Archive | 2011年03月
東北地方・関東地方の地震で被害にあわれた皆様にお見舞いとお悔やみを申し上げます。
地震により、1週間ほどブログを止めて様子を観ていましたが、今日から再始動します。まだ原発の様子も安定するのかわからないし、美術館も臨時閉館・開催延期の措置を取っているところも多いですが、余震の方はだいぶ治まってきたように思いますので、文化・芸術の復興も期待しつつ、美術館をご紹介していこうと思います。ただ、しばらくの間は外出をお勧めという訳でもないので、お出かけの際は十分に注意してください。 また、私の家は輪番停電の対象地域となっておりますので、以前より更新頻度が下がるかもしれません。^^;
さて、ちょっと間が空きましたが、先日ご紹介した山種美術館の展示を観た後、山手線で五反田に移動して、目黒との中間あたりにある LOUVRE-DNP Museum Labで「外交とセーブル磁器展」を観てきました。

【展覧名】
外交とセーブル磁器展 ヨーロッパの歴史を動かした華麗な器たち。
【公式サイト】
http://www.museumlab.jp/
【会場】LOUVRE-DNP Museum Lab ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】五反田駅・目黒駅。不動前駅 など
【会期】2010年10月23日~2011年05月15日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日16時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_4_⑤_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
ここは無料で観られる施設なのですが、私が行った時は貸し切り状態でした。それもそのはず、ここでの観覧は事前に予約が必要である為です。私は初めて訪れたので、そのシステムを知りませんでしたが、幸運なことに誰も予約が無かったので、その場で予約が取れました。(公式HPを見ると結構な埋まり具合なので、その日は本当にたまたま空いてたっぽいです。) …危うく何もせずに帰るところでしたw 係員の方の親切なご対応に感謝致します。 なお、ここは開館日も金土日の限られた時間なので注意が必要です。
参考リンク:外交とセーヴル磁器展 予約カレンダー
さて、中はと言うと、いくつかのセクションに分かれていて、詳細な解説を受けながら進んでいくことになります。最初は映像と音声が流れ、18世紀のフランスが栄えていたことがわかるような内容でした。フランスの生活様式が広がったことや、ルイ15世・16世が芸術を庇護したこと、磁器を贈り物としていたことなどが紹介されていました。
続いてが展示室で、ここに10点ほどの磁器や彫刻が並んでいました。(★こちらで観られます) 公式ページやパンフレットが凄く充実しているので、そちらでわかることは説明を省きますが、白を貴重としながら緑・金・赤・青など様々な色を使った細かい文様はいずれも見事で、華麗な雰囲気でした。つい最近見たマイセンともまたちょっと違う華やかさかな。
この展示室にもハイテクな解説があって、作品の上のライトの光でハイライトしてここはこういう紋ですよとか、説明してくれます。(これが逆に純粋に鑑賞したい時には邪魔な気もしますがw) また、館内のパンフレットを置くと反応して解説が始まるという装置もありました。 磁器よりもむしろこっちのほうが驚いたかもw ちょっと実験的な装置でした。(作品があるのはこの部屋だけですので、作品だけで満足なら15分くらいで鑑賞できると思います)
続いてはシアタールームで、ここでは中国や日本の磁器の影響やマイセンなどの模倣を行った歴史についてを上映していました。ここの映像は西洋磁器の歴史を一気に知ることが出来るので中々参考になると思います。
参考リンク:
セーヴル焼のwikipedia
参考記事:
マイセン磁器の300年 壮大なる創造と進化 (サントリー美術館)
日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念 パリに咲いた古伊万里の華 (東京都庭園美術館)
その後には展示作品のミニチュアとCGで詳しく解説するコーナーや、磁器制作の映像、ルイ15世の食卓の再現VTRなどがありました。料理の配置までしっかり決められ、幾何学的な配置となっていたというのは初めて知りました。奥深いところまで解説してくれます。他にも体験コーナーのようなものもあるようでしたが、ここまでたっぷり観て周って閉館時間も近づいたのでそちらはスルーしてしまいました。
ということで、作品自体は少ないですが、無料なのにここまでやってるんだ!?と驚くような設備でした。観るポイントや観る場所まで半強制的な感じなのはいささか窮屈な気もするかなw その分、かなり詳しい解説があるので、時代背景や詳細を知りたい方には面白いかと思います。訪れる際はご予約はお忘れなく…。
しばらくブログをお休みしていた為、ブログランキングもだいぶ下がってしまいました。またポチポチ押して頂けると嬉しいです^^; よろしくお願いいたします。
地震により、1週間ほどブログを止めて様子を観ていましたが、今日から再始動します。まだ原発の様子も安定するのかわからないし、美術館も臨時閉館・開催延期の措置を取っているところも多いですが、余震の方はだいぶ治まってきたように思いますので、文化・芸術の復興も期待しつつ、美術館をご紹介していこうと思います。ただ、しばらくの間は外出をお勧めという訳でもないので、お出かけの際は十分に注意してください。 また、私の家は輪番停電の対象地域となっておりますので、以前より更新頻度が下がるかもしれません。^^;
さて、ちょっと間が空きましたが、先日ご紹介した山種美術館の展示を観た後、山手線で五反田に移動して、目黒との中間あたりにある LOUVRE-DNP Museum Labで「外交とセーブル磁器展」を観てきました。


【展覧名】
外交とセーブル磁器展 ヨーロッパの歴史を動かした華麗な器たち。
【公式サイト】
http://www.museumlab.jp/
【会場】LOUVRE-DNP Museum Lab ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】五反田駅・目黒駅。不動前駅 など
【会期】2010年10月23日~2011年05月15日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日16時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_4_⑤_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
ここは無料で観られる施設なのですが、私が行った時は貸し切り状態でした。それもそのはず、ここでの観覧は事前に予約が必要である為です。私は初めて訪れたので、そのシステムを知りませんでしたが、幸運なことに誰も予約が無かったので、その場で予約が取れました。(公式HPを見ると結構な埋まり具合なので、その日は本当にたまたま空いてたっぽいです。) …危うく何もせずに帰るところでしたw 係員の方の親切なご対応に感謝致します。 なお、ここは開館日も金土日の限られた時間なので注意が必要です。
参考リンク:外交とセーヴル磁器展 予約カレンダー
さて、中はと言うと、いくつかのセクションに分かれていて、詳細な解説を受けながら進んでいくことになります。最初は映像と音声が流れ、18世紀のフランスが栄えていたことがわかるような内容でした。フランスの生活様式が広がったことや、ルイ15世・16世が芸術を庇護したこと、磁器を贈り物としていたことなどが紹介されていました。
続いてが展示室で、ここに10点ほどの磁器や彫刻が並んでいました。(★こちらで観られます) 公式ページやパンフレットが凄く充実しているので、そちらでわかることは説明を省きますが、白を貴重としながら緑・金・赤・青など様々な色を使った細かい文様はいずれも見事で、華麗な雰囲気でした。つい最近見たマイセンともまたちょっと違う華やかさかな。
この展示室にもハイテクな解説があって、作品の上のライトの光でハイライトしてここはこういう紋ですよとか、説明してくれます。(これが逆に純粋に鑑賞したい時には邪魔な気もしますがw) また、館内のパンフレットを置くと反応して解説が始まるという装置もありました。 磁器よりもむしろこっちのほうが驚いたかもw ちょっと実験的な装置でした。(作品があるのはこの部屋だけですので、作品だけで満足なら15分くらいで鑑賞できると思います)
続いてはシアタールームで、ここでは中国や日本の磁器の影響やマイセンなどの模倣を行った歴史についてを上映していました。ここの映像は西洋磁器の歴史を一気に知ることが出来るので中々参考になると思います。
参考リンク:
セーヴル焼のwikipedia
参考記事:
マイセン磁器の300年 壮大なる創造と進化 (サントリー美術館)
日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念 パリに咲いた古伊万里の華 (東京都庭園美術館)
その後には展示作品のミニチュアとCGで詳しく解説するコーナーや、磁器制作の映像、ルイ15世の食卓の再現VTRなどがありました。料理の配置までしっかり決められ、幾何学的な配置となっていたというのは初めて知りました。奥深いところまで解説してくれます。他にも体験コーナーのようなものもあるようでしたが、ここまでたっぷり観て周って閉館時間も近づいたのでそちらはスルーしてしまいました。
ということで、作品自体は少ないですが、無料なのにここまでやってるんだ!?と驚くような設備でした。観るポイントや観る場所まで半強制的な感じなのはいささか窮屈な気もするかなw その分、かなり詳しい解説があるので、時代背景や詳細を知りたい方には面白いかと思います。訪れる際はご予約はお忘れなく…。
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皆様ご承知かと思いますが、東北・関東大震災によって多くの犠牲が出てしまいました。
しばらく様子を見守っていましたが、近いうちに高確率で余震が予想されるなど、まだまだ予断を許せない状況です。
こうした中では外出をお勧めすることはできませんので、1週間ほど新しい記事を停止しようと思います。
私の自宅は輪番停電の対象地域にもなっておりますので、停電に慣れるまでは更新できるかわからないという事情や、再度余震が来た場合は美術館・博物館の臨時休館も予想されるということも考慮しての休止です。
また、私自身も節電に協力するため、ネットの使用を減らそうと考えています。皆様のサイトを観るのも楽しみにしていたのですが、少しの間それも控えようと思います。
以上、楽しみに観に来て頂いている方には非常に申し訳ございませんが、しばららくの間ご容赦の程よろしくお願いいたします。
しばらく様子を見守っていましたが、近いうちに高確率で余震が予想されるなど、まだまだ予断を許せない状況です。
こうした中では外出をお勧めすることはできませんので、1週間ほど新しい記事を停止しようと思います。
私の自宅は輪番停電の対象地域にもなっておりますので、停電に慣れるまでは更新できるかわからないという事情や、再度余震が来た場合は美術館・博物館の臨時休館も予想されるということも考慮しての休止です。
また、私自身も節電に協力するため、ネットの使用を減らそうと考えています。皆様のサイトを観るのも楽しみにしていたのですが、少しの間それも控えようと思います。
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日付が変わって、昨日となりますが2011/03/11に東北地方を中心に非常に強い地震がありました。
私は港区で働いているのですが、職場でも非常に強い揺れで、てっきり関東大震災かと思ったほどでした。何とか私は被害に遭うこともなく、無事だったのは不幸中の幸いでしたが、東北地方の方々の安否が気になります。身の回りに東北に親類縁者がいる人もいますので、これ以上被害が広がらないことを祈るのみです。 …原発の様子もまだ予断を許さないのも気がかりです。
なお、私事ですがこんな事態ですので、今週末は外出を控えようと思っております。このブログの記事は土日に出かけたことを書いているので、しばらくネタ切れになるかもしれませんがご容赦ください。
本日頂いたコメントは少し落ち着いてからお返事いたします。すみません。
心より皆様の無事をお祈りしております。
私は港区で働いているのですが、職場でも非常に強い揺れで、てっきり関東大震災かと思ったほどでした。何とか私は被害に遭うこともなく、無事だったのは不幸中の幸いでしたが、東北地方の方々の安否が気になります。身の回りに東北に親類縁者がいる人もいますので、これ以上被害が広がらないことを祈るのみです。 …原発の様子もまだ予断を許さないのも気がかりです。
なお、私事ですがこんな事態ですので、今週末は外出を控えようと思っております。このブログの記事は土日に出かけたことを書いているので、しばらくネタ切れになるかもしれませんがご容赦ください。
本日頂いたコメントは少し落ち着いてからお返事いたします。すみません。
心より皆様の無事をお祈りしております。
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もう10日くらい前になりますが、恵比寿の山種美術館へ行って「ボストン美術館 浮世絵名品展 錦絵の黄金時代-清長、歌麿、写楽」を観てきました。

