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尾張徳川家の至宝 【江戸東京博物館】

先週の日曜日に、両国の江戸東京博物館で「尾張徳川家の至宝」を観てきました。この展示は期間中に作品の入れ替えがあり、私が観たのは2013/1/13時点の内容でした。

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【展覧名】
 尾張徳川家の至宝

【公式サイト】
 http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/exhibition/special/2012/01/index.html

【会場】江戸東京博物館
【最寄】JR両国駅/大江戸線両国駅


【会期】2013年1月2日(水)~2月24日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
予想以上に混んでいてガラスケースの品の前などには人だかりができるような感じでした。自分のペースでの鑑賞が難しいくらいで、ちょっと大変。

さて、今回は名古屋にある徳川美術館が所蔵する尾張徳川家ゆかりの道具の展覧会となっています。武具や芸能、琴棋書画といった武士にとって大切な品々が並ぶもので、国宝を含む230点もの名品が集まっています。そのジャンルによって3つの章と特別展示のコーナーに分かれていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。なお、冒頭に書いたように展示品は期間によって入れ替わるようなので、お目当ての品がある方は出品リストを確認の上お出かけすることをお勧めします。
 参考リンク:出品リスト


<第一章 尚武 太刀や鉄砲などの武具>
まずは武具が並ぶコーナーです。大名は武力で支配権を確立した武士であり、常に戦いの準備は怠りなく進められていたようです。ここには御三家の所蔵品に相応しい、勇ましくも華麗なる品々が並んでいました。

7 「銀溜白糸威具足」 ★こちらで観られます
これは尾張徳川家初代の義直(家康の9男)が好んだ具足です。全体的に銀色で、格式と華やかさを感じます。また、頭に赤い丸い飾りがあり、正月飾りを彷彿としました。

この辺には家康や義直の肖像や、鞍・鐙などの馬具、弓・矢筒・矢なども並んでいました。

15 「太刀 銘 来孫太郎作(花押)正応五年壬辰八月十三日」
鎌倉時代の刀鍛冶 来孫太郎(来国俊)の太刀で、家康の遺品として義直に伝わったものです。孫太郎の銘が入った刀は他に例が無く貴重な品だそうで、細めの波紋で気品ある雰囲気がありました。よく観ると刃先にヒビのようなものがあるような…。

この辺には村正や虎徹、正宗など有名な刀匠の刀が並んでいました。中には戦闘に使われたものもあるようで、刃毀れしているものもあります。

46 「火縄銃 三匁五分筒 銘 完(宍)粟鋳鍛三重張 慶長拾六年十月吉日日本清堯(花押)」
これは長い砲身の火縄銃で、やや細身の銃に見えます。筒元に葵の紋や亀甲紋が象嵌されていて、作者はその出来栄えの良さに満足したのか銘まで入っているようです。これも家康からの遺品(お分け物)らしく、鉄砲なのに優美な雰囲気がありました。

この辺はいくつかの鉄砲があり、他には 刀掛け、兵糧入れ、火消しの羽織なども並んでいました。


<第二章 清雅 茶の湯・能・香>
続いては芸能に関するコーナーです。江戸時代は伝統文化である茶の湯や能、香といった芸能が重視され、中でも茶の湯は武家の故実・礼法として修めるべき教養とされました。また、能は徳川幕府の式楽に位置づけられ、公式行事における重要な演目となったようです。ここにはそうした芸能にまつわる品々が並んでいました。

78 「古銅砧形花生 銘 杵のをれ 名物」 ★こちらで観られます
筒状の首で根元のあたりが壺のように膨らんでいる花生けで、口のあたりに2つの獅子の顔?がついています。黒く渋い色合いをしていて、「名物」とされ戦国時代から珍重された品らしく、一時期は秀吉の前で家康との囲碁の勝負に勝った石川貞清に拝領されたそうです。しかし、石川貞清は関ヶ原の戦いで西軍につき敗れてしまい、処刑される立場になった際、この花生けと金1,000枚を差し出すことで命だけは助かったそうです。渋い品だな~と観ていましたが、これが武将の命を救うほどの価値があったのかと思うと、急に重みを感じましたw うーん、我ながらに権威主義で見る目がないw

65 一休宗純 「初祖菩提達磨大師」
これは一休さんで有名な一休宗純が書いた掛け軸です。「初祖菩提達磨大師」と書かれているのですが、竹筆で書かれたらしく、荒々しく力強い勢いが感じられました。自由奔放だったという人物イメージと重なるかも。

この辺は釜や水差しなどと共に掛け軸も何点か展示されていました。

86 「古瀬戸肩衝茶入 銘 横田 大名物」 ★こちらで観られます
こちらは縦長の茶入で、表面は錆びた鉄のような渋いこげ茶色をしています。足利義政や織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった名だたる武将の手を渡った「大名物」とされる品らしく、中にはへらの跡があり、それが豪快な印象を与えるようです。展示では中を観ることはできませんでしたが、侘びた雰囲気がありました。

この近くには天目茶碗なども展示されていました。

110 是閑吉満 「能面 近江女」
少し口を開けて微笑んでるように見える女の能面です。これはやや年増の女性なのか頬にほうれい線のようなものがあるものの、気品がある顔立ちをしているように思いました。
この辺には能面が並んでいました。中には面白い顔をしたものもあります。

117 「紅・白段金霞枝垂桜に扇文唐織」 ★こちらで観られます
これは能装束で、沢山の花や少し開いた扇の模様が散らされています。若い女役のためのものらしく、赤みがかった色合いと相まって非常に華やかな雰囲気がありました。ちなみに中年以上の役は紅色を使わない紅無と呼ばれる装束を着るのだとか。

この辺は能装束や扇、小鼓、笛なども並んでいました。その先は香に関するコーナーです。

150 「銀檜垣に梅図香盆飾り」
銀でできた香盆と香道具のセットです。表面には葵の紋や亀甲紋なども表されていて、細やかな細工となっています。銀の落ち着いた色合いも美しく、優雅な雰囲気がありました。

この辺には扇、雀、亀、金のシャチホコなど変わった形の香合や、蘭奢待(らんじゃたい)などの香木もありました。
 参考記事:香り かぐわしき名宝 (東京藝術大学大学美術館)

180 「秋の野蒔絵十種香箱」 ★こちらで観られます
これは蒔絵の重箱で、その中に入っている組香の道具も展示されていました。袋や札などがあり、これを使って香木の種類を当てる勝負をするようです。蒔絵には秋草が表されていて、流麗で雅やかな雰囲気がありました。


<至宝>
続いてのコーナーは至宝と名付けられ、特別出品の品が並んでいました。

2 「初音の調度」 ★こちらで観られます
これは貝合わせの貝を360組も納めていた二合一対の蒔絵の貝箱で、作者は信長・秀吉・家康に仕えた幸阿弥家です。尾張家2代の光友が結婚した際(当時 数えで15歳)に、花嫁の千代姫(徳川家光の長女で当時 数えで3歳!)が嫁入り道具として持ってきた調度品らしく、梨地に源氏物語の「初音」のシーンが描かれていて、紫の上の邸宅が表されています。よ~~~く観ると初音の帖の唄も書かれているらしく、ひらがなが溶け込むように散らされているようです。これは分かりやすい豪華絢爛かつ重厚な品で、徳川家の威光が感じられました。

1-1 「源氏物語絵巻 柏木(三) 詞一・二 絵」 ★こちらで観られます
これは源氏物語の絵巻で、私が観たときは、柏木と女三宮の間に生まれた薫の祝いの儀式のシーンが展示されていました。屋敷の中で光源氏が薫を抱きかかえ、周りには2人の女性が描かれています。その右には金箔を散らした紙に字が書かれていて、経年によって劣化しているように思いましたが、華やかで王朝文学に相応しい格式の高さを感じました。


<第三章 教養  琴棋書画>
最後は教養に関してのコーナーです。江戸時代の大名は和歌や文学など教養を身につけるのが良いとされ必須の徳目とされたそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。
まず、琴、将棋盤、碁盤、双六盤、書が書かれた屏風など琴棋書画に関する品が並んでいました。少し先に行くと屏風絵などもあります。

227 狩野探幽 「四季花鳥図屏風」
これは6曲1双の横長の屏風で、左隻には渓流がありそこに集まる鳥や木々などが描かれています。その流れに沿って花が咲いていたり月が出ていたりしていて、四季の移り変わりも表しているようです。繊細で抑えられた色調が静かな印象で、情緒ある画面となっていました。

