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シルク・ドゥ・ソレイユ 「ZED(ゼッド)」 【シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京】

今日は美術館ネタではありませんが、この前の土曜日に舞浜のシルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京で、サーカスの「ZED(ゼッド)」を観てきましたので、ご紹介しておこうと思います。

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【公式サイト】
 http://www.zed.co.jp/home.php
 http://t.pia.jp/feature/event/zed/zed-top.html
icon

【最寄】
 舞浜駅
 

【時間】
 1時間30分程度

【感想】
私が観たのは土曜の13時からの回だったのですが、満席となっていて盛況でした。私の席はステージのちょうど真横あたりで、結構前のほうでした。振動が伝わってくる臨場感が凄いw

地図で観ると一目瞭然ですが、このシルク・ドゥ・ソレイユシアターは東京ディズニー・リゾートの一部で、日本オリジナル演目の「ZED」のために総事業費140億円と約2年間の工期をかけて2008年10月に完成したそうです。しかし、震災の影響で今年(2011年)の12月31日で閉幕となる予定となっています。その為か、最近シルク・ドゥ・ソレイユとディズニーランドorディズニーシーのセット券(私が観たのは10500円)が発売されていて、いい機会なので観にいってきました。

ネタバレしない程度にご紹介すると、ZEDというのは↓の白い服を着たピエロのような人物です。その他にも2人のピエロがいて、この3人が狂言回しとなって不思議な世界に迷い込むストーリーとなっています。ピエロの言葉は全く分かりませんがピエロの動きで伝わってくるのも見どころの1つかな。
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このシルク・ドゥ・ソレイユは1984年にカナダで結成されたそうですが、現在では22カ国もの人達で構成されていて、中にはオリンピックの選手だった人もいるそうです。また、アカデミー賞(音楽賞)を受賞したフランソワ・ジラール監督を始め、企画・演出も超一流の人材が揃い、まさに総合芸術と言って過言のない内容となっています。

肝心のサーカスについては、次々と個性豊かなキャラクターたちが現れてはエキサイティングなサーカスを展開していくのですが、単に技が優れているだけではなく衣装やセット、演出が非常に芸術的で優美な印象を受けます。特にソロ・ティシューという布に巻き付きながら上下するアクトや、バンキンというアクロバティックなアクト、ハンド・トゥ・ハンドという人体の限界を超えているようなアクトが印象的でした。これはとても文章で伝えられるものではないので、紹介ページのリンクを貼っておこうと思いますw
 参考リンク:
  ZEDのキャラクター紹介
  ZEDのストーリー紹介
  ZEDのアクト紹介

また、セットが大掛かりなことに驚きました。開演前は幕に覆われているのですが、開演してから閉幕まで、実に計算された仕掛けが用意されていました。これは常設劇場でなければ出来ないクオリティなのでは?? この劇場でないと見られないものだと思います。
 参考リンク:ZEDの施設紹介


ということで、非常に感動的な時間を過ごすことが出来ました。帰る頃にはすっかりシルク・ドゥ・ソレイユのファンになっていましたw 昔からサーカスは多くの作家にインスピレーションを与えてきましたが、その理由もわかったように思います。
今年一杯で閉幕してしまいますので、ご興味のある方は今のうちにどうぞ。ディズニーとのセット券は非常にお得です^^


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あこがれのヴェネチアン・グラス ― 時を超え、海を越えて 【サントリー美術館】

前回ご紹介したカフェでお茶した後、サントリー美術館へ行って開館50周年記念「美を結ぶ。美をひらく。」III コーニング・ガラス美術館特別出品 あこがれのヴェネチアン・グラス ― 時を超え、海を越えて を観てきました。今回も年間パスでの入場です^^

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【展覧名】
 開館50周年記念「美を結ぶ。美をひらく。」III
 コーニング・ガラス美術館特別出品
 あこがれのヴェネチアン・グラス ― 時を超え、海を越えて

【公式サイト】
 http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/11vol04/index.html

【会場】サントリー美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】2011年8月10日(水)~10月10日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日18時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
意外なほど空いていてゆっくりと観ることができました。

さて、今回の展覧会はヴェネチアン・グラスをテーマにしていて、その歴史から現代の活動までを知ることができる内容となっていました。ちょうど先日、庭園美術館でもガラスの展示があったので、そこで得た知識も鑑賞する上で役に立ちました。
 参考記事:
  国立エルミタージュ美術館所蔵 皇帝の愛したガラス 感想前編(東京都庭園美術館)
  国立エルミタージュ美術館所蔵 皇帝の愛したガラス 感想後編(東京都庭園美術館)

まず冒頭に簡単な概要があります。ヴェネチアン・グラスは1450年頃に開発された無色透明のクリスタッロの誕生と、都市経済の繁栄を背景として隆盛を極めました。王侯貴族に愛され、秘密保持や火災拡大防止のためにムラーノ島に限って製作されていましたが、やがて技術は流出していきます。そして模倣と地域性の狭間で生まれた「ヴェネチア様式」が16~18世紀にかけてヨーロッパを席巻し、それらは南蛮船で日本にも伝わって日本にも影響を与えました。この展示にはそうしたヴェネチアでの隆盛から、流失によって広まったヴェネチア様式、日本への影響、ヴェネチアン・グラスの再興、現代のヴェネチアン・グラスについての5章に分かれていたので、章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。なお、似た名前の作品が多いので作品番号を併記しておこうと思います。


<第1章 ヴェネチアン興隆―技術の応酬>
1章はヴェネチアが圧倒的優位だった時代についてです。いつからヴェネチアでガラスが作られていたかはハッキリと分かっていないようですが、982年の文献には既にガラス職人がいたことが記されているようです。10世紀頃はイスラムや東方との交易でその文化に触れると共に、経済の繁栄などに支えながらガラス工芸は発達していきました。1268年にはガラス同業者組合が結成され、1291年の政府による職人のムラーノ島への強制移住などによって芸術品としてのヴェネチアン・グラスの道のりが次第に整って行きました。そして1450年頃にアンジェロ・バロヴィエールという人(たち)によってクリスタッロが開発され、ヴェネチアの優位性が確定的なものになったようです。この章ではそうしたヴェネチアで作られた様々な技法の作品が並んでいました。

12 「船形水差」 ヴェネチア ★こちらで観られます
船を形をしたガラス器です。マストの上に山羊の角がくっついていて、解説によるとこれは豊穣のシンボルだそうです。また、船の形は金属製のカトラリー入れに由来しているそとのことでした。ガラス棒を溶かしながら組み上げた「ホットワーク」の技が緻密で驚きます。

1 「エナメル彩ゴブレット」 ヴェネチア
規則的で幾何学的なすずらんのような模様がついた透明のグラスです。この装飾はイスラムの影響を感じさせ、エナメル彩の技法もシリアやダマスカスから伝わってきたもののようです。可愛らしくて異国情緒あふれる作品でした。
この隣にはギリシャ神話のトリトンを描いたゴブレットなどもありました。

7 「ダイヤモンドポイント彫り脚付鉢」 ヴェネチア
円形の透明の鉢に、白い花模様がぎっしり描かれています。これはダイヤモンドポイント彫という技法が使われていて、ダイヤモンドやガーネットなどで引っ掻いて描いているようです。解説によるとこの技法は古代ローマの頃からあるようですが、1530年頃からヴェネチアの名産であったレース編みの雰囲気を出すために使われだしたそうです。引っかき傷といっても非常に緻密でミリ以下の細工となっていました。根気と器用さに驚きます。
この辺には無色透明のクリスタッロの作品が並んでいました。形そのものもシンプルで優美な雰囲気です。

18 「レースグラス蓋付ゴブレット」 ヴェネチア
ヴェネチアのレース編みをグラスで表現した作品です。白い網目のガラスが渦巻くようになっていて、まさにレースの雰囲気がよく出ています。この製作方法は2種類のガラス棒を交互に配置して重ねていきます。この発想は単純なようで、実際に観ると技術の高さに感心するばかりです。

この辺はレースグラスが並んでいます。幾何学的で数学のグラフを思い出すのは私だけではないはずw また、ムラーノ島を描いた絵画作品や破損したガラスを回収する人を描いた作品など、ガラスが浸透していった様子もわかるようになっていました。

23 「カルセドーニオ瓶」 ヴェネチア
色々な素材が混じり合ったマーブル模様の作品です。これは「カルセドーニオ」という技法で、15世紀に考案されたそうです。滑らかな質感と流れを感じるような模様が独特で面白かったです。

この章の最後の辺りには氷がひび割れたような「アイスグラス」の技法の作品もありました。


<第2章 流出したヴェネチアン―「ヴェネチア様式」の誕生>
ヴェネチアン・グラスは16~17世紀には諸外国に輸出されていて、それを手本としたガラスが作られていくようになります。禁じられていた職人の国外移住も進み、独立していったようです。特にオーストリアやネーデルランドは質が高く、ドイツ、スペインなどでは当地の美意識を反映した新たな様式も生まれていきます。これらヴェネチアン・グラスの影響を受けたものは「ヴェネチア様式(ファソン・ド・ヴニーズ)」と呼ばれたそうで、隆盛を誇っていきます。また、1612年に出版されたアントニオ・ネーリの著書「ラルテ・ヴェトラリア」によってガラス製法のノウハウが明かされると、ヴェネチアの技術流出は決定的となったそうです。この章にはそうしたヴェネチア様式の作品が並んでいました。

