Archive | 2011年11月
もう3週間くらい前のことですが、銀座の資生堂ギャラリーで「ダヤニータ・シン展 ある写真家の冒険」を観てきました。

【展覧名】
ダヤニータ・シン展 ある写真家の冒険
【公式サイト】
http://www.shiseido.co.jp/gallery/exhibition/index.html
【会場】資生堂ギャラリー ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】銀座駅 新橋駅など
【会期】2011年10月22日(土)~12月18日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていてゆっくり鑑賞することができました。
さて、この展覧会はダヤニータ・シンというインドの女性写真家の個展となっています。ダヤニータ・シンは1961年のニューデリー生まれで、国立のデザイン大学で学んだ後、ニューヨークのICP(国際写真センター)でフォト・ジャーナリズムとドキュメンタリー写真を習得したそうです。2011年にはポンピドーセンターでの展示やヴェネツィアビエンナーレの出展するなど、国際的な活躍をしているようで、今回は新作「House of Love 愛の家」と未発表の「Adventures of a Photographer ある写真家の冒険」という2つのシリーズが展示されていました。
ざっくりと会場の様子をメモしてきましたので、簡単にご紹介しようと思います。解説はあるにはあったのですが、難しかったので私の軽い感想のみですw
<House of Love 愛の家>
入口の階段の辺りから作品が並んでいました。屏風折りの小さめの白黒写真で、部屋の中(本棚など)を撮った写真がありました。
。
[Overture 序章] ★こちらで観られます
階下に降りると大きめの写真パネルが並びます。最初は暗闇に光る建物を撮った写真などで、オレンジがかった作品が多かったです。ちょっと神秘的だけどごちゃごちゃしたインドの街並みの様子がわかります。
[Continuous cities 連続都市]
奥に進むとインドの夕闇の風景の写真で、こちらはシュールな印象すら受け、やや寂しい雰囲気がありました。
[Being of darkness 暗闇の中で]
次のコーナーには模型や木々を撮った写真などが並んでいました。意味は分かりませんが物語性を感じる写真が多いかな。ここも夜景の写真が何点かあります。
[Portrait of marriage 結婚の肖像] [Departure lounge 出発ロビー] [Return to sendar 差出人戻し]
この3つのサブタイトルはまとめて展示されていました。古いスピーカー?、象の子供?、老人など写真が並んでいます。ちょっと痛々しいけれどもリアルを感じるような作風に思いました。
<Adventures of a Photographer ある写真家の冒険>
こちらは奥の小さい部屋の展示です。ここには10点程度の作品が並んでいたのですが、私が気に入ったのは3つで、まずは壁面に描かれたカメラを持つ少女の絵を撮った写真(★こちらで観られます)です。全体的にオレンジ色で夜に撮ったのかな。いかにもインドという画風で微笑む少女が実際の人物であるかのように生き生きしているけれども神秘的で、光と闇の間の不思議な光景のように思いました。
もう1つは老婆のような人物がうさぎを抱いて寝ている様子を撮った写真です。病人のようでこちらも痛々しさのようなものを感じました。解説によると去勢された男性のようで、この人はこうしたテーマも撮っているようです。
最後の1点はベッドで布団をかぶってうつ伏せになり、足を横に出している若い女性の写真です(★こちらで観られます) こちらは絶望感が伝わってくるようでした。
この部屋には他にも本や屏風折りの白黒写真もありました。部屋の中を撮った写真が多く、構図が面白くて静かで美意識を感じました。
ということで、神秘性や生々しさなど様々な要素がありましたが、インドという国のイメージが現れているようにも思いました。無料で観られる展示ですので、気になる方は覗いてみてください。

【展覧名】
ダヤニータ・シン展 ある写真家の冒険
【公式サイト】
http://www.shiseido.co.jp/gallery/exhibition/index.html
【会場】資生堂ギャラリー ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】銀座駅 新橋駅など
【会期】2011年10月22日(土)~12月18日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていてゆっくり鑑賞することができました。
さて、この展覧会はダヤニータ・シンというインドの女性写真家の個展となっています。ダヤニータ・シンは1961年のニューデリー生まれで、国立のデザイン大学で学んだ後、ニューヨークのICP(国際写真センター)でフォト・ジャーナリズムとドキュメンタリー写真を習得したそうです。2011年にはポンピドーセンターでの展示やヴェネツィアビエンナーレの出展するなど、国際的な活躍をしているようで、今回は新作「House of Love 愛の家」と未発表の「Adventures of a Photographer ある写真家の冒険」という2つのシリーズが展示されていました。
ざっくりと会場の様子をメモしてきましたので、簡単にご紹介しようと思います。解説はあるにはあったのですが、難しかったので私の軽い感想のみですw
<House of Love 愛の家>
入口の階段の辺りから作品が並んでいました。屏風折りの小さめの白黒写真で、部屋の中(本棚など)を撮った写真がありました。
。
[Overture 序章] ★こちらで観られます
階下に降りると大きめの写真パネルが並びます。最初は暗闇に光る建物を撮った写真などで、オレンジがかった作品が多かったです。ちょっと神秘的だけどごちゃごちゃしたインドの街並みの様子がわかります。
[Continuous cities 連続都市]
奥に進むとインドの夕闇の風景の写真で、こちらはシュールな印象すら受け、やや寂しい雰囲気がありました。
[Being of darkness 暗闇の中で]
次のコーナーには模型や木々を撮った写真などが並んでいました。意味は分かりませんが物語性を感じる写真が多いかな。ここも夜景の写真が何点かあります。
[Portrait of marriage 結婚の肖像] [Departure lounge 出発ロビー] [Return to sendar 差出人戻し]
この3つのサブタイトルはまとめて展示されていました。古いスピーカー?、象の子供?、老人など写真が並んでいます。ちょっと痛々しいけれどもリアルを感じるような作風に思いました。
<Adventures of a Photographer ある写真家の冒険>
こちらは奥の小さい部屋の展示です。ここには10点程度の作品が並んでいたのですが、私が気に入ったのは3つで、まずは壁面に描かれたカメラを持つ少女の絵を撮った写真(★こちらで観られます)です。全体的にオレンジ色で夜に撮ったのかな。いかにもインドという画風で微笑む少女が実際の人物であるかのように生き生きしているけれども神秘的で、光と闇の間の不思議な光景のように思いました。
もう1つは老婆のような人物がうさぎを抱いて寝ている様子を撮った写真です。病人のようでこちらも痛々しさのようなものを感じました。解説によると去勢された男性のようで、この人はこうしたテーマも撮っているようです。
最後の1点はベッドで布団をかぶってうつ伏せになり、足を横に出している若い女性の写真です(★こちらで観られます) こちらは絶望感が伝わってくるようでした。
この部屋には他にも本や屏風折りの白黒写真もありました。部屋の中を撮った写真が多く、構図が面白くて静かで美意識を感じました。
ということで、神秘性や生々しさなど様々な要素がありましたが、インドという国のイメージが現れているようにも思いました。無料で観られる展示ですので、気になる方は覗いてみてください。
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先週の日曜日に、有楽町の出光美術館へ行って「日本の美・発見VI 長谷川等伯と狩野派」を観てきました。

【展覧名】
日本の美・発見VI 長谷川等伯と狩野派
【公式サイト】
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html
【会場】出光美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】JR・東京メトロ 有楽町駅/都営地下鉄・東京メトロ 日比谷駅
【会期】2011年10月29日(土)~12月18日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
かなり混んでいて、場所によっては列ができるほどでしたが、大きめの作品が多いので問題なく自分のペースで周ることができました。
さて、今回の展示は長谷川等伯と狩野派ということで、ライバル関係にあった2派の関係を取り上げる内容となっていますが、どちらかというと長谷川等伯と長谷川派の方に重きがあるようでした。昨年は没後400年で東博でも大きな展覧がありましたが、出光美術館でも長谷川等伯の展示はたびたび開催されています。
等伯の生涯については以前詳しくご紹介したので今回は割愛しますが、七尾から京都に移住したのは1571年(33歳)の頃というのが有力な説らしく、その頃は既に狩野派が織田信長や豊臣秀吉ら権力者の支持を得ていました。狩野派は始祖の正信、2代の元信、永徳らの活躍によって画壇に君臨していたのですが、新興勢力の長谷川派を警戒していたようです。この展覧会ではお互いにライバル心を燃やしながらも影響しあった様子も分かるようになっていましたので、詳しくは章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
参考記事:
没後400年 特別展「長谷川等伯」 感想前編(東京国立博物館 平成館)
没後400年 特別展「長谷川等伯」 感想後編(東京国立博物館 平成館)
<I. 狩野派全盛>
まずは狩野派のコーナーです。狩野派の始祖 正信(1434?~1530年)以来、御用絵師として隆盛し、正統として盤石な組織力を築きました。正信の息子の2代目の元信(1477?~1559年)の明快で端正な画風は次世代に継承され様式美の基礎となったようです。
伝 狩野松栄 「花鳥図屏風」 ★こちらで観られます
狩野松栄は2代目 元信の3男で永徳の父です。これは松栄の作と伝えられる4曲1隻の墨絵で、松の下で鶴が大きく口を開けて立っている様子が描かれています。周りには小さな鳥たちや百合なども描かれていて、解説によると元信をよく継承しているそうで、描線や筆致が柔和だと評されていました。墨の濃淡で軽やかな雰囲気がある作品でした。
この辺には永徳の末弟の狩野長信による「桜・桃・海棠図屏風」や狩野松栄・秀頼 他による「扇面貼交屏風」などもありました。まあ、狩野派は若干地味な内容だったかな。
なお。元信以来、扇は狩野派の貴重な収入源であったそうで、元信は相続権の無い人間が勝手に扇を作らないように幕府に嘆願書を出したほどだったそうです。しかし、光信(永徳の息子)以降はあまり力を入れなくなったようで、後にそれに代わって俵屋宗達がこの分野に進出していきます。
<II.等伯の芸術>
続いては長谷川等伯のコーナーです。統制や伝統を重んじる狩野派に比べて等伯は自由な立場であり、興味に従って描いていたそうです。中でも中国の牧谿の水墨画から影響を受けている様子が紹介されていました。
長谷川等伯 「竹虎図屏風」 ★こちらで観られます
6曲1双の屏風で、今回のポスターになっている作品です。墨の濃淡で竹林の中の虎を1隻に1頭ずつ描いています。右隻は身を屈めて上方を伺い、跳びかかりそうな雰囲気です。太い輪郭の力強さとふわっとした毛の繊細さの両面があるように観え、目線の先は風が吹いているような感じでした。左隻の虎は猫が耳かきしているようなポーズをしていて、右隻の緊張感と対比的に脱力系なのが面白かったです。解説によると、これは大徳寺の牧谿(もっけい)の虎図に学んだものだそうです。狩野派も牧谿に学んだ虎図があるらしいですが、それをさらに等伯が観ていたと考えられるようです。また、左隻の左下には何故か狩野探幽の名前があるのですが、これは「この絵は周文の真筆で、両片(左隻の1扇、5扇、6扇)が破損していたので直した」との旨が書かれているそうです。よく観ると周文とか真筆という文字もありました。探幽は祖父の永徳のライバルであった等伯のことはよく知っていたはずなのに、周文の作とした点については不明ですが、ライバルを歴史から葬り去るためにやったのではないかとの説も紹介されていました。
この近くには「対屋事件」という狩野派と等伯の関係が端的に分かる事件も説明されています。これは公家の勧修寺晴豊の日記に書かれたもので、1590年に晴豊の家に狩野永徳が息子たちを連れてきて、御所対屋(夫人や女房が住む建物)の壁画を「はせ川と申す者」に注文したのは迷惑なので断ってくれと頼んだそうです。実際にこの後に圧力で等伯の壁画は取りやめになっているようで、当時の長谷川派と仲が良くなかったことやそこまで台頭してきた様子が分かる事件のようでした。
能阿弥 「四季花鳥図屏風」
室町時代の能阿弥の作で、牧谿に学んだ画風をしています。川辺で様々な鳥たちが飛んだり休んだりしている様子が書かれています。特に飛んでいる鳥たちは躍動感があり、楽しげな雰囲気がありました。等伯は能阿弥にも深い関心があったそうです。
牧谿 「平沙落雁図」
等伯に影響を与えた牧谿の掛け軸で、霞んだ空と遠くに見える山の頂を描いています。その手前を雁たちが列を組んでいて、右の方には芦の中で休んでいるのも数羽いました。非常に空気感の表現が巧みで、ぼや~っとした感じが叙情的でした。
等伯もこの光や大気の表現を学んでいるそうですが、牧谿は中国ではあまり評価されていなかったようで、当時の中国は「骨法用筆」という輪郭をよく捉えることを重視していたので異端扱いだったようです。
長谷川等伯 「竹鶴図屏風」
6曲1双の屏風で、右隻は竹林の脇で丸まって卵を温めているような鶴、左隻は上を向いてクチバシを開けている鶴が描かれています。墨で濃く描かれた竹と薄く描かれた竹があり、竹林にもやが漂うような表現が見事でした。静かな雰囲気です。 なお、左隻の鶴は牧谿の描いた鶴を忠実に写したものだそうです。
長谷川等伯 「松に鴉・柳に白鷺図屏風」 ★こちらで観られます
6曲1双の屏風で、右隻に松の大木にあるカラスの巣が描かれ、母らしきカラスが子カラスたちと一緒に巣の中にいます。その視線の先にはもう一羽のカラスもいて、カラスの一家のようでした。解説によると、普通は黒い鳥を書く時は中国の叭々鳥(ははちょう)を描くのですが、等伯はあえて身近なカラスを描いたようです。 また、巣の下にはたんぽぽも描かれているので春の様子であることがわかります。
左隻は空を飛ぶ白鷺と、枯れ木にとまる白鷺が描かれていました。余白の多い空間の表現が絶妙で、しんみりしたものを感じました。こちらは秋冬の様子のようで、画面の中で季節の流れもあるようでした。
この隣には狩野探幽の「叭々鳥・小禽図屏風」も展示されていましたこちらも牧谿を学んでいますが、趣きが異なっていました。
<III.長谷川派と狩野派-親近する表現>
長谷川派と狩野派はライバル同士ではありましたが、お互いの表現に親近するものがあるそうで、長谷川派はいかに新しい面を打ち出せるか狩野派を研究し、狩野派は長谷川派の画題や表現に関心があったそうです。ここにはそれを伺わせる作品が並んでいました。
長谷川派 「波濤図屏風」 ★こちらで観られます
波が打ち寄せるゴツゴツした岩場を描いた屏風です。文様化されている波がうねって飛沫が飛び散る風景で、これは等伯が波濤図を描いて以来 長谷川派が得意としていた題材です。解説によると、金箔や金砂子が使われ等伯の作より装飾的な表現になっているそうで、色は抑えめに思いましたが力強く荒々しい雰囲気がありました。
狩野常信 「波濤図屏風」
先ほどの波濤図とよく似た構図の狩野派の作品が隣に並んで展示されていました。長谷川派の得意な画題を受け入れていた様子が分かるそうですが、雰囲気はちょっと違います。こちらは渦を巻く波がより一層 文様化されたような感じで、空から2羽の鳥が舞い降り金雲が漂うなど、どこか軽やかな雰囲気がありました。飛沫も多く色合いのせいかリズミカルな印象を受けます。
この近くには草花を描いた作品を両派で比べるコーナーもありました。
<IV.やまと絵への傾倒>
等伯は水墨画などの漢画だけでなく、やまと絵も積極的に学んだそうで、最後の章では等伯に関連するやまと絵が数点並んでいました。
長谷川派 「柳橋水車図屏風」 ★こちらで観られます
6曲1双の屏風で、画面の上の方を大きな金色の橋が覆うように描かれ、その脇には柳や川の中の籠、水車、文様化した水が描かれています。右隻には月が浮かび、雅やかな雰囲気があります。この作品は似たものを何度か観たことがあるのですが、この当時大いに盛り上がった図様らしく、狩野派の画中画にすた描かれたほどだったそうです。確かに面白い構図で素晴らしいと思います。
参考記事:日本美術にみる「橋」ものがたり -天橋立から日本橋まで- (三井記念美術館)
ということで、全体的に点数は少なめで等伯自身の作も数点でしたが、狩野派と長谷川派の関わりがよく分かる内容となっていました。日本美術に興味がある方には特に参考になる良い展示だと思います。
おまけ:
今回、常設のムンクとルオーのコーナーも絵が変わっていて、特にムンクは「殺人」という絵など3点ほどとなっています。こちらも少数ですが見応えがあるのでお見逃しなく。


