Archive | 2010年05月
最近、渋谷の記事を連続して書いていますが、今日は先週から「Bunkamuraザ・ミュージアム」で始まった「ストラスブール美術館所蔵 語りかける風景 コロー、モネ、シスレーからピカソまで」をご紹介しようと思います。2010年05月31日現在、東京では西洋画の展覧会がこの上なく充実しておりますが、この展覧会もその一端を担っているのではないかと思います。

【展覧名】
ストラスブール美術館所蔵 語りかける風景 コロー、モネ、シスレーからピカソまで
【公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_10_strasbourg.html
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/10_strasbourg/index.html
【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【会期】2010年5月18日~7月11日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日16時半頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
まだ始まったばかりで日曜日の夕方※だったこともあってか、そんなに混んでおらず自分のペースで鑑賞することができました。 (※前回までご紹介していたたばこと塩の博物館とは別の日に行きました) 内容は、絵の題材で章が区切られている感じで、時代や流派が交錯しますが80点ほどの質の高い作品を楽しめる内容となっていました。
まず、最初にストラスブール美術館とは何か?という説明から入ります。ごく簡単にご紹介すると、フランスのアルザス地方というドイツとの国境付近にある美術館です。ドイツとフランスの歴史に影響を受けた土地であるためか、フランスであってドイツのような側面もあるようです。そこに根ざした画家やその土地を題材にした作品のコレクションがあるようで、この展覧会でも展示されていました。そうした作品については章ごとにご紹介しようと思います。なお、公式サイトに美術館についての詳しい説明が載っています。
参考リンク:ストラスブール美術館紹介(公式サイト)
<第1章 窓からの風景>
この章は5点しかありませんでしたが窓を取り扱った作品が並んでいました。15世紀のイタリアで遠近法の確立と並行して、窓によって切り取られた屋外の一部が絵画作品に導入されたのが風景画の原点だそうです。
入口付近が変わった内装だなと思ったら、そこに窓が出来ていて、窓の向こうに鑑賞する人々を眺めるという凝った趣向となっていました。
モーリス・ドニ 「内なる光」 ★こちらで観られます
背景に窓がある部屋の中で4人の女性が花束を持ったり、林檎の乗った盆を持ってきたり、祈っていたりしていて、仲睦まじく食事の用意でもしているように思えました。どっしりとした色調でナビ派らしい作品でした。
モーリス・マリノ 「室内、縫い物をするエレーヌ」
アールデコのガラス作家として有名なモーリス・マリノですが、元々はフォービスムの画家でした。この作品は、手前にカーテンと扉、中ほどに針仕事をしている女性と室内、背景に窓の外が描かれています。手前から3つの世界がある構成が面白かったです。また、奥行き感があり、色彩豊かで明るい雰囲気でした。
<第2章 人物のいる風景>
17~18世紀の風景画は、風景画といってもテーマは人間の営みが中心で、単なる田園風景とは違ったようです。19世紀のロマン派は雄大な自然を好み、その後のバルビゾン派は自然と人間が一体化したような作品が多かったと解説されていました。この章ではそうした人物と自然をテーマにした作品が並んでいました。
ギュスターヴ・ブリオン 「女性とバラの木」 ★こちらで観られます
庭でバラの世話をする上流階級の男女を描いた作品です、あごを触っている女性の背中に光が当たっていて、白い服が目をひきます。のんびりした雰囲気で穏やかな気分になれました。
この辺にはストラスブールの画家達の作品が並んでいて、観たことが無い画家が多かったです。
レオポルド・フォン・カルクロイト 「伯爵夫人マリー」
草原の中で腰掛ける黒衣の女性を描いていて、黄色い帽子にも黒い飾りがついています。。着ているのは喪服かも?? うつむきながらこちらを見ていて、右手にペン、左手に白いノートをもって悲しげな表情でした。また、後ろに広がる風景は明るくて対照的に思えました。
モーリス・エリオ 「年老いた人々」
新印象主義のスーラやシニャックのような点描の技法で描かれた作品。手前では食事をしている老夫婦と背を向けて畑を見る孫娘が描かれ、背景には農作業をする父母が小さく描かれていました。娘は父母に声をかけてるのかな? 明るく幸せな雰囲気がありました。
<第3章 都市の風景>
都市を題材にした作品は18世紀に盛んに描かれたそうで、印象派は近代化で変わって行く町並みを好んで描いていました。このコーナーではそうした都市を主題にしたテーマの作品が並んでいました。
ユベール・ロベール 「風景」
手前に大きく高さのある石造りの橋が描かれ、橋の上には馬車が通り、橋の下では洗濯をする女性や牛達が描かれています。橋のアーチの中から雄大な風景が遠くに見えるのが面白かったです。
ロタール・フォン・ゼーバッハ 「雨の通り」
ストラスブールの広い街路を描いた作品です。雨が降っているらしく空はどんよりとしていますが、道は光を反射しているように見えました、道には馬車と2~3人の傘をさした人くらいしか歩いておらず閑散としていて、ちょっと寂しげですが好みの作品でした。
モーリス・ド・ヴラマンク 「都市の風景」 ★こちらで観られます
単純化された形の家が描かれた作品です。色数は少ないですが流石に濃い目の色彩で、壁などは微妙な色の変化を見せています。四角や立方体で表現した家から、セザンヌの影響を強く感じられる作品でした。
アルベール=シャルル・ルブール 「ドルドレヒト大聖堂」
背景に大聖堂の見える川を描いた作品です。船が浮かび、川は景色を反射しています。この人は印象派らしく、光の表現に力を入れているように思えました。
<第4章 水辺の風景>
この章では水辺の風景の作品が並んでいました。それぞれの画家がどこに主題を置くのかで全く違う表情を見せていたように思います。
ヘンドリク・ウィレム・メスダッハ 「海景」
美しいグラデーションで黄金に染まる夕焼けをバックに、帆船(漁船)が描かれています。特に手前の船はマストの周りが輝いているようでした。また、波は穏やかで理想的な雰囲気の作品でした。
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー 「ヴィル=ダヴレーの池」 ★こちらで観られます
川で小舟を漕ぐ男性が描かれた田舎の風景です。背景の空や森にはコローらしい柔らかい空気感が漂っています。小舟を漕ぐ様子だけが動きを感じさせ、それが周りの静けさを増していると解説されていました。どこか郷愁を誘われる作品で、かなり好みでした。
この辺には外光派のブーダン、バルビゾン派のドービニー、印象派のシスレー、フォービスム(っぽくないけど)のマルケ、新印象主義のシニャックなどの有名画家の作品が並び、様々な流派の作品が堪能できました。
フランソワ=ルイ・ダヴィド・ボシオン 「レマン湖」
この画家はスイスの画家です。湾曲した湖畔と帆船が描かれ、背景には雲が描かれています。薄く明るめの青と白が多く使われ、爽やかな雰囲気の作品でした。また、鳥が飛んだり湖面を泳いだりしている様子からも平和でのんびりとした感じを受けました。
マックス・エルンスト 「暗い海」
シュルレアリスムのエルンストの作品がここにあるのに驚きましたが、これは海を描いた作品らしいです。暗い画面で、赤や青に見える部分もありますがかなり暗く不安を与えるような感じの海?です。 上部には半円、中央に円がこすり出されるような表現で描かれ意味深でした。
<第5章 田園の風景>
この章は田園風景の作品が並ぶ章でした。18世紀も後半になると、田園風景を描くのも隆盛を極めていたそうで、今回の展示でも一番点数の多い章となっていました。
アンリ・ジュベール 「ヴュー=フェレットの羊の群れ」
結構大きな絵で、広大な牧草地で草を食べる羊たちと羊飼いが描かれています。その上部の3/4くらいは空となっていて開放感を感じました。どこか神聖なものを感じて、聖書を主題に取ったのかな??と思いましたが、特に解説は無かったので思い過ごしかもしれません。
アルフレッド・シスレー 「家のある風景」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている作品です。緩い曲線の丘を歩く2人の人物が描かれ、奥にある家に向かっているかな?と思わせます。向かう道には下りと上りの坂があるように見え、解説によると起伏のある土地は単調になりがちの田園風景に池や川とは違った面白さを与えてくれるそうです。また、丘の線と木立の半円が奥の家に視線を集めるとも説明されていて、確かにその通りでした。普通の風景に見えて色々計算されているようです。
この辺にはコローの円形の作品やピサロの初期の作品などもありました。
クロード・モネ 「ひなげしの咲く麦畑」 ★こちらで観られます
今回の展覧会でも人気の出そうな作品です。一面に広がるひなげしの花畑が描かれた作品で、1つ1つの花ではなく畑全体の色合いを描いたように思えます。遠くまで見渡せる広々とした風景と、右にある手前の木の存在から遠近感を感じました。
ラウル・デュフィ 「3つの積み藁のある風景」
その名の通り積み藁のある風景を描いた作品なのですが、これがデュフィなんだ!?とちょっと驚いた作品。単純化されセザンヌの影響を感じさせました。色彩は豊かで濃かったかな。
近くにはマルケの作品などもありました。
オスヴァルト・アッヘンバッハ 「古代ローマ遺跡のある風景」
古代ローマの遺跡が左手に描かれ、その横の土の道を人々が走っている様子が描かれています。どうやら雨が降り始めたらしく、人々が走っていく方向には明るい光があり、右手には暗い雲が広がっていました。どこか神話のような風景に思えましたが、ドラマチックで人々の気持ちが伝わりそうで面白かったです。
ギュスターヴ・クールベ 「ルー渓谷の雷雲」
暗い雲のかかった、かなりスケールが大きい渓谷の風景です。崖の側面が白く、そこには光が当たってるように見えます。手前に2人の人と犬が描かれているのですが、消え入りそうなくらい小さく、自然の雄大さを表現しているように思いました。
<第6章 木のある風景>
最後は木を主題にした風景画となっていました。風景にアクセントやリズムを与えたりするだけでなく、自分の人生を重ねたような作品も並んでいました。
フランソワ=ルイ・フランセ 「アンティーブの眺め」 ★こちらで観られます
コローに手ほどきを受けた画家の作品です。真ん中に大きな木が立ち、背景に海、港町、山が描かれています。また、木の周りには小さく描かれた人が何人かいて、木の大きさを感じます。解説によると、高台から港を見守ってきた木を80歳を越えた自分の人生と重ねているのではないかということでした。明るく穏やかな雰囲気でした。
テオドール・ルソー 「木の幹の習作」
倒れて朽ちてゆく木を描いた作品です。緻密で写実的に描かれ、周りの草も1本1本描かれていました。かなりリアルで、ありのままを描く姿勢が感じられました。
ヴァシリー・カンディンスキー 「サン=クルー公園」
カンディンスキーと言えば抽象画が有名ですが、これはまだ具象的な作品です。点描のような表現で描かれた風景画で、黄緑の池を描いているようです。解説によると、単なる具象ではなく、形態と色彩に関心があり、抽象への予感があるようです。カンディンスキーのこの時期の作品はあまり観たことがないので貴重な体験でした。
ということで、知らない画家やこんな作品もあったのか!というものが結構あった展覧会で、新しい発見が多く満足できました。今は観るべき展覧会が多くて目移りしてしまうくらいですが、この展覧会も見て損はないかと思います。
おまけ:東急の通りにあるショーウィンドの写真




【展覧名】
ストラスブール美術館所蔵 語りかける風景 コロー、モネ、シスレーからピカソまで
【公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_10_strasbourg.html
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/10_strasbourg/index.html
【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【会期】2010年5月18日~7月11日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日16時半頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
まだ始まったばかりで日曜日の夕方※だったこともあってか、そんなに混んでおらず自分のペースで鑑賞することができました。 (※前回までご紹介していたたばこと塩の博物館とは別の日に行きました) 内容は、絵の題材で章が区切られている感じで、時代や流派が交錯しますが80点ほどの質の高い作品を楽しめる内容となっていました。
まず、最初にストラスブール美術館とは何か?という説明から入ります。ごく簡単にご紹介すると、フランスのアルザス地方というドイツとの国境付近にある美術館です。ドイツとフランスの歴史に影響を受けた土地であるためか、フランスであってドイツのような側面もあるようです。そこに根ざした画家やその土地を題材にした作品のコレクションがあるようで、この展覧会でも展示されていました。そうした作品については章ごとにご紹介しようと思います。なお、公式サイトに美術館についての詳しい説明が載っています。
参考リンク:ストラスブール美術館紹介(公式サイト)
<第1章 窓からの風景>
この章は5点しかありませんでしたが窓を取り扱った作品が並んでいました。15世紀のイタリアで遠近法の確立と並行して、窓によって切り取られた屋外の一部が絵画作品に導入されたのが風景画の原点だそうです。
入口付近が変わった内装だなと思ったら、そこに窓が出来ていて、窓の向こうに鑑賞する人々を眺めるという凝った趣向となっていました。
モーリス・ドニ 「内なる光」 ★こちらで観られます
背景に窓がある部屋の中で4人の女性が花束を持ったり、林檎の乗った盆を持ってきたり、祈っていたりしていて、仲睦まじく食事の用意でもしているように思えました。どっしりとした色調でナビ派らしい作品でした。
モーリス・マリノ 「室内、縫い物をするエレーヌ」
アールデコのガラス作家として有名なモーリス・マリノですが、元々はフォービスムの画家でした。この作品は、手前にカーテンと扉、中ほどに針仕事をしている女性と室内、背景に窓の外が描かれています。手前から3つの世界がある構成が面白かったです。また、奥行き感があり、色彩豊かで明るい雰囲気でした。
<第2章 人物のいる風景>
17~18世紀の風景画は、風景画といってもテーマは人間の営みが中心で、単なる田園風景とは違ったようです。19世紀のロマン派は雄大な自然を好み、その後のバルビゾン派は自然と人間が一体化したような作品が多かったと解説されていました。この章ではそうした人物と自然をテーマにした作品が並んでいました。
ギュスターヴ・ブリオン 「女性とバラの木」 ★こちらで観られます
庭でバラの世話をする上流階級の男女を描いた作品です、あごを触っている女性の背中に光が当たっていて、白い服が目をひきます。のんびりした雰囲気で穏やかな気分になれました。
この辺にはストラスブールの画家達の作品が並んでいて、観たことが無い画家が多かったです。
レオポルド・フォン・カルクロイト 「伯爵夫人マリー」
草原の中で腰掛ける黒衣の女性を描いていて、黄色い帽子にも黒い飾りがついています。。着ているのは喪服かも?? うつむきながらこちらを見ていて、右手にペン、左手に白いノートをもって悲しげな表情でした。また、後ろに広がる風景は明るくて対照的に思えました。
モーリス・エリオ 「年老いた人々」
新印象主義のスーラやシニャックのような点描の技法で描かれた作品。手前では食事をしている老夫婦と背を向けて畑を見る孫娘が描かれ、背景には農作業をする父母が小さく描かれていました。娘は父母に声をかけてるのかな? 明るく幸せな雰囲気がありました。
<第3章 都市の風景>
都市を題材にした作品は18世紀に盛んに描かれたそうで、印象派は近代化で変わって行く町並みを好んで描いていました。このコーナーではそうした都市を主題にしたテーマの作品が並んでいました。
ユベール・ロベール 「風景」
手前に大きく高さのある石造りの橋が描かれ、橋の上には馬車が通り、橋の下では洗濯をする女性や牛達が描かれています。橋のアーチの中から雄大な風景が遠くに見えるのが面白かったです。
ロタール・フォン・ゼーバッハ 「雨の通り」
ストラスブールの広い街路を描いた作品です。雨が降っているらしく空はどんよりとしていますが、道は光を反射しているように見えました、道には馬車と2~3人の傘をさした人くらいしか歩いておらず閑散としていて、ちょっと寂しげですが好みの作品でした。
モーリス・ド・ヴラマンク 「都市の風景」 ★こちらで観られます
単純化された形の家が描かれた作品です。色数は少ないですが流石に濃い目の色彩で、壁などは微妙な色の変化を見せています。四角や立方体で表現した家から、セザンヌの影響を強く感じられる作品でした。
アルベール=シャルル・ルブール 「ドルドレヒト大聖堂」
背景に大聖堂の見える川を描いた作品です。船が浮かび、川は景色を反射しています。この人は印象派らしく、光の表現に力を入れているように思えました。
<第4章 水辺の風景>
この章では水辺の風景の作品が並んでいました。それぞれの画家がどこに主題を置くのかで全く違う表情を見せていたように思います。
ヘンドリク・ウィレム・メスダッハ 「海景」
美しいグラデーションで黄金に染まる夕焼けをバックに、帆船(漁船)が描かれています。特に手前の船はマストの周りが輝いているようでした。また、波は穏やかで理想的な雰囲気の作品でした。
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー 「ヴィル=ダヴレーの池」 ★こちらで観られます
川で小舟を漕ぐ男性が描かれた田舎の風景です。背景の空や森にはコローらしい柔らかい空気感が漂っています。小舟を漕ぐ様子だけが動きを感じさせ、それが周りの静けさを増していると解説されていました。どこか郷愁を誘われる作品で、かなり好みでした。
この辺には外光派のブーダン、バルビゾン派のドービニー、印象派のシスレー、フォービスム(っぽくないけど)のマルケ、新印象主義のシニャックなどの有名画家の作品が並び、様々な流派の作品が堪能できました。
フランソワ=ルイ・ダヴィド・ボシオン 「レマン湖」
この画家はスイスの画家です。湾曲した湖畔と帆船が描かれ、背景には雲が描かれています。薄く明るめの青と白が多く使われ、爽やかな雰囲気の作品でした。また、鳥が飛んだり湖面を泳いだりしている様子からも平和でのんびりとした感じを受けました。
マックス・エルンスト 「暗い海」
シュルレアリスムのエルンストの作品がここにあるのに驚きましたが、これは海を描いた作品らしいです。暗い画面で、赤や青に見える部分もありますがかなり暗く不安を与えるような感じの海?です。 上部には半円、中央に円がこすり出されるような表現で描かれ意味深でした。
<第5章 田園の風景>
この章は田園風景の作品が並ぶ章でした。18世紀も後半になると、田園風景を描くのも隆盛を極めていたそうで、今回の展示でも一番点数の多い章となっていました。
アンリ・ジュベール 「ヴュー=フェレットの羊の群れ」
結構大きな絵で、広大な牧草地で草を食べる羊たちと羊飼いが描かれています。その上部の3/4くらいは空となっていて開放感を感じました。どこか神聖なものを感じて、聖書を主題に取ったのかな??と思いましたが、特に解説は無かったので思い過ごしかもしれません。
アルフレッド・シスレー 「家のある風景」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている作品です。緩い曲線の丘を歩く2人の人物が描かれ、奥にある家に向かっているかな?と思わせます。向かう道には下りと上りの坂があるように見え、解説によると起伏のある土地は単調になりがちの田園風景に池や川とは違った面白さを与えてくれるそうです。また、丘の線と木立の半円が奥の家に視線を集めるとも説明されていて、確かにその通りでした。普通の風景に見えて色々計算されているようです。
この辺にはコローの円形の作品やピサロの初期の作品などもありました。
クロード・モネ 「ひなげしの咲く麦畑」 ★こちらで観られます
今回の展覧会でも人気の出そうな作品です。一面に広がるひなげしの花畑が描かれた作品で、1つ1つの花ではなく畑全体の色合いを描いたように思えます。遠くまで見渡せる広々とした風景と、右にある手前の木の存在から遠近感を感じました。
ラウル・デュフィ 「3つの積み藁のある風景」
その名の通り積み藁のある風景を描いた作品なのですが、これがデュフィなんだ!?とちょっと驚いた作品。単純化されセザンヌの影響を感じさせました。色彩は豊かで濃かったかな。
近くにはマルケの作品などもありました。
オスヴァルト・アッヘンバッハ 「古代ローマ遺跡のある風景」
古代ローマの遺跡が左手に描かれ、その横の土の道を人々が走っている様子が描かれています。どうやら雨が降り始めたらしく、人々が走っていく方向には明るい光があり、右手には暗い雲が広がっていました。どこか神話のような風景に思えましたが、ドラマチックで人々の気持ちが伝わりそうで面白かったです。
ギュスターヴ・クールベ 「ルー渓谷の雷雲」
暗い雲のかかった、かなりスケールが大きい渓谷の風景です。崖の側面が白く、そこには光が当たってるように見えます。手前に2人の人と犬が描かれているのですが、消え入りそうなくらい小さく、自然の雄大さを表現しているように思いました。
<第6章 木のある風景>
最後は木を主題にした風景画となっていました。風景にアクセントやリズムを与えたりするだけでなく、自分の人生を重ねたような作品も並んでいました。
フランソワ=ルイ・フランセ 「アンティーブの眺め」 ★こちらで観られます
コローに手ほどきを受けた画家の作品です。真ん中に大きな木が立ち、背景に海、港町、山が描かれています。また、木の周りには小さく描かれた人が何人かいて、木の大きさを感じます。解説によると、高台から港を見守ってきた木を80歳を越えた自分の人生と重ねているのではないかということでした。明るく穏やかな雰囲気でした。
テオドール・ルソー 「木の幹の習作」
倒れて朽ちてゆく木を描いた作品です。緻密で写実的に描かれ、周りの草も1本1本描かれていました。かなりリアルで、ありのままを描く姿勢が感じられました。
ヴァシリー・カンディンスキー 「サン=クルー公園」
カンディンスキーと言えば抽象画が有名ですが、これはまだ具象的な作品です。点描のような表現で描かれた風景画で、黄緑の池を描いているようです。解説によると、単なる具象ではなく、形態と色彩に関心があり、抽象への予感があるようです。カンディンスキーのこの時期の作品はあまり観たことがないので貴重な体験でした。
ということで、知らない画家やこんな作品もあったのか!というものが結構あった展覧会で、新しい発見が多く満足できました。今は観るべき展覧会が多くて目移りしてしまうくらいですが、この展覧会も見て損はないかと思います。
おまけ:東急の通りにあるショーウィンドの写真


