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フェルメールからのラブレター 2回目【Bunkamuraザ・ミュージアム】

日付が変わって昨日となりましたが、金曜日の夜にbunkamuraに行って、「フェルメールからのラブレター」を再度観てきました。

 参考記事:フェルメールからのラブレター (Bunkamuraザ・ミュージアム)

P2173164.jpg

【展覧名】
 フェルメールからのラブレター展
 コミュニケーション:17世紀オランダ絵画から読み解く人々のメッセージ

【公式サイト】
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/11_loveletter/index.html
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/11_loveletter.html

【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅


【会期】2011/12/23(金・祝)~2012/3/14(水)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(金曜日19時半頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
小雪が舞う寒い夜だったこともあってか、思った以上に空いていて自分のペースでじっくりと観ることができました。絵の前に人だかりが出来たのはフェルメールの作品くらいだったかな。金曜の夜の時間帯は狙い目のようです。

さて、この展覧会については以前もご紹介しましたので、各章のテーマの説明は割愛しますが、以前ご紹介しなかった作品を中心に気に入ったものについてご紹介しようと思います。

 参考記事:
  フェルメール光の王国展 (フェルメール・センター銀座)
  フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 感想前編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
  フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 感想後編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
  フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 2回目(Bunkamuraザ・ミュージアム)
  ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画
  ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画 2回目 (国立西洋美術館)


<第1章 人々のやりとり-しぐさ、視線、表情>
まずは人々のやりとりやしぐさを描いた作品が並ぶコーナーです。

ヘラルト・テル・ボルフ 「音楽の仲間」
手前にオルガンのようなヴァージナルという楽器を弾く女性、その左にヴィオラ・ダ・ガンバを演奏する帽子の男性、奥にはバイオリンを演奏する男性が立っています。このヴァージナルの女性は画家の妹、ヴィオラは弟だそうで兄妹揃って演奏に集中しているようです。右奥には暗闇の中で物を運んでいる女性の姿もありますが、3人とも気にしていないようでした。解説によると親密で調和のとれた場面を描いているとのことで、音楽で会話しているような感じのようです。しかし私にはやや緊張感があるように観えました。

ピーテル・デ・ホーホ 「トリック・トラック遊び」
うらぶれた室内でトリック・トラックという遊び(バックギャモン)をする帽子を被った2人の兵士と、スコアをつける女性が描かれています。左に立っている兵士はサイコロを振ろうとしており、何か喋っているようにも見えます。右手前に座っている兵士はタバコをふかしているのですが、これは無駄なことに時間を費やす愚かさの象徴とのことでした。日常の一コマに教訓が込められているような作品でした。

トマス・ウェイク 「宿屋の室内」
中央に宿屋のドアを開けて入ってきた身なりの良い男性が描かれ、その足元には狩猟犬も一緒に描かれています。その男性は左に目を向けていて、そこには宿屋の主人と子供を抱く奥さんがいて、彼らと会話をしているように見えます。宿屋の夫婦は貧しい格好をしているのですが、金持ちの男性とお互いに気軽に話している感じでした。解説によると、当時は身分より経済状態のほうが社会的地位となっていたようなので、意外と身分階級は緩かったのかもしれません。物語性と当時の様子が1枚で伝わるような面白さがありました。


<第2章 家族の絆、家族の空間>
続いては家族に関する作品が並ぶコーナーです。

ルドルフ・デ・ヨング 「室内の家族」
母親と、抱かれながら両手を前に出して暴れている子供を描いた作品です。その左にはお菓子を差し出す男性と、床に座ってガラガラを差し出す子供が描かれています。母親はお菓子の方を観ていますが、「むずがる幼児にはお菓子ではなくガラガラを与えるのが良い選択である」ということを示しているようです。また、光の表現が巧みで、窓際の辺りの表現が見事でした。

ピーテル・デ・ホーホ 「室内の女と子供」
赤と黒の市松模様のタイルが敷かれた室内で、布を頭に巻いた女性が水差しを差し出し、その右にいる小さな女の子(女の子の格好の男の子かも)に見せている様子が描かれています。女の子の表情は見えませんが女性の顔は優しく楽しそうで、温かみのある光景です。右奥にはドアの向こうの部屋や窓の外も見えているのですが、柔らかい光の表現が明るい雰囲気を生んでいるようにも思えました。

ヤン・ステーン 「老人が歌えば若者は笛を吹く」
テーブルを囲んだ10人くらいの家族を描いた作品です。左では白髪の老人が弦楽器を弾きながら歌っていて、その右には笛を吹いている少年もいます。また、周りの家族は水差しに口をつけて飲もうとする子や、胸を顕にして酒を飲む女性、品のない顔で笑う男性など、お行儀の悪そうな一家となっていましたw 解説によるとこれは宴席での無作法や暴飲暴食を戒める意味や、若いものは常に年長者を手本とするということわざに関連があるようです。こうはなりたくないなという反面教師みたいなものかなw


<第3章 手紙を通したコミュニケーション>
続いての3章が今回の目玉であるフェルメールの作品3点が並ぶコーナーです。フェルメールの作品はせっかくなのでもう一度ご紹介しておこうと思います。

ヨハネス・フェルメール 「手紙を書く女」 ★こちらで観られます
手紙を書く黄色い服の女性がちらっとこちらを伺うような様子が描かれた作品です。離れて観ると女性から光が発せられているように思えるほど明るさを感じます。全体の緻密さも見事で、サテンのコートや椅子のビスまで質感豊かに描かれていました。写実的でありながら何かドラマ性があるように感じました。

ヨハネス・フェルメール 「手紙を読む青衣の女」 ★こちらで観られます
じっと手紙を読み青い服の女性を描いた作品です。結構、読む表情に緊張感があるのであまり良い手紙ではないのかもしれません。この作品は最近修復された為か、青が明るく感じられ、背景に描かれた地図もよく分かるほど鮮明になっているのが面白かったです。

ヨハネス・フェルメール 「手紙を書く女と召使い」 ★こちらで観られます
テーブルに向かって手紙を書いている女主人と、その後ろで窓を見ながら待っている召使いの女性を描いた作品です。この作品は特に光の表現が素晴らしく、部屋のカーテンに光が透過する様子やテーブルクロスのたわんだ感じの陰影など、流石と思わせるものがありました。また、何度観ても待たされている召使いが退屈そうで、彼女の気持ちが伝わってくるように思いますw

ピーテル・ラストマン 「ダヴィデとウリヤ」
王座に座って杖のようなものと手紙を持つ赤いマントのダビデ王と、その左でウリヤという家来が片膝をついて右手で手振りしながらダビデと話をしている様子を描いた作品です。実はダビデはウリヤの妻バラシバに横恋慕した挙句に子供を身ごもらせてしまったそうで、それを隠すためにウリヤを戦死させるよう、ウリヤの上官に手紙を送ります。そしてそれを届けるのはウリヤ自身という皮肉な話です。ウリヤは忠実そうに観えるのに対して、ダビデはウリヤの方を見ずに少し上を見て、目を合わせないようにしているようにも観えました。


<第4章 職業上の、あるいは学術的コミュニケーション>
最後は学術などに関するコーナーです。

ハブリエル・メツー 「窓辺で本を読む女」
赤い羽帽子を被って赤紫色の服を着た女性が本を読んでいる様子を描いた作品です。若干目線が本より上の窓を眺めているようにも思えますが、この女性は「知識」の擬人像だそうです。確かに知的な雰囲気がありました。