この近くにあった215 本阿弥光悦「新古今和歌集抜書」なども好みの作品でした。また、その後には尾張家の子女が描いた作品が並び、中にはプロの絵師が描いたものかと思うような作品もありました。彼らは狩野派に学んでいたそうです。

そして最後は源氏物語の本や画帖、書の規範となる古筆手鑑などが並んでいました。


ということで絢爛豪華な品々が並ぶ展覧会でした。流石は御三家の筆頭に伝わるだけあり、重厚な文化が感じられます。とは言え、若干テーマが漠然としていたためか豪華な品々が並んでいるだけのような気がするかな…。基調な品が多いだけにもうちょっと展覧会自体の趣向も凝らして欲しかった。


 参照記事:★この記事を参照している記事



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マックス・クリンガーの連作版画―尖筆による夢のシークエンス 【国立西洋美術館】

前々回前回とご紹介した西洋美術館の特別展を観た後、常設展も観て来ました。常設内にある版画素描展示室では「マックス・クリンガーの連作版画―尖筆による夢のシークエンス」が開催されていました。

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【展覧名】
 マックス・クリンガーの連作版画―尖筆による夢のシークエンス

【公式サイト】
 http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2012max.html

【会場】国立西洋美術館 版画素描展示室
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)


【会期】2012年11月3日(土・祝)~2013年1月27日(日) 
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。

さて、今回はマックス・クリンガーという19世紀末から20世紀初頭に活躍したドイツの画家の版画の展示です。マックス・クリンガーはウィーン分離派やベルリン分離派にも参加していた画家で、版画にも強い関心を持ち多くの作品を残したそうです。著書の中では版画(銅版、木版、リトグラフ)や素描をなどを「尖筆芸術」と呼び、絵画や彫刻よりも空想の力が発揮しやすいと述べていたそうです。この展示ではそれを感じさせる連作などが並んでいましたので、詳しくは気に入った作品を通じてご紹介しようと思います。なお、この展示ではルールを守れば写真を撮ることができましたので、それを使っていこうと思います。

マックス・クリンガー 「眼鏡をかけた自画像」
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これは自画像のエッチング。ちょっと神経質そうな顔をしているように見えましたが、細やかで陰影が巧みに思います。

マックス・クリンガー 「私室での陵辱」
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これは西洋美術館が所蔵する唯一の素描で、優美なロココ調の部屋で陵辱が行われている様子が描かれています。手を挙げて抵抗している感じがするなどちょっと生々しい。部屋の雰囲気と対比的でした。


少し先には「手袋の取得に関するパラフレーズ-それを失くした婦人に捧ぐ」という全10点の連作が並んでいました。これは21歳だったクリンガーの実質的なデビュー作らしく、画家自身の自伝的な内容のようです。

マックス・クリンガー 「行為」
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今回のポスターにもなっている作品です。これはちょっと前に観た覚えがあるのを思い出しました。ローラースケート場で女性が手袋を落としたのがきっかけで、青年は女性への想いを募らせるというストーリーで、これはその出会いの場面を描いています。リズムを感じる配置が面白いですが、何処と無く不安になる歪みを感じました。
 参考記事:ルドンとその周辺-夢見る世紀末展 感想後編(三菱一号館美術館)

マックス・クリンガー 「凱旋」
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これは青年の妄想の中の場面。手袋が美しい馬車に乗っていて、優美な雰囲気があります。手袋は恋する女性そのものとして扱われているようです。
以前このシリーズを観た時に、手袋にまつわる機知を効かせた作品かと思っていましたが、こうして改めて観ていくと妄想と葛藤の作品なのかも?と考えが変わりましたw 

マックス・クリンガー 「不安」
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こちらは一転して手袋に押しつぶされそうになっている場面。悪夢のようで、叶わぬ恋に苦しめられているのかも知れません。

この先にもこのシリーズの妄想と歪んだ愛を感じさせる作品がありました。また、その先にはアモールとプシュケの物語の本なども展示されていました。


続いてはオヴィディウスの変身物語を題材にした連作「オヴィディウス『変身物語』の犠牲者の救済」。こちらは先ほどの手袋とほぼ同時期に作られているそうで、神話もクリンガーの想像力の源泉だったようです。

マックス・クリンガー 「第一間奏」
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これはブランコに乗る女性が宙を待っている様子です。背景が幻想的に感じるせいか、不安な雰囲気があるように思えました。解説によると、こうしたブランコに興じる人物像はゴヤの作品を想起させるとのことでした。
 参考記事:
  プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影 感想前編(国立西洋美術館)
  プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影 感想後編(国立西洋美術館)

マックス・クリンガー 「アポロンとダフネ III」
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アポロンが牛を飛び越えてダフネに迫ろうとしたところ、牛が走りだしアポロンを乗せていったという場面のようです。アポロンは後ろ向きに座っていて驚いているのかな? 右のほうでダフネがぽか~んと見ているのが面白かったですw


続いては「死について II」という連作のコーナーです。死はクリンガーにとって重要なテーマだったらしく、「死について I」を作ったものの完結せず、続編としてこちらが作られたようです。かなり時間をかけて作られた連作のようで、ショーペンハウアーやダーウィンからの影響も受けているそうです。

マックス・クリンガー 「生に清く・・・」
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中央の巨人は時間の擬人化で、手には空しさを意味する砂時計を持っています。崖に居るのはモーゼ、キリスト、ブッダで、いかなる宗教も時間の前には無力であると暗示していると考えられるそうです。そして手前の人物は死を恐れぬ人の象徴なのだとか。キリストをこういう姿で描くとはちょっと驚きでした。

マックス・クリンガー 「ペスト」
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病室に紛れ込んだカラスを追いやる十字架を持った女性が描かれています。タイトル的にこれはペストや死の象徴だと思いますが、十字架を振り回しても意味が無いとでも皮肉っているのかな??

マックス・クリンガー 「死せる母親」
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死んだ母親の上にいる赤ん坊という、悲惨な場面を描いた作品のはずですが、あまり暗さを感じません。クリンガーは「個は死に、種は生きる」という生物学的な思考を持っていたそうで、この絵でも背景の若い植物と共にそれを暗示しているようでした。


ということで、幻想的でちょっと不安な気分になる作品が並んでいました。あまり知らなかった画家だけにこれは貴重な機会でした。版画室の展示は毎回面白いので、西洋美術館に行く際にはこちらも観るとより楽しめると思います。


 参照記事:★この記事を参照している記事



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Fun with Collection 2012 彫刻の魅力を探る 【国立西洋美術館】

前回ご紹介した「手の痕跡 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描」を観た後、下階で同時開催(ロダンとブールデル展のチケットが必要)の「Fun with Collection 2012 彫刻の魅力を探る」も観てきました。

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【展覧名】
 Fun with Collection 2012 彫刻の魅力を探る

【公式サイト】
 http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2012fun.html

【会場】国立西洋美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)


【会期】2012年11月3日(土・祝)~2013年1月27日(日) 
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日13時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_②_3_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらはロダンとブールデルの展示と続きになっているので、混み具合もほぼ同じで快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は美術品が並ぶ展示とは趣きが異なっていて、普段見ている彫刻はどのように作られているのかを知ることができる内容となっていました。彫刻作品は同じ銅像がいくつもあったり、同じものが大理石になっていたりと疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、この展示ではその謎を分かりやすく解明してくれます。こちらでも写真を撮ることができましたので、何枚か使って簡単にご紹介して置こうと思います。


入口に素材の違う4つの頭部像が並んでいました。
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右から順に粘土原型、テラコッタ(粘土でつくった素焼きの焼き物)、ブロンズ、大理石となります。


制作はまずはデッサンから始まるようです。
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デッサンを行うことでモデルの造形的特徴を理解・把握し整理するのだとか。上の階でロダンとブールデルも素描は大事にしていたと解説を読んできたばかりなので納得。

そして粘土。こちらで原型となる像を作っていきます。
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大まかに肉付けした後、細かい表情をつけていくそうです。升目状の跡はこの後の工程によるものです。
この辺にはヘラなどの道具も展示されていました。

