Archive | 2011年02月
先日、会社の帰りに六本木の21_21 DESIGN SIGHTで「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」を観てきました。(暗い中、携帯のカメラで撮ったので画像が粗くてすみません…。)

【展覧名】
倉俣史朗とエットレ・ソットサス
【公式サイト】
http://www.2121designsight.jp/program/krst/
【会場】21_21 DESIGN SIGHT ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2011年02月02日~05月08日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間45分程度
【混み具合・混雑状況(金曜日18時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
金曜の夜でしたが空いていて、ゆっくり観ることができました。
今回の展覧会は日本を代表するデザイナー倉俣史朗とイタリアデザイン界の巨匠エットレ・ソットサスという2人のデザイナーの関係を軸に、2人の様々なデザインを展示しています。
参考リンク:公式サイトの2人のプロフィール
まず、入口の辺りに2人の交流を深めるきっかけとなった1981年の「メンフィス」プロジェクトの作品が並んでいました。当時、デザインの世界ではモダンデザインへの疑問が投げかけられていたそうで、メンフィスはその回答の1つとしてのプロジェクトのようです。ソットサスが世界中のデザイナーを招聘し、機能を無視したかのような奇抜な造詣や色彩の家具や照明を発表したようで、早速面白い作品が並んでいました。
エットレ・ソットサス 「カールトン」 ★こちらで観られます
黄色、赤、緑などカラフルな色の家具です。引出やW字の板がついている謎の家具で、何に使うのかまったくわかりませんw 幾何学的で何かのモニュメントのようで見た目は斬新でした。
続いて、地下の最初の展示室には「カチナ」というガラスの作品郡が並んでいました。(★こちらで観られます) カチナというのは元々、ネイティブアメリカンが信仰している超自然的な存在で、様々な模様で彩色された木製人形の一種のようです。この部屋に並んでいるのはそれを思わせる奇抜なデザインの作品で、ソットサスが描いたドローイングを元に吹きガラスで作られています。円筒や曲線が多く使われ、人の顔のようなデザインもあったりしますが、壺みたいなのもあれば形容し難いものもあります。壁面にはそのドローイングが描かれているのですが、素晴らしい再現率でした。(これはフランスのガラス工房シルヴァという所で作られているそうです。) これも用途は分かりませんが遊び心が面白い作品郡でした。
その次の大部屋は倉俣史朗の80年代の仕事を紹介するコーナーでした。
倉俣史朗 「透明ガラス入りテラゾーテーブル」
ガラスの瓶の破片みたいなものが斑状に含まれているテーブルです。これはスターピースという手法のようで、テラゾーというセメントにステンレスチップ、透明ガラス、単色ガラス、コーラの瓶などを混ぜているそうです。キラキラして見えますが、落ち着いた雰囲気もあり、質感が面白いテーブルでした。
倉俣史朗 「椅子に乗る椅子」
こちらは凹の字みたいな形の黒い椅子に黄色い椅子が腰掛けているように見えるデザインの椅子です。黄色が鮮やかで、幾何学的な簡潔さもあり非常に洒落た雰囲気の椅子でした。
倉俣史朗 「ヨゼフ・ホフマンへのオマージュ ビギンザビギン」
太い針金みたいなもので出来た椅子です。脚や背の部分はコイルのようにグルグル巻きで結構ごつい感じを受けます。背後ではこの椅子を燃やしている映像を流していましたが意味は分かりませんでした。
倉俣史朗 「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」 ★こちらで観られます
針金が網目のようになってできた椅子です。幾何学的な格子をしていてすっきりした美しさがあります。
近くにはこれと似たような金属が網目になった家具が何点か展示されていました。
倉俣史朗 「サリー」
表面が円形のテーブルで、表面の半分にはガラスに深い割れ跡が入っています。これは砕いた強化ガラスを2面のガラスで挟んで、合計3枚重ねたもののようです。ガラスが砕けたときの衝撃をそのまま閉じ込めているような驚きの作品でした。
倉俣史朗 「5本針の時計」
白い色紙くらいの大きさの時計です。真ん中に青と緑の針があるのですが、これが時間を指しているのかは分かりませんw また、針の周りには蝶・小魚・てんとう虫などが標本のように刺さっていて、秒を刻むように回転していました。その回転も逆周りだったりして、時計としての機能には疑問がありますw ちょっと変わった面白い時計でした。
この先にはハンガーや扇風機、花瓶、香水瓶、謎のオブジェ等などが並んでいました。球や直線を組み合わせたようなデザインが見受けられ、未来的な雰囲気を出していました。
倉俣史朗 「ミス・ブランチ」 ★こちらで観られます
透明ガラスの椅子が4脚ありました。このガラスの中にはバラの造花が無数に閉じ込められていて、結構厚みがあります。(…これを見て、よく食べてるフルーツゼリーを彷彿したのは私だけでしょうかw) 離れてみると花が浮かんでいるようで、その色合いも含めて華麗な雰囲気がありました。
この辺には透明アクリル樹脂でできたテーブルや花瓶、用途不明の家具??などもあり、キューピーちゃんや天井から吊り下げられたハンガーなどと共に独特の空間を作っていました。意味は分かりませんが楽しげな感じを受けます。
他にもやたらと長いベッドの作品(「ラピュタ」 ★こちらで観られます )などもあり、通路には絨毯?やドアの作品などもありました。階段付近では映像も流れていましたが、あまり時間が無かったのでこちらは観ませんでした。
ということで、自由で洒落たデザインの数々を観ることができました。合理的なものではないですが遊び心を感じます。ど素人の私でも楽しめたので、デザインを志す人にはなおさら面白い展示じゃないかと思います。

【展覧名】
倉俣史朗とエットレ・ソットサス
【公式サイト】
http://www.2121designsight.jp/program/krst/
【会場】21_21 DESIGN SIGHT ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2011年02月02日~05月08日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間45分程度
【混み具合・混雑状況(金曜日18時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
金曜の夜でしたが空いていて、ゆっくり観ることができました。
今回の展覧会は日本を代表するデザイナー倉俣史朗とイタリアデザイン界の巨匠エットレ・ソットサスという2人のデザイナーの関係を軸に、2人の様々なデザインを展示しています。
参考リンク:公式サイトの2人のプロフィール
まず、入口の辺りに2人の交流を深めるきっかけとなった1981年の「メンフィス」プロジェクトの作品が並んでいました。当時、デザインの世界ではモダンデザインへの疑問が投げかけられていたそうで、メンフィスはその回答の1つとしてのプロジェクトのようです。ソットサスが世界中のデザイナーを招聘し、機能を無視したかのような奇抜な造詣や色彩の家具や照明を発表したようで、早速面白い作品が並んでいました。
エットレ・ソットサス 「カールトン」 ★こちらで観られます
黄色、赤、緑などカラフルな色の家具です。引出やW字の板がついている謎の家具で、何に使うのかまったくわかりませんw 幾何学的で何かのモニュメントのようで見た目は斬新でした。
続いて、地下の最初の展示室には「カチナ」というガラスの作品郡が並んでいました。(★こちらで観られます) カチナというのは元々、ネイティブアメリカンが信仰している超自然的な存在で、様々な模様で彩色された木製人形の一種のようです。この部屋に並んでいるのはそれを思わせる奇抜なデザインの作品で、ソットサスが描いたドローイングを元に吹きガラスで作られています。円筒や曲線が多く使われ、人の顔のようなデザインもあったりしますが、壺みたいなのもあれば形容し難いものもあります。壁面にはそのドローイングが描かれているのですが、素晴らしい再現率でした。(これはフランスのガラス工房シルヴァという所で作られているそうです。) これも用途は分かりませんが遊び心が面白い作品郡でした。
その次の大部屋は倉俣史朗の80年代の仕事を紹介するコーナーでした。
倉俣史朗 「透明ガラス入りテラゾーテーブル」
ガラスの瓶の破片みたいなものが斑状に含まれているテーブルです。これはスターピースという手法のようで、テラゾーというセメントにステンレスチップ、透明ガラス、単色ガラス、コーラの瓶などを混ぜているそうです。キラキラして見えますが、落ち着いた雰囲気もあり、質感が面白いテーブルでした。
倉俣史朗 「椅子に乗る椅子」
こちらは凹の字みたいな形の黒い椅子に黄色い椅子が腰掛けているように見えるデザインの椅子です。黄色が鮮やかで、幾何学的な簡潔さもあり非常に洒落た雰囲気の椅子でした。
倉俣史朗 「ヨゼフ・ホフマンへのオマージュ ビギンザビギン」
太い針金みたいなもので出来た椅子です。脚や背の部分はコイルのようにグルグル巻きで結構ごつい感じを受けます。背後ではこの椅子を燃やしている映像を流していましたが意味は分かりませんでした。
倉俣史朗 「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」 ★こちらで観られます
針金が網目のようになってできた椅子です。幾何学的な格子をしていてすっきりした美しさがあります。
近くにはこれと似たような金属が網目になった家具が何点か展示されていました。
倉俣史朗 「サリー」
表面が円形のテーブルで、表面の半分にはガラスに深い割れ跡が入っています。これは砕いた強化ガラスを2面のガラスで挟んで、合計3枚重ねたもののようです。ガラスが砕けたときの衝撃をそのまま閉じ込めているような驚きの作品でした。
倉俣史朗 「5本針の時計」
白い色紙くらいの大きさの時計です。真ん中に青と緑の針があるのですが、これが時間を指しているのかは分かりませんw また、針の周りには蝶・小魚・てんとう虫などが標本のように刺さっていて、秒を刻むように回転していました。その回転も逆周りだったりして、時計としての機能には疑問がありますw ちょっと変わった面白い時計でした。
この先にはハンガーや扇風機、花瓶、香水瓶、謎のオブジェ等などが並んでいました。球や直線を組み合わせたようなデザインが見受けられ、未来的な雰囲気を出していました。
倉俣史朗 「ミス・ブランチ」 ★こちらで観られます
透明ガラスの椅子が4脚ありました。このガラスの中にはバラの造花が無数に閉じ込められていて、結構厚みがあります。(…これを見て、よく食べてるフルーツゼリーを彷彿したのは私だけでしょうかw) 離れてみると花が浮かんでいるようで、その色合いも含めて華麗な雰囲気がありました。
この辺には透明アクリル樹脂でできたテーブルや花瓶、用途不明の家具??などもあり、キューピーちゃんや天井から吊り下げられたハンガーなどと共に独特の空間を作っていました。意味は分かりませんが楽しげな感じを受けます。
他にもやたらと長いベッドの作品(「ラピュタ」 ★こちらで観られます )などもあり、通路には絨毯?やドアの作品などもありました。階段付近では映像も流れていましたが、あまり時間が無かったのでこちらは観ませんでした。
ということで、自由で洒落たデザインの数々を観ることができました。合理的なものではないですが遊び心を感じます。ど素人の私でも楽しめたので、デザインを志す人にはなおさら面白い展示じゃないかと思います。
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先日ご紹介した映画「RED/レッド」を観た日に「ウォールストリート」もハシゴして観てきました。(REDが終わって10分もしないうちにこの映画を観ましたw)

【作品名】
ウォールストリート
【公式サイト】
http://movies2.foxjapan.com/wallstreet/
【時間】
2時間00分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_③_4_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_④_5_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_③_4_5_名作
【感想】
この作品には「ウォール街」という1987年公開の前作がありますが、特に見ていなくても問題ありませんでした。その時の主演がマイケル・ダグラスで、今回もマイケル・ダグラスは父親役として出てきます。(監督も同じで、一部のサントラも同じのようです)
内容はアメリカの投資・金融の世界を舞台に、そこに関わる人々の欲望や苦悩を描くというものです。主人公の若い男性金融マンと、前作の主人公の娘が中心となり、実際の金融業界をモデルに展開していきます。ちょうどリーマンショック前後の事件を下地にしているようで、当時のことを知っている人にはモデルはあれかと類推できるところもあるかと思います(時系列や細部はちょっと違うように思いますが) 私も当時、株や外為をやっていたのでこの辺の事情をそのまま詳らかにした映画なら面白そうだと思ったのですが、あまりそういう展開にはならずに、途中からは主人公たちの家族を巡る人間ドラマみたいな話になっていきます。これが、非常に中途半端な感じを受けました。…別にそんな話は期待してないんですがw 肝心の投資・金融関連の話は物足りない感じで、実際の事件の方がよっぽどドラマチックに思えてしまいます…。 人間ドラマの方も全く面白さがなく、テンポが遅く感じました。まあ、ちょっと予想外の展開などもあるし役者の演技は良いのですが、観終わった後に残るものはあまりなく、すぐに内容を忘れてしまいそうですw
ということで、あまり面白いとは思えませんでした。恐らく当時のドキュメンタリーを観た方がリアルで面白いです。人間ドラマみたいな部分は切り捨てればよかったのに…。

