Archive | 2010年09月
アンドリュー・ワイエス展を観た後、埼玉県立近代美術館の常設展(MOMASコレクションⅡ)を観てきました。この美術館では常設のことをMOMASコレクションと名づけて、期間が決まっているようです。

【展覧名】
MOMASコレクションⅡ
【公式サイト】
http://www.momas.jp/4.htm
【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅
【会期】2010年7月17日(土) ~ 10月17日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
館内は空いていて、自分のペースでゆっくり観ることが出来ました。
いつもそうですが、ここは館内で白黒の絵葉書のような詳細な解説がもらえるのが非常に親切です。 いくつか気に入った作品をご紹介しようと思います。
参考記事:MOMASコレクション3 (埼玉県立近代美術館)
<1 光と風の贈り物>
最初は光と風をテーマにしたコーナーで、古今東西の絵画作品が中心でした。
秋岡美帆 「ゆれるかげ」
最近よく出会う秋岡美帆の作品で、タイトルのようにぼんやりとした影がざわめいているような作品です。いくつか同じような作品を観たことがあり、どうやって描いているのだろう?と思っていたのですが、これは地面に映った樹木の影を、ピントをずらしてスローシャッターで撮影した画像を、「NECO」というコンピューターを使った技法で麻紙に定着させたものだそうです。拡大転写だったのですね。本当にゆらいでいるような感じを受ける作品でした。
参考記事:陰影礼讃―国立美術館コレクションによる (国立新美術館)
岸田劉生 「路傍初夏」 ★こちらで観られます
濃い色彩で土の道、青空、緑の木々が描かれた作品です。色の対比のせいか明るく、生き生きとした印象を受けました。これを描いていた頃は療養をしていた時代だそうですが、岸田劉生の充実期にあたるそうです。この作品はその中でも会心の作として自選画集にも載っているほどなのだとか。
この辺にはモネが2枚展示されていました。(2点とも以前ご紹介しましたので詳細は割愛) 実は「ルエルの眺め」はワイエス展の出品作品と同じく「丸沼芸術の森」の所蔵作品のようです。
モーリス・ドニ 「トレトリニェルの岩場」 ★こちらで観られます
岩場で水遊びをしている子供や女性たちを描いた作品です。石を投げようとしている子や、水に入ろうとしている子、大波に顔を隠す仕草の女性など様々に過ごしているようです。全体的に平面的で、波などは装飾的な感じをうけるかな。この波の表現は日本の浮世絵の影響と解説されていました。
瑛九 「希望」
今回の展示では瑛九の作品が随所で見られました。これは白黒で抽象画のように見えますが、写真の一種です。写真と言ってもカメラを使わない「フォトグラム」という方法で作られていて、これはマン・レイなども使っていた技法です。(マン・レイのレイヨグラフのことです) 何となく人間の形をしているように思ったのですが、これは人物の型紙や針金などを使って作成したようでした。写真なのに抽象的・幻想的というのが面白いです。
参考記事:マン・レイ展 知られざる創作の秘密 (国立新美術館)
ジェームズ・ダレル 「テレフォン・ブース(コール・ウェイティング)」
これは5分くらいの体験型の作品で、体験する際は係員の方にその旨伝えて、順番を待ちます。この日は空いてたのですぐ体験できました。 タイトルの通り、電話ボックスくらいの箱に入って立つと、半円状のスクリーンのようなものがあり、そこに青、赤、紫といった色が映し出されます。たまに凄い勢いで点滅をするので、体調が悪い人などは体験できませんw 本当にチカチカが激しくて、幾何学模様のようなものが眼に焼きついた気がします。 解説によると、これは光を知覚する自分自身を感じるための部屋なのだとか。ずっと点滅を見ていると、光って何だっけ?という感じでゲシュタルト崩壊のような気分になりましたw
<2 天空の彼方へ>
続いては宇宙や天体をテーマにした作品のコーナーです。ここは戦後の日本人の作品ばかりでした。
瑛九 「宇宙」
瑛九の晩年の作で、点描で描かれた抽象的な絵です。色とりどりの点が沢山あるのですが、意味ありげに真ん中が黒くなっていたのが気になりました。独自の宇宙観なのかな? 近くにはこれと似た作風で同じ頃に描かれた「雲」という作品もありました。
奥山民枝 「ゆらぐ」
大きな作品で、ぼんやりとした色彩で虹だけを描いた絵です。空気に溶け込むように淡く、繊細で神秘的な感じを受けました。
そういえば以前にこの人の日食?の作品を観たのを思い出しました。
参考記事:ヴェルナー・パントン展 (東京オペラシティアートギャラリー) ※同時開催で奥山民枝展
志水児玉 「緯度35度48分14.648秒/緯度139度29分32.32秒」
網目(スプリング状?)というか、光のグラフのような作品が4点並んでいました。どういう意味かは分かりませんでしたが、幾何学的な形が綺麗でした。
野村仁 「太陽7月」
暗闇の中、弧を描いて輝く刀のような形の線が2本、向かい合うように並んだ写真作品です。…実はこれはピンホールカメラで日の出から正午までの太陽の軌跡(左)と、正午から日没までの太陽の軌跡(右)を撮ったものです。この人の作品はこうした通常の目では見られないような天体の姿を見せてくれるのが非常に面白いです。 科学的な要素と美術的な要素の両方を感じる作品でした。
参考記事:野村仁 変化する相―時・場・身体 (国立新美術館)
<3 美術館物語:すわってみる・さわってみる>
この美術館は「椅子の美術館」としても名高いのですが、今回は1つのコーナーとして椅子を展示していました。一部を除いて、実際に座ることができます!
チャールズ・レニー・マッキントッシュ 「ヒルハウス1」
長いハシゴのような背もたれの椅子です。中々すわり心地もいいです。 これは結構有名かな。同じデザインの椅子がヤフーで売ってたりしますw
参考リンク:
マッキントッシュデザイン ヒルハウスチェア
オリヴィエ・ムルグ 「ジン(アームチェア)」
赤いクッションで包まれた柔らかなフォルムの椅子です。座るとふんわりした感じかな。お洒落な感じです。
梅田正徳 「月苑」 ★こちらで観られます
これは月明かりの庭に咲く桔梗をイメージした椅子で、巨大な赤い花の中に腰をかけるような感じのデザインです。花びらの部分が肘掛になっているのですが、これが絶妙で座り心地も思った以上に良かったです。発想も面白いし、かなり気に入りました。
<4 陶芸の前衛運動から>
最後は現代の陶芸のコーナーでした。
鈴木治 「二頭立」
爽やかな色の青磁かな。足の付いた馬を形式化したような形の陶器と、車の車輪部分のような形をした陶器のセットでした。素材は昔の磁器のようでしたが現代的なデザインで面白かったです。この隣にも「朱夏の雲」というハートみたいな形の作品があり、点数は少ないものの個性的で良かったです。
ということで、今回も中々楽しめました。特に椅子のコレクションは難しいことを考えなくても楽しめるのではないかと思います。椅子好きの方にはこの美術館はたまらないと思います。


【展覧名】
MOMASコレクションⅡ
【公式サイト】
http://www.momas.jp/4.htm
【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅
【会期】2010年7月17日(土) ~ 10月17日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
館内は空いていて、自分のペースでゆっくり観ることが出来ました。
いつもそうですが、ここは館内で白黒の絵葉書のような詳細な解説がもらえるのが非常に親切です。 いくつか気に入った作品をご紹介しようと思います。
参考記事:MOMASコレクション3 (埼玉県立近代美術館)
<1 光と風の贈り物>
最初は光と風をテーマにしたコーナーで、古今東西の絵画作品が中心でした。
秋岡美帆 「ゆれるかげ」
最近よく出会う秋岡美帆の作品で、タイトルのようにぼんやりとした影がざわめいているような作品です。いくつか同じような作品を観たことがあり、どうやって描いているのだろう?と思っていたのですが、これは地面に映った樹木の影を、ピントをずらしてスローシャッターで撮影した画像を、「NECO」というコンピューターを使った技法で麻紙に定着させたものだそうです。拡大転写だったのですね。本当にゆらいでいるような感じを受ける作品でした。
参考記事:陰影礼讃―国立美術館コレクションによる (国立新美術館)
岸田劉生 「路傍初夏」 ★こちらで観られます
濃い色彩で土の道、青空、緑の木々が描かれた作品です。色の対比のせいか明るく、生き生きとした印象を受けました。これを描いていた頃は療養をしていた時代だそうですが、岸田劉生の充実期にあたるそうです。この作品はその中でも会心の作として自選画集にも載っているほどなのだとか。
この辺にはモネが2枚展示されていました。(2点とも以前ご紹介しましたので詳細は割愛) 実は「ルエルの眺め」はワイエス展の出品作品と同じく「丸沼芸術の森」の所蔵作品のようです。
モーリス・ドニ 「トレトリニェルの岩場」 ★こちらで観られます
岩場で水遊びをしている子供や女性たちを描いた作品です。石を投げようとしている子や、水に入ろうとしている子、大波に顔を隠す仕草の女性など様々に過ごしているようです。全体的に平面的で、波などは装飾的な感じをうけるかな。この波の表現は日本の浮世絵の影響と解説されていました。
瑛九 「希望」
今回の展示では瑛九の作品が随所で見られました。これは白黒で抽象画のように見えますが、写真の一種です。写真と言ってもカメラを使わない「フォトグラム」という方法で作られていて、これはマン・レイなども使っていた技法です。(マン・レイのレイヨグラフのことです) 何となく人間の形をしているように思ったのですが、これは人物の型紙や針金などを使って作成したようでした。写真なのに抽象的・幻想的というのが面白いです。
参考記事:マン・レイ展 知られざる創作の秘密 (国立新美術館)
ジェームズ・ダレル 「テレフォン・ブース(コール・ウェイティング)」
これは5分くらいの体験型の作品で、体験する際は係員の方にその旨伝えて、順番を待ちます。この日は空いてたのですぐ体験できました。 タイトルの通り、電話ボックスくらいの箱に入って立つと、半円状のスクリーンのようなものがあり、そこに青、赤、紫といった色が映し出されます。たまに凄い勢いで点滅をするので、体調が悪い人などは体験できませんw 本当にチカチカが激しくて、幾何学模様のようなものが眼に焼きついた気がします。 解説によると、これは光を知覚する自分自身を感じるための部屋なのだとか。ずっと点滅を見ていると、光って何だっけ?という感じでゲシュタルト崩壊のような気分になりましたw
<2 天空の彼方へ>
続いては宇宙や天体をテーマにした作品のコーナーです。ここは戦後の日本人の作品ばかりでした。
瑛九 「宇宙」
瑛九の晩年の作で、点描で描かれた抽象的な絵です。色とりどりの点が沢山あるのですが、意味ありげに真ん中が黒くなっていたのが気になりました。独自の宇宙観なのかな? 近くにはこれと似た作風で同じ頃に描かれた「雲」という作品もありました。
奥山民枝 「ゆらぐ」
大きな作品で、ぼんやりとした色彩で虹だけを描いた絵です。空気に溶け込むように淡く、繊細で神秘的な感じを受けました。
そういえば以前にこの人の日食?の作品を観たのを思い出しました。
参考記事:ヴェルナー・パントン展 (東京オペラシティアートギャラリー) ※同時開催で奥山民枝展
志水児玉 「緯度35度48分14.648秒/緯度139度29分32.32秒」
網目(スプリング状?)というか、光のグラフのような作品が4点並んでいました。どういう意味かは分かりませんでしたが、幾何学的な形が綺麗でした。
野村仁 「太陽7月」
暗闇の中、弧を描いて輝く刀のような形の線が2本、向かい合うように並んだ写真作品です。…実はこれはピンホールカメラで日の出から正午までの太陽の軌跡(左)と、正午から日没までの太陽の軌跡(右)を撮ったものです。この人の作品はこうした通常の目では見られないような天体の姿を見せてくれるのが非常に面白いです。 科学的な要素と美術的な要素の両方を感じる作品でした。
参考記事:野村仁 変化する相―時・場・身体 (国立新美術館)
<3 美術館物語:すわってみる・さわってみる>
この美術館は「椅子の美術館」としても名高いのですが、今回は1つのコーナーとして椅子を展示していました。一部を除いて、実際に座ることができます!
チャールズ・レニー・マッキントッシュ 「ヒルハウス1」
長いハシゴのような背もたれの椅子です。中々すわり心地もいいです。 これは結構有名かな。同じデザインの椅子がヤフーで売ってたりしますw
参考リンク:
オリヴィエ・ムルグ 「ジン(アームチェア)」
赤いクッションで包まれた柔らかなフォルムの椅子です。座るとふんわりした感じかな。お洒落な感じです。
梅田正徳 「月苑」 ★こちらで観られます
これは月明かりの庭に咲く桔梗をイメージした椅子で、巨大な赤い花の中に腰をかけるような感じのデザインです。花びらの部分が肘掛になっているのですが、これが絶妙で座り心地も思った以上に良かったです。発想も面白いし、かなり気に入りました。
<4 陶芸の前衛運動から>
最後は現代の陶芸のコーナーでした。
鈴木治 「二頭立」
爽やかな色の青磁かな。足の付いた馬を形式化したような形の陶器と、車の車輪部分のような形をした陶器のセットでした。素材は昔の磁器のようでしたが現代的なデザインで面白かったです。この隣にも「朱夏の雲」というハートみたいな形の作品があり、点数は少ないものの個性的で良かったです。
ということで、今回も中々楽しめました。特に椅子のコレクションは難しいことを考えなくても楽しめるのではないかと思います。椅子好きの方にはこの美術館はたまらないと思います。
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この前の日曜日、埼玉県立近代美術館に行って始まったばかりの「アンドリュー・ワイエス展」を観てきました。

【展覧名】
丸沼芸術の森所蔵 アンドリュー・ワイエス展 -オルソン・ハウスの物語-
【公式サイト】
http://www.momas.jp/3.htm
【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅
【会期】2010年9月25日(土)~12月12日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
お客さんはまばらで、ゆっくり観ることが出来ました。この展示は、埼玉県朝霞にある「丸沼芸術の森」が所蔵するワイエスの作品コレクションを展示するもので、ワイエスが繰り返し題材にした「オルソンハウス」関連の作品が全部で240点も展示されていました。(半分以上は鉛筆の習作ですが^^;)
参考リンク:丸沼芸術の森
解説に詳しいことが書いて無かったのですが、アンドリュー・ワイエスは1917生まれで2009年に没した、アメリカの国民的画家です。(最近だと2008年末にbunkamuraで大きめの展示があったのですが、その後亡くなっていたとは知りませんでした。) 静かな雰囲気を持ちながらも情感溢れ、水彩(作品は主に水彩)でも強い印象を与えてくれる画家なので、今回の展示も楽しみにしていました。詳しくは気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。なお、同じような作品名が多いので作品番号も添えておきます。
参考リンク:
アンドリュー・ワイエスのwikipedia
2008年のbunkamuraの展示
001 アンドリュー・ワイエス 「オルソンの家」
今回の展示はひたすら「オルソン・ハウス」という家を描いた作品の展示となっているのですが、これは初めてこの家を描いた頃の水彩作品です。丁寧だけど素早さを感じる筆致で、丘の上に建っている家を描いています。丘と言ってもこれを見るとやや平坦な気が…w 静かな中で存在感を感じる家でした。解説によると、この絵は車の屋根の上に乗って描いたそうです。
この辺にはこの家を描いた作品がずらっと並んでいます。ワイエスは後の妻となるベッツィの紹介で、オルソン家の姉弟と知り合ったそうです。姉のクリスティーナは病気で足が不自由な女性で、弟のアルヴァロは寡黙で気難しい性格で、漁が好きだったのですが父の死によって農夫に転向したという人物です。この2人のことを知っておくと、オルソン・ハウス関連の作品の背景が理解できるかと思います。
005 アンドリュー・ワイエス 「菜園のアルヴァロ」
オルソン・ハウスが見える畑を描いた鉛筆のスケッチです。白黒でも情感豊かに田舎風景を描いていました。アルヴァロも菜園で作業をしているようでした。
007 アンドリュー・ワイエス 「ブルーベリーをかき集めるアルヴァロたち」
水彩で、腰をかがめてブルーベリーを収穫する2人と、パイプを咥えて木を見ている男が描かれ、背景にはオルソン・ハウスが見えています。素早く力強い印象の線と、少し寂しげな雰囲気がある色合いがワイエスらしさを感じました。
この辺はブルーベリー用の熊手や箱の水彩・習作が何枚かありました。
054 アンドリュー・ワイエス 「カモメの案山子」
オルソン・ハウスを背景に、丘の斜面に立つ長い棒にカモメの死体が吊るされているのを描いた水彩です。これはブルーベリーを食べるカモメを怖がらせるためのカカシとのことで、カモメの羽の表現が軽やかな感じを受けます。それに対して背景は荒涼とした感じを受けたかな。
この辺りにはこのカモメの案山子を題材に、角度を変えて描いた水彩や習作が何枚かありました。
061 アンドリュー・ワイエス 「オルソン家の納屋の内部」
暗い納屋の中で、横向きの牛が立っている様子が描かれた水彩です。牛だけ光が当たったように明るく、牛がやけに左の方に寄っているような構図が気になりました。
この辺にはこうしたオルソン家の牛や馬を描いた作品が並んでいました。馬の尻だけ描いた作品とかもありましたw
101 アンドリュー・ワイエス 「オルソンの家」
納屋の中から見るオルソンハウスを描いた水彩で、家の左半分だけが見える角度となっているのが面白い作品です。納屋の中には質感豊かに描かれた農具などが描かれていました。 また、家の左にはぽつんと石柱が立っていて、これは馬を繋ぐ柱のようです。この作品の近くにはこの柱を描いた作品や納屋の中が描かれた作品が並んでいました。
066 アンドリュー・ワイエス 「《青い計量器》習作」
袋の上に乗った青い器を描いた水彩です。袋の布地や青い器にこびりついた白い粉のようなものの表現が素晴らしく、まるで油彩のような色合いに感じました。
他にもバケツや計量器を作品は何点かありました。
046 アンドリュー・ワイエス 「オルソン家の納屋のツバメ」
納屋の天井近くにある割れた窓から入ってくる沢山のツバメを描いた水彩です。窓からの光や、天井の古そうな色合い、ツバメの飛翔する動きなどが感じられました。
この辺にはオルソン・ハウスの模型が置かれていました。これも今回の展示を楽しむ上で結構役立ちます。
108 アンドリュー・ワイエス 「霧の中のオルソン家」
オルソン・ハウスを横側から描いた水彩です。画面の中央くらいの高さまで草原が描かれ、家は上部に描かれているのが面白いです。家は霧に包まれて、白くぼんやりとした感じがよく出ています。まるで水墨画のように少ない色彩なのに、味のある作品となっていました。
037 アンドリュー・ワイエス 「《幽霊》習作」
オルソン家のクリスティーナの寝室の隣の部屋は何故かいつも閉じられていたそうで、ある日、ワイエスがその部屋のノブを回すととあっさりと開き、そこには男が立っていたそうです。ワイエスはそれに非常に驚いたそうですが、よく見るとそれは埃がかった鏡に写った自分でしたw 分かってしまえば何だ~と言う話ですが、ワイエスはこれにインスピレーションを受けたようで、「色彩感覚を失った」という体験を元にこの作品を描きました。 ぼんやりと佇む白いシャツの男の輪郭や、白っぽい画面はちょっと幽霊っぽいかも。この時の驚きを表現しているようでした。 この作品は見覚えあるような…。
010 アンドリュー・ワイエス 「《オイルランプ》習作」
オルソン姉弟の弟アルヴァロを描いた鉛筆素描です。窓辺で座る、少し歳をとり気難しそうな表情のアルヴァロが描かれ、その右にはうっすらとランプらしきものが描かれています。そのランプの光のせいか、顔の左側には長い影が伸びていて、強い陰影に思えました。なお、この作品はオルソン姉弟を描いた肖像画だそうですが、アルヴァロは頑固でこれ以降肖像画のためにポーズをとることは無かったようです。
ランプを描いた素描はこの他にも何点かありました。解説によると、この頃ワイエスの父と甥が列車の事故で亡くなったそうです。それがきっかけなのか、その後は自分の作風を確立していったようです。
また、この辺には薄いカーテンがなびいている「海からの風」という作品の習作が沢山並んでいました。
031 アンドリュー・ワイエス 「《クリスティーナの世界》習作」
これはワイエスの代表作「クリスティーナの世界」の水彩の習作で、この完成作でワイエスは画家としての地位を高めたそうです。
ピンクのワンピースを着て、後ろ向きで足を横に出す感じで座っているようなクリスティーナが描れています。前述の通り、クリスティーナは生まれつき足が不自由だったそうですが、この作品には、地面を這いずって家に向かう姿に逞しさと、ピンクのワンピースを着ている女性らしさというクリスティーナの2面性が表現されているようです。ワイエス自身も子供の頃は体が弱かったそうで、クリスティーナに自分を重ねあわせたのではないかと解説されていました。1枚の絵でその人の人生を感じさせるのは凄いことだと思います。
この辺は「クリスティーナの世界」の素描が沢山並んでいました。後姿や手だけを描いた作品もあったかな。また、「薪ストーブ」や「ミス・オルソン」といった作品の習作も何点かずつ展示されています。
109 アンドリュー・ワイエス 「オルソン家の朝食」
オルソン・ハウスの渡り廊下のような部分を描いた作品です。ここは食堂だったらしく、煙突から煙が上がり窓の中には人影が見えます。解説によると、これは朝食の準備をするアルヴァロが、外の地面に座っているのは誰だろうと観ている様子らしいです。(そんなところで朝っぱらから座っているのはワイエスくらいしかいないと思いますがw) 細々と描かれた草や、そらに溶け込むような煙、深い色合いの屋根など、独特の穏やかな雰囲気が出ているように思いました。
この辺は「さらされた場所」という作品や、バスケットや穀物袋を描いた習作がずらりとならんでいました。
107 アンドリュー・ワイエス 「《アンナ・クリスティーナ》習作」
台所で椅子に座って窓の外を見るクリスティーナを描いた水彩で、これがクリスティーナを描いた最後の作品(の習作)らしいです。(弟のアルヴァロが死んで1ヶ月くらいでクリスティーナも亡くなったそうです) 静かな雰囲気の中、ちょっとぼーっとした感じに見えたかな。
この辺には同じくアンナ・クリスティーナの習作が沢山あり、その後にはお葬式やお墓を描いた習作もありました。
120 アンドリュー・ワイエス 「《オルソン家の終焉》習作」
オルソン家を描いた最後の作品の習作です。3階から見る煙突と屋根を描いていて、背景には緑の多い風景が描かれています。解説によると、ワイエスはこの煙突を家の耳のように思っていたそうで、以前は2人の声が台所の煙突にこだまして聞こえていたそうです。 しかし、この絵は落ち着いた色合いで静寂のみが漂っているような雰囲気でした。 ここまで同じ家を見てくると、最後はちょっと寂しいものがあります。
会場の出口付近には映像コーナーがありました。今でもオルソン・ハウスはアメリカの文化財として保存されているようで、オルソン家のあちこちを映像で流していました。映像で観ても味がある風格をしています。
会場を出ると、丸沼芸術の森コレクションの展覧会の歩みを写真ボードなどで紹介するコーナーがあり、ワイエスの写真などもありました。 また、この展覧会では習作しかなかった作品の完成作のコピーなどもあります(どうせならコピーと書いて会場内にあれば分かりやすいだろうに…) 「クリスティーナの世界」はbunkamuraの時に見たかも。
ということで水彩や鉛筆の習作が中心の展覧会だったように思います。派手好きの私としては、もうちょっと完成作を観たかった気もしますが、制作過程などを詳しく知りたい「通」な人には面白い展示じゃないかと思います。

