Archive | 2018年08月
今日は写真多めです。前回ご紹介した東京都庭園美術館のレストランで休憩した後、「ブラジル先住民の椅子 野生動物と想像力」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
ブラジル先住民の椅子 野生動物と想像力
【公式サイト】
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/180630-0917_benchesofthebrazilian.html
【会場】東京都庭園美術館
【最寄】白金台駅・目黒駅
【会期】2018年6月30日(土)~ 9月17日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
概ね空いていて快適に鑑賞することができました。たまに撮影している人がいるのを待つくらいかな。
さて、今回はブラジルの先住民たちによる椅子をテーマにした内容となっています。ブラジルの椅子と言われてもあまりピンと来なかったのですが、実際に観てみると動物をモチーフにした宗教儀式に使う椅子など、シャーマニズムが凝縮されたような作品ばかりで非常に面白い展示となっています。17民族92点もの作品がプリツカー賞受賞建築家である伊東豊雄 氏によって会場構成されているのも抜群で、アールデコの建物の魅力も加味されている感じです。詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。
なお、今回の展示の椅子はカテゴリーA~Cに分類され、各民族の名前も併記されていました。カテゴリーを大まかに言うと、
A:日用で使う実用的な椅子(幾何文様など)
B:シャーマンが座って宗教儀式で使う椅子(動物の形など)
C:動物彫刻の椅子(アートや民芸品として作っている椅子)
となります。正直、BとCは見分けが難しいですが、タイトルの横に併記しておこうと思います。
ウルフ 「オウギワシ」 (カテゴリーB メイナク)

鳥の形が非常に洗練されていてアールデコの建物にぴったり! 模様も見事です。 鳥は遠方への誘いを意味し、神話の中でも重要な役割のようです。
ヤワピ 「カエル」 (カテゴリーB カマユーラ)

こちらはカエル。笑ったような表情までユニークで面白い。ちなみに椅子に座れるのは高位の男性のみなのだとか。椅子自体が聖なるもののようです。
カマルへ 「サル」 (カテゴリーC メイナク)
ウルフ 「シカ」 (カテゴリーC メイナク)

今回は作品も素晴らしいのですが、やはりこの美術館の建物で楽しむというのが格別です。小さいシカも可愛いw
不詳 「幾何学文様」 (カテゴリーA カラジャ)

こちらは色つけがプリミティブな雰囲気で好み。南米って感じがしますね。ボディ・ペインティングに通じるものがあるようです。
ヤワピ 「ハチドリ」 (カテゴリーB カマユーラ)

こちらはハチドリ。コンドルかと思いましたが、アニミズムのようなものを感じます。シャーマンはトランス状態になりながらこうした椅子に座っている訳ですが、椅子に座る分 天に近づいているという考えもあるようです。
不詳 「ジャガー」 (カテゴリーB イエクワナ)

こちらはワニかと思いましたがジャガー。ジャガーは以前観た南米の文明の展示でもよくモチーフにされていたので、南米にとっては身近な存在なのかも。
不詳 「幾何文様」 (カテゴリーA アスリニ・ド・シングー)
不詳 「幾何文様」 (カテゴリーA アスリニ・ド・シングー)
不詳 「幾何文様」 (カテゴリーA アスリニ・ド・シングー)
不詳 「無文様」 (カテゴリーA アスリニ・ド・シングー)

カテゴリーAは幾何文様と無文様が多いシンプルな作品が多いようですが、これはアールデコにも通じる趣向ではないかと思います。
不詳 「ネズミ」 (カテゴリーB カヤビ)
不詳 「無文様」 (カテゴリーA カヤビ)
不詳 「幾何文様」 (カテゴリーA カヤビ)

会場と比べると大きさが分かるかな。かなり小さい椅子もありますが、非常に精緻です。
不詳 「ネズミ」 (カテゴリーB カヤビ)

先程のネズミのアップ。水玉模様がついていてちょっと変わっています。
椅子を制作する先住民の住んでいる地区の写真もありました。

今回の展示では特にメイナクの作品が目を引きますので要チェックです。
不詳 「双頭のオウギワシ」 (カテゴリーB 不詳)

こちらは双頭の鷲。まるでロシアの紋章のようなモチーフですが美しいシンメトリーになっていました。
こちらは可愛らしい椅子の3点セット

不詳 「エイ」 (カテゴリーB カラパロ)

このちょっと ゆるキャラみたいな造形が何とも可愛いw 目もちゃんとついてます。
不詳 「ハチドリ」 (カテゴリーB パリクール)

こちらはハチドリらしいくちばしを持っていました。幾何文様も非常に完成度が高い!
不詳 「カメ」 (カテゴリーA リクバツァ)

こちらは打って変わって素朴な雰囲気のカメ。木を削っただけみたいな肌が野性味あります。
不詳 「サル」 (カテゴリーB クイクロ)

今回の展示でも特に人気があるのがこのサル! スーパーマンの飛行ポーズみたいに手を伸ばしていますw
タワワ 「ワニ」 (カテゴリーB クイクロ)

こちらはワニ。ちょっと悪そうな顔が何かを狙っているような感じ。
不詳 「コウモリ」 (カテゴリーB メイナク)

こちらはコウモリ。これは横から撮ったものですが、ちゃんと向きが逆さになった状態で並んでいます。
ウルフ 「ホウカンチョウ」 (カテゴリーB メイナク)

こちらも顔が素朴で可愛い鳥。立派なくちばしをしています。
これは制作の様子の写真。寄木造りではなく一木造りとなっていて驚きです。

新館には映像コーナーもあって、現地で今も制作するメイナクのアーティストのインタビューなんかもありました。民芸品と思われるのではなく、アーティストとして敬意を払って貰うために様々な努力をしているようです。
本館はこの辺までで、続いては新館です。新館はカテゴリーCの作品が並んでいました
こんな感じでズラリと並びます。

本館だけでなく新館の展示方法も面白くて、所々にあるクッションに座りながら観ることもできます。
クータピエネ 「バク」 (カテゴリーC メイナク)

アリクイかと思ったらバクでしたw 鼻先が長くてキュートな顔をしています。
不詳 「ジャガー」 (カテゴリーC クイクロ)

ちょっとずんぐりして間が抜けてる感じがしますが、この独特の味わいが素朴で好みです。
ウルフ 「アリクイ」 (カテゴリーC メイナク)

こちらがアリクイ。手足の簡略具合なんかは現代アートそのものと言った感じ。曲線美が素晴らしい。
不詳 「アルマジロ」 (カテゴリーC タピラペ)

こちらもちょっと変わった形のアルマジロ。丸々してますね。
マワヤ 「サル」 (カテゴリーC メイナク)

こちらは子連れの猿。この抱きつき方とか、よほど自然観察をしているんだろうなというのが伝わってきます。
スクリ 「ジャガー」 (カテゴリーC カマユーラ)

この顔w ジャガーなのに親しみを感じます。
ヤタピ 「サル」 (カテゴリーC メイナク)

振り向く様子が面白い。この猿も鑑賞者の人気投票で人気を集めていました。
不詳 「バク」 (カテゴリーC カヤビ)

幾何学文様の入ったバク。流線型のフォルムが現代的な印象となっています。
ショップではミニチュアの木彫りの動物たちも売っていました(一点物で2万円くらいから15万円くらいまでが多い) 欲しかったけど流石に買えませんでした…w
ということで、非常に満足度の高い展示となっていました。こんな世界があったのかという驚きとその造形センス、そして会場と共鳴するような構成が素晴らしいと思います。写真も撮ることが出来るので、もし足を運ばれる場合はカメラも持って行くと一層楽しめると思います。今季特にオススメの展示です。

【展覧名】
ブラジル先住民の椅子 野生動物と想像力
【公式サイト】
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/180630-0917_benchesofthebrazilian.html
【会場】東京都庭園美術館
【最寄】白金台駅・目黒駅
【会期】2018年6月30日(土)~ 9月17日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
概ね空いていて快適に鑑賞することができました。たまに撮影している人がいるのを待つくらいかな。
さて、今回はブラジルの先住民たちによる椅子をテーマにした内容となっています。ブラジルの椅子と言われてもあまりピンと来なかったのですが、実際に観てみると動物をモチーフにした宗教儀式に使う椅子など、シャーマニズムが凝縮されたような作品ばかりで非常に面白い展示となっています。17民族92点もの作品がプリツカー賞受賞建築家である伊東豊雄 氏によって会場構成されているのも抜群で、アールデコの建物の魅力も加味されている感じです。詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。
なお、今回の展示の椅子はカテゴリーA~Cに分類され、各民族の名前も併記されていました。カテゴリーを大まかに言うと、
A:日用で使う実用的な椅子(幾何文様など)
B:シャーマンが座って宗教儀式で使う椅子(動物の形など)
C:動物彫刻の椅子(アートや民芸品として作っている椅子)
となります。正直、BとCは見分けが難しいですが、タイトルの横に併記しておこうと思います。
ウルフ 「オウギワシ」 (カテゴリーB メイナク)

鳥の形が非常に洗練されていてアールデコの建物にぴったり! 模様も見事です。 鳥は遠方への誘いを意味し、神話の中でも重要な役割のようです。
ヤワピ 「カエル」 (カテゴリーB カマユーラ)

こちらはカエル。笑ったような表情までユニークで面白い。ちなみに椅子に座れるのは高位の男性のみなのだとか。椅子自体が聖なるもののようです。
カマルへ 「サル」 (カテゴリーC メイナク)
ウルフ 「シカ」 (カテゴリーC メイナク)

今回は作品も素晴らしいのですが、やはりこの美術館の建物で楽しむというのが格別です。小さいシカも可愛いw
不詳 「幾何学文様」 (カテゴリーA カラジャ)

こちらは色つけがプリミティブな雰囲気で好み。南米って感じがしますね。ボディ・ペインティングに通じるものがあるようです。
ヤワピ 「ハチドリ」 (カテゴリーB カマユーラ)

こちらはハチドリ。コンドルかと思いましたが、アニミズムのようなものを感じます。シャーマンはトランス状態になりながらこうした椅子に座っている訳ですが、椅子に座る分 天に近づいているという考えもあるようです。
不詳 「ジャガー」 (カテゴリーB イエクワナ)

こちらはワニかと思いましたがジャガー。ジャガーは以前観た南米の文明の展示でもよくモチーフにされていたので、南米にとっては身近な存在なのかも。
不詳 「幾何文様」 (カテゴリーA アスリニ・ド・シングー)
不詳 「幾何文様」 (カテゴリーA アスリニ・ド・シングー)
不詳 「幾何文様」 (カテゴリーA アスリニ・ド・シングー)
不詳 「無文様」 (カテゴリーA アスリニ・ド・シングー)

カテゴリーAは幾何文様と無文様が多いシンプルな作品が多いようですが、これはアールデコにも通じる趣向ではないかと思います。
不詳 「ネズミ」 (カテゴリーB カヤビ)
不詳 「無文様」 (カテゴリーA カヤビ)
不詳 「幾何文様」 (カテゴリーA カヤビ)

会場と比べると大きさが分かるかな。かなり小さい椅子もありますが、非常に精緻です。
不詳 「ネズミ」 (カテゴリーB カヤビ)

先程のネズミのアップ。水玉模様がついていてちょっと変わっています。
椅子を制作する先住民の住んでいる地区の写真もありました。

今回の展示では特にメイナクの作品が目を引きますので要チェックです。
不詳 「双頭のオウギワシ」 (カテゴリーB 不詳)

こちらは双頭の鷲。まるでロシアの紋章のようなモチーフですが美しいシンメトリーになっていました。
こちらは可愛らしい椅子の3点セット

不詳 「エイ」 (カテゴリーB カラパロ)

このちょっと ゆるキャラみたいな造形が何とも可愛いw 目もちゃんとついてます。
不詳 「ハチドリ」 (カテゴリーB パリクール)

こちらはハチドリらしいくちばしを持っていました。幾何文様も非常に完成度が高い!
不詳 「カメ」 (カテゴリーA リクバツァ)

こちらは打って変わって素朴な雰囲気のカメ。木を削っただけみたいな肌が野性味あります。
不詳 「サル」 (カテゴリーB クイクロ)

今回の展示でも特に人気があるのがこのサル! スーパーマンの飛行ポーズみたいに手を伸ばしていますw
タワワ 「ワニ」 (カテゴリーB クイクロ)

こちらはワニ。ちょっと悪そうな顔が何かを狙っているような感じ。
不詳 「コウモリ」 (カテゴリーB メイナク)

こちらはコウモリ。これは横から撮ったものですが、ちゃんと向きが逆さになった状態で並んでいます。
ウルフ 「ホウカンチョウ」 (カテゴリーB メイナク)

こちらも顔が素朴で可愛い鳥。立派なくちばしをしています。
これは制作の様子の写真。寄木造りではなく一木造りとなっていて驚きです。

新館には映像コーナーもあって、現地で今も制作するメイナクのアーティストのインタビューなんかもありました。民芸品と思われるのではなく、アーティストとして敬意を払って貰うために様々な努力をしているようです。
本館はこの辺までで、続いては新館です。新館はカテゴリーCの作品が並んでいました
こんな感じでズラリと並びます。

本館だけでなく新館の展示方法も面白くて、所々にあるクッションに座りながら観ることもできます。
クータピエネ 「バク」 (カテゴリーC メイナク)

アリクイかと思ったらバクでしたw 鼻先が長くてキュートな顔をしています。
不詳 「ジャガー」 (カテゴリーC クイクロ)

ちょっとずんぐりして間が抜けてる感じがしますが、この独特の味わいが素朴で好みです。
ウルフ 「アリクイ」 (カテゴリーC メイナク)

こちらがアリクイ。手足の簡略具合なんかは現代アートそのものと言った感じ。曲線美が素晴らしい。
不詳 「アルマジロ」 (カテゴリーC タピラペ)

こちらもちょっと変わった形のアルマジロ。丸々してますね。
マワヤ 「サル」 (カテゴリーC メイナク)

こちらは子連れの猿。この抱きつき方とか、よほど自然観察をしているんだろうなというのが伝わってきます。
スクリ 「ジャガー」 (カテゴリーC カマユーラ)

この顔w ジャガーなのに親しみを感じます。
ヤタピ 「サル」 (カテゴリーC メイナク)

振り向く様子が面白い。この猿も鑑賞者の人気投票で人気を集めていました。
不詳 「バク」 (カテゴリーC カヤビ)

幾何学文様の入ったバク。流線型のフォルムが現代的な印象となっています。
ショップではミニチュアの木彫りの動物たちも売っていました(一点物で2万円くらいから15万円くらいまでが多い) 欲しかったけど流石に買えませんでした…w
ということで、非常に満足度の高い展示となっていました。こんな世界があったのかという驚きとその造形センス、そして会場と共鳴するような構成が素晴らしいと思います。写真も撮ることが出来るので、もし足を運ばれる場合はカメラも持って行くと一層楽しめると思います。今季特にオススメの展示です。
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先週の土曜日に東京都庭園美術館に行ったのですが、その前に入口辺りにできたDu Parc(レストラン デュ パルク)というお店で軽くカフェメニューを頂いてきました。

【店名】
Du Parc(レストラン デュ パルク)
【ジャンル】
レストラン・カフェ
【公式サイト】
https://www.museum-cafe-restaurant.com/duparc
https://www.teien-art-museum.ne.jp/cafe_shop/restaurant.html
食べログ:https://retty.me/area/PRE13/ARE13/SUB704/100001411786/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
目黒駅(JR・東京メトロ) または 白金台駅(東京メトロ)
【近くの美術館】
東京都庭園美術館
【この日にかかった1人の費用】
1400円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
この日は空いていて特に待たずに入れました。
さて、このお店は東京都庭園美術館の大通り沿いの敷地内に2018年3月21日にオープンしたお店です。以前は和風のお店があったのですが、しばらくの間ここはお店が無い状態だったので待望のオープンでした。建物自体も新しくなって全面的に変わっています。
参考記事:
Café TEIEN(カフェ庭園) 【目黒/白金界隈のお店】
以前のお店:cafe 茶洒 kanetanaka 【目黒/白金界隈のお店】
お店の中はこんな感じ

屋根の高い広々とした雰囲気です。美術館のお店だけあって洒落ています。
そしてこのお店の一番の特徴だと思うのが全面ガラス張りとなっている点です。

真夏の日差しとなっていましたが中は涼しかったです。
こんな感じで庭園を存分に楽しみながら食事することができます。

私も外が見える席にしました。
このお店はランチタイム・カフェタイム・ディナータイムの3つの時間帯があって、この日はカフェタイムの利用でした。
この日は水出しコーヒーゼリー(700円)とジンジャーエールにアイス付(700円)を頼みました

まずコーヒーゼリーは苦味はあまり無くコクがあります。それなのに軽やかに感じるのが不思議。アイスの部分は甘さ控えめであまり香りもないかな。横についているミルクはヘーゼルナッツの香りがしてリキュールが入っていました。
ジンジャーエールは生姜の香りが強めですが辛さは無いので飲みやすい感じです。夏の真っ盛りだったので一際美味しく感じました。
連れはサーモンアボカドのサンドイッチ(700円)とジンジャーエールのアイス付きでした。

1つ貰ったらサーモンとアボカドの取り合わせがよく合って滑らかな口当たりでした。こちらも美味しいです。
ということで、ちょっと高めですがその分雰囲気の良いお店で美味しいメニューとなっていました。この美術館は別館のカフェも美味しいので今後はどちらにしようか迷ってしまいそうですw ランチタイムやディナータイムも美味しそうなので、いずれ利用してみたいと思います。

【店名】
Du Parc(レストラン デュ パルク)
【ジャンル】
レストラン・カフェ
【公式サイト】
https://www.museum-cafe-restaurant.com/duparc
https://www.teien-art-museum.ne.jp/cafe_shop/restaurant.html
食べログ:https://retty.me/area/PRE13/ARE13/SUB704/100001411786/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
目黒駅(JR・東京メトロ) または 白金台駅(東京メトロ)
【近くの美術館】
東京都庭園美術館
【この日にかかった1人の費用】
1400円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
この日は空いていて特に待たずに入れました。
さて、このお店は東京都庭園美術館の大通り沿いの敷地内に2018年3月21日にオープンしたお店です。以前は和風のお店があったのですが、しばらくの間ここはお店が無い状態だったので待望のオープンでした。建物自体も新しくなって全面的に変わっています。
参考記事:
Café TEIEN(カフェ庭園) 【目黒/白金界隈のお店】
以前のお店:cafe 茶洒 kanetanaka 【目黒/白金界隈のお店】
お店の中はこんな感じ

