Archive | 2012年03月
前回ご紹介した東京国立博物館 本館18室の展示を観た後、常設も観てきました。今回も写真を撮ってきましたので、それを使ってご紹介しようと思います。今回は「桜めぐり」という展示名がついた作品もあり、お花見に関する作品が多めとなっていました。
「桜めぐり」期間:2012年3月20日(火) ~ 2012年4月15日(日)
※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れます。(撮影禁止の作品もあります)
もし掲載に問題がある場合はすぐに下げますのでお申し付けください。
公式サイト
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=B01&processId=00&mansion_id=M1
参考記事:
東京国立博物館の案内 【建物編】
東京国立博物館の案内 【常設・仏教編】
東京国立博物館の案内 【常設・美術編】
東京国立博物館の案内 【2009年08月】
東京国立博物館の案内 【2009年10月】
東京国立博物館の案内 【2009年11月】
東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放】
東京国立博物館の案内 【2009年12月】
東京国立博物館の案内 【2009年12月】 その2
東京国立博物館の案内 【2010年02月】
東京国立博物館の案内 【2010年06月】
東京国立博物館の案内 【2010年11月】
博物館に初もうで (東京国立博物館 本館)
本館リニューアル記念 特別公開 (東京国立博物館 本館)
東京国立博物館の案内 【2011年02月】
東京国立博物館の案内 【2011年07月】
東京国立博物館の案内 【2011年11月】
博物館に初もうで 2012年 (東京国立博物館 本館)
東京国立博物館140周年 新年特別公開 (東京国立博物館 本館)
まずは「東京国立博物館コレクションの保存と修理」という特集陳列のコーナーを観ました(期間:2012/2/21~4/1)
河鍋暁斎 「花鳥」

剥落などがあったようですが剥落を止めて表装もしなおしたそうです。極彩色で濃密かつ緻密な描写が妖しい魅力でした。
続いては本館2階の特別1室で「江戸時代の地図」という特集陳列を観ました。(期間:2012/2/14~3/25)
「アジア航海図」

安土桃山時代~江戸時代の日本人がヨーロッパの海図を元に描いたそうです。アフリカあたりまで描かれていて驚きです。しかも結構しっかりしています。
「エラスムス立像」

これは1600年に九州に漂着したオランダ船リーフデ号の船尾にあった像だそうです。リーフデ号の漂着が両国の貿易に繋がったので、歴史的に非常に貴重なものではないかと思います。
伊能忠敬 「日本沿海輿地図(中図)東北」
伊能忠敬 「日本沿海輿地図(中図)関東」

有名な伊能忠敬の縮尺21万6000分の1の地図です。航空写真ではないかと思うほどの精巧さでした。
狩野長信 「花下遊楽図屏風」

これは前も紹介したかも?? 国宝室に展示されていたもので、右隻の第3~4扇は関東大震災で失われたそうです。今も昔も変わらぬ花見の楽しさが伝わってきます。
「十六羅漢像(第六尊者)」

これは鎌倉時代の作品。いまなお色鮮やかで目をひきました。
伝狩野元信 「西王母・東方朔図(旧大仙院方丈障壁画)」

東方朔(とうほうさく)は西王母(せいおうぼ)の桃を盗み食いして不老長寿となった人物です。どういうシーンかわかりませんが物語の1場面のように思われます。 これは元は襖絵だったのだとか。
雪舟等楊 「四季山水図(春)」 「四季山水図 (夏)」

右が春で左が夏です。これは雪舟が中国滞在中に描いた作品と考えられるそうで、中国的傾向が強いそうです。
立林何げい 「松竹梅図屏風」

この人は尾形乾山の江戸での弟子だそうです。単純化された意匠は乾山の兄弟の光琳の作風を思わせました。
筆者不明 「紅白梅図屏風」

華やかな印象を受けた作品。向かい合う梅の構図が対になるように感じたのですが、左右を入れ替えても構図がまとまるそうです。
与謝蕪村 「山野行楽図屏風」

俳人としても有名な蕪村の文人画。ちょっとのんびりした感じがしました。三角形になった構図が面白い。
狩野探幽 「漢武帝・西王母・林和靖図」

探幽の3幅セットの作品。中国的な雰囲気が漂います。
尾形光琳 「竹梅図屏風」

少ない色数なのに豊かな表現なのが驚きです。単純化のセンスも流石でした。
伊藤若冲 「松樹・梅花・孤鶴図」

体の曲線が丸々した姿の鶴の後ろ姿。松の葉の筆の速さや梅の花の単純化など、自由自在な感じです。
岸駒 「月梅図」

月を背に咲く梅。薄っすらとした闇に浮かんで神秘的でした。
円山応挙 「郭子儀携小童図」

結構写実的に描かれた中国の人物。武勲で出世した軍人のようですが、これで観ると優しそうに観えました。
冷泉為恭 「忠度出陣之図」

やまと絵風の雅な作品。忠度というのは平忠度という平清盛の異母弟のようです。
渡辺崋山 「牧牛図」

何とものんびりした微笑ましい光景でした。
歌川広重 「名所江戸百景・品川御殿やま」

品川の御殿山を描いた作品。桜が満開で皆で見に行っているのかな?
続いて再度1階へ。絵画以外の作品もご紹介します。
「御所車蒔絵硯箱」

絢爛かつ雅な雰囲気の蒔絵の硯箱。様々な技術を駆使しているそうです。
「金銅聖観音懸仏」

これは鎌倉時代の作品。優しい雰囲気の顔が印象的でした。
「太刀 福岡一文字吉房」

これは国宝の刀。身幅が広く華やかな丁子刃に映りの立った作風とのことでしたが、やはり刀剣の鑑賞は難しいw
仁阿弥道八 「色絵桜樹図透鉢」

乾山焼に倣った作品。所々に穴が開いていたりして桜並木の雰囲気がありました。華やかです。
野々村仁清 「瀬戸釉平水指」

仁清にしては渋い印象を受けた作品。仁清が修行した瀬戸焼の作を連想させるのだとか。
ということで、今回も常設を楽しむことができました。ここの本館はいつでも特別展並に充実しているので、特別展へ行く機会があったら常設も観ることをお勧めします。
「桜めぐり」期間:2012年3月20日(火) ~ 2012年4月15日(日)
※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れます。(撮影禁止の作品もあります)
もし掲載に問題がある場合はすぐに下げますのでお申し付けください。
公式サイト
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=B01&processId=00&mansion_id=M1
参考記事:
東京国立博物館の案内 【建物編】
東京国立博物館の案内 【常設・仏教編】
東京国立博物館の案内 【常設・美術編】
東京国立博物館の案内 【2009年08月】
東京国立博物館の案内 【2009年10月】
東京国立博物館の案内 【2009年11月】
東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放】
東京国立博物館の案内 【2009年12月】
東京国立博物館の案内 【2009年12月】 その2
東京国立博物館の案内 【2010年02月】
東京国立博物館の案内 【2010年06月】
東京国立博物館の案内 【2010年11月】
博物館に初もうで (東京国立博物館 本館)
本館リニューアル記念 特別公開 (東京国立博物館 本館)
東京国立博物館の案内 【2011年02月】
東京国立博物館の案内 【2011年07月】
東京国立博物館の案内 【2011年11月】
博物館に初もうで 2012年 (東京国立博物館 本館)
東京国立博物館140周年 新年特別公開 (東京国立博物館 本館)
まずは「東京国立博物館コレクションの保存と修理」という特集陳列のコーナーを観ました(期間:2012/2/21~4/1)
河鍋暁斎 「花鳥」

剥落などがあったようですが剥落を止めて表装もしなおしたそうです。極彩色で濃密かつ緻密な描写が妖しい魅力でした。
続いては本館2階の特別1室で「江戸時代の地図」という特集陳列を観ました。(期間:2012/2/14~3/25)
「アジア航海図」

安土桃山時代~江戸時代の日本人がヨーロッパの海図を元に描いたそうです。アフリカあたりまで描かれていて驚きです。しかも結構しっかりしています。
「エラスムス立像」

これは1600年に九州に漂着したオランダ船リーフデ号の船尾にあった像だそうです。リーフデ号の漂着が両国の貿易に繋がったので、歴史的に非常に貴重なものではないかと思います。
伊能忠敬 「日本沿海輿地図(中図)東北」
伊能忠敬 「日本沿海輿地図(中図)関東」


有名な伊能忠敬の縮尺21万6000分の1の地図です。航空写真ではないかと思うほどの精巧さでした。
狩野長信 「花下遊楽図屏風」

これは前も紹介したかも?? 国宝室に展示されていたもので、右隻の第3~4扇は関東大震災で失われたそうです。今も昔も変わらぬ花見の楽しさが伝わってきます。
「十六羅漢像(第六尊者)」

これは鎌倉時代の作品。いまなお色鮮やかで目をひきました。
伝狩野元信 「西王母・東方朔図(旧大仙院方丈障壁画)」

東方朔(とうほうさく)は西王母(せいおうぼ)の桃を盗み食いして不老長寿となった人物です。どういうシーンかわかりませんが物語の1場面のように思われます。 これは元は襖絵だったのだとか。
雪舟等楊 「四季山水図(春)」 「四季山水図 (夏)」

右が春で左が夏です。これは雪舟が中国滞在中に描いた作品と考えられるそうで、中国的傾向が強いそうです。
立林何げい 「松竹梅図屏風」

この人は尾形乾山の江戸での弟子だそうです。単純化された意匠は乾山の兄弟の光琳の作風を思わせました。
筆者不明 「紅白梅図屏風」

華やかな印象を受けた作品。向かい合う梅の構図が対になるように感じたのですが、左右を入れ替えても構図がまとまるそうです。
与謝蕪村 「山野行楽図屏風」

俳人としても有名な蕪村の文人画。ちょっとのんびりした感じがしました。三角形になった構図が面白い。
狩野探幽 「漢武帝・西王母・林和靖図」

探幽の3幅セットの作品。中国的な雰囲気が漂います。
尾形光琳 「竹梅図屏風」

少ない色数なのに豊かな表現なのが驚きです。単純化のセンスも流石でした。
伊藤若冲 「松樹・梅花・孤鶴図」

体の曲線が丸々した姿の鶴の後ろ姿。松の葉の筆の速さや梅の花の単純化など、自由自在な感じです。
岸駒 「月梅図」

月を背に咲く梅。薄っすらとした闇に浮かんで神秘的でした。
円山応挙 「郭子儀携小童図」

結構写実的に描かれた中国の人物。武勲で出世した軍人のようですが、これで観ると優しそうに観えました。
冷泉為恭 「忠度出陣之図」

やまと絵風の雅な作品。忠度というのは平忠度という平清盛の異母弟のようです。
渡辺崋山 「牧牛図」

何とものんびりした微笑ましい光景でした。
歌川広重 「名所江戸百景・品川御殿やま」

品川の御殿山を描いた作品。桜が満開で皆で見に行っているのかな?
続いて再度1階へ。絵画以外の作品もご紹介します。
「御所車蒔絵硯箱」

絢爛かつ雅な雰囲気の蒔絵の硯箱。様々な技術を駆使しているそうです。
「金銅聖観音懸仏」

これは鎌倉時代の作品。優しい雰囲気の顔が印象的でした。
「太刀 福岡一文字吉房」

これは国宝の刀。身幅が広く華やかな丁子刃に映りの立った作風とのことでしたが、やはり刀剣の鑑賞は難しいw
仁阿弥道八 「色絵桜樹図透鉢」


乾山焼に倣った作品。所々に穴が開いていたりして桜並木の雰囲気がありました。華やかです。
野々村仁清 「瀬戸釉平水指」

仁清にしては渋い印象を受けた作品。仁清が修行した瀬戸焼の作を連想させるのだとか。
ということで、今回も常設を楽しむことができました。ここの本館はいつでも特別展並に充実しているので、特別展へ行く機会があったら常設も観ることをお勧めします。
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前々回、前回とご紹介した東京国立博物館の特別展を観た後、本館に移動して1階の18室で「黒田清輝-作品に見る「憩い」の情景」を観てきました。

【展覧名】
黒田清輝-作品に見る「憩い」の情景
【公式サイト】
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1452
【会場】東京国立博物館 本館18室 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年2月21日(火) ~ 2012年4月1日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況(祝日16時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
常設は空いていてゆっくり観ることができました。
さて、この展示は日本西洋画界の偉人とも言える黒田清輝の展覧会となっています。この18室では定期的に黒田清輝の作品が展示されているようで、今までも何度かご紹介していますが、今回も代表作と言える作品も含めて展示されていました。本館の常設はルールを守れば撮影禁止作品以外は写真を撮ることができますので、撮ってきた写真を使ってこの展覧の一部をご紹介しようかと思います。
参考記事:
ぬぐ絵画-日本のヌード 1880-1945 (東京国立近代美術館)
黒田清輝と京都 (東京国立博物館 本館18室)
黒田記念館の案内 (2010年11月)
近代日本洋画の巨匠 黒田清輝展 (岩手県立美術館)
農村(田園)へのまなざし (東京国立博物館 本館18室)
黒田清輝のフランス留学 (東京国立博物館)
黒田清輝 「マンドリンを持てる女」

これはフランス時代にサロン出品の為に描かれた作品のようです。くつろいで親しげな表情に観えました。
この辺には以前ご紹介した「読書」や「舞妓」も展示されていました。
黒田清輝 「美人散歩(逍遥)」

これは日本に帰国した頃に描かれた作品だそうです。柔らかく気品のある雰囲気で、師のラファエル・コランの影響を感じます。
この辺には「昔語り」の下絵も展示されていました。
黒田清輝 「昼寝」

これは日本で描かれた初期の作品だそうですが、最初に観た時はちょっと驚きました。印象派の筆触分割の技法を使っているそうで、他の作品に比べて色が強いように思えます。
黒田清輝 「書見」

後の夫人の父親をモデルにした作品です。正面から陽が当たっているような感じがします。
黒田清輝 「大磯」

大磯の海岸を描いた作品で、のんびりした夏の日を思い出させます。
黒田清輝 「海辺の遊び」

こちらも海を主題にした作品。子供たちが遊んでいる様子が微笑ましい。
黒田清輝 「夏図画稿(女の顔)」

これは黒田清輝の作品によく描かれているマリア・ビョーじゃないかな。ここには沢山の画稿が展示されていました。
黒田清輝 「野辺(画稿)」

これはポーラ美術館にある「野辺」の下絵。本画とかなり近い作品に思いました。
参考記事:ポーラ美術館の常設
黒田清輝 「花野下絵」「花野」

こちらは下絵と本画がセットで展示されていました。理想的な女性美を感じさせます。
黒田清輝 「湖畔」

後の夫人をモデルに箱根で描かれた作品で、パリ万博に出品された黒田清輝の代表作です。涼しげで遠くを見るような表情が魅力的でした。
ということで、憩いというタイトルはおまけのような感じですが、傑作が並ぶ展示でした。特に「湖畔」や今回は紹介しなかった「読書」「舞妓」などは代表作でもあるので、特別展に行く機会があったらこちらも観ておいた方が良いかと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
黒田清輝-作品に見る「憩い」の情景
【公式サイト】
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1452
【会場】東京国立博物館 本館18室 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年2月21日(火) ~ 2012年4月1日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況(祝日16時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
常設は空いていてゆっくり観ることができました。
さて、この展示は日本西洋画界の偉人とも言える黒田清輝の展覧会となっています。この18室では定期的に黒田清輝の作品が展示されているようで、今までも何度かご紹介していますが、今回も代表作と言える作品も含めて展示されていました。本館の常設はルールを守れば撮影禁止作品以外は写真を撮ることができますので、撮ってきた写真を使ってこの展覧の一部をご紹介しようかと思います。
参考記事:
ぬぐ絵画-日本のヌード 1880-1945 (東京国立近代美術館)
黒田清輝と京都 (東京国立博物館 本館18室)
黒田記念館の案内 (2010年11月)
近代日本洋画の巨匠 黒田清輝展 (岩手県立美術館)
農村(田園)へのまなざし (東京国立博物館 本館18室)
黒田清輝のフランス留学 (東京国立博物館)
黒田清輝 「マンドリンを持てる女」

これはフランス時代にサロン出品の為に描かれた作品のようです。くつろいで親しげな表情に観えました。
この辺には以前ご紹介した「読書」や「舞妓」も展示されていました。
黒田清輝 「美人散歩(逍遥)」