【展覧名】
ボストン美術館 浮世絵名品展 錦絵の黄金時代-清長、歌麿、写楽
【公式サイト】
http://ukiyoe.exhn.jp/outline/tokyo.html
http://www.yamatane-museum.or.jp/exh/current.html
【会場】山種美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】JR・東京メトロ 恵比寿駅
【会期】2011年2月26日(土)~4月17日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
山種美術館の前回の展示はタイミングが合わずに見損ねたので、今回の展示は早めに行こうと、開始2日目に行ってきたのですが、既にたくさんの人で賑わっていました。ロッカーが満杯で、空くのを少し待ったのはここでは珍しいかも?? 会場は場所によっては混んでいて、大体1つの作品に1~2人くらいついているくらいの混み具合でした。(たまに列を組んでいますが、少し待てば空きました)
さて、今回の展示についてですが、アメリカのボストン美術館が誇るコレクションのうち、浮世絵に絞ったの展示となっています。去年、ボストン美術館の洋画の所蔵品展がありましたが、あの時は洋画の展覧会だったので、今回はまったくの別物と言って良いです。
参考記事:
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想前編 (森アーツセンターギャラリー)
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想後編 (森アーツセンターギャラリー)
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 2回目(森アーツセンターギャラリー)
ボストン美術館の全45万点の所蔵品うち浮世絵の版画は5万件も占めるそうで、中には700件以上の肉筆画や数千点の版本も含まれているそうです。…途方も無いですねw そんな膨大過ぎるコレクションのため、ボストン美術館でもこれらの作品は展示される機会が無かったらしく、今回の里帰りはまさに貴重な機会のようです。 特に、錦絵の黄金期と呼ばれた天明・寛政期に焦点を当て、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽を中心に選りすぐりの作品が並んでいました。詳しくは各章ごとに気に入った作品をご紹介しようと思います。
<第1章 鳥居清長>
まずは鳥居清長の章です。鳥居清長は鳥居派3代目の初代清満に学びました。鳥居派が得意とする役者絵だけでなく、美人画や黄表紙で人気を博し、ここには大判の美人画や「続絵」と呼ばれる2~3枚セットの作品も並んでいました。
鳥居清長 「仲之町の牡丹」
3枚続きの錦絵です。豪華な着物を着た遊女や禿(かむろ)が描かれ、上のほうにその名前と、牡丹の花、風鈴などが描かれていました。色は少し薄めですが、華やかな雰囲気の作品でした。
鳥居清長 「雛形若菜の初模様 丁子屋内 丁山 しをり つまき」 ★こちらで観られます
桜の下を歩く遊女と2人の禿を描いた作品です。色鮮やかな衣装やすらっとした等身が何とも艶やかに見えます。解説によると、これは遊女の披露と着物のカタログの役割を兼ねているそうで、ふくよかで伸びやかなところに特徴があるとのことでした。
この辺は遊女と禿の作品が多かったかな。
鳥居清長 「美南見十二候 九月」 ★こちらで観られます
窓辺に立って障子の格子越しに外の月を観る女性と、その足元で書物を読む2人の女性を描いた作品です。背景には海の様子が見え、漁り火らしき光も見えます。立っている美女はすらりとした印象で遠くを見るような顔が美しく、書物を読む2人は楽しそうな雰囲気でした。 解説によると美南見(みなみ)というのは品川あたりのことらしく、吉原と違って気軽に遊べる遊郭があったそうです。
鳥居清長 「風俗東之錦 萩見」 ★こちらで観られます
2枚セットの大判作品です。右は3人の着飾った女性達、左は茶屋で腰掛ける身分の高そうな侍と茶屋の娘?、しゃがんでいるとぼけた顔の男が描かれています。萩見というタイトルですが、みんな萩はそっちのけで侍を観ているようでした。イケメンに注目が集まるのは今も昔も変わりないようですw それにしても2枚続きの続絵は画面に広がりを感じます。こうした手法は後の世にも多大な影響を与えたとのことでした。
鳥居清長 「三代目瀬川菊之丞の小糸 山下万菊の賤機姫 三代目沢村宗十朗の大友常陸介」
芝居の舞台を描いた作品です。糸巻きを持った男と、その脇の2人の女の三角関係の話だそうで、後ろには三味線を弾いている人、「出語り」という語りの面々が並んでいます。後ろに出語りを描くのは清長の新しい趣向だそうで、実際の舞台の臨場感がありました。
この辺にはこれと同じような構図の絵が3点程度ありました。
鳥居清長 「五代目市川団十郎の横川覚範 三代目沢村宗十朗の狐忠信 中山富三郎の静御前」
「義経千本桜」という芝居に題材した作品です。上に鼓を持つ着物の女性、左下に長刀を持つ隈取をした武者、その隣には派手な着物の髷の男が描かれています。解説によると、実際にこの3人が一緒に出てくるシーンは無いそうです。何故かこの作品は他の作品と比べて群を抜いて色鮮やかで目だっていました。
解説機を聞いていると、この辺で大判錦絵は当時いくらくらいだったのかが分かりました。まあ、かけそばよりちょっと高いくらいかなw 今回は解説機もよく出来てるので借りるとそれぞれの作品の背景が分かりやすいかと思います。
鳥居清長 「子宝五節遊 重陽」 ★こちらで観られます
ここには五節句を題材にした作品がありました。五節句というのは人日(1/7)、上巳(3/3 ひな祭り)、端午の節句(5/5)、七夕(7/7)、重陽(9/9)の5つで、そのうち私が気に入ったのは一番マイナーな重陽の節句の絵でした。重陽は菊の節句とも言われていて、この作品には菊が並んだ所で菊をつも少女達が描かれています。手前では菊を持って争う子供もいてヤンチャな様子が面白かったです。
解説によると、鳥居清長は30代半ばで鳥居派4代目を継ぎ、役者を描いて美人画を描かなくなったそうです。これはその頃に有名な版元の蔦屋から出された作品なのだとか。
<第2章 喜多川歌麿>
清長が美人画から遠ざかったのに代わり、その分野で活躍したのが喜多川歌麿です。初期は花や虫、風俗を題材に狂歌絵本の指図を描いたりしていたようです。蔦屋重三郎と出会ってから遊女の胸から上だけの肖像「大首絵」を描くようになったそうです。 それにしても蔦屋重三郎は改めて凄い…。清長も歌麿も写楽も蔦屋重三郎に関わっているので、先日のサントリー美術館の蔦屋重三郎の展示を思い出しながら観ていました。
参考記事:歌麿・写楽の仕掛け人 その名は蔦屋重三郎 (サントリー美術館)
喜多川歌麿 「四季遊花之色香 上・下」 ★こちらで観られます
2枚セットの大判です。屋形船に乗った男女が描かれていて、右には屋根に座る美男と、しゃがむ女性、左には3人の芸者らしき女性が描かれています。解説によると、しゃがむポーズや2枚セットの続絵は清長からの影響だそうです。しかし、少し気だるい色気を感じるのは歌麿独特の雰囲気のように思えました。
喜多川歌麿 「琴棋書画」
こちらも2枚セットの続絵です。屋敷の中で書画を広げる女性達が描かれ、背景には広い屋敷の中と庭が描かれています。楽しげで、身をくねらせている女性のポーズが優美な雰囲気を出していました。
この辺には2~3枚セットの作品が並んでいました。山東京伝との関係(この人も蔦屋の人脈)が分かるような作品もあり、蔦重のマークが入っている作品が多かったです。
喜多川歌麿 「歌撰恋之部 稀ニ逢恋」 ★こちらで観られます
女性の胸から上だけを描いた「大首絵」です。武家か裕福な商家の娘らしく、品のある顔立ちをしていて、ちょこんと手を出している仕草が可愛らしいです。解説によると、これは稀にしか会えない男に想いを伝えようとしている仕草だそうで、その初々しい感じが出ているように思いました。
この辺はひたすら美人画です。美人画好きとしては嬉しい限り。
喜多川歌麿 「千代鶴」
軒先に腰掛け、団扇を持つ女性を描いた作品です。後ろを振り返って、障子の隙間からそっと瓶を出す手に向かって杯を見せるような仕草をしています。背景には障子に映る女の影があり、夕涼みをしながらお酒でも頼んでいるのかな? 夏の爽やかさを感じる作品でした。
喜多川歌麿 「大川端夕涼」
3枚セットの続絵で、1枚に3人の女性や子供が描かれています。屋形船の浮かぶ隅田川を背景にして花火を見物しているようです。女性達は団扇を持ったりキセルを持ったりしていて、優美で色気がありました。左の方には大きな橋があり、橋の上には見物人がぎっしり!w お祭りの楽しい雰囲気と涼しげな美女という、夏の風物詩的な作品でした。
喜多川歌麿 「煤掃き」
こちらは5枚セットの続絵です。いずれも年末の大掃除を題材にしていて、左3枚は襖や畳を外して皆で掃除をしている様子が描かれています。2枚目で男が胴上げされているのですが、これは当時の煤払いの時の風習だそうです。 右2枚には旦那とその息子?をからかっている女性などが描かれていました。結構、楽しみながら掃除してますw
一見して右2枚と左3枚の色合いが違うのですが、左は初版で右は後の摺りだそうです。 初版は渋い色合いですが、右の方はべにを使っているらしく派手な印象を受けました。摺りの違いでだいぶ印象も変わってくるのが面白いです。
喜多川歌麿 「五節句」
5枚セットの続絵で、画面は繋がって見えますが、1枚1枚で節句の内容が違うという趣向となっています。先ほどご紹介した5つの節句が左から並び、それぞれに女性や子供が楽しげにのびのびと描かれていました。また、いずれも賛があり、それぞれの節句について書かれているようでした。
喜多川歌麿 「福島左衛門」
戦国武将を描いたシリーズの1枚で、これは秀吉の家臣の福島正則を思わせるそうです。鎧櫃の上に座り、2人の美人にお灸をして貰っています。どうやら脚のお灸が熱いみたいで、顔を思いっきりしかめていて、右の女性はそれを指差して笑っていますw 観てるだけで熱さが分かるような豊かな表情で、各人物の気持ちが伝わってくる面白い作品でした。
この辺にはこうした武将シリーズの作品が3枚くらいありました。
<第3章 東洲斎写楽>
続いては謎の浮世絵師、写楽のコーナーです。写楽は蔦屋から豪華な摺りで鮮烈なデビューをしたのですが、140点程度出した後わずか10ヶ月程度で忽然と姿を消しました。役者の個性を強調したデフォルメに特徴があり、当時は顰蹙を買ったこともあったという逸話を聞いたことがあります。 なお、今の研究では写楽の招待は阿波の能役者、斎藤十郎兵衛だったという説が有力視されているようです。
東洲斎写楽 「中山富三郎の宮城野」 ★こちらで観られます
蔦屋からのデビュー作の1枚です。女方の役者(男)を描いた作品で、大きな櫛とかんざしをして、小さな目につりあがった眉、大きな鼻が特徴的な顔です。ちょっと意地悪なくらい特徴を出してるかもw
この辺にはこうした大首絵は4点程度ならんでいました。
東洲斎写楽 「市川男女蔵の奴一平」 ★こちらで観られます
刀を抜こうとしている男の大首絵です。目は真剣で、唇を大きく曲げて凄んでいるようで、緊張感があります。これは敵役に御用金を奪われてしまうシーンらしく、見得の瞬間を捉えているとのことでした。 また、背景の黒地(黒雲母)と赤い着物の色の対比が明快で、目を引きました。
東洲斎写楽 「三代目瀬川菊之丞の傾城かつらぎ」
これは全身の役者絵で、紫の艶やかな着物を着て立っていて、左側の誰かに話しかけるような仕草に見えるかな。目が小さく、鼻が大きい顔立ちで、清長が描いた瀬川菊之丞とはちょっと雰囲気が違うように思いましたw
この辺には全身の役者絵も並んでいました。
東洲斎写楽 「天王子屋里虹 二代目山下金作の仲居 おかね実は貞任妻岩手御前」 ★こちらで観られます
これも女方の役者絵です。ちょっと太っていて丸っこいオバサンという感じでしょうかw 顔も太めで何か考え事をしているような難しい顔をしているように見えます。どこか愛嬌も感じましたが、貫禄のある姿でした。
<第4章 黄金期の三大絵師をとりまく大家たち>
今回のタイトルになっていた3人の絵師以外にもこの時代に活躍した絵師のコーナーがありました。勝川派、北尾派、鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし)とその門人、歌川派など様々な流派が並んでいました。
勝川春草 「三代目瀬川菊之丞の羽子板」 ★こちらで観られます
画中画として羽子板に描かれた美人(三代目瀬川菊之丞の女方)の大首絵です。羽子板に描かれた構図は珍しいらしく、面白い発想です。肖像としても生き生きした表情をしていて良かったです。
鳥文斎栄之 「茶屋娘見立雁金五人男」 ★こちらで観られます
茶屋の軒先で、お揃いの紫と桃色の着物をきた5人の美女を描いた作品です。「雁金五人男」なんてごつそうな題名ですが、これは荒くれ者が出てくる同名の歌舞伎の話に見立てているそうです。尺八を持っていたり背中に差しているのが武士っぽい感じですが、優美な女性達です。この5人は実在の看板娘たちだそうで、頭の上に暖簾があり、その紋でどこの誰かが分かるようでした。5人とも表情が少しずつ違っていたりするのも特徴を捉えているのかな。色鮮やかで遊び心もある面白い作品でした。
この辺にあった鳥文斎栄之の「略三幅対 女三之宮 衣通姫 小野小町」も素晴らしい作品でした。5枚セットの屋形船の絵などもあり、見所が多いです。
北尾政美 「江戸両国橋夕涼之景」
川と橋、花火を観に来た沢山の人々などが描かれている作品です。手前の橋の見事さや、人々の遊ぶ様子など当時の様子が伝わってきます。西洋風の遠近感があるのも興味深かったです。
歌川豊国 「六玉川 調布の玉川」 ★こちらで観られます
調布の玉川(多摩川?)を描いた3枚セットの作品です。1枚に2人ずつ、川で布を踏んだり杵でついたりしている女性が描かれています。色鮮やかで動きのある姿勢がどこか楽しげで、庶民的な生活感もありました。
<第5章 版本と肉筆画>
最後、第二会場の小部屋では版画ではなく肉筆画も展示されていました。ここもかなり良いです。
歌川豊春 「遊女と禿図」
これは掛け軸で、上から順に、三味線、琴、碁盤、書を持っている女性が流れるように配置されています。女性達は年齢も違っているようで、着ている服も様々です。タイトルからして遊女と禿のようですが、それぞれ違った魅力を感じる作品でした。
鳥文斎栄之 「隅田川納涼図」
3幅対の掛け軸です。右は霧のかかる川で屋形船に乗る男達と2人の女(芸者?)が話している様子、中央は端の下を屋形船が通る様子、左は橋の上で朧月を見上げて夕涼みをしている3人の女性が描かれています。いずれも繊細に書かれ、霞むような空気感が好みでした。
最後は版本のコーナーもありました。本の見開きで絵が描かれています。
ということで、続絵がこんなに観られる浮世絵展は初めて観ました。私としては清長・歌麿・写楽はぎりぎりストライクゾーンくらいなので、もうちょっと他の絵師の作品も観たかった気もしますが、これだけの内容は貴重だと思います。(満足度が④なのは完全に私の好みの問題ですw) この辺りの絵師が好きな人にはたまらないんじゃないかな?? 既に人気となっているようですので、気になる方はお早めにどうぞ。

