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巨匠たちの英国水彩画展 (感想後編)【Bunkamuraザ・ミュージアム】

今日は前回の記事に引き続き、Bunkamuraザ・ミュージアムの「マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵 巨匠たちの英国水彩画展」の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。


 前編はこちら


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まずは概要のおさらいです。

【展覧名】
 マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵
 巨匠たちの英国水彩画展

【公式サイト】
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_manchester/index.html
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_manchester.html

【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅

【会期】2012年10月20日(土)~12月9日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
前半は4章までご紹介致しましたが、後半は5~8章をご紹介します。

<第5章 幻想>
5章は写実ではなく幻想の絵画のコーナーです。詩人であり画家でもあったウィリアム・ブレイクは、詩や聖書に見られる幻想的なイメージを視覚化したそうで、多くの芸術家の発想のきっかけとなったようです。そして1829年にウィリアム・ブレイクに出会ったサミュエル・パーマーは彼の作品に触発され、自然をより幻想的な眼差しで描いたそうです。ここにはそうした画家の作品が並んでいました。
 参考記事:ウィリアム・ブレイク版画展 (国立西洋美術館)

ウィリアム・ブレイク 「『ヨーロッパ』図版1、口絵、《日の老いたる者》」 ★こちらで観られます
これはブレイクが考えた神話の中に出てくる「ユリゼン」という神が邪悪な暴君として描かれている作品です。背景に赤い球があり、身を乗り出して手を足元に伸ばし、コンパスで何かを計っているような長い白髪の裸の老人が描かれています。赤黒い太陽やたなびく雲と相まって異様な迫力があり、力強い印象を受けました。

この隣にはミルトンの詩の挿絵もありました。これも異様な幻想風景です。

ヨハン・ハインリヒ(ヘンリー)・フュースリ 「夢の中でポンペイウスの前に姿を現すユリア」
顔を抑えて仰向けになっているポンペイウスと、亡霊となって夫のもとに現れた妻のユリアを描いた作品です。ユリアは半裸で、両手を上げて衣をなびかせながら頭上を舞っています。人を脅かすような仕草だけでなくその顔も恐ろしげで、背景も暗くて何とも不気味な感じがしました。

この隣には幽霊を描いた作品もありました。

サミュエル・パーマー 「カリュプソの島、オデュッセウスの船出」 ★こちらで観られます
これはホメロスのオデュッセイアの挿絵として描かれた作品で、手前に出発する船が描かれ背景に太陽が神々しく輝いています。左下にはここに留まれば永遠の命を与えると言ったニンフが見送り、船ではそれを断って妻と子の元へと帰るオデュッセウスの姿があります(船が難破して7年もここに留まっていた) 光の表現が強く感じられ、劇的で神話的な場面となっていました。

この近くには恐ろしげながらも美しい光景の「マンフレッドとアルプスの魔女」という作品もありました。


<第6章 ラファエル前派の画家とラファエル前派主義>
続いてはラファエル前派に尽力した画家や運動の発展に寄与した画家のコーナーです。(ラファエル前派はダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハント、ジョン・エヴァレット・ミレイの3人によって結成された芸術団体で、その後ロセッティの弟(批評家)など4人を加えた7人が初期メンバーとなっています。その活動方針は、イタリアの巨匠、ラファエロよりも前の時代(初期ルネサンス)に範をとり、自然の入念な観察に立ち返るという理念を持っていて、中世の文学を題材にした作品や、聖書・聖人を主題とした作品が多く、細密な描写と鮮やかな色彩に特徴があります。) ここには主要メンバーの水彩画が並んでいました。
 参考記事:
  ラファエル前派からウィリアム・モリスへ (横須賀美術館)
  ラファエル前派からウィリアム・モリスへ (目黒区美術館)
  バーン=ジョーンズ展-装飾と象徴 感想前編(三菱一号館美術館)
  バーン=ジョーンズ展-装飾と象徴 感想後編(三菱一号館美術館)

ジョン・エヴァレット・ミレイ 「ブラック・ブランズウィッカー」 ★こちらで観られます
黒い軍服にドクロマークをつけた男性と寄り添う女性を描いた作品です。女性の顔には憂いがあるようで、目をじっととじて静かながらも男性を気遣う心情が伝わってくるようです。解説によると、タイトルはドイツと英国でナポレオン軍を撃退するために募られた義勇軍のことだそうで、ドクロはそのトレードマークのようでした。これから男性は戦争に出るのかな…。お互いの気持ちがよく表れているように思いました。

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ 「《ダンテの夢》のための棺の付き添い人の習作」
これはダンテ・アリギエーリの「新生」を主題にした作品で、手を組んで座る女性が描かれています。じっとどこかを見つめる目は意志が強そうに見えるかな。柔らかいタッチですが細密な描写で、ロセッティらしい色合いでした。好みの作品です。

エドワード・バーン=ジョーンズ 「坐る女性奏者《哀歌》のための習作」
赤い布をまとった女性が台形の弦楽器を持って、石の欄干のような所に座っている様子が描かれた作品です。どこかをぼんやり見つめていて思索に耽っているように見え、鮮やかな赤と相まって優美な印象でした。

この隣のフォード・マドックス・ブラウンの「ロミオとジュリエット」も好みでした。他にもミレイの風景画やラファエル前派を擁護したジョン・ラスキンの作品などもありました。


<第7章 ヴィクトリア朝時代の水彩画>
続いてはヴィクトリア朝(1837年~1901年)の頃の作品のコーナーです。水彩の描き方は19世紀半ばに激変したそうで、これは当時の美術評論家ジョン・ラスキンの影響が大きいらしく、ラスキンは画家に自然の中に歩み入り間近から描くことを奨励したそうです。さらに1834年に酸化亜鉛で作った白色顔料が売り出されたことも水彩を一変させたそうで、それまでの透明な色彩の代わりに顔料に白色を混ぜて作られた不透明な色彩の技法は、「グワッシュ」と呼ばれ油彩と間違われることもあるほどの色合いで描かれました。
また、ヴィクトリア朝の水彩画家の多くは中産階級の顧客の期待に応え、英国の懐かしい風景を正確な描写で表す一方、エドワード・ポインターのようにフランスの同世代の印象派などに影響を受けた作品を描いた画家もいたようです。ここにはそうした時期の作品が並んでいました。

アナ・ブランデン 「リザード・ポイント、コーンウォール」
海、砂浜、崖を描いた作品で、砂浜には2人の人物が小舟を海に運んでいく姿もあります。全体的に色が強く感じられ、海は青や緑、紫が混じって美しい光景でした。

ヘンリー・ムーア 「ペンザンス付近」
こちらは1872年の作品なので、有名な彫刻家とは別人かな。水面を行く2人の漁師の小舟と、紫がかった山が描かれた作品です。広々としてその色合いが何とも美しく、2人の舟の舳先には飛び跳ねる魚らしきものもいます。よく観ると船の周りには縄が張られ、漁をしているようでした。穏やかな印象を受ける作品です。

チャールズ・ウェスト・コープ 「黒板をもつ少女」
これは小さめの黒板を持った少女の横向きの姿を描いた作品です。着ている服はちょっとくたびれた感じなので貧しい娘なのかな。細密な描写で真剣な表情が描かれ、手に血管が浮き出ているのが分かるほどの写実性がありました。解説によると、グワッシュならではの表現も使われているようでした。

ヘレン・アリンガム 「収穫の進む畑、ケント州ウェスターハム近郊」
縦長でなだらかな山を背景に、金色に染まる畑で収穫する農夫と農婦が描かれ、後ろでももう1人が作業をしています。穂の1本1本まで見えるような緻密な描写で、穏やかな色合いが美しく、神々しい雰囲気すらありました。

この辺にはエビ漁の様子や井戸掘りの作品など、労働者を描いたものが何点かありました。


<第8章 自然>
最後は自然についてのコーナーです。18世紀には風景画は絵画の中で最も格下の題材でしたが、19世紀初めに自然主義的な風景画家がロイヤルアカデミーで認められると、各地で風景画が頻繁に描かれるようになったそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。

トマス・ゲインズバラ 「ブナの木、ヘレフォードシャー州フォクスリー、彼方にヤゾー教会を望む」
少し土が盛り上がった所に立つブナの木を描いた作品で、左奥には塔のような教会?が描かれています。これは屋外でスケッチしたそうで、堂々としてブナの生命力を感じさせる描写となっていました。解説によると構図も巧みとのことです。

デイヴィッド・コックス 「木の習作」
これは木を描いた作品のようですが、近くで観ると線が集まっているような抽象的な作品に見えます。かなり実験的な作風で、ここまで観てきた作品と明らかに違っていて驚きました。印象派の先駆けともみなされているようで、大胆で色彩が強い為、インパクトもありました。

アンドリュー・ニコル 「北アイルランドの海岸に咲くヒナゲシとダンルース城」 ★こちらで観られます
こちらは長く細い茎のヒナゲシやヒナギクなどが描かれた作品で、赤や青が鮮やかで上品かつ幻想的な雰囲気があります。かなり精密な画風ですが、絵の具の表層をかき取って下塗りの色を顕にする技法を使っているそうで、背景が透けて見える葉っぱなどもありました。これはちょっと驚き。

この辺りには植物を拡大して描いた作品なども並んでいました。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 「濡れた浜辺に沈む夕陽」
これは夕方の海辺が描かれた作品で、夕日の光がかなり淡く、人の形が亡霊のようにぼんやりと描かれています。光の色合いが美しく、やや抽象的なところが情感豊かに感じられました。


ということで、英国の水彩の魅力をじっくり楽しむことができました。最初の方よりも後半に印象深い作品が多かったように思います。 油彩とはまた違った面白さがあるので、水彩好き・イギリス絵画好きの方には楽しめると思います。


 参照記事:★この記事を参照している記事




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巨匠たちの英国水彩画展 (感想前編)【Bunkamuraザ・ミュージアム】

前回ご紹介した展示を観た後、Bunkamuraザ・ミュージアムにハシゴして「マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵 巨匠たちの英国水彩画展」を観てきました。この展示は作品点数が多く、見応えがありましたので前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

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【展覧名】
 マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵
 巨匠たちの英国水彩画展

【公式サイト】
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_manchester/index.html
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_manchester.html

【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅


【会期】2012年10月20日(土)~12月9日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
はじまって1週間程度だったこともあってか、空いていてゆっくり観ることができました。

