと観られます。 最後のコーナーにあった15分のVTRでは、先ほどの「庭園の風景」と「モザイクの噴水」の再現や現在の様子などが紹介されていて、かなり分かりやすく当時の様子を想像できる内容でした。映像が長い割りに収容できる人数が少なかったと思いますが、できれば全部観るとこれまで観てきた作品についての理解を一層深めることができるかと思います。
ということで、ローマ文化のことなんて全然知らなくても、美術品を通して一気に深く知ることができる内容だったかと思います。これだけの展示内容はそうそう観られないのでは?と思いますので、今期おさえておきたい展覧の1つだと思います。

【展覧名】
国立西洋美術館開館50周年記念事業
「古代ローマ帝国の遺産 - 栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ-」
【公式サイト】
http://roma2009.jp/index.html
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/current.html#mainClm
【会場】国立西洋美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2009年9月19日(土)~12月13日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
※写真はコンパクトデジカメで撮影しました。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
よくぞこんな貴重なものを持ってきたなーと感心する内容で、まさに西洋美術の根本のような内容で面白い内容でした。早速、いつもどおり章ごとに気に入った作品をご紹介しようと思うのですが、何故か実際に置かれていた場所と、リストの章が違っているようです。 なので、メモを元に実際に置かれていた場所で紹介しようかと思います。章が間違ってたらすみませんw
<第1章 帝国の誕生>
世界史を履修していなかった私にとって、ローマ帝国って一体どんなものだったのか?というのは、もやーっと知っているものの詳しくは知らなかったのですが、この章ではしっかりとその辺を知ることができました。
「アウグストゥスの胸像 (オクタウィアヌス・タイプ)」
初代皇帝の胸像です。リアルな人間味があって、流石に立派で意思が強そうです。知ってる方も多いかと思いますが、この皇帝は暗殺された独裁官カエサルの姪の子です。「ブルータスお前もか?」のセリフで有名な暗殺劇ですが、これはオクタウィアヌスにとってかなりの教訓になったようで、初代皇帝アウグストゥス(=尊厳者?)となっても、自分は「市民の第一人者(プリンケプス)」であるとして、権力を市民から委託されているという形を取りました。そういう背景が理由で、この胸像もギリシアの様式を取り入れています。というのも、ローマの伝統的な様式は名家の主が死ぬと蝋で作られ権力を誇示するような表現らしく、「第一人者」を喧伝したいアウグストゥスにとってはギリシアの様式の方が妥当だったようです。そう聞くとそこまで考えて作られてるのかと重みを感じますね。
「皇帝座像(アウグストゥス)」 ★こちらで観られます
こちらはアウグストゥスをユピテル神(=ゼウス)として神格化した座像。左腕を上げて丸めた紙を持っています。大きくて迫力があり、眉間に皺を寄せたり腕の血管が浮き上がるなど細かい表現も見事です。皺の表現まで細かいのはヘレニズム時代の文化に通じるというような解説があったように記憶しています。なお、これが発見されたエルコラーノの街はポンペイと同様に火山の噴火で埋もれた都市なのだとか。悠久の歴史を感じます。
「カリアティド」
カリアティドというのは柱の代わりに用いられた女性像のことです。手にたいまつのようなものを持って重そうな衣装を着てどっしりした女性像ですが、スタイルが良くて端整で上品な顔をしていました。柱を女性像にしようと考える当時の人たちの美意識は素晴らしいですね。
「エウマキアの像」
羊毛の商人の娘の像で、古代ギリシアの巫女の格好をしています。うっすらと乳首が浮くぐらい薄い布をまとっていて、ヒダも見事に表現されていました。彫刻なのに薄布の感じが出るのは本当に驚きます。
<第2章 アウグストゥスの帝国とその機構>
この章は内乱で荒れた国内を建て直し、平和のをもたらした仕組みなどが紹介されていました。フレスコ画が多かったかな。
「イシスの儀式」 ★こちらで観られます
これはフレスコ画です。陰謀で棺に入れられ殺されたオシリスを、儀式で復活させた妻のイシスが描かれています。イシスは献身的な妻としてローマでも信仰されたようです。(余談ですが、他の展覧でイシスとホルスの親子は聖母子のモデルになったって話も聞いたかな) このフレスコ画の中央上部には踊る黒人(エチオピア人)、右には椰子の木、階段下の前にひざまづいているなど、場所や場面を劇のように描いていました。ローマはイシスのように他国の宗教も取り入れていた証拠のようでした。
「アポロ像」
頭に月桂樹を乗せた裸の青年。顔はアルカイック様式だそうで、左右対称で動きがありません。それに対して首より下はクラシック様式で左右非対称となっていました。作品が見事なだけでなく1つに2つの様式があるという解説も面白いです。謎の動物も一緒にいましたw
「ユピテル・アモンの竿秤」
バールのようなもの?w 「の字になった秤です。秤の腕にユピテルのおもりがあり、1~10の目盛のつりあう所で重さが分かるようでした。こういう尺度の統一は統治に重要な項目ですが、単なる道具でなく芸術的なところがあるのが流石ローマです。
「ディオニュソスとアリアドネ」
フレスコです。背を向けて練る裸婦(アリアドネ)と、その寝ている布団のようなマント?と持つ牧神パンと、ディオニソスが描かれています。ディオニソスはパンに持たれかかっているようです。これはミノタウロスを退治したテセウスに置き去りにされたアリアドネを助けにきたシーンなのだとか。古くてボロボロでしたがドラマ性のある作品でした。それにしても脱出用の糸まであげたのに、置き去りにされるとは酷いですねw
「骨壷」
薄く緑がかったガラスの壷です。洒落てて綺麗な壷だなーと思ったら骨壷でしたw 中には火葬された骨が入っていました。ヨーロッパは土葬かと思っていましたがローマ時代は火葬だったんですね。
「アウグストゥスのアウレウス金貨」などの金貨と銀貨
1円玉くらいの小さい金貨と銀貨。アウレウスというのは通貨単位のようです。表面にはアウグストゥスの横顔が細かく描かれていて、裏面にはそれを称える内容の文字が彫られているということでした。今も昔も経済は治世の要ですが、こんな精巧な金貨を日本の弥生時代くらいに作ってたとは…。恐るべき文化レベルです。
「金のランプ」 ★こちらで観られます
この辺には指輪などの見事な金細工の作品が多かったのですが、特に見事だったのがこのランプで、蓮の葉っぱのような蓋の付いた豪華なつくりです。謂れはわかりませんが、↑のリンクでちょこっと観られるので見事さがわかるかと思います。
「双頭の蛇の指輪」 ★こちらで観られます
小さな金の指輪ですが、蛇と蛇が向き合ったデザインが秀逸な指輪でした。ヴェスヴィオ火山の大噴火で沈んだポンペイで出土されたものとのことでした。
<第3章 帝国の富>
ローマ文化はギリシア文化を模範にしながら、ローマ伝統の様式を融合させていったようです。ニュアンスとしては中国を模範にした日本文化みたいな感じかな? このコーナーは滅多に観られなそうな作品もあり、一番充実したコーナーでした。
「バルテウス(馬の胸懸)」
多くの馬やローマ兵が戦っている像がついた馬の胸懸で、立体で躍動感と臨場感が素晴らしいです。やめてー!って感じで手で静止する姿などドラマチックでした。偉い人の馬につけてたのかな?