屋根の高い広々とした雰囲気です。美術館のお店だけあって洒落ています。
そしてこのお店の一番の特徴だと思うのが全面ガラス張りとなっている点です。

真夏の日差しとなっていましたが中は涼しかったです。
こんな感じで庭園を存分に楽しみながら食事することができます。

私も外が見える席にしました。
このお店はランチタイム・カフェタイム・ディナータイムの3つの時間帯があって、この日はカフェタイムの利用でした。
この日は水出しコーヒーゼリー(700円)とジンジャーエールにアイス付(700円)を頼みました


まずコーヒーゼリーは苦味はあまり無くコクがあります。それなのに軽やかに感じるのが不思議。アイスの部分は甘さ控えめであまり香りもないかな。横についているミルクはヘーゼルナッツの香りがしてリキュールが入っていました。
ジンジャーエールは生姜の香りが強めですが辛さは無いので飲みやすい感じです。夏の真っ盛りだったので一際美味しく感じました。
連れはサーモンアボカドのサンドイッチ(700円)とジンジャーエールのアイス付きでした。

1つ貰ったらサーモンとアボカドの取り合わせがよく合って滑らかな口当たりでした。こちらも美味しいです。
ということで、ちょっと高めですがその分雰囲気の良いお店で美味しいメニューとなっていました。この美術館は別館のカフェも美味しいので今後はどちらにしようか迷ってしまいそうですw ランチタイムやディナータイムも美味しそうなので、いずれ利用してみたいと思います。
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先週の日曜日に山種美術館で「水を描く ―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―」を観てきました。

【展覧名】
水を描く ―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―
【公式サイト】
http://www.yamatane-museum.jp/exh/2018/mizu.html
【会場】山種美術館
【最寄】恵比寿駅
【会期】2018年7月14日(土)~9月6日(木)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間20分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんはいましたが、自分のペースで鑑賞することができました。
さて、今回の展覧会は山種美術館のコレクションの中から「水」をテーマにした作品を集めた内容となっています。近代の日本画からつい最近の作品まで作者も画風も様々ですが、見ているだけで涼しくなれそうなラインナップです。簡単にメモしてきたので、各章ごとに気に入った作品をご紹介していこうと思います。
<第1章 波と水面のイメージ>
まずは波と水面を題材にした作品が並ぶコーナーです。ここはさらに3つの項に分かれていました。
[川―流れる水]
5 小林古径 「河風」
こちらは川の中に縁台を置き、その上に座って足を浸している浴衣の女性を描いた作品です。持っている団扇には琳派風の桔梗、女性は菱川師宣や喜多川歌麿の美人画のようにも観えます。水の表現には南画の影響もあるようで、様々な古画へのオマージュのような作品となっていました。さっそく涼しげな雰囲気です。
冒頭には東山魁夷の「緑潤う」もありました。
参考記事:没後10年記念 東山魁夷と昭和の日本画 (山種美術館)
[水面の表現]
11 小野竹喬 「沖の灯」
夕暮れの海を見渡す光景を描いた最晩年の作品で、ピンクと灰色の雲と 青い海が広々とした雰囲気です。細長い波のようなものなどもあり、沖には星のように輝く漁火も目を引きます。解説によるとこの絵の暗い海面や雲には作者の病魔と闘う未来を読み取ることもできるのだとか。しかし淡い色彩なので私にはそんな不吉な予感は感じられませんでした。どちらかというと爽やかな光景です。
14 守屋多々志 「波乗り兎」
こちらは前田青邨の弟子の作品で、水面の上を走るウサギを描いています。金色の波に、ウサギの白が映えて赤目も目立っていました。解説によると、こちらは謡曲「竹生島」を題材にしているようですが、あえて月は描いていないとのことでした。可愛らしい作品です。
17 宮廽正明 「水花火(螺)」
こちらは細長い舟の舳先に立って漁網を投げる漁師を描いた作品です。縄が円形状に画面一杯に広がっているのが特徴で、水面には点描のような描写が観られます。かなり漁網が目立って立体感すら感じるかな。力強い動きも見事です。解説によると四万十川では今でもこうした漁が行なわれているのだとか。
15 16 吉田善彦 「尾瀬三趣のうち 池塘の晝/水辺の夕」
こちらは速水御舟の弟子によるもので、3部作のうちの2点です。いずれも尾瀬を淡い色彩で霞むように描いていて、幻想的な雰囲気が漂います。所々に花が咲いていて尾瀬の自然と花の可憐さも感じられるかな。解説によると、こちらは一度描いた上から金箔を塗って、その上からもう一度描くという変わった技法を使っているようです。昔、尾瀬でモヤに包まれたのを思い出しましたw
[海―波の躍動感]
22 橋本関雪 「生々流転」
こちらは建仁寺の襖絵と同一主題の屏風で、六曲二双というかなり横長の大画面となっています。大きな波が延々と続いていて、黒い雨のようなものも降っているようです。真ん中辺りには1羽の海鳥が滑空する姿もあって、自然の力強さが感じられました。躍動的で迫力ある作品です。
この近くにあった加山又造の「波濤」も好みの作品でした。また、奥村土牛の「鳴門」(★こちらで観られます)は何度観ても素晴らしい作品です。
6 奥田元宋 「奥入瀬(秋)」 ★こちらで観られます
こちらは川の作品ですが海のコーナーにありました。大画面に紅葉に染まる木々と、その間を流れる渓流が描かれ、黄色~オレンジ~赤といった微妙に異なる色彩が印象的です。場所によっては金色に光っているところもあって、秋の風情が感じられます。 一方で川は白く、流れの速さを感じさせました。
23 川端龍子 「鳴門」
こちらの作品だけ撮影可能となっていました。

会場芸術を標榜していただけあって、非常にダイナミックな波となっています。そのやりすぎ感が私は苦手だったりしますがw
参考記事:川端龍子 -超ド級の日本画- (山種美術館)
<第2章 滝のダイナミズム>
続いては滝をテーマにしたコーナーです。ここも大型の作品多めとなっていました。
33 横山操 「滝」
こちらは岸壁から一直線に落ちてくる白い滝を描いたもので、特に解説は無いですが那智の滝のように思えます。岸壁は直線的な輪郭で表現されてゴツゴツした印象を受け、銀が塗られ ざらつきと鈍い光が重厚感を出しています。滝壺には飛沫が烟るような表現で、落ちてくる水の勢いを感じさせました。離れて観た時は加山又造の作品かと思いましたが、懇意にしていただけあって2人は結構似た所がありますね。
35 千住博 「ウォーターフォール」 ★こちらで観られます
こちらは今回のポスターにもなっている作品で、3面からなる大画面となっています。暗い背景に真っ白な滝が光り輝くように描かれ、非常に臨場感があります。これは実際に白を垂れ流して描いているらしく、自然な流れを感じるのはそれもあるのかも。水面にも白の飛沫が無数に飛び散っているなど水の動きそのものと言った感じで、近くで観ていると吸い込まれそうな奥行きを感じました。
36 千住博 「フォーリングカラーズ」
こちらは赤・緑・黄色・紫の滝を描いた正方形の5面(赤は2種類)から成る連作です。いずれも暗闇に輝いているような色彩で、滝壺がぼんやりと浮かぶような光景が幻想的です。色が異なる滝はちょっとシュールにも思えますが、隣り合う色同士の取り合わせも鮮やかで面白い効果となっていました。
<第3章 雨の情景>
最後は雨の情景を描いた作品のコーナーです。
42 歌川広重(初代) 「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」 ★こちらで観られます
こちらは浮世絵で、ゴッホも模写したことで有名な作品です。見下ろすような俯瞰の構図で夕立の降る新大橋を描いていて、遠くの風景は薄い影となっているなど遠近的な表現となっています。何故か水平線が斜めになっているのも面白く、まるで鳥が観ている光景のようにも思えました。夕立に降られた行き交う人のポーズなんかは現代人に通じるものを感じますw
53 横山操 「越路十景のうち 親不知夜雨」
こちらは断崖絶壁とその下の浜辺を描いた作品で、画面の大半は海と空と雨が一体化したような画面となっています。こちらは作者の故郷の新潟の親不知の光景らしく瀟湘八景のように10点セットで描いているようです。墨の濃淡や刷毛目で強い雨を感じさせる表現が見事で、寂しく厳しい日本海の様子が伺えました。
この隣の「越路十景のうち 越前雨晴」は墨の滲みで雨雲を表現するなど墨を自在に使って情趣ある風景画2点となっています。
52 奥田元宋 「山澗雨趣」
こちらは青い山を背景に、黄緑色の森を見下ろすような構図で 真ん中に白い滝も観えています。さらに画面全体に薄っすらと金泥で雨を表していて、静かに降りしきる様子となっています。鬱蒼として湿気まで伝わってきそうな作品でした。
50 宇田荻邨 「五月雨」
こちらは笠と箕を身につけて、牛に代掻きという田を鳴らす作業をさせている農家の男性を描いた作品です。奥には田植えをしている3人の女性の姿や1羽の白鷺の姿もあり、斜めに雨が降っている様子も表されています。筆致が細かく繊細な印象を受けますが、女性が遠くにいるのに線がくっきりしているので遠近感に違和感もあるかな。日本の原風景といった長閑な光景となっていました。
55 平山郁夫 「ロンドン霧のタワァ・ブリッジ」
こちらは金地に黒の線描でロンドンのタワーブリッジを描いた作品です。ぼんやり浮かぶように濃淡もつけていて、ロンドンの霧の深さを感じます。描いているものは西洋の建物そのものですが、日本画らしい情感溢れる光景で、そのギャップが面白い作品でした。
ということで、猛暑の中で涼を感じられるような作品ばかりでした。特に大型作品は中々お目にかからない作品なんかもあったので満足できました。残りの会期が少ないので、気になる方はお早めにどうぞ。

【展覧名】
水を描く ―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―
【公式サイト】
http://www.yamatane-museum.jp/exh/2018/mizu.html
【会場】山種美術館
【最寄】恵比寿駅
【会期】2018年7月14日(土)~9月6日(木)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間20分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんはいましたが、自分のペースで鑑賞することができました。
さて、今回の展覧会は山種美術館のコレクションの中から「水」をテーマにした作品を集めた内容となっています。近代の日本画からつい最近の作品まで作者も画風も様々ですが、見ているだけで涼しくなれそうなラインナップです。簡単にメモしてきたので、各章ごとに気に入った作品をご紹介していこうと思います。
<第1章 波と水面のイメージ>
まずは波と水面を題材にした作品が並ぶコーナーです。ここはさらに3つの項に分かれていました。
[川―流れる水]
5 小林古径 「河風」
こちらは川の中に縁台を置き、その上に座って足を浸している浴衣の女性を描いた作品です。持っている団扇には琳派風の桔梗、女性は菱川師宣や喜多川歌麿の美人画のようにも観えます。水の表現には南画の影響もあるようで、様々な古画へのオマージュのような作品となっていました。さっそく涼しげな雰囲気です。
冒頭には東山魁夷の「緑潤う」もありました。
参考記事:没後10年記念 東山魁夷と昭和の日本画 (山種美術館)
[水面の表現]
11 小野竹喬 「沖の灯」
夕暮れの海を見渡す光景を描いた最晩年の作品で、ピンクと灰色の雲と 青い海が広々とした雰囲気です。細長い波のようなものなどもあり、沖には星のように輝く漁火も目を引きます。解説によるとこの絵の暗い海面や雲には作者の病魔と闘う未来を読み取ることもできるのだとか。しかし淡い色彩なので私にはそんな不吉な予感は感じられませんでした。どちらかというと爽やかな光景です。
14 守屋多々志 「波乗り兎」
こちらは前田青邨の弟子の作品で、水面の上を走るウサギを描いています。金色の波に、ウサギの白が映えて赤目も目立っていました。解説によると、こちらは謡曲「竹生島」を題材にしているようですが、あえて月は描いていないとのことでした。可愛らしい作品です。
17 宮廽正明 「水花火(螺)」
こちらは細長い舟の舳先に立って漁網を投げる漁師を描いた作品です。縄が円形状に画面一杯に広がっているのが特徴で、水面には点描のような描写が観られます。かなり漁網が目立って立体感すら感じるかな。力強い動きも見事です。解説によると四万十川では今でもこうした漁が行なわれているのだとか。
15 16 吉田善彦 「尾瀬三趣のうち 池塘の晝/水辺の夕」
こちらは速水御舟の弟子によるもので、3部作のうちの2点です。いずれも尾瀬を淡い色彩で霞むように描いていて、幻想的な雰囲気が漂います。所々に花が咲いていて尾瀬の自然と花の可憐さも感じられるかな。解説によると、こちらは一度描いた上から金箔を塗って、その上からもう一度描くという変わった技法を使っているようです。昔、尾瀬でモヤに包まれたのを思い出しましたw
[海―波の躍動感]
22 橋本関雪 「生々流転」
こちらは建仁寺の襖絵と同一主題の屏風で、六曲二双というかなり横長の大画面となっています。大きな波が延々と続いていて、黒い雨のようなものも降っているようです。真ん中辺りには1羽の海鳥が滑空する姿もあって、自然の力強さが感じられました。躍動的で迫力ある作品です。
この近くにあった加山又造の「波濤」も好みの作品でした。また、奥村土牛の「鳴門」(★こちらで観られます)は何度観ても素晴らしい作品です。
6 奥田元宋 「奥入瀬(秋)」 ★こちらで観られます
こちらは川の作品ですが海のコーナーにありました。大画面に紅葉に染まる木々と、その間を流れる渓流が描かれ、黄色~オレンジ~赤といった微妙に異なる色彩が印象的です。場所によっては金色に光っているところもあって、秋の風情が感じられます。 一方で川は白く、流れの速さを感じさせました。
23 川端龍子 「鳴門」
こちらの作品だけ撮影可能となっていました。

会場芸術を標榜していただけあって、非常にダイナミックな波となっています。そのやりすぎ感が私は苦手だったりしますがw
参考記事:川端龍子 -超ド級の日本画- (山種美術館)
<第2章 滝のダイナミズム>
続いては滝をテーマにしたコーナーです。ここも大型の作品多めとなっていました。
33 横山操 「滝」
こちらは岸壁から一直線に落ちてくる白い滝を描いたもので、特に解説は無いですが那智の滝のように思えます。岸壁は直線的な輪郭で表現されてゴツゴツした印象を受け、銀が塗られ ざらつきと鈍い光が重厚感を出しています。滝壺には飛沫が烟るような表現で、落ちてくる水の勢いを感じさせました。離れて観た時は加山又造の作品かと思いましたが、懇意にしていただけあって2人は結構似た所がありますね。
35 千住博 「ウォーターフォール」 ★こちらで観られます
こちらは今回のポスターにもなっている作品で、3面からなる大画面となっています。暗い背景に真っ白な滝が光り輝くように描かれ、非常に臨場感があります。これは実際に白を垂れ流して描いているらしく、自然な流れを感じるのはそれもあるのかも。水面にも白の飛沫が無数に飛び散っているなど水の動きそのものと言った感じで、近くで観ていると吸い込まれそうな奥行きを感じました。
36 千住博 「フォーリングカラーズ」
こちらは赤・緑・黄色・紫の滝を描いた正方形の5面(赤は2種類)から成る連作です。いずれも暗闇に輝いているような色彩で、滝壺がぼんやりと浮かぶような光景が幻想的です。色が異なる滝はちょっとシュールにも思えますが、隣り合う色同士の取り合わせも鮮やかで面白い効果となっていました。
<第3章 雨の情景>
最後は雨の情景を描いた作品のコーナーです。
42 歌川広重(初代) 「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」 ★こちらで観られます
こちらは浮世絵で、ゴッホも模写したことで有名な作品です。見下ろすような俯瞰の構図で夕立の降る新大橋を描いていて、遠くの風景は薄い影となっているなど遠近的な表現となっています。何故か水平線が斜めになっているのも面白く、まるで鳥が観ている光景のようにも思えました。夕立に降られた行き交う人のポーズなんかは現代人に通じるものを感じますw
53 横山操 「越路十景のうち 親不知夜雨」
こちらは断崖絶壁とその下の浜辺を描いた作品で、画面の大半は海と空と雨が一体化したような画面となっています。こちらは作者の故郷の新潟の親不知の光景らしく瀟湘八景のように10点セットで描いているようです。墨の濃淡や刷毛目で強い雨を感じさせる表現が見事で、寂しく厳しい日本海の様子が伺えました。
この隣の「越路十景のうち 越前雨晴」は墨の滲みで雨雲を表現するなど墨を自在に使って情趣ある風景画2点となっています。
52 奥田元宋 「山澗雨趣」
こちらは青い山を背景に、黄緑色の森を見下ろすような構図で 真ん中に白い滝も観えています。さらに画面全体に薄っすらと金泥で雨を表していて、静かに降りしきる様子となっています。鬱蒼として湿気まで伝わってきそうな作品でした。
50 宇田荻邨 「五月雨」
こちらは笠と箕を身につけて、牛に代掻きという田を鳴らす作業をさせている農家の男性を描いた作品です。奥には田植えをしている3人の女性の姿や1羽の白鷺の姿もあり、斜めに雨が降っている様子も表されています。筆致が細かく繊細な印象を受けますが、女性が遠くにいるのに線がくっきりしているので遠近感に違和感もあるかな。日本の原風景といった長閑な光景となっていました。
55 平山郁夫 「ロンドン霧のタワァ・ブリッジ」
こちらは金地に黒の線描でロンドンのタワーブリッジを描いた作品です。ぼんやり浮かぶように濃淡もつけていて、ロンドンの霧の深さを感じます。描いているものは西洋の建物そのものですが、日本画らしい情感溢れる光景で、そのギャップが面白い作品でした。
ということで、猛暑の中で涼を感じられるような作品ばかりでした。特に大型作品は中々お目にかからない作品なんかもあったので満足できました。残りの会期が少ないので、気になる方はお早めにどうぞ。
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今日は写真多めです。前回ご紹介した展示を観た後に、京橋附近のLIXILギャラリーで「ふるさとの駄菓子-石橋幸作が愛した味とかたち-」を観てきました。この展示は既に終了していますが、撮影可能となっていましたので写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
ふるさとの駄菓子-石橋幸作が愛した味とかたち-
【公式サイト】
http://www.livingculture.lixil/topics/gallery/--/
【会場】LIXILギャラリー
【最寄】京橋駅(東京)
【会期】2018年6月7日(木)~8月25日(土)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示はタイトルの通り、駄菓子をテーマにしたものとなっていました。(駄菓子と言っても うまい棒とか よっちゃんイカとは違い、昔ながらの郷土色溢れるご当地名物に近い駄菓子です。) 仙台の石橋幸作という飴屋の二代目のご主人が昭和30年代から各地の駄菓子を調査し、粘土細工で再現した品が並んでいて、更に系統ごとに分類して展示されています。先述のように撮影可能でしたので、詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。
こちらが会場の様子。