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先日ご紹介した、たばこと塩の博物館の「阿蘭陀とNIPPON ~レンブラントからシーボルトまで~」と常設を観た後、少し移動して、センター街にある「珈琲茶房 椿屋 渋谷店」でお茶をしてきました。ここは以前ご紹介した六本木の椿屋の姉妹店になります。
参考リンク:椿屋珈琲店 六本木茶寮 (六本木界隈のお店)

【店名】
珈琲茶房 椿屋 渋谷店
【ジャンル】
カフェ
【公式サイト】
http://www.tsubakiya-coffee.com/index.html
http://r.gnavi.co.jp/g928344/ (ぐるなび)
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
渋谷駅
【近くの美術館】
Bunkamuraザ・ミュージアム
たばこと塩の博物館
など
【この日にかかった1人の費用】
850円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日16時半頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
六本木店はよく行きますが、渋谷店は初めて行きました。センター街という土地柄もあってか、結構混んでいて5分くらい待ってからの入店となりました。混んでいてもスムーズに案内してくれるのが流石です。内装の雰囲気などは六本木と同じような感じでした。

この日、私が頼んだのはハーフの2種類のケーキセットで、アイスコーヒーと「ハーフ ショコラアンドレアチーズ」にしました。880円也。

コーヒーは相変らずコクがありつつすっきりした味でかなり美味しいです。ここのコーヒーは本当に好み。チーズケーキは少しすっばめで濃厚な味でした。下の方にはサクサクのビスケットみたいなのがあります。チョコシフォンは普通かも。あまさ控え目な感じでした。
連れは普通のケーキセットでアイスティーとモンブランを選んでいました。830円也。

少しだけ貰って試してみましたw アイスティーは味が濃いけど香りは少なめかな。中々美味しいです。 モンブランは洋酒が効いて良い香りでした。 甘さ控え目で、なめらかな生クリームと濃厚なモンブランクリームが入っています。結構大人の味かも。下のサクサクしたフレークがアクセントになっているようです。
ということで、そんなに高くない割りに美味しいコーヒーとケーキを楽しむことができました。(実はこの次の週に六本木店の方にも行ったのですが、渋谷店の方が安いかもしれません。ちょっとだけメニューが違っているように思いました。)
場所も便利だし、bunkamuraも近いので今後も足繁く通おうと思います。落ち着くお店です^^
次回はbunkamuraの展覧についてご紹介しようと思います。
参考リンク:椿屋珈琲店 六本木茶寮 (六本木界隈のお店)

【店名】
珈琲茶房 椿屋 渋谷店
【ジャンル】
カフェ
【公式サイト】
http://www.tsubakiya-coffee.com/index.html
http://r.gnavi.co.jp/g928344/ (ぐるなび)
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
渋谷駅
【近くの美術館】
Bunkamuraザ・ミュージアム
たばこと塩の博物館
など
【この日にかかった1人の費用】
850円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日16時半頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
六本木店はよく行きますが、渋谷店は初めて行きました。センター街という土地柄もあってか、結構混んでいて5分くらい待ってからの入店となりました。混んでいてもスムーズに案内してくれるのが流石です。内装の雰囲気などは六本木と同じような感じでした。

この日、私が頼んだのはハーフの2種類のケーキセットで、アイスコーヒーと「ハーフ ショコラアンドレアチーズ」にしました。880円也。


コーヒーは相変らずコクがありつつすっきりした味でかなり美味しいです。ここのコーヒーは本当に好み。チーズケーキは少しすっばめで濃厚な味でした。下の方にはサクサクのビスケットみたいなのがあります。チョコシフォンは普通かも。あまさ控え目な感じでした。
連れは普通のケーキセットでアイスティーとモンブランを選んでいました。830円也。


少しだけ貰って試してみましたw アイスティーは味が濃いけど香りは少なめかな。中々美味しいです。 モンブランは洋酒が効いて良い香りでした。 甘さ控え目で、なめらかな生クリームと濃厚なモンブランクリームが入っています。結構大人の味かも。下のサクサクしたフレークがアクセントになっているようです。
ということで、そんなに高くない割りに美味しいコーヒーとケーキを楽しむことができました。(実はこの次の週に六本木店の方にも行ったのですが、渋谷店の方が安いかもしれません。ちょっとだけメニューが違っているように思いました。)
場所も便利だし、bunkamuraも近いので今後も足繁く通おうと思います。落ち着くお店です^^
次回はbunkamuraの展覧についてご紹介しようと思います。
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更新通知用twitter
前回ご紹介した「阿蘭陀とNIPPON ~レンブラントからシーボルトまで~」を観た後、たばこと塩の博物館の常設も観てきました。特別展は4Fなので、3Fから下っていく流れで周ってきました。
博物館の全景を撮り忘れたので、入口にあった像の写真です。(この像の詳細は謎w)

【公式サイト】
http://www.jti.co.jp/Culture/museum/jyousetu/index.html
【施設名】
たばこと塩の博物館
※営業時間・休館日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄】渋谷駅
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
この博物館は日本たばこ産業 (現在のJT、旧 日本専売公社) が運営している博物館で、現在も専売しているタバコと、1997年まで専売していた塩(現在は自由化)をテーマにした常設を行っています。現在は約36000点のコレクションを所有しているそうで、キセルや煙草入れのようなものだけでなく、当時の風俗がわかる浮世絵なども充実しているようです。 どういうタイミングで入れ替えをするかわかりませんが、今回観てきた内容を階ごとに簡単にご紹介しようと思います。
<3F 日本の塩・世界の塩>
この階は塩の作り方のコーナーです。まず、日本の塩の作り方を模型と映像で説明しています。近世までは「入浜式」という製法で塩を作っていたようで、これは潮の満ち引きを利用して、海水の塩分を浜で濃くし、塩釜に入れて塩に変えていく製法です。(確か塩釜も展示されてた記憶が・・・) その後、「流下式塩田」という製法に代わり、さらに現代では「イオン交換膜法」という製法になっているようです。いずれも海水を使った製法で、日本では今も昔も海水を使って塩を作っています。それぞれ詳しい解説や模型がありました。
続いて、このコーナーの半分くらいは他の世界各国の塩についてのコーナーです。まずはでっかい岩塩が展示されていて、これは1.2トンもあるポーランド産の岩塩でした。実は海水から作る塩は世界全体の1/4に過ぎず、他はこうした岩塩や塩湖などから摂られているようです。展示品には世界各国の岩塩が並び、中々興味深いです。
他にも塩の結晶でつくった帆船模型や塩の化学的な解説、塩に関するクイズのコーナーがあり、あまり広くないですが情報量は多めになっていました(ちょっとテイストが昭和っぽいw)
参考リンク:世界の塩・日本の塩(公式サイト)
<2F 日本のたばこ>
続いて2Fは日本のたばこについてのコーナーです。ここにはキセル、煙草入れ、煙草盆など江戸時代の頃の煙草グッズがならんでいます。そして、原寸大の江戸時代の煙草屋の再現もありました。どうやら当時はその場で葉っぱを刻んで煙草を作っていたようで、人形が作業をするポーズで展示されていました。他にも喫煙している様子の浮世絵(複製)なども展示されていました。
何故かこの辺に特別展の作品(VOCコインとかオランダ人の男女図など)もいくつか展示されていましたw
さらに進んでいくと、煙草に関する風刺画や、近現代の煙草の看板、歴代の煙草などもあります。私は煙草を吸わないのですが、それでも子供の頃に見たことがある煙草の包みなどはちょっと懐かしかったです。さらに昭和53年頃のタバコ屋さんの再現もあり、昔懐かしの自動販売機なども置かれています(多分実際には買えないと思いますw) タバコ屋さんの中のTV映像も当時のものかも。ここも昭和っぽさの漂うコーナーでした。
階の最後には煙草の製法などの資料もありました。
参考リンク:たばこの歴史と文化(公式サイト)
<M2F たばこの来た道>
最後に中2階にも展示があります。ここにはシガレットケースやパイプ、煙草の歴史、世界各国の煙草の箱などが展示されていました。煙草の箱は広げてぺったんこになった状態でファイルに閉じられているのですが、相当数の数がありました。結構国によって箱の意匠が違うのが面白いかも。
ということで、常設もまずまず楽しめました。ここに来ることはあっても常設はほぼ素通りしたのでまともに観たのはいつ以来かわかりませんw 愛煙家の人が中2階、3階に行ったら面白いんじゃないかな。1Fにはカフェもあり、このカフェは通りに面しているため大繁盛でした。
特別展と合わせても300円で入れるし、渋谷の街中にあるので、ふらっと寄ってみるのも面白いかと思います。
博物館の全景を撮り忘れたので、入口にあった像の写真です。(この像の詳細は謎w)

【公式サイト】
http://www.jti.co.jp/Culture/museum/jyousetu/index.html
【施設名】
たばこと塩の博物館
※営業時間・休館日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄】渋谷駅
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
この博物館は日本たばこ産業 (現在のJT、旧 日本専売公社) が運営している博物館で、現在も専売しているタバコと、1997年まで専売していた塩(現在は自由化)をテーマにした常設を行っています。現在は約36000点のコレクションを所有しているそうで、キセルや煙草入れのようなものだけでなく、当時の風俗がわかる浮世絵なども充実しているようです。 どういうタイミングで入れ替えをするかわかりませんが、今回観てきた内容を階ごとに簡単にご紹介しようと思います。
<3F 日本の塩・世界の塩>
この階は塩の作り方のコーナーです。まず、日本の塩の作り方を模型と映像で説明しています。近世までは「入浜式」という製法で塩を作っていたようで、これは潮の満ち引きを利用して、海水の塩分を浜で濃くし、塩釜に入れて塩に変えていく製法です。(確か塩釜も展示されてた記憶が・・・) その後、「流下式塩田」という製法に代わり、さらに現代では「イオン交換膜法」という製法になっているようです。いずれも海水を使った製法で、日本では今も昔も海水を使って塩を作っています。それぞれ詳しい解説や模型がありました。
続いて、このコーナーの半分くらいは他の世界各国の塩についてのコーナーです。まずはでっかい岩塩が展示されていて、これは1.2トンもあるポーランド産の岩塩でした。実は海水から作る塩は世界全体の1/4に過ぎず、他はこうした岩塩や塩湖などから摂られているようです。展示品には世界各国の岩塩が並び、中々興味深いです。
他にも塩の結晶でつくった帆船模型や塩の化学的な解説、塩に関するクイズのコーナーがあり、あまり広くないですが情報量は多めになっていました(ちょっとテイストが昭和っぽいw)
参考リンク:世界の塩・日本の塩(公式サイト)
<2F 日本のたばこ>
続いて2Fは日本のたばこについてのコーナーです。ここにはキセル、煙草入れ、煙草盆など江戸時代の頃の煙草グッズがならんでいます。そして、原寸大の江戸時代の煙草屋の再現もありました。どうやら当時はその場で葉っぱを刻んで煙草を作っていたようで、人形が作業をするポーズで展示されていました。他にも喫煙している様子の浮世絵(複製)なども展示されていました。
何故かこの辺に特別展の作品(VOCコインとかオランダ人の男女図など)もいくつか展示されていましたw
さらに進んでいくと、煙草に関する風刺画や、近現代の煙草の看板、歴代の煙草などもあります。私は煙草を吸わないのですが、それでも子供の頃に見たことがある煙草の包みなどはちょっと懐かしかったです。さらに昭和53年頃のタバコ屋さんの再現もあり、昔懐かしの自動販売機なども置かれています(多分実際には買えないと思いますw) タバコ屋さんの中のTV映像も当時のものかも。ここも昭和っぽさの漂うコーナーでした。
階の最後には煙草の製法などの資料もありました。
参考リンク:たばこの歴史と文化(公式サイト)
<M2F たばこの来た道>
最後に中2階にも展示があります。ここにはシガレットケースやパイプ、煙草の歴史、世界各国の煙草の箱などが展示されていました。煙草の箱は広げてぺったんこになった状態でファイルに閉じられているのですが、相当数の数がありました。結構国によって箱の意匠が違うのが面白いかも。
ということで、常設もまずまず楽しめました。ここに来ることはあっても常設はほぼ素通りしたのでまともに観たのはいつ以来かわかりませんw 愛煙家の人が中2階、3階に行ったら面白いんじゃないかな。1Fにはカフェもあり、このカフェは通りに面しているため大繁盛でした。
特別展と合わせても300円で入れるし、渋谷の街中にあるので、ふらっと寄ってみるのも面白いかと思います。
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ご紹介が遅くなりましたが、10日くらい前に渋谷へ行って、たばこと塩の博物館で日蘭通商400周年記念展「阿蘭陀とNIPPON ~レンブラントからシーボルトまで~」を観てきました。前期・後期で入れ替えがあるようで、私が行ったのは前期展示でした。

