Archive | 2010年12月
2010年もおしまいなので、今日は今年の美術展について振り返ります。今年も素晴らしい展覧会が多くて選びきれないため、去年と同じようにテーマにわけてランキングしようと思います。去年は色々なランキングでベスト5にしましたが、今回はラインナップを見て4つで各ベスト10にしようかと。なお、基準は好みといまの気分ですw
参考記事:2009年の振り返り
部門別にご紹介。
<総合満足 日本画展ベスト10>
1位:上村松園展 (東京国立近代美術館)
2位:伊藤若冲 アナザーワールド (千葉市美術館)
3位:没後400年 特別展「長谷川等伯」 (東京国立博物館 平成館)
4位:国宝燕子花図屏風 琳派コレクション一挙公開 (根津美術館)
5位:諸国畸人伝 (板橋区立美術館)
6位:円山応挙-空間の創造 (三井記念美術館)
7位:歌川国芳-奇と笑いの木版画 (府中市美術館)
8位:田中一村 新たなる全貌 (千葉市美術館)
9位:生誕120年 小野竹喬展 (東京国立近代美術館)
10位:屏風の世界 ―その変遷と展開― (出光美術館)
まずは日本画についてですが、今年も元々好きな画家・絵師の展覧会が多かったのでかなり楽しめる1年でした。その中でも特に上村松園展は決定版とも言える内容で、ずっと記憶に残りそうです。後期に行けなかったのが心残り…。 その他もビッグネームが多い中で、特筆しておきたいのが「諸国畸人伝」です。これはあまり知られていない絵師も含めて個性派がぶつかり合うように競演していた展示で、企画の良さが光りました。
それと、今年の千葉市美術館の展示は凄かったですね。巷で評判の高いギッター・コレクション展にはまだ行っていないのですが、来年早々にも行こうかと思います。(これも見てたらランキング入りしてたかも)
<総合満足 西洋画 個展ベスト10>
1位:ゴッホ展 こうして私はゴッホになった (国立新美術館)
2位:ドガ展 (横浜美術館)
3位:美しき挑発 レンピッカ展 (Bunkamuraザ・ミュージアム)
4位:ブリューゲル版画の世界 (Bunkamuraザ・ミュージアム)
5位:アンリ・ルソー パリの空の下で ルソーとその仲間たち (ポーラ美術館)
6位:アルフォンス・ミュシャ展 (三鷹市美術ギャラリー)
7位:ルノワール-伝統と革新 (国立新美術館)
8位:マネとモダン・パリ (三菱一号館美術館)
9位:フランク・ブラングィン展 (国立西洋美術館)
10位:モーリス・ユトリロ展 -パリを愛した孤独な画家- (損保ジャパン東郷青児美術館)
今年は西洋画が大豊作で、とてもじゃないけど10位で収まる気がしなかったので、個展(他の画家の作品もあったりしますが)と○○美術展のようなテーマ展示にランキングを分けましたw 個展だけでもこのラインナップ…。よくこれだけ来たものだと改めて感心します。 有名画家の大型展の多い中で、特筆したいのはレンピッカ展とフランク・ブラングィン展です。どちらも再評価されつつある画家ですが、こういう画家を取り上げていくのは非常に価値のあることだと思います。来年もこうした展示を期待したいです。
<総合満足 西洋画 テーマ展示ベスト10>
1位:ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち (森アーツセンターギャラリー)
2位:オルセー美術館展2010 ポスト印象派 (国立新美術館)
3位:ポーラ美術館コレクション展 印象派とエコール・ド・パリ (横浜美術館)
4位:セーヌの流れに沿って-印象派と日本人画家たちの旅 (ブリヂストン美術館)
5位:大原美術館名品展 (宇都宮美術館)
6位:ザ・コレクション・ヴィンタートゥール (世田谷美術館)
7位:イタリアの印象派 マッキアイオーリ展 (東京都庭園美術館)
8位:ラファエル前派からウィリアム・モリスへ (横須賀美術館)
9位:フランダースの光 ベルギーの美しき村を描いて (Bunkamuraザ・ミュージアム)
10位:ボルゲーゼ美術館展 (東京都美術館)
続いて、複数の画家を集めた西洋画展のランキングです。あまりに良い展示が多くてこのランキングが一番選ぶのが大変でした。その中でも筆頭はオルセーとボストンだったと思いますが、もともと印象派好きなのでボストンに軍配を上げました。(印象派系の展覧会がどうしても上の方にきてしまったw) ランクに入れなかった展示も含めて非常にレベルの高い内容で、国内外の有名作品を観ることが出来ました。来年もプーシキン美術館を始め、引き続きレベルの高い展覧会が期待できそうです。
<総合満足 絵画以外 ベスト10>
1位:ルーシー・リー展 (国立新美術館)
2位:奈良の古寺と仏像 ~會津八一のうたにのせて~ (三井記念美術館)
3位:ハンス・コパー展 20世紀陶芸の革新 (パナソニック電工 汐留ミュージアム)
4位:マン・レイ展 知られざる創作の秘密 (国立新美術館)
5位:ポンペイ展 世界遺産古代ローマ文明の奇跡 (横浜美術館)
6位:阿蘭陀とNIPPON ~レンブラントからシーボルトまで~ (たばこと塩の博物館)
7位:エレメント 構造デザイナー セシル・バルモンドの世界 (東京オペラシティアートギャラリー)
8位:植田正治写真展 写真とボク (埼玉県立近代美術館)
9位:借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展 (東京都現代美術館)
10位:ウィリアム・ケントリッジ 歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた…… (東京国立近代美術館)
残り1つのランキングは絵画以外の展示でまとめました。結構バラバラなジャンルで挙げていますが、特にルーシー・リーとハンス・コパーの展示を立て続けに観ることができたのは大きな収穫だったと思います。(2人は共同制作していた時期があります) 他にもマン・レイ展など後々まで財産となるような展示などもあり、絵画以外も楽しめる展示が盛り沢山でした。
<連れの選んだ ベスト5>
1位:没後400年 特別展「長谷川等伯」 (東京国立博物館 平成館)
2位:美しき挑発 レンピッカ展 (Bunkamuraザ・ミュージアム)
3位:オルセー美術館展2010 ポスト印象派 (国立新美術館)
4位:ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち (森アーツセンターギャラリー)
5位:上村松園展 (東京国立近代美術館)
こちらはいつも一緒に楽しんでいる連れが選んだベスト5です。コメントも書いて貰いました。
今年は近年まれにみる、海外絵画の大型展が集中した年でした。上にあげた美術館はもちろん、ウフィツィ、ヴィンタートゥールなど比較的行く機会のない美術館のコレクションを見れたのは大きな収穫でした。 また、ルノアールからユトリロ、ゴッホ、ドガ、マネ、ルソーと巨匠の個展が集中したことは、現在の美術ムーブメントを更に盛り上げました。奇才レンピッカの作品については、あらためてBunkamuraの企画力に感嘆いたしました。海外の巨匠の他、等伯や琳派、松園など日本画家の良い展示も多数あり、美術ファンとしては充実した一年となりました。来年は国立新美術館のシュールレアリスム展もあることですし、印象派以外のユニークな展示も期待したいと思います。
ということで、2010年も大豊作の年でした。来年も大型展示が目白押しで気になる展示ばかりですので、元旦早々に2011年のスケジュールを更新したいと思います。皆様よいお年を…。
参考記事:2009年の振り返り
部門別にご紹介。
<総合満足 日本画展ベスト10>
1位:上村松園展 (東京国立近代美術館)
2位:伊藤若冲 アナザーワールド (千葉市美術館)
3位:没後400年 特別展「長谷川等伯」 (東京国立博物館 平成館)
4位:国宝燕子花図屏風 琳派コレクション一挙公開 (根津美術館)
5位:諸国畸人伝 (板橋区立美術館)
6位:円山応挙-空間の創造 (三井記念美術館)
7位:歌川国芳-奇と笑いの木版画 (府中市美術館)
8位:田中一村 新たなる全貌 (千葉市美術館)
9位:生誕120年 小野竹喬展 (東京国立近代美術館)
10位:屏風の世界 ―その変遷と展開― (出光美術館)
まずは日本画についてですが、今年も元々好きな画家・絵師の展覧会が多かったのでかなり楽しめる1年でした。その中でも特に上村松園展は決定版とも言える内容で、ずっと記憶に残りそうです。後期に行けなかったのが心残り…。 その他もビッグネームが多い中で、特筆しておきたいのが「諸国畸人伝」です。これはあまり知られていない絵師も含めて個性派がぶつかり合うように競演していた展示で、企画の良さが光りました。
それと、今年の千葉市美術館の展示は凄かったですね。巷で評判の高いギッター・コレクション展にはまだ行っていないのですが、来年早々にも行こうかと思います。(これも見てたらランキング入りしてたかも)
<総合満足 西洋画 個展ベスト10>
1位:ゴッホ展 こうして私はゴッホになった (国立新美術館)
2位:ドガ展 (横浜美術館)
3位:美しき挑発 レンピッカ展 (Bunkamuraザ・ミュージアム)
4位:ブリューゲル版画の世界 (Bunkamuraザ・ミュージアム)
5位:アンリ・ルソー パリの空の下で ルソーとその仲間たち (ポーラ美術館)
6位:アルフォンス・ミュシャ展 (三鷹市美術ギャラリー)
7位:ルノワール-伝統と革新 (国立新美術館)
8位:マネとモダン・パリ (三菱一号館美術館)
9位:フランク・ブラングィン展 (国立西洋美術館)
10位:モーリス・ユトリロ展 -パリを愛した孤独な画家- (損保ジャパン東郷青児美術館)
今年は西洋画が大豊作で、とてもじゃないけど10位で収まる気がしなかったので、個展(他の画家の作品もあったりしますが)と○○美術展のようなテーマ展示にランキングを分けましたw 個展だけでもこのラインナップ…。よくこれだけ来たものだと改めて感心します。 有名画家の大型展の多い中で、特筆したいのはレンピッカ展とフランク・ブラングィン展です。どちらも再評価されつつある画家ですが、こういう画家を取り上げていくのは非常に価値のあることだと思います。来年もこうした展示を期待したいです。
<総合満足 西洋画 テーマ展示ベスト10>
1位:ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち (森アーツセンターギャラリー)
2位:オルセー美術館展2010 ポスト印象派 (国立新美術館)
3位:ポーラ美術館コレクション展 印象派とエコール・ド・パリ (横浜美術館)
4位:セーヌの流れに沿って-印象派と日本人画家たちの旅 (ブリヂストン美術館)
5位:大原美術館名品展 (宇都宮美術館)
6位:ザ・コレクション・ヴィンタートゥール (世田谷美術館)
7位:イタリアの印象派 マッキアイオーリ展 (東京都庭園美術館)
8位:ラファエル前派からウィリアム・モリスへ (横須賀美術館)
9位:フランダースの光 ベルギーの美しき村を描いて (Bunkamuraザ・ミュージアム)
10位:ボルゲーゼ美術館展 (東京都美術館)
続いて、複数の画家を集めた西洋画展のランキングです。あまりに良い展示が多くてこのランキングが一番選ぶのが大変でした。その中でも筆頭はオルセーとボストンだったと思いますが、もともと印象派好きなのでボストンに軍配を上げました。(印象派系の展覧会がどうしても上の方にきてしまったw) ランクに入れなかった展示も含めて非常にレベルの高い内容で、国内外の有名作品を観ることが出来ました。来年もプーシキン美術館を始め、引き続きレベルの高い展覧会が期待できそうです。
<総合満足 絵画以外 ベスト10>
1位:ルーシー・リー展 (国立新美術館)
2位:奈良の古寺と仏像 ~會津八一のうたにのせて~ (三井記念美術館)
3位:ハンス・コパー展 20世紀陶芸の革新 (パナソニック電工 汐留ミュージアム)
4位:マン・レイ展 知られざる創作の秘密 (国立新美術館)
5位:ポンペイ展 世界遺産古代ローマ文明の奇跡 (横浜美術館)
6位:阿蘭陀とNIPPON ~レンブラントからシーボルトまで~ (たばこと塩の博物館)
7位:エレメント 構造デザイナー セシル・バルモンドの世界 (東京オペラシティアートギャラリー)
8位:植田正治写真展 写真とボク (埼玉県立近代美術館)
9位:借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展 (東京都現代美術館)
10位:ウィリアム・ケントリッジ 歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた…… (東京国立近代美術館)
残り1つのランキングは絵画以外の展示でまとめました。結構バラバラなジャンルで挙げていますが、特にルーシー・リーとハンス・コパーの展示を立て続けに観ることができたのは大きな収穫だったと思います。(2人は共同制作していた時期があります) 他にもマン・レイ展など後々まで財産となるような展示などもあり、絵画以外も楽しめる展示が盛り沢山でした。
<連れの選んだ ベスト5>
1位:没後400年 特別展「長谷川等伯」 (東京国立博物館 平成館)
2位:美しき挑発 レンピッカ展 (Bunkamuraザ・ミュージアム)
3位:オルセー美術館展2010 ポスト印象派 (国立新美術館)
4位:ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち (森アーツセンターギャラリー)
5位:上村松園展 (東京国立近代美術館)
こちらはいつも一緒に楽しんでいる連れが選んだベスト5です。コメントも書いて貰いました。
今年は近年まれにみる、海外絵画の大型展が集中した年でした。上にあげた美術館はもちろん、ウフィツィ、ヴィンタートゥールなど比較的行く機会のない美術館のコレクションを見れたのは大きな収穫でした。 また、ルノアールからユトリロ、ゴッホ、ドガ、マネ、ルソーと巨匠の個展が集中したことは、現在の美術ムーブメントを更に盛り上げました。奇才レンピッカの作品については、あらためてBunkamuraの企画力に感嘆いたしました。海外の巨匠の他、等伯や琳派、松園など日本画家の良い展示も多数あり、美術ファンとしては充実した一年となりました。来年は国立新美術館のシュールレアリスム展もあることですし、印象派以外のユニークな展示も期待したいと思います。
ということで、2010年も大豊作の年でした。来年も大型展示が目白押しで気になる展示ばかりですので、元旦早々に2011年のスケジュールを更新したいと思います。皆様よいお年を…。
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先日の日曜日に上野の国立科学博物館で「空と宇宙展-飛べ!100年の夢」を観てきました。

