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前回に引き続き練馬区立美術館の「芳年-激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」についてです。前編は第一会場についてでしたが、今日は残りの第二・第三会場の展示についてです。まずは概要のおさらいです。
前編はこちら

【展覧名】
芳年-激動の時代を生きた鬼才浮世絵師
【公式サイト】
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=201805131526201032
【会場】練馬区立美術館
【最寄】中村橋駅
【会期】2018年08月05日(日)~ 09月24日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前編は困窮し病になってしまった所までご紹介しましたが、今日はそこから復活して売れっ子となる晩年についてご紹介していきます。
参考記事:
没後120年記念 月岡芳年 感想前編(太田記念美術館)
没後120年記念 月岡芳年 感想後編(太田記念美術館)
<第三章 転生・降臨-”大蘇” 蘇りの時代 明治6年~明治14年(1873~81)>
月岡芳年は明治6年にそれまで使っていた「一魁斎」の号に代わって新しく「大蘇」の号を用いるようになり、病から脱して意欲的に制作に携わるようになりました。明治8年には郵便報知新聞で新聞錦絵の連載を開いて好評を博し、新聞小説の挿絵も手がけるなど新聞でも活躍しました。西南戦争に取材するなど 風俗・時事的な要素が濃くなると共に歴史画・神話画・徳川の時代を振り返るような作品も手がけています。この頃の画風は衣服の衣紋線や皺を強調して描いたり、人物の劇的な動きを与える芳年ならではの画風の確立が観られるようです。また、この時期は多くの美人画も手がけているようで、ここには様々な題材の作品が並んでいました。
104 月岡芳年 「大日本名将鑑 源三位頼政 猪早太」
このシリーズは1877~1888年にかけて制作された天照大神から徳川家光までの人物が描かれた51図の揃いもので、西洋画の技法を取り入れて煙・炎・光線などを効果的に用いたり明暗の対比を強調した画風となっているようです。この絵では鵺退治の逸話が描かれ、黒雲を目がけて矢を構えている源頼政が描かれています。脇では従者が空を見上げ、空には黒地に黄色・赤で稲光が描かれ、明るくなった部分には内裏などが浮かんでいます。雷光の一瞬を切り取ったような劇的な構図で、ちょっと漫画のような雰囲気すらありました。確かに光線を上手く用いています。
114 月岡芳年 「義経紀五條橋之図」
こちらは今回のポスターにもなっている作品で、弁慶と牛若丸が五條大橋で戦っている様子が描かれています。ひらひらと跳ぶ義経に対し長刀で踏ん張るようなポーズの弁慶が対照的で 力強い印象を受けます。また、橋の欄干と長刀がV字を描くようになっていて、画面に広がりが生まれているような効果がありました。空には満月が浮かぶなど、モチーフの配置も含めて面白い作品です。
110 月岡芳年 「大日本史略図会 第一代神武天皇」
こちらは神代から中世にかけれの歴代天皇に関する逸話を集めたシリーズで、この絵では第1代の神武天皇が描かれています。真っ赤な太陽を背にして、手には大きな鳥の止まった杖を持ち、太陽からは放射線状に赤い光線が放たれて、周りにいる男たちはそれに打たれて苦しんでいます。物語の一場面を視覚化した感じですが、これも劇的かつ漫画チックな感じがするかなw 光線での攻撃は現代の漫画で出てきてもおかしくないw 中々斬新な表現方法で面白い作品です。
この近くには徳川時代の事件を描いたシリーズなどもありました。徳川慶喜が大坂から敵前逃亡する様子なんかもあります。
116 月岡芳年 「新容六怪撰 平相国清盛入道浄海」
こちらは平清盛の逸話を描いた作品で、雪の降り積もった築山のある庭が あたかも無数の髑髏が現れたように見える光景となっています。清盛は刀を手に持ちじっとそれを睨み、周りの女官たちは恐怖で震えています。明暗が強めで、ダブルイメージを違和感なく表しているのが面白いかな。オカルト的なエピソードが現実っぽく思えてきましたw
118 月岡芳年 「郵便報知新聞社 第五百卅二号」
こちらは警官に川から助けられた上半身裸の女性が描かれた新聞の挿絵で、この女性は盗み癖があって義兄弟にしばって川に投げ込まれたという事件のようです。警官が抱きかかえる様子は妖艶な雰囲気があり、単なるニュースの挿絵を超えたクオリティとなっていました。これは確かに人気が出そうです。
127 月岡芳年 「見立多以尽 手があらひたい」
こちらは美人画で、屋形船の小窓から手を出して洗っている芸者が描かれています。髪が風になびいて色っぽさがあります。ハンカチを咥えているのが江戸ではなく明治の文明開化の流れを感じさせるかな。時事的な要素が含まれているのも芳年の魅力かもしれません。
この辺は芸者を描いた美人画が並んでいました。
136 月岡芳年 「芳年略画 応挙之幽霊/雪舟活画」
こちらは1枚で上下2つの絵が描かれていて、上段には自ら描いた絵から幽霊が出てきて驚いている円山応挙が描かれ、下段には木に縛られた子供時代の雪舟が足の指でネズミを描いたら実体化した様子が描かれています。両方とも卓越した技術によって絵が現実になったというエピソードですが、略画らしい ちょっと緩い雰囲気となっていました。特に一休さんみたいな雪舟が可愛らしいですw
<第四章 ”静”と”動”のドラマ 明治15年~明治25年(1882~92)>
月岡芳年は明治15年に絵入自由新聞社に挿絵絵師として月給100円の破格の待遇で迎えられ、人気の絶頂期となりました。画業においても40代半ばから亡くなるまでの10年の間に代表作・ヒット作を連発していったよう、いずれも明と暗、静と動を巧みに操ったドラマチックな画面構成だったようです。こうした作品には浄瑠璃・歌舞伎・講談・落語・戯作・小説などが大きく関わったとのことで、このコーナーにはそうした晩年の人気作が並んでいました。
139 月岡芳年 「皇国二十四功 贈正一位菅原道真公」
こちらは日本の古今における忠孝に優れた24人を取り上げたシリーズで、この絵では菅原道真が描かれています。竹のようなものを持ち、風の中で髪が逆立っている姿で描かれ、背景には稲光が駆け抜けているので、むしろ怨霊としての菅原道真のイメージに見えるような…w 強い風と光で神格化された菅原道真への畏怖のようなものも感じられました。
146 月岡芳年 「芳年武者旡類 源牛若丸 熊坂長範」 ★こちらで観られます
こちらは神話から戦国時代までの武者を描くシリーズで、武者震いと旡類(無類)を掛けたタイトルとなっています。この作品では切り込む牛若と仰け反って長刀で受ける熊坂長範が描かれ、お互いに視線がぶつかり合っています。戦闘の迫力が伝わるポーズが見事で、一瞬の緊張感が漲っていました。摺りの色彩も鮮やかで、かなり出来の良い品だと思います。
163 月岡芳年 「奥州安達がはらひとつ家の図」
こちらは縦長の2枚続で、古家の梁から吊るされた妊婦と、その下で包丁を研ぎながら妊婦を見つめる老婆が描かれています。これは安達太良山の麓の鬼婆伝説に取材したもので、リアルすぎて明治政府に発禁になったという逸話まであるようです。血みどろ絵ではないものの、間もなく惨劇が起こるであろうと想像させられ却って不気味な雰囲気となっていました。
この辺は縦2枚続きの縦長の作品が並んでいました。
166 月岡芳年 「松竹梅湯嶋掛額」
こちらも縦2枚続で、恋する人を探すために放火した八百屋お七の逸話を描いています。画面いっぱいに梯子が掛かり、そこに着物姿で登って うっとりした表情を浮かべて男を探すお七が描かれ、狂気に満ちています。下半分は盛大に燃えていて、華麗な着物姿とのギャップが恐ろしさを増幅させていました。
第2会場はここまでとなっています。廊下にはこちらのパネルがあって、これだけ撮影可能でした。

続いては第3会場です。ここは月百姿がズラッと並んでいるのが特に圧巻でした。
参考記事:月岡芳年「月百姿」展(後期) (礫川浮世絵美術館)
202 月岡芳年 「月百姿 玉兎 孫悟空」
こちらは月をテーマにした100枚揃いのシリーズで、この絵では猿の姿の孫悟空と白兎が描かれ、背景には大きな月が描かれています。シンプルながらも3者の配置や大きさ、ポーズの妙が面白く 特に記憶に残っていました。兎が特に可愛いですw
200 月岡芳年 「つきの百姿 月宮迎 竹とり」
こちらはかぐや姫が月に帰っていく様子を描いた作品で、手前では跪いて嘆く翁の姿もあります。別れのシーンをドラマチックなポーズで分かりやすく伝えていました。
208 月岡芳年 「新形三十六怪撰 老婆鬼腕を持去る図」
こちらは最晩年のシリーズで、幽霊・妖怪・怪異などを取り上げています。この絵では茨木童子が変装した老婆が自らの腕を奪い返しにくるシーンが描かれ、横顔の老婆は鬼婆そのものと言った感じです。ちらっと振り返って笑みをこぼす様子が不敵かつ不気味でした。
214 月岡芳年 「新形三十六怪撰 清姫日高川に蛇体と成る図」
こちらは道成寺(安珍・清姫伝説)を題材にしたもので、川岸で清姫が非常に色彩豊かな着物を来て立っています。しかしその模様はどことなく蛇のようで、空には暗雲が立ち込めるなど不吉な気配が漂い蛇体へと変身しそうな感じとなっていました。美しくも恐ろしい清姫をよく表しているように思います。
この近くには「新形三十六怪撰 地獄太夫悟道の図」なんかもあって、こちらも好みでした。
220 月岡芳年 「風俗三十二相 うるささう 寛政年間 処女之風俗」
こちらはこの記事の冒頭のポスターの絵で、猫に顔を寄せて話しかけている女性が描かれています。覆いかぶさって愛しそうにしているように観えますが、猫はうるさそうに思っているのでしょうかw 現代でもこういう光景はあるので、観ていて可笑しくて娘も可愛く感じられました。
225 月岡芳年 「風俗三十二相 めがさめさう 弘化年間 むすめの風俗」
こちらは朝顔を背景に歯を磨いている女性を描いた作品です。着物が はだけて片胸があらわになっているなど しどけない姿で、目も虚ろです。綺麗な女性でも寝起きはこんな感じですよねw 私も朝が弱いので観ていて親近感が湧きました。月岡芳年の観察眼は中々容赦がないw
この他にも風俗三十二相は面白い作品ばかりです。私はこのシリーズが観たくて足を運んだとも言えるくらい好きですw
こうして晩年までまで活躍した月岡芳年ですが、明治24年(1891年)に神経の病が再発し、54歳で亡くなってしまいました。もうちょっと晩年の作風で頑張って欲しかったですね…。
<別章 肉筆画・下図類など>
最後は少しだけ画稿や肉筆作品がありました。
239 月岡芳年 「富士山」
こちらは富士山を描いた水墨です。月岡芳年の水墨は珍しいのですが、こちらは濃淡のみで遠近感や霞を表現していて、明暗も見事でした。水墨でもこれだけの表現力があることに驚きです。
ということで、網羅的かつ代表作を楽しめる月岡芳年の決定版のような展示となっていました。前半は血みどろ絵なんかが多かったですが、後半はほっこりする絵もあって多才な魅力を楽しむことができました。もう会期が残りわずかとなってしまいましたが、浮世絵好きだけでなく多くの絵画ファンにお勧めできる展示です。
前編はこちら


【展覧名】
芳年-激動の時代を生きた鬼才浮世絵師
【公式サイト】
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=201805131526201032
【会場】練馬区立美術館
【最寄】中村橋駅
【会期】2018年08月05日(日)~ 09月24日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前編は困窮し病になってしまった所までご紹介しましたが、今日はそこから復活して売れっ子となる晩年についてご紹介していきます。
参考記事:
没後120年記念 月岡芳年 感想前編(太田記念美術館)
没後120年記念 月岡芳年 感想後編(太田記念美術館)
<第三章 転生・降臨-”大蘇” 蘇りの時代 明治6年~明治14年(1873~81)>
月岡芳年は明治6年にそれまで使っていた「一魁斎」の号に代わって新しく「大蘇」の号を用いるようになり、病から脱して意欲的に制作に携わるようになりました。明治8年には郵便報知新聞で新聞錦絵の連載を開いて好評を博し、新聞小説の挿絵も手がけるなど新聞でも活躍しました。西南戦争に取材するなど 風俗・時事的な要素が濃くなると共に歴史画・神話画・徳川の時代を振り返るような作品も手がけています。この頃の画風は衣服の衣紋線や皺を強調して描いたり、人物の劇的な動きを与える芳年ならではの画風の確立が観られるようです。また、この時期は多くの美人画も手がけているようで、ここには様々な題材の作品が並んでいました。
104 月岡芳年 「大日本名将鑑 源三位頼政 猪早太」
このシリーズは1877~1888年にかけて制作された天照大神から徳川家光までの人物が描かれた51図の揃いもので、西洋画の技法を取り入れて煙・炎・光線などを効果的に用いたり明暗の対比を強調した画風となっているようです。この絵では鵺退治の逸話が描かれ、黒雲を目がけて矢を構えている源頼政が描かれています。脇では従者が空を見上げ、空には黒地に黄色・赤で稲光が描かれ、明るくなった部分には内裏などが浮かんでいます。雷光の一瞬を切り取ったような劇的な構図で、ちょっと漫画のような雰囲気すらありました。確かに光線を上手く用いています。
114 月岡芳年 「義経紀五條橋之図」
こちらは今回のポスターにもなっている作品で、弁慶と牛若丸が五條大橋で戦っている様子が描かれています。ひらひらと跳ぶ義経に対し長刀で踏ん張るようなポーズの弁慶が対照的で 力強い印象を受けます。また、橋の欄干と長刀がV字を描くようになっていて、画面に広がりが生まれているような効果がありました。空には満月が浮かぶなど、モチーフの配置も含めて面白い作品です。
110 月岡芳年 「大日本史略図会 第一代神武天皇」
こちらは神代から中世にかけれの歴代天皇に関する逸話を集めたシリーズで、この絵では第1代の神武天皇が描かれています。真っ赤な太陽を背にして、手には大きな鳥の止まった杖を持ち、太陽からは放射線状に赤い光線が放たれて、周りにいる男たちはそれに打たれて苦しんでいます。物語の一場面を視覚化した感じですが、これも劇的かつ漫画チックな感じがするかなw 光線での攻撃は現代の漫画で出てきてもおかしくないw 中々斬新な表現方法で面白い作品です。
この近くには徳川時代の事件を描いたシリーズなどもありました。徳川慶喜が大坂から敵前逃亡する様子なんかもあります。
116 月岡芳年 「新容六怪撰 平相国清盛入道浄海」
こちらは平清盛の逸話を描いた作品で、雪の降り積もった築山のある庭が あたかも無数の髑髏が現れたように見える光景となっています。清盛は刀を手に持ちじっとそれを睨み、周りの女官たちは恐怖で震えています。明暗が強めで、ダブルイメージを違和感なく表しているのが面白いかな。オカルト的なエピソードが現実っぽく思えてきましたw
118 月岡芳年 「郵便報知新聞社 第五百卅二号」
こちらは警官に川から助けられた上半身裸の女性が描かれた新聞の挿絵で、この女性は盗み癖があって義兄弟にしばって川に投げ込まれたという事件のようです。警官が抱きかかえる様子は妖艶な雰囲気があり、単なるニュースの挿絵を超えたクオリティとなっていました。これは確かに人気が出そうです。
127 月岡芳年 「見立多以尽 手があらひたい」
こちらは美人画で、屋形船の小窓から手を出して洗っている芸者が描かれています。髪が風になびいて色っぽさがあります。ハンカチを咥えているのが江戸ではなく明治の文明開化の流れを感じさせるかな。時事的な要素が含まれているのも芳年の魅力かもしれません。
この辺は芸者を描いた美人画が並んでいました。
136 月岡芳年 「芳年略画 応挙之幽霊/雪舟活画」
こちらは1枚で上下2つの絵が描かれていて、上段には自ら描いた絵から幽霊が出てきて驚いている円山応挙が描かれ、下段には木に縛られた子供時代の雪舟が足の指でネズミを描いたら実体化した様子が描かれています。両方とも卓越した技術によって絵が現実になったというエピソードですが、略画らしい ちょっと緩い雰囲気となっていました。特に一休さんみたいな雪舟が可愛らしいですw
<第四章 ”静”と”動”のドラマ 明治15年~明治25年(1882~92)>
月岡芳年は明治15年に絵入自由新聞社に挿絵絵師として月給100円の破格の待遇で迎えられ、人気の絶頂期となりました。画業においても40代半ばから亡くなるまでの10年の間に代表作・ヒット作を連発していったよう、いずれも明と暗、静と動を巧みに操ったドラマチックな画面構成だったようです。こうした作品には浄瑠璃・歌舞伎・講談・落語・戯作・小説などが大きく関わったとのことで、このコーナーにはそうした晩年の人気作が並んでいました。
139 月岡芳年 「皇国二十四功 贈正一位菅原道真公」
こちらは日本の古今における忠孝に優れた24人を取り上げたシリーズで、この絵では菅原道真が描かれています。竹のようなものを持ち、風の中で髪が逆立っている姿で描かれ、背景には稲光が駆け抜けているので、むしろ怨霊としての菅原道真のイメージに見えるような…w 強い風と光で神格化された菅原道真への畏怖のようなものも感じられました。
146 月岡芳年 「芳年武者旡類 源牛若丸 熊坂長範」 ★こちらで観られます
こちらは神話から戦国時代までの武者を描くシリーズで、武者震いと旡類(無類)を掛けたタイトルとなっています。この作品では切り込む牛若と仰け反って長刀で受ける熊坂長範が描かれ、お互いに視線がぶつかり合っています。戦闘の迫力が伝わるポーズが見事で、一瞬の緊張感が漲っていました。摺りの色彩も鮮やかで、かなり出来の良い品だと思います。
163 月岡芳年 「奥州安達がはらひとつ家の図」
こちらは縦長の2枚続で、古家の梁から吊るされた妊婦と、その下で包丁を研ぎながら妊婦を見つめる老婆が描かれています。これは安達太良山の麓の鬼婆伝説に取材したもので、リアルすぎて明治政府に発禁になったという逸話まであるようです。血みどろ絵ではないものの、間もなく惨劇が起こるであろうと想像させられ却って不気味な雰囲気となっていました。
この辺は縦2枚続きの縦長の作品が並んでいました。
166 月岡芳年 「松竹梅湯嶋掛額」
こちらも縦2枚続で、恋する人を探すために放火した八百屋お七の逸話を描いています。画面いっぱいに梯子が掛かり、そこに着物姿で登って うっとりした表情を浮かべて男を探すお七が描かれ、狂気に満ちています。下半分は盛大に燃えていて、華麗な着物姿とのギャップが恐ろしさを増幅させていました。
第2会場はここまでとなっています。廊下にはこちらのパネルがあって、これだけ撮影可能でした。

