Archive | 2013年11月
この前の日曜日に東京駅の中にある東京ステーションギャラリーで「生誕100年!植田正治のつくりかた」を観てきました。メモを多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

【展覧名】
生誕100年!植田正治のつくりかた
【公式サイト】
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/now.html
【会場】東京ステーションギャラリー
【最寄】東京駅、大手町駅など
【会期】2013年10月12日(土)~2014年1月5日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんが入っていましたが自分のペースで観ることができました。
さて、今回の展示は日本のみならずフランスをはじめとする海外でも評価の高い、写真家の植田正治の回顧展となっています。植田正治(1913年~2000年)は今年で生誕100周年を迎えたそうで、今回の展示では4つの時代に区分され代表的な作品が並ぶ内容となっていました。詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
参考記事:植田正治写真展 写真とボク (埼玉県立近代美術館)
<自画像>
まずはいくつかの白黒の自画像が並ぶコーナーでした。
0-03 植田正治 「風船を持った自画像」
これは帽子をかぶったスーツ姿のセルフポートレートで、直立して風船を持って写っています。背景は霞んで曖昧で、風船はブレているような感じにも見えます。写真なのにどことなくシュールな感じで、植田正治の世界観がよく表れた自画像に思えました。
解説によると、植田正治が元々写真を始めた同期は何となくプロセスに興味をそそられた為だったと語っていたそうで、当時の写真青年が皆志向していた「芸術写真」にのぼせ上がって、雑誌に初入選したのは昭和6年の頃だったそうです。その頃は寝ても醒めても写真のことを考えていたようで、その後に名が売れてからもアマチュア精神を持ち続けていたようです。「プロみたいな仕事ができなくてもいい、下手くその写真でも良い」と語っていたようで、写真が大好きだったことが伺えました。
この近くには以前ご紹介した「本を持つボク」などもありました。
<童歴 ディスカバー植田正治 1950年代~70年代>
続いては1950年代~70年代のコーナーです。植田正治は戦前から数々のコンテストで受賞を重ね一目置かれる存在だったようですが、初の写真集「童歴」を出したのは還暦を迎えようという頃の1971年のことだったようです。これは1950年代~60年代にかけて山陰地方を撮った写真集で、この作品には植田正治が得意とした砂丘の写真はないようです。というのも、1950年代以降の現実的な写真を求めるリアリズム写真の隆盛を受けて、演出による写真を封印していた時期にあたるようで、再評価を飾る記念碑的作品でありながら活動歴からすると異質な写真集になっているそうです。ここにはそうした植田正治が再評価されるようになった時期の「童歴」の白黒写真が並んでいました。
1-26 植田正治 「[童歴より] 初雪の山村」
これは雪山を背景に模型飛行機を持った帽子の男性と、学生服?を着た少年が並んで手をつないでいる記念写真のような作品です。男性は笑顔で気立てが良さそうで、少年はちょっと緊張した面持ちかな。仲が良さそうで素朴で温かみのある作品でした。
この辺にはこうした山陰の人々の写真が並んでいました。皆のんびりしていて明るい雰囲気がある一方、山陰独特の空気感があるように思えました。
1-18 植田正治 「[童歴より] 小さな工場」
これは田んぼの中にある工場を撮った写真で、典型的なUFO(アダムスキー型)みたいな形をしています。煙突からは煙があがっているのですが、他には周りに何も無く時間が止まったような感じに見えました。幾何学的な要素が多いのも面白かったです。
1-11 植田正治 「[童歴より] 妹のお守り」
これは三輪車に乗っている幼女と、その後ろにある手すりのようなものを押して三輪車をウィリーさせている姉が道を渡っている所を撮った写真です。2人は影絵のように暗く写っているのが特徴で、どことなくデ・キリコの車輪遊びの少女を彷彿とさせました。演出が無くても構図や写し方でシュルレアリスム風に見えるのが面白いです。
この先の部屋には「童歴」の写真集の本も展示されていました。
<演出の発明 出発からスタイルの確立まで 1931年~1950年>
続いては時代をさかのぼって植田正治の形成期についてのコーナーです。植田正治は旧制中学在学中から写真に熱中していたそうで、1931年に卒業するとすぐに地元の写真クラブ「米子写友会」に入会しました。全国各地のアマチュア写真クラブが前衛的な活動でしのぎを削っていた当時は、技術を駆使して写真を絵のように創りだす「芸術写真」が主流だったそうで、植田正治もまずはその影響下で制作を始めました。しかし、ちょうど1930年前後に「新興写真」と呼ばれる海外の写真動向が日本にも流入したそうで、これは写真を加工せずにあくまでカメラの機能で造形的な画面を作るという動向だったようです。これに感化された植田正治は光と影の効果や、線と面で画面を構成するモダンな作品に取り掛かったそうで、芸術写真と新興写真の間から独自のスタイルを生み出していきました。絵のモデルのようにポーズをとる被写体をシャープでモダンな構成でまとめた演出写真「少女四態」はその第1作目(1939年)で、切り詰めた要素から成るこの写真をさらに洗練させた「パパとママとコドモたち」(1949年)は決定的な代表作となったようです。ここにはそうした代表的な作品など共にスタイルの確立するまでの作品が並んでいました。(ここもほぼ白黒作品)
2-01 植田正治 「停留所の見える風景」
これは駅と陸橋を見上げるような写真で、ホームや道にはぽつんぽつんと人影もあります。全体的に縦に引き伸ばされているのか、人々はのっぽの影のようになっていて、現実の風景なのに非現実的の世界のように感じられるのが面白いです。ちょっと寂しくて不安を覚えるような作品でした。
2-07 植田正治 「船」
これは船の柵にもたれ掛かっている水夫と、船のマストらしきもの?が撮られた写真です。背景は雲一つない空で、マストなどからは無数の線が伸びていて画面を幾何学的に区切るような感じに見えます。やや斜めになっている構図を含めて、その構成はまさに線と面で作られたモダンなものとなっていました。これが新興写真からの影響かな。
2-13 植田正治 「少女四態」
こちらが植田正治の独自のスタイルとなっていく上で重要な作品で、空を背景に4人の少女が等間隔に並んでいる様子が撮られています。直立している少女、腕に手を当てている少女、横向きに座る少女、後ろの様子を眺めている少女の4人で、お互いは見向きもしないバラバラなポーズです。生身の人間なのにオブジェ的というか、彫刻が並んでいるように見えるのが不思議で、何度見ても面白く感じられます。背景に何も無いのもシュールに感じられる要素に思えました。
2-18 植田正治 「小さな漂流者」
これは砂丘のような所に様々な形の流木らしきものが突き刺さっている様子が撮られた写真で、手前に手をつないだかなり小さい2人の人影(人形?)があるため、巨大な建造物のようにも見えます。一見してシュルレアリスムの画家イヴ・タンギーの作品を彷彿として、写真なのに絵画的に見えました。
この近くには「小狐登場」(★こちらで観られます)などもありました。
2-28 植田正治 「砂丘ヌード」
これは砂丘でうずくまっている裸婦の後ろ姿を撮った写真で、腕も頭も丸めて写っていないので、柔らかいオブジェのような感じに見えます。写真なのに裸婦が意味を失って別物に見えるのが面白く、砂丘という場所がそのシュールさを強調しているようでした。
この辺には砂丘シリーズが並んでいて、以前ご紹介した有名な「妻のいる砂丘風景」などもありました。そして、その先は「綴方・私の家族」という作品のコーナーです。これは雑誌「カメラ」誌の1949年10月号に掲載された組み写真で、長女の和子が扮する「植田カコ」による家族の紹介作文(綴方)に沿って読み進む形式らしく、写真で物語を作るスタイルは植田正治がしばしば試みた特徴的な手法のようです。ここにはその作文と共に作品が展示されていました。
2-41 植田正治 「パパとママとコドモたち」 ★こちらで観られます
これは6人の家族が等間隔に横一列に並んだ写真で、右から順に着物を着た母、ピストルを構える弟ミミ、自転車に乗った兄ヒロシ、花を持ったカコ、しゃがんでいるトッチン?、横向きで傘を持った帽子にスーツ姿の父 が写っています。皆バラバラな格好で無関係な動きをしているのが面白く、植田正治といえばこの作風といった感じでした。
この近くには実際の「カメラ」誌もあり、確かに読み物のような感じでした。また、少し先にはカラーの作品もあります。
ということで、上階はここまでなので、今日はこの辺にしようと思います。前半の内容は植田正治の代表的な作品が多かったので、その魅力がよく分かる内容だと思います。後半の下階にはまだまだ知らなかった晩年の作品などもありましたので、次回はそれについてご紹介していこうと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
生誕100年!植田正治のつくりかた
【公式サイト】
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/now.html
【会場】東京ステーションギャラリー
【最寄】東京駅、大手町駅など
【会期】2013年10月12日(土)~2014年1月5日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんが入っていましたが自分のペースで観ることができました。
さて、今回の展示は日本のみならずフランスをはじめとする海外でも評価の高い、写真家の植田正治の回顧展となっています。植田正治(1913年~2000年)は今年で生誕100周年を迎えたそうで、今回の展示では4つの時代に区分され代表的な作品が並ぶ内容となっていました。詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
参考記事:植田正治写真展 写真とボク (埼玉県立近代美術館)
<自画像>
まずはいくつかの白黒の自画像が並ぶコーナーでした。
0-03 植田正治 「風船を持った自画像」
これは帽子をかぶったスーツ姿のセルフポートレートで、直立して風船を持って写っています。背景は霞んで曖昧で、風船はブレているような感じにも見えます。写真なのにどことなくシュールな感じで、植田正治の世界観がよく表れた自画像に思えました。
解説によると、植田正治が元々写真を始めた同期は何となくプロセスに興味をそそられた為だったと語っていたそうで、当時の写真青年が皆志向していた「芸術写真」にのぼせ上がって、雑誌に初入選したのは昭和6年の頃だったそうです。その頃は寝ても醒めても写真のことを考えていたようで、その後に名が売れてからもアマチュア精神を持ち続けていたようです。「プロみたいな仕事ができなくてもいい、下手くその写真でも良い」と語っていたようで、写真が大好きだったことが伺えました。
この近くには以前ご紹介した「本を持つボク」などもありました。
<童歴 ディスカバー植田正治 1950年代~70年代>
続いては1950年代~70年代のコーナーです。植田正治は戦前から数々のコンテストで受賞を重ね一目置かれる存在だったようですが、初の写真集「童歴」を出したのは還暦を迎えようという頃の1971年のことだったようです。これは1950年代~60年代にかけて山陰地方を撮った写真集で、この作品には植田正治が得意とした砂丘の写真はないようです。というのも、1950年代以降の現実的な写真を求めるリアリズム写真の隆盛を受けて、演出による写真を封印していた時期にあたるようで、再評価を飾る記念碑的作品でありながら活動歴からすると異質な写真集になっているそうです。ここにはそうした植田正治が再評価されるようになった時期の「童歴」の白黒写真が並んでいました。
1-26 植田正治 「[童歴より] 初雪の山村」
これは雪山を背景に模型飛行機を持った帽子の男性と、学生服?を着た少年が並んで手をつないでいる記念写真のような作品です。男性は笑顔で気立てが良さそうで、少年はちょっと緊張した面持ちかな。仲が良さそうで素朴で温かみのある作品でした。
この辺にはこうした山陰の人々の写真が並んでいました。皆のんびりしていて明るい雰囲気がある一方、山陰独特の空気感があるように思えました。
1-18 植田正治 「[童歴より] 小さな工場」
これは田んぼの中にある工場を撮った写真で、典型的なUFO(アダムスキー型)みたいな形をしています。煙突からは煙があがっているのですが、他には周りに何も無く時間が止まったような感じに見えました。幾何学的な要素が多いのも面白かったです。
1-11 植田正治 「[童歴より] 妹のお守り」
これは三輪車に乗っている幼女と、その後ろにある手すりのようなものを押して三輪車をウィリーさせている姉が道を渡っている所を撮った写真です。2人は影絵のように暗く写っているのが特徴で、どことなくデ・キリコの車輪遊びの少女を彷彿とさせました。演出が無くても構図や写し方でシュルレアリスム風に見えるのが面白いです。
この先の部屋には「童歴」の写真集の本も展示されていました。
<演出の発明 出発からスタイルの確立まで 1931年~1950年>
続いては時代をさかのぼって植田正治の形成期についてのコーナーです。植田正治は旧制中学在学中から写真に熱中していたそうで、1931年に卒業するとすぐに地元の写真クラブ「米子写友会」に入会しました。全国各地のアマチュア写真クラブが前衛的な活動でしのぎを削っていた当時は、技術を駆使して写真を絵のように創りだす「芸術写真」が主流だったそうで、植田正治もまずはその影響下で制作を始めました。しかし、ちょうど1930年前後に「新興写真」と呼ばれる海外の写真動向が日本にも流入したそうで、これは写真を加工せずにあくまでカメラの機能で造形的な画面を作るという動向だったようです。これに感化された植田正治は光と影の効果や、線と面で画面を構成するモダンな作品に取り掛かったそうで、芸術写真と新興写真の間から独自のスタイルを生み出していきました。絵のモデルのようにポーズをとる被写体をシャープでモダンな構成でまとめた演出写真「少女四態」はその第1作目(1939年)で、切り詰めた要素から成るこの写真をさらに洗練させた「パパとママとコドモたち」(1949年)は決定的な代表作となったようです。ここにはそうした代表的な作品など共にスタイルの確立するまでの作品が並んでいました。(ここもほぼ白黒作品)
2-01 植田正治 「停留所の見える風景」
これは駅と陸橋を見上げるような写真で、ホームや道にはぽつんぽつんと人影もあります。全体的に縦に引き伸ばされているのか、人々はのっぽの影のようになっていて、現実の風景なのに非現実的の世界のように感じられるのが面白いです。ちょっと寂しくて不安を覚えるような作品でした。
2-07 植田正治 「船」
これは船の柵にもたれ掛かっている水夫と、船のマストらしきもの?が撮られた写真です。背景は雲一つない空で、マストなどからは無数の線が伸びていて画面を幾何学的に区切るような感じに見えます。やや斜めになっている構図を含めて、その構成はまさに線と面で作られたモダンなものとなっていました。これが新興写真からの影響かな。
2-13 植田正治 「少女四態」
こちらが植田正治の独自のスタイルとなっていく上で重要な作品で、空を背景に4人の少女が等間隔に並んでいる様子が撮られています。直立している少女、腕に手を当てている少女、横向きに座る少女、後ろの様子を眺めている少女の4人で、お互いは見向きもしないバラバラなポーズです。生身の人間なのにオブジェ的というか、彫刻が並んでいるように見えるのが不思議で、何度見ても面白く感じられます。背景に何も無いのもシュールに感じられる要素に思えました。
2-18 植田正治 「小さな漂流者」
これは砂丘のような所に様々な形の流木らしきものが突き刺さっている様子が撮られた写真で、手前に手をつないだかなり小さい2人の人影(人形?)があるため、巨大な建造物のようにも見えます。一見してシュルレアリスムの画家イヴ・タンギーの作品を彷彿として、写真なのに絵画的に見えました。
この近くには「小狐登場」(★こちらで観られます)などもありました。
2-28 植田正治 「砂丘ヌード」
これは砂丘でうずくまっている裸婦の後ろ姿を撮った写真で、腕も頭も丸めて写っていないので、柔らかいオブジェのような感じに見えます。写真なのに裸婦が意味を失って別物に見えるのが面白く、砂丘という場所がそのシュールさを強調しているようでした。
この辺には砂丘シリーズが並んでいて、以前ご紹介した有名な「妻のいる砂丘風景」などもありました。そして、その先は「綴方・私の家族」という作品のコーナーです。これは雑誌「カメラ」誌の1949年10月号に掲載された組み写真で、長女の和子が扮する「植田カコ」による家族の紹介作文(綴方)に沿って読み進む形式らしく、写真で物語を作るスタイルは植田正治がしばしば試みた特徴的な手法のようです。ここにはその作文と共に作品が展示されていました。
2-41 植田正治 「パパとママとコドモたち」 ★こちらで観られます
これは6人の家族が等間隔に横一列に並んだ写真で、右から順に着物を着た母、ピストルを構える弟ミミ、自転車に乗った兄ヒロシ、花を持ったカコ、しゃがんでいるトッチン?、横向きで傘を持った帽子にスーツ姿の父 が写っています。皆バラバラな格好で無関係な動きをしているのが面白く、植田正治といえばこの作風といった感じでした。
この近くには実際の「カメラ」誌もあり、確かに読み物のような感じでした。また、少し先にはカラーの作品もあります。
ということで、上階はここまでなので、今日はこの辺にしようと思います。前半の内容は植田正治の代表的な作品が多かったので、その魅力がよく分かる内容だと思います。後半の下階にはまだまだ知らなかった晩年の作品などもありましたので、次回はそれについてご紹介していこうと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事
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先日、赤坂見附駅の近くにある「珈琲茶館 集 赤坂見附店」でお茶してきました。実際には前回ご紹介したニューオータニ美術館に行った時ではなかったのですが、近くにあるのでこのタイミングでご紹介しておこうと思います。