「豹を抱くディオニュソス」 ★こちらで観られます
ちょっと猫みたいな豹を抱いた裸のディオニュソス像。これはポンペイ同様にヴェスヴィオ火山の噴火で沈んだソンマ・ヴェスヴィアーナの街で出土したそうで、左手や指が欠けていますがほぼ完全な形で残っています。ディオニュソスに顔を向ける豹を、愛情深い表情で見つめる顔が印象的です。均整が取れて理想的な身体表現も美しかったです。
「アレッツォのミネルウァ」 ★こちらで観られます
これはこの展覧でも目玉といえる青銅のミネルヴァ像で、イタリア以外では初の展示となる貴重なものです。全身緑色になっている兜をかぶった面長の女神で、腰に帯のようなものをまとい、ヒダにボリューム感があります。動きは少ないですがすらっとした雰囲気で好みでした。
「エロスの噴水彫刻」
イルカを肩に乗せたキューピッド(エロス)の像です。可愛かったw
「砦形のサモワール」
これは砦の形をした置物のように見えましたが火鉢のようです。(中で水を温めるらしいです。) 取っ手も付いていて実用性と装飾性を兼ね備えているようでした。火鉢一つをとってもこういう美術性があるのは文化が豊かだった証拠なんでしょうね。
「水道の弁」
ローマといえば水道事業も有名ですが、これはその弁です。水量を調整する高度な技術が伺えます。結構な大きさですが、この大きさは統一された規格らしいです。本当に2000年近く前とは思えないレベルの高さに驚きっぱなしです。
ここから下の階になるのですが、点数は少ないものの素晴らしい部屋が待っていました。
「庭園の風景」 ★こちらで観られます
会場の壁に実際に取り付けられた壁画で、南壁と東壁があります。南壁は緑の生い茂る庭に少女の肖像と柱があり、その隣に貝の形をした噴水のようなものが描かれています。そして気になるのが上に描かれた首のようなものw これは生首ではなく演劇用の仮面らしいです。 そして東壁の上部中央には翼を広げた鳩がいて、さらに上には黒っぽい半円状の部分があり、鳩や金の林檎などが描かれていました。ちなみに、東壁の真ん中の四角く開いた部分には神像を入れていたようです。かなり大きい壁画で、見るからに貴重なものであるのがわかりました。素晴らしいです。
「モザイクの噴水」
室内用の噴水です。上部がドーム状になった噴水で、実際に使われていたように設置されていました。噴水奥の真ん中の部分は階段があって、そこから水が流れてきたようです(この後にある映像でその再現が見られました) また、両脇には庭と噴水がかかれていました。よく再現展示したものだとこれまた驚きました。
<バーチャルリアリティ映像作品>
「古代ローマ帝国 ポンペイ『庭園の風景』」 ★こちらで観られます
↑のリンク先に2つの映像があって、「庭園の風景」の壁画の元の場所の再現の一部がちょっと観られます。 最後のコーナーにあった15分のVTRでは、先ほどの「庭園の風景」と「モザイクの噴水」の再現や現在の様子などが紹介されていて、かなり分かりやすく当時の様子を想像できる内容でした。映像が長い割りに収容できる人数が少なかったと思いますが、できれば全部観るとこれまで観てきた作品についての理解を一層深めることができるかと思います。
ということで、ローマ文化のことなんて全然知らなくても、美術品を通して一気に深く知ることができる内容だったかと思います。これだけの展示内容はそうそう観られないのでは?と思いますので、今期おさえておきたい展覧の1つだと思います。
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先日の記事でご紹介したサントリー美術館に行く前に、永田町・赤坂見附近くのニューオータニ美術館(ホテルの中にあります)で「肉筆浮世絵と江戸のファッション(前期)」を観ていました。今回もぐるっとパスを使ったので入場券は買わずに済みました。
余談ですが、赤坂見附から六本木・乃木坂は地下鉄などでは直接いけませんが、20分おきに走っている100円のコミュニティバスを利用すると便利で、まとめて巡る際に重宝します。
参考1:
ホテルニューオータニ
参考2:ぐるっとパス
参考3:みなとコミュニティバス「ちぃばす」

【展覧名】
肉筆浮世絵と江戸のファッション
【公式サイト】
http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/200910_ukiyoe/index.html
【会場】ニューオータニ美術館
【最寄】東京メトロ 赤坂見附駅・永田町駅
【会期】
前期:2009年10月03日~2009年10月25日
後期:2009年10月27日~2009年11月23日
※前後期で大幅な展示替えを行うようです。
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間45分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
どうやら前期と後期で大きな入れ替えがあるようですが、前期・後期って一長一短だよな…。この規模の美術館は頻繁に来るわけではないので会期をわけるくらいなら詰め込んで欲しいw 私が行ったのは前期で、もうすぐ後期に入ってしまいますがせっかくなのでご紹介します。
この展覧会の主役はなんと言っても江戸のファッションです。絵画作品も当時の流行や先端の様式が分かるような内容でした。
不明 「舞踊図」 ★こちらで観られます
タイトルどおり小袖を着た女性が踊っている姿を描いた6枚セットの美人画です。多分、全部同じ人を描いてます。それぞれの小袖が違っていて、左から順に、孔雀、鳳凰、琴柱、龍、とんぼ、、郡鶴と幾何学模様 といった感じでした。また、踊りの仕草もそれぞれ違っていて面白いです。ちょっと保存状態が微妙なのが残念ですが艶やかな雰囲気のある作品でした。
宮川長亀 「遊君禿図」
振袖を着た遊女とお供(禿)を描いています。遊女の振袖は帯を境に上半身は桜、下半身は松葉の模様をしています、肩がめくれて中の赤い衣が見えていて、遊女は振り返ったポーズをしています。これぞ美人画!という作品でした。色鮮やかで好みです。
不明 「黒麻地蛇籠桜花文字模様帷子」
芳野川を読んだ歌を題材にした小袖です。簡略化された川の流れに半円状のカゴが置かれている様子が表現されています。一面に桜が描かれ背中の部分には金色の文字で何か書いてありました。(読めないけど漢字5文字かな。歌の内容?) 煌びやかで豪華な小袖でした。
伝 古山師政 「美人ほととぎす図」
これも遊女と禿を描いた美人画です。2人で画面外の左上の空を見上げています。画面の外に何があるのか分かりませんが、それが気になって絵の中に世界が広がっているような感覚を覚えます。月かな?と思いましたが月は頭上にあって、鳥(これがほととぎす?)も描かれていました。また、当時の着物の美しさもよく伝わってくる作品で、作品の前にある解説には雛形(小袖の見本本)の写しも展示されていました。
「袖」
水色の振袖で、袖から下半身の部分にかけて紫のかきつばたが描かれています。かきつばたは川の中にあるようで、根元あたりで白い渦を巻いていて、涼やかな川の流れを感じます。背中には金や赤の葉が描かれていました。 全体的に爽やかで風流な雰囲気の着物でした。
勝川春章 「立姿美人図」
白い衣に紫の小袖を着た美女が、裾の上に乗っかってきた白黒の猫を見おろしています、猫は裾を押さえてじゃれているようで、美人のあれっ?って顔が面白かったです。 ほかに目が行ったのが髪飾りだったのですが、昔は豪華なものが使われていた様子が分かります。
歌川国長 「美人立姿図」 ★こちらで観られます
大きな絵で、等身大かな。黒い着物の女性が振り返っている姿が描かれ、右手で裾をもち左手はチェック模様の帯に隠れています。つりあがった目で少し口をあけて後ろの人と何か話しているのかも? 唇がちょっと青いのは化粧でしょうか。 生き生きとした姿で当時の人の生活を垣間見れるような作品でした。
染分縮緬地唐松模様振袖
18世紀前半から腰から下しか模様のない「腰模様」という小袖が生まれたそうで、さらに年代が進むと裾しか模様がない「裾模様」というのが流行ったようです。これも裾と褄だけにしか模様がない小袖で、そこにオレンジの花が描かれている以外は鮮やかな紫色一色となっていました。シンプルな感じですが粋な心意気を感じます。そんな流行廃りがあったのも知らなかったので参考になりました。
伝 古山師政 「遊楽図」
広い家屋の中を描いた作品で呉服屋かな?と思ったのですが、実際のところはわかりません。中央に赤い着物を着た女性がいて、左隣の女性と話している様子です。中央の女性の着物は非常に明るい赤で派手な美しさがあります。また、右の方で蒔絵を持ってくる女性も描かれていて、その女性は茶色い着物を着ています。これは尾形光琳の描いた菊をモチーフにした「光琳模様」の着物らしいです。光琳模様は享保から元文にかけて大ブームになったらしく、相当の人気だったそうです。こうして何気なく作品の中にまで描かれているということは、かなり浸透していた流行だったのが伺えます。
懐月堂度辰 「美人図」 ★こちらで観られます
青地に菊丸模様の小袖を上着に、下着に紅白の染め分け地に蔓模様の小袖を着た美人です。非常にカラフルで友禅模様というらしいです。かんざしを直そうとして両手をあげる仕草や、輪郭の太さ、流れるような曲線など、優雅な雰囲気が漂っていました。これと全く同じ構図で着物だけ違う作品を観た記憶があるので、着物を主役に描いた作品なのかも?