【展覧名】
ボストン美術館 浮世絵名品展 錦絵の黄金時代-清長、歌麿、写楽
【公式サイト】
http://ukiyoe.exhn.jp/outline/tokyo.html
http://www.yamatane-museum.or.jp/exh/current.html
【会場】山種美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】JR・東京メトロ 恵比寿駅
【会期】2011年2月26日(土)~4月17日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
山種美術館の前回の展示はタイミングが合わずに見損ねたので、今回の展示は早めに行こうと、開始2日目に行ってきたのですが、既にたくさんの人で賑わっていました。ロッカーが満杯で、空くのを少し待ったのはここでは珍しいかも?? 会場は場所によっては混んでいて、大体1つの作品に1~2人くらいついているくらいの混み具合でした。(たまに列を組んでいますが、少し待てば空きました)
さて、今回の展示についてですが、アメリカのボストン美術館が誇るコレクションのうち、浮世絵に絞ったの展示となっています。去年、ボストン美術館の洋画の所蔵品展がありましたが、あの時は洋画の展覧会だったので、今回はまったくの別物と言って良いです。
参考記事:
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想前編 (森アーツセンターギャラリー)
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想後編 (森アーツセンターギャラリー)
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 2回目(森アーツセンターギャラリー)
ボストン美術館の全45万点の所蔵品うち浮世絵の版画は5万件も占めるそうで、中には700件以上の肉筆画や数千点の版本も含まれているそうです。…途方も無いですねw そんな膨大過ぎるコレクションのため、ボストン美術館でもこれらの作品は展示される機会が無かったらしく、今回の里帰りはまさに貴重な機会のようです。 特に、錦絵の黄金期と呼ばれた天明・寛政期に焦点を当て、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽を中心に選りすぐりの作品が並んでいました。詳しくは各章ごとに気に入った作品をご紹介しようと思います。
<第1章 鳥居清長>
まずは鳥居清長の章です。鳥居清長は鳥居派3代目の初代清満に学びました。鳥居派が得意とする役者絵だけでなく、美人画や黄表紙で人気を博し、ここには大判の美人画や「続絵」と呼ばれる2~3枚セットの作品も並んでいました。
鳥居清長 「仲之町の牡丹」
3枚続きの錦絵です。豪華な着物を着た遊女や禿(かむろ)が描かれ、上のほうにその名前と、牡丹の花、風鈴などが描かれていました。色は少し薄めですが、華やかな雰囲気の作品でした。
鳥居清長 「雛形若菜の初模様 丁子屋内 丁山 しをり つまき」 ★こちらで観られます
桜の下を歩く遊女と2人の禿を描いた作品です。色鮮やかな衣装やすらっとした等身が何とも艶やかに見えます。解説によると、これは遊女の披露と着物のカタログの役割を兼ねているそうで、ふくよかで伸びやかなところに特徴があるとのことでした。
この辺は遊女と禿の作品が多かったかな。
鳥居清長 「美南見十二候 九月」 ★こちらで観られます
窓辺に立って障子の格子越しに外の月を観る女性と、その足元で書物を読む2人の女性を描いた作品です。背景には海の様子が見え、漁り火らしき光も見えます。立っている美女はすらりとした印象で遠くを見るような顔が美しく、書物を読む2人は楽しそうな雰囲気でした。 解説によると美南見(みなみ)というのは品川あたりのことらしく、吉原と違って気軽に遊べる遊郭があったそうです。
鳥居清長 「風俗東之錦 萩見」 ★こちらで観られます
2枚セットの大判作品です。右は3人の着飾った女性達、左は茶屋で腰掛ける身分の高そうな侍と茶屋の娘?、しゃがんでいるとぼけた顔の男が描かれています。萩見というタイトルですが、みんな萩はそっちのけで侍を観ているようでした。イケメンに注目が集まるのは今も昔も変わりないようですw それにしても2枚続きの続絵は画面に広がりを感じます。こうした手法は後の世にも多大な影響を与えたとのことでした。
鳥居清長 「三代目瀬川菊之丞の小糸 山下万菊の賤機姫 三代目沢村宗十朗の大友常陸介」
芝居の舞台を描いた作品です。糸巻きを持った男と、その脇の2人の女の三角関係の話だそうで、後ろには三味線を弾いている人、「出語り」という語りの面々が並んでいます。後ろに出語りを描くのは清長の新しい趣向だそうで、実際の舞台の臨場感がありました。
この辺にはこれと同じような構図の絵が3点程度ありました。
鳥居清長 「五代目市川団十郎の横川覚範 三代目沢村宗十朗の狐忠信 中山富三郎の静御前」
「義経千本桜」という芝居に題材した作品です。上に鼓を持つ着物の女性、左下に長刀を持つ隈取をした武者、その隣には派手な着物の髷の男が描かれています。解説によると、実際にこの3人が一緒に出てくるシーンは無いそうです。何故かこの作品は他の作品と比べて群を抜いて色鮮やかで目だっていました。
解説機を聞いていると、この辺で大判錦絵は当時いくらくらいだったのかが分かりました。まあ、かけそばよりちょっと高いくらいかなw 今回は解説機もよく出来てるので借りるとそれぞれの作品の背景が分かりやすいかと思います。
鳥居清長 「子宝五節遊 重陽」 ★こちらで観られます
ここには五節句を題材にした作品がありました。五節句というのは人日(1/7)、上巳(3/3 ひな祭り)、端午の節句(5/5)、七夕(7/7)、重陽(9/9)の5つで、そのうち私が気に入ったのは一番マイナーな重陽の節句の絵でした。重陽は菊の節句とも言われていて、この作品には菊が並んだ所で菊をつも少女達が描かれています。手前では菊を持って争う子供もいてヤンチャな様子が面白かったです。
解説によると、鳥居清長は30代半ばで鳥居派4代目を継ぎ、役者を描いて美人画を描かなくなったそうです。これはその頃に有名な版元の蔦屋から出された作品なのだとか。
<第2章 喜多川歌麿>
清長が美人画から遠ざかったのに代わり、その分野で活躍したのが喜多川歌麿です。初期は花や虫、風俗を題材に狂歌絵本の指図を描いたりしていたようです。蔦屋重三郎と出会ってから遊女の胸から上だけの肖像「大首絵」を描くようになったそうです。 それにしても蔦屋重三郎は改めて凄い…。清長も歌麿も写楽も蔦屋重三郎に関わっているので、先日のサントリー美術館の蔦屋重三郎の展示を思い出しながら観ていました。
参考記事:歌麿・写楽の仕掛け人 その名は蔦屋重三郎 (サントリー美術館)
喜多川歌麿 「四季遊花之色香 上・下」 ★こちらで観られます
2枚セットの大判です。屋形船に乗った男女が描かれていて、右には屋根に座る美男と、しゃがむ女性、左には3人の芸者らしき女性が描かれています。解説によると、しゃがむポーズや2枚セットの続絵は清長からの影響だそうです。しかし、少し気だるい色気を感じるのは歌麿独特の雰囲気のように思えました。
喜多川歌麿 「琴棋書画」
こちらも2枚セットの続絵です。屋敷の中で書画を広げる女性達が描かれ、背景には広い屋敷の中と庭が描かれています。楽しげで、身をくねらせている女性のポーズが優美な雰囲気を出していました。
この辺には2~3枚セットの作品が並んでいました。山東京伝との関係(この人も蔦屋の人脈)が分かるような作品もあり、蔦重のマークが入っている作品が多かったです。
喜多川歌麿 「歌撰恋之部 稀ニ逢恋」 ★こちらで観られます
女性の胸から上だけを描いた「大首絵」です。武家か裕福な商家の娘らしく、品のある顔立ちをしていて、ちょこんと手を出している仕草が可愛らしいです。解説によると、これは稀にしか会えない男に想いを伝えようとしている仕草だそうで、その初々しい感じが出ているように思いました。
この辺はひたすら美人画です。美人画好きとしては嬉しい限り。
喜多川歌麿 「千代鶴」
軒先に腰掛け、団扇を持つ女性を描いた作品です。後ろを振り返って、障子の隙間からそっと瓶を出す手に向かって杯を見せるような仕草をしています。背景には障子に映る女の影があり、夕涼みをしながらお酒でも頼んでいるのかな? 夏の爽やかさを感じる作品でした。
喜多川歌麿 「大川端夕涼」
3枚セットの続絵で、1枚に3人の女性や子供が描かれています。屋形船の浮かぶ隅田川を背景にして花火を見物しているようです。女性達は団扇を持ったりキセルを持ったりしていて、優美で色気がありました。左の方には大きな橋があり、橋の上には見物人がぎっしり!w お祭りの楽しい雰囲気と涼しげな美女という、夏の風物詩的な作品でした。
喜多川歌麿 「煤掃き」
こちらは5枚セットの続絵です。いずれも年末の大掃除を題材にしていて、左3枚は襖や畳を外して皆で掃除をしている様子が描かれています。2枚目で男が胴上げされているのですが、これは当時の煤払いの時の風習だそうです。 右2枚には旦那とその息子?をからかっている女性などが描かれていました。結構、楽しみながら掃除してますw
一見して右2枚と左3枚の色合いが違うのですが、左は初版で右は後の摺りだそうです。 初版は渋い色合いですが、右の方はべにを使っているらしく派手な印象を受けました。摺りの違いでだいぶ印象も変わってくるのが面白いです。
喜多川歌麿 「五節句」
5枚セットの続絵で、画面は繋がって見えますが、1枚1枚で節句の内容が違うという趣向となっています。先ほどご紹介した5つの節句が左から並び、それぞれに女性や子供が楽しげにのびのびと描かれていました。また、いずれも賛があり、それぞれの節句について書かれているようでした。
喜多川歌麿 「福島左衛門」
戦国武将を描いたシリーズの1枚で、これは秀吉の家臣の福島正則を思わせるそうです。鎧櫃の上に座り、2人の美人にお灸をして貰っています。どうやら脚のお灸が熱いみたいで、顔を思いっきりしかめていて、右の女性はそれを指差して笑っていますw 観てるだけで熱さが分かるような豊かな表情で、各人物の気持ちが伝わってくる面白い作品でした。
この辺にはこうした武将シリーズの作品が3枚くらいありました。
<第3章 東洲斎写楽>
続いては謎の浮世絵師、写楽のコーナーです。写楽は蔦屋から豪華な摺りで鮮烈なデビューをしたのですが、140点程度出した後わずか10ヶ月程度で忽然と姿を消しました。役者の個性を強調したデフォルメに特徴があり、当時は顰蹙を買ったこともあったという逸話を聞いたことがあります。 なお、今の研究では写楽の招待は阿波の能役者、斎藤十郎兵衛だったという説が有力視されているようです。
東洲斎写楽 「中山富三郎の宮城野」 ★こちらで観られます
蔦屋からのデビュー作の1枚です。女方の役者(男)を描いた作品で、大きな櫛とかんざしをして、小さな目につりあがった眉、大きな鼻が特徴的な顔です。ちょっと意地悪なくらい特徴を出してるかもw
この辺にはこうした大首絵は4点程度ならんでいました。
東洲斎写楽 「市川男女蔵の奴一平」 ★こちらで観られます
刀を抜こうとしている男の大首絵です。目は真剣で、唇を大きく曲げて凄んでいるようで、緊張感があります。これは敵役に御用金を奪われてしまうシーンらしく、見得の瞬間を捉えているとのことでした。 また、背景の黒地(黒雲母)と赤い着物の色の対比が明快で、目を引きました。
東洲斎写楽 「三代目瀬川菊之丞の傾城かつらぎ」
これは全身の役者絵で、紫の艶やかな着物を着て立っていて、左側の誰かに話しかけるような仕草に見えるかな。目が小さく、鼻が大きい顔立ちで、清長が描いた瀬川菊之丞とはちょっと雰囲気が違うように思いましたw
この辺には全身の役者絵も並んでいました。
東洲斎写楽 「天王子屋里虹 二代目山下金作の仲居 おかね実は貞任妻岩手御前」 ★こちらで観られます
これも女方の役者絵です。ちょっと太っていて丸っこいオバサンという感じでしょうかw 顔も太めで何か考え事をしているような難しい顔をしているように見えます。どこか愛嬌も感じましたが、貫禄のある姿でした。
<第4章 黄金期の三大絵師をとりまく大家たち>
今回のタイトルになっていた3人の絵師以外にもこの時代に活躍した絵師のコーナーがありました。勝川派、北尾派、鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし)とその門人、歌川派など様々な流派が並んでいました。
勝川春草 「三代目瀬川菊之丞の羽子板」 ★こちらで観られます
画中画として羽子板に描かれた美人(三代目瀬川菊之丞の女方)の大首絵です。羽子板に描かれた構図は珍しいらしく、面白い発想です。肖像としても生き生きした表情をしていて良かったです。
鳥文斎栄之 「茶屋娘見立雁金五人男」 ★こちらで観られます
茶屋の軒先で、お揃いの紫と桃色の着物をきた5人の美女を描いた作品です。「雁金五人男」なんてごつそうな題名ですが、これは荒くれ者が出てくる同名の歌舞伎の話に見立てているそうです。尺八を持っていたり背中に差しているのが武士っぽい感じですが、優美な女性達です。この5人は実在の看板娘たちだそうで、頭の上に暖簾があり、その紋でどこの誰かが分かるようでした。5人とも表情が少しずつ違っていたりするのも特徴を捉えているのかな。色鮮やかで遊び心もある面白い作品でした。
この辺にあった鳥文斎栄之の「略三幅対 女三之宮 衣通姫 小野小町」も素晴らしい作品でした。5枚セットの屋形船の絵などもあり、見所が多いです。
北尾政美 「江戸両国橋夕涼之景」
川と橋、花火を観に来た沢山の人々などが描かれている作品です。手前の橋の見事さや、人々の遊ぶ様子など当時の様子が伝わってきます。西洋風の遠近感があるのも興味深かったです。
歌川豊国 「六玉川 調布の玉川」 ★こちらで観られます
調布の玉川(多摩川?)を描いた3枚セットの作品です。1枚に2人ずつ、川で布を踏んだり杵でついたりしている女性が描かれています。色鮮やかで動きのある姿勢がどこか楽しげで、庶民的な生活感もありました。
<第5章 版本と肉筆画>
最後、第二会場の小部屋では版画ではなく肉筆画も展示されていました。ここもかなり良いです。
歌川豊春 「遊女と禿図」
これは掛け軸で、上から順に、三味線、琴、碁盤、書を持っている女性が流れるように配置されています。女性達は年齢も違っているようで、着ている服も様々です。タイトルからして遊女と禿のようですが、それぞれ違った魅力を感じる作品でした。
鳥文斎栄之 「隅田川納涼図」
3幅対の掛け軸です。右は霧のかかる川で屋形船に乗る男達と2人の女(芸者?)が話している様子、中央は端の下を屋形船が通る様子、左は橋の上で朧月を見上げて夕涼みをしている3人の女性が描かれています。いずれも繊細に書かれ、霞むような空気感が好みでした。
最後は版本のコーナーもありました。本の見開きで絵が描かれています。
ということで、続絵がこんなに観られる浮世絵展は初めて観ました。私としては清長・歌麿・写楽はぎりぎりストライクゾーンくらいなので、もうちょっと他の絵師の作品も観たかった気もしますが、これだけの内容は貴重だと思います。(満足度が④なのは完全に私の好みの問題ですw) この辺りの絵師が好きな人にはたまらないんじゃないかな?? 既に人気となっているようですので、気になる方はお早めにどうぞ。
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前々回、前回とご紹介したBunkamuraザ・ミュージアムのフェルメール展を見た後、同じ東急の中にある萩原珈琲というお店でお茶してきました。

【店名】
萩原珈琲
【ジャンル】
カフェ
【公式サイト】
http://www.hagihara-coffee.com/
http://www.tokyu-dept.co.jp/honten/map/7f.html/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【近くの美術館】
Bunkamuraザ・ミュージアム
松濤美術館
たばこと塩の博物館
など
【この日にかかった1人の費用】
600円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
2010年の9月に東急本店の7階がリニューアルされてジュンク堂と丸善なったので、その様子を見に行ってきたところ、ジュンク堂の一角にこのカフェがありました。
参考リンク:東急本店に「丸善&ジュンク堂書店」-渋谷に大型書店復活
お店の中は簡素な椅子とテーブルがあるくらいで、カフェと言うよりも本屋さんにある喫茶コーナーという雰囲気です。未清算の本は持ち込めませんが、買ったばかりの本を読んでゆっくりしている人でほぼ満席となっていました。
先に注文してお会計をしてから、届けてくれる方式でした。この日はアイスコーヒーとチーズケーキを注文。

まずはアイスコーヒー(400円) この萩原珈琲は神戸の老舗らしく、炭火焙煎にこだわりがあるそうです。

アイス珈琲のせいかあまり香りや酸味はなく、苦味はやや強めでした。後味はそんなに重くないので、飲みやすかったかな。この値段でこの味は中々良いかも
こちらはチーズケーキ(180円) やけに安いなと思ったら結構小さめでパッケージされていました。

なめらかなクリームでいかにもチーズケーキという味で、こちらも中々の美味しさでした。小さいのでちょこっと食べたい時に丁度いいかも。
と言うことで、コーヒーもケーキも定番の味といった感じで美味しかったです。店内は簡素なわりに静かな音楽がながれ落ち着くし、買ったばかりの本を読みながらくつろげる空間というのは貴重だと思います。コストパフォーマンスも良いし、本を買うついでについ寄りたくなりそうです。
ちなみにここのジュンク堂は座って本を読むこともできるので、ゆっくりと本を選ぶことができました。bunkamuraのある東急の7階は中々居心地が良いです。