【店名】
珈琲茶館 集 赤坂見附店
【ジャンル】
カフェ
【公式サイト】
http://www.shu-group.com/sakan/akasaka.html
食べログ:http://tabelog.com/tokyo/A1308/A130801/13140947/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
赤坂見附駅/永田町駅
【近くの美術館】
ニューオータニ美術館
【この日にかかった1人の費用】
1300円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日13時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
土曜日に行ったら空いていてゆっくりお茶することができました。
さて、このお店は今まで何度かご紹介した珈琲茶館 集の赤坂見附店で、駅前の大きな交差点(陸橋の辺り)にあるので見つけやすいところにあります。
中はこんな感じ。

他の店舗と同じように落ち着いた内装で、くつろげる空間となっています。
参考記事:
珈琲茶館 集 原宿店(原宿界隈のお店)
珈琲茶館 集 目黒店(目黒界隈のお店)
珈琲茶館 集 イトシアプラザ有楽町店(有楽町界隈のお店)
この日、私は栗のティラミス(600円)とグァテマラコーヒーのストレート(200円引きで600円)を頼みました。
まずはティラミス。

洋酒が効いていて、甘さは控えめなのがとても美味しいです。大人の味です。
続いてグァテマラのコーヒー。

来た瞬間に非常にいい香りが漂ってきました。軽い酸味と苦味があって、コクも深くて久々に好みのど真ん中といった感じです。これもかなり満足
連れは無花果&木苺&胡桃のケーキ(600円)とカモミールブレンド(650円)でした。
こちらは無花果&木苺&胡桃のケーキ。

中に胡桃やツブツブしたものが入っていて食感も良かったようです。こちらも美味しいようでした。
こちらはカモミール

小さな器で何杯も楽しめるようでした。こちらも香りが良く美味しかったそうです。
ということで、今回もだいぶ満足できました。店の雰囲気もメニューも好みなので、カフェの回し者ではないかというくらい人に薦めていますw この辺はプライベートだけでなく仕事でも立ち寄る機会が多いので今後も使っていこうと思います。

【店名】
珈琲茶館 集 赤坂見附店
【ジャンル】
カフェ
【公式サイト】
http://www.shu-group.com/sakan/akasaka.html
食べログ:http://tabelog.com/tokyo/A1308/A130801/13140947/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
赤坂見附駅/永田町駅
【近くの美術館】
ニューオータニ美術館
【この日にかかった1人の費用】
1300円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日13時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
土曜日に行ったら空いていてゆっくりお茶することができました。
さて、このお店は今まで何度かご紹介した珈琲茶館 集の赤坂見附店で、駅前の大きな交差点(陸橋の辺り)にあるので見つけやすいところにあります。
中はこんな感じ。

他の店舗と同じように落ち着いた内装で、くつろげる空間となっています。
参考記事:
珈琲茶館 集 原宿店(原宿界隈のお店)
珈琲茶館 集 目黒店(目黒界隈のお店)
珈琲茶館 集 イトシアプラザ有楽町店(有楽町界隈のお店)
この日、私は栗のティラミス(600円)とグァテマラコーヒーのストレート(200円引きで600円)を頼みました。
まずはティラミス。

洋酒が効いていて、甘さは控えめなのがとても美味しいです。大人の味です。
続いてグァテマラのコーヒー。

来た瞬間に非常にいい香りが漂ってきました。軽い酸味と苦味があって、コクも深くて久々に好みのど真ん中といった感じです。これもかなり満足
連れは無花果&木苺&胡桃のケーキ(600円)とカモミールブレンド(650円)でした。
こちらは無花果&木苺&胡桃のケーキ。

中に胡桃やツブツブしたものが入っていて食感も良かったようです。こちらも美味しいようでした。
こちらはカモミール

小さな器で何杯も楽しめるようでした。こちらも香りが良く美味しかったそうです。
ということで、今回もだいぶ満足できました。店の雰囲気もメニューも好みなので、カフェの回し者ではないかというくらい人に薦めていますw この辺はプライベートだけでなく仕事でも立ち寄る機会が多いので今後も使っていこうと思います。
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この前のの日曜日に、赤坂見附のニューオータニ美術館で会期終了間際となった「セキ美術館名品展 加山又造と近代絵画の巨匠たち」を観てきました。この展示はすでに終了していますが、今後の参考として記事にしておこうと思います。