45 「ダイヤモンドポイント彫り栓付」 ネーデルラント
青いガラスの瓶の側面に花鳥がダイヤモンドポイント彫りで描かれています。題材のせいかどこか東洋風な感じもするかな。色そのものも美しい作品でした。

この辺にはヴェネチアのレースグラスそのものといったネーデルランドで作られた作品もありました。

47 「アイスグラス・ビーカー」 ネーデルラント
表面がひび割れているような質感のビーカーで、これはガラスが熱いうちに一気に冷やしひび割れさせる「アイスグラス」の技法で作られています。側面に3つの人面がついているのですが、この形は北ヨーロッパのものなのでネーデルランドの作品だそうです。本当にヴェネチアの作品そのものに見えます…。技術移転は相当進んでいたことを感じさせました。

この近くにはドラゴン・ステムという柄の部分が龍になっているヴェネチア発祥のデザインの作品が並んでいました。これも真似されていて、並んでいるのはドイツ製などでした。また、アントニオ・ネーリの本も数冊あり、色々な言語版となっていました。

57 「レースグラス・カンティール」 スペイン
台座のついた急須のような形の器です。把手の部分に鳥が乗っていて、胴の部分はレースグラスのように縞模様がついています。形も技法の使い方もヴェネチアとは違っていて独自性を感じさせました。

61 「エアーツイストステム・ゴブレット(5種)」 イギリス
柄の部分が螺旋を描くようになっているイギリス製のゴブレットです。当時のイギリスではガラスの重さによって課税していたそうで、螺旋の部分は空気を送り込んで軽くしていたようです。シンプルながらも優美な作品が並んでいました。

この辺の壁面にはガラス工房の工程を描いた書物の版画が並んでいます。ネーリの本の中身かな? 道具や作業方法を正確に描いているようで、これが流出したらもはや秘密でも何でもないですねw


<第3章 ヴェネチアンと和ガラス>
3章は意外にも日本の章です。16世紀の頃からヴェネチア様式のガラス器が献上品として贈られて各地に伝わっているようで、17世紀の中頃にそれらヨーロッパガラスに憧れて、日本でもガラス器の制作が始まりました。その制作にはネーリの本からの影響もあるようです。

77 「藍色ちろり」 日本 ★こちらで観られます
この美術館の展示でよく見る藍色のちろりです。把手の捻りなどや口のつきだしたところなどにヴェネチアグラスとの共通点があるとのことで、言われてみると確かにここまで観てきた作品に共通するものを感じるような…。 その涼し気な色合いと共に気品ある作品でした。
 参考記事:和ガラス -粋なうつわ、遊びのかたち- (サントリー美術館)

この近くには八王子城や仙台城本丸、出島などから出土したヴェネチア様式のグラスの破片なども展示されていて、当時のガラス器がここまで伝わっていたことがわかりました。

85 「ぎやまん彫り梅文藍色脚付杯」 日本
淡い青色で朝顔の花のような形の杯です。側面に梅の紋様が彫られていて、これはダイヤモンド・ポイント彫りの技法であり日本にも伝わり「ぎやまん彫」と呼ばれていたようです。形も色も日本独特な感性があるように思いますが、それでもヴェネチアの影響は強いようでした。

この辺にはぎやまん彫りの作品が並んでいました。細かくて肉眼で観るのは大変かも…。ミュージアムスコープを持っている人は持っていった方が良さそうです。

92 「練上手徳利」 日本
これは先ほどの「カルセドーニオ」と同様の技法で作られたマーブル模様の徳利です。いくつもの色が混じり合い、流れを作っているような感じです。解説によると、透過光にかざすと赤一色に輝くそうで、ちょっとそれを観てみたいかもw
この辺にはこうした「練上手」(マーブルグラス)の作品も数点ありました。

80 「オペークツイストステム・ゴブレット」 日本
これは先ほどのイギリスのツイストステムのゴブレットをそのままコピーしたような作品で、柄の部分に螺旋状の模様が封入されています。また、この作品の隣にも似たような作品があり、そちらはツイストの方法がわからずに実際にねじって作ったものもありました。どちらも試行錯誤の様子を伺わせました。

この辺の壁には用語解説などもありました。


<第4章 ヴェネチアン再興―19世紀イタリア>
ここからは下の階です。17世紀以降、ヴェネチアは主導的立場を失い、ガラス輸出も激減していきました。1797年にはヴェネチア共和国が崩壊し、それが追い打ちとなって500年続いた職人組合も解体してムラーノ島も立ちゆかなくなりました。しかし、この頃の職人は古代の名品のレプリカ制作に活路を見出し、19世紀になると博物館・美術館の建設ブームでレプリカの需要が大きくなっていったそうです。また、アントニオ・サルヴィアーティやヴィンチェンツォ・ザネッティらによって工房や美術館、学校などが開かれ再興していったようです。ここにはそうしたレプリカや再興期の作品が並んでいました。

100 サルヴィアーティ& C.  「ディアトレッタ杯」
大きな黄色っぽい杯です。ドイツで見つかった古代ローマのグラスを模しているらしく、側面には輪っかをつなげたような網目状の模様があり、今まで観てきた作品とはだいぶ違う印象を受けます。しかし、それを再現するだけの技術の高さは感じられました。

108 「ティーカップ&ソーサー」 ヴェネチア ★こちらで観られます
金色でエナメル彩が施されたティーカップで、レースグラスの紋様やイスラム風の雰囲気があります。把手のついたティーカップの形は18世紀の形だそうですが、過去の技法を復興させる様子が伺える作品でした。

この近くにはペーパーウェイトなどもありました。様々な作風の作品が並んでいます。

101 サルヴィアーティ& C.  「ドラゴンステム・ゴブレット」
伝統のドラゴンステムゴブレットの新しい解釈といえる作品です。柄の部分が太く、捻りがあります。細かい網目のような模様で木のように赤い花もつけていました。これはサルヴィアーティの会社で作られたようですが、伝統と革新の両面があるように思いました。


<第5章 今に息づくヴェネチアン―現代アートへの影響>
20世紀に入ると、職人の技とデザイナーの発想のコラボで画期的な作品を生み出し、ヴェネチアに新しい風が入ってきたようです。最後の章には現代の作家との作品が並んでいました。

119 ヴェニーニ & C パオロ・ヴェニーニ、フルヴィオ・ビアンコーニ 「Fazzoletto (ハンカチ)」
レースのハンカチがふわっと落ちて行くような形の花器です。見事なレースグラスの技法と、軽やかな造形が合わさってより一層面白さを感じました。結構大きい作品なのも目を惹きました。

ここからは一気に現代アートの洗練された雰囲気となりますw

123 サルヴィアーティ& C. 「船形容器」
1章にあった船形の作品の色を変えたような作品です。茶色を使っていてマストの上には龍を配するなどオリジナルとは若干違ったところもあるかな。そのせいか、現代的な斬新さを感じました。

127 リチャード・マーキス 「トロフィー(黄・緑・黒)」
明るい黄色や緑、黒など様々な色のガラスで作られたトロフィー?です。上はヤカンのようだったり、把手はレースグラスのようだったり、割れた破片をくっつけているなど奇想天外な雰囲気があります。伝統技法を取り入れている点もありつつ、遊び心を感じる作品でした。

142 江波冨士子 「雨のち虹」
ムッリーネという技法を使って作られた7×14個の小さなガラス郡です。透明から薄い青、虹色などグラデーションのように並んでいて、側面には雨を連想される模様もありました。まさに虹の光のような楽しげな作品です。

この辺にはムラーノ島の様子を描いた古い絵などもありました。

131 ダンテ・マリオーニ 「ブルー・トリオ」
緩やかで優美なプロポーションをたたえる水差しと杯のような形の3つの器です。深い藍色に鮮やかな朱色の淵や把手がついていて、色の対比が非常につよくなっています。形も色も斬新な感じを受けましたが。ヴェネチアの技法も活かしているようで面白かったです。

この辺には大平洋一や藤田喬平の作品などもありました。

140 三嶋りつ惠 「Spin」
太いガラスが渦を巻くような作品です。ホットワークの技法で作られているらしく、この作家はあえて無色透明にこだわっているようです。(風景に溶け込むのを意識しているのがその理由のようです) こちらも個性的な雰囲気がありました。

145 植木寛子 「向日葵の蕾」
ムラーノ島で活動する1978年生まれの若手作家の作品です。赤い女性の足首に花が巻き付くような形をしていて、その色も形も題材も非常に面白いです。この人は他にもイシス像を模した作品やトルソのような作品もあり、いずれも軽やかで女性的な美しさがありました。



と言うことで、ガラスを題材にした展覧会に定評のあるサントリー美術館だけあって見応えのある内容でした。ゆっくり観ることができたのも良かったです。庭園美術館の展示と同様にガラス工芸の歴史を知ることもできるし、華やかな傑作を観ることもできるのでお勧めです。


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ukafe(ウカフェ) 【六本木界隈のお店】

前々回前回とご紹介した国立新美術館の展示を観た後、ミッドタウンに移動して「ukafe(ウカフェ)」というお店でお茶してきました。

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【店名】
 ukafe(ウカフェ)