【作品名】
ウォールストリート
【公式サイト】
http://movies2.foxjapan.com/wallstreet/
【時間】
2時間00分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_③_4_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_④_5_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_③_4_5_名作
【感想】
この作品には「ウォール街」という1987年公開の前作がありますが、特に見ていなくても問題ありませんでした。その時の主演がマイケル・ダグラスで、今回もマイケル・ダグラスは父親役として出てきます。(監督も同じで、一部のサントラも同じのようです)
内容はアメリカの投資・金融の世界を舞台に、そこに関わる人々の欲望や苦悩を描くというものです。主人公の若い男性金融マンと、前作の主人公の娘が中心となり、実際の金融業界をモデルに展開していきます。ちょうどリーマンショック前後の事件を下地にしているようで、当時のことを知っている人にはモデルはあれかと類推できるところもあるかと思います(時系列や細部はちょっと違うように思いますが) 私も当時、株や外為をやっていたのでこの辺の事情をそのまま詳らかにした映画なら面白そうだと思ったのですが、あまりそういう展開にはならずに、途中からは主人公たちの家族を巡る人間ドラマみたいな話になっていきます。これが、非常に中途半端な感じを受けました。…別にそんな話は期待してないんですがw 肝心の投資・金融関連の話は物足りない感じで、実際の事件の方がよっぽどドラマチックに思えてしまいます…。 人間ドラマの方も全く面白さがなく、テンポが遅く感じました。まあ、ちょっと予想外の展開などもあるし役者の演技は良いのですが、観終わった後に残るものはあまりなく、すぐに内容を忘れてしまいそうですw
ということで、あまり面白いとは思えませんでした。恐らく当時のドキュメンタリーを観た方がリアルで面白いです。人間ドラマみたいな部分は切り捨てればよかったのに…。
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前回ご紹介した畠山記念館の展示を観た後、東京都庭園美術館にハシゴして「20世紀のポスター[タイポグラフィ]-デザインのちから・文字のちから-」を観てきました。

【展覧名】
20世紀のポスター[タイポグラフィ]-デザインのちから・文字のちから-
【公式サイト】
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/typograph/index.html
【会場】東京都庭園美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】目黒駅(JR・東京メトロ) または 白金台駅(東京メトロ)
【会期】2011年01月29日~03月27日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
天気の悪い寒い日だったし、そんなに混んでいないだろうとたかをくくっていましたが、結構混んでて驚きました。若い人が多く、小さな部屋は人でごった返すくらいの人気ぶりでした。その為、ちょっと早足での鑑賞となりました。
さて、今回の展示ですが「タイポグラフィ」、つまり印刷物の文字の書体に関する展示となっています。冒頭にざっくりと1900年以降のタイポグラフィの流れについて説明されていて、それによると20世紀前半に構成主義やバウハウスに触発されて、シンプルな構造の「サンセリフ」という書体を中心にしたポスターが現れたそうです。その後、1950年~60年代のドイツやスイスでは画面を水平垂直に分割して文字や写真を構成する「グリッドシステム」が現れました。また、1960年~70年代のアメリカではヒッピー文化の中からサイケデリックな文字が生まれ、1980年~90年代はパソコンの登場で新たな時代を迎えたようです。 この展示ではそうした年代別に章が分かれ、110点程度ものポスターが並んでいました。詳しくは章ごとに気になった作品と共にご紹介していこうと思います。なお、今回の展示は難解な展示の割りに個々の作品の解説はあまり無かったので、私のてきとーな感想のみとなりますw
<第1部 1900s-1930s 読む文字から見る文字へ:タイポグラフィの革新>
タイポグラフィの起源は15世紀の活版印刷にまで遡るそうで、その後 書物に美しさが求められるようになってタイポグラフィと呼称されるようになりました。20世紀には「サンセリフ」=ゴシック体が生まれて奨励され、新しいタイポグラフィの流れはニュータイポグラフィと呼ばれて多くのデザイナーに影響を与えたそうです。ここにはそうした時代の様々なポスターが並んでいました。
エル・リシツキー 「ソヴィエト連邦展」 ★こちらで観られます
男女が並んで写っているポスターです。よく観ると2人の顔が重なっていて、男の左目と女の右目は1つの目となっています。頭には赤く「USSR」の文字があり、ソヴィエト時代のロシアの独特の雰囲気が出ていました。
参考記事;
ロシアの夢 1917-1937 革命から生活へ-ロシア・アヴァンギャルドのデザイン (埼玉県立近代美術館)
「カナダ・アニメーション映画名作選」と「無声時代ソビエト映画ポスター展」
ヴィルヘルム・デフケ 「"砂糖":ドイツ砂糖製造加工産業展」
蜂を幾何学的に簡略化して描いたポスターです。同じ太さのまま直角直線を使った文字は実直で読みやすい感じでした。
今回の展示は文字が主役ですが、絵の方も面白い作品が多かったりします。
ヴィルター・ケッヒ 「装飾のない形態展」
文字が集まってペンチやトンカチのような形になっているポスターです。文字の線の部分が非常に太く、圧迫されるような感じを受けました。力強いけどちょっと野暮ったいかもw
マックス・エルンスト 「シュルレアリスム国際展」
奇妙なものをもつ裸の男性像と指差す出が円を描くように描かれたポスターです。(意味不明ですみませんw 何せシュールな絵なので…) 真ん中に文字あり、2種類の文字が使われているようで、例えばNは縦横の比率が1:1くらいの軽やかな文字と、3:1くらいの迫ってくるような文字となっていました。ちょっと書体が違うだけで結構印象が違うのがよく分かりました。
参考記事:シュルレアリスム展 感想前編(国立新美術館)
A.M.カッサンドル 「キナ入り食前酒デュボネ」 ★こちらで観られます
直線や直角、半円など組み合わせてワインを注ぐ男が描かれた作品です。文字は少し太めで簡潔な印象を受けました。カッサンドルは大好きなので、この作品も気に入りました。
参考記事:
所蔵作品展 アール・デコ時代の工芸とデザイン (東京国立近代美術館 工芸館)
アール・ヌーヴォーのポスター芸術展 (松屋銀座)
<第2部 1940s/1950s タイポグラフィの国際化:モダンデザインの展開と商業広告の拡大>
ニュータイポグラフィの精神は第二次世界大戦の後、スイスで「国際様式」としてまとめあげられました。それには3つの特徴があるそうで、
①グリッドによる機能的な組版
②目的に適した画像と文字の使用
③サンセリフ体の使用
が挙げられていました。また、その一方では、1940~50年代はイラストレーションのポスターも盛んに作られていたそうで、その2つの傾向は時に融合しながら新たなポスターを生んでいったようです。
ケネス・ハーク 「すべてのニュースを正しく得よう」
枠に区切られて以下の文字が描かれたポスターです。
get all the news
and get it right
the New York Times
上段と中段は読みやすい文字で書かれているのですが、下段だけ装飾的な文字になっていて面白かったです。枠に収まっているところはグリッドの考えに似てるかも。
レイモン・サヴィニャック 「ダンロップ社」
車を運転するポーズの人が浮くように描かれ、4つのタイヤと予備のタイヤも浮いているように見えます。運転手とタイヤ以外の車が透明になった感じと言った方がわかりやすいかな。右上にはDUNLOPと社名が描かれていて、見覚えがある書体に思いました。
山城隆一 「森・林」
白地に「森」と「林」という漢字が大小様々に沢山書かれたポスターです。ちょっと怖いくらい並んでいますが、密集しているところは森っぽさが出ていて面白かったですw
マックス・フーバー 「モンツァ・グランプリ」 ★こちらで観られます
何色かの矢印が左回りにカーブを描いて、レースのカーブを彷彿させるポスターです。上に書いてある文字も、左側は手前になっているように大きく右側は小さくなり、斜めに書かれていてスピード感を感じさせました。これは今回の展示の中でもかなり気に入りました。
1階はこの辺りで終わりです。2階への階段の踊り場にもポスターが展示されていました。バウハウスやダダ展のポスターだったかな。
参考記事:バウハウス・テイスト バウハウス・キッチン展 (パナソニック電工 汐留ミュージアム)
<第3部 1960s/1970s 躍動する文字と図像:大衆社会とタイポグラフィの連結>
1960年代になるとアメリカの学生運動の高まりや自由なファッション、ポップな音楽、ヒッピー文化などがポスターにも影響を与えたそうです。国際様式を学んだデザイナーの中からもタイポグラフィを再検討する動きが現れたのもこの頃だそうです。
横尾忠則 「大山デブコの犯罪」
歌舞伎で使われる「大入」の文字(勘亭流?)があり、白のほうに太めの女性が腋毛を見せるように包丁を振り上げている姿を描いたポスターです。ちょっと馬鹿馬鹿しい雰囲気かなw 背景には富士山とかステレオタイプな日本のイメージ風景が広がりますw 右側には「次の職業の方はご招待」と書かれ、自衛隊、ストリッパー、立ちんぼ、などなどが挙げられていたり、特別出演に「アフリカ黒人」と書かれているなどおふざけな感じがするポスターでした。まあ、タイトルもからしてふざけてますねw
ウェス・ウィルソン 「グレイトフル・デッド、ジェームズ・コットン・ブルース・バンド、ローター&ザ・ハンド・ピープルのロック・コンサート」
ピースマークの車輪のようなものを持つフードを被った女性を描いた作品で、曲線がどこかアールヌーボー的な感じを受けます。ぐにゃぐにゃした文字は古代遺跡の文字みたいな印象を受けました。これも結構好みかな。この辺にはウェス・ウィルソンの作品が5~6点並んでいました。
ロバート・インディアナ 「ロバート・インディアナ[LOVE]展」
新宿にもあるロバート・インディアナの「LOVE」の彫刻をそのままポスターにしたような作品です。(ポスターでは青地に緑色になっています。) こうして改めて文字として見ても、遊び心とポップさを感じて面白いです。
参考リンク:ロバート・インディアナのwikipedia
この辺は狭いので混雑感がありました。
<第4部 1980s/1990s 電子時代のタイポグラフィ:ポストモダンとDTP革命>
1980年代にはデザインが求められ、「ポストモダニズム」という流れが生まれました。歴史的な様式の引用や折衷的な表現が登場し、さらに90年代にアップルのパソコンが発売されるとその傾向が加速したそうです。ここにはそうした新しい流れの作品が並んでいました。
ポール・ランド 「アイ・ビー・エム」
「目、蜂、M」の絵と文字が並んでるポスターです。英語にして発音すると、Eye、Bee、Mですw 蜂の縞模様はIBMロゴの縞模様のようで、よく似合っています。なぞなぞみたいな発想ですが、思わずニヤリとしてしまうポスターでした。
福田繁雄 「狂言」
黒地に太い白の渦が巻いていて、渦の両端に足袋を履いた足が描かれているポスターです。非常に軽やかなステップを思わせ、洒落た感じがします。下には赤い字でKYOGENと書かれ、伝統ある狂言も現代的なセンスで表現されているように思いました。
五十嵐威暢 「EXPO'85」
機械か建物の図面のような立体的なオブジェが「EXPO」の文字の形になっているポスターです。上にはEXPO85、下にはつくば万博のマークが入っていました。これを文字と言うのか分かりませんが、ちょっと懐かしいので反応しましたw
浅葉克己 「アジアのタイポグラフィ」
ノートの罫線のようなものに、牛の角やウサギを思わせる象形文字が描かれたポスターです。ある意味、一番ストレートに文字の意味を感じるかなw 素朴さと先進的な雰囲気が混在する作品でした。
と言うことで、結構面白いポスターに出会うことが出来ましたが、もうちょっと説明が欲しいかな…。文字の力がテーマでしたが、絵の力の方に気が行ってたようにも思うので、ちょっと企画とは違う楽しみ方をしてしまったようにも思いますw 空いていればもっと咀嚼できたかも…。 私には難解でしたが、デザインを志す人には面白い展示だと思います。


