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セザンヌ―パリとプロヴァンス (2回目感想前編)【国立新美術館】

前々回前回とご紹介した大エルミタージュ美術館展を観た後、同じ国立新美術館の1つ下の階の「セザンヌ―パリとプロヴァンス」にハシゴして再度観てきました。今回も多めにメモを取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

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【展覧名】
 国立新美術館開館5周年 セザンヌ―パリとプロヴァンス

【公式サイト】
 http://cezanne.exhn.jp/
 http://www.nact.jp/exhibition_special/2012/cezanne2012/index.html

【会場】国立新美術館 企画展示室1E  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅

【会期】2012年3月28日(水)~6月11日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日16時半頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
以前行った時よりも空いていて、予想以上にサクサクと観ることができました。たまに人気作の周りに列や人だかりができていましたが、それもちょっと待てば観られる程度でした。人が少なかったせいかエルミタージュ展に比べてちょっと寒く感じたかな。

さて、この展示については以前ご紹介しましたが、100%セザンヌを標榜している展示で、セザンヌの初期から晩年までの作品をパリ(北)とプロヴァンス(南)に分けて比べるという趣向となっています。各章のテーマや解説については以前の記事に書きましたので、今回は以前ご紹介しなかった作品のなかで気に入った作品をご紹介しようと思います。(今回は補足的な感想ということでw)

 参考記事:
  セザンヌ―パリとプロヴァンス 感想前編(国立新美術館)
  セザンヌ―パリとプロヴァンス 感想後編(国立新美術館)


<第1章 初期>
まずは初期のコーナーです。様々な作風の作品が並んでいます。

[1-1 形成期:パリとプロヴァンスのあいだで]
ポール・セザンヌ 「パンと卵のある静物」
黒を背景に描かれた静物画で、長いパンや玉ねぎ、卵、ナプキンに乗ったグラスやナイフなどが描かれています。写実的で光るようにつややかに見えるかな。解説によると、これはスペインの巨匠たちの静物を思い起こすとのことで、スペイン趣味に傾倒したマネの影響を受けているようです。また、描かれているものは生活の質素さを示しているようで、この頃はパリで金銭的に余裕のない日々を過ごしたようです。

ポール・セザンヌ 「風景」
丘の斜面や森などを描いた作品です。何てこと無い風景で、どこか印象派のような雰囲気やぐにゃぐにゃした感じを受けます。この辺の画風はよく変わるので、もし私がこの作品だけを観たらセザンヌのものとは分からなそうですw

ポール・セザンヌ 「囚われの悪魔」
首に鎖を付けられ舌を出している男性を描いた作品で、これは悪魔のようです。黒を背景に描かれているのですが、あまりセザンヌという感じを受けませんでした(主題も変わっているような…) 特に解説は無かったけど何かの模作なのかな?? 悪魔のちょっと妙な表情が面白かったです。

[1-2 ジャス・ド・ブッファン]
ポール・セザンヌ 「岩場の水浴の男」
岩場で背を向けて水浴する男を描いた作品です。肌には緑や黒が混ざり荒々しい感じがします。解説によると、裸体の人物像はクールベの「水浴の女たち」に由来しているらしく、パリ滞在で吸収したことを反映しているようです。また、この絵は元々は大きな室内装飾用の風景画だったものが、後に分割の憂き目にあい今の作品になったようです。近くには当時の広間の再現図があり、元の作品の白黒写真もありました。


<第2章 風景>
続いては風景を題材にした作品のコーナーです。主にピサロに戸外制作と印象派の手法を教わり、「構築的筆触」という独自の画風を確立した時期となります。

[2-1 北:1882年まで]
ポール・セザンヌ 「田舎の家」
手前に木々があり、奥にオレンジ色の屋根の家々が描かれた作品です。全体的に初期よりも明るく、棒状の筆跡を重ねるように描かれています。特に草原や木の葉の辺りはそれがよく分かりました。「構築的筆触」の特徴はこの頃からあるようです。

[2-2 南:1882年まで]
ポール・セザンヌ 「ジャス・ド・ブッファンからの眺め」
手前右に木があり、奥にオレンジ色の地肌が広がり、中央あたりに池?のようなものが描かれた風景画です。解説によると、画面構成にとりわけ注意を払ったそうで、敷地の柵や長方形の池を活用しているようです。そう言われると水平方向の線が多くて段に分かれた構図になっているように見えるかな。なお、このジャス・ド・ブッファンはセザンヌの風景画制作の1つの拠点となったそうで、30年の間に40点の作品が描かれているとのことでした。

[2-3 北:1882年以降]
ポール・セザンヌ 「マルヌの川岸」 ★こちらで観られます
手前に川、奥にクリーム色の壁とオレンジ色の屋根の家々、中央辺りにまっすぐ上に伸びる木が描かれた作品です。こちらも垂直に伸びる木や水平に広がる川や岸などで画面構成するお気に入りの手法が使われているようで、ピシっとした安定感があるように見えます。また、晩年の様式を予告するような幅広の抽象的筆触もあるそうで、確かに色の取り合わせやちょっとぼけた感じがこの辺の他の作品とは違う風合いに見えました。
余談ですが、この川はボート遊びが流行したそうで、その製造と修理を請け負う工場や宿泊施設が連なっていたとのことでした。

ポール・セザンヌ 「水の反映」
イル・ド・フランスの水辺と木々を描いた作品ですが、全体的にかなり抽象的な仕上がりに見えます。色も油彩の作品だけど水彩のように思えるくらい薄いかな。こちらの作品にも棒状の筆跡や水平・垂直の構成があるなどこの頃の特徴があるように思えました。

[2-4 南:1882年以降]
ポール・セザンヌ 「大きな松の木と赤い大地」
中央に大きな松の木があり、枠に沿うように周りをとり囲む緑の葉が描かれた作品です。幹と枝の間からは背景のオレンジっぽい土の色も見えています。緑が曖昧で抽象的な感じもしますが、やはり長い棒状の筆跡があり色は強めでした。これはエルミタージュ美術館の作品のようでした。(ちょうど階上でエルミタージュ展をやってるのでちょっと反応しましたw)
 参考記事:
  大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年 感想前編(国立新美術館)
  大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年 感想後編(国立新美術館)

ポール・セザンヌ 「トロネの道とサント=ヴィクトワール山」
これは以前の記事でご紹介した「サント=ヴィクトワール山」と比較するためにここに展示されていますが、10年くらい後の1896~1898年頃に描かれた作品です。中央上部に堂々とそびえるサント=ヴィクトワール山が描かれ、その麓に緑やオレンジ色の地肌が見えています。2枚の絵を比べてみるとこちらの方が幅広の抽象的な筆触があるそうで、全体的に色も強く、いかにもセザンヌといった雰囲気のある見応えのある作品でした。

ポール・セザンヌ 「フォンテーヌブローの岩」
バルビゾン派やクールベが活動したパリ近郊のフォンテーヌブローの森の岩を描いた作品です。切り立った感じで岩肌には赤や緑など様々な色が混じっていますが、色はやや薄い感じで、これは水彩画の技法の影響のようでした。セザンヌもフォンテーヌブローに行っていたのですね。

ポール・セザンヌ 「ビベミュスの岩と枝」
これは先ほどのフォンテーヌブローの作品の後にプロヴァンスに戻って石切り場を描いた作品です。切り立った石や手前を覆う緑が色鮮やかですが、どういう視点で描いているのかいまいち分からないくらい抽象的に見えました。解説によると、フランスの南北で岩という同じモチーフを取り上げて表現を進展させた例とのことでした。


ということで、この辺で半分くらいです。今回は2回目ということもあり落ち着いて観ることができました。やはり2回観ると1回目には気付かなかったことも分かって良かったです。後編も改めて観ると面白い作品がありましたので、次回は最後までご紹介しようと思います。


   → 後編はこちら


 参照記事:★この記事を参照している記事




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大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年 (感想後編)【国立新美術館】

今日は前回の記事に引き続き、国立新美術館の「国立新美術館開館5周年 大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年」の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。


 前編はこちら


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まずは概要のおさらいです。

【展覧名】
 国立新美術館開館5周年
 大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年

【公式サイト】
 http://www.ntv.co.jp/hermitage2012/
 http://www.nact.jp/exhibition_special/2012/hermitage2012/index.html

【会場】国立新美術館 企画展示室2E  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2012年4月25日(水)~7月16日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日13時半頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
前編では17世紀のバロックまでご紹介しましたが、後半は18世紀から近代までとなっていました。

