Archive | 2018年03月
久々にミュージアムカフェの記事です。前回ご紹介したサントリー美術館の展示を観る前に、併設のカフェshop×cafe(ショップ・バイ・カフェ)でお茶をしてきました。
【店名】
shop×cafe(ショップ・バイ・カフェ)
【ジャンル】
カフェ・レストラン
【公式サイト】
http://www.suntory.co.jp/sma/shopcafe/index.html
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
六本木駅/乃木坂駅
【近くの美術館】
サントリー美術館
21_21 DESIGN SIGHT
国立新美術館
など
【この日にかかった1人の費用】
1350円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_4_⑤_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
土曜日の遅めの時間でしたが、ちょうど満席くらいとなっていました。割といつもお客さんで賑わっていると思います。
さて、このお店は以前にもご紹介したことがあるのですが、8年くらい前のことなので改めてご紹介していこうと思います。最近はお店の写真は撮れないようだったので、外観や内観は下記の記事をご参照ください(以前とあまり変わっていません) 落ち着いた和風で、サントリー美術館とよく合います。
参考記事:shop×cafe(ショップ・バイ・カフェ) 【六本木界隈のお店】
このお店は金沢の加賀麩の老舗「不室屋(ふむろや)」さんというお店が運営していて、お麩を使ったメニューなんかがあるのが特徴です。この日は麩あんみつとお茶のセットにしました。

お麩あんみつが864円、セットにしたお茶が486円となります。
こちらはあんみつのアップ

花形のお麩がセンター付近にありますw お麩の良し悪しをあまり考えたことはなかったですが、心地よい弾力でした。勿論ここに右上にチラッと見えている蜜をかけるのですが、この蜜が爽やかなくらい軽やかな甘さです。沢山かけても全くくどくなりません。杏やイチゴ自体も自然な甘さと香りがあって、餡もきめ細やかで上品な甘さでした。
お茶はいくつか選べるのですが、金沢らしい加賀棒茶にしました。

基本的にはほうじ茶で、苦味が無く香ばしいかおりが漂います。やや甘みもあって非常に美味しい。あんみつにも合います。
そして、このカフェの好きな点が、サントリー美術館の展示の図録を観られるところ!w 今回は美術館に入る前に立ち寄りましたが、帰りに図録を読みながらゆっくりしたり、図録を観ながら感想戦したりもできます。展覧会の余韻に浸るのに最適なお店です。
ということで、今回もゆっくりとお茶とあんみつを楽しんできました。やや高級ではありますが、サントリー美術館に行く際にはこちらも寄ってみると、より楽しい時間を過ごせるのではないかと思います。
【店名】
shop×cafe(ショップ・バイ・カフェ)
【ジャンル】
カフェ・レストラン
【公式サイト】
http://www.suntory.co.jp/sma/shopcafe/index.html
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
六本木駅/乃木坂駅
【近くの美術館】
サントリー美術館
21_21 DESIGN SIGHT
国立新美術館
など
【この日にかかった1人の費用】
1350円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_4_⑤_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
土曜日の遅めの時間でしたが、ちょうど満席くらいとなっていました。割といつもお客さんで賑わっていると思います。
さて、このお店は以前にもご紹介したことがあるのですが、8年くらい前のことなので改めてご紹介していこうと思います。最近はお店の写真は撮れないようだったので、外観や内観は下記の記事をご参照ください(以前とあまり変わっていません) 落ち着いた和風で、サントリー美術館とよく合います。
参考記事:shop×cafe(ショップ・バイ・カフェ) 【六本木界隈のお店】
このお店は金沢の加賀麩の老舗「不室屋(ふむろや)」さんというお店が運営していて、お麩を使ったメニューなんかがあるのが特徴です。この日は麩あんみつとお茶のセットにしました。

お麩あんみつが864円、セットにしたお茶が486円となります。
こちらはあんみつのアップ

花形のお麩がセンター付近にありますw お麩の良し悪しをあまり考えたことはなかったですが、心地よい弾力でした。勿論ここに右上にチラッと見えている蜜をかけるのですが、この蜜が爽やかなくらい軽やかな甘さです。沢山かけても全くくどくなりません。杏やイチゴ自体も自然な甘さと香りがあって、餡もきめ細やかで上品な甘さでした。
お茶はいくつか選べるのですが、金沢らしい加賀棒茶にしました。

基本的にはほうじ茶で、苦味が無く香ばしいかおりが漂います。やや甘みもあって非常に美味しい。あんみつにも合います。
そして、このカフェの好きな点が、サントリー美術館の展示の図録を観られるところ!w 今回は美術館に入る前に立ち寄りましたが、帰りに図録を読みながらゆっくりしたり、図録を観ながら感想戦したりもできます。展覧会の余韻に浸るのに最適なお店です。
ということで、今回もゆっくりとお茶とあんみつを楽しんできました。やや高級ではありますが、サントリー美術館に行く際にはこちらも寄ってみると、より楽しい時間を過ごせるのではないかと思います。
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つい一昨日の土曜日に、六本木ミッドタウンにあるサントリー美術館で「寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽」を観てきました。この展示は4期あり、私が観たのは3期の内容でした。

【展覧名】
寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽
【公式サイト】
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2018_1/index.html
【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅
【会期】2018年2月14日(水)~4月8日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
さて、この展示は江戸時代初期の寛永年間(1624~44)の文化を取り上げたもので、寛永文化は「きれい」という言葉で象徴される瀟洒な造形と、古典復興の気風が特徴となっています。この時代は、均整の取れたシンプルかつシャープな造形、絵画においては余白を大きく取った構図といった雅な作風が生まれたようで、その様子が伺える作品が並びます。展覧会の前半ではその時代の気風や背景についてを紹介し、後半は小堀遠州、野々村仁清、狩野探幽の3名についての内容となっていました。簡単にメモしてきましたので、各章ごとにその様子を振り返ってみようと思います。
<プロローグ 「キレイ」の世界>
まずはダイジェスト的に小堀遠州、野々村仁清、狩野探幽に関する品が並んでいました。(リスト上では各章に属しています)
116 野々村仁清 「白釉円孔透鉢」
こちらはポスターにもなった作品で最初に展示してありました。白地の鉢に無数の穴が開いているのを除けば確かにシンプルな作風で、穴が水玉模様のようにも見えてちょっと可愛いw 白地も艷やかで好みでした。
78 「瀬戸肩衝茶入 銘 飛鳥川」
こちらは小堀遠州が最も愛用した茶入で、栗みたいな色とツヤをした小ぶりな壺です。柔らかい曲線が優美で、色は地味だけど洗練した雰囲気がありました。(後で「きれい寂び」という言葉が出てきますが、その言葉がピッタリかも)
133 狩野探幽 「桐鳳凰図屏風」
六曲一双の金地の屏風で、水流を背景にお互いに向き合う鳳凰が2対描かれています。その尾が流れるような軽やかさがあり、それまでの狩野派の重厚かつ豪放なイメージとはだいぶ異なる趣きです。落ち着いた色彩や余白の多さも特徴的で、それ以前と一変した様子がよく分かる作品だと思います。
<第1章 新時代への胎動―寛永のサロン>
1章は寛永文化の下地や背景についてのコーナーです。1620年に2代将軍 徳川秀忠の娘の東福門院(徳川和子)が入内するなど幕府と朝廷の融和政策が進み幕府からの経済援助もあって、京都も文化的環境が発展していったようです。多くの文化人がサロンを形成し、公家・武家・町衆・僧侶の身分を越えた交流を行っていたようで、この交流によって新しい時代の美意識が作られていったようです。ここにはそうした時代の作品が並んでいました。
2 本阿弥光悦 筆/俵屋宗達 画 「蓮下絵百人一首和歌巻断簡」「蔦下絵新古今集和歌色紙」
俵屋宗達が描いた金泥の草木を背景に、流れる筆運びで本阿弥光悦が西行法師や新古今和歌集の詩を書いた作品です。その自由さや気品は素晴らしく、これぞ琳派の祖といった典雅さです。こちらは何度も観たことがありますが、見飽きない傑作なので久々に観られて嬉しい。
5 本阿弥光悦 「赤楽茶碗 銘 熟柿」
その名の通り柿のような色と形をした茶碗です。手捏ねなのでやや歪んでいるのが味わいがあって面白い仕上がりになっています。割と素朴でシンプルな感じもあるのに、優美な雰囲気が漂うのがこの頃の文化の特徴をよく現れているように思いました。
この辺には本阿弥光悦と共に寛永の三筆と讃えられる近衛信尹と松花堂昭乗の作品もありました。
9 松花堂昭乗 画/安楽庵策伝 賛 「安楽庵策伝像」
こちらは安楽庵策伝というお坊さんの肖像画で、この人は公家や歌人、小堀遠州なんかとも茶を通じて関係があったそうです。身分にこだわらない寛永文化の象徴的な人物と言えるのかも。
他にも後水尾天皇が二条城へ行幸した際の様子を描いた見事な屏風などもありました。
参考記事:仁清と乾山 ―京のやきものと絵画― (岡田美術館)箱根編
<第2章 古典復興―後水尾院と宮廷文化>
続いては宮廷文化の復興に力を注いだ後水尾天皇についてのコーナーです。1615年に禁中並公家諸法度が制定されると、和歌は宮廷を象徴する芸能と位置づけられたようで、後水尾天皇は率先して古典文学を研究しました。それによって古典復興の機運が高まったそうで、特徴としては 素直でなだらかな言葉の流れや、分かりやすい平明な趣向が重視されたようです。この美意識は詩歌のみならず他の文化にも向けられたそうで、ここにはそうした作品も並んでいました。
18 後水尾天皇 「後水尾天皇宸翰 [忍]」
これは後水尾天皇の直筆の書(宸翰)で、円形の枠の中に「忍」と書いてあります。…と、忍という字には見えませんがw 力強く勢いのある筆が意外に感じられましたが、この忍という字には幕府との軋轢に耐え忍ぶ胸中も込められているとのことでした。よっぽど忍びたい時に書いたんでしょうかw
ちなみに隣には同様の宸翰「一貫」もありましたが、これは現代人でも読めると思いますw
近くには柿本人麻呂を描いた肖像画があり、その絵の賛も後水尾天皇でした。こちらは軽やかな雰囲気があるので色々な書体で書けたのかな?
30 住吉具慶 画/霊元天皇ほか 詞 「源氏物語絵巻」
こちらは宮廷文学の象徴とも言える源氏物語を絵巻にしたものです。淡い色彩で余白が多く、絵のタッチもスッキリした印象を受けるのがこの時代ならではかもしれません。絵と絵の間にある書も見事で中々の逸品でした。
この近くには徒然草を海北友雪が絵画化したものなんかもありました。また、少し先には指人形という後水尾天皇の遺愛品もありました。これは手紙を渡す時に女官に使わせたものらしく、ちょっと不気味ですが優雅な雰囲気もありました。
49 土佐光起 「春秋花鳥図屏風」
二曲一双のこぶりな金屏風で、右隻が白い桜(?)、左隻は赤く染まる紅葉が描かれています。お互い向き合うように配置され、それぞれの木の近くで舞い飛ぶ鳥なども描かれています。金地に色が映えるので割と派手になりそうなものですが、落ち着きが感じられる色彩となっているのが不思議なくらいです。金の部分もよく観るとたなびくような感じの仕上がりになっていました。
この近くには後水尾天皇が修学院離宮で焼かせた天皇好みの焼き物が3点ありました。これもシンプルな見た目で均整の取れた造形となっていて、志向性が伺えます。また、この階の最後には「青磁鳳凰耳花生 銘 千声」もありました。これはかなり見事な青磁なので、見どころと言えそうです。
<第3章 小堀遠州 Ⅰ 新たなる美意識>
ここからは下の階です。小堀遠州は茶人である一方で多くの建築造作を指揮した優秀な官僚だった人物で、庭園めぐりをしているとその名前がちょくちょく出てきたりします。本業?の茶の湯においては、武家の教養としての大名茶を目指し様々な新基軸を打ちたてたそうで、藤原定家に私淑(敬意を払って自主学習すること)し、「雅」を茶の湯に導入したようです。一方で唐物や桃山文化的な侘び、最新の中国・朝鮮・ヨーロッパなどの品も取り入れたそうで、それらを美意識によって選別していました。優美で均整の取れた形や明るい色彩を好むなど、後に「きれい寂び」と呼ばれる志向だったようで、ここにはそうした作品が並んでいました。
76 「瀬戸春慶瓢箪茶入」
こちらは瓢箪の形をした小ぶりな茶入で、瓢箪は小堀遠州の好みの形だそうです。深い茶色をしていて、明るい色彩かと言われるとそうでも無いように思いましたが、しっとりとした美しさがありました。確かに均整が取れた落ち着いた美を感じさせます。
この周りにはそうした特徴が共通している茶入がいくつかあり、小堀遠州の好みが実感できました。
さらにこの章には本阿弥光悦による茶碗や油滴天目などもありました。また、染付の茶器がいくつかあったのですが、千利休や古田織部は染付を使うことはなかったらしいので、小堀遠州が主導した新しい美の潮流の1つとも言えるようでした。
<第4章 金森宗和と仁清 Ⅱ 新たなる美意識>
続いては野々村仁清と、仁清をプロデュースした茶人 金森宗和についてのコーナーです。(仁清は1647年頃に仁和寺の門前に窯を開いたのですが、その際に指導的な位置にいたのが金森宗和です) 金森宗和は飛騨高山城主の金森家に生まれて京都で茶人として活躍した人物で、武家・公家・町人らと交流を持ち、茶席で自分がプロデュースした御室焼を披露し斡旋していったようです。仁清は金森宗和の趣味(落ち着いた色調と独創的かつ洗練された造形)に沿った作陶をしていたようですが、金森宗和が亡くなると色絵に力を入れていき、それまでとは異なる華麗な作風へと変化していったようです。ここにはそうした作品が並んでいました。
参考記事:仁清と乾山 ―京のやきものと絵画― (岡田美術館)箱根編
89 野々村仁清 「呉器写茶碗 銘 無一物」
これは高麗茶碗を写したもので、茶色く素朴な色合いですが 内側にオレンジ色の斑点があり、花のように見えます。オリジナルが無いので比べて観ることはできませんが、解説によるとこの作品は写すだけでなく独自性もあるそうです。確かに落ち着いた色調で、気品のある雰囲気があるのが特徴でした。
この辺の陶器を観ていると金森宗和は小堀遠州とどこか共通する美意識があったのではないかと感じるものがありました。今回の展示はこういう同時代の美意識の比較ができるのも面白いところです。
109 野々村仁清 「信楽写兎耳付水指」
こちらは側面に耳の長い兎が2羽ついている水指で、兎の耳が壺の耳となっているユーモア溢れるデザインとなっています。素材や仕上がりは信楽焼のそれに近く素朴な感じで、ざらついた質感のように思えました。
97 野々村仁清 「黒釉色絵金銀菱文茶碗」
こちらは金森宗和の死後の作品で、黒地の器の側面に金の帯があり、そこに菱形が連なるような模様がついています。この幾何学性が非常にモダンで、ずっと後の時代の西洋のアール・デコにも通じるような簡潔な美しさがありました。
113 野々村仁清 「唐津写建水」
こちらは唐津焼を写した作品です。よくこれだけ器用に色々と異なる写しができるものだと感心しますが、根底には他の写しと似たものを感じます。テイストが似ているというか、一見すると各地の陶器のようでも、どこか仁清らしさがあるように思えました。
この章の最後には鳥の形の香合を集めたコーナーもありました。割と早くからこうした作品を作っていたようです。また、扇や菊の形の釘隠しなどもあって、ちょっと珍しい作品だと思います。
<第5章 狩野探幽 Ⅲ 新たなる美意識>
最後は狩野探幽についてのコーナーです。狩野探幽は幼い頃に徳川秀忠に認められ江戸に移って幕府の御用絵師となりました。その功績は、豪壮な桃山時代の様式に代わって大きな余白と淡い色彩を主体とする独自の様式を確立し、狩野派の画風を一変させたことにあります。その画風は武家だけでなく天皇からも評価され、きれい寂びに通じるこの時代の美的感覚に合うものだったようです。ここにはそれが分かるような作品も並んでいました。
124 伝 桃田柳栄 「狩野探幽像」
こちらは狩野探幽の高弟が描いた探幽の肖像です。筆を持ち口を結んだ表情で、ちょっと頑固そうw 実際に頑固で無愛想だったそうなので、よく人となりが出ているように思えました。
この辺には探幽が所有していた仁清の茶碗などもありました。また、小堀遠州の茶会に何度か呼ばれていたらしく号まで授かっていたようです。
128 狩野探幽 「竹林七賢・香山九老図屏風」
右隻に竹林七賢、左隻に香山九老を描いた屏風です。川を背景に人物は小さめに描かれ、余白が広く主題はむしろ山水画のようにすら思えます。淡い濃淡で表され、雅な雰囲気が漂います。この作品の画風が狩野永徳なんかとは大きく異なるのがよく分かるんじゃないかな。
141 狩野探幽 「瀟湘八景のうち [瀟湘夜雨][江天暮雪]」
こちらは狩野派がよく描く瀟湘八景を題材にした山水画です。湿気を感じさせる一方で輪郭が使われる部分もあり、牧谿や夏珪などの漢画風の筆致を思わせます。この作品に関しては従来の狩野派らしさが感じられるように思いました。
139 狩野探幽 「富士三保清見寺図」
割と粗目の筆致で描かれた三幅対の掛け軸です。 右に満月の下の松林と砂浜を描いた三保の松原、中央に雲間から見える富士、左に山間の清見寺が描かれています。色は薄めで全体的に静かな雰囲気が漂うかな。これも余白の使い方が見事で、気品ある作風となっていました。
ということで、この時代の美意識がよく分かる展示となっていました。小堀遠州・仁清・狩野探幽というジャンルの異なる巨匠たちが、どこか共通する美意識を持っていたと考えると、単純に個展を観るよりも面白さが増すように思いました。今後の美術鑑賞にも参考になると思いますので、日本美術好きの方にお勧めの展示です。

