Archive | 2012年08月
先週の土曜日に渋谷のシアター・イメージフォーラムに行って、映画「メリエスの素晴らしき映画魔術&月世界旅行」を観てきました。 今回は中身についても詳しくご紹介しようと思いますので、この映画を予備知識なしで観たい方はご注意ください。

【作品名】
メリエスの素晴らしき映画魔術&月世界旅行
【公式サイト】
http://www.espace-sarou.co.jp/moon/index.html
シアター・イメージフォーラム
【時間】
メリエスの素晴らしき映画魔術 : 1時間00分程度
月世界旅行 : 0時間15分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
私が行った時、この映画はこの劇場しか上映していない(しかも1日に朝夜の2回のみ)ということもあって、混んでいて満席に近い状態となっていました。
今後は他の地域でも上映されるようですが、関東ではここだけのようです。
参考リンク:「メリエスの素晴らしき映画魔術&月世界旅行」の上映劇場
さて、この映画は2本立てとなっていて、1本目は110年前にジョルジュ・メリエスによって作られた映画「月世界旅行」に関するドキュメンタリーで、もう1本がカラー版の「月世界旅行」となります。以前「月世界旅行」の映画の白黒版を観たことがあるのですが、昨年カラー版が修復されたそうで、気になって脚を運びました。
ドキュメンタリーなのでネタバレと言うのか分かりませんが、簡単にどんな話かご紹介しておこうと思います。ちょっとうろ覚えの所もあるので、間違った所があったらごめんなさい。
参考記事:アンリ・ルソー パリの空の下で ルソーとその仲間たち (ポーラ美術館)
参考リンク:ジョルジュ・メリエスのwikipedia
まず1本目の「メリエスの素晴らしき映画魔術」ですが、こちらはジョルジュ・メリアスの偉業やその後の顛末、月世界旅行の修復についての話がメインとなっています。メリアスは元々奇術師だったのですが、リュミエール兄弟によって映画が発明された際、それを観て将来性を感じ、自らも映画制作へと進んでいきます。奇術師ならではの豊かな発想で世界初のSFXと言える映像作品を作っていたらしく、この映画でもその映像を楽しむことができます。1つずつは短い作品のようですが、現代の我々が観ても面白さを感じるコメディタッチの作風で、その発想力に当時の人達が驚いたのも頷けます。
そしてついに1902年に世界最初のSF映画とも言える「月世界旅行」が発表されると、たちまちのうちに大人気となりました。これは複数のシーンから成るストーリーのある作品で、今では当たり前のようでも当時の映画界ではこれは大変画期的なことだったそうです。撮影現場の再現映像などもありましたが、当時は撮影できるのは明るい昼の時間だけで、しかも編集も無いのでストーリーに沿った順序で撮影が勧められたようです。撮っては現像して確認するというのを繰り返したので、制作日数も当時としては異例の長さとなりました。
このように「月世界旅行」はまさに映画史上に燦然と輝く偉業と言えますが、あまりに人気だったのですぐに海賊版も出たらしく、せっかく成功したのにそれに見合った金銭的成功では無かったそうです。また、メリアスの成功によって模倣者も現れる事態となりました。
それでもその後もしばらくメリアスは人気を博し、数分程度の短い作品も合わせると500作品も作ったらしく、スタジオを購入(新築だったかも)するなどして事業の拡大を図りました。当時は白黒映画の時代ですがカラーも存在した(ライバル社でやっていた)ようで、これは300人もの女性を雇ってフィルムに着色する作業によって作られ、白黒に比べてえらく手間がかかり費用も相当だったそうです。カラーがあるというのも驚きですが、その実現方法の遠大さに仰天しました。
そうした各社の競争の中、時代とともに観客はメリアスの作品に飽きて行ったようで、ニュース映画やよりリアルな映画、音声付きのトーキーなどが出回るようになるとメリアスの映画は受けなくなり、やがてスタジオは閉鎖され彼自身も映画の世界から去っていきました。そして、何を思ったのか過去の自分の作品を燃やしてしまったようで、これが原因で永遠に失われた作品も多いようです。作家としての自殺とも言える行動は、絶望だったのか、彼なりの時代への反抗だったのでしょうか…。
その後、メリアスは駅で売店をやってひっそりと生きていたようですが、彼を見直す動きもあり、彼の作品を集めた上映会も企画されたそうです。しかし時既に遅く、多くの作品が失われたため尺が足りず、他の映画で穴埋めするなどちょっと中途半端な感じだったようです。何とも悲しい話です…。
そうした経緯でメリアスの作品の多くは失われたのですが、今回のカラー版「月世界旅行」は奇跡的にコレクターのコレクションから見つかったそうです。メリアスの信奉者である語り部もその存在を知らなかったようなので、相当に貴重なものであるのが伺えます。 …しかしフィルムは経年の劣化でカチコチに固まっていたらしく、映画の後半はその修復作業についての内容となっています。
修復作業はまずテープの密着を和らげ、1コマづつ剥がしては写真を取るという気が遠くなりそうな作業から始まります。結構ボロボロで、欠けていたり破片に分かれてしまっているものもあるようでした。 そして何とか写真に収め終わると次のステップへ…とは行かず、技術的な問題があり数年間データを保管したまま時を待ったようです。 月日が経ちようやく再開されると、試行錯誤を繰り返し白黒版と同じコマを突き合わせて番号を振っていき、欠けたコマは白黒版を参考に前後の色などから判断して合成して作っていったようでした。また、そもそもの色も劣化で褪せているので、コンピューターによって当時の色を再現するなど、繊細な作業を根気よく行なっている様子がよく分かります。この修復作業によって新たに発見もあったそうで、映画の歴史を発掘しているような感じに見えました。
そして十分に価値と有難味が理解できた所で、修復されたカラー版の「月世界旅行」が始まります。こちらもざっくりとストーリーを紹介すると、沢山の博士たちが集まって月世界への旅行が議論されるシーンから始まり、議論が白熱して喧嘩になるものの、最終的には月旅行が決定されます。そして大砲の弾を宇宙船として作成するシーンが映された後、沢山の人に見送られながら大砲の中に入って月へと発射されます。
月に徐々に近づいて行くと、今回のポスターにもなっている月の顔に突き刺さるという象徴的なシーンになります。これは後に様々なオマージュも生まれているシーンなので是非観ておきたいところです。
次のシーンでは6人の博士一行が無事に月に着き、地球を眺めた後、野宿をします。すると怒った星の神々が夢に現れて雪を降らせます。博士たちはその吹雪を避けて穴の中へ進むと、そこには不思議な世界があり、月にすむ原人(月人)たちと遭遇します。博士たちはすぐに月人と戦い、何人か倒したものの結局捕まり王宮にひきたてられていきます(先の映画ではこのシーンについて、怪しい者をすぐさま攻撃する様子を当時の帝国主義的だと評していました。)
沢山の月人の王宮に連れてこられた博士たちですが、博士の1人が縄を解き、月人の王に襲いかかってこれを倒してしまいます。さらに混乱に乗じて王宮から逃げ出し、大砲の宇宙船へたどり着き、しがみついてきた月人もろとも崖から落として地球の海に戻っていきます。地球の海に落ちる所などは後のアポロ計画を彷彿とさせました。
そして最後は、博士たちを乗せた大砲の弾が船に曳航されて無事帰還し、月人を引き連れてパレードが行われます。勲章のようなものを授与され、女性たちが踊って映画は終わります。
ストーリーはこんな感じで、肝心の色については非常にカラフルかつ手彩色の感じが出ていて、当時の映像もこうだったのだろうと思わせました。色がついていると白黒と大分印象が違って、華やかかつ幻想的で、絵画的な雰囲気がありました。なお、映像には音楽もつけられていたのですが、音楽のほうは現代的過ぎな気がしましたw
ということで、予想以上に楽しめる内容となっていました。映画の中の解説や構成も非常に分かりやすくて、メリアスと「月世界旅行」がどれだけ偉大な存在であるのかも理解できました。これだけ苦労して修復された映像を観られるのは貴重な機会だと思いますので、特に映画好きの方は映画の歴史を知る上でもチェックしてみるのもよろしいかと思います。


【作品名】
メリエスの素晴らしき映画魔術&月世界旅行
【公式サイト】
http://www.espace-sarou.co.jp/moon/index.html
シアター・イメージフォーラム
【時間】
メリエスの素晴らしき映画魔術 : 1時間00分程度
月世界旅行 : 0時間15分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
私が行った時、この映画はこの劇場しか上映していない(しかも1日に朝夜の2回のみ)ということもあって、混んでいて満席に近い状態となっていました。
今後は他の地域でも上映されるようですが、関東ではここだけのようです。
参考リンク:「メリエスの素晴らしき映画魔術&月世界旅行」の上映劇場
さて、この映画は2本立てとなっていて、1本目は110年前にジョルジュ・メリエスによって作られた映画「月世界旅行」に関するドキュメンタリーで、もう1本がカラー版の「月世界旅行」となります。以前「月世界旅行」の映画の白黒版を観たことがあるのですが、昨年カラー版が修復されたそうで、気になって脚を運びました。
ドキュメンタリーなのでネタバレと言うのか分かりませんが、簡単にどんな話かご紹介しておこうと思います。ちょっとうろ覚えの所もあるので、間違った所があったらごめんなさい。
参考記事:アンリ・ルソー パリの空の下で ルソーとその仲間たち (ポーラ美術館)
参考リンク:ジョルジュ・メリエスのwikipedia
まず1本目の「メリエスの素晴らしき映画魔術」ですが、こちらはジョルジュ・メリアスの偉業やその後の顛末、月世界旅行の修復についての話がメインとなっています。メリアスは元々奇術師だったのですが、リュミエール兄弟によって映画が発明された際、それを観て将来性を感じ、自らも映画制作へと進んでいきます。奇術師ならではの豊かな発想で世界初のSFXと言える映像作品を作っていたらしく、この映画でもその映像を楽しむことができます。1つずつは短い作品のようですが、現代の我々が観ても面白さを感じるコメディタッチの作風で、その発想力に当時の人達が驚いたのも頷けます。
そしてついに1902年に世界最初のSF映画とも言える「月世界旅行」が発表されると、たちまちのうちに大人気となりました。これは複数のシーンから成るストーリーのある作品で、今では当たり前のようでも当時の映画界ではこれは大変画期的なことだったそうです。撮影現場の再現映像などもありましたが、当時は撮影できるのは明るい昼の時間だけで、しかも編集も無いのでストーリーに沿った順序で撮影が勧められたようです。撮っては現像して確認するというのを繰り返したので、制作日数も当時としては異例の長さとなりました。
このように「月世界旅行」はまさに映画史上に燦然と輝く偉業と言えますが、あまりに人気だったのですぐに海賊版も出たらしく、せっかく成功したのにそれに見合った金銭的成功では無かったそうです。また、メリアスの成功によって模倣者も現れる事態となりました。
それでもその後もしばらくメリアスは人気を博し、数分程度の短い作品も合わせると500作品も作ったらしく、スタジオを購入(新築だったかも)するなどして事業の拡大を図りました。当時は白黒映画の時代ですがカラーも存在した(ライバル社でやっていた)ようで、これは300人もの女性を雇ってフィルムに着色する作業によって作られ、白黒に比べてえらく手間がかかり費用も相当だったそうです。カラーがあるというのも驚きですが、その実現方法の遠大さに仰天しました。
そうした各社の競争の中、時代とともに観客はメリアスの作品に飽きて行ったようで、ニュース映画やよりリアルな映画、音声付きのトーキーなどが出回るようになるとメリアスの映画は受けなくなり、やがてスタジオは閉鎖され彼自身も映画の世界から去っていきました。そして、何を思ったのか過去の自分の作品を燃やしてしまったようで、これが原因で永遠に失われた作品も多いようです。作家としての自殺とも言える行動は、絶望だったのか、彼なりの時代への反抗だったのでしょうか…。
その後、メリアスは駅で売店をやってひっそりと生きていたようですが、彼を見直す動きもあり、彼の作品を集めた上映会も企画されたそうです。しかし時既に遅く、多くの作品が失われたため尺が足りず、他の映画で穴埋めするなどちょっと中途半端な感じだったようです。何とも悲しい話です…。
そうした経緯でメリアスの作品の多くは失われたのですが、今回のカラー版「月世界旅行」は奇跡的にコレクターのコレクションから見つかったそうです。メリアスの信奉者である語り部もその存在を知らなかったようなので、相当に貴重なものであるのが伺えます。 …しかしフィルムは経年の劣化でカチコチに固まっていたらしく、映画の後半はその修復作業についての内容となっています。
修復作業はまずテープの密着を和らげ、1コマづつ剥がしては写真を取るという気が遠くなりそうな作業から始まります。結構ボロボロで、欠けていたり破片に分かれてしまっているものもあるようでした。 そして何とか写真に収め終わると次のステップへ…とは行かず、技術的な問題があり数年間データを保管したまま時を待ったようです。 月日が経ちようやく再開されると、試行錯誤を繰り返し白黒版と同じコマを突き合わせて番号を振っていき、欠けたコマは白黒版を参考に前後の色などから判断して合成して作っていったようでした。また、そもそもの色も劣化で褪せているので、コンピューターによって当時の色を再現するなど、繊細な作業を根気よく行なっている様子がよく分かります。この修復作業によって新たに発見もあったそうで、映画の歴史を発掘しているような感じに見えました。
そして十分に価値と有難味が理解できた所で、修復されたカラー版の「月世界旅行」が始まります。こちらもざっくりとストーリーを紹介すると、沢山の博士たちが集まって月世界への旅行が議論されるシーンから始まり、議論が白熱して喧嘩になるものの、最終的には月旅行が決定されます。そして大砲の弾を宇宙船として作成するシーンが映された後、沢山の人に見送られながら大砲の中に入って月へと発射されます。
月に徐々に近づいて行くと、今回のポスターにもなっている月の顔に突き刺さるという象徴的なシーンになります。これは後に様々なオマージュも生まれているシーンなので是非観ておきたいところです。
次のシーンでは6人の博士一行が無事に月に着き、地球を眺めた後、野宿をします。すると怒った星の神々が夢に現れて雪を降らせます。博士たちはその吹雪を避けて穴の中へ進むと、そこには不思議な世界があり、月にすむ原人(月人)たちと遭遇します。博士たちはすぐに月人と戦い、何人か倒したものの結局捕まり王宮にひきたてられていきます(先の映画ではこのシーンについて、怪しい者をすぐさま攻撃する様子を当時の帝国主義的だと評していました。)
沢山の月人の王宮に連れてこられた博士たちですが、博士の1人が縄を解き、月人の王に襲いかかってこれを倒してしまいます。さらに混乱に乗じて王宮から逃げ出し、大砲の宇宙船へたどり着き、しがみついてきた月人もろとも崖から落として地球の海に戻っていきます。地球の海に落ちる所などは後のアポロ計画を彷彿とさせました。
そして最後は、博士たちを乗せた大砲の弾が船に曳航されて無事帰還し、月人を引き連れてパレードが行われます。勲章のようなものを授与され、女性たちが踊って映画は終わります。
ストーリーはこんな感じで、肝心の色については非常にカラフルかつ手彩色の感じが出ていて、当時の映像もこうだったのだろうと思わせました。色がついていると白黒と大分印象が違って、華やかかつ幻想的で、絵画的な雰囲気がありました。なお、映像には音楽もつけられていたのですが、音楽のほうは現代的過ぎな気がしましたw
ということで、予想以上に楽しめる内容となっていました。映画の中の解説や構成も非常に分かりやすくて、メリアスと「月世界旅行」がどれだけ偉大な存在であるのかも理解できました。これだけ苦労して修復された映像を観られるのは貴重な機会だと思いますので、特に映画好きの方は映画の歴史を知る上でもチェックしてみるのもよろしいかと思います。
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前々回、前回と平塚市美術館の展示をご紹介しましたが、その前に平塚の商店街にある「天竜担々麺店」というお店でお昼を摂っていました。

【店名】
天竜担々麺店
【ジャンル】
担々麺
【公式サイト】
http://dragon-tantanmen.com/
食べログ:http://tabelog.com/kanagawa/A1404/A140407/14039022/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
平塚駅
【近くの美術館】
平塚市美術館
平塚市博物館
【この日にかかった1人の費用】
680円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日13時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
ちょっと遅目のお昼だったせいか空いていました。
さて、このお店は平塚駅から美術館まで歩いている途中で見つけたのですが、スマフォで調べたら評判が良かったので入ってみました。外で食券を買うスタイルのお店で、表に入店待ちのための椅子が置いてあるなど、人気のありそうな感じでした。
中はこんな感じ。すっきりした今時のラーメン屋といった感じです。

この日、私は一番ポピュラーそうな元祖天竜担々麺(680円)を頼みました。小(120g)、中(160g)、大(220g)が同じ値段で選べるようだったので、大にしましたw

待っている間にレビューを読んだところスープが濃厚との評判でしたが、私は普段めちゃくちゃ濃厚な胡麻担々麺を食べているせいかアッサリしているように感じました。(私の基準がおかしい可能性大ですw) 辛味もそれほど無く食べやすい味です。また、麺は腰があって中々心地いい歯ごたえでした。
お店に食べ方指南というのがあったので、それに従って小ライスを追加してスープに入れて食べてみました。ちょっと見た目があれなので写真はありませんが、雑炊のような感じでこれも楽しめました。

ということで、安くてお腹いっぱいになるお店でした。普段食べてるような自分の好みとは方向性が違っていましたが、ツボにハマる人がいるのも分かるような気がします。結構人気のお店のようなので、平塚に行く機会があったら試してみるのも良いかもしれません。

【店名】
天竜担々麺店
【ジャンル】
担々麺
【公式サイト】
http://dragon-tantanmen.com/
食べログ:http://tabelog.com/kanagawa/A1404/A140407/14039022/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
平塚駅
【近くの美術館】
平塚市美術館
平塚市博物館
【この日にかかった1人の費用】
680円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日13時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
ちょっと遅目のお昼だったせいか空いていました。
さて、このお店は平塚駅から美術館まで歩いている途中で見つけたのですが、スマフォで調べたら評判が良かったので入ってみました。外で食券を買うスタイルのお店で、表に入店待ちのための椅子が置いてあるなど、人気のありそうな感じでした。
中はこんな感じ。すっきりした今時のラーメン屋といった感じです。

この日、私は一番ポピュラーそうな元祖天竜担々麺(680円)を頼みました。小(120g)、中(160g)、大(220g)が同じ値段で選べるようだったので、大にしましたw

待っている間にレビューを読んだところスープが濃厚との評判でしたが、私は普段めちゃくちゃ濃厚な胡麻担々麺を食べているせいかアッサリしているように感じました。(私の基準がおかしい可能性大ですw) 辛味もそれほど無く食べやすい味です。また、麺は腰があって中々心地いい歯ごたえでした。
お店に食べ方指南というのがあったので、それに従って小ライスを追加してスープに入れて食べてみました。ちょっと見た目があれなので写真はありませんが、雑炊のような感じでこれも楽しめました。

