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ガラス★高橋禎彦展 【東京国立近代美術館 工芸館】

先週の日曜日に、竹橋の東京国立近代美術館へ行って、工芸館と本館の展示を観てきました。本館の岡本太郎展が予想以上の混雑だったので、先に工芸館の「ガラス★高橋禎彦展」を観ることにしました。これは工芸館の半分くらいの展示で、もう半分は「所蔵作品展 近代工芸の名品」となっていました。

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【展覧名】
 ガラス★高橋禎彦展
 所蔵作品展 近代工芸の名品

【公式サイト】
 http://www.momat.go.jp/CG/takahashi2011/index.html

【会場】東京国立近代美術館 工芸館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東京メトロ東西線 竹橋駅
【会期】2011年3月1日(火)~5月8日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日12時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
こちらの館内は空いていて、自分のペースで観ることができました。展示作品はそんなに多くなく、文章では説明しづらい形の作品が多かったので、今回の展示は個々の作品ではなく会場の雰囲気をざっくりとご紹介しようと思います^^;


<ガラス★高橋禎彦展>
今回のメイン展示です。まず最初に高橋禎彦 氏のプロフィールがあったのでざっくりご紹介すると、この方は1958年生まれの多摩美術大学出身のガラス作家です。大学でガラス制作を学び、卒業後にはドイツで2年間の研鑽を積んだそうです。その後1985年に神奈川で工房を開き、独創的な作品を生み出しています。 ガラスを専攻して間もない頃に、京都で開催された世界クラフト会議で欧米の作家の製作現場に立ち会ったことがあるそうで、その際にガラスが「考えるための道具になりうる」と気づいたそうです。ここにはそうした考えから生まれた、器と用途の無い「オブジェ」との区別がつかないような面白い形の作品が並んでいました。

最初の部屋からずらっと作品が並んでいて、球や丸みを帯びた立方体、筒状、管状などが組み合わさった不思議な形の作品が多いです。丸っこくて可愛らしく、優美な曲線を持つ作風のように思います。形に囚われないような遊び心を感じました。

続いての部屋の和室になっている所の畳の上にはカラフルで小さいガラス瓶たちが並んでいました。観ているだけで楽しくなるようなポップな雰囲気もありつつ、気品があります。 あまりに普通に置かれているので、地震でよく大丈夫だったなあ~なんて、いつもは気にしないことも考えながら観ていました。また、同じ部屋のフローリングの方には透明で実用的なグラスや水差などが所狭しと並んでいました。(こっちもちょっとハラハラしますw)

最後は用途不明の作品が並んでいました。十字架と球を組み合わせたような作品郡や、瓶の中に入った様々な色・形のオブジェ、アイスクリームみたいな頭をしたとろけるような感じの作品、豆を彷彿する作品などなど、観る度に何だこれ!?と微笑んでしまう作品がありました。

と、こんな感じで小展示ですがガラスの表現力に魅了される内容となっていました。


<所蔵作品展 近代工芸の名品>
続いては所蔵品展です。こちらの展示は写真撮影ができたのですが、最近の作品が多いので写真の掲載は見送ります^^; 

こちらは幅広く近現代の工芸品を並べた展示でした。磁器・陶器、帯、ガラス、漆器・蒔絵、茶道具などがあり、数点ほど高橋禎彦 氏の作品もあります。例えば磁器・陶器と言っても昔のそれとは雰囲気がだいぶ違い、縞模様になっているものや、びっしりと模様がつけられたもの、女性の身体を彷彿するような抽象的な形態のもの、人物像、街を模したもの などなど、どれも発想豊かで個性が素晴らしい作品でした。近現代で評価されている作家は一目で個性が分かる独創的な作品が多いように思います。


ということで、面白い作品を観ることが出来ました。東京国立近代美術館に行く場合は工芸館もお勧めです。本当は桜のシーズンに行こうと思ったのですが、地震からの立ち直りが早かったこの美術館の展示を先に観ておきました。
余談ですが、作品を観ている時にたまたま館員さんに質問しているお客さんがいて、地震の時に作品が倒れなかったか訊いていました。どうやら作品の裏にジェルが塗られているそうで、それによって転倒することはなかったそうです。 本館の方もあまりダメージが無かったそうで、やはり美術館は一番安全なんじゃないかと言っていました。 
なお、本館の常設は現在公開中止となっています。(それについてはどちらかと言うと節電のためみたいなことも話していました。) また、当分の間、開館時間も短縮となっているのでご注意ください。

この後、本館の岡本太郎展も観てきました。次回はそれをご紹介しようと思います。


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カフェ ロンタン 【府中市美術館のお店】

前回ご紹介した府中市美術館の常設を観た後、バスを待つ間に館内にある「カフェ ロンタン」というお店でお茶をしてきました。

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【店名】
 カフェ ロンタン

【ジャンル】
 カフェ・レストラン

【公式サイト】
 http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/shop/index.html
 食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1326/A132602/13057000/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 京王線府中駅/京王線東府中駅/JR中央線武蔵小金井駅など

【近くの美術館】
 府中市美術館

【この日にかかった1人の費用】
 600円程度

【味】
 不味_1_2_③_4_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日16時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
この日は展覧会も空いていて、閉館も迫っていたせいかお店も空いていました。店内はガラス張りで明るい雰囲気となっています。
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裏手はテニスコートが見えていました。この日は強風でしたが利用者が結構多かったです。
このお店は美術館に行かない人も利用できるみたいで、外から直接出入りできるドアもあります。
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この日は、フォンダンショコラのセット(600円)を頼みました。先に注文するセルフサービスの方式で、他にはカレーなどの軽食などもあるようでした。
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まずはコーヒー。香りや苦味はなく、軽い酸味があるかな。普通のお味です。
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こちらはショコラ。あつあつで、甘さは控えめなのが美味しい。
右の写真は食べかけですみませんw 中に解けたチョコが入っていました。
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ということで、味やサービスは普通といった感じでしたが、コストパフォーマンスは中々だと思います。 静かな音楽とガラス張りの空間が開放的でくつろげるお店でした。春が近い今頃は日が当たるとひなたぼっこみたいな気分ですw 軽食もあるし、バス待ちにもぴったりなので色々と用途がありそうです。今後も利用しようと思います。


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【府中市美術館】の常設 (2011年03月)

前回前々回とご紹介した府中市美術館の江戸の人物画展を観た後、常設展も観てきました。常設とは言え、こちらも人物画を題材にしたテーマとなっていてタイトルがついていました。

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【展覧名】
 人のかたち
 小特集 若林奮

【公式サイト】
 http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/jyosetu/ichiran/jyosetuten/index.html

【会場】府中市美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】京王線府中駅/京王線東府中駅/JR中央線武蔵小金井駅など
【会期】2011年3月19日(土)~5月8日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
こちらも空いていて、ゆっくりと観ることが出来ました。今回の常設は「人のかたち」という企画がメインで、小部屋では「小特集 若林奮」が開催されていました。詳しくはいつもどおり、いくつか気に入った作品をご紹介していこうと思います。
 参考記事:府中市美術館の常設 (2010年10月)

<人のかたち>
まずは人物像の企画展示です。肖像、自画像、裸婦、風俗画などが並び、特別展示の内容に合わせたような面白い趣向でした。

鹿子木孟郎 「横向きの男」
木炭で描かれた男の横顔です。非常に写実的で、まるで白黒写真に見えます。意思が強そうな顔つきをしていて、陰影の効果が出ているように思いました。リアルです。

黒田清輝 「浜の夕映」
後ろの方にちょっとだけ海が描かれ、浜辺で海を観ていると思われる男の横顔です。少し顔が赤く、精悍な雰囲気があります。印象派っぽい作風の作品に思いました。

椿貞雄 「晴子像」
真正面を向いたおかっぱ頭の女の子の肖像です。赤い服を着ていて目が非常に大きく、人形みたいな感じもしますが、迫りくるようなエネルギーが凄いw どこかルオーが描く絵に通じるようなものがあるように思いました。