【展覧名】
寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽
【公式サイト】
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2018_1/index.html
【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅
【会期】2018年2月14日(水)~4月8日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
さて、この展示は江戸時代初期の寛永年間(1624~44)の文化を取り上げたもので、寛永文化は「きれい」という言葉で象徴される瀟洒な造形と、古典復興の気風が特徴となっています。この時代は、均整の取れたシンプルかつシャープな造形、絵画においては余白を大きく取った構図といった雅な作風が生まれたようで、その様子が伺える作品が並びます。展覧会の前半ではその時代の気風や背景についてを紹介し、後半は小堀遠州、野々村仁清、狩野探幽の3名についての内容となっていました。簡単にメモしてきましたので、各章ごとにその様子を振り返ってみようと思います。
<プロローグ 「キレイ」の世界>
まずはダイジェスト的に小堀遠州、野々村仁清、狩野探幽に関する品が並んでいました。(リスト上では各章に属しています)
116 野々村仁清 「白釉円孔透鉢」
こちらはポスターにもなった作品で最初に展示してありました。白地の鉢に無数の穴が開いているのを除けば確かにシンプルな作風で、穴が水玉模様のようにも見えてちょっと可愛いw 白地も艷やかで好みでした。
78 「瀬戸肩衝茶入 銘 飛鳥川」
こちらは小堀遠州が最も愛用した茶入で、栗みたいな色とツヤをした小ぶりな壺です。柔らかい曲線が優美で、色は地味だけど洗練した雰囲気がありました。(後で「きれい寂び」という言葉が出てきますが、その言葉がピッタリかも)
133 狩野探幽 「桐鳳凰図屏風」
六曲一双の金地の屏風で、水流を背景にお互いに向き合う鳳凰が2対描かれています。その尾が流れるような軽やかさがあり、それまでの狩野派の重厚かつ豪放なイメージとはだいぶ異なる趣きです。落ち着いた色彩や余白の多さも特徴的で、それ以前と一変した様子がよく分かる作品だと思います。
<第1章 新時代への胎動―寛永のサロン>
1章は寛永文化の下地や背景についてのコーナーです。1620年に2代将軍 徳川秀忠の娘の東福門院(徳川和子)が入内するなど幕府と朝廷の融和政策が進み幕府からの経済援助もあって、京都も文化的環境が発展していったようです。多くの文化人がサロンを形成し、公家・武家・町衆・僧侶の身分を越えた交流を行っていたようで、この交流によって新しい時代の美意識が作られていったようです。ここにはそうした時代の作品が並んでいました。
2 本阿弥光悦 筆/俵屋宗達 画 「蓮下絵百人一首和歌巻断簡」「蔦下絵新古今集和歌色紙」
俵屋宗達が描いた金泥の草木を背景に、流れる筆運びで本阿弥光悦が西行法師や新古今和歌集の詩を書いた作品です。その自由さや気品は素晴らしく、これぞ琳派の祖といった典雅さです。こちらは何度も観たことがありますが、見飽きない傑作なので久々に観られて嬉しい。
5 本阿弥光悦 「赤楽茶碗 銘 熟柿」
その名の通り柿のような色と形をした茶碗です。手捏ねなのでやや歪んでいるのが味わいがあって面白い仕上がりになっています。割と素朴でシンプルな感じもあるのに、優美な雰囲気が漂うのがこの頃の文化の特徴をよく現れているように思いました。
この辺には本阿弥光悦と共に寛永の三筆と讃えられる近衛信尹と松花堂昭乗の作品もありました。
9 松花堂昭乗 画/安楽庵策伝 賛 「安楽庵策伝像」
こちらは安楽庵策伝というお坊さんの肖像画で、この人は公家や歌人、小堀遠州なんかとも茶を通じて関係があったそうです。身分にこだわらない寛永文化の象徴的な人物と言えるのかも。
他にも後水尾天皇が二条城へ行幸した際の様子を描いた見事な屏風などもありました。
参考記事:仁清と乾山 ―京のやきものと絵画― (岡田美術館)箱根編
<第2章 古典復興―後水尾院と宮廷文化>
続いては宮廷文化の復興に力を注いだ後水尾天皇についてのコーナーです。1615年に禁中並公家諸法度が制定されると、和歌は宮廷を象徴する芸能と位置づけられたようで、後水尾天皇は率先して古典文学を研究しました。それによって古典復興の機運が高まったそうで、特徴としては 素直でなだらかな言葉の流れや、分かりやすい平明な趣向が重視されたようです。この美意識は詩歌のみならず他の文化にも向けられたそうで、ここにはそうした作品も並んでいました。
18 後水尾天皇 「後水尾天皇宸翰 [忍]」
これは後水尾天皇の直筆の書(宸翰)で、円形の枠の中に「忍」と書いてあります。…と、忍という字には見えませんがw 力強く勢いのある筆が意外に感じられましたが、この忍という字には幕府との軋轢に耐え忍ぶ胸中も込められているとのことでした。よっぽど忍びたい時に書いたんでしょうかw
ちなみに隣には同様の宸翰「一貫」もありましたが、これは現代人でも読めると思いますw
近くには柿本人麻呂を描いた肖像画があり、その絵の賛も後水尾天皇でした。こちらは軽やかな雰囲気があるので色々な書体で書けたのかな?
30 住吉具慶 画/霊元天皇ほか 詞 「源氏物語絵巻」
こちらは宮廷文学の象徴とも言える源氏物語を絵巻にしたものです。淡い色彩で余白が多く、絵のタッチもスッキリした印象を受けるのがこの時代ならではかもしれません。絵と絵の間にある書も見事で中々の逸品でした。
この近くには徒然草を海北友雪が絵画化したものなんかもありました。また、少し先には指人形という後水尾天皇の遺愛品もありました。これは手紙を渡す時に女官に使わせたものらしく、ちょっと不気味ですが優雅な雰囲気もありました。
49 土佐光起 「春秋花鳥図屏風」
二曲一双のこぶりな金屏風で、右隻が白い桜(?)、左隻は赤く染まる紅葉が描かれています。お互い向き合うように配置され、それぞれの木の近くで舞い飛ぶ鳥なども描かれています。金地に色が映えるので割と派手になりそうなものですが、落ち着きが感じられる色彩となっているのが不思議なくらいです。金の部分もよく観るとたなびくような感じの仕上がりになっていました。
この近くには後水尾天皇が修学院離宮で焼かせた天皇好みの焼き物が3点ありました。これもシンプルな見た目で均整の取れた造形となっていて、志向性が伺えます。また、この階の最後には「青磁鳳凰耳花生 銘 千声」もありました。これはかなり見事な青磁なので、見どころと言えそうです。
<第3章 小堀遠州 Ⅰ 新たなる美意識>
ここからは下の階です。小堀遠州は茶人である一方で多くの建築造作を指揮した優秀な官僚だった人物で、庭園めぐりをしているとその名前がちょくちょく出てきたりします。本業?の茶の湯においては、武家の教養としての大名茶を目指し様々な新基軸を打ちたてたそうで、藤原定家に私淑(敬意を払って自主学習すること)し、「雅」を茶の湯に導入したようです。一方で唐物や桃山文化的な侘び、最新の中国・朝鮮・ヨーロッパなどの品も取り入れたそうで、それらを美意識によって選別していました。優美で均整の取れた形や明るい色彩を好むなど、後に「きれい寂び」と呼ばれる志向だったようで、ここにはそうした作品が並んでいました。
76 「瀬戸春慶瓢箪茶入」
こちらは瓢箪の形をした小ぶりな茶入で、瓢箪は小堀遠州の好みの形だそうです。深い茶色をしていて、明るい色彩かと言われるとそうでも無いように思いましたが、しっとりとした美しさがありました。確かに均整が取れた落ち着いた美を感じさせます。
この周りにはそうした特徴が共通している茶入がいくつかあり、小堀遠州の好みが実感できました。
さらにこの章には本阿弥光悦による茶碗や油滴天目などもありました。また、染付の茶器がいくつかあったのですが、千利休や古田織部は染付を使うことはなかったらしいので、小堀遠州が主導した新しい美の潮流の1つとも言えるようでした。
<第4章 金森宗和と仁清 Ⅱ 新たなる美意識>
続いては野々村仁清と、仁清をプロデュースした茶人 金森宗和についてのコーナーです。(仁清は1647年頃に仁和寺の門前に窯を開いたのですが、その際に指導的な位置にいたのが金森宗和です) 金森宗和は飛騨高山城主の金森家に生まれて京都で茶人として活躍した人物で、武家・公家・町人らと交流を持ち、茶席で自分がプロデュースした御室焼を披露し斡旋していったようです。仁清は金森宗和の趣味(落ち着いた色調と独創的かつ洗練された造形)に沿った作陶をしていたようですが、金森宗和が亡くなると色絵に力を入れていき、それまでとは異なる華麗な作風へと変化していったようです。ここにはそうした作品が並んでいました。
参考記事:仁清と乾山 ―京のやきものと絵画― (岡田美術館)箱根編
89 野々村仁清 「呉器写茶碗 銘 無一物」
これは高麗茶碗を写したもので、茶色く素朴な色合いですが 内側にオレンジ色の斑点があり、花のように見えます。オリジナルが無いので比べて観ることはできませんが、解説によるとこの作品は写すだけでなく独自性もあるそうです。確かに落ち着いた色調で、気品のある雰囲気があるのが特徴でした。
この辺の陶器を観ていると金森宗和は小堀遠州とどこか共通する美意識があったのではないかと感じるものがありました。今回の展示はこういう同時代の美意識の比較ができるのも面白いところです。
109 野々村仁清 「信楽写兎耳付水指」
こちらは側面に耳の長い兎が2羽ついている水指で、兎の耳が壺の耳となっているユーモア溢れるデザインとなっています。素材や仕上がりは信楽焼のそれに近く素朴な感じで、ざらついた質感のように思えました。
97 野々村仁清 「黒釉色絵金銀菱文茶碗」
こちらは金森宗和の死後の作品で、黒地の器の側面に金の帯があり、そこに菱形が連なるような模様がついています。この幾何学性が非常にモダンで、ずっと後の時代の西洋のアール・デコにも通じるような簡潔な美しさがありました。
113 野々村仁清 「唐津写建水」
こちらは唐津焼を写した作品です。よくこれだけ器用に色々と異なる写しができるものだと感心しますが、根底には他の写しと似たものを感じます。テイストが似ているというか、一見すると各地の陶器のようでも、どこか仁清らしさがあるように思えました。
この章の最後には鳥の形の香合を集めたコーナーもありました。割と早くからこうした作品を作っていたようです。また、扇や菊の形の釘隠しなどもあって、ちょっと珍しい作品だと思います。
<第5章 狩野探幽 Ⅲ 新たなる美意識>
最後は狩野探幽についてのコーナーです。狩野探幽は幼い頃に徳川秀忠に認められ江戸に移って幕府の御用絵師となりました。その功績は、豪壮な桃山時代の様式に代わって大きな余白と淡い色彩を主体とする独自の様式を確立し、狩野派の画風を一変させたことにあります。その画風は武家だけでなく天皇からも評価され、きれい寂びに通じるこの時代の美的感覚に合うものだったようです。ここにはそれが分かるような作品も並んでいました。
124 伝 桃田柳栄 「狩野探幽像」
こちらは狩野探幽の高弟が描いた探幽の肖像です。筆を持ち口を結んだ表情で、ちょっと頑固そうw 実際に頑固で無愛想だったそうなので、よく人となりが出ているように思えました。
この辺には探幽が所有していた仁清の茶碗などもありました。また、小堀遠州の茶会に何度か呼ばれていたらしく号まで授かっていたようです。
128 狩野探幽 「竹林七賢・香山九老図屏風」
右隻に竹林七賢、左隻に香山九老を描いた屏風です。川を背景に人物は小さめに描かれ、余白が広く主題はむしろ山水画のようにすら思えます。淡い濃淡で表され、雅な雰囲気が漂います。この作品の画風が狩野永徳なんかとは大きく異なるのがよく分かるんじゃないかな。
141 狩野探幽 「瀟湘八景のうち [瀟湘夜雨][江天暮雪]」
こちらは狩野派がよく描く瀟湘八景を題材にした山水画です。湿気を感じさせる一方で輪郭が使われる部分もあり、牧谿や夏珪などの漢画風の筆致を思わせます。この作品に関しては従来の狩野派らしさが感じられるように思いました。
139 狩野探幽 「富士三保清見寺図」
割と粗目の筆致で描かれた三幅対の掛け軸です。 右に満月の下の松林と砂浜を描いた三保の松原、中央に雲間から見える富士、左に山間の清見寺が描かれています。色は薄めで全体的に静かな雰囲気が漂うかな。これも余白の使い方が見事で、気品ある作風となっていました。
ということで、この時代の美意識がよく分かる展示となっていました。小堀遠州・仁清・狩野探幽というジャンルの異なる巨匠たちが、どこか共通する美意識を持っていたと考えると、単純に個展を観るよりも面白さが増すように思いました。今後の美術鑑賞にも参考になると思いますので、日本美術好きの方にお勧めの展示です。
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前回ご紹介した21_21 DESIGN SIGHTの展示を観た後、東京ミッドタウン・デザインハブで「地域×デザイン 2018 -まちとまちをつなぐプロジェクト-」という展示を観てきました。この展示は既に終了していますが撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介しておこうと思います。

【展覧名】
地域×デザイン 2018 -まちとまちをつなぐプロジェクト-
【公式サイト】
http://designhub.jp/exhibitions/3612/
【会場】東京ミッドタウン・デザインハブ
【最寄】六本木駅
【会期】2018年2月23日(金)~3月11日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示はデザインの視点で地域活性化するのをコンセプトとしていて、2016年にから始まり今年で3回目となります。今年は「移動する」「働く」「つなぐ」をテーマとしていたようで、様々なアイディアを形にした作品が並んでいました。詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。
青森県十和田市 「コミュニケーションツール<ウマジン>」

