関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

FIGARO(カフェレストラン フィガロ) 【表参道界隈のお店】

前回ご紹介した岡本太郎記念館に行った後、表参道駅に戻る途中にあるFIGARO(カフェレストラン フィガロ)というお店でお茶をしてきました。

P1010298.jpg

【店名】
 FIGARO(カフェレストラン フィガロ)

【ジャンル】
 レストラン/カフェ

【公式サイト】
 http://www.french-figaro.com/sub-top.htm
 食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1306/A130602/13002125/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 表参道駅

【近くの美術館】
 岡本太郎記念館、根津美術館など


【この日にかかった1人の費用】
 1000円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_③_4_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
お茶にしては遅い時間に行ったのですが、結構多くのお客さんで賑わっていました。

さて、このお店は表参道駅から根津美術館に行く際には必ずと言って良いほど通るお店なので何度か行ったことがあるのですが、久しぶりに行ってみました。

40年前からフランスの文化を伝えるというコンセプトで続いているようで、中はこんな感じで洒落ています。
P1010304.jpg
カフェでしか利用したことがないためか2階には行ったことがないのですが、2階もあるようです。

この日はケーキセット(1000円)を頼みました。ケーキはブルーベリーのタルト、飲み物はコーヒーにしました。
P1010301.jpg

まずはブルーベリーのタルト
P1010302.jpg
タルトはブルーベリーの味が濃くて美味しかったです。バニラアイスは結構甘め

続いてコーヒー
P1010303.jpg
これは苦味があり酸味はあまりなかったです。すっきりした感じで飲みやすいかな。

ここまでは普段通りだったのですが、会計の際の店員の偉そうな態度にちょっとイラっときました。これは初めてのことですが何だかなと…。


ということで洒落た店内でお茶することができましたが、最後まで気分良くというほどでも無かったかな。コストパフォーマンス的にも普通な気もしますが、フランスのカフェ気分を味わいたい方には良いかもしれません。根津美術館に行く時には重宝すると思います。



記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



岡本太郎の50年 【岡本太郎記念館】

前回ご紹介した根津美術館の展示を観た後、すぐ近くにある岡本太郎記念館で「岡本太郎の50年」を観てきました。

P1010244.jpg

【展覧名】
 岡本太郎の50年

【公式サイト】
 http://www.taro-okamoto.or.jp/exhibition.html

【会場】岡本太郎記念館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】表参道駅

【会期】2012年2月29日(水)~6月24日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。

去年、岡本太郎の生誕100周年で盛り上がっている時に行きましたが、今回はその時以来1年ぶりでした。ここは晩年の岡本太郎のアトリエ兼住居だったところで、庭にも中にも数々の作品が展示されています。ここは写真を撮ることもできますので、何枚か写真を使ってご紹介しようと思います。

 参考記事:
  顔は宇宙だ。 (PARCO FACTORY パルコファクトリー)
  生命の樹 (岡本太郎記念館)
  生誕100年 岡本太郎展 (東京国立近代美術館)

今回はまず館内1階から周ることにしました。これはリビングのような部屋。
P1010248.jpg
この写真の逆側の方には岡本太郎のマネキンもあります。

この部屋にあったテーブルの上の器。
P1010252.jpg
鶏のような岡本太郎ならではの作品があって面白かったです。

こちらは奥のアトリエ。
P1010256.jpg
この絵の作品名は忘れましたが、以前どこかで観たような気がします。

続いて2階。こちらが今回の展示になっていました。

岡本太郎 「雷撃」
P1010275.jpg
こちらは1947年の作品で、以前ご紹介した展覧会にも出品されていました。戦後日本での第一弾作品だそうで、シュルレアリスム風な雰囲気かな。

岡本太郎 「呼ぶ」
P1010261.jpg
これは1984年の作品。巨大な目が睨みつけるような迫力がありました。

岡本太郎 「雷神」
P1010272.jpg
こちらは1996年の作品で、死ぬ間際まで描かれていた絶筆だそうです。死に際とは思えないエネルギーが溢れていました。

奥の部屋ではドキュメンタリー映像を流していました。
P1010281.jpg

続いて庭園へ。
P1010288.jpg
あまり広くはないですが、岡本太郎の彫刻が並んでいます。

左の作品は名前を忘れましたが、右は乙女だっけかな。
P1010286.jpg P1010294.jpg
記念撮影している人たちが結構いました。人気なのはここには写っていない太陽のやつかな。


ということで、やはりこちらも楽しいところです。根津美術館からも近いのでハシゴするのにも良いかと思います。ここはカフェも良いのでこの日もお茶しようと思ったのですが、満席のようでしたのでこの日は他に行きました。
 参考記事:ア・ピース・オブ・ケイク a Piece of Cake (表参道界隈のお店)

 参照記事:★この記事を参照している記事




記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



KORIN展 国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」  【根津美術館】

前回ご紹介した根津美術館の庭園を観た後、今回の特別展であるKORIN展 国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」を観てきました。

P1010202.jpg

【展覧名】
 特別展 KORIN展
 国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」

【公式サイト】
 http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html

【会場】根津美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】表参道駅

【会期】2012年4月21日(土)~5月20日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間45分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
非常に混んでいてチケットを買うのにも列が出来て5~10分くらい並びました。
↓こんな感じです。
P1010203.jpg
似た展示は去年、一昨年も行われていましたが今年は八橋図屏風が来たこともあって大人気の展示となっていました。

 参考リンク:
  作品リスト

 参考記事:
  国宝 燕子花図屏風 2011 (根津美術館)
  国宝燕子花図屏風 琳派コレクション一挙公開 (根津美術館)

さて、この展示は本来であれば去年開催されるはずでしたが、震災の影響で今年に延期されていました。タイトルの通り、メトロポリタン美術館が所有している尾形光琳の「八橋図屏風」と根津美術館の「燕子花図屏風」が見所となっているのですが、この2つの作品が並んで展示されるのは実に100年振りという非常に貴重な機会となっています。作品点数は少なめでしたが充実した内容となっていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品をご紹介しようと思います。


<初期の画業>
まずは初期の作品のコーナーです。尾形光琳は30代半ばから本格的に画業に取り組んだそうで、生家の呉服商(雁金屋)の顧客層や趣味の能を介して親交を深めた元禄期京都の公家のサロンなどを活躍の場として、和歌賛を備えた優美な作品を残しました。こうした作品には当時の公家の好みが見られるようですが、光琳はより造形本位というべき方向に向かっていったそうです。

尾形光琳 「十二ヶ月歌意図屏風」 ★こちらで観られます
こちらは6曲1双の屏風で、1扇ごとに1ヶ月ごとの題材が描かれています。 繊細で細めの筆致となっていて淡い色合いです。そして上には各月を題材にした12人の公家の詩歌も書かれていました。光琳のその後の作品と比べると、か細い印象を受けました。

尾形光琳 「伊勢物語八橋図」 ★こちらで観られます
これは掛け軸で、3人の人物が板で出来た橋の近くで(地べたに)座っている様子が描かれています。これは伊勢物語の八橋のシーンで、人物は在原業平とお供かな?? 都に残してきた恋人を想って詩を詠んでいるところだそうです。こちらも八橋図屏風と同様に燕子花(かきつばた)が描かれていますが、川の縁に控えめな色でちょこっと描かれている程度でした。人物の配置と川の流れの曲線が平行しているように見える構図も面白かったです。

