Archive | 2010年02月
金曜に休みを取って、ファミリーセールで買い物→泉屋博古館分館→智美術館と巡った後、さらに大倉集古館にも行って「新春を仰ぐ 大倉コレクション 能面・能装束展」を観てきました。さすがに閉館までの時間が少なくなってしまい、早足で周ってきました。 ・・・閉館時間が18時の智美術館を最後にすれば良かったとちょっと後悔。智美術館は初めてだったので時間が見積もれなかったw

【展覧名】
新春を仰ぐ 大倉コレクション 能面・能装束展
【公式サイト】
http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/shukokan/noh2010.html
http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/shukokan/
【会場】大倉集古館
【最寄】六本木一丁目/溜池山王/神谷町
【会期】2010年01月02日~03月14日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況(平日16時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
平日だったためかほとんど貸切状態で観ることができました。平日の美術館めぐりほど快適なものはないですw
私は能や狂言を実際に観たことが無いので、観ても深い理解はできないだろうとは思ったのですが、展示されているものを観ているうちに、観るだけでもだいぶ面白く感じました。特に面は個性的な作品が多く、感情の表現や異形の者への畏怖がストレートに伝わってくるパワーがありました。また、各作品にはしっかりと解説もあったので初心者の私には嬉しかったです。いくつか気に入った作品をメモしてきたのでご紹介しようと思います。
「能面 翁」
ポスターの作品です。満面の笑みを浮かべた老人の面です。目が^^の字になっていて、好々爺の雰囲気が伝わってきました。これは祝福の面として尊ばれているようです。長生きできそう ^^
「狂言面 狐」 「狂言面 白蔵主」
2つでワンセットと言って良いのかな。(多分) 狐の変身前と変身後の面です。まず、「狂言面 狐」の方は眉や鼻の部分に毛まで生えている狐の面で、剥き出しの歯や目にも狐らしさが出ています。そして隣の「狂言面 白蔵主」は狐が人間に化けて狐狩りをやめるよう人間をとめる演目「釣狐」の面です。基本的には人間の面なのですが、尖った頬や突き出た鼻などが人間に化けきれていないようで、逆にまるで狐の化け方を写実したような妙なリアリティを感じました。
「狂言面 福の神」
赤い顔で気持ちよく笑っている顔の福の神です。目じりが下がって大きく口を開け歯を見せて笑っていました。目じりの皺までリアルに作られています。笑う角には福来ると言いますが、観ている方も気分が明るくなるようなパワーがある面でした。
「能面 怪士(あやかし)」
こちらは怨念を持つ男の亡霊の面です。大きく目を見開き歯を見せる表情が怖いです。瞳に金銅環を施して(金具や金泥を施して)いて、これは超人的な力を持っていることを意味しているようです。瞳の周りが金色=人知を超えた存在というのはこの後も出てきますので1つのルールなのかもしれません。
「能面 痩男」
これは男の幽霊の面で、気が抜けたようなボーっとした顔をしているように思いました。しかし解説では冥途の迷いや地獄の苦しみを滲ませていると書いてあったので、私のアンテナが悪いのかもw これも瞳のふちが金色の金銅環でした。
「能面 顰(しかみ)」
真っ赤な顔で口には牙が生えた赤鬼のような形相の面です。眉間に皺を寄せ口をひらいて迫力がありました。彫りが深くて立体的な面でもありました。
「能面 小面」
江口という演目の能面です。少し微笑んだ顔の女性の面で、「小」とは可愛らしい、若い、優しいといった意味の接頭語らしいです。ふっくらして昔の美人風の顔でした。近くには色彩豊かな装束もあり、華麗な雰囲気が漂うコーナーでした。
「神楽面 ひょっとこ」 「狂言面 嘘吹」
並んで展示されていた面で、どちらも口を突き出したギョロ目の(というか目が飛び出しているw)面です。ひょうきんで面白い面でした。
この辺から2Fの展示作品です。2Fには多くの装束や団扇、太刀なども展示されていました。
「能面 相生増」
若い女性の面で、何か鼻や頬に傷みたいなものがついているぞ?と思ったら、この傷はわざとつけたもののようです。木面を写した際にあった傷を故意に再現したのだとか。貴重な写しなのかもしれません。
「能面 近江女」
女性の面です。道成寺の面でしょうか。解説によると瞳が丸く刳り貫かれていているのが他の女面には無い特徴らしいです。確かに周りの女性の面は瞳を四角く刳り貫かれていました。ちょっと微笑んでいるようにも見えますが、どこか妖しい…。
「能装束 紅地檜扇菊梅模様縫入長絹」
薄く透ける真っ赤な能装束です。扇子や菊紋、梅の花を散らし華やかな装束でした。ゆっくりしてたら閉館間際になりこの辺はかなり早足で観る羽目になったのですが、2Fの奥のほうには絢爛な装束が多くて、じっくり観られなかったのが残念…。
「能装束 紫地扇面藤柴垣模様長絹」
これも薄い紫の装束です。白い藤が沢山垂れているのが特に美しく見えました。
「能面 獅子口」
大きく口を開き金色の歯や舌まで見える獅子面です。目は丸いけれども鋭く、威嚇するような迫力がありました。これも立体的な厚みがありました。
ということで、最後は時間切れで慌ててみる感じになってしまって残念。16:30閉館とちょっと早めなのが厳しいところですw 解説も読んで周ったら1時間くらいかかるかな。予想以上に楽しめる内容で時が経つのを忘れるくらいでした。私の好みで面ばかりご紹介しましたが、能装束も艶やかな作品が多く、好きな方には面白いかと思います。とにかく、面というのは感情が凝縮されていて面白いものだと再認識できました。
おまけ:館内に入る前に、裏手の庭園も見てきました。今まで何度も観てるせいか5分くらいで回れてしまいます。



【展覧名】
新春を仰ぐ 大倉コレクション 能面・能装束展
【公式サイト】
http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/shukokan/noh2010.html
http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/shukokan/
【会場】大倉集古館
【最寄】六本木一丁目/溜池山王/神谷町
【会期】2010年01月02日~03月14日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況(平日16時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
平日だったためかほとんど貸切状態で観ることができました。平日の美術館めぐりほど快適なものはないですw
私は能や狂言を実際に観たことが無いので、観ても深い理解はできないだろうとは思ったのですが、展示されているものを観ているうちに、観るだけでもだいぶ面白く感じました。特に面は個性的な作品が多く、感情の表現や異形の者への畏怖がストレートに伝わってくるパワーがありました。また、各作品にはしっかりと解説もあったので初心者の私には嬉しかったです。いくつか気に入った作品をメモしてきたのでご紹介しようと思います。
「能面 翁」
ポスターの作品です。満面の笑みを浮かべた老人の面です。目が^^の字になっていて、好々爺の雰囲気が伝わってきました。これは祝福の面として尊ばれているようです。長生きできそう ^^
「狂言面 狐」 「狂言面 白蔵主」
2つでワンセットと言って良いのかな。(多分) 狐の変身前と変身後の面です。まず、「狂言面 狐」の方は眉や鼻の部分に毛まで生えている狐の面で、剥き出しの歯や目にも狐らしさが出ています。そして隣の「狂言面 白蔵主」は狐が人間に化けて狐狩りをやめるよう人間をとめる演目「釣狐」の面です。基本的には人間の面なのですが、尖った頬や突き出た鼻などが人間に化けきれていないようで、逆にまるで狐の化け方を写実したような妙なリアリティを感じました。
「狂言面 福の神」
赤い顔で気持ちよく笑っている顔の福の神です。目じりが下がって大きく口を開け歯を見せて笑っていました。目じりの皺までリアルに作られています。笑う角には福来ると言いますが、観ている方も気分が明るくなるようなパワーがある面でした。
「能面 怪士(あやかし)」
こちらは怨念を持つ男の亡霊の面です。大きく目を見開き歯を見せる表情が怖いです。瞳に金銅環を施して(金具や金泥を施して)いて、これは超人的な力を持っていることを意味しているようです。瞳の周りが金色=人知を超えた存在というのはこの後も出てきますので1つのルールなのかもしれません。
「能面 痩男」
これは男の幽霊の面で、気が抜けたようなボーっとした顔をしているように思いました。しかし解説では冥途の迷いや地獄の苦しみを滲ませていると書いてあったので、私のアンテナが悪いのかもw これも瞳のふちが金色の金銅環でした。
「能面 顰(しかみ)」
真っ赤な顔で口には牙が生えた赤鬼のような形相の面です。眉間に皺を寄せ口をひらいて迫力がありました。彫りが深くて立体的な面でもありました。
「能面 小面」
江口という演目の能面です。少し微笑んだ顔の女性の面で、「小」とは可愛らしい、若い、優しいといった意味の接頭語らしいです。ふっくらして昔の美人風の顔でした。近くには色彩豊かな装束もあり、華麗な雰囲気が漂うコーナーでした。
「神楽面 ひょっとこ」 「狂言面 嘘吹」
並んで展示されていた面で、どちらも口を突き出したギョロ目の(というか目が飛び出しているw)面です。ひょうきんで面白い面でした。
この辺から2Fの展示作品です。2Fには多くの装束や団扇、太刀なども展示されていました。
「能面 相生増」
若い女性の面で、何か鼻や頬に傷みたいなものがついているぞ?と思ったら、この傷はわざとつけたもののようです。木面を写した際にあった傷を故意に再現したのだとか。貴重な写しなのかもしれません。
「能面 近江女」
女性の面です。道成寺の面でしょうか。解説によると瞳が丸く刳り貫かれていているのが他の女面には無い特徴らしいです。確かに周りの女性の面は瞳を四角く刳り貫かれていました。ちょっと微笑んでいるようにも見えますが、どこか妖しい…。
「能装束 紅地檜扇菊梅模様縫入長絹」
薄く透ける真っ赤な能装束です。扇子や菊紋、梅の花を散らし華やかな装束でした。ゆっくりしてたら閉館間際になりこの辺はかなり早足で観る羽目になったのですが、2Fの奥のほうには絢爛な装束が多くて、じっくり観られなかったのが残念…。
「能装束 紫地扇面藤柴垣模様長絹」
これも薄い紫の装束です。白い藤が沢山垂れているのが特に美しく見えました。
「能面 獅子口」
大きく口を開き金色の歯や舌まで見える獅子面です。目は丸いけれども鋭く、威嚇するような迫力がありました。これも立体的な厚みがありました。
ということで、最後は時間切れで慌ててみる感じになってしまって残念。16:30閉館とちょっと早めなのが厳しいところですw 解説も読んで周ったら1時間くらいかかるかな。予想以上に楽しめる内容で時が経つのを忘れるくらいでした。私の好みで面ばかりご紹介しましたが、能装束も艶やかな作品が多く、好きな方には面白いかと思います。とにかく、面というのは感情が凝縮されていて面白いものだと再認識できました。
おまけ:館内に入る前に、裏手の庭園も見てきました。今まで何度も観てるせいか5分くらいで回れてしまいます。

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泉屋博古館分館で「新春展 春の妝い」を観た後、大倉集古館の前を通って、智美術館に行き、「藤本能道 命の残照のなかで」を観てきました。この美術館に行ったのは初めてでした。この美術館は結構新しい割りに話題にもあまり出ないんですよね・・・。


【展覧名】
藤本能道 命の残照のなかで
【公式サイト】
http://www.musee-tomo.or.jp/exhibition.html
【会場】菊池寛実記念 智美術館
【最寄】神谷町/六本木一丁目/溜池山王/虎ノ門
【会期】2009年10月31日(土)~2010年4月18日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況(平日15時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
あまり説明が無く、どういう経歴の作家なのかよく分かりませんでしたが、ここの設立者である菊池智 氏と生前に深い付き合いがあった人間国宝の方のようです。何しろ情報が少ないので観た感想だけしか書けませんが、良い作品が多かったのでさらっとご紹介しようと思います。平日だったせいか貸しきり状態でゆっくり観ることが出来ました。点数の割りにぐるっとパス対象外の企画展で1300円という価格設定も厳しいのかもw
「草白釉釉描色絵金彩翡翠図六角筥」
正六角形に近い陶器の箱です。蓋にはかわせみが草の上にとまっている姿が描かれています。背景には乳白色の地に淡い色で流れのようなものが描かれていて、側面にも彩色されていました。この整った六角形の形と透き通るような磁器の色が非常に好みでテンションが上がりました。
「雪白釉色絵山帰来鶉図六角大筥」
こちらも六角形の陶器です。大きな植物(木蓮?)とウズラが描かれています。鮮やかに細かく描かれていて背景の白とあわせて美しい色合いでした。こうした六角形や八角形の箱(すべて陶器)は結構展示されていて、鳥が描かれている作品も多くありました。
「草白釉釉描加彩野葡萄と雀図角隅切筥」
八角形の箱に見えるけど角が丸くなっています。三羽の雀が樹にとまっておしゃべりしているかのようにお互いの顔を見ているのが可愛かったです。色合いも絶妙でした。
「草白釉釉描色絵金彩溪流紅葉図長四角筥」
丸みを帯び膨らんだ感じの楕円形の箱です。川の流れの上を鳥が翼を広げて飛んでいる様子を、さらに上の位置からみたような構図です。右上には鮮やかな紅葉が描かれていました。川の淡い色彩が繊細でした。それにしても箱の形が陶器とは思えないほど整っていて温かみがあります。
「雪白釉釉描色絵金銀彩月下木乃葉ずく四角筥」
樹にとまるフクロウの絵が描かれた四角い箱です。これもやや丸みがあります。この作品は蓋の中もみることが出来て、中には朧げな月と草が描かれていました。・・・ということは他の箱の中にも何か描かれているのかな?と思いましたが、詳細は不明です。
「梅白釉釉描色絵金彩鴉山帰来図八角大筥」
ほとんど円に近い八角形の箱で、蓋にもふくらみがあります。カラスと植物(いちじく?)が描かれていました。ここまでも色々と鳥が出てきましたが、身近な鳥も含めて好きだったんでしょうね。
「草白釉釉描加彩渚夕陽図四角筥」
丸みのある四角形の箱で、水辺に映る夕陽と三羽の鳥が飛ぶ様子が描かれています。郷愁を誘う深い赤が印象的で、まるで絵画のようでした。
「霜白釉釉描色絵金彩陶火窯焔に舞ふ陶額」
遠くからぱっと見たとき、速水御舟の「炎舞」を陶器の額に描いたようだなと思いました。赤々として装飾的な炎と、その周りを飛ぶ蛾たちが描かれています。火には金粉のようなものが塗られているようで、ちょっと角度を変えてみると黄色くも見えます。この辺りは赤が印象的な作品が多かったのですが、これは特に目を引かれる作品でした。
参考記事:速水御舟展 -日本画への挑戦- (山種美術館)
「霜白釉釉描色絵金彩花と虫図六角大筥」
六角形の箱に金色のカミキリムシと蛾が描かれています。また、先ほどの陶額の炎と同じ赤色で花が描かれていました。燃えるような色が花に使われると、華やかな感じがするのが面白かったです。
大きな部屋が2つあった後に小さな部屋があるのですが、ここには大量の食器セットがずらっと手前から奥の天井の方に向かって並んでいました。まず、その量と展示方法に驚きましたw これは1976年5月に天皇皇后両陛下が菊池家に宿泊した際に、その晩餐会に使うために菊池智 氏が藤本能道 氏に依頼したものだそうです。全部で15人分230ピースあるそうで、この展覧会では5列×20個で100点ほどが展示されています。花鳥をあしらった食器の他に、燭台もありました。 両陛下を迎えるだけあって、凄い気合の入れようです…。中々壮観な光景でした。
「陶額 翡翠図」
最後(最初の入口付近)には3点ほど小さな四角い額があり、翡翠が描かれていました。愛らしい翡翠が小さい額に描かれているのが似合っているように思いました。
ということで、もっと初心者にわかるように解説してくれればいいのに・・・と思いましたが、面白い作品が多かったので満足しました。色彩とその形が独特ですので、陶器好きの方には特に面白い展覧会だと思います。