一見すると妙なかぶりものにみえるデザインw 現在はアートに力を入れている十和田市ですが、昔は馬の名産地だったようで「南部駒踊り」というお祭りがあるそうでそれをモチーフにしているようです。これをかぶってると年齢や人種を問わず誰でも笑顔になるらしいので、コミュニケーションツールとなるようです。
参考記事:番外編 十和田市現代美術館の常設(2012年8月) (十和田市現代美術館)
こちらは実物大の作品。

思った以上にデカいw これをワークショップなどで作っているようです。東日本大震災の支援の一環で考案されたのだとか。
群馬県高崎市 「山名八幡宮の取り組み」

840年以上の歴史を持つ安産子育ての神社の取り組みの一環が紹介されていました。こちらはオリジナルのお守り。お守りはOEM(売り手のブランドとして製造する契約)が慣例らしいのですが、それを打ち破ったもののようです。見慣れない変わった模様が可愛らしい。
高崎だけあって達磨もありました。

こちらも従来の達磨にラベルとポップな感じがするかも。
富山県南砺市 「職人に弟子入りできるやど<BED AND CRAFT>」

富山県南砺市は木彫刻の街らしく、宿泊しながら職人に弟子入りできる宿をコンセプトにした宿泊施設の計画を進めているようです。外国人が弟子入りしている映像も流されていました。
道具と木造の見本でしょうか。

この地域には600年以上の歴史を持つ伝統的な建築もあるとのことです。
こちらは木造のアップ。

顔と頭の部分の色の違いはどう出しているのか分かりませんが、可憐な女性像。こんなのが作れるようになったら凄いw
広島県福山市 「福山市本通・船町商店街アーケード改修プロジェクト~とおり町Street Garden~」

こちらは商店街の飾り付けの模型。何やら紐状のものが道の上から垂れ下がっています。
実際にはこんな感じになっているようです。

この柱は30年前のアーケードの柱を残していて、天蓋部分は撤去してこのステンレスワイヤーに変えたそうです。何の効果があるのか分かりませんでしたが、明るく洒落た通りになっています。
徳島県神山町 「神山しずくプロジェクト」

こちらは徳島県神山町の地元産の杉を使った食器ブランド「SHIZQ」の作品。価値がないと言われた杉を使って、人工林のあり方を変えて水源の問題も解決しようとする壮大なプロジェクトのようです。木目が強く出ていて素朴さと洗練が同居するような面白い食器となっていました。
熊本県熊本市 「ブルーシードバッグ・プロジェクト」

2016年の熊本地震によって家屋の応急処置に使われたブルーシートを回収・洗浄・縫製してトートバッグにリメイクした作品。「復興のたね」という意味も含めてブルーシードバッグと呼んでいるようです。これはかなり綺麗に洗浄してあるのでエコバッグみたいに見えるw
こっちは汚れを取っていないのでさっきよりブルーシート感があるw

ちょっとネガティブな印象だったブルーシートもこうなるとアイディアの面白さが光ります。ちなみにこのバッグの収益金は被災地に寄付されるそうです。
全国各地 「移動スーパー とく丸」

こちらは移動型店舗のプロジェクト。少子高齢化や公共交通の減少などで山間部などは買い物が困難になってきていますが、こうした移動スーパーで解決しようという考えのようです。このアイディア自体は昔からあると思いますが、非常に社会的意義のあるプロジェクトだと思います。「おばあちゃんのコンシェルジュ」なんてコピーもありましたw
全国各地 「伝統茶 tabel」

こちらは全国各地の薬草を活用した茶などを開発~販売するもの。同じブランディングのデザインで各地の雇用と付加価値を生んでいるようです。
一部のアップ。

そば茶はたまに飲むけど、月桃茶ってどんな味がするんだろうかw
展示品以外にも各地で活躍するキーマンをゲストスピーカーとした講演などもあるようでした。
ということで、面白い発想の作品が並んでいました。地域活性化というとちょっと深刻なイメージがありますが、こうしてデザインで楽しみながら進められるのであれば明るいイメージになるのかなと思います。この展示はもう終わってしまいましたが、来年以降もまた開催されると思いますのでその際はまたご紹介できればと思います。
おまけ:
今回のようにブログでご紹介する時には既に終わっている展示もあるので、twitterで速報的に感想も呟いています。たまにブログの記事にしていない展示についても呟いています。
→ 更新通知用

【展覧名】
地域×デザイン 2018 -まちとまちをつなぐプロジェクト-
【公式サイト】
http://designhub.jp/exhibitions/3612/
【会場】東京ミッドタウン・デザインハブ
【最寄】六本木駅
【会期】2018年2月23日(金)~3月11日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示はデザインの視点で地域活性化するのをコンセプトとしていて、2016年にから始まり今年で3回目となります。今年は「移動する」「働く」「つなぐ」をテーマとしていたようで、様々なアイディアを形にした作品が並んでいました。詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。
青森県十和田市 「コミュニケーションツール<ウマジン>」

一見すると妙なかぶりものにみえるデザインw 現在はアートに力を入れている十和田市ですが、昔は馬の名産地だったようで「南部駒踊り」というお祭りがあるそうでそれをモチーフにしているようです。これをかぶってると年齢や人種を問わず誰でも笑顔になるらしいので、コミュニケーションツールとなるようです。
参考記事:番外編 十和田市現代美術館の常設(2012年8月) (十和田市現代美術館)
こちらは実物大の作品。

思った以上にデカいw これをワークショップなどで作っているようです。東日本大震災の支援の一環で考案されたのだとか。
群馬県高崎市 「山名八幡宮の取り組み」

840年以上の歴史を持つ安産子育ての神社の取り組みの一環が紹介されていました。こちらはオリジナルのお守り。お守りはOEM(売り手のブランドとして製造する契約)が慣例らしいのですが、それを打ち破ったもののようです。見慣れない変わった模様が可愛らしい。
高崎だけあって達磨もありました。

こちらも従来の達磨にラベルとポップな感じがするかも。
富山県南砺市 「職人に弟子入りできるやど<BED AND CRAFT>」

富山県南砺市は木彫刻の街らしく、宿泊しながら職人に弟子入りできる宿をコンセプトにした宿泊施設の計画を進めているようです。外国人が弟子入りしている映像も流されていました。
道具と木造の見本でしょうか。

この地域には600年以上の歴史を持つ伝統的な建築もあるとのことです。
こちらは木造のアップ。

顔と頭の部分の色の違いはどう出しているのか分かりませんが、可憐な女性像。こんなのが作れるようになったら凄いw
広島県福山市 「福山市本通・船町商店街アーケード改修プロジェクト~とおり町Street Garden~」

こちらは商店街の飾り付けの模型。何やら紐状のものが道の上から垂れ下がっています。
実際にはこんな感じになっているようです。

この柱は30年前のアーケードの柱を残していて、天蓋部分は撤去してこのステンレスワイヤーに変えたそうです。何の効果があるのか分かりませんでしたが、明るく洒落た通りになっています。
徳島県神山町 「神山しずくプロジェクト」

こちらは徳島県神山町の地元産の杉を使った食器ブランド「SHIZQ」の作品。価値がないと言われた杉を使って、人工林のあり方を変えて水源の問題も解決しようとする壮大なプロジェクトのようです。木目が強く出ていて素朴さと洗練が同居するような面白い食器となっていました。
熊本県熊本市 「ブルーシードバッグ・プロジェクト」

2016年の熊本地震によって家屋の応急処置に使われたブルーシートを回収・洗浄・縫製してトートバッグにリメイクした作品。「復興のたね」という意味も含めてブルーシードバッグと呼んでいるようです。これはかなり綺麗に洗浄してあるのでエコバッグみたいに見えるw
こっちは汚れを取っていないのでさっきよりブルーシート感があるw

ちょっとネガティブな印象だったブルーシートもこうなるとアイディアの面白さが光ります。ちなみにこのバッグの収益金は被災地に寄付されるそうです。
全国各地 「移動スーパー とく丸」


こちらは移動型店舗のプロジェクト。少子高齢化や公共交通の減少などで山間部などは買い物が困難になってきていますが、こうした移動スーパーで解決しようという考えのようです。このアイディア自体は昔からあると思いますが、非常に社会的意義のあるプロジェクトだと思います。「おばあちゃんのコンシェルジュ」なんてコピーもありましたw
全国各地 「伝統茶 tabel」

こちらは全国各地の薬草を活用した茶などを開発~販売するもの。同じブランディングのデザインで各地の雇用と付加価値を生んでいるようです。
一部のアップ。

そば茶はたまに飲むけど、月桃茶ってどんな味がするんだろうかw
展示品以外にも各地で活躍するキーマンをゲストスピーカーとした講演などもあるようでした。
ということで、面白い発想の作品が並んでいました。地域活性化というとちょっと深刻なイメージがありますが、こうしてデザインで楽しみながら進められるのであれば明るいイメージになるのかなと思います。この展示はもう終わってしまいましたが、来年以降もまた開催されると思いますのでその際はまたご紹介できればと思います。
おまけ:
今回のようにブログでご紹介する時には既に終わっている展示もあるので、twitterで速報的に感想も呟いています。たまにブログの記事にしていない展示についても呟いています。
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今日は写真多めです。前回ご紹介した21_21 DESIGN SIGHTの小展示を観た後、ギャラリー1・2で「写真都市展 -ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち-」も観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
写真都市展 -ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち-
【公式サイト】
http://www.2121designsight.jp/program/new_planet_photo_city/
【会場】21_21 DESIGN SIGHT
【最寄】六本木駅・乃木坂駅
【会期】2018年2月23日(金)~ 6月10日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんは多かったですが、鑑賞スペースが広いこともあって快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は20世紀を代表する写真家ウィリアム・クラインと現代の日本・アジアの写真家の展示となっていて、タイトルの通り次の世紀を見越したような斬新な写真が並んでいます。
まずウィリアム・クラインについてですが、写真家の顔以外にも画家や映画制作者としても活躍していたようで、短期間ながらフェルナン・レジェにも学んでいたようです。写真については正式な教育を受けていなかったようで、その作品は当初 祖国アメリカでは暴力的とさえ思われて歓迎はされていなかったそうです。しかしフランスでナダール賞を受賞するなど海外からは評価されたようで、やがて世界の大都市をテーマとした作品がベストセラーになっていったようです。この展示では前半にウィリアム・クライン関連の作品があり、後半はアジアの写真家たちの作品が並んでいました。詳しくは気に入った作品の写真を使ってご紹介していこうと思います。
参考記事:Chic and Luxury -モードの時代-写真展 (ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX)
こちらがウィリアム・クラインの作品。

都市のリアルを映し出すような感じでしょうか。眼差し印象的が印象的です。
こちらはぽっちゃりが進んだ御婦人たちの入浴でしょうか。

周りに赤・青・黄で枠を囲うように幾何学的かつ大胆なペインティングが施されているようでした。実験的で力強さがあります。
ウィリアム・クライン+TAKCOM

こちらはウィリアム・クラインの写真を使ってインスタレーションにした作品。先程の色をつけた写真を模した映像もありました。今の時代でも革新的な印象を受けます。
こんな感じで壁中に様々な写真が映し出されていきます。

こちらの写真などは群衆のエネルギーが伝わってきそうな躍動感がありました。
ウィリアム・クライン関連の作品はそれほど多くなく、この後はその精神を受け継いでいるような現代の斬新な作品が続きます。
安田佐智種 「Aerial」

この方の作品は以前観た覚えがあります(アートフェアだったかな) ビルがまるでハリネズミのように見える独特な作風で、都市を独特な視点で観ている点はウィリアム・クラインとの共通点があるように思えました。
安田佐智種 「みち(未知の地)」

こちらはかなりの大型作品で、東日本大震災の被災地で撮ってきたもののようです。所々欠けてる所もあって被災の痛みが感じられるようでした。
沈 昭良 「STAGE#7」

この方は台湾の写真家で、台湾の名物の大型トラックステージを撮った写真が多く並んでいました。ポツンと明るいステージが浮かび上がる様子がどこかシュール。
沈 昭良 「STAGE#2」

こちらもトラックステージの写真。道を塞ぐように展開されていますw こんな都市もあるんですね。アジア圏ならではの生命感があるように思います。
多和田有希 「Birth day」

最早これが写真なのか絵画なのか分かりませんが、抽象的な作品で驚きました。
これは3層くらいのガラスに重ねているようで立体感があります。

離れて観ると遠近感が生まれて独特の面白さがありました。
多和田有希 「Untitled」

こちらも写真だけど写真を超えているような作品。東京から光が吹き上がるようなダイナミズムを感じました。
勝又公仁彦 「Panning of Days -Syncretism/Palimpseste- "5 Days"」

こちらは長時間露光して撮っているようで、光が重なり合って時間経過を閉じ込めたような写真。都市の慌ただしさを感じさせると共に不思議と温かみを感じました。都市の色々な側面が凝縮されているように思います。
勝又公仁彦 「Skyline"100600"」

こちらは打って変わって静かなモノトーンの世界。離れた高台から撮っているようですが、空が大きく取られていることもあって都市が小さく見えます。蜃気楼みたいでちょっと儚さも感じました。
須藤絢乃 「面影 Autoscopy」

こちらは一見すると普通のポートレートですが、多国籍な人々をデジタル合成しているようです。ちょっと輪郭がダブって見えるのはそのためです。
そのうちの1枚をアップで撮ったもの。

これだと分かりづらいですが所々にラメみたいなのが入っていてキラキラした感じがありました。外国人に見えるけどどこにもいなそうな顔立ち。
西野壮平 「Diorama Map」

こちらは何枚もの写真を組み合わせて架空の視点からの都市の地図を作ったもの。かなり精密で空から撮ったものかと思いました。真実を写す写真ですが、繋ぎ合わすと架空のものも作れるという発想が面白いです。
石川直樹+森永泰弘 「Shishmaref, Alaska」

この2人の作品は寒そうな街の写真が多かったのですが、これは中々インパクトがありました。シロクマも敷物みたいにするんでしょうか。色々な文化がありますね。
石川直樹+森永泰弘 「Antarctica」

これは南極を撮ったものだったと思います。酷く寒そうですが星マークはクリスマスの飾りなのかな? ちょっと詳細が知りたかった1枚。
この辺には壁面一杯に水島貴大 氏の作品が展示されていましたが撮影禁止でした。
通路には朴ミナ 氏の作品が並んでいました。

アクアリウムに来たみたいな雰囲気が出てるかな?w 実際、この場所はそんな空間となっていて、水の音なんかも聞こえます。
朴ミナ 「ブルーの形態」

青が綺麗で、人々が大きな水槽の前で興奮している光景のようです。水族館のワクワク感と神秘性がよく現れているように思いました。
藤原聡志 「Scanning #1」

こちらは中庭にあった作品。ちょっと分かりづらいですが、老人の横顔が表されていました。これも意図が難しいのでもうちょっと詳細が知りたかったw
ということで、写真であっても写真という固定観念を壊すような次世代を感じさせる作品ばかり並んだ展示でした。いずれの作家も個性豊かで、オリジナリティ溢れる作風だったので満足できました。会期は長めですので、六本木(特に国立新美術館やサントリー美術館)に行く機会がある方は、ここも一緒に訪れてみるのもよろしいのではないかと思います。

【展覧名】
写真都市展 -ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち-
【公式サイト】
http://www.2121designsight.jp/program/new_planet_photo_city/
【会場】21_21 DESIGN SIGHT
【最寄】六本木駅・乃木坂駅
【会期】2018年2月23日(金)~ 6月10日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんは多かったですが、鑑賞スペースが広いこともあって快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は20世紀を代表する写真家ウィリアム・クラインと現代の日本・アジアの写真家の展示となっていて、タイトルの通り次の世紀を見越したような斬新な写真が並んでいます。
まずウィリアム・クラインについてですが、写真家の顔以外にも画家や映画制作者としても活躍していたようで、短期間ながらフェルナン・レジェにも学んでいたようです。写真については正式な教育を受けていなかったようで、その作品は当初 祖国アメリカでは暴力的とさえ思われて歓迎はされていなかったそうです。しかしフランスでナダール賞を受賞するなど海外からは評価されたようで、やがて世界の大都市をテーマとした作品がベストセラーになっていったようです。この展示では前半にウィリアム・クライン関連の作品があり、後半はアジアの写真家たちの作品が並んでいました。詳しくは気に入った作品の写真を使ってご紹介していこうと思います。
参考記事:Chic and Luxury -モードの時代-写真展 (ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX)
こちらがウィリアム・クラインの作品。