【展覧名】
丸沼芸術の森所蔵 アンドリュー・ワイエス展 -オルソン・ハウスの物語-
【公式サイト】
http://www.momas.jp/3.htm
【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅
【会期】2010年9月25日(土)~12月12日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
お客さんはまばらで、ゆっくり観ることが出来ました。この展示は、埼玉県朝霞にある「丸沼芸術の森」が所蔵するワイエスの作品コレクションを展示するもので、ワイエスが繰り返し題材にした「オルソンハウス」関連の作品が全部で240点も展示されていました。(半分以上は鉛筆の習作ですが^^;)
参考リンク:丸沼芸術の森
解説に詳しいことが書いて無かったのですが、アンドリュー・ワイエスは1917生まれで2009年に没した、アメリカの国民的画家です。(最近だと2008年末にbunkamuraで大きめの展示があったのですが、その後亡くなっていたとは知りませんでした。) 静かな雰囲気を持ちながらも情感溢れ、水彩(作品は主に水彩)でも強い印象を与えてくれる画家なので、今回の展示も楽しみにしていました。詳しくは気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。なお、同じような作品名が多いので作品番号も添えておきます。
参考リンク:
アンドリュー・ワイエスのwikipedia
2008年のbunkamuraの展示
001 アンドリュー・ワイエス 「オルソンの家」
今回の展示はひたすら「オルソン・ハウス」という家を描いた作品の展示となっているのですが、これは初めてこの家を描いた頃の水彩作品です。丁寧だけど素早さを感じる筆致で、丘の上に建っている家を描いています。丘と言ってもこれを見るとやや平坦な気が…w 静かな中で存在感を感じる家でした。解説によると、この絵は車の屋根の上に乗って描いたそうです。
この辺にはこの家を描いた作品がずらっと並んでいます。ワイエスは後の妻となるベッツィの紹介で、オルソン家の姉弟と知り合ったそうです。姉のクリスティーナは病気で足が不自由な女性で、弟のアルヴァロは寡黙で気難しい性格で、漁が好きだったのですが父の死によって農夫に転向したという人物です。この2人のことを知っておくと、オルソン・ハウス関連の作品の背景が理解できるかと思います。
005 アンドリュー・ワイエス 「菜園のアルヴァロ」
オルソン・ハウスが見える畑を描いた鉛筆のスケッチです。白黒でも情感豊かに田舎風景を描いていました。アルヴァロも菜園で作業をしているようでした。
007 アンドリュー・ワイエス 「ブルーベリーをかき集めるアルヴァロたち」
水彩で、腰をかがめてブルーベリーを収穫する2人と、パイプを咥えて木を見ている男が描かれ、背景にはオルソン・ハウスが見えています。素早く力強い印象の線と、少し寂しげな雰囲気がある色合いがワイエスらしさを感じました。
この辺はブルーベリー用の熊手や箱の水彩・習作が何枚かありました。
054 アンドリュー・ワイエス 「カモメの案山子」
オルソン・ハウスを背景に、丘の斜面に立つ長い棒にカモメの死体が吊るされているのを描いた水彩です。これはブルーベリーを食べるカモメを怖がらせるためのカカシとのことで、カモメの羽の表現が軽やかな感じを受けます。それに対して背景は荒涼とした感じを受けたかな。
この辺りにはこのカモメの案山子を題材に、角度を変えて描いた水彩や習作が何枚かありました。
061 アンドリュー・ワイエス 「オルソン家の納屋の内部」
暗い納屋の中で、横向きの牛が立っている様子が描かれた水彩です。牛だけ光が当たったように明るく、牛がやけに左の方に寄っているような構図が気になりました。
この辺にはこうしたオルソン家の牛や馬を描いた作品が並んでいました。馬の尻だけ描いた作品とかもありましたw
101 アンドリュー・ワイエス 「オルソンの家」
納屋の中から見るオルソンハウスを描いた水彩で、家の左半分だけが見える角度となっているのが面白い作品です。納屋の中には質感豊かに描かれた農具などが描かれていました。 また、家の左にはぽつんと石柱が立っていて、これは馬を繋ぐ柱のようです。この作品の近くにはこの柱を描いた作品や納屋の中が描かれた作品が並んでいました。
066 アンドリュー・ワイエス 「《青い計量器》習作」
袋の上に乗った青い器を描いた水彩です。袋の布地や青い器にこびりついた白い粉のようなものの表現が素晴らしく、まるで油彩のような色合いに感じました。
他にもバケツや計量器を作品は何点かありました。
046 アンドリュー・ワイエス 「オルソン家の納屋のツバメ」
納屋の天井近くにある割れた窓から入ってくる沢山のツバメを描いた水彩です。窓からの光や、天井の古そうな色合い、ツバメの飛翔する動きなどが感じられました。
この辺にはオルソン・ハウスの模型が置かれていました。これも今回の展示を楽しむ上で結構役立ちます。
108 アンドリュー・ワイエス 「霧の中のオルソン家」
オルソン・ハウスを横側から描いた水彩です。画面の中央くらいの高さまで草原が描かれ、家は上部に描かれているのが面白いです。家は霧に包まれて、白くぼんやりとした感じがよく出ています。まるで水墨画のように少ない色彩なのに、味のある作品となっていました。
037 アンドリュー・ワイエス 「《幽霊》習作」
オルソン家のクリスティーナの寝室の隣の部屋は何故かいつも閉じられていたそうで、ある日、ワイエスがその部屋のノブを回すととあっさりと開き、そこには男が立っていたそうです。ワイエスはそれに非常に驚いたそうですが、よく見るとそれは埃がかった鏡に写った自分でしたw 分かってしまえば何だ~と言う話ですが、ワイエスはこれにインスピレーションを受けたようで、「色彩感覚を失った」という体験を元にこの作品を描きました。 ぼんやりと佇む白いシャツの男の輪郭や、白っぽい画面はちょっと幽霊っぽいかも。この時の驚きを表現しているようでした。 この作品は見覚えあるような…。
010 アンドリュー・ワイエス 「《オイルランプ》習作」
オルソン姉弟の弟アルヴァロを描いた鉛筆素描です。窓辺で座る、少し歳をとり気難しそうな表情のアルヴァロが描かれ、その右にはうっすらとランプらしきものが描かれています。そのランプの光のせいか、顔の左側には長い影が伸びていて、強い陰影に思えました。なお、この作品はオルソン姉弟を描いた肖像画だそうですが、アルヴァロは頑固でこれ以降肖像画のためにポーズをとることは無かったようです。
ランプを描いた素描はこの他にも何点かありました。解説によると、この頃ワイエスの父と甥が列車の事故で亡くなったそうです。それがきっかけなのか、その後は自分の作風を確立していったようです。
また、この辺には薄いカーテンがなびいている「海からの風」という作品の習作が沢山並んでいました。
031 アンドリュー・ワイエス 「《クリスティーナの世界》習作」
これはワイエスの代表作「クリスティーナの世界」の水彩の習作で、この完成作でワイエスは画家としての地位を高めたそうです。
ピンクのワンピースを着て、後ろ向きで足を横に出す感じで座っているようなクリスティーナが描れています。前述の通り、クリスティーナは生まれつき足が不自由だったそうですが、この作品には、地面を這いずって家に向かう姿に逞しさと、ピンクのワンピースを着ている女性らしさというクリスティーナの2面性が表現されているようです。ワイエス自身も子供の頃は体が弱かったそうで、クリスティーナに自分を重ねあわせたのではないかと解説されていました。1枚の絵でその人の人生を感じさせるのは凄いことだと思います。
この辺は「クリスティーナの世界」の素描が沢山並んでいました。後姿や手だけを描いた作品もあったかな。また、「薪ストーブ」や「ミス・オルソン」といった作品の習作も何点かずつ展示されています。
109 アンドリュー・ワイエス 「オルソン家の朝食」
オルソン・ハウスの渡り廊下のような部分を描いた作品です。ここは食堂だったらしく、煙突から煙が上がり窓の中には人影が見えます。解説によると、これは朝食の準備をするアルヴァロが、外の地面に座っているのは誰だろうと観ている様子らしいです。(そんなところで朝っぱらから座っているのはワイエスくらいしかいないと思いますがw) 細々と描かれた草や、そらに溶け込むような煙、深い色合いの屋根など、独特の穏やかな雰囲気が出ているように思いました。
この辺は「さらされた場所」という作品や、バスケットや穀物袋を描いた習作がずらりとならんでいました。
107 アンドリュー・ワイエス 「《アンナ・クリスティーナ》習作」
台所で椅子に座って窓の外を見るクリスティーナを描いた水彩で、これがクリスティーナを描いた最後の作品(の習作)らしいです。(弟のアルヴァロが死んで1ヶ月くらいでクリスティーナも亡くなったそうです) 静かな雰囲気の中、ちょっとぼーっとした感じに見えたかな。
この辺には同じくアンナ・クリスティーナの習作が沢山あり、その後にはお葬式やお墓を描いた習作もありました。
120 アンドリュー・ワイエス 「《オルソン家の終焉》習作」
オルソン家を描いた最後の作品の習作です。3階から見る煙突と屋根を描いていて、背景には緑の多い風景が描かれています。解説によると、ワイエスはこの煙突を家の耳のように思っていたそうで、以前は2人の声が台所の煙突にこだまして聞こえていたそうです。 しかし、この絵は落ち着いた色合いで静寂のみが漂っているような雰囲気でした。 ここまで同じ家を見てくると、最後はちょっと寂しいものがあります。
会場の出口付近には映像コーナーがありました。今でもオルソン・ハウスはアメリカの文化財として保存されているようで、オルソン家のあちこちを映像で流していました。映像で観ても味がある風格をしています。
会場を出ると、丸沼芸術の森コレクションの展覧会の歩みを写真ボードなどで紹介するコーナーがあり、ワイエスの写真などもありました。 また、この展覧会では習作しかなかった作品の完成作のコピーなどもあります(どうせならコピーと書いて会場内にあれば分かりやすいだろうに…) 「クリスティーナの世界」はbunkamuraの時に見たかも。
ということで水彩や鉛筆の習作が中心の展覧会だったように思います。派手好きの私としては、もうちょっと完成作を観たかった気もしますが、制作過程などを詳しく知りたい「通」な人には面白い展示じゃないかと思います。
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前回ご紹介した横浜美術館のドガ展を観た後、すぐ近くのクイーンズイーストにある「キハチ」というレストランでお茶をしてきました。 …まあ、このお店は色々な所に支店があるんですけどねw 横浜美術館内のカフェ小倉山が結構混んでいる時には、すぐ近くのこちらを使うのも便利なので一応ご紹介しようかと。

【店名】
キハチ イタリアン 横浜クイーンズイースト
【ジャンル】
カフェ・レストラン
【公式サイト】
http://www.kihachi.jp/
http://r.gnavi.co.jp/a077904/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅
【近くの美術館】
横浜美術館
横浜みなと博物館 など
【この日にかかった1人の費用】
1050円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
お店の中は結構お洒落な感じで、お客さんは多かったですがゆっくりすることができました。 接客も非常に目配りが行き届いていて、水が切れるとすぐに注いでくれるような感じです。…ワイングラスが洗剤くさいのはどうにかした方が良いと思いますがw
この日はケーキセット1050円也を頼みました。

コーヒーは中々香りが良くて軽やかな味わいでした。薄いというわけではなく滑らかな感じ。 ケーキのほうも結構美味しいです。甘さ控えめでした。
連れは紅茶とロールケーキを頼んでいました。

確か、紅茶は普通にカップに入ってきました。
ロールケーキも中々美味しかったらしいです。

ということで、洒落た雰囲気の中で美味しいお茶をすることができました。サービスが良いので、美術展の後に落ち着いてお茶するに最適じゃないかと思います。ちょっと割高な気がするけど、雰囲気に払っていると思えば良いかなw レストランもやっているようですので、いずれ行ってみたいと思います。
おまけ:
この日は良い天気になったので、すぐ近くの横浜みなと博物館の近くでゆっくり海を眺めていました。



【店名】
キハチ イタリアン 横浜クイーンズイースト
【ジャンル】
カフェ・レストラン
【公式サイト】
http://www.kihachi.jp/
http://r.gnavi.co.jp/a077904/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅
【近くの美術館】
横浜美術館
横浜みなと博物館 など
【この日にかかった1人の費用】
1050円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
お店の中は結構お洒落な感じで、お客さんは多かったですがゆっくりすることができました。 接客も非常に目配りが行き届いていて、水が切れるとすぐに注いでくれるような感じです。…ワイングラスが洗剤くさいのはどうにかした方が良いと思いますがw
この日はケーキセット1050円也を頼みました。


コーヒーは中々香りが良くて軽やかな味わいでした。薄いというわけではなく滑らかな感じ。 ケーキのほうも結構美味しいです。甘さ控えめでした。
連れは紅茶とロールケーキを頼んでいました。

確か、紅茶は普通にカップに入ってきました。
ロールケーキも中々美味しかったらしいです。

ということで、洒落た雰囲気の中で美味しいお茶をすることができました。サービスが良いので、美術展の後に落ち着いてお茶するに最適じゃないかと思います。ちょっと割高な気がするけど、雰囲気に払っていると思えば良いかなw レストランもやっているようですので、いずれ行ってみたいと思います。
おまけ:
この日は良い天気になったので、すぐ近くの横浜みなと博物館の近くでゆっくり海を眺めていました。


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つい昨日の土曜日に、みなとみらいにある横浜美術館で「ドガ展」を観てきました。この展覧会は今年の美術展の中でも特に注目の内容となっています。