【展覧名】
藤本能道 命の残照のなかで
【公式サイト】
http://www.musee-tomo.or.jp/exhibition.html
【会場】菊池寛実記念 智美術館
【最寄】神谷町/六本木一丁目/溜池山王/虎ノ門
【会期】2009年10月31日(土)~2010年4月18日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況(平日15時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
あまり説明が無く、どういう経歴の作家なのかよく分かりませんでしたが、ここの設立者である菊池智 氏と生前に深い付き合いがあった人間国宝の方のようです。何しろ情報が少ないので観た感想だけしか書けませんが、良い作品が多かったのでさらっとご紹介しようと思います。平日だったせいか貸しきり状態でゆっくり観ることが出来ました。点数の割りにぐるっとパス対象外の企画展で1300円という価格設定も厳しいのかもw
「草白釉釉描色絵金彩翡翠図六角筥」
正六角形に近い陶器の箱です。蓋にはかわせみが草の上にとまっている姿が描かれています。背景には乳白色の地に淡い色で流れのようなものが描かれていて、側面にも彩色されていました。この整った六角形の形と透き通るような磁器の色が非常に好みでテンションが上がりました。
「雪白釉色絵山帰来鶉図六角大筥」
こちらも六角形の陶器です。大きな植物(木蓮?)とウズラが描かれています。鮮やかに細かく描かれていて背景の白とあわせて美しい色合いでした。こうした六角形や八角形の箱(すべて陶器)は結構展示されていて、鳥が描かれている作品も多くありました。
「草白釉釉描加彩野葡萄と雀図角隅切筥」
八角形の箱に見えるけど角が丸くなっています。三羽の雀が樹にとまっておしゃべりしているかのようにお互いの顔を見ているのが可愛かったです。色合いも絶妙でした。
「草白釉釉描色絵金彩溪流紅葉図長四角筥」
丸みを帯び膨らんだ感じの楕円形の箱です。川の流れの上を鳥が翼を広げて飛んでいる様子を、さらに上の位置からみたような構図です。右上には鮮やかな紅葉が描かれていました。川の淡い色彩が繊細でした。それにしても箱の形が陶器とは思えないほど整っていて温かみがあります。
「雪白釉釉描色絵金銀彩月下木乃葉ずく四角筥」
樹にとまるフクロウの絵が描かれた四角い箱です。これもやや丸みがあります。この作品は蓋の中もみることが出来て、中には朧げな月と草が描かれていました。・・・ということは他の箱の中にも何か描かれているのかな?と思いましたが、詳細は不明です。
「梅白釉釉描色絵金彩鴉山帰来図八角大筥」
ほとんど円に近い八角形の箱で、蓋にもふくらみがあります。カラスと植物(いちじく?)が描かれていました。ここまでも色々と鳥が出てきましたが、身近な鳥も含めて好きだったんでしょうね。
「草白釉釉描加彩渚夕陽図四角筥」
丸みのある四角形の箱で、水辺に映る夕陽と三羽の鳥が飛ぶ様子が描かれています。郷愁を誘う深い赤が印象的で、まるで絵画のようでした。
「霜白釉釉描色絵金彩陶火窯焔に舞ふ陶額」
遠くからぱっと見たとき、速水御舟の「炎舞」を陶器の額に描いたようだなと思いました。赤々として装飾的な炎と、その周りを飛ぶ蛾たちが描かれています。火には金粉のようなものが塗られているようで、ちょっと角度を変えてみると黄色くも見えます。この辺りは赤が印象的な作品が多かったのですが、これは特に目を引かれる作品でした。
参考記事:速水御舟展 -日本画への挑戦- (山種美術館)
「霜白釉釉描色絵金彩花と虫図六角大筥」
六角形の箱に金色のカミキリムシと蛾が描かれています。また、先ほどの陶額の炎と同じ赤色で花が描かれていました。燃えるような色が花に使われると、華やかな感じがするのが面白かったです。
大きな部屋が2つあった後に小さな部屋があるのですが、ここには大量の食器セットがずらっと手前から奥の天井の方に向かって並んでいました。まず、その量と展示方法に驚きましたw これは1976年5月に天皇皇后両陛下が菊池家に宿泊した際に、その晩餐会に使うために菊池智 氏が藤本能道 氏に依頼したものだそうです。全部で15人分230ピースあるそうで、この展覧会では5列×20個で100点ほどが展示されています。花鳥をあしらった食器の他に、燭台もありました。 両陛下を迎えるだけあって、凄い気合の入れようです…。中々壮観な光景でした。
「陶額 翡翠図」
最後(最初の入口付近)には3点ほど小さな四角い額があり、翡翠が描かれていました。愛らしい翡翠が小さい額に描かれているのが似合っているように思いました。
ということで、もっと初心者にわかるように解説してくれればいいのに・・・と思いましたが、面白い作品が多かったので満足しました。色彩とその形が独特ですので、陶器好きの方には特に面白い展覧会だと思います。
記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。


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2月上旬の金曜日に休暇を取って、ラフォーレミュージアム六本木のファミリーセールで買い物をした後、すぐ近くの泉屋博古館分館で「新春展 春の妝い」を見てきました。ここに来るのは半年ぶりかな。小規模ながら良い展覧会が多い所なので、もっと通いたいと思うけれど六本木一丁目という場所が微妙だったりしますw

【展覧名】
新春展 春の妝(よそお)い
【公式サイト】
http://www.sen-oku.or.jp/tokyo/program/index.html
【会場】泉屋博古館 分館
【最寄】六本木一丁目/神谷町
【会期】2010年01月09日~03月14日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(平日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
この展示は前期後期の入れ替えがあるようで、私が行ったときは前期でした(2/8から後期になっています。下記の▲は前期のみの展示) ここは2部屋しかなく、そのうち最初の部屋は絵画、もう一つの部屋は工芸品や着物となっていました。気に入った作品をいくつかご紹介。
▲木島桜谷 「雪中梅花」
雪の積もった実物大くらいの梅の木が描かれた屏風です。背景の金地と共に鮮やかで、雪をよく観ると絵の具の跡が本当に雪のようでした。
▲狩野芳崖 「寿老人」 ★こちらで観られます
大きな水墨画の掛け軸です、木の根に座る寿老人と、傍らには鶴や蝙蝠、背後には鹿も見られます。いずれも中国の絵では吉祥のモチーフなので、お目出度い絵のようです。寿老人の輪郭が太くて濃く、特に寿老人の頭巾?や右腕は密度が濃い感じでした。また、右下に垂れる枝、鶴の垂れた首など右下がりの線が多く、計算して描いているのかな?と思ったり。 寿老人はかくかくしているのに背後の鶴はふわっとした表現なのも面白かったです。
木島桜谷 「竹林白鶴」 ★こちらで観られます
6曲1双の金屏風で、川辺の竹林で鶴たちが休んでいる様子が描かれています。金と緑と白黒というのが目に鮮やかでした。デフォルメされているようで鶴は写実的に描かれていました。
板谷波山 「葆光彩磁珍果文花瓶」 ★こちらで観られます
淡い色合いの壷で、粉でもかかっているのかと思うくらいマットな感じの幻想的な淡さがありました。桃やびわ、葡萄のような果実がかなり細かく描かれていて、寿とか福などお目出度い字も観られました。この作品の釉薬は本当に驚きです。
ここからは次の部屋です。陶器や着物、香木などもありました。
野々村仁清 「色絵鶏撮丸形香炉」
丸い香炉の上に、横向きの鶏のつまみがついています。あまり鶏っぽくないと思いましたが、きょとんとした顔が可愛かったw
柴田是真 「鶏籠色絵蒔絵硯箱」
先日ご紹介した柴田是真の作品もありました。 籠目模様の穴の空いた蓋と、鶏の蒔絵の箱です。顔は鶏ですが、ポーズは鶴っぽいかも。尾羽が透き通って見えました。
瑞祥絵替沓形向付
青で絵付けしてある楕円形の磁器が6つ並んでいて、それぞれの中には鳥や木など別々の絵が描かれていました。どれも愛嬌のある姿で親しみがもてました。
▲紅白浅葱段霞松原波模様縫箔
着物です。上から等間隔で7つの段に分かれていて、上から順に
オレンジ(松の絵)→水色(波の絵)→白(松の絵)
→オレンジ(波の絵)→水色(松の絵)→白(波の絵)→オレンジ(松の絵)
となっています。模様も波の順序よく並んでいるのですが、ちょっとずつずれていくのが面白かったです。
ということで、30分くらいでさくっと観られる規模ながらも面白い内容だったと思います。特に板谷波山「葆光彩磁珍果文花瓶」には驚かされた…。 これだけでも十分元が取れた気分でした。
さらにこの後、智美術館と大倉集古館にもハシゴしました。次回は智美術館をご紹介しようかと思います。


【展覧名】
新春展 春の妝(よそお)い
【公式サイト】
http://www.sen-oku.or.jp/tokyo/program/index.html
【会場】泉屋博古館 分館
【最寄】六本木一丁目/神谷町
【会期】2010年01月09日~03月14日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(平日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
この展示は前期後期の入れ替えがあるようで、私が行ったときは前期でした(2/8から後期になっています。下記の▲は前期のみの展示) ここは2部屋しかなく、そのうち最初の部屋は絵画、もう一つの部屋は工芸品や着物となっていました。気に入った作品をいくつかご紹介。
▲木島桜谷 「雪中梅花」
雪の積もった実物大くらいの梅の木が描かれた屏風です。背景の金地と共に鮮やかで、雪をよく観ると絵の具の跡が本当に雪のようでした。
▲狩野芳崖 「寿老人」 ★こちらで観られます
大きな水墨画の掛け軸です、木の根に座る寿老人と、傍らには鶴や蝙蝠、背後には鹿も見られます。いずれも中国の絵では吉祥のモチーフなので、お目出度い絵のようです。寿老人の輪郭が太くて濃く、特に寿老人の頭巾?や右腕は密度が濃い感じでした。また、右下に垂れる枝、鶴の垂れた首など右下がりの線が多く、計算して描いているのかな?と思ったり。 寿老人はかくかくしているのに背後の鶴はふわっとした表現なのも面白かったです。
木島桜谷 「竹林白鶴」 ★こちらで観られます
6曲1双の金屏風で、川辺の竹林で鶴たちが休んでいる様子が描かれています。金と緑と白黒というのが目に鮮やかでした。デフォルメされているようで鶴は写実的に描かれていました。
板谷波山 「葆光彩磁珍果文花瓶」 ★こちらで観られます
淡い色合いの壷で、粉でもかかっているのかと思うくらいマットな感じの幻想的な淡さがありました。桃やびわ、葡萄のような果実がかなり細かく描かれていて、寿とか福などお目出度い字も観られました。この作品の釉薬は本当に驚きです。
ここからは次の部屋です。陶器や着物、香木などもありました。
野々村仁清 「色絵鶏撮丸形香炉」
丸い香炉の上に、横向きの鶏のつまみがついています。あまり鶏っぽくないと思いましたが、きょとんとした顔が可愛かったw
柴田是真 「鶏籠色絵蒔絵硯箱」
先日ご紹介した柴田是真の作品もありました。 籠目模様の穴の空いた蓋と、鶏の蒔絵の箱です。顔は鶏ですが、ポーズは鶴っぽいかも。尾羽が透き通って見えました。
瑞祥絵替沓形向付
青で絵付けしてある楕円形の磁器が6つ並んでいて、それぞれの中には鳥や木など別々の絵が描かれていました。どれも愛嬌のある姿で親しみがもてました。
▲紅白浅葱段霞松原波模様縫箔
着物です。上から等間隔で7つの段に分かれていて、上から順に
オレンジ(松の絵)→水色(波の絵)→白(松の絵)
→オレンジ(波の絵)→水色(松の絵)→白(波の絵)→オレンジ(松の絵)
となっています。模様も波の順序よく並んでいるのですが、ちょっとずつずれていくのが面白かったです。
ということで、30分くらいでさくっと観られる規模ながらも面白い内容だったと思います。特に板谷波山「葆光彩磁珍果文花瓶」には驚かされた…。 これだけでも十分元が取れた気分でした。
さらにこの後、智美術館と大倉集古館にもハシゴしました。次回は智美術館をご紹介しようかと思います。
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重めの記事が続いたのでちょっと一息。先週の金曜日に、有給休暇を取って、六本木一丁目あたりで色々と巡ってきました。
まずは、ラフォーレミュージアム六本木で開催されたスピックインターナショナルのファミリーセール(要するに服のバーゲンです)に行って、その後、泉屋博古館分館→智美術館→大倉集古館と巡ってきました。
今回の記事は美術とは関係ないですが、せっかくなのでご紹介。(ここまで半年前の記事をほとんどそのまま使いまわしています^^;)
公式サイト:http://www.spic-int.jp/press_news/2010010801.html
参考記事:
ファミリーセール 2009夏 (スピックインターナショナル)
ファミリーセール (三陽商会)
ここ3年4年くらい連続で通っているセールなのですが、毎年2月と8月上旬の金曜土曜に開催されています。70~90%引きで服、靴、カバンなどが買えるファミリーセールなのに、何故か公式サイトや会場で普通に入場券が手に入りますw