【店名】
萩原珈琲
【ジャンル】
カフェ
【公式サイト】
http://www.hagihara-coffee.com/
http://www.tokyu-dept.co.jp/honten/map/7f.html/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【近くの美術館】
Bunkamuraザ・ミュージアム
松濤美術館
たばこと塩の博物館
など
【この日にかかった1人の費用】
600円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
2010年の9月に東急本店の7階がリニューアルされてジュンク堂と丸善なったので、その様子を見に行ってきたところ、ジュンク堂の一角にこのカフェがありました。
参考リンク:東急本店に「丸善&ジュンク堂書店」-渋谷に大型書店復活
お店の中は簡素な椅子とテーブルがあるくらいで、カフェと言うよりも本屋さんにある喫茶コーナーという雰囲気です。未清算の本は持ち込めませんが、買ったばかりの本を読んでゆっくりしている人でほぼ満席となっていました。
先に注文してお会計をしてから、届けてくれる方式でした。この日はアイスコーヒーとチーズケーキを注文。

まずはアイスコーヒー(400円) この萩原珈琲は神戸の老舗らしく、炭火焙煎にこだわりがあるそうです。

アイス珈琲のせいかあまり香りや酸味はなく、苦味はやや強めでした。後味はそんなに重くないので、飲みやすかったかな。この値段でこの味は中々良いかも
こちらはチーズケーキ(180円) やけに安いなと思ったら結構小さめでパッケージされていました。

なめらかなクリームでいかにもチーズケーキという味で、こちらも中々の美味しさでした。小さいのでちょこっと食べたい時に丁度いいかも。
と言うことで、コーヒーもケーキも定番の味といった感じで美味しかったです。店内は簡素なわりに静かな音楽がながれ落ち着くし、買ったばかりの本を読みながらくつろげる空間というのは貴重だと思います。コストパフォーマンスも良いし、本を買うついでについ寄りたくなりそうです。
ちなみにここのジュンク堂は座って本を読むこともできるので、ゆっくりと本を選ぶことができました。bunkamuraのある東急の7階は中々居心地が良いです。
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今日は前回の記事に引き続き、Bunkamuraザ・ミュージアムの「フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展」の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。
前編はこちら

まずは概要のおさらいです。
【展覧名】
シュテーデル美術館所蔵 フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展
【公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/11_vermeer/index.html
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_11_vermeer.html
【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【会期】2011年3月3日(木)~5月22日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
前編では今回の目玉の「地理学者」を含め、歴史画、寓意画、肖像画、風俗画、室内画などをご紹介しましたが、後編も中々面白い展示となっていました。
<静物画>
17世紀になると静物画は様々な分野に発展したそうで、ヤン・ブリューゲル(父)などが貢献したそうです。静物画は富裕層のステータスシンボルであり、その一方でヴァニタス(虚栄)のテーマに結びつけられると解説されていました。
ヤン・ブリューゲル(父)の工房 「ガラスの花瓶に生けた花」 ★こちらで観られます
花のブリューゲルと呼ばれたヤン・ブリューゲル(父)の工房で描かれた花の静物です。透明な分に入った色とりどりの花が中々写実的に描かれています。黒を背景にしているので色鮮やかな花が浮かぶように目を引きます。解説によると、異なる季節の花が描かれていたり花の配置が実際には不可能な構図となっているようでした。また、花言葉のように花には意味があるようで、人生の儚さも表現しているようでした。
ピーテル・ド・リング 「果物やベルクマイヤー・グラスのある静物」
テーブルの上に置かれた葡萄や桃、小海老、グラスなどの静物です。グラスの透明感や葡萄の瑞瑞しさなどは写真よりも生々しい感じがするかも。鮮やかで質感のある作品でした。
この辺にあったコルネリス・デ・ヘームの静物も好みでした。
ヤーコプ・フォッペンス・ファン・エス 「調理台の上の魚」
横長の大きめの作品です。切り身にされた魚、ひっくり返った蟹、縛られた魚、無造作に並んだ魚 などなど、たくさんの魚介類が描かれています。ちょっとグロい感じもしますが、中々面白い主題です。解説によると、これは魚屋か魚売り協会に飾られたものと考えられるそうです。 また、当時の修道院では断食中でも魚だけは食べて良かったそうで、こうした作品も人気があったとのことでした。
ペトルス・ウィルベーク 「ヴァニタスの静物」
机に置かれた様々なものが描かれた静物です。倒れた銀の杯、砂時計、奥にマンドーラらしきもの、骸骨、手前にはピストルなどが描かれています。砂時計によって時間の流れ、楽器によって聴覚、銀器の質感で触覚などを感じるかな。骸骨やピストルは死を連想させるので、ヴァニタスの典型的な作風かもしれません。静物としても質感のある写実性が素晴らしかったです。
ヤン・ウェーニックス 「死んだ野兎と鳥のある静物」
脚を吊るされた兎や鳥を描いた作品です。地面には血の染み付いた鳥の死骸などもあり、ちょっと残酷な気もしますが、こうした狩りでしとめた動物を描いた静物は貴族のシンボルとして人気だったようです。兎のふわっとした毛並みやしなやかな体、力の無い目など真に迫るものを感じました。
この隣にも鳥を吊るした静物があり、他には花の静物などもありました。
<地誌と風景画>
最後は風景画のコーナーです。16世紀のフランドルでは、宗教的な主題と背景の風景の比率が逆転して生み出された風景表現を「世界風景」と呼んだそうで、深くて気高い地平線とパノラマ的な眺望が特徴があるそうです。また、17世紀になると風景画は独立した主題となり、オランダでは海景画の分野が発展して行ったそうです(海運国だったのも理由かな) ここにはそうした風景画が多く並んでいて、一番点数が多いコーナーとなっていました。
ヤン・ブリューゲル(父) 「人物のいる森の風景」
小さい風景画が4点密集して並んでいたうちの1点です。丘から遠くの景色が見える構図の風景画で、手前では牛が車を引いていて、道の脇では人々が話しているのが描かれています。手前は茶色、中ほどは緑、遠くは青といった色の配置となっていて、ここにあった4点はいずれもそうした色分けとなっているようでした。色で遠近感を出しているのかな。特に遠景の青は空気感がありました。
ルーカス・ファン・ファルケンボルヒ 「凍ったスヘルデ川とアントワープの景観」 ★こちらで観られます
アントワープという街の凍った川に集まった人々を描いた作品です。どこかピーテル・ブリューゲルの作品を彷彿するかな。少し高めの視点から見渡すように、川でスケートなどの遊びに興じる人、脇の道を行く人、焚き火にあたったり薪を背負ったりしている人など、実に生き生きとした人々の営みを感じます。解説によると、奥には要塞のような町並みはスペイン時代に支配されていた名残を感じられるそうです。また、こうした作品は他の地に移民していった人々が故郷を思い起こすものとして、よく売れたそうです。
アールベルト・カイプ 「牧草地の羊の群れ」
まだ明るめの夕暮れ時の牧草地の風景画で、手前では沢山の羊たちが地面で寝ています。左の方で長い杖を持って立つ黒い帽子の男性が描かれ、隣には犬がいたり後方では話し合う人がいて、恐らく羊飼いかな。やけに地平線が低く、杖を持つ人が大きく感じられます。背景には教会の塔が見え、柔らかいグラデーションで爽やかな空でした。解説によると、これは伝え聞いた風景をイタリア風に描いたそうで、この画家はターナーなどにも影響を与えたそうです。
ユリウス・ポルセリス? 「嵐の海」
白い波を上げる時化てきた嵐の海を描いた作品です。帆船が大きく傾き、背景には黒い雲が見えます。そんな緊迫した中に陽が差し込んでいて、それがドラマチックな効果となって、天候の急変を感じさせました。
この辺は海を題材にした作品が5点ほど並んでいました。
ヤーコプ・ファン・ロイスダール 「街灯のあるハールレムの冬」縦横長の作品で、暗い雲の下、2人の人物が背を向けて寂しい野原に向かっている様子が描かれています。地平線は低めに描かれていて、手前に1本の長い街灯が立ち、ポツンとした印象を受けました。暗い雰囲気ですが、どこか神秘的なものを感じました。
ヘンドリク・ファン・フリート 「デルフトの旧教会の内部」
柱や壁は白く、天井が非常に高い教会の内部を描いた作品です。中では散歩をしている人や立ち話をしている人など、穏やかでのんびりした雰囲気があります。また、構図のせいか奥行きがあり、広々とした感じを受けました。
パウルス・コンスタンテイン・ラ・ファルグ 「都市から見たライデンのハールレム門」
川とその周りの街の建物を描いた風景画です。非常に精密で写真のような写実性があります。ほんのすこし赤っぽく見えるのは時間帯のせいなのかな。その為かどこか懐かしいようなのんびりした空気を感じました。 解説によると、この画家は筆跡を残さず、液体のように薄く延ばした色を使う描き方が特徴だそうです。
アールト・ファン・デル・ネール 「漁船のある夜の運河」
川とその両岸の風景を描いた作品です。画面の奥の方にうっすらと雲がかかった月が浮かび、川に反射しています。左には月に照らされた家々が描かれ、手前には小舟を漕ぐ人の姿もありました。静かな雰囲気が漂い、叙情的な光景となっていました。
この隣にも同じ画家の月光に照らされた川の絵があり、こちらも神秘的な作品でした。
ということで、非常に充実した内容となっていました。人ごみに負けずにゆっくり観ていたので2時間半もかかってしまったw 混んでいるのは大変ですが、会期は長いし毎週金・土曜日は21時までというのは嬉しいです。これはリピート確定なので今度は夜にでも行こうかな。 会期の終盤になると混雑すると思いますので、気になる方はお早めにどうぞ。お勧めの展覧会です。
おまけ:
ミュージアムショップではグッズを販売していました。先日のゴッホ展にもあったパズルと観に額縁のガチャガチャ(1個300円)がここにも!w
参考記事:ゴッホ展 こうして私はゴッホになった 2回目感想後編(国立新美術館)

ガチャガチャは8種類あり、すべてフェルメールの絵です。(窓辺の肖像が多いかな。)ちなみに私は「天秤を持つ女」でした。今度行ったらまたやろうw
前編はこちら

まずは概要のおさらいです。
【展覧名】
シュテーデル美術館所蔵 フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展
【公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/11_vermeer/index.html
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_11_vermeer.html
【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【会期】2011年3月3日(木)~5月22日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
前編では今回の目玉の「地理学者」を含め、歴史画、寓意画、肖像画、風俗画、室内画などをご紹介しましたが、後編も中々面白い展示となっていました。
<静物画>
17世紀になると静物画は様々な分野に発展したそうで、ヤン・ブリューゲル(父)などが貢献したそうです。静物画は富裕層のステータスシンボルであり、その一方でヴァニタス(虚栄)のテーマに結びつけられると解説されていました。
ヤン・ブリューゲル(父)の工房 「ガラスの花瓶に生けた花」 ★こちらで観られます
花のブリューゲルと呼ばれたヤン・ブリューゲル(父)の工房で描かれた花の静物です。透明な分に入った色とりどりの花が中々写実的に描かれています。黒を背景にしているので色鮮やかな花が浮かぶように目を引きます。解説によると、異なる季節の花が描かれていたり花の配置が実際には不可能な構図となっているようでした。また、花言葉のように花には意味があるようで、人生の儚さも表現しているようでした。
ピーテル・ド・リング 「果物やベルクマイヤー・グラスのある静物」
テーブルの上に置かれた葡萄や桃、小海老、グラスなどの静物です。グラスの透明感や葡萄の瑞瑞しさなどは写真よりも生々しい感じがするかも。鮮やかで質感のある作品でした。
この辺にあったコルネリス・デ・ヘームの静物も好みでした。
ヤーコプ・フォッペンス・ファン・エス 「調理台の上の魚」
横長の大きめの作品です。切り身にされた魚、ひっくり返った蟹、縛られた魚、無造作に並んだ魚 などなど、たくさんの魚介類が描かれています。ちょっとグロい感じもしますが、中々面白い主題です。解説によると、これは魚屋か魚売り協会に飾られたものと考えられるそうです。 また、当時の修道院では断食中でも魚だけは食べて良かったそうで、こうした作品も人気があったとのことでした。
ペトルス・ウィルベーク 「ヴァニタスの静物」
机に置かれた様々なものが描かれた静物です。倒れた銀の杯、砂時計、奥にマンドーラらしきもの、骸骨、手前にはピストルなどが描かれています。砂時計によって時間の流れ、楽器によって聴覚、銀器の質感で触覚などを感じるかな。骸骨やピストルは死を連想させるので、ヴァニタスの典型的な作風かもしれません。静物としても質感のある写実性が素晴らしかったです。
ヤン・ウェーニックス 「死んだ野兎と鳥のある静物」
脚を吊るされた兎や鳥を描いた作品です。地面には血の染み付いた鳥の死骸などもあり、ちょっと残酷な気もしますが、こうした狩りでしとめた動物を描いた静物は貴族のシンボルとして人気だったようです。兎のふわっとした毛並みやしなやかな体、力の無い目など真に迫るものを感じました。
この隣にも鳥を吊るした静物があり、他には花の静物などもありました。
<地誌と風景画>
最後は風景画のコーナーです。16世紀のフランドルでは、宗教的な主題と背景の風景の比率が逆転して生み出された風景表現を「世界風景」と呼んだそうで、深くて気高い地平線とパノラマ的な眺望が特徴があるそうです。また、17世紀になると風景画は独立した主題となり、オランダでは海景画の分野が発展して行ったそうです(海運国だったのも理由かな) ここにはそうした風景画が多く並んでいて、一番点数が多いコーナーとなっていました。
ヤン・ブリューゲル(父) 「人物のいる森の風景」
小さい風景画が4点密集して並んでいたうちの1点です。丘から遠くの景色が見える構図の風景画で、手前では牛が車を引いていて、道の脇では人々が話しているのが描かれています。手前は茶色、中ほどは緑、遠くは青といった色の配置となっていて、ここにあった4点はいずれもそうした色分けとなっているようでした。色で遠近感を出しているのかな。特に遠景の青は空気感がありました。
ルーカス・ファン・ファルケンボルヒ 「凍ったスヘルデ川とアントワープの景観」 ★こちらで観られます
アントワープという街の凍った川に集まった人々を描いた作品です。どこかピーテル・ブリューゲルの作品を彷彿するかな。少し高めの視点から見渡すように、川でスケートなどの遊びに興じる人、脇の道を行く人、焚き火にあたったり薪を背負ったりしている人など、実に生き生きとした人々の営みを感じます。解説によると、奥には要塞のような町並みはスペイン時代に支配されていた名残を感じられるそうです。また、こうした作品は他の地に移民していった人々が故郷を思い起こすものとして、よく売れたそうです。
アールベルト・カイプ 「牧草地の羊の群れ」
まだ明るめの夕暮れ時の牧草地の風景画で、手前では沢山の羊たちが地面で寝ています。左の方で長い杖を持って立つ黒い帽子の男性が描かれ、隣には犬がいたり後方では話し合う人がいて、恐らく羊飼いかな。やけに地平線が低く、杖を持つ人が大きく感じられます。背景には教会の塔が見え、柔らかいグラデーションで爽やかな空でした。解説によると、これは伝え聞いた風景をイタリア風に描いたそうで、この画家はターナーなどにも影響を与えたそうです。
ユリウス・ポルセリス? 「嵐の海」
白い波を上げる時化てきた嵐の海を描いた作品です。帆船が大きく傾き、背景には黒い雲が見えます。そんな緊迫した中に陽が差し込んでいて、それがドラマチックな効果となって、天候の急変を感じさせました。
この辺は海を題材にした作品が5点ほど並んでいました。
ヤーコプ・ファン・ロイスダール 「街灯のあるハールレムの冬」縦横長の作品で、暗い雲の下、2人の人物が背を向けて寂しい野原に向かっている様子が描かれています。地平線は低めに描かれていて、手前に1本の長い街灯が立ち、ポツンとした印象を受けました。暗い雰囲気ですが、どこか神秘的なものを感じました。
ヘンドリク・ファン・フリート 「デルフトの旧教会の内部」
柱や壁は白く、天井が非常に高い教会の内部を描いた作品です。中では散歩をしている人や立ち話をしている人など、穏やかでのんびりした雰囲気があります。また、構図のせいか奥行きがあり、広々とした感じを受けました。
パウルス・コンスタンテイン・ラ・ファルグ 「都市から見たライデンのハールレム門」
川とその周りの街の建物を描いた風景画です。非常に精密で写真のような写実性があります。ほんのすこし赤っぽく見えるのは時間帯のせいなのかな。その為かどこか懐かしいようなのんびりした空気を感じました。 解説によると、この画家は筆跡を残さず、液体のように薄く延ばした色を使う描き方が特徴だそうです。
アールト・ファン・デル・ネール 「漁船のある夜の運河」
川とその両岸の風景を描いた作品です。画面の奥の方にうっすらと雲がかかった月が浮かび、川に反射しています。左には月に照らされた家々が描かれ、手前には小舟を漕ぐ人の姿もありました。静かな雰囲気が漂い、叙情的な光景となっていました。
この隣にも同じ画家の月光に照らされた川の絵があり、こちらも神秘的な作品でした。
ということで、非常に充実した内容となっていました。人ごみに負けずにゆっくり観ていたので2時間半もかかってしまったw 混んでいるのは大変ですが、会期は長いし毎週金・土曜日は21時までというのは嬉しいです。これはリピート確定なので今度は夜にでも行こうかな。 会期の終盤になると混雑すると思いますので、気になる方はお早めにどうぞ。お勧めの展覧会です。
おまけ:
ミュージアムショップではグッズを販売していました。先日のゴッホ展にもあったパズルと観に額縁のガチャガチャ(1個300円)がここにも!w
参考記事:ゴッホ展 こうして私はゴッホになった 2回目感想後編(国立新美術館)