【展覧名】
20世紀のポスター[タイポグラフィ]-デザインのちから・文字のちから-
【公式サイト】
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/typograph/index.html
【会場】東京都庭園美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】目黒駅(JR・東京メトロ) または 白金台駅(東京メトロ)
【会期】2011年01月29日~03月27日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
天気の悪い寒い日だったし、そんなに混んでいないだろうとたかをくくっていましたが、結構混んでて驚きました。若い人が多く、小さな部屋は人でごった返すくらいの人気ぶりでした。その為、ちょっと早足での鑑賞となりました。
さて、今回の展示ですが「タイポグラフィ」、つまり印刷物の文字の書体に関する展示となっています。冒頭にざっくりと1900年以降のタイポグラフィの流れについて説明されていて、それによると20世紀前半に構成主義やバウハウスに触発されて、シンプルな構造の「サンセリフ」という書体を中心にしたポスターが現れたそうです。その後、1950年~60年代のドイツやスイスでは画面を水平垂直に分割して文字や写真を構成する「グリッドシステム」が現れました。また、1960年~70年代のアメリカではヒッピー文化の中からサイケデリックな文字が生まれ、1980年~90年代はパソコンの登場で新たな時代を迎えたようです。 この展示ではそうした年代別に章が分かれ、110点程度ものポスターが並んでいました。詳しくは章ごとに気になった作品と共にご紹介していこうと思います。なお、今回の展示は難解な展示の割りに個々の作品の解説はあまり無かったので、私のてきとーな感想のみとなりますw
<第1部 1900s-1930s 読む文字から見る文字へ:タイポグラフィの革新>
タイポグラフィの起源は15世紀の活版印刷にまで遡るそうで、その後 書物に美しさが求められるようになってタイポグラフィと呼称されるようになりました。20世紀には「サンセリフ」=ゴシック体が生まれて奨励され、新しいタイポグラフィの流れはニュータイポグラフィと呼ばれて多くのデザイナーに影響を与えたそうです。ここにはそうした時代の様々なポスターが並んでいました。
エル・リシツキー 「ソヴィエト連邦展」 ★こちらで観られます
男女が並んで写っているポスターです。よく観ると2人の顔が重なっていて、男の左目と女の右目は1つの目となっています。頭には赤く「USSR」の文字があり、ソヴィエト時代のロシアの独特の雰囲気が出ていました。
参考記事;
ロシアの夢 1917-1937 革命から生活へ-ロシア・アヴァンギャルドのデザイン (埼玉県立近代美術館)
「カナダ・アニメーション映画名作選」と「無声時代ソビエト映画ポスター展」
ヴィルヘルム・デフケ 「"砂糖":ドイツ砂糖製造加工産業展」
蜂を幾何学的に簡略化して描いたポスターです。同じ太さのまま直角直線を使った文字は実直で読みやすい感じでした。
今回の展示は文字が主役ですが、絵の方も面白い作品が多かったりします。
ヴィルター・ケッヒ 「装飾のない形態展」
文字が集まってペンチやトンカチのような形になっているポスターです。文字の線の部分が非常に太く、圧迫されるような感じを受けました。力強いけどちょっと野暮ったいかもw
マックス・エルンスト 「シュルレアリスム国際展」
奇妙なものをもつ裸の男性像と指差す出が円を描くように描かれたポスターです。(意味不明ですみませんw 何せシュールな絵なので…) 真ん中に文字あり、2種類の文字が使われているようで、例えばNは縦横の比率が1:1くらいの軽やかな文字と、3:1くらいの迫ってくるような文字となっていました。ちょっと書体が違うだけで結構印象が違うのがよく分かりました。
参考記事:シュルレアリスム展 感想前編(国立新美術館)
A.M.カッサンドル 「キナ入り食前酒デュボネ」 ★こちらで観られます
直線や直角、半円など組み合わせてワインを注ぐ男が描かれた作品です。文字は少し太めで簡潔な印象を受けました。カッサンドルは大好きなので、この作品も気に入りました。
参考記事:
所蔵作品展 アール・デコ時代の工芸とデザイン (東京国立近代美術館 工芸館)
アール・ヌーヴォーのポスター芸術展 (松屋銀座)
<第2部 1940s/1950s タイポグラフィの国際化:モダンデザインの展開と商業広告の拡大>
ニュータイポグラフィの精神は第二次世界大戦の後、スイスで「国際様式」としてまとめあげられました。それには3つの特徴があるそうで、
①グリッドによる機能的な組版
②目的に適した画像と文字の使用
③サンセリフ体の使用
が挙げられていました。また、その一方では、1940~50年代はイラストレーションのポスターも盛んに作られていたそうで、その2つの傾向は時に融合しながら新たなポスターを生んでいったようです。
ケネス・ハーク 「すべてのニュースを正しく得よう」
枠に区切られて以下の文字が描かれたポスターです。
get all the news
and get it right
the New York Times
上段と中段は読みやすい文字で書かれているのですが、下段だけ装飾的な文字になっていて面白かったです。枠に収まっているところはグリッドの考えに似てるかも。
レイモン・サヴィニャック 「ダンロップ社」
車を運転するポーズの人が浮くように描かれ、4つのタイヤと予備のタイヤも浮いているように見えます。運転手とタイヤ以外の車が透明になった感じと言った方がわかりやすいかな。右上にはDUNLOPと社名が描かれていて、見覚えがある書体に思いました。
山城隆一 「森・林」
白地に「森」と「林」という漢字が大小様々に沢山書かれたポスターです。ちょっと怖いくらい並んでいますが、密集しているところは森っぽさが出ていて面白かったですw
マックス・フーバー 「モンツァ・グランプリ」 ★こちらで観られます
何色かの矢印が左回りにカーブを描いて、レースのカーブを彷彿させるポスターです。上に書いてある文字も、左側は手前になっているように大きく右側は小さくなり、斜めに書かれていてスピード感を感じさせました。これは今回の展示の中でもかなり気に入りました。
1階はこの辺りで終わりです。2階への階段の踊り場にもポスターが展示されていました。バウハウスやダダ展のポスターだったかな。
参考記事:バウハウス・テイスト バウハウス・キッチン展 (パナソニック電工 汐留ミュージアム)
<第3部 1960s/1970s 躍動する文字と図像:大衆社会とタイポグラフィの連結>
1960年代になるとアメリカの学生運動の高まりや自由なファッション、ポップな音楽、ヒッピー文化などがポスターにも影響を与えたそうです。国際様式を学んだデザイナーの中からもタイポグラフィを再検討する動きが現れたのもこの頃だそうです。
横尾忠則 「大山デブコの犯罪」
歌舞伎で使われる「大入」の文字(勘亭流?)があり、白のほうに太めの女性が腋毛を見せるように包丁を振り上げている姿を描いたポスターです。ちょっと馬鹿馬鹿しい雰囲気かなw 背景には富士山とかステレオタイプな日本のイメージ風景が広がりますw 右側には「次の職業の方はご招待」と書かれ、自衛隊、ストリッパー、立ちんぼ、などなどが挙げられていたり、特別出演に「アフリカ黒人」と書かれているなどおふざけな感じがするポスターでした。まあ、タイトルもからしてふざけてますねw
ウェス・ウィルソン 「グレイトフル・デッド、ジェームズ・コットン・ブルース・バンド、ローター&ザ・ハンド・ピープルのロック・コンサート」
ピースマークの車輪のようなものを持つフードを被った女性を描いた作品で、曲線がどこかアールヌーボー的な感じを受けます。ぐにゃぐにゃした文字は古代遺跡の文字みたいな印象を受けました。これも結構好みかな。この辺にはウェス・ウィルソンの作品が5~6点並んでいました。
ロバート・インディアナ 「ロバート・インディアナ[LOVE]展」
新宿にもあるロバート・インディアナの「LOVE」の彫刻をそのままポスターにしたような作品です。(ポスターでは青地に緑色になっています。) こうして改めて文字として見ても、遊び心とポップさを感じて面白いです。
参考リンク:ロバート・インディアナのwikipedia
この辺は狭いので混雑感がありました。
<第4部 1980s/1990s 電子時代のタイポグラフィ:ポストモダンとDTP革命>
1980年代にはデザインが求められ、「ポストモダニズム」という流れが生まれました。歴史的な様式の引用や折衷的な表現が登場し、さらに90年代にアップルのパソコンが発売されるとその傾向が加速したそうです。ここにはそうした新しい流れの作品が並んでいました。
ポール・ランド 「アイ・ビー・エム」
「目、蜂、M」の絵と文字が並んでるポスターです。英語にして発音すると、Eye、Bee、Mですw 蜂の縞模様はIBMロゴの縞模様のようで、よく似合っています。なぞなぞみたいな発想ですが、思わずニヤリとしてしまうポスターでした。
福田繁雄 「狂言」
黒地に太い白の渦が巻いていて、渦の両端に足袋を履いた足が描かれているポスターです。非常に軽やかなステップを思わせ、洒落た感じがします。下には赤い字でKYOGENと書かれ、伝統ある狂言も現代的なセンスで表現されているように思いました。
五十嵐威暢 「EXPO'85」
機械か建物の図面のような立体的なオブジェが「EXPO」の文字の形になっているポスターです。上にはEXPO85、下にはつくば万博のマークが入っていました。これを文字と言うのか分かりませんが、ちょっと懐かしいので反応しましたw
浅葉克己 「アジアのタイポグラフィ」
ノートの罫線のようなものに、牛の角やウサギを思わせる象形文字が描かれたポスターです。ある意味、一番ストレートに文字の意味を感じるかなw 素朴さと先進的な雰囲気が混在する作品でした。
と言うことで、結構面白いポスターに出会うことが出来ましたが、もうちょっと説明が欲しいかな…。文字の力がテーマでしたが、絵の力の方に気が行ってたようにも思うので、ちょっと企画とは違う楽しみ方をしてしまったようにも思いますw 空いていればもっと咀嚼できたかも…。 私には難解でしたが、デザインを志す人には面白い展示だと思います。
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この前の日曜日に、白金台近くの畠山記念館で「生誕250年 酒井抱一 -琳派の華-」を再び観てきました。以前ご紹介したのは前期展示で、今回は後期展示となります。
参考記事:生誕250年 酒井抱一 -琳派の華- (畠山記念館)

【展覧名】
生誕250年 酒井抱一 -琳派の華-
【公式サイト】
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/display/2010/winter.html
【会場】畠山記念館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】高輪台駅、白金台駅、五反田駅、目黒駅など
【会期】2011年1月22日(土)~3月21日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前期の時よりお客さんが多いようでしたが、それでも混んでいるという程でもなく自分のペースで鑑賞することができました。
内容についてですが、以前のご紹介したのと同様に充実度を③にしたのは全体の作品点数が少ないためです。今回は書画の展示は前期とほぼ入れ替わっているようで、小展とは言え見応えがあります。後期も抱一だけでなく宗達、光琳、其一などの作品があり、琳派展と言ったほうが合っているかも。詳しくは気に入った作品を通じてご紹介しようと思います。
参考リンク:この展示の出品リスト(pdf)
尾形光琳 「布袋図」
水墨の掛け軸です。右手で杖を突いて、左手で大きな袋を担ぐ布袋様が描かれています。非常に伸びやかで簡潔な線を使って描かれていて、表情はにこやかで親しみが沸きました。シンプルにすらっと描くというのが一番難しそう…。軽やかな筆さばきに感心する作品でした。
酒井抱一 「風神雷神図」 ★こちらで観られます(pdf)
言わずと知れた風神雷神図を2幅セットの掛け軸にした作品です。右幅には絵の下部にうえを見上げるような風神、左幅には上部に下を見下ろすような雷神が描かれています。互いに目を合わせるような間隔で展示されていました。つい先日に出光美術館で観た酒井抱一「風神雷神図屏風」ではお互いに視線を合わせていなかったので、同じ抱一の風神雷神でも趣向が色々違っているように思います。手本にした光琳の風神雷神図屏風と比べても題材以外はオリジナルな所が多いです。 見ていると、右隻は上から下に向かう風、左隻は下から上に吹き上がる風が吹いているように感じられるのも面白かったです。こういうのは掛け軸ならではの楽しみかな。
参考記事:
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第1部 煌めく金の世界 (出光美術館)
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 (出光美術館)
本館リニューアル記念 特別公開 (東京国立博物館 本館)
この近くには乾山の画などもありました。
鈴木其一 「向日葵図」
直立して真正面を向いた大輪のヒマワリです。葉っぱもリズミカルで、ちょっとうそ臭いくらい整然としています。葉っぱには垂らしこみの技法が使われ、花の色は少し薄いですが生命力を感じました。
尾形光琳 「紅葵花蒔絵硯箱」
螺鈿を使った蒔絵の硯箱です。草花が単純化された意匠で、花の部分が螺鈿になっています。ちょっと黒ずんでいるところがあるのは元々なのか黒くなったのか分かりませんが、全体的に格調を感じる作品でした。
酒井抱一 「月波草花図」 ★こちらで観られます(pdf)
3幅対の掛け軸で、右から「野原蟷螂図」 「波上明月図」 「水草蜻蛉図」となっています。まず野原蟷螂図は桔梗とススキ、その上に乗ったカマキリが描かれています。秋の風情が出てるかな。 真ん中の 「波上明月図」には激しくうねる波と、その上に浮かぶ大きな月が描かれ、静と動が同居しているようでした。「水草蜻蛉図」は杜若とその上に止まるトンボが描かれ、色合いと軽やかな葉っぱが優美な雰囲気でした。1幅ずつでも素晴らしいと思いますが、3幅並んでいると壮観です。
酒井抱一 「十二ヶ月花鳥図」 ★こちらで観られます(pdf)
前期は1~6月の図が並んでいましたが、後期は7~12月の6図が並んでいました。いずれもその月を連想する花鳥が描かれていて、特に気に入ったのは11月の「芦に鴛鴦」でした。 緩やかな曲線を描く芦の下、2羽のオシドリが寄り添っていて、周りには雪を思われる白が舞っています。水面は穏やかで寒さと静けさを感じさせました。
この辺りには乾山の器・皿なども並んでいます。
酒井抱一 「立雛図」
両手を広げた男雛とそれに寄り添うような女雛を描いた掛け軸です。どちらも赤の模様と緑の松の柄の着物を着ています。上部には窓のように山々の風景が描かれていて、和歌が詠まれていました。色鮮やかでモチーフも面白いし、この時期にぴったりかな。隣には雛人形も飾ってありました。
本阿弥光悦・俵屋宗達 「金銀泥薄下絵古今集和歌巻」
細く軽やかな金銀のススキと、そこに描かれた光悦の書です。似たような作品は何度か見ていますが、こちらは意外と簡素で下絵のようでした。
ということで、今回もだいぶ楽しんできました。今年は琳派の展示が多くて本当に嬉しいです。4月中旬からは根津美術館で「KORIN展 国宝 燕子花図 とメトロポリタン美術館所蔵 八橋図」も始まりますので、今年の前半は琳派を大いに楽しめるかと思います。琳派好きの方はこの展示も見ておいて損はないと思います。
参考記事:生誕250年 酒井抱一 -琳派の華- (畠山記念館)


