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破天荒の浮世絵師 歌川国芳 前期:豪傑なる武者と妖怪 【太田記念美術館】

前回ご紹介したカフェでお茶する前に、太田記念美術館で「破天荒の浮世絵師 歌川国芳 (前期:豪傑なる武者と妖怪)」を観てきました。

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【展覧名】
 没後150年記念 破天荒の浮世絵師 歌川国芳
 前期:〈豪傑なる武者と妖怪〉

【公式サイト】
 http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/H230607kuniyoshi.html

【会場】太田記念美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】原宿駅、明治神宮前駅


【会期】
 前期:〈豪傑なる武者と妖怪〉 2011年6月1日(水)~6月26日(日)
 後期:〈遊び心と西洋の風〉  2011年7月1日(金)~7月28日(木)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間40分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構混んでいて、元々狭いこともあって混雑感がありました。

このブログでこの美術館のことを記事にするのは初めてというのが自分でも驚きw スルーしまくっててすみません(><) しかし、今回は歌川国芳の没後150年を記念した展示で絶対に逃すまいと楽しみにしていました。 この展示は前期・後期で大きく内容が変わるようで、今回私が観てきたのは前期となります。前期は武者絵や妖怪絵、後期は西洋風の作品や洒落の効いた作品などが中心となるようです。詳しくは章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。

なお、今回の展示はあまり多くの解説はありませんでしたので、去年ご紹介した府中市美術館の展示の記事なども参考にして頂ければと思います。また、作品リストは館員さんに訊かないと貰えないようでした。しかし、公式ページで確認ことができますので、お目当ての作品がある方は予め出品時期を確認しておくことをお勧めします。
 参考リンク:出品作リスト
 参考記事:歌川国芳-奇と笑いの木版画 (府中市美術館)


<爽 美人画・風俗画>
まずは肉筆のコーナーです。今回の展示ではここだけ履物を脱いで観ることになります(他はカーペットが敷かれていました)

歌川国芳 「浴後美人図」
国芳と弟子の国英の合筆の作品です。背を向けて振り返る湯上りの美人が描かれ、手ぬぐいを肩にかけて着物は肌蹴ています。その目線の先には釣忍にとまった燕の姿があり、夏であることが分かります。白い肌に青い着物など、爽やかさに溢れ、燕からも軽快な印象を受けました。

ここには月岡芳年の作品や、五姓田芳柳による国芳の肖像なども展示されていました。


<勇 武者絵>
続いては今回の大きなテーマの1つである武者絵です。国芳は30代の頃に描いた水滸伝のシリーズで人気となった絵師で、まずは水滸伝関連の作品が並んでいました。

歌川国芳 「稗史水滸伝」
これは水滸伝の本で、国芳が挿絵を担当したものです。挿絵が画面いっぱいに描かれていて、むしろ絵本や漫画のような感じです。見開きで2人が戦っている様子が描かれ、非常に臨場感がありました。やはりバトルものの漫画に近いかなw

歌川国芳 「水滸伝豪傑百八人之一個 清河県之産武松」
豪傑が山道で遭遇した虎を殴り殺している様子を描いた作品です。虎と豪傑は色が近いこともあって、一体となっているような印象を受けます。圧迫感を受けるほど画面いっぱいに密集して描かれ迫力がありました。

歌川国芳 「仮名読八犬伝」
こちらは里見八犬伝の挿絵で、国芳は27編まで担当していたそうです。非常に濃い色彩で描かれ、犬を連れた姫や放射状にビームが出ている犬の顔?の絵などが描かれていました。原作は私にはあまり面白くないですが、これで読んだら面白いかもw

歌川国芳 「鬼若丸」
大きな鯉と格闘する鬼若丸こと弁慶を描いた作品です。今まさに刀を刺そうとして足と左手で鯉を捕まえています。鯉も身を丸くして抵抗しているように見えました。格闘の勢いを感じます。

歌川国芳 「弁慶梵鐘引き上げ」
3枚セットの続絵です。右側で筋肉隆々の弁慶が自分より大きな鐘を引っ張っている様子が描かれた「曳摺鐘」の伝説をテーマにした作品です。弁慶が結構なイケメンで私のイメージする弁慶と違うw 鐘はかなり大きく観るからに重そうで、3枚続きならではの迫力のある作品となっていました。

この辺にはこうした弁慶関連の作品が何点かありました。 続いて2Fに移動します。

歌川国芳 「四条縄手の戦い」
6枚セットの続絵で、合戦の様子を描いた作品です。左から矢が雨のように降り注ぎ、1枚に1~2人ずつそれに向かっています。奮戦している人もいれば、頭から血を流している人、もう死にそうな顔な人などかなり苦戦している感じがします。これまた6枚並んだおかげで壮観でインパクトのある作品でした。

この辺に国芳の人柄に関する解説がありました。国芳は侠気があり、小さなことには拘らず、その日に得た画料はその日に使うという、まさに「宵越の銭は持たない」を地で行く江戸っ子気質だったそうです。また、堅苦しい礼儀・礼節は好まず、町火消しなどと仲が良く、火事ともなれば危険を省みずに消化を手伝うなど、粋な親分だったようです。弟子思い・家族思いで、国芳親分を慕ってたくさんの弟子が集まったとのことですので、相当に気風の良い人だったんでしょうね。


<怪 妖怪絵>
続いては今回の目玉のコーナーの妖怪絵です。奇想天外と呼ぶに相応しい、想像力豊かな妖怪たちが並んでいました。

歌川国芳 「下野之国奈須の原金毛白面九尾の悪狐たいじの図」
3枚続きの作品で、真ん中に金色の毛をした九尾の狐が描かれています。馬に乗った侍に槍で突かれ、悶えているように見えます。左にも馬上で弓を構えている侍がいて、周りにはたくさんの兵が草むらを取り囲んでいました。 苦しむ表情を含めて躍動や動きを感じました。

この辺は3枚続きの作品ばかりで、パノラマ的な迫力ある内容となっています。

歌川国芳 「摂州大物浦平家怨霊顕るる図」
これも3枚続きの作品で府中の展示の時にもご紹介しました。単純化されたうねる波の上を行く帆船が描かれ、そこにたくさんの武者たちが乗っています。船の行く先には海の中から現れた平家の亡霊が待ち構えていて、長刀を持った兵や烏帽子をかぶった亡霊など、青白く不気味な姿をしています。見るからに恐ろしくも面白い作品です。

歌川国芳 「見立東海道五拾三次 岡部 猫石の由来」
これも3枚続きで以前ご紹介した作品です。中央に巨大な化け猫が描かれ、鋭い目をして正面をにらんでいます。その手前には3人の人物?と手ぬぐいを被って踊る2匹の猫たちの姿もあります。化け物が現れた緊迫したシーンのようであり、猫の阿波踊りみたいなのが笑いを誘いました。なかなかインパクトがあって記憶に残りますw

この後には怪鳥、わに、大ざる、雷などと戦う武者の絵が並んでいました。武者絵と妖怪絵の両側面のような感じかな。

歌川国芳 「美家本武蔵」
右手で大蝙蝠を押さえつけ、左手で刀を突き刺そうとしている宮本武蔵を描いた作品です。大蝙蝠は苦しそうな表情をしていて、全体的に緊張感がありました。