ガチャガチャは8種類あり、すべてフェルメールの絵です。(窓辺の肖像が多いかな。)ちなみに私は「天秤を持つ女」でした。今度行ったらまたやろうw
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つい昨日の日曜日にBunkamuraザ・ミュージアムで、「シュテーデル美術館所蔵 フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展」を観てきました。色々とネタを溜め込んでいますが、注目度も高い展覧会ですので先にご紹介しておこうと思います。100点近い内容で、質・量共に充実していましたので前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

【展覧名】
シュテーデル美術館所蔵 フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展
【公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/11_vermeer/index.html
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_11_vermeer.html
【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【会期】2011年3月3日(木)~5月22日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
開始して初めての日曜日だったということもあってか、早速混みあっていました。入場規制はなくチケットも2~3分で買えたのですが、中はごった返していて作品によっては人だかりができるような感じでした。(最後の方は若干空いている所もありましたが基本的には1作品に2~3人程度ついているくらいでした)
さて、今回の展覧会はシュテーデル美術館所蔵のフェルメールの「地理学者」を中心に、前後の時代のオランダ・フランドル地方の画家達の展示となっています。フェルメールが来る時は大体フランドル絵画展になるかな。このブログを始める以前の東京都美術館の「フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち」(2007年)や国立新美術館「フェルメール [牛乳を注ぐ女]とオランダ風俗画展」(2008年)などに似ている構成だと思います。「レースを編む女」 が来た国立西洋美術館の「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」(2009年)ほどは幅広くないですが、まだまだ知らない画家の作品が多くかなり楽しめました。
参考記事:ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画 2回目 (国立西洋美術館)
ちなみにフランドルと言うのは「フランダースでの犬」で有名なフランダース地方(英語読み)のことです。ベルギー、オランダ、フランスにまたがる地域で、数多くの巨匠画家が生まれています。この展示でも名だたる巨匠の作品が並んでいました。
参考リンク:フランドルのwikipedia
詳しくは気に入った作品を通じてご紹介していこうと思います。
<歴史画と寓意画>
まずは王道の寓意画のコーナーです。歴史画は壮麗でダイナミックな17世紀バロック美術の体現と言えるそうで、この時代の主要な画題です。例えばルーベンスはアントワープで活動しイエズス会のカトリック復権に大きく寄与したり、新教国となって独立したオランダでは旧約聖書の主題が多く描かれたそうです。この地方の画家は細密描写を得意として、寓意画にも豊かな展開をもたらしたとのことで、ここにはそうした緻密な描写と歴史画の両側面を持つ作品が並んでいました。
ヤン・ブリューゲル(子) 「楽園でのエヴァの創造」 ★こちらで観られます
森の中で横たわるアダムからエヴァ(イヴ)を引き出す神が描かれた作品。手前にはライオンや鶏、孔雀などがつがいで描かれ、右の方には花も描かれています。いずれも精密に描かれ、楽園のような風景と解説されていました。聖書の主題と風景画の要素を感じる作品でした。
このとなりにはヤン・ブリューゲル(父)の作品もありました。最初からブリューゲル一家の作品が並び、良いスタートです。
フェルディナント・ファン・ケッセルに帰属 「ネズミのダンス」
2本足で立つ4匹のネズミが手を取り合って輪になっている作品です。背景にはイルカの頭を模った椅子の脚も描かれています。ネズミたちは喜んでいるようで、リアルなネズミだけど仕草だけは可愛いかなw 解説によるとこれは元々大きな絵だったのを分割したものらしく、この作品の部分は「猫が家の外にいるとネズミが机の上でダンスを踊る」という諺を表現しているようです。そう言えば先日のブリューゲル版画展でも諺が題材になった作品があったのを思い出しました。フランドルは諺好きですねw
参考記事:ブリューゲル版画の世界 感想後編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
ペーテル・パウル・ルーベンスとヤン・ブックホルスト 「竪琴を弾くダヴィデ王」 ★こちらで観られます
横向きで少し上を向き、竪琴を弾く白髪と髭の男性を描いた作品です。解説によると、ルーベンスが描いたのは頭と肩だけだそうで、それを元に工房で竪琴を弾くダヴィデ王として仕立てられたそうです。それでも結構ルーベンスっぽい感じがあって、柔らかで血色の良い表現は本人の作品に近いように思えました。
レンブラント・ファン・レイン 「サウル王の前で竪琴を弾くダヴィデ」 ★こちらで観られます
かつては重用したダヴィデの武勲に嫉妬し、殺意を持ったサウル王を描いた作品です。王は槍?を持ち、左ではダヴィデがひざまずいて竪琴を弾いています。スポットライトが当たったようなサウル王の表情は、嫉妬を持ちながらも音色に聞き入っているようで、複雑な心情を感じさせました。明暗の効果もあり非常にドラマチックな作品で、かなり気に入りました。
ヤン・ステーン 「岩を打つモーセ」
モーセが岩を打って水が湧き出るというシーンを描いた宗教画です。この画家は風俗画が多い(しかも皮肉が効いたのが多いかなw)ので、こうした宗教画は珍しいそうです。 水の噴出す岩の下では、両手で甕を持って水を入れている人や、集まってくる人々など、歓喜している様子は風俗画的な要素もあるようでした。人々の感情も伝わってくるような宗教画で面白かったです。
バルトロメウス・ブレーンベルフ 「聖ラウレンティウスの殉教」
ローマの神殿の前で火あぶりにされている聖ラウレンティウスの殉教を描いた作品です。聖ラウレンティウスは仰向けになって眼を見開き、その周りには薪を持った人や長い筒で火に息を吹いている人、見物人などが描かれています。空からは天使が冠を持って現れているのは殉教のシーンでよく見るかな。手前と背景の明暗がだいぶ違って見えて、聖ラウレンティウスの肌はより明るく描かれて、ドラマチックな雰囲気がありました。
<肖像画>
続いては肖像画のコーナーです。オランダでは人物に焦点を当てた簡潔な構図で肖像画を描くのが好まれたそうです。ここにはそうした肖像画(台頭してきた裕福な市民を描いた作品など)が並んでいました。
フェルディナント・ボル 「若い男の肖像」
黒い服を着た男性の肖像です。少し上目遣いみたいにこちらを見ているようです。ちょっと神経質そうな性格も感じられるかなw この画家はレンブラントの工房にいたそうですが、明暗の表現は確かにレンブラントを彷彿するものがありました。
レンブラント・ファン・レイン 「マールトヘン・ファン・ビルダーベークの肖像」
立派な襟の服を着た初老の女性を描いた肖像画です。かなり精密に描かれていて、肌の色などは写真のようです。穏やかな表情で柔和な人間性を持っている人に思えました。
フランス・ハルス 「男の肖像」「女の肖像」 ★こちらで観られます
こちらは夫婦の肖像画2枚対で展示されていた作品です。向き合うように左は夫、右は妻の肖像が並んでいます。夫は話しかけてきそうな表情で、襟の表現に勢いを感じます。それに対して妻は、賢明そうで、しっとしと繊細な表現になっていました。結構、対照的な感じもして面白いです。
カーレル・スラバールト 「髑髏と自画像」
黒い帽子を被り少し口を開けた男性がこちらを向いています。どうやらこれは画家自身の姿らしく、筆を持ち髑髏の上に手を置いています。また、隣の燭台の炎は消えて煙が出ていているのも意味深です。解説によると、骸骨はメメント・モリ(死を忘れることなかれ)、消えた蝋燭はヴァニタス(虚栄)を意味しているそうで、「芸術は長く、人生は短い」というこの画家のモットーを示しているようでした。また、豪奢な衣装に自負心のある眼差しと説明されていましたが、私の見た感じでは頼りなさげで悲しそうな印象を受けました。
<風俗画と室内画>
続いてのコーナーは風俗画と室内画が主題です。このジャンルは16世紀後半に幅広いテーマを生み出したそうで、17世紀後半のオランダでは裕福な市民の家庭の一コマや室内の様子などが描かれたそうです。ここにはそうした作品が並び、初っ端が今回の目玉の「地理学者」とそれに関する参考展示となっていました、
まず「地理学者に見る大航海時代」という数分の映像があり、絵に描かれている物から当時の交易の様子を紹介してくれます。(地球儀、地図、コンパス、定規、日本風の上着、ゴブラン織り、デルフト焼のタイルなど) そして、その隣には1700年頃のヨーロッパの地図や地球儀もありました。地図はかなり正確で、びっしりと地名や川、森などが描かれていて驚きました。地球儀の方は日本の辺りとか微妙w 「地理学者」を見る上で中々参考になります。
ヨハネス・フェルメール 「地理学者」 ★こちらで観られます
今回の目玉作品です。窓際の机に置かれた地図に向かい、コンパスを持つ地理学者が描かれています。目を窓の外に向け、外を伺っているというよりはじっと遠くを見つめるような表情に見えたかな。窓から差し込む光は明るく、写真などで想像していた以上に色鮮やかに感じました。地図に光が透けている表現など、非常に写実的でありながらドラマチックな雰囲気がありました。
解説によると、背景にある地球儀はインド洋を向いているそうで、当時のアジアとの交易について説明していました。地理学者が着ている青いどてらみたいな服は当時裕福な層が着ていた日本風の上着なのだとか。
なお、これは37歳頃の円熟期の作品だそうで、描かれた人物はデルフトの科学者をモデルにしているとのです。
この近くには星座が描かれた天球儀などもありました。
ヘラルト・テル・ボルヒ 「ワイングラスを持つ婦人」 ★こちらで観られます
ピッチャーを持ち、テーブルに向かってワインを飲む女性を描いた作品です。テーブルの上には羽根ペンの入った銀器と手紙が置かれ、それを読もうとしているのか手紙を書こうとしているのかはわかりません。物思いに耽るように、どこか悲しげで静かな雰囲気を感じました。銀や陶器の質感も見事です。
ヘリット・ダウ 「夕食の食卓を片付ける女性」
暗い部屋の中、テーブルに置かれた燭台を前にした女性とらんたんを持つ少女が描かれた作品です。少女は手紙を届けに来たらしく、女性に差し出しているようです。2人は話しているのか、火に照らされた顔が印象的でした。火の光の表現が何とも叙情的でな作品です。
ピーテル・ヤンセンス・エーリンハ 「画家と読みものをする女性、掃除をする召使のいる室内」 ★こちらで観られます
光が差し込むオランダの市民の家の中をを描いた作品です。手前に掃除をする召使、部屋の奥に夫人、奥の部屋には夫(画家?)の姿も見えます。光と影が精密に描かれ、床には幾何学的な模様、部屋には多くの絵画が飾られていました。3方向の壁が描かれている割には広々とした印象だったかな。天井が高くて窓が明るいからかな??
ディルク・ファン・バーブレン 「歌う若い男」
羽根飾りをつけた帽子を被った男性が、少し右手を挙げのけぞるように歌っている様子を描いた作品です。右肩を露にしたドラマチックなポーズや色合いからカラバッジョの影響を強く感じさせました。解説によるとこうした演出はレンブラント等の次の世代に影響を与えたそうです。
ヤン・ステーン 「宿屋のお客と女中」
椅子に座っている赤い帽子の男性が、宿屋の女中のスカートを引っ張りながら品の無い笑い顔をしています。酔っ払いが酒をねだって引っ張ってるみたいなw 女中はそれをたしなめているようなポーズなのも面白いです。背景の壁に光の無いランタンが描かれているのですが、解説によるとこれは知性が無いことを暗示しているとのことでした。
アドリアーン・ブラウエル 「苦い飲み物」
口を大きく開けて顔をしかめる男性の肖像です。めちゃくちゃ苦い飲み物を飲んだ後らしく、見た瞬間に苦さが伝わってくるような顔をしていますw 苦げーっ!と言い出しそうなくらい感情が出ていました。
この隣には手術を怖がって緊張しているのが分かるような絵もありました。今も昔も一番ストレートに感情が顔に出るのは医者にかかっている時だったりしてw 他には飲酒・喫煙の絵などもありました。
ということで、「地理学者」の実物を観られたのは人生の財産となると言っても過言ではないと思います。フェルメール以外にも巨匠の作品や面白い作品が続々と現れる内容となっているので、今期の中でも見逃せない展示の1つかと思います。会期は長めですが、今後はもっと混んでいくと思いますので、興味がある方はお早めにどうぞ。
この後も興味深い内容となっていましたので、次回は後半の静物画と風景画をご紹介しようと思います。
後編はこちら
おまけ:
東急の通り沿いのショーウィンドウ。