【展覧名】
空と宇宙展-飛べ!100年の夢
【公式サイト】
http://sora-uchu.jp/
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2010/sora-uchu/index.html
【会場】国立科学博物館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2010年10月26日(火)~ 2011年2月6日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間20分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
日曜日に行ったためか、結構お客さんが入っていました。場所によってはたまに混みあっている感じもしましたが、少し待てば空くくらいだったので、混雑していると言うほどでもない程度でした。
さて、今回の展示ですが2010年は1910年に日本初の動力飛行が実現してから100周年となるそうで、日本の航空機・宇宙開発を黎明期から最新まで一挙に紹介する内容でした。門外漢の私には価値がサッパリ分からないので、もしかしたら作品充実度は④どころじゃなかったのかもしれませんw 宇宙関連が大好きなので観にいってみましたが、割合としては航空機:宇宙開発は7:3くらいだったように思います。 今回はほとんどメモを取らなかったのでコーナーごとの雰囲気だけご紹介しようと思います。公式サイトでは場内のマップを見ることができます。
参考リンク:場内のマップ(pdf)
<1.「前史」鳥のように空を飛ぶ夢> ★この章の紹介ページ
最初のコーナーは航空の黎明期に関するコーナーです。1782年にフランスのモンゴルフィエ兄弟が熱気球を発明された頃、鎖国中の日本でもそれを察知したようで、当時の熱気球に関する本や図などが展示されていました。
その後、明治10年の西南戦争の際に上原六四郎という人物が戦争に気球を使う為に制作を命じられたようで、その命令書も展示されていました。(結局、作る前に戦争が終わってしまったようです)
他には、二宮忠八という人物に関するコーナーがあり、カラス型の模型飛行機などが展示されていました。この人はライト兄弟と同じように世界初の飛行機を目指していましたが、周りに理解されずに1人で研究していたそうで、資金集めの為に製薬会社に入って社長にまでなったそうです。・・・えらく遠回りな感じがしますが、そのせいか世界初にはなれませんでした。
<2.飛行機時代の幕開け> ★この章の紹介ページ
ライト兄弟による飛行機の発明が成功すると、日本でも飛行機に対する研究が進みました。「臨時軍用気球研究会」という組織が発足され、徳川好敏、日野熊蔵という2名がフランスとドイツに留学し、1910年の日本初飛行のパイロットを務めることになりました。
[初飛行]
ここには徳川・日野の日本初飛行に関する展示が並んでいました。 徳川が乗ったアンリ・ファルマン複葉機の写真や図面、大きなプロペラ(実物)、日野熊蔵が乗ったハンス・グラーデ単葉機の写真やプロペラ(実物)などがありました。
<3.歩み始めた自立への道/自主開発力の開花> ★この章の紹介ページ
このコーナーは大正から第二次大戦終了までの日本の航空機開発の歴史のコーナーとなっていました。
[東京帝国大学航空研究所]
1918年に設立された東京帝国大学航空研究所に関するコーナーで、エンジンや飛行記録、映像などが展示されていました。
[零戦から“ネ-20”日本初のジェットエンジンまで]
この辺は戦時頃の様々な国産機のエンジンや図面、模型などが並んだコーナーでした。愛知県と科博が所有する飛行機模型は貴重だそうで、熱心に鑑賞している人たちもいたので、価値が高いのかもしれません。
<4.再開した空へ> ★この章の紹介ページ
戦後、日本はGHQによってあらゆる航空機研究が禁止されましたが、1957年に解除となり1962年には日本初の国産旅客機「YS-11」が初飛行したそうです。
[戦後初の国産旅客機YS-11]
このコーナーでは「YS-11」の風洞模型や実際に使われた部品や資料などが展示されていました。
<5.国際共同開発と新たな空へ向けて> ★この章の紹介ページ
この章は比較的最近から近い将来にかけての国産航空機に関する展示となっていました。
[初の国産ジェット旅客機MRJ]
2014年に初の国産ジェット旅客機「MRJ」が就航予定らしく、その模型やCG映像などがありました。また、ネ-20の巨大なエンジンなどもこの辺だったかな。部屋の配置がわかりづらく、章分けが曖昧で時系列がよく分からないことになってますw
<6.日本の宇宙開発の歩み> ★この章の紹介ページ
終盤のほうでようやく宇宙関連の展示です。宇宙開発も黎明期から関連の品が並んでいます
[ペンシルロケットと日本初の人工衛星おおすみ]
日本の宇宙開発の第一歩となるペンシルロケットが展示されたコーナーです。1954年に東京大学の糸川英夫を中心に作られたもので、どうやら実物のようでした。見た目は結構小さいですが大きな足跡を残した品です。
また、日本初の人工衛星「おおすみ」の予備機実物なども展示されています。
[宇宙航行の推進力]
小惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジンより前のプラズマエンジンやマイクロ波イオンエンジンが展示されていました。
[お帰りなさい!!はやぶさ]
今回、最も人気だったコーナーです。今年大きなニュースとなった小惑星探査機「はやぶさ」の実物大の模型が置かれています。それ以外にもビーコンの受信機(実物)や対熱シールド、イオンエンジン運用日誌など数多くのはやぶさ関連の品が並んでいました。
[広がる宇宙開発・宇宙利用]
宇宙ヨット「イカロス」、金星探査機「あかつき」、準天頂衛星「みちびき」などに関するコーナーで、イカロスの巨大なソーラー電力セイル(1/4)が壁にかけられていました。また、出口付近には未来計画に関するコーナーもあり、月面に自走式の工場?を送りこみ、ソーラーパネルを月面に敷き詰めていって、そこで発電した電気をレーザー化して地球に送るという壮大な計画などがありました。
ということで、解説などが分かりやすくなっていたにも関わらず、自分の中では消化できずに終わった感じがしますw というのも模型や資料、部品などが多いので、あまり興味が無いものに関しては「へ~」で終わってしまいました。 会場には明らかに飛行機好きらしき人達がいて、楽しそうにしていたので嗜好に大きく左右される展示ではないかと思います。飛行機好きの方はチェックしてみて下さい。

【展覧名】
空と宇宙展-飛べ!100年の夢
【公式サイト】
http://sora-uchu.jp/
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2010/sora-uchu/index.html
【会場】国立科学博物館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2010年10月26日(火)~ 2011年2月6日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間20分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
日曜日に行ったためか、結構お客さんが入っていました。場所によってはたまに混みあっている感じもしましたが、少し待てば空くくらいだったので、混雑していると言うほどでもない程度でした。
さて、今回の展示ですが2010年は1910年に日本初の動力飛行が実現してから100周年となるそうで、日本の航空機・宇宙開発を黎明期から最新まで一挙に紹介する内容でした。門外漢の私には価値がサッパリ分からないので、もしかしたら作品充実度は④どころじゃなかったのかもしれませんw 宇宙関連が大好きなので観にいってみましたが、割合としては航空機:宇宙開発は7:3くらいだったように思います。 今回はほとんどメモを取らなかったのでコーナーごとの雰囲気だけご紹介しようと思います。公式サイトでは場内のマップを見ることができます。
参考リンク:場内のマップ(pdf)
<1.「前史」鳥のように空を飛ぶ夢> ★この章の紹介ページ
最初のコーナーは航空の黎明期に関するコーナーです。1782年にフランスのモンゴルフィエ兄弟が熱気球を発明された頃、鎖国中の日本でもそれを察知したようで、当時の熱気球に関する本や図などが展示されていました。
その後、明治10年の西南戦争の際に上原六四郎という人物が戦争に気球を使う為に制作を命じられたようで、その命令書も展示されていました。(結局、作る前に戦争が終わってしまったようです)
他には、二宮忠八という人物に関するコーナーがあり、カラス型の模型飛行機などが展示されていました。この人はライト兄弟と同じように世界初の飛行機を目指していましたが、周りに理解されずに1人で研究していたそうで、資金集めの為に製薬会社に入って社長にまでなったそうです。・・・えらく遠回りな感じがしますが、そのせいか世界初にはなれませんでした。
<2.飛行機時代の幕開け> ★この章の紹介ページ
ライト兄弟による飛行機の発明が成功すると、日本でも飛行機に対する研究が進みました。「臨時軍用気球研究会」という組織が発足され、徳川好敏、日野熊蔵という2名がフランスとドイツに留学し、1910年の日本初飛行のパイロットを務めることになりました。
[初飛行]
ここには徳川・日野の日本初飛行に関する展示が並んでいました。 徳川が乗ったアンリ・ファルマン複葉機の写真や図面、大きなプロペラ(実物)、日野熊蔵が乗ったハンス・グラーデ単葉機の写真やプロペラ(実物)などがありました。
<3.歩み始めた自立への道/自主開発力の開花> ★この章の紹介ページ
このコーナーは大正から第二次大戦終了までの日本の航空機開発の歴史のコーナーとなっていました。
[東京帝国大学航空研究所]
1918年に設立された東京帝国大学航空研究所に関するコーナーで、エンジンや飛行記録、映像などが展示されていました。
[零戦から“ネ-20”日本初のジェットエンジンまで]
この辺は戦時頃の様々な国産機のエンジンや図面、模型などが並んだコーナーでした。愛知県と科博が所有する飛行機模型は貴重だそうで、熱心に鑑賞している人たちもいたので、価値が高いのかもしれません。
<4.再開した空へ> ★この章の紹介ページ
戦後、日本はGHQによってあらゆる航空機研究が禁止されましたが、1957年に解除となり1962年には日本初の国産旅客機「YS-11」が初飛行したそうです。
[戦後初の国産旅客機YS-11]
このコーナーでは「YS-11」の風洞模型や実際に使われた部品や資料などが展示されていました。
<5.国際共同開発と新たな空へ向けて> ★この章の紹介ページ
この章は比較的最近から近い将来にかけての国産航空機に関する展示となっていました。
[初の国産ジェット旅客機MRJ]
2014年に初の国産ジェット旅客機「MRJ」が就航予定らしく、その模型やCG映像などがありました。また、ネ-20の巨大なエンジンなどもこの辺だったかな。部屋の配置がわかりづらく、章分けが曖昧で時系列がよく分からないことになってますw
<6.日本の宇宙開発の歩み> ★この章の紹介ページ
終盤のほうでようやく宇宙関連の展示です。宇宙開発も黎明期から関連の品が並んでいます
[ペンシルロケットと日本初の人工衛星おおすみ]
日本の宇宙開発の第一歩となるペンシルロケットが展示されたコーナーです。1954年に東京大学の糸川英夫を中心に作られたもので、どうやら実物のようでした。見た目は結構小さいですが大きな足跡を残した品です。
また、日本初の人工衛星「おおすみ」の予備機実物なども展示されています。
[宇宙航行の推進力]
小惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジンより前のプラズマエンジンやマイクロ波イオンエンジンが展示されていました。
[お帰りなさい!!はやぶさ]
今回、最も人気だったコーナーです。今年大きなニュースとなった小惑星探査機「はやぶさ」の実物大の模型が置かれています。それ以外にもビーコンの受信機(実物)や対熱シールド、イオンエンジン運用日誌など数多くのはやぶさ関連の品が並んでいました。
[広がる宇宙開発・宇宙利用]
宇宙ヨット「イカロス」、金星探査機「あかつき」、準天頂衛星「みちびき」などに関するコーナーで、イカロスの巨大なソーラー電力セイル(1/4)が壁にかけられていました。また、出口付近には未来計画に関するコーナーもあり、月面に自走式の工場?を送りこみ、ソーラーパネルを月面に敷き詰めていって、そこで発電した電気をレーザー化して地球に送るという壮大な計画などがありました。
ということで、解説などが分かりやすくなっていたにも関わらず、自分の中では消化できずに終わった感じがしますw というのも模型や資料、部品などが多いので、あまり興味が無いものに関しては「へ~」で終わってしまいました。 会場には明らかに飛行機好きらしき人達がいて、楽しそうにしていたので嗜好に大きく左右される展示ではないかと思います。飛行機好きの方はチェックしてみて下さい。
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三菱一号館の近くでお茶した後、延々と歩いて日比谷公園に向かい、期間限定で作られている日比谷公園ダ・ヴィンチミュージアム(日比谷公園第二花壇内特設会場)で「特別展 ダ・ヴィンチ ~モナ・リザ25の秘密~」を観てきました。

【展覧名】
特別展 ダ・ヴィンチ ~モナ・リザ25の秘密~
【公式サイト】
http://www.davinci-japan.com/
【会場】
日比谷公園ダ・ヴィンチミュージアム(日比谷公園第二花壇内特設会場)
【最寄】
日比谷駅、霞ヶ関駅、有楽町駅、内幸町駅など
【会期】
2010年12月7日(火)~2011年2月20日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(平日17時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
↓会場はこんな感じで、仮設テントみたいな会場となっています。この日は寒い日でしたが中は暖かかったです。

平日の17時頃に行ったらガラ空きで自分のペースで好きなように見て周ることができました。公式サイトを観たら、その時間帯が一番空いているようです。(混雑を警戒している感じもするので、もしかしたら休日は混雑している展覧会なのかもしれません。 …ちなみに、途中で座るところはなかったように思います。混んでると結構疲れそうです)
さて、この度の展示ですが、これはダヴィンチの母国イタリアでも開催された展覧会で、内容としては彼の残した作品の謎についてや、発明品の再現などが中心で、ダヴィンチが直接作成した作品を期待するのは見当違いとなります。 以前、森アーツセンターであったダヴィンチ展や「受胎告知」が来たときの東博の展覧会からダヴィンチの作品を抜いたような感じかなw あまりメモは取らなかったのですが、中にはこんなものまで発明していたのか?!と驚くものもあったので、ざっくりと会場の雰囲気だけでもご紹介しようと思います。公式サイトでは海外での展示の様子が観られますので、これでイメージして頂ければと思います。
参考リンク:公式サイトの「海外開催の模様」(flash)
まず最初にレオナルド・ダ・ヴィンチについて軽く紹介すると、彼は1452年にイタリアのトスカーナにあるヴィンチ村に、公証人の息子として生まれました。しかし彼は私生児だったため、父のあとを継ぐことはできなかったそうです。また、正当な教育も受けていなかったようで、当時の学問の中心だったラテン語は自力で学んでいったようです。その後、恐らく14~16歳頃にアンドレア・デル・ヴェロッキオの工房に弟子入りし、ボッティチェッリらと共に絵を学び、画家の組合に登録されます。その後は絵画のみならず軍事顧問や技術者、医学など様々な仕事をしていくわけですが、それについては後述していきます。
参考リンク:レオナルド・ダ・ヴィンチのwikipedia
会場に入ると、モナ・リザ風の黒柳徹子が出迎えてくれます。絵のように見えますが、動いて話しかけてくるのでちょっと驚き。
こんな感じです。→公式サイトの徹子モナ・リザ
・・・結構音が大きいので、中に入ると五月蝿くてうざったいですw (というか黒柳徹子が大嫌いなので、解説機でもモゴモゴ話すのが嫌で仕方なかったw)
中に進むと最初にいくつか手記があり、「最後の晩餐」の準備段階のポーズに関するメモなどがあります(本物かは不明) こうした手記やアイディアスケッチなどを元に今回の展示物は再現されているのですが、ご存知の通りダヴィンチは「鏡文字」という反転した文字を書いていたり、当時のフィレンツェの方言が使われているので、それを理解して再現するのは大変なことのようでした。
手記の後はダヴィンチの発明を再現したコーナーが続きます。まずは空を飛ぶための発明で、飛行機、風力計、エアスクリュー(ヘリコプターみたいな)、パラシュート、翼、風向き計、葉っぱみたいなハンググライダー?、立ち乗り飛行機などがありました。 フォルムとしては現代の飛行機に通じるものを感じますが、人力でどうにか飛ぼうとしていたので実現は無理だったようです。ペダルや全身を使う仕掛けのもあり、ここまで考えていたのかと驚きました。
空飛ぶ発明の次は土木機械のコーナーでした。ダヴィンチは多くの土木建築工事に携わり、どうすれば効率的か絶えず追求していたようです。彼は力は4つの要素(重さ、動力、運動、衝撃)によって成り立っていると考えていたとのことで、それを活かした発明が並んでいます。ドリルやクランクケース、ボールベアリング、ハンマーで叩く装置、ジャッキ、クランクを使った台車などがあり、触って動かすことができる品もいくつかあります。このコーナーで特に驚いたのは「自走車」という歯車で出来た自動車のようなもので、ゼンマイとバネの力で進む装置だそうです。これは舞台装置として作られ、一定の距離しか走らないそうですがギアやブレーキまであるのには驚愕でした。
その後は様々な分野の研究品が並んでいました。ダヴィンチが考える理想都市の模型では、重層構造にして水路や道、住宅や煙突などを効果的に配置し、現在にも通じるような合理性がありました。こうした都市を考えていた背景には、当時非常に不衛生でペストが大流行した事があるようです。
他にはロボットのようなもの(歯車が並んだ人形に西洋の鎧を覆う仕組み)があり、こちらはNASAも参考にしたほど精巧なもののようです。また、その近くにあった自転車の模型はフェイクで、以前はダヴィンチのメモと思われていたけれど、20世紀後半に描かれたものであったという解説がありました。こちらはあまりに現代的でいかにも怪しい感じでしたw
その後は絵やスケッチの並ぶコーナーです。まず、人体の解剖図の拡大コピーが並んでいました。胎児や内臓、性器、骨、血管など非常に細かく正確に描かれていて、ちょうど1年くらい前に本物を観たのを思い出しました。
参考記事:医学と芸術展:生命(いのち)と愛の未来を探る (森美術館)
この辺でだいたい半分くらいで、部屋の中央に巨大なモナ・リザのコピーがあり、各部を拡大した25の秘密を提示していますが、ここにはまだ詳しい解説はありません。また、壁にはダヴィンチの絵画作品の写真が並んでいました。スケッチやメモなどは6000点程度残っているそうですが、絵画作品は模写を含めて25点しか伝わっていないと紹介されていました。 …そういや去年お台場にも来た「ラロックの聖母」の話は続報を聞かないですが、本物なんでしょうかね…。
参考記事:番外編 大江戸温泉と夜景 お台場
さて、半分を過ぎた辺りが今回のメインテーマのモナ・リザの秘密に関する展示です。ここには超解像度の写真が並び、この写真によって判明したことや、今とは違う当時のモナ・リザを復元した写真などが展示されています。モナ・リザは描かれて500年ほど経過していますが、その間に変色してしまったようで、修復しようにも貴重すぎる上に非常に難しい作業となるため、行われていないそうです。(透明に近い絵の具を幾重にも重ねる「スフマート法」という技法が使われているので、ニスを取り除くのは危険なのだとか)
当時の再現を観ると、空はラピスラズリの淡い青、頬はバラ色、背景は山が青みがかった色をしていました。ダヴィンチは大気を通してみると全て青みがかっていると考えていたため、このようにしたそうです。また、今のモナ・リザにはまつ毛も眉毛も無いのですが、かつては存在していたようで、無くなった理由として、①下塗りに溶け込んだ、②顔料と共に透明化した、③ニスの除去の時に誤って消されたという3つの説が紹介されていました。
他にはモナ・リザの精巧なレプリカ(額縁無しで裏面まで見られる)や25の秘密に関する詳細な解説、豆知識などがありました。 いくつかエピソードをご紹介すると、目頭と顎にイボみたいなものがありますが、これはナポレオンが浴室に飾っていた時についた水滴の跡ではないか?という話、1911年の盗難事件でピカソにも容疑が向けられた話、1950年代に石を投げつけられたり酸をかけられた話、19世紀半ばまではここまで有名ではなく、象徴主義の画家が賞賛して有名になったという話 などなど、モナ・リザに関する多くのエピソードを詳しく知ることができます。盗難事件についてはローランサンなどは人生を変えられてしまったので、この絵はまさに歴史を作ってきたという感じがしますね。
参考記事:マリー・ローランサンの扇 (川村記念美術館)
モナ・リザのコーナーを抜けると、再び発明品のコーナーとなります。まずは楽器が並んでいて、自動演奏式の太鼓、2又に分かれたフルート、ポータブルピアノなどが並んでいます。ダヴィンチはリラの名手でもあったので、音楽に興味関心が強かったようです。
音楽のコーナーの隣には体験コーナーがあり、「ウィトルウィウス的人体図」に自分の体がどのくらい近いか(黄金比と言われる理想形に近いか)を測定する装置がありました。私も早速チャレンジして腰にベルトを巻いて手を広げて測定してもらいました。結果は1.601くらいの比率だったので、黄金比の1.618に結構近くてシルバー判定でした。中々シルバーは出ないらしいので、ちょっと嬉しいw
参考リンク:
ウィトルウィウス的人体図のwikipedia
黄金比のwikipedia
体験コーナーの隣には水に関する発明品が並んでいます。ダヴィンチは子供の頃に水害に見舞われたそうで、それが一種のトラウマのようになり、水に対する備えを発明していたようです。緊急用の橋、水かき、浮き輪、水上歩行のスキーのようなもの、2重の船底の船のアイディアなどがあり、2重底は現代のタンカーにも通じる構造だそうです。また、このコーナーで一番の驚きは潜水服みたいなもので、これは戦争のときに敵の船に忍び寄って破壊工作をするためのものだったようですが、当時の人には理解できずに却下されたそうです。これは時代を超越しすぎだったのかもw
水のコーナーの隣は軍事のコーナーです。(ここの品々のいくつかはディスカバリーチャンネルの番組で観たような気がするw) ダヴィンチは軍事顧問をやっていたこともあり、ここの発明品は特に面白いです。扇状に沢山の銃を並べた「多銃身砲」や、火薬でなく蒸気で発射する「蒸気砲」、空気抵抗を考慮した「尖頭弾」の弾丸スケッチ、移動要塞や投石器など、現代の武器のようなものがあります。中でも特に目を引くのがUFOみたいな装甲車で、外部を装甲と沢山の砲身で覆い、中に入ってどちらにでも移動できるという優れものです。…ただ、めっちゃ重くて思うように動かないようですがw ここのコーナーは私的には一番面白いコーナーでした。
参考リンク:ダヴィンチに挑戦(ディスカバリーチャンネルの番組)
そしてこの展覧会の最後を飾るのは「最後の晩餐」の実物大の映像です。私は実物を観たことが無いので、460cm×880cmの大きさに驚きました。かなりでかいです。流石に本物とは比較できませんが、興味深かったので細部までしばらく鑑賞してました。
ということで、エンターテインメントとしての展覧会といった感じでした。実際の作品も無いのに1800円か…とちょっとケチなことも頭によぎったりもしましたが、あまり堅苦しいことを考えずにテーマパーク的に考えれば楽しい展示かと思います。グッズなども充実しているようでした。
おまけ:
先日、モナリザの瞳に文字が書いてある!なんてニュースがありました。この展覧会では特に言及していませんでしたが、イニシャルが書かれているという説があるそうです。 …眉唾な感じがしてなりませんが、これだけ世の中の関心を引く絵は滅多にないことだけは確かですね。
参考リンク:リアルのダ・ヴィンチ・コード発見! 暗号はモナ・リザの瞳の中にあった