さて、この展示はイギリスの水彩画を集めた展示で、英国屈指の水彩・素描コレクションを誇るマンチェスター大学ウィットワース美術館の所蔵品から、70人150点もの作品が出品されています。中には英国水彩画の父と呼ばれるポール・サンドビーや幻想画家ウィリアム・ブレイク、巨匠ウィリアム・ターナー、ジョン・エヴァレット・ミレイといった18~19世紀に活躍した錚々たる画家たちが含まれ、150年に渡って流れを観ることができる内容でした。展覧会は8つの章に分かれていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。


<第1章 ピクチャレスクな英国>
まず1章は「ピクチャレスク」という風景画のコーナーです。18世紀以降の英国では愛国心や歴史への傾倒から大聖堂や城砦など名所旧跡の風景を主題とする水彩が多く描かれたそうで、道路が整備され観光旅行が盛んになると、水彩画の多くは銅版画におこされ旅行案内書の挿絵にも用いられたようです。18世紀半ば頃には絵にするのに適した光景を意味する「ピクチャレスク」の概念が発達し、起伏に富んで唐突に変化し 不揃いなものこそがピクチャレスクな風景とされて多くの作品が描かれたようです。ここにはそうした作品が並んでいました。

ポール・サンドビー 「南西の方角から望むコンウェイ城」
手前のなだらかな斜面で羊や牛がのんびりとしていて、奥の方に堅牢な城が描かれた作品です。この画家は英国水彩画の父と呼ばれる人物で、北ウェールズの景勝地を描いているようです。写実的な作風で、広々とした雰囲気がありました。
この隣には同じ城を描いたターナーの作品もありました、城の近くで見上げるような視点の構図で、こちらの作品とだいぶ違って観えました。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 「ビルドウォズ修道院、シュロップシャー」
廃墟となった修道院を描いた作品で、アーチの中に収まるように奥のほうにもアーチや廃屋らしきものが見え、遠くには山も描かれています。どっしりとした感じや繊細な表現が巧みで写実的でした。解説によるとこれは20代の頃の作品なのだとか。

この近くにはターナーと共に研鑽を積んだトマス・ガーディンの作品もありました。見上げるような聖堂が描かれた作品など、聖堂を描いたものが何点か並んでいます。ガーディンは27歳で亡くなったそうですが、ターナーは自分以上の実力と考えていたほどだったようです。理想的な風景のようで静かで厳かな雰囲気がありました。

フランシス・ニコルソン 「ゴーデイル・スカー峡谷の滝、ヨークシャー」
両脇に切り立った崖のある滝を描いた作品で、白い飛沫を上げて勢いを感じさせます。その近くには岩場を登る人物がかなり小さく描かれていて、岩と滝の大きさを引き立てているように観えました。両脇の崖が迫り来るようで、自然の偉大さを感じさせます。


<第2章 旅行:イタリアへのグランド・ツアー>
続いては「グランド・ツアー」というイタリアへの旅をテーマにした作品が並ぶコーナーです。1740年代になるとアルプス山脈を経由する観光ルートが開かれたそうで、多くの画家がイタリアを訪問しました。また、18世紀始めには水彩画材を携帯する専用箱も手に入るようになったようです。そしてこの時代の上流階級の子弟の間では教育の仕上げとして、イタリアを中心とした隣国の文化を体験する「グランド・ツアー」が流行したらしく、これはローマやナポリを訪れてスイスを経由して英国に帰るルートだったようです。貴族の子弟は訪れた各所の景観を描いた水彩を注文したそうで、画家もその地で素描や水彩を描きました。そうして描かれた絵の中にはロイヤルアカデミーなどで一般の人々にも公開されたものもあり、コレクターの間でも人気を博したそうです。グランド・ツアーの最盛期には水彩画の洗練も増し、1790年代まで盛んに行われていたのですが、フランス革命やナポレオン戦争がおこると衰退していったようです。ここにはそうしたグランド・ツアーにまつわる作品が並んでいました。

アレグザンダー・カズンズ 「山の峡谷」
白黒の濃淡で描かれた作品で、木々が生い茂る山を描いています。一見すると細かい描写に見えますが、それだけでなく「染み」を使っている表現が独特で、濃淡だけでも空気感が伝わってきました。モノクロの為か、日本や中国の山水みたいな情感でした。

サミュエル・プラウト 「ヴェネツィアの運河のカプリッチョ」 ★こちらで観られます
これはヴェネツィアの運河とその周りの建物を描いた作品です。ゴンドラやアーチが描かれ、建物の装飾などは豪華で立体感があり浮き出るようなリアルさを感じます。しかし、これは実在の建物を想像力を働かせて描いた架空の景観「カプリッチョ」だそうで、理想的な穏やかさがあるように観えました。

ウィリアム・パーズ 「ネミ湖」
丘の上から湖を見下ろすような光景を描いた作品です。このネミ湖は古代の女神ディアナの信仰の地らしく、「ディアナの鏡」と紹介されることもあったそうです。湖面には向こう岸の街が映り、その名の通り美しい水を湛えています。手前の丘では手を伸ばして指さしている男性と坂を登る女性の姿があり、楽しげな雰囲気でした。

この辺りにはネミ湖を描いた作品が何点かありました。


<第3章 旅行:グランド・ツアーを越えて、そして東方へ>
続いては更に遠くまで旅したグランド・ツアーのコーナーです。1815年にナポレオン戦争が終わりヨーロッパの道が再び開かれると、画家たちはイタリアより更に遠方に目を向けるようになりました。ドイツやスペインの他、1830年代以降は大英帝国の領土拡大と交易に伴ってエジプトなどの中東にも足を運んだそうで、ここにはそうした作品が並んでいます。中にはインドや中国を描いた作品もありました。

クラークソン・スタンフィールド 「ベレンの塔、リスボン」
海際に建つ立派な塔と、手前で荒波の上に浮かぶ舟が描かれた作品で、緻密に描かれ動きも感じられます。また、空の雲の表現が見事で透明感や明暗は写真のようでした。

ジョン・フレデリック・ルイス 「闘牛開催日のグラナダ近郊」
これはスペインの街の一角に沢山の人々が集まっている様子が描かれた作品です。美女2人を連れた闘牛士らしき人物を始め、酒を飲む男や馬に乗った人たち、修道僧など様々な階級の人が描かれていて賑わいを感じます。不透明なグワッシュを多用しているようで、それが色鮮やかで力強い雰囲気を出していました。当時のイギリスでも高い評価を受けたそうで、活気に満ちた作品でした。

ウィリアム・ホルマン・ハント 「シオンの丘からレファイム平野を望む、エルサレム」
丘から眺める広々とした赤っぽい大地を描いた作品です。これはエルサレムのシオンの丘だそうで、所々に緑の木々がぽつぽつと生えています。画面左下の丘には子供を抱きかかえる男ともう1人の子が描かれていて、何か物語性があるようです。解説によると、これは斜面の下から石を投げられるのを庇っているそうで、ダビデ王を暗示しているのではないかとのことでした。
この辺にはナザレ(イエス・キリストが育った地)を描いた作品もありました

ウィリアム・ホルマン・ハント 「岩のドーム、エルサレム、ラダマンの期間」
エルサレムの夜の街を描いた作品で、中央にドーム状の屋根を持つモスクらしき建物があり、中から灯りが漏れています。左手前には女性が立っていて、これも何かストーリーがありそうに観えましたが分かりませんでした。解説によると、作者のハントは絵を描くために月の光線が得られるまで辛抱強く待ち続けたそうで、その時のことを「詩的でうっとりするような光景だった」と語っていたそうです。その為か神秘的な雰囲気があるように観えました。

レジナルド・バラット 「日没時のスフィンクス、エジプト」
手前にやや斜めから見たスフィンクスが描かれ、背景には2つのピラミッドが描かれた作品です。この頃のスフィンクスはまだ胸から下は砂に埋まっていたらしく、頭以外は岸壁みたいな感じを受けます。近くには人がいて、その大きさが伝わって来ました。悠久の歴史を感じさせる1枚です。

この隣にはカイロの奴隷市場を描いた作品や、中国、インドを描いた作品もありました。


<第4章 ターナー>
続いては英国の巨匠 ターナーのコーナーです。ターナーは油彩だけではなく水彩でも多くの作品を残しているそうで、初期の作品はトマス・ハーンらの地誌的な水彩の影響が見られるそうです。また、水彩絵の具の表現力を活かしたジョン・ロバート・カズンズの描き方に魅力を感じ、信奉していたようです。
1790年代からロイヤルアカデミーでも水彩画を展示し始めたそうで、次々と新しい技法を取り入れて顧客を増やしていきました。ここには活動期間全般を網羅するターナーの作品が並んでいました。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 「旧ウェルシュ橋、シュロップシャー州シュルーズベリー」 ★こちらで観られます
これは19歳頃の作品で、崩れかけた建物が乗っている橋と、その下の川を描いた作品です。橋の下のアーチの中に奥の新しい橋が作られているのが見える面白い構図で、繊細な色合いで描かれています。舟が水面に写りこむ透明感がある様子や、橋がボロボロで崩れ落ちそうな感じがよく出ていました。若い頃からかなりの力量があったことを伺わせます。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 「ウォリック城、ウォリックシャー」
手前に水辺があり、奥に城が描かれた作品です。川岸には帽子の男性ともう1人の男性の姿があり、空にはちょっと暗めの雲がかかっています。淡く繊細な色彩の変化が幻想的に見えたのですが、解説によると暑さが伝わってくるようだとのことでした。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 「アップナー城、ケント」 ★こちらで観られます
これは今回のポスターの作品で、夕日(朝日?)に染まる港が描かれています。右の方に城があるのですが、これがアップナー城らしく、当時は火薬庫だったようで、画面下にはライフル銃が描かれていてそれを暗示しているそうです。大きな2隻の間にある太陽が神々しく、画面を金色に染めた光景はどこか懐かしさも感じました。水面の反射も美しく まさに傑作です。解説によると、ターナーはクロード・ロランの作品に感激していたらしく、この作品にも影響を受けているとのことでした。(確かにロランのこういう光と船の作品を見た覚えがあります)
 参考記事:ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画(国立西洋美術館)

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 「ルツェルン湖の月明かり、彼方にリギ山を望む」 ★こちらで観られます
これは60代の頃の作品で、湖の水面と月が描かれた風景画です。背景には青い山が描かれ、全体的にぼや~っとしています。その光と空気が融け合うような感じが幻想的で、神秘性を感じました。この作品はターナーの水彩画の最高峰と呼ばれることもあるそうで、こちらも大変見応えがありました。