この辺には武蔵が人食い鮫を退治している作品もありました。

歌川国芳 「蝦蟇仙人」
頭に蝦蟇蛙(がまがえる)を乗せ、大蝦蟇に肘をつく蝦蟇仙人を描いた作品です。周りにも大きな蝦蟇たちが取り囲んでいて、仙人はちょっと楽しそうな顔をしていました。蝦蟇たちがキモ可愛いですw

歌川国芳 「源頼光公館土蜘作妖怪図」
手前に妖怪退治で有名な源頼光(よりみつ/らいこう)たちがくつろいでいて、囲碁を打ったり茶を飲んでいます。その後ろの垂れ幕のように暗くなったところには、たくさんの妖怪たちが2手に分かれて合戦しているように並んでいます。これは妖怪絵でありつつ天保の改革を風刺した作品らしく、右には老中の水野忠邦と徳川将軍らしき姿も描かれています。背景の妖怪にもそれぞれ意味があるようで、初物のスイカ、富くじ、歯のないお化け⇒噺家というように改革で禁止された恨みで化けて出てきたようです。 江戸ではこれがそれぞれ何を意味するか解き明かすのがブームになったそうで、私も一生懸命考えましたがお手上げでしたw この時代に改革を皮肉るとは気骨がありますね。

この隣も囲碁をする源頼光の四天王(金太郎こと坂田金時など)を描いた作品もありました。妖怪を押さえつけて熱中する様子がちょっとシュールw 他にも土蜘蛛や酒呑童子とのシリーズもあり、源頼光関連が充実しています。源頼光の物語は漫画にしても面白そうですw

歌川国芳 「東山桜荘子」
これは歌舞伎の「東山桜荘子」の一場面で、浅倉当吾という人物の亡霊が現れるシーンを描いたものです。座敷に集まった腰元たちは怨霊の顔となり、中央の織越大領政知を取り囲みます。ふわふわと浮いた幽霊などもいて、こいつらはちょっと抜けた感じで笑えますw 織越大領政知にはたくさんの蛇が巻きつくなど怨霊の総攻撃といった趣でした。面白いです。

歌川国芳 「相馬の古内裏」 ★こちらで観られます
妖術によって呼び出された巨大な骸骨の妖怪を描いた作品です。3枚セットのうち2枚は骸骨で構成されていて、凄い迫力と存在感を出しています。解説によると、国芳は西洋の解剖学の本を読んでいたらしく、緻密で性格な骨格となっているのも見所です。陰影も強調され、不気味な雰囲気がありました。

歌川国芳 「清盛入道布引瀧遊覧 悪源太義平霊討難波次郎」
処刑された悪源太義平が雷となって、処刑した難波次郎を焼き殺すシーンを描いた作品です。炎か人魂のようなものが無数に集まったものに乗った黒い体の悪源太義平が、3枚の画面に渡って稲光を出していて、反射するように飛び散った光に物凄いエネルギーを感じます。真ん中では仰け反って吹っ飛ばされている人もいて、勢いを感じました。

歌川国芳 「百人一首之内 大納言経信」
平安時代の歌人、源経信が和歌を詠んだところ、風流を好んだ朱雀門院の鬼が漢詩を吟じたというシーンを描いた作品です。影のような大きな鬼が現れ、口から文字の入った帯のようなものを吐き出していて、これが漢詩のようでした。漫画のようだと解説されていましたが、斬新で面白い発想でした。

このコーナーは地下にも若干続きます。ご紹介した作品以外にも府中の時にも見た「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」や「鬼若丸大鯉退治」などもありました。

歌川国芳 「地獄変相図」
これは地下にあった3枚セットの地獄絵です。中央に閻魔と、書類をもった従者たちが描かれ、手前にはたくさんの亡者が跪いたり、鬼に責められているようです。針の山を登っている様子などもあって、まさに地獄と言った様相でした。


<華 役者絵・忠臣蔵>
最後は役者絵と忠臣蔵を題材にしたコーナーでした。

歌川国芳 「国芳芝居草稿」 ★こちらで観られます
これは2階の妖怪絵の反対側に展示されていました。歌舞伎の登場人物など様々な人物を墨のみで描いたスケッチのような画巻です。10mくらいはあるんじゃないかな? 簡略化して描いていますがそれでも緻密で、いずれも生き生きとしていて人物の動きを感じるような描写です。さらに、それがびっしりと描き込まれているのに驚きました。国芳の描写力がよく分かる作品です。

歌川国芳 「四代目中村歌右衛門」
坊主頭の役者が画面いっぱいに描かれた作品です。口を結んで目を鋭くしている表情は鬼気迫る感じでちょっと怖い。これはこの役者が最後に演じた平清盛の姿らしく、死絵だったと記憶しています。

歌川国芳 「似達磨の一軸」
これは達磨を描いた作品ですが、四代目中村歌右衛門をモデルにしているようです。絵の中で掛け軸のようになっていて、表装なども描かれているのがトリックアート的で面白かったです。

歌川国芳 「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」
山東京伝の読本に出てくる人物を描いた作品です。肩に刀を担ぎ、どくろ柄の着物を着ています。しかし、よく観るとこのどくろは黒地に白猫がたくさん集まって表現されたもので、子猫もいて何とも可愛らしいです。怖いはずのどくろが可愛いにゃんこたちで描かれている…。この発想のずば抜けたところが国芳の魅力ですね。

また、最後の章の地下には10分程度の映像があります。今回は展示されていませんですが、後期展示の「みかけハこハゐがとんだいゝ人だ」(人がたくさん合体して人の形になっている絵)を実際に再現している様子は必見ですw


ということで、かなり満足の内容でした。何と言っても妖怪絵が面白いです。これは後期の展示も絶対にいかなければ…。 すでに人気の展覧会となっていますので、気になる方はお早めにどうぞ。前期はもうすぐ終わりです!


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珈琲茶館 集 【原宿界隈のお店】

ちょっと今日は帰りが遅かったので軽めの記事です^^; 先週の土曜日は京橋に行く前に原宿の太田記念美術館に行ってたのですが、その後に「珈琲茶館 集 原宿表参道店」で一休みしてきました。(時系列がややこしくてすみませんw 太田記念美術館の展示は次回ご紹介します)

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【店名】
 珈琲茶館 集 原宿表参道店

【ジャンル】
 カフェ

【公式サイト】
 http://www.shu-group.com/sakan/index.html
 食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1306/A130601/13045118/
 ぐるなび:http://r.gnavi.co.jp/g025707/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 原宿駅、明治神宮前駅

【近くの美術館】
 太田記念美術館
 色彩美術館
 明治神宮文化館宝物展示室
  など



【この日にかかった1人の費用】
 1050円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
ここは大通りに面した店(地下)ということもあり、非常に人気でいつも混んでいるイメージがあります。この日もぎりぎり満席くらいで1分ほど待ってからの入店となりました。