ということで、安くてお腹いっぱいになるお店でした。普段食べてるような自分の好みとは方向性が違っていましたが、ツボにハマる人がいるのも分かるような気がします。結構人気のお店のようなので、平塚に行く機会があったら試してみるのも良いかもしれません。
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前回ご紹介した平塚市美術館の特別展を観た後、常設展も観てきました。常設にも「美術のなかのこどもたち」というタイトルがあり、期間が設けられているようでした。

【展覧名】
夏の所蔵品展 美術の中のこどもたち
特別展示 初公開!!川村清雄《滝》
【公式サイト】
http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/2012204.htm
【会場】平塚市美術館
【最寄】平塚駅
【会期】2012年7月28日(土)~9月17日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
こちらは特別展より空いていて、快適に鑑賞することができました。
さて、この展示はタイトルの通り子供をテーマにした作品が並ぶ内容です。また、修復され初公開となる川村清雄の「滝」という作品も合わせて展示されていましたので、詳しくは気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
参考記事:
アーティストin湘南Ⅱ 高良眞木・内田あぐり・石井礼子 (平塚市美術館)
アーティストin湘南Ⅰ ~工藤甲人・伊藤彬・中野嘉之・山本直彰・斉藤典彦~ (平塚市美術館)
海老原喜之助 「癖馬」 ★こちらで観られます
青を背景に足を伸ばして跳ぶように走る馬と、その上で縄跳びをしている子供が描かれた作品です。馬は振り返るように体を捻り勢いを感じますが、子供は空中で止まっているかのように観えました。背景が目がさめるような青一色なので遠近感もよくわからず、シュールな感じを受けました(もしかしたら子供は馬の上じゃなくて単に奥にいるだけなのかな??)
川村清雄 「滝」 ★こちらで観られます
これが今回初公開となる作品で、これだけ子供とは関係ない作品です。
流れ落ちる白い滝がやや抽象的に思えるくらいぼんやりと描かれ、飛沫は大胆に厚塗されています。解説によるとこれは2年かけて修復されたそうで、この隣には修復前の茶色く変色していた頃の写真も展示されてました。よくここまで綺麗に修復したものだと驚くとともに、滝の下の方の烟る様子に風情を感じました。
椿貞雄 「菊子座像」
この画家は岸田劉生の門人で、岸田劉生の肖像画にも描かれている人物です。この絵は非常に写実的に、着物を着た少女が正座している様子が描かれていて、目の輝きや顔の艶などに岸田劉生の写実時代からの影響を感じます。ぱっと観た時にモデルも劉生の娘の麗子かと思いました…w
椿貞雄は他にも何点か展示されていました。いずれも独特の力強さと重厚さを感じます。
安田靫彦 「宮本二天像」
2幅対の掛け軸で、右幅は二刀流で剣を持つ宮本武蔵?の姿、左幅は両手で1本の刀を持ち突進する子供が描かれています。右幅の左端に子供の剣の切っ先が繋がっているのが面白く、場面が繋がっている感じがします。武蔵?は口をへの字にしてつまらなそうな表情をしているように観えました。真剣のようだけど稽古なのかな??
この近くには以前ご紹介した石井礼子の家の中をモノクロで平坦に描いた作品もありました。
鴫剛 「SHONAN2」
海水浴の光景を超リアルに描いた作品です。水から顔を出した時を思わせる視点で、浮き輪やゴムボートで遊ぶ子供たちを描いています。波のうねりや反射、肌や水着の質感などは写真にしか見えませんが、近づいてみると絵だと分かります。解説によると、作者は学生時代に写真のような絵は絵ではないと言われたことから、写真のように描けば絵ではないものが描けると独自の解釈で捉え、こうした写真のような絵を描いたそうです。大画面で艶やかな色合いが夏の海の楽しさや強い光を感じさせました。
この近くには高良眞木 氏の素描や、保田龍門 氏の素描と彫像もありました。
山下大五郎 「祭の森」
6面からなる襖絵で、北野天神の幟が上がる神社の周りに沢山の人々が集まっている様子が描かれています。そのほとんどは子供ですが、屋台や山車のようなものもあり、お祭りで盛り上がっているようです。画風は素朴で、ノスタルジックな雰囲気があるように思いました。祭りの楽しげな感じが伝わってきます。
この近くには濱谷浩 氏の戦中戦後の写真が並んでいました。また、以前ご紹介した工藤甲人 氏の「愉しき仲間(一)」と「愉しき仲間(二)」もありシュールで神秘的な雰囲気でした。
伊藤彬 「我が子への絵物語り(月が降りてきた)」
赤い服の女の子を抱く黒いドレスの母親と、寄り添う青い服の女の子が描かれた作品で、その左には真っ赤な円が描かれ、中にはぼんやりと腕を組んでいる女性の姿があります。 周りの木々も血のように赤く染まり、観ていると言い知れぬ不安を感じました。また、奇妙ながらも夢の中のようで、何処か懐かしさも感じられるかな。 何とも不思議で神秘的な作品でした。
最後には菅野陽 氏の白黒の版画が並んでいました。記号化されたような子供達が描かれていて、ちょっと怖いものも感じますがインパクトのある作風でした。
ということで、こちらも個性的な作品が並んでいました。特別展と同じチケットで入れますので、もし平塚市美術館に行く機会があったら、常設も観てみると良いかと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
夏の所蔵品展 美術の中のこどもたち
特別展示 初公開!!川村清雄《滝》
【公式サイト】
http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/2012204.htm
【会場】平塚市美術館
【最寄】平塚駅
【会期】2012年7月28日(土)~9月17日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
こちらは特別展より空いていて、快適に鑑賞することができました。
さて、この展示はタイトルの通り子供をテーマにした作品が並ぶ内容です。また、修復され初公開となる川村清雄の「滝」という作品も合わせて展示されていましたので、詳しくは気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
参考記事:
アーティストin湘南Ⅱ 高良眞木・内田あぐり・石井礼子 (平塚市美術館)
アーティストin湘南Ⅰ ~工藤甲人・伊藤彬・中野嘉之・山本直彰・斉藤典彦~ (平塚市美術館)
海老原喜之助 「癖馬」 ★こちらで観られます
青を背景に足を伸ばして跳ぶように走る馬と、その上で縄跳びをしている子供が描かれた作品です。馬は振り返るように体を捻り勢いを感じますが、子供は空中で止まっているかのように観えました。背景が目がさめるような青一色なので遠近感もよくわからず、シュールな感じを受けました(もしかしたら子供は馬の上じゃなくて単に奥にいるだけなのかな??)
川村清雄 「滝」 ★こちらで観られます
これが今回初公開となる作品で、これだけ子供とは関係ない作品です。
流れ落ちる白い滝がやや抽象的に思えるくらいぼんやりと描かれ、飛沫は大胆に厚塗されています。解説によるとこれは2年かけて修復されたそうで、この隣には修復前の茶色く変色していた頃の写真も展示されてました。よくここまで綺麗に修復したものだと驚くとともに、滝の下の方の烟る様子に風情を感じました。
椿貞雄 「菊子座像」
この画家は岸田劉生の門人で、岸田劉生の肖像画にも描かれている人物です。この絵は非常に写実的に、着物を着た少女が正座している様子が描かれていて、目の輝きや顔の艶などに岸田劉生の写実時代からの影響を感じます。ぱっと観た時にモデルも劉生の娘の麗子かと思いました…w
椿貞雄は他にも何点か展示されていました。いずれも独特の力強さと重厚さを感じます。
安田靫彦 「宮本二天像」
2幅対の掛け軸で、右幅は二刀流で剣を持つ宮本武蔵?の姿、左幅は両手で1本の刀を持ち突進する子供が描かれています。右幅の左端に子供の剣の切っ先が繋がっているのが面白く、場面が繋がっている感じがします。武蔵?は口をへの字にしてつまらなそうな表情をしているように観えました。真剣のようだけど稽古なのかな??
この近くには以前ご紹介した石井礼子の家の中をモノクロで平坦に描いた作品もありました。
鴫剛 「SHONAN2」
海水浴の光景を超リアルに描いた作品です。水から顔を出した時を思わせる視点で、浮き輪やゴムボートで遊ぶ子供たちを描いています。波のうねりや反射、肌や水着の質感などは写真にしか見えませんが、近づいてみると絵だと分かります。解説によると、作者は学生時代に写真のような絵は絵ではないと言われたことから、写真のように描けば絵ではないものが描けると独自の解釈で捉え、こうした写真のような絵を描いたそうです。大画面で艶やかな色合いが夏の海の楽しさや強い光を感じさせました。
この近くには高良眞木 氏の素描や、保田龍門 氏の素描と彫像もありました。
山下大五郎 「祭の森」
6面からなる襖絵で、北野天神の幟が上がる神社の周りに沢山の人々が集まっている様子が描かれています。そのほとんどは子供ですが、屋台や山車のようなものもあり、お祭りで盛り上がっているようです。画風は素朴で、ノスタルジックな雰囲気があるように思いました。祭りの楽しげな感じが伝わってきます。
この近くには濱谷浩 氏の戦中戦後の写真が並んでいました。また、以前ご紹介した工藤甲人 氏の「愉しき仲間(一)」と「愉しき仲間(二)」もありシュールで神秘的な雰囲気でした。
伊藤彬 「我が子への絵物語り(月が降りてきた)」
赤い服の女の子を抱く黒いドレスの母親と、寄り添う青い服の女の子が描かれた作品で、その左には真っ赤な円が描かれ、中にはぼんやりと腕を組んでいる女性の姿があります。 周りの木々も血のように赤く染まり、観ていると言い知れぬ不安を感じました。また、奇妙ながらも夢の中のようで、何処か懐かしさも感じられるかな。 何とも不思議で神秘的な作品でした。
最後には菅野陽 氏の白黒の版画が並んでいました。記号化されたような子供達が描かれていて、ちょっと怖いものも感じますがインパクトのある作風でした。
ということで、こちらも個性的な作品が並んでいました。特別展と同じチケットで入れますので、もし平塚市美術館に行く機会があったら、常設も観てみると良いかと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事
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この前の土曜日に、平塚の平塚市美術館に行って、「市制80周年記念 上村松園と鏑木清方展」を観てきました。この展示は前期・後期があるようで、私が行ったのは後期の内容でした。

【展覧名】
市制80周年記念 上村松園と鏑木清方展
【公式サイト】
http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/2012203.htm
【会場】平塚市美術館
【最寄】平塚駅
【会期】2012年7月21日(土)~9月2日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
お客さんは結構いましたが、自分のペースで快適に観ることができました。
さて、今回の展示は近代の美人画で今なお人気の上村松園と鏑木清方という2人の画家を取り上げた展示となっています。2人はほぼ同時期に活躍していて、上村松園は京都で、鏑木清方は東京・鎌倉を拠点としていました。松園は四条派、清方は歌川派の流れを汲んでいるので系統も違うのですが、どこか共通したものを感じる清らかな美人画がずらりと並んでいました。詳しい感想はいつも通り気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
参考記事:
和のよそおい -松園・清方・深水- (山種美術館)
清方/Kiyokata ノスタルジア (サントリー美術館)
清方/Kiyokata ノスタルジア 2回目(サントリー美術館)
上村松園展 (東京国立近代美術館)
上村松園 素描、下絵と本画 (川村記念美術館)
没後60年記念上村松園/美人画の粋(すい) (山種美術館)
<上村松園>
ますは上村松園のコーナーです。上村松園は1875年に京都の中心にある四条通りの葉茶屋の娘として生まれたのですが、生まれて2ヶ月で父が死に、母の手1つで育てられたそうです。幼い頃から絵を描くことが好きで、京都府画学学校を経て鈴木松年、幸野楳嶺、竹内栖鳳らに学びました。3人とも美人画は専門ではなかったのですが、松園は独学で博物館や売立会場、祇園祭などで模写し、自らの画風を模索していったそうです。また、松園は古典研究に加えて写生を重視したらしく、自らポーズを取って描くなど当初は現代風俗を描いていたそうです。その後、江戸時代の風俗を学び、髷(まげ)などは時代考証に沿って確かに描かれていると定評があるようです。また、漢詩や漢学の素養もあり、画業の前半は謡曲に取材していたらしく、構図には日本古典への眼差しがあるとのことです。
ここには10代の頃の作品から始まり様々な美人画が並んでいました。 2年前の東京国立近代美術館の上村松園展で観た作品が多かったかな。
上村松園 「四季美人」
これは17歳の頃の作品で、4人の女性が描かれています(松園自身?) 上から順に、掛け軸を観ている冬の装いの美人、しゃがんで書を持ち 筆を硯に付けようとする美人(秋?)、団扇を持って座る夏の美人、琴の傍らに座る華やかな着物の美人(春?)が並んでいます。夏が囲碁をしていないけど、琴棋書画の見立てでもあるのかな? 既に松園らしい清廉な印象を受ける作品で、とても17歳とは思えない完成度です。解説によるとこれはシカゴ万博で2等賞を貰ったそうで、若くして才能を発揮していたのがよく分かる作品でした。
なお、この画題は繰り返し描かれたらしく、確かに他にも四季美人の作品を観た覚えがあります。
上村松園 「長夜」
行灯の側で本を読んでいる着物の女性と、行灯に手をかざしている女性が描かれた作品です。2人ともくつろいだ雰囲気があり、障子紙に越しに見える女性の手の表現などが巧みで風情を感じます。解説によると、この絵を観た鏑木清方は、絵の中心が左に寄っていて人物が下の方に描かれている構図を高く評価したとのことでした。
この近くには以前ご紹介した「人形つかい」もありました。襖の中を見ることが出来ずにタイトルから想像力を掻き立てられる作品です。(川村記念美術館の展示の際、部屋の中を描いた下絵も観た覚えがあります)
上村松園 「楊貴妃(下絵)」
この絵はてっきり完成作があるのかと思ったら、完成作は前期のみの展示でした。 ちょっとショックでしたが、代わりに下絵がありました。下絵なので色はあまりなく、椅子に腰掛けた楊貴妃とその髪を整える少女が描かれています。楊貴妃は薄い衣を着ていますが、胸を顕にしていて、どこかくつろいだ感じです。表情には気品があり、観れば観るほど完成作が観たくなりましたw
解説によると、松園にとって大正期はスランプと言われたそうで、この頃の美術界は退廃的・官能的・世紀末的な運命の女が良しとされ、松園は自分の作風を見つめなおしたそうです。しかし、松園は自分の方向性を気品を備えた美人画と見定め、中国や日本の古典を学んだそうです。
上村松園 「花がたみ」
こちらは今まで何度かご紹介しましたが、何度観ても驚きのある作品です。花かごを持って彷徨う着物の女性(照日の前)が描かれ、髪を振り乱し 服は乱れ、狂気を感じる微笑みを浮かべています。これは謡曲の「花筐(はながたみ)」に取材した作品で、継体天皇を想うあまりに心を病み、天皇から賜った花かごを持っている姿で、女の情念や業のようなものを感じます。(結局最後は再び寵愛を受けたそうです) 松園はこの絵を描くために心を病んだ人の表情を知ろうと精神病院に通い、心を病んだ人の顔は能面に似ていると考え、この絵に反映させているようです。心情表現もそのエピソードも凄い作品です。
上村松園 「花見」 ★こちらで観られます
今回のポスターにも成っている作品で、桜を見る5人の女性が描かれています。女性たちは画面の下の方の4つの傘と共に川の流れのように連続して並んでいて、リズミカルで優美な印象を受けます。色も鮮やかで華やかな雰囲気の作品です。
松園の作品は後半にもありますが、一旦ここまでです。
<鏑木清方>
続いてはもう1人の主役の鏑木清方のコーナーです。清方は1878年に東京の神田で、戯作者であり「やまと新聞」を創刊した條野採菊(伝平)の三男として生まれました。はじめは文筆家を目指していたそうですが、父や周りの勧めで歌川派の水野年方に入門し挿絵画家となりました。(ちなみに水野年方は月岡芳年の弟子です。さらに月岡芳年は歌川国芳の弟子。)
青年風俗画家の集まりである烏合会を結成して展覧会に出品していたようで、明治42年からは文展で入選を重ね、大正前期には花形作家となっていきました。日本画の制作では市井の風俗に興味を示し、洋画の影響による新たな表現にも目を配りながら、当時知り合った泉鏡花(幻想的な作風の小説家)の作品や芝居、伝説などに取材し、美術と文学が結びついた制作を追求したそうです。 その為、松園の理想美とは異なり 物語に登場するような「朝露の消えもしさうな脆さ」があるそうで、女性のしなやかさを表現したようです。
その後、大正中期以降になり大作中心の「会場芸術」が盛んになると悩みも生じたそうですが、自らの興味に取材した作品や娘を描いた作品によって自分を取り戻し、新たな境地を開いていきました。やがて関東大震災が起こると、失われた明治中期の下町の風情を追想するような作品を制作し、それはライフワークとなっていったそうです。ここにもそうした特徴が伺える作品が並んでいました。
鏑木清方 「寒月」
これは19歳の頃に描いた掛け軸で、色が淡く写実的な作風です。橋の袂で三味線を持った芸人らしき人と 手を繋ぐ着物の女の子が描かれていて、女の子の目線の先には空高く月が浮かんでいます。周りは暗めで月明かりで影ができる感じで、芸人は目をつぶっている様子などからも静けさを感じました。
鏑木清方 「孤児院」
机に手を置いて座っている青い袴の女性が、孤児の子供たちに白い包みに入ったお菓子を渡している様子を描いた作品です。子供達は指をくわえて近づいてきたり、上目遣いで様子を伺ったり、疑るような目をしています。後ろでその様子を見守る老女の姿もあり、それぞれの人物の思惑が伝わるような豊かな心情表現です。解説によると、これは日本絵画協会第13回絵画共進会で当時最高の銅牌を受賞したそうです。
この隣には妖怪か幽霊の列を思わせる「深沙大王」もありました。これは泉鏡花の作品を主題にしたもののようです。
鏑木清方 「遊女」
2曲1隻の屏風で、火鉢にもたれかかっている遊女が描かれています。少し口を開いて顔はやや上向きで、どこか気だるく妖艶な雰囲気に思えます。ポーズや白い花(梅?)の模様の着物が足元に向けて広がっている構図も面白く感じられました。解説によるとこれは泉鏡花の「通夜物語」の遊女だそうです。
鏑木清方 「ためさるる日(右幅)」 ★こちらで観られます
豪華な髪飾りをつけた2人の遊女を描いた作品で、1人は目を伏せて もう1人も悲しげな表情をしています。この作品は元々2幅対で、左幅には踏み絵を踏んでいる遊女の姿があるらしく、写真の縮小コピーも展示されています。…ということは、どうやらこの2人は踏み絵の順番待ちのようです。哀しい雰囲気ながらも美しさを感じる作品でした。
鏑木清方 「朝涼」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている作品で、緑の野を背景にお下げ髪の少女(娘)の横向きの姿が描かれています。その傍らには白い蓮の花、空には薄っすらと白い月が浮かんでいて、淡い色合いから爽やかで清廉な朝の空気感が伝わってきます。髪を触っている娘も愛らしく、どこか神秘的な雰囲気があるようにも思えました。解説によると、清方はこの作品によってスランプを抜けることができたようです。
この隣にはこの作品のためのスケッチもありました。また、明治の庶民の暮らしを思わせる「鰯」や2曲1双の「桜もみぢ」なども気に入りました。
鏑木清方 「襟おしろい」
黒い着物を着た清方の妻の肖像で、胸元をつまんで左のほうを見るような感じで描かれています。その構図の為か、何となく西洋の肖像画を観ているような感じを受けるかな。ぼかしの技法が使われていて、清らかさの一方で色香もあるように思いました。特に唇の赤に色気を感じます。
鏑木清方 「明治風俗12ヶ月」
永井周山 「明治風俗12ヶ月押絵羽子板」
12枚セットの掛け軸で、1枚につき1ヶ月ずつ その月にちなんだ題材が描かれています。以前観た時は半年ずつに分けられていましたが、今回は一気に観られて嬉しい限り。羽子板をしたり、花見をしたり、金魚を取ったり、氷を食べたり… 古き良き時代の楽しさが感じられます。やはり私の一押しは8月の氷屋の作品です。
また、この作品の下にはこの掛軸をそのまま立体的な羽子板にした作品もありました。色も形もかなりの再現率で、掛け軸に華を添えているようでした。
この作品の隣には以前のサントリー美術館の清方展でポスターにもなっていた「春雪」が並んでいました。
<上村松園>
続いては再び松園のコーナーです。こちらは円熟期の作品、市井の女性を描いた作品が並んでいました。
上村松園 「青眉」
緑の傘をさす茶色の着物の女性が描かれた作品で、これは松園の母で、母が亡くなった年に描かれました。 京都には江戸時代の風習の名残があったようで、結婚して子供がいる女性は眉を剃っていたそうです。このタイトルはそれにちなんだもので、母の眉にも薄っすらと青い剃り跡が残っています。結構若い姿に観え 気品がある姿からは母への追慕が感じられました。解説によると、松園は母の死を境にそれまで上流階級しか描いていなかったのが、市井の女性も描くようになったとのことです。
それにしても、1人で松園を育て画家への道も支援してくれた母の死は、相当な悲しみだったのではないでしょうか…。
上村松園 「鴛鴦髷」
手鏡を持って鏡合わせで自分の髪を見る着物の女性が描かれた作品です。満足しているのか、嬉しそうな表情に見えます。解説によるとこの髪型は町家の若い娘の髪型だそうで、確かに鴛鴦のような形をしています。その生え際の表現や、髪の毛の流れが分かるほど緻密な描写は女性の美しさを引き立てているように思いました。
この辺には赤い着物に青い帯の「鼓の音」も展示されていました。
<鏑木清方>
最後は清方の卓上芸術についてのコーナーです。清方は、奇抜な色使いや大画面で訴える「会場芸術」の風潮に対して、一人手に取り 卓上に広げて楽しむことができる作品(卓上芸術)を提唱したそうです。心静かに細やかな筆さばきや情感を味わうことに主観が置かれ、画巻や画帖にそうした作品を残したようです。ここにもその一部が並んでいました。
鏑木清方 「目黒の栢莚(はくえん)」
栢莚は2代目市川團十郎のことだそうで、この作品は栢莚の老後生活の手記を題材にしたものです。目黒に住んでいたようで、寺社の様子や、竹林の中で茶会をする様子が描かれています。ゆりやアジサイなどの植物は細やかかつ写実的で、色鮮やかに描かれていました。どこかのんびりした雰囲気も感じるかな。
この近くには「お夏清十郎物語」という浄瑠璃を題材にした6枚の作品もありました。
鏑木清方 「朝夕安居」
昭和に描かれた4mくらいある絵巻で、明治の頃の下町の夏の様子が朝・昼・夜に分けられて描かれています。朝は井戸の周りで水を汲む人たちや、掃除をする少女、戸口の行商人などが描かれ、昼の場面には風鈴屋の屋台が描かれています。また、昼には水浴びする女性やランプを掃除する女性など、季節・時代を感じさせるシーンが続きます。 そして夜は「むぎゆ」「さくらゆ」と描かれた行灯?の周りで腰掛けて夕涼みする人々が描かれ、飲み物を飲んだり談笑したりしていました。観てるだけで幸せな気分になってくるような、どこか懐かしさを感じる作品です。情感豊かに描かれ、いかに清方が明治の下町を愛していたのかが伝わるようでした。
ということで、遠出した甲斐がある内容でした。観たことがある作品が結構あったので充実度と満足度を④にしていますが、好みの作品ばかりで代表作も多くだいぶ満足できました。こうして2人を比べて観ていると、松園は凛とした理想の女性美、清方は人々や風俗への慈しみや懐古を表現しているように思えました。もうすぐ終わってしまいますが、かなりお勧めの展示です。
参照記事:★この記事を参照している記事


