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日光東照宮 【日光編】

前回に引き続き日光編です。今日は日光の象徴とも言える東照宮についてです。日光東照宮に行くのは小学生の修学旅行以来で、流石に当時の様子は覚えていませんが、今年の春に4年に及ぶ平成の大修理が完了したというニュースを聞いて早速観に行ってきました。ちょうど先週の土曜日に「美の巨人」でも陽明門を紹介していたので、それで見聞きした内容も併せて書いていこうと思います。

 公式サイト:http://www.toshogu.jp/

まず簡単に東照宮についてですが、よく知られているように東照宮は東照大権現として神格化された徳川家康を祀る神社のことで、この日光東照宮の他に久能山東照宮や上野東照宮などもあります。徳川家康が亡くなった際、最初は故郷の久能山に葬られたのですが、翌年に日光へと改葬されることになりました。
建立を進言したのは南光坊天海、命じたのは徳川家光で、日光の地を選んだのにはいくつか理由があるようで、
 ・久能山と日光を直線で結ぶと富士山があり「不死」の意味を持つ。
 ・日光は江戸城から真北にあたり、北極星は密教で宇宙を司る星である。
 ・源義朝による日光山造営以来、日光は東国の宗教的権威だった
といったことがあげられるようです。また、家康は遺言で自分の死後は小さいお堂に祀れと言っていたようですが、それに反して豪華絢爛な建物にしたのにも意味があるようで、
 ・平和な時代の訪れを広く知らしめるため
 ・家光は生まれながらの将軍であったので平和を愛する将軍であるというイメージ戦略
ということがあげられるようです。東照宮は現在の金額で2000億かけて作られたというのだから、大々的な公共事業の側面もあったのかも。

と、予習はこれくらいにして、ここからは撮ってきた写真と共にご紹介して参ります。

まずは東照宮の前にある参道。
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鳥居の前の階段は上より下のほうが幅が広く、遠近法を強調しているそうです。それほど大きな違いではないので気づく人は少ないと思いますが、西洋の技法が用いられているのが興味深いです。

鳥居をくぐると五重塔があります。
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神社なの?寺なの?どっちなの?と言いたくなるところですが、山王一実神道という神仏習合の神社となっています。

この写真の左下あたりに写っているところでチケットを買います。
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チケットは2つ種類があって宝物館入館券とのセット券というのもあるのですが今回は時間も無いので東照宮だけ観てきました。

こちらは門をくぐってすぐの所にある中神庫
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こちらも門のすぐ近くにある神厩舎
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馬を扱う役人の詰め所などがある建物です。そしてこの神厩舎には非常に有名な彫刻が施されています。

こちらは神厩舎の彫刻のアップ。リニューアルされた三猿です。
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見ざる言わざる聞かざる の三位一体のように言われていますが、実はすぐ隣の枠には他の猿も並んでいるのは知りませんでした。

こちらは神厩舎の正面にある上神庫
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上の彫刻が気になりました。

上神庫の彫刻部分のアップ。
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象などが彫刻されていて可愛い。

こちらは手を清める水盤舎
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めっちゃ豪華で綺羅びやかになっていましたw

そしてこれが復元された東照宮でも最も有名な陽明門。一日中観ていても飽きないことから日暮御門とも呼ばれます。昔は陽明門から先は特別な身分の人しか入れなかったそうです。
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柱などが白いのが神々しい。実は元々 徳川家光の頃は茶色だったそうですが、14代の徳川家茂の時代に最も神聖な色の白に塗り替えられたのだとか。また、この陽明門には西洋の黄金比が使われているそうで、庇までと屋根までが1:1.618の割合になっているようです。

彫刻部分のアップ。龍も似ているようでそれぞれ異なる形をしています。
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これらは当時の色で復元されているそうで、生彩色という金箔を貼った上に極彩色を塗る技法が使われています。金箔は15万枚も使われたというのだから驚き。また、ここには写っていないですが、唐子や麒麟(徳のある王の時代に現れる)やといった彫刻なども施されていて、それは平和な時代の訪れを表現しているようです。

両脇には神像がありました。
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虎に乗ってるのかな?

こちらは門の近くの回廊部分
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見事な彫刻がズラッと並んでいます。

陽明門の裏側。
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こうして観ると、やりすぎな感じもしますw 1933年にナチスを逃れて来日したドイツの建築家ブルーノ・タウトは東照宮を観て「キッチュ」と酷評したのも頷けるような。とは言え、とにかく豪華で緻密という分かりやすい美意識の方が権威付けしやすいのは古今東西同じでしょう。

陽明門をくぐると唐門があります。こちらも豪華
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2017年8月時点ではまだ一部で改修工事を行っているようでした。

そして、いよいよ徳川家康のお墓に向かう途中に、有名な眠り猫の下を通過します。

こちらが左甚五郎の作と伝わる眠り猫。当時の色になって鮮やかに蘇りました。
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眠り猫も平和の象徴としての意味が込められています。あまりにも上手くできた彫刻だったため、命が宿り夜な夜な抜け出して悪さをしたので目を閉じた眠り猫に改変したという伝説があります。

ここからお墓までは行列が出来ていました。お盆に行ったせいか大人気です。

長い階段を登ると、一番奥に奥宮御宝塔(御墓所)があります。
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元々は木で出来ていたのが石造になり、5代将軍綱吉の頃に現在と同じ唐銅製になったそうです。昔はここに来ることが出来た人はほんの一握りだったようです。


ということで、新しくなった東照宮を堪能してきました。豪華絢爛でまさに徳川の威光の権化とも言える建物で、ちょっとゴテゴテした印象もありますが堂々たる風格を漂わせていました。世界遺産のためか外国人にも人気のスポットで混雑していますが、日本人なら一度は訪れておきたい所だと思います。


おまけ:
東照宮の参道に入る前にある輪王寺は改修工事でしたが、参拝できるようでした。
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建物をすっぽり覆っているのが凄いw


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明石虎雄 「日光駅」 【日光編】

お盆の休み中に、青春18切符を使って日光へ建物めぐりに行ってきました。今日から日光編として様々な建物をご紹介していこうと思います。まずはJRの日光駅についてです。

JR日光駅には勿論、電車で行きました。宇都宮からの日光線です。
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行き先がレトロな字体になってました。 この電車は始点の宇都宮から観光客(特に欧米外国人)がぎっしりで、一切座れませんでしたw