続いては第3会場です。ここは月百姿がズラッと並んでいるのが特に圧巻でした。
参考記事:月岡芳年「月百姿」展(後期) (礫川浮世絵美術館)
202 月岡芳年 「月百姿 玉兎 孫悟空」
こちらは月をテーマにした100枚揃いのシリーズで、この絵では猿の姿の孫悟空と白兎が描かれ、背景には大きな月が描かれています。シンプルながらも3者の配置や大きさ、ポーズの妙が面白く 特に記憶に残っていました。兎が特に可愛いですw
200 月岡芳年 「つきの百姿 月宮迎 竹とり」
こちらはかぐや姫が月に帰っていく様子を描いた作品で、手前では跪いて嘆く翁の姿もあります。別れのシーンをドラマチックなポーズで分かりやすく伝えていました。
208 月岡芳年 「新形三十六怪撰 老婆鬼腕を持去る図」
こちらは最晩年のシリーズで、幽霊・妖怪・怪異などを取り上げています。この絵では茨木童子が変装した老婆が自らの腕を奪い返しにくるシーンが描かれ、横顔の老婆は鬼婆そのものと言った感じです。ちらっと振り返って笑みをこぼす様子が不敵かつ不気味でした。
214 月岡芳年 「新形三十六怪撰 清姫日高川に蛇体と成る図」
こちらは道成寺(安珍・清姫伝説)を題材にしたもので、川岸で清姫が非常に色彩豊かな着物を来て立っています。しかしその模様はどことなく蛇のようで、空には暗雲が立ち込めるなど不吉な気配が漂い蛇体へと変身しそうな感じとなっていました。美しくも恐ろしい清姫をよく表しているように思います。
この近くには「新形三十六怪撰 地獄太夫悟道の図」なんかもあって、こちらも好みでした。
220 月岡芳年 「風俗三十二相 うるささう 寛政年間 処女之風俗」
こちらはこの記事の冒頭のポスターの絵で、猫に顔を寄せて話しかけている女性が描かれています。覆いかぶさって愛しそうにしているように観えますが、猫はうるさそうに思っているのでしょうかw 現代でもこういう光景はあるので、観ていて可笑しくて娘も可愛く感じられました。
225 月岡芳年 「風俗三十二相 めがさめさう 弘化年間 むすめの風俗」
こちらは朝顔を背景に歯を磨いている女性を描いた作品です。着物が はだけて片胸があらわになっているなど しどけない姿で、目も虚ろです。綺麗な女性でも寝起きはこんな感じですよねw 私も朝が弱いので観ていて親近感が湧きました。月岡芳年の観察眼は中々容赦がないw
この他にも風俗三十二相は面白い作品ばかりです。私はこのシリーズが観たくて足を運んだとも言えるくらい好きですw
こうして晩年までまで活躍した月岡芳年ですが、明治24年(1891年)に神経の病が再発し、54歳で亡くなってしまいました。もうちょっと晩年の作風で頑張って欲しかったですね…。
<別章 肉筆画・下図類など>
最後は少しだけ画稿や肉筆作品がありました。
239 月岡芳年 「富士山」
こちらは富士山を描いた水墨です。月岡芳年の水墨は珍しいのですが、こちらは濃淡のみで遠近感や霞を表現していて、明暗も見事でした。水墨でもこれだけの表現力があることに驚きです。
ということで、網羅的かつ代表作を楽しめる月岡芳年の決定版のような展示となっていました。前半は血みどろ絵なんかが多かったですが、後半はほっこりする絵もあって多才な魅力を楽しむことができました。もう会期が残りわずかとなってしまいましたが、浮世絵好きだけでなく多くの絵画ファンにお勧めできる展示です。
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つい一昨日の土曜日に練馬区立美術館で「芳年-激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」を観てきました。非常に点数が多く見応えたっぷりでしたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。なお、この展示には前期・後期の会期があり、私が観たのは後期の内容でした。


【展覧名】
芳年-激動の時代を生きた鬼才浮世絵師
【公式サイト】
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=201805131526201032
【会場】練馬区立美術館
【最寄】中村橋駅
【会期】2018年08月05日(日)~ 09月24日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんがいて、場所によっては人だかりができるくらいでしたが、概ね自分のペースで観ることができました。
さて、この展示は歌川国芳の弟子で幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師 月岡芳年を取り上げたもので、西井正氣 氏のコレクションの中から前記・後期合わせて263点という非常に充実した内容となっています。デビュー作から晩年の作まで代表作・有名作が勢揃いと言った感じで、時系列に展示されていて分かりやすい構成となっています。4章+別章の構成となっていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。なお、以前ご紹介した太田記念美術館での月岡芳年展と結構似た内容ですので、そちらも参考にして頂ければと思います。
参考記事:
没後120年記念 月岡芳年 感想前編(太田記念美術館)
没後120年記念 月岡芳年 感想後編(太田記念美術館)
月岡芳年「月百姿」展(後期) (礫川浮世絵美術館)
歌川国芳-奇と笑いの木版画 (府中市美術館))
破天荒の浮世絵師 歌川国芳 前期:豪傑なる武者と妖怪 (太田記念美術館))
破天荒の浮世絵師 歌川国芳 後期:遊び心と西洋の風 感想前編(太田記念美術館)
破天荒の浮世絵師 歌川国芳 後期:遊び心と西洋の風 感想後編(太田記念美術館)
奇想の絵師歌川国芳の門下展 (礫川浮世絵美術館)
没後150年 歌川国芳展 -幕末の奇才浮世絵師- 前期 感想前編(森アーツセンターギャラリー)
没後150年 歌川国芳展 -幕末の奇才浮世絵師- 前期 感想後編(森アーツセンターギャラリー)
没後150年 歌川国芳展 -幕末の奇才浮世絵師- 後期 感想前編(森アーツセンターギャラリー)
没後150年 歌川国芳展 -幕末の奇才浮世絵師- 後期 感想後編(森アーツセンターギャラリー)
浮世絵猫百景-国芳一門ネコづくし- 前期 感想前編(太田記念美術館)
浮世絵猫百景-国芳一門ネコづくし- 前期 感想後編(太田記念美術館)
浮世絵猫百景-国芳一門ネコづくし- 後期 感想前編(太田記念美術館)
浮世絵猫百景-国芳一門ネコづくし- 後期 感想後編(太田記念美術館)
<第一章 国芳譲りのスペクタクル、江戸のケレン 嘉永6年~慶応元年(1853~65)>
まずはデビュー作から江戸の終わり頃までのコーナーです。月岡芳年は1839年に江戸で生まれ、12歳で歌川国芳に入門しました。若い頃は師匠譲りのドラマチックな作品が多いそうで、武者絵を中心に美人画、戯画などを発表していたようです。ここにはそうした歌川国芳からの影響を感じる作品が並んでいました。
1 月岡芳年 「文治元年平家の一門亡海中落入る図」
こちらは15歳の頃のデビュー作で、壇ノ浦の戦いを描いた3枚続きの大画面となっています。画面中央には碇縄を体に巻き付けて海へと飛び込む平知盛、その下には平家蟹らしき蟹が無数にひしめいています。背景には青と黒の縞模様の渦のようなものがあり、暗く冷たい印象を受けます。右には二位尼公や安徳天皇の姿もあり、この戦いで亡くなった平家たちとなっています。まだ全体的に硬い描写のようにも思えますが、これが15歳とは思えないほどです。デビュー作で3枚続きというのは異例のことなので、スポンサーがいたのではないかとのことでした。いずれにせよデビュー作から大物感溢れるルーキーだったのは間違い無さそうです。
9 月岡芳年 「和漢百物語 頓欲ノ婆々」
和漢百物語は1865年に出版された揃物で、現在26図が確認されているようです。日本・中国の奇譚を集めたもので、この作品では舌切雀のラストシーンが描かれています。大きなつづらの中から3つ目の怪物やお多福のような怪物が飛び出してきていて、それを見て強欲な婆さんが恐れおののいています。のけぞって顔を抑えている仕草が劇的で、感情溢れる表現です。ダイナミックな一方でちょっとユーモラスな雰囲気もあるように思えました。この辺も歌川国芳に通じる感じがします。
14 月岡芳年 「美勇水滸伝 高木午之助」
このシリーズは芝居や物語に登場するヒーロー・ヒロインを善悪を交えて描いた50枚揃いで、師匠が成し遂げた水滸伝シリーズを継ぐものとして挑戦したようです。ここでは文台のようなものに肘をついて座る大きな太刀を持った侍が描かれ、背景には口が裂けるほど大きな怨念のような怪物がニタっと笑っています。この侍は「森の三勇士」の1人らしく 古寺に肝試しに行く話となっているそうで、凛々しい姿でまったく動じていない様子となっています。一方の怪物の顔は怖さと共にちょっと可笑しくもあり、この辺にも個性を感じました。
この他にも和漢百物語や美勇水滸伝のシリーズが並んでいました。 その後は3枚続・2枚続の作品が並んでいました。題材も様々です。
26 月岡芳年 「正札附俳優手遊」
こちらは3枚続きの作品で、おもちゃ屋に並んだダルマや福助、張り子の虎、お面、猫の玩具、人形などが所狭しと描かれています。手前には母子がいて、子供が何かねだっている感じかなw 解説によると、この玩具たちの顔はみんな役者の似顔となっているようで、歌川国芳が得意とした手法を継承している感じがします。各役者の横には名前と共に吉々上とか六百両とか書かれていて、これは役者の評価と一年の給金となっているようでした。番付的な要素とカラフルな色彩が面白い作品です。
<第二章 葛藤するリアリズム 慶応2年~明治5年(1866~72)>
続いては幕末から明治初期の頃のコーナーです。月岡芳年は「血みどろ絵」の猟奇な作風にフォーカスされがちなのですが、これはこの時期に空想の武者絵ではなく上野戦争で目の当たりにした戦闘のリアリズムを追求したのが要因のようです。しかし血みどろ絵の時期はほんの一時期で、それだけで月岡芳年を評価するのは妥当ではないと思われます。月岡芳年は幕末の動乱など劇的な変化の環境にストレスを感じていたようで、明治5年(1872年)には神経の病を発症し、それ以降生活は困窮していったようです。この章はそうした時代の凄惨な画風の作品などが並んでいました。
40 月岡芳年 「英名二十八衆句 古手屋八郎兵衛」
このシリーズは兄弟子の落合芳幾と14点ずつ手がけた全28点の揃いで、歌舞伎や講談でよく知らえた刃傷沙汰を主題とした作品です。残酷な描写が多く、血みどろ絵・無残絵と称されたようで、各図には戯作者による人物の伝記や説明、芭蕉や去来の俳句などが添えられています。この古手屋八郎兵衛では墓石の上で女性の首に刀を刺す様子が描かれ、女は絶命して目を剥いています。着物が舞い上がるような勢いがあり、髪を振り乱し刀は血だらけになっているなど凄惨な殺人現場そのものといった感じです。墓石のヒビに沿って血が流れ出している様子などもリアルで、血は膠を使って赤々とした表現となっていました。これは確かにカルト的に人気になりそうな雰囲気ですね…。
この近くには英名二十八衆句が並び、全部揃っている貴重な機会となっています。作品の中には結構綺麗な字で説明が書いてあるので、古文が得意なら何となく事件の内容が分かるように思えます。斬りつけるシーンが多いので、中々凄惨な光景です。
42 月岡芳年 「英名二十八衆句 稲田九蔵新助」
こちらは上半身裸の女性が縄で逆さ吊りになっていて、それを刀で斬りつけるという猟奇かつ変質的なシーンが描かれています。アンコウを捌く様子と掛けたような詩句も添えられていて、ひたすら外道といった感じで、血滴って非常に残虐な作品です。このモデルは稲葉小僧という義賊の話のようですが、このようなことをしているという話の出典は不明のようです(えらい濡れ衣ですw) どうしてこんな絵になったのかわかりませんが、時代背景としてもこういうものが求められてたという解説を以前に読んだのを思い出しました。恐ろしい時代ですね。
近くには死体の顔の皮を剥ぐ作品とか見覚えがあるのも多々ありました。 また、落合芳幾による14点もあって 作風は月岡芳年と似ていますが、芳年のほうが動きのある犯行の瞬間と言った場面が多かったように思います。
73 月岡芳年 「魁題百撰相 駒木根八兵衛」
このシリーズは現在65点が確認されている揃物で、南北朝時代から江戸初期までの戦乱に関わった人物が詞書と共に描かれ、軍記物などに沿って歴史上の人物を紹介する体裁をとりつつ 芳年たちが目の当たりにした幕末の旧幕府軍と新政府軍の戦いの見立てになっているそうです。この駒木根八兵衛は島原の乱で総大将を撃った人物らしく、鉄砲をライフルのように構えた様子を真正面から描いています。その構図が何とも劇的で、ゴルゴ13のワンシーンのような感じすらしますw さらに目が真剣で緊張感が漲り、若いイケメンなのに歴戦の勇士といった風格がありました。なお、この絵は上野戦争で新政府軍に敗れた彰義隊になぞらえて描いているのだとか。
このシリーズも血みどろが多く、首を持っている絵が何点かありました。滴る血を舐めるようなのもあって猟奇ですw 月岡芳年は上野戦争の際には傷ついた兵士や死体を写生していたらしいので、そりゃ神経も病みますね…。
74 月岡芳年 「魁題百撰相 冷泉判官隆豊」
こちらは戦国大名の大内義隆の家臣で、謀反が起きた際に主君と共に戦死した人物です。この絵では寺の天井に自らで斬った臓物を投げつけ、謀反人を呪ったという場面が描かれていて、内臓が飛び出していて手と腹を中心に血だらけとなっています。天井を見据えて怒りの形相となっていて、恐ろしく凄惨なシーンとなっていました。内臓とかリアルさがあり一層怖い作品です。
シリーズ物のコーナーの後は3枚続の作品が並んでいました。この先は血みどろ絵はほぼありません。
63 月岡芳年 「武勇雪月花之内 五條の月」
こちらは3枚続き3点セットで、雪月花のうちの月となっています。五條の橋で弁慶と牛若丸が闘う様子が描かれ、弁慶は大きな長刀を振り回し、先端には弁慶の衣が絡みついています。さらに長刀の先には満月が浮かび、視線を誘われます。一方、牛若丸は逆のほうに鞍馬天狗などと共にひらりと交わしていて、烏天狗なども加勢に来ている様子となっていました。ダイナミックで構図が面白い作品です。
85 月岡芳年 「一魁随筆 燕人張飛」
こちらは1872年頃に出された和漢の故事や物語に出てくる人物を描いた13図から成るシリーズ物で、相当に意気込んで描いたようですが世間の評判は良くなく、生活が困窮する要因となったようです。この後に病で休養することもあって「一魁斎」の落款を用いた最後の作品となります。ここでは三国志で有名な張飛(燕の国出身)が描かれ、赤い橋の上で黒い馬に乗り、槍を持って吠えるように叫んでいる姿となっています。解説によると、これは曹操軍との戦いで「我は燕人張飛 誰か来たり勝負を決さん」と大喝しただけで百万の兵を追い返したという話を描いているそうです。その話も興味深いですが、非常に色彩が濃くなっていて、描写もより緻密になってやや西洋画的な印象を受けました。時代の流れに応じたのかもしれませんが、これがヒットしなかった要因なのかも。
91 月岡芳年 「東海道名所図会 鞠子 名物とろろ汁」
こちらはタイトルから歌川広重の東海道五十三次の牧歌的な鞠子の絵を思い出しますが、描かれているものは全く違います。とろろ汁屋さんのある通りを錦の御旗を持って行進する新政府軍が中央に大きく描かれ、威圧的な雰囲気です。庶民はそれを大名行列のように沿道で正座して見上げていて、いたたまれない気持ちになります。これは恐らく実際に見た光景なんだろうと思いますが、月岡芳年の明治政府への思いが何となく伝わってくるように思いました。
この近くには鉄道開業の様子を描いた作品などもありました。
121 月岡芳年 「隆盛龍城攻之図」
この作品は時代的には次の3章ですが、2章の最後にありました。1877年に起きた西南戦争を題材としたもので、月岡芳年はこの戦乱について多くの作品を残しています。スペクタクルやファンタジー的な要素の作品もあるようで、この作品はまさにファンタジーですw というのも、ここではかつての盟友で心中した仲である月照(西郷だけ助かった)と「身の置き所がなくなった時は共に龍宮に攻め入って龍王になろう」と語ったという噂を元にしていて、まさに龍宮を攻めに行く様子となっています。激しい波の中に軍服を着た西郷がいて、魚にまたがっています。一方の月照も黄色い袈裟をきて何やら檄を飛ばしているように見えます。奥の方からは龍宮から押し寄せる兵士の姿もあって、想像力逞しい作品となっていました。(割と勢いのある作品で以前観たのを思い出しました。)
ということで、この辺までが第一会場となっていました。この後、病に倒れてしまうので ちょうど画業としても転換期とも言えそうです。前半は歌川国芳風の作品から激動の幕末に揉まれた血みどろ絵などが多かったように思います。ある意味、後世に名を馳せたのはこの頃のイメージが強いのかもしれません。(私としては月岡芳年の魅力はこの頃ではなく晩年ではないかと思います。) 後半は華麗に復活を遂げ、さらに円熟を増した作品が並んでいましたので、次回はそれについてご紹介の予定です。
→ 後編はこちら