<第3章 18世紀 ロココと新古典派:革命の世紀>
3章は18世紀のコーナーで、主にフランス王朝時代のロココからフランス革命前後の新古典主義あたりまでの作品が並んでいました。

ジャン・ユベール 「ヴォルテールの朝」
ベッドの前で着替えをしながら指をさして机に向かう人に何か指示している男性を描いた作品です。これはフランスの哲学者ヴォルテールの日常を描いた連作の1つらしく、ロシアの女帝でエルミタージュの礎を築いたエカテリーナ2世によって依頼されたそうです。(エカテリーナとヴォルテールは文通相手だったようです) 秘書に口述筆記させているらしく、着替え中までアイディアを出している様子が面白かったです。

エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン 「自画像」 ★こちらで観られます
これは去年観た覚えがありました。(似た作品かもしれません) 絵筆を持ち、黒い服に赤い布を結んで頭も白い布で巻いている女性画家の自画像です。この画家はフランス革命の後フランスから逃れロシアにも招かれてアカデミー会員となったようです。写実的でありながら柔らかく気品のある雰囲気となっていました。
 参考記事:
  マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン -華麗なる宮廷を描いた女性画家たち- 感想前編(三菱一号館美術館)
  マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン -華麗なる宮廷を描いた女性画家たち- 感想後編(三菱一号館美術館)

ジョシュア・レノルズ 「ウェヌスの帯を解くクピド」 ★こちらで観られます
これは今回のポスターにもなっている作品で、作者はロンドンのロイヤル・アカデミーの創設者にして初代院長だった画家です。左ひじをあげて顔を隠すポーズをした横たわるビーナスが描かれ、傍らではキューピッドが腰の紐を引っ張って見上げています。こちらも優美で柔らかいタッチですが、明暗が強めに思いました。こちらをチラッと見る表情が魅力的です。
解説によると、これはエカテリーナ2世の重要なパートナーだったポチョムキン・タヴリーチェスキー公爵のために描かれたそうで、人気作になり繰り返し模写されたようです。

ユベール・ロベール 「古代ローマの公衆浴場跡」
回廊状に柱が並ぶローマ風の建物を描いた作品です。中庭の部分には巨大なプールのような浴場があり、手前では建物の中で休んでいる様子が描かれています。アーチごしに見る構図や古代の理想的な風景はユベール・ロベールの特徴じゃないかな。のんびりした雰囲気がありました。
 参考記事:
  ユベール・ロベール-時間の庭 感想前編(国立西洋美術館)
  ユベール・ロベール-時間の庭 感想後編(国立西洋美術館)

ピエール=ナルシス・ゲラン 「モルフェウスとイリス」 ★こちらで観られます
この画家はロマン派のドラクロワとジェリコーの師匠ですが、伝統的な画風の新古典主義の画風です。裸体の虹の女神イリスが夢の神モルフェウス(こちらも裸体)を起こしている様子が描かれていて、イリスの背には半透明の羽のようなものがはえていて背景に虹があります。横になっているモルフェウスは伸びをしているような感じかな。どこかルーベンスを思わせるような肉体表現が美しく、ドラマチックな場面となっていました。

オラース・ヴェルネ 「死の天使」 ★こちらで観られます
ベッドの上のロザリオを首から下げた白い服の金髪の女性が天を指さすようなポーズで、その背後には女性を持ち上げるような黒い翼の天使?が描かれています。ベッドの脇には祈るポーズの女性がいて、どうやら死の天使が白い服の女性を迎えに来たようです。ちょっと怖い場面ですが、上から光がさして神聖な雰囲気がありました。
解説によるとこの画家はベルサイユ宮殿の「戦争の間」の装飾を手がけた画家だそうです。また、この作品の6年前に娘をなくしているとのことでした。


<第4章 19世紀 ロマン派からポスト印象派まで:進化する世紀>
続いてはロマン派、写実主義、バルビゾン派、印象派、ポスト印象派など近代のコーナーです。各画家の作品は数点ずつですが、有名画家の作品が並んでいました。

ジョゼフ・ベイル 「少年料理人」
椅子に座って足を伸ばし、右手にワイングラスを持つ少年が描かれた作品です。白い帽子や赤と白の服装からして料理人のようですが、悪戯っぽく笑い酔っ払っているように見えますw 左手は大きな金属製の鍋に触っているのですが、金属がテカテカ光った感じの写実的な表現でした。左に描かれた樽の上にはよく似た2匹の猫が少年を見ているのもちょっと可愛かったです。

この辺にはドラクロワの作品などもありました。

ジュール・ルフェーヴル 「洞窟のマグダラのマリア」
岩にのけぞって肘を上げている裸のマグダラのマリアを描いた作品です。表情は見えませんがポーズから苦しそうな感じを受けました。滑らかな肌や光の当たった表現などは神話的な感じも受けました。

アンリ・ファンタン=ラトゥール 「水の妖精ナイアス」
水中をかき分けるように歩く裸婦を描いた作品で、これは水の妖精ナイアスのようです。ぼんやりとした表現で表情は見えませんが全体的に幻想的な雰囲気がありました。

カミーユ・コロー 「森の中の沼」
森の中の沼を描いた作品で、沼のほとりで赤い帽子?の人物が釣りをしています。森の木々そのものが主役のような絵で、空気感はコローならではの柔らかさでした。

この隣にあったT・ルソーの作品も好みでした。

アルフレッド・シスレー 「ヴィルヌーヴ=ラ=ガレンヌ風景」
水平に流れる川の岸の木陰から対岸を観たような風景画です。対岸には家々が並び人の姿もちらほら見えて明るくのんびりした雰囲気です。手前は影が落ちて暗くなっているせいか一層に明るく思えました。いかにも印象派という感じで心休まる風景です。

クロード・モネ 「霧のウォータールー橋」 ★こちらで観られます
これはポスターにもなっている作品で、霧に包まれたロンドンのウォータールー橋が描かれています。水面にはぼんやりと2艘の船が浮かび、1つはアーチの下をくぐっているようです。よく観ると背景には高い煙突もぼや~っと見えるかな。霧が青や紫で視界を覆っているのが抽象画のようで、繊細な色の使い分けで表現されていました。

ポール・シニャック 「マルセイユ港」
港とそこに浮かぶ帆船が描かれた作品です。オレンジ、水色、緑、紫などの点描で描かれタイル画のような感じにも見えます。色の対比的な置き方は流石で、シニャックの点描技法が遺憾なく発揮されていました。

この近くにはヴァロットンやドニ、ルノワール、セザンヌなどもありました。


<第5章 20世紀 マティスとその周辺:アヴァンギャルドの世紀>
最後は20世紀のコーナーです。素朴派、フォーヴィスム、キュビスムなどの作品が並んでいました。

アンリ・ルソー 「ポルト・ド・ヴァンヴから見た市壁」 ★こちらで観られます
曇った空の下、左側に白い壁、右側に木々が並ぶところを描いた作品です。何故か中央に空にかかるようにハシゴが立っているように見えます。また、周りには何人か散歩しているのですが、オモチャの人形のようでどこかシュールなものすら感じます。恐らく実際の光景だと思うのですが、ルソーにかかると幻想的な雰囲気になるのが面白かったです。

アンリ・マティス 「赤い部屋(赤いハーモニー)」 ★こちらで観られます
これは今回のポスターにもなっている作品で、結構大きめです。鮮やかな赤で室内を描いていて、果物の乗った台を持つ女性や、テーブルの上の果物、花瓶なども描かれています。 テーブルの模様と壁紙の模様が両方とも植物で似ていて、色もほぼ同じなので平坦に見えるかな。左上には窓(画中画?)があり、そこには緑の野が広がっているのですが、補色関係のためか赤がより一層引き立って見えました。解説によると、元は青い部屋だったものを完成後に赤く塗り替えたそうで(絵にもその痕跡がある)、マティスは「色彩を歌わせることしか考えなかった」と語っていたそうです。

パブロ・ピカソ 「マンドリンを弾く女」 ★こちらで観られます
ピカソのキュビスム時代の初期に描かれた作品で、マンドリンを弾く女性が椅子に座っている様子が描かれています。キュビスムらしい幾何学的・多面的な感じで、女性の顔はこの頃に博物館で観たアフリカの彫刻に影響を受けているようです。控えめな色でまだ具象性があるかな。右下には果実とナプキンが置かれていたのですが、これはセザンヌを意識したものでは?とのことでした。