【展覧名】
市制80周年記念 上村松園と鏑木清方展
【公式サイト】
http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/2012203.htm
【会場】平塚市美術館
【最寄】平塚駅
【会期】2012年7月21日(土)~9月2日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
お客さんは結構いましたが、自分のペースで快適に観ることができました。
さて、今回の展示は近代の美人画で今なお人気の上村松園と鏑木清方という2人の画家を取り上げた展示となっています。2人はほぼ同時期に活躍していて、上村松園は京都で、鏑木清方は東京・鎌倉を拠点としていました。松園は四条派、清方は歌川派の流れを汲んでいるので系統も違うのですが、どこか共通したものを感じる清らかな美人画がずらりと並んでいました。詳しい感想はいつも通り気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
参考記事:
和のよそおい -松園・清方・深水- (山種美術館)
清方/Kiyokata ノスタルジア (サントリー美術館)
清方/Kiyokata ノスタルジア 2回目(サントリー美術館)
上村松園展 (東京国立近代美術館)
上村松園 素描、下絵と本画 (川村記念美術館)
没後60年記念上村松園/美人画の粋(すい) (山種美術館)
<上村松園>
ますは上村松園のコーナーです。上村松園は1875年に京都の中心にある四条通りの葉茶屋の娘として生まれたのですが、生まれて2ヶ月で父が死に、母の手1つで育てられたそうです。幼い頃から絵を描くことが好きで、京都府画学学校を経て鈴木松年、幸野楳嶺、竹内栖鳳らに学びました。3人とも美人画は専門ではなかったのですが、松園は独学で博物館や売立会場、祇園祭などで模写し、自らの画風を模索していったそうです。また、松園は古典研究に加えて写生を重視したらしく、自らポーズを取って描くなど当初は現代風俗を描いていたそうです。その後、江戸時代の風俗を学び、髷(まげ)などは時代考証に沿って確かに描かれていると定評があるようです。また、漢詩や漢学の素養もあり、画業の前半は謡曲に取材していたらしく、構図には日本古典への眼差しがあるとのことです。
ここには10代の頃の作品から始まり様々な美人画が並んでいました。 2年前の東京国立近代美術館の上村松園展で観た作品が多かったかな。
上村松園 「四季美人」
これは17歳の頃の作品で、4人の女性が描かれています(松園自身?) 上から順に、掛け軸を観ている冬の装いの美人、しゃがんで書を持ち 筆を硯に付けようとする美人(秋?)、団扇を持って座る夏の美人、琴の傍らに座る華やかな着物の美人(春?)が並んでいます。夏が囲碁をしていないけど、琴棋書画の見立てでもあるのかな? 既に松園らしい清廉な印象を受ける作品で、とても17歳とは思えない完成度です。解説によるとこれはシカゴ万博で2等賞を貰ったそうで、若くして才能を発揮していたのがよく分かる作品でした。
なお、この画題は繰り返し描かれたらしく、確かに他にも四季美人の作品を観た覚えがあります。
上村松園 「長夜」
行灯の側で本を読んでいる着物の女性と、行灯に手をかざしている女性が描かれた作品です。2人ともくつろいだ雰囲気があり、障子紙に越しに見える女性の手の表現などが巧みで風情を感じます。解説によると、この絵を観た鏑木清方は、絵の中心が左に寄っていて人物が下の方に描かれている構図を高く評価したとのことでした。
この近くには以前ご紹介した「人形つかい」もありました。襖の中を見ることが出来ずにタイトルから想像力を掻き立てられる作品です。(川村記念美術館の展示の際、部屋の中を描いた下絵も観た覚えがあります)
上村松園 「楊貴妃(下絵)」
この絵はてっきり完成作があるのかと思ったら、完成作は前期のみの展示でした。 ちょっとショックでしたが、代わりに下絵がありました。下絵なので色はあまりなく、椅子に腰掛けた楊貴妃とその髪を整える少女が描かれています。楊貴妃は薄い衣を着ていますが、胸を顕にしていて、どこかくつろいだ感じです。表情には気品があり、観れば観るほど完成作が観たくなりましたw
解説によると、松園にとって大正期はスランプと言われたそうで、この頃の美術界は退廃的・官能的・世紀末的な運命の女が良しとされ、松園は自分の作風を見つめなおしたそうです。しかし、松園は自分の方向性を気品を備えた美人画と見定め、中国や日本の古典を学んだそうです。
上村松園 「花がたみ」
こちらは今まで何度かご紹介しましたが、何度観ても驚きのある作品です。花かごを持って彷徨う着物の女性(照日の前)が描かれ、髪を振り乱し 服は乱れ、狂気を感じる微笑みを浮かべています。これは謡曲の「花筐(はながたみ)」に取材した作品で、継体天皇を想うあまりに心を病み、天皇から賜った花かごを持っている姿で、女の情念や業のようなものを感じます。(結局最後は再び寵愛を受けたそうです) 松園はこの絵を描くために心を病んだ人の表情を知ろうと精神病院に通い、心を病んだ人の顔は能面に似ていると考え、この絵に反映させているようです。心情表現もそのエピソードも凄い作品です。
上村松園 「花見」 ★こちらで観られます
今回のポスターにも成っている作品で、桜を見る5人の女性が描かれています。女性たちは画面の下の方の4つの傘と共に川の流れのように連続して並んでいて、リズミカルで優美な印象を受けます。色も鮮やかで華やかな雰囲気の作品です。
松園の作品は後半にもありますが、一旦ここまでです。
<鏑木清方>
続いてはもう1人の主役の鏑木清方のコーナーです。清方は1878年に東京の神田で、戯作者であり「やまと新聞」を創刊した條野採菊(伝平)の三男として生まれました。はじめは文筆家を目指していたそうですが、父や周りの勧めで歌川派の水野年方に入門し挿絵画家となりました。(ちなみに水野年方は月岡芳年の弟子です。さらに月岡芳年は歌川国芳の弟子。)
青年風俗画家の集まりである烏合会を結成して展覧会に出品していたようで、明治42年からは文展で入選を重ね、大正前期には花形作家となっていきました。日本画の制作では市井の風俗に興味を示し、洋画の影響による新たな表現にも目を配りながら、当時知り合った泉鏡花(幻想的な作風の小説家)の作品や芝居、伝説などに取材し、美術と文学が結びついた制作を追求したそうです。 その為、松園の理想美とは異なり 物語に登場するような「朝露の消えもしさうな脆さ」があるそうで、女性のしなやかさを表現したようです。
その後、大正中期以降になり大作中心の「会場芸術」が盛んになると悩みも生じたそうですが、自らの興味に取材した作品や娘を描いた作品によって自分を取り戻し、新たな境地を開いていきました。やがて関東大震災が起こると、失われた明治中期の下町の風情を追想するような作品を制作し、それはライフワークとなっていったそうです。ここにもそうした特徴が伺える作品が並んでいました。
鏑木清方 「寒月」
これは19歳の頃に描いた掛け軸で、色が淡く写実的な作風です。橋の袂で三味線を持った芸人らしき人と 手を繋ぐ着物の女の子が描かれていて、女の子の目線の先には空高く月が浮かんでいます。周りは暗めで月明かりで影ができる感じで、芸人は目をつぶっている様子などからも静けさを感じました。
鏑木清方 「孤児院」
机に手を置いて座っている青い袴の女性が、孤児の子供たちに白い包みに入ったお菓子を渡している様子を描いた作品です。子供達は指をくわえて近づいてきたり、上目遣いで様子を伺ったり、疑るような目をしています。後ろでその様子を見守る老女の姿もあり、それぞれの人物の思惑が伝わるような豊かな心情表現です。解説によると、これは日本絵画協会第13回絵画共進会で当時最高の銅牌を受賞したそうです。
この隣には妖怪か幽霊の列を思わせる「深沙大王」もありました。これは泉鏡花の作品を主題にしたもののようです。
鏑木清方 「遊女」
2曲1隻の屏風で、火鉢にもたれかかっている遊女が描かれています。少し口を開いて顔はやや上向きで、どこか気だるく妖艶な雰囲気に思えます。ポーズや白い花(梅?)の模様の着物が足元に向けて広がっている構図も面白く感じられました。解説によるとこれは泉鏡花の「通夜物語」の遊女だそうです。
鏑木清方 「ためさるる日(右幅)」 ★こちらで観られます
豪華な髪飾りをつけた2人の遊女を描いた作品で、1人は目を伏せて もう1人も悲しげな表情をしています。この作品は元々2幅対で、左幅には踏み絵を踏んでいる遊女の姿があるらしく、写真の縮小コピーも展示されています。…ということは、どうやらこの2人は踏み絵の順番待ちのようです。哀しい雰囲気ながらも美しさを感じる作品でした。
鏑木清方 「朝涼」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている作品で、緑の野を背景にお下げ髪の少女(娘)の横向きの姿が描かれています。その傍らには白い蓮の花、空には薄っすらと白い月が浮かんでいて、淡い色合いから爽やかで清廉な朝の空気感が伝わってきます。髪を触っている娘も愛らしく、どこか神秘的な雰囲気があるようにも思えました。解説によると、清方はこの作品によってスランプを抜けることができたようです。
この隣にはこの作品のためのスケッチもありました。また、明治の庶民の暮らしを思わせる「鰯」や2曲1双の「桜もみぢ」なども気に入りました。
鏑木清方 「襟おしろい」
黒い着物を着た清方の妻の肖像で、胸元をつまんで左のほうを見るような感じで描かれています。その構図の為か、何となく西洋の肖像画を観ているような感じを受けるかな。ぼかしの技法が使われていて、清らかさの一方で色香もあるように思いました。特に唇の赤に色気を感じます。
鏑木清方 「明治風俗12ヶ月」
永井周山 「明治風俗12ヶ月押絵羽子板」
12枚セットの掛け軸で、1枚につき1ヶ月ずつ その月にちなんだ題材が描かれています。以前観た時は半年ずつに分けられていましたが、今回は一気に観られて嬉しい限り。羽子板をしたり、花見をしたり、金魚を取ったり、氷を食べたり… 古き良き時代の楽しさが感じられます。やはり私の一押しは8月の氷屋の作品です。
また、この作品の下にはこの掛軸をそのまま立体的な羽子板にした作品もありました。色も形もかなりの再現率で、掛け軸に華を添えているようでした。
この作品の隣には以前のサントリー美術館の清方展でポスターにもなっていた「春雪」が並んでいました。
<上村松園>
続いては再び松園のコーナーです。こちらは円熟期の作品、市井の女性を描いた作品が並んでいました。
上村松園 「青眉」
緑の傘をさす茶色の着物の女性が描かれた作品で、これは松園の母で、母が亡くなった年に描かれました。 京都には江戸時代の風習の名残があったようで、結婚して子供がいる女性は眉を剃っていたそうです。このタイトルはそれにちなんだもので、母の眉にも薄っすらと青い剃り跡が残っています。結構若い姿に観え 気品がある姿からは母への追慕が感じられました。解説によると、松園は母の死を境にそれまで上流階級しか描いていなかったのが、市井の女性も描くようになったとのことです。
それにしても、1人で松園を育て画家への道も支援してくれた母の死は、相当な悲しみだったのではないでしょうか…。
上村松園 「鴛鴦髷」
手鏡を持って鏡合わせで自分の髪を見る着物の女性が描かれた作品です。満足しているのか、嬉しそうな表情に見えます。解説によるとこの髪型は町家の若い娘の髪型だそうで、確かに鴛鴦のような形をしています。その生え際の表現や、髪の毛の流れが分かるほど緻密な描写は女性の美しさを引き立てているように思いました。
この辺には赤い着物に青い帯の「鼓の音」も展示されていました。
<鏑木清方>
最後は清方の卓上芸術についてのコーナーです。清方は、奇抜な色使いや大画面で訴える「会場芸術」の風潮に対して、一人手に取り 卓上に広げて楽しむことができる作品(卓上芸術)を提唱したそうです。心静かに細やかな筆さばきや情感を味わうことに主観が置かれ、画巻や画帖にそうした作品を残したようです。ここにもその一部が並んでいました。
鏑木清方 「目黒の栢莚(はくえん)」
栢莚は2代目市川團十郎のことだそうで、この作品は栢莚の老後生活の手記を題材にしたものです。目黒に住んでいたようで、寺社の様子や、竹林の中で茶会をする様子が描かれています。ゆりやアジサイなどの植物は細やかかつ写実的で、色鮮やかに描かれていました。どこかのんびりした雰囲気も感じるかな。
この近くには「お夏清十郎物語」という浄瑠璃を題材にした6枚の作品もありました。
鏑木清方 「朝夕安居」
昭和に描かれた4mくらいある絵巻で、明治の頃の下町の夏の様子が朝・昼・夜に分けられて描かれています。朝は井戸の周りで水を汲む人たちや、掃除をする少女、戸口の行商人などが描かれ、昼の場面には風鈴屋の屋台が描かれています。また、昼には水浴びする女性やランプを掃除する女性など、季節・時代を感じさせるシーンが続きます。 そして夜は「むぎゆ」「さくらゆ」と描かれた行灯?の周りで腰掛けて夕涼みする人々が描かれ、飲み物を飲んだり談笑したりしていました。観てるだけで幸せな気分になってくるような、どこか懐かしさを感じる作品です。情感豊かに描かれ、いかに清方が明治の下町を愛していたのかが伝わるようでした。
ということで、遠出した甲斐がある内容でした。観たことがある作品が結構あったので充実度と満足度を④にしていますが、好みの作品ばかりで代表作も多くだいぶ満足できました。こうして2人を比べて観ていると、松園は凛とした理想の女性美、清方は人々や風俗への慈しみや懐古を表現しているように思えました。もうすぐ終わってしまいますが、かなりお勧めの展示です。
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先日、所用で赤坂見附に行った際、お昼時にニューオータニ美術館で「マリー・ローランサンとその時代展」を観てきました。この展示は前期・後期で入れ替えがあるようで、私が行ったのは後期の内容でした。