【展覧名】
芳年-激動の時代を生きた鬼才浮世絵師
【公式サイト】
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=201805131526201032
【会場】練馬区立美術館
【最寄】中村橋駅
【会期】2018年08月05日(日)~ 09月24日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんがいて、場所によっては人だかりができるくらいでしたが、概ね自分のペースで観ることができました。
さて、この展示は歌川国芳の弟子で幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師 月岡芳年を取り上げたもので、西井正氣 氏のコレクションの中から前記・後期合わせて263点という非常に充実した内容となっています。デビュー作から晩年の作まで代表作・有名作が勢揃いと言った感じで、時系列に展示されていて分かりやすい構成となっています。4章+別章の構成となっていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。なお、以前ご紹介した太田記念美術館での月岡芳年展と結構似た内容ですので、そちらも参考にして頂ければと思います。
参考記事:
没後120年記念 月岡芳年 感想前編(太田記念美術館)
没後120年記念 月岡芳年 感想後編(太田記念美術館)
月岡芳年「月百姿」展(後期) (礫川浮世絵美術館)
歌川国芳-奇と笑いの木版画 (府中市美術館))
破天荒の浮世絵師 歌川国芳 前期:豪傑なる武者と妖怪 (太田記念美術館))
破天荒の浮世絵師 歌川国芳 後期:遊び心と西洋の風 感想前編(太田記念美術館)
破天荒の浮世絵師 歌川国芳 後期:遊び心と西洋の風 感想後編(太田記念美術館)
奇想の絵師歌川国芳の門下展 (礫川浮世絵美術館)
没後150年 歌川国芳展 -幕末の奇才浮世絵師- 前期 感想前編(森アーツセンターギャラリー)
没後150年 歌川国芳展 -幕末の奇才浮世絵師- 前期 感想後編(森アーツセンターギャラリー)
没後150年 歌川国芳展 -幕末の奇才浮世絵師- 後期 感想前編(森アーツセンターギャラリー)
没後150年 歌川国芳展 -幕末の奇才浮世絵師- 後期 感想後編(森アーツセンターギャラリー)
浮世絵猫百景-国芳一門ネコづくし- 前期 感想前編(太田記念美術館)
浮世絵猫百景-国芳一門ネコづくし- 前期 感想後編(太田記念美術館)
浮世絵猫百景-国芳一門ネコづくし- 後期 感想前編(太田記念美術館)
浮世絵猫百景-国芳一門ネコづくし- 後期 感想後編(太田記念美術館)
<第一章 国芳譲りのスペクタクル、江戸のケレン 嘉永6年~慶応元年(1853~65)>
まずはデビュー作から江戸の終わり頃までのコーナーです。月岡芳年は1839年に江戸で生まれ、12歳で歌川国芳に入門しました。若い頃は師匠譲りのドラマチックな作品が多いそうで、武者絵を中心に美人画、戯画などを発表していたようです。ここにはそうした歌川国芳からの影響を感じる作品が並んでいました。
1 月岡芳年 「文治元年平家の一門亡海中落入る図」
こちらは15歳の頃のデビュー作で、壇ノ浦の戦いを描いた3枚続きの大画面となっています。画面中央には碇縄を体に巻き付けて海へと飛び込む平知盛、その下には平家蟹らしき蟹が無数にひしめいています。背景には青と黒の縞模様の渦のようなものがあり、暗く冷たい印象を受けます。右には二位尼公や安徳天皇の姿もあり、この戦いで亡くなった平家たちとなっています。まだ全体的に硬い描写のようにも思えますが、これが15歳とは思えないほどです。デビュー作で3枚続きというのは異例のことなので、スポンサーがいたのではないかとのことでした。いずれにせよデビュー作から大物感溢れるルーキーだったのは間違い無さそうです。
9 月岡芳年 「和漢百物語 頓欲ノ婆々」
和漢百物語は1865年に出版された揃物で、現在26図が確認されているようです。日本・中国の奇譚を集めたもので、この作品では舌切雀のラストシーンが描かれています。大きなつづらの中から3つ目の怪物やお多福のような怪物が飛び出してきていて、それを見て強欲な婆さんが恐れおののいています。のけぞって顔を抑えている仕草が劇的で、感情溢れる表現です。ダイナミックな一方でちょっとユーモラスな雰囲気もあるように思えました。この辺も歌川国芳に通じる感じがします。
14 月岡芳年 「美勇水滸伝 高木午之助」
このシリーズは芝居や物語に登場するヒーロー・ヒロインを善悪を交えて描いた50枚揃いで、師匠が成し遂げた水滸伝シリーズを継ぐものとして挑戦したようです。ここでは文台のようなものに肘をついて座る大きな太刀を持った侍が描かれ、背景には口が裂けるほど大きな怨念のような怪物がニタっと笑っています。この侍は「森の三勇士」の1人らしく 古寺に肝試しに行く話となっているそうで、凛々しい姿でまったく動じていない様子となっています。一方の怪物の顔は怖さと共にちょっと可笑しくもあり、この辺にも個性を感じました。
この他にも和漢百物語や美勇水滸伝のシリーズが並んでいました。 その後は3枚続・2枚続の作品が並んでいました。題材も様々です。
26 月岡芳年 「正札附俳優手遊」
こちらは3枚続きの作品で、おもちゃ屋に並んだダルマや福助、張り子の虎、お面、猫の玩具、人形などが所狭しと描かれています。手前には母子がいて、子供が何かねだっている感じかなw 解説によると、この玩具たちの顔はみんな役者の似顔となっているようで、歌川国芳が得意とした手法を継承している感じがします。各役者の横には名前と共に吉々上とか六百両とか書かれていて、これは役者の評価と一年の給金となっているようでした。番付的な要素とカラフルな色彩が面白い作品です。
<第二章 葛藤するリアリズム 慶応2年~明治5年(1866~72)>
続いては幕末から明治初期の頃のコーナーです。月岡芳年は「血みどろ絵」の猟奇な作風にフォーカスされがちなのですが、これはこの時期に空想の武者絵ではなく上野戦争で目の当たりにした戦闘のリアリズムを追求したのが要因のようです。しかし血みどろ絵の時期はほんの一時期で、それだけで月岡芳年を評価するのは妥当ではないと思われます。月岡芳年は幕末の動乱など劇的な変化の環境にストレスを感じていたようで、明治5年(1872年)には神経の病を発症し、それ以降生活は困窮していったようです。この章はそうした時代の凄惨な画風の作品などが並んでいました。
40 月岡芳年 「英名二十八衆句 古手屋八郎兵衛」
このシリーズは兄弟子の落合芳幾と14点ずつ手がけた全28点の揃いで、歌舞伎や講談でよく知らえた刃傷沙汰を主題とした作品です。残酷な描写が多く、血みどろ絵・無残絵と称されたようで、各図には戯作者による人物の伝記や説明、芭蕉や去来の俳句などが添えられています。この古手屋八郎兵衛では墓石の上で女性の首に刀を刺す様子が描かれ、女は絶命して目を剥いています。着物が舞い上がるような勢いがあり、髪を振り乱し刀は血だらけになっているなど凄惨な殺人現場そのものといった感じです。墓石のヒビに沿って血が流れ出している様子などもリアルで、血は膠を使って赤々とした表現となっていました。これは確かにカルト的に人気になりそうな雰囲気ですね…。
この近くには英名二十八衆句が並び、全部揃っている貴重な機会となっています。作品の中には結構綺麗な字で説明が書いてあるので、古文が得意なら何となく事件の内容が分かるように思えます。斬りつけるシーンが多いので、中々凄惨な光景です。
42 月岡芳年 「英名二十八衆句 稲田九蔵新助」
こちらは上半身裸の女性が縄で逆さ吊りになっていて、それを刀で斬りつけるという猟奇かつ変質的なシーンが描かれています。アンコウを捌く様子と掛けたような詩句も添えられていて、ひたすら外道といった感じで、血滴って非常に残虐な作品です。このモデルは稲葉小僧という義賊の話のようですが、このようなことをしているという話の出典は不明のようです(えらい濡れ衣ですw) どうしてこんな絵になったのかわかりませんが、時代背景としてもこういうものが求められてたという解説を以前に読んだのを思い出しました。恐ろしい時代ですね。
近くには死体の顔の皮を剥ぐ作品とか見覚えがあるのも多々ありました。 また、落合芳幾による14点もあって 作風は月岡芳年と似ていますが、芳年のほうが動きのある犯行の瞬間と言った場面が多かったように思います。
73 月岡芳年 「魁題百撰相 駒木根八兵衛」
このシリーズは現在65点が確認されている揃物で、南北朝時代から江戸初期までの戦乱に関わった人物が詞書と共に描かれ、軍記物などに沿って歴史上の人物を紹介する体裁をとりつつ 芳年たちが目の当たりにした幕末の旧幕府軍と新政府軍の戦いの見立てになっているそうです。この駒木根八兵衛は島原の乱で総大将を撃った人物らしく、鉄砲をライフルのように構えた様子を真正面から描いています。その構図が何とも劇的で、ゴルゴ13のワンシーンのような感じすらしますw さらに目が真剣で緊張感が漲り、若いイケメンなのに歴戦の勇士といった風格がありました。なお、この絵は上野戦争で新政府軍に敗れた彰義隊になぞらえて描いているのだとか。
このシリーズも血みどろが多く、首を持っている絵が何点かありました。滴る血を舐めるようなのもあって猟奇ですw 月岡芳年は上野戦争の際には傷ついた兵士や死体を写生していたらしいので、そりゃ神経も病みますね…。
74 月岡芳年 「魁題百撰相 冷泉判官隆豊」
こちらは戦国大名の大内義隆の家臣で、謀反が起きた際に主君と共に戦死した人物です。この絵では寺の天井に自らで斬った臓物を投げつけ、謀反人を呪ったという場面が描かれていて、内臓が飛び出していて手と腹を中心に血だらけとなっています。天井を見据えて怒りの形相となっていて、恐ろしく凄惨なシーンとなっていました。内臓とかリアルさがあり一層怖い作品です。
シリーズ物のコーナーの後は3枚続の作品が並んでいました。この先は血みどろ絵はほぼありません。
63 月岡芳年 「武勇雪月花之内 五條の月」
こちらは3枚続き3点セットで、雪月花のうちの月となっています。五條の橋で弁慶と牛若丸が闘う様子が描かれ、弁慶は大きな長刀を振り回し、先端には弁慶の衣が絡みついています。さらに長刀の先には満月が浮かび、視線を誘われます。一方、牛若丸は逆のほうに鞍馬天狗などと共にひらりと交わしていて、烏天狗なども加勢に来ている様子となっていました。ダイナミックで構図が面白い作品です。
85 月岡芳年 「一魁随筆 燕人張飛」
こちらは1872年頃に出された和漢の故事や物語に出てくる人物を描いた13図から成るシリーズ物で、相当に意気込んで描いたようですが世間の評判は良くなく、生活が困窮する要因となったようです。この後に病で休養することもあって「一魁斎」の落款を用いた最後の作品となります。ここでは三国志で有名な張飛(燕の国出身)が描かれ、赤い橋の上で黒い馬に乗り、槍を持って吠えるように叫んでいる姿となっています。解説によると、これは曹操軍との戦いで「我は燕人張飛 誰か来たり勝負を決さん」と大喝しただけで百万の兵を追い返したという話を描いているそうです。その話も興味深いですが、非常に色彩が濃くなっていて、描写もより緻密になってやや西洋画的な印象を受けました。時代の流れに応じたのかもしれませんが、これがヒットしなかった要因なのかも。
91 月岡芳年 「東海道名所図会 鞠子 名物とろろ汁」
こちらはタイトルから歌川広重の東海道五十三次の牧歌的な鞠子の絵を思い出しますが、描かれているものは全く違います。とろろ汁屋さんのある通りを錦の御旗を持って行進する新政府軍が中央に大きく描かれ、威圧的な雰囲気です。庶民はそれを大名行列のように沿道で正座して見上げていて、いたたまれない気持ちになります。これは恐らく実際に見た光景なんだろうと思いますが、月岡芳年の明治政府への思いが何となく伝わってくるように思いました。
この近くには鉄道開業の様子を描いた作品などもありました。
121 月岡芳年 「隆盛龍城攻之図」
この作品は時代的には次の3章ですが、2章の最後にありました。1877年に起きた西南戦争を題材としたもので、月岡芳年はこの戦乱について多くの作品を残しています。スペクタクルやファンタジー的な要素の作品もあるようで、この作品はまさにファンタジーですw というのも、ここではかつての盟友で心中した仲である月照(西郷だけ助かった)と「身の置き所がなくなった時は共に龍宮に攻め入って龍王になろう」と語ったという噂を元にしていて、まさに龍宮を攻めに行く様子となっています。激しい波の中に軍服を着た西郷がいて、魚にまたがっています。一方の月照も黄色い袈裟をきて何やら檄を飛ばしているように見えます。奥の方からは龍宮から押し寄せる兵士の姿もあって、想像力逞しい作品となっていました。(割と勢いのある作品で以前観たのを思い出しました。)
ということで、この辺までが第一会場となっていました。この後、病に倒れてしまうので ちょうど画業としても転換期とも言えそうです。前半は歌川国芳風の作品から激動の幕末に揉まれた血みどろ絵などが多かったように思います。ある意味、後世に名を馳せたのはこの頃のイメージが強いのかもしれません。(私としては月岡芳年の魅力はこの頃ではなく晩年ではないかと思います。) 後半は華麗に復活を遂げ、さらに円熟を増した作品が並んでいましたので、次回はそれについてご紹介の予定です。
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この間の金曜日の会社帰りに、レイトショーで映画「皇帝ペンギン*ただいま*」を観てきました。この記事にはほんの少しだけネタバレが含まれていますので、ネタバレなしで観たい方はご注意ください。