アドリアーン・ファン・オスターデ 「酒場で読み物をする男(村の弁護士)」
テーブルを囲んでいる3人の男たちを描いた作品です。手紙を読んでいる人物と、その様子を見守る2人で、この手紙を読む人は弁護士だそうです。これは法体系が農村部にも定着していたことを示しているようで、弁護士に相談しているところを描いているようでした。弁護士の真剣な顔と2人の男たちの表情には緊張した雰囲気がありました。


ということで、静かな中でじっくり観ることが出来ました。(特に閉館10分前くらいになると独占状態でフェルメール作品を観ることが出来ました。)2度目ともなると落ち着いて観られるせいか、また違った印象も受けます。フェルメールが3点も観られるのは貴重な機会ですので、気になる方は是非どうぞ。


 参照記事:★この記事を参照している記事




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旋(つむじ) 【北浦和界隈のお店】

前回ご紹介した埼玉県立近代美術館に行った際、近くのラーメン屋「旋(つむじ)」に寄ってみました。しかし夜の営業は18時からでこの日は結局そのまま撤退したのですが、何度も行っているお店なので後日行った際に撮ってきた写真などを使って紹介しようと思います。

P2052965.jpg
↑17時に行ったら見事に準備中w

【店名】
 旋(つむじ)

【ジャンル】
 ラーメン

【紹介サイト】
 食べログ:http://r.tabelog.com/saitama/A1101/A110102/11004707/

【最寄駅】
 北浦和駅

【近くの美術館】
 埼玉県立近代美術館


【この日にかかった1人の費用】
 950円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_③_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
美術館の開いてる時間に行ったことは無いので、混み具合は割愛しました。いつも夜21時頃に行くのですが、空いている時もあれば満席近い時もあるので、その時によるかも知れません。ファンも多いようで、私もこの店に行くためだけに北浦和まで行っていますw

北浦和のイオンの前(大通り沿い)にあるので、すぐに見つけられると思います。お店の中はこざっぱりした最近のラーメン屋さんと言った感じで、ラーメン屋にしては静かな雰囲気なのが珍しいかも。ラーメンデータベースで埼玉県で10位以内に入っているような人気店です。
 参考リンク:ラーメンデータベースの埼玉ランキング


一番最近に行った時は、特製中華そばの大盛りを頼みました。
K3300061.jpg
鶏や魚介、豚などがベースとなっているようで、とろっとまろやかなスープと太めの麺がよく合います。チャーシューも柔らかくて食感も心地よくて美味しいです。

こちらは友人の食べていた期間限定のチーズ担々麺(確か2012/2月末まで)。
K3300062.jpg
辛さもありつつチーズで結構とろっとしているようです。これも美味しそうでした。


ということで、ラーメンの中ではかなり美味しい店だと思います。味噌や塩などもありますが、私は中華そばが一番好きです。つけ麺は試したことがないですが、いずれ試したいと思います。今後は埼玉県立近代美術館に行ったときにもセットで通いたいものですw(難点は営業時間かな)



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MOMASコレクションⅣ 2012 【埼玉県立近代美術館】

前回ご紹介したシダネル展を観た後、埼玉県立近代美術館の常設展「MOMASコレクションⅣ」を観てきました。

P2052945.jpg P2052942.jpg

【展覧名】
 MOMASコレクションⅣ

【公式サイト】
 http://www.momas.jp/4.htm

【会場】埼玉県立近代美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】北浦和駅

【会期】2012年1月7日(土) ~4月15日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらも空いていて自分のペースでゆっくり鑑賞することができました。
以前にも何度かご紹介しましたが、ここの常設は季節ごとに時期が区切られていて、結構入れ替えもあるようです。(詳しいラインナップは公式サイトの出品リストで確認することもできます。) 既にご紹介した作品も多いので、今回はまだ紹介していない作品を中心に挙げていきます。

 参考記事:
  MOMASコレクションIII 2011(埼玉県立近代美術館)
  MOMASコレクションIII (埼玉県立近代美術館)
  MOMASコレクションⅡ (埼玉県立近代美術館)
  MOMASコレクション3 (埼玉県立近代美術館)

 参考リンク:
  出品リスト


<1 「水・緑・光」>
まずは水、緑、光を題材にした洋画が並ぶコーナーでした。モネやドニ、ドラクロワ、デルヴォーといった巨匠の作品もありますが、そちらは何度かご紹介したので割愛します。今回は日本画家の作品も半分位を占めていました。

斎藤与里 「朝」
湖から出て白い衣をまとう裸婦と、手前で腰掛けている2人の裸婦を描いた作品です。全体的に落ち着いた色調ですが、単純化され平坦な感じに見えます。そのせいかゴーギャンに通じるものがあるように思いました。ちょっと神秘的な作品です。

牧野虎雄 「晩き夏」
青空を背景に、ひまわりや沢山の緑の草木などが描かれた作品です。若干萎れているように見えるのはタイトルの通り夏の終わりだからかな? それでも全体的に影がなく明るい画面であるので、夏の日差しの強さが感じられました。

武内鶴之助 「アラシの夕」 ★こちらで観られます
牧草を食べる羊たちとその上に広がる雲を描いた作品です。雲は暗めで嵐が来るのを予感させます。所々に夕日に照らされた雲があり、ドラマチックな雰囲気でした、地平線の位置がかなり低いので空に目が行きやすくなっているように思います。

金昌烈 「水滴J.T.83002」
壁一面に水滴がくっついているように見える作品です。丸々としていて艶のある水滴は、よく観ると水滴の中を通った光で影が出来る様子などまで表現されているのがリアルで、騙し絵的な要素がありました。この人の作品はトリックアートの展示でも何度か観ているのを思い出しました。
 参考記事:
  トリック・アートの世界展 -だまされる楽しさ- (損保ジャパン東郷青児美術館)
  描かれた不思議 トリック&ユーモア展 エッシャー、マグリット、国芳から現代まで (横須賀美術館)


<2 「アーティスト・プロジェクト-大浦一志 -自然と人間-雲仙普賢岳との20年」>
続いて2章は大浦一志というアーティストのコーナーでした。ここには、雲仙普賢岳の写真に現地の灰や小石を樹脂で塗り固める作品や、写真を数枚貼り重ねて連続したパノラマとした作品などが展示されていました。部屋の中にはアクリルケースに入った灰らしきものもあり、新聞に小石などをコラージュした作品や小石を標本にした作品などもありました。自然の圧倒的なパワーや現地の人への鎮魂の意味があるようですが、ゴーストタウンのようになった街の写真などは自然の恐ろしさを感じました。


<3 「春のにぎわい」>
3章は新年にふさわしい作品を集めたコーナーでした。ここは前期・後期に分かれているようで、私が観たのは前期の内容となります。
 前期:2012/01/07 ~ 02/26
 後期:2012/02/28 ~ 04/15

横山大観 「日本心神」 ★こちらで観られます
雲の上に頭を出す富士山を高いところから観たような構図で描いた作品です。非常にくっきりと描かれていて、雲の流れと共に力強さを感じました。まさに新春に相応しい雄大な風景です。

