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カフェドセブン 【日本橋界隈のお店】

前回ご紹介した展示を観た後、銀座線で日本橋に移動して、日本橋タカシマヤの中にある「カフェドセブン」というお店でお茶をしてきました。

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【店名】
 カフェドセブン

【ジャンル】
 カフェ

【公式サイト】
 http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/restaurant/index06.html
 食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13117866/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 日本橋駅

【近くの美術館】
 日本橋タカシマヤ
 ブリヂストン美術館


【この日にかかった1人の費用】
 950円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_③_4_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_③_4_5_名店

【感想】
空いていてすぐに席につくことが出来ました。ここは先日ご紹介したフォションと同じく高島屋の中にあり、フォションの1つ下のフロアになります。
 参考記事:フォション・サロン・ド・テ (日本橋界隈のお店)

この御店の変わっている所は、仕切りが少なくて売り場の中にあるスタンドといった感じとなっている点です。こんな感じで食器売場に囲まれています。
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落ち着いているというわけではないですが、買い物中にさっと寄れそう。

また、自分で使うカップを選べるのも特徴です。これは嬉しいサービス^^
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趣味の良い器が多くて迷いましたが、私はロイヤルコペンハーゲンを選びました。よく観ると値札があって5000円くらいで買えるようですw

この日はケーキセット(945円)を頼みました。
P1010589.jpg

ケーキは「シャンテ フリュイ ルージュ」にしました。
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酸味のある爽やかなイチゴと厚いスポンジで、ケーキらしいケーキと言った感じです。見たまま予想通りのお味。

飲み物はブレンドコーヒー。こちらはイタリアのトリエステの老舗アンティカ・トスタトゥーラ・トリエスティーナ社のコーヒーだそうです。
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苦味があり酸味は少な目かな。こくがあって充分満足できました。器も良いしw


と言うことで、じっくりお茶をするというよりは、ちょっと休むのに丁度良い感じのお店でした。私自身もこの後に美術展に行く前の一休みだったので、さっと済ませることができて良かったです。ちょっと狭めなのが難点ですが、そのうちまた使ってみたいと思います。



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ホノルル美術館所蔵「北斎展」 【三井記念美術館】

1週間ほど前の土曜日に三越前の三井記念美術館で、終盤となった特別展 ホノルル美術館所蔵「北斎展」 葛飾北斎生誕250周年記念を観てきました。この展示は前期・後期でほぼ全部の入れ替えとなっているようで、私が観たのは後期のみとなります。もう終わってしまいましたが、参考になる内容でしたのでご紹介いたします。

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【展覧名】
 特別展 ホノルル美術館所蔵「北斎展」 葛飾北斎生誕250周年記念

【公式サイト】
 http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

【会場】三井記念美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】
 銀座線三越前/新日本橋駅/東京駅/神田駅

【会期】
 前期:2012年4月14日(土)~5月13日(日)
 後期:2012年5月15日(火)~6月17日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
終盤近いこともあり混んでいて、どこも列が出来るような感じでした。しかし最前列にこだわらなければ自分のペースで観られるくらいなので、じっくり時間をかけて観てきました。

さて、この展覧会はハワイのホノルル美術館の北斎のコレクションを展示するもので、昨年の東日本大震災で延期していたものが1年遅れで開催された感じです。ホノルル美術館の浮世絵はジェームス・A・ミッチェナー氏からの寄贈5400点が核となっているそうで、質・量ともに充実したコレクションとなっているようです。
展示内容は有名な冨嶽三十六景を始めた揃い物のコーナーと、北斎の生涯と画業のコーナーとなっていましたので、詳しくは気に入った作品を通じてご紹介しようと思います。なお、冒頭に書いたように会期が前期・後期に分かれていて、揃い物は半分ずつの展示となっていました。
 参考リンク:出品リスト


<I.揃物の名品>
まずは北斎が為一を名乗っていた(61~74歳)から再晩年の卍を号した(75~90歳)頃までの代表的な揃い物のコーナーです。ここには一番有名な冨嶽三十六景などを含めいくつかのシリーズものが並んでいました。


[冨嶽三十六景]
まずは冨嶽三十六景です。元々名前の通り36枚の予定でしたが、人気のため10枚追加されて全46枚からなるシリーズです。
 参考記事:
  北斎とリヴィエール 三十六景の競演 (ニューオータニ美術館)

66 葛飾北斎 「冨嶽三十六景 江都駿河町三井見世略図」
2つの建物の屋根の間に富士山が描かれ、その上には凧が揚げられています。屋根は富士山と同じように末広がりで、凧糸も富士山と平行するように描かれているなど幾何学的な構成が面白いです。この建物は後の三越となる三井越後屋だそうで、看板には現金掛け値なしと書かれているようでした。この美術館に相応しい作品ですねw

この作品もそうですが、ホノルル美術館の冨嶽三十六景は非常に青が綺麗に出ています。これはベロ藍と呼ばれた舶来の原料を用いたもので、数ある同じ浮世絵でも摺りや保存状態の良さを感じさせます。

77 葛飾北斎 「冨嶽三十六景 隅田川関屋の里」
右手前に建物があり、そこから左上にかけて曲がりくねった道が続き、道の途中には松の木、遠くに富士山が観えます。そして道には笠をかぶった3人の武士が馬を走らせていて、非常に疾走感があります。遠近法も面白く、こちらも色味の面白い作品となっていました。

84 葛飾北斎 「冨嶽三十六景 武州玉川」
見下ろすような視点で多摩川とその奥に見える富士を描いた作品です。川には舟が浮かび、手前の川岸にはのんびり馬を引いている人の姿もあります。全体的に穏やかで、広々とした雰囲気があるように思いました。
解説によるとこの作品では後に省略化された技法も使われているらしく、川の波には青色の濃淡のぼかし摺りというグラデーションがあります。また、手前の白い部分には色を使わず版木の凹凸を紙に写し取る空摺というという技法が使われているとのことでした。摺師の技術の高さも驚きです。

64 葛飾北斎 「冨嶽三十六景 山下白雨」 ★こちらで観られます
非常に末広がりの赤みがかった富士が描かれた作品です。有名な凱風快晴とよく似ていますが、タイトルの白雨はにわか雨のことで、下の方に黒い雲が立ち込め右下にはジグザグの稲光が描かれています。雷をも下に敷いて超然とそびえる富士は堂々たる威厳を感じさせました。

97 葛飾北斎 「冨嶽三十六景 東海道吉田」
不二見茶屋と書かれた茶屋の中から富士を観る様子が描かれた作品です。テラスの所に2人の女性、手前には籠を担ぐ人たちが休んでいる様子なども描かれています。今も昔も変わらぬ旅の一コマのようなシーンで、観ていて和みましたw 解説によると、この作品には版元の永寿堂を示す永の文字や紋なども描かれているとのことです。また、主役のはずの富士山が小さく描かれているのも洒脱と評価していました。

100 葛飾北斎 「冨嶽三十六景 甲州三坂水面」
富士と河口湖に映る富士を描いた作品です。夏の御坂峠(山梨)から観た富士なのですが、水面には雪をかぶった太平洋から観た富士が映し出されています。反射によって季節も場所も反転するという遊び心を感じる作品でした。


[諸国名橋奇覧]
続いて、冨嶽三十六景と同じ時期に同じ版元の西村屋与八が出版した諸国名橋奇覧のコーナーです。これは全国の珍しい橋を描いた11枚のシリーズで、場所を特定できないものや現存していなかった橋もあるようですが、北斎は橋の形などの面白さに着目していたそうです。