【展覧名】
特別展 ダ・ヴィンチ ~モナ・リザ25の秘密~
【公式サイト】
http://www.davinci-japan.com/
【会場】
日比谷公園ダ・ヴィンチミュージアム(日比谷公園第二花壇内特設会場)
【最寄】
日比谷駅、霞ヶ関駅、有楽町駅、内幸町駅など
【会期】
2010年12月7日(火)~2011年2月20日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(平日17時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
↓会場はこんな感じで、仮設テントみたいな会場となっています。この日は寒い日でしたが中は暖かかったです。

平日の17時頃に行ったらガラ空きで自分のペースで好きなように見て周ることができました。公式サイトを観たら、その時間帯が一番空いているようです。(混雑を警戒している感じもするので、もしかしたら休日は混雑している展覧会なのかもしれません。 …ちなみに、途中で座るところはなかったように思います。混んでると結構疲れそうです)
さて、この度の展示ですが、これはダヴィンチの母国イタリアでも開催された展覧会で、内容としては彼の残した作品の謎についてや、発明品の再現などが中心で、ダヴィンチが直接作成した作品を期待するのは見当違いとなります。 以前、森アーツセンターであったダヴィンチ展や「受胎告知」が来たときの東博の展覧会からダヴィンチの作品を抜いたような感じかなw あまりメモは取らなかったのですが、中にはこんなものまで発明していたのか?!と驚くものもあったので、ざっくりと会場の雰囲気だけでもご紹介しようと思います。公式サイトでは海外での展示の様子が観られますので、これでイメージして頂ければと思います。
参考リンク:公式サイトの「海外開催の模様」(flash)
まず最初にレオナルド・ダ・ヴィンチについて軽く紹介すると、彼は1452年にイタリアのトスカーナにあるヴィンチ村に、公証人の息子として生まれました。しかし彼は私生児だったため、父のあとを継ぐことはできなかったそうです。また、正当な教育も受けていなかったようで、当時の学問の中心だったラテン語は自力で学んでいったようです。その後、恐らく14~16歳頃にアンドレア・デル・ヴェロッキオの工房に弟子入りし、ボッティチェッリらと共に絵を学び、画家の組合に登録されます。その後は絵画のみならず軍事顧問や技術者、医学など様々な仕事をしていくわけですが、それについては後述していきます。
参考リンク:レオナルド・ダ・ヴィンチのwikipedia
会場に入ると、モナ・リザ風の黒柳徹子が出迎えてくれます。絵のように見えますが、動いて話しかけてくるのでちょっと驚き。
こんな感じです。→公式サイトの徹子モナ・リザ
・・・結構音が大きいので、中に入ると五月蝿くてうざったいですw (というか黒柳徹子が大嫌いなので、解説機でもモゴモゴ話すのが嫌で仕方なかったw)
中に進むと最初にいくつか手記があり、「最後の晩餐」の準備段階のポーズに関するメモなどがあります(本物かは不明) こうした手記やアイディアスケッチなどを元に今回の展示物は再現されているのですが、ご存知の通りダヴィンチは「鏡文字」という反転した文字を書いていたり、当時のフィレンツェの方言が使われているので、それを理解して再現するのは大変なことのようでした。
手記の後はダヴィンチの発明を再現したコーナーが続きます。まずは空を飛ぶための発明で、飛行機、風力計、エアスクリュー(ヘリコプターみたいな)、パラシュート、翼、風向き計、葉っぱみたいなハンググライダー?、立ち乗り飛行機などがありました。 フォルムとしては現代の飛行機に通じるものを感じますが、人力でどうにか飛ぼうとしていたので実現は無理だったようです。ペダルや全身を使う仕掛けのもあり、ここまで考えていたのかと驚きました。
空飛ぶ発明の次は土木機械のコーナーでした。ダヴィンチは多くの土木建築工事に携わり、どうすれば効率的か絶えず追求していたようです。彼は力は4つの要素(重さ、動力、運動、衝撃)によって成り立っていると考えていたとのことで、それを活かした発明が並んでいます。ドリルやクランクケース、ボールベアリング、ハンマーで叩く装置、ジャッキ、クランクを使った台車などがあり、触って動かすことができる品もいくつかあります。このコーナーで特に驚いたのは「自走車」という歯車で出来た自動車のようなもので、ゼンマイとバネの力で進む装置だそうです。これは舞台装置として作られ、一定の距離しか走らないそうですがギアやブレーキまであるのには驚愕でした。
その後は様々な分野の研究品が並んでいました。ダヴィンチが考える理想都市の模型では、重層構造にして水路や道、住宅や煙突などを効果的に配置し、現在にも通じるような合理性がありました。こうした都市を考えていた背景には、当時非常に不衛生でペストが大流行した事があるようです。
他にはロボットのようなもの(歯車が並んだ人形に西洋の鎧を覆う仕組み)があり、こちらはNASAも参考にしたほど精巧なもののようです。また、その近くにあった自転車の模型はフェイクで、以前はダヴィンチのメモと思われていたけれど、20世紀後半に描かれたものであったという解説がありました。こちらはあまりに現代的でいかにも怪しい感じでしたw
その後は絵やスケッチの並ぶコーナーです。まず、人体の解剖図の拡大コピーが並んでいました。胎児や内臓、性器、骨、血管など非常に細かく正確に描かれていて、ちょうど1年くらい前に本物を観たのを思い出しました。
参考記事:医学と芸術展:生命(いのち)と愛の未来を探る (森美術館)
この辺でだいたい半分くらいで、部屋の中央に巨大なモナ・リザのコピーがあり、各部を拡大した25の秘密を提示していますが、ここにはまだ詳しい解説はありません。また、壁にはダヴィンチの絵画作品の写真が並んでいました。スケッチやメモなどは6000点程度残っているそうですが、絵画作品は模写を含めて25点しか伝わっていないと紹介されていました。 …そういや去年お台場にも来た「ラロックの聖母」の話は続報を聞かないですが、本物なんでしょうかね…。
参考記事:番外編 大江戸温泉と夜景 お台場
さて、半分を過ぎた辺りが今回のメインテーマのモナ・リザの秘密に関する展示です。ここには超解像度の写真が並び、この写真によって判明したことや、今とは違う当時のモナ・リザを復元した写真などが展示されています。モナ・リザは描かれて500年ほど経過していますが、その間に変色してしまったようで、修復しようにも貴重すぎる上に非常に難しい作業となるため、行われていないそうです。(透明に近い絵の具を幾重にも重ねる「スフマート法」という技法が使われているので、ニスを取り除くのは危険なのだとか)
当時の再現を観ると、空はラピスラズリの淡い青、頬はバラ色、背景は山が青みがかった色をしていました。ダヴィンチは大気を通してみると全て青みがかっていると考えていたため、このようにしたそうです。また、今のモナ・リザにはまつ毛も眉毛も無いのですが、かつては存在していたようで、無くなった理由として、①下塗りに溶け込んだ、②顔料と共に透明化した、③ニスの除去の時に誤って消されたという3つの説が紹介されていました。
他にはモナ・リザの精巧なレプリカ(額縁無しで裏面まで見られる)や25の秘密に関する詳細な解説、豆知識などがありました。 いくつかエピソードをご紹介すると、目頭と顎にイボみたいなものがありますが、これはナポレオンが浴室に飾っていた時についた水滴の跡ではないか?という話、1911年の盗難事件でピカソにも容疑が向けられた話、1950年代に石を投げつけられたり酸をかけられた話、19世紀半ばまではここまで有名ではなく、象徴主義の画家が賞賛して有名になったという話 などなど、モナ・リザに関する多くのエピソードを詳しく知ることができます。盗難事件についてはローランサンなどは人生を変えられてしまったので、この絵はまさに歴史を作ってきたという感じがしますね。
参考記事:マリー・ローランサンの扇 (川村記念美術館)
モナ・リザのコーナーを抜けると、再び発明品のコーナーとなります。まずは楽器が並んでいて、自動演奏式の太鼓、2又に分かれたフルート、ポータブルピアノなどが並んでいます。ダヴィンチはリラの名手でもあったので、音楽に興味関心が強かったようです。
音楽のコーナーの隣には体験コーナーがあり、「ウィトルウィウス的人体図」に自分の体がどのくらい近いか(黄金比と言われる理想形に近いか)を測定する装置がありました。私も早速チャレンジして腰にベルトを巻いて手を広げて測定してもらいました。結果は1.601くらいの比率だったので、黄金比の1.618に結構近くてシルバー判定でした。中々シルバーは出ないらしいので、ちょっと嬉しいw
参考リンク:
ウィトルウィウス的人体図のwikipedia
黄金比のwikipedia
体験コーナーの隣には水に関する発明品が並んでいます。ダヴィンチは子供の頃に水害に見舞われたそうで、それが一種のトラウマのようになり、水に対する備えを発明していたようです。緊急用の橋、水かき、浮き輪、水上歩行のスキーのようなもの、2重の船底の船のアイディアなどがあり、2重底は現代のタンカーにも通じる構造だそうです。また、このコーナーで一番の驚きは潜水服みたいなもので、これは戦争のときに敵の船に忍び寄って破壊工作をするためのものだったようですが、当時の人には理解できずに却下されたそうです。これは時代を超越しすぎだったのかもw
水のコーナーの隣は軍事のコーナーです。(ここの品々のいくつかはディスカバリーチャンネルの番組で観たような気がするw) ダヴィンチは軍事顧問をやっていたこともあり、ここの発明品は特に面白いです。扇状に沢山の銃を並べた「多銃身砲」や、火薬でなく蒸気で発射する「蒸気砲」、空気抵抗を考慮した「尖頭弾」の弾丸スケッチ、移動要塞や投石器など、現代の武器のようなものがあります。中でも特に目を引くのがUFOみたいな装甲車で、外部を装甲と沢山の砲身で覆い、中に入ってどちらにでも移動できるという優れものです。…ただ、めっちゃ重くて思うように動かないようですがw ここのコーナーは私的には一番面白いコーナーでした。
参考リンク:ダヴィンチに挑戦(ディスカバリーチャンネルの番組)
そしてこの展覧会の最後を飾るのは「最後の晩餐」の実物大の映像です。私は実物を観たことが無いので、460cm×880cmの大きさに驚きました。かなりでかいです。流石に本物とは比較できませんが、興味深かったので細部までしばらく鑑賞してました。
ということで、エンターテインメントとしての展覧会といった感じでした。実際の作品も無いのに1800円か…とちょっとケチなことも頭によぎったりもしましたが、あまり堅苦しいことを考えずにテーマパーク的に考えれば楽しい展示かと思います。グッズなども充実しているようでした。
おまけ:
先日、モナリザの瞳に文字が書いてある!なんてニュースがありました。この展覧会では特に言及していませんでしたが、イニシャルが書かれているという説があるそうです。 …眉唾な感じがしてなりませんが、これだけ世の中の関心を引く絵は滅多にないことだけは確かですね。
参考リンク:リアルのダ・ヴィンチ・コード発見! 暗号はモナ・リザの瞳の中にあった
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前回ご紹介した三菱一号館美術館の展示を観た後、同じ丸の内ブリックスクエアの中にある「A16」というお店でお茶してきました。以前ご紹介した三菱一号館美術館内の「Cafe 1894」にしようかと思ったのですが、こちらも気になっていたので試しにいってみました。
参考記事:Cafe 1894 (東京駅界隈のお店)

【店名】
A16
【ジャンル】
カフェ・レストラン
【公式サイト】
http://www.giraud.co.jp/a16/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【近くの美術館】
三菱一号館美術館、出光美術館 など
【この日にかかった1人の費用】
1120円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(平日16時半頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
こちらのお店は三菱一号館美術館の目の前にあるので、展覧会の後にも寄りやすいお店です。丸の内ブリックスクエアに来た人が集まっているので結構混んでいて、お店の入口で5分くらい待たされました。

店内の雰囲気はこんな感じ。

内装は良い感じですが、混んでて騒がしいのと店員に放置されがちなのが難だったかな。
この日、私は林檎のクロスタータ(700円)とエスプレッソ(420円)を頼みました。

林檎のクロスタータはタルトみたいな感じで、サクサクして甘く香ばしいデザートでした。 上のクリームは牛乳の味がして、林檎は少し酸味があってどちらもよく合いました。 温かかったのも美味しい理由の1つかな。
エスプレッソはストレートで飲んだのですが、どっしりした味わいなのに後味はとスッキリしていいました。
と言うことで、少し高い気もしますが味は良かったです。ちょっと賑やかであまり落ち着けなかったのが残念かな。その時の客層で変わると思うので、またいずれチャレンジしてみようかと思います。
この後、日比谷公園に向かい「ダ・ヴィンチ ~モナ・リザ25の秘密~」を観てきました。次回はそれをご紹介します。
参考記事:Cafe 1894 (東京駅界隈のお店)

【店名】
A16
【ジャンル】
カフェ・レストラン
【公式サイト】
http://www.giraud.co.jp/a16/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【近くの美術館】
三菱一号館美術館、出光美術館 など
【この日にかかった1人の費用】
1120円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(平日16時半頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
こちらのお店は三菱一号館美術館の目の前にあるので、展覧会の後にも寄りやすいお店です。丸の内ブリックスクエアに来た人が集まっているので結構混んでいて、お店の入口で5分くらい待たされました。

店内の雰囲気はこんな感じ。

内装は良い感じですが、混んでて騒がしいのと店員に放置されがちなのが難だったかな。
この日、私は林檎のクロスタータ(700円)とエスプレッソ(420円)を頼みました。