【展覧名】
セキ美術館名品展 加山又造と近代絵画の巨匠たち
【公式サイト】
http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/201309_seki/
【会場】ニューオータニ美術館
【最寄】東京メトロ 赤坂見附駅・永田町駅
【会期】2013年9月28日(土)~11月4日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
会期末だったこともあり結構混んでいて、この美術館でこれだけのお客さんを観たのは初めてかも? とは言え、自分のペースで鑑賞することができました。
さて、今回の展示は近代日本画の加山又造を中心に、愛媛の松山にあるセキ美術館のコレクションが24名40作品ほど並ぶ内容となっていました。とは言え、加山又造は10数点で他は近代の日本画と洋画のコレクション展といった感じで、画家も様々でした。詳しくは気に入った作品を通してご紹介しようと思います。
<加山又造>
まずは加山又造の作品が並ぶコーナーです。加山又造(1927年~2004年)は東京美術学校で日本画を学びながらも、戦後間もなく創立された美術団体「創造美術」に西洋絵画に強い影響を感じさせる動物画を発表して注目されました。その後、琳派や宋元画など東洋の古典に触発された作品を次々と生み出し、戦後の日本画壇に新しい風を吹き込んだようです。
18 加山又造 「中央公論表紙原画(12図)」
これは12図セットで展示されていた、「中央公論」の表紙(49年1月号~55年12月号)です。特に好みは鶴が描かれた作品で、白と銀の鶴たちが左上に向かって飛んで行く様子が描かれています。背景は赤地に銀で川の流れを表した文様となっていて、琳派を彷彿とさせます。雅で華やかな雰囲気があり、琳派やナビ派をさらに変化させた感じの平面的で装飾的な作品でした。
17 加山又造 「白い道」
これは北海道の支笏湖付近の道を描いた作品で、空はどんよりして道の両端には針のように細い枯れ木が並んでいます。舞い飛ぶ烏の群れの姿や雪が混じり轍のようなものができた道は物悲しい雰囲気で、画面にはざらついた質感があります。また、こちらは先ほどの作品よりだいぶ写実性と奥行きを感じました。どことなくフランドル絵画に通じるものがあるように思えたかな。
この近くにはカラスを描いた作品も何点かありました。
20 加山又造 「夜桜」 ★こちらで観られます
これは夜の闇の中、2本の大きな満開の桜とその脇の篝火が描かれた作品です。花は大きく5枚からなる図案的なものが並び、篝火もぼんやりとして金粉が散らされるなど装飾的な雰囲気があります。よく観ると花は厚みもあるように見えるかな。華やかなのに静かで、神秘的な作品でした。
19 加山又造 「凝」 ★こちらで観られます
振り返って2羽の蝶を見ている青い目のペルシャ猫が描かれた作品です。その目は単純化されている一方で、毛並みやひげは1本1本丁寧に描かれフワフワした感じがあります。背景は茶色っぽく、蝶の周りはやや明るくなっているためか自然と目が向きました。こちらも独特の神秘性を感じました。
この近くには加山又造と大倉陶園によるコラボのティーセットが展示されていました。波、竹、モミジ、桜などの文様が描かれいずれも可憐で気品がありました。これでお茶を飲んでみたいw
21 加山又造 「雪・月・花」
これは3枚セットのアクアチントの作品で、伝統的な雪月花がモチーフとなっていますが斬新さがあります。雪は川のような所に料紙のように四角い粒が散らされ、月はうねる波を図案化したものを背景に三日月が浮かんでいます。花も図案化された桜の花と不動明王の光背のような篝火が描かれているなど、いずれもデザイン的かつ静けさを感じました。
加山又造の作品はこの辺までで、残りは日本の近代の画家が1~2点程度ずつとなっていました。
<日本画家>
続いては日本画家のコーナーです。
12 横山操 「冬富士」 ★こちらで観られます
雪をかぶった富士山と、手前の黒い枯れ木の林が描かれた作品です。背景の空は深い青で雪の白さが際立って見えます。その山肌は厚塗りされていて、実際に浮き出て見えるのも面白い効果です。木の表現なども含めて交友関係があった加山又造と共通するものを感じるかな。堂々たる雰囲気の作品でした。
この近くには高山辰雄、東山魁夷、平山郁夫、今野忠一などの作品もありました。
<洋画家>
小部屋は洋画のコーナーとなっていました。
35 荻須高徳 「魚市場(旧題:市場の岸)」
これは高い所から見下ろすように、運河沿いのヴェネツィアの魚市場が描かれた作品です。赤い三角屋根の建物が立ち並び、人影はまばらで静けさを感じます。荻須高徳にしては建物の外壁が綺麗に見えるかな。(質感の表現が淡白というか…) 異国情緒のある作品でした。
この近くには熊谷守一や林武、藤島武二、梅原龍三郎などの作品もありました。
34 岡鹿之助 「ラヴェル礼賛」 ★こちらで観られます
これは窓辺の光景を描いた作品で、手前にはBOLEROと描かれた楽譜が開かれ、その隣にはギターが置かれていて、楽譜の周りにはパンジーの花などがあります。窓の向こうには古城らしきものも見えるかな。解説によると、これを描いた1937年に岡鹿之助が敬愛した作曲家のラヴェルが亡くなったそうで、その代表作のボレロの楽譜をここに描いているようです。(岡鹿之助は滞欧中だった) ラヴェルの死に関して礼賛の作品を4枚描いたらしく、これはその内の1枚で未完に終わっているようです。全体的に点描というか貼り絵のような質感に見えますが、華やかな雰囲気があり敬愛の念が感じられました。
この近くには黒田清輝の作品などもありました。
<日本画家>
最後は再び日本画のコーナーです。
4 上村松園 「汐くみの図」 ★こちらで観られます
これは着物に腰蓑を付けて「汐汲車」という円筒形の容器に台車がついたものを引っ張る女性が描かれた作品です。これは舞踊の「汐くみ」というのが題材のようで、やや上を向いた女性は優美で気品が感じられます。赤い紐を持つ手つきは色っぽく、着物の華やかさと共に瑞々しい雰囲気がありました。
この近くには横山大観や伊東深水の作品もありました。
6 前田青邨 「風神雷神」
これは縦長の大型作品で、背中合わせのように風神雷神が描かれています。かなり大胆な筆で輪郭線が太く描かれ、単純化されています。題材自体が琳派風ですが、黒い雲には滲みを使ったたらしこみの技法が見られ、その伝統を踏襲しているのが伺えます。しかし琳派そのものというわけではなく、より単純化され愛嬌があって動きのある生き生きとした作品でした。
ということで、点数は少なめでしたが楽しめる内容となっていました。やはりメインの加山又造は特に好みで、観たことがない作品ばかりだったのも良かったです。もう終わってしまいましたが、加山又造について少し知ることが出来て満足でした。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
セキ美術館名品展 加山又造と近代絵画の巨匠たち
【公式サイト】
http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/201309_seki/
【会場】ニューオータニ美術館
【最寄】東京メトロ 赤坂見附駅・永田町駅
【会期】2013年9月28日(土)~11月4日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
会期末だったこともあり結構混んでいて、この美術館でこれだけのお客さんを観たのは初めてかも? とは言え、自分のペースで鑑賞することができました。
さて、今回の展示は近代日本画の加山又造を中心に、愛媛の松山にあるセキ美術館のコレクションが24名40作品ほど並ぶ内容となっていました。とは言え、加山又造は10数点で他は近代の日本画と洋画のコレクション展といった感じで、画家も様々でした。詳しくは気に入った作品を通してご紹介しようと思います。
<加山又造>
まずは加山又造の作品が並ぶコーナーです。加山又造(1927年~2004年)は東京美術学校で日本画を学びながらも、戦後間もなく創立された美術団体「創造美術」に西洋絵画に強い影響を感じさせる動物画を発表して注目されました。その後、琳派や宋元画など東洋の古典に触発された作品を次々と生み出し、戦後の日本画壇に新しい風を吹き込んだようです。
18 加山又造 「中央公論表紙原画(12図)」
これは12図セットで展示されていた、「中央公論」の表紙(49年1月号~55年12月号)です。特に好みは鶴が描かれた作品で、白と銀の鶴たちが左上に向かって飛んで行く様子が描かれています。背景は赤地に銀で川の流れを表した文様となっていて、琳派を彷彿とさせます。雅で華やかな雰囲気があり、琳派やナビ派をさらに変化させた感じの平面的で装飾的な作品でした。
17 加山又造 「白い道」
これは北海道の支笏湖付近の道を描いた作品で、空はどんよりして道の両端には針のように細い枯れ木が並んでいます。舞い飛ぶ烏の群れの姿や雪が混じり轍のようなものができた道は物悲しい雰囲気で、画面にはざらついた質感があります。また、こちらは先ほどの作品よりだいぶ写実性と奥行きを感じました。どことなくフランドル絵画に通じるものがあるように思えたかな。
この近くにはカラスを描いた作品も何点かありました。
20 加山又造 「夜桜」 ★こちらで観られます
これは夜の闇の中、2本の大きな満開の桜とその脇の篝火が描かれた作品です。花は大きく5枚からなる図案的なものが並び、篝火もぼんやりとして金粉が散らされるなど装飾的な雰囲気があります。よく観ると花は厚みもあるように見えるかな。華やかなのに静かで、神秘的な作品でした。
19 加山又造 「凝」 ★こちらで観られます
振り返って2羽の蝶を見ている青い目のペルシャ猫が描かれた作品です。その目は単純化されている一方で、毛並みやひげは1本1本丁寧に描かれフワフワした感じがあります。背景は茶色っぽく、蝶の周りはやや明るくなっているためか自然と目が向きました。こちらも独特の神秘性を感じました。
この近くには加山又造と大倉陶園によるコラボのティーセットが展示されていました。波、竹、モミジ、桜などの文様が描かれいずれも可憐で気品がありました。これでお茶を飲んでみたいw
21 加山又造 「雪・月・花」
これは3枚セットのアクアチントの作品で、伝統的な雪月花がモチーフとなっていますが斬新さがあります。雪は川のような所に料紙のように四角い粒が散らされ、月はうねる波を図案化したものを背景に三日月が浮かんでいます。花も図案化された桜の花と不動明王の光背のような篝火が描かれているなど、いずれもデザイン的かつ静けさを感じました。
加山又造の作品はこの辺までで、残りは日本の近代の画家が1~2点程度ずつとなっていました。
<日本画家>
続いては日本画家のコーナーです。
12 横山操 「冬富士」 ★こちらで観られます
雪をかぶった富士山と、手前の黒い枯れ木の林が描かれた作品です。背景の空は深い青で雪の白さが際立って見えます。その山肌は厚塗りされていて、実際に浮き出て見えるのも面白い効果です。木の表現なども含めて交友関係があった加山又造と共通するものを感じるかな。堂々たる雰囲気の作品でした。
この近くには高山辰雄、東山魁夷、平山郁夫、今野忠一などの作品もありました。
<洋画家>
小部屋は洋画のコーナーとなっていました。
35 荻須高徳 「魚市場(旧題:市場の岸)」
これは高い所から見下ろすように、運河沿いのヴェネツィアの魚市場が描かれた作品です。赤い三角屋根の建物が立ち並び、人影はまばらで静けさを感じます。荻須高徳にしては建物の外壁が綺麗に見えるかな。(質感の表現が淡白というか…) 異国情緒のある作品でした。
この近くには熊谷守一や林武、藤島武二、梅原龍三郎などの作品もありました。
34 岡鹿之助 「ラヴェル礼賛」 ★こちらで観られます
これは窓辺の光景を描いた作品で、手前にはBOLEROと描かれた楽譜が開かれ、その隣にはギターが置かれていて、楽譜の周りにはパンジーの花などがあります。窓の向こうには古城らしきものも見えるかな。解説によると、これを描いた1937年に岡鹿之助が敬愛した作曲家のラヴェルが亡くなったそうで、その代表作のボレロの楽譜をここに描いているようです。(岡鹿之助は滞欧中だった) ラヴェルの死に関して礼賛の作品を4枚描いたらしく、これはその内の1枚で未完に終わっているようです。全体的に点描というか貼り絵のような質感に見えますが、華やかな雰囲気があり敬愛の念が感じられました。
この近くには黒田清輝の作品などもありました。
<日本画家>
最後は再び日本画のコーナーです。
4 上村松園 「汐くみの図」 ★こちらで観られます
これは着物に腰蓑を付けて「汐汲車」という円筒形の容器に台車がついたものを引っ張る女性が描かれた作品です。これは舞踊の「汐くみ」というのが題材のようで、やや上を向いた女性は優美で気品が感じられます。赤い紐を持つ手つきは色っぽく、着物の華やかさと共に瑞々しい雰囲気がありました。
この近くには横山大観や伊東深水の作品もありました。
6 前田青邨 「風神雷神」
これは縦長の大型作品で、背中合わせのように風神雷神が描かれています。かなり大胆な筆で輪郭線が太く描かれ、単純化されています。題材自体が琳派風ですが、黒い雲には滲みを使ったたらしこみの技法が見られ、その伝統を踏襲しているのが伺えます。しかし琳派そのものというわけではなく、より単純化され愛嬌があって動きのある生き生きとした作品でした。
ということで、点数は少なめでしたが楽しめる内容となっていました。やはりメインの加山又造は特に好みで、観たことがない作品ばかりだったのも良かったです。もう終わってしまいましたが、加山又造について少し知ることが出来て満足でした。
参照記事:★この記事を参照している記事
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仕事が忙しくて間が空きましたが、今日は前回の記事に引き続き、世田谷美術館の「アンリ・ルソーから始まる 素朴派とアウトサイダーズの世界」の後編をご紹介いたします。前編には混み具合なども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。
前編はこちら