118 葛飾北斎 「諸国名橋奇覧 すほうの国きんたいはし」
有名な錦帯橋が左右に架かり、奥には山が描かれています。斜線が走っていて、これは雨が降っている様子を表しているようです。橋の上には笠を被っている武士たちの姿もあり風情を感じます。橋の形自体の面白さもあり、リズミカルに感じられました。

近くには「諸国名橋奇覧 かうつけ佐野ふなはしの古づ」もあり、最近この美術館でも展示されていたのを思い出しました。
 参考記事:
  日本美術にみる「橋」ものがたり -天橋立から日本橋まで- (三井記念美術館)

[百人一首乳母かえ説]
続いては「百人一首乳母かえ説」という作品のコーナーです。これは乳母が子供に教えるように百人一首を絵解きするようなシリーズだそうで、その名の通り100図を予定していたようですが、28図で中断してしまいました。その理由は絵解きの独自解釈など絵解きをする難解さなどがあったと考えられるようです。

148 葛飾北斎 「百人一首乳母か繪説 中納言家持」
山部赤人の「田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ」を絵解きした作品で、右に崖の細い道を行く行列、その下には大きな波々、そして奥に雪の積もった富士山が描かれています。美しく雄大な富士と波の様子に自然の大きさを感じました。

近くには小野小町や遍照といった有名な詠み手の歌をモチーフにした作品もありました。

159 葛飾北斎 「百人一首うはかゑと起 源宗于朝臣」
これは山里の冬の厳しさ・寂しさを詠った、源宗于朝臣の「山里は 冬ぞさびしさまさり ける 人めも草も かれぬと思へば」を主題にしたもので、雪の積もる木々の前で焚き火をしている猟師たちが描かれています。手をかざして温まっている様子は、何だか楽しそうでちっとも寂しくないようなw しかし、周りは確かに暗くて山里の冬の厳しさは伝わってくるようでした。

170 葛飾北斎 「百人一首宇波か縁説 権中納言定家」
これは藤原定家の「こぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くやもしほの 身もこがれつつ」という歌を主題にした作品で、歌では恋焦がれる様子を藻塩を焼く様子に例えているわけですが、この絵では本当に藻を焼いて塩づくりをしている様子が描かれていますw 窯から出た煙や藁を運ぶ人、天秤を担ぐ人などせっせと働く人々はどこか伸びやかな印象を受けました。 絵だけだと恋焦がれているという感じはしませんw

[詩哥写真鏡]
続いては詩哥写真鏡というシリーズのコーナーで、これは和漢の歌人・詩人の故事や文学作品を取り上げた10図だそうです。

135 葛飾北斎 「詩哥写真鏡 李白」
廬山の滝を眺めている李白を描いた作品で、縦長の画面の上から下まで様々な青で滝が描かれています。李白は崖っぷちに立っているので木に掴まって2人の童子が支えていました。色も鮮やかで壮麗な印象を受ける作品です。

140 葛飾北斎 「詩哥写真鏡 融大臣」
黄色い着物を着た人物と2人のお供が海岸の風景を眺めているような光景を描いた作品です。しかし、明らかに人物が大きくて巨人のように観えます。というのも実はこれは海岸を描いたものではなく、源融(みなもとのとおる)の庭を描いたものらしく、庭は奥州塩釜の風景を模して作ったものだそうです。
解説によると伊勢物語にもこの庭が出てくるらしく、源融自身も源氏物語の光源氏のモデルの一人なのだとか。他にも世阿弥の能「融」でも庭にかける情熱をテーマにしているらしいので、当時はかなり有名だったようです。

[諸国瀧廻り]
続いては「諸国瀧廻り」のコーナーです。これは全8図からなるもので、冨嶽三十六景の後同じ版元から出され、ベロ藍も使っていたようです。

113 葛飾北斎 「諸国瀧廻り 木曽海道小野ノ瀑布」
現在の長野県上松町付近の滝を描いた作品で、険しく切り立った崖に囲まれ、そこから滝が流れおちています。しかし滝というよりは水柱のような切り立った感じで面白いです。周りの見物人たちも見入っているようで、名所ぶりが伺えました。

[琉球八景]
揃い物の最後は琉球八景のコーナーです。北斎は琉球に訪れたことはありませんが、清国の使いが記した琉球国志略という本の挿絵を参考にこのシリーズを描いたと考えられるそうです。当時の江戸は琉球ブームだったのだとか

130 葛飾北斎 「琉球八景 長虹秋霽」 ★こちらで観られます
海の上にかかる長虹堤という石造りの海中道路を描いた作品です。当時、離れ小島だった那覇と首里城を結んだものだそうですが、幻想的な風景となっています。のんびりとして理想郷的な雰囲気もあるように思いました。何故か遠くに富士山のような山も見えるけど、これは創作じゃないかな?? 


<II.北斎の生涯と画業>
続いては北斎の名作に見る70年の軌跡のコーナーです。肉筆画や北斎漫画などが並び、画業の変遷を観ることが出来ました。

1 葛飾北斎 「富士見西行図」 ★こちらで観られます
勝川春章の門弟の勝川春朗として20代半ばでデビューした頃の作品で、傘を被り杖に寄りかかりながら振り返って富士を眺める僧 西行の姿が描かれています。富士山はかなり切り立っているようにデフォルメされていて、全体的にちょっと硬い感じもします。しかし、題材や構図などから巨匠のその後の活躍が伝わってくるようでした。貴重な作品です。

12 葛飾北斎 「新板浮絵 忠臣蔵第四段目」
忠臣蔵の浅野内匠頭(塩谷判官)が切腹するシーンを、描いた作品です。その描写は結構細かくて、屋敷の様子は遠近感が強調されているように見えました。
ちなみに北斎の母は忠臣蔵に関係のある人の孫だったそうです。(その時に殺されたらしい) 北斎が忠臣蔵に関心があるのはそうしたことも関係があるのかな?

24 葛飾北斎 「雪月花 淀川」
大きな白い月が浮かび、手前に川を行く何艘かの舟と淀城が描かれた作品です。水面の青のグラデーションが綺麗で静けさが漂っているように思えました。
これは雪月花のシリーズの1枚のようで、隣には雪の墨田川を描いた作品もありました。

49、52、54 葛飾北斎 「北斎漫画 初編、四編、六編」
有名な北斎漫画が6冊並んでいて、展示されていたページには象やうさぎ、浮き輪に捕まって泳ぐ人たち、馬を洗ったり訓練している様子、ヨガのように身体を折り曲げたり布を引っ張っている人々など様々なモチーフが自由自在に描かれています。怪力のお兼と思われる女性が片足で手綱を踏んで馬を抑えている様子もあり、いずれもユーモアを感じました。

48 葛飾北斎 「俵を持ち上げる大黒天」
大黒天が横になり足に米俵を乗せて持ち上げている様子を描いた作品です。その上には太鼓、さらに上に鶏も描かれていて曲芸のようになっていますw 解説によると、中国では君主に諌言をしようとする者が打ち鳴らす太鼓があったそうで、良い政治の時は誰も鳴らさないので苔むして鶏がとまるという故事があるそうです。これはそれをモチーフにしているようで、それにちなんだ狂歌が2句添えられていました。

60 葛飾北斎 「渡舟図」 ★こちらで観られます
これは60代前半頃の肉筆で、向島から浅草に向かう渡し舟を描いたものです。様々な身分の沢山の人が乗っていて、ちょっと意外です。解説によると、右に松があり、正月の渡し初め描いているとのことでした。全体的に霧に包まれるような詩情がありました。


ということで、良い摺りの作品が観られる展示でした。しかし前期・後期で半分ずつな上、それぞれの会期が1ヶ月というのは厳しいのでは…。できれば前期も観たかったです。 もう終わってしまいましたが、北斎を知るには良い機会でした。




