Archive | 2011年10月
前回ご紹介した三菱一号館美術館の展示を観た後、ポーラミュージアム アネックスにハシゴして「Chic and Luxury -モードの時代-写真展」を観てきました。

【展覧名】
Chic and Luxury -モードの時代-写真展
【公式サイト】
http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/
http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/detail.html
【会場】ポーラミュージアム アネックス (POLA MUSEUM ANNEX) ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】東京メトロ 銀座駅・銀座一丁目駅 JR有楽町駅
【会期】2011年10月22日(土)~12月4日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
意外とお客さんが多かったですが、自分のペースでゆっくり観ることができました。
さて、今回の展覧会は1950~60年代のオートクチュール全盛時代の写真家の作品が50点程度並んだ内容となっています。主にVOGUE(ヴォーグ)やハーパース・バザーといったファッション誌を飾った写真家の作品が並ぶ華やかな展示で、単に綺麗なだけでなくそれぞれの写真家の個性を感じる面白い作品が並んでいました。詳しくは作者ごとにご紹介していこうと思います。今回はあまり解説はないので自分の単純な感想が中心です^^;
<ウィリー・メイウォルド> ★こちらで観られます
まず入口にあった写真家のコーナーです。ディオールを中心に活躍した人だそうで、作品は女性の優美さを感じさせるものが並んでいました。エレガントで貴族的な雰囲気の写真が多かったかな。
<ヘンリー・クラーク> ★こちらで観られます
VOGUEやエレガンスで活躍した写真家です。1点しかなかったのですが、高い所から見下ろすような視点で帽子の女性を撮っていて、背後の鏡に後ろ姿が映っているなど、面白い構図となっていました。
<リリアン・バスマン>
画家・イラストレーターでもある写真家で、ハーパース・バザーなどで活躍しました。ふとした日常の光景のような生き生きとした作品が多かったように思います。独特のソフトフォーカスの手法を使っているようでした。
<ルイーズ・ダール=ウォルフ>
インテリアデザイナーから写真家になり、ハーパース・バザーで活躍した写真家です。人と物の配置に物語性を感じるのが特徴らしく、確かに映画のワンシーンのような雰囲気の作品が並んでいました。
<ジーン・フェン>
様々なオートクチュールのメゾンと交流のあった写真家です。1点のみの展示で、ドレスを作っているような写真でした。
<アーヴィング・ベン>
グラフィックアーティストだった写真家で、VOGUEで活躍しました。シンプルな画面構成でありながらクラシカルな雰囲気と気品があるのが特徴らしく、真っ白な背景に黒の服の女性(チェック模様など)の写真が絵画的かつデザイン的な雰囲気を出していました。この人の作品はかなり気に入りました。
<リチャード・アヴェンドン>
洋裁屋に生まれ、ハーパース・バザーやVOGUEで活躍した革新的な伝説の写真家です。祭りの中の女性やジャンプしているような場面、ドレスを翻す様子など動きを感じる写真が多く、華麗な雰囲気と親しみを感じました。確かに面白い写真です。
<ホルスト・P・ホルスト>
バウハウスのメンバーと交流して建築を学び、ル・コルビュジエのスタジオで働いていたという凄い経歴の持ち主です。背中や足を撮ったものや、羽のように衣を広げる姿など、優美で女性の魅力が凝縮されたような感じです。官能的ですらあり、この人も良かったです。
<ルイス・ファウラー>
ドキュメンタリーの写真家で、ハーパース・バザー、VOGUE、ルック、ライフなどで活躍しました。この人の作品は1点のみで、身を屈めて衣を翻した瞬間を感じる動的な作品でした。
<フランク・ホーヴァット>
ミラノの美術学校で学んだ写真家で、ライフ、ジャルダン・デ・モード、エル、ハーパース・バザー、エスクァイアなどで活躍しました。街中の華麗な女性たちを撮ったような感じの作品が並び、電車や飲食店などを背景にしています。何かストーリーがありそうな作品でした。
<ウィリアム・クライン>
画家、映画監督でもあった写真家で、VOGUEでも活躍しました。幾何学性を感じる作風で、鏡を使った幻想的な作品などがありました。発想が独創的で美的感覚が画家らしいように思いました。この人の作品が1番好みかも。
<メルヴィン・ソコルスキー>
独学で学んだ写真家で、ハーパース・バザーなどで活躍しました。プラスティックの球体に入ったモデルが宙に飛んだり、川の上を浮かんだり、手を広げて空を舞ったりと、シュールで開放的な雰囲気がありました。この人の作品もかなり面白いです。
<ルーミス・ディーン>
ディオールを中心に活躍した写真家です。1枚のみの展示で、様々な服を着た女性たちが豪華な部屋に集まって、ハシゴに登ったりしてポーズをとっている写真でした。エレガントでありながら楽しげで生き生きとした雰囲気がありました。
<ヘルムート・ニュートン>
報道写真家としても活動した人で、戦後にプレイボーイやVOGUEで活躍しました。この人も1枚のみの展示で、ハイヒールを履いた足を大きくクローズアップした作品でした。皮やストッキングの網目も見えるくらい大きく、滑らかで艶かしく、エロティックな雰囲気がありました。
奥には約25分の映像が流れていました。ファッションショーの映像などで、全部は見ていませんが私が観た時は1990年代の映像でした。妙な面をかぶっていたり奇抜なものもありますが華やかでした。
ということで、予想以上に楽しめる展覧会でした。写真展には小難しいものもありますが、これは分かりやすい上にお洒落なので、写真に詳しくなくても楽しめると思います。無料で観られるので、近くに行く機会がある方は足を運んでみると面白いと思います。

【展覧名】
Chic and Luxury -モードの時代-写真展
【公式サイト】
http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/
http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/detail.html
【会場】ポーラミュージアム アネックス (POLA MUSEUM ANNEX) ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】東京メトロ 銀座駅・銀座一丁目駅 JR有楽町駅
【会期】2011年10月22日(土)~12月4日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
意外とお客さんが多かったですが、自分のペースでゆっくり観ることができました。
さて、今回の展覧会は1950~60年代のオートクチュール全盛時代の写真家の作品が50点程度並んだ内容となっています。主にVOGUE(ヴォーグ)やハーパース・バザーといったファッション誌を飾った写真家の作品が並ぶ華やかな展示で、単に綺麗なだけでなくそれぞれの写真家の個性を感じる面白い作品が並んでいました。詳しくは作者ごとにご紹介していこうと思います。今回はあまり解説はないので自分の単純な感想が中心です^^;
<ウィリー・メイウォルド> ★こちらで観られます
まず入口にあった写真家のコーナーです。ディオールを中心に活躍した人だそうで、作品は女性の優美さを感じさせるものが並んでいました。エレガントで貴族的な雰囲気の写真が多かったかな。
<ヘンリー・クラーク> ★こちらで観られます
VOGUEやエレガンスで活躍した写真家です。1点しかなかったのですが、高い所から見下ろすような視点で帽子の女性を撮っていて、背後の鏡に後ろ姿が映っているなど、面白い構図となっていました。
<リリアン・バスマン>
画家・イラストレーターでもある写真家で、ハーパース・バザーなどで活躍しました。ふとした日常の光景のような生き生きとした作品が多かったように思います。独特のソフトフォーカスの手法を使っているようでした。
<ルイーズ・ダール=ウォルフ>
インテリアデザイナーから写真家になり、ハーパース・バザーで活躍した写真家です。人と物の配置に物語性を感じるのが特徴らしく、確かに映画のワンシーンのような雰囲気の作品が並んでいました。
<ジーン・フェン>
様々なオートクチュールのメゾンと交流のあった写真家です。1点のみの展示で、ドレスを作っているような写真でした。
<アーヴィング・ベン>
グラフィックアーティストだった写真家で、VOGUEで活躍しました。シンプルな画面構成でありながらクラシカルな雰囲気と気品があるのが特徴らしく、真っ白な背景に黒の服の女性(チェック模様など)の写真が絵画的かつデザイン的な雰囲気を出していました。この人の作品はかなり気に入りました。
<リチャード・アヴェンドン>
洋裁屋に生まれ、ハーパース・バザーやVOGUEで活躍した革新的な伝説の写真家です。祭りの中の女性やジャンプしているような場面、ドレスを翻す様子など動きを感じる写真が多く、華麗な雰囲気と親しみを感じました。確かに面白い写真です。
<ホルスト・P・ホルスト>
バウハウスのメンバーと交流して建築を学び、ル・コルビュジエのスタジオで働いていたという凄い経歴の持ち主です。背中や足を撮ったものや、羽のように衣を広げる姿など、優美で女性の魅力が凝縮されたような感じです。官能的ですらあり、この人も良かったです。
<ルイス・ファウラー>
ドキュメンタリーの写真家で、ハーパース・バザー、VOGUE、ルック、ライフなどで活躍しました。この人の作品は1点のみで、身を屈めて衣を翻した瞬間を感じる動的な作品でした。
<フランク・ホーヴァット>
ミラノの美術学校で学んだ写真家で、ライフ、ジャルダン・デ・モード、エル、ハーパース・バザー、エスクァイアなどで活躍しました。街中の華麗な女性たちを撮ったような感じの作品が並び、電車や飲食店などを背景にしています。何かストーリーがありそうな作品でした。
<ウィリアム・クライン>
画家、映画監督でもあった写真家で、VOGUEでも活躍しました。幾何学性を感じる作風で、鏡を使った幻想的な作品などがありました。発想が独創的で美的感覚が画家らしいように思いました。この人の作品が1番好みかも。
<メルヴィン・ソコルスキー>
独学で学んだ写真家で、ハーパース・バザーなどで活躍しました。プラスティックの球体に入ったモデルが宙に飛んだり、川の上を浮かんだり、手を広げて空を舞ったりと、シュールで開放的な雰囲気がありました。この人の作品もかなり面白いです。
<ルーミス・ディーン>
ディオールを中心に活躍した写真家です。1枚のみの展示で、様々な服を着た女性たちが豪華な部屋に集まって、ハシゴに登ったりしてポーズをとっている写真でした。エレガントでありながら楽しげで生き生きとした雰囲気がありました。
<ヘルムート・ニュートン>
報道写真家としても活動した人で、戦後にプレイボーイやVOGUEで活躍しました。この人も1枚のみの展示で、ハイヒールを履いた足を大きくクローズアップした作品でした。皮やストッキングの網目も見えるくらい大きく、滑らかで艶かしく、エロティックな雰囲気がありました。
奥には約25分の映像が流れていました。ファッションショーの映像などで、全部は見ていませんが私が観た時は1990年代の映像でした。妙な面をかぶっていたり奇抜なものもありますが華やかでした。
ということで、予想以上に楽しめる展覧会でした。写真展には小難しいものもありますが、これは分かりやすい上にお洒落なので、写真に詳しくなくても楽しめると思います。無料で観られるので、近くに行く機会がある方は足を運んでみると面白いと思います。
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前回ご紹介したお店でランチを済ました後、三菱一号館美術館へ行って、三菱一号館美術館コレクション<Ⅱ>「トゥールーズ=ロートレック」展を観てきました。

【展覧名】
三菱一号館美術館コレクション<Ⅱ>「トゥールーズ=ロートレック」展
【公式サイト】
http://www.mimt.jp/lautrec2011/
【会場】三菱一号館美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【会期】2011年10月13日(木)~12月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日12時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
意外と空いていて、ゆっくりと自分のペースで観ることができました。
さて、今回の展覧会は19世紀末~20世紀初頭に主にポスターや肖像で名を馳せたアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの個展となっています。この美術館の最初のコレクションはロートレックだったそうで、今回の展示はロートレックの友人であり画商のモーリス・ジョワイヤンのコレクションと、ロートレックの故郷アルビ市のトゥールーズ=ロートレック美術館(三菱一号館美術館と姉妹提携している)の協力を得て開催されたようです。
…と、概要を聞くと有難味があるのですが、ロートレックの展覧会はそんなに需要があるのか?と思うくらい頻繁にやっている印象ですw しかも代表作はポスターとリトグラフが多いので毎回同じような内容になりがちだったりします。さらに私はロートレックは日本の写楽と同じようにあまり好みではないので、まあ観ておくか~というくらいのノリで観に行ってきました。
参考記事:
ロートレック・コネクション (Bunkamuraザ・ミュージアム)
アール・ヌーヴォーのポスター芸術展 (松屋銀座)
詳しくは章ごとに気になった作品と共にご紹介しようと思いますが、以前ご紹介したことがある作品(厳密には別物で摺りも違います)については割愛します。似たタイトルの作品も多いので作品番号も記載しておきます。
<プロローグ>
まず最初はモーリス・ジョワイヤン・コレクションについての紹介のコーナーでした。彼はロートレックの親友の画商で、コレクションは直接画家から引き継いだものとなります。その為、リトグラフやポスターの保存が良いと解説されていました。
また、ここにはロートレックの写真も展示されています。眼鏡を掛けた全身像で、足が異常に短いのですが、これは骨折(病気で折れやすかった)で足の成長が止まってしまったためです。その足も彼の人生に大きく影響していきます。
<第1章 トゥールーズ=ロートレック家の故郷・南西フランスと画家揺籃の地アルビ>
ロートレックは1864年にフランスのアルビで生まれました。彼の家は貴族(伯爵家)で、早くから絵を好み領地の中でのびのびと描いていたようです。その後、名門校に入るために一家でパリに移り住み、そこでモーリス・ジョワイヤンと出会っています。 14歳の時に両足を骨折し、この頃から足の成長が止まりました。これによってロートレックは父親から興味を失われたようですが、母親は常に可愛がっていたようです。その後、動物画家プランストーの元で本格的に絵の道に入り、1ジャン=ルイ・フォランなどからも学んだ後、フェルナン・コルモンの画塾に入り、1887年まで在籍しました。
1 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「アルビのカステルヴィエル陸橋」 ★こちらで観られます
故郷アルビを描いた油彩画です。初期の小品らしく、淡い色彩で陸橋や海、森などを描いています。そんなに面白い絵ではないけど、ロートレックの風景画は貴重かな。本人は全然うまく描けないとこぼしていたようで、後に人物画が全てであり風景画は飾りであると言っていたようです。そもそも風景画に興味がなかったんですね。
この辺には画塾時代の素描がありました。写実的で滑らかさを感じる裸体やトルソを描いています。また、17歳の頃に描いた父親が鷹狩の絵もありました。父親はかなりの変わり者だったそうです。
5 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「ロートレックによるロートレック」
紙に黒鉛で描かれた簡素な作品で、ベッドの上で絵を描く自分を描いています。落書きみたいな感じですが、足の骨折をした頃のようで寂しげな表情をしていました。この頃の心情が伝わってくるようです。
4 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「A.ド・トゥールーズ=ロートレック伯爵夫人」 ★こちらで観られます
母アデルを描いた作品で、戸外の緑に囲まれたベンチに腰掛けています。静かな雰囲気で気品を感じ、明暗の表現や大胆な作風は印象派を思わせるものがありました。解説によると、ロートレックは母は聖女のようだと言っていたそうで、父とは正反対の性格だったそうです。母は息子の才能を見抜き、常に可愛がっていたとのことでした。
この辺にはコルモンの画塾の写真もありました。その次の部屋からは一気にポスター作品やカフェ・コンセールを描いたリトグラフなどが並ぶコーナーとなります。
<第2章 世紀末パリとモンマルトルの前衛芸術>
ロートレックはモンマルトルに居を移し、キャバレーやダンスホール、芝居小屋、サーカスなど新しい娯楽の中に身を投じてそこの人々を描くという創作活動を行なっていくようになります。1891年に依頼された「ムーラン・ルージュ・ラ・グーリュ」のポスターが貼り出されるとパリの話題をさらい、一躍有名となりました。ロートレックはポスターというジャンルに影響を与えるとともに、リトグラフを好んで制作していたようです。そのバックには日本美術からの影響を伺うこともできます。ここには代表的な有名作品が多々並んでいました。
17 18 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「ムーラン・ルージュのイギリス人」 ★こちらで観られます
似たリトグラフが2枚並んでいました。どちらも絵柄は同じで、帽子のブルジョアの男が2人の帽子の女性に声をかける場面を描いています。右に展示された17は通常版で、男は赤紫一色に染まっっている一方、左の18の方はレゾネにも載っていない試し刷りのバージョンらしく男が水色になっています。色のこだわりを感じることができる貴重なコレクションでした。
33 34 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「エグランティーヌ嬢一座」 ★こちらで観られます
ひらひらのスカートを履いて足を高く上げるシャユ踊りを踊る4人の女性を描いた作品です。簡略化されていて、個性がデフォルメされている感じかな。右から2番目の女性は1番右の女性を意識しているようで、ちらっと見ています。解説によると、彼女たちはお互いにライバル心があったらしく、この後すぐに仲間割れを起こして解散してしまったようです。心の中までも観察しているような作品でした。 なお、この作品も2枚あり、34の方は青一色となっていました。
この辺には、27「ディヴァン・ジャポネ」(★こちらで観られます)や、19「エルドラド、アリスティド・ブリュアン」(「アンバサドゥールのアリスティド・ブリュアン) 、13「ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ」(ムーラン・ルージュのラ・グリュ)といった代表作もあります。
左:「エルドラド、アリスティド・ブリュアン」
右:「ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ」
↓これは以前、東急のショーウインドウに飾られていた複製を撮影したものです。