それほど広くない会場にたくさんのお菓子の模型が並んでいました。
<冒頭>
まず冒頭に石橋幸作についての説明がありました。全国を旅して調べたようで『駄菓子風土記』(昭和40年)などの著書や展覧会で紹介されて駄菓子ブームを起こしたそうです。その分類は
・信仰駄菓子:縁日の寺社の境内で売られた菓子
・食玩駄菓子:子供に与える菓子
・薬駄菓子 :薬効をうたった菓子
・お茶請駄菓子:茶飲み用の菓子
となってるようで、今回の展示でもそのように分類展示されていました。
こちらが石橋幸作。明治18年創業の仙台の飴屋「石橋屋」の2代目だったそうです。

廃絶した駄菓子の復活にも取り組んでいたらしいので、駄菓子を愛して止まない人だったのかも。
こちらは明治村に駄菓子関連の資料が保存された際の記録。

昭和43年に寄贈初のお披露目展を行った時の絵で、飴細工職人に扮して吹き飴作りをしているところのようです。緊張した様子が伺えますw
参考記事:
番外編 博物館明治村の写真 前編(2013年12月)
番外編 博物館明治村の写真 後編(2013年12月)
こちらは明治村に招待された際に、奈良や木曽路も合わせて旅した記録。

左ページはカルメラ焼きを作ってるのかな。右は祭りのための「立て山」という しんこ細工だそうです。派手なのでお祭りっぽい用の雰囲気ありますね。
<駄菓子行脚>
続いては駄菓子を調査するために全国各地を旅した記録のコーナーです。
こちらは昭和35年頃に岩手で最終したもの。

左ページの右下のは観たことある気がしますが、他は柚餅子くらいしか味も想像できないw うめこって梅干しみたいなものでしょうか。。。
こちらは右ページが長崎の鳥パン。左ページは熊本の西洋パン。

西洋パンも見た目は和風のお菓子に見えるのは気の所為でしょうかw 鳥パンもヒヨコみたいで可愛いです。
<信仰駄菓子>
ここからは粘土で再現した駄菓子の模型が並んでいました。ここには信仰駄菓子と分類した菓子が並んでいて、神仏に供えられた菓子のおさがりが信仰駄菓子の代表例だそうです。また、他にも縁起菓子や節句・正月・盆・彼岸などの行事菓子、婚礼・法事における引菓子なども信仰駄菓子に含んでいるようで、後ほど出てくる他の駄菓子と性質を併せ持つものもあるようです。
こちらが信仰駄菓子の模型。

鯛の模型みたいな駄菓子なんかはひと目で縁起物と分かるんですけどねw 他は意図も味も想像できないものが結構あります。
こちらはお多福の落雁。

寺社の供物や祭事に使ったようです。ここまで縁起が良さそうなモチーフは食べるのに躊躇しそうw
<道中駄菓子>
続いては街道沿いの宿場町で道中の食料やお土産となった道中駄菓子のコーナー。石橋幸作は著書で「名物がうまかろうがうまくなかろうが もちろん問題ではありません。どだい名物というのは、その土地の尋常や風俗や食習につながるものなので、あくまで粉飾のない素直なものでなければなりません」と力説しているそうです。
こちらも様々なお菓子が並んでいますが、観ただけでは味も原料も全く分かりませんw

この旗みたいなのに乗っているのは盛り飴といって山形のお菓子で、紅花を発酵して丸めた紅餅をむしろに並べて乾燥する様子を表現しているようです。その下の亀の甲羅みたいなのは角館の柚餅子らしいですが、こんな形の柚餅子は初めて観ました。
上にあるのは凍餅という平泉のお菓子。ピンクのは長崎の桃饅頭、左下のは宮城の水饅頭だそうです。

素朴で、確かにその土地の食生活が伺えるかな。普通に保存食みたいなのも結構あるし。
<薬駄菓子>
続いては薬の代わりに栄養補給になるとされた薬駄菓子のコーナーです。かつては歯痛止めや下痢止めなんて効果も謳った菓子もあったそうで、薬事法が改正されるまでは薬効も宣伝に使われたそうです。
こちらが薬駄菓子。

今までの菓子に比べて物凄くそっけないw ハッカやゆずが入っているらしいので、薬効を期待したのかもしれません。
上のお菓子はうるち米と大豆を原料にした煎餅だそうです。それで何の薬効があると思われていたんでしょうか…

左下のは榧糖という榧の実を混ぜ込んだもの。喘息や痰もちの妙薬と考えられていたようです。本当に効果があるのかは分かりませんが。
<お茶請駄菓子>
続いてはその名の通りお茶請けとなる駄菓子のコーナーです。
何だか一気にカラフルになりましたw

細工も凝っています。形も丸っこくて可愛らしいものばかりです。
こちらも様々な形のお菓子が並んでいます。

割と水飴を使っているのが多そうですが、各地でこうしたお茶請けを作っていたようです。
<食玩駄菓子>
続いては子供の興味を引く食玩駄菓子のコーナーです。正直、大人でもここが一番面白いですw
こちらは八百屋菓子という野菜や果物の形のお菓子。素朴で可愛らしい造形。今でも売れそうw

仙台では縁日で露店で職人が作って売ってたそうなので、これは子供も喜んだでしょうね。
この辺は「当てもの」「とっけもの」と呼ばれたくじ引きもののお菓子。

だるまとかウサギはレアリティが高そうなオーラがw
こちらは「犬こ」と「ウサギ」

元々ゆるいデザインなのか模型の作りがゆるいのか分かりませんが、完全にゆるキャラですねw 縁日で売ってたら買ってしまいそう。
<細工もの>
続いては細工ものと呼ばれる菓子のコーナー。細工ものには「しんこ」という しん粉で作った眺めて楽しむだけのものと、飴の2つがあるようです。しんこ屋は求めに応じて何でも練ってつくったそうで、変わった品が並んでいます。
もはやお菓子の造形を超えたものが並びます。これは食べないでしょうねw

タコの足が絡む様子とか見事な造形です。
こちらも桃太郎とか謎の動物達が並んでいます。

色はどうやって塗っているのか分かりませんが、中々の力作ぞろいでした。
こちらも激ゆるの動物たち

たぬきの浮かれている様子がかわいいw 餅つきするウサギもトボけた顔が良かったです。
<駄菓子売りの風俗>
最後に駄菓子売りの光景までありました。
天秤で担いで運ぶ団子屋さん

流石に昭和の格好には見えないなあと思ったら、大正の終わり頃まで見られたとのことです。
こちらは芭蕉煎餅屋さん

こちらも時代を感じさせる格好ですが、今でもこうやって煎餅を焼いているお店はあると思います。
ということで、非常に様々な駄菓子の模型を観ることが出来ました。各地の風俗を感じると共に、可愛らしいデザインなども面白かったです。既に終わってしまった展示ですが、記憶に残りそうな内容でした。

【展覧名】
ふるさとの駄菓子-石橋幸作が愛した味とかたち-
【公式サイト】
http://www.livingculture.lixil/topics/gallery/--/
【会場】LIXILギャラリー
【最寄】京橋駅(東京)
【会期】2018年6月7日(木)~8月25日(土)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示はタイトルの通り、駄菓子をテーマにしたものとなっていました。(駄菓子と言っても うまい棒とか よっちゃんイカとは違い、昔ながらの郷土色溢れるご当地名物に近い駄菓子です。) 仙台の石橋幸作という飴屋の二代目のご主人が昭和30年代から各地の駄菓子を調査し、粘土細工で再現した品が並んでいて、更に系統ごとに分類して展示されています。先述のように撮影可能でしたので、詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。
こちらが会場の様子。

それほど広くない会場にたくさんのお菓子の模型が並んでいました。
<冒頭>
まず冒頭に石橋幸作についての説明がありました。全国を旅して調べたようで『駄菓子風土記』(昭和40年)などの著書や展覧会で紹介されて駄菓子ブームを起こしたそうです。その分類は
・信仰駄菓子:縁日の寺社の境内で売られた菓子
・食玩駄菓子:子供に与える菓子
・薬駄菓子 :薬効をうたった菓子
・お茶請駄菓子:茶飲み用の菓子
となってるようで、今回の展示でもそのように分類展示されていました。
こちらが石橋幸作。明治18年創業の仙台の飴屋「石橋屋」の2代目だったそうです。

廃絶した駄菓子の復活にも取り組んでいたらしいので、駄菓子を愛して止まない人だったのかも。
こちらは明治村に駄菓子関連の資料が保存された際の記録。

昭和43年に寄贈初のお披露目展を行った時の絵で、飴細工職人に扮して吹き飴作りをしているところのようです。緊張した様子が伺えますw
参考記事:
番外編 博物館明治村の写真 前編(2013年12月)
番外編 博物館明治村の写真 後編(2013年12月)
こちらは明治村に招待された際に、奈良や木曽路も合わせて旅した記録。

左ページはカルメラ焼きを作ってるのかな。右は祭りのための「立て山」という しんこ細工だそうです。派手なのでお祭りっぽい用の雰囲気ありますね。
<駄菓子行脚>
続いては駄菓子を調査するために全国各地を旅した記録のコーナーです。
こちらは昭和35年頃に岩手で最終したもの。

左ページの右下のは観たことある気がしますが、他は柚餅子くらいしか味も想像できないw うめこって梅干しみたいなものでしょうか。。。
こちらは右ページが長崎の鳥パン。左ページは熊本の西洋パン。

西洋パンも見た目は和風のお菓子に見えるのは気の所為でしょうかw 鳥パンもヒヨコみたいで可愛いです。
<信仰駄菓子>
ここからは粘土で再現した駄菓子の模型が並んでいました。ここには信仰駄菓子と分類した菓子が並んでいて、神仏に供えられた菓子のおさがりが信仰駄菓子の代表例だそうです。また、他にも縁起菓子や節句・正月・盆・彼岸などの行事菓子、婚礼・法事における引菓子なども信仰駄菓子に含んでいるようで、後ほど出てくる他の駄菓子と性質を併せ持つものもあるようです。
こちらが信仰駄菓子の模型。

鯛の模型みたいな駄菓子なんかはひと目で縁起物と分かるんですけどねw 他は意図も味も想像できないものが結構あります。
こちらはお多福の落雁。

寺社の供物や祭事に使ったようです。ここまで縁起が良さそうなモチーフは食べるのに躊躇しそうw
<道中駄菓子>
続いては街道沿いの宿場町で道中の食料やお土産となった道中駄菓子のコーナー。石橋幸作は著書で「名物がうまかろうがうまくなかろうが もちろん問題ではありません。どだい名物というのは、その土地の尋常や風俗や食習につながるものなので、あくまで粉飾のない素直なものでなければなりません」と力説しているそうです。
こちらも様々なお菓子が並んでいますが、観ただけでは味も原料も全く分かりませんw

この旗みたいなのに乗っているのは盛り飴といって山形のお菓子で、紅花を発酵して丸めた紅餅をむしろに並べて乾燥する様子を表現しているようです。その下の亀の甲羅みたいなのは角館の柚餅子らしいですが、こんな形の柚餅子は初めて観ました。
上にあるのは凍餅という平泉のお菓子。ピンクのは長崎の桃饅頭、左下のは宮城の水饅頭だそうです。

素朴で、確かにその土地の食生活が伺えるかな。普通に保存食みたいなのも結構あるし。
<薬駄菓子>
続いては薬の代わりに栄養補給になるとされた薬駄菓子のコーナーです。かつては歯痛止めや下痢止めなんて効果も謳った菓子もあったそうで、薬事法が改正されるまでは薬効も宣伝に使われたそうです。
こちらが薬駄菓子。

今までの菓子に比べて物凄くそっけないw ハッカやゆずが入っているらしいので、薬効を期待したのかもしれません。
上のお菓子はうるち米と大豆を原料にした煎餅だそうです。それで何の薬効があると思われていたんでしょうか…

左下のは榧糖という榧の実を混ぜ込んだもの。喘息や痰もちの妙薬と考えられていたようです。本当に効果があるのかは分かりませんが。
<お茶請駄菓子>
続いてはその名の通りお茶請けとなる駄菓子のコーナーです。
何だか一気にカラフルになりましたw

細工も凝っています。形も丸っこくて可愛らしいものばかりです。
こちらも様々な形のお菓子が並んでいます。

割と水飴を使っているのが多そうですが、各地でこうしたお茶請けを作っていたようです。
<食玩駄菓子>
続いては子供の興味を引く食玩駄菓子のコーナーです。正直、大人でもここが一番面白いですw
こちらは八百屋菓子という野菜や果物の形のお菓子。素朴で可愛らしい造形。今でも売れそうw

仙台では縁日で露店で職人が作って売ってたそうなので、これは子供も喜んだでしょうね。
この辺は「当てもの」「とっけもの」と呼ばれたくじ引きもののお菓子。

だるまとかウサギはレアリティが高そうなオーラがw
こちらは「犬こ」と「ウサギ」

元々ゆるいデザインなのか模型の作りがゆるいのか分かりませんが、完全にゆるキャラですねw 縁日で売ってたら買ってしまいそう。
<細工もの>
続いては細工ものと呼ばれる菓子のコーナー。細工ものには「しんこ」という しん粉で作った眺めて楽しむだけのものと、飴の2つがあるようです。しんこ屋は求めに応じて何でも練ってつくったそうで、変わった品が並んでいます。
もはやお菓子の造形を超えたものが並びます。これは食べないでしょうねw

タコの足が絡む様子とか見事な造形です。
こちらも桃太郎とか謎の動物達が並んでいます。

色はどうやって塗っているのか分かりませんが、中々の力作ぞろいでした。
こちらも激ゆるの動物たち

たぬきの浮かれている様子がかわいいw 餅つきするウサギもトボけた顔が良かったです。
<駄菓子売りの風俗>
最後に駄菓子売りの光景までありました。
天秤で担いで運ぶ団子屋さん

流石に昭和の格好には見えないなあと思ったら、大正の終わり頃まで見られたとのことです。
こちらは芭蕉煎餅屋さん

こちらも時代を感じさせる格好ですが、今でもこうやって煎餅を焼いているお店はあると思います。
ということで、非常に様々な駄菓子の模型を観ることが出来ました。各地の風俗を感じると共に、可愛らしいデザインなども面白かったです。既に終わってしまった展示ですが、記憶に残りそうな内容でした。
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前回ご紹介した展示を観る前に旧新橋停車場 鉄道歴史展示室で「没後20年 工業デザイナー黒岩保美」を観てきました。