ということで、前半からターナーの傑作をはじめ好みの作品が並んでいました。後半もラファエル前派など見所がありましたので、次回は展示の最後までをご紹介致します。



  → 後編はこちら



 参照記事:★この記事を参照している記事




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江戸の判じ絵 ~再び これを判じてごろうじろ~ 【たばこと塩の博物館】

この前の土曜日に、渋谷のたばこと塩の博物館で「江戸の判じ絵 ~再び これを判じてごろうじろ~」を観てきました。

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【展覧名】
 江戸の判じ絵 ~再び これを判じてごろうじろ~

【公式サイト】
 http://www.jti.co.jp/Culture/museum/exhibition/2012/1209sep/index.html

【会場】たばこと塩の博物館
【最寄】渋谷駅


【会期】2012年9月15日(土)~2012年11月4日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
混んでいるというほどでもないですが予想以上に多くのお客さんで賑わっていて、たまに人だかりができている作品もありました。判じ絵はじっくり推理しながら観るので中々進まないようです。

さて、今回の展示は「判じ絵」という 絵を観てそこから推理して答えを導くなぞなぞのような作品をテーマにした内容となっています。判じ絵はもともとは言葉遊びの一種で、近世以降に流行を繰り返し次第に形が整えられていったらしく、音節に分解しバラバラになった音を任意に再結合するなどして 異なる意味の単語を作り出したりします。例えば「象(ぞう)」の絵と「金太郎(きんたろう)」の上半身の絵を合わせて「雑巾(ぞう+きん)」と読むなど駄洒落のような言葉遊びです。

展覧会のタイトルに「再び」とあるのは1999年に同じテーマで展覧会を実施し好評を得ていたそうで、それをきっかけに判じ絵の認知度も上がったそうです。私は以前の展示は観ていませんが、今回の展示だけでも十分楽しめましたので、簡単に会場の雰囲気をご紹介しようと思います。なお、作品リストは無いようでしたのでメモを頼りに書いています。たまに抜け落ちている所もありますがご容赦のほどを…。
 参考記事:
  おもちゃ絵の世界 ~見る・作る・遊ぶ・学ぶ~ (紙の博物館)
  描かれた不思議 トリック&ユーモア展 エッシャー、マグリット、国芳から現代まで (横須賀美術館)


会場に入る前の入口あたりに大きなタッチパネルのタブレットのような機器が2台置かれていました。これは展覧会の中にもある判じ絵をクイズ形式で出題するゲームが入っていて、中々のクオリティでした。これを本格的にアプリにしたら人気出そう…w 中に入ると壁際にぐるりと作品が並び、部屋の中央に展示ケースが置かれている感じです。私はまず時計回りに壁際の作品を観て、それから中央の作品を観ました。

まずは判じ絵の歴史についての解説がありました。判じ絵はいつ頃から存在していたのか不明のようですが、平安後期から連綿と行われていた言葉遊びが応用されていると考えられるようです。近世に至り古典文学と関係の深い高尚な遊びに、様々な俗的要素が加味され、庶民遊戯の要素も加わり やがて判じ絵になっていったようです。最初に元禄期の本などがあり、これは観ても意味がよく分かりませんでした。

その後、1795年の山東京伝が自分の「京屋」の周知用に作成した引札を判じ絵で作らせて大評判となったそうです。また、黄表紙に判じ物が登場し、浮世絵にも応用が見られるようになるなど判じ絵は広がっていきます。これは庶民にも判じ絵を解読できる程度の素養が広がっていたことも示すようでした。

「謎つくし」
これはいくつかの絵が並んだ作品で、その1つには 青い花の上に牛若丸が乗り、後光が差しているという一見奇妙な絵がありました。これは「葵の上」「光る」「源氏」で光源氏葵の上を指すようです。絵は奇妙ですが確かに一定の教養がないとこれは解読が難しいかも…。 かくいう私もこれを観ても判じることはできませんでしたw

解説によると判じ絵にはいくつかパターンがあるようで、
・同音異義語を使った表現。例:子供に服を「着せる」と「キセル」
・鳴き声や音を連想させるもの。
・洒落を使ったもの。例:茶を点てるガマガエル → 茶釜
・音を一部抜いたもの。例:桜(さくら)の中央部分が消された絵 → 皿
・逆さ読みにするもの。例:上下逆さに描かれた猫 → 「こね」
・絵の隣に濁点/半濁音がついているもの。 例:猿の絵の隣に「゛」 → ザル
・擬人化。 例:頭が菜っ葉の人物が尻から屁を出している → 菜屁 → 鍋
などの表現が紹介されていました。これを手がかりに読みといていくことになります。ちゃんと解答や解説もセットになっているのが非常に分かりやすいです。

歌川国貞 「役者判じ物」
頭巾をかぶった役者の絵の上に団扇があり、手綱?、輪、上半分の馬(むま)、上半分の蘭の花、人物の掛け軸(相見)、曽我兄弟の紋(十)、半分の鷺(ろ)が描かれています。これを合わせると沢村宗十郎(さ輪むら 相十ろ)となるそうですが、現代人の私には解答どころかヒントすら読み解くことができませんw かなり難解ですが、無理やりな感じがちょっと面白かったです。
この辺りにはこうした役者の名前の判じ物がありいずれも難解でした。私は海老が描かれていた市川海老蔵だけはかろうじて分かったくらいですw また、もはや象形文字の1種かと思えるほど沢山の絵が並んだ「流行道化拳判じ物」という作品などもありました。
なお、これが出てきたらこう読むというパターンもあるようで、天狗が出たら魔(ま)と読むパターンなどは展覧会を通して何度も見かけました。

この辺りにあった解説によると、こうした判じ絵の流行の背景には天保の改革による出版規制があるようで、歌舞伎や遊女を題材にした作品を規制したことによって、取るに足らないものを画題にした判じ絵へと繋がっていったようでした。

歌川重宣 「いろは四十八字判じ物」
これは井戸、櫓(ろ)、歯、荷物、帆といったものが並び、それぞれを繋げるといろはにほ…となる作品です。たまに描かれているものが昔の読み方だったりしますが、何を意味しているか分かると案外読み解くことができます。特に面白いのは相撲取りが転がっているものが「負け」となっていて、「うゐのおくやま けふこえて」の「まけ」を表している荒業でした。音節を自在に扱っていてユーモアも感じられました。

「見立十二支」
これは作者を忘れましたが十二支を表すものが描かれた作品で、「む」の字を持ち上げる天狗(魔)でむま=馬や、10個の「ら」の字が並んで虎といった感じでシュールですw こうした物尽しの作品では右上にそれが何の判じ絵か分かるようにそれに関連したものが描かれるそうで、この場合は十二支の盤が描かれていました。解くのも難しいですが、発想がぶっ飛んでる絵が多くて面白いです。

歌川重宣 「江戸名所判じ絵」
これは江戸の町を表すものが描かれた作品で、赤い羽根で赤羽とかは結構簡単に分かりましたが、城から小判を撒いている様子が白金だったりするのは中々難しくて、シロガネーゼもびっくりの金持ちぶりですw 他にも頭が「あ」の擬人が「さ」と書かれた屁をしているシュールな絵があり、これは「あ」がした「さ」の屁が「くさい」で浅草と読むようでした。無理やりすぎで他に無かったのかとツッコミを入れたくなること請け合いですw ちなみに浅草は他の作品でも朝比奈三郎が屁で臭いとか、屁の臭さとワンセットにされていました。なんだか浅草が不憫です。

「東海道五十三次判じ物」
これは東海道五十三次を判じ物にしたもので、今回のポスターにもなっている絵も描かれています。歯と上下逆さになった猫で「箱根」だったり、尻に絵を貼って江尻、戸に刀の柄が刺さっている戸塚などは判別できました。こちらもユーモアセンスのある作品でした。

この近くには国尽くしなどもありました。どうも「へ」が来ると屁をしていることが多いようで、こんなに放屁をしている人の絵を一気に見たのは初めてですw

歌川重宣 「勝手道具判じ物」 ★こちらで観られます
これは先程に例として挙げた茶とガマ→茶釜や、象と上半分の金太郎→雑巾、中央が消えた桜→皿、猿に「゛」→ザル などが描かれた作品です。いずれも台所用品を描いた判じ物らしく、他には田んぼにいる鷲→タワシ といったものもありました。判じ絵のルールが一挙に見られるので、読み解きの練習になりそうな作品でした。

歌川重宣 「青物づくし判じ物」
これは野菜を判じる作品で、現在と同じ名前の野菜が多いので比較的容易に読み解くことができるようです。 塔に息を吹いている様子→フキノトウ、碁盤に棒を突き立てる様子→ゴボウ、木を売っている→キュウリ、台の上の狐→台と鳴き声のコンで大根、妊娠中の女性に「゛」→人参 など、確かに他に比べると読みやすいかな? 読み解くには柔らかい思考と根気が必要に感じましたが面白かったです。

この隣には果物の判じ絵がありました。鈴が5つで林檎(リンという音が5個)はすぐに分かって嬉しいw また、その先には魚の判じ物があり、戸に錠が掛かって「゛」が付いてドジョウ、足に「゛」でアジなどは何とか判じることができました。答えを観るとなるほどと思うのですが、なかなか難しいです。

さらに先には呉服の判じ物もあったのですが。これはそもそもの単語を知らないので無理でした。同様に武者、力士、流行物、浄瑠璃、狂言、噺家などの判じ絵は、当時の人物・出来事をよっぽど知らない限り判読は難解で、たまに未判別となっている作品もありました。人物名は先程の役者の名前のように無理矢理な力技が多い気がします。若い牛で牛若くらいしか分からなかった…w

他には草花、虫、獣の判じ物があり、これらは比較的わかりました。頬に王将で鳳凰とか笑えます。

「焼場方角附」
これは安政地震で火災被害に遭った場所を判じ絵にしたもので、ちょっと不謹慎な気もします。多くの瓦版や絵が地震で混乱する中で検閲を受けずに出回ったそうで、これもその1つのようです。子供と石と川→小石川、将棋の駒に肩→駒形、亀と井戸→亀戸といった感じで江戸の各所が描かれ、若干ストレートな感じに思えました。

この辺で壁際は終わりで続いて部屋の中央のガラスケースの中の作品を見ました。江戸の町を判じ絵にした双六のような作品、京都の名所を判じ絵にした作品などがあり、難易度高めです。また、判じ絵で新年の挨拶状を書いたものがあり、絵がずらずらと並んでいて驚きました。
さらに判じ絵は実用にも使われていたようで、字が読めない人向けの判じ絵のお経の本がありました。まるで象形文字のような感じで、これを覚えるならひらがなを覚えた方が早いだろ!とツッコミを入れたくなります。これは東北の南部地方の品のようで、2つくらい並んでいました。


