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おもちゃ絵の世界 ~見る・作る・遊ぶ・学ぶ~ 【紙の博物館】

前回ご紹介した飛鳥山の桜を一通り観てから、同じ公園内にある紙の博物館で「おもちゃ絵の世界 ~見る・作る・遊ぶ・学ぶ~」を観てきました。

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【展覧名】
 おもちゃ絵の世界 ~見る・作る・遊ぶ・学ぶ~

【公式サイト】
 http://www.papermuseum.jp/exhibit/temporary/2011/0326.html

【会場】紙の博物館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】JR・東京メトロ 王子駅


【会期】2011年03月26日(土)~2011年05月29日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日13時半頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
桜が満開の日曜日の午後に行ったので、恐らく年間で一番混む頃に行ったかもしれませんw あちこちに子連れのお客さんがいて結構な賑わいをみせていました。

飛鳥山のある王子は明治時代に抄紙会社(後の王子製紙王子工場)が作られた土地であり、洋紙発祥の地となっています。この博物館には紙と人の営みに関する様々な展示を行っていて、特別展を含め大きく分けて4つのコーナーとなっていました。特別展以外は写真を撮ることもできましたので、一部は写真を使ってご紹介しようと思います。


<第1展示室 現代の製紙産業>
まず最初は現代の製紙について工程などを学べるコーナーです。
こんな感じで製紙のための機器などもならんでいます。
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模型などでどういう風に紙が作られているのかがよく分かります。
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ダンボールから高級紙、トイレットペーパー、紙パックなど身の回りの紙についての説明もあり、よく考えると生活の中には紙だらけなことに気がつきます。先日の震災後にも軽くトイレットペーパーが無くなって、紙のありがたみを実感したばかりですね…。


<第2展示室 紙の教室>
続いて1フロア上の階は吹き抜けになっているので、その周りの廊下のようなところだけの展示となっています。ここにはパソコンを使った紙に関するクイズやリサイクルについての説明、来場者の質問と回答など、子供向けのコンテンツが多目となっています。


<おもちゃ絵の世界 ~見る・作る・遊ぶ・学ぶ~>
さらに上の階に移動すると、今回の特別展です。最初に錦絵に関する説明と、同じ作品を数枚使った錦絵の製作工程が展示されていました。錦絵の製作工程も参考になるのですが、それ以上に面白かったのが浮世絵に用いる紙質に関する展示で、錦絵に用いられる用紙は
 ・度重なる刷りに耐えられる強さ
 ・ふんわり柔らかで絵の具の吸収が良い
 ・表面が平滑
という性質が求められるそうです。錦絵以前の浮世絵では美濃紙が用いられていたそうですが、錦絵は多色刷りなので、より耐久性のある厚手の奉書紙が使われたとのことで、特に奉書紙の9分は政紙(まさし)という伊予国新居群であり、本政西、三国一、天竜堂という銘のものが最良とされたそうです。
実際に8種類の紙で刷られた版画が展示されていて、美濃紙と伊予奉書は似ていて私には違いがイマイチわかりませんでしたw しかし他の紙は黄色がかっていたり質感が違っていて絵の雰囲気も違いました。 先日、レンブラント展でも紙質の違いによって雰囲気が違っていたのを堪能したばかりで、紙の違いに興味がわいていたところなのでこういう内容は面白いです。一口に和紙といっても色々あることがわかりました。
 参考記事:
  錦絵はいかにつくられたか (国立歴史民俗博物館)
  レンブラント 光の探求/闇の誘惑 (国立西洋美術館)

さて、今回の展覧会の趣旨である「おもちゃ絵」というのは浮世絵の1つのジャンルで、子供向けの実用浮世絵版画として観るだけではなく、切る、貼るなどして遊んだり、遊びながら学習するためのものです。江戸時代から明治・大正に多数出版されたものの、消耗品であったために現存しているのは貴重らしく、ここにはうまいこと残った様々なおもちゃ絵が展示されていました。

「人文字絵 [いろは]」
人がポーズをとってひらがなの「いろは」を形作っている様子を描いた絵です。人体で不可能なところは着物や帯などを駆使して表現していました。ちょっと古いですがもじもじ君みたいな感じですw これで文字を覚えたのかな。

歌川芳虎 「変わり絵」
右から、鎧を着た武士、着物を着た人、杖を着く異人 の3つの肖像が描かれていて、その上には、それぞれ7つの顔が描かれています。 ただのり、しんげん、けんしん(武士の顔)、あくま、ひょっとこ、大天狗(着物の顔)、あめりか、いぎりす、おらんだ(異人の顔)というように表情違いで縦並びになっていて、これを折り畳むと顔が変わって見えるという仕掛けです。実際に畳んだものも展示されていて分かりやすかったです。
こうした絵は「変わり絵」や「仕掛絵」と呼ばれていたらしく、芝居の様子を描いた作品などもありました。

歌川国利 「新板 猫の温泉花」
温泉宿(千と千尋の湯屋みたいな)の様子を描いた作品なのですが、お客も店員もみんな擬人化された猫たちですw 着替えたり、打たせ湯したり、リラックスしているようで、西洋パンと書かれた提灯などから時代も感じられます。 そんなに上手いとは思えませんが、可愛らしい濃い色彩の作品でした。
この辺はこうした擬人化した絵がいくつかありました。

歌川芳盛 「風流百眼髪結店」
アイマスクに眉と眼を描いたような作品です。困った顔やにやけた顔など、5つの表情があり、変装グッズみたいな感じです。 これは「目かつら」と呼ばれるもので、「百眼」という寄席芸に使われたそうです。 若干気持ち悪いけど現代でもこんな商品をみたことがありますw 

「上下絵」
今回のポスターにもなっている作品です。人というか妖怪のような顔を9つ描いた作品で、上下を逆さにすると別の人?の顔に見えるという騙し絵的なものです。紂王の逆さが関羽だったりするのは凄いのですが、妖怪をひっくり返すと天狗とかは反則な気がw パンフレットにもこれが印刷されているので、それをひっくり返して遊ぶこともできます。

「団扇仕入所 玉の井見世板」
市松模様や人々が描かれた紙で、これを折りたたむと団扇屋の小屋になるという折り紙的な作品です。市松模様の部分は屋根になるなど、絵の配置も凝っています。絵を立体的にするという発想がこの頃からあったのかとちょっと驚きました。。この辺には折るとバッタになる作品もありました。

「新板二枚続 ふき流鯉の両面」
こいのぼりを描いた2枚セットの絵です。この2つを切り抜いて合わせるとこいのぼりが出来るというシンプルな仕掛けです。折るだけではなく切って貼るという作業も出て工作のレベルが徐々にあがってきましたw
こうした作品は「立板古(たてばんこ)」と呼ばれるものらしく、他には「組上燈籠絵」「切組燈籠絵」「組上げ絵」とも呼ばれ、お盆の供養のための燈籠が玩具化したルーツがあるようでした。 中には10枚セットなどの作品もあるそうですが、どこをどう切ったり折ったりするのかあまり書かれていないので組み立てるのは相当に苦労しそうです。

「天拝山組上 三枚続」
これは3枚続きの立板古です。菅原道真の配流を題材にした歌舞伎の一場面を絵?にしたもので、稲光の下、岩山の上で刀を構える人などが描かれていて、これを切ったり組んだりしてジオラマのようにしていました。他にも何点か立板古がありましたが、これは面白いシリーズです。