ホームはこんな感じ。
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ホームは2面で、線路の先はどん詰まりになっています。

駅に降りると貴賓室がありました。
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残念ながらこちらは非公開。皇族などが使うようで、大理石の暖炉やシャンデリアが備え付けられているそうです。全く中が見えませんw

そしてこちらが今回のメインである日光駅の外観。
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この駅舎は大正元年に完成しました。ネオ・ルネサンス様式という北ヨーロッパに見られる様式で、外壁ハーフティンバー(柱や梁、筋交いなどが外にむき出しになっている)の白壁で、白い貴婦人と呼ばれることもあったほど美しい姿をしています。しかし長らく設計者の名前がわからず、フランク・ロイド・ライトではないか?なんて説もあったほどだったそうです。

しかし2006年に郷土の研究家によって天井裏にあった棟札が見つかり、2012年頃についに設計者の名前が分かったそうです。
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ちょっと反射で分かりづらいですが、これが棟札の写真。これと当時の訃報記事により設計者は明石虎雄という鉄道院技手であることがほぼ確定したそうです。明石については宇和島出身で地元に彼の設計した病院が残っているようですが、30歳の若さで亡くなったこともあってか割と忘れられた存在となっていたようです。

早速、駅構内へ。元々2階は一等旅客専用の待合室だったそうですが、1989年(平成元年)より「ホワイトルーム」として一般に公開されています。
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改札を出るとすぐにこの階段があり、無料で2階を見学できます。

階段を登るとこのような光景となっています。他の観光客がいないのが嬉しいような寂しいようなw
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今は紹介パネルくらいしかないのでガランとした感じですが、格調高い雰囲気があります。

同じ場所から線路方面を観た様子。
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奥から階段方向を観た様子。
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部屋自体は結構シンプルな印象で、豪華なシャンデリアが目を引きます。

シャンデリアと鏡付きのコート掛け
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このシャンデリアは開業当時のままだそうです。100年前も多くの外国人が訪れたそうで、それに恥じない駅としてこうした建物となりました。

帰り道に再び外観を撮りました。夕方は人が少ないので撮るなら夕方が良いかも。
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こうして観ると白壁だけど柱や梁がピンクなので全体的にピンクっぽく見えるかも。しかし安っぽくないのがいい感じ。


ということで、あまり観光客もよく観ないで素通りしてしまう駅ですが、美しい駅舎です。日光に行く時にJRを使う人は多くないかもしれませんが、東武日光駅からもすぐ近くなので、建物好きな方は日光に行く際に足を伸ばしてみるのも良いかと思います。

おまけ:
こちらは東武日光駅。
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山小屋みたいな建物で、これはこれで面白い。 ちなみに東照宮などに行くバスは始発がJRでその次が東武という順で、JRのバス停であっという間に満員になっていました。東武の駅でバスを待つよりJRまで一旦戻ったほうが座れるかもw

しかしバスに乗っても一向に進まない大渋滞でしたw
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仕方ないのですぐにバスを降りて東照宮まで歩くことにしました。途中で湯葉のお昼をとったりした為、当初考えていた金谷ホテルの見学は時間の都合で行くのを断念しました…。

次回は最近リニューアルした日光東照宮をご紹介しようと思います。



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ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス 【横浜赤レンガ倉庫1号館】

3回に分けてご紹介してきた「ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス」ですが、これが最終回です。今回は私が最も楽しめた横浜赤レンガ倉庫1号館の展示についてご紹介していきます。

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【展覧名】
 ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス

【公式サイト】
 http://www.yokohamatriennale.jp/2017/

【会場】
  横浜美術館
  横浜赤レンガ倉庫1号館 (この記事ではこの会場についてのみ書いています)
  横浜市開港記念会館 地下
   ほか

【会期】2017年8月4日(金)~11月5日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

以下の情報は「横浜赤レンガ倉庫1号館」会場についてのみ書いています。
【最寄】日本大通り駅 関内駅など

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
横浜美術館に比べると割と空いていて、快適に鑑賞することができました。私が行く数日前まではこの辺りはポケモンGoで賑わっていたようなので、そのイベント時期が終わるのを待ってから行きましたw 本当は私もポケモン捕まえたかったですが、混むのは苦手です。

さて、この展示については前回の記事にも書きましたが、3年に1度横浜で行われる芸術祭で 今回は「島と星座とガラパゴス」というサブタイトルのもと、「接続」と「孤立」をテーマに、世界のいまを考える というコンセプトとなっています。こちらの会場は分かりやすい面白さの作品が集まっていたように思いますので、今回も写真を使って気に入った作品をご紹介して参ります。(この展示ではフラッシュを使わなければ作品の撮影が可能で、スマートフォンアプリで解説をいつでも読むことができます)
 参考記事:
  ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス (横浜美術館)
  ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス (横浜市開港記念会館 地下)
  
  ヨコハマトリエンナーレ2011 (横浜美術館)
    (2014年はブログ休止中でした)


まずは3階から観ていきます。

小沢剛 「帰ってきたK.T.O.」
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ここは壁面に絵画作品が並び、中央で映像が流れていました。これは歴史上の人物を題材にフィクションと重ねて物語を作る「帰ってきた」シリーズの1つらしく、ここには明治期に日本美術の地位向上に尽力した岡倉天心を題材にした作品が並んでいました。

絵はこんな感じ
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これは岡倉天心のインド・コルカタでの足跡を辿り、現地の職人に依頼して作った看板絵とのことでした。右上に入った顔は確かに岡倉天心っぽい。それにしてもK.T.0.は何の略なのか知りたいw

クリスチャン・ヤンコフスキー 「公共の身体から人間的彫刻へ」
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こちらは公共彫刻を重量挙げの選手たちが持ち上げようとする様子が映像で流れていました(写真もあります) いくつかチャレンジしていて、この写真の彫刻は流石に持ち上がらなかったのですが、人物像などは軽々と持ち上げていたりしました。 これは無理だろ…というのも真剣に持ち上げようとしているのが面白く、何とも言えないシュールさがありました。

宇治野宗輝 「プライウッド新地」
今回のトリエンナーレで最も楽しめたのがこの作品だったのですが撮影禁止とのことでした。 この作品は大規模なインスタレーションで、エレキギターやミキサーをはじめ様々な電化製品などが自動的に動きだして音楽らしきものを奏でるというもので、光の演出と共に不思議な演奏会となっていました。工業化した20世紀以降の日本の物質社会との向き合い方を表しているようです。