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映画「メン・イン・ブラック3」(ややネタバレあり)

日付が変わって昨日となりましたが、浦和のユナイテッド・シネマまで行ってレイトショーでメン・イン・ブラック3をIMAXの3Dで観てきました。今回の記事は公式サイトで分かる程度のネタバレを含んでいます。

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【作品名】
 メン・イン・ブラック3

【公式サイト】
 http://mib-3.com/

【時間】
 2時間00分程度

【ストーリー】
 退屈_1_2_③_4_5_面白

【映像・役者】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【総合満足度】
 駄作_1_2_③_4_5_名作

【感想】
思ったよりお客さんは入っていないようでした。ユナイテッド・シネマのIMAXは割引も効かずレイトショーでも2200円するからかな??
 IMAXの参考記事:
  映画 「トロン:レガシー」 (ごく軽いネタバレあり)
  映画「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」(ネタバレなし)

さてこの映画は人気シリーズの久々の新作で、もう終わったのかと思っていたのでちょっと意外でしたw 今回の作品は過去の人物・設定を引き継いでいるのですが、人物の関係性や出てくる道具などについてはあまり説明が無く、この作品からこのシリーズを観ようというのは難しいかもしれません。

ここから軽いネタバレをしますが、今回は1970年代にタイムスリップする話です(最近、タイムスリップものと1970年代が舞台の映画を観たばかりですが…w) その為、その時代の時事ネタ・人物が出てきたりするのですが、某現代アーティストなども出てきます。 建造物なども再現度が高く、その時代に入り込むような自然さが凄かったです。
しかし、映像全てに満足したかというとそうでもありません。わざわざ高いIMAXの3Dを選んだわけですが、結論としてはこの作品は普通の2Dで良いと思いますw というのも、この映画の3Dはペラっとした飛び出す絵本状態が多くて、あまりIMAXにした意味を感じませんでした。

ストーリーやジョークも今回は微妙な感じで期待していたほどでは無かったかな。毎回おかしな宇宙人が面白いのに、今回は魅力あるキャラクターがいなかったように思います。 翻訳も分かりづらくて違和感があるというか…。


ということで、期待値が高かったせいかもしれませんが、面白い!と言うほどでもなかったと思います。つまらないわけでもなく、普通に忘れていきそうな感じですw このシリーズが好きな人向けだと思います。




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京都 細見美術館展 PartⅡ 琳派・若冲と雅の世界 【そごう美術館】

前回ご紹介した横浜ランドマークタワー近くのカフェでお茶をした後、横浜に移動してそごう美術館で「京都 細見美術館展 PartⅡ 琳派・若冲と雅の世界」を観てきました。

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【展覧名】
 京都 細見美術館展 PartⅡ 琳派・若冲と雅の世界

【公式サイト】
 http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/12/0526_hosomipart2/index.html

【会場】そごう美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】横浜駅


【会期】2012年5月26日(土)~7月16日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。

さて、この展覧会は京都にある細見美術館のコレクションを2期に分けて展示するもので、こちらが2期目となります(私は1期は行けませんでした) 2期は大和絵を中心に、特に琳派と若冲の作品が目玉となっていました。テーマによって章分けされていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
 参考リンク:
  京都 細見美術館 公式サイト
  京都 細見美術館展 PartⅠ 都の遊び・王朝の美 -美を愛でる、京を知る-


<祈りの美>
まず最初は仏画のコーナーです。平安から鎌倉時代の作品や近代の模写などが並んでいました。

46 「六観音像のうち 十一面観音、如意輪観音」 ★こちらで観られます
これは東寺の西院御影堂に伝わった14世紀の作品で、右に十一面観音、左に如意輪観音が展示されています。十一面観音は3段に11の顔があり、座った姿で描かれています。鮮やかでありながら柔らかな色彩は生気を感じました。澄んだ目をした表情も良かったです。
一方、如意輪観音は4本の腕のうち1本は頭を支えていて、首を傾げて悩んでいるような優美なお馴染みのポーズです。片膝を立てているのがちょっと色っぽく思えました。
解説によると、これは元は6幅対だったそうですが、そのうちの馬頭観音は14世紀後半には損失していたようです。六観音は六道に苦しむ人々の救済のために密教に起ったもので、鎌倉前半期の作品は珍しくこの作品も貴重なものだそうです。
 参考記事:【番外編】 教王護国寺 (東寺)の写真 【京都】

43 田中親美 「平家納経(模写)」
これは大正時代に模写された平家納経の写しで、中でも分別功徳品(ふんべつくどくほん)という法華経が描かれた作品が好みでした。大和絵で平安貴族が描かれているのですが、料紙に箔を散らすなど非常に豪華な雰囲気です。経箱の模作も一緒に展示されていました。


<王朝の雅と源氏絵>
続いては安土桃山時代の土佐派や江戸時代の住吉派の作品が並ぶコーナーです。

58 土佐光吉 「源氏物語図色紙 初音」 ★こちらで観られます
これは正方形の小さめの作品で、源氏物語の第23帖「初音」(光源氏が明石の君の元を訪れるシーン)を描いています。大和絵で、斜め上から見通すような視点で金雲が立ち込める平安貴族の家の中が描かれ、光源氏とそっぽを向いている明石の君の姿があります。2人の近くには草子が投げ出されたような感じで転がっているのですが、これは紫の上の養女となった明石の姫君(明石の君の娘)を想って悲しみに暮れている様子を表しているそうです。また、右上に描かれた白梅は清廉な空気を捉えているとのことで、雅な雰囲気がありつつも登場人物の心情や季節感を表しているようでした。

この近くには夕顔をモチーフにした螺鈿の蒔絵もありました。こちらもきらびやかで美しい作品です。

64 住吉如慶 「きりぎりす絵巻」
これは擬人化された虫たちの物語の絵巻で、玉虫姫と蝉の右衛門守の婚礼の様子が描かれています。トンボみたいな男性がいたり十二単の女性たちの顔はネズミみたいに見えるかなw 次の巻では輿入れの行列のようなものが描かれ、ガマガエルに乗ったりナメクジに車を引かせたり、トンボや蝶のような者もいて、江戸時代風の格好をしていました。意外と細かく描かれていて、画中画などもしっかりしていました。面白い発想の作品です。

近くには鎌倉時代の伊勢物語の断簡や、冷泉為恭の「年中行事図巻」などもあります。


<華麗なる琳派>
続いては今回の目玉となる琳派のコーナーです。宗達からはじまり、光琳、抱一、其一、守一あたりまでの作品が並んでいました。
 参考記事:
  酒井抱一と江戸琳派の全貌 感想前編(千葉市美術館)
  酒井抱一と江戸琳派の全貌 感想後編(千葉市美術館)
  琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第1部 煌めく金の世界 (出光美術館)
  琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 (出光美術館)
  琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 2回目(出光美術館)

1 本阿弥光悦・俵屋宗達 「忍草下絵和歌巻断簡」
光悦が書、宗達が画を担当した2人の合作です。下に曲線を描く忍草と、上に垂れてきている藤が描かれ、金泥・銀泥が使われています。そこに光悦の書が書かれ、非常に落ち着きと軽やかさを感じる作品となっていました。まさに雅といった雰囲気でかなり好みです。

この近くには伊勢物語を描いた宗達の作品もありました。

3 俵屋宗達 「双犬図」
白い犬と黒い犬が寄り添って寝ている様子が描かれた作品です。白い犬の前足が黒犬の首に回っているのが何とも可愛い…。全体的に簡素な表現でデフォルメされていて、黒い犬の背中にはたらし込みのような表現もありました。上の方には賛もあったけど読めなかったw