「新板判じ物 虫」
焚き火におならをかけている人に文字の濁点がついた絵や、戸板に隠れている人など、19種類の謎のシーンが描かれた作品です。実はこれは虫や小動物を表しているナゾナゾみたいな絵で、先ほどの絵は屁+火+濁点で蛇。戸+影でトカゲといった感じになります。この作品の隣には答え合わせのように解説があるので、じっくりとナゾナゾをやってみましたが、これが中々難しいw いくつかのルールがあるらしく、それを覚えるのがコツのようでした。
 文字抜き:桜の花の絵で、下のほうが欠けたら「さく」、中ほどが欠けたら「さら」
 逆さ読み:家をひっくり返して描くと「えい」
 濁音:絵の隣に点々がついているもの。火に濁音で「び」
などです。これを覚えれば判じ絵マスターになれるかも?w 柔らか頭も必要ですね。

橋本周延 「新板かつらつけ」 ★こちらで観られます
市川団十郎などの役者と、たくさんのかつらの絵です。これはかつらの部分を切り取って、役者の絵の上に乗っけて遊ぶものらしく、着せ替え人形みたいだなと思ったら、着せ替え人形の絵もありましたw 

「新板お座敷道具づくし」
掛け軸、行灯、座布団、肘掛、衝立などなど様々な座敷道具を描いた作品です。○○づくしというのはそれに関したものをひたすら並べて描くもので、この近くには紙幣づくし、面づくし、忠臣蔵づくし、魚づくし、おもちゃ絵づくし 等もあり、図鑑や百科事典のようでした。これは知育になるのかも。

「お伽昔話つくし図豆本」
縦横3~4cmくらいの豆っこい本のような作品です。縦3枚×横6枚の絵が描かれたシートがあって、それを折って本にするようで、それぞれに様々な御伽噺のシーンが非常に小さく描かれていて、中々の驚きでした。


とりあえず、ここで特別展は終わりで、同じ階の奥は再び常設です。


<第3展示室 紙の歴史>
こちら紙の歴史に関するコーナーで、冒頭には仁和寺の孔雀明王を精巧に複製したものもあります。これだけ観たら本物にしか思えません…。 その後には紙で作った人形や、和紙作りの材料と道具、金唐紙、紙でできた服、日本全国の和紙、紙の歴史などが展示されていました。 いずれも1度は知っておくと面白い内容ばかりです。以前観たけど結構忘れていましたw


と言うことで、予想以上に面白い展示で、様々な仕掛けのある作品を堪能することが出来ました。ここはぐるっとパスでも入れるので非常に得した気分です。小規模な特別展ですが、満足できました。日によっては紙すきの体験もできるようですので、興味がある方は足を運んでみてください。

おまけ:
この博物館の最上階にある休憩室からの景色。目の前に桜が見えました。
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飛鳥山公園の桜 2011

ちょうどシーズンが終わってしまいましたが、2011年04月10日(日)にJR王子駅(北区)のすぐ近くにある飛鳥山公園の桜と3つの博物館めぐりをしてきました。このブログを始めたての頃に一度ご紹介したことがありますが、あれから2年経ったので再度ご紹介しようと思います。

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 参考記事:飛鳥山公園の桜 (東京都北区)
 参考リンク:飛鳥山公園の公式サイト
 最寄駅:王子駅


公園の案内図。JR王子駅の西側にあり、公園内には3つの博物館や遊具のある広場などもありますが、そんなに広くはないかな。縦長な公園です。
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この日はまさに満開で、非常に見ごろとなっていました。
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ここは江戸時代に8代将軍徳川吉宗が、庶民の行楽の地とするために桜を植えたそうで、そこら中に桜が咲いています。
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お花見客も集まっていて、太鼓に合わせて踊っている人たちもいました。最近、震災関連の暗いニュースばかりなので、こういう風景を見るとほっとします。
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これでもかと桜づくしですw これだけ密度が高いところは都内でも屈指かと。
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これは広場の近く(博物館の前)あたりで撮ったもの。お花見客も沢山いました。
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ほとんどソメイヨシノですが、種類の違う桃色の桜もありました。
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ここの桜は背が高くて天まで覆うように咲いています。
豆知識ですがソメイヨシノは1本の木から生まれたクローンみたいなものなので、咲くときは一斉に咲き始めます。
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ということで、今年はもう終わってしまいましたが来年以降の参考にして頂ければと思います。ここは都心からも駅からも近いので、お勧めの桜スポットです。
この後、同じ公園内にある3つの博物館にも行ってきました。次回はそれについてご紹介しようと思います。


 まずは紙の博物館からめぐりました。 記事はこちらです。


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IDEE CAFE PARC 【六本木界隈のお店】

前回ご紹介したサントリー美術館の展示を観た後、同じミッドタウン(ガレリア)の2階にあるIDEE CAFE PARC (イデーカフェ パルク)というお店でお茶してきました。
(この日はサントリー美術館のショップ・バイ・カフェも18時で終わってしまったので、その代わりとして行ってみました。)
 参考記事:shop×cafe [ショップ・バイ・カフェ] (六本木界隈のお店)

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【店名】
 IDEE CAFE PARC (イデーカフェ パルク)

【ジャンル】
 カフェ
 
【公式サイト】
 http://www.idee.co.jp/food/parc/
 食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13037365/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 六本木駅/乃木坂駅

【近くの美術館】
 サントリー美術館
 21_21 DESIGN SIGHT
 国立新美術館
  など

【この日にかかった1人の費用】
 700円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_③_4_5_快適

【混み具合・混雑状況(平日18時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
このお店は家具・雑貨のIDEEの店舗の奥にあるお店で、店外からは存在がわかりづらいせいもあってか、空いていてのんびりすることができました。(と言うかこの日はミッドタウン自体も空いてたかも)

店内よりもテラスの席の方が多くて、こんな感じでミッドタウンの吹き抜けの部分を観ながらお茶することができます。
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先にカウンターで注文してから席を取る方式で、この日はコーヒー(300円)とストロベリーのチーズケーキ(400円)を頼みました。
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まずはコーヒー。
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香りは薄く、ほんの少しの酸味がありました。苦味はあまりなくすっきりした味かな。結構量があるのが嬉しいw

続いてストロベリーのチーズケーキ。
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こちらはチーズとクリームと酸っぱいソースが混じって美味しかったです。 台のクッキーの部分も含めて良いバランスで、こちらも量がありました。この値段でこの美味しさはお徳な感じです。


ということで、結構コストパフォーマンスが良いお店でした。家具・雑貨のお店の内ですが、隔絶されていて意外とのんびりできます。帰りには家具も眺めたり、色々楽しめるお店でした。これは便利なお店を見つけたかも?w


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夢に挑む コレクションの軌跡 【サントリー美術館】

もう10日ほど前になりますが、サントリー美術館で開館50周年記念「美を結ぶ。美をひらく。」 I 夢に挑む コレクションの軌跡 という展示を観てきました。この展示は会期が3つに分かれていて、この日の内容は3/26~4/18の第1期の内容となっていました。( 震災の影響で開始が1週間遅れとなっていました。)

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【展覧名】
 開館50周年記念「美を結ぶ。美をひらく。」 I
 夢に挑む コレクションの軌跡

【公式サイト】
 http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/11vol02/index.html