続いて2階。

キャシー・プレンダーガスト 「アトラス」
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沢山の机の上に置かれているのはヨーロッパの地図で、一見すると真っ黒に塗りつぶされています。しかしよく見ると白い点のようなものがあり、この点が町を示しているようです。(置き方もヨーロッパを見立てているそうです) 領土や所有権から解放された視点での都市を表しているとのことで、今回のコンセプトにピッタリの作品でした。

青山悟 「時空の歪み-刺繍とモリスと個人史と」
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こちらは作者の祖父が描いた絵らしく、裏面に作者の刺繍が施されています。

こちらが裏面。
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作者はイギリスのウィリアム・モリスの社会主義思想と刺繍の女性性に関心があるそうで、社会思想とジェンダーに関する孤立と接続を表しているとのことでした。 …と趣旨は説明を観ても難しいですが、単純に表と裏で違う作風になっているのが面白かったです。

ドン・ユアン 「おばあちゃんの家」
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こちらは区画整理で無くなってしまう祖母の家を絵画で表現した部屋。解説によると、社会制度の変化が個人の生活を変えてしまうという暴力性などを通じて制度と個人の関係性を考えさせられるとのことです。…って、これもそこまでよく考察できるものだと感心w 私は単純に絵で家の中を表現しているのが面白く感じました。
最近のアートは小難しい理屈がつきものですが、こうした表現が分かりやすい作品が好みです。

ラグナル・キャルタンソン 「ザ・ビジターズ」
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こちらは真っ暗な部屋の中、9つのスクリーンで映像が流れる作品。それぞれの画面には様々な楽器の演奏者が映っていて、皆ヘッドフォンをしています。そして全員同じ建物(豪邸)の別々の部屋にいるようで、ヘッドフォンの音を頼りにセッションをしようとしています。

これが演奏中のシーン。
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ちょっと悲しげなメロディで、ややズレてたりもしますがそれが中々心に染みる感じでした。断絶されているようで繋がっている面白い作品です。

[プロジェクト] ドント・フォロー・ザ・ウィンド
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こちらは一見すると怪しい集団ですが、皆さん鑑賞中ですw この妙な形のヘルメットがVRのようになっています(没入感はあまりありません) このプロジェクトは2015年に行われたもので、原発事故で帰宅困難区域となった場所に12組のアーティストの作品を設置し、封鎖解除後に見学できるようにしたものだそうです。映像では帰宅困難区域の映像などが流れていました。


ということで、この会場は分かりやすい面白さの作品が多くありました。結構ここには来ないで横浜美術館しか観ない人もいるようですが、この会場を観ないのは勿体無いので、是非足を運んで頂きたいところです。全体として今回のトリエンナーレも3会場ともそれぞれ個性があって楽しめました。


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ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス 【横浜美術館】

前回に引き続き、「ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス」についてです。今回は最も作品数の多い横浜美術館をご紹介しようと思います。 ※今回は写真多めです。

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【展覧名】
 ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス

【公式サイト】
 http://www.yokohamatriennale.jp/2017/

【会場】
  横浜美術館 (この記事ではこの会場についてのみ書いています)
  横浜赤レンガ倉庫1号館
  横浜市開港記念会館 地下
   ほか

【会期】2017年8月4日(金)~11月5日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

以下の情報は「横浜美術館」会場についてのみ書いています。
【最寄】みなとみらい駅 桜木町駅など

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_②_3_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんがいましたが、快適に鑑賞することができました。過去に行ったヨコハマトリエンナーレに比べるとそれほど混んでいない印象です。

さて、この展示については前回の記事にも書きましたが、3年に1度横浜で行われる芸術祭で 今回は「島と星座とガラパゴス」というサブタイトルのもと、「接続」と「孤立」をテーマに、世界のいまを考える というコンセプトとなっています。こちらの会場の展示はよりそれが鮮明な作品が多かったように思いますので、今回も写真を使って気に入った作品をご紹介していこうと思います(この展示ではフラッシュを使わなければ作品の撮影が可能で、スマートフォンアプリで解説をいつでも読むことができます)
 参考記事:
  ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス (横浜赤レンガ倉庫1号館)
  ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス (横浜市開港記念会館 地下)
  
  ヨコハマトリエンナーレ2011 (横浜美術館)
    (2014年はブログ休止中でした)



アイ・ウェイウェイ
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まず入口にゴムボートが並び、救命道具で出来た柱がありました。これはアイ・ウェイウェイがドイツに住むようになってから大きな問題になった難民問題に関するもので、実際に難民たちに使われた品で作られているそうです。今回のコンセプトにマッチした作品と言えそう。
 参考記事:アイ・ウェイウェイ展 何に因って? (森美術館)

ジョコ・アヴィアント 「善と悪の境界はひどく縮れている」
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インドネシアの作家による竹でできた巨大な作品。自国で失われつつある伝統文化や人間と自然の共生についてをテーマにしているようです。とにかく大きくて最もインパクトがある作品でした。

マップオフィス(ローラン・グディエレス/ヴァレリー・ポルトフェ) 「アイアンド・リゾート」
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今回のタイトルにもなっている島を表現している作品。貝で作ったミニチュアでちょっと楽しげに見えました。

ミスター 「ごめんなさい」
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日本の独特のアニメはまさにガラパゴス化の象徴のようなものかも。私はこの手の絵柄のアニメは苦手です…。

「優美な信頼(盲目的集合体のコラボレーション)」
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これは4人の作家によるコラボ作品。シュルレアリストたちが「優美な死骸」というリレーのようなゲームによる共同作品を作ったのになぞらえているそうです。この辺には横浜美術館のシュルレアリスム関連の作品もあって、それもコラボしている感じ。
 参考記事:シュルレアリスム展 感想前編(国立新美術館)  ※甘美な死骸という表現も使われます

ケイティ・パターソン「化石のネックレス」 「すべての死んだ星」
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ネックレスのほうは化石を集めて作ったもので、黒地に白い点で出来たものは超新星爆発が観測されたところをプロットした天球図です。化石とか宇宙とか大好きなので、この作家の作品をもっと観たくなりました。それにしても超新星爆発の数の多さに驚きます。

アン・サマット「酋長シリーズ」
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マレーシアの作家で、自国の伝統的な織物に由来する作品のようです。近くで見ると日用品を組み合わせていて、箒とかザルみたいなものが使われています。4つくらいこうした作品が並び、遠目で観た時の荘厳さと、近くで観た時の素材のギャップが大きくて面白かったです。