これは日本に帰国した頃に描かれた作品だそうです。柔らかく気品のある雰囲気で、師のラファエル・コランの影響を感じます。
この辺には「昔語り」の下絵も展示されていました。
黒田清輝 「昼寝」

これは日本で描かれた初期の作品だそうですが、最初に観た時はちょっと驚きました。印象派の筆触分割の技法を使っているそうで、他の作品に比べて色が強いように思えます。
黒田清輝 「書見」

後の夫人の父親をモデルにした作品です。正面から陽が当たっているような感じがします。
黒田清輝 「大磯」

大磯の海岸を描いた作品で、のんびりした夏の日を思い出させます。
黒田清輝 「海辺の遊び」

こちらも海を主題にした作品。子供たちが遊んでいる様子が微笑ましい。
黒田清輝 「夏図画稿(女の顔)」

これは黒田清輝の作品によく描かれているマリア・ビョーじゃないかな。ここには沢山の画稿が展示されていました。
黒田清輝 「野辺(画稿)」

これはポーラ美術館にある「野辺」の下絵。本画とかなり近い作品に思いました。
参考記事:ポーラ美術館の常設
黒田清輝 「花野下絵」「花野」

こちらは下絵と本画がセットで展示されていました。理想的な女性美を感じさせます。
黒田清輝 「湖畔」

後の夫人をモデルに箱根で描かれた作品で、パリ万博に出品された黒田清輝の代表作です。涼しげで遠くを見るような表情が魅力的でした。
ということで、憩いというタイトルはおまけのような感じですが、傑作が並ぶ展示でした。特に「湖畔」や今回は紹介しなかった「読書」「舞妓」などは代表作でもあるので、特別展に行く機会があったらこちらも観ておいた方が良いかと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事
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今日は前回の記事に引き続き、東京国立博物館平成館の特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。
前編はこちら

まずはおさらいです。
【展覧名】
東京国立博物館140周年 特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」
【公式サイト】
http://www.boston-nippon.jp/
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1416
http://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/category/15/
【会場】東京国立博物館 平成館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年3月20日(火) ~ 2012年6月10日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
3時間00分程度
【混み具合・混雑状況(祝日13時半頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
前編は仏教美術や中世までの作品が中心でしたが、後編は主に近世の作品が並んでいました。構成上は6章となっている刀剣と織物のコーナーは4章より前に展示されていましたので、観てきた順にご紹介しようと思います。
<第6章 アメリカ人を魅了した日本のわざ-刀剣と染織>
第2会場の最初は刀剣と織物のコーナーです。明治時代、工芸品は日本の経済を支える重要な輸出品だったそうで、ここには絢爛豪華な作品が並んでいました。
87 「唐織 紅地流水芦菊槌車模様」
加賀藩前田家に伝来した唐織の着物です。能に使われた特注品だそうで、背中の中心線から左右対になるように、赤地に流水や菊の花、笹などが刺繍されています。絵画とも思えるような緻密なデザインで、流麗な雰囲気がありました。非常に煌びやかな着物でした。
この辺は能装束や小袖などもありました。
84 「帷子 染分麻地御座船梅竹模様」
これは友禅染の着物で、上半分は青地に金や赤を使った光琳模様の梅枝模様、下半分は白地に舟遊びに興じる人々が刺繍されています。夏用の着物らしくそれに相応しく涼しげで洒落た雰囲気がありました。
続いては刀剣のコーナーです。長船派や一文字派の刀剣が並んでいて、凛とした雰囲気だったのですが、刀剣は鑑賞するのが難しいのであまりメモをしませんでしたw (波紋や沸の違いなどの解説もあったと思います)
80 「梨地家紋散糸巻太刀」
非常に豪華な金蒔絵が施された鞘に収まった太刀です。側面に家紋のようなものが10個くらい並んでいて、柄の辺りには緻密な装飾が施されていました。飾り用かな??
81 「梨地鳳凰螺鈿金装飾剣」
公家が儀式などで使うための刀で、金蒔絵と螺鈿で鳳凰を表した装飾の鞘に収まっています。所々に緑の翡翠のようなものがあるのが豪華で気品がありました。
<第4章 華ひらく近世絵画>
続いては安土桃山時代から江戸時代の絵画のコーナーです。錚々たる巨匠が名を連ねる充実のコレクションとなっていました。
44 長谷川等伯 「龍虎図屏風」 ★こちらで観られます
水墨の六曲一双の屏風で、左に虎、右に龍が描かれています。虎は崖の上で首を傾げるように龍の方を睨んでいて、濃淡によって毛並みや立派な体つきが表現されていました。それに対して龍は雲間から頭を覗かせています。ぎょろっとした眼をして、太めの輪郭で描かれているので迫力を感じます。また、龍の周りが暗くなっているのも風格を強めているように思いました。解説によると、これは中国南宋の牧谿(もっけい)の龍虎図に学んで描かれたそうです。(右隻下には自雪舟五代長谷川法眼等伯筆六十八歳と書いてあり、既に評価されていたことや、雪舟五代を名乗っていたことも分かります) 目の前で見ると本当に見事な作品でした。
参考記事:
日本の美・発見VI 長谷川等伯と狩野派 (出光美術館)
没後400年 特別展「長谷川等伯」 感想前編(東京国立博物館 平成館)
没後400年 特別展「長谷川等伯」 感想後編(東京国立博物館 平成館)
49 狩野永納 「四季花鳥図屏風」 ★こちらで観られます
金地の六曲一双の屏風です。右隻は緑鮮やかな松や白い牡丹、たんぽぽなどの春夏の花と鳥たちが描かれています。左隻にはススキや鴛鴦、雁、雪の積る梅や椿など秋冬の花鳥が描かれていました。やまと絵のような鮮やかな色合いで、岩肌の表現などは力強さがある一方で、雅な雰囲気もあり見栄えがしました。
56 伊藤若冲 「鸚鵡図」 ★こちらで観られます
棒状の豪華な装飾品の上にとまっている真っ白なオウムを描いた作品です。立派なとさかで横を向いているのですが、特に驚くのは透けるような羽です。よく観るとレース編みのように描かれていて驚異的な緻密さでした。似た作品は何度か観た覚えがありますが、これは動植綵絵(どうしょくさいえ)より前に描かれたもので、動植綵絵の「老松鸚鵡図」とは左右反転しているそうです。
参考記事:
伊藤若冲 アナザーワールド (千葉市美術館)
伊藤若冲 アナザーワールド 2回目(千葉市美術館)
皇室の名宝―日本美の華 <1期> 感想前編(東京国立博物館 平成館)
57 伊藤若冲 「十六羅漢図」
4幅対の水墨の掛け軸で、木の下で座る羅漢が1枚に1人ずつ描かれています。衣などは真っ黒な太い輪郭で描く大胆な表現であるのに対して、ヒゲや眉毛は毛の1本1本まで描かれたような緻密さで、1枚の中に豪快さと繊細さがあるように思います。また、左2枚の羅漢は右側を、右2枚の羅漢は左側を向いて対になるように配置されているのも面白かったです。
この辺には宗達派による金屏風などもあり、こちらも良かったです。
55 尾形光琳 「松島図屏風」 ★こちらで観られます
金地の六曲一隻の屏風で、3つの小島と様式化されたうねる波が描かれています。これは松島の景色らしく、小島の緑が金に映えます。解説によるとこれは光琳が私淑した宗達の松島図屏風の右隻を解釈したものだそうで、宗達に比べるとより鮮やかでダイナミックな表現となっているとのことでした。
58 「西欧王侯図押絵貼屏風」
六曲一隻の屏風で、一扇に一人ずつ西洋風の王が描かれています。剣を持ったり槍を持ったりした姿で、作風も西洋画そのものといった感じです。これはスペイン皇帝とその王侯の版画を転写したものらしく、先日観た泰西王侯騎馬図屏風を思い出しました。貴重かつ見事な作品です。
参考記事:南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎 (サントリー美術館)
<第5章 奇才 曽我蕭白>
最後の章は江戸時代の奇才の絵師 曽我蕭白のコーナーです。ボストン美術館には蕭白の最初期から晩年までコレクションされているそうで、フェノロサとビゲローは世間で蕭白が評価されるよりも早くその価値を見出していたようです。ここには世界初公開となる作品など貴重なコレクションが並んでいました。
参考記事:
山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年 後期(府中市美術館)
諸国畸人伝 (板橋区立美術館)
帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展 感想前編(千葉市美術館)
江戸の人物画―姿の美、力、奇 前期 感想後編(府中市美術館)
江戸の人物画―姿の美、力、奇 後期(府中市美術館)
64 曽我蕭白 「朝比奈首曳図屏風」
剛勇無双の朝比奈三郎と青鬼が、お互いの首に縄をかけて引っ張り合いの力競べをしている様子を描いた作品です。その2人の後ろには烏帽子をかぶって審判のように見守る2人の姿もあります。朝比奈はどんぐり眼でケロッとした感じですが、青鬼は口を開けてプルプルと震えているような感じです。苦しいのか首の縄に掴まっているのも表情豊かで面白かったです。解説によるとこれは30歳頃の作品とのことでした。
この辺には最初期の山水画などもありました。
65 曽我蕭白 「風仙図屏風」 ★こちらで観られます
六曲一隻の水墨の屏風で、中央で仙人が剣を振りおろしていて、その左では池から追い出された龍が黒雲となって天に昇って行っています。その黒雲が物凄い勢いの渦となっていて、強風に煽られた従者たちは飛ばされていっています。蕭白ならではの迫力と臨場感がありつつ、どこか卑近で可笑しさを感じる作品でした。
62 曽我蕭白 「雲龍図」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている世界初公開の作品で、元は襖絵だったそうです。8面にわたって大きな龍が描かれ、左の方には顔と爪がクローズアップされています。右の方には様式化された波が舞い上がり鱗が細かく描かれていました。強い濃淡で迫力があり、作品の前に立つだけでその圧倒的な力強さに驚きました。解説によると、元は8面ではなかったそうで、頭と尾の間には胴体を描いた部分があったらしく、確かに右4面と左4面の間が繋がらないのがわかりました。また、この作品はボストン美術館の収蔵庫にひっそりと保管されていたそうですがパネルにすることで初めて公開できるようになったそうです。
ということで、後半は前半以上に面白い作品が多かったように思います。特に蕭白のコーナーは圧巻でこれだけでも観に行く価値はあると思います。会期は長めですが既に人気となっていますので、気になる方は早めにどうぞ。私はもう1回観に行きたいと考えています。
おまけ:
今回の展示には最近よく観るガチャガチャもありました。

1回300円で、私は龍虎図の左隻が出ました。
参照記事:★この記事を参照している記事
前編はこちら


まずはおさらいです。
【展覧名】
東京国立博物館140周年 特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」
【公式サイト】
http://www.boston-nippon.jp/
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1416
http://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/category/15/
【会場】東京国立博物館 平成館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年3月20日(火) ~ 2012年6月10日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
3時間00分程度
【混み具合・混雑状況(祝日13時半頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
前編は仏教美術や中世までの作品が中心でしたが、後編は主に近世の作品が並んでいました。構成上は6章となっている刀剣と織物のコーナーは4章より前に展示されていましたので、観てきた順にご紹介しようと思います。
<第6章 アメリカ人を魅了した日本のわざ-刀剣と染織>
第2会場の最初は刀剣と織物のコーナーです。明治時代、工芸品は日本の経済を支える重要な輸出品だったそうで、ここには絢爛豪華な作品が並んでいました。
87 「唐織 紅地流水芦菊槌車模様」
加賀藩前田家に伝来した唐織の着物です。能に使われた特注品だそうで、背中の中心線から左右対になるように、赤地に流水や菊の花、笹などが刺繍されています。絵画とも思えるような緻密なデザインで、流麗な雰囲気がありました。非常に煌びやかな着物でした。
この辺は能装束や小袖などもありました。
84 「帷子 染分麻地御座船梅竹模様」
これは友禅染の着物で、上半分は青地に金や赤を使った光琳模様の梅枝模様、下半分は白地に舟遊びに興じる人々が刺繍されています。夏用の着物らしくそれに相応しく涼しげで洒落た雰囲気がありました。
続いては刀剣のコーナーです。長船派や一文字派の刀剣が並んでいて、凛とした雰囲気だったのですが、刀剣は鑑賞するのが難しいのであまりメモをしませんでしたw (波紋や沸の違いなどの解説もあったと思います)
80 「梨地家紋散糸巻太刀」
非常に豪華な金蒔絵が施された鞘に収まった太刀です。側面に家紋のようなものが10個くらい並んでいて、柄の辺りには緻密な装飾が施されていました。飾り用かな??
81 「梨地鳳凰螺鈿金装飾剣」
公家が儀式などで使うための刀で、金蒔絵と螺鈿で鳳凰を表した装飾の鞘に収まっています。所々に緑の翡翠のようなものがあるのが豪華で気品がありました。
<第4章 華ひらく近世絵画>
続いては安土桃山時代から江戸時代の絵画のコーナーです。錚々たる巨匠が名を連ねる充実のコレクションとなっていました。
44 長谷川等伯 「龍虎図屏風」 ★こちらで観られます
水墨の六曲一双の屏風で、左に虎、右に龍が描かれています。虎は崖の上で首を傾げるように龍の方を睨んでいて、濃淡によって毛並みや立派な体つきが表現されていました。それに対して龍は雲間から頭を覗かせています。ぎょろっとした眼をして、太めの輪郭で描かれているので迫力を感じます。また、龍の周りが暗くなっているのも風格を強めているように思いました。解説によると、これは中国南宋の牧谿(もっけい)の龍虎図に学んで描かれたそうです。(右隻下には自雪舟五代長谷川法眼等伯筆六十八歳と書いてあり、既に評価されていたことや、雪舟五代を名乗っていたことも分かります) 目の前で見ると本当に見事な作品でした。
参考記事:
日本の美・発見VI 長谷川等伯と狩野派 (出光美術館)
没後400年 特別展「長谷川等伯」 感想前編(東京国立博物館 平成館)
没後400年 特別展「長谷川等伯」 感想後編(東京国立博物館 平成館)
49 狩野永納 「四季花鳥図屏風」 ★こちらで観られます
金地の六曲一双の屏風です。右隻は緑鮮やかな松や白い牡丹、たんぽぽなどの春夏の花と鳥たちが描かれています。左隻にはススキや鴛鴦、雁、雪の積る梅や椿など秋冬の花鳥が描かれていました。やまと絵のような鮮やかな色合いで、岩肌の表現などは力強さがある一方で、雅な雰囲気もあり見栄えがしました。
56 伊藤若冲 「鸚鵡図」 ★こちらで観られます
棒状の豪華な装飾品の上にとまっている真っ白なオウムを描いた作品です。立派なとさかで横を向いているのですが、特に驚くのは透けるような羽です。よく観るとレース編みのように描かれていて驚異的な緻密さでした。似た作品は何度か観た覚えがありますが、これは動植綵絵(どうしょくさいえ)より前に描かれたもので、動植綵絵の「老松鸚鵡図」とは左右反転しているそうです。
参考記事:
伊藤若冲 アナザーワールド (千葉市美術館)
伊藤若冲 アナザーワールド 2回目(千葉市美術館)
皇室の名宝―日本美の華 <1期> 感想前編(東京国立博物館 平成館)
57 伊藤若冲 「十六羅漢図」
4幅対の水墨の掛け軸で、木の下で座る羅漢が1枚に1人ずつ描かれています。衣などは真っ黒な太い輪郭で描く大胆な表現であるのに対して、ヒゲや眉毛は毛の1本1本まで描かれたような緻密さで、1枚の中に豪快さと繊細さがあるように思います。また、左2枚の羅漢は右側を、右2枚の羅漢は左側を向いて対になるように配置されているのも面白かったです。
この辺には宗達派による金屏風などもあり、こちらも良かったです。
55 尾形光琳 「松島図屏風」 ★こちらで観られます
金地の六曲一隻の屏風で、3つの小島と様式化されたうねる波が描かれています。これは松島の景色らしく、小島の緑が金に映えます。解説によるとこれは光琳が私淑した宗達の松島図屏風の右隻を解釈したものだそうで、宗達に比べるとより鮮やかでダイナミックな表現となっているとのことでした。
58 「西欧王侯図押絵貼屏風」
六曲一隻の屏風で、一扇に一人ずつ西洋風の王が描かれています。剣を持ったり槍を持ったりした姿で、作風も西洋画そのものといった感じです。これはスペイン皇帝とその王侯の版画を転写したものらしく、先日観た泰西王侯騎馬図屏風を思い出しました。貴重かつ見事な作品です。
参考記事:南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎 (サントリー美術館)
<第5章 奇才 曽我蕭白>
最後の章は江戸時代の奇才の絵師 曽我蕭白のコーナーです。ボストン美術館には蕭白の最初期から晩年までコレクションされているそうで、フェノロサとビゲローは世間で蕭白が評価されるよりも早くその価値を見出していたようです。ここには世界初公開となる作品など貴重なコレクションが並んでいました。
参考記事:
山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年 後期(府中市美術館)
諸国畸人伝 (板橋区立美術館)
帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展 感想前編(千葉市美術館)
江戸の人物画―姿の美、力、奇 前期 感想後編(府中市美術館)
江戸の人物画―姿の美、力、奇 後期(府中市美術館)
64 曽我蕭白 「朝比奈首曳図屏風」
剛勇無双の朝比奈三郎と青鬼が、お互いの首に縄をかけて引っ張り合いの力競べをしている様子を描いた作品です。その2人の後ろには烏帽子をかぶって審判のように見守る2人の姿もあります。朝比奈はどんぐり眼でケロッとした感じですが、青鬼は口を開けてプルプルと震えているような感じです。苦しいのか首の縄に掴まっているのも表情豊かで面白かったです。解説によるとこれは30歳頃の作品とのことでした。
この辺には最初期の山水画などもありました。
65 曽我蕭白 「風仙図屏風」 ★こちらで観られます
六曲一隻の水墨の屏風で、中央で仙人が剣を振りおろしていて、その左では池から追い出された龍が黒雲となって天に昇って行っています。その黒雲が物凄い勢いの渦となっていて、強風に煽られた従者たちは飛ばされていっています。蕭白ならではの迫力と臨場感がありつつ、どこか卑近で可笑しさを感じる作品でした。
62 曽我蕭白 「雲龍図」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている世界初公開の作品で、元は襖絵だったそうです。8面にわたって大きな龍が描かれ、左の方には顔と爪がクローズアップされています。右の方には様式化された波が舞い上がり鱗が細かく描かれていました。強い濃淡で迫力があり、作品の前に立つだけでその圧倒的な力強さに驚きました。解説によると、元は8面ではなかったそうで、頭と尾の間には胴体を描いた部分があったらしく、確かに右4面と左4面の間が繋がらないのがわかりました。また、この作品はボストン美術館の収蔵庫にひっそりと保管されていたそうですがパネルにすることで初めて公開できるようになったそうです。
ということで、後半は前半以上に面白い作品が多かったように思います。特に蕭白のコーナーは圧巻でこれだけでも観に行く価値はあると思います。会期は長めですが既に人気となっていますので、気になる方は早めにどうぞ。私はもう1回観に行きたいと考えています。
おまけ:
今回の展示には最近よく観るガチャガチャもありました。