最後にはデュフィの作品もあり、それも好みでした。



と言うことで、私としては後半のほうがより楽しめる内容となっていました。ロシアの美術館ですがこの展示はヨーロッパ美術の歴史そのものという感じです。既に大盛況のようでしたが、会期末になると混みあう可能性があるので、気になる方はお早めにどうぞ。


 参照記事:★この記事を参照している記事




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大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年 (感想前編)【国立新美術館】

この前の日曜日の午後に国立新美術館へ行って「国立新美術館開館5周年 大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年」を観てきました。充実の内容でメモを多めに取ってきましたので前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

P1010523.jpg P1010518.jpg

【展覧名】
 国立新美術館開館5周年
 大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年

【公式サイト】
 http://www.ntv.co.jp/hermitage2012/
 http://www.nact.jp/exhibition_special/2012/hermitage2012/index.html

【会場】国立新美術館 企画展示室2E  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅

【会期】2012年4月25日(水)~7月16日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日13時半頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構混んでいて、場所によっては列や人だかりが出来るくらいでしたが入場規制などはありませんでした。

さて、今回の展示は世界三大美術館(諸説ありますが…)の1つとされるエルミタージュ美術館の名品を集めた展覧会となっています。エルミタージュはサンクトペテルブルク(ソ連時代はレニングラード)にあり、帝政ロシア時代から集められた品を始め300万点もの所蔵品を誇っています。元々はエカテリーナ2世が買い集めたヨーロッパの品を隠れ家として自分のために展示していたもので、ヨーロッパのルネサンス期から近代に至るまで、ヨーロッパの絵画の歴史そのものといった感じのコレクションとなっているようです。
今回の展示も時代ごとに章を分けて展示していましたので、詳しくは章ごとに気に入った作品を通じてご紹介しようと思います。


<第1章 16世紀 ルネサンス:人間の世紀>
まずはルネサンス期のコーナーです。

ティチアーノ・ヴェチェリオ 「祝福するキリスト」★こちらで観られます
黒を背景に右手を挙げ祝福のポーズを取り、左手で十字架のついた丸いガラス玉を持ったキリストが描かれています。このガラス玉は万物の支配者の象徴だそうで、キリストがその支配者であることを示しているようです。意外と大胆な筆で描かれ明暗が強く感じられたのですが、これは晩年の画風のようでした。初っ端から巨匠が出てきて驚きましたw

ロレンツォ・ロット 「エジプト逃避途上の休息と聖ユスティナ」★こちらで観られます
この人はヴェネツィア派の画家です。この絵は台の上で寝ている赤子のキリストと、その上に描かれた聖母マリア、その右隣にヨセフ、さらにその右下には手を合わせる女性(聖ユスティナ)が描かれています。実はこの聖ユスティナは3世紀頃に殉教した人物で、この絵でも胸に短剣が突き刺さっています。一方、聖家族はヘロデ王から逃れエジブトに向かう途中で、ユスティナとは明らかに時代が違っています。一種のタイムトラベラーみたいな感じの設定かな?w ちょっと変わっていて面白いです。 また、非常に色が鮮やかで、特にヨセフの赤い衣が目につきました。明暗も強く出ていたように思います。

ランベルト・スストリス 「ウェヌス」 ★こちらで観られます
横になり左手で頭を触り右手で鳩を抑えている裸体のヴィーナスが描かれた作品です。背景には円柱、その後ろにキューピッドと裸体の男性(神?マルスかバルカンかな??)と森や山などが描かれています。ヴィーナスは若々しく観えるかな。滑らかな肌で光が当たったように明るく神秘的な感じでした。

この辺は宗教や神話の作品が多かったです。その後は肖像画が中心です。

ソフォニスバ・アングィソーラ 「若い女性の肖像(横顔)」 ★こちらで観られます
この画家はイタリア貴族の娘でミケランジェロとも交流があった女流画家です。横向きの貴婦人がバラを持っていて、緑の服には非常に細かい金の刺繍が施されています。その質感や全体的な気品が素晴らしく、当時からスペインなどで賞賛されていたそうです。

レオナルド・ダ・ヴィンチ派 「裸婦」
上半身裸の女性の肖像ですが直感的にモナ・リザを模倣した作品だと分かります。手を組んでこちらを向いて微笑む様子や、背景の青味がかった風景もオリジナルに似ていますが、むしろ違いのほうが気になるかなw bunkamuraで観たサライの作品に似ていました。
 参考記事:レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想 (Bunkamuraザ・ミュージアム)


<第2章 17世紀 バロック:黄金の世紀>
続いては17世紀のコーナーです。バロックの作品が並び、オランダ・フランドルが多かったかな。

ヤコブ・ファン・オースト(1世) 「ゴリアテの首を持つダヴィデ」
大きなゴリアテの首を持ち、大きな剣を担ぐ金髪の少年ダヴィデを描いた作品です。ゴリアテの額には石がめり込んでいるのがちょっとリアルw ダヴィデは振り返るようなポーズで、ヒョウ柄のバッグのようなものを下げていたのですが、その毛の質感の表現が見事でした。ドラマチックな雰囲気の作品です。

ペーテル・パウル・ルーベンス 「虹のある風景」★こちらで観られます
手前に地べたに座ってくつろぐ羊飼いらしき男女や周りの人々、犬や羊などが描かれています。背景には村の家々や山などがあり空には虹がかかっていました。のんびりして理想的な風景ですが、虹がかかっているのはこうした平和な黄金時代が一時の幻に過ぎないと示しているとのことでした。

ペーテル・パウル・ルーベンス 「ローマの慈愛(キモンとペロ)」★こちらで観られます
後ろ手を鎖につながれた裸の老人が若い女性の乳を吸っている様子を描いた作品です。ちょっと驚くシーンですが、これは餓死の刑を受けたキモンに娘のペロが乳を与えているシーンらしく、慈愛の場面とされているそうです(その割には父親はマッチョな身体をしていますがw) 劇的な明暗で肉付きや色などルーベンスならではの雰囲気がありかなり良かったです。解説によると、これはルーベンスの古典主義時代の作品だそうで、ルネサンスに由来する安定感のある構図や緻密な描写が特徴とのことでした。

アンソニー・ヴァン・ダイク 「自画像」★こちらで観られます
黒い服を着て腰に手を当てる若い男性が描かれた肖像画で、これはヴァン・ダイクの自画像だそうです。予想以上にイケメンで解説では優美で気品があるとのことでしたが、ちょっと神経質そうにも観えるかな。サテンのコートの光の表現なども含めて落ち着いた雰囲気がありました。ちなみにヴァン・ダイクは貴族の娘と結婚して良い暮らしぶりだったようです。

ダーフィト・ライカールト(3世) 「農婦と猫」★こちらで観られます
農家の老婆が赤ちゃんのように布に包まれた猫を抱きかかえ、スプーンでおかゆをあげている様子を描いた作品です。嬉しそうな顔をしている老婆に対して猫は無表情であまり喜んでないような…w それが可笑しくて可愛くもありました。 一説によるとこれは五感のうち味覚を表した寓意ではないかとのことでした。どちらかというと何かの皮肉でもありそうに思いますがw

ウィレム・クラースゾーン・ヘダ 「蟹のある食卓」
テーブルの上に置かれた銀の皿に乗った蟹や、ガラスのカップ、銀の水指、中国の陶器などを描いた静物画です。どれも質感豊かで布の表現などは特にリアルです。写実的でこの時代ならではの作風でした。

ヤン・ステーン 「結婚の契約」
沢山の人が集まる室内で、膝をついて懇願するような姿勢の帽子をかぶった男と、悩んだような仕草の女性、男性の向く先には女性の裾を引っ張る老婆、その後ろに怒るようなポーズの老人が描かれています。周りにはそれを見ながら鳥かごを持った男や、猫を抱いた少女など何やら意味ありげな感じです。解説によるとこれは身ごもった女性の両親に結婚することで許しを請う様子らしく、現代で言えばできちゃった結婚でしょうかw 左のテーブルには割れた卵なども描かれ寓意的な意味があるようでした。 ヤン・ステーンらしい皮肉や可笑しさ、教訓などを含んでいそうな作品でした。

レンブラント・ファン・レイン 「老婦人の肖像」★こちらで観られます
手を組んで座る老女を描いた作品です。左下の方を見ていますが目は虚ろで、何か考え込んでいるような感じに見えます。明暗は強めですがよく観るレンブラントの作風とはちょっと違うように思いました。後期の作品らしく年代的に苦しい破産の時期かな。


と言うことで、前半から巨匠の作品が並ぶ内容となっていました。ロシアならではの作品というよりは、ヨーロッパの絵画の歴史を一気に辿っていくような感じです。後半はさらに面白い内容となっていましたので、次回は残りをご紹介しようと思います。