【展覧名】
日本の美・発見VI 長谷川等伯と狩野派
【公式サイト】
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html
【会場】出光美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】JR・東京メトロ 有楽町駅/都営地下鉄・東京メトロ 日比谷駅
【会期】2011年10月29日(土)~12月18日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
かなり混んでいて、場所によっては列ができるほどでしたが、大きめの作品が多いので問題なく自分のペースで周ることができました。
さて、今回の展示は長谷川等伯と狩野派ということで、ライバル関係にあった2派の関係を取り上げる内容となっていますが、どちらかというと長谷川等伯と長谷川派の方に重きがあるようでした。昨年は没後400年で東博でも大きな展覧がありましたが、出光美術館でも長谷川等伯の展示はたびたび開催されています。
等伯の生涯については以前詳しくご紹介したので今回は割愛しますが、七尾から京都に移住したのは1571年(33歳)の頃というのが有力な説らしく、その頃は既に狩野派が織田信長や豊臣秀吉ら権力者の支持を得ていました。狩野派は始祖の正信、2代の元信、永徳らの活躍によって画壇に君臨していたのですが、新興勢力の長谷川派を警戒していたようです。この展覧会ではお互いにライバル心を燃やしながらも影響しあった様子も分かるようになっていましたので、詳しくは章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
参考記事:
没後400年 特別展「長谷川等伯」 感想前編(東京国立博物館 平成館)
没後400年 特別展「長谷川等伯」 感想後編(東京国立博物館 平成館)
<I. 狩野派全盛>
まずは狩野派のコーナーです。狩野派の始祖 正信(1434?~1530年)以来、御用絵師として隆盛し、正統として盤石な組織力を築きました。正信の息子の2代目の元信(1477?~1559年)の明快で端正な画風は次世代に継承され様式美の基礎となったようです。
伝 狩野松栄 「花鳥図屏風」 ★こちらで観られます
狩野松栄は2代目 元信の3男で永徳の父です。これは松栄の作と伝えられる4曲1隻の墨絵で、松の下で鶴が大きく口を開けて立っている様子が描かれています。周りには小さな鳥たちや百合なども描かれていて、解説によると元信をよく継承しているそうで、描線や筆致が柔和だと評されていました。墨の濃淡で軽やかな雰囲気がある作品でした。
この辺には永徳の末弟の狩野長信による「桜・桃・海棠図屏風」や狩野松栄・秀頼 他による「扇面貼交屏風」などもありました。まあ、狩野派は若干地味な内容だったかな。
なお。元信以来、扇は狩野派の貴重な収入源であったそうで、元信は相続権の無い人間が勝手に扇を作らないように幕府に嘆願書を出したほどだったそうです。しかし、光信(永徳の息子)以降はあまり力を入れなくなったようで、後にそれに代わって俵屋宗達がこの分野に進出していきます。
<II.等伯の芸術>
続いては長谷川等伯のコーナーです。統制や伝統を重んじる狩野派に比べて等伯は自由な立場であり、興味に従って描いていたそうです。中でも中国の牧谿の水墨画から影響を受けている様子が紹介されていました。
長谷川等伯 「竹虎図屏風」 ★こちらで観られます
6曲1双の屏風で、今回のポスターになっている作品です。墨の濃淡で竹林の中の虎を1隻に1頭ずつ描いています。右隻は身を屈めて上方を伺い、跳びかかりそうな雰囲気です。太い輪郭の力強さとふわっとした毛の繊細さの両面があるように観え、目線の先は風が吹いているような感じでした。左隻の虎は猫が耳かきしているようなポーズをしていて、右隻の緊張感と対比的に脱力系なのが面白かったです。解説によると、これは大徳寺の牧谿(もっけい)の虎図に学んだものだそうです。狩野派も牧谿に学んだ虎図があるらしいですが、それをさらに等伯が観ていたと考えられるようです。また、左隻の左下には何故か狩野探幽の名前があるのですが、これは「この絵は周文の真筆で、両片(左隻の1扇、5扇、6扇)が破損していたので直した」との旨が書かれているそうです。よく観ると周文とか真筆という文字もありました。探幽は祖父の永徳のライバルであった等伯のことはよく知っていたはずなのに、周文の作とした点については不明ですが、ライバルを歴史から葬り去るためにやったのではないかとの説も紹介されていました。
この近くには「対屋事件」という狩野派と等伯の関係が端的に分かる事件も説明されています。これは公家の勧修寺晴豊の日記に書かれたもので、1590年に晴豊の家に狩野永徳が息子たちを連れてきて、御所対屋(夫人や女房が住む建物)の壁画を「はせ川と申す者」に注文したのは迷惑なので断ってくれと頼んだそうです。実際にこの後に圧力で等伯の壁画は取りやめになっているようで、当時の長谷川派と仲が良くなかったことやそこまで台頭してきた様子が分かる事件のようでした。
能阿弥 「四季花鳥図屏風」
室町時代の能阿弥の作で、牧谿に学んだ画風をしています。川辺で様々な鳥たちが飛んだり休んだりしている様子が書かれています。特に飛んでいる鳥たちは躍動感があり、楽しげな雰囲気がありました。等伯は能阿弥にも深い関心があったそうです。
牧谿 「平沙落雁図」
等伯に影響を与えた牧谿の掛け軸で、霞んだ空と遠くに見える山の頂を描いています。その手前を雁たちが列を組んでいて、右の方には芦の中で休んでいるのも数羽いました。非常に空気感の表現が巧みで、ぼや~っとした感じが叙情的でした。
等伯もこの光や大気の表現を学んでいるそうですが、牧谿は中国ではあまり評価されていなかったようで、当時の中国は「骨法用筆」という輪郭をよく捉えることを重視していたので異端扱いだったようです。
長谷川等伯 「竹鶴図屏風」
6曲1双の屏風で、右隻は竹林の脇で丸まって卵を温めているような鶴、左隻は上を向いてクチバシを開けている鶴が描かれています。墨で濃く描かれた竹と薄く描かれた竹があり、竹林にもやが漂うような表現が見事でした。静かな雰囲気です。 なお、左隻の鶴は牧谿の描いた鶴を忠実に写したものだそうです。
長谷川等伯 「松に鴉・柳に白鷺図屏風」 ★こちらで観られます
6曲1双の屏風で、右隻に松の大木にあるカラスの巣が描かれ、母らしきカラスが子カラスたちと一緒に巣の中にいます。その視線の先にはもう一羽のカラスもいて、カラスの一家のようでした。解説によると、普通は黒い鳥を書く時は中国の叭々鳥(ははちょう)を描くのですが、等伯はあえて身近なカラスを描いたようです。 また、巣の下にはたんぽぽも描かれているので春の様子であることがわかります。
左隻は空を飛ぶ白鷺と、枯れ木にとまる白鷺が描かれていました。余白の多い空間の表現が絶妙で、しんみりしたものを感じました。こちらは秋冬の様子のようで、画面の中で季節の流れもあるようでした。
この隣には狩野探幽の「叭々鳥・小禽図屏風」も展示されていましたこちらも牧谿を学んでいますが、趣きが異なっていました。
<III.長谷川派と狩野派-親近する表現>
長谷川派と狩野派はライバル同士ではありましたが、お互いの表現に親近するものがあるそうで、長谷川派はいかに新しい面を打ち出せるか狩野派を研究し、狩野派は長谷川派の画題や表現に関心があったそうです。ここにはそれを伺わせる作品が並んでいました。
長谷川派 「波濤図屏風」 ★こちらで観られます
波が打ち寄せるゴツゴツした岩場を描いた屏風です。文様化されている波がうねって飛沫が飛び散る風景で、これは等伯が波濤図を描いて以来 長谷川派が得意としていた題材です。解説によると、金箔や金砂子が使われ等伯の作より装飾的な表現になっているそうで、色は抑えめに思いましたが力強く荒々しい雰囲気がありました。
狩野常信 「波濤図屏風」
先ほどの波濤図とよく似た構図の狩野派の作品が隣に並んで展示されていました。長谷川派の得意な画題を受け入れていた様子が分かるそうですが、雰囲気はちょっと違います。こちらは渦を巻く波がより一層 文様化されたような感じで、空から2羽の鳥が舞い降り金雲が漂うなど、どこか軽やかな雰囲気がありました。飛沫も多く色合いのせいかリズミカルな印象を受けます。
この近くには草花を描いた作品を両派で比べるコーナーもありました。
<IV.やまと絵への傾倒>
等伯は水墨画などの漢画だけでなく、やまと絵も積極的に学んだそうで、最後の章では等伯に関連するやまと絵が数点並んでいました。
長谷川派 「柳橋水車図屏風」 ★こちらで観られます
6曲1双の屏風で、画面の上の方を大きな金色の橋が覆うように描かれ、その脇には柳や川の中の籠、水車、文様化した水が描かれています。右隻には月が浮かび、雅やかな雰囲気があります。この作品は似たものを何度か観たことがあるのですが、この当時大いに盛り上がった図様らしく、狩野派の画中画にすた描かれたほどだったそうです。確かに面白い構図で素晴らしいと思います。
参考記事:日本美術にみる「橋」ものがたり -天橋立から日本橋まで- (三井記念美術館)
ということで、全体的に点数は少なめで等伯自身の作も数点でしたが、狩野派と長谷川派の関わりがよく分かる内容となっていました。日本美術に興味がある方には特に参考になる良い展示だと思います。
おまけ:
今回、常設のムンクとルオーのコーナーも絵が変わっていて、特にムンクは「殺人」という絵など3点ほどとなっています。こちらも少数ですが見応えがあるのでお見逃しなく。
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日付が昨日となりましたが、会社の帰りにレイトショーで、「マネーボール」を観てきました。

【作品名】
マネーボール
【公式サイト】
http://www.moneyball.jp/
【時間】
2時間10分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_④_5_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
公開して1週間程度ですが、空いていてゆっくりみることができました。
さて、この映画は2002年アメリカのメジャーリーグチーム「アスレチックス」の実話を元にした同名の本を映画化したものです。脚本には「ソーシャル・ネットワーク」のスタッフがいるらしく、確かに似た雰囲気がありました。あまり説明的なセリフや補足がなかったりするので、若干分かりづらいかな。登場する人名が多く、人名だけ出てくる人も多いので、メジャーリーガーをほとんど知らない私にはこれ誰だっけ?と何回か迷ってしまいましたw(私がアホなだけかも知れませんが)
参考記事:映画「ソーシャル・ネットワーク」(ネタバレなし)
物語としては結果が既にポスターや宣伝で周知されてしまっている感じですが、そこに至る過程というのを楽しむことができます。主人公のブラッド・ピットの演技も流石で、心情表現がストレートではないのが深さを感じました。
しかし、思っていたより爽快感がないというか、見ていて展開に興奮するようなものではなかったです。逆にメジャーリーグの厳しさがひしひしと伝わってきてプレッシャーを感じます。 てっきり「メジャー・リーグ」みたいな映画かと思ったのですが、かなりシリアスなノリですw 実際、本人達はこういう感じだったのかな。 この辺がエンタメ的なものを求める人にはニーズに合わなそうです。
ということで、本格的な映画が好きな人には良い作品だと思います。「もしドラ」のメジャーリーグ版という紹介を読んだことがありますが、題材は似ていてもそんな軽いノリじゃありませんw 良い意味で、映画館で観るというよりは家でじっくり観たい作品かもしれません。