1回300円で、私は龍虎図の左隻が出ました。
参照記事:★この記事を参照している記事
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この前の春分の日に、上野に行って開催初日だった東京国立博物館140周年 特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」を観てきました。充実の内容でしたので、前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

【展覧名】
東京国立博物館140周年 特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」
【公式サイト】
http://www.boston-nippon.jp/
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1416
http://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/category/15/
【会場】東京国立博物館 平成館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年3月20日(火) ~ 2012年6月10日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
3時間00分程度
【混み具合・混雑状況(祝日13時半頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
まず混雑状況ですが、初日で既に混んでいてどこも人だかりができるような感じでした。特に2章あたりは大渋滞といった様相で、観るのにも非常に時間がかかります。入場規制などはありませんでしたが、お花見の頃や会期末は一層混雑することも予想されますので、ご興味あるかたは早めに行っておいたほうが良いかと思います。
さて、今回はボストン美術館が誇る日本美術の里帰りとも言える展覧会となっています。 2010年のボストン美術館リニューアルの際に、西洋画が一気に日本にやってきたのも記憶に新しいですが、ボストン美術館は日本美術も10万点もの所蔵品があるそうで、その質・量ともに世界有数のコレクションとなっています。そのコレクションは、主にフェノロサ、ビゲロー、岡倉天心の3人によって収集されたらしく日本に残っていれば国宝級の作品も含まれているようでした。詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
参考記事:
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想前編 (森アーツセンターギャラリー)
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想後編 (森アーツセンターギャラリー)
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 2回目(森アーツセンターギャラリー)
ボストン美術館 浮世絵名品展 (山種美術館)
<プロローグ コレクションのはじまり>
まずはプロローグです。前述の通りボストン美術館の日本美術作品は、明治時代にお雇い外国人として日本にやってきた「アーネスト・フェノロサ」、フェノロサと共に来日した日本美術コレクターの「ウイリアム・スタージス・ビゲロー」、フェノロサに薫陶を受けビゲローに援助を受けた「岡倉天心」の3名のコレクションが礎となりました。当時の日本は廃仏毀釈(仏教を廃して神道を国教化する動き)によって仏教文化の破壊、欧化政策による日本文化軽視が進んでいた時期で、貴重な仏教美術品・日本美術品も打ち捨てられたり二束三文で売り飛ばされていました。それを救おうとしたのが彼らで、日本文化の保護活動を行い、日本美術界に大きな足跡を残しています。特にフェノロサに至っては狩野派に師事し狩野永探理信という号まで貰うほど日本美術に傾倒し、東京美術学校の設立や文化財保護法の前身である古社寺保存法にも関わっています。まさに日本美術の救世主と言っても過言ではない存在です。そして、フェノロサは帰国後にボストン美術館の日本美術部長となります。また、その弟子の岡倉天心も1904年に中国・日本美術部長に就任したそうで、より一層のコレクションの拡充を図ったようです。ここではそのコレクションの成り立ちの説明があり、ビゲローの肖像や岡倉天心の像などが展示されていました。
参考リンク:アーネスト・フェノロサのwikipedia
2 平櫛田中 「岡倉覚三像」
入口にあった平櫛田中による岡倉覚三(岡倉天心)の像です。中国風の格好で長い竹竿を持っていて、落ち着いた雰囲気の人物に見えます。これは中国後漢時代の厳光という人物になぞられ、平櫛田中の代表作「五浦釣人」に倣って制作されたそうです。隠者風の知性が感じられました。
この辺にはビゲローの肖像画の他に、フェノロサと深い交流のあった狩野芳崖の作品などもありました。
<第1章 仏のかたち 神のすがた>
続いては主に仏教美術のコーナーでした。ここには日本に残っていれば国宝級という作品も展示されていました。
6 「如意輪観音菩薩像」
これは仏画で、4本の腕を持ち座っている如意輪観音(にょいりんかんのん)が描かれています。手には宝珠や法輪を持っていて、緻密かつ柔らかな線で描かれていました。これは平安時代の作のらしく、優美な顔つきが印象的です。
この辺には仏画の掛け軸が並び、平安時代の作品もありました。
12 「大威徳明王像」
水牛の上に乗った多面多臂(ためんたひ 顔や手足が沢山ある)姿の五大明王の1つ大威徳明王の仏画です。沢山の頭蓋骨を装身具のように身に付け、光背は炎が燃え盛っています。さらに剣を振り上げ口を開いた形相は恐ろしげでした。迫力と動きを感じる作品です。
5 「法華堂根本曼荼羅図」 ★こちらで観られます
これは東大寺法華堂に伝来した作品で、日本に残っていれば国宝級という作品です。赤い袈裟を着た釈迦が、霊鷲山(りょうじゅせん)で法華経の説法を行なっている様子が描かれていて、その両脇には菩薩、背後には弟子たちの姿がありました。さすがに経年の劣化によって剥落が進んでいますが、上部には浄土らしき風景もありました。こんな貴重なものまでコレクションしていることに驚きです。
この隣には赤外線で分析した写真なども展示されていました。
16 重命 「四天王像」
元は障壁画だったとされる4枚セットの作品で、右から順に多聞天(毘沙門天)、広目天、増長天、持国天と1枚1体ずつ描かれています。特に広目天は迫力があり邪鬼を踏みつけて目を見開く表情、光背の炎、様式化された荒波など力強さが感じられました。
21 「地獄草子断簡」
大きな黒い釜の中、炎に包まれながら焼かれる人々が描かれた地獄絵です。その左には大きな怪物のような者が口を開けて箸で人々をつついています。これは一銅釜地獄(いちどうふじごく)らしく浄土信仰を背景に描かれたそうです。奈良国立博物館にこの作品と同様の作品があり、本来は合わせて一具だったと考えられるそうです。
23-1 快慶 「弥勒菩薩立像」 ★こちらで観られます
元は奈良の興福寺に伝わったもので、現存する作品の中で最初期のものとされる快慶の仏像です。花瓶に入った蓮の花を持つ弥勒菩薩の立ち姿で、金色の身体で優美な体つきをしています。慶派はダイナミックなイメージがありますが、これは穏やかな雰囲気があるように思います。目には玉眼が象嵌されていて見通すような表情をしていました。
この作品の隣には「弥勒菩薩立像 像内納入品(弥勒上生経、宝篋印陀羅尼)」という像内に入っていた書があり、快慶のサインがありました。快慶自身の発願によって作成されたようです。
24 康俊 「僧形八幡神坐像」
快慶の東大寺の僧形八幡神を元に作られた作品です。印を組んで座りやや下を向いています。ちょっと厳しい表情ですが、リアルで動き出しそうなくらい生気がありました。
<第2章 海を渡った二大絵巻>
続いては2つの絵巻のコーナーです。いずれも最高傑作として天皇や公家、寺社に守り伝えてきましたが近代の社会情勢の変化で美術市場に放出されたそうです。ここにはずら~~~と絵巻が広がって展示されていました。
26 「吉備大臣入唐絵巻 第一巻~第四巻」 ★こちらで観られます
遣唐使として唐に渡った吉備真備の冒険譚(創作)を描いた絵巻で、元は24mもあったそうですが今は4巻に分けて保管しています。連続するように右から物語に沿って場面が描かれていて、最初は船に乗っている様子や唐の使者の出迎えが描かれているのですが、案内されて着いたのは鬼が出ると言われる楼閣で、そこに幽閉されてします。夜になると鬼が現れたのですが、その正体は唐で客死した阿倍仲麻呂の霊で、真備は仲麻呂の子孫の様子を聞かせると鬼の協力を得ることになります。(実際の仲麻呂は真備と同期の遣唐使で、中国で官僚となり彼の地で客死) 皇帝に遣唐使が到着したのを伝える姿なども描かれていました。
この辺は特に混んでいて進むのが大変なくらいです。
次の展示ケースにも続きがあります。鬼の案内で楼閣を抜けだした真備は2人で空を飛んで宮殿に向かいます。真備は「文選」という難文を読むテストを受けることになったのですが、こっそり試験内容を盗み聞きしている真備たちが描かれています。その次の場面では楼閣に集まった使者たちが真備が文選を知っていることに驚き、あまりのショックで従者に持たせるはずの傘を自分で持っている使者の姿などが描かれています。さらに真備は囲碁の名人と勝負することになります。真備は囲碁を知らなかったのですが鬼に格子天井を碁盤に見立てて教えて貰います。そして名人と勝負すると相手の碁石を飲み込んで勝負に勝ちました。石が足りないことに気づき疑われた真備は下剤を飲まされましたが、胃の中に碁石を留めて切り抜けます。絵巻には井戸のようなところで鼻を押さえて碁石を探す3人の人物も描かれていましたw この後も様々な難題があったそうですが絵巻は碁の名人が負けたことを皇帝に伝えているところで終わっています。ちょっと可笑しくて面白いストーリーで心情表現も緻密で良かったです。こうして文選や囲碁が日本に伝わったことを表しているようでした。
27 「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」 ★こちらで観られます
平治物語の三条殿の急襲と後白河法皇の拉致の場面を描いた絵巻です。右のほうには三条殿の炎上を聞いて慌てて駆けつける公卿たちが描かれているのですが、沢山の牛車や貴族、馬に乗った人などが右往左往していて大混乱の様相となっています。中には牛車に轢かれている人までいるほどの乱れぶりです。次の場面には牛車を寄せて後白河法皇を拉致する様子が描かれ、周りは物凄い勢いの炎で沢山の武者が集まっていました。こちらも死んだ人がいるなど緊迫した雰囲気がありました。
<第3章 静寂と輝き―中世水墨画と初期狩野派>
続いては水墨画のコーナーです。禅僧たちが中国の宋・元時代の作品を手本にした頃から応仁の乱以降に中心を担った狩野派の作品などが並んでいました。
33 祥啓 「山水図」 ★こちらで観られます
鎌倉の建長寺の僧であった祥啓の代表作です、湖とその上の舟、岸にある切り立った崖や家などが描かれています。背景の山々の様子などシャープな印象がありつつ濃淡で幽玄な感じも受けました。解説によると京都で学んだ南宋の夏珪(かけい)の様式に拠って描かれているとのことでした。
36 狩野元信 「白衣観音図」
白い衣を着た観音を正面から描いた作品です。岩のような所に座り、両側は崖で後ろに円形の光背らしきものが見えます。色鮮やかで太めの輪郭が強い存在感に思えました。解説によると、これを買ったフェノロサは元信の最高傑作であると考えたほどだそうです。
この辺には元信の作と伝わる作品や弟子のものと考えられる作品が並んでいました。
29 拙宗等揚 「三聖・蓮図」
拙宗は雪舟が45歳まで使っていた名前だそうで、雪舟の作と考えられている3幅対の掛け軸です。右は蓮の葉、左は蓮の花、中央には3人の人物が描かれていて、この3人は仏教、儒教、道教の象徴とされているようです。大胆にデフォルメされた蓮や3人の着物などが面白く、濃淡の表現も見事でした。私は雪舟に詳しいわけではないですが、雪舟にこういう作風があるとはちょっと驚きでした。
40 伝 狩野雅楽助 「松に麝香猫図屏風」 ★こちらで観られます
狩野元信の弟が描いたとされる屏風です。元は一双だったそうですが、一方はボストン美術館、もう一方は日本のサントリー美術館に伝わっているようです。水辺に面した立派な松の木の下でふわふわした尻尾のジャコウネコと白猫が描かれています。白猫はメス猫らしく身構えているのですが、この視線の先にはサントリーに伝わったもう一方の隻にオス猫が描かれているそうです。背景には水墨ですが、色鮮やかな花などもあり落ち着いた雰囲気の中にも華やかさがありました。
この辺には屏風作品が並んでいました。
ということで、前半から貴重な品々が並んだ展示となっています。ボストン美術館は作品保護の観点から展示期間を厳しく制限しているらしく、この展示も5年間もの準備期間を必要としたというのですから、滅多に観られる内容ではなさそうです。後半ではさらに世界初公開となる修復された大作もありましたので、次回はそれをご紹介しようと思います。
→ 後編はこちら
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
東京国立博物館140周年 特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」
【公式サイト】
http://www.boston-nippon.jp/
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1416
http://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/category/15/
【会場】東京国立博物館 平成館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年3月20日(火) ~ 2012年6月10日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
3時間00分程度
【混み具合・混雑状況(祝日13時半頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
まず混雑状況ですが、初日で既に混んでいてどこも人だかりができるような感じでした。特に2章あたりは大渋滞といった様相で、観るのにも非常に時間がかかります。入場規制などはありませんでしたが、お花見の頃や会期末は一層混雑することも予想されますので、ご興味あるかたは早めに行っておいたほうが良いかと思います。
さて、今回はボストン美術館が誇る日本美術の里帰りとも言える展覧会となっています。 2010年のボストン美術館リニューアルの際に、西洋画が一気に日本にやってきたのも記憶に新しいですが、ボストン美術館は日本美術も10万点もの所蔵品があるそうで、その質・量ともに世界有数のコレクションとなっています。そのコレクションは、主にフェノロサ、ビゲロー、岡倉天心の3人によって収集されたらしく日本に残っていれば国宝級の作品も含まれているようでした。詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
参考記事:
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想前編 (森アーツセンターギャラリー)
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 感想後編 (森アーツセンターギャラリー)
ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち 2回目(森アーツセンターギャラリー)
ボストン美術館 浮世絵名品展 (山種美術館)
<プロローグ コレクションのはじまり>
まずはプロローグです。前述の通りボストン美術館の日本美術作品は、明治時代にお雇い外国人として日本にやってきた「アーネスト・フェノロサ」、フェノロサと共に来日した日本美術コレクターの「ウイリアム・スタージス・ビゲロー」、フェノロサに薫陶を受けビゲローに援助を受けた「岡倉天心」の3名のコレクションが礎となりました。当時の日本は廃仏毀釈(仏教を廃して神道を国教化する動き)によって仏教文化の破壊、欧化政策による日本文化軽視が進んでいた時期で、貴重な仏教美術品・日本美術品も打ち捨てられたり二束三文で売り飛ばされていました。それを救おうとしたのが彼らで、日本文化の保護活動を行い、日本美術界に大きな足跡を残しています。特にフェノロサに至っては狩野派に師事し狩野永探理信という号まで貰うほど日本美術に傾倒し、東京美術学校の設立や文化財保護法の前身である古社寺保存法にも関わっています。まさに日本美術の救世主と言っても過言ではない存在です。そして、フェノロサは帰国後にボストン美術館の日本美術部長となります。また、その弟子の岡倉天心も1904年に中国・日本美術部長に就任したそうで、より一層のコレクションの拡充を図ったようです。ここではそのコレクションの成り立ちの説明があり、ビゲローの肖像や岡倉天心の像などが展示されていました。
参考リンク:アーネスト・フェノロサのwikipedia
2 平櫛田中 「岡倉覚三像」
入口にあった平櫛田中による岡倉覚三(岡倉天心)の像です。中国風の格好で長い竹竿を持っていて、落ち着いた雰囲気の人物に見えます。これは中国後漢時代の厳光という人物になぞられ、平櫛田中の代表作「五浦釣人」に倣って制作されたそうです。隠者風の知性が感じられました。
この辺にはビゲローの肖像画の他に、フェノロサと深い交流のあった狩野芳崖の作品などもありました。
<第1章 仏のかたち 神のすがた>
続いては主に仏教美術のコーナーでした。ここには日本に残っていれば国宝級という作品も展示されていました。
6 「如意輪観音菩薩像」
これは仏画で、4本の腕を持ち座っている如意輪観音(にょいりんかんのん)が描かれています。手には宝珠や法輪を持っていて、緻密かつ柔らかな線で描かれていました。これは平安時代の作のらしく、優美な顔つきが印象的です。
この辺には仏画の掛け軸が並び、平安時代の作品もありました。
12 「大威徳明王像」
水牛の上に乗った多面多臂(ためんたひ 顔や手足が沢山ある)姿の五大明王の1つ大威徳明王の仏画です。沢山の頭蓋骨を装身具のように身に付け、光背は炎が燃え盛っています。さらに剣を振り上げ口を開いた形相は恐ろしげでした。迫力と動きを感じる作品です。
5 「法華堂根本曼荼羅図」 ★こちらで観られます
これは東大寺法華堂に伝来した作品で、日本に残っていれば国宝級という作品です。赤い袈裟を着た釈迦が、霊鷲山(りょうじゅせん)で法華経の説法を行なっている様子が描かれていて、その両脇には菩薩、背後には弟子たちの姿がありました。さすがに経年の劣化によって剥落が進んでいますが、上部には浄土らしき風景もありました。こんな貴重なものまでコレクションしていることに驚きです。
この隣には赤外線で分析した写真なども展示されていました。
16 重命 「四天王像」
元は障壁画だったとされる4枚セットの作品で、右から順に多聞天(毘沙門天)、広目天、増長天、持国天と1枚1体ずつ描かれています。特に広目天は迫力があり邪鬼を踏みつけて目を見開く表情、光背の炎、様式化された荒波など力強さが感じられました。
21 「地獄草子断簡」
大きな黒い釜の中、炎に包まれながら焼かれる人々が描かれた地獄絵です。その左には大きな怪物のような者が口を開けて箸で人々をつついています。これは一銅釜地獄(いちどうふじごく)らしく浄土信仰を背景に描かれたそうです。奈良国立博物館にこの作品と同様の作品があり、本来は合わせて一具だったと考えられるそうです。
23-1 快慶 「弥勒菩薩立像」 ★こちらで観られます
元は奈良の興福寺に伝わったもので、現存する作品の中で最初期のものとされる快慶の仏像です。花瓶に入った蓮の花を持つ弥勒菩薩の立ち姿で、金色の身体で優美な体つきをしています。慶派はダイナミックなイメージがありますが、これは穏やかな雰囲気があるように思います。目には玉眼が象嵌されていて見通すような表情をしていました。
この作品の隣には「弥勒菩薩立像 像内納入品(弥勒上生経、宝篋印陀羅尼)」という像内に入っていた書があり、快慶のサインがありました。快慶自身の発願によって作成されたようです。
24 康俊 「僧形八幡神坐像」
快慶の東大寺の僧形八幡神を元に作られた作品です。印を組んで座りやや下を向いています。ちょっと厳しい表情ですが、リアルで動き出しそうなくらい生気がありました。
<第2章 海を渡った二大絵巻>
続いては2つの絵巻のコーナーです。いずれも最高傑作として天皇や公家、寺社に守り伝えてきましたが近代の社会情勢の変化で美術市場に放出されたそうです。ここにはずら~~~と絵巻が広がって展示されていました。
26 「吉備大臣入唐絵巻 第一巻~第四巻」 ★こちらで観られます
遣唐使として唐に渡った吉備真備の冒険譚(創作)を描いた絵巻で、元は24mもあったそうですが今は4巻に分けて保管しています。連続するように右から物語に沿って場面が描かれていて、最初は船に乗っている様子や唐の使者の出迎えが描かれているのですが、案内されて着いたのは鬼が出ると言われる楼閣で、そこに幽閉されてします。夜になると鬼が現れたのですが、その正体は唐で客死した阿倍仲麻呂の霊で、真備は仲麻呂の子孫の様子を聞かせると鬼の協力を得ることになります。(実際の仲麻呂は真備と同期の遣唐使で、中国で官僚となり彼の地で客死) 皇帝に遣唐使が到着したのを伝える姿なども描かれていました。
この辺は特に混んでいて進むのが大変なくらいです。
次の展示ケースにも続きがあります。鬼の案内で楼閣を抜けだした真備は2人で空を飛んで宮殿に向かいます。真備は「文選」という難文を読むテストを受けることになったのですが、こっそり試験内容を盗み聞きしている真備たちが描かれています。その次の場面では楼閣に集まった使者たちが真備が文選を知っていることに驚き、あまりのショックで従者に持たせるはずの傘を自分で持っている使者の姿などが描かれています。さらに真備は囲碁の名人と勝負することになります。真備は囲碁を知らなかったのですが鬼に格子天井を碁盤に見立てて教えて貰います。そして名人と勝負すると相手の碁石を飲み込んで勝負に勝ちました。石が足りないことに気づき疑われた真備は下剤を飲まされましたが、胃の中に碁石を留めて切り抜けます。絵巻には井戸のようなところで鼻を押さえて碁石を探す3人の人物も描かれていましたw この後も様々な難題があったそうですが絵巻は碁の名人が負けたことを皇帝に伝えているところで終わっています。ちょっと可笑しくて面白いストーリーで心情表現も緻密で良かったです。こうして文選や囲碁が日本に伝わったことを表しているようでした。
27 「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」 ★こちらで観られます
平治物語の三条殿の急襲と後白河法皇の拉致の場面を描いた絵巻です。右のほうには三条殿の炎上を聞いて慌てて駆けつける公卿たちが描かれているのですが、沢山の牛車や貴族、馬に乗った人などが右往左往していて大混乱の様相となっています。中には牛車に轢かれている人までいるほどの乱れぶりです。次の場面には牛車を寄せて後白河法皇を拉致する様子が描かれ、周りは物凄い勢いの炎で沢山の武者が集まっていました。こちらも死んだ人がいるなど緊迫した雰囲気がありました。
<第3章 静寂と輝き―中世水墨画と初期狩野派>
続いては水墨画のコーナーです。禅僧たちが中国の宋・元時代の作品を手本にした頃から応仁の乱以降に中心を担った狩野派の作品などが並んでいました。
33 祥啓 「山水図」 ★こちらで観られます
鎌倉の建長寺の僧であった祥啓の代表作です、湖とその上の舟、岸にある切り立った崖や家などが描かれています。背景の山々の様子などシャープな印象がありつつ濃淡で幽玄な感じも受けました。解説によると京都で学んだ南宋の夏珪(かけい)の様式に拠って描かれているとのことでした。
36 狩野元信 「白衣観音図」
白い衣を着た観音を正面から描いた作品です。岩のような所に座り、両側は崖で後ろに円形の光背らしきものが見えます。色鮮やかで太めの輪郭が強い存在感に思えました。解説によると、これを買ったフェノロサは元信の最高傑作であると考えたほどだそうです。
この辺には元信の作と伝わる作品や弟子のものと考えられる作品が並んでいました。
29 拙宗等揚 「三聖・蓮図」
拙宗は雪舟が45歳まで使っていた名前だそうで、雪舟の作と考えられている3幅対の掛け軸です。右は蓮の葉、左は蓮の花、中央には3人の人物が描かれていて、この3人は仏教、儒教、道教の象徴とされているようです。大胆にデフォルメされた蓮や3人の着物などが面白く、濃淡の表現も見事でした。私は雪舟に詳しいわけではないですが、雪舟にこういう作風があるとはちょっと驚きでした。
40 伝 狩野雅楽助 「松に麝香猫図屏風」 ★こちらで観られます
狩野元信の弟が描いたとされる屏風です。元は一双だったそうですが、一方はボストン美術館、もう一方は日本のサントリー美術館に伝わっているようです。水辺に面した立派な松の木の下でふわふわした尻尾のジャコウネコと白猫が描かれています。白猫はメス猫らしく身構えているのですが、この視線の先にはサントリーに伝わったもう一方の隻にオス猫が描かれているそうです。背景には水墨ですが、色鮮やかな花などもあり落ち着いた雰囲気の中にも華やかさがありました。
この辺には屏風作品が並んでいました。
ということで、前半から貴重な品々が並んだ展示となっています。ボストン美術館は作品保護の観点から展示期間を厳しく制限しているらしく、この展示も5年間もの準備期間を必要としたというのですから、滅多に観られる内容ではなさそうです。後半ではさらに世界初公開となる修復された大作もありましたので、次回はそれをご紹介しようと思います。
→ 後編はこちら
参照記事:★この記事を参照している記事
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前々回、前回と六本木アートナイトをご紹介しましたが、同じ六本木のミッドタウンの地下ではストリートミュージアムというイベントが行われていました。こちらは1夜限定ではなく2週間ほどの展示となっていました。