ザ・プロペラ・グループ 「映画『インセプション』のコブに扮するレーニン」
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どこかちょっと変わったレーニン像だと思ったら、インセプションのキャラクターと併せたような姿となっていました。この辺には同じようにタイタニックやジャンゴなど様々な映画のキャラに扮したレーニン像が並んでいて面白かったです。
 参考記事:映画「インセプション」 (ごく軽いネタバレあり) 


ザ・プロペラ・グループ 「AK-47 vs. M16」
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これはタイトルになっているソ連とアメリカの銃(ベトナム戦争で使われた)をジェルブロックの中で撃ったもの。メイキングのような映像もありましたが、衝撃がそのまま残ったような痕跡が生々しかったです。

畠山直哉 「風景」
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こちらは2011年の震災後の沿岸部の風景。つい最近のことのように思い出されます…。

瀬尾夏海 「空白を訪ねる」
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こちらも震災関連の作品。絵と詩で当時の様子を表していました。

風間サチコ 「僕らは鼻歌で待機する」
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木版画を用いることで有名な作家で、かなりインパクトのある画風です。この部屋は太平洋戦争を思わせるモチーフが描かれた作品が多く、皮肉も感じられます。大本営発表の検索とか信じて良いのだろうかw 

ブルームバーグ&チャナリン 「痕跡証拠」
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カラフルな積み木のような作品。カーペットの中央の赤い十字に何か意味があるのかもしれませんが詳細は分かりませんでした。このカーペット以外の積み木は触ることができて、鑑賞者たちが積んだりしていました。

オリバー・チャナリン 「本日の地中海の波向」
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こちらは42枚からなる作品。矢印が描かれた作品が多く波の向きを表しているようです。これは地中海を渡る難民と関係があるようでした。

ワエル・シャウキー 「十字軍芝居 聖地カルバラーの秘密」
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こちらは操り人形を使った劇の映像と、人形の展示です。十字軍を題材にした話で、昨今のイスラム勢力との衝突とも関係があるかも。結構長いので一部だけ観てきましたが、操り人形の作りも凄くて驚くほどに表情豊かに演じていました。

マーク・フスティニアーニ 「無限への一節 トンネル」
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こちらはこの会場で最も気に入った作品。延々と先の見えないトンネルの入口が開いている感じで、どこまでも続いていそう…。合わせ鏡のような仕組みだと思うのですが、リアリティがありました。

ザオ・ザオ 「プロジェクト・タクラマカン」
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こちらはタクラマカン砂漠に冷蔵庫を運んでビールを飲むというプロジェクトに使った冷蔵庫が置かれていました。新疆ウイグル自治区は民族問題を抱えている場所なので、それも関係しているのかも。

オリファー・エリアソン 「Eye see you」
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タイトルから察するに目を表現しているのかな?? 理屈は分かりませんが、見た目の面白さが好み。

オリファー・エリアソン 「アーティスティック・ワークショップ」
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難民や地元民など様々な人がワークショプに一緒に参加して交流するというプロジェクトによるもの。これも理屈は分からないですが、幾何学的なデザインが好み(解説を読むと割と難しいこと言っています)

マーク・フスティニアーニ 「無限への一節 穴」
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再びマーク・フスティニアーニの作品。こちらはどこまでも続くハシゴとなっていました。

「Why Are We? project」
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こちらはネット検索のサジェスト機能を使った作品で、「why is 国名」に続くサジェストを各国ごとに出していました。各国のイメージが分かるかもw 日本は何で安全なのかが一番気になるようです。

アイ・ウェイウェイ
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再びアイ・ウェイウェイ。このカニは中国語で調和・強調という意味と、ネット上の検閲の隠語との同音異義語とのことです。そう言われると中国への批判のようにも思えるけど、これだけ観ても分からないかもw

この後、カフェ小倉山に行ったら、その中にも作品が展示されていました、
 参考記事:Cafe 小倉山 【桜木町界隈のお店】 


ということで、盛りだくさんの内容となっていました。ヨコハマトリエンナーレに行くのであれば、この会場を外すことはありえませんのでまずはこの会場に訪れることをオススメします。

なお、横浜美術館の裏手から赤レンガ倉庫までは無料のバスが出ています。
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私もこれに乗って赤レンガ倉庫に向かいました。次回は赤レンガ倉庫の会場をご紹介しようと思います。


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ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス 【横浜市開港記念会館 地下】

先週の日曜日に、横浜で「ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス」を観てきました。メインとなる3会場を周ってきましたので、3回に分けてご紹介していこうと思います。実際には 横浜美術館 → 横浜赤レンガ倉庫1号館 → 横浜市開港記念会館 地下 の順で巡ったのですが、諸事情でまずは横浜市開港記念会館 地下の展示についてです。

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【展覧名】
 ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス 

【公式サイト】
 http://www.yokohamatriennale.jp/2017/
 http://www.city.yokohama.lg.jp/naka/kaikou/

【会場】
  横浜美術館
  横浜赤レンガ倉庫1号館
  横浜市開港記念会館 地下 (この記事ではこの会場についてのみ書いています)
   ほか

【会期】2017年8月4日(金)~11月5日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

以下の情報は「横浜市開港記念会館 地下」会場についてのみ書いています。

【最寄】日本大通り駅 関内駅など

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
他の2つの会場は結構お客さんがいましたが、こちらの会場はあまりおらず快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は「トリエンナーレ」ということで3年に1度の芸術祭となっています。毎回、2~3会場程度で行われるのが恒例で、最近の開催は横浜美術館が最も作品が多くなる傾向です。 サブタイトルも毎回変わっていて、今回は「接続」と「孤立」をテーマに、世界のいまを考える という意味を込めて「島と星座とガラパゴス」となっています。昨今のBrexitやポピュリズムの台頭といった政治的傾向、SNSなどによる価値観の島宇宙化などを鑑みてのコンセプトのようです。
 参考記事:
  ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス (横浜美術館)
  ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス (横浜赤レンガ倉庫1号館)
  
  ヨコハマトリエンナーレ2011 (横浜美術館)
    (2014年はブログ休止中でした)

なお、この展示ではフラッシュを使わなければ作品の撮影が可能で、スマートフォンアプリで解説をいつでも読むことができます。私も写真を撮ってきましたので写真を使ってご紹介しようと思います。