続いては粘土で出来た塑像の型(雌型)を取る作業です。
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塑像の前と後ろで大きく2つに分け、さらに細かく分割した線にそって「切り金」という薄い金属版を差し込んでいきます。(先ほどの粘土像の升目状の後は切り金の跡のようです。)そして水で溶いた石膏を隅々まで行き渡らせ、補強や細かい調整を行なってこうした雌型ができます。

その後は雌型を使って石膏像を作っていく工程が紹介されていました。
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石膏像はまず雌型から石膏を外しやすくするために離型剤を雌型に塗った後、石膏を溶いて雌型に流しこみ、さらに石膏に浸したスタッフを全体に貼り付けて補強するようです。雌型を合わせて固定して1日待って乾かし、乾いたら雌型を外していきます。
こちらの像だと雌型の線が見えるのですが、通常はこれを削るのに対して、ロダンやブールデルの作品にはこれを残しているものもあるそうです。

続いてこちらはテラコッタ。
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テラコッタも石膏と同様に雌型を使って作られていて、雌型を合わせて内側から粘土を貼っていき、乾いて少し硬くなったら雌型を剥がし、そしてガス窯で焼き上げます。テラコッタは結構色が独特で好みです。

そしてこれは大理石へのコピー。
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大理石はまず石切り(石割り)を行い適度な大きさにして、その後は「星取り」という地道な作業を行いながら作っていきます。この写真の星取り機で高さ・位置を記録し、それと見比べながら彫っていくようです。気が遠くなる工程ですね…。最後にヤスリやサンドペーパーで仕上げていきます。

こちらはロスト・ワックス法というロウを使う技法で作っているブロンズ像。先ほどの雌型を使って蝋原型を作った後、蝋原型に細かい修正を行い、こうした「湯道」というブロンズの通り道が作られます。
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さらにこれを鋳型材で覆い鋳型を作り、鋳型の周囲に焼成窯を築いて焼成していきます。この辺の過程は結構複雑なので文章では説明しきれませんが、映像を観ると様々な工夫が凝らされていて面白かったです。最後に色をつけて完成。

この辺にはそうした作業に使う道具類も展示されていました。また、製作工程の映像を観ると各道具をどのように使っているかも分かりました。


ということで、作品自体はほとんどありませんが、分かりやすくて非常に参考になる内容となっていました。色々素材はありますが、大理石は一番大変そうです…。今後の彫刻鑑賞にも役立つと思いますので、ロダンとブールデル展を観に行かれる方はこちらもじっくり観てくることをお勧めします。



 参照記事:★この記事を参照している記事



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手の痕跡 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描 【国立西洋美術館】

先日の土曜日に上野の国立西洋美術館で「手の痕跡 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描」を観てきました。

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【展覧名】
 手の痕跡 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描

【公式サイト】
 http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/rodin2012.html

【会場】国立西洋美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)


【会期】2012年11月3日(土・祝)~2013年1月27日(日) 
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日13時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
それほどお客さんも多いわけではなく快適に鑑賞することができました。

さて、今回の展示は誰もが知っている大彫刻家オーギュスト・ロダンとその弟子エミール=アントワーヌ・ブールデルについての展示です。この2人はいずれも近代を代表する彫刻家だけにしっかりと押さえておきたいと常々思っていましたが、今回は国立西洋美術館が誇るコレクションを中心に、テーマや制作当初のエピソードを交えながら紹介するという内容となっていました。しかも今回の展示は常設作品が多いためかルールを守れば撮影可能となっていましたので、いくつか撮ってきた写真と共に各章ごとに気に入った作品と共にご紹介できればと思います。


<第1章 古代やルネサンス彫刻の探求と成果>
まずは古代やルネサンス彫刻からの影響についてのコーナーです。19世紀後半のフランスでは彫刻家として成功するためには古代彫刻を範とし、アカデミーに従った作品を作ることが必要とされていたそうですが、ロダンは国立美術学校の受験に失敗し進学を断念していたそうです。しかし、ルーヴル美術館やイタリア旅行で触れたルネサンス/バロック期の彫刻から学び取ろうとしたそうで、ロダンは初めての3ヶ月のイタリア旅行の後にミケランジェロに影響を受けたポーズや筋肉表現の作品を生んだそうです。
一方、後にロダンの弟子になるブールデルは国立美術学校入学のコンクールで2等を取るなど優秀な成績を収めたようですが、アカデミーのシステムを嫌って飛び出したそうです。そんなブールデルも美術学校時代には古代やルネサンスの彫刻を繰り返し素描にしているようで、ロダンほど直接的に自分の作品に取り入れたわけではないようですが、そこから得た均衡の取れた構成が彫刻家としての出発点となっているそうです。ここにはそうした古代からの影響が見て取れる作品が並んでいました。

オーギュスト・ロダン 「青銅時代」
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こちらはイタリア旅行から帰ってすぐに作られたものらしく、腰をひねる様子は古代からの伝統的なポーズだそうです。私には苦悩の表情とポーズのように見えたのですが、以前は「敗北者」と題されたこともあったそうです。しかしロダンは人間の起源を表す「青銅時代」と名付け普遍的な意味を持たせたのだとか。

オーギュスト・ロダン 「説教する洗礼者ヨハネ」
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これは筋肉ムキムキで手足が非常に長く見えるのですが、腕の位置などは解剖学的には正確ではないそうです。しかし威厳に満ちていて話しけてくるような雰囲気でした。解説によると、これはイタリアの農夫がモデルなのだとか。

エミール=アントワーヌ・ブールデル 「瀕死のケンタウロス」
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首が異常に折れ曲がった半人半馬のケンタウロスの像です。結構無理矢理なポーズだと思ったのですが、これはパリのシャンゼリゼ劇場のフレスコ画を立体にしたもののようで、正方形に収まるように作られているとのことでした。この苦悶の表情が真に迫っています。

この辺には西洋美術館の入口にある「弓をひくヘラクレス」の習作もありました。


<第2章 肖像・頭部彫刻>
続いては肖像と頭部像のコーナーです。身近なモデルの協力を得やすいことから、彫刻家の出発点が肖像というのは珍しくないそうで、ロダンとブールデルも数多くの肖像作品を残しているようです。ロダンは肖像・頭部像に多様性を見出しモデルの内面を表す作品を残したそうで、ブールデルはロダンの肖像を通じてモデルをそのまま写しとるのではなく、誇張し翻訳することで写実以上の真実を得ることができると理解していたそうです。
また、ブールデルは初期には出身地の名士の肖像で生活を助けられていたそうで、その後も評価の高い作品を産み出し、晩年にはアトリエで放置され半分崩れかかった状態の像を利用するなど偶然を取り入れた技法の作品も作ったそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。

オーギュスト・ロダン 「アンリ・ロシュフォールの胸像」
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この人は政治家でジャーナリストでもあった人物で、ロダンとも交流があった人です。髪型やおでこが大きく胸の辺りが荒々しい感じで、厳格そうな雰囲気がありました。解説によると、この作品は一度発表された後に手直しされたらしく、こちらは手直し後のバージョンだそうです。手直し前より前頭部が強調されて知的な表情となっているのだとか。

この辺には画家のシャヴァンヌの胸像などもありました。

オーギュスト・ロダン 「ヴィクトル・ユゴー」
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こちらは「レ・ミゼラブル(ああ無情)」などで有名な小説家の胸像です。ちょっと気難しそうな顔に見えるかなw ユゴーはロダンより前にも胸像のモデルとなったことがあったそうで、長時間のポーズを嫌い制作に際しては特別にポーズを取らないことを条件にOKしたそうです。

オーギュスト・ロダン 「花子の頭部」
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いかにも日本人っぽい顔をしている日本人女性の頭部像です。このモデルは太田ひさという女優だそうで、マルセイユの劇場でロダンの目にとまったそうです。若干怖い顔をしているのは演じた役に応じたためのようです。

エミール=アントワーヌ・ブールデル 「首のあるアポロンの頭部」
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こちらが半分崩れかかっていた像を使って作られた作品。私には風化した遺跡の像みたいに見えました。師のロダンもこうした技法を用いていたそうですが、面白い発想です。


