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にっぽんの客船 タイムトリップ 展 【INAXギャラリー】

前回ご紹介したポーラミュージアムアネックスの展示を観た後、すぐ近くのINAXギャラリーに移動して、「にっぽんの客船 タイムトリップ 展 Japanese Passenger Ships Journey Back in Time」を観てきました。

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【展覧名】
 にっぽんの客船 タイムトリップ 展
 Japanese Passenger Ships Journey Back in Time

【公式サイト】
 http://inax.lixil.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_001750.html

【会場】INAXギャラリー  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】銀座線京橋駅 都営浅草線宝町


【会期】2011年3月3日(木)~2011年5月21日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
会場は空いていて、ゆっくりと観ることが出来ました。

今回の展示は日本の豪華客船をテーマにした内容で、1920年代から戦前までの様子を紹介していました。資料や写真、模型、映像などを使っていて、結構わかりやすい内容となっています。今回は個々の作品のメモは取らなかったので、ざっくりと展覧会の様子をご紹介しようと思います。
 参考リンク:展示場の風景

客船の黄金期は1920年代後半から10年くらいの間らしく、日本でも1929年から翌年にかけてディーゼル機関の大型船を作って欧米に対抗したそうです。その頃の豪華客船は貨物も運んだ貨客船だったらしく、今の客船とは違ったのだとか。
勿論、施設やサービスは一流で、演芸や映画、デッキゴルフ、水泳、ダンスパーティ、クラシック、ジャズなど数々の娯楽があったそうです。 料理も豪華で、特に日本郵船の船は良かったらしく、フランス料理のみならず鰻丼や天ぷら、すきやきなどを振舞うこともあり、かのチャップリンは帰国する際に氷川丸を選んだほどだったそうです。
その後、客船はその国の科学、産業、文化を競う国力の象徴として動く国土と見なされたほどだったそうですが、第二次世界大戦で失われてしまったそうです。
ちなみに、当時の運賃は横浜~ホノルル~サンフランシスコの13日間が1等で300ドルだったのですが、当時の1ドルは2円で、大卒銀行員が月給70円だった時代でした。(つまり600円÷70円で8~9ヶ月分の給料くらいかな。) 豪華客船の名は伊達じゃないw

展示室に入ると「あるぜんちな丸」の模型がありました。これは1939年に竣工された大阪商船(今の商船三井)の船で、全長は166mもある当時最高峰の大型船だそうです。近くには内部の写真や、和辻春樹というネルヴィル・アーキテクト(船の建築デザイナー)の図面などもありました。内部はシックなデザインでアール・デコやアール・ヌーボー、和風、エコール・デ・ボザールなどの影響が感じられるかな。4分ほどの映像もあり、CGで「あるぜんちな丸」と姉妹船の「ぶらじる丸」の内部を見ることができました。村野藤吾のインテリアなども再現されています。 そして、この映像で驚いたのが「ぶらじる丸」の最期で、客船の上に滑走路を乗せた空母となり、戦場で撃沈されたそうです。当時の空母の写真が何とも痛々しい…。

他にも高砂丸、愛国丸、長城丸など8隻ほどの客船の写真もあり、すみれ丸、むらさき丸、橘丸、にしき丸など垂線間長が70~90mくらいの客船の模型もありました。

さらに進むと、ぶらじる丸でのイベントの写真もあり、運動会や演芸会、仮装パーティー、すき焼きパーティー、デッキゴルフの様子などが紹介されていました。また、パンフレットやメニュー表も展示されていて、メニュー表には浮世絵が使われているなど洒落たデザインとなっています。 花毛布という毛布?も展示されていたのですが、その名の通り花の形になっているなどサービスの心遣いも細かいですw

最後の方はパンフレットやポスターのコーナーでした。ゲオルグ・ヘミングの「NYK AROUND THE WORLD」というポスターは以前もご紹介しましたが、直線を多用して非常に洗練されたデザインでした。
 参考記事:三菱が夢見た美術館 - 岩崎家と三菱ゆかりのコレクション (三菱一号館美術館)

ということで、日本の豪華客船の歩みを知ることができる面白い内容でした。これは後々にも参考になりそうです。
この後、他の部屋の同時開催の展示も観ました。いずれも終わってしまいましたが、簡単に感想だけ…。

<黒川 徹 展 -銀黒陶 有機体の幾何学- Kurokawa Toru Exhibition>
【会期】2011年4月1日(金)~4月26日(火)  公式サイト
こちらは文章で伝えづらいので公式サイトを観て頂くとよくわかるのですが、穴の開いた球体の陶器や、「く」の字の形の大きな陶器作品などがありました。手びねりで作っているそうですが、有機的で緩やかなフォルムが優美な作品ばかりで、どこか自然物のようでありながらも幾何学的な雰囲気がありました。


<英 ゆう -祖を辿る旅-展>
【会期】2011年4月1日(金)~4月26日(火)  公式サイト
こちらは8枚の大画面の絵が並んだ展覧会でした。つい最近、近くのポーラミュージアムでこの人の作品を観たばかりだったので、よく覚えていました。
 参考記事:ポーラ ミュージアム アネックス展2011 -早春- (ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX)
今回は石灯籠が毛糸で出来ているかのような質感の絵や、塔にマフラーをかけたようなシュールな絵など、日本の寺やタイの建造物をモチーフにした作品となっていました。独特のもこもこっとした質感が面白かったです。


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Taiko Matsuo_Layered 【ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX】

前回ご紹介した出光美術館の展示を観た後、少し離れた銀座まで移動して、ポーラミュージアム アネックスで「Taiko Matsuo_Layered」を観てきました。

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【展覧名】
 Taiko Matsuo_Layered

【公式サイト】
 http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/
 http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/detail.html

【会場】ポーラミュージアム アネックス (POLA MUSEUM ANNEX)  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東京メトロ 銀座駅・銀座一丁目駅 JR有楽町駅


【会期】2011年4月22日(金)~2011年5月29日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
ここは無料で観られるアートスペースなのですが、空いていてゆっくり観ることが出来ました。

さて、今回の展示は松尾たいこというイラストレーターの展示となっています。書籍のカバーや広告や雑誌などで活躍している方なので、名前は知らなくてもその作品を目にしたことがあるかたも多いかもしれません。(小学館の「日本の古典をよむ」シリーズやスティーブン・キングの作品などが有名です。)
 参考リンク:日本の古典をよむ(全20巻)
  

簡単に経歴をご紹介すると、元々はOLさんだったそうですが、1996年頃からイラストレーションを学び、98年からフリーランスとして活躍されているそうです。本の装丁以外にもCDジャケットやファッションブランドやミュージアムショップまで幅広い分野で活動されているとのことで、ファンも多いイラストレーターです。