5 尾形光琳 「宇治橋図団扇」
団扇に橋と川が描かれた作品です。大胆にトリミングされたような構図で、橋も川も単純化されていますが、銀泥の渦や金泥が相まって優美な雰囲気がありました。この構図やデフォルメのセンスは流石です。

8 渡辺始興 「簾に秋月図」
この絵師は狩野派から琳派の画風になった人です。これは掛け軸で、大きな満月を背景に桔梗やススキ、フジバカマが描かれ、手前には簾が描かれています。簾が満月を隠す構図が面白く、透けて見える様子が風流でした。斜めに伸びる秋草も気品があり秋の風情を感じます。

12 酒井抱一 「槇に秋草図屏風」 ★こちらで観られます
これは小さな2曲の屏風で、菊や萩、桔梗などの秋草と、槇の木が描かれています。草花が密集するように生い茂っているためか、鮮やかさと絢爛さがありました。解説によると、これは光琳百図の後編に載っているらしく、光琳の作品を写したものだそうです。原図に比べると、花を整理し余白を広く取っていて、花1つ1つを丁寧に描いているとのことで、そのせいかリズミカルな印象も受けました。
 参考記事:KORIN展 国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」  (根津美術館)

16 鈴木其一 「藤花図」 ★こちらで観られます
縦長の掛け軸に、吊り下がる長い3本の藤の花が描かれています。紫色の濃淡で描かれ、意外と写実的に見えるかな。よく観るとたらし込みの技法も使われているなど琳派の特徴も観られました。金地に紫が映えて華やかな作品です。

19 鈴木其一 「紫陽花四季草花図」
アジサイ、朝顔、ススキ?などの草花が描かれた作品で、タイトルにもなっているアジサイが特に美しく観えます。ゆるやかな曲線や対角線上に伸びる朝顔など、構図も心地よく感じられました。

13 酒井抱一 「鹿楓図団扇」
これは団扇で、表に振り返る鹿、裏に赤く染まる楓が描かれています。どちらもデフォルメされていて、特に曲線が優美に感じられます。後面の楓の木の幹の表現などはどっしりした雰囲気もあって好みでした。

18 鈴木其一 「水辺家鴨図屏風」 ★こちらで観られます
これは6曲の屏風で、金地を囲むように青緑の曲線が描かれ、それが水辺を表現しているようです。そこに沢山のアヒルたちが思い思いに過ごす様子が描かれ、中にはこちらにお尻を向けているアヒルもいて可愛らしいです。のびのびとした雰囲気がありつつ、琳派らしい気品もある作品でした。

26 鈴木守一 「業平東下り図」
これは其一の作品を手本にした掛け軸で、富士山を背にして振り返る馬に乗った在原業平と、従者が描かれています。色鮮やかで雅な雰囲気があります。さらにこの掛け軸の表装の部分には、燕子花や楓、桜など四季の草花が描き表装されていて絢爛な雰囲気でした。その意匠も含めて面白い作品でした。
 

<若冲の魅惑>
続いては江戸時代の京の画家、伊藤若冲のコーナーです。

 参考記事:
  伊藤若冲 アナザーワールド (千葉市美術館)
  伊藤若冲 アナザーワールド 2回目(千葉市美術館)
  

35 伊藤若冲 「仔犬に箒図」
立てた箒の元で寝そべる白い犬を描いた作品です。デフォルメされた丸っこい犬は目が鋭いけれども可愛らしい雰囲気です。箒には筋目描きの技法が使われているんじゃないかな? 全体的に簡素でのんびりした作品でした。
この近くの「瓢箪・牡丹図」も好みでした。

32 伊藤若冲 「雪中雄鶏図」 ★こちらで観られます
これは若冲がまだ家業をつとめていた30代前半の頃の最初期の作品で、雪の降り積もる竹林の中、地面を見つめる尾の立派な鶏が描かれています。非常に精密で色の取り合わせも見事に思いますが、どことなくその後の作品群とは違った雰囲気を持っているように思いました。周りの竹が何故かジグザグに伸びているのもちょっと意味深で興味をひかれます。

36 伊藤若冲 「鶏図押絵貼屏風」
これは6曲1双の押絵貼りの水墨の屏風で、1扇に1羽ずつ鶏が様々なポーズで立っています。尾の流れるような表現には大胆さと緻密さが同居していて、濃淡の使い分けも見事でした。デフォルメの面白さもあり、これはかなり好みでした。左4扇にはヒヨコもいて可愛かったです。

この作品の近くには若冲のフォロワーのような絵師の作品もありました。


<かざりの意匠>
最後は調度品のコーナーです。ここは個別作品のメモは取らなかったのですが、蒔絵の重箱、弁当箱、茶釜、蒔絵の文台、唐織、蒔絵の長持、釘隠しなどの作品が並んでいました。工芸品も洒落た意匠の作品が多くて楽しめました。


ということで、琳派も若冲も好きな私にとっては面白い展示となっていました。細見美術館は他にも色々良い品を持っているようなので、いずれ1度は訪れてみたいと思わせました。

 参照記事:★この記事を参照している記事




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アンティコカフェアルアビス 【桜木町界隈のお店】

前々回前回とご紹介した横浜美術館の展示を観た後、桜木町駅に向かう途中にあるアンティコカフェアルアビスというお店でお茶してきました。

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【店名】
 アンティコカフェアルアビス

【ジャンル】
 カフェ

【公式サイト】
 http://www.anticocaffe.ne.jp/
 食べログ:http://r.tabelog.com/kanagawa/A1401/A140103/14038617/
  ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅

【近くの美術館】
 横浜美術館
 横浜みなと博物館 など


【この日にかかった1人の費用】
 850円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_③_4_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日16時半頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
私が行った時はちょうど満席くらいでしたが、帰る頃には結構空席になっている程度でした。

店内はこんな感じ。
P1010555.jpg
先にレジで会計&トレイで受け取りをするセルフサービスのお店ですが、洒落た雰囲気です。

このお店はイタリアの「バール」をコンセプトとしているようで、結構色々なメニューがありましたが、お腹が減っていたのでこの日はポルケッタ(500円)とエスプレッソダブル(350円)を頼みました。
P1010551.jpg

まずはエスプレッソのダブル。
P1010552.jpg
エスプレッソらしい非常に濃縮された味でした。思った以上に強めで満足できました。

続いてポルケッタというサンドイッチのような食べ物です。
P1010553.jpg
ツナとハム、ほうれん草が入っていて、暖かいパンがパリパリして美味しかったです。このパン(パニーニ)は自家製なのだとか。


と言うことで、意外と安くて美味しいお店でした。洒落てて気軽に寄れそうな雰囲気も良い感じです。ランドマークタワーの入口近くにあるのも便利なので、今後も利用しようと思います。ケーキも美味しそうでした。



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マックス・エルンスト-フィギュア×スケープ 時代を超える像景 (感想後編)【横浜美術館】

今日は前回の記事に引き続き、横浜美術館の「マックス・エルンスト-フィギュア×スケープ 時代を超える像景」の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。

 前編はこちら

P1010547.jpg

まずは概要のおさらいです。

【展覧名】
 マックス・エルンスト-フィギュア×スケープ 時代を超える像景

【公式サイト】
 http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2012/ernst/index.html

【会場】横浜美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅
【会期】2012年4月7日(土)~6月24日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
前編は2章の途中までご紹介しましたので今日はその続きからです。