【展覧名】
日蘭通商400周年記念展「阿蘭陀とNIPPON ~レンブラントからシーボルトまで~」
【公式サイト】
http://www.jti.co.jp/Culture/museum/tokubetu/1004_event/index.html
【会場】たばこと塩の博物館
【最寄】渋谷駅
【会期】
前期:2010年4月24日~5月28日
後期:2010年5月29日~7月2日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間10分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
こちらの展覧会は、空いている上に予想以上の内容となっていました。展示作品は多岐に渡りますが興味深い品や素晴らしい作品が多く、こんなのもあるんだ!?と驚くものもありました。展覧会の構成も小テーマで分かれていて、すっきりした流れとなっていました。詳しくは章ごとに気に入った作品を通してご紹介しようと思います。
<プロローグ:南蛮の時代>
日蘭通商400周年記念ということですが、日本とオランダの国交は、西暦1600年にリーフデ号が日本に漂着した際、乗組員を救助したのがきっかけとなりました。その後、1609年に通商関係となり、平戸にVOC(オランダ東インド会社)が置かれました。やがて長崎の出島に移動しますが、VOCは2世紀に渡って西洋に開かれた唯一の窓口となりました。
この章では西洋が「南蛮」と呼ばれた頃の作品が並び、この展覧会のプロローグとなっていました。
参考リンク:リーフデ号のwiki
「南蛮人来朝之図」
桃山時代~江戸初期に描かれた6曲1双の屏風です。南蛮人が来航した際の様子を伝えるもので、左隻には大きな船、岸には宣教師や船員も描かれています。人種も白人だけではなく黒人も描かれていました。当時の港の様子がよくわかる貴重な作品のようでした。
「桔梗・鳥・霊獣螺鈿蒔絵洋櫃」
ドーム状の宝箱(ファンタジーとか海賊映画で出てくるような宝箱)のような箱です。螺鈿の蒔絵で作られていて、少し褪せていますが七色に光る螺鈿が美しいです。これは輸出用の櫃なのだとか。以前、サントリー美術館で観た蒔絵展にも同じようなのを観たのを思い出しました。(まだブログをやっていなかった頃なので参考記事はありません…)
この辺に東京駅の八重洲口周辺から出土したロザリオなどが展示されていました。八重洲にはリーフデ号に乗っていたヤン・ヨーステンの屋敷があったそうで、そこから「八重洲」という地名が名づけられたそうです。(これはマメ知識になりそうですw) ヤン・ヨーステンは江戸幕府の顧問として仕えた人でした。
<第1章 VOCによる通商> ※詳細紹介ページ
徳川家康の朱印状によってVOC(オランダ東インド会社)と通商関係になった頃のコーナーです。VOCの活動や暮らしぶりが伺える作品が並んでいました。
「VOC紋芙蓉手染付皿」 ★こちらで観られます
輸出用の「VOC」のマークの入った染付皿で、部屋の装飾に使われていたそうです。草花などが描かれ、日本の肥前製と解説されていました。この頃の輸出品と言えば、こうした陶磁器などだったのかな。
参考記事:日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念 パリに咲いた古伊万里の華 (東京都庭園美術館)
「VOC船タイルパネル」 ★こちらで観られます
こちらは縦6枚×横5枚で合計30枚のタイルで出来た船の絵です。VOCの旗を掲げ、ダイナミックな波を越えてくる様子が描かれています。こちらはデルフト焼で、良い色の染付けでした。
この辺にはガラス玉や陶片、レンガ、お金、朱印状の複製など、当時の資料的な作品が並んでいました。
「出島図」 ★こちらで観られます
出島の全景を俯瞰した感じの絵です。扇の形の島の内部が精密に描かれ、所々に描かれた人の大きさからそんなに広くなかったのが分かります。建物、庭、畑なども見えました。こんな狭いところが世界を知る唯一の場所だったとは・・・。
「蘭船図」
この作品は掛け軸で、鮮やかな色彩のオランダの旗が目立つオランダ船を描いています。よく見ると帆柱や旗に寸法が書いてあって、これによって大きさがわかるそうです。オランダ船を研究していたのかな??
「長崎丸山阿蘭陀人遊興の図」
長崎の遊郭で遊ぶオランダ人が描かれた絵です。オランダ人のために三味線を弾く男と遊女達に混じって、褐色の肌の男が半裸で踊っているようでした(これも外国人だと思います。) 基本的には商館の人達は出島の外に出ることが出来ず、出島は「国立の監獄」と言われていたようですが、たまに外に出てこのように遊んでいたそうです。確かにあれだけの世界じゃ監獄みたいで羽目を外したくなるかも。
「阿蘭陀風説図」
こちらは書簡です。オランダ船は幕府に最新の海外情報を知らせる義務があったそうで、これはイギリスとオランダの戦争がインドまで及んで来ていることを書いているそうです。 後ろの方には通訳たちの署名もありました。 これは江戸東京博物館の所蔵品のようですが、歴史上重要なものなのでは?? ちょっと驚きでした。
「VOC慶長小判」
これは現存するのは世界で5枚しかないという小判で、VOCがバタヴィア(現在のインドネシアのジャカルタ)などで流通させたものだそうです。真ん中にマーク(ライオン?)があり、偽物防止をしているようでした。
<第2章 交流と影響> ※詳細紹介ページ
続いて2章は、交易が進みお互いの国に及ぼした影響を紹介するコーナーとなっていました。日蘭の交流などによって、ヨーロッパでは喫茶の文化や漆器・陶磁器がブームとなったそうです。また、日本においてはオランダ趣味の広がりや、西洋風の遠近法を用いた浮世絵や洋風画が登場しました。他にも金唐革やガラス工芸が人気となり、蘭学が最先端の学問として学ばれるなどの影響もありました。 この章ではそうした影響を垣間見ることができる作品が並んでいました。
伝 荒木如元 「平安福寿図」
荒木如元は長崎派と呼ばれる江戸時代の洋画家です。この絵は赤い竪琴を弾く老人と、洋服を着て木に寄りかかる女性が描かれていて、西洋風の作風となっていました。しかし、どこか東洋風を感じさせ、両方の要素が感じられました。秋田派とも違った感じかな。
この辺にはたばこの博物館らしく、きせるのコーナーがありました。また、ワインボトルや徳利、有田焼やデルフト焼などのティーカップなども展示されていました。
レンブラント・ファン・レイン 「サーベルをあげた自画像」 ★こちらで観られます
この展覧会のサブタイトルになっているように、レンブラントの作品(版画)が何点か出品されていて、1部屋にまとまっていました。これは帽子を被ってサーベルを持った姿の自画像で、白黒の対比を使った細かい表現が素晴らしかったです。
レンブラント・ファン・レイン 「L.W.ファン・コベルノ肖像(和紙刷り)」
何故レンブラントがこのコーナーにあるのか?というと、その素材に日蘭の交易の影響が観られるためでした。これは物書きをしていた人が横を振り向いた感じの肖像で、白黒の銅板画です。解説によると、ドライポイントで描かれた作品だそうで、レンブラントはドライポイントの作品を摺る時に和紙を用いて、端麗な摺りの効果を狙っていたそうです。 絵も良かったですが、まさかそんなところに日本の影響があったとは驚きでした。こういう背景を知ると今後の見方も深くなりそうで面白いです。
この他にも数点、レンブラントの版画がありました。
「色絵金彩傘人物紋皿(日本)」 「色絵金彩傘人物紋皿(中国)」
続いて陶器のコーナーです。当時のヨーロッパでは磁器は作れず、非常に高価でした。やがてオランダでもデルフト焼などが作られますが、日本や中国にそっくりに作られたのだとか。日本や中国は注文に応じて陶磁器を作っていたそうで、この作品などが注文されて作られたものになります。
この作品は、コルネリス・プロンクという人によって描かれた(向こうの人が想像する)アジア風の美女のデザインを陶磁器に描いた作品です。同じ図の日本と中国の作品を見比べられる展示となっていて、日本の方は、着物の遊女と和傘を差す禿?が描かれています。一方、中国の方は構図は同じですが洋風の傘を差しているなど、日本のものと雰囲気がちょっとずつ違いました。(実は中国の方がデザインに忠実らしいです。) どちらも場面自体は似ているのに違いがわかり面白い展示方法でした。
「金蒔絵芙蓉紋短筒」 ★こちらで観られます
葵の紋と唐草模様の蒔絵が入った短銃です。非常に豪華かつ優美で、これだけの蒔絵が観られるとは予想以上でした。これは将軍からの贈答品と考えられているそうです。
近くには金蒔絵のキャビネットなどもあり、キラキラのお宝好きの私としてはテンションのあがるコーナーですw
「青貝細工キャビネット」
洋風のキャビネットです。青貝による美しい青の螺鈿細工が施され、描かれた花の葉っぱがキラキラ光ります。こちらも煌びやかで気品のある作品でした。素晴らしい!
「金唐革屏風」
4曲の金唐革の屏風です。金唐革というのは子牛のなめし革に金箔を貼ってニスを塗り、模様をプレスして手で彩色したものです。これは花と花瓶の模様がパターン化されていました。 今回の展示にはありませんが、日本人はこれを元に金唐紙などを作っていたので、相当憧れていたのではないかなと思いながら観ていました。
「硝子色違蓋茶碗」
ガラス製の可愛いらしい蓋付きの茶碗です。青、赤、緑、黄色の色ガラスで見た目も涼しげで綺麗でした。
この近くにはつい最近にサントリー美術館で観たビードロの手拭いかけに似たものなどもあり、ちょっと内容がリンクしている部分がありました。
参考記事:和ガラス -粋なうつわ、遊びのかたち- (サントリー美術館)
「フリーメイソンシンボル入り文箱」
これは軽く仰天した作品で、秘密結社で名高いフリーメイソンのマークが入った蒔絵の文箱です。(秘密結社なのに有名でいいの?という突っ込みをしないでくださいw) 光る目、コンパス、羽の生えた砂時計など意味ありげなシンボルが散らされ、螺鈿が施されていました。この作品の隣にもフリーメイソンの小箱があり、いくつか作られていたのかもしれません。こんな所にも日蘭交易の影響があったとは驚きでした。
この章の最後の辺りにはオランダ語の日本地図や、日本語の世界地図などがありました。世界地図はかなり詳細で興味深いです。他には、人の生首の詳細な解剖図や、海の怪物(想像上の生き物)を紹介した本、有名な「解体新書」、天球儀、当時最大級の天体望遠鏡、エレキテル?など様々な学問に関する展示がありました。ここも素晴らしい充実ぶりです。
<第3章 シーボルトと川原慶賀> ※詳細紹介ページ
この辺で私のメモ帳が切れたので、感想はごく簡単になります。3章はシーボルトを題材にした品々と、川原慶賀の絵が並んだコーナーとなっていました。
「?血手術図」
ちょっと作品名の漢字が難しくて読みも分かりませんでした…。これは椅子に座っている人、ナイフを持って手術をする人、患者を押さえつけている人の3人が描かれた絵です。リアルな西洋画で顔をしかめている表情から、当時の手術のつらさが伝わるようでした。
この辺にはシーボルトの肖像画やサーベル、ナイフとフォークなどが展示されていました。ちょっと面白かったのが、禁制の品を持ち出して国外追放になった際の犯科帳までありましたw
川原慶賀 「人の一生(出会い)」
長崎の絵師、最後は川原慶賀のコーナーでした。「人の一生」というシリーズの絵が何枚か並んでいたのですが、特に気に入ったのがこの絵です。これは桜の木の下の茶屋で、将来の夫婦となる二人が出会うシーンを描いたもので、娘は袖で顔を隠して恥ずかしそうにしていました。ドラマチックで初々しい感じがよく出ているように思います。
<エピローグ:出島の終焉~商館長から領事へ~>
エピローグはちょこっとだけでしたが、開国によって出島の役目も終わったことについて説明されていました。ここは資料っぽいものばかりだったかな。
ということで、予想以上に充実した内容で驚きでした。特に中盤は豪華な作品などもありテンションがあがりました。これだけ良い展示ならもうちょっと宣伝したら良いのにw 私が行った前期はもうすぐ終わりますが、これなら後期も期待できると思います。存分に楽しめました。