【展覧名】
生誕250年 酒井抱一 -琳派の華-
【公式サイト】
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/display/2010/winter.html
【会場】畠山記念館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】高輪台駅、白金台駅、五反田駅、目黒駅など
【会期】2011年1月22日(土)~3月21日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前期の時よりお客さんが多いようでしたが、それでも混んでいるという程でもなく自分のペースで鑑賞することができました。
内容についてですが、以前のご紹介したのと同様に充実度を③にしたのは全体の作品点数が少ないためです。今回は書画の展示は前期とほぼ入れ替わっているようで、小展とは言え見応えがあります。後期も抱一だけでなく宗達、光琳、其一などの作品があり、琳派展と言ったほうが合っているかも。詳しくは気に入った作品を通じてご紹介しようと思います。
参考リンク:この展示の出品リスト(pdf)
尾形光琳 「布袋図」
水墨の掛け軸です。右手で杖を突いて、左手で大きな袋を担ぐ布袋様が描かれています。非常に伸びやかで簡潔な線を使って描かれていて、表情はにこやかで親しみが沸きました。シンプルにすらっと描くというのが一番難しそう…。軽やかな筆さばきに感心する作品でした。
酒井抱一 「風神雷神図」 ★こちらで観られます(pdf)
言わずと知れた風神雷神図を2幅セットの掛け軸にした作品です。右幅には絵の下部にうえを見上げるような風神、左幅には上部に下を見下ろすような雷神が描かれています。互いに目を合わせるような間隔で展示されていました。つい先日に出光美術館で観た酒井抱一「風神雷神図屏風」ではお互いに視線を合わせていなかったので、同じ抱一の風神雷神でも趣向が色々違っているように思います。手本にした光琳の風神雷神図屏風と比べても題材以外はオリジナルな所が多いです。 見ていると、右隻は上から下に向かう風、左隻は下から上に吹き上がる風が吹いているように感じられるのも面白かったです。こういうのは掛け軸ならではの楽しみかな。
参考記事:
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第1部 煌めく金の世界 (出光美術館)
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 (出光美術館)
本館リニューアル記念 特別公開 (東京国立博物館 本館)
この近くには乾山の画などもありました。
鈴木其一 「向日葵図」
直立して真正面を向いた大輪のヒマワリです。葉っぱもリズミカルで、ちょっとうそ臭いくらい整然としています。葉っぱには垂らしこみの技法が使われ、花の色は少し薄いですが生命力を感じました。
尾形光琳 「紅葵花蒔絵硯箱」
螺鈿を使った蒔絵の硯箱です。草花が単純化された意匠で、花の部分が螺鈿になっています。ちょっと黒ずんでいるところがあるのは元々なのか黒くなったのか分かりませんが、全体的に格調を感じる作品でした。
酒井抱一 「月波草花図」 ★こちらで観られます(pdf)
3幅対の掛け軸で、右から「野原蟷螂図」 「波上明月図」 「水草蜻蛉図」となっています。まず野原蟷螂図は桔梗とススキ、その上に乗ったカマキリが描かれています。秋の風情が出てるかな。 真ん中の 「波上明月図」には激しくうねる波と、その上に浮かぶ大きな月が描かれ、静と動が同居しているようでした。「水草蜻蛉図」は杜若とその上に止まるトンボが描かれ、色合いと軽やかな葉っぱが優美な雰囲気でした。1幅ずつでも素晴らしいと思いますが、3幅並んでいると壮観です。
酒井抱一 「十二ヶ月花鳥図」 ★こちらで観られます(pdf)
前期は1~6月の図が並んでいましたが、後期は7~12月の6図が並んでいました。いずれもその月を連想する花鳥が描かれていて、特に気に入ったのは11月の「芦に鴛鴦」でした。 緩やかな曲線を描く芦の下、2羽のオシドリが寄り添っていて、周りには雪を思われる白が舞っています。水面は穏やかで寒さと静けさを感じさせました。
この辺りには乾山の器・皿なども並んでいます。
酒井抱一 「立雛図」
両手を広げた男雛とそれに寄り添うような女雛を描いた掛け軸です。どちらも赤の模様と緑の松の柄の着物を着ています。上部には窓のように山々の風景が描かれていて、和歌が詠まれていました。色鮮やかでモチーフも面白いし、この時期にぴったりかな。隣には雛人形も飾ってありました。
本阿弥光悦・俵屋宗達 「金銀泥薄下絵古今集和歌巻」
細く軽やかな金銀のススキと、そこに描かれた光悦の書です。似たような作品は何度か見ていますが、こちらは意外と簡素で下絵のようでした。
ということで、今回もだいぶ楽しんできました。今年は琳派の展示が多くて本当に嬉しいです。4月中旬からは根津美術館で「KORIN展 国宝 燕子花図 とメトロポリタン美術館所蔵 八橋図」も始まりますので、今年の前半は琳派を大いに楽しめるかと思います。琳派好きの方はこの展示も見ておいて損はないと思います。
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先日、地元の映画館で映画「RED/レッド」を観てきました。もう少しで公開終了になってしまうみたいですが、予想以上に面白い作品だったのでご紹介しておこうと思います。

【作品名】
RED/レッド
【公式サイト】
http://www.movies.co.jp/red/
【時間】
1時間50分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
私が行った映画館では1日に1回しか上映していない状態だったこともあり、結構席が埋まっていて盛況なようでした。
この映画はスパイもので、言わずと知れたブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、イギリス女優のヘレン・ミレン、ちょっと渋めのジョン・マルコビッチなど、面子が気になったので観に行きました。 役者の平均年齢が高いなと思っていたら、リタイアしたスパイが往年の活躍を見せるという内容ですw この面子ならシリアスなものになってもおかしくないと思いますが、実際にはあちこちでコメディの要素があって、ぶっ飛んだ笑いのある作品でした。途中、観客席からは笑い声が上がることも多々あり、笑いの要素はかなり楽しめます。(何しろキャラクターがイカれてて面白いw)
勿論、肝心のスパイ要素も中々見応えがあり、主役級は役者としての衰えを感じさせません。 また、映像だけでなく劇中のサントラにはエアロスミスの曲などが使われ、ノリの良い雰囲気で退屈することがありませんでした。
ということで、かなり楽しめる作品でした。良い意味でB級っぽくて観終わった後の爽快感は中々ですw ちょっと観にいったのが遅かったですが、お勧めのアクション映画です。

【作品名】
RED/レッド
【公式サイト】
http://www.movies.co.jp/red/
【時間】
1時間50分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
私が行った映画館では1日に1回しか上映していない状態だったこともあり、結構席が埋まっていて盛況なようでした。
この映画はスパイもので、言わずと知れたブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、イギリス女優のヘレン・ミレン、ちょっと渋めのジョン・マルコビッチなど、面子が気になったので観に行きました。 役者の平均年齢が高いなと思っていたら、リタイアしたスパイが往年の活躍を見せるという内容ですw この面子ならシリアスなものになってもおかしくないと思いますが、実際にはあちこちでコメディの要素があって、ぶっ飛んだ笑いのある作品でした。途中、観客席からは笑い声が上がることも多々あり、笑いの要素はかなり楽しめます。(何しろキャラクターがイカれてて面白いw)
勿論、肝心のスパイ要素も中々見応えがあり、主役級は役者としての衰えを感じさせません。 また、映像だけでなく劇中のサントラにはエアロスミスの曲などが使われ、ノリの良い雰囲気で退屈することがありませんでした。
ということで、かなり楽しめる作品でした。良い意味でB級っぽくて観終わった後の爽快感は中々ですw ちょっと観にいったのが遅かったですが、お勧めのアクション映画です。
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前回までご紹介していた東京国立近代美術館の展示を観た後、竹橋の駅ビルの中にある「マクロビオティックレストラン KUSHI GARDEN (クシ・ガーデン)」というお店でお茶してきました。

【店名】
マクロビオティックレストラン KUSHI GARDEN (クシ・ガーデン)
【ジャンル】
カフェ・レストラン
【公式サイト】
http://www.kushi-garden.com/
食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13000155/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。確か日曜祝日は休みです
【最寄駅】
東西線竹橋駅 (駅ビルの中です)
【近くの美術館】
東京国立近代美術館、東京国立近代美術館工芸館、
宮内庁三の丸尚蔵館、科学技術館 北の丸公園など
【この日にかかった1人の費用】
900円程度
【味】
不味_1_2_③_4_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日17時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_③_4_5_名店
【感想】
お茶には遅く夕飯には早い時間に行ったせいか、あまり混んでおらず、ゆったりすることができました。
私はまったく拘りは無いのですがこのお店は「マクロビオティック」を標榜するお店のようで、マクロビオティックとは?みたいなのが店内に書かれていました。公式ページによると、マクロ=大きい、ビオ=生命、ティック=術 のことだそうで、ギリシャ語で「大いなる生命術」を意味しているそうです。 wikipediaを読むと日本で生まれた一種の思想か宗教みたいなものかな。とりあえず、健康に良いものを出すのは理解できました。
参考リンク:マクロビオティックのwikipedia
店内はこんな感じで、静かで落ち着いています。

お勧めとなっていたアップルパイは売り切れてたので、この日はガトーショコラとコーヒーを注文しました。
まずはコーヒー(400円) コロンビア・メキシコ産の有機栽培のコーヒーだそうです。

香りは形容しがたい未知の匂いでした。実際に飲んで見るとあまり苦味や酸味はなく、後味が軽やかで自然な甘味まで感じます。結構美味しいです。
続いてこちらは豆腐のガトーショコラ (値段は忘れましたが400~500円くらいだったと思います。)

フォークで突付くとぼろっと崩れやすく、食べるとぺったりする感じです。食べづらくて食感は微妙…。後味が豆腐っぽいだけに、チョコ風味のおからを食べてる気分になるかもw 味自体は濃厚で美味しいですが、代用品って感じは否めませんでした。
ということで、コーヒーは美味しかったですがガトーショコラは好みではありませんでした。味より健康が大事な人やいつもマクロビオティックの食事をしている人には良いかもしれません。(1回行っただけじゃ効果は無いかもw)
電子レンジとかも使わないと書いてあったのですが、マクロビオティックのルールは厳しいんですね。

【店名】
マクロビオティックレストラン KUSHI GARDEN (クシ・ガーデン)
【ジャンル】
カフェ・レストラン
【公式サイト】
http://www.kushi-garden.com/
食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13000155/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。確か日曜祝日は休みです
【最寄駅】
東西線竹橋駅 (駅ビルの中です)
【近くの美術館】
東京国立近代美術館、東京国立近代美術館工芸館、
宮内庁三の丸尚蔵館、科学技術館 北の丸公園など
【この日にかかった1人の費用】
900円程度
【味】
不味_1_2_③_4_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日17時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_③_4_5_名店
【感想】
お茶には遅く夕飯には早い時間に行ったせいか、あまり混んでおらず、ゆったりすることができました。
私はまったく拘りは無いのですがこのお店は「マクロビオティック」を標榜するお店のようで、マクロビオティックとは?みたいなのが店内に書かれていました。公式ページによると、マクロ=大きい、ビオ=生命、ティック=術 のことだそうで、ギリシャ語で「大いなる生命術」を意味しているそうです。 wikipediaを読むと日本で生まれた一種の思想か宗教みたいなものかな。とりあえず、健康に良いものを出すのは理解できました。
参考リンク:マクロビオティックのwikipedia
店内はこんな感じで、静かで落ち着いています。

お勧めとなっていたアップルパイは売り切れてたので、この日はガトーショコラとコーヒーを注文しました。
まずはコーヒー(400円) コロンビア・メキシコ産の有機栽培のコーヒーだそうです。

香りは形容しがたい未知の匂いでした。実際に飲んで見るとあまり苦味や酸味はなく、後味が軽やかで自然な甘味まで感じます。結構美味しいです。
続いてこちらは豆腐のガトーショコラ (値段は忘れましたが400~500円くらいだったと思います。)

フォークで突付くとぼろっと崩れやすく、食べるとぺったりする感じです。食べづらくて食感は微妙…。後味が豆腐っぽいだけに、チョコ風味のおからを食べてる気分になるかもw 味自体は濃厚で美味しいですが、代用品って感じは否めませんでした。
ということで、コーヒーは美味しかったですがガトーショコラは好みではありませんでした。味より健康が大事な人やいつもマクロビオティックの食事をしている人には良いかもしれません。(1回行っただけじゃ効果は無いかもw)
電子レンジとかも使わないと書いてあったのですが、マクロビオティックのルールは厳しいんですね。
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前回ご紹介した日本画の前衛展を観た後、常設展を観てきました。何枚か写真を撮ってきましたので、いくつか気に入った作品を写真でご紹介しようと思います。(既に展示されていない作品も多いと思いますが…)

ここは事前に受付で写真撮影の許可を貰ってルールを守れば撮影可能です。(中には撮影してはいけない作品もあります。)
詳しくはこちら
※掲載に問題がある場合はお知らせください。即刻掲載を下ろします。
参考記事:
東京国立近代美術館の案内 (2010年09月)
東京国立近代美術館の案内 (2010年05月)
東京国立近代美術館の案内 (2010年04月)
東京国立近代美術館の案内 (2010年02月)
東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)
藤島武二 「うつつ」

こっちを観る目がちょっと憂鬱そうに見えるけどタイトルから察すると眠いんですかねw
岸田劉生 「[天地創造]より 1.欲望」

岸田劉生のキリスト教を題材にした銅板画も3点ありました。油彩とだいぶ違ってキャラクターみたい…。岸田劉生は後の方に日本画もありました。
安田 靫彦 「保食神」

保食神は日本書紀に登場する五穀豊穣を司る神だそうです。薄い色彩ですらっとした雰囲気でした。
冨田溪仙 「那智瀧」

平家物語で文覚上人が修行した話を題材にした作品。死にそうになっているときに二童子に助けられたそうです。下の方で死に掛けてるのが文覚上人かな。明王と二童子はちょっと愛嬌があって好みです。
速水御舟 「門(名主の家)」

速水御舟は色々な作風がありますが、これもかなり好み。幾何学的な形が多い中、柔らかめな色合いでした。
参考記事:速水御舟展 -日本画への挑戦- (山種美術館)
カジミール・セヴェリノヴィチ・マレーヴィチ 「黒い正方形と白い管状の形態」

マレーヴィチのスケッチもありました。凹の字を四角で囲っただけのような…。マレーヴィチならではの先進的な作品でした。
参考記事:ロシアの夢 1917-1937 革命から生活へ-ロシア・アヴァンギャルドのデザイン (埼玉県立近代美術館)
パウル・クレー 「山への衝動」