   → 後編はこちら



 参照記事:★この記事を参照している記事




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i-na cafe 【江ノ島界隈のお店】

前々回前回、と江ノ島の記事が続きましたが今日が最終回です。江ノ島アイランドスパで温泉に入った後、島から橋を渡ったところのビルの2階にある「i-na cafe(いーなかふぇ)」というお店でディナーをしてきました。

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【店名】
 i-na cafe

【ジャンル】
 レストラン/カフェ

【公式サイト】
 http://www.fpmode.com/i-nacafe/enoshima/index.html
 食べログ:http://r.tabelog.com/kanagawa/A1404/A140403/14012136/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 片瀬江ノ島駅、江ノ島駅、湘南江ノ島駅

【近くの美術館】
 なし
 

【この日にかかった1人の費用】(※お酒は飲んでいません)
 2500円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日19時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
店内はちょうど満席になるくらいでしたが、運良く窓際の席に座ることができました。ここは数年前にも来たことがあるのですが、眺めの良さが気に入ってリピートしました。

こんな感じで江ノ島が一望できます。
P1010480.jpg
これ以上暗くなるとよくわからなくなるので、夕日くらいの時に行くのがベストかも。

店内はカジュアルなアメリカンに思えましたが、主にイタリアンのメニューです。この日はお腹が減っていたので色々と頼んでみました。店員さんが少ないのでちょっと忙しそう。

まずはガーリックチキンステーキ(780円)
P1010481.jpg
ジューシーで柔らかいお肉で美味しかったです。

続いてモッツアレアチーズとバジルのトマトソースのパスタ(1250円)
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こちらはバジルの香りが良くて食欲が増す感じでしたw これもかなり満足です。

続いてはクアトロフォルマッジ(1350円)
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これは4種類のチーズが乗っているようで、特にブルーチーズの部分が美味しかったです。はちみつも付いてきますので、それをかけて食べました。

せっかくなのでデザートも頼んでみました。これは江ノ島シフォン(630円)
P1010488.jpg
ふわふわで柔らかく、バニラもミルクの香りが良かったです。こちらも美味い
この他に飲み物(480円×2)も頼んだので大体2人で5000円くらいでした。


と言うことで、江ノ島と海を眺めながら美味しい夕食を取ることが出来ました。この辺には食べ物屋さんは多いですが、このお店はかなりお勧めです。運良く窓際に座れると最高だと思いますので、江ノ島に行く機会があったらチェックしてみると良いかと思います。



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江ノ島の写真 その2 (2012年05月)

今日は前回に引き続き江ノ島に行った際の写真をご紹介しようと思います。今回は洞窟にも行って来ました。

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前回の記事と前後しますが、サムエル・コッキング苑に行く前に展望台から洞窟に向かう途中にある遊覧亭というお店でお昼をとりました。
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一応簡単にご紹介しておこうと思います。

【店名】
 遊覧亭

【ジャンル】
 食堂

【紹介サイト】
 食べログ:http://r.tabelog.com/kanagawa/A1404/A140403/14031106/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 片瀬江ノ島駅、江ノ島駅、湘南江ノ島駅

【近くの美術館】
 なし

【この日にかかった1人の費用】
 1500円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
お昼をだいぶ過ぎていましたが、結構お客さんがいました。隣のお店もだいぶ列があったし、この辺のお店は賑わっているようでした。

このお店を選んだ理由は2つあるのですが、1つはこのお店からの眺めでした。
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こんな感じで綺麗な海を眺めながらお昼を食べられます。店内は昔ながらの食堂といった感じです。

この店を選んだもう1つの理由は生しらすが食べられることでした。(この辺のお店はあちこちで生しらす丼をやっているのですが、この時間になるとどこも売り切れ続出でした)

そんなこんなで、しらすハーフ丼(950円)。生しらす丼は売り切れで、生しらすと釜揚げしらすが半々となっていました。
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生しらすのほうがつるっとして香りがありますが、釜揚げも同じように美味しかったです。

連れは江ノ島丼(1050円)を頼んでいました。
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これはサザエの切り身をたまごでとじたものです。結構味が濃い目でコリコリした食感が美味しいようでした。

こちらはアジのたたき(900円)
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若干量が少ないですが新鮮でした。

ということで、気持ちの良い風景を見ながらお昼をとることができました。

お昼の後、島の入口から裏側のあたりにある洞窟に向かいました。これは向かう途中の岩場。
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稚児ヶ淵というそうで、岩屋は関東大震災の時、隆起したものだそうです。

絵画に出てきそうな波濤で渦も巻いていました。
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そして洞窟(江の島岩屋)へ。

この洞窟は日蓮や弘法大師が修行したと伝わるそうで、中にはこういうお堂のようなものもあります。
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こちらは江島神社発祥の地。
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この辺はかなり狭くて天井も低かったです。

洞窟は大きく分けて2つありこちらは奥の方にあります。龍の置物があったりしました。
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洞窟を観た後、もう一度山の上まで戻るのは大変だったので、江ノ島の入口まで行ける船に乗りました。
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大人は400円と結構お得。10分おきくらいに出ているようでした。

一旦江ノ島の入口に戻った後、再度 島に戻って入口付近にある江ノ島アイランドスパという温泉施設に行って来ました。
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 公式サイト:http://www.enospa.jp/

ここはかなり綺麗な温泉施設で、タオルや水着の貸出も可能でした。温泉ゾーンとプールゾーンがあり、お勧めはプールゾーンです。ぬるま湯くらいの温水プールに水着を着て入るのですが、浮き輪を使って寝っ転がりながら浮くことができました。目の前には江ノ島の海と藤沢の街が広がります。温泉からも風景は堪能できるので、夕方くらいに行くと綺麗です。


ということで、江ノ島の5月を楽しんできました。花も海も綺麗なのでこの時期は特にお勧めです。食べ物も温泉もセットで行くとより楽しいと思います。



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江ノ島の写真 その1 (2012年05月)

先日、快晴の天気のなか江ノ島に行ってきました。以前にもご紹介しましたが、今回は上の方にも行って来ましたので、改めて撮ってきた写真を載せようと思います。
 参考記事:江ノ島の夕日 (江ノ島)
 公式サイト:http://www.s-n-p.jp/enosima.htm

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今回はモノレールで行ってみました。
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駅から江ノ島に向かう商店街。この日はいい天気で賑わっていました。
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江ノ島の地図。
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今回はエスカーというエスカレーターで一気に江ノ島の頂上まで上がって行きました。

これは江の島展望灯台。2003年に出来た展望台です。
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20分待ちと言われて登るのは断念w

こちらは展望灯台のあるサムエル・コッキング苑
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ここは花畑のようになっていて、5月中旬頃は色とりどりの花が咲いていました。
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中央の花壇。
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まさに百花繚乱といった感じであちこちに花があります。
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ここは明治時代にサムエル・コッキング氏の別荘があったところで、温室もあり多くの植物が育てられていたそうです。
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バラのアップ。
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これが温室。この日は特別に中に入れる日でした。(普段は入れないそうです)
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地下はこんな感じ。ボイラー室は入れませんが、貯炭庫は観られました。
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スチームで温めていたそうで、熱帯の植物も路地で育てられるほどだったそうです。

地下室を上から観るとこんな感じ。
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今はちょっと壊れているようですが、地下でも明るかったのは明かり取りがあったためのようです。

ちょっと進むと、幻の花を咲かすというアオノリュウゼツランが群生していました。アロエのお化けみたいなw
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この植物は数十年に1回だけ花を咲かせ、その時は凄い勢いで花柱が伸びていくそうです。花を咲かせて種を作ると枯死するそうです。去年咲いて枯れた花もありました。9月くらいに花を咲かすことがあるようです。

この辺にも美しい花が沢山ありました。整備の人たちがせっせとお手入れしています。
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見事な咲きっぷりで色も綺麗。
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この花の名前を訊いたのですが失念。何か凶々しいw
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こんな感じで洒落た感じの飾り方をしています。
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この庭には中国風の四阿(あずまや)、「騁碧亭(ていへきてい)」があります。
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これは中国の職人によって建てられたもので、藤沢市が中国の昆明市と姉妹都市となったのを記念したもののようです。その発端は、中国の国家の作曲者が1935年にこの辺りで遊泳中に亡くなってしまい、その死を悼んだ藤沢市民によって記念碑がたてられたことにあるようです。その後その好意に感激した昆明市(死んだ作曲者の出身地)と姉妹都市を提携したとのことでした。