店内は絵が飾られていたりアールヌーボー/アールデコ調のシックな雰囲気です。ほぼ満員でちょっと騒がしいくらいでした。
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あちこちに絵が飾られているけど誰の絵か私にはわからず。エコールド・パリ時代や佐伯のような画風かな。有名な画家の絵だったら私の見る目が疑われるなあw
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この日はケーキセットでモンブランとグアテマラ(セットで1050円)を頼みました。

まずはグアテマラ。
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来た瞬間に酸味を含んだ爽やかな香りがしました。
実際に飲んでみると、軽い酸味とこくのある後味があります。酸味はやや苦手な私でもこれなら好みです。

続いてモンブラン。
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こちらも甘すぎず見た目ほど重くありませんでした。中に栗がころっと入っていて、中々満足な味です。


ということで、高級感のある良いお店でした。人気があるのでちょっと忙しい感じがしますが良い雰囲気です。コーヒーもブレンドだけでなく豆で選べるのも嬉しい所で、意外とそこまで高くないので、お手軽に贅沢を味わえるお店だと思います。このお店は都内にも何店か姉妹店もあるようですので、今度他の店舗にも行ってみようと思います。

次回は太田記念美術館の展示をご紹介します。


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松尾高弘 インタラクティブアート展 -LIGHT EMOTION- 【ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX】

前回ご紹介したINAXギャラリーの展示を観た後、すぐ近くのポーラミュージアムアネックスに行って、「松尾高弘 インタラクティブアート展 -LIGHT EMOTION-」を観てきました。

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【展覧名】
 松尾高弘 インタラクティブアート展 -LIGHT EMOTION-

【公式サイト】
 http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/
 http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/detail.html
 
【会場】ポーラミュージアム アネックス (POLA MUSEUM ANNEX)  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東京メトロ 銀座駅・銀座一丁目駅 JR有楽町駅


【会期】2011年6月5日(日)~ 2011年7月10日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日18時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
若いお客さんが結構いましたが、混んでいるというわけではありませんでした。

さて、今回の展示ですが松尾高弘 氏という方のインタラクティブアートの展示なのですが、そもそもインタラクティブアートとは何だろう?という感じでしたw それについては入口に松尾氏の紹介と共に書かれていて、それによると、インタラクティブアートは、鑑賞者との双方向性のアートのことだそうで、鑑賞者の動きと連動して作品が変化するというもののようです。インスタレーションの一種かな。 松尾氏はそのインタラクティブアートで国内外で活躍し、イタリアでのミラノサローネにも参加しているそうで、今回はそのミラノサローネで2009年に発表された作品もあります。

会場は大きく2つの部屋に分かれていて、両方とも暗い中での鑑賞となります。写真を撮ることもできましたので、ちょっとだけ写真を使ってご紹介しようと思います。

松尾高弘 「White Rain」
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全く想像できない写真ですみませんw この作品は、暗闇の中に無数の管が竹林のように並んでいて、その管の上からLEDの光が雨のように降ってくるような感じの作品です。ピアノの高音?のような音が流れ、神秘的な雰囲気があります。この光の雨の強さや速さはランダムのようですが、鑑賞者が近づくとちょっと光が強くなるのがインタラクティブなところでした。作者の言葉によると、LEDを用いて集合体としての光の振る舞いから作り出される無限性や光そのものの美しさに焦点を当てたそうです。


松尾高弘 「Aquatic Colors」
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こちらがミラノサローネに出品した作品です。部屋の半分くらいのところで扇状の薄いスクリーンのようなものがあり、そこにクラゲの映像が投影されています。(右下の光が光源です) この作品はスクリーンに鑑賞者が近づくとクラゲが群がってくるのが面白くて、その反応を見てクラゲを集める遊びをしている観客もいました。
解説によるとこの作品も空間・光・人の関係性を表現しているそうで、緻密な映像やアルゴリズムによって、生命感あふれる光の有機的空間を作り出しているそうです。確かに以前ご紹介したクラゲを思い出す生命感がありました。背面の壁にも映りこむので海の中にいるような視点になるのも面白いです・
 参考記事:スカイアクアリウムⅢ (TOKYO CITY VIEW)

ということで、2点しかないので10分もあれば見終わるのですが、面白いので30分くらい眺めてきました。いづれも不思議な空間となっていて面白かったです。ここは無料なので、銀座に行く機会があったら覗いてみると面白いと思います。

帰ろうとしたらこのビルの1Fにも作品がありました。

松尾高弘 「Aurora」
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これは節電のため夕方(18時くらい?)にならないと動かないようですが、私が行った時にはちょうど動いていました。風と光でこの布をオーロラのように見せるという作品で、観ているうちに色が変わっていきました。 もうちょっと暗くなってから観たほうが良かったかなw

という事で、建物の外からでも鑑賞できるものもありますので、近くを通る際はちょっと気にしてみてください。


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凝縮の美学 名車模型のモデラーたち展 【INAXギャラリー】

先週の土曜日に京橋のINAXギャラリーで「凝縮の美学 名車模型のモデラーたち展」を観てきました。

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【展覧名】
 凝縮の美学 名車模型のモデラーたち展

【公式サイト】
 http://inax.lixil.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_001870.html

【会場】INAXギャラリー  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】銀座線京橋駅 都営浅草線宝町


【会期】2011年6月3日(金)~2011年8月20日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日17時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
閉館時間が近かったので、ほとんど貸切状態で観る事ができました。

さて、今回の展示はミニチュアのモデルカーの展示となっています。モデルカーと言ってもプラモデルのような形の決まったものではなく、ゼロから自分で作っていくという恐ろしく手のかかったものが展示されています。閉館まであまり時間が無かったため作品1つ1つメモは取らなかったので、ざっと展覧の様子だけご紹介しようと思います。

<凝縮の美学 名車模型のモデラーたち展>
まずは今回のメインの展覧会です。冒頭からモデルカーが並んでいて、1/15のブガッティやジャガー、モーガン、ベントレーといった名車が並んでいます。非常に光沢やフォルムが美しく、本当に実車がそのまま小さくなったような感じです。近くには部品や工具も展示されています。 これらを作った濱上晴市 氏の解説によると、こうしたモデルカーは最初に資料集めを行い、取材を重ねるようです。写真撮影を行い、採寸し、それを基に製作図面を書いて、必要であればそれに合わせた工具までも作るのだとか…。それでも完全に再現することは不可能なので、妥協する点の見極めが必要とのことでした。(実車と同じように動いたらちょっと怖いですけどねw) 1台に10ヶ月から1年ちかくかかるらしく、パーツは2000~3000も使うそうで、まさに職人芸というか精巧な技術を要する作品のようです。

この濱上晴市 氏以外にも山田健二 氏、水野秀夫 氏、斎藤勉 氏、高梨廣孝 氏という5人のモデラーの作品がブロックごとに仕切られて展示が続きます。

山田氏のフェラーリ「250-GTO」の1/5モデルはこの展覧会全体の中でも特にカッコいい…。ボンネットが外されていて中まで見えるのですが、そこもしっかり作りこまれているのは驚異です。 この辺にはモデルカーの製作中の木製?の模型がありました。それをサンドペーパーで削って有機的なフォルムを出しているそうで、気が遠くなりそうですw

