Archive | 2010年06月
前回ご紹介した「いのくまさん」展を観る前に、同じオペラシティの中にあるNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)で「オープン・スペース 2010」を観てきました。この展覧は無料で観られるのですが、非常に興味深い内容となっていました。

【展覧名】
オープン・スペース 2010
【公式サイト】
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2010/Openspace2010/index_j.html
【会場】NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)
【最寄】初台駅
【会期】2010年5月15日(土)~2011年2月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
このオープン・スペースは毎年やっているもので、年に1回の模様替えで非常に会期の長い展示となっているようです。入口周辺と一部だけ去年の2009年の内容と同じで、ほとんどの作品が入れ替わっていました。今回は2010年から新しく展示された作品をご紹介しようと思います。
参考記事:
オープン・スペース 2009
2009年の記事で紹介した作品で今回も観られるのは、
グレゴリー・バーサミアン 「ジャグラー」
岩井俊雄 「マシュマロスコープ」
「POWERS OF TEN」(とその周りの作品)
です。
ゲープハルト・ゼンクミュラー+フランツ・ビュッヒンガー 「パラレル・イメージ」 ★こちらで観られます
お互いに配線で繋がれた2枚のパネルのようなものがあり、片方には光を察知するセンサー、もう片方には2500個もの小さな電球がついています。センサーの方の前に立つと、光が配線によって伝わり、それに応じて電球が点くという仕掛けでした。これは単純化されたテレビみたいなものかな? 向こうの人にポーズを伝えたりして遊ぶと面白いですw
「無響室」 ★こちらで観られます
この部屋は特殊な素材と構造で音の反響を吸収して、無音状態に近い体験が出来る部屋です。部屋に入ると一気に外の音が消えて、耳が圧迫されるような感覚になります。(自分の出す音は聞こえます)
何年か前にトリビアの泉という番組で、「4分33秒間全く演奏しない曲がある」ということで、ジョン・ケージ「4分33秒」が紹介されていた覚えがありますが、その曲?はこの「無響室」と関係があります。無音を体験しようとしたジョン・ケージはこの「無響室」に入ったものの、音の無い部屋でも自分の血液の音と神経系統の音が聴こえたそうです。そこから、完全な沈黙は無いと考えて「4分33秒」を作曲したそうです。
参考リンク:「4分33秒」のwiki
藤幡正樹 「モレルのパノラマ」 ★こちらで観られます
これは既存の映像とカメラに映った鑑賞者の映像が混じる作品で、円筒形に伸び縮みする360度のパノラマとなっています。ぐにゃ~~っと変わっていく映像に自分が映っているのを観るのも中々面白いです。
クワクボリョウタ 「10番目の感傷(点・線・面)」 ★こちらで観られます
今年度の内容で一番面白い作品はこれじゃないかな。真っ暗な部屋で見るインスタレーションで、中にはライトを点けた鉄道模型がゆ~~っくり走っています。その線路の周りには鉛筆やカゴ、洗濯バサミなど身近な物が置かれているのですが、電車の光によって作られた影が街や鉄塔のように見えるのが面白いです。特に驚くのはトンネルで、わずかに抜けてくる光で本当に電車の先頭に乗っている気分になりました。この作品だけでも来た甲斐があったという感じです。
平川紀道 「内部観測者のための円環構造」 ★こちらで観られます
これは幾何学模様を描く映像作品です。音によって変化するようで、二度と同じ映像は観られないのかも。
ヤオ・ジョンハン 「Scattered Coordinates 1[散らばった座標 1]」 ★こちらで観られます
狭い通路に設置された沢山の蛍光灯を使った作品です。鑑賞者が通路を歩くと、それに連れて蛍光灯がパチパチと点いていきます。動きに反応して点くのが面白いのですが、鑑賞者自身はわかりづらいかもw 誰かが通っているところを観るとより面白いです。
原田康徳 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 「ビスケット・ラボ」 ★こちらで観られます
これは自分で描いた絵をプログラミングで動かす体験型の作品です。プログラムと言っても、いくつかのパターンから選ぶものなので、簡単に作ることができます。1つの絵を複数に複製したりもできるので、ちょっと絵を描くだけでアニメみたいになりました。私が描く珍妙な絵でも動くと楽しかったですw
他にもipodを使った作品もあったけど、使い方がわからなかったw
ということで、今年も楽しめる内容になっています。今回は特別展はありませんでしたが、1時間20分もビデオ作品を観ることができましたので、次回はそれをご紹介しようかと思います。
⇒こちらに書きました。
おまけ
オープン・スペース 2010を観た後、以前ご紹介したICCカフェでタピオカの入ったチャイを飲みました。

甘めのチャイと、太めのストローに流れてくる つるつるもちもちしたタピオカがマッチしていて、とても楽しめました
参考記事:
ICCカフェ (初台界隈のお店)

【展覧名】
オープン・スペース 2010
【公式サイト】
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2010/Openspace2010/index_j.html
【会場】NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)
【最寄】初台駅
【会期】2010年5月15日(土)~2011年2月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
このオープン・スペースは毎年やっているもので、年に1回の模様替えで非常に会期の長い展示となっているようです。入口周辺と一部だけ去年の2009年の内容と同じで、ほとんどの作品が入れ替わっていました。今回は2010年から新しく展示された作品をご紹介しようと思います。
参考記事:
オープン・スペース 2009
2009年の記事で紹介した作品で今回も観られるのは、
グレゴリー・バーサミアン 「ジャグラー」
岩井俊雄 「マシュマロスコープ」
「POWERS OF TEN」(とその周りの作品)
です。
ゲープハルト・ゼンクミュラー+フランツ・ビュッヒンガー 「パラレル・イメージ」 ★こちらで観られます
お互いに配線で繋がれた2枚のパネルのようなものがあり、片方には光を察知するセンサー、もう片方には2500個もの小さな電球がついています。センサーの方の前に立つと、光が配線によって伝わり、それに応じて電球が点くという仕掛けでした。これは単純化されたテレビみたいなものかな? 向こうの人にポーズを伝えたりして遊ぶと面白いですw
「無響室」 ★こちらで観られます
この部屋は特殊な素材と構造で音の反響を吸収して、無音状態に近い体験が出来る部屋です。部屋に入ると一気に外の音が消えて、耳が圧迫されるような感覚になります。(自分の出す音は聞こえます)
何年か前にトリビアの泉という番組で、「4分33秒間全く演奏しない曲がある」ということで、ジョン・ケージ「4分33秒」が紹介されていた覚えがありますが、その曲?はこの「無響室」と関係があります。無音を体験しようとしたジョン・ケージはこの「無響室」に入ったものの、音の無い部屋でも自分の血液の音と神経系統の音が聴こえたそうです。そこから、完全な沈黙は無いと考えて「4分33秒」を作曲したそうです。
参考リンク:「4分33秒」のwiki
藤幡正樹 「モレルのパノラマ」 ★こちらで観られます
これは既存の映像とカメラに映った鑑賞者の映像が混じる作品で、円筒形に伸び縮みする360度のパノラマとなっています。ぐにゃ~~っと変わっていく映像に自分が映っているのを観るのも中々面白いです。
クワクボリョウタ 「10番目の感傷(点・線・面)」 ★こちらで観られます
今年度の内容で一番面白い作品はこれじゃないかな。真っ暗な部屋で見るインスタレーションで、中にはライトを点けた鉄道模型がゆ~~っくり走っています。その線路の周りには鉛筆やカゴ、洗濯バサミなど身近な物が置かれているのですが、電車の光によって作られた影が街や鉄塔のように見えるのが面白いです。特に驚くのはトンネルで、わずかに抜けてくる光で本当に電車の先頭に乗っている気分になりました。この作品だけでも来た甲斐があったという感じです。
平川紀道 「内部観測者のための円環構造」 ★こちらで観られます
これは幾何学模様を描く映像作品です。音によって変化するようで、二度と同じ映像は観られないのかも。
ヤオ・ジョンハン 「Scattered Coordinates 1[散らばった座標 1]」 ★こちらで観られます
狭い通路に設置された沢山の蛍光灯を使った作品です。鑑賞者が通路を歩くと、それに連れて蛍光灯がパチパチと点いていきます。動きに反応して点くのが面白いのですが、鑑賞者自身はわかりづらいかもw 誰かが通っているところを観るとより面白いです。
原田康徳 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 「ビスケット・ラボ」 ★こちらで観られます
これは自分で描いた絵をプログラミングで動かす体験型の作品です。プログラムと言っても、いくつかのパターンから選ぶものなので、簡単に作ることができます。1つの絵を複数に複製したりもできるので、ちょっと絵を描くだけでアニメみたいになりました。私が描く珍妙な絵でも動くと楽しかったですw
他にもipodを使った作品もあったけど、使い方がわからなかったw
ということで、今年も楽しめる内容になっています。今回は特別展はありませんでしたが、1時間20分もビデオ作品を観ることができましたので、次回はそれをご紹介しようかと思います。
⇒こちらに書きました。
おまけ
オープン・スペース 2010を観た後、以前ご紹介したICCカフェでタピオカの入ったチャイを飲みました。

甘めのチャイと、太めのストローに流れてくる つるつるもちもちしたタピオカがマッチしていて、とても楽しめました
参考記事:
ICCカフェ (初台界隈のお店)
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もう半月ほど前ですが初台の東京オペラシティアートギャラリーで猪熊弦一郎展『いのくまさん』を観てきました。まったく予備知識無しで観たのですが、知らないようで意外と身近なところで作品を観ている人でした。

【展覧名】
猪熊弦一郎展『いのくまさん』
【公式サイト】
http://www.operacity.jp/ag/exh117/
【会場】東京オペラシティアートギャラリー
【最寄】初台駅
【会期】2010年4月10日~7月4日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
会場は空いていて自分のペースで好きに観られました。しかし、この展覧会は、ある意味あっけに取られた内容で、よく理解しないうちに出てきてしまったかも^^; 最後の出口の所に略歴がありましたが、この略歴を先に読んでれば少しは見方も違ったかもな~と、権威主義的なことを考えてしまいました。
このブログでは先に略歴をご紹介すると、「いのくまさん」こと猪熊弦一郎は高松に生まれ、子供の頃から絵が好きだったそうです。画家になるか発明家になるかで迷ったようですが、画家の道を選び、東京美術学校に入学し藤島武二に師事します。藤島から絵画とは物を正確に描くことではなく物を理解して描くということを教わったそうです。その後、帝展で入選し、1936年に新制作派協会を結成しリーダーになりました。フランスに留学した際には、マティスに「お前の絵は上手すぎる」と言われたそうで、猪熊は思ったことを素直な虚心の無い姿で表現するようになったようです。 第二次世界大戦で帰国し、戦時は中国やフィリピンに派遣されました。戦後は家で猫を1ダースも飼って猫の絵を描いたり、三越の包装のデザインや上野駅のコンコースの絵を描いたりと精力的に活動していたようです。また、マーク・ロスコやイサム・ノグチ、ピカソ、藤田嗣治などとも親交があったとのことです。今回のタイトルの『いのくまさん』というのも詩人の谷川俊太郎の絵本のことらしく、様々な芸術家との交流をうかがわせます。
ということで、略歴を読むといのくまさんは凄い人なのですが、展覧会では何度となく「子供の絵みたい!」を連呼してしまいましたw 先にご紹介した藤島やマティスの教えなど露知らず、失礼な鑑賞者ですみません(><) どうしてそう思ってしまったのかは、公式ページでいくつか作品を観て頂ければご理解頂けるかと…。 展覧会でも詳しい説明があまりないので、各作品の意図や意味を知るのは大変でした。(感性が鈍いだけかもw)
さて、ようやく本題です。展覧会の構成はモチーフごとに10ほどのコーナーに分かれていました。無題の作品が多く、1点1点紹介するのも難しいので、ごく簡単に説明していこうと思います。
<こどもの ころから えが すきだった いのくまさん おもしろい えを いっぱい かいた>
最初は様々なものを描いたコーナーです。飛行機、鶴、船、侍が刺されている絵?など内容はバラバラですが、出鼻から子供の悪戯描きに見えて面食らいました。
<いのくまさんは じぶんで じぶんの かおを かく>
次に自画像のコーナーです。簡略化された顔から本格的な油彩の作品が並んでいました。観たままではなく率直な気持ちで描いたと言われると、なるほどと思える内容かも。
<ほかの ひとの かおも かく>
<たくさん たくさん かおを かく>
この辺は簡略化された顔を沢山描いたコーナーで、タイル絵のように何人もの人物像を縦横に並べた作品が何枚かありました。みんな微妙に違う顔をしているのが面白いです。この辺になると単純に絵から伝わる楽しげな雰囲気を味わうように観ていました。
<いのくまさんは とりが すき>
鳥をモチーフにしたコーナーです。簡素で可愛らしい鳥達が描かれたスケッチがならんでいました。非常に親しみやすいです。
<いのくまさんは ねこも すき いっぱい いっぱい ねこを かく>
ここが一番気に入ったコーナーでした。いのくまさんは猫が好きで1ダースも飼ってたほどなので、猫が群れて遊んでいるような絵が何枚もありました。やはり簡素な絵ですが猫の生態を観察していたのが伝わってくるようでした。簡素にこれだけ表情豊かに描けるのはとても凄いことなのでは?と思ってみたり。 何といっても可愛いw
<いのくまさんは おもちゃが すき>
ここは動物や車などのミニチュアの玩具などが並んだコーナーです。観るだけで愛らしさを感じ、いのくまさんの玩具に対する楽しげな感情が伝わってくるようでした。
<いのくまさんは かたちがすき こんな かたち あんな かたち かたちは のびる かたちは まがる かたちは つながる かたちは かぎりない>
<いのくまさんは いろも すき こんな いろ あんな いろ いろが うまれる いろが ささやく いろが さけぶ いろが うたう>
この辺りは幾何学模様を組み合わせたような抽象画のコーナー。カラフルで、抽象化された街や宇宙、円や四角などが描かれていました。明るく力強い色彩で、幾何学のモチーフでも生き生きした感じを受けました。逸話としてはスターウォーズが好きでよく観ていたというような話もあって、宇宙自体が好きだったのかも。
<ぬりえをしよう>
これは塗り絵の配布コーナー。持ち帰って自由に塗って楽しめます。
<いのくまさんは たのしいな>
ここは失念。1点のみのコーナーです。
<コリドール>
いのくまさんは「最も優れた芸術は建築である」と語っていたそうで、公共建築の壁画などを多く手がけました。また、「芸術と生活は結びつくものである」という考えもあって工芸や服飾など様々な分野で活躍したそうです。ここにはそうした各地にある作品の写真などが展示されていました。
ということで、私も現代アートや抽象画なども結構見てはいますが、今回の展示で全然理解できていないことが露呈してしまった気がしますw いやー、本当に美術というのは奥が深いものです。子供の絵のように観えて実は大物画家の作品、そんな驚きがある内容でした。
おまけ
↓上野駅で撮ってきた写真。私はこれをよく観てます。確かに右下にサインがありました。

他にも半蔵門線の三越前駅の壁面、帝国劇場の壁画やステンドグラスも猪熊氏の作品のらしいです。結構、身近で目にしていたことに驚きでした。「いのくまさん」の呼び名が似合うような親しみが持てる作品達でした。