<第3章 人体の動勢表現>
ロダンの代表作「地獄の門」は注文変更によって死ぬまで石膏像のままアトリエに置かれたそうですが、その制作に際して様々な派生作品を生んだらしく、身体を大きく動かす像など人体表現の実験の場となったそうです。一方、ブールデルはロダンの身近でその仕事を観ていたひとりで、ロダンから直接影響を受けた作品を残していますが、後に均衡のとれた構成や様式の統一性へと向かったそうです。ロダンは「粘土をこねて形成する人」であり、断片から全体を作りあげていく彫刻家であるのに対して、ブールデルは「建築家」で、全体の構造から細部を決めていく彫刻家だったそうで、こちらにはその違いを感じさせる作品が並んでいました。


オーギュスト・ロダン 「永遠の青春」
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男女の劇的な愛のシーンを表現したこの作品は、当初は「地獄の門」に組み込まれる予定だったそうです。(恐らく絶望とかけ離れているので組み込まれなかったのかな?) のけぞり手を伸ばす姿勢は躍動感があり、動きを感じさせました。

オーギュスト・ロダン 「私は美しい」
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こちらは「地獄の門」に登場する「おちる男」と「うずくまる女」を組み合わせた作品です。近くに「うずくまる女」も単体で展示されていたのですが、こうして組み合わさると完全に違う作品に見えました。

エミール=アントワーヌ・ブールデル 「絶望の手」
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こちらはロダンからの影響が伺える作品。手だけなのに言い知れぬ絶望感が伝わってきます。

エミール=アントワーヌ・ブールデル 「横たわるセレネ」
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こちらは観たことが無かったのですが、こちらの美術館では半世紀ぶりの公開となるそうです。これまでの劇的な雰囲気から一転して優美で流麗な雰囲気があるように思えました。解説によるとこれは友人の奥さんをモデルにしているのだとか。


<第5章 素描と版画>
続いては素描と版画についてのコーナーです。(4章より5章が先)ロダン美術館には8000点、ブールデル美術館には7000点の素描が残されているそうで、ブールデルは教え子たちに彫刻家であることと同時に素描家であることが必須であると指導していたほどだったそうです。また、ブールデルはロダンの素描について、「修正や後悔、躊躇の跡がほとんど無い。ここでは精神が完全に理解した時にしか手は動き始めることはない。時には手は思考が開かれたと同時に動き始めるのだ」と語っていたそうです。
また、銅版画についてはロダンはイギリス旅行の際にアルフォンス・ルグロから学んだそうで、数は少ないようですが版画家ロダンの技量を物語っているとのことで、ここにはそうした作品が並んでいました。

オーギュスト・ロダン 「ヴィクトル・ユゴー」
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先ほど彫刻でも出てきたユゴー。彫刻制作の際に素描を重ねたとのことだったので、これもその1つかな?(さっきの彫刻の1年前の作品) 意外と簡潔な部分もありますが、よく雰囲気が伝わってきて、多面的に描かれているようでした。


<第4章 記念碑制作>
最後は記念碑のコーナーです。19世紀フランスでは街の整備が進められる中で大型の記念碑の注文が盛んに行われていたそうで、ロダンとブールデルも注文を受けて公共彫刻を制作し、社会的な地歩を築いたそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。

エミール=アントワーヌ・ブールデル 「わが子を捧げる聖母」
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こちらは「アルザスの聖母」とも呼ばれる本作品がアルザス地方にあるそうで、それはなんと6mにも及ぶ大作となっているそうです。幼子イエスのポーズがその後の磔刑を暗示しているような…。これを観た画家のドニは絶賛して、「この聖母はあらゆる時代の宗教美術の傑作である」と言ったとのことでした。

オーギュスト・ロダン 「考える人」
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右のは美術館の庭に展示されているものです。ロダンで一番有名な作品かな? こちらは地獄の門の上に配置されているものの派生作品で、「神曲」「地獄篇」の作者であるダンテを表すものでしたが、後に「詩人」となり、さらに普遍的な「考える人」へとタイトルが変わっていったそうです。考える人は地獄について考えていると思うと、中々意味深です。

この辺には地獄の門の第三構想のマケットもありました。

おまけで外にある彫刻の写真も少々。

オーギュスト・ロダン 「地獄の門」
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これが地獄の門! よく観ると確かに今回の展示にあった像なども組み込まれています。これは今回の展示で観る楽しみが増えました。

オーギュスト・ロダン 「カレーの市民」
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こちらはロダンの初の記念碑彫刻で、カレーでイギリスの攻撃から街を守った6人の英雄を主題としています。依頼したカレー市は英雄の1人を際立たせたかったようですが、6人全員が等しい高さで、しかも悩んでいるような感じで英雄とは程遠い出来栄えとなっています。台座などでも発注者と意見が合わずに設置に12年もかかったそうですが、私はこの作品はかなり好きです。

ということで、普段よく見ている作品も多かったですが、制作背景なども知ることが出来て非常に参考になりました。この他にも素晴らしい作品は多く、2人の違いも分かりやすく紹介されているので、彫刻好きの方にお勧めの展示です。


 参照記事:★この記事を参照している記事




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博物館に初もうで(2013年) 【東京国立博物館 本館】

年が開けて1/3に、東京国立博物館へ行って「東京国立博物館140周年特集陳 博物館に初もうで-巳・蛇・ヘビ」と「新春特別公開」を観てきました。この日は特別展は無かったので、平常展のみ観てきました。

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【展覧名】
 東京国立博物館140周年特集陳列 博物館に初もうで-巳・蛇・ヘビ
 新春特別公開
 
【公式サイト】
 http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1578
 http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1577

【会場】東京国立博物館 本館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)


【会期】
 博物館に初もうで-巳・蛇・ヘビ:2013年1月2日(水) ~ 2013年1月27日(日)
 新春特別公開:2013年1月2日(水) ~ 2013年1月14日(月)
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(祝日15時頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
今年も結構混んでいて、多くの人で賑わっていました。

さて、今回の展示は毎年恒例のお正月ならではの内容で、この博物館の選りすぐりの所蔵品が展示されるというものです。今回も写真を撮ることができましたので、写真を使って気に入った作品などをご紹介していこうと思います。

 ※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れます。(撮影禁止の作品もあります)
 ※当サイトからの転載は画像・文章ともに一切禁止させていただいております。

 参考記事:
   東京国立博物館の案内 【建物編】
   東京国立博物館の案内 【常設・仏教編】
   東京国立博物館の案内 【常設・美術編】
   東京国立博物館の案内 【2009年08月】
   東京国立博物館の案内 【2009年10月】
   東京国立博物館の案内 【2009年11月】
   東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放】
   東京国立博物館の案内 【2009年12月】
   東京国立博物館の案内 【2009年12月】 その2
   東京国立博物館の案内 【2010年02月】
   東京国立博物館の案内 【2010年06月】
   東京国立博物館の案内 【2010年11月】
   博物館に初もうで (東京国立博物館 本館)
   本館リニューアル記念 特別公開 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2011年02月】
   東京国立博物館の案内 【2011年07月】
   東京国立博物館の案内 【2011年11月】
   博物館に初もうで 2012年 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館140周年 新年特別公開 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2012年03月】
   東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放 2012】
   東京国立博物館の案内 【2012年11月】

まず2階から見て回ることにしました。本館中央階段にはお正月らしい松がありました。
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こちらは蔵重 伸 氏と中野 幽山 氏によるもの。凛とした佇まいで清々しいです。

山田抱玉 「紅白梅図屏風」
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一瞬、酒井抱一の作品かと思いましたが、その弟子の作品でした。こちらも紅白でおめでたい感じ。

尾形光琳 「風神雷神図屏風」
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今年もこちらの作品が展示されていました(既に終了) 日本人なら誰でも知っている名作ですね。俵屋宗達のオリジナルと甲乙つけがたい。

海北友松 「琴棋書画図屏風」
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琴棋書画は四芸と呼ばれた主な教養科目です。何とも優美で幻想的な理想郷が広がっていました。

白隠 「福神家訓」
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福の神の家訓かな? 金を積みて子孫に遺す。子孫未だに必ずしも能く護らず といった感じで続くのですが、やや皮肉が効いているのかもw

伊藤若冲 「松梅群鶏図屏風」
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こちらも以前ご紹介しましたがリマインド。これもお正月恒例となってきたのかな? 若冲お得意の鶏が描かれ、石灯籠は点描で描かれるという斬新さがあります。

歌川広重 「東都御殿山・真乳山図」
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こちらは肉筆の掛け軸。寒さと清新な雰囲気を感じます。