右の方が初めてのポスターで出世作です。
20 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレーにて」 ★こちらで観られます
これも有名作で、左後辺りから黒衣の男性俳優(先ほどの写真と同じ人物)を描いた作品です。黒い帽子とオレンジのマフラーが印象的で、ちらっとこちらを見て不敵な笑みを浮かべています。解説によると、彼は客に悪態をついて人気を得ていたそうで、その特徴がよく出ているように思います。 この作品を見るたびに、ロートレックは西洋の写楽だと思いますw
参考記事:
写楽 感想前編(東京国立博物館 平成館)
写楽 感想後編(東京国立博物館 平成館)
この辺には24「ジャヌ・アヴリル(ジャルダン・ド・パリ)」や、120「シンプソンのチェーン」(★こちらで観られます)などもありました。
28 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「メイ・ベルフォール」 ★こちらで観られます
フリルのついたオレンジのドレスを着た黒髪の女性歌手を描いた作品です。黒猫を抱いていて、白い大きなリボンをつけています。あどけない感じがあり、解説によると彼女は舌足らずで子供のように歌い、舞台は退廃的でエロティックな雰囲気だったそうです。ポスターにも気だるさがあり、それが伝わってくるようでした。
なお、この作品は29「メイ・ミルトン」(★こちらで観られます)と対になって作られたようで、少し離れたところにそれも展示されていました。また、この辺には白黒のリトグラフも多数あります。
26 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「コーデュー」
黒い燕尾服を着て軽やかな足取りで舞台に向かう、小太りで中年の舞台役者を描いたポスターです。簡略化されつつも特徴が出ているようで、楽しそうな顔で歩いています。特に面白いのはその構図で、画面に大きく描かれて左手が画面をはみ出しているなど、見ている者の目の前を通りすぎていくような臨場感があります。ポスターの右下には輪郭線だけのプロンプター(セリフを伝える役割)の男性も描かれ、舞台の内幕を観たような感じでした。
次の部屋に進むと素描のようなリトグラフのコーナーで、リトグラフを作る石版も2点展示されています。(刷り上がった作品とセットで展示されているのが分かりやすいです) これらは当時の風俗を感じさせると共に、ロートレックが開発したと言われる吹付けの技法が使われているのを観ることができました。
61 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「ロイ・フラー嬢」 ★こちらで観られます
シカゴ出身の踊り子が長い赤色の袖をはためかせて踊る様子を描いた作品です。抽象画かと思うほど幻想的な雰囲気で、もはや頭と足以外は炎か花のような形で、宙に浮かんでいるように見えます。金粉・銀粉を使った画面に妖しく浮かび、虹色に染まっていました。解説によると、これはスポットライトで色が変わる踊りのようで、近くにはこれと同じ絵で服が赤くなっているバージョンもありました。
59 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「金色の怪人面のある桟敷席」
金色の怪物の面の装飾が施された観客席と、その上でオペラグラスを持って観劇しているオレンジの髪に黒服の女性を描いた作品です。背景は赤で、色の取り合わせが印象的でした。見ているはずが見られているという構図も面白いです。
なお、女性の隣には金髪の男性もいるのですが、この人物はロートレックの酒仲間でもあったイギリス人画家のチャールズ・コンダーだそうで、コンダーはジョサイア・コンドルの親族でもあるようです。この三菱一号館美術館の元の建物はジョサイア・コンドルによって設計されているので、数奇な巡り合わせかもしれません。
参考記事:三菱一号館竣工記念「一丁倫敦と丸の内スタイル展」 (三菱一号館美術館)
この辺には女優を描いた素描のようなリトグラフも並んでいます。理想化されず、ちょっと意地悪なくらいにシニカルな感性があるように思えます。
89 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「マルセル・ランデール嬢、胸像」 ★こちらで観られます
これも傑作の1つで、オレンジの髪にピンクの髪飾りをつけた女優の横顔を描いたリトグラフです。背景に雲のような文様?があり、ちょっとオーラのような感じかなw 誰かに話しかけているのか、やや口を開いて卑近な表情に思えます。解説によると、この作品は8色の版で技術の粋を集めたもののようでした。ちなみにロートレックはこの女優の舞台を20回も観に行ったそうです。普通の画家ならそれだけ好きならもっと綺麗に描いてあげたくなりそうですがw
この辺には舞台を描いた素描のようなリトグラフも並んでいました。
休憩室には古い画集やパリ・アルビ・ボルドーといったロートレックゆかりの地の写真や説明が並んでいます。ムーラン・ルージュの写真もありました。
<第3章 芸術家の人生>
階を下ると3章です。名声を得たロートレックは多くの著名人と交流を持ち、挿絵や企業ポスターなど舞台の枠を越えて国内外の仕事を手がけたようです。パリやロンドンで個展を開き、ブリュッセルの20人会にも参加し続けるなど様々な活動をしていました。一方で、都会の裏側に魅了され、娼婦たちの日常を描いた「彼女たち」という集大成とも言える作品も出しています。 晩年はアルコールによって心身が衰弱し、やがて死に至りますが、彼の死後は母やジョワイヤンらの努力によって真価が後世に伝えられていきました。
「20人会」の参考記事:
ベルギー王立美術館コレクション『ベルギー近代絵画のあゆみ』 (損保ジャパン東郷青児美術館)
アントワープ王立美術館コレクション展 (東京オペラシティアートギャラリー)
115 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「ラ・ルヴュ・ブランシュ誌」 ★こちらで観られます
今回の展示のポスターになっている作品で、美術文芸誌の表紙として主催者の妻を描いた作品です。彼女はミューズ(芸術の女神)的な存在だったらしく、さすがのロートレックも彼女は綺麗に描いていますw 青地に赤い水玉服を着て、大きな黒い羽飾りのついた帽子をかぶっています。これはスケートをしているところらしく、周りにはうっすらとスケートリンクの線が見え、吹きつけ技法が使われていました。女性はキリッとした表情で賢そうな雰囲気があります。
この少し前には当時の展覧会のカタログなども展示されていました。また、少し先には111「悦楽の女王」もあります。
「悦楽の女王」
↓これは以前、東急のショーウインドウに飾られていた複製を撮影したものです。

これはロスチャイルドが自分のことを揶揄していると思い込んで出版を差し止めようとした作品だったりしますw
112 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「ドイツのバビロン」
小説の宣伝ポスターで、騎馬兵の後ろ姿を描いた作品です。手前には銃剣を持った歩哨の姿もあり、白服に白馬の騎兵はスラっとしているものの、歩哨は黒く描かれ悪魔的な雰囲気を感じます。全体的に重苦しい雰囲気がありました。解説によると、悪徳の都バビロンの名を使い反ドイツ的であると小説は出版差し止め要求されたそうですが、ロートレックはこの作品を自費出版したそうです。
143 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「ジュール・ルナール『博物誌』」
10枚(本来は22枚)の動物を描いた作品です。ワニ、ねずみ、犬、鹿、牛、鶏、カタツムリ、兎、山羊、豚の10点が並び、ワニ以外は写実的でありながらデザイン的なセンスを感じました。そもそも動物を描くこともあったというのが以外でした。周りには馬や象、鷲、犬などの絵もありました。特に象の絵は簡略化されつつもゆる~い可愛らしさがあって面白かったです。
この次の部屋には娼婦を描いた「彼女たち」の作品が並んでいました。娼婦と言っても色気より生活を感じるシーンが描かれ、身支度や目覚めなどのシーンが多いです。ぐで~~っとしている様子などは人間臭く、ロートレックに気を許しているような感じを受けました。
この近くには喜多川歌麿の青楼十二時のシリーズが並んでいました。似た題材で、ここからインスピレーションを受けていたことが伺えます。
参考記事:
東京国立博物館の案内 (2011年02月)
歌麿・写楽の仕掛け人 その名は蔦屋重三郎 (サントリー美術館)
168 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「化粧」 ★こちらで観られます
これは油彩画で、鏡に向かって化粧をするやや太めの娼婦を描いた作品です。赤い髪が顔を隠すくらい垂れていて、表情は虚ろな感じがします。ちょっと不機嫌そうにも見えるかな。仕事前の心情を感じさせます。
なお、この作品もそうですが、ロートレックは赤髪と金髪の女性が好みだったようです。この展覧会でも赤髪の割合が高かったように思いますw
この辺にはメニューカードなどもありました。
<エピローグ>
最後はエピローグです。ロートレックは36歳の若さで亡くなりましたが、母アデルやジョワイヤンによって死後も名が広められた話や、ロートレック美術館の成り立ちについて説明していました。
186 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「モーリス・ジョワイヤン」 ★こちらで観られます
船の上で横向きになり、黄色い防水服を着て銃を構える親友ジョワイヤンを描いた油彩作品です。海原を背景に意志の強そうな顔で凛々しく描かれています。親友だけに珍しくかっこ良く描いてるかなw 色の重なりはロートレックらしさを感じさせました。
ということで、代表的な作品が揃った展示でした。ロートレックとはどんな画家か?というのがよく分かると思いますので、この機に知りたいという方にも向いていると思います。当時の様子がよく伝わってくる展覧会でした。


【展覧名】
三菱一号館美術館コレクション<Ⅱ>「トゥールーズ=ロートレック」展
【公式サイト】
http://www.mimt.jp/lautrec2011/
【会場】三菱一号館美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【会期】2011年10月13日(木)~12月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日12時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
意外と空いていて、ゆっくりと自分のペースで観ることができました。
さて、今回の展覧会は19世紀末~20世紀初頭に主にポスターや肖像で名を馳せたアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの個展となっています。この美術館の最初のコレクションはロートレックだったそうで、今回の展示はロートレックの友人であり画商のモーリス・ジョワイヤンのコレクションと、ロートレックの故郷アルビ市のトゥールーズ=ロートレック美術館(三菱一号館美術館と姉妹提携している)の協力を得て開催されたようです。
…と、概要を聞くと有難味があるのですが、ロートレックの展覧会はそんなに需要があるのか?と思うくらい頻繁にやっている印象ですw しかも代表作はポスターとリトグラフが多いので毎回同じような内容になりがちだったりします。さらに私はロートレックは日本の写楽と同じようにあまり好みではないので、まあ観ておくか~というくらいのノリで観に行ってきました。
参考記事:
ロートレック・コネクション (Bunkamuraザ・ミュージアム)
アール・ヌーヴォーのポスター芸術展 (松屋銀座)
詳しくは章ごとに気になった作品と共にご紹介しようと思いますが、以前ご紹介したことがある作品(厳密には別物で摺りも違います)については割愛します。似たタイトルの作品も多いので作品番号も記載しておきます。
<プロローグ>
まず最初はモーリス・ジョワイヤン・コレクションについての紹介のコーナーでした。彼はロートレックの親友の画商で、コレクションは直接画家から引き継いだものとなります。その為、リトグラフやポスターの保存が良いと解説されていました。
また、ここにはロートレックの写真も展示されています。眼鏡を掛けた全身像で、足が異常に短いのですが、これは骨折(病気で折れやすかった)で足の成長が止まってしまったためです。その足も彼の人生に大きく影響していきます。
<第1章 トゥールーズ=ロートレック家の故郷・南西フランスと画家揺籃の地アルビ>
ロートレックは1864年にフランスのアルビで生まれました。彼の家は貴族(伯爵家)で、早くから絵を好み領地の中でのびのびと描いていたようです。その後、名門校に入るために一家でパリに移り住み、そこでモーリス・ジョワイヤンと出会っています。 14歳の時に両足を骨折し、この頃から足の成長が止まりました。これによってロートレックは父親から興味を失われたようですが、母親は常に可愛がっていたようです。その後、動物画家プランストーの元で本格的に絵の道に入り、1ジャン=ルイ・フォランなどからも学んだ後、フェルナン・コルモンの画塾に入り、1887年まで在籍しました。
1 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「アルビのカステルヴィエル陸橋」 ★こちらで観られます
故郷アルビを描いた油彩画です。初期の小品らしく、淡い色彩で陸橋や海、森などを描いています。そんなに面白い絵ではないけど、ロートレックの風景画は貴重かな。本人は全然うまく描けないとこぼしていたようで、後に人物画が全てであり風景画は飾りであると言っていたようです。そもそも風景画に興味がなかったんですね。
この辺には画塾時代の素描がありました。写実的で滑らかさを感じる裸体やトルソを描いています。また、17歳の頃に描いた父親が鷹狩の絵もありました。父親はかなりの変わり者だったそうです。
5 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「ロートレックによるロートレック」
紙に黒鉛で描かれた簡素な作品で、ベッドの上で絵を描く自分を描いています。落書きみたいな感じですが、足の骨折をした頃のようで寂しげな表情をしていました。この頃の心情が伝わってくるようです。
4 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「A.ド・トゥールーズ=ロートレック伯爵夫人」 ★こちらで観られます
母アデルを描いた作品で、戸外の緑に囲まれたベンチに腰掛けています。静かな雰囲気で気品を感じ、明暗の表現や大胆な作風は印象派を思わせるものがありました。解説によると、ロートレックは母は聖女のようだと言っていたそうで、父とは正反対の性格だったそうです。母は息子の才能を見抜き、常に可愛がっていたとのことでした。
この辺にはコルモンの画塾の写真もありました。その次の部屋からは一気にポスター作品やカフェ・コンセールを描いたリトグラフなどが並ぶコーナーとなります。
<第2章 世紀末パリとモンマルトルの前衛芸術>
ロートレックはモンマルトルに居を移し、キャバレーやダンスホール、芝居小屋、サーカスなど新しい娯楽の中に身を投じてそこの人々を描くという創作活動を行なっていくようになります。1891年に依頼された「ムーラン・ルージュ・ラ・グーリュ」のポスターが貼り出されるとパリの話題をさらい、一躍有名となりました。ロートレックはポスターというジャンルに影響を与えるとともに、リトグラフを好んで制作していたようです。そのバックには日本美術からの影響を伺うこともできます。ここには代表的な有名作品が多々並んでいました。
17 18 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「ムーラン・ルージュのイギリス人」 ★こちらで観られます
似たリトグラフが2枚並んでいました。どちらも絵柄は同じで、帽子のブルジョアの男が2人の帽子の女性に声をかける場面を描いています。右に展示された17は通常版で、男は赤紫一色に染まっっている一方、左の18の方はレゾネにも載っていない試し刷りのバージョンらしく男が水色になっています。色のこだわりを感じることができる貴重なコレクションでした。
33 34 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「エグランティーヌ嬢一座」 ★こちらで観られます
ひらひらのスカートを履いて足を高く上げるシャユ踊りを踊る4人の女性を描いた作品です。簡略化されていて、個性がデフォルメされている感じかな。右から2番目の女性は1番右の女性を意識しているようで、ちらっと見ています。解説によると、彼女たちはお互いにライバル心があったらしく、この後すぐに仲間割れを起こして解散してしまったようです。心の中までも観察しているような作品でした。 なお、この作品も2枚あり、34の方は青一色となっていました。
この辺には、27「ディヴァン・ジャポネ」(★こちらで観られます)や、19「エルドラド、アリスティド・ブリュアン」(「アンバサドゥールのアリスティド・ブリュアン) 、13「ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ」(ムーラン・ルージュのラ・グリュ)といった代表作もあります。
左:「エルドラド、アリスティド・ブリュアン」
右:「ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ」
↓これは以前、東急のショーウインドウに飾られていた複製を撮影したものです。