ぐるっと周ってまた出入口に戻ってきたので見納め。
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ということで、最高の天気の中で綺麗な花を堪能することが出来ました。この時期の江ノ島は非常に気持の良いところです。この後も島の中を色々観てきましたので次回も続きをご紹介しようと思います。



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蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち (2回目感想後編)【千葉市美術館】

今日は前回に続き千葉市美術館の「蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち」をご紹介します。今回は下階の内容となります。

 前編はこちら

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まずは概要のおさらいです。

【展覧名】
 蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち

【公式サイト】
 http://www.ccma-net.jp/exhibition_01.html

【会場】千葉市美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など
【会期】2012年4月10日(火)~5月20日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
前回は上階の第2章 第2部の途中までご紹介しましたが、今日は下階の展示の様子です。(最終日2012年5月20日の内容となります)


<第2章 第2部 曾我蕭白 -蕭白高揚->
下階は以前観た時と同じく襖絵が並ぶコーナーからです。57「竹林七賢図襖(旧永島家)」は通期で展示されているようでした。

59 曾我蕭白 「松鷹図襖(旧永島家)」 ★こちらで観られます
こちらは5面からなる襖絵です。右から3枚目に大きな鷹が描かれ、3~5枚目にかけて描かれた巨大な松にとまっています。鷹は威厳があり、右のほうを睨めつけるような感じです。解説によると、この襖絵の中には小動物が鷹から隠れていて、鷹の威厳を増すと共に観る者にはそれを見つけた時の喜びがあるとのことでした。早速探してみると右から1枚目に2羽のウサギが隠れている姿、5枚目に松に隠れて様子を伺う猿の姿がありました。確かに見つけると、いた!と嬉しくなりますw

60 曾我蕭白 「禽獣図襖(旧永島家)」
4面からなる襖絵で、右から2枚目に後ろ姿の鹿、3枚目にフクロウ、4枚目に2羽のコウモリとそれを見上げるタヌキが描かれています。解説によると鹿やコウモリ、フクロウは没骨描法で表現されている一方、タヌキの毛は細い線で描かれているそうで、違った質感を出しているとのことでした。どれも愛嬌のある姿でほのぼのした雰囲気がありました。

61 曾我蕭白 「狼狢図襖(旧永島家)」
3面からなる襖絵で、右から1枚目にまん丸の目に耳元まで口の裂けた獣が描かれています。これは狼とのことですが、異様な姿で恐ろしくもあり間が抜けた感じもしますw 2枚目には小さなカタツムリや蜘蛛が笹にとまっていて、3枚目には水辺のムジナ?が描かれていました。ムジナも大きなネズミみたいな…。カニと戯れているようでした。

62 曾我蕭白 「牧牛図襖(旧永島家)」
酒に酔って指で描いた指頭画の4面の襖絵です。指頭画というと南画の池大雅などを思い浮かべますが蕭白も描いたことがあるとは知りませんでした。右から1枚目は木に登る子供、2枚目は伏せてる牛の後ろ姿、3枚目はほぼ余白で、4枚目は犬?の後ろ姿が描かれています。指で描いているので細部はあまり細かくないですが、濃淡の表現が面白かったです。のんびりとした素朴な雰囲気の作品です。


<第2章 第3部 曾我蕭白 -蕭白円熟->
続いては2度目の伊勢滞留の後、播州を経て京で活動した円熟期の作品が並ぶコーナーです。

71 曾我蕭白 「達磨図」
これは水墨の掛け軸で、振り返るようなポーズの達磨が描かれています。刷毛で描かれた衣服は大胆で、これも酒の席で一気に描いたそうで、衣には畳の跡も残っているようです。ぎょろっとした目付きは意外とイケメンっぽいかもw ダイナミックな作風でした。

81 曾我蕭白 「山水図押絵貼屏風」
これは6曲1双の屏風で、1扇ごとに1場面ずつ山水画が押絵されています。瀟湘八景の8つの要素も入っているようで、中国風の風景が広がっています。硬そうな岩山などはどこか雪舟を思わせるかな。詩情に飛んでいて雨風や雪など気候まで感じられそうな作品でした。

この近くには以前ご紹介した82「虎渓三笑図」もありました。これは通期での展示だったようです。

75 曾我蕭白 「楼閣山水図(月夜山水図)屏風」
これは6曲1双の屏風で、右隻に西湖、左隻に金山寺という中国風の風景が広がります。水墨を基に金泥の霞がところどころにあったり、朱と白で描かれている所があります。特に花の白が目を引き華やかな雰囲気がありました。硬く緻密な筆致ですが、蕭白らしい強弱もあったように思います。


<第3章 京の画家たち>
最後は蕭白と同時代の京の画家たちのコーナーです。

108 円山応挙 「秋月雪峡図屏風」
6曲1双の色つきの屏風で、右隻はかなり低い位置に描かれた満月と、川辺の森、何かを抱えた人物の後ろ姿などが描かれています。 左隻は雪山から遠くの湖、崖の松や家などが描かれていました。画面には金粉が撒き散らされ、繊細な墨の濃淡と相まって静かな雰囲気でした。

以前ご紹介した109長澤蘆雪・曾道怡「花鳥蟲獣図巻」は場面が変えられていました。

87 伊藤若冲 「旭日松鶴図」
これは掛け軸で、松の上にとまる2羽の鶴が描かれ、右上には真っ赤な旭日も描かれています。松の枝はタコの吸盤のようで、これは代表作の動植綵絵にも描かれているそうです。鶴の羽は極細の線で描かれていて密度が高めでした。これは若冲らしい作品かな。
 参考記事:
  伊藤若冲 アナザーワールド (千葉市美術館)
  伊藤若冲 アナザーワールド 2回目(千葉市美術館)
  皇室の名宝―日本美の華 <1期> 感想前編 (東京国立博物館 平成館)

93 伊藤若冲 「寿老人・孔雀・菊図」
3幅セットの作品で、中央には後ろ向きの寿老人、右に横向きの孔雀、左に正面向きの菊の花が描かれています。(この向き方に妙があるようです。) こちらはかなり簡素化していてゆるい雰囲気に思いました。孔雀の羽にはにじみを使った筋目描きの技法が使われていました。
若冲は他にも何点か展示されてました。

105 円山応挙 「鉄拐蝦蟇仙人図」
これは応挙と名乗る前の作品で、狩野派に学んだことを示す作風で描かれています。また、応挙も蕭白と同様に中国の顔輝を学んでいたようです。作品は2幅対の掛け軸で、右に口から自分の小さな分身を吹き出す鉄拐仙人、左に蝦蟇を乗せ煙のようなものを出すガマ仙人が描かれています。衣の表現が濃い目の黒で描かれているものの、全体的には繊細な濃淡で描かれているように思いました。蕭白に比べるとだいぶのんびりした感じです。


と言うことで、私としてはこの展示は後半日程の方が面白い内容だったように思います。もう終わってしまった展示ですが、今ならば東博のボストン美術館展で蕭白の傑作が観られますので、それを観る際の参考などにして頂ければと思います。今後の鑑賞にも役立ちそうな内容でした。
 参考記事:
  ボストン美術館 日本美術の至宝 感想前編(東京国立博物館 平成館)
  ボストン美術館 日本美術の至宝 感想後編(東京国立博物館 平成館)


 参照記事:★この記事を参照している記事




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蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち (2回目感想前編)【千葉市美術館】

先週の日曜日に、千葉市美術館に行って最終日となった「蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち」を再び観てきました。既に終わった展示ですが、以前とは内容が変わっていたので再度ご紹介しようと思います。

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【展覧名】
 蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち

【公式サイト】
 http://www.ccma-net.jp/exhibition_01.html

【会場】千葉市美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】千葉駅(JR・京成)京成千葉中央駅(京成) 葭川公園駅(千葉都市モノレール)など

【会期】2012年4月10日(火)~5月20日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
結構人が多くて賑わっていましたが、大きめの作品が中心だったので混雑感はあまりありませんでした。

さて、この展示は以前もご紹介しましたが曾我蕭白が中心の展示で、その前の世代との共通点や同じ時代の京都の絵師も展示されています。作品はだいぶ入れ替えがありましたが、テーマや解説などは以前と同じでしたので、詳しくは以前の記事を読んで頂けると嬉しいです。今回は以前ご紹介した作品以外で気に入った作品をご紹介しようと思います。
 参考記事:
  蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち 感想前編(千葉市美術館)
  蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち 感想後編(千葉市美術館)