長谷川等伯 「松林図屏風」
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今回の目玉は国宝室にあったこちらの作品。久々に観ることができました。(既に終了) この霞がかった情感が何とも神秘的で、眼前に広がっているかのような臨場感がありました。
 参考記事:
  没後400年 特別展「長谷川等伯」 感想前編(東京国立博物館 平成館)
  没後400年 特別展「長谷川等伯」 感想後編(東京国立博物館 平成館)

そして今回の特集陳列の博物館に初もうで。今回は巳年に因んだ蛇を題材にした作品が並んでいました。
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歌川国芳 「よきことを菊の十二支」
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これは幕末に流行った菊人形に倣った十二支。ちょっと難しいですが、タイトルも言葉遊びのようになっているようです。機知に富んだ国芳ならではの作品かな。

狩野養長 模 「十二類合戦絵巻 上巻(模本)」
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十二支主催の歌合の様子を描いた作品。蛇は唯一の女性として描かれていました。

「日高川草子(模本)」
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こちらは能「道成寺」で有名な伝説を描いた絵巻。男への想いと執念から大蛇となった清姫が追いかけてくる様子です。もはや龍のようで顔が怖いw

「十二神将立像 巳神」
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こちらは十二神将の巳神。頭の上に蛇が乗っているのがトレードマークです。

勝川春章 「二代目嵐三五郎の巳の字絵巻持男」
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全部「巳」に観ますが、実は「已己巳己(いこみき)」と読むそうで同じようで異なるものを例える言葉のようです。そう言われても一緒に見えますが…w

上を一通り観た後、1階も見て来ました。

「松巴螺鈿鞍」
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これは室町時代の品で、明からの影響を受けているそうです。細かい螺鈿細工が何とも美しい。

しばらく進んで近代の部屋へ。

下村観山 「修羅道絵巻」
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六道の1つ修羅道を描いた絵巻。この姿は阿修羅かな。人間界の戦いや修羅道での戦いなど戦い尽くしの絵巻となっていました。迫力ある場面です。

浅井忠 「読書」
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じっと本を読む女性を描いた作品。目をつぶっているようにも見えますが。光と温かみを感じる色合いで、知的な雰囲気でした。

この辺には浅井忠の作品が何点か並んでいました。

A.W.Fr.キスター社 原品:アントニオ・カノーヴァ  「エロスとプシュケ」
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ルーヴル美術館でも観た覚えがありますが、エルミタージュ美術館の所有の品を小さなレプリカにしたもののようです。若干彫りが浅く堅い印象を受けましたが能く出来てきました。
 参考記事:番外編 フランス旅行 ルーヴル美術館

ということで、一部は公開が終わってからのご紹介となり申し訳ございません…。この他に東洋館のリニューアル展も行われていましたが、観る時間が無かったので近いうちに特別展と共に観に行こうと考えています。今年も年初から良い作品を観ることが出来ました。


 参照記事:★この記事を参照している記事




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【番外編 フランス旅行】 パリ市街の写真

年明けから2週間近くも引っ張った番外編も今回でラストです。最後は今までご紹介しなかったパリ市街の写真をまとめてご紹介しようと思います。

まずこちらはオペラ座(ガルニエ宮)。
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こちらは中には入らなかったのですが、中にはシャガールの天井画などもあります。

オペラ座の横側。
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この辺はオペラ地区と呼ばれ、日本人が多く集まる場所です。少し離れた場所にはジュンク堂があったり日本食のお店も結構ありました。

オペラ座から少し歩くと、巨大なマドレーヌ寺院が見えてきます。
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これはカトリックの教会のようですが、あまりの大きさに圧倒されました。

こちらはコンコルド広場。先ほどのマドレーヌ寺院も背景に見えています。
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ここはチュイルリー公園とシャンゼリゼ通りに挟まれた所にあり、オベリスクも立っています。綺麗なところですが、革命期にはマリー・アントワネットも処刑された場所です。
 参考記事:マリー・アントワネット物語展 (そごう美術館)

こちらはシャンゼリゼ通り。右は夕暮れ後。
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シャンゼリゼの歌を歌ってみたくなりますw 凱旋門の近くにはブランドショップなどが並んでいましたが、コンコルド広場の近くはあまりお店はありません。

シャンゼリゼ通りではこちらのお店でランチを摂りました。
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チェーン店のようなところのようですが、十分美味しくて洒落た感じでした。

こちらは凱旋門。この写真は先日ご紹介したジヴェルニーに向かうバスから撮りました。
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周りは道路に囲まれていて、地下道から門の下に行くことができます。凱旋門の中に入ることもできるのですが、混雑していたので行きませんでしたw

凱旋門を下からみるとこんな感じ。
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この辺りには第一次世界大戦の頃の戦士の墓がありました。

これはシャンゼリゼからセーヌ川に行ったところにあるアレクサンドル3世橋(写真はオルセー通りに渡った辺りから撮っています)
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対岸に見えているのはグラン・パレ。その向かいにはプティ・パレがあります。この橋は日本のCMで使われたり、映画ミッドナイト・イン・パリにも出てきた所じゃないかな。
 参考記事:映画「ミッドナイト・イン・パリ」(ややネタバレあり)

アレクサンドル3世橋あたりから観た夜のエッフェル塔。
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夜のパリも非常に綺麗ですが、若干治安が良くないのが玉に瑕。

こちらはアレクサンドル3世橋から観るオテル・デ・ザンヴァリッド(アンヴァリッド)
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元は軍病院で、地下にはナポレオン1世なども安置されているそうです。


打って変わってこちらはモンパルナスにあるカフェ、ラ・ロトンド(La Rotonde)
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ここはモディリアーニや藤田など多くの画家が通ったお店で、絶対に行きたいと思っていました。

中はこんな感じ。モディリアーニのポールギヨームの絵(複製)なども飾ってありました。
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こちらでは軽めの夕食を採り、全体的に美味しかったです。しかしオニオンスープが凄くしょっぱくて驚きましたw 向こうの好みかな。

こちらはラ・ロトンドの向かいにあるル・ドーム。
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こちらもエコール・ド・パリの画家たちが集ったカフェで、今は高級感のあるお店でした。

カフェルームとレストランルームが分かれているようで、これはカフェルーム。
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この時本当はカフェだけでの利用は駄目だったようですが、ちょっと無理を聞いて貰ってしまった…w もし次に行くときはちゃんと夕食を摂ります^^;

こちらはモンパルナスタワー。パリで目を引くビルです。
P1000731.jpg
モンパルナスは残念ながらあまり見て回ることができませんでした…。ラリューシュ(蜂の巣 と呼ばれるモディリアーニやシャガールが住んでいたアトリエ)なども行ってみたかった…。

ということでパリ市街の写真はこれでおしまいです。ここからはちょっと蛇足でフランス旅行の手引きのようなものです。

まず今回の旅行については事前に2~3ヶ月前に諸々を予約していきました。ツアーで行くと確実に観たいものが観られないので個人旅行で行ったのですが、ツアーの方が都合の良い物もあるので、そこはオプショナルツアーを使う感じでした。

航空チケットはKLMオランダ航空で取りました。
 参考リンク:KLMでパリへ!
実際に乗ったのはJALとエールフランスの共同運航便だったかな。

ホテルはエクスペディアで取りました。割引を駆使したので、結構安くなりました。
 参考リンク:エクスペディア (パリ及びその周辺のホテル)

ツアー関係はすべてAlan1.net
 参考リンク:Alan1.net
ツアー参加時には事前にプリントアウトをしておくことが必要です。ツアー以外にかなり役立ったのがホテルと空港の間の送迎(日本人添乗員がつく)で、チェックイン・チャックアウトもしてくれました。シャルル・ド・ゴール空港からの鉄道は治安の悪さで有名なので、送迎のオプショナルツアーは個人旅行では重宝します。

私が泊まったのはオルセー美術館からすぐ近くのホテル ポン ロワイヤルでした。
 参考リンク:ホテル ポン ロワイヤル
P1010178.jpg
かの文豪ヘミングウェイもよく泊まったという歴史あるホテルで、現在でも綺麗で洒落たホテルでした。目の前にはMONOPRIXというスーパーがあるので、何かと便利です。場所も非常によくオルセーやルーヴルの開館時間にも余裕で行けました。