さて、展示会の内容はというと、まず入口に3枚で1つの絵となっている山々が連なった作品が展示されていました。ぺたっとしてグラデーションのない色面を使って描かれていて、淡い紫、黄、青などが使われています。実際の風景の色合いとは異なるとは思いますが、単純化された中にも温かさを感じ、爽やかな雰囲気がありました。

続いて展示室の中に入ると、壁一面に絵画作品、部屋の中央に幾重にもフィルムが重なった作品が並んでいます。個々の作品名は無かったので、おおまかにご紹介していくと、フィルムの作品は森の上の空とその上を飛ぶ燕が描かれている作品で、幻想的な雰囲気があります。透明のフィルムに別々のものをかいて重ねて展示しているので、物理的にも立体感がありました。
その裏側もフィルムを重ねた作品で、こちらは森や草原の鹿、犬の散歩をしている人などが描かれています。いずれも具象的なのですが、背景は抽象的で、やはり明るく平面的な色彩で、爽やかな中にどこかシュールな雰囲気がありました。

壁に展示された絵画作品は、花畑を描いた作品郡や、白鳥やボートなどの水辺をテーマにした作品、山の上を飛ぶ鷲?、木に囲まれた道、木々…など、風景作品を中心に並んでいました。
その他にも円形の中に犬や猫、りす、金魚、兎、山羊…といった小動物を描いた作品郡があり、いずれも独特の優しさや愛情を感じる作風でした。かなり好みの画風です。

内容自体も非常に面白かったのですが、今回はグッズ販売もしているようでした。さらに驚くことに、展示されている作品も買えるようで、購入希望者はスタッフに声をかけるようにと張り紙もありましたw 意外と安いので思わず買いたくなりますが、私の部屋では管理できないので諦めました^^;

ということで、小規模な展示ですが、満足度は高めでした。特に色彩感覚と温かみを感じる画風が良かったです。 観ているだけで心が和んでくる展示ですので、銀座に行く機会があったら寄ってみると面白いと思います。


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花鳥の美 ―珠玉の日本・東洋美術 【出光美術館】

この前の土曜日に、出光美術館に行って始まったばかりの「花鳥の美 ―珠玉の日本・東洋美術」を観てきました。

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【展覧名】
 花鳥の美 ―珠玉の日本・東洋美術

【公式サイト】
 http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html

【会場】出光美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】JR・東京メトロ 有楽町駅/都営地下鉄・東京メトロ 日比谷駅


【会期】2011年4月23日(土)~6月19日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間20分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
まだ初日だったせいか空いていて、ゆっくり鑑賞することができました。

さて、今回は「花鳥の美」がテーマの展覧会で、すべて出光美術館のコレクションとなっています。一応、展示は5つの章に分かれていて、題材を細分化したものとなっているのですが、特に作品同士の関連性は無いようでしたので、気に入った作品のご紹介だけしようと思います。

<1.花鳥が出逢う水辺>
最初は水辺を題材にした作品を集めた章でした。

伝 雪舟等楊 「四季花鳥図屏風」 ★こちらで観られます
6曲1隻の屏風で、手前に松がうねり、その奥に川が流れています。右には竹、左には蓮の葉と花、松が描かれ、空から白鷺?が舞い降りてきています。よく見ると川や松の上にも鳥がいて、正に花鳥図といった趣です。 花だけがピンク色で他はモノトーンな感じかな。濃淡で遠近感を感じます。これは雪舟の作と伝わっているようですが、私の感じる限りでは雰囲気が違っているように思えました。

この辺には蒔絵や陶器のコーナーとなっていました。織部、景徳鎮、伊万里、九谷、青磁などが並んでいます。

伝 雪舟等楊 「四季花鳥図屏風」 ★こちらで観られます
こちらも雪舟の作と伝わる先ほどと同名の屏風で、横長で小さめの6曲1隻となっています。手前に松、奥に川辺というのは先ほどと同じで、花も右に牡丹、左に蓮が配されています。 翡翠、雀などの鳥も描かれ、先ほどの作品と比べると賑やかな画面になっているように思いました。これも雪舟なのかなあ??

狩野永納 「遊鶴図屏風」 ★こちらで観られます
6曲1双の屏風です。金地に松、牡丹、鶴、尾が長い鳥などが描かれ、左の方には滝も見えます。 大和絵風で、川の深い青や鮮やかな緑など、色合いが強くて煌びやかな雰囲気がありました。解説によると、狩野永納は学者肌の絵師だったらしく、狩野派としてはかなり緻密に描かれているそうで、近くで見ると鶴の羽や葉っぱ、待つの表面などはかなり細かく描きこまれていました。また、構図も練られているとのです。


<2.文様の美を競う>
続いては文様が作品の主体になっているコーナーでした。

「堆朱蓮池鴛鴦文盆」
円形の盆で、中心に大きく2羽の鶏が彫刻?され、その周り草花もあしらわれています。これは漆を塗り固めて作った盆らしく、相当に手間がかかっていそうな…。意匠も単純化が大胆で、近代芸術も顔負けの優美さがありました。
この辺はこうした朱漆の盆と黒漆の盆が並んでいました。

「金銅蓮唐草文透彫経箱」
金銅の箱で、花の模様(蓮唐草文)に透かし彫りになっています。かなり精密に作られていて、文様のパターンは左右対称になっていました。これは一目で凄い!と驚く品だと思います。

「螺鈿楼閣人物花卉文食籠」 ★こちらで観られます
円筒形の黒漆の食篭で、結構ごっつい印象を受けますw 全体的に黒漆を塗りこまれ、表面に螺鈿で楼閣の前に集まる人々や仏具の細工ににた模様が施されていました。これも精密さに驚く品で、見所の1つだと思います。 荘厳な雰囲気のある作品でした。


<3.富貴花の展開>
3章は富貴の花=牡丹をテーマにしたコーナーでした。

「白地刻花牡丹文梅瓶」
白地の壺で、上部よりも下部のほうが細くなっている優美な形をしています。表面にさらっと描かれているような牡丹の模様があり、牡丹の周りは粒々みたいな魚子文(ななこもん)となっていました。色合いや筆遣いから軽やかな印象を受けました。

この辺は陶器のコーナーで、青花の景徳鎮などが展示されていました。

「青磁刻花牡丹唐草文梅瓶」
薄い緑色の瓶です。側面に牡丹の花と葉っぱが描かれ、うっすらと緑の濃淡で表現されていました。流れるような曲線や大胆なうねりなど、文様も面白かったです。


<4.幻想世界に迎えられた鳥たち>
4章は主に鳳凰をテーマにしたコーナーでした。最初に八花鏡や鳳凰の掛け軸、螺鈿などが展示されていました。

勝覚 「理趣経種子曼荼羅」
梵字?が書かれた巻物です。これは字よりも紙の方に今回の趣旨に沿ったものがあります。 紙に黄色の雲母を使って透かしのようなものが描かれ、円の中に2羽の鳳凰の姿が見えます。それがいくつもパターンのように並んでいて、その周りには草花も描かれて?いました。華やかで美しい紙です。