【会場】サントリー美術館   ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】3月26日(土)~5月22日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間50分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
この日はあまり混んでいる感じではなく自分のペースで鑑賞することができました。
毎度のことですが、私はこの美術館の年会会員になっているので会員証の提示のみで何度でも行けるのが嬉しいです。最近はレギュラー会員の特典も増えたようで、特典でこの展覧会の内覧会に行く予定だったのですが、地震で内覧会は中止になってしまいました。残念。…別にサントリーの回し者じゃないですが、ここの年間会員は他と比べても特典が多いのでかなりお徳です。参考までに。
 参考リンク:サントリー美術館メンバーズ・クラブ

さて、今回の展示の趣旨ですが、タイトルにあるように開館50周年を記念した内容となっていました。1961年の設立当初は丸の内パレスビルの9階にあったそうですが、その後1975年に赤坂見附に移転し、さらに2007年に現在のミッドタウンの中に移転となりました。最初は数少なかったコレクションも現在は3000件程度となっていて、50年の間に325回の展示を行っているようです。入口には今までにやった展覧会のポスター(の一部)がずらっと並んでいました。 詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。


<序章 コレクション誕生―ゼロからのスタート>
最初は初期のコレクションのコーナーでした。

「織部四方蓋物」 ★こちらで観られます
織部の四方形の蓋付き器です。表面は緑や茶色などの釉薬で、幾何学的な模様がありました。その模様が斬新で、焼き物の善し悪しがあまり分からない私でも見事に思える品です。
この隣にも織部が展示されていました。

「色絵葡萄鳥文瓢形酒注」
ひょうたんの形をした酒注で、白地に葡萄の葉っぱや鳥の文様が描かれ、赤や緑といった柿右衛門様式で、遊び心と伊万里独特の優美さを感じます。これはちょくちょくこの美術館の展示で観ますが、何度観ても飽きません。
 参考記事:おもてなしの美 宴のしつらえ (サントリー美術館)

この近くには蒔絵や豊臣家の鎧なども展示されていました。


<第1章 漆工―暮らしに寄り添う器たち>
サントリー美術館は「生活の美」を標榜しているそうで、漆工はそれに相応しくコレクションの中でも最初に充実を見せたそうです。現在、この美術館では国宝を1点所有していますが、その1点は蒔絵作品となっています。ここにはそうしたこの美術館自慢のコレクションが並んでいました。

「兎螺鈿蒔絵香合」
螺鈿細工の小さな香合です。金と螺鈿で振り向く兎や飛び跳ねる兎など、たくさんの兎が描かれています。可愛らしくも精巧な作品でした。
この辺はこうした小さめの香合が並んだコーナーとなっていました。

「菊蒔絵文台」 ★こちらで観られます
蒔絵の文台で、表面に菊の花と水面らしきものが描かれています。結構渋い感じがすると思ったら、室町時代の幽玄の雰囲気の特徴があると解説されていました。

「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」 ★こちらで観られます
これがこの美術館が誇る国宝で、全体的に金色の蒔絵の手箱です。規則正しく円形の模様があり、円形の中は花のような細工となっていて見事です。解説によると4種類13枚の貝が使われているとのことで、七色の光が煌びやかでした。結構大きくて重厚感があり、色合いにも品格を感じます。 この作品を観られたのはこのブログを始めるより前の蒔絵展以来かな。

この他にも蒔絵や朱漆の作品が並んでいました。


<第2章 日本のガラス 朝倉コレクションを中心に―世界に誇るガラスコレクション>
続いてはガラスのコーナーです。開館当初から薩摩切子などを展覧会に出品していたそうで、毎年夏にガラス展を企画していた縁で彫刻家の朝倉氏のコレクションが加わっていったそうです。ここにはそうして集められたガラス器が並んでいました。

「薩摩切子 紅色被皿」 ★こちらで観られます
深い赤の色被ガラスの皿です。雪の結晶のような模様の形がぼかされているようなグラデーションとなっているのが何とも美しいです。薩摩切子は現存しているものが少ないだけに、貴重なコレクションです。
 参考記事:一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子 (サントリー美術館)

この近くにはこの美術館の中でも人気の「薩摩切子 紫色被ちろり」や江戸切子、ボヘミアやポーランドのグラスなども並んでいました。

「薩摩切子 藍色被船形鉢」 ★こちらで観られます
船の形をした藍色の器で、正面には翼を広げている蝙蝠の姿が模られています。(蝙蝠は中国では吉祥の文様) 側面は斜め格子に魚子紋(ななこもん)となってたかな。非常に造詣の面白い優美な作品でした。 ちなみにこれは元朝倉コレクションだったそうです。
 参考記事:一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子 2回目(サントリー美術館)


<第3章 屏風と御伽草子 ―暮らしを彩った絵画>
屏風は間仕切りや風除けとして使われたものであるため、「生活の美」としてコレクションが進み、掛け軸に対して圧倒的に数が多いそうです。また、このコーナーには可愛くて面白い御伽草子も展示されていました。

伝 土佐広周 「四季花鳥図屏風」 ★こちらで観られます
六曲一双の屏風です。左右に赤い花や鳥などが描かれていて、右隻は椿などの春夏の花、左隻は菊や梅など秋冬の花となっていました。解説によると、これは明時代の中国の絵を参考にしたそうで、大和絵風なところと漢画風のところがあるとのことでした。

「鼠草子絵巻」 ★こちらで観られます
擬人化されたネズミたちが桜咲く清水寺にお参りに行く様子を描いた絵巻物です。これはネズミが人間の娘と結婚するストーリーだそうで、描かれているネズミの頭の上には、「ごんのかみ」とか「ひめぎみ」というように誰なのかが書かれていました。中々可愛らしくて微笑ましい作品です。

この近くにも猿が人のように振舞う姿を描いた作品や、酒呑童子退治の物語を絵巻物も展示されていました。酒呑童子は普通のシーンだったのがちょっと残念。 せっかくなら血がぶっしゃ~って感じのスプラッタなシーンを観たいものですw

「歌舞遊宴図屏風」
六曲一双の小さめの屏風で、遊郭で遊ぶ沢山の人々が描かれています。右隻は桜が咲いていて、左隻は池で舟遊びをしているので春と夏のシーンかな? 非常に細かく描かれた室内では、囲碁をしたりタバコを吸ったり、皆楽しそうにしていました。また、金雲がたちこめていて煌びやかな雰囲気がよく出ていました。

「武蔵野図屏風」
六曲一双の屏風で、左隻にはススキの上に富士山が描かれ、右隻には草むらに隠れるように満月が描かれています。空の黄色と草の緑が鮮やかで、草の曲線がリズミカルに感じられました。地平線ギリギリの月も中々面白い構図だと思います。

この章の最後あたりには放屁合戦の絵巻もありましたw


<第4章 陶磁器の世界―彩り豊かな皿や器たち>
続いては陶器についてのコーナーです。ここはコレクションの由来をメモしなかったので詳細は忘れましたw 信楽や備前、有田などから土師器などまで少数ながらも幅広いコレクションがならんでいました。

「色絵五艘船文独楽形大鉢」 ★こちらで観られます
金襴手様式のカラフルな古伊万里です。オランダ船が描かれ、周りは絢爛な模様がぎっしりと描きこまれていて、国内向けのもののようですがちょっと派手な感じでした。技術の高さを感じます。
 参考記事:日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念 パリに咲いた古伊万里の華 (東京都庭園美術館)