【ジャンル】
 カフェ

【公式サイト】
 http://www.ukafe.info/
 http://www.tokyo-midtown.com/jp/shop-restaurants/food-cafe/SOP0000120/index.html
 食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13108902/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 六本木駅/乃木坂駅

【近くの美術館】
 サントリー美術館
 21_21 DESIGN SIGHT
 国立新美術館
  など




【この日にかかった1人の費用】
 1100円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日17時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
ここは以前ご紹介したIDEE CAFE PARCと同じくミッドタウンの中にあるのですが、遅い時間に行ったこともあり空いていてゆっくりすることができました。
 参考記事:IDEE CAFE PARC (六本木界隈のお店)

内装はこんな感じでジャズが流れる非常に洒落た雰囲気です。
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景色は雑居ビルだらけなので微妙ですが、大きな窓で明るい店内となっています。
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この日は焼きりんご(600円)とオーガニックコーヒー(600円)を頼みました。2つあわせると100円引きとなります。
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まずはコーヒー。このお店はオーガニックにこだわっているようです。
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まろやかで飲むと香ばしい匂いがします。苦味はあるけど酸味はなくて、軽くて飲みやすいです。

こちらは焼きりんご。焼いていたらしく来るのに時間がかかりました。本当にりんごまるごと一個でてきて驚き!
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食べると口の中にひろがる甘味と酸味がありました。柔らかくてすこししゃくしゃくした感じも残っていて食感が気持ち良かったです。芯のあたりまであつあつなのも美味しい。

ということで、洒落た店内でゆっくりとすることができました。ミッドタウンの中だけでも良いカフェが多いので、カフェ巡りをしてみるのも楽しいです。こちらのお店もまた寄ってみたいと思います。

この後、サントリー美術館の展示を見てきました。次回はそれをご紹介しようと思います。


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ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション  (2回目感想後編)【国立新美術館】

今回は前記事でご紹介した国立新美術館の「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション」 の後編となります。前編同様に見どころや各章の詳細については以前ご紹介したので省略して、まだご紹介していない作品についてご紹介していきます。以前の記事を読んでいない方は先にそちらを読んで頂けると嬉しいです。

 参考記事:
  ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション 感想前編(国立新美術館)
  ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション 感想後編(国立新美術館)
  ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション  2回目感想前編(国立新美術館)

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まずは概要のおさらいです。

【展覧名】
 ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション
【公式サイト】
 http://www.ntv.co.jp/washington/index.html
 http://www.nact.jp/exhibition_special/2011/nga/index.html

【会場】国立新美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2011年6月8日(水)~9月5日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
前記事では2章の途中までご紹介しましたが、今回は2章の女性画家のコーナーからご紹介します。

<第2章 印象派>
2章の後半には印象派時代の女性画家の作品を集めたコーナーがあります。

ベルト・モリゾ 「ロリアンの港」
右端の石造りの堤防?のようなところに座る女性と沢山の船が川に浮かぶ光景を描いた作品です。爽やかで透明感のある水の表現はコローに通じるものがあるかな。女性は白いドレスに白い傘をさしていて優美でした。

ベルト・モリゾ 「麦わら帽子をかぶる若い女性」
黄色い麦わら帽子をかぶり、黒い布を巻いた右向きの女性を描いた作品です。実際には柔らかな色彩で描かれていますが、背景が緑で覆われているせいか鮮やかな印象を受けます。手の辺りに赤い花があり、それを観ているのかな?ちょっとボーっとしているような感じもしました。

メアリー・カサット 「浜辺で遊ぶ子どもたち」
砂浜に座って足を投げ出し、小さなバケツとスコップで砂遊びをしている2人の少女を描いた作品です。一人は赤いリボンのついた麦わらをかぶっていて表情は見えません。また、2人はお互いにそっぽを向いていて、一心不乱に遊んでいるように見えました。子供は昔も今も変わらないですねw


<第3章 紙の上の印象派>
続いてはエッチングやリトグラフなどの版画やパステルなどのコーナーです。

エドゥアール・マネ 「シャボン玉を吹く少年」
1868年に描かれた同名の油彩画をもとに描いたエッチングで、少年が右手で皿、左手で細長い管を持ち、その先には丸いシャボン玉が膨らんでいます。解説によると、これは継子を描いたもので、シャボン玉は17世紀頃から儚さの象徴として描かれていたようです。緻密な引っかき傷を使った表現は写実的でこの人物の特徴が伺えるようでした。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「ボールで遊ぶ子どもたち」
カラーリトグラフで、赤い服の子と水玉の服の子がボールを取ろうとしゃがみこんでいる様子を描いています。水玉の子は赤い服の子を引っ張っていて、抑えつけるような感じです。その後ろにも2人の子がいて、ボールを追っかける遊びなのかな? 背景には積み藁らしきものもあり田舎ののどかな生活の様子を想像させました。

ポール・シニャック 「ブイ」
これもカラーリトグラフで、点描の技法で港に浮かぶブイと船、周りの建物などを描いています。6色しかないようですが、青い海にオレンジや黄色が多用されて明るい印象を受けました。海の上で描いたような視点も面白いです。

ポール・セザンヌ 「水浴の男たち(小型の版)」
木の下で水浴している6人の裸の男性を描いた作品です。肌は白くて塗り残しているのかな? すらすらっと描かれた輪郭や淡い色合いが軽やかな印象を与えました。それに加えてセザンヌらしい構成力もあるように思います。

メアリー・カサット 「オペラ座の桟橋席にて(No.3)」
大きな扇子を持ってオペラを鑑賞する女性を描いた作品で、笑顔を浮かべているように見えます。背景には女性を取り囲むように観客席が描かれていました。解説によると、油彩と比べると構図は似ているが より抽象化されて銅版画の効果が際立っているとのことでした。カサットの作品は点数が少ない割に色々と画風が観られて面白いです。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「マルセル・ランデ嬢の胸像」
横向きでオレンジの髪にピンクの髪飾り?をつけた女性が描かれた作品です。何やら意地悪そうな顔でだいぶ特徴や内面を強調したような感じを受けました。ロートレックらしいシニカルな感じです。


<第4章 ポスト印象派以降>
最後はポスト印象派以降のコーナーです。個人的にはここが一番内容が濃いように思います。

ポール・セザンヌ 「アントニー・ヴァラブレーグ」
黒いタキシード?を着て座る、黒髪に口ひげの男性を描いた肖像画です。似た顔で言うとリンカーンみたいなw 大胆な筆使いと色使いで膝に置いたこぶしなどから力強さを感じました。厳格そうな人物です。

ポール・セザンヌ 「水辺にて」
川辺とその岸にある家々を描いた作品です。抽象的な感じすらして筆が早そうに見えます。所々に塗り残しのような所があり、未完成のようにも見えますがそれがかえって力強い印象となっているように思いました。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「プロヴァンスの農園」
手前に黄土色に染まった草むらが描かれ、そこに背を向けて立つ人、奥には黄色い壁の家と門が描かれています。黄色っぽい色が多い中、赤や緑っぽい空など色が対比的に使われているように思います。細かい長方形を重ねた点描が発展したような表現など、独特の個性を感じました。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「薔薇」 ★こちらで観られます
エメラルドグリーンの背景の前に置かれた花瓶に入った白い花束を描いた作品です。花は波打つように厚塗りされていて、葉っぱは黒い輪郭で力強く表現されています。背景には右から左に流れるような白い線が描かれ、風のようにも思えます。花瓶の前にはこぼれ落ちたような花があり儚さも感じましたが、全体的には生命力がありました。
 参考記事:
  ゴッホ展 こうして私はゴッホになった 感想前編(国立新美術館)
  ゴッホ展 こうして私はゴッホになった 感想後編(国立新美術館)
  ゴッホ展 こうして私はゴッホになった 2回目感想前編(国立新美術館)
  ゴッホ展 こうして私はゴッホになった 2回目感想後編(国立新美術館)

ということで、傑作が多く並ぶ滅多にない機会となっていました。もうすぐ終わってしまいますので、まだ観ていない美術ファンの方は是非足を運んでみることをお勧めします。

おまけ:
国立新美術館は次のモダン・アート・アメリカン展も非常に楽しみです!
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ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション  (2回目感想前編)【国立新美術館】

この前の土曜日に、六本木の国立新美術館へ行って「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション」を再び観てきました。
見どころや各章の詳細については以前ご紹介したので省略して、今回はまだご紹介していない作品についてだけ簡単にご紹介しようと思います。今回は補足的な感じですので、以前の記事を読んでいない方は先にそちらを読んで頂けると嬉しいです。。
 参考記事:
  ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション 感想前編(国立新美術館)
  ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション 感想後編(国立新美術館)

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【展覧名】
 ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション
【公式サイト】
 http://www.ntv.co.jp/washington/index.html
 http://www.nact.jp/exhibition_special/2011/nga/index.html

【会場】国立新美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2011年6月8日(水)~9月5日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
込み具合は開催開始から1週間の頃に行った時より若干混んでいたかな。どっちにしろ混んでいますw 人が多いところでは2~3列に並んで観ていくような感じですが、終盤辺りは何故か空いてきます。逆に、閉館近い17時過ぎには前半が空いていましたので、先に空いているところから観ていくのもありかもしれません。