右の方が初めてのポスターで出世作です。
20 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレーにて」 ★こちらで観られます
これも有名作で、左後辺りから黒衣の男性俳優(先ほどの写真と同じ人物)を描いた作品です。黒い帽子とオレンジのマフラーが印象的で、ちらっとこちらを見て不敵な笑みを浮かべています。解説によると、彼は客に悪態をついて人気を得ていたそうで、その特徴がよく出ているように思います。 この作品を見るたびに、ロートレックは西洋の写楽だと思いますw
参考記事:
写楽 感想前編(東京国立博物館 平成館)
写楽 感想後編(東京国立博物館 平成館)
この辺には24「ジャヌ・アヴリル(ジャルダン・ド・パリ)」や、120「シンプソンのチェーン」(★こちらで観られます)などもありました。
28 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「メイ・ベルフォール」 ★こちらで観られます
フリルのついたオレンジのドレスを着た黒髪の女性歌手を描いた作品です。黒猫を抱いていて、白い大きなリボンをつけています。あどけない感じがあり、解説によると彼女は舌足らずで子供のように歌い、舞台は退廃的でエロティックな雰囲気だったそうです。ポスターにも気だるさがあり、それが伝わってくるようでした。
なお、この作品は29「メイ・ミルトン」(★こちらで観られます)と対になって作られたようで、少し離れたところにそれも展示されていました。また、この辺には白黒のリトグラフも多数あります。
26 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「コーデュー」
黒い燕尾服を着て軽やかな足取りで舞台に向かう、小太りで中年の舞台役者を描いたポスターです。簡略化されつつも特徴が出ているようで、楽しそうな顔で歩いています。特に面白いのはその構図で、画面に大きく描かれて左手が画面をはみ出しているなど、見ている者の目の前を通りすぎていくような臨場感があります。ポスターの右下には輪郭線だけのプロンプター(セリフを伝える役割)の男性も描かれ、舞台の内幕を観たような感じでした。
次の部屋に進むと素描のようなリトグラフのコーナーで、リトグラフを作る石版も2点展示されています。(刷り上がった作品とセットで展示されているのが分かりやすいです) これらは当時の風俗を感じさせると共に、ロートレックが開発したと言われる吹付けの技法が使われているのを観ることができました。
61 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「ロイ・フラー嬢」 ★こちらで観られます
シカゴ出身の踊り子が長い赤色の袖をはためかせて踊る様子を描いた作品です。抽象画かと思うほど幻想的な雰囲気で、もはや頭と足以外は炎か花のような形で、宙に浮かんでいるように見えます。金粉・銀粉を使った画面に妖しく浮かび、虹色に染まっていました。解説によると、これはスポットライトで色が変わる踊りのようで、近くにはこれと同じ絵で服が赤くなっているバージョンもありました。
59 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「金色の怪人面のある桟敷席」
金色の怪物の面の装飾が施された観客席と、その上でオペラグラスを持って観劇しているオレンジの髪に黒服の女性を描いた作品です。背景は赤で、色の取り合わせが印象的でした。見ているはずが見られているという構図も面白いです。
なお、女性の隣には金髪の男性もいるのですが、この人物はロートレックの酒仲間でもあったイギリス人画家のチャールズ・コンダーだそうで、コンダーはジョサイア・コンドルの親族でもあるようです。この三菱一号館美術館の元の建物はジョサイア・コンドルによって設計されているので、数奇な巡り合わせかもしれません。
参考記事:三菱一号館竣工記念「一丁倫敦と丸の内スタイル展」 (三菱一号館美術館)
この辺には女優を描いた素描のようなリトグラフも並んでいます。理想化されず、ちょっと意地悪なくらいにシニカルな感性があるように思えます。
89 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「マルセル・ランデール嬢、胸像」 ★こちらで観られます
これも傑作の1つで、オレンジの髪にピンクの髪飾りをつけた女優の横顔を描いたリトグラフです。背景に雲のような文様?があり、ちょっとオーラのような感じかなw 誰かに話しかけているのか、やや口を開いて卑近な表情に思えます。解説によると、この作品は8色の版で技術の粋を集めたもののようでした。ちなみにロートレックはこの女優の舞台を20回も観に行ったそうです。普通の画家ならそれだけ好きならもっと綺麗に描いてあげたくなりそうですがw
この辺には舞台を描いた素描のようなリトグラフも並んでいました。
休憩室には古い画集やパリ・アルビ・ボルドーといったロートレックゆかりの地の写真や説明が並んでいます。ムーラン・ルージュの写真もありました。
<第3章 芸術家の人生>
階を下ると3章です。名声を得たロートレックは多くの著名人と交流を持ち、挿絵や企業ポスターなど舞台の枠を越えて国内外の仕事を手がけたようです。パリやロンドンで個展を開き、ブリュッセルの20人会にも参加し続けるなど様々な活動をしていました。一方で、都会の裏側に魅了され、娼婦たちの日常を描いた「彼女たち」という集大成とも言える作品も出しています。 晩年はアルコールによって心身が衰弱し、やがて死に至りますが、彼の死後は母やジョワイヤンらの努力によって真価が後世に伝えられていきました。
「20人会」の参考記事:
ベルギー王立美術館コレクション『ベルギー近代絵画のあゆみ』 (損保ジャパン東郷青児美術館)
アントワープ王立美術館コレクション展 (東京オペラシティアートギャラリー)
115 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「ラ・ルヴュ・ブランシュ誌」 ★こちらで観られます
今回の展示のポスターになっている作品で、美術文芸誌の表紙として主催者の妻を描いた作品です。彼女はミューズ(芸術の女神)的な存在だったらしく、さすがのロートレックも彼女は綺麗に描いていますw 青地に赤い水玉服を着て、大きな黒い羽飾りのついた帽子をかぶっています。これはスケートをしているところらしく、周りにはうっすらとスケートリンクの線が見え、吹きつけ技法が使われていました。女性はキリッとした表情で賢そうな雰囲気があります。
この少し前には当時の展覧会のカタログなども展示されていました。また、少し先には111「悦楽の女王」もあります。
「悦楽の女王」
↓これは以前、東急のショーウインドウに飾られていた複製を撮影したものです。

これはロスチャイルドが自分のことを揶揄していると思い込んで出版を差し止めようとした作品だったりしますw
112 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「ドイツのバビロン」
小説の宣伝ポスターで、騎馬兵の後ろ姿を描いた作品です。手前には銃剣を持った歩哨の姿もあり、白服に白馬の騎兵はスラっとしているものの、歩哨は黒く描かれ悪魔的な雰囲気を感じます。全体的に重苦しい雰囲気がありました。解説によると、悪徳の都バビロンの名を使い反ドイツ的であると小説は出版差し止め要求されたそうですが、ロートレックはこの作品を自費出版したそうです。
143 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「ジュール・ルナール『博物誌』」
10枚(本来は22枚)の動物を描いた作品です。ワニ、ねずみ、犬、鹿、牛、鶏、カタツムリ、兎、山羊、豚の10点が並び、ワニ以外は写実的でありながらデザイン的なセンスを感じました。そもそも動物を描くこともあったというのが以外でした。周りには馬や象、鷲、犬などの絵もありました。特に象の絵は簡略化されつつもゆる~い可愛らしさがあって面白かったです。
この次の部屋には娼婦を描いた「彼女たち」の作品が並んでいました。娼婦と言っても色気より生活を感じるシーンが描かれ、身支度や目覚めなどのシーンが多いです。ぐで~~っとしている様子などは人間臭く、ロートレックに気を許しているような感じを受けました。
この近くには喜多川歌麿の青楼十二時のシリーズが並んでいました。似た題材で、ここからインスピレーションを受けていたことが伺えます。
参考記事:
東京国立博物館の案内 (2011年02月)
歌麿・写楽の仕掛け人 その名は蔦屋重三郎 (サントリー美術館)
168 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「化粧」 ★こちらで観られます
これは油彩画で、鏡に向かって化粧をするやや太めの娼婦を描いた作品です。赤い髪が顔を隠すくらい垂れていて、表情は虚ろな感じがします。ちょっと不機嫌そうにも見えるかな。仕事前の心情を感じさせます。
なお、この作品もそうですが、ロートレックは赤髪と金髪の女性が好みだったようです。この展覧会でも赤髪の割合が高かったように思いますw
この辺にはメニューカードなどもありました。
<エピローグ>
最後はエピローグです。ロートレックは36歳の若さで亡くなりましたが、母アデルやジョワイヤンによって死後も名が広められた話や、ロートレック美術館の成り立ちについて説明していました。
186 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「モーリス・ジョワイヤン」 ★こちらで観られます
船の上で横向きになり、黄色い防水服を着て銃を構える親友ジョワイヤンを描いた油彩作品です。海原を背景に意志の強そうな顔で凛々しく描かれています。親友だけに珍しくかっこ良く描いてるかなw 色の重なりはロートレックらしさを感じさせました。
ということで、代表的な作品が揃った展示でした。ロートレックとはどんな画家か?というのがよく分かると思いますので、この機に知りたいという方にも向いていると思います。当時の様子がよく伝わってくる展覧会でした。
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先週の土曜日に、三菱一号館美術館の展覧会を観に行ってきたのですが、その前にブリックスクエアの地下にあるMANHATTAN GRILL (マンハッタングリル)というお店でランチをとりました。

【店名】
MANHATTAN GRILL (マンハッタングリル)
【ジャンル】
洋食
【公式サイト】
http://www.marunouchi.com/brick/shop/detail/manhattangrill.html
食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13095510/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【近くの美術館】
三菱一号館美術館、出光美術館 など
【この日にかかった1人の費用】
1180円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日12時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_③_4_5_名店
【感想】
以前入ろうとした時は混んでいましたが、この日は土曜のお昼時にも関わらず空いていてゆっくりすることができました。
ここは三菱一号館美術館と同じくブリックスクエアの中にあるせいか、こんな感じの内装で洒落た雰囲気です。

しかし中はかなり狭く感じます。店員さんも中々こないのが難点。
ここは山形牛がセールスポイントのようで、ハンバーグなどもありましたが、私は山形牛のカレーのセットを頼みました。
これはセットのサラダ。

ちょっと酢が強くて酸っぱめでした。
続いて山形牛のカレー。

カレーは辛くなく、とろっとしてハヤシライスみたいな感じかな。肉もよく煮込んでいてほつれるような柔らかさでした。これは中々美味しいです。
写真を撮り忘れましたがドリンクもついてきます。アイスティーを頼んでみましたが普通の味かな。 食後の会計はテーブル会計となります。
ということで、カレーは中々美味しかったのですが、セットは特に可も不可もない感じでした。コストパフォーマンスとしては微妙ですが、この辺の相場とも言えるので悪くはないと思います。

【店名】
MANHATTAN GRILL (マンハッタングリル)
【ジャンル】
洋食
【公式サイト】
http://www.marunouchi.com/brick/shop/detail/manhattangrill.html
食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13095510/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【近くの美術館】
三菱一号館美術館、出光美術館 など
【この日にかかった1人の費用】
1180円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日12時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_③_4_5_名店
【感想】
以前入ろうとした時は混んでいましたが、この日は土曜のお昼時にも関わらず空いていてゆっくりすることができました。
ここは三菱一号館美術館と同じくブリックスクエアの中にあるせいか、こんな感じの内装で洒落た雰囲気です。

しかし中はかなり狭く感じます。店員さんも中々こないのが難点。
ここは山形牛がセールスポイントのようで、ハンバーグなどもありましたが、私は山形牛のカレーのセットを頼みました。
これはセットのサラダ。