【展覧名】
没後20年 工業デザイナー黒岩保美
【公式サイト】
http://www.ejrcf.or.jp/shinbashi/
【会場】旧新橋停車場 鉄道歴史展示室
【最寄】新橋駅
【会期】2018年7月10日(火)~10月14日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は国鉄時代に特急のヘッドマークやグリーン車のシンボルマークといった様々なデザインを手がけた黒岩保美(くろいわ やすよし)という工業デザイナーの展示です。名前は知らなくても誰もが観たことがあるだろうデザインを多く手がけただけに、展示の内容も見覚えのある品々が紹介されていました。小規模ながらも章分けされていましたので、各章ごとにその様子を振り返ってみようと思います。
<冒頭>
まず簡単に概要があって、それによると黒岩保美は1921年に生まれ1998年に亡くなっています。幼い頃から鉄道知識と絵画能力を培い、優れた絵画能力が評価されて やがて日本国有鉄道(国鉄)で働くようになりました。カラー写真の無かった時代に日本画の手法を取り入れた色付きの車両の絵は当時は珍しく、評判となったようです。その後、車両設計事務所に在籍するようになり、そこでトレインマークのデザイン、各種標記文字の図案化、色彩試案の作成、車内設備の取扱解説図、新車完成予想図などを手がけました。
最初に「あさかぜ」のテールマークがあり、緑の風がなびくシンプルなデザインとなっていました。…って確か あざかぜの風の色は緑じゃないような?? この展示ではたまにボツ案なんかも展示しているのでレアなものが観られたりします。他にも、風景画の道具なども展示されていて、外国の駅や車両の絵、カメラ、フィルム、パレットなども並んでいました。
<1章 鉄道とアートへの道-黒岩さんの生い立ち->
こちらは改めて生い立ちからのコーナーです。黒岩保美は1921年に悉皆屋(デザイン・洗い張り・シミ抜きまで着物に関する全てを引き受ける店)の次男として生まれ、幼い頃から鉄道が好きで小学生から鉄道博物館に行くようになり、中学では1人で博物館で機関車をスケッチしたり雑誌で知識を深めていたようです。さらに1939年には「つばめクラブ」という鉄道好きのクラブに入会し鉄道趣味人たちと接するようになりました。また、家業の悉皆屋や体力を考えて日本画を学び始め、矢沢弦月に師事し第2回日本画院展では「機関車」という作品を出し入選しています。戦時中は海軍として横須賀に勤務して航空兵の教育資料の絵などを描いていたようです。戦後の1946年になると交通文化博物館の職員が起案した連合軍専用客車の特殊改造車の内部スケッチに、高松吉太郎(つばめクラブのメンバー)から推薦を受けて見取り図を制作したそうで、これによって優れた絵画能力が「荻窪会」の星晃の目に止まり1947年からは国鉄の嘱託職員となりました。そこで連合軍客車の社内見取り図を制作したのが高く評価され、1949年に正式に国鉄に入社しました。
ここにはまず国鉄時代の特急「はと」のデザイン案が決定稿と共にボツ案4つも展示されていました。基本的にはよく似ていますが、鳥の絵に文字が乗っかっているのは決定稿だけとなっています。被らない方が読みやすいような気がしますが、これが採用されるというのは何か意味があったのかもしれません。 当時の「はと」の写真なんかもありました。
その先には富士、出雲、日本海、彗星、あけぼの といった寝台特急のトレインマークが並びます。この辺は子供時代に憧れたマークなので、知らないうちに黒岩保美のデザインが刷り込まれていたことに驚きました。シンプルで旅情を誘うようなデザインばかりです…。
他には第2回日本画院展の図録から「機関車」の写真が展示されていました。写真のように精密な素描を元にしていて、汽車のもつ力強い雰囲気もよく表れています。また、連合軍客車の車内の見取り図も設計図と共に展示されていました。側面から輪切りにしたような正確な見取り図で、展望車やラウンジ、食堂車など豪華列車であったことが伺えます。(列車名はALGOM、SAGINAW、RED BIRDとなっていました)
この章の最後には鉄道技師の星晃と高松吉太郎といった黒岩保美を引き立ててくれた人の紹介もありました。
<2章 国鉄のデザイン-黒岩さんの仕事>
ここには国鉄時代に残した仕事の数々が並んでいました。トレインマークやカラーデザインなどは長きに渡って広範囲に影響を与えていると言えそうです。
まず、今でも東海道線・東北線などで使われる緑とオレンジの「湘南色」の選考に黒岩保美も携わっていたようです。当時の湘南電車の編成予想図なども並んでいて、多くの人に愛された色の取り合わせを試していた様子が伺えます。
また、ここには特急つばめのボツ案もあって、決定稿に比べると軽やかな印象を受けるかな。ボツに見覚えがあると思ったら、ボツ案の1つは国鉄バスのスワローマークに転用されたようです。
さらに特急ゆうづる のヘッドマークも決定案とボツ案がありました。ボツ案はゆうづるが2羽飛んでいるデザインとなっています。他にもヘッドマークの実物大の設計図もありました。特急つばめ、特急あさかぜ 辺りのトレインマークなんかもあります。
他にここで目を引いたのが特急こだま や新幹線のカラーデザイン案です。クリーム地に赤の国鉄色もまだ定まっていなかったようで、青だったり真っ赤にクリーム色の線だったりと、決定案を見慣れているだけに違和感がありますw 新幹線も真っ白だったり赤だったり、互い違いの斬新な模様だったりして面白いです。これだけ根本的なデザインを手がけているとなると、日本の鉄道風景は黒岩保美によって大きく塗り替えられたと言っても過言ではなさそうです。
さらに黒岩保美はグリーン車の葉っぱのマークなども手がけていたようで、実物大の設計図と共に並んでいます。こんな身近なマークも手がけていたとは…。 それどころかマニアックな所では車体番号のフォントまで手がけていたようで、鉄道好きには驚きが多いのではないかと思います。(ガチ勢は普通に知ってそうですがw)
<3章 鉄道文化を紡ぐ 多才な黒岩さん>
最後はデザイン以外の仕事についてのコーナーです。黒岩保美は本の編集や装丁なども手がけ、鉄道友の会の『鉄道ファン』の編集長も務めていました。この雑誌、子供の頃に定期購読していたのに知らなかった…w(1963~1969年の間に三代目として務めていたらしいので無理はないですが) さらに国鉄退職後には月刊誌『レイル』を刊行し、『汽車・電車』の編集なども手がけているようです。
画業においては1981年には蒸気機関車を描いた初の画集『蒸気機関車時代』を刊行し、その後も多くの鉄道の絵を描いたようです。イギリス国立鉄道博物館には10点の水彩画が収蔵されているほどなのだとか。
ここには雑誌『レイル』数冊の他に「ウイスキーがお好きでしょ」のサントリーウイスキーのポスターもありました。何か関係しているのかと思ったら機関車が載っていますw
そして最後の辺りに鉄道の絵が並んでいました。イギリスの旧LNER No.4772が描かれたものや、「古い機関車」というやや印象派的な画風の作品があります。フランスの旧ETAT鉄道2-4-1形class2-4-1 No.241001を描いた作品では、重厚な車体で12くらいの大小の車輪が見事な汽車となっていました。また、日本鉄道S2/4形 No.558という洋風の小さな機関車も緻密に丹念に描かれ、機関車への愛が感じられました。
ということで、鉄道好きとしてはこれもこの人のデザインだったのか!?を連呼するような内容でした。特にヘッドマークは大好きで真似して描いたりしていた子供時代を思い出したりして感慨に浸ることができました。ちょっと万人向けとは言えないかもしれませんが、鉄道好きの方には面白い展示だと思います。ここは無料で観られるのも良いので、新橋附近に行く予定がある方はチェックしてみてください。


【展覧名】
没後20年 工業デザイナー黒岩保美
【公式サイト】
http://www.ejrcf.or.jp/shinbashi/
【会場】旧新橋停車場 鉄道歴史展示室
【最寄】新橋駅
【会期】2018年7月10日(火)~10月14日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は国鉄時代に特急のヘッドマークやグリーン車のシンボルマークといった様々なデザインを手がけた黒岩保美(くろいわ やすよし)という工業デザイナーの展示です。名前は知らなくても誰もが観たことがあるだろうデザインを多く手がけただけに、展示の内容も見覚えのある品々が紹介されていました。小規模ながらも章分けされていましたので、各章ごとにその様子を振り返ってみようと思います。
<冒頭>
まず簡単に概要があって、それによると黒岩保美は1921年に生まれ1998年に亡くなっています。幼い頃から鉄道知識と絵画能力を培い、優れた絵画能力が評価されて やがて日本国有鉄道(国鉄)で働くようになりました。カラー写真の無かった時代に日本画の手法を取り入れた色付きの車両の絵は当時は珍しく、評判となったようです。その後、車両設計事務所に在籍するようになり、そこでトレインマークのデザイン、各種標記文字の図案化、色彩試案の作成、車内設備の取扱解説図、新車完成予想図などを手がけました。
最初に「あさかぜ」のテールマークがあり、緑の風がなびくシンプルなデザインとなっていました。…って確か あざかぜの風の色は緑じゃないような?? この展示ではたまにボツ案なんかも展示しているのでレアなものが観られたりします。他にも、風景画の道具なども展示されていて、外国の駅や車両の絵、カメラ、フィルム、パレットなども並んでいました。
<1章 鉄道とアートへの道-黒岩さんの生い立ち->
こちらは改めて生い立ちからのコーナーです。黒岩保美は1921年に悉皆屋(デザイン・洗い張り・シミ抜きまで着物に関する全てを引き受ける店)の次男として生まれ、幼い頃から鉄道が好きで小学生から鉄道博物館に行くようになり、中学では1人で博物館で機関車をスケッチしたり雑誌で知識を深めていたようです。さらに1939年には「つばめクラブ」という鉄道好きのクラブに入会し鉄道趣味人たちと接するようになりました。また、家業の悉皆屋や体力を考えて日本画を学び始め、矢沢弦月に師事し第2回日本画院展では「機関車」という作品を出し入選しています。戦時中は海軍として横須賀に勤務して航空兵の教育資料の絵などを描いていたようです。戦後の1946年になると交通文化博物館の職員が起案した連合軍専用客車の特殊改造車の内部スケッチに、高松吉太郎(つばめクラブのメンバー)から推薦を受けて見取り図を制作したそうで、これによって優れた絵画能力が「荻窪会」の星晃の目に止まり1947年からは国鉄の嘱託職員となりました。そこで連合軍客車の社内見取り図を制作したのが高く評価され、1949年に正式に国鉄に入社しました。
ここにはまず国鉄時代の特急「はと」のデザイン案が決定稿と共にボツ案4つも展示されていました。基本的にはよく似ていますが、鳥の絵に文字が乗っかっているのは決定稿だけとなっています。被らない方が読みやすいような気がしますが、これが採用されるというのは何か意味があったのかもしれません。 当時の「はと」の写真なんかもありました。
その先には富士、出雲、日本海、彗星、あけぼの といった寝台特急のトレインマークが並びます。この辺は子供時代に憧れたマークなので、知らないうちに黒岩保美のデザインが刷り込まれていたことに驚きました。シンプルで旅情を誘うようなデザインばかりです…。
他には第2回日本画院展の図録から「機関車」の写真が展示されていました。写真のように精密な素描を元にしていて、汽車のもつ力強い雰囲気もよく表れています。また、連合軍客車の車内の見取り図も設計図と共に展示されていました。側面から輪切りにしたような正確な見取り図で、展望車やラウンジ、食堂車など豪華列車であったことが伺えます。(列車名はALGOM、SAGINAW、RED BIRDとなっていました)
この章の最後には鉄道技師の星晃と高松吉太郎といった黒岩保美を引き立ててくれた人の紹介もありました。
<2章 国鉄のデザイン-黒岩さんの仕事>
ここには国鉄時代に残した仕事の数々が並んでいました。トレインマークやカラーデザインなどは長きに渡って広範囲に影響を与えていると言えそうです。
まず、今でも東海道線・東北線などで使われる緑とオレンジの「湘南色」の選考に黒岩保美も携わっていたようです。当時の湘南電車の編成予想図なども並んでいて、多くの人に愛された色の取り合わせを試していた様子が伺えます。
また、ここには特急つばめのボツ案もあって、決定稿に比べると軽やかな印象を受けるかな。ボツに見覚えがあると思ったら、ボツ案の1つは国鉄バスのスワローマークに転用されたようです。
さらに特急ゆうづる のヘッドマークも決定案とボツ案がありました。ボツ案はゆうづるが2羽飛んでいるデザインとなっています。他にもヘッドマークの実物大の設計図もありました。特急つばめ、特急あさかぜ 辺りのトレインマークなんかもあります。
他にここで目を引いたのが特急こだま や新幹線のカラーデザイン案です。クリーム地に赤の国鉄色もまだ定まっていなかったようで、青だったり真っ赤にクリーム色の線だったりと、決定案を見慣れているだけに違和感がありますw 新幹線も真っ白だったり赤だったり、互い違いの斬新な模様だったりして面白いです。これだけ根本的なデザインを手がけているとなると、日本の鉄道風景は黒岩保美によって大きく塗り替えられたと言っても過言ではなさそうです。
さらに黒岩保美はグリーン車の葉っぱのマークなども手がけていたようで、実物大の設計図と共に並んでいます。こんな身近なマークも手がけていたとは…。 それどころかマニアックな所では車体番号のフォントまで手がけていたようで、鉄道好きには驚きが多いのではないかと思います。(ガチ勢は普通に知ってそうですがw)
<3章 鉄道文化を紡ぐ 多才な黒岩さん>
最後はデザイン以外の仕事についてのコーナーです。黒岩保美は本の編集や装丁なども手がけ、鉄道友の会の『鉄道ファン』の編集長も務めていました。この雑誌、子供の頃に定期購読していたのに知らなかった…w(1963~1969年の間に三代目として務めていたらしいので無理はないですが) さらに国鉄退職後には月刊誌『レイル』を刊行し、『汽車・電車』の編集なども手がけているようです。
画業においては1981年には蒸気機関車を描いた初の画集『蒸気機関車時代』を刊行し、その後も多くの鉄道の絵を描いたようです。イギリス国立鉄道博物館には10点の水彩画が収蔵されているほどなのだとか。
ここには雑誌『レイル』数冊の他に「ウイスキーがお好きでしょ」のサントリーウイスキーのポスターもありました。何か関係しているのかと思ったら機関車が載っていますw
そして最後の辺りに鉄道の絵が並んでいました。イギリスの旧LNER No.4772が描かれたものや、「古い機関車」というやや印象派的な画風の作品があります。フランスの旧ETAT鉄道2-4-1形class2-4-1 No.241001を描いた作品では、重厚な車体で12くらいの大小の車輪が見事な汽車となっていました。また、日本鉄道S2/4形 No.558という洋風の小さな機関車も緻密に丹念に描かれ、機関車への愛が感じられました。
ということで、鉄道好きとしてはこれもこの人のデザインだったのか!?を連呼するような内容でした。特にヘッドマークは大好きで真似して描いたりしていた子供時代を思い出したりして感慨に浸ることができました。ちょっと万人向けとは言えないかもしれませんが、鉄道好きの方には面白い展示だと思います。ここは無料で観られるのも良いので、新橋附近に行く予定がある方はチェックしてみてください。
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今日は写真多めです。前回ご紹介した展示を観る前にパナソニック 汐留ミュージアムで「没後50年 河井寬次郎展 ― 過去が咲いてゐる今、未来の蕾で一杯な今 ―」を観てきました。この展示は一部を除き撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
没後50年 河井寬次郎展 ― 過去が咲いてゐる今、未来の蕾で一杯な今 ―
【公式サイト】
https://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/18/180707/
【会場】パナソニック 汐留ミュージアム
【最寄】新橋駅/汐留駅
【会期】2018年7月7日(土) ~ 9月16日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんがいて、会場があまり広くないこともあって たまに人だかりがありましたが、概ね自分のペースで観ることができました。
さて、この展示は民藝関連の陶芸家としても著名な河井寛次郎の個展で、陶芸のみならず彫刻や書など多彩な作品が並ぶ内容となっています。また、後半には河井寛次郎が愛した作品もあり、河井寛次郎の感性がよく分かる展示と言えそうです。先述のように撮影可能となっていましたので、早速写真を使ってご紹介して参ります。
<土>
まず冒頭に河井寛次郎についての概要が書いてありました。河井寛次郎は1890年に島根県で生まれ、1910年に東京高等工業学校(現在の東京工業大学)窯業科に入学しました。大学では後輩の濱田庄司と出会って生涯の友となっています。卒業後は京都市立陶磁器試験場で研鑽を積み、1920年に京都に窯を手に入れて独立すると、中国や朝鮮の古い時期に倣った作品を作り 初の個展では絶賛され好評を博しました。しかし次第に自分の作陶に疑問を抱いたようで、濱田庄司を通して柳宗悦(民藝運動の中心人物)と親交を結ぶと、作風を変えて実用を重んじた作品となり民藝運動を推進していくことになります。戦後はそこから更に実用に囚われない作風へと変わったようで、河井寛次郎の作陶は3つの作風の時代があると考えて良いようです。ここにはそうした作風の陶器が並んでいました。
河井寬次郎 「青瓷ぜん血葉文花瓶」

まるで白菜のような形の器。中国清時代の翡翠細工を範にしているとのことで、この赤い発色をする緑色も独特です。釉薬も中国元時代を研究した成果なのだとか。
河井寬次郎 「海鼠釉流し掛壺」

青白い釉薬は海鼠(なまこ)釉というそうで、そこにて鉄釉を流し掛けてるようです。模様のほうがナマコかと思いましたが、素朴な面白さがありました。こちらは丹波焼から着想を得ているようです。
河井寬次郎 「小箱各種」

様々な色形の小箱。河井寛次郎の美意識と技術が詰まっているような作品です。京都市立陶磁器試験場にいた頃に濱田庄司と共に1万種もの釉薬の焼成実験をしたというのだから釉薬が多彩なのも納得。
河井寬次郎 「三色打薬双頭扁壺」

今回のポスターの作品。双頭に四角い口という変わった形だけでも面白いですが、釉薬も3色で独特の素朴な味わいがあります。こちらは戦後の用の美を超えた自由な作風が表れているように思えました。
河井寬次郎 「鉄釉打薬煙草具セット」

河井寬次郎は愛煙家だったらしく、いくつもこうした煙草具セットを作っていたようです。ちょっとひしゃげたような形にもこだわりが感じられます。民藝的な用の美の時代の作品かな。
河井寬次郎 「灰釉筒描扁壺」

変わった形と模様の壺。線の部分が盛り上がっているのはスポイトに泥漿を入れて絞り出して付ける「筒描」という技法のようです。釉薬も多彩で素朴なようで技工が詰まっています。こちらも戦後の作風のようです。
河井寬次郎 「練上鉢」

中国陶磁を模した練上げ技法を再び再開した頃の作品。鳥の羽のような文様で、側面がギザギザになっているのが特徴のようでした。
河井寬次郎 「三色打薬扁壺」

3色どころじゃないように思えますが斑模様とチューリップのような形が面白い。こうした晩年の作風が特に好みです。
<彫・デザイン>
続いては彫刻やデザインのコーナーです。戦後、60~70歳にかけて松久武雄(後の京仏師 松久宗琳)の助力を得て100点近い木彫作品を作ったようです。また、自邸を自ら設計し、その家具・調度品をデザインしたそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。
河井寬次郎 「木彫像」

どちらが表か分かりませんが、手を合わせているのと顔が裏表に表されている作品。陶磁器とはまた違った素朴さと近代的な感性を感じます。木目も良い味出していました。
河井寬次郎 「木彫面」

こちらもどこか土着の信仰を思わせるようでキュビスム彫刻のようでもある造形が独特です。こうした木彫像は粘土で原型を作ったのを松久武雄が下彫りし、河井寛次郎が仕上げしたそうです。名前も特につけず「木彫」となっています。
河井寬次郎 「木彫像」

この猫は娘が飼い猫の熊助がいなくなって悲しんでいたのを観て彫ったものだそうで、新築の余材で作ったのだとか。その時「熊助がいなくなって悲しいだろうが、猫そのものの生命体は死なないから心配しなくていいんだと」という言葉をかけたそうです。なかなか良い父親だったんですね。猫も親しみやすい表情と仕草しています。
河井寬次郎 「呉須陶彫像」

こちらは木彫を先に作り、それを10年以上後に陶器でも作った作品。木彫の力強い雰囲気も残りつつ、また異なる艶やかさもあります。蓮のようなものを持っていて、何処と無く釈迦の生誕を思わせました。
河井寬次郎 「連結器写真新聞切り抜き」

こちらは電車の連結器を撮った写真を切り抜いたものを、腹違いの弟の河井達三郎が作った額に入れています。東芝の広告だったようですが、何でも顔に見える時期にスクラップしたそうで、確かに顔にも見えるかな。意外な品があって驚きました。
会場にはずらりと椅子や家具が並んでいました。

デザインが河井寛次郎で、制作は流石に他の作家などが担当しています。素材感が残っているのが民藝的に思えます。
こちらはキセルのデザイン。上のほうに写っているのは小間絵集(挿絵)