<第1章 印象派登場まで>
まずは印象派の登場の少し前の時代の作品のコーナーです。

ギュスターヴ・クールベ 「ルー川の洞窟」
クールベの故郷の水面の洞窟を描いた作品です。絵の左側と上側に岩壁が描かれ、ゴツゴツした力強い岩肌の様子がよく出ています。手前では何かを投げる仕草の人がいて、右のほうでは飛沫をあげているような描写もありました。静と動、光と闇の対比を感じる作品です。

ウジェーヌ・ブーダン 「オンフルールの港の祭」
港に泊まる船を描いた作品です。船のマストには沢山の万国旗のようなものがはためき、お祭りのようです。空の色は青、白、やや暗い色など緻密な表現となっていました。お祭りの楽しげな雰囲気や爽やかさを感じる作品です。

エドゥアール・マネ 「プラム酒」
帽子を被った薄いピンク色の服を着た女性がテーブルに肘をついて右の方を見ています。女性の前にはプラム酒らしきグラスがあり、女性はぼ~っとした表情をしていました。背景にあるドアのようなものや机、ソファなど水平・垂直が多いせいかキッチリした感じを受ける作品でした。

エドゥアール・マネ 「キング・チャールズ・スパニエル犬」
赤い座布団のようなものに乗った耳が垂れた犬を描いた作品です。茶色と白の毛並みがふわっとしていて、何とも可愛らしいです。キョトンとしてこちらを見る目もラブリーでした^^

フレデリック・バジール 「エドモン・メートル」
横向きに描かれた黒いスーツの男性です。左手でタバコを持ち、右手で本を押さえてうつむきながら読んでいます。右は明るく左は暗い背景となっていますが、黒の服と背景の境界ははっきりしていて黒の使い分けは流石です。結構写実的で、服の質感や人物の教養深そうな人格まで伝わってきそうでした。
 参考記事:マネとモダン・パリ (三菱一号館美術館)


<第2章 印象派>
続いては一番人気のありそうな印象派のコーナーです。

クロード・モネ 「揺りかご、カミーユと画家の息子ジャン」
揺りかごの中に入った赤ん坊と、その周りの花柄の天蓋のような(もしくはカーテンのような)ものを描いた作品です。その隣では女性がじっと赤ちゃんを見つめていて、でんでん太鼓や風車のような和風のおもちゃも転がっています。明るく軽やかな色使いで、あどけない息子と妻を愛情深く描いているようでした。

クロード・モネ 「太鼓橋」
モネの晩年の自宅にあった太鼓橋と、その下に咲く睡蓮の花々を描いた作品です。水面が鏡のようになり、周りの緑を反射しているのが分かります。結構、簡略化されているのに水面とわかるのは凄い…。 全体的に静かな雰囲気をたたえていました。この太鼓橋と睡蓮は晩年よく描かれたモチーフですが、これも素晴らしいです。
 参考記事:
  モネとジヴェルニーの画家たち 感想後編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
  ポーラ美術館コレクション展 印象派とエコール・ド・パリ 感想前編(横浜美術館)
  オルセー美術館展2010 ポスト印象派 感想前編(国立新美術館)
  ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想後編 (森アーツセンターギャラリー)

エドガー・ドガ 「舞台裏の踊り子」 ★こちらで観られます
タイトル通り舞台裏にいる踊り子を描いた作品ですが、踊り子だけでなく黒いシルクハットの男性が声をかけている様子が描かれています。これは定期会員らしいですが、口説いているのでしょうか…。それに対して踊り子は腕を組んで無視しているような素っ気ない態度をしていました。また、左奥には舞台の様子をみているのか、そわそわした感じのポーズをした踊り子の姿もありました。いろいろな意味で「舞台裏」を見てしまった感じがしますw
 参考記事:
  ドガ展 (横浜美術館)
  ドガ展 2回目(横浜美術館)

カミーユ・ピサロ 「麦わら帽子をかぶる農家の少女」
戸外で麦わら帽子を被って座る農家の少女を描いた作品です。青い前掛けのようなものを着用して縞々の服をきています。背景の緑が強く、少女の喉のあたりもうっすらと緑になっているなど光の表現や色使いが面白いです。一休みしているのか穏やかな印象を受けました。

アルフレッド・シスレー 「アルジャントゥイユのエロイーズ大通り」
馬車の行き交う通りと、その脇の家々や通行人を描いた作品です。右には並木もあり、道は手前になるほど大きく広がり遠近感があります。遠くのほうはやや霞んでいるのもそう感じる要因かな。淡い色彩で描かれ、のどかでのんびりした雰囲気でした。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「アンリオ夫人」
これは以前にルノワール展でもご紹介した作品です。胸の大きく開いた白いドレスを着た女性の肖像で、微笑を浮かべつつもキリッとした印象を受けます。背景も淡い色で、爽やかで清楚な感じを受けました。手や肩の辺りは背景と同化するかのようですが、顔のあたりは輪郭がハッキリしている表現の違いも面白いです。
 参考記事:ルノワール-伝統と革新 感想前編(国立新美術館)

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「シャトゥーの漕ぎ手たち」
川岸でボートを停泊させて振り返る青年と、すぐ脇の岸に立つ3人の男女を描いた作品です。言葉を交わしているようで、親密な関係に見えます。背景にはボートを漕ぐ人や帆船?のようなものがありました。筆致は大胆で素早さを感じました。色合いも強めです。


ということで、まだ2章の途中ですが、以前の記事と同様にこの辺で半分くらいなので今日はここまでにしておきます。本当にいい作品ばかりで全部ご紹介したいくらいですw 次回は後半の作品でまだご紹介していないものを取り上げようと思います。



  後編はこちら




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スカイ アクアリウム2011 【森アーツセンターギャラリー】

先日、金曜日の会社帰りに六本木の森アーツセンターギャラリーへ行って「スカイ アクアリウム2011」を観てきました。

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【展覧名】
 スカイ アクアリウム2011

【公式サイト】
 http://www.roppongihills.com/feature/skyaquarium2011/02.html
 http://www.roppongihills.com/feature/skyaquarium2011/skyaquarium2011.html

【会場】森アーツセンターギャラリー  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】六本木駅


【会期】2011年7月15日(金)~9月25日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(金曜日19時半頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_4_⑤_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
会場は公式サイトでは東京シティビューとなっていますが、実質は森アーツセンターギャラリーの場所です。あまり天気の良くない金曜の夜だったこともあってか、そんなに混んでいませんでした。1つの水槽に2~3人くらいついていましたがあまり気になりません。

さて、この展示は一昨年までPart3まで続いた人気企画の復活となっています。去年は恐竜展をやっていたのですが、六本木ヒルズの夏の風物詩的な存在かな。普通の水族館とは違い、様々な光や演出を施してインスタレーション的な側面があります。
 参考記事:
  スカイアクアリウムⅢ (TOKYO CITY VIEW)
  地球最古の恐竜展 (森アーツセンターギャラリー)

この展覧会は写真撮影可能で、フォトコンテストも開催しています。私も新しく買ったカメラの実戦投入のテストを兼ねて写真を撮ってきましたので、撮ってきた写真を使ってご紹介しようと思います。暗い場所での撮影は初めてなので真価が問われますw
 参考リンク:OLYMPUS SZ-30MR


<アクアリウム・シアター>
まず最初は「水中四季絵巻」という和風な映像を背景に鯉が泳いでいるコーナーです。

こんな感じでかなり横長の水槽です。これは冬のシーン。
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こちらは春のシーン。映像はクリアで綺麗なのですが、チカチカして鯉たちはストレスにならないのか心配です。
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ちなみにこの鯉たちは新潟県中越地震から復興した旧山古志村などで養鯉されたそうです。

これは夏のシーン。正直、色が濃いとどこにいるのか分かりづらいですw
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これは夏から秋に移る前のシーン。障子を背景に実際の影と影絵が混ざっているのは面白い趣向でした。
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映像は確か5~10分くらいで一巡りでした。


<アート・アクアリウム・ギャラリー>
続いては毎回恒例の水槽のあるコーナーです。

色合いが綺麗な水槽。こういう幻想的な水槽が通路の両脇に並んでいます。
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アップ。写真と目で観たのだと若干、色味が違うかも。この魚はもっと深い青をしていました。
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こちらは大きめの魚。おしりを向けてじっとしてました。 たまにはこっちを向いて欲しいw
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こんな感じで通常の水槽と違った面白い展示となっています。右下の方に大きな貝がいました。
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真っ白で目が赤いウサギのような魚。ちょっと不気味ですが色が綺麗。
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ふわふわと毛を流していた生き物。名前はわかりませんが、面白い生態です。
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<オアシスブルー・プラネット>
続いては部屋中が青く染まった部屋です。時間が変わると赤くなったりもします。
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部屋をぐるっと囲む水槽には沢山のウーパールーパーがいました。ちょっと抜けた顔が可愛い。
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こちらは定番のクラゲ。ふわふわと漂い不思議な光景です。
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部屋の中央の球体の中にも魚がいるようでしたがよくわかりません。
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時間が変わって赤くなったクラゲ。
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この日は展望台には行かなかったのですが、展望台のほうには「フォール・アクアリウム」という章もあります。

ということで、幻想的な展示となっていました。しかし、以前のスカイアクアリウムに比べると地味な気が…。え?もう終わりなの?と言っているお客さんがいましたが、同感ですw (フォール・アクアリウムを入れてもあまり変わらなそうです) 最近、森アーツセンターギャラリーの展示は以前よりグレードダウンしている気がします…。

