Archive | 2017年09月
前回に引き続き国立新美術館の「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」についてです。今回は後半部分についてご紹介します。まずは概要のおさらいです。
参考記事:
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想前編(国立新美術館)
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想後編(国立新美術館)
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想前編(森美術館)
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想後編(森美術館)

【展覧名】
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで
【公式サイト】
http://sunshower2017.jp/
http://www.nact.jp/exhibition_special/2017/sunshower/
【会場】国立新美術館
【最寄】乃木坂駅・六本木駅
【会期】2017年7月5日(水)~10月23日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前半は歴史や弾圧についての作品が多かったですが、後半は現在の日常を捉えたような作品が中心だったように思います。詳しくは今回も写真を使ってご紹介していこうと思います。
<さまざまなアイデンティティー>
WW2の後、東南アジア各国は独立を果たし、新しい国家ではアイデンティティの構築が重要な課題となったそうです。東南アジア各国は国と民族、言語、宗教が必ずしも重なっている訳ではないこともあって、ナショナルアイデンティティを探求するというのは各国のアーティストにとっても重要なことのようです。この章ではそうしたアイデンティティを模索する作品が並んでいました。
ブー・ジュンフェン「ハッピー&フリー」 シンガポール

昔のカラオケルームみたいな所で、マレーシアの成立を祝う曲が流れている作品。もしシンガポールがマレーシアから分離独立をしなかったら…というのを仮定しているそうです。マレーシアについて歌ではハッピー&フリーを不自然なほど連呼していますが、作者は本当にそう思っているのかな??
この辺には今回の展示のポスターにもなっているシンガポールのリー・ウェン「奇妙な果実」も展示されていました。
ムラティ・スルヨダルモ「アムネシア」 インドネシア

これは壁に何やらチョークで書かれている作品。手前にはミシンと黒い服のようなものがあります。
壁に書いてあるもののアップ。

実はこれは黒い服を縫った枚数をカウントしているそうで、同じ動作を繰り返すのがこの作者が得意とする表現のようです。カウントしながらごめんなさいと言い続けるそうで、記憶と感情の欠如を集めるという意味があるそうです。ちょっとよく理解できませんが、これだけの枚数を縫うとか途方もないので驚きました。
メラ・ヤルスマ「ワニの穴」 インドネシア

こちらは作品に触れることができて、ワニの口の中に頭を突っ込むことができますw これは1965年ワニの穴を意味する場所で起きた「9月30日事件」を表しているそうです。調べたところ9月30日事件は軍事クーデターで、現在でもこの事件を取り扱うのは現地ではタブーとなっているのだとか。鑑賞者はみんな面白がって頭を突っ込んでいましたが、そんな意味があったとは…。
イー・イラン(タム・ホン・ラム[パカード・フォト・スタジオ]との共同制作)「バラ色の眼鏡を通じて」 マレーシア

こちらは写真スタジオで撮られた沢山の写真が並ぶ作品。結婚式や家族で写っているものが多くて幸せそうな感じのものが多いかな。こちらも意図は良く分かりませんでしたが、壁一面に写真が並ぶ様子は中々壮観でした。(かなり高いところまで並んでいます)
シャーマン・オン「ヌサンタラー海は歌い風は我々を運ぶだろう」 マレーシア

こちらは映像作品で、中華系やマレー系などの移民の生活をドキュメント風にしたものです。2画面あるけど、基本的に内容は同じで、数秒程度の時差がある感じです。現実とフィクションが入り混じっているようですが、移民のリアルな生活ぶりが伺えるように思えました。
<日々の生活>
最後は日常にある現実を表現するというコーナーです。アートは美術館に陳列されているものという概念に挑戦する作品などが並んでいました。
スーザン・ビクター「ヴェール-異端者のように見る」 シンガポール

レンズに囲まれた円筒形の作品。中に入ることもできます。綺麗なガラス工芸のようにも見えますが、この作品はレンズを通して歪んだり拡大したり、主観的とは何かを問いかけているそうです。 …と、解釈は難しいですが見るだけでも楽しい作品に思えました。
アイン・ルンジャーン「黄金の涙滴」 タイ

水滴のような形の真鍮が無数にぶら下がっている作品。幾何学的な美しさがあります。 解説によると、これはタイの伝統的なお菓子であるトーン・ヨートの形を模しているとのことです。トーン・ヨートは日本の血を引くポルトガル人によってアユタヤ時代にもたらされたらしく、この作品にはその時代の木材が使われているようです。また、近くでは映像も流していて、広島出身の祖父母を持つ日本人女性がトーン・ヨートを作っている様子も映されていました。
ちょっと離れるとこんな感じ。

綺麗な円形になっていました。
スヴァーイ・ケーン カンボジア

これは時代によって移り変わる都市生活を描いた作品。この画家はカンボジア現代アートの祖父と呼ばれているそうで、仏教的教訓や次世代への知識の継承を反映しているのだとか。確かにお坊さんが子供に何かを教えているような絵もありました。
ナウィン・ラワンチャイクン「ふたつの家の物語」 タイ

これは作者の父が営む「OKストア」というお店を再現した作品で、中に入って観ることができます。この作品では家族への愛情や時代の変化で失われて行くものへの憧憬が込められているそうで、タイのことを知らない私でもどこか懐かしいような感覚を覚えました。昭和の頃の個人商店に通じるような…w
シュシ・スライマン「スライマンは家を買った」 マレーシア

もう1つ家がそのまま建ってる作品がありました。これは作者の父親がゴム産業で得たお金で建てた家のレプリカで、近くにはゴムシートも展示されています。ゴム産業はマレーシアの文化的発展に大きな役割を担っているそうで、マレーシアの歴史やアイデンティティといったものがこの作品に込められているように思えました。
アングン・プリアンボド「必需品の店」 インドネシア

タイトルを観ると、どこが必需品やねん!とツッコミ待ちにしか思えませんw 明らかに要らなそうなものが沢山並んでいて、本当に必需品と言えそうなものってこの中にあるのか?と探してしまいましたw 解説によると今日のグローバル消費社会で本当に必要なものは何かを問いかけているということなので、私の反応は作者の意図通りだったのかもしれませんw
スラシー・クソンウォン「黄金の亡霊(どうして私はあなたがいるところにいないのか)」 タイ

こちらは沢山の糸が敷き詰められた部屋に(靴を脱いで)入って体験する作品。割と寝っ転がってる人もいますw
実はこの中に9本のネックレスが隠されていて、宝探しのようになっています。見つけたら貰えるそうです。

きっと金のネックレスがをこぞって探すのが浅ましいと揶揄される作品だろうな…と思ったらその通り、欲望を表現する意図がありそうでしたw とは言え、これだけ探すのが大変だと私のような面倒くさがりは最初からお手上げですw たまに黄色い糸が混じっているので難易度が高い。こんな状態で探し出した人がいたら凄いと思います。
ということで、難解な作品もありましたが、後半は触ったり体験できる作品もあって楽しめました。ついでに東南アジアの歴史や情勢もざっくり知ることができたのも良かったです。東南アジアが好きな方向けの展示と言えそうです。
なお。前編でも書きましたがこの展示は森美術館との共同開催で森美術館にも作品が多数あります。私は先に森美術館を観ていたので、後日それについてもご紹介しようと思います。
おまけ:
本日の夕方は六本木アートナイトです。この展示をやっている国立新美術館もアートナイトの開催地の1つになっています。
参考記事:「六本木アートナイト2017」の予告
参考記事:
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想前編(国立新美術館)
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想後編(国立新美術館)
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想前編(森美術館)
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想後編(森美術館)

【展覧名】
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで
【公式サイト】
http://sunshower2017.jp/
http://www.nact.jp/exhibition_special/2017/sunshower/
【会場】国立新美術館
【最寄】乃木坂駅・六本木駅
【会期】2017年7月5日(水)~10月23日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前半は歴史や弾圧についての作品が多かったですが、後半は現在の日常を捉えたような作品が中心だったように思います。詳しくは今回も写真を使ってご紹介していこうと思います。
<さまざまなアイデンティティー>
WW2の後、東南アジア各国は独立を果たし、新しい国家ではアイデンティティの構築が重要な課題となったそうです。東南アジア各国は国と民族、言語、宗教が必ずしも重なっている訳ではないこともあって、ナショナルアイデンティティを探求するというのは各国のアーティストにとっても重要なことのようです。この章ではそうしたアイデンティティを模索する作品が並んでいました。
ブー・ジュンフェン「ハッピー&フリー」 シンガポール

昔のカラオケルームみたいな所で、マレーシアの成立を祝う曲が流れている作品。もしシンガポールがマレーシアから分離独立をしなかったら…というのを仮定しているそうです。マレーシアについて歌ではハッピー&フリーを不自然なほど連呼していますが、作者は本当にそう思っているのかな??
この辺には今回の展示のポスターにもなっているシンガポールのリー・ウェン「奇妙な果実」も展示されていました。
ムラティ・スルヨダルモ「アムネシア」 インドネシア

これは壁に何やらチョークで書かれている作品。手前にはミシンと黒い服のようなものがあります。
壁に書いてあるもののアップ。

実はこれは黒い服を縫った枚数をカウントしているそうで、同じ動作を繰り返すのがこの作者が得意とする表現のようです。カウントしながらごめんなさいと言い続けるそうで、記憶と感情の欠如を集めるという意味があるそうです。ちょっとよく理解できませんが、これだけの枚数を縫うとか途方もないので驚きました。
メラ・ヤルスマ「ワニの穴」 インドネシア

こちらは作品に触れることができて、ワニの口の中に頭を突っ込むことができますw これは1965年ワニの穴を意味する場所で起きた「9月30日事件」を表しているそうです。調べたところ9月30日事件は軍事クーデターで、現在でもこの事件を取り扱うのは現地ではタブーとなっているのだとか。鑑賞者はみんな面白がって頭を突っ込んでいましたが、そんな意味があったとは…。
イー・イラン(タム・ホン・ラム[パカード・フォト・スタジオ]との共同制作)「バラ色の眼鏡を通じて」 マレーシア

こちらは写真スタジオで撮られた沢山の写真が並ぶ作品。結婚式や家族で写っているものが多くて幸せそうな感じのものが多いかな。こちらも意図は良く分かりませんでしたが、壁一面に写真が並ぶ様子は中々壮観でした。(かなり高いところまで並んでいます)
シャーマン・オン「ヌサンタラー海は歌い風は我々を運ぶだろう」 マレーシア

こちらは映像作品で、中華系やマレー系などの移民の生活をドキュメント風にしたものです。2画面あるけど、基本的に内容は同じで、数秒程度の時差がある感じです。現実とフィクションが入り混じっているようですが、移民のリアルな生活ぶりが伺えるように思えました。
<日々の生活>
最後は日常にある現実を表現するというコーナーです。アートは美術館に陳列されているものという概念に挑戦する作品などが並んでいました。
スーザン・ビクター「ヴェール-異端者のように見る」 シンガポール


レンズに囲まれた円筒形の作品。中に入ることもできます。綺麗なガラス工芸のようにも見えますが、この作品はレンズを通して歪んだり拡大したり、主観的とは何かを問いかけているそうです。 …と、解釈は難しいですが見るだけでも楽しい作品に思えました。
アイン・ルンジャーン「黄金の涙滴」 タイ

水滴のような形の真鍮が無数にぶら下がっている作品。幾何学的な美しさがあります。 解説によると、これはタイの伝統的なお菓子であるトーン・ヨートの形を模しているとのことです。トーン・ヨートは日本の血を引くポルトガル人によってアユタヤ時代にもたらされたらしく、この作品にはその時代の木材が使われているようです。また、近くでは映像も流していて、広島出身の祖父母を持つ日本人女性がトーン・ヨートを作っている様子も映されていました。
ちょっと離れるとこんな感じ。

綺麗な円形になっていました。
スヴァーイ・ケーン カンボジア

これは時代によって移り変わる都市生活を描いた作品。この画家はカンボジア現代アートの祖父と呼ばれているそうで、仏教的教訓や次世代への知識の継承を反映しているのだとか。確かにお坊さんが子供に何かを教えているような絵もありました。
ナウィン・ラワンチャイクン「ふたつの家の物語」 タイ

これは作者の父が営む「OKストア」というお店を再現した作品で、中に入って観ることができます。この作品では家族への愛情や時代の変化で失われて行くものへの憧憬が込められているそうで、タイのことを知らない私でもどこか懐かしいような感覚を覚えました。昭和の頃の個人商店に通じるような…w
シュシ・スライマン「スライマンは家を買った」 マレーシア