【作品名】
マネーボール
【公式サイト】
http://www.moneyball.jp/
【時間】
2時間10分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_④_5_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
公開して1週間程度ですが、空いていてゆっくりみることができました。
さて、この映画は2002年アメリカのメジャーリーグチーム「アスレチックス」の実話を元にした同名の本を映画化したものです。脚本には「ソーシャル・ネットワーク」のスタッフがいるらしく、確かに似た雰囲気がありました。あまり説明的なセリフや補足がなかったりするので、若干分かりづらいかな。登場する人名が多く、人名だけ出てくる人も多いので、メジャーリーガーをほとんど知らない私にはこれ誰だっけ?と何回か迷ってしまいましたw(私がアホなだけかも知れませんが)
参考記事:映画「ソーシャル・ネットワーク」(ネタバレなし)
物語としては結果が既にポスターや宣伝で周知されてしまっている感じですが、そこに至る過程というのを楽しむことができます。主人公のブラッド・ピットの演技も流石で、心情表現がストレートではないのが深さを感じました。
しかし、思っていたより爽快感がないというか、見ていて展開に興奮するようなものではなかったです。逆にメジャーリーグの厳しさがひしひしと伝わってきてプレッシャーを感じます。 てっきり「メジャー・リーグ」みたいな映画かと思ったのですが、かなりシリアスなノリですw 実際、本人達はこういう感じだったのかな。 この辺がエンタメ的なものを求める人にはニーズに合わなそうです。
ということで、本格的な映画が好きな人には良い作品だと思います。「もしドラ」のメジャーリーグ版という紹介を読んだことがありますが、題材は似ていてもそんな軽いノリじゃありませんw 良い意味で、映画館で観るというよりは家でじっくり観たい作品かもしれません。
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前回ご紹介した古代オリエント博物館に行った後、同じサンシャインシティにあるサンシャイン水族館に行ってきました。以前はサンシャイン国際水族館という名前だったはずですが、名前も変わったのかな。

【公式サイト】
http://www.sunshinecity.co.jp/sunshine/aquarium/
【施設名】サンシャイン水族館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
※営業時間・休館日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄】東池袋駅、東池袋四丁目駅、池袋駅
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日16時半頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
チケットはすんなり買えたのですが、中は非常に混んでいて、どの水槽も人影で塞がれていて、少し待ちながらの鑑賞となりました。そして待っていると子供が足元に突撃してくるような感じですw
さて、この水族館は2010年の夏に一旦休館して、2011年夏にリニューアルしました。その為、非常に綺麗になっていて、展示方法も今風の明るい雰囲気になっていました。…その分、入館料も大人1800円とお高めですw
館内は撮影することもできましたので、詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。
館内はこんな感じで、大きく3つのゾーンに分かれています。

<水族館1階 大海の旅>
まずは海の生き物のコーナーです。
最初はサンゴ礁の魚が展示されていました。色合いが何とも綺麗です。

まるで植木のように並んだ珊瑚。

続いてはイワシが回遊する水槽。ぐるぐる回り続けて、流麗な動きが美しい。

これはタツノオトシゴかな。擬態しているのが面白い。

沢山のイソギンチャクもいる水槽。ダイビングしているような光景です。

深海の生物もいて、これはタカアシガニ。かなりの大きさで食べごたえがありそうw

巨大なタコ。外国では悪魔と思われている所があるのも不思議じゃないかもw

こちらは1階で一番大きな水槽。エイが飛ぶように泳ぐ姿が優美です。
サンシャインの水族館と言えばラッコ! 残念ながら貝は叩きませんでしたが、それっぽい仕草をしていました。
最近アクアリウムでよく観るようになったクラゲと光の演出もありました。トンネルのようになっていて雰囲気があります。
こちらは触手の長いタイプ。ゆらゆら揺れる姿が幻想的です。ちなみにクラゲはプランクトンに分類されるそうです。

巨大なマンボウ。ちょっとゴツくて不気味な顔をしていますw

この先にはイカなどもいて、面白い泳ぎ方をしていました。
<水族館2階 水辺の旅>
続いて上の階に進むと淡水生物のコーナーです。
これはアマゾン川の水槽。2,500種類以上の魚と様々な生物住んでいるそうです。

近くには東南アジアの川などもあります。
これはアフリカの川に住むエレファントノーズという魚。長い口をしてますが何を食べるんだろう…。

この辺にはマングローブの生物たちもいました。
これはハゼの仲間かな? ムツゴロウみたいな感じです。

少し進むと爬虫類のコーナーです。これはコモリガエルという種類らしいです。ペラペラな感じに見えて面白いw

一世を風靡したウーパールーパー! 何とも可愛らしい顔をしています。

この近くにはカエルやトカゲ、蛇、亀などもいます。また、アザラシがいて淡水のコーナーに何故?と思ったらバイカル湖に住むバイカルアザラシでした。
しばらく行くとまた海の生き物のコーナー。これはグレートバリアリーフの水槽だったかな。

こんな模様の生物が自然にいるのかと驚いたフグのような魚

ゆらゆら揺らめくイソギンチャクの中にいる小魚たち
2階の最後のあたりには日本の清流の魚たちもいました。2階を出るとショップがあり、様々なグッズを売っています。こちらも大盛況です。
<マリンガーデン 天空の旅>
ここは一旦水族館を出て、屋外の水槽を観ていきます。
オタリアとアシカの水槽。かなりの勢いで水槽から飛び出しては深く潜る動きをしていました。元気な奴らです。

ペンギンも沢山います。ペンギンのコーナー特有の匂いが漂っていましたw

最後にはピラルクという怪物じみた巨大魚もいました。最後まで驚きがあります。
ということで、葛西臨海水族園と比べると小規模ですが、非常に綺麗な水族館となって戻ってきました。これは家族連れからデートまで幅広い層が楽しめそうです。人気で混み合うこともあるとは思いますが、お勧めのスポットです。
参考記事:
葛西臨海水族園の案内 前編
葛西臨海水族園の案内 後編


【公式サイト】
http://www.sunshinecity.co.jp/sunshine/aquarium/
【施設名】サンシャイン水族館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
※営業時間・休館日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄】東池袋駅、東池袋四丁目駅、池袋駅
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日16時半頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
チケットはすんなり買えたのですが、中は非常に混んでいて、どの水槽も人影で塞がれていて、少し待ちながらの鑑賞となりました。そして待っていると子供が足元に突撃してくるような感じですw
さて、この水族館は2010年の夏に一旦休館して、2011年夏にリニューアルしました。その為、非常に綺麗になっていて、展示方法も今風の明るい雰囲気になっていました。…その分、入館料も大人1800円とお高めですw
館内は撮影することもできましたので、詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。
館内はこんな感じで、大きく3つのゾーンに分かれています。

<水族館1階 大海の旅>
まずは海の生き物のコーナーです。
最初はサンゴ礁の魚が展示されていました。色合いが何とも綺麗です。

まるで植木のように並んだ珊瑚。

続いてはイワシが回遊する水槽。ぐるぐる回り続けて、流麗な動きが美しい。

これはタツノオトシゴかな。擬態しているのが面白い。

沢山のイソギンチャクもいる水槽。ダイビングしているような光景です。

深海の生物もいて、これはタカアシガニ。かなりの大きさで食べごたえがありそうw

巨大なタコ。外国では悪魔と思われている所があるのも不思議じゃないかもw

こちらは1階で一番大きな水槽。エイが飛ぶように泳ぐ姿が優美です。
サンシャインの水族館と言えばラッコ! 残念ながら貝は叩きませんでしたが、それっぽい仕草をしていました。
最近アクアリウムでよく観るようになったクラゲと光の演出もありました。トンネルのようになっていて雰囲気があります。
こちらは触手の長いタイプ。ゆらゆら揺れる姿が幻想的です。ちなみにクラゲはプランクトンに分類されるそうです。

巨大なマンボウ。ちょっとゴツくて不気味な顔をしていますw

この先にはイカなどもいて、面白い泳ぎ方をしていました。
<水族館2階 水辺の旅>
続いて上の階に進むと淡水生物のコーナーです。
これはアマゾン川の水槽。2,500種類以上の魚と様々な生物住んでいるそうです。

近くには東南アジアの川などもあります。
これはアフリカの川に住むエレファントノーズという魚。長い口をしてますが何を食べるんだろう…。

この辺にはマングローブの生物たちもいました。
これはハゼの仲間かな? ムツゴロウみたいな感じです。

少し進むと爬虫類のコーナーです。これはコモリガエルという種類らしいです。ペラペラな感じに見えて面白いw

一世を風靡したウーパールーパー! 何とも可愛らしい顔をしています。

この近くにはカエルやトカゲ、蛇、亀などもいます。また、アザラシがいて淡水のコーナーに何故?と思ったらバイカル湖に住むバイカルアザラシでした。
しばらく行くとまた海の生き物のコーナー。これはグレートバリアリーフの水槽だったかな。

こんな模様の生物が自然にいるのかと驚いたフグのような魚

ゆらゆら揺らめくイソギンチャクの中にいる小魚たち
2階の最後のあたりには日本の清流の魚たちもいました。2階を出るとショップがあり、様々なグッズを売っています。こちらも大盛況です。
<マリンガーデン 天空の旅>
ここは一旦水族館を出て、屋外の水槽を観ていきます。
オタリアとアシカの水槽。かなりの勢いで水槽から飛び出しては深く潜る動きをしていました。元気な奴らです。

ペンギンも沢山います。ペンギンのコーナー特有の匂いが漂っていましたw

最後にはピラルクという怪物じみた巨大魚もいました。最後まで驚きがあります。
ということで、葛西臨海水族園と比べると小規模ですが、非常に綺麗な水族館となって戻ってきました。これは家族連れからデートまで幅広い層が楽しめそうです。人気で混み合うこともあるとは思いますが、お勧めのスポットです。
参考記事:
葛西臨海水族園の案内 前編
葛西臨海水族園の案内 後編
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前回までご紹介した練馬区の展示を観た後、池袋に移動してサンシャインの中にある古代オリエント博物館を観てきました。この日は常設のみでしたが、ミニコーナー展示とクローズアップ展示には期間が設けられているようでした。

【展覧名】
ミニコーナー展示 「ハンムラビ法典がやってきた!」
クローズアップ展示 「バーミヤーン遺跡の保存と修復写真展」
【公式サイト】
http://www.sa.il24.net/~aom/tenji.html
【会場】古代オリエント博物館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】東池袋駅、東池袋四丁目駅、池袋駅
【会期】
ミニコーナー展示:2011年9月10日~12月25日
クローズアップ展示:2011年10月1日~11月27日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。
さて、この博物館は以前もご紹介しましたが、非常にさっくりとしたご紹介でしたので、今回はメモを取ってきました。今回は特別展ではないのですが、その分常設のコーナーをじっくり見ることができました。
参考記事:地中海古代クルーズ -オリーブとワインと・・・(古代オリエント博物館)
<ハンムラビ法典がやってきた!>
まず最初はミニコーナー展示の「ハンムラビ法典がやってきた!」です。最初にハンムラビ王について説明があり、ハンムラビ王はバビロン第一王朝(紀元前2003年~前1595年)の6代目の王で、前1792年~1750年頃に在位しました。王になった頃のバビロンはさほど大きな都市国家では無かったようですが、灌漑設備や神殿建設を進めるなど内政を充実させたそうで、次いで巧みな外交で勢力を伸ばしていき、ついにはメソポタミアのほぼ全域を征服して行きました。そして誰もが知っている有名なハンムラビ法典がこの頃に作られたそうです。
この部屋の中央には3mくらいもある石碑が立っていて、その胴部分にはくさび文字が掘りこまれていました。これは有名なハンムラビ法典が刻まれた石碑のレプリカで、背面には有名な「目には目を 歯には歯を」という一説の部分(17段目196条~201条)が青いテープで囲ってあります。また、柱の正面上部には玉座に座る人と立って話している人が彫り込まれていました。
「目には目を 歯には歯を」と聞くとやられた分だけやり返せという法律かと誤解してしまいますが、実際には同害復讐の原則は加害者と被害者が共に上層の自由人であることや、本人による復讐ではなく代理人による執行であるなど複雑なルールだったようです。また、この柱のオリジナルは1901年頃にイランで見つかったのですが、何故イランで見つかったのかというと、紀元前12世紀ころにバビロニアに攻め込んだ際に持ち帰ってきたものがイランに運ばれたためのようでした。
この柱の周りにはパルミラ(シリア)、ウル(イラク)、ニムルド(イラク)、アブシンベル(エジプト)などの遺跡の写真があり、雰囲気が出ていました。
<シリア>
次に進むと、シリアの発掘のコーナーです。
ここには時代ごとに様々な壺があり、いずれも素朴な土器です。 当時の家を再現したような一角もあり、テル・ルメイラという土地の辺りの人々は今でも日干しのレンガに住んでいて、今も古代とあまり変わらぬ生活であると紹介されていました。
ここにはテル・ルメイラから出てきた家型の土器もあるのですが、これは紀元前1800年~1600年頃に作られたものだそうで、真っ先に日本の埴輪の家を思い出しました。時代と場所を超えて似たものがあるものだなあと不思議に思いました。
<最古のオリエント>
ここは文明以前のコーナーのようで、猿人、原人、旧人、新人などの頭蓋骨の模型や、磨製石器、色々な麦の穂、紀元5000年くらいのシリアの土偶などがありました。特に驚いたのは土偶で、女性の乳が強調されている点も含めて日本の土偶に似ていました。土偶って日本だけじゃなかったんですね…。
<メソポタミア>
ここは都市国家の基盤が築かれた頃のコーナーでした。灌漑に寄って農業が広まると、メソポタミアは麦と羊の生産力を背景にして都市国家へと成長していきます。神殿や宮殿を築きあげ、支配層から奴隷まで様々な階級が生まれ、法律もできました。商取引の際には印章を使うなど、様々な文化が発達していきます。
ここには粘土板もあり、紀元3200年頃に文字が登場したそうです。他にも当時の生活が分かるようなものがあり、スタンプのような印章や円筒形の印章、首飾り、壺などもありました。また、神像も展示されていて、バアル(天候の神。キリスト教だと悪魔扱いです)は異様に細かったり単純化されている様子が近代彫刻を思わせる造形でした。
<古代エジプト>
エジプト文明のコーナーには壺や壁画の一部、スカラベなどが展示されています。特に驚いたのはミイラの木棺で、大きな仮面のような彫刻が施されていて迫力がありました。変わった所ではミイラになったナマズなども展示されています。
<古代イラン>
続いては古代イランのコーナーで、ここには土器などが並んでいます。動物文や幾何学文が多く、単純化・文様化するデザインセンスを感じます。また、トキの形をした神像もあったので、動物が身近だったのかな? 他には青銅の剣や斧などの青銅器があり、金属の時代に入っていたようです。ちょっと先には鉄器もあります。
<キクラデス>
その次はキクラデス文明のコーナーがあり、大理石の壺などが展示されていました。優美なフォルムはこの博物館にあるものの中でも最も美しさを感じます。ここは点数が少ないですが好みです。
<東西文化の交流>
ここは東西の文明の交流のコーナーです。ギリシャ風の作品が並び、ヴィーナスとキューピッド、ぎょろっとした目が象嵌されたヘラクレスの胸像などが置かれています。しかし、これらはシリアから出土したもので、ギリシャやローマの神々が各地の神と同一視され受容されていることがわかります。例として、ヘラクレスがゾロアスター教の戦勝神と融合したり、ヘラクレスの棍棒やライオンの皮は仏教の執金剛神や八部衆に影響していることが紹介されていました。パキスタンから出てきたポセイドン像の頭部など、思った以上に昔から東西交流があったことを伺わせます。
<ガラス>
続いては古代のガラスコーナーです。ガラスは紀元2300年頃にメソポタミアで発明されたそうで、最初はラピスラズリや瑪瑙を真似た有色不透明のものだったようです。ここには前4世紀ころからの品が並んでいるのですが、1世紀頃のガラスにはマーブル模様の小壷があって驚きました。これは15世紀のヴェネツィアで「カルセドーニオ」、江戸時代に「練上手」と呼ばれた技法に似ていますが、1世紀頃に流行ったものだそうです。
参考記事:あこがれのヴェネチアン・グラス ― 時を超え、海を越えて (サントリー美術館)
1世紀頃になるとシリア辺りで吹きガラスの技法も発明され、大量生産が行われるようになったようです。少し先には正倉院にも収められたガラスの器に似た作品もあります。
この先はコーナーの名前は忘れましたが、イランの陶器のコーナーもあります。馬や山羊の形をしたリュトンという宗教儀式用の器があり、中々面白い品です。
<ガンダーラ>
常設最後はガンダーラのコーナーでした、パキスタン北部の地域にあった国で、紀元前4世紀以降にギリシャ人の移住やイラン系クシャン朝の支配を受け、ローマとの貿易を行うなど様々な要素が混じっていて、さらに1~5世紀にはインドから伝わった仏教が栄えました。ギリシャ・ローマの神像彫刻の影響を受けて写実的な仏陀の像も作られ、ギリシャ風の顔立ちの仏像などもあるようです。ここには仏頭や浮き彫りの仏像などがあり、その一端を見ることができます。日本の仏像とはだいぶ趣きが違いますが、ギリシャ・ローマの彫刻が仏像に影響を与えているというのは面白いです。
<バーミヤーン遺跡の保存と修復写真展>
展覧の最後は小部屋でクローズアップ展示の「バーミヤーン遺跡の保存と修復写真展」となっていました。2001年にイスラム原理主義のタリバンによって破壊されたバーミヤン遺跡の写真があり、無残な様子となっています。他にも失われた仏画などもあったらしく、痛々しい写真が並びます。 また、破壊された後の保存運動の様子を撮った写真もあり、立ち直ろうとしている様子も伺えました。
参考記事:仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護 (東京国立博物館 平成館)
ということで、それぞれ点数は少なめですが様々な文明の品々が展示されていて、文化の繋がりを感じることができる内容となっています。サンシャインは色々な施設があるので、ハシゴして見るのも面白いと思います。
参考記事:プラネタリウム「満天」とナンジャタウン
この後、今年の夏にリニューアルしたサンシャイン水族館に行ってきました。次回はそれをご紹介しようと思います。