<第1章 蕭白前史>
まずは蕭白に関連した絵師のコーナーです。

7 五十嵐浚明 「富士・橋立・松島図」
これは3幅セットの掛け軸で、中央に富士、右に天橋立、左に松島の様子が描かれています。それぞれの上部には和歌が添えられていて純和風の風景&詩なのですが、どことなく中国風に観える作風でした。見下ろすような視点で描かれているのも面白かったです。

19 望月玉蟾 「維摩居士図」
これは掛け軸で、杖を持った老人が空を見上げていて、上部には舞い降りてくる逆さの鶴が描かれています。服装からはこの老人は維摩を思わせるようですが、鶴からは鶴好きの林和靖(りんなせい)を連想させるようです。太く強い輪郭線が使われていて、蕭白の画風に近いものを感じました。一方で穏やかで理知的な雰囲気の作品です。

2 山口雪渓 「人物花鳥山水図押絵貼屏風」
6曲1双の屏風で、2扇ごとに繋がる感じで様々な主題が描かれて(貼られて)いて、右から鷹とウサギ、布袋と山水、虎渓三笑、中国風の人物 虎と孔雀、牛に乗って長い棒を持った人と山水、林和靖と鶴と月などとなっています。画題が蕭白に似ているかな。
解説によるとこの作品は蕭白の作品と同じ寺にあったらしく、蕭白の初期の作風に近いそうです。しかし、繊細で静かな雰囲気の作風に思えました。


<第2章 第1部 曾我蕭白 -蕭白出現->
続いては蕭白の初期のコーナーです。

28 曾我蕭白 「李白酔臥図屏風」
6曲1双の水墨の屏風で、右隻は長い棒の先に瓢箪をつけて担いでいる子供?の後ろ姿と木々が描かれ、左隻は満月の下、地面に横になって寝ている李白が描かれています。周りは木々に囲まれていて完全に酔って外で寝てしまった感じですが、なんとも気持ちよさそうに寝ているようでした。また、濃い目の墨で描かれ樹木は豪快に描かれて、ダイナミックな感じでした。
解説によると、これは29~30歳頃に伊勢地方に滞在した際の作品のようでした。

39 曾我蕭白 「鳥獣人物図押絵貼屏風」
6曲の水墨の屏風で、元は対になる人物を描いた6曲屏風もあると考えられているようです。右から鶏、馬、雁、馬、猿、雁が描かれていて、さっと描いたような略画風です。そのデフォルメ具合が面白く可愛らしさがありました。鶏の顔などは若干細かいですが、全体的には大まかな割によく特徴を捉えていました。


<第2章 第2部 曾我蕭白 -蕭白高揚->
続いては蕭白の創作意欲が最も高まった時期のコーナーです。 カタログでは第3部に入っている作品もありますが、観た順にご紹介します。

54 曾我蕭白 「群童遊戯図屏風」
これは2年くらい前に板橋区立美術館の展示で目玉になっていたのですぐに思い出しました。6曲1双の色つきの屏風で、子供たちが様々な遊びに興じている様子を描いた作品です。鶏を抱えたり、相撲をしたり、鰻を取っていたり、亀をめぐって喧嘩をしていたり元気一杯です。子供なのに妖怪のような顔をしていて若干キモいのも笑えますw おもり役なのか2人の着物の女性もいて、こちらは涼し気な雰囲気でした。生き生きしたエネルギーが感じられる作品じゃないかな。
 参考記事:諸国畸人伝 (板橋区立美術館)

36 曾我蕭白 「蹴鞠寿老人」
これは水墨の掛け軸で、一見すると布袋のように大きなお腹の人物画反り返って上を見上げているのか?と思いました。しかし、実はこれはお腹ではなくて寿老人の頭で、前後も逆に認識していたことに気づきました。上には蹴鞠があり、寿老人は口を開けてそれを観ているようです。姿勢や特殊な形の頭のせいかもしれませんが、騙し絵的な要素があり、まんまと引っかかりましたw

44 曾我蕭白 「寒山拾得図」 ★こちらで観られます
これは割と最近、府中市美術館で観た記憶があります。2幅対の大きめの水墨の掛け軸で、右に箒を持った拾得(じっとく)、左に岩に座って巻物を持つ寒山の姿が描かれています。爪は獣のように伸びているなどその姿は妖怪のようで、「怪醜」と呼ばれた蕭白画の真骨頂と言えるようです。濃淡の使い方や線の太さの使い分けなどもあって細部まで個性的な作品でした。
 参考記事:
  江戸の人物画―姿の美、力、奇 後期(府中市美術館)
  江戸の人物画―姿の美、力、奇 前期 感想後編(府中市美術館)

63 曾我蕭白 「唐獅子図」 ★こちらで観られます
これは2幅対の巨大な掛け軸で、1幅に1体ずつ唐獅子が描かれています。極太の輪郭や走るような筆致が豪快ですが、右の獅子はなぜか猫のような立ち方で、迷惑そうな顔に観えましたw また、左には石にしがみついて振り返って吠えるような獅子が描かれていましたが、こちらも目はあまり怖い感じではありませんでした。迫力がある画風なのにどこかトボけた感じが面白かったです。
ちなみにこれは東博の「対決-巨匠たちの日本美術」(2008年)で観たのですが、その頃はブログをやっていませんでした。次に紹介する作品も同じ展示で観た覚えがあります。

53 曾我蕭白 「群仙図屏風」 ★こちらで観られます
6曲1双の屏風で、水墨を背景に極彩色の仙人たちを描いた作品です。水墨と極彩色の組み合わせで既に異様な雰囲気ですが、描かれている仙人もかなり妖しいw 右隻には鳳凰、虎などと一緒の仙人や、龍に乗って渦巻く波風を起こしている仙人などが描かれ、白黒の仙人はちょっと目立たないかもw 左は子どもと遊ぶ仙人が目つくのですが、絶対に何か企んでいそうなニヤケ顔が怪しいw 他にもガマ仙人や西王母らしき仙女など、仙人が大集合しています。とにかく圧倒されっぱなしで、これ1枚でも行った甲斐はありました。絵も色も蕭白の魅力が詰まった作品です。私はこの作品は蕭白の最高傑作の1つではないかと思っています。


と言うことで、以前の内容よりも好みの作品が多く満足度の高い内容となっていました。後半も良い作品が多かったので、次回は下の階の展示をご紹介しようと思います。



  → 後編はこちら



 参照記事:★この記事を参照している記事




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イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに 【森美術館】

前回ご紹介したサントリー美術館を観た後、森美術館に行って「イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに」を観てきました。

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【展覧名】
 イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに

【公式サイト】
 http://www.mori.art.museum/contents/leebul/index.html

【会場】森美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】六本木駅


【会期】2012年2月4日(土)~5月27日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(金曜日20時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
こちらは時間が遅かったこともあり空いていてゆっくり観ることができました。

さて、この展示は韓国の女性アーティストのイ・ブルという人の個展となっています。イ・ブルはニューヨーク近代美術館やカルティエ現代美術財団などで個展を行ったこともある国際的なアーティストらしく、ヴェネチア・ビエンナーレでも受賞歴があるそうです。展覧会の内容は大型の作品が多めでしたので、章ごとにその様子をご紹介しようと思います。


<第1章 つかの間の存在>
まずは初期の作品のコーナーです。この頃のイ・ブルはカラフルな装飾性や、韓国のポップカルチャーや伝統の色彩を連想させるそうですが、韓国の階級社会や消費文化などの寓意が含まれているようです。

最初の部屋には内臓のような大根のような(たまに人の形のような) 柔らかい有機的なものが沢山くっつきあった作品が並んでいて、これはモンスターシリーズというようです。(★こちらで観られます
彫刻作品だけでなく、これを着たパフォーマーの映像もあったのですが、どれもキモいw ちょっとグロくて初っ端にこれは面食らいました。

次の部屋は生の魚にスパンコールなどをつけて展示した作品の映像が映されていました。これはニューヨーク近代美術館で展示されたそうですが、生魚なので腐っていったらしく、あまりの臭さで途中で作品を撤去されたそうです。これは美から醜へと腐っていく移り変わりを表現したものだそうですが、これもインパクトがありました。

続いての部屋は、天井から吊り下げられて宙に浮かぶドレスを着たマネキンのような作品が展示されていました。背中辺りから触手のようなものが出ていて、周りはビーズや鏡などが付けられてキラキラ光っていました。隣にも人の形に似た作品があり、これは現代アートらしい洒落た雰囲気でした。また、この部屋の壁には 毛か触手のような生えたような有機的な生物?のドローイングなども展示されていました。こちらも独特の感性のようです。