【展覧名】
マリー・ローランサンとその時代展 巴里に魅せられた画家たち
【公式サイト】
http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/201207_marie/index.html
【会場】ニューオータニ美術館
【最寄】東京メトロ 赤坂見附駅・永田町駅
【会期】
前期:2012年7月14日(土)~8月19日(日)
後期:2012年8月21日(火)~9月30日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(平日11時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
平日だったこともあり空いていて快適に観ることができました。
さて、この展覧会は「エコール・ド・パリ」と呼ばれる20世紀前半にパリに集まった個性的な画家たちの中の1人、女性画家マリー・ローランサンについての展示です。とは言え、タイトルに「とその時代」と付いているので個展ではなく、ローランサンは1/3くらいであとはエコール・ド・パリやその時代の日本の画家などの作品が並ぶ内容となっています。構成は大きく3つの章に分かれていましたので、詳しくはいつも通り気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
<1章>
まず最初はローランサンの作品が並ぶコーナーです。ローランサンはパリのアトリエ「バトーラ・ヴォワール(洗濯船)」でピカソやブラックからキュビスムの影響を受けた画家で、30歳前後からはキュビスムと距離を取り、独自の画風を確立して行きました。ドイツ人男爵との結婚の直後に発生した第一次世界大戦により、7年間のスペイン・ドイツへの亡命生活をしますが、1921年に離婚してパリに戻ってきます。そしてそれからはそれまでの繊細で思いつめた表情の女性像から、幻想的で華やかな女性像へと転換し、舞台芸術などにも応用して人気を博したようです。
この章はローランサン美術館の作品が多く、以前ご紹介した作品も結構ありました。(以前の方がかなり詳しい解説があったので、ローランサンについて詳しく知りたい方は参考記事をお読み頂ければと思います。)
参考記事:マリー・ローランサンの扇 (川村記念美術館)
マリー・ローランサン 「パブロ・ピカソ」
横向きで肩から上のピカソを描いた肖像画です。単純化され黒髪に黒目で、キュビスム的というかエジプトの壁画みたいな感じを受けるかな。色もハッキリしていてその後の作品とはだいぶ違った印象でした。解説によると、これは「アポリネールとその友人たち」という作品の習作だそうです。
ちなみにアポリネールはローランサンの恋人だった有名詩人で、洗濯船の仲間でもあったのですが、モナ・リザ盗難事件の際に冤罪で捕まり、それを理由に母親に別れさせられてしまいました(それでもローランサンは死ぬまでアポリネールを想っていた節があります)
マリー・ローランサン 「優雅な舞踏会あるいは田舎での舞踏」
白い肌をした3人の女性が描かれ、黒の衣の女性とピンクの衣の女性が手を取り合って抱きあうように踊っています。また、その隣で足を組んだ女性が弦楽器を持っている姿も描かれ、その足元あたりには菱形の線が引かれています。以前この絵を観た際に、こうした幾何学的な表現はオルフィスム(キュビスムの一派)を取り入れていると解説されていたのを思い出しました。その為か全体にリズムがあるように感じ、柔らかい色合いは既にローランサンの代表的な作風に近づいているように感じました。
マリー・ローランサン 「アンドレ・グルー夫人(ニコル・ポワレ)」
黄色い服を着た女性像で、これはポール・ポワレの妹のニコルを描いた作品です。単純化されていますが気品ある風貌で、黄色が非常に鮮やかでした。これだけ強い色使いはちょっと珍しいかも??
この辺には「舞台についての対話」という挿絵本があり、水彩を原画とした作品も展示されていました。文字が書かれ物語があるようですが、私はフランス語を読めません…w
マリー・ローランサン 「三人の若い女」 ★こちらで観られます
今回のポスターの作品で、10年かけて完成させたそうです。3人の女性が三角形を作るように並んでいて、横に手を伸ばす黄色い衣をまとった半裸の女性、赤い衣を被って頬杖をつく女性、ギターを持って座る青い服の女性となっています。そして背景にはアーチ状の橋のようなものが描かれていました。3人の服の色がそれぞれ引き立てるような感じで全体に華やかで優美な雰囲気があるように思います。キュビスムから影響を受けただけあって簡素ながらも幾何学的な構成の妙もあるのではないかと思いました。
マリー・ローランサン 「シュザンヌ・モロー(青い服)」
住み込みの家政婦で、後にローランサンの養女となった女性を描いた作品です。白の織物?持ってそれを見つめる青い服の女性で、ちょっと虚ろな感じすら受けます。静かな雰囲気であまり華やかさは感じませんでしたが、解説によるとローランサンはブルーは最も好ましい色として挙げていたそうで、愛情を持って描いているのが伝わってくるようでした。
<2章>
続いての2章は同時代の画家やエコール・ド・パリの画家の作品が並ぶコーナーです。
モーリス・ド・ヴラマンク 「花束」
花瓶に入った赤や白の花束を描いた作品です。緑を背景に長方形の筆跡が並ぶように描かれ、抽象的に見えるくらい大胆な筆使いとなっています。ちょっと野暮ったい気もしますが、色も対比的で力強さがありました。解説によると、この作品はサロンでフォーヴ(野獣)と評された年に描かれたもので、アポリネールが所蔵していたそうです。
この隣には約30年後に描かれたヴラマンクの「雪景色」(★こちらで観られます)もありました。こちらはお得意の画題でスピード感があります。また、この辺にはパナソニック汐留ミュージアム所蔵のルオーの「裸婦 悪の華」「裁判官たち」「飾りの花」などもありました。
藤田嗣治 「仰臥裸婦」 ★こちらで観られます
ベッドで仰向けになり、目を見開いて右手を上げる裸婦が描かれた作品で、細い線と胡粉のような滑らかな白で表現されています。全体的にやや暗めに見えましたが、大きな作品で見栄えがします。乳白色の裸婦で人気を博した頃の藤田らしい題材・画風に思いました。
この近くにはドンゲン、キスリング、ユトリロなどもありました。
シュザンヌ・ヴァラドン 「座る裸婦」
ユトリロの母が描いた作品で、腰掛けて前屈みで俯く裸婦が描かれています。やや強めの黒い輪郭や、肌の陰影を緑・オレンジなどで表現しているなど、力強くちょっと無骨なくらいの印象を受けました。56歳の頃に描いた作品なので、もうユトリロも画家として活動していた頃かな。
この辺にあった展示ケースにはディアギレフ率いるバレエ・リュスの公演で使われたローランサンやユトリロのデザイン画や公演プログラムなどが並んでいました。
<3章>
最後の章は1910年~1930年頃に渡仏した日本人画家のコーナーです。彼らはフランスの作家と関わったり、バレエ・リュスの興行などからも影響を受けていたそうです。
徳永仁臣 「瞑想」
白いベッドに横たわりこちらをじっと観る裸婦画描かれた作品です。黒い眉にキリッとした目で写実的に描かれています。どことなくゴヤのマハの絵に似た雰囲気があり、実際に徳永はゴヤの作品を観ていたそうです。解説によると徳永はアカデミー・ジュリアンでは解剖学を基礎とした人体描写を習得していたらしく、その力量が伺える作品でした。
参考記事:プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影 感想前編(国立西洋美術館)
児島虎次郎 「和服を着たベルギーの少女」
横向きで手を重ねて座る白い和服を着たベルギーの少女を描いた作品で、静かで優美な雰囲気を感じます。背景は全体的に赤く、ピンク、緑で幾何学的な模様が描かれていて、背景の赤と少女の白の対比が強く感じられました。ややざらついた質感に観えるのも独特な感じです。
児島虎次郎は他にも「裸婦と椿」という作品もあったのですが、こちらはラファエル・コランの「フロレアル」を彷彿とするポーズの女性が描かれていました。
参考記事:
ぬぐ絵画-日本のヌード 1880-1945 (東京国立近代美術館)
東京美術学校から東京藝術大学へ 日本絵画の巨匠たち (ホテルオークラ アスコットホール)
佐伯祐三 「扉」 ★こちらで観られます
これは佐伯が屋外で描いた最後の作品の1つで、青みがかったグレーの門が描かれています。太い輪郭で描かれているためか重々しい雰囲気があり、柱には引っかき傷のようなものがあり風格を感じさせました。
佐伯はもう1枚あり、荻須高徳も3枚くらいありました。
児島虎次郎 「手鏡を持つ婦人」 ★こちらで観られます
赤い椅子に座る赤い服とスカートの女性像です。背景にも赤い布が掛かっていて、赤だらけの画面となっているのですが、それぞれの色合いが違っていて落ち着いた雰囲気に見えるのが面白いです。また、緑の手鏡、エメラルドグリーンのネックレス、緑のスカートの裾などの取り合わせもアクセントになっているように感じました。右の方をチラッと見ている表情もどこか知的な雰囲気で好みでした。
この辺は児島虎次郎の作品が並んでいました。結構、画風が変わるので驚きます。
小磯良平 「青衣の女」
青いドレスの女性が座って手の上に顔を乗せて振り返っている姿を描いた作品です。簡潔で若干フォーヴィスムのような雰囲気の色合いに見えるかな。構図も面白い作品でした。
小磯良平も何点かあり、画風も様々でした。
三岸節子 「もや」
紐?を持って踊るアイヌの衣装の2人の人物が大きく描かれ、背景には赤い炎のような雲が浮かび、何人かの人の姿もあります。赤い雲の中には黒い鳥の影があり、神秘的というかちょっと怖さも感じるかな。シュールで心に残る作品でした。
最後は三岸節子の作品も数点並んでいました。
ということで、久々にローランサン美術館所蔵の作品を観ることができました。ローランサンの作品は思ったより少なかったですが、もう一度観たかった作品もあって良かったです。2章・3章は若干強引なチョイスにも思えますが、楽しめたのでこれはこれで良かったかなと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
マリー・ローランサンとその時代展 巴里に魅せられた画家たち
【公式サイト】
http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/201207_marie/index.html
【会場】ニューオータニ美術館
【最寄】東京メトロ 赤坂見附駅・永田町駅
【会期】
前期:2012年7月14日(土)~8月19日(日)
後期:2012年8月21日(火)~9月30日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(平日11時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
平日だったこともあり空いていて快適に観ることができました。
さて、この展覧会は「エコール・ド・パリ」と呼ばれる20世紀前半にパリに集まった個性的な画家たちの中の1人、女性画家マリー・ローランサンについての展示です。とは言え、タイトルに「とその時代」と付いているので個展ではなく、ローランサンは1/3くらいであとはエコール・ド・パリやその時代の日本の画家などの作品が並ぶ内容となっています。構成は大きく3つの章に分かれていましたので、詳しくはいつも通り気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
<1章>
まず最初はローランサンの作品が並ぶコーナーです。ローランサンはパリのアトリエ「バトーラ・ヴォワール(洗濯船)」でピカソやブラックからキュビスムの影響を受けた画家で、30歳前後からはキュビスムと距離を取り、独自の画風を確立して行きました。ドイツ人男爵との結婚の直後に発生した第一次世界大戦により、7年間のスペイン・ドイツへの亡命生活をしますが、1921年に離婚してパリに戻ってきます。そしてそれからはそれまでの繊細で思いつめた表情の女性像から、幻想的で華やかな女性像へと転換し、舞台芸術などにも応用して人気を博したようです。
この章はローランサン美術館の作品が多く、以前ご紹介した作品も結構ありました。(以前の方がかなり詳しい解説があったので、ローランサンについて詳しく知りたい方は参考記事をお読み頂ければと思います。)
参考記事:マリー・ローランサンの扇 (川村記念美術館)
マリー・ローランサン 「パブロ・ピカソ」
横向きで肩から上のピカソを描いた肖像画です。単純化され黒髪に黒目で、キュビスム的というかエジプトの壁画みたいな感じを受けるかな。色もハッキリしていてその後の作品とはだいぶ違った印象でした。解説によると、これは「アポリネールとその友人たち」という作品の習作だそうです。
ちなみにアポリネールはローランサンの恋人だった有名詩人で、洗濯船の仲間でもあったのですが、モナ・リザ盗難事件の際に冤罪で捕まり、それを理由に母親に別れさせられてしまいました(それでもローランサンは死ぬまでアポリネールを想っていた節があります)
マリー・ローランサン 「優雅な舞踏会あるいは田舎での舞踏」
白い肌をした3人の女性が描かれ、黒の衣の女性とピンクの衣の女性が手を取り合って抱きあうように踊っています。また、その隣で足を組んだ女性が弦楽器を持っている姿も描かれ、その足元あたりには菱形の線が引かれています。以前この絵を観た際に、こうした幾何学的な表現はオルフィスム(キュビスムの一派)を取り入れていると解説されていたのを思い出しました。その為か全体にリズムがあるように感じ、柔らかい色合いは既にローランサンの代表的な作風に近づいているように感じました。
マリー・ローランサン 「アンドレ・グルー夫人(ニコル・ポワレ)」
黄色い服を着た女性像で、これはポール・ポワレの妹のニコルを描いた作品です。単純化されていますが気品ある風貌で、黄色が非常に鮮やかでした。これだけ強い色使いはちょっと珍しいかも??
この辺には「舞台についての対話」という挿絵本があり、水彩を原画とした作品も展示されていました。文字が書かれ物語があるようですが、私はフランス語を読めません…w
マリー・ローランサン 「三人の若い女」 ★こちらで観られます
今回のポスターの作品で、10年かけて完成させたそうです。3人の女性が三角形を作るように並んでいて、横に手を伸ばす黄色い衣をまとった半裸の女性、赤い衣を被って頬杖をつく女性、ギターを持って座る青い服の女性となっています。そして背景にはアーチ状の橋のようなものが描かれていました。3人の服の色がそれぞれ引き立てるような感じで全体に華やかで優美な雰囲気があるように思います。キュビスムから影響を受けただけあって簡素ながらも幾何学的な構成の妙もあるのではないかと思いました。
マリー・ローランサン 「シュザンヌ・モロー(青い服)」
住み込みの家政婦で、後にローランサンの養女となった女性を描いた作品です。白の織物?持ってそれを見つめる青い服の女性で、ちょっと虚ろな感じすら受けます。静かな雰囲気であまり華やかさは感じませんでしたが、解説によるとローランサンはブルーは最も好ましい色として挙げていたそうで、愛情を持って描いているのが伝わってくるようでした。
<2章>
続いての2章は同時代の画家やエコール・ド・パリの画家の作品が並ぶコーナーです。
モーリス・ド・ヴラマンク 「花束」
花瓶に入った赤や白の花束を描いた作品です。緑を背景に長方形の筆跡が並ぶように描かれ、抽象的に見えるくらい大胆な筆使いとなっています。ちょっと野暮ったい気もしますが、色も対比的で力強さがありました。解説によると、この作品はサロンでフォーヴ(野獣)と評された年に描かれたもので、アポリネールが所蔵していたそうです。
この隣には約30年後に描かれたヴラマンクの「雪景色」(★こちらで観られます)もありました。こちらはお得意の画題でスピード感があります。また、この辺にはパナソニック汐留ミュージアム所蔵のルオーの「裸婦 悪の華」「裁判官たち」「飾りの花」などもありました。
藤田嗣治 「仰臥裸婦」 ★こちらで観られます
ベッドで仰向けになり、目を見開いて右手を上げる裸婦が描かれた作品で、細い線と胡粉のような滑らかな白で表現されています。全体的にやや暗めに見えましたが、大きな作品で見栄えがします。乳白色の裸婦で人気を博した頃の藤田らしい題材・画風に思いました。
この近くにはドンゲン、キスリング、ユトリロなどもありました。
シュザンヌ・ヴァラドン 「座る裸婦」
ユトリロの母が描いた作品で、腰掛けて前屈みで俯く裸婦が描かれています。やや強めの黒い輪郭や、肌の陰影を緑・オレンジなどで表現しているなど、力強くちょっと無骨なくらいの印象を受けました。56歳の頃に描いた作品なので、もうユトリロも画家として活動していた頃かな。
この辺にあった展示ケースにはディアギレフ率いるバレエ・リュスの公演で使われたローランサンやユトリロのデザイン画や公演プログラムなどが並んでいました。
<3章>
最後の章は1910年~1930年頃に渡仏した日本人画家のコーナーです。彼らはフランスの作家と関わったり、バレエ・リュスの興行などからも影響を受けていたそうです。
徳永仁臣 「瞑想」
白いベッドに横たわりこちらをじっと観る裸婦画描かれた作品です。黒い眉にキリッとした目で写実的に描かれています。どことなくゴヤのマハの絵に似た雰囲気があり、実際に徳永はゴヤの作品を観ていたそうです。解説によると徳永はアカデミー・ジュリアンでは解剖学を基礎とした人体描写を習得していたらしく、その力量が伺える作品でした。
参考記事:プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影 感想前編(国立西洋美術館)
児島虎次郎 「和服を着たベルギーの少女」
横向きで手を重ねて座る白い和服を着たベルギーの少女を描いた作品で、静かで優美な雰囲気を感じます。背景は全体的に赤く、ピンク、緑で幾何学的な模様が描かれていて、背景の赤と少女の白の対比が強く感じられました。ややざらついた質感に観えるのも独特な感じです。
児島虎次郎は他にも「裸婦と椿」という作品もあったのですが、こちらはラファエル・コランの「フロレアル」を彷彿とするポーズの女性が描かれていました。
参考記事:
ぬぐ絵画-日本のヌード 1880-1945 (東京国立近代美術館)
東京美術学校から東京藝術大学へ 日本絵画の巨匠たち (ホテルオークラ アスコットホール)
佐伯祐三 「扉」 ★こちらで観られます
これは佐伯が屋外で描いた最後の作品の1つで、青みがかったグレーの門が描かれています。太い輪郭で描かれているためか重々しい雰囲気があり、柱には引っかき傷のようなものがあり風格を感じさせました。
佐伯はもう1枚あり、荻須高徳も3枚くらいありました。
児島虎次郎 「手鏡を持つ婦人」 ★こちらで観られます
赤い椅子に座る赤い服とスカートの女性像です。背景にも赤い布が掛かっていて、赤だらけの画面となっているのですが、それぞれの色合いが違っていて落ち着いた雰囲気に見えるのが面白いです。また、緑の手鏡、エメラルドグリーンのネックレス、緑のスカートの裾などの取り合わせもアクセントになっているように感じました。右の方をチラッと見ている表情もどこか知的な雰囲気で好みでした。
この辺は児島虎次郎の作品が並んでいました。結構、画風が変わるので驚きます。
小磯良平 「青衣の女」
青いドレスの女性が座って手の上に顔を乗せて振り返っている姿を描いた作品です。簡潔で若干フォーヴィスムのような雰囲気の色合いに見えるかな。構図も面白い作品でした。
小磯良平も何点かあり、画風も様々でした。
三岸節子 「もや」
紐?を持って踊るアイヌの衣装の2人の人物が大きく描かれ、背景には赤い炎のような雲が浮かび、何人かの人の姿もあります。赤い雲の中には黒い鳥の影があり、神秘的というかちょっと怖さも感じるかな。シュールで心に残る作品でした。
最後は三岸節子の作品も数点並んでいました。
ということで、久々にローランサン美術館所蔵の作品を観ることができました。ローランサンの作品は思ったより少なかったですが、もう一度観たかった作品もあって良かったです。2章・3章は若干強引なチョイスにも思えますが、楽しめたのでこれはこれで良かったかなと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事
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日付が変わって昨日となりましたが、金曜日の会社帰りに六本木のサントリー美術館に行って「来て、見て、感じて、驚いちゃって! おもしろびじゅつワンダーランド」を観てきました。

【展覧名】
来て、見て、感じて、驚いちゃって! おもしろびじゅつワンダーランド
【公式サイト】
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2012_04/?fromid=topmv
【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】2012年8月8日(水)~9月2日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(金曜日18時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_4_⑤_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
平日の夜ということもあってか、空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、今回の展示はタイトルではピンとこなかったのですが、今までのサントリー美術館の展示とは一線を画するようなインタラクティブな展示となっていました。展示作品自体は40点程度と少なく、この美術館を代表するような品が中心でコレクション展の様相とも言えますが、その展示方法や趣向が今までとはだいぶ異なります。というのも、今回の展示は「ルーヴル - DNPミュージアムラボ」を運営する大日本印刷の協力を得てデジタル技術も使っていて、まさに「観て、感じて、驚く」内容となっていました。(美術品に触るわけではないですw) 今回の展示は写真を撮ることもできましたので、詳しくは写真を使いながらご紹介していこうと思います。
※毎度のことですが、当サイトでは文章・写真ともに転載は一切禁止としております。
参考記事:外交とセーブル磁器展 (LOUVRE-DNP Museum Lab)
<1 模様のプラネタリウム>
まずは蒔絵の手箱に関するコーナーです。
部屋に入ると宇宙的な効果音がすると思ったら、本当にプラネタリウムみたいな感じです。

これは部屋を抜けた所に展示されていた「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」の内部をプラネタリウムのようにしたものです。動きもあって模様も変わるようでした。まるで自分が蒔絵の中に入ったような気分になりますw
「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」

こちらが国宝の蒔絵手箱。中々の大きさで、派手すぎず落ち着きと風格を感じさせます。
参考記事:夢に挑む コレクションの軌跡 (サントリー美術館)
<2 ススキ林のアプローチ>
続いては「武蔵野図屏風」を使ったコーナーです。
部屋に入るとこんな感じで、「武蔵野図屏風」の前にススキが並んでいます!