【展覧名】
ストリートミュージアム
【公式サイト】
http://www.tokyo-midtown.com/jp/event/feature2012/5th/street_museum.html
【会場】東京ミッドタウン プラザB1F メトロアベニュー他 ☆周辺のお店
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】2012年3月24日(土)~4月8日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日19時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
私が観たのは六本木アートナイトの日で、人は沢山いましたが広い通路で開催されているため特に混雑感はありませんでした。
さて、この展覧会はミッドタウンの開業5周年を記念したイベントで、Tokyo Midtown Awardアートコンペの歴代受賞者15組の作品が並ぶ内容となっていました。その名の通り、地下道の中に展示されていて通り抜けながら楽しむことが出来ます。写真も撮ってきましたので、気に入った作品をいくつかご紹介しようと思います。
※写真掲載に問題がある場合は取り下げますのでご連絡ください。
参考記事:shop×cafe[ショップ・バイ・カフェ] (六本木界隈のお店) ※Tokyo Midtown Award 2009も紹介していました
山本麻璃絵 「シャンプー リンス」

これはエスカレーターを降りた所にあり、もう1つ同じような作品と対となってシャンプーとリンスとなっていました。阿吽の仁王像に見立てているそうで面白いw
山本麻璃絵 「丸型ポスト」

楠で出来た昔懐かしいポスト。ちょっと歪んでいるのが手作り感があるような。
左:小松宏誠 「今、彼方より風向きを。」
右:題名不明

風の流れを感じさせる2つの作品。左の作品はアヒルとカラスの羽で出来ているようですが、百合のような形なのが洒落ています。
この作品はくるくると回転していました。
山本聖子 「空白の果実」

これはもう1つ同じような容器がありました。意味は分かりませんが幾何学的な構造物が果実なのかな?
桝本桂子 「町/器/町」

器で街を表した作品。何とも温かみのある街並みに見えるのは器のもつ曲線と色合いのせいかな。
栗真由美 「シロノカラ ー旅立ちー」

ポリエステル樹脂などで出来た白い鎧。形は伝統的なものですが光り輝いてSFチックなのが面白かったです。
平田創 「Funky Project 2012 Nanairo Colors」

明るく楽しい気持ちにさせる抽象的な作品。一定のリズムがあって花畑のようでした。
牧野永美子・山崎裕治 「純情のこみち」

こちらはほのぼのとしていて、童話の世界を立体にしたような作品に思いました。上から覗き込むこともできます。
藤井秀全 「Stain "Droop"」

この作品は以前ここで観たのをよく覚えていました。どこか宇宙的に思える一方で色が温かくも華やいだ感じを受けました。光が空間や身体に染みこんでいく感覚を光の染みとして表現しているそうです。
井口雄介 「Lightning case」

これは蛍光灯を集めた作品。最初は点滅していたのですが、消えてしまいしばらく待っても再点灯しなかったのが残念w 弱々しく切れかかった蛍光灯が集まることで強い光となるのを表現しているそうです。
石山和広 「うつしかえすもの」
これは一番驚きの作品で、鏡が波打っていました。人が映らないように上部だけ撮影していますが、実際にはこの動く鏡面の前に立って自分を映すこともできます。その様子が非常に面白いので大人も子供も沢山の人が身を写して遊んでいました。
ということで無料で観られる内容ですが十分に面白い内容となっていました。ご紹介したもの以外にも映像作品などがあり現代アートはあまりよく分からないという人でも直感的に楽しめるのではないかと思います。六本木に行く機会があったらチェックしてみてください。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
ストリートミュージアム
【公式サイト】
http://www.tokyo-midtown.com/jp/event/feature2012/5th/street_museum.html
【会場】東京ミッドタウン プラザB1F メトロアベニュー他 ☆周辺のお店
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】2012年3月24日(土)~4月8日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日19時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
私が観たのは六本木アートナイトの日で、人は沢山いましたが広い通路で開催されているため特に混雑感はありませんでした。
さて、この展覧会はミッドタウンの開業5周年を記念したイベントで、Tokyo Midtown Awardアートコンペの歴代受賞者15組の作品が並ぶ内容となっていました。その名の通り、地下道の中に展示されていて通り抜けながら楽しむことが出来ます。写真も撮ってきましたので、気に入った作品をいくつかご紹介しようと思います。
※写真掲載に問題がある場合は取り下げますのでご連絡ください。
参考記事:shop×cafe[ショップ・バイ・カフェ] (六本木界隈のお店) ※Tokyo Midtown Award 2009も紹介していました
山本麻璃絵 「シャンプー リンス」

これはエスカレーターを降りた所にあり、もう1つ同じような作品と対となってシャンプーとリンスとなっていました。阿吽の仁王像に見立てているそうで面白いw
山本麻璃絵 「丸型ポスト」

楠で出来た昔懐かしいポスト。ちょっと歪んでいるのが手作り感があるような。
左:小松宏誠 「今、彼方より風向きを。」
右:題名不明


風の流れを感じさせる2つの作品。左の作品はアヒルとカラスの羽で出来ているようですが、百合のような形なのが洒落ています。
この作品はくるくると回転していました。
山本聖子 「空白の果実」

これはもう1つ同じような容器がありました。意味は分かりませんが幾何学的な構造物が果実なのかな?
桝本桂子 「町/器/町」

器で街を表した作品。何とも温かみのある街並みに見えるのは器のもつ曲線と色合いのせいかな。
栗真由美 「シロノカラ ー旅立ちー」

ポリエステル樹脂などで出来た白い鎧。形は伝統的なものですが光り輝いてSFチックなのが面白かったです。
平田創 「Funky Project 2012 Nanairo Colors」