陶芸だけでなく、様々なデザインの仕事を手がけていた様子が伺えました。
<言葉>
続いては言葉のコーナーです。若い頃に『學友會雑誌』に投稿するなど書くことも得意だったようで、詩のような言葉を多く残しているようです。それらは58歳の頃に『いのちの窓』という本にまとめられたそうで、最終的には文字を削ぎ落とした4~5文字の造語で表されたものもあるようです。ここにはそうした河井寛次郎の価値観が伺えるような言葉が並び、会場ではそれを朗読する音声も流れていました。
こちらが河井寛次郎の言葉の世界。

「すべてのものは自分の表現」とか「暮しが仕事 仕事が暮し」といった言葉などに価値観が伺えます
河井寬次郎 「陶板」

こちらは言葉を陶板にしたもの「高きに灯をともす 人間の高さにともす」と書いてあります。志の高さと奢らない態度を表しているように思えました。
こちらは4文字熟語のような書。

一番右のは「井の中の蛙大海を知らず。されど空の深さを知る」を短縮したように見えるかな。短縮しても何となく意味は伝わってきますね。
<学んだもの>
続いては河井寛次郎が手本とした作品の写真と共に、河井寛次郎の作品を比較して観るというコーナーです。ここには再び陶器などが並んでいました。
河井寬次郎 「赤絵盒子」

こちらは「伊万里 色絵松竹梅文角筥」を模倣した作品。確かに白地に赤絵で柿右衛門様式のような風情が感じられます。
河井寬次郎 「打薬扁壺」

こちらは「沖縄・壺屋 白掛緑黒抱瓶」に触発されて作ったそうです。
こちらがその「沖縄・壺屋 白掛緑黒抱瓶」の写真。

2つを比べると色も形も微妙に違っていて、単なる模倣ではなく河井寛次郎の解釈が強く入っているように思えました。
<コレクション・遺愛品>
最後はコレクションや遺愛品のコーナー。河井寛次郎は「ものを買って来る 自分買って来る」という言葉もあるように、周りには好きな物を揃えていたようです。しかし同時に物に執着がない人で、人に物をあげるのも厭わなかったのだとか。形あるものはいずれ無くなるという価値観もあった為かもしれません。 最後はそうして集められた品々が並んでいました。
黒田辰秋 「根来鉄金具手箱」(愛用ネクタイ入れ)

木漆工芸家の黒田辰秋と交流があったそうで、いくつか黒田辰秋の作品を持っていたようです。ネクタイも染色家の志村ふくみ の作品が含まれているとのことで、このネクタイ入れだけでも様々な交友関係が分かるようでした。
木喰五行上人 「木喰仏 十一面観音菩薩像」

柳宗悦によって世に知られるようになった木喰仏までありました。そう言えば河井寛次郎の作品は木喰仏にも似た彫りの深さがあるかも。思わず良い作品が観られました。
最後に当時の写真もありました。

今回の展覧会でも観た作品なんかも写ってますね。好々爺のような表情が人柄を感じさせました。
ということで、河井寛次郎の幅広い作品と共に価値観まで感じられる展覧会となっていました。民藝的な作品だけでなく初期作品もあったのが良かったかな。写真も撮ることができて、満足度高めです。河井寛次郎は民藝関連の展示でもよく出てきますので、今後の参考にもなる展示だと思います。

【展覧名】
没後50年 河井寬次郎展 ― 過去が咲いてゐる今、未来の蕾で一杯な今 ―
【公式サイト】
https://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/18/180707/
【会場】パナソニック 汐留ミュージアム
【最寄】新橋駅/汐留駅
【会期】2018年7月7日(土) ~ 9月16日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんがいて、会場があまり広くないこともあって たまに人だかりがありましたが、概ね自分のペースで観ることができました。
さて、この展示は民藝関連の陶芸家としても著名な河井寛次郎の個展で、陶芸のみならず彫刻や書など多彩な作品が並ぶ内容となっています。また、後半には河井寛次郎が愛した作品もあり、河井寛次郎の感性がよく分かる展示と言えそうです。先述のように撮影可能となっていましたので、早速写真を使ってご紹介して参ります。
<土>
まず冒頭に河井寛次郎についての概要が書いてありました。河井寛次郎は1890年に島根県で生まれ、1910年に東京高等工業学校(現在の東京工業大学)窯業科に入学しました。大学では後輩の濱田庄司と出会って生涯の友となっています。卒業後は京都市立陶磁器試験場で研鑽を積み、1920年に京都に窯を手に入れて独立すると、中国や朝鮮の古い時期に倣った作品を作り 初の個展では絶賛され好評を博しました。しかし次第に自分の作陶に疑問を抱いたようで、濱田庄司を通して柳宗悦(民藝運動の中心人物)と親交を結ぶと、作風を変えて実用を重んじた作品となり民藝運動を推進していくことになります。戦後はそこから更に実用に囚われない作風へと変わったようで、河井寛次郎の作陶は3つの作風の時代があると考えて良いようです。ここにはそうした作風の陶器が並んでいました。
河井寬次郎 「青瓷ぜん血葉文花瓶」

まるで白菜のような形の器。中国清時代の翡翠細工を範にしているとのことで、この赤い発色をする緑色も独特です。釉薬も中国元時代を研究した成果なのだとか。
河井寬次郎 「海鼠釉流し掛壺」

青白い釉薬は海鼠(なまこ)釉というそうで、そこにて鉄釉を流し掛けてるようです。模様のほうがナマコかと思いましたが、素朴な面白さがありました。こちらは丹波焼から着想を得ているようです。
河井寬次郎 「小箱各種」

様々な色形の小箱。河井寛次郎の美意識と技術が詰まっているような作品です。京都市立陶磁器試験場にいた頃に濱田庄司と共に1万種もの釉薬の焼成実験をしたというのだから釉薬が多彩なのも納得。
河井寬次郎 「三色打薬双頭扁壺」

今回のポスターの作品。双頭に四角い口という変わった形だけでも面白いですが、釉薬も3色で独特の素朴な味わいがあります。こちらは戦後の用の美を超えた自由な作風が表れているように思えました。
河井寬次郎 「鉄釉打薬煙草具セット」

河井寬次郎は愛煙家だったらしく、いくつもこうした煙草具セットを作っていたようです。ちょっとひしゃげたような形にもこだわりが感じられます。民藝的な用の美の時代の作品かな。
河井寬次郎 「灰釉筒描扁壺」

変わった形と模様の壺。線の部分が盛り上がっているのはスポイトに泥漿を入れて絞り出して付ける「筒描」という技法のようです。釉薬も多彩で素朴なようで技工が詰まっています。こちらも戦後の作風のようです。
河井寬次郎 「練上鉢」

中国陶磁を模した練上げ技法を再び再開した頃の作品。鳥の羽のような文様で、側面がギザギザになっているのが特徴のようでした。
河井寬次郎 「三色打薬扁壺」

3色どころじゃないように思えますが斑模様とチューリップのような形が面白い。こうした晩年の作風が特に好みです。
<彫・デザイン>
続いては彫刻やデザインのコーナーです。戦後、60~70歳にかけて松久武雄(後の京仏師 松久宗琳)の助力を得て100点近い木彫作品を作ったようです。また、自邸を自ら設計し、その家具・調度品をデザインしたそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。
河井寬次郎 「木彫像」


どちらが表か分かりませんが、手を合わせているのと顔が裏表に表されている作品。陶磁器とはまた違った素朴さと近代的な感性を感じます。木目も良い味出していました。
河井寬次郎 「木彫面」

こちらもどこか土着の信仰を思わせるようでキュビスム彫刻のようでもある造形が独特です。こうした木彫像は粘土で原型を作ったのを松久武雄が下彫りし、河井寛次郎が仕上げしたそうです。名前も特につけず「木彫」となっています。
河井寬次郎 「木彫像」

この猫は娘が飼い猫の熊助がいなくなって悲しんでいたのを観て彫ったものだそうで、新築の余材で作ったのだとか。その時「熊助がいなくなって悲しいだろうが、猫そのものの生命体は死なないから心配しなくていいんだと」という言葉をかけたそうです。なかなか良い父親だったんですね。猫も親しみやすい表情と仕草しています。
河井寬次郎 「呉須陶彫像」

こちらは木彫を先に作り、それを10年以上後に陶器でも作った作品。木彫の力強い雰囲気も残りつつ、また異なる艶やかさもあります。蓮のようなものを持っていて、何処と無く釈迦の生誕を思わせました。
河井寬次郎 「連結器写真新聞切り抜き」

こちらは電車の連結器を撮った写真を切り抜いたものを、腹違いの弟の河井達三郎が作った額に入れています。東芝の広告だったようですが、何でも顔に見える時期にスクラップしたそうで、確かに顔にも見えるかな。意外な品があって驚きました。
会場にはずらりと椅子や家具が並んでいました。

デザインが河井寛次郎で、制作は流石に他の作家などが担当しています。素材感が残っているのが民藝的に思えます。
こちらはキセルのデザイン。上のほうに写っているのは小間絵集(挿絵)

陶芸だけでなく、様々なデザインの仕事を手がけていた様子が伺えました。
<言葉>
続いては言葉のコーナーです。若い頃に『學友會雑誌』に投稿するなど書くことも得意だったようで、詩のような言葉を多く残しているようです。それらは58歳の頃に『いのちの窓』という本にまとめられたそうで、最終的には文字を削ぎ落とした4~5文字の造語で表されたものもあるようです。ここにはそうした河井寛次郎の価値観が伺えるような言葉が並び、会場ではそれを朗読する音声も流れていました。
こちらが河井寛次郎の言葉の世界。

「すべてのものは自分の表現」とか「暮しが仕事 仕事が暮し」といった言葉などに価値観が伺えます
河井寬次郎 「陶板」

こちらは言葉を陶板にしたもの「高きに灯をともす 人間の高さにともす」と書いてあります。志の高さと奢らない態度を表しているように思えました。
こちらは4文字熟語のような書。

一番右のは「井の中の蛙大海を知らず。されど空の深さを知る」を短縮したように見えるかな。短縮しても何となく意味は伝わってきますね。
<学んだもの>
続いては河井寛次郎が手本とした作品の写真と共に、河井寛次郎の作品を比較して観るというコーナーです。ここには再び陶器などが並んでいました。
河井寬次郎 「赤絵盒子」

こちらは「伊万里 色絵松竹梅文角筥」を模倣した作品。確かに白地に赤絵で柿右衛門様式のような風情が感じられます。
河井寬次郎 「打薬扁壺」

こちらは「沖縄・壺屋 白掛緑黒抱瓶」に触発されて作ったそうです。
こちらがその「沖縄・壺屋 白掛緑黒抱瓶」の写真。

2つを比べると色も形も微妙に違っていて、単なる模倣ではなく河井寛次郎の解釈が強く入っているように思えました。
<コレクション・遺愛品>
最後はコレクションや遺愛品のコーナー。河井寛次郎は「ものを買って来る 自分買って来る」という言葉もあるように、周りには好きな物を揃えていたようです。しかし同時に物に執着がない人で、人に物をあげるのも厭わなかったのだとか。形あるものはいずれ無くなるという価値観もあった為かもしれません。 最後はそうして集められた品々が並んでいました。
黒田辰秋 「根来鉄金具手箱」(愛用ネクタイ入れ)

木漆工芸家の黒田辰秋と交流があったそうで、いくつか黒田辰秋の作品を持っていたようです。ネクタイも染色家の志村ふくみ の作品が含まれているとのことで、このネクタイ入れだけでも様々な交友関係が分かるようでした。
木喰五行上人 「木喰仏 十一面観音菩薩像」

柳宗悦によって世に知られるようになった木喰仏までありました。そう言えば河井寛次郎の作品は木喰仏にも似た彫りの深さがあるかも。思わず良い作品が観られました。
最後に当時の写真もありました。

今回の展覧会でも観た作品なんかも写ってますね。好々爺のような表情が人柄を感じさせました。
ということで、河井寛次郎の幅広い作品と共に価値観まで感じられる展覧会となっていました。民藝的な作品だけでなく初期作品もあったのが良かったかな。写真も撮ることができて、満足度高めです。河井寛次郎は民藝関連の展示でもよく出てきますので、今後の参考にもなる展示だと思います。
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先週の土曜日に銀座の資生堂ギャラリーで「第12回 shiseido art egg」展を観てきました。この展示は3期に分かれていて、私が観たのは第3期の宇多村英恵 氏のインスタレーション・パフォーマンスでした。

【展覧名】
「第12回 shiseido art egg」展
【公式サイト】
https://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/
【会場】資生堂ギャラリー
【最寄】銀座駅 新橋駅など
【会期】2018年6月8日(金)~8月26日(日)
冨安由真展 <インスタレーション> 2018年6月8日(金)~7月1日(日)
佐藤浩一展 <映像> 2018年7月6日(金)~7月29日(日)
宇多村英恵展 <インスタレーション・パフォーマンス> 2018年8月3日(金)~8月26日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_②_3_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、このshiseido art eggは毎年恒例の公募展で新進アーティストの入選者が毎年3人ずつ選ばれて、この資生堂ギャラリーで展示されています。今年も350件もの応募があったそうで、その7割以上は20~30代のアーティストだったらしいので、特に若い世代に競争率の高い公募展のようです。今年は冨安由真 氏、佐藤浩一 氏、宇多村英恵 氏が入選したそうで、既に2人の展示は会期終了で今年は宇多村英恵 氏の作品だけ観ることができました。この展示では写真を撮ることができましたので、写真でご紹介していこうと思います。
参考記事:
第5回shiseido art egg 藤本涼展 (資生堂ギャラリー)
第5回shiseido art egg 川辺ナホ展 (資生堂ギャラリー)
第6回shiseido art egg three展 (資生堂ギャラリー)
第6回shiseido art egg 鎌田友介展 (資生堂ギャラリー)
宇多村英恵 「余暇の集積」

こちらはベルリンの街の壁に貼られたポスターに光沢のあるスプレーでペイントした作品のようです。シワシワでかすれたような印象を受けるかな。
こちらも同名の作品群。

よーく観ると分かるのですが、現地では広告の上に広告がどんどん貼られるそうで、それが新陳代謝のように見えてベルリンの壁の崩壊なんかも思い起こしてこうした作品を作ったようです。どこか世紀末感が漂ってます
宇多村英恵 「戦争と休日」

こちらは今回のメイン作品。この作品はナチスドイツ時代の建築デザインのサイズで、戦後にナチスの戦犯が収監された独房や国家社会主義時代に計画された保養施設の部屋とほぼ同じサイズのようです。
側面の細長い小窓みたいなところにはたまに光ってこんな写真が映されます。

こちらも側面の写真。恐らく国家社会主義の頃に計画された保養施設じゃないかな。完成したのは最近らしいです)

こうした建物も労働者階級へのアピールのプロパガンダが目的だったそうです。戦争と休日という相反するようで密接な関係があったんですね。
壁の側面には先程の保養施設の話などが書かれています。こちらはヒトラーの言葉。

「余暇を十分取って強い精神を持ってもらいたい。何故なら強い精神を持つ人だけが偉大な政治を成し遂げられる」という意図だったようです。
他にも色々書いてあって、数奇な運命を辿った建物のようでした。
宇多村英恵 「Avimore」

こちらはスコットランドのアヴィモアという湖で行ったパフォーマンス。「ただ在る」という状態はどのようなものかと思い、流木のように身を横たえたそうです。そんなところ寝てたら危ない!と思ってしまいますが、氷がぶつかったり溶けたりする音や、自分の体温で氷が溶けていくのが感じられたそうです。
宇多村英恵 「線が円になるとき」

こちらは北朝鮮に近接する韓国の島で行ったパフォーマンスビデオ。真ん中の棒を人に見立てて、周りの線は国境に見立てているそうです。線がやたら増えると意味が無くなってきますが、棒の位置は同じでも線によって属性が決まってしまうとのことで、確かに国境とはそういうものかもしれませんね。
他にも映像作品がいくつか流れていました。こちらは解説がないのでよく分からなかったw

ということで、解説があっても中々難しい作品だったと思いますが、戦争と休日についての作品は興味深いテーマとなっていました。もう会期末となってしまいましたが、無料で観られる展示ですので、銀座・新橋あたりに行く予定がある方はこちらの展示も寄ってみると楽しめるのではないかと思います。

【展覧名】
「第12回 shiseido art egg」展
【公式サイト】
https://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/
【会場】資生堂ギャラリー
【最寄】銀座駅 新橋駅など
【会期】2018年6月8日(金)~8月26日(日)
冨安由真展 <インスタレーション> 2018年6月8日(金)~7月1日(日)
佐藤浩一展 <映像> 2018年7月6日(金)~7月29日(日)
宇多村英恵展 <インスタレーション・パフォーマンス> 2018年8月3日(金)~8月26日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_②_3_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、このshiseido art eggは毎年恒例の公募展で新進アーティストの入選者が毎年3人ずつ選ばれて、この資生堂ギャラリーで展示されています。今年も350件もの応募があったそうで、その7割以上は20~30代のアーティストだったらしいので、特に若い世代に競争率の高い公募展のようです。今年は冨安由真 氏、佐藤浩一 氏、宇多村英恵 氏が入選したそうで、既に2人の展示は会期終了で今年は宇多村英恵 氏の作品だけ観ることができました。この展示では写真を撮ることができましたので、写真でご紹介していこうと思います。
参考記事:
第5回shiseido art egg 藤本涼展 (資生堂ギャラリー)
第5回shiseido art egg 川辺ナホ展 (資生堂ギャラリー)
第6回shiseido art egg three展 (資生堂ギャラリー)
第6回shiseido art egg 鎌田友介展 (資生堂ギャラリー)
宇多村英恵 「余暇の集積」

こちらはベルリンの街の壁に貼られたポスターに光沢のあるスプレーでペイントした作品のようです。シワシワでかすれたような印象を受けるかな。
こちらも同名の作品群。

よーく観ると分かるのですが、現地では広告の上に広告がどんどん貼られるそうで、それが新陳代謝のように見えてベルリンの壁の崩壊なんかも思い起こしてこうした作品を作ったようです。どこか世紀末感が漂ってます
宇多村英恵 「戦争と休日」

こちらは今回のメイン作品。この作品はナチスドイツ時代の建築デザインのサイズで、戦後にナチスの戦犯が収監された独房や国家社会主義時代に計画された保養施設の部屋とほぼ同じサイズのようです。
側面の細長い小窓みたいなところにはたまに光ってこんな写真が映されます。