<第2章 採掘されたフィギュア・スケープ 1925-1952>
一旦、会場の入口に戻ってきた辺りからご紹介します。

P2 アーノルド・ニューマン 「マックス・エルンスト」
これは写真作品で、タバコをふかす老いた男性(エルンスト?)が写り、その隣には手を広げたインディアンの像が置かれています。煙はよく観るとエルンストが描く鳥(ロプロプ)のような形に観えるような?? これは演出で作っているとのことでしたが、発想の面白い写真でした。

この辺には横浜美術館所蔵の「少女が見た湖の夢」(★こちらで観られます)もありました。動物が隠れているような感じの作品です。

63 マックス・エルンスト 「嘘八百」
これは大きな油彩画で、黄色、黄緑、青などを背景にジグザグした線で人や鳥のようなものが描かれています。沢山のオレンジの球体も描かれていて、意味は分かりませんがちょっと楽しげな雰囲気もありました。他の作品と比べてかなり明るい色合いの作品です。

54 マックス・エルンスト 「ユークリッド」 ★こちらで観られます
これは今回のポスターにもなっている作品です。黒い帽子と黒いドレスを着た人物像のように思えますが、顔は四角すいが逆さになって葉っぱ形の金具のようなものがついたものとなっています。また、よく観ると胸の辺りには魚が描かれ、背景は幾何学的な形の色面に分かれていました。これもフィギュアの捨象なのかな?観ていると不安なものを感じます。
解説によると、この頃エルンストはポワンカレ研究所で幾何学的な模型に出会い、幾何学イメージを積極的に取り込んだようです。

この辺には「王妃とチェスをする王(クイーンとともにゲームをするキング)」もありました。牛の角?を生やした人物と、その前のチェス盤らしきものの彫刻作品です。エルンストはチェスもかなりの腕前だったのだとか。
 参考記事:
  シュルレアリスム展 感想後編(国立新美術館)


<第3章 フィギュアの再訪 1950~1975>
エルンストは1953年にパリに帰国した後も様々な挑戦を行い、制作意欲は衰えることはなかったようで、宝石のファセット(カット面)のような背景の作品や、解読不能な暗号を用いた文字のフィギュアにも見える作品なども登場したそうです。
50年代から晩年にかけてはグラフィック作品に力を注ぎ、完成した油彩画やコラージュをリトグラフにするなど別の作品として移植する活動も行なっていたようです。コラージュから写真へ、彫刻から絵画へとジャンルを越えたり、技法を変えたりすることでフィギュアは同じようでどこか違っているそうです。ここにはそうした作品が並び、前編でご紹介した「聖対話」に登場した女性を使った作品もありました。

73 マックス・エルンスト 「鳩のように」
これはだいぶ前にご紹介しましたが、楕円形の赤の中に幾何学的な2つの鳥の姿が描かれている作品です。その下には赤い横棒があり、離れてみると人の顔に見えるだまし絵みたいなダブルイメージとなっています。赤のせいかちょっと不思議な温かみがあるように思いました。
 参考記事:日本の美術館名品展 2回目 (東京都美術館)

この辺には横浜美術館所蔵の「子供のミネルヴァ」(★こちらで観られます)もありました。背景に宝石のカット面みたいなものというのはこれのことかな?

その後はエッチングやリトグラフなどのコーナーで、抽象的で難しかったのでメモは取れませんでしたw さらに進むと再び油彩です。

102 マックス・エルンスト 「三本の糸杉」 ★こちらで観られます
これは昨年のシュルレアリスム展にも来ていたポンピドゥセンターの作品です。左から赤、黄色、緑の柱のようなものが建ち、左の方の背景には形而上絵画のような平面的かつ幾何学的な色面が描かれています。柱はゴツゴツ・ザラザラした感じに観えました。こうしてエルンストの作品が一堂に会すると、幾何学的な背景や影などこれまでの作品との繋がりを感じます。
 参考記事:
  シュルレアリスム展 2回目 (国立新美術館)

少し進むと「マクシミリアーナ、あるいは天文学の非合法的行使」というシリーズが30枚程度並んでいました。これは学位無き天文学者で詩人のエルンスト・ヴィルヘルム・レベレヒト・テンペルを讃えた版画で、テンペルは天体観測を「見る芸術」と呼んだそうです。これにマックス・エルンストは運命的な共感を覚えたそうで、このシリーズを手がけたようです。文字なのか抽象的な曲線なのか判別の難しいものが描かれた素描や、印字された文字が散らされた作品、エジプトの象形文字を思わせるようなもので埋め尽くされた作品など、書のようで人の形をしていたりするのが面白かったです。何か物語でもあるのかな?

その先には鳥のコーナーがあります。エルンストの有名なエピソードで、飼っていた鳥(鸚鵡?)が死んだ直後に妹が生まれたのが、その後の独特の死生観・鳥のモチーフに繋がったという話があります。鳥類の王ロプロプに代表される鳥のモチーフは生涯描き続けたようです。

119 マックス・エルンスト 「偉大なる無知の人」
これは絵とハシゴのようなもの、板張りになったものが組み合わさった作品です。赤い絵の中には手を挙げている人の姿が描かれていて、絵の上の青い円に黄色の円が描かれているのは月に見えるかな。人物の目は鋲が打たれているなど謎だらけでしたが目を引きました。

120 マックス・エルンスト 「美しき女庭師の帰還」 ★こちらで観られます
これは前編でご紹介したように、ナチスに押収され頽廃芸術展に出された後に行方不明になった「美しき女庭師」のリメイク的な作品です。女性らしき姿が腕を顔に当てて身をくねらせているような像で、頭は青の中に黒の楕円形、胸のあたりに航空機を思わせる白い肺のようなもの、左手で小鳥を持っている様子が描かれています。太もも辺りにいるのは鳩かな? 背景には輪郭だけのマネキンのような人影もあり、手を挙げて浮かんでいるように見えます。
解説によると庭師はイヴ(エヴァ)のようで、これは失われた楽園を現世に蘇えさせようとするという意味があるそうです。また、鳩はマリアの受胎を踏まえているそうで、マリアはイヴの後身であるとのことでした。ちょっと見ただけではそこまでは分かりませんが、どちらかと言うとやや暗い雰囲気と虚無的なものを感じました。


ということで、ちょっと難しめの内容でしたが、エルンストの画業を知ることができました。今後も見る機会が多そうな画家だけに、参考になります。もうすぐ終わってしまう展示ですが、シュルレアリスムが好きな方は是非どうぞ。常設でもマン・レイを始めとしたシュルレアリスムの写真のコーナーもありました(常設の紹介は割愛)
 参考記事:マン・レイ展 知られざる創作の秘密 (国立新美術館)


 参照記事:★この記事を参照している記事




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マックス・エルンスト-フィギュア×スケープ 時代を超える像景 (感想前編)【横浜美術館】

10日ほど前の土曜日に、横浜美術館へ行って「マックス・エルンスト-フィギュア×スケープ 時代を超える像景」を観てきました。やや難解な作品が多くメモを多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

P1010545.jpg

【展覧名】
 マックス・エルンスト-フィギュア×スケープ 時代を超える像景

【公式サイト】
 http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2012/ernst/index.html

【会場】横浜美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅


【会期】2012年4月7日(土)~6月24日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
私が行ったのは開港記念日で無料だったこともあってか、お客さんは多めでした。それでも特に混んでいるというほどでもなく、自分のペースで観ることができました。