まるで絵からススキが飛び出したかのような趣向が面白いです。これも自分がすすき野に立って風景を見ている気分になれました。
<3 和ガラスの藍色ドーム>
続いては藍色が美しいガラス製品(薩摩切子が多め)が並ぶコーナーです。
参考記事:
和ガラス -粋なうつわ、遊びのかたち- (サントリー美術館)
一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子 (サントリー美術館)
こんな感じで展示室がドーム状になっていて驚きました。ちょっと未来的な雰囲気がw

照明も青→白→青というように色合いを変えていて、涼しげな感じです。
「藍色ねじり提手ちろり」

この美術館のガラスの展示で人気のちろり。この色合と形が何とも美しい
「藍色縁杯」

こちらは朝顔の花を思わせる可憐なガラス器。
「薩摩切子 藍色被船形鉢」

こちらもこの美術館で人気の薩摩切子。正面には翼を広げている蝙蝠の姿(蝙蝠は中国では吉祥の文様)、側面は「斜め格子に魚子紋(ななこもん)」の切子となっています。この形の面白さと技術の高さに驚きます。
<4 京都街中タッチパネル>
続いては「洛中洛外図屏風」に関するコーナーです。
これは全面がタッチパネルになっている屏風を映像化したもの(屏風の本物も展示されています)

タッチするとその場所を拡大できて地名が出てきました。これは非常に分かりやすくて面白い試みでした。

続いては「舞踊図」のコーナーでした。6枚の踊る女性像が並びます。

いずれも雅で流れるような姿勢が美しいです。
近くにはこんな感じの回転する機器が備え付けられています。

中はこんな感じ。先ほどの舞踏図が少しづつポーズを変えて描かれています。

これは回転させるとパラパラ漫画のように女性像が踊りだす仕掛けでした。パタパタと踊る姿がちょっと可笑しいw
<5 顔はめパネル なりきりDancers>
続いては下の階です。階段を降りてすぐに顔出しパネルが置かれていました。

これは流石に体験しませんでしたが、記念撮影している人たちもいて、仲間と一緒に行くと楽しいと思います。
<6 大人も真剣 全身で影絵遊び>
顔出しパネルの隣には2つの小部屋のようなものがあり、ここで影絵遊びの体験が出来ます。
体験できるのは2種類で、こちらはお釜に変身している様子。

私はもう1つの松に変身する方を体験したのですが、お釜のほうが簡単にそれっぽく変身できる気がします。
歌川広重 「即興かげぼうし尽」
この絵は展覧会の最後の方にありましたが、これが影絵遊びの元ネタです。

お釜は笠をかぶったオッサンだったという…w
体験コーナーでは着物の部分はパネルを使って表現します。ビフォアーアフター共に写真を撮ることができますので、これも仲間と一緒のほうが盛り上がれると思います。
参考記事:
描かれた不思議 トリック&ユーモア展 エッシャー、マグリット、国芳から現代まで (横須賀美術館)
奇想の王国 だまし絵展 感想前編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
この章から次の章に向かい途中にスタンプラリー?もありました。

<7 何に見える?何に使える? アイディア勝負「見立て」の世界>
続いては本阿弥光悦の「赤楽茶碗 銘[熟柿]」に関するコーナーです。
右が本阿弥光悦の「赤楽茶碗 銘[熟柿]」 まさに柿のような美しい色合いです。

この部屋に入ってすぐ目につく左のモニュメントはなんだろう?と思っていたら、「赤楽茶碗 銘[熟柿]」の40倍の再現でした。緑の所はクッションになっていて寝転ぶこともできます。お茶をぶちまけたような…w
<8 マルの中のクール・デザイン「鍋島」>
最後はタブレットを使った鍋島のコーナーでした。
参考記事:誇り高きデザイン 鍋島 (サントリー美術館)
部屋の中に楕円形の体験スペースがあり、各席にタブレットが置かれています。

これは鍋島の絵付けのデザインを考えるゲームのようなものでした。

まずお皿を選びます。
そして絵付け。決まったパターンを回転させたり拡大・縮小させたり、配置を決めてオリジナルデザインの鍋島を作ります。

出来上がるとこんな感じでケースに映しだされます。ここでは伏せていますが、実際には自分のサインが皿の下に表示されます。

みんな良いセンスで、これ本当に鍋島にありそう!と思うほど完成度が高いものもありました。私も作ったのですが、この中にはありませんw テンプレートしか使えなくても奥深く、個性が出るのも面白かったです。
実際の皿も並んでいます。
「色絵桜柴垣文大皿」

色の配置や柴垣のリズムが観ていて心地いい作品。
「色絵毘沙門亀甲文皿」

こちらはテトラポットが連続したような文様。「仲立紙」という下絵を写す技法で作られています。
最後には次回展示の予告もありました。やはりタッチパネルを使っていて、触るとこんな感じでストーリー説明?までしてくれます。

ということで、今までとは違ったサントリー美術館の側面を観られたように思います。作品自体は少ないですが、展覧会を通してずっとワクワク感を持って観ることができました。小難しいことは考えずに楽しめるためか、子供連れも沢山きていました。もうすぐでこの展示は終わってしまいますがお勧めです。
おまけ:
この日の夕飯はミッドタウン近くのイマカツで摂りました。イマカツはちょくちょく通っていますが何度食べても美味しいトンカツ屋さんです。トンカツに加えてササミカツを毎回必ず頼んでいますw
参考記事:六本木 イマカツ (六本木界隈のお店)
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
来て、見て、感じて、驚いちゃって! おもしろびじゅつワンダーランド
【公式サイト】
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2012_04/?fromid=topmv
【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】2012年8月8日(水)~9月2日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(金曜日18時半頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_4_⑤_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
平日の夜ということもあってか、空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、今回の展示はタイトルではピンとこなかったのですが、今までのサントリー美術館の展示とは一線を画するようなインタラクティブな展示となっていました。展示作品自体は40点程度と少なく、この美術館を代表するような品が中心でコレクション展の様相とも言えますが、その展示方法や趣向が今までとはだいぶ異なります。というのも、今回の展示は「ルーヴル - DNPミュージアムラボ」を運営する大日本印刷の協力を得てデジタル技術も使っていて、まさに「観て、感じて、驚く」内容となっていました。(美術品に触るわけではないですw) 今回の展示は写真を撮ることもできましたので、詳しくは写真を使いながらご紹介していこうと思います。
※毎度のことですが、当サイトでは文章・写真ともに転載は一切禁止としております。
参考記事:外交とセーブル磁器展 (LOUVRE-DNP Museum Lab)
<1 模様のプラネタリウム>
まずは蒔絵の手箱に関するコーナーです。
部屋に入ると宇宙的な効果音がすると思ったら、本当にプラネタリウムみたいな感じです。

これは部屋を抜けた所に展示されていた「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」の内部をプラネタリウムのようにしたものです。動きもあって模様も変わるようでした。まるで自分が蒔絵の中に入ったような気分になりますw
「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」

こちらが国宝の蒔絵手箱。中々の大きさで、派手すぎず落ち着きと風格を感じさせます。
参考記事:夢に挑む コレクションの軌跡 (サントリー美術館)
<2 ススキ林のアプローチ>
続いては「武蔵野図屏風」を使ったコーナーです。
部屋に入るとこんな感じで、「武蔵野図屏風」の前にススキが並んでいます!

まるで絵からススキが飛び出したかのような趣向が面白いです。これも自分がすすき野に立って風景を見ている気分になれました。
<3 和ガラスの藍色ドーム>
続いては藍色が美しいガラス製品(薩摩切子が多め)が並ぶコーナーです。
参考記事:
和ガラス -粋なうつわ、遊びのかたち- (サントリー美術館)
一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子 (サントリー美術館)
こんな感じで展示室がドーム状になっていて驚きました。ちょっと未来的な雰囲気がw


照明も青→白→青というように色合いを変えていて、涼しげな感じです。
「藍色ねじり提手ちろり」

この美術館のガラスの展示で人気のちろり。この色合と形が何とも美しい
「藍色縁杯」

こちらは朝顔の花を思わせる可憐なガラス器。
「薩摩切子 藍色被船形鉢」


こちらもこの美術館で人気の薩摩切子。正面には翼を広げている蝙蝠の姿(蝙蝠は中国では吉祥の文様)、側面は「斜め格子に魚子紋(ななこもん)」の切子となっています。この形の面白さと技術の高さに驚きます。
<4 京都街中タッチパネル>
続いては「洛中洛外図屏風」に関するコーナーです。
これは全面がタッチパネルになっている屏風を映像化したもの(屏風の本物も展示されています)

タッチするとその場所を拡大できて地名が出てきました。これは非常に分かりやすくて面白い試みでした。

続いては「舞踊図」のコーナーでした。6枚の踊る女性像が並びます。


いずれも雅で流れるような姿勢が美しいです。
近くにはこんな感じの回転する機器が備え付けられています。

中はこんな感じ。先ほどの舞踏図が少しづつポーズを変えて描かれています。

これは回転させるとパラパラ漫画のように女性像が踊りだす仕掛けでした。パタパタと踊る姿がちょっと可笑しいw
<5 顔はめパネル なりきりDancers>
続いては下の階です。階段を降りてすぐに顔出しパネルが置かれていました。

これは流石に体験しませんでしたが、記念撮影している人たちもいて、仲間と一緒に行くと楽しいと思います。
<6 大人も真剣 全身で影絵遊び>
顔出しパネルの隣には2つの小部屋のようなものがあり、ここで影絵遊びの体験が出来ます。
体験できるのは2種類で、こちらはお釜に変身している様子。

私はもう1つの松に変身する方を体験したのですが、お釜のほうが簡単にそれっぽく変身できる気がします。
歌川広重 「即興かげぼうし尽」
この絵は展覧会の最後の方にありましたが、これが影絵遊びの元ネタです。

お釜は笠をかぶったオッサンだったという…w
体験コーナーでは着物の部分はパネルを使って表現します。ビフォアーアフター共に写真を撮ることができますので、これも仲間と一緒のほうが盛り上がれると思います。
参考記事:
描かれた不思議 トリック&ユーモア展 エッシャー、マグリット、国芳から現代まで (横須賀美術館)
奇想の王国 だまし絵展 感想前編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
この章から次の章に向かい途中にスタンプラリー?もありました。

<7 何に見える?何に使える? アイディア勝負「見立て」の世界>
続いては本阿弥光悦の「赤楽茶碗 銘[熟柿]」に関するコーナーです。
右が本阿弥光悦の「赤楽茶碗 銘[熟柿]」 まさに柿のような美しい色合いです。


この部屋に入ってすぐ目につく左のモニュメントはなんだろう?と思っていたら、「赤楽茶碗 銘[熟柿]」の40倍の再現でした。緑の所はクッションになっていて寝転ぶこともできます。お茶をぶちまけたような…w
<8 マルの中のクール・デザイン「鍋島」>
最後はタブレットを使った鍋島のコーナーでした。
参考記事:誇り高きデザイン 鍋島 (サントリー美術館)
部屋の中に楕円形の体験スペースがあり、各席にタブレットが置かれています。

これは鍋島の絵付けのデザインを考えるゲームのようなものでした。

まずお皿を選びます。
そして絵付け。決まったパターンを回転させたり拡大・縮小させたり、配置を決めてオリジナルデザインの鍋島を作ります。

出来上がるとこんな感じでケースに映しだされます。ここでは伏せていますが、実際には自分のサインが皿の下に表示されます。

みんな良いセンスで、これ本当に鍋島にありそう!と思うほど完成度が高いものもありました。私も作ったのですが、この中にはありませんw テンプレートしか使えなくても奥深く、個性が出るのも面白かったです。
実際の皿も並んでいます。
「色絵桜柴垣文大皿」

色の配置や柴垣のリズムが観ていて心地いい作品。
「色絵毘沙門亀甲文皿」

こちらはテトラポットが連続したような文様。「仲立紙」という下絵を写す技法で作られています。
最後には次回展示の予告もありました。やはりタッチパネルを使っていて、触るとこんな感じでストーリー説明?までしてくれます。

ということで、今までとは違ったサントリー美術館の側面を観られたように思います。作品自体は少ないですが、展覧会を通してずっとワクワク感を持って観ることができました。小難しいことは考えずに楽しめるためか、子供連れも沢山きていました。もうすぐでこの展示は終わってしまいますがお勧めです。
おまけ:
この日の夕飯はミッドタウン近くのイマカツで摂りました。イマカツはちょくちょく通っていますが何度食べても美味しいトンカツ屋さんです。トンカツに加えてササミカツを毎回必ず頼んでいますw
参考記事:六本木 イマカツ (六本木界隈のお店)
参照記事:★この記事を参照している記事
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前回ご紹介した横須賀美術館の展示を観た後、常設展も観てきました。常設では「特集展示 ニョロの森―関野宏子の世界―」が開催され、期間が決まっているようでした。また、谷内六郎館では「谷内六郎〈週刊新潮 表紙絵〉展 1981」も開催されていました。

【展覧名】
平成24年度第2期所蔵品展 特集展示 ニョロの森―関野宏子の世界―
谷内六郎〈週刊新潮 表紙絵〉展 1981
【公式サイト】
http://www.yokosuka-moa.jp/exhibit/josetu/983.html
http://www.yokosuka-moa.jp/exhibit/taniuchi/984.html
【会場】横須賀美術館
【最寄】馬堀海岸駅、浦賀駅、JR横須賀駅など
【会期】2012年7月14日(土)~9月23日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
常設も空いていて快適に鑑賞することができました。
この美術館には1年に1回くらいの割合で行っていますが、まだまだ観たことがない常設作品が多いようです。今回は「画家たちの世界旅行」というテーマの展示もありましたので、気に入った作品をいくつか紹介したいと思います。
参考記事:
横須賀美術館の常設 (2010年11月)
横須賀美術館の常設 (2011年09月)
<常設>
海老原喜之助 「海と船」 ★こちらで観られます
海と白い灯台、沢山の船が描かれた作品です。流れるような筆跡が残っていて、素早いタッチで描かれているように見えます。色合いや単純化されたモチーフがリズミカルで、どこかデュフィを彷彿とさせました。好みの画風です。
<画家たちの世界旅行>
続いては旅をテーマにした作品が並ぶコーナーでした。
高崎剛 「サーカス」 ★こちらで観られます
白い馬に乗るオランウータンがフラフープを持ち、そこを虎がくぐっている様子が描かれた作品です。背景は赤黒く、沢山の観客がそれを見ているようです。単純化され、どこかほのぼのした感じもしますが、やや暗い色合いのせいか幻想的な雰囲気にも思いました。
このコーナーには他にも、藤島武二の「アッシジ風景」や藤田嗣治の「ル・アーブルの港」、佐伯祐三の「窓のある建物(パリ風景)」など見覚えのある作品もありました。
井上長三郎 「スエズ」 ★こちらで観られます
全体的に灰色~青の画面で、川の前で地面に座り込む人々が描かれた作品です。ぼんやりとしていて、何をしているか分かりませんが静かな雰囲気です。神秘的な感じも受けるのですが、どこか悲しげな感じにも思えました。
<常設>
岡鹿之助 「魚」 ★こちらで観られます
テーブルの上の器に入った魚や貝などが描かれた作品です。奥には額縁の中に魚の絵があり、その形は様々です。全体的に平面的に描かれていてちょっとざらついた感じかな。やや素朴でシュールな雰囲気がある作品でした。
この辺には以前ご紹介した児島善三郎の「独立美術首途;第2の誕生」もありました。また、少し進むと朝井閑右衛門の油彩の風景画と、清宮質文の版画のコーナーもあります。ここは時間の都合上メモを取らなかったので割愛。
島田章三 「横浜落日」
運河と船、その両脇の建物を描いた作品です。空に真っ赤な太陽が浮かび、水面も赤く染まっています。引っ掻いたような質感があり、どこか懐かしい雰囲気の作品でした。
この先は抽象画が並ぶコーナーで、その後が特集展示となっていました。
<特集:ニョロの森 関野宏子の世界>
続いては今回の特集展示の部屋です。ここは写真を撮っても良かったので、何枚か撮ってきました。
こんな感じで楽しげな空間が広がっています。

この作者の関野宏子 氏は1977年生まれの若手の作家さんだそうで、このキャラクターたちはニョロというそうです。
ワークショップのように遊べるようになっていました。

私が観たのは閉館直前くらいだったのですが、作品の近くで子供が無心に遊んでいて楽しんでいるようでした。誰もが直感的に可愛く楽しい気分になれるんじゃないかな。
奥の部屋に行く途中にも吊り下がった作品が2つありました。1つは↓の写真で、もう1つは中に入ると無数の突起がある不思議な空間でした。通路を抜けると中央の写真の部屋で、映像もありました。