奥原晴湖 「仙境群鶴」
これは2幅対の作品で、松や牡丹の花の近くに6~7羽の鶴が群れている様子を描いています。南蘋派のような写実的で細かい雰囲気がありつつ、装飾的なところもあるように思いました。色も鮮やかです。

小村雪岱 「春告鳥」
しゃがんでいる鶯色の着物の女性が振り返り、その目線の先には滑空している鳥が描かれています。上から樹の枝(柳?)が垂れてる他は何もないせいか、鳥が素早く動いているような感じを受けました。女性は上品で少し喜んでいるようにも見えて爽やかです。
小村雪岱は「青柳」や着物なども展示されていました。
 参考記事:
  小村雪岱とその時代 (埼玉県立近代美術館)
  大正イマジュリィの世界 デザインとイラストレーションのモダーンズ (松濤美術館)

鏑木清方 「慶長風俗」
2曲1双の屏風で、右は青い着物に真っ赤な扇子を持った女性、左はしゃがんで河岸で水を触っているオレンジの着物の女性が描かれています。2人とも落ち着いた色合いで描かれていますが、華やかさがあり上品な雰囲気でした。背景の黄色の花も可愛らしい作品です。
 参考記事:
  清方/Kiyokata ノスタルジア (サントリー美術館)
  清方/Kiyokata ノスタルジア 2回目(サントリー美術館)

この近くには壺や螺鈿の蒔絵なども展示されていました。


<4 「闇に浮かぶ顔-柄澤齋の〈肖像〉シリーズ」>
4章は柄澤齋という作家が1980年から取り組んでいる「肖像」シリーズが23点並んでいました。

柄澤齋 「肖像Ⅱ アルブレヒト・デューラー」
顔に右手を当てて顔を歪ませているデューラーを描いた作品です。髪や帽子などの輪郭はスラっとしていますが、手と顔は指紋のように細い線を何本も重ねてたんねんに描かれていました。
近くにはクラナッハやゴヤ、メリヨンなどもありました。
 参考記事:
  アルブレヒト・デューラー版画・素描展 宗教/肖像/自然 (国立西洋美術館)
  19世紀フランス版画の闇と光 ― メリヨン、ブレダン、ブラックモン、ルドン (国立西洋美術館)
  黙示録―デューラー/ルドン (東京藝術大学大学美術館)

柄澤齋 「肖像XXVI オディロン・ルドン」
窓と木を背景に横を向いたあごひげの男性(ルドン)を描いた作品です。先ほどの作品と比べるとだいぶ趣きが違っていて、ルドンの周りには渦巻き毛のような線を持った謎の物体が描かれていました。どうやらそれぞれの画家の作品を反映して描いているようで、面白かったです。
 参考記事:
  ルドンとその周辺-夢見る世紀末展 感想前編(三菱一号館美術館)
  ルドンとその周辺-夢見る世紀末展 感想後編(三菱一号館美術館)

近くには骸骨を持ったアンソールやシーレを描いた作品、バッハ、モーツァルト、泉鏡花、上田秋成、エドガー・アラン・ポー、カフカなど様々なジャンルの人物の作品があり、それぞれに見立てなどがあり面白かったです。


ということで、今回も楽しめる常設でした。この美術館も素晴らしいコレクションを持っていていつも驚かされます。


おまけ:
美術館のある北浦和公園の北西の隅(大通り沿い)の辺りに何やら見覚えのある建物が置かれていました。
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これは以前ご紹介した黒川紀章のカプセルで、メタボリズムという建築運動を象徴するものです。

ニュースで観たのですが、つい先日まで森美術館で開催されていたメタボリズム展が終わって森美術館の横にあったものがこちらに運ばれてきたそうです。埼玉県立近代美術館が黒川紀章の設計だった為、ここになったようです。
 参考記事:メタボリズムの未来都市展 (森美術館)

↓これは以前、新橋近くの中銀ビルで撮ってきた写真。こちらで実現しています。
PC272587.jpg

1個作るのに1960年代当時のカローラ1台分くらいのコストだったそうですが、中はこんな感じ。
P2052958.jpg
何度観てもテレビの位置が微妙に思いますw 洗濯物とかどうするのかも気になります。

逆側から観た様子。
P2052961.jpg
ということで、埼玉県立近代美術館に行く機会があったらこちらも観ておくと面白いかと思います。


 参照記事:★この記事を参照している記事




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アンリ・ル・シダネル展 2回目【埼玉県立近代美術館】

10日ほど前の日曜日に埼玉県立近代美術館へ行って、最終日となった「アンリ・ル・シダネル展」を再度観てきました。この展示はすでに終了しましたが、満足度の高い展示でしたので、改めてご紹介しておこうと思います。

 参考記事:アンリ・ル・シダネル展 (埼玉県立近代美術館)

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【展覧名】
 アンリ・ル・シダネル展

【公式サイト】
 http://www.momas.jp/003kikaku/k2011/k2011.11/k2011.11.htm

【会場】埼玉県立近代美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】北浦和駅


【会期】2011年11月12日(土)~2012年2月5日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
最終日ということもあり、以前行った時よりはお客さんが増えていましたが、それでも自分のペースで観るのに支障はない程度でした。

さて、この展示は以前にもご紹介しましたが、フランスで活躍した画家アンリ・ル・シダネルの個展となっていました。今回の記事は以前ご紹介しなかった作品を中心に、気に入った作品をご紹介していこうと思います。なお、各章のテーマについては以前と変わっておりませんので割愛します。

<第1章 自画像>
1章は自画像が1点のみとなっていました。改めて見ると陰影が絶妙で、髪の流れがわかるほど精密な作品でした。


<第2章 エタプル>
2章は初期のエタプルという寒村での活動のコーナーです。

2 アンリ・ル・シダネル 「サン=ミッシェル教会(エタプル)」
教会を斜め前から観た構図の作品です。若干ぺったりとした平坦な画面に見えるかな。周りには雪があり、空は抜けるような青さでした。静かな雰囲気の作品です。

7 アンリ・ル・シダネル 「横向きの若い女性(エタプル)」
戸外で樹の下に腰掛けている白いドレスの横向きの女性を描いた作品です。青みがかった色で影の中にいる感じがよく出ています。奥には日の当たる草むらがあり、そのコントラストが明るく感じました。こちらも淡く平坦な感じの作風に思えました。

3 アンリ・ル・シダネル 「農家の庭 [プティット=シンテ]」
横に長く伸びる農家と、その手前にある水辺を描いた作品です。農家の前には白い布を被った女性と数羽の鶏がいて、のんびりした雰囲気があります。全体的に色が落ち着いている作品でした。


<第3章 人物像>
3章は人物像のコーナーです。こうして観て回ると人物像は少なめに思えます。

10 アンリ・ル・シダネル 「ルイ・ル・シダネルの肖像」
鉛筆で描かれた少女の肖像で、これはシダネルの娘のようです。お椀にスプーンを入れてうつむいているようなポーズで、背景は暗く後頭部は暗闇に溶けこむような感じでした。全体的にうねった毛のような質感のタッチで描かれているのも面白いです。

9 アンリ・ル・シダネル 「朝 [モントルイユ=ベレー]」
川の上に左半分だけ描かれたボートが浮かび、ウェディングドレスのようなものを着た女性が描かれた作品です。ボートの右側は画面外ですが、誰か居るはずで気になりますw そもそも何故このような格好でボートに乗っているのかも謎めいて観えました。朝の光景を描いているようでピンクを含んだ光の表現が爽やかでした。