ということで、江戸時代のなぞなぞに挑むような展示で楽しめました。無理やりその単語を表そうとするシュールな絵だったり、屁が頻発するような卑近な図柄が笑いを誘いました。もうすぐ終わってしまいますが、渋谷に行く機会があったら覗いてみると楽しいと思います。しかも入場料は100円と激安です。


 参照記事:★この記事を参照している記事



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没後70年 竹内栖鳳(前期) 【山種美術館】

先週の日曜日に恵比寿の山種美術館に行って、「没後70年 竹内栖鳳」を観てきました。この展示は前期・後期に分かれていて私が行ったのは前期の内容でした。

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【展覧名】
 没後70年 竹内栖鳳

【公式サイト】
 http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html

【会場】山種美術館
【最寄】JR・東京メトロ 恵比寿駅


【会期】
  前期:2012年09月29日(土)~10月28日(日)
  後期:2012年10月30日(火)~11月25日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
混んでいるというほどでもないですが結構お客さんがいて、賑わっていました、

さて、今回の展示は今年で没後70年となる日本画の巨匠、竹内栖鳳の展示です。竹内栖鳳は東の大観、西の栖鳳と並び称された画家で、自身の画業の素晴らしさだけでなく後進を育て多大な影響を与えました。今回の展示では初期から晩年の栖鳳の作品に加え、連綿と続く京都画壇からの影響についてや、弟子たちの作品など3つの章に分かれて紹介されていました。詳しくはいつも通り各章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。なお、冒頭にも書いたようにこの展示には前期・後期があり、作品も大幅に入れ替わりがあるようです。お目当ての品がある方は出品リストを確認してからお出かけすることをお勧めします。
 参考リンク:出品リスト
 参考記事:大観と栖鳳-東西の日本画 (山種美術館)


<冒頭>
まず冒頭部に栖鳳についての略歴がありました。竹内栖鳳は京都の料亭の息子として生まれ、跡継ぎになることを期待されましたが次第に画家を目指すようになりました。そのきっかけは画家の客が即興で描いた杜若を観たことで、筆一本で自然を生き生きと表現できることに驚いたそうです。画家になることは家族に反対されましたが14歳で近所の画家に習いに行くようになり、夢が叶います。 そして30代になる頃には京都画壇を代表する画家に上り詰め、パリ万博が開催された1900年にはヨーロッパ遊学を果たしました。渡欧先では西洋絵画に直に触れ、帰国してからは写生を軸にした円山四条派の画風に西洋絵画の要素を取り入れた新しい表現を生み出していくことになります。詳しくは後の章となりますが、ここには栖鳳の代表作がハイライト的に展示されていました。

27 竹内栖鳳 「斑猫」 ★こちらで観られます
座って振り返る姿の猫を描いた作品で、全体的にふわっとした毛並みをしています。じっとこちらを伺う目はエメラルドグリーンで、どことなく気品があり優美な雰囲気です。解説によると、この猫は栖鳳が旅で立ち寄った沼津の八百屋の愛猫だったのですが、栖鳳は一目見た瞬間に徽宗皇帝(自らも絵を描いた北宋の皇帝)の猫図を想起し表現欲が湧いたそうです。そして栖鳳は自筆の画と引換に猫を譲り受け、京都に連れて帰って写生や撮影を繰り返し、この絵を完成させました。
作品の近くにはこの猫の写真があり、確かに絵の猫と似ていました。目は若干黄色っぽく見えるかな。毛並みは写真より絵の方がふわふわしていて、表情も一層賢そうに描かれています。世の中に猫の絵は数あれど、これは1つの頂点ではないかと思います。


<第1章 先人たちに学ぶ>
1章は栖鳳が影響を受けた先人たちのコーナーです。栖鳳が最初に画を学んだのは円山四条派の画家(土田英林)で、円山四条派は円山応挙を祖とする円山派と、呉春を祖とする四条派から成っています。円山派は写生を重んじ写実的な画風である一方、四条派は写意(精神性)を重視したらしく、それぞれ方向性が違っているのですが、双方を兼ね揃えた画家もいるので広い意味で区別なく円山四条派と総称されることが多いようです。栖鳳の師(2番目の師)となった幸野楳嶺も双方を学んでいたらしく、栖鳳にもそれが伝わっていったようです。ここにはそうした円山派・四条派。四条派風に転じた森派など栖鳳を遡る画家の作品が並んでいました。
 参考記事:円山応挙-空間の創造 (三井記念美術館)

3 円山応挙 「虎図」 ★こちらで観られます
これは水墨の掛け軸で、渓流の岩に両手を乗せてこちらを睨みつけている虎を描いた作品です。手足には力が漲っていて緊張感が張り詰めています。しかし虎の顔は猫みたいな感じかなw 解説によると、写実を重んじる円山派ではありますが、これが描かれた頃(江戸時代)はまだ虎を観ることが出来なかったようで、猫などを参考に描いていたそうです。その為か目や体つきが猫っぽく感じられるとともに、S字の尻尾に気品が感じられました。

8 伝 長沢芦雪 「唐子遊び図」
沢山の中国風の子供達が集まった様子が描かれた作品で、琴棋書画をテーマにしています。下の方では地べたに紙をおいて絵を描く子供と その周りで見守る子供たち、さらにその背後には書を広げる子供が描かれています。また、中段では台に琴を乗せて弾く子供と それを見ている子供たち、右上の方には碁石が散らばった碁盤の近くで取っ組み合いの喧嘩をしている子供たちが描かれています。写実的でありながら生き生きとしていて、喧嘩をしていても楽しげな雰囲気があります。これは応挙の弟子の芦雪の作と伝わっているようで(真作かは不明)、応挙の作を踏襲したと考えられるようです。目尻の垂れた黒目がちな目元などに芦雪の特徴があるとのことでした。本当に芦雪の作か私には分かりませんが、素晴らしい作品であることは確かに思います。

この辺には四条派の祖である呉春の師、与謝蕪村の作品もありました。遡れば円山応挙も与謝蕪村も沈南蘋の影響を受けているので源流は同じなのかも??

4 円山応挙 「雪中双猿図」
雪の降り積もる枝の上で2匹の猿がくっつき合うように描かれた作品です。1匹は伏せて枝を掴み、もう一匹はそれに跨るようにして何かを手に持って口に近づけています。濃淡で一気に描いたような感じで刷毛の跡が残っているほどですが、輪郭線のない体毛の表現などが面白く、一目で応挙と分かる個性がありました。応挙も好きなのでこれも好みです。

この辺には森派や明治期の円山派の作品などもありました。


<第2章 竹内栖鳳の画業>
続いての2章が今回のメインです。竹内栖鳳は18歳で幸野楳嶺の門弟となり、「棲鳳」という名前を幸野楳嶺から名付けられました。これは鳳凰にちなんだ名前のようで、後に字は変わりましたが発音は同じです。
入門の翌年には早くも展覧会へ出品し受賞を重ねたそうで、次第にその名を轟かせていきます。1900年にはパリ万博見学および西洋美術視察の目的で渡欧を果たし、ヨーロッパ各地をめぐるチャンスを得たそうで、帰国後には「棲鳳」から「栖鳳」に名を改め渡欧体験の成果を形にして行きました。また、文展では初回から審査員を務めつつ話題作を次々と発表したそうで、帝展でも審査員となり京都画壇を代表する画家となっていきました。ここには初期からヨーロッパ滞在時の作品や代表作などが並んでいました。

19 竹内栖鳳 「池塘浪静」
芦の生える水辺を描いた作品で、水の中には鯉が沢山描かれ、1匹の鯉が身をくねらせて水から跳ね上がっています。全体的に線が細い印象で、芦は1本1本真っ直ぐに伸びています。また、背景は霞むようで奥行きを感じさせるのですが、こうした画風は円山四条派の伝統に則りながらも近代性があるとのことでした。静かな中に躍動感のある作品です。

この近くには26歳頃に雪舟の模写をした19「山水長巻」もあり、雪舟の画風に近く感じられ技量の高さを伺わせました。また、打って変わって大胆な画風の「熊」という作品があり、荒々しい雰囲気に驚きました。しかしどこか可愛らしいw

21 竹内栖鳳 「象図」 ★こちらで観られます
六曲一双の屏風で、金地に水墨で描かれています。右隻は正面を向いた象で、画面からはみ出さんばかりに大きく描かれています。一方、左隻では横向きの象が背中に籠を載せ、そこに猿も乗っています。その象に驚いたのか猿の目線の先には2羽の鳥が逃げていく様子も描かれているのが面白いです。象は右前足を上げて踏み出すような力強さがあり、表面が細かく描かれて写実的な感じでした。解説によると、実物の象を日本で見るのは難しい時代だったようですが、パリに行った際にスケッチしてきたらしく、それを元に写実的に描いているようです。また、猿の大きさと象の大きさを対比することで、その大きさを強調しているらしく、これは芦雪が得意とした手法とのことでした。猿のふわふわした毛と象の体表のざらつきも対照的に見えるかな。

この近くには中国旅行の際の作品もありました。栖鳳は狩野派も模写していたらしく、そのルーツは中国にあると考えていたようです。また、中国の揚州に似ていると言っていた潮来を描いた作品も多々並んでいました。

42 竹内栖鳳 「晩鴉」
これは水墨の掛け軸で、潮来の川の周りが描かれた作品です。周りには木々が生い茂り、橋の上には大きな鴉がとまっています。写実性はあまりなく詩情溢れる感じで、鴉、橋、樹の幹などは線が使われていますが、全体的には墨の滲みを使って表現していて、ぼんやりとして湿潤な空気感が伝わって来ました。解説によるとこの作品には特注の和紙が使われているとのことでした。

この辺には短冊や色紙に描かれた作品もありました。

36 竹内栖鳳 「緑池」
水面から顔を出している蛙を描いた作品です。蛙以外は色の濃淡と余白のような感じで、静かな雰囲気が漂います。蛙は写実的で、頭から下は水面に入っているような表現が見事でした。

22 竹内栖鳳 「雨霽」
これは六曲一双の水墨の屏風で、第1回文展に審査員として出品した作品です。左隻には6~7羽の鷺の群れが柳の下で休んでいて、口を開けたり振り返ったりそれぞれのんびりと過ごしているようです。一方、右隻には羽根を伸ばして飛び立つ鷺と柳の木が描かれています。解説によると、文展の締め切り5~6日前あたりではこのまま出してもつまらない作品だと考え一旦は筆を置いたそうですが、右隻にうっすらとした柳の木を書き加えたことで奥行きと広がりが出て満足できる作品になったそうです。また、渡欧後はその影響の強い作品を作っていましたが、この作品では円山四条派に立ち返っているそうです。 雨上がりの空気感や鷺の躍動感が伝わり、叙情性のある作品となっていました。