まず、この会場は非常に暗く、暗闇の中にポツリポツリと作品が置かれている感じでした。この会場の作品はすべて柳幸典 氏によるもので、「project God-zilla 横浜市開港記念会館の地下室」というタイトルで、ゴジラをモチーフにしています。昨年大ヒットした「シン・ゴジラ」等を観ていた人は一層楽しめるかも。

こちらは作品の一部。光っている部分は目のようになっています。
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周りはガラクタのようなもので出来ていて、象徴的な感じ。

こちらは目の部分のアップ。
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目の中で原爆を思わせる炎が燃え盛っているように見えました。

少し進むと瓦礫が積まれ、LEDで文字を発光している作品がありました。
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これらは憲法9条の文章が書かれています。シン・ゴジラでも憲法9条の話が出てきたように思いますが、恐らく最近の憲法改正の機運なども汲んでるのではないかと思いました。瓦礫と共に展示されているのをどう解釈すれば良いのかな。

通路に核のマークが入ったドラム缶がありました。
DSC05819.jpg
実際には真っ暗でこんなにハッキリ見えません。 かなりシャッタースピードを落として撮っています。
ゴジラと言えば核ですが、何を訴えたいのか大体分かる気がします。

通路の奥で太陽が燃え盛っているような映像がありました。
DSC05822.jpg
これも核を思わせるかな。核は驚異でもありますが、太陽も核で出来ているのを思い起こさせました。


ということで作品の点数が思ったより少なくこの会場は15分くらいであっさり観ることができました。一方、ずっと真っ暗だったのが辛かったですが会場の雰囲気の作り込み具合はここが最も凝ってたように思います。トリエンナーレのコンセプトともマッチしてそうだったかな。
ここは横浜赤レンガ倉庫から歩いて10分もしないので、横浜赤レンガ倉庫会場と併せて徒歩で行き来するのが良いかと思います。

次回は他の会場についてご紹介しようと思います。


おまけ;
私はこの会場を最後に観たのですが、その後に中華街で夕飯にしました。中華街も歩いて15分くらいの近さです。


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週刊少年ジャンプ展VOL.1 創刊~1980年代、伝説のはじまり 【森アーツセンターギャラリー】

前回ご紹介したミッドタウンでの展示を観た後、六本木ヒルズに移動して森アーツセンターギャラリーで「森アーツセンターギャラリー」を観てきました。

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【展覧名】
 創刊50周年記念 週刊少年ジャンプ展VOL.1 創刊~1980年代、伝説のはじまり 

【公式サイト】
 https://shonenjump-ten.com/

【会場】森アーツセンターギャラリー
【最寄】六本木駅

【会期】2017年7月18日(火)~10月15日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_②_3_4_5_満足

【感想】
お盆時期の平日の夜に行ったこともあり、割と空いていました。しかし、快適に鑑賞できたかというとそうでもなく、細かい鑑賞ルールの説明が何度もアナウンスされていて非常に不快でした。私は注意されることはなかったのですが、前のコーナーに戻ることが禁止されていたり、スマフォを見た人がいるとスタッフが大声で注意する等、楽しむ場を提供するような雰囲気ではなく監視でもしているような感じでした。また、チケット代も2000円と高額なのでそれだけのものを期待したのですが、果たしてそれに見合うものだったのかという疑問が残ります。

気を取り直して内容についてですが、この展示は週刊少年ジャンプの歴史を辿るもので3期に分かれて展示が行われています。今期はvol.1と位置づけられていて、創刊から80年代までに連載された60程度のタイトルの原画などが展示されていました。 思い出せる限りで会場の様子をご紹介しようと思います。

まず最初に映像コーナーがありました。この展覧会で展示されている作品の主人公たちが原画を切り抜いてアニメにしたような感じのもので、スピード感がありますが、特に必要性を感じない映像かなw これを観るために待たされるので入場人数の調整なのかも。

その後は創刊当時の作品の原画が並んでいます。永井 豪の「ハレンチ学園」、本宮ひろ志の「男一匹ガキ大将」、吉沢やすみ「ど根性ガエル」あたりが特に有名かな。その頃の画風はワイルドで男らしいのが多く、流石に現在の価値観との違いも感じます。

「キャッツ♥アイ」「シティーハンター」北条 司
今でも人気の両作品のコーナーにはシティーハンターの香の100tハンマーが壁に突き刺さっていましたw また、XYZの伝言板もありファンはニヤリとするような演出です。
この後も人気作にはこうした演出があって、他の作品よりもやや多めに原画が並んでいます。

この辺にはキャプテン翼のコーナーもありました。(私はそれほど好きな作品ではないので割愛。)

「聖闘士星矢」車田正美
私はこれを目当てに来たと言えます。壁には青銅聖衣(ちょっとショボいw)が並んでいて、原画はポセイドン編あたりまでが中心だったように思います。ここにあった関連グッズが非常に懐かしくて、私も所有していたゲームウオッチなどをみて懐かしいを連呼してしまったw
なお、車田正美は他にも「リングにかけろ」「風魔の小次郎」「男坂」の3つが他のコーナーで紹介されていました。

「キン肉マン」ゆでたまご
一番凝った展示をしていたのはキン肉マンかも。このコーナーには等身大のマッスルドッキングのフィギュアがあり、キン肉マンとグレートがはぐれ悪魔超人コンビをフィニッシュしていました。また、キン消し4万体くらいをこの展示のために再作成し、キン肉マン型のガラスケース一杯にぎっしり詰め込まれていました。

「北斗の拳」原作:武論尊 漫画:原 哲夫
ここはラオウが昇天する時の映像が流れていました。天に向かって腕を上げた瞬間、スクリーンが透けて後ろに立っているラオウのフィギュアが見えるという演出となっています。原画のままのラオウ像ですが、質感がしょぼかったw 他に、名言集のような映像も流れてたと思います。

「こちら葛飾区亀有公園前派出所」秋本 治
こち亀のコーナーは双六のようになっていました。一番最初から80年代末くらいまでだと思うのですが、最も好きだった時期の原画も観られて満足。所々に話の中で出てきた玩具なども展示されていました。

「DRAGON BALL」鳥山 明
ここは映像がありました。武舞台のようになったセットに歴代の天下一武道会の決勝の様子(チチとの話もあったかも)が流れていました。原画はラディッツあたりまでだったように思います。また、ここにも関連商品なども展示されています。ドラゴンボールのファミコンソフトとか当時の小学生はみんな持っていたものですw
なお、鳥山明は他にも「Dr.スランプ」のコーナーがありました。