さて、この展示はシュルレアリスムの画家、マックス・エルンストの個展となっています。冒頭の趣旨によると、今回はシュルレアリスムという枠を一旦外して、エルンストの「フィギュア(像)」と「スケープ(風景)」というモチーフから検証しなおすものだそうです。
エルンストの作品には鳥、天使、あどけない顔の者たち、グロテスクな怪物的存在など様々なフィギュア(像)が登場しますが、中でも「ロプロプ」というエルンストの内なる自我と鳥と人の合体した姿はたびたび作品中に出てくるようです。しかし、その姿は偶然に見つけた形を元にしているので変幻自在らしく、下地の空間表現(スケープ)とは形でも意味でも強く結びついているとのことで、今回の展示でもそれを確認することができます。
展示構成は時代ごとに3章に分かれていましたので、詳しくは章ごとにご紹介しようと思います。

 参考記事:
  シュルレアリスム展 感想前編(国立新美術館)
  シュルレアリスム展 感想後編(国立新美術館)
  シュルレアリスム展 2回目 (国立新美術館)


<第1章 フィギュアの誕生 1919-1927>
まずは初期のコーナーです。エルンストは正規の美術教育は受けておらず、ボン大学では哲学、心理学、美術史を学んだそうです。しかし、父のフィリップはドイツロマン派の伝統を受け継ぐ日曜画家でエルンストを絵画に導いたようです。エルンストは1914年の第一次世界大戦に従軍し、その後1919年にヨハネス・テオドール・バールゲルトらとケルン・ダダのグループを立ち上げます。デ・キリコに触発され「流行は栄えよ、芸術は滅びるとも」という作品を制作したのですが、そこに描かれたマネキン状の人物は人格を捨象され肖像画とは違う次元に存在していると考えられ、このような像が最初に登場したフィギュアと言えるようです。また、1919年はコラージュの発見の年でもあり、エルンストも挿絵や写真を見て呼び起こされた幻覚を観たとおりに図版に加筆する作品を制作し、それをコラージュと呼んだそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。

1-1~1-9 マックス・エルンスト 「流行は栄えよ、芸術は滅びるとも」
これは先述したマネキンのような人物が出てくる9枚の作品のシリーズで、様々な動きを見せるマネキンたちや形而上絵画のような雰囲気は確かにデ・キリコの作風を思わせます。また、直線が多用されていて、所々に数式や文字が描きこまれているなど意味深な感じでした。幾何学的で人間(人形?)に個性が無い作品です。

4~5 マックス・エルンスト/ポール・エリュアール 「反復」
これはエルンストとポール・エリュアールの合作の詩画集です。1921年にエルンストの個展が開かれた際、それを観たフランスの詩人ポール・エリュアールに詩を捧げて貰ったそうで、その後ポール・エリュアール夫妻がケルンのエルンストを訪れると、生涯の友情に繋がっていったそうです。そして2人の最初の共同制作がこの作品で、2つ並んで展示されています。1つは謎の機械を摘む指が窓から出てくる様子や、足跡が重なったり花を持つ手などが描かれていて、右側には橋も描かれています。そしてもう1つは人の後ろ姿や倒れた人々の塊? 角に何かささった鹿?などちょっとよく分からない感じです。 意味有りげでしたが結構難解に思えました。なお、これはマグリットが所蔵していた品のようでした。

3 マックス・エルンスト 「聖対話」
これはケルンで製作された最も重要なコラージュだそうで、2人の人物が描かれています。右は女性の胴体と足、頭には横向きの鳩が描かれていて、左は男性で、解剖人形のような胴体で腰のあたりに鳩、肺は可動翼式の実験航空機の写真のようです。ちょっと機械的なような神秘的なような、相反する印象を受けました。
なお、展覧会の最後の方にはこの作品を下敷きに描いた「美しき女庭師の帰還」という作品があるのですが、その前に「美しき女庭師」という作品もあったそうです。「美しき女庭師」はナチスに押収され「頽廃芸術展」(近現代の前衛芸術をやり玉に挙げて嘲笑する展覧会)に展示され、その後行方不明となったとのことで、「美しき女庭師の帰還」はそのリメイクのようなものみたいです。(次回の記事で後述します)


<第2章 採掘されたフィギュア・スケープ 1925-1952>
続いて2章は両大戦間のフランスと、第二次世界大戦中以降にアメリカで制作した作品のコーナーです。エルンストは1924年頃、フロッタージュ(すり出し)技法が精神の奥底に豊富に埋蔵されたイメージを引き出す有効な手段であると突き止め、その成果を「博物誌」という版画集にまとめ「自然」という意味を与えたそうです。また、絵の具を置いたキャンバスの下に凹凸の素材を敷いて、パレットナイフなどで絵の具をすり落とす「グラッタージュ」という技法や、画面上に塗られた絵の具をガラス板などで押しつぶして染みを作るデカルコマニーという技法なども開発したようです。こうした偶然を活かした技法がエルンストにとって「自然」とのことで、ここにはそうした作品が並んでいました。

11 マックス・エルンスト 「怒れる人々(訴え)」
これは油彩画で、中央に顔の周りに赤いものを被ったような人物が描かれ、手を挙げているのかな? 背景は黒で抽象的なせいか、観ていてちょっと不安な気分になってきますw ざらついた感じで、これがグラッタージュかな?

14 マックス・エルンスト 「籠の中の鳥」
これは小さな油彩で、青い柵の中にエルンストによく出てくる目の丸い鳥が収まっているように見えます。何故か柵の方が奥にあり、どことなく虚無感のようなものがあるように思いました。
解説によると、1925年頃にこうした籠の中の鳥という主題に集中的に取り組んだそうです。この辺りには数点そういった作品が並んでいました。

20 マックス・エルンスト 「石化した森」
岩山のような石化した森が描かれ、その背景に白いリング状のものが描かれた作品です。これはエルンストが3歳の頃の体験から魅惑と恐怖を感じていた森と、「蝕」(金環日食みたいな)の天体を描いているようです。辺りが暗いこともあり、ちょっと重くて神秘的な雰囲気がありました。これも観ていて不安を感じますw
この辺には似た作品がありました。ざらついた感じの木と言うか岩というか…。

12-2~12-35 マックス・エルンスト 「博物誌」
すり出し技法の「フロッタージュ」で描かれた30枚以上から成る版画作品です。確かに生物や植物、鉱物などの自然物を思わせるような、どこか奇怪なものが描かれていて、それぞれのタイトルも「魅惑的な糸杉」「種痘されたパン」など面白い名前になっています。解説によると、これは聖書の「創世記」になぞられているそうで、深い意味がありそうでした。

その後はコラージュのコーナーでした。コラージュは一時中断していたそうですが、1928年から再開し、「百頭女」「カルメル修道会に入ろうとしたある少女の夢」「慈善週間または七大元素」の3部を制作して「コラージュ・ロマン(コラージュの小説)」と呼んだそうです。展示はその3部の本やコラージュが並び、意外とヨーロッパの古くからの画風の作品を使ってコラージュしていえうようでした。

少し進むと彫刻も2点ほどありました。植木鉢を形として使ったもので、トーテムポールや埴輪を彷彿とします。

この部屋の最後の辺りにはポール・エリュアールの為の挿絵や、アンドレ・ブルトンの為の挿絵なども並んでいました。


ということで、まだ2章の途中ですが、この辺で半分くらいなので今日はここまでにしておきます。若干難しい内容となっていて、パッと見て理解できない作品も結構ありますが、意味を考えるよりも感じることに集中したほうが良いかもしれません。後半には今回の目玉になるような作品もありましたので、次回はそれをご紹介しようと思います。


  → 後編はこちら


 参照記事:★この記事を参照している記事




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KATAGAMI Style ― 世界が恋した日本のデザイン 【三菱一号館美術館】