「金襴手孔雀文共蓋仙盞瓶」
全体的に赤が多く使われた景徳鎮の水差です。側面に桃型の枠があって、その中に金色の孔雀が描かれています。緻密で少しくどい位の色使いにも思えますが、いかにも中国という美意識を感じました。

この辺も陶器が並んでいます。


<5.人々に愛された花鳥の主題>
最後は花鳥全体的なコーナーでした。

谷文晁 「枯木山鳩図」
枯れ木にとまった緑色の鳩を描いた掛け軸で、鳩の隣にはピンクの花もあります。勢いよく描かれた枝と、細かい描写の鳩が同居しているのが面白く、身を捻ったような鳩のポーズからは動きと愛嬌を感じました。

この辺も陶器のコーナーです。鶏の型をした陶器や富士山の形をした皿などもあります。

柿右衛門 「色絵鸚鵡」 ★こちらで観られます
枯れ木にとまるオウムをそのまま陶器にしたような作品です。大きさも等身大くらいかな? 色は本物よりカラフルな感じです。きりっとした表情で威厳のような雰囲気がありました。
この近くには鴨の形の作品もありました。

「花車図屏風」
金地の6曲1隻の屏風です。牛のいない牛車?に大きな花束が乗っていて、絵の上部には銀色の藤が垂れ込めています。白、緑、赤、など色も様々で華やかな雰囲気がありました。なお、これは狩野永徳筆と書いてあるそうですが、そうではないと考えられているようです。

「吉野龍田図屏風」
6曲1双の屏風です。右隻は桜の花で覆われていて、左隻は真っ赤に染まる楓で埋め尽くされています。全体的にやや風化していますが、華やかで静かに迫ってくるものを感じます。解説によると桜は胡粉を盛り上げて描いているとのことでした。
なお、この作品は以前にもご紹介しましたが、根津美術館にもよく似た作品があります。
 参考記事:
  ユートピア ―描かれし夢と楽園― (出光美術館)
  国宝那智瀧図と自然の造形 (根津美術館)


ということで、幅広いコレクションを見ることができる展示でした。結構、通好みの展示じゃないかな。この辺は美術館・ギャラリーも多いので、ゴールデンウィークにアート散歩してみるのも面白いと思います。


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芸大コレクション展―春の名品選 【東京藝術大学大学美術館】

前回ご紹介した東京藝術大学大学美術館の「香り かぐわしき名宝」は地下と3階の展示室で開催されているのですが、同時開催で地下のもう1つの部屋で「芸大コレクション展―春の名品選」が行われていました。こちらの展示は前期・後期に分かれているらしく、私が観たのは前期の内容でした。

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【展覧名】
 芸大コレクション展―春の名品選

【公式サイト】
 http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2011/collection2011sp/collection2011sp_ja.htm

【会場】東京藝術大学大学美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)など

【会期】
  前期:2011年04月07日(木)~05月08日(日)
  後期:2011年05月10日(火)~05月29日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日16時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
点数はあまり多くなかったですが、この美術館を代表するコレクションが並んでいました。特にテーマとかも無さそうでしたので、気に入った作品の感想だけメモしておこうと思います。

小倉遊亀 「径」 ★こちらで観られます
今回のポスターになってる作品です。白い傘をさして花籠を持つ女性、その後ろについてくる黄色い傘をさした女の子、さらにその後ろについてくる犬を描いた作品です。初夏の雨上がりの様子かな? 着ている服の色合いや淡い青空などから爽やかで微笑ましい雰囲気があります。並んで歩いているのも面白いし、傘がうまい具合に右に下がっていくような構図も流れがあるように思いました。

前田青邨 「転生」
舌を出して下を観ているような明王らしき仏像と、その傍らの老人(平櫛田中)を描いた作品です。線がハッキリしていて色は淡く、独特の柔らかい印象を受けますが、仏像からは迫力を感じました。

平櫛田中 「転生」
これは前述の前田青邨の絵に描かれた仏像で、絵の隣に展示されていました。実際に見るとやはり荒々しさ・力強さを感じる作品で、絵の中の姿と見比べてみると、よく特徴が出ているように思いました。比べて観られるのは面白い趣向です。

この辺は横山大観の絵や尾形乾山の皿などもありました。

「絵因果経」
これは国宝で、下段は釈迦が成道後に人々を教化していく物語を書いた過去現在因果経というもので、上段はそのシーンを絵に描いた作品です。説法している姿が多いかな。 これは聖徳時代の頃の朝鮮のものらしいですが、結構保存状態が綺麗でした。隣にはフェノロサの鑑定書も展示されていました。

この辺には高橋由一の「鮭」や黒田清輝の「婦人像(厨房)」なども展示されていました。
 参考記事:コレクションの誕生、成長、変容―藝大美術館所蔵品選― (東京藝術大学大学美術館)

黒田清輝 「トゥルブ博士の解剖講義」
これはレンブラントの作品を黒田清輝が模写した作品です。死体の解剖をしているシーンで、陰影などはレンブラントっぽさがありますが、若干、黒田清輝の作風も感じました。 (詳しくは以前の記事にも書いたので、そちらをご参照ください)
 参考記事:医学と芸術展:生命(いのち)と愛の未来を探る (森美術館)

安井曾太郎 「裸婦」 「男子裸体」
裸婦と裸体の男性の肖像が1枚ずつ展示されていました。これはフランスにいた頃のデッサンだそうで、非常に写実的に描かれ、男性は隆々とした体、女性は無表情でこちらを観ている様子となっていました。画面いっぱいに描かれていて迫力があります。 こうした下地があってこそ、後年の作風があるのかな。

奥の部屋は仏像彫刻のコーナーでした。

快慶 「大日如来坐像」
印を組んで座っている大日如来の像です。結構ボロボロで肩の辺りは継いでいる部分が見えています。しかし、目や表情は澄んでいて、遠くを見るような視線となっていました。 慶派というと彫が深いイメージがありますが、これはそんなに深くないかな。静かに迫ってくる雰囲気はありました。

この辺は銅鏡や壊れた仏像などもありました。


という事で、香り展の途中にあるのでちょっと面くらいましたが、こちらも面白い作品が並んでいました。香り展に行く際は少し時間に余裕を持ってこちらも観ることをお勧めいたします。


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香り かぐわしき名宝 【東京藝術大学大学美術館】

前回ご紹介した旧東京音楽学校奏楽堂を観た後、東京藝術大学大学美術館にハシゴして「香り かぐわしき名宝」を観てきました。

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【展覧名】
 香り かぐわしき名宝

【公式サイト】
 http://kaori.exhn.jp/top.html
 http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2011/kaori/kaori_ja.htm