黄雲 「合せ鏡図」
小袖を着た美人画です。小袖は水色地に真っ白な6羽の鶴が舞飛ぶ姿を描いています。女性はこちらに背中を向けて立っているのですが、手に持つ鏡で品の良い顔を観ることができます。肩から真っ赤な地に笹の葉みたいな模様の下の衣が見えていました。また、画面の右側には鏡台が置かれていたのでこれが合わせ鏡ってことかな。女性の身支度の様子が身近で、可愛らしい清純な感じでした。
また、これ以外にもサントリー美術館の記事でもご紹介した、小袖の「雛形」も10冊ほど展示されていました。細かく描かれていて、こんなの作れるの??ってのもありました。
という感じで、空いていたのでゆっくりと楽しむことができました。特に当時の流行や嗜好が分かったりしたのは面白かったです。(さらにこの後行ったサントリー美術館でも雛形や小袖を見ましたw) 予告やパンフレットを観る感じ、後期の方が面白そうな気がしますので後期に行ってみるのも手だと思います。
おまけ:赤坂見附からホテルニューオータニ最寄の出口に向かう途中、地下通路がプラネタリウムのようになっていました。(むしろカラオケボックス的な?w)

余談ですが、赤坂見附から六本木・乃木坂は地下鉄などでは直接いけませんが、20分おきに走っている100円のコミュニティバスを利用すると便利で、まとめて巡る際に重宝します。
参考1:
参考2:ぐるっとパス
参考3:みなとコミュニティバス「ちぃばす」


【展覧名】
肉筆浮世絵と江戸のファッション
【公式サイト】
http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/200910_ukiyoe/index.html
【会場】ニューオータニ美術館
【最寄】東京メトロ 赤坂見附駅・永田町駅
【会期】
前期:2009年10月03日~2009年10月25日
後期:2009年10月27日~2009年11月23日
※前後期で大幅な展示替えを行うようです。
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間45分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
どうやら前期と後期で大きな入れ替えがあるようですが、前期・後期って一長一短だよな…。この規模の美術館は頻繁に来るわけではないので会期をわけるくらいなら詰め込んで欲しいw 私が行ったのは前期で、もうすぐ後期に入ってしまいますがせっかくなのでご紹介します。
この展覧会の主役はなんと言っても江戸のファッションです。絵画作品も当時の流行や先端の様式が分かるような内容でした。
不明 「舞踊図」 ★こちらで観られます
タイトルどおり小袖を着た女性が踊っている姿を描いた6枚セットの美人画です。多分、全部同じ人を描いてます。それぞれの小袖が違っていて、左から順に、孔雀、鳳凰、琴柱、龍、とんぼ、、郡鶴と幾何学模様 といった感じでした。また、踊りの仕草もそれぞれ違っていて面白いです。ちょっと保存状態が微妙なのが残念ですが艶やかな雰囲気のある作品でした。
宮川長亀 「遊君禿図」
振袖を着た遊女とお供(禿)を描いています。遊女の振袖は帯を境に上半身は桜、下半身は松葉の模様をしています、肩がめくれて中の赤い衣が見えていて、遊女は振り返ったポーズをしています。これぞ美人画!という作品でした。色鮮やかで好みです。
不明 「黒麻地蛇籠桜花文字模様帷子」
芳野川を読んだ歌を題材にした小袖です。簡略化された川の流れに半円状のカゴが置かれている様子が表現されています。一面に桜が描かれ背中の部分には金色の文字で何か書いてありました。(読めないけど漢字5文字かな。歌の内容?) 煌びやかで豪華な小袖でした。
伝 古山師政 「美人ほととぎす図」
これも遊女と禿を描いた美人画です。2人で画面外の左上の空を見上げています。画面の外に何があるのか分かりませんが、それが気になって絵の中に世界が広がっているような感覚を覚えます。月かな?と思いましたが月は頭上にあって、鳥(これがほととぎす?)も描かれていました。また、当時の着物の美しさもよく伝わってくる作品で、作品の前にある解説には雛形(小袖の見本本)の写しも展示されていました。
「袖」
水色の振袖で、袖から下半身の部分にかけて紫のかきつばたが描かれています。かきつばたは川の中にあるようで、根元あたりで白い渦を巻いていて、涼やかな川の流れを感じます。背中には金や赤の葉が描かれていました。 全体的に爽やかで風流な雰囲気の着物でした。
勝川春章 「立姿美人図」
白い衣に紫の小袖を着た美女が、裾の上に乗っかってきた白黒の猫を見おろしています、猫は裾を押さえてじゃれているようで、美人のあれっ?って顔が面白かったです。 ほかに目が行ったのが髪飾りだったのですが、昔は豪華なものが使われていた様子が分かります。
歌川国長 「美人立姿図」 ★こちらで観られます
大きな絵で、等身大かな。黒い着物の女性が振り返っている姿が描かれ、右手で裾をもち左手はチェック模様の帯に隠れています。つりあがった目で少し口をあけて後ろの人と何か話しているのかも? 唇がちょっと青いのは化粧でしょうか。 生き生きとした姿で当時の人の生活を垣間見れるような作品でした。
染分縮緬地唐松模様振袖
18世紀前半から腰から下しか模様のない「腰模様」という小袖が生まれたそうで、さらに年代が進むと裾しか模様がない「裾模様」というのが流行ったようです。これも裾と褄だけにしか模様がない小袖で、そこにオレンジの花が描かれている以外は鮮やかな紫色一色となっていました。シンプルな感じですが粋な心意気を感じます。そんな流行廃りがあったのも知らなかったので参考になりました。
伝 古山師政 「遊楽図」
広い家屋の中を描いた作品で呉服屋かな?と思ったのですが、実際のところはわかりません。中央に赤い着物を着た女性がいて、左隣の女性と話している様子です。中央の女性の着物は非常に明るい赤で派手な美しさがあります。また、右の方で蒔絵を持ってくる女性も描かれていて、その女性は茶色い着物を着ています。これは尾形光琳の描いた菊をモチーフにした「光琳模様」の着物らしいです。光琳模様は享保から元文にかけて大ブームになったらしく、相当の人気だったそうです。こうして何気なく作品の中にまで描かれているということは、かなり浸透していた流行だったのが伺えます。
懐月堂度辰 「美人図」 ★こちらで観られます
青地に菊丸模様の小袖を上着に、下着に紅白の染め分け地に蔓模様の小袖を着た美人です。非常にカラフルで友禅模様というらしいです。かんざしを直そうとして両手をあげる仕草や、輪郭の太さ、流れるような曲線など、優雅な雰囲気が漂っていました。これと全く同じ構図で着物だけ違う作品を観た記憶があるので、着物を主役に描いた作品なのかも?