もう1つ家がそのまま建ってる作品がありました。これは作者の父親がゴム産業で得たお金で建てた家のレプリカで、近くにはゴムシートも展示されています。ゴム産業はマレーシアの文化的発展に大きな役割を担っているそうで、マレーシアの歴史やアイデンティティといったものがこの作品に込められているように思えました。
アングン・プリアンボド「必需品の店」 インドネシア

タイトルを観ると、どこが必需品やねん!とツッコミ待ちにしか思えませんw 明らかに要らなそうなものが沢山並んでいて、本当に必需品と言えそうなものってこの中にあるのか?と探してしまいましたw 解説によると今日のグローバル消費社会で本当に必要なものは何かを問いかけているということなので、私の反応は作者の意図通りだったのかもしれませんw
スラシー・クソンウォン「黄金の亡霊(どうして私はあなたがいるところにいないのか)」 タイ

こちらは沢山の糸が敷き詰められた部屋に(靴を脱いで)入って体験する作品。割と寝っ転がってる人もいますw
実はこの中に9本のネックレスが隠されていて、宝探しのようになっています。見つけたら貰えるそうです。

きっと金のネックレスがをこぞって探すのが浅ましいと揶揄される作品だろうな…と思ったらその通り、欲望を表現する意図がありそうでしたw とは言え、これだけ探すのが大変だと私のような面倒くさがりは最初からお手上げですw たまに黄色い糸が混じっているので難易度が高い。こんな状態で探し出した人がいたら凄いと思います。
ということで、難解な作品もありましたが、後半は触ったり体験できる作品もあって楽しめました。ついでに東南アジアの歴史や情勢もざっくり知ることができたのも良かったです。東南アジアが好きな方向けの展示と言えそうです。
なお。前編でも書きましたがこの展示は森美術館との共同開催で森美術館にも作品が多数あります。私は先に森美術館を観ていたので、後日それについてもご紹介しようと思います。
おまけ:
本日の夕方は六本木アートナイトです。この展示をやっている国立新美術館もアートナイトの開催地の1つになっています。
参考記事:「六本木アートナイト2017」の予告
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前回ご紹介した展示を観る前に、すぐ近くの国立新美術館で「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」を観てきました。この展示は撮影可能で沢山撮ってきましたので、前編後編に分けてご紹介していこうと思います。
なお、この展示は森美術館との共同開催となっていて、2館とも写真撮影が可能です。また、音声ガイドも無料となっていました。チケットは2館共通があって、日をまたいでも使えます。(実際、私は金曜日の夜に森美術館、土曜日に国立新美術館という感じで観ました。森美術館の展示についても後日ご紹介の予定です)
参考記事:
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想前編(国立新美術館)
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想後編(国立新美術館)
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想前編(森美術館)
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想後編(森美術館)

【展覧名】
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで
【公式サイト】
http://sunshower2017.jp/
http://www.nact.jp/exhibition_special/2017/sunshower/
【会場】国立新美術館
【最寄】乃木坂駅・六本木駅
【会期】2017年7月5日(水)~10月23日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
それほど混むこともなく、快適に鑑賞することができました。冒頭に書いた通り撮影可能なので、たまに写真を撮っている人を避けて鑑賞したりしたくらいかな。
さて、この展示はタイトル通り東南アジアの1980年代以降の現代アートを紹介するものです。今年はASEAN設立50周年だそうで、そうした国々の作家たちによる東南アジアの現代を映すような作品が並んでいました。結構難解な作品も多いですが、作品を通して東南アジアのことを知ることもできましたので、詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。
<うつろう世界>
まずは歴史的・地理的な要素の強いコーナーです。東南アジア(ASEAN加盟10カ国+東ティモール)はタイを除いてヨーロッパ列強の植民地支配を経験し、WW2では一時的に日本に占拠されました。また、この地域は人の行き来が活発だそうで、多様な民族・宗教・文化が共存しているようです。この章ではそうした東南アジアの地政学的見地に着想を得た作品が並んでいました。
イー・イラン「うつろう世界 「偉人シリーズ」より」 マレーシア

確かこれは地図になっているろうけつ染めの作品です。偉人というのは植民地時代に外国の強奪者から交易権を守った王たちのことのようです。東南アジアのアートはこうした植民地時代の記憶を何らかの形で表現しているのが多いのが特徴と言えそうです。
ウォン・ホイチョン 「移民の皮膚/先住民の皮膚」 マレーシア

人の顔の形(鼻と唇の辺り)をしていて、タイトルを見るとちょっと怖くなりますが、実はバナナでできた作品。顔はカナダに移住してきた中国系マレーシア女性を表しているようです。発想の面白さと、民族の入り組んだ複雑さが垣間見えるような作品でした。
他にもこんな感じで色々あります。

どれも顔の断片みたいな感じで、それぞれに何の葉で出来ていて何処の人をモチーフにしているか書いてありました。
アウン・ミン「五大陸に流れ落ちた赤い涙(「ワールド」シリーズより)」 ミャンマー

こちらは近くで見ると、白い所にムンクの「叫び」みたいな人がぎっしりと描き込まれています。赤い部分は世界中で流される血を表し、戦争や破壊、政治的混乱を示しているようです。割とストレートで分かりやすいかも。地図に日本列島が無いから日本はセーフなのかな??
ウダム・チャン・グエン 「タイム・ブーメラン」 ベトナム

こちらの解説は複雑で要約が難しいのですが、領土問題によって物を測るという概念を考えた作品だそうです。映像を見るとこの階段に登って上から石膏を下に叩きつける内容でした。
こちらが壊していた石膏。世界地図の形をしているのが意味深。

苛立たしい新世界秩序を作る という意味が込められているようです。この作品には4つの段階があり、これは4段階目なのだとか。この近くには1段階目の手の形の彫刻もありました。
<情熱と革命>
続いては抑圧との戦いのコーナーです。WW2終了後に独立した東南アジア諸国ですが、民族間の闘争や独裁、内戦などの動乱で多くの人の命が失われました。そんな中、言論や表現の自由、民主化を求める運動は各地で起こり、芸術活動につなげたアーティストが投獄されることもあったようです。この章ではそうした思想や表現の抑圧と戦ったアーティストの葛藤を反映した作品などが並んでいました。
FXハルソノ「声なき声」 インドネシア

こちらは指文字で「民主主義」を表している写真。右端には指が縛られた写真があり、民主主義を唱えることが困難だったことを示しているようです。その前に置かれているのはスタンプで、左から順に押していくと「DEMOKRASI」(インドネシア語で民主主義)となります。これは体験して持ち帰ることもできました。
この近くには同じくFXハルソノによる「遺骨の墓地のモニュメント」というお墓をモチーフにした作品もありました。中々インパクトがあります。
サンチャゴ・ボセ「受難と革命」 フィリピン

これはフィリピンの先住民族の伝統文化をモチーフにした作品だそうで、祭壇が作られています。キリスト像はキリスト教の受難を、瓦礫や旗、ドクロなどはスペインからの解放を求めた農民運動と関係があるとのことでした。
ホー・ツーニェン「2匹または3匹のトラ」 シンガポール

これはシンガポールでの虎と人間の関わりを表した映像作品で、2つ画面に映されます。画面はそれぞれ虎と人間が向き合うような感じです。イギリスが行った虎の大虐殺やマレーの虎と呼ばれた山下奉文などについて奇妙な歌で紹介していきます。
こちらは人間の方。いずれもリアルなCGです。

この歌が妙に頭に残りますw 「We are tiger ,waretiger」(我々は虎だ、虎人間だ)という歌詞を何度も歌っていたのが印象に残りました。
ティン・リン「石けんのブロック」ミャンマー

これは作者が勾留された際、独房に入れられた人を石鹸に彫って表したものです(再作成のレプリカ) まさに抑圧との戦いの生き証人といった感じの作品と言えるかも。屈んだポーズが怖い。
リー・ダブラー「伝令」 カンボジア

これは悪名高きクメール・ルージュ時代に伝令として働いていた少年の写真と、当時禁止されていた音楽をスピーカーから流す作品。写真の中には無関係の子も混じっているようですが、見分けがつきません。見た目は可愛い子ども達の写真ですが、クメール・ルージュの行ったことを考えると非常に恐ろしくなる作品でした。
メラ・ヤルスマ「プリブミ・プリブミ」 オランダ・インドネシア

これは路上で蛙の揚げ物を作って振る舞うという活動を撮影した作品。蛙は中国では食用である一方でイスラームでは不浄とされるようです。様々な民族が行き交う国ならではの文化的禁忌に疑問を呈する作品のようでした。
ヘリ・ドノ「政治指導者へのショックセラピー」 インドネシア

インドネシアの伝統的な影絵「ワヤン・クリ」から着想を得た作品で、指導者が最高位を巡って争う様子が表されているようです。私は観られませんでしたが30分に1回くらい電動で動くようです。皮肉が効いてて面白いw
<アーカイブ>
こちらはパフォーマンスなど形に残らないアート表現をアーカイブとして残す活動を紹介するコーナー。
日本語の資料も展示されていました。

沢山の写真でデジタル化も進めているようです。

ちょっと長くなってきたので、今日はここまでにして残りは後編でご紹介しようと思います。日本の現代アートに比べると、生き死にに直面したような作品が多いように思えます。特に抑圧との戦いのコーナーは非常に恐ろしさを感じました。後半も驚くべき作品が並んでいましたので、次回も写真を使っていこうと思います。
なお、この展示は森美術館との共同開催となっていて、2館とも写真撮影が可能です。また、音声ガイドも無料となっていました。チケットは2館共通があって、日をまたいでも使えます。(実際、私は金曜日の夜に森美術館、土曜日に国立新美術館という感じで観ました。森美術館の展示についても後日ご紹介の予定です)
参考記事:
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想前編(国立新美術館)
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想後編(国立新美術館)
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想前編(森美術館)
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで 感想後編(森美術館)

【展覧名】
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで
【公式サイト】
http://sunshower2017.jp/
http://www.nact.jp/exhibition_special/2017/sunshower/
【会場】国立新美術館
【最寄】乃木坂駅・六本木駅
【会期】2017年7月5日(水)~10月23日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
それほど混むこともなく、快適に鑑賞することができました。冒頭に書いた通り撮影可能なので、たまに写真を撮っている人を避けて鑑賞したりしたくらいかな。
さて、この展示はタイトル通り東南アジアの1980年代以降の現代アートを紹介するものです。今年はASEAN設立50周年だそうで、そうした国々の作家たちによる東南アジアの現代を映すような作品が並んでいました。結構難解な作品も多いですが、作品を通して東南アジアのことを知ることもできましたので、詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。
<うつろう世界>
まずは歴史的・地理的な要素の強いコーナーです。東南アジア(ASEAN加盟10カ国+東ティモール)はタイを除いてヨーロッパ列強の植民地支配を経験し、WW2では一時的に日本に占拠されました。また、この地域は人の行き来が活発だそうで、多様な民族・宗教・文化が共存しているようです。この章ではそうした東南アジアの地政学的見地に着想を得た作品が並んでいました。
イー・イラン「うつろう世界 「偉人シリーズ」より」 マレーシア

確かこれは地図になっているろうけつ染めの作品です。偉人というのは植民地時代に外国の強奪者から交易権を守った王たちのことのようです。東南アジアのアートはこうした植民地時代の記憶を何らかの形で表現しているのが多いのが特徴と言えそうです。
ウォン・ホイチョン 「移民の皮膚/先住民の皮膚」 マレーシア

人の顔の形(鼻と唇の辺り)をしていて、タイトルを見るとちょっと怖くなりますが、実はバナナでできた作品。顔はカナダに移住してきた中国系マレーシア女性を表しているようです。発想の面白さと、民族の入り組んだ複雑さが垣間見えるような作品でした。
他にもこんな感じで色々あります。

どれも顔の断片みたいな感じで、それぞれに何の葉で出来ていて何処の人をモチーフにしているか書いてありました。
アウン・ミン「五大陸に流れ落ちた赤い涙(「ワールド」シリーズより)」 ミャンマー

こちらは近くで見ると、白い所にムンクの「叫び」みたいな人がぎっしりと描き込まれています。赤い部分は世界中で流される血を表し、戦争や破壊、政治的混乱を示しているようです。割とストレートで分かりやすいかも。地図に日本列島が無いから日本はセーフなのかな??
ウダム・チャン・グエン 「タイム・ブーメラン」 ベトナム