【展覧名】
ミニコーナー展示 「ハンムラビ法典がやってきた!」
クローズアップ展示 「バーミヤーン遺跡の保存と修復写真展」
【公式サイト】
http://www.sa.il24.net/~aom/tenji.html
【会場】古代オリエント博物館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】東池袋駅、東池袋四丁目駅、池袋駅
【会期】
ミニコーナー展示:2011年9月10日~12月25日
クローズアップ展示:2011年10月1日~11月27日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。
さて、この博物館は以前もご紹介しましたが、非常にさっくりとしたご紹介でしたので、今回はメモを取ってきました。今回は特別展ではないのですが、その分常設のコーナーをじっくり見ることができました。
参考記事:地中海古代クルーズ -オリーブとワインと・・・(古代オリエント博物館)
<ハンムラビ法典がやってきた!>
まず最初はミニコーナー展示の「ハンムラビ法典がやってきた!」です。最初にハンムラビ王について説明があり、ハンムラビ王はバビロン第一王朝(紀元前2003年~前1595年)の6代目の王で、前1792年~1750年頃に在位しました。王になった頃のバビロンはさほど大きな都市国家では無かったようですが、灌漑設備や神殿建設を進めるなど内政を充実させたそうで、次いで巧みな外交で勢力を伸ばしていき、ついにはメソポタミアのほぼ全域を征服して行きました。そして誰もが知っている有名なハンムラビ法典がこの頃に作られたそうです。
この部屋の中央には3mくらいもある石碑が立っていて、その胴部分にはくさび文字が掘りこまれていました。これは有名なハンムラビ法典が刻まれた石碑のレプリカで、背面には有名な「目には目を 歯には歯を」という一説の部分(17段目196条~201条)が青いテープで囲ってあります。また、柱の正面上部には玉座に座る人と立って話している人が彫り込まれていました。
「目には目を 歯には歯を」と聞くとやられた分だけやり返せという法律かと誤解してしまいますが、実際には同害復讐の原則は加害者と被害者が共に上層の自由人であることや、本人による復讐ではなく代理人による執行であるなど複雑なルールだったようです。また、この柱のオリジナルは1901年頃にイランで見つかったのですが、何故イランで見つかったのかというと、紀元前12世紀ころにバビロニアに攻め込んだ際に持ち帰ってきたものがイランに運ばれたためのようでした。
この柱の周りにはパルミラ(シリア)、ウル(イラク)、ニムルド(イラク)、アブシンベル(エジプト)などの遺跡の写真があり、雰囲気が出ていました。
<シリア>
次に進むと、シリアの発掘のコーナーです。
ここには時代ごとに様々な壺があり、いずれも素朴な土器です。 当時の家を再現したような一角もあり、テル・ルメイラという土地の辺りの人々は今でも日干しのレンガに住んでいて、今も古代とあまり変わらぬ生活であると紹介されていました。
ここにはテル・ルメイラから出てきた家型の土器もあるのですが、これは紀元前1800年~1600年頃に作られたものだそうで、真っ先に日本の埴輪の家を思い出しました。時代と場所を超えて似たものがあるものだなあと不思議に思いました。
<最古のオリエント>
ここは文明以前のコーナーのようで、猿人、原人、旧人、新人などの頭蓋骨の模型や、磨製石器、色々な麦の穂、紀元5000年くらいのシリアの土偶などがありました。特に驚いたのは土偶で、女性の乳が強調されている点も含めて日本の土偶に似ていました。土偶って日本だけじゃなかったんですね…。
<メソポタミア>
ここは都市国家の基盤が築かれた頃のコーナーでした。灌漑に寄って農業が広まると、メソポタミアは麦と羊の生産力を背景にして都市国家へと成長していきます。神殿や宮殿を築きあげ、支配層から奴隷まで様々な階級が生まれ、法律もできました。商取引の際には印章を使うなど、様々な文化が発達していきます。
ここには粘土板もあり、紀元3200年頃に文字が登場したそうです。他にも当時の生活が分かるようなものがあり、スタンプのような印章や円筒形の印章、首飾り、壺などもありました。また、神像も展示されていて、バアル(天候の神。キリスト教だと悪魔扱いです)は異様に細かったり単純化されている様子が近代彫刻を思わせる造形でした。
<古代エジプト>
エジプト文明のコーナーには壺や壁画の一部、スカラベなどが展示されています。特に驚いたのはミイラの木棺で、大きな仮面のような彫刻が施されていて迫力がありました。変わった所ではミイラになったナマズなども展示されています。
<古代イラン>
続いては古代イランのコーナーで、ここには土器などが並んでいます。動物文や幾何学文が多く、単純化・文様化するデザインセンスを感じます。また、トキの形をした神像もあったので、動物が身近だったのかな? 他には青銅の剣や斧などの青銅器があり、金属の時代に入っていたようです。ちょっと先には鉄器もあります。
<キクラデス>
その次はキクラデス文明のコーナーがあり、大理石の壺などが展示されていました。優美なフォルムはこの博物館にあるものの中でも最も美しさを感じます。ここは点数が少ないですが好みです。
<東西文化の交流>
ここは東西の文明の交流のコーナーです。ギリシャ風の作品が並び、ヴィーナスとキューピッド、ぎょろっとした目が象嵌されたヘラクレスの胸像などが置かれています。しかし、これらはシリアから出土したもので、ギリシャやローマの神々が各地の神と同一視され受容されていることがわかります。例として、ヘラクレスがゾロアスター教の戦勝神と融合したり、ヘラクレスの棍棒やライオンの皮は仏教の執金剛神や八部衆に影響していることが紹介されていました。パキスタンから出てきたポセイドン像の頭部など、思った以上に昔から東西交流があったことを伺わせます。
<ガラス>
続いては古代のガラスコーナーです。ガラスは紀元2300年頃にメソポタミアで発明されたそうで、最初はラピスラズリや瑪瑙を真似た有色不透明のものだったようです。ここには前4世紀ころからの品が並んでいるのですが、1世紀頃のガラスにはマーブル模様の小壷があって驚きました。これは15世紀のヴェネツィアで「カルセドーニオ」、江戸時代に「練上手」と呼ばれた技法に似ていますが、1世紀頃に流行ったものだそうです。
参考記事:あこがれのヴェネチアン・グラス ― 時を超え、海を越えて (サントリー美術館)
1世紀頃になるとシリア辺りで吹きガラスの技法も発明され、大量生産が行われるようになったようです。少し先には正倉院にも収められたガラスの器に似た作品もあります。
この先はコーナーの名前は忘れましたが、イランの陶器のコーナーもあります。馬や山羊の形をしたリュトンという宗教儀式用の器があり、中々面白い品です。
<ガンダーラ>
常設最後はガンダーラのコーナーでした、パキスタン北部の地域にあった国で、紀元前4世紀以降にギリシャ人の移住やイラン系クシャン朝の支配を受け、ローマとの貿易を行うなど様々な要素が混じっていて、さらに1~5世紀にはインドから伝わった仏教が栄えました。ギリシャ・ローマの神像彫刻の影響を受けて写実的な仏陀の像も作られ、ギリシャ風の顔立ちの仏像などもあるようです。ここには仏頭や浮き彫りの仏像などがあり、その一端を見ることができます。日本の仏像とはだいぶ趣きが違いますが、ギリシャ・ローマの彫刻が仏像に影響を与えているというのは面白いです。
<バーミヤーン遺跡の保存と修復写真展>
展覧の最後は小部屋でクローズアップ展示の「バーミヤーン遺跡の保存と修復写真展」となっていました。2001年にイスラム原理主義のタリバンによって破壊されたバーミヤン遺跡の写真があり、無残な様子となっています。他にも失われた仏画などもあったらしく、痛々しい写真が並びます。 また、破壊された後の保存運動の様子を撮った写真もあり、立ち直ろうとしている様子も伺えました。
参考記事:仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護 (東京国立博物館 平成館)
ということで、それぞれ点数は少なめですが様々な文明の品々が展示されていて、文化の繋がりを感じることができる内容となっています。サンシャインは色々な施設があるので、ハシゴして見るのも面白いと思います。
参考記事:プラネタリウム「満天」とナンジャタウン
この後、今年の夏にリニューアルしたサンシャイン水族館に行ってきました。次回はそれをご紹介しようと思います。
記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。


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先日ご紹介した練馬区立美術館に行った後、向いにあるサンライフ練馬という公共施設の中にある「Natural Restaurant どんぐりの木 コメルサンツ」というお店に行ってお茶をしてきました。

入口が美術館と逆側なのがちょっとわかりづらいかも。

【店名】
Natural Restaurant どんぐりの木 コメルサンツ
【ジャンル】
レストラン/カフェ
【公式サイト】
http://www.dongurinoki.com/
食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1321/A132102/13119223/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
中村橋駅
【近くの美術館】
練馬区立美術館
【この日にかかった1人の費用】
630円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
結構広いお店で、空いていてゆっくりすることができました。
中はこんな感じで、アットホームな雰囲気です。よそのお家に遊びに行ったような。

同じ名前のお店が近くにあるようなので支店か何かかな?
このお店はオーガニック食品にこだわりがあるようです。カフェメニューだけでなくランチメニューもありましたが、この日はレアチーズケーキとコーヒー(両方367円。セットにすると100円引き)を頼みました。

まずはレアチーズケーキ。

あまりに素っ気ない食器と包装で一瞬嫌な予感がしましたが杞憂でしたw 濃厚でまったりしたチーズクリームとラズベリーの風味が美味かったです。濃厚なのに意外と後味は軽やかでした。
こちらはコーヒー。

このコーヒーは「レインフォレストアライアンス」(熱帯雨林保護同盟)により認証された農園で栽培されたそうで、これよりもちょっと高めで有機栽培のコーヒーもありますが、こちらでも充分に美味しいです。
最初は苦みがあるけど、飲んでると香ばしさと軽い甘味のようなものを感じるようになり、適度に酸味もありました。
ということで、店構えや食器などは地味ですが、ゆっくりと美味しいケーキとコーヒーを堪能することができました。練馬区立美術館に行く機会があったら寄ってみると良いかと思います。

入口が美術館と逆側なのがちょっとわかりづらいかも。

【店名】
Natural Restaurant どんぐりの木 コメルサンツ
【ジャンル】
レストラン/カフェ
【公式サイト】
http://www.dongurinoki.com/
食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1321/A132102/13119223/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
中村橋駅
【近くの美術館】
練馬区立美術館
【この日にかかった1人の費用】
630円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
結構広いお店で、空いていてゆっくりすることができました。
中はこんな感じで、アットホームな雰囲気です。よそのお家に遊びに行ったような。

同じ名前のお店が近くにあるようなので支店か何かかな?
このお店はオーガニック食品にこだわりがあるようです。カフェメニューだけでなくランチメニューもありましたが、この日はレアチーズケーキとコーヒー(両方367円。セットにすると100円引き)を頼みました。

まずはレアチーズケーキ。

あまりに素っ気ない食器と包装で一瞬嫌な予感がしましたが杞憂でしたw 濃厚でまったりしたチーズクリームとラズベリーの風味が美味かったです。濃厚なのに意外と後味は軽やかでした。
こちらはコーヒー。