黄雲 「合せ鏡図」
小袖を着た美人画です。小袖は水色地に真っ白な6羽の鶴が舞飛ぶ姿を描いています。女性はこちらに背中を向けて立っているのですが、手に持つ鏡で品の良い顔を観ることができます。肩から真っ赤な地に笹の葉みたいな模様の下の衣が見えていました。また、画面の右側には鏡台が置かれていたのでこれが合わせ鏡ってことかな。女性の身支度の様子が身近で、可愛らしい清純な感じでした。
また、これ以外にもサントリー美術館の記事でもご紹介した、小袖の「雛形」も10冊ほど展示されていました。細かく描かれていて、こんなの作れるの??ってのもありました。
という感じで、空いていたのでゆっくりと楽しむことができました。特に当時の流行や嗜好が分かったりしたのは面白かったです。(さらにこの後行ったサントリー美術館でも雛形や小袖を見ましたw) 予告やパンフレットを観る感じ、後期の方が面白そうな気がしますので後期に行ってみるのも手だと思います。
おまけ:赤坂見附からホテルニューオータニ最寄の出口に向かう途中、地下通路がプラネタリウムのようになっていました。(むしろカラオケボックス的な?w)

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今日も美術展の紹介記事を書こうと思ったら、メモ帳を紛失してしまいどうにも困った…。部屋の中でなくしたので探せばあるはずだけど、ちょうど今日はレイトショーで映画を観てきたのでそちらを先に記事にしようかと。 今日はユナイテッドシネマ会員1000円の日だったので、「カイジ 人生逆転ゲーム」を観てきました。

【作品名】
「カイジ 人生逆転ゲーム」
【公式サイト】
http://www.kaiji-movie.jp/index.html
【時間】
2時間15分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_③_4_5_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
この作品の原作漫画が好きなので、男である遠藤役が天海祐希と聞いたときは、えーっ!?って思いましたが、観てみるとそんなに違和感がなく、むしろ存在感を強めていたのが面白かったかな。 ただ、やたらとベビーフェイス風に仕上がったカイジ役(藤原竜也)と、大物感のない利根川役(香川照之)は微妙…。 カイジは原作だと土壇場で冷静な感じがあるのに、映画だと熱い気性だけが強調されてたような気がします。利根川は演説シーンとかにいまいち説得力を感じなかったかな。なんか小物風の演出が多いのがちょっといただけない。(っていうか見た目から雰囲気が違いすぎだろw)
ストーリーに関しては、原作をだいぶコンパクトに端折っているのでテンポが良いんだけど、せっかくならあの場面をやって欲しいなというのは多々ありました。(原作を知らない人はそんなの気にせず楽しめるつくりになっていると思います) もちろん改変されていますが、全体的なトータルだとそんなに違和感はなかったかな。カイジの魅力でもある狂気じみた残酷なシーンは少なめになっていたのはちょっと残念w この辺は流石に無理か。
ということで、原作好きとしては微妙な所もありましたが概ね面白かったです。原作を知らない人の方が楽しめる仕上がりになっているような気がしました。

【作品名】
「カイジ 人生逆転ゲーム」
【公式サイト】
http://www.kaiji-movie.jp/index.html
【時間】
2時間15分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_③_4_5_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
この作品の原作漫画が好きなので、男である遠藤役が天海祐希と聞いたときは、えーっ!?って思いましたが、観てみるとそんなに違和感がなく、むしろ存在感を強めていたのが面白かったかな。 ただ、やたらとベビーフェイス風に仕上がったカイジ役(藤原竜也)と、大物感のない利根川役(香川照之)は微妙…。 カイジは原作だと土壇場で冷静な感じがあるのに、映画だと熱い気性だけが強調されてたような気がします。利根川は演説シーンとかにいまいち説得力を感じなかったかな。なんか小物風の演出が多いのがちょっといただけない。(っていうか見た目から雰囲気が違いすぎだろw)
ストーリーに関しては、原作をだいぶコンパクトに端折っているのでテンポが良いんだけど、せっかくならあの場面をやって欲しいなというのは多々ありました。(原作を知らない人はそんなの気にせず楽しめるつくりになっていると思います) もちろん改変されていますが、全体的なトータルだとそんなに違和感はなかったかな。カイジの魅力でもある狂気じみた残酷なシーンは少なめになっていたのはちょっと残念w この辺は流石に無理か。
ということで、原作好きとしては微妙な所もありましたが概ね面白かったです。原作を知らない人の方が楽しめる仕上がりになっているような気がしました。
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前の記事がフジフイルムの記事だったので、同じミッドタウン内にあるサントリー美術館の「美しの和紙-天平の昔から未来へ-」も合わせてご紹介します。
会期中に6回の展示替えがあるようですが、私が行ったのは4番目の会期でした。そしていつものように年間館員証(レギュラー)を使って入りました。(参考:年間館員証について)

【展覧名】
「美しの和紙-天平の昔から未来へ-」
【公式サイト】
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/09vol05/index.html
【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】2009年9月19日(土)~11月3日(火・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間15分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
美術展というよりは博物展といった感じだったかな?というのが率直な感想で、ミーハーな私が心底感動するような作品は特に無かったのですが、今後の美術鑑賞に役立ちそうな情報が多い展示でした。空いていて静かに鑑賞できたのも好印象です。メモを取ってきたので、いくつか簡単にご紹介します。
<第1章 和紙の成り立ちと展開>
このコーナーはその名の通り、かなり古い時代の和紙を使った書が多かったかな。
「東大寺修二会(お水取り)椿の造り花」 ★こちらで観られます
これは入口に飾られていた、現代の作品です。 有名な東大寺のお水取りの儀式に備えられる和紙の造花で、修行の一環として僧侶達が作ったものらしいです。色鮮やかで可憐な椿の様子が伝わるような造花でした。隣には薬師寺の造花もありました。本物のようによくできていました。
「筑前国嶋郡川辺里戸籍断簡 」
正倉院に伝わる飛鳥時代の戸籍。当時の戸籍は3つ同じものを作って、30年たつと廃棄していたそうですが、この頃紙は貴重なものであったので、裏紙として使用され裏には何か別のことが書かれていました。戸籍とか裏紙とか、妙に現実味がありますw
「紫紙金字金光明最勝王経巻第三」
茶色っぽい和紙に金の字で国分寺に納めるお経が書かれていました。見事な字で、厳格な感じでした。
「絵因果経巻第二上(六十二行)」
上下2段になっている巻物です。下の段には釈迦の一生を書いたお経が書かれ、上の段にはそれをイラストにした挿絵があります。絵巻物の原型らしいです。1000年以上前のものですが、保存状態が良くて赤い服を着た人たちが特に鮮やかに描かれていました。和紙だからこその保存状態なのだとか。
「紺紙金銀字交書経賢劫経 巻7・巻8」
行ごと交互に金字と銀字が使われている写経です。さらに1行17文字で統一されているうえ非常に美しい字なので整然としています。巻頭には仏達が座している様子がやはり金と銀で描かれていました。1度も間違えないで描いたのかな?? 脅威です。今年の3月に世田谷美術館で「平泉~みちのくの浄土展」で観たお経もこんな感じだった記憶が…。
「法華経法師功徳品(久能寺経)」
金箔が貼りつくされた感じのお経。細かい絵が描かれていて、絢爛な感じでした。
<第2章 祈りの造形>
このコーナーは古今の品々が並び、神仏への祈りに使われた和紙が紹介されていました。
「春日若宮おん祭田楽座御幣(金剛御幣)」
突如置いてある全長3mにもなる大きな御幣(ごへい) 御幣というのは神主さんが持ってる、棒の先にジグザグの紙がついているあれです。これは黒い漆の棒(柱みたいですがw)に緑や紫の折り紙のようなものが釣り下がっていました。御幣はこうした白以外もあるそうです。とにかく大きくてどう使うのか疑問でした。
「石清水八幡宮 供花神饌」
紙でできた木、花、鳥、動物などの模型。色鮮やかで柔らか味のある模型で、優美な感じでした。特に紅葉や竹の作品が好みだったかな。
「散華(額入り)」
金の散華。散華(さんげ)というのは仏を迎えるために場を清めるために使うもので、元々は蓮の葉っぱを使っていたようです。水車や朝顔、鳳凰など細かく美しい絵が描かれていました。水車には絵に合わせて穴が開いていました。投げて使うのに芸が細かい!