【展覧名】
ドガ展
【公式サイト】
http://www.degas2010.com/
【会場】横浜美術館
【最寄】JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅
【会期】2010年9月18日~12月31日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日13時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
まだ始まって1週間程度ですが、早くも混みあっていました。入場制限はなく、お客さんが列を組んで観ているものの、2列目ならゆっくり観ることができる程度なのでメチャクチャ混んでいるという程ではないです。しかし、今後はもっと混んでいく可能性がありますので、ある程度の覚悟はしておいた方が良いかと。
さて、今回の展覧会は国内では21年ぶりとなる本格的なドガの回顧展で、全部で約120点もあり、オルセー美術館からも傑作「エトワール」を含む45点が出品されています。勿論、踊り子の作品も多数あり、ドガの変遷を辿るように初期から晩年まで、テーマと時代に分けて展示されていました。 詳しくはいつも通りに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
<第1章 古典主義からの出発>
まずは初期の時代に関するコーナーです。エドガー・ドガの本名はイレール・ジェルマン・エドガー・ド・ガスで、1834年に裕福な銀行家の息子として生まれました。パリ大学で法律を学びましたが画家を志して中退し、パリ国立美術学校でドミニク・アングルの弟子のルイ・ラモールに学んだそうです。ドガはアングルを範にしたり、ルーブル美術館の古典を模写していたそうで、1856年からは3年間のイタリア滞在でルネサンス美術も研究していたようです。そのため、初期は伝統的な構図と重厚な雰囲気の作品を描いていたようですが、サロンでは注目されなかったのだとか。この章では、そうした古典主義を範にした作品などやその後の作品が並んでいました。
アングルの参考記事:
ウフィツィ美術館自画像コレクション (損保ジャパン東郷青児美術館)
フランス絵画の19世紀 美をめぐる100年のドラマ (横浜美術館)
エドガー・ドガ 「画家の肖像」 ★こちらで観られます
21歳の頃の自画像です。体はちょっと横向きで、こちらを見ているのですが、ちょっと機嫌が良くなさそうな気がするw 解説によると、生涯敬愛したアングルの自画像に倣ったポーズらしいですが、アングルのような芸術家然とした感じではなく、ブルジョワの出自を示しているようです。
エドガー・ドガ 「バビロンを建設するセミラミス(下絵)」
これはイタリアから帰ってきた後に描かれた作品で、同名の大作を描くための下絵だそうです。アッシリアの女王セミラミスがバビロンの建設を視察しにきている様子が描かれ、川の近くの建物の通路のようなところで女王とそのお付の人々や馬などが左側の岸を臨んでいます。デッサンは非常に緻密で動きや陰影を感じ、淡い色彩から繊細な印象を受けました。
この近くにはセミラミスのための習作が何点かあり、衣のひだなどを描いたデッサンなどもありました。
エドガー・ドガ 「アンドレア・マンテーニャ《磔刑図》の模写」
これはルーブル美術館にあるアンドレア・マンテーニャ(ルネサンス期の巨匠)の「磔刑図」を模写した作品です。キリストと2人の男が磔になっている姿が描かれ、周りには兵士などの姿もあります。 解説によると、原作と比べると細部を省略していて、力強いタッチで厳格な画面構成を把握することを試みているのだとか。 …これだけ観てもよくわからないかも。できれば原作の写真でもあれば良かったんだけどなあw
参考リンク:アンドレア・マンテーニャ 「磔刑図」の画像
この辺を少し進むと競馬場関連のコーナーでした。1857年にロンシャン競馬場ができ、競馬場は紳士淑女の社交場となりました。その為、現在の様子を描くという画家たちの格好の画題となり、ドガも数々の作品を残しています。他の画家との違いとしては、ドガは馬と騎手に注目していたようです。
エドガー・ドガ 「障害競馬-落馬した騎手」 ★こちらで観られます
大画面の作品で、右の方で仰向けになって倒れて眼を閉じている騎手が描かれ、そのすぐ上には空馬が飛ぶように走っています。私には騎手が落ちた瞬間というよりはしばらく経ってからのように観えたかな。解説によると、これは2度目のサロン出品作だそうで、大作=神話という約束ごとがあった中で、現代の風景(しかも落馬w)を出したようです。
この辺では、先日のボストン美術館展でも観ることができた「田舎の競馬場にて」を再び観ることもできました。
参考記事:ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想後編 (森アーツセンターギャラリー)
さらに少し進むと肖像画のコーナーとなっていました、ドガは依頼を受けて肖像を描くことはなく、家族や友人など心を許した人々だけ描いていたようです。解説によると、伝統よりも親近感や自然さを重視していたそうで、心情や性格をも表現するかのように描いていたようです。
このコーナーの最初の方は木炭やコンテで描かれた習作が5~6点あったかな。
エドガー・ドガ 「立っている二人の男」
壁際に立つ2人の男の肖像です。右の男の体は透けていて顔は真っ白なので、もしかしたら描きかけなのかな? 特に解説は無かったですがちょっと気になる作品でした。
この辺にはボストン美術館展にも展示されていた「エドモンド・モルビッリ夫妻」や村内美術館で観た作品などもありました。
参考記事:
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想前編 (森アーツセンターギャラリー)
村内美術館の案内
エドガー・ドガ 「画家の従姉妹の肖像」
黒い服(喪服?)を着た2人の姉妹を描いた肖像画です。左の娘はこちらをじっと見ていて真面目そうな感じを受けました。右の娘は顔を右に向けてぼんやりしているのかな? 姉妹の性格の違いを感じるような作品でした。
エドガー・ドガ 「ロレンソ・パガンとオーギュスト・ド・ガス」 ★こちらで観られます
ギターを弾くパガンという当時人気のスペイン歌手/ギター奏者と、その隣に座っているドガの父親を描いた作品です。パガンは指の動きまでも表現されているようで、強い眼をしているように思います。それに対して父親は指を組んでじっと聴き入っているようでした。 解説によると、ドガの父親は音楽好きで、よくパガンを家に招いていたそうです。また、この頃はスペインブームの時期だったそうです。(確かにこの時代の画家はスペイン風の作品が多いです)
エドガー・ドガ 「マネとマネ夫人」 ★こちらで観られます
ソファでごろっと横になって頬杖をついている画家のエドゥアール・マネと、その隣でピアノを弾いているマネの妻が描かれた作品です。右の画面1/3くらいが縦に切り取られていて夫人の顔を観ることができません。これはマネがこの作品を観た際に、妻の顔の出来栄えが気に入らなかったために切り落としてしまったそうです。マネとドガは非常に親密な交友関係があったのですが、こうした波乱もあったようですね。解説ではマネと普仏戦争に一緒に参加したエピソードなども紹介されていました。
参考記事:マネとモダン・パリ (三菱一号館美術館)
この辺にはマネを描いたデッサンや、マネの親戚関係にあるモリゾの姉を描いた肖像などもありました(後の章にはジュリー・マネの肖像などもあります。)
<第2章 実験と革新の時代>
ドガは、サロンと決別し、ピサロやモネ、ルノワール達と印象派展を画策し、全8回中7回参加するなど中心的な役割を担っていたようです。ただ、ドガは他の印象派とは少し違っていて、戸外ではなくアトリエの中でデッサンを元に都市に生きる人々などを描いていたようです。また、油彩画だけではなくパステルや版画で表現したり、クローズアップやモチーフの断ち落としといった新しい構図など、意欲的に実験に取り組んでいたようです。
踊り子を描くようになったのもこの頃とのことで、踊り子関連の作品が並んでいました。
エドガー・ドガ 「14歳の小さな踊り子」 ★こちらで観られます
手を後ろに組んで少し上を向き、右足を横に捻るように出したポーズをとっている踊り子の少女の銅像です。実際にひらひらしたスカートを履いているのも特徴かな。解説によると、この作品のオリジナルは蝋で出来ていたそうで、生前に発表された唯一の彫刻だそうです。当時は顔に彩色を施し、人毛のかつらを被せるなど、徹底した写実性が話題になったのだとか。…スカートどころじゃなかったんですねw 可愛らしい像ですがオリジナルはもっとリアルだったのかも。
この辺には踊り子を描いた習作が並んでいました。
エドガー・ドガ 「エトワール」 ★こちらで観られます
今回の展覧会で一番の目玉はこの作品で間違いないと思います。左手を斜めに挙げ、右手を水平に広げながら片足で立つポーズをとる主役の踊り子と、舞台の後ろで立つ黒い服の男性、舞台袖の他の踊り子などが描かれた作品です。一瞬の流れるようなポーズが美しく、柔らかく軽やかな色彩で服や肌に透明感を感じます。これはパステルを重ねて描いているそうで、特にスカートの表現が凄かったです。
なお、「エトワール」というのは「星」という意味で、オペラ座の主役の称号だそうです。後ろに立っているのはそのパトロンでしょうか。踊り子とパトロンの関係は如何に??と、舞台だけでなくその人間関係にも光と影を感じる作品でした。 (解説によるとドガとしては踊り子本人ではなく服や動きに関心を持って描いていたそうですが…)
エドガー・ドガ 「緑の部屋の踊り子たち」
踊り子たちの練習風景を描いた作品です。踊っている人々を背景に、手前に大きなコントラバス?があり、それに足を乗せて靴を履いている踊り子がいたり、ドレスの背中を結んでいる踊り子がいるなど、ありのままの姿を描いているように思いました。のびのびとした雰囲気が楽しいのですが、お行儀が悪かったのが永遠に絵に残ってしまいましたねw
エドガー・ドガ 「バレエの授業」 ★こちらで観られます
これもバレエの稽古場の風景です。部屋の中央で大きな杖をついて立っている老人(有名な振り付け師のペロー)と、壁際で並ぶように立っている踊り子たちが描かれています。 手前には背を向けた2人の踊り子が大きく描かれ、何かに座って順番を待っている様子が自然な感じでした。…左の娘は絶対に待ち飽きてると思うw ドレスは透明感があって非常に綺麗なのに、着ている人は人間くささがあるのが面白いw また、解説では特に触れていませんでしたが、部屋の奥行きを感じる表現になっているように思いました。
この辺には近代都市の生活を描いた習作やリトグラフなどが並んでいました。カフェコンセールを描いた作品や、娼館を舞台にしたモーパッサンの「メゾンテリエ」の挿絵など、何枚ずつか並んでいます。
エドガー・ドガ 「綿花取引所の人々(ニューオリンズ)」 ★こちらで観られます
これはドガの親戚たちが働くアメリカの綿花取引所の中を描いた作品です。手前で綿をじっくり見ているシルクハットの男性はドガの叔父で、その後ろで新聞を読んでいるのはドガの弟のようです。その周りにも沢山の人々が働いていて、普段の仕事の様子をありのまま描いたような感じでした。解説によると、この部屋は広角レンズで撮ったように広く描かれていて、肖像画でありながら風俗画のような面もあり、当時斬新だったそうです。
なお、この作品は初めて公的な美術館に買い上げられた作品だとも説明されていました。
この辺にはブリヂストン美術館の「レオポール・ルヴェールの肖像」やボストン美術館展にも出品されていた「美術館訪問(美術館にて)」などもありました。
参考記事:ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 2回目(森アーツセンターギャラリー)
<第3章 綜合とさらなる展開>
最後は晩年までのコーナーとなっていました。1880年以降、ドガは浴女を新たなテーマとしていたのですが、レアリスムで描いていたので不道徳と批判を浴びることもあったようです。この頃には目の衰えが進んでいたようで、目が悪くても扱いやすいパステルの作品が多くなっています。1895年にはカメラを買って、写真撮影に夢中となっていたようで、絵画作品にも撮影した写真を素材として使っていたそうです。やがて晩年にはドガの評価も高まっていたのですが、1912年には制作をやめて、1917年に亡くなってしまいました。また、没後に彼のアトリエからは150点ほどの蝋型塑像が見つかったようで、このコーナーでも観ることができます。 ここにはそうした浴女、写真関連の作品、塑像などが並んでいました。
エドガー・ドガ 「浴槽の裸婦」
浴槽の中で立って下向きになり、右手で首の後ろを触っている裸婦が描かれた作品です。背景は緑や赤い絨毯が描かれ、裸婦を引き立てているように思います。裸婦の背中には外の光が当たっている様子が表されていました。計算されているように思えるけど、これもありのままなのかな??
この辺には裸婦の習作が何枚かならんでいました。
エドガー・ドガ 「浴盤(湯浴みする女)」 ★こちらで観られます
大きなたらいの上でしゃがんで、右手で首の後ろを洗っている赤毛の裸婦を描いた作品です。ちょっと見おろすような視点で描かれていて、どこか平面的な感じを受けました。右の方にある水差などが乗ったテーブルが直線的なせいかも?? この作品には浮世絵の影響が観られると解説されていました。
なお、当時は裸婦と言ったら神話の中のことで、こうした一般人の裸婦を描くのはセンセーションだったようです。…その点においては友人のマネのほうが論争を巻き起こしていそうな気がしますがw
。
エドガー・ドガ 「浴後の朝食」
かがんで身体を拭く裸婦と、その後ろでコーヒーを持ってたっている家政婦を描いた作品です。拭いている姿に動きを感じました。この頃は入浴できるのは上流階級や高級娼婦だけだったそうなので、上流階級の女性が朝食前に入浴した姿なのかもしれません。。
この辺にはこうした身体を拭いたり頭をすいたり、背中を洗う裸婦がずらっと展示されていました。そして、少し進むと何点か風景画が並んでいました。ドガにとって風景はあまり主要なテーマではないようで、眼も悪かったので光の強い屋外で描くことはなく、記憶や断片的なスケッチを元にアトリエで描いていたそうです。その為、写実的というよりは象徴的な心象風景となっていると解説されていました。
エドガー・ドガ 「風景」
縦長の巨石と丸っこい巨石が並び、背景に広々とした風景が広がっている作品です。石は背景に同化するような色のように思えました。解説によると、この岩は男女を象徴するそうで、自然にまつわる感情や追憶を喚起するとして当時から高い評価を受けていたそうです。ドガの作品にこういう作品があるとは知りませんでした。
エドガー・ドガ 「メニル=ユベールの屋敷のビリヤード室」
友人の別荘(豪邸)のビリヤード室を描いた作品です。広々とした部屋を、部屋の隅から斜めに見たような視点で描いています。壁には絵が掛けられているなど、豪華な内装なのですが、人が1人も描かれておらずがらんとした雰囲気がありました。
エドガー・ドガ 「浴後(身体を拭く裸婦)」 ★こちらで観られます
あれ?また浴女だぞ?と思いましたが、こちらは写真関連の作品です。ソファの上で体を捻るようにしている裸婦が描かれているのですが、これは写真を基にしているらしく、隣にその写真が展示されています。解説によると、写真よりも大きくのけぞっているらしく、確かにその通りでした。また、画面が全体的に赤いこともあって、劇的で力強い印象を受けました。白黒の写真とは受ける印象がだいぶ違います。
この辺はドガのセルフポートレートや自分の家の居間の写真、身近な人々の写真などが展示されていました。人物写真も絵画的なポーズを取っていたように思います。
エドガー・ドガ 「両方の肩ひもを直す踊り子」 「腕を伸ばす踊り子」 「肩ひもを直す踊り子」
3枚セットで展示されていた、黄色、赤、緑などで描かれた踊り子の絵?です。 これはガラス板ネガの複写らしく、ソラリゼーションというネガ・ポジが反転した状態を利用しているようでした。何だか抽象画のような踊り子になっています。
ソラリゼーションの参考記事:マン・レイ展 知られざる創作の秘密 (国立新美術館)
ここら辺で、いつもならここで終わりという地点まで来ましたが、今回はまだ続きがあり、没後に発見された彫刻作品のコーナーとなっていました。発見された150点のうち74点がブロンズ像になったらしく、ここにもずらっと15点くらい並んでいました。
エドガー・ドガ 「右脚で立つアラベスク、左腕を前に」 ★こちらで観られます
左手と左足を水平にして立つ女性の銅像です。表面は粗く見えるのですが、動きがあって美しいポーズとなっていました。 ドガは視力が衰えてからも触覚で作成できる蝋型塑像を作っていたようです。また、こうした彫刻を絵画を描くときに生かしたとのことでした。
エドガー・ドガ 「荷を引く馬」
体を伸ばすように、4つの足を踏ん張っている馬の像です。重い荷物を引いているような感じがよく出ていて、馬をよく観察していたことが伺えました。
この辺は馬の銅像がいくつかあったかな。そして最後はドガの遺品が並び、パレットや帽子、バレエの道具などが展示されていました。
ということで、若干、習作の割合が大きかったような気もしますが、超有名な傑作が観られる上に、ドガの生涯を詳しく知ることができて良かったです。この展覧会は今年必見の展覧の1つだと思います。ミュージアムショップも大賑わいでした。
この後、常設も観たのですが混んでいたのであまりじっくり観ませんでした。その為ご紹介は割愛^^; 下村観山の「小倉山」なども展示されているので、常設も中々見所だとは思います。
おまけ:
桜木町駅から横浜美術館に向かう途中のランドマークプラザ内で、ドガ展関連のイベントをいくつかやっているようでした(期間は不明)
これは生花と当時の踊り子の衣装の再現。華やかです。

これはコンサートイベントかな。詳細は分かりませんw

⇒後日、2回目にいってきました。そのときの感想はこちらです。


【展覧名】
ドガ展
【公式サイト】
http://www.degas2010.com/
【会場】横浜美術館
【最寄】JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅
【会期】2010年9月18日~12月31日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日13時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
まだ始まって1週間程度ですが、早くも混みあっていました。入場制限はなく、お客さんが列を組んで観ているものの、2列目ならゆっくり観ることができる程度なのでメチャクチャ混んでいるという程ではないです。しかし、今後はもっと混んでいく可能性がありますので、ある程度の覚悟はしておいた方が良いかと。
さて、今回の展覧会は国内では21年ぶりとなる本格的なドガの回顧展で、全部で約120点もあり、オルセー美術館からも傑作「エトワール」を含む45点が出品されています。勿論、踊り子の作品も多数あり、ドガの変遷を辿るように初期から晩年まで、テーマと時代に分けて展示されていました。 詳しくはいつも通りに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
<第1章 古典主義からの出発>
まずは初期の時代に関するコーナーです。エドガー・ドガの本名はイレール・ジェルマン・エドガー・ド・ガスで、1834年に裕福な銀行家の息子として生まれました。パリ大学で法律を学びましたが画家を志して中退し、パリ国立美術学校でドミニク・アングルの弟子のルイ・ラモールに学んだそうです。ドガはアングルを範にしたり、ルーブル美術館の古典を模写していたそうで、1856年からは3年間のイタリア滞在でルネサンス美術も研究していたようです。そのため、初期は伝統的な構図と重厚な雰囲気の作品を描いていたようですが、サロンでは注目されなかったのだとか。この章では、そうした古典主義を範にした作品などやその後の作品が並んでいました。
アングルの参考記事:
ウフィツィ美術館自画像コレクション (損保ジャパン東郷青児美術館)
フランス絵画の19世紀 美をめぐる100年のドラマ (横浜美術館)
エドガー・ドガ 「画家の肖像」 ★こちらで観られます
21歳の頃の自画像です。体はちょっと横向きで、こちらを見ているのですが、ちょっと機嫌が良くなさそうな気がするw 解説によると、生涯敬愛したアングルの自画像に倣ったポーズらしいですが、アングルのような芸術家然とした感じではなく、ブルジョワの出自を示しているようです。
エドガー・ドガ 「バビロンを建設するセミラミス(下絵)」
これはイタリアから帰ってきた後に描かれた作品で、同名の大作を描くための下絵だそうです。アッシリアの女王セミラミスがバビロンの建設を視察しにきている様子が描かれ、川の近くの建物の通路のようなところで女王とそのお付の人々や馬などが左側の岸を臨んでいます。デッサンは非常に緻密で動きや陰影を感じ、淡い色彩から繊細な印象を受けました。
この近くにはセミラミスのための習作が何点かあり、衣のひだなどを描いたデッサンなどもありました。
エドガー・ドガ 「アンドレア・マンテーニャ《磔刑図》の模写」
これはルーブル美術館にあるアンドレア・マンテーニャ(ルネサンス期の巨匠)の「磔刑図」を模写した作品です。キリストと2人の男が磔になっている姿が描かれ、周りには兵士などの姿もあります。 解説によると、原作と比べると細部を省略していて、力強いタッチで厳格な画面構成を把握することを試みているのだとか。 …これだけ観てもよくわからないかも。できれば原作の写真でもあれば良かったんだけどなあw
参考リンク:アンドレア・マンテーニャ 「磔刑図」の画像
この辺を少し進むと競馬場関連のコーナーでした。1857年にロンシャン競馬場ができ、競馬場は紳士淑女の社交場となりました。その為、現在の様子を描くという画家たちの格好の画題となり、ドガも数々の作品を残しています。他の画家との違いとしては、ドガは馬と騎手に注目していたようです。
エドガー・ドガ 「障害競馬-落馬した騎手」 ★こちらで観られます
大画面の作品で、右の方で仰向けになって倒れて眼を閉じている騎手が描かれ、そのすぐ上には空馬が飛ぶように走っています。私には騎手が落ちた瞬間というよりはしばらく経ってからのように観えたかな。解説によると、これは2度目のサロン出品作だそうで、大作=神話という約束ごとがあった中で、現代の風景(しかも落馬w)を出したようです。
この辺では、先日のボストン美術館展でも観ることができた「田舎の競馬場にて」を再び観ることもできました。
参考記事:ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想後編 (森アーツセンターギャラリー)
さらに少し進むと肖像画のコーナーとなっていました、ドガは依頼を受けて肖像を描くことはなく、家族や友人など心を許した人々だけ描いていたようです。解説によると、伝統よりも親近感や自然さを重視していたそうで、心情や性格をも表現するかのように描いていたようです。
このコーナーの最初の方は木炭やコンテで描かれた習作が5~6点あったかな。
エドガー・ドガ 「立っている二人の男」
壁際に立つ2人の男の肖像です。右の男の体は透けていて顔は真っ白なので、もしかしたら描きかけなのかな? 特に解説は無かったですがちょっと気になる作品でした。
この辺にはボストン美術館展にも展示されていた「エドモンド・モルビッリ夫妻」や村内美術館で観た作品などもありました。
参考記事:
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想前編 (森アーツセンターギャラリー)
村内美術館の案内
エドガー・ドガ 「画家の従姉妹の肖像」
黒い服(喪服?)を着た2人の姉妹を描いた肖像画です。左の娘はこちらをじっと見ていて真面目そうな感じを受けました。右の娘は顔を右に向けてぼんやりしているのかな? 姉妹の性格の違いを感じるような作品でした。
エドガー・ドガ 「ロレンソ・パガンとオーギュスト・ド・ガス」 ★こちらで観られます
ギターを弾くパガンという当時人気のスペイン歌手/ギター奏者と、その隣に座っているドガの父親を描いた作品です。パガンは指の動きまでも表現されているようで、強い眼をしているように思います。それに対して父親は指を組んでじっと聴き入っているようでした。 解説によると、ドガの父親は音楽好きで、よくパガンを家に招いていたそうです。また、この頃はスペインブームの時期だったそうです。(確かにこの時代の画家はスペイン風の作品が多いです)
エドガー・ドガ 「マネとマネ夫人」 ★こちらで観られます
ソファでごろっと横になって頬杖をついている画家のエドゥアール・マネと、その隣でピアノを弾いているマネの妻が描かれた作品です。右の画面1/3くらいが縦に切り取られていて夫人の顔を観ることができません。これはマネがこの作品を観た際に、妻の顔の出来栄えが気に入らなかったために切り落としてしまったそうです。マネとドガは非常に親密な交友関係があったのですが、こうした波乱もあったようですね。解説ではマネと普仏戦争に一緒に参加したエピソードなども紹介されていました。
参考記事:マネとモダン・パリ (三菱一号館美術館)
この辺にはマネを描いたデッサンや、マネの親戚関係にあるモリゾの姉を描いた肖像などもありました(後の章にはジュリー・マネの肖像などもあります。)
<第2章 実験と革新の時代>
ドガは、サロンと決別し、ピサロやモネ、ルノワール達と印象派展を画策し、全8回中7回参加するなど中心的な役割を担っていたようです。ただ、ドガは他の印象派とは少し違っていて、戸外ではなくアトリエの中でデッサンを元に都市に生きる人々などを描いていたようです。また、油彩画だけではなくパステルや版画で表現したり、クローズアップやモチーフの断ち落としといった新しい構図など、意欲的に実験に取り組んでいたようです。
踊り子を描くようになったのもこの頃とのことで、踊り子関連の作品が並んでいました。
エドガー・ドガ 「14歳の小さな踊り子」 ★こちらで観られます
手を後ろに組んで少し上を向き、右足を横に捻るように出したポーズをとっている踊り子の少女の銅像です。実際にひらひらしたスカートを履いているのも特徴かな。解説によると、この作品のオリジナルは蝋で出来ていたそうで、生前に発表された唯一の彫刻だそうです。当時は顔に彩色を施し、人毛のかつらを被せるなど、徹底した写実性が話題になったのだとか。…スカートどころじゃなかったんですねw 可愛らしい像ですがオリジナルはもっとリアルだったのかも。
この辺には踊り子を描いた習作が並んでいました。
エドガー・ドガ 「エトワール」 ★こちらで観られます
今回の展覧会で一番の目玉はこの作品で間違いないと思います。左手を斜めに挙げ、右手を水平に広げながら片足で立つポーズをとる主役の踊り子と、舞台の後ろで立つ黒い服の男性、舞台袖の他の踊り子などが描かれた作品です。一瞬の流れるようなポーズが美しく、柔らかく軽やかな色彩で服や肌に透明感を感じます。これはパステルを重ねて描いているそうで、特にスカートの表現が凄かったです。
なお、「エトワール」というのは「星」という意味で、オペラ座の主役の称号だそうです。後ろに立っているのはそのパトロンでしょうか。踊り子とパトロンの関係は如何に??と、舞台だけでなくその人間関係にも光と影を感じる作品でした。 (解説によるとドガとしては踊り子本人ではなく服や動きに関心を持って描いていたそうですが…)
エドガー・ドガ 「緑の部屋の踊り子たち」
踊り子たちの練習風景を描いた作品です。踊っている人々を背景に、手前に大きなコントラバス?があり、それに足を乗せて靴を履いている踊り子がいたり、ドレスの背中を結んでいる踊り子がいるなど、ありのままの姿を描いているように思いました。のびのびとした雰囲気が楽しいのですが、お行儀が悪かったのが永遠に絵に残ってしまいましたねw
エドガー・ドガ 「バレエの授業」 ★こちらで観られます
これもバレエの稽古場の風景です。部屋の中央で大きな杖をついて立っている老人(有名な振り付け師のペロー)と、壁際で並ぶように立っている踊り子たちが描かれています。 手前には背を向けた2人の踊り子が大きく描かれ、何かに座って順番を待っている様子が自然な感じでした。…左の娘は絶対に待ち飽きてると思うw ドレスは透明感があって非常に綺麗なのに、着ている人は人間くささがあるのが面白いw また、解説では特に触れていませんでしたが、部屋の奥行きを感じる表現になっているように思いました。
この辺には近代都市の生活を描いた習作やリトグラフなどが並んでいました。カフェコンセールを描いた作品や、娼館を舞台にしたモーパッサンの「メゾンテリエ」の挿絵など、何枚ずつか並んでいます。
エドガー・ドガ 「綿花取引所の人々(ニューオリンズ)」 ★こちらで観られます
これはドガの親戚たちが働くアメリカの綿花取引所の中を描いた作品です。手前で綿をじっくり見ているシルクハットの男性はドガの叔父で、その後ろで新聞を読んでいるのはドガの弟のようです。その周りにも沢山の人々が働いていて、普段の仕事の様子をありのまま描いたような感じでした。解説によると、この部屋は広角レンズで撮ったように広く描かれていて、肖像画でありながら風俗画のような面もあり、当時斬新だったそうです。
なお、この作品は初めて公的な美術館に買い上げられた作品だとも説明されていました。
この辺にはブリヂストン美術館の「レオポール・ルヴェールの肖像」やボストン美術館展にも出品されていた「美術館訪問(美術館にて)」などもありました。
参考記事:ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 2回目(森アーツセンターギャラリー)
<第3章 綜合とさらなる展開>
最後は晩年までのコーナーとなっていました。1880年以降、ドガは浴女を新たなテーマとしていたのですが、レアリスムで描いていたので不道徳と批判を浴びることもあったようです。この頃には目の衰えが進んでいたようで、目が悪くても扱いやすいパステルの作品が多くなっています。1895年にはカメラを買って、写真撮影に夢中となっていたようで、絵画作品にも撮影した写真を素材として使っていたそうです。やがて晩年にはドガの評価も高まっていたのですが、1912年には制作をやめて、1917年に亡くなってしまいました。また、没後に彼のアトリエからは150点ほどの蝋型塑像が見つかったようで、このコーナーでも観ることができます。 ここにはそうした浴女、写真関連の作品、塑像などが並んでいました。
エドガー・ドガ 「浴槽の裸婦」
浴槽の中で立って下向きになり、右手で首の後ろを触っている裸婦が描かれた作品です。背景は緑や赤い絨毯が描かれ、裸婦を引き立てているように思います。裸婦の背中には外の光が当たっている様子が表されていました。計算されているように思えるけど、これもありのままなのかな??
この辺には裸婦の習作が何枚かならんでいました。
エドガー・ドガ 「浴盤(湯浴みする女)」 ★こちらで観られます
大きなたらいの上でしゃがんで、右手で首の後ろを洗っている赤毛の裸婦を描いた作品です。ちょっと見おろすような視点で描かれていて、どこか平面的な感じを受けました。右の方にある水差などが乗ったテーブルが直線的なせいかも?? この作品には浮世絵の影響が観られると解説されていました。
なお、当時は裸婦と言ったら神話の中のことで、こうした一般人の裸婦を描くのはセンセーションだったようです。…その点においては友人のマネのほうが論争を巻き起こしていそうな気がしますがw
。
エドガー・ドガ 「浴後の朝食」
かがんで身体を拭く裸婦と、その後ろでコーヒーを持ってたっている家政婦を描いた作品です。拭いている姿に動きを感じました。この頃は入浴できるのは上流階級や高級娼婦だけだったそうなので、上流階級の女性が朝食前に入浴した姿なのかもしれません。。
この辺にはこうした身体を拭いたり頭をすいたり、背中を洗う裸婦がずらっと展示されていました。そして、少し進むと何点か風景画が並んでいました。ドガにとって風景はあまり主要なテーマではないようで、眼も悪かったので光の強い屋外で描くことはなく、記憶や断片的なスケッチを元にアトリエで描いていたそうです。その為、写実的というよりは象徴的な心象風景となっていると解説されていました。
エドガー・ドガ 「風景」
縦長の巨石と丸っこい巨石が並び、背景に広々とした風景が広がっている作品です。石は背景に同化するような色のように思えました。解説によると、この岩は男女を象徴するそうで、自然にまつわる感情や追憶を喚起するとして当時から高い評価を受けていたそうです。ドガの作品にこういう作品があるとは知りませんでした。
エドガー・ドガ 「メニル=ユベールの屋敷のビリヤード室」
友人の別荘(豪邸)のビリヤード室を描いた作品です。広々とした部屋を、部屋の隅から斜めに見たような視点で描いています。壁には絵が掛けられているなど、豪華な内装なのですが、人が1人も描かれておらずがらんとした雰囲気がありました。
エドガー・ドガ 「浴後(身体を拭く裸婦)」 ★こちらで観られます
あれ?また浴女だぞ?と思いましたが、こちらは写真関連の作品です。ソファの上で体を捻るようにしている裸婦が描かれているのですが、これは写真を基にしているらしく、隣にその写真が展示されています。解説によると、写真よりも大きくのけぞっているらしく、確かにその通りでした。また、画面が全体的に赤いこともあって、劇的で力強い印象を受けました。白黒の写真とは受ける印象がだいぶ違います。
この辺はドガのセルフポートレートや自分の家の居間の写真、身近な人々の写真などが展示されていました。人物写真も絵画的なポーズを取っていたように思います。
エドガー・ドガ 「両方の肩ひもを直す踊り子」 「腕を伸ばす踊り子」 「肩ひもを直す踊り子」
3枚セットで展示されていた、黄色、赤、緑などで描かれた踊り子の絵?です。 これはガラス板ネガの複写らしく、ソラリゼーションというネガ・ポジが反転した状態を利用しているようでした。何だか抽象画のような踊り子になっています。
ソラリゼーションの参考記事:マン・レイ展 知られざる創作の秘密 (国立新美術館)
ここら辺で、いつもならここで終わりという地点まで来ましたが、今回はまだ続きがあり、没後に発見された彫刻作品のコーナーとなっていました。発見された150点のうち74点がブロンズ像になったらしく、ここにもずらっと15点くらい並んでいました。
エドガー・ドガ 「右脚で立つアラベスク、左腕を前に」 ★こちらで観られます
左手と左足を水平にして立つ女性の銅像です。表面は粗く見えるのですが、動きがあって美しいポーズとなっていました。 ドガは視力が衰えてからも触覚で作成できる蝋型塑像を作っていたようです。また、こうした彫刻を絵画を描くときに生かしたとのことでした。
エドガー・ドガ 「荷を引く馬」
体を伸ばすように、4つの足を踏ん張っている馬の像です。重い荷物を引いているような感じがよく出ていて、馬をよく観察していたことが伺えました。
この辺は馬の銅像がいくつかあったかな。そして最後はドガの遺品が並び、パレットや帽子、バレエの道具などが展示されていました。
ということで、若干、習作の割合が大きかったような気もしますが、超有名な傑作が観られる上に、ドガの生涯を詳しく知ることができて良かったです。この展覧会は今年必見の展覧の1つだと思います。ミュージアムショップも大賑わいでした。
この後、常設も観たのですが混んでいたのであまりじっくり観ませんでした。その為ご紹介は割愛^^; 下村観山の「小倉山」なども展示されているので、常設も中々見所だとは思います。
おまけ:
桜木町駅から横浜美術館に向かう途中のランドマークプラザ内で、ドガ展関連のイベントをいくつかやっているようでした(期間は不明)
これは生花と当時の踊り子の衣装の再現。華やかです。