<第5章 染織とファッション―小袖・能装束と沖縄の紅型>
この辺は1つの章でも点数が少ないのでここも詳しい由来をメモしてませんでしたが、全国の織物を集めているようで、古裂や能装束、小袖などが展示されていました。

「草花千鳥風景模様小袖 納戸縮緬地」
青地に白で水辺の様子の模様となっている小袖です。刺繍は非常に細かく、流水や山並み、草花など単純化された風景も風流で洒落た雰囲気がありました。
この辺には櫛なども展示されていました。この章で上の階は終了です。


<第6章 ガレと世紀末のガラス―光と色のジャポニスム>
ここから下の階の展示です。赤坂見附の時代にガレのコレクションが充実したそうで、様々な形のガレの作品が並んでいました。特に目を引く「ひとよ茸」も久々に観ることが出来ました。私としてはこのコーナーだけでも嬉しいw ガレがこれだけ観られる展示も久々な感じです。
 参考記事:エミール・ガレの生きた時代 (目黒区美術館)

エミール・ガレ 「ランプ [ひとよ茸]」 ★こちらで観られます
大きなキノコ(ひとよ茸)を模したランプです。傘の部分が光るようになっていて、生物的な曲線が非常に優美です。柔らかい色合いも素晴らしい。一度観たら忘れない作品だと思います。

エミール・ガレ 「花器 [かげろう]」
薄い紫色や水色で色付けされた花器で、側面には虫のかげろうが装飾されています。淡い色からその命の儚さを感じるような…。 しかし、羽を思い切り広げているのは力強くもあり、短い生を懸命に生きているかのようでした。

エミール・ガレ 「花器 [バッタ]」
これは恐らく初期の花器かな。透明のガラス花器に北斎漫画(北斎の画帖)に描かれたモチーフをそのまま転用しています。若干月光のような青みを帯びていて、螺旋を描くような凹凸が美しい形となっていましたが、まだ大胆な造詣にはなっていないようでした。

エミール・ガレ 「花器 [氷の花]」
ひし形の壺を2つ合わせたような器に、白く流れるような花が貼り付けられている花器?です。側面から背面にかけては葉っぱがあしらわれていて、全体的に立体的で自由奔放な印象を受けます。これもお気に入りの作品だったので観られて感激でした。
余談ですが、私がこの作品を観ているときに大きな地震がありました。壁面の木材がゆらゆら波打ったりして音もしましたが、作品は何ともなく、そのまま鑑賞を続けることができました。

ガレの後には1988年~98年にかけて行われたサントリー美術館大賞の受賞作が2点並んでいました。(現代アート作品)


<第7章 琳派と茶道具―取り合わせの美>
琳派や茶道具は初期から重要なコレクションだったそうで、ここには主に琳派の書画や焼物などの作品が並んでいました。

野々村仁清 「色絵鶴香合」
鶴の形をした香合です。すらっとした首と柔らかい丸みの身体が優美で、色合いも落ち着いていて気品を感じました。
 参考記事:おもてなしの美 宴のしつらえ (サントリー美術館)

この辺は、あまり琳派に絞らず江戸時代の茶道具などのコーナーになっているように思いました。

尾形乾山 「白泥染付金彩芒文蓋物」
四方が丸みを帯びている四角のような円のような形の器です。茶色地に白や黒のススキのような線が描かれ、斬新な感じの簡略化がありました。

本阿弥光悦 書、俵屋宗達 画 「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」
元は22mあった巻物を断簡の掛け軸にした作品です。簡略化された鹿がうっすら金で描かれていて、その伸びやかで軽やかな描写は流石です。その絵の上に描かれた光悦の書も流麗で、まさに王朝文化が復活したような雅な雰囲気がありました。 以前、シアトル美術館展の時にずらっと並んでいましたが、今後は一気に観られる機会はあるのかなあ。
 参考記事:
  美しきアジアの玉手箱―シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展 (サントリー美術館)
  江戸絵画への視線 (山種美術館)
  

<第8章 新収蔵品初公開―雪舟から若冲まで>
最後は新しく収蔵された作品が並んでいました。ビッグネーム(と推定される)の作品が並び、素晴らしい内容となっていました。

龍崗真圭 賛、雪舟等楊 画 「摘星楼図」
仙人が出てきそうな岩山を描いた作品です。手前から山の頂上にかけて濃淡で遠近感をつけていて、その上部には賛が書かれていました。今まで観たことのある雪舟の作品とはちょっと違った雰囲気があるようにも思えたかな。

伝 狩野元信 「雪中花鳥図屏風」
六曲一双の屏風です。左右共に雪の降る様子が描かれ、沢山の鳥が休んだり遊んだりしています。気になったのが右隻と左隻が繋がっていない点で、これは元々は一双ではなかったのかもしれません。雪の美しさがよく表されている見栄えのする作品なので気に入りました。もしかしたら工房の作ではないかとも推定されるようです。

「棲鸞園画帖」 ★こちらで観られます
江戸時代の15人の絵師が描いた作品を画帖にした作品で、特に見所は第四図の伊藤若冲の「墨梅図」だと思います。 太く黒い枝が左から伸び、上部でくるっと反り返っています。また、下に伸びた枝には簡略化された花が咲き、若冲の墨画ならではの洒脱なセンスを感じました。 勿論、他の絵師の作品も面白かったので、これは素晴らしいコレクションだと思います。
 参考記事:伊藤若冲 アナザーワールド (千葉市美術館)

狩野山楽 「西湖図屏風」
六曲一双の屏風で、中国の西湖の様子を描いた作品です。山々に囲まれ、周りにはいくつもの家が見えます。水面にはのんびりと船が浮かび、広々として当時の人たちの理想的な風景のように思いました。

伝 谷文晁 「石山寺縁起絵巻(模本)」
雪の中で貴族の人力車?が逢坂の関に向かっていて、関を越えようとするシーンを色鮮やかに描いています。作風があまりに違うので、これが谷文晁??と驚きましたが超精密な模本でしたw

伝 松本山雪 「四季花鳥群獣図屏風」
八曲一双の長い金屏風です。右隻には庭先で山羊や兎、鹿などが遊ぶ姿が描かれ、左隻には滝と水面を泳ぐオシドリや鴨などがが描かれていました。煌びやかな雰囲気もありますが、画風とモチーフからどこか可愛らしさを感じ、観ていて微笑ましくなるような作品でした。これはかなり好みです。


ということで、サントリー美術館のレベルの高いコレクションを垣間見ることのできる展示となっていました。2期・3期の入れ替えもあるので、これはまた時期を変えて観にいきたくなります。 ちょっとジャンルはバラバラでわかりづらいところもあるかもしれませんが、個々の作品の素晴らしさに感動できる展示だと思います。


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映画「ツーリスト」(ネタバレなし)

先日の有給休暇の際、映画「ツーリスト」を観てきました。公開直後に震災が来て、映画館も閉まりっぱなしだったのでようやく映画を観ることができました。
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【作品名】
 ツーリスト

【公式サイト】
 http://www.tourist-movie.jp/
【時間】
 1時間40分程度

【ストーリー】
 退屈_1_2_③_4_5_面白

【映像・役者】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【総合満足度】
 駄作_1_2_③_4_5_名作