尾形光琳 「燕子花図」
こちらは掛け軸で、紫の花を咲かす燕子花が描かれています。ちょうど燕子花図屏風から切り取ってきたような感じで、燕子花図屏風と製作時期も近いようです。しかし、技法ははその10年後に描かれた八橋図屏風に近いとのことでした。元は小襖だったと考えられるようですが、ちょっと保存状態は厳しいかな。それでも鮮やかな花と葉っぱはこの後の2つの作品に共通するものがあるように思いました。


<燕子花図屏風と八橋図屏風>
続いては今回のメインの2作品です。尾形光琳は40代半ばに燕子花図屏風を描き、その10年後の50代に八橋図屏風を描きました。私は実物を観る前までよく似た作品だと考えていたのですが、実際に比べてみるとその作風の違いがよく分かりました。
なお、この辺はガラスケースにびっちりと人が張り付いている感じですw 屏風はある程度 離れて観たいものですが、それは難しかった…。

尾形光琳 「燕子花図屏風」 ★こちらで観られます
こちらはこの美術館が誇る国宝で、6曲1双の金屏風に燕子花が群生している様子が描かれています。左隻は右下から左上にかけた対角線上に花が並び、右下は花の上部しか描かれていません。一方で右隻は燕子花の姿全体を見せるような感じにゆるやかなジグザグになって描かれていて、パターン化された型も使われているそうです。この配置が何ともリズミカルで、花の色合いと背景の金の取り合わせが非常に絢爛な雰囲気です。解説では単純化のセンスは着物屋の息子だったためではないか?とも説明していました。まさに傑作と言える作品です。
なお、こちらは明治まで西本願寺に秘蔵されていたとのことでした。

尾形光琳 「八橋図屏風」 ★こちらで観られます
こちらも6曲1双の屏風で、燕子花図屏風と同様に燕子花が群生している様子が描かれています。しかし、こちらには右隻右上から左隻にかけてじぐざぐに板で出来た橋がかかっている様子が描かれ、これが伊勢物語の八橋の場面であることが強調されているように観えます。先ほどの燕子花図屏風と並ぶと、こちらの方が色が淡く、花も細長くてより実物に近い感じになっているようです。その為、より明るく軽やかな印象を受けました。また、橋の表面にはにじみを使ったたらしこみの技法が使われていて、板の風合いが表現されていました。
橋を入れて同じような作品を制作したことについては諸説あるようで、橋を入れることで八橋を主題にしていることが分かりやすくなるという説や、幾何学的で異なる質感のものを入れる新しい取り組みであるという説も紹介されていました。
ちなみに光琳も江戸に下ったことがあるそうなので、業平の物語には何か惹かれるものがあったのかもしれません。

これを観ていて、抱一の八橋図屏風を思い出しました。また違った個性があるのであれも並べてあったら面白かったのにw
 参考記事:
  酒井抱一と江戸琳派の全貌 感想前編(千葉市美術館)
  琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 (出光美術館)


<草花図の展開>
続いては草花図のコーナーです。草花図は光琳の最も特質が発揮されるジャンルといえるようで、ここには八橋図屏風 以降の晩年の作品が数点並んでいました。

尾形光琳 「夏草図屏風」
これは2曲1双の禁じの屏風です。右隻の右上から左隻にの左にかけて、晩春から夏の草花が対角線上に並んでいます。牡丹、ケシ?、燕子花など色の対比も鮮やかで、華やいだ雰囲気があります。花はやや単純化されていますが、花の特徴が出ているように思いました。

<『光琳百図』のなかの光琳図>
最後は酒井抱一がまとめた『光琳百図』に関するコーナーです。酒井抱一は尾形光琳に私淑(教えは受けていないが師と仰ぎ模倣すること)した琳派の絵師で、光琳の100周忌の際に光琳の展覧会を開催しました。この光琳百図はその出品作を中心に組まれた画集で、八橋図屏風と思われる作品も載っているようです。また、この部屋にも光琳百図に載っている作品が何点か並んでいました。

酒井抱一 「光琳百図(前編・後編)」 ★こちらで観られます
これは抱一が光琳の画業をまとめた本で、前編・後編で4冊あるそうです。白黒ですが光琳の絵を上手く模していて、その魅力が感じられました。展示されていたページには「白楽天図屏風」らしきものが描かれていました。

余談ですが、この本が出る以前に中村芳中という人も光琳の本を出していたのですが、それが中村芳中の作品ばかり載っていたらしく、これがきっかけの1つとなり抱一が本当の光琳の画業を伝えたいと考えこの本を作ったという話を思い出しました。
 参考記事:
  酒井抱一と江戸琳派の全貌 感想前編(千葉市美術館)
  諸国畸人伝 (板橋区立美術館)

尾形光琳 「紫式部図」
これは掛け軸で、家の中で文台に向かって筆を取る紫式部が描かれています。石山寺の月を見て源氏物語の構想を得たという伝説に取材しているらしく、釣鐘のような形の窓?の建物や、右下の池に反射する満月など、それを感じさせるものも描かれていました。雅で構図も面白かったです。

尾形光琳 「白楽天図屏風」 ★こちらで観られます
これは光琳百図にも載っている6曲1双の屏風です。中国から日本の詩のレベルを試しにきた白楽天と、住吉明神の化身の老漁師が問答する様子を描いているらしく、白楽天は和歌の偉大さを思い知らされて最後は神風で中国に追い返されるというストーリーだそうです。
右隻に弧を描く船に乗った白楽天と船頭、左隻に小舟に乗った老人が描かれていて、やまと絵のような感じで、波は文様のようになっていました。大胆で、文様化のセンスが好みです。

尾形光琳 「青楓朱楓図屏風」
これも光琳百図に載っている6曲1双の金屏風です。右隻は緑の葉の楓とスミレ、サクラソウ、左隻は赤く紅葉した楓とリンドウ、熊笹が描かれていて、背景には群青の川が様式化された感じで流れています。左右は連続した1つの場面となっているのですが、色の対比が鮮やかで、木や川のうねりなどにはリズム感がありました。楓の幹には苔むしたような表現もあり、光琳の様々な特徴があるように思いました。


ということで、2つの屏風を始めとして光琳の素晴らしさがよく分かる展示となっていました。やはり比べて観ると違いが分かって面白いです。もう会期末が迫っていますが、琳派好きの方は必見の展示だと思います。


 参照記事:★この記事を参照している記事




記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



【根津美術館】の燕子花 2012

先週の土曜日(2012/5/12)に、根津美術館へ行ってきました。展覧会を観る前に庭園を散策して写真を撮ってきましたので、ご紹介しておこうと思います。(去年、一昨年もご紹介しているので若干内容がかぶっていますがw)

P1010232.jpg

 参考リンク:
  根津美術館 公式サイト

 参考記事:
  根津美術館の燕子花 2011
  根津美術館の燕子花 (2010年)