明るく楽しい気持ちにさせる抽象的な作品。一定のリズムがあって花畑のようでした。
牧野永美子・山崎裕治 「純情のこみち」

こちらはほのぼのとしていて、童話の世界を立体にしたような作品に思いました。上から覗き込むこともできます。
藤井秀全 「Stain "Droop"」

この作品は以前ここで観たのをよく覚えていました。どこか宇宙的に思える一方で色が温かくも華やいだ感じを受けました。光が空間や身体に染みこんでいく感覚を光の染みとして表現しているそうです。
井口雄介 「Lightning case」

これは蛍光灯を集めた作品。最初は点滅していたのですが、消えてしまいしばらく待っても再点灯しなかったのが残念w 弱々しく切れかかった蛍光灯が集まることで強い光となるのを表現しているそうです。
石山和広 「うつしかえすもの」
これは一番驚きの作品で、鏡が波打っていました。人が映らないように上部だけ撮影していますが、実際にはこの動く鏡面の前に立って自分を映すこともできます。その様子が非常に面白いので大人も子供も沢山の人が身を写して遊んでいました。
ということで無料で観られる内容ですが十分に面白い内容となっていました。ご紹介したもの以外にも映像作品などがあり現代アートはあまりよく分からないという人でも直感的に楽しめるのではないかと思います。六本木に行く機会があったらチェックしてみてください。
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今日は前回に引き続き、終わったばかりでまだ冷めやらぬ六本木アートナイト2012の後編です。前編では六本木ヒルズの様子をご紹介しましたが、今日はミッドタウンと国立新美術館の様子をご紹介しようと思います。
前編はこちら

まずは概要のおさらいです。
【公式サイト】
http://www.roppongiartnight.com/
【会場】
六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、
国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース
【最寄】
千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】
2012年3月24日(土)10:00 ~ 3月25日(日)18:00
コアタイム 3月24日(土)17:56【日没】 ~ 3月25日(日)5:38【日の出】
※コアタイムは全体の開催時間中でメインとなるインスタレーションやイベントが集積する時間帯です。
【感想】
前編と同様に後編でも撮ってきた写真を使ってアートナイトの様子を振り返ろうと思います。
六本木駅の交差点にあるアマンドが行列している??と思ったら、六本木アートナイトに合わせて草間彌生風の水玉カフェとなっていました。

草間彌生の水玉カフェはミッドタウンの地下にもあり、こちらはyoa_ESTAbLISHが水玉に染まっていました。

さて、ここからがミッドタウンの写真です。
「いつつのゆびわ」

これはミッドタウンの5周年を記念した作品のようで、夜は点灯していました。(人が多すぎて夜の写真は撮りませんでしたw)
いつつのゆびわ の中は小さな小窓があり、鳥をモチーフにした作品がありました。これは緑の指輪の中

こちらは青と黄色。

中はかなり狭いので人でごった返していましたが、心温まるような鳥の像でした。
続いて地下へ。地下にはストリートミュージアムという展示もありましたが今回は割愛して次回詳しくご紹介します。
武蔵野美術大学デザイン情報学科 「Mr.アートナイトTV」

こちらはマスコミの中継か?と思ったら武蔵野美術大学の作品でした。このインタビューを受けている人が眼鏡をつけた途端に、「きゃーーー!」と黄色い声援があがって驚きました。すると何だ何だ?と沢山の人が集まってきたのですが、実は最初の声援は仕込みのようですw ちょっと歓声が大きすぎたけど周りの反応が面白かったです。
続いてキャノビースクエア。
Antenna 「ジャッピー神輿」
前回ご紹介したやよいちゃんと共に今回のアートナイトの主役とも言えるキャラクター「ジャッピー」がちょうどお神輿に乗ってワッショイワッショイと運ばれて行きました。
Antenna 「ジャッピー金色宝船神輿」

こちらもジャッピーのお神輿。ジャッピーは「ジャパン」と「ハッピー」を組み合わせたキャラクターで、お腹に富士山、鼻の赤いのは梅干しで、頭は日の丸のようです。ここで御札をもらって、自分にとっての幸せを書いておくと後でおみくじが引けます。
左:Antenna 「マツリヤタイ」
右:Antenna 「ジャッピー幸せ玉」

ジャッピーは神社のご神体のように扱われていました。右の作品は葡萄のように見えますが、これはジャッピーの中身か魂らしく、下にはぺちゃんこになったジャッピーの姿があります。
左:Yotta Groove 「花子」
右:Mid-space

こちらはガレリアとアトリウムの様子。花子は高さ13mもあるこけしで、可愛い声で何かしゃべっているようでした。東北地方の名物なので東北を応援する作品かな? Mid-spaceでは様々なイベントが開催されていたようです。
「荒井良二とふらっぐしっぷ」

これはミッドタウンの裏手にあった作品。被災した宮城県沿岸を訪問し即興で作った旗だそうです。大漁旗みたいで威勢が良かったです。
Antenna 「六本木六世堂」

芝生広場は大きなお堂が出来ていました。よく見るとジャッピーも何体かいますw
お堂の前にはおみくじの引き換え所がありました。先程キャノビーで幸せを書いた御札と交換で貰えます。

生まれた日(1~31日)を聞かれました。右は貰ったおみくじ。
草間彌生 「愛はとこしえ、未来は私のもの! 命の足跡」

これは21_21デザインサイトの前にあった作品。ピンク地に黒の水玉がポップなようで神秘的な雰囲気なのが面白い。ここにスタンプラリーのスタンプ所がありました。
続いて国立新美術館に移動しました。今回はインスタレーション2点とイベント、展覧会の無料鑑賞くらいでやや小規模だったように思います。
草間彌生 「愛はとこしえ、未来は私のもの! PUNPKIN」

国立新美術館の前は黄色のかぼちゃ型の水玉でした。若干、上の方が気持ち悪いw こちらにもスタンプ所がありました。
開発好明 「発泡苑」

こちらは発泡スチロールで出来た茶室。どこかメカニカルな感じを受けます。
ということで、様々なインスタレーションがありました。私は都合があったので宵の口くらいまでしかいませんでしたが、夜通しで様々なイベントも行われたようです。いくつか観たいのもあったのですが…。 とは言え、全部観て回るのも大変なくらい沢山の作品があり充実した一夜となっていました。来年以降も是非足を運んでみたいと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事
前編はこちら

まずは概要のおさらいです。
【公式サイト】
http://www.roppongiartnight.com/
【会場】
六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、
国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース
【最寄】
千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】
2012年3月24日(土)10:00 ~ 3月25日(日)18:00
コアタイム 3月24日(土)17:56【日没】 ~ 3月25日(日)5:38【日の出】
※コアタイムは全体の開催時間中でメインとなるインスタレーションやイベントが集積する時間帯です。
【感想】
前編と同様に後編でも撮ってきた写真を使ってアートナイトの様子を振り返ろうと思います。
六本木駅の交差点にあるアマンドが行列している??と思ったら、六本木アートナイトに合わせて草間彌生風の水玉カフェとなっていました。


草間彌生の水玉カフェはミッドタウンの地下にもあり、こちらはyoa_ESTAbLISHが水玉に染まっていました。

さて、ここからがミッドタウンの写真です。
「いつつのゆびわ」

これはミッドタウンの5周年を記念した作品のようで、夜は点灯していました。(人が多すぎて夜の写真は撮りませんでしたw)
いつつのゆびわ の中は小さな小窓があり、鳥をモチーフにした作品がありました。これは緑の指輪の中

こちらは青と黄色。


中はかなり狭いので人でごった返していましたが、心温まるような鳥の像でした。
続いて地下へ。地下にはストリートミュージアムという展示もありましたが今回は割愛して次回詳しくご紹介します。
武蔵野美術大学デザイン情報学科 「Mr.アートナイトTV」


こちらはマスコミの中継か?と思ったら武蔵野美術大学の作品でした。このインタビューを受けている人が眼鏡をつけた途端に、「きゃーーー!」と黄色い声援があがって驚きました。すると何だ何だ?と沢山の人が集まってきたのですが、実は最初の声援は仕込みのようですw ちょっと歓声が大きすぎたけど周りの反応が面白かったです。
続いてキャノビースクエア。
Antenna 「ジャッピー神輿」
前回ご紹介したやよいちゃんと共に今回のアートナイトの主役とも言えるキャラクター「ジャッピー」がちょうどお神輿に乗ってワッショイワッショイと運ばれて行きました。
Antenna 「ジャッピー金色宝船神輿」

こちらもジャッピーのお神輿。ジャッピーは「ジャパン」と「ハッピー」を組み合わせたキャラクターで、お腹に富士山、鼻の赤いのは梅干しで、頭は日の丸のようです。ここで御札をもらって、自分にとっての幸せを書いておくと後でおみくじが引けます。
左:Antenna 「マツリヤタイ」
右:Antenna 「ジャッピー幸せ玉」


ジャッピーは神社のご神体のように扱われていました。右の作品は葡萄のように見えますが、これはジャッピーの中身か魂らしく、下にはぺちゃんこになったジャッピーの姿があります。
左:Yotta Groove 「花子」
右:Mid-space


こちらはガレリアとアトリウムの様子。花子は高さ13mもあるこけしで、可愛い声で何かしゃべっているようでした。東北地方の名物なので東北を応援する作品かな? Mid-spaceでは様々なイベントが開催されていたようです。
「荒井良二とふらっぐしっぷ」

これはミッドタウンの裏手にあった作品。被災した宮城県沿岸を訪問し即興で作った旗だそうです。大漁旗みたいで威勢が良かったです。
Antenna 「六本木六世堂」

芝生広場は大きなお堂が出来ていました。よく見るとジャッピーも何体かいますw
お堂の前にはおみくじの引き換え所がありました。先程キャノビーで幸せを書いた御札と交換で貰えます。


生まれた日(1~31日)を聞かれました。右は貰ったおみくじ。
草間彌生 「愛はとこしえ、未来は私のもの! 命の足跡」


これは21_21デザインサイトの前にあった作品。ピンク地に黒の水玉がポップなようで神秘的な雰囲気なのが面白い。ここにスタンプラリーのスタンプ所がありました。
続いて国立新美術館に移動しました。今回はインスタレーション2点とイベント、展覧会の無料鑑賞くらいでやや小規模だったように思います。
草間彌生 「愛はとこしえ、未来は私のもの! PUNPKIN」

国立新美術館の前は黄色のかぼちゃ型の水玉でした。若干、上の方が気持ち悪いw こちらにもスタンプ所がありました。
開発好明 「発泡苑」


こちらは発泡スチロールで出来た茶室。どこかメカニカルな感じを受けます。
ということで、様々なインスタレーションがありました。私は都合があったので宵の口くらいまでしかいませんでしたが、夜通しで様々なイベントも行われたようです。いくつか観たいのもあったのですが…。 とは言え、全部観て回るのも大変なくらい沢山の作品があり充実した一夜となっていました。来年以降も是非足を運んでみたいと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事
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先日、予告しておきましたが3/24(土)~3/25(日)は六本木アートナイトです。今年も面白い作品が多かったので、前編・後編に分けて早速その様子をご紹介したいと思います。

【公式サイト】
http://www.roppongiartnight.com/
【会場】
六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、
国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース
【最寄】
千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】
2012年3月24日(土)10:00 ~ 3月25日(日)18:00
コアタイム 3月24日(土)17:56【日没】 ~ 3月25日(日)5:38【日の出】
※コアタイムは全体の開催時間中でメインとなるインスタレーションやイベントが集積する時間帯です。
【感想】
前日まで冷たい雨が降っていたのでどうなることかと心配しましたが、当日の夕方からは晴れて、六本木の街は人が溢れかえるような賑わいをみせていました。
さて、今回で4回目(2011年は震災で中止となったので実質3回目)となるアートナイトですが、今年も六本木ヒルズ、ミッドタウン、国立新美術館の3箇所が主な会場となっています。2010年と比べると街中の作品が減ったように思いますが、それでも見所の多いお祭りとなっていました。今日はその中から六本木ヒルズの様子をご紹介しようと思います。
参考記事:
「写真で旅する世界遺産」と「六本木アートナイト」と桜装飾 (2009年)
六本木アートナイト2010 (前編)
六本木アートナイト2010 (後編)
私は夕方から行ったのですが、まずは六本木ヒルズアリーナで2012年3月24日(土)17:56の日没から始まったオープニングを観てきました。
六本木アートナイト2012オープニング。途中映像が乱れます。すみません。
今年のシンボル的な存在のヤヨイちゃんが立ち上がるところです。
草間彌生 「愛はとこしえ、未来は私のもの! ヤヨイちゃん」

正面から観た様子。かなり大きいバルーンで出来ています。スタッフの方たちも赤の水玉のマフラーを付けて、水玉尽くしとなっていました。
草間彌生 氏も車椅子に乗ってオープニングのメッセージを述べていました。

今年は草間彌生の大規模な展示も行われるらしく、新たなファンも増えるのではないかと思います。
参考記事:草間彌生 ボディ・フェスティバル in 60's 展 (ワタリウム美術館)
草間彌生の作品は3つのいずれの会場にもあり、その場にあるスタンプを集めるとマフラーが貰えるようです。しかしこの六本木ヒルズのスタンプは尋常ではないほどの行列だったので諦めましたw (他の2会場は列無しでした) ある程度オープニングを観てからは順不同にぐるっと六本木ヒルズを回りながら各所の作品を観てきました。
チームラボ×高橋英明 「浮遊する楽器」
これは毛利庭園にあったインスタレーション。誰かが触ると色が変わるそうです。幻想的で綺麗な作品でした。
池田光宏 「by the window (六本木アートナイト2012バージョン)」
これは六本木ヒルズの脇のけやき坂通りにあった作品。影絵のような中でちょっと妖しい雰囲気の映像でした。
久野ギル 「The Antmaster」

これは森タワーの入口あたりにあった作品。映像で、生きたアリを写しているそうですが、あまりアリが出てくるところを見られなかったw この写真だと左の方に写っています。過去のカルマを消したいと願う意味があるそうです。
大屋根プラザでは今年もウィスキー響のコーナーがありました。

アートラウンジということで、フラワーアートなどがありましたが私は中には入りませんでした。
ホアン・スー・チエ 「オーガニック・コンセプト」
ビニールで出来た物体に風を通してふくらませたインスタレーション。上の方から光を当てて色をかえているようでした。
泉太郎 「糸ミミズのためのスケートリンク」

これは視聴者参加型のインスタレーションです。頭上からの映像を迷路のように区切り、そこにパンダの格好のスタッフが映る(ここに映ってないですがw)のですが、それを参加者が拡声器を使って迷路のゴールへと誘導していくという作品でした。見ているだけで物凄く歯がゆいゲームですw
六本木ヒルズのTokyo City Viewにも作品があるようなので行ってみました。
杉浦久子+suginoco 「海月(くらげ)ReBirthⅢ」

これは廃材の磁気テープで出来たクラゲのようです。各席が個室のような感じになっていましたw
なお、私はヒルズの年間パスを持っているので結構気軽に行きましたが、アートナイトのための作品はこれくらいしかなさそうです。
ちょっとおまけでヒルズの中で行われている展示。左は「みなとくデザイン」という小展示。右は森アーツセンターギャラリーの「ONE PIECE展」の入口。

私は行く予定はありませんが、ワンピース展は凄い行列を組んでいました。アートナイトとは関係ないですが盛り上がっているようで人でごった返していました。(下のチケットの所でも渡り廊下の先のエレベーターの辺りまで行列していました)
また下に戻ってきて他の作品も観てきました。
志村信裕 「赤い靴」
これはメトロハット(地下鉄のエスカレーター)付近にあった地面に映される映像作品です。赤い靴が現れては移動するという面白い作品で、子供が一生懸命それを追って遊んでいました。
志村信裕 「作品名未定(jewel?)」
志村信裕氏の作品は3つあったのですが、これは名前が分からなかったです。地面に映し出されたボタンが非常に綺麗です。
タムラサトル 「六本木マシーン」