これはコンサートイベントかな。詳細は分かりませんw

⇒後日、2回目にいってきました。そのときの感想はこちらです。
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前回ご紹介した古代オリエント博物館に行った時、同じサンシャインシティ内にあるナムコ・ナンジャタウンとプラネタリウムの「満天」にも行ってきました。…というよりもむしろこの日の目的はプラネタリウムでしたw 今日はちょっと脱線で、サンシャインシティの2つの施設をご案内しようと思います。

先にプラネタリウムのチケットだけ買って、ナンジャタウンで時間まで遊んできました。
公式サイト:ナムコ ナンジャタウン

中に入るだけなら300円で入れます。アトラクションごとにナンジャタウンのコインを使う方式です。パスポートもあるようですが、私はそんなに多くは体験しないのでチケットにしました。

中に入って真っ先に、「怨念旅館」というお化け屋敷に入りました。
公式サイト:怨念旅館

このお化け屋敷は要所要所で「能面蟹」という置物を置いて、記念撮影していきます。これがその能面蟹

この「怨念旅館」ですが、詳しく書くとネタバレになるので自重しておきますw ただ、いい大人の私でも何度か声をあげてしまったりしたので、中々楽しめるお化け屋敷でした。確か10~15分くらいで周れたと思います。
他にも結構な数のアトラクションがあったのですが、そんなに体験してこなかったかもw 漫画のナルト関連のアトラクションもあり、それも結構盛況でした。
また、ナンジャタウンの中には「池袋餃子スタジアム」もあります。
公式サイト:池袋餃子スタジアム

こんな感じで様々な餃子があるようです。 …この日はプラネタリウムの時間が迫ってきてたので1つも食べず仕舞いでしたがw

他にもお店やアトラクションは沢山あり、昭和風の町並みになっていたりしてお祭り気分になれました。

続いて、プラネタリウム「満天」を観にいってきました。
公式サイト:コニカミノルタ満天

いつも3番組くらいあるようで、私が観たのは「遥かなる銀河へ TAO計画が迫る最新宇宙」という番組でした(この番組は既に終了 行ったのは2010年8月末でした)

内容は2部構成で約40分でした。最初に季節の星座の紹介をして、この日は夏の大三角形などを説明してくれました。いかにもプラネタリウムという感じで、これが観たかったw しかしそんなに長くなく、その後は「遥かなる銀河へ」という番組です。これはアンデスの山頂で星を観測するという物語をドラマ化したものでした。まあ、こちらはあまり好みじゃなかったかなw 若干一本調子な語りに眠気を誘われてきたところで終了。
ちなみに、この日のプラネタリウムは満員でした。チケットを早めにとってナンジャタウンで遊ぶというルートは正解だったかな。
プラネタリウムの隣には有名な水族館もあるのですが、結構混んでたので行きませんでした。

どうやら、2010年8月31日で一旦閉館となったそうで、この日は閉館直前だったこともあって混んでいるようでした。これからリニューアル工事に入って2011年の夏くらいに復活するようなので今後が楽しみです。
公式サイト:サンシャイン国際水族館
ということで、古代オリエント博物館、ナンジャタウン、満天とサンシャインシティ内の3つの施設を楽しんできました。インドアでこれだけハシゴできるのも中々無いかも?? サンシャインはショッピングも楽しめるので、デートコースとしても面白いのではないかと思います。

先にプラネタリウムのチケットだけ買って、ナンジャタウンで時間まで遊んできました。
公式サイト:ナムコ ナンジャタウン

中に入るだけなら300円で入れます。アトラクションごとにナンジャタウンのコインを使う方式です。パスポートもあるようですが、私はそんなに多くは体験しないのでチケットにしました。

中に入って真っ先に、「怨念旅館」というお化け屋敷に入りました。
公式サイト:怨念旅館

このお化け屋敷は要所要所で「能面蟹」という置物を置いて、記念撮影していきます。これがその能面蟹

この「怨念旅館」ですが、詳しく書くとネタバレになるので自重しておきますw ただ、いい大人の私でも何度か声をあげてしまったりしたので、中々楽しめるお化け屋敷でした。確か10~15分くらいで周れたと思います。
他にも結構な数のアトラクションがあったのですが、そんなに体験してこなかったかもw 漫画のナルト関連のアトラクションもあり、それも結構盛況でした。
また、ナンジャタウンの中には「池袋餃子スタジアム」もあります。
公式サイト:池袋餃子スタジアム

こんな感じで様々な餃子があるようです。 …この日はプラネタリウムの時間が迫ってきてたので1つも食べず仕舞いでしたがw

他にもお店やアトラクションは沢山あり、昭和風の町並みになっていたりしてお祭り気分になれました。

続いて、プラネタリウム「満天」を観にいってきました。
公式サイト:コニカミノルタ満天

いつも3番組くらいあるようで、私が観たのは「遥かなる銀河へ TAO計画が迫る最新宇宙」という番組でした(この番組は既に終了 行ったのは2010年8月末でした)

内容は2部構成で約40分でした。最初に季節の星座の紹介をして、この日は夏の大三角形などを説明してくれました。いかにもプラネタリウムという感じで、これが観たかったw しかしそんなに長くなく、その後は「遥かなる銀河へ」という番組です。これはアンデスの山頂で星を観測するという物語をドラマ化したものでした。まあ、こちらはあまり好みじゃなかったかなw 若干一本調子な語りに眠気を誘われてきたところで終了。
ちなみに、この日のプラネタリウムは満員でした。チケットを早めにとってナンジャタウンで遊ぶというルートは正解だったかな。
プラネタリウムの隣には有名な水族館もあるのですが、結構混んでたので行きませんでした。

どうやら、2010年8月31日で一旦閉館となったそうで、この日は閉館直前だったこともあって混んでいるようでした。これからリニューアル工事に入って2011年の夏くらいに復活するようなので今後が楽しみです。
公式サイト:サンシャイン国際水族館
ということで、古代オリエント博物館、ナンジャタウン、満天とサンシャインシティ内の3つの施設を楽しんできました。インドアでこれだけハシゴできるのも中々無いかも?? サンシャインはショッピングも楽しめるので、デートコースとしても面白いのではないかと思います。
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ご紹介を後回しにしていたのですが、8月末くらいに池袋のサンシャインシティにある古代オリエント博物館で「地中海古代クルーズ -オリーブとワインと・・・-」を観てきました。うっかりしていたらもう会期末になっているので慌ててご紹介^^;

【展覧名】
地中海古代クルーズ -オリーブとワインと・・・-
【公式サイト】
http://www.sa.il24.net/~aom/ten1007marenostrum.html
【会場】古代オリエント博物館
【最寄】東池袋駅、東池袋四丁目駅、池袋駅
【会期】2010年7月17日(土)~9月26日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
会場はそこそこお客さんが入っていましたが、特に混んでいることはなくゆっくりと観ることができました。今回はあまりメモを取っていなかったので、簡単にご紹介すると、
・ヨーロッパ文明の曙(先史時代)
・ワイン色の海を行く(後期青銅器時代)
・フェニキア人の地中海開拓
・ギリシア古典文化とオリエント
・アレクサンドロス大王からクレオパトラまで(ヘレニズム文化)
・ローマ帝国の「我らの海」
という内容となっていて、地中海周辺の古代文明の品々を集めた展示となっていました。最初の方はオリーブの種や銀貨、ぶどう酒関連のコーナーとなっています。少し進むと「ヨーロッパ文明の曙」のコーナーにキクラデス文明の偶像などがあったかな。先日、ハンス・コパーの作品にキクラデス・フォームという作品がありましたが、確かに似た雰囲気を感じました。
参考記事:ハンス・コパー展 20世紀陶芸の革新 (パナソニック電工 汐留ミュージアム)
他にはシリア、キプロス、フェニキア、カルタゴといった広い地域の出土品がならび、ちょっと現代アートのような雰囲気すら感じます。カルタゴなどは去年展覧会で観たばかりなので結構覚えてました。
参考記事:古代カルタゴとローマ展 ~きらめく地中海文明の至宝~ (大丸ミュージアム・東京)
さらに進むと古代エジプトの出土品やキプロスのアルカイック期の彫刻作品、アッティカのアンフォラ、エトルリアの壁画、ランプ、オリンポスの神々関連の作品 など、時代も国も広範囲に渡る品々でした。…全部一気に覚えるのは至難かもw 軽く流し観していくと40分くらいですが、真面目に解説を読んでいくともっと時間がかかるかもしれません。私にとってはそんなに興味が強いジャンルでもないので、満足度はあまり高くなかったですが、考古学や文明好きの方が見たら非常に面白い展示かもしれません。
展覧会を観た後、美術館の入口付近で開催されていた「スカラベを作ってみよう!」というワークショップ(既に終了 2010年8月1日~31日)に参加してみました。

スカラベのアミュレットの作り方。型に入れて、竹串を通し、型から抜いてから焼きます。

スカラベの型。これに粘土を詰めて作っていきます。

ますは型にこの粉を塗って、その後に粘土を詰めます。

できあがるとこんな感じです。左が私の作ったスカラベ。右は連れが作ったウジャトの眼。ウジャトの眼の方が難しかったようです。スカラベは型に入れたらほぼ出来上がりかもw

こちらは「古代人に変身!」のコーナー。白い衣と冠を被って記念写真を撮るコーナーです。 これが結構人気のコーナーとなっていて、私もやってきましたw

ということで、ワークショップや記念撮影なども含めて中々楽しめる展示となっていました。この展示はもうすぐ終わってしまいますが、この美術館はぐるっとパスで入れる上、サンシャインの中という好立地にあるので、足を運んでみるのも良いかと思います。


【展覧名】
地中海古代クルーズ -オリーブとワインと・・・-
【公式サイト】
http://www.sa.il24.net/~aom/ten1007marenostrum.html
【会場】古代オリエント博物館
【最寄】東池袋駅、東池袋四丁目駅、池袋駅
【会期】2010年7月17日(土)~9月26日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
会場はそこそこお客さんが入っていましたが、特に混んでいることはなくゆっくりと観ることができました。今回はあまりメモを取っていなかったので、簡単にご紹介すると、
・ヨーロッパ文明の曙(先史時代)
・ワイン色の海を行く(後期青銅器時代)
・フェニキア人の地中海開拓
・ギリシア古典文化とオリエント
・アレクサンドロス大王からクレオパトラまで(ヘレニズム文化)
・ローマ帝国の「我らの海」
という内容となっていて、地中海周辺の古代文明の品々を集めた展示となっていました。最初の方はオリーブの種や銀貨、ぶどう酒関連のコーナーとなっています。少し進むと「ヨーロッパ文明の曙」のコーナーにキクラデス文明の偶像などがあったかな。先日、ハンス・コパーの作品にキクラデス・フォームという作品がありましたが、確かに似た雰囲気を感じました。
参考記事:ハンス・コパー展 20世紀陶芸の革新 (パナソニック電工 汐留ミュージアム)
他にはシリア、キプロス、フェニキア、カルタゴといった広い地域の出土品がならび、ちょっと現代アートのような雰囲気すら感じます。カルタゴなどは去年展覧会で観たばかりなので結構覚えてました。
参考記事:古代カルタゴとローマ展 ~きらめく地中海文明の至宝~ (大丸ミュージアム・東京)
さらに進むと古代エジプトの出土品やキプロスのアルカイック期の彫刻作品、アッティカのアンフォラ、エトルリアの壁画、ランプ、オリンポスの神々関連の作品 など、時代も国も広範囲に渡る品々でした。…全部一気に覚えるのは至難かもw 軽く流し観していくと40分くらいですが、真面目に解説を読んでいくともっと時間がかかるかもしれません。私にとってはそんなに興味が強いジャンルでもないので、満足度はあまり高くなかったですが、考古学や文明好きの方が見たら非常に面白い展示かもしれません。
展覧会を観た後、美術館の入口付近で開催されていた「スカラベを作ってみよう!」というワークショップ(既に終了 2010年8月1日~31日)に参加してみました。

スカラベのアミュレットの作り方。型に入れて、竹串を通し、型から抜いてから焼きます。

スカラベの型。これに粘土を詰めて作っていきます。

ますは型にこの粉を塗って、その後に粘土を詰めます。

できあがるとこんな感じです。左が私の作ったスカラベ。右は連れが作ったウジャトの眼。ウジャトの眼の方が難しかったようです。スカラベは型に入れたらほぼ出来上がりかもw


こちらは「古代人に変身!」のコーナー。白い衣と冠を被って記念写真を撮るコーナーです。 これが結構人気のコーナーとなっていて、私もやってきましたw

ということで、ワークショップや記念撮影なども含めて中々楽しめる展示となっていました。この展示はもうすぐ終わってしまいますが、この美術館はぐるっとパスで入れる上、サンシャインの中という好立地にあるので、足を運んでみるのも良いかと思います。
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昨日、有給休暇をとって、板橋区立美術館へ行って「江戸文化シリーズ26 諸国畸人伝」を観てきました。