この隣には第2回文展に出品された23 「飼われたる猿と兎」(東近美所蔵)も展示されていました。
 参考記事:東京国立近代美術館の案内 (2010年04月)

45 竹内栖鳳 「蛙と蜻蛉」
余白を背景に12匹の蛙が描かれた作品で、その上の方には1匹のトンボが舞っています。蛙はじっと身を低くしているものや、足を伸ばして跳んでいるもの、2~3匹で組み合っているもの、右半分が画面からはみ出している蛙などもいて、何となく右の方に向かっているような感じを受けます。それに対してトンボは自由な雰囲気がありました。 解説によると、これは帝展に出品された作品で、帝国美術院の日本画会員が12名であったため風刺的な寓意を込めたのではないかと言われたそうです。また、制作の際には栖鳳は10日間も蛙を見つめつづけ、オスとメスの区別がつくほどだったのだとか。栖鳳は鳥獣戯画を模写したこともあり、それを思わせるとのことでした。

この近くには横山大観(松)、川合玉堂(竹)と共に描いた46「松竹梅のうち 梅」も展示されていました。 また、可愛らしい鴨の雛を描いた50「鴨雛」も好みでした。

45 竹内栖鳳 「春雪」 ★こちらで観られます
最晩年の作品で、小舟の舳先にとまりじっとしている鴉が描かれています。周りには大きめの雪が淡く舞い散り、灰色を背景にして寂しげな感じに見えます。しかし淡い色彩の中で鴉の黒が強くみえて孤高の雰囲気があるように思いました。解説によると、栖鳳はこの作品を描いた5ヶ月後に亡くなったそうです。

この隣には水車の上に乗った鳥を描いた51「憩える車」という作品もあり、こちらも好みでした。


<第3章 栖鳳をとりまく人々>
最後は同門・同僚や弟子たちのコーナーです。(たまに本人の作品も展示されています) 栖鳳は優れた画家であると同時に優秀な指導者でもあり、京都画壇の発展に寄与しました。栖鳳の画塾「竹杖会(ちくじょうかい)」で学んだ門下生には上村松園、西村五雲などもいます。また、明治後期から大正にかけては京都市美術工芸学校と京都市立絵画専門学校で教鞭をとり村上華岳をはじめ多くの学生を指導しました。ここにはそうした栖鳳を取り巻く画家の作品が並んでいました。

58 菊池芳文 「花鳥十二ヶ月」
この人は幸野楳嶺の元で栖鳳と共に学び、京都府画学校と京都市立絵画専門学校で教鞭をとった画家です。タイトルのとおり12ヶ月をテーマにした作品で、そのうち7~12月が展示されていてました。細やかで情感溢れる画風で、淡い色彩が優美に感じられます。特に8月の伸びやかな葉っぱや10月の紅葉する木々と秋の空気感など非常に好みの作品でした。

48 竹内栖鳳 「若き家鴨」 ★こちらで観られます
二曲一双の屏風で、千切られたような金箔が画面を覆い、そこにアヒルたちが描かれています。右隻にはアヒルたちが餌場に群がる様子が描かれ、色とりどりの毛をして可愛らしくも優美な雰囲気です。左隻には何羽かのアヒルが折り重なるようになっていて、微笑ましい光景でした。解説によると、左右で静と動を表すのは得意の技法だそうです。また、この金箔はギラギラした日差しを表現したそうですが、賛否両論を巻き起こしたらしく、70歳を超えても旺盛なチャレンジ精神を感じとれました。

この隣には西村五雲の「白熊」もありました。その後は第2会場へと続きます。
 参考記事:日本画どうぶつえん (山種美術館)

31 竹内栖鳳 「双鶴」
2羽の身体の黒い鶴が並んで上を見上げている姿を描いた作品です。S字のラインが2つ並び、非常に優雅な雰囲気です。右の鶴の足は水の中に入っていて、透明感のある表現となっていました。

この隣には西村五雲の65「松鶴」があり、円山応挙みたいな感じに思えました。また、他にも栖鳳の24 「散華」や63 上村松園「新蛍」、70 村上華岳「裸婦図」(★こちらで観られます)なども好みでした。
 参考記事:没後60年記念上村松園/美人画の粋(すい) (山種美術館)


ということで、元々好きな画家だけに満足できる内容でした。もう前期は終わってしまいますが、後期に出てくる作品もかなり好きなものがあるので、余裕があったら後期も観に行きたいと考えています。日本画が好きな方にお勧めの展示です。

 追記:後日、後期展示も観てきました。後期の記事はこちら


 参照記事:★この記事を参照している記事


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ホームアゲイン-Japanを体験した10人のアーティスト 【原美術館】

先週の土曜日に御殿山の近くにある原美術館で「ホームアゲイン-Japanを体験した10人のアーティスト」を観てきました。

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【展覧名】
 ホームアゲイン-Japanを体験した10人のアーティスト

【公式サイト】
 http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html

【会場】原美術館
【最寄】品川駅/北品川駅/大崎駅


【会期】2012年8月28日~11月18日 
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日13時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に観ることができました。

さて、今回の展覧会は2007年~2011年にかけて日本でのアーティスト イン レジデンス(滞在制作)をした10人の若手の展覧会ということで、日本にいた時に制作した作品や帰国後に制作された作品が並ぶ展示でした。この展示では写真を撮ることもできましたので、詳しくはいくつか写真を使ってご紹介していこうと思います。


<ギャラリー1>
まずは1階の吹き抜けのある部屋です。(エントランス部分にも作品はいくつかあります)

チアゴ ホシャ ピッタ 「地質大陸移動の記念碑」
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この人は2008年に東京に滞在したブラジルのサンパウロのアーティストです。これはコンクリートで出来ているのですが、帆船のような軽やかさを持ったまま固めた感じの作品でした。2つの相反する要素が同居していて面白いです。

カディム アリ 「無題」
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この人は2007年に東京に滞在したパキスタン在住(両親はアフガニスタンの少数民族)のアーティストです。東京滞在中に母国に子供をおいて六本木のバーで働くポーランド人の女性と出会ったそうで、これは彼女から着想を得て描かれました。細密に描かれ、金色の不定形のものと女性の髪を彷彿とさせるものが描かれていました。 この部屋の吹き抜けになっている上の階にはビデオ作品もありました。


<ギャラリー2>
続いては1階の奥の広い部屋です。

フロレンシア ロドリゲス ヒレス 「堕落しない名前」
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この人は2009年に東京に滞在したアルゼンチンのブエノスアイレスのアーティストで、これは祈りをテーマにした作品です。こちらは鑑賞者も祈りに参加できるようになっていました。

この服を着て祈ります。丸い石のようなものの前に立つと譜面台のようなものに何かの図面らしきものが乗っていました。
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解説によるとこの作品では神秘主義を脱し、宗教を持たない祈祷者のあり方を探っているそうで、イスラム教の思想の1つからの引用もあるようです。解説を読んでも意図を理解するのが難しかった…w 

この部屋にはプラディープ・ミシュラというインドのアーティストの動物を描いた絵画作品もあり好みでした。

デュート ハルドーノ 「人気批評家」
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この人は2011年に東京に滞在したインドネシアのバンドゥンのアーティストです。この金の招き猫とオープンリールデッキの間にテープが張られ、手が可動していました。意味は分かりませんがユーモアを感じます。

この近くには同様にテープを使った作品があり、音をイメージさせる作品などを手がけているようでした。


<階段>
階段にも作品が展示されていました。

シャギニ ラトナウラン 「L.S.」
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この人は2011年に東京に滞在したインドネシアのバンドゥンのアーティストです。これはレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」をモチーフに人物を白い布で覆ったような感じで描いているようでした。そう言われると中央はキリストっぽいかも。

この人の作品は後の方にもあり、面白い作品が多かったです。


<ギャラリー3>
続いては小さな暗めの部屋で、5つのモニターで映像作品を流していました。

ドナ オン 「フレンドシップドール」
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この人は2008年に東京に滞在したシンガポールのアーティストです。これは1924年のアメリカの移民の排斥法案(排日移民法)が議会を通過した頃に抵抗して行われた「フレンドシップドールプロジェクト」という、日米で人形を贈り合うプロジェクト(贈ったのは1927年)を題材にした作品のようです。2体ずつ画面に映され、光がゆっくりと移りゆく中で照らされる人形はまったく動かず、影だけ動いていくのがちょっと怖かったです。


<ギャラリー4>
続いては絵画や彫刻作品などが並ぶ部屋です。

シャギニ ラトナウラン 「自画像(背骨と髪)」
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これは先ほどの階段にも作品があったシャギニ ラトナウランの自画像だそうです。髪と背骨だけが描かれていて色気と不気味さを感じました。…というか女性だったんですね。この隣にあった枕を使った作品も面白くて、今回最も気に入ったアーティストでした。

この部屋には他にもムナム アパンというインドのアーティストの作品もありました。


<ギャラリー5>
最後の部屋にも絵画や彫刻作品が並んでいました。

メアリー=エリザベス ヤーボロー 「電子葬儀/明日の夢」
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この人は2007年に東京に滞在したアメリカのサンフランシスコのアーティストです。ダクトテープや粘着性マット、鏡面アクリルパネルが使われ、これは昔のニューヨーク・タイムズからイメージを引用しているようです。タイトルの意図を理解するのはちょっと難解ですが、様々な素材が使われているのが斬新でした。この人はミュージシャンとしても活動しているそうで、日本ではカラオケの文化や演歌に関心を寄せたそうです。

エリカ ヴェルズッティ 「半熟」
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この人は2010年に東京に滞在したブラジルのサンパウロのアーティストです。卵のようなものがいくつか並んでいて、有機的な温かみが感じられました。

エリカ ヴェルズッティ 「マネ」
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こちらはタイトルからもマネの「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」をモチーフにした作品だと思われます。2010年に日本にいたらしいので三菱一号館美術館の展示を観たのかな?
 参考記事:マネとモダン・パリ (三菱一号館美術館)

この人は他にも多くの絵画作品が並んでいました。


ということで、若干理解するのが難しいところもありましたが、面白い品が並ぶ展示でした。ここは天気が良いと中庭やカフェも気持ちが良いとことですので、のんびりと訪れてみると楽しめると思います。