「東大寺修二会(お水取り)紙衣」
これも東大寺のお水取りで使われるもので、紙でつくられた着物です。厚手の和紙をコンニャク糊で練って作るらしいです。軽くて肌触りは布みたいな感じと説明がありました。服まで作れるのは和紙ならではなのでは??
<第3章 和紙の伝統を繋ぐひとびと>
このコーナーは和紙を作る人や技術にスポットを当てたコーナーでした。博物館っぽさが一番強いコーナーかも。
「百工比照(紙類)」
百工=工芸全般、比照=比べる という意味で、様々な和紙の見本が一気に並んでいました。全部開くと317種類もあるそうです。これは貴重な資料として使われていたそうで、一言で和紙といってもかなり種類があるのが一目瞭然でした。
「職人尽図屏風」
六曲四隻の屏風。1つずつに様々な職人(仏師や鎧職人などなど)が描かれていました。紙職人も真ん中くらいにいたかな。昔から職人が和紙などの文化を守り伝えてきた証拠みたいな作品でした。
「職人尽図絵巻」
水平に道が描かれ、そこを往来する人々(天秤を担いでいる人や、秤をもっている人など様々)が描かれています。奥には刀屋と造り花の店がかかれていました。造り花は普通に街で売られていたものなんですね。昔から愛されている様子がよくわかりました。
「石州半紙漉き具(漉き桁・漉き簀)」
紙をすく道具です。2つの取っ手が付いた木枠で縦50cm×横1.5mくらいかな(だいぶ怪しい目算ですw) かなり大きな面積で、これを揺らして紙を均一に仕上げるのは相当神経を使いそうでした。
国東治兵衛著 請中庵丹羽桃渓谷画 「紙漉重宝記」
紙すきの様子を絵と解説で事細かに書いた本です。江戸時代には紙の需要も増えて、大量生産する必要があったらしく、こうした詳細なマニュアルがその生産に寄与したようです。1つの動作にも色々と解説があってかなり実用的な本のようでした。
イサム・ノグチ 「2mのあかり」
このイサム・ノグチの作品は結構好きな感じです(今までの流れから唐突な感じですがw) 直径2mの提灯のような本体を3m四方の木枠で囲っています。シンプルながらもセンスの良さを感じる作品でした。どうやらこの作品には平和への祈りが込められているようです。
このイサム・ノグチの作品から3Fだったのですが、この作品を観た後、次の部屋に行く通路にはふすまの下張りの工程がわかる模型が展示されていました。また、壁も和紙で覆われていて間接的な光が降り注いでいました。
<第4章 暮らしを彩る和紙の世界>
このコーナーは和紙が生活に溶け込んでいた様子を伝えるコーナーで、江戸時代の風習は何でも和紙が絡んでる勢いでしたw
英一蝶 「吉原風俗図巻」
遊郭を描いた作品です。普通に英一蝶らしい素晴らしい絵なのですが、和紙をテーマに解説されていました。模様入りの襖や灯り障子が描かれていて、障子にはその向こうで宴会をしている人たちの影が映っていました。行灯などにも和紙が使われている様子がわかりました。昔はどこもかしこも和紙が使われていたんですね。
「箱提灯」
普通の提灯かなw この辺りには提灯の他に紙の服なんかもありました。 提灯は室町時代に中国から伝わったそうです。提灯がいつどこから伝わったのかとかそんなこと考えたこともなかったので1つ賢くなれたw
小林清親 「隅田川夜」
これも和紙と関係あるのかな? 夜の隅田川で佇む男女が描かれた絵です。男女の姿は影絵のようで、川の向こう岸の光は川に反射し縦に伸びています。この人の作風は「光線画」という手法らしく、淡い色彩の中で光、影、水などの 描写が繊細で癒される感じでした。
歌川広重 「即興かげぼうし尽」
今年の夏に開催されたbunkamuraの騙し絵展にもあったような影絵の指南書です。2つの影絵が紹介されていて、お釜と、吊り下げられた魚の影絵でした。障子に映った影と実際の格好がならんでいるのが可笑しくて面白いです。障子という和紙があってこその影絵なんですね。
「紙布羽織」
細くひも状に練って糸にした和紙を使って織った羽織です。軽くて丈夫で汗の吸収が良いので、夏服として着ていたようです。しかも洗ってもOKということで相当便利そう。しっかりと模様も入っていて実用的なだけでなくデザイン的でした。近くには小袖もあったかな。そんなに便利なら現代でもみんな着ればいいのにw
「葵鬘薔薇蒔絵結び文形文箱」
これも和紙と関係があるのかわかりませんでしたが、変わった形の蒔絵です。幾何学的な形で香合とか多かったかな。バラが描かれていて華やかでした。
「扇面流し図屏風」
川に豪華な扇を流している様子を描いた屏風。金地で、流れるような舞飛ぶような扇が華やかな雰囲気でした。
「雛形天の橋立」
現代で言えば通販カタログのような小袖の見本本を「雛形」といいますが、この展覧でも小袖と共に6冊ほど雛形もありました。 雛形には色はついてないのですが、これを観て当時の女性達は心ときめかせていたんでしょうね。
歌川広重・三代歌川豊国 「6双筆七湯廻 塔之沢」
浮世絵の描かれた団扇です。非常に明るく鮮やかに描かれていて、右半分にはキセルを持った美女、左半分には箱根塔之沢の湯治場が描かれていました。かなり好みでレプリカが欲しかったw
この展覧の一番最後に、触っても良い手漉きの和紙がテーブルをぐるりと囲っていました。色んな和紙があるのはこの展覧会でもわかったつもりでしたが、実施に触ってみると厚手のものから薄手のもの、つるつるしたものやザラザラしたものまで質感が違い、用途も千差万別のようでした。
ということで、和紙のことが色々わかる展覧でした。若干、何でもありだった気もしますが、日本の文化、特に美術において重要な役割を担う和紙を知る事ができたのは貴重な経験かなと思います。
会期中に6回の展示替えがあるようですが、私が行ったのは4番目の会期でした。そしていつものように年間館員証(レギュラー)を使って入りました。(参考:年間館員証について)

【展覧名】
「美しの和紙-天平の昔から未来へ-」
【公式サイト】
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/09vol05/index.html
【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】2009年9月19日(土)~11月3日(火・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間15分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
美術展というよりは博物展といった感じだったかな?というのが率直な感想で、ミーハーな私が心底感動するような作品は特に無かったのですが、今後の美術鑑賞に役立ちそうな情報が多い展示でした。空いていて静かに鑑賞できたのも好印象です。メモを取ってきたので、いくつか簡単にご紹介します。
<第1章 和紙の成り立ちと展開>
このコーナーはその名の通り、かなり古い時代の和紙を使った書が多かったかな。
「東大寺修二会(お水取り)椿の造り花」 ★こちらで観られます
これは入口に飾られていた、現代の作品です。 有名な東大寺のお水取りの儀式に備えられる和紙の造花で、修行の一環として僧侶達が作ったものらしいです。色鮮やかで可憐な椿の様子が伝わるような造花でした。隣には薬師寺の造花もありました。本物のようによくできていました。
「筑前国嶋郡川辺里戸籍断簡 」
正倉院に伝わる飛鳥時代の戸籍。当時の戸籍は3つ同じものを作って、30年たつと廃棄していたそうですが、この頃紙は貴重なものであったので、裏紙として使用され裏には何か別のことが書かれていました。戸籍とか裏紙とか、妙に現実味がありますw
「紫紙金字金光明最勝王経巻第三」
茶色っぽい和紙に金の字で国分寺に納めるお経が書かれていました。見事な字で、厳格な感じでした。
「絵因果経巻第二上(六十二行)」
上下2段になっている巻物です。下の段には釈迦の一生を書いたお経が書かれ、上の段にはそれをイラストにした挿絵があります。絵巻物の原型らしいです。1000年以上前のものですが、保存状態が良くて赤い服を着た人たちが特に鮮やかに描かれていました。和紙だからこその保存状態なのだとか。