右端の写真はニョロの木などニョロさん達です。観ていて和むキャラクターでした。
<谷内六郎〈週刊新潮 表紙絵〉展 1981>
最後に別館となってる谷内六郎館を観てきました。今回は1981年の週刊新潮の表紙絵の原画展で、昔よくCMでやってたのを思い出しノスタルジックな気分になりました。
谷内六郎 「逃げたお客」 1981(S56)年 3月19日号
部屋の中でハサミを持っているお母さんと、床屋のクルクル周る器具が描かれ、その前の椅子が空席となっています。その脇で窓の外を眺める男の子の視線の先には、白い布を巻かれた猫が屋根の上でちょこんと座っていました。恐らく、お母さんの床屋さんから猫が逃げてしまったのかな。何とも微笑ましい光景です。谷内六郎作品はこういう感じで1つの絵とタイトルでほのぼのしたストーリーを伝えてくるのが非常に面白いです。屋根の上には梅の花が咲いていて、春の季節感も伝わって来ました。
谷内六郎 「シーッ おとなりに来てる」 1981(S56)年12月17日号
恐らくクリスマスの夜の団地の暗い部屋の中で、カーテンを開けて外を見る姉弟が描かれた作品です。その視線の先にはサンタクロースの影があるのですが、我々鑑賞者の視点からはその影は隣の家のサンタの飾りの影であることが分かります。もう隣までサンタが来ている!とワクワクしながら待っているのかな? これも可愛らしい作品でした。
ということで、常設展も良い作品が多くて楽しめました。特にニョロの森は面白かったです。特別展を観に行く予定の方は、常設も合わせて見る事をお勧めします。
おまけ1:
この日、ランチは横須賀美術館の向かいにあるホテル内の浜木綿(はまゆう)で摂りました。そして横須賀美術館の後はいつも通りSPASSO(スパッソ)という入浴施設で海を観ながら露天風呂を楽しみました。
参考記事:
浜木綿(はまゆう) (横須賀美術館界隈のお店)
SPASSO -スパッソ- (2010年11月)
おまけ2:
美術館を出たら夏の夕暮れらしい美しい空でした

こちらは近くの海岸。近くには海水浴場もあります。本当に美しい景色に囲まれた美術館です。

本当は、三笠公園から出ている船で猿島を観光し、そのまま美術館に近い観音崎に行く船に乗るというコースを考えていたのですが、何と2011年10月で猿島・観音崎航路は定期航路が休止となってしまったようです。これは残念…。
参考リンク:タウンニュース 観音崎航路が休止
参照記事:★この記事を参照している記事


【展覧名】
平成24年度第2期所蔵品展 特集展示 ニョロの森―関野宏子の世界―
谷内六郎〈週刊新潮 表紙絵〉展 1981
【公式サイト】
http://www.yokosuka-moa.jp/exhibit/josetu/983.html
http://www.yokosuka-moa.jp/exhibit/taniuchi/984.html
【会場】横須賀美術館
【最寄】馬堀海岸駅、浦賀駅、JR横須賀駅など
【会期】2012年7月14日(土)~9月23日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
常設も空いていて快適に鑑賞することができました。
この美術館には1年に1回くらいの割合で行っていますが、まだまだ観たことがない常設作品が多いようです。今回は「画家たちの世界旅行」というテーマの展示もありましたので、気に入った作品をいくつか紹介したいと思います。
参考記事:
横須賀美術館の常設 (2010年11月)
横須賀美術館の常設 (2011年09月)
<常設>
海老原喜之助 「海と船」 ★こちらで観られます
海と白い灯台、沢山の船が描かれた作品です。流れるような筆跡が残っていて、素早いタッチで描かれているように見えます。色合いや単純化されたモチーフがリズミカルで、どこかデュフィを彷彿とさせました。好みの画風です。
<画家たちの世界旅行>
続いては旅をテーマにした作品が並ぶコーナーでした。
高崎剛 「サーカス」 ★こちらで観られます
白い馬に乗るオランウータンがフラフープを持ち、そこを虎がくぐっている様子が描かれた作品です。背景は赤黒く、沢山の観客がそれを見ているようです。単純化され、どこかほのぼのした感じもしますが、やや暗い色合いのせいか幻想的な雰囲気にも思いました。
このコーナーには他にも、藤島武二の「アッシジ風景」や藤田嗣治の「ル・アーブルの港」、佐伯祐三の「窓のある建物(パリ風景)」など見覚えのある作品もありました。
井上長三郎 「スエズ」 ★こちらで観られます
全体的に灰色~青の画面で、川の前で地面に座り込む人々が描かれた作品です。ぼんやりとしていて、何をしているか分かりませんが静かな雰囲気です。神秘的な感じも受けるのですが、どこか悲しげな感じにも思えました。
<常設>
岡鹿之助 「魚」 ★こちらで観られます
テーブルの上の器に入った魚や貝などが描かれた作品です。奥には額縁の中に魚の絵があり、その形は様々です。全体的に平面的に描かれていてちょっとざらついた感じかな。やや素朴でシュールな雰囲気がある作品でした。
この辺には以前ご紹介した児島善三郎の「独立美術首途;第2の誕生」もありました。また、少し進むと朝井閑右衛門の油彩の風景画と、清宮質文の版画のコーナーもあります。ここは時間の都合上メモを取らなかったので割愛。
島田章三 「横浜落日」
運河と船、その両脇の建物を描いた作品です。空に真っ赤な太陽が浮かび、水面も赤く染まっています。引っ掻いたような質感があり、どこか懐かしい雰囲気の作品でした。
この先は抽象画が並ぶコーナーで、その後が特集展示となっていました。
<特集:ニョロの森 関野宏子の世界>
続いては今回の特集展示の部屋です。ここは写真を撮っても良かったので、何枚か撮ってきました。
こんな感じで楽しげな空間が広がっています。

この作者の関野宏子 氏は1977年生まれの若手の作家さんだそうで、このキャラクターたちはニョロというそうです。
ワークショップのように遊べるようになっていました。

私が観たのは閉館直前くらいだったのですが、作品の近くで子供が無心に遊んでいて楽しんでいるようでした。誰もが直感的に可愛く楽しい気分になれるんじゃないかな。
奥の部屋に行く途中にも吊り下がった作品が2つありました。1つは↓の写真で、もう1つは中に入ると無数の突起がある不思議な空間でした。通路を抜けると中央の写真の部屋で、映像もありました。



右端の写真はニョロの木などニョロさん達です。観ていて和むキャラクターでした。
<谷内六郎〈週刊新潮 表紙絵〉展 1981>
最後に別館となってる谷内六郎館を観てきました。今回は1981年の週刊新潮の表紙絵の原画展で、昔よくCMでやってたのを思い出しノスタルジックな気分になりました。
谷内六郎 「逃げたお客」 1981(S56)年 3月19日号
部屋の中でハサミを持っているお母さんと、床屋のクルクル周る器具が描かれ、その前の椅子が空席となっています。その脇で窓の外を眺める男の子の視線の先には、白い布を巻かれた猫が屋根の上でちょこんと座っていました。恐らく、お母さんの床屋さんから猫が逃げてしまったのかな。何とも微笑ましい光景です。谷内六郎作品はこういう感じで1つの絵とタイトルでほのぼのしたストーリーを伝えてくるのが非常に面白いです。屋根の上には梅の花が咲いていて、春の季節感も伝わって来ました。
谷内六郎 「シーッ おとなりに来てる」 1981(S56)年12月17日号
恐らくクリスマスの夜の団地の暗い部屋の中で、カーテンを開けて外を見る姉弟が描かれた作品です。その視線の先にはサンタクロースの影があるのですが、我々鑑賞者の視点からはその影は隣の家のサンタの飾りの影であることが分かります。もう隣までサンタが来ている!とワクワクしながら待っているのかな? これも可愛らしい作品でした。
ということで、常設展も良い作品が多くて楽しめました。特にニョロの森は面白かったです。特別展を観に行く予定の方は、常設も合わせて見る事をお勧めします。
おまけ1:
この日、ランチは横須賀美術館の向かいにあるホテル内の浜木綿(はまゆう)で摂りました。そして横須賀美術館の後はいつも通りSPASSO(スパッソ)という入浴施設で海を観ながら露天風呂を楽しみました。
参考記事:
浜木綿(はまゆう) (横須賀美術館界隈のお店)
SPASSO -スパッソ- (2010年11月)
おまけ2:
美術館を出たら夏の夕暮れらしい美しい空でした

こちらは近くの海岸。近くには海水浴場もあります。本当に美しい景色に囲まれた美術館です。

本当は、三笠公園から出ている船で猿島を観光し、そのまま美術館に近い観音崎に行く船に乗るというコースを考えていたのですが、何と2011年10月で猿島・観音崎航路は定期航路が休止となってしまったようです。これは残念…。
参考リンク:タウンニュース 観音崎航路が休止
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先週の土曜日に、横須賀まで足を伸ばして、横須賀美術館で「ストラスブール美術館展 世紀末からフランス現代美術へ」を観てきました。

【展覧名】
ストラスブール美術館展 世紀末からフランス現代美術へ
【公式サイト】
http://www.yokosuka-moa.jp/exhibit/kikaku/1002.html
【会場】横須賀美術館
【最寄】馬堀海岸駅、浦賀駅、JR横須賀駅など
【会期】2012年7月21日(土)~9月2日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて、ゆっくり観ることができました。
さて、今回の展示はフランスのストラスブール美術館の作品を集めた展覧会となっています。ストラスブールはドイツとの国境近くのアルザス地方にある都市で、古くから交通の要衝であると共に、ドイツとの戦争の舞台にもなった地でもあるそうです。そのためフランスでありながらドイツ的な側面もあるようで、展覧会ではそうした独特の地であるストラスブールを活動拠点にした作家の作品も多く並んでいました。 61作家101作品が近代~現代にかけて大まかに流派ごとに6つの章に分かれていましたので、詳しくは章ごとに気に入った作品を通してご紹介していこうと思います。
なお、ストラスブール美術館展は2010年にも文化村でも行われていましたので、見覚えのある作品もちらほら並んでいました。
参考記事:ストラスブール美術館所蔵 語りかける風景 コロー、モネ、シスレーからピカソまで (Bunkamuraザ・ミュージアム)
<第1章 象徴主義>
まずは象徴主義のコーナーです。とは言え、象徴主義の先駆けとなったラファエル前派のやナビ派の作品が多かったように思います。
ダンテ・ガブリエル・ロセッティ 「解放の剣にキスをするジャンヌ・ダルク」
ロセッティはラファエル前派の画家です。この絵は剣を持ち剣にキスしている女性の横顔が描かれていて、これはジャンヌ・ダルクのようです。背景には磔にされたキリストの足も見えています。写実的でありながら優美な雰囲気で、鎧の上に着た衣が装飾的でした。
モーリス・ドニ 「室内の光」
室内でテーブルに向かって座る2人の女性と、果実の乗ったお皿を運ぶ女性、そして花束を持って目をつぶる女性が描かれた作品です。背景には窓があり、大きく開いて開放感のある空が広がっています。全体的に平坦でオレンジがかった画面なのはドニらしいかな。解説によるとこれはドニの妻と3人の娘たちだそうで、背景の壁に描かれた捧げ物をしている人物と、娘のポーズがリンクしているような感じでした。
これは観たことがあるような気もします。
ポール・ゴーギャン 「ドラクロワのエスキースのある静物」 ★こちらで観られます
テーブルの上の皿に入った果実や瓶などを描いた静物です。これはカリブ海のマルティニーク島に向かった年の作品だそうで、平坦で奥行きがなく、強い色合いに思います。解説によると、背景にはドラクロワのアダムとイブの楽園追放をテーマにした下絵があり、熱帯地方の果実の清純さと対比されているようでした。
この辺にはカリエールの作品も数点ありました。また、エルノスト・ランカーというストラスブールの画家が描いた「母親の死」という大きな作品には骸骨の死神のようなものが描かれていてインパクトがありました。
<第2章 印象派からフォービスムへ>
続いては印象派、新印象主義、フォービスムなどのコーナーです。印象派はあまり多くありません。
ロタール・フォン・ゼーバッハ 「ウジェニー・ランドルトの肖像」
手を組んで座る青~灰色の服を着た金髪の少女の肖像で、こちらをじっと観ていてあどけない雰囲気です。解説によるとこの画家はストラスブールで活躍した人らしく、アルザス地方の印象派とみなされるようですが、クールベやマネなどの影響があるようで、どちらかというとマネのような感じの作風でした。
アルフレッド・シスレー 「家のある風景」 ★こちらで観られます
これは以前のbunkamuraの展示でポスターになっていた作品です。緩やかな緑の斜面とそこに生える木々、奥には赤い屋根の家があり、そこに向かっていると思われる母子の姿が描かれています。青々とした空にもくもくした雲が浮かび、爽やかで穏やかな雰囲気です。解説によると、手前の坂道と林の配置・形が中央の家に視線が向かうようになっているとのことでした。(以前もそう解説されてたのを思い出しました)
この辺にはルノワールのモノクロのリトグラフなどもありました。続いて次の部屋に続きます。
アンリ・マルタン 「雪化粧のパリ」
冬のパリを見下ろすように描いた作品で、屋根には雪が積り、紫の空はどんよりした雰囲気です。解説ではモネに倣った筆使いとのことでしたが、新印象主義の点描のような筆触に思えました。冬のパリの情感がある作品でした。
ポール・シニャック 「アンティーブ、夕暮れ」 ★こちらで観られます
港と帆船を描いた作品で、シニャック独特の大きめの点描で描かれています。緑、青、紫、オレンジなどがタイル画のようになっていて、ちょっと離れると色が混ざって見えるのが面白いです。また、この港の岸に描かれている建物は後にピカソが住んだそうで、今はピカソ美術館になっているとのことでした。これぞシニャック、これぞ新印象主義という感じの題材・表現の作品です。
モーリス・ド・ヴラマンク 「都市の風景」
白壁の赤い屋根の家が立ち並ぶ様子を描いた作品です。色が強くフォーヴ的な感じですが、幾何学的な構成がセザンヌからの強い影響を感じさせます。風化したような壁や強い陰影なども面白く、何ということも無い街角が、こんなにも面白く見えるのかと感心しました。(確かこれも2年前に見た覚えがあります)
<第3章 キュビスムとエコール・ド・パリ>
続いて3章はキュビスムとエコール・ド・パリの作品が並ぶコーナーです。このコーナーあたりから知らないストラスブールの画家の作品も増えてきます。
マリー・ローランサン 「マリー・ドルモワの肖像」
黒いチョーカーをつけた青い服の女性の肖像で、これは小説家ポール・レオトーと建築家のオーギュスト・ペレの秘書で愛人でもあった人物のようです。単純化され淡い色彩が使われているのはローランサンならではの雰囲気ですが、解説によると女性はふっくらした顔をしていて、顎の細い華奢な人物像といういつもの様式とはならず、モデルの特徴を伝えているとのことでした。
ローランサンはもう一点エッチングがありました。素朴派のアンドレ・ボーシャンの作品などもあります。
パブロ・ピカソ 「座る女性の胸像」
今回のポスターにもなっている胸像で、80代の頃の作品だそうです。モデルは2番目の妻らしく、横向き顔と正面向きの顔が混ざったようなキュビスムの表現となっています。右は白い髪、左は黒い髪で、下の方には乳房があって裸体なのかもしれません。晩年の作風がよく分かる作品でした。
ピカソは大きめの「編み物をする女とそれを見る人」という作品もありました。
この他に、レジェやブラック、ユトリロの友人で後に義父となったアンドレ・ユッテル、ストラスブール出身のマルセル・カーンの作品などもありました。マルセル・カーンの「ギターと扇子」(★こちらで観られます)という作品も好みです。
<第4章 両大戦間の写実主義>
4章は第一次世界大戦と第二次世界大戦の間のコーナーです。20世紀初頭の具体的な形を取り戻した動向について紹介されていました。
フェリックス・ヴァロットン 「水辺で眠る裸婦」
ヴァロットンはナビ派で、これは大きめの作品です。水辺で膝を立てて寝ている裸婦が描かれ、その奥には草むらが広がります。また、右上の背景には白いボートを漕ぐ3人の白い服の男性たちも描かれていました。最初、神話の絵かと思いましたが現代的な雰囲気もあってギャップが面白いです。解説によると背景の葉っぱの形などはアンリ・ルソーを思わせるようでした。どことなくシュールで不思議な作品です。
この辺はアルザス地方の画家の作品が多いかな。第一次世界大戦の後、アルザスが写実主義の重要な中心地だったそうです。
グスタヴ・ストスコプフ 「オーベルゼーバハの衣装を着たマルタン・ズィリオックス」
手を組んで座る黒い帽子に黒い服、中に赤いチョッキを着た老人を描いた作品です。結構リアルな画風で、頬のたるみや髪の毛、皺、肌の質感など写実的に描かれているのですが、何故か全体的には平面的に感じるような…。特に解説はありませんでしたが、色鮮やかでどことなくデューラーを思い浮かべました。
<第5章 抽象からシュルレアリスムへ>
続いての5章は抽象やシュルレアリスムのコーナーでした。
ジャン・アルプ 「ダンサー」
茶色を背景に、青、赤、黒、灰色、白の色面で人物?らしきものが描かれています。これは不定形のようで、不思議な形をしています。若干、足っぽいのは分かるかなw やや抽象的でデザインのような作品でした。
フランシス・ピカビア 「女性の肖像」
これは両面が展示されていた作品で、表は胸を顕にする金髪の女性が描かれ、歯を見せて笑い、エロティックで品の無い感じを受けます。それに対して裏側は単純化された青い手が描かれ、抽象的な要素がありました。解説によると、この女性像はポルノやポスターを参照にしたそうで、手の方はマルセル・デュシャンを踏襲したようです。また、手はのぞきみたい・触れてみたいという欲望に関係があるようでした。
マックス・エルンスト 「視野の内部」
たまご型の円形の中に、滑らかな曲線の生物?たちが描かれ、上の方ではその生物が玉を食べているような感じの絵です。エルンストがよく描くロプロプという鳥らしき姿も見えるかな。意味は全然わかりませんが、色面や曲線のリズムが心地よく感じられました。
ルネ・マグリット 「旅の思い出」
額縁がついた絵のような感じで、白い山を背景に女性の首から脚まで(手は無し)の裸の胴体部が描かれています。そしてその胴は薄い殻のようで割れたように表現されていました。これも意味は分かりませんでしたが、シュールな雰囲気の作品でした。
この近くにはヴィクトール・ブラウナーという画家のコーナーもありました。キュビスムのようなシュルレアリスムのような色々な画風の作品です。 また、他にもマッソンやマッタの抽象的な作品もありました。
<第6章 コンテンポラリーアート>
最後は1960年代以降の現代アートのコーナーです。
A.R.ペンク 「システム構築」
旧東ドイツ出身の画家の作品で、灰色の画面に、棒人間のと言うか記号人間のようなものやAAAAAAなどのアルファベットの文字が描かれた作品です。これは原始時代の壁画を思わせるとのことでしたが、確かにそんな印象を受けます。よくよく観ると労働や戦いをしているようで、若干不穏なものを感じました。
エド・パシュク 「商業主義的」
青~緑がかった背景に、2人のタキシードの人物らしきものが描かれた作品です。ネオンのような表現で、ノイズにかき消されるように眼や口が横に伸びて消えているのが独創的かな。ちょっと電子的な雰囲気の作品でした。
ということで、様々な作品が並んでいました。思ったよりも現地の作家や素描・リトグラフが多かったですが、近現代の美術の潮流を観ることができたと思います。ここは美術館自体も綺麗なので、残り少ない夏休みで行ってみるのも良いかもしれません。
参照記事:★この記事を参照している記事