このコーヒーは「レインフォレストアライアンス」(熱帯雨林保護同盟)により認証された農園で栽培されたそうで、これよりもちょっと高めで有機栽培のコーヒーもありますが、こちらでも充分に美味しいです。
最初は苦みがあるけど、飲んでると香ばしさと軽い甘味のようなものを感じるようになり、適度に酸味もありました。
ということで、店構えや食器などは地味ですが、ゆっくりと美味しいケーキとコーヒーを堪能することができました。練馬区立美術館に行く機会があったら寄ってみると良いかと思います。
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日付が変わってつい昨日のことですが、練馬区立美術館へ行って「生誕130年 松岡映丘-日本の雅-やまと絵復興のトップランナー」を観てきました。この展示は途中で入れ替えがあったらしく、私が観たのは11/1~11/23までの内容となっていました。

【展覧名】
生誕130年 松岡映丘-日本の雅-やまと絵復興のトップランナー
【公式サイト】
http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/matsuokaeikyu2011.html
【会場】練馬区立美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】中村橋駅
【会期】2011年10月9日(日)~11月23日(祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日13時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
お客さんは結構いましたが、空いていてゆっくり観ることができました。
さて、今回は新興大和絵という近代の大和絵を展開した松岡映丘の生誕130周年を記念した展覧会となっています。松岡映丘は1881年に兵庫県で生まれ、父は儒学者の松岡操、兄弟には医師の松岡鼎(かなえ)、国文学者の井上通泰(やすみち)、民俗学者の柳田國男、海軍軍事であり言語学者でもある松岡静雄という松岡家5兄弟がいる超優秀な家柄となっています。(他の3人の男児は夭折)
参考リンク:
松岡操のWikipedia
松岡鼎のWikipedia
井上通泰のWikipedia
柳田國男のWikipedia
松岡静雄のWikipedia
松岡映丘のWikipedia
映丘は幼い頃から絵を描いていたようで、上京して14歳で狩野派の橋本雅邦に師事しますが自分に合わないと、住吉派の山名貫義に入門して大和絵の道に入り、東京美術学校の日本画家を首席で卒業したそうです。しばらくは展覧会でも落選続きだったようですが、大和絵の古典に学び、やがて文展で入選すると話題作を次々に世に送り評価されていきました。その後、母校の東京美術学校で指導し、優秀な弟子を育成するなど教育者としても活躍したそうです。
今回はそうした映丘の作品を初期から晩年まで70点と画稿等20点と合わせて紹介するものでした。特に章形式というわけではなかったのですが、詳しくは気に入った作品とともに会場の様子をご紹介しようと思います。
まずは1階の展示です。
松岡映丘 「佐保姫(さおひめ)」
掛け軸で、中国風?の装飾的な模様の衣を着た結い髪の女性を描いた作品です。これは春をつかさどる女神らしく左手で小さな草花を摘んで、顔をやや上向きにして遠くを見るようなポーズとなっています。色合いが淡いのに鮮やかな印象があり、優美で神秘的な雰囲気の女性でした。
松岡映丘 「春光」
掛け軸で、鮮やかな青の水辺に舟を浮かべ、舟から岸にある高い松を見上げている平安貴族のような女性たちを描いた作品です。単純化された平面的な画面で装飾的な雰囲気があり、まさに大和絵といった作風です。色合いの美しさと雅さが非常に好みの作品でした。
この辺には大和絵らしい歴史物の作品が並んでいました。
松岡映丘 「道成寺」
6曲1双の屏風で、中央付近の手前に満開の花を咲かす桜が描かれ、その奥に能や歌舞伎の題材で有名な「道成寺」の登場人物らしき人々が描かれています。右隻には恐らく清姫と思われる笠を持った女性、左隻には釣られた鐘もありその後の物語を感じさせます。華やいだ色彩で、非常に上品な雰囲気でした。この色彩感覚は日本人の琴線に触れるものがあると思います。
参考記事:安珍・清姫伝説のWikipedia
松岡映丘 「宇治の宮の姫君たち」 ★こちらで観られます
源氏物語の場面を描いた6曲1双の屏風で、右隻は「橋姫」が題材らしく、室内で琴や琵琶を弾く姫君たちと縁側で後ろ向きに座っている薫の姿が描かれています。左隻は「須磨」が題材らしく、満月を見ている光源氏と部屋の戸をそっと開けて見送る女性が描かれています。女性たちの色とりどりの着物が華やかな右隻に対して、左隻は色が少なめで静かな雰囲気があり、対比的な感じでした。何故この2場面を組み合わせたのかな?と思いましたが、それについては分かりませんでした。
この部屋の中央にはスケッチ的な作品が数点ありました。「源頼義」という作品は6歳の頃に描かれた武者絵で、硬くてたどたどしい感じがあるものの6歳とはとても思えない驚きの作品です。
壁には写真があり、生人形をモデルにしていたような写真や、妻の静野が十二単を着ている写真、武士の格好で弓を弾く映丘の写真などが並んでいます。
この辺で2階に移ります。階段付近には兄弟たちの紹介がありました。
松岡映丘 「江口の里」
御簾で仕切られた畳の部屋の中で、盤面に碁石のようなものを置いたゲーム(双六?)に興じる2人の女性が描かれた作品です。2人は向き合い手前の女性は背を向けているのですが、奥の女性は平安時代の女性のような顔立ちで、肌蹴た感じで着物を着て巻物のようなものを持っています。ちょこっと出した手が色っぽくて、どこか知的な雰囲気もありました。御簾越しの表現も良かったです。
なお、江口の君は遊郭の遊女で、西行法師と和歌を応酬した人物です。その正体は普賢菩薩の化身で、よく日本画の題材とされます。
続いては武者絵のコーナーです。先ほどの6歳の頃の作品も武者絵だったように、映丘は幼い頃から武者絵が好きだったそうで、成人してからは実際に本人が鎧を着た写真が結構残っています。どうやらただのコスプレマニアというわけではないようで(私はコスプレマニアだと疑っていますがw)、自らも鎧を作成するなど鎧を研究して、それを絵の中の表現にも活かしているそうです。鎧を着るまでの順序を感じさせる作品もあると紹介されていました。
松岡映丘 「池田の宿」
大きめの掛け軸で、太平記を題材にした作品です。日野俊基が鎌倉幕府に謀反を起こそうとしたものの失敗し、早朝に池田の宿から護送されていく様子を描いています。藁葺きの宿の中から出てくる烏帽子の男性と、庭先で馬をとめる者、籠の脇で控えているものなど出発の光景となっていて、脇には心配そうに見守る人々の姿もあります。屋根の上の木々は空気に霞み、早朝らしさがありつつも寂しげな雰囲気が漂っていました。
この近くにはこの作品の下絵も展示されていました。
松岡映丘 「千草の丘」 ★こちらで観られます
美人が描かれた大きな掛け軸で、今回のポスターにもなっている作品です。モデルは大正から昭和にかけて活躍した女優の水谷八重子という女性で、これは21歳の頃の姿だそうです。ここまでずっと歴史物の作品だったので、近現代風の女性が出てきたのには驚きです。山の上で秋草に囲まれながら一歩踏み出すような姿勢で、やや振り返り気味な様子で描かれ、淡黄色の着物など色合いが爽やかです。(解説によるとこの服の色などは仏画から影響を受けているそうです。)右手が色っぽく、顔も知的で写実的に描かれていました。また、背景の松が小さくて地平線がやけに低く感じるせいか、どこかシュールな雰囲気すらあるように思いました。
この作品が展覧会に出されるとかなり話題になったそうで、東京朝日新聞に映丘とモデルの八重子の写真が載ったそうです。こちらの解説ボードでそれも観ることができました。
松岡映丘 「今昔ものがたり 伊勢図」
醍醐天皇が屏風を作らせた際に、和歌が一句足りないということで、伊勢の御息所に和歌を詠ませることとなり、藤原伊衡(これひら)が伊勢の元に来た様子が描かれている作品です。中央の御簾で区切られた所で伊衡が座り、十二単の女性が接待しているようです。右のほうでは筆を持って和歌を詠む十二単の伊勢の姿も描かれていました。色の取り合わせが美しく、御簾の緑の透明感などが華やかで雅な雰囲気を出していました。
この辺はまた歴史物の作品や下絵などが並んでいました。少し進むと映画劇場やギターを弾く洋服の男性、西洋の街並みを描いた下書き風な作品もあって驚きました。
また、夏目漱石の小説「草枕」に映丘の挿絵が入った巻物「草枕絵巻(復刻)」もあり、そこにはジョン・エヴァレット・ミレイのオフィーリアと同じポーズをした「オフェリア」という絵もありました。(実際、小説ではミレイのオフィーリアについて言及しています)
さらに進むと、自画像や写真、ローマ法王庁からもらったメダル、勲章、印章、印譜なども展示されています。
松岡映丘 「みぐしあげ」
部屋の中を高いところから俯瞰するような伝統的な構図で、平安貴族の女性たちの生活を描いた作品です。ピンクの十二単の女性の黒髪を整えている女性や、周りの女官たちが描かれ、ありこちに鮮やかな布や屏風、御簾などもあります。その色合いが鮮やかで貴族たちの優美さと合っていました。解説によると、この作品は関東大震災で消失したものを再作成したもののようでした。
続いては風景画のコーナーです。映丘はそれまで背景に過ぎなかった大和絵の山水表現を風景画として独立させることに力を注いだらしく、ここにはそうした作品が並びます。
松岡映丘 「さつきまつ浜村」 ★こちらで観られます
高い位置から大きく湾曲する港湾を描いた作品です。陸地は緑豊かで、海岸の町や船の姿なども描かれています。左下の手前には松の生えた崖が描かれているなど、遠近感がありパノラマ的な光景となっていました。色合いなどは確かに大和絵ですが、表現方法は近代の要素を取り入れているように思いました。
この辺には海辺を描いた小さめの作品も数点ありました。
松岡映丘 「大三島」
高い位置から複雑に入り組んだ海と島・半島を描いた風景画です。沢山の船も浮かび、穏やかな雰囲気があります。青い海に緑豊かな島が浮かぶようすはリズミカルで、観ていて心地良い作品でした。
この辺には「明治天皇像」と矢澤弦月の「昭憲皇太后像」が対になるように展示されていました。
松岡映丘 「矢表(やおもて)」 ★こちらで観られます
最後の部屋にあった6曲1双の屏風で、源平合戦の屋島の戦いを描いたものです。左隻の右上には右隻に向かって飛んでいく1本の矢が描かれ、その左下にはその矢を放った武将の部下(子?)が刀を持って走っています。それに対して右隻には、右端に源義経がいて、矢から義経を守るために武将たちが取り巻く様子が描かれています。その集団から1頭の黒馬が立ち上がるように抜け出していて、これは佐藤三郎兵衛嗣信だそうです。嗣信はこの矢に真っ先に向かって盾となったようで、この後絶命してしまいます。そして、その首を取りに左隻の男がやってきて、返り討ちに合うそうです。こうしたストーリーをうまくまとめている上に動きを感じるのは凄いの一言です。特に左隻の構図(矢の位置とか)には驚きました。
ということで、元々好きなジャンルでもあるので見応えのある満足度の高い展覧会となっていました。もうすぐ展示が終わってしまいますので、気になっている方はお早めにどうぞ。置くスペースがないので渋ったけど、図録は買っておくべきだったかも…。