<第2章 人間を超えて>
続いては人間を超えた概念に関するコーナーです。

まずはリヴ・フォーエヴァーII(★こちらで観られます)という流線型のカプセルのようなものと、スクリーンでカラオケの画面が映しだされた部屋でした。このカプセルはカラオケを歌うものらしく、ハッチの部分にはモニタがありました。そこに映っていたのがスクリーンに映っていて、ヘッドフォンでは演奏を聞くことが出来ます。私が聞いたときはデヴィッド・ボウイの「Space Oddity」だったのですが、画面はまったくそれに合わない女子高生たちが森の中で戯れているようなシーンでしたw 映像のチープさがカラオケのあるあるネタのように思えたのですが、この映像にも物語性があるそうです。解説によると、この作品は人間の身体の空の状態を表しているとのことでした。
…しばらく観ていたら高速道路を走るシーンを早回しするという、カラオケあるあるネタ第二弾みたいになっていましたw

続いては赤と緑の2つのカラフルな彫像が置かれていました。これはロボット風の左足、左手、胴体しか無く、チューブがついてサイボーグのようです。全身が無いのでミロのビーナスのようだと解説していましたが、人間を超えた者という意味でも共通点はあるのかも? このシリーズはこの後の部屋にも出てきます。

次の部屋は一旦2章の内容から離れてイ・ブルのスタジオを再現した部屋でした。部屋の壁中に沢山のドローイングが張られ、壮観な風景です。部屋の壁沿いには沢山の犬の姿の彫刻があるのですが、こちらはそれぞれ素材が違っています。石膏、木、ウレタン、ビニールテープ、金属、綿などなど様々な素材で出来ていました。口から嘔吐物を吐き出しているような犬の像もあり、皆一様に下向きのポーズでした。(これは4章でその理由がわかります)

再び2章に復帰すると、部屋の天井から吊るされた白い彫刻作品が9体あります。そのうち6体は先程のサイボーグのようで、人形というよりはロボットのような印象を受けました。いずれも首がなく、手足も揃っているものはなくこれも先程の作品と共通しているかもしれません。
解説によると、このサイボーグシリーズは最初に観たモンスターシリーズと同じ時期の作品だそうで、モンスターはサイボーグの暗部とも言えるものだそうです。また、人間は人間を超えるものへの憧れのようなものを持っていると作者が語っていたようでした。
この部屋には他にも機械化された花のような謎の生命体も3点ありました。壁にはドローイングも飾られています。この部屋は圧巻でした。


<第3章 ユートピアと幻想風景>
続いての章は2005年からの章です。イ・ブルはそれまでの身体のスケールから、都市や建築を思わせる大きなスケールの作品に取り組んでいるようです。ここにはそうした品が並んでいます。

まずはマジックミラーの合わせ鏡の中に大きな部品を入れたような作品が並んでいました。中にはライトもついていて、まるで沢山の機械が並んでいるように錯覚します。9つのブロックに納められた作品では、上から観ると高層ビルを見下ろしているようにも観えました。これはインフィニティシリーズと言うらしく、発想が面白かったです。

次は大きな模型のようなものが並ぶコーナーです。金属やビーズなどで出来たもので、ドイツの建築家ブルーノ・タウトに倣って幻想的な風景を作っているようでした。黒い山のような作品は中に入ることができて、そこにはヘッドフォンがあり、自分がそこで起こした音が別物のように聞こえるのが面白い趣向でした。

その先にはバスタブのようなものに黒い液体が入っていて、周りは白い山々で囲われたような作品がありました。これは北朝鮮の白頭山のカルデラ湖を表したものらしく、韓国人にとっては今は行けないユートピア的な存在だそうです。その周りには先程のブルーノ・タウト風の作品が浮かび、水面に反射した様子が幻想的でした。


<第4章 私からあなたへ、私たちだけに>
最後は新作を含むコーナーです。

まずは宙に浮かぶ人の形の作品があり、これは工業製品のような金属や木などでできていて、これまで観てきた様々なシリーズの集合体のような作品だそうです。

最後の部屋には机の上に乗った犬が嘔吐している様子をイメージした作品がありました。鏡やプラスチックなどで出来た犬が、ミラーボールや紐の付いたビーズや鏡を吐き出していて、これは20年間制作を共にした愛犬がモチーフのようです。(ちょっと抽象的な感じですが)
吐き出しているのはその記憶だそうで、それを我々に共有させようとしているようでした。

出口付近では映像もありました。


と言うことで、若干生々しい作品もあって驚く内容でしたw 難しくてちょっと私の好みではありませんでしたが、大型作品も多めで現代アート好きの方には面白いかもしれません。残りの会期が少ないので、気になるかたはお早めにどうぞ。


 参照記事:★この記事を参照している記事



おまけ:
この日、森アーツセンターギャラリーではまだワンピース展をやっているようでしたが、8時半でも列が出来ていました。人気なんですね。





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毛利家の至宝 大名文化の精粋 国宝・雪舟筆「山水長巻」特別公開  【サントリー美術館】

先日、金曜日の夜にサントリー美術館へ行って、「サントリー美術館・東京ミッドタウン5周年記念 毛利家の至宝 大名文化の精粋 国宝・雪舟筆「山水長巻」特別公開」を観てきました。

K33000622.jpg

【展覧名】
 サントリー美術館・東京ミッドタウン5周年記念
 毛利家の至宝 大名文化の精粋
 国宝・雪舟筆「山水長巻」特別公開

【公式サイト】
 http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2012_02/?fromid=topmv

【会場】サントリー美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】六本木駅/乃木坂駅

【会期】2012年4月14日(土)~5月27日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(金曜日18時半頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
会期末が迫っていることもあってか、金曜の夜でも結構混んでいて 場所によっては列が出来るような感じでした。

さて、今回の展示はミッドタウンの5周年を記念した企画です。ミッドタウンは旧防衛庁跡地に建てられた複合施設ですが、さらに遡ると江戸時代は長州藩毛利家の下屋敷が置かれた場所でした。展示内容はまさにその縁を題材としていて、毛利博物館の所蔵する様々な作品が並び毛利家の威光を知ることが出来ます。中でも雪舟等楊の国宝「四季山水図(山水長巻)」はまさに圧巻の見所となっていました。
テーマによって6つの章に分けて展示されていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品を通してご紹介していこうと思います。


<第1章 戦国武将の雄 毛利元就から輝元まで>
まずは毛利家そのものについてのコーナーです。そもそも、毛利の先祖は源頼朝の側近として鎌倉幕府の基礎を固めた大江広元という人物で、その第四子の季光(すえみつ)が相模国毛利荘という地を受け継いだ時から毛利を名乗りました。そして季光の孫の時親(ときちか)の代で安芸国に移り安芸毛利の祖となったようです。その後、戦国時代になると有名な毛利元就が治め、その孫で秀吉の五大老であった毛利輝元の代を経て江戸時代となっても、有力な大名として続いていきました。
ここには主に毛利元就から輝元までの頃の品々が並んでいました。

2  「毛利元就画像」 ★こちらで観られます
折烏帽子をかぶり、丸に「一」と三つ星紋を 三つ盛にした模様の服を着た毛利元就が描かれています。細かく描かれ精悍な顔つきにみえるかな。上には洞春寺の開山の賛が書かれていました。

入口の辺には毛利元就の所用と伝わる鎧兜と軍旗がありました。元就は毛利家全72代のうち51代なのだとか。また、早く亡くなってしまった元就の息子で輝元の父である隆元の自画像もありました。

8 「菊造腰刀」 「菊造腰刀拵」
これは国宝の腰刀という短い刀とさやです。刀の側面には溝が彫られていて曲がりにくくなっているそうです。鞘は梨子地と言われる豪華で風格のある地となっていました。解説によると腰刀というのは鎌倉時代から室町時代に流行ったそうですが、残っているものは少なく貴重なものだそうです。

他には扇や印籠、法螺貝、軍配などもありました、

23 毛利元就 「毛利元就自筆書状(三子教訓状)」
毛利元就と言えば、「1本の矢では折れやすいが3本では折れにくい」といって息子3人の結束を促した逸話が有名ですが、これはその話の元となった手紙だそうです。14箇条3mもあるそうで、ちょっと墨にむらがある感じで書かれています。直接読むのは難しいので訳文もあるのですが、その話はどこにあるんだろ…と探したけどよく分からなかったw(ナナメ読みしたせいかもしれません)