猪熊弦一郎 「窓」
窓辺に座る赤い服と青いスカートの女性を描いた作品です。全体的に色が濃く、フォーヴ的な画風に見えます。面長な顔をして個性を感じますが、猪熊さんの作品としては具象的なんじゃないかな。
 参考記事:猪熊弦一郎展『いのくまさん』 (東京オペラシティアートギャラリー)

古賀春江 「自画像」
水彩で描かれた自画像です。口を開けて少し上目遣いに見えます。精密というほどでもないですが、顔の影までよく捉えていて写実的な感じでした。古賀春江というとシュルレアリスム的なものを思い浮かべますがこういう作品もあるのかと参考になりました。
この辺は自画像のコーナーでした。壁一面に並んでいました。その次は裸婦のコーナーです。

黒田清輝 「裸婦習作」
立って腰に手を当てている裸婦を描いた作品(習作)です。下をうつむいていて、どこか憂鬱な感じを受けるかな。 影の表現が面白く、肌の色には緑なども使われていました。結構好みの作品です。

鹿子木孟郎 「日本髪の裸婦」
江戸時代の女性のような髪形をした日本人裸婦の後姿が描かれ、脚を横に出して床に座っています。肉付きがよく、ちょっと太ってるくらいかな。あまり美化されずどっしりとした感じを受けました。 背景には窓から差し込む光があり、明暗も良かったです。

安井曽太郎 「臥裸婦」
頭の後ろに手を回して横になっている裸婦像です。結構すっきりした感じで印象派よりも写実っぽい感じがしました。また、赤い布と背景の緑というように色の対比も強かったように思います。

チャールズ・ワーグマン 「三味線を弾く女」
着物を着た中年女性が立って三味線を弾いている姿を描いた作品です。目をつぶって、口を斜めに開けて歌っているように見えます。この画家は明治初期に特派員として日本に来た人で、当時の日本の様子をそのまま伝えているように思います。この作品も生き生きとした雰囲気がありました。
 参考記事:大・開港展-徳川将軍家と幕末明治の美術 感想後編(横浜美術館)

清水登之 「チャイルド洋食店」 ★こちらで観られます
洋食店の中の賑わう様子を描いた作品です。店員の青の制服や緑の服などには光沢感があり、全体的にどこかキュビスム風の雰囲気がある作風でした。何とも楽しそうなお店です。

相笠昌義 「日常生活」
白地に青のラインの入った通勤電車に乗り込む人々を描いた作品です。すでに中までぎっしりの満員で、ドア付近で無理やり身体をねじ込んで中に入ろうとしているお客さんが描かれています。その反面、落ち着いた色合いのせいか全体的に哀愁が漂っていて、現実的なはずなのにシュールな感じがありました。 タイトルが皮肉に思えてくるのは私も勤め人だからでしょうかw この作品の下にも駅を描いた作品があったのですが、そちらもポツンとした寂しさのある作品で良かったです。以前、損保ジャパンでこの人の展示を見逃したのが今でも悔いが残る・・・

この後は抽象や写真が何点かありました。


<小特集 若林奮>
ここは若林奮という彫刻家の作品の並んだ小部屋でした。とは言え、彫刻作品ではなく葉書サイズくらいの簡素な素描ばかりだったかな。年賀状とかありましたが、特に好みではなかったのでさらっと流してしまいました^^;


<牛島憲之記念館>
続いては常設の隣の部屋の牛島憲之記念館です。ここも訪れる度に観ていますが、今まであまりご紹介してこなかったかも^^; 改めていくつかご紹介しますと、最初の方には牛島憲之の写真やアトリエの再現などの資料が並び、廊下を抜けると大部屋の4方の壁に絵が並んでいます。ここに展示されている作品は観るたびに結構変わっているように思います。

牛島憲之 「灯台」 ★こちらで観られます
白い灯台とその下の建物、手前の松?などが描かれた作品です。単純化された幾何学的な形態で、淡く平面的な色使いで描かれています。素朴な感じもありますが、人っ子1人見当たらない画面からは超現実的な雰囲気を感じ、一瞬のような永遠のような不思議な感覚を受けました。

牛島憲之 「白南風」
団扇のような形の木が2本重なるように立っていて、左の方には左に向かって歩いていく人の姿があります。地面と空はグラデーションとなって境目がなく、他に何もないのでポツンとした感じを受けます。これまた不思議な気分になる作品です。

牛島憲之 「工場」
白い壁の工場と、煙を吐く4本の煙突が描かれた作品です。手前には門か橋のようなものがあり、水平・垂直・四角などが多く使われています。これも工場なのに人影がなく、工場が城のような超然とした雰囲気を出していました。


ということで、常設も楽しむことができました。いつもはこの美術館に行くときは競馬場にもハシゴするのですが、この日は競馬場が地震の影響で閉鎖されていたこともあり、じっくりと時間を使って観ていました。 …競馬場にハシゴしなかったのは初めてでした^^;


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江戸の人物画―姿の美、力、奇 (前期 感想後編)【府中市美術館】

今日は前回の記事に引き続き、府中市美術館の「江戸の人物画―姿の美、力、奇」の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。
 前編はこちら

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まずは概要のおさらいです。

【展覧名】
 江戸の人物画―姿の美、力、奇

【公式サイト】
 http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/
 http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/jinbutsu/index.html

【会場】府中市美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】京王線府中駅/京王線東府中駅/JR中央線武蔵小金井駅など
【会期】
  前期 2011年03月25日(金)~04月17日(日)
  後期 2011年04月19日(火)~05月08日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
 ※東京電力が発表する計画停電(第2グループ)の時間帯、およびその前30分とその後40分は閉館とのことです。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
前編は西洋からの影響を感じる作品が多数ありましたが、後半には中国からの影響を感じる作品などが並び、私の好きな蕭白の作品も多数ありました。詳しくは章ごとに気に入った作品を通してご紹介しようと思います。なお、作品名の前に○印があるものは通期で展示されている作品で、無印のものは前期のみの展示となります。(ほとんど前期のみで大規模な入れ替えがあるようです)

<海の向こうの不思議とロマン>
江戸時代の絵師達にとって、中国は憧れの国だったようです。(確かに中国風の風景を題材にした作品はよく観ます) このコーナーでは特に、中国の伝説や仙人を題材にした作品が並んでいました。

曾我蕭月 「人物図屏風」
結構大きな水墨画で、元は4面からなる襖絵だったものです。作者の詳細やこの作品の由来は不明のようですが、蕭白の流れの人だと考えられているそうです(名前や作風がそれっぽいかな) 木の下で剣を持って険しい顔をしている人と、それを座って見上げている人が描かれていて、座っている人は一見女性のように見えるけど男かな? 剣の人物と対照的におっとりした感じです。しかし、全体的には輪郭が太く勢いを感じました。なかなか見栄えがする作品でした。

曾我蕭白 「太公望・登竜門図」
3幅対の水墨の掛け軸です。真ん中が釣り道具を持った太公望、左は水から跳ねてきそうな鯉、右には大きな波間から顔を覗かせる龍が描かれています。これは登竜門(鯉が滝を登ると龍となる)と立身出世した太公望を掛け合わせることで出世を意味しているようです。緻密な描写で、太公望は笑っているように見えます。龍は力強く、黒雲と共に迫力がありました。蕭白らしい独特の雰囲気があるかな。妖気のようなものはあまりあまりませんでしたがw

曾我蕭白 「東方朔・西王母図」
2幅対の作品で、左は振り返るように立つ髭の長い男性が描かれ、手には桃を持っています。右には扇を持つ中国の天女のような女性と、そのお付きの侍女のような女性が描かれていました。解説によると、この女性は不老不死の桃を育てる西王母という仙人で、左の男性はその桃を3回も盗んだ東方朔だそうです。蕭白にしては全体的に線が細めな感じで、かっちりした感じの印象をうけました。

曾我蕭白 「蝦蟇仙人図」
かなり縦長の細い掛け軸です。釣竿みたいなものを振り上げる仙人と、ジャンプをしているような3本脚のガマガエルが描かれています。遊んでいるのか調教してるのかは分かりませんが、仙人は卑近な顔で楽しそうですw 流れるように簡略化されていて、それがかえって画力を感じさせました。