【展覧名】
猪熊弦一郎展『いのくまさん』
【公式サイト】
http://www.operacity.jp/ag/exh117/
【会場】東京オペラシティアートギャラリー
【最寄】初台駅
【会期】2010年4月10日~7月4日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
会場は空いていて自分のペースで好きに観られました。しかし、この展覧会は、ある意味あっけに取られた内容で、よく理解しないうちに出てきてしまったかも^^; 最後の出口の所に略歴がありましたが、この略歴を先に読んでれば少しは見方も違ったかもな~と、権威主義的なことを考えてしまいました。
このブログでは先に略歴をご紹介すると、「いのくまさん」こと猪熊弦一郎は高松に生まれ、子供の頃から絵が好きだったそうです。画家になるか発明家になるかで迷ったようですが、画家の道を選び、東京美術学校に入学し藤島武二に師事します。藤島から絵画とは物を正確に描くことではなく物を理解して描くということを教わったそうです。その後、帝展で入選し、1936年に新制作派協会を結成しリーダーになりました。フランスに留学した際には、マティスに「お前の絵は上手すぎる」と言われたそうで、猪熊は思ったことを素直な虚心の無い姿で表現するようになったようです。 第二次世界大戦で帰国し、戦時は中国やフィリピンに派遣されました。戦後は家で猫を1ダースも飼って猫の絵を描いたり、三越の包装のデザインや上野駅のコンコースの絵を描いたりと精力的に活動していたようです。また、マーク・ロスコやイサム・ノグチ、ピカソ、藤田嗣治などとも親交があったとのことです。今回のタイトルの『いのくまさん』というのも詩人の谷川俊太郎の絵本のことらしく、様々な芸術家との交流をうかがわせます。
ということで、略歴を読むといのくまさんは凄い人なのですが、展覧会では何度となく「子供の絵みたい!」を連呼してしまいましたw 先にご紹介した藤島やマティスの教えなど露知らず、失礼な鑑賞者ですみません(><) どうしてそう思ってしまったのかは、公式ページでいくつか作品を観て頂ければご理解頂けるかと…。 展覧会でも詳しい説明があまりないので、各作品の意図や意味を知るのは大変でした。(感性が鈍いだけかもw)
さて、ようやく本題です。展覧会の構成はモチーフごとに10ほどのコーナーに分かれていました。無題の作品が多く、1点1点紹介するのも難しいので、ごく簡単に説明していこうと思います。
<こどもの ころから えが すきだった いのくまさん おもしろい えを いっぱい かいた>
最初は様々なものを描いたコーナーです。飛行機、鶴、船、侍が刺されている絵?など内容はバラバラですが、出鼻から子供の悪戯描きに見えて面食らいました。
<いのくまさんは じぶんで じぶんの かおを かく>
次に自画像のコーナーです。簡略化された顔から本格的な油彩の作品が並んでいました。観たままではなく率直な気持ちで描いたと言われると、なるほどと思える内容かも。
<ほかの ひとの かおも かく>
<たくさん たくさん かおを かく>
この辺は簡略化された顔を沢山描いたコーナーで、タイル絵のように何人もの人物像を縦横に並べた作品が何枚かありました。みんな微妙に違う顔をしているのが面白いです。この辺になると単純に絵から伝わる楽しげな雰囲気を味わうように観ていました。
<いのくまさんは とりが すき>
鳥をモチーフにしたコーナーです。簡素で可愛らしい鳥達が描かれたスケッチがならんでいました。非常に親しみやすいです。
<いのくまさんは ねこも すき いっぱい いっぱい ねこを かく>
ここが一番気に入ったコーナーでした。いのくまさんは猫が好きで1ダースも飼ってたほどなので、猫が群れて遊んでいるような絵が何枚もありました。やはり簡素な絵ですが猫の生態を観察していたのが伝わってくるようでした。簡素にこれだけ表情豊かに描けるのはとても凄いことなのでは?と思ってみたり。 何といっても可愛いw
<いのくまさんは おもちゃが すき>
ここは動物や車などのミニチュアの玩具などが並んだコーナーです。観るだけで愛らしさを感じ、いのくまさんの玩具に対する楽しげな感情が伝わってくるようでした。
<いのくまさんは かたちがすき こんな かたち あんな かたち かたちは のびる かたちは まがる かたちは つながる かたちは かぎりない>
<いのくまさんは いろも すき こんな いろ あんな いろ いろが うまれる いろが ささやく いろが さけぶ いろが うたう>
この辺りは幾何学模様を組み合わせたような抽象画のコーナー。カラフルで、抽象化された街や宇宙、円や四角などが描かれていました。明るく力強い色彩で、幾何学のモチーフでも生き生きした感じを受けました。逸話としてはスターウォーズが好きでよく観ていたというような話もあって、宇宙自体が好きだったのかも。
<ぬりえをしよう>
これは塗り絵の配布コーナー。持ち帰って自由に塗って楽しめます。
<いのくまさんは たのしいな>
ここは失念。1点のみのコーナーです。
<コリドール>
いのくまさんは「最も優れた芸術は建築である」と語っていたそうで、公共建築の壁画などを多く手がけました。また、「芸術と生活は結びつくものである」という考えもあって工芸や服飾など様々な分野で活躍したそうです。ここにはそうした各地にある作品の写真などが展示されていました。
ということで、私も現代アートや抽象画なども結構見てはいますが、今回の展示で全然理解できていないことが露呈してしまった気がしますw いやー、本当に美術というのは奥が深いものです。子供の絵のように観えて実は大物画家の作品、そんな驚きがある内容でした。
おまけ
↓上野駅で撮ってきた写真。私はこれをよく観てます。確かに右下にサインがありました。

他にも半蔵門線の三越前駅の壁面、帝国劇場の壁画やステンドグラスも猪熊氏の作品のらしいです。結構、身近で目にしていたことに驚きでした。「いのくまさん」の呼び名が似合うような親しみが持てる作品達でした。
記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。


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先週の日曜日に、山種美術館で「浮世絵入門 -広重《東海道五十三次》一挙公開-」を観てきました。その名の通り、東海道五十三次を一気に観ることができる内容でした。

【展覧名】
浮世絵入門 -広重《東海道五十三次》一挙公開-
【公式サイト】
http://www.yamatane-museum.or.jp/exh_current.html
http://www.yamatane-museum.or.jp/doc/outline_100529_japanese.pdf (PDF)
【会場】山種美術館
【最寄】JR・東京メトロ 恵比寿駅
【会期】2010年5月29日~7月11日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間20分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
会場は思ったより賑わっていて、1つの作品に1~2人がついているくらいの盛況ぶりでした。東海道五十三次を観られる展覧会は毎年のようにどこかしらで開催されているように思いますが、この山種美術館の展示品はかなり初期の摺りのようで、貴重な内容となっていました。
今回も気に入った作品のメモを取ってきたので、それを元にご紹介します。・・・東海道五十三次については去年うらわ美術館で一挙に見た時と同じような面子・内容のメモとなってしまいましたw 自分の中で気に入ってる作品は不動なのかも。
参考記事:広重と北斎の東海道五十三次と浮世絵名品展 (うらわ美術館)
参考動画:
歌川広重(初代) 「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」 ★こちらで観られます
最初にあったのが有名なこちらの作品。縦長の画面に、俯瞰するような視線でちょっと斜めに描かれた橋(と背景の岸)が描かれています。そこに無数の線が引かれて土砂降りの雨の降っている様子が表現され、橋の上の人たちは急いで走っているように見えます。雨と人物から動きを感じるのと同時に視点の面白さを感じました。解説によると、上部の雲のぼかしに摺り師の技術の高さが伺えるようです。
また、この絵が語られる時によく引き合いに出されるのが、ゴッホがこの浮世絵を模写したことです。この展覧会でも隣に写真が展示されていて、ゴッホも参考にしていたことがわかります。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 日本橋・朝の景」 ★こちらで観られます
この日本橋から東海道五十三次がスタートします。朝の日本橋の様子が描かれ、橋を渡ってくる人や橋の袂で天秤を担ぐ人など、活気が伝わってきます。解説によると、上部に雲が描かれているのは、初期の摺りだそうで、後の刷りでは省略されていくそうです。
なお、この山種美術館の東海道五十三次は画帖のセットとして残っていたものらしく、表紙・扉なども展示されています。また、初摺りが多いのが特徴のようで、日本橋以外でも初期の摺りの特徴(品川に描かれた太陽など)が観られる貴重なコレクションとなっています。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 平塚・縄手道」
お碗型の山とちらっと見える富士山をバックに、飛脚と荷物を運ぶ人がすれ違う様子が描かれています。解説によると、くの字に曲がりくねった道が奥へと視線を誘うそうです。確かに目で追っていたのでなるほどと思いました。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 吉原・左富士」
アーチ状になった並木道を馬に乗って進む一行が描かれ、左側に富士山が見えています。右にあったはずの富士山がいつのまにか左に見えるというのが「左富士」の由来です。この曲がりくねった道と視点が面白い作品に思います。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 蒲原・夜之雪」
以前のうらわ美術館の記事でもこの作品が一番好きかもと書きましたが、やはりこれが一番好きです^^ 雪の降り積もった坂道をすれ違う2人の蓑を被った人が描かれ、静かな雰囲気を感じます。この地方はあまり雪が積もらないらしいので、広重の洒落なのかもしれません。また、上のほうに雪が降っている様子が描かれていたのですが、これは初摺りの特徴だそうで、特に山種美術館の摺りは良い仕上がりのようでした。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 掛川・秋葉山遠望」
手前に橋を渡る人々ガ描かれ、画面の左外から凧揚げが上に向かって伸びていて、凧が画面をはみ出して描かれいるのが面白いです。風で飛ばされた凧も遠くに見え、風の強さを感じられます。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 見附・天竜川」
川の中州を描いた作品です。奥に見えるぼんやり見える森の辺りに、横一直線に引かれた線が2本描かれていました。これは摺る時に位置を確認するための線で、通常ではこの線は残されません。この線が付いているのはかなり早い段階の摺りである証拠のようでした。 やはり山種美術館の東海道五十三次は貴重なもののようです。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 四日市・三重川」
小さな橋を渡る人と、転がっていく傘を追いかける姿が描かれた作品です。後ろに描かれた木や草もたなびいていて風の強さを感じます。こういう動きのある絵は登場人物が何を考えているか伝わってきそうで面白いです。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 庄野・白雨」
シリーズの中で最高傑作と呼ばれる作品です。手前の斜面を行きかう人たちが、斜めの線で表現されたにわか雨に遭い、急いで走っている様子です。身をかがめる様子などが面白いですが、絵の表現に目を向けると、背景の木々と雨の微妙な濃淡で奥行きを感じさせるのが素晴らしいです。版画でこんなにも微妙な表現ができることに当時の技術の高さも感じます。
東海道五十三次の後は、浮世絵の初期の作品や有名作などが並んでいました。
鈴木春信 「梅の枝折り」
錦絵創始期の作品です。2人の女性が肩車のようにして、壁の上の梅の枝を折ろうとしている姿を描いています。壁の幾何学模様や、美しい女性たちの姿など、どこか雅な雰囲気がありました。この辺にあった作品と比べると、浮世絵の黎明期に比べて色が増えてきているのがわかります。
鳥居清長 「風俗東之錦 武家の若殿と乳母、侍女二人」
3人の8頭身の女性と、刀を差した子供(武家の若殿)が描かれた作品です。傘を持つ女性や扇子を持って手を引く女性など、その姿と緻密に描かれた着物が華やかです。流石にこの時代に8頭身の人は滅多にいないと思われるので、理想化して描かれているようでした。
喜多川歌麿 「青桜七小町 鶴屋内 篠原」 ★こちらで観られます
髪を整える大きな簪をつけた女性の大首絵(胸より上だけの肖像)で、小野小町の7つの伝説を題材にした続き物の1枚だそうです。解説によると当時、描かれる美人は絵師によって同じ顔だったそうですが、歌麿は微妙に顔を変えて描いていたそうです。艶やかな雰囲気を感じる作品でした。
東洲斎写楽 「二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉」 ★こちらで観られます
写楽も3枚ありました。これは唇をかみ締めて見栄を切る役者絵です。全体的に誇張されていて、表情や目鼻に役者の特徴を感じます。どうやら腕まくりして凄んでいるのは借金の催促にきているためのようで、ちょっと憎たらしい顔ですw 解説によると西洋の研究者の中には、写楽をレンブラントやベラスケスと並ぶほどの肖像画家と考える人もいるようです。
この辺りには歌川豊国や葛飾北斎などもありました。(富岳三十六景の凱風快晴もありました)
歌川広重(初代) 「近江八景 唐崎夜雨」
琵琶湖の小島の中にある唐崎神社の大きな松が描かれ、黒い線で表現された雨が凄い勢いで降っています。雨音が聞こえそうなくらい臨場感のある表現でした。 また、よく観ると大きな松の中央あたりは白くぼかしてある表現も面白かったです。
歌川広重(初代) 「阿波鳴門之風景(雪月花之内 花)」
3枚続きの作品で、阿波の鳴門(渦潮)を描いた作品です。「花」というのは渦潮を花に見立てているそうです。 そういわれて観ると力強い渦潮が可憐な白い花のようにも見える作品でした。 この隣には「雪」「月」の作品もあり雪月花が揃っていました。
第二会場は上村松園、菱田春草、伊東深水など浮世絵から影響を受けたと思われる画家の作品が並んでいました。こちらも非常に素晴らしいですが今回の趣旨とは少し違うように思うのでご紹介は割愛。
ということで、入門ということで有名作や傑作が多い内容でした。よく観ている作品でも貴重な摺りで観られるので、初心者じゃない人の方も驚きがあると思います。 また、解説機の解説も中々の情報量ですので、浮世絵とはどんなものか知る良い機会だと思います。 浮世絵は元々「お高い芸術」というものではなくポップアートみたいなものですので、広い層が楽しめそうな展覧会です。

【展覧名】
浮世絵入門 -広重《東海道五十三次》一挙公開-
【公式サイト】
http://www.yamatane-museum.or.jp/exh_current.html
http://www.yamatane-museum.or.jp/doc/outline_100529_japanese.pdf (PDF)
【会場】山種美術館
【最寄】JR・東京メトロ 恵比寿駅
【会期】2010年5月29日~7月11日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間20分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
会場は思ったより賑わっていて、1つの作品に1~2人がついているくらいの盛況ぶりでした。東海道五十三次を観られる展覧会は毎年のようにどこかしらで開催されているように思いますが、この山種美術館の展示品はかなり初期の摺りのようで、貴重な内容となっていました。
今回も気に入った作品のメモを取ってきたので、それを元にご紹介します。・・・東海道五十三次については去年うらわ美術館で一挙に見た時と同じような面子・内容のメモとなってしまいましたw 自分の中で気に入ってる作品は不動なのかも。
参考記事:広重と北斎の東海道五十三次と浮世絵名品展 (うらわ美術館)
参考動画:
歌川広重(初代) 「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」 ★こちらで観られます
最初にあったのが有名なこちらの作品。縦長の画面に、俯瞰するような視線でちょっと斜めに描かれた橋(と背景の岸)が描かれています。そこに無数の線が引かれて土砂降りの雨の降っている様子が表現され、橋の上の人たちは急いで走っているように見えます。雨と人物から動きを感じるのと同時に視点の面白さを感じました。解説によると、上部の雲のぼかしに摺り師の技術の高さが伺えるようです。
また、この絵が語られる時によく引き合いに出されるのが、ゴッホがこの浮世絵を模写したことです。この展覧会でも隣に写真が展示されていて、ゴッホも参考にしていたことがわかります。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 日本橋・朝の景」 ★こちらで観られます
この日本橋から東海道五十三次がスタートします。朝の日本橋の様子が描かれ、橋を渡ってくる人や橋の袂で天秤を担ぐ人など、活気が伝わってきます。解説によると、上部に雲が描かれているのは、初期の摺りだそうで、後の刷りでは省略されていくそうです。
なお、この山種美術館の東海道五十三次は画帖のセットとして残っていたものらしく、表紙・扉なども展示されています。また、初摺りが多いのが特徴のようで、日本橋以外でも初期の摺りの特徴(品川に描かれた太陽など)が観られる貴重なコレクションとなっています。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 平塚・縄手道」
お碗型の山とちらっと見える富士山をバックに、飛脚と荷物を運ぶ人がすれ違う様子が描かれています。解説によると、くの字に曲がりくねった道が奥へと視線を誘うそうです。確かに目で追っていたのでなるほどと思いました。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 吉原・左富士」
アーチ状になった並木道を馬に乗って進む一行が描かれ、左側に富士山が見えています。右にあったはずの富士山がいつのまにか左に見えるというのが「左富士」の由来です。この曲がりくねった道と視点が面白い作品に思います。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 蒲原・夜之雪」
以前のうらわ美術館の記事でもこの作品が一番好きかもと書きましたが、やはりこれが一番好きです^^ 雪の降り積もった坂道をすれ違う2人の蓑を被った人が描かれ、静かな雰囲気を感じます。この地方はあまり雪が積もらないらしいので、広重の洒落なのかもしれません。また、上のほうに雪が降っている様子が描かれていたのですが、これは初摺りの特徴だそうで、特に山種美術館の摺りは良い仕上がりのようでした。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 掛川・秋葉山遠望」
手前に橋を渡る人々ガ描かれ、画面の左外から凧揚げが上に向かって伸びていて、凧が画面をはみ出して描かれいるのが面白いです。風で飛ばされた凧も遠くに見え、風の強さを感じられます。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 見附・天竜川」
川の中州を描いた作品です。奥に見えるぼんやり見える森の辺りに、横一直線に引かれた線が2本描かれていました。これは摺る時に位置を確認するための線で、通常ではこの線は残されません。この線が付いているのはかなり早い段階の摺りである証拠のようでした。 やはり山種美術館の東海道五十三次は貴重なもののようです。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 四日市・三重川」
小さな橋を渡る人と、転がっていく傘を追いかける姿が描かれた作品です。後ろに描かれた木や草もたなびいていて風の強さを感じます。こういう動きのある絵は登場人物が何を考えているか伝わってきそうで面白いです。
歌川広重(初代) 「東海道五拾三次 庄野・白雨」
シリーズの中で最高傑作と呼ばれる作品です。手前の斜面を行きかう人たちが、斜めの線で表現されたにわか雨に遭い、急いで走っている様子です。身をかがめる様子などが面白いですが、絵の表現に目を向けると、背景の木々と雨の微妙な濃淡で奥行きを感じさせるのが素晴らしいです。版画でこんなにも微妙な表現ができることに当時の技術の高さも感じます。
東海道五十三次の後は、浮世絵の初期の作品や有名作などが並んでいました。
鈴木春信 「梅の枝折り」
錦絵創始期の作品です。2人の女性が肩車のようにして、壁の上の梅の枝を折ろうとしている姿を描いています。壁の幾何学模様や、美しい女性たちの姿など、どこか雅な雰囲気がありました。この辺にあった作品と比べると、浮世絵の黎明期に比べて色が増えてきているのがわかります。
鳥居清長 「風俗東之錦 武家の若殿と乳母、侍女二人」
3人の8頭身の女性と、刀を差した子供(武家の若殿)が描かれた作品です。傘を持つ女性や扇子を持って手を引く女性など、その姿と緻密に描かれた着物が華やかです。流石にこの時代に8頭身の人は滅多にいないと思われるので、理想化して描かれているようでした。
喜多川歌麿 「青桜七小町 鶴屋内 篠原」 ★こちらで観られます
髪を整える大きな簪をつけた女性の大首絵(胸より上だけの肖像)で、小野小町の7つの伝説を題材にした続き物の1枚だそうです。解説によると当時、描かれる美人は絵師によって同じ顔だったそうですが、歌麿は微妙に顔を変えて描いていたそうです。艶やかな雰囲気を感じる作品でした。
東洲斎写楽 「二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉」 ★こちらで観られます
写楽も3枚ありました。これは唇をかみ締めて見栄を切る役者絵です。全体的に誇張されていて、表情や目鼻に役者の特徴を感じます。どうやら腕まくりして凄んでいるのは借金の催促にきているためのようで、ちょっと憎たらしい顔ですw 解説によると西洋の研究者の中には、写楽をレンブラントやベラスケスと並ぶほどの肖像画家と考える人もいるようです。
この辺りには歌川豊国や葛飾北斎などもありました。(富岳三十六景の凱風快晴もありました)
歌川広重(初代) 「近江八景 唐崎夜雨」
琵琶湖の小島の中にある唐崎神社の大きな松が描かれ、黒い線で表現された雨が凄い勢いで降っています。雨音が聞こえそうなくらい臨場感のある表現でした。 また、よく観ると大きな松の中央あたりは白くぼかしてある表現も面白かったです。
歌川広重(初代) 「阿波鳴門之風景(雪月花之内 花)」
3枚続きの作品で、阿波の鳴門(渦潮)を描いた作品です。「花」というのは渦潮を花に見立てているそうです。 そういわれて観ると力強い渦潮が可憐な白い花のようにも見える作品でした。 この隣には「雪」「月」の作品もあり雪月花が揃っていました。
第二会場は上村松園、菱田春草、伊東深水など浮世絵から影響を受けたと思われる画家の作品が並んでいました。こちらも非常に素晴らしいですが今回の趣旨とは少し違うように思うのでご紹介は割愛。
ということで、入門ということで有名作や傑作が多い内容でした。よく観ている作品でも貴重な摺りで観られるので、初心者じゃない人の方も驚きがあると思います。 また、解説機の解説も中々の情報量ですので、浮世絵とはどんなものか知る良い機会だと思います。 浮世絵は元々「お高い芸術」というものではなくポップアートみたいなものですので、広い層が楽しめそうな展覧会です。
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先日、会社の帰りにレイトショーで映画「アイアンマン2」を観てきました。ほとんど貸切状態で観られたんだけど、あんまり人気がないのかな??