【展覧名】
アンリ・ルソーから始まる 素朴派とアウトサイダーズの世界
【公式サイト】
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html
【会場】世田谷美術館
【最寄】東急田園都市線 用賀駅
【会期】2013年9月14日(土)~11月10日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前半は比較的有名な画家が多かったように思いますが、後半はあまり知られていない画家の作品もありました。
<5. 才能を見出されて―旧ユーゴスラヴィアの画家たち>
5章は旧ユーゴスラビアの素朴派についてのコーナーです。ユーゴスラビアの素朴派の祖とされるイヴァン・ゲネラリッチは少年の頃から伝統的なガラス絵の技法で描いていたそうで、16歳で画家のクスルド・ヘゲドゥシッチに出会いました。1930年当時は国が独立したばかりで、若い画家たちは自国の芸術文化を模索していたようで、ヘゲドゥシッチ等の「ゼムリャ(大地)」に招かれたゲネラリッチ達は やがて社会主義国家の中で国民画家としての地位に押し上げられていったそうです。その後もユーゴスラビアは素朴画家達が数多く見出され国際的な評価を受けていったのですが、一般に素朴派は政治には無縁であるのに対して旧ユーゴスラビアにおいては国家の動向と強く結びついた一面があったようです。ここにはそうした旧ユーゴスラビアの画家の作品が並んでいました。
62 イヴァン・ゲネラリッチ 「ダブル・ポートレート」
中央に枯れ木が描かれ、その両脇に雪原を背景にした2人の老人の肖像が描かれた作品です。パイプをくわえた帽子の男性と白髪にエプロンのような姿の男性で、どちらも濃密かつ鮮やかな色合いとなっています。背景にはやけに小さな家なども描かれ、ルソーに通じるものがあるかな。意外と緻密な絵で、陰影なども付けられていました。解説によると、これは板ガラスの裏面から油彩で描いているようで、それが色鮮やかに見える要因なのかも。
この近くには同様にガラス絵の技法で描かれた他の画家たちの作品もありました。
66 イヴァン・ラツコヴィツチ 「散在する村落」
これは巨大なテーブルの上に家々が乗っているようなシュールな絵で、その下にも村が広がっています。テーブル上の端っこの方の家はこぼれ落ちるような感じで、村の周りには黒く細い木が無数にあり、村では人々が車輪遊びに興じているようです。詳しい解説などはありませんでしたが、これは元々絵が上手い人が素朴派の要素を取り入れたように見えるかな。素朴派というよりはシュルレアリスムといった感じを受けました。
<6. 絵にして伝えたい―久永強>
続いては強い思いに駆られて絵を描き始めた久永強のコーナーです。久永強は熊本でカメラ店を営みクラシックカメラの修理は一級の名人でしたが、1987年の下関で香川泰男の「シベリア・シリーズ」を観た際、夢中になり自ら封印していたシベリア抑留の記憶が一気に吹き出したそうです。しかし、これは自分の知るシベリアではないと考え、私のシベリアを描かねばならないという強い思いに駆られて絵を描くようになりました。久永は「描き始めると無念のままに死んでいった戦友たちの顔が次々に現れ、俺も描いてくれと言い出した」と語っていたそうで、健康を害して終了するまでに43点描いたようです。ここには久永の言葉と共に30点程度並んでいました。
74 久永強 「パーム鉄道建設」
暗い森と線路を背景に、やせ細り目を閉じた顔と、木材を運んでいる人々の姿が描かれた作品です。捕虜となった日本兵たちは鉄道工事に駆り出され、過酷な条件の元で厳しい労働をしていたようです。また、ロシアの夏は白夜で昼のノルマがこなせないと残業があり延々と白夜の地獄が続いたとのことで、これもそうした夜を描いているようです。力ない顔には希望が感じられず、ひたすら労働させられる哀しみと絶望に満ちて、観ていて切ないほどでした。決して画力があるわけではありませんが、心打つものがあります。
79 久永強 「友よさらば(埋葬)」
これは穴の中に置かれた2人の亡骸が描かれた作品で、画面は暗く細部まで描かれていませんが、それがかえって力無い感じを受けます。極寒の劣悪な条件と栄養不足で仲間はどんどん死んでいったようで、この作品以外にも死体がいくつも並んだ様子が描かれた作品もありました。生きながらに骨と皮だけになっていったようです…。
80 久永強 「鬼の現場監督」 ★こちらで観られます
これは鉄道工事の現場監督のロシア人を描いた作品で、ノルマのためには手段を選ばないため陰ながら鬼と呼ばれていたそうです。まっすぐにこちらを観る肖像で、周りは暗く顔の右半分は影になっています。そこに見開いた青い目が刺すようで、つり上がった眉や一文字の口などと共に恐ろしげな表情となっていました。冷徹さがよく表われた異様な存在感のある作品です。
84 久永強 「生ける屍」
これはガリガリで肋が浮き上がった人物が祈るように手を組んでテーブルに向かっている様子が描かれた作品です。そのテーブルには小さな黒いパンとスープがあり、極寒の重労働にも関わらず1日の食料は黒パン300gと雑穀スープのみだったようです。絵の右上には大盛りのご飯と魚などのおかずを前にしている日本女性が小さく描かれていて、これを夢見ているようでした。もはや食べ物を夢見ることぐらいしか希望がない悲惨な状況が伺えます。
99 久永強 「白夜の午前零時」
これは薄暗い白夜の夜の捕虜の収容施設が描かれた作品で、建物の前の木には首を吊っている人の姿が描かれています。生きることに疲れ果てた末のようで、遺体からは羽の生えた人物が上空へと向かっていく様子が描かれていました。作者はこの日は寝付かれずこの場面を観たそうです。成仏を願って羽を生やして描いたのかな…。
100 久永強 「翼が欲しい」
これは空を飛ぶ渡り鳥の群れを見上げる帽子の人物が描かれた作品です。空はどんより暗い雰囲気で、空飛ぶ鳥が羨ましくて仕方ないといった感じのようです。望郷の念と、絵からにじみ出るやるせなさや絶望感が半端じゃなかった…。
<7. シュルレアリスムに先駆けて>
続いてはシュルレアリスムの自動書記に先立つ表現のコーナーです。ヴィルヘルム・ウーデの「聖なる心の画家たち」の1人であるセラフィーヌ・ルイは天からの啓示を受けて家政婦の仕事の合間に絵を描くようになったそうで、神や霊との交信によって描くといった手法はシュルレアリスムの関心の的でもあったようです。ここにはそうしたトランス状態で描かれた作品などが並んでいました。
103 マッジ・ギル 「”マイニナレスト”モーセ」
これは守護霊との交霊がきっかけで絵を描くようになったという看護婦の白黒の素描作品で、無数の女性の顔や髪が塔のように積み重なっている様子が描かれています。いずれも虚ろな感じのする顔で、見た目はかなり怖くてインパクト大ですw 解説によると、これにはシュルレアリストたちが目指したオートマティスムが認められるそうで、トランス状態で描いたのだとか。一種の狂気が感じられました。
参考記事:シュルレアリスム展 感想前編(国立新美術館)
この近くには聖なる心の画家のセラフィーヌ・ルイの作品や、ミロやエルンストといったシュルレアリストの作品もありました。
109 草間彌生 「夜・魂のかくれ場所で」
これは柱状の網のようなものに沢山の歪んだフクロウが描かれている作品です。それぞれの大きさもまちまちでギッシリ詰まっていて異様な雰囲気があり、周りは暗くやや恐怖を感じました。こちらは幻覚を描いているようで、草間彌生のよく知られている水玉の作風とは異なる作風でした。
参考記事:草間彌生 永遠の永遠の永遠 (埼玉県立近代美術館)
<8. アール・ブリュット>
半芸術、半文化、半教養主義を主張したジャン・デュビュッフェは精神の障害を持つ人々の作品に興味を持ち、独創性に満ちた作品を「アール・ブリュット」(生の芸術)と名付けコレクションと展示を始めたそうです。そしてそれは後にイギリスの著述家ロジャー・カーディナルによって「アウトサイダー・アート」と英訳され、現在でも使われているようです。ここには3点だけデュビュッフェ関連の作品が並んでいました。
110 ガストン・シェサック 「ロレーヌ十字架」
これは木に不定形の模様の色を塗り、十字に組んでその上に人の顔をつけた彫刻作品です。(カカシみたいな感じ)意味などは全く分かりませんが、色の使い方は他に類を見ない個性を感じます。裏に回ると色々貼ってあったりして、廃材だったのかも。解説によると、こうした作品は「トーテム」と呼ばれ多数作られたようです。
この近くにはデュビュッフェの作品もありました。
<9. 心の中をのぞいたら>
20世紀初頭よりヨーロッパの近代精神医学は、精神病院の中で見出された精神に障害のある人々の描く素描に強い関心を持っていたそうで、精神科医のハンス・プリンツホルンが出版した「精神病者の芸術性」はパウル・クレーを始め前衛的な画家やシュルレアリストたちにも注目されたそうです。ここにはそうした精神に障害を持つ人々が描いた作品が並んでいました。
113 アドルフ・ヴェルフリ 「ツィラー=タールの聖三位一体」
これはパッと観た時に音楽ホールのように見えましたが、実際には何が描いてあるのか分からず、十字の乗った人の顔や楽譜のような模様などが描かれているように思われます。とは言え、何かしらの規則性があり緻密で流れるような感じで、リズム感がありました。解説によると、後にこの作者はデュビュッフェやシュルレアリストのブルトンらに賛辞されたとのことでした。
115 ルイ・ステー 「身振りをする6人」
これは有名な建築家のル・コルビュジエの従兄弟の作品で、6人の人の姿らしきものが影絵のように描かれています。踊るように手振り身振りをしているようで、抽象的ながらも躍動感があるかな。解説によると、この作者はコロラド大学の美術学部長にまでなった人物ですが、精神のバランスを崩してスイスに帰国して高齢者ホームでドローイングを描いていたそうで、彼を訪問したル・コルビュジエがその才能を発見して、活動を支援していたそうです。あちこちに指紋が残っているなど制作の様子も伺えました。
参考記事:ル・コルビュジエと20世紀美術 感想後編(国立西洋美術館)
<10. グギングの画家たち>
最後はオーストリアのウィーン郊外にあるマリア・グギング国立神経科の病院内にある「グギング芸術の家」の芸術家たちの作品が並ぶコーナーです。
125 ヨハン・フィッシャー 「猟兵」
これは猟銃を持つハンターと、獲物を持つハンターが向き合っている様子を描いた作品で、お互いに平面的な感じで「エジプトの壁画のようだ」という解説が的を射ているように思えます。さらに自身の世界観を表した造語によるテキストが画面を埋め尽くしていて、一種独特の世界が展開されていました。
133 ハインリヒ・ライゼンバウアー 「扉」
縦4つ×横7つの扉が並んで描かれた作品で、正確な等間隔ではなくややズレて描かれているものもあります。中央あたりはやや黒くなっていたり、黒ずんでいるので重厚な扉に見え、それが並んでいると若干圧迫されるような印象でした。解説によると、この作者は単一のイメージをグリッド上に整列して反復する作風のようです。
ということで、思った以上の充実ぶりで見応えがありました。中にはこれが美術なのかなというものもありましたが、型にはまらない個性派ばかりだったと思います。特に久永強のコーナーはこの先ずっと心に残りそうです。もう少しで終わってしまいますが、お勧めの展示です。
参照記事:★この記事を参照している記事
前編はこちら