【展覧名】
日蘭通商400周年記念展「阿蘭陀とNIPPON ~レンブラントからシーボルトまで~」
【公式サイト】
http://www.jti.co.jp/Culture/museum/tokubetu/1004_event/index.html
【会場】たばこと塩の博物館
【最寄】渋谷駅
【会期】
前期:2010年4月24日~5月28日
後期:2010年5月29日~7月2日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間10分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
こちらの展覧会は、空いている上に予想以上の内容となっていました。展示作品は多岐に渡りますが興味深い品や素晴らしい作品が多く、こんなのもあるんだ!?と驚くものもありました。展覧会の構成も小テーマで分かれていて、すっきりした流れとなっていました。詳しくは章ごとに気に入った作品を通してご紹介しようと思います。
<プロローグ:南蛮の時代>
日蘭通商400周年記念ということですが、日本とオランダの国交は、西暦1600年にリーフデ号が日本に漂着した際、乗組員を救助したのがきっかけとなりました。その後、1609年に通商関係となり、平戸にVOC(オランダ東インド会社)が置かれました。やがて長崎の出島に移動しますが、VOCは2世紀に渡って西洋に開かれた唯一の窓口となりました。
この章では西洋が「南蛮」と呼ばれた頃の作品が並び、この展覧会のプロローグとなっていました。
参考リンク:リーフデ号のwiki
「南蛮人来朝之図」
桃山時代~江戸初期に描かれた6曲1双の屏風です。南蛮人が来航した際の様子を伝えるもので、左隻には大きな船、岸には宣教師や船員も描かれています。人種も白人だけではなく黒人も描かれていました。当時の港の様子がよくわかる貴重な作品のようでした。
「桔梗・鳥・霊獣螺鈿蒔絵洋櫃」
ドーム状の宝箱(ファンタジーとか海賊映画で出てくるような宝箱)のような箱です。螺鈿の蒔絵で作られていて、少し褪せていますが七色に光る螺鈿が美しいです。これは輸出用の櫃なのだとか。以前、サントリー美術館で観た蒔絵展にも同じようなのを観たのを思い出しました。(まだブログをやっていなかった頃なので参考記事はありません…)
この辺に東京駅の八重洲口周辺から出土したロザリオなどが展示されていました。八重洲にはリーフデ号に乗っていたヤン・ヨーステンの屋敷があったそうで、そこから「八重洲」という地名が名づけられたそうです。(これはマメ知識になりそうですw) ヤン・ヨーステンは江戸幕府の顧問として仕えた人でした。
<第1章 VOCによる通商> ※詳細紹介ページ
徳川家康の朱印状によってVOC(オランダ東インド会社)と通商関係になった頃のコーナーです。VOCの活動や暮らしぶりが伺える作品が並んでいました。
「VOC紋芙蓉手染付皿」 ★こちらで観られます
輸出用の「VOC」のマークの入った染付皿で、部屋の装飾に使われていたそうです。草花などが描かれ、日本の肥前製と解説されていました。この頃の輸出品と言えば、こうした陶磁器などだったのかな。
参考記事:日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念 パリに咲いた古伊万里の華 (東京都庭園美術館)
「VOC船タイルパネル」 ★こちらで観られます
こちらは縦6枚×横5枚で合計30枚のタイルで出来た船の絵です。VOCの旗を掲げ、ダイナミックな波を越えてくる様子が描かれています。こちらはデルフト焼で、良い色の染付けでした。
この辺にはガラス玉や陶片、レンガ、お金、朱印状の複製など、当時の資料的な作品が並んでいました。
「出島図」 ★こちらで観られます
出島の全景を俯瞰した感じの絵です。扇の形の島の内部が精密に描かれ、所々に描かれた人の大きさからそんなに広くなかったのが分かります。建物、庭、畑なども見えました。こんな狭いところが世界を知る唯一の場所だったとは・・・。
「蘭船図」
この作品は掛け軸で、鮮やかな色彩のオランダの旗が目立つオランダ船を描いています。よく見ると帆柱や旗に寸法が書いてあって、これによって大きさがわかるそうです。オランダ船を研究していたのかな??
「長崎丸山阿蘭陀人遊興の図」
長崎の遊郭で遊ぶオランダ人が描かれた絵です。オランダ人のために三味線を弾く男と遊女達に混じって、褐色の肌の男が半裸で踊っているようでした(これも外国人だと思います。) 基本的には商館の人達は出島の外に出ることが出来ず、出島は「国立の監獄」と言われていたようですが、たまに外に出てこのように遊んでいたそうです。確かにあれだけの世界じゃ監獄みたいで羽目を外したくなるかも。
「阿蘭陀風説図」
こちらは書簡です。オランダ船は幕府に最新の海外情報を知らせる義務があったそうで、これはイギリスとオランダの戦争がインドまで及んで来ていることを書いているそうです。 後ろの方には通訳たちの署名もありました。 これは江戸東京博物館の所蔵品のようですが、歴史上重要なものなのでは?? ちょっと驚きでした。
「VOC慶長小判」
これは現存するのは世界で5枚しかないという小判で、VOCがバタヴィア(現在のインドネシアのジャカルタ)などで流通させたものだそうです。真ん中にマーク(ライオン?)があり、偽物防止をしているようでした。
<第2章 交流と影響> ※詳細紹介ページ
続いて2章は、交易が進みお互いの国に及ぼした影響を紹介するコーナーとなっていました。日蘭の交流などによって、ヨーロッパでは喫茶の文化や漆器・陶磁器がブームとなったそうです。また、日本においてはオランダ趣味の広がりや、西洋風の遠近法を用いた浮世絵や洋風画が登場しました。他にも金唐革やガラス工芸が人気となり、蘭学が最先端の学問として学ばれるなどの影響もありました。 この章ではそうした影響を垣間見ることができる作品が並んでいました。
伝 荒木如元 「平安福寿図」
荒木如元は長崎派と呼ばれる江戸時代の洋画家です。この絵は赤い竪琴を弾く老人と、洋服を着て木に寄りかかる女性が描かれていて、西洋風の作風となっていました。しかし、どこか東洋風を感じさせ、両方の要素が感じられました。秋田派とも違った感じかな。
この辺にはたばこの博物館らしく、きせるのコーナーがありました。また、ワインボトルや徳利、有田焼やデルフト焼などのティーカップなども展示されていました。
レンブラント・ファン・レイン 「サーベルをあげた自画像」 ★こちらで観られます
この展覧会のサブタイトルになっているように、レンブラントの作品(版画)が何点か出品されていて、1部屋にまとまっていました。これは帽子を被ってサーベルを持った姿の自画像で、白黒の対比を使った細かい表現が素晴らしかったです。
レンブラント・ファン・レイン 「L.W.ファン・コベルノ肖像(和紙刷り)」
何故レンブラントがこのコーナーにあるのか?というと、その素材に日蘭の交易の影響が観られるためでした。これは物書きをしていた人が横を振り向いた感じの肖像で、白黒の銅板画です。解説によると、ドライポイントで描かれた作品だそうで、レンブラントはドライポイントの作品を摺る時に和紙を用いて、端麗な摺りの効果を狙っていたそうです。 絵も良かったですが、まさかそんなところに日本の影響があったとは驚きでした。こういう背景を知ると今後の見方も深くなりそうで面白いです。
この他にも数点、レンブラントの版画がありました。
「色絵金彩傘人物紋皿(日本)」 「色絵金彩傘人物紋皿(中国)」
続いて陶器のコーナーです。当時のヨーロッパでは磁器は作れず、非常に高価でした。やがてオランダでもデルフト焼などが作られますが、日本や中国にそっくりに作られたのだとか。日本や中国は注文に応じて陶磁器を作っていたそうで、この作品などが注文されて作られたものになります。
この作品は、コルネリス・プロンクという人によって描かれた(向こうの人が想像する)アジア風の美女のデザインを陶磁器に描いた作品です。同じ図の日本と中国の作品を見比べられる展示となっていて、日本の方は、着物の遊女と和傘を差す禿?が描かれています。一方、中国の方は構図は同じですが洋風の傘を差しているなど、日本のものと雰囲気がちょっとずつ違いました。(実は中国の方がデザインに忠実らしいです。) どちらも場面自体は似ているのに違いがわかり面白い展示方法でした。
「金蒔絵芙蓉紋短筒」 ★こちらで観られます
葵の紋と唐草模様の蒔絵が入った短銃です。非常に豪華かつ優美で、これだけの蒔絵が観られるとは予想以上でした。これは将軍からの贈答品と考えられているそうです。
近くには金蒔絵のキャビネットなどもあり、キラキラのお宝好きの私としてはテンションのあがるコーナーですw
「青貝細工キャビネット」
洋風のキャビネットです。青貝による美しい青の螺鈿細工が施され、描かれた花の葉っぱがキラキラ光ります。こちらも煌びやかで気品のある作品でした。素晴らしい!
「金唐革屏風」
4曲の金唐革の屏風です。金唐革というのは子牛のなめし革に金箔を貼ってニスを塗り、模様をプレスして手で彩色したものです。これは花と花瓶の模様がパターン化されていました。 今回の展示にはありませんが、日本人はこれを元に金唐紙などを作っていたので、相当憧れていたのではないかなと思いながら観ていました。
「硝子色違蓋茶碗」
ガラス製の可愛いらしい蓋付きの茶碗です。青、赤、緑、黄色の色ガラスで見た目も涼しげで綺麗でした。
この近くにはつい最近にサントリー美術館で観たビードロの手拭いかけに似たものなどもあり、ちょっと内容がリンクしている部分がありました。
参考記事:和ガラス -粋なうつわ、遊びのかたち- (サントリー美術館)
「フリーメイソンシンボル入り文箱」
これは軽く仰天した作品で、秘密結社で名高いフリーメイソンのマークが入った蒔絵の文箱です。(秘密結社なのに有名でいいの?という突っ込みをしないでくださいw) 光る目、コンパス、羽の生えた砂時計など意味ありげなシンボルが散らされ、螺鈿が施されていました。この作品の隣にもフリーメイソンの小箱があり、いくつか作られていたのかもしれません。こんな所にも日蘭交易の影響があったとは驚きでした。
この章の最後の辺りにはオランダ語の日本地図や、日本語の世界地図などがありました。世界地図はかなり詳細で興味深いです。他には、人の生首の詳細な解剖図や、海の怪物(想像上の生き物)を紹介した本、有名な「解体新書」、天球儀、当時最大級の天体望遠鏡、エレキテル?など様々な学問に関する展示がありました。ここも素晴らしい充実ぶりです。
<第3章 シーボルトと川原慶賀> ※詳細紹介ページ
この辺で私のメモ帳が切れたので、感想はごく簡単になります。3章はシーボルトを題材にした品々と、川原慶賀の絵が並んだコーナーとなっていました。
「?血手術図」
ちょっと作品名の漢字が難しくて読みも分かりませんでした…。これは椅子に座っている人、ナイフを持って手術をする人、患者を押さえつけている人の3人が描かれた絵です。リアルな西洋画で顔をしかめている表情から、当時の手術のつらさが伝わるようでした。
この辺にはシーボルトの肖像画やサーベル、ナイフとフォークなどが展示されていました。ちょっと面白かったのが、禁制の品を持ち出して国外追放になった際の犯科帳までありましたw
川原慶賀 「人の一生(出会い)」
長崎の絵師、最後は川原慶賀のコーナーでした。「人の一生」というシリーズの絵が何枚か並んでいたのですが、特に気に入ったのがこの絵です。これは桜の木の下の茶屋で、将来の夫婦となる二人が出会うシーンを描いたもので、娘は袖で顔を隠して恥ずかしそうにしていました。ドラマチックで初々しい感じがよく出ているように思います。
<エピローグ:出島の終焉~商館長から領事へ~>
エピローグはちょこっとだけでしたが、開国によって出島の役目も終わったことについて説明されていました。ここは資料っぽいものばかりだったかな。
ということで、予想以上に充実した内容で驚きでした。特に中盤は豪華な作品などもありテンションがあがりました。これだけ良い展示ならもうちょっと宣伝したら良いのにw 私が行った前期はもうすぐ終わりますが、これなら後期も期待できると思います。存分に楽しめました。
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先週の土曜日に山種美術館へ行って、会期終了直前だった「生誕120年 奥村土牛」を観てきました。もう終わってしまいましたが、良い展覧会で今後の参考にもなりそうですので、ご紹介しておこうと思います。

【展覧名】
開館記念特別展Ⅳ 生誕120年 奥村土牛展
【公式サイト】
http://www.yamatane-museum.or.jp/doc/outline_100403_japanese.pdf
【会場】山種美術館
【最寄】JR・東京メトロ 恵比寿駅
【会期】2010年4月3日(土)~5月23日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日10時半頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
会期末だったというのもあってか、結構混んでいました。これだけ良い内容だとクチコミでお客さんが来たのかな。この展示は約70点の作品が展示され、奥村土牛(おくむら とぎゅう)の生涯に渡る作品を観ることの出来る貴重な機会となっていました。
簡単に奥村土牛の経歴をご説明しますと、奥村土牛(本名:義三)は東京の京橋にあった出版社の息子として生まれ、16歳で梶田半古の弟子となりました。梶田半古が亡くなると先輩であった小林古径に師事しますが、中々世の中に認められることはなく、38歳まで院展に入選することはありませんでした。 しかし、入選後は奥村土牛は後に大器晩成と言われるに相応しい活躍を見せていきます。土牛という画号は父が寒山詩の一節「土牛石田を耕す」という言葉から名づけたそうで、その名の通り石のころがる田畑を耕すような精進を続けた人でした。(土牛は丑年生まれで牛好きなので、そこもピッタリな名前かも)
展覧会の最初には、院展に初めて入選して少し後の初期の作品から展示されていました。ここからは章ごとに気に入った作品を通してご紹介しようと思います。
<第1章 土牛のあゆみ - 大いなる未完成>
土牛は38歳の時、「胡瓜畑」という作品で初めて院展に入選すると、その後続々と入選して、やがて日本美術院の同人に推挙されるまでになっていきます。土牛の作品は彼の人柄が偲ばれそうな優しく清らかな作風が特徴のように思いますが、この章を観ていると色々な作風を研究しながら辿りついているようでした。101歳で亡くなる直前まで描き続けたそうですが、まだまだ自分は若造で、芸術に完成は無いと考えていたようです。
奥村土牛 「枇杷と少女」
これは院展に初めて入選して3年後くらいの作品で、日本美術院の同人に推挙されるきっかけとなった作品だそうです。薄いオレンジのビワが沢山なっている木と、左下に白い服の少女が描かれています。抑制された色彩で描かれていて、落ち着いた雰囲気でした。少女の位置が面白かったです。
奥村土牛 「雨趣」
先ほどの作品より2年前くらいの作品で、赤坂付近の風景を描いたものです。少し高いところから家々の屋根を見下ろし描かれ、上半分は薄暗い灰色の空に覆われています。そこに白い線の雨が降っていて静かな雰囲気を湛えていました。 解説によると、この年 土牛は小林古径の紹介で速水御舟と知り合ったそうで、雨を1本1本描いているこの絵には御舟の写実の影響が観られるとのことでした。
参考記事:速水御舟展 -日本画への挑戦- (山種美術館)
奥村土牛 「雪の山」
これは先ほどの作品からだいぶ時を経て57歳の頃の作品です。直線が多く幾何学的な雰囲気の雪山が描かれ、所々に木や赤い土のようなものも見えます。ぱっと観た時に、セザンヌみたい!?と思ったら、実際にセザンヌの影響を受けているようです(まんざら私の目も節穴じゃなくて良かったw)
この作品を描いた頃の私生活についても解説されていて、1944年に土牛は東京美術学校の教師となったようですが、太平洋戦争が悪化し、防空壕の中で土牛の母が死ぬという悲しい出来事がありました。そして疎開先の長野に向かう途中に観た菅平がこの絵の題材になっているそうです。 土牛の優しい絵を観ていると忘れてしまいそうですが、相次ぐ戦争の時代を生きた画家であると再認識したエピソードでした。
この辺にはいくつかのテーマのコーナーがありました。
まず、後期印象派やルネサンスの画集が並んでいました。古径がよく買っていたそうで、土牛はセザンヌの画集を貰って気に入ったのだとか。他にもゴーギャンやジョットについてもコメントが書かれていました。
次に、歌舞伎と相撲についてのコーナーがありました。同じ芸道としての歌舞伎や、人生の縮図が見られると考えていた相撲をこよなく愛していたそうです。後のほうには相撲取の絵も展示されていました。
さらに写生や素描のコーナーがありました。きゅうり、ざくろ、バラ、鯉、城などのスケッチなどがあり、後の方に展示されている作品と関係がありそうなものもありました。土牛は描かれるものの気持ちを捉えることに努めたそうで、外観よりも気持ちを重視したと解説されていました。
奥村土牛 「兎」
この作品の辺りは動物のコーナーでした。これは2曲の屏風で、アンゴラウサギと言う珍しい兎が3匹描かれています。(わざわざ世田谷で飼っている人の家に訪ねて描いてきたそうです) 兎たちは伏せていて、赤い目と大きな耳を持ち、真っ白な毛です。その毛のふわふわした表現が素晴らしく、よく観ると毛が1本1本描かれていたのが驚きでした。その毛のおかげでより可愛いく観えました。 なお、この絵の隣にも兎の絵がありましたがそちらは簡略化された姿で、この絵とは異なる表現に思いました。
奥村土牛 「聖牛」
インドから長野のお寺に贈られた白い牛の親子を描いた作品です。横向きで少し上を見上げる母牛と伏せている子牛が、はっきりした輪郭線で描かれています。背景は無く、胡粉を塗り重ねて立体感をだしているそうです。そのせいか、微妙な色の違いがあり落ち着きと気品を感じる牛でした。なお、土牛は丑年生まれのせいか、牛には愛着があったようでよく描いていたそうです。
奥村土牛 「那智」
中央に白い那智の滝が真っ直ぐに下に落ちていく様子が描かれた作品です。解説によると周りのゴツゴツした岩はセザンヌ構成力の影響だそうで、色の数を絞った表現となっています。 力強く荘厳な雰囲気を感じる作品でした。
なお、この絵を描いた年に横山大観が亡くなったそうです。土牛は横山大観に色々お世話になっていたようで、ある時大観に呼ばれてご馳走された時、「絵を描くなら山水でも花鳥でも宇宙を描かないと駄目」と言われたそうです。鳥なら鳴き声が聴こえるようにと教えられたそうで、これが土牛の気持ちを重視した絵に繋がっているようでした。
奥村土牛 「鳴門」 ★こちらで観られます(PDF)
鳴門の渦潮と、背景に金色の島を描いた絵です。薄く少ない色でダイナミックに描かれたように見えますが、実は微妙な色彩の違いを持って細かく渦を描いていました。下絵は作らずに描いたそうです。
この辺りには人物画がありました。舞妓、バレリーナ、姪などで、感情まで表現されていそうでした。
奥村土牛 「浄心」
これは敬愛する師の古径が亡くなった後に中尊寺に行って、祈りをこめて仏像の絵を描いた作品です。印を組んで座る姿で、静かにどこかを観て、見通すような目をした仏が描かれていました。師の死を相当に悲しんだそうです…。
奥村土牛 「茶室」
これは遠近感がぺったりした感じで茶室の内部を描いた作品です。障子の格子など幾何学的な構成の中に、柱の曲線がアクセントになっているようでした。
この辺りには花の絵や相撲取りの絵もありました。
奥村土牛 「輪島の夕照」
オレンジに染まる夕陽が描かれ、岩山の下には家々が並んでいる作品。郷愁を誘われる雰囲気を持った絵でした。
奥村土牛 「水蓮」
オレンジ色の鯉が描かれた白い陶器に水を張り、ピンクっぽい赤色の睡蓮が入れられています。その色彩が綺麗で、水面の透明感の表現が凄かったです。背景は何も描かれていませんが、オレンジがかっていて明るい雰囲気がありました。
奥村土牛 「門」
姫路城の門を描いた作品です(姫路城そのものの絵も少し前に展示されていました) これは木の門の中に見える白壁が描かれているのですが、その壁には長方形の鉄砲穴が開いています。四角の中に四角があって、その中に四角があるという入れ子みたいな構図が面白かったです。実際にこれを写生している様子の写真もあり、確かにこの構図でした。
奥村土牛 「吉野」 ★こちらで観られます(PDF)
今回の目玉作品の1つかな。吉野の桜と背景にそびえる山々を描いた作品で、桜の木は右下に1本描かれているだけです。しかし、緑や青の山にピンク色の雲が流れているような表現で吉野の桜の頃が描かれていました。桃源郷のような雰囲気で柔らかく優しい絵でした。
この辺りには干支をモチーフにした扇子が飾られていました。かなり簡略化されて淡い色彩の十二支で、特に猿が気に入りました。
奥村土牛 「富士宮の富士」
富士山の山頂を描いた作品です。白くなった山に霞むような雲?がかかったように見えます。山の表面には水が垂れたような、うねった線がいくつも描かれ、単に綺麗なだけではなく厳しそうな表情を見せていました。
<第2章 土牛のまなざし - 醍醐の桜と四季折々の草花>
続いて第二会場(と言ってもあまり広くない1部屋です)は草花の傑作がならぶコーナーでした。
奥村土牛 「花菖蒲」「罌粟(ケシ)」
どちらも掛け軸で、並んで展示されていました。「花菖蒲」は少し曲がって伸びる葉っぱと、紫と白の花に気品がありました。「罌粟」の方は少し赤黒い花が力強くも可憐でした。
こうした草花の絵は人を描くように愛しんで描かれたそうです。周りには木蓮や柘榴などの小さめの作品もありました。
奥村土牛 「醍醐」 ★こちらで観られます(PDF)
今回のポスターにもなっていた傑作です。醍醐寺の樹齢150年の枝垂桜を描いた作品で、明るい雰囲気の中、真ん中に桜、背景に白い壁が描かれています。手法はよくわかりませんが、大きな桜の花に色を重ねてぼやかしているような感じなのかな。花が薫るような見事な作品でした。
ということで、色々な作風・手法を観ることのできる内容でした。若い頃には苦労をしながらも精進を続け、巨匠となったその生き様も感じられて素晴らしかったです。この先、土牛の作品への見方もまた違ってくるように思いました。