【感想】
映画館自体がまだ閑散とした状態で、周りがほとんどいない状態で一番良い席で観ることができました。
とは言え、面白かったか?というと正直微妙です。 話としてはスパイものみたない感じなのですが、ジョニー・デップとアンジェリーナ・ジョリーが主演ということもあってか、その2人をいかにカッコよく見せるか?に腐心しているだけの映画に思いました。 話もアクションシーンも特に目新しさを感じず、終わった時には中身薄かったな~くらいにしか思えませんでしたw 中学生の妄想みたいな話なので恐らく来月辺りには内容を忘れていそうです。
と、ボロカス言ってるみたいになってますが、この2人のどちらかのファンなら楽しめるかもしれません。いい男・いい女っぷりのアピールだけは頑張っていました。 …私は途中からフラグ探し(伏線探し)をしていましたw こんな言動をするとこうなるというお約束展開が多いので、意地悪な楽しみ方が好きな人にも格好のネタになるかもしれません。


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ベルナール・ビュフェのまなざし フランスと日本 【ニューオータニ美術館】

もう10日ほど前ですが、永田町・赤坂見附のニューオータニ美術館で「ベルナール・ビュフェのまなざし フランスと日本」を観てきました。

P1180121.jpg

【展覧名】
 ベルナール・ビュフェのまなざし フランスと日本

【公式サイト】
 http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/201103_buffet/index.html

【会場】ニューオータニ美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東京メトロ 赤坂見附駅・永田町駅


【会期】2011年03月29日(火)~05月29日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間45分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんがいるようでしたが、特に混んでいるわけではなく自分のペースでゆっくり観ることができました。
さて、今回の展覧会はベルナール・ビュフェの個展となっていて、26点と少数でしたが作風の変化や日本との関わりなども分かる面白い内容でした。詳しくは気に入った作品と共にご紹介しようと思います。

<フランス>
まずはフランスでの活動についてのコーナーです。ビュフェは1928年のパリ生まれで、美術学校時代から頭角を現していたそうで、1947年のサロン・デ・ザンデパンダンに出品し注目を集めたそうです。その後、各国で個展が開催されるなど活躍し、初期は色調を抑えた画風だったのが50年代中ごろからは徐々に鮮やかな色調に変わって行ったそうです。・・・最も評価が高く人気があるのは初期のようですが、色彩が増えてからは人間としての暖かみや情感があると解説されていました。(なんかユトリロみたいな画風の変遷のような気がします)
ここにはそうした画風の変化も感じられるような作品も並んでいました。

ベルナール・ビュフェ 「パレットのある自画像」
白壁を背に椅子に座る自画像で、足元にパレットが置かれています。 非常に縦長で細長い印象を受ける描写で、垂直・水平の線が多く使われた直線的な絵となっています。色合いは落ち着いていて、静かな印象を受けました。

ベルナール・ビュフェ 「アトリエ」
大きな絵で、19歳頃の作品です。窓から外の建物も見える室内の様子を描いていて、壁に掛かったパレット、自転車、ストーブ、椅子、イーゼル、机、右下の方にはイーゼルに向かうビュフェ自信の姿も見えます。これもグレーがかって幾何学的な感じがするかな。 19歳とは思えないほどの世界観で、既にビュフェっぽさが確立されているように思いました。 これは以前、目黒区美術館で観た気がします。
 参考記事:ベルナール・ビュフェ展 (目黒区美術館)

ベルナール・ビュフェ 「カフェの男」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている作品です。工場の機械のように大きなコーヒー沸かし機の前でギャルソンが腰に手を当てて立っている姿が描かれ、やはり縦長のっぽな感じで直線が多い構図となっています。色合いもグレーなどが多く、顔は無表情であるなど、静かでありながら少し緊張感があるように思いました。

解説によると、ビュフェはこれを描いた年に南仏に滞在し、翌年から南仏で活動していたそうです。その地の明るい太陽の光はビュフェの画風にも変化をもたらし、色彩も増えて行ったようです。

ベルナール・ビュフェ 「目玉焼きのある静物」
かなり横長のキャンバスの作品です。テーブルの上に乗った青い鍋の上で、目が2つある目玉焼きが焼かれ、周りにはワインボトルやコップなどが置かれています。とにかくキャンバスの形と構図の取り方が変わっていて面白く、テーブルの茶色、背景の黄色、ボトルの緑、鍋の赤、卵の白と黄、コップの中のワインの赤…というように色も多彩でした。明るめな色なのに落ち着いた雰囲気がありました。

ベルナール・ビュフェ 「百合の花」
テーブルの上の花瓶に入った百合の花を描いた作品です。細長く尖ったような印象があり、背景はグレーで全体的に沈んだ色となっていました。解説によると、この作品はモチーフを描く前にキャンバスに白絵具を塗って、乾いてから黒絵具を油とワニスで薄く引き延ばして背景を作っているそうです。こうした技法は1955~1960年くらいまでの作品に観られるとのことでした。
隣にもこれとにた作風のバラの絵も展示されていました。

ベルナール・ビュフェ 「サン・ジャックの塔」
1971年の作品で、橋と町並みが描かれています。幾何学的で輪郭がしっかりした描写は変わっていませんが、木の緑や川の青などは爽やかな雰囲気を出していて、ここまで観てきたビュフェの荒涼とした雰囲気とは違って見えました。

ベルナール・ビュフェ 「アナベル夫人」
1959年の作品で、黒いドレスを着た大きな目の女性が直立して少し手を広げる姿が描かれています。背景は茶色で、黒いドレスが際立って見えました。 この女性はビュフェの奥さんで、避暑地で出会ったそうです。その後、彼女は生涯のミューズとしてビュフェにインスピレーションを与えていたようです。

ベルナール・ビュフェ 「ダニエルとヴィルジニー」
こちらは1971年の作品で、自分の子供たちを描いた肖像です。こちらは色が明るく、タッチも違って見えました。自分の子供はさすがに明るくしたかったのかな?w

ベルナール・ビュフェ 「楽器」
ギターとバイオリン、花の入った花瓶などが描かれた静物です。非常に明るく強い色彩で描かれていて、むしろフォービスムの画家の作品のような強さ(特にデュフィあたり)を髣髴しました。これにはちょっと驚きました。

この辺には18分の映像のありました。「仔牛の頭部2」という絵を描いているビュフェを撮ったもので、タバコを吸いながら結構なスピードでどんどん進めていきます。途中で描き直したりもして、どのように作品が作られていったのかが分かる貴重な映像でした。

ベルナール・ビュフェ 「ボームのテラス」
オレンジ色の壁と赤色の屋根を持つ、木々に囲まれた家を描いた作品です。手前には大きな花瓶がいくつも配置された庭?があり、表には寝そべるためのチェアなども置かれています。これはビュフェが終の棲家とした家だそうで、この作品も色鮮やかで家が迫ってくるような感じすらしました。


<日本>
最後の一角は日本に関する作品が並んでいました。ビュフェは1980年(52歳)に初来日したそうで、彼の名前を冠した美術館を建てた親友が日本人であったこともあり、親日家だったそうです。また、生来物静かだった気質も日本に合ったのではないかとも解説されていました。

ベルナール・ビュフェ 「睨み合い(大乃國)」 ★こちらで観られます
大きな作品です。緑のまわしをした力士と、赤い装束の行事が描かれ、背景には同じような顔の着物の人たちの姿もあります。背景は暗いですが力士と行事は明るい色となっていて、そのせいか遠目で観ても2人が際立っているように思いました。力士は相手とにらみ合っているのか、緊張感のある顔をしていました。