こちらの解説は複雑で要約が難しいのですが、領土問題によって物を測るという概念を考えた作品だそうです。映像を見るとこの階段に登って上から石膏を下に叩きつける内容でした。
こちらが壊していた石膏。世界地図の形をしているのが意味深。

苛立たしい新世界秩序を作る という意味が込められているようです。この作品には4つの段階があり、これは4段階目なのだとか。この近くには1段階目の手の形の彫刻もありました。
<情熱と革命>
続いては抑圧との戦いのコーナーです。WW2終了後に独立した東南アジア諸国ですが、民族間の闘争や独裁、内戦などの動乱で多くの人の命が失われました。そんな中、言論や表現の自由、民主化を求める運動は各地で起こり、芸術活動につなげたアーティストが投獄されることもあったようです。この章ではそうした思想や表現の抑圧と戦ったアーティストの葛藤を反映した作品などが並んでいました。
FXハルソノ「声なき声」 インドネシア

こちらは指文字で「民主主義」を表している写真。右端には指が縛られた写真があり、民主主義を唱えることが困難だったことを示しているようです。その前に置かれているのはスタンプで、左から順に押していくと「DEMOKRASI」(インドネシア語で民主主義)となります。これは体験して持ち帰ることもできました。
この近くには同じくFXハルソノによる「遺骨の墓地のモニュメント」というお墓をモチーフにした作品もありました。中々インパクトがあります。
サンチャゴ・ボセ「受難と革命」 フィリピン

これはフィリピンの先住民族の伝統文化をモチーフにした作品だそうで、祭壇が作られています。キリスト像はキリスト教の受難を、瓦礫や旗、ドクロなどはスペインからの解放を求めた農民運動と関係があるとのことでした。
ホー・ツーニェン「2匹または3匹のトラ」 シンガポール

これはシンガポールでの虎と人間の関わりを表した映像作品で、2つ画面に映されます。画面はそれぞれ虎と人間が向き合うような感じです。イギリスが行った虎の大虐殺やマレーの虎と呼ばれた山下奉文などについて奇妙な歌で紹介していきます。
こちらは人間の方。いずれもリアルなCGです。

この歌が妙に頭に残りますw 「We are tiger ,waretiger」(我々は虎だ、虎人間だ)という歌詞を何度も歌っていたのが印象に残りました。
ティン・リン「石けんのブロック」ミャンマー

これは作者が勾留された際、独房に入れられた人を石鹸に彫って表したものです(再作成のレプリカ) まさに抑圧との戦いの生き証人といった感じの作品と言えるかも。屈んだポーズが怖い。
リー・ダブラー「伝令」 カンボジア

これは悪名高きクメール・ルージュ時代に伝令として働いていた少年の写真と、当時禁止されていた音楽をスピーカーから流す作品。写真の中には無関係の子も混じっているようですが、見分けがつきません。見た目は可愛い子ども達の写真ですが、クメール・ルージュの行ったことを考えると非常に恐ろしくなる作品でした。
メラ・ヤルスマ「プリブミ・プリブミ」 オランダ・インドネシア

これは路上で蛙の揚げ物を作って振る舞うという活動を撮影した作品。蛙は中国では食用である一方でイスラームでは不浄とされるようです。様々な民族が行き交う国ならではの文化的禁忌に疑問を呈する作品のようでした。
ヘリ・ドノ「政治指導者へのショックセラピー」 インドネシア

インドネシアの伝統的な影絵「ワヤン・クリ」から着想を得た作品で、指導者が最高位を巡って争う様子が表されているようです。私は観られませんでしたが30分に1回くらい電動で動くようです。皮肉が効いてて面白いw
<アーカイブ>
こちらはパフォーマンスなど形に残らないアート表現をアーカイブとして残す活動を紹介するコーナー。
日本語の資料も展示されていました。

沢山の写真でデジタル化も進めているようです。

ちょっと長くなってきたので、今日はここまでにして残りは後編でご紹介しようと思います。日本の現代アートに比べると、生き死にに直面したような作品が多いように思えます。特に抑圧との戦いのコーナーは非常に恐ろしさを感じました。後半も驚くべき作品が並んでいましたので、次回も写真を使っていこうと思います。
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10日程前の土曜日の夕方に、ミッドタウン裏手の21_21 DESIGN SIGHTで「そこまでやるか 壮大なプロジェクト」を観てきました。

【展覧名】
そこまでやるか 壮大なプロジェクト展
【公式サイト】
http://www.2121designsight.jp/program/grand_projects/
【会場】21_21 DESIGN SIGHT
【最寄】六本木駅・乃木坂駅
【会期】2017年6月23日~10月1日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
それほど混んでいた訳では無かったのですが、体験型作品のヌーメン/フォー・ユースの「テープトウキョウ2」の整理券が配布終了していました。当記事でもこの作品を紹介しますが、これを体験したい方は早めの時間帯に訪れることをお勧めします。
さて、今回の展示は「壮大なプロジェクト」を主題にしていて、一体何のこっちゃ?と思ったら世界各地で制作された大規模なアート作品についてプロジェクト概要や模型、映像などを使って展示するという内容でした。この展示では会場内で撮影することもできましたので、詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。
展示冒頭にあった今回の展示品のキャッチコピー。

これを観ても何のこっちゃ状態でしたw しかし展示を見終わってからこれを見ると確かにその通りだったと感心するばかりでした。
クリストとジャンヌ=クロード「フローティング・ピアーズ」イタリア、イゼオ湖 湖面を渡る100,000平方メートルの布

まず最初に驚くのがこの作品。これは当時の様子を振り返りながら作者にインタビューする映像だったのですが、湖面に何千人も歩ける道を作った作品です。2016年6月18日から16日間だけイタリアのイゼオ湖というところに、合計10万平方メートル、長さ3kmにも及ぶ黄色い布でできた浮橋(島と岸を結んでいる)を作ったそうですが、ただ呆然とするほど壮大な光景が映し出されていました。映像では適切な場所を確保するのに苦労した話や、密かに準備を進めて実験する様子なども映っていて、もはやアートというよりは大プロジェクトのプロマネの苦労話みたいな感じでしたw これは本当に驚くので日本でもやって欲しいw
クリストとジャンヌ=クロード「マスタバ」アラブ首長国連邦のプロジェクト

こちらは恐らくまだ実現していないようですが、アラブ首長国連邦にどでかいピラミッドみたいな建物を41万個のドラム缶で作ろうとしている作品。高さは150mとなる見込みで、建設方法は日本の法政大学の案を採用しようと考えているようです。レールを使って引き上げるみたいな感じで作るのだとか。こんな馬鹿でかいものが出来たらちょっと見てみたいw
ヌーメン/フォー・ユースの「テープトウキョウ2」 テープ21,120mの床

こちらはテープで出来た遊具みたいな作品で、整理券を貰えれば中に入ることができます。こちらは21kmにも及ぶテープを使用しているらしく、触ってみても割と頑丈に出来ていました。それに意識が行ってしまいますが、不思議な形をしているのも面白かったです。
磯崎新・アニッシュ・カプーア「ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ」 500人が入れる風船

こちらは高さ18m、幅29m、長さ36mにも及ぶ風船を使ったコンサートホールの設計図。これは東日本大震災の際に、被災地でのコンサート会場として使われたそうです。
こちらは模型。

小さいと確かに風船っぽい感じがします。有機的なデザインも好み。
そして何とこちらの作品はこの展示の会場近くのミッドタウン裏手に再現されています。

期間:2017年9月19日~10月4日 ちょうど六本木アートナイトの時期にも重なるので、何か開催されるのかな?
こちらがその様子。

作っている時に近くを通った際、何だこれは??と思っていたのですが、コンサートホールです。確かに中に500人くらいなら入りそう。
浅井祐介「土の旅」 連続製作時間96時間

こちらは巨大な絵画作品。マスキングテープや土を用いて描いているそうで、土は様々な場所から50種類も運ばれてきたようです。離れているとよくわからないのですが、近づいてみると確かにかなり細かく描いてあります。即興で描いているようですが、この大きさを作るのはかなり大変そう。
メイキングの映像もありました。

これはまだ最初のほうですが、足場を組んだり脚立に立っていたりと大きい作品ならではの苦労が伺えます。
ダニ・カラヴァン「大都市軸」 長さ3200mの彫刻

これは長さ3.2km、最大幅150mに渡り12の建物などが合わさった彫刻?です。真ん中にある橋みたいなのだけでなく展望塔やピラミッドみたいなものもあるようで、遊歩道にはルーブル美術館でピラミッドを作る際に剥がされた敷石も使われているそうです。これもスケールに驚かされました。
ダニ・カラヴァン「ネゲヴ記念碑」

これはイスラエル独立戦争で功績をあげたネゲヴ連隊を記念して作られた建物のような作品の模型で、実際は塔の部分が20mくらいあります。これも映像がありましたが、公園のように人が立ち入れるようになっているようです。大都市軸に比べると小さめですが、この形がそのまま建物になっていて割と危険な感じな点も含めて驚きです。
ジョルジュ・ルース「トウキョウ2017」 重なる1°の奇跡=ある一点のみ完全な姿を現す作品

こちらはそんなに大きくないのですが、ある一点から見ると完全な円に見えるという作品。上記の写真がその一点から撮影したもの。
ちょっとでも異なる角度になるとこうなります。

横から見るとこれが円になるとは思えないかも。分かりやすい面白さで人気の撮影スポットになっていました。
地下の展示室は以上で、一旦会場を出て隣のギャラリー3にもう1つ作品があります。
西野達「カプセルホテル21」 実現不可能性99%

意外な所にカプセルホテルが出来ていましたw 会場内にトイレやシャワーもあるそうです。
勿論、中に入って体験することもできます。

割と広くて快適でしたw
ということで、「そこまでやるか」というタイトル通りの内容で驚きの連続でした。特に浮橋の映像は凄かった…。世の中にはこんなことを真剣にやっている人がいると思うと、まだまだ人生は楽しめるのだなと感心してしまいます。もうすぐ会期末となりますので、気になる方はお早めにどうぞ。

【展覧名】
そこまでやるか 壮大なプロジェクト展
【公式サイト】
http://www.2121designsight.jp/program/grand_projects/
【会場】21_21 DESIGN SIGHT
【最寄】六本木駅・乃木坂駅
【会期】2017年6月23日~10月1日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
それほど混んでいた訳では無かったのですが、体験型作品のヌーメン/フォー・ユースの「テープトウキョウ2」の整理券が配布終了していました。当記事でもこの作品を紹介しますが、これを体験したい方は早めの時間帯に訪れることをお勧めします。
さて、今回の展示は「壮大なプロジェクト」を主題にしていて、一体何のこっちゃ?と思ったら世界各地で制作された大規模なアート作品についてプロジェクト概要や模型、映像などを使って展示するという内容でした。この展示では会場内で撮影することもできましたので、詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。
展示冒頭にあった今回の展示品のキャッチコピー。

これを観ても何のこっちゃ状態でしたw しかし展示を見終わってからこれを見ると確かにその通りだったと感心するばかりでした。
クリストとジャンヌ=クロード「フローティング・ピアーズ」イタリア、イゼオ湖 湖面を渡る100,000平方メートルの布

まず最初に驚くのがこの作品。これは当時の様子を振り返りながら作者にインタビューする映像だったのですが、湖面に何千人も歩ける道を作った作品です。2016年6月18日から16日間だけイタリアのイゼオ湖というところに、合計10万平方メートル、長さ3kmにも及ぶ黄色い布でできた浮橋(島と岸を結んでいる)を作ったそうですが、ただ呆然とするほど壮大な光景が映し出されていました。映像では適切な場所を確保するのに苦労した話や、密かに準備を進めて実験する様子なども映っていて、もはやアートというよりは大プロジェクトのプロマネの苦労話みたいな感じでしたw これは本当に驚くので日本でもやって欲しいw
クリストとジャンヌ=クロード「マスタバ」アラブ首長国連邦のプロジェクト

こちらは恐らくまだ実現していないようですが、アラブ首長国連邦にどでかいピラミッドみたいな建物を41万個のドラム缶で作ろうとしている作品。高さは150mとなる見込みで、建設方法は日本の法政大学の案を採用しようと考えているようです。レールを使って引き上げるみたいな感じで作るのだとか。こんな馬鹿でかいものが出来たらちょっと見てみたいw
ヌーメン/フォー・ユースの「テープトウキョウ2」 テープ21,120mの床