【展覧名】
江戸文化シリーズ26 諸国畸人伝
【公式サイト】
http://www.itabashiartmuseum.jp/art/schedule/now.html
【会場】板橋区立美術館
【最寄】三田線西高島平駅、東武・有楽町線成増駅など
【会期】2010年9月4日(土)~10月11日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(平日15時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
平日だったこともあってか、館内はあまり人がおらず、空いていました。ここは最寄の駅からも遠くて行くのが大変なのも一因だとは思いますが…。
この展覧会は江戸時代の「奇人」と呼ぶに相応しい10人の個性派絵師の48点の作品を並べた展示で、キャッチコピーは「絵師10人 驚愕の不協和音」という非常に面白いものとなっていますw 内容の方も驚きの多い奇怪さと妖しい魅力に溢れ、正統派の展覧会とはまた違った楽しさがありました。 詳しくは気に入った作品を通して10人全員をご紹介していこうと思います。
[菅井梅関]
菅井梅関は仙台の商人の息子で、仙台で南画を学び、江戸、京都、長崎などで修行をした絵師です。
菅井梅関 「虎図」
これは掛け軸で、丸くなって座っている虎が描かれています。吼えているような顔をしていて、毛並は細かく描かれ、ハリネズミのようにとがった毛となっていました。中国風かな。
この隣には南蘋派に影響を受けたという作品もありました。
菅井梅関 「鵞鳥図」 ★こちらで観られます
大きな2羽のガチョウを描いた作品です。泳いでいる水面に波が出来ていたり、首をひねるポーズに動きを感じました。絵の下の方に描かれた草が荒々しい雰囲気に思えたかな。
[林十江]
林十江は水戸の商人の息子で、トンボや鰻などの身近なものから天狗のような想像上のものまで描いた人で、周りの理解はあまり無かったようです。画号の中には「風狂野郎」なんてものもあるというエピソードも紹介されていました。
林十江 「蜻蛉図」 ★こちらで観られます
墨の濃淡で巨大に描かれたトンボの掛け軸です。トンボの羽が画面からはみ出るほどにアップで描かれ、迫ってくるような感じがします。解説によると、目が怯えているようで逃げ出そうとしている瞬間か?とのことでした。拡大したような構図も面白かったですが、羽の透明感の表現とかも良かったです。
林十江 「龍図」
荒々しく描かれた龍の掛け軸です。何かカクカクした感じを受けたのですが、これは指の爪や腹を使って描く「指頭画」の技法を使って描いた作品だそうです。勢いよく昇るというよりはもがいているように見える龍でした。
[曾我蕭白]
蕭白と絵金が観られるのがこの展覧会に来たきっかけでした。曾我蕭白は京都の商人の息子で、中国・朝鮮の画風を取り込んだ独特の鬼気迫る画風が好みです。解説によると、当時京都で人気だった円山応挙を批判したというエピソードも残っているそうです。 …そう言えば数年前の東博でやった巨匠対決展では応挙vs蕭白になってた記憶がありますw
曾我蕭白 「群童遊戯図屏風」 ★こちらで観られます
これは6曲1双の屏風で、蕭白の作品はこれ1点のみです。右隻には鶏を抱いたり相撲を取っている子供たちと、その周りの牛やツバメたちが描かれ 左隻には団扇を持った女性と、子供の手を引く母親、鰻や亀を持っている子供たち、釣りをしている子など、川辺の様子が描かれています。 子供たちの顔は卑近というか、ちょっと妖怪か餓鬼のような顔だったりするのが怖いw これ1枚でも蕭白の魅力が出ている気がしました。
[佐竹蓬平]
佐竹蓬平は長野の庄屋の息子で、池大雅について勉強していたそうです。その功績として南画を長野に広めたことなども挙げられていました。 また、エピソードとしては、芥川龍之介が佐竹蓬平の作品を好んでいたことが紹介されていて、芥川の死の床には佐竹蓬平の作品が飾られていたそうです。
佐竹蓬平 「虎図」 ★こちらで観られます
白い極太の眉で大きな猫目をした虎が、猫のように前のめりでこちらの様子を伺っているような姿を描いた作品です。胴体はほとんど画面の外に出ていて大きさを感じるのですが、尻尾だけはくるっとこれまた猫のように丸まって画面に納まっているのが何とも可愛かったです。解説によると、これは朝鮮の絵を真似して描いているとのことでした。
なお、この展覧会にはこの虎図の虎をキャラクターにした虎のつぶやきという解説が各作品付いているのですが、ちょっとシュールでとぼけた味の解説が可笑しくて楽しさを演出していましたw
佐竹蓬平 「山水図」
これは橋を渡る2人の旅人と、その周りの野山を描いた山水図の掛け軸です。樹の形や山の中腹あたりなどは写実から乖離したような表現となっていて、遠近感も少し奇妙な感じでした。 こういうところが個性的かもw
[加藤信清]
加藤信清は江戸幕府の小役人で、信仰が篤く、お経で仏を描けば徳を積めると考え、文字絵を編み出した絵師です。ある時、夢で霊験があり、それ以降すらすらと文字絵が描けるようになっというエピソードが紹介されていました。
加藤信清 「阿弥陀三尊図」
結構大きな三尊像で、阿弥陀如来を中心に、右に観音菩薩、左に勢至菩薩を従えています。一見、普通の仏画に見えますが、スコープなどで拡大して観ると、お経の漢字を連ねて絵が描かれているのが分かるという、驚きの作品です。耳や鼻、服のひだなどは比較的分かりやすいのですが、彩色部分までもすべて文字らしく恐ろしく手間がかかっているようでした。
なお、私は自前のスコープを使いましたが、展覧会の入口でミュージアムスコープを貸し出しているようでした。この作品の文字は肉眼ではわからないくらい細かいですw
加藤信清 「五百羅漢図」
滝を背景に、岩のテーブルに舎利容器のようなものが置かれ、その周りに沢山の羅漢が集まっている様子を描いた作品です。離れて観ると淡い色彩の絵に見えますが、これまたすべて文字で描かれていて驚きました。
なお、加藤信清は五百羅漢図を50図描いたそうで、これもその1枚です。文字絵仏を始めた記念碑的でもあると説明されていました。 …こんなのを50枚も描いたのかと思うと気が遠くなりますw
ここで最初の部屋は終わりで、隣の部屋に移動です。
[狩野一信]
狩野一信は墨田の骨董屋の息子で、狩野派に学んだ絵師です。五百羅漢を1幅に5人描いて100幅を目指していたそうですが、無念にも96幅で没してしまったそうです。 しかし、その遺志は弟子に引き継がれ、弟子が100幅を達成してお寺に寄進したとのことでした。
狩野一信 「五百羅漢図 第50幅 十二頭陀・露地常坐」 ★こちらで観られます
満月の下で椅子に座って瞑想している羅漢達を描いたです。全体的に暗めの画面で、非常に細かい描写となっているのですが、どこか不気味な妖しさすら漂っていましたw 何というか、濃いんですよね…。
狩野一信 「五百羅漢図 第71幅 龍供」
海を渡る羅漢たちを描いた作品です。海の上を歩く沢山の鬼?が鐘をお神輿のように運んでいる様子や、龍や虎(海の上を歩いている)などが描かれています。どうやらこれは竜宮城に行くらしく、奇妙なパレードのようなw 様式化された波の文様と、超精密に描かれた羅漢たちの描写の違いが面白かったです。
[白隠]
白隠は禅宗の修行をした人で、その教えを広めるために絵を描いたそうです。絵の他に健康法を書いた著書などもあるようで、自身がノイローゼになった時、「白幽」という仙人に呼吸法と瞑想法を教わって治したというエピソードも紹介されていました。…そう言えば、細川家の当主も白隠の健康法で病気が良くなって、彼のコレクションを集めたという逸話があったような…。
参考記事:細川家の至宝-珠玉の永青文庫コレクション- (東京国立博物館 平成館)
白隠 「出山釈迦図」
6年間の修行の後、山を降りる釈迦の姿を描いた作品です。真っ黒な背景の中、白い衣を着た釈迦の姿が強いコントラストとなっていて、中々にインパクトがあります。やせ細って物思いにくれた表情や単純化された衣服など、メリハリが利いた作風に思えました。
白隠 「すたすた坊主図」 ★こちらで観られます
変なタイトルに思いましたが、これは布袋が道楽に耽って放蕩すると「すたすた坊主」になるという題材を描いた作品のようです。簡略化され漫画のような愛嬌のあるキャラクターとなった布袋が、草と手桶?を持って歩く姿は、まさにすたすた歩いているような感じでしたw また、にこにこした表情には親しみが溢れていました。
[絵金]
絵金は高知生まれの絵師で、「絵師金蔵」の略です。元々は土佐藩のお抱え絵師だったのですが、事件があって解雇され、その後は祭り用の芝居絵屏風を描いていたそうです。この芝居絵が生々しくて強烈なので、是非とも観たかったw
絵金 「浮世柄比翼稲妻 鈴ヶ森」
非常に鮮やかで色の強い2曲の屏風です。手前で赤い着物の女性(お菊)が2人の男に家宝の皿を盗んだだろうと激しく詰め寄られています。そして、その左上の背景の庭にはその後のストーリーが展開していて、亡霊となったお菊が井戸?から現れ、刀を持った男(お菊の夫)から生首を受け取り、歓喜の表情を見せている様子が描かれていました。これはお菊の敵を討ったところらしく、激しく雨の降る中で異様な生々しさがありました。脇で血だらけの人が倒れていて腕が切り取られているなど、ちょっとスプラッター的な場面ですw この強烈な個性は今回の展覧会でも見所だと思います。
この隣の絵は賞金首が賞金稼ぎの追っ手を斬殺しまくっている絵もありました。画面中に斬殺死体が転がっていますw
絵金 「伊達競阿国戯場 累」 ★こちらで観られます
これも芝居絵で、山道で争う2人の女性と、それを止める男、見ている男などが描かれています。これは、死んだ姉の恋敵と会った妹に姉の怨念が乗り移って、恋敵に襲い掛かっているシーンらしく、妹の旦那が止めようとしています。 片目をぎょろっとさせて着物に噛み付く表情が凄まじく、赤い着物の女性は必死になっているのがひしひしと伝わってきます。色彩の強さもあって凄いパワーの作品ですw なお、旦那の足元に鎌が描かれているのですが、妹は不運にもこの鎌で死んでしまうそうです。
絵金は4枚でしたが、これだけでもかなり満足ですw
[祇園井特]
祇園井特は京の人で、女性の真の姿(理想化していない姿)をリアルに描いた絵師で、それが他の絵師とは違うということで人気を博したそうです。
祇園井特 「美人図」
歩いていた花魁が足を止めて振り返り、足元を見ている様子が描かれた美人画です。着物が翻っていて、今振り返ったかのような躍動感を感じました。この美人画は確かに美人だったのですが、この近くには美人とは言えない美人画もあって、解説の虎のつぶやきでは「この人って美人か?」というようなコメントもありましたw
[中村芳中]
中村芳中は京都生まれの大坂暮らしの絵師です。はじめは指頭画を得意としていたそうですが、尾形光琳に憧れて、むやみに「たらしこみ」の技法を使った画風になったと解説されていました。(むやみにって…w) また、「光琳画譜」という本を出したのですが、この中身は中村芳中の作品ばかりだったそうで、自分が光琳の画風を受け継いでいるという自負があったようです。これによって光琳の名前は江戸に広まったそうですが、後に酒井抱一が本当の光琳の画業を伝えたいと考え「光琳百図」を出版するに至ったとのことでした。中村芳中は人騒がせな人のようですねw
中村芳中 「白梅図」
丸っこい花を咲かした梅が上に向かって伸びていく様子を描いた作品で、全体的にデフォルメされた画風となっています。梅の幹はにじみを使った「たらしこみ」が使われているようでした。この人の作品はこうした丸っこさを感じるように思います。
ということで、点数が少ないので充実度は③にしましたが、今まで知らなかったような絵師や、中々見る機会の無い絵師など、個性のぶつかり合いが楽しめる展覧会でした。会場内にある各絵師のエピソードの紹介も、ぶっとんだものがあって面白かったです。この美術館は行くのが大変なのが難ですが、お勧めできる内容でした。


【展覧名】
江戸文化シリーズ26 諸国畸人伝
【公式サイト】
http://www.itabashiartmuseum.jp/art/schedule/now.html
【会場】板橋区立美術館
【最寄】三田線西高島平駅、東武・有楽町線成増駅など
【会期】2010年9月4日(土)~10月11日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(平日15時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
平日だったこともあってか、館内はあまり人がおらず、空いていました。ここは最寄の駅からも遠くて行くのが大変なのも一因だとは思いますが…。
この展覧会は江戸時代の「奇人」と呼ぶに相応しい10人の個性派絵師の48点の作品を並べた展示で、キャッチコピーは「絵師10人 驚愕の不協和音」という非常に面白いものとなっていますw 内容の方も驚きの多い奇怪さと妖しい魅力に溢れ、正統派の展覧会とはまた違った楽しさがありました。 詳しくは気に入った作品を通して10人全員をご紹介していこうと思います。
[菅井梅関]
菅井梅関は仙台の商人の息子で、仙台で南画を学び、江戸、京都、長崎などで修行をした絵師です。
菅井梅関 「虎図」
これは掛け軸で、丸くなって座っている虎が描かれています。吼えているような顔をしていて、毛並は細かく描かれ、ハリネズミのようにとがった毛となっていました。中国風かな。
この隣には南蘋派に影響を受けたという作品もありました。
菅井梅関 「鵞鳥図」 ★こちらで観られます
大きな2羽のガチョウを描いた作品です。泳いでいる水面に波が出来ていたり、首をひねるポーズに動きを感じました。絵の下の方に描かれた草が荒々しい雰囲気に思えたかな。
[林十江]
林十江は水戸の商人の息子で、トンボや鰻などの身近なものから天狗のような想像上のものまで描いた人で、周りの理解はあまり無かったようです。画号の中には「風狂野郎」なんてものもあるというエピソードも紹介されていました。
林十江 「蜻蛉図」 ★こちらで観られます
墨の濃淡で巨大に描かれたトンボの掛け軸です。トンボの羽が画面からはみ出るほどにアップで描かれ、迫ってくるような感じがします。解説によると、目が怯えているようで逃げ出そうとしている瞬間か?とのことでした。拡大したような構図も面白かったですが、羽の透明感の表現とかも良かったです。
林十江 「龍図」
荒々しく描かれた龍の掛け軸です。何かカクカクした感じを受けたのですが、これは指の爪や腹を使って描く「指頭画」の技法を使って描いた作品だそうです。勢いよく昇るというよりはもがいているように見える龍でした。
[曾我蕭白]
蕭白と絵金が観られるのがこの展覧会に来たきっかけでした。曾我蕭白は京都の商人の息子で、中国・朝鮮の画風を取り込んだ独特の鬼気迫る画風が好みです。解説によると、当時京都で人気だった円山応挙を批判したというエピソードも残っているそうです。 …そう言えば数年前の東博でやった巨匠対決展では応挙vs蕭白になってた記憶がありますw
曾我蕭白 「群童遊戯図屏風」 ★こちらで観られます
これは6曲1双の屏風で、蕭白の作品はこれ1点のみです。右隻には鶏を抱いたり相撲を取っている子供たちと、その周りの牛やツバメたちが描かれ 左隻には団扇を持った女性と、子供の手を引く母親、鰻や亀を持っている子供たち、釣りをしている子など、川辺の様子が描かれています。 子供たちの顔は卑近というか、ちょっと妖怪か餓鬼のような顔だったりするのが怖いw これ1枚でも蕭白の魅力が出ている気がしました。
[佐竹蓬平]
佐竹蓬平は長野の庄屋の息子で、池大雅について勉強していたそうです。その功績として南画を長野に広めたことなども挙げられていました。 また、エピソードとしては、芥川龍之介が佐竹蓬平の作品を好んでいたことが紹介されていて、芥川の死の床には佐竹蓬平の作品が飾られていたそうです。
佐竹蓬平 「虎図」 ★こちらで観られます
白い極太の眉で大きな猫目をした虎が、猫のように前のめりでこちらの様子を伺っているような姿を描いた作品です。胴体はほとんど画面の外に出ていて大きさを感じるのですが、尻尾だけはくるっとこれまた猫のように丸まって画面に納まっているのが何とも可愛かったです。解説によると、これは朝鮮の絵を真似して描いているとのことでした。
なお、この展覧会にはこの虎図の虎をキャラクターにした虎のつぶやきという解説が各作品付いているのですが、ちょっとシュールでとぼけた味の解説が可笑しくて楽しさを演出していましたw
佐竹蓬平 「山水図」
これは橋を渡る2人の旅人と、その周りの野山を描いた山水図の掛け軸です。樹の形や山の中腹あたりなどは写実から乖離したような表現となっていて、遠近感も少し奇妙な感じでした。 こういうところが個性的かもw
[加藤信清]
加藤信清は江戸幕府の小役人で、信仰が篤く、お経で仏を描けば徳を積めると考え、文字絵を編み出した絵師です。ある時、夢で霊験があり、それ以降すらすらと文字絵が描けるようになっというエピソードが紹介されていました。
加藤信清 「阿弥陀三尊図」
結構大きな三尊像で、阿弥陀如来を中心に、右に観音菩薩、左に勢至菩薩を従えています。一見、普通の仏画に見えますが、スコープなどで拡大して観ると、お経の漢字を連ねて絵が描かれているのが分かるという、驚きの作品です。耳や鼻、服のひだなどは比較的分かりやすいのですが、彩色部分までもすべて文字らしく恐ろしく手間がかかっているようでした。
なお、私は自前のスコープを使いましたが、展覧会の入口でミュージアムスコープを貸し出しているようでした。この作品の文字は肉眼ではわからないくらい細かいですw
加藤信清 「五百羅漢図」
滝を背景に、岩のテーブルに舎利容器のようなものが置かれ、その周りに沢山の羅漢が集まっている様子を描いた作品です。離れて観ると淡い色彩の絵に見えますが、これまたすべて文字で描かれていて驚きました。
なお、加藤信清は五百羅漢図を50図描いたそうで、これもその1枚です。文字絵仏を始めた記念碑的でもあると説明されていました。 …こんなのを50枚も描いたのかと思うと気が遠くなりますw
ここで最初の部屋は終わりで、隣の部屋に移動です。
[狩野一信]
狩野一信は墨田の骨董屋の息子で、狩野派に学んだ絵師です。五百羅漢を1幅に5人描いて100幅を目指していたそうですが、無念にも96幅で没してしまったそうです。 しかし、その遺志は弟子に引き継がれ、弟子が100幅を達成してお寺に寄進したとのことでした。
狩野一信 「五百羅漢図 第50幅 十二頭陀・露地常坐」 ★こちらで観られます
満月の下で椅子に座って瞑想している羅漢達を描いたです。全体的に暗めの画面で、非常に細かい描写となっているのですが、どこか不気味な妖しさすら漂っていましたw 何というか、濃いんですよね…。
狩野一信 「五百羅漢図 第71幅 龍供」
海を渡る羅漢たちを描いた作品です。海の上を歩く沢山の鬼?が鐘をお神輿のように運んでいる様子や、龍や虎(海の上を歩いている)などが描かれています。どうやらこれは竜宮城に行くらしく、奇妙なパレードのようなw 様式化された波の文様と、超精密に描かれた羅漢たちの描写の違いが面白かったです。
[白隠]
白隠は禅宗の修行をした人で、その教えを広めるために絵を描いたそうです。絵の他に健康法を書いた著書などもあるようで、自身がノイローゼになった時、「白幽」という仙人に呼吸法と瞑想法を教わって治したというエピソードも紹介されていました。…そう言えば、細川家の当主も白隠の健康法で病気が良くなって、彼のコレクションを集めたという逸話があったような…。
参考記事:細川家の至宝-珠玉の永青文庫コレクション- (東京国立博物館 平成館)
白隠 「出山釈迦図」
6年間の修行の後、山を降りる釈迦の姿を描いた作品です。真っ黒な背景の中、白い衣を着た釈迦の姿が強いコントラストとなっていて、中々にインパクトがあります。やせ細って物思いにくれた表情や単純化された衣服など、メリハリが利いた作風に思えました。
白隠 「すたすた坊主図」 ★こちらで観られます
変なタイトルに思いましたが、これは布袋が道楽に耽って放蕩すると「すたすた坊主」になるという題材を描いた作品のようです。簡略化され漫画のような愛嬌のあるキャラクターとなった布袋が、草と手桶?を持って歩く姿は、まさにすたすた歩いているような感じでしたw また、にこにこした表情には親しみが溢れていました。
[絵金]
絵金は高知生まれの絵師で、「絵師金蔵」の略です。元々は土佐藩のお抱え絵師だったのですが、事件があって解雇され、その後は祭り用の芝居絵屏風を描いていたそうです。この芝居絵が生々しくて強烈なので、是非とも観たかったw
絵金 「浮世柄比翼稲妻 鈴ヶ森」
非常に鮮やかで色の強い2曲の屏風です。手前で赤い着物の女性(お菊)が2人の男に家宝の皿を盗んだだろうと激しく詰め寄られています。そして、その左上の背景の庭にはその後のストーリーが展開していて、亡霊となったお菊が井戸?から現れ、刀を持った男(お菊の夫)から生首を受け取り、歓喜の表情を見せている様子が描かれていました。これはお菊の敵を討ったところらしく、激しく雨の降る中で異様な生々しさがありました。脇で血だらけの人が倒れていて腕が切り取られているなど、ちょっとスプラッター的な場面ですw この強烈な個性は今回の展覧会でも見所だと思います。
この隣の絵は賞金首が賞金稼ぎの追っ手を斬殺しまくっている絵もありました。画面中に斬殺死体が転がっていますw
絵金 「伊達競阿国戯場 累」 ★こちらで観られます
これも芝居絵で、山道で争う2人の女性と、それを止める男、見ている男などが描かれています。これは、死んだ姉の恋敵と会った妹に姉の怨念が乗り移って、恋敵に襲い掛かっているシーンらしく、妹の旦那が止めようとしています。 片目をぎょろっとさせて着物に噛み付く表情が凄まじく、赤い着物の女性は必死になっているのがひしひしと伝わってきます。色彩の強さもあって凄いパワーの作品ですw なお、旦那の足元に鎌が描かれているのですが、妹は不運にもこの鎌で死んでしまうそうです。
絵金は4枚でしたが、これだけでもかなり満足ですw
[祇園井特]
祇園井特は京の人で、女性の真の姿(理想化していない姿)をリアルに描いた絵師で、それが他の絵師とは違うということで人気を博したそうです。
祇園井特 「美人図」
歩いていた花魁が足を止めて振り返り、足元を見ている様子が描かれた美人画です。着物が翻っていて、今振り返ったかのような躍動感を感じました。この美人画は確かに美人だったのですが、この近くには美人とは言えない美人画もあって、解説の虎のつぶやきでは「この人って美人か?」というようなコメントもありましたw
[中村芳中]
中村芳中は京都生まれの大坂暮らしの絵師です。はじめは指頭画を得意としていたそうですが、尾形光琳に憧れて、むやみに「たらしこみ」の技法を使った画風になったと解説されていました。(むやみにって…w) また、「光琳画譜」という本を出したのですが、この中身は中村芳中の作品ばかりだったそうで、自分が光琳の画風を受け継いでいるという自負があったようです。これによって光琳の名前は江戸に広まったそうですが、後に酒井抱一が本当の光琳の画業を伝えたいと考え「光琳百図」を出版するに至ったとのことでした。中村芳中は人騒がせな人のようですねw
中村芳中 「白梅図」
丸っこい花を咲かした梅が上に向かって伸びていく様子を描いた作品で、全体的にデフォルメされた画風となっています。梅の幹はにじみを使った「たらしこみ」が使われているようでした。この人の作品はこうした丸っこさを感じるように思います。
ということで、点数が少ないので充実度は③にしましたが、今まで知らなかったような絵師や、中々見る機会の無い絵師など、個性のぶつかり合いが楽しめる展覧会でした。会場内にある各絵師のエピソードの紹介も、ぶっとんだものがあって面白かったです。この美術館は行くのが大変なのが難ですが、お勧めできる内容でした。
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今日は前回の記事に引き続き、千葉市美術館の「田中一村 新たなる全貌」の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。
前編はこちら