この辺りには以前にご紹介したこの美術館所有の「二羽の鶴」も展示されていました。
 参考記事:新春展 (ニューオータニ美術館)

ベルナール・ビュフェ 「東京の高速道路」
立体的な首都高速を題材にした作品で、2つの道路が合流したところが描かれています。しかし車は1台も走っておらず、人の姿もありません。背景にはビルや曇り空が描かれているのもますます静まり返った雰囲気を出していました。色合いは明るいですがちょっと寂しい印象を受ける作品でした。


ということで、ビュフェの色々な作品を知ることが出来て面白かったです。落ち着いた色調だけでなく多彩な色が使われていたのは特に参考になりました。 それでも彼の作品には侘び寂びのようなものを感じるので日本でも人気があったのかなと思ってみたり。 元々私の好みでもあるので満足できました。


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西庵カフェ 【用賀界隈のお店】

ご紹介の順序が前後しますが、先日ご紹介した砧公園の桜世田谷美術館の展示を観る前に、少し離れた「西庵カフェ」というお店でお昼を食べてきました。

P1180204.jpg

【店名】
 西庵カフェ

【ジャンル】
 カフェ・レストラン
 
【公式サイト】公式サイトは見つかりませんでした
 食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1317/A131707/13018252/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 用賀駅

【近くの美術館】
 静嘉堂文庫美術館
 世田谷美術館
  など


【この日にかかった1人の費用】
 1250円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_4_⑤_快適

【混み具合・混雑状況(平日13時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
このお店は閑静な住宅街の中にあり、聖ドミニコ学園という学校の目の前にあります。静嘉堂文庫美術館(この日は閉館していました)のすぐ近くでもあり、世田谷美術館と静嘉堂文庫美術館をハシゴする際にちょうど良い場所にあるお店です。

このお店は品のいい老夫婦が経営されていて、カフェの雑誌などでも取り上げられているので有名なお店なのかもしれません。しかし、この日は有給を取って平日に行ったせいか空いていました。
冒頭の写真だとわかりづらいですがテラスにも席があり、中も開放的でしゃれた店内となっています。
P1180209.jpg
静かなジャズが流れていて、庭の花や向かいの学校の桜を眺めながらのんびりとランチすることができました。

この日、私はざる蕎麦と飲みもののセット(1050円)を大盛り(+200円)で頼みました。P1180213.jpg
まずお蕎麦ですが、ちょうどよい腰で非常に美味しいです。香りも良くて味は深く、蕎麦の旨みがよく出ていました。ただ、つゆはちょっとストレート過ぎてキツめかなあなんて思ったのですが、薬味のネギと大根おろしを入れたら劇的に味が変わりました。どちらも果実のような甘味すら感じる味で、これには驚きました。締めには蕎麦湯も頂きました。

続いて、飲み物はコーヒーにしました。
P1180221.jpg
こちらは飲んだ時は軽やかに感じましたが、しっかりした味わいがじわじわ口に広がってきました。酸味はあまりなくやや苦味があるかな。こちらも美味しかったです。


ということで静かで洒落た雰囲気の中、美味しいお蕎麦とコーヒーを楽しむことができました。雰囲気も味も良い素晴らしいお店です。閑静な住宅街でこのようなカフェをやっているご夫婦の人生も羨ましいw 

おまけ:
お店の前の花を撮ってみました。春はお庭の花も綺麗です。
P1180228.jpg


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【世田谷美術館】の常設 (2011年04月)

前回ご紹介した世田谷美術館の「白洲正子 神と仏、自然への祈り」を観た後、常設展も観てきました。2011年4月7日時点では常設は2部構成となっていて、第1部は「保田春彦―デッサンによる人間探求 ミュージアム コレクションⅢ」展、第2部は「北大路魯山人-季節の器と志野」展となっていました。いずれもすでに終わってしまいましたが、どんな展示だったかご紹介しておこうと思います。

P1180245.jpg

P1180236.jpg

【展覧名】
 保田春彦―デッサンによる人間探求 ミュージアム コレクションⅢ

【公式サイト】
 http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/collection.html
 http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/collection_list.html

【会場】世田谷美術館 2階展示室  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】用賀駅
【会期】2011年1月20日~4月10日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(平日16時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
特別展は混んでいましたが、常設は空いていてゆっくり観ることができました。
冒頭に書いた通り、2部構成となっていて、それぞれのテーマに沿った展示となっていたのですが、タイトルの通りデッサンが多いので、個々の展示品のメモは取りませんでした。なので、それぞれのコーナーごとに雰囲気だけご紹介しようと思います。

<第1部 保田春彦―デッサンによる人間探求>
まずは保田春彦 氏のデッサンのコーナーです。この方は彫刻家の父を持ち、東京美術学校を卒業した後にパリに留学し、海外でも活躍した彫刻家です。外国人の奥さんも芸術家だったらしく、奥さんを亡くした後にその遺作に触発されて、77歳で1000点のデッサンに挑戦したそうです。途中、体調を崩し闘病生活を送っていたそうですが、現在では2000点ものデッサンを残しているそうで、この展示では2007年以降のデッサンを中心に展示していました。

[第1章 77歳からの挑戦]
ここには裸婦のデッサンが並んでいました。紙にインクでさらっと描いたような感じで、どこか彫刻的な雰囲気がある作品が多かったように思います。

[第2章 若き日の試みと展開]
こちらは紙にコンテで描いたデッサンが並んでいました。1章の作品と比べると輪郭が太くて力強い雰囲気があるかな。黒、茶色、赤茶など色分けされている作品もありました。

[第3章 闘病デッサン]
こちらにはリハビリ中の患者や医者などを描いた作品のコーナーとなっていました。漫画のようなちょっと可笑しさもある画風で、落書きかメモのような言葉も書き込まれています。闘病と言っても悲壮感は無く、どちらかと言うとシニカルな雰囲気が漂う作品郡でした。

この後にまた裸婦のデッサンがありました。こちらはより肉感的に描かれていたように思います。また、現代的で幾何学的な要素のあるポスターも並び、日仏会館のポスターなどが展示されていました。

[第4章 保田春彦と友人たち]
1部の最後は保田春彦 氏の友人の芸術家のコーナーとなっていました。まず、以前この美術館で特集されていた建畠覚造のデッサンやマケットという彫刻作品がありました。
 参考記事:世田谷美術館の常設 (2010年08月)
その次に柳原義達という画家の鳩を描いた作品があり、こちらは風化して引っ掻き傷のような表現が独特でした。また、若林奮という人の淡いグレーで描かれた抽象的な作品郡などもありました。

部屋を出て廊下には父と妻の作品などもありました。


<第2部 北大路魯山人-季節の器と志野>
続いての小部屋には北大路魯山人の器が展示されていました。大きな鉢に彩色された作品が並び、椿や楓などが描かれて華やかなのに落ち着いた雰囲気がありました。また、志野茶碗もあり、こちらも志野のしっとりした感じと力強さが合わさったような作風に思いました。


ということで、デッサンが中心なので満足度はそこそこでしたが、最近デッサンに興味があるので参考になる展示でした。
なお、世田谷美術館は2011年7月から2012年の3月頃まで本館工事のため休館するようです。どのようにリニューアルされるのか楽しみです。