もう2週間前のことですが、前回ご紹介した展示を観た後、歩いて三菱一号館美術館へ行って最終日直前の「KATAGAMI Style ― 世界が恋した日本のデザイン」を観てきました。こちらの展示は既に終了していますが、京都・三重にも巡回するようですのでご紹介しておこうと思います。(最近、終わりそうな展示を優先して観ているので終わってからの紹介が続いてすみません^^;)

P1010515.jpg P1010513.jpg

【展覧名】
KATAGAMI Style ― 世界が恋した日本のデザイン

【公式サイト】
 http://katagami.exhn.jp/

【会場】三菱一号館美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅


【会期】2012年4月6日(金)~ 5月27日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時半頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
最終日1日前に行ったこともあり、入場するのに30分待ちという盛況ぶりでした。ここは中も狭い所があるので非常に混雑感がありました。
メモを取っていると邪魔になるので今回はメモが少なめですが、章ごとに簡単に振り返ろうと思います。


<第1章 型紙の世界 -日本における型紙の歴史とその展開> ★こちらで観られます
まず最初は江戸時代の素襖(すおう)などの男性用の着物や、型染め、鮮やかな紅型(びんがた)という琉球で考案された型染の着物などが並んでいました。少し進むと、雛形(ひいなかた)という今で言えばファッションカタログのような本や、型紙の見本もあり江戸時代のファッション事情を知ることができます。

そして次の部屋からが型紙についてです。型紙はパターン化された模様を細かく繰り抜き、所々に糸で補強したもので、繊維の上に敷いて繰り抜いた所に染料を塗って模様を出すためのものです。 型紙は江戸中期以降に伊勢で独占的に製産されたそうで、美濃紙を3枚接着し、6セット一緒にして彫刻刀で彫って作るようです。いずれもミリ単位の仕事ぶりは驚嘆します。型紙には絵画のような繊細さ・奔放さが感じられ、幾何学的だったりデフォルメだったりと、その意匠の洒脱さも素晴らしい品が並んでいました。特に単純化された草花の衣装は優美で洗練されていました。

型紙は近代に大量に海外に流出したそうで、シーボルトが本国に持ち帰った型紙なども並んでいました。また、歌川国貞や国吉によって描かれた型紙を使って作られた着物を着た美人画などもあり、当時の風情が伝わってくるようでした。


<第2章 型紙とアーツ・アンド・クラフツ -英米圏における型紙受容の諸展開> ★こちらで観られます
続いては型紙が英米に与えた影響についてのコーナーです。1862年のロンドン万国博覧会で展示された日本の造形は、英国の装飾芸術や産業芸術に新しいデザインの風を送り込んだそうです。
ここには日本の造形を模した品が並び、日本風だけれどイギリス製の型紙や日本趣味の型紙が展示されていました。草花や鳥といったモチーフなども日本的かな。日本を紹介した本や、リバティ百貨店で販売された型紙のカタログ、アーツ・アンド・クラフツ運動の旗手であるウィリアム・モリスによる型紙などもあり、当時の熱狂ぶりが伝わります。

 参考記事:
  ラファエル前派からウィリアム・モリスへ (横須賀美術館)
  ラファエル前派からウィリアム・モリスへ (目黒区美術館)
  ウィリアム・モリス ステンドグラス・テキスタイル・壁紙 デザイン展 (うらわ美術館)
  ウィリアム・ド・モーガン 艶と色彩 -19世紀 タイル・アートの巨匠-(パナソニック電工汐留ミュージアム)
  生活と芸術 アーツ&クラフツ展 ウイリアム・モリスから民芸まで(東京都美術館)

次の大部屋ではアーツ・アンド・クラフツの型紙やテキスタイルが展示されていて、日本的な作品がありました。ジャポニスムを強く発信したリバティー社やシルヴァースタジオの作品が並びます。また、スコットランドのチャールズ・レニー・マッキントッシュの椅子や家具、設計図などもあり、これはちょっと意外でした。マッキントッシュも日本美が好きで、格子のような幾何学に曲線を組み入れるところが日本的なようです。

英国の後にはアメリカのコーナーもありました。アメリカではフィラデルフィア万博の頃に英国の運動が伝わったそうです。ここにはルイス・コンフォート・ティファニーの華美な箱を始め、むしろアール・ヌーヴォーっぽいランプなどもありました。


<第3章 型紙とアール・ヌーヴォー -仏語圏における型紙受容の諸展開> ★こちらで観られます
次はフランスへの影響のコーナーです。フランスはアール・ヌーヴォーを始め印象派、ナビ派などジャポニスムから影響を受けた芸術が結構あります。まずは以前ドニ展で観たドニの「家族の肖像」や、アール・ヌーヴォーの生みの親のジークフリート・ビング(サミュエル・ビング)の著書「芸術の日本」の仏語、英語、独語の3ヶ国語の本が並んでいました。少し進むとドニの列車をモチーフにした型紙の下絵があり、線路が植物のようになっているのが面白かったです。また、壁にはミュシャのポスターが並び、ブリュネット、サラ・ベルナール、夢想、ジョブ(巻きタバコ用紙の)、舞踏(四芸術のうちダンス)など人気作が展示されていました。

 参考記事:
  モーリス・ドニ -いのちの輝き、子どものいる風景- (損保ジャパン東郷青児美術館)
  世紀末、美のかたち (府中市美術館)
  アール・ヌーヴォーのポスター芸術展 (松屋銀座)
  アルフォンス・ミュシャ展 (三鷹市美術ギャラリー)
  オルセー美術館展 パリのアール・ヌーヴォー (世田谷美術館)


大部屋の次はナンシー派の家具が並ぶコーナーです。ここには寄木のテーブルや、ガレ、ドーム兄弟のランプ、マジョレルの飾り棚などアール・ヌーヴォーの代表的な作家の作品が並び、日本の型紙も一緒に展示されていました。ドーム兄弟とガレの花器は特に日本からの影響が感じられます。また、その次の部屋はラリックのコーナーで、チョーカーや花器が数点並んでいました。日本の型紙に似たデザインのものもあり、これは参考になりました。さらに次の部屋はフランスのテキスタイルと型紙の関わりについても紹介されていました。

 参考記事:
  群馬ガラス工芸美術館の案内
  エミール・ガレの生きた時代 (目黒区美術館)
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 感想前編(国立新美術館)
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 感想後編(国立新美術館)
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 2回目感想前編(国立新美術館)
  生誕150年ルネ・ラリック─華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 2回目感想後編(国立新美術館)
  ラリック家の女神たち (箱根ラリック美術館)
  箱根ラリック美術館 館内の案内

フランスの次はベルギーのコーナーです。ここにもアール・ヌーヴォー的な作品が並び、アドルフ・クレスパンという人のポスターはミュシャを彷彿とさせます。日本風の美術が(若干変容しているようにも思いますが)ベルギーまで到達したことを伺わせました。


<第4章 型紙とユーゲントシュティール -独語圏における型紙受容の諸展開> ★こちらで観られます
下界の4章はドイツ語圏への影響のコーナーです。ユーゲントシュティールというのはドイツ語で「若者の様式」という意味で、アール・ヌーヴォーのことを指すようです。ここには日本の型紙を紹介した本が展示され、やはりここにも伝わっていた様子がわかります。
他にもアール・ヌーヴォー的な銀の食器や、日本のものかと錯覚するような布地、型紙、陶器の食器やティーセットなどもありました。日本の型紙のデザインを陶器にも応用したそうで、マイセンでも使われたのだとか。
 参考記事:マイセン磁器の300年 壮大なる創造と進化 (サントリー美術館)