その奥には水野氏のフォードのモデルカーなどが展示されていました。こちらにもシリコンの型や工具、ホイールなどがあり製作過程を伺わせます。

さらに進むと、高梨氏製作のバイクのモデルカーもあり、ブラフ「シューペリア」やドカティなどが展示されています。こちらも車のモデルに負けず劣らずの美しいデザインで、品格すら感じます。

一番奥にもジャガーやポルシェのモデルカーがあり、外見だけでなくエンジンや駆動部も見えて、そのまま動くのではないかと思うぐらい精密かつ忠実に再現されているようでした。



ということで、さほど車に興味が無い私でもかなり楽しめたので、車好きの方には堪らない内容ではないかと思います。公式サイトに作品リストもありますので、気になる方はチェックしてみてください。
 参考記事:凝縮の美学 名車模型のモデラーたち 展 展示品リスト


モデルカーの後、他の2部屋の展示も見てきました。こちらはメモを取らなかったのでご紹介は割愛しますが、公式サイトでその様子がよく分かるかと思います。

<窪 愛美 展 -壁の鳥 群れる土- Kubo Manami Exhibition>

 会期:2011年6月7日(火)~7月2日(土)
 公式サイト:http://inax.lixil.co.jp/gallery/ceramic/detail/d_001878.html


<三井美幸 -Black Party-展 Mitsui Miyuki Exhibition>
 会期:2011年6月1日(水)~6月25日(土)
 公式サイト:http://inax.lixil.co.jp/gallery/contemporary/detail/d_001875.html


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花の画家 ルドゥーテ『美花選』展 【Bunkamuraザ・ミュージアム】

前回ご紹介したお店でお茶した後、Bunkamuraザ・ミュージアムで「花の画家 ルドゥーテ『美花選』展」を観てきました。

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【展覧名】
 花の画家 ルドゥーテ『美花選』展

【公式サイト】
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/11_redoute/index.html
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_11_redoute.html

【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅
【会期】2011年5月29日(日)~7月3日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間20分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
意外と空いていてゆっくり観る事ができました。今回の展示には解説機がありません。

さて今回の展示はピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ(1759年-1840年)という画家の展示となっています。私は初めて知ったのですが、ルドゥーテはフランス革命の頃の植物画家で、マリー・アントワネットの収集室付素描画家の称号を得ていたそうです。(最近見たヴィジェ・ルブランたちと同時代の画家かな。)
 参考記事:
  マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン -華麗なる宮廷を描いた女性画家たち- 感想前編(三菱一号館美術館)
  マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン -華麗なる宮廷を描いた女性画家たち- 感想後編(三菱一号館美術館)

どちらかというと図鑑的な絵なのですが、ルドゥーテは「花のラファエロ」「バラの画家」と称えられ名声を得ていたようで、残した多くの作品の中でも、今回のメインとなる『美花選』はより広く花を愛する人のために作られたそうです。輪郭を線描しない点刻彫版法を駆使し、芸術的演出にも配慮した画風となっていて、今回は『美花選』に加えて代表作など144点の花々が展示されていました。一部、震災の影響でプログラムも変わっているようですが、特に気にならず楽しめる内容です。 詳しくは章ごとに気に入った作品をご紹介していこうと思います。なお、似たような作品名が多いので作品番号も記載しておきます。


<『美花選』に至る道>
最初の章は『美花選』以前の作品が並んでいるようでした。ルドゥーテはベルギー生まれで、パリに上京してからパリ自然史博物館(王の庭園)に足しげく通い、植物愛好家のレリティエとの出会いをきっかけにレリティエの著作の挿絵を担当するようになりました。 名声を不動にしたのはナポレオンの妻、ジョゼフィーヌに捧げた名著「バラ図鑑」だそうで、これは後の方に展示されています。まずはレリティエなどの著書への挿絵が並んだコーナーとなっていました。

R-2 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「アマリリス・アウレア」
球根から花まで超精密に描かれた写実的なアマリリスの銅版画です。茎が長いので途中で切って花だけ右にズラすように描かれています。葉っぱは縦に細い線が無数に描かれ、よく観察されているのが分かります。構図といい作風といい、まさに図鑑的な作品でした。
今回の展示は概ねこうした写実的な花の銅版画が大半です。この辺には他にも花弁や種を拡大して描いた作品などもありました。よくここまで観察しているなと驚かされます。

R-14 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ポプルス・アルバ」
葉っぱと枝が描かれた作品です。薄い色がつけられていて、やや芸術を意識したような感じも受けますが、それでも図鑑的です。こんな普通の葉っぱをこれだけ熱心に注目しているのは学者だけなのでは?? この辺にはこうしたかなり精密な葉っぱに作品が並んでいました。

[ユリ科植物図鑑]
この章には「ユリ科植物図鑑」というシリーズが展示されています。これはルドゥーテの最初の大作で、486点の色つきの図鑑です。ユリ科といいつつアヤメ科やヒガンバナ科も混じっているようで、まだ植物学が黎明期であったことが伺えるようです。また、当時ナポレオンはフランスの科学力を示す目的で近隣の王家に博物図鑑を配布したらしく、その中にこの図鑑も含まれていたというエピソードが紹介されていました。

R-27 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「リリウム・マルタゴン(マルタゴン・リリー)」
たくさんの紫の花をつける百合?です。葉っぱや雄しべ、雌しべなどまで丁寧に描かれていました。

この辺で、「点刻彫版法(スティップル法)」という技法について説明がありました。これは輪郭線を彫らずに針で銅板に点描する技法なのですが、点描といっても針の先どころか虫眼鏡で見ないと分からないくらいの精密さで描かれています。この点の密度で濃淡を出して立体的な表現となり、生き生きとして多色を用いても混ざり合わないという利点があるようでした。実際に虫眼鏡で見られる作品があるのですが、見ていると細かすぎて気が遠くなってきますw

R-40 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ナルキッスス・ラディアトゥス(スイセン)」
ようやく見覚えのある花が出てきましたw 黄色い小さな水仙が描かれた作品で、長い茎や球根、そこに生える髭までかかれています。この植物がどのようなものかよく分かる博物的な要素がある一方で、柔らかい陰影ですらりとした雰囲気がありました。

この近くにはネギやチューリップもあったのですが、あれもユリ科なのかな??