ちょっと酢が強くて酸っぱめでした。
続いて山形牛のカレー。

カレーは辛くなく、とろっとしてハヤシライスみたいな感じかな。肉もよく煮込んでいてほつれるような柔らかさでした。これは中々美味しいです。
写真を撮り忘れましたがドリンクもついてきます。アイスティーを頼んでみましたが普通の味かな。 食後の会計はテーブル会計となります。
ということで、カレーは中々美味しかったのですが、セットは特に可も不可もない感じでした。コストパフォーマンスとしては微妙ですが、この辺の相場とも言えるので悪くはないと思います。
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今日は前回の記事に引き続き、千葉市美術館の 「生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌」展 の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。
前編はこちら
まずは概要のおさらいです。
【展覧名】
生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌
【公式サイト】
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2011/1010/1010.html
【会場】千葉市美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など
【会期】2011年10月10日(月・祝)~ 11月13日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
3時間30分程度
【混み具合・混雑状況(平日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
前編では上の階の展示をご紹介しましたが、今日は後半の下の階の展示をご紹介します。
参考記事:
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第1部 煌めく金の世界 (出光美術館)
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 (出光美術館)
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 2回目(出光美術館)
国宝燕子花図屏風 琳派コレクション一挙公開 (根津美術館)
生誕250年 酒井抱一 -琳派の華- (畠山記念館)
生誕250年 酒井抱一 -琳派の華- 2回目(畠山記念館)
<第6章 江戸文化の中の抱一>
抱一は琳派の作品を描くと同時に、多様な作風を試みていたようです。江戸文化の様相が色濃く反映されているようで、内妻と合作を作ったり、漢学者の亀田鵬斎をはじめ豪商や料亭の主人などとの交流が伺える作品が並んでいました。(内妻と亀田鵬斎については前編をご参照ください)
<第7章 工芸意匠の展開>
7章と6章は同じ展示室に並んでいたので、一緒にご紹介します。抱一は琳派の絵師の多くと同じく、多様な工芸意匠も手がけました。特に蒔絵師の羊遊斎との合作はブランドとして重宝されたようです。ここにはそうした工芸に関する作品も並んでいます。
7章に関連して、抱一の絵をそのまま小袖にしたもの、団扇、扇、蒔絵の下絵、盃、印籠、小皿、雛屏風(今年の出光美術館にも出品されていたもの)、櫛、小さいタンスなどが展示されていました。ちょっと変わったものだと、抱一デザインの団扇が描かれた浮世絵などもあります。
[俳諧人とのネットワーク]
113 酒井抱一 「隅田川窯場図屏風」
6曲1双の屏風で、右隻に大きな窯場と沢山積まれた藁?や作業している人が描かれ、左隻には筑波山と広い水面を進む船が描かれています。水墨による幽玄な雰囲気があり、ここまで観てきた画風とはまた少し違う趣きがあるように思いました。窯場あたりは琳派風かな。
126 八百屋善四郎 「料理通 初編/二編」
抱一は八百善(やおぜん)という料亭の主人と深い交流があったようで、これはその料亭が出した料理本です。ベストセラーとなったそうで、抱一も初編と二編に絵を描いていました。描いてあるのは山葵やしめじ、ハマグリなどで写実的でありながら洒脱な雰囲気があります。ちなみに、この本には他に葛飾北斎や谷文晁、渓斎英泉なども名を連ねているようです。
170 酒井抱一 「月に秋草図屏風」
最晩年の作品で、2曲の屏風となっていますが元々は襖絵のようです。アーモンド上の黒い月(元は銀?)が浮かび、その下にススキや桔梗などの秋草が描かれています。その草花は非常にリズミカルで、曲線が優美でした。余白にも独特の味わいがあります。
<第5章 雨華庵抱一の仏画制作>
続いては仏画のコーナーです。忘れてしまいがちですが抱一は出家した身であり絵師の仕事の1つに仏画制作があります。古い仏画の模写や谷文晁の作に共通する構図など周到な準備をして臨んでいたようです。また、この章の名前になっている雨華庵(うげあん)というのは1809年に移り住んだ下谷大塚の画室兼仏事を営む場で、後々の弟子に引き継がれていったようです。
142 酒井抱一 「妙音天像」
琵琶を弾く妙音天(弁財天)を描いた作品で、光明皇后が描いたものを模写しているそうです。鮮やかで動きを感じる表現となっていて、表装の部分も文様化された海となっているのも面白いです。なお、抱一は江ノ島の弁財天によくお参りしにいってたともことでした。
この辺には弟子の鈴木其一やその子供の守一の作品なども並んでいました。
153 酒井抱一 「白蓮図」
大きく花開く蓮を描いた作品です。花と葉が淡く色付けされ、瑞々しく風情があります。蓮は琳派でもよく描かれる題材ですが、僧である抱一にとっては鎮魂や再生を願う花でもあると解説されていました。清廉な雰囲気のある作品です。
これも出光の展示で観たような…。
抱一の作品はこの辺までだったと思います。
<第8章 鈴木其一とその周辺>
この章からは抱一の弟子や孫弟子のコーナーです。抱一の最初の弟子は鈴木蠣潭(すずきれいたん)で、酒井家の家臣として抱一の世話をする傍らで画業も手伝っていたようです。わずか26歳で亡くなったので点数は少ないのですが、確かな技量を持っていたらしく、このコーナーで観ることができます。また、その蠣潭が死んで鈴木家に養子に入ったのが鈴木其一で、其一も酒井家の家臣として抱一を補佐していたようです。其一が30代の頃からは「かいかい其一」(漢字は難しい!)という号を使って師風を脱する大胆で明快な作風となり、晩年は「菁々其一(せいせいきいつ)」と称し家督を鈴木守一に譲り、多様な作品を残しました。
<第9章 江戸琳派への水脈>
8章と9章は同じ展示室に並んでいたので、一緒にご紹介します。
酒井鶯蒲は寺の二男として生まれ、12歳で妙華尼(抱一の妻)の養子に迎えられ、雨華庵2世となりました。34歳で没したので作品は少ないものの、この章で観ることができます。 また、其一に次ぐ高弟の池田孤邨や、晩年の弟子の田中抱二の作品などもあり、その後の江戸琳派の流れを知ることができます。江戸から明治になった頃には、其一の子の守一や雨華庵4世の道一、道一の兄の光一などが活躍し、雨華庵5世の唯一で江戸琳派は途絶えたそうです。
194 鈴木蠣潭 「山水図屏風」
小さめの6曲1双の屏風です。金泥に大和絵や琳派を感じる画風で山々や川が描かれています。重厚さと軽やかさを織りまぜているように感じ、雅な雰囲気がありました。確かに素晴らしい絵師です。若く亡くなったのが惜しい限り。
[酒井鶯蒲とその周辺]
261 酒井鶯蒲 「地蔵尊」
錫杖を持った地蔵を描いた作品です。色が濃く、輪郭も太いのでがっしりした雰囲気があります。抱一の作風とは違うものを感じました。
255 酒井鶯蒲 「白藤・紅白蓮・夕もみぢ図」
タイトル通り、白い藤、蓮の花と葉、もみじの木が描かれた3幅対の作品で、抱一の作品を模した掛け軸です。単純化された意匠や色合いは抱一に近いですが、より平坦な雰囲気がありました。解説によると、これまで本阿弥光甫の作と考えられていたようです。
[江戸琳派の遊戯性 ~ 小さきものたち]
287 鈴木其一 「四季歌意図巻」
小さな巻物で、かなり細かく富士山を背景にした秋の絵など四季の風景を描いています。復興大和絵の影響を受けているそうで、大和絵の雰囲気が強いのですが、私にはどことなく中国風の雰囲気を感じました。
[田中抱二]
272 田中抱二 「夏草図屏風」
燕子花や朝顔、芍薬、百合などの夏から秋の草花が並ぶ様子を描いた屏風です。金地に色鮮やかかつ緻密に描かれ、抱一から受け継がれているのがよく分かります。密集して描かれているのがちょっとわざとらしいくらい鮮やかかなw
273 田中抱二 「三十六歌仙図屏風」
琳派に受け継がれた画題で、今年の出光美術館の琳派展で其一の同じ構図の掛け軸を展示していました。色鮮やかかつ華麗な雰囲気で三十六歌仙が集まる様子が描かれ、琳派の先人の作と見間違うほどの完コピでした。ちなみに其一の掛け軸は今回の展示でも最後の方に展示されています。
この辺にはやはり出光美術館の琳派展で観た鈴木其一の「蔬菜群虫図」や、根津美術館の「夏秋渓流図屏風」なども展示されていました。
[江戸琳派と浮世絵]
300 鈴木其一 「雪月花三美人図」
3幅対で、それぞれ雪の積もる枝、月、桜の花の下の着物の美女が描かれている作品です。それぞれ、画面の中段付近に短冊のようなものがあり、そこには抱一の俳句が書かれているようでした。浮世絵風の作風であるのにも驚きましたが、師匠への敬意も感じる作品でした。
249 市川其融 「水花菖蒲図」
2幅対の掛け軸で、曲線で単純化された川を背景に色とりどりの菖蒲(燕子花)が並んでいる様子を描いています。右幅は青の花と白の花、左幅は紫の花も混じっていて、お互いの色合いのバランスが対になっているように見えました。琳派の伝統を受け継ぎつつも独特な感性が感じられて良かったです。
[池田孤邨]
266 池田孤邨 「青楓朱楓図屏風」
これは前編でご紹介した抱一の同名の作品とよく似た6曲1双の屏風です。抱一の作品に比べると、木々が太く感じられるせいか、よりデフォルメされた感じもしました。煌びやかで色の対比が美しい作品です。
[江戸琳派と能絵]
297 鈴木其一 「釣鐘図」
掛け軸に大きな釣鐘のみが描かれている作品です。周りが余白であるため、より一層大きく感じるかな。鐘の上部には龍の彫刻、胴の部分には中国風の美女と龍らしきものが描かれていて、写実的な緻密さを感じました。これは歌舞伎で有名な「道成寺」の釣鐘を描いたものであると推測されているようでした。
[節句画と描き表装]
309 鈴木其一 「業平東下り図」
310 鈴木守一 「業平東下り図」
2枚同名の作品が並んで展示されていました。どちらも在原業平が馬に乗りながら振り返って富士山を見ている様子が描かれていて、ほぼ同じ構図です。やや、富士山やお供の位置が違うかな? 守一もまた其一から受け継いだ伝統をしっかりと伝えていることを感じさせる作品でした。
先ほど名前を挙げた鈴木其一の「三十六歌仙図」はこの辺にありました。
[江戸琳派の抱一顕彰]
327 山本素堂 「鶴図屏風」
山本素堂は抱一の弟子で雨華庵4世となった酒井道一の父です。6曲1双の屏風で、右隻には群れ飛ぶ鶴たち、左隻には川辺で休む鶴たちが描かれています。金泥に単純化された大和絵風で、群れた鶴がリズミカルに並んでいます。非常に華麗な雰囲気があり、好みの作品でした。
324 中野其明 「尾形流略印譜」
これは前編でご紹介した、琳派の印章を集めた抱一作の印譜をさらにパワーアップさせたものです。抱一以降の印も補強したようで、貴重な資料となっているようです。 こういう研究まで引き継いでいるとは驚きでした。
328 酒井道一 「桐菊流水図屏風」
2曲1双の屏風で、金地を背景に川辺の桐の木や菊の花などが描かれています。右隻の木の幹はダイナミックな印章を受ける一方、草木は意外と写実的な雰囲気があるものの、様式化されているのが面白いです。解説によると京琳派の影響を強く受けているとのことでした。
ということで、時間をたっぷり使って観てきたので最後は駆け足となってしまいましたw弟子の流れや関係を知ることも出来たのも良かったです。 しっかり図録も買ったので、暇な時に開いては余韻に浸っています^^ まさに抱一の集大成と言える内容だと思いますので、お勧めです。
前編はこちら


まずは概要のおさらいです。
【展覧名】
生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌
【公式サイト】
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2011/1010/1010.html
【会場】千葉市美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など
【会期】2011年10月10日(月・祝)~ 11月13日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
3時間30分程度
【混み具合・混雑状況(平日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
前編では上の階の展示をご紹介しましたが、今日は後半の下の階の展示をご紹介します。
参考記事:
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第1部 煌めく金の世界 (出光美術館)
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 (出光美術館)
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 2回目(出光美術館)
国宝燕子花図屏風 琳派コレクション一挙公開 (根津美術館)
生誕250年 酒井抱一 -琳派の華- (畠山記念館)
生誕250年 酒井抱一 -琳派の華- 2回目(畠山記念館)
<第6章 江戸文化の中の抱一>
抱一は琳派の作品を描くと同時に、多様な作風を試みていたようです。江戸文化の様相が色濃く反映されているようで、内妻と合作を作ったり、漢学者の亀田鵬斎をはじめ豪商や料亭の主人などとの交流が伺える作品が並んでいました。(内妻と亀田鵬斎については前編をご参照ください)
<第7章 工芸意匠の展開>
7章と6章は同じ展示室に並んでいたので、一緒にご紹介します。抱一は琳派の絵師の多くと同じく、多様な工芸意匠も手がけました。特に蒔絵師の羊遊斎との合作はブランドとして重宝されたようです。ここにはそうした工芸に関する作品も並んでいます。
7章に関連して、抱一の絵をそのまま小袖にしたもの、団扇、扇、蒔絵の下絵、盃、印籠、小皿、雛屏風(今年の出光美術館にも出品されていたもの)、櫛、小さいタンスなどが展示されていました。ちょっと変わったものだと、抱一デザインの団扇が描かれた浮世絵などもあります。
[俳諧人とのネットワーク]
113 酒井抱一 「隅田川窯場図屏風」
6曲1双の屏風で、右隻に大きな窯場と沢山積まれた藁?や作業している人が描かれ、左隻には筑波山と広い水面を進む船が描かれています。水墨による幽玄な雰囲気があり、ここまで観てきた画風とはまた少し違う趣きがあるように思いました。窯場あたりは琳派風かな。
126 八百屋善四郎 「料理通 初編/二編」
抱一は八百善(やおぜん)という料亭の主人と深い交流があったようで、これはその料亭が出した料理本です。ベストセラーとなったそうで、抱一も初編と二編に絵を描いていました。描いてあるのは山葵やしめじ、ハマグリなどで写実的でありながら洒脱な雰囲気があります。ちなみに、この本には他に葛飾北斎や谷文晁、渓斎英泉なども名を連ねているようです。
170 酒井抱一 「月に秋草図屏風」
最晩年の作品で、2曲の屏風となっていますが元々は襖絵のようです。アーモンド上の黒い月(元は銀?)が浮かび、その下にススキや桔梗などの秋草が描かれています。その草花は非常にリズミカルで、曲線が優美でした。余白にも独特の味わいがあります。
<第5章 雨華庵抱一の仏画制作>
続いては仏画のコーナーです。忘れてしまいがちですが抱一は出家した身であり絵師の仕事の1つに仏画制作があります。古い仏画の模写や谷文晁の作に共通する構図など周到な準備をして臨んでいたようです。また、この章の名前になっている雨華庵(うげあん)というのは1809年に移り住んだ下谷大塚の画室兼仏事を営む場で、後々の弟子に引き継がれていったようです。
142 酒井抱一 「妙音天像」
琵琶を弾く妙音天(弁財天)を描いた作品で、光明皇后が描いたものを模写しているそうです。鮮やかで動きを感じる表現となっていて、表装の部分も文様化された海となっているのも面白いです。なお、抱一は江ノ島の弁財天によくお参りしにいってたともことでした。
この辺には弟子の鈴木其一やその子供の守一の作品なども並んでいました。
153 酒井抱一 「白蓮図」
大きく花開く蓮を描いた作品です。花と葉が淡く色付けされ、瑞々しく風情があります。蓮は琳派でもよく描かれる題材ですが、僧である抱一にとっては鎮魂や再生を願う花でもあると解説されていました。清廉な雰囲気のある作品です。
これも出光の展示で観たような…。
抱一の作品はこの辺までだったと思います。
<第8章 鈴木其一とその周辺>
この章からは抱一の弟子や孫弟子のコーナーです。抱一の最初の弟子は鈴木蠣潭(すずきれいたん)で、酒井家の家臣として抱一の世話をする傍らで画業も手伝っていたようです。わずか26歳で亡くなったので点数は少ないのですが、確かな技量を持っていたらしく、このコーナーで観ることができます。また、その蠣潭が死んで鈴木家に養子に入ったのが鈴木其一で、其一も酒井家の家臣として抱一を補佐していたようです。其一が30代の頃からは「かいかい其一」(漢字は難しい!)という号を使って師風を脱する大胆で明快な作風となり、晩年は「菁々其一(せいせいきいつ)」と称し家督を鈴木守一に譲り、多様な作品を残しました。
<第9章 江戸琳派への水脈>
8章と9章は同じ展示室に並んでいたので、一緒にご紹介します。
酒井鶯蒲は寺の二男として生まれ、12歳で妙華尼(抱一の妻)の養子に迎えられ、雨華庵2世となりました。34歳で没したので作品は少ないものの、この章で観ることができます。 また、其一に次ぐ高弟の池田孤邨や、晩年の弟子の田中抱二の作品などもあり、その後の江戸琳派の流れを知ることができます。江戸から明治になった頃には、其一の子の守一や雨華庵4世の道一、道一の兄の光一などが活躍し、雨華庵5世の唯一で江戸琳派は途絶えたそうです。
194 鈴木蠣潭 「山水図屏風」
小さめの6曲1双の屏風です。金泥に大和絵や琳派を感じる画風で山々や川が描かれています。重厚さと軽やかさを織りまぜているように感じ、雅な雰囲気がありました。確かに素晴らしい絵師です。若く亡くなったのが惜しい限り。
[酒井鶯蒲とその周辺]
261 酒井鶯蒲 「地蔵尊」
錫杖を持った地蔵を描いた作品です。色が濃く、輪郭も太いのでがっしりした雰囲気があります。抱一の作風とは違うものを感じました。
255 酒井鶯蒲 「白藤・紅白蓮・夕もみぢ図」
タイトル通り、白い藤、蓮の花と葉、もみじの木が描かれた3幅対の作品で、抱一の作品を模した掛け軸です。単純化された意匠や色合いは抱一に近いですが、より平坦な雰囲気がありました。解説によると、これまで本阿弥光甫の作と考えられていたようです。
[江戸琳派の遊戯性 ~ 小さきものたち]
287 鈴木其一 「四季歌意図巻」
小さな巻物で、かなり細かく富士山を背景にした秋の絵など四季の風景を描いています。復興大和絵の影響を受けているそうで、大和絵の雰囲気が強いのですが、私にはどことなく中国風の雰囲気を感じました。
[田中抱二]
272 田中抱二 「夏草図屏風」
燕子花や朝顔、芍薬、百合などの夏から秋の草花が並ぶ様子を描いた屏風です。金地に色鮮やかかつ緻密に描かれ、抱一から受け継がれているのがよく分かります。密集して描かれているのがちょっとわざとらしいくらい鮮やかかなw
273 田中抱二 「三十六歌仙図屏風」
琳派に受け継がれた画題で、今年の出光美術館の琳派展で其一の同じ構図の掛け軸を展示していました。色鮮やかかつ華麗な雰囲気で三十六歌仙が集まる様子が描かれ、琳派の先人の作と見間違うほどの完コピでした。ちなみに其一の掛け軸は今回の展示でも最後の方に展示されています。
この辺にはやはり出光美術館の琳派展で観た鈴木其一の「蔬菜群虫図」や、根津美術館の「夏秋渓流図屏風」なども展示されていました。
[江戸琳派と浮世絵]
300 鈴木其一 「雪月花三美人図」
3幅対で、それぞれ雪の積もる枝、月、桜の花の下の着物の美女が描かれている作品です。それぞれ、画面の中段付近に短冊のようなものがあり、そこには抱一の俳句が書かれているようでした。浮世絵風の作風であるのにも驚きましたが、師匠への敬意も感じる作品でした。
249 市川其融 「水花菖蒲図」
2幅対の掛け軸で、曲線で単純化された川を背景に色とりどりの菖蒲(燕子花)が並んでいる様子を描いています。右幅は青の花と白の花、左幅は紫の花も混じっていて、お互いの色合いのバランスが対になっているように見えました。琳派の伝統を受け継ぎつつも独特な感性が感じられて良かったです。
[池田孤邨]
266 池田孤邨 「青楓朱楓図屏風」
これは前編でご紹介した抱一の同名の作品とよく似た6曲1双の屏風です。抱一の作品に比べると、木々が太く感じられるせいか、よりデフォルメされた感じもしました。煌びやかで色の対比が美しい作品です。
[江戸琳派と能絵]
297 鈴木其一 「釣鐘図」
掛け軸に大きな釣鐘のみが描かれている作品です。周りが余白であるため、より一層大きく感じるかな。鐘の上部には龍の彫刻、胴の部分には中国風の美女と龍らしきものが描かれていて、写実的な緻密さを感じました。これは歌舞伎で有名な「道成寺」の釣鐘を描いたものであると推測されているようでした。
[節句画と描き表装]
309 鈴木其一 「業平東下り図」
310 鈴木守一 「業平東下り図」
2枚同名の作品が並んで展示されていました。どちらも在原業平が馬に乗りながら振り返って富士山を見ている様子が描かれていて、ほぼ同じ構図です。やや、富士山やお供の位置が違うかな? 守一もまた其一から受け継いだ伝統をしっかりと伝えていることを感じさせる作品でした。
先ほど名前を挙げた鈴木其一の「三十六歌仙図」はこの辺にありました。
[江戸琳派の抱一顕彰]
327 山本素堂 「鶴図屏風」
山本素堂は抱一の弟子で雨華庵4世となった酒井道一の父です。6曲1双の屏風で、右隻には群れ飛ぶ鶴たち、左隻には川辺で休む鶴たちが描かれています。金泥に単純化された大和絵風で、群れた鶴がリズミカルに並んでいます。非常に華麗な雰囲気があり、好みの作品でした。
324 中野其明 「尾形流略印譜」
これは前編でご紹介した、琳派の印章を集めた抱一作の印譜をさらにパワーアップさせたものです。抱一以降の印も補強したようで、貴重な資料となっているようです。 こういう研究まで引き継いでいるとは驚きでした。
328 酒井道一 「桐菊流水図屏風」
2曲1双の屏風で、金地を背景に川辺の桐の木や菊の花などが描かれています。右隻の木の幹はダイナミックな印章を受ける一方、草木は意外と写実的な雰囲気があるものの、様式化されているのが面白いです。解説によると京琳派の影響を強く受けているとのことでした。
ということで、時間をたっぷり使って観てきたので最後は駆け足となってしまいましたw弟子の流れや関係を知ることも出来たのも良かったです。 しっかり図録も買ったので、暇な時に開いては余韻に浸っています^^ まさに抱一の集大成と言える内容だと思いますので、お勧めです。
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前回ご紹介したお店でお昼を摂った後、千葉市美術館へ行って「酒井抱一と江戸琳派の全貌」を観てきました。この展覧会は前期と後期(厳密には3期)で大きく内容が変わるようで、私が観たのは前期でした。(夏秋草図屏風は無い会期) 驚くほどに点数が多く、内容も充実していましたので、感想を前編と後編に分けてご紹介していこうと思います。