ブランドとしては
TORNADO MART(トルネードマート)
HIGH STREET (ハイストリート)
MODERN LOVERS (モダンラヴァーズ)
THE TWELVE (ザ・トゥエルヴ)
LIN-KU 輪怐
など丸井やパルコで見かける面子で、所謂「お兄系」の服やアクセサリーが多いです。(レディスのコーナーもちょっとあります)
セール開始後すぐのタイミングで観てきたら、中々いけてるアイテムが並んでいてあれこれ欲しくなってしまったw 平日だったせいか今回は今まで見たことが無いくらい空いてて、じっくり選べたのも嬉しい。 何着か試着して3点ほど買ってきました。・・・元々細身のブランドとはいえ、トルマのパンツはLLでも入らなくなってて自分の体型がやばくなってきたのを感じるw
ハイストリートのLサイズのパンツ。70%引き

こちらもハイストリートのLサイズ。サンプル品だったので80%引き
ブランドやデザインによって同じサイズ表記でもだいぶ違うので、試着してから買わないと厳しかった。(特にサンプル品は仕方ないw)

これもハイストリート。黒地に黒のチェックが入ってるMサイズのパーカーです。マネキンに着せて展示してたのを外して買ってきましたw 70%引き

それぞれの元値は忘れましたが3点合計で13000円くらいで買えました。一律70%だとすると4万ちょっとくらいの元値かな。早速着てみたら中々いい具合だし、満足できる買い物でした。 次は三陽商会のファミリーセールが近いうちにあるかな。またお金をためておかねばw
この後、泉屋博古館分館に行ってきましたので、次回ご紹介しようかと思います。
まずは、ラフォーレミュージアム六本木で開催されたスピックインターナショナルのファミリーセール(要するに服のバーゲンです)に行って、その後、泉屋博古館分館→智美術館→大倉集古館と巡ってきました。
今回の記事は美術とは関係ないですが、せっかくなのでご紹介。(ここまで半年前の記事をほとんどそのまま使いまわしています^^;)
公式サイト:http://www.spic-int.jp/press_news/2010010801.html
参考記事:
ファミリーセール 2009夏 (スピックインターナショナル)
ファミリーセール (三陽商会)
ここ3年4年くらい連続で通っているセールなのですが、毎年2月と8月上旬の金曜土曜に開催されています。70~90%引きで服、靴、カバンなどが買えるファミリーセールなのに、何故か公式サイトや会場で普通に入場券が手に入りますw


ブランドとしては
TORNADO MART(トルネードマート)
HIGH STREET (ハイストリート)
MODERN LOVERS (モダンラヴァーズ)
THE TWELVE (ザ・トゥエルヴ)
LIN-KU 輪怐
など丸井やパルコで見かける面子で、所謂「お兄系」の服やアクセサリーが多いです。(レディスのコーナーもちょっとあります)
セール開始後すぐのタイミングで観てきたら、中々いけてるアイテムが並んでいてあれこれ欲しくなってしまったw 平日だったせいか今回は今まで見たことが無いくらい空いてて、じっくり選べたのも嬉しい。 何着か試着して3点ほど買ってきました。・・・元々細身のブランドとはいえ、トルマのパンツはLLでも入らなくなってて自分の体型がやばくなってきたのを感じるw
ハイストリートのLサイズのパンツ。70%引き


こちらもハイストリートのLサイズ。サンプル品だったので80%引き
ブランドやデザインによって同じサイズ表記でもだいぶ違うので、試着してから買わないと厳しかった。(特にサンプル品は仕方ないw)


これもハイストリート。黒地に黒のチェックが入ってるMサイズのパーカーです。マネキンに着せて展示してたのを外して買ってきましたw 70%引き

それぞれの元値は忘れましたが3点合計で13000円くらいで買えました。一律70%だとすると4万ちょっとくらいの元値かな。早速着てみたら中々いい具合だし、満足できる買い物でした。 次は三陽商会のファミリーセールが近いうちにあるかな。またお金をためておかねばw
この後、泉屋博古館分館に行ってきましたので、次回ご紹介しようかと思います。
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もう終わってしまった展覧会で申し訳ないのですが、展覧会の最終日に三井記念美術館の「特別展 江戸の粋・明治の技 柴田是真の漆×絵」を観てきました。素晴らしい内容だったので、ご紹介しておきたいと思います。

【展覧名】
特別展 江戸の粋・明治の技 柴田是真の漆×絵
【公式サイト】
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition_end/091205.html
【会場】三井記念美術館
【最寄】銀座線三越前/新日本橋駅/東京駅/神田駅
【会期】2009年12月05日(土)~2010年02月07日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間40分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
最終日だったこともあり、結構込み合っていました。内容も良かったから評判だったのかも。
この展覧会は大半が「エドソンコレクション」となっていて、エドソン夫妻の願いで祖国である日本に里帰りし、柴田是真の個展として開催されていました。柴田是真は幕末から明治にかけて漆職人と絵師の両方で活躍したまさに漆の芸術家と呼べる存在で、その巧みな技術と洒脱なセンスで作られたクオリティの高い作品が展示されていました。また、様々な技法についても学ぶことのできる、三井記念美術館らしい濃い内容となっていました。(作品リストの他に用語説明のパンフレットまでくれる心意気。美術展の鏡です^^)
今回も気に入った作品を通してその作風をご紹介しようかと思います。なお、作品ナンバーが「e-」で始まるのはエドソンコレクションです。(jで始まるのは日本にある作品) その豊富で質の高いコレクションに驚きながら観てきました。
e-04 「宝尽文料紙箱」
青銅塗りと呼ばれる技法で作られた用紙箱です。木炭などを使ってまるで金属で作られているように見えますが、実際には漆器です。表面にはかさや鍵、横側には蓑や分銅、掛け軸などが描かれていて、緑に輝く七宝も綺麗でした。漆の作品には金や銀が多く使われますが、それだけではなく黒でこれだけ魅せるのは凄い技術と美意識です。
e-38 「円窓雛人形印籠」
円形の窓のなかに3段飾の雛人形のいる印籠です。金色で華やかな印象で、その意匠も面白いです。 柴田是真は木炭や紫檀の質感を出したり、新品を古く見せたり、重そうに見せて軽かったりと、様々な技術で人を驚かせたようです。
e-16 「砂張漆盆」
砂張というのは銅と錫と鉛の合金のことで、この皿のようなお盆は鈍い反射がありどう見ても金属製に見えます。しかし、実際は漆器で出来ている騙し漆器で、実際に手に取るとその軽さに驚くのだとか。確かにこれが漆器と言われても驚くばかりです。きっと柴田是真は洒落のきいた人で皆が驚くのが好きだったんだろうなあw
e-13 「柳に水車文重箱」
川の流れと水車が描かれた黒い5段の重箱です。水車の羽は1枚1枚違うデザインとなっています。また、この展覧会でよく出てくる技法の1つに「青海波塗り」という技法がありのですが、この作品もその技法で作られています。これは変塗の1種で波の文様を表すもので、この作品にぴったりの技法でした。
第4室くらいからは絵画作品が登場してきました。
e-54 「松に藤小禽図」
松の木の上に小鳥がとまり、下に向けるその視線の先には松から垂れた藤が水に浸かり、先端はさらにくねって再度水から出てきている様子が描かれています。これは昔からある梅の構図を藤に置き換えたそうで、知的な雰囲気を感じる作品でした。なお、柴田是真は円山応挙に影響を受けた四条派に入門し、絵画を学んだそうです。
e-58 「四睡図」
豊干禅師、寒山、拾得、虎の3人と1匹が眠る図です。このモチーフは他でも観た記憶があるので、定番なのかも。 虎の上に禅師が乗って寝て、他の2人は硯や箒を持って顔をふせて寝ています。 そんな時に寝るなwと突っ込みたくなりましたが安らかな印象を受けました。
e-61 「瀑布に小雀図」
描表装の掛け軸なのかな? 真下を向いて滝の崖に止まる小鳥が描かれています。掛け軸の外まで紅葉が描かれ、開放的な感じでした。
描表装の参考記事:奇想の王国 だまし絵展 (2回目 感想後編) (Bunkamuraザ・ミュージアム)
e-63 「瀑布に鷹図」
2枚セットの掛け軸です。左は滝の前の崖にとまる親子の鷹が描かれています。子供は親を仰ぎ見て、親は右の掛け軸のほうをしげしげと見つめています。その視線の先の右の掛け軸には、滝に親鷹の顔がぼやーっと反射して写っていました。つまり親鷹は滝に写った自分の顔を眺めていたわけです。こうしたユーモアを感じるのが柴田是真の魅力の1つだと思います。
ちなみに、この作品がきっかけでエドソン夫妻は是真の作品を集め始めたのだとか。漆器ではなく絵から入ったというのも是真の幅広さを感じる面白い出会いです。
ここからは絵師としても漆職人としても成功した柴田是真の集大成とも思える漆絵が展示されていました。
e-41 「面相描図漆絵」
和紙に漆を塗って描いた絵です。硯、筆、水滴、沢山の人形の首 などが描かれている様子から人形の顔を描いている作業場のようです。描きかけた顔や完成したものも並んでいて、普通なら不気味に見えそうですが、愛らしい雰囲気の作品になっていました。漆で絵を描くこと自体も大変らしいのに驚きのセンスです。
e-43 「南瓜に飛蝗図漆絵」
黄色いカボチャの花にとまるバッタが描かれています。緻密に描かれた花はグラデーションが繊細で漆絵ということを忘れるくらいです。花の奥を覗き込めそうな立体感や色使いの巧みな葉っぱも素晴らしかったです。
e-46 「霊芝に蝙蝠図漆絵」
蝙蝠と霊芝(こんもりとボリュームのあるキノコ)が描かれています。どちらも中国では吉祥のモチーフらしく、お目出度い漆絵です。特に霊芝はボリューム感があり存在感がありました。色の微妙な表現も素晴らしいです。漆絵というのは5色くらいしか色を出せないそうですが、是真はこうしたグラデーションなどでそれをカバーしているのが目の当たりにできました。
また、解説の逸話によると漆絵は巻物には不向きである(巻いたら剥がれるから)と言われた是真は、数日で巻いても大丈夫な漆絵を作成したのだとか。天才過ぎですねw
e-10 「紫檀塗波兎図木刀」
これは30cmくらいの木刀です。紫檀塗りと呼ばれる技法でつくられ、まるで高級木材の紫檀のような質感で艶やかさがあります。そこに走る兎と青海波塗りの波が描かれていました。小さな作品でもそのデザインセンスと高い技術の融合が素晴らしい。
e-50 「宝貝尽図漆絵」
漆で描かれた貝の静物画です。絵の貝に、貝を細かく砕いたものが貼り付けてあり、青い輝きを放っていました。掛け軸(巻き物)に貼り付けていくのは大変な技術だと思われます。普通なら巻いたらぽろぽろと剥がれそうなのに、どうやっているのか不思議でした。
e-52 「漆絵画帖」
横に20枚くらいの小さな絵が並んだ画帖です。花鳥風月やお目出度いものが描かれ、華やかなものから粋なものまで様々なものがありました。漆であるのに細かく描かれていて驚きます。漆絵は一方向にしか筆を運べないという制限があるのに、闊達な筆を見せるのは、漆を知り尽くし絵でも成功した是真ならではかもしれません。
e-17 「波に千鳥角盆」
黒い四角いお盆です。よく観るとグラデーションやマチエールの違いで波を表現しています。青海波塗りの波のうねりの中に銀色の千鳥も見えました。派手さは無いものの素晴らしい技術を感じる作品でした。
e-34 「蚊帳を覗く幽霊図印籠」
印籠・とんこつ(煙草入れ)を集めた部屋がありました。(ここは狭い部屋なのでメチャクチャ混んでました。)
この作品は、蚊帳の上から覗く幽霊が描かれた印籠です。怖い顔をしていて黒地に溶け込みそうなほど暗くうっすら描かれていました。逆側には蚊帳の内側が描かれていました。 面白い題材です。
最後は日本国内の作品の部屋となっていましった。
j-01 「闇夜桜扇面蒔絵書棚」
金の扇子と螺鈿の桜が目を引く作品。大きく黒い漆の空間が取られているのも印象的です。扇子には青海波塗りの海や千鳥など細部まで細かい細工があります。
画家としても成功し、下絵も描ける蒔絵師となった是真は、職人から総合的な芸術家となった貴重な存在と言えそうです。
j-10 「稲菊蒔絵鶴卵盃」
鶴の卵の殻に金を塗って盃にしたもの。内側にはマットな質感で金が塗られています。外側には植物の模様がかかれ、卵の殻とは思えないくらい華麗です。こうした卵の入れ物はヨーロッパで人気だったそうです。
j-20 「漆絵画帖<墨林筆哥>」
いくつかの絵からなる画帖です。ひょうたんから馬が出てきている絵(瓢箪から駒?w)や5重の塔と虹、葉っぱとカブトムシ、草団子など身近なものから諺を題材にした漆絵が描かれていました。遊び心を感じる自由闊達な画帖です。
j-15 「花瓶梅図漆絵」
紫檀の板に蒔絵が施されているように見えますが、これはすべて漆絵で出来た騙し絵のようなもので、額縁の木目のようなものも描かれているのが面白いです。紫檀塗りをはじめ、青磁の花瓶や梅も漆で描かれていて、その質感表現に驚きっぱなしでした。
j-11 「富士田子浦蒔絵額」
雄大な富士山、青海波塗りの海、田子の浦の浜で塩作りする人々、そして金砂子の朝焼けが描かれた華やかな作品。西洋絵画のように額に納められているのですが、その額には様々な貝が描かれているのも可愛らしかったです。
j-30 「猫鼠を覗う図」
台から落ちた柘榴を食べる鼠と、屏風の裏から鼠を覗う猫が描かれています。猫は身を屈め今にも飛び出してきそうな緊迫感がありますが可愛かったw 面白い構図です。
j-03 「烏鷺蒔絵菓子器」
銀白色のサギと真っ黒なカラスがびっしり描かれた箱です。箱の形は2つの箱が合体したような変わった形をしてました。それぞれにサギとカラスが描かれ、これは御伽草子の鴉鷺合戦物語(あろがっせん)を題材にしているそうです。カラスは真っ黒に見えますが、よく観ると微妙な色の違いが細かく描かれていて驚愕でしたw
ということで、だいぶ楽して驚きの多い内容でした。こんなに面白いならもっと早く行って2回くらい行けば良かった…。様々な手法も知ることが出来、今後の鑑賞にも役立ちそうです。