【展覧名】
ストラスブール美術館展 世紀末からフランス現代美術へ
【公式サイト】
http://www.yokosuka-moa.jp/exhibit/kikaku/1002.html
【会場】横須賀美術館
【最寄】馬堀海岸駅、浦賀駅、JR横須賀駅など
【会期】2012年7月21日(土)~9月2日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて、ゆっくり観ることができました。
さて、今回の展示はフランスのストラスブール美術館の作品を集めた展覧会となっています。ストラスブールはドイツとの国境近くのアルザス地方にある都市で、古くから交通の要衝であると共に、ドイツとの戦争の舞台にもなった地でもあるそうです。そのためフランスでありながらドイツ的な側面もあるようで、展覧会ではそうした独特の地であるストラスブールを活動拠点にした作家の作品も多く並んでいました。 61作家101作品が近代~現代にかけて大まかに流派ごとに6つの章に分かれていましたので、詳しくは章ごとに気に入った作品を通してご紹介していこうと思います。
なお、ストラスブール美術館展は2010年にも文化村でも行われていましたので、見覚えのある作品もちらほら並んでいました。
参考記事:ストラスブール美術館所蔵 語りかける風景 コロー、モネ、シスレーからピカソまで (Bunkamuraザ・ミュージアム)
<第1章 象徴主義>
まずは象徴主義のコーナーです。とは言え、象徴主義の先駆けとなったラファエル前派のやナビ派の作品が多かったように思います。
ダンテ・ガブリエル・ロセッティ 「解放の剣にキスをするジャンヌ・ダルク」
ロセッティはラファエル前派の画家です。この絵は剣を持ち剣にキスしている女性の横顔が描かれていて、これはジャンヌ・ダルクのようです。背景には磔にされたキリストの足も見えています。写実的でありながら優美な雰囲気で、鎧の上に着た衣が装飾的でした。
モーリス・ドニ 「室内の光」
室内でテーブルに向かって座る2人の女性と、果実の乗ったお皿を運ぶ女性、そして花束を持って目をつぶる女性が描かれた作品です。背景には窓があり、大きく開いて開放感のある空が広がっています。全体的に平坦でオレンジがかった画面なのはドニらしいかな。解説によるとこれはドニの妻と3人の娘たちだそうで、背景の壁に描かれた捧げ物をしている人物と、娘のポーズがリンクしているような感じでした。
これは観たことがあるような気もします。
ポール・ゴーギャン 「ドラクロワのエスキースのある静物」 ★こちらで観られます
テーブルの上の皿に入った果実や瓶などを描いた静物です。これはカリブ海のマルティニーク島に向かった年の作品だそうで、平坦で奥行きがなく、強い色合いに思います。解説によると、背景にはドラクロワのアダムとイブの楽園追放をテーマにした下絵があり、熱帯地方の果実の清純さと対比されているようでした。
この辺にはカリエールの作品も数点ありました。また、エルノスト・ランカーというストラスブールの画家が描いた「母親の死」という大きな作品には骸骨の死神のようなものが描かれていてインパクトがありました。
<第2章 印象派からフォービスムへ>
続いては印象派、新印象主義、フォービスムなどのコーナーです。印象派はあまり多くありません。
ロタール・フォン・ゼーバッハ 「ウジェニー・ランドルトの肖像」
手を組んで座る青~灰色の服を着た金髪の少女の肖像で、こちらをじっと観ていてあどけない雰囲気です。解説によるとこの画家はストラスブールで活躍した人らしく、アルザス地方の印象派とみなされるようですが、クールベやマネなどの影響があるようで、どちらかというとマネのような感じの作風でした。
アルフレッド・シスレー 「家のある風景」 ★こちらで観られます
これは以前のbunkamuraの展示でポスターになっていた作品です。緩やかな緑の斜面とそこに生える木々、奥には赤い屋根の家があり、そこに向かっていると思われる母子の姿が描かれています。青々とした空にもくもくした雲が浮かび、爽やかで穏やかな雰囲気です。解説によると、手前の坂道と林の配置・形が中央の家に視線が向かうようになっているとのことでした。(以前もそう解説されてたのを思い出しました)
この辺にはルノワールのモノクロのリトグラフなどもありました。続いて次の部屋に続きます。
アンリ・マルタン 「雪化粧のパリ」
冬のパリを見下ろすように描いた作品で、屋根には雪が積り、紫の空はどんよりした雰囲気です。解説ではモネに倣った筆使いとのことでしたが、新印象主義の点描のような筆触に思えました。冬のパリの情感がある作品でした。
ポール・シニャック 「アンティーブ、夕暮れ」 ★こちらで観られます
港と帆船を描いた作品で、シニャック独特の大きめの点描で描かれています。緑、青、紫、オレンジなどがタイル画のようになっていて、ちょっと離れると色が混ざって見えるのが面白いです。また、この港の岸に描かれている建物は後にピカソが住んだそうで、今はピカソ美術館になっているとのことでした。これぞシニャック、これぞ新印象主義という感じの題材・表現の作品です。
モーリス・ド・ヴラマンク 「都市の風景」
白壁の赤い屋根の家が立ち並ぶ様子を描いた作品です。色が強くフォーヴ的な感じですが、幾何学的な構成がセザンヌからの強い影響を感じさせます。風化したような壁や強い陰影なども面白く、何ということも無い街角が、こんなにも面白く見えるのかと感心しました。(確かこれも2年前に見た覚えがあります)
<第3章 キュビスムとエコール・ド・パリ>
続いて3章はキュビスムとエコール・ド・パリの作品が並ぶコーナーです。このコーナーあたりから知らないストラスブールの画家の作品も増えてきます。
マリー・ローランサン 「マリー・ドルモワの肖像」
黒いチョーカーをつけた青い服の女性の肖像で、これは小説家ポール・レオトーと建築家のオーギュスト・ペレの秘書で愛人でもあった人物のようです。単純化され淡い色彩が使われているのはローランサンならではの雰囲気ですが、解説によると女性はふっくらした顔をしていて、顎の細い華奢な人物像といういつもの様式とはならず、モデルの特徴を伝えているとのことでした。
ローランサンはもう一点エッチングがありました。素朴派のアンドレ・ボーシャンの作品などもあります。
パブロ・ピカソ 「座る女性の胸像」
今回のポスターにもなっている胸像で、80代の頃の作品だそうです。モデルは2番目の妻らしく、横向き顔と正面向きの顔が混ざったようなキュビスムの表現となっています。右は白い髪、左は黒い髪で、下の方には乳房があって裸体なのかもしれません。晩年の作風がよく分かる作品でした。
ピカソは大きめの「編み物をする女とそれを見る人」という作品もありました。
この他に、レジェやブラック、ユトリロの友人で後に義父となったアンドレ・ユッテル、ストラスブール出身のマルセル・カーンの作品などもありました。マルセル・カーンの「ギターと扇子」(★こちらで観られます)という作品も好みです。
<第4章 両大戦間の写実主義>
4章は第一次世界大戦と第二次世界大戦の間のコーナーです。20世紀初頭の具体的な形を取り戻した動向について紹介されていました。
フェリックス・ヴァロットン 「水辺で眠る裸婦」
ヴァロットンはナビ派で、これは大きめの作品です。水辺で膝を立てて寝ている裸婦が描かれ、その奥には草むらが広がります。また、右上の背景には白いボートを漕ぐ3人の白い服の男性たちも描かれていました。最初、神話の絵かと思いましたが現代的な雰囲気もあってギャップが面白いです。解説によると背景の葉っぱの形などはアンリ・ルソーを思わせるようでした。どことなくシュールで不思議な作品です。
この辺はアルザス地方の画家の作品が多いかな。第一次世界大戦の後、アルザスが写実主義の重要な中心地だったそうです。
グスタヴ・ストスコプフ 「オーベルゼーバハの衣装を着たマルタン・ズィリオックス」
手を組んで座る黒い帽子に黒い服、中に赤いチョッキを着た老人を描いた作品です。結構リアルな画風で、頬のたるみや髪の毛、皺、肌の質感など写実的に描かれているのですが、何故か全体的には平面的に感じるような…。特に解説はありませんでしたが、色鮮やかでどことなくデューラーを思い浮かべました。
<第5章 抽象からシュルレアリスムへ>
続いての5章は抽象やシュルレアリスムのコーナーでした。
ジャン・アルプ 「ダンサー」
茶色を背景に、青、赤、黒、灰色、白の色面で人物?らしきものが描かれています。これは不定形のようで、不思議な形をしています。若干、足っぽいのは分かるかなw やや抽象的でデザインのような作品でした。
フランシス・ピカビア 「女性の肖像」
これは両面が展示されていた作品で、表は胸を顕にする金髪の女性が描かれ、歯を見せて笑い、エロティックで品の無い感じを受けます。それに対して裏側は単純化された青い手が描かれ、抽象的な要素がありました。解説によると、この女性像はポルノやポスターを参照にしたそうで、手の方はマルセル・デュシャンを踏襲したようです。また、手はのぞきみたい・触れてみたいという欲望に関係があるようでした。
マックス・エルンスト 「視野の内部」
たまご型の円形の中に、滑らかな曲線の生物?たちが描かれ、上の方ではその生物が玉を食べているような感じの絵です。エルンストがよく描くロプロプという鳥らしき姿も見えるかな。意味は全然わかりませんが、色面や曲線のリズムが心地よく感じられました。
ルネ・マグリット 「旅の思い出」
額縁がついた絵のような感じで、白い山を背景に女性の首から脚まで(手は無し)の裸の胴体部が描かれています。そしてその胴は薄い殻のようで割れたように表現されていました。これも意味は分かりませんでしたが、シュールな雰囲気の作品でした。
この近くにはヴィクトール・ブラウナーという画家のコーナーもありました。キュビスムのようなシュルレアリスムのような色々な画風の作品です。 また、他にもマッソンやマッタの抽象的な作品もありました。
<第6章 コンテンポラリーアート>
最後は1960年代以降の現代アートのコーナーです。
A.R.ペンク 「システム構築」
旧東ドイツ出身の画家の作品で、灰色の画面に、棒人間のと言うか記号人間のようなものやAAAAAAなどのアルファベットの文字が描かれた作品です。これは原始時代の壁画を思わせるとのことでしたが、確かにそんな印象を受けます。よくよく観ると労働や戦いをしているようで、若干不穏なものを感じました。
エド・パシュク 「商業主義的」
青~緑がかった背景に、2人のタキシードの人物らしきものが描かれた作品です。ネオンのような表現で、ノイズにかき消されるように眼や口が横に伸びて消えているのが独創的かな。ちょっと電子的な雰囲気の作品でした。
ということで、様々な作品が並んでいました。思ったよりも現地の作家や素描・リトグラフが多かったですが、近現代の美術の潮流を観ることができたと思います。ここは美術館自体も綺麗なので、残り少ない夏休みで行ってみるのも良いかもしれません。
参照記事:★この記事を参照している記事
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先週の金曜日の夕方に、会社帰りに上野の東京都美術館へ行って、「マウリッツハイス美術館展」を再度観てきました。この展示は以前詳しくご紹介しましたので、今回は最新の混み具合や補足的な内容となります。代表的な作品や各章の意図については以前の記事を参照して頂けると嬉しいです。
1回目の時の記事:マウリッツハイス美術館展 (東京都美術館)

【展覧名】
マウリッツハイス美術館展
【公式サイト】
http://www.asahi.com/mauritshuis2012/
http://www.tobikan.jp/museum/2012/mauritshuis2012.html
【会場】東京都美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年6月30日(土)~9月17日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(金曜日18時半頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
金曜日の夕方18時半頃に行ったのですが、10分待ちの看板があったものの実際には待ち時間無しで入ることができました。しかし、中はやはり混んでいて2重3重の列が出来るほどでした。閉館時間まで残り30分を切る頃には若干空いていたかな。
ちなみに公式サイトではリアルタイムの待ち時間だけでなく、過去の混雑状況も分かるようになっています。私の行った金曜日の夕方も狙い目なのですが、あまり遅く行くと時間内に見切れない可能性も…。その辺を気をつければかなり役に立つ情報だと思います。
参考リンク:
過去の混雑状況(pdf)
マウリッツハイス美術館展公式サイト (左上の待ち時間の所に過去の混雑へのリンクがあります)
さて、冒頭にも書きましたが、この展覧会をご紹介するのは2回目ですので、今回は補足的に以前ご紹介しなかった作品をご紹介していこうと思います。1回目はあまりの充実度に目移りしてしまいましたが、今回は落ち着いて鑑賞してきましたw やはり良い展示は2回行っておきたいものです。
フェルメールの参考記事:
ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年 (国立西洋美術館)
フェルメールからのラブレター (Bunkamuraザ・ミュージアム)
フェルメールからのラブレター 2回目(Bunkamuraザ・ミュージアム)
フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 感想前編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 感想後編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 2回目(Bunkamuraザ・ミュージアム)
ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画
ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画 2回目 (国立西洋美術館)
フェルメール光の王国展 (フェルメール・センター銀座)
<第1章 美術館の歴史>
まずはマウリッツハイス美術館についてのコーナーです。
06 アントーン・フランソワ・ヘイリヘルス 「マウリッツハイスの[レンブラントの間]」
マウリッツハイスの部屋の中に飾ってある無数の絵画が描かれた作品です。主に肖像が飾ってあるようですが、中央に大きな絵があり、何人かの人たちが死んだ人の解剖をしている様子?が描かれています。恐らくこれはレンブラントの解剖学講義の絵を画中画にしたものだと思うのですが、明暗の付け方がレンブラント風なのが面白かったです。レンブラントの絵の前には椅子が絵に向かって置かれ、絵を鑑賞した人がいたような余韻を感じました。
<第2章 風景画>
続いては風景画のコーナーです。
09 ヤーコブ・ファン・ライスダール 「漂白場のあるハールレムの風景」 ★こちらで観られます
地平線の上に建つ教会、広々とした空と平地、手前にはこの地域の重要な産業だった麻布を漂白する作業場があり、そこで働く人々の姿も描かれています。空が大きく取られているせいか開放的な印象で、平地も起伏がないので一層に広さを感じます。柔らかい光の当たる雲の表現も見事で、細かく写実的な作品でした。
12 ヤーコブ・ファン・ライスダール 「ベントハイム城の眺望」
岩山の上に建つ城を描いた作品で、山の下には川が流れています。これは作者のライスダールが旅で訪れたドイツのベントハイム城らしく、ライスダールはこの城を様々な角度から何度も描いていたそうです。解説によるとこの作品では低い位置から見上げるような視点となっていて、城はかなり高い山の頂きに建つような印象を受けるとのことでしたが、確かにそびえるような雰囲気でした。また、手前が暗く建物に光があたっているのも面白いです。
このような斬新な構図は先進的とされ、オランダ絵画の黄金時代の風景画に影響を与えたそうです。
14 ヘリット・ベルクハイデ 「狩りに向かう貴族たちのいる、ホフフェイフェル池のほとり」
政治の中心であるハーグ(マウリッツハイスのある街)を背景に、馬に乗った貴族たちが並ぶように進む様子を描いた作品です。沢山の犬を連れていて、どうやらこれは狩猟(鷹狩)に行く一行のようで、当時 鷹狩が許されていたのは総督の家だけだったので、かなり高い地位の人々の姿のようです。お互いに話をしたりして優雅な雰囲気があり、歩道に水たまりがあることから雨上がりの風情が表現されているようでした。
<第3章 歴史画(物語画)>
下階の最後は歴史画のコーナーです。ここには以前ご紹介したフェルメールの「ディアナとニンフたち」もあります。
16 ペーテル・パウル・ルーベンス 「聖母被昇天(下絵)」 ★こちらで観られます
これはアントワープ大聖堂を飾る祭壇画の構図を決めるために描かれた作品で、完成作はフランダースの犬でネロが追い求めていた作品だそうです。聖母マリアが亡くなって3日目に天に迎えられたという話を題材にしていて、上を向いて胸に手をあてるマリアと、冠を被せようとする天使など沢山の天使や見上げる人々が描かれています。モチーフの流れるような配置が面白く、劇的な雰囲気がありました。また、全体的に素早く描かれた感じがしましたが、色合いや柔らかい肌の表現はルーベンスらしさを感じました。
17 レンブラント・ファン・レイン 「スザンナ」 ★こちらで観られます
前かがみで自分の髪を両手で抑える裸婦が、顔だけこちらに振り向いた姿で描かれています。これは旧約聖書の一場面で、2人の長老に水浴を覗かれ脅されたものの、貞節を貫いたというスザンナを描いているそうです。こちらを向いている顔は驚いて(むしろ、何やねん!と不審がって)見え、白い肌の体は艷やかでした。
このすぐ近くにフェルメールの「ディアナとニンフたち」があります。
<第4章 肖像画と「トローニー」>
エスカレーターを登り中階は「トローニー」という画家が自由に制作した肖像画のコーナーです。フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」はこの章の最初にあります。
「真珠の耳飾りの少女」は絵の前の列で5分くらい待ったと思いますが、以前に比べてすんなり見られたと思います。逆に、列の横で離れて見る人は以前より増えていたかも。閉館直前にこの絵の前に再び戻ってきたのですが、閉館5分前でも混んでいて、3分切った辺りから快適に観られましたw そのお陰で細部まで観られたし、だいぶ満足できました。
22 アンソニー・ヴァン・ダイク 「アンナ・ウェイクの肖像」「ペーテル・ステーフェンスの肖像」
2枚セットの夫婦の肖像で、右は織物商・美術愛好家のペーテル・ステーフェンスの肖像、左には妻のアンナの肖像が向き合うように展示されています。ステーフェンスは、金色の豪華かつ緻密な手袋を手につけ黒衣に白いフリルの姿で、アンナは羽根飾りを持ってこちらを見つめています。2人とも理知的な雰囲気で微笑んでいるようにも見えるかな。真珠の光沢など細かい質感も見事に表現されていました。
解説によると、通常の夫婦の肖像では左が男で右が女性となるのですが、これは既に完成していたステーフェンスの肖像に対になるようにアンナの絵が描かれたので、男女が逆になっているようでした。
28 ホーフェルト・フリンク 「椅子の傍らの少女」
これはレンブラントの弟子の作品で、暗い背景に白い服を着た女の子が椅子に手をかけている様子が描かれています。首から長い鎖で繋がった金の鈴?(水晶がついていて、ガラガラのようなもの)を下げ、あどけない顔をしていて可愛らしいです。身なりがよく身分の高い家の子なのかな? 表現も面白くて、師匠レンブラントに似た巧みな光の表現で女の子に光があたったような感じでした。ちなみにこの絵の椅子にはオマルを出し入れするところがあるとのことです。
29 レンブラントの工房による模写 「首あてをつけたレンブラントの自画像」
横向きでこちらを振り向くような若い頃のレンブラントの自画像… と思ったら工房による模写のようです。首の辺りに金属の首あてがあり、光を反射しています。解説によるとレンブラントはこの首あてをよく描いたそうで、素人目にはレンブラント作品そのものに見えますw 髪のあたりが若干柔らかめに見えるかな?? 本人の作でなくても十分な力量を感じる作品でした。
33 レンブラント・ファン・レイン 「羽根飾りのある帽子をかぶる男のトローニー」 ★こちらで観られます
豪華な羽根飾りのついた帽子を被り振り返る男性像です。首には金属の首あてがあり、口を少し開いて何か話しかけているように見えます。若干嫌そうな表情にも見えるw 暗い中に黒い服を着ているのですが、耳飾りと肩掛けに光が反射し、顔に光が当たっているためか、明るめに見えるのが面白かったです。
解説によると、このファッションは当時のものではなく画家の想像で描いたものなのだとか。レンブラントの肖像とも考えられたようですが、現在ではトローニーと考えられているようです。
<第5章 静物画>
さらにエスカレーターを登り上階の最初は静物画のコーナーです。
35 アーブラハム・ファン・ベイエレン 「豪華な食卓」
テーブルに乗った様々なものが描かれた静物で、水差し、カニ、ぶどう、桃、レモンなどなど、まさに豪華な食卓と言えるモチーフです。写実的かつ精密に描かれていて、中央の銀製の水差しにはイーゼルに向かう画家も描かれているほどリアルです。解説によると、左の方にある時計は限りある人生と時の経過を表し、豪華な食卓は節度を心がけるようにと警告しているとのことでした。一見豪華でも人生の儚さを表現しているようで面白いです。
<第6章 風俗画>
最後は当時の様子が伝わってくる風俗画のコーナーです。
44 ヘリット・ファン・ホントホルスト 「ヴァイオリン弾き」
肩を顕にしてヴァイオリンを弾く、赤い羽根飾りの帽子を被った女性が描かれています。歯を見せて笑っていて、ちょっと品がないですが、色気があります。解説によると、はだけた肩は性的な誘いを意味し、頭の羽根飾りは虚栄と欲望の象徴だそうです。また、カラヴァッジョに影響を受けているらしく、確かにそれが感じられました。表情や肌の色、明暗などがそれっぽく見えます。
45 ヤン・ステーン 「牡蠣を食べる娘」
手に牡蠣を持ち、上目遣いでこちらを見る赤い服の女性が描かれた作品です。黙々と食べている最中のようにも見えますが、当時は牡蠣は媚薬とされていたそうで、塩はその効果を高めると考えられていたようです。また、背後にカーテンに隠れるベッドがあるらしく、それを知るとちょっと意味深な表情に見えてきましたw ステーンの作品はこういう皮肉的な感じがあって面白いです。
ということで、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」だけでなく他の作品にもかなり満足できる内容でした。混んでいて大変ですが、美術好きの人は是非どうぞ。こんな機会は滅多にありませんからね。
おまけ:
イメージキャラクターになっている女優の武井咲が着た「真珠の耳飾りの少女」の衣装。