林檎のクロスタータはタルトみたいな感じで、サクサクして甘く香ばしいデザートでした。 上のクリームは牛乳の味がして、林檎は少し酸味があってどちらもよく合いました。 温かかったのも美味しい理由の1つかな。
エスプレッソはストレートで飲んだのですが、どっしりした味わいなのに後味はとスッキリしていいました。
と言うことで、少し高い気もしますが味は良かったです。ちょっと賑やかであまり落ち着けなかったのが残念かな。その時の客層で変わると思うので、またいずれチャレンジしてみようかと思います。
この後、日比谷公園に向かい「ダ・ヴィンチ ~モナ・リザ25の秘密~」を観てきました。次回はそれをご紹介します。
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前回ご紹介した三の丸尚蔵館に行った後、だいぶ歩いて三菱一号館美術館に移動して「レンバッハハウス美術館所蔵 カンディンスキーと青騎士展」を観てきました。

【展覧名】
レンバッハハウス美術館所蔵 カンディンスキーと青騎士展
【公式サイト】
http://mimt.jp/aokishi/index.html
【会場】三菱一号館美術館
【最寄】東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【会期】2010年11月23日(火・祝)~2011年2月6日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(平日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
代休で平日に行ったせいか、あまり混むこともなく自分のペースで観ることができました。
今回の展示は「青騎士」という芸術グループをテーマに、ドイツのミュンヘン市立レンバッハハウス美術館のコレクションを紹介する内容となっています。60点程度となっていますが、内容は濃く、青騎士とはどんなグループだったのか?というのが結成までの流れを含めて深く知ることができました。若干、絵自体が難解なところもありますが、解説も充実していましたので、気に入った作品を中心に章ごとにご紹介しようと思います。
<序章 フランツ・フォン・レンバッハ、フランツ・フォン・シュトゥックと芸術の都ミュンヘン>
1896年にヴァシリー・カンディンスキーがモスクワからドイツのミュンヘンにやってきた頃、ミュンヘンではフランツ・フォン・レンバッハが絶大な影響力を持っていたそうです。それに対抗したのが「ミュンヘン分離派」で、その中にはフランツ・フォン・シュトゥックなどがいました(この人も成功した画家だそうです) こうした勢力図の中、カンディンスキーはシュトゥックに師事して絵を学んで行き、後に自らの芸術グループを結成していくことになります。まず序章ではシュトゥックやレンバッハの作品が並んでいました。
フランツ・フォン・シュトゥック 「闘うアマゾン」 ★こちらで観られます
赤い盾を構えて槍を持つ、パラスアテナの横顔を描いた作品です。女戦士の姿をして闘う姿勢を見せていて、芸術の革新に挑む分離派を象徴した存在のようです。また、背景には崖の上で大きな岩を両手で持ち、弓を持っている人にぶつけようとしているケンタウロスも描かれているのですが、こちらは野蛮で理性的なアテナと対照的な存在として描かれているようでした。色鮮やかで華やかな印象も受ける作品でした。
この辺にはシュトゥックの彫刻作品も展示されていました。
ちなみにクリムトらで有名なウィーン分離派はミュンヘン分離派の後に結成されていて、ミュンヘン分離派から影響を受けているようです。ウィーン分離派もアテナを女神として扱っているので、その辺は共通点なのかも。
参考リンク:
ミュンヘン分離派のwikipedia
ウィーン分離派のwikipedia
ウィーン分離派の参考記事:
ウィーン・ミュージアム所蔵 クリムト、シーレ ウィーン世紀末展 (日本橋タカシマヤ)
アール・ヌーヴォーのポスター芸術展 (松屋銀座)
フランツ・フォン・レンバッハ 「オットー・フォン・ビスマルク侯爵」
これはドイツ帝国初代帝国宰相のオットー・フォン・ビスマルクの肖像画です。未完で、下半分は描かれていないようですが、上を見上げるようにして胸に手を当て、椅子に座っている80歳頃の姿が描かれています。目が強く生き生きと描かれていて、写実的でアカデミックな雰囲気の作風に思いました。老いても威厳のある人格が伝わってきました。
フランツ・フォン・レンバッハ 「自画像」 ★こちらで観られます
パレットを持ってこちらをにらむように見ている初老のレンバッハが描かれた自画像です。写実的で明暗が見事に思いました。 それにしても、これだけの絵を描いて絶大な権力だったのに、今ではカンディンスキーの方が有名というのも時代の流れを感じます。
<第1章 ファーランクスの時代 旅の時代 1901年-1907年>
カンディンスキーはシュトゥックに師事しましたが、アカデミックな修行に飽き足らず、仲間と共に「ファーランクス」という芸術家集団を結成しました。ファーランクスは美術学校も設立したようで、カンディンスキーはそこで絵を教えていました。その生徒の中には、後の妻になるガブリエーレ・ミュンターも入学してきて、次第に緊密な関係となっていったようです。しかし、カンディンスキーはその時点で既婚者で、宗教上 離婚できないという状況だったようです。そんな追い詰められたカンディンスキーがとった行動はミュンターと一緒に長い旅に出ることでした。(要するに不倫の逃避行ですねw) オランダ、チュニジア、イタリア、フランス、ドイツと巡り、各地で制作していたようです。ここではそうしたファーランクスから旅の時代の作品が並んでいました。
ヴァシリー・カンディンスキー 「ミュンヘン - イザール川」
ペインティングナイフを使って描かれた小さな作品です。河岸と橋が描かれているのですが、色の面で描かれたような感じで、鮮やかで写実性はあまりない大胆な作風でした。ポスト印象派やフォーヴィスムを思わせる感じかな。
この辺にはこうした小さな作品がずらっと並んでいて、カンディンスキーはこれを「小さな油彩習作」と呼んでいたそうです。
ヴァシリー・カンディンスキー 「花嫁」 ★こちらで観られます
草原に座る、ピンクと白の円形が重なったようなドレスを着た花嫁が描かれた作品です。背景にはロシア正教の教会が描かれ、そこに向かう点のような人々の姿も描かれています。この女性は何を想っているのか分かりませんが、何かストーリーがありそうに思えました。また、足元の白い花や草原は装飾的な雰囲気を感じました。
この作品はグアッシュで描かれているのですが、解説によると、この頃カンディンスキーはテンペラやグアッシュで作品を制作していたそうで、様々な大きさの色の斑点で描かれた「彩色ドローイング」と呼ばれる作品を残しているそうです。この絵も斑点が多い作品でしたので、特徴がよく分かると思います。
アレクセイ・ヤウレンスキー 「ヘートヴィヒ・クビーンの肖像」
このヤウレンスキーはカンディンスキーと同じロシア出身の画家で、同じ画塾にも通っていたため、カンディンスキーとこの後も行動を共にすることが多かったようです。これは後の青騎士に参加した画家の妻を描いた作品で、青いドレスを着た姿をしています。何故か顔は緑っぽく、背景には灯りがあって強烈な色彩感覚となっているのが特徴です。ヤウレンスキーはアンリ・マティスとも交流があったようなので、フォーヴからの影響かもしれませんが、これは驚いた1枚でした。
ガブリエーレ・ミュンター 「窓からの眺め、セーヴル」
この人がカンディンスキーの後の妻となる女性です。この絵は、鮮やかで爽やかな色合いで描かれた、雪の積もる家々の風景画で、ちょっと印象派みたいな感じもします。しかし、ペインティングナイフを使って丁寧に描かれているのはカンディンスキーから教わった技法のようで、独特の画風で結構好みでした。
ヴァシリー・カンディンスキー 「サン・クルー -公園- 秋Ⅱ」
これは旅行中のパリで描いた作品です。木々とそこに落ちている落ち葉らしきものが描かれているのですが、抽象画みたいな感じすら受けます。しかし、ちょっと離れて見ると木々に見えるのが面白いw これもナイフで描かれているようで、結構厚塗りになっていました。
この辺には斑点のようなものを使った作品がいくつかありました。
ヴァシリー・カンディンスキー 「ガブリエーレ・ミュンターの肖像」 ★こちらで観られます
こちらを向いたミュンターの肖像です。青黒い背景に白っぽい服で鮮やかな印象を受けます。この辺の作品を見渡しても分かるのですが、珍しく写実的に描かれているように思いました。
<第2章 ムルナウの発見 芸術的総合に向かって 1908年-1910年>
カンディンスキーとミュンターは長い旅行の後、ミュンヘンから70kmくらいのところにある湖畔の町「ムルナウ」を見つけ、そこを旧知のヤウレンスキーとマリアンネ・フォン・ヴェレフキン(この2人もカップル)に教えました。その後、夏に4人でそこに滞在したことでカンディンスキーの作風は大きく変わっていきます。(ペインティングナイフから絵筆に持ち替え、強い構築性が出ていったそうです。) そして、1909年になると「ミュンヘン新芸術家協会」を結成し、カンディンスキーが会長となります。この団体は内的必然性に基づく真の芸術的綜合を提示したそうですが、最初の展覧会では酷評を受けたようです。しかし、その展示を観にきたフランツ・マルクは大きな感銘を受け、1911年に協会に加入し、後の青騎士結成への下地となっていきました。
ここではそうしたムルナウの変革の時期からミュンヘン新芸術家協会に関する作品のコーナーとなっていました。
ヴァシリー・カンディンスキー 「ムルナウ - 家並み」
通りとその周りの家々を描いた作品です。まだ具象的な感じですが、色がぺた~っとしていて強烈な印象を受けます。形もだいぶ簡略化されてきていて抽象的な雰囲気もありました。
この辺は1908年頃の作品があり、とにかく色彩が強烈でした。その次の1909年がカンディンスキーの変革の時期で、実景に基づかない抽象性の高い作品を描き出した年になります。
ヴァシリー・カンディンスキー 「山」 ★こちらで観られます
1909年に描かれたかなり抽象的な作品です。黄色と赤を背景に青い山が描かれ、山の上にはロシアの城?のようなもの、麓には人らしき姿が描かれています。これは実景や寓話、自分の思い出などが交じり合った情景のようで、抽象化への足跡として重要な作品のようでした。色の対比が強くてパワーのある作品に思います。
ヴァシリー・カンディンスキー 「コッヘル - まっすぐな道」
幾何学的な形に単純化された風景画です。色面の幾何学模様が並んでいる感じで、三角の山や五角形の山、台形の道などが描かれていました。リズム感と色の響きあいが面白い作品でした。
ヴァシリー・カンディンスキー 「オリエント風」
仮装したような4人の人?らしきものと、山やロシア風の建物が描かれた作品です。もはや実景では無さそうw 緑、赤、黄、青、白といった原色が使われ、色が音楽的なくらい響き合っていました。色が主役になっているようにも感じる作品でした。
ガブリエーレ・ミュンター 「耳を傾ける(ヤウレンスキーの肖像)」
驚いたような顔で右の方を向いて耳を傾けているヤウレンスキーの肖像画で、どうやらカンディンスキーの芸術論を聞いている時を描いたようです。かなり単純化されて平面的な感じですが、驚いている雰囲気がよく出ていました。
この辺はミュンターのコーナーとなっていました。作品によってはナビ派のような感じも受けたかな。
少し進むと、ミュンヘン新芸術化協会の設立回状や手紙などが展示されていました。内面的世界に体験を絶えず蓄積するとことなどが方針として描かれていましたが、結構理解するのは難しかったですw
アレクセイ・ヤウレンスキー 「夏の夕べ、ムルナウ」 ★こちらで観られます
オレンジ、紫、青、緑などの色面で描かれた風景画です。山と山の間に沈む夕日のように見えますが、かなり単純化されていて、色を楽しむ感じかな。解説によると、黒い輪郭線や色面の表現はゴーギャンやナビ派の「クロワゾニスム」という手法の影響のようでした。
参考記事:オルセー美術館展2010 ポスト印象派 感想後編 (国立新美術館)
余談ですが、序章とこの辺は常にキーキーとモスキート音みたいな音が気持ち悪くて落ち着かない部屋でした。空いていると良い美術館なのですが、こういうところは改善していって欲しいものです…。(と言うか、新築でこんな環境なのはどういうつもりなんだろう?? 早く追い出したいのかな?w)
フランツ・マルク 「薄明のなかの鹿」 ★こちらで観られます
この人がミュンヘン新芸術家協会の展覧会に感銘を受けて入ってきた画家で、この絵は頭を下げて草を食べるような鹿と、後ろを振り返るような鹿が描かれた作品です。大胆なタッチで素朴な雰囲気があるように思います。解説によると、この画家は動物の絵を描き続けていたそうで、無垢な生命感を出したいと考えていたようです。のびのびした雰囲気を感じる作品でした。
アウグスト・マッケ 「ベルンハルト・ケーラーの肖像」
裕福な美術コレクターを描いた肖像画です。このベルンハルト・ケーラーはマッケの妻の叔父だそうで、この人が青騎士を影から支えてくれたそうです。この絵は、押さえられた色調で描かれスッキリした感じを受けます。白髪に口髭、赤いネクタイなど簡潔に描かれているのですが気品が伝わってくるように思いました。解説によると、思慮深い人柄が伺えるとのことでした。
ヴァシリー・カンディンスキー 「ムルナウ - 庭Ⅰ」
自分の家の庭を描いた作品で、実景を元に描いているようですが抽象的な感じを受けます。 緑、赤、茶、紫など色が迫ってくるように思えるほどでした。
ここら辺で2階に下っていきます。2階の最初には写真のコーナーがあり、カンディンスキーとミュンターの写真、旅行先の写真、ファーランクスのメンバーの写真、ムルナウのマッケの写真、青騎士展の展示風景など今回の展覧会の内容に即した写真が展示されていました。
<第3章 抽象絵画の誕生 青騎士展開催へ>
最後の章が今回の主題ともなっている「青騎士」に関するコーナーです。1911年頃、カンディンスキーはますます抽象化の道を進んでいたようで、それを好ましくないと考えた新芸術家協会の穏健派は、作品の大きさが合わないという口実でカンディンスキーの「コンポジションⅤ」という作品の展覧会出品を拒否しました。それに怒ったカンディンスキーはフランツ・マルクとミュンターと共に協会を脱会して、12/18の協会の展覧会に合わせて「第1回青騎士展」を開催したそうです。これにマッケやアーノルド・シェーンベルクが加わり、翌年には青騎士年間を発行し第2回青騎士展を実施、そこにはヤウレンスキーやパウル・クレー、ピカソ、マレーヴィチといった面々も名を連ね、規模も拡大していったそうです。そうした精力的な活動を始めた青騎士ですが、1914年になると第一次世界大戦が始まり、メンバーは離散し幕を閉じてしまったようです。 (WW1で終わった芸術運動って結構多いのかも) ここではそうした短い期間に輝いた青騎士関連の作品が並んでいました。
ガブリエーレ・ミュンター 「テーブルの男(カンディンスキー)」
これは「青騎士年鑑」にも載った作品です。白いテーブルの上に載った大きな鉢植えや食べ物が描かれ、その左に腕を組んで座る髭の男性が描かれています。結構単純化されているのですが、これはカンディンスキーのようで、静物と同じように描いている特徴が見られるようです。塗り残しのように見える部分が多いのが気になったかな。かなり大胆な印象を受ける作品でした。
確かこの辺にあったフランツ・マルクの「虎」という作品も良かったです。
ヴァシリー・カンディンスキー 「印象Ⅲ(コンサート)」 ★こちらで観られます
今回のポスターの作品です。カンディンスキーは1911年の元日にマルクと出会い、その翌日に行ったアーノルド・シェーンベルクのコンサートに感銘を受けてこの作品を生み出したそうです。 黄色を背景に多くの人々の頭が描かれ、中央には黒い台形をしたグランドピアノが置かれています。白いのは柱らしく、一応実景が元になっているようです。この黄色は音楽そのもののようで、人々を包み込んでいるように思えました。解説機ではシェーンベルクのその時の曲を聴くことができるのですが、結構激しくてこの絵の持つパワーに合っているように思いました。
パウル・クレー 「サボテン」
鉢植えに入ったサボテンが3つ描かれた作品です。輪郭線などで何となくわかるのですが、背景と同化しているような感じかな。よく観るクレーの雰囲気とはまた違った作風に思えました。
アウグスト・マッケ 「帽子店」
色とりどりの帽子が飾られたショーウィンドウを観る青い服の女性の後姿を描いた作品です。ショーウィンドウの背景にはぼんやりとした店内の様子が描かれ、具象的な作風ですがどこか幻想的な雰囲気がありました。
なお、マッケはWW1で若くしてしまったそうです。この辺には3点ほど彼の作品がありました。
ヴァシリー・カンディンスキー 「コンポジションⅦのための習作2」 ★こちらで観られます
もはや何を描いているのかもわかりませんが、観る機会の多いカンディンスキーっぽい作風に近づいたように思います。これは下絵でロシアのトレチャコフ美術館に完成作があるそうで、完成作の半分の大きさだそうです(それでも結構大きい)
線や色彩が流れるように交じり合っていて、うねりのようなものを感じます。解説によると、聖書をテーマにしていると考えられたそうですが、本人は自分から自然に生じたと言ったそうです。また、カンディンスキーは自分の絵画を3つの段階に考えていたようです。
・印象 :外から受けたもの
・即興 :無意識から出たもの
・コンポジション : 2つを練り上げたもの
この作品もそういう3つの段階を経たものなのかもしれません。
フランツ・マルク 「牛、黄-赤-緑」
タイトルの通り、黄色の牝牛、赤い子牛、緑の雄牛の3頭が描かれた作品です。抽象的でどこか神秘性を感じます。解説によると、黄色は女性的で柔和で朗らかで感性的と考えていたそうで、牝牛に黄色を使ったようです。 また、当時彼は結婚したばかりだったそうで、高揚した表現なのかもしれないとのことでした。
最後の辺りには青騎士のパンフレットや青騎士年鑑なども展示されていました。
ということで、また1つ芸術の世界の大きな流れを知ることができた展覧会でした。恐らく全部がレンバッハハウス美術館の所蔵品なので、初めて観る作品ばかりだったのも嬉しかったです。絵画の方向性にちょっと小難しいところもありますが、こんな機会も滅多にない(何しろ青騎士を取り上げた展覧会は日本初)ので、美術好きの方は自分の好みに関わらず観ておいた方が良いかもしれません。中々充実した展覧会でした。