【展覧名】
特別展 江戸の粋・明治の技 柴田是真の漆×絵
【公式サイト】
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition_end/091205.html
【会場】三井記念美術館
【最寄】銀座線三越前/新日本橋駅/東京駅/神田駅
【会期】2009年12月05日(土)~2010年02月07日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間40分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
最終日だったこともあり、結構込み合っていました。内容も良かったから評判だったのかも。
この展覧会は大半が「エドソンコレクション」となっていて、エドソン夫妻の願いで祖国である日本に里帰りし、柴田是真の個展として開催されていました。柴田是真は幕末から明治にかけて漆職人と絵師の両方で活躍したまさに漆の芸術家と呼べる存在で、その巧みな技術と洒脱なセンスで作られたクオリティの高い作品が展示されていました。また、様々な技法についても学ぶことのできる、三井記念美術館らしい濃い内容となっていました。(作品リストの他に用語説明のパンフレットまでくれる心意気。美術展の鏡です^^)
今回も気に入った作品を通してその作風をご紹介しようかと思います。なお、作品ナンバーが「e-」で始まるのはエドソンコレクションです。(jで始まるのは日本にある作品) その豊富で質の高いコレクションに驚きながら観てきました。
e-04 「宝尽文料紙箱」
青銅塗りと呼ばれる技法で作られた用紙箱です。木炭などを使ってまるで金属で作られているように見えますが、実際には漆器です。表面にはかさや鍵、横側には蓑や分銅、掛け軸などが描かれていて、緑に輝く七宝も綺麗でした。漆の作品には金や銀が多く使われますが、それだけではなく黒でこれだけ魅せるのは凄い技術と美意識です。
e-38 「円窓雛人形印籠」
円形の窓のなかに3段飾の雛人形のいる印籠です。金色で華やかな印象で、その意匠も面白いです。 柴田是真は木炭や紫檀の質感を出したり、新品を古く見せたり、重そうに見せて軽かったりと、様々な技術で人を驚かせたようです。
e-16 「砂張漆盆」
砂張というのは銅と錫と鉛の合金のことで、この皿のようなお盆は鈍い反射がありどう見ても金属製に見えます。しかし、実際は漆器で出来ている騙し漆器で、実際に手に取るとその軽さに驚くのだとか。確かにこれが漆器と言われても驚くばかりです。きっと柴田是真は洒落のきいた人で皆が驚くのが好きだったんだろうなあw
e-13 「柳に水車文重箱」
川の流れと水車が描かれた黒い5段の重箱です。水車の羽は1枚1枚違うデザインとなっています。また、この展覧会でよく出てくる技法の1つに「青海波塗り」という技法がありのですが、この作品もその技法で作られています。これは変塗の1種で波の文様を表すもので、この作品にぴったりの技法でした。
第4室くらいからは絵画作品が登場してきました。
e-54 「松に藤小禽図」
松の木の上に小鳥がとまり、下に向けるその視線の先には松から垂れた藤が水に浸かり、先端はさらにくねって再度水から出てきている様子が描かれています。これは昔からある梅の構図を藤に置き換えたそうで、知的な雰囲気を感じる作品でした。なお、柴田是真は円山応挙に影響を受けた四条派に入門し、絵画を学んだそうです。
e-58 「四睡図」
豊干禅師、寒山、拾得、虎の3人と1匹が眠る図です。このモチーフは他でも観た記憶があるので、定番なのかも。 虎の上に禅師が乗って寝て、他の2人は硯や箒を持って顔をふせて寝ています。 そんな時に寝るなwと突っ込みたくなりましたが安らかな印象を受けました。
e-61 「瀑布に小雀図」
描表装の掛け軸なのかな? 真下を向いて滝の崖に止まる小鳥が描かれています。掛け軸の外まで紅葉が描かれ、開放的な感じでした。
描表装の参考記事:奇想の王国 だまし絵展 (2回目 感想後編) (Bunkamuraザ・ミュージアム)
e-63 「瀑布に鷹図」
2枚セットの掛け軸です。左は滝の前の崖にとまる親子の鷹が描かれています。子供は親を仰ぎ見て、親は右の掛け軸のほうをしげしげと見つめています。その視線の先の右の掛け軸には、滝に親鷹の顔がぼやーっと反射して写っていました。つまり親鷹は滝に写った自分の顔を眺めていたわけです。こうしたユーモアを感じるのが柴田是真の魅力の1つだと思います。
ちなみに、この作品がきっかけでエドソン夫妻は是真の作品を集め始めたのだとか。漆器ではなく絵から入ったというのも是真の幅広さを感じる面白い出会いです。
ここからは絵師としても漆職人としても成功した柴田是真の集大成とも思える漆絵が展示されていました。
e-41 「面相描図漆絵」
和紙に漆を塗って描いた絵です。硯、筆、水滴、沢山の人形の首 などが描かれている様子から人形の顔を描いている作業場のようです。描きかけた顔や完成したものも並んでいて、普通なら不気味に見えそうですが、愛らしい雰囲気の作品になっていました。漆で絵を描くこと自体も大変らしいのに驚きのセンスです。
e-43 「南瓜に飛蝗図漆絵」
黄色いカボチャの花にとまるバッタが描かれています。緻密に描かれた花はグラデーションが繊細で漆絵ということを忘れるくらいです。花の奥を覗き込めそうな立体感や色使いの巧みな葉っぱも素晴らしかったです。
e-46 「霊芝に蝙蝠図漆絵」
蝙蝠と霊芝(こんもりとボリュームのあるキノコ)が描かれています。どちらも中国では吉祥のモチーフらしく、お目出度い漆絵です。特に霊芝はボリューム感があり存在感がありました。色の微妙な表現も素晴らしいです。漆絵というのは5色くらいしか色を出せないそうですが、是真はこうしたグラデーションなどでそれをカバーしているのが目の当たりにできました。
また、解説の逸話によると漆絵は巻物には不向きである(巻いたら剥がれるから)と言われた是真は、数日で巻いても大丈夫な漆絵を作成したのだとか。天才過ぎですねw
e-10 「紫檀塗波兎図木刀」
これは30cmくらいの木刀です。紫檀塗りと呼ばれる技法でつくられ、まるで高級木材の紫檀のような質感で艶やかさがあります。そこに走る兎と青海波塗りの波が描かれていました。小さな作品でもそのデザインセンスと高い技術の融合が素晴らしい。
e-50 「宝貝尽図漆絵」
漆で描かれた貝の静物画です。絵の貝に、貝を細かく砕いたものが貼り付けてあり、青い輝きを放っていました。掛け軸(巻き物)に貼り付けていくのは大変な技術だと思われます。普通なら巻いたらぽろぽろと剥がれそうなのに、どうやっているのか不思議でした。
e-52 「漆絵画帖」
横に20枚くらいの小さな絵が並んだ画帖です。花鳥風月やお目出度いものが描かれ、華やかなものから粋なものまで様々なものがありました。漆であるのに細かく描かれていて驚きます。漆絵は一方向にしか筆を運べないという制限があるのに、闊達な筆を見せるのは、漆を知り尽くし絵でも成功した是真ならではかもしれません。
e-17 「波に千鳥角盆」
黒い四角いお盆です。よく観るとグラデーションやマチエールの違いで波を表現しています。青海波塗りの波のうねりの中に銀色の千鳥も見えました。派手さは無いものの素晴らしい技術を感じる作品でした。
e-34 「蚊帳を覗く幽霊図印籠」
印籠・とんこつ(煙草入れ)を集めた部屋がありました。(ここは狭い部屋なのでメチャクチャ混んでました。)
この作品は、蚊帳の上から覗く幽霊が描かれた印籠です。怖い顔をしていて黒地に溶け込みそうなほど暗くうっすら描かれていました。逆側には蚊帳の内側が描かれていました。 面白い題材です。
最後は日本国内の作品の部屋となっていましった。
j-01 「闇夜桜扇面蒔絵書棚」
金の扇子と螺鈿の桜が目を引く作品。大きく黒い漆の空間が取られているのも印象的です。扇子には青海波塗りの海や千鳥など細部まで細かい細工があります。
画家としても成功し、下絵も描ける蒔絵師となった是真は、職人から総合的な芸術家となった貴重な存在と言えそうです。
j-10 「稲菊蒔絵鶴卵盃」
鶴の卵の殻に金を塗って盃にしたもの。内側にはマットな質感で金が塗られています。外側には植物の模様がかかれ、卵の殻とは思えないくらい華麗です。こうした卵の入れ物はヨーロッパで人気だったそうです。
j-20 「漆絵画帖<墨林筆哥>」
いくつかの絵からなる画帖です。ひょうたんから馬が出てきている絵(瓢箪から駒?w)や5重の塔と虹、葉っぱとカブトムシ、草団子など身近なものから諺を題材にした漆絵が描かれていました。遊び心を感じる自由闊達な画帖です。
j-15 「花瓶梅図漆絵」
紫檀の板に蒔絵が施されているように見えますが、これはすべて漆絵で出来た騙し絵のようなもので、額縁の木目のようなものも描かれているのが面白いです。紫檀塗りをはじめ、青磁の花瓶や梅も漆で描かれていて、その質感表現に驚きっぱなしでした。
j-11 「富士田子浦蒔絵額」
雄大な富士山、青海波塗りの海、田子の浦の浜で塩作りする人々、そして金砂子の朝焼けが描かれた華やかな作品。西洋絵画のように額に納められているのですが、その額には様々な貝が描かれているのも可愛らしかったです。
j-30 「猫鼠を覗う図」
台から落ちた柘榴を食べる鼠と、屏風の裏から鼠を覗う猫が描かれています。猫は身を屈め今にも飛び出してきそうな緊迫感がありますが可愛かったw 面白い構図です。
j-03 「烏鷺蒔絵菓子器」
銀白色のサギと真っ黒なカラスがびっしり描かれた箱です。箱の形は2つの箱が合体したような変わった形をしてました。それぞれにサギとカラスが描かれ、これは御伽草子の鴉鷺合戦物語(あろがっせん)を題材にしているそうです。カラスは真っ黒に見えますが、よく観ると微妙な色の違いが細かく描かれていて驚愕でしたw
ということで、だいぶ楽して驚きの多い内容でした。こんなに面白いならもっと早く行って2回くらい行けば良かった…。様々な手法も知ることが出来、今後の鑑賞にも役立ちそうです。
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前回ご紹介した河鍋暁斎記念美術館に行った後、京浜東北線に乗って北浦和に移動して、埼玉県立近代美術館で「小村雪岱とその時代」展を観てきました。