【作品名】
アイアンマン2
【公式サイト】
http://www.ironman2.jp/
【時間】
2時間00分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_④_5_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
私はマーベルコミック原作の映画が大好きなのでかなり楽しめました。相変わらずクオリティの高い娯楽映画となっていて、最新のCGを駆使しながらドンパチやっていきますw ストーリーは非常に分かりやすいですが、今回は内面的な話が多いかな。映像に関しては近未来的で中々カッコよく、これがあるおかげで内面の話も中ダレしてないように思えました。役者についても破天荒な主人公を中心に明快なキャラづけがされているので、個性を感じることができました。
ということで単純明快なドンパチを綺麗なCGで観られる映画です。私がこの手の映画に求めるものを満たしていたので、満足できました。 マーブルコミック原作の映画が好きな人なら楽しめるんじゃないかと思います。
最後のエンドロールの後にもほんのちょっとだけ続きがあるので、観る際は最後まで観ることをお勧めします。

【作品名】
アイアンマン2
【公式サイト】
http://www.ironman2.jp/
【時間】
2時間00分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_④_5_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
私はマーベルコミック原作の映画が大好きなのでかなり楽しめました。相変わらずクオリティの高い娯楽映画となっていて、最新のCGを駆使しながらドンパチやっていきますw ストーリーは非常に分かりやすいですが、今回は内面的な話が多いかな。映像に関しては近未来的で中々カッコよく、これがあるおかげで内面の話も中ダレしてないように思えました。役者についても破天荒な主人公を中心に明快なキャラづけがされているので、個性を感じることができました。
ということで単純明快なドンパチを綺麗なCGで観られる映画です。私がこの手の映画に求めるものを満たしていたので、満足できました。 マーブルコミック原作の映画が好きな人なら楽しめるんじゃないかと思います。
最後のエンドロールの後にもほんのちょっとだけ続きがあるので、観る際は最後まで観ることをお勧めします。
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今日、有給休暇を取って千葉市美術館で「伊藤若冲 アナザーワールド」を再度観てきました。以前ご紹介したのは前期でしたが、今回は後期の内容となっていました。色々と未紹介のネタはあるのですが、この展示は日曜日で終わってしまうので、先にご紹介しようかと思います。
前期の記事はこちら
伊藤若冲 アナザーワールド (千葉市美術館)

【展覧名】
伊藤若冲 アナザーワールド
【公式サイト】
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2010/0522/0522.html
【会場】千葉市美術館
【最寄】千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など
【会期】
前期:2010年5月22日(土)~6月06日(日)
後期:2010年6月08日(火)~6月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度 + 0時間30分程度(併設展 江戸みやげ 所蔵浮世絵名品選)
【混み具合・混雑状況(平日15時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
前回、土曜の夕方に行った時は勿体無いくらい空いていましたが、この日は平日の午後に行ったにも関わらず結構人が入っていて、1作品に1人ついているくらいの適度な盛況ぶりでした。(それでもじっくり観る余裕はありました) また、前期・後期の入れ替えは思った以上に多く、半分以上は変わってたんじゃないかな。後期の方が充実してるかも?と思いながら観てきました。
さて、今回も気に入った作品をご紹介しようと思うのですが、各章の趣旨や若冲の変遷などについては前回の記事でご紹介したので、今回は割愛しようかと思います。(前回ご紹介した作品も割愛します) 似た作品名が多いので一応作品リストの番号をつけておきます。
<第1章 若冲前史>
このコーナーは比較的前期との入れ替えは少なかったかな。
006 佚山 「花鳥図屏風」
これは前期の記事でもご紹介した6曲の屏風ですが、今回は右隻に変わっていました。1曲ごとに花や、鷹、鴨、鶏、孔雀(他にも名前が分からない鳥)などの花鳥が描かれ非常に鮮やかな色彩で細かく若冲に通じる表現でした。
011 鶴亭 「墨竹図」
墨で描かれた10本くらいの竹の絵で、濃淡で遠近感や霧が漂うような感じが出ています。解説によると若冲の早い時期の墨竹と共通点が観られるそうです。
<第2章 初期作-模索の時代>
この辺りから前期とガラっと内容が変わっていました。
057 伊藤若冲 「蓮・牡丹図」
左幅が蓮、右幅が牡丹の描かれた2枚セットの掛け軸です。蓮は大きく描かれ、ダイナミックで少し荒々しい雰囲気もします。この蓮の形は、前回の記事でご紹介した「花鳥蔬菜図押絵貼屏風」(055)に描かれた蓮と似た形をしていました。
また、牡丹の方は薄めの墨の花と濃い黒の葉っぱのコントラストが強めで、うっそうとした感じがします。解説によると、この作品も「牡丹・百合図」(082)と共通しているとのことでした。今回の展示ではこうした似た作品を同じタイミングで比較できるのも面白いです。
026 伊藤若冲 「葡萄図」
左上から右下の方に向かって伸びている葡萄が描かれた掛け軸です。葉っぱは1枚1枚丁寧に描かれていて、同じ葉っぱの中でも微妙なグラデーションが観られます。 また、虫食いされた葉っぱの穴の表現や螺旋を描く蔓が生命感を感じさせ、優美さも感じました。解説によると、これは中国の絵画の模写を経て自己の様式を確立してきた頃の作品だそうで、濃淡で葉や房の立体感が出ているとのことでした。
035 伊藤若冲 「髑髏図」
黒地に白抜きされたようにドクロが描かれた掛け軸で、強烈なコントラストでリアルなドクロが浮いているように見えます。上部には賛があり「一霊皮袋、皮袋一霊」と書かれていました。これは、「人間は皮袋、即ち現実の体」という意味だそうです。(その意味が難しいですがw) 中々インパクトのある作品でした。
036 伊藤若冲 「烏賊図」
2匹の烏賊(イカ)が泳いでいる様子を書いた作品です。ちょっとボリュームのあるイカがふわ~っと漂う感じがして、長い足がくるっと丸まっているのが可愛らしいです。よく観るとイカの甲を表現するのに筋目描きの手法が使われていました。
なお、この先も何度も筋目描きについて言及するのでおさらいしますと、これは紙に墨を滲ませた時に墨面同士の境界に生じる線を利用した手法です。大体、縞模様のようになっている表現をする際に使われています。 この作品は比較的初期のものですが、既に筋目描きについてはかなり手馴れているようでした。
027 伊藤若冲 「花卉双鶏図」
これは色彩豊かな掛け軸です。沢山の花をつける木の下に2羽の鶏、木の枝には4羽の鳥たちがとまっている様子が描かれています。 鶏は円を周るようにお互いを見ている感じで、非常に細かく描かれていてよく観察しているのを感じます。 解説によると、鶏を描いた初期の作品で、鶏の扱いが控えめらしく、色彩や構成は南蘋派の影響を受けているそうです。私としては若冲の作品としては少し薄い色彩に感じたかな。
043 伊藤若冲 「寒山拾得図」
2枚セットの掛け軸です。左はこちらを見てニコっと笑う人が描かれていて、無邪気で微笑ましい雰囲気があります。体全体が茄子みたいな形に見えるw 右は後姿の人です。 簡略化された感じで、解説によると持ち物などを含めて図形的な造型感覚が見られるそうです。
049 伊藤若冲 「雷神図」
太鼓を手に持って真逆さまに落ちてくる雷様を描いた作品です。その姿はユーモラスで親しみがある感じで面白いです。また、上部にある黒雲は大胆に走るように描かれていて、力強くて風が吹いているように見えました。
076 伊藤若冲 「芭蕉白鶴図」
やや後ろ向きの白い鶴が立っている姿を描かれています。背中の曲線が緩やかでボリューム感と優美さを感じます。また、背景の芭蕉の葉っぱは筋目描きの手法で丁寧に描かれていたのも目を引きました。
この辺は海老、鶏、鷹、鶴、蛙などの生き物のユーモラスな姿を描いた作品が多かったです。
053 伊藤若冲 「双鶴図・霊亀図」
2枚セットの掛け軸で、左には2羽の鶴、右には亀が描かれています。どちらもユーモラスなデフォルメがあり、鶴は先ほどの作品(076)の鶴よりもさらにボリューム感がありました。 亀は、甲羅を筋目描きの表現で描かれ、甲羅の後ろに伸びる尻尾のような毛は真っ黒で豪快な筆で描かれていました。 亀の顔がちょっと漫画みたいで可愛いw
<第3章 着色画と水墨画>
このコーナーは前期も凄かったけど、後期は必見の作品がありました。
108 伊藤若冲 「象と鯨図屏風」 ★こちらで観られます
これが見たくて後期も行く気になりました。大きな6曲1双の屏風で、左隻は頭だけ出して潮を吹く鯨が描かれています。周りの波は山のようにうねり、飛沫はくるくるとした感じで描かれています。鯨の体は「たらしこみ」の技法で描かれているらしく、少し濃淡がありました。右隻は白い象が水辺で休んでいる所が描かれていて、鼻を高くあげ鼻先は渦を巻いています。また、大きな耳と目、長く尖った牙などデフォルメされている感じがしました。
よく観ると右隻と左隻は波で繋がっていて、白と黒、陸と海という対比の構図が面白かったです。間近で観るとかなり迫力があって大満足です。
109 110 松本奉時 「白象図」「鯨図」
これは2枚セットの掛け軸で、作者は若冲と同時代くらいの人です。これは先ほどの若冲の「象と鯨図屏風」の隣に展示されていたのですが、象と鯨のそれぞれがそっくり描かれていました。微妙なところの表現は違いますが、かなり似ているので若冲の作品を観たのかも。
112 伊藤若冲 「白象群獣図」
これは最晩年の作らしいです。先ほどの「象と鯨図屏風」で出てきた象と似た象が描かれ、周りには黒豹みたいな動物や龍などもいます。しかし驚くべきはその表現で、升目描きで描かれタイル絵のような感じの作品となっています。水墨と胡粉を主に用いて描いているそうで、多少色はありますがモノクロの升目描きと言えそうです。中々に驚かされる1枚でした。
なお、この作品のすぐ近くには前回ご紹介した升目描きの大作「樹花鳥獣図屏風」(111)も展示されています。升目描きの2枚を一挙に観られるのは嬉しい限り。
082 伊藤若冲 「牡丹・百合図」
左が百合、右が牡丹の2枚セットです。百合の花は白く透き通るような表現で、透明感があります。また、花の上にとまる虫は非常に細かく描かれているのも目を引きます。 右の牡丹は鮮やかでどこか妖しさを感じるような色彩で描かれていました。解説によると、この作品当時の沈 南蘋(しん なんびん)画風の流行に影響を受けたそうです。
この作品の隣にも百合を描いた作品があったのですが、この作品と表現が異なっていました。この部屋だけでも色々な作風が並び、驚きと発見が多かったです。
<第4章 晩年期-多用なる展開>
ここからは第2会場です。
150 伊藤若冲 「蓑笠槌図」
流れる強い筆で描かれた蓑を背景に、円形の笠、打ち出の小槌が描かれています。これらは大黒様の象徴らしく、吉祥の意味が込められているそうです。また、よく観ると小槌の表面には筋目描きで年輪を表現しているのが分かりました。質感を出そうとしたのかな? 大胆な所と細部までこだわる緩急が凄いです。
この作品の近くには若冲にしては珍しい女性を描いた作品などもありました。
138 伊藤若冲 「五百羅漢図」
大勢の羅漢が渡水する様子を描いた作品です。デフォルメされていますが1人1人細かく描かれていて、生き生きとしていました。何か楽しそうな雰囲気すらします。
この辺りは個人像の作品が多く並んでいました。これだけ多く質の高いの作品を出品して頂けることに感謝したいです。
073 伊藤若冲 「蜃気楼図」
ハマグリが蜃気楼を吐く様子を描いた作品です。掛け軸の下の方に少し開いたハマグリが描かれ、そこから曲線が出ていて蜃気楼を吐き出しているように見えます。また、掛け軸の上部には筋目描きなどで描かれた楼閣があり、正に「蜃気楼」という感じで面白い作品でした。
豆知識ですが「蜃」というのは大ハマグリのことで、昔の人は蜃気楼はハマグリが吐いていると考えていました。
124 伊藤若冲 「花鳥版画」
木にとまる鳥が描かれた色つきの版画です。かなりデフォルメされた感じで、色合いがのっぺりしているように思いましたが、微妙なグラデーションができています。木の葉っぱに小さな無数の白い点で雪が描かれていたのが驚きでした。
143 伊藤若冲 「群鶏図押絵貼屏風」
6曲1双の屏風で、1曲ごとにちょっとずつ違う鶏が描かれています。下を向いて長い尾を振るような構図が多く、躍動的でどこか優雅な雰囲気があります。濃淡、デフォルメ、刷毛目、筋目など様々な要素があって大胆さと繊細さの使い分けも見事でした。 解説によると、これは晩年の基準作と言えるそうです。
167 伊藤若冲 「鶏図」
背中に3匹のひよこを乗せておぶっている雄鶏と、その足元でちらっと顔をみせる雌鳥が描かれた作品です。実際にはありえないとは思いますが、家族揃った微笑ましい光景でした。若冲の生き物への愛情を感じます。
169 170 伊藤若冲 「亀図」「霊亀図」
ほぼ同じに見える2枚の亀図です。横向きの姿で、胴から下の部分は画面の右にはみ出し、尻尾のような毛だけが上部で再び画面に戻ってきているのが面白かったです。 解説によるとこの作品は没年に描かれたものだそうで、88歳の作と落款しているようですが、実際には1歳鯖を読んでるようです。何故そうしたかと言うと、88歳(米寿)は長寿のお目出度い意味があるそうで、長寿を祈願して依頼されたもののようでした。(だから亀なのかも)
134 伊藤若冲 「鶏図」
8枚の襖絵で凄い迫力がある作品でした。1枚に3羽ずつ鶏が描かれ、自由奔放な感じがします。1枚にごとに背景の植物が違うなど、じっくり観ていても飽きませんでした。こういうセットものが一気に出てくるのがこの展覧会の凄いところです。(しかも何セットもあるw)
157 伊藤若冲 「蔬菜図押絵貼屏風」
6曲1双の屏風です。大胆にデフォルメされた野菜が並ぶ屏風で、青物問屋の息子の面目躍如と解説されていましたw かぼちゃ、きのこ、なす、大根、かぶ?など画面からはみ出すくらい大きく描かれた野菜が力強かったです。
119 伊藤若冲 「乗興舟」 ★こちらで観られます
これは今回のポスターにもなっている巻物の作品です。黒地に白で描かれていて、淀川下りの想い出を描いているそうです。その色合いのせいか静けさが漂うように思いました。 隣にはこの作品の版木も展示されていました。
ということで、後期の方が面白いように思えました。千葉の展示ももうすぐ終わってしまいますがお勧めの展覧会です。
・・・前回行った際の記事で、同時開催の「江戸みやげ」は次に行った時にしっかり観てくる!と言いましたが、あれは嘘になりましたw またもや若冲展の充実っぷりに時間と精神力を使い切ってしまったので流し観でした。というか、「江戸みやげ」の部屋も使って1期制にしてくれればいいのにw
おまけ:
美術館の前に咲いていたアジサイが綺麗でした。