【展覧名】
レンバッハハウス美術館所蔵 カンディンスキーと青騎士展
【公式サイト】
http://mimt.jp/aokishi/index.html
【会場】三菱一号館美術館
【最寄】東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【会期】2010年11月23日(火・祝)~2011年2月6日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(平日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
代休で平日に行ったせいか、あまり混むこともなく自分のペースで観ることができました。
今回の展示は「青騎士」という芸術グループをテーマに、ドイツのミュンヘン市立レンバッハハウス美術館のコレクションを紹介する内容となっています。60点程度となっていますが、内容は濃く、青騎士とはどんなグループだったのか?というのが結成までの流れを含めて深く知ることができました。若干、絵自体が難解なところもありますが、解説も充実していましたので、気に入った作品を中心に章ごとにご紹介しようと思います。
<序章 フランツ・フォン・レンバッハ、フランツ・フォン・シュトゥックと芸術の都ミュンヘン>
1896年にヴァシリー・カンディンスキーがモスクワからドイツのミュンヘンにやってきた頃、ミュンヘンではフランツ・フォン・レンバッハが絶大な影響力を持っていたそうです。それに対抗したのが「ミュンヘン分離派」で、その中にはフランツ・フォン・シュトゥックなどがいました(この人も成功した画家だそうです) こうした勢力図の中、カンディンスキーはシュトゥックに師事して絵を学んで行き、後に自らの芸術グループを結成していくことになります。まず序章ではシュトゥックやレンバッハの作品が並んでいました。
フランツ・フォン・シュトゥック 「闘うアマゾン」 ★こちらで観られます
赤い盾を構えて槍を持つ、パラスアテナの横顔を描いた作品です。女戦士の姿をして闘う姿勢を見せていて、芸術の革新に挑む分離派を象徴した存在のようです。また、背景には崖の上で大きな岩を両手で持ち、弓を持っている人にぶつけようとしているケンタウロスも描かれているのですが、こちらは野蛮で理性的なアテナと対照的な存在として描かれているようでした。色鮮やかで華やかな印象も受ける作品でした。
この辺にはシュトゥックの彫刻作品も展示されていました。
ちなみにクリムトらで有名なウィーン分離派はミュンヘン分離派の後に結成されていて、ミュンヘン分離派から影響を受けているようです。ウィーン分離派もアテナを女神として扱っているので、その辺は共通点なのかも。
参考リンク:
ミュンヘン分離派のwikipedia
ウィーン分離派のwikipedia
ウィーン分離派の参考記事:
ウィーン・ミュージアム所蔵 クリムト、シーレ ウィーン世紀末展 (日本橋タカシマヤ)
アール・ヌーヴォーのポスター芸術展 (松屋銀座)
フランツ・フォン・レンバッハ 「オットー・フォン・ビスマルク侯爵」
これはドイツ帝国初代帝国宰相のオットー・フォン・ビスマルクの肖像画です。未完で、下半分は描かれていないようですが、上を見上げるようにして胸に手を当て、椅子に座っている80歳頃の姿が描かれています。目が強く生き生きと描かれていて、写実的でアカデミックな雰囲気の作風に思いました。老いても威厳のある人格が伝わってきました。
フランツ・フォン・レンバッハ 「自画像」 ★こちらで観られます
パレットを持ってこちらをにらむように見ている初老のレンバッハが描かれた自画像です。写実的で明暗が見事に思いました。 それにしても、これだけの絵を描いて絶大な権力だったのに、今ではカンディンスキーの方が有名というのも時代の流れを感じます。
<第1章 ファーランクスの時代 旅の時代 1901年-1907年>
カンディンスキーはシュトゥックに師事しましたが、アカデミックな修行に飽き足らず、仲間と共に「ファーランクス」という芸術家集団を結成しました。ファーランクスは美術学校も設立したようで、カンディンスキーはそこで絵を教えていました。その生徒の中には、後の妻になるガブリエーレ・ミュンターも入学してきて、次第に緊密な関係となっていったようです。しかし、カンディンスキーはその時点で既婚者で、宗教上 離婚できないという状況だったようです。そんな追い詰められたカンディンスキーがとった行動はミュンターと一緒に長い旅に出ることでした。(要するに不倫の逃避行ですねw) オランダ、チュニジア、イタリア、フランス、ドイツと巡り、各地で制作していたようです。ここではそうしたファーランクスから旅の時代の作品が並んでいました。
ヴァシリー・カンディンスキー 「ミュンヘン - イザール川」
ペインティングナイフを使って描かれた小さな作品です。河岸と橋が描かれているのですが、色の面で描かれたような感じで、鮮やかで写実性はあまりない大胆な作風でした。ポスト印象派やフォーヴィスムを思わせる感じかな。
この辺にはこうした小さな作品がずらっと並んでいて、カンディンスキーはこれを「小さな油彩習作」と呼んでいたそうです。
ヴァシリー・カンディンスキー 「花嫁」 ★こちらで観られます
草原に座る、ピンクと白の円形が重なったようなドレスを着た花嫁が描かれた作品です。背景にはロシア正教の教会が描かれ、そこに向かう点のような人々の姿も描かれています。この女性は何を想っているのか分かりませんが、何かストーリーがありそうに思えました。また、足元の白い花や草原は装飾的な雰囲気を感じました。
この作品はグアッシュで描かれているのですが、解説によると、この頃カンディンスキーはテンペラやグアッシュで作品を制作していたそうで、様々な大きさの色の斑点で描かれた「彩色ドローイング」と呼ばれる作品を残しているそうです。この絵も斑点が多い作品でしたので、特徴がよく分かると思います。
アレクセイ・ヤウレンスキー 「ヘートヴィヒ・クビーンの肖像」
このヤウレンスキーはカンディンスキーと同じロシア出身の画家で、同じ画塾にも通っていたため、カンディンスキーとこの後も行動を共にすることが多かったようです。これは後の青騎士に参加した画家の妻を描いた作品で、青いドレスを着た姿をしています。何故か顔は緑っぽく、背景には灯りがあって強烈な色彩感覚となっているのが特徴です。ヤウレンスキーはアンリ・マティスとも交流があったようなので、フォーヴからの影響かもしれませんが、これは驚いた1枚でした。
ガブリエーレ・ミュンター 「窓からの眺め、セーヴル」
この人がカンディンスキーの後の妻となる女性です。この絵は、鮮やかで爽やかな色合いで描かれた、雪の積もる家々の風景画で、ちょっと印象派みたいな感じもします。しかし、ペインティングナイフを使って丁寧に描かれているのはカンディンスキーから教わった技法のようで、独特の画風で結構好みでした。
ヴァシリー・カンディンスキー 「サン・クルー -公園- 秋Ⅱ」
これは旅行中のパリで描いた作品です。木々とそこに落ちている落ち葉らしきものが描かれているのですが、抽象画みたいな感じすら受けます。しかし、ちょっと離れて見ると木々に見えるのが面白いw これもナイフで描かれているようで、結構厚塗りになっていました。
この辺には斑点のようなものを使った作品がいくつかありました。
ヴァシリー・カンディンスキー 「ガブリエーレ・ミュンターの肖像」 ★こちらで観られます
こちらを向いたミュンターの肖像です。青黒い背景に白っぽい服で鮮やかな印象を受けます。この辺の作品を見渡しても分かるのですが、珍しく写実的に描かれているように思いました。
<第2章 ムルナウの発見 芸術的総合に向かって 1908年-1910年>
カンディンスキーとミュンターは長い旅行の後、ミュンヘンから70kmくらいのところにある湖畔の町「ムルナウ」を見つけ、そこを旧知のヤウレンスキーとマリアンネ・フォン・ヴェレフキン(この2人もカップル)に教えました。その後、夏に4人でそこに滞在したことでカンディンスキーの作風は大きく変わっていきます。(ペインティングナイフから絵筆に持ち替え、強い構築性が出ていったそうです。) そして、1909年になると「ミュンヘン新芸術家協会」を結成し、カンディンスキーが会長となります。この団体は内的必然性に基づく真の芸術的綜合を提示したそうですが、最初の展覧会では酷評を受けたようです。しかし、その展示を観にきたフランツ・マルクは大きな感銘を受け、1911年に協会に加入し、後の青騎士結成への下地となっていきました。
ここではそうしたムルナウの変革の時期からミュンヘン新芸術家協会に関する作品のコーナーとなっていました。
ヴァシリー・カンディンスキー 「ムルナウ - 家並み」
通りとその周りの家々を描いた作品です。まだ具象的な感じですが、色がぺた~っとしていて強烈な印象を受けます。形もだいぶ簡略化されてきていて抽象的な雰囲気もありました。
この辺は1908年頃の作品があり、とにかく色彩が強烈でした。その次の1909年がカンディンスキーの変革の時期で、実景に基づかない抽象性の高い作品を描き出した年になります。
ヴァシリー・カンディンスキー 「山」 ★こちらで観られます
1909年に描かれたかなり抽象的な作品です。黄色と赤を背景に青い山が描かれ、山の上にはロシアの城?のようなもの、麓には人らしき姿が描かれています。これは実景や寓話、自分の思い出などが交じり合った情景のようで、抽象化への足跡として重要な作品のようでした。色の対比が強くてパワーのある作品に思います。
ヴァシリー・カンディンスキー 「コッヘル - まっすぐな道」
幾何学的な形に単純化された風景画です。色面の幾何学模様が並んでいる感じで、三角の山や五角形の山、台形の道などが描かれていました。リズム感と色の響きあいが面白い作品でした。
ヴァシリー・カンディンスキー 「オリエント風」
仮装したような4人の人?らしきものと、山やロシア風の建物が描かれた作品です。もはや実景では無さそうw 緑、赤、黄、青、白といった原色が使われ、色が音楽的なくらい響き合っていました。色が主役になっているようにも感じる作品でした。
ガブリエーレ・ミュンター 「耳を傾ける(ヤウレンスキーの肖像)」
驚いたような顔で右の方を向いて耳を傾けているヤウレンスキーの肖像画で、どうやらカンディンスキーの芸術論を聞いている時を描いたようです。かなり単純化されて平面的な感じですが、驚いている雰囲気がよく出ていました。
この辺はミュンターのコーナーとなっていました。作品によってはナビ派のような感じも受けたかな。
少し進むと、ミュンヘン新芸術化協会の設立回状や手紙などが展示されていました。内面的世界に体験を絶えず蓄積するとことなどが方針として描かれていましたが、結構理解するのは難しかったですw
アレクセイ・ヤウレンスキー 「夏の夕べ、ムルナウ」 ★こちらで観られます
オレンジ、紫、青、緑などの色面で描かれた風景画です。山と山の間に沈む夕日のように見えますが、かなり単純化されていて、色を楽しむ感じかな。解説によると、黒い輪郭線や色面の表現はゴーギャンやナビ派の「クロワゾニスム」という手法の影響のようでした。
参考記事:オルセー美術館展2010 ポスト印象派 感想後編 (国立新美術館)
余談ですが、序章とこの辺は常にキーキーとモスキート音みたいな音が気持ち悪くて落ち着かない部屋でした。空いていると良い美術館なのですが、こういうところは改善していって欲しいものです…。(と言うか、新築でこんな環境なのはどういうつもりなんだろう?? 早く追い出したいのかな?w)
フランツ・マルク 「薄明のなかの鹿」 ★こちらで観られます
この人がミュンヘン新芸術家協会の展覧会に感銘を受けて入ってきた画家で、この絵は頭を下げて草を食べるような鹿と、後ろを振り返るような鹿が描かれた作品です。大胆なタッチで素朴な雰囲気があるように思います。解説によると、この画家は動物の絵を描き続けていたそうで、無垢な生命感を出したいと考えていたようです。のびのびした雰囲気を感じる作品でした。
アウグスト・マッケ 「ベルンハルト・ケーラーの肖像」
裕福な美術コレクターを描いた肖像画です。このベルンハルト・ケーラーはマッケの妻の叔父だそうで、この人が青騎士を影から支えてくれたそうです。この絵は、押さえられた色調で描かれスッキリした感じを受けます。白髪に口髭、赤いネクタイなど簡潔に描かれているのですが気品が伝わってくるように思いました。解説によると、思慮深い人柄が伺えるとのことでした。
ヴァシリー・カンディンスキー 「ムルナウ - 庭Ⅰ」
自分の家の庭を描いた作品で、実景を元に描いているようですが抽象的な感じを受けます。 緑、赤、茶、紫など色が迫ってくるように思えるほどでした。
ここら辺で2階に下っていきます。2階の最初には写真のコーナーがあり、カンディンスキーとミュンターの写真、旅行先の写真、ファーランクスのメンバーの写真、ムルナウのマッケの写真、青騎士展の展示風景など今回の展覧会の内容に即した写真が展示されていました。
<第3章 抽象絵画の誕生 青騎士展開催へ>
最後の章が今回の主題ともなっている「青騎士」に関するコーナーです。1911年頃、カンディンスキーはますます抽象化の道を進んでいたようで、それを好ましくないと考えた新芸術家協会の穏健派は、作品の大きさが合わないという口実でカンディンスキーの「コンポジションⅤ」という作品の展覧会出品を拒否しました。それに怒ったカンディンスキーはフランツ・マルクとミュンターと共に協会を脱会して、12/18の協会の展覧会に合わせて「第1回青騎士展」を開催したそうです。これにマッケやアーノルド・シェーンベルクが加わり、翌年には青騎士年間を発行し第2回青騎士展を実施、そこにはヤウレンスキーやパウル・クレー、ピカソ、マレーヴィチといった面々も名を連ね、規模も拡大していったそうです。そうした精力的な活動を始めた青騎士ですが、1914年になると第一次世界大戦が始まり、メンバーは離散し幕を閉じてしまったようです。 (WW1で終わった芸術運動って結構多いのかも) ここではそうした短い期間に輝いた青騎士関連の作品が並んでいました。
ガブリエーレ・ミュンター 「テーブルの男(カンディンスキー)」
これは「青騎士年鑑」にも載った作品です。白いテーブルの上に載った大きな鉢植えや食べ物が描かれ、その左に腕を組んで座る髭の男性が描かれています。結構単純化されているのですが、これはカンディンスキーのようで、静物と同じように描いている特徴が見られるようです。塗り残しのように見える部分が多いのが気になったかな。かなり大胆な印象を受ける作品でした。
確かこの辺にあったフランツ・マルクの「虎」という作品も良かったです。
ヴァシリー・カンディンスキー 「印象Ⅲ(コンサート)」 ★こちらで観られます
今回のポスターの作品です。カンディンスキーは1911年の元日にマルクと出会い、その翌日に行ったアーノルド・シェーンベルクのコンサートに感銘を受けてこの作品を生み出したそうです。 黄色を背景に多くの人々の頭が描かれ、中央には黒い台形をしたグランドピアノが置かれています。白いのは柱らしく、一応実景が元になっているようです。この黄色は音楽そのもののようで、人々を包み込んでいるように思えました。解説機ではシェーンベルクのその時の曲を聴くことができるのですが、結構激しくてこの絵の持つパワーに合っているように思いました。
パウル・クレー 「サボテン」
鉢植えに入ったサボテンが3つ描かれた作品です。輪郭線などで何となくわかるのですが、背景と同化しているような感じかな。よく観るクレーの雰囲気とはまた違った作風に思えました。
アウグスト・マッケ 「帽子店」
色とりどりの帽子が飾られたショーウィンドウを観る青い服の女性の後姿を描いた作品です。ショーウィンドウの背景にはぼんやりとした店内の様子が描かれ、具象的な作風ですがどこか幻想的な雰囲気がありました。
なお、マッケはWW1で若くしてしまったそうです。この辺には3点ほど彼の作品がありました。
ヴァシリー・カンディンスキー 「コンポジションⅦのための習作2」 ★こちらで観られます
もはや何を描いているのかもわかりませんが、観る機会の多いカンディンスキーっぽい作風に近づいたように思います。これは下絵でロシアのトレチャコフ美術館に完成作があるそうで、完成作の半分の大きさだそうです(それでも結構大きい)
線や色彩が流れるように交じり合っていて、うねりのようなものを感じます。解説によると、聖書をテーマにしていると考えられたそうですが、本人は自分から自然に生じたと言ったそうです。また、カンディンスキーは自分の絵画を3つの段階に考えていたようです。
・印象 :外から受けたもの
・即興 :無意識から出たもの
・コンポジション : 2つを練り上げたもの
この作品もそういう3つの段階を経たものなのかもしれません。
フランツ・マルク 「牛、黄-赤-緑」
タイトルの通り、黄色の牝牛、赤い子牛、緑の雄牛の3頭が描かれた作品です。抽象的でどこか神秘性を感じます。解説によると、黄色は女性的で柔和で朗らかで感性的と考えていたそうで、牝牛に黄色を使ったようです。 また、当時彼は結婚したばかりだったそうで、高揚した表現なのかもしれないとのことでした。
最後の辺りには青騎士のパンフレットや青騎士年鑑なども展示されていました。
ということで、また1つ芸術の世界の大きな流れを知ることができた展覧会でした。恐らく全部がレンバッハハウス美術館の所蔵品なので、初めて観る作品ばかりだったのも嬉しかったです。絵画の方向性にちょっと小難しいところもありますが、こんな機会も滅多にない(何しろ青騎士を取り上げた展覧会は日本初)ので、美術好きの方は自分の好みに関わらず観ておいた方が良いかもしれません。中々充実した展覧会でした。
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先日、休日出勤の代休を取って皇居の敷地内にある三の丸尚蔵館で「近代の洋画家,創作の眼差し」を観てきました。この展示は前期・後期に分かれていて、私が行ったのは後期でした。