【展覧名】
シュテーデル美術館所蔵 フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展
【公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/11_vermeer/index.html
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_11_vermeer.html
【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【会期】2011年3月3日(木)~5月22日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
開始して初めての日曜日だったということもあってか、早速混みあっていました。入場規制はなくチケットも2~3分で買えたのですが、中はごった返していて作品によっては人だかりができるような感じでした。(最後の方は若干空いている所もありましたが基本的には1作品に2~3人程度ついているくらいでした)
さて、今回の展覧会はシュテーデル美術館所蔵のフェルメールの「地理学者」を中心に、前後の時代のオランダ・フランドル地方の画家達の展示となっています。フェルメールが来る時は大体フランドル絵画展になるかな。このブログを始める以前の東京都美術館の「フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち」(2007年)や国立新美術館「フェルメール [牛乳を注ぐ女]とオランダ風俗画展」(2008年)などに似ている構成だと思います。「レースを編む女」 が来た国立西洋美術館の「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」(2009年)ほどは幅広くないですが、まだまだ知らない画家の作品が多くかなり楽しめました。
参考記事:ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画 2回目 (国立西洋美術館)
ちなみにフランドルと言うのは「フランダースでの犬」で有名なフランダース地方(英語読み)のことです。ベルギー、オランダ、フランスにまたがる地域で、数多くの巨匠画家が生まれています。この展示でも名だたる巨匠の作品が並んでいました。
参考リンク:フランドルのwikipedia
詳しくは気に入った作品を通じてご紹介していこうと思います。
<歴史画と寓意画>
まずは王道の寓意画のコーナーです。歴史画は壮麗でダイナミックな17世紀バロック美術の体現と言えるそうで、この時代の主要な画題です。例えばルーベンスはアントワープで活動しイエズス会のカトリック復権に大きく寄与したり、新教国となって独立したオランダでは旧約聖書の主題が多く描かれたそうです。この地方の画家は細密描写を得意として、寓意画にも豊かな展開をもたらしたとのことで、ここにはそうした緻密な描写と歴史画の両側面を持つ作品が並んでいました。
ヤン・ブリューゲル(子) 「楽園でのエヴァの創造」 ★こちらで観られます
森の中で横たわるアダムからエヴァ(イヴ)を引き出す神が描かれた作品。手前にはライオンや鶏、孔雀などがつがいで描かれ、右の方には花も描かれています。いずれも精密に描かれ、楽園のような風景と解説されていました。聖書の主題と風景画の要素を感じる作品でした。
このとなりにはヤン・ブリューゲル(父)の作品もありました。最初からブリューゲル一家の作品が並び、良いスタートです。
フェルディナント・ファン・ケッセルに帰属 「ネズミのダンス」
2本足で立つ4匹のネズミが手を取り合って輪になっている作品です。背景にはイルカの頭を模った椅子の脚も描かれています。ネズミたちは喜んでいるようで、リアルなネズミだけど仕草だけは可愛いかなw 解説によるとこれは元々大きな絵だったのを分割したものらしく、この作品の部分は「猫が家の外にいるとネズミが机の上でダンスを踊る」という諺を表現しているようです。そう言えば先日のブリューゲル版画展でも諺が題材になった作品があったのを思い出しました。フランドルは諺好きですねw
参考記事:ブリューゲル版画の世界 感想後編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
ペーテル・パウル・ルーベンスとヤン・ブックホルスト 「竪琴を弾くダヴィデ王」 ★こちらで観られます
横向きで少し上を向き、竪琴を弾く白髪と髭の男性を描いた作品です。解説によると、ルーベンスが描いたのは頭と肩だけだそうで、それを元に工房で竪琴を弾くダヴィデ王として仕立てられたそうです。それでも結構ルーベンスっぽい感じがあって、柔らかで血色の良い表現は本人の作品に近いように思えました。
レンブラント・ファン・レイン 「サウル王の前で竪琴を弾くダヴィデ」 ★こちらで観られます
かつては重用したダヴィデの武勲に嫉妬し、殺意を持ったサウル王を描いた作品です。王は槍?を持ち、左ではダヴィデがひざまずいて竪琴を弾いています。スポットライトが当たったようなサウル王の表情は、嫉妬を持ちながらも音色に聞き入っているようで、複雑な心情を感じさせました。明暗の効果もあり非常にドラマチックな作品で、かなり気に入りました。
ヤン・ステーン 「岩を打つモーセ」
モーセが岩を打って水が湧き出るというシーンを描いた宗教画です。この画家は風俗画が多い(しかも皮肉が効いたのが多いかなw)ので、こうした宗教画は珍しいそうです。 水の噴出す岩の下では、両手で甕を持って水を入れている人や、集まってくる人々など、歓喜している様子は風俗画的な要素もあるようでした。人々の感情も伝わってくるような宗教画で面白かったです。
バルトロメウス・ブレーンベルフ 「聖ラウレンティウスの殉教」
ローマの神殿の前で火あぶりにされている聖ラウレンティウスの殉教を描いた作品です。聖ラウレンティウスは仰向けになって眼を見開き、その周りには薪を持った人や長い筒で火に息を吹いている人、見物人などが描かれています。空からは天使が冠を持って現れているのは殉教のシーンでよく見るかな。手前と背景の明暗がだいぶ違って見えて、聖ラウレンティウスの肌はより明るく描かれて、ドラマチックな雰囲気がありました。
<肖像画>
続いては肖像画のコーナーです。オランダでは人物に焦点を当てた簡潔な構図で肖像画を描くのが好まれたそうです。ここにはそうした肖像画(台頭してきた裕福な市民を描いた作品など)が並んでいました。
フェルディナント・ボル 「若い男の肖像」
黒い服を着た男性の肖像です。少し上目遣いみたいにこちらを見ているようです。ちょっと神経質そうな性格も感じられるかなw この画家はレンブラントの工房にいたそうですが、明暗の表現は確かにレンブラントを彷彿するものがありました。
レンブラント・ファン・レイン 「マールトヘン・ファン・ビルダーベークの肖像」
立派な襟の服を着た初老の女性を描いた肖像画です。かなり精密に描かれていて、肌の色などは写真のようです。穏やかな表情で柔和な人間性を持っている人に思えました。
フランス・ハルス 「男の肖像」「女の肖像」 ★こちらで観られます
こちらは夫婦の肖像画2枚対で展示されていた作品です。向き合うように左は夫、右は妻の肖像が並んでいます。夫は話しかけてきそうな表情で、襟の表現に勢いを感じます。それに対して妻は、賢明そうで、しっとしと繊細な表現になっていました。結構、対照的な感じもして面白いです。
カーレル・スラバールト 「髑髏と自画像」
黒い帽子を被り少し口を開けた男性がこちらを向いています。どうやらこれは画家自身の姿らしく、筆を持ち髑髏の上に手を置いています。また、隣の燭台の炎は消えて煙が出ていているのも意味深です。解説によると、骸骨はメメント・モリ(死を忘れることなかれ)、消えた蝋燭はヴァニタス(虚栄)を意味しているそうで、「芸術は長く、人生は短い」というこの画家のモットーを示しているようでした。また、豪奢な衣装に自負心のある眼差しと説明されていましたが、私の見た感じでは頼りなさげで悲しそうな印象を受けました。
<風俗画と室内画>
続いてのコーナーは風俗画と室内画が主題です。このジャンルは16世紀後半に幅広いテーマを生み出したそうで、17世紀後半のオランダでは裕福な市民の家庭の一コマや室内の様子などが描かれたそうです。ここにはそうした作品が並び、初っ端が今回の目玉の「地理学者」とそれに関する参考展示となっていました、
まず「地理学者に見る大航海時代」という数分の映像があり、絵に描かれている物から当時の交易の様子を紹介してくれます。(地球儀、地図、コンパス、定規、日本風の上着、ゴブラン織り、デルフト焼のタイルなど) そして、その隣には1700年頃のヨーロッパの地図や地球儀もありました。地図はかなり正確で、びっしりと地名や川、森などが描かれていて驚きました。地球儀の方は日本の辺りとか微妙w 「地理学者」を見る上で中々参考になります。
ヨハネス・フェルメール 「地理学者」 ★こちらで観られます
今回の目玉作品です。窓際の机に置かれた地図に向かい、コンパスを持つ地理学者が描かれています。目を窓の外に向け、外を伺っているというよりはじっと遠くを見つめるような表情に見えたかな。窓から差し込む光は明るく、写真などで想像していた以上に色鮮やかに感じました。地図に光が透けている表現など、非常に写実的でありながらドラマチックな雰囲気がありました。
解説によると、背景にある地球儀はインド洋を向いているそうで、当時のアジアとの交易について説明していました。地理学者が着ている青いどてらみたいな服は当時裕福な層が着ていた日本風の上着なのだとか。
なお、これは37歳頃の円熟期の作品だそうで、描かれた人物はデルフトの科学者をモデルにしているとのです。
この近くには星座が描かれた天球儀などもありました。
ヘラルト・テル・ボルヒ 「ワイングラスを持つ婦人」 ★こちらで観られます
ピッチャーを持ち、テーブルに向かってワインを飲む女性を描いた作品です。テーブルの上には羽根ペンの入った銀器と手紙が置かれ、それを読もうとしているのか手紙を書こうとしているのかはわかりません。物思いに耽るように、どこか悲しげで静かな雰囲気を感じました。銀や陶器の質感も見事です。
ヘリット・ダウ 「夕食の食卓を片付ける女性」
暗い部屋の中、テーブルに置かれた燭台を前にした女性とらんたんを持つ少女が描かれた作品です。少女は手紙を届けに来たらしく、女性に差し出しているようです。2人は話しているのか、火に照らされた顔が印象的でした。火の光の表現が何とも叙情的でな作品です。
ピーテル・ヤンセンス・エーリンハ 「画家と読みものをする女性、掃除をする召使のいる室内」 ★こちらで観られます
光が差し込むオランダの市民の家の中をを描いた作品です。手前に掃除をする召使、部屋の奥に夫人、奥の部屋には夫(画家?)の姿も見えます。光と影が精密に描かれ、床には幾何学的な模様、部屋には多くの絵画が飾られていました。3方向の壁が描かれている割には広々とした印象だったかな。天井が高くて窓が明るいからかな??
ディルク・ファン・バーブレン 「歌う若い男」
羽根飾りをつけた帽子を被った男性が、少し右手を挙げのけぞるように歌っている様子を描いた作品です。右肩を露にしたドラマチックなポーズや色合いからカラバッジョの影響を強く感じさせました。解説によるとこうした演出はレンブラント等の次の世代に影響を与えたそうです。
ヤン・ステーン 「宿屋のお客と女中」
椅子に座っている赤い帽子の男性が、宿屋の女中のスカートを引っ張りながら品の無い笑い顔をしています。酔っ払いが酒をねだって引っ張ってるみたいなw 女中はそれをたしなめているようなポーズなのも面白いです。背景の壁に光の無いランタンが描かれているのですが、解説によるとこれは知性が無いことを暗示しているとのことでした。
アドリアーン・ブラウエル 「苦い飲み物」
口を大きく開けて顔をしかめる男性の肖像です。めちゃくちゃ苦い飲み物を飲んだ後らしく、見た瞬間に苦さが伝わってくるような顔をしていますw 苦げーっ!と言い出しそうなくらい感情が出ていました。
この隣には手術を怖がって緊張しているのが分かるような絵もありました。今も昔も一番ストレートに感情が顔に出るのは医者にかかっている時だったりしてw 他には飲酒・喫煙の絵などもありました。
ということで、「地理学者」の実物を観られたのは人生の財産となると言っても過言ではないと思います。フェルメール以外にも巨匠の作品や面白い作品が続々と現れる内容となっているので、今期の中でも見逃せない展示の1つかと思います。会期は長めですが、今後はもっと混んでいくと思いますので、興味がある方はお早めにどうぞ。
この後も興味深い内容となっていましたので、次回は後半の静物画と風景画をご紹介しようと思います。
後編はこちら
おまけ:
東急の通り沿いのショーウィンドウ。


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前回に続き、千葉県佐倉の国立歴史民俗博物館のご紹介です。この博物館は写真撮影可能なので、今回も撮ってきた写真を使ってご紹介しようと思います。前編には撮影のルールについてなども載せていますので、前編を読んでない方は前編から読んでいただけると嬉しいです。
前回の記事はこちら

まずは概要のおさらいです。
【公式サイト】
http://www.rekihaku.ac.jp/
【会場】国立歴史民俗博物館 ★この美術館の記事
【最寄】京成佐倉駅
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【感想】
前回は江戸時代のコーナーまででしたが、今回は幕末から現代までをご紹介します。
<特集展示 「もの」からみる近世>
私が行ったときは企画展示をやっていませんでしたが、特集展示として雛飾りに関する展示をやっていました。

展覧名:和宮ゆかりの雛かざり
期間:2011年2月8日(火)~2011年4月3日(日)
公式サイト:http://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/project/special_03.html
こんな感じで雛飾りが並んでいました。皇女和宮ゆかりのこれらは「有職雛」という種類で、有職(朝廷・公家の儀礼に関する知識)に忠実な装束をつけているそうです。

様々なミニチュアの雛道具。琴や囲碁の道具も観られます。

雛人形と隣には「御所人形」という人形もずらりと並んでいました。兄である孝明天皇の崩御の際に和宮に譲与されたそうです。結構動きがあって可愛らしいです。

こちらの展示室を出ると、一旦外に出て階段をくだって移動します。
<近代>
続いての第5展示室の近代は明治から昭和初期くらいまでのコーナーです。(第4展示室はリニューアル工事のため閉鎖されていました。)
左下の絵を見てペリーだ!と思いましたが、他の2人は誰でしょうか? …実は全部ペリーですw 顔が違いすぎですが、最初は想像で描かれていたためのようです。

これは英米仏蘭の連合艦隊による長州への砲撃を描いたもの。史実では長州藩のボロ負けですが、これを見ると優勢に見えますw 色々とフィクションが混じっているようですが、異国への恐怖が出ているようです。

山梨県の「つき米学校」という明治9年に新築された藤村式洋風校舎の1/10模型。中々モダンなデザインです。つき米の人々がお金を出し合って作ったのだとか。

明治時代の鉄道事業と利根川の水運を紹介するコーナー。利根川水運は物流の中心として栄えていたそうですが、1897年の総武鉄道の開通後は次第に衰退したそうです。

こちらは関東大震災後に建てられた「同潤会アパート」の1/1再現。同潤会は罹災地域への住宅建設や経営を目的として結成された組織だそうで、このアパートは当時最新の設備を誇ってあこがれの的だったそうです。

この辺には関東大震災に関する展示などもありました。
少し進むと昭和初期風の通りとなっています。

昭和初期の様子を伝えるポスターや女性雑誌。

<現代>
現代は昭和の戦前あたりから昭和末期くらいまでのコーナーでした。
子供向けのスゴロク。満州事変・上海事変を題材にしているらしいです。子供に戦争を教える恐ろしい時代の証人ですね。

軍隊の生活を再現したコーナー。ベッドが狭いし、まさに軍隊という感じ。近くに当時のご飯もあったのですが、こちらは意外と良いもの食べていそうでした。

有名な三八式歩兵銃。日露戦争後に制式化された銃で約4kgくらいです。実際に持ち上げることができたのですが、結構ずっしりきます。

軍隊に送り出す際の垂れ幕。いずれも「祝」と書かれていています。これで万歳されて送り出されたんでしょうね…。

こちらはプロパガンダのポスター。不謹慎かもしれませんが真ん中の国債を促すポスターはキュビスム的で意外と面白いかも。アメリカの国旗を破っているのは貯蓄を促すポスターです。これは扇情的で酷いセンス。

少し行くと終戦のコーナーもありました。玉音放送もあったような気がします。
戦後の市場の様子の再現。アメリカの水兵もいますね。 闇市かな??