【作品名】
皇帝ペンギン*ただいま*
【公式サイト】
http://penguin-tadaima.com/
【時間】
1時間30分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_③_4_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
レイトショーでも結構お客さんがいて、コウテイペンギンの人気が伺えました。
さて、この映画は2005年に作られアカデミー賞(長編ドキュメンタリー映画賞)を受賞したリュック・ジャケ監督の『皇帝ペンギン』の続編とも言える内容で、南極に住む皇帝ペンギンの生態を45日間に渡って追ったドキュメンタリーです。続編と言っても明確なストーリーがある訳ではないので、この作品だけ見ても何も問題ないですが、今回は時系列が行ったり来たりするので、前作のほうが皇帝ペンギンの生態を知る上では分かりやすいかもしれません。(前作は13ヶ月かけて撮影しているので年間通じた生態となっています) しかし今回は前作に比べて圧倒的に映像が強化されている感があり、4Kカメラやドローン、そして南極でのダイビング映像も加わり、ペンギンたちが生き生きと映し出されています。
軽くネタバレすると、今回は1組の夫婦とその子供にフォーカスし、カップルとなった頃から卵を温める様子、孵化してから夫婦で協力して育てて行く様子、そして雛たちが独り立ちするまでとなっています。皇帝ペンギンの生態は非常に興味深く、海でしか餌を取ることができないのに内陸で子育てをするグループがいます。この映画でも7000匹のペンギンが行列をなして海と内陸をよちよち歩きで行ったり来たりする様子が映されます。その様子が可愛くも過酷で、途中に難関があったりして観ていて飽きません。しかも今回はドローンを使って行列の様子を上から撮ったり、水深70m・水温-1.8度の海の中からペンギンたちを捉えた映像なんかもあって、より詳細にペンギンたちの行動を知ることができました。これどうやって撮ったんだろ??という映像が盛りだくさんです。
参考リンク:皇帝ペンギン ただいま メイキング映像
そして何より、ペンギンが可愛い!w 夫婦でダンスを覚えたり、集団でハドル(円陣)を組んで寒さに耐えたり、行列して行進したり…。非常に賢いようでちょっと抜けてるような不思議な魅力があります。子育ても保育所のようなものがあったり、複雑な社会を形成していて皇帝ペンギンの生態はかなり奥深いです。実際には常に生死が掛かっているのですが、モフモフした子供ペンギンは特に可愛いくて癒やされました。とにかくペンギン好きは観たほうが良いw
ということで、ペンギン好きとしては非常に嬉しい作品でした。この映像クオリティで前作の内容だったら最高だと思いますが、今回も十分楽しめました。可愛いくも厳しい自然を生き抜くペンギンに敬意すら感じる作品です。
おまけ:
ユナイテッドシネマで鑑賞したらエコバッグみたいなのを貰えました。

小物入れに使えそうですw

【作品名】
皇帝ペンギン*ただいま*
【公式サイト】
http://penguin-tadaima.com/
【時間】
1時間30分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_③_4_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
レイトショーでも結構お客さんがいて、コウテイペンギンの人気が伺えました。
さて、この映画は2005年に作られアカデミー賞(長編ドキュメンタリー映画賞)を受賞したリュック・ジャケ監督の『皇帝ペンギン』の続編とも言える内容で、南極に住む皇帝ペンギンの生態を45日間に渡って追ったドキュメンタリーです。続編と言っても明確なストーリーがある訳ではないので、この作品だけ見ても何も問題ないですが、今回は時系列が行ったり来たりするので、前作のほうが皇帝ペンギンの生態を知る上では分かりやすいかもしれません。(前作は13ヶ月かけて撮影しているので年間通じた生態となっています) しかし今回は前作に比べて圧倒的に映像が強化されている感があり、4Kカメラやドローン、そして南極でのダイビング映像も加わり、ペンギンたちが生き生きと映し出されています。
軽くネタバレすると、今回は1組の夫婦とその子供にフォーカスし、カップルとなった頃から卵を温める様子、孵化してから夫婦で協力して育てて行く様子、そして雛たちが独り立ちするまでとなっています。皇帝ペンギンの生態は非常に興味深く、海でしか餌を取ることができないのに内陸で子育てをするグループがいます。この映画でも7000匹のペンギンが行列をなして海と内陸をよちよち歩きで行ったり来たりする様子が映されます。その様子が可愛くも過酷で、途中に難関があったりして観ていて飽きません。しかも今回はドローンを使って行列の様子を上から撮ったり、水深70m・水温-1.8度の海の中からペンギンたちを捉えた映像なんかもあって、より詳細にペンギンたちの行動を知ることができました。これどうやって撮ったんだろ??という映像が盛りだくさんです。
参考リンク:皇帝ペンギン ただいま メイキング映像
そして何より、ペンギンが可愛い!w 夫婦でダンスを覚えたり、集団でハドル(円陣)を組んで寒さに耐えたり、行列して行進したり…。非常に賢いようでちょっと抜けてるような不思議な魅力があります。子育ても保育所のようなものがあったり、複雑な社会を形成していて皇帝ペンギンの生態はかなり奥深いです。実際には常に生死が掛かっているのですが、モフモフした子供ペンギンは特に可愛いくて癒やされました。とにかくペンギン好きは観たほうが良いw
ということで、ペンギン好きとしては非常に嬉しい作品でした。この映像クオリティで前作の内容だったら最高だと思いますが、今回も十分楽しめました。可愛いくも厳しい自然を生き抜くペンギンに敬意すら感じる作品です。
おまけ:
ユナイテッドシネマで鑑賞したらエコバッグみたいなのを貰えました。

小物入れに使えそうですw
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今日も写真多めです。前回に引き続きサンシャイン水族館の常設について写真でご紹介していこうと思います。まずは概要のおさらいです。
前編はこちら
【公式サイト】
http://www.sunshinecity.co.jp/aquarium/
【施設名】サンシャイン水族館
【最寄】東池袋駅、東池袋四丁目駅、池袋駅
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【感想】
後半は前半に比べると空いている感じがしたかな。特に天空の旅のコーナーは比較的ゆっくり観ることができました。
前回は1階の展示についてでしたが、今日は2階とリニューアルされたマリンガーデンについてです。
参考記事:サンシャイン水族館の案内 (2011年11月)
<水辺の旅>
2階は主に淡水生物のコーナーですが、後半には再びサンゴ礁の生き物たちもいました。
こちらはアマゾン川の魚たち

蛍光色のような青と赤い腹が目に鮮やかです。キラキラ輝いて美しい魚でした。
こちらはアフリカの川。乾季は細い流れ、雨季は濁流となる過酷な環境です。

それでもこれだけ沢山の種類の魚がいるようです。ちょっと見かけない形の魚なんかもいました。
こちらはマングローブの森。ヤエヤマヒルギという水中植物の根が魚たちの住処になっているようです。

この写真でも木の根あたりに小さな魚たちが群がっていました。生態系の中心といった感じ。
こちらは両生類のコーナーにいたモウドクフキヤガエル

名前の通り猛毒があるようで、吹き矢という名前が何か飛ばしてきそう。派手な色のカエルは高確率で強烈な毒を持っている危険性がありますね。
こちらは爬虫類のコーナー

周囲に溶け込むような色のトカゲがじっと木に止まっていました。中々精悍な顔をしています。
こちらもトカゲ(名称失念…) ちょっとグロテスクw

こちらもじっとして動きませんでしたが、存在感と迫力がありました。
この辺にはカメなどもいました。
こちらはバイカル湖に住むバイカルアザラシ。

2頭いて、オスがレオ、メスがラムというそうです。ちょっと見分けがつきませんでしたが見かけによらずスイスイと軽やかに泳いでいました。淡水のアザラシは珍しいようで、浮力が小さい淡水の中で十分な浮力を得るために皮下脂肪を多く蓄えているそうです。丸い体型にも理由があるんですね。
この後は再び海水のサンゴ礁のコーナーで、沖縄の海やカリブの海の生き物たちなどが並んでいます。
こちらはグレートバリアリーフの水槽。

青い魚たちが目を引きます。如何にもサンゴ礁らしい美しさです。
こちらも青い魚(これも名前失念…)

黄色のヒレもついて変わった模様をしています。これもどうしてこういう色と模様なのか興味がわきましたがわかりませんでした。
こちらはカクレクマノミ。近くにいた人々が口々にニモだと言ってましたw

背景に写っているイソギンチャクが大事な住処で、これに守られながら育つようです。
この先はグッズショップになっていました。人気の生き物たちのグッズが盛りだくさんで、ペンギンのTシャツを買おうとしたらサイズが合うのが欠品でしたw 結局何も買わず仕舞いになってしまったけど、ペンギンの抱きまくらでも良かったかな…
<天空の旅>
最後は今回のリニューアルの目玉となるペンギンのコーナーのある天空の旅のコーナーです。
頭上にガラスの水路があってアシカ?がすい~っと移動していました。

下から眺めるというのが斬新な印象を受けます。背景にはビルも見えてるしw
こちらはコツメカワウソのラジャ(オス)とマハロ(メス)。

仲良く寛いでいて何とも可愛い。コツメカワウソも人気者で、多くの人が集まっていました。
こちらはケープペンギン。南アフリカのケープタウンに住むペンギンです。

ペンギンは寒い所に住むイメージですが、この日は真夏のような日差しの中でもじっとしていました。
そしてこちらがリニューアルして見所の1つとなった天空のペンギンのコーナー。

外の風景が見えるような横幅12mの水槽となっています。手前の部分は下から見上げるように鑑賞することもできます。
まるで普通の鳥のように飛ぶように泳いでいきます。

背景がイマイチですが、ビルの間を飛んでいるような不思議な感覚です。
下から眺めるという面白い構図となっています。

ずっと観ているとペンギンの泳ぎ方もよく分かりますw
青空を背景に泳ぐ様子がまさに天空のペンギン。

シュルレアリスムの絵画のように現実を超えたような光景が広がっています。これを観られただけでも満足です。
最後にペンギンのアップ。

頭上の間近をゆったり泳いでいく様子は夏でも涼を感じることができました。
ということで、リニューアルしたサンシャイン水族館を楽しんできました。ペンギンのコーナーが目当てだったので、期待通りで満足でした。特に青空が広がる晴れの日に観られたのが良かったです。コツメカワウソやバイカルアザラシなど可愛い生き物も沢山いるので、動物や魚が好きな方は是非チェックしてみてください。
前編はこちら
【公式サイト】
http://www.sunshinecity.co.jp/aquarium/
【施設名】サンシャイン水族館
【最寄】東池袋駅、東池袋四丁目駅、池袋駅
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【感想】
後半は前半に比べると空いている感じがしたかな。特に天空の旅のコーナーは比較的ゆっくり観ることができました。
前回は1階の展示についてでしたが、今日は2階とリニューアルされたマリンガーデンについてです。
参考記事:サンシャイン水族館の案内 (2011年11月)
<水辺の旅>
2階は主に淡水生物のコーナーですが、後半には再びサンゴ礁の生き物たちもいました。
こちらはアマゾン川の魚たち

蛍光色のような青と赤い腹が目に鮮やかです。キラキラ輝いて美しい魚でした。
こちらはアフリカの川。乾季は細い流れ、雨季は濁流となる過酷な環境です。

それでもこれだけ沢山の種類の魚がいるようです。ちょっと見かけない形の魚なんかもいました。
こちらはマングローブの森。ヤエヤマヒルギという水中植物の根が魚たちの住処になっているようです。

この写真でも木の根あたりに小さな魚たちが群がっていました。生態系の中心といった感じ。
こちらは両生類のコーナーにいたモウドクフキヤガエル

名前の通り猛毒があるようで、吹き矢という名前が何か飛ばしてきそう。派手な色のカエルは高確率で強烈な毒を持っている危険性がありますね。
こちらは爬虫類のコーナー

周囲に溶け込むような色のトカゲがじっと木に止まっていました。中々精悍な顔をしています。
こちらもトカゲ(名称失念…) ちょっとグロテスクw

こちらもじっとして動きませんでしたが、存在感と迫力がありました。
この辺にはカメなどもいました。
こちらはバイカル湖に住むバイカルアザラシ。

2頭いて、オスがレオ、メスがラムというそうです。ちょっと見分けがつきませんでしたが見かけによらずスイスイと軽やかに泳いでいました。淡水のアザラシは珍しいようで、浮力が小さい淡水の中で十分な浮力を得るために皮下脂肪を多く蓄えているそうです。丸い体型にも理由があるんですね。
この後は再び海水のサンゴ礁のコーナーで、沖縄の海やカリブの海の生き物たちなどが並んでいます。
こちらはグレートバリアリーフの水槽。

青い魚たちが目を引きます。如何にもサンゴ礁らしい美しさです。
こちらも青い魚(これも名前失念…)

黄色のヒレもついて変わった模様をしています。これもどうしてこういう色と模様なのか興味がわきましたがわかりませんでした。
こちらはカクレクマノミ。近くにいた人々が口々にニモだと言ってましたw

背景に写っているイソギンチャクが大事な住処で、これに守られながら育つようです。
この先はグッズショップになっていました。人気の生き物たちのグッズが盛りだくさんで、ペンギンのTシャツを買おうとしたらサイズが合うのが欠品でしたw 結局何も買わず仕舞いになってしまったけど、ペンギンの抱きまくらでも良かったかな…
<天空の旅>
最後は今回のリニューアルの目玉となるペンギンのコーナーのある天空の旅のコーナーです。
頭上にガラスの水路があってアシカ?がすい~っと移動していました。