「紺紙金銀字交書経賢劫経 巻7・巻8」
行ごと交互に金字と銀字が使われている写経です。さらに1行17文字で統一されているうえ非常に美しい字なので整然としています。巻頭には仏達が座している様子がやはり金と銀で描かれていました。1度も間違えないで描いたのかな?? 脅威です。今年の3月に世田谷美術館で「平泉~みちのくの浄土展」で観たお経もこんな感じだった記憶が…。
「法華経法師功徳品(久能寺経)」
金箔が貼りつくされた感じのお経。細かい絵が描かれていて、絢爛な感じでした。
<第2章 祈りの造形>
このコーナーは古今の品々が並び、神仏への祈りに使われた和紙が紹介されていました。
「春日若宮おん祭田楽座御幣(金剛御幣)」
突如置いてある全長3mにもなる大きな御幣(ごへい) 御幣というのは神主さんが持ってる、棒の先にジグザグの紙がついているあれです。これは黒い漆の棒(柱みたいですがw)に緑や紫の折り紙のようなものが釣り下がっていました。御幣はこうした白以外もあるそうです。とにかく大きくてどう使うのか疑問でした。
「石清水八幡宮 供花神饌」
紙でできた木、花、鳥、動物などの模型。色鮮やかで柔らか味のある模型で、優美な感じでした。特に紅葉や竹の作品が好みだったかな。
「散華(額入り)」
金の散華。散華(さんげ)というのは仏を迎えるために場を清めるために使うもので、元々は蓮の葉っぱを使っていたようです。水車や朝顔、鳳凰など細かく美しい絵が描かれていました。水車には絵に合わせて穴が開いていました。投げて使うのに芸が細かい!
「東大寺修二会(お水取り)紙衣」
これも東大寺のお水取りで使われるもので、紙でつくられた着物です。厚手の和紙をコンニャク糊で練って作るらしいです。軽くて肌触りは布みたいな感じと説明がありました。服まで作れるのは和紙ならではなのでは??
<第3章 和紙の伝統を繋ぐひとびと>
このコーナーは和紙を作る人や技術にスポットを当てたコーナーでした。博物館っぽさが一番強いコーナーかも。
「百工比照(紙類)」
百工=工芸全般、比照=比べる という意味で、様々な和紙の見本が一気に並んでいました。全部開くと317種類もあるそうです。これは貴重な資料として使われていたそうで、一言で和紙といってもかなり種類があるのが一目瞭然でした。
「職人尽図屏風」
六曲四隻の屏風。1つずつに様々な職人(仏師や鎧職人などなど)が描かれていました。紙職人も真ん中くらいにいたかな。昔から職人が和紙などの文化を守り伝えてきた証拠みたいな作品でした。
「職人尽図絵巻」
水平に道が描かれ、そこを往来する人々(天秤を担いでいる人や、秤をもっている人など様々)が描かれています。奥には刀屋と造り花の店がかかれていました。造り花は普通に街で売られていたものなんですね。昔から愛されている様子がよくわかりました。
「石州半紙漉き具(漉き桁・漉き簀)」
紙をすく道具です。2つの取っ手が付いた木枠で縦50cm×横1.5mくらいかな(だいぶ怪しい目算ですw) かなり大きな面積で、これを揺らして紙を均一に仕上げるのは相当神経を使いそうでした。
国東治兵衛著 請中庵丹羽桃渓谷画 「紙漉重宝記」
紙すきの様子を絵と解説で事細かに書いた本です。江戸時代には紙の需要も増えて、大量生産する必要があったらしく、こうした詳細なマニュアルがその生産に寄与したようです。1つの動作にも色々と解説があってかなり実用的な本のようでした。
イサム・ノグチ 「2mのあかり」
このイサム・ノグチの作品は結構好きな感じです(今までの流れから唐突な感じですがw) 直径2mの提灯のような本体を3m四方の木枠で囲っています。シンプルながらもセンスの良さを感じる作品でした。どうやらこの作品には平和への祈りが込められているようです。
このイサム・ノグチの作品から3Fだったのですが、この作品を観た後、次の部屋に行く通路にはふすまの下張りの工程がわかる模型が展示されていました。また、壁も和紙で覆われていて間接的な光が降り注いでいました。
<第4章 暮らしを彩る和紙の世界>
このコーナーは和紙が生活に溶け込んでいた様子を伝えるコーナーで、江戸時代の風習は何でも和紙が絡んでる勢いでしたw
英一蝶 「吉原風俗図巻」
遊郭を描いた作品です。普通に英一蝶らしい素晴らしい絵なのですが、和紙をテーマに解説されていました。模様入りの襖や灯り障子が描かれていて、障子にはその向こうで宴会をしている人たちの影が映っていました。行灯などにも和紙が使われている様子がわかりました。昔はどこもかしこも和紙が使われていたんですね。
「箱提灯」
普通の提灯かなw この辺りには提灯の他に紙の服なんかもありました。 提灯は室町時代に中国から伝わったそうです。提灯がいつどこから伝わったのかとかそんなこと考えたこともなかったので1つ賢くなれたw
小林清親 「隅田川夜」
これも和紙と関係あるのかな? 夜の隅田川で佇む男女が描かれた絵です。男女の姿は影絵のようで、川の向こう岸の光は川に反射し縦に伸びています。この人の作風は「光線画」という手法らしく、淡い色彩の中で光、影、水などの 描写が繊細で癒される感じでした。
歌川広重 「即興かげぼうし尽」
今年の夏に開催されたbunkamuraの騙し絵展にもあったような影絵の指南書です。2つの影絵が紹介されていて、お釜と、吊り下げられた魚の影絵でした。障子に映った影と実際の格好がならんでいるのが可笑しくて面白いです。障子という和紙があってこその影絵なんですね。
「紙布羽織」
細くひも状に練って糸にした和紙を使って織った羽織です。軽くて丈夫で汗の吸収が良いので、夏服として着ていたようです。しかも洗ってもOKということで相当便利そう。しっかりと模様も入っていて実用的なだけでなくデザイン的でした。近くには小袖もあったかな。そんなに便利なら現代でもみんな着ればいいのにw
「葵鬘薔薇蒔絵結び文形文箱」
これも和紙と関係があるのかわかりませんでしたが、変わった形の蒔絵です。幾何学的な形で香合とか多かったかな。バラが描かれていて華やかでした。
「扇面流し図屏風」
川に豪華な扇を流している様子を描いた屏風。金地で、流れるような舞飛ぶような扇が華やかな雰囲気でした。
「雛形天の橋立」
現代で言えば通販カタログのような小袖の見本本を「雛形」といいますが、この展覧でも小袖と共に6冊ほど雛形もありました。 雛形には色はついてないのですが、これを観て当時の女性達は心ときめかせていたんでしょうね。
歌川広重・三代歌川豊国 「6双筆七湯廻 塔之沢」
浮世絵の描かれた団扇です。非常に明るく鮮やかに描かれていて、右半分にはキセルを持った美女、左半分には箱根塔之沢の湯治場が描かれていました。かなり好みでレプリカが欲しかったw
この展覧の一番最後に、触っても良い手漉きの和紙がテーブルをぐるりと囲っていました。色んな和紙があるのはこの展覧会でもわかったつもりでしたが、実施に触ってみると厚手のものから薄手のもの、つるつるしたものやザラザラしたものまで質感が違い、用途も千差万別のようでした。
ということで、和紙のことが色々わかる展覧でした。若干、何でもありだった気もしますが、日本の文化、特に美術において重要な役割を担う和紙を知る事ができたのは貴重な経験かなと思います。
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先日記事にした国立新美術館の「ハプスブルク展」に行った際、いつもどおりフジフイルム スクエアにもハシゴして「写真で彩る"夜のきらめき"」も観てきました。


【展覧名】
写真で彩る"夜のきらめき"
【公式サイト】
http://fujifilmsquare.jp/detail/09100601.html
【会場】 FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア) 1Fギャラリー「PHOTO IS」