私の好みで蕭白ばかりご紹介していますが、勿論このコーナーにもそれ以外の絵師の作品もありますw 蝦蟇仙人の作品はこれ以外にもありました。特に人気の仙人です。


<人という営み>
続いては人々の営みをテーマにしたコーナーでした。しかし、ここにも仙人や美人画があるので題材としては幅広かったかな。

西川祐信 「高士と美人図」
川で洗濯物を踏みつけて洗う色白の着物の女性と、扇子を顔に当てながらそれを観ている雲に乗った久米仙人という仙人が描かれています。背景は暗く、2人だけはっきり明るく鮮やかに描かれていて、2人の存在を強く感じます。解説によると、この仙人は女性の脚を観て神通力を失ってしまったそうですw その後、2人は結婚して、元仙人は都の造営の人夫となるのですが、仙人だったことがバレてしまい大量の材木を運べと命じられました。その際、元仙人は七日七夜の修行をして、神通力を取り戻し、この命令を成し遂げて人々の尊敬を集めたというストーリーです。神通力を失う理由が人間臭くて面白いw 物語を知るとこの絵も一層楽しめると思います。

円山応挙 「元旦図」
薄っすら描かれた山から昇る太陽と、手前に正装をした侍の後姿が描かれています。しかし、それ以外は空白となっていて、非常にぽつんとした印象を受けます。侍の後ろに長く伸びる影も含めて、どこかシュールな雰囲気がありました。江戸時代にこんな作品があるというのは驚きです。

歌川広重 「命図」
「命」という漢字の縦線が非常に長く書かれていて、それを2人の女性がかんなと手斧で削っている様子が描かれた作品です。周りには文字が書かれていて、要約すると「家も身も、こんな大工に任せたら柱も立たず家も途絶える」という感じで、女は命取りということを表現しているようですw 女性達は楽しそうにせっせと命を削っているのが可笑しい作品でした。

曾我蕭白 「美人図」 ★こちらで観られます
蕭白にしては珍しく鮮やかに彩色されている作品です。裸足で野外を歩き、手紙を噛み千切っている青い服の女性が描かれ、顔は恐ろしく目は焦点が合わずどこを見ているのか分からないように思います。解説によると手紙を噛み千切っているのは嫉妬を表しているようですが、それだけではなく野外を歩いているのにも意味があるようでした。いずれにせよ狂気を感じ、長く印象に残る作品だと思います。

春叢紹珠 「皿回し布袋図」
頭の上に長い棒を乗せ、その先で皿回しの曲芸をする布袋を描いた作品です。右上に賛があり、「中の水をこぼさなければ私も豆蔵(当時人気の曲芸師)」と書かれているようです。 簡略化されていて漫画のような感じですw 親しみを感じて脱力系の面白さがありました。

円山応挙 「波上白骨座禅図」
これは1年くらい前に森美術館で見た覚えがあります。波の上で骸骨が浮かぶように座禅をしている像です。骸骨は写実的に描かれているのがますます奇妙な雰囲気を出しているように思います。以前観た時の解説では、波は煩悩でそれを押さえ込もうとしているのではないか?とのことでしたが、実際の真意は分かりません。意味深で興味深い作品です。
 参考記事:医学と芸術展:生命(いのち)と愛の未来を探る (森美術館)


<かわいい>
最後は「可愛い」をテーマにしたコーナーでした。可愛いという感情を描いた絵は江戸時代に出現したそうで、その背景には江戸時代にブームとなった唐子(中国風の子供)の作品の人気が関係しているのではないかとのことです。ここにはそうした可愛らしい作品が並んでいました。

伊藤若冲 「伏見人形七布袋図」 ★こちらで観られます
横に長い楕円形の顔をした布袋の人形が7つ描かれた作品です。簡略化されていて、柔和な雰囲気があります。元々こういう顔なのかな? 若冲は様々な画風がありますが、これはこれで可愛らしい作品でした。

仙義梵 「凧あげ図」 ★こちらで観られます
凧揚げをしている子供らしき人が描かれた作品です。さらさらっと描いたような簡潔さで、ゆるキャラみたいな可愛さですw 観ていて微笑ましくなりました。

長沢蘆雪 「唐子睡眠図」
赤い前掛けをした坊主頭の子供が、着物をかけられて眠っている様子を描いた作品です。安らかな顔をしていて気持ち良さそう…。ちょっと抜けた顔をしているのも面白いです。 …と、2009年の秋に東京国立博物館の展示で観た時にも似たような感想を書いていましたw
 参考記事:皇室の名宝―日本美の華 <1期> 感想前編(東京国立博物館 平成館)


ということで、作品数はそんなに多くは無いのですが、気に入る作品ばかりで面白い内容でした。江戸時代にはまだまだ知らない奇想の絵師が多いので楽しいです この美術館は駅から離れていて行くのが面倒ですが、足を運ぶ価値があると思います。私は後期も行こうと思います。
なお、開館時間は停電によって影響を受けますのでお出かけされる場合は事前に公式ページをご確認ください。 また、まだ余震も続いておりますので充分にお気をつけください。

この後、常設展も観てきました。常設も企画展のように面白い内容でしたので次回ご紹介しようと思います。

おまけ:
企画展を出ると、スタンプを使って屏風を作るというワークショップ的なコーナーがありました。私も作ってみたのですがこんな感じです。
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今回の出品作のモチーフに混じって何気なくぱれたん(この美術館のキャラクター)もいますw



後日、後期展示も観てきました。紹介記事はこちらです。






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江戸の人物画―姿の美、力、奇 (前期 感想前編)【府中市美術館】

今日(土曜日)、府中市美術館へ行って震災によって開催が延期されていた「江戸の人物画―姿の美、力、奇」を観てきました。この展覧会は前期・後期で大きな入れ替えがあるようで、この日は前期の内容でした。点数はあまり多くない内容ですが、私の好みの展示で、沢山のメモを取ってきましたので、前編・後編に分けてじっくりご紹介しようと思います。

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【展覧名】
 江戸の人物画―姿の美、力、奇

【公式サイト】
 http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/
 http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/jinbutsu/index.html

【会場】府中市美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】京王線府中駅/京王線東府中駅/JR中央線武蔵小金井駅など


【会期】
  前期 2011年03月25日(金)~04月17日(日)
  後期 2011年04月19日(火)~05月08日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
 ※東京電力が発表する計画停電(第2グループ)の時間帯、およびその前30分とその後40分は閉館とのことです。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
地震で延期となり金曜日から始まったばかりですが、空いていてゆっくりと観ることができました。まだ震災も落ち着いたとは言えない頃に行ったので、この日の混み具合はあまり参考にならないかもしれません。私自身も震災後初めての美術鑑賞でした。

さて、この展示を観る上で、気をつけないといけないことが2点あります。まずは計画停電による開館時間の問題で、この美術館は2Gに組み込まれているようです。今後の停電は25グループになるとのことですので、グループ分けを含めて停電の実施状況を確認しておかないと、開催日でも閉館の可能性があります。
もう1つは前期・後期の入れ替えで、リストを確認するとほとんどの作品が入れ替わるようです。もしお目当ての作品がある場合は、事前に公式サイトのリストを確認しておくことをお勧めします。
 参考リンク:作品リスト(pdf)

さて、肝心の内容についてですが、今回の展示は江戸時代の絵師たちの人物画にフォーカスしたもので、様々な画風の絵師の作品が並んでいました。変わった絵が多く、驚きと面白さを感じさせるものばかりでした。詳しくはいつものように気に入った作品を通じて章ごとにご紹介していこうと思います。なお、作者名・作品名の前に○を入れたのは通期で展示されているものです。無印は前期のみ展示の作品となります。


<冒頭>
まずは冒頭に2点の作品が並んでいました。

円山応挙 「布袋図」
掛け軸に描かれた等身大くらいの大きさの布袋図で、杖を持って口を大きく開いてこちらを観ています。そのお腹は大きく膨らんでいて、髪や髭、体毛などはかなり細かく描かれています。その一方、服や杖は太い線で大胆に描かれていて繊細さと豪快さが両立しているのが面白かったです。
この隣も項羽を描いた等身大の作品でした。