下から眺めるというのが斬新な印象を受けます。背景にはビルも見えてるしw
こちらはコツメカワウソのラジャ(オス)とマハロ(メス)。

仲良く寛いでいて何とも可愛い。コツメカワウソも人気者で、多くの人が集まっていました。
こちらはケープペンギン。南アフリカのケープタウンに住むペンギンです。

ペンギンは寒い所に住むイメージですが、この日は真夏のような日差しの中でもじっとしていました。
そしてこちらがリニューアルして見所の1つとなった天空のペンギンのコーナー。

外の風景が見えるような横幅12mの水槽となっています。手前の部分は下から見上げるように鑑賞することもできます。
まるで普通の鳥のように飛ぶように泳いでいきます。

背景がイマイチですが、ビルの間を飛んでいるような不思議な感覚です。
下から眺めるという面白い構図となっています。

ずっと観ているとペンギンの泳ぎ方もよく分かりますw
青空を背景に泳ぐ様子がまさに天空のペンギン。

シュルレアリスムの絵画のように現実を超えたような光景が広がっています。これを観られただけでも満足です。
最後にペンギンのアップ。

頭上の間近をゆったり泳いでいく様子は夏でも涼を感じることができました。
ということで、リニューアルしたサンシャイン水族館を楽しんできました。ペンギンのコーナーが目当てだったので、期待通りで満足でした。特に青空が広がる晴れの日に観られたのが良かったです。コツメカワウソやバイカルアザラシなど可愛い生き物も沢山いるので、動物や魚が好きな方は是非チェックしてみてください。
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今日は写真多めです。前回ご紹介したサンシャイン水族館の企画展を観た後、昨年リニューアルされたサンシャイン水族館の本館も観てきました。撮影可能で多めに撮ってきましたので、前編・後編に分けて写真を使ってご紹介してまいります。
【公式サイト】
http://www.sunshinecity.co.jp/aquarium/
【施設名】サンシャイン水族館
【最寄】東池袋駅、東池袋四丁目駅、池袋駅
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【感想】
エレベーターに15分程度並んで、チケットに5分くらい並んだかな。中も混んでいて水槽の前には人だかりができるような感じでした。
さて、この水族館は以前もご紹介しましたが、2017年7月12日に再びリニューアルオープンしたようなので改めて観に行きました。大きく分けて3つのコーナーで構成されていましたので、今日は1階についてご紹介していこうと思います。
参考記事:サンシャイン水族館の案内 (2011年11月)
<大海の旅>
まずは水族館の一番の見所とも言える海の生物が集まるコーナーとなっていました。
こちらはサンゴ礁の水槽

カラフルな小さい魚が舞っていて可憐な雰囲気です。混んでて撮れませんでしたが人気のチンアナゴもいました。
この棚になっているサンゴは沖縄県恩納村から預かっているもの

以前と比べるとサンゴが大きくなってるような気がします。ちょっとずつ成長しているのかな?
こちらはイワシの群れの水槽

ぐるぐる回って躍動感があります。まるで群れが1つの生き物みたい。
こちらは東京湾の魚たちのコーナー。

意外と色んな種類の魚がいて、豊かな生態系となっているようです。
こちらは熱帯に住むニシキテグリという魚。

カラフルで鶏冠のような頭が目を引きました。
こちらはウィーディーシードラゴン。オーストラリアの魚です。

ゆら~っと漂うように泳いでいて非常に不思議な生き物です。しばらく観ていても飽きないかもw
こちらは海の洞窟を模したコーナー。

あちこちに花のような生き物(イソギンチャク?)がいて幻想的な光景となっています。
打って変わってこちらは冷たい海のコーナー。深海のような雰囲気です。

巨大なカニが目を引きます。たまにゆっくり動くけど中々動きませんでしたw
こちらはダイオウグソクムシ! 思った以上に大きいですw

飢餓に強くて5年以上何も食べないでも生きていたという記録もあるそうです。深海に潜んで死骸などを食べるのでそういう生態なのかも。
こちらはクリオネ。日本ではハダカカメガイという和名があるそうです。

暗い中を高速で動くのでブレてしまいました。半透明で流氷の天使なんてあだ名もあって綺麗ですが、巻き貝の一種で中々エグい捕食をするのでも有名です。
こちらは一番大きいサンシャインラグーンという水槽。

画面の真ん中に大きなエイが見えています。他にも大きくて大人しいサメなんかもいました。
こちらもサンシャインラグーン。たまにダイバーとお姉さんによるショーなんかもあります。

広々とした水槽の中を無数の熱帯魚達が泳いでいます。
先程のエイのアップ。

ヒョウ柄なので多分ヒョウモンオトメエイだと思います。手前にはウツボの姿もw
こちらにも魚群がいました。

輝きながら動く様子は壮観です。
この辺りには以前、ラッコがいてサンシャイン水族館と言えばラッコ!という感じだったのですが、2016年2月29日をもって展示を終了し、鳥羽水族館に引っ越したようです。ラッコはこの先 日本で観られる機会が減りそうですね…。非常に残念ですが、ラッコの為でもあります。
参考リンク:ラッコの展示終了について
こちらはクラゲのコーナー。

海で出会うと厄介な生物ですが、水槽で観る分には非常に幻想的で癒やされます。クラゲは結構大きいですがプランクトンに分類されるのだとか
1階の最後付近にはマンボウもいました。

眼の前を悠然と泳いでいく様子は中々見ごたえがあります。マンボウは直進しかできないなんて噂もありますが、それは誤解でちゃんとターンします。でもデリケートなのは間違いないようです。
ということで、久々にサンシャイン水族館を楽しんできました。1階はラッコがいなくなった以外は大きく変わった感じはしなかったかな。休日は混み過ぎて神秘に浸る感じではないですが、面白い生態を目の当たりにできました。後半はリニューアルして見所が増えていましたので、次回はそれについてご紹介する予定です。
→ 後編はこちら
【公式サイト】
http://www.sunshinecity.co.jp/aquarium/
【施設名】サンシャイン水族館
【最寄】東池袋駅、東池袋四丁目駅、池袋駅
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【感想】
エレベーターに15分程度並んで、チケットに5分くらい並んだかな。中も混んでいて水槽の前には人だかりができるような感じでした。
さて、この水族館は以前もご紹介しましたが、2017年7月12日に再びリニューアルオープンしたようなので改めて観に行きました。大きく分けて3つのコーナーで構成されていましたので、今日は1階についてご紹介していこうと思います。
参考記事:サンシャイン水族館の案内 (2011年11月)
<大海の旅>
まずは水族館の一番の見所とも言える海の生物が集まるコーナーとなっていました。
こちらはサンゴ礁の水槽

カラフルな小さい魚が舞っていて可憐な雰囲気です。混んでて撮れませんでしたが人気のチンアナゴもいました。
この棚になっているサンゴは沖縄県恩納村から預かっているもの

以前と比べるとサンゴが大きくなってるような気がします。ちょっとずつ成長しているのかな?
こちらはイワシの群れの水槽

ぐるぐる回って躍動感があります。まるで群れが1つの生き物みたい。
こちらは東京湾の魚たちのコーナー。

意外と色んな種類の魚がいて、豊かな生態系となっているようです。
こちらは熱帯に住むニシキテグリという魚。

カラフルで鶏冠のような頭が目を引きました。
こちらはウィーディーシードラゴン。オーストラリアの魚です。

ゆら~っと漂うように泳いでいて非常に不思議な生き物です。しばらく観ていても飽きないかもw
こちらは海の洞窟を模したコーナー。

あちこちに花のような生き物(イソギンチャク?)がいて幻想的な光景となっています。
打って変わってこちらは冷たい海のコーナー。深海のような雰囲気です。

巨大なカニが目を引きます。たまにゆっくり動くけど中々動きませんでしたw
こちらはダイオウグソクムシ! 思った以上に大きいですw

飢餓に強くて5年以上何も食べないでも生きていたという記録もあるそうです。深海に潜んで死骸などを食べるのでそういう生態なのかも。
こちらはクリオネ。日本ではハダカカメガイという和名があるそうです。

暗い中を高速で動くのでブレてしまいました。半透明で流氷の天使なんてあだ名もあって綺麗ですが、巻き貝の一種で中々エグい捕食をするのでも有名です。
こちらは一番大きいサンシャインラグーンという水槽。

画面の真ん中に大きなエイが見えています。他にも大きくて大人しいサメなんかもいました。
こちらもサンシャインラグーン。たまにダイバーとお姉さんによるショーなんかもあります。

広々とした水槽の中を無数の熱帯魚達が泳いでいます。
先程のエイのアップ。

ヒョウ柄なので多分ヒョウモンオトメエイだと思います。手前にはウツボの姿もw
こちらにも魚群がいました。

輝きながら動く様子は壮観です。
この辺りには以前、ラッコがいてサンシャイン水族館と言えばラッコ!という感じだったのですが、2016年2月29日をもって展示を終了し、鳥羽水族館に引っ越したようです。ラッコはこの先 日本で観られる機会が減りそうですね…。非常に残念ですが、ラッコの為でもあります。
参考リンク:ラッコの展示終了について
こちらはクラゲのコーナー。


海で出会うと厄介な生物ですが、水槽で観る分には非常に幻想的で癒やされます。クラゲは結構大きいですがプランクトンに分類されるのだとか
1階の最後付近にはマンボウもいました。

眼の前を悠然と泳いでいく様子は中々見ごたえがあります。マンボウは直進しかできないなんて噂もありますが、それは誤解でちゃんとターンします。でもデリケートなのは間違いないようです。
ということで、久々にサンシャイン水族館を楽しんできました。1階はラッコがいなくなった以外は大きく変わった感じはしなかったかな。休日は混み過ぎて神秘に浸る感じではないですが、面白い生態を目の当たりにできました。後半はリニューアルして見所が増えていましたので、次回はそれについてご紹介する予定です。
→ 後編はこちら
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今日は写真多めです。この間の土曜日に池袋のサンシャイン水族館で特別展「化ケモノ展」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
化ケモノ展
【公式サイト】
http://www.sunshinecity.co.jp/campaign/cp/bakemonoten/
【会場】サンシャイン水族館 特別展会場
【最寄】東池袋駅、東池袋四丁目駅、池袋駅
【会期】2018年6月28日(木)~11月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_4_⑤_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんがいて、会場が狭めのこともあって混雑感がありましたが、少し待てばじっくり観られる感じでした。
さて、この展示は「化ケモノ」というタイトルになっていますが、お化けではなく生物の「擬態」をテーマにした展示となっています。擬態は大きく分けて3つのタイプがあり、
ペッカム型擬態:だまして食べる 待ち伏せ型の擬態
ベイツ型擬態:強いものに化けて回避する 虎の威を借りる擬態
隠蔽型擬態:周囲の風景に溶け込みやりすごす カムフラージュの擬態
となっているようです。この展示では各ケースにその解説と共に擬態の上手さに応じて、サンシャイン水族館が認定した擬態レベルが設定されていて
Lv.5 神 よく見ても分からない
Lv.4 達人 よく見ないと分からない
Lv.3 名人 近づくと分かる
Lv.2 プロ 似ている
Lv.1 アマチュア 似せようとしている
となっていました。詳しくは写真と共にご紹介していこうと思います。
まずはこちらの水槽。早速、達人ランクのペッカム型擬態(待ち伏せ型)をしています

何処だか分かりますか? 達人レベルでもこの難易度ですw
答えは端っこにいるこちらの生き物。

イロカエルアンコウという海綿や岩に擬態する生き物で、頭にはエスカ(疑似餌)という器官があって小魚をおびき寄せるのだとか。2重の罠ぶりが凄い。
こちらもペッカム型擬態(待ち伏せ型)です。枯れ葉に紛れているカマキリがいます。

この虫はマルムネカレハカマキリ(の標本)で、熱帯雨林の木の上で近づく生き物を捕まえているそうです。攻撃型の擬態ですね。
こちらの水槽には2種類の生き物が入っているようなのですが、写真で見ても全く同じフグに見えます。

これはノコギリハギという魚で、シマキンチャクフグにベイツ型擬態(虎の威を借りる擬態)をしています。毒があると思わせることで捕食者から襲われないようにしているようです。背鰭と臀鰭の大きさが違うようですが、少なくとも泳いでいる姿は見分けが付きません。まさに神ランクの擬態。
こちらは標本ですが2種類の生物がいます。これもかなり見極めが難しいベイツ型擬態(虎の威を借りる擬態)です。

一方はクビアカスカシバという蛾の仲間で、有毒の蜂に擬態しています。よ~く見れば違いがあるのですが、これも動いていたら見分けはつかなそうでした。
こちらは今回のポスターにもなっているアフリカオオコノハズク。名人ランクの隠蔽型擬態(カムフラージュ)です。

これは擬態していない時のようですが、身を細くすると木の枝のようになるようです。逆に羽を広げて相手を威嚇することもあるのだとか。まだこれなら見つけられそうw
こちらはペッカム型(待ち伏せ型)のハナカマキリ。達人ランクの擬態だけあって探すのが難しいw

この写真の右下の花の上に乗っかってる白いのがハナカマキリです。と、言われても分かりづらいかもしれませんねw
こちらはペッカム型(待ち伏せ型)と隠蔽型擬態(カムフラージュ)の複合型のミツヅノコノハガエル。達人ランクです。

この中にいるのですが、目に入っても分からない擬態ぶりです。
答えはこちら。よく観るとちゃんとカエルの形をしています。

場所によっては完全に枯れ葉に見えるんじゃないかな。
こちらはヘラオヤモリの仲間の一種で、隠蔽型擬態(カムフラージュ)の神ランクです。

これはアップで撮ったので分かりやすくなっていますが、実際に見た時はどこにいるのか分からず結構探しましたw
こちらはヒラメ。ペッカム型(待ち伏せ型)と隠蔽型擬態(カムフラージュ)の複合型です。

右のは結構難しいですが、今まで観てきた中では見つけやすいほうですねw 名人ランク止まりでした。
こちらはナンヨウツバメウオ。隠蔽型擬態(カムフラージュ)の名人ランクです。

泳ぎ方もゆらゆらしていて枯れ葉が水中を漂っているような感じです。虫食いの穴みたいな模様もあって面白い。
こちらはペッカム型(待ち伏せ型)の神ランクのオニダルマオコゼ

眼の前にいても全くわかりませんw 岩そのものとしか思えませんでした。
こちらは達人ランクのベイツ型擬態(虎の威を借りる擬態) どう見てもウミヘビですw

その名もシマウミヘビ。しかし実は魚類の鰻の仲間で毒はありません。猛毒を持つウミヘビの仲間(エラブウミヘビ)などは白黒のストライプが特徴なので、かなり上手く化けてます。これを見かけたら本当にウミヘビかもしれないので逃げてください。素人には見分けはつきません。
最後の辺りは番外編として変わり種の生物を紹介していました。
こちらにはクギベラのオスとメス、スミレナガハナダイのオスとメスが入っていますが、この魚は驚きの生態があるようです。

何と、こうした魚は全てメスで生まれてきて、体が大きい個体のみがオスになるのだとか。擬態とは違った本当の化けっぷりですね。
他にも幼年期だけ化けるクロスズメダイなども紹介されていました。闘争を避ける為の戦略なのだとか。
こちらはウミヅキチョウチョウウオ

本当に蝶のようですが、この黒い円が目玉のようで他の魚を威嚇しているようです。
最後に、進化による擬態ということでヨツユビハリネズミとタワシw

言うほど似てないですねw 最後はちょっとジョークみたいで可笑しかったです。
ということで、驚きの擬態の数々を目の当たりにすることができました。特に達人ランク・神ランクに認定された生き物の擬態ぶりは特筆ものです。その驚きを撮影することもできますので、不思議な生き物が好きな方は是非チェックしてみてください。点数は多くありませんが予想以上に面白い内容の展示です。