<第4章 オワーズ県の小さな町々>
4章は1900年に移ったオワーズ県のボーヴェにいた頃の作品のコーナーです。

20 アンリ・ル・シダネル 「月明かりのなかの教会 [ビュイクール]」
雪の積もった平原にある村と、塔のある教会を描いた作品です。全体的に青く沈んでいますが、画面には描かれていない月に照らされているらしく教会の辺りはちょっと明るく観えます。寒々とした雰囲気と静けさを感じる作品でした。


<第5章 取材旅行>
5章はジェルブロワを拠点として各地に放浪した頃の作品のコーナーです。

25 アンリ・ル・シダネル 「噴水 [パリ]」
パリの街を背景に、2段の水盤から成る噴水が描かれた作品です。右には樹も描かれていて、水平と垂直の線が多いように思います、街には薄っすらとあかりが灯り、夕方なのかな? パリの風情が伝わってくるような作品でした。

21 アンリ・ル・シダネル 「広場 [プティ=フォール=フィリップ]」
手前に広場、奥に赤い屋根の家が描かれた作品です。広場は右のほうに3人の人物が描かれている以外はガランとした感じです。それに対して、奥の家には窓に明るい光が灯っていて、ここだけ温かみを感じました。

31 アンリ・ル・シダネル 「月明かりのテラス [ヴィユフランシュ]」
手前に植物に覆われた手すりのあるテラスが描かれ、奥には湖と対岸の山が描かれています。水面には白やピンクが使われ、向いから来る月光を強く感じさせました。月自体は描かれていないのですが、神秘的な雰囲気があり人や船の姿すらないのもそれを強めているように思いました。


<第6章 ブルターニュ地方>
6章は1913年頃に訪れたブルターニュ地方を描いた作品のコーナーです。

39 アンリ・ル・シダネル 「朝日のあたる道沿いの川 [ブルターニュ]」
川の両岸にひょろっと伸びたポプラ?の並木が描かれ、その奥に薄っすらと太陽が昇っているようすが描かれた作品です。全体的に霧がかったように淡くぼんやりしていて、昼間なのに幻想的な光景となっていました。ちょっとモネのポプラの連作に構図が似ているかも。

37 アンリ・ル・シダネル 「快晴の朝 [カンペルレ]」
奥で右に曲っている川とその河岸の家々を描いた作品です。手前で船に乗った2人が舟を出す用意をしていて、一日の始まりを感じさせます。また、手前は青みがかった影となっているのに対して、奥の家に明るい日差しが当たっているのも朝ならではの爽やかさを出しているように思いました。


<第7章 ジェルブロワ>
7章は自宅にバラ園など庭園を作ったジェルブロワの時代のコーナーです。

44 アンリ・ル・シダネル 「階段 [ジェルブロワ]」
手前に雪の積もった階段とその両脇の塀が描かれ、奥には明かりの灯った家が描かれています。手前は白や暗めの色が多くて寒々としていることもあり、家の窓からのオレンジの光が一際暖かく感じました。観ているだけで早く家に帰りたくなるような絵です。

40 アンリ・ル・シダネル 「黄昏の古路 [ジェルブロワ]」
左側に明かりの漏れる洒落た建物があり、右側は石畳の道と奥にアーチが描かれています。左の家にはたくさんのピンクの花が飾られ、壁や植木鉢で花を咲かせています。左右で分かれた構図が面白く、花の色は温かみと華やかさを感じさせました。


<第8章 食卓>
8章は絶頂期の食卓の絵を描いたシリーズの並ぶコーナーです。「アンティミスト」と呼ばれる身近なものを描いた作品群です。

60 アンリ・ル・シダネル 「テーブル、白の調和」
円形で白いテーブルクロスのテーブルの上に、白いカップや水差しが置かれ、白い花が入った花瓶もあります。背景には白いドアも描かれているなど白い品が多く描かれています。しかし、陶器には光沢、花にはしっとりした質感があるなど、一口に白と言っても様々に使い分けられていました。円や球体のような形が多い構図も良かったです。

55 アンリ・ル・シダネル 「青いテーブル [ジェルブロワ]」 ★こちらで観られます
今回の展示のポスターになっていた作品です。植物が絡みつくシダネルの家の前に、青いテーブルと2脚の椅子が置かれ、テーブルの上にはワインや籠に入った果物などが描かれています。しかし、今からワインや果物を楽しむように見えるにも関わらず椅子には誰も座っておらず、静かな雰囲気でした。この作品はアンティミストの象徴的な作品のようです。


<第9章 ヴェルサイユ>
最後は冬の時期を過ごしていたヴェルサイユを描いた作品のコーナーです。

67 アンリ・ル・シダネル 「噴水 [ヴェルサイユ]」
暗い夜の森の中の噴水を描いた作品で、手前で水を噴き上げています。奥の木々の間には明かりの灯った家が描かれ、水面に光が反射しています。全体的に静かな雰囲気で、水の音まで聞こえるような光景でした。


ということで、非常に私の好みの画家でかなり満足できました。アンリ・ル・シダネルの作品は中々観る機会が無いのでこの展覧会の図録は大事にしようと思います。


 参照記事:★この記事を参照している記事



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BABY ALONE JANE BIRKIN par SHOICHI KAJINO 【ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX】

前回ご紹介した展示を観た後、銀座で買い物をしてから銀座のポーラミュージアム アネックスにハシゴして、「“BABY ALONE” JANE BIRKIN par SHOICHI KAJINO」を観てきました。

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【展覧名】
 “BABY ALONE” JANE BIRKIN par SHOICHI KAJINO

【公式サイト】
 http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/
 http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/detail.html

【会場】ポーラミュージアム アネックス (POLA MUSEUM ANNEX)  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東京メトロ 銀座駅・銀座一丁目駅 JR有楽町駅

【会期】2012年2月3日(金)~3月11日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況(平日18時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていてゆっくり観ることが出来ました。

今回の展示は梶野彰一 氏というフォトグラファー/ジャーナリスト/アートディレクターをやっている方の白黒の写真の展覧会となっていました。フランスの文化に造詣が深い方らしく、今回の展示のもう1人の主役である女優で歌手のJANE BIRKIN(ジェーン・バーキン)を撮った写真が並んでいました。ジェーン・バーキンは梶野彰一がフランスに憧れを深めて以来のミューズ的存在であるそうで、かねてから取材を重ね、2007年以降はステージを記録してきたとのことでした。
 参考リンク:ジェーン・バーキンのwikipedia

実際に展示されていたのはジェーン・バーキン(1946年生まれ)の家の中の写真や、マイクの前に立っている姿の写真でした。黒地を背景に黒い服を着ている写真が多いせいか、顔や手足の動きに目が行き、表情がよく出ているように思います。また、プライベートな感じの写真はとにかく笑顔が多くて、幸せそうな雰囲気がありました。ステージを撮ったものには大きく手を開く仕草などいかにもステージという写真もあるのですが、何故か後ろ姿や斜め後ろ辺りから撮ったものが何枚もあり、舞台裏から観たような感じを受けました。こちらにもステージでの気持ちが伝わってきそうな表情をしていました。