・・・この日は休み取って良かった。ワールドカップで日本がデンマークに勝ったおかげで寝不足気味ですw
前期の記事はこちら
伊藤若冲 アナザーワールド (千葉市美術館)


【展覧名】
伊藤若冲 アナザーワールド
【公式サイト】
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2010/0522/0522.html
【会場】千葉市美術館
【最寄】千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など
【会期】
前期:2010年5月22日(土)~6月06日(日)
後期:2010年6月08日(火)~6月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度 + 0時間30分程度(併設展 江戸みやげ 所蔵浮世絵名品選)
【混み具合・混雑状況(平日15時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
前回、土曜の夕方に行った時は勿体無いくらい空いていましたが、この日は平日の午後に行ったにも関わらず結構人が入っていて、1作品に1人ついているくらいの適度な盛況ぶりでした。(それでもじっくり観る余裕はありました) また、前期・後期の入れ替えは思った以上に多く、半分以上は変わってたんじゃないかな。後期の方が充実してるかも?と思いながら観てきました。
さて、今回も気に入った作品をご紹介しようと思うのですが、各章の趣旨や若冲の変遷などについては前回の記事でご紹介したので、今回は割愛しようかと思います。(前回ご紹介した作品も割愛します) 似た作品名が多いので一応作品リストの番号をつけておきます。
<第1章 若冲前史>
このコーナーは比較的前期との入れ替えは少なかったかな。
006 佚山 「花鳥図屏風」
これは前期の記事でもご紹介した6曲の屏風ですが、今回は右隻に変わっていました。1曲ごとに花や、鷹、鴨、鶏、孔雀(他にも名前が分からない鳥)などの花鳥が描かれ非常に鮮やかな色彩で細かく若冲に通じる表現でした。
011 鶴亭 「墨竹図」
墨で描かれた10本くらいの竹の絵で、濃淡で遠近感や霧が漂うような感じが出ています。解説によると若冲の早い時期の墨竹と共通点が観られるそうです。
<第2章 初期作-模索の時代>
この辺りから前期とガラっと内容が変わっていました。
057 伊藤若冲 「蓮・牡丹図」
左幅が蓮、右幅が牡丹の描かれた2枚セットの掛け軸です。蓮は大きく描かれ、ダイナミックで少し荒々しい雰囲気もします。この蓮の形は、前回の記事でご紹介した「花鳥蔬菜図押絵貼屏風」(055)に描かれた蓮と似た形をしていました。
また、牡丹の方は薄めの墨の花と濃い黒の葉っぱのコントラストが強めで、うっそうとした感じがします。解説によると、この作品も「牡丹・百合図」(082)と共通しているとのことでした。今回の展示ではこうした似た作品を同じタイミングで比較できるのも面白いです。
026 伊藤若冲 「葡萄図」
左上から右下の方に向かって伸びている葡萄が描かれた掛け軸です。葉っぱは1枚1枚丁寧に描かれていて、同じ葉っぱの中でも微妙なグラデーションが観られます。 また、虫食いされた葉っぱの穴の表現や螺旋を描く蔓が生命感を感じさせ、優美さも感じました。解説によると、これは中国の絵画の模写を経て自己の様式を確立してきた頃の作品だそうで、濃淡で葉や房の立体感が出ているとのことでした。
035 伊藤若冲 「髑髏図」
黒地に白抜きされたようにドクロが描かれた掛け軸で、強烈なコントラストでリアルなドクロが浮いているように見えます。上部には賛があり「一霊皮袋、皮袋一霊」と書かれていました。これは、「人間は皮袋、即ち現実の体」という意味だそうです。(その意味が難しいですがw) 中々インパクトのある作品でした。
036 伊藤若冲 「烏賊図」
2匹の烏賊(イカ)が泳いでいる様子を書いた作品です。ちょっとボリュームのあるイカがふわ~っと漂う感じがして、長い足がくるっと丸まっているのが可愛らしいです。よく観るとイカの甲を表現するのに筋目描きの手法が使われていました。
なお、この先も何度も筋目描きについて言及するのでおさらいしますと、これは紙に墨を滲ませた時に墨面同士の境界に生じる線を利用した手法です。大体、縞模様のようになっている表現をする際に使われています。 この作品は比較的初期のものですが、既に筋目描きについてはかなり手馴れているようでした。
027 伊藤若冲 「花卉双鶏図」
これは色彩豊かな掛け軸です。沢山の花をつける木の下に2羽の鶏、木の枝には4羽の鳥たちがとまっている様子が描かれています。 鶏は円を周るようにお互いを見ている感じで、非常に細かく描かれていてよく観察しているのを感じます。 解説によると、鶏を描いた初期の作品で、鶏の扱いが控えめらしく、色彩や構成は南蘋派の影響を受けているそうです。私としては若冲の作品としては少し薄い色彩に感じたかな。
043 伊藤若冲 「寒山拾得図」
2枚セットの掛け軸です。左はこちらを見てニコっと笑う人が描かれていて、無邪気で微笑ましい雰囲気があります。体全体が茄子みたいな形に見えるw 右は後姿の人です。 簡略化された感じで、解説によると持ち物などを含めて図形的な造型感覚が見られるそうです。
049 伊藤若冲 「雷神図」
太鼓を手に持って真逆さまに落ちてくる雷様を描いた作品です。その姿はユーモラスで親しみがある感じで面白いです。また、上部にある黒雲は大胆に走るように描かれていて、力強くて風が吹いているように見えました。
076 伊藤若冲 「芭蕉白鶴図」
やや後ろ向きの白い鶴が立っている姿を描かれています。背中の曲線が緩やかでボリューム感と優美さを感じます。また、背景の芭蕉の葉っぱは筋目描きの手法で丁寧に描かれていたのも目を引きました。
この辺は海老、鶏、鷹、鶴、蛙などの生き物のユーモラスな姿を描いた作品が多かったです。
053 伊藤若冲 「双鶴図・霊亀図」
2枚セットの掛け軸で、左には2羽の鶴、右には亀が描かれています。どちらもユーモラスなデフォルメがあり、鶴は先ほどの作品(076)の鶴よりもさらにボリューム感がありました。 亀は、甲羅を筋目描きの表現で描かれ、甲羅の後ろに伸びる尻尾のような毛は真っ黒で豪快な筆で描かれていました。 亀の顔がちょっと漫画みたいで可愛いw
<第3章 着色画と水墨画>
このコーナーは前期も凄かったけど、後期は必見の作品がありました。
108 伊藤若冲 「象と鯨図屏風」 ★こちらで観られます
これが見たくて後期も行く気になりました。大きな6曲1双の屏風で、左隻は頭だけ出して潮を吹く鯨が描かれています。周りの波は山のようにうねり、飛沫はくるくるとした感じで描かれています。鯨の体は「たらしこみ」の技法で描かれているらしく、少し濃淡がありました。右隻は白い象が水辺で休んでいる所が描かれていて、鼻を高くあげ鼻先は渦を巻いています。また、大きな耳と目、長く尖った牙などデフォルメされている感じがしました。
よく観ると右隻と左隻は波で繋がっていて、白と黒、陸と海という対比の構図が面白かったです。間近で観るとかなり迫力があって大満足です。
109 110 松本奉時 「白象図」「鯨図」
これは2枚セットの掛け軸で、作者は若冲と同時代くらいの人です。これは先ほどの若冲の「象と鯨図屏風」の隣に展示されていたのですが、象と鯨のそれぞれがそっくり描かれていました。微妙なところの表現は違いますが、かなり似ているので若冲の作品を観たのかも。
112 伊藤若冲 「白象群獣図」
これは最晩年の作らしいです。先ほどの「象と鯨図屏風」で出てきた象と似た象が描かれ、周りには黒豹みたいな動物や龍などもいます。しかし驚くべきはその表現で、升目描きで描かれタイル絵のような感じの作品となっています。水墨と胡粉を主に用いて描いているそうで、多少色はありますがモノクロの升目描きと言えそうです。中々に驚かされる1枚でした。
なお、この作品のすぐ近くには前回ご紹介した升目描きの大作「樹花鳥獣図屏風」(111)も展示されています。升目描きの2枚を一挙に観られるのは嬉しい限り。
082 伊藤若冲 「牡丹・百合図」
左が百合、右が牡丹の2枚セットです。百合の花は白く透き通るような表現で、透明感があります。また、花の上にとまる虫は非常に細かく描かれているのも目を引きます。 右の牡丹は鮮やかでどこか妖しさを感じるような色彩で描かれていました。解説によると、この作品当時の沈 南蘋(しん なんびん)画風の流行に影響を受けたそうです。
この作品の隣にも百合を描いた作品があったのですが、この作品と表現が異なっていました。この部屋だけでも色々な作風が並び、驚きと発見が多かったです。
<第4章 晩年期-多用なる展開>
ここからは第2会場です。
150 伊藤若冲 「蓑笠槌図」
流れる強い筆で描かれた蓑を背景に、円形の笠、打ち出の小槌が描かれています。これらは大黒様の象徴らしく、吉祥の意味が込められているそうです。また、よく観ると小槌の表面には筋目描きで年輪を表現しているのが分かりました。質感を出そうとしたのかな? 大胆な所と細部までこだわる緩急が凄いです。
この作品の近くには若冲にしては珍しい女性を描いた作品などもありました。
138 伊藤若冲 「五百羅漢図」
大勢の羅漢が渡水する様子を描いた作品です。デフォルメされていますが1人1人細かく描かれていて、生き生きとしていました。何か楽しそうな雰囲気すらします。
この辺りは個人像の作品が多く並んでいました。これだけ多く質の高いの作品を出品して頂けることに感謝したいです。
073 伊藤若冲 「蜃気楼図」
ハマグリが蜃気楼を吐く様子を描いた作品です。掛け軸の下の方に少し開いたハマグリが描かれ、そこから曲線が出ていて蜃気楼を吐き出しているように見えます。また、掛け軸の上部には筋目描きなどで描かれた楼閣があり、正に「蜃気楼」という感じで面白い作品でした。
豆知識ですが「蜃」というのは大ハマグリのことで、昔の人は蜃気楼はハマグリが吐いていると考えていました。
124 伊藤若冲 「花鳥版画」
木にとまる鳥が描かれた色つきの版画です。かなりデフォルメされた感じで、色合いがのっぺりしているように思いましたが、微妙なグラデーションができています。木の葉っぱに小さな無数の白い点で雪が描かれていたのが驚きでした。
143 伊藤若冲 「群鶏図押絵貼屏風」
6曲1双の屏風で、1曲ごとにちょっとずつ違う鶏が描かれています。下を向いて長い尾を振るような構図が多く、躍動的でどこか優雅な雰囲気があります。濃淡、デフォルメ、刷毛目、筋目など様々な要素があって大胆さと繊細さの使い分けも見事でした。 解説によると、これは晩年の基準作と言えるそうです。
167 伊藤若冲 「鶏図」
背中に3匹のひよこを乗せておぶっている雄鶏と、その足元でちらっと顔をみせる雌鳥が描かれた作品です。実際にはありえないとは思いますが、家族揃った微笑ましい光景でした。若冲の生き物への愛情を感じます。
169 170 伊藤若冲 「亀図」「霊亀図」
ほぼ同じに見える2枚の亀図です。横向きの姿で、胴から下の部分は画面の右にはみ出し、尻尾のような毛だけが上部で再び画面に戻ってきているのが面白かったです。 解説によるとこの作品は没年に描かれたものだそうで、88歳の作と落款しているようですが、実際には1歳鯖を読んでるようです。何故そうしたかと言うと、88歳(米寿)は長寿のお目出度い意味があるそうで、長寿を祈願して依頼されたもののようでした。(だから亀なのかも)
134 伊藤若冲 「鶏図」
8枚の襖絵で凄い迫力がある作品でした。1枚に3羽ずつ鶏が描かれ、自由奔放な感じがします。1枚にごとに背景の植物が違うなど、じっくり観ていても飽きませんでした。こういうセットものが一気に出てくるのがこの展覧会の凄いところです。(しかも何セットもあるw)
157 伊藤若冲 「蔬菜図押絵貼屏風」
6曲1双の屏風です。大胆にデフォルメされた野菜が並ぶ屏風で、青物問屋の息子の面目躍如と解説されていましたw かぼちゃ、きのこ、なす、大根、かぶ?など画面からはみ出すくらい大きく描かれた野菜が力強かったです。
119 伊藤若冲 「乗興舟」 ★こちらで観られます
これは今回のポスターにもなっている巻物の作品です。黒地に白で描かれていて、淀川下りの想い出を描いているそうです。その色合いのせいか静けさが漂うように思いました。 隣にはこの作品の版木も展示されていました。
ということで、後期の方が面白いように思えました。千葉の展示ももうすぐ終わってしまいますがお勧めの展覧会です。
・・・前回行った際の記事で、同時開催の「江戸みやげ」は次に行った時にしっかり観てくる!と言いましたが、あれは嘘になりましたw またもや若冲展の充実っぷりに時間と精神力を使い切ってしまったので流し観でした。というか、「江戸みやげ」の部屋も使って1期制にしてくれればいいのにw
おまけ:
美術館の前に咲いていたアジサイが綺麗でした。


・・・この日は休み取って良かった。ワールドカップで日本がデンマークに勝ったおかげで寝不足気味ですw
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三鷹市美術ギャラリー⇒武蔵野市立吉祥寺美術館と周った後、流石に疲れたので吉祥寺パルコの1Fにある「近江屋」というカフェでお茶してきました。

【店名】
近江屋
【ジャンル】
カフェ
【公式サイト】
http://www.parco-kichijoji.com/page/shop/detail/?id=75
食べログ
http://r.tabelog.com/tokyo/A1320/A132001/13015906/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
吉祥寺駅
【近くの美術館】
武蔵野市立吉祥寺美術館
三鷹市立アニメーション美術館
三鷹の森ジブリ美術館
三鷹市美術ギャラリー
井の頭公園 など
【この日にかかった1人の費用】
650円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日18時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
このお店は吉祥寺の繁華街の中の交差点の角にあるため非常に見つけやすいお店です。1Fと2Fの入口があるようで、私は1Fから入って2Fから出て行きました。
2Fの入口はこんな感じ。

2Fにはテラスもあるようでした。

この日は1Fは混んでいたので2Fで席を取ることにしました。1Fは混んでいてちょっと狭い感じもしますが、2Fは比較的落ち着いていました。
この日、私は水出しのダッチコーヒー(680円)にしました。

非常に濃厚でコクが深いですが、後味がすっきりしていました。(酸っぱさは全く無い) かなり美味しくて、アイスなのに香りも芳醇だったのも満足できました。氷も無いので薄くならないのも良いです。水出しはこの時期は特に美味しい^^
連れはレモネード(630円)を飲んでいました。

ちょっとだけ飲んでみました。酸っぱいのが苦手な私にはちょっと酸っぱく感じましたが、いかにもレモンという香りと鮮烈さがあって爽やかです。 レモンとシロップの割合が良くさっぱりしているのも美味しかったです。
この日は1杯しか飲みませんでしたが、このお店は2杯目以降の飲み物の注文は半額となるようです。他の飲み物やアルコールも半額になるというのが凄い!

・・・最初に安いのを飲んで、2杯3杯飲めばお得かも!と貧乏性なことばかり考えていましたw
ということで、繁盛していてちょっと混んでますが、良いティータイムを過ごすことが出来ました。美術館目的でなくても吉祥寺は人気スポットですので、機会があったら選択肢に入れてみるのも良いかと思います(この辺は良さそうな店が多くて迷いますがw)


【店名】
近江屋
【ジャンル】
カフェ
【公式サイト】
http://www.parco-kichijoji.com/page/shop/detail/?id=75
食べログ
http://r.tabelog.com/tokyo/A1320/A132001/13015906/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
吉祥寺駅
【近くの美術館】
武蔵野市立吉祥寺美術館
三鷹市立アニメーション美術館
三鷹の森ジブリ美術館
三鷹市美術ギャラリー
井の頭公園 など
【この日にかかった1人の費用】
650円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日18時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
このお店は吉祥寺の繁華街の中の交差点の角にあるため非常に見つけやすいお店です。1Fと2Fの入口があるようで、私は1Fから入って2Fから出て行きました。
2Fの入口はこんな感じ。

2Fにはテラスもあるようでした。

この日は1Fは混んでいたので2Fで席を取ることにしました。1Fは混んでいてちょっと狭い感じもしますが、2Fは比較的落ち着いていました。
この日、私は水出しのダッチコーヒー(680円)にしました。

非常に濃厚でコクが深いですが、後味がすっきりしていました。(酸っぱさは全く無い) かなり美味しくて、アイスなのに香りも芳醇だったのも満足できました。氷も無いので薄くならないのも良いです。水出しはこの時期は特に美味しい^^
連れはレモネード(630円)を飲んでいました。

ちょっとだけ飲んでみました。酸っぱいのが苦手な私にはちょっと酸っぱく感じましたが、いかにもレモンという香りと鮮烈さがあって爽やかです。 レモンとシロップの割合が良くさっぱりしているのも美味しかったです。
この日は1杯しか飲みませんでしたが、このお店は2杯目以降の飲み物の注文は半額となるようです。他の飲み物やアルコールも半額になるというのが凄い!