<『美花選』-最も美しい花々>
続いての章は今回のメインです。『美花選』はルドゥーテが67歳の頃からに取り組んだ彼の集大成と呼べる作品のようで、1827年から36回の配本により6年かけて完成しました。ルドゥーテはこれを植物画のお手本にして欲しいと考えていたらしく、写実的である一方で美術作品であることを強調しているようです。
展示はいくつかの項に分けられ季節や繁殖地によって分類されていました。

[早春の可憐な花々]
まずは水仙やヒヤシンスといった春の花のコーナーです。

F-5 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「フサザキズイセン/ヒガンバナ科」
白い水仙がたくさん花をつけている様子を描いたものです。相変わらず写実的ですが、今までの作品と比べると一気に華やかな印象を受けました。

F-19 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「イングリッシュ・アイリス/アヤメ科」
白っぽい花を咲かすアイリスを描いた作品です。今までの作品と大きく違うのが、花の下に蝶(蛾?)が描かれている点です。羽を広げてとまっているような感じですが、絵画的な要素となっているように思いました。

[ヨーロッパの花々-アルプスから地中海まで]
続いてはヨーロッパ原産の花のコーナーです。

F-86 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「イトシャジン/キキョウ科」
非常に細く優美な茎と鈴のような形の可愛らしい青の花をつけた花の絵です。その茎と花がリズミカルな印象を与えてくれました。

F-118 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「マルバアサガオ/ヒルガオ科」
青い朝顔を描いた作品です。題材のせいかどこか和風な印象を受けますw 細く、くるっと巻いた蔓は子供の時に育てた朝顔そのもので、薄い色合いと相まって可憐で爽やかな印象を受けました。

[庭の新しい仲間たち-遠方からの導入種]
続いては外来種のコーナーです。これって元々ヨーロッパに無かったの?と意外な花もありました。

F-17 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ダリア/キク科」
真っ赤なダリアを描いた作品です。ダリアは西洋画でもよく見るのでヨーロッパ産かと思っていましたがさにあらず。元々はメキシコが原産地のようで、ヨーロッパに持ち運ばれてフランスの庭を飾る花の1つとなったそうです。 この絵はダリアが大きく描かれ、華麗な雰囲気がありました。


[初夏の庭-バラの花園]
続いてはバラのコーナーです。

F-87 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ロサ・ケンティフォリア/バラ科」 ★こちらで観られます
ピンク色の美しいバラの絵です。つぼみや茎まで非常に細かく描かれ、小さなとげが付いているのが分かります。女性が好みそうな可愛らしい花でした。

[バラ図鑑]
こちらもバラのコーナーで、前のコーナーと繋がっています。白、黄色、赤などのバラが20点以上あって素人目にはどれも同じようなバラに見えますw また、ここにはバラをイメージしたドレスが3着と、バラの匂いを嗅げるコーナーもありました。この前の香り展にもこういうコーナーがありましたが、匂いを嗅げる趣向は面白いですね。
 参考記事:香り かぐわしき名宝 (東京藝術大学大学美術館)

[東洋への憧れ]
続いては日本など東洋が原産地の花のコーナーです。

F-9 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ツバキ(八重咲き栽培品種)/ツバキ科」
赤々としたツバキを描いた作品です。ツバキは日本原産らしく、しっとりとしていて、葉っぱに水滴が滴っているのも描かれていました。
この辺にはツバキや木蓮、アジサイ、葵などの作品もありました。ピンクのアジサイは特に可憐です。 その少し先には牡丹と芍薬のコーナーもありました。

[美しき実り-果物の肖像]
続いては果実のコーナーです。

F-103 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「イチゴ(フラガリア・チロエンシス)/バラ科」 ★こちらで観られます
タイトルを見た瞬間、イチゴってバラ科なんだ!?というのが一番の驚きでしたw ピンクのイチゴとまだ小さい緑のイチゴが描かれた作品で、上には白い花も描かれています。これまた可愛らしい雰囲気がありました。

ここには他にも洋ナシ、りんご、スモモ、杏、桃、ざくろ、イチジクなどもありました。いずれも艶やかで単なる静物とも違った雰囲気があります。美味しそうですw


<探検航海と植物画>
続いてはヨーロッパでは見慣れない、探検航海によってもたらされた植物画のコーナーです。この頃、植物の新種を追い求める一種のハンターのような人がいたそうで、多種多様な植物の絵が並んでいます。ここにはルドゥーテ以外の画家の作品も展示されていました。

[エキゾチックな植物]
F-7 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ツバメズイセン/ヒガンバナ科」
真っ赤なヒガンバナ?を描いた作品です。これは南アメリカが原産の花で、聖ヤコブのユリと呼ばれているそうです。花が細めですらっとした印象を受けました。それにしても水仙なのかヒガンバナなのかユリなのか何が正しいのかわかりませんw

[特別出品『バンクス花譜集』]
ここはルドゥーテ以外の画家の作品があるコーナーです。このコーナーの主役であるジョゼフ・バンクスはロンドン~ブラジル~オーストラリア~ジャワ島というように探検した人だそうで、3万点を越える植物標本を採取したそうです。帰国後には植物園の園長となり、ルドゥーテがロンドンに来た際には様々な便宜を図ってくれたそうです。

数名の画家に未完成の原画を仕上げさせたのが『バンクス花譜集』のようで、ここにはブラジル、ニュージーランド、オーストラリアなどで見つかった珍しい植物の絵が並んでいます。これらの作品もルドゥーテと同じようにかなり写実的に描かれていますが、表現方法がちょっと異なっていて、線の密集で描かれていました。

[デザイナー 古谷博光氏による空間演出] ★こちらで観られます
最後の部屋は再びルドゥーテの『美花選』などの作品が並んだコーナーです。ここはデザイナーの古谷博光氏による空間演出がされていて、扇状に広がる市松模様の床と、白いカーテンが並んだ華麗な空間となっていました。解説によると「女性のための城」であるマルメゾン宮殿の室内からインスピレーションを受けたそうです。

F-25 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「パンジー/スミレ科」
花束のように白、紫、黄色などの様々な色のパンジーが並んだ作品です。ここまで単体の花ばかりだったので華やかな印象を受けました。
この辺にはバラやカーネーション、ツバキなど見栄えの良い作品が並んでいました。

F-127 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「ツバキ、スイセン、パンジー
([下]ツバキ/ツバキ科、[右上]スイセン/ヒガンバナ科、[左上]パンジー、スミレ科)」

紅白のツバキ、白い水仙、後ろのほうには紫と黄色のパンジーが並んでいる花束のような作品です。全体的に水水しく水仙には水滴も描かれていました。色とりどりなのも目に鮮やかです。

[ベラムに描かれた水彩画]
最後はベラムという動物の皮に描かれた水彩画のコーナーです。ルドゥーテは版画を作る前にベラムに原画を描いていたようです。

V-3 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ 「花束 [カーネーション、オオセンナリ]」
真っ白なベラムにピンクのカーネーションと青いオオセンナリが描かれた作品です。鉛筆と水彩で描かれているので淡く、柔らかい印象を受けました。


と言うことで、博物的な要素が強めの画家で、今まで観てきた美術展とは一線を画す感じで中々楽しめました。花の名前や違いが分かる人はより楽しめるんじゃないかな。花好きの人はチェックしてみてください。


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カフェ マメヒコ パートⅢ 【渋谷界隈のお店】

前回ご紹介した、たばこと塩の博物館の展示を見た後、bunkamuraに向かったのですが、その途中で「カフェ マメヒコ パートⅢ」というお店でお茶してきました。

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【店名】
 カフェ マメヒコ パートⅢ

【ジャンル】
 カフェ / とんかつ

【公式サイト】
 http://mamehico.com/mamehico/
 食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13116731/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 渋谷駅/京王井の頭線神泉駅

【近くの美術館】
 Bunkamuraザ・ミュージアム
 たばこと塩の博物館
  など



【この日にかかった1人の費用】
 1250円程度

【味】
 不味_1_2_3_4_⑤_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(日曜日15時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_4_⑤_名店