部屋はこんな感じでした。そんなに広くはないですが、十分なスペースです。
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こちらはインターネットも使えるのですが、私のPCでは何故か有線が繋がらず、WiFiを使っていました。電源は結構ありますが、もちろん変換機が必要です。

お風呂。全部屋にあるかはわかりませんが、バスタブがありました。日本人だから配慮してくれたのかも。
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お風呂の隣の水回り。
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こちらも日本と何ら変わりなく快適に使うことができました。

ポン ロワイヤルの地上階にはジョエル ロブションのレストランもありました。
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高級なので朝に1回だけ利用(25ユーロ)しましたが、バイキング形式で非常に美味しくいただけました。
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これでフランス編は終わりです。この旅行では美術館を沢山回って、その都度 図録も買っていたので危うくトランクの重量制限に引っかかるところでしたw 非常に満足な旅だったので、また長期休暇の際にでも再訪したいと思っています。


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【番外編 フランス旅行】 パリ市立近代美術館

お正月から続いた番外編のフランス旅行の記事もそろそろ終盤です。前回ご紹介したプティ・パレを観た後、歩いてパリ市立近代美術館にハシゴしてきました。(実際に行ったのは2012年のゴールデンウィークなので、現在と入れ替わっている作品も多々あると思います)

こちらがパリ市立近代美術館。神殿みたいな建物です。こちらの美術館でも写真を撮ることができました。
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こちらはパレ・ド・トーキョーという建物で、パリ市立近代美術館は東翼(右側)にあります。開館は1961年と意外と最近で、西翼は「パレ・ド・トーキョー / 現代創造サイト」という現代アートのギャラリーだそうです。

まずは大きな展示室に入りました。ここにはマティスの壁画があります。

アンリ・マティス 「La dance(ダンス)」
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作風から恐らく晩年の作品かな? 躍動感溢れる表現で、流れるようなフォルムは流石です。

アンリ・マティス 「La dance(ダンス)」
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さらにもう1つ壁画があり、こちらの方が好み。写真で観るとわかりづらいですが、大きさもかなりのもので感動しました。この裏辺りにはこの2つの作品に関する資料的なものもあります。

この後は普通の展示室を回りました。

こちらはいつも展示しているのか分かりませんが、エコ・ヌグロホというインドネシアの現代アーティストの部屋がありました。
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何処と無くアジアっぽさもありつつちょっとシュールな感じ。

その後は近代絵画が並んでいました。

ラウル・デュフィ 「Les regates」
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大好きなデュフィの作品。色の取り合わせが明るく感じられますが、ちょっと重厚に見えるかな。

パブロ・ピカソ 「Evocation ou l'Entterrement de Casagemas」
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恐らく青の時代の作品じゃないかな? 宗教的な雰囲気で何処かエル・グレコを彷彿とするかな。

フェルナン・レジェ 「L'homme a la pipe」
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キュビスム的でシマシマが面白いリズムを生み出していました。

ジャン・デュナン 「Les Sports」
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ここは絵画だけでなく工芸品もあり、これはスポーツをする壁画。この人はアール・デコの装飾家だったと思いますが、こちらは平面的で素朴な感じを受けました。

藤田嗣治 「Nu couche a la toile de Jouy(寝室の裸婦キキ)」
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これは発表当時に非常に話題になったという有名な作品です。フランスでは藤田はこの1点しか観られませんでしたが、これは観られて良かった。

アンリ・マティス 「Odalisque au fauteuil」
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こちらはマティスお得意のオダリスク。背景と共に強い色彩が目を引きます。

ラウル・デュフィ 「Trente ans ou La Vie en rose」
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デュフィらしい明るく軽やかな色彩の作品。この美術館の中でもかなり気に入りました。

ピエール・ボナール 「Le Dejeuner」
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全体的に温かみを感じる作品。何だか幸せそう。

アメデオ・モディリアーニ 「Femme aux yeux bleus」
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首の長さや青い目などモディリアーニの特徴がよく出ている作品。

ジョルジョ・デ・キリコ 「Autoritaratto(Autoportrait)」
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この美術館にはデ・キリコの作品が結構あり、中々観る機会のない古典主義に回帰していた頃の作品もあります。これは60歳頃の作品で、もはやシュルレアリスム的な感じはありません。

ジョルジョ・デ・キリコ 「Natura morta nel paesagglo campestre (Nature morte dans un paysage champetre)」
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こちらはデ・キリコ55歳頃の作品。濃くて重厚感があるのが特徴かな。あまり評価されなかった時代の作品ではありますが、独特です。

ジョルジョ・デ・キリコ 「Idylle antique」
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こちらも55歳頃の作品ですが、形而上絵画のスタイルで描かれ、平面的かつシュールな雰囲気が漂っていました。

ジョルジョ・デ・キリコ タイトル失念…
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これはいつの作品か分かりませんが、これもシュルレアリスムの時代の作風です。このマネキンのような人間?はよく描かれるヘクトルとアンドロマケーかな?

Bernard Requichot 「Peinture et papiers choisis」
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近代絵画だけでなく、現代アートのコーナーもあります。こちらは凄い勢いを感じる作品。意味はわからないけど力強い。

ベルナール・ビュフェ タイトル失念…
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ビュッフェの作品も結構ありました。この平面的で沈んだ色調が独特です。

ベルナール・ビュフェ 「Les plages,le parasol」
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こちらは大きめの作品で目を引きました。海水浴しているところかな?

こんな感じで館内を観ていったのですが、ここに来た目的はこれらの作品ではなく、最後に観たデュフィの大作です。

ラウル・デュフィ 「La Fee Electricite(電気の精)」
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これが電気の精!! 縦10m、横60mというとてつもない壁画で、どう考えてもこの場に行かないと観られませんw 
 参考記事:ラウル・デュフィ展 ~くり返す日々の悦び~ (三鷹市美術ギャラリー)

ぐるっと部屋を取り囲むように描かれていて、沢山の数学者や科学者の像が並びます。
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これだけ大きくなっても色彩は軽やかで透明感を感じます。
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ということで、豊富なコレクションがある中でもマティスのダンスとデュフィの電気の精には大感動でした。絵画好きでもない限り観光客は中々足を運ばなそうなところですが、お勧めの美術館です。


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【番外編 フランス旅行】 パリ市立プティ・パレ美術館

今日も引き続き番外編で、2012年のゴールデンウィークに行ったフランス旅行の記事です。旅行最終日はパリで過ごしたのですが、まずはパリ市立プティ・パレ美術館に行ってきました。

こちらがプティ・パレ美術館。1900年のパリ万博万国博覧会のために建てられたそうで、巨大ながらも洒落た雰囲気です。
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こちらは結構空いていて日本人は他にいなかったのですが、日本語で挨拶してくれたりしました。しかも各部屋に日本語の解説シートがおいてあったりするのが便利でした。

中はこんな感じ。広いスペースで鑑賞することができます。
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入口あたりには近代工芸、その先は近代絵画となっていました。ここも写真を撮ることができましたので、いくつか気に入ったのをご紹介していこうと思います。


左:エミール・ガレ 「Vase」
右:ルイス・コンフォート・ティファニー 「Bouteille Qlielie de Daon」
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アール・ヌーヴォー風の器が並ぶコーナー。形も花のようで面白いです。

カルロス・デュラン 「Portrait de mademoiselle de Lancey」
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かなり魅力的な眼差しを向ける女性像。アカデミックな画家は中々日本ではお目にかからないので嬉しい限り。

こちらは作者と題名が分かりませんでした。
DSC_22532_20130111000937.jpg
まるで生きているような動きのあるポーズです。

ギュスターヴ・クールベ 「Pierre-Joseph Proudhon et ses enfants en 1853」
DSC_22545_20130111000937.jpg
クールベの人物像ってあまり観たことがないかも。悩んでいるのかな?