 参照記事:★この記事を参照している記事



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はなう 【千葉市緑区のお店】

前々回前回とご紹介したホキ美術館の展示を観る前に、館内にある「はなう」というレストランでランチを摂っていました。

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【店名】
 はなう

【ジャンル】
 レストラン

【公式サイト】
 http://www.hoki-museum.jp/facility/index.html
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 土気駅

【近くの美術館】
 ホキ美術館(館内のお店です)


【この日にかかった1人の費用】
 2400円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日13時頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
12時半過ぎ頃にお店に行ったのですが、混んでいるようで30分ほど待ってからの入店となりました。その間、近くの昭和の森を散歩していたので特に気になりませんでしたが、美術館の館内は特に混んでいなくても、こちらだけ混んでいることもあるようです。(美術館に入館しなくても食事だけの利用も可能)

さて、このお店はホキ美術館の入口にあり、東京の西麻布にある「アルポルト」というお店の片岡護シェフがプロデュースしたレストランだそうです。以前この美術館を訪れた際はラストオーダーに間に合わず、同じ館内にあるカフェでお茶だけしましたが、今回はこちらのお店も楽しみにして行ってきました。
 参考記事:ホキ美術館 ミュージアムカフェ (千葉市緑区のお店)
 参考リンク:西麻布「アルポルト」

店内はこんな感じ。お客さんが一杯だったので私は廊下のような席でしたw 目の前には昭和の森の木々が並んでいます。
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店員さんが親切で、気が利く接客をしてくれました。


この日、私はランチコース(2100円)のメインを国産黒毛和牛のハヤシライス(+300円)にしました。

まずはシェフの気まぐれサラダ。名前的にいつも同じというわけではなさそう。
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この日はハムとタコが入っていました。タコが柔らかくて美味しかったです。

続いてたっぷり野菜の温かいスープ。この日はミニストローネでした。
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こちらは熱々で、豆がコロコロ入っていました。美味しいとは思いますが私には薄味に感じられました。もうちょっと庶民的な味にしてくれても良いのではw

こちらのパンはおかわりも貰えました。
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これは温かくて、周りはサクサク 中ははふっくら で美味しかったです。

そしてメインのハヤシライス。
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こちらはよく煮込んだ牛肉がごろっと入っていて、まろやかな口当たりで美味しかったです。ハヤシライスと言うよりビーフシチューみたいな感じかな。風味も上品で満足できました。ちなみにハヤシライスはランチセットの価格に300円追加されますが、それ以外はのメインはパスタで、特に追加料金はありません。

食後にはデザートもつきます。パンナコッタ、ガトーショコラ、ジェラートがちょっとずつ出てきました。
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ガトーショコラはそんなに甘くないのですが、チョコの香りが良かったです。他は普通かなw

最後は飲み物もつくのでコーヒーにしました。写真だと分かりづらいですが小さめです。
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こちらは強めの苦味だけどまろやかな味でした。


ということで、美味しいランチを摂ることができました。ちょっと気になったのが料理の提供時間で、多分1時間くらい食事をしていました。待ち時間も30分あったので、急いでいる人には向かなそうです。落ち着いた雰囲気のお店なのでせかせかするもんじゃないのかもしれませんがw 新しい美術館に相応しい、美味しくて洒落たお店でした。




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現代の写実。ホキ美術館名品展 (感想後編)【ホキ美術館】

今日は前回の記事に引き続き、ホキ美術館の「現代の写実。ホキ美術館名品展」の後編をご紹介いたします。(後編は実際には常設のコーナーです。 前編には特別展の様子も記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。)


 前編はこちら


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【展覧名】
 現代の写実。ホキ美術館名品展

【公式サイト】
 http://www.hoki-museum.jp/exhibition/index.html

【会場】ホキ美術館
【最寄】土気駅

【会期】2012年5月26日(土)~11月11日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(平日14時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
前編では1階と地下1階の半分までご紹介致しましたが、後編では地下2階のギャラリー9までの感想となります。(ギャラリー2以降は常設展示です)

 参考記事:
  ホキ美術館開館記念特別展 感想前編(ホキ美術館)
  ホキ美術館開館記念特別展 感想後編(ホキ美術館)


<ギャラリー3 常設展>
ギャラリー3は野田弘志 氏などの巨匠や中堅作家の作品が並ぶコーナーです。

野田弘志 「刺繍模様に薔薇」
丸い花瓶に入ったオレンジ、白、ピンク、薄い黄色などの花を描いた作品です。背景には長方形と菱形を組み合わせた刺繍の布があり、その長方形の中に収まるように花が配置されているのが面白いです。花瓶はポツンと置かれた感じで、静かな印象を受けました。

この辺はこうした花瓶に入った花を描いた作品が何点かありました。また、以前ご紹介した裸婦像の「THE-10」と黒いドレスを着た女性像の「聖なる者 THE-1」は対になるように展示されていて目を引きます。

津地威汎 「航跡・・・夜明け」
これは3枚セットの作品で、海の上に暗い雲が浮かび、中央からは日が昇ってくるような強い光を感じる一方、所々に船の灯りらしきものも見えています。水平線は低めで、赤やオレンジ、黄色、紫など様々な色に染まる空は広々として雄大な雰囲気です。また、この作品はここまで観てきた作品のなかでも特に絵画的な感じで、細かい点描で表現されているのが特徴的でした。どこか神秘的な作品です。

磯江毅 タイトル失念…
これは白黒で、病院のストレッチャーのようなものに仰向けで寝ている男性を描いた作品です。腰から下は白い布で覆われていて、背景は暗く、男性は生きているのか死んでいるのか分かりませんでした。ちょっと安らかな顔に見えるかな…。静かで厳粛な印象も受けました。

島村信之 「朝靄」
モヤが立ち込める湖と石が転がる湖畔を描いた作品です。水面の反射や光が照らすモヤなどが神秘的で、朝の空気感が伝わってくるようでした。

この辺は島村信之 氏や青木敏郎 氏の作品などが並んでいました。


<ギャラリー4 常設展>
続いては細長い通路のような展示室で、新人作家のコーナーのようです。

高橋和正 「ひととき」
光の差し込む窓を背景に、ベッドでうつ伏せになっている女性が描かれた作品です。肘をついてうつむき、物思いに耽っているように見えます。また、全体的に観ると光に包み込まれるように明るく、その為か安らいだ雰囲気があるように思いました。

Adolf Sehring 「Garden in Spring」
壺の置かれた石柱と 階段のある 庭が描かれた作品です。道の脇にはピンクの花々が描かれ、奥には日の当たる木々も描かれています。手前は暗くて奥が明るいせいか、日差しが強く感じられました。また、こちらの作品は絵画的な感じで、所々に白い点が打たれて木漏れ日が差すような効果がありました。

この近くには以前ご紹介したDario Companileの食べかけの西瓜を描いた作品も並んでいました。


<ギャラリー5 常設展>
ギャラリー4の奥にあるギャラリー5は、打って変わって板谷波山などの陶器が並ぶコーナーです。板谷波山は胡粉がかかったような淡い文様が特徴で、一度観れば一目で彼の作品の特徴が理解できると思います。また、他にも深見陶冶 氏の直線と曲線を組み合わせた現代アート的な作品や、伊東慶 氏の丸みが美しい作品なども並んでいました。意外と見応えのあるコーナーです。


<ギャラリー6 常設展>
ギャラリー6から地下2階で、ここは階段下にあるコーナーです。

中山忠彦 「燭台のある部屋」 ★こちらで観られます
光沢のある豪華なドレスを着て立つ女性を描いた作品で、背景には燭台が置かれています。写実的ではあるのですが、そのドレスのためかどことなくルノワールを彷彿とさせます。薔薇色の頬をした女性は、気品ある姿で昔の貴族のような雰囲気がありました。

この辺は中山忠彦 氏の作品が並び、女性像が他に2点ありました。いずれもこの作品と同様の印象を受けます。


<ギャラリー7 常設展>
続いては原雅幸 氏のイギリスの風景を描いた作品が並ぶコーナーです。

原雅幸 「Footpath to Pooh Bridge」
枯れた木々が両脇に立ち並ぶ道を描いた作品で、枝がトンネルのように道を覆っています。シャープな画風で、細い枝が針のように見えるほど緻密に描かれていました。枯れ木なのに鬱蒼とした感じで、奇妙なリアルさとファンタジー的な要素があるように思いました。

この章の原雅幸 氏の作品を観ていると、寂寞とした雰囲気の作品が多いように思えます。


<ギャラリー8 常設展>
こちらは人の15人の巨匠・中堅の「私の代表作」が並ぶコーナーで、絵の隣に解説ボタンが付けられています。

五味文彦 「木霊の囁き」
暗い闇を背景に、1本の木とその周りの草が描かれた作品です。そびえ立つような木は神々しいほどの存在感で、周りの緑も生命感に溢れて覆い尽くさんばかりでした。緑鮮やかで神秘的な作品です。

小尾修 「跡」
女性のスケッチが飾られた壁を背景に、両手を曲げて立つ裸婦が描かれ、手前にはゆりの花々が入ったタライ?を載せた椅子が描かれています。右の方にも女性の肖像画が飾られていて、部屋のドアは開いているのかな。四角や直線が多い部屋の構図が面白く、解説によると刻一刻と変わっていく人の痕跡を描いているとのことでした。

中山忠彦 「楽興」
ソファに横たわる紅のドレスの女性を描いた作品で、その脇には弦楽器があり 手には花を持っています。背景には青~緑の装飾的な文様があり、補色関係のためか赤が鮮やかに見えます。その為、女性は華やかさと知的な雰囲気があるように思いました。

この近くには諏訪敦 氏の「untitled」(★こちらで観られます)などもありました。


<ギャラリー9 常設展>
最後は新人女性作家のコーナーで、一番奥のほうにあります。

廣戸絵美 タイトル失念…
これは建物の内部を描いた作品で、打ちっぱなしのコンクリートの壁や階段の踊場などが描かれています。無機質ながらも光を照り返す壁の質感が豊かで、階段などの幾何学的なモチーフが多く描かれていたのも面白かったです。白、黒、灰色といったモノトーンな色合いが中心なのに明るく柔らかい雰囲気に思えました。


ということで、今回も驚かされる作品が多くて楽しめました。写実的でも絵画ならではの叙情性があるのが面白かったです。この展示はもうすぐ終わってしまいますが、今後も所蔵品の展示が続くと思いますので、気になる方はこの先の展示もチェックしてみてください。