【展覧名】
生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌
【公式サイト】
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2011/1010/1010.html
【会場】千葉市美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など
【会期】2011年10月10日(月・祝)~ 11月13日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
3時間30分程度
【混み具合・混雑状況(平日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
平日に行ったにも関わらず、年配を中心に多くのお客さんが来ていました。しかし、16時を過ぎた頃からは空いていたので、自分のペースで観ることができました。
さて、今回の展示は「琳派」と呼ばれる画風で有名な酒井抱一の展示となっています。今年は抱一の生誕250年ということもあり、色々なところで琳派に関する展示が行われていますが、こちらの展示は抱一の出自から後世への影響までを紹介する内容で、今まで観たことがない肉親や弟子の作品まで展示されていました。元々私は琳派が大好きということもあって3時間半くらい観ていましたが、それでも足りないくらいでしたw(普通のペースなら2時間くらいかな?) 詳しくは各章で気に入った作品と共にご紹介しようと思うのですが、章立てが分かりづらいところもあったので間違っていたらすみません。
参考記事:
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第1部 煌めく金の世界 (出光美術館)
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 (出光美術館)
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 2回目(出光美術館)
国宝燕子花図屏風 琳派コレクション一挙公開 (根津美術館)
生誕250年 酒井抱一 -琳派の華- (畠山記念館)
生誕250年 酒井抱一 -琳派の華- 2回目(畠山記念館)
<第1章 姫路酒井家と抱一>
まずは抱一の生まれについてのコーナーです。酒井抱一は1761年に譜代大名の酒井雅楽頭家(さかいうたのかみ)の次男として生まれました。若くから俳諧や書画を嗜んでいたようで、20代には狂歌や浮世絵といった江戸市井の文化にも手を染めました。その後、酒井家の中で微妙な立場になって37歳頃に出家しましたが、生涯に渡って酒井家は抱一の基盤であったようです。この章では酒井家を巡る資料や作品が並んでいました。
まず最初に山東京伝の狂歌本などの中に描かれた抱一の肖像が並んでいます。良家の才子だけあって優男だったようです。部屋の中央には兄である宗雅(そうが)の書いた書本があり、その中には栄八(抱一)について書かれたところも度々出てくるようです。この兄の宗雅は後に酒井家当主となるのですが、温かい目で抱一を見守っていたようで、出家前の抱一の自由きままな創作活動はこの兄の存在があってこそのようでした。
3 酒井忠仰/黒姫 「佐野の渡り図」
これは抱一の両親による合作で、父親が絵を描き母親が和歌を詠んでいます。馬に乗った藤原定家とお供の人物(女性?)を描いていて、周りには松、背景には曇った空が描かれています。雪が降っているのか2人とも袖を頭の上にあげていました。緻密な筆致に賛も達筆で、両親も相当に書画に長けていたことが分かりました。
8 酒井宗雅 「兎図」
草木の生える所を跳ねる白うさぎを描いた作品で、抱一の兄が作者です。中国から伝わった南蘋派風(なんぴんは)風のリアルで細かい写実的な作風で、単なる趣味とは言えないレベルに思いました。
この辺には宗雅の打った脇差などもあり、酒井家の多才ぶりが伺えます。また、叔父の松平乗完による作品もあり、叔父も南蘋派風です。やや琳派を思わせる雰囲気もあるかな。
<第2章 浮世絵制作と狂歌>
続いては抱一の20代の頃のコーナーです。江戸で20代を過ごした抱一は、「杜綾(とりょう)」「杜陵(とりょう」「屠龍(とりょう」といった俳号を通称として吉原を拠点に名を馳せたそうです。また、「尻焼猿人(しりやきのさるんど)」の狂号で洒落本、狂歌本でも活躍しました。天明期には歌川豊春に倣った浮世絵も手がけ、師弟関係は明らかにされていないものの、豊春に忠実な強い影響を受けたようです。
20 酒井抱一 「松風村雨図」
ほとんど墨の濃淡のみに見える肉筆の掛け軸で、波の打ち寄せる海岸の松の下、2人の着物の美女が描かれています。(須磨の松風・村雨の姉妹) 非常に線が細く、優美な雰囲気があります。後の作風とはだいぶ違っていますが、何となくその後の作品を彷彿させる気品がありました。
24 酒井抱一 「遊女と禿図」
遊女と2人の禿(かむろ)を描いた作品です。色鮮やかで、これは豊春風の作風のようです。色白の美人が華麗な雰囲気で、浮世絵そのものといった感じでした。
抱一は20代にこうした肉筆を盛んに描いていたそうですが、尾形光琳の様式で描くようになってからはこうした作品は描かれなくなったようです。
<第3章 光琳画風への傾向>
酒井家を継いだ兄の宗雅は36歳で亡くなり、代わって甥の忠道が酒井家を継ぎました。兄に庇護されていた抱一は酒井家の居場所を失い、さらに寛政の改革で風紀が取り締まれるなど、悩み多き30代となったようです。そして、37歳の時に西本願寺から来ていた文如上人によって得度し、出家しました。
きっかけは不明だそうですがこの頃から尾形光琳の様式に目覚めたそうで、最初は苦労したものの、やがて習得していきます。55歳の時には尾形光琳の百回忌の法要と展覧会を行い、自他ともに光琳の継承者として認められる存在となっていたそうです。ここにはそうした出家前後から晩年までの琳派風の作品が並んでいました。
[画賛物の味わい]
この章には細かいコーナー分けがあって、最初は賛がついているコーナーでした。
42 酒井抱一 「双鶏図」
琳派学習初期の作品で、2羽のつがいの鶏と葉っぱが描かれています。結構シンプルな絵で、あまり琳派らしさを感じないものの金泥が塗られているなど研究の様子が伺えます。 まだ堅い雰囲気がありました。
43 酒井抱一 「鳥獣人物戯画写」
鳥獣戯画の場面から抜き出した模写作品で、葉っぱの的に松葉の矢を引く兎と、それを見ている蛙を描いています。うっすら色もついていて、だいぶ軽やかな雰囲気で表現されていました。
この辺には書や本などもあり、出光美術館の「燕子花図屏風」もありました。意外なことにあれも琳派学習の初期の作品のようです。
40 酒井抱一 「水葵に蜻蛉図」
初公開の掛け軸で、水から伸びた水葵とそこにとまっているトンボが描かれています。葉っぱには「たらしこみ」(にじみを使った技法)や金泥が使われ、形はデフォルメされているなど琳派っぽい雰囲気がありました。
[吉原と抱一]
抱一は吉原を拠点に活動していたようで、遊女を身請けして内縁の妻としています。(小鸞女史) ここには吉原との関わりを示す作品が並んでいました。
96 酒井抱一/小鸞女史 「紅梅図」
これは小鸞女史を伴侶として転居して初めての正月に描いた作品で、絵は抱一、漢詩を小鸞女史が書いています。右下から左上に向かって伸びる梅の木が描かれ、所々に赤い花があります。濃淡や筆使いから勢いと自由さを感じました。漢詩の内容は苦難の末に結ばれた喜びを示しているとのことです。
この辺には吉原の人物を描いた作品や、吉原のお得意にあげた文台なども展示されていました。
[亀田鵬斎との交友]
続いては漢学者の亀田鵬斎との交友を示すコーナーです。亀田鵬斎は抱一の隣人であり親友でもあったようです。
119 酒井抱一/亀田鵬斎 「猫図」
虎のような模様の猫が丸まっている姿を描いた作品です。掛け軸の上の方には漢詩の賛があり、字はあまり上手いとは思いませんでしたw 絵も抱一と言われないと気付けないかな。
この辺には亀田鵬斎が賛した作品が並んでいました。
[文化十二年 光琳百回忌の記念事業]
ここは尾形光琳の百回忌の記念事業に関する作品が並ぶコーナーでした。
64,65 酒井抱一 「緒方流略印譜」 「尾形流略印譜」
これは尾形光琳の印を集めたものです。「伊年」や「宗達」という文字も見えるので、宗達のもあるのかな?? 画風だけでなく地道な琳派研究をしていたことを伺わせる作品でした。
69 酒井抱一(編) 「光琳百図」
これは光琳の展覧会をやった際の出品作や抱一が知り得た光琳の作品を縮図にしてまとめた本です。名前の通り100点程度が載っているようで、色はないもののよく出来た画集となっているようでした。
この近くには光琳の菩提寺に寄進した絵や、何故か雪舟を写した作品、どこか洋風な雰囲気の作品もありました。
[光琳顕彰]
抱一は光琳百回忌の頃から明快な光琳画風による大作を手がけたようで、ここは50~60代の華麗な作品が並ぶコーナーとなっていました。
72 尾形光琳 「飛鴨図」
これは光琳の作品で、先ほどの「光琳百図」にも載っている作品の1つだそうです。上下に2羽の鴨が描かれた水墨の掛け軸で、上段は右上に、下段は左下に向かって飛んでいる姿となっています。鴨の背中にたらしこみの技法が使われ、軽快で単純化された画風は流石です。くりっとした目が可愛い鴨でした。 これはここ何年以内にどこかで観た気がしますがどこか思い出せず…。
75 酒井抱一 「青楓朱楓図屏風」
光琳の作品を模写した6曲1双の屏風です。金地を背景に様式化した青い川が描かれ、その周りに緑鮮やかな川辺の木々や草なども描かれています。左隻にはたらしこみを使った幹に真っ赤な葉を持つ木などもあり、色も対比的に使われています。様式化され、大和絵風の平坦な色使いで煌びやかな作品でした。
78 酒井抱一 「八橋図屏風」
これも光琳の作品を模した6曲1双の屏風で、今年、出光美術館の展示(第2部)でも観た記憶があります。伊勢物語の東下りを題材に、金地に8つの板で出来た橋とその両脇に咲き誇る燕子花(かきつばた)を描いています。橋にはたらしこみを使った滲んだ質感があり、燕子花はデフォルメされて軽やかで優美な雰囲気があります。元にした光琳よりすっきりした印象で、解説によると株ごとの感覚を開けるなど、金地の余白を一層効果的に見せているようです。リズミカルな燕子花の配置も観ていて心地よかったです。
この辺にあった東下りを題材にした3幅対の掛け軸もかなり良かったです。
76 酒井抱一 「四季草花金銀泥下絵和歌巻」
金泥・銀泥で描かれた竹や梅などを背景に書が書かれている巻物です。本阿弥光悦と尾形光琳の合作を彷彿する作風で、雅な雰囲気がありました。
この近くには風神雷神図の風神のみを描いた掛け軸もありました。11/1~開催末には風神雷神図屏風も展示されるようです。
163 酒井抱一 「十二ヶ月花鳥図屏風」
6曲1双の屏風で、やや薄っすらした色合いで1扇ごとに1ヶ月ずつの代表的な花鳥が描かれています。特に好みなのは11月で、T字の止まり木のようなものにフクロウ(木菟?)がじっととまる様子が描かれ、周りにスズメが飛び交う様子に風情を感じました。
<第4章 江戸琳派の確立>
60歳の頃から抱一は洗練された花鳥画を描くようになったようで、従来の琳派様式とは一線を画した、後に「江戸琳派」と呼ばれる様式を確立していきます。抱一は68歳で亡くなりましたが、工房を支える弟子を中心に、それ以降も受け継がれて行きました。
160 酒井抱一 「兎に秋草図襖」
4枚からなる襖絵で、一番右の上におぼろげな月、その下にススキなどの秋草が描かれています。左から物凄い勢いで風が吹いているようで、斜線が無数に引かれて草もなぎ倒されるような表現となっていました。また、一番左には白いうさぎが飛び跳ねるように描かれているのも面白いです。中々ダイナミックな作品です。
162 酒井抱一 「十二ヶ月花鳥図」
12幅対の掛け軸で、1幅ずつに1ヶ月の花鳥画が描かれています。余白や対角線を意識させる構図が多く、軽やかで色も鮮やかです。優美な雰囲気があり、抱一の作品の中でもこの作品はかなり好きです。特に好みは11月かな。
余談ですが、私はこの作品を屏風型のミニカレンダーにしたグッズ(2010年カレンダー)を以前使っていました。東博の「皇室の名宝展」で買ったものです^^
参考記事:皇室の名宝―日本美の華 <1期> 感想前編(東京国立博物館 平成館)
この辺で上階の展示は終わりで、続いて下の階に移りますので今日はここまでにしようと思います。 代表的な作品はほとんど出てくるのではないか?というくらい、豪華絢爛で充実した内容となっています。作品リストを観ると、11/1からの後期はさらに有名作があるようですので、もう一度行こうかと考えていますw 琳派展はいくつも観てきましたが、抱一に限定するとこの展示以上のものは観たことがないので、抱一好きの方は見逃せないかと思います。
→ 後編はこちら