【展覧名】
小村雪岱とその時代
【公式サイト】
http://www.momas.jp/3.htm
【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅
【会期】2009年12月15日~2010年02月14日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
私は上村松園や鏑木清方、伊東深水といった淡く優美な絵を描く画家の作品が大好きなのですが、どこか似たような雰囲気を持つ小村雪岱(こむらせったい)も気になっていました。しかし今までたまに名前を見ても詳しくは知らなかったので、今回の展覧は良い機会でした。
実際に観てみると、かなり分量のある展覧で、学生時代の作品から時代を追って知ることができる貴重な内容となっていました。 今回も章ごとに気に入った作品を追いながらご紹介しようと思います。(似たような名前の作品もいくつかあったので、一応作品番号を振っておきます。)
<第1章 粋でモダンな東京で -資生堂意匠部時代->
まずは雪岱の学生時代から仕事の始まりについてのコーナーです。雪岱は東京美術学校の日本画科を経て、松岡英丘や下村観山に学びました。その後、小説家の泉鏡花との出会いによってデザインの道へ入り、資生堂の意匠部に入社しました。そこで日本調のデザインを担当していたようで、資生堂時代の作品もこのコーナーに展示されていました。
参考リンク
泉鏡花のwiki
1-6 小村雪岱 「北野天神縁起絵巻模写」
松岡英丘が文部省から模写の依頼を受けて、学生だった雪岱が担当した2枚のうちの1枚。貴族たちが家で何かを話している様子を描いた作品で、色鮮やかで緻密な模写でした。
1-12 小村雪岱 「香水 菊」
これは資生堂意匠部時代の作品で、香水瓶です。海外進出を考えていた資生堂の社長は、日本風のデザインが欲しかったらしく、日本の象徴である菊を描いたこの作品もその意向に沿ったもののようです。他にも水仙、フリージア、マグノリアなどの香水瓶が展示されていました。
<第2章 『日本橋』-装幀家・小村雪岱の誕生>
2章は本の表紙や見返しなどをデザインする「装幀家」となった雪岱の仕事がメインの章です。元々憧れていた泉鏡花と交流し、彼の小説『日本橋』の装幀を手がけたのが装幀家としてのスタートでした。 『日本橋』が出版されるとその装幀が絶賛され、以降のほとんどの泉鏡花作品は雪岱が手がけることになったようです。ちなみに「雪岱(せったい)」の画号は泉鏡花に名づけてもらったそうです。 この章では雪岱が泉鏡花らの作品と共に装幀家としての不動の地位を築いて行くのがわかります。
2-4 装幀:小村雪岱 『日本橋』
初めて装幀を手がけた、表紙や見返しが美しい本です。簡略化されデフォルメされた感じで、淡く上品に雪の町並みや夜の裏小路などを描いています。柳と誰もいない畳の部屋を描いた挿絵も好みでした。、
2-71 装幀:小村雪岱 『綵房綺言』
本の表紙を両面観られる展示方法でした。寝転んで本を読む青い着物の女性と、膝に本を置いて読む桃色の着物の女性が描かれています。どちらも清純な雰囲気でかなり好みの作風でした。
2-17 装幀:小村雪岱 『芍薬の歌』
大きな川か港湾か判別できませんが、そこに長く弧を描く橋が架かっている絵です。静まり返ったような水面の薄い青が美しい作品でした。
2-55 小村雪岱 『スヰート』表紙
明治製菓の広報誌の表紙です、その題字は雪岱が資生堂に勤めていた頃にデザインしたものらしいです。実際には「トーヰス」と書いてあって昭和初期を感じる雰囲気のある表紙でした。
2-15 装幀:小村雪岱 『紅梅集』
四角い窓が3つ並ぶ部屋の中に、狛犬?みたいな首だけの像が台の上に乗っています。他に部屋には何も無くがらんとしていて、シュルレアリスムのようにちょっと不安を覚える作品でした。
2-33 口絵:鏑木清方 『無憂樹』
そういえばこの前サントリー美術館で観た清方ノスタルジアでも、鏑木清方と泉鏡花との関係について言及していたなと思ったら、この章には鏑木清方の作品もありました。小村雪岱と鏑木清方は泉鏡花の信奉者は集まった「九九九会」のメンバーだったそうで、(他には岡田三郎助などもいます) 会費が99円9銭だったからそういう名前だったらしいです。
この口絵は、屏風のこちら側で肩の袖を押さえる着物の女性と、屏風の裏で同じような女性(同一人物?)が灯りの下で巻物を読んでいる様子が描かれています。清方らしい繊細で清らかなイメージの作品でした。
参考記事:
清方/Kiyokata ノスタルジア (サントリー美術館)
清方/Kiyokata ノスタルジア 2回目(サントリー美術館)
2-44 46 鏑木清方 「註文帖」「註文帖画譜」
泉鏡花の『註文帳』に想を得て描かれた何枚か連なった作品。これを三越で観た雪岱が感動し、清方から借り受けたそうです。しかし、返すのが惜しくなり、せめて木版画だけでも手元におきたいと考え、新小説社の社長を説得し、ついに木版画集を完成させたのだとか。清方と雪岱の関係がわかるエピソードで面白いです。 私が特に好みだったのは第6図で、淡く背景に消え入りそうな美人が描かれている作品。髪だけは濃く描かれているのに、足は幽霊みたいに消えかかっていました。妖しい雰囲気は泉鏡花の影響?w
<第3章 白と黒の美学-「雪岱調」、挿絵界に新風>
里見(さとみとん)の「多情仏心」で初めて小説の挿絵を描き、名実共に不動にしたのは邦枝完二の『おせん』の挿絵らしいです。『おせん』の成功により雪岱は「昭和の鈴木春信」と絶賛され、小説の売り上げも伸びたようです。この章では小説の挿絵などが展示されていました。
3-55 小村雪岱 「刺青のお伝」 ★こちらでほぼ同じ絵が観られます
布団の上でうつ伏せの上半身裸の美女と、背を向けたまげをした男性が描かれています。「痛いだろうけど動かないで」という小説の文章が読めて、どうやら刺青を彫っているようです。女性の真っ白な肌が色っぽく、少し緊張しているような面持ちが小説の場面を端的に現しているようでした。
3-35 小村雪岱 「おせん」 ★こちらで観られます
おせんの挿絵は鈴木春信の絵を参考にして描いたそうです。 いくつかの場面があった中で気に入ったのが、傘の絵。 大きな傘が15個くらい並んでさされている様子が描かれています。さしている人の顔は傘に隠れて見えず、傘の円形がリズミカルに並んでいるのが面白いです。また、上の方が余白を大きく取っているのも独特の雰囲気でした。
この作品のちょっと先のあたりには実際の雑誌が並んでいるコーナーがありました。何故か竹久夢二とかの作品もあったり。
3-145 小村雪岱 『サンデー毎日新作大衆文芸号』 宣伝ポスター
大きく3段にわかれたサンデー毎日の宣伝ポスターです。上段は2人の着物の女性が向き合い、(一人は背を向けています)しゃがんで手にナスや赤い植物を載せてお互いに見せている優美な絵が描かれています。中段は掲載作家と作品名の一覧、下段は大きな字で「サンデー毎日」と書かれていました。絵の2人が可憐な感じで、現在のサンデー毎日とえらくイメージが違うw
3-106 小村雪岱 『演藝画報』表紙原画 絵番附
開いた障子から真っ青な空が見え、そこに細い月が浮かんでいます。そしてそれを振り返って見る着物の美女が描かれていました。大きく開かれた空の青が目を引く作品でした。
この辺に、先ほどご紹介した「おせん」を雪岱の挿絵を使ってストーリー紹介する映像がありました。縁側でおせんが切った爪を即座に床下で春信が集めて、家に持ち帰ってやかんで煮て爪の香りを楽しむ・・・そんな場面もありましたw 隣の住人は臭くてたまらんとやってたのも妙にリアルできもいw なお、この映像は文字が小さい割りに字幕の切り替えが早くて着いていくのが大変でした。
3-146 小村雪岱 「青柳」 ★こちらで観られます
高い目線(2階くらい)から向かいの1階の広い和室を見下ろすような構図の絵です。畳の緑と柳の緑が映え、爽やかな印象です。畳の上には鼓と三味線が置かれていて、お稽古の途中で抜け出したのかな?とか想像を掻き立てられました。
3-149 小村雪岱 「春告鳥」 ★こちらで観られます
鶯色の着物を着た女性が地面にしゃがみこみ、振り返っている絵です。その目線の先には鳥(燕?)が描かれていて、これが恐らく春を告げる鳥でしょう。春を待つ気持ちが伝わってきそうな絵でした。
<第4章 檜舞台の立役者-名優の信頼をあつめて>
最後の章は舞台装置の仕事に関するコーナーでした。雪岱は舞台装置のデザインも手がけ、その活動範囲は歌舞伎座、東京劇場、帝国劇場、明治座、新橋演舞場と名だたる劇場に及んだようです、「一本刀土俵入り」などの演目では今でも雪岱の舞台装置が踏襲されているとのことでした。ここにはそうした舞台の原画などが沢山展示されていました。
4-2 小村雪岱 「河庄」
歌舞伎「心中天網島」の一場面です偽りの愛想尽かしを述べるシーンらしく、店の中の豪華な着物の女性と、店外にいる青と白の縞模様の着物を着た男性の後姿が描かれています。その解説を読んだせいか静かな雰囲気ながらも緊張感があるように思いました。
4-9 小村雪岱 「源氏物語 葵の巻」舞台装置原画
葵上に嫉妬した六条御息所が生霊となって現れるシーンの舞台です。寝殿造りで御簾のようなものが描かれている原画でした。隣には実際の舞台の写真もあり、この絵が活かされていたのがわかるのが面白かったです。
4-12 小村雪岱 「すみだ川」舞台装置原画
緑の築山と桜の白さが目を引く作品で上品な雰囲気でした。
4-15 製作:数馬英一 「一本刀土俵入り」舞台装置模型
雪岱の原画を基にした舞台装置の模型です。正面から見ると本当の舞台のようにも見えます。 雪岱はこの作品の舞台となる土地に実際に出向いて写生をしたらしいです。この模型の近くには他のシーンの原画もありました。ここまで徹底したから現在でも愛されているのかもと思いながら観ていました。
舞台装置のほかにも着物のコーナーもありました。そのデザインも雪岱が手がけたらしくデザイン画もありました。
最後の部屋は何故か3章の扱いのようです。美しい版画(エスタンプ・複製版画)が並んでいました。
3-167 小村雪岱 「雪兎」
大きな傘をさし、雪の道?でしゃがむ着物の美女が描かれています。手には白い兎を持っていて可愛らしかった…。
3-169 小村雪岱 「筑波」
遥か向こうに見える筑波山と、後姿の着物の女性が描かれています。その間には白い空間(雲?)があり、清清しい雰囲気の作品でした。美女の顔も観たいw
ということで、雪岱の時代ごとの作品や周囲の交流関係などもわかる濃密な内容となっていました。せっかくなら音声ガイドとかあればもっと良かったのにとも思いましたが、作品の横にかいてある解説の情報量も多かったです。(ちょっと難しめ)
後々まで参考になりそうな展示でした。
特別展の後、常設にも行ったのですが、今回は残り15分くらいしかなかったので、かなり急ぎで回る羽目にw (そのため今回は常設の感想は割愛します)