これはノースタワー(ヒルズから少し六本木駅方面に行った辺り)にあった作品。チェーンで出来た重厚な感じで何のマシンだろ?と思ったら、「六本木」という文字になっていて驚きw 発想が面白いです。
タムラサトル 「スピンクロコダイル・ガーデン」
こちらはひたすらワニが回るというシュールな作品。誰もが何でワニが回るの?と疑問に思うのではないでしょうかw
ということで、六本木ヒルズの辺りだけでも面白い作品が多々ありました。去年は中止となっただけに今年は盛り上がっていて良かったです。この後、ミッドタウンと国立新美術館の方にも行きましたので、次回はそれについてご紹介しようと思います。
→後編はこちら
参照記事:★この記事を参照している記事

【公式サイト】
http://www.roppongiartnight.com/
【会場】
六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、
国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース
【最寄】
千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】
2012年3月24日(土)10:00 ~ 3月25日(日)18:00
コアタイム 3月24日(土)17:56【日没】 ~ 3月25日(日)5:38【日の出】
※コアタイムは全体の開催時間中でメインとなるインスタレーションやイベントが集積する時間帯です。
【感想】
前日まで冷たい雨が降っていたのでどうなることかと心配しましたが、当日の夕方からは晴れて、六本木の街は人が溢れかえるような賑わいをみせていました。
さて、今回で4回目(2011年は震災で中止となったので実質3回目)となるアートナイトですが、今年も六本木ヒルズ、ミッドタウン、国立新美術館の3箇所が主な会場となっています。2010年と比べると街中の作品が減ったように思いますが、それでも見所の多いお祭りとなっていました。今日はその中から六本木ヒルズの様子をご紹介しようと思います。
参考記事:
「写真で旅する世界遺産」と「六本木アートナイト」と桜装飾 (2009年)
六本木アートナイト2010 (前編)
六本木アートナイト2010 (後編)
私は夕方から行ったのですが、まずは六本木ヒルズアリーナで2012年3月24日(土)17:56の日没から始まったオープニングを観てきました。
六本木アートナイト2012オープニング。途中映像が乱れます。すみません。
今年のシンボル的な存在のヤヨイちゃんが立ち上がるところです。
草間彌生 「愛はとこしえ、未来は私のもの! ヤヨイちゃん」

正面から観た様子。かなり大きいバルーンで出来ています。スタッフの方たちも赤の水玉のマフラーを付けて、水玉尽くしとなっていました。
草間彌生 氏も車椅子に乗ってオープニングのメッセージを述べていました。

今年は草間彌生の大規模な展示も行われるらしく、新たなファンも増えるのではないかと思います。
参考記事:草間彌生 ボディ・フェスティバル in 60's 展 (ワタリウム美術館)
草間彌生の作品は3つのいずれの会場にもあり、その場にあるスタンプを集めるとマフラーが貰えるようです。しかしこの六本木ヒルズのスタンプは尋常ではないほどの行列だったので諦めましたw (他の2会場は列無しでした) ある程度オープニングを観てからは順不同にぐるっと六本木ヒルズを回りながら各所の作品を観てきました。
チームラボ×高橋英明 「浮遊する楽器」
これは毛利庭園にあったインスタレーション。誰かが触ると色が変わるそうです。幻想的で綺麗な作品でした。
池田光宏 「by the window (六本木アートナイト2012バージョン)」
これは六本木ヒルズの脇のけやき坂通りにあった作品。影絵のような中でちょっと妖しい雰囲気の映像でした。
久野ギル 「The Antmaster」

これは森タワーの入口あたりにあった作品。映像で、生きたアリを写しているそうですが、あまりアリが出てくるところを見られなかったw この写真だと左の方に写っています。過去のカルマを消したいと願う意味があるそうです。
大屋根プラザでは今年もウィスキー響のコーナーがありました。


アートラウンジということで、フラワーアートなどがありましたが私は中には入りませんでした。
ホアン・スー・チエ 「オーガニック・コンセプト」
ビニールで出来た物体に風を通してふくらませたインスタレーション。上の方から光を当てて色をかえているようでした。
泉太郎 「糸ミミズのためのスケートリンク」


これは視聴者参加型のインスタレーションです。頭上からの映像を迷路のように区切り、そこにパンダの格好のスタッフが映る(ここに映ってないですがw)のですが、それを参加者が拡声器を使って迷路のゴールへと誘導していくという作品でした。見ているだけで物凄く歯がゆいゲームですw
六本木ヒルズのTokyo City Viewにも作品があるようなので行ってみました。
杉浦久子+suginoco 「海月(くらげ)ReBirthⅢ」


これは廃材の磁気テープで出来たクラゲのようです。各席が個室のような感じになっていましたw
なお、私はヒルズの年間パスを持っているので結構気軽に行きましたが、アートナイトのための作品はこれくらいしかなさそうです。
ちょっとおまけでヒルズの中で行われている展示。左は「みなとくデザイン」という小展示。右は森アーツセンターギャラリーの「ONE PIECE展」の入口。


私は行く予定はありませんが、ワンピース展は凄い行列を組んでいました。アートナイトとは関係ないですが盛り上がっているようで人でごった返していました。(下のチケットの所でも渡り廊下の先のエレベーターの辺りまで行列していました)
また下に戻ってきて他の作品も観てきました。
志村信裕 「赤い靴」
これはメトロハット(地下鉄のエスカレーター)付近にあった地面に映される映像作品です。赤い靴が現れては移動するという面白い作品で、子供が一生懸命それを追って遊んでいました。
志村信裕 「作品名未定(jewel?)」
志村信裕氏の作品は3つあったのですが、これは名前が分からなかったです。地面に映し出されたボタンが非常に綺麗です。
タムラサトル 「六本木マシーン」

これはノースタワー(ヒルズから少し六本木駅方面に行った辺り)にあった作品。チェーンで出来た重厚な感じで何のマシンだろ?と思ったら、「六本木」という文字になっていて驚きw 発想が面白いです。
タムラサトル 「スピンクロコダイル・ガーデン」
こちらはひたすらワニが回るというシュールな作品。誰もが何でワニが回るの?と疑問に思うのではないでしょうかw
ということで、六本木ヒルズの辺りだけでも面白い作品が多々ありました。去年は中止となっただけに今年は盛り上がっていて良かったです。この後、ミッドタウンと国立新美術館の方にも行きましたので、次回はそれについてご紹介しようと思います。
→後編はこちら
参照記事:★この記事を参照している記事
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前回ご紹介した埼玉県立近代美術館に行った後、少し移動して浦和にあるカフェ ヴォアールというお店でお茶してきました。

【店名】
カフェ ヴォアール
【ジャンル】
カフェ
【紹介サイト】
食べログ:http://r.tabelog.com/saitama/A1101/A110102/11004671/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
浦和駅
【近くの美術館】
うらわ美術館
埼玉県立近代美術館
【この日にかかった1人の費用】
1050円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
ここはうらわ美術館のすぐ近くですが、この日は疲れていたので立ち寄らずゆっくりとお茶だけすることにしました。少し遅目の時間でしたがちょうど満席くらいで、目立たないビル2階のお店の割にはお客さんが多いようでした。
店内の様子。テーブル席とカウンター席があり、これはカウンター席。(私はテーブル席でしたが混んでいたのでそちらの写真は撮れず)

この日はショートケーキ(400円)とマンデリン(650円)を頼みました。

器も洒落ていて期待できます。
まずはショートケーキ。

ふわっとして軽やかな甘さでかなり美味しかったです。いちごも甘くて爽やか。
続いてマンデリン。

こちらは苦味があり酸味はほぼありませんでした。飲んだ後に軽い甘みすら感じるようで美味しかったです。
ということで落ち着いた雰囲気のなかで美味しいケーキとコーヒーを楽しむことが出来ました。すぐ隣には大きな本屋さんもあるので、本でも買ってゆっくりするのも良いかもしれません。非常に好みのお店でした。

【店名】
カフェ ヴォアール
【ジャンル】
カフェ
【紹介サイト】
食べログ:http://r.tabelog.com/saitama/A1101/A110102/11004671/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
浦和駅
【近くの美術館】
うらわ美術館
埼玉県立近代美術館
【この日にかかった1人の費用】
1050円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
ここはうらわ美術館のすぐ近くですが、この日は疲れていたので立ち寄らずゆっくりとお茶だけすることにしました。少し遅目の時間でしたがちょうど満席くらいで、目立たないビル2階のお店の割にはお客さんが多いようでした。
店内の様子。テーブル席とカウンター席があり、これはカウンター席。(私はテーブル席でしたが混んでいたのでそちらの写真は撮れず)

この日はショートケーキ(400円)とマンデリン(650円)を頼みました。

器も洒落ていて期待できます。
まずはショートケーキ。

ふわっとして軽やかな甘さでかなり美味しかったです。いちごも甘くて爽やか。
続いてマンデリン。

こちらは苦味があり酸味はほぼありませんでした。飲んだ後に軽い甘みすら感じるようで美味しかったです。
ということで落ち着いた雰囲気のなかで美味しいケーキとコーヒーを楽しむことが出来ました。すぐ隣には大きな本屋さんもあるので、本でも買ってゆっくりするのも良いかもしれません。非常に好みのお店でした。
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もう2週間ほど前のことですが、土曜日に埼玉県立近代美術館へ行って「清水晃・吉野辰海 漆黒の彼方/犬の行方」を観てきました。