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】2009年10月6日(火)~2009年11月12日(木)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況(平日18時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_4_⑤_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
いつもどおりこのスペースはそんなに展示点数は多くないものの、煌きと呼ぶに相応しい作品ばかりで心温まる幻想的空間となっていました。 休日に写真を撮るようになってよく思うのが、夜景って難しい!ってことなのですが、この展示では様々な夜景や光の表現が観られて面白かったです。 ・・・というか、ストレートに綺麗な風景写真ばかりで素直に楽しめると思います。 トンネルのように暗くなったブースもあり、そこでは暗い中で観た夜景のような気分で鑑賞もできました。 外国の夜景(特にヨーロッパ)はもともとの街の美しさと光の美しさが相まって、神聖さすら感じる作品もありました。 また、日本の夜景写真もあるのですが、結構身近なところの写真もあって、一番近いところではミッドタウンの裏手の写真なんかもありました。 横浜や新宿など私も夜景写真を撮った場所もあって、こんな構図でこういう風に撮れるんだ…と驚いてきましたw (比べるなって話ですがw)
ということで、宝石を散りばめたような街の煌きが心をも照らすような美しさでした。直感的に美しいと感じる内容ですので、六本木に行ったら是非立ち寄ってみてください。いつも無料で観られるのも嬉しいです。


【展覧名】
写真で彩る"夜のきらめき"
【公式サイト】
http://fujifilmsquare.jp/detail/09100601.html
【会場】 FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア) 1Fギャラリー「PHOTO IS」
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】2009年10月6日(火)~2009年11月12日(木)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況(平日18時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_4_⑤_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
いつもどおりこのスペースはそんなに展示点数は多くないものの、煌きと呼ぶに相応しい作品ばかりで心温まる幻想的空間となっていました。 休日に写真を撮るようになってよく思うのが、夜景って難しい!ってことなのですが、この展示では様々な夜景や光の表現が観られて面白かったです。 ・・・というか、ストレートに綺麗な風景写真ばかりで素直に楽しめると思います。 トンネルのように暗くなったブースもあり、そこでは暗い中で観た夜景のような気分で鑑賞もできました。 外国の夜景(特にヨーロッパ)はもともとの街の美しさと光の美しさが相まって、神聖さすら感じる作品もありました。 また、日本の夜景写真もあるのですが、結構身近なところの写真もあって、一番近いところではミッドタウンの裏手の写真なんかもありました。 横浜や新宿など私も夜景写真を撮った場所もあって、こんな構図でこういう風に撮れるんだ…と驚いてきましたw (比べるなって話ですがw)
ということで、宝石を散りばめたような街の煌きが心をも照らすような美しさでした。直感的に美しいと感じる内容ですので、六本木に行ったら是非立ち寄ってみてください。いつも無料で観られるのも嬉しいです。
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前の記事で紹介したポーラミュージアムアネックスに行く前に、INAXギャラリーの「七宝 -色と細密の世界-」にも行っていました。この2つのアートスペースはすぐ近くなのでハシゴするのに最適です。どっちも無料だしw ただ、INAXは日曜祝日はお休みなので注意が必要です。 地図を見ると分かると思いますがブリヂストン美術館や国立近代美術館フィルムセンター、警察博物館なども近くにあります。


【展覧名】
七宝 -色と細密の世界-
【公式サイト】
http://www.inax.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_001432.html
【会場】INAXギャラリー
【最寄】銀座線京橋駅 都営浅草線宝町
【会期】2009年9月3日(木)~11月21日(土)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
ここの展示スペースは15分もあれば周れるくらいで点数も多くないですが、所狭しと素晴らしい品が紹介されていて無料とは思えないほど面白い内容になっていました。通路が狭いせいか意外と人がいるように思えましたがそれでも数人程度でした。
いくつかメモを取ってきたので、簡潔にご紹介しようと思います。
粂野締太郎 「秋草文銀胎花瓶」
銀胎に彫金加工で秋草を打ちつけています。透き通る紫をしていて何層にも塗られているようです。非常に高級感のある作品でした。
早川(名前は不明) 「菊文花瓶」
真紅の小さな花瓶です。菊が描かれていて、これも透明感が宝石のような美しさがありました。結構小さいのも可愛らしいです。
林小伝治(三代) 「古代文花瓶」
獅子や鳳凰がぎっしりと描かれた花瓶。あちこちでキラキラと金粉のようなものが光っているのが綺麗でした。これは亜酸化銅が釉薬にまぶしてあるということです。
加藤耕三 「菊花文省胎香炉」
きわめて透明感のある「省胎七宝」の技法が使われている香炉です。薄緑に赤みがかった菊が描かれていました。省胎七宝は高度な技術のようですが、本当に綺麗です。
涛川惣介 「月に花文皿」
先日、同じ濤川惣助の「七宝月夜深林図額」という作品を皇室の名宝展で観ましたが、これも絵画のような色彩の七宝です。(皇室の名宝展の感想はこちら)
四角い皿に淡い色使いでピンク・青・黄色といった花が描かれています。そしてその上には大きな月が見えていて、風流な雰囲気でした。色合いの微妙さが七宝とは思えないほど繊細でした。
安藤重兵衛 「葡萄文壷」
鎚起(ついき)という金属の板を打ち出して立体的な紋様をつくる技法が使われています。大きな壷に盛り上がったブドウの木が打ち出され彩色されていました。ちょっと色はけばかったかなw
富木庄兵衛 「月雲文硯箱」
滑らかな灰色の硯箱。箱の裏には白い月に黒い雲がかかる様子が描かれているのですが、その雲が薄くなって月が透けるような表現が見事でした。というのも、この作品には「無線七宝」という釉薬を流した後に線を外して焼く技法が使われているらしく、この作品のようにぼかしによる絵画的表現ができ、先ほどご紹介した涛川惣介が考案したものだと解説されていました。
林小伝治 「百花文大皿」
結構大きなお皿です。直径1mくらいかな? 黒地に様々な花が描かれ、非常にカラフルです。ちょっときついくらいの鮮やかさかもw この皿のデザインは円山派の絵師にデザインさせたという解説がありました。 凄い存在感です。
展示スペースの一番奥の辺りにはVTRと有線七宝の製作工程の説明コーナーがありました。七宝の製作に関わる道具なども展示されていました。
服部唯三郎 「洋花文3点セット」
砂糖入れ、ミルク入れ、盆の3点セットです。七宝は水に濡れるのを嫌う(化学変化しやすくなる)ので、道具ではなく装飾品ではないかということでした。乳色の地に薄紫や黄緑の花と葉が描かれています。形も優雅で気品がありました。
不明 「花鳥文花瓶」