まずは概要のおさらいです。
【展覧名】
田中一村 新たなる全貌
【公式サイト】
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2010/0821/0821.html
【会場】千葉市美術館
【最寄】千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など
【会期】2010年8月21日(土)~9月26日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(平日15時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
昨日は上の階に展示されていた東京時代、千葉時代の半分くらいまでご紹介しましたが、今日は下の階に展示されていた千葉時代の残りと奄美時代についてです。
と、その前に、千葉市美術館が作成した動画がyoutubeにありましたのでご紹介。こちらで館内の雰囲気がよくわかります。昨日ご紹介した作品もちらほらと写っていました。
<第2章 千葉時代>
上の階には「米邨」の画号時代の作品が並んでいましたが、下の階からは「田中一村」の時代です。 戦後、新しい出発を期して画号を「米邨」から「柳一村」にしたそうですが、すぐに「田中一村」に変えたそうです。この「一村」というのは南宋の詩から引用したもので、田園生活の良さを詠ったものらしく、このコーナーにはその名の通り、自然を描いた作品が多く並んでいました。
69 田中一村 「芭蕉」
墨の濃淡で描かれた芭蕉の絵です。薄めの墨で大きく描かれ、情緒ある雰囲気となっています。これは一村に画号を変えた記念碑的な作品ではないかとのことです。
この辺は南画っぽい作品が多かった気がします。
89 田中一村 「四季山水図 彷蕪村」
4幅セットの掛け軸で、この作品には与謝蕪村の原図があるそうです。右から、屋敷の外で花見をする人々が描かれた春、川の流れとその周りの人々を描いた夏、山間の村の秋の様子、雪景色の中の池に浮かぶ小舟が描かれた冬という感じで四季の山水画となっています。解説によると、原図と比べてモチーフは欠いていないが図を縮小し簡単な筆致になっているとのことでした。
この辺から公募展への挑戦のコーナーとなっていました。一村は千葉の展覧会や、川端龍子が主催した青龍社の青龍展に応募し、入選を果たしたものの、日展や院展といった中央画壇の公募展では落選していたようです。自信作を燃やしてしまったのもこの頃かな?
青龍社の参考記事:小畠鼎子展 青龍社とともに歩んだ女性画家 (武蔵野市立吉祥寺美術館)
88 田中一村 「伝蛇足筆暮江漁舟図写」
ススキが黄色に染まる原に立つ大きな杉を描いた作品です。色が明るく緻密に描かれ、秋の情景がありました。解説によると、やまと絵風の雰囲気も残っているそうです。
141 田中一村 「白い花」 ★こちらで観られます
これが青龍展で入選した2曲の屏風です。緑鮮やかな葉と白い花が描かれ、大和絵的なぺったりした鮮やかさと装飾性を感じました。絵の下の方に描かれた竹にとまる鳥はここまで観てきた鳥の絵の特徴があったように思います。
143 田中一村 「秋晴」
金地を背景に暗めの色で農家を描いた作品です。木にかけられた大根の白と緑だけが鮮やかで、一際目を引きました。金地が秋の風情を上手く出しているようにも思います。
なお、この作品は青龍展で落選してしまったそうで、それに納得できなかった一村は、これと同時に出品して入選した「波」の受賞を辞退したそうです。
さらに進むと大きな襖絵や天井画が並ぶコーナーでした。一村は理解者から障壁画の依頼を受けていたそうで、特に終戦後に本格的に取り組んでいたそうです。この展覧会ではそうした作品を約40面も観ることができました。
133 田中一村 「草花図天井画」
正方形の枠に草花が描かれたパネルのようなものが縦5つ×横8つ並んだ作品で、これは仏間の天井画だそうです。いずれも草花が木目の上に鮮やかに描かれているのですが、木目が水の流れのように見えてくるのが面白かったです。これは中々の見所だと思います。
134 田中一村 「花と軍鶏」
これは8面からなる襖絵で、梅?の木の下で2羽の軍鶏が立っている姿を描いています。周りには牡丹なども描かれていますが、広々とした画面となっていました。 軍鶏は非常に細密に描かれ、鋭い目には威厳すら感じました。解説によると、一村は軍鶏師のもとに軍鶏の描写を学びに行ったそうで、この作品はその集大成とのことでした。
続いては九州、四国、紀州への旅のコーナーとなっています。昭和30年(1955年)に旅をしたそうで、その旅先で描いた作品が並んでいました。
160 田中一村 「平潮」
これは淡路の海を描いた作品で、画面の高い位置に水平線があり、そこに太陽の光の反射が長い道のように縦方向に伸びています。また、1艘の小舟が浮かんでいるのも風情があり好みでした。少ない色でほぼ白黒でしたが光の表現も良かったです。なお、この作品の隣にはよく似た白黒写真が展示されていて、自分で撮った写真を元に描いた作品のようでした。
156 田中一村 「青島の朝」
ビロウというヤシ科の植物が逆光の中に立っている姿を描いた作品です。木の下(画面の下の方)には青い海も見え、これは宮崎の様子らしいです。解説によると、ビロウをこのように描いた構図は奄美時代の主要な作品にも観られるそうで、後の画風に繋がっていっているようでした。
参考リンク:ビロウのwiki
137 田中一村 「四季花譜図」
これは前の襖絵関連のコーナーかな。囲まれるように襖絵が並んでいて、裏表も観られるようになっているのが嬉しいです。片面は白黒で松が描かれ、もう片面は淡くカラフルな草花が描かれていて、対照的な美しさがありました。 解説によると、こうした襖絵を描いて得たお金を奄美への資金にしたそうです。
<第3章 奄美時代>
一村は昭和33年(1958年 50歳)の時に、姉と別れ、単身で沖縄の奄美に渡りました。最初は国立療養所の官舎に住んでいたそうで、そこの職員達のために絵を描いたりするなど、交流もあったようです。その後、2年後に一旦千葉に戻りましたが、また奄美へ向かい、昭和37年からの5年間は染色工として働きながら絵を描いていたそうです。この章ではそうした奄美時代の作品が並び、今回の展覧会の一番の見所となっていました。
166 田中一村 「保氏肖像」
戦争で無くなった方の肖像画です。写真を元に、鉛筆で下書きして水彩で描いているらしく、白黒写真ではないかというくらい写実的に描かれていました。こうした肖像(遺影?)は貴重な現金収入に繋がっていたそうです。
この辺には色紙に描かれた作品や、画材・筆などの展示がありました。
187 田中一村 「奄美の海に蘇鐵とアダン」
大きく黒いソテツや南方系の植物が描かれ、背景には地元の信仰で聖地となっている岩も描かれている作品です。大胆で簡略化されたような感じも受け、力強い作品となっていました。
191 田中一村 「初夏の海に赤翡翠」
黒く大きなビロウの葉、黄緑の葉の植物など南方系の草花が生い茂る中、オレンジっぽい赤のカワセミが横を向いて岩にとまっている姿を描いた作品です。色とりどりでデザイン的な感じもするかな。草花によってリズム感や楽しげな印象を受けました。
この辺にはスケッチブックや魚の写生図などがありました。海老やぜんまいを描いたものなど、奄美の生き物が事細かにスケッチされているようでした。
190 田中一村 「枇榔樹の森に崑崙花」
これは、黒っぽいビロウが生い茂る中に咲く白い花(崑崙花)を描いた作品です。ビロウを大きく描いた作品の中でも早めの時期のものらしく、解説では硬い印象を受けるとのことでしたが、白黒とわずかな色がスタイリッシュなデザインのように思えました。
最後の部屋向かう途中、古いカメラと写真が並んでいました。これを使って風景画の元にしていたのかな。 そして、最後の部屋は特に素晴らしい展示となっています。
201 田中一村 「不喰芋と蘇鐵」 ★こちらで観られます
亜熱帯植物に囲まれた風景が濃厚な色彩で描かれ、植物の隙間から海に浮かぶ岩山(地元の聖地)が見えています。解説によるとこの作品からは四季や誕生~死までの意味も読めるそうです。一見生き生きとして楽しげな風景に思いましたが、深い意味が込められているようでした。
200 田中一村 「アダンの海辺」 ★こちらで観られます
海辺に生えている大きなアダンという木に、大きな黄色い実がなっている様子が描かれた作品です。縦長で大きな木の実にインパクトがあり、葉っぱや波、石まで非常に細かく描かれていました。近くにはこれを描いた時の事が書かれた書面があり、全精力を注いだことが分かりました。これも一見すると南国情緒ある爽やかな絵だなーと思いますが、その実、画家の人生を賭けて描いた濃密な作品でした。素晴らしい作品です!
ということで、田中一村の生涯を一気に知ることができる貴重で見所が多い展覧会でした。もう会期も残りわずかですが、田中一村に興味がある方は是非行っておいたほうがよろしいかと思います。 なお、図録は非常に人気で既に完売となっていました。しかし、後日郵送(郵送費は美術館持ち)で購入することもできるようで、宛名書きしている人たちが沢山いました。
この後、同時開催の「我が心の千葉」も見たのですが、閉館時間が近いのと、田中一村で体力・集中力を使ってしまったので、流し観でした^^; ご紹介は割愛します…。
前編はこちら


まずは概要のおさらいです。
【展覧名】
田中一村 新たなる全貌
【公式サイト】
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2010/0821/0821.html
【会場】千葉市美術館
【最寄】千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など
【会期】2010年8月21日(土)~9月26日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(平日15時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
昨日は上の階に展示されていた東京時代、千葉時代の半分くらいまでご紹介しましたが、今日は下の階に展示されていた千葉時代の残りと奄美時代についてです。
と、その前に、千葉市美術館が作成した動画がyoutubeにありましたのでご紹介。こちらで館内の雰囲気がよくわかります。昨日ご紹介した作品もちらほらと写っていました。
<第2章 千葉時代>
上の階には「米邨」の画号時代の作品が並んでいましたが、下の階からは「田中一村」の時代です。 戦後、新しい出発を期して画号を「米邨」から「柳一村」にしたそうですが、すぐに「田中一村」に変えたそうです。この「一村」というのは南宋の詩から引用したもので、田園生活の良さを詠ったものらしく、このコーナーにはその名の通り、自然を描いた作品が多く並んでいました。
69 田中一村 「芭蕉」
墨の濃淡で描かれた芭蕉の絵です。薄めの墨で大きく描かれ、情緒ある雰囲気となっています。これは一村に画号を変えた記念碑的な作品ではないかとのことです。
この辺は南画っぽい作品が多かった気がします。
89 田中一村 「四季山水図 彷蕪村」
4幅セットの掛け軸で、この作品には与謝蕪村の原図があるそうです。右から、屋敷の外で花見をする人々が描かれた春、川の流れとその周りの人々を描いた夏、山間の村の秋の様子、雪景色の中の池に浮かぶ小舟が描かれた冬という感じで四季の山水画となっています。解説によると、原図と比べてモチーフは欠いていないが図を縮小し簡単な筆致になっているとのことでした。
この辺から公募展への挑戦のコーナーとなっていました。一村は千葉の展覧会や、川端龍子が主催した青龍社の青龍展に応募し、入選を果たしたものの、日展や院展といった中央画壇の公募展では落選していたようです。自信作を燃やしてしまったのもこの頃かな?
青龍社の参考記事:小畠鼎子展 青龍社とともに歩んだ女性画家 (武蔵野市立吉祥寺美術館)
88 田中一村 「伝蛇足筆暮江漁舟図写」
ススキが黄色に染まる原に立つ大きな杉を描いた作品です。色が明るく緻密に描かれ、秋の情景がありました。解説によると、やまと絵風の雰囲気も残っているそうです。
141 田中一村 「白い花」 ★こちらで観られます
これが青龍展で入選した2曲の屏風です。緑鮮やかな葉と白い花が描かれ、大和絵的なぺったりした鮮やかさと装飾性を感じました。絵の下の方に描かれた竹にとまる鳥はここまで観てきた鳥の絵の特徴があったように思います。
143 田中一村 「秋晴」
金地を背景に暗めの色で農家を描いた作品です。木にかけられた大根の白と緑だけが鮮やかで、一際目を引きました。金地が秋の風情を上手く出しているようにも思います。
なお、この作品は青龍展で落選してしまったそうで、それに納得できなかった一村は、これと同時に出品して入選した「波」の受賞を辞退したそうです。
さらに進むと大きな襖絵や天井画が並ぶコーナーでした。一村は理解者から障壁画の依頼を受けていたそうで、特に終戦後に本格的に取り組んでいたそうです。この展覧会ではそうした作品を約40面も観ることができました。
133 田中一村 「草花図天井画」
正方形の枠に草花が描かれたパネルのようなものが縦5つ×横8つ並んだ作品で、これは仏間の天井画だそうです。いずれも草花が木目の上に鮮やかに描かれているのですが、木目が水の流れのように見えてくるのが面白かったです。これは中々の見所だと思います。
134 田中一村 「花と軍鶏」
これは8面からなる襖絵で、梅?の木の下で2羽の軍鶏が立っている姿を描いています。周りには牡丹なども描かれていますが、広々とした画面となっていました。 軍鶏は非常に細密に描かれ、鋭い目には威厳すら感じました。解説によると、一村は軍鶏師のもとに軍鶏の描写を学びに行ったそうで、この作品はその集大成とのことでした。
続いては九州、四国、紀州への旅のコーナーとなっています。昭和30年(1955年)に旅をしたそうで、その旅先で描いた作品が並んでいました。
160 田中一村 「平潮」
これは淡路の海を描いた作品で、画面の高い位置に水平線があり、そこに太陽の光の反射が長い道のように縦方向に伸びています。また、1艘の小舟が浮かんでいるのも風情があり好みでした。少ない色でほぼ白黒でしたが光の表現も良かったです。なお、この作品の隣にはよく似た白黒写真が展示されていて、自分で撮った写真を元に描いた作品のようでした。
156 田中一村 「青島の朝」
ビロウというヤシ科の植物が逆光の中に立っている姿を描いた作品です。木の下(画面の下の方)には青い海も見え、これは宮崎の様子らしいです。解説によると、ビロウをこのように描いた構図は奄美時代の主要な作品にも観られるそうで、後の画風に繋がっていっているようでした。
参考リンク:ビロウのwiki
137 田中一村 「四季花譜図」
これは前の襖絵関連のコーナーかな。囲まれるように襖絵が並んでいて、裏表も観られるようになっているのが嬉しいです。片面は白黒で松が描かれ、もう片面は淡くカラフルな草花が描かれていて、対照的な美しさがありました。 解説によると、こうした襖絵を描いて得たお金を奄美への資金にしたそうです。
<第3章 奄美時代>
一村は昭和33年(1958年 50歳)の時に、姉と別れ、単身で沖縄の奄美に渡りました。最初は国立療養所の官舎に住んでいたそうで、そこの職員達のために絵を描いたりするなど、交流もあったようです。その後、2年後に一旦千葉に戻りましたが、また奄美へ向かい、昭和37年からの5年間は染色工として働きながら絵を描いていたそうです。この章ではそうした奄美時代の作品が並び、今回の展覧会の一番の見所となっていました。
166 田中一村 「保氏肖像」
戦争で無くなった方の肖像画です。写真を元に、鉛筆で下書きして水彩で描いているらしく、白黒写真ではないかというくらい写実的に描かれていました。こうした肖像(遺影?)は貴重な現金収入に繋がっていたそうです。
この辺には色紙に描かれた作品や、画材・筆などの展示がありました。
187 田中一村 「奄美の海に蘇鐵とアダン」
大きく黒いソテツや南方系の植物が描かれ、背景には地元の信仰で聖地となっている岩も描かれている作品です。大胆で簡略化されたような感じも受け、力強い作品となっていました。
191 田中一村 「初夏の海に赤翡翠」
黒く大きなビロウの葉、黄緑の葉の植物など南方系の草花が生い茂る中、オレンジっぽい赤のカワセミが横を向いて岩にとまっている姿を描いた作品です。色とりどりでデザイン的な感じもするかな。草花によってリズム感や楽しげな印象を受けました。
この辺にはスケッチブックや魚の写生図などがありました。海老やぜんまいを描いたものなど、奄美の生き物が事細かにスケッチされているようでした。
190 田中一村 「枇榔樹の森に崑崙花」
これは、黒っぽいビロウが生い茂る中に咲く白い花(崑崙花)を描いた作品です。ビロウを大きく描いた作品の中でも早めの時期のものらしく、解説では硬い印象を受けるとのことでしたが、白黒とわずかな色がスタイリッシュなデザインのように思えました。
最後の部屋向かう途中、古いカメラと写真が並んでいました。これを使って風景画の元にしていたのかな。 そして、最後の部屋は特に素晴らしい展示となっています。
201 田中一村 「不喰芋と蘇鐵」 ★こちらで観られます
亜熱帯植物に囲まれた風景が濃厚な色彩で描かれ、植物の隙間から海に浮かぶ岩山(地元の聖地)が見えています。解説によるとこの作品からは四季や誕生~死までの意味も読めるそうです。一見生き生きとして楽しげな風景に思いましたが、深い意味が込められているようでした。
200 田中一村 「アダンの海辺」 ★こちらで観られます
海辺に生えている大きなアダンという木に、大きな黄色い実がなっている様子が描かれた作品です。縦長で大きな木の実にインパクトがあり、葉っぱや波、石まで非常に細かく描かれていました。近くにはこれを描いた時の事が書かれた書面があり、全精力を注いだことが分かりました。これも一見すると南国情緒ある爽やかな絵だなーと思いますが、その実、画家の人生を賭けて描いた濃密な作品でした。素晴らしい作品です!
ということで、田中一村の生涯を一気に知ることができる貴重で見所が多い展覧会でした。もう会期も残りわずかですが、田中一村に興味がある方は是非行っておいたほうがよろしいかと思います。 なお、図録は非常に人気で既に完売となっていました。しかし、後日郵送(郵送費は美術館持ち)で購入することもできるようで、宛名書きしている人たちが沢山いました。
この後、同時開催の「我が心の千葉」も見たのですが、閉館時間が近いのと、田中一村で体力・集中力を使ってしまったので、流し観でした^^; ご紹介は割愛します…。
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つい今日のことですが、千葉市美術館に行って「田中一村 新たなる全貌」を観てきました。この展覧会は田中一村の生涯を辿るような内容で、かなりのボリュームとなっていましたので、前編・後編に分けて詳しくご紹介しようと思います。