今年も入口付近のツツジも咲いていました。かきつばたと同じ時期に咲くみたいです。
P1010205.jpg P1010206.jpg

去年もそうでしたが、非常に清々しい緑に囲まれていて東京の真ん中とは思えないほどです。
P1010207.jpg P1010208.jpg

あちこちにある像も渋くて静かな雰囲気です。
P1010214.jpg P1010215.jpg

そしてお目当ての杜若(燕子花)
P1010219.jpg
今年はちょっと行くのが遅かったためか萎れている花もありましたw

新しく買ったデジカメでズームして撮ってみました。かなりズームしています。
P1010220.jpg

なるべく萎れていないところを撮ってみました。この色の取り合わせが何とも美しい。
P1010234.jpg

久々だったので端から端まで歩いてみました。奥の方には祠などもあります。
P1010228.jpg

ここは何度も撮っていますが、今回は薄曇りでした。
P1010230.jpg

今年は藤の時期は終わっていて跡形もありませんでしたw

この像の配置も美意識を感じます。
P1010239.jpg P1010242.jpg


ということで、もう終わりかけでしたが杜若が綺麗に咲いていました。毎年この時期には国宝「燕子花図」をテーマにした展示もありますので、GW辺りは特にお勧めです。(あと秋の紅葉も見事です) 


おまけ:
半年ほど前からOLYMPUSのSZ-30MRを使っていましたがフィーリングが合わないので以前使っていたルミックスの後継機を買いました。今後は一眼とLUMIX DMC-TZ30を併用していきます。


LUMIX DMC-TZ30






記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



MOMASコレクションI 2012 【埼玉県立近代美術館】

前回ご紹介した草間彌生の展示を観た後、同じ埼玉県立近代美術館の常設展も観てきました。こちらにも草間彌生のコーナーが設けられていました。

P1010312.jpg P1010340.jpg

【展覧名】
 MOMASコレクションI 2012

【公式サイト】
 http://www.momas.jp/4.htm

【会場】埼玉県立近代美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】北浦和駅


【会期】2012年4月19日(木) ~2012年7月8日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日15時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらは空いていてゆっくり観ることができました。

さて、こちらの展示は常設ですが、いつも通りタイトルがつけられていて期間も区切られています。今回は4つの章(+廊下に展示)からなる構成となっていましたので、気に入った作品を通じてご紹介しようと思います。
 参考記事:
  MOMASコレクションⅣ 2012 (埼玉県立近代美術館)
  MOMASコレクションIII 2011(埼玉県立近代美術館)
  MOMASコレクションIII (埼玉県立近代美術館)
  MOMASコレクションⅡ (埼玉県立近代美術館)
  MOMASコレクション3 (埼玉県立近代美術館)

 参考リンク:
  出品リスト


<1 草間彌生-works 1951-1975>
まずは特別展に合わせた草間彌生のコーナーです。時代ごとに小コーナーに分かれていました。
  参考記事:草間彌生 ボディ・フェスティバル in 60's 展 (ワタリウム美術館)

[1950年代]
草間彌生 「集積」
これは1951年の初期の作品で、茶色い紙に黒い水玉が無数に描かれています。この時点で既に増殖や反復の特徴があったようです。微妙に濃淡があって大きさもまちまちでした。

草間彌生 「T2」
円形の中に沢山の目玉のようなものがぎっしり詰まっているような感じの絵です。植物の茎の断面写真を思い出すかなw これも1953年と早めの時期の作品で、ニューヨークに行く前となります。黒を背景にしていて神秘的な雰囲気がありました。
この辺は黒を背景にした作品が並んでいました。

[1960年代]
ここには以前ご紹介した「スーツケース」、「脚立」、「A.Q.INFINITY NETS」などがありました。

[1970年代]
草間彌生 「生きものの巣」
黒を背景に中央に暗めの赤に黒い網目の皿のようなものが置かれ、そこに5つの石のようなものが乗っています。そしてもう1つ赤いものも近くに置かれていて一見すると静物画のように観えるかな。しかし実際には何が描かれているのかよくわかりませんでした。赤がぼんやりしていて不思議な力強さがありました。

この近くには若い頃のファッション写真などもありました。モデルたちと写っていて、やはり水玉模様が多かったです。

[2000年代]
部屋の中央には携帯電話を使った最近の作品もありました。鏡張りのケースの中に収まった携帯電話を横の小窓から覗きこむ作品や、水玉模様の犬の背中に携帯電話を収める作品などがありました。


<2 アーティスト・プロジェクト:ゴトウ・シュウ コズミックな織物-磁場・波動そして生命の色彩>
続いてはゴトウ・シュウという人のコーナーでした。この人はデザイナーから転身したそうで、タイトルの通り宇宙的な雰囲気の作品もありました。

ゴトウ・シュウ 「Sparkle Series No.3」
ぱっと観た感じ5段に分かれ、それぞれが波打った文様のようなものが描かれた作品です。縞々で白と黒の間隔のせいか、観ていると目の錯覚で実際に波打っているように観えました。見続けていると若干酔いそうですw

この辺にはこうした作品が何点かありました。

ゴトウ・シュウ 「表層シリーズ 809-01-B」 ★こちらで観られます
画面が盛り上がって波打つような感じで、それが3つに分割された作品です。表面や側面には細かい点がつけられていて星のように観えるかな。黄色や赤が多いので紅葉のようにも思えるかも。この日は草間彌生の水玉模様を沢山観てきましたが、それと似ているようでどこか違う宇宙的なものを感じました。

他には椅子などの立体作品もありました。


<3 モダン・タイムス―近代の絵画>
続いてはこの美術館が誇る洋画のコーナーです。

モーリス・ユトリロ 「旗で飾られたモンマルトルのサクレ=クール寺院」
これは以前ご紹介しましたが久々に観た気がします。屋上から観たモンマルトルのサクレクール寺院を描いた作品で、建物には大小たくさんのフランスの国旗が掲げられています。色彩の時代に描かれたためが色鮮やかで華やかかつ爽やかな印象を受けました。

モイーズ・キスリング 「赤いテーブルの上の果実」
赤いテーブルの上の果実を描いた静物です。洋なしやプラム?、葡萄、りんご?など様々な果実が描かれていて、陰影が強く質感がキスリング独特の雰囲気でした。暗闇に浮かぶような感じにも見えたかな。

レオナール・フジタ 「横たわる裸婦と猫」
黒を背景に、ベッドでうつ伏せになる裸婦を描いた作品です。その膝のあたりには小さな猫も描かれていてお馴染みの題材かな。細い線と乳白色で描かれている点も藤田らしい作品でした。

和田英作 「鈴木勝五郎肖像」 「鈴木やす肖像」
左に男性、右に女性の肖像が対になって飾られていた作品です。これは埼玉県の明治後期の銀行の創業者の夫婦を描いたものらしく、2人とも着物を着ていて男性はこちらに視線を向けています。全体的に柔らかく穏やかな雰囲気がありつつ写実的な作風でした。背景に日本画のようなものが描かれているのも面白かったです。


<4 版の表現―その多様な世界>
常設室の最後は版画のコーナーでした。

秋山静 「BLUE WAVES'94-B-1」 ★こちらで観られます
一見すると花のように見えるけれども抽象的なモチーフを描いた作品です。その曲線が非常に優美で艶かしく、白から群青にかけての青の使い分けが幻想的でした。これはかなり気に入りました。

浜口陽三 「9つの貝殻」
暗闇を背景に画面の下の方に9つの様々な貝殻が並んでいる様子が描かれた版画です。静かな雰囲気で、よく観ると黒い台が置かれていることにも気が付きます。黒の使い分けや繊細な明暗が見事でした。