都市のリアルを映し出すような感じでしょうか。眼差し印象的が印象的です。
こちらはぽっちゃりが進んだ御婦人たちの入浴でしょうか。

周りに赤・青・黄で枠を囲うように幾何学的かつ大胆なペインティングが施されているようでした。実験的で力強さがあります。
ウィリアム・クライン+TAKCOM

こちらはウィリアム・クラインの写真を使ってインスタレーションにした作品。先程の色をつけた写真を模した映像もありました。今の時代でも革新的な印象を受けます。
こんな感じで壁中に様々な写真が映し出されていきます。

こちらの写真などは群衆のエネルギーが伝わってきそうな躍動感がありました。
ウィリアム・クライン関連の作品はそれほど多くなく、この後はその精神を受け継いでいるような現代の斬新な作品が続きます。
安田佐智種 「Aerial」

この方の作品は以前観た覚えがあります(アートフェアだったかな) ビルがまるでハリネズミのように見える独特な作風で、都市を独特な視点で観ている点はウィリアム・クラインとの共通点があるように思えました。
安田佐智種 「みち(未知の地)」

こちらはかなりの大型作品で、東日本大震災の被災地で撮ってきたもののようです。所々欠けてる所もあって被災の痛みが感じられるようでした。
沈 昭良 「STAGE#7」

この方は台湾の写真家で、台湾の名物の大型トラックステージを撮った写真が多く並んでいました。ポツンと明るいステージが浮かび上がる様子がどこかシュール。
沈 昭良 「STAGE#2」

こちらもトラックステージの写真。道を塞ぐように展開されていますw こんな都市もあるんですね。アジア圏ならではの生命感があるように思います。
多和田有希 「Birth day」

最早これが写真なのか絵画なのか分かりませんが、抽象的な作品で驚きました。
これは3層くらいのガラスに重ねているようで立体感があります。

離れて観ると遠近感が生まれて独特の面白さがありました。
多和田有希 「Untitled」

こちらも写真だけど写真を超えているような作品。東京から光が吹き上がるようなダイナミズムを感じました。
勝又公仁彦 「Panning of Days -Syncretism/Palimpseste- "5 Days"」


こちらは長時間露光して撮っているようで、光が重なり合って時間経過を閉じ込めたような写真。都市の慌ただしさを感じさせると共に不思議と温かみを感じました。都市の色々な側面が凝縮されているように思います。
勝又公仁彦 「Skyline"100600"」

こちらは打って変わって静かなモノトーンの世界。離れた高台から撮っているようですが、空が大きく取られていることもあって都市が小さく見えます。蜃気楼みたいでちょっと儚さも感じました。
須藤絢乃 「面影 Autoscopy」

こちらは一見すると普通のポートレートですが、多国籍な人々をデジタル合成しているようです。ちょっと輪郭がダブって見えるのはそのためです。
そのうちの1枚をアップで撮ったもの。

これだと分かりづらいですが所々にラメみたいなのが入っていてキラキラした感じがありました。外国人に見えるけどどこにもいなそうな顔立ち。
西野壮平 「Diorama Map」

こちらは何枚もの写真を組み合わせて架空の視点からの都市の地図を作ったもの。かなり精密で空から撮ったものかと思いました。真実を写す写真ですが、繋ぎ合わすと架空のものも作れるという発想が面白いです。
石川直樹+森永泰弘 「Shishmaref, Alaska」

この2人の作品は寒そうな街の写真が多かったのですが、これは中々インパクトがありました。シロクマも敷物みたいにするんでしょうか。色々な文化がありますね。
石川直樹+森永泰弘 「Antarctica」

これは南極を撮ったものだったと思います。酷く寒そうですが星マークはクリスマスの飾りなのかな? ちょっと詳細が知りたかった1枚。
この辺には壁面一杯に水島貴大 氏の作品が展示されていましたが撮影禁止でした。
通路には朴ミナ 氏の作品が並んでいました。

アクアリウムに来たみたいな雰囲気が出てるかな?w 実際、この場所はそんな空間となっていて、水の音なんかも聞こえます。
朴ミナ 「ブルーの形態」

青が綺麗で、人々が大きな水槽の前で興奮している光景のようです。水族館のワクワク感と神秘性がよく現れているように思いました。
藤原聡志 「Scanning #1」

こちらは中庭にあった作品。ちょっと分かりづらいですが、老人の横顔が表されていました。これも意図が難しいのでもうちょっと詳細が知りたかったw
ということで、写真であっても写真という固定観念を壊すような次世代を感じさせる作品ばかり並んだ展示でした。いずれの作家も個性豊かで、オリジナリティ溢れる作風だったので満足できました。会期は長めですので、六本木(特に国立新美術館やサントリー美術館)に行く機会がある方は、ここも一緒に訪れてみるのもよろしいのではないかと思います。
記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。


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先日ご紹介したギャラリー間の展示を観た後に21_21 DESIGN SIGHTにハシゴしたのですが、その際にたまたまGallery3で「HARMONIZE YUIMA NAKAZATO Exhibition」という展示が開催されていたので観てきました。この展示は既に終了していますが、撮影可能でしたので写真を使ってご紹介しておこうと思います。

【展覧名】
HARMONIZE YUIMA NAKAZATO Exhibition
【公式サイト】
http://www.2121designsight.jp/gallery3/harmonize/
【会場】21_21 DESIGN SIGHT Gallery3
【最寄】六本木駅・乃木坂駅
【会期】2018年2月21日(水)~ 2月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
私が行ったのが最終日だったこともあってか結構多くのお客さんで賑わっていましたが、混んでいるというわけでもなく快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は「YUIMA NAKA-ZATO」というファッションレーベルの主催者である中里唯馬 氏の新作を発表する内容となっていました。私はファッションに疎いので知らなかったのですが、2016年7月に日本人として史上2人目のパリのオートクチュール・ファッションウィーク公式ゲストデザイナーの1人となった方らしく、テクノロジーとクラフトマンシップを融合させることを提案しているそうです。展覧会にはまさにその言葉通りの作品が並んでいましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。
会場内はマネキンが並び、それぞれに服を着せて展示してありました。
YUIMA NAKA-ZATO 「UNKNOWN」 (2016-17 秋 冬)

こちらの作品はアイスランドで目にした氷やオーロラをイメージしているそうです。手作業で折り紙のように数百ものパーツを組み合わせているのだとか。1つ1つが花のような複雑な形で、素材の新しさとクラフトマンシップを感じさせる作品です。
YUIMA NAKA-ZATO 「INGNIS AER AQUA TERRA」 (2017春 夏)

こちらは先程よりも様々な素材が使われていそうな作品。何処と無くアジア風だけど近未来的な雰囲気もあります。近くで観るとかなり細かい作りになっているのが分かります。
靴も変わった素材です。

金属的な光と独特の色彩感覚が洗練された印象でした。
YUIMA NAKA-ZATO 「FREEDOM」 (2017~2018秋 冬)

こちらは一見するとボタンのようなものが沢山ついているように観えますが、長方形の素材を組み合わせて作られています。「UNIT CONSTRUCTED TEXTILE」と呼んでいるようで、1つ1つを自由自在に組み合わせてテキスタイルとするのがコンセプトのようです。また、使われた素材は東レが開発した新素材の「Ultrasuede」(ウルトラスエード)という人工皮革らしく、断ち切り裁断も可能だそうです。こうして細かい部品を組み上げるような作品にぴったりの素材なのかも。
こちらは作品名が分かりませんが、輪っかが連なるデザインとなっている作品。

こちらもよく観ると繋ぎ止めている部分があり、いくつかのパーツを組み合わせて作っているようでした。こんな複雑な穴を開けることもできるようです。
こちらは何と宇宙服のデザイン。

宇宙に持ち出せる物質は限られているので、デジタル加工ができて汎用性がある「UNIT CONSTRUCTED TEXTILE」は宇宙服にうってつけの方式かも。東レの素材も循環型システムに親和性が高いようなので、まさに未来の服といった感じでした。
近くには東レの素材も展示されていました。

四角だけでなくもっと複雑な形にも加工できそう。カラーバリエーションも結構あるようです。
こちらは会場で実際につなぎ合わせていたのを撮らせて頂きました。

それぞれのパーツはこんな感じの破片で、黒い留め具を穴に通してお互いをくっつけているようです。針で縫うよりは簡単そうですが、これもそのうち効率化するのかな?
製図して裁断するのはデジタルで行けそうでした。

まさにテクノロジーとクラフトマンシップの融合と言った感じでした。これが発展すれば皆オリジナルな服を簡単に作れるようになるのでは??
ということで、面白い発想で未来感溢れる服が並んでいました。ファッションに詳しくない私でも新素材と新しいデザインが出会ったプロダクトにワクワクさせられました。もうこの展示は終わってしまいましたが、今後も活躍が期待されるデザイナーなので記憶に留めておきたいと思います。

【展覧名】
HARMONIZE YUIMA NAKAZATO Exhibition
【公式サイト】
http://www.2121designsight.jp/gallery3/harmonize/
【会場】21_21 DESIGN SIGHT Gallery3
【最寄】六本木駅・乃木坂駅
【会期】2018年2月21日(水)~ 2月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
私が行ったのが最終日だったこともあってか結構多くのお客さんで賑わっていましたが、混んでいるというわけでもなく快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は「YUIMA NAKA-ZATO」というファッションレーベルの主催者である中里唯馬 氏の新作を発表する内容となっていました。私はファッションに疎いので知らなかったのですが、2016年7月に日本人として史上2人目のパリのオートクチュール・ファッションウィーク公式ゲストデザイナーの1人となった方らしく、テクノロジーとクラフトマンシップを融合させることを提案しているそうです。展覧会にはまさにその言葉通りの作品が並んでいましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。
会場内はマネキンが並び、それぞれに服を着せて展示してありました。
YUIMA NAKA-ZATO 「UNKNOWN」 (2016-17 秋 冬)


こちらの作品はアイスランドで目にした氷やオーロラをイメージしているそうです。手作業で折り紙のように数百ものパーツを組み合わせているのだとか。1つ1つが花のような複雑な形で、素材の新しさとクラフトマンシップを感じさせる作品です。
YUIMA NAKA-ZATO 「INGNIS AER AQUA TERRA」 (2017春 夏)


こちらは先程よりも様々な素材が使われていそうな作品。何処と無くアジア風だけど近未来的な雰囲気もあります。近くで観るとかなり細かい作りになっているのが分かります。
靴も変わった素材です。

金属的な光と独特の色彩感覚が洗練された印象でした。
YUIMA NAKA-ZATO 「FREEDOM」 (2017~2018秋 冬)


こちらは一見するとボタンのようなものが沢山ついているように観えますが、長方形の素材を組み合わせて作られています。「UNIT CONSTRUCTED TEXTILE」と呼んでいるようで、1つ1つを自由自在に組み合わせてテキスタイルとするのがコンセプトのようです。また、使われた素材は東レが開発した新素材の「Ultrasuede」(ウルトラスエード)という人工皮革らしく、断ち切り裁断も可能だそうです。こうして細かい部品を組み上げるような作品にぴったりの素材なのかも。
こちらは作品名が分かりませんが、輪っかが連なるデザインとなっている作品。


こちらもよく観ると繋ぎ止めている部分があり、いくつかのパーツを組み合わせて作っているようでした。こんな複雑な穴を開けることもできるようです。
こちらは何と宇宙服のデザイン。

宇宙に持ち出せる物質は限られているので、デジタル加工ができて汎用性がある「UNIT CONSTRUCTED TEXTILE」は宇宙服にうってつけの方式かも。東レの素材も循環型システムに親和性が高いようなので、まさに未来の服といった感じでした。
近くには東レの素材も展示されていました。

四角だけでなくもっと複雑な形にも加工できそう。カラーバリエーションも結構あるようです。
こちらは会場で実際につなぎ合わせていたのを撮らせて頂きました。

それぞれのパーツはこんな感じの破片で、黒い留め具を穴に通してお互いをくっつけているようです。針で縫うよりは簡単そうですが、これもそのうち効率化するのかな?
製図して裁断するのはデジタルで行けそうでした。

まさにテクノロジーとクラフトマンシップの融合と言った感じでした。これが発展すれば皆オリジナルな服を簡単に作れるようになるのでは??
ということで、面白い発想で未来感溢れる服が並んでいました。ファッションに詳しくない私でも新素材と新しいデザインが出会ったプロダクトにワクワクさせられました。もうこの展示は終わってしまいましたが、今後も活躍が期待されるデザイナーなので記憶に留めておきたいと思います。
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先週金曜の会社帰りにレイトショーで映画「グレイテスト・ショーマン」を観てきました。この記事にはややネタバレを含んでいますので、事前知識無しで観たい方はご注意ください。

【作品名】
グレイテスト・ショーマン
【公式サイト】
http://www.foxmovies-jp.com/greatest-showman/
【時間】
1時間40分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
公開されて結構経っているしレイトショーなので空いているだろうと思ったらほぼ満員で人気ぶりが伺えました。サントラも売れているみたいなので、大ヒットと言えそうです。
さて、この映画は実在した19世紀アメリカの興行師P・T・バーナムを題材としたミュージカル映画です。その音楽は2016年に大ヒットした「ラ・ラ・ランド」を手がけたベンジ・パセック&ジャスティン・ポールのコンビが担当し、主役は2012年に「レ・ミゼラブル」でも主役を勤め上げたヒュー・ジャックマンということで、観る前から非常に期待の持てる布陣だったと思います。
実際、出演者の歌や踊りも含めて期待通りで、迫力ある映像と合わさって見応えがある内容と言えると思います。しかし満足度としては4点くらいが正直な所で、どうしても「ラ・ラ・ランド」と比べるとそこまで感激が無かった気がします。 というのも、今回の音楽は合唱パートが多くて、フックが無いというか割と似た曲が多いw この辺は好みの問題かもしれませんが、パワフルなボーカルと合唱で力押しするワンパターンだったように思います。 一方でダンスはちょっとマイケル・ジャクソンみたいなのもあったりして面白かったかなw 映像面も流石といった感じです。
ここからはネタバレとなりますが、この話は史実に基づいている部分があり(何処からがフィクションなのか私には判別できません)、サーカスに入った人物にも実在のモデルがいたりするようです。 この時代のサーカスにはフリークショー的な側面があって、有名な映画「エレファントマン」なんかを思い起こすテーマですが、あれほどシリアスな感じではなく明るく前向きなイメージが映画全体を彩っているように思います。ハンディキャップのある人を見世物にする一方で、彼らの居場所を作るという功罪についてはよく理解できるようになっています。
しかし、主役のP・T・バーナムは幼少の頃からその人物像を描写している訳ですがキャラがよく分かりませんw 口ではペテン師的なことを言いつつ家族思いの憎めないキャラかと思えば、浮かれて大事なことをないがしろにしたり、行動が行き当たりばったりな感じが否めません。 この辺も史実なのかもしれませんが、ちょっと感情移入しづらい人物像です。ヒュー・ジャックマン自身はカッコイイんですけどねw
また、仲間の数が多く、数人程度は心情表現があるのですがこれも詰め込みすぎた感がするかな。それぞれの葛藤なんかもしっかり描かれていたものの、テーマも含めて欲張りすぎたような気がします。(むしろ主人公を2人に絞ったほうが分かりやすかったような…)
と、諸手を挙げて絶賛という程では無かったのですが、良い作品であることは間違いなく、これを今年のベストに挙げる人もいると思います。まだ1回しか観ていないし、曲を覚えたらまた違って観えてくるのかな。十分なクオリティは担保されているので多くの人が楽しめる映画だと思います。