こちらはテープで出来た遊具みたいな作品で、整理券を貰えれば中に入ることができます。こちらは21kmにも及ぶテープを使用しているらしく、触ってみても割と頑丈に出来ていました。それに意識が行ってしまいますが、不思議な形をしているのも面白かったです。
磯崎新・アニッシュ・カプーア「ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ」 500人が入れる風船

こちらは高さ18m、幅29m、長さ36mにも及ぶ風船を使ったコンサートホールの設計図。これは東日本大震災の際に、被災地でのコンサート会場として使われたそうです。
こちらは模型。

小さいと確かに風船っぽい感じがします。有機的なデザインも好み。
そして何とこちらの作品はこの展示の会場近くのミッドタウン裏手に再現されています。

期間:2017年9月19日~10月4日 ちょうど六本木アートナイトの時期にも重なるので、何か開催されるのかな?
こちらがその様子。

作っている時に近くを通った際、何だこれは??と思っていたのですが、コンサートホールです。確かに中に500人くらいなら入りそう。
浅井祐介「土の旅」 連続製作時間96時間

こちらは巨大な絵画作品。マスキングテープや土を用いて描いているそうで、土は様々な場所から50種類も運ばれてきたようです。離れているとよくわからないのですが、近づいてみると確かにかなり細かく描いてあります。即興で描いているようですが、この大きさを作るのはかなり大変そう。
メイキングの映像もありました。

これはまだ最初のほうですが、足場を組んだり脚立に立っていたりと大きい作品ならではの苦労が伺えます。
ダニ・カラヴァン「大都市軸」 長さ3200mの彫刻

これは長さ3.2km、最大幅150mに渡り12の建物などが合わさった彫刻?です。真ん中にある橋みたいなのだけでなく展望塔やピラミッドみたいなものもあるようで、遊歩道にはルーブル美術館でピラミッドを作る際に剥がされた敷石も使われているそうです。これもスケールに驚かされました。
ダニ・カラヴァン「ネゲヴ記念碑」

これはイスラエル独立戦争で功績をあげたネゲヴ連隊を記念して作られた建物のような作品の模型で、実際は塔の部分が20mくらいあります。これも映像がありましたが、公園のように人が立ち入れるようになっているようです。大都市軸に比べると小さめですが、この形がそのまま建物になっていて割と危険な感じな点も含めて驚きです。
ジョルジュ・ルース「トウキョウ2017」 重なる1°の奇跡=ある一点のみ完全な姿を現す作品

こちらはそんなに大きくないのですが、ある一点から見ると完全な円に見えるという作品。上記の写真がその一点から撮影したもの。
ちょっとでも異なる角度になるとこうなります。

横から見るとこれが円になるとは思えないかも。分かりやすい面白さで人気の撮影スポットになっていました。
地下の展示室は以上で、一旦会場を出て隣のギャラリー3にもう1つ作品があります。
西野達「カプセルホテル21」 実現不可能性99%

意外な所にカプセルホテルが出来ていましたw 会場内にトイレやシャワーもあるそうです。
勿論、中に入って体験することもできます。

割と広くて快適でしたw
ということで、「そこまでやるか」というタイトル通りの内容で驚きの連続でした。特に浮橋の映像は凄かった…。世の中にはこんなことを真剣にやっている人がいると思うと、まだまだ人生は楽しめるのだなと感心してしまいます。もうすぐ会期末となりますので、気になる方はお早めにどうぞ。
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先週の平日の会社帰りにBunkamuraル・シネマで「セザンヌと過ごした時間」を観てきました。今回はネタバレを含んでいますが、セザンヌについて調べれば分かる程度のネタバレにしておきます。

【作品名】
セザンヌと過ごした時間
【公式サイト】
http://www.cetera.co.jp/cezanne/
【時間】
1時間55分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_④_5_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
上映している映画館が少ない為か、割とお客さんがいましたが快適に鑑賞することができました。
この映画は近代画家の父と呼ばれ現在でも絶大な影響力を持つポール・セザンヌを主人公にしたもので、史実を下敷きに最近の研究結果なども考察して作られた物語となっています。幼少の頃に地元のエクス・アン・プロヴァンスで友達になったエミール・ゾラ(後の有名小説家)との友情を主軸に、苦労した若い頃と、仲違い後に久々に再会した頃の2つの時間軸を行ったり来たりするような構成となっていました。セザンヌは裕福な家庭の息子で、ゾラは幼少時に父を亡くし母親だけで育てられたのですが、ゾラは割と若いうちから有名になり、セザンヌは晩年まで世間あまり評価されませんでした。その葛藤もあってかセザンヌはプライドが異常に高く皮肉や罵詈雑言を言ってばかりという とんでもない性格ですw 今でこそ美術界の巨匠ですが、実際にこんな人が周りにいたら大変そう…。一方のエミール・ゾラはそんなセザンヌに子供の頃にイジメから救って貰ったこともあり、いつもセザンヌの味方になってくれる聖人のように思えます。(ゾラも何だかんだで若い家政婦と不倫したりと褒められた性格ではないですがw)
しかし、そんな2人もゾラの書いた「制作」という本を巡って仲違いするようになり、しばらく会わずにいました。そして久々の再会というところが、今回の映画の舞台となります。2人の友情がどうなってしまうのか、結果を知っている人にはストーリーが読めてしまうと思いますが、それよりも心情表現が深くてそこに面白味があると思います。強がって周りを罵倒していてもナイーブなセザンヌの不器用さが何とももどかしいです。父親に認められたいというコンプレックスをゾラに見抜かれ指摘されるなど、お互いの歯に衣着せぬ応酬が観ているこっちまで心苦しくなってくる感じです。
また、ストーリー以外でも楽しめる点としてこの映画の登場人物にはマネや画材屋のタンギー爺さん、画商ヴォラールなど近代絵画史で有名な人物も沢山出てきます。しかしそれらを知らなくても十分にストーリーは分かるので、知っていたらより楽しめる要素と言った感じかな。また、セザンヌがモデルに対してじっとしていることを強要するシーンなどはセザンヌのエピソードとしてよく紹介されているので面白かったです。
映像や役者については当時の街や本人のようにしか見えないw つい3ヶ月前くらいにエクスに行ったので、現地の光景を思い出しながら観ていましたが本当によく出来ていると思います。フランスの役者には疎いですが、セザンヌ役のギヨーム・ガリエンヌもゾラ役のギヨーム・カネも実力派と呼ばれるのが納得できるなりきりぶりでした。
参考記事:セザンヌゆかりの地めぐり (南仏編 エクス)
ということで、セザンヌ好きとしては非常に楽しめる映画でした。予想以上の畜生ぶりを見せてくれて笑ってしまうところもありましたが、概ね今までの情報でイメージしていた通りかなw 2人とも強烈な個性を持っていました。 これを観ておけば、今後セザンヌの絵を観る時により感慨深いものとなると思いますので、美術好きの方にお勧めです。
なお、bunkamura以外にもいくつか(関東以外でも)やっている映画館はあるようですが、公開日がまちまちとなっていますので、気になる方はお近くの劇場があるか公式で探して確認してみるのをお勧めします。
参考サイト:上映している映画館


【作品名】
セザンヌと過ごした時間
【公式サイト】
http://www.cetera.co.jp/cezanne/
【時間】
1時間55分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_④_5_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
上映している映画館が少ない為か、割とお客さんがいましたが快適に鑑賞することができました。
この映画は近代画家の父と呼ばれ現在でも絶大な影響力を持つポール・セザンヌを主人公にしたもので、史実を下敷きに最近の研究結果なども考察して作られた物語となっています。幼少の頃に地元のエクス・アン・プロヴァンスで友達になったエミール・ゾラ(後の有名小説家)との友情を主軸に、苦労した若い頃と、仲違い後に久々に再会した頃の2つの時間軸を行ったり来たりするような構成となっていました。セザンヌは裕福な家庭の息子で、ゾラは幼少時に父を亡くし母親だけで育てられたのですが、ゾラは割と若いうちから有名になり、セザンヌは晩年まで世間あまり評価されませんでした。その葛藤もあってかセザンヌはプライドが異常に高く皮肉や罵詈雑言を言ってばかりという とんでもない性格ですw 今でこそ美術界の巨匠ですが、実際にこんな人が周りにいたら大変そう…。一方のエミール・ゾラはそんなセザンヌに子供の頃にイジメから救って貰ったこともあり、いつもセザンヌの味方になってくれる聖人のように思えます。(ゾラも何だかんだで若い家政婦と不倫したりと褒められた性格ではないですがw)
しかし、そんな2人もゾラの書いた「制作」という本を巡って仲違いするようになり、しばらく会わずにいました。そして久々の再会というところが、今回の映画の舞台となります。2人の友情がどうなってしまうのか、結果を知っている人にはストーリーが読めてしまうと思いますが、それよりも心情表現が深くてそこに面白味があると思います。強がって周りを罵倒していてもナイーブなセザンヌの不器用さが何とももどかしいです。父親に認められたいというコンプレックスをゾラに見抜かれ指摘されるなど、お互いの歯に衣着せぬ応酬が観ているこっちまで心苦しくなってくる感じです。
また、ストーリー以外でも楽しめる点としてこの映画の登場人物にはマネや画材屋のタンギー爺さん、画商ヴォラールなど近代絵画史で有名な人物も沢山出てきます。しかしそれらを知らなくても十分にストーリーは分かるので、知っていたらより楽しめる要素と言った感じかな。また、セザンヌがモデルに対してじっとしていることを強要するシーンなどはセザンヌのエピソードとしてよく紹介されているので面白かったです。
映像や役者については当時の街や本人のようにしか見えないw つい3ヶ月前くらいにエクスに行ったので、現地の光景を思い出しながら観ていましたが本当によく出来ていると思います。フランスの役者には疎いですが、セザンヌ役のギヨーム・ガリエンヌもゾラ役のギヨーム・カネも実力派と呼ばれるのが納得できるなりきりぶりでした。
参考記事:セザンヌゆかりの地めぐり (南仏編 エクス)
ということで、セザンヌ好きとしては非常に楽しめる映画でした。予想以上の畜生ぶりを見せてくれて笑ってしまうところもありましたが、概ね今までの情報でイメージしていた通りかなw 2人とも強烈な個性を持っていました。 これを観ておけば、今後セザンヌの絵を観る時により感慨深いものとなると思いますので、美術好きの方にお勧めです。
なお、bunkamura以外にもいくつか(関東以外でも)やっている映画館はあるようですが、公開日がまちまちとなっていますので、気になる方はお近くの劇場があるか公式で探して確認してみるのをお勧めします。
参考サイト:上映している映画館
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先週の祝日に山種美術館で「上村松園-美人画の精華-」を観てきました。この展示は前期・後期に分かれていて、私が観たのは前期の内容でした。(9/26以降は後期の内容となります。)

【展覧名】
上村松園-美人画の精華-
【公式サイト】
http://www.yamatane-museum.jp/exh/2017/uemurashoen.html
【会場】山種美術館
【最寄】恵比寿駅
【会期】2017年8月29日(火)~10月22日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
予想通り結構な混み具合で、たまに人だかりが出来ている作品もありました。山種美術館では定期的に上村松園展が行われますが、毎回人気を集めていて特に会期末は混むので、早めに行っておきました。
さて、この展示は京都で活躍した女性画家である上村松園を冠するタイトルとなっていますが、山種美術館が所蔵する上村松園の作品は18点なのでそれだけという訳ではなく、美人画を得意とした画家達による作品も合わせて紹介するという内容となっています。特にメモは取ってきませんでしたが、構成は4つの章に分かれていましたのでそれに沿って簡単に内容を振り返ってみようと思います。
(過去に上村松園については詳しく書いた記事がいくつかあるので、上村松園の詳細を知りたい方はそちらをご参照ください。特に国近美が網羅的な展示でした)
参考記事:
上村松園と鏑木清方展 (平塚市美術館)
和のよそおい -松園・清方・深水- (山種美術館)
上村松園展 (東京国立近代美術館)
上村松園 素描、下絵と本画 (川村記念美術館)
没後60年記念上村松園/美人画の粋(すい) (山種美術館)
<第1章 上村松園-香り高き珠玉の美->
まず最初に上村松園の作品が並んでいます。今回は山種美術館の上村松園コレクションは全て出品されているので、それらがズラッと並ぶのは壮観です。特に見どころはポスターにもなっている「新蛍」で、蚊帳を張る女性がふと足元にいる蛍に気づいて目を向けるという光景が描かれています。こうした穏やかで清廉な印象を受けるのが上村松園の特徴とも言えると思うのですが、上村松園は「女性は美しければよい、という気持ちで描いたことは一度もない。一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」と語っていたそうで、鑑賞者の気持ちも清らかにするような絵を目指していたようです。この章ではその目指したものが十分に体験できると思います。また、「新蛍」では技巧的な意味でも見どころで、女性の着物が蚊帳の向こうに透けて見えるというのが面白いです。これは「夕べ」でも観られる表現で、上村松園の得意な技法とも言えそうです。
他に注目して観たいのが女性たちの髪型と服装です。上村松園は和髪に愛着があったそうで、各身分の女性の髪型を丁寧に描き分けています。また、着物も身分や季節感に合ったものとなっていて、女性だからこそのこだわりが瑞々しい表現に繋がっているのは間違いないと思います。昔は女性が画家として生計を立てるというのは非常に辛いものがあったようですが、そうした苦労は画面に出さず 己が美しいと思った理想的な女性像を描いているように思いました。 ちなみに上村松園は良い絵を描く人は人格も素晴らしいと考えていたそうです。 上村松園はきっとそういう人だったのかもしれませんが、有名画家にはとんでもない変態と畜生が揃っているので賛同は出来ないかなw
<第2章 文学と歴史を彩った女性たち>
こちらは文学や歴史をテーマにした美人画が並ぶコーナーです。ここにも1点だけ上村松園の作品があり、この展覧会で唯一撮影可能となっていました。
上村松園「砧」