【展覧名】
開館記念特別展Ⅳ 生誕120年 奥村土牛展
【公式サイト】
http://www.yamatane-museum.or.jp/doc/outline_100403_japanese.pdf
【会場】山種美術館
【最寄】JR・東京メトロ 恵比寿駅
【会期】2010年4月3日(土)~5月23日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日10時半頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
会期末だったというのもあってか、結構混んでいました。これだけ良い内容だとクチコミでお客さんが来たのかな。この展示は約70点の作品が展示され、奥村土牛(おくむら とぎゅう)の生涯に渡る作品を観ることの出来る貴重な機会となっていました。
簡単に奥村土牛の経歴をご説明しますと、奥村土牛(本名:義三)は東京の京橋にあった出版社の息子として生まれ、16歳で梶田半古の弟子となりました。梶田半古が亡くなると先輩であった小林古径に師事しますが、中々世の中に認められることはなく、38歳まで院展に入選することはありませんでした。 しかし、入選後は奥村土牛は後に大器晩成と言われるに相応しい活躍を見せていきます。土牛という画号は父が寒山詩の一節「土牛石田を耕す」という言葉から名づけたそうで、その名の通り石のころがる田畑を耕すような精進を続けた人でした。(土牛は丑年生まれで牛好きなので、そこもピッタリな名前かも)
展覧会の最初には、院展に初めて入選して少し後の初期の作品から展示されていました。ここからは章ごとに気に入った作品を通してご紹介しようと思います。
<第1章 土牛のあゆみ - 大いなる未完成>
土牛は38歳の時、「胡瓜畑」という作品で初めて院展に入選すると、その後続々と入選して、やがて日本美術院の同人に推挙されるまでになっていきます。土牛の作品は彼の人柄が偲ばれそうな優しく清らかな作風が特徴のように思いますが、この章を観ていると色々な作風を研究しながら辿りついているようでした。101歳で亡くなる直前まで描き続けたそうですが、まだまだ自分は若造で、芸術に完成は無いと考えていたようです。
奥村土牛 「枇杷と少女」
これは院展に初めて入選して3年後くらいの作品で、日本美術院の同人に推挙されるきっかけとなった作品だそうです。薄いオレンジのビワが沢山なっている木と、左下に白い服の少女が描かれています。抑制された色彩で描かれていて、落ち着いた雰囲気でした。少女の位置が面白かったです。
奥村土牛 「雨趣」
先ほどの作品より2年前くらいの作品で、赤坂付近の風景を描いたものです。少し高いところから家々の屋根を見下ろし描かれ、上半分は薄暗い灰色の空に覆われています。そこに白い線の雨が降っていて静かな雰囲気を湛えていました。 解説によると、この年 土牛は小林古径の紹介で速水御舟と知り合ったそうで、雨を1本1本描いているこの絵には御舟の写実の影響が観られるとのことでした。
参考記事:速水御舟展 -日本画への挑戦- (山種美術館)
奥村土牛 「雪の山」
これは先ほどの作品からだいぶ時を経て57歳の頃の作品です。直線が多く幾何学的な雰囲気の雪山が描かれ、所々に木や赤い土のようなものも見えます。ぱっと観た時に、セザンヌみたい!?と思ったら、実際にセザンヌの影響を受けているようです(まんざら私の目も節穴じゃなくて良かったw)
この作品を描いた頃の私生活についても解説されていて、1944年に土牛は東京美術学校の教師となったようですが、太平洋戦争が悪化し、防空壕の中で土牛の母が死ぬという悲しい出来事がありました。そして疎開先の長野に向かう途中に観た菅平がこの絵の題材になっているそうです。 土牛の優しい絵を観ていると忘れてしまいそうですが、相次ぐ戦争の時代を生きた画家であると再認識したエピソードでした。
この辺にはいくつかのテーマのコーナーがありました。
まず、後期印象派やルネサンスの画集が並んでいました。古径がよく買っていたそうで、土牛はセザンヌの画集を貰って気に入ったのだとか。他にもゴーギャンやジョットについてもコメントが書かれていました。
次に、歌舞伎と相撲についてのコーナーがありました。同じ芸道としての歌舞伎や、人生の縮図が見られると考えていた相撲をこよなく愛していたそうです。後のほうには相撲取の絵も展示されていました。
さらに写生や素描のコーナーがありました。きゅうり、ざくろ、バラ、鯉、城などのスケッチなどがあり、後の方に展示されている作品と関係がありそうなものもありました。土牛は描かれるものの気持ちを捉えることに努めたそうで、外観よりも気持ちを重視したと解説されていました。
奥村土牛 「兎」
この作品の辺りは動物のコーナーでした。これは2曲の屏風で、アンゴラウサギと言う珍しい兎が3匹描かれています。(わざわざ世田谷で飼っている人の家に訪ねて描いてきたそうです) 兎たちは伏せていて、赤い目と大きな耳を持ち、真っ白な毛です。その毛のふわふわした表現が素晴らしく、よく観ると毛が1本1本描かれていたのが驚きでした。その毛のおかげでより可愛いく観えました。 なお、この絵の隣にも兎の絵がありましたがそちらは簡略化された姿で、この絵とは異なる表現に思いました。
奥村土牛 「聖牛」
インドから長野のお寺に贈られた白い牛の親子を描いた作品です。横向きで少し上を見上げる母牛と伏せている子牛が、はっきりした輪郭線で描かれています。背景は無く、胡粉を塗り重ねて立体感をだしているそうです。そのせいか、微妙な色の違いがあり落ち着きと気品を感じる牛でした。なお、土牛は丑年生まれのせいか、牛には愛着があったようでよく描いていたそうです。
奥村土牛 「那智」
中央に白い那智の滝が真っ直ぐに下に落ちていく様子が描かれた作品です。解説によると周りのゴツゴツした岩はセザンヌ構成力の影響だそうで、色の数を絞った表現となっています。 力強く荘厳な雰囲気を感じる作品でした。
なお、この絵を描いた年に横山大観が亡くなったそうです。土牛は横山大観に色々お世話になっていたようで、ある時大観に呼ばれてご馳走された時、「絵を描くなら山水でも花鳥でも宇宙を描かないと駄目」と言われたそうです。鳥なら鳴き声が聴こえるようにと教えられたそうで、これが土牛の気持ちを重視した絵に繋がっているようでした。
奥村土牛 「鳴門」 ★こちらで観られます(PDF)
鳴門の渦潮と、背景に金色の島を描いた絵です。薄く少ない色でダイナミックに描かれたように見えますが、実は微妙な色彩の違いを持って細かく渦を描いていました。下絵は作らずに描いたそうです。
この辺りには人物画がありました。舞妓、バレリーナ、姪などで、感情まで表現されていそうでした。
奥村土牛 「浄心」
これは敬愛する師の古径が亡くなった後に中尊寺に行って、祈りをこめて仏像の絵を描いた作品です。印を組んで座る姿で、静かにどこかを観て、見通すような目をした仏が描かれていました。師の死を相当に悲しんだそうです…。
奥村土牛 「茶室」
これは遠近感がぺったりした感じで茶室の内部を描いた作品です。障子の格子など幾何学的な構成の中に、柱の曲線がアクセントになっているようでした。
この辺りには花の絵や相撲取りの絵もありました。
奥村土牛 「輪島の夕照」
オレンジに染まる夕陽が描かれ、岩山の下には家々が並んでいる作品。郷愁を誘われる雰囲気を持った絵でした。
奥村土牛 「水蓮」
オレンジ色の鯉が描かれた白い陶器に水を張り、ピンクっぽい赤色の睡蓮が入れられています。その色彩が綺麗で、水面の透明感の表現が凄かったです。背景は何も描かれていませんが、オレンジがかっていて明るい雰囲気がありました。
奥村土牛 「門」
姫路城の門を描いた作品です(姫路城そのものの絵も少し前に展示されていました) これは木の門の中に見える白壁が描かれているのですが、その壁には長方形の鉄砲穴が開いています。四角の中に四角があって、その中に四角があるという入れ子みたいな構図が面白かったです。実際にこれを写生している様子の写真もあり、確かにこの構図でした。
奥村土牛 「吉野」 ★こちらで観られます(PDF)
今回の目玉作品の1つかな。吉野の桜と背景にそびえる山々を描いた作品で、桜の木は右下に1本描かれているだけです。しかし、緑や青の山にピンク色の雲が流れているような表現で吉野の桜の頃が描かれていました。桃源郷のような雰囲気で柔らかく優しい絵でした。
この辺りには干支をモチーフにした扇子が飾られていました。かなり簡略化されて淡い色彩の十二支で、特に猿が気に入りました。
奥村土牛 「富士宮の富士」
富士山の山頂を描いた作品です。白くなった山に霞むような雲?がかかったように見えます。山の表面には水が垂れたような、うねった線がいくつも描かれ、単に綺麗なだけではなく厳しそうな表情を見せていました。
<第2章 土牛のまなざし - 醍醐の桜と四季折々の草花>
続いて第二会場(と言ってもあまり広くない1部屋です)は草花の傑作がならぶコーナーでした。
奥村土牛 「花菖蒲」「罌粟(ケシ)」
どちらも掛け軸で、並んで展示されていました。「花菖蒲」は少し曲がって伸びる葉っぱと、紫と白の花に気品がありました。「罌粟」の方は少し赤黒い花が力強くも可憐でした。
こうした草花の絵は人を描くように愛しんで描かれたそうです。周りには木蓮や柘榴などの小さめの作品もありました。
奥村土牛 「醍醐」 ★こちらで観られます(PDF)
今回のポスターにもなっていた傑作です。醍醐寺の樹齢150年の枝垂桜を描いた作品で、明るい雰囲気の中、真ん中に桜、背景に白い壁が描かれています。手法はよくわかりませんが、大きな桜の花に色を重ねてぼやかしているような感じなのかな。花が薫るような見事な作品でした。
ということで、色々な作風・手法を観ることのできる内容でした。若い頃には苦労をしながらも精進を続け、巨匠となったその生き様も感じられて素晴らしかったです。この先、土牛の作品への見方もまた違ってくるように思いました。
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もう10日くらい前のことですが、ブリヂストン美術館で開催されている、「コレクション展示 印象派はお好きですか?」を観に行ってきました。コレクション展示なので、主にこの美術館の所蔵品が中心となっていました。

【展覧名】
コレクション展示 印象派はお好きですか?
【公式サイト】
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibit/index.php?id=79
【会場】ブリヂストン美術館
【最寄】JR東京駅・銀座線京橋駅・都営浅草線宝町駅
【会期】2010年4月20日~7月25日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日18時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
冒頭にも書いたように、特別展ではなくコレクション展なので、確かに印象派の作品は多いですが、様々な時代を網羅している常設作品が中心となった構成でした。ですので、今回は以前ご紹介したコレクション展示の記事と同様に、常設の中で「最近入れ替わって展示されたと思われる作品」をいくつかご紹介しようと思います。特に解説なども読んでいないので感覚で適当な感想になりますw ★マークをつけた作品は公式サイトで「展示作品」のところから観られます。★マークを押すと公式のTOPにリンクしています(各作品説明に直リンクできないので…))
参考記事:美の饗宴・東西の巨匠たち (ブリヂストン美術館)
グレゴリオ・ラザリーニ 「黄金の子牛の礼拝」
こちらは1700年頃の作品です。聖母子のような子供を抱える女性と、背景にいる黄金の子牛が描かれた作品です。詳しくはわかりませんが、何か宗教的なストーリーを感じる作品でした。
クロード・モネ 「霧のテームズ河」 ★
これはパステルの作品です。薄い青に白っぽいピンクが混じって、月の光でしょうか? かなり簡略化された絵となっていましたが、モネらしさを感じる作品でした。
アルフレッド・シスレー 「レディーズ・コーヴ、ウェールズ」
ちょっと荒めのタッチで描かれた海辺の風景です。筆の跡が残り波の様子がよく表されていました。
エドゥアール・マネ 「メリー・ローラン」 ★
パステルの淡い色彩で描かれた女性の横顔です。下の方は未完成なのかも。品の良さそうな顔をしていて、肌が透き通るような感じでした。
ポール・セザンヌ 「休息をする水浴の男たち」 「水浴群像」
どちらも絵葉書ぐらいの大きさの水彩の作品です。「休息をする水浴の男たち」は水辺で3人の男がそれぞれ休んでいる絵で、セザンヌの水浴の裸婦はよく観ますが男性はあまり観たことがありませんでした。また、「水浴群像」の方は多くの人が水浴していて立つ場所も少ないくらい混みあって描かれていました。どちらもモチーフはあまり好きじゃないかなw しかし、セザンヌにこういう作品があったのを知れたのは良かったです。
ピエール=オーギュスト・ルノワール 「少女」 ★
今回の展覧会のポスターになっている絵です。パステルで描かれ淡い色彩で少女を描いています。青い目をして髪の長い少女で、輪郭は結構しっかりしています。(1887年の作品なので、輪郭が出ていた頃なのかも。) 背景の不思議な色合いもあって、夢見るような雰囲気を持った作品でした。清楚で可愛いです。
参考記事:ルノワール-伝統と革新 (感想前編) (国立新美術館)
印象派っぽいのは最初の2~3部屋くらいで、後は後の時代や日本の洋画、抽象画などとなります。
山下新太郎 「読書」 ★
窓のそばで椅子に腰掛けて本を読む女性(あまり若くない)の姿を描いた作品です。緑色の服に光が当たっていて、背景の緑の庭とよく合う感じです。右の方に描かれた赤い花も対比的で目を引きました。
黒田清輝 「杣」
山林の獣道のような所を、薪を背負って登っている人が描かれています。黒田清輝の印象派の面が出ている作品に思え、所々に点で赤い落ち葉のような色が描かれていました。全体的に淡くて明るい雰囲気がありました。
ピエール・ボナール 「灯下」
ぼやけた感じの薄暗い部屋の中、緑色のランプから光が出ていて、4人の人たちがそれを囲っている様子が描かれています。人々よりもランプが主役となっていて、その光には温かみを感じました。
アンリ・マティス 「横たわる裸婦」
赤というか朱色のソファーに横たわる髪の長い褐色の肌の裸婦の絵です。色自体は落ち着いていますが、緑の床と赤のソファーの色が目を引きます。まだ具象的で写実性があるように思いました。
アンリ・マティス 「樹間の憩い」
林の中の道の脇に椅子を置いて足を伸ばす女性の絵です。帽子を被り膝に本を乗せています。これもマティスにしては色が落ち着いていて、印象派みたいな感じも受けました。
ジョルジュ・ルオー 「裁判所のキリスト」
中央に白っぽい顔のキリストが描かれ、周りには赤ら顔の人々が描かれています。その色のせいか、キリストの顔だけ明るく見えて、すぐに目を引きました。太い輪郭、厚塗りの絵の具などルオーらしい表現・題材の作品でした。
ラウル・デュフィ 「静物」
バナナやさくらんぼ、イチゴなどの静物画です。かなり簡略化されていて、筆跡も早い感じがします。色彩豊かでデュフィらしさを感じました。
デュフィは大好きなので、この近くに飾られている「オーケストラ」は何回みても飽きません。
抽象画・古代美術・彫刻のあたりは以前との変化はわかりませんでした。
岸田劉生 「裸婦」
うずくまって座る後姿の裸婦を描いた絵で、ちょっとゴツゴツした感じというかザラザラした感じを受けました。背中に光が当たっているような表現が面白かったです。
岸田劉生 「南瓜を持てる女」 ★
和服を着てかぼちゃを持ち、乳房を出している女性の像です。背景には青く、上部にはアーチ状の枠が見えます。左手を半開きにして上に向けたポーズや顔から、西洋画の聖人・聖女の絵を彷彿させました。
藤島武二 「糸杉 (ヴィラ・ファルコニエリ)」
この辺は藤田や藤島の良い絵が並んでテンションが上がる空間でした。これは初めて観た作品で、西洋風の庭に、大きな杉?が3本描かれ手前の方型の池に写っています。木と木の間からは遠い岩山のような風景が見え、少し寂しげな雰囲気に思いました。また、他にもローマ遺跡を描いた絵などもありました。
という感じで、何年通ってもまだ観たことがない作品が出てくるのが凄いですw 勿論、この記事でご紹介した作品以外に素晴らしい作品が沢山あります(今日の記事は前回との差分みたいなもんですw) その上、いつも静かに観られるし、ぐるっとパスで提示で入れるのも嬉しい限りです。 この美術館にあまり行ったことがない方にとっては、むしろ常設作品を堪能できるチャンスじゃないかと思います。