クロード・モネ 「Soleil couchant sur la Seine a Lavacourt, effet d'hiver」
DSC_22566_20130111000936.jpg
こちらを観た時、日本のポーラ美術館の所蔵品を思い起こしました。構図もよく似ています。
 参考記事:ポーラ美術館の常設
 参考リンク:ポーラ美術館「セーヌ河の日没、冬」

アルフレッド・シスレー 「L'eglise de Moret(le soir)」
DSC_22574_20130111000936.jpg
何の展示か忘れましたが、こちらは見覚えがありました。さわやかな雰囲気です。

アルフレッド・シスレー 「Le Remorqueur sur le Loing,Saint-Mammes」
DSC_22581_20130111000935.jpg
こちらもシスレー。印象派の中で最も印象派っぽい作風です。

モーリス・ドニ 「Baigneuses a Parros-Guirec」
DSC_22587.jpg
ドニも良い作品がありました。色合いがドニらしい感じ。何だか幸せそうな雰囲気です。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「Madame de Bonnieres」
DSC_22598.jpg
これも日本の何かの展示で観た覚えがあります。背景と服の色の対比が鮮やかで、華やいだ雰囲気があります。

ユベール・ロベール 「Ruines romaines,le Forum avec le Colisee et l'Obelisque」
DSC_22630.jpg
廃墟を描いた作品。ユベール・ロベールは架空の風景も描く画家なので、これもそうした作品なのかも。
 参考記事:
  ユベール・ロベール-時間の庭 感想前編(国立西洋美術館)
  ユベール・ロベール-時間の庭 感想後編(国立西洋美術館)

続いて階段を降りて下の階へ。階段もこんな感じで洒落ていました。建物自体も魅力的です。
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階下は引き続き近代絵画もあるのですが、ルネサンスやフランドル絵画などの伝統的な作品もありました。

エドゥワール・マネ 「Portrait de Theodore Duret」
DSC_22648.jpg
これは美術批評家のテオドール・デュレの肖像かな。暗い背景に黒の服とは…。黒の使い方が見事です。

アンリ・ファンタン=ラトゥール 「La Tentation de saint Antoine」
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この作品は日本語に訳すと聖アントニウスの誘惑かな。ラトゥールらしい幻想的な雰囲気とよく合う題材に思いました。

絵画だけでなく工芸品も多数 展示されています。これはギマールの食堂。
DSC_22691.jpg
アール・ヌーヴォーのデザインは優雅で好みです。

「La Decollation de saint Jean Baptiste et le festin d'Herode」
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これはギリシャの古い絵画。這いつくばる聖人が今にも斬られそう。物語性の強い光景です。

レンブラント・ファン・レイン 「Portrait de l'artiste en costume oriental」
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お、これは結構最近に日本の西洋美術館に来た「東洋風の衣装をまとう自画像」だ!と再開を喜びました。やはり明暗表現が絶妙です。
 参考記事:レンブラント 光の探求/闇の誘惑 (国立西洋美術館)

レンブラント・ファン・レイン 「石の手摺りにもたれる自画像」
DSC_22759.jpg
こちらも西洋美術館の展示でも観られた作品と同様の版画(版画なので別の美術館の所蔵品でしたが)です。結構見る機会は多いかな。

ピーテル・パウル・ルーベンス 「L'Enlevement de Proserpine」
DSC_22777.jpg
何かの戦いのシーンかな? 劇的なポーズと柔らかな表現が好みでした。

ピーテル・ブリューゲル(子) 「Le Cortege de noces」
DSC_22790.jpg
これはブリューゲルの作品だけに何らかの意味がありそうですが、読み解けず。このくっきりとした色使いも独特です。

サンドロ・ボッティチェッリ(の工房?) 「Vierge」
DSC_22808.jpg
…あれ?? 有名なボッティチェリの聖母子がないぞ?w と、展示していないのか見落としたのかわからずウロウロしましたが分かりませんでした。 代わりに見つけたこれはatelier deとあるので工房の作かな? 


ということで、こちらでも素晴らしいコレクションの数々を観ることができました。パリは美術館が林立しているのに、どこも質・量ともに充実していて驚かされっぱなしです。 流石は芸術の街ですね…。


おまけ:
このプティ・パレの目の前には同じく1900年のパリ万博万国博覧会の為に作られたグラン・パレ(グラン・パレ・ナショナル・ギャラリー)があります。
DSC_22819.jpg
こちらも観たかったのですが、残念ながら時間がありませんでした。グラン・パレ以上に観に行きたい美術館がありそこを優先したので、次回はその場所についてご紹介しようと思います。


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【番外編 フランス旅行】 オランジュリー美術館とマルモッタン美術館

今日も引き続き番外編で、2012年のゴールデンウィークに行ったフランス旅行の記事です。前回ご紹介したバルビゾン村とフォンテーヌブロー宮殿のツアーからパリに戻った後、オランジュリー美術館とマルモッタン美術館をハシゴしてきました。どちらも印象派(特にモネ)の重要なコレクションのある見逃せない美術館です。

ツアーのバスはチュイルリー公園の前に戻ってきたので、昼食はチュイルリー公園で摂りました。
DSC_22167.jpg
フランスは外食が高いのでここの屋台で済ましたのですが、ここの屋台のハムとチーズのクレープがやけに美味しかったです。食べている時に公園の散歩中の犬ががぶり寄りしてきましたがw

前の写真にもちらっと写っていますが、こちらがオランジュリー美術館。
DSC_22170_20130110005933.jpg
チュイルリー公園の脇にあります。公園の逆側にはルーヴル美術館があるので、この辺は美術館だらけです。

こちらの美術館は常設の一部の写真を撮ることができました。コレクションは主に近代絵画で、印象派、ポスト印象派、エコール・ド・パリ、フォーヴィスム、キュビスムなどです。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「長い髪の浴女」
DSC_22182.jpg
1895~96年頃の作品なので、もうだいぶスタイルが確立された感じで、ルノワールらしい女性美を感じます。
 参考記事:
  ルノワール-伝統と革新 感想前編(国立新美術館)
  ルノワール-伝統と革新 感想後編(国立新美術館)

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「ピアノを弾く娘たち」
DSC_22185.jpg
これは見覚えがあるけど、直接観たのか有名だから覚えていたのか定かではありません。 幸せそうな雰囲気と温かみを感じます。

ポール・セザンヌ 「リンゴとビスケット」
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セザンヌの揃えもかなり良くて、こちらの静物もセザンヌならではの林檎です。

ポール・セザンヌ 「草上の昼食」
DSC_22194.jpg
日本語訳のタイトルがマネの作品を彷彿とするけど関係あるのかな? 塔を中心に三角形を描いている構図が面白いです。

ポール・セザンヌ 「セザンヌ夫人」
DSC_22195.jpg
こちらは奥さんの肖像。林檎のように座ると評された奥さんですw
 参考記事:
  セザンヌ―パリとプロヴァンス 感想前編(国立新美術館)
  セザンヌ―パリとプロヴァンス 感想後編(国立新美術館)
  
アメデオ・モディリアーニ 「ポール・ギヨーム、ノーヴォ・ピロータ」
DSC_22206.jpg
この作品はモディリアーニの中でも特に有名じゃないかな? ちなみにこの美術館はポール・ギヨームからの寄贈コレクションが核になっているようです。

アメデオ・モディリアーニ 「若い奉公人」
DSC_22214.jpg
どこか物憂げで知的な雰囲気の作品。色や曲線も好みでした。

アンリ・ルソー 「ジュニエ爺さんの馬車」
DSC_22210.jpg
これもかなり観たかった作品。何か色々変なところがあるけど素晴らしい絵です。馬車の前の犬?がネズミにしか見えないw

アンリ・ルソー 「婚礼」
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こちらもジャングルを思わせる木々などが独特の雰囲気を醸し出しています。ルソーは他にも数点あり、かなり満足。

マリー・ローランサン 「犬を抱く女」
DSC_22218.jpg
ローランサンらしい女性的な幻想性のある作品ですが、ちょっと暗い感じに思えました。

アンリ・マティス 「赤いキュロットのオダリスク」
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装飾性豊かな背景とオダリスクというマティスお得意の題材。色の取り合わせが鮮やかで、かなり好みでした。

アンリ・マティス 「ソファーの女たち」
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こちらの作品も単純化と色彩が好みです。マティスは他にも多数あり、充実していました。
以前にも書きましたがパリではマティスの作品に出会う頻度が高かったです。

パブロ・ピカソ 「布をかけた大きな裸婦」
DSC_22255.jpg
ピカソも数点。こちらは新古典主義時代の作品。肉感的で大きな手が特徴的です。

パブロ・ピカソ 「大きな静物」
DSC_22256.jpg
こちらは初期のキュビスム時代かな。幾何学的な構成です。

ピカソも何点かあったのですが、映画「ミッドナイト・イン・パリ」に出てくる作品は私が行った時にはありませんでしたw
 参考記事:映画「ミッドナイト・イン・パリ」(ややネタバレあり)