【会場】東京藝術大学大学美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)など


【会期】2011年4月7日(木)~ 5月29日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
そこそこ混んでいて、小さい作品などは鑑賞者が集まっているような感じでしたが、少し待てば自分のペースで観ることができました。

さて、今回の展覧会は「香り」をテーマにした内容で、「香りの日本文化」「香道と香りの道具」 「絵画の香り」という3つを柱として香道の道具から絵画・彫刻など実に様々な品が並んでいました。展示室は地下と3階に分かれていて、1~3章は香りの文化についての展示、4章は絵画の中に描かれた香りという感じです。詳しくは各章ごとに気に入った作品を通じてご紹介しようと思います。


<序 香りの源>
最初は今回の展覧会のテーマとなっている香りの文化そのものの起源についてのコーナーです。日本の香りの文化は、推古3年に(595年)に淡路島に「沈水」という香木が漂着したのが発端らしく、6世紀に仏教伝来と共に香木を炊くことを知ったとも解説されていました。沈水香と栴檀系という香りをはじめ動物系の麝香や貝を原料とする甲香など、様々な香りがあるそうで、この展覧会でもあちこちで香りを楽しむコーナーもありました。

「蘭奢待」
1cm×3cmくらいの小さな香木の木片です。これは特に名高い品らしく、織田信長や明治天皇なども切り取って使ったそうです。ちなみに蘭奢待(らんじゃたい)というのは東大寺のことを雅に言う言葉のようです。まあ、観るだけだとただの木片なんですけどねw
この辺には大きな香木の置物や香木を模写したものなども展示されていました。


<第1章 香りの日本文化1 聖徳太子から王朝貴族へ>
前述の通り、香は仏教と一緒に伝来したのですが、供養の基本は香・花・灯の3つだそうです。(仏教発祥の地インドの天竺は暑かったので体臭対策として香を塗っていたのが伝わったみたいです。) ここには仏教と香りに関わりを感じさせる品々が並んでいました。

「聖徳太子孝養像」
聖徳太子の像で、両手で金の香炉を持って立っています。これは父の平癒を祈っている姿だそうで、結構よく観る主題かも。今までこの主題を香りという視点で観たことは無かったですが、すでにこの頃から香りの文化があったことを感じさせました。 ちなみに聖徳太子自身も常に良い香りがしていたそうです。

この辺には香炉や金銅一面器といった香りに関する道具も展示されていました。仏画もあって、絵の中にも香炉や花が描かれています。

「南部鶴丸紋散蒔絵香枕」
引き出しのついた網のような面を持つ蒔絵の香炉です。枕らしいけど結構硬そうで位置も高いw しかし枕から良い香りがするのはお洒落な感じかも。香りを生活にも取り入れていたことをうかがわせました。

この部屋には白檀木という香木があって、触ったり嗅いだりすることもできました。お線香みたいな香りかな。(むしろその香りをお線香が再現しているんでしょうけどw)

「十一面観音立像」
これは白檀の香木で出来た仏像です。1本の木で出来ているらしく、香りを出すために金箔や彩色は施されていません。唐時代の作品だそうで、体の彫りは柔らかく、装飾品は細やかな感じを受けました。ちょっと黒ずんでいますが昔は良い香りがする仏だったんでしょうね。

「十一面観音立像」 ★こちらで観られます
こちらも香木で作られた十一面観音立像です。こうした香木の仏像を「檀像」と呼ぶそうで、木が硬いことから精密な彫りが出来るそうです。この作品も特に頭の部分の彫が非常に細やかでした。

このコーナーには土佐光吉の源氏絵などもありました。何故、源氏絵?と思いましたが後で理由もわかりました。


<第2章 香道と香りの道具>
続いては香道についての章です。香道は室町時代の東山文化の中で、茶道・華道と共に成立しました。三條西実隆という人が礎を築き、足利義政に命じられた志野宗信という人が体系付けを行ったそうです。香木の種類や焚く作法を定め、香合わせや組香といったものも成立させたそうで、ここにはそれにまつわる品が並んでいました。

「志野宗信像」 ★こちらで観られます
香炉を前に座っている志野宗信の肖像で、上には賛があります。 茶道、歌道にも通じていたそうで、見た目も理知的で静かな印象を受けました。隣には向き合うように三條西実隆の像も並んでいました。

この辺にはどうやって包んだのか分からない香を包んだ袋などもありました。7枚重ねて折っているそうですが、かなり複雑そうでした。また、この辺から会場のあちこちに「香り体験BOX」というのがありました。ここのは香りが強くて鼻をつくような感じでしたw

野々村仁清 「色絵雌雉香炉」 ★こちらで観られます
後ろを振り返る雌キジの姿をした香炉です。尾っぽが長く、全身の羽は銀で覆われています。ちょっと渋いくらいの色合いが上品で、意匠も面白い作品でした。解説によると、これには対となる極彩色の雄キジがいるそうです。

「花笠香」
升目のついた台の上に、木や花をかたどった置物が将棋の駒のように並んでいる作品です。これは江戸中期に流行った遊びらしく、どうやって遊んだかはわかりませんが、香りをゲーム化していたことを伺わせました。
この他にも相撲の土俵みたいなものや、10羽の闘鶏が並んだもの、馬に乗った2人の武士など様々な香を使った遊びの道具が並んでいました。武士のは香を当てた数だけ進めるスゴロクみたいなゲームのようです。

伊東深水 「聞香」
これは東京国立近代美術館の常設にある作品です。着物を着た女性2人の間に赤い服と白いスカートの女性が座り、器を持ち上げて鼻に近づけている様子が描かれています。これは香を聞いている(香道では香を嗅ぐことを聞くと言う)ところで、左の人も同じように聞いているようでした。独特の緊張感と深水らしい爽やかさのある作品でした。

他には織部の香炉や唐獅子の形の香炉もありました。
ここで地下の展示は一旦終わりで、隣の部屋はコレクション展となっています。こちらについては次回ご紹介しようとおもいます。


<第3章 香りの日本文化2 武家から庶民へ>
ここからは3階の展示です。香は茶道の場で親しまれたり、江戸時代には遊興として使われるなど様々な発展を遂げました。このコーナーからは主に絵画作品が展示され、当時の様子が分かるような内容となっていました。

3階の入口付近にMやIを組み合わせたような記号がたくさんあり、これは源氏物語になぞらえて香を当てる札の一覧のようでした。源氏物語と香の関わりの謎が解けましたw

「女房お里」
青い暖簾を押して家から出てくる美人を描いた作品です。これのどこが香りかと思ったら、暖簾の青地に白で描かれた模様(源氏のやつ)があり、これが香木を表しているようでした。ここまで来ると知識が無いと絶対に気づきませんねw 香が広く庶民にも伝わっていることがわかる作品でした。