【展覧名】
化ケモノ展
【公式サイト】
http://www.sunshinecity.co.jp/campaign/cp/bakemonoten/
【会場】サンシャイン水族館 特別展会場
【最寄】東池袋駅、東池袋四丁目駅、池袋駅
【会期】2018年6月28日(木)~11月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_4_⑤_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんがいて、会場が狭めのこともあって混雑感がありましたが、少し待てばじっくり観られる感じでした。
さて、この展示は「化ケモノ」というタイトルになっていますが、お化けではなく生物の「擬態」をテーマにした展示となっています。擬態は大きく分けて3つのタイプがあり、
ペッカム型擬態:だまして食べる 待ち伏せ型の擬態
ベイツ型擬態:強いものに化けて回避する 虎の威を借りる擬態
隠蔽型擬態:周囲の風景に溶け込みやりすごす カムフラージュの擬態
となっているようです。この展示では各ケースにその解説と共に擬態の上手さに応じて、サンシャイン水族館が認定した擬態レベルが設定されていて
Lv.5 神 よく見ても分からない
Lv.4 達人 よく見ないと分からない
Lv.3 名人 近づくと分かる
Lv.2 プロ 似ている
Lv.1 アマチュア 似せようとしている
となっていました。詳しくは写真と共にご紹介していこうと思います。
まずはこちらの水槽。早速、達人ランクのペッカム型擬態(待ち伏せ型)をしています

何処だか分かりますか? 達人レベルでもこの難易度ですw
答えは端っこにいるこちらの生き物。

イロカエルアンコウという海綿や岩に擬態する生き物で、頭にはエスカ(疑似餌)という器官があって小魚をおびき寄せるのだとか。2重の罠ぶりが凄い。
こちらもペッカム型擬態(待ち伏せ型)です。枯れ葉に紛れているカマキリがいます。

この虫はマルムネカレハカマキリ(の標本)で、熱帯雨林の木の上で近づく生き物を捕まえているそうです。攻撃型の擬態ですね。
こちらの水槽には2種類の生き物が入っているようなのですが、写真で見ても全く同じフグに見えます。

これはノコギリハギという魚で、シマキンチャクフグにベイツ型擬態(虎の威を借りる擬態)をしています。毒があると思わせることで捕食者から襲われないようにしているようです。背鰭と臀鰭の大きさが違うようですが、少なくとも泳いでいる姿は見分けが付きません。まさに神ランクの擬態。
こちらは標本ですが2種類の生物がいます。これもかなり見極めが難しいベイツ型擬態(虎の威を借りる擬態)です。

一方はクビアカスカシバという蛾の仲間で、有毒の蜂に擬態しています。よ~く見れば違いがあるのですが、これも動いていたら見分けはつかなそうでした。
こちらは今回のポスターにもなっているアフリカオオコノハズク。名人ランクの隠蔽型擬態(カムフラージュ)です。

これは擬態していない時のようですが、身を細くすると木の枝のようになるようです。逆に羽を広げて相手を威嚇することもあるのだとか。まだこれなら見つけられそうw
こちらはペッカム型(待ち伏せ型)のハナカマキリ。達人ランクの擬態だけあって探すのが難しいw

この写真の右下の花の上に乗っかってる白いのがハナカマキリです。と、言われても分かりづらいかもしれませんねw
こちらはペッカム型(待ち伏せ型)と隠蔽型擬態(カムフラージュ)の複合型のミツヅノコノハガエル。達人ランクです。

この中にいるのですが、目に入っても分からない擬態ぶりです。
答えはこちら。よく観るとちゃんとカエルの形をしています。

場所によっては完全に枯れ葉に見えるんじゃないかな。
こちらはヘラオヤモリの仲間の一種で、隠蔽型擬態(カムフラージュ)の神ランクです。

これはアップで撮ったので分かりやすくなっていますが、実際に見た時はどこにいるのか分からず結構探しましたw
こちらはヒラメ。ペッカム型(待ち伏せ型)と隠蔽型擬態(カムフラージュ)の複合型です。

右のは結構難しいですが、今まで観てきた中では見つけやすいほうですねw 名人ランク止まりでした。
こちらはナンヨウツバメウオ。隠蔽型擬態(カムフラージュ)の名人ランクです。

泳ぎ方もゆらゆらしていて枯れ葉が水中を漂っているような感じです。虫食いの穴みたいな模様もあって面白い。
こちらはペッカム型(待ち伏せ型)の神ランクのオニダルマオコゼ

眼の前にいても全くわかりませんw 岩そのものとしか思えませんでした。
こちらは達人ランクのベイツ型擬態(虎の威を借りる擬態) どう見てもウミヘビですw

その名もシマウミヘビ。しかし実は魚類の鰻の仲間で毒はありません。猛毒を持つウミヘビの仲間(エラブウミヘビ)などは白黒のストライプが特徴なので、かなり上手く化けてます。これを見かけたら本当にウミヘビかもしれないので逃げてください。素人には見分けはつきません。
最後の辺りは番外編として変わり種の生物を紹介していました。
こちらにはクギベラのオスとメス、スミレナガハナダイのオスとメスが入っていますが、この魚は驚きの生態があるようです。

何と、こうした魚は全てメスで生まれてきて、体が大きい個体のみがオスになるのだとか。擬態とは違った本当の化けっぷりですね。
他にも幼年期だけ化けるクロスズメダイなども紹介されていました。闘争を避ける為の戦略なのだとか。
こちらはウミヅキチョウチョウウオ

本当に蝶のようですが、この黒い円が目玉のようで他の魚を威嚇しているようです。
最後に、進化による擬態ということでヨツユビハリネズミとタワシw

言うほど似てないですねw 最後はちょっとジョークみたいで可笑しかったです。
ということで、驚きの擬態の数々を目の当たりにすることができました。特に達人ランク・神ランクに認定された生き物の擬態ぶりは特筆ものです。その驚きを撮影することもできますので、不思議な生き物が好きな方は是非チェックしてみてください。点数は多くありませんが予想以上に面白い内容の展示です。
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10日ほど前の土曜日に東京都写真美術館で「マジック・ランタン 光と影の映像史」を観てきました。

【展覧名】
マジック・ランタン 光と影の映像史
【公式サイト】
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3083.html
【会場】東京都写真美術館
【最寄】恵比寿駅
【会期】2018年8月14日(火)~10月14日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、今回の展示は映画やスライドショー、最近ではプロジェクションマッピングなどの原点である「マジック・ランタン」についての展示です。マジック・ランタンは17世紀半ばにオランダの数学者・物理学者であるクリスティアーン・ホイヘンスによる発明と考えられているそうで、装置に不可欠な部品を含めて原理を説明したそうです。その後ヨーロッパ中に伝播し18世紀後半には「ファンタスマゴリア」と呼ばれる幽霊ショーに用いられ、パリで人気を博したようです。展覧会はそうした歴史を含めて5つの章で構成されていましたので、各章ごとにごく簡単に振り返ってみようと思います。
まず入口にマジック・ランタンの実物大の模型があり、こちらだけ撮影可能となっていました。

光を透過させて影絵のように投影するのは映画のフィルムと同じと言えそうです。実際に触って動かすこともできました。
こちらは割とよく観る仕掛けかな。回転させてスリットの部分から中を覗き込むとアニメのように動いて見えます。

映像やアニメの仕組みもコマ送りなので、これも原理的には現代と同じですね。
<1.マジック・ランタンの誕生>
展覧会場に入るとまずはマジック・ランタンの誕生についてのコーナーとなっていました。ここは大きく分けて「誕生からファンタスマゴリアまで」「影絵の時代」という項になっています。
冒頭にはアタナシウス・キルヒャーという人物が1671年に記した「光と影の大いなる術」という版画がありました。これはマジック・ランタンの詳細な図解となっていて、当時すでに原理が確立されていた様子が伺えます。 その後は1830~50年頃の映写機とスライドが並んでいます。これらは骸骨などが写っていて、前述のファンタスマゴリアというホラーショーでよく使われたもののようです。マジックという名前が付いているだけあって魔術のように思われていたのかな。
その後は影絵のコーナーで、ヨーロッパで影絵を行っていた様子が絵によって紹介されています。「中国の影絵」というタイトルになっているので、影絵は中国から伝わったのかも(中国は紀元前の漢時代の頃には既にあったそうです) 演目自体は西洋風なのでヨーロッパでも親しまれていた様子が伺えました。
<2.マジック・ランタンの流行>
続いての2章は流行期のコーナーで、「科学の眼」「興行」「家庭のあそび」という3項に分かれていました。
19世紀には家庭用のマジック・ランタンも開発されて身近になったようで、場面の切り替えもスムーズな機構も生まれたようです。また、用途もホラーショーだけでなく細分化されたようで、ここには様々なマジック・ランタンが並んでいました。2つ映写用のレンズが付いたものや、これまでのマジック・ランタンより小さいサイズのもの、建物のような形のデザイン的に洗練されたものなど、確かに多様な品があり、こういう進化は現代のデジタル家電でも観られる気がします。普仏戦争の際には文書を伝書鳩に運ばせてマジック・ランタンで拡大してニュースを得ていたエピソードなんかもあり、社会的にも重要になっていったようです。他にもコミック的なスライドなんかもあって、表現の幅の広がりも感じられました。
<3.日本のマジック・ランタン>
日本にもマジック・ランタンは2回伝わったそうで、「最初の渡来」と「二度目の渡来」の2つの項でそれぞれ紹介されていました。
1度目は江戸時代の18世紀後半で、オランダ経由で江戸と上方に伝わったそうで、江戸では写し絵 上方では錦影絵と呼ばれて発展したようです。 ここには当時のランタンとスライドも展示されてて「だるまの夜這い」という演目なんかもあって、その頃からお色気コンテンツがあったのかと苦笑いw いずれも木で出来ているので素朴な感じがします。
2度目の渡来は明治時代の1870年代に手嶋精一によってもたらされ、「幻燈」という名で広まりました。各府県の師範学校に配られたらしく、始めは娯楽に使われ、後に近代人を育てる視覚教材として普及定着したそうです。ここにもマジック・ランタンがあったのですが、江戸時代とは比べ物にならないくらい立派で、古い一眼レフみたいな風格があります。スライドも一気に洗練された感があり、進化を感じさせます。その後には美人と円形の背景の錦絵のようなスライドもあり、その円形の下絵なんかも展示されていました。
<4.スライド>
続いてはスライドについてです。ここは物語、寓話、名所、当時の風俗、スター、ニュースなど様々なジャンルのスライドがありました。マジック・ランタンも手回しがついているものなんかもあります。詳しいことは分かりませんでしが、「パノラマ・スライド」「スリッピング・パノラマ・スライド」「シングル・レバー・スライド、シンクル・スリッパー・スライド、ダブル・スリッパー・スライド」「滑車式スライド、仕掛けスライド、クロマトロープ」「トイ・マジック・ランタンのスライド」といった種類が紹介されていました。
<5.マジック・ランタン以降>
最後はマジック・ランタン以降の後継者のコーナーです。19世紀末にエジソンによって「キネトスコープ」が発明され、リュミエール兄弟によって「シネマトグラフ」が発明されると、映画は娯楽として発展していきます。それでもマジック・ランタンは消えることなく、その仕組みやアイディアは現代まで受け継がれていて、映写機やプロジェクションマッピング、プレゼンで使うスライドショーなんかもマジック・ランタンに連なる発明言えます。
ここには古い映像が流れていて、リュミエール兄弟の作品集やジョルジュ・メリエスの作品集などもありました。「月世界旅行」のシーンもちょこっと流れます。他にもニュース映像みたいなのものあったかな。 さらに古い映写機や紙芝居に使う映写機なんて変わり種もありました。
参考記事:
東京国立近代美術館フィルムセンターの案内(2018年2月)
映画「メリエスの素晴らしき映画魔術&月世界旅行」(ネタバレあり)
最後は「投影の現在」ということで現代の映像と、最後の部屋は映像というかインスタレーションのような幻想的な部屋もあります。
ということで、映像やスライドという現代では欠かすことの出来ない技術の原点を知ることができる展示となっていました。最初は娯楽用だったものが応用範囲を広げて行く様子などはVRやARの時代になっても似ているように思いました。映画や映像の歴史に興味がある方向けの展示です。

【展覧名】
マジック・ランタン 光と影の映像史
【公式サイト】
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3083.html
【会場】東京都写真美術館
【最寄】恵比寿駅
【会期】2018年8月14日(火)~10月14日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、今回の展示は映画やスライドショー、最近ではプロジェクションマッピングなどの原点である「マジック・ランタン」についての展示です。マジック・ランタンは17世紀半ばにオランダの数学者・物理学者であるクリスティアーン・ホイヘンスによる発明と考えられているそうで、装置に不可欠な部品を含めて原理を説明したそうです。その後ヨーロッパ中に伝播し18世紀後半には「ファンタスマゴリア」と呼ばれる幽霊ショーに用いられ、パリで人気を博したようです。展覧会はそうした歴史を含めて5つの章で構成されていましたので、各章ごとにごく簡単に振り返ってみようと思います。
まず入口にマジック・ランタンの実物大の模型があり、こちらだけ撮影可能となっていました。

光を透過させて影絵のように投影するのは映画のフィルムと同じと言えそうです。実際に触って動かすこともできました。
こちらは割とよく観る仕掛けかな。回転させてスリットの部分から中を覗き込むとアニメのように動いて見えます。

映像やアニメの仕組みもコマ送りなので、これも原理的には現代と同じですね。
<1.マジック・ランタンの誕生>
展覧会場に入るとまずはマジック・ランタンの誕生についてのコーナーとなっていました。ここは大きく分けて「誕生からファンタスマゴリアまで」「影絵の時代」という項になっています。
冒頭にはアタナシウス・キルヒャーという人物が1671年に記した「光と影の大いなる術」という版画がありました。これはマジック・ランタンの詳細な図解となっていて、当時すでに原理が確立されていた様子が伺えます。 その後は1830~50年頃の映写機とスライドが並んでいます。これらは骸骨などが写っていて、前述のファンタスマゴリアというホラーショーでよく使われたもののようです。マジックという名前が付いているだけあって魔術のように思われていたのかな。
その後は影絵のコーナーで、ヨーロッパで影絵を行っていた様子が絵によって紹介されています。「中国の影絵」というタイトルになっているので、影絵は中国から伝わったのかも(中国は紀元前の漢時代の頃には既にあったそうです) 演目自体は西洋風なのでヨーロッパでも親しまれていた様子が伺えました。
<2.マジック・ランタンの流行>
続いての2章は流行期のコーナーで、「科学の眼」「興行」「家庭のあそび」という3項に分かれていました。
19世紀には家庭用のマジック・ランタンも開発されて身近になったようで、場面の切り替えもスムーズな機構も生まれたようです。また、用途もホラーショーだけでなく細分化されたようで、ここには様々なマジック・ランタンが並んでいました。2つ映写用のレンズが付いたものや、これまでのマジック・ランタンより小さいサイズのもの、建物のような形のデザイン的に洗練されたものなど、確かに多様な品があり、こういう進化は現代のデジタル家電でも観られる気がします。普仏戦争の際には文書を伝書鳩に運ばせてマジック・ランタンで拡大してニュースを得ていたエピソードなんかもあり、社会的にも重要になっていったようです。他にもコミック的なスライドなんかもあって、表現の幅の広がりも感じられました。
<3.日本のマジック・ランタン>
日本にもマジック・ランタンは2回伝わったそうで、「最初の渡来」と「二度目の渡来」の2つの項でそれぞれ紹介されていました。
1度目は江戸時代の18世紀後半で、オランダ経由で江戸と上方に伝わったそうで、江戸では写し絵 上方では錦影絵と呼ばれて発展したようです。 ここには当時のランタンとスライドも展示されてて「だるまの夜這い」という演目なんかもあって、その頃からお色気コンテンツがあったのかと苦笑いw いずれも木で出来ているので素朴な感じがします。
2度目の渡来は明治時代の1870年代に手嶋精一によってもたらされ、「幻燈」という名で広まりました。各府県の師範学校に配られたらしく、始めは娯楽に使われ、後に近代人を育てる視覚教材として普及定着したそうです。ここにもマジック・ランタンがあったのですが、江戸時代とは比べ物にならないくらい立派で、古い一眼レフみたいな風格があります。スライドも一気に洗練された感があり、進化を感じさせます。その後には美人と円形の背景の錦絵のようなスライドもあり、その円形の下絵なんかも展示されていました。
<4.スライド>
続いてはスライドについてです。ここは物語、寓話、名所、当時の風俗、スター、ニュースなど様々なジャンルのスライドがありました。マジック・ランタンも手回しがついているものなんかもあります。詳しいことは分かりませんでしが、「パノラマ・スライド」「スリッピング・パノラマ・スライド」「シングル・レバー・スライド、シンクル・スリッパー・スライド、ダブル・スリッパー・スライド」「滑車式スライド、仕掛けスライド、クロマトロープ」「トイ・マジック・ランタンのスライド」といった種類が紹介されていました。
<5.マジック・ランタン以降>
最後はマジック・ランタン以降の後継者のコーナーです。19世紀末にエジソンによって「キネトスコープ」が発明され、リュミエール兄弟によって「シネマトグラフ」が発明されると、映画は娯楽として発展していきます。それでもマジック・ランタンは消えることなく、その仕組みやアイディアは現代まで受け継がれていて、映写機やプロジェクションマッピング、プレゼンで使うスライドショーなんかもマジック・ランタンに連なる発明言えます。
ここには古い映像が流れていて、リュミエール兄弟の作品集やジョルジュ・メリエスの作品集などもありました。「月世界旅行」のシーンもちょこっと流れます。他にもニュース映像みたいなのものあったかな。 さらに古い映写機や紙芝居に使う映写機なんて変わり種もありました。
参考記事:
東京国立近代美術館フィルムセンターの案内(2018年2月)
映画「メリエスの素晴らしき映画魔術&月世界旅行」(ネタバレあり)
最後は「投影の現在」ということで現代の映像と、最後の部屋は映像というかインスタレーションのような幻想的な部屋もあります。
ということで、映像やスライドという現代では欠かすことの出来ない技術の原点を知ることができる展示となっていました。最初は娯楽用だったものが応用範囲を広げて行く様子などはVRやARの時代になっても似ているように思いました。映画や映像の歴史に興味がある方向けの展示です。
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先週の金曜日の会社帰りにレイトショーで映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」を観てきました。この記事にはほんの少しだけネタバレが含まれていますので、ネタバレなしで観たい方はご注意ください。