この先は70年代の諸々の作品の原画がありました。若手の新人を育てて成功し、「サーキットの狼」のヒットで急成長していった様子などが紹介されています。「アストロ球団」もあったのがちょっと嬉しいw


その後にはアニメ化された作品のOPとEDがいくつかの画面で流れていて、そのうちの1つは音声つきでした。いくつか知らないのがありましたが今の30代後半以上なら観た覚えのあるものばかりじゃないかなw ここで20分以上観ていましたが座るところもないので結構疲れました。


最後は黄金の80年代の諸々の作品の原画です。「奇面組」「ついでにとんちんかん」「燃える!お兄さん」「ジャングルの王者ターちゃん」といったギャグマンガや、「ストップ!!ひばりくん!」「電影少女」「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」といったちょっとアダルト志向な作品、「銀牙 -流れ星 銀-」や「よろしくメカドック」「まじかる☆タルるートくん」といった独自性のある作品、「ろくでなしBLUES」「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」「魁!!男塾」など人気作など多々ありました。ここで私が気になったのは「空のキャンパス」で子供の頃に非常に感動した作品だったのでこのチョイスは嬉しい。一方、「ゴッドサイダー」というトラウマ製造機まであって懐かしいやら怖がってたのを思い出すやらでしたw

ちなみに以前この場所でジョジョ展をやりましたが、今回はジョジョは少なめです。同時期に仙台でジョジョ展をやっていることもあるのかな。「魔少年ビーティー」もありましたがそちらも少数です。
 参考記事:ジョジョの奇妙な冒険25周年記念「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」 (森アーツセンターギャラリー)

最後に写真撮影が可能なコーナーがあります。こちらは創刊号の表紙。
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時代の違いを感じます。

こちらはまさに黄金期の表紙
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レジェンドだらけですw

出る時に記念品のカードを貰え、その後にあるショップでは会計は1回限りという厳しいルールが…。それほど混んでないのにこういうルール多すぎです。



ということで、原画自体はボリュームもあって満足ですが、2000円もするのにショボい文化祭レベルの演出が多いのと、鑑賞ルールが細か過ぎて係員がうるさいのが不満でした。vol.2の90年代も好きなタイトルが多いですが、こんな殿様商売している展示をまた観に行くかは分かりません。私としてはオススメできない感じです。

おまけ1:
会場の隣にはジャンプカフェも開かれていました。
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おまけ2:
地上階の森ビルの入口あたりでFITとジャンプのコラボで痛車みたいなのが展示されていました。
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佐藤岳彦写真展 「明治神宮 100年の森 ─大都会でつながる生命の物語─」 【FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)】

前回ご紹介したサントリー美術館の展示を観た後、同じミッドタウンの中にあるFUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)で、佐藤岳彦写真展 「明治神宮 100年の森 ─大都会でつながる生命の物語─」を観てきました。

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【展覧名】
 ~ 都心の森って、どうなってるの? ~
 夏休み特別イベント“身近な自然のふしぎ”
 佐藤岳彦写真展 「明治神宮 100年の森 ─大都会でつながる生命の物語─」

【公式サイト】
 http://fujifilmsquare.jp/detail/17081102.html

【会場】FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)
【最寄】六本木駅/乃木坂駅

【会期】2017年8月11日(金・祝)~8月24日(木)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_4_⑤_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
私が行った時、写真家ご本人による解説会をやっていてかなりの盛況でした。しばらく聞いていましたが終わってからも中々の混みようだったので、一旦先にサントリー美術館を観た後に再度訪れました。その際には特に混むことはなく快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は佐藤岳彦 氏という写真家が、明治神宮で撮った写真を紹介する内容となっています。ご存知の方も多いと思いますが明治神宮は明治天皇が1912年に崩御した際、神宮創建の機運が高まり現在の地に1920年に鎮座しました。(東京オリンピックの年に100周年となります) 当時、明治神宮の辺りは荒れ地だったそうで、林学者たちが100年後、150年後の姿を思い浮かべて木々を自然に競わせて「極相林」という安定した森になるよう目指したそうです。そして100年経った現在、明治神宮は昔からある森のように見え、想像以上の生態系が広がっているようです。 それがよく分かる写真が並んでいましたので、気に入ったものをご紹介していこうと思います。なお、この展示は撮影およびSNS等への投稿がOKとのことでしたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

こちらは蛾の死骸が水面を漂っている様子。
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どこか妖しい幻想的な風景です。

こちらは清正の井戸。
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ちょっと前にパワースポットで有名になって、この井戸を待ち受けにするとご利益があるという噂もありました。
 参考記事:清正井と明治神宮の写真

こちらは何と冬虫夏草。
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そんなのが明治神宮にあるのかと非常に驚きです。そしてこれを見つけるのも凄いw
なお、佐藤岳彦 氏は森林動物学を学んでいたそうで、トークショーでも深い知見を持っていることが伺えました。以前、NHKでも明治神宮の自然について放送していましたが、佐藤氏はそれにも関わっているようです。

小さいものへの慈しみを感じる作品。
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食べたらヤバそうですがキノコが可愛い。

こちらは昆虫の営み。
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ちょっと凛々しいタヌキ。
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タヌキは何組も住んでいるようです。

最後に今回最も興味を惹かれた一枚。これは何かと言うと…。
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これは何とタヌキの糞に生えたヒゲカビの一種w 写真では綺麗ですが、撮る時に匂いが大変だったというエピソードもお話されていました。

他にも蛇同士や鳥たちの戦い等を撮った写真もあり、大自然さながらの生存競争を伝えていました。


ということで、身近にこんなに自然が溢れるところ(しかも人工の森)があるというのに驚かされる一方、それを見つけて美しく撮れる力量にも感心させられました。この記事を書いている時点で終了間近ですが、面白い展示ですのでご興味ある方は今日中にどうぞ(ご紹介遅れて申し訳ない…)


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おもしろびじゅつワンダーランド2017 【サントリー美術館】

お盆時期の平日に、サントリー美術館で「おもしろびじゅつワンダーランド2017」を観てきました。

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【展覧名】
 六本木開館10周年記念展
 おもしろびじゅつワンダーランド2017