【感想】
地図でも分かりづらいかもしれませんが、路地裏の3Fにあるお店ということもあって、空いていてゆっくりすることができました。なんとなく通って偶然見つけたお店ですw

さて、ジャンルで「カフェ/とんかつ」と書いたのですが、このお店は手前がバーカウンターのようなカフェ、奥がトンカツ屋さんとなっています。私はカフェのみの利用でしたので、評価はカフェのものです。偶然見つけたにしてはかなりお店だったので、ちょっと評価は高くしておきましたw
店内はこんな感じで、煉瓦造りでシックな雰囲気です。カウンターのみでちょっと狭いのが難ですが、渋谷とは思えない静けさで、クラシックが流れていました。
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この日は深煎りコーヒー(750円)と小豆トースト(500円)を頼みました。トンカツ屋さんなのだから、かつサンドを頼むべきだったのでは?と後で気づきましたw
コーヒーは珍しいサイフォン式で作ってくれました。このお店には姉妹店があるのですが、サイフォンはここだけのようです。
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まずは小豆トーストが焼きあがりました。温かくて結構ボリュームがあります。あずきとバターを付けて食べます。
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こちらはバター。塩気のきいた滑らかなバターで、これだけでもいけるくらい美味しい! すごくバターの香りもします。
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あんこは上品でかろやかな甘さです。パンの香ばしさと合って美味しい^^
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まあ、小豆トーストだけだったら味は④くらいなのですが、驚きはコーヒーです。
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入れてるときから良い香りがしていたのですが、飲むと渋味のないまろやかな味ですっきりしていて甘味すら感じます。
味も深く、口のなかに爽やかに広がってきました。これはサイフォンならではのまろ味かな。サイフォンは難しいのにこれだけ好みの味とは驚きました。

周りで烏龍茶を頼んでいた人もいたのですが、こちらも本格的な台湾流の淹れ方をしていました。非常に凝ってて良い感じです。


ということで、ゆっくりお茶するのに最適のお店でした。甘味メニューはほぼ無いですが、かなり満足です。次はトンカツもチャレンジしてみようかな??

ちなみに、このお店から東急に向かおうとするとすぐ近くにも姉妹店がありました。
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 食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13043557/

こちらもいずれ試してみようと思います。良いお店を見つけました^^


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華麗なる日本の輸出工芸 ~世界を驚かせた精美の技~ 【たばこと塩の博物館】

前回ご紹介したパルコファクトリーの展示を見た後、たばこと塩の博物館で「華麗なる日本の輸出工芸 ~世界を驚かせた精美の技~」を観てきました。

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【展覧名】
 華麗なる日本の輸出工芸 ~世界を驚かせた精美の技~

【公式サイト】
 http://www.jti.co.jp/Culture/museum/exhibition/2011/1104apr/index.html

【会場】たばこと塩の博物館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店

【最寄】】渋谷駅


【会期】2011年4月29日~7月3日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間50分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
そこそこお客さんが入っていましたが、空いていてゆっくり見ることができました。

今回の展示は明治時代頃から海外に輸出された工芸品をテーマにした内容となっています。明治維新の頃から日本は外貨獲得のため、さまざまな海外向けの工芸品を作成したそうで、横浜を中心に昭和初期にかけて大量に輸出されたそうです。特に明治初期から中期にかけて輸出された品は人気を呼び、ジャポニスムのブームを引き起こしました。
今回はそうした時期の輸出品が200点ほどならんでいて、いくつかのジャンルに分かれて展示されていました。詳しくはいつもどおり気に入った作品を通じてご紹介しようと思います。なお、似たような名前の作品が多いので、作品番号も付与しておこうと思います。


<冒頭>
2 「長崎青貝細工花鳥図ビューロー」
黒漆に螺鈿?の引き出しのついたビューローです。孔雀や草花が描かれ、これでもかとキンキラキンに光っています。ちょっとやり過ぎじゃないかって感じがしますがw 派手好きな外国人には受けが良かったのかな?
隣にも棚の工芸品が展示されていました。

126 「桔梗・鳥・霊獣図蒔絵洋櫃」
これは明治ではなく桃山時代の洋櫃です。いかにも宝箱という形をしていて、螺鈿が貼られ、桔梗や鹿が描かれています。これは南蛮貿易の頃の品で、たぶん以前ここで見たものと同じじゃないかな??
 参考記事:阿蘭陀とNIPPON ~レンブラントからシーボルトまで~ (たばこと塩の博物館)


<芝山細工> ★紹介ページ
続いて芝山細工のコーナーです。芝山細工とは貝や珊瑚、象牙、べっこうなどを用いて、漆器や象牙面に花鳥や人物の文様を象るもので、江戸時代に考案されました。最初は小物中心でしたが、明治には外国人の好みに応じて大型の作品も作られるようになったそうで、ここにも大型の作品が展示されていました。

8 「芝山細工四季花鳥図屏風」
4曲の衝立です。1扇ごとに木にとまる尾の長い鶏と鷹?の彫刻が貼り付けられています。非常に細やかで色も塗られ、手が込んだ感じがしますが、美術品としてはいまいち緊張感がない感じがするような…。(普段の展示で見ているのは帝室技芸員などの作品なので比べるのは酷かもしれませんがw)
この辺には衝立が並んでいました。一級の美術品ではなさそうですが、高そうな感じがします。

19 「芝山細工花蝶図飾盆」
これも芝山細工で、白い草花をあしらったお盆です。所々が螺鈿となっていて、意匠は写実的ですが優美な雰囲気がありました。
この辺は芝山細工の飾り額や箱などが多数展示されています。


<輸出漆器> ★紹介ページ
続いては漆器のコーナーです。ポルトガル、スペインとの貿易の頃から蒔絵や螺鈿の輸出が始まり、西洋でも人気を博しました。1609年にオランダとの交易が始めると、さらに人気と評価が高まり、漆器は「ジャパン」と呼ばれるほどだったようです。ここにはそうした品が並んでいました。

30 「牡丹に獅子・蝶図蒔絵箪笥」
タイトルの通り、牡丹や蝶、伏せている唐獅子などが象られた蒔絵のタンスです。金色の部分が多く、側面に家紋のようなものがあったり、びっしりと文様などが埋め込まれています。非常に豪華な雰囲気があり、これも派手好きな外国人には受けがよさそうでした。
他にも扇面散らしや宝尽くしといった古くからの題材の作品や、日本の風景や花鳥の意匠の作品など、漆器がずらりと並んでいます。まあ、いかにもお土産ものというものもありますが、日本らしさが感じられます。


<日本の古写真>
漆器のコーナーの辺りから、作品の上の方に古い日本の風景を撮った写真が並んでいます。これらには手作業で色がつけられていて、絵画と写真を合わせたような雰囲気があります。主に横浜で製作されたそうで、横浜写真と呼ばれお土産として外国人の人気を博したそうです。 川辺や藤の咲く場所など、綺麗な風景が多く展示されていました。