ということで、こちらも草間彌生の展示があるなど見逃せない内容となっていました。ご紹介は割愛しましたが洋画にはモネの積み藁などもありましたので、この美術館の常設の質の高さを味わえる良い機会だと思います。草間彌生を観に行く方は是非こちらも観ることをおすすめします。

 参照記事:★この記事を参照している記事




記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



草間彌生 永遠の永遠の永遠 【埼玉県立近代美術館】

日付が変わって昨日となりましたが、日曜日の午後に埼玉県立近代美術館へ行って「草間彌生 永遠の永遠の永遠」を観てきました。

P1010305.jpg P1010322.jpg

【展覧名】
 草間彌生 永遠の永遠の永遠

【公式サイト】
 http://www.asahi.com/kusama/
 http://www.momas.jp/3.htm

【会場】埼玉県立近代美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】北浦和駅

【会期】2012年4月14日(土)~5月20日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
この美術館がこんなに賑わっていたことってあるかな?と思うくらい沢山のお客さんがいて、会場のあちこちに多くの人がいる感じでした。しかし、今回の展示は作品が大きめなので自分のペースで観て周ることができました。

さて、今回の展示は80歳を超えても旺盛な制作意欲を見せる草間彌生の個展となっています。草間彌生は1950年代にニューヨークに進出したのを機に世界的にも注目を浴びる前衛芸術家で、特に水玉をモチーフにした作風で有名です。
 参考記事:
  草間彌生 ボディ・フェスティバル in 60's 展 (ワタリウム美術館)

今回は入口から草間彌生の作品が並んでいました。これは「新たなる空間への道標」
P1010309.jpg
いくつか写真を撮っても良い作品(彫刻作品のみ)があり、ここに載っているものはOKなものだけです。

エントランスホールにも「新たなる空間への道標」がありました。
P1010342.jpg
ついでにこの美術館でチケットの行列用のポールが立ってるのを初めてみましたw

こちらはロッカー室の前にあった「明日咲く花」
P1010313.jpg

「明日咲く花」の裏側。
P1010351.jpg

吹き抜けには六本木アートナイトにもあった巨大な「ヤヨイちゃん」が浮かんでいました。
P1010314.jpg
写真だと分かりづらいですが、地下1階から3階まである吹き抜けなのでかなりの大きさです。
 参考記事:
  六本木アートナイト2012 (前編)
  六本木アートナイト2012 (後編)

展覧会場の前には草間彌生と記念撮影できるところがありました。
P1010318.jpg


ここからが本番です。草間彌生は松本の裕福な家に生まれ、幼少期の水玉の幻覚体験が元になり、恐怖から逃れるために10代から絵を描き始め、以後70年に渡って網目や水玉のパターンを使った作品を残しました。特に1957年(28歳)から15年間に渡るニューヨークでの活動は現代最先端として世界的に注目をあつめるきっかけとなりました。2004年からは新しく平面への仕事(絵画作品)に取り組み、「愛はとこしえ」と「わが永遠の魂」の連作を作ったようです。展示は主にこの2つの連作が中心で何点か彫刻作品がある感じでした。詳しくは気に入った作品と共にご紹介しようと思います。


<わが永遠の魂>
まずは「わが永遠の魂」のコーナーです。

51 草間彌生 「心が傷んだときの自画像」 ★こちらで観られます
正方形の大きなキャンバスに大きな両目と鼻のようなもの、周りには縞々の突起のようなものが外側に向かって連なっています。目のモチーフはあっても抽象的で、赤のみで凄いインパクトです。周りにも細かい目のようなものが描きこまれているのがちょっと怖い作風でしたw

この辺には黄色地に黒や黄緑地にピンクというように、かなり対比的で強い色使いの作品が並んでいます。目や水玉をモチーフにした作品も多く、文様が画面を埋め尽くすような一種異様な抽象画が並んでいます。

85 草間彌生 「思い出」
円や 植物か微生物を思わせる不定形のモチーフがたくさん描かれた抽象画です。絵の縁にはノコギリの歯のようなギザギザが描かれ、青地を背景に赤と白で描かれています。白地に赤い水玉など派手な印象を受けます。何を描いたものかは分かりませんでしたが、圧倒される世界観でした。
少し進むと人の横顔をモチーフにした作品も多くなってきます。


解説によるとこの連作は死や宇宙もテーマにしているようで、音声解説を借りると本人の言葉でそれを聴くことができました。中でも「自分が死んだ後も世界は何事もなく進行していく」という言葉が印象的でした。草間彌生は永遠に生きていたいけれども、それは出来ないことであり、死を恐れず克服すると考えているようです。死んだ後に自分の作品に感動してくれる人がいたら嬉しいとも語っていました。


<幸福の彫刻たち>
会場の中盤と終盤あたりには立体作品もありました。カボチャ型の作品も撮影可能です。

103 草間彌生 「大いなる巨大な南瓜」
P1010319.jpg
これは2012年六本木アートナイトで国立新美術館にも置かれていたので観た方も多いのでは? このカボチャが初めて作られたのは1999年の直島の海岸のものらしく、草間彌生はカボチャの可愛らしい造形に惹かれているようです。(実家の畑でも作っていたそうで、幼い頃から惹かれていたそうです) そこに自分の強迫観念である水玉を描いてできたのがこの作品のようでした。やや強烈な感じもしますが何とも存在感があり、鑑賞していた周りの子供たちも興奮気味でした。人気の作品のようです。

この後、また少し「わが永遠の魂」が続いていました。


<新作ポートレート>
こちらは数点あった2011年に描かれた肖像のコーナーです。自画像などもありました。

100 草間彌生 「青春を前にした我が自画像」
大きなキャンバスに女性(自分)の胸像が描かれた作品で、銀色と黒だけとなっています。顔や女性の周りには沢山の水玉模様が描かれ、服は格子状になっていて、瞳の部分には鏡が嵌めこまれていました。青春というには灰色でどこか悲しげな印象を受ける作品に思えるかな。後のほうで少女時代はあまり幸せではなかったという解説もありました。

この近くにも2点ほど顔を描いた作品がありました。


<愛はとこしえ>
一番奥の方は白黒の「愛はとこしえ」の連作のコーナーです。これは2004年から描いた50点の連作で、ここには30~40点程度が展示されています。いずれも白地に黒のマーカーで即興で描いたドローイングを元にシルクスクリーンにしたもののようです。「Love forever(愛はとこしえ)」という言葉は1966年の個展「エンドレスラブショー」で配った円形のカードに書かれたもので、これまでも何度か使われたフレーズとのことでした。

27 草間彌生 「朝が来た。(TWST)」
人の横顔が幾重にも並んでいるような作品です。その横顔にはびっしりと目のようなものが描かれている部分もあり若干怖いものを感じますが、不思議と愛嬌もあるかな。

このシリーズも水玉や植物か微生物のようなもの、目、ノコギリの歯を思わせるモチーフなどがぎっしりとかかれていました。たまに女の子が描かれている作品があるなど可愛らしさを感じるものもあります。とにかく、この部屋の密度は高いですw