こちらは元禄期の女性を描いているようです。そうと言われないといつの時代か素人には分からないですが、髪型や服装がその時代の風俗を表しているようでした。
ここには小林古径の「清姫」などもありました。安珍・清姫伝説を題材とした作品で、能では「道成寺」として有名な話ですが、小林古径の自由な発想力が面白い作品です。他にも森田曠平の「出雲阿国」や片岡球子の「北斎の娘おゑい」といったインパクトのある強い画風の作品などもあり、多彩な画風の作品が並んでいました。
<第3章 舞妓と芸妓>
ここは点数もそれほどなかったのですが、タイトル通りに舞妓と芸妓をテーマにした作品が並んでいます。ここで最も目を引くのは小倉遊亀の「舞う(舞妓)」と「舞う(芸者)」の2点じゃないかな。小倉遊亀も女性画家ですが、躍動的で力強い雰囲気の作風なので上村松園とはだいぶ異なります。小倉遊亀の目指した方向性もまた面白くて圧倒されました。
ここには美人画の名手として名高い伊東深水の作品などもありました。
<第4章 古今の美人-和装の域・洋装の華>
この章だけ前期・後期の入れ替えがあるようです。
ここは江戸時代の作品からかなり最近まで幅広い時代の作品が並んでいます。鈴木春信や鳥居清長といった美人画のパイオニアから、大首絵で人気を博した喜多川歌麿、明治期の錦絵で活躍した月岡芳年、菱田春草や伊藤小坡、鏑木清方、伊東深水など女性像に定評がある巨匠たちの作品が並びます。ここで私が一押ししたいのは月岡芳年の「○○さう」と書かれた「風俗三十二相」です。生活の中にある様々な感情を描いたこのシリーズは、非常に親近感を覚えて、単に美しいだけでなく愛らしさを感じさせます。凄い傑作です。
参考記事:
没後120年記念 月岡芳年 感想後編(太田記念美術館)
東京国立博物館の案内(2009年11月)
江戸東京博物館の案内(絵画編 2009年12月)
他にも和田英作の「黄衣の少女」なども好みの作品なので久々に観られて良かったです。
ということで、上村松園だけでなく沢山の画家の美人画を観ることができました。各画風を比べて観ると、上村松園は女性らしいこだわりの視点で女性を観ているところや、清廉な雰囲気で描こうとしていた点が他の画家とは異なっていたのかもしれません。人気の展示ですので気になる方は会期末になる前に早めに行くことをお勧めします。

【展覧名】
上村松園-美人画の精華-
【公式サイト】
http://www.yamatane-museum.jp/exh/2017/uemurashoen.html
【会場】山種美術館
【最寄】恵比寿駅
【会期】2017年8月29日(火)~10月22日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
予想通り結構な混み具合で、たまに人だかりが出来ている作品もありました。山種美術館では定期的に上村松園展が行われますが、毎回人気を集めていて特に会期末は混むので、早めに行っておきました。
さて、この展示は京都で活躍した女性画家である上村松園を冠するタイトルとなっていますが、山種美術館が所蔵する上村松園の作品は18点なのでそれだけという訳ではなく、美人画を得意とした画家達による作品も合わせて紹介するという内容となっています。特にメモは取ってきませんでしたが、構成は4つの章に分かれていましたのでそれに沿って簡単に内容を振り返ってみようと思います。
(過去に上村松園については詳しく書いた記事がいくつかあるので、上村松園の詳細を知りたい方はそちらをご参照ください。特に国近美が網羅的な展示でした)
参考記事:
上村松園と鏑木清方展 (平塚市美術館)
和のよそおい -松園・清方・深水- (山種美術館)
上村松園展 (東京国立近代美術館)
上村松園 素描、下絵と本画 (川村記念美術館)
没後60年記念上村松園/美人画の粋(すい) (山種美術館)
<第1章 上村松園-香り高き珠玉の美->
まず最初に上村松園の作品が並んでいます。今回は山種美術館の上村松園コレクションは全て出品されているので、それらがズラッと並ぶのは壮観です。特に見どころはポスターにもなっている「新蛍」で、蚊帳を張る女性がふと足元にいる蛍に気づいて目を向けるという光景が描かれています。こうした穏やかで清廉な印象を受けるのが上村松園の特徴とも言えると思うのですが、上村松園は「女性は美しければよい、という気持ちで描いたことは一度もない。一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」と語っていたそうで、鑑賞者の気持ちも清らかにするような絵を目指していたようです。この章ではその目指したものが十分に体験できると思います。また、「新蛍」では技巧的な意味でも見どころで、女性の着物が蚊帳の向こうに透けて見えるというのが面白いです。これは「夕べ」でも観られる表現で、上村松園の得意な技法とも言えそうです。
他に注目して観たいのが女性たちの髪型と服装です。上村松園は和髪に愛着があったそうで、各身分の女性の髪型を丁寧に描き分けています。また、着物も身分や季節感に合ったものとなっていて、女性だからこそのこだわりが瑞々しい表現に繋がっているのは間違いないと思います。昔は女性が画家として生計を立てるというのは非常に辛いものがあったようですが、そうした苦労は画面に出さず 己が美しいと思った理想的な女性像を描いているように思いました。 ちなみに上村松園は良い絵を描く人は人格も素晴らしいと考えていたそうです。 上村松園はきっとそういう人だったのかもしれませんが、有名画家にはとんでもない変態と畜生が揃っているので賛同は出来ないかなw
<第2章 文学と歴史を彩った女性たち>
こちらは文学や歴史をテーマにした美人画が並ぶコーナーです。ここにも1点だけ上村松園の作品があり、この展覧会で唯一撮影可能となっていました。
上村松園「砧」

こちらは元禄期の女性を描いているようです。そうと言われないといつの時代か素人には分からないですが、髪型や服装がその時代の風俗を表しているようでした。
ここには小林古径の「清姫」などもありました。安珍・清姫伝説を題材とした作品で、能では「道成寺」として有名な話ですが、小林古径の自由な発想力が面白い作品です。他にも森田曠平の「出雲阿国」や片岡球子の「北斎の娘おゑい」といったインパクトのある強い画風の作品などもあり、多彩な画風の作品が並んでいました。
<第3章 舞妓と芸妓>
ここは点数もそれほどなかったのですが、タイトル通りに舞妓と芸妓をテーマにした作品が並んでいます。ここで最も目を引くのは小倉遊亀の「舞う(舞妓)」と「舞う(芸者)」の2点じゃないかな。小倉遊亀も女性画家ですが、躍動的で力強い雰囲気の作風なので上村松園とはだいぶ異なります。小倉遊亀の目指した方向性もまた面白くて圧倒されました。
ここには美人画の名手として名高い伊東深水の作品などもありました。
<第4章 古今の美人-和装の域・洋装の華>
この章だけ前期・後期の入れ替えがあるようです。
ここは江戸時代の作品からかなり最近まで幅広い時代の作品が並んでいます。鈴木春信や鳥居清長といった美人画のパイオニアから、大首絵で人気を博した喜多川歌麿、明治期の錦絵で活躍した月岡芳年、菱田春草や伊藤小坡、鏑木清方、伊東深水など女性像に定評がある巨匠たちの作品が並びます。ここで私が一押ししたいのは月岡芳年の「○○さう」と書かれた「風俗三十二相」です。生活の中にある様々な感情を描いたこのシリーズは、非常に親近感を覚えて、単に美しいだけでなく愛らしさを感じさせます。凄い傑作です。
参考記事:
没後120年記念 月岡芳年 感想後編(太田記念美術館)
東京国立博物館の案内(2009年11月)
江戸東京博物館の案内(絵画編 2009年12月)
他にも和田英作の「黄衣の少女」なども好みの作品なので久々に観られて良かったです。
ということで、上村松園だけでなく沢山の画家の美人画を観ることができました。各画風を比べて観ると、上村松園は女性らしいこだわりの視点で女性を観ているところや、清廉な雰囲気で描こうとしていた点が他の画家とは異なっていたのかもしれません。人気の展示ですので気になる方は会期末になる前に早めに行くことをお勧めします。
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先週の土曜日に うらわ美術館でコレクション交流展「Musubu―本とアート : 東京―カリフォルニア―うらわ」を観てきました。この記事を書いている時点で残り1日となってしまいましたが、面白い内容でしたのでご紹介しておこうと思います。

【展覧名】
コレクション交流展「Musubu―本とアート : 東京―カリフォルニア―うらわ」
【公式サイト】
http://www.city.saitama.jp/urawa-art-museum/exhibition/whatson/exhibition/p055525.html
【会場】うらわ美術館
【最寄】浦和駅
【会期】2017年9月12日(火)~9月24日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。無料で観られたのも嬉しい。
さて、この展示はうらわ美術館が得意とする本に関する展示で、カルフォルニアと東京で活動するブックアーティストの作品を紹介する内容となっています。54点ほどあり、中には古い作品もありますが大半はここ数年以内に作られたものとなっていました。気になったものを一言くらいずつメモを取ったので、簡単にいくつか作品をご紹介しようと思います。
藤井敬子「アリス・B・トラクスの料理本」
これは今回のポスターにもなっている緑色の幾何学模様の本です。何処と無く草や竹林を想像するような見た目ですが、料理本のようです。非常に洗練されたデザインが好みだけど、内容伝わるかな?w
中尾あむ「きものの着付け」
こちらはジグザグに重ねて折った(つづら折り)折本で結構小さめです。中身を観るとタイトル通りの着物の着付けをイラストで描いていて、それが可愛らしい雰囲気で好み。普通の本よりもつづら折りの方が広げっぱなしにしやすいので、着付けをしながら観るにはこっちのほうが便利そうでした。
中野裕子「水茎の跡は」
こちらは2つのピラミッドを底同士でくっつけたような、菱形の容器に見える本です。どうやって中身を読むのか、先端の部分はページになっているのか、まったく想像も出来ない形でした。
佐藤真紀「半衿刺繍型紙帖」
こちらはA3くらいある大きな折本です。草花文が表されていて、タイトルから察するに刺繍の型に使うのかな? 洒脱な印象を受けるデザインが好みでした。
田口洋子「<ヨーロッパ>切手コレクション」
こちらはタイトル通りに様々な切手が並んでいる折本。切手の絵柄や色合いも洒落ていますが、本自体も仔牛の革が使われているなど豪華な印象を受けました。この展覧会で最も自分の部屋に欲しいと思ったのはこれかなw
津村明子「本所七不思議」
こちらはお菓子の箱のように見えましたが、中に小さな折本がいくつか入っていました。また、作品リストの素材欄に豆とか種とか書いてあるのが気になりましたw
ALEEXSNDER Jody「Boro Vessel:Topsy Turvy,Inside Out」
これは布で出来た本で、上記のポスターにも載っています。幾何学的なテキスタイルのような感じで、本の形はしているものの読本という訳では無さそうでしたが、発想が面白い作品です。
KOKIN Lisa「Lost in Translation」
これはフランス語の辞書のページを古新聞のように折ったものを幾つも作り、それを紐で連ねてオブジェのようにしたものです。紐を解かないと読めないし、もはや本ではありませんw しかし見た目は洒落たアクセサリーのようで面白さがありました。
KIRING Bryan「Moveable Diorama Box Book」
これは本というか箱のような形で、横から中を覗くと海に浮かぶヨットが観られるようになっていました。飛び出す絵本の要領で遠近法のようになっているのが面白く、まさに持ち運びできるジオラマといった感じです。
MUNSON Howard「The Artist's Reunion」
これは飛び出す絵本のような感じのアコーディオン型で、ピエロたちが沢山出て来る本です。かなり凝った作りになっていて見応えがあるので飾る用なのかも。
WILKES Kenneth「IN-BETWEEN」
これは六曲一隻の屏風のような形の本です。そこに抽象的な人物像が描かれていて、日本的な媒体に西洋的な雰囲気の絵となっているのが面白かったです。
ウィリアム・モリス/エドワード・バーン=ジョーンズ「ジェフリー・チョーサー作品集」
これは美術好きの間では有名かも。出版史上最も美しいと言われている豪華本で、アーツ・アンド・クラフツを提唱したウィリアム・モリスとラファエル前派に深く関わったエドワード・バーン=ジョーンズによるものです。(上記のポスターにも載っています) 装飾性が高く、様式化された草花紋で囲われた中に洗練されたフォントで書かれた文字や、神話的な挿絵など、非常に完成度の高い本となっています
リチャード・アヴェドン他 「コンヴェックス・ミラー(凸面鏡)の自画像」
こちらはレコードのような円形に自画像や文字が描かれています。これも本というよりはレコードにしか思えませんが、発想の自由さが面白かったです。
ということで、一言に本と言っても色々な形があって楽しめました。昨今は電子書籍が徐々に盛り上がってきていますが、本とは何か?と挑戦する作品や装丁の美しさ・面白さを再認識できる内容だと思います。(今回挙げたものはamazonで探しても出てこないものばかりです) もう会期がほとんど残っていませんが、ブックアートが好きな方向けの展示だと思います。