・・・最初に安いのを飲んで、2杯3杯飲めばお得かも!と貧乏性なことばかり考えていましたw
ということで、繁盛していてちょっと混んでますが、良いティータイムを過ごすことが出来ました。美術館目的でなくても吉祥寺は人気スポットですので、機会があったら選択肢に入れてみるのも良いかと思います(この辺は良さそうな店が多くて迷いますがw)
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前回ご紹介した三鷹市美術ギャラリーのアルフォンス・ミュシャ展を観た後、1駅お隣の吉祥寺に移動して武蔵野市立吉祥寺美術館で「小畠鼎子展 青龍社とともに歩んだ女性画家」を観てきました。この画家のことは知りませんでしたが、ポスターを観て気になっていました。

【展覧名】
小畠鼎子展 青龍社とともに歩んだ女性画家
【公式サイト】
http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/data/kikaku/2010/kobatake/kobatake.html
http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/
【会場】武蔵野市立吉祥寺美術館
【最寄】吉祥寺駅
【会期】2010年5月29日(土)~7月4日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
まず、展覧会以上に気になっていたのが、伊勢丹が吉祥寺から撤退したことで、武蔵野市立吉祥寺美術館はどうなるんだろ?ということでした。どうやら、1F部分は別の商業施設となっていて、エスカレーターでは上にあがれず、2~6階には止まらないエレベーターで美術館に直結するようになっていました。(今、エレベーターが止まらない階も新しい商業施設を作っているようです。)
さて、今回の展覧会についてですが、小畠鼎子(こばたけ ていこ)という1898年~1954年に生きた女性画家の展覧会となっていました。この人は最初は池上秀畝(いけがみしゅうほ)に師事していたようですが、やがて川端龍子(かわばた りゅうし)の門下となり、川端龍子が設立した青龍社のメンバーとして活躍したようです。 当時の日本画は「床の間芸術」が主流だったのに対して、龍子達は大作主義の「会場芸術」を唱えていたそうで、今回の展覧会でも大きなサイズの作品がいくつもありました。また、小畠鼎子は吉祥寺に住んで井の頭公園などの絵も描いていたそうなので、吉祥寺の美術館に相応しい展覧会のようでした。
今回もいくつか気に入った作品をメモしてきたのでご紹介しようと思います。解説は少なめでしたので、ほとんど私の感想のみとなります。なお、会場は非常に空いていてゆっくり見られました。
小畠鼎子 「鴨遊図」 ★こちらで観られます
7匹の鴨が下方に向かって泳いでいる様子が描かれています。緑色の池の上をすいすい泳いでいるのが伝わってくるような波の表現に流れを感じます。色彩が微妙に変化しつつも鮮やかなのも良かったです。解説によるとこれは井の頭公園の鴨たちのようで、初期はこうした花鳥をよく描いていたそうです。
小畠鼎子 「青艶」 ★こちらで観られます
緑を背景に大きな白い芍薬の花が沢山咲いていて、その花々の中に羽の長い孔雀が休んでいる様子を描いています。装飾的な雰囲気で、緑に白が非常に映えていました。
小畠鼎子 「蓮華つつじ」 ★こちらで観られます
オレンジに染まる木が描かれた作品です。葉の緑や赤い花、白い枝などが装飾的で、どこか琳派の作品を思い起こしました。大きめの作品なので、鮮やかな色合いが壮観な作品でした。
小畠鼎子 「燕子花」
6曲の屏風です。左下から右上へ向かうように葉っぱが並び、ところどころに赤い杜若が描かれています。その花の中で1つだけ白い花が目を引きました。この人の作品はこうした色彩が好みにあうものが多かったです。
この辺にはケシのスケッチなどもありました。
小畠鼎子 「増産」 ★こちらで観られます
サツマイモを引き抜く女性を描いた作品です。白いシャツに白い鉢巻、黒いモンペのようなものを履いた姿で、どうやら戦時中の作品のようです(1944年作) 当時の食料事情なども察することができますが、鮮やかな画面からは力強く爽やかな印象を受けました。なお、こうした人物像を描くのは珍しいことのようです。
小畠鼎子 「印度更紗」
幾何学的な更紗の上に置かれた壷とバナナの静物画です。更紗の赤や茶の上の黄色のバナナが非常に目立ちました。また、平面的な表現で描かれているように思いました。
小畠鼎子 「黒い太陽」 ★こちらで観られます
パラボナアンテナの骨組みのようなものの下から空を見上げた構図の作品です。空では皆既日食が起きて太陽が黒くなっています。まさに黒く輝いているようで、神秘的で少し怖さを感じる風景となっていました。解説によると、これは1955年のスリランカでの日蝕を描いたそうです。
この辺は棕櫚や木蓮を描いた作品などもありました。いずれもカラフルな色彩です。
小畠鼎子 「葵」 ★こちらで観られます
これは黄蜀葵(トロロアオイ)という種類の植物を描いたもので、黒いつぼみで中は金色の花が描かれています。また、斜めに向かって延びる枝や葉っぱも伸びやかに描かれ、葉っぱの一部も金色に光っていました。解説によるとこの作品は晩年の作のようで、この作品を描いた次の年に亡くなったそうです。
小畠鼎子 「紅梅」
これは出入口付近にあった作品で、ジグザグの太い幹の梅が描かれています。背景には金が撒かれピンクの花が映えて華やかな雰囲気を湛えていました、
ということで、小展ながらも楽しめました。この後、常設の浜口陽三記念室と萩原英雄記念室も観てきましたが、こちらについては感想は割愛します。これら全部あわせて100円で観られるというコストパフォーマンスはかなり良いと思います(ぐるっとパスなら提示で入れるし) 吉祥寺に行ったら、武蔵野市立吉祥寺美術館をさらっと観に行ってみるのも良いかと思います。


【展覧名】
小畠鼎子展 青龍社とともに歩んだ女性画家
【公式サイト】
http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/data/kikaku/2010/kobatake/kobatake.html
http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/
【会場】武蔵野市立吉祥寺美術館
【最寄】吉祥寺駅
【会期】2010年5月29日(土)~7月4日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
まず、展覧会以上に気になっていたのが、伊勢丹が吉祥寺から撤退したことで、武蔵野市立吉祥寺美術館はどうなるんだろ?ということでした。どうやら、1F部分は別の商業施設となっていて、エスカレーターでは上にあがれず、2~6階には止まらないエレベーターで美術館に直結するようになっていました。(今、エレベーターが止まらない階も新しい商業施設を作っているようです。)
さて、今回の展覧会についてですが、小畠鼎子(こばたけ ていこ)という1898年~1954年に生きた女性画家の展覧会となっていました。この人は最初は池上秀畝(いけがみしゅうほ)に師事していたようですが、やがて川端龍子(かわばた りゅうし)の門下となり、川端龍子が設立した青龍社のメンバーとして活躍したようです。 当時の日本画は「床の間芸術」が主流だったのに対して、龍子達は大作主義の「会場芸術」を唱えていたそうで、今回の展覧会でも大きなサイズの作品がいくつもありました。また、小畠鼎子は吉祥寺に住んで井の頭公園などの絵も描いていたそうなので、吉祥寺の美術館に相応しい展覧会のようでした。
今回もいくつか気に入った作品をメモしてきたのでご紹介しようと思います。解説は少なめでしたので、ほとんど私の感想のみとなります。なお、会場は非常に空いていてゆっくり見られました。
小畠鼎子 「鴨遊図」 ★こちらで観られます
7匹の鴨が下方に向かって泳いでいる様子が描かれています。緑色の池の上をすいすい泳いでいるのが伝わってくるような波の表現に流れを感じます。色彩が微妙に変化しつつも鮮やかなのも良かったです。解説によるとこれは井の頭公園の鴨たちのようで、初期はこうした花鳥をよく描いていたそうです。
小畠鼎子 「青艶」 ★こちらで観られます
緑を背景に大きな白い芍薬の花が沢山咲いていて、その花々の中に羽の長い孔雀が休んでいる様子を描いています。装飾的な雰囲気で、緑に白が非常に映えていました。
小畠鼎子 「蓮華つつじ」 ★こちらで観られます
オレンジに染まる木が描かれた作品です。葉の緑や赤い花、白い枝などが装飾的で、どこか琳派の作品を思い起こしました。大きめの作品なので、鮮やかな色合いが壮観な作品でした。
小畠鼎子 「燕子花」
6曲の屏風です。左下から右上へ向かうように葉っぱが並び、ところどころに赤い杜若が描かれています。その花の中で1つだけ白い花が目を引きました。この人の作品はこうした色彩が好みにあうものが多かったです。
この辺にはケシのスケッチなどもありました。
小畠鼎子 「増産」 ★こちらで観られます
サツマイモを引き抜く女性を描いた作品です。白いシャツに白い鉢巻、黒いモンペのようなものを履いた姿で、どうやら戦時中の作品のようです(1944年作) 当時の食料事情なども察することができますが、鮮やかな画面からは力強く爽やかな印象を受けました。なお、こうした人物像を描くのは珍しいことのようです。
小畠鼎子 「印度更紗」
幾何学的な更紗の上に置かれた壷とバナナの静物画です。更紗の赤や茶の上の黄色のバナナが非常に目立ちました。また、平面的な表現で描かれているように思いました。
小畠鼎子 「黒い太陽」 ★こちらで観られます
パラボナアンテナの骨組みのようなものの下から空を見上げた構図の作品です。空では皆既日食が起きて太陽が黒くなっています。まさに黒く輝いているようで、神秘的で少し怖さを感じる風景となっていました。解説によると、これは1955年のスリランカでの日蝕を描いたそうです。
この辺は棕櫚や木蓮を描いた作品などもありました。いずれもカラフルな色彩です。
小畠鼎子 「葵」 ★こちらで観られます
これは黄蜀葵(トロロアオイ)という種類の植物を描いたもので、黒いつぼみで中は金色の花が描かれています。また、斜めに向かって延びる枝や葉っぱも伸びやかに描かれ、葉っぱの一部も金色に光っていました。解説によるとこの作品は晩年の作のようで、この作品を描いた次の年に亡くなったそうです。
小畠鼎子 「紅梅」
これは出入口付近にあった作品で、ジグザグの太い幹の梅が描かれています。背景には金が撒かれピンクの花が映えて華やかな雰囲気を湛えていました、
ということで、小展ながらも楽しめました。この後、常設の浜口陽三記念室と萩原英雄記念室も観てきましたが、こちらについては感想は割愛します。これら全部あわせて100円で観られるというコストパフォーマンスはかなり良いと思います(ぐるっとパスなら提示で入れるし) 吉祥寺に行ったら、武蔵野市立吉祥寺美術館をさらっと観に行ってみるのも良いかと思います。
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10日ほど前の土曜日に、三鷹の「三鷹市美術ギャラリー」で「生誕150年記念 アルフォンス・ミュシャ展」を観てきました。この展覧会は思った以上の充実振りで、ミュシャの変遷を知ることができる素晴らしい内容となっていました。