「八代目市川団十郎死絵」
顔が青みがかった役者(自殺した八代目市川団十郎)の姿などを描いた絵で、死んだ年や戒名なども書かれた「死絵」というジャンルとなります。画中画の掛け軸に描かれた市川団十郎を見上げる人の前には香炉が置かれていて、これは反魂香の伝説と関係があるようでした。

この辺は死絵が何点かありました。また、部屋の中央には香道具が並び、鹿の形や柿の形、蟹の形などの香合も展示されていました。 心なしか会場内に良い香りがしていますw

「邸内遊楽図(士女遊楽図)屏風」
6曲1双の大和絵の屏風です。屋敷の中で香を炊き込んだり、庭で円を組んで踊っている様子が描かれています。他にも部屋の中で巻物を書く人、矢を打つ人など宴会の様子が描かれていました。みんな生き生きしていて日常的に香が楽しまれていた様子がよくわかりました。

この辺には伽羅の香りを体験できるコーナーもありました。
奥の展示室には志野流香席の再現があり、10畳くらいの部屋となっています。正客、次客、三客~七客、末客の8人と、執筆・香元で10人分の座る位置が示されていました。この辺りも良い香りで、大きな香木が置かれていたせいかも??


<第4章 絵画の香り>
最後は香りを感じさせるも絵画のコーナーです。江戸時代から近代あたりまでの日本画を中心に素晴らしい作品が並んでいました。

源 「富貴佳境・貴妃文楽図」
2幅対の掛け軸です。左はピンクの牡丹?をじっと眺める中国風の女性、右は岩のテーブルに頬杖をついて筆を持って思案している中国風女性が描かれています。どちらも気品があり、静かで賢明そうな顔つきでした。私には花の香りよりも女性が気になりますw

この辺には最近、山種美術館で観た喜多川歌麿の「四季遊花之色香」も並んでいました。
 参考記事:ボストン美術館 浮世絵名品展 (山種美術館)

池大雅 「風図」
蘭の一種の花を描いた水墨画です。草はすらっと描いたような曲線で非常に優美な雰囲気があります。花も風になびいているような感じで風流な作風でした。花の香りが風に流れてきそうです。
池大雅は巻物などもありました。仙の描いた蘭も良かった…。

小林古径 「極楽井」
白い花が満開の木蓮の下、着物姿の少女達が柄杓で井戸から水を汲んでいます。赤や白、水色など淡く爽やかな着物を着ていて、子供の目は仏のように静かな感じがしました。これはかなり好みの作品でした。

上村松園 「楚蓮香之図」 ★こちらで観られます
これは去年の上村松園展にも出品されていた作品です。透き通る緑の団扇を持って、足元に目を向ける中国風の女性を描いたもので、周りには蝶が飛んでいます。伝説によるとこの女性は良い香りを漂わせていたらしく、清純な雰囲気がありました。
 参考記事:上村松園展 (東京国立近代美術館)

鏑木清方 「薫風」
橋の上の着物の女性を描いた作品で、背景にはアジサイがあります。淡いピンクの着物と背景の緑が引き合って色も綺麗です。清方らしい初々しさと少々の物憂げな雰囲気がありました。

速水御舟 「夜梅」 ★こちらで観られます
今回のポスターになっている作品で、満月の下の梅を描いた絵です。ぼんやりした暗闇に浮かぶように描かれていて、神秘的な雰囲気があります。 月光の下、揺れる木々の合間からほのかに漂う香りを「暗黒疎影」というそうですが、それが絵になったような作品でした。これも東京国立近代美術館の常設でたまに見かけます。

小茂田青樹 「春の夜」 ★こちらで観られます
暗闇の中の梅の木を描いた作品で、枝に乗るフクロウや木の下には何かをくわえた猫の姿もあります。どちらも素朴で可愛らしい^^ 周りは暗闇でも梅や猫は明るく描かれていて幻想的な雰囲気がありました。

出口の辺りには香道の席の映像がありました。

と言うことで、日本の香り文化に触れることの出来る、面白い趣向の展覧会でした。香りの体験BOXがあったりするのも実感が湧いて良かったです。素晴らしい絵画作品もあるので、目も鼻も楽しめると思います。

次回は地下の半分を占めていたコレクション展のほうもご紹介しようと思います。


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【旧東京音楽学校奏楽堂】の案内

先週の日曜日に、上野公園の藝大に行ったのですが、その前に行く途中にある旧東京音楽学校奏楽堂へ行ってきました。

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【公式サイト】
 http://www.taitocity.net/taito/sougakudou/

【会場】旧東京音楽学校奏楽堂  ★この施設の記事  ☆周辺のお店
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)

 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間45分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【感想】
この日、館内は空いていてのんびりと回ることができました。

ここは東京芸術大学音楽学部の前身である東京音楽学校の施設で、明治23年に建てられた日本最古の木造の洋式音楽ホールです。1988年に重要文化財に指定されました。
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角度違い。上野駅から藝大に行く途中にあるこの建物です。
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門のあたりから。変な構図ですみませんw
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勿論、中にも入ってきました。1階は展示室、2階が音楽ホールとなっていて、実際に定期的にコンサートも開かれています。順路通りにまずは1階の展示から観ていったので、私が観た順に簡単にご紹介しようと思います。

<1階>
まず最初の部屋は本居長世という音楽家に関する展示がありました。この人は有名な「赤い靴」や「七つの子」(カラス何故無くの?って曲です)を作曲した人で、国学で有名な本居宣長の家系の生まれです。
 参考リンク:本居長世のwikipedia
部屋には彼が作曲した歌が流れていて、展示品はどちらかというと資料中心で、楽譜や子供の写真、本人の卒業証書などが並んでいます。

2部屋目は「音楽取調掛」と呼ばれていた頃(1887年に東京音楽学校になった)から昭和あたりまでに関するコーナーらしく、滝廉太郎の写真や、ファウストの舞台写真、山田耕作の楽譜などもありました。展示品は基本的に資料的なものと楽譜でした。 ・・・ちなみに滝廉太郎は外に銅像も立っています。子供の頃、音楽室で見ていた懐かしい顔ですw
 参考リンク:瀧廉太郎のwikipedia   山田耕作のwikipedia


<2階>
続いて2階が音楽ホールです。昭和3年に紀州徳川家から寄贈された日本最古のパイプオルガンが置かれていて、広さは大学の大教室くらいの大きさかな。ここは滝廉太郎や山田耕作もコンサートを行っていたという由緒ある古い建物ですが、しっかりとした設備です。
 この日はちょうど2時と3時に日曜特別コンサートが行われていて、30分ほどのチェンバロ演奏を聴くことが出来ました。バロック音楽で良くつかわれる音色で、ピアノとは違った独特の雰囲気が好みです。お客さんも結構入っていましたが、皆静かに聴き惚れていました。 この日曜特別コンサートは入場料だけで聴けるのでかなりお徳な感じですw 週によってはパイプオルガンを聴くこともできるそうです。
 参考リンク:日曜・日曜特別コンサートのご案内