出口付近にはグッズショップとガチャガチャ、プリクラなどもありました。ウーパールーパー人形が可愛いw
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おまけ:
この日から森美術館+東京シティビューの年間会員となりました。ここは入場料が高いので、年に3回以上行く人にはお得なパスです。あとは良い展示をやってくれるのを祈るのみ。
 参考リンク:森美術館+東京シティビュー パスポート


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月岡芳年「月百姿」展(後期) 【礫川浮世絵美術館】

先週の土曜日に、後楽園の東京ドームの裏手にある礫川(こいしかわ)浮世絵美術館に行って、月岡芳年「月百姿」展を観てきました。この展示は前期・後期に分かれていて、私が行ったのは後期でした。

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【展覧名】
 月岡芳年「月百姿」展(後期)

【公式サイト】
 http://homepage2.nifty.com/3bijin/menu_j.html

【会場】礫川浮世絵美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】後楽園駅・春日駅
 

【会期】
  前期:2011年7月1日(金)~7月24日(日)
  後期:2011年8月2日(火)~8月25日(木)

 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
ここは普通のビルの5階にあるのであまり知られていないのか、空いていてゆっくり観ることができました。(とは言え、ポツポツと途切れることなくお客さんは来ていました)
さて、この展示は江戸から明治にかけて活躍した月岡芳年(つきおかよしとし)に関する展示となっています。月岡芳年の作品はたまに見かけますが、これだけ一気に観られる機会は中々無いので、見逃すわけにはいきませんでしたw 私としては「風俗三十二相」の「○○さう」というタイトルの美人画を期待したのですが、今回は50点ほどの「月百姿」というシリーズが並んでいます。(恐らく前期も同じくらいあったと思います) 展示室はあまり広くなく、早い人なら15分くらいで観ることができるくらいですが、詳しくは気に入った作品と共に展覧会の様子をご紹介していこうと思います。

 参考記事:
  東京国立博物館の案内 (2009年11月)
  江戸東京博物館の案内 (絵画編 2009年12月)
  江戸民間画工の逆襲 (板橋区立美術館)


まず最初に簡単な来歴について説明されていました。月岡芳年は12歳で歌川国芳に入門し、15歳の頃に初作を出しました。初期は武者絵や役者絵を中心としていたようなので、そのスタートは師匠と似てるかな。同門には河鍋暁斎などもいます。
 参考記事:
  破天荒の浮世絵師 歌川国芳 前期:豪傑なる武者と妖怪 (太田記念美術館)
  破天荒の浮世絵師 歌川国芳 後期:遊び心と西洋の風 感想前編(太田記念美術館)
  破天荒の浮世絵師 歌川国芳 後期:遊び心と西洋の風 感想後編(太田記念美術館)
  歌川国芳-奇と笑いの木版画 (府中市美術館)
  「寅年の祝い」展 (河鍋暁斎記念美術館)


慶應から明治にかけては血みどろ残虐な作風もありますが、これは一部であってその後の神経病と結びつけるのは早計なようです。 やがて神経病が治ると大蘇(病気が回復すること)の号を用いたそうで、この頃から歴史画を制作し始めたようです。そしてその後、美人画や歴史、物語、上下2枚継のシリーズなどを発表し、世間に認められていったようです。晩年には「風俗三十二相」や今回の「月百姿」を残し、明治25年(1892年)に没しました。 その門弟には水野年方もいて、鏑木清方や伊東深水などにも繋がっていきます。
 参考記事:清方/Kiyokata ノスタルジア (サントリー美術館)

ここには晩年の「月百姿」がずらっと並んでいました。

月岡芳年 「月百姿 鳶巣山暁月 戸田半平重之」 ★こちらで観られます
長い槍を持ち左手で遠くを見る仕草をしている甲冑の武者を描いた作品です。周りには幟が立ち、合戦のさなかのようです。満月が浮かぶ中で様子を見渡しているのかな? 背中にさした武器?と槍が絵の枠線を飛び出して描かれているのがだまし絵のような面白さがありました。こういうところは国芳から引き継いだものかな?

月岡芳年 「月百姿 読書の月 子路」 ★こちらで観られます
中国風の山と満月を背景に、大きな袋を肩にかけて大きな笠を腰につけた中国風の人物が右手で本を広げて読んでいます。この人は孔子の門弟の子路らしく、立派なひげをしていますが身なりは貧しそうで、仕事帰りのような感じでした。真剣に学んでいる顔をしていて、その表情と淡い色合いが寡黙で静かな様子を伝えてきました。…と、wikipediaでは軽率な人だったような事が書いてありましたがw
 参考リンク:子路のWikipedia

この辺には竹取物語や阿倍仲麻呂(安倍仲麿)の「天の原ふりさけみれば春日なる三笠の山に出でし月かも」の詩を題材にした作品などもありました。

月岡芳年 「月百姿 悟道の月」 ★こちらで観られます
空に浮かぶ満月を見上げて指を指している布袋らしき人物が描かれた作品です。大きな袋をクッションのようにして寄りかかり、楽しそうな顔をしていました。この辺にあった他の作品に比べるとコミカルで柔和な印象を受けました。

月岡芳年 「月百姿 月のものくるひ 文ひろけ」 ★こちらで観られます
橋の上で長い手紙を広げている着物の女性を描いた作品です。風が強いのか、文はビリビリになりながら舞い上がっています。それを観ている女性は物憂げそうで悲しい印象がありました。着物と空の色合いが美しいですが、月は雲にでも隠れているのか見当たりませんでした。

月岡芳年 「月百姿 石山月」 ★こちらで観られます
満月と険しい岩山に向かった廊下(バルコニー的な所)で文台に肘をついて座る紫の着物の女性を描いた作品です。表情は夢想するようでどこか楽しそうにも見えました。

月岡芳年 「月百姿 霜満軍営秋気晴 数行過雁月三更 謙信」 ★こちらで観られます
陣の中で椅子に腰掛けている、白い頭巾と豪華な陣羽織を羽織った鎧姿の上杉謙信です。振り返って空を見上げていて、その視線の先には満月を背景に編隊を組んで飛ぶ雁の姿がありました。配置や色合いが面白く感じられ、風流な雰囲気がありました。

このシリーズにはいくつか武将を描いた作品もあり、秀吉を描いた作品もありました。

月岡芳年 「月百姿 金時山の月」 ★こちらで観られます
山に一部が隠れた満月を背景に、真っ赤な肌で丸々とした体の金太郎がしゃがむような姿勢をして、猿とウサギが相撲を取っているのを見物しています。猿とウサギは小さめで何とも可愛らしい姿です。金太郎はそれを慈愛のような表情でみつめていました。微笑ましい光景に思います。

月岡芳年 「月百姿 むさしのの月」 ★こちらで観られます
大きく描かれた満月の下、草むらの中のキツネを描いた作品です。振り返るようなポーズをしていて、じっとしている感じです。 手前には川が流れ、全体的に静かな雰囲気を感じました。


ということで、月をテーマにしているはずが千差万別の題材であったので小展ながらも楽しむことが出来ました。月岡芳年も国芳のウィットを引き継いでいることが分かり、非常に参考になりました。これは今後の鑑賞の際にも役立ちそうです。もうすぐ終わってしまいますので、ご興味がある方はすぐにでもどうぞ。

おまけ:
私は見れず仕舞いになりそうですが、太田記念美術館では2011/8/26まで、歌川芳艶の展示を開催しています。歌川芳艶も国芳の弟子なので月岡芳年とは兄弟弟子となります。こちらも時間のあるかたはチェックしてみると面白そうです。
 参考リンク:「歌川芳艶~知られざる国芳の門弟」の公式サイト


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映画「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」(ネタバレなし)

先日、浦和のパルコにあるユナイテッド・シネマで、映画「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」をIMAXの3Dで観てきました。

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【作品名】
 トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン

【公式サイト】
 http://www.tf3-movie.jp/

【時間】
 2時間30分程度

【ストーリー】
 退屈_1_2_③_4_5_面白

【映像・役者】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【総合満足度】
 駄作_1_2_③_4_5_名作

【感想】
夜の回でしたがIMAXのせいか結構お客さんが入っていました。公開から日が経っているのに意外と人気のようです。

わざわざ映画館の場所まで書いているのは、日本に数少ないIMAX方式の3Dで観た為です。私はIMAXで映画を観るのはトロン以来かな。ハリーポッターやパイレーツ・オブ・カリビアンなどでもIMAXでやっていたようですが、あまり興味がない映画ばかりだったので、ひたすらに3Dに合いそうなSF作品を待っていましたw そして巡り巡ってきたのがよりによってトランスフォーマー!w 前作は全く記憶に無いくらい忘れてしまっていますが、映像目当てに観に行ってきました。
 参考記事:
  映画「トランスフォーマー/リベンジ」を観た (ネタバレなし)
  映画「トロン:レガシー」 (ごく軽いネタバレあり)