<わが永遠の魂>
ここから先も「わが永遠の魂」の連作です。この連作は2009年から描かれ始め今でも増えているようです。解説機で聞ける草間彌生の言葉から察するに、絵の具が乾く時間すらも惜しむように早く沢山の絵を描きたいようで、死ぬまで描き続けるという自身の言葉を体現しているようでした。また、生前のジョセフ・コーネルと深い親交があり、彼が死ぬ際に残した「死は隣の部屋に行くようなもの」という言葉に強く影響を受けたというエピソードも紹介していました。草間彌生は死を恐れず克服するという考えも作品で表現しているようです。
余談ですが、解説機では自作の歌を自分で歌っているのも聞くことができました。詩を朗読してたりもするので、今回の展示は解説機があったほうが世界観に浸れるかもしれません。

70 草間彌生 「地球の中で」 ★こちらで観られます
真ん中に赤い四角(角は丸っぽい)があり、その中には目や人の顔のようなものが描かれています。四角の外側には黄色い視覚があり、その内と外にはノコギリの歯のようなものが描きこまれている抽象画です。ここまでもこうした画風を観てきましたが、かなり強烈な色とモチーフで、一層に印象に残りそうな感じでした。ちょっと離れてみると旗のデザインのようにも見えたかなw

57 草間彌生 「果てしない人間の一生」 ★こちらで観られます
こちらも水玉や人の横顔、微生物や毛虫のようなもの、目など、ここまで観てきた作風の絵ですが、今までの作品とちょっと違って観えました。というのも、限られた色数で描かれている作品が多いですが、これは白地に赤・青・緑・黄色・紫など色とりどりで、明るく楽しげな印象を受けました。
なお、先程も少し触れましたが草間彌生は少女時代はあまり幸せではなかったので、青春へのあこがれを作品で表現しているという解説もありました。


<幸福の彫刻たち>
最後は空間そのものを楽しむ作品が並ぶコーナーとなっていました。

106 草間彌生 「魂の灯」
こちらは部屋の内部を鑑賞するというインスタレーションのような作品です。中に入れる人数に限界があるので、列に並んで5人ずつ1分くらい鑑賞するように係員に整理されていました。(3分くらい並びました) 中に入ると内側は鏡張りで、点滅しながら色が変わる球体が吊り下げられています。青・緑・赤など色が変わっていくとそれが無限に広がる水玉のようで、草間彌生らしくて幻想的な空間となっていました。
解説によると、1966年の個展「草間のピークショー」で「愛はとこしえ」という作品が出品され、それは6角形の部屋で中は鏡張りで点滅する電球が取り付けられていたそうです。(それは小窓から覗く仕様らしい) これは生と死の境目の境地を表現したものだそうで、反復と増殖は草間彌生のテーマでもあるとのことでした。万華鏡の中に入ったような印象を受ける作品です。

104 草間彌生 「チューリップに愛をこめて、永遠に祈る」
最後は白地に赤い水玉のチューリップが並ぶコーナーでした。
P1010324.jpg

ニューヨークで活躍していた1962年からソフトスカルプチャーという立体作品を作ったようで、画家からエンバイロメンタル(環境)彫刻家に脱皮したと認識していたようです。
P1010325.jpg P1010328.jpg P1010336.jpg
ポップで可愛くもあり、ちょっと毒々しさもありで面白い空間です。

会場を出ると特設のショップもありました。かなりの盛り上がりをみせています。
P1010338.jpg
1Fのミュージアムショップも盛り上がっていたし、大人気ですね。

地下には13分の映像もあり、草間彌生の最近の製作の様子を観ることが出来ました。絵を描いていなかったら自殺していたという言葉もあるとおり、逆説的に彼女は死ぬまで製作を続ける意志を持っていそうでした。


と言うことで、最近の草間彌生の活動を知ることができる内容となっていました。もうすぐ会期が終わってしまいますが、現代アートが好きな方は観ておいて損はないと思います。
この後、常設にも草間彌生の作品がありました。次回はそれを含めて常設をご紹介しようと思います。


 参照記事:★この記事を参照している記事




記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



映画「テルマエ・ロマエ」 (ネタバレなし)

今日は久々の映画記事です。この前の金曜の晩に、レイトショーで映画「テルマエ・ロマエ」を観てきました。

【作品名】
 テルマエ・ロマエ

【公式サイト】
 http://www.thermae-romae.jp/index.html

【時間】
 2時間00分程度

【ストーリー】
 退屈_1_2_3_④_5_面白

【映像・役者】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【総合満足度】
 駄作_1_2_3_④_5_名作

【感想】
公開してしばらく間もないというわけでもないのに、レイトショーでもかなり混んでいて驚きました。結構なヒットになってるのかも?

さて、この映画は漫画が原作で ちょっとだけアニメにもなった人気作です。CMなどでもやっている程度のストーリー紹介をすると、古代ローマの公衆浴場の設計士が現代にタイムスリップするというギャグテイストのもので、映画でもイタリア人を使うのか?と思ったらさにあらず。 日本を代表する顔の濃い俳優を起用するという離れ業でしたw これが実際に観てみると意外と違和感無く向こうの人っぽくて、特に主役の阿部寛の演技の幅は流石でした。(現地スタッフにも評判だったようですw)
内容は前半は原作に忠実な感じがありつつかなりテンポよく、中盤から徐々にオリジナルな話となって、ヒロインの上戸彩が絡んでいく感じでした。まあ、1話完結型のものを映画にするので狂言回しを兼ねたオリジナルヒロインがいても特におかしくもないかな。後半はちょっとテンポが悪いようにも思いましたが、終わってみれば楽しい映画だったと思います。
その他、おなじみのオペラやクラシックを使った音楽は時代と全く合っていないけどそこはご愛嬌かな。結構聴き応えがありますw また、チネチッタなどで撮影されたらしく、背景はどこまでがセットなのかわかりませんでした。 かなりよく出来ているように思いました。。

ということで、面白い映画に仕上がっていました。 映画館ではちょくちょく笑いも起きていたし、老若男女が楽しめるんじゃないかな。登場人物たちが当時のローマの様子をまとめてくれたりするので、歴史を知らなくても大丈夫だと思います。難しいことはほとんど考えなくて良い娯楽作品でした。観終わった後に日本のお風呂は良いものだと改めて思うかも?w




記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



カフェ&ギャラリー呂久呂(ろくろ) 【千葉界隈のお店】

前々回前回とご紹介した千葉市美術館の展示を観る前に、近くのカフェ&ギャラリー呂久呂(ろくろ)というお店でお茶をしていましたのでこちらについても書いておこうと思います。

P4143535.jpg

【店名】
 カフェ&ギャラリー呂久呂(ろくろ)

【ジャンル】
 カフェ

【公式サイト】
 http://www.caferokuro.com/
 http://r.tabelog.com/chiba/A1201/A120101/12001207/dtlrvwlst/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
  千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など

【近くの美術館】
 千葉市美術館


【この日にかかった1人の費用】
 860円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
あまり天気が良くなかったこともあってか、空いていてゆっくりすることができました。

さて、この御店は通りがかりにギャラリーとカフェが一体になったような名前に興味を引かれて入ったのですが、3階がギャラリーで1階がカフェのようでした。
P4143543.jpg

カフェの中はこんな感じ
P4143536.jpg 
クラシックが流れて落ち着ける雰囲気でした。

店内には陶器が並んでいて、実際に売っていました。
P4143537.jpg
2000円くらいから5000円くらいが多いかな。ギャラリーの方も見てみようと思ったのですが、千葉市美術館のほうの時間が少なくなるとマズいので行かずじまいでした