【公式サイト】
 http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2017_4/

【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅/乃木坂駅

【会期】2017年8月1日(火)~8月31日(木)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_4_⑤_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
それほど混んでいるわけではなかったですが、体験型のインスタレーションや絵巻の辺りは混雑気味でした。とは言え、それほど待ったりするほどでもなく概ね快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は子供から大人まで幅広い人達に日本美術の楽しめる場を作るというコンセプトで、美術品とそれに関係するインスタレーションがセットで展示されるという内容となっています。2012年にも似たような趣旨の展覧会が行われたのですが、その第二弾となるようです(5年ぶり)
 参考記事:来て、見て、感じて、驚いちゃって! おもしろびじゅつワンダーランド (サントリー美術館)

6章に渡って幅広い日本美術が紹介され会場内で撮影することもできましたので、詳しいことは写真を使ってご紹介していこうと思います。


<1、出現!鳳凰ワールド>
まずは鳳凰についてのコーナーです。鳳凰についての説明もあり、「鳳凰には雄の鳳と雌の凰がいる」「桐の実を食べる」「優れた王の時代に現れる」 というような美術鑑賞の基礎知識のようなものも学ぶことができます。

野々村仁清 「色絵鶴香合」
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こちらは鶴ですが仁清による名品です。

こちらは画面の前で手をパタパタさせるインスタレーション
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パタパタすると画面の鶴も羽ばたいて、鳳凰になっていきました。

「紅型裂 花色地雲霞に鳳凰文」
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こちらは近代の紅型(びんがた)。沖縄のデザインは中国風ともちょっと違った独特の感性があります。

狩野探幽 「桐鳳凰図屛風」
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六曲一双の見事な屏風。雄雌と雛鳥が描かれていて、結婚祝いに作られたのではないかとのことでした。


<2、きらきら!切子(きりこ)の宇宙>
続いては切子のコーナー。江戸切子や薩摩切子などがありました。冒頭には魚子文(ななこもん)や霰文といったカットの方法と名称の一覧などもあります。

作品名を撮り忘れましたが、これは確か薩摩切子の脚付杯
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涼しげで夏にぴったりの演出です。


<3、かこまれて!くつろぎの宝尽(たからづくし)ルーム>
続いては縁起物のモチーフが沢山かかれた作品が集まるコーナーです。

肥前・鍋島藩窯 「色絵寿字宝尽文八角皿」
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真ん中に寿とあり、周りに沢山の宝物が描かれています。一見、これのどこが縁起物なんだろ?というものもありますw

こちらは宝物一覧。
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それぞれどうして縁起物なのか説明してくれて分かりやすいです。

部屋の真ん中には宝物一覧にあった宝物がクッションになったものが置かれていました。
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この写真を撮るちょっと前までは子供が10人くらいで枕投げみたいに遊んでいましたw

ここら辺で上階は終わりで、続いて下階です。


<4、みんなで叫んで!吹墨文(ふきずみもん)>
続いては吹墨文という霧状の斑模様をテーマにしたコーナー。

肥前・有田「染付吹墨文大徳利」
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こちらが吹墨文の徳利。綺麗な白地に吹付けたような模様が面白い。

ここには体験型のインスタレーションがありました。マイクに向かって叫ぶと、音に反応して中央にある白瓶に光で色付けされます。
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中々綺麗な色付けが出来ないようで、みんな何度も繰り返していました。

尾形乾山 「白泥染付金彩芒文蓋物」
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こちらには尾形乾山の名品もありました。こういった作品の写真を撮れるだけでも嬉しい。


<5、みて・きいて! 鼠草子絵巻(ねずみのそうしえまき)>
続いては鼠草子絵巻をテーマにしたコーナー。ここではこの章だけの無料の音声ガイドが借りられます。

入り口も凝っています。
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ざっくり物語を紹介すると、ネズミが人間と結婚したいと清水寺で願ったところ、観音様のお告げがあり音羽の滝の前で花見に来た女性と出会い、結ばれることができました。(恐らく見た目は人間に化けている模様) しかし、嫁となってネズミの家で暮らしていると、旦那がチュウチュウ言ったり不審なところがあるので、旦那の留守中に見てはいけないと言われていた部屋を覗きます。するとそこはネズミだらけで、旦那の正体がネズミであることを悟ります。そして嫁は罠を仕掛けて旦那の帰りを待っていると、旦那はまんまと罠にハマり、それを見た嫁は侍女を連れて実家に逃げてしまいました。その後、嫁は他の男と再婚し、ネズミ狩りで評判の猫を飼っているという話を聞いたネズミは、戻ってこない幸せを思い出しながら泣いた という感じです。

こちらはネズミが人間と結婚したいと言い出すシーン。
DSC05577.jpg
ここには写っていませんが作品の上にあるボードに解説が細かく書かれていて、絵本を読むように見ることができます。

こちらは見てはいけない部屋を見てしまうシーン。
DSC05620.jpg
ネズミももうちょっと見られない工夫をすれば良いだろうにw

この章は音声ガイドを全員が聞きながらなのでちょっと混んでいましたが、分かりやすくて楽しめました。


<6、おしゃれに!自分だけのキモノ・デザイン>
最後は着物をテーマにしたコーナー

「浅葱紋絽地流水花束模様単衣」 「紫絹縮地葦に鷺模様単衣」
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どちらも涼しげな模様と色合いが好み。非常にお洒落です。

肥前・有田 「色絵男人形」「色絵女人形」
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赤が艶やかな着物を着た人形。粋な雰囲気が出ています。

こちらでは自分のオリジナルの着物デザインを作るコーナーがありました。
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タブレットで色や模様をテンプレートに沿って作っていきます。

名前も入力して作り終わると、近くのモニタに映される仕組みです。
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みんな良いデザインです。子供はとにかく沢山詰め込む傾向があるかもw


ということで、大人だけでなく子供も楽しめる内容となっていました。中学生以下無料ということもあってか半分以上は子連れで、子供たちも美術館を楽しんでいるようでした。(人気は主にインスタレーション) 夏休みもこの展示も終盤となりつつあるので、気になる方はお早めにどうぞ。



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映画「スパイダーマン ホームカミング」(ややネタバレあり)

お盆休み期間に、レイトショーで映画「スパイダーマン ホームカミング」を観てきました。この記事には設定に関する軽いネタバレが含まれておりますので、一切のネタバレを見たくない方はご注意ください。