この辺は自筆の書状などが並び、当時の歴史的な事件の証人とも言えるものや、心得を諭すものがありました。

29 徳川家康 「徳川家康誓紙(徳川家康起請文)」
徳川家康が書いた書状で、関ヶ原の後に毛利家に送ったものです。その中には防長(周防・長門)2国と毛利輝元・秀就の親子の無事を保証しているものらしく、もし破ったら梵天、帝釈天、四大天王、すべての神々(この後に様々な名前)から罰が下ると書かれています。また、誓約書の裏は護符になっているなど誓約の重さを感じさせます。解説によると、これによって毛利家は実質的に家康の配下になったようですが、これがあることで後々も領地など確保されたようです。

この近くには朝鮮や中国との関わりを示す印などもありました。


<第2章 「山水長巻」の世界 雪舟と水墨画>
続いて2章は今回の一番の見所となる雪舟の「四季山水図(山水長巻)」のコーナーです。これは山口を拠点とする大内氏の庇護の元で描かれたもので、やがて毛利家に伝わり門外不出として代々伝わったようです。
雪舟について簡単な説明もあり、雪舟は禅僧として相国寺に入り周文の画風を学んだ後、30代半ばに京都から山口に移ったようです。また、40代には明へ遣明使に従って明に渡って水墨画を学んでいます。「四季山水図(山水長巻)」は更に後の67歳頃の作品だそうで、16mもの画面に四季の移ろいや山水が描かれていました

37 雪舟等楊 「四季山水図(山水長巻)」 ★こちらで観られます
国宝の水墨画絵巻で、展示室に広げられて全場面を観ることが出来ました。連続した風景が続く作品で、右から 岩山を登る高士とお供、中国風の山や麓の家、やや緑色の松、橋を渡る2人の人物、芦のようなものが生えた水辺とたくさんの船、ゴツゴツした海岸の崖、塔、岩山、水辺と周りの村?、人々で賑わう所、城(屋敷?)のような所 と続いていきます。輪郭が太く、濃淡で岩山や水面などの雰囲気の違いを表現しているのが見事でした。かなり力強くダイナミックな巻物です。

38 伝 雲谷等顔 「四季山水図(副本)」
こちらは先程の雪舟を模写したものです。橋を渡る2人の人物が描かれたシーンが展示されていて、これだけ観たら確かに雪舟と思うかも?? オリジナルと比べるとちょっとデフォルメされているようにも思えるかな。別物とは分かるけど中々違いは説明しづらいですw
解説によると、これは毛利輝元が雲谷等顔に描かせたらしく、出来が良かったので雪舟の継承者として四季山水図の原本と雲谷庵(雪舟が晩年に住んだ庵)を与え、等顔は雲谷派の初代となったようです。しかし、最近の研究では息子の等益の作の可能性があると考えられているようでした。

この隣にも模写の作品があり同じ場面が展示されていました。

41 雪舟等楊/龍崗真圭(賛) 「摘星楼図」
これは掛け軸で、周文の様式を継承する山水図だそうです。切り立った岩山が描かれていて、先ほどの四季山水図と画風が同じようでちょっと違っているように観えます。繊細な感じで、画風を確立する前の作品のようでした。

この近くには元就の息子の隆元が描いた鷹の絵などもありました。隆元は歴代の中でも画技に秀でた人だったらしく、雪舟風でかなりの出来でした。序盤の自画像も良かったし、相当才能があったのかも。


<第3章 受け継がれた美意識 毛利家の典籍と絵画>
毛利家の前身の大江家は学問をもって朝廷に仕えていたそうで、その頃から様々な遺品やコレクションが毛利家に伝わっていたそうです。また、江戸時代には雲谷派を御用絵師にした上、狩野派や円山派の作品も集めたそうで、ここにはそうした貴重な品々が並んでいました。

まずは平安時代に大江氏が書き写した中国の正史の写しや、毛利元就が詠んだ歌をまとめたもの、源氏物語絵巻などが並んでいました。

60 雲谷等? 「八江萩八景図巻」
こちらは雲谷派4代目の作品で、水辺の村と背景の山々が描かれています。木々の描き方などは雪舟風に見えますが、どこか平坦な感じがするような…。ちょっと雪舟とは違った趣があるように思いました。

65 狩野芳崖 「福禄寿図」
狩野芳崖は明治期の画家ですが、長府毛利家の御用絵師の家に生まれたそうです。こちらは松の木の座る福禄寿が描かれ、その側には坊主頭の子が白鹿に触れています。空にはコウモリが飛んでいて吉祥のモチーフとなっているようです。濃淡の使い分けで強弱が付けられていて、見事な作品でした。それにしても、これは以前に泉屋博古館で観た寿老人とよく似ているように思います。(というか同じかと思いました)
 参考記事:
  近代日本画にみる東西画壇 -東京・京都・大阪の画家たち- (泉屋博古館 分館)
  新春展 春の妝(よそお)い (泉屋博古館 分館)

59 狩野探幽 「王昭君・桐鳳凰・松孔雀図」
これは3幅対の掛け軸で、中央に馬に乗り琵琶を弾く女性と槍を持った兵士ともう一人の男性が描かれています。右には桐の木の枝と鳳凰、左は松と立派な尾の孔雀が描かれ、どちらも優美でおめでたい題材となっているようでした。


<第4章 暮らしにみる大名文化 婚礼調度と雛飾り>
続いて下階に移動して4章は江戸時代の大名文化と婚礼調度、雛飾りなどのコーナーです。特に雛飾りはずらりと展示されていて目を引きました。

75 「次郎左衛門雛」
丸っこい顔の内裏雛と、五人囃子などからなる雛人形です。その丸い顔が特徴的で可愛らしさがありました。

この雛人形の前には蒔絵の籠や箱、書棚など本物と同じような材質のミニチュアがありました。そして、もう雛人形ももう一揃えあって、そちらは小さめで見事な細工でした。

少し進むと組香に使った香箱などもありました。

71 「梨地葵沢瀉紋散蓮池金銀蒔絵黒棚」
3段の蒔絵の棚で、お歯黒道具を飾っていたもののようです。葵の紋と毛利家の紋を散らし、蓮の池を題材にした絵柄となっています。水面に渦が文様のように描かれていて、その装飾的なセンスが面白かったです。

この先には囲碁や将棋の道具などもありました。


<第5章 能楽と茶の湯の世界 毛利家ゆかりの道具類>
続いては能と茶のコーナーです。江戸時代は能楽が幕府の式楽となり、各大名家で能が演ぜられたそうですが、毛利家に伝来した能面や能装束はひときわ優れたものだそうです。また、唐物趣味を反映して中国や琉球から伝わった天目茶碗や漆器類も充実しているそうで、ここにはそうした品が並んでいました。

まずは小袖が並び、徳川吉宗からもらったものや、豪華な打掛が展示されていました。部屋の中央あたりには茶碗や茶器が並び、萩焼の初期のものや天目なども並んでいました。 毛利輝元は利休に茶を学んだのでは?と考えられているそうです。

98 金春安勝 「小面」
可憐な乙女を表す小面というタイプの能面です。歯を見せて笑い若々しい感じで、優しそうな目をしていました。これは確かに良い面に思えます。

この近くには尉などもあり、いずれも表情豊かな面でした。

96 「鬱金濃茶段桜扇模様縫箔」
茶色と金の格子状の模様を背景に沢山の扇が刺繍されている能の衣装で、薄っすらと桜が咲いている様子もあって華やかな雰囲気です。広げてあったり畳まれている扇は1つとして同じ意匠がないというのも驚きでした。

この辺は能装束が並んでいました。


<第6章 毛利家と江戸麻布屋敷 近世から現代へ>
最後はミッドタウンの地にあった毛利屋敷に関するコーナーです。ミッドタウン建設の際の調査で発見された遺物なども並んでいました。

124 谷文二 「江戸麻布邸遠望図」 ★こちらで観られます
これは谷文晁の息子の作品で、毛利屋敷の東にあった庭園を描いた掛け軸です。谷文晁は文人画で有名ですがこれは大和絵風で、起伏に飛んだ地形に日枝神社江戸城、江戸の町などがかなり細かく描かれていました。

ここには他に、地鎮祭で使った貨幣や、鬼瓦、屋敷の内部の地図などもありました。


と言うことで、毛利家についてよく知ることができる展示でした。そしてやはり一番の見所であった雪舟は見事で、これを観られただけでも価値があったと思います。会期は残り少ないですが興味があるかたは是非どうぞ。

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