ということで、ジェーン・バーキンという人がどんな人なのかというのがイメージできそうな写真が並んでいました。笑顔が多くてその魅力を伝えてくれます。その為、私はジェーン・バーキンも梶野彰一 氏も知らなかったのですが十分に楽しめました。洒落た写真展です。



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第6回 shiseido art egg 鎌田友介展 【資生堂ギャラリー】

ここ数日、東京~有楽町~新橋あたりの記事が続いているので、今回も新橋近くの展示をご紹介しようと思います。先日、会社の帰りに資生堂ギャラリーで「第6回 shiseido art egg 鎌田友介展」を観てきました。

P2102967.jpg

【展覧名】
 第6回 shiseido art egg 鎌田友介展

【公式サイト】
 http://www.shiseido.co.jp/gallery/exhibition/index.html

【会場】資生堂ギャラリー  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】銀座駅 新橋駅など


【会期】2012年2月3日(金)~2月26日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間10分程度

【混み具合・混雑状況(平日18時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。

さて、今回の展示は以前ご紹介した「第6回 shiseido art egg」の3回ある会期の2回目となり、鎌田友介というアーティストの展示となっています。
 参考記事:第6回 shiseido art egg three展 (資生堂ギャラリー)

この方の詳しいプロフィールなどは分かりませんでしたが、東京藝術大学大学院で学んだそうで、1984年生まれらしいので若いアーティストのようです。作品は3点のみとなっていましたので、すべてご紹介しようと思います。

鎌田友介 「D frame (XYZ)」
黒い木枠を一旦壊して、四角を組みなおしたような作品です。壊れた部分がささくれているのが生々しい感じです。詳しい意味は分かりませんが、幾何学的でありつつ破壊的な雰囲気がありました。

鎌田友介 「D frame (reverse)」
アルミサッシや金属で出来た台形やひし形、微妙な形の四角など沢山の四角いフレームが部屋の周りを取り囲む作品です。フレームはお互いに複雑に組み合わさっていて、リズム感がありました。素材感や会場に合わせて作品の位置が上がったり下がったりしているのも含めて、構成が面白かったです。視点を変えるとまた違って見えました。

鎌田友介 「D frame (window)」
奥に凹んだ黒枠や、ひび割れたガラスで出来た作品が部屋の隅にはまっているような感じで、天井も壊れているように見えます、離れて見るとその形のせいで凹んでいるはずの角がこちら側に凸型に尖っているように見えました。目の錯覚を生むようなトリックが面白かったです。


ということで、点数は少ないですが発想が面白い作品が並び独特の空間となっていました。特に部屋を取り囲む「D frame (reverse)」は見応えがありました。ここは無料で観られますので、銀座~新橋に行く機会があったら覗いてみるのも良いかと思います。

 参照記事:★この記事を参照している記事




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ルドンとその周辺-夢見る世紀末展 (感想後編)【三菱一号館美術館】

今日は前回の記事に引き続き、三菱一号館美術館の「ルドンとその周辺-夢見る世紀末展」の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。

 前編はこちら

P2042915.jpg

まずは概要のおさらいです。

【展覧名】
 岐阜県美術館所蔵 ルドンとその周辺-夢見る世紀末展
 三菱一号館美術館 グラン・ブーケ 収蔵記念

【公式サイト】
 http://www.mimt.jp/redon2012/

【会場】三菱一号館美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【会期】2012年1月17日(火)~3月4日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
前編の第一部では白黒の作品についてご紹介しましたが、後編では色つきの作品と、象徴主義の画家たちの作品をご紹介しようと思います。


<第二部 色彩のルドン>
1890年代になると、科学万能の合理主義に嫌気をさした知識人達は精神的なものを取り戻そうしていたそうで、ルドンは若い画家達から先駆者として高い評価を受けたそうです。しかし、ルドンは黒の作品が高く評価された頃に色彩の世界に脱皮しようとしていたらしく、木炭に材質が似たパステルに移行し、さらに油彩にも挑戦していったようです。また、私生活でも1880年に結婚した妻のカミーユとの間に子供が誕生すると(1889年)、若い希望のシンボルとなったようです。
1898年にはペイルルバードの家が売却されたらしく、これはルドンの黒の時代の終了の象徴と言えるようです。その後の1900年代は肖像、花、神話など新しい分野にも作風を広げ名声が高まりました。そして1916年の第一次世界大戦の頃、息子が出征したのを案じながら76歳で肺炎で亡くなったそうです。ここにはそうした時代のパステルや油彩の作品が並んでいました。

72 オディロン・ルドン 「薔薇色の岩」
砂浜にある大きなピンク色の岩を描いた作品です。全体的に色は淡めで様々な色で岩肌の質感を出しています。周りには砂浜・海・空が広がっていて、ポツンと寂しい雰囲気でした。ルドンにこういう主題があるとは知らなかったので意外でした。

77 オディロン・ルドン 「ポール・ゴビヤールの肖像」
ピンク色のドレスを着た女性の横向きの姿を描いた作品で、この女性は女性画家のベルト・モリゾの姪だそうです。青っぽい背景で、頭の周りだけ影のように暗くなっていました。無表情で静かな雰囲気があります。
ルドンはナビ派の画家やコレクターとも交流があったそうです。

79 オディロン・ルドン 「オフィーリア」
暗闇の中、目をつぶって川に沈んでいくオフィーリア(ハムレットの登場人物)が描かれています。緑の水面に浸かっていて、顔も緑がかり力ない感じです。右上には月?がぼんやり浮かび、神秘的で悲劇的な雰囲気がありました。

81 オディロン・ルドン 「アポロンの戦車」
空飛ぶ4頭の馬たちと、その後ろに赤と黄色の炎のようなものが描かれた作品です。この炎がアポロンのようで、その下には蛇の姿があり退治されているようです。独特の淡い色使いで、幻想的な雰囲気がありました。解説によると、これはルーブル美術館のドラクロアのアポロンの間の天井画を参考にしたそうで、実際に模写も行なっていたようです。

84 オディロン・ルドン 「オルフェウスの死」
バッカスの巫女たちに八つ裂きにされた竪琴の名手オルフェウスの首が川に流れている様子を描いた作品です。周りは草木の葉や岩などが描かれ、オルフェウスは木のように茶色っぽい色が使われていました。細部ははっきりしていない感じで抽象的な感じでした。

86 オディロン・ルドン 「花」
花瓶に入った沢山の花々を描いた作品です。結構色鮮やかに描かれているように思うのですが、それでも神秘的な雰囲気を湛えているのが不思議です。花瓶の周りは台や背景の境なども無く、宙に浮かんでいるようにも思えました。
花は晩年によく描かれた主題で、この辺には花を描いた作品が並んでいました。
 参考記事:ポーラ美術館の常設


<第三部 ルドンの周辺-象徴主義の画家たち>
最後は象徴主義のコーナーです。伝統的な絵画の規則に頼らず夢を具現化したルドンはナビ派やムンクなど多くの画家に影響を与えたそうです。ここにはそうした画家やギュスターヴ・モローなど象徴主義を代表する画家の作品もありました。また、何故かこのコーナーに今回の目玉であるルドンの「グラン・ブーケ(大きな花束)」も展示されています。