【作品名】
グレイテスト・ショーマン
【公式サイト】
http://www.foxmovies-jp.com/greatest-showman/
【時間】
1時間40分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_④_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
公開されて結構経っているしレイトショーなので空いているだろうと思ったらほぼ満員で人気ぶりが伺えました。サントラも売れているみたいなので、大ヒットと言えそうです。
さて、この映画は実在した19世紀アメリカの興行師P・T・バーナムを題材としたミュージカル映画です。その音楽は2016年に大ヒットした「ラ・ラ・ランド」を手がけたベンジ・パセック&ジャスティン・ポールのコンビが担当し、主役は2012年に「レ・ミゼラブル」でも主役を勤め上げたヒュー・ジャックマンということで、観る前から非常に期待の持てる布陣だったと思います。
実際、出演者の歌や踊りも含めて期待通りで、迫力ある映像と合わさって見応えがある内容と言えると思います。しかし満足度としては4点くらいが正直な所で、どうしても「ラ・ラ・ランド」と比べるとそこまで感激が無かった気がします。 というのも、今回の音楽は合唱パートが多くて、フックが無いというか割と似た曲が多いw この辺は好みの問題かもしれませんが、パワフルなボーカルと合唱で力押しするワンパターンだったように思います。 一方でダンスはちょっとマイケル・ジャクソンみたいなのもあったりして面白かったかなw 映像面も流石といった感じです。
ここからはネタバレとなりますが、この話は史実に基づいている部分があり(何処からがフィクションなのか私には判別できません)、サーカスに入った人物にも実在のモデルがいたりするようです。 この時代のサーカスにはフリークショー的な側面があって、有名な映画「エレファントマン」なんかを思い起こすテーマですが、あれほどシリアスな感じではなく明るく前向きなイメージが映画全体を彩っているように思います。ハンディキャップのある人を見世物にする一方で、彼らの居場所を作るという功罪についてはよく理解できるようになっています。
しかし、主役のP・T・バーナムは幼少の頃からその人物像を描写している訳ですがキャラがよく分かりませんw 口ではペテン師的なことを言いつつ家族思いの憎めないキャラかと思えば、浮かれて大事なことをないがしろにしたり、行動が行き当たりばったりな感じが否めません。 この辺も史実なのかもしれませんが、ちょっと感情移入しづらい人物像です。ヒュー・ジャックマン自身はカッコイイんですけどねw
また、仲間の数が多く、数人程度は心情表現があるのですがこれも詰め込みすぎた感がするかな。それぞれの葛藤なんかもしっかり描かれていたものの、テーマも含めて欲張りすぎたような気がします。(むしろ主人公を2人に絞ったほうが分かりやすかったような…)
と、諸手を挙げて絶賛という程では無かったのですが、良い作品であることは間違いなく、これを今年のベストに挙げる人もいると思います。まだ1回しか観ていないし、曲を覚えたらまた違って観えてくるのかな。十分なクオリティは担保されているので多くの人が楽しめる映画だと思います。
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前回に引き続き国立新美術館の「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」についてです。前半は5章までご紹介しましたが、今日は残りの6~10章をご紹介していこうと思います。まずは概要のおさらいです。
前編はこちら

【展覧名】
至上の印象派展 ビュールレ・コレクション
【公式サイト】
http://www.buehrle2018.jp/
http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/buehrle2018/
【会場】国立新美術館
【最寄】乃木坂駅・六本木駅
【会期】2018年2月14日(水)~5月7日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前半は印象派以前~印象派についてでしたが、後半は印象派以降の美術の流れをざっくり知ることのできる内容となっていました。今回も各章ごとに気に入った作品をご紹介していこうと思います。
<第6章 ポール・セザンヌ>
こちらの章は近代絵画の父とも呼ばれるセザンヌの作品だけ6点集めた内容となっていました。
37 ポール・セザンヌ 「聖アントニウスの誘惑」
こちらはセザンヌの初期の作品で、暗めの背景に4人の裸婦と聖アントニウスが描かれています。セザンヌ自身が「クイヤルド様式(睾丸の大きな)」と呼んだ荒々しくタッチで描かれていて、ドワクロワからの影響を受けた題材となっているようです。この主題自体は西洋絵画でよく観ますが、セザンヌの初期の裸体表現を観ることができて面白かったです。
参考記事:セザンヌ―パリとプロヴァンス 感想前編(国立新美術館)
39 ポール・セザンヌ 「扇子を持つセザンヌ夫人の肖像」
赤いソファに腰掛ける夫人を描いた作品で、顔だけこちらを向いています。重厚で落ち着いた色彩で描かれていて静かな印象を受けます。セザンヌは夫人をモデルにする時にはじっとして動かないように指示していたらしいので、この絵でもそれが現れているのかもと思いながら観ていました。
参考記事:映画「セザンヌと過ごした時間」 (軽いネタバレあり)
40 ポール・セザンヌ 「赤いチョッキの少年」
こちらは今回のポスターにもなっているセザンヌの代表作の1つです。プロのモデルを使って描いた作品で、題名の通り赤いチョッキを着た少年が描かれています。よく観ると右手のバランスがおかしくて異様に長く見えるのですが、これはわざとこのように描いているそうで、ちょっと不思議な画面となっています。色面を組み合わせた感じや筆致の残った表現などセザンヌらしさを感じる1枚でした。
参考リンク:公式サイトの「見どころ」
他にも貴重な自画像やセザンヌの最晩年のエクスで描いた庭師の作品などもありました。
参考記事:セザンヌゆかりの地めぐり (南仏編 エクス)
<第7章 フィンセント・ファン・ゴッホ>
続いてこちらはゴッホだけ5点集めたコーナーとなっています。
43 フィンセント・ファン・ゴッホ 「古い塔」
こちらは重く沈んだ色彩で塔を描いた作品です。割とぺったりした塗り方で、後の作品と比べると静けさが漂い一見してゴッホとは気づかない方も多いかもしれません。1884年の作品なのでニューネンにいた頃のものと思いますが、初期のゴッホの作風がよく分かる作品だと思います。
参考記事:ゴッホ展 こうして私はゴッホになった 感想前編(国立新美術館)
この近くには軽やかな印象派風の作品もありました。
46 フィンセント・ファン・ゴッホ 「日没を背に種まく人」
こちらは最近のゴッホ展でもよく似た絵を観た気がしますが、ミレーの有名作「種まく人」へのオマージュ的な作品です。ミレーの種まく人と同じポーズの人が描かれ、種が飛んでいく様子がよく分かります。また、手前には画面中央を横切るように林檎の木が描かれていて、浮世絵からの影響を感じさせます。背景には巨大な太陽があるなど独特の光景となっていてゴッホの個性やルーツが垣間見える作品でした。
参考記事:ゴッホ展 巡りゆく日本の夢 (東京都美術館)
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
48 フィンセント・ファン・ゴッホ 「花咲くマロニエの枝」
こちらはまるで木版の削り跡のような細長い筆致でマロニエを描いた作品です。青い背景に白い花や緑の葉が映えるのですが、意外と色合いは柔らかめに感じるかな。オーヴェールに住んでいた晩年の作風で、力強さとちょっと不安になる雰囲気がありました。
参考記事:映画「ゴッホ~最期の手紙~」(ややネタバレあり)
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
<第8章 20世紀初頭のフランス絵画>
続いては主にポスト印象派のコーナーで、ゴーギャンやボナールなどが並んでいました。
53 ポール・ゴーギャン 「肘掛け椅子の上のひまわり」
こちらはゴッホとの思い出を描いた作品で、椅子の上にヒマワリが置かれていてそれを暗示しています。窓の外には海で遊んでいると思われる人の姿もあってタヒチではないかと思います。重厚な色彩で西洋のヒマワリと南国の地という対比的なモチーフを荒々しく描いているようでした。
参考記事;映画「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」(ややネタバレあり)
54 ポール・ゴーギャン 「贈りもの」
こちらもタヒチの頃の作品で、褐色の肌の上半身裸の2人の女性が描かれ1人は赤ちゃんにお乳を飲ませているようです。背景の家の屋根の赤や緑が褐色の肌と対比的な色合いとなっていて、色を強く感じます。また、色面と輪郭線を使った画風が力強い生命感を感じさせました。中々見事な作品です。
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
この辺にはヴュイヤールの作品などもありましたが、あまりヴュイヤールっぽさは感じなかったかなw ボナールは著名な画商ヴォラールを描いた作品などがありました。
<第9章 モダン・アート>
続いてはフォーヴィスムとキュビスムの画家の作品が並ぶコーナーです。
57 モーリス・ド・ヴラマンク 「ル・ペック近くのセーヌ川のはしけ」
こちらは「フォーヴィスム」という名前が生まれた翌年の頃の作品で、船と岸の木を描いています。赤や緑が原色に近いまま使われ、点描みたいなタッチで塗り残しもあるなどかなり荒々しく見えます。まさに野獣のような激しい画風となっていました。
59 ジョルジュ・ブラック 「レスタックの港」
こちらは港を描いた作品ですが、非常に強い色彩で大きな点描を使って描かれていて、キュビスムの創始者の1人であるブラックの作品だとは一見して分かりませんでした。こういう意外な作品が観られるのも今回の展覧会の面白いところじゃないかな。
60 ジョルジュ・ブラック 「ヴァイオリニスト」
これは円錐を逆にしたようなものを無数に並べたような背景に、ヴァイオリンを分解したようなものが描かれた作品です。割とごちゃごちゃしていて、焦げ茶の画面に黒い輪郭を使って表現しています。非常に実験的な雰囲気があり、ブラックのキュビスムの発明の様子が伺えました。
この近くには平面的でぺったりした色面で画面を分割するキュビスムらしいブラックの作品もありました。また、ここにあるピカソもかなり見応えがあります。
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
<第10章 新たなる絵画の地平>
最後の章は1点のみで、モネの睡蓮が展示されていました。ここだけ撮影可能となっています。
64 クロード・モネ 「睡蓮の池、緑の反映」

スマフォで撮ったのでちょっと発色が悪くてすみませんw 本物はもっと綺麗な色で、かなり大型の作品となっています。モネがジヴェルニーの自宅で何枚も何枚も描いた睡蓮のうちの1枚で、まさにモネの集大成とも言える作品だと思います。燃え立つ色合いに包まれるような体験ができますので、これは是非近くで観ていただきたい作品です。
参考記事:
番外編 フランス旅行 オランジュリー美術館とマルモッタン美術館
番外編 フランス旅行 ジヴェルニー モネの家
ということで、後半も素晴らしい作品が多く並んでいました。(満足度5点じゃないのは単に個展でなく作風が多岐に渡っている為です。) これだけ一気にビュールレ・コレクションを日本で観る機会は今後は無いようなので、非常に貴重な内容だと思います。近代絵画史を俯瞰するような構成も分かりやすいので、多くの人が楽しめる展覧会だと思います。
前編はこちら

【展覧名】
至上の印象派展 ビュールレ・コレクション
【公式サイト】
http://www.buehrle2018.jp/
http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/buehrle2018/
【会場】国立新美術館
【最寄】乃木坂駅・六本木駅
【会期】2018年2月14日(水)~5月7日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前半は印象派以前~印象派についてでしたが、後半は印象派以降の美術の流れをざっくり知ることのできる内容となっていました。今回も各章ごとに気に入った作品をご紹介していこうと思います。
<第6章 ポール・セザンヌ>
こちらの章は近代絵画の父とも呼ばれるセザンヌの作品だけ6点集めた内容となっていました。
37 ポール・セザンヌ 「聖アントニウスの誘惑」
こちらはセザンヌの初期の作品で、暗めの背景に4人の裸婦と聖アントニウスが描かれています。セザンヌ自身が「クイヤルド様式(睾丸の大きな)」と呼んだ荒々しくタッチで描かれていて、ドワクロワからの影響を受けた題材となっているようです。この主題自体は西洋絵画でよく観ますが、セザンヌの初期の裸体表現を観ることができて面白かったです。
参考記事:セザンヌ―パリとプロヴァンス 感想前編(国立新美術館)
39 ポール・セザンヌ 「扇子を持つセザンヌ夫人の肖像」
赤いソファに腰掛ける夫人を描いた作品で、顔だけこちらを向いています。重厚で落ち着いた色彩で描かれていて静かな印象を受けます。セザンヌは夫人をモデルにする時にはじっとして動かないように指示していたらしいので、この絵でもそれが現れているのかもと思いながら観ていました。
参考記事:映画「セザンヌと過ごした時間」 (軽いネタバレあり)
40 ポール・セザンヌ 「赤いチョッキの少年」
こちらは今回のポスターにもなっているセザンヌの代表作の1つです。プロのモデルを使って描いた作品で、題名の通り赤いチョッキを着た少年が描かれています。よく観ると右手のバランスがおかしくて異様に長く見えるのですが、これはわざとこのように描いているそうで、ちょっと不思議な画面となっています。色面を組み合わせた感じや筆致の残った表現などセザンヌらしさを感じる1枚でした。
参考リンク:公式サイトの「見どころ」
他にも貴重な自画像やセザンヌの最晩年のエクスで描いた庭師の作品などもありました。
参考記事:セザンヌゆかりの地めぐり (南仏編 エクス)
<第7章 フィンセント・ファン・ゴッホ>
続いてこちらはゴッホだけ5点集めたコーナーとなっています。
43 フィンセント・ファン・ゴッホ 「古い塔」
こちらは重く沈んだ色彩で塔を描いた作品です。割とぺったりした塗り方で、後の作品と比べると静けさが漂い一見してゴッホとは気づかない方も多いかもしれません。1884年の作品なのでニューネンにいた頃のものと思いますが、初期のゴッホの作風がよく分かる作品だと思います。
参考記事:ゴッホ展 こうして私はゴッホになった 感想前編(国立新美術館)
この近くには軽やかな印象派風の作品もありました。
46 フィンセント・ファン・ゴッホ 「日没を背に種まく人」
こちらは最近のゴッホ展でもよく似た絵を観た気がしますが、ミレーの有名作「種まく人」へのオマージュ的な作品です。ミレーの種まく人と同じポーズの人が描かれ、種が飛んでいく様子がよく分かります。また、手前には画面中央を横切るように林檎の木が描かれていて、浮世絵からの影響を感じさせます。背景には巨大な太陽があるなど独特の光景となっていてゴッホの個性やルーツが垣間見える作品でした。
参考記事:ゴッホ展 巡りゆく日本の夢 (東京都美術館)
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
48 フィンセント・ファン・ゴッホ 「花咲くマロニエの枝」
こちらはまるで木版の削り跡のような細長い筆致でマロニエを描いた作品です。青い背景に白い花や緑の葉が映えるのですが、意外と色合いは柔らかめに感じるかな。オーヴェールに住んでいた晩年の作風で、力強さとちょっと不安になる雰囲気がありました。
参考記事:映画「ゴッホ~最期の手紙~」(ややネタバレあり)
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
<第8章 20世紀初頭のフランス絵画>
続いては主にポスト印象派のコーナーで、ゴーギャンやボナールなどが並んでいました。
53 ポール・ゴーギャン 「肘掛け椅子の上のひまわり」
こちらはゴッホとの思い出を描いた作品で、椅子の上にヒマワリが置かれていてそれを暗示しています。窓の外には海で遊んでいると思われる人の姿もあってタヒチではないかと思います。重厚な色彩で西洋のヒマワリと南国の地という対比的なモチーフを荒々しく描いているようでした。
参考記事;映画「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」(ややネタバレあり)
54 ポール・ゴーギャン 「贈りもの」
こちらもタヒチの頃の作品で、褐色の肌の上半身裸の2人の女性が描かれ1人は赤ちゃんにお乳を飲ませているようです。背景の家の屋根の赤や緑が褐色の肌と対比的な色合いとなっていて、色を強く感じます。また、色面と輪郭線を使った画風が力強い生命感を感じさせました。中々見事な作品です。
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
この辺にはヴュイヤールの作品などもありましたが、あまりヴュイヤールっぽさは感じなかったかなw ボナールは著名な画商ヴォラールを描いた作品などがありました。
<第9章 モダン・アート>
続いてはフォーヴィスムとキュビスムの画家の作品が並ぶコーナーです。
57 モーリス・ド・ヴラマンク 「ル・ペック近くのセーヌ川のはしけ」
こちらは「フォーヴィスム」という名前が生まれた翌年の頃の作品で、船と岸の木を描いています。赤や緑が原色に近いまま使われ、点描みたいなタッチで塗り残しもあるなどかなり荒々しく見えます。まさに野獣のような激しい画風となっていました。
59 ジョルジュ・ブラック 「レスタックの港」
こちらは港を描いた作品ですが、非常に強い色彩で大きな点描を使って描かれていて、キュビスムの創始者の1人であるブラックの作品だとは一見して分かりませんでした。こういう意外な作品が観られるのも今回の展覧会の面白いところじゃないかな。
60 ジョルジュ・ブラック 「ヴァイオリニスト」
これは円錐を逆にしたようなものを無数に並べたような背景に、ヴァイオリンを分解したようなものが描かれた作品です。割とごちゃごちゃしていて、焦げ茶の画面に黒い輪郭を使って表現しています。非常に実験的な雰囲気があり、ブラックのキュビスムの発明の様子が伺えました。
この近くには平面的でぺったりした色面で画面を分割するキュビスムらしいブラックの作品もありました。また、ここにあるピカソもかなり見応えがあります。
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
<第10章 新たなる絵画の地平>
最後の章は1点のみで、モネの睡蓮が展示されていました。ここだけ撮影可能となっています。
64 クロード・モネ 「睡蓮の池、緑の反映」