【展覧名】
生誕130年 松岡映丘-日本の雅-やまと絵復興のトップランナー
【公式サイト】
http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/matsuokaeikyu2011.html
【会場】練馬区立美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】中村橋駅
【会期】2011年10月9日(日)~11月23日(祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日13時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
お客さんは結構いましたが、空いていてゆっくり観ることができました。
さて、今回は新興大和絵という近代の大和絵を展開した松岡映丘の生誕130周年を記念した展覧会となっています。松岡映丘は1881年に兵庫県で生まれ、父は儒学者の松岡操、兄弟には医師の松岡鼎(かなえ)、国文学者の井上通泰(やすみち)、民俗学者の柳田國男、海軍軍事であり言語学者でもある松岡静雄という松岡家5兄弟がいる超優秀な家柄となっています。(他の3人の男児は夭折)
参考リンク:
松岡操のWikipedia
松岡鼎のWikipedia
井上通泰のWikipedia
柳田國男のWikipedia
松岡静雄のWikipedia
松岡映丘のWikipedia
映丘は幼い頃から絵を描いていたようで、上京して14歳で狩野派の橋本雅邦に師事しますが自分に合わないと、住吉派の山名貫義に入門して大和絵の道に入り、東京美術学校の日本画家を首席で卒業したそうです。しばらくは展覧会でも落選続きだったようですが、大和絵の古典に学び、やがて文展で入選すると話題作を次々に世に送り評価されていきました。その後、母校の東京美術学校で指導し、優秀な弟子を育成するなど教育者としても活躍したそうです。
今回はそうした映丘の作品を初期から晩年まで70点と画稿等20点と合わせて紹介するものでした。特に章形式というわけではなかったのですが、詳しくは気に入った作品とともに会場の様子をご紹介しようと思います。
まずは1階の展示です。
松岡映丘 「佐保姫(さおひめ)」
掛け軸で、中国風?の装飾的な模様の衣を着た結い髪の女性を描いた作品です。これは春をつかさどる女神らしく左手で小さな草花を摘んで、顔をやや上向きにして遠くを見るようなポーズとなっています。色合いが淡いのに鮮やかな印象があり、優美で神秘的な雰囲気の女性でした。
松岡映丘 「春光」
掛け軸で、鮮やかな青の水辺に舟を浮かべ、舟から岸にある高い松を見上げている平安貴族のような女性たちを描いた作品です。単純化された平面的な画面で装飾的な雰囲気があり、まさに大和絵といった作風です。色合いの美しさと雅さが非常に好みの作品でした。
この辺には大和絵らしい歴史物の作品が並んでいました。
松岡映丘 「道成寺」
6曲1双の屏風で、中央付近の手前に満開の花を咲かす桜が描かれ、その奥に能や歌舞伎の題材で有名な「道成寺」の登場人物らしき人々が描かれています。右隻には恐らく清姫と思われる笠を持った女性、左隻には釣られた鐘もありその後の物語を感じさせます。華やいだ色彩で、非常に上品な雰囲気でした。この色彩感覚は日本人の琴線に触れるものがあると思います。
参考記事:安珍・清姫伝説のWikipedia
松岡映丘 「宇治の宮の姫君たち」 ★こちらで観られます
源氏物語の場面を描いた6曲1双の屏風で、右隻は「橋姫」が題材らしく、室内で琴や琵琶を弾く姫君たちと縁側で後ろ向きに座っている薫の姿が描かれています。左隻は「須磨」が題材らしく、満月を見ている光源氏と部屋の戸をそっと開けて見送る女性が描かれています。女性たちの色とりどりの着物が華やかな右隻に対して、左隻は色が少なめで静かな雰囲気があり、対比的な感じでした。何故この2場面を組み合わせたのかな?と思いましたが、それについては分かりませんでした。
この部屋の中央にはスケッチ的な作品が数点ありました。「源頼義」という作品は6歳の頃に描かれた武者絵で、硬くてたどたどしい感じがあるものの6歳とはとても思えない驚きの作品です。
壁には写真があり、生人形をモデルにしていたような写真や、妻の静野が十二単を着ている写真、武士の格好で弓を弾く映丘の写真などが並んでいます。
この辺で2階に移ります。階段付近には兄弟たちの紹介がありました。
松岡映丘 「江口の里」
御簾で仕切られた畳の部屋の中で、盤面に碁石のようなものを置いたゲーム(双六?)に興じる2人の女性が描かれた作品です。2人は向き合い手前の女性は背を向けているのですが、奥の女性は平安時代の女性のような顔立ちで、肌蹴た感じで着物を着て巻物のようなものを持っています。ちょこっと出した手が色っぽくて、どこか知的な雰囲気もありました。御簾越しの表現も良かったです。
なお、江口の君は遊郭の遊女で、西行法師と和歌を応酬した人物です。その正体は普賢菩薩の化身で、よく日本画の題材とされます。
続いては武者絵のコーナーです。先ほどの6歳の頃の作品も武者絵だったように、映丘は幼い頃から武者絵が好きだったそうで、成人してからは実際に本人が鎧を着た写真が結構残っています。どうやらただのコスプレマニアというわけではないようで(私はコスプレマニアだと疑っていますがw)、自らも鎧を作成するなど鎧を研究して、それを絵の中の表現にも活かしているそうです。鎧を着るまでの順序を感じさせる作品もあると紹介されていました。
松岡映丘 「池田の宿」
大きめの掛け軸で、太平記を題材にした作品です。日野俊基が鎌倉幕府に謀反を起こそうとしたものの失敗し、早朝に池田の宿から護送されていく様子を描いています。藁葺きの宿の中から出てくる烏帽子の男性と、庭先で馬をとめる者、籠の脇で控えているものなど出発の光景となっていて、脇には心配そうに見守る人々の姿もあります。屋根の上の木々は空気に霞み、早朝らしさがありつつも寂しげな雰囲気が漂っていました。
この近くにはこの作品の下絵も展示されていました。
松岡映丘 「千草の丘」 ★こちらで観られます
美人が描かれた大きな掛け軸で、今回のポスターにもなっている作品です。モデルは大正から昭和にかけて活躍した女優の水谷八重子という女性で、これは21歳の頃の姿だそうです。ここまでずっと歴史物の作品だったので、近現代風の女性が出てきたのには驚きです。山の上で秋草に囲まれながら一歩踏み出すような姿勢で、やや振り返り気味な様子で描かれ、淡黄色の着物など色合いが爽やかです。(解説によるとこの服の色などは仏画から影響を受けているそうです。)右手が色っぽく、顔も知的で写実的に描かれていました。また、背景の松が小さくて地平線がやけに低く感じるせいか、どこかシュールな雰囲気すらあるように思いました。
この作品が展覧会に出されるとかなり話題になったそうで、東京朝日新聞に映丘とモデルの八重子の写真が載ったそうです。こちらの解説ボードでそれも観ることができました。
松岡映丘 「今昔ものがたり 伊勢図」
醍醐天皇が屏風を作らせた際に、和歌が一句足りないということで、伊勢の御息所に和歌を詠ませることとなり、藤原伊衡(これひら)が伊勢の元に来た様子が描かれている作品です。中央の御簾で区切られた所で伊衡が座り、十二単の女性が接待しているようです。右のほうでは筆を持って和歌を詠む十二単の伊勢の姿も描かれていました。色の取り合わせが美しく、御簾の緑の透明感などが華やかで雅な雰囲気を出していました。
この辺はまた歴史物の作品や下絵などが並んでいました。少し進むと映画劇場やギターを弾く洋服の男性、西洋の街並みを描いた下書き風な作品もあって驚きました。
また、夏目漱石の小説「草枕」に映丘の挿絵が入った巻物「草枕絵巻(復刻)」もあり、そこにはジョン・エヴァレット・ミレイのオフィーリアと同じポーズをした「オフェリア」という絵もありました。(実際、小説ではミレイのオフィーリアについて言及しています)
さらに進むと、自画像や写真、ローマ法王庁からもらったメダル、勲章、印章、印譜なども展示されています。
松岡映丘 「みぐしあげ」
部屋の中を高いところから俯瞰するような伝統的な構図で、平安貴族の女性たちの生活を描いた作品です。ピンクの十二単の女性の黒髪を整えている女性や、周りの女官たちが描かれ、ありこちに鮮やかな布や屏風、御簾などもあります。その色合いが鮮やかで貴族たちの優美さと合っていました。解説によると、この作品は関東大震災で消失したものを再作成したもののようでした。
続いては風景画のコーナーです。映丘はそれまで背景に過ぎなかった大和絵の山水表現を風景画として独立させることに力を注いだらしく、ここにはそうした作品が並びます。
松岡映丘 「さつきまつ浜村」 ★こちらで観られます
高い位置から大きく湾曲する港湾を描いた作品です。陸地は緑豊かで、海岸の町や船の姿なども描かれています。左下の手前には松の生えた崖が描かれているなど、遠近感がありパノラマ的な光景となっていました。色合いなどは確かに大和絵ですが、表現方法は近代の要素を取り入れているように思いました。
この辺には海辺を描いた小さめの作品も数点ありました。
松岡映丘 「大三島」
高い位置から複雑に入り組んだ海と島・半島を描いた風景画です。沢山の船も浮かび、穏やかな雰囲気があります。青い海に緑豊かな島が浮かぶようすはリズミカルで、観ていて心地良い作品でした。
この辺には「明治天皇像」と矢澤弦月の「昭憲皇太后像」が対になるように展示されていました。
松岡映丘 「矢表(やおもて)」 ★こちらで観られます
最後の部屋にあった6曲1双の屏風で、源平合戦の屋島の戦いを描いたものです。左隻の右上には右隻に向かって飛んでいく1本の矢が描かれ、その左下にはその矢を放った武将の部下(子?)が刀を持って走っています。それに対して右隻には、右端に源義経がいて、矢から義経を守るために武将たちが取り巻く様子が描かれています。その集団から1頭の黒馬が立ち上がるように抜け出していて、これは佐藤三郎兵衛嗣信だそうです。嗣信はこの矢に真っ先に向かって盾となったようで、この後絶命してしまいます。そして、その首を取りに左隻の男がやってきて、返り討ちに合うそうです。こうしたストーリーをうまくまとめている上に動きを感じるのは凄いの一言です。特に左隻の構図(矢の位置とか)には驚きました。
ということで、元々好きなジャンルでもあるので見応えのある満足度の高い展覧会となっていました。もうすぐ展示が終わってしまいますので、気になっている方はお早めにどうぞ。置くスペースがないので渋ったけど、図録は買っておくべきだったかも…。
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前回ご紹介した横浜美術館の展示を観た後、横浜駅に移動してそごう美術館で「没後50年・日本民藝館開館75周年 柳宗悦展-暮らしへの眼差し」を観てきました。

【展覧名】
没後50年・日本民藝館開館75周年 柳宗悦展-暮らしへの眼差し
【公式サイト】
http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/11/1022_yanagi/index.html
【会場】そごう美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】横浜駅
【会期】2011年10月22日(土)~12月4日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて自分のペースで観ることができました。
さて、今回はアーツ・アンド・クラフツ運動の日本版とも言える民藝運動で有名な柳宗悦(やなぎ むねよし)の展覧会となっています。柳宗悦は1936年に日本民藝館を開設し、そこを拠点に四半世紀に渡って生活の美を重んじ仕事の復権を目指す「民藝運動」を進めました。今年は柳宗悦が亡くなって50年、民藝館が開設されて75年というメモリアルイヤーとなっているようで、その活動の様子を展示していました。また、民藝館の3代目館長でありデザイナーである息子の柳宗理(やなぎ むねみち 通称:そうり)も併せて展示されています。いくつかの章に分かれていたので、章ごとにご紹介していこうと思います。(今回は個々の作品ではなく、会場の雰囲気をご紹介していきます)
参考リンク:日本民藝館の公式サイト
<プロローグ>
柳宗悦は1889年に東京の現在の港区で、海軍少将の柳楢悦の3男として生まれました。学習院で学び白樺派の同人として活躍し、その後は東京帝国大学哲学科に進学しました。卒業後には声楽家の中島兼子と結婚し、妻は物心ともに柳宗悦を支えたそうです。2人の間には4人の子供が生まれ、長男の宗理はデザイナー、二男の宗玄は美術史家、三男は若くして夭折してしまいましたが、四男の宗民は園芸家となっていったようです。
まず最初のこのコーナーには柳宗悦の身の回りの品が並び、眼鏡、ペン置き、文鎮、版木、インク入れなどが置かれていました。木製のものが多いかな。流石に手仕事を感じる品が並んでいました。
<第2章 「白樺」の時代 西洋美術から工芸へ>
柳宗悦は学習院高等学科在学中の1910年に雑誌「白樺」の創刊に参加し、中心メンバーとして活躍しました。宗教・哲学・芸術を精力的に論じて、展覧会の企画や展示に優れた能力を発揮したそうです。この活動を通じて生涯の友となるバーナード・リーチをはじめ、ロダン、梅原龍三郎、岸田劉生らとの交流も深まっていきます。
この辺にはバーナード・リーチのエッチングや皿、宗悦を描いた作品などが展示されています。特に「楽焼ペリカン文皿」というリーチの作品は面白くて、単純化された首の長いペリカン?の絵が描かれ、茶色地に朱色で素朴な感じと装飾的な感じの両面を感じました。
少し進むとデューラーの版画や先日ご紹介したウィリアム・ブレイクの版画(ヨブ記やダンテ関連の作品など)が並んていました。解説によると宗悦は白樺の中では最年少だったようですが、アートディレクター的な役割を果たしていたようで、ウィリアム・ブレイクに傾倒し「美と信仰」の融和を唱えるブレイクの思想に大きな影響を受けたようです。
参考記事
ウィリアム・ブレイク版画展 (国立西洋美術館)
黙示録―デューラー/ルドン (東京藝術大学大学美術館)
アルブレヒト・デューラー版画・素描展 宗教/肖像/自然 (国立西洋美術館)
他にも「白樺」の本や書簡、「白樺美術館」の設立趣意書などもありました。この趣意書によって寄付を募り、ゴッホやセザンヌの作品を購入していたようで、いち早く近代西洋美術を日本に紹介していた白樺の活動ぶりが伺えます。…学生時代にこれだけのことができるというのは凄いです。
[朝鮮を想う]
白樺派で西洋美術の吸収・紹介を行なっていた柳宗悦ですが、1914年に転機が訪れます。浅川伯教という人物がロダンの彫刻を見せて貰いに宗悦を訪ねた際に、手土産として持ってきた朝鮮磁器を大変気に入り、それがきっかけで関心が西洋から東洋へ・美術から工芸へと向かって行きます。1916年以降、たびたび朝鮮に渡り、1921年には「朝鮮民族美術展覧会」を開催し、1924年には「朝鮮民族美術館」をソウルに開設したそうです。朝鮮文化の紹介に努め、固有文化の保全に尽力したようで、ここにはそれに関連した作品が並んでいます。
朝鮮の壺や香炉、酒注、箱、筆筒、水滴などが展示されていて、宗悦が朝鮮にのめり込むきっかけとなった「染付秋草文面取壺」も展示されていました。白い八角形の側面に青い染付で秋草が描かれているのですが、質素で地味な感じがするような…。形は面白いですがその良さが私にはイマイチわかりませんでしたw 周りにあった白磁は滑らかな形をしていて日本のものとは違った味わいがあるかな。
少し進むと、「螺鈿花鳥文箱」という梅の木?や鳥たちを描いた螺鈿細工があるのですが、これも日本の蒔絵と比べるとプリミティブというか版画のような感じの絵柄で、ちょっと野暮ったく思ってしまいました。どうも朝鮮の品は私の好みではありません…。
[木喰仏の発見]
暮らしの眼差しは日本にも向けられ、木喰(もくじき)の作った仏像にも注目したようです。仏師ではなく遊行僧である木喰上人の作った奔放な作風で、かつては信仰の対象となっていたのですが、宗悦が再発見した時には忘れ去られつつあったようです。1924年から3年間に渡って日本全国を巡りその全体像を明らかにしていったようで、木喰上人に関する本なども展示されています。
肝心の木喰仏も2体展示されていて、地蔵菩薩像は手を上げて満面の笑みを浮かべていました。彫りが深くリズミカルな感じすらします。これは1924年に甲府郊外で初めて出会った木喰仏のようで、木喰84歳の頃の作品だそうです。これを譲り受けたことで木喰への研究を始めたとのことでした。
なお、この頃の宗悦は関東大震災の混乱を避ける為に京都へ移っていたようで、京都では濱田庄司の紹介により河井寛次郎など後に大事な仲間となる人物とも出会っています。
<第3章 柳宗悦の眼 民藝美の発見と民藝運動>
朝鮮陶磁器、木喰の調査、京都の朝市での下手物(げてもの)蒐集などを契機に民藝の発見へと展開していきます。そして1925年に河井寛次郎、濱田庄司と共に「民藝」という新語を作り、翌年に日本民藝美術館の設立趣意書を発表しました。手仕事の復権や美の生活化を啓発していったようで、ここにはそうした運動に関する品が並んでいました。
[江戸期の民藝]
民藝館の所蔵品は江戸後期のものが最も多いらしく、ここには茶碗、絵馬、看板、燭台、瓶、布地、竹かごなどが並んでいました。結構地味な感じですが、竹かごの編み方などは確かに熟練の手仕事の技を感じる美しい出来栄えです。もう少し進むと、皿、羽織、のれん、お盆、横木なんてものまでありました。まさに生活の中のあらゆる品に美を見出していたようです。
また、この辺には琉球やアイヌの品々も並んでいました。アイヌの玉首飾りや刀下げ帯は独特の雰囲気があります。宗悦は彼らの文化も尊重していた様子がわかりました。
[手仕事の日本]
宗悦は同時代の工芸品にも積極的に眼を向け、優れた手仕事を選び「正しい工芸」の姿を示していくために民藝運動者らと日本全国で調査を行ったそうです。友人の賛同を得て工芸店の経営や、各地での民藝館の設立といった活動も行ったらしく、ここにはそれに関連いした作品が並んでいます。土瓶、わっぱ、手箱、錠前、鉢、徳利など美術品とは言えないものの、単に用をなすだけではない芸術的な要素があるように思えてきました。
また、ここには西館(旧 柳宗悦邸)の応接室セットの再現もありました。木のテーブルと椅子が置かれ、バーナード・リーチの皿や棟方志功の版画なども飾られています。こうして部屋全体を再現していると全体で1つの作品のようで面白いです。
<第4章 柳宗悦の心 美信一如>
宗悦は美と宗教を探求していったようで、宗悦の仏教美学とは新しい美学の集大成であり、民藝美の本質を仏教の他力本願の思想で解き明かせると考えていたようです。また、茶道と仏教は縁が深く、民藝運動の精神とも一如であるという信念があったらしく、ここには茶道具も並んでいました。
茶器や屏風、柄杓、釜など並び、茶碗などは侘びた雰囲気がありました。
[美の法門]
宗悦は1948年に大無量寿経から啓示を受けて「美の法門」を書き上げたそうで、これは宗悦の根本思想を示すものだそうです。この時読んでいたのは「無有好醜(むうこうじゅ)の願」というもので、これは本来は物事に「好醜」(美しいとか醜いということかな?)の無いことを説いているらしく、名も無き職人が作り出す器物が何故、無上の美と結ばれていくのかという命題が氷解したと感じたそうです。…この理屈が私にはちょっと難しくてよくわかってない状態ですがw
ここには「無有好醜」と書かれた掛け軸や、舎利塔、厨子、来迎図、燭台、錫杖などの仏教関連の品が並んでいました。また、棟方志功の版画を貼りあわせて屏風にした作品や、自らの短文の「こころうた」というものを書いた掛け軸や屏風などもあります。
少し進むと民藝館に関する資料があり、「工藝」の雑誌や棟方志功の版画もありました。
<柳宗悦から柳宗理へ 日本民藝館の歩み>
宗悦が亡くなった後、2代目館長は濱岡庄司が務め、その後に宗悦の長男の宗理が3代目を務め、任期は30年ほどだったそうです。宗理は「消費を煽るようなデザインは本当のデザインではない」と警鐘し、「民藝は美の根源でありそこから物づくりのあるべき心構えを学びとって欲しい」と発言していたようです。
この章の最初にはデンマークのプラスティック製の胡椒入れや朝鮮の白磁の蓋物、イギリスの剪定バサミ、アイスクリーム用のスコップ、セロハンテープなどが柳宗理の解説と共に並んでいました。いずれもシンプルながらも機能と優美さのあるデザインで、遊び心がありました。
また、宗理による「机上の計算や図面、画ではなく手によるデザイン」が基本的なデザインスタイルの品々が並び、キッチン用品や椅子の模型、タンブラーなど素朴ながらも温かみを感じる作品がありました。
最後の一角には民藝館の今までの展示のポスターなどと共に、柳宗理の中でも有名な「バタフライスツール」という椅子や、カウンターテーブル、三角(象脚)スツール、神像、仮面などがならび、風土とアートを感じるような空間となっていました。
ということで、若干地味な作品が中心の展示でしたが、民藝運動という大きな運動の原点を知ることができる展示でした。今後の展示を観る際に大いに参考になると思います。民藝館にも行きたくなる展示でした。