肝心のカフェメニューはケーキセット760円に100円追加でコーヒーをグァテマラにしました。
P4143538.jpg
どうやら自家製の陶器のようで、コーヒーの焙煎もお店でやっているようです。

まずはケーキ。何種類かあったうちブルーベリーレアチーズにしました。
P4143539.jpg
ちょっとすっぱめで硬めでした。どっしりしていて中にあるブルーベリーが爽やかです。

続いてグァテマラ。
P4143542.jpg
軽い苦味とこくがあって甘さを感じるほどまろやかで美味しかったです。これはかなり私の好みなので気に入りました。これだけでもまた行きたくなるかな。


ということで、ちょっと変わった雰囲気で面白いお店でした。コーヒーも美味しかったので満足できました。軽食メニューもあるようですしちょうど千葉市美術館に行く道すがらにあるので、今後も使っていこうと思います。



記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち (感想後編)【千葉市美術館】

今日は前回の記事に引き続き、千葉市美術館の「蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち」の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。

 前編はこちら

P4143545.jpg P4143547.jpg

まずは概要のおさらいです。

【展覧名】
 蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち

【公式サイト】
 http://www.ccma-net.jp/exhibition_01.html

【会場】千葉市美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など
【会期】2012年4月10日(火)~5月20日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
前回は上階の第2章 第2部の途中までご紹介しましたが、今日は下階の展示の様子です。(2012年4月10日頃の内容となります)


<第2章 第2部 曾我蕭白 -蕭白高揚->
この章の下階は、大きな部屋の3方向を襖絵に囲まれる壮観な光景となっていました。

57 曾我蕭白 「竹林七賢図襖(旧永島家)」
これは8面からなる水墨の襖絵で、三国時代末期の竹林の七賢人と呼ばれる人たちが描かれていて、そのうち2人の高士が残りの5人と袂を分かち去っていくシーンのようです。右の2面には庵の中でワイワイと楽しげな5人の人物が描かれ、賢人というよりは無邪気な子供といった表情に思えます。3~5面は庵から出てきた笠をかぶる人物の後ろ姿と、雪の積もる風景が描かれ、どことなく哀愁を感じます。6~8面は正面を向いて顔を隠す仕草の高士とお供の2人が描かれ、そのうちの1人は棒のようなもので雪の積もった木で遊んでいるようにも観えました。こちらは濃淡が見事で、雪の雰囲気や人物の表情に生気があるように思いました。

58 曾我蕭白 「波濤群禽図襖(旧永島家)」
こちらは12面からなる水墨の襖絵で、打ち寄せる波と鶴などが描かれています。右の6面は非常に色濃く、単純化された波は荒々しい雰囲気です。それに対して左の6面は薄めで、余白が多く繊細な雰囲気に思えました。こちらは波も穏やかにうねっているように見えます。 12面もあるので、かなり見応えのある作品でした。

56 曾我蕭白 「山水図襖(旧永島家)」
こちらも8面からなる襖絵で、中国風の風景が描かれています。詩情ある風景で、奥行きを感じるかな。その一方でどことなく古い時代の水墨作品のようにも思いました。
解説によると、晩年の硬い筆致の楷体山水とは違い、行体山水の趣きだそうです。


<第2章 第3部 曾我蕭白 -蕭白円熟->
蕭白は2度目の伊勢滞留の後、再び播州へ向かって作品を残しています。その後、京に活動拠点を移し「平安人物志」という本で20人中15番目に名が乗るなど、京の画家として一定の地位を得ていたようです。そして京の地では硬質な筆致で密度の高い画面を構成する新たな様式の山水画などを描いていたとのことです。ここにはそうした蕭白の円熟期の作品が並んでいました。

72 曾我蕭白 「洋犬図」
これは竹の下にいる鈴の付いた首輪をつけられたハウンドみたいな犬(洋犬)を描いた作品です。赤い首輪と黄色い鈴だけ色つきで、異様に凹凸した身体でちょっとキョトンとした表情をしています。尻尾は猫のようにも観えるかなw くるっと丸くなっていました。 珍しい画題で面白いです。

この近くには扇の作品もありました。

70 曾我蕭白 「許由巣父図襖」
これは4面からなる襖絵で、中央に牛を引っ張る許由らしき人物、右に崖で這いつくばる人物(尭帝?)が描かれています。許由は尭帝から帝位を譲ると言われた際、耳が穢れたと言って川で耳をそそぎ、穢れた水を牛に飲ませることはできないと言った故事があり、これはその時の光景を描いているようです。しかし2人の人物はニヤッとしていて高潔な人物には観えないようなw また、何故か左から右へ強い風が吹いているような勢いを感じました。

この隣には山水図があり、かなりカッチリした印象を受けました。

76 曾我蕭白 「仙人図屏風」
2曲1双の屏風で、右隻は西王母とお供の2人の女性が描かれています。女性の持つお盆の上に多産の象徴であるザクロがあり、周りには鳳凰らしきものの姿もあります。左隻は2人の仙人のような人物が描かれ、出世の象徴の鯉や長寿の亀などおめでたいモチーフも描かれています。細かい筆致で描かれた波や人物の表情は蕭白独特の感性を感じられるように思いました。

77 曾我蕭白 「孔雀図」
これは水墨の小さな掛け軸で、薄っすらと孔雀の後ろ姿が描かれています。かなり繊細な濃淡で巧みに描いていて、シンプルな感じが逆にその技量の高さを伺わせました。

82 曾我蕭白 「虎溪三笑図」 ★こちらで観られます
これは水墨で、高い山から流れ落ちる滝と、その脇に見える満月、下の方には3人の人物が橋を渡る様子が描かれています。これは決して渡らないと誓った橋を話しに夢中になって渡ってしまい、3人で大笑いしたという故事に基づいた場面で、これも頻出の題材だと思います。濃い色で密度が高く、どこかカッチリした雰囲気があるかな。(直線が多いからかも) 円熟期の風景画は確かに硬めな印象かも。

この近くには雪舟のような雰囲気の作品もありました。


<第3章 京の画家たち>
最後のコーナーは蕭白と同時代の京の絵師のコーナーです。江戸中期の京は伊藤若冲や長澤芦雪など個性的で革新的な絵師が多発的に出現したそうです。また、池大雅や与謝蕪村といった南画も同時代の京で活躍していたようで、ここにはそうした絵師の作品が並んでいました。
 参考記事:
  三都画家くらべ 京、大坂をみて江戸を知る 前期 感想前編(府中市美術館)
  三都画家くらべ 京、大坂をみて江戸を知る 前期 感想後編(府中市美術館)


107 円山応挙 「富士三保図屏風」
6曲1双の水墨の屏風で、奥に山々が並び、中間に横に並ぶ木々、手前には平原が広がっています。たらし込みのような技法で描かれていて、ぼやけた感じが詩情的でした。空気感や遠近感は応挙ならではといった感じかな。

この辺には伊藤若冲の「鸚鵡図」「鶏図」「雷神図」などもありました。
 参考記事:
  伊藤若冲 アナザーワールド (千葉市美術館)
  伊藤若冲 アナザーワールド 2回目(千葉市美術館)

96 伊藤若冲 「鷹図」
木にとまる鷹を描いた水墨の掛け軸です。逆S字に身をひねった姿が優美で、腹は真っ黒に塗られ、羽は筋目描きで描かれています。キリッとした表情をしていて、尾や木はさっと描かれたような感じでした。若冲は蕭白の水墨に比べて面を重視しているようです。