【展覧名】
コレクション展示 印象派はお好きですか?
【公式サイト】
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibit/index.php?id=79
【会場】ブリヂストン美術館
【最寄】JR東京駅・銀座線京橋駅・都営浅草線宝町駅
【会期】2010年4月20日~7月25日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日18時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
冒頭にも書いたように、特別展ではなくコレクション展なので、確かに印象派の作品は多いですが、様々な時代を網羅している常設作品が中心となった構成でした。ですので、今回は以前ご紹介したコレクション展示の記事と同様に、常設の中で「最近入れ替わって展示されたと思われる作品」をいくつかご紹介しようと思います。特に解説なども読んでいないので感覚で適当な感想になりますw ★マークをつけた作品は公式サイトで「展示作品」のところから観られます。★マークを押すと公式のTOPにリンクしています(各作品説明に直リンクできないので…))
参考記事:美の饗宴・東西の巨匠たち (ブリヂストン美術館)
グレゴリオ・ラザリーニ 「黄金の子牛の礼拝」
こちらは1700年頃の作品です。聖母子のような子供を抱える女性と、背景にいる黄金の子牛が描かれた作品です。詳しくはわかりませんが、何か宗教的なストーリーを感じる作品でした。
クロード・モネ 「霧のテームズ河」 ★
これはパステルの作品です。薄い青に白っぽいピンクが混じって、月の光でしょうか? かなり簡略化された絵となっていましたが、モネらしさを感じる作品でした。
アルフレッド・シスレー 「レディーズ・コーヴ、ウェールズ」
ちょっと荒めのタッチで描かれた海辺の風景です。筆の跡が残り波の様子がよく表されていました。
エドゥアール・マネ 「メリー・ローラン」 ★
パステルの淡い色彩で描かれた女性の横顔です。下の方は未完成なのかも。品の良さそうな顔をしていて、肌が透き通るような感じでした。
ポール・セザンヌ 「休息をする水浴の男たち」 「水浴群像」
どちらも絵葉書ぐらいの大きさの水彩の作品です。「休息をする水浴の男たち」は水辺で3人の男がそれぞれ休んでいる絵で、セザンヌの水浴の裸婦はよく観ますが男性はあまり観たことがありませんでした。また、「水浴群像」の方は多くの人が水浴していて立つ場所も少ないくらい混みあって描かれていました。どちらもモチーフはあまり好きじゃないかなw しかし、セザンヌにこういう作品があったのを知れたのは良かったです。
ピエール=オーギュスト・ルノワール 「少女」 ★
今回の展覧会のポスターになっている絵です。パステルで描かれ淡い色彩で少女を描いています。青い目をして髪の長い少女で、輪郭は結構しっかりしています。(1887年の作品なので、輪郭が出ていた頃なのかも。) 背景の不思議な色合いもあって、夢見るような雰囲気を持った作品でした。清楚で可愛いです。
参考記事:ルノワール-伝統と革新 (感想前編) (国立新美術館)
印象派っぽいのは最初の2~3部屋くらいで、後は後の時代や日本の洋画、抽象画などとなります。
山下新太郎 「読書」 ★
窓のそばで椅子に腰掛けて本を読む女性(あまり若くない)の姿を描いた作品です。緑色の服に光が当たっていて、背景の緑の庭とよく合う感じです。右の方に描かれた赤い花も対比的で目を引きました。
黒田清輝 「杣」
山林の獣道のような所を、薪を背負って登っている人が描かれています。黒田清輝の印象派の面が出ている作品に思え、所々に点で赤い落ち葉のような色が描かれていました。全体的に淡くて明るい雰囲気がありました。
ピエール・ボナール 「灯下」
ぼやけた感じの薄暗い部屋の中、緑色のランプから光が出ていて、4人の人たちがそれを囲っている様子が描かれています。人々よりもランプが主役となっていて、その光には温かみを感じました。
アンリ・マティス 「横たわる裸婦」
赤というか朱色のソファーに横たわる髪の長い褐色の肌の裸婦の絵です。色自体は落ち着いていますが、緑の床と赤のソファーの色が目を引きます。まだ具象的で写実性があるように思いました。
アンリ・マティス 「樹間の憩い」
林の中の道の脇に椅子を置いて足を伸ばす女性の絵です。帽子を被り膝に本を乗せています。これもマティスにしては色が落ち着いていて、印象派みたいな感じも受けました。
ジョルジュ・ルオー 「裁判所のキリスト」
中央に白っぽい顔のキリストが描かれ、周りには赤ら顔の人々が描かれています。その色のせいか、キリストの顔だけ明るく見えて、すぐに目を引きました。太い輪郭、厚塗りの絵の具などルオーらしい表現・題材の作品でした。
ラウル・デュフィ 「静物」
バナナやさくらんぼ、イチゴなどの静物画です。かなり簡略化されていて、筆跡も早い感じがします。色彩豊かでデュフィらしさを感じました。
デュフィは大好きなので、この近くに飾られている「オーケストラ」は何回みても飽きません。
抽象画・古代美術・彫刻のあたりは以前との変化はわかりませんでした。
岸田劉生 「裸婦」
うずくまって座る後姿の裸婦を描いた絵で、ちょっとゴツゴツした感じというかザラザラした感じを受けました。背中に光が当たっているような表現が面白かったです。
岸田劉生 「南瓜を持てる女」 ★
和服を着てかぼちゃを持ち、乳房を出している女性の像です。背景には青く、上部にはアーチ状の枠が見えます。左手を半開きにして上に向けたポーズや顔から、西洋画の聖人・聖女の絵を彷彿させました。
藤島武二 「糸杉 (ヴィラ・ファルコニエリ)」
この辺は藤田や藤島の良い絵が並んでテンションが上がる空間でした。これは初めて観た作品で、西洋風の庭に、大きな杉?が3本描かれ手前の方型の池に写っています。木と木の間からは遠い岩山のような風景が見え、少し寂しげな雰囲気に思いました。また、他にもローマ遺跡を描いた絵などもありました。
という感じで、何年通ってもまだ観たことがない作品が出てくるのが凄いですw 勿論、この記事でご紹介した作品以外に素晴らしい作品が沢山あります(今日の記事は前回との差分みたいなもんですw) その上、いつも静かに観られるし、ぐるっとパスで提示で入れるのも嬉しい限りです。 この美術館にあまり行ったことがない方にとっては、むしろ常設作品を堪能できるチャンスじゃないかと思います。
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色々とネタを溜め込んでいるのですが、もうすぐ終わりそうな展覧会を優先してご紹介しようかと思います。今日、目黒区美術館へ「エミール・ガレの生きた時代」を観に行ってきました。

【展覧名】
エミール・ガレの生きた時代
【公式サイト】
http://www.mmat.jp/event/Galle/press.htm
【会場】目黒区美術館
【最寄】JR・東京メトロ 目黒駅
【会期】2010年4月17日~5月30日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日13時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
ガレ展もちょくちょく色々な場所でやっている気がしますが、これくらいの規模のは2年前にサントリー美術館で行われた展示以来かも?と思いながら観てきました。ガレは特に好みなので、ガレと名前がついてるとつい観にいってしまいますw
参考記事:群馬ガラス工芸美術館の案内
今日は雨が降っていたせいもあってかあまり混んでいなくて、自分のペースで観ることができました。ちょっとタイミングがズレたので参加しませんでしたが、館員による解説トークも行われていて皆さん熱心に聞き入っているようでした。
さて、この展覧会についてですが3部屋に分かれていて、最初の部屋では初期の作品や、花器・家具などが展示され、後半の2部屋はランプや後期の花器などが展示されていました。1部屋は展示順がよく分からなかったので、章立ては間違って記載してしまうかもしれません。すみません。(念のために作成年を入れておきます。)
<ガレの初期作品>
このコーナーがどこからどこまでなのかよく分からなかったw 順路も特に無いので適当に観てきました。
まず最初にガレの年表や生い立ちが描かれていました。ガレはフランスのナンシーの生まれで、父親のシャルルはガラスと陶器を販売する商店を営んでいました。ロココや新古典主義などの作品があったようで、エミール・ガレにもそうした影響が観られるようです。
また、入口付近にはガレの他に、ガレと同時代のロブマイヤー(ヨーゼフ・ロブマイヤーが設立した恒久ガラスの専門店)のロココ風・イスラム風の作品や、マイセン、セーブル窯の作品などがありました。特に面白かったのが眼鏡をかけたヤギに乗る眼鏡の貴族(マイセン)と、陶器で出来たマリー・アントワネットの胸像(セーブル窯)などでした。壁にそって進むと家具や銀食器、机、タペストリーなども並んでいました。
部屋の中央にあったのが初期の作品なのかな。展示順がわかりづらいw
エミール・ガレ 「トランプ文リキュールセット」 1878年~89年
4つの蓋付きの水差しのようなガラス器と小さなガラスカップのセットです。蓋はトランプの4つのマークの形をしていて、胴部分にはデフォルメされた愉快な人物の絵が描かれていました。この絵はガレと同じナンシー出身のジャック・カロの版画から引用したそうです。ちょっと可愛らしい作品でした。
エミール・ガレ 「アラベスク文花器」 1884~1889年
金色がかったガラスに緻密な文様が描かれた作品です。豪華さを感じる一方で、散らして描かれた文様には軽快な雰囲気も感じました。 この作品以外にもアラベスク文の壷などもあり、イスラムへの興味も垣間見られました。
エミール・ガレ 「陶製置き物 兎」 1880年代
陶器で出来た兎の置物です。全体的にちょっと青っぽい色をしていて、耳がぴんと張った姿をしています。目はガラスで出来ていてしっかり赤色の目をしていました。かわいいと言うよりはちょっと威厳すら感じる目つきだったかもw
隣にはフクロウの置物もありました。こちらは目がくりっとして可愛かったです。
ここから壁沿いに戻って、ぐるっと部屋を周る感じでご紹介しています。
エミール・ガレ 「花文棚」 1900年頃 ★こちらで観られます
これは寄木細工の象嵌が施された棚です。正面には月や草木、蝶、蜻蛉などが施されています。そして左側面にはスズランと百合にト音記号が絡まったようなものが描かれ、この棚は楽譜棚だったようです。モチーフが面白く、技術力だけではないのを感じる作品でした。この作品の他にもティーテーブルやキャビネットなどもありました。
<異国趣味とジャポニスム>
ガレはパリ万博で日本美術工芸にふれる機会があり、それがきっかけで自分でも日本の作品をコレクションするようになりました。そして、刀の鍔や北斎漫画をモチーフにした作品を作っていたようです。しかし、それは当時の他の作家もやっていたことで、それらの作家とガレとの違いは「植物へのこだわり」であると解説されていました。(ガレは若い頃から植物園によく通っていたためだと思われます。) また、日本以外にもエジプトやイスラムなど東方全体への興味関心を持っていたそうです。
エミール・ガレ 「草花文杯」 1879年ごろ
カゲロウや蝶、草花などが描かれた透明な杯です。日本趣味的ですが、まだ単にモチーフを貼り付けただけという感じかも。
エミール・ガレ 「蛙文花器」 1889年頃
葛飾北斎の「北斎漫画」に描かれている蛙が描かれた花器です。片足を曲げてジャンプしそうな雰囲気です。このモチーフを描いた作品は他にも観たことがあるので、よっぽど気に入っていたのかな。近くには北斎漫画のコピーが展示され、花器との比較が出来るようになっていました。
エミール・ガレ 「睡蓮文花器」 1900~1910年頃
薄い緑と濃い茶色の色合いで、花器に睡蓮の葉が浮き上がり、貼り付けられたような感じの作品。この辺りになると単に絵付けしたものではなく、花器全体の形や色などに様々な技法が見られるかと思います。
<アール・ヌーヴォーの生活空間>
ガレは1886年から象嵌で飾った家具を作りだしたそうで、その理由は「自分のガラス器を飾るのに相応しい台が欲しかった」というものでしたw 家具に関しては全くの素人だったにも関わらず、3年後には万博で銀メダルを取ったというのだから驚きです。
また、このコーナーにはルイ・マジョレルの家具もありました。マジョレルは重厚な作品を作っていましたが、ガレの影響でアール・ヌーヴォー風の作品を作るようになったそうです。マジョレルの作品は男性的で、ガレの作品は女性的と解説されていましたが、なるほどと納得できました。
ルイ・マジョレル 「タンポポ文食堂セット 食器棚(大)」 1900年~1905年頃
上段の中央に大きなたんぽぽの彫刻?があり、周りにはパターン化された模様の寄木の象嵌が施されています。また、下には葉っぱの絵が施されていました。この食器棚は大きくてどっしりとしつつも、どこか軽やかな雰囲気を感じました。展示方法も面白く、食器棚の上にロダンの彫刻を置いたり、前にテーブルと椅子の作品や、似たモチーフの小さな食器棚も同じ場所にありました。
ルイ・マジョレル 「海草文食堂セット 食器棚(大)」 1914年
こちらもどっしりとした食器棚で海草の文様?が彫られていました。観た感じ、左右対称に近くてアール・ヌーヴォーの雰囲気は薄くなっているようにも思いました。
エミール・ガレ 「菊花文花器」 1900年頃
深緑のガラスに薄いピンクの菊が描かれた花器です。大きめの花器ですがすらっとした形で優雅さを感じます。これも展示方法が面白くて、孔雀の羽みたいなもの??を入れて展示していました。
続いてここからは2部屋目の作品です。ランプなどが置かれていました。
エミール・ガレ 「セリ文ランプ」 1902年~1904年頃 ★こちらで観られます
柔らかい色調で透明・ピンク・オレンジを重ねた3層被ガラスにエッチングで「セリ」という植物を描いたランプです。キノコのような形で、いかにもアール・ヌーヴォーという自然をモチーフにした柔らかい曲線ある優美な作品でした。
エミール・ガレ 「風景文ランプ」
傘の部分に恐らく鷹(鷲?)が描かれ、胴の部分には山や木々が描かれたランプです。赤や黄色、青などが使われていて色合いも苦労してそうです。どこか日本的なものを感じる作品でした。
<華開くアール・ヌーヴォー>
ここから最後の部屋の作品です。最後の部屋は特に好みの作品が多かったです。いくつか技法の説明があり、象嵌細工をガラス器に応用した技法などが紹介されていました。また、ここにはガレと人気を分けたドーム兄弟やティファニーの作品もありました。
エミール・ガレ 「プリムラ文花器」 1889年~1900年頃
この作品は、解説によると酸化金属を混ぜて縞模様を発色させる技法によって、青・緑・黒の浮かんだ半透明の素地にピンクを重ねているそうです。ピンク色の部分が花となっていて、色とモチーフがよく合っているように思いました。
この辺はグラビュール(彫刻)で浮き彫りにされた作品が多かったです。また、この頃のガラスは不透明で日本の陶器のような落ち着いた雰囲気を持っていると解説されていました。
エミール・ガレ 「花器 アルプスのアザミ」 1900年頃 ★こちらで観られます
緑色の花器で、ダイナミックにアザミが彫り込まれていました。色も良くかなり好みの作品となりました。この作品の近くにはこの作品の原案の絵も展示されていて対比しながら観ることが出来ました。
エミール・ガレ 「花器 ソーダ」 1903年
花器からソーダ水が流れ出したようなデザインの作品で、連作の1つのようです。マーブル模様の本体に、白い気泡が入ったようなソーダ水の部分がくっついているようです。中々豪快で表現の面白さを感じる作品でした。
L.C.ティファニー 「花文花器」「花器」「葉文三つ耳花器」 1900年~1910年頃
ティファニーの花器で、金属のような光沢が美しい作品が3~4つ並んでいました。どうやってこんな色を出したのだろう?と不思議でした。
レッツ工房 「木の葉花器」「虹彩花器」
こちらは縞模様と不思議な輝きを見せる花器です。どうやらラスター彩のようなものらしく非常に神秘的な雰囲気がありました。
ドーム兄弟 「冬景色文ランプ」 1900年~1910年頃
オレンジっぽい黄色地に黒い枯れ木が描かれたランプです。木は細くて繊細で、風景に叙情的な風情がありました。
ドーム兄弟 「梨花文ランプ」 1910年~1912年頃
薄いピンク色のグラデーションを背景に、梨の枝とそこに咲く花が描かれています。優美で落ち着いた感じの作品でした。
ドーム兄弟 「雪景色文花器」 1900年頃
雪の積もった木と、凍った池で遊ぶアヒルが描かれた作品です。解説によると、絵画的な効果の上手さではドームのエナメル作品の中でも屈指の作品らしく、冬の風景への愛着を感じました。雪景色・冬景色はドーム兄弟のお得意のジャンルですね。
ドーム兄弟 「雪景文花器」 1900年~1910年頃
3層の被ガラスで出来た花器で、白く雪の積もった木にとまるカラスが描かれています。その絵の下の層に雪のような斑模様の層が透けているのが景色にあっていて素晴らしかったです。
この部屋の前の休憩スペースでは、ガラス器の作成技法を紹介した映像が流れていました。これを観て、こうやって作るのか!と発見もありました。
ということで、年代が交錯したり他の作家の作品が混ざったりしていて、文脈がよくわからない順序となっていましたが、展示されていた品自体は楽しむことができました。ガレを始めとするアール・ヌーヴォーの作品は日本人には特に感性に合うかと思います。 もうすぐ終わってしまいますが、これで800円(ぐるっとパスならパス提示でOK)はお得な内容だと思います。