おまけ。この日の雲はシュルレアリスムの絵にでも出てきそうな雲だったので、ついでに写真を撮ってみました。



【展覧名】
小村雪岱とその時代
【公式サイト】
http://www.momas.jp/3.htm
【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅
【会期】2009年12月15日~2010年02月14日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
私は上村松園や鏑木清方、伊東深水といった淡く優美な絵を描く画家の作品が大好きなのですが、どこか似たような雰囲気を持つ小村雪岱(こむらせったい)も気になっていました。しかし今までたまに名前を見ても詳しくは知らなかったので、今回の展覧は良い機会でした。
実際に観てみると、かなり分量のある展覧で、学生時代の作品から時代を追って知ることができる貴重な内容となっていました。 今回も章ごとに気に入った作品を追いながらご紹介しようと思います。(似たような名前の作品もいくつかあったので、一応作品番号を振っておきます。)
<第1章 粋でモダンな東京で -資生堂意匠部時代->
まずは雪岱の学生時代から仕事の始まりについてのコーナーです。雪岱は東京美術学校の日本画科を経て、松岡英丘や下村観山に学びました。その後、小説家の泉鏡花との出会いによってデザインの道へ入り、資生堂の意匠部に入社しました。そこで日本調のデザインを担当していたようで、資生堂時代の作品もこのコーナーに展示されていました。
参考リンク
泉鏡花のwiki
1-6 小村雪岱 「北野天神縁起絵巻模写」
松岡英丘が文部省から模写の依頼を受けて、学生だった雪岱が担当した2枚のうちの1枚。貴族たちが家で何かを話している様子を描いた作品で、色鮮やかで緻密な模写でした。
1-12 小村雪岱 「香水 菊」
これは資生堂意匠部時代の作品で、香水瓶です。海外進出を考えていた資生堂の社長は、日本風のデザインが欲しかったらしく、日本の象徴である菊を描いたこの作品もその意向に沿ったもののようです。他にも水仙、フリージア、マグノリアなどの香水瓶が展示されていました。
<第2章 『日本橋』-装幀家・小村雪岱の誕生>
2章は本の表紙や見返しなどをデザインする「装幀家」となった雪岱の仕事がメインの章です。元々憧れていた泉鏡花と交流し、彼の小説『日本橋』の装幀を手がけたのが装幀家としてのスタートでした。 『日本橋』が出版されるとその装幀が絶賛され、以降のほとんどの泉鏡花作品は雪岱が手がけることになったようです。ちなみに「雪岱(せったい)」の画号は泉鏡花に名づけてもらったそうです。 この章では雪岱が泉鏡花らの作品と共に装幀家としての不動の地位を築いて行くのがわかります。
2-4 装幀:小村雪岱 『日本橋』
初めて装幀を手がけた、表紙や見返しが美しい本です。簡略化されデフォルメされた感じで、淡く上品に雪の町並みや夜の裏小路などを描いています。柳と誰もいない畳の部屋を描いた挿絵も好みでした。、
2-71 装幀:小村雪岱 『綵房綺言』
本の表紙を両面観られる展示方法でした。寝転んで本を読む青い着物の女性と、膝に本を置いて読む桃色の着物の女性が描かれています。どちらも清純な雰囲気でかなり好みの作風でした。
2-17 装幀:小村雪岱 『芍薬の歌』
大きな川か港湾か判別できませんが、そこに長く弧を描く橋が架かっている絵です。静まり返ったような水面の薄い青が美しい作品でした。
2-55 小村雪岱 『スヰート』表紙
明治製菓の広報誌の表紙です、その題字は雪岱が資生堂に勤めていた頃にデザインしたものらしいです。実際には「トーヰス」と書いてあって昭和初期を感じる雰囲気のある表紙でした。
2-15 装幀:小村雪岱 『紅梅集』
四角い窓が3つ並ぶ部屋の中に、狛犬?みたいな首だけの像が台の上に乗っています。他に部屋には何も無くがらんとしていて、シュルレアリスムのようにちょっと不安を覚える作品でした。
2-33 口絵:鏑木清方 『無憂樹』
そういえばこの前サントリー美術館で観た清方ノスタルジアでも、鏑木清方と泉鏡花との関係について言及していたなと思ったら、この章には鏑木清方の作品もありました。小村雪岱と鏑木清方は泉鏡花の信奉者は集まった「九九九会」のメンバーだったそうで、(他には岡田三郎助などもいます) 会費が99円9銭だったからそういう名前だったらしいです。
この口絵は、屏風のこちら側で肩の袖を押さえる着物の女性と、屏風の裏で同じような女性(同一人物?)が灯りの下で巻物を読んでいる様子が描かれています。清方らしい繊細で清らかなイメージの作品でした。
参考記事:
清方/Kiyokata ノスタルジア (サントリー美術館)
清方/Kiyokata ノスタルジア 2回目(サントリー美術館)
2-44 46 鏑木清方 「註文帖」「註文帖画譜」
泉鏡花の『註文帳』に想を得て描かれた何枚か連なった作品。これを三越で観た雪岱が感動し、清方から借り受けたそうです。しかし、返すのが惜しくなり、せめて木版画だけでも手元におきたいと考え、新小説社の社長を説得し、ついに木版画集を完成させたのだとか。清方と雪岱の関係がわかるエピソードで面白いです。 私が特に好みだったのは第6図で、淡く背景に消え入りそうな美人が描かれている作品。髪だけは濃く描かれているのに、足は幽霊みたいに消えかかっていました。妖しい雰囲気は泉鏡花の影響?w
<第3章 白と黒の美学-「雪岱調」、挿絵界に新風>
里見(さとみとん)の「多情仏心」で初めて小説の挿絵を描き、名実共に不動にしたのは邦枝完二の『おせん』の挿絵らしいです。『おせん』の成功により雪岱は「昭和の鈴木春信」と絶賛され、小説の売り上げも伸びたようです。この章では小説の挿絵などが展示されていました。
3-55 小村雪岱 「刺青のお伝」 ★こちらでほぼ同じ絵が観られます
布団の上でうつ伏せの上半身裸の美女と、背を向けたまげをした男性が描かれています。「痛いだろうけど動かないで」という小説の文章が読めて、どうやら刺青を彫っているようです。女性の真っ白な肌が色っぽく、少し緊張しているような面持ちが小説の場面を端的に現しているようでした。
3-35 小村雪岱 「おせん」 ★こちらで観られます
おせんの挿絵は鈴木春信の絵を参考にして描いたそうです。 いくつかの場面があった中で気に入ったのが、傘の絵。 大きな傘が15個くらい並んでさされている様子が描かれています。さしている人の顔は傘に隠れて見えず、傘の円形がリズミカルに並んでいるのが面白いです。また、上の方が余白を大きく取っているのも独特の雰囲気でした。
この作品のちょっと先のあたりには実際の雑誌が並んでいるコーナーがありました。何故か竹久夢二とかの作品もあったり。
3-145 小村雪岱 『サンデー毎日新作大衆文芸号』 宣伝ポスター
大きく3段にわかれたサンデー毎日の宣伝ポスターです。上段は2人の着物の女性が向き合い、(一人は背を向けています)しゃがんで手にナスや赤い植物を載せてお互いに見せている優美な絵が描かれています。中段は掲載作家と作品名の一覧、下段は大きな字で「サンデー毎日」と書かれていました。絵の2人が可憐な感じで、現在のサンデー毎日とえらくイメージが違うw
3-106 小村雪岱 『演藝画報』表紙原画 絵番附
開いた障子から真っ青な空が見え、そこに細い月が浮かんでいます。そしてそれを振り返って見る着物の美女が描かれていました。大きく開かれた空の青が目を引く作品でした。
この辺に、先ほどご紹介した「おせん」を雪岱の挿絵を使ってストーリー紹介する映像がありました。縁側でおせんが切った爪を即座に床下で春信が集めて、家に持ち帰ってやかんで煮て爪の香りを楽しむ・・・そんな場面もありましたw 隣の住人は臭くてたまらんとやってたのも妙にリアルできもいw なお、この映像は文字が小さい割りに字幕の切り替えが早くて着いていくのが大変でした。
3-146 小村雪岱 「青柳」 ★こちらで観られます
高い目線(2階くらい)から向かいの1階の広い和室を見下ろすような構図の絵です。畳の緑と柳の緑が映え、爽やかな印象です。畳の上には鼓と三味線が置かれていて、お稽古の途中で抜け出したのかな?とか想像を掻き立てられました。
3-149 小村雪岱 「春告鳥」 ★こちらで観られます
鶯色の着物を着た女性が地面にしゃがみこみ、振り返っている絵です。その目線の先には鳥(燕?)が描かれていて、これが恐らく春を告げる鳥でしょう。春を待つ気持ちが伝わってきそうな絵でした。
<第4章 檜舞台の立役者-名優の信頼をあつめて>
最後の章は舞台装置の仕事に関するコーナーでした。雪岱は舞台装置のデザインも手がけ、その活動範囲は歌舞伎座、東京劇場、帝国劇場、明治座、新橋演舞場と名だたる劇場に及んだようです、「一本刀土俵入り」などの演目では今でも雪岱の舞台装置が踏襲されているとのことでした。ここにはそうした舞台の原画などが沢山展示されていました。
4-2 小村雪岱 「河庄」
歌舞伎「心中天網島」の一場面です偽りの愛想尽かしを述べるシーンらしく、店の中の豪華な着物の女性と、店外にいる青と白の縞模様の着物を着た男性の後姿が描かれています。その解説を読んだせいか静かな雰囲気ながらも緊張感があるように思いました。
4-9 小村雪岱 「源氏物語 葵の巻」舞台装置原画
葵上に嫉妬した六条御息所が生霊となって現れるシーンの舞台です。寝殿造りで御簾のようなものが描かれている原画でした。隣には実際の舞台の写真もあり、この絵が活かされていたのがわかるのが面白かったです。
4-12 小村雪岱 「すみだ川」舞台装置原画
緑の築山と桜の白さが目を引く作品で上品な雰囲気でした。
4-15 製作:数馬英一 「一本刀土俵入り」舞台装置模型
雪岱の原画を基にした舞台装置の模型です。正面から見ると本当の舞台のようにも見えます。 雪岱はこの作品の舞台となる土地に実際に出向いて写生をしたらしいです。この模型の近くには他のシーンの原画もありました。ここまで徹底したから現在でも愛されているのかもと思いながら観ていました。
舞台装置のほかにも着物のコーナーもありました。そのデザインも雪岱が手がけたらしくデザイン画もありました。
最後の部屋は何故か3章の扱いのようです。美しい版画(エスタンプ・複製版画)が並んでいました。
3-167 小村雪岱 「雪兎」
大きな傘をさし、雪の道?でしゃがむ着物の美女が描かれています。手には白い兎を持っていて可愛らしかった…。
3-169 小村雪岱 「筑波」
遥か向こうに見える筑波山と、後姿の着物の女性が描かれています。その間には白い空間(雲?)があり、清清しい雰囲気の作品でした。美女の顔も観たいw
ということで、雪岱の時代ごとの作品や周囲の交流関係などもわかる濃密な内容となっていました。せっかくなら音声ガイドとかあればもっと良かったのにとも思いましたが、作品の横にかいてある解説の情報量も多かったです。(ちょっと難しめ)
後々まで参考になりそうな展示でした。
特別展の後、常設にも行ったのですが、今回は残り15分くらいしかなかったので、かなり急ぎで回る羽目にw (そのため今回は常設の感想は割愛します)

おまけ。この日の雲はシュルレアリスムの絵にでも出てきそうな雲だったので、ついでに写真を撮ってみました。

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先日、初めて河鍋暁斎記念美術館に行って、「寅年の祝い」展を観てきました。この美術館は幕末の有名画家である河鍋暁斎の曾孫にあたる方が創設した美術館で、河鍋暁斎とその娘である暁翠の作品が主なコレクションとなっています。何故、西川口と蕨(わらび)の間にある住宅街にあるのか?というと、河鍋暁斎はこの地とはまったく関わりが無かったようですが、戦時中に河鍋家が疎開してきたのがこの地なので、それが縁でここに建てられたようです。コレクションは完成作品だけでなく下絵なども多々所有している特長があります。そして、今回は寅年に関わりのある虎の絵の展覧会となっていました。

参考:河鍋暁斎について詳しい説明など
河鍋暁斎とは(公式サイト)
河鍋暁斎のwiki
河鍋暁斎の画像検索の結果
【展覧名】
「寅年の祝い」展
【公式サイト】
http://www.ac.auone-net.jp/~ganka/tenji_genzai.htm
http://www2.ocn.ne.jp/~kkkb/index.html
【会場】河鍋暁斎記念美術館
【最寄】JR西川口駅
【会期】2010年1月4日(月)~2月24日(水)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
まず、ここにたどり着くのに非常に重要なのが交通手段です。最寄のJR西川口駅西口から美術館の近くを通るバスが出ているのですが、本数が少ないので、事前にバスの時間を調べておくのは必須です。詳しくは公式サイトの交通案内やそこからのリンクに書いてあるので、ここにいく場合は必ずチェックすることをお勧めします。
交通案内;http://www.ac.auone-net.jp/~ganka/access.htm
最寄のバス停からは歩いて3分くらい。周りは民家ばかりです。
美術館の外観はこんな感じ。

美術館の隣にあるミュージアムショップでチケットを買います。

場所が場所のせいか、貸切状態で観ることができました。中は大きく3つの部屋に分かれていて、それぞれ違う趣旨の部屋になっています。今回もいくつかメモを取った作品をご紹介しようと思います。 ※暁斎はいくつか画号があるようで紛らわしいですw メモが間違っていたらすみません
<第1室>
入口右手の部屋(10畳くらいの部屋かな)は寅年に関する作品が多かったです。
河鍋暁斎 「虎の親子など 下絵」
墨で描かれた下絵です。左は仰向けの猫とネズミたち、中央は虎の親子、右には着物を着た狸?ようようなものが描かれています。 どれも可愛らしくてユーモアがありました。
惺々暁斎 「十二ヶ月之内 五月 MAY」 印<師匠の恩>
錦絵です。虎に跨った剣を持つ鍾馗様が邪鬼を追い回しています。虎も赤い鬼?を噛みくわえて怖い顔をしています。ここまで来たからには、まさにこういう作品が観たかったw
虎に跨る鍾馗様は狩野探幽の作例にもあるらしく、「師匠の恩」という押印は(狩野派の1人として)先人に学んだことを示しているのかもしれないそうです。 ちなみに。、この絵を描いた頃には、暁斎の弟子にはジョサイア・コンドルなども既にいて、外国にも知名度があったようです。だからMAYとわざわざ英語のタイトルにしたのかな?
如空暁斎 「竹虎之図」 印:<暁斎>
竹林の中にいる虎の水墨画です。こちらに飛び出すために伺っているような目つきと姿勢をしています。暁斎は虎を実際に観て描いたようで、フワフワした毛並みや体格には写実性があるように思えました。
惺々暁斎 「兎、虎 『動物図鑑 二十図』より」
掛け軸です。兎が3匹と、崖の上で身を屈めている猫みたいな虎が描かれています。猫耳で丸い顔をしているので、虎柄の猫にしか見えないw 可愛いです。この掛け軸には見えていない部分には麒麟や白澤といった神獣や生首をくわえる狼なども描かれているのだとか。むしろその狼のほうが見たかったw
<第2室>
こちらの部屋は縁起の良い七福神などの作品が並んでいました。
「大黒天」
水墨画です。2つの米俵の上に立ち、小槌を振り上げる大黒天が描かれています。足元の米俵には米を狙うネズミも描かれていて、親しみがある感じの作品でした。
河鍋暁翠 「七福神丙申宝船之図」
これは娘の作品。娘の作品も何点か観られました。この絵は、海に見える初日の出と宝船に乗る七福神描かれています。しかし、実は福禄寿は遅れてきているようで、船の背後から鶴に乗って追っかけてきているのが面白いです。中々色鮮やかな作品で、太陽と宝船の帆の赤が目を引きました。
「寿老人」
横向きで杖を持った寿老人の絵です。簡略化されて輪郭が太いように思いました。愛嬌がある風貌が気に入りました。
<第3室>
最後の部屋も10畳くらいかな。河鍋暁斎の肉筆作品の写真がいくつか展示されているコーナーです。暁斎関連の本も沢山閲覧できます。
「地獄極楽図」
これは東博の所蔵作品のようです。(どこかで観た覚えがあります) 大きな閻魔と裁きを受ける亡者たちが描かれ、時計回りで地獄菩薩に救われるまでを描いています。禍々しく強烈なインパクトがあり、これぞ河鍋暁斎!というイメージですw
如空暁斎 「観世音菩薩」
これは晩年の作品です。薄布をまとった菩薩が滝の岩に座っています。その衣の透明感や飛沫の表現が見事でした。
「文よむ美人」
これはミュージアムショップの前にポスターが張ってありました。