この辺には戦後の社会問題になった水俣病に関する展示などもあり、現代のコーナーは暗い題材が多い気がします。
これは戦後の住宅の再現。普通に今でもありそうな光景にみえますw

こちらは東京オリンピックのポスター。躍動感があって当時の熱気まで伝わってきそうでした。

この辺でちょうど閉館時間となってしまいました。最後の部屋は観ることが出来ず。16時半に閉館は早いような気が…。 出口付近の企画展示室では企画展の準備中でした。
展覧名:侯爵家のアルバム -孝允から幸一にいたる木戸家写真資料-
期間:2011年3月1日(火)~5月5日(木・祝)
公式サイト:http://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/project/index.html#a
ということで、模型や再現も交えつつ時代を一気に知ることができる博物館です。本当に広いところなので、本来ならもっと時間をかけて観たいところです。 ただ、この辺はあまり飲食店が無いのが難点かな。東京からだと軽く日帰り旅行になりますが、面白いところです。
前回の記事はこちら

まずは概要のおさらいです。
【公式サイト】
http://www.rekihaku.ac.jp/
【会場】国立歴史民俗博物館 ★この美術館の記事
【最寄】京成佐倉駅
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【感想】
前回は江戸時代のコーナーまででしたが、今回は幕末から現代までをご紹介します。
<特集展示 「もの」からみる近世>
私が行ったときは企画展示をやっていませんでしたが、特集展示として雛飾りに関する展示をやっていました。

展覧名:和宮ゆかりの雛かざり
期間:2011年2月8日(火)~2011年4月3日(日)
公式サイト:http://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/project/special_03.html
こんな感じで雛飾りが並んでいました。皇女和宮ゆかりのこれらは「有職雛」という種類で、有職(朝廷・公家の儀礼に関する知識)に忠実な装束をつけているそうです。

様々なミニチュアの雛道具。琴や囲碁の道具も観られます。

雛人形と隣には「御所人形」という人形もずらりと並んでいました。兄である孝明天皇の崩御の際に和宮に譲与されたそうです。結構動きがあって可愛らしいです。

こちらの展示室を出ると、一旦外に出て階段をくだって移動します。
<近代>
続いての第5展示室の近代は明治から昭和初期くらいまでのコーナーです。(第4展示室はリニューアル工事のため閉鎖されていました。)
左下の絵を見てペリーだ!と思いましたが、他の2人は誰でしょうか? …実は全部ペリーですw 顔が違いすぎですが、最初は想像で描かれていたためのようです。

これは英米仏蘭の連合艦隊による長州への砲撃を描いたもの。史実では長州藩のボロ負けですが、これを見ると優勢に見えますw 色々とフィクションが混じっているようですが、異国への恐怖が出ているようです。

山梨県の「つき米学校」という明治9年に新築された藤村式洋風校舎の1/10模型。中々モダンなデザインです。つき米の人々がお金を出し合って作ったのだとか。

明治時代の鉄道事業と利根川の水運を紹介するコーナー。利根川水運は物流の中心として栄えていたそうですが、1897年の総武鉄道の開通後は次第に衰退したそうです。

こちらは関東大震災後に建てられた「同潤会アパート」の1/1再現。同潤会は罹災地域への住宅建設や経営を目的として結成された組織だそうで、このアパートは当時最新の設備を誇ってあこがれの的だったそうです。

この辺には関東大震災に関する展示などもありました。
少し進むと昭和初期風の通りとなっています。

昭和初期の様子を伝えるポスターや女性雑誌。


<現代>
現代は昭和の戦前あたりから昭和末期くらいまでのコーナーでした。
子供向けのスゴロク。満州事変・上海事変を題材にしているらしいです。子供に戦争を教える恐ろしい時代の証人ですね。

軍隊の生活を再現したコーナー。ベッドが狭いし、まさに軍隊という感じ。近くに当時のご飯もあったのですが、こちらは意外と良いもの食べていそうでした。

有名な三八式歩兵銃。日露戦争後に制式化された銃で約4kgくらいです。実際に持ち上げることができたのですが、結構ずっしりきます。

軍隊に送り出す際の垂れ幕。いずれも「祝」と書かれていています。これで万歳されて送り出されたんでしょうね…。

こちらはプロパガンダのポスター。不謹慎かもしれませんが真ん中の国債を促すポスターはキュビスム的で意外と面白いかも。アメリカの国旗を破っているのは貯蓄を促すポスターです。これは扇情的で酷いセンス。



少し行くと終戦のコーナーもありました。玉音放送もあったような気がします。
戦後の市場の様子の再現。アメリカの水兵もいますね。 闇市かな??

この辺には戦後の社会問題になった水俣病に関する展示などもあり、現代のコーナーは暗い題材が多い気がします。
これは戦後の住宅の再現。普通に今でもありそうな光景にみえますw

こちらは東京オリンピックのポスター。躍動感があって当時の熱気まで伝わってきそうでした。

この辺でちょうど閉館時間となってしまいました。最後の部屋は観ることが出来ず。16時半に閉館は早いような気が…。 出口付近の企画展示室では企画展の準備中でした。
展覧名:侯爵家のアルバム -孝允から幸一にいたる木戸家写真資料-
期間:2011年3月1日(火)~5月5日(木・祝)
公式サイト:http://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/project/index.html#a
ということで、模型や再現も交えつつ時代を一気に知ることができる博物館です。本当に広いところなので、本来ならもっと時間をかけて観たいところです。 ただ、この辺はあまり飲食店が無いのが難点かな。東京からだと軽く日帰り旅行になりますが、面白いところです。
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前回、前々回とご紹介した川村記念美術館に行った後、国立歴史民俗博物館へとハシゴしてきました。(送迎バスで京成佐倉駅に戻ってからタクシーで移動しました。) ここは非常に広い博物館なので、時代別で前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

【公式サイト】
http://www.rekihaku.ac.jp/
【会場】国立歴史民俗博物館 ★この美術館の記事
【最寄】京成佐倉駅
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【感想】
閉館まで1時間ちょっとくらいしかなかったこともあり、空いていました。
ここは国立の博物館ということもあり、ルールを守れば館内での撮影が可能となっています。(だいたい複製品で、実物ではないものが多いかな)
↓ルールはこんな感じ。大体他と一緒で中には撮ってはいけない作品もあります。

今回も展示品を撮影してきたので、それを使ってご紹介しようと思います。以前もここで写真を撮ったのですが、展示内容はだいぶ変わっていました。
参考記事:国立歴史民俗博物館(れきはく)の案内
<日本文化のあけぼの>
最初は縄文時代~弥生時代のコーナーです。
こちらは石器。結構小さいです。

ずらりと並んだ土器。縄文中期には地方によって特色が分かれていったようです。

日本各地の仮面。面白い顔をしていますw

こちらは土偶。以前、土偶展で観たのがいくつか並んでいました。これは複製だったかな。面白い形をしています。

参考記事:国宝 土偶展 (東京国立博物館 本館特別5室)
この辺から弥生時代かな。高床式倉庫。ネズミ返しとか日本史で習ったなーw

何ともユーモラスな姿をした人面付土器。

古墳時代の土器。関東の土器などです。

こちらは銅鏡。中国製に見えますが、日本に来た工人が作ったものという説もあるのだとか。

参考記事:中国青銅鏡 (泉屋博古館 分館)
こちらは東国の埴輪。関東一円だけでも各地域で特徴が異なっているそうです。

この辺には羅城門の復元などもありました。
こちらは沖ノ島の遺跡のコーナー。福岡の沖合いにある沖ノ島は古代から「神の島」として人びとの信仰を集めたそうで、祭祀が行われたようです。

<中世>
続いて中世のコーナー。一口に中世といっても平安時代から戦国時代頃まであるので結構長いです。
藤原氏の邸宅の1つである東三条殿の再現。いかにも平安貴族の邸宅といった感じかな。

こちらは平安貴族の生活の再現。後ろに見えるのは御帳台。

こちらは様々な書物の文体。テキスタイルみたいに文体によってだいぶ雰囲気が違います。

こちらは藤原道長が書いた御堂関白記の複製。

そしてこちらは藤原道長が法華経などを収めて山に埋葬した際の経筒の複製。御堂関白記に詳しく書かれていたそうです。

一気に時代が進んで、1520年代の洛中洛外図屏風(歴博甲本)の複製。狩野元信の作と考えられているそうです。

洛中洛外図屏風などを元に作られた戦国末期の京都の町並みの模型。

こちらは戦国時代の鉄砲。

この頃の主な日本の輸出品だった漆器。螺鈿の洋櫃です。宝箱みたいですw

参考記事:阿蘭陀とNIPPON ~レンブラントからシーボルトまで~ (たばこと塩の博物館)
<近世>
近世のコーナー。主に江戸時代かな。
江戸図屏風の複製。これはちゃちな複製でしたが細かいところは観やすいかも。この部屋には江戸の町の再現模型などもあります。

万国総図・人物図。地球儀と各国の民俗衣装が描かれています。この時代には意外と国際的な作品もあったりして面白い。

錦絵を売っているお店の再現。豪華な続絵などもあって、華やかな雰囲気です。

江戸時代くらいになるとカラクリ仕掛けや時計もあります。これはお茶を運ぶ人形かな。中身はこうなっているんですね。

ということで、今日はこの辺までにしておこうと思います。これでもかなり飛ばして紹介していて、じっくり解説を読んで周っていたら1日かかるくらい膨大な展示となっています。模型や再現が多いので楽しく歴史を学ぶことができるので、歴史好きの方や学生さんは観てみると良いかもしれません。
次回は後編で特集展示と近現代をご紹介しようと思います。

【公式サイト】
http://www.rekihaku.ac.jp/
【会場】国立歴史民俗博物館 ★この美術館の記事
【最寄】京成佐倉駅
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【感想】
閉館まで1時間ちょっとくらいしかなかったこともあり、空いていました。
ここは国立の博物館ということもあり、ルールを守れば館内での撮影が可能となっています。(だいたい複製品で、実物ではないものが多いかな)
↓ルールはこんな感じ。大体他と一緒で中には撮ってはいけない作品もあります。

今回も展示品を撮影してきたので、それを使ってご紹介しようと思います。以前もここで写真を撮ったのですが、展示内容はだいぶ変わっていました。
参考記事:国立歴史民俗博物館(れきはく)の案内
<日本文化のあけぼの>
最初は縄文時代~弥生時代のコーナーです。
こちらは石器。結構小さいです。

ずらりと並んだ土器。縄文中期には地方によって特色が分かれていったようです。

日本各地の仮面。面白い顔をしていますw

こちらは土偶。以前、土偶展で観たのがいくつか並んでいました。これは複製だったかな。面白い形をしています。



参考記事:国宝 土偶展 (東京国立博物館 本館特別5室)
この辺から弥生時代かな。高床式倉庫。ネズミ返しとか日本史で習ったなーw

何ともユーモラスな姿をした人面付土器。

古墳時代の土器。関東の土器などです。

こちらは銅鏡。中国製に見えますが、日本に来た工人が作ったものという説もあるのだとか。

参考記事:中国青銅鏡 (泉屋博古館 分館)
こちらは東国の埴輪。関東一円だけでも各地域で特徴が異なっているそうです。

この辺には羅城門の復元などもありました。
こちらは沖ノ島の遺跡のコーナー。福岡の沖合いにある沖ノ島は古代から「神の島」として人びとの信仰を集めたそうで、祭祀が行われたようです。

<中世>
続いて中世のコーナー。一口に中世といっても平安時代から戦国時代頃まであるので結構長いです。
藤原氏の邸宅の1つである東三条殿の再現。いかにも平安貴族の邸宅といった感じかな。

こちらは平安貴族の生活の再現。後ろに見えるのは御帳台。

こちらは様々な書物の文体。テキスタイルみたいに文体によってだいぶ雰囲気が違います。

こちらは藤原道長が書いた御堂関白記の複製。

そしてこちらは藤原道長が法華経などを収めて山に埋葬した際の経筒の複製。御堂関白記に詳しく書かれていたそうです。

一気に時代が進んで、1520年代の洛中洛外図屏風(歴博甲本)の複製。狩野元信の作と考えられているそうです。

洛中洛外図屏風などを元に作られた戦国末期の京都の町並みの模型。

こちらは戦国時代の鉄砲。

この頃の主な日本の輸出品だった漆器。螺鈿の洋櫃です。宝箱みたいですw

参考記事:阿蘭陀とNIPPON ~レンブラントからシーボルトまで~ (たばこと塩の博物館)
<近世>
近世のコーナー。主に江戸時代かな。
江戸図屏風の複製。これはちゃちな複製でしたが細かいところは観やすいかも。この部屋には江戸の町の再現模型などもあります。

万国総図・人物図。地球儀と各国の民俗衣装が描かれています。この時代には意外と国際的な作品もあったりして面白い。

錦絵を売っているお店の再現。豪華な続絵などもあって、華やかな雰囲気です。

江戸時代くらいになるとカラクリ仕掛けや時計もあります。これはお茶を運ぶ人形かな。中身はこうなっているんですね。

ということで、今日はこの辺までにしておこうと思います。これでもかなり飛ばして紹介していて、じっくり解説を読んで周っていたら1日かかるくらい膨大な展示となっています。模型や再現が多いので楽しく歴史を学ぶことができるので、歴史好きの方や学生さんは観てみると良いかもしれません。
次回は後編で特集展示と近現代をご紹介しようと思います。
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前回ご紹介した川村記念美術館の常設を観た後、特別展の「松伯美術館コレクション 上村松園 素描、下絵と本画」を観てきました。