【展覧名】
生誕150年記念 アルフォンス・ミュシャ展
【公式サイト】
http://mitaka.jpn.org/ticket/100522g/
【会場】三鷹市美術ギャラリー
【最寄】三鷹駅
【会期】2010年 5月22日(土)~7月4日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間20分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
この美術館は最近面白い展示が多いように思いますが、今までそんなに混んでいることがなかったので、空いているのでは?と予想していたら、若い人を中心に結構混んでいました。場所によっては列を組むくらいの盛況ぶりで、ミュシャの人気が伺えます。
さて、展示の内容についてですが、大きく3つの時代に分けて構成されていました。有名な作品の多いパリの時代、アメリカへ活動の場を移した時代、故郷のチェコに戻った時代の3つです。詳しくはいつもどおり気に入った作品を通して各章ごとにご紹介しようと思います。
<第1章 パリ時代>
まず、ミュシャが名声を得たパリ時代についてのコーナーです。ミュシャはチェコの生まれで、今年で生誕150周年となります。 地元の大地主(クーエン・ブラシ伯爵)の援助を受けてパリに出てアカデミー派の美術を学びましたが、原因不明で援助の資金が打ち切られてしまい、絵画の勉強を諦めて本や雑誌の挿絵を描いて生計を立てるようになりました。そうした生活がしばらく続いていたようですが、やがて彼の元に女優のサラ・ベルナールから芝居の公演ポスター「ジスモンダ」の依頼が舞い込み、それがきっかけでミュシャは世の中の脚光を浴びるようになっていきました。
このコーナーでは、そうした初期のアカデミックな作品から、サラ・ベルナールの芝居などのポスター、挿絵、広告、商品の包みなど様々なものが展示されていました。
アルフォンス・ミュシャ 「ローマの火災を見つめるネロ」
これは油彩画です。全体に赤みがかった画面で、神殿のような建物の階段で沢山の人たちが火事を見ているようすが描かれています。題名から察するに見ているのは暴君ネロかな? 火事自体は画面の右外のあたりにあるようで、画面には描かれておらず、想像を掻き立てるような絵でした。恐らくこれはアカデミーで学んでいた頃の作品だと思います。
この辺にはデッサンのコーナーもあり緻密な筆跡を見ることができました。
アルフォンス・ミュシャ 「瞑想」
これはグアッシュの作品で、白いドレスの女性がうなだれてベンチ?に座っている様子が描かれています。薄暗く神秘的な雰囲気があり、解説によるとパリの象徴主義の影響を受けているそうです。確かにこの辺にはルドンのような雰囲気の作品もありました。
ミュシャは最初、絵画に目を向けていたようです。チェコとスラブの歴史を描きたかったそうで、この願いは後々に実現させていくことになります。
アルフォンス・ミュシャ 「戴冠式:『ドイツ史の諸場面とエピソード』挿絵(下絵)」
ドイツ史の本の挿絵にした絵の下絵です。王宮での戴冠式が様子を非常に細かく写実的に描かれていました。この辺は本の挿絵が2枚並んでいて、挿絵で生計を立てていた頃の様子が伺えました。
アルフォンス・ミュシャ 「フルショヴァニー城の衝立(西風とニンフ)」
これは援助してくれていたクーエン・ブラシ伯爵の城にあった衝立です。人の背丈くらいある大きなもので、観音開きのようになっています。真ん中には擬人化された笛を吹く西風と裸婦(ニンフ)が描かれ、背景は森の木々となっています。また、左右には果物と花が描かれていて華やかで装飾的な雰囲気がありました。解説によると後のミュシャの予兆を垣間見ることができるそうで、確かに優美なものを感じました。
アルフォンス・ミュシャ 「1900年パリ万博博覧会『人類館』の第2案(下絵)」
これはちょっと驚いた作品。パリ万博の「人類館」を構想した下絵なのですが、エッフェル塔の2階以上を解体して巨大な円形ドームと人物の彫刻を無数に置こうと考えていたようです。何故エッフェル塔の上にこのようなものを?と疑問に思いましたが、解説によると前回のパリ万博ではエッフェル塔を作るなど、機械文明と物質主義が中心だったために、その是非を問う意味が含まれているそうです。 この辺には他にもパリ万博関連の作品が並んでいました。
アルフォンス・ミュシャ 「サロン・デ・サン第20回展」
続いてはポスターのコーナーでした。これは展覧会のポスターで、ロートレックやボナールも展覧会を行った場所で行われたそうです。絵筆と羽ペンを持って頬杖を付く上半身裸の女性が描かれ、うっとりとした表情を浮かべています。頭に巻いたベールは胸まで垂れ下がり、そこには星が散りばめられていました。この女性は「美術」を寓意的に表現したそうで、線の細い優美な雰囲気がありました。
アルフォンス・ミュシャ 「巻きタバコ用紙ジョブ(1896年)」
煙草を吸う女性の絵で、先ほどの展覧会のポスターの女性と似た表情をしています。(ちょっとこちらの方が恍惚のような表情かな。) 髪の先が円を描くように巻かれているのが流麗で、アールヌーボーらしい曲線美に思いました。
この辺にはこうした広告が結構並んでいて、チョコやビスケットの宣伝ポスターや、ビスケットの箱やラベルなどもありました。作成年を見ると「ジスモンダ」よりも後なので売れてきた後に依頼されたものかな。
アルフォンス・ミュシャ 「ジスモンダ」 ★こちらで観られます
ミュシャの人生を変えた出世作です。ビザンティン風の豪華な服を着て左手を胸に当て、右手で大きな棕櫚を持つ女優のサラ・ベルナールが描かれています。頭には葉っぱが集まったようなものを被り、背景には円形の天井が描かれるなど、女性の魅力が引き立つようなモチーフや曲線が素晴らしいと思います。その一方で、堂々とした雰囲気も伝わってくるのも魅力かな。
解説によると、これはクリスマスにミュシャに依頼されて1月の公演に間に合わせたそうです。芝居はハッピーエンドの内容で、ミュシャはその内容をよく理解していたのも傑作に繋がった要因のようでした。 (以前もこの辺の経緯についてご紹介致しましたので、気になる方は参考記事もお読み頂ければと思います。)
参考記事:
オルセー美術館展 パリのアール・ヌーヴォー (世田谷美術館) ※2010年のオルセー美術館展とは別物です。
ロートレック・コネクション (Bunkamuraザ・ミュージアム)
アルフォンス・ミュシャ 「メディア」
確か、ミュシャはサラ・ベルナールのために7枚のポスターを描いたと記憶していますが、これはその中の5番目の作品です。 目を見開いた女性が血塗られた短剣を持ち、足元には死んだ子供が横たわっています。これは我が子を殺すストーリーのようで、サラ・ベルナールの目に狂気を感じました。解説によると、この作品にはサラ・ベルナールの腕に蛇が巻きついたようなブレスレッドが描かれているのですが、この絵を元に実際にブレスレッドが作られ、舞台でも使ったようです。しかし、そこまで凝ったにも関わらず興行的には失敗したのだとか・・・。内容もポスターもちょっと怖すぎたのかもw
この辺には他にも「トスカ」(6番目)や「ロレンザッチオ」(3番目)の公演ポスターなども展示されていました。
アルフォンス・ミュシャ 「パーフェクタ自転車」
自転車のハンドルに持たれかかっている髪の長い女性を描いた自転車広告です。自転車はハンドルと前輪くらいしか描かれておらず、商品そのものではなくイメージを描いているようです。女性の翻る髪が風を切る雰囲気を伝えてきますが、こんな乗り方したら絶対に危なそうw ともあれ、健康的で爽やかなイメージを植えつける広告でした。
アルフォンス・ミュシャ 「シャンパン・ホワイトスター:モエ・エ・シャンドン」 ★こちらで観られます
腰をくねって立ち、葡萄をお盆に載せて持つ女性が描かれたシャンパンのポスターです。ピンクのドレスが体に巻きつくように緩やかな螺旋を描き、女性が浮いているように見えるほど長く伸びています。表情や仕草も美しく、まるで女神のような佇まいを湛えていました。かなり好みのポスターです。
アルフォンス・ミュシャ 「ブルネット:ビザンティン風の頭部」 「ブロンド:ビザンティン風の頭部」
ポスターの後に装飾パネルのコーナーがありました。これは2枚セットのパネルで、横向きの女性が向き合うように左右に並べられています。ミュシャらしい緻密な髪飾りをつけた女性で、左はブルネット(黒~茶色)の髪、右はブロンドの髪をしています。女性は円形の枠の中に描かれているのですが、髪だけ円からはみ出しているのが騙し絵みたいで面白かったです。(これは円と髪でアルファベットのQを暗示しているのだとか。)
この作品は人気が出てポストカードやカレンダーにも使われたそうです。 なお、解説によると、この頃サラ・ベルナールと出版社が「ジスモンダ」の出版を巡ってもめていたそうで、その結果、出版業者のシャンプノワがミュシャの作品の出版を仕切るようになったそうです。
アルフォンス・ミュシャ 「四芸術: 詩、ダンス、絵画、音楽」
これは今回の展覧の中でも最も好みの作品です。4枚セットのパネルで、右から詩、ダンス、絵画、音楽の4つの芸術をそれぞれ擬人化した女性が描かれています。 「詩」は三日月の円形枠に腰掛けている女性、「ダンス」は後ろ向きでのけぞる感じでこっちを見ながら踊っている女性、「絵画」はオーラが出ているような花を持つ女性、「音楽」は耳に手を当てている女性が描かれています。 この中でも特に「ダンス」が好みなので、帰りにポスターを買いました。溢れる優美さがたまりません(><)
この辺は、「四つの星」や「黄道十二宮」、花、四季など何枚かセットのテーマ作品が並んでいて、見応えがありました。また、装飾パネルの後はカレンダーやメニュー表、宝飾店の下絵、ブロンズ像などの作品もありました。
アルフォンス・ミュシャ 「主の祈り」
これは本の装丁と挿絵です。聖書の6つの祈りを7つに分けて表現したもので、3ページセットで7組あるようで、祈りの言葉、アールヌーボー風の装飾ページ、内容を説明しているモノクロの絵のセットのようです。モノクロの絵は細かく描かれていて神秘的な雰囲気が漂い、象徴主義の影響の成果のようでした。
この辺には他にも本や雑誌の装丁と挿絵がいくつか並んでいました。
<第2章 アメリカ時代>
ミュシャは1905年~1910年にかけて何度かアメリカに滞在していました。パリで忙しい生活を送っていたため、開放されたいという思いでアメリカに渡ったようですが、既にアメリカでもミュシャの名声は知れ渡っていて、沢山の仕事が待っていたそうですw それでもアメリカに行ったのは「スラブ叙事詩」というチェコとスラブの歴史を描く夢を実現するためのパトロン探しを兼ねていたのだとか。 この章は8点ほどでしたがアメリカ時代の作品が並んでいました。
アルフォンス・ミュシャ 「レスリー・カーターのポスター」
奇行で有名だったアメリカの女優をモデルにしたポスターです。花で飾られた円形を背して立っているのいはミュシャの得意な表現なのですが、周りは装飾的なのに何故か顔だけリアルで写真みたいに見えました。 この女優はミュシャに250点ものデザインなどを依頼したのだとか。 …アメリカに来ても忙しいですねw
他には大作の下絵や挿絵などがありましたが、このコーナーはすぐ見終わってしまうかも。
<第3章 チェコ時代>
最後はチェコ時代のコーナーです。「スラブ叙事詩」を描くために理想的なパトロンを見つけ、1910年に20点もの壁画を描いた時代のようです。 また、プラハ市民会館市長ホールの装飾を手がけたそうで、今回の展覧会にも原画が展示されていました。
アルフォンス・ミュシャ 「少女の像」 ★こちらで観られます
これは油彩画です。白と黒のベールをまとった女性が描かれ、作風はアカデミック風に思えます。白黒の対比が面白く、どこかを見つめている少女の目が印象的でした。
アルフォンス・ミュシャ 「ミューズ」 ★こちらで観られます
これも油彩で、アカデミックなものを感じるかな。頬杖を付く女性がアーチの中に描かれていて、女性の左上と右下には半円の絵が描かれた家具?があり、円形が響きあっているような感じでした。 この辺は油彩画が並んでいましたが、アールヌーボー風ではありませんでした。
アルフォンス・ミュシャ 「女占い師」
中央に背を向ける裸婦、右上に黒い服の老婆が描かれています。どうやら何かのお告げを話しているようで、裸婦の顔は見えませんが聞き入っている様子です。左側には裸の子供?が一緒に聞きながら座っていて、その足元には獣の骨を踏んでいました。周りには蝋燭もおかれ、呪術的で物語的な雰囲気が出ていました。
アルフォンス・ミュシャ 「ヒヤシンス姫」 ★こちらで観られます
これはアールデコ風のポスターです。円形を背景にして、星が散りばめられた冠を被った女性が描かれています。頬杖を付いて座っていて、手には雪の結晶のような形の装飾品を持っていました。こうしたアクセサリー類が何とも可憐な印象を与えてくれます。解説によると、この作品は今までのミュシャの女性像の官能性は薄れていて、着ている衣装はスラブの衣装だそうです。スラブ叙事詩を描くためにスラブに関係を持たせているとのことでした。
アルフォンス・ミュシャ 「自力Ⅱ-犠牲と勇気」
プラハ市民会館市長ホールの原画(油彩画)がずらっと並んでいました。この作品はその1枚で、青っぽい画面にぼやっとした感じで、何人かの人が岩山?にいる様子を描いているようです。筋肉質の男性が立っていて、その下では嘆き悲しむ人や逃げるような仕草の人もいて、何かの物語の一部のように見えました。背景には女性がうっすらと空に映っていたので何かの神話かな? 神秘的な雰囲気でした。
なお、この仕事は下絵の値段で引き受けたそうですが、それがプラハの若い画家達の反発を招いたようです。また、チェコの古い宗教家をモチーフにするというのも前衛運動をしている画家たちには時代錯誤のように受け止められていたそうです。
最後にはスラブの民族衣装を着た人たちを描いた作品やスラブ叙事詩の下絵などもありました。
ということで、ミュシャを一気に知ることができる盛り沢山な内容でした。てっきりアールヌーボー時代のポスターだけかと思っていましたが、初期やチェコ時代など、滅多に観る機会が無さそうなものまであったのが嬉しいです。 難しい話を抜いても、一目でその優美さに惹かれる画家ですので、かなりお勧めできる展覧会です。


【展覧名】
生誕150年記念 アルフォンス・ミュシャ展
【公式サイト】
http://mitaka.jpn.org/ticket/100522g/
【会場】三鷹市美術ギャラリー
【最寄】三鷹駅
【会期】2010年 5月22日(土)~7月4日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間20分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
この美術館は最近面白い展示が多いように思いますが、今までそんなに混んでいることがなかったので、空いているのでは?と予想していたら、若い人を中心に結構混んでいました。場所によっては列を組むくらいの盛況ぶりで、ミュシャの人気が伺えます。
さて、展示の内容についてですが、大きく3つの時代に分けて構成されていました。有名な作品の多いパリの時代、アメリカへ活動の場を移した時代、故郷のチェコに戻った時代の3つです。詳しくはいつもどおり気に入った作品を通して各章ごとにご紹介しようと思います。
<第1章 パリ時代>
まず、ミュシャが名声を得たパリ時代についてのコーナーです。ミュシャはチェコの生まれで、今年で生誕150周年となります。 地元の大地主(クーエン・ブラシ伯爵)の援助を受けてパリに出てアカデミー派の美術を学びましたが、原因不明で援助の資金が打ち切られてしまい、絵画の勉強を諦めて本や雑誌の挿絵を描いて生計を立てるようになりました。そうした生活がしばらく続いていたようですが、やがて彼の元に女優のサラ・ベルナールから芝居の公演ポスター「ジスモンダ」の依頼が舞い込み、それがきっかけでミュシャは世の中の脚光を浴びるようになっていきました。
このコーナーでは、そうした初期のアカデミックな作品から、サラ・ベルナールの芝居などのポスター、挿絵、広告、商品の包みなど様々なものが展示されていました。
アルフォンス・ミュシャ 「ローマの火災を見つめるネロ」
これは油彩画です。全体に赤みがかった画面で、神殿のような建物の階段で沢山の人たちが火事を見ているようすが描かれています。題名から察するに見ているのは暴君ネロかな? 火事自体は画面の右外のあたりにあるようで、画面には描かれておらず、想像を掻き立てるような絵でした。恐らくこれはアカデミーで学んでいた頃の作品だと思います。
この辺にはデッサンのコーナーもあり緻密な筆跡を見ることができました。
アルフォンス・ミュシャ 「瞑想」
これはグアッシュの作品で、白いドレスの女性がうなだれてベンチ?に座っている様子が描かれています。薄暗く神秘的な雰囲気があり、解説によるとパリの象徴主義の影響を受けているそうです。確かにこの辺にはルドンのような雰囲気の作品もありました。
ミュシャは最初、絵画に目を向けていたようです。チェコとスラブの歴史を描きたかったそうで、この願いは後々に実現させていくことになります。
アルフォンス・ミュシャ 「戴冠式:『ドイツ史の諸場面とエピソード』挿絵(下絵)」
ドイツ史の本の挿絵にした絵の下絵です。王宮での戴冠式が様子を非常に細かく写実的に描かれていました。この辺は本の挿絵が2枚並んでいて、挿絵で生計を立てていた頃の様子が伺えました。
アルフォンス・ミュシャ 「フルショヴァニー城の衝立(西風とニンフ)」
これは援助してくれていたクーエン・ブラシ伯爵の城にあった衝立です。人の背丈くらいある大きなもので、観音開きのようになっています。真ん中には擬人化された笛を吹く西風と裸婦(ニンフ)が描かれ、背景は森の木々となっています。また、左右には果物と花が描かれていて華やかで装飾的な雰囲気がありました。解説によると後のミュシャの予兆を垣間見ることができるそうで、確かに優美なものを感じました。
アルフォンス・ミュシャ 「1900年パリ万博博覧会『人類館』の第2案(下絵)」
これはちょっと驚いた作品。パリ万博の「人類館」を構想した下絵なのですが、エッフェル塔の2階以上を解体して巨大な円形ドームと人物の彫刻を無数に置こうと考えていたようです。何故エッフェル塔の上にこのようなものを?と疑問に思いましたが、解説によると前回のパリ万博ではエッフェル塔を作るなど、機械文明と物質主義が中心だったために、その是非を問う意味が含まれているそうです。 この辺には他にもパリ万博関連の作品が並んでいました。
アルフォンス・ミュシャ 「サロン・デ・サン第20回展」
続いてはポスターのコーナーでした。これは展覧会のポスターで、ロートレックやボナールも展覧会を行った場所で行われたそうです。絵筆と羽ペンを持って頬杖を付く上半身裸の女性が描かれ、うっとりとした表情を浮かべています。頭に巻いたベールは胸まで垂れ下がり、そこには星が散りばめられていました。この女性は「美術」を寓意的に表現したそうで、線の細い優美な雰囲気がありました。
アルフォンス・ミュシャ 「巻きタバコ用紙ジョブ(1896年)」
煙草を吸う女性の絵で、先ほどの展覧会のポスターの女性と似た表情をしています。(ちょっとこちらの方が恍惚のような表情かな。) 髪の先が円を描くように巻かれているのが流麗で、アールヌーボーらしい曲線美に思いました。
この辺にはこうした広告が結構並んでいて、チョコやビスケットの宣伝ポスターや、ビスケットの箱やラベルなどもありました。作成年を見ると「ジスモンダ」よりも後なので売れてきた後に依頼されたものかな。
アルフォンス・ミュシャ 「ジスモンダ」 ★こちらで観られます
ミュシャの人生を変えた出世作です。ビザンティン風の豪華な服を着て左手を胸に当て、右手で大きな棕櫚を持つ女優のサラ・ベルナールが描かれています。頭には葉っぱが集まったようなものを被り、背景には円形の天井が描かれるなど、女性の魅力が引き立つようなモチーフや曲線が素晴らしいと思います。その一方で、堂々とした雰囲気も伝わってくるのも魅力かな。
解説によると、これはクリスマスにミュシャに依頼されて1月の公演に間に合わせたそうです。芝居はハッピーエンドの内容で、ミュシャはその内容をよく理解していたのも傑作に繋がった要因のようでした。 (以前もこの辺の経緯についてご紹介致しましたので、気になる方は参考記事もお読み頂ければと思います。)
参考記事:
オルセー美術館展 パリのアール・ヌーヴォー (世田谷美術館) ※2010年のオルセー美術館展とは別物です。
ロートレック・コネクション (Bunkamuraザ・ミュージアム)
アルフォンス・ミュシャ 「メディア」
確か、ミュシャはサラ・ベルナールのために7枚のポスターを描いたと記憶していますが、これはその中の5番目の作品です。 目を見開いた女性が血塗られた短剣を持ち、足元には死んだ子供が横たわっています。これは我が子を殺すストーリーのようで、サラ・ベルナールの目に狂気を感じました。解説によると、この作品にはサラ・ベルナールの腕に蛇が巻きついたようなブレスレッドが描かれているのですが、この絵を元に実際にブレスレッドが作られ、舞台でも使ったようです。しかし、そこまで凝ったにも関わらず興行的には失敗したのだとか・・・。内容もポスターもちょっと怖すぎたのかもw
この辺には他にも「トスカ」(6番目)や「ロレンザッチオ」(3番目)の公演ポスターなども展示されていました。
アルフォンス・ミュシャ 「パーフェクタ自転車」
自転車のハンドルに持たれかかっている髪の長い女性を描いた自転車広告です。自転車はハンドルと前輪くらいしか描かれておらず、商品そのものではなくイメージを描いているようです。女性の翻る髪が風を切る雰囲気を伝えてきますが、こんな乗り方したら絶対に危なそうw ともあれ、健康的で爽やかなイメージを植えつける広告でした。
アルフォンス・ミュシャ 「シャンパン・ホワイトスター:モエ・エ・シャンドン」 ★こちらで観られます
腰をくねって立ち、葡萄をお盆に載せて持つ女性が描かれたシャンパンのポスターです。ピンクのドレスが体に巻きつくように緩やかな螺旋を描き、女性が浮いているように見えるほど長く伸びています。表情や仕草も美しく、まるで女神のような佇まいを湛えていました。かなり好みのポスターです。
アルフォンス・ミュシャ 「ブルネット:ビザンティン風の頭部」 「ブロンド:ビザンティン風の頭部」
ポスターの後に装飾パネルのコーナーがありました。これは2枚セットのパネルで、横向きの女性が向き合うように左右に並べられています。ミュシャらしい緻密な髪飾りをつけた女性で、左はブルネット(黒~茶色)の髪、右はブロンドの髪をしています。女性は円形の枠の中に描かれているのですが、髪だけ円からはみ出しているのが騙し絵みたいで面白かったです。(これは円と髪でアルファベットのQを暗示しているのだとか。)
この作品は人気が出てポストカードやカレンダーにも使われたそうです。 なお、解説によると、この頃サラ・ベルナールと出版社が「ジスモンダ」の出版を巡ってもめていたそうで、その結果、出版業者のシャンプノワがミュシャの作品の出版を仕切るようになったそうです。
アルフォンス・ミュシャ 「四芸術: 詩、ダンス、絵画、音楽」
これは今回の展覧の中でも最も好みの作品です。4枚セットのパネルで、右から詩、ダンス、絵画、音楽の4つの芸術をそれぞれ擬人化した女性が描かれています。 「詩」は三日月の円形枠に腰掛けている女性、「ダンス」は後ろ向きでのけぞる感じでこっちを見ながら踊っている女性、「絵画」はオーラが出ているような花を持つ女性、「音楽」は耳に手を当てている女性が描かれています。 この中でも特に「ダンス」が好みなので、帰りにポスターを買いました。溢れる優美さがたまりません(><)
この辺は、「四つの星」や「黄道十二宮」、花、四季など何枚かセットのテーマ作品が並んでいて、見応えがありました。また、装飾パネルの後はカレンダーやメニュー表、宝飾店の下絵、ブロンズ像などの作品もありました。
アルフォンス・ミュシャ 「主の祈り」
これは本の装丁と挿絵です。聖書の6つの祈りを7つに分けて表現したもので、3ページセットで7組あるようで、祈りの言葉、アールヌーボー風の装飾ページ、内容を説明しているモノクロの絵のセットのようです。モノクロの絵は細かく描かれていて神秘的な雰囲気が漂い、象徴主義の影響の成果のようでした。
この辺には他にも本や雑誌の装丁と挿絵がいくつか並んでいました。
<第2章 アメリカ時代>
ミュシャは1905年~1910年にかけて何度かアメリカに滞在していました。パリで忙しい生活を送っていたため、開放されたいという思いでアメリカに渡ったようですが、既にアメリカでもミュシャの名声は知れ渡っていて、沢山の仕事が待っていたそうですw それでもアメリカに行ったのは「スラブ叙事詩」というチェコとスラブの歴史を描く夢を実現するためのパトロン探しを兼ねていたのだとか。 この章は8点ほどでしたがアメリカ時代の作品が並んでいました。
アルフォンス・ミュシャ 「レスリー・カーターのポスター」
奇行で有名だったアメリカの女優をモデルにしたポスターです。花で飾られた円形を背して立っているのいはミュシャの得意な表現なのですが、周りは装飾的なのに何故か顔だけリアルで写真みたいに見えました。 この女優はミュシャに250点ものデザインなどを依頼したのだとか。 …アメリカに来ても忙しいですねw
他には大作の下絵や挿絵などがありましたが、このコーナーはすぐ見終わってしまうかも。
<第3章 チェコ時代>
最後はチェコ時代のコーナーです。「スラブ叙事詩」を描くために理想的なパトロンを見つけ、1910年に20点もの壁画を描いた時代のようです。 また、プラハ市民会館市長ホールの装飾を手がけたそうで、今回の展覧会にも原画が展示されていました。
アルフォンス・ミュシャ 「少女の像」 ★こちらで観られます
これは油彩画です。白と黒のベールをまとった女性が描かれ、作風はアカデミック風に思えます。白黒の対比が面白く、どこかを見つめている少女の目が印象的でした。
アルフォンス・ミュシャ 「ミューズ」 ★こちらで観られます
これも油彩で、アカデミックなものを感じるかな。頬杖を付く女性がアーチの中に描かれていて、女性の左上と右下には半円の絵が描かれた家具?があり、円形が響きあっているような感じでした。 この辺は油彩画が並んでいましたが、アールヌーボー風ではありませんでした。
アルフォンス・ミュシャ 「女占い師」
中央に背を向ける裸婦、右上に黒い服の老婆が描かれています。どうやら何かのお告げを話しているようで、裸婦の顔は見えませんが聞き入っている様子です。左側には裸の子供?が一緒に聞きながら座っていて、その足元には獣の骨を踏んでいました。周りには蝋燭もおかれ、呪術的で物語的な雰囲気が出ていました。
アルフォンス・ミュシャ 「ヒヤシンス姫」 ★こちらで観られます
これはアールデコ風のポスターです。円形を背景にして、星が散りばめられた冠を被った女性が描かれています。頬杖を付いて座っていて、手には雪の結晶のような形の装飾品を持っていました。こうしたアクセサリー類が何とも可憐な印象を与えてくれます。解説によると、この作品は今までのミュシャの女性像の官能性は薄れていて、着ている衣装はスラブの衣装だそうです。スラブ叙事詩を描くためにスラブに関係を持たせているとのことでした。
アルフォンス・ミュシャ 「自力Ⅱ-犠牲と勇気」
プラハ市民会館市長ホールの原画(油彩画)がずらっと並んでいました。この作品はその1枚で、青っぽい画面にぼやっとした感じで、何人かの人が岩山?にいる様子を描いているようです。筋肉質の男性が立っていて、その下では嘆き悲しむ人や逃げるような仕草の人もいて、何かの物語の一部のように見えました。背景には女性がうっすらと空に映っていたので何かの神話かな? 神秘的な雰囲気でした。
なお、この仕事は下絵の値段で引き受けたそうですが、それがプラハの若い画家達の反発を招いたようです。また、チェコの古い宗教家をモチーフにするというのも前衛運動をしている画家たちには時代錯誤のように受け止められていたそうです。
最後にはスラブの民族衣装を着た人たちを描いた作品やスラブ叙事詩の下絵などもありました。
ということで、ミュシャを一気に知ることができる盛り沢山な内容でした。てっきりアールヌーボー時代のポスターだけかと思っていましたが、初期やチェコ時代など、滅多に観る機会が無さそうなものまであったのが嬉しいです。 難しい話を抜いても、一目でその優美さに惹かれる画家ですので、かなりお勧めできる展覧会です。
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前々回・前回と白金台の松岡美術館をご紹介したので、今日はその近くにある東京都庭園美術館の展覧会をご紹介しようかと思います。今日、最終日だった「ロトチェンコ+ステパーノワーロシア構成主義のまなざし」をぎりぎりで観てきました。今更遅いですが一応感想だけでも残しておこうかと。