さて、内容についてですが、前々作・前作とほぼ同じテイストだと思います。前半は壮大な設定を広げて行って、中盤以降はひたすらアクションシーンとなっています。まあ、ストーリーは元々期待していなかったのですが、後半は結構強引な展開で、ん?と首をかしげるところもありました。面白いわけでもなくつまらないわけでもなく、すぐ忘れそうな感じです。 そして、期待していた3Dですが、この映画の3Dはショボイ!w トロンの時はストーリーは酷かったけど3D映像に驚きましたが、この作品の3Dはとび出す絵本状態で、IMAXにした甲斐が全くありませんでした。
 逆に、CG映像の凄さは相変わらずで、敵味方が分からないゴチャゴチャした感じもキャラクターデザインと共に解消されていました。これは普通に2Dで観たほうが良さそうです。


ということで、3Dは不発だったように思いますが、シリーズ通して似た感じなので、好きな人はこれも楽しめると思います。(そうでもない人は今回も同じ感想になりそうですが) ここまでのシリーズを観ていなくても8割は分かるとは思いますが、今までの作品のファン向けの作品のように思いました。


おまけ:
ユナイテッド・シネマ浦和では9月に名作映画をIMAXで上映するそうです。AVATARは2Dで見てしまったのでチャンスかも。 THIS IS ITとかインセプションって2Dじゃないのかなあw
 参考リンク:ユナイテッド・シネマ浦和のニュース

◆09月03日(土)~09月09日(金) START/18:30 アバター【特別編】(字幕版)
◆09月10日(土)~09月16日(金) START/19:00 マイケル・ジャクソン THIS IS IT(字幕版)
◆09月17日(土)~09月22日(木) START/19:00 ダークナイト(字幕版)
◆09月26日(月)~09月30日(金) START/19:00 インセプション(字幕版)

 参考記事:
  映画「アバター」<通常版> (一部ネタばれあり)
  映画「THIS IS IT」
  映画「インセプション」 (ごく軽いネタバレあり)


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藤島武二・岡田三郎助展 ~女性美の競演~ 【そごう美術館】

ちょっと間があきましたが、先日ご紹介した平塚市美術館に行った後、東海道線に乗って横浜に移動し、そごう美術館で「藤島武二・岡田三郎助展 ~女性美の競演~」を観てきました。この展示は途中で作品の入れ替えがあるようで、私が行ったのは前期でした。(2011/8/17から後期)

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【展覧名】
 藤島武二・岡田三郎助展 ~女性美の競演~

【公式サイト】
 http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/11/0728_fujishima_okada/index.html

【会場】そごう美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】横浜駅


【会期】2011年7月28日(木)~9月4日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日18時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
夕方に行ったこともあり、空いていてゆっくり観ることができました。

さて、この展覧会はタイトルの通り、藤島武二と岡田三郎助という明治期に日本の近代絵画の発展に尽力した2人の画家を取り上げた内容となっています。初期から晩年まで代表的な作品も多く並び、来歴を知ることもできましたので章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。なお、この展示には作品リストが無いので作品名はメモを元にしています。間違っていたらごめんなさい。


<第1章 初期の作品>
まずは初期の作品のコーナーです。藤島武二は薩摩藩士の家、岡田三郎助は肥後鍋島藩士の家に生まれ、10代から西洋画に接して時期は違うものの、2人とも曾山幸彦の画塾で洋画を学びました。その後、フランス帰りの黒田清輝と知遇を得て1896年に設立された東京美術学校の教員として就任しました。1897年に岡田が渡仏、1905年には藤島が渡仏し、その渡仏の時期の違いは作風の違いにも現れているようです。岡田が渡仏中に藤島はアール・ヌーヴォーを取り入れたデザインを本の装丁を手がけるなど渡仏前から活躍していました。また、岡田は渡仏中にヨーロッパでラファエル・コランに師事し、西洋名画を吸収して一気に上達したそうで、帰国後は日本女性などを描いています。ここにはそうした発展途中の時期の作品が並んでいました。
 参考リンク:藤島武二のWikipedia  岡田三郎助のWikipedia  黒田清輝のWikipedia

藤島武二 「桃花裸婦」
背丈ほどの桃の木に花が咲き、その枝を手に持って見ようとしている裸婦の立ち姿を描いた作品です。黒田清輝に通じるような清純で透き通る肌の女性で、右手では布のようなものを持っていました。淡い色合いも美しいです。

この近くにはアール・ヌーヴォーを取り入れた絵葉書の原画もありました。

藤島武二 「夢想」 ★こちらで観られます
これは横須賀美術館で観た記憶があります。視線をやや上向きにして、まぶたを重そうにして目を開く人物が描かれています。頭は背景の暗闇に溶け込むような感じで、眠くて半分夢の中にいるようなまどろんだ表情でした。
 参考記事:横須賀美術館の常設 (2010年11月)

藤島武二 「婦人と朝顔」 ★こちらで観られます
緑の葉っぱと紫の花をつける朝顔を背景にした女性の肖像です。やや左側に配置されていて、こちらをじっと見る顔は無表情ですが、何かを訴えかけているようでした。解説によると、1904年の白馬会第9回展に同じモデルを描いた作品(先ほどの「夢想」など)を数点出していたそうで、その内の「朝」という作品と考えられているようです。アール・ヌーヴォーやラファエル前派からの影響があるとも説明されていました。

この近くにあった西洋婦人像や芸大のイタリア婦人像なども好みでした。婦人像を中心に良い作品が多くて、観るのに時間がかかりますw

藤島武二 「幸ある朝」
大きめの作品で、鎧戸から光が差し込む部屋の中、手紙を読む女性が描かれています。その表情はわかりませんが、手紙は嬉しい知らせなのかな? 手前にある花束を含めて全体的にピンク~オレンジ色の明るい色となっていて、温かい気持ちにさせました。ささやかな幸せを感じさせます。これは泉屋博古館 分館の所蔵品らしく、観た覚えがあるような無いような…。

藤島武二 「ヴェニス風景」
手前に海の上のゴンドラとそれを漕ぐ人、奥に高い塔と教会のような建物が見える風景画です。印象派のような明るい色彩で叙情的な風景となっていました。

この辺にはイタリアやスイスの風景画が並んでいました。肝心のフランス滞在の際の作品はイタリアで盗難にあってほとんど残っていないそうです。
続いては岡田三郎助の初期の作品のコーナーです。

岡田三郎助 「自画像」
ヒゲを生やし身なりの良い男性像で、これは岡田本人の姿のようです。フランス留学中の頃らしく、よく似た写真もあるそうです。現代でも通じそうなイケメンぶりで、心なしか少し微笑んでいるような優しい印象がありました。若いです。

この辺には芸大の「ムードンの夕暮」もありました。
 参考記事:尼門跡寺院の世界 皇女たちの信仰と御所文化 と 芸大コレクション展 春の名品選 (東京藝術大学大学美術館)

岡田三郎助 「婦人像」
紫の着物を着た女性が横向きに座っている婦人像です。ぼんやりした目で手を垂らしていて、暗い背景に浮かび上がるような表現と相まって神秘的な雰囲気がありました。

この辺は女性の肖像が並んでいます。師のラファエル・コランの影響を感じる作品も結構あるかな。

岡田三郎助 「桜狩(観桜の図)」「紅葉狩(観楓の図)」
2枚セットの非常に大きな作品で、三越の依頼で作成されたものです。右には桜の木の下に立つ着物の女性たちや、夫婦らしき男女の姿が描かれています。左には楓の下に女性たちが立っていて、洋傘をさす女性と手を繋ぐ女性、赤い着物の女の子とその母親らしい人が世話している様子などが描かれていました。私が気に入ったのは楓のほうで、楓の鮮やかさと着物の艶やかさが華やかで、等身大ほどの画面からは臨場感を感じました。 解説によると、桜狩のほうは梅田駅に掲げられていたそうなので、大阪の人は知ってる人もいるのかな?

少し進むと次は藤島の画帖が37点ほどあります。壁一面に文庫本くらいの大きさの素描が展示され、ラフなものから細かく描かれたもの、風景、裸婦、人物、風俗など様々で、高い描写力を伺わせます。

その次には岡田の描いた三越のポスターが並んでいます。(そごうで三越のポスターを観るとは思いませんでしたw) 

岡田三郎助 「むらさきのしらべ」
鼓を持っている着物の女性を描いた岡田の代表作をそのままポスターにした作品です。この作品を機にポスターにも力を入れたそうで、ポスターと言っても発色が良くてリアルな質感も感じられました。
この他にも「窓」や「東京日本橋店」という作品もありました。その後には岡田の素描や勲章、刀子、岡田・藤島両名の黒田清輝への手紙なども展示されています。2人とも手紙は読めませんが達筆なのは何となく分かりましたw また、岡田の描いた「主婦之友」の表紙や、藤島が装丁した「明星」の表紙もあります。…藤島の装丁がミュシャそのものに見えますw
 参考記事:アルフォンス・ミュシャ展 (三鷹市美術ギャラリー)


<第2章 中期の作品>
1910年にヨーロッパから帰った藤島は、しばらく留学の成果を発揮することが出来なかったそうですが、1913年に朝鮮に派遣されたことで、朝鮮の自然や民族衣装に惹かれ、感心を東洋に向けたそうです。そして、ルネサンス様式を借りながら東洋的典型美を創造していくことになります。一方、岡田の1910~20年代は女性像で新たな頂点を迎えた時代だそうで、藤島以上に熱心に裂地を収集してはモデルに着せていたそうです。ここにはそうした独自の世界を創造していく頃の作品が並んでいました。