【展覧名】
没後50年・日本民藝館開館75周年 柳宗悦展-暮らしへの眼差し
【公式サイト】
http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/11/1022_yanagi/index.html
【会場】そごう美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】横浜駅
【会期】2011年10月22日(土)~12月4日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて自分のペースで観ることができました。
さて、今回はアーツ・アンド・クラフツ運動の日本版とも言える民藝運動で有名な柳宗悦(やなぎ むねよし)の展覧会となっています。柳宗悦は1936年に日本民藝館を開設し、そこを拠点に四半世紀に渡って生活の美を重んじ仕事の復権を目指す「民藝運動」を進めました。今年は柳宗悦が亡くなって50年、民藝館が開設されて75年というメモリアルイヤーとなっているようで、その活動の様子を展示していました。また、民藝館の3代目館長でありデザイナーである息子の柳宗理(やなぎ むねみち 通称:そうり)も併せて展示されています。いくつかの章に分かれていたので、章ごとにご紹介していこうと思います。(今回は個々の作品ではなく、会場の雰囲気をご紹介していきます)
参考リンク:日本民藝館の公式サイト
<プロローグ>
柳宗悦は1889年に東京の現在の港区で、海軍少将の柳楢悦の3男として生まれました。学習院で学び白樺派の同人として活躍し、その後は東京帝国大学哲学科に進学しました。卒業後には声楽家の中島兼子と結婚し、妻は物心ともに柳宗悦を支えたそうです。2人の間には4人の子供が生まれ、長男の宗理はデザイナー、二男の宗玄は美術史家、三男は若くして夭折してしまいましたが、四男の宗民は園芸家となっていったようです。
まず最初のこのコーナーには柳宗悦の身の回りの品が並び、眼鏡、ペン置き、文鎮、版木、インク入れなどが置かれていました。木製のものが多いかな。流石に手仕事を感じる品が並んでいました。
<第2章 「白樺」の時代 西洋美術から工芸へ>
柳宗悦は学習院高等学科在学中の1910年に雑誌「白樺」の創刊に参加し、中心メンバーとして活躍しました。宗教・哲学・芸術を精力的に論じて、展覧会の企画や展示に優れた能力を発揮したそうです。この活動を通じて生涯の友となるバーナード・リーチをはじめ、ロダン、梅原龍三郎、岸田劉生らとの交流も深まっていきます。
この辺にはバーナード・リーチのエッチングや皿、宗悦を描いた作品などが展示されています。特に「楽焼ペリカン文皿」というリーチの作品は面白くて、単純化された首の長いペリカン?の絵が描かれ、茶色地に朱色で素朴な感じと装飾的な感じの両面を感じました。
少し進むとデューラーの版画や先日ご紹介したウィリアム・ブレイクの版画(ヨブ記やダンテ関連の作品など)が並んていました。解説によると宗悦は白樺の中では最年少だったようですが、アートディレクター的な役割を果たしていたようで、ウィリアム・ブレイクに傾倒し「美と信仰」の融和を唱えるブレイクの思想に大きな影響を受けたようです。
参考記事
ウィリアム・ブレイク版画展 (国立西洋美術館)
黙示録―デューラー/ルドン (東京藝術大学大学美術館)
アルブレヒト・デューラー版画・素描展 宗教/肖像/自然 (国立西洋美術館)
他にも「白樺」の本や書簡、「白樺美術館」の設立趣意書などもありました。この趣意書によって寄付を募り、ゴッホやセザンヌの作品を購入していたようで、いち早く近代西洋美術を日本に紹介していた白樺の活動ぶりが伺えます。…学生時代にこれだけのことができるというのは凄いです。
[朝鮮を想う]
白樺派で西洋美術の吸収・紹介を行なっていた柳宗悦ですが、1914年に転機が訪れます。浅川伯教という人物がロダンの彫刻を見せて貰いに宗悦を訪ねた際に、手土産として持ってきた朝鮮磁器を大変気に入り、それがきっかけで関心が西洋から東洋へ・美術から工芸へと向かって行きます。1916年以降、たびたび朝鮮に渡り、1921年には「朝鮮民族美術展覧会」を開催し、1924年には「朝鮮民族美術館」をソウルに開設したそうです。朝鮮文化の紹介に努め、固有文化の保全に尽力したようで、ここにはそれに関連した作品が並んでいます。
朝鮮の壺や香炉、酒注、箱、筆筒、水滴などが展示されていて、宗悦が朝鮮にのめり込むきっかけとなった「染付秋草文面取壺」も展示されていました。白い八角形の側面に青い染付で秋草が描かれているのですが、質素で地味な感じがするような…。形は面白いですがその良さが私にはイマイチわかりませんでしたw 周りにあった白磁は滑らかな形をしていて日本のものとは違った味わいがあるかな。
少し進むと、「螺鈿花鳥文箱」という梅の木?や鳥たちを描いた螺鈿細工があるのですが、これも日本の蒔絵と比べるとプリミティブというか版画のような感じの絵柄で、ちょっと野暮ったく思ってしまいました。どうも朝鮮の品は私の好みではありません…。
[木喰仏の発見]
暮らしの眼差しは日本にも向けられ、木喰(もくじき)の作った仏像にも注目したようです。仏師ではなく遊行僧である木喰上人の作った奔放な作風で、かつては信仰の対象となっていたのですが、宗悦が再発見した時には忘れ去られつつあったようです。1924年から3年間に渡って日本全国を巡りその全体像を明らかにしていったようで、木喰上人に関する本なども展示されています。
肝心の木喰仏も2体展示されていて、地蔵菩薩像は手を上げて満面の笑みを浮かべていました。彫りが深くリズミカルな感じすらします。これは1924年に甲府郊外で初めて出会った木喰仏のようで、木喰84歳の頃の作品だそうです。これを譲り受けたことで木喰への研究を始めたとのことでした。
なお、この頃の宗悦は関東大震災の混乱を避ける為に京都へ移っていたようで、京都では濱田庄司の紹介により河井寛次郎など後に大事な仲間となる人物とも出会っています。
<第3章 柳宗悦の眼 民藝美の発見と民藝運動>
朝鮮陶磁器、木喰の調査、京都の朝市での下手物(げてもの)蒐集などを契機に民藝の発見へと展開していきます。そして1925年に河井寛次郎、濱田庄司と共に「民藝」という新語を作り、翌年に日本民藝美術館の設立趣意書を発表しました。手仕事の復権や美の生活化を啓発していったようで、ここにはそうした運動に関する品が並んでいました。
[江戸期の民藝]
民藝館の所蔵品は江戸後期のものが最も多いらしく、ここには茶碗、絵馬、看板、燭台、瓶、布地、竹かごなどが並んでいました。結構地味な感じですが、竹かごの編み方などは確かに熟練の手仕事の技を感じる美しい出来栄えです。もう少し進むと、皿、羽織、のれん、お盆、横木なんてものまでありました。まさに生活の中のあらゆる品に美を見出していたようです。
また、この辺には琉球やアイヌの品々も並んでいました。アイヌの玉首飾りや刀下げ帯は独特の雰囲気があります。宗悦は彼らの文化も尊重していた様子がわかりました。
[手仕事の日本]
宗悦は同時代の工芸品にも積極的に眼を向け、優れた手仕事を選び「正しい工芸」の姿を示していくために民藝運動者らと日本全国で調査を行ったそうです。友人の賛同を得て工芸店の経営や、各地での民藝館の設立といった活動も行ったらしく、ここにはそれに関連いした作品が並んでいます。土瓶、わっぱ、手箱、錠前、鉢、徳利など美術品とは言えないものの、単に用をなすだけではない芸術的な要素があるように思えてきました。
また、ここには西館(旧 柳宗悦邸)の応接室セットの再現もありました。木のテーブルと椅子が置かれ、バーナード・リーチの皿や棟方志功の版画なども飾られています。こうして部屋全体を再現していると全体で1つの作品のようで面白いです。
<第4章 柳宗悦の心 美信一如>
宗悦は美と宗教を探求していったようで、宗悦の仏教美学とは新しい美学の集大成であり、民藝美の本質を仏教の他力本願の思想で解き明かせると考えていたようです。また、茶道と仏教は縁が深く、民藝運動の精神とも一如であるという信念があったらしく、ここには茶道具も並んでいました。
茶器や屏風、柄杓、釜など並び、茶碗などは侘びた雰囲気がありました。
[美の法門]
宗悦は1948年に大無量寿経から啓示を受けて「美の法門」を書き上げたそうで、これは宗悦の根本思想を示すものだそうです。この時読んでいたのは「無有好醜(むうこうじゅ)の願」というもので、これは本来は物事に「好醜」(美しいとか醜いということかな?)の無いことを説いているらしく、名も無き職人が作り出す器物が何故、無上の美と結ばれていくのかという命題が氷解したと感じたそうです。…この理屈が私にはちょっと難しくてよくわかってない状態ですがw
ここには「無有好醜」と書かれた掛け軸や、舎利塔、厨子、来迎図、燭台、錫杖などの仏教関連の品が並んでいました。また、棟方志功の版画を貼りあわせて屏風にした作品や、自らの短文の「こころうた」というものを書いた掛け軸や屏風などもあります。
少し進むと民藝館に関する資料があり、「工藝」の雑誌や棟方志功の版画もありました。
<柳宗悦から柳宗理へ 日本民藝館の歩み>
宗悦が亡くなった後、2代目館長は濱岡庄司が務め、その後に宗悦の長男の宗理が3代目を務め、任期は30年ほどだったそうです。宗理は「消費を煽るようなデザインは本当のデザインではない」と警鐘し、「民藝は美の根源でありそこから物づくりのあるべき心構えを学びとって欲しい」と発言していたようです。
この章の最初にはデンマークのプラスティック製の胡椒入れや朝鮮の白磁の蓋物、イギリスの剪定バサミ、アイスクリーム用のスコップ、セロハンテープなどが柳宗理の解説と共に並んでいました。いずれもシンプルながらも機能と優美さのあるデザインで、遊び心がありました。
また、宗理による「机上の計算や図面、画ではなく手によるデザイン」が基本的なデザインスタイルの品々が並び、キッチン用品や椅子の模型、タンブラーなど素朴ながらも温かみを感じる作品がありました。
最後の一角には民藝館の今までの展示のポスターなどと共に、柳宗理の中でも有名な「バタフライスツール」という椅子や、カウンターテーブル、三角(象脚)スツール、神像、仮面などがならび、風土とアートを感じるような空間となっていました。
ということで、若干地味な作品が中心の展示でしたが、民藝運動という大きな運動の原点を知ることができる展示でした。今後の展示を観る際に大いに参考になると思います。民藝館にも行きたくなる展示でした。
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この前の日曜日に、横浜美術館へ行って「ヨコハマトリエンナーレ2011」を観てきました。私が行ったのは最終日だったので既に終了していますが、一応ご紹介しておこうと思います。なお、この展示は3つの会場で開催されていましたが私が観たのは横浜美術館のみとなります。