<1階>
音楽ホールを出ると再び1階に戻ってきて、今度はこの建物の歴史についてのコーナーです。明治23年(1890年)の建設途中の写真や、その後行われた修理前・修理後の写真、建物の模型、図面などが並んでいました。その隣の同様の内容で、音響を良くするために藁やおがくずを入れた壁の断面や、瓦、天井板、大工道具などが並んでいました。


と言うことで、音楽関連の資料はよくわかりませんでしたが、コンサートと建物そのものを楽しんできました。ここはぐるっとパスも使えるし、日曜日は特にお得な感じです。場所も都美・藝大・トーハクに囲まれた場所なので、美術館に行った際にでもフラッと休憩がてらに日曜コンサートに行ってみるのも良いかと思います。


おまけ:
この日、すぐ近くの上野動物園に行列が出来ていました。先日きたパンダの効果ですね。 客寄せパンダとはよく言ったもので、本当に凄い集客力ですw
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 参考記事:
  上野動物園の案内 東園
  上野動物園の案内 西園


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PUBLIC SHOTO 【渋谷界隈のお店】

前回ご紹介した松濤美術館の展示を観た後、すぐ近くにあるPUBLIC SHOTO(パブリック 松涛)というお店でお茶してきました。

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【店名】
 PUBLIC SHOTO(パブリック 松涛)

【ジャンル】
 カフェ・バー

【参考サイト】
 食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13111206/

【最寄駅】
 神泉駅/渋谷駅


【近くの美術館】
 松濤美術館
 Bunkamuraザ・ミュージアム
 戸栗美術館
  など

【この日にかかった1人の費用】
 400円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
結構お客さんも入っていましたが、特に混んでいるわけでもないくらいでした。

感じのいいマスターが親切にもてなしてくれるせいか、地元の人たちと思われるお客さんが本を読んだりマスターと談笑したりと、ゆっくりした雰囲気です。あまり広いお店ではないですが、半地下にあることもあって、通りに面していても意外と静かな環境でした。

さて、この日はおやつには遅い時間だったので有機栽培コーヒー(400円)だけ頼んだら、カステララスクもおまけでくれました。(おまけはいつもくれるのかはわかりません)
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有機栽培という点は私は特に何とも思っていないのですが、このコーヒーは苦味や酸味はないけどまろやかで深い味でした。色んなお店と比べてみてもここのコーヒーもかなり美味しい部類に入ると思います。しかも安い!w さらにコーヒーのおかわりは200円だというのだから、コストパフォーマンスも良いと思います。
おまけのカステララスクはさくさくして、確かにカステラの風味がしましたが味は普通かなw

ということで、なかなか良いお店でした。時間が流れるのがゆっくりしているようなまさに隠れ家的な感じかな。デザート的なものは見当たりませんでしたが、カフェメニュー以外にもワインやパスタなどもあるようでした。 この辺はbunkamuraよりも渋谷から奥なので松濤美術館に行く時しか通りませんが、今後も松濤美術館に行く際には利用しようかと思います。

おまけ:
お店の裏あたりには鍋島松濤公園もあります。ちょっと曇っていましたが、この日は桜が満開でした。
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牛島憲之 ―至高なる静謐― 【松濤美術館】

もう2週間ほど前ですが、渋谷区立松濤美術館で「開館30周年記念特別展 牛島憲之 ―至高なる静謐―」を観てきました。

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【展覧名】
 開館30周年記念特別展 牛島憲之 ―至高なる静謐―

【公式サイト】
 http://shoto-museum.jp/05_exhibition/#A001

【会場】渋谷区立松濤美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】神泉駅/渋谷駅

【会期】2011年4月5日(火)~5月29日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日 時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
特に混むこともなく、自分のペースでゆっくり観ることができました。

さて、今回の展覧会は牛島憲之という洋画家の個展となっておりますが、この画家は府中市美術館に足を運んだことがある方はご存知の方も多いかと思います。(府中によくスケッチしにいった縁で府中市美術館に彼の作品が遺族から寄贈され、常設の一部が牛島憲之記念館となっています。)
 参考記事:
  府中市美術館の常設 (2011年03月)
  府中市美術館の常設 (2010年10月)

簡単な経歴としては、1900年の熊本生まれで、19歳で上京して渋谷区で過ごした時期もあるそうです。東京美術学校で岡田三郎助に師事し、卒業した年には帝展に入選するなど早くから才能を見せていたようで、戦後も日展で特選を受賞、1983年には文化勲章も受賞するなど成功を収め、後進の育成にも努めていたそうです。「絵描きは孤独でなければならない」という信念を持っていたらしく、この展覧会ではそれを垣間見れるような66点の作品が並んでいました。初期から後年の作まであったので、詳しくは気に入った作品と共に感想を書いていこうと思います。
なお、この展覧会には作品リストがありませんでしたので、作品名を間違って記載していたらごめんなさい。

<地下>
まずは地下の展示室です。初期の作品から並んでいました。ここは何故か絵の展示位置が低めで腰を落として観てましたw

牛島憲之 「風景」
恐らく初期の作品で、緑と塀に囲まれた道が描いたのかな。ぼんやりしていて細部はよく分からないですが光の表現が巧みで印象派的なものを感じました。

牛島憲之 「自画像」
マフラーをして茶色い服を着た自画像です。結構写実的で力強い印象を受けました。陰影がしっかりした感じで、後の作品とだいぶ違う雰囲気があるように思います。

牛島憲之 「暮るる山駅」
山間の小さな駅を描いた作品です。暗くなり駅に白い光が灯っている様子が見え、左の方に大きく描かれた信号?が目を引きます。やや寂しい印象を受ける絵でした。
この隣にも同じように山にある駅を描いた作品もありました。

牛島憲之 「貝焼場(午後)」
これは府中市美術館の所蔵品です。幕張近くにあった貝焼場を描いた作品で、天秤を担いで大きな窯の階段を降りてくる人や上で作業する人、手前で休んでいる人などが描かれています。石や瓦が点描表現のように並んでいるのが独特かな。色も様々でした。
この辺には出身地の熊本の貝焼き場を描いた作品もありました。

牛島憲之 「赤坂見附」 ★こちらで観られます
赤坂見附の町を描いた作品です。市電のあった頃のようで、レールや走る車、通行人や交通整理の人などが描かれています。淡い青を地にしていて、そこに簡略化・抽象化されたように描かれた画風で、シュールな感じが出てきました。ここまで観てきた作風とも違ってどんどん画風が変わって行きます。