104 与謝蕪村 「寒山拾得図」
これは2幅対の作品で、右は巻物を持つ寒山、左は箒を持った拾得が描かれています。2人とも老人のような感じでちょっと怖いかもw 蕪村も独特の雰囲気があり個性的です。

109 長澤蘆雪・曾道怡 「花鳥蟲獣図巻」
これは合作で、曾道怡が得意の墨竹を描き、芦雪が草花や鳥などを描いています。赤い鸚鵡のような鳥など様々な鳥が描かれている一方、墨で描かれた竹は濃く勢いがありました。2人の画風の違いが分かるコラボで面白かったです。


ということで、蕭白の様々な面を知ることのできる内容となっていて、ボストン美術館展と共に蕭白の大作を観る良い機会となっています。できればもう一度入れ替え後の展示を観たいと思っていますが、期間が短すぎるのが難点です。気になる方はすぐにでも観に行くことをお勧めします。
 参考記事:ボストン美術館 日本美術の至宝 感想後編(東京国立博物館 平成館)


 参照記事:★この記事を参照している記事




記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち (感想前編)【千葉市美術館】

ずっと更新できずに3週間以上前のこととなってしまいましたが、千葉市美術館に行って「蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち」を観てきました。この展示は何期かあり、2012/5/8あたりで大きく変わる内容が変わるようです。私が行った時は4/10頃の内容となっていました。メモも多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

P4143548.jpg P4143544.jpg

【展覧名】
 蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち

【公式サイト】
 http://www.ccma-net.jp/exhibition_01.html

【会場】千葉市美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など

【会期】2012年4月10日(火)~5月20日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
開催すぐの頃に行った為か、意外と空いていてゆっくり観ることができました。

さて、今回の展示は江戸時代の個性派絵師 曾我蕭白を主題とした内容となっています。蕭白が活躍した江戸中期は西洋や中国の文化を取り入れる動きが美術界にも波及し、特に京都では個性的な絵師が多く活躍したそうです。
 参考記事:
  三都画家くらべ 京、大坂をみて江戸を知る 前期 感想前編(府中市美術館)
  三都画家くらべ 京、大坂をみて江戸を知る 前期 感想後編(府中市美術館)
  
蕭白はそうした京都の商家に生まれ、父を早くに亡くして画業で身を立て、室町時代の絵師 曾我蛇足(そがじゃそく)に私淑(教えは受けていないが師と仰ぎ模倣すること)し、曾我を名乗りました。この頃盛んに出版されるようになった版木の画譜などを活用して古画に学んだようです。蕭白は特に伊勢地方で製作した作品が多く伝わっているようで、この展示では三重県立美術館所蔵の代表作や修復した襖絵、新出作品なども並んでいました。だいたい時系列の構成だったので、詳しくは各章ごとに気に入った作品をご紹介しようと思います。


<第1章 蕭白前史>
蕭白は曾我蛇足の系譜に連なる蛇足軒十世と名乗り、桃山時代の曾我派の画風を取り入れたようです。また、雪舟の流れを組む雲谷派も学び、復古的な要素を個性的に変容させたそうです。ここでは蕭白以前の復古的な傾向の絵師の作品が並んでいました。

12 高田敬輔 「楼閣山水図」
この絵師は蕭白の師匠と推定されるそうで、これは高い山間にある楼閣を描いた作品です。門のあたりで迎えに来ているのか、人の姿もあります。解説によると垂直性の強い画面構成は室町時代の雪舟や周文、京狩野の山雪との関連が考えられるそうです。そのため蕭白も京狩野の画風を取り込んだのではないかとのことでした。 のんびりとした昔ながらの画風といった感じに思いました。

15 月岡雪鼎 「唐美人図」
この絵師は高田敬輔の弟子で蕭白とは兄弟弟子かもしれません。薄い蚊帳の中の廟のような所で横になる赤い衣の女性と、大きな団扇を持って側で仕える2人の女官らしき人物が描かれています。これは傾国の美女 西施(せいし)を描いたものらしく、身体を赤い線で描き、肌は白く塗り込め薄赤く陰影つけるのは蕭白と同じ手法だそうです。蕭白と似た画風と紹介されていましたが、色が濃い目に思いました。色っぽさを感じる作品でした。

22 大西酔月 「林和靖図」
この絵師は蕭白に似た画風だそうで、その師匠の望月玉泉の人物描写は蕭白に似ているそうです。(さらにその師の山口雪渓は蕭白以前に復古的な画風だった絵師です) 絵には中国風の男性がお伴の子供を連れている様子が描かれ、男性は上を見上げ、そこには丸い月と舞い飛ぶ鶴、梅の花が描かれています。この人物は林和靖(りんなせい。北宋時代の文人)で、3つのモチーフは林和靖が愛したものだと思われます。周りは水墨画のようですが、人物は色がくっきりしていて、水墨の中に着色した人物を置くのは蕭白の人物画を思わせるそうです。鶴が仰け反るような格好をしていたり、描かれているものも面白かったです。

26 大西酔月 「花鳥人物図押絵貼屏風」
6曲1双の屏風で、1扇ごとに寒山拾得や花鳥、布袋などが描かれています。画題や画風が何となく蕭白を思わせるように思いますが、こちらはしみじみとした静かな味わいがあり風流でした。これはこれで好きかも。


<第2章 第1部 曾我蕭白 -蕭白出現->
蕭白の最も早い作例は三重県津市の寺院に描かれた障壁画だそうですが、現存していないようです。29~30歳頃に伊勢地方で活動し、その後 播州にも遊歴したようです。このコーナーでは伊勢と播州での活動を含む、1758年~1763年に描かれたと思われる初期の作品が並んでいました。

31 曾我蕭白 「林和靖図屏風」 ★こちらで観られます
6曲1双の大きな水墨の屏風で、右隻には梅の木に囲まれ頭巾をかぶった老人(林和靖)と2人の子供が描かれています。木の表現に勢いがあって、渦巻くようで抽象的にすら感じるほどです。一方、顔は細かく描かれ林和靖は嫌そうな顔をしているようにも観えました。解説によると隠棲に嫌気が差した虚ろな顔とのことです。左隻は月が浮かぶ水辺の梅の下で、2羽の鶴が身を低くしています。鶴の顔は非常に細かいのに背景は大胆で、早くも蕭白らしさを感じました。
近くには「柳下鬼女図屏風」という作品もあり、既に狂気すら感じる作風でした。この辺は屏風が多いかな。

35 曾我蕭白 「鷲図屏風」
これは6曲の屏風で、大きな樹の下で巨大な鷲が猿を襲っている様子を描いています。猿は鷲の足につかまって必死に抵抗しているようで、左にはもう一匹の黒い鷲がそれを見ています。松の葉のような毛を持った鷲は非常に迫力があり、背景の勢いを感じる筆致も劇的に感じました。鬼気迫る緊迫感のある作品です。