【展覧名】
エミール・ガレの生きた時代
【公式サイト】
http://www.mmat.jp/event/Galle/press.htm
【会場】目黒区美術館
【最寄】JR・東京メトロ 目黒駅
【会期】2010年4月17日~5月30日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日13時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
ガレ展もちょくちょく色々な場所でやっている気がしますが、これくらいの規模のは2年前にサントリー美術館で行われた展示以来かも?と思いながら観てきました。ガレは特に好みなので、ガレと名前がついてるとつい観にいってしまいますw
参考記事:群馬ガラス工芸美術館の案内
今日は雨が降っていたせいもあってかあまり混んでいなくて、自分のペースで観ることができました。ちょっとタイミングがズレたので参加しませんでしたが、館員による解説トークも行われていて皆さん熱心に聞き入っているようでした。
さて、この展覧会についてですが3部屋に分かれていて、最初の部屋では初期の作品や、花器・家具などが展示され、後半の2部屋はランプや後期の花器などが展示されていました。1部屋は展示順がよく分からなかったので、章立ては間違って記載してしまうかもしれません。すみません。(念のために作成年を入れておきます。)
<ガレの初期作品>
このコーナーがどこからどこまでなのかよく分からなかったw 順路も特に無いので適当に観てきました。
まず最初にガレの年表や生い立ちが描かれていました。ガレはフランスのナンシーの生まれで、父親のシャルルはガラスと陶器を販売する商店を営んでいました。ロココや新古典主義などの作品があったようで、エミール・ガレにもそうした影響が観られるようです。
また、入口付近にはガレの他に、ガレと同時代のロブマイヤー(ヨーゼフ・ロブマイヤーが設立した恒久ガラスの専門店)のロココ風・イスラム風の作品や、マイセン、セーブル窯の作品などがありました。特に面白かったのが眼鏡をかけたヤギに乗る眼鏡の貴族(マイセン)と、陶器で出来たマリー・アントワネットの胸像(セーブル窯)などでした。壁にそって進むと家具や銀食器、机、タペストリーなども並んでいました。
部屋の中央にあったのが初期の作品なのかな。展示順がわかりづらいw
エミール・ガレ 「トランプ文リキュールセット」 1878年~89年
4つの蓋付きの水差しのようなガラス器と小さなガラスカップのセットです。蓋はトランプの4つのマークの形をしていて、胴部分にはデフォルメされた愉快な人物の絵が描かれていました。この絵はガレと同じナンシー出身のジャック・カロの版画から引用したそうです。ちょっと可愛らしい作品でした。
エミール・ガレ 「アラベスク文花器」 1884~1889年
金色がかったガラスに緻密な文様が描かれた作品です。豪華さを感じる一方で、散らして描かれた文様には軽快な雰囲気も感じました。 この作品以外にもアラベスク文の壷などもあり、イスラムへの興味も垣間見られました。
エミール・ガレ 「陶製置き物 兎」 1880年代
陶器で出来た兎の置物です。全体的にちょっと青っぽい色をしていて、耳がぴんと張った姿をしています。目はガラスで出来ていてしっかり赤色の目をしていました。かわいいと言うよりはちょっと威厳すら感じる目つきだったかもw
隣にはフクロウの置物もありました。こちらは目がくりっとして可愛かったです。
ここから壁沿いに戻って、ぐるっと部屋を周る感じでご紹介しています。
エミール・ガレ 「花文棚」 1900年頃 ★こちらで観られます
これは寄木細工の象嵌が施された棚です。正面には月や草木、蝶、蜻蛉などが施されています。そして左側面にはスズランと百合にト音記号が絡まったようなものが描かれ、この棚は楽譜棚だったようです。モチーフが面白く、技術力だけではないのを感じる作品でした。この作品の他にもティーテーブルやキャビネットなどもありました。
<異国趣味とジャポニスム>
ガレはパリ万博で日本美術工芸にふれる機会があり、それがきっかけで自分でも日本の作品をコレクションするようになりました。そして、刀の鍔や北斎漫画をモチーフにした作品を作っていたようです。しかし、それは当時の他の作家もやっていたことで、それらの作家とガレとの違いは「植物へのこだわり」であると解説されていました。(ガレは若い頃から植物園によく通っていたためだと思われます。) また、日本以外にもエジプトやイスラムなど東方全体への興味関心を持っていたそうです。
エミール・ガレ 「草花文杯」 1879年ごろ
カゲロウや蝶、草花などが描かれた透明な杯です。日本趣味的ですが、まだ単にモチーフを貼り付けただけという感じかも。
エミール・ガレ 「蛙文花器」 1889年頃
葛飾北斎の「北斎漫画」に描かれている蛙が描かれた花器です。片足を曲げてジャンプしそうな雰囲気です。このモチーフを描いた作品は他にも観たことがあるので、よっぽど気に入っていたのかな。近くには北斎漫画のコピーが展示され、花器との比較が出来るようになっていました。
エミール・ガレ 「睡蓮文花器」 1900~1910年頃
薄い緑と濃い茶色の色合いで、花器に睡蓮の葉が浮き上がり、貼り付けられたような感じの作品。この辺りになると単に絵付けしたものではなく、花器全体の形や色などに様々な技法が見られるかと思います。
<アール・ヌーヴォーの生活空間>
ガレは1886年から象嵌で飾った家具を作りだしたそうで、その理由は「自分のガラス器を飾るのに相応しい台が欲しかった」というものでしたw 家具に関しては全くの素人だったにも関わらず、3年後には万博で銀メダルを取ったというのだから驚きです。
また、このコーナーにはルイ・マジョレルの家具もありました。マジョレルは重厚な作品を作っていましたが、ガレの影響でアール・ヌーヴォー風の作品を作るようになったそうです。マジョレルの作品は男性的で、ガレの作品は女性的と解説されていましたが、なるほどと納得できました。
ルイ・マジョレル 「タンポポ文食堂セット 食器棚(大)」 1900年~1905年頃
上段の中央に大きなたんぽぽの彫刻?があり、周りにはパターン化された模様の寄木の象嵌が施されています。また、下には葉っぱの絵が施されていました。この食器棚は大きくてどっしりとしつつも、どこか軽やかな雰囲気を感じました。展示方法も面白く、食器棚の上にロダンの彫刻を置いたり、前にテーブルと椅子の作品や、似たモチーフの小さな食器棚も同じ場所にありました。
ルイ・マジョレル 「海草文食堂セット 食器棚(大)」 1914年
こちらもどっしりとした食器棚で海草の文様?が彫られていました。観た感じ、左右対称に近くてアール・ヌーヴォーの雰囲気は薄くなっているようにも思いました。
エミール・ガレ 「菊花文花器」 1900年頃
深緑のガラスに薄いピンクの菊が描かれた花器です。大きめの花器ですがすらっとした形で優雅さを感じます。これも展示方法が面白くて、孔雀の羽みたいなもの??を入れて展示していました。
続いてここからは2部屋目の作品です。ランプなどが置かれていました。
エミール・ガレ 「セリ文ランプ」 1902年~1904年頃 ★こちらで観られます
柔らかい色調で透明・ピンク・オレンジを重ねた3層被ガラスにエッチングで「セリ」という植物を描いたランプです。キノコのような形で、いかにもアール・ヌーヴォーという自然をモチーフにした柔らかい曲線ある優美な作品でした。
エミール・ガレ 「風景文ランプ」
傘の部分に恐らく鷹(鷲?)が描かれ、胴の部分には山や木々が描かれたランプです。赤や黄色、青などが使われていて色合いも苦労してそうです。どこか日本的なものを感じる作品でした。
<華開くアール・ヌーヴォー>
ここから最後の部屋の作品です。最後の部屋は特に好みの作品が多かったです。いくつか技法の説明があり、象嵌細工をガラス器に応用した技法などが紹介されていました。また、ここにはガレと人気を分けたドーム兄弟やティファニーの作品もありました。
エミール・ガレ 「プリムラ文花器」 1889年~1900年頃
この作品は、解説によると酸化金属を混ぜて縞模様を発色させる技法によって、青・緑・黒の浮かんだ半透明の素地にピンクを重ねているそうです。ピンク色の部分が花となっていて、色とモチーフがよく合っているように思いました。
この辺はグラビュール(彫刻)で浮き彫りにされた作品が多かったです。また、この頃のガラスは不透明で日本の陶器のような落ち着いた雰囲気を持っていると解説されていました。
エミール・ガレ 「花器 アルプスのアザミ」 1900年頃 ★こちらで観られます
緑色の花器で、ダイナミックにアザミが彫り込まれていました。色も良くかなり好みの作品となりました。この作品の近くにはこの作品の原案の絵も展示されていて対比しながら観ることが出来ました。
エミール・ガレ 「花器 ソーダ」 1903年
花器からソーダ水が流れ出したようなデザインの作品で、連作の1つのようです。マーブル模様の本体に、白い気泡が入ったようなソーダ水の部分がくっついているようです。中々豪快で表現の面白さを感じる作品でした。
L.C.ティファニー 「花文花器」「花器」「葉文三つ耳花器」 1900年~1910年頃
ティファニーの花器で、金属のような光沢が美しい作品が3~4つ並んでいました。どうやってこんな色を出したのだろう?と不思議でした。
レッツ工房 「木の葉花器」「虹彩花器」
こちらは縞模様と不思議な輝きを見せる花器です。どうやらラスター彩のようなものらしく非常に神秘的な雰囲気がありました。
ドーム兄弟 「冬景色文ランプ」 1900年~1910年頃
オレンジっぽい黄色地に黒い枯れ木が描かれたランプです。木は細くて繊細で、風景に叙情的な風情がありました。
ドーム兄弟 「梨花文ランプ」 1910年~1912年頃
薄いピンク色のグラデーションを背景に、梨の枝とそこに咲く花が描かれています。優美で落ち着いた感じの作品でした。
ドーム兄弟 「雪景色文花器」 1900年頃
雪の積もった木と、凍った池で遊ぶアヒルが描かれた作品です。解説によると、絵画的な効果の上手さではドームのエナメル作品の中でも屈指の作品らしく、冬の風景への愛着を感じました。雪景色・冬景色はドーム兄弟のお得意のジャンルですね。
ドーム兄弟 「雪景文花器」 1900年~1910年頃
3層の被ガラスで出来た花器で、白く雪の積もった木にとまるカラスが描かれています。その絵の下の層に雪のような斑模様の層が透けているのが景色にあっていて素晴らしかったです。
この部屋の前の休憩スペースでは、ガラス器の作成技法を紹介した映像が流れていました。これを観て、こうやって作るのか!と発見もありました。
ということで、年代が交錯したり他の作家の作品が混ざったりしていて、文脈がよくわからない順序となっていましたが、展示されていた品自体は楽しむことができました。ガレを始めとするアール・ヌーヴォーの作品は日本人には特に感性に合うかと思います。 もうすぐ終わってしまいますが、これで800円(ぐるっとパスならパス提示でOK)はお得な内容だと思います。
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先日から東京国立近代美術館の特別展や工芸館などをご紹介してきましたが、今日は最終回で常設展のご紹介をしようと思います。
ここは事前に受付で写真撮影の許可を貰ってルールを守れば撮影可能です。(中には撮影してはいけない作品もあります。)
詳しくはこちら
※掲載に問題がある場合はお知らせください。即刻掲載を下ろします。
参考記事:
東京国立近代美術館の案内 (2010年04月)
東京国立近代美術館の案内 (2010年02月)
東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)
ここの常設展も結構な勢いで入れ替わり、4月に行ったときとまた変わっていました。これだけの質でこのボリュームというのが流石は国立の美術館といった感じです。今回は最近展示されたと思われる作品を中心にご紹介しようかと思います。
まずは4F
土田麦僊 「湯女」
藤の花と湯女が何とも優美で目を引きました。色鮮やかなのも好みでした。

左:鏑木清方 「晩涼」
右:小林古径 「極楽井」
清方の作品は2点あって、1点は撮影禁止でした。そっちの作品の方が気に入ったけど、この作品も素晴らしいです。画面の外を観る女性は何を観ているのか気になります。
古径の作品も華やかかつ清楚な感じで、この色使いがたまりません(><)

ワシリー・カンディンスキー 「全体」
打って変わってカンディンスキー。カンディンスキーの絵はシンプルなのはよく観ますが、これくらい賑やかなのは中々観たことがないです^^; 何を描いたかわからなくても楽しい気分になってきました。

浅原清隆 「郷愁」
シュルレアリスムかな。郷愁というか夢の中の世界のようで、神秘的なものを感じました。

清水登之 「チャイナタウン」
これは中々インパクトがありました。ぎっしりと人や物で溢れかえった町並みで単純化されていてもその賑わいを感じます。中々面白いです。

児島善三郎 「鏡を持つ女」
今回特に気に入った作品の1つです。立ちながら手鏡を観る裸婦が、ちょっと身をくねらせて斜めに立っているのが特徴かな。背景のカーテンも目を引かれました。

今回の特集コーナーは南薫造のコーナーでした。(以前ご紹介した、手紙を書く少女を描いた人です。)

左:南薫造 「夕に祈る」
右:南薫造 「六月の日」
右の絵は賞を貰い、この画家が不動の地位を築いた代表作らしいですが、一方で夏目漱石は徳利で水を飲んでるのが法螺貝を吹いているように見えると酷評したそうです。

続いて3Fへ
左:太田聴雨 「星をみる女性」
右:近藤浩一路 「水田」
左は今回1番気に入った作品です。昔の人も望遠鏡で空を見てたのかな? 優雅な感じです。右の絵も叙情的な雰囲気を持っていて好みです。

小茂田青樹 「虫魚画巻」
この巻物はこの右側に蜘蛛の巣を描いた絵が続いているのですが、そちらはちょっと毒があって、この爽やかな金魚との対比が面白かったです。

この後は現代のアート作品もありますが、最近の作品は特に掲載可否が気になるのでご紹介は避けます。
常設のテーマ展示は「いみありげなしみ」でした。

こちらも現代の作品が多かったので写真は載せませんが、その名の通りシミなのかアートなのか一見わからないけれど、よく観ると意図を感じるという作品がいくつかありました。 閉館が迫ったので10分で観てしまったw
ということで、ここは常設の揃いも半端じゃありません。特に日本の画家・作家のそろえが充実していますので、東京国立近代美術館に行ったら常設も見逃さないことをお勧めします。
ここは事前に受付で写真撮影の許可を貰ってルールを守れば撮影可能です。(中には撮影してはいけない作品もあります。)
詳しくはこちら
※掲載に問題がある場合はお知らせください。即刻掲載を下ろします。
参考記事:
東京国立近代美術館の案内 (2010年04月)
東京国立近代美術館の案内 (2010年02月)
東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)
ここの常設展も結構な勢いで入れ替わり、4月に行ったときとまた変わっていました。これだけの質でこのボリュームというのが流石は国立の美術館といった感じです。今回は最近展示されたと思われる作品を中心にご紹介しようかと思います。
まずは4F
土田麦僊 「湯女」
藤の花と湯女が何とも優美で目を引きました。色鮮やかなのも好みでした。

左:鏑木清方 「晩涼」
右:小林古径 「極楽井」
清方の作品は2点あって、1点は撮影禁止でした。そっちの作品の方が気に入ったけど、この作品も素晴らしいです。画面の外を観る女性は何を観ているのか気になります。
古径の作品も華やかかつ清楚な感じで、この色使いがたまりません(><)


ワシリー・カンディンスキー 「全体」
打って変わってカンディンスキー。カンディンスキーの絵はシンプルなのはよく観ますが、これくらい賑やかなのは中々観たことがないです^^; 何を描いたかわからなくても楽しい気分になってきました。