【展覧名】
コレクション交流展「Musubu―本とアート : 東京―カリフォルニア―うらわ」
【公式サイト】
http://www.city.saitama.jp/urawa-art-museum/exhibition/whatson/exhibition/p055525.html
【会場】うらわ美術館
【最寄】浦和駅
【会期】2017年9月12日(火)~9月24日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。無料で観られたのも嬉しい。
さて、この展示はうらわ美術館が得意とする本に関する展示で、カルフォルニアと東京で活動するブックアーティストの作品を紹介する内容となっています。54点ほどあり、中には古い作品もありますが大半はここ数年以内に作られたものとなっていました。気になったものを一言くらいずつメモを取ったので、簡単にいくつか作品をご紹介しようと思います。
藤井敬子「アリス・B・トラクスの料理本」
これは今回のポスターにもなっている緑色の幾何学模様の本です。何処と無く草や竹林を想像するような見た目ですが、料理本のようです。非常に洗練されたデザインが好みだけど、内容伝わるかな?w
中尾あむ「きものの着付け」
こちらはジグザグに重ねて折った(つづら折り)折本で結構小さめです。中身を観るとタイトル通りの着物の着付けをイラストで描いていて、それが可愛らしい雰囲気で好み。普通の本よりもつづら折りの方が広げっぱなしにしやすいので、着付けをしながら観るにはこっちのほうが便利そうでした。
中野裕子「水茎の跡は」
こちらは2つのピラミッドを底同士でくっつけたような、菱形の容器に見える本です。どうやって中身を読むのか、先端の部分はページになっているのか、まったく想像も出来ない形でした。
佐藤真紀「半衿刺繍型紙帖」
こちらはA3くらいある大きな折本です。草花文が表されていて、タイトルから察するに刺繍の型に使うのかな? 洒脱な印象を受けるデザインが好みでした。
田口洋子「<ヨーロッパ>切手コレクション」
こちらはタイトル通りに様々な切手が並んでいる折本。切手の絵柄や色合いも洒落ていますが、本自体も仔牛の革が使われているなど豪華な印象を受けました。この展覧会で最も自分の部屋に欲しいと思ったのはこれかなw
津村明子「本所七不思議」
こちらはお菓子の箱のように見えましたが、中に小さな折本がいくつか入っていました。また、作品リストの素材欄に豆とか種とか書いてあるのが気になりましたw
ALEEXSNDER Jody「Boro Vessel:Topsy Turvy,Inside Out」
これは布で出来た本で、上記のポスターにも載っています。幾何学的なテキスタイルのような感じで、本の形はしているものの読本という訳では無さそうでしたが、発想が面白い作品です。
KOKIN Lisa「Lost in Translation」
これはフランス語の辞書のページを古新聞のように折ったものを幾つも作り、それを紐で連ねてオブジェのようにしたものです。紐を解かないと読めないし、もはや本ではありませんw しかし見た目は洒落たアクセサリーのようで面白さがありました。
KIRING Bryan「Moveable Diorama Box Book」
これは本というか箱のような形で、横から中を覗くと海に浮かぶヨットが観られるようになっていました。飛び出す絵本の要領で遠近法のようになっているのが面白く、まさに持ち運びできるジオラマといった感じです。
MUNSON Howard「The Artist's Reunion」
これは飛び出す絵本のような感じのアコーディオン型で、ピエロたちが沢山出て来る本です。かなり凝った作りになっていて見応えがあるので飾る用なのかも。
WILKES Kenneth「IN-BETWEEN」
これは六曲一隻の屏風のような形の本です。そこに抽象的な人物像が描かれていて、日本的な媒体に西洋的な雰囲気の絵となっているのが面白かったです。
ウィリアム・モリス/エドワード・バーン=ジョーンズ「ジェフリー・チョーサー作品集」
これは美術好きの間では有名かも。出版史上最も美しいと言われている豪華本で、アーツ・アンド・クラフツを提唱したウィリアム・モリスとラファエル前派に深く関わったエドワード・バーン=ジョーンズによるものです。(上記のポスターにも載っています) 装飾性が高く、様式化された草花紋で囲われた中に洗練されたフォントで書かれた文字や、神話的な挿絵など、非常に完成度の高い本となっています
リチャード・アヴェドン他 「コンヴェックス・ミラー(凸面鏡)の自画像」
こちらはレコードのような円形に自画像や文字が描かれています。これも本というよりはレコードにしか思えませんが、発想の自由さが面白かったです。
ということで、一言に本と言っても色々な形があって楽しめました。昨今は電子書籍が徐々に盛り上がってきていますが、本とは何か?と挑戦する作品や装丁の美しさ・面白さを再認識できる内容だと思います。(今回挙げたものはamazonで探しても出てこないものばかりです) もう会期がほとんど残っていませんが、ブックアートが好きな方向けの展示だと思います。
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1週間ほど続いた山梨北杜編も今回で最終回です。前回ご紹介した清春芸術村の中にある清春白樺美術館で「白樺派の世界展」を観てきました。この展示は既に終了していますが、恐らく常設に近い内容だと思いますのでご紹介しておこうと思います。

【展覧名】
白樺派の世界展 志賀直哉コレクションを中心として
【公式サイト】
http://www.kiyoharu-art.com/museum/index.htm
【会場】清春白樺美術館
【最寄】長坂駅
【会期】2017年7月11日(火)~9月10日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
前々回でもご紹介しましたが、美術館の外観はこんな感じ。

清春芸術村と同じチケットで入れます。
さて、この美術館はその名前からしても分かるように武者小路実篤や志賀直哉などが発行していた雑誌『白樺』のメンバーが創設を夢見ていたものの、幻となっていた美術館を、親交のあった吉井長三 氏が実現したものです。白樺派は文人だけでなく多くの芸術家が参加していて、梅原龍三郎や岸田劉生といった画家や、バーナード・リーチ、柳宗悦といった民藝運動にも深く関わったメンバーもいました。そして、白樺ではゴッホ、セザンヌ、ロダン等、まだ日本では知られていなかった美術を紹介するなど、日本の美術界の発展にも寄与していたようです。 その為、この美術館にはそうしたゆかりの芸術家の作品が集められ展示されていました。
参考記事:柳宗悦展-暮らしへの眼差し (そごう美術館)
美術館の中はそれほど広くないので30分くらいで観終わりますが、大きく分けて2つに分けることができます。まずは第一展示室で、こちらは今回の企画展が開催されていました。ごく簡単にご紹介すると(出品リストを失くしてメモも取ってなかったので1ヶ月前の記憶頼りですが)企画展には梅原龍三郎(油彩数点、書簡や筆・パレットなども)、岸田劉生、椿貞雄、児島喜久雄、有島生馬といった画家メンバーの作品や、高村光太郎などの陶芸・彫刻作品などが1~2点程度ずつありました。それ以外に志賀直哉旧蔵の品々の中に尾形乾山とかもあったかな。もちろんそれらの作品も素晴らしいのですが、ちょっと驚いたのが志賀直哉や武者小路実篤、高村智恵子による絵画で、これが中々モダンな絵でよく出来た作品でした。他には「白樺」の各号が並んでいたりします。 ゴッホも小品があったように思いますが公式サイトを観ると、他にも少数ながらセザンヌやピカソといった画家やロダン、ブールデルといった彫刻家の作品もコレクションにあるようです(忘れただけでこの部屋にもあったかもw)ので、時期によってはそうした作品も観られると思います。
そしてもう1つが第二展示室のルオーコレクションです。こちらは常設展示らしく、油彩が数点と版画15点程度ありました。大半はキリストの「ミセレーレ」のモノクロ版画となっていますが、版画となっても重厚かつ厳かな雰囲気は失われておらず、画面は平坦なのにルオー独自の厚塗りの力強さと同様のものが感じられます。
参考記事:ジョルジュ・ルオー 名画の謎 展 (パナソニック 汐留ミュージアム)
また、ここにはルオーが使っていた絵筆や絵の具なんかもありました。その他、日本人彫刻家によるルオー像やロダンの作品が数点あったと記憶しています。
ということで、それほど大きくない美術館でしたが、白樺派に関する芸術家が一堂に会するという白樺派の夢が叶えられた美術館でした。清春芸術村は色々な建物があって面白いですが、この美術館は特に見どころと言えそうです。行く前に白樺派のメンバーと紹介されていた芸術家について知っておくと、より楽しめると思います。
これで北杜編は終了です。

【展覧名】
白樺派の世界展 志賀直哉コレクションを中心として
【公式サイト】
http://www.kiyoharu-art.com/museum/index.htm
【会場】清春白樺美術館
【最寄】長坂駅
【会期】2017年7月11日(火)~9月10日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
前々回でもご紹介しましたが、美術館の外観はこんな感じ。

清春芸術村と同じチケットで入れます。
さて、この美術館はその名前からしても分かるように武者小路実篤や志賀直哉などが発行していた雑誌『白樺』のメンバーが創設を夢見ていたものの、幻となっていた美術館を、親交のあった吉井長三 氏が実現したものです。白樺派は文人だけでなく多くの芸術家が参加していて、梅原龍三郎や岸田劉生といった画家や、バーナード・リーチ、柳宗悦といった民藝運動にも深く関わったメンバーもいました。そして、白樺ではゴッホ、セザンヌ、ロダン等、まだ日本では知られていなかった美術を紹介するなど、日本の美術界の発展にも寄与していたようです。 その為、この美術館にはそうしたゆかりの芸術家の作品が集められ展示されていました。
参考記事:柳宗悦展-暮らしへの眼差し (そごう美術館)
美術館の中はそれほど広くないので30分くらいで観終わりますが、大きく分けて2つに分けることができます。まずは第一展示室で、こちらは今回の企画展が開催されていました。ごく簡単にご紹介すると(出品リストを失くしてメモも取ってなかったので1ヶ月前の記憶頼りですが)企画展には梅原龍三郎(油彩数点、書簡や筆・パレットなども)、岸田劉生、椿貞雄、児島喜久雄、有島生馬といった画家メンバーの作品や、高村光太郎などの陶芸・彫刻作品などが1~2点程度ずつありました。それ以外に志賀直哉旧蔵の品々の中に尾形乾山とかもあったかな。もちろんそれらの作品も素晴らしいのですが、ちょっと驚いたのが志賀直哉や武者小路実篤、高村智恵子による絵画で、これが中々モダンな絵でよく出来た作品でした。他には「白樺」の各号が並んでいたりします。 ゴッホも小品があったように思いますが公式サイトを観ると、他にも少数ながらセザンヌやピカソといった画家やロダン、ブールデルといった彫刻家の作品もコレクションにあるようです(忘れただけでこの部屋にもあったかもw)ので、時期によってはそうした作品も観られると思います。
そしてもう1つが第二展示室のルオーコレクションです。こちらは常設展示らしく、油彩が数点と版画15点程度ありました。大半はキリストの「ミセレーレ」のモノクロ版画となっていますが、版画となっても重厚かつ厳かな雰囲気は失われておらず、画面は平坦なのにルオー独自の厚塗りの力強さと同様のものが感じられます。
参考記事:ジョルジュ・ルオー 名画の謎 展 (パナソニック 汐留ミュージアム)
また、ここにはルオーが使っていた絵筆や絵の具なんかもありました。その他、日本人彫刻家によるルオー像やロダンの作品が数点あったと記憶しています。
ということで、それほど大きくない美術館でしたが、白樺派に関する芸術家が一堂に会するという白樺派の夢が叶えられた美術館でした。清春芸術村は色々な建物があって面白いですが、この美術館は特に見どころと言えそうです。行く前に白樺派のメンバーと紹介されていた芸術家について知っておくと、より楽しめると思います。
これで北杜編は終了です。
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前回に引き続き、山梨県の長坂にある清春芸術村の写真です。今日は敷地内の建物と、周辺施設についてご紹介しようと思います。(この芸術村については前編に記載していますので、前編を読んでいない方は前編を先に読んでください。)
公式サイト:http://www.kiyoharu-art.com/
こちらはルオー礼拝堂。ジョルジュ・ルオーゆかりの品を譲り受けたのをを記念して建てられた礼拝堂です。