【展覧名】
近代の洋画家,創作の眼差し
【公式サイト】
http://www.kunaicho.go.jp/event/sannomaru/tenrankai52.html
【会場】三の丸尚蔵館
【最寄】竹橋駅、大手町駅、東京駅など
【会期】
前期:2010年10月30日(土)~2010年11月28日(日)
後期:2010年12月04日(土)~2011年01月10日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(平日13時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
平日でしたが無料で観られることもあってか意外と人がきているようでした。まあ、鑑賞するにはまったく気にならない程度でしたので、自分のペースでゆっくりと見てきました。
この展示は三の丸尚蔵館の所蔵品の中から近代の洋画家を紹介する展示で、大きく分けて「見出された景観」 「時代を写す」 「歴史画の流行」と3つのテーマで展示されていました。ただ、並び順はそこまで厳密な章分けというわけでもなかったので、気に入った作品を見た順にご紹介しようと思います。(一応、章が分かるように作品番号も記載しておきます。)
参考リンク:展示品リスト
31 高橋由一 「織田信長ひそかに密勅を五老臣に示すの図」
天皇の勅旨から上洛を促された時の信長と、その家臣たちを描いた油彩画です。広い部屋で厳格そうな面持ちをした信長が、ひざを付いて身を低くする5人の家老に向かって密勅を示しているようで、細密な描写で緊迫した雰囲気がありました。解説によると、これは当時の宮内省の依頼によって描かれた作品だそうで、勤皇の武将としての信長を描いているそうです。
15 松岡寿 「ベルサリエーレの歩哨」
肩の高さほどもある長い銃を地に立てて両手で持ち、こちらに顔を向けている兵士を描いた作品です。歩哨だそうですが威厳があり、崇高な雰囲気がありました。解説によると、松岡はフォンタネージに学んだ後、イタリアに留学して人物画を中心に学んだそうです。これはその集大成的な作品とも言えるもので、ベルサリエーレというのはイタリア王国の歩兵を指し、イタリアの愛国精神の象徴的な存在だったそうです。
参考記事:浅井忠・フォンタネージとバルビゾン派 (千葉県立美術館)
25 山本芳翠 「唐家屯月下之歩哨」
山本芳翠が日露戦争に従軍した際に描いた作品です。夕暮れを描いたように見えますが、空に浮かんでいるのは太陽ではなく月のようです。川の近くに立つ銃を持った歩哨が描かれ、川には月光が反射しています。背景には騎馬兵や他の歩哨も見られるなど、戦地の様子となっていますが、静かな雰囲気があり幻想的な感じすら受けました。
01 高橋由一 「栗子山隧道図」
ゴツゴツした岩山にできた大きなトンネルの入口を描いた作品で、これは東北新道の栗子山トンネルだそうです。うっそうとした緑が覆った岩山はいかにも硬そうな感じで、威圧感すら感じます。多分、難工事だったんじゃないかな…。解説によると、トンネルの開通式に出席した明治天皇はこれを見てすぐに買い上げを決めたとのことでした。
16 山本芳翠 「琉球中城之東門」
部屋の中央には山本芳翠の絵が何点か並んでいました。これは伊藤博文に依頼されて海防設備の視察に同行した際に描いたもので、九州・沖縄を題材にした連作です。(20点中8点が宮内庁に残っているそうです) この作品はその1枚で、立派な石段と沖縄風の門があり、その階段を登っていく日傘を差した民族衣装の女性が描かれています。抜けるような青空が広がり、門の向こうからは手を繋いだ子連れが来ている様子など、のんびりとした雰囲気で、沖縄の風土も伝わってくるようでした。
これ以外では那覇の港、祭の様子、城跡からの展望を描いた作品などもありました。
03 中村不折 「淡煙」
この画家は歴史画が多いそうですが、これは珍しい初期の風景画です。群馬県の渋川の眺めが描かれ、雄大に広がる画面構成で山々と緑豊かな草原や畑、藁葺きの家々などが描かれていました。解説によると空気遠近法的に遠景を描いているそうで、微妙な色遣いが好みの作品でした。
参考記事:伊香保温泉の写真
ということで、小展ながらも無料でこれだけの内容が観られるなら良いのではないかと思います。駅からちょっと離れているのが難点ですが、機会があったらチェックしてみてください。
この後、ひたすら歩いて三菱一号館美術館に向かいました。次回は三菱一号館美術館の展示をご紹介しようと思います。


【展覧名】
近代の洋画家,創作の眼差し
【公式サイト】
http://www.kunaicho.go.jp/event/sannomaru/tenrankai52.html
【会場】三の丸尚蔵館
【最寄】竹橋駅、大手町駅、東京駅など
【会期】
前期:2010年10月30日(土)~2010年11月28日(日)
後期:2010年12月04日(土)~2011年01月10日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(平日13時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
平日でしたが無料で観られることもあってか意外と人がきているようでした。まあ、鑑賞するにはまったく気にならない程度でしたので、自分のペースでゆっくりと見てきました。
この展示は三の丸尚蔵館の所蔵品の中から近代の洋画家を紹介する展示で、大きく分けて「見出された景観」 「時代を写す」 「歴史画の流行」と3つのテーマで展示されていました。ただ、並び順はそこまで厳密な章分けというわけでもなかったので、気に入った作品を見た順にご紹介しようと思います。(一応、章が分かるように作品番号も記載しておきます。)
参考リンク:展示品リスト
31 高橋由一 「織田信長ひそかに密勅を五老臣に示すの図」
天皇の勅旨から上洛を促された時の信長と、その家臣たちを描いた油彩画です。広い部屋で厳格そうな面持ちをした信長が、ひざを付いて身を低くする5人の家老に向かって密勅を示しているようで、細密な描写で緊迫した雰囲気がありました。解説によると、これは当時の宮内省の依頼によって描かれた作品だそうで、勤皇の武将としての信長を描いているそうです。
15 松岡寿 「ベルサリエーレの歩哨」
肩の高さほどもある長い銃を地に立てて両手で持ち、こちらに顔を向けている兵士を描いた作品です。歩哨だそうですが威厳があり、崇高な雰囲気がありました。解説によると、松岡はフォンタネージに学んだ後、イタリアに留学して人物画を中心に学んだそうです。これはその集大成的な作品とも言えるもので、ベルサリエーレというのはイタリア王国の歩兵を指し、イタリアの愛国精神の象徴的な存在だったそうです。
参考記事:浅井忠・フォンタネージとバルビゾン派 (千葉県立美術館)
25 山本芳翠 「唐家屯月下之歩哨」
山本芳翠が日露戦争に従軍した際に描いた作品です。夕暮れを描いたように見えますが、空に浮かんでいるのは太陽ではなく月のようです。川の近くに立つ銃を持った歩哨が描かれ、川には月光が反射しています。背景には騎馬兵や他の歩哨も見られるなど、戦地の様子となっていますが、静かな雰囲気があり幻想的な感じすら受けました。
01 高橋由一 「栗子山隧道図」
ゴツゴツした岩山にできた大きなトンネルの入口を描いた作品で、これは東北新道の栗子山トンネルだそうです。うっそうとした緑が覆った岩山はいかにも硬そうな感じで、威圧感すら感じます。多分、難工事だったんじゃないかな…。解説によると、トンネルの開通式に出席した明治天皇はこれを見てすぐに買い上げを決めたとのことでした。
16 山本芳翠 「琉球中城之東門」
部屋の中央には山本芳翠の絵が何点か並んでいました。これは伊藤博文に依頼されて海防設備の視察に同行した際に描いたもので、九州・沖縄を題材にした連作です。(20点中8点が宮内庁に残っているそうです) この作品はその1枚で、立派な石段と沖縄風の門があり、その階段を登っていく日傘を差した民族衣装の女性が描かれています。抜けるような青空が広がり、門の向こうからは手を繋いだ子連れが来ている様子など、のんびりとした雰囲気で、沖縄の風土も伝わってくるようでした。
これ以外では那覇の港、祭の様子、城跡からの展望を描いた作品などもありました。
03 中村不折 「淡煙」
この画家は歴史画が多いそうですが、これは珍しい初期の風景画です。群馬県の渋川の眺めが描かれ、雄大に広がる画面構成で山々と緑豊かな草原や畑、藁葺きの家々などが描かれていました。解説によると空気遠近法的に遠景を描いているそうで、微妙な色遣いが好みの作品でした。
参考記事:伊香保温泉の写真
ということで、小展ながらも無料でこれだけの内容が観られるなら良いのではないかと思います。駅からちょっと離れているのが難点ですが、機会があったらチェックしてみてください。
この後、ひたすら歩いて三菱一号館美術館に向かいました。次回は三菱一号館美術館の展示をご紹介しようと思います。
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約5ヶ月ぶりの映画の記事です。先日、浦和パルコにあるユナイテッドシネマで「トロン:レガシー」を観てきました。

【作品名】
トロン:レガシー
【公式サイト】
http://www.disney.co.jp/tron/
【時間】
2時間10分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_③_4_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
冒頭でわざわざ映画館の場所まで書いたのには意味があります。というのは、私が観たのは「IMAX」という方式の3D劇場で、このIMAX方式というのは今のところ日本でも10館くらいしか対応していないようです。以前、「アリス・イン・ワンダーランド」を「XpanD方式」という3Dで観た時は飛び出す絵本みたいなショボイ3Dだったので、今回のIMAXはどんなものか楽しみにしていました。(その分、映画料金も2200円とお高いですw)
参考リンク:IMAXのwikipedia
参考記事:映画「アリス・イン・ワンダーランド 3D」 (ネタバレなし)
さて、映画の内容の前にIMAXについてですが… これはめっちゃ凄い!半端じゃないですw というかXpanD方式がゴミのように感じられるくらい違います。この映画ではたまにぺらっとした感じの時もありましたが、非常に奥行きがあり「吸い込まれるような」という表現がよく合うと思います。臨場感が素晴らしく、これは今までの映画館と一線を画す方式じゃないかな。3Dメガネをかけるので色はどうしても落ちますが、これなら我慢できるレベルでした。また、ここは音響にもこだわっているようで、どの座席でも良い音質を保てるようでした。
続いて肝心の映画の内容についてですが、宣伝に出てるくらいの軽いネタバレをすると、これはゲームの中に入り込むというSF映画です。ゲームの中なので、ある程度何でもありという感じで、近未来的なデザインのバイクやら飛行機やらが出てきて様々なアクションを繰り広げます。 ただ、ストーリーの流れは非常に単純なわりに、専門用語のような単語や、映画の中では出てこない過去の話などが織り交ぜられているので、何を言ってるのかよく分からないことがあります。 (ざっくり言うと世界観はマトリックスみたいな感じですが、あまり説明が無いw) そのストーリーも先が読めるし、登場人物は定型的であまり魅力がないので、多分内容はすぐに忘れそうな気がしますw ひたすら映像やデザインが良いので、それに押し切られた感じかな。 見た目は圧倒的だが中身は微妙というのが正直なところでした。
ということで、せっかく3Dの映画を映画館で観るならIMAXで観るのが良いと思います。これは明らかにDVDやブルーレイでは再現不可能です。 (観るのは別にこの作品でなくても良いと思いますがw) 映画好きの方は一度お試しあれ。

【作品名】
トロン:レガシー
【公式サイト】
http://www.disney.co.jp/tron/
【時間】
2時間10分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_③_4_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
冒頭でわざわざ映画館の場所まで書いたのには意味があります。というのは、私が観たのは「IMAX」という方式の3D劇場で、このIMAX方式というのは今のところ日本でも10館くらいしか対応していないようです。以前、「アリス・イン・ワンダーランド」を「XpanD方式」という3Dで観た時は飛び出す絵本みたいなショボイ3Dだったので、今回のIMAXはどんなものか楽しみにしていました。(その分、映画料金も2200円とお高いですw)
参考リンク:IMAXのwikipedia
参考記事:映画「アリス・イン・ワンダーランド 3D」 (ネタバレなし)
さて、映画の内容の前にIMAXについてですが… これはめっちゃ凄い!半端じゃないですw というかXpanD方式がゴミのように感じられるくらい違います。この映画ではたまにぺらっとした感じの時もありましたが、非常に奥行きがあり「吸い込まれるような」という表現がよく合うと思います。臨場感が素晴らしく、これは今までの映画館と一線を画す方式じゃないかな。3Dメガネをかけるので色はどうしても落ちますが、これなら我慢できるレベルでした。また、ここは音響にもこだわっているようで、どの座席でも良い音質を保てるようでした。
続いて肝心の映画の内容についてですが、宣伝に出てるくらいの軽いネタバレをすると、これはゲームの中に入り込むというSF映画です。ゲームの中なので、ある程度何でもありという感じで、近未来的なデザインのバイクやら飛行機やらが出てきて様々なアクションを繰り広げます。 ただ、ストーリーの流れは非常に単純なわりに、専門用語のような単語や、映画の中では出てこない過去の話などが織り交ぜられているので、何を言ってるのかよく分からないことがあります。 (ざっくり言うと世界観はマトリックスみたいな感じですが、あまり説明が無いw) そのストーリーも先が読めるし、登場人物は定型的であまり魅力がないので、多分内容はすぐに忘れそうな気がしますw ひたすら映像やデザインが良いので、それに押し切られた感じかな。 見た目は圧倒的だが中身は微妙というのが正直なところでした。
ということで、せっかく3Dの映画を映画館で観るならIMAXで観るのが良いと思います。これは明らかにDVDやブルーレイでは再現不可能です。 (観るのは別にこの作品でなくても良いと思いますがw) 映画好きの方は一度お試しあれ。
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つい今日のことですが、休日出勤の代休を取って、終盤となった横浜美術館のドガ展を再度観に行ってきました。
いくつか他にもネタを溜め込んでいるのですが、こちらを早めにご紹介しておかないと会期が終わってしまうので優先してご紹介しようと思います。