浅原清隆 「郷愁」
シュルレアリスムかな。郷愁というか夢の中の世界のようで、神秘的なものを感じました。

清水登之 「チャイナタウン」
これは中々インパクトがありました。ぎっしりと人や物で溢れかえった町並みで単純化されていてもその賑わいを感じます。中々面白いです。

児島善三郎 「鏡を持つ女」
今回特に気に入った作品の1つです。立ちながら手鏡を観る裸婦が、ちょっと身をくねらせて斜めに立っているのが特徴かな。背景のカーテンも目を引かれました。

今回の特集コーナーは南薫造のコーナーでした。(以前ご紹介した、手紙を書く少女を描いた人です。)

左:南薫造 「夕に祈る」
右:南薫造 「六月の日」
右の絵は賞を貰い、この画家が不動の地位を築いた代表作らしいですが、一方で夏目漱石は徳利で水を飲んでるのが法螺貝を吹いているように見えると酷評したそうです。


続いて3Fへ
左:太田聴雨 「星をみる女性」
右:近藤浩一路 「水田」
左は今回1番気に入った作品です。昔の人も望遠鏡で空を見てたのかな? 優雅な感じです。右の絵も叙情的な雰囲気を持っていて好みです。


小茂田青樹 「虫魚画巻」
この巻物はこの右側に蜘蛛の巣を描いた絵が続いているのですが、そちらはちょっと毒があって、この爽やかな金魚との対比が面白かったです。

この後は現代のアート作品もありますが、最近の作品は特に掲載可否が気になるのでご紹介は避けます。
常設のテーマ展示は「いみありげなしみ」でした。

こちらも現代の作品が多かったので写真は載せませんが、その名の通りシミなのかアートなのか一見わからないけれど、よく観ると意図を感じるという作品がいくつかありました。 閉館が迫ったので10分で観てしまったw
ということで、ここは常設の揃いも半端じゃありません。特に日本の画家・作家のそろえが充実していますので、東京国立近代美術館に行ったら常設も見逃さないことをお勧めします。
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記事が前後しますが、前回ご紹介した「所蔵作品展 アール・デコ時代の工芸とデザイン」を東京国立近代美術館の工芸館へ観にいく前に、天気が良かったのですぐ近くの皇居東御苑で散歩してきました。とは言え、あまり奥まで進まず美術館から近いの北桔橋門の辺りだけ楽しんできました。
皇居東御苑 公式サイト:http://www.kunaicho.go.jp/event/higashigyoen/higashigyoen.html
これが北桔橋門の入口付近です。東京国立近代美術館の本館から工芸館に向かって坂を登る途中、道の向かい(歩道橋の辺り)に入口があります。

皇居東御苑の地図。この地図では北桔橋門というのは右上の辺りです。かなり広くて大手町の方まで広がっています。中には三の丸尚蔵館もあるので、美術館めぐりをすることもできます。
三の丸尚蔵館 公式サイト:http://www.kunaicho.go.jp/event/sannomaru/sannomaru.html

北桔橋門から歩いてすぐの辺りに江戸城の天守跡があります。

目の前には広場があります。ここは本丸だったところかな。

これは天守の頂上の辺りの写真。見晴らしは下とそんなに変わらないですが、ここに入れるのは嬉しいです。

天守の横にある坂道を下って、軽くぐるっと周ることにしました。
左:平川門方向に向かったときに観たあやめ
右;宮崎県の木、フェニックス。皇居東御苑には「都道府県の木」という各県の「県の木」が集まった地区があります。全都道府県の木があるかはわかりませんが、関東地方はあったかな。

公式サイトの地図によると「諏訪の茶屋」という建物のようです。風情があったので撮ってみました。

これも地図でみたところ「白鳥濠」という所かな。この写真を撮った地点は急坂になっていて、坂を上ると先ほどの天守跡に戻れます。

ということで30分くらいでしたが中々良い散歩となりました。東京国立近代美術館の本館と工芸館を行き来する途中、寄り道してみると楽しいと思います。今が一年で最高の散歩日和の時期ですし。
この後、東京国立近代美術館 工芸館に向かい、さらにその後は本館に戻って常設を観てきました。 次回は常設展についてご紹介しようと思います。
皇居東御苑 公式サイト:http://www.kunaicho.go.jp/event/higashigyoen/higashigyoen.html
これが北桔橋門の入口付近です。東京国立近代美術館の本館から工芸館に向かって坂を登る途中、道の向かい(歩道橋の辺り)に入口があります。


皇居東御苑の地図。この地図では北桔橋門というのは右上の辺りです。かなり広くて大手町の方まで広がっています。中には三の丸尚蔵館もあるので、美術館めぐりをすることもできます。
三の丸尚蔵館 公式サイト:http://www.kunaicho.go.jp/event/sannomaru/sannomaru.html

北桔橋門から歩いてすぐの辺りに江戸城の天守跡があります。

目の前には広場があります。ここは本丸だったところかな。

これは天守の頂上の辺りの写真。見晴らしは下とそんなに変わらないですが、ここに入れるのは嬉しいです。

天守の横にある坂道を下って、軽くぐるっと周ることにしました。
左:平川門方向に向かったときに観たあやめ
右;宮崎県の木、フェニックス。皇居東御苑には「都道府県の木」という各県の「県の木」が集まった地区があります。全都道府県の木があるかはわかりませんが、関東地方はあったかな。


公式サイトの地図によると「諏訪の茶屋」という建物のようです。風情があったので撮ってみました。

これも地図でみたところ「白鳥濠」という所かな。この写真を撮った地点は急坂になっていて、坂を上ると先ほどの天守跡に戻れます。

ということで30分くらいでしたが中々良い散歩となりました。東京国立近代美術館の本館と工芸館を行き来する途中、寄り道してみると楽しいと思います。今が一年で最高の散歩日和の時期ですし。
この後、東京国立近代美術館 工芸館に向かい、さらにその後は本館に戻って常設を観てきました。 次回は常設展についてご紹介しようと思います。
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東京国立近代美術館で「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」を観て、 クイーン・アリス アクアでお昼を食べた後に、工芸館に移動して「アール・デコ時代の工芸とデザイン」を観てきました。こちらも事前に許可を貰ってルールを守れば写真を撮ることができましたので、いくつかご紹介しようと思います。

【展覧名】
所蔵作品展 アール・デコ時代の工芸とデザイン
【公式サイト】
http://www.momat.go.jp/CG/art_deco2010/index.html
【会場】東京国立近代美術館 工芸館
【最寄】東京メトロ東西線 竹橋駅
【会期】2010年4月27日(火)~6月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日15時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
今回の展示は題名の通りアールデコの作品が並んだ展覧会となっていました。ここは毎年これと似た企画をやっている気もしますが、好みの作品が観られて楽しめました。
なお、写真に関しては三脚禁止・フラッシュ禁止・動画禁止・他のお客さんの鑑賞の妨げにならないように等のルールがあります。
<第1章 アールデコの精華>
まずはアールデコとは何か?というコーナーでした。詳しい方には今更ですが、アールデコは1920年代に流行した様式のことで、幾何学な模様を多用しているのが特徴です。 ここではアールデコの時代の様々な品が並んでいました。
左から
スューとマール(スュー、 ルイ / マール、アンドレ) 「『ガリア』セット 酒注、鋺と受皿」
ジャン・デプレ 「台付蓋物」
ポール・コラン 「タバラン (キャバレー)」

この銀器のフォルムがシンプルなようでなんとも優雅で好みでした。
この近くにはルネ・ラリックの花瓶やカーマスコットも展示されています。カーマスコットは良い写真も撮れたのですが、この展覧の目玉の1つなのであえて出し惜しみしておきますw
左から
A・M・カッサンドル 「北極星号」
A・M・カッサンドル 「ノルマンディー号」
A・M・カッサンドル 「ノール・エクスプレス(観光)」

この3枚はどれも大好きなポスターです。今回の展覧ではカッサンドルのポスターが5枚ほどありましたが、この3枚、特に北極星号は何度観てもシビれます。
左から
二代宮川香山 「窯変洋紅釉花瓶」
広川松五郎 「風呂先二曲屏風」
宮本憲吉 「白磁八角蓋付壷」
広川松五郎 「掛軸 兎」
河井寛次郎 「花鳥図壺」

ここはいつもの茶室。アールデコとの関連はよく分からなかったですが、この部屋の照明などはそれっぽい雰囲気です。
<第2章 アール・デコ博覧会と1920年代の日本の工芸>
このコーナーはアール・デコ博覧会と当時の日本のコーナーでした。工芸品や時計などもあったのですが、目に付いたのはポスターでした。(ポスターが好きなのでw)
左から
シャルル・ルポー 「現代装飾美術・工業美術国際博覧会」
アンドレ・ジラール 「現代装飾美術・工業美術国際博覧会」
エミール=アントワーヌ・ブールデル 「現代装飾美術・工業美術国際博覧会」

このブールデルの作品はつい最近、東京都庭園美術館の「アールデコの館」でも観た覚えがあります。この博覧会が現代に蘇ったら何十回でも行くなあw
参考記事:アールデコの館 (旧朝香宮邸編)(東京都庭園美術館)
<第3章 モダン東京と杉浦非水>
続いて、3章は杉浦非水のコーナーとなっていました。ポスターや図案が並んでいる興味深いコーナーでした。
杉浦非水 「非水創作図案集」

ずら~っとならんだ図案集です。この写真ではわかりづらいですが、簡略化された猫や、餅つきをする兎なども絵もあり、可愛いです。アールデコっぽさもよく出ているように思います。
左から
杉浦非水 「帝都復興と東京地下鉄道」
杉浦非水 「東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通」
杉浦非水 「銀座三越 四月十日開店」
杉浦非水 「東京三越呉服店 本店西館修築落成・新宿分店新築落成」

杉浦非水は三越が呉服店から百貨店へと変貌していった頃(1908年)に三越に入社し、広告でそれを発信していきました。 彼のポスター(特に東洋唯一の地下鉄道)は今でも愛され続けているようで、何度となく展覧会で見かけます。当時のモダンな雰囲気と独特のポップな感じが出ていて素晴らしいポスターでした。
<第4章 生活と工芸-民藝運動と実在工芸美術会>
先ほどからポスターばかりご紹介していますが、工芸品も多々あります。
浜田庄司 「刷毛目珈琲碗セット」

縞模様のような模様がついたコーピーカップです。プリミティブなものを感じる一方で優雅な雰囲気も感じて面白い作品でした。
このほかにも花籠など気に入った作品がありました。
<第5章 アール・デコ/モダンデザイン>
最後はアールデコの家具などのコーナーでした。
ポール・コラン 「アンドレ・ルノー (ピアニスト)」
モーリス・デュフレーヌ 「シルクのかがやき (オペレッタ)」
マルセル・ブロイヤー 「肘掛け椅子」

ちょっと暗くて分かりづらいですが、手前の机の引出?の部分が階段状になっているデザインが非常に優美です。
この他にも電気スタンドやカッサンドルのポスターなど、好みの作品に囲まれてきました。
この後、人間国宝・巨匠のコーナーもありました。高橋節郎の「日岡月岡」や藤田喬平の作品など、これは!という作品もありました。
参考記事:「近代工芸の名品 花」 (東京国立近代美術館工芸館)
ということで、30分くらいで観てきましたがこんな品々に囲まれた生活をしてみたいと思いながら観てきました。特にカッサンドルのポスターは何度観ても良いなあ。
美術館の建築はどこにあるの?とセットでも1000円しないので、東近美に行ったら工芸館も一緒に周るのをお勧めします。
おまけ:以前も似たような写真を載せましたが、館内の休憩室の写真です。

おまけ2:外観。ここは建物自体も魅力的です。


【展覧名】
所蔵作品展 アール・デコ時代の工芸とデザイン
【公式サイト】
http://www.momat.go.jp/CG/art_deco2010/index.html
【会場】東京国立近代美術館 工芸館
【最寄】東京メトロ東西線 竹橋駅
【会期】2010年4月27日(火)~6月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日15時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
今回の展示は題名の通りアールデコの作品が並んだ展覧会となっていました。ここは毎年これと似た企画をやっている気もしますが、好みの作品が観られて楽しめました。
なお、写真に関しては三脚禁止・フラッシュ禁止・動画禁止・他のお客さんの鑑賞の妨げにならないように等のルールがあります。
<第1章 アールデコの精華>
まずはアールデコとは何か?というコーナーでした。詳しい方には今更ですが、アールデコは1920年代に流行した様式のことで、幾何学な模様を多用しているのが特徴です。 ここではアールデコの時代の様々な品が並んでいました。
左から
スューとマール(スュー、 ルイ / マール、アンドレ) 「『ガリア』セット 酒注、鋺と受皿」
ジャン・デプレ 「台付蓋物」
ポール・コラン 「タバラン (キャバレー)」

この銀器のフォルムがシンプルなようでなんとも優雅で好みでした。
この近くにはルネ・ラリックの花瓶やカーマスコットも展示されています。カーマスコットは良い写真も撮れたのですが、この展覧の目玉の1つなのであえて出し惜しみしておきますw
左から
A・M・カッサンドル 「北極星号」
A・M・カッサンドル 「ノルマンディー号」
A・M・カッサンドル 「ノール・エクスプレス(観光)」

この3枚はどれも大好きなポスターです。今回の展覧ではカッサンドルのポスターが5枚ほどありましたが、この3枚、特に北極星号は何度観てもシビれます。
左から
二代宮川香山 「窯変洋紅釉花瓶」
広川松五郎 「風呂先二曲屏風」
宮本憲吉 「白磁八角蓋付壷」
広川松五郎 「掛軸 兎」
河井寛次郎 「花鳥図壺」

ここはいつもの茶室。アールデコとの関連はよく分からなかったですが、この部屋の照明などはそれっぽい雰囲気です。
<第2章 アール・デコ博覧会と1920年代の日本の工芸>
このコーナーはアール・デコ博覧会と当時の日本のコーナーでした。工芸品や時計などもあったのですが、目に付いたのはポスターでした。(ポスターが好きなのでw)
左から
シャルル・ルポー 「現代装飾美術・工業美術国際博覧会」
アンドレ・ジラール 「現代装飾美術・工業美術国際博覧会」
エミール=アントワーヌ・ブールデル 「現代装飾美術・工業美術国際博覧会」

このブールデルの作品はつい最近、東京都庭園美術館の「アールデコの館」でも観た覚えがあります。この博覧会が現代に蘇ったら何十回でも行くなあw
参考記事:アールデコの館 (旧朝香宮邸編)(東京都庭園美術館)
<第3章 モダン東京と杉浦非水>
続いて、3章は杉浦非水のコーナーとなっていました。ポスターや図案が並んでいる興味深いコーナーでした。
杉浦非水 「非水創作図案集」

ずら~っとならんだ図案集です。この写真ではわかりづらいですが、簡略化された猫や、餅つきをする兎なども絵もあり、可愛いです。アールデコっぽさもよく出ているように思います。
左から
杉浦非水 「帝都復興と東京地下鉄道」
杉浦非水 「東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通」
杉浦非水 「銀座三越 四月十日開店」
杉浦非水 「東京三越呉服店 本店西館修築落成・新宿分店新築落成」

杉浦非水は三越が呉服店から百貨店へと変貌していった頃(1908年)に三越に入社し、広告でそれを発信していきました。 彼のポスター(特に東洋唯一の地下鉄道)は今でも愛され続けているようで、何度となく展覧会で見かけます。当時のモダンな雰囲気と独特のポップな感じが出ていて素晴らしいポスターでした。
<第4章 生活と工芸-民藝運動と実在工芸美術会>
先ほどからポスターばかりご紹介していますが、工芸品も多々あります。
浜田庄司 「刷毛目珈琲碗セット」

縞模様のような模様がついたコーピーカップです。プリミティブなものを感じる一方で優雅な雰囲気も感じて面白い作品でした。
このほかにも花籠など気に入った作品がありました。
<第5章 アール・デコ/モダンデザイン>
最後はアールデコの家具などのコーナーでした。
ポール・コラン 「アンドレ・ルノー (ピアニスト)」
モーリス・デュフレーヌ 「シルクのかがやき (オペレッタ)」
マルセル・ブロイヤー 「肘掛け椅子」

ちょっと暗くて分かりづらいですが、手前の机の引出?の部分が階段状になっているデザインが非常に優美です。
この他にも電気スタンドやカッサンドルのポスターなど、好みの作品に囲まれてきました。
この後、人間国宝・巨匠のコーナーもありました。高橋節郎の「日岡月岡」や藤田喬平の作品など、これは!という作品もありました。
参考記事:「近代工芸の名品 花」 (東京国立近代美術館工芸館)
ということで、30分くらいで観てきましたがこんな品々に囲まれた生活をしてみたいと思いながら観てきました。特にカッサンドルのポスターは何度観ても良いなあ。
美術館の建築はどこにあるの?とセットでも1000円しないので、東近美に行ったら工芸館も一緒に周るのをお勧めします。
おまけ:以前も似たような写真を載せましたが、館内の休憩室の写真です。


おまけ2:外観。ここは建物自体も魅力的です。

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多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
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