牛島憲之 「残夏」
横長の作品で、手前に淡い緑の糸瓜が連なって釣り下がっているように描かれ、奥には風呂敷を背負った人と牛が描かれています。淡く絵本のような柔らかい雰囲気がありますが、これは終戦直後に描いた作品らしく風呂敷の人は買出しに行く姿だそうです。瓜も炎天下でだれるほど暑かったみたいですね…。

牛島憲之 「炎昼」 ★こちらで観られます
これが日展で特選を貰った作品です。手前に視界を覆うようにかぼちゃの葉っぱが描かれ、緑色の実もなっているようです。背景には十字架のような電柱などが見えます。色は穏やかで、こちらの方が先ほどの「残夏」より色は多いかな。生命力を感じる一方で、静まり返った感じや一種の神秘性のある作品でした。

牛島憲之 「邨」
柔らかいフォルムをした4つの藁葺き屋根を描いた作品です。色合いは淡く独特の世界観があります。曲線のリズムが美しく流れるようでした。
これも府中市美術館で観た覚えがあります。

牛島憲之 「永代橋」
弓のような滑らかな形で描かれた永代橋の絵です。川と空の色の境が分からないくらいで、手前に船が煙をあげて走っているのですが、橋と共にポツンとしていてシュールな雰囲気を感じました。

牛島憲之 「水門(水辺)」
川の水門を描いた作品です。門の向こうに船が浮かんでいるのも見えます。画面は門によって水平・垂直の多い構成となっていて、それがこの頃の作風の特徴のようです。この作品は具象的な感じがするにも関わらず、静かで時間が止ったような雰囲気がありました。
この近くには煙突やタンクを描いた作品もありました。

牛島憲之 「樽のある街」
建物の裏の広いところに大小5つの樽が転がって置かれている風景です。奥の樽は浮かんでいるように見えたのですが、影の表現のせいかも?? この作品も円や直線が多いのですが、柔らかい雰囲気でこれまた不思議な感覚を覚える作品でした。

牛島憲之 「晩春」
円形の建物とそこから伸びてい坂道のようなものを描いた作品で、その道の部分が大きくて目を引きました。質感や色合いは独特の柔らか味があり、これも幾何学的な要素も含んでいました。

牛島憲之 「花曇り」
桜上水の花のトンネルを描いた作品で、手前に大きな幹が横に伸びています。全体的にピンクがかった明るい色彩で、ここまで青など寒色系の背景が多かったので、これには暖かみと春の訪れを感じました。また、これだけ満開でも人は1人もいなくて、静かな雰囲気が漂っていました。


<2階>
続いて2階です。2階は部屋の真ん中にソファがたくさんあるので、くつろぎながら観て回ることができます。(カフェはなくなってしまったようです)

牛島憲之 「並木」
神宮外苑のイチョウ並木を書いた作品です。両脇の木々はくっつくようで、上部はひょろひょろとした奇妙な形をしています。 周りには何もないのですが、空には月が浮かび、右のほうに本人らしき人影がぽつんと描かれていました。天と地の境も無いし、シュールな感じを受けました、

牛島憲之 「積み藁」
十字架のような電柱の周りに置かれた白いものが描かれていて、恐らくゴミ袋だと思います。(上のほうに結び目みたいなのがある) それが積み藁のような形と言われたらそうかもしれませんw ちょっと変わったモチーフと面白いタイトルでした。

牛島憲之 「灯台のある島」
桃のような形をした島が描かれ、浜辺には灯台、右のほうには大きな木、水面には島の姿が映っていて、手前に船に乗った人もみえます。 解説によるとこれは伊豆の下田の島らしく、浮かぶ島影の美しさを必要なものだけ残してあとは捨てたそうです。島が浮かんでいるように見える理想郷のような風景でした。

牛島憲之 「薄月」
新宿近くの高速道路の立体交差を描いた作品です。緩やかな曲線とリズミカルな鉄柱に魅力を感じたらしく、こういう題材にしたそうです。空には牛島憲之が好きだった昼の月も浮かんでいました。 首都高速なのに車が1台も描かれておらず、後ろに建つ建物もオブジェのように静まり返った雰囲気でした。
そう言えば、最近ビュッフェの展覧会でも人っ子1人いない首都高の絵を観たような…。どこか似たセンスなのかも??
 参考記事:ベルナール・ビュフェのまなざし フランスと日本 (ニューオータニ美術館)

牛島憲之 「夕月富士」
富士山を描いた作品です。手前に山中湖、背景に夕暮れに染まる空と三日月が浮かび、オレンジ~緑~青の色合いが美しいです。富士山は悠然としていましたが、その色合いのせいか暖かみを感じました。
なお、牛島憲之は晩年くらいまで富士は描くまいと考えていたようですが、こういう風景を観て描く気になったみたいでした。


ということで、予想以上に楽しめる展覧会でした。入館料も300円だし、かなりお得な気分になれました。図録もお手頃な価格だったので悩みましたが、もう置く場所が無いので諦めました…。節電のために営業時間に変更などがあるようですので、気になる方は公式ページをご確認の上で足を運ばれることをお勧めします。


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渋沢家のおひなさま 【渋沢史料館】

前回ご紹介した北区飛鳥山博物館の展示を観た後、さらに隣の渋沢史料館にハシゴして「収蔵品展 渋沢家のおひなさま」と「法学者・穂積陳重と妻・歌子の物語 ~渋沢栄一のひ孫・穂積重行氏オーラルヒストリーから~」という展示を観てきました。

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【展覧名】
 収蔵品展 渋沢家のおひなさま
 法学者・穂積陳重と妻・歌子の物語 ~渋沢栄一のひ孫・穂積重行氏オーラルヒストリーから~

【公式サイト】
 http://www.shibusawa.or.jp/museum/special/kikaku2011_01.html
 http://www.shibusawa.or.jp/museum/special/kikaku2011_02.html

【会場】渋沢史料館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】JR・東京メトロ 王子駅


【会期】
 おひなさま:2011年02月19日(土)~05月08日(日)
 穂積陳重 :2011年03月05日(土)~05月08日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
この日は桜の満開のタイミングでしたが、館内は空いていました。
さて、この史料館についてですが、この飛鳥山には明治の偉人である渋沢栄一の邸宅があったことからその生涯や業績を展示しています。渋沢栄一に関する資料を集めた常設と、特別展があって、私が行った時は2つの展示をやっていました。
 参考リンク:渋沢栄一のwikipedia

<法学者・穂積陳重と妻・歌子の物語 ~渋沢栄一のひ孫・穂積重行氏オーラルヒストリーから~>
最初は特別展の法学者・穂積陳重のコーナーから見ました。この人は法学者で、後の中央大学となる英吉利法律学校の創設者の1人で、法曹界に多大な影響を与えたそうです。 2階のフロアの一部で展示しているのですが点数も少なく、文書や写真、賞状、勲章、著書、手紙などが並び、渋沢栄一にあたる穂積重行氏から伺った話などと共に展示されていました。…と、言ってもこの展示にはあまり興味がなかったので、さっくりとだけしか観ませんでしたw 私には猫に小判かも…。そもそも穂積陳重という人物を知らなかったので、これを機に名前と業績だけは何とか覚えたかな。
 参考リンク:穂積陳重のwikipedia