95 ギュスターヴ・モロー 「ピエタ」
荒野の中で青い衣を着たマリアが十字架から降ろされた半裸のキリストを抱えている様子を描いた作品です。周りは暗くキリストとマリアはぼんやり明るく見えます。右下には悲しむ人々の顔もありました。静かに悲しんでいる様子が伝わり、繊細な描写でありながら神話的な雰囲気がありました。

この辺にはルドンが影響を受けたブレスダンの版画などもありました。恐ろしく緻密な作風です。

99 アンリ・ファンタン=ラトゥール 「幽霊船のフィナーレ」
ワグナーのオペラ「さまよえるオランダ人」に着想を得て作成されたリトグラフです。呪いをかけられ死ぬことが出来なかったオランダ人船長が、乙女ゼンタによって昇天していくシーンを描いているそうで、手を上げて天を仰ぎ見る白いドレスの女性と、その左下に黒い服の男性が描かれています。身体が背景に溶けこむようなぼんやりした感じや、流れを感じる表現が昇天の雰囲気を出していました。
この辺はラトゥールのいい作品が多くて、ラトゥール好きとしては嬉しい驚きです。ラトゥールは転写法リトグラフをルドンに薦めたそうです。

113 エドヴァルド・ムンク 「マドンナ」
これは有名な作品かな。ぐるぐるの線で表現された虚ろな目をした黒髪の女性を描いた作品です。周りには不穏な雰囲気の輪郭があり、全体的に退廃的で妖しい雰囲気があります。右下には痩せた胎児の姿もあり不気味さすら感じます。また、枠を囲うように赤地に白い精子のイメージの文様があり、これは無原罪懐胎を拒否するムンクの見解が込められているとのことでした。

続いて下の階へ移動します。またルドンの色彩の作品が並んでいました。

76 オディロン・ルドン 「翼のある横向きの胸像(スフィンクス)」 ★こちらで観られます
パステルの作品で、横向きの緑の頭の女性が描かれ、その背中には青い羽根を持っています。顔の周りは黄色くなっているなど、色の取り合わせが独特の雰囲気を出しています。スフィンクスは破滅を招くファム・ファタール(運命の女)のイメージがあるようですが、そんなに暗いところは無いように観えました。
なお、解説によると、これはロベール・ド・ドムシー男爵の所蔵品だったそうです。ロベール・ド・ドムシー男爵はこの後出てくるグラン・ブーケをルドンに依頼した人物らしく、この辺にはルドンと男爵についての解説などもありました。

オディロン・ルドン 「グラン・ブーケ(大きな花束)」 ★こちらで観られます
パトロンのロベール・ド・ドムシー男爵が食堂の装飾をルドンに依頼した際に作られた16点の作品のうちの1点です。他の15枚はオルセー美術館に所蔵されたようですがこの作品だけは当初の場所に残っていたらしく、2010年に外され日本では初めて展示されるようです。その名のとおり非常に大きな作品で248.3cm×162.9cmもの大画面に青い花瓶に入った色とりどりの花が描かれています。オレンジ、黄色、緑など明るめの色で見栄えがしつつ、それでいてルドン独特の神秘的な雰囲気があり、非常に素晴らしい作品でした。展覧会後に買った小冊子に他の15点も一緒に載っていましたが、この絵がずば抜けて良いです。

103 マックス・クリンガー 「[手袋] 2.行為」
エッチング作品で、手袋を拾おうとする男性と、それを落としたと思われる貴婦人、その奥にも3人の男女が描れています。これはローラースケート場らしく婦人と3人の人物は左右に身体が傾いているのが面白いです。(ローラースケート場ということを知らないとちょっと妖しい雰囲気かもw) その配置の仕方もリズムがありました。

この辺はクリンガーの「手袋」のシリーズが並んでいました。様々な手袋を題材にした作品が並びウィットに富んだシリーズです。
その隣はゴーギャンのコーナーで、水彩によるモノタイプの作品やノアノアの版画などが並んでいました。自刷とルイ・ロワ版を比較することもできます。
 参考記事:ゴーギャン展2009 (東京国立近代美術館)

126 エミール・ベルナール 「ポンタヴェンの市場」
沢山の人達で賑わう市場の風景を描いた油彩作品です。白い布を被って黒い服を着た女性たちや、赤や青、緑の果実や釣り下げられた帯状のものなど、平坦で単純化された作風で描かれています。強い色彩もナビ派らしく、これも良い作品でした。以前観たことがあるように思うのですが、どういう機会だったか思い出せず…

132 アリスティド・マイヨール 「山羊飼いの娘」
彫刻家として有名なマイヨールの油彩画で、マイヨールは当初は画家を目指していたそうです。この絵は積みわらのある畑を背景に山羊を連れて歩く農家の娘が描かれています。淡く平坦な感じの作風で、ナビ派に影響を受けているようでした。どこか爽やかな印象を受けます。

この部屋には他にナビ派のケル=グザヴィエ・ルセルの作品や、モーリス・ドニの「なでしこを持つ若い女」などもありました。
 参考記事:
  ロートレック・コネクション (Bunkamuraザ・ミュージアム)
  モーリス・ドニ -いのちの輝き、子どものいる風景- (損保ジャパン東郷青児美術館)

今回は1階にも展示が続いていました。

127 ポール・セリュジエ 「森の中の焚火」
暗い木の間で焚き火をしている3人の黒い衣の人物を描いた作品です。これは何かの儀式をしているのでは?とのことですが、焚き火の灯りが広がって神秘的な雰囲気がありました。平坦で単純化されたナビ派らしい作風でした。
 参考記事:オルセー美術館展2010 ポスト印象派 感想後編(国立新美術館)

78 オディロン・ルドン 「眼をとじて」
青を背景に眼を閉じている女性と、ケシの花?などが描かれた作品です。ルドンは眼を閉じた女性をよく描いていますが、これは静けさと共にやや明るめな雰囲気があるように思いました。解説によると曲線や花はアールヌーボーとの関連が見られるようです。
 参考記事:
  オルセー美術館展2010 ポスト印象派 感想後編(国立新美術館)
  世紀末、美のかたち (府中市美術館)


ということで、白黒作品も色彩作品も楽しめた上、象徴主義の面白い作品も観られる内容で大満足でした。元々私がルドンや象徴主義が好きというのもありますが、それを差し引いても良い展覧会だと思います。せっかくなので図録も買いました。


 参照記事:★この記事を参照している記事




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ルドンとその周辺-夢見る世紀末展 (感想前編)【三菱一号館美術館】

先日ご紹介した旧新橋停車場 鉄道歴史展示室の展示を観た後、三菱一号館美術館へ行って「岐阜県美術館所蔵 ルドンとその周辺-夢見る世紀末展 三菱一号館美術館 グラン・ブーケ 収蔵記念」を観てきました。かなり好みの作品が多く、メモも多めにとってきましたので、前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

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【展覧名】
 岐阜県美術館所蔵 ルドンとその周辺-夢見る世紀末展
 三菱一号館美術館 グラン・ブーケ 収蔵記念

【公式サイト】
 http://www.mimt.jp/redon2012/

【会場】三菱一号館美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅

【会期】2012年1月17日(火)~3月4日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
凄い混んでいるというわけではないですが、ここは館内に狭い所があるので、若干混雑した感じはありました。まあ、自分のペースで観るには支障のない程度です。