巻物風の手紙を読む美人の絵です。ついたてに寄りかかって読んでいる表情は楽しそうに見えます。赤と鳥の模様が鮮やかで豪華な着物も目を引きました。
ということで、鬼才というか狂気の天才というか、これだけ個性が強く魅力的な絵師は中々いないと再認識する内容でした。下絵や素描、写真などが多いので、もうちょっと完成作品があれば嬉しかったかな。 いずれにせよ河鍋暁斎が好きな方は1度は訪れてみるのも良いかと思います。

参考:河鍋暁斎について詳しい説明など
河鍋暁斎とは(公式サイト)
河鍋暁斎のwiki
河鍋暁斎の画像検索の結果
【展覧名】
「寅年の祝い」展
【公式サイト】
http://www.ac.auone-net.jp/~ganka/tenji_genzai.htm
http://www2.ocn.ne.jp/~kkkb/index.html
【会場】河鍋暁斎記念美術館
【最寄】JR西川口駅
【会期】2010年1月4日(月)~2月24日(水)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
まず、ここにたどり着くのに非常に重要なのが交通手段です。最寄のJR西川口駅西口から美術館の近くを通るバスが出ているのですが、本数が少ないので、事前にバスの時間を調べておくのは必須です。詳しくは公式サイトの交通案内やそこからのリンクに書いてあるので、ここにいく場合は必ずチェックすることをお勧めします。
交通案内;http://www.ac.auone-net.jp/~ganka/access.htm
最寄のバス停からは歩いて3分くらい。周りは民家ばかりです。
美術館の外観はこんな感じ。


美術館の隣にあるミュージアムショップでチケットを買います。

場所が場所のせいか、貸切状態で観ることができました。中は大きく3つの部屋に分かれていて、それぞれ違う趣旨の部屋になっています。今回もいくつかメモを取った作品をご紹介しようと思います。 ※暁斎はいくつか画号があるようで紛らわしいですw メモが間違っていたらすみません
<第1室>
入口右手の部屋(10畳くらいの部屋かな)は寅年に関する作品が多かったです。
河鍋暁斎 「虎の親子など 下絵」
墨で描かれた下絵です。左は仰向けの猫とネズミたち、中央は虎の親子、右には着物を着た狸?ようようなものが描かれています。 どれも可愛らしくてユーモアがありました。
惺々暁斎 「十二ヶ月之内 五月 MAY」 印<師匠の恩>
錦絵です。虎に跨った剣を持つ鍾馗様が邪鬼を追い回しています。虎も赤い鬼?を噛みくわえて怖い顔をしています。ここまで来たからには、まさにこういう作品が観たかったw
虎に跨る鍾馗様は狩野探幽の作例にもあるらしく、「師匠の恩」という押印は(狩野派の1人として)先人に学んだことを示しているのかもしれないそうです。 ちなみに。、この絵を描いた頃には、暁斎の弟子にはジョサイア・コンドルなども既にいて、外国にも知名度があったようです。だからMAYとわざわざ英語のタイトルにしたのかな?
如空暁斎 「竹虎之図」 印:<暁斎>
竹林の中にいる虎の水墨画です。こちらに飛び出すために伺っているような目つきと姿勢をしています。暁斎は虎を実際に観て描いたようで、フワフワした毛並みや体格には写実性があるように思えました。
惺々暁斎 「兎、虎 『動物図鑑 二十図』より」
掛け軸です。兎が3匹と、崖の上で身を屈めている猫みたいな虎が描かれています。猫耳で丸い顔をしているので、虎柄の猫にしか見えないw 可愛いです。この掛け軸には見えていない部分には麒麟や白澤といった神獣や生首をくわえる狼なども描かれているのだとか。むしろその狼のほうが見たかったw
<第2室>
こちらの部屋は縁起の良い七福神などの作品が並んでいました。
「大黒天」
水墨画です。2つの米俵の上に立ち、小槌を振り上げる大黒天が描かれています。足元の米俵には米を狙うネズミも描かれていて、親しみがある感じの作品でした。
河鍋暁翠 「七福神丙申宝船之図」
これは娘の作品。娘の作品も何点か観られました。この絵は、海に見える初日の出と宝船に乗る七福神描かれています。しかし、実は福禄寿は遅れてきているようで、船の背後から鶴に乗って追っかけてきているのが面白いです。中々色鮮やかな作品で、太陽と宝船の帆の赤が目を引きました。
「寿老人」
横向きで杖を持った寿老人の絵です。簡略化されて輪郭が太いように思いました。愛嬌がある風貌が気に入りました。
<第3室>
最後の部屋も10畳くらいかな。河鍋暁斎の肉筆作品の写真がいくつか展示されているコーナーです。暁斎関連の本も沢山閲覧できます。
「地獄極楽図」
これは東博の所蔵作品のようです。(どこかで観た覚えがあります) 大きな閻魔と裁きを受ける亡者たちが描かれ、時計回りで地獄菩薩に救われるまでを描いています。禍々しく強烈なインパクトがあり、これぞ河鍋暁斎!というイメージですw
如空暁斎 「観世音菩薩」
これは晩年の作品です。薄布をまとった菩薩が滝の岩に座っています。その衣の透明感や飛沫の表現が見事でした。
「文よむ美人」
これはミュージアムショップの前にポスターが張ってありました。

巻物風の手紙を読む美人の絵です。ついたてに寄りかかって読んでいる表情は楽しそうに見えます。赤と鳥の模様が鮮やかで豪華な着物も目を引きました。
ということで、鬼才というか狂気の天才というか、これだけ個性が強く魅力的な絵師は中々いないと再認識する内容でした。下絵や素描、写真などが多いので、もうちょっと完成作品があれば嬉しかったかな。 いずれにせよ河鍋暁斎が好きな方は1度は訪れてみるのも良いかと思います。
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先日ご紹介した旧古河庭園(きゅうふるかわていえん)に行った際、セットでチケットを買うと少しだけお徳になるという言葉に釣られて、駒込の「六義園」のチケットも買って別の日曜日に行ってみました。旧古河庭園からも結構近いところにありますが、こちらは時代が違って江戸時代に作られた庭園となります。
【公式サイト】
http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index031.html
【施設名】六義園 (りくぎえん)
【最寄】JR・東京メトロ 駒込駅 / JR巣鴨駅 /都営三田線 千石駅
※営業時間・休館日などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
やってきました六義園。駒込駅から歩いて7~8分くらいかな。
南北線の駒込駅の目の前にも門がありますが、そちらは閉まっていました。

この庭園は江戸時代、5代将軍徳川綱吉の側用人であった柳沢吉保が開園した庭園です。
日本史を学んだ人なら柳沢吉保は悪徳の権化みたいで、ろくなイメージはないかもしれませんが、実は結構な文化人だったようで、万葉集や古今和歌集で詠まれた名勝を庭園で再現したのがこの六義園です。(名勝を模した八十八景という立て札があちこちにあります)

現存する大名庭園の中でも屈指の名園らしく、「回遊式築山泉水庭」という形式の庭園となっています。(園の中心に池があり、池の真ん中には島、池の周りには平坦な芝生や大小の築山を配する形式のようです) 今の読みは「りくぎえん」ですが、柳沢吉保は「むくさのその」と読ませたそうです。六義(むくさ)とは何ぞや?って話ですが、これは中国の「毛詩」という書物にかかれた「賦・比・興・風・雅・頌」の6つの詩の分類のことで、どれがどれのことか分かりませんが、そえ歌、かぞえ歌、なぞらえ歌、たとえ歌、ただごと歌、いわい歌 の6つの歌のスタイルのことのようです。 wikiに説明がありましたので、もう少し詳しく知りたい方はwikiでどうぞ
六義園のwiki
詩経のwiki
この前、江戸博で徳川綱吉の展示を観てその作品のレベルの高さに驚きましたが、その側用人の柳沢吉保の教養もレベルが高くてついていけないw 高校の日本史だと2人揃ってただのアホかと思っていましたが、教科書には載っていない側面が観られますね…。
これは庭園の外側の壁。これは戦後に作られたものです。
この庭園は以前はもっと広かったようですが、柳沢吉保が没した後は荒れに荒れ、明治時代に岩崎弥太郎の別邸の一部になって再興したそうです。 その後、岩崎氏から都に寄贈され、今に至るのだとか。岩崎弥太郎は旧岩崎邸も史跡になっているし、あらゆる意味で偉人ですね。

さて、ここからは難しい話抜きで、ひたすら写真です。
ここはしだれ桜で有名らしく、非常に大きな樹でした。見頃は3月下旬と書いてありました。

庭園に入ったあたりの風景。ここからどんどん時計回りに回ることにしました。

池と中の島

島には橋が架かっています。柵があって観光客は渡ることが出来ません。

対岸を望む。船小屋っぽいのが見えました。

絶海の孤島のような岩。カラスが沢山休んでいました。

(左):冬支度をしてキノコみたいw
(右):けんけんぱできそうな石畳

見事な樹が多いのも見所でした。右の写真は「吹上茶屋」です。休憩することができます。

上の写真にもある「吹上の松」を見上げたら毛細血管のような枝でした。若干きもいw

この景色は「紀の川」 八十八景として歌にちなんだ名前がついています。

藤代峠というちょっとした山まであります。

藤代峠の頂上からの景色。中々いい眺めです。

藤代峠の麓には梅が咲き始めていました。(1月末日時点)

(左):渡月橋
(右):立派な石灯籠がいくつかありました

これで一周してきました。見納めです。
中の島の中央にある大小の2つの山を妹背山と呼ぶそうで、和歌の名所を模したもののようです。

という感じでした。私は写真が撮りたかったので参加しませんでしたが、庭園内を解説しながら周るツアー(1時間程度)もあるようでした。 駒込をメインにして遊ぶ機会なんて滅多にないと思いますが、旧古河庭園とセットで遊びに行ってみるのもありかと思います。綺麗な庭園でした。
【公式サイト】
http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index031.html
【施設名】六義園 (りくぎえん)
【最寄】JR・東京メトロ 駒込駅 / JR巣鴨駅 /都営三田線 千石駅
※営業時間・休館日などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
やってきました六義園。駒込駅から歩いて7~8分くらいかな。
南北線の駒込駅の目の前にも門がありますが、そちらは閉まっていました。


この庭園は江戸時代、5代将軍徳川綱吉の側用人であった柳沢吉保が開園した庭園です。
日本史を学んだ人なら柳沢吉保は悪徳の権化みたいで、ろくなイメージはないかもしれませんが、実は結構な文化人だったようで、万葉集や古今和歌集で詠まれた名勝を庭園で再現したのがこの六義園です。(名勝を模した八十八景という立て札があちこちにあります)

現存する大名庭園の中でも屈指の名園らしく、「回遊式築山泉水庭」という形式の庭園となっています。(園の中心に池があり、池の真ん中には島、池の周りには平坦な芝生や大小の築山を配する形式のようです) 今の読みは「りくぎえん」ですが、柳沢吉保は「むくさのその」と読ませたそうです。六義(むくさ)とは何ぞや?って話ですが、これは中国の「毛詩」という書物にかかれた「賦・比・興・風・雅・頌」の6つの詩の分類のことで、どれがどれのことか分かりませんが、そえ歌、かぞえ歌、なぞらえ歌、たとえ歌、ただごと歌、いわい歌 の6つの歌のスタイルのことのようです。 wikiに説明がありましたので、もう少し詳しく知りたい方はwikiでどうぞ
六義園のwiki
詩経のwiki
この前、江戸博で徳川綱吉の展示を観てその作品のレベルの高さに驚きましたが、その側用人の柳沢吉保の教養もレベルが高くてついていけないw 高校の日本史だと2人揃ってただのアホかと思っていましたが、教科書には載っていない側面が観られますね…。
これは庭園の外側の壁。これは戦後に作られたものです。
この庭園は以前はもっと広かったようですが、柳沢吉保が没した後は荒れに荒れ、明治時代に岩崎弥太郎の別邸の一部になって再興したそうです。 その後、岩崎氏から都に寄贈され、今に至るのだとか。岩崎弥太郎は旧岩崎邸も史跡になっているし、あらゆる意味で偉人ですね。

さて、ここからは難しい話抜きで、ひたすら写真です。
ここはしだれ桜で有名らしく、非常に大きな樹でした。見頃は3月下旬と書いてありました。

庭園に入ったあたりの風景。ここからどんどん時計回りに回ることにしました。

池と中の島

島には橋が架かっています。柵があって観光客は渡ることが出来ません。


対岸を望む。船小屋っぽいのが見えました。


絶海の孤島のような岩。カラスが沢山休んでいました。


(左):冬支度をしてキノコみたいw
(右):けんけんぱできそうな石畳


見事な樹が多いのも見所でした。右の写真は「吹上茶屋」です。休憩することができます。



上の写真にもある「吹上の松」を見上げたら毛細血管のような枝でした。若干きもいw

この景色は「紀の川」 八十八景として歌にちなんだ名前がついています。

藤代峠というちょっとした山まであります。

藤代峠の頂上からの景色。中々いい眺めです。

藤代峠の麓には梅が咲き始めていました。(1月末日時点)


(左):渡月橋
(右):立派な石灯籠がいくつかありました


これで一周してきました。見納めです。
中の島の中央にある大小の2つの山を妹背山と呼ぶそうで、和歌の名所を模したもののようです。

という感じでした。私は写真が撮りたかったので参加しませんでしたが、庭園内を解説しながら周るツアー(1時間程度)もあるようでした。 駒込をメインにして遊ぶ機会なんて滅多にないと思いますが、旧古河庭園とセットで遊びに行ってみるのもありかと思います。綺麗な庭園でした。
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ニューオータニ美術館で新春展を観た後、ホテルと繋がっているサンローゼ赤坂の中にある「カフェ・ラミル」でお茶してきました。ニューオータニには1回のお茶で2000円近くするカフェもあるのですが流石に厳しいw かと言ってタリーズでは寂しい…。ということでニューオータニ美術館に行ったときは大体ここでお茶しています。。