<美の百様>
続いてのコーナーは美人画などが並んだコーナーでした。浮世絵などで量産され似通った雰囲気があると言われる江戸時代の美人画ですが、このコーナーには個性的な美人画が並んでいました。

鈴木春信 「風炉と美人図」
簾の下がる屋内に座る2人の女性と、表に立つ遊女と2人の禿を描いた作品です。遊女の着物は豪華で、赤や青の色が鮮やかです。繊細な美しさを感じる美人画でした。

祇園井特 「観桜美人図」
桜の木を背景に、様々な着物をきた5人の女性達が横に並んで歩いている様子を描いた作品です。傘を開いている人もいて、どうやらお花見に行くところのようですが、女性の顔つきや人の大きさに何か違和感が…。 どちらも「素朴」と言えば良いかな?? 奥の大きな女性と手前の小さな女性の大きさの差が倍くらいあったりしてちょっと奇妙です。顔は下手なのか特徴を強調しているのか分からず、ちょっと怖いw この絵師は去年、板橋区立美術館の展覧会でも観ましたが一種独特の画風で妙に記憶に残りますw
 参考記事:諸国畸人伝 (板橋区立美術館)

志村榛斎 「見立江口君図」
大きな白い象の上に乗った遊女を描いた作品です。象は伝説上の生き物みたいな雰囲気があるかも。遊女の方は頭にたくさんのかんざしをつけて、優美で繊細な着物を着ています。解説によると、これは西行法師の逸話に基づく見立てだそうで、西行法師が大雨の日に遊里で宿を求めたところ、「世を捨てた者が一夜の宿に固執してどうするのか」と断られたそうです。この話が、遊女は実は普賢菩薩の化身だったという説話と結びつき、普賢菩薩がいつも乗っている白い象と一緒に描かれたのがこの絵の題材のようでした。そういわれて観ると遊女に気品を感じます^^;

山口素絢 「洋美人図」
どこの国とも分からない服を着た外国人女性3人と抱かれた子供が描かれた作品です。1は黒人っぽいので明らかに日本人ではありません。正直、作風自体はあまり好みでもないのですが、異色の雰囲気にちょっと驚きました。解説によると、1817年にオランダの商館長が家族を連れて日本に来た時に大騒ぎになったそうで、その家族を描いた絵や版画が出回ったそうです。この作品もその時のものを参考に描いているようでした。

この近くには長澤芦雪の作品もありました。


<「迫真」のゆくえ>
続いては写実性に関するコーナーでした。江戸時代に西洋の写実画法が伝わったようで、それは江戸時代の絵師には驚きだったようです。しかし、彼らはそれをそのまま同じように描いたわけではなく、自分達の表現で描いたようで、独特の作風の作品が並んでいました。

大久保一丘 「伝大久保一岳像」
人物を写実的な西洋画風で描いた作品です。(モデルが男か女かわかりづらいですがw) 着物を着てじっとこちらを観ていて、全体的に日本の絵とは一線を画す雰囲気がありました。解説によると、この作品に似たものは20点程度もあるそうです。しかし、複数人によって描かれているようで、他は作者不明だったり、何のために20点も描かれたのかは謎のようでした。

円山応挙 「三美人図」
3人の女性が描かれた美人画で、1人は立姿で2人は座っています。立っている女性が話しかけているのかな。モデルは応挙の身近な人物のようですが、それぞれの顔は非常に個性的で、美人と言うか微妙なラインですw  上部にある賛には、応挙が現れてから日本の絵は「学画」(手本に従って描く)から「真写」に一変したと書かれているらしく、ありのままに特徴を描いている作品のようでした。

太田洞玉 「神農図」
これも西洋画のような雰囲気の作品です。白髪で長い白髭の老人が描かれていて、これは中国の伝説の皇帝「神農」(様々な植物を舐めて薬効を調べたとされる人物)のようです。緻密で柔らかい雰囲気で、陰影の表現が西洋っぽさを出しているように思いました。絵の下にはアルファベットが書かれ、「オランダ流のスタイルで描く」という意味のようでした。
この隣には西洋版の神農といえるヒポクラテス像(渡辺崋山)が展示されていました。


<聖の絵姿>
続いては聖人などを描いたコーナーでした。

住吉広行 「賢聖障子絵」
3幅対の掛け軸で、儒教の聖人が描かれています。左から紫、白、赤の中国風の服を着た年老いた聖人が描かれています。結構写実的に描かれていて、それぞれ厳格そうな雰囲気がありました。解説によると、この絵は紫宸殿に飾ってあったものが1788年に燃えたので、それを復興させるために描いた作品の試作のようです。
 参考記事:番外編 京都旅行 京都御所

呉春 「松尾芭蕉像」
真正面を向いた、頭巾を被った松雄芭蕉の肖像です。写実的に描かれ、柔和で穏やかな表情で少し微笑んでいるように見えました。最初は聖人のコーナーに何故芭蕉さんが!?と思いましたが、芭蕉は神格化されていったそうで、俳聖として奉るためにこのような正面向きの絵が描かれたのではないかとのことでした。


<ポーズ考>
ここからは後半の部屋です。このコーナーはモデルのポーズに注目していて、日本古来のポーズや西洋画のポーズを取り入れたものなどが並んでいました。

不詳 「舞踊図」
6曲のミニ屏風で、1扇ごとに1人ずつ、扇子を持って様々なポーズで踊る女性の姿が描かれています。着物を翻し、扇子を広げる様子は一瞬を捉えたような感じで、動きを感じます。6枚並ぶとそれが一層強まっているように思いました。

司馬江漢 「学術論争図屏風」
2曲の屏風で、ちょっと色が黒ずんでいるのが残念。画風も画題も完全に西洋風で、背景には西洋の町並みが描かれ、手前に中世風の服を着た4人が身振りをしながら何か真剣に話しているようです。左には本を持っている人がいるので学術論争であることを感じさせます。詳しい解説は無くて何をしているか伝わってくるのが面白いです。身振りも西洋っぽさを感じますw 作風も含めて興味深い作品でした。

円山応挙 「鍾馗図」
等身大くらいの鍾馗様を描いた作品です。右手で後ろに剣を持ち、左手は足のあたりの着物を持ち上げるような仕草をしています。顔はやや右上を観ていて、左足を少し前に踏み出しているような感じでした。私にはこのポーズの意味は分かりませんでしたが、よく考察されたポーズであると解説されていました。理知的な顔をしているとのことでしたが、確かに激しさと言うよりは静かな雰囲気を感じたかな。 なお、この作品は応挙が没した年の描き初めだったようです。

小田野直武 「西洋人物図」
青と赤の衣を纏った老人が、キリスト教の祈りのポーズをしている作品です。掛け軸ですがかなり西洋風です。江戸時代ですので、もちろんキリスト教は禁教の時代ですが、たまたま見た作品をもとに描いているようです。ドラマティックな雰囲気がありました。
ちなみにこの人は秋田派の画家で、2年くらい前にこの美術館でも作品を展示していました。
 参考記事:山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年 後期(府中市美術館)


ちょっと中途半端な区切りですが、長くなるので今日はこの辺までにしておきます。ここまでだけでも江戸時代にもこれだけ色々な作風があるのかと驚かされる面白い展示です。 次回は後半の3つの章をご紹介する予定ですが、後半には私の目当ての蕭白の作品も数点あり、さらに満足な内容となっていました。


  ⇒後編はこちら



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停電の楽しみ方

先週は臨時休館している美術館が多く、まだ余震が多かったこともあって家でじっとしていたので、ついにブログのネタが切れましたw そこでネタ切れ企画として、自宅勤務の日の停電中(昼間)に描いた自作のお絵かきでも載せようかと思います^^; スケッチブック、鉛筆、ねり消し、合わせて1000円もしませんが、停電中に電気もお金も使わずにいくらでも楽しむことができます。 絵は美術館でよく観ているけど実際に描いたらもっと理解できるかも?と思って去年末くらいから描き始めたのですが、停電の友になるとは思っていませんでしたw