さて、今回の展示のメインは三菱一号館美術館の新収蔵品であるルドンの「グラン・ブーケ」ですが、それ以外のルドン作品の多くは岐阜美術館の所蔵品のようで、岐阜美術館はオディロン・ルドンの作品を250点ほど所有しているそうです。この展覧会は岐阜美術館の改修を機に139点もの作品が出品され、12人の象徴主義の画家の作品と共に紹介されていました。詳しくは気に入った作品と共にご紹介しようと思います。

 参考記事:
  黙示録―デューラー/ルドン (東京藝術大学大学美術館)
  19世紀フランス版画の闇と光 ― メリヨン、ブレダン、ブラックモン、ルドン (国立西洋美術館)


<第一部 ルドンの黒>
まずはルドンの版画のコーナーです。オディロン・ルドンは1840年にフランスのボルドーで生まれました。アメリカで財をなした父とフランス系アメリカ人の母を持ち裕福な家庭だったようですが、病弱で生まれて間もなくペイルルバードという荘園屋敷に送られ、親戚の老人に育てられたそうです。11歳で学校教育を受けるためにボルドーに連れ戻され、15歳になると地元の画家の家に通って手ほどきを受けたそうで、20代なかばにはパリで新古典主義の画家に師事しました。しかし、挫折してボルドーに戻り、ボルドーにいた放浪の版画家 ロドルフ・ブレスダンを通じて白黒の表現に可能性を見出したようです。1870年の普仏戦争の後、30代となったルドンはパリに家を借りて、冬はパリ 夏はペイルルバードで木炭画を作成したそうです。そして、「夢のなかで」のシリーズで実質的なデビューを果たしました。この章ではそうしたルドンの白黒の版画作品を中心に展示していました。

1 オディロン・ルドン 「浅瀬(小さな騎馬兵のいる)」
岩山の中に馬に乗った騎士たちが描かれたエッチングの作品です。解説によるとこれはブレスダンに倣って描いたそうで、「ローランの歌」という中世の騎士物語を思わせ、ロマン主義の美意識が反映されているようです。細かく線で陰影をつけていて、大きな岩山は雄大な雰囲気がありました。

7 オディロン・ルドン 「樹(樹のある風景の中の二人の人物)」
樹木の下にいる2人の人物を描いた木炭画です。全体的に暗くぼんやりした感じで、人に比べると樹が大きく感じられます、ルドンはカミーユ・コローにも会ったことがあるそうで、「想像の隣に自然を描くように」というアドバイスを受け、これをずっと守ったそうです。 確かにこの作品はコロー風の樹の表現や柔らかい空気が感じられるように思いました。

この辺にはルーヴル美術館にあるルネサンス期の作品の模写などもありました。他には骸骨を持ったハムレットなど、早くも神秘的な雰囲気の作品も観られます。

15 オディロン・ルドン 「[夢のなかで] 2.発芽」
暗闇の中に浮かぶ人の顔が3つくらい描かれた作品です。ポツンポツンと浮かんでいて、隕石のようにも見えるかな。その目はどこか虚ろな感じでした。黒の使い方に深さを感じます。

この部屋は「夢のなかで」のシリーズが続きます。

18 オディロン・ルドン 「[夢のなかで] 5.賭博師」
大きなサイコロを背負った人物が描かれた作品です。手前には黒い木が3本描かれ、枯れ木のように見えます。何かの罰を受けているのか、荒涼として寂しい雰囲気がありました。

21 オディロン・ルドン 「[夢のなかで] 8.幻視」
円柱の並ぶ宮殿のような所に、大きな目玉が浮いている様子が描かれた作品です。これはギュスターヴ・モローの「出現」を元にしているそうで、モローの作品では洗礼者ヨハネの首が描かれているのに対して目玉になっています。目玉からは光が発せられているような表現で、手前にはそれを見ている男女の姿があり、その2人との比較で目玉の大きさを感じました。ちょっと不気味ですが、目玉はルドンの作品によく出てきて幻想的な効果を生んでいるように思います。

23 オディロン・ルドン 「[夢のなかで] 10.皿の上に」
足のついた皿の上に置かれた人の首を描いた作品です。棘のついた兜を被っているのですが、これはプロシア軍が被っていたものを思わせるそうです。またテーブルの脇にはピッケルが落ちているのもそれに関連するようです。 眼は虚ろで観ていて不安な気分になりました。

この辺には骸骨を描いた作品や、黒い太陽と呼ばれる黒円をモチーフにした作品、気球を描いた作品などが並んでいます。気球はパリがプロシア軍に包囲された際には通信手段として使われたとも解説されていました。

30 オディロン・ルドン 「[エドガー・ポーに] 1.眼は奇妙な気球のように無限に向かう」 ★こちらで観られます
これは有名な作品で、何年か前のbunkamuraでのルドン展でもポスターに使っていた記憶があります。まつげが沢山生えた目玉が気球となっていて、皿に乗った人の頭を乗せています。その取り合わせも奇妙ですが、白黒の濃淡がさらに不思議さを増す効果があるようにい思いました。

なお、「エドガー・ポーに」は2番目の石版画集で、喪失感に満ちたエドガー・アラン・ポーの文学世界はルドンの絵にも影響を与えたようです。この作品では特にエドガー・アラン・ポーの小説に取材しているわけではないようですが、それとなく暗示しながら空想しているようでした。

26 オディロン・ルドン 「沼の花」
水面から茎を伸ばす植物に人間の頭がついている人面花を描いた作品です。その表情はぼんやりしていて、目が死んでいるような感じです。背景には舞い飛ぶ白い鳥たちの姿があるので、かえってじっとしているように観えました。
ルドンは1880~85年辺りにこうした人間の頭の植物を描いていたそうです。ボルドーの植物園で働いていた植物学者のアルマン・グラヴォ-という人物との関係性が指摘されているそうで、この人はルドンの文化的・精神的な師のようなもので、進化論や生物学、文学などへの感心を誘うなどルドンに影響を与えたそうです。

この辺にはこうした目玉を描いたインパクトのある作品や人の頭の植物を描いた作品などが並んでいました。「ゴヤ頌」という作品もあり、ルドンはしばしばゴヤに例えられていたそうです。2人に直接的な関係はありませんが、ゴヤも晩年でボルドーで過ごしています。確かにこの作風ならそう言われるかもしれません。生まれ変わりじゃないか?なんて思われてそうw
 参考記事:
  プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影 感想前編(国立西洋美術館)
  プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影 感想後編(国立西洋美術館)

42 オディロン・ルドン 「[夜] 3.堕天使はその時黒い翼を開いた」
黒い翼を持った禿頭の裸体の男性が描かれ、この人物が堕天使のようです。しかし年老いて飛べないそうで、左上に描かれた太陽に眼を向けています。どこか力なく後悔しているようにも観えました。

この辺にはベルギーの20人会のオクターヴ・マウスに贈った作品などもありました。ルドンは20人会の展覧会に招待されていたようです。
 参考記事:
  アントワープ王立美術館コレクション展 (東京オペラシティアートギャラリー)
  ベルギー王立美術館コレクション『ベルギー近代絵画のあゆみ』 (損保ジャパン東郷青児美術館)

48 オディロン・ルドン 「[夢想(わが友アルマン・クラヴォーの思い出に)] 1.それは一枚の帳、ひとつの刻印であった」
アルマン・クラヴォーの顔が聖顔布のように布に描かれている作品です。口を結んでいて無表情に見え、虚ろな感じもします。ルドンに精神的に影響を与えた人物ですが、最後は首をつって亡くなったそうです。
このシリーズも6点ほど並んでいました。いずれも幻想的です。