【展覧名】
田中一村 新たなる全貌
【公式サイト】
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2010/0821/0821.html
【会場】千葉市美術館
【最寄】千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など
【会期】2010年8月21日(土)~9月26日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(平日15時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
今週はシルバーウィークとは言え、今日は平日にも関わらず老若男女で混みあっていて、場所によっては人だかりができるくらいでした。先週の新日曜美術館で放送されたのと会期末が近いためかな?(周る順序を変えれば自分のペースで観ることができたので、めちゃくちゃ混んでいるというほどではありません。)館員さんが夕方の方が空いていると言っていたのを聞いたのですが、確かに17時を過ぎた頃にはだいぶ空いているようでした。鑑賞時間とのバランスを考えて狙ってみるのも良いかと思います。
さて、今回の内容についてですが、スケッチや画帖も含めて250点近くの展示品が並ぶ充実の内容となっていました。そもそも田中一村って誰?という人も多いかと思いますので、冒頭にあった概略をご紹介しようと思います。
田中一村は1908年に栃木で木彫家の息子として生まれました。子供の頃に東京に移り住み、その頃には「米邨」という父親の名前にちなんだ画号を使って画才を見せていたようですが、父の手ほどきのみで特定の師はいなかったそうで、自力で南画の技法を取得したそうです。 その後、東京美術学校の日本画科に入学しましたが、2ヶ月で自主退学してしまいました。 昭和13年(1938年 30歳くらい)になると千葉市に移り住み、千葉の自然を描いた作品を残しました。昭和22年(1947年 40歳くらい)には初めて「青龍展」で入選しましたが、その後の公募展は落選続きで切り詰めた生活をしていたようです(この展覧会ではあまり説明されていませんが、落選した自分の絵を燃やしてしまったエピソードを先日の新日曜美術館で紹介していました。) 千葉には20年ほど住んでいましたが、昭和33年(1958年 50歳くらい)に沖縄の奄美大島に移り、染色工として働きながら絵を描いていたそうです。生前はあまり評価されず69歳で亡くなったのですが、没後の1980年にテレビ番組(日曜美術館?)で紹介されたことで注目を浴びて、ブームとなったそうです。
と、こんな感じで大きく分けて東京、千葉、奄美で活動していたようです。そのため、展覧会も住んでいた場所で3章構成になっていました。 また、今回の展覧会は生誕100余年のタイミングでしっかりとした調査を行い、一過性のブームで終わらせないという意気込みも感じる内容で、新出の作品を含んだ濃厚な展覧でした。 …さらに詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。なお、似たような作品名が多いので作品番号を記載しておきます。
<第1章 東京時代>
この章は少年時代から千葉に引っ越すまでの東京時代の作品が並んでいました。なんと「八童米邨」と署名された8歳(数え年)の頃の作品から並んでいて、その神童ぶりを伺わせました。
3 田中一村(米邨) 「白梅図」
これは「九童米邨」と署名があるので、9歳の頃の作品かな? 花の付いた梅の木が描かれた作品です。軽やかに描かれた梅はどう観ても子供が描いた絵じゃない!w 小さな時から画才があったことがよく分かる作品でした。
この辺には短冊状の8歳の頃の作品もありました。
7 田中一村(米邨) 「泥中君子図」
これは14歳の頃の作品です。墨の濃淡で簡略化された蓮が描かれた絵で、タイトルは泥の中に生まれながら清らかであるという意味があるようです。これまた14歳とは思えない完成度の高さです。
14 田中一村(米邨) 「蘇鉄図」
U字に折れたような幹のソテツ(南国の植物)が2本描かれた作品です。葉っぱは軽やかに描かれていて、風に揺れるようです。それに対して幹はモコモコした感じを受けたかな。解説によると、これは中国の画家の花卉図という作品に倣ったそうで、淡墨の筋目描きの技法を使っているようでした。
34 田中一村(米邨) 「蘭竹図」
裏と面が見られる衝立の作品です。片面は赤、白、黄、ピンクなどの色で描かれた、大きな牡丹の花と緑の葉っぱが何とも鮮やかな色合いです。また、青い太湖石という大きな石?も描かれ色の対比が強烈でした。よく見ると花の皺や花弁までも細かく描かれていたのも見事。 それに対してもう片面は、墨の濃淡で描かれた竹や草花で、力強く勢いを感じる筆遣いでした。左上には漢文もあったかな。 色彩と濃淡が両面となっているのが対比的な作品でした。
この辺にあった説明によると、東京美術学校を2ヶ月で辞めた際、理由は「家事都合」と言っていたそうです(諸説ありそうですが) また、その年は沢山の作品を描いていて、政界・財界の人を含む人々から注文を受けるなど、彼の作品の需要は広がっていったようです。画風については南画を踏襲しつつも描線の強さや色彩の鮮やかさに彼の個性があるそうで、腕前や需要はこの頃にピークを迎えたと解説されていました。 この辺りにはそうした時代の作品が展示され、特に吉祥の意味を持つ草花を描いた掛け軸がずらっとならんでいました。
35 田中一村(米邨) 「富貴図」
この展覧会のための調査で確認された新出の屏風です。2つ屏風が並んで展示されていたので一双なのかな(多分) 左隻?には金地を背景に青い木?に入った赤やピンクの牡丹と白い水仙らしき花が描かれていて、その色使いが鮮やかで強い感じを受けました。それに対して右(右隻?)の絵は、金地を背景に描かれた竹や草木など、ダイナミックな筆運びを感じさせました。
この辺にあった解説によると、昭和5~6年(1930年くらい)になると、それまでの見事な上海画壇風の作品はぷっつりとなくなったそうで、ちょうど日中関係の悪化と時期が重なるようです。23歳の頃(1931年くらい)に新しい画風を支持者に見せたところ、賛成者は無かったそうで、支援者たちと絶縁しアルバイトで病気の家族を養う道を選んだようです。この時期は空白の時期と考えられていたそうですが、実際には多様な画風を試していた時期で、この辺りには多彩な画風の作品が並んでいました。
38 田中一村(米邨) 「水辺にめだかと枯蓮と蕗の薹」
これが新しい作風として支援者に見せた作品です。枯れている蓮とその周りに集まるメダカの影が描かれ、土手には緑の草(フキノトウ?)なども観られます。 全体的に淡く、上部の草は背景に溶け込みそうな感じで、確かに今までとは少し違って見えました。これも良い作風だと思うんですけどねえ…。
この近くには精密描写のような作品もありました。
41 田中一村(米邨) 「鶏頭図」
細長く縦に長い作品で、鶏頭という先端が鶏のとさかのような紅い植物を描いています。上部のとさかのような部分は細かくかかれ、毛のような細かさです。一方、色は意外と落ち着いていてこれまでのような強烈さはあまり感じませんでした。
44 田中一村(米邨) 「秋色」
これも縦長の絵です。紅葉に染まる様々な色の葉っぱが描かれていて、透けるような薄めの色ですが鮮やかな印象を受けます。この頃に色々な画風を模索しているのを感じる作品でした。
<第2章 千葉時代>
30~50歳までは千葉で過ごしたようで、畑仕事や鳥を飼ったりしながら手仕事もやるという感じで生活していたそうです。この頃は鳥を飼っていたせいか、鳥を描いた作品も多く並んでいました。 また、江戸以降の南画に興味を寄せている時期でもあったようでした。
なお、この章は米邨時代と田中一村の時代の作品があるので、このブログでは田中一村の表記で統一しておきます…。
47 田中一村 「蓬洲瑞靄図」
仙人が出てきそうな霧が立ち込める山の中に、赤い楼閣が建っている様子が描かれた作品ですこれもまた以前とは違う画風に思えるかな。 解説によると、中国の古画を参考にしつつ、装飾的な要素もあるようで、この頃の院展の「朦朧体」も意識しているそうです。
53 田中一村 「桐葉に尾長鳥」
黒っぽい緑の大きな葉っぱと、その茎にとまっている4羽の尾長鳥を描いた作品です。心なしか単純化され大胆な印象を受けました。
この辺は鳥のスケッチや木々を描いた作品が多く、鳥類の画帖などは動きを感じる仕草で描かれていました。
117 田中一村 「白衣観音図」
岩の上で座っている白衣の観音像を描いた掛け軸です。静かな感じでどこともわからない視線が神聖な雰囲気でした。 これは終戦直後に3ヶ月かけて百数十枚の描き損じと手持ちの画紙のほとんどを費やしてやっと完成したそうで、かなりの力作のようでした。
この辺は観音や十六羅漢の絵が並んでいて、この作品と同じタイトルで似た作品も後のほうにもありましたが、全体的に一村の仏画は少なそうでした…。
124 田中一村 「木魚(米邨作)」
これは絵ではなく、木魚そのものです。父に木彫りの手ほどきを受けていたようで、こうした木魚などもこの頃の収入源となっていたようです。左右対称の優美な幾何学模様で、その器用さや感性が伺えました。近くには根付も展示されていたので、木彫も得意だったようです。
54 田中一村 「秋色」
細い杉が横に沢山並んでいる並木道を描いた作品です。右のほうには馬がいて、のんびりした牧歌的な雰囲気です。また、空には雲が立ち込めていて、その陰影が強いせいか力強い印象も受けたかな。また画風が変わったような気もしました。
この辺にはこうした千葉の風景画がずらっと並んでいます。当時を知る人が観ればどの辺と分かるそうで、実際に観た風景を描いていたようです。
64 田中一村 「山の田」
山と森の合間にある田んぼで、牛に農具を引かせている農夫が描かれた風景画です。人と牛の大きさから木々や山の大きさを感じ、緑がかった画面からは爽やかさを感じました。
ここら辺で上の階は終わりで、下の階に移動します。まだ2章の千葉時代は続きますが、下の階からは米邨から田中一村に画号を変えた時代になりますので、今日はここまでで区切ろうと思います。次回は、この展覧会のメインディッシュとも言える奄美時代の作品を含んだ後編をご紹介しようと思います。


【展覧名】
田中一村 新たなる全貌
【公式サイト】
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2010/0821/0821.html
【会場】千葉市美術館
【最寄】千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など
【会期】2010年8月21日(土)~9月26日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(平日15時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
今週はシルバーウィークとは言え、今日は平日にも関わらず老若男女で混みあっていて、場所によっては人だかりができるくらいでした。先週の新日曜美術館で放送されたのと会期末が近いためかな?(周る順序を変えれば自分のペースで観ることができたので、めちゃくちゃ混んでいるというほどではありません。)館員さんが夕方の方が空いていると言っていたのを聞いたのですが、確かに17時を過ぎた頃にはだいぶ空いているようでした。鑑賞時間とのバランスを考えて狙ってみるのも良いかと思います。
さて、今回の内容についてですが、スケッチや画帖も含めて250点近くの展示品が並ぶ充実の内容となっていました。そもそも田中一村って誰?という人も多いかと思いますので、冒頭にあった概略をご紹介しようと思います。
田中一村は1908年に栃木で木彫家の息子として生まれました。子供の頃に東京に移り住み、その頃には「米邨」という父親の名前にちなんだ画号を使って画才を見せていたようですが、父の手ほどきのみで特定の師はいなかったそうで、自力で南画の技法を取得したそうです。 その後、東京美術学校の日本画科に入学しましたが、2ヶ月で自主退学してしまいました。 昭和13年(1938年 30歳くらい)になると千葉市に移り住み、千葉の自然を描いた作品を残しました。昭和22年(1947年 40歳くらい)には初めて「青龍展」で入選しましたが、その後の公募展は落選続きで切り詰めた生活をしていたようです(この展覧会ではあまり説明されていませんが、落選した自分の絵を燃やしてしまったエピソードを先日の新日曜美術館で紹介していました。) 千葉には20年ほど住んでいましたが、昭和33年(1958年 50歳くらい)に沖縄の奄美大島に移り、染色工として働きながら絵を描いていたそうです。生前はあまり評価されず69歳で亡くなったのですが、没後の1980年にテレビ番組(日曜美術館?)で紹介されたことで注目を浴びて、ブームとなったそうです。
と、こんな感じで大きく分けて東京、千葉、奄美で活動していたようです。そのため、展覧会も住んでいた場所で3章構成になっていました。 また、今回の展覧会は生誕100余年のタイミングでしっかりとした調査を行い、一過性のブームで終わらせないという意気込みも感じる内容で、新出の作品を含んだ濃厚な展覧でした。 …さらに詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。なお、似たような作品名が多いので作品番号を記載しておきます。
<第1章 東京時代>
この章は少年時代から千葉に引っ越すまでの東京時代の作品が並んでいました。なんと「八童米邨」と署名された8歳(数え年)の頃の作品から並んでいて、その神童ぶりを伺わせました。
3 田中一村(米邨) 「白梅図」
これは「九童米邨」と署名があるので、9歳の頃の作品かな? 花の付いた梅の木が描かれた作品です。軽やかに描かれた梅はどう観ても子供が描いた絵じゃない!w 小さな時から画才があったことがよく分かる作品でした。
この辺には短冊状の8歳の頃の作品もありました。
7 田中一村(米邨) 「泥中君子図」
これは14歳の頃の作品です。墨の濃淡で簡略化された蓮が描かれた絵で、タイトルは泥の中に生まれながら清らかであるという意味があるようです。これまた14歳とは思えない完成度の高さです。
14 田中一村(米邨) 「蘇鉄図」
U字に折れたような幹のソテツ(南国の植物)が2本描かれた作品です。葉っぱは軽やかに描かれていて、風に揺れるようです。それに対して幹はモコモコした感じを受けたかな。解説によると、これは中国の画家の花卉図という作品に倣ったそうで、淡墨の筋目描きの技法を使っているようでした。
34 田中一村(米邨) 「蘭竹図」
裏と面が見られる衝立の作品です。片面は赤、白、黄、ピンクなどの色で描かれた、大きな牡丹の花と緑の葉っぱが何とも鮮やかな色合いです。また、青い太湖石という大きな石?も描かれ色の対比が強烈でした。よく見ると花の皺や花弁までも細かく描かれていたのも見事。 それに対してもう片面は、墨の濃淡で描かれた竹や草花で、力強く勢いを感じる筆遣いでした。左上には漢文もあったかな。 色彩と濃淡が両面となっているのが対比的な作品でした。
この辺にあった説明によると、東京美術学校を2ヶ月で辞めた際、理由は「家事都合」と言っていたそうです(諸説ありそうですが) また、その年は沢山の作品を描いていて、政界・財界の人を含む人々から注文を受けるなど、彼の作品の需要は広がっていったようです。画風については南画を踏襲しつつも描線の強さや色彩の鮮やかさに彼の個性があるそうで、腕前や需要はこの頃にピークを迎えたと解説されていました。 この辺りにはそうした時代の作品が展示され、特に吉祥の意味を持つ草花を描いた掛け軸がずらっとならんでいました。
35 田中一村(米邨) 「富貴図」
この展覧会のための調査で確認された新出の屏風です。2つ屏風が並んで展示されていたので一双なのかな(多分) 左隻?には金地を背景に青い木?に入った赤やピンクの牡丹と白い水仙らしき花が描かれていて、その色使いが鮮やかで強い感じを受けました。それに対して右(右隻?)の絵は、金地を背景に描かれた竹や草木など、ダイナミックな筆運びを感じさせました。
この辺にあった解説によると、昭和5~6年(1930年くらい)になると、それまでの見事な上海画壇風の作品はぷっつりとなくなったそうで、ちょうど日中関係の悪化と時期が重なるようです。23歳の頃(1931年くらい)に新しい画風を支持者に見せたところ、賛成者は無かったそうで、支援者たちと絶縁しアルバイトで病気の家族を養う道を選んだようです。この時期は空白の時期と考えられていたそうですが、実際には多様な画風を試していた時期で、この辺りには多彩な画風の作品が並んでいました。
38 田中一村(米邨) 「水辺にめだかと枯蓮と蕗の薹」
これが新しい作風として支援者に見せた作品です。枯れている蓮とその周りに集まるメダカの影が描かれ、土手には緑の草(フキノトウ?)なども観られます。 全体的に淡く、上部の草は背景に溶け込みそうな感じで、確かに今までとは少し違って見えました。これも良い作風だと思うんですけどねえ…。
この近くには精密描写のような作品もありました。
41 田中一村(米邨) 「鶏頭図」
細長く縦に長い作品で、鶏頭という先端が鶏のとさかのような紅い植物を描いています。上部のとさかのような部分は細かくかかれ、毛のような細かさです。一方、色は意外と落ち着いていてこれまでのような強烈さはあまり感じませんでした。
44 田中一村(米邨) 「秋色」
これも縦長の絵です。紅葉に染まる様々な色の葉っぱが描かれていて、透けるような薄めの色ですが鮮やかな印象を受けます。この頃に色々な画風を模索しているのを感じる作品でした。
<第2章 千葉時代>
30~50歳までは千葉で過ごしたようで、畑仕事や鳥を飼ったりしながら手仕事もやるという感じで生活していたそうです。この頃は鳥を飼っていたせいか、鳥を描いた作品も多く並んでいました。 また、江戸以降の南画に興味を寄せている時期でもあったようでした。
なお、この章は米邨時代と田中一村の時代の作品があるので、このブログでは田中一村の表記で統一しておきます…。
47 田中一村 「蓬洲瑞靄図」
仙人が出てきそうな霧が立ち込める山の中に、赤い楼閣が建っている様子が描かれた作品ですこれもまた以前とは違う画風に思えるかな。 解説によると、中国の古画を参考にしつつ、装飾的な要素もあるようで、この頃の院展の「朦朧体」も意識しているそうです。
53 田中一村 「桐葉に尾長鳥」
黒っぽい緑の大きな葉っぱと、その茎にとまっている4羽の尾長鳥を描いた作品です。心なしか単純化され大胆な印象を受けました。
この辺は鳥のスケッチや木々を描いた作品が多く、鳥類の画帖などは動きを感じる仕草で描かれていました。
117 田中一村 「白衣観音図」
岩の上で座っている白衣の観音像を描いた掛け軸です。静かな感じでどこともわからない視線が神聖な雰囲気でした。 これは終戦直後に3ヶ月かけて百数十枚の描き損じと手持ちの画紙のほとんどを費やしてやっと完成したそうで、かなりの力作のようでした。
この辺は観音や十六羅漢の絵が並んでいて、この作品と同じタイトルで似た作品も後のほうにもありましたが、全体的に一村の仏画は少なそうでした…。
124 田中一村 「木魚(米邨作)」
これは絵ではなく、木魚そのものです。父に木彫りの手ほどきを受けていたようで、こうした木魚などもこの頃の収入源となっていたようです。左右対称の優美な幾何学模様で、その器用さや感性が伺えました。近くには根付も展示されていたので、木彫も得意だったようです。
54 田中一村 「秋色」
細い杉が横に沢山並んでいる並木道を描いた作品です。右のほうには馬がいて、のんびりした牧歌的な雰囲気です。また、空には雲が立ち込めていて、その陰影が強いせいか力強い印象も受けたかな。また画風が変わったような気もしました。
この辺にはこうした千葉の風景画がずらっと並んでいます。当時を知る人が観ればどの辺と分かるそうで、実際に観た風景を描いていたようです。
64 田中一村 「山の田」
山と森の合間にある田んぼで、牛に農具を引かせている農夫が描かれた風景画です。人と牛の大きさから木々や山の大きさを感じ、緑がかった画面からは爽やかさを感じました。
ここら辺で上の階は終わりで、下の階に移動します。まだ2章の千葉時代は続きますが、下の階からは米邨から田中一村に画号を変えた時代になりますので、今日はここまでで区切ろうと思います。次回は、この展覧会のメインディッシュとも言える奄美時代の作品を含んだ後編をご紹介しようと思います。
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先週の土曜日に、国立新美術館で「陰影礼讃―国立美術館コレクションによる」を観てきました。