【展覧名】
ロトチェンコ+ステパーノワーロシア構成主義のまなざし
【公式サイト】
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/rodchenko/index.html
【会場】東京都庭園美術館
【最寄】目黒駅(JR・東京メトロ) または 白金台駅(東京メトロ)
【会期】2010年4月24日~6月20日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
最終日だったせいか、結構混んでいました。意外だったのが若者がほとんどで、なかなか熱心に観ている人が多かったです。
今回の展示はロシア・アヴァンギャルドで活躍したアレクサンドル・ロトチェンコとワルワーラ・ステパーノワの2人の様々な作品を紹介する内容でした。 特にロトチェンコの名前はロシア・アヴァンギャルドに関する展示で何度か名前を見ているので、欠かせない存在なのだろうと思います。今回も独特のデザインを観ることができたので、章ごとに詳しくご紹介しようと思います。なお、実際の展示順と作品リストの順が違っていますが、作品リストの方が区切りが分かりやすいので、リストの順にご紹介しようと思います。
ロシア・アヴァンギャルドの参考記事:
ロシアの夢 1917-1937 革命から生活へ-ロシア・アヴァンギャルドのデザイン (埼玉県立近代美術館)
青春のロシア・アヴァンギャルド展 埼玉編
「カナダ・アニメーション映画名作選」と「無声時代ソビエト映画ポスター展」
<絵画>
最初の章は絵画についていました。アレクサンドル・ロトチェンコとワルワーラ・ステパーノワ(この人は女性です)は1914年にカザン美術学校で出会いました。やがて1919年にはカンディンスキーの家で暮らしたり、1920年には美術館部局内で暮らし芸術文化研究所に勤めるなど、学生時代からずっと2人で一緒に活動をしていたようです。
ロトチェンコの絵は最初、中世的なものや東洋的なものを主題としていたようですが、未来派などの影響で具象から抽象絵画へ向かっていったそうです。また、色彩に関心を払っていたようですが、やがて色彩を拒否する作品も出てきたと解説されていました。それに対してステパーノワはプリミティブ(原始・素朴美術)に傾倒していたそうで、初期には未来派の影響もあるようでした。ここではそうした作品が3部屋ほどにずらっとならんでいました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「二人の人物」 ★こちらで観られます
かなり簡略化された2人の人物らしきものを描いた絵です。緩やかな曲線と平面的な感じで描かれ、色の違いで体を表現しているように思いました。具象と抽象の中間くらいみたいな絵でした。
ワルワーラ・ステパーノワ 「太鼓を叩く男 座る人物(緑色の)5番」
丸、四角、円筒の3要素で描かれた太鼓を叩いている男の絵です。単純化した幾何学模様に濃い緑と薄めの緑など、微妙な色の違いで表現していました。
今回の展示はこうした幾何学模様を駆使した作品が続いていきます。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「無対象コンポジション 50番 連作 [設計され彩色された平面の動きのコンポジション]」
傾いた緑の四角、赤い柱のようなもの、青のといった3つの幾何学模様のみで描かれた作品です。 この作品の隣には白地に青の縦横線で格子状になった作品など、シンプルで絵というよりはデザインのように思えました。この辺の作品にはもっと説明が欲しいw
アレクサンドル・ロトチェンコ 「三部作 [なめらかな色] 赤、黄、青」
3枚セットの作品で、いずれも1つの色で塗りつくされただけの絵?です。 左から赤、黄、青と並んでいました。よく見ると筆跡らしきものが残っているくらいはわかりますが、何を意図しているかは全くわかりませんでした。ただ、3つ並ぶと響きあっているように思えてきたので色の性質を研究してたのかな?と勝手に解釈してみたりw
この辺には十字線を描いた作品や丸を重ねた作品などデザイン的な作品が並んでいました。こういう単純な記号のような作品はロシア・アヴァンギャルドらしいと言えなくもないw
<グラフィック(線描画)>
絵画の後は線描画のコーナーで、絵画とはまた違った雰囲気の作品がありました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「線とコンパスのコンポジション」
白黒で無数の曲線や円が組み合わされてできた未来的なデザインです。何かの部品のような幾何学的な美しさと優美さがありました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「コンストラクション 連作 [線主義]」
数学の教科書にでも出てきそうな、真円と直線が組み合わさったシンプルなデザインです。この作品は1920年の作品のようですが、どことなくカンディンスキーっぽいところを感じました。1919年にカンディンスキーの家に住んでたようなので影響を受けてるとは思うのですが、詳細は不明です。
ワルワーラ・ステパーノワ 「チャーリー・チャップリン 連作 [チャーリー・チャップリン]」
単純化されたチャップリンの肖像です。前に出した帽子を持つ腕が極端に大きくかかれるなど、全体的に誇張された感じもします。そのせいか、単純な形を使いながらもよく特徴を捉えているように思いました。なお、この作品以外にもステパーノワのチャップリンを描いた作品があったので、相当好きだったのかも?と思いながら見ていました。
<空間構成>
この章の作品は実際には書庫や最後の方に展示されていました。デザインしたものを実際に立体で作った作品が並んでいました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「空間構成10番 連作 [光を反射する平面]吊り下げ型 六面体」 ★こちらで観られます
これは書庫にあった作品です。六角形の木枠のようなものの中に、少し小さめの六角形があり、その中に少し小さめの六角形が…という感じで組み合わさっています。 これは理屈抜きに見た目が美しく気に入りました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「空間構成23番 連作 [同じフォルムの原則に従って] 卓上型」
これは最後の写真のコーナーのあたりにあった、ヰの字のような形(正方形の各辺の先が伸びたような形)がいくつも重なってできた構造物です。シンプルな形のものでも集まると芸術的に見えるのが面白く、どこか優美さすら感じました。
他にも模型のようなものは2点くらいありました。
<建築>
2Fの最初の方に建築のデザインをした作品がありました。実際にこんなの作れるの?っていうデザインが多い気がしますw
アレクサンドル・ロトチェンコ 「代議員ソビエト 連作 [展望台のある町] 建築デザイン」
ビルの上に展望台のある塔が建ち、それにジグザグの鉄筋らしきものが絡み付いているように見えるデザインです。これを実現するのは難しいと思いますが斬新な作品でした。
この辺にはコンポジションそのものみたいな建築物のデザインが多かったです。
<デザイン>
続いて家具などのデザインのコーナーです。これは実際に作れそうw
アレクサンドル・ロトチェンコ 「盆 連作 [茶器セットデザイン]」
円の中に5つのオレンジの円と3つの四角が重なったような図案です。このお盆は実際にあってもおかしくないかもw モダンな雰囲気がある図案でした。この辺にはこれと似たような図案が3枚くらいありました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「チェス台(労働者クラブの設備の設計シリーズ) 連作[パリにおける現代装飾美術・産業美術国際博覧会 ソビエト館 労働者クラブのデザイン]」
この作品はデザイン画ですが、埼玉の展示で実際に作ったものを観た記憶があります。赤と黒のチェスの台と椅子が組み合わさったデザインで、シンプルかつモダンな印象を受けます。
参考記事:
ロシアの夢 1917-1937 革命から生活へ-ロシア・アヴァンギャルドのデザイン (埼玉県立近代美術館)
アレクサンドル・ロトチェンコ 「クラブのテーブルと椅子 連作[パリにおける現代装飾美術・産業美術国際博覧会 ソビエト館 労働者クラブのデザイン]」
これも埼玉で実物を観た(というか座った)ことがある椅子と同じもののデザインじゃないかな。半円と直線を組み合わせたもので、すわり心地はあまりよくなかったと当時の記事に書いてましたw 見た目はカッコいいんですけどね。
アレクサンドル・ロトチェンコ/ワルワーラ・ステパーノワ 「麻雀牌」
これはちょっと驚いた作品です。というのも、これは題名どおりの麻雀牌で、N、W、Zなどの文字の牌や、格子の牌、丸などの幾何学模様などで牌を表していました。どうやら仲間達で夜を徹してやっていたそうで、これも使い込まれていそうに見えました。昔からソ連でも徹マンとかあるんですねw
<演劇>
舞台衣装や舞台装置などのコーナーもありました。基本的にカクカクした幾何学的な服などで、先進的な感じがしますが、具象的なので分かりやすかったかもw
<印刷物(本、ポスター、広告)>
今回の展示で私が一番面白かったのがこのコーナーです。2F階段を登った辺りからソ連時代のポスターが並んでいました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「レンギス(国立出版社レニングラード支部) あらゆる知についての書籍」 国立出版社レニングラード支部の広告ポスター ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっていた作品です。口に手を当てて何かを叫んで知る女性の円形の写真と、そこから出てくる台詞のような文字を三角で囲んだデザインになっています。シンプルな形を使いつつも強いメッセージを飛ばしているように見えました。また、三角の頂点が女性の口になっているのも面白かったです。
この辺にはパンや植物油、おしゃぶりのポスターなどもありました。パンのポスターは「ネップを恐れるな」という題で、当時の体制を伺わせましたが、この展覧会では特に説明がないので、時代背景などを詳しく知るのは難しかったかも。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「当社の株主リストにあなたの名前がまだないのは恥ずかしいことです」ドヴロリョート(ロシア航空産業開発会社)の広告ポスター
飛行機と地球儀?が描かれたポスターで、飛行機から点々と紙が舞い散り、列をなして下にある地球儀に巻きついていくような絵です。タイトルを見ると、株の宣伝とわかり、ちょっと納得。飛行機から出た株券が世界を覆うようなイメージで面白いです。 それにしても上から目線の売り方ですねw
この辺は部屋も狭くて人と接するくらい混んでました。
<写真>
最後のほうは写真のコーナーでした。ロトチェンコは人間とは違った視線で写すことのできるカメラに可能性を感じていたようで、ちょっと変わった視点からの写真が多く展示されていました。また、写真を斜めに撮ったり、遠近法を研究したりと、様々な手法を試していたようです。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「避難梯子 連作 [ミャスニツカヤ街の家]」 ★こちらで観られます
避難梯子に捕まっている人を真下から見上げるように撮った写真です。その視点のせいか、遠目で観た時には線路にでもしがみついているのかと思いましたw 建物や、梯子、梯子の支えなど幾何学的要素が多いのも流石です。
この辺には人物の肖像写真も多く展示されていました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「ライカを持つ女」
腰掛けている女性に格子状の影が落ちている写真です。カメラを傾けて撮ったようで、少し視点が斜めです。また、格子の影が非常にデザイン的に見えて面白かったです。こういう発想は彼の絵画作品などとも繋がっているように思えました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「競馬」
恐らく競馬場のゴール付近で撮られた写真で、足元から見上げる感じで撮られています。馬が何頭も並び、躍動感、スピード感、迫力などが出ていました。レースの熱気が伝わってきそうな作品でした。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「革命博物館の円柱」
若干斜めに撮られた円柱の写真で、上から見下ろすような視点となっています。円柱といっても多角形で、その表面には白黒の影がつき、1面ごとに微妙なグラデーションになっていたのが面白かったです。視点と幾何学的な工夫は流石です。
他にも、鉄塔や木をしたから眺めた作品や、階段を撮った作品など、身近なところにある幾何学模様を撮っているように思い、写真でもロシア・アヴァンギャルドを感じました。
ということで、独特のデザインを楽しめました。結構、難解に思う作品が多かったのですが、解説が少なくてちょっと厳しかったかな。もう終わってしまいましたが一味違った展覧会でした。