つくづくよく再現していると思いますが、イメージキャラクターの人選にいささかの疑問が…w
参照記事:★この記事を参照している記事
1回目の時の記事:マウリッツハイス美術館展 (東京都美術館)


【展覧名】
マウリッツハイス美術館展
【公式サイト】
http://www.asahi.com/mauritshuis2012/
http://www.tobikan.jp/museum/2012/mauritshuis2012.html
【会場】東京都美術館 ★この美術館の記事 ☆周辺のお店
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2012年6月30日(土)~9月17日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況(金曜日18時半頃です)】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
金曜日の夕方18時半頃に行ったのですが、10分待ちの看板があったものの実際には待ち時間無しで入ることができました。しかし、中はやはり混んでいて2重3重の列が出来るほどでした。閉館時間まで残り30分を切る頃には若干空いていたかな。
ちなみに公式サイトではリアルタイムの待ち時間だけでなく、過去の混雑状況も分かるようになっています。私の行った金曜日の夕方も狙い目なのですが、あまり遅く行くと時間内に見切れない可能性も…。その辺を気をつければかなり役に立つ情報だと思います。
参考リンク:
過去の混雑状況(pdf)
マウリッツハイス美術館展公式サイト (左上の待ち時間の所に過去の混雑へのリンクがあります)
さて、冒頭にも書きましたが、この展覧会をご紹介するのは2回目ですので、今回は補足的に以前ご紹介しなかった作品をご紹介していこうと思います。1回目はあまりの充実度に目移りしてしまいましたが、今回は落ち着いて鑑賞してきましたw やはり良い展示は2回行っておきたいものです。
フェルメールの参考記事:
ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年 (国立西洋美術館)
フェルメールからのラブレター (Bunkamuraザ・ミュージアム)
フェルメールからのラブレター 2回目(Bunkamuraザ・ミュージアム)
フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 感想前編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 感想後編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 2回目(Bunkamuraザ・ミュージアム)
ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画
ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画 2回目 (国立西洋美術館)
フェルメール光の王国展 (フェルメール・センター銀座)
<第1章 美術館の歴史>
まずはマウリッツハイス美術館についてのコーナーです。
06 アントーン・フランソワ・ヘイリヘルス 「マウリッツハイスの[レンブラントの間]」
マウリッツハイスの部屋の中に飾ってある無数の絵画が描かれた作品です。主に肖像が飾ってあるようですが、中央に大きな絵があり、何人かの人たちが死んだ人の解剖をしている様子?が描かれています。恐らくこれはレンブラントの解剖学講義の絵を画中画にしたものだと思うのですが、明暗の付け方がレンブラント風なのが面白かったです。レンブラントの絵の前には椅子が絵に向かって置かれ、絵を鑑賞した人がいたような余韻を感じました。
<第2章 風景画>
続いては風景画のコーナーです。
09 ヤーコブ・ファン・ライスダール 「漂白場のあるハールレムの風景」 ★こちらで観られます
地平線の上に建つ教会、広々とした空と平地、手前にはこの地域の重要な産業だった麻布を漂白する作業場があり、そこで働く人々の姿も描かれています。空が大きく取られているせいか開放的な印象で、平地も起伏がないので一層に広さを感じます。柔らかい光の当たる雲の表現も見事で、細かく写実的な作品でした。
12 ヤーコブ・ファン・ライスダール 「ベントハイム城の眺望」
岩山の上に建つ城を描いた作品で、山の下には川が流れています。これは作者のライスダールが旅で訪れたドイツのベントハイム城らしく、ライスダールはこの城を様々な角度から何度も描いていたそうです。解説によるとこの作品では低い位置から見上げるような視点となっていて、城はかなり高い山の頂きに建つような印象を受けるとのことでしたが、確かにそびえるような雰囲気でした。また、手前が暗く建物に光があたっているのも面白いです。
このような斬新な構図は先進的とされ、オランダ絵画の黄金時代の風景画に影響を与えたそうです。
14 ヘリット・ベルクハイデ 「狩りに向かう貴族たちのいる、ホフフェイフェル池のほとり」
政治の中心であるハーグ(マウリッツハイスのある街)を背景に、馬に乗った貴族たちが並ぶように進む様子を描いた作品です。沢山の犬を連れていて、どうやらこれは狩猟(鷹狩)に行く一行のようで、当時 鷹狩が許されていたのは総督の家だけだったので、かなり高い地位の人々の姿のようです。お互いに話をしたりして優雅な雰囲気があり、歩道に水たまりがあることから雨上がりの風情が表現されているようでした。
<第3章 歴史画(物語画)>
下階の最後は歴史画のコーナーです。ここには以前ご紹介したフェルメールの「ディアナとニンフたち」もあります。
16 ペーテル・パウル・ルーベンス 「聖母被昇天(下絵)」 ★こちらで観られます
これはアントワープ大聖堂を飾る祭壇画の構図を決めるために描かれた作品で、完成作はフランダースの犬でネロが追い求めていた作品だそうです。聖母マリアが亡くなって3日目に天に迎えられたという話を題材にしていて、上を向いて胸に手をあてるマリアと、冠を被せようとする天使など沢山の天使や見上げる人々が描かれています。モチーフの流れるような配置が面白く、劇的な雰囲気がありました。また、全体的に素早く描かれた感じがしましたが、色合いや柔らかい肌の表現はルーベンスらしさを感じました。
17 レンブラント・ファン・レイン 「スザンナ」 ★こちらで観られます
前かがみで自分の髪を両手で抑える裸婦が、顔だけこちらに振り向いた姿で描かれています。これは旧約聖書の一場面で、2人の長老に水浴を覗かれ脅されたものの、貞節を貫いたというスザンナを描いているそうです。こちらを向いている顔は驚いて(むしろ、何やねん!と不審がって)見え、白い肌の体は艷やかでした。
このすぐ近くにフェルメールの「ディアナとニンフたち」があります。
<第4章 肖像画と「トローニー」>
エスカレーターを登り中階は「トローニー」という画家が自由に制作した肖像画のコーナーです。フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」はこの章の最初にあります。
「真珠の耳飾りの少女」は絵の前の列で5分くらい待ったと思いますが、以前に比べてすんなり見られたと思います。逆に、列の横で離れて見る人は以前より増えていたかも。閉館直前にこの絵の前に再び戻ってきたのですが、閉館5分前でも混んでいて、3分切った辺りから快適に観られましたw そのお陰で細部まで観られたし、だいぶ満足できました。
22 アンソニー・ヴァン・ダイク 「アンナ・ウェイクの肖像」「ペーテル・ステーフェンスの肖像」
2枚セットの夫婦の肖像で、右は織物商・美術愛好家のペーテル・ステーフェンスの肖像、左には妻のアンナの肖像が向き合うように展示されています。ステーフェンスは、金色の豪華かつ緻密な手袋を手につけ黒衣に白いフリルの姿で、アンナは羽根飾りを持ってこちらを見つめています。2人とも理知的な雰囲気で微笑んでいるようにも見えるかな。真珠の光沢など細かい質感も見事に表現されていました。
解説によると、通常の夫婦の肖像では左が男で右が女性となるのですが、これは既に完成していたステーフェンスの肖像に対になるようにアンナの絵が描かれたので、男女が逆になっているようでした。
28 ホーフェルト・フリンク 「椅子の傍らの少女」
これはレンブラントの弟子の作品で、暗い背景に白い服を着た女の子が椅子に手をかけている様子が描かれています。首から長い鎖で繋がった金の鈴?(水晶がついていて、ガラガラのようなもの)を下げ、あどけない顔をしていて可愛らしいです。身なりがよく身分の高い家の子なのかな? 表現も面白くて、師匠レンブラントに似た巧みな光の表現で女の子に光があたったような感じでした。ちなみにこの絵の椅子にはオマルを出し入れするところがあるとのことです。
29 レンブラントの工房による模写 「首あてをつけたレンブラントの自画像」
横向きでこちらを振り向くような若い頃のレンブラントの自画像… と思ったら工房による模写のようです。首の辺りに金属の首あてがあり、光を反射しています。解説によるとレンブラントはこの首あてをよく描いたそうで、素人目にはレンブラント作品そのものに見えますw 髪のあたりが若干柔らかめに見えるかな?? 本人の作でなくても十分な力量を感じる作品でした。
33 レンブラント・ファン・レイン 「羽根飾りのある帽子をかぶる男のトローニー」 ★こちらで観られます
豪華な羽根飾りのついた帽子を被り振り返る男性像です。首には金属の首あてがあり、口を少し開いて何か話しかけているように見えます。若干嫌そうな表情にも見えるw 暗い中に黒い服を着ているのですが、耳飾りと肩掛けに光が反射し、顔に光が当たっているためか、明るめに見えるのが面白かったです。
解説によると、このファッションは当時のものではなく画家の想像で描いたものなのだとか。レンブラントの肖像とも考えられたようですが、現在ではトローニーと考えられているようです。
<第5章 静物画>
さらにエスカレーターを登り上階の最初は静物画のコーナーです。
35 アーブラハム・ファン・ベイエレン 「豪華な食卓」
テーブルに乗った様々なものが描かれた静物で、水差し、カニ、ぶどう、桃、レモンなどなど、まさに豪華な食卓と言えるモチーフです。写実的かつ精密に描かれていて、中央の銀製の水差しにはイーゼルに向かう画家も描かれているほどリアルです。解説によると、左の方にある時計は限りある人生と時の経過を表し、豪華な食卓は節度を心がけるようにと警告しているとのことでした。一見豪華でも人生の儚さを表現しているようで面白いです。
<第6章 風俗画>
最後は当時の様子が伝わってくる風俗画のコーナーです。
44 ヘリット・ファン・ホントホルスト 「ヴァイオリン弾き」
肩を顕にしてヴァイオリンを弾く、赤い羽根飾りの帽子を被った女性が描かれています。歯を見せて笑っていて、ちょっと品がないですが、色気があります。解説によると、はだけた肩は性的な誘いを意味し、頭の羽根飾りは虚栄と欲望の象徴だそうです。また、カラヴァッジョに影響を受けているらしく、確かにそれが感じられました。表情や肌の色、明暗などがそれっぽく見えます。
45 ヤン・ステーン 「牡蠣を食べる娘」
手に牡蠣を持ち、上目遣いでこちらを見る赤い服の女性が描かれた作品です。黙々と食べている最中のようにも見えますが、当時は牡蠣は媚薬とされていたそうで、塩はその効果を高めると考えられていたようです。また、背後にカーテンに隠れるベッドがあるらしく、それを知るとちょっと意味深な表情に見えてきましたw ステーンの作品はこういう皮肉的な感じがあって面白いです。
ということで、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」だけでなく他の作品にもかなり満足できる内容でした。混んでいて大変ですが、美術好きの人は是非どうぞ。こんな機会は滅多にありませんからね。
おまけ:
イメージキャラクターになっている女優の武井咲が着た「真珠の耳飾りの少女」の衣装。


つくづくよく再現していると思いますが、イメージキャラクターの人選にいささかの疑問が…w
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1週間ほどご紹介してきた東北旅行も今回が最後です。青森に行った後、岩手の岩泉にある「龍泉洞」という有名な鍾乳洞に行ってきました。
公式サイト:龍泉洞

ここはバスで行く事もできるのですが、盛岡から片道2時間以上で2500円(1日4本)という結構な秘境です。それでも多くのお客さんで賑わう観光地となっていました。
2012年8月現在、JR東日本の各駅にもこの鍾乳洞のポスターが貼られていますが、ここは日本三大鍾乳洞の1つで、国の天然記念物にも指定されているそうです。洞窟は今分かっているところだけで3km以上あるそうで、3つの地底湖を楽しめます。(一般立ち入り禁止の場所に4つ目もあるそうです。)
参考リンク:龍泉洞のWikipedia
真夏に行ったので外は30度近いですが、中はひんやり12~15度程度でした。半袖だと寒いくらいです。

龍泉洞と龍泉新洞があるのですが、私は龍泉洞だけ観てきました。
洞窟内はこんな感じで幻想的にライティングされています。

洞窟の最初の方に地蔵岩という岩があったのですが、確かに地蔵っぽい形をしていて、祀られていました。

中に川が流れていると思ったら、地底湖につながっていました。

第一地底湖は深さ35mあるそうです。昔からこの洞窟は知られていたようですが、調査されたのは1920年代頃からで、第一地底湖の調査は1959年だったそうです。
これは深さ38mの第二地底湖。湖の底にライトが沈めてあるのですが、透明度が半端じゃありません。腐植土などにろ過されているためなんだとか。

そしてこれが深さ98mもある第三地底湖。水の透明度が一番良く分かります。底の方まで見えるのが凄い。

この龍泉洞ではダイバーが行方不明になったこともあるそうで、それも頷けるような迷宮&深さです。神秘と畏れを感じます。
この第三地底湖の辺りで、階段を登り降りするコースがあります。(登り165段、下り107段) 地底湖展望台を経て第一地底湖に戻るコースです。
登りきった「三原峠」というあたりの写真。苦労して登っても、地底湖ほどの感動は無かったかもw

少し先の展望台は撮影スポットには良さそうでした。結構、足場が濡れていて階段は危ないです。
帰り道にも面白い岩がありました。獅子のような形の守り獅子と、凍った滝のような音無しの滝。

これは白亜の議事堂と名付けられていました。ちょっと大仰な名前ですw

この辺にはコウモリ穴という洞穴もありました。ここに住んでいるコウモリも天然記念物の指定を受けているようです。
洞窟を出ると一気に暑さが戻りましたw
ここは名水でも有名で、近くにこんな綺麗な川が流れています。

水はやはり透明度が高く、驚くほど冷たかったです。
ということで、秘境の洞窟探検といった感じでした。行くのに苦労するので何度も行きたいというわけでも無いですが、神秘的な雰囲気の洞窟でした。水も美味しかったです。
次回から本線復帰で関東の美術館をご紹介していきます。毎度のことですが番外編をやるとアクセスがだいぶ減ってしまうのでまた頑張らないとw
公式サイト:龍泉洞


ここはバスで行く事もできるのですが、盛岡から片道2時間以上で2500円(1日4本)という結構な秘境です。それでも多くのお客さんで賑わう観光地となっていました。
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参考リンク:龍泉洞のWikipedia
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洞窟の最初の方に地蔵岩という岩があったのですが、確かに地蔵っぽい形をしていて、祀られていました。

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第一地底湖は深さ35mあるそうです。昔からこの洞窟は知られていたようですが、調査されたのは1920年代頃からで、第一地底湖の調査は1959年だったそうです。
これは深さ38mの第二地底湖。湖の底にライトが沈めてあるのですが、透明度が半端じゃありません。腐植土などにろ過されているためなんだとか。

そしてこれが深さ98mもある第三地底湖。水の透明度が一番良く分かります。底の方まで見えるのが凄い。

この龍泉洞ではダイバーが行方不明になったこともあるそうで、それも頷けるような迷宮&深さです。神秘と畏れを感じます。
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登りきった「三原峠」というあたりの写真。苦労して登っても、地底湖ほどの感動は無かったかもw

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これは白亜の議事堂と名付けられていました。ちょっと大仰な名前ですw

この辺にはコウモリ穴という洞穴もありました。ここに住んでいるコウモリも天然記念物の指定を受けているようです。
洞窟を出ると一気に暑さが戻りましたw
ここは名水でも有名で、近くにこんな綺麗な川が流れています。

水はやはり透明度が高く、驚くほど冷たかったです。
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