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【作品名】
 スパイダーマン ホームカミング

【公式サイト】
 http://www.spiderman-movie.jp/ 

【時間】
 2時間10分程度


【ストーリー】
 退屈_1_2_3_④_5_面白

【映像・役者】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【総合満足度】
 駄作_1_2_3_④_5_名作

【感想】
公開して2~3日くらいでしたがレイトショーということもあり、それほど混んでいませんでした。

さて、この映画はアメコミで有名なスパイダーマンを映画化したもので、近年の映画化では6作目となります。しかし、最初の3部作(サム・ライミ版)、その次にリブートされた2部作(アメージング)とも異なり、2回めの再始動となっていて今までのスパイダーマンの映画との繋がりはありません。しかし一方でアイアンマンやアベンジャーズシリーズとの繋がりがあり、物語自体はキャプテン・アメリカのシビルウォーの続きとなっています。 この設定が割とストーリーに絡んでくるので、アベンジャーズを観ていないと分からない所もありそうです。(観てなくても楽しめるとは思いますが何の話か分からないところが出ると思います)

また、今回のスパイダーマンの能力に関してもこれまでのシリーズと異なるところがあり、どうして能力を身に着けたかは話でさらっと説明する程度となっています。流石に3回も同じ話をするのは観てる方も飽きるのでそこは気にならないのですが、最も違いを感じるのはスパイダーマンの年齢と相棒の存在かな。とにかく今まで観てきたスパイダーマンの中でもぶっちぎりで頼りないw 色々危なっかしくて、アイアンマンに認められたくて仕方ないというのが前面に出てる感じです。 なので、今までのスパイダーマンとは違った先の読めないハラハラするものがありましたw その辺が年齢に合ったリアルな感じがして面白いです。

ストーリーはそれほど複雑ではなく、スパイダーマン本人や友人・家族など多くの人物のキャラ付けが丁寧に描かれている感じでした。アクションシーンはハリウッドの人気作だけあって凄いの一言なので、それだけで楽しめるかと思います。

ということで、今までのスパイダーマンとは一味違った映画となっていました。アベンジャーズとの繋がりの部分は元々のファン向けですが、それを知らなくても大部分は楽しめると思います。続編もありそうだしこれからアベンジャーズとの絡みが増えそうなので、ファンは必見と言えそうです。
ちなみに映画内でマーヴェルの生みの親であるスタン・リーもカメオ出演(セリフもある)で出ていました。マニアはそういうのを探すのも楽しいかと。
 参考記事:マーベル展 時代が創造したヒーローの世界(六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー)


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佳人礼讃-うるわしの姿を描く- 【ホテルオークラ アスコットホール】

お盆休み期間の平日に、ホテルオークラの地下にあるアスコットホールで、「佳人礼讃-うるわしの姿を描く-」を観てきました。

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【展覧名】
 秘蔵の名品 アートコレクション展
 佳人礼讃-うるわしの姿を描く-

【公式サイト】
 http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/events/art/

【会場】ホテルオークラ アスコットホール
【最寄】六本木一丁目/溜池山王/神谷町

【会期】2017年7月31日 (月) ~ 8月24日 (木)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
それほど混むこともなく、自分のペースで観ることができました。

さて、この展示は毎年この時期に行われているチャリティイベントで、今年は「佳人礼讃」というタイトルで9割くらいは美人画が占める内容となっていました。作品同士に特に繋がりがあるわけではなく単純に美人画を愛でるという分かりやすい内容で、3つのテーマで章分けされていましたので、各章ごとに簡単にご紹介しようと思います。

<第1章 肖像画のまなざし>
まず最初の章は洋画のコーナーで、多くは日本の近代画家によるものでした。最初にギョーム・セニャックによる写実的かつ明るい画風のミューズの肖像があり、瑞々しい印象を受けます。また、モディリアーニやキスリングといった有名画家の美人像も近くにあり、美人と一口に言ってもそれぞれ個性的な表現を楽しむことができます。
その後は黒田清輝や岡田三郎助といった白馬会の作品が並んでいます。黒田清輝の門下の画家達の作品は黒田清輝そっくりの画風でちょっと可笑しいくらい似ていました。 また、その先には小倉遊亀や東郷青児などの作品もあり、特に小倉遊亀の「若いひと」がこの章でも特に気に入りました。

<第2章 美人画にみるうるわしき佇まい>
続いては日本画のコーナーで、ここが一番充実しているかもしれません。上村松園5点、鏑木清方8点(清方は3章にもあります)、伊東深水3点、伊藤小坡2点といった感じで、明治以降の美人画の名手たちの共演となっています。やはり一番人気は上村松園かな。多くの人が集まって感嘆の声をあげていました。ここでちょっと面白かったのが伊東深水で、初期作品の「香衣」という作品がありました。妖艶なまでに白い肌をした女性が座っている様子が描かれていて、よく観る伊東深水の画風よりもリアルな細密描写となっています。これはこれでもっと多くの作品を観たいと思わせる画風でした。

<第3章 人物像の魅力に出会う>
最後は物語中の人物像や風俗画といった、人物の背景を感じさせる作品が並ぶコーナーで、日本画と洋画が並んでいました。まずは鏑木清方による雨月物語の一連のストーリーを8枚で表した作品があり、この展覧会でも見どころと言えそうです。宿を貸した美女と侍女が実は蛇の化身という妖しい話にぴったりの妖艶な雰囲気が出ていました。また、鏑木清方は他にも金色夜叉の舞台の看板用の作品などもあり、当時の人気作を題材にした作品も手がけていた様子が分かります。
この辺にはこの展覧会で唯一の風景画とも言えそうな洛中洛外図などもありました。

最後の部屋は再び洋画です。ラファエル前派のジョン・エヴァレット・ミレイや、エコール・ド・パリの藤田嗣治、マルク・シャガール、マリー・ローランサンなど豪華な面子が並びます。日本からも小磯良平の踊り子を描いた作品や多田北鳥によるキリンビールのポスターなど、様々な作品が並んでいました。


ということで、今年も充実の内容となっていました。毎年観てるので割と知っている作品も多かったですが、傑作も多く含まれていると思います。美人画という分かりやすい内容ですので、幅広い人が楽しめる内容だと思います。



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プロフィール

21世紀のxxx者

Author:21世紀のxxx者
 
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

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画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。

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■2012/1/27
NHK BSプレミアム 熱中スタジアム「博物館ナイト」の収録に参加してきました
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■2011/11/21
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■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
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■2009/10/28
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