【展覧名】
アンリ・ルソーから始まる 素朴派とアウトサイダーズの世界
【公式サイト】
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html
【会場】世田谷美術館
【最寄】東急田園都市線 用賀駅
【会期】2013年9月14日(土)~11月10日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前半は比較的有名な画家が多かったように思いますが、後半はあまり知られていない画家の作品もありました。
<5. 才能を見出されて―旧ユーゴスラヴィアの画家たち>
5章は旧ユーゴスラビアの素朴派についてのコーナーです。ユーゴスラビアの素朴派の祖とされるイヴァン・ゲネラリッチは少年の頃から伝統的なガラス絵の技法で描いていたそうで、16歳で画家のクスルド・ヘゲドゥシッチに出会いました。1930年当時は国が独立したばかりで、若い画家たちは自国の芸術文化を模索していたようで、ヘゲドゥシッチ等の「ゼムリャ(大地)」に招かれたゲネラリッチ達は やがて社会主義国家の中で国民画家としての地位に押し上げられていったそうです。その後もユーゴスラビアは素朴画家達が数多く見出され国際的な評価を受けていったのですが、一般に素朴派は政治には無縁であるのに対して旧ユーゴスラビアにおいては国家の動向と強く結びついた一面があったようです。ここにはそうした旧ユーゴスラビアの画家の作品が並んでいました。
62 イヴァン・ゲネラリッチ 「ダブル・ポートレート」
中央に枯れ木が描かれ、その両脇に雪原を背景にした2人の老人の肖像が描かれた作品です。パイプをくわえた帽子の男性と白髪にエプロンのような姿の男性で、どちらも濃密かつ鮮やかな色合いとなっています。背景にはやけに小さな家なども描かれ、ルソーに通じるものがあるかな。意外と緻密な絵で、陰影なども付けられていました。解説によると、これは板ガラスの裏面から油彩で描いているようで、それが色鮮やかに見える要因なのかも。
この近くには同様にガラス絵の技法で描かれた他の画家たちの作品もありました。
66 イヴァン・ラツコヴィツチ 「散在する村落」
これは巨大なテーブルの上に家々が乗っているようなシュールな絵で、その下にも村が広がっています。テーブル上の端っこの方の家はこぼれ落ちるような感じで、村の周りには黒く細い木が無数にあり、村では人々が車輪遊びに興じているようです。詳しい解説などはありませんでしたが、これは元々絵が上手い人が素朴派の要素を取り入れたように見えるかな。素朴派というよりはシュルレアリスムといった感じを受けました。
<6. 絵にして伝えたい―久永強>
続いては強い思いに駆られて絵を描き始めた久永強のコーナーです。久永強は熊本でカメラ店を営みクラシックカメラの修理は一級の名人でしたが、1987年の下関で香川泰男の「シベリア・シリーズ」を観た際、夢中になり自ら封印していたシベリア抑留の記憶が一気に吹き出したそうです。しかし、これは自分の知るシベリアではないと考え、私のシベリアを描かねばならないという強い思いに駆られて絵を描くようになりました。久永は「描き始めると無念のままに死んでいった戦友たちの顔が次々に現れ、俺も描いてくれと言い出した」と語っていたそうで、健康を害して終了するまでに43点描いたようです。ここには久永の言葉と共に30点程度並んでいました。
74 久永強 「パーム鉄道建設」
暗い森と線路を背景に、やせ細り目を閉じた顔と、木材を運んでいる人々の姿が描かれた作品です。捕虜となった日本兵たちは鉄道工事に駆り出され、過酷な条件の元で厳しい労働をしていたようです。また、ロシアの夏は白夜で昼のノルマがこなせないと残業があり延々と白夜の地獄が続いたとのことで、これもそうした夜を描いているようです。力ない顔には希望が感じられず、ひたすら労働させられる哀しみと絶望に満ちて、観ていて切ないほどでした。決して画力があるわけではありませんが、心打つものがあります。
79 久永強 「友よさらば(埋葬)」
これは穴の中に置かれた2人の亡骸が描かれた作品で、画面は暗く細部まで描かれていませんが、それがかえって力無い感じを受けます。極寒の劣悪な条件と栄養不足で仲間はどんどん死んでいったようで、この作品以外にも死体がいくつも並んだ様子が描かれた作品もありました。生きながらに骨と皮だけになっていったようです…。
80 久永強 「鬼の現場監督」 ★こちらで観られます
これは鉄道工事の現場監督のロシア人を描いた作品で、ノルマのためには手段を選ばないため陰ながら鬼と呼ばれていたそうです。まっすぐにこちらを観る肖像で、周りは暗く顔の右半分は影になっています。そこに見開いた青い目が刺すようで、つり上がった眉や一文字の口などと共に恐ろしげな表情となっていました。冷徹さがよく表われた異様な存在感のある作品です。
84 久永強 「生ける屍」
これはガリガリで肋が浮き上がった人物が祈るように手を組んでテーブルに向かっている様子が描かれた作品です。そのテーブルには小さな黒いパンとスープがあり、極寒の重労働にも関わらず1日の食料は黒パン300gと雑穀スープのみだったようです。絵の右上には大盛りのご飯と魚などのおかずを前にしている日本女性が小さく描かれていて、これを夢見ているようでした。もはや食べ物を夢見ることぐらいしか希望がない悲惨な状況が伺えます。
99 久永強 「白夜の午前零時」
これは薄暗い白夜の夜の捕虜の収容施設が描かれた作品で、建物の前の木には首を吊っている人の姿が描かれています。生きることに疲れ果てた末のようで、遺体からは羽の生えた人物が上空へと向かっていく様子が描かれていました。作者はこの日は寝付かれずこの場面を観たそうです。成仏を願って羽を生やして描いたのかな…。
100 久永強 「翼が欲しい」
これは空を飛ぶ渡り鳥の群れを見上げる帽子の人物が描かれた作品です。空はどんより暗い雰囲気で、空飛ぶ鳥が羨ましくて仕方ないといった感じのようです。望郷の念と、絵からにじみ出るやるせなさや絶望感が半端じゃなかった…。
<7. シュルレアリスムに先駆けて>
続いてはシュルレアリスムの自動書記に先立つ表現のコーナーです。ヴィルヘルム・ウーデの「聖なる心の画家たち」の1人であるセラフィーヌ・ルイは天からの啓示を受けて家政婦の仕事の合間に絵を描くようになったそうで、神や霊との交信によって描くといった手法はシュルレアリスムの関心の的でもあったようです。ここにはそうしたトランス状態で描かれた作品などが並んでいました。
103 マッジ・ギル 「”マイニナレスト”モーセ」
これは守護霊との交霊がきっかけで絵を描くようになったという看護婦の白黒の素描作品で、無数の女性の顔や髪が塔のように積み重なっている様子が描かれています。いずれも虚ろな感じのする顔で、見た目はかなり怖くてインパクト大ですw 解説によると、これにはシュルレアリストたちが目指したオートマティスムが認められるそうで、トランス状態で描いたのだとか。一種の狂気が感じられました。
参考記事:シュルレアリスム展 感想前編(国立新美術館)
この近くには聖なる心の画家のセラフィーヌ・ルイの作品や、ミロやエルンストといったシュルレアリストの作品もありました。
109 草間彌生 「夜・魂のかくれ場所で」
これは柱状の網のようなものに沢山の歪んだフクロウが描かれている作品です。それぞれの大きさもまちまちでギッシリ詰まっていて異様な雰囲気があり、周りは暗くやや恐怖を感じました。こちらは幻覚を描いているようで、草間彌生のよく知られている水玉の作風とは異なる作風でした。
参考記事:草間彌生 永遠の永遠の永遠 (埼玉県立近代美術館)
<8. アール・ブリュット>
半芸術、半文化、半教養主義を主張したジャン・デュビュッフェは精神の障害を持つ人々の作品に興味を持ち、独創性に満ちた作品を「アール・ブリュット」(生の芸術)と名付けコレクションと展示を始めたそうです。そしてそれは後にイギリスの著述家ロジャー・カーディナルによって「アウトサイダー・アート」と英訳され、現在でも使われているようです。ここには3点だけデュビュッフェ関連の作品が並んでいました。
110 ガストン・シェサック 「ロレーヌ十字架」
これは木に不定形の模様の色を塗り、十字に組んでその上に人の顔をつけた彫刻作品です。(カカシみたいな感じ)意味などは全く分かりませんが、色の使い方は他に類を見ない個性を感じます。裏に回ると色々貼ってあったりして、廃材だったのかも。解説によると、こうした作品は「トーテム」と呼ばれ多数作られたようです。
この近くにはデュビュッフェの作品もありました。
<9. 心の中をのぞいたら>
20世紀初頭よりヨーロッパの近代精神医学は、精神病院の中で見出された精神に障害のある人々の描く素描に強い関心を持っていたそうで、精神科医のハンス・プリンツホルンが出版した「精神病者の芸術性」はパウル・クレーを始め前衛的な画家やシュルレアリストたちにも注目されたそうです。ここにはそうした精神に障害を持つ人々が描いた作品が並んでいました。
113 アドルフ・ヴェルフリ 「ツィラー=タールの聖三位一体」
これはパッと観た時に音楽ホールのように見えましたが、実際には何が描いてあるのか分からず、十字の乗った人の顔や楽譜のような模様などが描かれているように思われます。とは言え、何かしらの規則性があり緻密で流れるような感じで、リズム感がありました。解説によると、後にこの作者はデュビュッフェやシュルレアリストのブルトンらに賛辞されたとのことでした。
115 ルイ・ステー 「身振りをする6人」
これは有名な建築家のル・コルビュジエの従兄弟の作品で、6人の人の姿らしきものが影絵のように描かれています。踊るように手振り身振りをしているようで、抽象的ながらも躍動感があるかな。解説によると、この作者はコロラド大学の美術学部長にまでなった人物ですが、精神のバランスを崩してスイスに帰国して高齢者ホームでドローイングを描いていたそうで、彼を訪問したル・コルビュジエがその才能を発見して、活動を支援していたそうです。あちこちに指紋が残っているなど制作の様子も伺えました。
参考記事:ル・コルビュジエと20世紀美術 感想後編(国立西洋美術館)
<10. グギングの画家たち>
最後はオーストリアのウィーン郊外にあるマリア・グギング国立神経科の病院内にある「グギング芸術の家」の芸術家たちの作品が並ぶコーナーです。
125 ヨハン・フィッシャー 「猟兵」
これは猟銃を持つハンターと、獲物を持つハンターが向き合っている様子を描いた作品で、お互いに平面的な感じで「エジプトの壁画のようだ」という解説が的を射ているように思えます。さらに自身の世界観を表した造語によるテキストが画面を埋め尽くしていて、一種独特の世界が展開されていました。
133 ハインリヒ・ライゼンバウアー 「扉」
縦4つ×横7つの扉が並んで描かれた作品で、正確な等間隔ではなくややズレて描かれているものもあります。中央あたりはやや黒くなっていたり、黒ずんでいるので重厚な扉に見え、それが並んでいると若干圧迫されるような印象でした。解説によると、この作者は単一のイメージをグリッド上に整列して反復する作風のようです。
ということで、思った以上の充実ぶりで見応えがありました。中にはこれが美術なのかなというものもありましたが、型にはまらない個性派ばかりだったと思います。特に久永強のコーナーはこの先ずっと心に残りそうです。もう少しで終わってしまいますが、お勧めの展示です。
参照記事:★この記事を参照している記事
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ついこの間の土曜日に用賀の世田谷美術館で「アンリ・ルソーから始まる 素朴派とアウトサイダーズの世界」を観てきました。思った以上に見どころがありましたので、前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