<横浜・富士山商会>
展示の中盤あたりに、明治から昭和20年代後半頃までに販売されたさまざまなお土産ものを売る店を仮定したコーナーがありました。ここには蒔絵の印籠、麦藁細工、寄木細工、九谷焼、有田焼、車の玩具(模型)などがところ狭しと並んでいました。何だか観光地に来た気分になりますw


<輸出陶磁器> ★紹介ページ
続いては陶器のコーナーです。陶器については1650年ごろにオランダに1452個の陶器が輸出されたという記録があるのが始まりのようです。その後、取り扱いが増えていき一時期は年間に4~5万点もの作品が輸出されたそうで、特に有田の金襴手が花形だったそうです。明治維新後は瀬戸焼や九谷焼、墨田焼などを生産して輸出したらしく、横浜では真葛焼が外国人の人気を集めたようです。
 参考記事:日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念 パリに咲いた古伊万里の華 (東京都庭園美術館)

51 「横浜絵付薩摩焼人物図大花瓶」
金色の大きな花瓶で、側面にたくさんの武者たちが描かれています。非常に細かく龍や文様なども施されていますが、何かいまいち足りない感じがします。豪華なんだけど美術品特有の気品がもうちょっと欲しいと言うか…。

61 「九谷焼美女喫煙図コーヒーセット」
日本風の美女が描かれたコーヒーセットで、お盆も含めて6点セットとなっています。いずれも同じ場面が描かれ、金色の文様で飾られていました。これは結構趣味が良い感じで好みでした。外国向けだけど意匠は日本という面白い作品です。

この辺りには寄木細工の机なども展示されていました。今回の展示で一番面白かったのが寄木で、最後にコーナーもあるので後述します。


<その他の輸出工芸> ★紹介ページ
ここには今まで紹介した以外の工芸品が並んでいました。べっこう細工の箪笥、象牙の箪笥、七宝、会津漆器などがあり、会津漆器にはキリストの磔刑像や書見台などもあって面白いです。


<寄木細工> ★紹介ページ
最後は寄木細工のコーナーです。寄木細工は古くはシリアで4000年以上前から作られていたそうで、それがシルクロードを通り中国経由で1350年頃に日本にも伝わってきました。その後、日本各地で作られていたそうですが、徳川家光が浅間神社を作る際に集めた職人たちによって始められたとされているようです。江戸後期には盛んに輸出されたようですが、1940年の大火と1945年の戦災で職人は絶えてしまったのだとか…。

117 「寄木細工壁付飾棚」
さまざまな文様でできた寄木細工の棚です。幾何学的なパターンや草花を模したものなど模様は様々で、非常に複雑な造りとなっています。これは中々見事で、職人技のすばらしさがよく分かりました。
他にも大きな寄木の棚や衝立があり、最後のこの章が一番面白く感じられました。


と言うことで、美術品のようなものもあればお土産もののようなものもありといった感じで、大きく感動する品はありませんでしたが、参考になる展示となっていました。こういう作品がジャポニスムを生んだのかと思うと歴史の流れを感じます。 三菱一号館美術館でもジャポニスム関連の展示が始まるようですので、こちらも参考にしてみるのも面白いかと思います。


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顔は宇宙だ。 【PARCO FACTORY パルコファクトリー】

先週の日曜日に、渋谷のパルコファクトリー(渋谷パルコパート1の6F)で、「岡本太郎生誕100年企画展 顔は宇宙だ。」を観てきました。

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【展覧名】
 岡本太郎生誕100年企画展 顔は宇宙だ。

【公式サイト】
 http://www.parco-art.com/web/factory/okamoto1105/index.php

【会場】PARCO FACTORY パルコファクトリー 渋谷パルコ パート1 / 6F
  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店 ※(近くのbunkamuraの周辺のお店を表示)

【最寄】渋谷駅


【会期】2011年5月20日(金)~2011年6月20日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日13時半頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんがいて、会場が狭いこともあって混雑感がありました。

さて、今年は岡本太郎の生誕100年ということで展覧会が目白押しとなっておりますが、今回も小展ながらも面白い内容となっていました。解説などは以前見た東京国立近代美術館の展示が包括しているので、詳しくは以前の記事を読んでいただければと思います。 この展示は写真OKでしたので、何枚か撮ってきた写真を使ってご紹介しようと思います。
参考記事:
  生誕100年 岡本太郎展 (東京国立近代美術館)
  生命の樹 (岡本太郎記念館)


<眼>
まずは眼に関する作品のコーナー。と言っても、本物ではなく垂れ幕となった作品と岡本太郎の写真が並んだコーナーです。

こんな感じで垂れ幕を抜けるように進んで行きます。改めて見てもインパクトがあります。
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これは以前の記事でご紹介した、「宇宙人東京に現る」という特撮映画の写真です。
目のついたヒトデみたいですが、原子核をイメージしたものと記憶しています。
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有名人と一緒の岡本太郎の写真も数点ありました。これはパブロ・ピカソとの写真。
岡本太郎はピカソに衝撃をうけて、乗り越えようと考えた人でした。
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<顔>
続いては顔に関する作品のコーナーです。

岡本太郎 「リョウラン」
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岡本太郎の母で歌人の岡本かの子の代表作に、「金魚繚乱」という作品があるそうで、これはそれを思い起こさせるそうです。確かにらんちゅうなどの金魚みたいな感じですね。
この近くには大好きな「若い夢(午後の日)」や「ノン」(頭部のみ)、「手の椅子」もありました。繊維強化プラスティックで出来ていてちょっと大きめです。

岡本太郎 「花びらの椅子」
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非常にポップで生命力を感じる椅子です。形も良いですが、このプラスティックの質感もよくあってるように思います。

岡本太郎 「人間ボトル(男・女)」
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これはキリンシーグラム社がつくば万博の際に特製ギフトとして販売したものです。白いのが男でウィスキー、ピンクは女でブランデーが入っていたそうです。
この辺には底に顔が彫刻されたガラスのコップや、顔の醤油差しなどもあります。


<宇宙>
最後は宇宙と題して、目玉作品が展示されたコーナーです。

岡本太郎 「豊穣の神話」 手前は「坐ることを拒否する椅子」
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「豊穣の神話」は渋谷にある壁画「明日への神話」と同じく、メキシコのホテルから大食堂のために依頼されたもので、これはその原画として最大の作品です。結局は計画は上手くいかずに作成されなかったようですが、原画からもエネルギーが伝わりました。(この写真は全部納まりきっていませんw かなり横長です。)
また、会場には座ると痛いと評判の「坐ることを拒否する椅子」があります。これはパルコの1階の通路にもあるので、普通のお客さんも目撃した人が多いんじゃないかな? 痛みを感じて生きている実感を湧かせてみてくださいw

岡本太郎 「マスク」
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これは大阪万博の太陽の塔の中で展示された仮面のようです。どこか原始的なエネルギーに溢れていて愛嬌があります。

この部屋には絶筆の「雷人」も展示されていました。
↓これはパルコの入口にあった「雷人」をトリミングして制作されたオブジェ。
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会場を出るとグッズショップもあります。この前の岡本太郎展で買い損ねた品がある人はここでチェックしてみてください。
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会場外には東近美で行列もできていたガチャガチャも置かれています!w
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ということで、20分くらいで周れるくらいの展示でしたが写真も撮れたし、岡本太郎の魅力を凝縮したような内容で面白かったです。渋谷という便利な立地になるので、買い物ついでに寄ってみるのも良いかと思います。