色合いが面白い作品。山を描いた作品なのかな?? 手前は機関車のように見えるのは気のせいでしょうか。
イヴ・タンギー 「聾者の耳」

砂漠に置かれた不可思議なオブジェの数々、空と地上の境目が曖昧な感じなど、風景のような抽象のようなシュールな感じが素晴らしい。
参考記事:シュルレアリスム展 感想後編(国立新美術館)
藤田嗣治 「猫」

藤田は猫の絵が多いですが、この絵は猫だらけ!w みんな生き生きして野生の一面を見せていますね。
佐伯祐三 「モランの寺」

佐伯の絵は何でも好きなくらいの勢いです。この色合いが独特で風格を感じました。結構安定感があるかも。
棟方志功 「二菩薩釈迦十大弟子」

6曲1双の屏風にしたてられた十大弟子と二菩薩。目の前にすると圧倒されます。
前田青邨 「猫」

こちらも猫の絵。画面の右側の空白をじ~~っと見てるのが気になります。
梅原龍三郎 「城山」

緑が目に鮮やかで好みです。下の方の家がリズミカルに感じました。
小出楢重 「蔬菜静物」

この静物も素晴らしい。見ているだけで楽しくなる色使いです。
安井曽太郎 「安倍能成像」

腕を組んで座る初老の男性。ちょっと歪んだ表情を浮かべているようなw 話してるのかな??
参考記事:安井曾太郎の肖像画 (ブリヂストン美術館)
アレクサンドル・ロトチェンコ 「デモの見物人」

写真のコーナーは「路上」という特集で、ロトチェンコの写真もありました。幾何学的に並んだ人を上から見ている人をさらに上から撮るの図ですw 非常に面白い写真でした。
参考記事:ロトチェンコ+ステパーノワーロシア構成主義のまなざし (東京都庭園美術館)
松本竣介 「Y市の橋」

以前、岩手の記事で同名の作品をご紹介した際、似た作品をどこで観たか思い出せないと書きましたが、ここでしたw 比べてみると視点も違うし、背景の家がある点も違うかな。
参考記事:岩手県立美術館の案内 (番外編 岩手)
加山又造 「冬」

直感的にピーテル・ブリューゲルの絵を思い起こす冬の情景。大きめの作品で、厳しくも雄大な自然の力を感じます。
デニス・オッペンハイム 「二段階の伝達ドローイング(未来の状態への前進・過去の状態への回帰)」

これは一昨年あたりにこの美術館で観た覚えがある映像作品。意志伝達の難しさを感じる映像です。
参考記事:ヴィデオを待ちながら 映像、60年代から今日へ (東京国立近代美術館)
2Fの特集は「栄木正敏のセラミック・デザイン - リズム&ウェーブ」というコーナーでした。(こちらも既に終了)

こちらはすらりとした印象を受ける器が展示されていました。非常に洗練されていて造詣の美しさを感じました。
ということで今回もかなり楽しむことができました。勿論、今回ご紹介しなかった作品も素晴らしいものが多いので、ここには常設目当てで行っても良いくらいです。 東京国立近代美術館に行く機会があったら、常設もじっくり観ることをお勧めします。

ここは事前に受付で写真撮影の許可を貰ってルールを守れば撮影可能です。(中には撮影してはいけない作品もあります。)
詳しくはこちら
※掲載に問題がある場合はお知らせください。即刻掲載を下ろします。
参考記事:
東京国立近代美術館の案内 (2010年09月)
東京国立近代美術館の案内 (2010年05月)
東京国立近代美術館の案内 (2010年04月)
東京国立近代美術館の案内 (2010年02月)
東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)
藤島武二 「うつつ」

こっちを観る目がちょっと憂鬱そうに見えるけどタイトルから察すると眠いんですかねw
岸田劉生 「[天地創造]より 1.欲望」

岸田劉生のキリスト教を題材にした銅板画も3点ありました。油彩とだいぶ違ってキャラクターみたい…。岸田劉生は後の方に日本画もありました。
安田 靫彦 「保食神」

保食神は日本書紀に登場する五穀豊穣を司る神だそうです。薄い色彩ですらっとした雰囲気でした。
冨田溪仙 「那智瀧」

平家物語で文覚上人が修行した話を題材にした作品。死にそうになっているときに二童子に助けられたそうです。下の方で死に掛けてるのが文覚上人かな。明王と二童子はちょっと愛嬌があって好みです。
速水御舟 「門(名主の家)」

速水御舟は色々な作風がありますが、これもかなり好み。幾何学的な形が多い中、柔らかめな色合いでした。
参考記事:速水御舟展 -日本画への挑戦- (山種美術館)
カジミール・セヴェリノヴィチ・マレーヴィチ 「黒い正方形と白い管状の形態」

マレーヴィチのスケッチもありました。凹の字を四角で囲っただけのような…。マレーヴィチならではの先進的な作品でした。
参考記事:ロシアの夢 1917-1937 革命から生活へ-ロシア・アヴァンギャルドのデザイン (埼玉県立近代美術館)
パウル・クレー 「山への衝動」

色合いが面白い作品。山を描いた作品なのかな?? 手前は機関車のように見えるのは気のせいでしょうか。
イヴ・タンギー 「聾者の耳」

砂漠に置かれた不可思議なオブジェの数々、空と地上の境目が曖昧な感じなど、風景のような抽象のようなシュールな感じが素晴らしい。
参考記事:シュルレアリスム展 感想後編(国立新美術館)
藤田嗣治 「猫」

藤田は猫の絵が多いですが、この絵は猫だらけ!w みんな生き生きして野生の一面を見せていますね。
佐伯祐三 「モランの寺」

佐伯の絵は何でも好きなくらいの勢いです。この色合いが独特で風格を感じました。結構安定感があるかも。
棟方志功 「二菩薩釈迦十大弟子」

6曲1双の屏風にしたてられた十大弟子と二菩薩。目の前にすると圧倒されます。
前田青邨 「猫」

こちらも猫の絵。画面の右側の空白をじ~~っと見てるのが気になります。
梅原龍三郎 「城山」

緑が目に鮮やかで好みです。下の方の家がリズミカルに感じました。
小出楢重 「蔬菜静物」

この静物も素晴らしい。見ているだけで楽しくなる色使いです。
安井曽太郎 「安倍能成像」

腕を組んで座る初老の男性。ちょっと歪んだ表情を浮かべているようなw 話してるのかな??
参考記事:安井曾太郎の肖像画 (ブリヂストン美術館)
アレクサンドル・ロトチェンコ 「デモの見物人」

写真のコーナーは「路上」という特集で、ロトチェンコの写真もありました。幾何学的に並んだ人を上から見ている人をさらに上から撮るの図ですw 非常に面白い写真でした。
参考記事:ロトチェンコ+ステパーノワーロシア構成主義のまなざし (東京都庭園美術館)
松本竣介 「Y市の橋」

以前、岩手の記事で同名の作品をご紹介した際、似た作品をどこで観たか思い出せないと書きましたが、ここでしたw 比べてみると視点も違うし、背景の家がある点も違うかな。
参考記事:岩手県立美術館の案内 (番外編 岩手)
加山又造 「冬」

直感的にピーテル・ブリューゲルの絵を思い起こす冬の情景。大きめの作品で、厳しくも雄大な自然の力を感じます。
デニス・オッペンハイム 「二段階の伝達ドローイング(未来の状態への前進・過去の状態への回帰)」

これは一昨年あたりにこの美術館で観た覚えがある映像作品。意志伝達の難しさを感じる映像です。
参考記事:ヴィデオを待ちながら 映像、60年代から今日へ (東京国立近代美術館)
2Fの特集は「栄木正敏のセラミック・デザイン - リズム&ウェーブ」というコーナーでした。(こちらも既に終了)


こちらはすらりとした印象を受ける器が展示されていました。非常に洗練されていて造詣の美しさを感じました。
ということで今回もかなり楽しむことができました。勿論、今回ご紹介しなかった作品も素晴らしいものが多いので、ここには常設目当てで行っても良いくらいです。 東京国立近代美術館に行く機会があったら、常設もじっくり観ることをお勧めします。
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前回ご紹介した東京国立近代美術館工芸館の展示を観た後、企画展ギャラリーで「日本画の前衛 1938-1949」を観てきました。既に終了して1週間ほど経っていますが、参考になる内容でしたので一応ご紹介しておこうと思います。

【展覧名】
「日本画」の前衛 1938-1949
【公式サイト】
http://www.momat.go.jp/Honkan/Avantgarde_of_Nihonga/index.html
【会場】東京国立近代美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】東京メトロ東西線 竹橋駅
【会期】2011年1月8日(土)~2月13日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
最終日の1日前に行ったせいか、結構混みあっていました。今回の展示は日本画の前衛と言うことで、1930年代に起こった美術運動を紹介する展示でした。私はまったく知らなかった運動だったので、非常に目新しく斬新なものを感じました。 主に「歴程美術協会」という団体を中心に、その成り立ちから戦後にかけて、活動の流れを一気に知ることができる内容となっていました。詳しくは各章ごとに気になった作品を通じてご紹介していこうと思います。
<Ⅰ.「日本画」前衛の登場> (★詳細な解説はこちら)
最初のコーナーは3点だけでした。まずは今回の展示がどういうものか分かるような趣旨かな。 いずれも山岡良文の作品で、抽象的な表現となっていました。
山岡良文 「シュパンヌンク」 ★こちらで観られます
まるで洋画のような作品で、1938年の第1回歴程美術協会展に出品された絵です。様々な色の三角や曲線が重なって牛?のような形を作っています。非常に抽象的かつ幾何学的で、意味は分かりませんが先進的な美しさがあります。解説によると「シュパンヌンク」というのはドイツ語で「緊張」という意味だそうで、この言葉はカンディンスキーがバウハウス時代に発表した著書のキーワードとなる言葉のようです。確かにカンディンスキーの影響も感じるかな。
参考記事:カンディンスキーと青騎士展 (三菱一号館美術館)
近くにはこれと似た「シュパンヌンク・袋戸棚小襖」という襖絵にした作品や、象というタイトルのもありました。(象はこちらで観られます)
<Ⅱ.前衛集団「歴程美術協会」の軌跡> (★詳細な解説はこちら)
1938年2月に、日本画家集団の新日本画研究会が新美術人協会へと発展し、新日本画研究会のメンバーで、西洋画の前衛集団(自由美術家協会)にも属していた山岡良文、岩橋英遠、船田玉樹、田口壮らは新しい表現を模索する団体の結成に動きました。そこに自由美術家協会に出品していた丸木位里、濱口陽三、四宮潤一らが加わって1938年4月に「歴程美術協会」が結成される運びとなります。歴程美術協会は抽象、シュルレアリスム、バウハウスなどに影響を受けながら、ジャンルを超えた自由な表現を認めていたそうで、やがて回を重ねるごとに刺繍や織物、襖、陶芸など綜合芸術運動を標榜するようになっていたようです。ここにはそうした歴程美術協会展に出品された作品が並んでいました。
山岡良文 「潮音の間襖」
4枚の襖絵です。深い青で渦巻くような潮の流れを表現しています。日本画というより西洋画のような感じですが、にじみなどは日本的な要素を感じました。
田口壮 「季節の停止」 ★こちらで観られます
全体に淡い色調で、うっすら描かれた山を背景に浮いて寝そべる人や浮いているような傘が描かれ、手前には緑の草原の上に白いテーブルがあります。テーブルの上には大きな蛾がピンで留められていて、標本にされているようでした。 非常に奇妙な光景でシュルレアリスム的なものを感じました。色合いのせいか軽やかな感じもするかな。
山岡良文 「朝鮮古廟:蒼龍図・白虎図・持送天人図」
白を背景に赤や紫の縦長の長方形や緑のうねった尾などが描かれた抽象的な作品です。カンディンスキーを彷彿しました。解説によると朝鮮の古代の社にインスピレーションを得たそうですが、山岡自身は朝鮮には行ったことがないようです。色のリズムが楽しい作品でした。
船田玉樹 「花の夕」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている4曲の屏風作品です。大きな木に白、ピンク、濃いピンクの3色の花がボタボタ垂れるように描かれています。解説によると構成は琳派風らしく、革新だけではなく伝統にも通じているようです。色鮮やかで圧倒される作品でした。
この辺は屏風が並ぶコーナーでした。扇面散らしをモチーフにした作品など伝統的なモチーフの作品もあるのですが、ここまで来て「日本画」とはどういうものを指すのか分からなくなりましたw とりあえず題材だけでは無さそうですね…。そういった発想を飛び越えて行っているのがよくわかります。 なお、この頃の日本の世相は国家総動員法や灯火統制が行われるなど、太平洋戦争に向かっていく不穏な時代でした。そんな中でこうした前衛芸術を貫いていたことに非常に驚きました。
<Ⅲ.「洋画」との交錯、「日本画と洋画」のはざまに> (★詳細な解説はこちら)
第1回の「歴程美術協会展」には洋画家も数多く会場に訪れていたそうで、当時のモダニズムの空気もあって洋画と表現が重なるものだったようです。ここではモダニズム的傾向の中から、日本画の革新表現としてのシュルレアリスム、バウハウス的抽象、抽象日本画など、日本画と洋画の狭間の作品が並んでいました。
山岡良文 「窓辺の静物」
テーブルに置かれたメロンや白いてすり?のようなものが描かれた作品です。単純化されたメロンは置かれているのか画中画なのかわかりません。シュルレアリスム的にも見えるけど、形態はキュビスム風にも思えました。日本画との狭間というより完全に洋画に見えますw
山岡良文 「消費都市」
立方体を重ねたような街の中、何人かの人々が描かれた作品です。幾何学的でキュビスムっぽくさもあるかな。所々に新聞が張られたような表現があって、コラージュのような感じも受けました。
船田玉樹 「紅梅(利休像)」
梅を持った利休を描いた作品です。畳に座ってたらいに向かっていて、画面には水平、垂直、円が多く使われ幾何学的な雰囲気があります。利休自身も三角形に見えるかな。 色も強く、響き合うような感じでした。解説によると松雄芭蕉の絵とセットだったそうですが、芭蕉のほうは戦災で焼けてしまったそうです。
岩橋英遠 「森」
抽象化された森を描いた作品です。湖面とその上舞う蝶、奇怪な形をした木々などが描かれ、どことなくエルンストの作風に似ている気がします。少し怖さも感じるシュールな作品でした。
この辺には屏風の作品が3点ありました。ピカソのゲルニカを意識した吉岡堅二の「馬」なども好みでした。
丸木位里 「紅葉」
渓谷を背景に楓の紅葉が描かれた作品です。赤が霞むように描かれ、楓の1枚1枚は単純化されています。幻想的で伝統も感じるように思いました。
北脇昇 「周易解離図(八卦)」
白地を背景に、カラフルな円や曲線が並び、所々に八卦とか方位と書かれた本が描かれています。中央にはコンパスがあり、東洋の易学と西洋的感覚を融合したような作品でした。
この辺には幾何学的な作品が並び、抽象画のコーナーのようでした。
<Ⅳ.戦禍の記憶> (★詳細な解説はこちら)
戦争の時代になると歴程美術協会展にも戦争画が多くなっていったそうです。その中でも日本画の可能性に挑戦するものの、やがて戦争に召集される作家も現れ、作品も失われていってしまったようです…。このコーナーにはそうした戦禍を感じさせる作品が並んでいました。
山崎隆 「歴史」
第2回歴程美術協会展で歴程美術協会賞を受賞した作品です。黒い迫力のある岸壁の中腹に、幾何学的な白い要塞のような建物が描かれています。建物の上には赤い旗も見えているのですが、この旗が問題視され作者にも圧力がかかったそうです。(赤は共産主義の象徴だからでしょうか) 白い建物が超然とした雰囲気でした。
山崎隆 「神話」
6曲1双の屏風です。右隻には首の無いギリシャ彫刻のようなものや岩の洞窟から見える海などが描かれ、左隻には空に浮かぶ神殿のようなものや、牛のあたまなどが描かれています。意味は分かりませんが、落ち着いた色合いで静けさと死を感じました。
この辺には屏風作品が並んでいました。
山崎隆 「戦地の印象」
白い空と茶色やくすんだ緑が混じる荒涼とした風景が広がる屏風です。不毛という言葉しか浮かばない寂しい印象を受けました。山崎隆は実際に戦地に行って負傷し、召集解除になった経緯があるそうです。戦地の辛さが出ているようでした。
吉岡堅二 「ブラカンマティ要塞の爆撃」
これは今回の展覧会で特に驚いた作品です。日本の戦闘機が舞い、眼下の要塞を真上から観たような構図の光景が広がっています。海岸線なども見えていて、結構な高度のようです。煙が軌道を描いているなど緊迫した雰囲気を感じました。
<Ⅴ.戦後の再生、「パンリアル」結成への道> (★詳細な解説はこちら)
戦後、歴程美術協会の再興を目指す動きがあり、1948年に山崎、三上誠が中心となって8人で「パンリアル」という集団が結成されました。日本画だけでなく陶芸や写真も含んだ綜合芸術運動として活動をしていたそうで、このコーナーにはパンリアルのメンバーの作品が並んでいました。
星野真吾 「肖像」
真っ暗な背景に木の机に乗った女性の肖像画です。左のほうは机からはみ出しているかな。絵は沢山の糸とピンで留められ、机には割れた器やハサミ、水の入ったコップなどが乗っています。右の方には天井から釣り下がった電灯のコード?があって、首吊りの紐かと思ったw 肖像画が遺影のように思えてくるくらい暗く死を連想するシュールな作品でした。
下村良之介 「疎開跡」
幾何学的な形のリズムで描かれたキュビスムを思わせる作品です。暗い茶色で町並みがかかれ、人の気配が無く死んだように静まり返っていました。暗い雰囲気が漂っていました。
ということで、知らなかった美術の流れを知ることが出来ました。戦中でも前衛的な美術を推し進めていたことに敬服するばかりです。見ているうちに日本画とは何か?というのが分からなくなってきましたが、今後の参考にもなる展覧会でした。
この後、いつもどおり常設も観てきました。次回はそれをご紹介しようと思います。