【作品名】
SUNNY 強い気持ち・強い愛
【公式サイト】
http://sunny-movie.jp/
【時間】
2時間00分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_③_4_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_④_5_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
公開から1週程度経っていますが、結構お客さんが集まっていました。
この映画は韓国の2011年の映画「サニー 永遠の仲間たち」を日本版にリメイクしたもので、韓国版では80年代の文化を交えたものになっているのが日本版では1995~96年くらいのコギャル文化が物語を彩る内容となっています。公式サイトで分かる程度のネタバレをすると、2018年現在にアラフォーとなった女性がふとしたきっかけから高校時代の仲間に出会い、当時の親友のグループ「サニー」(ダンス大会のチーム名)のメンバーを探していくストーリーとなります。その為、現代と女子高校生時代の記憶を行ったり来たりしながら、話が進んでいきます。当時流行したアムラー風の格好をした女子高生が沢山出てくるのですが、その頃ちょうど高校生だった私には何とも懐かしいw ルーズソックスとかやけに日焼けした茶髪とか今では見かけなくなったファッションをしていて、バッグをリュックのように背負ってる姿とかちょっと吹き出しそうになりましたw また、要所要所で流れる曲は1995~96年頃のヒット曲ばかりで、ジュークボックス・ミュージカルのような要素もあるかな。サブタイトルも小沢健二のヒット曲に由来しています。音楽を手がける小室哲哉 氏は引退を宣言する前にこの仕事を受けていたようなので、映画としてはこれが最後の仕事のようです。劇中にも安室奈美恵やTRFなど小室哲哉 氏が手がけた楽曲も多数含まれています。
キャストに関しては現代パートを篠原涼子や ともさかりえ、小池栄子など当時を思い出すようなメンバーと 渡辺直美、板谷由夏といったドラマで活躍する2人がいて、豪華な顔ぶれとなっています。90年代パートも広瀬すずを始めとした1996~98年くらいに生まれた話題の女優が揃っていて、90年代風メイクが逆に目新しく見えますw 他に男性陣も個性派がいて、リリー・フランキーが特に良い味出していました。
そして監督は「モテキ」や「バクマン。」も務めた大根仁(おおね ひとし)監督で、これがこの映画を観に行こうと思ったきっかけでした。今回も独特の小ネタをあちこちで仕掛けてくるので、映画館では笑いが絶えない感じでした。一方でシリアスなシーンや葛藤を感じるような場面も多いので、ヒューマンドラマとしてもしっかりとしていると思います。笑って泣けて踊りもあって十分満足できました。
ということで、90年代半ばに高校生だった現アラフォー世代には特に面白い映画ではないかと思います。「あったな~」とか「懐かしい」という演出と共に、それぞれの人生を考えさせられる部分もあったりして面白かったです。改めて20年ちょっとでこれだけ色々変わったのかというのを感じることができました。

【作品名】
SUNNY 強い気持ち・強い愛
【公式サイト】
http://sunny-movie.jp/
【時間】
2時間00分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_③_4_5_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_④_5_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_④_5_名作
【感想】
公開から1週程度経っていますが、結構お客さんが集まっていました。
この映画は韓国の2011年の映画「サニー 永遠の仲間たち」を日本版にリメイクしたもので、韓国版では80年代の文化を交えたものになっているのが日本版では1995~96年くらいのコギャル文化が物語を彩る内容となっています。公式サイトで分かる程度のネタバレをすると、2018年現在にアラフォーとなった女性がふとしたきっかけから高校時代の仲間に出会い、当時の親友のグループ「サニー」(ダンス大会のチーム名)のメンバーを探していくストーリーとなります。その為、現代と女子高校生時代の記憶を行ったり来たりしながら、話が進んでいきます。当時流行したアムラー風の格好をした女子高生が沢山出てくるのですが、その頃ちょうど高校生だった私には何とも懐かしいw ルーズソックスとかやけに日焼けした茶髪とか今では見かけなくなったファッションをしていて、バッグをリュックのように背負ってる姿とかちょっと吹き出しそうになりましたw また、要所要所で流れる曲は1995~96年頃のヒット曲ばかりで、ジュークボックス・ミュージカルのような要素もあるかな。サブタイトルも小沢健二のヒット曲に由来しています。音楽を手がける小室哲哉 氏は引退を宣言する前にこの仕事を受けていたようなので、映画としてはこれが最後の仕事のようです。劇中にも安室奈美恵やTRFなど小室哲哉 氏が手がけた楽曲も多数含まれています。
キャストに関しては現代パートを篠原涼子や ともさかりえ、小池栄子など当時を思い出すようなメンバーと 渡辺直美、板谷由夏といったドラマで活躍する2人がいて、豪華な顔ぶれとなっています。90年代パートも広瀬すずを始めとした1996~98年くらいに生まれた話題の女優が揃っていて、90年代風メイクが逆に目新しく見えますw 他に男性陣も個性派がいて、リリー・フランキーが特に良い味出していました。
そして監督は「モテキ」や「バクマン。」も務めた大根仁(おおね ひとし)監督で、これがこの映画を観に行こうと思ったきっかけでした。今回も独特の小ネタをあちこちで仕掛けてくるので、映画館では笑いが絶えない感じでした。一方でシリアスなシーンや葛藤を感じるような場面も多いので、ヒューマンドラマとしてもしっかりとしていると思います。笑って泣けて踊りもあって十分満足できました。
ということで、90年代半ばに高校生だった現アラフォー世代には特に面白い映画ではないかと思います。「あったな~」とか「懐かしい」という演出と共に、それぞれの人生を考えさせられる部分もあったりして面白かったです。改めて20年ちょっとでこれだけ色々変わったのかというのを感じることができました。
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今日は写真多めです。10日ほど前の金曜日の会社帰りに、上野の東京都美術館で「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」を観てきました。この展示は一部を除き撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン
BENTO-Design for Eating, Gathering and Communicating
【公式サイト】
http://bento.tobikan.jp/
https://www.tobikan.jp/exhibition/2018_obento.html
【会場】東京都美術館
【最寄】上野駅
【会期】2018年7月21日(土)~10月8日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
平日の夜でも結構お客さんがいましたが、快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は「お弁当」をテーマにした展示で、お弁当箱もあればお弁当から着想を得たプロジェクトのようなものまで様々な作品が並びます。そのバラエティ豊かなラインナップもお弁当みたいと言うか…w かなり多岐に渡るので、なるべく写真を使ってご紹介していこうと思います。
<1 おべんとうのいろいろなかたち>
まずは様々なお弁当箱が並ぶコーナーです。
チケット売り場のある展覧会冒頭では小倉ヒラク氏による楽しげな音楽とアニメーションが流れてきました。

自分だけのスペシャルなお弁当という言葉がありますが、これはこの展示でのキーワードになるかも。
お弁当箱が並ぶコーナーは撮影不可でした。ここんは楼閣型のお重をはじめ、蒔絵のお重や 巨大な印籠のような弁当箱、大きな筒に半月状の容器が入った陣中弁当など江戸時代の頃のお重などがあり、当時からお弁当文化があったことが伺えます。細工も豪華で大名の花見などのイベント用かな? 他にも碁盤型のお重や双六型など一石二鳥とも言えるお弁当箱や、舟型、楕円など面白い形の品々が並んでいました。江戸時代の花見の屏風などもあったので、これらもそうした場面で使われたのだと思います。
その後は近代以降のお弁当箱のコーナーで、ブリキの手提げとか、アルマイトに少女漫画やウルトラマンのキャラクターが描かれたお弁当箱、アルミのお弁当箱など ちょっと懐かしいような品もありました。子供の頃、お弁当が非常に楽しみだったのを思い出します。
その後は海外のお弁当箱?のコーナーで、まずはブータンのカラフルな網籠のお弁当箱が目を引きました。(こちらは触って体験できるコーナーにあった品を撮ったものです。)

ドット絵のように籠目で文様を作っているのが美しい。どんな料理を入れているんでしょうか。
割とアジアは植物を編み込んだお弁当箱が多いのかも。中国の球体の容器なんかも面白かったです。
もう1つ目を引いたのがタイの金属製のお弁当箱。(こちらも体験コーナーの写真です)

実際に触れて分解してみたのですが、側面にズレないように取手があったり抑える部分にも工夫があって、中々機能的で見た目もスタイリッシュです。タイ料理は大好きなのでこの中に色々詰めてあるのかと考えるとワクワクします。
お弁当箱のコーナーの最後に上記の写真を撮った体験コーナーがあります。この2つ以外にも面白いお弁当箱があるので、手袋着用の上で色々と触ってきました。
その後はお弁当を食べる人の写真のコーナーとなっていました。観てるだけでお腹が空いてくるような…w 夕飯食べずに行ったので、完全に飯テロでしたw どこか懐かしいような雰囲気の写真も多かったです。
この章の最後には大塩あゆ美 氏(お弁当作成)と平野太呂 氏(撮影)による「あゆみ食堂のお弁当」という写真が並んでいます。これは朝日新聞デジタルの連載プロジェクトで、「あの人にこんなお弁当を贈りたい」という想いを伝えると大塩あゆ美 氏が作って読者にレシピとお弁当箱が届けられるそうです。剣道部の息子へのお弁当とかがあったのですが、ボリューム感が半端ないw 反抗期の息子にも愛情を注ぐ様子など、解説を読んでいると中々泣けるものばかりでした。
<2 五感で体感!おべんとう>
続いては体験型の作品が並ぶコーナーです。
展示室内にこんな感じで仕切られた部屋があります。マライエ・フォーゲルサング氏の「インタンジブル ベントー」とうインスタレーションです。

ここでは音声ガイドを無料貸出していて、各部屋ごとに解説を聞くこともできました。
このお弁当に入っている謎の妖精?が案内してくれますw

各部屋に妖精がいるので、それを探すのも面白いです。
メディアマティック 「テンペの食器」

こちらはインドネシアの代表的なおかずの「テンペ」を食器状にしたもののようです。こう見えて食べることができるのだとか。めちゃくちゃ硬そうに見えるけど、大豆を発酵させたものらしいので納豆とか豆腐みたいなものでしょうか?
こちらは来場者がお弁当の思い出を書いてワイヤーに掛ける作品。

全部は読めないのでほんの一部しか読みませんでしたが、お弁当はやはり家族との絆を感じさせるエピソードが多いようです。
フィリップ・コルマン 「ボディ・カルチャー」

こちらはシールを細菌に見立ててカーテンに貼るという作品。日本人は特に清潔で細菌を洗い流すことが多いですが、本来は体が必要とする細菌も流れてしまっているので、日常生活に再び細菌を招き入れるのを提唱しているようです。無数についたシールはムラがあって、本当に細菌の分布みたいでしたw
スタジオクラレンベーク&ドロス、アトリエ・ルマ(ルマ・アルル) 「藻類ラボ ルーマ」

こちらは作家の地元で採れた海藻を使ったバイオポリマーで作られた容器。石油由来のプラスチックに変わるものを作るのを目指しているそうで、観た感じはかなり薄手で海藻とは思えません。こういう容器がメジャーになったら環境も良くなるのかも。
他にもいくつか部屋がありました。(確か全部で10部屋くらいあります) その後は上の階に移動です。
上の階は北澤潤 氏による「おすそわけ横丁」というプロジェクトの空間となっていました。

蚤の市を思わせるパサージュとなっています。
こんな感じで様々な雑貨が並んでいるのですが、これが何でお弁当なんだろ?と最初はちょっと不思議でした。

と、思ったらこちらは来客者がお弁当のおすそ分けのように寄付してくれた品々のようです。
奥に進むとおすそ分けの受付もありましたw

結構大きなお重みたいな容器があって、それに入れて引き渡すようです。
おすそ分けするとこちらのリストに載るらしく、様々な品が書かれています。

先程のカオス感も納得のラインナップでしたw おすそ分けの精神を横丁としてお祭りのように体験できるのは中々楽しい企画ですね。
<3 おべんとうから考える コミュニケーション・デザイン>
最後はお弁当のデザインなどについてのコーナーで、こちらも体験型の作品がありました。
ここでまず引くのは壁にずら~~~っと並んだ小山田徹 氏の「お父ちゃん弁当」です。

これは幼稚園に通う弟の為に小学三年生のお姉ちゃんがお弁当のデザイン指示書を描き、お父さんの小山田徹 氏が実際に作って写真を撮るという作品です。お姉ちゃんの指示書とお弁当の写真がセットになっているので比較しながら観られる趣向となっていました。
こちらが指示書。何だか分かりますか?