おまけ:
近くの昭和の森の写真。中途半端な時期に行ったので、今回は特に見所はありませんでしたw ちょっとだけ花壇に花が咲いているくらいかな。
P1060380.jpg P1060383.jpg
かなり広いのでのんびりできる所です。

 参考記事:
  昭和の森の紅葉


 参照記事:★この記事を参照している記事



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現代の写実。ホキ美術館名品展 (感想前編)【ホキ美術館】

先週の水曜日に、有給休暇をとって千葉県の土気にあるホキ美術館で「現代の写実。ホキ美術館名品展」を観てきました。メモを多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

P1060376.jpg

P1060377.jpg

【展覧名】
 現代の写実。ホキ美術館名品展

【公式サイト】
 http://www.hoki-museum.jp/exhibition/index.html

【会場】ホキ美術館
【最寄】土気駅


【会期】2012年5月26日(土)~11月11日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(平日14時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
平日に行ったこともあり、空いていてゆっくり観て周ることができました。私は電車とバスで行ったのですが、東京からのアクセスは中々大変な所にあるので平日は空いているのかもしれません。ただ、たまに団体さんに出くわすこともあったので、その時だけはちょっと賑やかな感じでした。

さて、このホキ美術館は写実絵画専門の美術館で、約2年ほど前にオープンしました。今回の展示はその中でも人気の作品や話題にされることが多かった作品を集めた展示となっていて、ベスト版的なニュアンスのようでした。ギャラリーは1~9まであり、1階のギャラリー1(約60点)だけが特別展で、ギャラリー2~9は常設となっているのですが、この記事では特別展と常設展をまとめてご紹介しようと思います。出品された作品のリストは無く、解説は少なめだったので、私のてきとーな感想のみです^^; なお、以前もご紹介した作品も何点かありますが、改めての感想として再度書いておこうと思います。

 参考記事:
  ホキ美術館開館記念特別展 感想前編(ホキ美術館)
  ホキ美術館開館記念特別展 感想後編(ホキ美術館)
  

<ギャラリー1 現代の写実。ホキ美術館名品展>
まずは今回の特別展です。基本的に現代の日本の風景・人物などが写実的に描かれた作品が並んでいて、ここ数年以内に描かれたものも多く含まれています。

小尾修 「遠い記憶」
膝を曲げて胎児のようなポーズでクッションに横たわる裸婦を描いた作品で、真上から観たような構図で描かれています。裸婦は血管まで分かるような綺麗な肌で、滑らかさと無垢な印象を受けました。四角い画面に丸いクッション、ジグザグの身体というように構図も計算されているとのことでした。

卯野和宏 「雲を追う」 ★こちらで観られます
右下で白いシャツの男性が背を向けていて、その目の前に平野が広がっているような光景を描いた作品です。これは作者自身だそうで、表情は見えませんがどこか驚いたような仕草に見えました。右には木々も描かれ、地平線は低めで空の広さを感じさせます。空の雲も含めて写実的な画風ですが、幻想的でシュールさすら感じるようなところが面白かったです。

生島浩 「Card」 ★こちらで観られます
椅子に座って机に肘をつき、手に持ったカードをじっくり見ている女性を描いた作品です。占いなのか神妙な表情で見ていて、静けさが感じられます。背景は暗く、女性には強い光が当たっているのが劇的な雰囲気となっていました。また、机の上には天球儀や時計などがあり、質感豊かです。そのアイテムのせいか昔のオランダ絵画を彷彿としました。

島村信之 「紗」
クリーム色の背景に、顔に手を当て仰向けで寝ている裸婦が描かれた作品です。女性は腰から下には薄く透明な布をまとっていて、天女のような神秘的な雰囲気がありました。全体的に柔らかめの色使いで、温かみも感じます。解説によると、安らぎをイメージしているようでした。

石黒賢一郎 「VISTA DE NAJERA」
ヨーロッパの田舎町を高い位置から見下ろすように描いた作品です。薄い黄色というかモノトーン写真のような感じで、写実性が高くてさすがに写真かと思いましたw モノトーンなのに瓦や背景の岸壁の地肌の質感が伝わってきて、遠くの山は霞んで見えるのも面白かったです。

この近くには島村信之 氏によるホキ美術館の館長の肖像もありました。

石黒賢一郎 「存在の在処」 ★こちらで観られます
黒板のある教室?の壁を背景に、横向きで腕組をしているトレーナーを着た初老の男性を描いた作品です。これは高校教師だった画家の父をモデルにしているそうで、遠くを見るような表情からは哀愁を感じました。また、黒板に書かれた文字はまさにチョークで書いた文字そのものと言った感じで、黒板の拭き跡も含めて見事な表現力でした。黒板の下に小さな兎のシールが貼ってあるなど、遊び心もあるようです。

五味文彦 「林檎とメロン」
黒を背景に、器に入った沢山の林檎、台の上のレースに置かれたパン(ちょっと食べかけ?)、白い水注、右下にもパンとそれに隠れるように3/4もカットされたメロン、右下にマスカットらしきものも描かれています。全体的に実物以上に質感があるのではないか?というくらい鮮やかな色合いで、非常に細やかに描かれていました。横長の画面にものが並ぶ構図が面白く、ほんの少しだけ黒の部分に反射や影があるのも繊細な表現でした。

この辺は五味氏の作品が多く展示されていました。

芳川誠 「九匹の使者」
棚田と山を背景に、手前にアスファルトの道が敷かれ、道脇のオレンジのカーブミラーの下に7匹の猫たちが集まっている様子が描かれています。寝っ転がったり伏せていたり、こちらを伺っている猫もいて可愛らしいです。タイトルの通り、さらに2匹の猫が画面の中に描かれていて、田んぼの間を歩いているようでした。農家や犬を散歩している人、飛んでいる鳥の姿もあり、のんびりした雰囲気です。ミラー越しに犬の尻尾みたいなのが写っているのが気になる…w 

この作品の下には犬を描いた作品も一緒に並べられていました。

塩谷亮 「giugno」
薄くてヒダのあるベージュの服を着た女性を描いた作品で、横向きで描かれています。そのお腹はポコッと膨らんでいて妊娠しているのかな? お腹を押さえて下の方を向き、背中に左手を当てています。アンニュイな雰囲気もありましたが、どことなく艶めかしさもあり、女性の神秘性が感じられました。、

青木敏郎 「椿・レーマ杯・染付皿」 ★こちらで観られます
黄色の文様のついた赤いテーブルクロスに花瓶が置かれ、そこに花が入っている様子を描いた作品です。周りには染付の皿やグラスなどもあり、様々な質感の品が並んでます。また、花は赤やピンクで、いくつかテーブルの上にも落ちているようでした。右からは照りつけるような日差しがあり、その明暗や質感の表現使い分けが面白く感じられました。

この近くにも青木氏の作品がありました。同じテーブルクロスを使って綺麗な三角形を形作るような構図が興味深かったです。

磯江毅 「ESPANTARAJAROS」
白い壁を背景に、2羽の灰色の羽根の鳥が足に紐を付けられて吊り下げられている様子が描かれた作品です。立体感もあるので白い壁に飾ったら本物と錯覚するかも?? どこかファブリティウスの「ごしきひわ」を思い起こしました。
 参考記事:マウリッツハイス美術館展 (東京都美術館)

廣戸絵美 「廊下」
両脇に扉のある通路が描かれた作品で、床は白黒の市松模様となっています。壁は打ちっぱなしのコンクリートで、無機質な感じを受けます。通路の奥には光があたり床が照り返しているので、暗さはそれほど感じないかな。また、シンメトリーの構図で奥行きがあり、吸い込まれそうな感じでした。

この隣にあった山本大貴の「静寂の声」というギターを弾く女性を描いた作品も好みでした。背景にアンリ・マティスの絵が描かれています。


<ギャラリー2 常設展>
ギャラリー2からは常設で、森本草介 氏という画家の作品が長い部屋の両脇にずらっと(30点程度)並んでいました。特に裸婦の後ろ姿やフランスの田舎町を描いた作品が多いようでした。

森本草介 「窓からの光」
右手を曲げ、顔だけ横を向いて背を向けた裸婦が、腰の下あたりに薄い布を巻いている姿が描かれた作品です。背景は陰影のみで、女性の右側から陽を受けているのが分かります。また、女性は背骨や肩甲骨など、骨や肉付きが分かるほどつぶさに表現されていました。、やや曲線が多いのが優美な雰囲気です。

森本氏は後ろ姿が好きなのか、後ろ姿の裸婦の作品はかなりありました。

森本草介 「休日」 ★こちらで観られます
テーブルに向かって椅子に座り、編み物をしている女性を描いた作品です。右から柔らかい日差しが差し込み、穏やかな雰囲気が漂います。手元を真剣に見つめる女性は静かで、画面の中で手だけが動いているような印象を受けました。画風や構図はまったく異なりますが、どことなくフェルメールを想起させる主題に思いました。

この近くにあった「カウチのポーズ」という作品もどこか伝統絵画を彷彿とさせるものがありました。

森本草介 「ペリゴールの村」
かなり横長の画面で、高い教会の尖塔を中心に赤い屋根の家が立ち並ぶ様子(恐らくヨーロッパの風景)が描かれた作品です。手前は広々とした野原で、背景にはなだらかな丘も描かれていて、昔から変わっていなさそうな風景です。落ち着いた色合いと相まって穏やかで時間が止まったような雰囲気がありました。

森本氏はこれ以外にもヨーロッパの田舎を描いた横長パノラマの風景画は何点かありました。


ということで、以前観た時も感じましたが写実といっても一様ではなくそれぞれに個性が感じられるのが面白いところです。身近なテーマも多く思わず微笑んでしまう作品がいくつもありました。後半にも面白い作品が多く展示されていましたので、次回は最後までご紹介しようと思います。 



   → 後編はこちら



 参照記事:★この記事を参照している記事



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ジョジョの奇妙な冒険25周年記念「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」 【森アーツセンターギャラリー】

前回ご紹介したお店に行く前に、六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーでジョジョの奇妙な冒険25周年記念「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」を観てきました。
 ※今回は「ジョジョの奇妙な冒険」の漫画の内容を知っている方向けの記事になります。漫画自体の説明などは省略します。

P1060375.jpg P1060346.jpg

【展覧名】
 ジョジョの奇妙な冒険25周年記念「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」

【公式サイト】
 http://araki-jojo.com/gengaten/tokyo/
 http://www.roppongihills.com/art/macg/events/2012/10/macg_jojo.html