【展覧名】
アンリ・ルソーから始まる 素朴派とアウトサイダーズの世界
【公式サイト】
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html
【会場】世田谷美術館
【最寄】東急田園都市線 用賀駅
【会期】2013年9月14日(土)~11月10日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構多くのお客さんで賑わっていましたが、自分のペースで鑑賞することができました。
さて、今回の展示は素朴派とアウトサイダーと呼ばれる正規の美術教育を受けていないアーティストに関する内容となっています。独学の画家は昔からいたと思われますが、この展示では美術界でも評価されるようになったフランスのアンリ・ルソーを始めとして、ルソー以降の世界中の素朴派・アウトサイダーについて取り上げていました。展覧会は分類ごとに10の章に分かれていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
<1. 画家宣言―アンリ・ルソー>
まずは素朴派と呼ばれる中で最も有名なアンリ・ルソーのコーナーです。アンリ・ルソーはパリ市の税関で、絵を描き始めたのは1884年の40歳の頃でした。料金を払えば誰でも出品できるアンデパンダン展に出品すると、その技術の稚拙さからあらゆる中傷を受けましたが、1890年のアンデパンダン展では「私自身、肖像=風景」を出品し、それは彼の画家宣言と捉えることができるようです。ルソーを最初に注目したのは劇作家のアルフレッド・ジャリで、文芸誌「リマジエ」の為にルソーに版画を依頼したようです。そしてジャリからアポリネール、ピカソ、ドローニーなどに評価が広がり、1910年にルソーが亡くなった後もカンディンスキーらドイツの表現主義の画家たちに広がっていったようです。ここには主にルソーの作品が並んでいました。
参考記事:アンリ・ルソー パリの空の下で ルソーとその仲間たち (ポーラ美術館)
3 アンリ・ルソー 「戦争 [リマジエ第2号]」
これは雑誌「リマジエ」の挿絵で、馬に乗った女神がたいまつと剣を持っている姿が描かれています。馬に乗っているといっても両足が手前側に描かれているなど子供の絵のようなチグハグさがあり、お世辞にも上手いとは言えませんw しかし、馬が飛んでいるような躍動感や、周りで倒れている人など独特の異様さやシュールさがありました。解説によると、これはオルセー美術館の「戦争」をもとにペンで原画を描いた唯一の版画作品のようでした。
参考記事:オルセー美術館展2010 ポスト印象派 感想後編(国立新美術館)
4 アンリ・ルソー 「散歩(ビュット=ショーモン)」
背の高い3本の針葉樹(杉?)を中心に広葉樹の林が並ぶ光景で、左下あたりには人形のようにちょこんとした3人の母子らしき姿もあります。解説によると、これはパリ19区にある公園らしく忠実な描写となっているようで、左下の母子が向かっている黒い入口のようなものは人工滝の入口だそうです。落ち着いた色合いで、点描のような表現の葉っぱの表現が独特かな。のんびりしていて、まさしく素朴な雰囲気がありました。
この近くには世田谷美術館の宝とも言える「サン=ニコラ河岸から見たサン=ルイ島」と「フリュマンス・ビッシュの肖像」もありました。また、その先にはドローネー、ピカソ、アポリネール、ジャリといったルソーを見出した画家の写真もありました。
参考記事:世田谷美術館の常設 (2010年08月)
<2.余暇に描く>
続いては他に本業を持っていた画家たちのコーナーです。画商で美術評論家のヴィルヘルム・ウーデはルソーの魅力に取りつかれ、パリでルソーを含む5人の画家を集め「聖なる心の画家たち」展を開きました。これは素朴派が世界中で見出される発端となったようで、この展覧会の画家たちに共通するのは専門の美術教育を受けることなく生活のために他の職業についていることでした。ここにはそうした「聖なる心の画家たち」展の画家の作品なども並んでいました。
6 アンドレ・ボーシャン 「地上の楽園」
アンドレ・ボーシャンは庭師もしていた画家で、この絵は恐らく聖書の楽園を描いたものかな。中央に裸の男性が描かれ、その周りにが草木が生い茂り、虎や象、ラクダ、鳥、蛇などの動物がのんびりしています。中には何だかよく分からない動物がいたり、遠近感が妙な感じなのは素朴派ならではだと思います。葉の緑や赤い花など庭師らしい側面もあるように思えました。
8 アンドレ・ボーシャン 「花」
ボーシャンといえばやはり花を描いた作品を思い浮かべます。これは戸外の台の上に置かれた花瓶の花束で、背景には街も描かれています。均等な間隔でズラッと並んだ花は現実には無さそうな配置で、ボリューム感があります。また、背景との遠近感が微妙なためか、一層に花が大きく見えました。この効果は面白いです。
11 カミーユ・ボンボワ 「三人の盗人たち」
この画家は「聖なる心の画家」の1人で、レスラーや肉体労働をしていたようです。この絵は塀の前で3人の女性が描かれ、1人は木の枝を持って尻もちして驚いた顔をしていて、もう1人は地面に座ってそれを見ていて、もう1人はスカートの裾を持つように立ってこちらを向いています。転んだ女性の周りにはオレンジの果実が転がっていて、背景にも実のなったオレンジの木々があるので、タイトルから察するにこれを盗んできたのではないかと思われます。女性たちはかなり太っていて顔が大きく、ちょっと異様な感じもしますが表情豊かに描かれていました。
14 ルイ・ヴィヴァン 「凱旋門」
この画家も「聖なる心の画家」の1人で、郵便局の職員だったようです。これは凱旋門を正面から描いた作品で、奥にはシャンゼリゼ通りが見え、周りには人々や車の姿があります。ディテールは単純化されていて、人々はおもちゃの人形ようで凱旋門はやけに小さく見えるかな。この画家の作品は周りに4点ほどありましたが、いずれも黒い枠で石畳やブロックを表現していて、堅牢かつ平面的な雰囲気があるのが面白いです。幾何学的なリズムを感じさせる作風でした。
16 オルネオーレ・メテルリ 「楽師と猫」
これはイタリアの素朴派の画家の作品で、レンガ造りの高い建物に囲まれた路地裏で猫に向かってトロンボーンを吹く楽師が描かれています。建物は重厚な感じに描かれている一方で、人と猫は稚拙な感じに見え、そのミスマッチが面白く感じられました。寂しげな感じとユーモラスな感じが同居している不思議な作品です。
23 サー・ウィンストン・S・チャーチル 「ウーリカの谷」
これはかの有名な英首相チャーチルが描いた作品で、第一次世界大戦の作戦失敗の責任を取って田舎の自宅に引きこもっていたころに描いたものだそうです。山々や古城が描かれた風景画で、平坦かつ大胆な筆で描かれちょっと印象派風にも見えるかな。色も明るく爽やかで、本業の画家が描いたものに見えます。この隣には水辺を描いた作品も合ったのですが、そちらも見事な描写で絵の才能もあったことが伺えました。なお、チャーチルは文才もありノーベル文学賞も貰っているそうです。本当にすごい人ですね…。
この近くにはイタリアのピエトロ・ギッザルディという画家の作品もありました。
<3. 人生の夕映え>
続いては、長い人生の中で、病気や事故、愛する者の死など予期せぬ出来事がきっかけで晩年に絵を描き始めた画家たちのコーナーです。アメリカの国民的画家であるグランマ・モーゼスは、リュウマチで刺繍絵が難しくなったために油彩を始め、101歳までに1500点もの作品を残しました。また、実業家としての人生を失敗したトリルハーゼも60歳になってから失意の中で画家に励まされながら絵を描き、シュルレアリストのマックス・エルンストたちから「我らがルソー」と賞賛されるようになったようです。ここにはそうした思わぬきっかけで絵を始めた画家たちの作品が並んでいました。
24 アダルベルト・トリルハーゼ 「イサクの犠牲」
これは背中に羽の生えた裸婦(天使?)と、子供の顔を手で押さえて短剣をかざす老人(イサク?)が描かれた作品で、背後には2人の男と馬やヤギらしき姿もあります。イサクと天使は目線が合っていないなど、ちぐはぐな感じがするのですが妙に味があり、それがこの場面を一層恐ろしい感じにしていました。確かにルソーに通じるものがあります。
35 グランマ・モーゼス 「川を渡っておばあちゃんの家へ」 ★こちらで観られます
これは一面雪景色の農場を描いた作品で、中央に川が描かれそこを2頭の馬に引かれたソリが橋を抜けて右の方に向かっている様子が描かれています。遠くの山々が見える広々とした構図で、画面のあちこちの家では人々の営みが感じられます。のんびりとした一種の理想郷のような雰囲気で温かみがありました。
38 グランマ・フラン 「暑い夏の日」
この画家は孫娘に絵手紙を描くために絵を描き始めた人で、ここには黄緑色の地に沢山の家々やそこで暮らす人々の様子が描かれています。何となく雰囲気はグランマ・モーゼスに近いものを感じるのですが、白・青・赤・緑など原色に近い色が使われ、より平面的な画面となっています。子どもたちの野外教室や遊んでいる子供などの姿もあり、賑いのある楽しげな雰囲気がありました。
<4. On the Street, On the Road ―道端と放浪の画家>
続いては路上生活や放浪生活を送った画家のコーナーです。生活保護を受けていた老人のビル・トレイラーは道端で拾った鉛筆と紙で突然絵を描き始め、廃材とペンキを使ったアーティストのウィリアム・ホーキンズはスプレーで落書きすることから始まったそうです。また、貼り絵で有名な山下清は放浪の旅をしては施設で制作していたようで、ここにはそういった路上・放浪の画家の作品が並んでいました。
61 山下清 「晩秋」
これは木々に囲まれた藁葺の家が貼り絵で表された作品です。一見すると点描のような感じに見えますが、木々の枝は紙をこよりにして表すなど表現方法も様々です。秋の風情が漂い、郷愁を誘う光景でした。山下清は知能の発達に遅れがあったようですが、これだけ情感豊かな表現ができる感性は素晴らしいものがあったと思います。
52 ビル・トレイラー 「人と犬のいる家」 ★こちらで観られます
この画家は生活保護を受けて昼間は歩道や市場で座って過ごしていた老人で、突然 鉛筆と定規を使って影絵のような手法で絵を描き始め、道端に並べて売っていたそうです。この作品もボール紙に描かれていて右下は破れています。そこに大きく家が描かれ、その屋根にはシルクハットを被った影絵のような人物が仰け反るように描かれ、家の中には椅子に座った人物と、子供らしい姿があります。また、家の前には茶色い犬が描かれていて、お世辞にも上手いとは思えませんが、キャラクターのようなゆるさがあり愛嬌がありました。これは何かの思い出かストーリーでもあるのかな。もしかしたら見た目ほど可愛い場面じゃないのかも??
この近くにはウィリアム・ホーキンズの立体的な作品などもありました。
ということで、結構知らないアーティストも多く個性的な画風が多く楽しめました。後半には今回特に心に残った画家のコーナーもありましたので、次回はそれについてご紹介しようと思います。
参照記事:★この記事を参照している記事