【展覧名】
ヨコハマトリエンナーレ2011 OUR MAGIC HOUR
-世界はどこまで知ることができるか?ー
【公式サイト】
http://www.yokohamatriennale.jp/
【会場】
横浜美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
日本郵船海岸通倉庫
ヨコハマ創造都市センター(YCC)
【最寄(横浜美術館についてです)】
JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅
【会期】2011/8/6(土)~11/6(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
非常に混んでいて、15分くらい会場の外で烈に並びました。最終日だったこともあると思いますが、凄い人気です。
さて、この展示は3年に1度の割合で開催される現代アートの国際展示で、今回は4回目となります。そのサブタイトルにあるように「世界や日常の不思議、魔法のような力、さらには神話等に言及した作品に注目し、国内外で活躍する現代美術家の作品をはじめ、横浜美術館の所蔵品なども織り込んだダイナミックな展示」となっているようでした。非常に混んでいたためにメモを取るどころか全作品を観ることもおぼつかなかったので、いつものように解説をご紹介することはできませんが、写真を撮っても良い作品がありましたので、撮ってきた写真を使っていくつかご紹介しようと思います。
屋上にはウーゴ・ロンディノーネによる看板?もありました。

この「OUR MAGIC HOUR」というのは今年のヨコハマトリエンナーレ2011のサブタイトルです。
会場の前にはウーゴ・ロンディノーネのモアイ像のような作品が並んでいました。

何とも可愛らしくて面白い顔で、これだけでも展示の楽しさが伝わってきました。

↓これは2階に行った時に撮ったものですが、中はこんな感じで混んでいました。
尹秀珍(イン・シウジェン) 「One Sentence」

渦巻く迷路のような中を進んでいくのですが、円形の布地を輪切りにしたようなものが並んでいました。

オノ・ヨーコ 「TELEPHONE IN MAZE」

これは何時かかってくるか分からない受信専用の電話で、たまにオノ・ヨーコから直通電話がかかってくるそうです。透明の迷路の後ろに見えているのは待っている人の列。私は待つのを諦めました…。
前田 征紀 「THE SEVEN SEASON」

2階に向かう階段にも作品がありました。星をイメージしているようです。
ウィルフレド・ブリエト 「One」

これは2800万個の模造ダイヤとダイヤモンドが1個入っているそうですが、絶対に見つけることは出来ないと思いますw 発想が面白いです。
冨井大裕 「ゴールドフィンガー」

抽象画か?と思ったら、これはすべて画鋲でできていました! よーく観ると何種類かの画鋲を使っているので模様のように見えるようでした。
この部屋の隣には映像作品があり、その奥にはパフォーマンスを実演しているコーナーもあったのですが。混み過ぎていて両方あきらめました。
トビアス・レーベルガー 「他者」

この天井から吊り下がっているランプは59個あり、インターネットを通して横浜の子供部屋の電灯のスイッチと連動しているそうです。子供が自分の部屋の電気を切るとこの電気が灯るのだとか。遠い所で起こっていることと連動しているというのが面白いです。
この先は写真が撮れないところもあったのですが、部屋一面に黒っぽい色合いの絵が並んだ横尾忠則の作品郡や、リアルなのにシュルレアリスム的な雰囲気のハン・スンピルの作品などが気に入りました。
佐藤充 「親愛なる皆様へ」

独特の禍々しさと漫画のような雰囲気のある壁画で驚きました。落書きみたいだけど密度があって怖いくらいです。
岩崎貴宏 「フェノタイピック・リモデリング(新聞紙)」

新聞紙の上に写真立てが乗っているような作品があってこれまた驚き。意図は分かりませんが、これが作品なの!?とどうしても思ってしまいますw
工藤哲巳 「あなたの肖像」

どこかシュルレアリスムを彷彿する不思議な作品。ちょっと不気味ですが心の奥底の何かを揺さぶるものがありました。
八木良太 「音楽の光」

これはレコードをろくろのようにして陶器を作るという作品でした。実際に作っている映像もあり、これまた面白い発想です。
この辺は撮影禁止が多かったので撮っていませんが、今回のポスターにもなっているミルチャ・カントルの作品が面白かったです。白砂を掃く白い服の女性たちの映像で、重厚な音楽と相まって神秘的というか宗教儀式のような雰囲気がありました。
また、5分くらい待って入った孫遜 (スン・シュン)という中国のアーティストによるアニメ作品が特に気に入りました。まるで悪夢の中にいるようなストーリーがあるような無いようなシュールな内容で、以前観たウィリアム・ケントリッジの作品を思い出しました。
参考記事:ウィリアム・ケントリッジ 歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた…… (東京国立近代美術館)
こちらは湯本豪一コレクションというコーナー

古今東西の様々な妖怪に関するものを集めたコーナーで、昔の映画のポスターだけでなく、パチンコ台なども展示されているのが面白かったです。3000点もコレクションしているのだとか。
この隣の部屋にあった池田学の超精密な動物のスケッチ作品郡や、マッシモ・バルトリーニのパイプオルガンのような作品、奥の部屋にあった荒木経惟の猫が年老いて死んでしまうまでの一連の写真なども良かったです。杉本博司のコーナーは人が並び過ぎていてこちらもパスしてしまいました…。
これは誰の作品か忘れましたが、針金で出来たジェットコースターと観覧車

小さかったですがよくできていました。
ということで、混みすぎていて観るのも困難という状況でしたが、非常に面白い作品が多くて楽しめました。アジアの作家が多いのも新鮮だったかな。できれば3会場全部回りたかったのですが、ちょっと行った時間が遅かったので諦めました。次回開催の際にはもうちょっと早めに行ってみようと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事


【展覧名】
ヨコハマトリエンナーレ2011 OUR MAGIC HOUR
-世界はどこまで知ることができるか?ー
【公式サイト】
http://www.yokohamatriennale.jp/
【会場】
横浜美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
日本郵船海岸通倉庫
ヨコハマ創造都市センター(YCC)
【最寄(横浜美術館についてです)】
JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅
【会期】2011/8/6(土)~11/6(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
非常に混んでいて、15分くらい会場の外で烈に並びました。最終日だったこともあると思いますが、凄い人気です。
さて、この展示は3年に1度の割合で開催される現代アートの国際展示で、今回は4回目となります。そのサブタイトルにあるように「世界や日常の不思議、魔法のような力、さらには神話等に言及した作品に注目し、国内外で活躍する現代美術家の作品をはじめ、横浜美術館の所蔵品なども織り込んだダイナミックな展示」となっているようでした。非常に混んでいたためにメモを取るどころか全作品を観ることもおぼつかなかったので、いつものように解説をご紹介することはできませんが、写真を撮っても良い作品がありましたので、撮ってきた写真を使っていくつかご紹介しようと思います。
屋上にはウーゴ・ロンディノーネによる看板?もありました。

この「OUR MAGIC HOUR」というのは今年のヨコハマトリエンナーレ2011のサブタイトルです。
会場の前にはウーゴ・ロンディノーネのモアイ像のような作品が並んでいました。

何とも可愛らしくて面白い顔で、これだけでも展示の楽しさが伝わってきました。


↓これは2階に行った時に撮ったものですが、中はこんな感じで混んでいました。
尹秀珍(イン・シウジェン) 「One Sentence」

渦巻く迷路のような中を進んでいくのですが、円形の布地を輪切りにしたようなものが並んでいました。

オノ・ヨーコ 「TELEPHONE IN MAZE」

これは何時かかってくるか分からない受信専用の電話で、たまにオノ・ヨーコから直通電話がかかってくるそうです。透明の迷路の後ろに見えているのは待っている人の列。私は待つのを諦めました…。
前田 征紀 「THE SEVEN SEASON」

2階に向かう階段にも作品がありました。星をイメージしているようです。
ウィルフレド・ブリエト 「One」

これは2800万個の模造ダイヤとダイヤモンドが1個入っているそうですが、絶対に見つけることは出来ないと思いますw 発想が面白いです。
冨井大裕 「ゴールドフィンガー」

抽象画か?と思ったら、これはすべて画鋲でできていました! よーく観ると何種類かの画鋲を使っているので模様のように見えるようでした。
この部屋の隣には映像作品があり、その奥にはパフォーマンスを実演しているコーナーもあったのですが。混み過ぎていて両方あきらめました。
トビアス・レーベルガー 「他者」

この天井から吊り下がっているランプは59個あり、インターネットを通して横浜の子供部屋の電灯のスイッチと連動しているそうです。子供が自分の部屋の電気を切るとこの電気が灯るのだとか。遠い所で起こっていることと連動しているというのが面白いです。
この先は写真が撮れないところもあったのですが、部屋一面に黒っぽい色合いの絵が並んだ横尾忠則の作品郡や、リアルなのにシュルレアリスム的な雰囲気のハン・スンピルの作品などが気に入りました。
佐藤充 「親愛なる皆様へ」

独特の禍々しさと漫画のような雰囲気のある壁画で驚きました。落書きみたいだけど密度があって怖いくらいです。
岩崎貴宏 「フェノタイピック・リモデリング(新聞紙)」

新聞紙の上に写真立てが乗っているような作品があってこれまた驚き。意図は分かりませんが、これが作品なの!?とどうしても思ってしまいますw
工藤哲巳 「あなたの肖像」

どこかシュルレアリスムを彷彿する不思議な作品。ちょっと不気味ですが心の奥底の何かを揺さぶるものがありました。
八木良太 「音楽の光」

これはレコードをろくろのようにして陶器を作るという作品でした。実際に作っている映像もあり、これまた面白い発想です。
この辺は撮影禁止が多かったので撮っていませんが、今回のポスターにもなっているミルチャ・カントルの作品が面白かったです。白砂を掃く白い服の女性たちの映像で、重厚な音楽と相まって神秘的というか宗教儀式のような雰囲気がありました。
また、5分くらい待って入った孫遜 (スン・シュン)という中国のアーティストによるアニメ作品が特に気に入りました。まるで悪夢の中にいるようなストーリーがあるような無いようなシュールな内容で、以前観たウィリアム・ケントリッジの作品を思い出しました。
参考記事:ウィリアム・ケントリッジ 歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた…… (東京国立近代美術館)
こちらは湯本豪一コレクションというコーナー


古今東西の様々な妖怪に関するものを集めたコーナーで、昔の映画のポスターだけでなく、パチンコ台なども展示されているのが面白かったです。3000点もコレクションしているのだとか。
この隣の部屋にあった池田学の超精密な動物のスケッチ作品郡や、マッシモ・バルトリーニのパイプオルガンのような作品、奥の部屋にあった荒木経惟の猫が年老いて死んでしまうまでの一連の写真なども良かったです。杉本博司のコーナーは人が並び過ぎていてこちらもパスしてしまいました…。
これは誰の作品か忘れましたが、針金で出来たジェットコースターと観覧車

小さかったですがよくできていました。
ということで、混みすぎていて観るのも困難という状況でしたが、非常に面白い作品が多くて楽しめました。アジアの作家が多いのも新鮮だったかな。できれば3会場全部回りたかったのですが、ちょっと行った時間が遅かったので諦めました。次回開催の際にはもうちょっと早めに行ってみようと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事
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前々回、前回とご紹介した平塚市美術館の展示を観た後、平塚駅のすぐ近くにある白い箱というお店でお茶してきました。

【店名】
白い箱
【ジャンル】
カフェ
【紹介サイト】
食べログ:http://r.tabelog.com/kanagawa/A1404/A140407/14022633/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
平塚駅
【近くの美術館】
平塚市美術館
【この日にかかった1人の費用】
1060円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_②_3_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(祝日17時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
空いていてゆっくりすることができました。
駅の近くで、どこかでコーヒーを飲めないものかと探していたら、サイフォン式コーヒーが飲めるということでこのお店を選んでみました。お店の外観も年季の入った感じですが、中も↓こんな感じで昭和な雰囲気でした。

店内にはほんのり古い建物独特の匂いが…w 個人でやっているお店のようでのんびりした感じです。
この日はピザトースト(580円)とモカ(480円)を頼みました。ここはストレートのコーヒーが頼めるのが良いです。

まずはピザトースト。意外と早く出てきました。

こちらは期待通りの味で、チーズたっぷりでパンはさくさく中はふんわりでした。中々美味しいです。
続いてモカコーヒー。私はブラック派なのでミルクと砂糖は使わないのですが、他のお客さんと共用のようで、ミルクと砂糖はすぐに下げられました。

こちらは酸味とその後に広がる甘い風味が豊かでした。軽やかな美味しさで気に入りました。
ということで、古き良き喫茶店といった感じのお店でした。個人店らしい雰囲気があるので、馴染みのお客さん(年齢層高め)も集まっているようでした。ちょっと建物が古いですが、美味しいコーヒーが飲めると思います。
おまけ:
このお店のものか分かりませんが、お店の前にマティスのジャズをポスターにしたものがありました。

参考記事:マティス Jazz (ポーラ_ミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX)

【店名】
白い箱
【ジャンル】
カフェ
【紹介サイト】
食べログ:http://r.tabelog.com/kanagawa/A1404/A140407/14022633/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
平塚駅
【近くの美術館】
平塚市美術館
【この日にかかった1人の費用】
1060円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_②_3_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(祝日17時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
空いていてゆっくりすることができました。
駅の近くで、どこかでコーヒーを飲めないものかと探していたら、サイフォン式コーヒーが飲めるということでこのお店を選んでみました。お店の外観も年季の入った感じですが、中も↓こんな感じで昭和な雰囲気でした。

店内にはほんのり古い建物独特の匂いが…w 個人でやっているお店のようでのんびりした感じです。
この日はピザトースト(580円)とモカ(480円)を頼みました。ここはストレートのコーヒーが頼めるのが良いです。

まずはピザトースト。意外と早く出てきました。

こちらは期待通りの味で、チーズたっぷりでパンはさくさく中はふんわりでした。中々美味しいです。
続いてモカコーヒー。私はブラック派なのでミルクと砂糖は使わないのですが、他のお客さんと共用のようで、ミルクと砂糖はすぐに下げられました。

こちらは酸味とその後に広がる甘い風味が豊かでした。軽やかな美味しさで気に入りました。
ということで、古き良き喫茶店といった感じのお店でした。個人店らしい雰囲気があるので、馴染みのお客さん(年齢層高め)も集まっているようでした。ちょっと建物が古いですが、美味しいコーヒーが飲めると思います。
おまけ:
このお店のものか分かりませんが、お店の前にマティスのジャズをポスターにしたものがありました。

参考記事:マティス Jazz (ポーラ_ミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX)
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