44 オディロン・ルドン 「蜘蛛」
これも有名な作品かな。ニヤリとした顔の蜘蛛(と言うか「まっくろくろすけ」に細長い足が生えたような)を描いた作品です。蜘蛛に対する不合理な恐怖を巡る心理学的関心を元に描いたそうですが、あまり怖くなく、むしろ愛嬌があるように思えました。それにしても何を笑っているのだろうか…。

この辺には「眼をとじて」のリトグラフもありました。
 参考記事:
  オルセー美術館展2010 ポスト印象派 感想後編(国立新美術館)
  世紀末、美のかたち (府中市美術館)

59 オディロン・ルドン 「光」
大きな窓に巨人のように大きな人が、顎を指でつまむようにして物思いに耽っている様子を描いた作品です(窓ではなく画中画?) その前には身振りをしながら見ている2人の人物の姿もありました。枠の中は白っぽくなっていて、ここまで観てきた作品と比べると明るく見えるかな。解説によると1890年代からは黒から光に向かって変容していった時期だそうです。

この近くには女性の横顔を描いた肖像が3点くらいありました。ルネサンス風の構図もあります。


ということで、今日はこの辺にしておこうと思います。版画だけでも幻想的な世界となっていて、独特の感覚を味わうことが出来ました。さらに2章には今回の目玉作品もありましたので、次回はそれを含めてご紹介しようと思います。


 → 後編はこちら



 参照記事:★この記事を参照している記事



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HARBS(ハーブス)【東京駅界隈のお店】

今日は帰りが遅かったので軽めの記事です^^; 前回ご紹介した展示を観に行った後、三菱一号館美術館にハシゴしたのですが、その後に丸ビルの中にある「HARBS(ハーブス)丸ビル店」というお店でお茶してきました。

P2042921.jpg

【店名】
 HARBS(ハーブス)丸ビル店

【ジャンル】
 カフェ

【公式サイト】
 http://www.harbs.co.jp/harbs/
 食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13090618/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 東京駅、二重橋前駅、大手町駅など

【近くの美術館】
 三菱一号館美術館、出光美術館 など


【この日にかかった1人の費用】
 1300円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日18時半頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
お茶するにはかなり遅い時間でしたが、結構お客さんが多くてギリギリ座れるくらいでした。

このお店は以前ご紹介した六本木ヒルズにあるお店と同じ系列で、丸ビルの3階にあります。
 参考記事:HARBS(ハーブス) 【六本木界隈のお店】

お店の雰囲気はこんな感じ。
P2042922.jpg
落ち着いた雰囲気で、丸の内の街角を眺めながらお茶することが出来ました。

この日はミルクレープ(700円)とストロング(600円)のコーヒーにしました。連れはグリーンティー(600円)
P2042924.jpg
ここのケーキは結構ボリュームがあるし値段も高めなので、2等分してもらいましたw

まずはコーヒー。
P2042927.jpg
苦味とコクがあって美味しいです。多分以前飲んだのと同じではないかと思いますが、今回はそれほど強くはないように感じました。(その日の感覚の誤差の範囲ということでw)

続いてミルクレープ。ここの人気メニューのようです。(写真は2等分したものです)
P2042930.jpg
イチゴ、キウイ、バナナ、メロンなど、フルーツ自体も美味しくてクレープとクリームもちょうど良い甘さでした。かなり美味しいです。

グリーンティーは玄米茶のような香ばしい匂いがしていました。
P2042928.jpg
こちらは2杯分くらいあるのでじっくり楽しめそうです。


ということで、値段は高いですが落ち着いた雰囲気の中で美味しいケーキとお茶を楽しめるお店でした。この系列もどこへ行っても美味しいようなので、また他の支店にも行ってみようと思います。




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現代絵画の展望 24の時の瞳 後期:この頃 【旧新橋停車場 鉄道歴史展示室】

先週の土曜日に、旧新橋停車場 鉄道歴史展示室へ行って、「現代絵画の展望 24の時の瞳」の後期展示「この頃」を観てきました。

P2042912.jpg

【展覧名】
 現代絵画の展望 24の時の瞳
(前期:あの頃・後期:この頃)

【公式サイト】
 http://www.ejrcf.or.jp/shinbashi/

【会場】旧新橋停車場 鉄道歴史展示室  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】JR/東京メトロ 新橋駅  都営大江戸線汐留駅


【会期】
 前期:~あの頃~ 2011年12月06日(火)~2012年01月29日(日)
 後期:~この頃~ 2012年01月31日(火)~2012年03月18日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていてゆっくりと観ることができました。

さて、この展示は以前ご紹介した前期が「あの頃」、後期が「この頃」となっていて、今回は同じ作家の最近の作品が展示されていました。全部の作品が入れ替わっていましたので、改めて気に入った作品をご紹介しようと思います。
 参考記事:現代絵画の展望 24の時の瞳 前期:あの頃 (旧新橋停車場 鉄道歴史展示室)

元永定正 「かたちみっつとながれたち」
黒地に星を思わせる青や緑の点が描かれ、そこに幾何学的な宇宙船のようなものが浮かんでいるような光景です。下の方には緑がうねって茂みのようになっていました。詳しい意味はわかりませんが、宇宙的でどこか楽しい雰囲気がありました。

森村泰昌 「自画像としての[私](メデューサ)」
頭に無数の蛇の髪を持つメデューサを描いたものですが、顔は作者本人のようで口を大きく開けて、目を見開いています。首は血しぶきを出していて、首をはね飛ばされた直後の様子のようでした。写実的に描かれているので妙にリアリティがある反面、どこか神話画を思わせる様式に観えました。何故メデューサを自画像に使おうと思ったのか…その発想が面白いです。

横尾忠則 「真夜中の晩鐘」 ★こちらで観られます
これは後期展示のポスターにもなっている作品です。現代の日本のY字路が描かれ、周りは闇に染まり真夜中のようです。その交差点の手前にはミレーの「晩鐘」に出てくる男女が祈りを捧げていました。これも何故現代の交差点にミレーの晩鐘を組み合わせたのかは謎ですが、その為か普通の道端が静かで神秘的な場所のように観えました。

三輪美津子 「Body No.9」
沢山のじゃがいも?が山積みにされた様子を描いた作品です。様々な色を使って筆跡を残すタッチで描かれていました。その色合いからややポップな楽しさを感じ、軽やかな雰囲気すら感じられました。

遠藤彰子 「透影」
中央にある3階建てのレンガ造りの建物を中心に、駅や街の様子が描かれた作品です。全体的に歪んで見えて、沢山の人々が思い思いに過ごしているようでした。
どこか懐かしさを覚えますがシュルレアリスム的な幻想的な光景でした。

三瀬夏之介 「エディプスの子」
巨大な屏風のような作品で、モノトーンでざらざらした質感の円形や抽象的な何かを描いています。その質感が風化したような独特の面白さがありました。


ということで、前期に比べるとちょっと難しめの作品が多かったかな。それだけ表現の深みが増している作家が集まっているのだと思いますが、できれば簡単な解説でもあればという感じでした。

 参照記事:★この記事を参照している記事





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