おまけ:
 先日、「Chim↑Pom」(チンポム)が渋谷駅構内の「明日の神話」に原発事故を連想させるベニヤ板張りの絵を貼った事件もありましたね。個人的には結構面白いと思ったのですが、「Chim↑Pom」は好きじゃないので何とも…w
 参考リンク:渋谷の岡本太郎壁画への落書き アート集団が公開


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映画「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」 (ネタバレなし)

日付が変わりましたがつい先ほど、明日(土)から全国公開の映画「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」の先行上映を見てきました。

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【作品名】
 X-MEN:ファースト・ジェネレーション

【公式サイト】
 http://movies2.foxjapan.com/xmen-fg/
  ※公式サイトの予告は強烈なネタばれを含んでいるので注意してください。

【時間】
 2時間10分程度

【ストーリー】
 退屈_1_2_3_4_⑤_面白

【映像・役者】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【総合満足度】
 駄作_1_2_3_4_⑤_名作

【感想】
先行上映だったせいか、レイトショーでも結構多くのお客さんが入っていました。

思い切って全部満点をつけてしまいましたw 元々このシリーズが大好きなので、その分が上乗せされているのは否めませんが、それを差し引いても娯楽映画としてここまで完成度の高いものは年に数本あるかどうかだと思います。
 参考記事:映画 「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」【ネタバレなし】


今回は、X-MENの指導者であるチャールズ・エグゼビアが主人公の話となっていて、X-MEN結成以前の宿敵マグニートとの関係なども分かる内容となっています。ここら辺はこのシリーズを知らなければ興味半減だと思うので、ファン以外にはどうかなという感じもしますが、ストーリーは中々にシリアスで、時代背景を絡めながらの展開は緊張感があって非常に楽しめました。また、このシリーズの面白いところは、人種差別や個性に関する問題を提示し、それに対する個々の見解がある点なのですが、今回もそこが大きなポイントとなっていて、メインキャラは特に強いキャラ付けがされていました。…その反面、脇役はちょっと地味だったかな?w 原作ファンはついていけると思うけど、人物は多めなので知らない人はついていけるかちょっと心配です^^;

もちろん、役者や映像も流石です。音楽やセットなども良かったし、全体的なクオリティの高さを感じます。

ということで、超能力ものやアクションが駄目という人には薦めませんが、アメコミ原作の映画が好きな人には面白いと思います。私はもう1回見ようかと悩んでいますw


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【江戸東京博物館】の案内 (2011年06月)

前回ご紹介した江戸東京博物館の中の甘味処で休憩した後、江戸東京博物館の常設も観てきました。残り40分程度という短い時間での鑑賞となりましたが、何度も見ているところも多いので、今回は以前と変わっていたところをご紹介しようと思います。(見た順がバラバラだったのでちょっと順不同です)

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参考記事:
 江戸東京博物館の案内 (2010年03月)
 江戸東京博物館の案内 (東京編 2009年12月)
 江戸東京博物館の案内 (絵画編 2009年12月)
 江戸東京博物館の案内 (江戸編 2009年12月)

公式サイト
 http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/permanent/index.html


美術館・博物館を巡っていると、たまに常識だと思っていることを根底から覆されることがあるのですが、↓これは久々に驚いた江戸時代の男女比の資料。
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なんと1721年は女性は35.5%しかいません! むさくるしいw

この挨拶している人をご存知の方は美術通です。誰でしょうか?
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正解は蔦重こと蔦屋重三郎です。つい最近、写楽展でもちょっとコーナーがありました。 隣の写真は「吉原細見」という吉原のガイドブックなどです。
 参考記事:
  写楽 感想前編(東京国立博物館 平成館)
  歌麿・写楽の仕掛け人 その名は蔦屋重三郎 (サントリー美術館)

さて、今回の常設は非常にタイムリーな展示が2箇所にありました。それは江戸・東京の大地震に関する展示です。ここから先はショッキングなシーンもありますので、先日の震災で心を痛めた方はご注意ください。

しばらく空行送りします。






























まずは江戸時代の安政の大地震(1855年)です。
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マグニチュード6.9で死者4000~10000人という大惨事だったそうです。これについてはこの日見た狩野一信の展示にも「震」という作品と関連があるので参考になりました。
 参考記事:五百羅漢 増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信 感想後編(江戸東京博物館)

これは地震の火災で焼け落ちた地域を書き込んだ地図。
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安否情報の一助として需要が高かったそうで、すりが間に合わないほど売れたのだとか。地震後に繋がらなくなった電話と同じことが江戸時代でもあったんですね…。

地震後の火災の様子。非常に恐ろしい光景です。
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悲劇の瞬間も生々しく描写されています。これを展示するのはちょっと早すぎじゃないかと思いますが、明日は我が身と思って備えなくてはと緊張感が走りました。
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左は江戸時代の災害年表。平和な時代のようでこれでもかと災害がおきています。
右は「鯰絵 地震よけの歌」というものだそうです。
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これは復興景気で潤う人々を描いた様子で、ちょっと皮肉な感じですが、復興景気で豊かになった暮らしを謳歌しようと生き延びた人の気持ちを歌っているそうです。いつまでも潰れっぱなしじゃなかったんですね。



続いてご紹介するのは、ちょっと時代が飛んで大正時代。(実際には江戸後期~明治時代の展示もあります)
この時代も江戸時代と同じく豊かで明るい時代でした。杉浦非水のこのポスターは何度観ても良いものです。
DSC_17746.jpg
 参考記事:
  大正イマジュリィの世界 デザインとイラストレーションのモダーンズ (松濤美術館)
  所蔵作品展 アール・デコ時代の工芸とデザイン (東京国立近代美術館 工芸館)

しかし、そんな平和だった大正時代にも災害はありました。ご存知、関東大震災です。
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左は安政の大地震と関東大震災の比較。関東大震災のほうが圧倒的に強震地域が範囲が広いことがわかります。
この時も火事となり、右の写真はその火の勢いでドロドロにとけた品々です。地震はその後も色々怖いですね…。

その後も太平洋戦争で焼け野原になったりと、よくよく東京は灰燼に帰しているわけですが、何度だって復活してきています。
戦後の復興のシンボルといえばやはり東京オリンピックかな。
DSC_17729.jpg DSC_17730.jpg DSC_17733.jpg
今でも通じそうな躍動感があるポスターで、当時の日本の勢いと希望を感じます。


ということで、今回は江戸・東京の震災と復興についてだけ抜粋してみました。歴史を見ても日本はこれでもかと災害にあっていますが、その都度、復活して以前より活気を取り戻しているのが分かると思います。今は大変な時期ですが、こういう歴史があったのかと知れば希望も湧くのではないでしょうか。ちょっとショックな内容もありましたが、このメッセージの受け止め方次第だと思います。なかなか身にしみる展示でした。


これにて江戸東京博物館編は終了です^^


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