34 曾我蕭白 「塞翁飼馬・簫史吹簫図屏風」 ★こちらで観られます
これは6曲1双の水墨の屏風で、右隻は「人間万事塞翁が馬」で知られる中国故事の様子、左隻は簫(しょう)という楽器の名手が演奏していたら鳳凰がやってきて、それに乗って昇天したという話を題材にしています。
右隻には扇を持って笑う老人、馬に餌をあげる人、餌を食べようとしている馬などが描かれ、馬はちょっと上目遣いかな。背景は凄い勢いで濃厚な感じなのに対して、人物と馬の顔の辺りは繊細で、薄いぼんやりしたぼかしに細い線で毛を表現していました。
左隻は簫を吹いている人物と脇で芭蕉扇みたいな扇を持っている人物、その目線の先に木にとまる眼光鋭い鳳凰の姿が描かれています。こちらも濃淡や密度の緩急があり、豪快かつ緻密な感じでした。なお、この絵の中には松竹梅の画題も隠されているようで、右隻に松と竹、左隻に梅も描かれていました。

42 曾我蕭白 「恵比寿図」
これは掛け軸で、ほとんど白黒で恵比寿が描かれ、恵比寿が持つ魚だけ色が付けられています。恵比寿は狩衣に烏帽子の姿で右手には日の出の扇を持ち、ニヤッと笑っているように観えるかな。表情は結構細かく濃淡で描かれていますが、服の輪郭は濃く太い黒で大胆に描かれていました。鯛の目の辺りも黒が強く、この黒のお陰で全体的に生き生きとしたリズムがあるように思いました。

45 曾我蕭白 「獅子虎図屏風」
これは2曲1双の水墨の屏風で、右隻に獅子と牡丹、左隻に虎と風に揺れる竹が描かれています。獅子は身体も顔も太く真っ黒な輪郭で大胆に描かれていますが、牡丹の周りを飛ぶ薄っすらとした蝶を見て、驚き仰け反っているいるようなポーズがちょっと可笑しいです。一方、虎は細かく描かれていますが縮こまっていて、迷惑そうな顔で右のほうを見ています。勇猛なはずの虎もこんな風に描かれているのは面白かったです。左右で見比べると筆遣いの違いも見られるのも楽しめました。
この隣にあった寒山拾得図も異様な密度で狂気を感じました。


<第2章 第2部 曾我蕭白 -蕭白高揚->
蕭白は35歳頃になると、2度目の伊勢遊歴を行い活発な制作活動を繰り広げたようです。斎宮の旧家である名門の永島家に描かれた襖絵などの代表作がこの地に伝わっているようで、この時期は創作意欲が最も高まりを見せていたようです。ここにはそうした水墨・着色共に充実している1764年~1766年頃の作品が並んでいました。

47 曾我蕭白 「月夜山水図襖」
これは4面から成る襖絵で、絶壁の崖やその下に流れる川、周りの家などを描いています。ちょっと分かりづらいですが月光に照らされているらしく、山の合間にちょこっと月が見えています。繊細な濃淡が付けられていて、奥はかすみ、手前は濃い感じでした。どことなく雪舟を思い浮かべるような画風にも思えたかな。

51 曾我蕭白 「鷹図」
木にとまる鷹と、その下の小さな2羽の鳥を描いた作品です。周りには桔梗や白菊など色とりどりの秋草が着色され、非常に鮮やかに見えます。堂々として威厳のある鷹も存在感があり見栄えがしました。

49 曾我蕭白 「竹に鶏図」
竹の下の立派な尾を持つ鶏が描かれた作品です。鶏冠だけ赤く、胴体や足などは緻密で鳳凰のようにすら思えるほどです。尾の先が黒く勢いのある筆致で力強さを感じます。解説によると、周りに薄く墨を塗ることによって筆の穂先で生じた塗り残しで量感を持っているように見せているそうです。細い筆線で毛羽立っているような胸の表現は比較的早い時期の作品にも見られるとのことでした。

この辺には関羽を描いた掛け軸などもありました。

55 曾我蕭白 「雪山童子図」
大きな着色の掛け軸で、釈迦の前世の物語を描いている作品です。木の上にいるバラモンと樹の下で座っている青鬼(羅刹。実はバラモンを試すために姿を変えた帝釈天)が描かれ、バラモンは偈(げ。仏を称える韻を踏む言葉)を聞いたことを引き換えに自らの身体を与えようとしているようです。木の上のバラモンは赤い布を履いていて、羅刹は青いので、その色の対比が強く鮮やかにみえました。対角線上に配置された2人の構図も面白く、羅刹には迫力がありました。


この辺で上階の展示は終わりでしたので、今日はここまでにしようと思います。既に後期の内容となっていますが、蕭白の魅力をじっくり楽しむ機会となっていますので、お勧めの展示です。次回は下階の展示をご紹介しようと思います。



   →後編はこちら



 参照記事:★この記事を参照している記事




記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



プロフィール

21世紀のxxx者

Author:21世紀のxxx者
 
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。

画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。

↓ブログランキングです。ぽちっと押して頂けると嬉しいです。





【トラックバック・リンク】
基本的にどちらも大歓迎です。アダルトサイト・商材紹介のみのサイトの方はご遠慮ください。
※TB・コメントは公序良俗を判断した上で断り無く削除することがあります。
※相互リンクに関しては一定以上のお付き合いの上で判断させて頂いております。

【記事・画像について】
当ブログコンテンツからの転載は一切お断り致します。(RSSは問題ありません)

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter

展覧スケジュール
現時点で分かる限り、大きな展示のスケジュールを一覧にしました。

展展会年間スケジュール (1都3県)
検索フォーム
ブログ内検索です。
【○○美術館】 というように館名には【】をつけて検索するとみつかりやすいです。
全記事リスト

全記事の一覧リンク

カテゴリ
リンク
このブログをリンクに追加する

日ごろ参考にしているブログです。こちらにも訪れてみてください。

<美術系サイト>
弐代目・青い日記帳
いづつやの文化記号
あるYoginiの日常
影とシルエットのアート
建築学科生のブログ
彫刻パラダイス
ギャラリークニャ
「 10秒美術館 」 ~元画商がほんのり捧げる3行コメント~ 
だまけん文化センター
横浜を好きになる100の方法
美術品オークション

<読者サイト>
アスカリーナのいちご日記
Gogorit Mogorit Diary
青い海(沖縄ブログ)
なつの天然生活
月の囁き
桜から四季の花まで、江戸東京散歩日記
うさみさんのお出かけメモ (u_u)
森の家ーイラストのある生活
Croquis
ラクダにひかれてダマスカス

<友人のサイト>
男性に着て欲しいメンズファッション集
Androidタブレット比較
キャンペーン情報をまとめるブログ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
メディア掲載
■2012/1/27
NHK BSプレミアム 熱中スタジアム「博物館ナイト」の収録に参加してきました
  → 詳細

■2011/11/21
海の見える杜美術館の公式紹介サイトに掲載されました
  → 詳細

■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
  → 詳細

■2009/10/28
Yahoo!カテゴリーに登録されました
  → 絵画
  → 関東 > 絵画

記事の共有
この記事をツイートする
広告
美術鑑賞のお供
細かい美術品を見るのに非常に重宝しています。
愛機紹介
このブログの写真を撮ってます。上は気合入れてる時のカメラ、下は普段使いのカメラです。
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
26位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
デザイン・アート
3位
アクセスランキングを見る>>
twitter
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

※できるだけコメント欄にお願い致します。(管理人だけに表示機能を活用ください) メールは法人の方で、会社・部署・ドメインなどを確認できる場合のみ返信致します。