【展覧名】
「日本画」の前衛 1938-1949
【公式サイト】
http://www.momat.go.jp/Honkan/Avantgarde_of_Nihonga/index.html
【会場】東京国立近代美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】東京メトロ東西線 竹橋駅
【会期】2011年1月8日(土)~2月13日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
最終日の1日前に行ったせいか、結構混みあっていました。今回の展示は日本画の前衛と言うことで、1930年代に起こった美術運動を紹介する展示でした。私はまったく知らなかった運動だったので、非常に目新しく斬新なものを感じました。 主に「歴程美術協会」という団体を中心に、その成り立ちから戦後にかけて、活動の流れを一気に知ることができる内容となっていました。詳しくは各章ごとに気になった作品を通じてご紹介していこうと思います。
<Ⅰ.「日本画」前衛の登場> (★詳細な解説はこちら)
最初のコーナーは3点だけでした。まずは今回の展示がどういうものか分かるような趣旨かな。 いずれも山岡良文の作品で、抽象的な表現となっていました。
山岡良文 「シュパンヌンク」 ★こちらで観られます
まるで洋画のような作品で、1938年の第1回歴程美術協会展に出品された絵です。様々な色の三角や曲線が重なって牛?のような形を作っています。非常に抽象的かつ幾何学的で、意味は分かりませんが先進的な美しさがあります。解説によると「シュパンヌンク」というのはドイツ語で「緊張」という意味だそうで、この言葉はカンディンスキーがバウハウス時代に発表した著書のキーワードとなる言葉のようです。確かにカンディンスキーの影響も感じるかな。
参考記事:カンディンスキーと青騎士展 (三菱一号館美術館)
近くにはこれと似た「シュパンヌンク・袋戸棚小襖」という襖絵にした作品や、象というタイトルのもありました。(象はこちらで観られます)
<Ⅱ.前衛集団「歴程美術協会」の軌跡> (★詳細な解説はこちら)
1938年2月に、日本画家集団の新日本画研究会が新美術人協会へと発展し、新日本画研究会のメンバーで、西洋画の前衛集団(自由美術家協会)にも属していた山岡良文、岩橋英遠、船田玉樹、田口壮らは新しい表現を模索する団体の結成に動きました。そこに自由美術家協会に出品していた丸木位里、濱口陽三、四宮潤一らが加わって1938年4月に「歴程美術協会」が結成される運びとなります。歴程美術協会は抽象、シュルレアリスム、バウハウスなどに影響を受けながら、ジャンルを超えた自由な表現を認めていたそうで、やがて回を重ねるごとに刺繍や織物、襖、陶芸など綜合芸術運動を標榜するようになっていたようです。ここにはそうした歴程美術協会展に出品された作品が並んでいました。
山岡良文 「潮音の間襖」
4枚の襖絵です。深い青で渦巻くような潮の流れを表現しています。日本画というより西洋画のような感じですが、にじみなどは日本的な要素を感じました。
田口壮 「季節の停止」 ★こちらで観られます
全体に淡い色調で、うっすら描かれた山を背景に浮いて寝そべる人や浮いているような傘が描かれ、手前には緑の草原の上に白いテーブルがあります。テーブルの上には大きな蛾がピンで留められていて、標本にされているようでした。 非常に奇妙な光景でシュルレアリスム的なものを感じました。色合いのせいか軽やかな感じもするかな。
山岡良文 「朝鮮古廟:蒼龍図・白虎図・持送天人図」
白を背景に赤や紫の縦長の長方形や緑のうねった尾などが描かれた抽象的な作品です。カンディンスキーを彷彿しました。解説によると朝鮮の古代の社にインスピレーションを得たそうですが、山岡自身は朝鮮には行ったことがないようです。色のリズムが楽しい作品でした。
船田玉樹 「花の夕」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている4曲の屏風作品です。大きな木に白、ピンク、濃いピンクの3色の花がボタボタ垂れるように描かれています。解説によると構成は琳派風らしく、革新だけではなく伝統にも通じているようです。色鮮やかで圧倒される作品でした。
この辺は屏風が並ぶコーナーでした。扇面散らしをモチーフにした作品など伝統的なモチーフの作品もあるのですが、ここまで来て「日本画」とはどういうものを指すのか分からなくなりましたw とりあえず題材だけでは無さそうですね…。そういった発想を飛び越えて行っているのがよくわかります。 なお、この頃の日本の世相は国家総動員法や灯火統制が行われるなど、太平洋戦争に向かっていく不穏な時代でした。そんな中でこうした前衛芸術を貫いていたことに非常に驚きました。
<Ⅲ.「洋画」との交錯、「日本画と洋画」のはざまに> (★詳細な解説はこちら)
第1回の「歴程美術協会展」には洋画家も数多く会場に訪れていたそうで、当時のモダニズムの空気もあって洋画と表現が重なるものだったようです。ここではモダニズム的傾向の中から、日本画の革新表現としてのシュルレアリスム、バウハウス的抽象、抽象日本画など、日本画と洋画の狭間の作品が並んでいました。
山岡良文 「窓辺の静物」
テーブルに置かれたメロンや白いてすり?のようなものが描かれた作品です。単純化されたメロンは置かれているのか画中画なのかわかりません。シュルレアリスム的にも見えるけど、形態はキュビスム風にも思えました。日本画との狭間というより完全に洋画に見えますw
山岡良文 「消費都市」
立方体を重ねたような街の中、何人かの人々が描かれた作品です。幾何学的でキュビスムっぽくさもあるかな。所々に新聞が張られたような表現があって、コラージュのような感じも受けました。
船田玉樹 「紅梅(利休像)」
梅を持った利休を描いた作品です。畳に座ってたらいに向かっていて、画面には水平、垂直、円が多く使われ幾何学的な雰囲気があります。利休自身も三角形に見えるかな。 色も強く、響き合うような感じでした。解説によると松雄芭蕉の絵とセットだったそうですが、芭蕉のほうは戦災で焼けてしまったそうです。
岩橋英遠 「森」
抽象化された森を描いた作品です。湖面とその上舞う蝶、奇怪な形をした木々などが描かれ、どことなくエルンストの作風に似ている気がします。少し怖さも感じるシュールな作品でした。
この辺には屏風の作品が3点ありました。ピカソのゲルニカを意識した吉岡堅二の「馬」なども好みでした。
丸木位里 「紅葉」
渓谷を背景に楓の紅葉が描かれた作品です。赤が霞むように描かれ、楓の1枚1枚は単純化されています。幻想的で伝統も感じるように思いました。
北脇昇 「周易解離図(八卦)」
白地を背景に、カラフルな円や曲線が並び、所々に八卦とか方位と書かれた本が描かれています。中央にはコンパスがあり、東洋の易学と西洋的感覚を融合したような作品でした。
この辺には幾何学的な作品が並び、抽象画のコーナーのようでした。
<Ⅳ.戦禍の記憶> (★詳細な解説はこちら)
戦争の時代になると歴程美術協会展にも戦争画が多くなっていったそうです。その中でも日本画の可能性に挑戦するものの、やがて戦争に召集される作家も現れ、作品も失われていってしまったようです…。このコーナーにはそうした戦禍を感じさせる作品が並んでいました。
山崎隆 「歴史」
第2回歴程美術協会展で歴程美術協会賞を受賞した作品です。黒い迫力のある岸壁の中腹に、幾何学的な白い要塞のような建物が描かれています。建物の上には赤い旗も見えているのですが、この旗が問題視され作者にも圧力がかかったそうです。(赤は共産主義の象徴だからでしょうか) 白い建物が超然とした雰囲気でした。
山崎隆 「神話」
6曲1双の屏風です。右隻には首の無いギリシャ彫刻のようなものや岩の洞窟から見える海などが描かれ、左隻には空に浮かぶ神殿のようなものや、牛のあたまなどが描かれています。意味は分かりませんが、落ち着いた色合いで静けさと死を感じました。
この辺には屏風作品が並んでいました。
山崎隆 「戦地の印象」
白い空と茶色やくすんだ緑が混じる荒涼とした風景が広がる屏風です。不毛という言葉しか浮かばない寂しい印象を受けました。山崎隆は実際に戦地に行って負傷し、召集解除になった経緯があるそうです。戦地の辛さが出ているようでした。
吉岡堅二 「ブラカンマティ要塞の爆撃」
これは今回の展覧会で特に驚いた作品です。日本の戦闘機が舞い、眼下の要塞を真上から観たような構図の光景が広がっています。海岸線なども見えていて、結構な高度のようです。煙が軌道を描いているなど緊迫した雰囲気を感じました。
<Ⅴ.戦後の再生、「パンリアル」結成への道> (★詳細な解説はこちら)
戦後、歴程美術協会の再興を目指す動きがあり、1948年に山崎、三上誠が中心となって8人で「パンリアル」という集団が結成されました。日本画だけでなく陶芸や写真も含んだ綜合芸術運動として活動をしていたそうで、このコーナーにはパンリアルのメンバーの作品が並んでいました。
星野真吾 「肖像」
真っ暗な背景に木の机に乗った女性の肖像画です。左のほうは机からはみ出しているかな。絵は沢山の糸とピンで留められ、机には割れた器やハサミ、水の入ったコップなどが乗っています。右の方には天井から釣り下がった電灯のコード?があって、首吊りの紐かと思ったw 肖像画が遺影のように思えてくるくらい暗く死を連想するシュールな作品でした。
下村良之介 「疎開跡」
幾何学的な形のリズムで描かれたキュビスムを思わせる作品です。暗い茶色で町並みがかかれ、人の気配が無く死んだように静まり返っていました。暗い雰囲気が漂っていました。
ということで、知らなかった美術の流れを知ることが出来ました。戦中でも前衛的な美術を推し進めていたことに敬服するばかりです。見ているうちに日本画とは何か?というのが分からなくなってきましたが、今後の参考にもなる展覧会でした。
この後、いつもどおり常設も観てきました。次回はそれをご紹介しようと思います。
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先週の土曜日に、東京国立近代美術館の工芸館で「所蔵作品展 現代の人形 - 珠玉の人形コレクション」を観てきました。今週の日曜日で終わってしまいますが予想以上に楽しめる展示でした。