【展覧名】
ロトチェンコ+ステパーノワーロシア構成主義のまなざし
【公式サイト】
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/rodchenko/index.html
【会場】東京都庭園美術館
【最寄】目黒駅(JR・東京メトロ) または 白金台駅(東京メトロ)
【会期】2010年4月24日~6月20日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
最終日だったせいか、結構混んでいました。意外だったのが若者がほとんどで、なかなか熱心に観ている人が多かったです。
今回の展示はロシア・アヴァンギャルドで活躍したアレクサンドル・ロトチェンコとワルワーラ・ステパーノワの2人の様々な作品を紹介する内容でした。 特にロトチェンコの名前はロシア・アヴァンギャルドに関する展示で何度か名前を見ているので、欠かせない存在なのだろうと思います。今回も独特のデザインを観ることができたので、章ごとに詳しくご紹介しようと思います。なお、実際の展示順と作品リストの順が違っていますが、作品リストの方が区切りが分かりやすいので、リストの順にご紹介しようと思います。
ロシア・アヴァンギャルドの参考記事:
ロシアの夢 1917-1937 革命から生活へ-ロシア・アヴァンギャルドのデザイン (埼玉県立近代美術館)
青春のロシア・アヴァンギャルド展 埼玉編
「カナダ・アニメーション映画名作選」と「無声時代ソビエト映画ポスター展」
<絵画>
最初の章は絵画についていました。アレクサンドル・ロトチェンコとワルワーラ・ステパーノワ(この人は女性です)は1914年にカザン美術学校で出会いました。やがて1919年にはカンディンスキーの家で暮らしたり、1920年には美術館部局内で暮らし芸術文化研究所に勤めるなど、学生時代からずっと2人で一緒に活動をしていたようです。
ロトチェンコの絵は最初、中世的なものや東洋的なものを主題としていたようですが、未来派などの影響で具象から抽象絵画へ向かっていったそうです。また、色彩に関心を払っていたようですが、やがて色彩を拒否する作品も出てきたと解説されていました。それに対してステパーノワはプリミティブ(原始・素朴美術)に傾倒していたそうで、初期には未来派の影響もあるようでした。ここではそうした作品が3部屋ほどにずらっとならんでいました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「二人の人物」 ★こちらで観られます
かなり簡略化された2人の人物らしきものを描いた絵です。緩やかな曲線と平面的な感じで描かれ、色の違いで体を表現しているように思いました。具象と抽象の中間くらいみたいな絵でした。
ワルワーラ・ステパーノワ 「太鼓を叩く男 座る人物(緑色の)5番」
丸、四角、円筒の3要素で描かれた太鼓を叩いている男の絵です。単純化した幾何学模様に濃い緑と薄めの緑など、微妙な色の違いで表現していました。
今回の展示はこうした幾何学模様を駆使した作品が続いていきます。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「無対象コンポジション 50番 連作 [設計され彩色された平面の動きのコンポジション]」
傾いた緑の四角、赤い柱のようなもの、青のといった3つの幾何学模様のみで描かれた作品です。 この作品の隣には白地に青の縦横線で格子状になった作品など、シンプルで絵というよりはデザインのように思えました。この辺の作品にはもっと説明が欲しいw
アレクサンドル・ロトチェンコ 「三部作 [なめらかな色] 赤、黄、青」
3枚セットの作品で、いずれも1つの色で塗りつくされただけの絵?です。 左から赤、黄、青と並んでいました。よく見ると筆跡らしきものが残っているくらいはわかりますが、何を意図しているかは全くわかりませんでした。ただ、3つ並ぶと響きあっているように思えてきたので色の性質を研究してたのかな?と勝手に解釈してみたりw
この辺には十字線を描いた作品や丸を重ねた作品などデザイン的な作品が並んでいました。こういう単純な記号のような作品はロシア・アヴァンギャルドらしいと言えなくもないw
<グラフィック(線描画)>
絵画の後は線描画のコーナーで、絵画とはまた違った雰囲気の作品がありました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「線とコンパスのコンポジション」
白黒で無数の曲線や円が組み合わされてできた未来的なデザインです。何かの部品のような幾何学的な美しさと優美さがありました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「コンストラクション 連作 [線主義]」
数学の教科書にでも出てきそうな、真円と直線が組み合わさったシンプルなデザインです。この作品は1920年の作品のようですが、どことなくカンディンスキーっぽいところを感じました。1919年にカンディンスキーの家に住んでたようなので影響を受けてるとは思うのですが、詳細は不明です。
ワルワーラ・ステパーノワ 「チャーリー・チャップリン 連作 [チャーリー・チャップリン]」
単純化されたチャップリンの肖像です。前に出した帽子を持つ腕が極端に大きくかかれるなど、全体的に誇張された感じもします。そのせいか、単純な形を使いながらもよく特徴を捉えているように思いました。なお、この作品以外にもステパーノワのチャップリンを描いた作品があったので、相当好きだったのかも?と思いながら見ていました。
<空間構成>
この章の作品は実際には書庫や最後の方に展示されていました。デザインしたものを実際に立体で作った作品が並んでいました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「空間構成10番 連作 [光を反射する平面]吊り下げ型 六面体」 ★こちらで観られます
これは書庫にあった作品です。六角形の木枠のようなものの中に、少し小さめの六角形があり、その中に少し小さめの六角形が…という感じで組み合わさっています。 これは理屈抜きに見た目が美しく気に入りました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「空間構成23番 連作 [同じフォルムの原則に従って] 卓上型」
これは最後の写真のコーナーのあたりにあった、ヰの字のような形(正方形の各辺の先が伸びたような形)がいくつも重なってできた構造物です。シンプルな形のものでも集まると芸術的に見えるのが面白く、どこか優美さすら感じました。
他にも模型のようなものは2点くらいありました。
<建築>
2Fの最初の方に建築のデザインをした作品がありました。実際にこんなの作れるの?っていうデザインが多い気がしますw
アレクサンドル・ロトチェンコ 「代議員ソビエト 連作 [展望台のある町] 建築デザイン」
ビルの上に展望台のある塔が建ち、それにジグザグの鉄筋らしきものが絡み付いているように見えるデザインです。これを実現するのは難しいと思いますが斬新な作品でした。
この辺にはコンポジションそのものみたいな建築物のデザインが多かったです。
<デザイン>
続いて家具などのデザインのコーナーです。これは実際に作れそうw
アレクサンドル・ロトチェンコ 「盆 連作 [茶器セットデザイン]」
円の中に5つのオレンジの円と3つの四角が重なったような図案です。このお盆は実際にあってもおかしくないかもw モダンな雰囲気がある図案でした。この辺にはこれと似たような図案が3枚くらいありました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「チェス台(労働者クラブの設備の設計シリーズ) 連作[パリにおける現代装飾美術・産業美術国際博覧会 ソビエト館 労働者クラブのデザイン]」
この作品はデザイン画ですが、埼玉の展示で実際に作ったものを観た記憶があります。赤と黒のチェスの台と椅子が組み合わさったデザインで、シンプルかつモダンな印象を受けます。
参考記事:
ロシアの夢 1917-1937 革命から生活へ-ロシア・アヴァンギャルドのデザイン (埼玉県立近代美術館)
アレクサンドル・ロトチェンコ 「クラブのテーブルと椅子 連作[パリにおける現代装飾美術・産業美術国際博覧会 ソビエト館 労働者クラブのデザイン]」
これも埼玉で実物を観た(というか座った)ことがある椅子と同じもののデザインじゃないかな。半円と直線を組み合わせたもので、すわり心地はあまりよくなかったと当時の記事に書いてましたw 見た目はカッコいいんですけどね。
アレクサンドル・ロトチェンコ/ワルワーラ・ステパーノワ 「麻雀牌」
これはちょっと驚いた作品です。というのも、これは題名どおりの麻雀牌で、N、W、Zなどの文字の牌や、格子の牌、丸などの幾何学模様などで牌を表していました。どうやら仲間達で夜を徹してやっていたそうで、これも使い込まれていそうに見えました。昔からソ連でも徹マンとかあるんですねw
<演劇>
舞台衣装や舞台装置などのコーナーもありました。基本的にカクカクした幾何学的な服などで、先進的な感じがしますが、具象的なので分かりやすかったかもw
<印刷物(本、ポスター、広告)>
今回の展示で私が一番面白かったのがこのコーナーです。2F階段を登った辺りからソ連時代のポスターが並んでいました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「レンギス(国立出版社レニングラード支部) あらゆる知についての書籍」 国立出版社レニングラード支部の広告ポスター ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっていた作品です。口に手を当てて何かを叫んで知る女性の円形の写真と、そこから出てくる台詞のような文字を三角で囲んだデザインになっています。シンプルな形を使いつつも強いメッセージを飛ばしているように見えました。また、三角の頂点が女性の口になっているのも面白かったです。
この辺にはパンや植物油、おしゃぶりのポスターなどもありました。パンのポスターは「ネップを恐れるな」という題で、当時の体制を伺わせましたが、この展覧会では特に説明がないので、時代背景などを詳しく知るのは難しかったかも。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「当社の株主リストにあなたの名前がまだないのは恥ずかしいことです」ドヴロリョート(ロシア航空産業開発会社)の広告ポスター
飛行機と地球儀?が描かれたポスターで、飛行機から点々と紙が舞い散り、列をなして下にある地球儀に巻きついていくような絵です。タイトルを見ると、株の宣伝とわかり、ちょっと納得。飛行機から出た株券が世界を覆うようなイメージで面白いです。 それにしても上から目線の売り方ですねw
この辺は部屋も狭くて人と接するくらい混んでました。
<写真>
最後のほうは写真のコーナーでした。ロトチェンコは人間とは違った視線で写すことのできるカメラに可能性を感じていたようで、ちょっと変わった視点からの写真が多く展示されていました。また、写真を斜めに撮ったり、遠近法を研究したりと、様々な手法を試していたようです。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「避難梯子 連作 [ミャスニツカヤ街の家]」 ★こちらで観られます
避難梯子に捕まっている人を真下から見上げるように撮った写真です。その視点のせいか、遠目で観た時には線路にでもしがみついているのかと思いましたw 建物や、梯子、梯子の支えなど幾何学的要素が多いのも流石です。
この辺には人物の肖像写真も多く展示されていました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「ライカを持つ女」
腰掛けている女性に格子状の影が落ちている写真です。カメラを傾けて撮ったようで、少し視点が斜めです。また、格子の影が非常にデザイン的に見えて面白かったです。こういう発想は彼の絵画作品などとも繋がっているように思えました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「競馬」
恐らく競馬場のゴール付近で撮られた写真で、足元から見上げる感じで撮られています。馬が何頭も並び、躍動感、スピード感、迫力などが出ていました。レースの熱気が伝わってきそうな作品でした。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「革命博物館の円柱」
若干斜めに撮られた円柱の写真で、上から見下ろすような視点となっています。円柱といっても多角形で、その表面には白黒の影がつき、1面ごとに微妙なグラデーションになっていたのが面白かったです。視点と幾何学的な工夫は流石です。
他にも、鉄塔や木をしたから眺めた作品や、階段を撮った作品など、身近なところにある幾何学模様を撮っているように思い、写真でもロシア・アヴァンギャルドを感じました。
ということで、独特のデザインを楽しめました。結構、難解に思う作品が多かったのですが、解説が少なくてちょっと厳しかったかな。もう終わってしまいましたが一味違った展覧会でした。
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前回ご紹介した松岡美術館の「モネ・ルノワールと印象派・新印象派展」を観た後、隣の部屋で同時開催されていた「ペルシア陶器展」も観てきました。こちらも何枚か写真を撮りましたので、それを使ってご紹介しようと思います。(この美術館はフラッシュ不可、機材不可、携帯での撮影不可、シャッター音不可などのルールを守れば写真撮影が出来ます。)
※もし掲載に問題がありましたら掲載をおろしますので、お申し付けください。

【展覧名】
ペルシア陶器展
【公式サイト】
http://www.matsuoka-museum.jp/exhibit56.html
http://www.matsuoka-museum.jp/
【会場】松岡美術館
【最寄】白金台駅(東京メトロ) または 目黒駅(JR・東京メトロ)
【会期】2010年4月25日~9月26日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
こちらの展示も空いていて、ゆっくり観ることが出来ました。いつもは中国陶器のコーナーがガラっとペルシア陶器に変わっていて、華やかな器の数々を楽しめました。
展示風景はこんな感じ。陶器は全然わからない私ですが、ラスター彩は華やかなので大好きですw

「ラスター彩 人面鳥文 把手壷」

独特の金属的な光沢を持ったラスター彩の壷です。「ラスター」は英語の「luster」で、輝きや光沢を意味します。ラスター彩の中には虹色に変化するのもあったりしますが、これは銅みたいな色で、側面に人面鳥が描かれているのが分かります。実物を観ると結構大きくて見ごたえがありました。
ちなみにラスター彩の技法は14世紀に途絶えてしまい、後に日本人の加藤卓男という陶芸家によって復元されたそうです。
「青釉藍緑彩 花文 皿」

鮮やかな青が綺麗な皿。中には藍や緑で花が描かれているようです。こういう分かりやすい華やかさが好きですw
「青釉黒彩 人物形瓶」

ユーモラスな人物の形をした瓶。ちょっと埴輪みたいな雰囲気が可愛らしいです。きっと貴重なものでしょうが、その価値がどういうものかはわかりませんでした。
「ラスター彩 文字花文 皿」

この辺にはいかにも中東風の模様の皿が何枚かあり、最も気に入ったコーナーでした。この細かくて幾何学的な模様を見ていると、エッシャーがアラベスク模様からインスピレーションを受けたのも納得できる気がする…。そしてこの光沢。素晴らしい。
「ラスター彩 鳥文 鉢」

これは特に金属的な光を放っていた作品です。デフォルメされ装飾的な鳥の文も面白く、かなり気に入りました。
「青釉 牛形水注」

牛の形をした水注。観たところ口から水を出すのかな? 遊び心を感じます。 陶器事態も透き通るような良い色合いで綺麗でした。
ということで、何種類か時代や製法が違う陶器がありました。ちょっと流れが分かりづらかったので、よく理解できていませんが、難しい話を抜きにしてもラスター彩は美しいと思います。写真は出し惜しみしていますが、他にも気に入った作品が結構ありました。 これだけ一気に観られる機会はそんなに無いと思いますので、観ておくと貴重な経験になるかもしれません。「モネ・ルノワールと印象派・新印象派展」とセットで観られますので、中々お得な感じです。
※もし掲載に問題がありましたら掲載をおろしますので、お申し付けください。

【展覧名】
ペルシア陶器展
【公式サイト】
http://www.matsuoka-museum.jp/exhibit56.html
http://www.matsuoka-museum.jp/
【会場】松岡美術館
【最寄】白金台駅(東京メトロ) または 目黒駅(JR・東京メトロ)
【会期】2010年4月25日~9月26日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
こちらの展示も空いていて、ゆっくり観ることが出来ました。いつもは中国陶器のコーナーがガラっとペルシア陶器に変わっていて、華やかな器の数々を楽しめました。
展示風景はこんな感じ。陶器は全然わからない私ですが、ラスター彩は華やかなので大好きですw

「ラスター彩 人面鳥文 把手壷」

独特の金属的な光沢を持ったラスター彩の壷です。「ラスター」は英語の「luster」で、輝きや光沢を意味します。ラスター彩の中には虹色に変化するのもあったりしますが、これは銅みたいな色で、側面に人面鳥が描かれているのが分かります。実物を観ると結構大きくて見ごたえがありました。
ちなみにラスター彩の技法は14世紀に途絶えてしまい、後に日本人の加藤卓男という陶芸家によって復元されたそうです。
「青釉藍緑彩 花文 皿」

鮮やかな青が綺麗な皿。中には藍や緑で花が描かれているようです。こういう分かりやすい華やかさが好きですw
「青釉黒彩 人物形瓶」

ユーモラスな人物の形をした瓶。ちょっと埴輪みたいな雰囲気が可愛らしいです。きっと貴重なものでしょうが、その価値がどういうものかはわかりませんでした。
「ラスター彩 文字花文 皿」

この辺にはいかにも中東風の模様の皿が何枚かあり、最も気に入ったコーナーでした。この細かくて幾何学的な模様を見ていると、エッシャーがアラベスク模様からインスピレーションを受けたのも納得できる気がする…。そしてこの光沢。素晴らしい。
「ラスター彩 鳥文 鉢」

これは特に金属的な光を放っていた作品です。デフォルメされ装飾的な鳥の文も面白く、かなり気に入りました。
「青釉 牛形水注」

牛の形をした水注。観たところ口から水を出すのかな? 遊び心を感じます。 陶器事態も透き通るような良い色合いで綺麗でした。
ということで、何種類か時代や製法が違う陶器がありました。ちょっと流れが分かりづらかったので、よく理解できていませんが、難しい話を抜きにしてもラスター彩は美しいと思います。写真は出し惜しみしていますが、他にも気に入った作品が結構ありました。 これだけ一気に観られる機会はそんなに無いと思いますので、観ておくと貴重な経験になるかもしれません。「モネ・ルノワールと印象派・新印象派展」とセットで観られますので、中々お得な感じです。
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