【展覧名】
ドガ展
【公式サイト】
http://www.degas2010.com/
【会場】横浜美術館
【最寄】JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅
【会期】2010年9月18日~12月31日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(平日14時半頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
この前のゴッホ展の2回目の時もそうでしたが、人気の展覧会に平日も土日も無いのかもしれませんw 平日にも関わらず混んでいて、チケットを買うのにも5~6分くらい並びました。中は作品によっては人だかりができていて、あちこちで列を作っている感じです。会期末なので、こういう状態は予想通りかな。(帰り際の17時頃には空いているようだったので、閉館近くは空いているかもしれません。)
今回もメモを取ってきたのですが、各コーナーの趣旨や代表的な作品は以前の記事でご紹介したので、今回は以前ご紹介した作品以外で気になった作品についてご紹介しようと思います。 (補足的な感じですので、以前行ったときの記事を先に読んでいただけると嬉しいです^^;)
以前の記事:ドガ展 (横浜美術館)
<第1章 古典主義からの出発>
まずはアングルやルネサンス絵画から学んで画業を始めた頃からのコーナーです。
エドガー・ドガ 「トキと若い女」
緑のローブを着た女性と、両脇にいる真っ赤なトキを描いた作品です。背景には見下ろすように町並みが広がっています。トキはふわっとした感じで、1羽は女性の手の上に乗っているようで、その赤が特に目をひきました。 女性もチラッと観るような表情が印象的かな。
エドガー・ドガ 「アマチュア騎手のレース-出走前」 ★こちらで観られます
競馬場の出走前の風景を描いた作品です。沢山の馬とそれに乗る騎手が同じ方向を向いて並んでいて、右端の馬と騎手は体の右半分が画面からはみだしています。解説によると、この大胆で革新的な構図が見る者に生き生きとした臨場感を与えているとのことでした。もしかしたら浮世絵の影響かな? なお、背景に見える煙突は20年後にドガ自身が加筆したものだそうです。
エドガー・ドガ 「ベレッリ夫人と二人の娘(《ベレッリ家の家族》のための習作)」
幼い2人の従姉妹と、その母(ドガの叔母)を描いた作品で、これは「ベレッリ家の家族」という作品の習作となります。隣に完成作の写真が展示されているのですが、完成作には夫の姿もあるので、完成作とは違いがあります。 この絵は3人ともバラバラの方向に目を向けているようで、あまり楽しくなさそうな雰囲気を受けました。黒い服を着ているのですが、どうやら喪に服している時の姿のようです。また、解説によるとこの頃のベレッリ家の夫婦仲はあまり良くなかったらしく、その微妙な関係をも映し出しているとのことでした。
エドガー・ドガ 「ある理工科大学生の肖像」
これは以前の記事でご紹介を飛ばした村内美術館の作品で、若く髭を生やした男性が黒い帽子を被っている肖像です。かなり若い印象を受けますが、その目に深い知性を感じ、静かな表情を浮かべていました。
参考記事:村内美術館の案内
エドガー・ドガ 「イレール・ドガ」
フランス革命後にイタリアへ隠遁したドガの祖父を描いた肖像です。足を組んで縞模様のソファに腰掛け、ステッキを持っています。全体的に身なりがよく、厳格そうな顔をしていました。解説によるとこの絵は1857年のナポリ滞在の時に描かれたそうで、アングルを想起させる緻密な画面構成だそうです。 とにかく頑固そうというか威厳が凄かったです。隠遁してるはずですよね?w
エドガー・ドガ 「ルイ=マリー・ピレ(チェロ奏者ピレ)」
楽譜が置かれたテーブルの前に座り、窓の外を見るチェロ奏者を書いた作品です。背景には集合写真、右手前には大きな楽器(多分、チェロ)が2つ置かれています。そのチェロは影で暗くなっているのですが、非常に大きく感じるので部屋の遠近感が伝わってくるようでした。チェロ奏者は音楽の構想を練っているのかな?ちょっと考え事をしているようでした。
エドガー・ドガ 「テオドール・ゴビラール夫人(イヴ・モリゾ、1838-1893)」
部屋の中のソファに座っている横向きの女性を描いた作品で、モデルはベルト・モリゾ(印象派の女性画家)の長姉だそうです。黒っぽい服を着てじっと右の方を見ているのですが、ちょっと機嫌が悪そうに見えるかもw 全体的に茶色っぽいの絵で、背景のドアの外の緑だけが明るい感じを出していました。
エドガー・ドガ 「東洋風の花瓶の前の女性」
テーブルの上に置かれた花瓶と赤い花、その後ろに女性(弟の妻?)が座っている様子を描いた作品です。花瓶は質感が出ているようで、花の赤は特に目に鮮やかでした。後ろにいる女性よりも花と花瓶が主役となっているような面白い構図です。
<第2章 実験と革新の時代>
今回特に注目なのがこの2章です。超有名作「エトワール」をはじめ、「踊り子の画家」と呼ばれた画家らしい踊り子関連の作品が並んでいます。…以前の記事でかなりご紹介しましたが、それ以外にも良い作品が多いコーナーです。エトワールの周りの人だかりは凄かったw
エドガー・ドガ 「腕を組んだバレエの踊り子」
目を閉じて腕を組む踊り子を描いた作品で、背景は燃えるような赤い色をしています。踊り子はじっと何もない空間を見つめるような目をしていて、物思いに耽っているようにも見えました。
エドガー・ドガ 「踊り子」 ★こちらで観られます
扇状の形をした作品です。これは1879年の作品なのですが、その1年前にパリ万博が開催され、日本の美術品が紹介されたことで日本ブームが起きた頃に描かれました。両手を輪のようにしてポーズをとる踊り子やピンクの服の踊り子たちが描かれ、バレエのワンシーンのようでした。こうした扇状の作品は生涯で25点ほどあるそうですが、分かりやすい形で日本からの影響を感じさせる作品でした。また、左半分に人物が密集しているのに右半分はガランとしているのも面白かったです。
エドガー・ドガ 「ばら色の踊り子」
薄いピンクの服を着た踊り子が描かれた作品で、恐らく舞台挨拶をしているのかな。背景はぼんやりした感じですが、この踊り子は生き生きした感じが出ていました。ちょっと口を開けて左の方に視線を向けていて、嬉しそうな表情に思います。
このあたりには、カフェコンセール(歌や曲芸を楽しめたお店)に関する素描などが並び、印象派の画家達との交流について知ることもできます。
エドガー・ドガ 「女性の肖像」
黒いベールに黒い服を着た女性の肖像です。左を向いて誰かを見ているような表情が印象的でした。
<第3章 綜合とさらなる展開>
最後のコーナーは目が悪くなっていった頃のドガの様々な挑戦についてのコーナーです。
エドガー・ドガ 「草上の二人の浴女」 ★こちらで観られます
ドガには珍しい屋外の裸婦を描いた作品です。緑の草原の上に2人の裸婦がいて、1人はうつ伏せで目をつぶり、もう1人は膝を曲げて足の先を見るようなポーズで座っています。緑が明るい雰囲気で、他の作品と比べてだいぶ違う印象を受けました。解説によると、単純化された人物のフォルムやパステルの厚みなどに特徴があるようで、抽象的な表現に向かっていったのを示しているとのことでした。
この辺は裸婦のコーナーです。素描や習作が多いかな。
エドガー・ドガ 「水浴」 ★こちらで観られます
これは晩年の作品で、椅子に座った後ろ向きの裸婦が、タオルで首のあたりを拭いている様子が描かれています。日常を覗き込むような感じはありのままを描いたドガらしい作品かな。結構色鮮やかに見えましたが、この頃のドガは既にかなり目が悪かったようです。
エドガー・ドガ 「小屋へ帰る牛の群れ」
家々の間を歩く3頭の牛を描いた作品です。一番右の牛は画面からはみ出してお尻しか見えないくらいですw これも先ほどの競馬の絵と同じような効果を狙ったのかな? この作品は色合いも見所だと思うのですが、会場にあった図録を読んだら、平面的でゴーギャンからの影響か?というようなことも書かれていました。それが私にとっては結構意外で驚きました。
この辺は他にも数点の風景画や写真に関するコーナーがあります。
エドガー・ドガ 「舞台の袖の踊り子」 ★こちらで観られます
2枚同じような作品が並んでいて、これと似た作品は10点ほどあるそうです。4人の踊り子が少しずつ舞台の袖にいて、表の様子を伺っているように見えます。 2枚を比べてみると微妙に配置や色彩、布の質感などが異なっていて、ドガが構図に苦心していたことが分かりました。この趣向は参考になって面白いです。
エドガー・ドガ 「踊り子の稽古場にて」 ★こちらで観られます
この絵は彫刻作品の並んだ部屋にありました。踊り子達が練習している様子が描かれた作品で、軽やかな色彩で気取っていない踊り子達を瑞瑞しく描いています。何故か右半分に人が密集し、左半分は誰もいないという配置が面白いです。また、背景の鏡のせいもあってか部屋が広々としているような感じも受けました。
ということで、非常に満足な展覧会でした。もうすぐ会期が終了してしまいますが、絵画ファンなら見逃したくない内容だと思います。(これだけの規模のドガ展は約20年ぶりらしいです) まだ残り1週間ちょっとありますので、気になる方は是非足を運んで見てください。
いくつか他にもネタを溜め込んでいるのですが、こちらを早めにご紹介しておかないと会期が終わってしまうので優先してご紹介しようと思います。


【展覧名】
ドガ展
【公式サイト】
http://www.degas2010.com/
【会場】横浜美術館
【最寄】JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅
【会期】2010年9月18日~12月31日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(平日14時半頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
この前のゴッホ展の2回目の時もそうでしたが、人気の展覧会に平日も土日も無いのかもしれませんw 平日にも関わらず混んでいて、チケットを買うのにも5~6分くらい並びました。中は作品によっては人だかりができていて、あちこちで列を作っている感じです。会期末なので、こういう状態は予想通りかな。(帰り際の17時頃には空いているようだったので、閉館近くは空いているかもしれません。)
今回もメモを取ってきたのですが、各コーナーの趣旨や代表的な作品は以前の記事でご紹介したので、今回は以前ご紹介した作品以外で気になった作品についてご紹介しようと思います。 (補足的な感じですので、以前行ったときの記事を先に読んでいただけると嬉しいです^^;)
以前の記事:ドガ展 (横浜美術館)
<第1章 古典主義からの出発>
まずはアングルやルネサンス絵画から学んで画業を始めた頃からのコーナーです。
エドガー・ドガ 「トキと若い女」
緑のローブを着た女性と、両脇にいる真っ赤なトキを描いた作品です。背景には見下ろすように町並みが広がっています。トキはふわっとした感じで、1羽は女性の手の上に乗っているようで、その赤が特に目をひきました。 女性もチラッと観るような表情が印象的かな。
エドガー・ドガ 「アマチュア騎手のレース-出走前」 ★こちらで観られます
競馬場の出走前の風景を描いた作品です。沢山の馬とそれに乗る騎手が同じ方向を向いて並んでいて、右端の馬と騎手は体の右半分が画面からはみだしています。解説によると、この大胆で革新的な構図が見る者に生き生きとした臨場感を与えているとのことでした。もしかしたら浮世絵の影響かな? なお、背景に見える煙突は20年後にドガ自身が加筆したものだそうです。
エドガー・ドガ 「ベレッリ夫人と二人の娘(《ベレッリ家の家族》のための習作)」
幼い2人の従姉妹と、その母(ドガの叔母)を描いた作品で、これは「ベレッリ家の家族」という作品の習作となります。隣に完成作の写真が展示されているのですが、完成作には夫の姿もあるので、完成作とは違いがあります。 この絵は3人ともバラバラの方向に目を向けているようで、あまり楽しくなさそうな雰囲気を受けました。黒い服を着ているのですが、どうやら喪に服している時の姿のようです。また、解説によるとこの頃のベレッリ家の夫婦仲はあまり良くなかったらしく、その微妙な関係をも映し出しているとのことでした。
エドガー・ドガ 「ある理工科大学生の肖像」
これは以前の記事でご紹介を飛ばした村内美術館の作品で、若く髭を生やした男性が黒い帽子を被っている肖像です。かなり若い印象を受けますが、その目に深い知性を感じ、静かな表情を浮かべていました。
参考記事:村内美術館の案内
エドガー・ドガ 「イレール・ドガ」
フランス革命後にイタリアへ隠遁したドガの祖父を描いた肖像です。足を組んで縞模様のソファに腰掛け、ステッキを持っています。全体的に身なりがよく、厳格そうな顔をしていました。解説によるとこの絵は1857年のナポリ滞在の時に描かれたそうで、アングルを想起させる緻密な画面構成だそうです。 とにかく頑固そうというか威厳が凄かったです。隠遁してるはずですよね?w
エドガー・ドガ 「ルイ=マリー・ピレ(チェロ奏者ピレ)」
楽譜が置かれたテーブルの前に座り、窓の外を見るチェロ奏者を書いた作品です。背景には集合写真、右手前には大きな楽器(多分、チェロ)が2つ置かれています。そのチェロは影で暗くなっているのですが、非常に大きく感じるので部屋の遠近感が伝わってくるようでした。チェロ奏者は音楽の構想を練っているのかな?ちょっと考え事をしているようでした。
エドガー・ドガ 「テオドール・ゴビラール夫人(イヴ・モリゾ、1838-1893)」
部屋の中のソファに座っている横向きの女性を描いた作品で、モデルはベルト・モリゾ(印象派の女性画家)の長姉だそうです。黒っぽい服を着てじっと右の方を見ているのですが、ちょっと機嫌が悪そうに見えるかもw 全体的に茶色っぽいの絵で、背景のドアの外の緑だけが明るい感じを出していました。
エドガー・ドガ 「東洋風の花瓶の前の女性」
テーブルの上に置かれた花瓶と赤い花、その後ろに女性(弟の妻?)が座っている様子を描いた作品です。花瓶は質感が出ているようで、花の赤は特に目に鮮やかでした。後ろにいる女性よりも花と花瓶が主役となっているような面白い構図です。
<第2章 実験と革新の時代>
今回特に注目なのがこの2章です。超有名作「エトワール」をはじめ、「踊り子の画家」と呼ばれた画家らしい踊り子関連の作品が並んでいます。…以前の記事でかなりご紹介しましたが、それ以外にも良い作品が多いコーナーです。エトワールの周りの人だかりは凄かったw
エドガー・ドガ 「腕を組んだバレエの踊り子」
目を閉じて腕を組む踊り子を描いた作品で、背景は燃えるような赤い色をしています。踊り子はじっと何もない空間を見つめるような目をしていて、物思いに耽っているようにも見えました。
エドガー・ドガ 「踊り子」 ★こちらで観られます
扇状の形をした作品です。これは1879年の作品なのですが、その1年前にパリ万博が開催され、日本の美術品が紹介されたことで日本ブームが起きた頃に描かれました。両手を輪のようにしてポーズをとる踊り子やピンクの服の踊り子たちが描かれ、バレエのワンシーンのようでした。こうした扇状の作品は生涯で25点ほどあるそうですが、分かりやすい形で日本からの影響を感じさせる作品でした。また、左半分に人物が密集しているのに右半分はガランとしているのも面白かったです。
エドガー・ドガ 「ばら色の踊り子」
薄いピンクの服を着た踊り子が描かれた作品で、恐らく舞台挨拶をしているのかな。背景はぼんやりした感じですが、この踊り子は生き生きした感じが出ていました。ちょっと口を開けて左の方に視線を向けていて、嬉しそうな表情に思います。
このあたりには、カフェコンセール(歌や曲芸を楽しめたお店)に関する素描などが並び、印象派の画家達との交流について知ることもできます。
エドガー・ドガ 「女性の肖像」
黒いベールに黒い服を着た女性の肖像です。左を向いて誰かを見ているような表情が印象的でした。
<第3章 綜合とさらなる展開>
最後のコーナーは目が悪くなっていった頃のドガの様々な挑戦についてのコーナーです。
エドガー・ドガ 「草上の二人の浴女」 ★こちらで観られます
ドガには珍しい屋外の裸婦を描いた作品です。緑の草原の上に2人の裸婦がいて、1人はうつ伏せで目をつぶり、もう1人は膝を曲げて足の先を見るようなポーズで座っています。緑が明るい雰囲気で、他の作品と比べてだいぶ違う印象を受けました。解説によると、単純化された人物のフォルムやパステルの厚みなどに特徴があるようで、抽象的な表現に向かっていったのを示しているとのことでした。
この辺は裸婦のコーナーです。素描や習作が多いかな。
エドガー・ドガ 「水浴」 ★こちらで観られます
これは晩年の作品で、椅子に座った後ろ向きの裸婦が、タオルで首のあたりを拭いている様子が描かれています。日常を覗き込むような感じはありのままを描いたドガらしい作品かな。結構色鮮やかに見えましたが、この頃のドガは既にかなり目が悪かったようです。
エドガー・ドガ 「小屋へ帰る牛の群れ」
家々の間を歩く3頭の牛を描いた作品です。一番右の牛は画面からはみ出してお尻しか見えないくらいですw これも先ほどの競馬の絵と同じような効果を狙ったのかな? この作品は色合いも見所だと思うのですが、会場にあった図録を読んだら、平面的でゴーギャンからの影響か?というようなことも書かれていました。それが私にとっては結構意外で驚きました。
この辺は他にも数点の風景画や写真に関するコーナーがあります。
エドガー・ドガ 「舞台の袖の踊り子」 ★こちらで観られます
2枚同じような作品が並んでいて、これと似た作品は10点ほどあるそうです。4人の踊り子が少しずつ舞台の袖にいて、表の様子を伺っているように見えます。 2枚を比べてみると微妙に配置や色彩、布の質感などが異なっていて、ドガが構図に苦心していたことが分かりました。この趣向は参考になって面白いです。
エドガー・ドガ 「踊り子の稽古場にて」 ★こちらで観られます
この絵は彫刻作品の並んだ部屋にありました。踊り子達が練習している様子が描かれた作品で、軽やかな色彩で気取っていない踊り子達を瑞瑞しく描いています。何故か右半分に人が密集し、左半分は誰もいないという配置が面白いです。また、背景の鏡のせいもあってか部屋が広々としているような感じも受けました。
ということで、非常に満足な展覧会でした。もうすぐ会期が終了してしまいますが、絵画ファンなら見逃したくない内容だと思います。(これだけの規模のドガ展は約20年ぶりらしいです) まだ残り1週間ちょっとありますので、気になる方は是非足を運んで見てください。
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前々回、前回とご紹介した「モネとジヴェルニーの画家たち」を観た後、1階にある「Bunkamuraロビーラウンジ」でお茶してきました。