黒地に写実的な鶏が2羽、空飛ぶツバメが2羽、といった感じで鳥たちが描かれています。周りには菊を始め、色とりどりの美しい花が咲いていました。焼き物とは思えない精密な模様と見事な構図が素晴らしかったです。
安藤七宝店 「黄金瑠璃鈿背十二稜鏡模」
大きな葉っぱのような形の作品で、宝石のような緑と金が目に鮮やかな七宝です。これは正倉院の宝物のようで、現存する七宝の中で紋様が明確な最古の作品らしいです。何しろ大きいので堂々とした華麗さがありました。
不明 「鳳凰形香炉」
東本願寺に伝来している作品で、鳳凰の彫刻のような香炉です。金の頭を持ち尾が長い鳳凰で、緑の羽根と尾っぽに七宝が見られます。少しくすんでる気もしますが、彫像としても面白い作品でした。
並河靖之 「瑞鳥花卉唐草文花瓶」
小さな花瓶に細かく鳳凰のような鳥や龍が描かれています。キラキラと金粉みたいなのが光っているのはやはり釉薬に金属を混ぜているのかな? 非常に細かくて美しい作品でした。
ということで、無料でこれだけ楽しめるのは嬉しい限りです。七宝についての解説もあり、様々な種類の作品が堪能できました。
また、ここには3つの部屋があるのですが、他の2つの部屋では「河野 愛 展 -うたかたの家-」と「根本裕子 展 -陶 幻視のいきもの-」が展示されていました。
どちらも3分程度で観られるかな。公式サイトでもかなり詳しく観られます。
河野 愛 展 -うたかたの家-
2009年10月1日(木)~10月24日(土)
公式サイト:http://www.inax.co.jp/gallery/contemporary/detail/d_001473.html
根本裕子 展 -陶 幻視のいきもの-
2009年10月7日(水)~11月2日(月)
公式サイト:http://www.inax.co.jp/gallery/ceramic/detail/d_001486.html
銀座からすぐ近くにあって便利ですので、銀座にお出かけの際はチェックしてみると面白いと思います。



【展覧名】
七宝 -色と細密の世界-
【公式サイト】
http://www.inax.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_001432.html
【会場】INAXギャラリー
【最寄】銀座線京橋駅 都営浅草線宝町
【会期】2009年9月3日(木)~11月21日(土)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
ここの展示スペースは15分もあれば周れるくらいで点数も多くないですが、所狭しと素晴らしい品が紹介されていて無料とは思えないほど面白い内容になっていました。通路が狭いせいか意外と人がいるように思えましたがそれでも数人程度でした。
いくつかメモを取ってきたので、簡潔にご紹介しようと思います。
粂野締太郎 「秋草文銀胎花瓶」
銀胎に彫金加工で秋草を打ちつけています。透き通る紫をしていて何層にも塗られているようです。非常に高級感のある作品でした。
早川(名前は不明) 「菊文花瓶」
真紅の小さな花瓶です。菊が描かれていて、これも透明感が宝石のような美しさがありました。結構小さいのも可愛らしいです。
林小伝治(三代) 「古代文花瓶」
獅子や鳳凰がぎっしりと描かれた花瓶。あちこちでキラキラと金粉のようなものが光っているのが綺麗でした。これは亜酸化銅が釉薬にまぶしてあるということです。
加藤耕三 「菊花文省胎香炉」
きわめて透明感のある「省胎七宝」の技法が使われている香炉です。薄緑に赤みがかった菊が描かれていました。省胎七宝は高度な技術のようですが、本当に綺麗です。
涛川惣介 「月に花文皿」
先日、同じ濤川惣助の「七宝月夜深林図額」という作品を皇室の名宝展で観ましたが、これも絵画のような色彩の七宝です。(皇室の名宝展の感想はこちら)
四角い皿に淡い色使いでピンク・青・黄色といった花が描かれています。そしてその上には大きな月が見えていて、風流な雰囲気でした。色合いの微妙さが七宝とは思えないほど繊細でした。
安藤重兵衛 「葡萄文壷」
鎚起(ついき)という金属の板を打ち出して立体的な紋様をつくる技法が使われています。大きな壷に盛り上がったブドウの木が打ち出され彩色されていました。ちょっと色はけばかったかなw
富木庄兵衛 「月雲文硯箱」
滑らかな灰色の硯箱。箱の裏には白い月に黒い雲がかかる様子が描かれているのですが、その雲が薄くなって月が透けるような表現が見事でした。というのも、この作品には「無線七宝」という釉薬を流した後に線を外して焼く技法が使われているらしく、この作品のようにぼかしによる絵画的表現ができ、先ほどご紹介した涛川惣介が考案したものだと解説されていました。
林小伝治 「百花文大皿」
結構大きなお皿です。直径1mくらいかな? 黒地に様々な花が描かれ、非常にカラフルです。ちょっときついくらいの鮮やかさかもw この皿のデザインは円山派の絵師にデザインさせたという解説がありました。 凄い存在感です。
展示スペースの一番奥の辺りにはVTRと有線七宝の製作工程の説明コーナーがありました。七宝の製作に関わる道具なども展示されていました。
服部唯三郎 「洋花文3点セット」
砂糖入れ、ミルク入れ、盆の3点セットです。七宝は水に濡れるのを嫌う(化学変化しやすくなる)ので、道具ではなく装飾品ではないかということでした。乳色の地に薄紫や黄緑の花と葉が描かれています。形も優雅で気品がありました。
不明 「花鳥文花瓶」
黒地に写実的な鶏が2羽、空飛ぶツバメが2羽、といった感じで鳥たちが描かれています。周りには菊を始め、色とりどりの美しい花が咲いていました。焼き物とは思えない精密な模様と見事な構図が素晴らしかったです。
安藤七宝店 「黄金瑠璃鈿背十二稜鏡模」
大きな葉っぱのような形の作品で、宝石のような緑と金が目に鮮やかな七宝です。これは正倉院の宝物のようで、現存する七宝の中で紋様が明確な最古の作品らしいです。何しろ大きいので堂々とした華麗さがありました。
不明 「鳳凰形香炉」
東本願寺に伝来している作品で、鳳凰の彫刻のような香炉です。金の頭を持ち尾が長い鳳凰で、緑の羽根と尾っぽに七宝が見られます。少しくすんでる気もしますが、彫像としても面白い作品でした。
並河靖之 「瑞鳥花卉唐草文花瓶」
小さな花瓶に細かく鳳凰のような鳥や龍が描かれています。キラキラと金粉みたいなのが光っているのはやはり釉薬に金属を混ぜているのかな? 非常に細かくて美しい作品でした。
ということで、無料でこれだけ楽しめるのは嬉しい限りです。七宝についての解説もあり、様々な種類の作品が堪能できました。
また、ここには3つの部屋があるのですが、他の2つの部屋では「河野 愛 展 -うたかたの家-」と「根本裕子 展 -陶 幻視のいきもの-」が展示されていました。
どちらも3分程度で観られるかな。公式サイトでもかなり詳しく観られます。
河野 愛 展 -うたかたの家-
2009年10月1日(木)~10月24日(土)
公式サイト:http://www.inax.co.jp/gallery/contemporary/detail/d_001473.html
根本裕子 展 -陶 幻視のいきもの-
2009年10月7日(水)~11月2日(月)
公式サイト:http://www.inax.co.jp/gallery/ceramic/detail/d_001486.html
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多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
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画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。
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