【展覧名】
アンリ・ルソーから始まる 素朴派とアウトサイダーズの世界
【公式サイト】
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html
【会場】世田谷美術館
【最寄】東急田園都市線 用賀駅
【会期】2013年9月14日(土)~11月10日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構多くのお客さんで賑わっていましたが、自分のペースで鑑賞することができました。
さて、今回の展示は素朴派とアウトサイダーと呼ばれる正規の美術教育を受けていないアーティストに関する内容となっています。独学の画家は昔からいたと思われますが、この展示では美術界でも評価されるようになったフランスのアンリ・ルソーを始めとして、ルソー以降の世界中の素朴派・アウトサイダーについて取り上げていました。展覧会は分類ごとに10の章に分かれていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
<1. 画家宣言―アンリ・ルソー>
まずは素朴派と呼ばれる中で最も有名なアンリ・ルソーのコーナーです。アンリ・ルソーはパリ市の税関で、絵を描き始めたのは1884年の40歳の頃でした。料金を払えば誰でも出品できるアンデパンダン展に出品すると、その技術の稚拙さからあらゆる中傷を受けましたが、1890年のアンデパンダン展では「私自身、肖像=風景」を出品し、それは彼の画家宣言と捉えることができるようです。ルソーを最初に注目したのは劇作家のアルフレッド・ジャリで、文芸誌「リマジエ」の為にルソーに版画を依頼したようです。そしてジャリからアポリネール、ピカソ、ドローニーなどに評価が広がり、1910年にルソーが亡くなった後もカンディンスキーらドイツの表現主義の画家たちに広がっていったようです。ここには主にルソーの作品が並んでいました。
参考記事:アンリ・ルソー パリの空の下で ルソーとその仲間たち (ポーラ美術館)
3 アンリ・ルソー 「戦争 [リマジエ第2号]」
これは雑誌「リマジエ」の挿絵で、馬に乗った女神がたいまつと剣を持っている姿が描かれています。馬に乗っているといっても両足が手前側に描かれているなど子供の絵のようなチグハグさがあり、お世辞にも上手いとは言えませんw しかし、馬が飛んでいるような躍動感や、周りで倒れている人など独特の異様さやシュールさがありました。解説によると、これはオルセー美術館の「戦争」をもとにペンで原画を描いた唯一の版画作品のようでした。
参考記事:オルセー美術館展2010 ポスト印象派 感想後編(国立新美術館)
4 アンリ・ルソー 「散歩(ビュット=ショーモン)」
背の高い3本の針葉樹(杉?)を中心に広葉樹の林が並ぶ光景で、左下あたりには人形のようにちょこんとした3人の母子らしき姿もあります。解説によると、これはパリ19区にある公園らしく忠実な描写となっているようで、左下の母子が向かっている黒い入口のようなものは人工滝の入口だそうです。落ち着いた色合いで、点描のような表現の葉っぱの表現が独特かな。のんびりしていて、まさしく素朴な雰囲気がありました。
この近くには世田谷美術館の宝とも言える「サン=ニコラ河岸から見たサン=ルイ島」と「フリュマンス・ビッシュの肖像」もありました。また、その先にはドローネー、ピカソ、アポリネール、ジャリといったルソーを見出した画家の写真もありました。
参考記事:世田谷美術館の常設 (2010年08月)
<2.余暇に描く>
続いては他に本業を持っていた画家たちのコーナーです。画商で美術評論家のヴィルヘルム・ウーデはルソーの魅力に取りつかれ、パリでルソーを含む5人の画家を集め「聖なる心の画家たち」展を開きました。これは素朴派が世界中で見出される発端となったようで、この展覧会の画家たちに共通するのは専門の美術教育を受けることなく生活のために他の職業についていることでした。ここにはそうした「聖なる心の画家たち」展の画家の作品なども並んでいました。
6 アンドレ・ボーシャン 「地上の楽園」
アンドレ・ボーシャンは庭師もしていた画家で、この絵は恐らく聖書の楽園を描いたものかな。中央に裸の男性が描かれ、その周りにが草木が生い茂り、虎や象、ラクダ、鳥、蛇などの動物がのんびりしています。中には何だかよく分からない動物がいたり、遠近感が妙な感じなのは素朴派ならではだと思います。葉の緑や赤い花など庭師らしい側面もあるように思えました。
8 アンドレ・ボーシャン 「花」
ボーシャンといえばやはり花を描いた作品を思い浮かべます。これは戸外の台の上に置かれた花瓶の花束で、背景には街も描かれています。均等な間隔でズラッと並んだ花は現実には無さそうな配置で、ボリューム感があります。また、背景との遠近感が微妙なためか、一層に花が大きく見えました。この効果は面白いです。
11 カミーユ・ボンボワ 「三人の盗人たち」
この画家は「聖なる心の画家」の1人で、レスラーや肉体労働をしていたようです。この絵は塀の前で3人の女性が描かれ、1人は木の枝を持って尻もちして驚いた顔をしていて、もう1人は地面に座ってそれを見ていて、もう1人はスカートの裾を持つように立ってこちらを向いています。転んだ女性の周りにはオレンジの果実が転がっていて、背景にも実のなったオレンジの木々があるので、タイトルから察するにこれを盗んできたのではないかと思われます。女性たちはかなり太っていて顔が大きく、ちょっと異様な感じもしますが表情豊かに描かれていました。
14 ルイ・ヴィヴァン 「凱旋門」
この画家も「聖なる心の画家」の1人で、郵便局の職員だったようです。これは凱旋門を正面から描いた作品で、奥にはシャンゼリゼ通りが見え、周りには人々や車の姿があります。ディテールは単純化されていて、人々はおもちゃの人形ようで凱旋門はやけに小さく見えるかな。この画家の作品は周りに4点ほどありましたが、いずれも黒い枠で石畳やブロックを表現していて、堅牢かつ平面的な雰囲気があるのが面白いです。幾何学的なリズムを感じさせる作風でした。
16 オルネオーレ・メテルリ 「楽師と猫」
これはイタリアの素朴派の画家の作品で、レンガ造りの高い建物に囲まれた路地裏で猫に向かってトロンボーンを吹く楽師が描かれています。建物は重厚な感じに描かれている一方で、人と猫は稚拙な感じに見え、そのミスマッチが面白く感じられました。寂しげな感じとユーモラスな感じが同居している不思議な作品です。
23 サー・ウィンストン・S・チャーチル 「ウーリカの谷」
これはかの有名な英首相チャーチルが描いた作品で、第一次世界大戦の作戦失敗の責任を取って田舎の自宅に引きこもっていたころに描いたものだそうです。山々や古城が描かれた風景画で、平坦かつ大胆な筆で描かれちょっと印象派風にも見えるかな。色も明るく爽やかで、本業の画家が描いたものに見えます。この隣には水辺を描いた作品も合ったのですが、そちらも見事な描写で絵の才能もあったことが伺えました。なお、チャーチルは文才もありノーベル文学賞も貰っているそうです。本当にすごい人ですね…。
この近くにはイタリアのピエトロ・ギッザルディという画家の作品もありました。
<3. 人生の夕映え>
続いては、長い人生の中で、病気や事故、愛する者の死など予期せぬ出来事がきっかけで晩年に絵を描き始めた画家たちのコーナーです。アメリカの国民的画家であるグランマ・モーゼスは、リュウマチで刺繍絵が難しくなったために油彩を始め、101歳までに1500点もの作品を残しました。また、実業家としての人生を失敗したトリルハーゼも60歳になってから失意の中で画家に励まされながら絵を描き、シュルレアリストのマックス・エルンストたちから「我らがルソー」と賞賛されるようになったようです。ここにはそうした思わぬきっかけで絵を始めた画家たちの作品が並んでいました。
24 アダルベルト・トリルハーゼ 「イサクの犠牲」
これは背中に羽の生えた裸婦(天使?)と、子供の顔を手で押さえて短剣をかざす老人(イサク?)が描かれた作品で、背後には2人の男と馬やヤギらしき姿もあります。イサクと天使は目線が合っていないなど、ちぐはぐな感じがするのですが妙に味があり、それがこの場面を一層恐ろしい感じにしていました。確かにルソーに通じるものがあります。
35 グランマ・モーゼス 「川を渡っておばあちゃんの家へ」 ★こちらで観られます
これは一面雪景色の農場を描いた作品で、中央に川が描かれそこを2頭の馬に引かれたソリが橋を抜けて右の方に向かっている様子が描かれています。遠くの山々が見える広々とした構図で、画面のあちこちの家では人々の営みが感じられます。のんびりとした一種の理想郷のような雰囲気で温かみがありました。
38 グランマ・フラン 「暑い夏の日」
この画家は孫娘に絵手紙を描くために絵を描き始めた人で、ここには黄緑色の地に沢山の家々やそこで暮らす人々の様子が描かれています。何となく雰囲気はグランマ・モーゼスに近いものを感じるのですが、白・青・赤・緑など原色に近い色が使われ、より平面的な画面となっています。子どもたちの野外教室や遊んでいる子供などの姿もあり、賑いのある楽しげな雰囲気がありました。
<4. On the Street, On the Road ―道端と放浪の画家>
続いては路上生活や放浪生活を送った画家のコーナーです。生活保護を受けていた老人のビル・トレイラーは道端で拾った鉛筆と紙で突然絵を描き始め、廃材とペンキを使ったアーティストのウィリアム・ホーキンズはスプレーで落書きすることから始まったそうです。また、貼り絵で有名な山下清は放浪の旅をしては施設で制作していたようで、ここにはそういった路上・放浪の画家の作品が並んでいました。
61 山下清 「晩秋」
これは木々に囲まれた藁葺の家が貼り絵で表された作品です。一見すると点描のような感じに見えますが、木々の枝は紙をこよりにして表すなど表現方法も様々です。秋の風情が漂い、郷愁を誘う光景でした。山下清は知能の発達に遅れがあったようですが、これだけ情感豊かな表現ができる感性は素晴らしいものがあったと思います。
52 ビル・トレイラー 「人と犬のいる家」 ★こちらで観られます
この画家は生活保護を受けて昼間は歩道や市場で座って過ごしていた老人で、突然 鉛筆と定規を使って影絵のような手法で絵を描き始め、道端に並べて売っていたそうです。この作品もボール紙に描かれていて右下は破れています。そこに大きく家が描かれ、その屋根にはシルクハットを被った影絵のような人物が仰け反るように描かれ、家の中には椅子に座った人物と、子供らしい姿があります。また、家の前には茶色い犬が描かれていて、お世辞にも上手いとは思えませんが、キャラクターのようなゆるさがあり愛嬌がありました。これは何かの思い出かストーリーでもあるのかな。もしかしたら見た目ほど可愛い場面じゃないのかも??
この近くにはウィリアム・ホーキンズの立体的な作品などもありました。
ということで、結構知らないアーティストも多く個性的な画風が多く楽しめました。後半には今回特に心に残った画家のコーナーもありましたので、次回はそれについてご紹介しようと思います。
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前回ご紹介したカフェに行く前に、上野の森美術館で「種田陽平による三谷幸喜映画の世界観 -『清須会議』までの映画美術の軌跡、そして…」を観てきました。

【展覧名】
種田陽平による三谷幸喜映画の世界観
-『清須会議』までの映画美術の軌跡、そして…
【公式サイト】
http://www.tanemita.com/
【会場】上野の森美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2013年10月12日(土) ~ 11月17日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
お客さんは結構いましたが、特に混んでいるというほどでもなく自分のペースで観ることができました。
さて、今回の展示はTVや映画、演劇などで活躍されている三谷幸喜 氏と、三谷氏と映画で仕事を共にされている映画美術監督の種田陽平 氏の展示となっています。2人が初めてタッグを組んだのは映画「有頂天ホテル」で、その後「ザ・マジックアワー」「ステキな金縛り」を制作しました。2人は今年(2013年)の11月9日公開予定の「清須会議」でもタッグを組んでいるそうで、今回はその公開に合わせてこちらの展覧会が行われているようです。展示はその4つの映画を中心に種田氏の他の映画の仕事などを紹介していましたので、コーナーごとに簡単にご紹介していこうと思います。なお、基本的に映画を観ていないと魅力半減といった感じの内容(清州会議は予告多め)です。その為、この記事も既存の3作品を観た人向けのご紹介として、各映画の内容の紹介は省いております。
参考記事:
映画「ステキな金縛り」(軽いネタバレあり)
借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展 (東京都現代美術館)
<有頂天ホテル>
まずは「有頂天ホテル」のセットなどについてのコーナーでした。展示室も古い映画館のような作りになっているのが凝っています。ここには舞台となったホテルアバンティに関する品々が並んでいて、正面奥はこんな感じになっていました。(この部屋はこれだけ撮影可能)

実際にはもっと平面的に見えますw この部屋には他に、ホテル全景模型やホテルのプレート、フロア案内、バスローブなどのアメニティなどもあります。細部まで本当に実在のホテルのように作られているのですが、このホテルが実在すると思った人がインターネットで予約して、同名の全く別物のホテルだったなんてエピソードもあるそうですw また、バリモアスイート(佐藤浩市が泊まっていた部屋)はリッツ・カールトンなどを参考にしているなど、スイートの各部屋のこだわりぶりなどが紹介されていました。
他には映画の出てくる幸せの人形(実際に観るとキモいw)や、鹿の被り物、劇中の新聞なども展示されていました。こんな細かいところまで作っているのか…と驚かされます。
<ザ・マジックアワー>
続いては「守加護」という架空の町を丸ごとセットで作った「ザ・マジックアワー」のコーナーです。ここも撮影可能スポットがあり、こんな感じです。

これはセットがそこにあるみたいに見えるかなw この部屋には町のイメージスケッチや平面図、模型、住所プレートなどがありました。やはりこだわりが伺えるのですが、さらによく分かるのが3分間の映像で、これは撮影風景を時間を縮めて観ることができました。大きな撮影所の中に町が出来ていく様子は圧巻です。 また、部屋の外には劇中で主人公が何度も観ていた「暗黒街の用心棒」のポスターなどもありました。こちらも昭和風でフェイクっぽさが感じられない出来栄えです。
<ステキな金縛り>
続いては法廷を舞台にした「ステキな金縛り」で、ここの撮影可能ポイントはこんな感じです。

手前の2つの椅子は本物で、実際に椅子に座ることもできました。このコーナーで一番驚いたのはここにあった法廷の大理石の床で、本物に見えて板に色を塗ったフェイクのようです。まったく自然物のようにしか見えず、この技術には感服しました。ちなみに、この映画のセットで傍聴席に使われた椅子は新宿コマ劇場で使われていたものなのだとか。
この部屋には法廷のイメージ、模型、ヒロインの部屋のセットイメージ、更科六兵衛の肖像画2枚(1枚は悲しそうな顔で、もう1枚はニヤッとしている肖像)などがありました。更科六兵衛の肖像は柴田勝家の肖像を参考に、西田敏行氏に衣装を着てポーズを取ってもらい、伊藤弘二 氏という方が描かれたそうです。他にも、陣羽織やしかばね荘の写真などもあり、部屋の前には劇中の新聞もありました。新聞はちゃんと記事まで書いてあり、「守加護」(前作の町)の名前が入っていたりして遊び心があります。
この部屋の後に映像のコーナーがあり、実際のセット(もう取り壊されています)を三谷幸喜氏自身が紹介していく内容となっていました。映画には出てこないような所まで緻密に作りこまれているのがよく分かります。
<種田陽平が携わった作品>
続いては種田陽平 氏が携わった三谷幸喜氏以外の映画のセットに関するコーナーです。ここは写真や図面がメインで、「キル・ビル」、「セデック・バレ」(台湾映画)、「ザ・フラワーズ・オブ・ウォー」(中国映画)、「マン・オブ・タイチー」といった作品での仕事が紹介されていました。
まず「キル・ビル」ですが、一番有名な青葉屋の建物は種田氏が手がけているようで、ガラスの床の下に枯山水があるというのはタランティーノ監督とのアイディアのようです。ここには図面や写真、イメージ画などが並んでいました。
続いては台湾映画「セデック・バレ」で、これは台湾で大ヒットし「種田陽平映画美術展」が台北と高雄で開かれるほどだったようです。この映画では山間に村のセットを作ったようで、監督からは当初、高度3000mの地に村を作りたいと言われたようですが、撮影が困難であるので、そういう風景を作るのが映画美術だと言って台北市近郊に作ったようです。写真を観た感じでは確かに高地の村といった感じで、さすがでした。
続いての「ザ・フラワーズ・オブ・ウォー」は中国映画で、チャン・イーモウが監督し78億円もの巨費を投じて作られた大作です(日本では未公開) この映画では何と1年かけて教会を建てたようで、ここには教会の写真や図面、ミニチュアが並んでいました。映画1つにこれだけ壮麗なものを作って壊すのか…とこれまた驚かされました。
最後に「マン・オブ・タイチー」ですが、これはキアヌ・リーブスが初監督を務めた作品で、2013年公開で日本では今のところ未定となっているようです。中国拳法が題材で、キアヌ・リーブスのスタントを務めていた人が主役となって、監督自身も出演するようです。ここには戦いの場となる各セットの写真などが展示されていて、特にCARGOSHIPというモダンと中国風が合わさったような舞台や、中国の寺院のセットなどが目を引きました。これはちょっと映画を観てみたくなったw
<三谷幸喜の演劇の作品>
続いて、三谷幸喜氏の演劇舞台の紹介もちょっとだけありました。「ベッジ・パードン」という2011年上演作品で、これは夏目漱石のイギリス留学がテーマになっているようです。漱石が住んだブレッド家のセットや観客席などの図面などがありました。
<清州会議>
最後は再び三谷氏&種田氏のコンビによる公開間近の「清州会議」のコーナーです。これは織田信長が死んだ後の後継者争いをテーマにした映画で、清州城が舞台となります。この清州城に関する資料は少ないようで、天守閣があったという説もあれば無かったという説もあり、内部についても想像するしかないようです。しかし映画では天守閣を設けたようで、ここにはセットが置かれていました。(これも撮影可能)