<収蔵品展 渋沢家のおひなさま>
続いては渋沢家のおひなさまのコーナーです。2年前にここに行った時も似た展示をやっていたので、定番の展示なのかな。こちらも小さめの1部屋のみの展示で、入口には花を持って胡蝶舞を踊る赤い着物の女性の人形が置かれていました。背中に蝶の羽のようなものがあるのが可愛らしいです。
展示室の中には、内裏雛が3セットありました。永徳斎という名店の雛人形らしく、雛道具や碁盤、スゴロク、楽器、箪笥なども一緒に展示されています。また、雛道具は部屋の逆側にもあり、貝合わせの道具、陶器、棚など精巧に作られたものもありました。この辺は観ていて楽しいです。 他には御所人形という金太郎みたいな格好の人形や、手を広げて立つ紙雛なんかもありました。御所人形はちょっと怖いような可愛いようなw
 参考記事:国立歴史民俗博物館[れきはく]の案内  (2011年02月後編)

あとの残りの部屋は渋沢栄一の足跡のコーナーで、本や資料、写真、手紙、勲章などが展示されています。歴史好きの人には面白いかもしれません。 また、ここの2階の休憩室も見所で、アンティークな家具に座りながら、目の前に見える桜を見ることができました。(むしろ私はこれが目的で来ていましたw)

史料館の展示はこんな感じだったのですが、この史料館の隣には、旧渋沢邸の「晩香廬」と「青淵文庫」があります(こちらは無料)ので、そちらにも行ってきました。
毎週土曜日の12:30~15:45は建物の中にも入れるそうですが、震災の影響で今のところは晩香廬は公開されていないようです。
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こちらは青淵文庫。80歳のお祝いと男爵から子爵に昇格したお祝いを兼ねて作られたそうで、1925年に作られました。このステンドグラスは家紋にちなんで柏の葉をイメージしているとのことです。
DSC_17155.jpg
文庫というくらいなので本が収蔵されてようですが、1963年に日比谷図書館に寄贈されたそうです。

こちらは晩香廬。喜寿(77歳)のお祝いで作られたゲストハウスらしいです。
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外からだと中は暗くてよく分かりませんが、窓から覗いてみるとこんな感じでモダンな雰囲気です。
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先ほどの位置と逆側から撮った写真。一度は入ってみたいです。
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ということで、渋沢史料館と旧渋沢邸を観てきました。史料館は渋沢栄一を知らないと難解かもしれませんが、旧渋沢邸は洒落ているので興味を引かれる人も多いのではないでしょうか。
飛鳥山編は今回で終了です。桜の時期は終わってしまいましたが、それ以外の時期でも展示は開催されていますので、3つの博物館が気になる方は足を運ばれてみるのも面白いかと思います。


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ノスタルジア・駅弁掛け紙コレクション ~描かれた名所・名物・名産展~ 【北区飛鳥山博物館】

前回ご紹介した紙の博物館の展示を観た後、すぐ隣にある北区飛鳥山博物館で「ノスタルジア・駅弁掛け紙コレクション ~描かれた名所・名物・名産展~」という展示を観てきました。この展示は無料で観られました。

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【展覧名】
 ノスタルジア・駅弁掛け紙コレクション ~描かれた名所・名物・名産展~

【公式サイト】
 http://www.city.kita.tokyo.jp/misc/history/museum/aind03.php

【会場】北区飛鳥山博物館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】JR・東京メトロ 王子駅


【会期】2011年3月19日(土)~5月8日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
飛鳥山が桜が満開の日曜日だったのに加えて無料だったせいか、結構お客さんが入っていました。(多分、年間でも特に混んでいるタイミングだと思います。)

今回の展示は駅弁掛け紙コレクションということで、駅弁の包みを集めた内容となっていました。以前もこの時期にお弁当に関する展示をやってたので恒例なのかも?? 展示室は2部屋あり、それぞれに弁当の包みが沢山並んでいました。

まず1部屋目は駅弁の歴史や価格リストなどがあり、その後に包み紙が並んでいました。 この博物館の近くの赤羽の駅弁売りの再現などもあって、地元色があります。赤羽のみやこやというお店の上等弁当やサンドイッチの包みがあったのですが、時代によって絵が変遷していく様子がわかります。 戦前のは2~3色刷りのシンプルな版画みたいな感じです。
その他にも全国の駅弁の包みがあり、梅やスキー遊びを描いた行楽を思わせるもの、蟹や鯛が大きく描かれた素材を思わせるものなどもありました。錦絵風のもあればモダンなデザインもあり、当時のセンスが伺えます。
展示室の中央付近には土瓶やプラスチックのお茶容器などもあり、プラスチックのは私も見覚えがありましたw

次の部屋に行く前にロビー的なスペースには現代の駅弁も並んでいて、こちらは流石に多色刷りで形も包装も多種多様となっていました。

続いて2部屋目は30年~40年くらい前の駅弁の包みが並んだコーナーでした。この辺は年配の方にはノスタルジーを感じるらしく、何組かの老夫婦が熱心にあれはどうだったとか話しているのを見ました。先ほどの戦前のものと比べると色鮮やかで、センスもより商業的な感じがします。値段が100~150円くらいなので物価は現在とちょっと違うかなw 
特に揃えが多かったのが「東華軒」というお店(現在でも小田原や熱海で駅弁を販売しています)の包みのシリーズで、お楽しみ弁当というお正月のお弁当の包みを1963年~1979年くらいまで展示していました(歯抜けの年もあり)

ということで、観ているだけでお腹が空いてくる展示でした。 どうせなら駅弁を実際に売ってくれれば良いのにw 無料だし、お堅い内容でもないので飛鳥山に行く機会があったらさらっと観ると面白いかと思います。
なお、この博物館は地下にも常設展示がある(こちらは有料)のですが以前行ったことがあるので、今回は行きませんでした。

この後、さらに渋沢史料館にもハシゴしました。旧渋沢邸の写真も撮ってきたので、次回はそれをご紹介しようと思います。


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プロフィール

21世紀のxxx者

Author:21世紀のxxx者
 
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。

画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。

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メディア掲載
■2012/1/27
NHK BSプレミアム 熱中スタジアム「博物館ナイト」の収録に参加してきました
  → 詳細

■2011/11/21
海の見える杜美術館の公式紹介サイトに掲載されました
  → 詳細

■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
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■2009/10/28
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美術鑑賞のお供
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