まずは先週描いたやつ。

伊藤若冲「白象図」の模写
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これは以前買ってきた絵葉書を元に描きました。水墨を鉛筆で描いても仕方ないとは思ったけど、好きな作品だから描いてて楽しいし、白黒で描きやすかったw 幅が合わないので横は適当で、描いた位置も上の方過ぎました。
 参考記事:帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展 感想前編(千葉市美術館)

これは以前に携帯で撮った写真を元に描いた猫の絵。携帯を元に描くのは結構キツイw
DSC_6933.jpg
顔だけ描いて身体を描いてる途中で停電が終わりました。 動物を描いたのは初めてでしたが、元の猫と比べるとちょっと雰囲気が違って私には難しかったです…。複雑な形はまだ修行が足りません。


ついでなので、ここからは初めてスケッチした頃に描いたもの。
一番最初は球を描いたのですが、これは2番目に描いた石膏の壺・
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スケッチブックの表裏の紙質が違うことに気づかず描いていたら、陰影の表現が難しくて困りました。陰影がうそ臭い^^;

こっちはちゃんと表面で描いた3番目。これも石膏の壺です。
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淵の部分が難しかったけど、何とか陰影と立体感を出せたかな。今まで一番納得できた絵かも。

これは4番目に描いた玩具。
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これは木で出来ていたのですが、木の色と陰影の違いが分からなくて諦めました。厚みは何とか出せたかな??


ということでお粗末さまでした^^; これからも関東では停電が続きますが、スケッチやお絵かきは有意義な過ごし方の1つかと思います。 夜はどうしようもないですが、昼にやることが無かったら絵を描いてみるのも一興かと思います。

今週末は美術館を巡ってこようと思いますので、またブログのネタも補充されます。 地震が無ければ明日は六本木アートナイトの日だったんですが、とりあえず3月は中止のようです。今後どうなるかはまだ未定なのだとか…。
 参考記事:六本木アートナイトの公式ページ


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マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン -華麗なる宮廷を描いた女性画家たち- (感想後編)【三菱一号館美術館】

今日は前回の記事に引き続き、三菱一号館美術館の「マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン -華麗なる宮廷を描いた女性画家たち-」の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。
 前編はこちら

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【展覧名】
 マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン -華麗なる宮廷を描いた女性画家たち-

【公式サイト】
 http://www.mimt.jp/vigee/index.html

【会場】三菱一号館美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【会期】2011年3月1日(火)~5月8日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
昨日ご紹介した前半(1~6章)にはルブランの作品は無かったように思いますが、7章からはルブランとその周りの画家達の作品が一気に増えます。

<7 ラビーユ=ギアールとヴィジェ・ルブラン>
1783年に王立絵画彫刻アカデミーはラビーユ=ギアールとヴィジェ・ルブランという2人の女性画家を同時に会員としました。その際、ルブランの夫は画商だったので、会規上で問題があったそうですが、マリー・アントワネットの後押しで特例となったそうです。会員となっても結局ルブランは歴史画を受注することはできなかったようですが、マリー・アントワネットの肖像を多く残すことができました。それに対して、ライバルのギアールはルイ16世の叔母の肖像や、1章にあった歴史画(本画が燃やされたやつ)などを残したようです。また、ギアールは女性画家の教育に力を注ぎ、マリー=ガブリエル・カペなどの弟子がいたようです。ルブランの方はあまり教育に乗り気では無かったようですが、マリー=ギエルミーヌ・ブノワなどの弟子がいます。この章ではこの2人の作品と、その弟子の作品などが並んでいました。

マリー=ガブリエル・カペ 「自画像」
ギアールの弟子のカペの作品で、これは見覚えがある人も多いかも? いつもは上野の国立西洋美術館の常設にいる青いドレスの女性像です。
 参考記事:国立西洋美術館の案内 (常設)
22歳の頃の姿を描いた作品で、青いリボンをつけた何とも愛らしい顔をした女性です。髪や服の質感が何とも見事で、写実的かつ繊細な雰囲気があります。自信に満ちた表情も輝かんばかりです。ちょっと高めの位置に飾られていたのが面白い趣向でした。
ここから先はこうした若い女性の肖像が多いので、男性諸君には一層楽しい展覧会となってくるかとw

アデライード・ラビーユ=ギアール 「フランソワ=アンドレ・ヴァンサン」 ★こちらで観られます
超精密に描かれた丸眼鏡の男性の肖像で、この人はギアールの先生であり夫である人物です。全体的に写実的で、パレットに乗った銀や、椅子の質感などは特にリアルに見えます。この男性は少し気が弱そうな感じも受けますが、優しそうな眼差しをしていました。口元が少し開いていて、話しかけているようにも見えました。

エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン 「エチエンヌ・ヴィジェ、画家の弟」 ★こちらで観られます ※ローテーションの一部
まるで女性のような顔をしたルブランの弟の肖像です。横向きで本とペンを持って、こちらを見て微笑んでいます。明暗がしっかりしていて瑞瑞しい雰囲気があり、優しい目が印象的でした。ルブランは美人画家ですが、弟もかなりのイケメンですw

エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン 「フランス王妃、マリー=アントワネット」 ★こちらで観られます ※ローテーションの一部
今回のポスターにもなっている作品です。これはマリーアントワネットの肖像で、母のマリア・テレジアに贈るためにルブランに描かせたものの複製(画家本人による複製)となります。 元になった絵は白いドレスを着た姿だったそうですが、この絵は上半身のみの姿となっています。羽帽子を被って横を見ていて、美しさと言うよりは威厳のようなものを感じました。
なお、解説機ではマリー・アントワネットが作った音楽を聴くことができました。ルブランとは同じ歳で、お互い音楽好きだったこともあり一緒に歌を歌うこともあったそうです。マリー・アントワネットとは友人でもあったようですね。

エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン 「ポリニャック公爵夫人、ガブリエル・ヨランド・クロード・マルティヌ・ド・ポラストロン」
白いドレスに黒い衣、黄色い麦藁帽子を被った貴族風の女性の肖像です。繊細にかかれ、可憐で華やかな雰囲気があります。解説によると、麦藁帽子を被っているのはルーベンスの作品からの影響でもあるようです。単に田舎娘に扮したお嬢様かと思いましたw

この辺りに来ると、画中の美人の華やかさに押し切られる感じでしたw 満足度が高めなのもそこに要因があったりします^^; とりあえず、この辺りで下の階へ移動です。

エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン 「クリュソル男爵夫人、アンヌ=マリー・ジョゼフィーヌ・ガブリエル・ベルナール」 ★こちらで観られます ※ローテーションの一部
上品な赤と黒のドレスを着て帽子を被った女性を描いた作品です。楽譜を手に持ち、声をかけられて振り返ったような姿勢をして、親しげな微笑みを浮かべています。 着ているドレスの光沢や髪の毛の表現はまるで本物のような写実性でした。姿勢から動きも感じるし、これは今回の展覧会でも特に気に入った作品の1つとなりました。

エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン 「オルレアン公爵夫人、ルイーズ・マリー・アデライード・ド・ブルボン=パンチエーヴル」 ★こちらで観られます ※ローテーションの一部
頬杖をついている白いドレスの女性像です。少し首を傾げてこちらを興味深そうに見ているように思えます。頬杖というとメランコリーな感じで描かれることが多いと思いますが、これはまったくそんな気配は無く、ちょっと小悪魔的な魅力を感じる女性でした。
この部屋はは貴族の女性や家族の肖像画が何点かありましたが、良い作品ばかりでした。


<8 フランス革命とヴィジェ・ルブランの亡命>
1789年にフランス革命が起きると、宮廷画家(しかも王妃の友人)だったルブランも一気にその身に危険が迫り、危険を察知した彼女はルネサンス美術の研修旅行と言ってイタリアに亡命することとなりました。その後、オーストリア・ロシアにも渡り12年間もの亡命生活をしていたようですが、各国で歓迎を受けたそうです。革命から落ち着きを取り戻す頃になると、本国で250人もの芸術家達によってルブランの帰国の嘆願書が書かれ、その甲斐があってか再びフランスに戻ることができたそうです。
それに対してライバルのギアールはフランスに留まり、国民議会の議員の肖像を描くなどして賛辞を得ていたようです。2人とも自らの芸術のおかげで助かったと言って良いかもしれません。 この章ではそうした革命後の波乱の時期の作品が並んでいました。

エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン 「自画像」 ★こちらで観られます ※ローテーションの一部
これは損保ジャパン美術館で観たウフィツィ美術館の自画像か??と思いましたが、別バージョンの作品のようです。(ウフィツィ美術館のが好評でいくつも描いているらしい)  キャンバスに向かった色白の女性がこちらを見て手を止めている姿が描かれています。画家自身の美しさがよく分かり、楽しげで自信に溢れた顔に見えました。よく観ると、ウフィツィ美術館の作品ではキャンバスの画中画はマリー・アントワネットだったのに対して、こちらは愛娘の肖像に差し替えられていました。
 参考記事:ウフィツィ美術館自画像コレクション (損保ジャパン東郷青児美術館)

エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン 「ルイーズ・マリー・テレーズ・ヴィクトワール・ド・フランス、通称マダム・ヴィクトワール」
少し身を横にしていて、光沢のある服を着た女性の肖像です。この作品も精密に描かれています。解説によると、モデルの人物はライバルのギアールがよく描いていたルイ15世の娘だそうです。(…と言っても結構なお年に見えますがw) ルブランとこの女性はフランス革命でローマに逃れた際に再会したそうで、その時にこの作品を描くように命じられたのだとか。なお、イタリアではルブランは「ヴァン・ダイクの再来」とまで呼ばれるほどの歓迎ぶりだったそうです。

エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン 「アンナ・セルゲイエワ・ストロガノワ男爵夫人と息子のニコライ」
子供を抱く母親を描いた作品です。解説で聖母子像みたいと言われていましたが、確かにそのとおりに思えます。2人とも右の画面端を見ていて、楽しく幸せそうな眼をしていました。視線の先に夫でもいるのかな? ここまで見てきたルブランらしい作風で、精密かつ表情豊かな表現でした。 なお、これはウィーンで描いた作品で、モデルはロシアの貴族だそうです。この作品の隣にはその夫の肖像もありました。

エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン 「ユスーポフ公爵夫人、タチアナ・ワシリエワ」
木の下で、白と赤の古代風の服に身を包み、頭と手には花飾りを持った女性を描いた作品です。どこか神話的な要素を感じます。この辺には小説や神話を模した肖像画が並んでいたので、そういう表現をしていた時期があったのかもしれません。


<9 新しい時代>
革命でルブランが亡命している間、フランス画壇にも大きな動きがありました。それまでサロンへの出品はアカデミーの会員だけだったのが自由化され、新しい世代の活躍が見られたそうです。ここにはそうした新しい時代の画家の作品が並んでいました。

マリー=アデライード・デュヴュまたはデュリュ、旧姓ランドラジン 「自画像」
サロンの自由化で名を残した女性画家の自画像です。スケッチブックを持ってこちらをじっと観ていて、その目は意思が強そうで自信に満ちています。写実的な表現で明暗もくっきりしていて、前時代の作風に似ているようにも思いました。

マリー=ギエルミーヌ・ブノワ、旧姓ルルー=ドラヴィル 「ジャン=ドミニク・ラレイ」
この画家はルブランの弟子ですが、彼女以外にも新古典主義の巨匠ダヴィッドにも師事していたそうで、画業としてはナポレオン一家の寵愛を受けた人です。この絵は、軍服?を着て脚を組みこちらを見る男性の肖像で、精悍な顔つきをしていて威厳があります。また、ルブランの作品に通じるような精密さ・写実性・気品などを感じることが出来ました。


ということで、たっぷりじっくりと観てきました。これまで全然知らなかった女性画家の世界を知ることが出来て非常に参考になりました。こういう知られざる世界を紹介する展覧会は今後も続けて欲しいものです。 震災で開催日時にも影響が出ているようですので、今後お出かけになられる方は公式ページで事前にご確認することをお勧めします。


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マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン -華麗なる宮廷を描いた女性画家たち- (感想前編)【三菱一号館美術館】

前回ご紹介したお店でお茶した後、三菱一号館美術館で「マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン -華麗なる宮廷を描いた女性画家たち-」を観てきました。未知の画家が多く、参考になる展示でしたので前編・後編に分けて詳しくご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン -華麗なる宮廷を描いた女性画家たち-

【公式サイト】
 http://www.mimt.jp/vigee/index.html

【会場】三菱一号館美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【会期】2011年3月1日(火)~5月8日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
開催されて初めての土曜日(震災前)に行ったのですが、意外とゆっくり観ることが出来ました。ただ、この美術館は狭いところがあるので、場所によっては混み合った感じもありました。

さて、今回の展覧は「ヴィジェ・ルブラン」という画家を中心とした内容となっています。去年、損保ジャパンのウフィツィ美術館自画像コレクション展でポスターになっていた絵の作者だったので、覚えている人も多いかと思いますが、マリー・アントワネットの肖像を描いていた宮廷画家です。
 参考記事:ウフィツィ美術館自画像コレクション (損保ジャパン東郷青児美術館)
私はヴィジェ・ルブランを損保ジャパンの展示で初めて知ったのですが、画風が気に入ったので、今回の展覧会は楽しみにしていました。とは言え、この展示はヴィジェ・ルブランだけでなく、その前後の時代の女性画家たちを取り上げていて、当時の女性画家の地位や文化、歴史的な動きも分かる内容で、予想以上の収穫がありました。構成は9章まであり、日本では観る機会が少ないと思われる作品が80点ほど並んでいました。 詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。前編では1~6章、後編ではルブランの作品が多い7~9章をご紹介いたします。


<1 プロローグ>
まずはプロローグのコーナーです。ヴィジェ・ルブランやラビーユ=ギアール(この人も女性画家)などが活躍した18世紀のフランスでは、女性画家は格下と見られていたそうで、描く題材も肖像画、静物画、風俗画に限られていたそうです。しかし、1780年代になると変化の兆しがあり、ルブランは王立アカデミーへの入会資格として寓意画、ギアールは史実を題材にした作品などの依頼を受けるようになりました。その後、18世紀後半には女性芸術家の活躍の場がより上位のジャンル(歴史画など)に広がっていったようです。
…と、こうした大まかな流れを説明した上で、最初のプロローグでは肖像画などが並んでいました。

フランソワーズ・デュパルク 「ハーブティー売り」
こちらを見る白い布を被ったハーブティー売りの肖像です。身なりは庶民的ですが、顔つきは清楚で、慈愛のようなものを感じました。優しい雰囲気があります。解説によると、この人は風俗画を得意とした女性で、当時は著名な画家だったそうです。現存しているのは4点しか無いらしいですが、この展覧会では2点が並んでいました。

アデライード・ラビーユ=ギアール 「ルイ16世の弟殿下による騎士章の授与」
大画面の本画を作る際の小さめの下絵で、本画は革命時に没収され燃やされてしまったそうです。椅子に座る弟殿下とその周りの騎士?たちが描かれています。見た目はよくある歴史画のように思えましたが、歴史画には男の裸体などが多いので、男性モデルのデッサンが許されていなかった女性画家は縁遠いジャンルだったそうです。(この作品には裸体の人間はいませんが) 現代の日本人の感覚だと分からないような苦労がある作品のようでした。

エリザベト=ソフィ・シェロン 「自画像」
ルブランの弟子の女性画家の自画像で、巻かれた手紙のようなものを持ちこちらを見ています。少し微笑んでいて、青い衣をまとって女神のような気品を感じました。解説によると、この女性はヘブライ語などもこなす才女で、芸術一家の娘だったそうです。(この頃の女性画家の多くは芸術一家出身のようです。) この作品でアカデミーの入会を許されたというほどの傑作でした。