【展覧名】
所蔵作品展 現代の人形 - 珠玉の人形コレクション
【公式サイト】
http://www.momat.go.jp/CG/dolls2010/index.html
【会場】東京国立近代美術館 工芸館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】東京メトロ東西線 竹橋駅
【会期】2010年12月3日(金)~2011年2月20日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
ここはいつも空いているのですが、今回もゆっくり観ることが出来ました。
この展示はその名の通り近現代の人形を集めた内容で、1936年の帝展に人形が初めて出品された頃の作品から、つい最近の作品まで様々な作風の人形が並んでいました。ここは事前に申し出て、ルールを守れば写真を撮ることもできるので、いくつか撮ってきた写真を使ってご紹介しようと思います。 (結構最近の作品もありましたが、写真は昔の作品だけにしようと思います)
<1>
最初は幕末から昭和初期にかけて人気を博した生き人形の系譜に連なる作家(平田郷陽など)の作品が並んでいました。ちょうど今日の「美の巨人」というテレビ番組で平田郷陽を取り上げていましたが、最初は人形は子供の遊びか生き人形のようなものとしか思われておらず、あまり芸術とは考えられていなかったようです。しかし、帝展に人形が出品されてからは、芸術の1ジャンルとなっていったようです。
平田郷陽 「桜梅の少将」

父である初代平田郷陽に学んだ2代目の作品です。「青海波」を舞った四位の少将、平維盛に着想を得ているそうです。何とも雅やかで写実的な雰囲気でした。
平田郷陽 「洛北の秋」

これは大原女かな。生き生きとした表情をしています。このバランスも凄いな…。
高浜かの子 「娘道成寺」

こちらは表情がなんとも愛らしいなと思ったのですが、娘道成寺ってことは清姫の化身の花子でしょうか?? そう思うと笑顔が怖いかもw
参考リンク:
安珍・清姫伝説のwikipedia
娘道成寺のwikipedia
<2>
次の部屋は子供をテーマにした人形が並んでいました。特に野口光彦という作家の作品が多かったかな。
野口光彦 「菊慈童」

菊慈童というのは中国の故事に出てくる700歳の不老長寿の少年です。この手に持ってる菊の葉っぱからしたたる水が霊水のようです。少年の割りに堂に入った風貌は故事に沿ってるのかもw
この近くには大島和代「夏の雨」という2003年作の少女の作品もあって、そちらも好みでした。
川上南甫 「南甫雛」

単純化された形態の雛人形です。非常に変わった形で面白い。
<3-1>
続いてのコーナーは女性をモチーフにした作品が並んでいました。
川上南甫 「清爽」

先ほどと同じ川上南甫の作ですが、だいぶ作風が違うように見えます。凛とした気品とすらりとした雰囲気がありました。
平田郷陽 「虫の音」

こちらも形がデフォルメされているようですが、女性の持つ雰囲気が強調されているように思いました。ちょっと悲しそうに見えるかな。
この辺には今回のポスターにもなっている平田郷陽の「春燈彩影」という作品もありました。こんな感じで並んでいます。

<3-2>
休憩室を通過して、続いてのコーナーも女性をモチーフにした作品が並んでいました。
入った瞬間に、友永詔三の「初夏」と「花占い」という素晴らしい作品が並んでいました。友永詔三の作品はかなり好みかも。人形と言うか彫刻じゃないのかな?? (「初夏」は写真不可。こちらで観られます)
鹿児島寿蔵 「紙塑人形 さぬのちがみのおとめ」

この人形は万葉集の詩を題材にしているそうです。優美で夢見るような表情、天を仰ぐような情熱的な姿勢などが好みでした。
川崎プッペ 「女」

曲線やポーズが何とも艶かしく女性美を感じる作品。これを見ていたらマティスの絵を思い浮かべました。
<4>
最後は1960~70年代の作品などが並んでいました。このコーナーは5点程度しかなかったですが、めっちゃ「濃い」空間となっていて、この部屋だけでもかなり満足度が高かったです。
まず、四谷シモンの「解剖学の少年」(★こちらで観られます)は理科室の人体標本みたいな少年の像で、目を引きましたw この人はシュルレアリスムに影響を受けているそうです。
吉田良 「すぐり」

今回の展示で最も見所となる作品かも。この作品も写真を撮ったのですが、あえて出し惜しみです(最近の作品なので…。ポスターの右側に写っている赤い服の人形です。) この人形はもの凄く妖気のようなオーラがあって、魔性の魅力があります。というか、幽霊的なものがあるかもw この作品だけでもこの展示を観る価値はあります!
ここまでが人形の展示で、最後の部屋は人間国宝の陶器の展示もありました。
ということで、予想以上に楽しめる展覧会でした。人形には魂が宿りそうなくらい、作家の念が篭っている感じがしました。特に友永詔三の「初夏」と吉田良「すぐり」は大収穫です。 もう終わってしまう時にようやくのご紹介となってしまい申し訳ありませんが、ご興味ある方は行ってみてください。


【展覧名】
所蔵作品展 現代の人形 - 珠玉の人形コレクション
【公式サイト】
http://www.momat.go.jp/CG/dolls2010/index.html
【会場】東京国立近代美術館 工芸館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】東京メトロ東西線 竹橋駅
【会期】2010年12月3日(金)~2011年2月20日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
ここはいつも空いているのですが、今回もゆっくり観ることが出来ました。
この展示はその名の通り近現代の人形を集めた内容で、1936年の帝展に人形が初めて出品された頃の作品から、つい最近の作品まで様々な作風の人形が並んでいました。ここは事前に申し出て、ルールを守れば写真を撮ることもできるので、いくつか撮ってきた写真を使ってご紹介しようと思います。 (結構最近の作品もありましたが、写真は昔の作品だけにしようと思います)
<1>
最初は幕末から昭和初期にかけて人気を博した生き人形の系譜に連なる作家(平田郷陽など)の作品が並んでいました。ちょうど今日の「美の巨人」というテレビ番組で平田郷陽を取り上げていましたが、最初は人形は子供の遊びか生き人形のようなものとしか思われておらず、あまり芸術とは考えられていなかったようです。しかし、帝展に人形が出品されてからは、芸術の1ジャンルとなっていったようです。
平田郷陽 「桜梅の少将」

父である初代平田郷陽に学んだ2代目の作品です。「青海波」を舞った四位の少将、平維盛に着想を得ているそうです。何とも雅やかで写実的な雰囲気でした。
平田郷陽 「洛北の秋」

これは大原女かな。生き生きとした表情をしています。このバランスも凄いな…。
高浜かの子 「娘道成寺」

こちらは表情がなんとも愛らしいなと思ったのですが、娘道成寺ってことは清姫の化身の花子でしょうか?? そう思うと笑顔が怖いかもw
参考リンク:
安珍・清姫伝説のwikipedia
娘道成寺のwikipedia
<2>
次の部屋は子供をテーマにした人形が並んでいました。特に野口光彦という作家の作品が多かったかな。
野口光彦 「菊慈童」

菊慈童というのは中国の故事に出てくる700歳の不老長寿の少年です。この手に持ってる菊の葉っぱからしたたる水が霊水のようです。少年の割りに堂に入った風貌は故事に沿ってるのかもw
この近くには大島和代「夏の雨」という2003年作の少女の作品もあって、そちらも好みでした。
川上南甫 「南甫雛」

単純化された形態の雛人形です。非常に変わった形で面白い。
<3-1>
続いてのコーナーは女性をモチーフにした作品が並んでいました。
川上南甫 「清爽」

先ほどと同じ川上南甫の作ですが、だいぶ作風が違うように見えます。凛とした気品とすらりとした雰囲気がありました。
平田郷陽 「虫の音」

こちらも形がデフォルメされているようですが、女性の持つ雰囲気が強調されているように思いました。ちょっと悲しそうに見えるかな。
この辺には今回のポスターにもなっている平田郷陽の「春燈彩影」という作品もありました。こんな感じで並んでいます。

<3-2>
休憩室を通過して、続いてのコーナーも女性をモチーフにした作品が並んでいました。
入った瞬間に、友永詔三の「初夏」と「花占い」という素晴らしい作品が並んでいました。友永詔三の作品はかなり好みかも。人形と言うか彫刻じゃないのかな?? (「初夏」は写真不可。こちらで観られます)
鹿児島寿蔵 「紙塑人形 さぬのちがみのおとめ」

この人形は万葉集の詩を題材にしているそうです。優美で夢見るような表情、天を仰ぐような情熱的な姿勢などが好みでした。
川崎プッペ 「女」

曲線やポーズが何とも艶かしく女性美を感じる作品。これを見ていたらマティスの絵を思い浮かべました。
<4>
最後は1960~70年代の作品などが並んでいました。このコーナーは5点程度しかなかったですが、めっちゃ「濃い」空間となっていて、この部屋だけでもかなり満足度が高かったです。
まず、四谷シモンの「解剖学の少年」(★こちらで観られます)は理科室の人体標本みたいな少年の像で、目を引きましたw この人はシュルレアリスムに影響を受けているそうです。
吉田良 「すぐり」

今回の展示で最も見所となる作品かも。この作品も写真を撮ったのですが、あえて出し惜しみです(最近の作品なので…。ポスターの右側に写っている赤い服の人形です。) この人形はもの凄く妖気のようなオーラがあって、魔性の魅力があります。というか、幽霊的なものがあるかもw この作品だけでもこの展示を観る価値はあります!
ここまでが人形の展示で、最後の部屋は人間国宝の陶器の展示もありました。
ということで、予想以上に楽しめる展覧会でした。人形には魂が宿りそうなくらい、作家の念が篭っている感じがしました。特に友永詔三の「初夏」と吉田良「すぐり」は大収穫です。 もう終わってしまう時にようやくのご紹介となってしまい申し訳ありませんが、ご興味ある方は行ってみてください。
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今日は前回の記事に引き続き、国立新美術館の「シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による―」の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。
前編はこちら