岡田三郎助 「黒き帯」
屋外の白いベンチのてすりにもたれかかっている白い着物の女性を描いた作品です。タイトル通り黒い帯をしているのが白地の中で目を惹き、少しうつむく女性の表情は色気がありました。背景には緑の葉とピンクの花が咲き誇り、明るくさわやかな雰囲気も出ていました。コランとも違った美しさを感じます。

岡田三郎助 「支那絹の前」 ★こちらで観られます
垂れ幕のように掛けられた濃い青地に植物文様の古裂の前に立つオレンジの着物の女性(自分の奥さん)を描いた作品です。手には紫の衣を持っていて、異なる3つの布を表現しているのが面白いです。また、さらに興味深いのは、この絵の中で夫人が着ている着物の実物が隣に展示されているところです。絵の通りそのままそっくりで、思ったより写実的であることが分かりました。この作品は以前も観たことがありますが、この展示の仕方は良いですね。
 参考記事:島屋史料館所蔵名品展 (泉屋博古館 分館)

岡田三郎助 「あやめの衣」 ★こちらで観られます
これは以前にもご紹介したポーラ美術館の所蔵品で、青紫の地に白いあやめや赤い橋のようなものもが描かれた着物を着た女性の後ろ姿です。白く透明感のある右肩がはだけていて、非常に色っぽい姿となっていて、私は岡田の作品ではこれが最も好みです。解説によると、このあやめの意匠は琳派復興の趣味を反映しているようで、そう言われて見ればこれは伊勢物語の東下りを題材にした着物のようでした。この作品も隣に実際の着物が展示されていて、単純化されたあやめと赤い橋はジグザグに折り重なるようで艶やかでした。
 参考記事:
  ポーラ美術館の常設
  琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 (出光美術館)
  
この近くには主婦之友の雑誌とその原画となった作品や、少女読書という爽やかで好みの作品もありました。
続いては藤島のコーナーです。1913年の11月から2ヶ月ほど朝鮮に旅した際、イタリアの風景を連想したそうで風景画なども展示されていました。

藤島武二 「裸婦」
椅子に座り頭の後ろで手を組む裸婦を描いた上半身像です。結構簡略化されていて、近代的な印象を受けます。解説によると、藤島が留学していた頃はセザンヌや、ゴッホ、ゴーギャンなどポスト印象派が精力的に紹介されていたそうで、それに影響されているようです。やや平坦で輪郭がはっきりしているところもその影響かな? 他の作品とはちょっと違った印象を受けました。

この近くには東京国立近代美術館の「うつつ」や「匂い」などもありました。
 参考記事:
  東京国立近代美術館の案内 (2010年12月)
  東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)

藤島武二 「女の横顔」 ★こちらで観られます
竹久夢二のモデルを務めていたお葉というあだ名の女性に中国の服を着せて描いた作品で、真横を向いた構図となっています。花のついた髪留めやイヤリングをしていて、赤い服が華やか雰囲気です。一方、背景の岩場のような場所や真横を向いている点などからルネサンスなどの西洋からの影響を強く感じました。
 参考記事:ポーラ美術館の常設(2010年秋)


<第3章 円熟期の作品>
1924年に黒田清輝が亡くなり、藤島・岡田は日本美術界の指導者の立場を担うことになりました。後進の指導に尽力したそうで、表現や生き方に大きく影響を与えたようです。そして1928年には2人そろって皇太后より天皇即位を祝した絵の制作を依頼されます。藤島は旭日を題材にすると決め、意に適う場所を探しに日本各地や台湾、中国、モンゴルにも足を運んだそうで、その末に描き上げた「旭日照六合」を奉納しています。これを描くのには9年を要しましたが、それによって風景画に新たな展開をもたらせたそうです。一方、岡田は日本画の材料を併用した「揚柳」という作品を完成させ、雄大な藤島の作品と対照的な繊細で優美な作品を残したそうです。ここにはそうした円熟期の作品が並んでいました。

藤島武二 「室戸遠望」
岡田たちと行った高知の海を描いた作品です。縦長で目の覚めるような青の海が広がる中、手前にジグザグに並んだ岩があり、そこにぶつかった波が白い飛沫を上げています。奥には対岸が見えていました。構図が面白く感じられ、解説によると平面性を強調しているとのことでした。海の雄大さがよく表現されています。

藤島武二 「大王岬に打ち寄せる怒涛」
同じタイトルでそっくりの作品が2枚並んでいました。(ひろしま美術館のと三重県立美術館の作品) 左右に崖があり、その間に白波が打ち寄せる様子が描かれているのですが、2つを観比べても間違い探しみたいに似ていますw 空の様子や松の形、船や岩の有無などに違いがあるかな。何故2枚描いたかは分かりませんが、試行錯誤していたのかな。両者ともに手前は激しいですが奥の海は穏やかな印象がありました。

この近くには「港の朝陽」もありました。
 参考記事:美の饗宴・東西の巨匠たち (ブリヂストン美術館)

岡田三郎助 「野菊と薔薇」 ★こちらで観られます
後の昭和天皇の御料車に飾られていた作品です。暗い背景に、花瓶に入った白い野菊とピンクと白の薔薇が描かれています。よく観ると野菊はかなり厚塗りされていて、本当の花のようでした。その色合いのせいかアンリ・ファンタン=ラトゥールの静物を彷彿とさせました。

この辺にはコローに影響を受けた作品などもありました。岡田は1930年代に再び欧州へ視察に行ったそうで、ローマでの作品もあります。

岡田三郎助 「後ろ向きの裸婦(赤い絨毯の裸婦)」
赤い絨毯?を背景に金色の布に座る裸婦の後ろ姿を描いた作品です。ちょっと小太りだけど滑らかな肌が写実的に描かれています。背景の赤が強く、他の作品とはちょっと違う印象を受けました。
この辺には森の中の裸婦を描いた作品もあり。コランを思わせました。

岡田三郎助 「伊豆山風景」
山の上から海を見下ろす風景画で、手前で大きく弧を描く湾となっていて絶景です。山も折り重なるようでリズム感がありました。解説によると熱海近くのこの旅館が気に入ったそうで、何枚か同じ場所で描いた作品があるそうです。


ということで、改めて2人の巨匠の足跡を知ることができて満足な展示でした。これだけ良い展示がガラ空きというのも勿体ない気がします。横浜駅から直結している立地も便利ですので、お勧めです。




おまけ:
私が横浜そごうに行った日はコクリコ坂の原画展も開催されていたのですが、残念ながら閉館時間となって観られませんでした。すでに会期も終了しています。
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 参考記事:映画「コクリコ坂から」 (ネタバレなし)


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ルパン三世展 【松屋銀座】

先日、会社の帰りに松屋銀座へ行って、「アニメ化40周年 ルパン三世展」を観てきました。色々とネタを溜め込んでいますが終了直前ですので、先にご紹介しておこうと思います。

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【展覧名】
 アニメ化40周年 ルパン三世展

【公式サイト】
 http://lupin-3rd.net/news/news135.html
 http://www.matsuya.com/m_ginza/exhib_gal/details/20110810_lupinthe3rd.html

【会場】松屋銀座  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東京メトロ 銀座駅・銀座一丁目駅 JR有楽町駅


【会期】2011年8月10日(水)~8月22日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(平日18時半頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
若い客層を中心に結構混んでいて、場所によっては列を組んでみるような感じでした。

さて、今回の展示はルパン三世のアニメが40周年となったことを記念した展示となっています。去年はゲゲゲの女房の人気に伴って水木しげる展もやっていたので漫画・アニメに関する展示が定番になりつつあるのかな? そもそもルパン三世をあまり知らない人にはまったく興味が沸かないと思いますが、私は大好きなので楽しみにしていました。 ファンなら楽しめるけど、知らないと楽しめないという、わかりやすい線引きがあるので、そもそもルパン三世とは何か?というところは割愛しますw


<冒頭>
さて、展覧会の内容についてですが、1つ1つの展示品についてメモしたわけではないのでざっくりと展覧会の流れについてご紹介していきます。最初に大きなモニタが置かれ、ルパン三世のアニメを流していたり会場の至る所でテーマソングも流れていて、ファンであればワクワクするような出だしです。

まずはパイロットフィルムや設定資料のコーナーです。パイロットフィルムというのは内覧用の作品で、ルパン三世には映画化を企画した時に作られたシネマスコープ版とTVアニメのスタンダード版が存在するそうです。実際のものと内容はほぼ同じようですが、声優や画面サイズ比が異なるなどの違いがあるそうです。(実際に最後の方でパイロットフィルムを観ることもできます) 設定資料には表情や手足の描写があり、ルパンと銭形はあまり変わらないのですが、次元と五右衛門は別人のようにコミカルな感じかな。明智小五郎というキャラクターの設定もありましたがこれはアニメに出てたかは分かりません。


<アニメ Part1>
ルパン三世は大きく分けて3期のアニメがあり、1期は1971年に始まりました。大人が観るアニメをコンセプトとしていたのですが、当時は子供向けのアニメが多く視聴率は低迷し23話で終了となってしまいました。しかし全国で再放送されるようになると人気・評価は高まり、1977年にPart2が開始されます。2期は対象を大人から子供に変えてファミリーアニメとして制作し、これが大ヒットとなります。よく再放送しているのはこの2期です。そして1984年にPart3が再び作られるのですが、こちらはまた大人向けにしたことやアニメブームの終了で不振となったそうです。まあ3期はあまり面白くないから仕方ないように思いますがw