スマフォで撮ったのでちょっと発色が悪くてすみませんw 本物はもっと綺麗な色で、かなり大型の作品となっています。モネがジヴェルニーの自宅で何枚も何枚も描いた睡蓮のうちの1枚で、まさにモネの集大成とも言える作品だと思います。燃え立つ色合いに包まれるような体験ができますので、これは是非近くで観ていただきたい作品です。
参考記事:
番外編 フランス旅行 オランジュリー美術館とマルモッタン美術館
番外編 フランス旅行 ジヴェルニー モネの家
ということで、後半も素晴らしい作品が多く並んでいました。(満足度5点じゃないのは単に個展でなく作風が多岐に渡っている為です。) これだけ一気にビュールレ・コレクションを日本で観る機会は今後は無いようなので、非常に貴重な内容だと思います。近代絵画史を俯瞰するような構成も分かりやすいので、多くの人が楽しめる展覧会だと思います。
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2週間ほど前の土曜日に乃木坂の国立新美術館で「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」を観てきました。豪華なコレクションで見どころも多かったので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

【展覧名】
至上の印象派展 ビュールレ・コレクション
【公式サイト】
http://www.buehrle2018.jp/
http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/buehrle2018/
【会場】国立新美術館
【最寄】乃木坂駅・六本木駅
【会期】2018年2月14日(水)~5月7日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
既に結構混んでいて、中々自分のペースで観ることができない感じでした。私は観るのが長いのでちょっと後ろからゆっくり観てきました。
さて、この展示はスイスの実業家エミール・ゲオルク・ビュールレが集めた印象派を中心としたコレクションを一挙に64点も紹介する内容となっています。これらのコレクションは防犯上の理由からチューリッヒ美術館へと移管される予定となっていて、日本でこれだけまとまって観られるのは最後の機会と言えるようです。
まずコレクターのエミール・ゲオルク・ビュールレについてですが、若い頃に大学で美術史のゴシック彫刻の講義を受けていたなど元々美術に関心が深かったようです。そして1913年にドイツ ベルリンのナショナル・ギャラリーで印象派の作品に出会い、印象派の虜となりました。その翌年には第一次世界大戦が始まった訳ですが、戦後にビュールレは治安維持で派遣された地で銀行家に知遇を得てその娘と結婚しました。そしてその銀行家が株主だった工作機械の会社の一員となると、20mm機関砲の特許の譲渡を受けて後の連合国側に大口の受注を得るようになり財を築いていきました。
コレクターとしては1936年にドガの踊り子やルノワールの素描など4点を買って最初のコレクションとしたのを皮切りに、1939年にはナチスドイツの退廃美術オークションにも参加するなど着々と集め、第二次世界大戦の間にも76点も買っていたようです。その中にはレンブラントの贋作や略奪品も掴まされたようですが、略奪品については改めて正当な持ち主から買い直しをして手に入れたりしていたようです。また、2008年にはセザンヌ、ドガ、ゴッホ、モネの4作品を強盗される事件もあったそうで、2015年に警備の問題から当初の美術館を閉鎖してチューリッヒ美術館へという流れのようです。
そうした経緯で集められたコレクションが題材や画家ごとに10章構成で並んでいましたので、各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<第1章 肖像画>
まず最初は肖像画のコーナーです。ここは印象派より前のフランス・ハルス(フランドルの画家)や、ドミニク・アングル(新古典主義の画家)などの作品もあり、印象派へと繋がるルーツも含めた内容となっています。アングルはルノワールに大きな影響を与えているので、ここでよく観ておくとそれが分かるかもしれません。
参考記事:ルノワール-伝統と革新 感想前編(国立新美術館)
3 ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル 「イポリット=フランソワ。ドゥヴィレの肖像」
こちらはアングルらしい艷やかな筆致の男性像で、写真のような写実性があります。その黒の使い方や細かい刺繍の表現なども見事ですが、やはりアングル独特の気品が何よりも素晴らしい作品でした。アングル好きとしては嬉しい計算外のコレクションです。
4 ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル 「アングル夫人の肖像」
こちらを見て微笑む夫人を描いた作品で、アングルにしてはやや粗い筆致で描かれています。これはプライベートな目的で描いている為と考えられるようで、夫人も優しそうな雰囲気です。ラファエロの聖母像に似せているのではないかとの指摘もあるようですが、親密な空気がある作品に思いました。
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
この近くにはルノワールが描いた印象派仲間のシスレーの肖像もありました。ルノワールにしては輪郭がくっきりしてる時期のものですw また、ドガの肖像画も1点あったかな。他にはクールベやラトゥールといった印象派の時期に近い画家などもありました。
<第2章 ヨーロッパの都市>
続いてはヨーロッパの都市景観を描いた作品が並ぶコーナーです。ここにもカナレットなど印象派の100年以上前の画家の作品もありました。
9 アントーニオ・カナール(カナレット) 「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂、ヴェネツィア」
こちらは緻密かつ大画面の風景画で、ヴェネツィアのカナル・グランデ沿いの街並みや聖堂が描かれています。陰影がハッキリしていて遠近感もリアルに描かれているなどかなり写実的で当時の様子が伺えます。運河を行く船や聖堂の前の人々など穏やかな風景で、理想的な光景のように思えました。
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
8 フランチェスコ・グァルディ 「サン・マルコ沖、ヴェネツィア」
こちらも18世紀イタリアの画家の作品で、多分今回の展覧会で一番知られていない画家じゃないかなw 画風は前述のカナレットに似ていて、題材もヴェネツィアの海の上の船を描いていています。水平線が低く設けられている為か、明るく広々した雰囲気が感じられるかな。サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会が見えているなど、こちらも旅情を掻き立てる作品となっていました。
この近くにはシニャックが同じヴェネツィアのジュデッカ運河を描いた作品などもありました。点描なので前述の2人とは全く異なる画風ですが、その違いを楽しむことができます。また、モネの「陽を浴びるウォータールー橋、ロンドン」というロンドンでの連作のうちの1枚も並んでいました。この辺は初めて観るけど似た作品はよく観るので割と見慣れた感じかな。
13 アンリ・マティス 「雪のサン=ミシェル橋 パリ」
こちらは高い位置から川と橋を見下ろすように描いた作品です。煙や蒸気を捉えた感じがして、あまりマティスっぽく見えず印象派の作品のように見えるのですが、これはまだマティスがフォーヴと呼ばれる前の頃のもので色も控えめとなっています。ちょっと珍しい作風を見られてこれはこれで面白かったです。
<第3章 19世紀のフランス絵画>
続いてはバルビゾン派やロマン派、写実主義といった印象派の先駆けとなった画家たちのコーナーです。
19 カミーユ・コロー 「読書する少女」
赤い服の女性が熱心に本を読んでいる様子が描かれた作品です。静かな雰囲気がありコローらしい感じですが、印象派に繋がる大胆さもあると思います。この辺は印象派を知る上でも重要な画家ですので、是非ゆっくり観ておきたい1枚です。
この近くにはクールベ(写実主義)やドラクロワ(ロマン派)、シャバンヌ(象徴主義寄り)などもありました。特にドラクロワの「モロッコのスルタン」などはドラクロワの異国趣味を感じる見事な作品です。
19 エドゥアール・マネ 「オリエンタル風の衣装をまとった若い女」
シースルーの薄い布をまとった中東風の女性を描いた作品で、肌が透けて裸婦のようでもあります。やや 力無い表情を浮かべていますが官能的な雰囲気もあり、マネの東洋趣味もよく分かる作品でした。
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
20 エドゥアール・マネ 「燕」
野原の上で黒衣の女性と日傘を持つ白い服の女性が横たわっている様子が描かれ、その周りには燕の姿もあります。背景には農村があり牛もいるなど当時の田舎を描いた作品のようにも思えますが、何処と無く「草上の昼食」を想起させました。また、タッチは大胆で特に黒い服が目を引きます。この辺は黒を得意としたマネらしさを感じました。
21 エドゥアール・マネ 「ワシミミズク」
マネばかり取り上げていますが、これも気に入った作品ですw 木の板とミミズクが描かれた作品で、遠くから観ると木目がリアルに思えてきます。この作品はマネのものとは気づけませんでしたが、騙し絵的な面白さがありました。
<第4章 印象派の風景 ―マネ、モネ、ピサロ、シスレー>
続いてはビュールレ・コレクションの真骨頂とも言える印象派のコーナーです(印象派風のマネの作品もあります) 正直、印象派はかなり見慣れているのでそれほど新しい発見はないのではないかと思っていましたが、モネの傑作などに出会うことが出来ました。
26 アルフレッド・シスレー 「ブージヴァルの夏」
こちらはブージヴァル辺りのセーヌ川の川岸を描いた作品で、鉄道橋や蒸気船なども描かれ、蒸気がモクモクとあがっています。道には人の姿もありますが、雲や蒸気、光などの方が目を引いて印象派らしい題材に思えました。
参考記事:シスレー展 (コーモン芸術センター)南仏編 エクス
この辺にはピサロの印象派然とした頃の作品などもありました。
28 クロード・モネ 「ヴェトゥイユ近郊のヒナゲシ畑」
一面に真っ赤なヒナゲシが咲いて、子供や女性が花を摘んでいる様子が描かれた作品です。背景には教会や村が描かれ空は曇天なのですが、ヒナゲシの赤が強くて華やかな印象を受けました。これは今回の展示の中でも特に気に入った作品でした。
29 クロード・モネ 「ジヴェルニーのモネの庭」
沢山の花や木に囲まれた庭の中で、女性が花に触れて様子を観ている姿を描いた作品です。この女性は義理の娘のシュザンヌで、帽子を被って可憐な印象を受けます。画面は緑を多く使っている為か、赤やピンク、黄色、青といった花の色彩が響き合うようでした。
参考記事:番外編 フランス旅行 ジヴェルニー モネの家
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
<第5章 印象派の人物 ―ドガとルノワール>
続いては印象派の中でもドガとルノワールについてのコーナーで、今回の目玉である可愛いイレーヌもこの章となっています。
31 エドガー・ドガ 「出走前」
ドガがよく描いた競馬を題材にした作品で、出走直前のゲート入りを待っている馬と騎手達が描かれています。ちょっと立ち上がっている馬がいるなど、臨場感があって、やや緊張した雰囲気まで伝わってくるようでした。
参考記事:ドガ展 (横浜美術館)
32 エドガー・ドガ 「控え室の踊り子たち」
ドガの代名詞とも言えるバレエの踊り子を描いた作品で、靴を直したりしている様子が描かれています。全体的に茶色っぽい輪郭線を使って描かれていて、軽やかな雰囲気がありました。舞台裏の空気感もドガならではの魅力がよく出ていると思います。
33 エドガー・ドガ 「14歳の小さな踊り子」
こちらはブロンズ像で、手を後ろで組んで右足をちょっと横に出す少女が表されています。これは印象派展に出したときには服と靴を着せて頭には人毛も植え付けていたというエピソードのある像で、ドガの徹底ぶりが伺えました。
ドガは他にも「リュドヴィック・ルピック伯爵とその娘たち」という素晴らしい肖像がありました。
36 ピエール=オーギュスト・ルノワール 「泉」
豊満な裸体の女性がこちらを観て微笑みながら髪を触る仕草をしている様子が描かれている作品です。割とこの作品も輪郭が分かりやすいかな。健康的な美しさを感じさせ、これぞルノワールの裸婦といった感じの典型的な作品に思えました。
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
34 ピエール=オーギュスト・ルノワール 「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)」
こちらは今回の一番の目玉作品で、ビュールレは1949年にモデル本人から購入したそうです。横向きに座る8歳の少女を描いたもので、赤っぽい髪が広がり子供とは思えない気品ある表情を浮かべています。やや古典主義的な雰囲気もある素晴らしい肖像なのに、描いた当時はあまり理解されずに注文主は不満だったというのがちょっと意外。ちなみにこのイレーヌは90歳くらいまで生きたのですが、この後 激動の人生が待っていたようです。そうした事を考えながら観ると、より思い入れが増す作品かもしれません。間違いなく傑作です。
参考リンク:公式サイトの「見どころ」
ということで、今回の展示は有名画家の作品が目白押しとなっています。何度か観たことがある作品もちらほらあって、各画家の代表作とも言える作品も含まれているので、美術初心者にもお勧めです。後半は印象派以降のゴッホを始めとするポスト印象派の作品が並んでいましたので、次回は残りの6~10章についてご紹介しようと思います。
→ 後編はこちら