こちらも側面の写真。恐らく国家社会主義の頃に計画された保養施設じゃないかな。完成したのは最近らしいです)

こうした建物も労働者階級へのアピールのプロパガンダが目的だったそうです。戦争と休日という相反するようで密接な関係があったんですね。
壁の側面には先程の保養施設の話などが書かれています。こちらはヒトラーの言葉。

「余暇を十分取って強い精神を持ってもらいたい。何故なら強い精神を持つ人だけが偉大な政治を成し遂げられる」という意図だったようです。
他にも色々書いてあって、数奇な運命を辿った建物のようでした。
宇多村英恵 「Avimore」

こちらはスコットランドのアヴィモアという湖で行ったパフォーマンス。「ただ在る」という状態はどのようなものかと思い、流木のように身を横たえたそうです。そんなところ寝てたら危ない!と思ってしまいますが、氷がぶつかったり溶けたりする音や、自分の体温で氷が溶けていくのが感じられたそうです。
宇多村英恵 「線が円になるとき」

こちらは北朝鮮に近接する韓国の島で行ったパフォーマンスビデオ。真ん中の棒を人に見立てて、周りの線は国境に見立てているそうです。線がやたら増えると意味が無くなってきますが、棒の位置は同じでも線によって属性が決まってしまうとのことで、確かに国境とはそういうものかもしれませんね。
他にも映像作品がいくつか流れていました。こちらは解説がないのでよく分からなかったw

ということで、解説があっても中々難しい作品だったと思いますが、戦争と休日についての作品は興味深いテーマとなっていました。もう会期末となってしまいましたが、無料で観られる展示ですので、銀座・新橋あたりに行く予定がある方はこちらの展示も寄ってみると楽しめるのではないかと思います。
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先週の土曜日に新宿駅前にある中村屋サロン美術館でコレクション展示を観てきました。今回は同時開催の新収蔵作品 アンリ・リヴィエール『エッフェル塔三十六景』展示を目当てに足を運んでみました。

【展覧名】
新収蔵作品 アンリ・リヴィエール『エッフェル塔三十六景』展示
コレクション展示
【公式サイト】
https://www.nakamuraya.co.jp/museum/exhibitions/index.html#
【会場】中村屋サロン美術館
【最寄】新宿駅
【会期】2018年7月21日~9月9日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、今回の展示はコレクション展示ということで、ちょくちょく開催されているこの美術館のコレクションを紹介する内容となっています。しかし今回はアンリ・リヴィエールの「エッフェル塔三十六景」が新収蔵されたそうで、36枚揃い踏みとなっていました。詳しくは気に入った作品をいくつか挙げてご紹介していこうと思います。
<新収蔵作品 アンリ・リヴィエール『エッフェル塔三十六景』展示>
まずは早速、アンリ・リヴィエールの「エッフェル塔三十六景」が並んでいました。この作品はその名の通り、葛飾北斎の「富嶽三十六景」に着想を得たもので、富嶽三十六景を始め歌川広重などの浮世絵作品へのオマージュ的な版画となっています。今回はその元となった作品の小型写真と見比べながら観られる趣向となっています。
参考記事:
北斎とリヴィエール 三十六景の競演 (ニューオータニ美術館)
北斎とジャポニスム―HOKUSAIが西洋に与えた衝撃 (国立西洋美術館)
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 建設中のエッフェル塔 トロカデロからの眺め」
こちらは建設中のエッフェル塔で、下のハの字になっている台の部分くらいまでが出来ている程度の時期を描いています。周りは大きな雪が舞う広場となっていて、これはトロカデロ広場のようです。前かがみで傘を持つ女性がいて、この姿は歌川広重の東海道五十三次の蒲原 夜之雪を思い起こすかな。しんしんと雪が降って静けさ漂う場面となっていました。
参考記事:
殿様も犬も旅した 広重・東海道五拾三次-保永堂版・隷書版を中心に- (サントリー美術館)
浮世絵入門 -広重《東海道五十三次》一挙公開- (山種美術館)
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 グルネルの菜園より」
こちらは手前に畑があり、農作業している人たちが描かれています。その奥にはパリの町並みが見え、さらに遠くにはエッフェル塔が見えています。これは富嶽三十六景の「駿州片倉茶園の不二」と構図が似ているそうで、コピー写真と比較しながら観ると、確かに共通点の多い見渡す光景となっていました。よっぽど富嶽三十六景が好きだったんでしょうねw
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 ノートルダム寺院より」
こちらはノートルダム寺院の上部に取り付けられたガーゴイル像が大きく描かれ、その背景にパリの景色と共にエッフェル塔が見えるという大胆な構図となっています。これも二代歌川広重の「諸国名所百景 尾州名古屋真景」というしゃちほこを大きく描いて景色を背景にした絵が参考になっているそうで、確かにアイディアは似た感じに見えました。遠近感が濃淡で表現されているのも面白い作品です。
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 ラマルク通りより」
こちらは、手前から右へとカーブする通りに黒い合羽のようなものを着た人物が風を受けながら歩いている様子が描かれた作品です。街路樹も傾いていて、かなり強い風であることが伺えます。エッフェル塔は通りに沿った柵越しに薄っすらと描かれている程度ですがちゃんと収められています。この作品も富嶽三十六景の駿州江尻に影響を受けていると思われ、風をテーマにした点や人の描写にそれが伺えました。
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 アベス通りより」
もちらはモンマルトルの丘から見下ろすエッフェル塔を描いたもので、エッフェル塔の隣には太陽があり、街は煙突の煙か雲か分からないようなモヤが立ち込めて霞んで見えます。それがまるで雲海のようで、神秘的な光景となっていました。
参考記事:【番外編 フランス旅行】 パリ モンマルトル界隈
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 フレミエの大鹿の後ろより(トロカデロ)」
こちらは1878年のパリ万国博覧会の際にフレミエによって作られた大鹿の像の後ろ姿が大きく描かれ、その鹿ごしにエッフェル塔が見えるという変わった構図となっています。雨が降っているのか全体的に縦に黒い線があるのが叙情的な感じです。解説によると、これは北斎の富嶽百景の福禄寿を模倣しているそうで、北斎の絵でも鹿が後ろ姿で描かれ、その隣に富士山が描かれています。また、この景色は実際とは左右逆転しているそうで、北斎の絵に合わせて改変しているようです。さらに鹿の足元にはアイリスの花があり、アイリスはリヴィエールの家の紋章でもあるのだとか。1つの作品に色んな意味が込められているようで、そうした点も浮世絵を深く理解していたのが伺えました。
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 桟橋より」
こちらはセーヌ川のサン・ルイ島に架かる黒っぽい木製の橋のたもとから見上げるような構図で描かれた作品です。遠くには薄っすらとエッフェル塔の先端も観えますが、主役は橋と言えそうです。木組みの幾何学性が面白く、遠近感も強調された感じかな。解説によると、こちらも歌川広重の竪絵東海道岡崎と構図が似ているのだとか。橋が迫りくるような作品でした。
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 塔のペンキ塗り」
こちらはエッフェル塔の中から撮った写真を元に作られた作品です。綱を付けた1人のペンキ塗りがシルエットのように表されています。その周りは四方八方に広がる鉄骨があり、幾何学的な面白さが感じられます。背景はオレンジなので夕暮れなのかな? ぼんやりとセーヌ川も光って見えて幻想的な光景となっていました。
この作品の近くには元になった写真も展示されています。写真と比べると人物が小さく描かれているようにも思えました。
<コレクション展示>
続いてはコレクションのコーナーです。ここは何度も観た覚えがある作品が並んでいましたが、さらっとご紹介しておこうと思います。
布施信太郎 「夏」
こちらは岩場で海水浴する人々を描いた作品で、手前には丸裸で海から上がってくる子供たちの姿もあります。真っ黒に日焼けして走るような姿勢で元気そうな感じが出ています。背景は遠くまで見渡せる海で、海には緑やピンクも使って海面の光の反射などを表現しているようでした。穏やかで爽やかな夏の海の風情が感じられました。
この作品も含め、春夏秋冬が揃っていました。冬なんかも好みの作品です。
布施悌次郎 「花瓶と果実」
こちらは太い黒の輪郭を使って描いた皿の上の果実と、青・赤・黒の瓶が並んでいる様子の静物画です。重厚感ある色彩で、落ち着きと調和も感じるかな。簡略化されているけど、本質が残っている感じでかなり好みの画風です。見応えのある静物画でした。
中村不折 「流水飛泉図」
これは洋画家の中村不折による日本画で、山間の渓流とそこに建つ2階建ての楼閣が描かれています。縦長の山が連なっていて、中国の仙境みたいな雰囲気です。薄い色彩と勢いよく描かれたような筆致で、南画のような画風となっていました。
この近くには中村不折の日本画の掛け軸がズラッと並んでいました。いずれも南画のような作風です。
鈴木良三 「桜島」
こちらはオレンジに染まる空を背景に、赤茶けた桜島が噴煙を上げる様子を描いた作品です。手前の海もオレンジに染まっていて、影は緑で表現されています。その色彩が非常に強く感じられると共に、山肌をうねるような筆致で描いていて、桜島の堂々たる重厚感やエネルギーが伝わってくるようでした。
ということで、久々にアンリ・リヴィエールのエッフェル塔三十六景を観ることが出来て満足しました。ここは新宿駅前(アルタの近く)という非常に便利な場所にあるのにいつも空いているので、穴場のスポットと言えるかも。そんなに点数も多くないので、新宿附近に行くついでにふらっと寄ってみると楽しいかと思います。

【展覧名】
新収蔵作品 アンリ・リヴィエール『エッフェル塔三十六景』展示
コレクション展示
【公式サイト】
https://www.nakamuraya.co.jp/museum/exhibitions/index.html#
【会場】中村屋サロン美術館
【最寄】新宿駅
【会期】2018年7月21日~9月9日
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、今回の展示はコレクション展示ということで、ちょくちょく開催されているこの美術館のコレクションを紹介する内容となっています。しかし今回はアンリ・リヴィエールの「エッフェル塔三十六景」が新収蔵されたそうで、36枚揃い踏みとなっていました。詳しくは気に入った作品をいくつか挙げてご紹介していこうと思います。
<新収蔵作品 アンリ・リヴィエール『エッフェル塔三十六景』展示>
まずは早速、アンリ・リヴィエールの「エッフェル塔三十六景」が並んでいました。この作品はその名の通り、葛飾北斎の「富嶽三十六景」に着想を得たもので、富嶽三十六景を始め歌川広重などの浮世絵作品へのオマージュ的な版画となっています。今回はその元となった作品の小型写真と見比べながら観られる趣向となっています。
参考記事:
北斎とリヴィエール 三十六景の競演 (ニューオータニ美術館)
北斎とジャポニスム―HOKUSAIが西洋に与えた衝撃 (国立西洋美術館)
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 建設中のエッフェル塔 トロカデロからの眺め」
こちらは建設中のエッフェル塔で、下のハの字になっている台の部分くらいまでが出来ている程度の時期を描いています。周りは大きな雪が舞う広場となっていて、これはトロカデロ広場のようです。前かがみで傘を持つ女性がいて、この姿は歌川広重の東海道五十三次の蒲原 夜之雪を思い起こすかな。しんしんと雪が降って静けさ漂う場面となっていました。
参考記事:
殿様も犬も旅した 広重・東海道五拾三次-保永堂版・隷書版を中心に- (サントリー美術館)
浮世絵入門 -広重《東海道五十三次》一挙公開- (山種美術館)
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 グルネルの菜園より」
こちらは手前に畑があり、農作業している人たちが描かれています。その奥にはパリの町並みが見え、さらに遠くにはエッフェル塔が見えています。これは富嶽三十六景の「駿州片倉茶園の不二」と構図が似ているそうで、コピー写真と比較しながら観ると、確かに共通点の多い見渡す光景となっていました。よっぽど富嶽三十六景が好きだったんでしょうねw
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 ノートルダム寺院より」
こちらはノートルダム寺院の上部に取り付けられたガーゴイル像が大きく描かれ、その背景にパリの景色と共にエッフェル塔が見えるという大胆な構図となっています。これも二代歌川広重の「諸国名所百景 尾州名古屋真景」というしゃちほこを大きく描いて景色を背景にした絵が参考になっているそうで、確かにアイディアは似た感じに見えました。遠近感が濃淡で表現されているのも面白い作品です。
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 ラマルク通りより」
こちらは、手前から右へとカーブする通りに黒い合羽のようなものを着た人物が風を受けながら歩いている様子が描かれた作品です。街路樹も傾いていて、かなり強い風であることが伺えます。エッフェル塔は通りに沿った柵越しに薄っすらと描かれている程度ですがちゃんと収められています。この作品も富嶽三十六景の駿州江尻に影響を受けていると思われ、風をテーマにした点や人の描写にそれが伺えました。
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 アベス通りより」
もちらはモンマルトルの丘から見下ろすエッフェル塔を描いたもので、エッフェル塔の隣には太陽があり、街は煙突の煙か雲か分からないようなモヤが立ち込めて霞んで見えます。それがまるで雲海のようで、神秘的な光景となっていました。
参考記事:【番外編 フランス旅行】 パリ モンマルトル界隈
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 フレミエの大鹿の後ろより(トロカデロ)」
こちらは1878年のパリ万国博覧会の際にフレミエによって作られた大鹿の像の後ろ姿が大きく描かれ、その鹿ごしにエッフェル塔が見えるという変わった構図となっています。雨が降っているのか全体的に縦に黒い線があるのが叙情的な感じです。解説によると、これは北斎の富嶽百景の福禄寿を模倣しているそうで、北斎の絵でも鹿が後ろ姿で描かれ、その隣に富士山が描かれています。また、この景色は実際とは左右逆転しているそうで、北斎の絵に合わせて改変しているようです。さらに鹿の足元にはアイリスの花があり、アイリスはリヴィエールの家の紋章でもあるのだとか。1つの作品に色んな意味が込められているようで、そうした点も浮世絵を深く理解していたのが伺えました。
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 桟橋より」
こちらはセーヌ川のサン・ルイ島に架かる黒っぽい木製の橋のたもとから見上げるような構図で描かれた作品です。遠くには薄っすらとエッフェル塔の先端も観えますが、主役は橋と言えそうです。木組みの幾何学性が面白く、遠近感も強調された感じかな。解説によると、こちらも歌川広重の竪絵東海道岡崎と構図が似ているのだとか。橋が迫りくるような作品でした。
アンリ・リヴィエール 「エッフェル塔三十六景 塔のペンキ塗り」
こちらはエッフェル塔の中から撮った写真を元に作られた作品です。綱を付けた1人のペンキ塗りがシルエットのように表されています。その周りは四方八方に広がる鉄骨があり、幾何学的な面白さが感じられます。背景はオレンジなので夕暮れなのかな? ぼんやりとセーヌ川も光って見えて幻想的な光景となっていました。
この作品の近くには元になった写真も展示されています。写真と比べると人物が小さく描かれているようにも思えました。
<コレクション展示>
続いてはコレクションのコーナーです。ここは何度も観た覚えがある作品が並んでいましたが、さらっとご紹介しておこうと思います。
布施信太郎 「夏」
こちらは岩場で海水浴する人々を描いた作品で、手前には丸裸で海から上がってくる子供たちの姿もあります。真っ黒に日焼けして走るような姿勢で元気そうな感じが出ています。背景は遠くまで見渡せる海で、海には緑やピンクも使って海面の光の反射などを表現しているようでした。穏やかで爽やかな夏の海の風情が感じられました。
この作品も含め、春夏秋冬が揃っていました。冬なんかも好みの作品です。
布施悌次郎 「花瓶と果実」
こちらは太い黒の輪郭を使って描いた皿の上の果実と、青・赤・黒の瓶が並んでいる様子の静物画です。重厚感ある色彩で、落ち着きと調和も感じるかな。簡略化されているけど、本質が残っている感じでかなり好みの画風です。見応えのある静物画でした。
中村不折 「流水飛泉図」
これは洋画家の中村不折による日本画で、山間の渓流とそこに建つ2階建ての楼閣が描かれています。縦長の山が連なっていて、中国の仙境みたいな雰囲気です。薄い色彩と勢いよく描かれたような筆致で、南画のような画風となっていました。
この近くには中村不折の日本画の掛け軸がズラッと並んでいました。いずれも南画のような作風です。
鈴木良三 「桜島」
こちらはオレンジに染まる空を背景に、赤茶けた桜島が噴煙を上げる様子を描いた作品です。手前の海もオレンジに染まっていて、影は緑で表現されています。その色彩が非常に強く感じられると共に、山肌をうねるような筆致で描いていて、桜島の堂々たる重厚感やエネルギーが伝わってくるようでした。
ということで、久々にアンリ・リヴィエールのエッフェル塔三十六景を観ることが出来て満足しました。ここは新宿駅前(アルタの近く)という非常に便利な場所にあるのにいつも空いているので、穴場のスポットと言えるかも。そんなに点数も多くないので、新宿附近に行くついでにふらっと寄ってみると楽しいかと思います。
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先週の金曜日に夏休みを取って うらわ美術館の「ぼくと わたしと みんなの tupera tupera 絵本の世界展」を観てきました。

【展覧名】
ぼくと わたしと みんなの tupera tupera 絵本の世界展
【公式サイト】
http://www.city.saitama.jp/urawa-art-museum/exhibition/whatson/exhibition/p059247.html
【会場】うらわ美術館
【最寄】浦和駅
【会期】2018年7月7日(土)~ 8月31日(金)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
多くの家族連れがいましたが、快適に鑑賞することができました。
さて、この展覧会は2002年から活動している亀山達矢 氏と中川敦子 氏からなる男女2人組のユニットTupera Turera(ツペラツペラ)の個展となります。Tupera Tureraは2004年に『木がずらり』を皮切りに絵本作成を始め、2013年の『しろくまのパンツ』で第2回街の本屋が選んだ絵本大賞でグランプリを受賞し、さらに翌年にも『パンダ銭湯』で第3回街の本屋が選んだ絵本大賞グランプリを受賞した今注目の絵本作家です。一躍注目を集めて今や国内だけではなくアメリカやフランス、台湾など10の国と地域で出版し人気を博しているようで、この展示では初期から現在に至るまで多くの作品が並んでいました。簡単に各作品のメモを取ってきましたので、展示順に沿ってご紹介していこうと思います。
<入口・冒頭>
入口にはこんな感じで絵本のキャラクターが並んでいます。
多分これは『かおノート』のキャラじゃないかな。後で出てきます。