【展覧名】
生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌
【公式サイト】
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2011/1010/1010.html
【会場】千葉市美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など
【会期】2011年10月10日(月・祝)~ 11月13日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
3時間30分程度
【混み具合・混雑状況(平日14時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
平日に行ったにも関わらず、年配を中心に多くのお客さんが来ていました。しかし、16時を過ぎた頃からは空いていたので、自分のペースで観ることができました。
さて、今回の展示は「琳派」と呼ばれる画風で有名な酒井抱一の展示となっています。今年は抱一の生誕250年ということもあり、色々なところで琳派に関する展示が行われていますが、こちらの展示は抱一の出自から後世への影響までを紹介する内容で、今まで観たことがない肉親や弟子の作品まで展示されていました。元々私は琳派が大好きということもあって3時間半くらい観ていましたが、それでも足りないくらいでしたw(普通のペースなら2時間くらいかな?) 詳しくは各章で気に入った作品と共にご紹介しようと思うのですが、章立てが分かりづらいところもあったので間違っていたらすみません。
参考記事:
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第1部 煌めく金の世界 (出光美術館)
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 (出光美術館)
琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 2回目(出光美術館)
国宝燕子花図屏風 琳派コレクション一挙公開 (根津美術館)
生誕250年 酒井抱一 -琳派の華- (畠山記念館)
生誕250年 酒井抱一 -琳派の華- 2回目(畠山記念館)
<第1章 姫路酒井家と抱一>
まずは抱一の生まれについてのコーナーです。酒井抱一は1761年に譜代大名の酒井雅楽頭家(さかいうたのかみ)の次男として生まれました。若くから俳諧や書画を嗜んでいたようで、20代には狂歌や浮世絵といった江戸市井の文化にも手を染めました。その後、酒井家の中で微妙な立場になって37歳頃に出家しましたが、生涯に渡って酒井家は抱一の基盤であったようです。この章では酒井家を巡る資料や作品が並んでいました。
まず最初に山東京伝の狂歌本などの中に描かれた抱一の肖像が並んでいます。良家の才子だけあって優男だったようです。部屋の中央には兄である宗雅(そうが)の書いた書本があり、その中には栄八(抱一)について書かれたところも度々出てくるようです。この兄の宗雅は後に酒井家当主となるのですが、温かい目で抱一を見守っていたようで、出家前の抱一の自由きままな創作活動はこの兄の存在があってこそのようでした。
3 酒井忠仰/黒姫 「佐野の渡り図」
これは抱一の両親による合作で、父親が絵を描き母親が和歌を詠んでいます。馬に乗った藤原定家とお供の人物(女性?)を描いていて、周りには松、背景には曇った空が描かれています。雪が降っているのか2人とも袖を頭の上にあげていました。緻密な筆致に賛も達筆で、両親も相当に書画に長けていたことが分かりました。
8 酒井宗雅 「兎図」
草木の生える所を跳ねる白うさぎを描いた作品で、抱一の兄が作者です。中国から伝わった南蘋派風(なんぴんは)風のリアルで細かい写実的な作風で、単なる趣味とは言えないレベルに思いました。
この辺には宗雅の打った脇差などもあり、酒井家の多才ぶりが伺えます。また、叔父の松平乗完による作品もあり、叔父も南蘋派風です。やや琳派を思わせる雰囲気もあるかな。
<第2章 浮世絵制作と狂歌>
続いては抱一の20代の頃のコーナーです。江戸で20代を過ごした抱一は、「杜綾(とりょう)」「杜陵(とりょう」「屠龍(とりょう」といった俳号を通称として吉原を拠点に名を馳せたそうです。また、「尻焼猿人(しりやきのさるんど)」の狂号で洒落本、狂歌本でも活躍しました。天明期には歌川豊春に倣った浮世絵も手がけ、師弟関係は明らかにされていないものの、豊春に忠実な強い影響を受けたようです。
20 酒井抱一 「松風村雨図」
ほとんど墨の濃淡のみに見える肉筆の掛け軸で、波の打ち寄せる海岸の松の下、2人の着物の美女が描かれています。(須磨の松風・村雨の姉妹) 非常に線が細く、優美な雰囲気があります。後の作風とはだいぶ違っていますが、何となくその後の作品を彷彿させる気品がありました。
24 酒井抱一 「遊女と禿図」
遊女と2人の禿(かむろ)を描いた作品です。色鮮やかで、これは豊春風の作風のようです。色白の美人が華麗な雰囲気で、浮世絵そのものといった感じでした。
抱一は20代にこうした肉筆を盛んに描いていたそうですが、尾形光琳の様式で描くようになってからはこうした作品は描かれなくなったようです。
<第3章 光琳画風への傾向>
酒井家を継いだ兄の宗雅は36歳で亡くなり、代わって甥の忠道が酒井家を継ぎました。兄に庇護されていた抱一は酒井家の居場所を失い、さらに寛政の改革で風紀が取り締まれるなど、悩み多き30代となったようです。そして、37歳の時に西本願寺から来ていた文如上人によって得度し、出家しました。
きっかけは不明だそうですがこの頃から尾形光琳の様式に目覚めたそうで、最初は苦労したものの、やがて習得していきます。55歳の時には尾形光琳の百回忌の法要と展覧会を行い、自他ともに光琳の継承者として認められる存在となっていたそうです。ここにはそうした出家前後から晩年までの琳派風の作品が並んでいました。
[画賛物の味わい]
この章には細かいコーナー分けがあって、最初は賛がついているコーナーでした。
42 酒井抱一 「双鶏図」
琳派学習初期の作品で、2羽のつがいの鶏と葉っぱが描かれています。結構シンプルな絵で、あまり琳派らしさを感じないものの金泥が塗られているなど研究の様子が伺えます。 まだ堅い雰囲気がありました。
43 酒井抱一 「鳥獣人物戯画写」
鳥獣戯画の場面から抜き出した模写作品で、葉っぱの的に松葉の矢を引く兎と、それを見ている蛙を描いています。うっすら色もついていて、だいぶ軽やかな雰囲気で表現されていました。
この辺には書や本などもあり、出光美術館の「燕子花図屏風」もありました。意外なことにあれも琳派学習の初期の作品のようです。
40 酒井抱一 「水葵に蜻蛉図」
初公開の掛け軸で、水から伸びた水葵とそこにとまっているトンボが描かれています。葉っぱには「たらしこみ」(にじみを使った技法)や金泥が使われ、形はデフォルメされているなど琳派っぽい雰囲気がありました。
[吉原と抱一]
抱一は吉原を拠点に活動していたようで、遊女を身請けして内縁の妻としています。(小鸞女史) ここには吉原との関わりを示す作品が並んでいました。
96 酒井抱一/小鸞女史 「紅梅図」
これは小鸞女史を伴侶として転居して初めての正月に描いた作品で、絵は抱一、漢詩を小鸞女史が書いています。右下から左上に向かって伸びる梅の木が描かれ、所々に赤い花があります。濃淡や筆使いから勢いと自由さを感じました。漢詩の内容は苦難の末に結ばれた喜びを示しているとのことです。
この辺には吉原の人物を描いた作品や、吉原のお得意にあげた文台なども展示されていました。
[亀田鵬斎との交友]
続いては漢学者の亀田鵬斎との交友を示すコーナーです。亀田鵬斎は抱一の隣人であり親友でもあったようです。
119 酒井抱一/亀田鵬斎 「猫図」
虎のような模様の猫が丸まっている姿を描いた作品です。掛け軸の上の方には漢詩の賛があり、字はあまり上手いとは思いませんでしたw 絵も抱一と言われないと気付けないかな。
この辺には亀田鵬斎が賛した作品が並んでいました。
[文化十二年 光琳百回忌の記念事業]
ここは尾形光琳の百回忌の記念事業に関する作品が並ぶコーナーでした。
64,65 酒井抱一 「緒方流略印譜」 「尾形流略印譜」
これは尾形光琳の印を集めたものです。「伊年」や「宗達」という文字も見えるので、宗達のもあるのかな?? 画風だけでなく地道な琳派研究をしていたことを伺わせる作品でした。
69 酒井抱一(編) 「光琳百図」
これは光琳の展覧会をやった際の出品作や抱一が知り得た光琳の作品を縮図にしてまとめた本です。名前の通り100点程度が載っているようで、色はないもののよく出来た画集となっているようでした。
この近くには光琳の菩提寺に寄進した絵や、何故か雪舟を写した作品、どこか洋風な雰囲気の作品もありました。
[光琳顕彰]
抱一は光琳百回忌の頃から明快な光琳画風による大作を手がけたようで、ここは50~60代の華麗な作品が並ぶコーナーとなっていました。
72 尾形光琳 「飛鴨図」
これは光琳の作品で、先ほどの「光琳百図」にも載っている作品の1つだそうです。上下に2羽の鴨が描かれた水墨の掛け軸で、上段は右上に、下段は左下に向かって飛んでいる姿となっています。鴨の背中にたらしこみの技法が使われ、軽快で単純化された画風は流石です。くりっとした目が可愛い鴨でした。 これはここ何年以内にどこかで観た気がしますがどこか思い出せず…。
75 酒井抱一 「青楓朱楓図屏風」
光琳の作品を模写した6曲1双の屏風です。金地を背景に様式化した青い川が描かれ、その周りに緑鮮やかな川辺の木々や草なども描かれています。左隻にはたらしこみを使った幹に真っ赤な葉を持つ木などもあり、色も対比的に使われています。様式化され、大和絵風の平坦な色使いで煌びやかな作品でした。
78 酒井抱一 「八橋図屏風」
これも光琳の作品を模した6曲1双の屏風で、今年、出光美術館の展示(第2部)でも観た記憶があります。伊勢物語の東下りを題材に、金地に8つの板で出来た橋とその両脇に咲き誇る燕子花(かきつばた)を描いています。橋にはたらしこみを使った滲んだ質感があり、燕子花はデフォルメされて軽やかで優美な雰囲気があります。元にした光琳よりすっきりした印象で、解説によると株ごとの感覚を開けるなど、金地の余白を一層効果的に見せているようです。リズミカルな燕子花の配置も観ていて心地よかったです。
この辺にあった東下りを題材にした3幅対の掛け軸もかなり良かったです。
76 酒井抱一 「四季草花金銀泥下絵和歌巻」
金泥・銀泥で描かれた竹や梅などを背景に書が書かれている巻物です。本阿弥光悦と尾形光琳の合作を彷彿する作風で、雅な雰囲気がありました。
この近くには風神雷神図の風神のみを描いた掛け軸もありました。11/1~開催末には風神雷神図屏風も展示されるようです。
163 酒井抱一 「十二ヶ月花鳥図屏風」
6曲1双の屏風で、やや薄っすらした色合いで1扇ごとに1ヶ月ずつの代表的な花鳥が描かれています。特に好みなのは11月で、T字の止まり木のようなものにフクロウ(木菟?)がじっととまる様子が描かれ、周りにスズメが飛び交う様子に風情を感じました。
<第4章 江戸琳派の確立>
60歳の頃から抱一は洗練された花鳥画を描くようになったようで、従来の琳派様式とは一線を画した、後に「江戸琳派」と呼ばれる様式を確立していきます。抱一は68歳で亡くなりましたが、工房を支える弟子を中心に、それ以降も受け継がれて行きました。
160 酒井抱一 「兎に秋草図襖」
4枚からなる襖絵で、一番右の上におぼろげな月、その下にススキなどの秋草が描かれています。左から物凄い勢いで風が吹いているようで、斜線が無数に引かれて草もなぎ倒されるような表現となっていました。また、一番左には白いうさぎが飛び跳ねるように描かれているのも面白いです。中々ダイナミックな作品です。
162 酒井抱一 「十二ヶ月花鳥図」
12幅対の掛け軸で、1幅ずつに1ヶ月の花鳥画が描かれています。余白や対角線を意識させる構図が多く、軽やかで色も鮮やかです。優美な雰囲気があり、抱一の作品の中でもこの作品はかなり好きです。特に好みは11月かな。
余談ですが、私はこの作品を屏風型のミニカレンダーにしたグッズ(2010年カレンダー)を以前使っていました。東博の「皇室の名宝展」で買ったものです^^
参考記事:皇室の名宝―日本美の華 <1期> 感想前編(東京国立博物館 平成館)
この辺で上階の展示は終わりで、続いて下の階に移りますので今日はここまでにしようと思います。 代表的な作品はほとんど出てくるのではないか?というくらい、豪華絢爛で充実した内容となっています。作品リストを観ると、11/1からの後期はさらに有名作があるようですので、もう一度行こうかと考えていますw 琳派展はいくつも観てきましたが、抱一に限定するとこの展示以上のものは観たことがないので、抱一好きの方は見逃せないかと思います。
→ 後編はこちら
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先日、有給休暇を使って千葉市美術館に行ってきたのですが、その前に最寄りのモノレール駅の近くにあるパルコの中の「オムライスの店 Tanpopo (たんぽぽ)」というお店でランチを摂ってきました。

【店名】
オムライスの店 Tanpopo (たんぽぽ)
【ジャンル】
オムライス
【公式サイト】
http://www.repco.co.jp/restaurants/ta_c.htm
食べログ:http://r.tabelog.com/chiba/A1201/A120101/12002048/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など
【近くの美術館】
千葉市美術館
【この日にかかった1人の費用】
880円程度
【味】
不味_1_2_③_4_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(平日14時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
このお店は以前ご紹介したヴィレッジヴァンガードのハンバーガー屋さんと同じフロアにあります。また、ここは「今日和」という千葉で展開しているパスタレストランと同じ会社が経営しているお店のようで、同じフロアに「今日和」もありました。
参考記事:
ホームクッキンヴィレッジヴァンガード (千葉界隈のお店)
今日和 (千葉界隈のお店)
お店の雰囲気はごく普通のデパートの中のレストランという感じです。ランチにドリンクバー・サラダバーとドーナツバー?がつくようでしたので、そのセットを頼みました。

サラダとドーナツと飲み物

サラダは普通でしたが、揚げたてのドーナツが予想以上に美味しくていくつもお代わりしましたw もちっとした食感も良かったです。
そしてオムライス。私はデミグラスソースのチキンのオムライスを頼みました。

とろっとした卵が美味しいのですが、肝心のチキンが臭い…。安っぽい肉の臭いがしました。たまたまかもしれませんが、せっかくのソースや卵も台無しです。まあ、肉を避ければ美味しいんですが、それではチキンのオムライスの意味がないかなw
ということで、ちょっと残念なところもありましたが、ドーナツやサラダも食べ放題でドリンクもついてこの値段というのは非常に高いコストパフォーマンスじゃないかなと思います。今後もこの辺に行くことはあると思うので、お腹が空いていたらまた利用してみようと思います。

【店名】
オムライスの店 Tanpopo (たんぽぽ)
【ジャンル】
オムライス
【公式サイト】
http://www.repco.co.jp/restaurants/ta_c.htm
食べログ:http://r.tabelog.com/chiba/A1201/A120101/12002048/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など
【近くの美術館】
千葉市美術館
【この日にかかった1人の費用】
880円程度
【味】
不味_1_2_③_4_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(平日14時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
このお店は以前ご紹介したヴィレッジヴァンガードのハンバーガー屋さんと同じフロアにあります。また、ここは「今日和」という千葉で展開しているパスタレストランと同じ会社が経営しているお店のようで、同じフロアに「今日和」もありました。
参考記事:
ホームクッキンヴィレッジヴァンガード (千葉界隈のお店)
今日和 (千葉界隈のお店)
お店の雰囲気はごく普通のデパートの中のレストランという感じです。ランチにドリンクバー・サラダバーとドーナツバー?がつくようでしたので、そのセットを頼みました。

サラダとドーナツと飲み物

サラダは普通でしたが、揚げたてのドーナツが予想以上に美味しくていくつもお代わりしましたw もちっとした食感も良かったです。
そしてオムライス。私はデミグラスソースのチキンのオムライスを頼みました。

とろっとした卵が美味しいのですが、肝心のチキンが臭い…。安っぽい肉の臭いがしました。たまたまかもしれませんが、せっかくのソースや卵も台無しです。まあ、肉を避ければ美味しいんですが、それではチキンのオムライスの意味がないかなw
ということで、ちょっと残念なところもありましたが、ドーナツやサラダも食べ放題でドリンクもついてこの値段というのは非常に高いコストパフォーマンスじゃないかなと思います。今後もこの辺に行くことはあると思うので、お腹が空いていたらまた利用してみようと思います。
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久々の映画記事です^^; 先日、会社の帰りにレイトショーで「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」を観てきました。