【展覧名】
至上の印象派展 ビュールレ・コレクション
【公式サイト】
http://www.buehrle2018.jp/
http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/buehrle2018/
【会場】国立新美術館
【最寄】乃木坂駅・六本木駅
【会期】2018年2月14日(水)~5月7日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
既に結構混んでいて、中々自分のペースで観ることができない感じでした。私は観るのが長いのでちょっと後ろからゆっくり観てきました。
さて、この展示はスイスの実業家エミール・ゲオルク・ビュールレが集めた印象派を中心としたコレクションを一挙に64点も紹介する内容となっています。これらのコレクションは防犯上の理由からチューリッヒ美術館へと移管される予定となっていて、日本でこれだけまとまって観られるのは最後の機会と言えるようです。
まずコレクターのエミール・ゲオルク・ビュールレについてですが、若い頃に大学で美術史のゴシック彫刻の講義を受けていたなど元々美術に関心が深かったようです。そして1913年にドイツ ベルリンのナショナル・ギャラリーで印象派の作品に出会い、印象派の虜となりました。その翌年には第一次世界大戦が始まった訳ですが、戦後にビュールレは治安維持で派遣された地で銀行家に知遇を得てその娘と結婚しました。そしてその銀行家が株主だった工作機械の会社の一員となると、20mm機関砲の特許の譲渡を受けて後の連合国側に大口の受注を得るようになり財を築いていきました。
コレクターとしては1936年にドガの踊り子やルノワールの素描など4点を買って最初のコレクションとしたのを皮切りに、1939年にはナチスドイツの退廃美術オークションにも参加するなど着々と集め、第二次世界大戦の間にも76点も買っていたようです。その中にはレンブラントの贋作や略奪品も掴まされたようですが、略奪品については改めて正当な持ち主から買い直しをして手に入れたりしていたようです。また、2008年にはセザンヌ、ドガ、ゴッホ、モネの4作品を強盗される事件もあったそうで、2015年に警備の問題から当初の美術館を閉鎖してチューリッヒ美術館へという流れのようです。
そうした経緯で集められたコレクションが題材や画家ごとに10章構成で並んでいましたので、各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<第1章 肖像画>
まず最初は肖像画のコーナーです。ここは印象派より前のフランス・ハルス(フランドルの画家)や、ドミニク・アングル(新古典主義の画家)などの作品もあり、印象派へと繋がるルーツも含めた内容となっています。アングルはルノワールに大きな影響を与えているので、ここでよく観ておくとそれが分かるかもしれません。
参考記事:ルノワール-伝統と革新 感想前編(国立新美術館)
3 ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル 「イポリット=フランソワ。ドゥヴィレの肖像」
こちらはアングルらしい艷やかな筆致の男性像で、写真のような写実性があります。その黒の使い方や細かい刺繍の表現なども見事ですが、やはりアングル独特の気品が何よりも素晴らしい作品でした。アングル好きとしては嬉しい計算外のコレクションです。
4 ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル 「アングル夫人の肖像」
こちらを見て微笑む夫人を描いた作品で、アングルにしてはやや粗い筆致で描かれています。これはプライベートな目的で描いている為と考えられるようで、夫人も優しそうな雰囲気です。ラファエロの聖母像に似せているのではないかとの指摘もあるようですが、親密な空気がある作品に思いました。
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
この近くにはルノワールが描いた印象派仲間のシスレーの肖像もありました。ルノワールにしては輪郭がくっきりしてる時期のものですw また、ドガの肖像画も1点あったかな。他にはクールベやラトゥールといった印象派の時期に近い画家などもありました。
<第2章 ヨーロッパの都市>
続いてはヨーロッパの都市景観を描いた作品が並ぶコーナーです。ここにもカナレットなど印象派の100年以上前の画家の作品もありました。
9 アントーニオ・カナール(カナレット) 「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂、ヴェネツィア」
こちらは緻密かつ大画面の風景画で、ヴェネツィアのカナル・グランデ沿いの街並みや聖堂が描かれています。陰影がハッキリしていて遠近感もリアルに描かれているなどかなり写実的で当時の様子が伺えます。運河を行く船や聖堂の前の人々など穏やかな風景で、理想的な光景のように思えました。
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
8 フランチェスコ・グァルディ 「サン・マルコ沖、ヴェネツィア」
こちらも18世紀イタリアの画家の作品で、多分今回の展覧会で一番知られていない画家じゃないかなw 画風は前述のカナレットに似ていて、題材もヴェネツィアの海の上の船を描いていています。水平線が低く設けられている為か、明るく広々した雰囲気が感じられるかな。サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会が見えているなど、こちらも旅情を掻き立てる作品となっていました。
この近くにはシニャックが同じヴェネツィアのジュデッカ運河を描いた作品などもありました。点描なので前述の2人とは全く異なる画風ですが、その違いを楽しむことができます。また、モネの「陽を浴びるウォータールー橋、ロンドン」というロンドンでの連作のうちの1枚も並んでいました。この辺は初めて観るけど似た作品はよく観るので割と見慣れた感じかな。
13 アンリ・マティス 「雪のサン=ミシェル橋 パリ」
こちらは高い位置から川と橋を見下ろすように描いた作品です。煙や蒸気を捉えた感じがして、あまりマティスっぽく見えず印象派の作品のように見えるのですが、これはまだマティスがフォーヴと呼ばれる前の頃のもので色も控えめとなっています。ちょっと珍しい作風を見られてこれはこれで面白かったです。
<第3章 19世紀のフランス絵画>
続いてはバルビゾン派やロマン派、写実主義といった印象派の先駆けとなった画家たちのコーナーです。
19 カミーユ・コロー 「読書する少女」
赤い服の女性が熱心に本を読んでいる様子が描かれた作品です。静かな雰囲気がありコローらしい感じですが、印象派に繋がる大胆さもあると思います。この辺は印象派を知る上でも重要な画家ですので、是非ゆっくり観ておきたい1枚です。
この近くにはクールベ(写実主義)やドラクロワ(ロマン派)、シャバンヌ(象徴主義寄り)などもありました。特にドラクロワの「モロッコのスルタン」などはドラクロワの異国趣味を感じる見事な作品です。
19 エドゥアール・マネ 「オリエンタル風の衣装をまとった若い女」
シースルーの薄い布をまとった中東風の女性を描いた作品で、肌が透けて裸婦のようでもあります。やや 力無い表情を浮かべていますが官能的な雰囲気もあり、マネの東洋趣味もよく分かる作品でした。
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
20 エドゥアール・マネ 「燕」
野原の上で黒衣の女性と日傘を持つ白い服の女性が横たわっている様子が描かれ、その周りには燕の姿もあります。背景には農村があり牛もいるなど当時の田舎を描いた作品のようにも思えますが、何処と無く「草上の昼食」を想起させました。また、タッチは大胆で特に黒い服が目を引きます。この辺は黒を得意としたマネらしさを感じました。
21 エドゥアール・マネ 「ワシミミズク」
マネばかり取り上げていますが、これも気に入った作品ですw 木の板とミミズクが描かれた作品で、遠くから観ると木目がリアルに思えてきます。この作品はマネのものとは気づけませんでしたが、騙し絵的な面白さがありました。
<第4章 印象派の風景 ―マネ、モネ、ピサロ、シスレー>
続いてはビュールレ・コレクションの真骨頂とも言える印象派のコーナーです(印象派風のマネの作品もあります) 正直、印象派はかなり見慣れているのでそれほど新しい発見はないのではないかと思っていましたが、モネの傑作などに出会うことが出来ました。
26 アルフレッド・シスレー 「ブージヴァルの夏」
こちらはブージヴァル辺りのセーヌ川の川岸を描いた作品で、鉄道橋や蒸気船なども描かれ、蒸気がモクモクとあがっています。道には人の姿もありますが、雲や蒸気、光などの方が目を引いて印象派らしい題材に思えました。
参考記事:シスレー展 (コーモン芸術センター)南仏編 エクス
この辺にはピサロの印象派然とした頃の作品などもありました。
28 クロード・モネ 「ヴェトゥイユ近郊のヒナゲシ畑」
一面に真っ赤なヒナゲシが咲いて、子供や女性が花を摘んでいる様子が描かれた作品です。背景には教会や村が描かれ空は曇天なのですが、ヒナゲシの赤が強くて華やかな印象を受けました。これは今回の展示の中でも特に気に入った作品でした。
29 クロード・モネ 「ジヴェルニーのモネの庭」
沢山の花や木に囲まれた庭の中で、女性が花に触れて様子を観ている姿を描いた作品です。この女性は義理の娘のシュザンヌで、帽子を被って可憐な印象を受けます。画面は緑を多く使っている為か、赤やピンク、黄色、青といった花の色彩が響き合うようでした。
参考記事:番外編 フランス旅行 ジヴェルニー モネの家
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
<第5章 印象派の人物 ―ドガとルノワール>
続いては印象派の中でもドガとルノワールについてのコーナーで、今回の目玉である可愛いイレーヌもこの章となっています。
31 エドガー・ドガ 「出走前」
ドガがよく描いた競馬を題材にした作品で、出走直前のゲート入りを待っている馬と騎手達が描かれています。ちょっと立ち上がっている馬がいるなど、臨場感があって、やや緊張した雰囲気まで伝わってくるようでした。
参考記事:ドガ展 (横浜美術館)
32 エドガー・ドガ 「控え室の踊り子たち」
ドガの代名詞とも言えるバレエの踊り子を描いた作品で、靴を直したりしている様子が描かれています。全体的に茶色っぽい輪郭線を使って描かれていて、軽やかな雰囲気がありました。舞台裏の空気感もドガならではの魅力がよく出ていると思います。
33 エドガー・ドガ 「14歳の小さな踊り子」
こちらはブロンズ像で、手を後ろで組んで右足をちょっと横に出す少女が表されています。これは印象派展に出したときには服と靴を着せて頭には人毛も植え付けていたというエピソードのある像で、ドガの徹底ぶりが伺えました。
ドガは他にも「リュドヴィック・ルピック伯爵とその娘たち」という素晴らしい肖像がありました。
36 ピエール=オーギュスト・ルノワール 「泉」
豊満な裸体の女性がこちらを観て微笑みながら髪を触る仕草をしている様子が描かれている作品です。割とこの作品も輪郭が分かりやすいかな。健康的な美しさを感じさせ、これぞルノワールの裸婦といった感じの典型的な作品に思えました。
参考リンク:公式サイトの「作品紹介」
34 ピエール=オーギュスト・ルノワール 「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)」
こちらは今回の一番の目玉作品で、ビュールレは1949年にモデル本人から購入したそうです。横向きに座る8歳の少女を描いたもので、赤っぽい髪が広がり子供とは思えない気品ある表情を浮かべています。やや古典主義的な雰囲気もある素晴らしい肖像なのに、描いた当時はあまり理解されずに注文主は不満だったというのがちょっと意外。ちなみにこのイレーヌは90歳くらいまで生きたのですが、この後 激動の人生が待っていたようです。そうした事を考えながら観ると、より思い入れが増す作品かもしれません。間違いなく傑作です。
参考リンク:公式サイトの「見どころ」
ということで、今回の展示は有名画家の作品が目白押しとなっています。何度か観たことがある作品もちらほらあって、各画家の代表作とも言える作品も含まれているので、美術初心者にもお勧めです。後半は印象派以降のゴッホを始めとするポスト印象派の作品が並んでいましたので、次回は残りの6~10章についてご紹介しようと思います。
→ 後編はこちら
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今日は写真多めです。2週間ほど前の日曜日に乃木坂駅前のTOTOギャラリー・間で「en[縁]:アート・オブ・ネクサス――第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館帰国展」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
en[縁]:アート・オブ・ネクサス――第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館帰国展
【公式サイト】
https://jp.toto.com/gallerma/ex180124/index.htm
【会場】TOTOギャラリー・間(TOTO GALLERY・MA)
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅など
【会期】2018年1月24日(水)~ 3月18日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間45分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
割と多くの若者で賑わっていましたが、混んでいるというほどでもなく快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は2016年に行われた「第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」においての日本館の展示「en[ 縁]:アート・オブ・ネクサス」の帰国展となっていて、1975年以降生まれの建築家12組の作品を模型や映像によって再構成した内容となっています。この日本館ではモダニズムを通して失ってきた社会の結びつきを「人の縁」「モノの縁」「地域の縁」という3つのテーマでアジア的な価値観で捉え直していたようです。詳しくは気になった作品を写真でご紹介していこうと思います。
こちらは日本館の模型

ちょっと撮る角度が悪かったですが、高低差を上手く活かした構造となっていたようです。なお、日本館は空き家や高齢化といった課題を建築で解答を提示したのが評価されて特別表彰を受賞したのだとか。
成瀬・猪熊建築設計事務所 「LT城西」

こちらは新築のシェアハウスで、13の部屋があるようです。縦方向が互い違いだったりして部屋も均一でなく様々なタイプがありそうでした。
LT城西のアップ。こちらはダイニングかな。

ハンモックなんかもあって楽しげな空間です。こんな洒落たシェアハウスなら入ってみたいかも。
仲建築設計スタジオ 「食堂付きアパート」

こちらはSOHO住宅、食堂、シェアオフィスを「立体路地」でつないだ建築。プライバシーを偏重したことで個人の生活が分割されたことを見直した作品のようで、プライベートと街がお互いに浸透するように連続しているようです。最近はシェアハウスやノマドワーカーなんかも増えてるみたいだからこういうスタイルも受け入れられるんじゃないかな。仲間が増えそうだし。 街と一体化している感じが面白い。
西田司+中川エリカ 「ヨコハマアパートメント」

こちらは見覚えがありました。1階からそれぞれの部屋へ続く階段があり、居住スペースは2階となります。
参考記事:日本の家 1945年以降の建築と暮らし 感想後編(東京国立近代美術館)
ヨコハマアパートメントの1階部分はこんな感じ。

生活の一部は共用部分にも続いている感じかな。ここは居住者や近隣住民のイベントも開催される小さな公共空間にもなっているようです。貧乏性の私は1階にも部屋を詰めたくなりますが、こういう余裕あるスペースがあると生活が豊かになりそう。他の住民と交流も進みそうだし。
今村水紀+篠原勲/miCo. 「駒沢の家」

何やらぎっしりと木造の建物が密集していますが、これは高度成長期の住宅を改修する作品のようです。当時の住宅は「木造在来軸組構法」という作りになっているようで、ここでは柱梁を継いだり抜いたりできる可変性を生かして既存の建物を2つの建物に分けたりしているようです。ちょっとこれだけ観ても詳しいことは分かりませんが、木造ならではの日本的な発想で 西洋には無い感性に思えました。
続いては屋上部分にあった大型の再現コーナー。
ドットアーキテクツ 「馬木キャンプ」

こちらは小豆島にある建築のようで、小豆島は高齢化や人口減少に対して自律的に地域づくりをする必要性に迫られているようです。セルフビルドできる簡易的なハード面と地域交流を促進するソフト面があるようです。
こちらは馬木キャンプの中にあった野菜(の模型)や色紙などの展示物

地域交流の発信の場にもなっているのかな。ここには映像もあって、現地の様子なども紹介されていました。ミニFM局や映画クラブのイベントなんかもあったようで、地域活性化に一役買っているようでした。
ドットアーキテクツ 「美井戸神社(ビート神社)」

こちらはビートたけし と ヤノベケンジによる「ANGRE from the Bottom」という怪物みたいなものが井戸を守っている作品。この見た目のインパクトもあってか島外から見に来る人もいるのだとか。怖いけどちょっと可愛いw
馬木キャンプの写真もありました。

実際には建物の前に広場もあるようです。これはイベントとかできそう。
常山未央/mnm 「不動前ハウス」

こちらも大型の再現。元々は核家族用の住宅と倉庫だったのを7人の他人同士の共同生活の建物に再生したプロジェクトだそうです。1階はガレージかと思ったらリビング的なもののようで、実際の家もこんな風に路面に対して開いているようです。2階が寝起きするスペースとなっています。
不動前ハウスの1階部分には実際の建物の写真が並んでいました。

あまり広くなさそうですが、若い住民同士で和気あいあいとやっている様子が伺えました。
続いて上の階の展示。こちらも模型が並んでいました。
常山未央/mnm (タイトル不明)

これも見覚えがあるような気がしますがどこで見たか思い出せず。洒落た構造の4階建ての建物ですが、何処と無く日本的な落ち着きが感じられる作りになっています。元々は4階が寝室だったようですが、夏は日当たりが良すぎたり電車の騒音があったそうで、そこをサンルームにすることで洗濯物を干せるようにして、寝室は別にして安眠できるようにしたのだとか。適材適所的な配置が面白いエピソードです。
403 architecture[dajiba] (タイトル不明)

こちらは平安京の大内裏跡あたりにアトリエ併設の住宅を設計した作品。ケーキみたいに三角形をしていて驚きますが、実際の建物の写真もこういう形になっていました。(こち亀でこんな感じの三角の家があったのを思い出したw) 階段の部分は2階への入口で、1階の入口と振り分けられているそうです。周りに工場がある為か、この建物も工場っぽい雰囲気にしているのだとか。
西田司+中川エリカ (タイトル不明)

こちらは200人が集まって住む「まちのような国際学生寮」だそうで、様々な文化の学生達がお互いに学び合う場にもなっているようです。多中心となっているそうで、観ていてワクワクするような構造となっていました。
今村水紀+篠原勲/miCo. (タイトル不明)

こちらは里山の古い民家のリノベーションの模型。民家だけでなく小さな場所場所や道など全体として大きな環境を作るのを目的としているそうです。ちょっとこれだけではそこまで分かりませんが、段差を活かしているなどこの場所ならではの建築のように見えました。
ということで、高いコンセプトを持った建築ばかりで楽しめました。ちょっと難しくて理解できないところもありますが、やはり模型があると実際に住むことを想像したりできるので、それだけでも楽しめます。ここは無料で観られる上に写真も撮れますので建築好きの方は是非どうぞ。国立新美術館やサントリー美術館のすぐ近くにあるのでハシゴするのも良いかと思います。

【展覧名】
en[縁]:アート・オブ・ネクサス――第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館帰国展
【公式サイト】
https://jp.toto.com/gallerma/ex180124/index.htm
【会場】TOTOギャラリー・間(TOTO GALLERY・MA)
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅など
【会期】2018年1月24日(水)~ 3月18日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間45分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
割と多くの若者で賑わっていましたが、混んでいるというほどでもなく快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は2016年に行われた「第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」においての日本館の展示「en[ 縁]:アート・オブ・ネクサス」の帰国展となっていて、1975年以降生まれの建築家12組の作品を模型や映像によって再構成した内容となっています。この日本館ではモダニズムを通して失ってきた社会の結びつきを「人の縁」「モノの縁」「地域の縁」という3つのテーマでアジア的な価値観で捉え直していたようです。詳しくは気になった作品を写真でご紹介していこうと思います。
こちらは日本館の模型