設計は谷口吉生 氏ということで、同じ敷地内にある白樺美術館と同じだそうです。
こちらは入口の上にはめ込まれたステンドグラス。

これを作ったのはジョルジュ・ルオー本人で、これと祭壇のキリスト像をルオーの次女から貰ったことをきっかけに礼拝堂を建てたようです。
中はこんな感じ。

礼拝堂だけど打ちっぱなしのコンクリートで現代的な感じを受けます。
壁にはルオーの版画の代表作「ミセレーレ」が掛けられていました。

宗教画を多く手掛けたルオーの作品でも特にこれはキリストを題材にしたものなのでピッタリかも。
こちらは2011年にできた「光の美術館」 設計は安藤忠雄 氏です。

中はスペインの抽象画家アントニ・クラーベの作品が10点程度並んでいました。10分くらいで観られると思います。
特別に許可を頂いて中を撮らせて頂きました(普段は撮影NGです) これは天井を撮ったものです。

この美術館の特徴は人口照明が全くないことで、降り注ぐ光のみで鑑賞する点がユニークです。まさに光の美術館。
敷地内には様々な彫刻も置かれています。
こちらはフランスの彫刻家セザール(セザール・バルダッチーニ)の「親指」

親指そのものw 指紋までくっきり表れているのが何だか可笑しい。
こちらは岡本太郎の作品(無題)

現代的でありながら何処と無く縄文時代のような造形が独特です。
こちらはH.TANAKA「遠望」

ちょっと作者が思い当たらないですが、肉感的な彫像となっていました。
他にも白樺美術館の前には可愛らしい彫刻が並びます。

白樺美術館については次回ご紹介の予定です。
清春芸術村の写真は以上で、続いてはすぐ近くにある別の施設の写真となります。
こちらはラ・リューシュから50mくらいのところにある素透撫。

岩波文庫の創刊に携わった随筆家で画家でもある小林冬青の旧宅「冬青庵」を鎌倉から移築し改修したレストランで、現代美術作家の杉本博司 氏がデザインしたそうです。
公式サイト:http://www.stove-kiyoharu.com/
私が芸術村に行った時は開いていましたが、帰る頃には閉まっていました。(ランチとディナーの間の時間だった模様)

高級店のようですが、内装も非常に洒落ているようなので清春芸術村に行くついでにここでお食事するのも良さそうです。
素透撫の正面には北杜市長坂郷土資料館もあります。

公式サイト:http://www.city.hokuto.yamanashi.jp/docs/4737.html
ここは時間がなくて寄りませんでしたが、地元に関する資料展示を行っているようです。
清春芸術村から長坂駅方面に300mくらい行くと一般財団法人アフリカンアートミュージアムもあります。美術館本体が遠くからは見えなかったので看板ですがw

公式サイト:http://www.africanartmuseum.jp/index.html
ここは本当は寄る予定だったのですが、清春芸術村に向かう時にタクシーがいなかったという痛恨の不運で観に行く時間が無くなりました。アフリカの彫刻作品などが展示されているようです。
ということで、北杜市という東京ではあまり知られていない所に清春芸術村をはじめ、様々な芸術関連施設が密集していました。山梨県の北西部ということで電車での日帰りはかなりキツかったですが道中の風景も含めて楽しめました。秋の行楽シーズンにミニ旅行を考えている方は参考にして頂ければと思います。
次回は北杜編の最終回で、清春芸術村の白樺美術館についてご紹介しようと思います。
おまけ:
長坂駅で帰りの電車を待っていた時、豪華列車として今年5月に就航したTRAIN SUITE 四季島に遭遇しました。
この1週間前に親戚に会いに古河に行った際にも目撃していたし、上野駅周辺で何度も観ているので四季島って沢山いるのかな?と思ったら単なる偶然のようですw
公式サイト:http://www.kiyoharu-art.com/
こちらはルオー礼拝堂。ジョルジュ・ルオーゆかりの品を譲り受けたのをを記念して建てられた礼拝堂です。

設計は谷口吉生 氏ということで、同じ敷地内にある白樺美術館と同じだそうです。
こちらは入口の上にはめ込まれたステンドグラス。

これを作ったのはジョルジュ・ルオー本人で、これと祭壇のキリスト像をルオーの次女から貰ったことをきっかけに礼拝堂を建てたようです。
中はこんな感じ。

礼拝堂だけど打ちっぱなしのコンクリートで現代的な感じを受けます。
壁にはルオーの版画の代表作「ミセレーレ」が掛けられていました。

宗教画を多く手掛けたルオーの作品でも特にこれはキリストを題材にしたものなのでピッタリかも。
こちらは2011年にできた「光の美術館」 設計は安藤忠雄 氏です。


中はスペインの抽象画家アントニ・クラーベの作品が10点程度並んでいました。10分くらいで観られると思います。
特別に許可を頂いて中を撮らせて頂きました(普段は撮影NGです) これは天井を撮ったものです。

この美術館の特徴は人口照明が全くないことで、降り注ぐ光のみで鑑賞する点がユニークです。まさに光の美術館。
敷地内には様々な彫刻も置かれています。
こちらはフランスの彫刻家セザール(セザール・バルダッチーニ)の「親指」


親指そのものw 指紋までくっきり表れているのが何だか可笑しい。
こちらは岡本太郎の作品(無題)

現代的でありながら何処と無く縄文時代のような造形が独特です。
こちらはH.TANAKA「遠望」

ちょっと作者が思い当たらないですが、肉感的な彫像となっていました。
他にも白樺美術館の前には可愛らしい彫刻が並びます。

白樺美術館については次回ご紹介の予定です。
清春芸術村の写真は以上で、続いてはすぐ近くにある別の施設の写真となります。
こちらはラ・リューシュから50mくらいのところにある素透撫。

岩波文庫の創刊に携わった随筆家で画家でもある小林冬青の旧宅「冬青庵」を鎌倉から移築し改修したレストランで、現代美術作家の杉本博司 氏がデザインしたそうです。
公式サイト:http://www.stove-kiyoharu.com/
私が芸術村に行った時は開いていましたが、帰る頃には閉まっていました。(ランチとディナーの間の時間だった模様)

高級店のようですが、内装も非常に洒落ているようなので清春芸術村に行くついでにここでお食事するのも良さそうです。
素透撫の正面には北杜市長坂郷土資料館もあります。

公式サイト:http://www.city.hokuto.yamanashi.jp/docs/4737.html
ここは時間がなくて寄りませんでしたが、地元に関する資料展示を行っているようです。
清春芸術村から長坂駅方面に300mくらい行くと一般財団法人アフリカンアートミュージアムもあります。美術館本体が遠くからは見えなかったので看板ですがw

公式サイト:http://www.africanartmuseum.jp/index.html
ここは本当は寄る予定だったのですが、清春芸術村に向かう時にタクシーがいなかったという痛恨の不運で観に行く時間が無くなりました。アフリカの彫刻作品などが展示されているようです。
ということで、北杜市という東京ではあまり知られていない所に清春芸術村をはじめ、様々な芸術関連施設が密集していました。山梨県の北西部ということで電車での日帰りはかなりキツかったですが道中の風景も含めて楽しめました。秋の行楽シーズンにミニ旅行を考えている方は参考にして頂ければと思います。
次回は北杜編の最終回で、清春芸術村の白樺美術館についてご紹介しようと思います。
おまけ:
長坂駅で帰りの電車を待っていた時、豪華列車として今年5月に就航したTRAIN SUITE 四季島に遭遇しました。
この1週間前に親戚に会いに古河に行った際にも目撃していたし、上野駅周辺で何度も観ているので四季島って沢山いるのかな?と思ったら単なる偶然のようですw
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前回まで山梨県北杜市の甲斐小泉駅周辺についてでしたが、今日から同じ北杜市の中央線沿線の長坂駅周辺についてです。この長坂にはいくつか美術館や博物館などがあり、その中の1つ「清春芸術村」に行ってきました。割と多めに写真を撮ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

公式サイト:http://www.kiyoharu-art.com/
駅からタクシーの予定でしたが、駅前のタクシーが全部出払っているという計算違いがありましたw 2社もあるのに…。バスも絶望的に少ないです。
仕方なく歩いて行ったのですが、駅からはアップダウンがあり30分ほどかかりました。地図で観ると直線距離は近いけど道が曲がりくねってます。
こちらが清春芸術村の入口

元々は小学校の敷地だったところを吉井画廊の社長である吉井長三が私財を投じてここに芸術村を作ったそうです。
清春芸術村の地図はこんな感じ。確かに広めの小学校くらいの敷地に様々な建物が点在しています。

清春芸術村の基本設計は、東宮御所や帝国劇場の設計者でもある谷口吉郎が手がけたそうです。2000年からは岸田劉生のお孫さんが館長を務めているのだとか。
この芸術村に来るとまず目に入るのがこちら。パリのラ・リューシュ(蜂の巣)を模した建物。

オリジナルはフランスのギュスターブ・エッフェルによって建てられたアール・ヌーヴォー様式の集合アトリエで、シャガールを始めキスリング、レジェ、スーティン、モディリアーニといった画家たち、ザッキンやアーキペンコ、ブランクーシといった彫刻家たちも住んでいたことがあります。(これは移築ではないのでオリジナルはパリのモンパルナスに残っています。一時はオリジナル取り壊しの話があったのでその時は移築を計画していたようです)
ちょっと引きで撮ったもの。草原の真ん中にあるので建物全体を見渡せます。円形なのでグルッと周っても似た感じ。非常に美しい建物です。

実はこのラ・リューシュ、現役のアトリエとしても使われているようです。うろ覚えですが2階は絵画用で1階は彫刻用だったかな。彫刻は重いし。
年間2万円のサポーター会員になると、この建物をアトリエとして使う機会が持てるそうです(前提として創作活動をする人が対象)確か宿泊費は別途かかると聞きましたが、中は生活設備も整っているようです。

何故か公式サイトには詳しいことが書いてありませんが、興味がある方はこの画像をクリックして拡大して観てください。
本格的に中に入ることは出来ませんでしたので、入口から見える光景だけ撮ってきました。

岡本太郎の椅子と絵が見えましたw
1階は所々部屋が開いていて制作風景を覗くことができました。
こちらは ヤマナカ産業、N設計アトリエ、松本工務店による「てっぺんの枝とステ木なひみつきち」

これは観覧者参加型の木をテーマにした作品で、靴を脱いで中に入ることもできました。タイトル通り木で基地を作る感じ。
ラ・リューシュに住んでいたオシップ・ザッキンの作品も建物の入口付近にあります。
オシップ・ザッキン「メッセンジャー」

キュビスムやアフリカ彫刻に影響を受けている彫刻家なので、この作品でもそれが感じられます。
入口ではスケッチ道具も貸し出していました。

時間があったら私も描きたかったですが、時間がなかったので代わりに敷地内で写真を撮りまくりましたw
ミュージアムショップのような所もあります。

ここではかつて名画が入っていた額縁が格安で売られていました。自分の作品を入れるのに欲しかったけど電車で持って帰るのは至難なのでやめましたw
ラ・リューシュ以外にも制作施設もいくつかあります。こちらは清春電気窯