【作品名】
猿の惑星:創世記(ジェネシス)
【公式サイト】
http://www.foxmovies.jp/saruwaku/
【時間】
1時間50分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
公開されてから結構経っている上レイトショーだったので空いているようでした。
さて、この映画は1968年に公開された「猿の惑星」のシリーズとなっていて、スターウォーズで言えばエピソード1的な内容となっています。当時から非常に高い評価を受けている作品だけに、余計な蛇足をつけやがって…と思う方も多数いるかもしれませんw 実際、私もどうせぶち壊しの内容なんでしょ?くらいに思いつつも気になって観に行ったのですが、この予想は完全に覆されました。
ストーリーの流れはそんなに斬新なものではないのですが、徐々に徐々に「猿の惑星」の世界に繋がるような事態となるのが詰み将棋のようで、その演出の巧みさと緊張感に引きこまれました。所々に暗喩的なシーンがあったりするのも面白くて、単なる娯楽を越えた皮肉めいたものを感じます。また、今作もタイトルの通り沢山の猿が出てくるのですが、実際の猿ではなくVFXのようです。どう見ても猿にしか見えない習性や動きは物語を盛り上げていました。
エンディングでも話は続いていて、伏線を活かしつつ衝撃的な内容となっていますので、スタッフロールが始まっても最後まで観ることをお勧めします。
ということで、予想以上に楽しめる作品となっていて満足できました。これは元々のファンも楽しめるし、猿の惑星シリーズを知らない人でも問題なく楽しめると思います(1のネタバレ要素満載ですがw) 今季お勧めできる1本です。

【作品名】
猿の惑星:創世記(ジェネシス)
【公式サイト】
http://www.foxmovies.jp/saruwaku/
【時間】
1時間50分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
公開されてから結構経っている上レイトショーだったので空いているようでした。
さて、この映画は1968年に公開された「猿の惑星」のシリーズとなっていて、スターウォーズで言えばエピソード1的な内容となっています。当時から非常に高い評価を受けている作品だけに、余計な蛇足をつけやがって…と思う方も多数いるかもしれませんw 実際、私もどうせぶち壊しの内容なんでしょ?くらいに思いつつも気になって観に行ったのですが、この予想は完全に覆されました。
ストーリーの流れはそんなに斬新なものではないのですが、徐々に徐々に「猿の惑星」の世界に繋がるような事態となるのが詰み将棋のようで、その演出の巧みさと緊張感に引きこまれました。所々に暗喩的なシーンがあったりするのも面白くて、単なる娯楽を越えた皮肉めいたものを感じます。また、今作もタイトルの通り沢山の猿が出てくるのですが、実際の猿ではなくVFXのようです。どう見ても猿にしか見えない習性や動きは物語を盛り上げていました。
エンディングでも話は続いていて、伏線を活かしつつ衝撃的な内容となっていますので、スタッフロールが始まっても最後まで観ることをお勧めします。
ということで、予想以上に楽しめる作品となっていて満足できました。これは元々のファンも楽しめるし、猿の惑星シリーズを知らない人でも問題なく楽しめると思います(1のネタバレ要素満載ですがw) 今季お勧めできる1本です。
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先週の土曜日に、うらわ美術館へ行って「生誕100年記念 瑛九展-夢に託して」を観てきました。この展覧会は先日ご紹介した埼玉県立近代美術館との同時開催となっていて、8つのトピックスのうち半分の4トピックを展示しています。
参考記事:生誕100年記念 瑛九展 (埼玉県立近代美術館)

【展覧名】
生誕100年記念 瑛九展-夢に託して
【公式サイト】
http://www.uam.urawa.saitama.jp/tenran.htm
【会場】うらわ美術館 ★この美術館の記事
【最寄】JR浦和駅 (埼玉県さいたま市)
【会期】2011年9月10日(土)~11月6日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日13時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_②_3_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
こちらも空いていてゆっくり観ることができました。
さて、冒頭にも書きましたが、この展示は埼玉県立近代美術館と同時開催となっていて、そちらを観た際の記事で瑛九について大まかに書きましたので、今回は割愛します。こちらも時系列はよく分からず、解説も少なめでしたので感覚的な感想のみを書いていこうと思います。なお、こちらの会場には作品リストがありませんでしたので、作品名はメモを頼りに記載しております。間違っていたらすみません。
<Topic 1 文筆家・杉田秀夫から瑛九へ>
最初は文芸や評論を行なっていた瑛九ですが、「眠りの理由」というフォトデッサン集を発表したのを機に瑛九(えいきゅう Q-Ei)を名乗るようになりました。この章には美術批評やフォト雑誌が並び、フォトグラムの未来について書くなど精力的に活動していた様子が分かります。また、筆記用具なども置かれていてました。
壁の反対側にはフォトデッサンの作品が展示されています。マン・レイのレイヨグラフも1点あり、それに影響を受けているのが分かります。
参考記事:マン・レイ展 知られざる創作の秘密 (国立新美術館)
瑛九 「眠りの理由」
フォトデッサンの本で、黒地に光の円などが抽象画のように交錯する不思議な作風です。型紙を使って人間のような型にするなど、面白い発想で幻想的な作品でした。
この章の最後のあたりはまた雑誌が並んでいました。
<Topic 3 絵筆に託して>
<Topic 4 日本回帰>
次はTopic 3なのですが、Topic 4との境目がどの辺かメモしてこなかったのでまとめてご紹介します。瑛九は晩年まで生涯 油彩を描き続けたようで、ここにはその変遷を感じる多数の油彩作品が並んでいました。
瑛九 「秋の日曜日」
現存する最も古い作品だそうで、木々に囲まれた赤い家を描いています。その色合いや簡略化された表現がセザンヌのような雰囲気でした。
瑛九 「赤い帽子」
美術学校に在学中に描いた作品で、赤帽子に赤いコートの女性がちらっと左を向いている肖像画です。解説によると竹久夢二の影響を受けたそうで、そう言われてみると似ているような気もします。後の作風とは違った面白さがありました。
この辺には絵筆とパレットも展示されていました。また、ピカソ風の作品やオートマティズムの作品などもあり、様々な画風を試していた様子が伺えます。解説によると1937~1939年ころはスランプだったそうです。
オノサト・トシノブ 「朱と黄の丸」
瑛九とオノサト・トシノブは信頼しあって刺激し合う仲間だったそうで、この展覧会でも紹介されていました。これは赤い丸、黄色、青の丸、長方形などが並ぶ抽象画です。こうして瑛九と並べて観ると、特に晩年の瑛九と共通した特徴があることがよく分かります。 それにしても瑛九と親友だったとは知りませんでした^^;
瑛九 「宮崎の郊外」
農村ののどかな戸外で絵を描く画家や散歩する人々を描いた作品です。印象派のような画風で、今までの絵と比べて時代が逆戻りしたような感じを受けます。解説によると、この絵を描いた1943年頃、瑛九は「もう一度印象派からやり直さねばならぬ」と言っていたようです。まさにその言葉通り、新たな出発を感じさせる作品でした。
少し進むとキュビスム風の作品、抽象、具象、前衛と様々な作品があります。また、古賀春江やパウル・クレーの作品もあり、影響を伺わせます。
参考記事:パウル・クレー おわらないアトリエ (東京国立近代美術館)
瑛九 「黄色い輪」
黄色い輪に目玉のようなものが描かれた抽象画です。周りは真っ暗で、オレンジの縦棒などがあり、花を描いたような感じも受けます。造形や色使いが岡本太郎に通じるように思いましたが関わりがあるかは分かりません。
この辺はまた画風が色々あり、シュルレアリスムを名乗っていてこともあるようです。
瑛九 「赤と黄」
これは1957年の作品で、赤や黄色、緑など様々な色で描かれた四角枠や球体です。フォトデッサンで用いた型紙を使って、エアコンプレッサーのみで描いているようです。今までの技術を併せて使っている感じがしました。
この辺から円を描いた作品が増えてきます。
瑛九 「月」
エアコンプレッサーで淡く青い色を付けた背景に無数の円や楕円が並んでいる作品です。色とりどりで規則正しく並んでいたり、散らされていたりとリズムがあります。宇宙的な雰囲気がタイトルにあっているように思いました。
この辺には宇宙的な雰囲気の作品が並ぶコーナーがありました。
瑛九 「青の中の丸」
画面中びっしりと円や楕円などが描かれた作品です。よく玄関とかで見る敷石のモザイクのような感じかなw バラバラなようで奇妙な一体感がありました。この辺はひたすら円を描いた点描です。
瑛九 「田園B」
非常に小さな点描と大きな円(これも点描で構成されている)を描いた作品です。周りは青く中央あたりが黄色や赤などの色となっていて光が広がるような雰囲気で神秘的でした。解説によると、田園というのはベートーヴェンの田園交響曲のことらしく、これを繰り返し聴きながら描いていたようです。
それにしてもこれは以前観た記憶があるような…(都美かな?)
この後は打って変わって日本画のような水彩画のコーナーでした。掛け軸などもあります。他にはデッサンや書状なども並んでいます。
<Topic 7 啓蒙と普及>
最後の章は啓蒙に関するコーナーです。瑛九は啓蒙家としての資質があったようで、自由な美術教育を提唱していました。「創造美育協会」への参加や版画の講習会の開催を通じて美術界の活性化を目指していたそうです。
ここにはそうした活動を伝える写真が並び、フォトデッサンの型紙と完成作、製作中の写真などもあります。他には挿絵やポスターもありました。
一旦会場を出て、小部屋に入ると、エッチングや版画集、使用していた道具やプレス台などが展示されていました。
ということで、こちらも難解な内容でしたが、様々な画風を試したいたことが分かるような内容で楽しめました。もしこの展示を観るのであれば、埼玉県立近代美術館とセットでお勧めします。
参考記事:生誕100年記念 瑛九展 (埼玉県立近代美術館)


【展覧名】
生誕100年記念 瑛九展-夢に託して
【公式サイト】
http://www.uam.urawa.saitama.jp/tenran.htm
【会場】うらわ美術館 ★この美術館の記事
【最寄】JR浦和駅 (埼玉県さいたま市)
【会期】2011年9月10日(土)~11月6日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日13時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_②_3_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
こちらも空いていてゆっくり観ることができました。
さて、冒頭にも書きましたが、この展示は埼玉県立近代美術館と同時開催となっていて、そちらを観た際の記事で瑛九について大まかに書きましたので、今回は割愛します。こちらも時系列はよく分からず、解説も少なめでしたので感覚的な感想のみを書いていこうと思います。なお、こちらの会場には作品リストがありませんでしたので、作品名はメモを頼りに記載しております。間違っていたらすみません。
<Topic 1 文筆家・杉田秀夫から瑛九へ>
最初は文芸や評論を行なっていた瑛九ですが、「眠りの理由」というフォトデッサン集を発表したのを機に瑛九(えいきゅう Q-Ei)を名乗るようになりました。この章には美術批評やフォト雑誌が並び、フォトグラムの未来について書くなど精力的に活動していた様子が分かります。また、筆記用具なども置かれていてました。
壁の反対側にはフォトデッサンの作品が展示されています。マン・レイのレイヨグラフも1点あり、それに影響を受けているのが分かります。
参考記事:マン・レイ展 知られざる創作の秘密 (国立新美術館)
瑛九 「眠りの理由」
フォトデッサンの本で、黒地に光の円などが抽象画のように交錯する不思議な作風です。型紙を使って人間のような型にするなど、面白い発想で幻想的な作品でした。
この章の最後のあたりはまた雑誌が並んでいました。
<Topic 3 絵筆に託して>
<Topic 4 日本回帰>
次はTopic 3なのですが、Topic 4との境目がどの辺かメモしてこなかったのでまとめてご紹介します。瑛九は晩年まで生涯 油彩を描き続けたようで、ここにはその変遷を感じる多数の油彩作品が並んでいました。
瑛九 「秋の日曜日」
現存する最も古い作品だそうで、木々に囲まれた赤い家を描いています。その色合いや簡略化された表現がセザンヌのような雰囲気でした。
瑛九 「赤い帽子」
美術学校に在学中に描いた作品で、赤帽子に赤いコートの女性がちらっと左を向いている肖像画です。解説によると竹久夢二の影響を受けたそうで、そう言われてみると似ているような気もします。後の作風とは違った面白さがありました。
この辺には絵筆とパレットも展示されていました。また、ピカソ風の作品やオートマティズムの作品などもあり、様々な画風を試していた様子が伺えます。解説によると1937~1939年ころはスランプだったそうです。
オノサト・トシノブ 「朱と黄の丸」
瑛九とオノサト・トシノブは信頼しあって刺激し合う仲間だったそうで、この展覧会でも紹介されていました。これは赤い丸、黄色、青の丸、長方形などが並ぶ抽象画です。こうして瑛九と並べて観ると、特に晩年の瑛九と共通した特徴があることがよく分かります。 それにしても瑛九と親友だったとは知りませんでした^^;
瑛九 「宮崎の郊外」
農村ののどかな戸外で絵を描く画家や散歩する人々を描いた作品です。印象派のような画風で、今までの絵と比べて時代が逆戻りしたような感じを受けます。解説によると、この絵を描いた1943年頃、瑛九は「もう一度印象派からやり直さねばならぬ」と言っていたようです。まさにその言葉通り、新たな出発を感じさせる作品でした。
少し進むとキュビスム風の作品、抽象、具象、前衛と様々な作品があります。また、古賀春江やパウル・クレーの作品もあり、影響を伺わせます。
参考記事:パウル・クレー おわらないアトリエ (東京国立近代美術館)
瑛九 「黄色い輪」
黄色い輪に目玉のようなものが描かれた抽象画です。周りは真っ暗で、オレンジの縦棒などがあり、花を描いたような感じも受けます。造形や色使いが岡本太郎に通じるように思いましたが関わりがあるかは分かりません。
この辺はまた画風が色々あり、シュルレアリスムを名乗っていてこともあるようです。
瑛九 「赤と黄」
これは1957年の作品で、赤や黄色、緑など様々な色で描かれた四角枠や球体です。フォトデッサンで用いた型紙を使って、エアコンプレッサーのみで描いているようです。今までの技術を併せて使っている感じがしました。
この辺から円を描いた作品が増えてきます。
瑛九 「月」
エアコンプレッサーで淡く青い色を付けた背景に無数の円や楕円が並んでいる作品です。色とりどりで規則正しく並んでいたり、散らされていたりとリズムがあります。宇宙的な雰囲気がタイトルにあっているように思いました。
この辺には宇宙的な雰囲気の作品が並ぶコーナーがありました。
瑛九 「青の中の丸」
画面中びっしりと円や楕円などが描かれた作品です。よく玄関とかで見る敷石のモザイクのような感じかなw バラバラなようで奇妙な一体感がありました。この辺はひたすら円を描いた点描です。
瑛九 「田園B」
非常に小さな点描と大きな円(これも点描で構成されている)を描いた作品です。周りは青く中央あたりが黄色や赤などの色となっていて光が広がるような雰囲気で神秘的でした。解説によると、田園というのはベートーヴェンの田園交響曲のことらしく、これを繰り返し聴きながら描いていたようです。
それにしてもこれは以前観た記憶があるような…(都美かな?)
この後は打って変わって日本画のような水彩画のコーナーでした。掛け軸などもあります。他にはデッサンや書状なども並んでいます。
<Topic 7 啓蒙と普及>
最後の章は啓蒙に関するコーナーです。瑛九は啓蒙家としての資質があったようで、自由な美術教育を提唱していました。「創造美育協会」への参加や版画の講習会の開催を通じて美術界の活性化を目指していたそうです。
ここにはそうした活動を伝える写真が並び、フォトデッサンの型紙と完成作、製作中の写真などもあります。他には挿絵やポスターもありました。
一旦会場を出て、小部屋に入ると、エッチングや版画集、使用していた道具やプレス台などが展示されていました。
ということで、こちらも難解な内容でしたが、様々な画風を試したいたことが分かるような内容で楽しめました。もしこの展示を観るのであれば、埼玉県立近代美術館とセットでお勧めします。
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前回ご紹介した埼玉県立近代美術館の常設を観た後、今回も館内の椅子めぐりをしてきました。この美術館は椅子のコレクションで有名で、館内の至る所にあり実際に座ることができます。以前もいくつかご紹介しましたので、今回はまだご紹介していない椅子を挙げていこうと思います。
参考記事:埼玉県立近代美術館の椅子
参考リンク:公式サイトの今日座れる椅子(pdf)
<3階>
まずは3階から。
スタジオ65 「マリリン」

ここの椅子の代表的な人気作品。唇の形をして愛嬌があります。座り心地もふんわりしています。触り心地はナイロンみたいです。
オリヴィエ・ムルグ 「ブルム」

ちょうど足を曲げて座るのに適した形をしている椅子です。フォルムもなめらかで美しいです。
オリヴィエ・ムルグ 「ジン」

こちらもムルグの作品。やはり有機的なフォルムが優美な雰囲気です。色もいい感じ。
アーヴィング・ハーバー & ジョージ・ネルソン 「ネルソン・マシュマロ・ソファ」
★市販されています