【店名】
Bunkamuraロビーラウンジ
【ジャンル】
レストラン/カフェ
【公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/restshop/lounge/index.html
http://r.tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13001941/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【近くの美術館】
Bunkamuraザ・ミュージアム
松濤美術館
たばこと塩の博物館
など
【この日にかかった1人の費用】
1050円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(日曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
bunkamuraには以前ご紹介した「ドゥ マゴ パリ」という良いお店もあるのですが、こちらのお店も使いやすく味も中々なのでたまに利用しています。
参考記事:ドゥ マゴ パリ (渋谷界隈のお店)
この日、「モネとジヴェルニーの画家たち」の開催を記念したリンゴのタルトのセットがあったので、それを頼んでみました(2010年12月時点のメニューです) 半券を提示すると1260円 ⇒ 1050円に割引になります。

こちらがリンゴのタルト。人気商品のようで、17時時点の我々の注文で売り切れになったみたいです。

コロッとジューシーなリンゴで、シナモンと洋酒の香りが漂いかなり美味しかったです。 結構ボリュームもあるのも嬉しい。
飲み物はコーヒーを頼みました。連れは紅茶。

コーヒーは香りがよく、酸味強めでした。 紅茶もなかなか美味しいらしいですが、あまり香りがないとのことでした。
ということで、こちらのカフェも良いところです。通路が近いのでちょっとざわついた感じもしますが、冬の時期は寒いのでこのお店のほうが使いやすいかなw これからも利用していくと思います。

【店名】
Bunkamuraロビーラウンジ
【ジャンル】
レストラン/カフェ
【公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/restshop/lounge/index.html
http://r.tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13001941/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【近くの美術館】
Bunkamuraザ・ミュージアム
松濤美術館
たばこと塩の博物館
など
【この日にかかった1人の費用】
1050円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(日曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
bunkamuraには以前ご紹介した「ドゥ マゴ パリ」という良いお店もあるのですが、こちらのお店も使いやすく味も中々なのでたまに利用しています。
参考記事:ドゥ マゴ パリ (渋谷界隈のお店)
この日、「モネとジヴェルニーの画家たち」の開催を記念したリンゴのタルトのセットがあったので、それを頼んでみました(2010年12月時点のメニューです) 半券を提示すると1260円 ⇒ 1050円に割引になります。

こちらがリンゴのタルト。人気商品のようで、17時時点の我々の注文で売り切れになったみたいです。

コロッとジューシーなリンゴで、シナモンと洋酒の香りが漂いかなり美味しかったです。 結構ボリュームもあるのも嬉しい。
飲み物はコーヒーを頼みました。連れは紅茶。


コーヒーは香りがよく、酸味強めでした。 紅茶もなかなか美味しいらしいですが、あまり香りがないとのことでした。
ということで、こちらのカフェも良いところです。通路が近いのでちょっとざわついた感じもしますが、冬の時期は寒いのでこのお店のほうが使いやすいかなw これからも利用していくと思います。
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今日は前回の記事に引き続き、bunkamuraの「モネとジヴェルニーの画家たち」の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。
前編はこちら

まずは概要のおさらいです。
【展覧名】
モネとジヴェルニーの画家たち
【公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/10_monet/index.html
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_10_monet.html
【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【会期】2010年12月7日(火)~2011年2月17日(木)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前編ではモネが移り住んできてから徐々にジヴェルニーに画家達が集まり、50人程度になった辺りまでご紹介しましたが、後編ではさらに人気となった頃からジヴェルニーの芸術家村としての終焉までをご紹介します。
<第3章 家族と友人>
画家50人でも充分人気だとは思いますが、ジヴェルニーは1895年には人気がありすぎるほどだったようです。1915年までに300人以上がここに訪れているというので、元々の人口が300人の村には多すぎるくらいの盛況振りですw その為、画家たちは村でも影響力を持つ存在になっていったようです。一方、長期滞在者の関心は風景や村ではなく、庭や家族、友人達に移っていったようで、この章ではそうした作品が並んでいました。(庭や家族だったらわざわざこの村でなくても…と思うけど、芸術家の楽園だったんでしょうか)
なお、ジヴェルニーの外国人画家の7割程度はアメリカ人だったそうで、その話は4章に繋がっていきます。 また、日本からも児島虎次郎がこの地を訪れているそうです。…児島虎次郎はベルギーのラーテム村にも出没してた記憶がw (残念ながら今回の展示には児島虎次郎の作品はありませんでした。)
児島虎次郎の参考記事:
フランダースの光 ベルギーの美しき村を描いて (Bunkamuraザ・ミュージアム)
大原美術館名品展 (宇都宮美術館)
セオドア・アール・バトラー 「庭の入口」
2章でモネの義理の娘ブランシュ・オシュデ=モネをご紹介しましたが、この人はモネの2番目の妻アリス・オシュデの娘シュザンヌの夫となった画家です。(つまり、モネの義理の息子ということになります。)
この絵は、自宅の緑の門と、そこに通じる道が描かれ、道の両脇には真っ赤な花と緑の葉が並び、強い対比となっています。真ん中には視界をさえぎるように木?が描かれ、これは浮世絵の大胆な構図からの影響かもしれません。解説では装飾的でポスト印象派のようだと言っていましたが、確かにそのような作風でした。
セオドア・アール・バトラー 「画家の子供たち、ジェイムズとリリー」 ★こちらで観られます
室内で真っ白な服を着た子供と、輪のような物をおもつ子供が手を繋いでいます。カーペットや壁紙が薄いピンクの成果、色合いが明るく感じられ、子供たちの笑顔からは幸福感が出ているように思いました。
フレデリック・ウィリアム・マクモニーズ 「アリス・マクモニーズ夫人」
この人は彫刻の勉強をしていたそうですが、これは絵画作品です。ピンクっぽい赤のドレスを着てこちらを向いて座る女性が描かれた肖像で、若々しい感じがします。少し歯を見せて明るい表情を見せ、親しげな印象を受けました。気品も感じられるし、中々好みの作品です。 この作品の隣にもこの人が描いた肖像画がありました。
<第4章 ジヴェルニー・グループ>
20世紀初頭の10年間、ジヴェルニーの画家は「装飾的印象主義」という様式で明るい色彩と量感を表現する画法となっていったそうです。7割を占めたアメリカから来た画家達は本国ではジヴェルニー・グループと呼ばれ評価されていたのですが、1914年になり第一次世界大戦が始まると皆この地を去り、ジヴェルニーの芸術家村としての時代は終わったそうです。 ここには世界大戦までのジヴェルニーの景色や庭でくつろぐ女性像などが展示されていました。
ルイス・リットマン 「早朝」
ベッドの上で上半身裸の女性が座っている姿を描いた作品です。印象派風の色彩に見えましたが、ベッドの花柄や服などに装飾的な模様が見られるように思いました。次の時代に変わってきた感じがします。
フレデリック・カール・フリージキー 「百合の咲く庭」 ★こちらで観られます
白い花が並ぶ小道のある庭に、椅子とテーブルを出してくつろいでいる2人の女性を描いた作品です。1人は帽子を被って白いドレスを着て立っていて、もう1人はカップに何かを注いでいるような姿勢です。全体的に爽やかな白が多い作品で、花などから装飾性を感じ、女性達からは華やかさと優雅な雰囲気を感じました。
リチャード・エミール(エドワード)・ミラー 「水のある庭」 ★こちらで観られます
緑の日傘を差して、池(噴水みたいな)の淵に腰掛けている女性を描いた作品です。目を閉じて静かな佇まいで、背景には緑の野原や白いクロスをかけたテーブルセットなども観られます。水面も穏やかな様子を映しているようで、貴婦人の静かなひと時といった雰囲気でした。これも色の組み合わせが明るくて好みでした。
ピエール・ボナール 「にぎやかな風景」 ★こちらで観られます
ボナールは隣村に住んでいたようで、よくジヴェルニーのモネを訪ねてきていたようです。この絵は大画面で、セーヌ河の周りでくつろぐ人々を神話的な雰囲気で描いています。このモデルは彼の妻や子供、愛犬などと解説されていました。この辺の他の画家と比べるとちょっと暗めに見えましたが、ボナール独特の色彩となっていました。
[ジヴェルニーのモネ]
最後の辺りにはモネの睡蓮の連作が並んでいました。自宅の庭を大改造して池を造り、日本風の太鼓橋を作ったりした話は有名かな? 晩年のモネの代表作を楽しめるコーナーです。
クロード・モネ 「睡蓮」 ★こちらで観られます
今回のポスターの作品です。薄いピンクの花を咲かせる睡蓮が描かれ、深い色合いの水面と、淡い花と葉っぱの色彩の取り合わせが目に鮮やかです。可憐な印象を受ける素晴らしい作品で、かなり好みでした。
クロード・モネ 「睡蓮の池」
池にかかる太鼓橋を描いた作品で、これも恐らく今年のボストン美術館展で観たのと同じではないかと思いました。赤、緑、青など、色濃く描かれ、抽象画のような感じすらします。この作品は浮世絵からの影響もあるようでした。
参考記事:ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想後編 (森アーツセンターギャラリー)
クロード・モネ 「睡蓮、柳の反影」
これは最早、抽象画のような大画面の作品です。かすかに睡蓮の葉っぱや花に見えますが、全体を覆っているのは暗い緑と白く太い線で、写実性ではなく感じるままに描いているように見えました。
この他にもモネの睡蓮は2点あり、合計5点並んでいました。
出口付近には約8分ほどの映像コーナーがあり、ジヴェルニーやモネの庭を撮った映像を観ることができました。
ということで、モネだけでなくアメリカの印象派も知ることができる貴重な展覧会となっていました。そもそもジヴェルニーが芸術家村になっていたということを知らなかったので、今回の展覧会は今後の参考にもなりそうです。嬉しいことに会期が長めですのでもう一度くらい行っておきたい展覧会です。
おまけ:
交差点近くにある東急のショーウィンドウ

前編はこちら


まずは概要のおさらいです。
【展覧名】
モネとジヴェルニーの画家たち
【公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/10_monet/index.html
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_10_monet.html
【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【会期】2010年12月7日(火)~2011年2月17日(木)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前編ではモネが移り住んできてから徐々にジヴェルニーに画家達が集まり、50人程度になった辺りまでご紹介しましたが、後編ではさらに人気となった頃からジヴェルニーの芸術家村としての終焉までをご紹介します。
<第3章 家族と友人>
画家50人でも充分人気だとは思いますが、ジヴェルニーは1895年には人気がありすぎるほどだったようです。1915年までに300人以上がここに訪れているというので、元々の人口が300人の村には多すぎるくらいの盛況振りですw その為、画家たちは村でも影響力を持つ存在になっていったようです。一方、長期滞在者の関心は風景や村ではなく、庭や家族、友人達に移っていったようで、この章ではそうした作品が並んでいました。(庭や家族だったらわざわざこの村でなくても…と思うけど、芸術家の楽園だったんでしょうか)
なお、ジヴェルニーの外国人画家の7割程度はアメリカ人だったそうで、その話は4章に繋がっていきます。 また、日本からも児島虎次郎がこの地を訪れているそうです。…児島虎次郎はベルギーのラーテム村にも出没してた記憶がw (残念ながら今回の展示には児島虎次郎の作品はありませんでした。)
児島虎次郎の参考記事:
フランダースの光 ベルギーの美しき村を描いて (Bunkamuraザ・ミュージアム)
大原美術館名品展 (宇都宮美術館)
セオドア・アール・バトラー 「庭の入口」
2章でモネの義理の娘ブランシュ・オシュデ=モネをご紹介しましたが、この人はモネの2番目の妻アリス・オシュデの娘シュザンヌの夫となった画家です。(つまり、モネの義理の息子ということになります。)
この絵は、自宅の緑の門と、そこに通じる道が描かれ、道の両脇には真っ赤な花と緑の葉が並び、強い対比となっています。真ん中には視界をさえぎるように木?が描かれ、これは浮世絵の大胆な構図からの影響かもしれません。解説では装飾的でポスト印象派のようだと言っていましたが、確かにそのような作風でした。
セオドア・アール・バトラー 「画家の子供たち、ジェイムズとリリー」 ★こちらで観られます
室内で真っ白な服を着た子供と、輪のような物をおもつ子供が手を繋いでいます。カーペットや壁紙が薄いピンクの成果、色合いが明るく感じられ、子供たちの笑顔からは幸福感が出ているように思いました。
フレデリック・ウィリアム・マクモニーズ 「アリス・マクモニーズ夫人」
この人は彫刻の勉強をしていたそうですが、これは絵画作品です。ピンクっぽい赤のドレスを着てこちらを向いて座る女性が描かれた肖像で、若々しい感じがします。少し歯を見せて明るい表情を見せ、親しげな印象を受けました。気品も感じられるし、中々好みの作品です。 この作品の隣にもこの人が描いた肖像画がありました。
<第4章 ジヴェルニー・グループ>
20世紀初頭の10年間、ジヴェルニーの画家は「装飾的印象主義」という様式で明るい色彩と量感を表現する画法となっていったそうです。7割を占めたアメリカから来た画家達は本国ではジヴェルニー・グループと呼ばれ評価されていたのですが、1914年になり第一次世界大戦が始まると皆この地を去り、ジヴェルニーの芸術家村としての時代は終わったそうです。 ここには世界大戦までのジヴェルニーの景色や庭でくつろぐ女性像などが展示されていました。
ルイス・リットマン 「早朝」
ベッドの上で上半身裸の女性が座っている姿を描いた作品です。印象派風の色彩に見えましたが、ベッドの花柄や服などに装飾的な模様が見られるように思いました。次の時代に変わってきた感じがします。
フレデリック・カール・フリージキー 「百合の咲く庭」 ★こちらで観られます
白い花が並ぶ小道のある庭に、椅子とテーブルを出してくつろいでいる2人の女性を描いた作品です。1人は帽子を被って白いドレスを着て立っていて、もう1人はカップに何かを注いでいるような姿勢です。全体的に爽やかな白が多い作品で、花などから装飾性を感じ、女性達からは華やかさと優雅な雰囲気を感じました。
リチャード・エミール(エドワード)・ミラー 「水のある庭」 ★こちらで観られます
緑の日傘を差して、池(噴水みたいな)の淵に腰掛けている女性を描いた作品です。目を閉じて静かな佇まいで、背景には緑の野原や白いクロスをかけたテーブルセットなども観られます。水面も穏やかな様子を映しているようで、貴婦人の静かなひと時といった雰囲気でした。これも色の組み合わせが明るくて好みでした。
ピエール・ボナール 「にぎやかな風景」 ★こちらで観られます
ボナールは隣村に住んでいたようで、よくジヴェルニーのモネを訪ねてきていたようです。この絵は大画面で、セーヌ河の周りでくつろぐ人々を神話的な雰囲気で描いています。このモデルは彼の妻や子供、愛犬などと解説されていました。この辺の他の画家と比べるとちょっと暗めに見えましたが、ボナール独特の色彩となっていました。
[ジヴェルニーのモネ]
最後の辺りにはモネの睡蓮の連作が並んでいました。自宅の庭を大改造して池を造り、日本風の太鼓橋を作ったりした話は有名かな? 晩年のモネの代表作を楽しめるコーナーです。
クロード・モネ 「睡蓮」 ★こちらで観られます
今回のポスターの作品です。薄いピンクの花を咲かせる睡蓮が描かれ、深い色合いの水面と、淡い花と葉っぱの色彩の取り合わせが目に鮮やかです。可憐な印象を受ける素晴らしい作品で、かなり好みでした。
クロード・モネ 「睡蓮の池」
池にかかる太鼓橋を描いた作品で、これも恐らく今年のボストン美術館展で観たのと同じではないかと思いました。赤、緑、青など、色濃く描かれ、抽象画のような感じすらします。この作品は浮世絵からの影響もあるようでした。
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クロード・モネ 「睡蓮、柳の反影」
これは最早、抽象画のような大画面の作品です。かすかに睡蓮の葉っぱや花に見えますが、全体を覆っているのは暗い緑と白く太い線で、写実性ではなく感じるままに描いているように見えました。
この他にもモネの睡蓮は2点あり、合計5点並んでいました。
出口付近には約8分ほどの映像コーナーがあり、ジヴェルニーやモネの庭を撮った映像を観ることができました。
ということで、モネだけでなくアメリカの印象派も知ることができる貴重な展覧会となっていました。そもそもジヴェルニーが芸術家村になっていたということを知らなかったので、今回の展覧会は今後の参考にもなりそうです。嬉しいことに会期が長めですのでもう一度くらい行っておきたい展覧会です。
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多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
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