陶芸体験やワークショップが開かれることもあるようです。
こちらは移動アトリエ。

フランスのシトロエンを改造したもので、梅原龍三郎や奥村土牛が使用していたそうです。
これは白樺図書館。

この芸術村は白樺派のメンバーが夢見た美術館を実現した施設があるので、白樺派にちなんだ図書館となっていました。ゆかりの文学作品や美術書があります。
こちらは清春白樺美術館。白樺派が愛したルオー等の作品が展示されています。

この他にもう1つ小さな美術館があります。いずれの美術館も後日ご紹介の予定です。
こちらはレストラン。

確かフランス料理だったかな。時間がなくて寄れませんでした。
こちらは梅原龍三郎のアトリエを移築してきたもの。

元々は新宿区市谷にあったそうです。設計は吉田五十八。
サポーター会員なら中に入れるようですが、私は会員ではないので窓の外から撮影。

部屋は24畳だそうで、結構広いです。壁の色が梅原龍三郎っぽい色かもw
古いテーブルなどもありました。

一度は中に入ってみたい…。
梅原龍三郎のアトリエの近くに、小林秀雄の桜というのがありました。

小林秀雄は文芸評論家で、この桜は鎌倉の旧宅から移植されたそうです。ちなみにこの芸術村は桜の名所らしく「清春のサクラ群」として山梨県の天然記念物にも指定されているのだとか。
またラ・リューシュ近くの原っぱの近くに戻ると、謎のハシゴがありました。

実はこれはエッフェル塔の階段で、建設100周年の際に移設されたそうです。隣に立っているのは現代美術家セザールによるエッフェル像。
さらに近くには鬼太郎の家みたいな建物がありますw

これは「茶室 徹」という建物で、2006年に藤森照信 氏の設計で建てられました。ハシゴで登るようですが中の見学はできないようです。
ということで、様々な芸術家に関連する建物がある芸術村となっています。特に会員になれば制作活動が出来るという点がユニークなところで、空気も美味しいので制作が捗るかもしれません。
なお、敷地内には他にも建物があり、周辺にもいくつか文化施設がありますので後編ではそうしたものをご紹介しようと思います。

公式サイト:http://www.kiyoharu-art.com/
駅からタクシーの予定でしたが、駅前のタクシーが全部出払っているという計算違いがありましたw 2社もあるのに…。バスも絶望的に少ないです。
仕方なく歩いて行ったのですが、駅からはアップダウンがあり30分ほどかかりました。地図で観ると直線距離は近いけど道が曲がりくねってます。
こちらが清春芸術村の入口

元々は小学校の敷地だったところを吉井画廊の社長である吉井長三が私財を投じてここに芸術村を作ったそうです。
清春芸術村の地図はこんな感じ。確かに広めの小学校くらいの敷地に様々な建物が点在しています。

清春芸術村の基本設計は、東宮御所や帝国劇場の設計者でもある谷口吉郎が手がけたそうです。2000年からは岸田劉生のお孫さんが館長を務めているのだとか。
この芸術村に来るとまず目に入るのがこちら。パリのラ・リューシュ(蜂の巣)を模した建物。

オリジナルはフランスのギュスターブ・エッフェルによって建てられたアール・ヌーヴォー様式の集合アトリエで、シャガールを始めキスリング、レジェ、スーティン、モディリアーニといった画家たち、ザッキンやアーキペンコ、ブランクーシといった彫刻家たちも住んでいたことがあります。(これは移築ではないのでオリジナルはパリのモンパルナスに残っています。一時はオリジナル取り壊しの話があったのでその時は移築を計画していたようです)
ちょっと引きで撮ったもの。草原の真ん中にあるので建物全体を見渡せます。円形なのでグルッと周っても似た感じ。非常に美しい建物です。

実はこのラ・リューシュ、現役のアトリエとしても使われているようです。うろ覚えですが2階は絵画用で1階は彫刻用だったかな。彫刻は重いし。
年間2万円のサポーター会員になると、この建物をアトリエとして使う機会が持てるそうです(前提として創作活動をする人が対象)確か宿泊費は別途かかると聞きましたが、中は生活設備も整っているようです。

何故か公式サイトには詳しいことが書いてありませんが、興味がある方はこの画像をクリックして拡大して観てください。
本格的に中に入ることは出来ませんでしたので、入口から見える光景だけ撮ってきました。

岡本太郎の椅子と絵が見えましたw
1階は所々部屋が開いていて制作風景を覗くことができました。
こちらは ヤマナカ産業、N設計アトリエ、松本工務店による「てっぺんの枝とステ木なひみつきち」

これは観覧者参加型の木をテーマにした作品で、靴を脱いで中に入ることもできました。タイトル通り木で基地を作る感じ。
ラ・リューシュに住んでいたオシップ・ザッキンの作品も建物の入口付近にあります。
オシップ・ザッキン「メッセンジャー」

キュビスムやアフリカ彫刻に影響を受けている彫刻家なので、この作品でもそれが感じられます。
入口ではスケッチ道具も貸し出していました。

時間があったら私も描きたかったですが、時間がなかったので代わりに敷地内で写真を撮りまくりましたw
ミュージアムショップのような所もあります。

ここではかつて名画が入っていた額縁が格安で売られていました。自分の作品を入れるのに欲しかったけど電車で持って帰るのは至難なのでやめましたw
ラ・リューシュ以外にも制作施設もいくつかあります。こちらは清春電気窯

陶芸体験やワークショップが開かれることもあるようです。
こちらは移動アトリエ。


フランスのシトロエンを改造したもので、梅原龍三郎や奥村土牛が使用していたそうです。
これは白樺図書館。

この芸術村は白樺派のメンバーが夢見た美術館を実現した施設があるので、白樺派にちなんだ図書館となっていました。ゆかりの文学作品や美術書があります。
こちらは清春白樺美術館。白樺派が愛したルオー等の作品が展示されています。

この他にもう1つ小さな美術館があります。いずれの美術館も後日ご紹介の予定です。
こちらはレストラン。

確かフランス料理だったかな。時間がなくて寄れませんでした。
こちらは梅原龍三郎のアトリエを移築してきたもの。

元々は新宿区市谷にあったそうです。設計は吉田五十八。
サポーター会員なら中に入れるようですが、私は会員ではないので窓の外から撮影。

部屋は24畳だそうで、結構広いです。壁の色が梅原龍三郎っぽい色かもw
古いテーブルなどもありました。

一度は中に入ってみたい…。
梅原龍三郎のアトリエの近くに、小林秀雄の桜というのがありました。

小林秀雄は文芸評論家で、この桜は鎌倉の旧宅から移植されたそうです。ちなみにこの芸術村は桜の名所らしく「清春のサクラ群」として山梨県の天然記念物にも指定されているのだとか。
またラ・リューシュ近くの原っぱの近くに戻ると、謎のハシゴがありました。


実はこれはエッフェル塔の階段で、建設100周年の際に移設されたそうです。隣に立っているのは現代美術家セザールによるエッフェル像。
さらに近くには鬼太郎の家みたいな建物がありますw


これは「茶室 徹」という建物で、2006年に藤森照信 氏の設計で建てられました。ハシゴで登るようですが中の見学はできないようです。
ということで、様々な芸術家に関連する建物がある芸術村となっています。特に会員になれば制作活動が出来るという点がユニークなところで、空気も美味しいので制作が捗るかもしれません。
なお、敷地内には他にも建物があり、周辺にもいくつか文化施設がありますので後編ではそうしたものをご紹介しようと思います。
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前回まで甲斐小泉の平山郁夫シルクロード美術館についてご紹介してきましたが、今回はその周辺のお店についてです。美術館から徒歩5分くらいの所にある「もみの木食堂」というお店でランチをしてきました。(実際には美術館に行く前に行きました。)

【店名】
もみの木食堂
【ジャンル】
レストラン・カフェ
【紹介サイト】
食べログ:https://tabelog.com/yamanashi/A1902/A190201/19004453/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
甲斐小泉駅
【近くの美術館】
平山郁夫シルクロード美術館
【この日にかかった1人の費用】
1300円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日12時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
私が行った時は2組でしたが、帰る頃には待ち客が出るくらい盛況でした。
このお店は外から観ると普通の住宅のように見えましたが、看板が掛かっていたので安心して入ることができましたw ちょっと入り組んだところにあるので隠れ家のお店みたいな感じもします。駐車場は2台くらいあったかな。
内部も普通の家みたいな感じ。洒落た内装です。玄関で靴を脱いで入りました。この卓の他に、掘りごたつの卓とテーブルの卓がありました。

夏の昼でしたが涼しい風も入ってきてくつろげました。自宅のような心地よさ。平山郁夫の図録などもあったので、それを観ながら待ちました。
いくつか洋食メニューがありましたが、カレーランチ(1300円)を頼みました。2種のカレーとサラダ、デザート、コーヒーがつきます。
まずはカレーとサラダ。

確かチキンカレーとビーフカレーだったかな。これが予想以上に美味しくて、それほど辛くなくコクのあるカレーでした。香りも良かったしここを選んで大正解でした。
こちらがデザートとコーヒー。

日によって違うかもしれませんが、この日は山梨名物のぶどうが付いてきました。コーヒーはアイスコーヒーにしたのですが、苦味とコクがありつつ飲みやすくてデザートによく合いました。
ということで、非常に美味しいランチをくつろぎながら頂くことができました。平山郁夫シルクロード美術館の近くにはいくつか飲食店がありますが、ここは雰囲気も良いので美術館のついでに寄ってみると身も心も休まると思います。
おまけ:
お店の近くからは雄大な山々を望むことができました。

美術館が目の前にある甲斐小泉駅。

見事なローカル駅ですが、この日は駅員さんがいました。2017/8の時刻表を観ると2時間に1本程度w
小海線の沿線路線図。

甲斐小泉に行った後は小海線で小淵沢駅まで戻り、中央線に乗り換えて長坂駅へと向かいました。(2駅しかない離れていないけど乗り換え含めて30分の移動ですw)
次回は長坂界隈の美術館についてご紹介の予定です。

【店名】
もみの木食堂
【ジャンル】
レストラン・カフェ
【紹介サイト】
食べログ:https://tabelog.com/yamanashi/A1902/A190201/19004453/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
甲斐小泉駅
【近くの美術館】
平山郁夫シルクロード美術館
【この日にかかった1人の費用】
1300円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日12時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
私が行った時は2組でしたが、帰る頃には待ち客が出るくらい盛況でした。
このお店は外から観ると普通の住宅のように見えましたが、看板が掛かっていたので安心して入ることができましたw ちょっと入り組んだところにあるので隠れ家のお店みたいな感じもします。駐車場は2台くらいあったかな。
内部も普通の家みたいな感じ。洒落た内装です。玄関で靴を脱いで入りました。この卓の他に、掘りごたつの卓とテーブルの卓がありました。

夏の昼でしたが涼しい風も入ってきてくつろげました。自宅のような心地よさ。平山郁夫の図録などもあったので、それを観ながら待ちました。
いくつか洋食メニューがありましたが、カレーランチ(1300円)を頼みました。2種のカレーとサラダ、デザート、コーヒーがつきます。
まずはカレーとサラダ。

確かチキンカレーとビーフカレーだったかな。これが予想以上に美味しくて、それほど辛くなくコクのあるカレーでした。香りも良かったしここを選んで大正解でした。
こちらがデザートとコーヒー。


日によって違うかもしれませんが、この日は山梨名物のぶどうが付いてきました。コーヒーはアイスコーヒーにしたのですが、苦味とコクがありつつ飲みやすくてデザートによく合いました。
ということで、非常に美味しいランチをくつろぎながら頂くことができました。平山郁夫シルクロード美術館の近くにはいくつか飲食店がありますが、ここは雰囲気も良いので美術館のついでに寄ってみると身も心も休まると思います。
おまけ:
お店の近くからは雄大な山々を望むことができました。

美術館が目の前にある甲斐小泉駅。


見事なローカル駅ですが、この日は駅員さんがいました。2017/8の時刻表を観ると2時間に1本程度w
小海線の沿線路線図。

甲斐小泉に行った後は小海線で小淵沢駅まで戻り、中央線に乗り換えて長坂駅へと向かいました。(2駅しかない離れていないけど乗り換え含めて30分の移動ですw)
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多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
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美術鑑賞のお供
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