【展覧名】
松伯美術館コレクション 上村松園 素描、下絵と本画
【公式サイト】
http://kawamura-museum.dic.co.jp/exhibition/index.html
【会場】川村記念美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】JR佐倉駅 または 京成佐倉駅
【会期】2011年2月15日(火)~2011年3月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日13時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
常設よりも人が多目でしたが、快適に鑑賞することができました。14時から学芸員さんの解説ツアーもあり、沢山の人たちが参加しているようでした。
参考リンク:ギャラリートークの日時
さて今回の展示は奈良の松伯美術館のコレクションを中心に、上村松園の素描や下絵、そして本画もある内容となっていました。(本画が展示されていない作品もありますが、その場合は小さな写真で完成作が観られます) 昨年、松園の大規模な展覧会がありましたが、この展示ではそこで展示していた作品の作品が多かったように思います。詳しくは気になった作品と共にご紹介しようと思います。
参考記事:上村松園展 (東京国立近代美術館)
<素描>
最初は素描のコーナーとなっていました。師匠の竹内栖鳳は写生を重視していたそうで、松園も積極的に取り組んでいたようです。
上村松園 「松篁の幼時 1、2」
自分の息子をスケッチした2枚の素描です。1の方はおしゃぶりを咥えている顔などが描かれ、安らかで幸せそうな雰囲気です。色は少なく、線が細く軽やかな感じでした。2の方は立っている姿など少し成長しているようでした。
この辺には草花の素描などもありました。
上村松園 「簪」
精密に描かれたかんざしです。かんざしの隣には「ギン」「ベッコウ」「サンゴ」「金」などの材質の注釈があったり、「七寸」などサイズも書かれていました。この辺にはこうした簪や櫛などの素描が数点並んでいました。
<模写>
続いては模写のコーナーです。松園は師の栖鳳の作品や花鳥画、山水まで熱心に模写を繰り返して研究を重ねていったそうです。博物館や、祇園祭の屏風祭、寺社や売立会場にまで赴いて縮図を作成していたようで、商売の邪魔になると言われたこともあるそうです(ギャラリーで模写するようなものかなw) ここには縮図を見る松園の写真や縮図帖が並んでいました。
上村松園 「鶏 (円山応挙模写)」
応挙の作品を模写したもので、片足で立つ立派な黒い尾を持つ鶏が精密に描かれています。堂々として品格を感じます。鶏の顔の後ろや足の周りには黒く描いた輪郭のようなものがあり、描きながら研究しているような感じでした。応挙の鶏はこれを含めて2点ありました。
上村松園 「合戦図 (竹内栖鳳模写)」
松の木の下で、沢山の武者たちが入り乱れて戦っている様子が描かれた作品です。後ろに描かれている家屋の中は戦いに巻き込まれてメチャクチャになっていて、空には沢山の鳥が逃げるように飛んでいます。 この模写は色が薄めで、所々に注釈が書かれていました。これも研究を重ねている様子を感じさせる1枚でした。
<本画と下絵、素描>
続いては本画になるまでの過程がよく分かるコーナーでした。素描を重ねて下絵を作り、本画になるまで様々な試行錯誤が垣間見れます。本画には「花がたみ」のような強烈な作品もあるので、このコーナーだけでも満足いく内容でした。
上村松園 「人生の花 2」
これは前述の東京国立近代美術館の松園展でご紹介した作品の下絵です。(本画は無し) 嫁入りする娘と連れ添う母親が描かれた白黒の下絵が3点あり、いずれもよく似ています。3点を比べると着物の皺や模様、帯の種類、髪飾りなどに違いがあり、どのような姿が良いか非常に苦心している様子が伺えます。本画も3点の写真があり、こちらも微妙に違っているようでした。
上村松園 「虫の音」
こちらは下絵と2曲の屏風(本画)が並んでいました。室内で三味線を弾く男性と、周りでくつろぐ男達が描かれ、軒先の女達は三味線はお構いなしに庭を見て虫の音を聞いているようです。こちらの下絵は本画とだいたい同じような構図に思いました。
上村松園 「序の舞(下絵)」
これも東京国立近代美術館の松園展に出品されていた作品(後期展示で観にいけなかった!)の下絵で、扇子を持って踊る着物の女性が描かれています。 下絵は3枚あり、大きな下絵は完成作とほぼ同じ構図で、帯とかがまだ描ききれていない感じかな。下絵とは言え、すでに凛とした雰囲気が出ていました。
この近くには髪型を何度も描いた素描があり、入念に下準備していたことをうかがわせました。
上村松園 「人形つかい」
これも東京国立近代美術館の松園展に出品されていた作品で、本図と下絵がセットで展示されていました。本図は襖を開けて部屋の中を覗く女性の後姿が描かれ、中の様子は見えず何とももどかしい感じですw それに対して下絵は2つあり、1つは本図と同じ構図なのですが、もう1つは部屋の中が描かれていて、人形使いが人形を持ち上げ、その後ろでは笛を吹く人も描かれていました。本図では観られない部屋の中がこんな感じだったのか!と、もどかしい気分も解消ですw と言うか、ちゃんと見えない部分まで考えられていたんですね。
上村松園 「花がたみ」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている作品で、これも東近美の展示で独特の妖気を漂われていました。本図は、紅葉した葉の散る中、花籠を持って彷徨い歩く十二単の女性が描かれ、服や髪の乱れもお構いなしに、能面のような顔をしています。この作品の下絵や素描は結構な点数があり、本図と同じサイズの下絵ではほぼ同じ構図でしたが、顔の表情は少し違って見えました。本図の方がより狂気を感じるような… 。他にも色々なポーズの下絵があり横向きだったりします。中にはかなり簡略化されているのもありますが、完成に至るまでの経緯がよく分かり面白いコーナーでした。
上村松園 「桜可里」 ★こちらで観られます
こちらは本図のみで、川村記念美術館の所蔵品です。遊女と禿?が花見をしているようで、淡く可憐な紫の着物を着た女性が扇子を持って歩いています。隣の禿は何故か画面外の下の方を見ているのが気になるw 何とも優美で松園らしい女性美を感じる作品です。
上村松園 「雪」
こちらも本図のみです。雪に積もった青い傘を持つ青い着物の女性と、薄い緑の着物の女性が描かれています。青い方の女性は顔が見えず、緑の方の女性は振り返って右下の方に目を向けて少し微笑んでいました。振り返って視線を外に向ける手法は画面に広がりを持たせる効果があるのかな? 雪と女性達が清廉で美しい作品でした。
上村松園 「暮秋」
こちらも本画で、着物を着た女性が竹の枝を肩に担いでふらふらと歩いているように見える作品です。あてどなく彷徨う感じは「花がたみ」に似た狂気を感じます。背景が白いので余計にそれが強調されているように感じました。
上村松園 「鼓の音」 ★こちらで観られます
本図と下絵のセットで、これも東近美にも出ていた作品です。赤い着物の女性が鼓を持ち、叩こうとしている姿で、気品と心地良い緊張を感じます。下絵はほぼ同じ構図かな。
この辺には「晩秋」「砧」「草子洗小町」の下絵などもありました。ほぼ本画と同じ構図じゃないかな。
<遺品>
そして最後は遺品のコーナーで、刷毛や墨、硯、筆、絵皿などの絵を描く道具をはじめ、眼鏡とそのケース、湯のみ、櫛、かんざし、文化勲章などが展示されていました。本人の写真もあったのですが、「人形つかい」を背景に「鼓の音」と同じポーズをしているのが面白かったです。
ということで、松園の試行錯誤が分かる展示でした。松園好きの方や絵を描く方には参考になると思います。昨年の東京国立近代美術館の松園展とリンクする部分も多いので、あの展示を気に入った方には特に面白いんじゃないかと。 会期が短いので気になる方はお早めにどうぞ。

【展覧名】
松伯美術館コレクション 上村松園 素描、下絵と本画
【公式サイト】
http://kawamura-museum.dic.co.jp/exhibition/index.html
【会場】川村記念美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】JR佐倉駅 または 京成佐倉駅
【会期】2011年2月15日(火)~2011年3月27日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日13時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
常設よりも人が多目でしたが、快適に鑑賞することができました。14時から学芸員さんの解説ツアーもあり、沢山の人たちが参加しているようでした。
参考リンク:ギャラリートークの日時
さて今回の展示は奈良の松伯美術館のコレクションを中心に、上村松園の素描や下絵、そして本画もある内容となっていました。(本画が展示されていない作品もありますが、その場合は小さな写真で完成作が観られます) 昨年、松園の大規模な展覧会がありましたが、この展示ではそこで展示していた作品の作品が多かったように思います。詳しくは気になった作品と共にご紹介しようと思います。
参考記事:上村松園展 (東京国立近代美術館)
<素描>
最初は素描のコーナーとなっていました。師匠の竹内栖鳳は写生を重視していたそうで、松園も積極的に取り組んでいたようです。
上村松園 「松篁の幼時 1、2」
自分の息子をスケッチした2枚の素描です。1の方はおしゃぶりを咥えている顔などが描かれ、安らかで幸せそうな雰囲気です。色は少なく、線が細く軽やかな感じでした。2の方は立っている姿など少し成長しているようでした。
この辺には草花の素描などもありました。
上村松園 「簪」
精密に描かれたかんざしです。かんざしの隣には「ギン」「ベッコウ」「サンゴ」「金」などの材質の注釈があったり、「七寸」などサイズも書かれていました。この辺にはこうした簪や櫛などの素描が数点並んでいました。
<模写>
続いては模写のコーナーです。松園は師の栖鳳の作品や花鳥画、山水まで熱心に模写を繰り返して研究を重ねていったそうです。博物館や、祇園祭の屏風祭、寺社や売立会場にまで赴いて縮図を作成していたようで、商売の邪魔になると言われたこともあるそうです(ギャラリーで模写するようなものかなw) ここには縮図を見る松園の写真や縮図帖が並んでいました。
上村松園 「鶏 (円山応挙模写)」
応挙の作品を模写したもので、片足で立つ立派な黒い尾を持つ鶏が精密に描かれています。堂々として品格を感じます。鶏の顔の後ろや足の周りには黒く描いた輪郭のようなものがあり、描きながら研究しているような感じでした。応挙の鶏はこれを含めて2点ありました。
上村松園 「合戦図 (竹内栖鳳模写)」
松の木の下で、沢山の武者たちが入り乱れて戦っている様子が描かれた作品です。後ろに描かれている家屋の中は戦いに巻き込まれてメチャクチャになっていて、空には沢山の鳥が逃げるように飛んでいます。 この模写は色が薄めで、所々に注釈が書かれていました。これも研究を重ねている様子を感じさせる1枚でした。
<本画と下絵、素描>
続いては本画になるまでの過程がよく分かるコーナーでした。素描を重ねて下絵を作り、本画になるまで様々な試行錯誤が垣間見れます。本画には「花がたみ」のような強烈な作品もあるので、このコーナーだけでも満足いく内容でした。
上村松園 「人生の花 2」
これは前述の東京国立近代美術館の松園展でご紹介した作品の下絵です。(本画は無し) 嫁入りする娘と連れ添う母親が描かれた白黒の下絵が3点あり、いずれもよく似ています。3点を比べると着物の皺や模様、帯の種類、髪飾りなどに違いがあり、どのような姿が良いか非常に苦心している様子が伺えます。本画も3点の写真があり、こちらも微妙に違っているようでした。
上村松園 「虫の音」
こちらは下絵と2曲の屏風(本画)が並んでいました。室内で三味線を弾く男性と、周りでくつろぐ男達が描かれ、軒先の女達は三味線はお構いなしに庭を見て虫の音を聞いているようです。こちらの下絵は本画とだいたい同じような構図に思いました。
上村松園 「序の舞(下絵)」
これも東京国立近代美術館の松園展に出品されていた作品(後期展示で観にいけなかった!)の下絵で、扇子を持って踊る着物の女性が描かれています。 下絵は3枚あり、大きな下絵は完成作とほぼ同じ構図で、帯とかがまだ描ききれていない感じかな。下絵とは言え、すでに凛とした雰囲気が出ていました。
この近くには髪型を何度も描いた素描があり、入念に下準備していたことをうかがわせました。
上村松園 「人形つかい」
これも東京国立近代美術館の松園展に出品されていた作品で、本図と下絵がセットで展示されていました。本図は襖を開けて部屋の中を覗く女性の後姿が描かれ、中の様子は見えず何とももどかしい感じですw それに対して下絵は2つあり、1つは本図と同じ構図なのですが、もう1つは部屋の中が描かれていて、人形使いが人形を持ち上げ、その後ろでは笛を吹く人も描かれていました。本図では観られない部屋の中がこんな感じだったのか!と、もどかしい気分も解消ですw と言うか、ちゃんと見えない部分まで考えられていたんですね。
上村松園 「花がたみ」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている作品で、これも東近美の展示で独特の妖気を漂われていました。本図は、紅葉した葉の散る中、花籠を持って彷徨い歩く十二単の女性が描かれ、服や髪の乱れもお構いなしに、能面のような顔をしています。この作品の下絵や素描は結構な点数があり、本図と同じサイズの下絵ではほぼ同じ構図でしたが、顔の表情は少し違って見えました。本図の方がより狂気を感じるような… 。他にも色々なポーズの下絵があり横向きだったりします。中にはかなり簡略化されているのもありますが、完成に至るまでの経緯がよく分かり面白いコーナーでした。
上村松園 「桜可里」 ★こちらで観られます
こちらは本図のみで、川村記念美術館の所蔵品です。遊女と禿?が花見をしているようで、淡く可憐な紫の着物を着た女性が扇子を持って歩いています。隣の禿は何故か画面外の下の方を見ているのが気になるw 何とも優美で松園らしい女性美を感じる作品です。
上村松園 「雪」
こちらも本図のみです。雪に積もった青い傘を持つ青い着物の女性と、薄い緑の着物の女性が描かれています。青い方の女性は顔が見えず、緑の方の女性は振り返って右下の方に目を向けて少し微笑んでいました。振り返って視線を外に向ける手法は画面に広がりを持たせる効果があるのかな? 雪と女性達が清廉で美しい作品でした。
上村松園 「暮秋」
こちらも本画で、着物を着た女性が竹の枝を肩に担いでふらふらと歩いているように見える作品です。あてどなく彷徨う感じは「花がたみ」に似た狂気を感じます。背景が白いので余計にそれが強調されているように感じました。
上村松園 「鼓の音」 ★こちらで観られます
本図と下絵のセットで、これも東近美にも出ていた作品です。赤い着物の女性が鼓を持ち、叩こうとしている姿で、気品と心地良い緊張を感じます。下絵はほぼ同じ構図かな。
この辺には「晩秋」「砧」「草子洗小町」の下絵などもありました。ほぼ本画と同じ構図じゃないかな。
<遺品>
そして最後は遺品のコーナーで、刷毛や墨、硯、筆、絵皿などの絵を描く道具をはじめ、眼鏡とそのケース、湯のみ、櫛、かんざし、文化勲章などが展示されていました。本人の写真もあったのですが、「人形つかい」を背景に「鼓の音」と同じポーズをしているのが面白かったです。
ということで、松園の試行錯誤が分かる展示でした。松園好きの方や絵を描く方には参考になると思います。昨年の東京国立近代美術館の松園展とリンクする部分も多いので、あの展示を気に入った方には特に面白いんじゃないかと。 会期が短いので気になる方はお早めにどうぞ。
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