ちょっと撮る角度が悪かったですが、高低差を上手く活かした構造となっていたようです。なお、日本館は空き家や高齢化といった課題を建築で解答を提示したのが評価されて特別表彰を受賞したのだとか。
成瀬・猪熊建築設計事務所 「LT城西」

こちらは新築のシェアハウスで、13の部屋があるようです。縦方向が互い違いだったりして部屋も均一でなく様々なタイプがありそうでした。
LT城西のアップ。こちらはダイニングかな。

ハンモックなんかもあって楽しげな空間です。こんな洒落たシェアハウスなら入ってみたいかも。
仲建築設計スタジオ 「食堂付きアパート」

こちらはSOHO住宅、食堂、シェアオフィスを「立体路地」でつないだ建築。プライバシーを偏重したことで個人の生活が分割されたことを見直した作品のようで、プライベートと街がお互いに浸透するように連続しているようです。最近はシェアハウスやノマドワーカーなんかも増えてるみたいだからこういうスタイルも受け入れられるんじゃないかな。仲間が増えそうだし。 街と一体化している感じが面白い。
西田司+中川エリカ 「ヨコハマアパートメント」

こちらは見覚えがありました。1階からそれぞれの部屋へ続く階段があり、居住スペースは2階となります。
参考記事:日本の家 1945年以降の建築と暮らし 感想後編(東京国立近代美術館)
ヨコハマアパートメントの1階部分はこんな感じ。

生活の一部は共用部分にも続いている感じかな。ここは居住者や近隣住民のイベントも開催される小さな公共空間にもなっているようです。貧乏性の私は1階にも部屋を詰めたくなりますが、こういう余裕あるスペースがあると生活が豊かになりそう。他の住民と交流も進みそうだし。
今村水紀+篠原勲/miCo. 「駒沢の家」

何やらぎっしりと木造の建物が密集していますが、これは高度成長期の住宅を改修する作品のようです。当時の住宅は「木造在来軸組構法」という作りになっているようで、ここでは柱梁を継いだり抜いたりできる可変性を生かして既存の建物を2つの建物に分けたりしているようです。ちょっとこれだけ観ても詳しいことは分かりませんが、木造ならではの日本的な発想で 西洋には無い感性に思えました。
続いては屋上部分にあった大型の再現コーナー。
ドットアーキテクツ 「馬木キャンプ」

こちらは小豆島にある建築のようで、小豆島は高齢化や人口減少に対して自律的に地域づくりをする必要性に迫られているようです。セルフビルドできる簡易的なハード面と地域交流を促進するソフト面があるようです。
こちらは馬木キャンプの中にあった野菜(の模型)や色紙などの展示物

地域交流の発信の場にもなっているのかな。ここには映像もあって、現地の様子なども紹介されていました。ミニFM局や映画クラブのイベントなんかもあったようで、地域活性化に一役買っているようでした。
ドットアーキテクツ 「美井戸神社(ビート神社)」

こちらはビートたけし と ヤノベケンジによる「ANGRE from the Bottom」という怪物みたいなものが井戸を守っている作品。この見た目のインパクトもあってか島外から見に来る人もいるのだとか。怖いけどちょっと可愛いw
馬木キャンプの写真もありました。

実際には建物の前に広場もあるようです。これはイベントとかできそう。
常山未央/mnm 「不動前ハウス」

こちらも大型の再現。元々は核家族用の住宅と倉庫だったのを7人の他人同士の共同生活の建物に再生したプロジェクトだそうです。1階はガレージかと思ったらリビング的なもののようで、実際の家もこんな風に路面に対して開いているようです。2階が寝起きするスペースとなっています。
不動前ハウスの1階部分には実際の建物の写真が並んでいました。

あまり広くなさそうですが、若い住民同士で和気あいあいとやっている様子が伺えました。
続いて上の階の展示。こちらも模型が並んでいました。
常山未央/mnm (タイトル不明)

これも見覚えがあるような気がしますがどこで見たか思い出せず。洒落た構造の4階建ての建物ですが、何処と無く日本的な落ち着きが感じられる作りになっています。元々は4階が寝室だったようですが、夏は日当たりが良すぎたり電車の騒音があったそうで、そこをサンルームにすることで洗濯物を干せるようにして、寝室は別にして安眠できるようにしたのだとか。適材適所的な配置が面白いエピソードです。
403 architecture[dajiba] (タイトル不明)

こちらは平安京の大内裏跡あたりにアトリエ併設の住宅を設計した作品。ケーキみたいに三角形をしていて驚きますが、実際の建物の写真もこういう形になっていました。(こち亀でこんな感じの三角の家があったのを思い出したw) 階段の部分は2階への入口で、1階の入口と振り分けられているそうです。周りに工場がある為か、この建物も工場っぽい雰囲気にしているのだとか。
西田司+中川エリカ (タイトル不明)


こちらは200人が集まって住む「まちのような国際学生寮」だそうで、様々な文化の学生達がお互いに学び合う場にもなっているようです。多中心となっているそうで、観ていてワクワクするような構造となっていました。
今村水紀+篠原勲/miCo. (タイトル不明)

こちらは里山の古い民家のリノベーションの模型。民家だけでなく小さな場所場所や道など全体として大きな環境を作るのを目的としているそうです。ちょっとこれだけではそこまで分かりませんが、段差を活かしているなどこの場所ならではの建築のように見えました。
ということで、高いコンセプトを持った建築ばかりで楽しめました。ちょっと難しくて理解できないところもありますが、やはり模型があると実際に住むことを想像したりできるので、それだけでも楽しめます。ここは無料で観られる上に写真も撮れますので建築好きの方は是非どうぞ。国立新美術館やサントリー美術館のすぐ近くにあるのでハシゴするのも良いかと思います。
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前回ご紹介した戸栗美術館の展示を観た後、松濤美術館にハシゴしてサロン展 「斎藤茂吉-歌と書と絵の心」も観てきました。

【展覧名】
サロン展 「斎藤茂吉-歌と書と絵の心」
【公式サイト】
http://www.shoto-museum.jp/exhibitions/2017salon/
【会場】松濤美術館
【最寄】渋谷駅・神泉駅
【会期】2018年2月11日(日)~3月18日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
金曜日の閉館ギリギリだったこともあり、空いていて快適に鑑賞することができました。逆に閉館まで30分くらいしかなくて早足での鑑賞となりました。
さて、この展示はアララギ派として活躍した歌人 斎藤茂吉に関しての展示となっています。正直、それほど興味があったわけではなく無料だったので近くに来たついでに観た感じだったのですが、ちょっと意外な内容で絵画作品なんかもありました。短時間でさらっと観たのであまりメモなどは取っていませんが、ごく簡単に章立てをご紹介しておこうと思います。
<第1章 茂吉の人物像>
まず最初に斎藤茂吉に関する生い立ちや身の回りの品々などが展示されていました。帽子や眼鏡の他に医者としての顔も持っていた為、注射器などもあります。ここで意外だったのが、斎藤茂吉は精神医院の家に養子に行く前は画家になるか寺に入るつもりだったようで、幼い頃の絵なども展示されています。凧に犬にまたがる桃太郎の絵を描いた作品などは武者絵のような雰囲気で、これが何かの写しでなく自筆だとしたら相当な才能に思えます。また、小学生時代のスケッチなども小学生とは思えないほどの描写力でした。
他に面白かったのが受験の準備ノートという珍品で、これが手書きなの?というくらい字が綺麗に書かれていて面積や時計の回転に関する計算式が書かれていました。私は自分のメモが読めないことがちょくちょくあるので、字が上手い人には特に驚いてしまいますw
<第2章 歌人茂吉>
続いては斎藤茂吉の功績として最も知られる歌人としての顔を紹介するコーナーです。
ここには斎藤茂吉の詩が書かれた短冊がずらりとならんでいます。その中には前田青邨が描いた鰻図に賛のような感じで詩が添えられたものや、自筆でカボチャや猫柳を描いた絵に詩を添えたものなんかもあります。カボチャは白とオレンジでむしろ玉ねぎに見えましたが、自然への慈しみが感じられて詩とマッチしているように思えました。他の短冊の料紙も綺麗でそこに軽やかな文字が乗っているのですが、先程のノートに比べるとだいぶ素朴な文字かな。独特な書体となっていました。
また、ここにはいくつかの歌集も並んでいて、『赤光』の初版なんかもありました。他の歌集は知らないのでその価値が私にはわからないのが残念。ちなみに斎藤茂吉は17冊の歌集と18000首もの詩を残したそうですが、『赤光』によってその名が広まったのだとか。
<第3章 歌をつうじた交流>
続いては「アララギ」などを通じて交流した仲間たちについてのコーナーです。
ここには『阿羅々木』の第一巻第一号を始めとしたアララギがずらりとならんでいました。流石にこれが貴重なものだということくらいは分かりますw そのメンバーが家に集まった様子を絵に描き、詩の寄せ書きをした作品なんかもあって、伊藤左千夫や古泉千樫といったアララギのメンバーが名を連ねていました。これも詩が好きな方には豪華メンバーだと思いますが、絵自体はゆるめですw
他にも芥川龍之介からの手紙や、斎藤茂吉が歌人を目指すきっかけとなった正岡子規の詩が数編、日本画家の平福百穂(2人の関係は失念…)による鶴を描いた掛け軸などもありました
<第4章 渋谷と茂吉>
続いては渋谷と斎藤茂吉に関するコーナーです。斎藤茂吉だけでなくアララギは渋谷に縁があるそうですが、自宅のある青山から道玄坂によく鰻を食べに通ったりもしていたようです。
ここは3点のみで、原稿が2点とアララギが1冊となります。資料的な感じで当時の渋谷の写真もあって、今とは全く異なる渋谷の様子が伺えました。
<第5章 茂吉と絵画>
最後は斎藤茂吉の描いた絵画のコーナーです。子供の頃に画家を目指していただけあって絵に関心があったようで、63歳から本格的に描き始めて80点ほどを残しているようです。絹本に着色した日本画でのんびりした画風が特徴かな。掛け軸に花を描いた作品が多く、芍薬や牡丹、蓮などが並んでいます。オレンジ色のカボチャの絵ではミカンみたいな形をしているなどゆるい雰囲気ですが、楽しんで描いているのが感じられました。
ここには当時の斎藤茂吉が所有していた西洋の美術品の絵葉書も数点あって、裏には感想が書かれているようでした。本当に絵が好きだったんですね。
ということで、観る時間が短かったので かいつまんで観る感じになったのが勿体無いくらいでした。(詩の世界を知らない私には猫に小判ですがw) これだけの内容を無料で観ることができますので、近くに行く用がある方(特に文学好きの方)は、是非チェックしてみてください。
おまけ:
私は斎藤茂吉よりも息子の北杜夫のほうが断然好きだったりしますw どくとるマンボウシリーズだけですが、中学の頃に結構読んだ記憶があります。

【展覧名】
サロン展 「斎藤茂吉-歌と書と絵の心」
【公式サイト】
http://www.shoto-museum.jp/exhibitions/2017salon/
【会場】松濤美術館
【最寄】渋谷駅・神泉駅
【会期】2018年2月11日(日)~3月18日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
金曜日の閉館ギリギリだったこともあり、空いていて快適に鑑賞することができました。逆に閉館まで30分くらいしかなくて早足での鑑賞となりました。
さて、この展示はアララギ派として活躍した歌人 斎藤茂吉に関しての展示となっています。正直、それほど興味があったわけではなく無料だったので近くに来たついでに観た感じだったのですが、ちょっと意外な内容で絵画作品なんかもありました。短時間でさらっと観たのであまりメモなどは取っていませんが、ごく簡単に章立てをご紹介しておこうと思います。
<第1章 茂吉の人物像>
まず最初に斎藤茂吉に関する生い立ちや身の回りの品々などが展示されていました。帽子や眼鏡の他に医者としての顔も持っていた為、注射器などもあります。ここで意外だったのが、斎藤茂吉は精神医院の家に養子に行く前は画家になるか寺に入るつもりだったようで、幼い頃の絵なども展示されています。凧に犬にまたがる桃太郎の絵を描いた作品などは武者絵のような雰囲気で、これが何かの写しでなく自筆だとしたら相当な才能に思えます。また、小学生時代のスケッチなども小学生とは思えないほどの描写力でした。
他に面白かったのが受験の準備ノートという珍品で、これが手書きなの?というくらい字が綺麗に書かれていて面積や時計の回転に関する計算式が書かれていました。私は自分のメモが読めないことがちょくちょくあるので、字が上手い人には特に驚いてしまいますw
<第2章 歌人茂吉>
続いては斎藤茂吉の功績として最も知られる歌人としての顔を紹介するコーナーです。
ここには斎藤茂吉の詩が書かれた短冊がずらりとならんでいます。その中には前田青邨が描いた鰻図に賛のような感じで詩が添えられたものや、自筆でカボチャや猫柳を描いた絵に詩を添えたものなんかもあります。カボチャは白とオレンジでむしろ玉ねぎに見えましたが、自然への慈しみが感じられて詩とマッチしているように思えました。他の短冊の料紙も綺麗でそこに軽やかな文字が乗っているのですが、先程のノートに比べるとだいぶ素朴な文字かな。独特な書体となっていました。
また、ここにはいくつかの歌集も並んでいて、『赤光』の初版なんかもありました。他の歌集は知らないのでその価値が私にはわからないのが残念。ちなみに斎藤茂吉は17冊の歌集と18000首もの詩を残したそうですが、『赤光』によってその名が広まったのだとか。
<第3章 歌をつうじた交流>
続いては「アララギ」などを通じて交流した仲間たちについてのコーナーです。
ここには『阿羅々木』の第一巻第一号を始めとしたアララギがずらりとならんでいました。流石にこれが貴重なものだということくらいは分かりますw そのメンバーが家に集まった様子を絵に描き、詩の寄せ書きをした作品なんかもあって、伊藤左千夫や古泉千樫といったアララギのメンバーが名を連ねていました。これも詩が好きな方には豪華メンバーだと思いますが、絵自体はゆるめですw
他にも芥川龍之介からの手紙や、斎藤茂吉が歌人を目指すきっかけとなった正岡子規の詩が数編、日本画家の平福百穂(2人の関係は失念…)による鶴を描いた掛け軸などもありました
<第4章 渋谷と茂吉>
続いては渋谷と斎藤茂吉に関するコーナーです。斎藤茂吉だけでなくアララギは渋谷に縁があるそうですが、自宅のある青山から道玄坂によく鰻を食べに通ったりもしていたようです。
ここは3点のみで、原稿が2点とアララギが1冊となります。資料的な感じで当時の渋谷の写真もあって、今とは全く異なる渋谷の様子が伺えました。
<第5章 茂吉と絵画>
最後は斎藤茂吉の描いた絵画のコーナーです。子供の頃に画家を目指していただけあって絵に関心があったようで、63歳から本格的に描き始めて80点ほどを残しているようです。絹本に着色した日本画でのんびりした画風が特徴かな。掛け軸に花を描いた作品が多く、芍薬や牡丹、蓮などが並んでいます。オレンジ色のカボチャの絵ではミカンみたいな形をしているなどゆるい雰囲気ですが、楽しんで描いているのが感じられました。
ここには当時の斎藤茂吉が所有していた西洋の美術品の絵葉書も数点あって、裏には感想が書かれているようでした。本当に絵が好きだったんですね。
ということで、観る時間が短かったので かいつまんで観る感じになったのが勿体無いくらいでした。(詩の世界を知らない私には猫に小判ですがw) これだけの内容を無料で観ることができますので、近くに行く用がある方(特に文学好きの方)は、是非チェックしてみてください。
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美術鑑賞のお供
細かい美術品を見るのに非常に重宝しています。
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このブログの写真を撮ってます。上は気合入れてる時のカメラ、下は普段使いのカメラです。
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