こちらの熊は『しろくまのパンツ』のキャラかな。これも後ほどご紹介。

そして展覧会場に入ると制作の様子が紹介されていました。ハサミ、ピンセット、色紙、模様のついた紙などがあり、切り絵のように貼り合わせて作っているようです。Tupera Tureraの2人の写真と共に、自画像的な作品もありました。2人とも有名な芸術系の大学卒で絵本作家だけあって親しみやすい作風です。
<初期の絵本>
こちらは初期のコーナーです。早速、アイディア抜群の絵本が並んでいます。
Tupera Turera 「木がずらり」
こちらは色々な形の木を絵本で表現している作品です。この作品は家の周りの木を観ていて思いついたそうで、カラフルで形も面白い木が並んでいて観ていて楽しげでした。Tupera Tureraはこの後も1つのテーマに特化する物づくし的な作品が多くあるのですが、既にこの頃からその傾向があったのかもしれません。
Tupera Turera 「魚がすいすい」
こちらはオノマトペ(擬態語・擬声語。特に同じ音を繰り返すものワンワンとかスイスイとか)をタイトルにしていて、中身でも多用されています。魚のキャラクターたちが様々な模様を貼り合わせて表れていて、冒険のような話が展開されていきます。海の中の話なので爽やかな色彩が多く、明るめの印象を受けました。
Tupera Turera 「しましまじま」
こちらは縞々だらけの島の話で、海、島、太陽、野山、町中、人物など何でも縞々模様となっています。躍動感のある表現と共に目に鮮やかな色彩の作品となっていました。
Tupera Turera 「12の星の物語」
こちらは12星座の話かな。これまでと違い抑えた色調で影絵のように人物を表しています。ギリシャ神話の場面などもあって、一段と芸術的な雰囲気がありました。
Tupera Turera 「ワニー二の冒険」
こちらはワニのキャラクターの話です。近くには大ダコと船の模型も展示されていて、これは葉山のギャラリーで展覧会をした時に作ったもののようです。絵本のほうは切り絵的な作風に戻っていて、シンプルでキャラクターの多彩な表現が面白い作品となってました。
Tupera Turera 「かおノート」
こちらは先程の太陽のキャラクターの作品で、48ページに渡って顔の輪郭が描かれています。そこに目鼻のシールを貼っていくようで、福笑い的な感じの楽しみ方かな? これは子供に人気のありそうな作品でした。
Tupera Turera 「どんなおと?」
こちらは太鼓や目覚まし時計などが表されていて、音を想像させる作品です。表紙では象がオナラしているのですが、どんな音なんでしょうね…w 子供の想像力を掻き立てるような作品でした。
Tupera Turera 「MUSHI HOTEL」
こちらは500部限定の私家版の絵本です。2人が考えた変な虫が標本のように展示されていて、歯車の形の虫や 迷路のような模様の虫など奇想天外です。この発想の自由さがTupera Tureraの魅力なのかも
<Tupera Tureraのものづくり>
Tupera Tureraは結成当初から雑誌や展覧会の企画で雑貨を作っていたそうで、絵本づくりの原点といえるようです。ここには布雑貨が並び、油彩科出身の亀山氏と染織デザイン学科の中川氏の初の共同制作も布雑貨だったようです。2002年の展覧会で中川氏が自身の布雑貨に亀山氏の絵をアップリケで縫いつけることを思いついたのがきっかけで、作った12本のマフラーは完売し評判となって布小物や展示販売のオファーが続くようになったようです。最初の出世作と言えるかもしれません。
ここには海の生き物がアップリケになったアロハシャツや、蜘蛛のTシャツ、人の顔のスリッパなどがありました。他にも赤べこに小さな人形を乗せた作品や けん玉に顔をつけた作品、キャラクターの形のクッションなど可愛らしく遊び心に溢れた作品ばかりでした。
<工作・ワークショップ>
続いては工作・ワークショップのコーナーで、Tupera Tureraにとっては今やライフワークとも言える活動だそうです。Tupera Tureraのワークショップは子供だけでなく大人も参加を歓迎しているのが特徴のようで、ここには「作ってみよう!へんてこピープル」というワークショップの作品が並びます。しゃもじやヘラを使った人物像や、石に絵付けした人の顔、箱を重ねたトーテムポール、瓶を使った人の像など発想の柔軟さが面白かったです。
<様々なモチーフの絵本>
ここからは乗り物や生き物、食べ物など多彩なモチーフを用いた絵本が並んでいました。
Tupera Turera 「やさいさん」
こちら畑の形の箱から野菜カードを引き抜く仕掛けの絵本です。野菜のキャラクターやモグラなどもいて、これも子供が楽しめそうな作品でした。本といっても体験的な要素があるのもTupera Tureraの特徴じゃないかな。
Tupera Turera 「くだものさん」
こちらはリンゴや桃、葡萄、さくらんぼなどのキャラクターが出てくる作品です。1つ1つに顔がついていて、葡萄の粒にも全部顔がありましたw ちょっとキモカワキャラみたいな感じかなw
Tupera Turera 「いろいろバス」
これも物づくしみたいな作品で、赤いバスからトマト、黄色いバスからオムレツ と言った感じで色に関するものが出てくる絵本です。絵面は中々シュールですが、色を覚えるのに良い絵本かもしれません。
Tupera Turera 「タコさんトコトコどこいくの?」
こちらはタコのキャラクターの作品で、自転車→車→電車→飛行機→ロケットを乗り継いで火星らしき星まで行く話です。タコは火星人ってことなのかな?w やけに疾走感のある表現でどんどん進んでいく感じがありました。
Tupera Turera 「ぼうしとったら」
こちらは仕掛け絵本で、帽子を被った人物のページの帽子部分が上に開けるようになっています。開くと髪が逆立っていたり、ちょんまげだったり、禿げていたりしますw 元の顔とだいぶ印象が変わるものもあって、これは大人でも楽しめる仕掛けでした。
Tupera Turera 「うんこしりとり」
こちらはウンコする動物や人でしりとりをするという子供が喜びそうな絵本です。 (うんこドリルとか、子供はうんこ好き過ぎでしょ…w) こいぬのうんこ→こうしのうんこ→こどものうんこ→こうちょうのうんこ と言った感じで、こ で始まって こ で終わるのですが、中にはコーヒーのうんこ とか こんがらがったうんこ 等シュールなものもあります。近くにはクレオパトラのうんこ という巻糞状のオブジェまでありました。観客の子供がハイテンションで喜んでいたのが印象的でした(大声で読み上げてましたw)
Tupera Turera 「おならしりとり」
今度はオナラですw こちらも しりとりで、 ら で始まって ら で終わる感じです。ラグビーでおなら とかは理解可能ですが、ラーメンのおなら とか、ラブレターのおなら 等またもやシュールなものも含まれますw 雷神のおなら は完全に雷に見えました。雷は おならと思い込む子供が発生しそうな絵本ですw
この近くには「うんこしりとり」と「おならしりとり」がアニメになった作品の映像が流れていました。勿論、子供たちが何人も集まって狂喜してましたw
その先には「おやおや おやつなにしてる?」「これはまる」「これはすいへいせん」といった2~3枚程度の原画などもありました。
Tupera Turera 「おばけだじょ」
こちらは影絵を使ったオタマジャクシみたいな色形のおばけの絵本です。部屋の一角にこのキャラクターたちが吊るされていて、絵本の中に入ったような感じに展示されています。蛙になって蛇に追いかけられているので、やっぱりオタマジャクシだと思いますが、怖いよりも可愛い雰囲気がありました。
Tupera Turera 「へびのみこんだ なにのみこんだ?」
こちらは影絵と蛇のお腹の中身の図解図がセットになった絵本で、ウワバミが食べた中身を当てるような感じの趣向です。中身は子どもたち・ライオン・車・山などで大人の発想では思いつかないようなものばかりですw シルエットから中身を想像する遊びが出来そうですが、かなり難問だと思いますw
<イラストレーション&アートディレクション>
Tupera Tureraは活動の幅を広げ、劇作家で演出家の佐藤信 氏に声をかけられて舞台「ピン・ポン」の美術と演出を担当したそうです。また、2010年には おかあさんといっしょ で「ひみつのパレード」のアートワークを手がけ、2013年には工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当しているようです。ここにはそうしたディレクション関連の品が他にも色々あって、CDジャケットなんかも何点かありました。切り絵やコラージュっぽい作風で、様々なモチーフがたくさん並び、楽しげな雰囲気がある点などは共通しているんじゃないかな。カラフルでユーモアに富んだ作品ばかりでした。
<絵本のつくりかた>
最後は再び絵本のコーナーです。Tupera Tureraは1つのアイディアにじっくりと向き合い、その作品がどうあるべきかを考えて本を丸ごとプロデュースする独自の物づくりをする姿勢を見せているようで、本そのものの形にも面白さがあるのが特徴です。ここには今まで以上に発想力を感じる作品が並んでいました。
Tupera Turera 「しろくまのパンツ」
こちらは表紙にしろくまが描かれ、カバーの下の方に赤いパンツを履かせる感じになった絵本です。このパンツを脱がせないと中が読めませんw 絵本の中でも様々なパンツを履いた豚・猫・イカなどの生き物が描かれていて、パンツ尽くしとなっていました。
この先には海外で出版された作品が並んでいました。「しろくまのパンツ」と「かおノート」の各国版があり、ヨーロッパや台湾、韓国などで出版されているようでした。
Tupera Turera 「あかちゃん」
こちらは円形の本で、開くと円が2つ並ぶような感じになります。そこに赤ちゃんの表情やタンバリンなど丸いモチーフが描かれています。特に感心したのが、お母さんのオッパイを飲んでいるページで、円形2つのページが丁度 オッパイの形となっていました。本当に本そのものの形や仕掛けのアイディアが光る作品です。
この近くにはアイディア帳なんかもありました。また、「さんかくサンタ」「どこどこハート」「アニマルアルファベットサーカス」など特定の形やモチーフをテーマにした作品が並びます。
Tupera Turera 「わくせいキャベジ動物図鑑」
こちらはバナナのキリンや トマトの豚、きゅうりのワニ など野菜を動物に見立てた絵本です。キウイの目をしたフクロウとか、ナスの鯨なんかも秀逸なデザインで面白いです。この作品は全国からの応募で1000通を超える新種発見の報告があったようで、子供の考えた野菜動物も中々凄い発想でした。これも頭の柔らかさに驚きっぱなしです。
Tupera Turera 「パンダ銭湯」
こちらは撮影可能でした。

銭湯に入るような外観になっています。
パンダ=可愛いというイメージを壊したかったということでこの作品を作ったようです。

パンダ以外の入店を断るとか、中々秘密めいています。
こちらは衝撃のシーン。

中身はシロクマみたいな…w 目の周りはサングラスのようですw
ということで、全く知らなかった絵本作家でしたが、その魅力がよく分かる内容となっていました。これらの絵本を読まれているお子さん達がいるようなら子供も喜ぶんじゃないかな。本という概念をも超えるような作品ばかりで幅広い層が楽しめる展示だと思います。
おまけ:
美術館近くの須原屋さん(本屋)でもこの展示に合わせてイベントをしているようでした。


【展覧名】
ぼくと わたしと みんなの tupera tupera 絵本の世界展
【公式サイト】
http://www.city.saitama.jp/urawa-art-museum/exhibition/whatson/exhibition/p059247.html
【会場】うらわ美術館
【最寄】浦和駅
【会期】2018年7月7日(土)~ 8月31日(金)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
多くの家族連れがいましたが、快適に鑑賞することができました。
さて、この展覧会は2002年から活動している亀山達矢 氏と中川敦子 氏からなる男女2人組のユニットTupera Turera(ツペラツペラ)の個展となります。Tupera Tureraは2004年に『木がずらり』を皮切りに絵本作成を始め、2013年の『しろくまのパンツ』で第2回街の本屋が選んだ絵本大賞でグランプリを受賞し、さらに翌年にも『パンダ銭湯』で第3回街の本屋が選んだ絵本大賞グランプリを受賞した今注目の絵本作家です。一躍注目を集めて今や国内だけではなくアメリカやフランス、台湾など10の国と地域で出版し人気を博しているようで、この展示では初期から現在に至るまで多くの作品が並んでいました。簡単に各作品のメモを取ってきましたので、展示順に沿ってご紹介していこうと思います。
<入口・冒頭>
入口にはこんな感じで絵本のキャラクターが並んでいます。
多分これは『かおノート』のキャラじゃないかな。後で出てきます。

こちらの熊は『しろくまのパンツ』のキャラかな。これも後ほどご紹介。

そして展覧会場に入ると制作の様子が紹介されていました。ハサミ、ピンセット、色紙、模様のついた紙などがあり、切り絵のように貼り合わせて作っているようです。Tupera Tureraの2人の写真と共に、自画像的な作品もありました。2人とも有名な芸術系の大学卒で絵本作家だけあって親しみやすい作風です。
<初期の絵本>
こちらは初期のコーナーです。早速、アイディア抜群の絵本が並んでいます。
Tupera Turera 「木がずらり」
こちらは色々な形の木を絵本で表現している作品です。この作品は家の周りの木を観ていて思いついたそうで、カラフルで形も面白い木が並んでいて観ていて楽しげでした。Tupera Tureraはこの後も1つのテーマに特化する物づくし的な作品が多くあるのですが、既にこの頃からその傾向があったのかもしれません。
Tupera Turera 「魚がすいすい」
こちらはオノマトペ(擬態語・擬声語。特に同じ音を繰り返すものワンワンとかスイスイとか)をタイトルにしていて、中身でも多用されています。魚のキャラクターたちが様々な模様を貼り合わせて表れていて、冒険のような話が展開されていきます。海の中の話なので爽やかな色彩が多く、明るめの印象を受けました。
Tupera Turera 「しましまじま」
こちらは縞々だらけの島の話で、海、島、太陽、野山、町中、人物など何でも縞々模様となっています。躍動感のある表現と共に目に鮮やかな色彩の作品となっていました。
Tupera Turera 「12の星の物語」
こちらは12星座の話かな。これまでと違い抑えた色調で影絵のように人物を表しています。ギリシャ神話の場面などもあって、一段と芸術的な雰囲気がありました。
Tupera Turera 「ワニー二の冒険」
こちらはワニのキャラクターの話です。近くには大ダコと船の模型も展示されていて、これは葉山のギャラリーで展覧会をした時に作ったもののようです。絵本のほうは切り絵的な作風に戻っていて、シンプルでキャラクターの多彩な表現が面白い作品となってました。
Tupera Turera 「かおノート」
こちらは先程の太陽のキャラクターの作品で、48ページに渡って顔の輪郭が描かれています。そこに目鼻のシールを貼っていくようで、福笑い的な感じの楽しみ方かな? これは子供に人気のありそうな作品でした。
Tupera Turera 「どんなおと?」
こちらは太鼓や目覚まし時計などが表されていて、音を想像させる作品です。表紙では象がオナラしているのですが、どんな音なんでしょうね…w 子供の想像力を掻き立てるような作品でした。
Tupera Turera 「MUSHI HOTEL」
こちらは500部限定の私家版の絵本です。2人が考えた変な虫が標本のように展示されていて、歯車の形の虫や 迷路のような模様の虫など奇想天外です。この発想の自由さがTupera Tureraの魅力なのかも
<Tupera Tureraのものづくり>
Tupera Tureraは結成当初から雑誌や展覧会の企画で雑貨を作っていたそうで、絵本づくりの原点といえるようです。ここには布雑貨が並び、油彩科出身の亀山氏と染織デザイン学科の中川氏の初の共同制作も布雑貨だったようです。2002年の展覧会で中川氏が自身の布雑貨に亀山氏の絵をアップリケで縫いつけることを思いついたのがきっかけで、作った12本のマフラーは完売し評判となって布小物や展示販売のオファーが続くようになったようです。最初の出世作と言えるかもしれません。
ここには海の生き物がアップリケになったアロハシャツや、蜘蛛のTシャツ、人の顔のスリッパなどがありました。他にも赤べこに小さな人形を乗せた作品や けん玉に顔をつけた作品、キャラクターの形のクッションなど可愛らしく遊び心に溢れた作品ばかりでした。
<工作・ワークショップ>
続いては工作・ワークショップのコーナーで、Tupera Tureraにとっては今やライフワークとも言える活動だそうです。Tupera Tureraのワークショップは子供だけでなく大人も参加を歓迎しているのが特徴のようで、ここには「作ってみよう!へんてこピープル」というワークショップの作品が並びます。しゃもじやヘラを使った人物像や、石に絵付けした人の顔、箱を重ねたトーテムポール、瓶を使った人の像など発想の柔軟さが面白かったです。
<様々なモチーフの絵本>
ここからは乗り物や生き物、食べ物など多彩なモチーフを用いた絵本が並んでいました。
Tupera Turera 「やさいさん」
こちら畑の形の箱から野菜カードを引き抜く仕掛けの絵本です。野菜のキャラクターやモグラなどもいて、これも子供が楽しめそうな作品でした。本といっても体験的な要素があるのもTupera Tureraの特徴じゃないかな。
Tupera Turera 「くだものさん」
こちらはリンゴや桃、葡萄、さくらんぼなどのキャラクターが出てくる作品です。1つ1つに顔がついていて、葡萄の粒にも全部顔がありましたw ちょっとキモカワキャラみたいな感じかなw
Tupera Turera 「いろいろバス」
これも物づくしみたいな作品で、赤いバスからトマト、黄色いバスからオムレツ と言った感じで色に関するものが出てくる絵本です。絵面は中々シュールですが、色を覚えるのに良い絵本かもしれません。
Tupera Turera 「タコさんトコトコどこいくの?」
こちらはタコのキャラクターの作品で、自転車→車→電車→飛行機→ロケットを乗り継いで火星らしき星まで行く話です。タコは火星人ってことなのかな?w やけに疾走感のある表現でどんどん進んでいく感じがありました。
Tupera Turera 「ぼうしとったら」
こちらは仕掛け絵本で、帽子を被った人物のページの帽子部分が上に開けるようになっています。開くと髪が逆立っていたり、ちょんまげだったり、禿げていたりしますw 元の顔とだいぶ印象が変わるものもあって、これは大人でも楽しめる仕掛けでした。
Tupera Turera 「うんこしりとり」
こちらはウンコする動物や人でしりとりをするという子供が喜びそうな絵本です。 (うんこドリルとか、子供はうんこ好き過ぎでしょ…w) こいぬのうんこ→こうしのうんこ→こどものうんこ→こうちょうのうんこ と言った感じで、こ で始まって こ で終わるのですが、中にはコーヒーのうんこ とか こんがらがったうんこ 等シュールなものもあります。近くにはクレオパトラのうんこ という巻糞状のオブジェまでありました。観客の子供がハイテンションで喜んでいたのが印象的でした(大声で読み上げてましたw)
Tupera Turera 「おならしりとり」
今度はオナラですw こちらも しりとりで、 ら で始まって ら で終わる感じです。ラグビーでおなら とかは理解可能ですが、ラーメンのおなら とか、ラブレターのおなら 等またもやシュールなものも含まれますw 雷神のおなら は完全に雷に見えました。雷は おならと思い込む子供が発生しそうな絵本ですw
この近くには「うんこしりとり」と「おならしりとり」がアニメになった作品の映像が流れていました。勿論、子供たちが何人も集まって狂喜してましたw
その先には「おやおや おやつなにしてる?」「これはまる」「これはすいへいせん」といった2~3枚程度の原画などもありました。
Tupera Turera 「おばけだじょ」
こちらは影絵を使ったオタマジャクシみたいな色形のおばけの絵本です。部屋の一角にこのキャラクターたちが吊るされていて、絵本の中に入ったような感じに展示されています。蛙になって蛇に追いかけられているので、やっぱりオタマジャクシだと思いますが、怖いよりも可愛い雰囲気がありました。
Tupera Turera 「へびのみこんだ なにのみこんだ?」
こちらは影絵と蛇のお腹の中身の図解図がセットになった絵本で、ウワバミが食べた中身を当てるような感じの趣向です。中身は子どもたち・ライオン・車・山などで大人の発想では思いつかないようなものばかりですw シルエットから中身を想像する遊びが出来そうですが、かなり難問だと思いますw
<イラストレーション&アートディレクション>
Tupera Tureraは活動の幅を広げ、劇作家で演出家の佐藤信 氏に声をかけられて舞台「ピン・ポン」の美術と演出を担当したそうです。また、2010年には おかあさんといっしょ で「ひみつのパレード」のアートワークを手がけ、2013年には工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当しているようです。ここにはそうしたディレクション関連の品が他にも色々あって、CDジャケットなんかも何点かありました。切り絵やコラージュっぽい作風で、様々なモチーフがたくさん並び、楽しげな雰囲気がある点などは共通しているんじゃないかな。カラフルでユーモアに富んだ作品ばかりでした。
<絵本のつくりかた>
最後は再び絵本のコーナーです。Tupera Tureraは1つのアイディアにじっくりと向き合い、その作品がどうあるべきかを考えて本を丸ごとプロデュースする独自の物づくりをする姿勢を見せているようで、本そのものの形にも面白さがあるのが特徴です。ここには今まで以上に発想力を感じる作品が並んでいました。
Tupera Turera 「しろくまのパンツ」
こちらは表紙にしろくまが描かれ、カバーの下の方に赤いパンツを履かせる感じになった絵本です。このパンツを脱がせないと中が読めませんw 絵本の中でも様々なパンツを履いた豚・猫・イカなどの生き物が描かれていて、パンツ尽くしとなっていました。
この先には海外で出版された作品が並んでいました。「しろくまのパンツ」と「かおノート」の各国版があり、ヨーロッパや台湾、韓国などで出版されているようでした。
Tupera Turera 「あかちゃん」
こちらは円形の本で、開くと円が2つ並ぶような感じになります。そこに赤ちゃんの表情やタンバリンなど丸いモチーフが描かれています。特に感心したのが、お母さんのオッパイを飲んでいるページで、円形2つのページが丁度 オッパイの形となっていました。本当に本そのものの形や仕掛けのアイディアが光る作品です。
この近くにはアイディア帳なんかもありました。また、「さんかくサンタ」「どこどこハート」「アニマルアルファベットサーカス」など特定の形やモチーフをテーマにした作品が並びます。
Tupera Turera 「わくせいキャベジ動物図鑑」
こちらはバナナのキリンや トマトの豚、きゅうりのワニ など野菜を動物に見立てた絵本です。キウイの目をしたフクロウとか、ナスの鯨なんかも秀逸なデザインで面白いです。この作品は全国からの応募で1000通を超える新種発見の報告があったようで、子供の考えた野菜動物も中々凄い発想でした。これも頭の柔らかさに驚きっぱなしです。
Tupera Turera 「パンダ銭湯」
こちらは撮影可能でした。