【展覧名】
清水晃・吉野辰海 漆黒の彼方/犬の行方
【公式サイト】
http://www.momas.jp/3.htm
【会場】埼玉県立近代美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】北浦和駅
【会期】2012年2月11日(土・祝)~2012年3月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。
さて、今回の展示は清水晃 氏と吉野辰海 氏の2名のコーナーから成る内容となっていました。両氏は1960年代の反芸術の流れを担い、その後独自の作風を築いたそうで、それぞれのコーナーで足跡を紹介していました。各章ごとに気に入った作品などと共にざっくりとご紹介しようと思います。
<清水晃 漆黒の彼方 第1章 闇のフロッタージュ>
まずは清水晃 氏の「漆黒から」というシリーズが展示された部屋です。これはトレーシングペーパーにコンテで描かれた素描のような絵で、1970年代後半から始めて15年以上で1000点を超える作品が作られたそうです。自らの内面に潜むイメージをどのように捉えていったかが分かるそうで、とんがり帽子の人形から沢山の線が放出されているような感じの絵などが並んでいました。他にもダ・ヴィンチのヘリコプターを彷彿とするようなものから線が放出されている作品、円錐にハサミのようなものが描かれた作品など、具象と抽象の間のようなシュールな印象を受けました。ハサミは清水晃 氏にとって重要なモチーフらしく、この後にもハサミをモチーフにした作品が並んでいます。
また、この部屋の中央には真っ黒に塗られた木のオブジェもありました。まるで絵の中に描かれたオブジェがそのまま立体になったようなもので、幾何学的で針金のようなものが沢山飛び出していました。 どこか冷たく耽美な印象を受けました。
<清水晃 漆黒の彼方 第2章 反芸術の只中で>
続いては1960年~70年頃の作品のコーナーです。1960年代始め、若い世代の美術家は廃物による作品やハプニングなど、既成概念を打ち破るような制作を試みたそうです。それらは読売アンデパンダン展などで発表され「反芸術」と呼ばれ、美術が多様化したきっかけとなりました。清水氏も既製品を組み合わせた作品を制作し、地図やヌード写真をコラージュした作品などにも挑戦したそうです。そして、色盲検査表を使った作品では賞を取ったらしく、ここにはそうした作品も並んでいました。
清水晃 「色盲検査表No.5」 ★こちらで観られます
様々な大きさの赤と緑の円が集まり大きな円となっているお馴染みの色盲テストの表を作品に取り入れたものです。中央に大きく緑で5と描かれているのですが、その周りの円には沢山の写真が張られていて、外国の人物や風景、漫画のようなものまでありました。発想が面白くてストーリー性があるのかな?と想像してみたり。
この辺には同じようにNo.6とNo.8の色盲検査表の作品がありました。8の方は円が切り抜かれたところもありました。
清水晃 「リクリエーション」 ★こちらで観られます
部屋の中央にあったベッドを使った作品です。掛け布団の中央に穴が開いていて、そこに鷹の剥製が頭を突っ込んでいました。全く意味は分かりませんが、シュルレアリスムの絵をオブジェにしたような奇妙な光景で面白かったです。
この部屋の壁には地図に頭の無い裸体の女性の写真がコラージュされた作品が並んでいました。これもシュールでエロティックな雰囲気がありました。
清水晃 「ブラックライト」
三角形の狭い部屋に扇風機や鳥籠、自転車の車輪、ペンキの缶などが転がっている作品で、そこに蛍光塗料が飛び散るように塗られています。しばらくそれを眺めていると白色蛍光灯からブラックライトに照明が切り替わり、ガラクタに見えたものがブラックライトによって非常に幻想的な光を発するオブジェに見えてきます。緑、赤、青など色鮮やかで美しいのですが、また白色蛍光灯に切り替わるとゴミにしか見えなくなるのが面白かったです。
この辺にはポストを題材にした作品も数点ありました。ポストの中に入って歩いたり、ポストを食べる(?)作品などもあります。また、「焔」という焦げ跡を用いたシリーズも何点か展示されていました。
<清水晃 漆黒の彼方 第3章 原風景へ>
清水氏は1971年にコラージュ作品集「目沼」を発表すると1960年代の作風から一転して、記憶を遡るような内向的表現となったそうです。そのきっかけは土方巽などの舞踏家との交流だったらしく、富山の風土や幼少期の体験がインスピレーションとなった作品を生み出していきます。
ここには海を背景にしたコラージュ作品などが展示されていました。巨大なハサミとカニが海岸線に突き刺さって並んでいたり、海岸に大きなカエルが5重に重なっていたり、かなりシュールな雰囲気です。海以外にはカマキリが稲妻をキャッチしている様子などもあったのですが、これは富山の鰤起こしと呼ばれる冬の稲妻をモチーフにしているようでした。
その先には須坂というシリーズの作品もあり、こちらは不穏でちょっと怖い作風でした。また、先ほどのハサミとカニの写真はポスターの図柄としても使われたようで、舞踏公演のポスター(魚が口で稲妻をキャッチしている様子)と共に展示されていました。
この部屋の中央には舞踏公演に使われた赤い着物の作品もありました。この着物には沢山の石が貼りつけられていて、背中にもびっしりとつけられていました。舞踏公演の方も斬新なものだったのかも?
<清水晃 漆黒の彼方 第4章 漆黒から>
清水氏は1970年代後半の「漆黒から」の素描と並行して1983年からは立体のオブジェも作ったそうです。富山の海岸で漁に使う道具のゴミなどを拾ってきては作品に使っていたようで、ここにはかなり大きめの作品も展示されていました。
三角の土台に円形や針金などが取り付けられた、撮影機材か機銃のような姿の大きなオブジェや、釣りの錘やハサミ、針金などを使って黒く塗られた作品が数点並んでいます。これらはメカニカルで、どこか妖しく耽美な感じでした。
<清水晃 漆黒の彼方 第5章 闇をぬけて>
清水氏は1990年代に「漆黒から」のシリーズに終止符を打ち、それに代わって紺色を基調としたシリーズを制作したそうです。画面は極端に横長になり、オブジェやモチーフを水平方向に連ねていくのが特徴らしく、ここにはそうした作品が並んでいました。
抽象的な絵が描かれた横長の板に、ピンポン玉や竹ひご、謎の品々がついた作品が何点かあり、漆黒からシリーズと同じように拾ってきたものを使っているようでした。しかし、こちらはカラフルな印象を受け、より自由な雰囲気がありました。これまでの漆黒の作品とはだいぶ違って見えます。
以上で清水氏のコーナーは終わりで、続いては吉野辰海 氏のコーナーです。
<吉野辰海 犬の行方 第1章 犬、犬、犬>
吉野辰海 氏はネオ・ダダに参加するなど1960年代から精力的に活動していた芸術家です。1970年代に自らの原点を見つめ直したそうで、そこで浮かび上がったのは幼い時に一緒に過ごし終戦時に行方不明になった犬だったそうです。犬と共に戦後の風景を思い起こしながら制作を行っているらしく、ここにはそうした犬の作品が並んでいました。
まずは、やたらと長い人間のような身体の巨大な犬の像が数点並んでいました。顔や身体がひしゃげていて、苦しそうな表情に見えます。 ★こちらで観られます
かなり異様で怪物っぽい雰囲気すらあり、むしろ犬が嫌いなのではと勘ぐってしまうほどですw 口からは長い舌?が出ていて、そこにも小さな犬の像などがありました。ちょっと怖いですが、圧倒されました。
吉野辰海 「投影装置の犬」
犬の像の片目がスコープのようになっていて、その中を覗き込むことができる作品です。作品の足元にあるペダルを踏むとスコープの中にぼんやりした映像が映るのですが、キラキラ輝くものと赤い何かが現れ、ちょっと怖いような幻想的な雰囲気でした。解説によると、これは作者の原風景を犬の中に入れているとのことでした。
この辺には言葉では説明しづらいシュールな絵画作品や投影装置の犬のプランなども並んでいました。絵でも犬の頭をくっつけたり犬をモチーフにしています。
<吉野辰海 犬の行方 第2章 SCREW 飛べ!>
吉野氏は1980年代以降、犬の立体作品を集中的に制作してきましたが、1997年から新機軸を打ち出したそうです。引き続き犬の作品もありますが、人物像やカマキリなどの生き物、むき出しの臓器などをモチーフにして物語性をもたせているようです。(中にはアメリカの同時多発テロの日付が刻まれた作品もあるそうです) この頃から唐辛子やバナナをモチーフにした作品も頻繁に作られたそうで、ここにもそうした作品が並んでいました。
吉野辰海 「SCREW 唐辛子犬」 ★こちらで観られます
これは1章との境にあった今回のポスターにもなっている作品です。黄色い大きな犬の頭に赤い唐辛子が突き刺さっているような彫刻作品で、何ともユーモラスな雰囲気です。犬と唐辛子は吉野氏の作品によく出てくるモチーフのようなので、これは代表的な作風なのかもしれません。
吉野辰海 「SCREW 飛べ!」
イカダの舳先でロケットを背負って飛び立とうとしている裸の男性の彫像です。マストには犬とキューピーみたいな像が釣り下げられていて、人間はどこか頼りなさげでへっぴり腰に観えました。
ここら辺には十字架のようなものに犬が逆さ吊り、首吊りのようになったもの、そのかたわらに内蔵や脳みそ、目玉のようなものがありました。不気味で死を感じさせます。
<吉野辰海 犬の行方 第3章 象少女>
続いては2009年からの新たなシリーズのコーナーです。象少女という、首から下は少女の裸体、首から上は極彩色の巨大な象の頭(犬の頭のも)というちょっと不気味な作品が並んでいました。(★こちらで観られます)これはどこかで観た記憶もありますがどこだったか思い出せず。 解説によると吉野氏は母親の最後の姿が象に重なる夢を観たそうで、それが発端となりこのシリーズを制作したそうです。ここには大小の象少女が並び、痩せた少女の白い肌と派手で歪んだ象の頭の取り合わせが異様な雰囲気となっていました。中には象の頭から犬の頭蓋骨や膝を抱えて座っている人が出てきているようなものもありました。
<吉野辰海 犬の行方 第4章 出発点としての1960年代>
最後は吉野氏の20代の頃のコーナーです。20代でネオ・ダダに加わったそうで、その頃の作品が並んでいます。歯車をモチーフに永久機関を思わせる作品や、歯と口が描かれた大きな袋、読売アンデパンダン展とネオ・ダダ展に出品した作品の写真やネオ・ダダのメンバーの写真などがあります。
出口付近は2章の内容の作品が並んでいて、大きな唐辛子の上に立った犬がマントのような翼をつけられて飛ぼうとしている像や、犬の頭の上に唐辛子を担いだ人が乗っているシュールな作品がありました。犬と同じサイズの青いカマキリが犬を羽交い絞めにしている(ダンス?)作品も異様な雰囲気でした。
ということで、現代アートが苦手な私でも楽しめる内容となっていました。深い意味もありそうですが、ぱっと見て何だこれ!?と驚ける作品があるのが面白いです。もうすぐ会期が終わってしまいますが、気になる方は是非どうぞ。
おまけ:
この日も埼玉県立近代美術館の常設も観てきたのですが、以前ご紹介した内容と同じでしたので今回は割愛します。
参考記事:MOMASコレクションⅣ 2012 (埼玉県立近代美術館)
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
清水晃・吉野辰海 漆黒の彼方/犬の行方
【公式サイト】
http://www.momas.jp/3.htm
【会場】埼玉県立近代美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】北浦和駅
【会期】2012年2月11日(土・祝)~2012年3月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。
さて、今回の展示は清水晃 氏と吉野辰海 氏の2名のコーナーから成る内容となっていました。両氏は1960年代の反芸術の流れを担い、その後独自の作風を築いたそうで、それぞれのコーナーで足跡を紹介していました。各章ごとに気に入った作品などと共にざっくりとご紹介しようと思います。
<清水晃 漆黒の彼方 第1章 闇のフロッタージュ>
まずは清水晃 氏の「漆黒から」というシリーズが展示された部屋です。これはトレーシングペーパーにコンテで描かれた素描のような絵で、1970年代後半から始めて15年以上で1000点を超える作品が作られたそうです。自らの内面に潜むイメージをどのように捉えていったかが分かるそうで、とんがり帽子の人形から沢山の線が放出されているような感じの絵などが並んでいました。他にもダ・ヴィンチのヘリコプターを彷彿とするようなものから線が放出されている作品、円錐にハサミのようなものが描かれた作品など、具象と抽象の間のようなシュールな印象を受けました。ハサミは清水晃 氏にとって重要なモチーフらしく、この後にもハサミをモチーフにした作品が並んでいます。
また、この部屋の中央には真っ黒に塗られた木のオブジェもありました。まるで絵の中に描かれたオブジェがそのまま立体になったようなもので、幾何学的で針金のようなものが沢山飛び出していました。 どこか冷たく耽美な印象を受けました。
<清水晃 漆黒の彼方 第2章 反芸術の只中で>
続いては1960年~70年頃の作品のコーナーです。1960年代始め、若い世代の美術家は廃物による作品やハプニングなど、既成概念を打ち破るような制作を試みたそうです。それらは読売アンデパンダン展などで発表され「反芸術」と呼ばれ、美術が多様化したきっかけとなりました。清水氏も既製品を組み合わせた作品を制作し、地図やヌード写真をコラージュした作品などにも挑戦したそうです。そして、色盲検査表を使った作品では賞を取ったらしく、ここにはそうした作品も並んでいました。
清水晃 「色盲検査表No.5」 ★こちらで観られます
様々な大きさの赤と緑の円が集まり大きな円となっているお馴染みの色盲テストの表を作品に取り入れたものです。中央に大きく緑で5と描かれているのですが、その周りの円には沢山の写真が張られていて、外国の人物や風景、漫画のようなものまでありました。発想が面白くてストーリー性があるのかな?と想像してみたり。
この辺には同じようにNo.6とNo.8の色盲検査表の作品がありました。8の方は円が切り抜かれたところもありました。
清水晃 「リクリエーション」 ★こちらで観られます
部屋の中央にあったベッドを使った作品です。掛け布団の中央に穴が開いていて、そこに鷹の剥製が頭を突っ込んでいました。全く意味は分かりませんが、シュルレアリスムの絵をオブジェにしたような奇妙な光景で面白かったです。
この部屋の壁には地図に頭の無い裸体の女性の写真がコラージュされた作品が並んでいました。これもシュールでエロティックな雰囲気がありました。
清水晃 「ブラックライト」
三角形の狭い部屋に扇風機や鳥籠、自転車の車輪、ペンキの缶などが転がっている作品で、そこに蛍光塗料が飛び散るように塗られています。しばらくそれを眺めていると白色蛍光灯からブラックライトに照明が切り替わり、ガラクタに見えたものがブラックライトによって非常に幻想的な光を発するオブジェに見えてきます。緑、赤、青など色鮮やかで美しいのですが、また白色蛍光灯に切り替わるとゴミにしか見えなくなるのが面白かったです。
この辺にはポストを題材にした作品も数点ありました。ポストの中に入って歩いたり、ポストを食べる(?)作品などもあります。また、「焔」という焦げ跡を用いたシリーズも何点か展示されていました。
<清水晃 漆黒の彼方 第3章 原風景へ>
清水氏は1971年にコラージュ作品集「目沼」を発表すると1960年代の作風から一転して、記憶を遡るような内向的表現となったそうです。そのきっかけは土方巽などの舞踏家との交流だったらしく、富山の風土や幼少期の体験がインスピレーションとなった作品を生み出していきます。
ここには海を背景にしたコラージュ作品などが展示されていました。巨大なハサミとカニが海岸線に突き刺さって並んでいたり、海岸に大きなカエルが5重に重なっていたり、かなりシュールな雰囲気です。海以外にはカマキリが稲妻をキャッチしている様子などもあったのですが、これは富山の鰤起こしと呼ばれる冬の稲妻をモチーフにしているようでした。
その先には須坂というシリーズの作品もあり、こちらは不穏でちょっと怖い作風でした。また、先ほどのハサミとカニの写真はポスターの図柄としても使われたようで、舞踏公演のポスター(魚が口で稲妻をキャッチしている様子)と共に展示されていました。
この部屋の中央には舞踏公演に使われた赤い着物の作品もありました。この着物には沢山の石が貼りつけられていて、背中にもびっしりとつけられていました。舞踏公演の方も斬新なものだったのかも?
<清水晃 漆黒の彼方 第4章 漆黒から>
清水氏は1970年代後半の「漆黒から」の素描と並行して1983年からは立体のオブジェも作ったそうです。富山の海岸で漁に使う道具のゴミなどを拾ってきては作品に使っていたようで、ここにはかなり大きめの作品も展示されていました。
三角の土台に円形や針金などが取り付けられた、撮影機材か機銃のような姿の大きなオブジェや、釣りの錘やハサミ、針金などを使って黒く塗られた作品が数点並んでいます。これらはメカニカルで、どこか妖しく耽美な感じでした。
<清水晃 漆黒の彼方 第5章 闇をぬけて>
清水氏は1990年代に「漆黒から」のシリーズに終止符を打ち、それに代わって紺色を基調としたシリーズを制作したそうです。画面は極端に横長になり、オブジェやモチーフを水平方向に連ねていくのが特徴らしく、ここにはそうした作品が並んでいました。
抽象的な絵が描かれた横長の板に、ピンポン玉や竹ひご、謎の品々がついた作品が何点かあり、漆黒からシリーズと同じように拾ってきたものを使っているようでした。しかし、こちらはカラフルな印象を受け、より自由な雰囲気がありました。これまでの漆黒の作品とはだいぶ違って見えます。
以上で清水氏のコーナーは終わりで、続いては吉野辰海 氏のコーナーです。
<吉野辰海 犬の行方 第1章 犬、犬、犬>
吉野辰海 氏はネオ・ダダに参加するなど1960年代から精力的に活動していた芸術家です。1970年代に自らの原点を見つめ直したそうで、そこで浮かび上がったのは幼い時に一緒に過ごし終戦時に行方不明になった犬だったそうです。犬と共に戦後の風景を思い起こしながら制作を行っているらしく、ここにはそうした犬の作品が並んでいました。
まずは、やたらと長い人間のような身体の巨大な犬の像が数点並んでいました。顔や身体がひしゃげていて、苦しそうな表情に見えます。 ★こちらで観られます
かなり異様で怪物っぽい雰囲気すらあり、むしろ犬が嫌いなのではと勘ぐってしまうほどですw 口からは長い舌?が出ていて、そこにも小さな犬の像などがありました。ちょっと怖いですが、圧倒されました。
吉野辰海 「投影装置の犬」
犬の像の片目がスコープのようになっていて、その中を覗き込むことができる作品です。作品の足元にあるペダルを踏むとスコープの中にぼんやりした映像が映るのですが、キラキラ輝くものと赤い何かが現れ、ちょっと怖いような幻想的な雰囲気でした。解説によると、これは作者の原風景を犬の中に入れているとのことでした。
この辺には言葉では説明しづらいシュールな絵画作品や投影装置の犬のプランなども並んでいました。絵でも犬の頭をくっつけたり犬をモチーフにしています。
<吉野辰海 犬の行方 第2章 SCREW 飛べ!>
吉野氏は1980年代以降、犬の立体作品を集中的に制作してきましたが、1997年から新機軸を打ち出したそうです。引き続き犬の作品もありますが、人物像やカマキリなどの生き物、むき出しの臓器などをモチーフにして物語性をもたせているようです。(中にはアメリカの同時多発テロの日付が刻まれた作品もあるそうです) この頃から唐辛子やバナナをモチーフにした作品も頻繁に作られたそうで、ここにもそうした作品が並んでいました。
吉野辰海 「SCREW 唐辛子犬」 ★こちらで観られます
これは1章との境にあった今回のポスターにもなっている作品です。黄色い大きな犬の頭に赤い唐辛子が突き刺さっているような彫刻作品で、何ともユーモラスな雰囲気です。犬と唐辛子は吉野氏の作品によく出てくるモチーフのようなので、これは代表的な作風なのかもしれません。
吉野辰海 「SCREW 飛べ!」
イカダの舳先でロケットを背負って飛び立とうとしている裸の男性の彫像です。マストには犬とキューピーみたいな像が釣り下げられていて、人間はどこか頼りなさげでへっぴり腰に観えました。
ここら辺には十字架のようなものに犬が逆さ吊り、首吊りのようになったもの、そのかたわらに内蔵や脳みそ、目玉のようなものがありました。不気味で死を感じさせます。
<吉野辰海 犬の行方 第3章 象少女>
続いては2009年からの新たなシリーズのコーナーです。象少女という、首から下は少女の裸体、首から上は極彩色の巨大な象の頭(犬の頭のも)というちょっと不気味な作品が並んでいました。(★こちらで観られます)これはどこかで観た記憶もありますがどこだったか思い出せず。 解説によると吉野氏は母親の最後の姿が象に重なる夢を観たそうで、それが発端となりこのシリーズを制作したそうです。ここには大小の象少女が並び、痩せた少女の白い肌と派手で歪んだ象の頭の取り合わせが異様な雰囲気となっていました。中には象の頭から犬の頭蓋骨や膝を抱えて座っている人が出てきているようなものもありました。
<吉野辰海 犬の行方 第4章 出発点としての1960年代>
最後は吉野氏の20代の頃のコーナーです。20代でネオ・ダダに加わったそうで、その頃の作品が並んでいます。歯車をモチーフに永久機関を思わせる作品や、歯と口が描かれた大きな袋、読売アンデパンダン展とネオ・ダダ展に出品した作品の写真やネオ・ダダのメンバーの写真などがあります。
出口付近は2章の内容の作品が並んでいて、大きな唐辛子の上に立った犬がマントのような翼をつけられて飛ぼうとしている像や、犬の頭の上に唐辛子を担いだ人が乗っているシュールな作品がありました。犬と同じサイズの青いカマキリが犬を羽交い絞めにしている(ダンス?)作品も異様な雰囲気でした。
ということで、現代アートが苦手な私でも楽しめる内容となっていました。深い意味もありそうですが、ぱっと見て何だこれ!?と驚ける作品があるのが面白いです。もうすぐ会期が終わってしまいますが、気になる方は是非どうぞ。
おまけ:
この日も埼玉県立近代美術館の常設も観てきたのですが、以前ご紹介した内容と同じでしたので今回は割愛します。
参考記事:MOMASコレクションⅣ 2012 (埼玉県立近代美術館)
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今日は前回の記事に引き続き、国立西洋美術館の「ユベール・ロベール-時間の庭」の後編をご紹介いたします。前編は影響を受けた作家や初期の作品について紹介しましたので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。
前編はこちら