他にもオープニングに使われる巻物、大広間の模型、各武将たちの居室のセットなどがありました。
この後、1階の離れの部屋もあり、そこには30分の映像で清州会議のセットを三谷幸喜氏自身が解説していました。建物や庭など色々こだわっているのが伺えるのですが、絵に関しては若干時代考証に違和感があるかな…。龍は等伯風に見えるけど、虎は応挙風に見えたし、遠近感のある風景画はこの時代にそぐわないような…(遠近感はあえて信長の西洋趣味を出すためにやっているようでした)。まあ、私の感覚なので素人の戯言みたいなイチャモンですw
ということで、映画美術の世界を堪能することができました。普段見ている映画のセットがこれほどまでに気合を入れているのかと驚かされました。これから公開の清州会議の予習にもなったので、三谷作品が好きな方にはお勧めです。
参照記事:★この記事を参照している記事


【展覧名】
種田陽平による三谷幸喜映画の世界観
-『清須会議』までの映画美術の軌跡、そして…
【公式サイト】
http://www.tanemita.com/
【会場】上野の森美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2013年10月12日(土) ~ 11月17日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
お客さんは結構いましたが、特に混んでいるというほどでもなく自分のペースで観ることができました。
さて、今回の展示はTVや映画、演劇などで活躍されている三谷幸喜 氏と、三谷氏と映画で仕事を共にされている映画美術監督の種田陽平 氏の展示となっています。2人が初めてタッグを組んだのは映画「有頂天ホテル」で、その後「ザ・マジックアワー」「ステキな金縛り」を制作しました。2人は今年(2013年)の11月9日公開予定の「清須会議」でもタッグを組んでいるそうで、今回はその公開に合わせてこちらの展覧会が行われているようです。展示はその4つの映画を中心に種田氏の他の映画の仕事などを紹介していましたので、コーナーごとに簡単にご紹介していこうと思います。なお、基本的に映画を観ていないと魅力半減といった感じの内容(清州会議は予告多め)です。その為、この記事も既存の3作品を観た人向けのご紹介として、各映画の内容の紹介は省いております。
参考記事:
映画「ステキな金縛り」(軽いネタバレあり)
借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展 (東京都現代美術館)
<有頂天ホテル>
まずは「有頂天ホテル」のセットなどについてのコーナーでした。展示室も古い映画館のような作りになっているのが凝っています。ここには舞台となったホテルアバンティに関する品々が並んでいて、正面奥はこんな感じになっていました。(この部屋はこれだけ撮影可能)

実際にはもっと平面的に見えますw この部屋には他に、ホテル全景模型やホテルのプレート、フロア案内、バスローブなどのアメニティなどもあります。細部まで本当に実在のホテルのように作られているのですが、このホテルが実在すると思った人がインターネットで予約して、同名の全く別物のホテルだったなんてエピソードもあるそうですw また、バリモアスイート(佐藤浩市が泊まっていた部屋)はリッツ・カールトンなどを参考にしているなど、スイートの各部屋のこだわりぶりなどが紹介されていました。
他には映画の出てくる幸せの人形(実際に観るとキモいw)や、鹿の被り物、劇中の新聞なども展示されていました。こんな細かいところまで作っているのか…と驚かされます。
<ザ・マジックアワー>
続いては「守加護」という架空の町を丸ごとセットで作った「ザ・マジックアワー」のコーナーです。ここも撮影可能スポットがあり、こんな感じです。

これはセットがそこにあるみたいに見えるかなw この部屋には町のイメージスケッチや平面図、模型、住所プレートなどがありました。やはりこだわりが伺えるのですが、さらによく分かるのが3分間の映像で、これは撮影風景を時間を縮めて観ることができました。大きな撮影所の中に町が出来ていく様子は圧巻です。 また、部屋の外には劇中で主人公が何度も観ていた「暗黒街の用心棒」のポスターなどもありました。こちらも昭和風でフェイクっぽさが感じられない出来栄えです。
<ステキな金縛り>
続いては法廷を舞台にした「ステキな金縛り」で、ここの撮影可能ポイントはこんな感じです。

手前の2つの椅子は本物で、実際に椅子に座ることもできました。このコーナーで一番驚いたのはここにあった法廷の大理石の床で、本物に見えて板に色を塗ったフェイクのようです。まったく自然物のようにしか見えず、この技術には感服しました。ちなみに、この映画のセットで傍聴席に使われた椅子は新宿コマ劇場で使われていたものなのだとか。
この部屋には法廷のイメージ、模型、ヒロインの部屋のセットイメージ、更科六兵衛の肖像画2枚(1枚は悲しそうな顔で、もう1枚はニヤッとしている肖像)などがありました。更科六兵衛の肖像は柴田勝家の肖像を参考に、西田敏行氏に衣装を着てポーズを取ってもらい、伊藤弘二 氏という方が描かれたそうです。他にも、陣羽織やしかばね荘の写真などもあり、部屋の前には劇中の新聞もありました。新聞はちゃんと記事まで書いてあり、「守加護」(前作の町)の名前が入っていたりして遊び心があります。
この部屋の後に映像のコーナーがあり、実際のセット(もう取り壊されています)を三谷幸喜氏自身が紹介していく内容となっていました。映画には出てこないような所まで緻密に作りこまれているのがよく分かります。
<種田陽平が携わった作品>
続いては種田陽平 氏が携わった三谷幸喜氏以外の映画のセットに関するコーナーです。ここは写真や図面がメインで、「キル・ビル」、「セデック・バレ」(台湾映画)、「ザ・フラワーズ・オブ・ウォー」(中国映画)、「マン・オブ・タイチー」といった作品での仕事が紹介されていました。
まず「キル・ビル」ですが、一番有名な青葉屋の建物は種田氏が手がけているようで、ガラスの床の下に枯山水があるというのはタランティーノ監督とのアイディアのようです。ここには図面や写真、イメージ画などが並んでいました。
続いては台湾映画「セデック・バレ」で、これは台湾で大ヒットし「種田陽平映画美術展」が台北と高雄で開かれるほどだったようです。この映画では山間に村のセットを作ったようで、監督からは当初、高度3000mの地に村を作りたいと言われたようですが、撮影が困難であるので、そういう風景を作るのが映画美術だと言って台北市近郊に作ったようです。写真を観た感じでは確かに高地の村といった感じで、さすがでした。
続いての「ザ・フラワーズ・オブ・ウォー」は中国映画で、チャン・イーモウが監督し78億円もの巨費を投じて作られた大作です(日本では未公開) この映画では何と1年かけて教会を建てたようで、ここには教会の写真や図面、ミニチュアが並んでいました。映画1つにこれだけ壮麗なものを作って壊すのか…とこれまた驚かされました。
最後に「マン・オブ・タイチー」ですが、これはキアヌ・リーブスが初監督を務めた作品で、2013年公開で日本では今のところ未定となっているようです。中国拳法が題材で、キアヌ・リーブスのスタントを務めていた人が主役となって、監督自身も出演するようです。ここには戦いの場となる各セットの写真などが展示されていて、特にCARGOSHIPというモダンと中国風が合わさったような舞台や、中国の寺院のセットなどが目を引きました。これはちょっと映画を観てみたくなったw
<三谷幸喜の演劇の作品>
続いて、三谷幸喜氏の演劇舞台の紹介もちょっとだけありました。「ベッジ・パードン」という2011年上演作品で、これは夏目漱石のイギリス留学がテーマになっているようです。漱石が住んだブレッド家のセットや観客席などの図面などがありました。
<清州会議>
最後は再び三谷氏&種田氏のコンビによる公開間近の「清州会議」のコーナーです。これは織田信長が死んだ後の後継者争いをテーマにした映画で、清州城が舞台となります。この清州城に関する資料は少ないようで、天守閣があったという説もあれば無かったという説もあり、内部についても想像するしかないようです。しかし映画では天守閣を設けたようで、ここにはセットが置かれていました。(これも撮影可能)

他にもオープニングに使われる巻物、大広間の模型、各武将たちの居室のセットなどがありました。
この後、1階の離れの部屋もあり、そこには30分の映像で清州会議のセットを三谷幸喜氏自身が解説していました。建物や庭など色々こだわっているのが伺えるのですが、絵に関しては若干時代考証に違和感があるかな…。龍は等伯風に見えるけど、虎は応挙風に見えたし、遠近感のある風景画はこの時代にそぐわないような…(遠近感はあえて信長の西洋趣味を出すためにやっているようでした)。まあ、私の感覚なので素人の戯言みたいなイチャモンですw
ということで、映画美術の世界を堪能することができました。普段見ている映画のセットがこれほどまでに気合を入れているのかと驚かされました。これから公開の清州会議の予習にもなったので、三谷作品が好きな方にはお勧めです。
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先日、上野に展覧会を観に行った際、西郷さんの像の近くにあるレ・クアトロ・スタジオーニというお店でお茶してきました。
↓この写真の左側のお店です。

【店名】
レ・クアトロ・スタジオーニ
【ジャンル】
レストラン/カフェ
【公式サイト】
http://q-stagioni.net/
食べログ:http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13125711/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【近くの美術館】
国立西洋美術館
上野の森美術館
東京国立博物館
東京都美術館
国立科学博物館
東京文化会館
上野動物園
など
【この日にかかった1人の費用】
1000円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
お客さんは結構いましたが、特に待つこと無く入ることが出来ました。
さて、このお店はイタリアン中心のお店で、カフェではなくレストランのようでしたが、お茶だけの利用もできました。
中はこんな感じ。

恐らく2011年頃に出来たのかな。中はまだ新しく、席も広くて洒落た感じです。テラスの席もあるようでした。
この日はケーキとコーヒーを頼みました。ケーキはケースの中に入っているのを見て頼む感じです。
こちらはフルーツタルト(450円)

爽やかな甘さのフルーツとクリームが合っていて美味しかったです。甘すぎないので好みの味でした。
飲み物はコーヒー(500円)にしました。

こちらはかなり濃くて苦味があり、久々に砂糖を入れて飲みました。エスプレッソを頼んでしまったのかも。
連れはカボチャのシフォンケーキ(450円)を頼んでいました。

こちらはふんわりして柔らかく、軽い風味がする優しい味わいでした。
飲み物はカモミールティー(500円)だったかな。

こちらも良い香りがしていました。
ということで、洒落た雰囲気の中で美味しいケーキを楽しむことができました。ここは駅にも程近く、周りに美術館も多いので非常に便利なところでもあると思います。レストランメニューも美味しそうだったので、いずれレストランとしても利用してみようと思います。
…それにしてもほんの数年前まで上野公園のカフェは惨憺たる状況だったのに一気に美味しいお店が増えて嬉しい限りですw
↓この写真の左側のお店です。

【店名】
レ・クアトロ・スタジオーニ
【ジャンル】
レストラン/カフェ
【公式サイト】
http://q-stagioni.net/
食べログ:http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13125711/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【近くの美術館】
国立西洋美術館
上野の森美術館
東京国立博物館
東京都美術館
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など
【この日にかかった1人の費用】
1000円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
お客さんは結構いましたが、特に待つこと無く入ることが出来ました。
さて、このお店はイタリアン中心のお店で、カフェではなくレストランのようでしたが、お茶だけの利用もできました。
中はこんな感じ。

恐らく2011年頃に出来たのかな。中はまだ新しく、席も広くて洒落た感じです。テラスの席もあるようでした。
この日はケーキとコーヒーを頼みました。ケーキはケースの中に入っているのを見て頼む感じです。
こちらはフルーツタルト(450円)

爽やかな甘さのフルーツとクリームが合っていて美味しかったです。甘すぎないので好みの味でした。
飲み物はコーヒー(500円)にしました。

こちらはかなり濃くて苦味があり、久々に砂糖を入れて飲みました。エスプレッソを頼んでしまったのかも。
連れはカボチャのシフォンケーキ(450円)を頼んでいました。

こちらはふんわりして柔らかく、軽い風味がする優しい味わいでした。
飲み物はカモミールティー(500円)だったかな。

こちらも良い香りがしていました。
ということで、洒落た雰囲気の中で美味しいケーキを楽しむことができました。ここは駅にも程近く、周りに美術館も多いので非常に便利なところでもあると思います。レストランメニューも美味しそうだったので、いずれレストランとしても利用してみようと思います。
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