<2 貴婦人のたしなみ>
この頃の貴族やブルジョワの若い娘は、教育の1つとして素描も含まれていたようです。しかし、そうした女性貴族たちもやがては革命期に家族をギロチン送りにされるなど困難な時代を迎えていくことになります。
この章ではロザルバ・カリエラやマリアンヌ・ロワールといった王侯貴族を顧客に成功した女性画家を紹介していました。

ロザルバ・カリエラ 「薬剤師アントワーヌ=ルネ・ブーラン」 ★こちらで観られます
この人はかなり成功した画家だったそうです。この絵は、灰色の背景に、灰色の服、灰色の髪の男性薬剤師を描いた作品です。血色が良く上品な顔つきをしていて、目は優しく理知的な雰囲気がありました。パステルで描かれているのも柔らかい印象に繋がっているのかも。

マリアンヌ・ロワール 「アントワーヌ=ヴァンサン=ルイ・バルド・デュプラア(9歳)」
鋤を肩に持ち、花籠を持った少年の肖像画で、繊細な表現で描かれています。どうやら貴族の子供が庭師に扮しているようで、赤い服を着ていて、少し悪戯っぽい顔をしていました。生き生きとした表情で楽しげな雰囲気の作品でした。


<3 フランス王妃、マリー・レクジンスカの「中国風居室」>
続いてはルイ15世の王妃マリー・レクジンスカが描いた作品が並ぶコーナーでした。(★こちらで観られます
王妃はヴェルサイユ宮殿の居室(マリー・アントワネットの図書館になった場所)を飾るために、4人の画家の協力を得て中国風の主題の絵を8枚描いたそうです。ここにはその8枚の巨大な作品が部屋を囲うように並んでいて、当時の雰囲気を出すために少し高いところに飾られていました。中国風の風景、風俗が描かれていますが、色合いは柔らかく西洋的な画風を感じます。庭先で音楽のレッスンや釣り、麻雀、昼食の用意など、のんびりと幸せそうな雰囲気がありました。当時、こうした中国風の画題は「シノワズリ」と呼ばれ流行していたようです。また、王妃はこの作品が完成した時、部屋には漆の家具や東方の磁器が並べられたそうです。画家の助けが会ったとは言え、王妃がこれだけの作品を描いていたとは驚きでした。今回の展覧会の見所の1つだと思います。


<4 「女性の世紀」とその再評価>
続いては大部屋のコーナーです。18世紀後半に人気のあったロココの画家ジャン=オノレ・フラゴナールの妻であるマリー=アンヌ・フラゴナールも画家だったそうで、夫の影に隠れ忘れ去られていたようですが1996年に出版された論文で再評価されるようになったそうです。この章ではそうした再評価されつつある女性画家の作品が並んでいました。
 参考リンク:ジャン・オノレ・フラゴナールのwikipedia

カトリーヌ・リュジュリエ 「画家ジャン=ジェルマン・ドルエ(15歳)」
こちらを見ながらスケッチをしている帽子を被った横向きの少年の肖像です。ちょっと微笑んでいて、女性のような綺麗な顔をしています。この少年はこの画家の親戚の子で、彼も画家だったらしく絵の腕前も相当だったようですが、若くして亡くなってしまったそうです。知性がにじみ出るような表情が印象的な作品でした。

マリー=アンヌ・フラゴナール 「小さな剣士」 ★こちらで観られます
小さな象牙に描かれた子供の肖像(ミニチュアール)です。腰に剣を携えているのですがあどけない顔をしているのが可愛らしいです。解説によると、これは夫の作品と思われていたそうです。


<5 フランスにおける外国人、外国におけるフランス人>
続いての章は女性画家のフランス内外での活躍を伝える内容となっていました。先ほどご紹介したカリエラはヴェネチアを拠点とした画家だったそうで、他にもベルリン生まれのテルブッシュ夫人や、イギリス生まれのキャサリン・リードなど、パリでは外国の女性画家達も活動していたようです。 また、その逆にルブランはフランス革命によって亡命してイタリア・オーストリア・ロシアなどで活動し、各地で歓迎を受けるなど、フランス以外でも女性画家は受け入れられていたようです。ここにはそうしたフランス以外の女性画家の作品が並んでいました。

キャサリン・リード 「アルトワ伯爵、シャルル=フィリップ・ド・フランス」 ★こちらで観られます
キャサリン・リード 「マリー=アデライード・クロチルド・グザヴィエール・ド・フランス、通称マダム・クロチルド」 ★こちらで観られます
対になるように飾られていた2枚のパステルの肖像画です。右は伯爵で、犬を抱くようにこちらを見る男性…というか男の子かな。 左はふくよかな鳩を抱く女性で、こちらも子供みたいに見えます。どちらも柔らかく明るい色彩で描かれ、独特の雰囲気がありました。子供のようでも理知的な顔をしているせいかな。

この辺には、マリー=アンヌ・コローという女性彫刻家の作品も4点並んでいました。人間性までも表現しているような像で、見応えがあります。


<6 王立絵画彫刻アカデミーの女性画家たち>
続いては王立のアカデミーに入った女性画家たちのコーナーです。王立アカデミーは18世紀後半に、女性会員は4名までとしたそうですが、聖ルカ・アカデミーや地方のアカデミーは女性画家を受け入れていたそうです。中にはコステルのように後ろ盾もないのにアカデミーに入る女性が現れるなど、徐々にではありますが女性への門戸が開かれていったようです。

アンヌ・ヴァレイエ=コステル 「青い花瓶の花」 ★こちらで観られます
この人は静物画で有名だったシャルダンという画家に師事したそうです。この絵は青い花瓶に入ったピンクや白、赤、青、黄などの草花が描かれていて、少しぼんやりした感じもしますが、質感の描き分けが良いと解説されていました。 色合いや草花のバランスが面白い作品に思いました。

この作品のあった部屋はコステルの作品しかありませんでした。この人の作品の中ではこの静物が一番好みでした。

アンヌ・ヴァレイエ=コステル 「雄鶏と白い雌鳥」
茶色い雄鶏と白い雌鳥が死んでいて、雄鶏は吊るされている様子が描かれています。ポーズは劇的で、明暗がしっかりしてリアルな感じがあります。白い雌鳥の毛並みも見事で、質感がありました。ここまで観てきた女性画家の作品は似たような画風が多かったですが、これはだいぶ違って見えました。


ということで、今日はこの辺までにしておきます。 未知の画家・作家が並んだ展覧会で、ちょっと似通った画風が多い気もしますが、女性画家の活動をつぶさに知ることができるのが面白いです。巨匠の作品を並べた展示も好きですが、こうした展示も非常に価値のあるものだと思います。後半はさらに満足できる内容となっていましたので、次回はお待ちかねのルブランの作品を中心にご紹介しようと思います。

なお、この展覧会は地震の影響で3/24までは臨時休館となっているようです。その後の予定も変動する恐れがありますので、お出かけの際は事前に営業時間等を確認することをお勧めいたします。


   ⇒後編はこちら



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PAGLIACCIO 丸の内 【東京駅界隈のお店】

前回ご紹介した出光美術館の展示を見た後、三菱一号館美術館にハシゴしたのですが、その前に近くの「TRATTORIA&ITARIAN BAR PAGLIACCIO 丸の内」というイタリアンレストランでお茶をしてきました。以前ご紹介したCafe 1894やA16に行こうとしたら混んでいたので、こちらのお店に行ってみました。
 参考記事:
  Cafe 1894 (東京駅界隈のお店)
  A16 (東京駅界隈のお店)

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【店名】
 TRATTORIA&ITARIAN BAR PAGLIACCIO 丸の内

【ジャンル】
 イタリアン

【公式サイト】
 http://www.kiwa-group.co.jp/restaurant/a100446.html
 食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13061566/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 東京駅・二重橋前駅・大手町駅・有楽町駅・日比谷駅など


【近くの美術館】
 三菱一号館美術館、出光美術館 など

【この日にかかった1人の費用】
 1250円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
この日は16時くらいから貸切の予定だったらしく、この時間はあまり混んでいませんでした。お店の中は明るい音楽が流れていて、洒落た雰囲気と活気がありました。
店内はこんな感じ。
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このお店は基本的にレストランなのですが、カフェとしても利用できるようでした。
この日、私はチョコレートケーキとコーヒーを頼みました。
P1170696.jpg