アンドレ・ドラン 「アルルカンとピエロ」
DSC_22262.jpg
日本では観る機会の少ないドランもパリではよく出会いました。こちらは代表作といえるんじゃないかな。動きやリズムを感じます。

アンドレ・ドラン 「台所のテーブル」
DSC_22268.jpg
こちらもドラン。どっしりとした雰囲気があります。

モーリス・ユトリロ 「ベルリオーズの家」
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ユトリロも数点ありました。恐らくこれは評価の高い白の時代の作品じゃないかな。独特の風格があります。

モーリス・ユトリロ 「メゾン・ベルノ」
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こちらは恐らく色彩の時代かな。全体的に色が強くなってちょっと軽やかになった感じ。

この他にスーティンなどもあり、常設の後には特別展も観ました。私が行った時は、その後日本にも巡回してきたドビュッシー展をやっていました。(特別展は撮影禁止)
 参考記事:
  ドビュッシー 、音楽と美術ー印象派と象徴派のあいだで 感想前編(ブリヂストン美術館)
  ドビュッシー 、音楽と美術ー印象派と象徴派のあいだで 感想後編(ブリヂストン美術館)

最下階の展示品を全部観た後、いざメインディッシュのモネの睡蓮の部屋へ! こちらは撮影禁止だったのですが、そもそもこの美術館はモネの睡蓮を飾るために美術館にされたそうで、360度にモネの睡蓮の連作が並ぶ部屋が2つあります。その音楽的なリズムすら感じる色彩の変化や光の移ろいは、筆舌に尽くし難い感動でした。ぐるっと囲まれて観るという体験はこの美術館ならではの魅力だと思います。本当に素晴らしいコレクションの数々でした。日本語版の図録も買ってきました。
 参考記事:【番外編 フランス旅行】 ジヴェルニー モネの家

オランジュリーを観た後、タクシーでマルモッタン美術館に向かいました。

こちらがマルモッタン美術館。私が行ったときは地下でベルト・モリゾの特別展をやっていました。
DSC_22318.jpg
こちらは小さめの美術館ですが、以前に大規模な強盗があったせいか非常に警備が厳重な雰囲気でした。(ここは常設も撮影禁止) この美術館には中世の美術作品などもあるのですが、何と言っても有名なのはモネの「印象・日の出」です。1階の部屋に展示されていたのですが、独占状態でじっくりと観られたのは素晴らしい経験となりました。「印象派」という呼び名はこの「印象・日の出」の名前を元に批判を込めて呼ばれたもので、まさに印象派の象徴的な作品です。
他にもカイユボットやシスレー、ピサロといった印象派の作品もあり、地下のモリゾの特別展も楽しめました。こちらも英語版の図録を購入w

マルモッタン美術館はパリの中心からちょっと離れたところにあり、周りは緑豊かなところでした。
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ということで、この2つの美術館も非常に楽しむことができました。この辺は美術好きでもない限り中々観光コースに入らないようですが、特にオランジュリーはお勧めです。パリに行く事があったら検討してみてください。


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【番外編 フランス旅行】 バルビゾン村とフォンテーヌブロー宮殿

今週はまだ新しい展示が少ないので、番外編で2012年のゴールデンウィークに行ってきたフランス旅行についてシリーズでご紹介しています。旅行6日目は午前中にバスでバルビゾン村とフォンテーヌブロー宮殿を訪れました。

パリのオペラ座近くから約1時間~1時間半ほどバスに乗って、やってきましたバルビゾン村。
DSC_21854.jpg
こちらは印象派の先駆けとなったバルビゾン派が活動した地で、ミレー、T.ルソー、コローなどが活躍しました。また、近くにはグレー村というところもあり、日本の近代絵画の先鞭をつけた黒田清輝や浅井忠なども訪れた地です。

バスは予め日本で予約した日本語のツアーだったのですが、時間が押しているとのことで、バルビゾン村での滞在時間はわずか10分!! って、アホかーっ!w バルビゾン派の住んでいた通りをちょろっと観て終わりという事態になりました。むしろフォンテーヌブロー宮殿よりこちらを目的にしていたのですが…。ツアーというのはどうにも性に合いません。
 参考リンク:Alan1.netのオプショナルツアー

仕方なく見られる範囲で観てきました。こちらはバルビゾン村の入口辺りにあったミレーの家。
DSC_21866.jpg
中は資料館のようになっていて、入りたかったのですが当然時間が足りませんでした。まどからアトリエを覗いたくらいです。

アスファルトと車がなければ昔からあまり変わらなそうな風景です。
DSC_21875.jpg

こちらはドービニーの家。
DSC_21885.jpg

こちらはディアズの家。ディアズは意外と豪華な感じ。
DSC_21887.jpg

帰りにバスでバルビゾン村の森の近くを通りました。実際に入ってみたかったですが…
DSC_21904.jpg
この地方独特の岩を見ることができました。また、ミレーの「晩鐘」が描かれた畑なども通りました。

そして続いては世界遺産のフォンテーヌブロー宮殿。8世紀に渡って多くのフランス王が愛した場所で、革命後もナポレオンが居城とした所です。
DSC_21918.jpg

勿論、中に入って添乗員のガイドを聞きながら各フロアを周っていきました。しかし観て周るスピードが非常に早い(というか私の普段の鑑賞ペースが遅いのですが…)うえに、混んでいてガイドの説明しているものが見える頃には次の部屋に移動する感じでしたw その為、あまり詳細なことは頭に入りませんでした。 つくづく人のペースで見て回るのは苦痛です。とりあえず、パンフレットなどを使って思い出せる限り写真と共に振り返ってみようと思います。

まずは皿などが飾られた部屋でした。天井や壁にはぎっしりと絵画があります。
DSC_21924.jpg DSC_21926.jpg

こちらは誰の部屋か忘れましたが、寝室なのは確かです。豪華な内装で、ヴェルサイユ宮殿より好みでした。
DSC_21945.jpg

こちらは礼拝堂。
DSC_21967.jpg
これは2階から見たところで、あとで1階から観たほうが色々とよく分かりました。

こんな感じでぎっしり混んでます。この回廊には沢山の絵画が飾ってありました。
DSC_21969.jpg

回廊の絵画。10秒も見られなかったですが、写真を撮っておいて良かったw
DSC_21970.jpg

こちらも回廊の絵画。
DSC_21972.jpg

こうして写真で見返してみると良い絵ばかりで、逆に観る時間がなかったことに腹が立ってきますw
DSC_21977.jpg

こちらは舞踏会の間。こちらもあらゆる場所を装飾が埋め尽くしていました。
DSC_21995.jpg

これは階段付近の天井。天井はほとんど絵や紋章が描かれています。
DSC_22013.jpg

こちらは聖王ルイの間。
DSC_22019.jpg
馬に乗った人物のレリーフが目を引きました。


こちらはルイ13世の間かな?? やや落ち着いた雰囲気。
DSC_22024.jpg DSC_22029.jpg

こちらはディアナの回廊。
DSC_22048.jpg
ナポレオンの時代には図書室だったそうです。

こちらは皇后の寝室。
DSC_22066.jpg DSC_22068.jpg
マリー・アントワネットやジョセフィーヌも使ったのだとか。

こちらは玉座の間。
DSC_22086.jpg
ナポレオンがここで執政していたそうで、その前は寝室だったそうです。

これはナポレオンの寝室。
DSC_22100.jpg
3時間しか寝ないというのは本当だったのでしょうかw

こちらは先程の礼拝堂を1階から見た様子。
DSC_22112.jpg DSC_22116.jpg
天井画が素晴らしいです。

その後、10分くらいだけ自由時間がありました。とりあえず城の周りを探索。
DSC_22124.jpg

城の裏にこんな綺麗な池がありました。
DSC_22129.jpg

最後に馬蹄型の入口を観てきました。
P1000924.jpg
ナポレオンはここを去る時、この階段付近でお別れをしたそうです。


ということで、ツアーで訪れたのは大失敗だったように思います。せっかくの素晴らしい場所も詰め込み式で観ても仕方ないと思うのですが、他に選択肢は無かったので諦めました。 もしこちらを訪れる場合は、なるべくゆとりのある時間設定で訪れることをお勧めします。


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