まずは概要のおさらいです。
【展覧名】
シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による―
【公式サイト】
http://www.sur2011.jp/
http://www.nact.jp/exhibition_special/2011/surrealisme/index.html
【会場】国立新美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2011年2月9日(水)~2011年5月15日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(祝日16時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前編は3章の途中でブチ切ってしまいましたので、今日はその続きから最後までをご紹介いたします。
<Ⅲ 不穏な時代 1929-1939>
[偏執狂的=批判的]
3章には精神分析に触発されて編み出された「偏執狂的=批判的」手法の作品が並んでいました。
ルネ・マグリット 「赤いモデル」 ★こちらで観られます
黒い革靴の下の方が人間の足の指になっている作品です。壁を背景に妙に下の方に描かれていて、それが一層足っぽさを感じる要素になっているように思いました。それにしてもどこにも赤っぽいものは無いのに、このタイトルってどういう意味なんだろうかw 色々と不思議な作品です。解説によると、こうした複数のオブジェを混ぜる手法をデペイズマンというそうです。
サルバドール・ダリ 「不可視のライオン、馬、眠る女」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている作品です。砂漠の中に馬のような人のようなボートのような様々な要素を持つものが置かれ、背景にもマネキンのような人や謎の柱、球体などが置かれ、夢の中の光景のようになっていました。色合いやモチーフからダリらしい印象を受ける作品かな。
サルバドール・ダリ 「部分的幻覚:ピアノに出現したレーニンの六つの幻覚」 ★こちらで観られます
暗い部屋の中で白髪の男性が座り、その前にピアノが置かれています。そのピアノの鍵盤にレーニンの顔が6つ、灯りのように浮かび上がっているという奇妙な光景です。レーニンはシュルレアリスムの英雄だったそうです(そう言えばブルトンは共産党員だったりします)が、かなり不気味ですw ちょっと狂気を感じるあたりが紙一重で面白いw
[供養]
この辺には殺戮と食肉処理場を題材にした作品などがありました。
アンドレ・マッソン 「吹き出る血」
名前からスプラッターな感じがしますが、これは闘牛場らしき場所で、牛が馬?を角で突き刺しているシーンを描いた作品です。その後ろには杖を持った骸骨が立っていて、右下には赤いマントを持った闘牛士の姿があります。…この闘牛士はヤバいな。骸骨の姿から死を予感させて仕方がないw
この辺にはアルベルト・ジャコメッティの「喉を切られた女」という、これまたスプラッタな名前の作品もありました。
[欲望]
この小コーナーにはヴィクトル・プローネルの「欲望の解剖学」という作品が数点名編んでいました。裸の女性の乳房や頭が伸びた奇怪な姿をしていて、エログロな感じがしましたw
アーウィン・ブルーメンフェルド 「マニーナあるいはトルソの魂」
首の無い上半身裸体の石膏像の上に、女性が頭を乗せている写真です。石膏像を女性の体のように撮った作品や、女性を石膏像のように撮った作品もあったかな。解説によるとフロイトの影響などもあるようでした。
ここにはピカソの作品や、マン・レイの女性の胸像を撮った小さな写真などもありました。
[神話学]
アンドレ・マッソン 「迷宮」 ★こちらで観られます
ミノタウロスの伝説を元にした作品です。伝説ではミノタウロスは迷宮に閉じ込められていたわけですが、この絵では内臓をさらけ出すようなミノタウロスの体自体が迷宮のようになっていて、足元の方では鳥を踏み潰しているようです。中々グロテスクで残虐な印象を受けました。解説によると、シュルレアリスムにはミノタウロスをテーマにした作品が多いそうで、欲望のままであることがシュルレアリスム的と捉えられていたそうです。
参考リンク:ミーノータウロスのwikipedia
ルイス・ブニュエル 「アンダルシアの犬」
ダリと共作した映画です。3~4年前に上野の森のダリ展でも出品されてた覚えがあります。エログロ暴力な作品で、部屋の中で男性が女性に襲い掛かっていくようなシーンもあるのでちょっと刺激が強いです。当時は革新的な合成なども使われていると記憶しています。
ニコニコ動画で見つけました。(アカウントが無いと観られません。また、ニコニコ動画はよく削除されるので無くなってたら仕方ないということでw)
隣ではブニュエルの「黄金時代」という映画も上映されていました。また、少し進むと本やショーウィンドウの写真などが展示されていました。
<Ⅳ 亡命中のシュルレアリスム 1939-1946>
ドイツ軍がフランスを占領した頃、ブルトンとマッソンはニューヨークへ亡命し、亡命先でジャクソン・ボロックなどに影響を与えたそうです。ここにはそうした戦中の作品が並んでいました。(ボロックの作品も展示されています)
アンドレ・マッソン 「アンドレ・ブルトンの肖像」
左右両面2つの顔を持つブルトンの肖像です。表面は岩のような質感で、左面は目が覚め、右面は眠っているようです。2つの顔の間にはたくさんの人の顔のようなものが描かれていました。これも無意識の世界を表現したのかな? 解説によると、ローマ神話のヤヌスを思わせるとのことでした。
イヴ・タンギー 「岩の窓のある宮殿」 ★こちらで観られます
タンギーがアメリカに亡命中に描いた作品です。灰色の砂漠のようなところに、様々な謎のオブジェが転がっている風景が描かれています。モチーフの陰影やメタリックな質感はリアルな感じですが、何とも表現しがたい形や空と地の区別がつかないような背景など、超現実的な作品となっていました。
マックス・エルンスト 「クイーンとともにゲームをするキング」
四角い顔に牛の角がついたような人の彫刻です。チェスの駒のようなものに向かっているので、ゲームをしているところのようです。全体的に線が細く、不思議な面白さを醸し出していました。
ルネ・マグリット 「凌辱」
女性の裸体が顔のように見える作品です。頭が無く首の辺りに金髪が生えていて、乳房の辺りが目、へその辺りが鼻、股間のあたりが口のように見えました。こういう騙し絵的な要素があるのもマグリットの魅力かな。
この辺にはまた資料のコーナーもありました。本や展覧会の写真などが展示されています。
[透明な巨人 神話]
ジョゼフ・コーネル 「博物館」
20個の小さなガラス瓶が入った木の箱です。作品の材料の欄に「さまざまな物の入ったガラス瓶」と書いてあるのですが、実際に見ても何が入っているのか分かりませんw 博物館というくらいだから様々なんでしょうね。ちょっとした小宇宙のような面白さがありました。
<Ⅴ 最後のきらめき 1946-1966>
最後は戦後の時代です。抽象絵画もあり、アンフォルメルやタシスムといった流れに繋がっていったのが分かるコーナーでした。
参考リンク:
アンフォルメルのwikipedia
タシスムのwikipedia
ドロテア・タニング 「かくも幸福な絵画」
この画家はエルンストの妻です。この絵は、透明なシーツのようなものに包まれた女性と男性が描かれています。女性の真っ赤な口紅と歯、バラのブーケなどがその布の中からのぞいていて目を引きます。その左のほうには置物のような少年が座っていて、そのギャップがちょっと不気味で面白かったw 結構、印象深い作品です。
この近くには夫のエルンストの「三本の糸杉」という作品もありました。 ★こちらで観られます
ポール・デルヴォー 「アクロポリス」
大好きなデルヴォーもあって嬉しい^^ これは神殿のようなところにたくさんの女性が描かれ、みんな上半身裸で乳房を出しています。横になっている女性もいるのですが、灯りを持って月のほうに行進している女性が多く、夢遊病の群れのように感情を感じないのが神秘的かつ不安を覚えます。左右で遠近感が奇妙なのも面白いかな。デルヴォーらしい好みの作品でした。
この辺にはジョアン・ミロの彫刻作品もありました。抽象画のような絵も多いです。
マッタ 「ロゴスの透過・仮象」
巨大な壁画のような作品で、謎のオブジェの工場のように思える光景となっています。黄色やピンクが多く、明るい印象を受けました。白い線が流れるように描かれていたのも面白いです。
ということで、中々ボリュームのある展示でした。シュルレアリスムの成り立ちから終焉までを知るには良い展覧会だと思います。私的には何年前かに横浜美術館で開催されたシュルレアリスム展みたいに、観るだけで面白い!と思うような作品がもうちょっと欲しかったですが、これはこれで今後の参考になりそうです。
前編はこちら

まずは概要のおさらいです。
【展覧名】
シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による―
【公式サイト】
http://www.sur2011.jp/
http://www.nact.jp/exhibition_special/2011/surrealisme/index.html
【会場】国立新美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2011年2月9日(水)~2011年5月15日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(祝日16時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前編は3章の途中でブチ切ってしまいましたので、今日はその続きから最後までをご紹介いたします。
<Ⅲ 不穏な時代 1929-1939>
[偏執狂的=批判的]
3章には精神分析に触発されて編み出された「偏執狂的=批判的」手法の作品が並んでいました。
ルネ・マグリット 「赤いモデル」 ★こちらで観られます
黒い革靴の下の方が人間の足の指になっている作品です。壁を背景に妙に下の方に描かれていて、それが一層足っぽさを感じる要素になっているように思いました。それにしてもどこにも赤っぽいものは無いのに、このタイトルってどういう意味なんだろうかw 色々と不思議な作品です。解説によると、こうした複数のオブジェを混ぜる手法をデペイズマンというそうです。
サルバドール・ダリ 「不可視のライオン、馬、眠る女」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている作品です。砂漠の中に馬のような人のようなボートのような様々な要素を持つものが置かれ、背景にもマネキンのような人や謎の柱、球体などが置かれ、夢の中の光景のようになっていました。色合いやモチーフからダリらしい印象を受ける作品かな。
サルバドール・ダリ 「部分的幻覚:ピアノに出現したレーニンの六つの幻覚」 ★こちらで観られます
暗い部屋の中で白髪の男性が座り、その前にピアノが置かれています。そのピアノの鍵盤にレーニンの顔が6つ、灯りのように浮かび上がっているという奇妙な光景です。レーニンはシュルレアリスムの英雄だったそうです(そう言えばブルトンは共産党員だったりします)が、かなり不気味ですw ちょっと狂気を感じるあたりが紙一重で面白いw
[供養]
この辺には殺戮と食肉処理場を題材にした作品などがありました。
アンドレ・マッソン 「吹き出る血」
名前からスプラッターな感じがしますが、これは闘牛場らしき場所で、牛が馬?を角で突き刺しているシーンを描いた作品です。その後ろには杖を持った骸骨が立っていて、右下には赤いマントを持った闘牛士の姿があります。…この闘牛士はヤバいな。骸骨の姿から死を予感させて仕方がないw
この辺にはアルベルト・ジャコメッティの「喉を切られた女」という、これまたスプラッタな名前の作品もありました。
[欲望]
この小コーナーにはヴィクトル・プローネルの「欲望の解剖学」という作品が数点名編んでいました。裸の女性の乳房や頭が伸びた奇怪な姿をしていて、エログロな感じがしましたw
アーウィン・ブルーメンフェルド 「マニーナあるいはトルソの魂」
首の無い上半身裸体の石膏像の上に、女性が頭を乗せている写真です。石膏像を女性の体のように撮った作品や、女性を石膏像のように撮った作品もあったかな。解説によるとフロイトの影響などもあるようでした。
ここにはピカソの作品や、マン・レイの女性の胸像を撮った小さな写真などもありました。
[神話学]
アンドレ・マッソン 「迷宮」 ★こちらで観られます
ミノタウロスの伝説を元にした作品です。伝説ではミノタウロスは迷宮に閉じ込められていたわけですが、この絵では内臓をさらけ出すようなミノタウロスの体自体が迷宮のようになっていて、足元の方では鳥を踏み潰しているようです。中々グロテスクで残虐な印象を受けました。解説によると、シュルレアリスムにはミノタウロスをテーマにした作品が多いそうで、欲望のままであることがシュルレアリスム的と捉えられていたそうです。
参考リンク:ミーノータウロスのwikipedia
ルイス・ブニュエル 「アンダルシアの犬」
ダリと共作した映画です。3~4年前に上野の森のダリ展でも出品されてた覚えがあります。エログロ暴力な作品で、部屋の中で男性が女性に襲い掛かっていくようなシーンもあるのでちょっと刺激が強いです。当時は革新的な合成なども使われていると記憶しています。
ニコニコ動画で見つけました。(アカウントが無いと観られません。また、ニコニコ動画はよく削除されるので無くなってたら仕方ないということでw)
隣ではブニュエルの「黄金時代」という映画も上映されていました。また、少し進むと本やショーウィンドウの写真などが展示されていました。
<Ⅳ 亡命中のシュルレアリスム 1939-1946>
ドイツ軍がフランスを占領した頃、ブルトンとマッソンはニューヨークへ亡命し、亡命先でジャクソン・ボロックなどに影響を与えたそうです。ここにはそうした戦中の作品が並んでいました。(ボロックの作品も展示されています)
アンドレ・マッソン 「アンドレ・ブルトンの肖像」
左右両面2つの顔を持つブルトンの肖像です。表面は岩のような質感で、左面は目が覚め、右面は眠っているようです。2つの顔の間にはたくさんの人の顔のようなものが描かれていました。これも無意識の世界を表現したのかな? 解説によると、ローマ神話のヤヌスを思わせるとのことでした。
イヴ・タンギー 「岩の窓のある宮殿」 ★こちらで観られます
タンギーがアメリカに亡命中に描いた作品です。灰色の砂漠のようなところに、様々な謎のオブジェが転がっている風景が描かれています。モチーフの陰影やメタリックな質感はリアルな感じですが、何とも表現しがたい形や空と地の区別がつかないような背景など、超現実的な作品となっていました。
マックス・エルンスト 「クイーンとともにゲームをするキング」
四角い顔に牛の角がついたような人の彫刻です。チェスの駒のようなものに向かっているので、ゲームをしているところのようです。全体的に線が細く、不思議な面白さを醸し出していました。
ルネ・マグリット 「凌辱」
女性の裸体が顔のように見える作品です。頭が無く首の辺りに金髪が生えていて、乳房の辺りが目、へその辺りが鼻、股間のあたりが口のように見えました。こういう騙し絵的な要素があるのもマグリットの魅力かな。
この辺にはまた資料のコーナーもありました。本や展覧会の写真などが展示されています。
[透明な巨人 神話]
ジョゼフ・コーネル 「博物館」
20個の小さなガラス瓶が入った木の箱です。作品の材料の欄に「さまざまな物の入ったガラス瓶」と書いてあるのですが、実際に見ても何が入っているのか分かりませんw 博物館というくらいだから様々なんでしょうね。ちょっとした小宇宙のような面白さがありました。
<Ⅴ 最後のきらめき 1946-1966>
最後は戦後の時代です。抽象絵画もあり、アンフォルメルやタシスムといった流れに繋がっていったのが分かるコーナーでした。
参考リンク:
アンフォルメルのwikipedia
タシスムのwikipedia
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この画家はエルンストの妻です。この絵は、透明なシーツのようなものに包まれた女性と男性が描かれています。女性の真っ赤な口紅と歯、バラのブーケなどがその布の中からのぞいていて目を引きます。その左のほうには置物のような少年が座っていて、そのギャップがちょっと不気味で面白かったw 結構、印象深い作品です。
この近くには夫のエルンストの「三本の糸杉」という作品もありました。 ★こちらで観られます
ポール・デルヴォー 「アクロポリス」
大好きなデルヴォーもあって嬉しい^^ これは神殿のようなところにたくさんの女性が描かれ、みんな上半身裸で乳房を出しています。横になっている女性もいるのですが、灯りを持って月のほうに行進している女性が多く、夢遊病の群れのように感情を感じないのが神秘的かつ不安を覚えます。左右で遠近感が奇妙なのも面白いかな。デルヴォーらしい好みの作品でした。
この辺にはジョアン・ミロの彫刻作品もありました。抽象画のような絵も多いです。
マッタ 「ロゴスの透過・仮象」
巨大な壁画のような作品で、謎のオブジェの工場のように思える光景となっています。黄色やピンクが多く、明るい印象を受けました。白い線が流れるように描かれていたのも面白いです。
ということで、中々ボリュームのある展示でした。シュルレアリスムの成り立ちから終焉までを知るには良い展覧会だと思います。私的には何年前かに横浜美術館で開催されたシュルレアリスム展みたいに、観るだけで面白い!と思うような作品がもうちょっと欲しかったですが、これはこれで今後の参考になりそうです。
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