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白洲正子 神と仏、自然への祈り 【世田谷美術館】

前回ご紹介した砧公園の桜を観た後、同じ公園内にある世田谷美術館で、「白洲正子 神と仏、自然への祈り」を観てきました。

P1180242.jpg

【展覧名】
 白洲正子 神と仏、自然への祈り
 生誕100年特別展 世田谷美術館開館25周年記念

【公式サイト】
 http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html

【会場】世田谷美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東急田園都市線 用賀駅


【会期】2011年3月19日~5月8日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(平日15時頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
この日は有給休暇を取って行ったのですが、平日なら空いているだろうと思っていたら甘かったw 年配を中心に結構混んでいて、小さめの作品などは列を組んで観ているような状態でした。予想以上の人気ぶりに驚きです。 …それもそのはず、この展覧会では仏像・神像を始めとした国宝や重要文化財がいくつも並んでいて、滅多に東京では見られないような西国の寺社所蔵の作品が並んでいました。(さらに先週辺りにテレビでやってたらしいので、それも混雑の原因かも。)

さて、今回の展示は随筆家の白洲正子を主人公として、彼女の西国の寺社巡りを追っていくという趣旨となっています。各作品の前に原稿用紙のようなものに、白洲正子が書き残した感想?のような文があり、当時の想いがわかるようになっています。
 参考リンク:白洲正子のwikipedia

しかし、今回の展示はこのテーマが非常にわかりづらい。 そもそもこのタイトルでは仏像・神像などの展示と気づかれないのではないか?と余計な心配をしてしまうくらいですw 以前、三井記念美術館でも會津八一に絡めて仏像を展示していましたが、あれと似た感じで、白洲正子の部分はよくわからなかったですw
 参考記事:奈良の古寺と仏像 ~會津八一のうたにのせて~ (三井記念美術館)

また、章分けとしては以下の10章からなっていますが、展示順がバラバラで、章を設定した意味がないくらい混じってました。 …ということで、章分けや白洲正子の足跡とかは無視して鑑賞することにしましたw いきなり趣旨をぶっ千切る感じで申し訳ありませんが、今回はそこを抜きにして各作品の感想と会場の様子だけご紹介しようと思います。各章の意図などは公式ページに書いてあるので、気になる方はそちらをご確認ください。 なお、ご紹介する各作品には作品番号も併記しておこうと思います。ハイフンの前の数字が以下の各章に連動していました。

<Ⅰ 自然信仰>
<Ⅱ かみさま>
<Ⅲ 西国巡礼>
<Ⅳ 近江山河抄>
<Ⅴ かくれ里>
<Ⅵ 十一面観音巡礼>
<Ⅶ 明恵>
<Ⅷ 道>
<Ⅸ 修験の行者たち>
<Ⅹ 古面>


1-8 「那智参詣荼羅図」
那智の滝とその周辺を俯瞰するように描いた絵地図のような曼荼羅です。右上に大きな白い滝、中ほどに熊野那智大社とたくさんの人たち、手前には海と船、札所なども描かれています。那智の滝が信仰の対象となり賑わっている様子がよく伝わってくる曼荼羅でした。
この隣にも同様の那智の滝の曼荼羅がありました。これを観ていたら、伊勢神宮の曼荼羅を思い出しました。
 参考記事:伊勢神宮と神々の美術 (東京国立博物館)

6-15 「金銅 十一面観音立像」
小さめの日本最古(飛鳥時代)の十一面観音像です。十一面観音なので頭の上にも10の面を持っているのですが、普通の十一面観音像は1面1面で表情が変えられているのに対し、こちらは特に違いが無いようでした。むしろ消えかけているようにも見えますが…。また、これは那智で経塚と思われる場所から出土したとも解説されていました。温和で静かな面持ちをしているのが優美な仏様でした。
今回は十一面観音が1つの章となっているので多くの作品を見られますが、こちらは特に好みでした。

2-12 「家津美御子大神坐像」 ★こちらで観られます
正面を向き、手に笏(聖徳太子が持ってるようなやつ)を持った神像です。全体的に滑らかな印象で気品があります。解説によると1本の木から出来ているそうですが、結構大きくて一種のオーラが漂っていました。

最初の部屋は周りが暗めで文字を読むのに難儀するかもしれません。また、会場の壁では那智の滝の映像も流していました。

2-9 「彩絵檜扇」
27枚の檜を重ねて作られた扇で、表面に色絵がつけられています。白鷺、竹、梅などが描かれ、金銀の箔が散らされていて、ちょっと褪せている感じもありますが、今でもその色合いが美しく感じられました。解説によると、これは33年に1度の式年遷宮の際に新調されたそうです。

9-7 「役行者神変大菩薩像」
結構大きな役行者(えんのぎょうじゃ)こと役小角(えんのおづの)の像です。(神変大菩薩というのは没後1100年の時のおくりな) 錫杖と巻物を持って座り、歯を出して笑っているように見えます。胸の前が開いていて、凹凸がリアルです。 神仙的な雰囲気と迫力があるように思いました。
なお、今回は修験道の開祖である役行者を題材にした作品も何度も登場します。前鬼・後鬼を連れた作品などもあるので、ある程度知っておいた方がより理解が深くなるかと思います。
 参考リンク:役小角のwikipedia

1-2 「富士曼荼羅図」
中央に富士山、右に日輪、左に月輪が描かれた富士とその麓の絵地図のような曼荼羅です。手前には神社があったり富士山に登っていく人が描かれているなど、古来から富士山が霊峰として信仰されていたことがわかる作品でした。

1-14 「日月山水図屏風」 ★こちらで観られます
6曲1双の屏風です。右隻には緑色の山々と川の流れ、左隻には白い山と川が描かれています。大和絵風で、川のうねりやこんもりとした山の形など、簡略化された表現が何とも雅やかな感じを受けました。これは今回の展示でも見所の1つだと思います。

屏風も出てきてますます何がテーマか分からなくなってきましたw 他にも蒔絵や神像、半跏像など様々な品が並んでいます。

3-7 「銅版法華説相図(千仏多宝仏塔)」
仏塔を銅版に刻んだもので、こちらも国宝です。真ん中に塔があり、その周りには大小沢山の仏の姿が曼荼羅のようにびっしり刻まれていました。これも驚きの作品でした。

2-17 「男神坐像」
奈良時代の貴族のとような姿をした髭の長い男神の座像です。顔の表情だけ大まかに作られている感じで力強さを感じました。素朴だけれども神秘的な雰囲気があります。
この作品の一角は少し小さめの神像が並ぶコーナーで、神仏習合の思想の成り立ちなども紹介されていました。神像も仏像に影響を受けているので、この辺は何の宗派か割り切るのは難しいかなw

6-12 円空 「役行者小角像」
錫杖と独鈷杵のようなものを持った役行者の像です。にこっとした顔で親しみがあり、少し粗い彫りのように見えます。素朴な中に強いエネルギーを感じる円空らしい作品でした。
今回の展示には円空の作品もいくつかあり、円空好きの私としては嬉しいサプライズです。

6-11 「十一面観音立像」
蓮の葉?の入った花瓶のようなものを持つ十一面観音の像です。非常に細かく優美な印象を受ける仏像で、光背は特に緻密で神々しさがよく表現されていました。