【会場】森アーツセンターギャラリー
【最寄】六本木駅


【会期】2012年10月6日(土)~11月4日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間20分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日19時頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
この展示はローソンチケットでの完全事前予約制で、日付・時間帯まで決める形式だったのですが、既に完売してしまった程の人気となっています。私はチケットが発売されてすぐに予約して開催2週目の土曜日の18時からの回で行ったのですが、地上階で15分くらい待ってからの入場となりました。さらに会場内もかなりの混みようで、中々進まない感じでした。

さて、今回の展示は漫画「ジョジョの奇妙な冒険」で有名な荒木飛呂彦 氏の原画展で、先に開催された仙台での展示の巡回となります。ついにアニメも始まり盛り上がりを見せる「ジョジョの奇妙な冒険」ですが、この展示では仙台の展示と共通する部分が多いものの、東京会場だけの内容もありました。(逆に仙台にしか無かったものもあります) 面白い仕掛けも多々ありましたので、各章ごとに振り返ってみようとおもいます。なお、今回はあまりに混んでいたのでメモを取りませんでした。記憶だけで書いているので、間違っていたらごめんなさい。

 参考記事:
  【番外編】荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展 in S市杜王町 (せんだいメディアテーク)
  岸辺露伴 新宿へ行く 展 (グッチ新宿)


<プロローグ>
まずはジョジョ以前の荒木先生の作品が並ぶコーナーです。魔少年ビーティー、バオー来訪者、ゴージャス☆アイリンなどの漫画の原画が並んでいます。中でもバオー来訪者が多いかな。今の画風とはちょっと違いますが、一種異様な「濃さ」のある独特の雰囲気があります。


<Part1 ファントムブラッド>
続いてはジョジョの奇妙な冒険の第1部のコーナーです。こちらにはジョジョの冒頭のカラー原画が並んでいて、近くには1部で出てきたジョナサンがブラフォードから貰ったPLUCK(勇気をッ!)の剣もあります。これらは共に仙台にもありましたが、東京にはさらに2m以上ある巨大な単行本(1巻)も展示されていました。中にもちゃんと漫画があって2ページだけ読むことができます。また、日本の酒樽を背景にジョナサンとツェペリさんが並んだ原画など、最近描いたものもありました。これも東京だけじゃないかな。


<Part2 戦闘潮流>
続いては2部のコーナーで、ここからは主に表紙絵や巻頭カラーなどのカラー原画となっています。こうして改めて2部を観てみるとかなりマッチョで今のスラリとした感じと違って見えます。
中には最近描かれたものもあり、沢山のコケシに囲まれたジョセフ、シーザー、リサリサの原画では、コケシの中に歴代のスタンドを模したものが混じっているのがファンには面白く感じられると思います。
また、ここには水が張った石畳のような映像を映す床があり、歩くと波紋が出来るという仕掛けもありました。波紋の能力を体験できるような感じです。 さらにエイジャの赤石を模したペンダントも展示されていたのですが、こちらは若干しょぼく見えましたw


<Part3 スターダストクルセイダーズ>
3部もカラーの原画が中心です。この辺りになると斬新な構図や人物描写が一層面白くなります。最近描かれた今回のポスターに使われた作品の原画(富士山を背景にした承太郎とイギーの作品)は初めて見ました。
こちらには等身大の承太郎とDIOのフィギュアがあり、その前に数台のipadが置かれていました。これはipadをかざしてみると2人の間でスタープラチナとザ・ワールドがラッシュの応酬をしている様子が映し出されるというもので、バシバシと音もつけられていました。ここまでやるならオラオラ無駄無駄言って欲しいかもw


<Part4 ダイヤモンドは砕けない>
4部の展示は、入口あたりにすごい行列が出来ていると思ったら、仙台にもあった杜王町MAPの体験コーナーでした。15分待ちで以前観たのと同じだったので諦めましたが、大人気となっています。

↓はYouTubeにある公式サイトの予告映像

「ジョジョの奇妙な杜王町MAP」予告編映像!


ここには腕を交差させている仗助の等身大フィギュアやエンヤ婆の弓と矢も展示されていました。


<Part5 黄金の風>
続いての5部もカラー原画が中心で、展示室には面白い仕掛けがあります。ここにはスティッキーフィンガーズのスタンドを体験できる壁があり、ジッパーの間から壁を抜けることができます。ブチャラティの等身大フィギュアもあって、中々の完成度でした。

原画でも観たことがない最近描かれたものがいくつかあって、新幹線「はやぶさ」から降りてくるブチャラティのチームの原画などもありました。また、ブチャラティと6部のジョリーンが一緒に馬に乗っている原画もここにあったと思います。(6部の部屋だったかも)


<Part6 ストーンオーシャン>
続いての6部のコーナーはかなり凝っていて、刑務所をイメージした展示室で鉄条網ごしに原画を観る感じになっていました。何気なくタイヤの中にディスクを収めたものも置かれていて、ちゃんとウェザーリポートやスタープラチナのディスクも詰め込まれていたのが面白いです(タイヤがやけに小さいですがw) また、独房のジョリーンを描いた原画の近くには独房の再現もありました。細部がちょっと違うようでしたがこの趣向も驚きです。何故か館長のワニのぬいぐるみ(シャーロットちゃん)なんてマニアックなものも展示されていました。


<漫画家のうちへ遊びに行こう>
ここは荒木先生の机と岸辺露伴の机が展示されていて、岸辺露伴の等身大フィギュア(新宿のグッチの展示にあったものと同じ)も置かれていました。また、ジョジョに関する書籍も壁に並べられていました。荒木先生の机を見ているとジョジョがファッション的な所があるのが分かる気がします。


<Part7 スティール・ボール・ラン>
ここも引き続き原画が中心で、部屋の中央に岩山の模型がありました。他の部に比べると若干地味なオブジェですw ここにも観たことがない原画があり、ジョニーとジャイロが東京タワーに現れた様子が描かれたものがありました。


<Part8 ジョジョリオン>
こちらも原画が並んでいて、巻数がまだ少ないだけにコーナーも小さめに感じました。ジョジョリオンの冒頭に出てくる「壁」の説明シーンが会場の壁に描かれているのは、ちょっとしたジョークなのかなw


<エピローグ>
最後はエピローグということで、荒木先生の初代担当との対話の映像がありました。仙台でも同様に映像を流していましたが内容が違っていて、担当は1~2部の頃はあまり人気が出ないと考えていたものの、みんな荒木先生の実力を認めていたことなどが紹介されていました。

また、ここにはジョジョのワンシーンを背景に漫画風に写真を撮ってもらうコーナーもありました。

↓YouTubeにあるデモ映像。

【ジョジョ展】AR展示「ジョジョの奇妙なスタンド体験」のデモ映像!

何種類かのスタンドが飛び出してくるのですが、私は露伴のヘブンズ・ドアーでした。


会場を一旦出て1つ下の階に移ると、グッズショップになっています。グッズも仙台より東京の方が充実していたので、今回はストラップを買いました。ヴァニラ・アイスのクリームのスタンドを模したパーカーなど面白いセンスのグッズもありましたがサイズが売り切れているものが多かったです。


ということで、仙台と東京では若干異なるところもあって満足できました。仙台展にしか無かったものとしては、杜王新報、「岸辺露伴 新宿へ行く 展」の原画コーナー、5部のメンバーの等身大のパネル、会場外のジョジョスマフォの体験コーナーなどだったと思います(オーソンとか関連企画も流石に東京にはありません)が、どちらかと言うと東京の方が作品点数や凝ったセットがあるように思います。

もうチケットを買うことはできませんが、公式サイトにも面白い仕掛けがあるようですので、気になるファンの方はのぞいてみるのも良いかと思います。
 参考リンク:「ジョジョ展」前売券完売!遠隔操作で夜中の美術館を徘徊


おまけ:
地上階のミュージアムショップにもジョジョグッズが並んでいました。特にフィギュアは思わず欲しくなりますw
P1060354.jpg


 参照記事:★この記事を参照している記事



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豆金 【六本木界隈のお店】


前回ご紹介した展示を観た日、六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーにもハシゴをしたのですが、その後に六本木ヒルズの中にある豆金というお店で夕食を摂りました。(森アーツセンターギャラリーの記事は現在編集中のため、先にこちらをご紹介しておこうと思います。)

P10603741.jpg

【店名】
 豆金

【ジャンル】
 中華料理

【公式サイト】
 http://www.kiwa-group.co.jp/shop/1338287703
 http://www.roppongihills.com/shops_restaurants/restaurants/chinese/202550006.html
 食べログ:http://tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13049488/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 六本木駅

【近くの美術館】
 森美術館
 森アーツセンターギャラリー



【この日にかかった1人の費用】
 1700円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_③_4_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日20時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
空いていて快適に食事をとることができました。

このお店は六本木ヒルズのヒルサイドの1階にあるお店で、際グループ(紅虎餃子房などの系列)の1つなのでチェーンと言えるかもしれませんが、この名前でやっているお店は2つしかないようです。

お店の中はこんな感じ。
P10603721.jpg
落ち着いた佇まいで庶民的な感じです。

餃子が人気メニューのようだったので、連れと一緒に餃子を中心に頼んで行きました。(2人で3400円くらいなので、1人あたり1700円の計算です。)


まずは前菜として蒸し鶏ゴマだれ(680円)を頼みました。
P10603621.jpg
この上にのっているゴマだれが美味しくて、あっさりした蒸し鶏に合っていました。思った以上に大きめだったのも良かったです。

主食は北京五目チャーハン(1180円)にしました。
P10603651.jpg
チャーハンの割に高い!と思いましたが、食べて納得。プリプリのエビが入っていて、パラっとしたご飯の塩梅が良く美味しかったです。きゅうりが入っているのがちょっと珍しい。

餃子は3つ選んだのですが、1つ目はスタンダード中餃子(480円)
P10603661.jpg
これはその名の通りスタンダードで、焼き加減もちょうどよく期待通りの美味しさでした。

続いて葱ポン酢餃子(500円)
P10603671.jpg
これは爽やかな風味でしたが、正直ポン酢では弱い気がしました。不味い訳ではないのですが、何か足りない感じ。

最後は水餃子(600円)
P10603701.jpg
3つの中で一番美味しかったのがこちらでした。餃子というより小籠包みたいな感じかな。つるつるした食感も楽しめます。


ということで、中々美味しい餃子とチャーハンを頂くことができました。中華だけにメニューも結構あるようで、餃子は全部で6種類あるようでした。チェーン店なので似た味のお店もあるかも知れませんが、本格中華ほど敷居は高くないので気軽に楽しめるのも良いと思います。




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21世紀のxxx者

Author:21世紀のxxx者
 
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。

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■2011/9/29
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