ここにはPart1の企画書案が展示されていて「日本のアニメの未来をリードするヌーベル・コミック」と銘打たれていました。また、テンポやパンチを効かせることを重視したコンセプトなどもあり、ルパン三世の魅力の原点が分かります。その隣にはPart1の表情集もあり、ほぼアニメそのものですが、やや宮崎アニメのような愛嬌がある表情となっていました。これなら子供も観られそうな感じがするんですけどねw その他にはセル画や音無しのオープニング映像なども流していました。


<アニメ Part2>
続いては2期です。私が一番よく観ていたのがこの2期の再放送なので愛着がありますw この部屋に入ってまず目につくののはルパン一味4人と銭形の等身大のパネルで、その近くには緑ジャケットのルパン、次元、五右衛門の等身大人形も置かれています。

このPart2にも企画書が展示されていて、ルパンの人気ぶりを大仰かつコミカルに伝える文が描かれていました。読んでいて小気味良いくらいですw また、設定資料には一味の表情集などがあり、アニメとあまり似ていないようにも思いますが、同じポーズで何種類ものコスチュームを着た不二子の姿はアニメ版そのものでした。面白いのが、ルパンの走るシーンの設定に、このポーズは必ず描くこと!などの指示も入っていて、細かく設定されていることがわかります。絵コンテにはさっと描かれた絵とセリフ、秒数などが書きこまれ、大まかな流れを決めているようでした。他にはセル画もあり、アニメだと気づきにくいですが実際に近くで観ると何枚か絵が重なっているのがわかります。そして、このコーナーの最後にもPart2のオープニングムービーが流れるのですが、ちゃんとバージョン違いも流れていました。


<アニメ Part3>
さて、一番再放送をやっていないのはこの3期じゃないでしょうかw CSのアニマックスでは2期を延々とやってますが、3期はファミリー劇場でたまにやってるくらいで、地上波ではやってた覚えが無いかな。前述の通りコンセプトは大人向けに原点回帰して、漫画の原作者であるモンキー・パンチとキャラクター設定を見直し、デザインも何度も描き直されたそうです。…その結果、1期2期とだいぶ雰囲気が違うんですw 結構シリアスな話も多かったように思いますが、アクションよりもスピード重視のコンセプトがあったようです。しかし、ナイター中継やアニメブーム終焉で視聴率は低迷し、1年半くらい放送していたものの50話程度で終了したそうです。

ここも企画書があり、ルパンは永遠の謎で良い!という言葉も描かれていました。設定資料の各キャラの顔は何度観ても違和感がありますw 2期で慣れすぎているので、こんなの違うと思う人も多かったのでは…。ここにもアニメのオープニングが流れているのですが、オープニングはコミカルな映像(音楽は洒落た感じ)で子供向けみたいにも見えます。


<TVスペシャル>
一度は終わったコンテンツとなってしまったルパン三世ですが、1989年の「バイバイ・リバティー・危機一髪」から土曜スーパースペシャルや金曜ロードショーの2時間枠でほぼ毎年1回のペースでTVスペシャルが作成されるようになりました。だいたい小中学校の夏休みの最初の週にやってた記憶が蘇る…。 2011年8月現在で21作あり、放映当時の時事ネタや流行を反映していて、今観ると湾岸戦争ネタとか分かりづらかったりしますw 個人的には最初の数年は大好きですが徐々に監督が代わって微妙になっていってる気がします…。

ここには1992年の「ロシアより愛をこめて」のセル画やTVスペシャルのポスターが並んでいました。ポスターなんてあったのかとちょっと驚き。第1弾から第6弾のポスターがあり、バイバイ・リバティー・危機一髪、ヘミングウェイペーパーの謎、ナポレオンの辞書を奪え、ロシアより愛をこめて、ルパン暗殺指令 の6枚が展示されていました。私としてはヘミングウェイペーパーとロシアが至高ですw
また、壁には1969年~2002年までの18枚のルパンの顔のパネルが展示されています。パイロットフィルムからちょっと前の顔まで比べてみると、作画監督が違うとだいぶ雰囲気が違うのがわかります。

その隣にはアジトの設定資料もあり、アジトの見取り図や、世界地図にマッピングされたものが展示されていました。ちょっとしたシーンで出てきただけのようなものでも設定があるみたいです。

この章の最後のあたりには不二子の等身大人形も潜んでいますw また大きな映像でアニメPart1~3を音無しで流していました。


<生みの親たちのイラスト>
続いてはルパン三世を生み出してきた人達によるイラストのコーナーです。

まずはアニメーターの大塚康生 氏のイラストで、可愛らしい印象の作品が並びます。車に乗っている絵が多いのですが、車が小さくて人物が大きく見えるような感じで、ほのぼのしていました。大塚氏のインタビューも展示されています。

この辺には原作者のモンキー・パンチ氏が監督を務めた劇場版第6作「ルパン三世 DEAD OR ALIVE」のポスターとパンフレットも展示されています。

少し進むと吉川惣司 氏のコーナーで、吉川氏が監督を務めた劇場版第1作「ルパン三世 ルパンVS複製人間」のポスターもあります。吉川氏はこの作品で1978年の東南アジア映画祭で批評家章を受賞したそうです。ポスター自体はアメコミ調な感じかな。今作のヴィランであるマモーの姿はなく、これだけでは内容はまったく読み取れません。その後にはマモーの設定があり、ひょろ長く頭の大きな姿を強調するような書き込みもありました。

続いては宮崎駿のコーナーです。スタジオジブリで有名な宮崎駿 氏ですが、ルパン三世には深く関わっていて、劇場版第2作「ルパン三世 カリオストロの城」だけでなく1期や2期の最終回などでも監督を務めています。(Part2の最終回だけ絵柄がだいぶ違って当時は驚きましたw) ここにはカリオストロの城で出てきた「カゲ」(長い爪の敵)やオートジャイロ、指輪、次元のライフルなど設定資料が並んでいます。こんなところまで詳細な解説があるとは恐るべしです。

この章の最後は吉田しげつぐ 氏のコーナーです。この方は劇場版第3作「ルパン三世 バビロンの黄金伝説」の監督なのですが、この映画を私は観たことがないので何とも言えませんw セル画やアニメーターのエッセイ原稿などが並んでいました。


<コミック>
ここまではアニメでしたが、ここはモンキー・パンチ氏による原作コミックのコーナーです。Weekly漫画アクションにて1967年8月10日号~1981年5月28日号まで連載されていて、漫画も大きく3期に分けられるそうです。
ここには一番最初の「第1話 ルパン三世颯爽登場」のカラーの原画が並んでいました。アニメとはだいぶ違うハードボイルドな雰囲気で、初っ端から性的な表現も多くて大人向けの内容となっています。

その後には海外で発行された漫画や、扉絵などがありました。不二子らしき人物の扉絵が多いけど、アニメしか観ていない私には作品を観てもルパンとわからないようなものもありました。昔の漫画らしい雰囲気があるかな。 その後には新ルパン三世の扉絵が並び、こちらはアメコミ調でちょっと抜けた雰囲気の絵が増えているようでした。

この章の最後には新ルパン三世の最終回の原画も展示されていました。孤島で「桃」と呼ばれるタイムマシンを一味で探すという話のようですが、実は罠で島ごと爆破されます。そしてそこでENDというちょっと衝撃の幕切れでした。


<パイロットフィルム>
終盤あたりにパイロットフィルムが流れている部屋がありました。私が観たのは恐らくアニメ用のスタンダード版で、乗っているクルマやルパンの姿はアニメと同じです。しかし、観ていてすぐに気がつくのが声優の違いで、この違和感は凄いw ルパンの印象がガラっと変わっていました。ナレーションが入って各キャラの特徴を紹介していて、part1のオープニングに使われているシーンなどもありました。 毎日日替わりでシネマスコープ版とスタンダード版を交互に上映しているようですので、両方観たい場合は2回行かないとダメなようですw

この部屋の壁の辺りには、年表やルパンのフィギュアが並び、色々な格好のルパンや不二子、マモーなどが展示されています。

最後の部屋にはモンキー・パンチ氏による大きな水墨画がありました。ルパン一味+銭形が描かれ、水墨の表現でも個性が伝わります。特に次元は渋くてかっこ良かったです。その他にも描きおろしのイラストなどが展示されていました。

そして、会場を出るとグッズ販売があるのですが、これがまた熱い!w パンフレット、CD、DVD、書籍、アクセサリー、フィギュア、クリアファイル、ポストカード、ストラップ、歌詞、うちわ、グラス、タンブラー、タオル、ポスター、iphoneケース、入浴剤、不二子のアイライナーなどなど、こんなものまであるのかというほど様々なものを売っています。私はハンドタオル(550円くらい)を購入しました。グッズを買うにも列にならぶ盛況ぶりです。
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ということで、いまだに多くのファンを生み出し続けるルパンの魅力が詰まった展示でした。好きな人なら満足できると思います。パイロットフィルムのような貴重なものもあるので、ディープなファンにも良いんじゃないかな? 元々会期が短いので残りわずかとなっていますので、ご興味在る方はすぐにでもどうぞ^^;
ちなみに次の展示はハローキティ展らしいです。それも混みそうですねw

おまけ;
松屋銀座の地下にもこんなものがありました。
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