マシュマロというかマカロンみたいな形をした円形が並んだ椅子。色の取り合わせもカラフルで形も斬新です。座り心地は意外としっかりしています。
続いて図書室
ガエターノ・ペシェ 「ドンナ」

図書室で存在感のあった華やかな椅子。柔らかで包まれるような感じです。この球体のようなものも適度な柔らかさで足を乗っけてみました。
チャールズ & レイ・イームズ 「プラスチック・アームチェア」
★市販されています

これは有名かな。プラスティックだけどどこか柔らかい印象を受けます。
脇田愛二郎 「無題-椅子の機能を持ったエレメント」

これは半分彫刻のような椅子。図書室裏手の目立たない所にあります。座り心地は普通に固めの木の椅子です。
<2階>
企画展をやっている2階。企画展の中にもあったかもしれませんが、そこは撮っていません。
ニルス=イェアン・ホゥエスン 「エックス・ライン」

幾何学的な形がスッキリした印象の作品。名前の由来は足かな?
ヘリット・トーマス・リートフェルト 「ジグザグ」
★市販されています

ジグザグのシンプルな形ながらも斬新な印象を受けます。座り心地は普通の椅子です。
<1階>
続いて1階
チャールズ & レイ・イームズ 「プラスチック・アームチェア(DAX)」
★市販されています

こちらもイームズの椅子。先ほどの椅子と同じ座り心地ですが、足が4つで普通な感じ。
ジョナタン・デ・パス ドナート・ドゥルビーノ パオロ・ロマッツィ 「パルミラ」

これもシンプルな形が優美な椅子。色も落ち着いています。
チャールズ・レニー・マッキントッシュ 「アーガイル」
★市販されています

やはり椅子と言えばマッキントッシュも欠かせません。背の部分が長く、気品を感じます。これはいつかは欲しいです^^
今回、地下は以前ご紹介したバルセロナ・スツールなどしか無かったです。
ということで、今回も素晴らしいデザインの椅子を楽しむ事が出来ました。この美術館に行くことがあったら椅子にも注目してみると面白いと思います。
おまけ;
図書室から観た風景。

参考記事:埼玉県立近代美術館の椅子
参考リンク:公式サイトの今日座れる椅子(pdf)
<3階>
まずは3階から。
スタジオ65 「マリリン」

ここの椅子の代表的な人気作品。唇の形をして愛嬌があります。座り心地もふんわりしています。触り心地はナイロンみたいです。
オリヴィエ・ムルグ 「ブルム」

ちょうど足を曲げて座るのに適した形をしている椅子です。フォルムもなめらかで美しいです。
オリヴィエ・ムルグ 「ジン」


こちらもムルグの作品。やはり有機的なフォルムが優美な雰囲気です。色もいい感じ。
アーヴィング・ハーバー & ジョージ・ネルソン 「ネルソン・マシュマロ・ソファ」

マシュマロというかマカロンみたいな形をした円形が並んだ椅子。色の取り合わせもカラフルで形も斬新です。座り心地は意外としっかりしています。
続いて図書室
ガエターノ・ペシェ 「ドンナ」


図書室で存在感のあった華やかな椅子。柔らかで包まれるような感じです。この球体のようなものも適度な柔らかさで足を乗っけてみました。
チャールズ & レイ・イームズ 「プラスチック・アームチェア」

これは有名かな。プラスティックだけどどこか柔らかい印象を受けます。
脇田愛二郎 「無題-椅子の機能を持ったエレメント」

これは半分彫刻のような椅子。図書室裏手の目立たない所にあります。座り心地は普通に固めの木の椅子です。
<2階>
企画展をやっている2階。企画展の中にもあったかもしれませんが、そこは撮っていません。
ニルス=イェアン・ホゥエスン 「エックス・ライン」


幾何学的な形がスッキリした印象の作品。名前の由来は足かな?
ヘリット・トーマス・リートフェルト 「ジグザグ」


ジグザグのシンプルな形ながらも斬新な印象を受けます。座り心地は普通の椅子です。
<1階>
続いて1階
チャールズ & レイ・イームズ 「プラスチック・アームチェア(DAX)」

こちらもイームズの椅子。先ほどの椅子と同じ座り心地ですが、足が4つで普通な感じ。
ジョナタン・デ・パス ドナート・ドゥルビーノ パオロ・ロマッツィ 「パルミラ」


これもシンプルな形が優美な椅子。色も落ち着いています。
チャールズ・レニー・マッキントッシュ 「アーガイル」


やはり椅子と言えばマッキントッシュも欠かせません。背の部分が長く、気品を感じます。これはいつかは欲しいです^^
今回、地下は以前ご紹介したバルセロナ・スツールなどしか無かったです。
ということで、今回も素晴らしいデザインの椅子を楽しむ事が出来ました。この美術館に行くことがあったら椅子にも注目してみると面白いと思います。
おまけ;
図書室から観た風景。

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前回ご紹介した埼玉県立近代美術館の瑛九展を観た後、1Fの常設展も観てきました。今回も「MOMASコレクションIII」というタイトルがあり、期間の設定もありました。

【展覧名】
MOMASコレクションIII
【公式サイト】
http://www.momas.jp/4.htm
【会場】埼玉県立近代美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】北浦和駅
【会期】
2011年10月8日(土) ~2011年12月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
こちらも空いていて自分のペースでゆっくり鑑賞することができました。
以前にも何度かご紹介しましたが、ここの常設は季節ごとに時期が区切られていて、結構入れ替えもあるようです。(詳しいラインナップは公式サイトの出品リストで確認することもできます。) 既にご紹介した作品も多いので、今回はまだ紹介していない作品を中心に挙げていきます。
参考記事:
MOMASコレクションIII (埼玉県立近代美術館)
MOMASコレクションⅡ (埼玉県立近代美術館)
MOMASコレクション3 (埼玉県立近代美術館)
参考リンク:
出品リスト(pdf)
<1 「近代の美術-フランスと日本」>
まずはフランスと日本の近代洋画のコーナーです。
森田恒友 「イル・ブレア」
岩が並んだ入江にボートが浮かんだ様子を描いた作品です。背景には家々も見えていて、色合いや幾何学性、岩や家の形などからはセザンヌ的なものを感じました。色と岩のリズムが良かったです。
斎藤豊作 「フランス風景Ⅱ」
フランスの家とその脇の田舎道を描いた作品です。塀は緑に覆われ、道は赤色をしているなど、全体的に明るい雰囲気があります。点描のように描かれていて、後期印象主義やナビ派のような画風に思いました。
この辺にはモネ、ピサロ、シャガール、藤田、ドラクロワ、ピカソ、ユトリロ、キスリングなどビッグネームの作品もありました。(デルヴォーは貸出中みたいでした。)
森田恒友 「午睡する看護婦」 ★こちらで観られます
戸外で緑に囲まれ白い椅子に腰掛けて眠る白衣の女性を描いた作品です。口を少し開けて右にもたれこんで気持ちよさそうに寝ています。先ほどの絵とはだいぶ作風が違って、外光派のような柔らかい雰囲気で描かれていました。
田中保 「黒いドレスの腰掛けている女」 ★こちらで観られます
茶色い髪で黒いドレスを着た女性が描かれた肖像画です。首から長い紐(ロザリオ?)をかけていて、右手で引っ張るような感じです。背景は暗いのに黒が映えていました。
これはキスリングの隣に展示されていたのですが、作風が似ていて遠目からはキスリングかと思いました。
<2 「見えるものと見えないもの・3-現代彫刻の諸相」>
続いては現代彫刻などのコーナーです。
澄川喜一 「そりのある形」
シーソーか投石機のような形の大きな木の彫刻です。タイトルはソリではなく反りのことかな?w 中央で台となっていて木に繋がっているのですが、繋がっている部分が少なくて観ているだけで緊張する不安定な感じを受けました。面白くて斬新です。
草間彌生 「スーツケース」「脚立」 ★こちらで観られます
赤と白のヒビ割れ模様(鱗みたいな模様)のスーツケースと脚立の作品が並んでいました。色は鮮やかで、華やかな雰囲気があります。草間彌生は隣にも葉っぱの模様のような網目の黒地に赤線の大きめの絵画作品もありました。
参考記事:草間彌生 ボディ・フェスティバル in 60's 展 (ワタリウム美術館)
<3 「写生の力-倉田白羊と弟次郎」>
最後は地元 浦和生まれの画家、倉田白羊と弟次郎の兄弟のコーナーです。紛らわしいけど弟次郎のほうが兄のようです。
倉田白羊 「房州風景」
畑で農作業する人を描いた作品です。明るく柔らかで簡略化された表現は印象派のピサロなどを思わせます。のんびりした雰囲気の作品でした。
倉田白羊 「山ふところ」
山間の家と薪?が置いてある樹の根元を描いた作品です。作風が先ほどの作品とだいぶ違い、平面的な感じとなっていて、陰影を含めて色の強さが増しているように見えました。年数的に先ほどの作品から15年後の作品のようです。力強さを感じました。
倉田白羊 「ねぎ畑」 ★こちらで観られます
ネギ畑と積み藁のようなもの、背景には森が描かれた田舎の風景です。強い光を受けたように画面が明るく、平坦な感じの色合いで陰影を強く感じます。青々としたネギが伸びる様子は生命感がありました。
この辺にはパレットなどの遺品が展示されていました。
続いては白羊の10歳上の倉田弟次郎のコーナーです。22歳の若さで亡くなったようですが、あまりに惜しいと思わせる豊かな才能を感じる作品が並んでいました。
倉田弟次郎 「少年写真模写」
写真そのものと思わせるほどに精密な模写です。こちらを向いている身なりの良い少年を描いていて、隣に本物の写真があるのですが、こちらの方が写真に見えるほどリアルでした。絵と言われてもにわかに信じられませんw
倉田弟次郎 「農家作業」
これも白黒写真だろうと思ったら絵でしたw 近くで見ても写真そのものに見えるほどのリアルで緻密なもので、農家の軒先で農作業している人々や、縁側で休んでいる子供なども描かれていました。
写実が上手ければ良い画家かというとそうでもないとは思いますが、ここまでくると驚異的です。弟次郎は色つきの水彩もあったのですが、そちらも写実的な感じでした。
<4 「ミューズ・フォーラム6:ニューミュージアム-出会いと発見・交流と発信の基地として」>
最後はミューズ・フォーラムという市民との活動を紹介するコーナーでした。SMF(さいたま ミューズ フォーラム)を写真や映像で紹介し、部屋の中央には円形に並んだ大小の風車が並んでいました。
ということで、今回の常設も楽しむことが出来ました。ここのコレクションも中々素晴らしいので、行く機会があったら常設も一緒に観ると良いかと思います。


【展覧名】
MOMASコレクションIII
【公式サイト】
http://www.momas.jp/4.htm
【会場】埼玉県立近代美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】北浦和駅
【会期】
2011年10月8日(土) ~2011年12月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
こちらも空いていて自分のペースでゆっくり鑑賞することができました。
以前にも何度かご紹介しましたが、ここの常設は季節ごとに時期が区切られていて、結構入れ替えもあるようです。(詳しいラインナップは公式サイトの出品リストで確認することもできます。) 既にご紹介した作品も多いので、今回はまだ紹介していない作品を中心に挙げていきます。
参考記事:
MOMASコレクションIII (埼玉県立近代美術館)
MOMASコレクションⅡ (埼玉県立近代美術館)
MOMASコレクション3 (埼玉県立近代美術館)
参考リンク:
出品リスト(pdf)
<1 「近代の美術-フランスと日本」>
まずはフランスと日本の近代洋画のコーナーです。
森田恒友 「イル・ブレア」
岩が並んだ入江にボートが浮かんだ様子を描いた作品です。背景には家々も見えていて、色合いや幾何学性、岩や家の形などからはセザンヌ的なものを感じました。色と岩のリズムが良かったです。
斎藤豊作 「フランス風景Ⅱ」
フランスの家とその脇の田舎道を描いた作品です。塀は緑に覆われ、道は赤色をしているなど、全体的に明るい雰囲気があります。点描のように描かれていて、後期印象主義やナビ派のような画風に思いました。
この辺にはモネ、ピサロ、シャガール、藤田、ドラクロワ、ピカソ、ユトリロ、キスリングなどビッグネームの作品もありました。(デルヴォーは貸出中みたいでした。)
森田恒友 「午睡する看護婦」 ★こちらで観られます
戸外で緑に囲まれ白い椅子に腰掛けて眠る白衣の女性を描いた作品です。口を少し開けて右にもたれこんで気持ちよさそうに寝ています。先ほどの絵とはだいぶ作風が違って、外光派のような柔らかい雰囲気で描かれていました。
田中保 「黒いドレスの腰掛けている女」 ★こちらで観られます
茶色い髪で黒いドレスを着た女性が描かれた肖像画です。首から長い紐(ロザリオ?)をかけていて、右手で引っ張るような感じです。背景は暗いのに黒が映えていました。
これはキスリングの隣に展示されていたのですが、作風が似ていて遠目からはキスリングかと思いました。
<2 「見えるものと見えないもの・3-現代彫刻の諸相」>
続いては現代彫刻などのコーナーです。
澄川喜一 「そりのある形」
シーソーか投石機のような形の大きな木の彫刻です。タイトルはソリではなく反りのことかな?w 中央で台となっていて木に繋がっているのですが、繋がっている部分が少なくて観ているだけで緊張する不安定な感じを受けました。面白くて斬新です。
草間彌生 「スーツケース」「脚立」 ★こちらで観られます
赤と白のヒビ割れ模様(鱗みたいな模様)のスーツケースと脚立の作品が並んでいました。色は鮮やかで、華やかな雰囲気があります。草間彌生は隣にも葉っぱの模様のような網目の黒地に赤線の大きめの絵画作品もありました。
参考記事:草間彌生 ボディ・フェスティバル in 60's 展 (ワタリウム美術館)
<3 「写生の力-倉田白羊と弟次郎」>
最後は地元 浦和生まれの画家、倉田白羊と弟次郎の兄弟のコーナーです。紛らわしいけど弟次郎のほうが兄のようです。
倉田白羊 「房州風景」
畑で農作業する人を描いた作品です。明るく柔らかで簡略化された表現は印象派のピサロなどを思わせます。のんびりした雰囲気の作品でした。
倉田白羊 「山ふところ」
山間の家と薪?が置いてある樹の根元を描いた作品です。作風が先ほどの作品とだいぶ違い、平面的な感じとなっていて、陰影を含めて色の強さが増しているように見えました。年数的に先ほどの作品から15年後の作品のようです。力強さを感じました。
倉田白羊 「ねぎ畑」 ★こちらで観られます
ネギ畑と積み藁のようなもの、背景には森が描かれた田舎の風景です。強い光を受けたように画面が明るく、平坦な感じの色合いで陰影を強く感じます。青々としたネギが伸びる様子は生命感がありました。
この辺にはパレットなどの遺品が展示されていました。
続いては白羊の10歳上の倉田弟次郎のコーナーです。22歳の若さで亡くなったようですが、あまりに惜しいと思わせる豊かな才能を感じる作品が並んでいました。
倉田弟次郎 「少年写真模写」
写真そのものと思わせるほどに精密な模写です。こちらを向いている身なりの良い少年を描いていて、隣に本物の写真があるのですが、こちらの方が写真に見えるほどリアルでした。絵と言われてもにわかに信じられませんw
倉田弟次郎 「農家作業」
これも白黒写真だろうと思ったら絵でしたw 近くで見ても写真そのものに見えるほどのリアルで緻密なもので、農家の軒先で農作業している人々や、縁側で休んでいる子供なども描かれていました。
写実が上手ければ良い画家かというとそうでもないとは思いますが、ここまでくると驚異的です。弟次郎は色つきの水彩もあったのですが、そちらも写実的な感じでした。
<4 「ミューズ・フォーラム6:ニューミュージアム-出会いと発見・交流と発信の基地として」>
最後はミューズ・フォーラムという市民との活動を紹介するコーナーでした。SMF(さいたま ミューズ フォーラム)を写真や映像で紹介し、部屋の中央には円形に並んだ大小の風車が並んでいました。
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画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。
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