銭湯に入るような外観になっています。
パンダ=可愛いというイメージを壊したかったということでこの作品を作ったようです。

パンダ以外の入店を断るとか、中々秘密めいています。
こちらは衝撃のシーン。

中身はシロクマみたいな…w 目の周りはサングラスのようですw
ということで、全く知らなかった絵本作家でしたが、その魅力がよく分かる内容となっていました。これらの絵本を読まれているお子さん達がいるようなら子供も喜ぶんじゃないかな。本という概念をも超えるような作品ばかりで幅広い層が楽しめる展示だと思います。
おまけ:
美術館近くの須原屋さん(本屋)でもこの展示に合わせてイベントをしているようでした。

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今日で岩手編は最終回です。岩手旅行に行った際、花巻市の土沢にある萬鉄五郎記念美術館で写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」も観てきました。

【展覧名】
写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」
【公式サイト】
https://www.city.hanamaki.iwate.jp/bunkasports/501/yorozutetsugoro/p009098.html
【会場】萬鉄五郎記念美術館
【最寄】土沢駅
【会期】2018年7月14日(土)~9月17日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_4_⑤_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんが多くて、駐車場はちょうど満杯になっているくらいの賑わいでした。中も盛況でしたが、混んでいるという程でもなく概ね自分のペースで観ることが出来ました。
さて、この展示はBSで放送中の「世界ネコ歩き」で紹介された猫たちの写真展です。世界ネコ歩きに関してはこれまでも何度かご紹介してきましたが、今回の展示では世界各地の猫(沖縄だけ日本)の写真が並ぶ内容で、岩合さんの飼っていた猫や沖縄以外の日本の猫はありません。その分、世界の街角の魅力とともに可愛らしい猫たちが200点ほど観られましたので、各地区ごとに簡単にご紹介していこうと思います。
参考記事:
映画「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち」(ややネタバレあり)
岩合光昭写真展 ネコライオン (東京都写真美術館)
岩合光昭写真展 ~ねこ~ (渋谷ヒカリエ)
ねこ歩き 岩合光昭写真展 (日本橋三越)
<パリ>
こちらはパリのモンマルトルのサクレ・クール寺院、エッフェル塔、オペラ座、市場などを背景にした猫の写真が並びます。洒落た町並みに猫がよく合っていて町も猫も一層魅力的に見えます。彫刻家の家の猫なんかもいて、流石は芸術の町といった感じでした。
<プロヴァンス>
こちらは石畳にレンガ造りの家々とともに猫たちが写っていました。強い日差しに赤茶けた家の屋根などはセザンヌの絵の中に出てきそうな感じです。ここでも猫たちの自由さは変わりませんでした。
<ベルギー>
こちらはキジトラの4匹の子猫達の写真が特に可愛かったです。母親に甘えて4匹で仲良くしている様子に癒やされます。教会や水路、修道院といった町の風景も美しくて、昔ベルギーに訪れたのを思い出しながら観ていました。
<ノルウェー>
こちらはフィヨルドを背景にした猫など風土が感じられる作品も良かったのですが、何と言っても森に住むノルウェージャンフォレストキャットたちの写真が目を引きました。白い襟巻きをして白手袋した長毛なので非常にモフモフして可愛いです。踊っているかのようなポーズで虫を取る様子なども写されていて野生も感じられました。
<シチリア>
こちらは鮮やかな花と歴史ある町並みと共に猫が写っていました。トマトパスタを食べる様子なんかもあって、そんなもの食べるの?とちょっと意外でしたw
<クロアチア>
こちらも石造りの家々の中にいる猫たちが写っています。佇むように町に溶け込んでいる様子が可愛らしいです。漁船に群がってる様子もあって、これは日本の猫たちと同じ光景なのかもw 猫はどこの国でも猫らしさ全開です。
<エーゲ海の島々>
こちらは真っ青な空に白い壁と白い建物が並ぶ、この展覧会でも屈指の美しい海辺の光景です。そこを行き交う猫たちも生き生きしていて、元気な姿を見せています(飛び猫の写真は無かったですが) ここでも港の船に集まったりしていました。
<イスタンブール>
こちらにはオバマ氏(元アメリカ大統領)に撫でられたというオバマキャットと呼ばれる猫が写っていました。器量の良い猫で心なしか気品もあるようなw 他にはモスクなどイスラム風の建物や、水パイプを吸う人などと共に写っていて、異国情緒溢れるコーナーとなっていました。
<マラケシュ(北アフリカ)>
こちらは屋根付きの雑多な市場の様子が撮られていて、それを屋根の上からじっと様子を観ている猫の写真が目を引きました。人々の営みを観察するような顔が面白いです。迷路のような町並みや皮なめし職人と一緒にいる様子なんかもあって、伝統的な風景と猫も調和していました。
<ブルガリア>
こちらは子育てしている猫の写真が並んでいました。牛舎に住んでいる三毛の親子の写真なんかもあって、特に可愛い写真です。ここでも城壁や世界遺産ネセバルの夜明けを背景にした猫たちがのんびりしていて、情趣ある光景となっていました。
<キーウエスト>
こちらはアメリカ最南端のヨットの並ぶ港町の猫が写っていました。日差しの強い南国らしい光景です。ここで注目は文豪のヘミングウェイの別荘の猫たちで、この猫たちは6本指となっています。指が多い為か手が大きいのが何とも可愛いかったですw
<ウルグアイ>
こちらは南米で、豚と遊ぶ猫やワインの葡萄畑の猫が写っていました。長閑な雰囲気で、葡萄と遊んでいる様子など 農家らしい光景も良かったです。
<ハワイ>
こちらは映画ジュラシック・パークで出てきた山を背景にした猫の写真がありました。他にも浜辺で椰子の実と一緒に写っていたりハワイのイメージそのものと言った感じです。ご主人とサーフィンしている猫なんかもいて、水を怖がらないのかな?と観るたびに同じことを考えてしまいますw
<台湾>
こちらは台湾らしい極彩色の装飾の建物と共に猫が写った作品が並んでいます。やはり猫はどこの国でもあまり変わらない生き様で、自由な猫そのものですw 農家に20匹くらい飼われている猫の写真などもあって驚きました。
<沖縄>
こちらは海岸の茂みにいる猫が写っていました。エメラルドグリーンの美しい海と白い花が沖縄らしさを感じさせます。シーサーと並んだ猫の写真が特に面白くて、猫の友達のようになっていましたw
最後に岩合さんの使っているカメラの紹介がありました。オリンパスのOM-D EMI MarkⅡを使っているようです。ミラーレスの20万円くらいのカメラですね。
参考リンク:OLYMPUS ミラーレス一眼 OM-D E-M1 MarkII ボディー
ということで、結構見覚えがある写真もありましたが改めて楽しむことが出来ました。異国の風景と猫というキラーコンテンツ同士を組み合わせた写真に今回もメロメロですw 岩合さんの写真展は各地で開催されていますが、もしこの夏に花巻や遠野などに行く機会があったら、こちらの萬鉄五郎記念美術館の情報もチェックしてみて頂ければと思います。
おまけ:
この萬鉄五郎記念美術館は名前の通り、萬鉄五郎の作品を常設しています。一部は複製だったりしますが、土沢時代の作品なんかもあります。
参考記事:萬鉄五郎記念美術館の案内 (番外編 岩手)

【展覧名】
写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」
【公式サイト】
https://www.city.hanamaki.iwate.jp/bunkasports/501/yorozutetsugoro/p009098.html
【会場】萬鉄五郎記念美術館
【最寄】土沢駅
【会期】2018年7月14日(土)~9月17日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_4_⑤_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんが多くて、駐車場はちょうど満杯になっているくらいの賑わいでした。中も盛況でしたが、混んでいるという程でもなく概ね自分のペースで観ることが出来ました。
さて、この展示はBSで放送中の「世界ネコ歩き」で紹介された猫たちの写真展です。世界ネコ歩きに関してはこれまでも何度かご紹介してきましたが、今回の展示では世界各地の猫(沖縄だけ日本)の写真が並ぶ内容で、岩合さんの飼っていた猫や沖縄以外の日本の猫はありません。その分、世界の街角の魅力とともに可愛らしい猫たちが200点ほど観られましたので、各地区ごとに簡単にご紹介していこうと思います。
参考記事:
映画「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち」(ややネタバレあり)
岩合光昭写真展 ネコライオン (東京都写真美術館)
岩合光昭写真展 ~ねこ~ (渋谷ヒカリエ)
ねこ歩き 岩合光昭写真展 (日本橋三越)
<パリ>
こちらはパリのモンマルトルのサクレ・クール寺院、エッフェル塔、オペラ座、市場などを背景にした猫の写真が並びます。洒落た町並みに猫がよく合っていて町も猫も一層魅力的に見えます。彫刻家の家の猫なんかもいて、流石は芸術の町といった感じでした。
<プロヴァンス>
こちらは石畳にレンガ造りの家々とともに猫たちが写っていました。強い日差しに赤茶けた家の屋根などはセザンヌの絵の中に出てきそうな感じです。ここでも猫たちの自由さは変わりませんでした。
<ベルギー>
こちらはキジトラの4匹の子猫達の写真が特に可愛かったです。母親に甘えて4匹で仲良くしている様子に癒やされます。教会や水路、修道院といった町の風景も美しくて、昔ベルギーに訪れたのを思い出しながら観ていました。
<ノルウェー>
こちらはフィヨルドを背景にした猫など風土が感じられる作品も良かったのですが、何と言っても森に住むノルウェージャンフォレストキャットたちの写真が目を引きました。白い襟巻きをして白手袋した長毛なので非常にモフモフして可愛いです。踊っているかのようなポーズで虫を取る様子なども写されていて野生も感じられました。
<シチリア>
こちらは鮮やかな花と歴史ある町並みと共に猫が写っていました。トマトパスタを食べる様子なんかもあって、そんなもの食べるの?とちょっと意外でしたw
<クロアチア>
こちらも石造りの家々の中にいる猫たちが写っています。佇むように町に溶け込んでいる様子が可愛らしいです。漁船に群がってる様子もあって、これは日本の猫たちと同じ光景なのかもw 猫はどこの国でも猫らしさ全開です。
<エーゲ海の島々>
こちらは真っ青な空に白い壁と白い建物が並ぶ、この展覧会でも屈指の美しい海辺の光景です。そこを行き交う猫たちも生き生きしていて、元気な姿を見せています(飛び猫の写真は無かったですが) ここでも港の船に集まったりしていました。
<イスタンブール>
こちらにはオバマ氏(元アメリカ大統領)に撫でられたというオバマキャットと呼ばれる猫が写っていました。器量の良い猫で心なしか気品もあるようなw 他にはモスクなどイスラム風の建物や、水パイプを吸う人などと共に写っていて、異国情緒溢れるコーナーとなっていました。
<マラケシュ(北アフリカ)>
こちらは屋根付きの雑多な市場の様子が撮られていて、それを屋根の上からじっと様子を観ている猫の写真が目を引きました。人々の営みを観察するような顔が面白いです。迷路のような町並みや皮なめし職人と一緒にいる様子なんかもあって、伝統的な風景と猫も調和していました。
<ブルガリア>
こちらは子育てしている猫の写真が並んでいました。牛舎に住んでいる三毛の親子の写真なんかもあって、特に可愛い写真です。ここでも城壁や世界遺産ネセバルの夜明けを背景にした猫たちがのんびりしていて、情趣ある光景となっていました。
<キーウエスト>
こちらはアメリカ最南端のヨットの並ぶ港町の猫が写っていました。日差しの強い南国らしい光景です。ここで注目は文豪のヘミングウェイの別荘の猫たちで、この猫たちは6本指となっています。指が多い為か手が大きいのが何とも可愛いかったですw
<ウルグアイ>
こちらは南米で、豚と遊ぶ猫やワインの葡萄畑の猫が写っていました。長閑な雰囲気で、葡萄と遊んでいる様子など 農家らしい光景も良かったです。
<ハワイ>
こちらは映画ジュラシック・パークで出てきた山を背景にした猫の写真がありました。他にも浜辺で椰子の実と一緒に写っていたりハワイのイメージそのものと言った感じです。ご主人とサーフィンしている猫なんかもいて、水を怖がらないのかな?と観るたびに同じことを考えてしまいますw
<台湾>
こちらは台湾らしい極彩色の装飾の建物と共に猫が写った作品が並んでいます。やはり猫はどこの国でもあまり変わらない生き様で、自由な猫そのものですw 農家に20匹くらい飼われている猫の写真などもあって驚きました。
<沖縄>
こちらは海岸の茂みにいる猫が写っていました。エメラルドグリーンの美しい海と白い花が沖縄らしさを感じさせます。シーサーと並んだ猫の写真が特に面白くて、猫の友達のようになっていましたw
最後に岩合さんの使っているカメラの紹介がありました。オリンパスのOM-D EMI MarkⅡを使っているようです。ミラーレスの20万円くらいのカメラですね。
参考リンク:OLYMPUS ミラーレス一眼 OM-D E-M1 MarkII ボディー
ということで、結構見覚えがある写真もありましたが改めて楽しむことが出来ました。異国の風景と猫というキラーコンテンツ同士を組み合わせた写真に今回もメロメロですw 岩合さんの写真展は各地で開催されていますが、もしこの夏に花巻や遠野などに行く機会があったら、こちらの萬鉄五郎記念美術館の情報もチェックしてみて頂ければと思います。
おまけ:
この萬鉄五郎記念美術館は名前の通り、萬鉄五郎の作品を常設しています。一部は複製だったりしますが、土沢時代の作品なんかもあります。
参考記事:萬鉄五郎記念美術館の案内 (番外編 岩手)
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Author:21世紀のxxx者
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。
画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。
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