こちらがチョコレートケーキ オペラ(700円)
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結構どっしりとした味でしたが、食べたあとは爽やかでした。 クリームのところが口の中でさらっと溶けてくれるからかな。

こちらがコーヒー(550円)
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こちらもしっかりした味わいでした。あまり苦さや酸味はないので、好みとしてはまあまあかな。

と言うことで、中々良いお店でした。コストパフォーマンスとしてはこの辺では普通かもしれませんが、デザートだけでなくイタリア料理も食べてみたいです。Cafe 1894やA16は混むことが多いので、今後はここも使っていこうと思います。

この後、三菱一号館美術館の展示を観てきました。次回はそちらをご紹介する予定です。


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琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 (2回目)【出光美術館】

もう終わってしまった展示ですが、震災の前に、出光美術館で開催されていた「琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界」に再度行ってきました。せっかくメモを取ってきたので、一応ご紹介しておこうと思います。(この展示は3/11の震災で打ち切りとなってしまいました)
 参考記事:
  琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第1部 煌めく金の世界 (出光美術館)
  琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 (出光美術館)

P1170687.jpg

【展覧名】
 酒井抱一生誕250年 琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派―
 第2部 転生する美の世界

【公式サイト】
 http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html

【会場】出光美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】JR・東京メトロ 有楽町駅/都営地下鉄・東京メトロ 日比谷駅


【会期】
 第1部 煌めく金の世界  2011年01月08日(土)~02月06日(日)
 第2部 転生する美の世界 2011年02月11日(金)~03月21日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間10分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日13時頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
3月の上旬に行ったのですが、2月中旬に行った時と同じくらいの混み具合で、1つの作品に2~3人がつくような感じでした。
さて、早速内容についてですが、各コーナーの趣旨や代表的な作品は以前の記事でご紹介したので、今回は以前ご紹介した作品以外で気になった作品についてご紹介しようと思います。 (補足的な感じですので、以前行ったときの記事を先に読んでいただけると嬉しいです^^;) 


<第1章 琳派の系譜 ―風神雷神・歌仙・物語絵>
まずは風神雷神のあった章で、まだご紹介していなかった作品についてです。

俵屋宗達・烏丸光広 「西行物語絵巻 第一巻」
これは離宮の鳥羽殿での歌会の様子を描いた作品で、宗達が絵巻物を模写したもののようです。屋敷に歌人達が座って並んでいて、その部屋の襖には山水画が描かれています。昔ながらの大和絵風であり、鮮やかで華麗な色彩で細やかかつ優美に描かれていました。 解説によると、出家前の西行法師が鳥羽上皇に賞賛されて太刀を貰うシーンらしいのですが、それっぽいものは見当たらなかったかな。

伝 俵屋宗達 「源氏物語図屏風残闕(桐壺)」
宗達の工房で作られた作品の1枚で、元は6曲1双の屏風のうちの1場面だったのを額縁に収まるくらいにしたものです。源氏物語を主題として54図あったらしいですが、これは「桐壺」の場面を描いたもので、市松模様の床の建物の中の人と、牛車の前で地面に座る人々が描かれています。私としてはちょっと硬い感じも受けましたが、解説では古風な図様から離れた装飾的で華やかな作風と説明されていました。

伝 俵屋宗達 「源氏物語図屏風残闕(葵)」
こちらも源氏物語を主題とした作品で、元は8曲1隻の屏風の1場面だったものの1つのようです。葵の「髪削」の場面で、2人の十二単の女性と、碁盤の上に乗る幼い紫の上、その後ろでハサミをもって髪を切ろうとしている光源氏が描かれています。緑の畳の上に女性達の着物が映えて何とも優美な感じがしますが、どこか悲しそうな雰囲気も感じました。(この場面のことはよく思い出せないのがもどかしいw)


<第2章 薄明の世界 ―江戸琳派の銀屏風>
続いて2章の銀屏風のコーナー。

伝 尾形光琳 「流水図屏風」
「光琳波」と呼ばれる流水文を描いた2曲の屏風です。単純化された流水が下方にうねるように描かれていて、上部は空白となっています。波の周りには銀砂子が撒かれ、所々には金砂子も混じっているようでした。流水文に合わせて銀の特性をうまく利用した作品じゃないかな。解説によると元は伝 宗達の「燕子花図屏風」の裏面に描かれていたそうです。

酒井抱一 「夏秋草図屏風草稿」
屏風の草稿で、本画は尾形光琳の雷神風神図屏風の裏に描かれていた「夏秋草図屏」です。(本画は東博にあるのですが、去年見逃してしまった!) 右隻に夏草、左隻に秋草が描かれ、お互いに対になるように草がなびいています。下絵とは言え、伸びやかな雰囲気で描かれていて見応えがあり、軽く色もつけられていました。解説によると、光琳の描いた雷神の裏は夏草、風神の裏は秋草となっていたようで、光琳への敬意と、それに負けずに競演した抱一の意気込みを感じます。

鈴木其一 「藤花図」
大きな掛け軸で、水墨画風の柔らかい筆致で描かれています。大きく描かれた藤の花が垂れ下がり、画面全体に銀砂子が散らされていますが、銀は変色して黒くなっているのが残念です。しかし、藤の色は鮮やかで、微妙な濃淡で表現された色あいでした。本来はどんな絵だったのか観てみたい…。銀は酸化してしまうのが弱点ですね。


<第3章 抱一の美 ―詩情性・情趣性の絵画>
3章は今回の主役である酒井抱一のコーナー。

酒井抱一 「糸桜・萩図」
2幅対の作品で、右幅は春の糸桜、左幅は秋の萩が描かれています。糸桜は、枝一本だけ大きく上に突き出してから下に垂れ下がっているのが目を引きました。また、短冊のようなものがついていて、これには抱一自身の俳句が書かれているようです。一方、萩にも真ん中辺りに赤い色紙があり、こちらにも自作の俳句がありました。萩の上の枝がなびいているのが、右の糸桜と呼応するようだと解説されていました。

酒井抱一 「糸桜図・燭台図扇面」
前述の糸桜を扇子にしたような作品です。まあ、モチーフは似ているけど、こちらの方がより軽やかな感じに思えたかな。洒落た扇子でした。

原羊遊斎・酒井抱一・鈴木其一ほか 「蒔絵下絵帖」
蒔絵師の原羊遊斎との合作の下絵です。簡潔ながらも優美な図案の画帖が並び、それを基にしたと思われる蒔絵も並んでいました。琳派らしい雅さのある作品郡で、いずれも好みでした。


<第4章 其一の美 ―明快性・機知性の絵画>
最後は抱一の弟子の其一のコーナーです。

鈴木其一 「蔬菜群虫図」
きゅうりと茄子がなっている様子を描いた作品です。深い緑の葉っぱが生い茂り、1羽の雀やたくさんの虫が周りに集まってきています。色鮮やかで細密な描写もある一方、どこかシュールさを感じるほどの賑わいで、ちょっと不思議な感覚を受けました。下の方の葉っぱの何枚かが黄色く変色しているのは意味深な気がしましたが、気のせいかな??

鈴木其一 「立葵図」
赤、白、ピンクの花を咲かす立葵を描いた作品です。色は強いですが落ち着いた雰囲気を感じます。解説によると、光琳や乾山も立葵をよく描いていたそうで、彼らは上にまっすぐに伸びるように描いているのが多かったようですが、この作品では右端の1本が斜めになっているのが抱一の独自性だと説明されていました。敬意を払いつつも独自性を出そうとしていたのですね。


ということで、途中で終わってしまったのが残念でならない展示でした。まあ、今年はまだ根津美術館の光琳の展示なども残っていますので、そちらにも期待したいところです。
それにしても、地震で屏風が倒れたなんて噂も聞きましたが、大丈夫だったんでしょうか…。 後世に残すべきものなので、地震による文化財への影響も気になるかぎりです。

この後、三菱一号館美術館へハシゴしてきました。


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