【店名】
Cafe LA MILLE (カフェ・ラミル) 紀尾井町店
【ジャンル】
カフェ・レストラン
【公式サイト】
http://www.sunroser.co.jp/floor/cafe_la_mille/index.html
http://www.newotani.co.jp/tokyo/restaurant/mille/index.html
http://www.cafe-la-mille.com/classic.html
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
東京メトロ 赤坂見附駅・永田町駅
【近くの美術館】
ニューオータニ美術館
【この日にかかった1人の費用】
1200円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(日曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
そもそもサンローゼ赤坂の中が混んでるところを観たことが無いので、ここもいつも快適でゆっくりすることができます。
中はこんな感じでシックで洒落ています。ムーディーなジャズが流れているのもリラックスできます。

この日、私はケーキセット1200円也を頼み、コーヒーとモンブランにしました。陶器まで凝ってますね。

コーヒーはコクが強くて後味がすっきりした感じでかなり美味しかったです。モンブランは甘さ控え目でこってりしたクリームでした。こっちも中々。
と、味も雰囲気も満足できるお店です。1200円は冷静に考えるとお昼ご飯くらい食べられそうな気がしますが、場所が場所だけにこれくらいならありかなと。
このお店はユニマットのカフェみたいでいくつか都内に支店があるみたいなので、他のお店もそのうち行ってみようかと思います。

【店名】
Cafe LA MILLE (カフェ・ラミル) 紀尾井町店
【ジャンル】
カフェ・レストラン
【公式サイト】
http://www.sunroser.co.jp/floor/cafe_la_mille/index.html
http://www.newotani.co.jp/tokyo/restaurant/mille/index.html
http://www.cafe-la-mille.com/classic.html
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
東京メトロ 赤坂見附駅・永田町駅
【近くの美術館】
ニューオータニ美術館
【この日にかかった1人の費用】
1200円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(日曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
そもそもサンローゼ赤坂の中が混んでるところを観たことが無いので、ここもいつも快適でゆっくりすることができます。
中はこんな感じでシックで洒落ています。ムーディーなジャズが流れているのもリラックスできます。

この日、私はケーキセット1200円也を頼み、コーヒーとモンブランにしました。陶器まで凝ってますね。

コーヒーはコクが強くて後味がすっきりした感じでかなり美味しかったです。モンブランは甘さ控え目でこってりしたクリームでした。こっちも中々。
と、味も雰囲気も満足できるお店です。1200円は冷静に考えるとお昼ご飯くらい食べられそうな気がしますが、場所が場所だけにこれくらいならありかなと。
このお店はユニマットのカフェみたいでいくつか都内に支店があるみたいなので、他のお店もそのうち行ってみようかと思います。
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もう終わってしまった展覧会ですが、ニューオータニ美術館で開催された新春展を最終日に観に行ってきましたので、一応ご紹介しておきます。

【展覧名】
新春展
【公式サイト】
http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/201001_newyear/index.html
【会場】ニューオータニ美術館
【最寄】東京メトロ 赤坂見附駅・永田町駅
【会期】2010年1月1日~1月31日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いててゆっくり観られて良かったです。この展示はその名の通りお正月らしい作品や、ホテルニューオータニの逸品が展示されている内容で、特に統一感はありませんが、面白い内容となっていました。気に入った作品をいくつかご紹介。
ベルナール・ビュッフェ 「二羽の鶴」
大きな作品で、縦2m横1.5mくらいあるかな。横向きに立った鶴と、地面をくちばしで突付く鶴(両方タンチョウ鶴)が描かれています。輪郭が太くてビュッフェらしい作風に思いました。札幌ニューオータニのオープンに際して描かれたもので、ビュッフェは鶴をめでたいものとする日本の伝統を理解した上で、北海道らしい作品として描いたようです。この他にもビュッフェの作品は花の絵が2点あってどちらも好みでした。
アンドレ・コタボ 「海辺のフルーツ」
港を背景に、白いテーブルクロスの上に様々なフルーツが描かれています。それぞれが何のフルーツか見分けが難しいくらい簡略化されていました、彩りの美しさと分厚い絵の具の質感が印象的でした。
フェリ・イスカン 「ホテルニューオータニ庭園 太陽・雨・風」
この絵はホテルニューオータニの庭園を描いた作品のようで、太陽・雨・風と下絵の4枚が並んで展示されていました。太陽は緑、雨は青、風はくすんだ緑が全体的な色になっていました。いずれも落ち着いた雰囲気の絵でした。
ポール・ギアマン 「チューリップ」
花瓶に入った沢山のチューリップの花と葉が描かれています。青い葉っぱはうねるようで、チューリップの花は白、赤、黄と色鮮やかでした。花もくねっているてボリューム感がありました。
シュザンヌ・ヴァラドン 「座る裸婦」
今開催中のルノワール展にヴァラドンを描いた絵がありましたが、これはヴァラドン(ユトリロの母)自身の作品です。ちょっとゴツゴツした印象を受けた裸婦です。輪郭線がくっきり描かれていて肌に緑なども使われているせいかな。目を下に向けて、何かの動作をしているようでした。
マリー・ローランサン 「遊ぶ子供たち」
ローランサンがバレエや舞台装置、衣装のデザインなどに熱中していた時期の作品のようです。3美神と動物という伝統的なモチーフを子供たちに置き換えているらしく、6人の子供が集まって、何かを話しているような雰囲気です。可愛らしさと夢見るような幻想性がありローランサンの作品らしいと思いました。
モーリス・ド・ヴラマンク 「雪景色」
大好きなヴラマンクは4点ありました。ヴラマンクと言えば雪の作品が特に好きです。これは暗い森と月が描かれ、流れるように描かれた雪がうっすらと地面に残っている様子の絵です。空の雲や地面が流れるような素早い筆遣いで描かれているのを感じました。
奥の部屋は日本美術のコーナーになっていました。
小林古径 「上宮太子」
聖徳太子16歳の頃を描いた作品。勿論、想像で描いたのでしょうが、柄香炉を持ち袈裟を着て父の用明天皇の病気平癒を祈る姿をしています。色鮮やかで気品のある佇まいを漂わせている作品でした。
横山大観「寿老人」 下村観山「鶴」 菱田春草「亀」 ★こちらで観られます
新年に相応しいお目出度い3枚の絵です。特に気に入ったのは観山の「鶴」で、横向きの鶴と小さな鳥が2羽立っている様子です。上部には大きな余白があり、広がりを感じました。
原在中 「一品當朝図」 ★こちらで観られます
真っ赤な旭日を背に上から舞い降りてくる鶴が描かれています。鶴は細かく描かれていますが、下部の海は荒波をデフォルメしたようになっていました。まさにお正月といった一枚でした。
平櫛田中 「大谷米太郎座像」
この部屋で一際存在感があったのが、リアルに着色されたホテルニューーオータニの創業者の座像です。紋付袴で正座している様子は遠くから見ると本当に人が座っているように見えました。そのためちょっと怖いw
勝川春章 「初午図」
梅の木の下で太鼓を叩いたりキツネの面をつけた遊ぶ3人の子と、それを子供を抱えながら観る着物の女性が描かれています。 梅の木の下の真っ赤な柵と抱かれた子供の赤い服が目を引きました。構図も面白さがありました。
ということで、この美術館はあまり広くないものの、好みの作品がよく出てくるのでちょくちょくチェックしています(ぐるっとパスも使えるし) もうこの展覧は終わってしまいましたが、次の「大谷コレクション展」も面白そうです。
大谷コレクション展 公式サイト
http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/201002_ootani/index.html

【展覧名】
新春展
【公式サイト】
http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/201001_newyear/index.html
【会場】ニューオータニ美術館
【最寄】東京メトロ 赤坂見附駅・永田町駅
【会期】2010年1月1日~1月31日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いててゆっくり観られて良かったです。この展示はその名の通りお正月らしい作品や、ホテルニューオータニの逸品が展示されている内容で、特に統一感はありませんが、面白い内容となっていました。気に入った作品をいくつかご紹介。
ベルナール・ビュッフェ 「二羽の鶴」
大きな作品で、縦2m横1.5mくらいあるかな。横向きに立った鶴と、地面をくちばしで突付く鶴(両方タンチョウ鶴)が描かれています。輪郭が太くてビュッフェらしい作風に思いました。札幌ニューオータニのオープンに際して描かれたもので、ビュッフェは鶴をめでたいものとする日本の伝統を理解した上で、北海道らしい作品として描いたようです。この他にもビュッフェの作品は花の絵が2点あってどちらも好みでした。
アンドレ・コタボ 「海辺のフルーツ」
港を背景に、白いテーブルクロスの上に様々なフルーツが描かれています。それぞれが何のフルーツか見分けが難しいくらい簡略化されていました、彩りの美しさと分厚い絵の具の質感が印象的でした。
フェリ・イスカン 「ホテルニューオータニ庭園 太陽・雨・風」
この絵はホテルニューオータニの庭園を描いた作品のようで、太陽・雨・風と下絵の4枚が並んで展示されていました。太陽は緑、雨は青、風はくすんだ緑が全体的な色になっていました。いずれも落ち着いた雰囲気の絵でした。
ポール・ギアマン 「チューリップ」
花瓶に入った沢山のチューリップの花と葉が描かれています。青い葉っぱはうねるようで、チューリップの花は白、赤、黄と色鮮やかでした。花もくねっているてボリューム感がありました。
シュザンヌ・ヴァラドン 「座る裸婦」
今開催中のルノワール展にヴァラドンを描いた絵がありましたが、これはヴァラドン(ユトリロの母)自身の作品です。ちょっとゴツゴツした印象を受けた裸婦です。輪郭線がくっきり描かれていて肌に緑なども使われているせいかな。目を下に向けて、何かの動作をしているようでした。
マリー・ローランサン 「遊ぶ子供たち」
ローランサンがバレエや舞台装置、衣装のデザインなどに熱中していた時期の作品のようです。3美神と動物という伝統的なモチーフを子供たちに置き換えているらしく、6人の子供が集まって、何かを話しているような雰囲気です。可愛らしさと夢見るような幻想性がありローランサンの作品らしいと思いました。
モーリス・ド・ヴラマンク 「雪景色」
大好きなヴラマンクは4点ありました。ヴラマンクと言えば雪の作品が特に好きです。これは暗い森と月が描かれ、流れるように描かれた雪がうっすらと地面に残っている様子の絵です。空の雲や地面が流れるような素早い筆遣いで描かれているのを感じました。
奥の部屋は日本美術のコーナーになっていました。
小林古径 「上宮太子」
聖徳太子16歳の頃を描いた作品。勿論、想像で描いたのでしょうが、柄香炉を持ち袈裟を着て父の用明天皇の病気平癒を祈る姿をしています。色鮮やかで気品のある佇まいを漂わせている作品でした。
横山大観「寿老人」 下村観山「鶴」 菱田春草「亀」 ★こちらで観られます
新年に相応しいお目出度い3枚の絵です。特に気に入ったのは観山の「鶴」で、横向きの鶴と小さな鳥が2羽立っている様子です。上部には大きな余白があり、広がりを感じました。
原在中 「一品當朝図」 ★こちらで観られます
真っ赤な旭日を背に上から舞い降りてくる鶴が描かれています。鶴は細かく描かれていますが、下部の海は荒波をデフォルメしたようになっていました。まさにお正月といった一枚でした。
平櫛田中 「大谷米太郎座像」
この部屋で一際存在感があったのが、リアルに着色されたホテルニューーオータニの創業者の座像です。紋付袴で正座している様子は遠くから見ると本当に人が座っているように見えました。そのためちょっと怖いw
勝川春章 「初午図」
梅の木の下で太鼓を叩いたりキツネの面をつけた遊ぶ3人の子と、それを子供を抱えながら観る着物の女性が描かれています。 梅の木の下の真っ赤な柵と抱かれた子供の赤い服が目を引きました。構図も面白さがありました。
ということで、この美術館はあまり広くないものの、好みの作品がよく出てくるのでちょくちょくチェックしています(ぐるっとパスも使えるし) もうこの展覧は終わってしまいましたが、次の「大谷コレクション展」も面白そうです。
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http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/201002_ootani/index.html
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多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。
画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。
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展覧会年間スケジュール (1都3県) 【2022年01月号】 (01/01)
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2021年の振り返り (12/31)
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ヘラルボニー/ゼロからはじまる 【BAG-Brillia Art Gallery】 (12/29)
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映画「キングスマン:ファースト・エージェント」(ややネタバレあり) (12/27)
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横溝美由紀「Landscape やわらかな地平のその先に」 【ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX】 (12/26)
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第15回 shiseido art egg 【資生堂ギャラリー】 (12/23)
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映画「マトリックス レザレクションズ」(ややネタバレあり) (12/21)
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ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ 【パナソニック汐留美術館】 (12/19)
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鈴木其一・夏秋渓流図屏風 【根津美術館】 (12/16)
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【根津美術館】の紅葉 2021年11月 (12/14)
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カフェラヴォワ 【新宿界隈のお店】 (12/12)
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川瀬巴水 旅と郷愁の風景 【SOMPO美術館】 (12/10)
最新コメント
- 21世紀のxxx者:イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン (感想後編)【三菱一号館美術館】 (12/09)
- ゆーき:イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン (感想後編)【三菱一号館美術館】 (12/09)
- 21世紀のxxx者:奇蹟の芸術都市バルセロナ (感想前編)【東京ステーションギャラリー】 (01/03)
- うさぴょん:キヨノサチコ絵本原画の世界 みんな大好き!ノンタン展 【松屋銀座】 (03/21)
- 21世紀のxxx者:川豊 【成田界隈のお店】 (03/04)
- 21世紀のxxx者:劇団四季 「MAMMA MIA!(マンマ・ミーア!)」 (03/04)
- 萌音:川豊 【成田界隈のお店】 (03/03)
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