まずは概要のおさらいです。
【展覧名】
ユベール・ロベール-時間の庭
【公式サイト】
http://www.tokyo-np.co.jp/event/bi/robert/
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/current.html#mainClm
【会場】国立西洋美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年3月6日(火)~5月20日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(平日14時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前半はイタリアに留学していた頃をご紹介しましたが、後編は帰国後の絶頂期を含むコーナーについてご紹介します。
<第4章 フランスの情景>
11年間のイタリア滞在の後、ロベールは1765年にフランスに帰国し、翌年には王立絵画彫刻アカデミーへの入会を許されました。イタリアでの修行の成果を発表してサロンでも成功を収めるなど順風満帆な画家生活だったようで、ルーブル宮の中で絵画コレクションの管理などをしながら人気画家の地位を確かにしていきました。ここにはそうしたフランス時代の作品が並んでいました。
66 ユベール・ロベール 「サン=ドニ教会の内部」
これは今回のポスターにもなった油彩作品で、ゴシック様式の大きな教会の内部を描いています。大きな円柱を中心に、右は奥に続く階段がやや暗めに描かれ、左はガラスの窓から明るい光が差し込んでいる様子となっています。その手前の礼拝堂なども暗めに描かれているなど、陰影が劇的な雰囲気の作品でした。
この辺にはこうした回廊などを描いた素描作品が並んでいました。
67 ユベール・ロベール 「赤ん坊に哺乳瓶をさし出す若い女」 ★こちらで観られます
緑の揺りかごの中で寝ているロベールの次女と、その傍らで哺乳瓶を持っている女中を描いた作品です。すやすやして寝る子供の顔が可愛らしく、柔らかい光が差し込み穏やかな雰囲気がありました。解説によると、大体は幸福な人生だったロベールですが、4人の子供が次々と死ぬという悲劇も味わったそうです。
この辺にはサロンを主催していたジョフラン夫人に関する作品や、洗濯女を主題に作品も何点かありました。
<第5章 奇想の風景>
続いての章は、ロベールの真骨頂とも言える現実と空想を織りまぜた奇想の風景画(カプリッチョ)が並ぶコーナーです。ロベールはイタリア時代の思い出の古代遺跡を自在に組み合わせた想像の風景を作り上げ、「廃墟のロベール」と呼ばれたそうです。また、そこに庶民の生活を描き込むなど風景とのコントラストを生み出しているらしく、ここにはそうした特徴の作品が並んでいました。
80 ユベール・ロベール 「古代遺物の発見者たち」 ★こちらで観られます
これは今回のポスターにもなっている作品です。暗いトンネル状の遺跡の中で、火を持った人が蛮族の王の像を照らし遺跡愛好家がそれを眺めています。奥にあるトンネルの入口あたりは明るく、遺跡を眺めている人もいます。また、外にはピラミッドのような建物も観えました。遺跡の中は暗く明暗が強めで神秘的な雰囲気があり、まだ下に続く階段があるようです。解説によると、これはローマのコロッセオの回廊に着想を得て想像で描いたものだそうです。隣にはこの素描もありました。
85 ユベール・ロベール 「スフィンクス橋の眺め」
これは油彩で、画面を覆うように描かれたアーチの下で、洗濯や炊事をする女性たちが描かれています。周りには子供がじゃれあったり犬もいたりと、のんびりとした生活の様子となっていて、遺跡の荘厳さと対比的に観えます。また、アーチの向こうには崖の上の古城や高い橋桁、滝などもあり非日常的な光景となっていました。解説によると、アーチの中から景色を覗く構図はピラネージからの影響だそうです。この辺には他にも何点か橋の下から観る風景を描いた作品がありました。
参考記事:ピラネージ『牢獄』展 (国立西洋美術館)
94 ユベール・ロベール 「ボルゲーゼの壺を素描する画家」 ★こちらで観られます
台の上に乗った大きな壺を見ながら写生している人物を描いた素描作品です。この人物は作者自身のようで、壺はボルゲーゼ庭園にあったヘレニズム時代の古代の壺だそうです。 また、壺のバッカスの祭りを行う一行の彫刻は忠実に描かれているとのことですが、背景はコロッセオを組み合わせたカプリッチョ(奇想画)のようでした。解説によると、壺の下の石版には「ローマの偉大さは廃墟からすら分かる」と書いてあるようで、ローマへの経緯が感じられます。
参考記事:ボルゲーゼ美術館展 (東京都美術館)
98 ユベール・ロベール 「モンテ・カヴァッロの巨像とサン・ピエトロ大聖堂の見える空想のローマ景観」
99 ユベール・ロベール 「マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の見える空想のローマ景観」
これはこの美術館が所蔵する作品で、たまに常設で観ることができます。対になるように展示されていて見応えがあります。
参考記事:国立西洋美術館の案内 (常設 2010年06月)
この辺はロベールの作品に影響を受けた「トランジション」(移行様式)という様式の箪笥などもありました。寄木で作られ廃墟や建築をモチーフにしています。また、101リチャード・ウィルソン 「ティヴォリの風景」、102ジョゼフ・ヴェルネ「夏の夕べ、イタリア風景」といったこの美術館の常設作品もありました。
<第6章 庭園からアルカディアへ>
下の階にある最後の章はロベールの庭園制作に関するコーナーです。当時のフランスではそれまでの幾何学式庭園に代わって、「自然らしさ」を求める風景式庭園がイギリスから広まりつつあったそうです。ロベールはこの流れの庭園デザインの世界でも名を残したらしく、まさに絵のような眺めを作り上げ「国王の庭園デザイナー」という称号を得ました。そして1789年頃には画家としても庭園デザイナーとしても絶頂期を迎えましたが、フランス革命が起こり1793年~94年には投獄の憂き目にも遭ったようです。その後はまた絵を描いていたようで、ここには最晩年の作品まで並んでいました。
127 ユベール・ロベール 「アルカディアの牧人たち」 ★こちらで観られます
これは巨大な油彩画で、古代の理想郷アルカディアを想像して描いたものです。故郷とイタリアの風景を折衷していて、奥には渓谷と神殿を描いています。手前には川辺で墓を指さしている子供や女性、羊などが描かれているのですが、この墓はロベールが手がけた哲学者のジャン=ジャック・ルソーの墓を思い起こさせるそうです。全体的に明るく神話的な雰囲気の理想郷といった感じでしたが、墓は理想郷にも死はあるという意味があるとのことでした。
この章の始めには農村の風景や川の畔、水車、井戸、橋、洗濯女などを描いた素描作品もありました。少し進むと空想と現実が混ざった神殿などが描かれた風景画が並びます。
115 ユベール・ロベール 「メレヴィル庭園の眺め」
ロベールが造園を指揮した庭園を描いた作品です。谷間のような岩場に2つの岩が置かれ、その奥には滝があります。そして両岸に渡る木の橋や小屋もあり、その脇には遊んでいる子供の姿も描かれていました。奥には神殿風の乳製品加工所もあるそうで、自然と古代を賛美したような造園となっているようでした。
なお、この庭園は10年かけて作られたそうです。先に想像で見本の絵を描いて、それを元に造園されると、またその光景を絵に描いていたそうです。しかし、この庭は革命後に廃墟にされて破壊が進んだようです。
この先は上階に戻ります。イタリア時代に訪れたことを思い出して想像で描いたボルゲーゼ庭園の絵などが展示されていました。
131 ユベール・ロベール 「ヴェルサイユのアポロンの水浴の木立」
人口洞窟(グロッタ)の中にアポロン像を作った庭園を描いた作品です。ルイ16世によってヴェルサイユ庭園の再整備計画を任じられたそうで、ここには岩の洞窟の中に人口の滝と沢山の彫像が置かれた様子が描かれています。自然と神話が一体となったような感じで、この庭園の成功によってロベールは「国王の庭園デザイナー」の称号を得ました。解説によると、この作品は実際には晩年にその当時の様子を回想して描いたものとのことでした。
130 ユベール・ロベール 「サン=ラザール牢獄の囚人たちの散歩」 ★こちらで観られます
これは革命期に投獄された際に牢獄で皿に描いた作品です。格子のある通路を歩くたくさんの囚人たちが描かれ、奥からの光が強い明暗を生んでいました。この作品は看守を通じて売り払われたそうで、イギリスに売れたとのことでした。
解説ではロベールは処刑寸前の危機的状況だったようですが、その際に別人のロベールが呼ばれて助かったというエピソードを紹介していました。
ということで、何点かは観たことある作品もありましたが、ほとんど知らない作品ばかりで貴重な機会となっていました。日本ではこうした画家はあまり観る機会がないので意義深い内容だと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事
前編はこちら

まずは概要のおさらいです。
【展覧名】
ユベール・ロベール-時間の庭
【公式サイト】
http://www.tokyo-np.co.jp/event/bi/robert/
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/current.html#mainClm
【会場】国立西洋美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年3月6日(火)~5月20日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(平日14時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前半はイタリアに留学していた頃をご紹介しましたが、後編は帰国後の絶頂期を含むコーナーについてご紹介します。
<第4章 フランスの情景>
11年間のイタリア滞在の後、ロベールは1765年にフランスに帰国し、翌年には王立絵画彫刻アカデミーへの入会を許されました。イタリアでの修行の成果を発表してサロンでも成功を収めるなど順風満帆な画家生活だったようで、ルーブル宮の中で絵画コレクションの管理などをしながら人気画家の地位を確かにしていきました。ここにはそうしたフランス時代の作品が並んでいました。
66 ユベール・ロベール 「サン=ドニ教会の内部」
これは今回のポスターにもなった油彩作品で、ゴシック様式の大きな教会の内部を描いています。大きな円柱を中心に、右は奥に続く階段がやや暗めに描かれ、左はガラスの窓から明るい光が差し込んでいる様子となっています。その手前の礼拝堂なども暗めに描かれているなど、陰影が劇的な雰囲気の作品でした。
この辺にはこうした回廊などを描いた素描作品が並んでいました。
67 ユベール・ロベール 「赤ん坊に哺乳瓶をさし出す若い女」 ★こちらで観られます
緑の揺りかごの中で寝ているロベールの次女と、その傍らで哺乳瓶を持っている女中を描いた作品です。すやすやして寝る子供の顔が可愛らしく、柔らかい光が差し込み穏やかな雰囲気がありました。解説によると、大体は幸福な人生だったロベールですが、4人の子供が次々と死ぬという悲劇も味わったそうです。
この辺にはサロンを主催していたジョフラン夫人に関する作品や、洗濯女を主題に作品も何点かありました。
<第5章 奇想の風景>
続いての章は、ロベールの真骨頂とも言える現実と空想を織りまぜた奇想の風景画(カプリッチョ)が並ぶコーナーです。ロベールはイタリア時代の思い出の古代遺跡を自在に組み合わせた想像の風景を作り上げ、「廃墟のロベール」と呼ばれたそうです。また、そこに庶民の生活を描き込むなど風景とのコントラストを生み出しているらしく、ここにはそうした特徴の作品が並んでいました。
80 ユベール・ロベール 「古代遺物の発見者たち」 ★こちらで観られます
これは今回のポスターにもなっている作品です。暗いトンネル状の遺跡の中で、火を持った人が蛮族の王の像を照らし遺跡愛好家がそれを眺めています。奥にあるトンネルの入口あたりは明るく、遺跡を眺めている人もいます。また、外にはピラミッドのような建物も観えました。遺跡の中は暗く明暗が強めで神秘的な雰囲気があり、まだ下に続く階段があるようです。解説によると、これはローマのコロッセオの回廊に着想を得て想像で描いたものだそうです。隣にはこの素描もありました。
85 ユベール・ロベール 「スフィンクス橋の眺め」
これは油彩で、画面を覆うように描かれたアーチの下で、洗濯や炊事をする女性たちが描かれています。周りには子供がじゃれあったり犬もいたりと、のんびりとした生活の様子となっていて、遺跡の荘厳さと対比的に観えます。また、アーチの向こうには崖の上の古城や高い橋桁、滝などもあり非日常的な光景となっていました。解説によると、アーチの中から景色を覗く構図はピラネージからの影響だそうです。この辺には他にも何点か橋の下から観る風景を描いた作品がありました。
参考記事:ピラネージ『牢獄』展 (国立西洋美術館)
94 ユベール・ロベール 「ボルゲーゼの壺を素描する画家」 ★こちらで観られます
台の上に乗った大きな壺を見ながら写生している人物を描いた素描作品です。この人物は作者自身のようで、壺はボルゲーゼ庭園にあったヘレニズム時代の古代の壺だそうです。 また、壺のバッカスの祭りを行う一行の彫刻は忠実に描かれているとのことですが、背景はコロッセオを組み合わせたカプリッチョ(奇想画)のようでした。解説によると、壺の下の石版には「ローマの偉大さは廃墟からすら分かる」と書いてあるようで、ローマへの経緯が感じられます。
参考記事:ボルゲーゼ美術館展 (東京都美術館)
98 ユベール・ロベール 「モンテ・カヴァッロの巨像とサン・ピエトロ大聖堂の見える空想のローマ景観」
99 ユベール・ロベール 「マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の見える空想のローマ景観」
これはこの美術館が所蔵する作品で、たまに常設で観ることができます。対になるように展示されていて見応えがあります。
参考記事:国立西洋美術館の案内 (常設 2010年06月)
この辺はロベールの作品に影響を受けた「トランジション」(移行様式)という様式の箪笥などもありました。寄木で作られ廃墟や建築をモチーフにしています。また、101リチャード・ウィルソン 「ティヴォリの風景」、102ジョゼフ・ヴェルネ「夏の夕べ、イタリア風景」といったこの美術館の常設作品もありました。
<第6章 庭園からアルカディアへ>
下の階にある最後の章はロベールの庭園制作に関するコーナーです。当時のフランスではそれまでの幾何学式庭園に代わって、「自然らしさ」を求める風景式庭園がイギリスから広まりつつあったそうです。ロベールはこの流れの庭園デザインの世界でも名を残したらしく、まさに絵のような眺めを作り上げ「国王の庭園デザイナー」という称号を得ました。そして1789年頃には画家としても庭園デザイナーとしても絶頂期を迎えましたが、フランス革命が起こり1793年~94年には投獄の憂き目にも遭ったようです。その後はまた絵を描いていたようで、ここには最晩年の作品まで並んでいました。
127 ユベール・ロベール 「アルカディアの牧人たち」 ★こちらで観られます
これは巨大な油彩画で、古代の理想郷アルカディアを想像して描いたものです。故郷とイタリアの風景を折衷していて、奥には渓谷と神殿を描いています。手前には川辺で墓を指さしている子供や女性、羊などが描かれているのですが、この墓はロベールが手がけた哲学者のジャン=ジャック・ルソーの墓を思い起こさせるそうです。全体的に明るく神話的な雰囲気の理想郷といった感じでしたが、墓は理想郷にも死はあるという意味があるとのことでした。
この章の始めには農村の風景や川の畔、水車、井戸、橋、洗濯女などを描いた素描作品もありました。少し進むと空想と現実が混ざった神殿などが描かれた風景画が並びます。
115 ユベール・ロベール 「メレヴィル庭園の眺め」
ロベールが造園を指揮した庭園を描いた作品です。谷間のような岩場に2つの岩が置かれ、その奥には滝があります。そして両岸に渡る木の橋や小屋もあり、その脇には遊んでいる子供の姿も描かれていました。奥には神殿風の乳製品加工所もあるそうで、自然と古代を賛美したような造園となっているようでした。
なお、この庭園は10年かけて作られたそうです。先に想像で見本の絵を描いて、それを元に造園されると、またその光景を絵に描いていたそうです。しかし、この庭は革命後に廃墟にされて破壊が進んだようです。
この先は上階に戻ります。イタリア時代に訪れたことを思い出して想像で描いたボルゲーゼ庭園の絵などが展示されていました。
131 ユベール・ロベール 「ヴェルサイユのアポロンの水浴の木立」
人口洞窟(グロッタ)の中にアポロン像を作った庭園を描いた作品です。ルイ16世によってヴェルサイユ庭園の再整備計画を任じられたそうで、ここには岩の洞窟の中に人口の滝と沢山の彫像が置かれた様子が描かれています。自然と神話が一体となったような感じで、この庭園の成功によってロベールは「国王の庭園デザイナー」の称号を得ました。解説によると、この作品は実際には晩年にその当時の様子を回想して描いたものとのことでした。
130 ユベール・ロベール 「サン=ラザール牢獄の囚人たちの散歩」 ★こちらで観られます
これは革命期に投獄された際に牢獄で皿に描いた作品です。格子のある通路を歩くたくさんの囚人たちが描かれ、奥からの光が強い明暗を生んでいました。この作品は看守を通じて売り払われたそうで、イギリスに売れたとのことでした。
解説ではロベールは処刑寸前の危機的状況だったようですが、その際に別人のロベールが呼ばれて助かったというエピソードを紹介していました。
ということで、何点かは観たことある作品もありましたが、ほとんど知らない作品ばかりで貴重な機会となっていました。日本ではこうした画家はあまり観る機会がないので意義深い内容だと思います。
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