4-15 円空 「歓喜天像」
少し小さめの像で、2人で抱き合っているように見えました。抽象的で現代彫刻のような斬新さがあって驚きです。

4-14 円空 「観音像群像(31躯のうち10躯)」
10体の観音像が密集して展示されていました。荒々しく木目や削り跡を感じる彫りで、顔は線で表現されているなど一見すると簡素な印象を受けます。しかし、この彫りが陰影をつけていて円空独特の神秘性を出しているように思います。10体まとまっているのも面白かったです。

8-9 「雲中供養菩薩像(北一号)」 ★こちらで観られます
平等院にある52体の菩薩のうちの1体です。琴のような楽器を弾いて歌うような姿をしていて、雲の上に乗っています。雲は立体的で流れるような感じかな。歌う表情をしている仏像を観たのは初めてかも?? これまた優美な仏像でした。

この作品のあった部屋の壁際には大きめの仏像がずらりと並んでいました。主に十一面観音立像で、毘沙門天などもあります。

6-8 「焼損仏像残闕(千手観音像トルソー)」
焼けて朽木のようになった仏像の残骸です。もはや仏像というよりはオブジェ的な感じになっていますが、首から下の部分が残っていて、大きなくびれと非常に長い足が女性を彷彿させるような美しさがあります。これは仏像の芯の部分のようですが、現代アート顔負けの曲線美がありました。焼けても美しいって凄いなw

6-3 「十一面観音立像」
6本の腕を持った2mほどもある大きな十一面観音です。目をつぶっていて手を前に出すように立っているのですが、顔はちょっと険しいような雰囲気を感じました。
この両脇も十一面観音立像でした。この部屋を出ると休憩コーナーに2分半の映像があり、十一面観音像や神仏習合への白洲正子の想いなどが紹介されていました。

5-1 「福太夫面」
目が釣りあがり、口を開いたお面で、神事の舞を踊る時に用いる面のようです。笑っているとも怒っているとも分からない顔でしたが、民俗的な風土を感じる不思議なパワーがありました。
この辺はお面のコーナーとなっていて、翁や尉といった面もありました。(お面は出口付近にも展示されています)
 参考記事:
  能の雅(エレガンス) 狂言の妙[エスプリ] (サントリー美術館)
  新春を仰ぐ 大倉コレクション 能面・能装束展 (大倉集古館)

面のコーナーの隣には3分程度の映像もあり、白洲正子の西国巡礼やかくれ里を巡った時の想いなどが紹介されていました。また、白洲正子の愛蔵品も並び、勾玉や鈴、蓮弁、石仏、熊谷守一の書、犬の像などが展示されていました。

7-7 「狗児」 ★こちらで観られます
ころっとした感じの子犬の像で、くりっとした目をしているのが何とも可愛らしいです。これは高山寺の所有で、明恵上人ゆかりの品だそうです。隣には明恵上人を描いた作品(国宝)も展示されていました。

9-8 「役行者倚像・前後鬼坐像」
杖と数珠を持った年老いた役行者が座り、その両脇に2体の鬼が侍っている3体セットの作品です。役行者は遠くを見るような目で静かに座っているのに対して、鬼はそれぞれ斧と徳利?のようなものを持ってこちらに吼えてくるような迫力を感じました。

この近くは修験道に関するコーナーで、懸仏や鏡、斧なども展示されていました。そして最後の出口付近は再びお面のコーナーです。何で面のコーナーが2つに分かれているのかよく分かりませんw

6-6 「追儺 子鬼」
鬼の面です。牙が生え、目が飛び出るくらい大きく、眉や鼻もせり出して非常に彫の深い顔立ちになっています。まさに鬼の形相といった感じで迫ってくるような勢いがありました。

10-4 「舞楽面 新鳥蘇(シントリソ)」
流れるような曲線の眉と両頬に赤い斑点のある面で、ちょっと抜けた親しみのある顔に見えました。雅楽の面かな??

10-5 「舞楽面 陵王」
凹凸の激しい金色の顔に巨大な目、頭の上から龍が覗くように顔を見せている異形の面です。鬼のように激しい表情をしていて恐ろしくもありますが、蘭陵王を題材にした作品に共通する華やかな雰囲気もありました。
 参考記事:皇室の名宝―日本美の華 <1期> 感想後編 (東京国立博物館 平成館)
 参考リンク:蘭陵王のwikipedia

出口にも7分程度の映像がありました。観終わってから出る前に一旦入口に引き返して、さらっと二度観をしたのですが16時過ぎには空いているようでした。私が観た時間帯より少し後のほうがいいかもw

ということで、私にはテーマや展示順がいまいち理解できませんでしたが、展示されていた作品は見事でした。白洲正子の文や解説をしっかり読んでいたら鑑賞するのに時間がかかるかもしれません。 まあ、それ抜きでも充分に日本古来の自然信仰や日本の美意識などが詰まっているように思います。特に仏像好きの方には面白い展覧会じゃないかな。 公園の桜と合わせて観にいくのがベストタイミングかと思います。


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砧公園の桜

日付が変わって昨日となりましたが2011年4月7日(木)に有給休暇を取って世田谷美術館に行った際、美術館のある砧公園(きぬた公園)でお花見兼写真撮影をしてきました。色々ネタを溜め込んでいますが、今が盛りのお花見スポットなので、先にご紹介しておこうと思います。
DSC_17020.jpg

砧公園の公式サイト:http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index004.html
最寄駅:東急田園都市線 用賀駅


公園の地図。この公園は結構広いですが、桜が多いのはこの地図の左半分のあたりです。世田谷美術館は右上あたり。
DSC_16944.jpg

私の家の近くはまだツボミも多いですが、砧公園は8分咲き~満開くらいでこんな感じです。
DSC_16950.jpg

地面すれすれまで伸びた枝。間近で花を観ることが出来ます。
DSC_16966.jpg

こんな感じで接写もできました。見事に咲き誇っています。
DSC_16971.jpg

日当たりによってはまだツボミのところもありますが、あちこちに桜があるので、見所が多いです。
DSC_16985.jpg

この日は非常に暖かく、薄曇だったのが午後には晴れてきて絶好のお花見日和でした。平日でしたが子供やお年寄りを中心にお花見客が集まっていました。
DSC_16990.jpg

立派な木が多く見事な咲きっぷりです。
DSC_16993.jpg

ちょっと光量が弱いと上手く撮れずこうなってしまった。 ISOいじれって話ですがオートで撮ってますw
DSC_17013.jpg

この後に世田谷美術館に行ったのですが、観終わった後はさらに空が澄んで綺麗な青空になっていました。
DSC_17037.jpg DSC_17040.jpg

ということで、砧公園は今まさに桜の見時となっています。今週の土日は今年のお花見のピークになるんじゃないかな? 世田谷美術館の展示も面白い内容となっていましたので、砧公園と世田谷美術館のセットもお勧めです。

これを書いているときにまた大きな余震(宮城で震度6?)が来ました。まだまだ予断を許せない状況ですので、もしお出かけされる際は帰宅方法や連絡方法などもご確認の上、ご注意ください。


この後、世田谷美術館の展示をみてきました。詳しくはこちら



おまけ:
 今週は飛鳥山あたりも狙ってみようかなと思っています。
 参考記事:飛鳥山公園の桜 (東京都北区)


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■2011/9/29
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■2009/10/28
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