【展覧名】
陰影礼讃―国立美術館コレクションによる
【公式サイト】
http://www.nact.jp/exhibition_special/2010/shadows/index.html
【会場】国立新美術館 企画展示室2E
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2010年9月8日(水)~10月18日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
あまり混むこともなく、自分のペースでゆっくり観られました。展覧会の入口でチケットを買うので、入口あたりだけは混んでたかな。
この展覧会は陰影をキーワードに、「独立行政法人国立美術館」が持つ古今東西の美術品を展示していて、どちらかというと「独立行政法人国立美術館」の名品展といった色あいが強い内容に思いました。独立行政法人国立美術館とは、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館、国立新美術館の5館のことのようで、2001年4月に発足して今年で10年目を迎えたようです。その5館であわせて33300点ものコレクションを誇るそうで、今回はその中から100人の画家の170点もの作品が展示されています。 (とは言え、西洋美術館や東京国立近代美術館の作品は常設に展示されている作品も多く出品されているので、よく観る作品もちらほらあります。) 詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。なお、今回は解説があまりなかったので、単なる私の感想のみとなりますw
<第1章 影あるいは陰、そして描写>
[影と陰の諸相]
最初は写真のコーナーでした。教会や建物、船などを撮った写真がありましたが、7点と少ないので、ここはあっさり見てメモを取らなかったです^^;
[実在感の創出]
こちらは絵画のコーナーです。陰影で実在感を出すような作品がテーマのようでした。
小出楢重 「裸女と白布」
白いベッドの上で向こうを向いて横たわる裸婦が描かれた作品です。体の表面やベッドの模様に陰影がついていて、色鮮やかさと微妙な表現を楽しめました。
この辺にあった安井曽太郎の裸婦も中々好みでした。
ギュスターヴ・クールベ 「りんご」
どっしりとした感じの林檎が4つ描かれた静物です。特に手前の2個は赤々としていて、形はむしろトマトみたいなw 表面には光沢や影の表現があり、リアリズムを感じました。
速水御舟 「秋茄子と黒茶碗」
金地を背景に2つの茄子と黒茶碗が描かれた静物です。艶やかな光沢と質感があり、茄子には存在感がありました。観た感じで精密描写の頃の作風かな??
参考記事:速水御舟展 -日本画への挑戦- (山種美術館)
<第2章 具象描写の影と陰>
続いて2章は具象的名描写をした絵画と版画のコーナーでした。主題によって3つの小コーナーに分かれています。
[肖像、または人のいる情景の演出]
まずは人物画のコーナーでした。
浅井忠 「編みもの」
椅子に腰掛けて編み物をする女性像です。窓から差し込む光が半身を照らし、手前は影になっていました。柔らかめの陰影かな。 …そう言えば浅井の源流とも言えるバルビゾン派の作品は少なかったかも。今回の趣旨に合ってる気がするんだけどなあ。
この辺にはギュスターヴ・クールベの「もの思うジプシー女」なども展示されていました。
参考記事:国立西洋美術館の案内 (常設 2009年10月)
岸田劉生 「古屋君の肖像(草持てる男の肖像)」
今回のポスターにもなっている作品です。草をつまんで持つ男性像は非常に写実的に描かれ、顔のてかりや凹凸による陰影まで観ることが出来ます。無表情なのが逆にリアルな気がw
参考記事:
東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)
没後80年 岸田劉生 -肖像画をこえて (損保ジャパン東郷青児美術館)
松本竣介 「並木道」
全体的に緑がかった作品で、並木のある坂道と、そこを歩く黒い帽子の男性が描かれています。何となくルソーのような雰囲気があり、どこかシュールさすら感じました。
つい最近、岩手でこの人の沢山の作品を観ることが出来たので、ようやく作風を認知できるようになってきましたw
参考記事:岩手県立美術館の案内 (番外編 岩手)
印藤真楯 「夜桜」
大きな桜やそれを支える柱が、沢山のかがり火で照らされている様子を描いた作品です。桜の周りにはベンチようなものに腰掛けて見物する着物の人々が描かれていました。かがり火の中で浮かび上がる桜が幻想的で、火の光の暖かみも感じました。
平山郁夫 「入涅槃幻想」
これは今回の展覧会でも特に良かった作品です(前はいつ観たか思い出せず…) ぼんやりと黄金に輝く仏陀と、その周りを囲って看取っている無数の人影、白い鳩?や小鳥などを描いています。ぼんやりとしているのが幻想的で、神聖な雰囲気がよく出ていました。素晴らしいです。
この後は版画のコーナーです。ムンク、ロートレック、ドラクロワ、ドーミエ、ジャック・カロなどの作品が並んでいました。
ウジェーヌ・ドラクロワ 「墓に運ばれるキリスト」
洞窟のようなところで、3人の男性に持ち上げられて更に深い地下へと運ばれるキリストを描いた作品です。シャベルと共にたいまつを持った人の周りや、洞窟の入口付近からもれる光などによって、光によって人々に微妙な影が落ちていました。ドラマ性を強めているようで面白かったです。
[風景表現の構成要素]
続いて風景画のコーナーです。
安井曽太郎 「奥入瀬の渓流」
大胆にデフォルメされ、色鮮やかな渓流が描かれています。陰影というよりは光が溢れているような感じに思っていましたw
この辺には、この作品と共に以前ご紹介した黒田清輝の「落葉」などもありました。
参考記事:東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)
浅原清隆 「郷愁」
これはどうして陰影がテーマの本展に出ているのかよく分かりませんが、青い海とやや緑色の空の微妙な色の変化は陰影と言うべきなのかも。シュルレアリスムのような作品です。
参考記事:東京国立近代美術館の案内 (2010年05月)
リチャード・ウィルソン 「ディヴォリの風景(カプリッチョ)」
丘の上にある遺跡から見る風景を描いた作品です。向かいの山にも遺跡があり、手前には倒れた円柱なども描かれています。遠くの空の空気感が柔らかく、神々しい感じすらしました。
モーリス・ドニ 「ロスマパモン」
家の裏庭で遊ぶ2人の少年と犬?を描いた作品です。ぺったりとした色合いで描かれ、所々が暗めの影が伸びています。恐らく画面の外に大きな木があるのかな。見えない存在を探してしまいました^^;
この辺はモネの作品などもありました。
アンリ=ジャン=ギヨーム・マルタン 「カオールの橋」
川にかかる橋を描いた作品で、橋の下部は3つのアーチを描いています。水面にもそれが映っていました。柔らかい色合いで、アーチの中の陰影を表現していたのが面白かったです。
東山魁夷 「映象」
暗い夜の湖を描いた作品かな? 周りは暗いのに白い木々が水面に映っている不思議な光景です。 真っ暗だと思っていた背景も、よく見ると森のような形を微妙な陰影で表現していたのが驚きでした。神秘的で好みの作品です。
横山大観 「暮色」
裏に竹林のある農家?を描いた作品で、手前には黒い牛が描かれています。もやなのか霧なのか、黒い朦朧としたものが漂い、情感を出していました。
この作品の隣にあった竹内栖鳳の作品も良かった…。
この後も版画のコーナーがありました。コローやドービニーなどは好みだったかな。
[主張する影、自立した影]
ここはシュルレアリスムのような幻想的な絵が多かったです。
甲斐庄楠音 「幻覚」
紅い着物の女性が踊っている様子を描いた作品です。燃え立つような赤の衣が妖艶さを出していて、踊りでポーズを取る手の影が背景に映り、幻想的…というよりも妖気すら感じました。狐のような顔もまた妖しい。
北脇昇 「クォ・ヴァディス」
荷物を背負って、砂漠のようなところを歩く男性の後姿を描いた作品です。足元にはオウムガイのようなものや、道しるべがあり、彼方では人々の更新や土砂降りの雨など、今後の不安を感じさせる風景となっていました。シュールな感じで好みです。
参考記事:東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)
北脇昇 「独活」
2本のウドと切り株が描かれ、背景はがらんとした地面と空、壁に映るウドの影などが見られます。ウドには血のような色が付いていて、人のような生々しさがありました。これもシュールですが、少し怖さを感じる作品でした。
この辺にはイヴ・タンギーなどもあったかな。シュルレアリスム的なものが集まっていました。その後はまた版画で、ゴヤやドラクロワ、ドーミエ、クリンガー、ムンクなどの作品が並んでいました。
藤森静雄 「『月映』Ⅱより《こころのかげ》」
耳をふさいで立つ人が抽象化されたような版画です。何かにおびえるような怖さを感じる版画でした。
<第3章 カメラが捉えた影と陰>
続いては部屋一面に並んだ写真のコーナーです。ほぼ白黒の作品で、陰影がよく出ているものばかりでした。
アンドレ・ケルテス 「マルティニーク、1972年1月1日」
ベランダから海を望むような感じの構図ですが、そこに写っているのは人の影だけで、実際の人はいないのが面白いです。まるで影が海を見ているようでした。
篠山紀信 「<熱い肉体>より」
両手を挙げ、足を後ろに折り曲げるほど強くジャンプしているような少年(少女?)と、走っているような少年を撮った写真です。ほとんど影絵のようなシルエットだけですが、力強く生き生きとしたものを感じました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「階段」
今回のポスターにもなっている作品です。これはつい最近に庭園美術館でも観たような気がします。子供を抱えて階段を登る母親を撮った写真で、階段の影が斜めにリズミカルに並んでいるのが面白いです。ロトチェンコはこういう発想があったからデザインの仕事も素晴らしいのかも。
ロトチェンコはこの他にも「ライカを持つ女」もありました。
参考記事:ロトチェンコ+ステパーノワーロシア構成主義のまなざし (東京都庭園美術館)
畠山直哉 「アンダーグラウンド」
写真のコーナーでカラーだったのはこれだけかも。これは3枚あった作品で、地下の下水道の風景のようでした。ガランとして殺風景な空間があり、照明をつけているところだけが明るくなっていました。洞窟に入ったような感じすらします。
<第4章 影と陰を再考する時代>
最後の章は、現代美術を中心に概念などを通じた陰影表現のコーナーとなっていました。
[概念的な思考]
まず最初にマルセル・デュシャンのインスタレーションが展示されていて、自転車の車輪や、宙に釣られた雪かき用のシャベルや帽子かけに光を当てて、会場に影を落としていました。中々シュールな雰囲気で面白かったです。
高松次郎 「影」
この章を少し進むと高松次郎のコーナーでした。これは巨大な円筒形の側面に描かれた壁画のような作品で、白地に薄っすらと本物の影のような人物の形が描かれています。煙草を吸ったり、話をしたり、髪を押さえたりと行動は様々です。この作品を展示している部屋の暗さと影の具合がちょうど良くて、鑑賞者の影が映っているような錯覚を覚えたのが楽しかったです。(煙草を吸っている姿とか、ちょっと驚きましたw)
この辺にはこの作品のための下絵(メモ入り)や習作などもありました。細かく格子状に区切られた枠の中に描かれていたのが興味深かったです。
高松次郎の参考記事
トリック・アートの世界展 -だまされる楽しさ- (損保ジャパン東郷青児美術館)
奇想の王国 だまし絵展 感想後編 (Bunkamuraザ・ミュージアム)
アンディ・ウォーホル 「マリリン」
マリリン・モンローの写真にカラフルな色をつけたような作品が4つならんだものです。ポップでウォーホルらしい作風に思いますが、これを陰影と言えばいいのかな?w
この辺にはリキテンスタインも何枚かありました。
[同時代の美術から]
最後は現代アートのコーナーでした。もはや陰影なのかも分からない作品もあったようなw
秋岡美帆 「ながれ」「よどみ」「そよぎ」
大きな3枚セットの作品です。これもつい最近観た記憶があるのですが思い出せず…。緑の画面のなかで少しずつ色を変えて流れのようなものを表現していました。緑のせいか結構爽やかな印象もうけました。
クシシュトフ・ヴォディチコ 「もし不審なものを見かけたら……」
最後は映像作品です。真っ暗な部屋に5つの縦長の窓のようなものが映され、いずれも薄い幕でもあるように(白カーテンを通したように)窓の外がぼやけて見えます。 窓の外では窓拭きをしたり、携帯で話している様子が分かりますがクリアには見えませんでした。会場にはその音も流れてくるので、ちょっとリアルかも
ということで、ジャンルや作風など多岐に渡りますが、良質の作品ばかりで満足しました。解説はあまり多くないですが、テーマを気にしないほうが楽しめるかもw これを見逃したらもう観られない!というわけではないと思いますが、一気にあれこれ観られるので、普段あまり美術館に足を運ばない方には多くの画家を知る機会になるのではないかと思います。
おまけ:
この日、会場の出口で国立新美術館に関するアンケートをやっていて、それに答えたらオリジナルグッズを貰えました。結構な問数でしたがこれは嬉しいかも。今後とも日本の美術界を牽引するよう頑張って頂きたいものです。


【展覧名】
陰影礼讃―国立美術館コレクションによる
【公式サイト】
http://www.nact.jp/exhibition_special/2010/shadows/index.html
【会場】国立新美術館 企画展示室2E
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2010年9月8日(水)~10月18日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
あまり混むこともなく、自分のペースでゆっくり観られました。展覧会の入口でチケットを買うので、入口あたりだけは混んでたかな。
この展覧会は陰影をキーワードに、「独立行政法人国立美術館」が持つ古今東西の美術品を展示していて、どちらかというと「独立行政法人国立美術館」の名品展といった色あいが強い内容に思いました。独立行政法人国立美術館とは、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館、国立新美術館の5館のことのようで、2001年4月に発足して今年で10年目を迎えたようです。その5館であわせて33300点ものコレクションを誇るそうで、今回はその中から100人の画家の170点もの作品が展示されています。 (とは言え、西洋美術館や東京国立近代美術館の作品は常設に展示されている作品も多く出品されているので、よく観る作品もちらほらあります。) 詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。なお、今回は解説があまりなかったので、単なる私の感想のみとなりますw
<第1章 影あるいは陰、そして描写>
[影と陰の諸相]
最初は写真のコーナーでした。教会や建物、船などを撮った写真がありましたが、7点と少ないので、ここはあっさり見てメモを取らなかったです^^;
[実在感の創出]
こちらは絵画のコーナーです。陰影で実在感を出すような作品がテーマのようでした。
小出楢重 「裸女と白布」
白いベッドの上で向こうを向いて横たわる裸婦が描かれた作品です。体の表面やベッドの模様に陰影がついていて、色鮮やかさと微妙な表現を楽しめました。
この辺にあった安井曽太郎の裸婦も中々好みでした。
ギュスターヴ・クールベ 「りんご」
どっしりとした感じの林檎が4つ描かれた静物です。特に手前の2個は赤々としていて、形はむしろトマトみたいなw 表面には光沢や影の表現があり、リアリズムを感じました。
速水御舟 「秋茄子と黒茶碗」
金地を背景に2つの茄子と黒茶碗が描かれた静物です。艶やかな光沢と質感があり、茄子には存在感がありました。観た感じで精密描写の頃の作風かな??
参考記事:速水御舟展 -日本画への挑戦- (山種美術館)
<第2章 具象描写の影と陰>
続いて2章は具象的名描写をした絵画と版画のコーナーでした。主題によって3つの小コーナーに分かれています。
[肖像、または人のいる情景の演出]
まずは人物画のコーナーでした。
浅井忠 「編みもの」
椅子に腰掛けて編み物をする女性像です。窓から差し込む光が半身を照らし、手前は影になっていました。柔らかめの陰影かな。 …そう言えば浅井の源流とも言えるバルビゾン派の作品は少なかったかも。今回の趣旨に合ってる気がするんだけどなあ。
この辺にはギュスターヴ・クールベの「もの思うジプシー女」なども展示されていました。
参考記事:国立西洋美術館の案内 (常設 2009年10月)
岸田劉生 「古屋君の肖像(草持てる男の肖像)」
今回のポスターにもなっている作品です。草をつまんで持つ男性像は非常に写実的に描かれ、顔のてかりや凹凸による陰影まで観ることが出来ます。無表情なのが逆にリアルな気がw
参考記事:
東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)
没後80年 岸田劉生 -肖像画をこえて (損保ジャパン東郷青児美術館)
松本竣介 「並木道」
全体的に緑がかった作品で、並木のある坂道と、そこを歩く黒い帽子の男性が描かれています。何となくルソーのような雰囲気があり、どこかシュールさすら感じました。
つい最近、岩手でこの人の沢山の作品を観ることが出来たので、ようやく作風を認知できるようになってきましたw
参考記事:岩手県立美術館の案内 (番外編 岩手)
印藤真楯 「夜桜」
大きな桜やそれを支える柱が、沢山のかがり火で照らされている様子を描いた作品です。桜の周りにはベンチようなものに腰掛けて見物する着物の人々が描かれていました。かがり火の中で浮かび上がる桜が幻想的で、火の光の暖かみも感じました。
平山郁夫 「入涅槃幻想」
これは今回の展覧会でも特に良かった作品です(前はいつ観たか思い出せず…) ぼんやりと黄金に輝く仏陀と、その周りを囲って看取っている無数の人影、白い鳩?や小鳥などを描いています。ぼんやりとしているのが幻想的で、神聖な雰囲気がよく出ていました。素晴らしいです。
この後は版画のコーナーです。ムンク、ロートレック、ドラクロワ、ドーミエ、ジャック・カロなどの作品が並んでいました。
ウジェーヌ・ドラクロワ 「墓に運ばれるキリスト」
洞窟のようなところで、3人の男性に持ち上げられて更に深い地下へと運ばれるキリストを描いた作品です。シャベルと共にたいまつを持った人の周りや、洞窟の入口付近からもれる光などによって、光によって人々に微妙な影が落ちていました。ドラマ性を強めているようで面白かったです。
[風景表現の構成要素]
続いて風景画のコーナーです。
安井曽太郎 「奥入瀬の渓流」
大胆にデフォルメされ、色鮮やかな渓流が描かれています。陰影というよりは光が溢れているような感じに思っていましたw
この辺には、この作品と共に以前ご紹介した黒田清輝の「落葉」などもありました。
参考記事:東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)
浅原清隆 「郷愁」
これはどうして陰影がテーマの本展に出ているのかよく分かりませんが、青い海とやや緑色の空の微妙な色の変化は陰影と言うべきなのかも。シュルレアリスムのような作品です。
参考記事:東京国立近代美術館の案内 (2010年05月)
リチャード・ウィルソン 「ディヴォリの風景(カプリッチョ)」
丘の上にある遺跡から見る風景を描いた作品です。向かいの山にも遺跡があり、手前には倒れた円柱なども描かれています。遠くの空の空気感が柔らかく、神々しい感じすらしました。
モーリス・ドニ 「ロスマパモン」
家の裏庭で遊ぶ2人の少年と犬?を描いた作品です。ぺったりとした色合いで描かれ、所々が暗めの影が伸びています。恐らく画面の外に大きな木があるのかな。見えない存在を探してしまいました^^;
この辺はモネの作品などもありました。
アンリ=ジャン=ギヨーム・マルタン 「カオールの橋」
川にかかる橋を描いた作品で、橋の下部は3つのアーチを描いています。水面にもそれが映っていました。柔らかい色合いで、アーチの中の陰影を表現していたのが面白かったです。
東山魁夷 「映象」
暗い夜の湖を描いた作品かな? 周りは暗いのに白い木々が水面に映っている不思議な光景です。 真っ暗だと思っていた背景も、よく見ると森のような形を微妙な陰影で表現していたのが驚きでした。神秘的で好みの作品です。
横山大観 「暮色」
裏に竹林のある農家?を描いた作品で、手前には黒い牛が描かれています。もやなのか霧なのか、黒い朦朧としたものが漂い、情感を出していました。
この作品の隣にあった竹内栖鳳の作品も良かった…。
この後も版画のコーナーがありました。コローやドービニーなどは好みだったかな。
[主張する影、自立した影]
ここはシュルレアリスムのような幻想的な絵が多かったです。
甲斐庄楠音 「幻覚」
紅い着物の女性が踊っている様子を描いた作品です。燃え立つような赤の衣が妖艶さを出していて、踊りでポーズを取る手の影が背景に映り、幻想的…というよりも妖気すら感じました。狐のような顔もまた妖しい。
北脇昇 「クォ・ヴァディス」
荷物を背負って、砂漠のようなところを歩く男性の後姿を描いた作品です。足元にはオウムガイのようなものや、道しるべがあり、彼方では人々の更新や土砂降りの雨など、今後の不安を感じさせる風景となっていました。シュールな感じで好みです。
参考記事:東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)
北脇昇 「独活」
2本のウドと切り株が描かれ、背景はがらんとした地面と空、壁に映るウドの影などが見られます。ウドには血のような色が付いていて、人のような生々しさがありました。これもシュールですが、少し怖さを感じる作品でした。
この辺にはイヴ・タンギーなどもあったかな。シュルレアリスム的なものが集まっていました。その後はまた版画で、ゴヤやドラクロワ、ドーミエ、クリンガー、ムンクなどの作品が並んでいました。
藤森静雄 「『月映』Ⅱより《こころのかげ》」
耳をふさいで立つ人が抽象化されたような版画です。何かにおびえるような怖さを感じる版画でした。
<第3章 カメラが捉えた影と陰>
続いては部屋一面に並んだ写真のコーナーです。ほぼ白黒の作品で、陰影がよく出ているものばかりでした。
アンドレ・ケルテス 「マルティニーク、1972年1月1日」
ベランダから海を望むような感じの構図ですが、そこに写っているのは人の影だけで、実際の人はいないのが面白いです。まるで影が海を見ているようでした。
篠山紀信 「<熱い肉体>より」
両手を挙げ、足を後ろに折り曲げるほど強くジャンプしているような少年(少女?)と、走っているような少年を撮った写真です。ほとんど影絵のようなシルエットだけですが、力強く生き生きとしたものを感じました。
アレクサンドル・ロトチェンコ 「階段」
今回のポスターにもなっている作品です。これはつい最近に庭園美術館でも観たような気がします。子供を抱えて階段を登る母親を撮った写真で、階段の影が斜めにリズミカルに並んでいるのが面白いです。ロトチェンコはこういう発想があったからデザインの仕事も素晴らしいのかも。
ロトチェンコはこの他にも「ライカを持つ女」もありました。
参考記事:ロトチェンコ+ステパーノワーロシア構成主義のまなざし (東京都庭園美術館)
畠山直哉 「アンダーグラウンド」
写真のコーナーでカラーだったのはこれだけかも。これは3枚あった作品で、地下の下水道の風景のようでした。ガランとして殺風景な空間があり、照明をつけているところだけが明るくなっていました。洞窟に入ったような感じすらします。
<第4章 影と陰を再考する時代>
最後の章は、現代美術を中心に概念などを通じた陰影表現のコーナーとなっていました。
[概念的な思考]
まず最初にマルセル・デュシャンのインスタレーションが展示されていて、自転車の車輪や、宙に釣られた雪かき用のシャベルや帽子かけに光を当てて、会場に影を落としていました。中々シュールな雰囲気で面白かったです。
高松次郎 「影」
この章を少し進むと高松次郎のコーナーでした。これは巨大な円筒形の側面に描かれた壁画のような作品で、白地に薄っすらと本物の影のような人物の形が描かれています。煙草を吸ったり、話をしたり、髪を押さえたりと行動は様々です。この作品を展示している部屋の暗さと影の具合がちょうど良くて、鑑賞者の影が映っているような錯覚を覚えたのが楽しかったです。(煙草を吸っている姿とか、ちょっと驚きましたw)
この辺にはこの作品のための下絵(メモ入り)や習作などもありました。細かく格子状に区切られた枠の中に描かれていたのが興味深かったです。
高松次郎の参考記事
トリック・アートの世界展 -だまされる楽しさ- (損保ジャパン東郷青児美術館)
奇想の王国 だまし絵展 感想後編 (Bunkamuraザ・ミュージアム)
アンディ・ウォーホル 「マリリン」
マリリン・モンローの写真にカラフルな色をつけたような作品が4つならんだものです。ポップでウォーホルらしい作風に思いますが、これを陰影と言えばいいのかな?w
この辺にはリキテンスタインも何枚かありました。
[同時代の美術から]
最後は現代アートのコーナーでした。もはや陰影なのかも分からない作品もあったようなw
秋岡美帆 「ながれ」「よどみ」「そよぎ」
大きな3枚セットの作品です。これもつい最近観た記憶があるのですが思い出せず…。緑の画面のなかで少しずつ色を変えて流れのようなものを表現していました。緑のせいか結構爽やかな印象もうけました。
クシシュトフ・ヴォディチコ 「もし不審なものを見かけたら……」
最後は映像作品です。真っ暗な部屋に5つの縦長の窓のようなものが映され、いずれも薄い幕でもあるように(白カーテンを通したように)窓の外がぼやけて見えます。 窓の外では窓拭きをしたり、携帯で話している様子が分かりますがクリアには見えませんでした。会場にはその音も流れてくるので、ちょっとリアルかも
ということで、ジャンルや作風など多岐に渡りますが、良質の作品ばかりで満足しました。解説はあまり多くないですが、テーマを気にしないほうが楽しめるかもw これを見逃したらもう観られない!というわけではないと思いますが、一気にあれこれ観られるので、普段あまり美術館に足を運ばない方には多くの画家を知る機会になるのではないかと思います。
おまけ:
この日、会場の出口で国立新美術館に関するアンケートをやっていて、それに答えたらオリジナルグッズを貰えました。結構な問数でしたがこれは嬉しいかも。今後とも日本の美術界を牽引するよう頑張って頂きたいものです。

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大・タイガー立石展 世界を描きつくせ!【うらわ美術館】 (03/14)
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大・タイガー立石展 世界を描きつくせ! 【埼玉県立近代美術館】 (03/07)
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もうすぐ再開予定 (02/28)
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2021 MOMASコレクション 第3期 【埼玉県立近代美術館】 (01/21)
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鎌倉の写真 (2021年11月) (01/18)
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没後70年 吉田博展 【川越市立美術館】 (01/16)
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今後の更新について (01/14)
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【山崎美術館】の案内 (2021年11月) (01/11)
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保岡勝也 「旧山崎家別邸」 (01/09)
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映画「劇場版 呪術廻戦 0」(ややネタバレあり) (01/07)
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TERUHISA KITAHARA 鉄道コレクション展 【京橋エドグランタウンミュージアム】 (01/05)
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展覧会年間スケジュール (1都3県) 【2022年01月号】 (01/01)
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2021年の振り返り (12/31)
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ヘラルボニー/ゼロからはじまる 【BAG-Brillia Art Gallery】 (12/29)
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映画「キングスマン:ファースト・エージェント」(ややネタバレあり) (12/27)
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横溝美由紀「Landscape やわらかな地平のその先に」 【ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX】 (12/26)
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第15回 shiseido art egg 【資生堂ギャラリー】 (12/23)
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映画「マトリックス レザレクションズ」(ややネタバレあり) (12/21)
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ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ 【パナソニック汐留美術館】 (12/19)
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鈴木其一・夏秋渓流図屏風 【根津美術館】 (12/16)
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