これは傾斜地層だそうで、そのモチーフの発想に驚きましたw そんなの小学三年生で知ってるの?ってのと、お弁当デザインに選ぶセンスの両方で天才的ですw 割と材料の指示も細かい。
出来上がりがこちら。

結構正確に再現していて、小山田徹 氏の料理の腕前も凄そうですw
他にも犬とか小学三年生らしい可愛いお弁当デザインもありますが、まだまだ驚きのデザインが続きます。
左は白亜紀のパラサウロロフス、右はカンブリア紀の脊椎生物の先祖ピカイア

大人でもパラサウロロフスって何?ってなってましたw 古代生物にも精通していて、恐るべし小学三年生です。
こちらは体験コーナーで、小山田徹 氏の娘さんのようにお弁当をデザインします。まずはルーレットを回してそれに応じたお題と誰が食べるかを選びます。

Dの3だと小学高学年向けに文学をテーマにしたお弁当をデザインすることになります。ちょうど文学で言えば星新一の発想法に似てるかもw
こちらがデザイン案を描く用紙。

閉館時間が迫っていたので描けませんでしたが、宮沢賢治のキャラ弁とか描いてみたかったw
最後にこちらは森内康博 氏の映像プロジェクト

どこが映像やねんという感じかも知れませんが、このお弁当箱に仕掛けがあります。
箱を開くと中に映像が流れます。同じようなお弁当箱は10個くらいだったかな。結構ありました。

この映像は中学生が自分でお弁当を作る様子を、自分でドキュメンタリー映像にするという物でした。どっちも素人っぽさがもどかしいですが、物語風になっていたりして面白かったです(これもあまり多くは観る時間がなかった…)
ということで、体験型・参加型の作品が多めの展示となっていました。観たり参加しているとあっという間に時間が経つので、もし観に行くのであれば十分に時間を確保しておいたほうが良さそうです。お弁当の楽しさを凝縮したような内容です。

【展覧名】
BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン
BENTO-Design for Eating, Gathering and Communicating
【公式サイト】
http://bento.tobikan.jp/
https://www.tobikan.jp/exhibition/2018_obento.html
【会場】東京都美術館
【最寄】上野駅
【会期】2018年7月21日(土)~10月8日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
平日の夜でも結構お客さんがいましたが、快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は「お弁当」をテーマにした展示で、お弁当箱もあればお弁当から着想を得たプロジェクトのようなものまで様々な作品が並びます。そのバラエティ豊かなラインナップもお弁当みたいと言うか…w かなり多岐に渡るので、なるべく写真を使ってご紹介していこうと思います。
<1 おべんとうのいろいろなかたち>
まずは様々なお弁当箱が並ぶコーナーです。
チケット売り場のある展覧会冒頭では小倉ヒラク氏による楽しげな音楽とアニメーションが流れてきました。

自分だけのスペシャルなお弁当という言葉がありますが、これはこの展示でのキーワードになるかも。
お弁当箱が並ぶコーナーは撮影不可でした。ここんは楼閣型のお重をはじめ、蒔絵のお重や 巨大な印籠のような弁当箱、大きな筒に半月状の容器が入った陣中弁当など江戸時代の頃のお重などがあり、当時からお弁当文化があったことが伺えます。細工も豪華で大名の花見などのイベント用かな? 他にも碁盤型のお重や双六型など一石二鳥とも言えるお弁当箱や、舟型、楕円など面白い形の品々が並んでいました。江戸時代の花見の屏風などもあったので、これらもそうした場面で使われたのだと思います。
その後は近代以降のお弁当箱のコーナーで、ブリキの手提げとか、アルマイトに少女漫画やウルトラマンのキャラクターが描かれたお弁当箱、アルミのお弁当箱など ちょっと懐かしいような品もありました。子供の頃、お弁当が非常に楽しみだったのを思い出します。
その後は海外のお弁当箱?のコーナーで、まずはブータンのカラフルな網籠のお弁当箱が目を引きました。(こちらは触って体験できるコーナーにあった品を撮ったものです。)

ドット絵のように籠目で文様を作っているのが美しい。どんな料理を入れているんでしょうか。
割とアジアは植物を編み込んだお弁当箱が多いのかも。中国の球体の容器なんかも面白かったです。
もう1つ目を引いたのがタイの金属製のお弁当箱。(こちらも体験コーナーの写真です)


実際に触れて分解してみたのですが、側面にズレないように取手があったり抑える部分にも工夫があって、中々機能的で見た目もスタイリッシュです。タイ料理は大好きなのでこの中に色々詰めてあるのかと考えるとワクワクします。
お弁当箱のコーナーの最後に上記の写真を撮った体験コーナーがあります。この2つ以外にも面白いお弁当箱があるので、手袋着用の上で色々と触ってきました。
その後はお弁当を食べる人の写真のコーナーとなっていました。観てるだけでお腹が空いてくるような…w 夕飯食べずに行ったので、完全に飯テロでしたw どこか懐かしいような雰囲気の写真も多かったです。
この章の最後には大塩あゆ美 氏(お弁当作成)と平野太呂 氏(撮影)による「あゆみ食堂のお弁当」という写真が並んでいます。これは朝日新聞デジタルの連載プロジェクトで、「あの人にこんなお弁当を贈りたい」という想いを伝えると大塩あゆ美 氏が作って読者にレシピとお弁当箱が届けられるそうです。剣道部の息子へのお弁当とかがあったのですが、ボリューム感が半端ないw 反抗期の息子にも愛情を注ぐ様子など、解説を読んでいると中々泣けるものばかりでした。
<2 五感で体感!おべんとう>
続いては体験型の作品が並ぶコーナーです。
展示室内にこんな感じで仕切られた部屋があります。マライエ・フォーゲルサング氏の「インタンジブル ベントー」とうインスタレーションです。

ここでは音声ガイドを無料貸出していて、各部屋ごとに解説を聞くこともできました。
このお弁当に入っている謎の妖精?が案内してくれますw

各部屋に妖精がいるので、それを探すのも面白いです。
メディアマティック 「テンペの食器」

こちらはインドネシアの代表的なおかずの「テンペ」を食器状にしたもののようです。こう見えて食べることができるのだとか。めちゃくちゃ硬そうに見えるけど、大豆を発酵させたものらしいので納豆とか豆腐みたいなものでしょうか?
こちらは来場者がお弁当の思い出を書いてワイヤーに掛ける作品。


全部は読めないのでほんの一部しか読みませんでしたが、お弁当はやはり家族との絆を感じさせるエピソードが多いようです。
フィリップ・コルマン 「ボディ・カルチャー」

こちらはシールを細菌に見立ててカーテンに貼るという作品。日本人は特に清潔で細菌を洗い流すことが多いですが、本来は体が必要とする細菌も流れてしまっているので、日常生活に再び細菌を招き入れるのを提唱しているようです。無数についたシールはムラがあって、本当に細菌の分布みたいでしたw
スタジオクラレンベーク&ドロス、アトリエ・ルマ(ルマ・アルル) 「藻類ラボ ルーマ」

こちらは作家の地元で採れた海藻を使ったバイオポリマーで作られた容器。石油由来のプラスチックに変わるものを作るのを目指しているそうで、観た感じはかなり薄手で海藻とは思えません。こういう容器がメジャーになったら環境も良くなるのかも。
他にもいくつか部屋がありました。(確か全部で10部屋くらいあります) その後は上の階に移動です。
上の階は北澤潤 氏による「おすそわけ横丁」というプロジェクトの空間となっていました。

蚤の市を思わせるパサージュとなっています。
こんな感じで様々な雑貨が並んでいるのですが、これが何でお弁当なんだろ?と最初はちょっと不思議でした。

と、思ったらこちらは来客者がお弁当のおすそ分けのように寄付してくれた品々のようです。
奥に進むとおすそ分けの受付もありましたw

結構大きなお重みたいな容器があって、それに入れて引き渡すようです。
おすそ分けするとこちらのリストに載るらしく、様々な品が書かれています。

先程のカオス感も納得のラインナップでしたw おすそ分けの精神を横丁としてお祭りのように体験できるのは中々楽しい企画ですね。
<3 おべんとうから考える コミュニケーション・デザイン>
最後はお弁当のデザインなどについてのコーナーで、こちらも体験型の作品がありました。
ここでまず引くのは壁にずら~~~っと並んだ小山田徹 氏の「お父ちゃん弁当」です。

これは幼稚園に通う弟の為に小学三年生のお姉ちゃんがお弁当のデザイン指示書を描き、お父さんの小山田徹 氏が実際に作って写真を撮るという作品です。お姉ちゃんの指示書とお弁当の写真がセットになっているので比較しながら観られる趣向となっていました。
こちらが指示書。何だか分かりますか?

これは傾斜地層だそうで、そのモチーフの発想に驚きましたw そんなの小学三年生で知ってるの?ってのと、お弁当デザインに選ぶセンスの両方で天才的ですw 割と材料の指示も細かい。
出来上がりがこちら。

結構正確に再現していて、小山田徹 氏の料理の腕前も凄そうですw
他にも犬とか小学三年生らしい可愛いお弁当デザインもありますが、まだまだ驚きのデザインが続きます。
左は白亜紀のパラサウロロフス、右はカンブリア紀の脊椎生物の先祖ピカイア


大人でもパラサウロロフスって何?ってなってましたw 古代生物にも精通していて、恐るべし小学三年生です。
こちらは体験コーナーで、小山田徹 氏の娘さんのようにお弁当をデザインします。まずはルーレットを回してそれに応じたお題と誰が食べるかを選びます。


Dの3だと小学高学年向けに文学をテーマにしたお弁当をデザインすることになります。ちょうど文学で言えば星新一の発想法に似てるかもw
こちらがデザイン案を描く用紙。

閉館時間が迫っていたので描けませんでしたが、宮沢賢治のキャラ弁とか描いてみたかったw
最後にこちらは森内康博 氏の映像プロジェクト

どこが映像やねんという感じかも知れませんが、このお弁当箱に仕掛けがあります。
箱を開くと中に映像が流れます。同じようなお弁当箱は10個くらいだったかな。結構ありました。

この映像は中学生が自分でお弁当を作る様子を、自分でドキュメンタリー映像にするという物でした。どっちも素人っぽさがもどかしいですが、物語風になっていたりして面白かったです(これもあまり多くは観る時間がなかった…)
ということで、体験型・参加型の作品が多めの展示となっていました。観たり参加しているとあっという間に時間が経つので、もし観に行くのであれば十分に時間を確保しておいたほうが良さそうです。お弁当の楽しさを凝縮したような内容です。
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前回ご紹介した21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3の展示を観た後、ギャラリー1・2で「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」を観てきました。この展示は動画を撮ることが出来ましたので、動画を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展
【公式サイト】
http://www.2121designsight.jp/program/audio_architecture/
【会場】21_21 DESIGN SIGHT
【最寄】六本木駅・乃木坂駅
【会期】2018年6月29日(金)~10月14日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間20分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
予想以上に多くのお客さんがいましたが、大きい部屋での映像作品が中心となっていましたので、概ね快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は中村勇吾 氏というデザイナーがディレクターを務め、ミュージシャンの小山田圭吾 氏(Cornelius)が展覧会のために新曲『AUDIO ARCHITECTURE』を描き下ろし、気鋭の作家たちが映像作品を制作するという展示となっています。と、概要を観た時にはあまりピンと来なかったのですが、実際に会場に足を運ぶと大型のスクリーンに映像が流れて 大音量と共に鑑賞者も一体となるような構成となっていました。1点あたり15秒以内であれば動画撮影も出来ましたので、いくつか動画を使ってご紹介していこうと思います。
まず入口附近に今回のロゴが回転するような映像がありました。
今回、会場中に響き渡るように音楽が流れています。数分程度の短いコーネリアスっぽさのある一種独特のテクノっぽいサウンドです。
稲垣哲郎 「スタジオライブ映像」
こちらは今回の映像のスタジオ・ライブの映像。3方向の壁にそれぞれ映像が映されています。メンバーは
ボーカル・ギター:小山田圭吾
ローズピアノ・コーラス:堀江博久
ミニモーグ・コーラス:大野由美子
ドラム:あらきゆうこ
となっています。こちらの映像は割とオーソドックスなMVみたいな雰囲気かな。
会場の様子はこんな感じ。これでも部屋の半分くらいです。
映像の眼の前に近づくことができるので、完全に映像に包まれる感じです。音響もお腹の底に響くのが心地良い。
UCNV 「Another Analogy」
映像がぶっ壊れたのではなく、こういう作品ですw この作品は後で再度ご紹介しますが、大画面で観ると特に流れの中にいるような感じがしました。
この大画面では8種類の映像がローテーションされていきます。ずっと観ていると全種類一気に流れる時もありました。
水尻自子 「airflow」
先程の作品と打って変わって印象の違う映像。テクノの尖った感じが無くて滑らかで柔らかい映像が面白い。
しばらく大画面を観た後、大画面の裏側に回りました。裏側には8作品をブースごとに流していています。
勅使河原一雅 「オンガクミミズ」
抽象画のようでもあり、音楽の波形のようでもあって、有機的な雰囲気です。原始生物も思い起こすかな。サウンドにもよく合う映像でした。
UCNV 「Another Analogy」
他にも色々あるのですが、これが一番気に入ったので再掲w 正常な映像とノイズで壊れたような映像が上下に並び、音楽に合わせて歪むのが面白い。日常の何気ない光景のはずが先進的な映像になる発想も驚きでした。アーキテクトって言葉がしっくりします。
水尻自子 「airflow」
こちらも再掲。柔らかいものが何処か生き物や人体のようでもあって、一番個性的な映像かも。
ユーフラテス(石川将也)+阿部舜 「Layers Act」
これはある意味DIYな作品。2枚のフィルム(レイヤー)を重ねて動かすとアニメーションのように動きが出る仕組みが面白い。いくつか種類があるので、鑑賞者が自分なりに映像を即席で作ることもできました。
ということで、異色の展示でそれほど点数も多くないのですが、個性的な映像ばかりで楽しむことができました。深い意味は分からなくても感覚で楽しめるので、多くの人が楽しめると思います。特に音楽や先進的な映像に興味のある方にお勧めの展示です。


【展覧名】
AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展
【公式サイト】
http://www.2121designsight.jp/program/audio_architecture/
【会場】21_21 DESIGN SIGHT
【最寄】六本木駅・乃木坂駅
【会期】2018年6月29日(金)~10月14日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間20分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
予想以上に多くのお客さんがいましたが、大きい部屋での映像作品が中心となっていましたので、概ね快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は中村勇吾 氏というデザイナーがディレクターを務め、ミュージシャンの小山田圭吾 氏(Cornelius)が展覧会のために新曲『AUDIO ARCHITECTURE』を描き下ろし、気鋭の作家たちが映像作品を制作するという展示となっています。と、概要を観た時にはあまりピンと来なかったのですが、実際に会場に足を運ぶと大型のスクリーンに映像が流れて 大音量と共に鑑賞者も一体となるような構成となっていました。1点あたり15秒以内であれば動画撮影も出来ましたので、いくつか動画を使ってご紹介していこうと思います。
まず入口附近に今回のロゴが回転するような映像がありました。
今回、会場中に響き渡るように音楽が流れています。数分程度の短いコーネリアスっぽさのある一種独特のテクノっぽいサウンドです。
稲垣哲郎 「スタジオライブ映像」
こちらは今回の映像のスタジオ・ライブの映像。3方向の壁にそれぞれ映像が映されています。メンバーは
ボーカル・ギター:小山田圭吾
ローズピアノ・コーラス:堀江博久
ミニモーグ・コーラス:大野由美子
ドラム:あらきゆうこ
となっています。こちらの映像は割とオーソドックスなMVみたいな雰囲気かな。
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映像の眼の前に近づくことができるので、完全に映像に包まれる感じです。音響もお腹の底に響くのが心地良い。
UCNV 「Another Analogy」
映像がぶっ壊れたのではなく、こういう作品ですw この作品は後で再度ご紹介しますが、大画面で観ると特に流れの中にいるような感じがしました。
この大画面では8種類の映像がローテーションされていきます。ずっと観ていると全種類一気に流れる時もありました。
水尻自子 「airflow」
先程の作品と打って変わって印象の違う映像。テクノの尖った感じが無くて滑らかで柔らかい映像が面白い。
しばらく大画面を観た後、大画面の裏側に回りました。裏側には8作品をブースごとに流していています。
勅使河原一雅 「オンガクミミズ」
抽象画のようでもあり、音楽の波形のようでもあって、有機的な雰囲気です。原始生物も思い起こすかな。サウンドにもよく合う映像でした。
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こちらも再掲。柔らかいものが何処か生き物や人体のようでもあって、一番個性的な映像かも。
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これはある意味DIYな作品。2枚のフィルム(レイヤー)を重ねて動かすとアニメーションのように動きが出る仕組みが面白い。いくつか種類があるので、鑑賞者が自分なりに映像を即席で作ることもできました。
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