その後はオランダのコーナーで、オランダは江戸時代も付き合いがあったのでヨーロッパで最も早く型紙がもたらされ、先程挙げたシーボルトのコレクションなどを有しています。一方で植民地のインドネシアから持ち込まれたパティックからの影響も受けたようで、両者の特徴を感じさせる品が並びます。レースやテーブルクロスなど草花を単純化・装飾したものがあり、サイドボードや椅子などにも型紙の影響を見て取れました。

その後はオーストリアのコーナーで、第14回分離派展のポスターや、今でもウィーンでテキスタイルの製造を行なっているバックハウゼン社が制作した日本風の型紙、椅子、食器などがありました。日本の型紙は見本としてデザイナーに参考にされていたそうです。ここはアール・ヌーヴォーというよりはむしろ分離派っぽい雰囲気だったように思います。
 参考記事:ウィーン・ミュージアム所蔵 クリムト、シーレ ウィーン世紀末展 (日本橋タカシマヤ)


<第5章 現代に受け継がれる"KATAGAMI"デザイン> ★こちらで観られます
最後は現代のコーナーです。ジャポニスムの収束後、型紙は芸術の表舞台から消えたように見えましたが、20世紀を生き残り近年になって復活の様相を呈しているようです。
ここには英国のブリントンズ・カーペット社のコレクションが並び、ブリントンズは2007年に「Katagami」というカーペットシリーズも出しているそうです。世界中のホテルなどでも使われているらしく、シックで落ち着きがある一方で洒落た雰囲気のある模様でした。他にもテーブルや椅子、テキスタイルなどに囲まれる小部屋などもあり雰囲気が味わえました。


ということで、日本の型紙が外国で高く評価していたというのが分かる内容でした。ヨーロッパにおけるジャポニスムの歴史をざっと観る感じですが、型紙というひと味変わった切り口で観ると、また違った面白さがありました。


 参照記事:★この記事を参照している記事




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switch -岡本光市 遊びのデザイン- 【ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX】

前回ご紹介したカフェでお茶した後、京橋~銀座に移動してポーラミュージアム アネックス (POLA MUSEUM ANNEX)で「switch -岡本光市 遊びのデザイン-」という展示を観てきました。もう2週間前のことなので既に終了していますが、記録として記事にしておこうとおもいます。

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【展覧名】
 switch -岡本光市 遊びのデザイン-

【公式サイト】
 http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/archive/detail_201204.html

【会場】ポーラミュージアム アネックス (POLA MUSEUM ANNEX)  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東京メトロ 銀座駅・銀座一丁目駅 JR有楽町駅

【会期】2012年4月27日~6月3日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていてじっくり見ることができました。それでも点数が少ないので15分くらいで見られました。

さて、この展示は岡本光市という作家の立体作品が並ぶ展覧会でした。簡単にプロフィールを紹介すると、元々はオランダやイギリスで音楽活動(テクノ?)をしていたそうで、ダッチデザインに魅了されて2004年からプロダクトデザインをてがけているそうです。2006年に共栄デザインを設立すると世界30カ国以上でのデザインショップや美術館で扱われ、高い評価を受けているようです。今回の展示の作品コンセプトは「スイッチ」だそうで、その名に相応しい作品もありました。簡単にいくつか作品別にご紹介しようと思います。

岡本光市 「Composition Chair」
2つの凹形の椅子が並んでいてどちらも金属製ですが、よく観ると針金のようなもので出来ています。溶接やボルトも使わずに作ったものとハンダのみで作ったものらしく、恐ろしく手間がかかっていそうでした。骨太なようでどこか洒落ています。

岡本光市 「1000 combination locks」
1000本ものダイヤルキー(自転車にかけるチェーンロックみたいなもの)をお互いにくっつけあって作った球体です。111~666までの数字を合わせて解くゲームとのことでしたが、どことどこが繋がっているのか、ぱっと観ただけではさっぱりわかりませんw 身近なものがこんなアートになるとは面白かったです。

岡本光市 「reconstruction chandelier」 ★こちらで観られます
これは12個の工業用のクリップライトをシャンデリアのようにした作品です。お互いを溶接して金メッキを施したそうですが、若干ワイルドさがあってカッコいいシャンデリアに仕上がっていました。これも発想が素晴らしいです。

岡本光市 「musucal table」★こちらで観られます
これが今回の1番メインと思われる大掛かりな機械を使った作品で、通常は18音階あるオルゴールを1音階だけ(ロールの方に1つしか突起がない)にしたものが504個ならんでいます。そしてテーブルにはそれらの回転速度を調整する機材があり、それぞれのオルゴールの回転を設定してランダムな音にするという趣向でした。会場にはいるとたまに澄んだ音がすると思ったらこれでしたw ポロンポロンと音を出して偶然の生み出す音楽のようでした。

岡本光市 「Glass Tank」
ワイングラスの上に逆さにしたいちじく型のボトル?が付いた作品です。水圧と気圧の関係でワインが減るとタンクのワインが注がれるそうです。止まっていたのでよくわかりませんでしたが、一度試してみたいものです。

岡本光市 「Weight of the light」
天秤の16個のランプと、もう一方に石がかけられた作品です。実際には光に重さはありませんが、これは石と吊り合っていて重さがあるように思えるユーモアを感じました。

ということで、遊び心のある面白いアイディアの作品が並び、洒落た雰囲気の展覧会となっていました。今後も期待したい作家さんです。


 参照記事:★この記事を参照している記事




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フォション・サロン・ド・テ 【日本橋界隈のお店】

前回ご紹介した日本橋高島屋の展示を観た後、美術展会場の目の前にある「フォション・サロン・ド・テ 日本橋高島屋」というお店でお茶してきました。

P10105001.jpg

【店名】
 フォション・サロン・ド・テ 日本橋高島屋

【ジャンル】
 カフェ

【公式サイト】
 http://www.fauchon.com/
 http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/floor/index.html
 食べログ:http://r.tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13000132/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 日本橋駅

【近くの美術館】
 日本橋タカシマヤ
 ブリヂストン美術館
  など


【この日にかかった1人の費用】
 1680円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_③_4_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
結構混んでいて5~10分くらい外の席に並んでからの入店となりました。

さて、今回は世界的に有名なフランスの高級食料品店のフォションのカフェです。フォションの紅茶は何度か飲んだことがあるのですが、カフェは初めてだったのでちょっと期待度は高めでした。

お店の中はこんな感じ。
P1010508.jpg
普通のデパートのお店風ですが、洒落た色合いで飾っています。ちょっとご婦人方のテンションが高くて気が引けますw

小腹がすいていたので、この日はプランタンセット(1680円)にしました。スープ、サンドウィッチ、紅茶の3点セットです。

まずはそら豆のスープ
P1010502.jpg
いい塩梅で美味しいですが、特筆するほどでもないかな。

続いて鶏肉のカレー風味又は小エビのプロバンス風のハーフサイズサンドウィッチ
P1010504.jpg
ぷりっとしたエビとまったりしたソースで美味しいです。男性の私には少ないくらいですが、女性の間食にはちょうど良さそう。

ここはサロン・ド・テの名前の通り紅茶で有名なので、飲み物は紅茶にしました。
P1010505.jpg

好きな紅茶を選ぶことができるのですが、せっかくなのでお勧めになっていた春の紅茶(ベリー系の香りにバラの花の香りを加え春のイメージを表したフレーバーグリーンティー)にしました。
P1010507.jpg
注ぐとすぐに爽やかなバラの香りが広がりました。軽やかでお茶自体も美味しいです。紅茶は流石といった感じです。


ということで、紅茶は美味しかったですが他はコストパフォーマンスとしてはどうかなという感じでした。とは言え、ここはケーキやアップルティーなども有名なのでそちらを頼んでみないと真価は分からないかな。 いずれまた試してみようとは思います。



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■2011/9/29
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