Archive | 2018年11月
前回ご紹介した展示を観た際に、東京藝術大学大学美術館の本館で「藝大コレクション展2018」を観てきました。この展示は既に終了していますが、驚きの作品が公開されていたのでご紹介しておこうと思います。

【展覧名】
藝大コレクション展2018
【公式サイト】
https://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2018/collection18/collection18_ja.htm
【会場】東京藝術大学大学美術館
【最寄】上野駅
【会期】2018年10月2日(火)~ 11月11日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
行ったのが最終日だったこともあり 結構多くの人で賑わっていましたが概ね自分のペースで観ることができました。
さて、今回の展示は芸大の持つ優れたコレクションが並ぶ恒例の展示で、毎年のように出てくる品もある一方で 今回は柴田是真の「千種之間天井綴織下図」という会場の壁を埋め尽くすほどの圧倒的な作品が展示されていました。構成は特に章分けがなく 時代順という訳でもなかったので、私のてきとーな感想だけですが、簡単に好みの作品をいくつか挙げていこうと思います。
曾我蕭白 「群仙図屏風」 ★こちらで観られます ★こちらで観られます
こちらは水墨の二曲一双の屏風です。右隻には芭蕉扇のようなものを持つ仙女と、お盆に桃を持っている従女・謎の果実のようなものを載せている従女が描かれていて、おそらく西王母じゃないかな。鱗のような羽を持つ鳥もいて、ちょっと異様な雰囲気です。左隻はかめを持っている男、巻物を持って岩場に座る男、うねる水流を飛び跳ねるような鯉などが描かれていてダイナミックな印象を受けます。特に座っている男のニヤッとした表情や、不自然なほどに腕を捻るようなポーズあたりに蕭白の個性を感じました。
高橋由一 「鮭」 ★こちらで観られます
こちらはこの美術館のマスコット的な人気作品です。実物大の鮭を吊るした様子が描かれていて、1mくらいあって見事な大きさです。首の下辺りは切り身みたいになっていて、やや乾燥している感じも出ているかな。これ観る度に鮭の燻製を食べたくなりますw 日本洋画の始まりを感じさせる作品です。
近くには原田直次郎の「靴屋の親爺」もありました。親爺というよりは偉人みたいな風貌の肖像ですw
参考記事:コレクションの誕生、成長、変容―藝大美術館所蔵品選― (東京藝術大学大学美術館)
和田英作 「野遊び」
こちらは笛や琵琶のような楽器を持って森の中を歩く3人の女性を描いた作品です。天平時代を思わせるような華麗な装いで、髪も古代の結び方みたいに見えるかな。背景の森は藤などが垂れ下がっているのですが、陰影は少なく平面的で装飾的な雰囲気となっています。全体的に神話の世界のような神秘性のある作品となっていました。
この隣には青木繁の日本神話をテーマにした作品などもありました。
橋本関雪 「玄猿」
こちらは水墨で、枝に掴まり もう一方の手を挙げる猿を描いた作品で、その傍らには同じ枝で伏せている猿の姿もあります。これはクロテナガザルらしく、遠くを観るような表情やフワフワした毛並みなどは四条派や竹内栖鳳に学んだ技法が活かされているように思えました。ちょっと賢人のような雰囲気すらあるかもw 静かな光景となっていました。
沼田一雅 「猿」 ★こちらで観られます
こちらは木の上でかがんでいる猿の陶器彫像です。沼田一雅はフランスのセーヴルで働いていた人物(セーヴル初の外国人作家)で、この作品はセーヴルが得意としたビスキュイ(無釉白磁)という大理石を模した素材となっています。艷やかで滑らかな素地に やや憂いを帯びたような猿の顔が表され、細やかな表現となっていました。
沼田一雅は他にも鷲やライオンなどの頭部のレリーフのような作品もありました。
参考記事:フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年 (サントリー美術館)
吉田博 「溶鉱炉」 ★こちらで観られます
こちらは暗い製鉄所の中を赤々と光る溶鉱炉が流れる所を描いたもので、その周りで働く人たちの姿もあります。これは戦時特別文展の出品作らしく、溶鉱炉のエネルギーを感じると共に、戦時下であることを意識させるテーマと言えそうです。照らし出す光の陰影が見事で、手前が逆光となっていることも光を強く感じさせました。
参考記事:生誕140年 吉田博展 山と水の風景 (東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)
杉山寧 「野」
こちらは正方形の大画面の作品で、ススキの野の中で遊ぶ5人の着物の子供たちが描かれています。画面上部に地平線があり、低い位置に太陽があって秋の夕暮の光景のようです。ススキの穂の向きが揃っていて、風が流れているようにも見えるかな。手前にある枯れ草の曲線などもリズムを生んでいるように思えました。郷愁を誘うと共に構図の妙が楽しめる作品です。
この隣にはこの絵の下絵もありました。
中沢弘光 「夜明け」
こちらは浜辺で腰の後ろに手を組んで立つ女性らしき人物の後姿を描いた作品です。海の向こうから昇る赤い太陽を見つめているようで、全体的に暗くて まだ夜が明ける直前といった頃合いに観えます。波は高く押し寄せてきていて、これを描いた1946年(戦後すぐ)の日本の状況を暗示しているような感じもしました。幻想的で、希望を感じさせる逸品です。
柴田是真 「千種之間天井綴織下図」 ★こちらで観られます
こちらは今回の看板にもなっている作品で、1m四方の絵が縦3枚×横17枚の合計51枚がずら~~~っと並んでいました。いずれも円の中に草花が描かれていて、流水や枝などを含めてデフォルメされていて優美な印象を受けます。デフォルメされているのに写実的なところもあって、色の鮮やかさと共に生き生きとしているのも特徴です。こちらは明治21年に竣工した明治宮殿の「千種の間」の格天井の装飾画の下絵として作られ、全部で112枚あるらしく この度クラウドファウンディングによって修復することができたようです。1つ1つ異なる花を様々なデフォルメしているのが驚きで、どれも格調高いのが素晴らしい作品でした。これだけでも今回見に行った甲斐があったと思います。
参考記事:
ZESHIN 柴田是真の漆工・漆絵・絵画 (根津美術館)
柴田是真の漆×絵 (三井記念美術館)
和田英作 「落穂拾い(原作:ジャン=フランソワ・ミレー)」
こちらはミレーの落ち穂拾いをルーヴル美術館で模写した作品です。実物とかなりそっくりで、ややくすんで見えるのは劣化のせいかもしれませんが 和田英作の高い技量が見て取れました。これが本物として展示されていたら気づけないかもw
この近くには平山郁夫がチマブーエの聖母子を模写した作品もありました。
柴田是真 「師承過去帖」 ★こちらで観られます
こちらは柴田是真が師と仰いだ蒔絵師 古満寛哉(こまんかんさい)や 絵師の鈴木南嶺、岡本豊彦らの戒名を書いた掛け軸です。画中画風に巻物が描かれ、そこに○○居士といった感じで名前が書かれていて、その周りは金で楽器や宝物など天界を思わせる品々が描かれていました。巻物の素材感が見事に表現されていて、ちょっとトリックアート的な面白さもある作品でした。
ということで、今回は甦った柴田是真の「千種之間天井綴織下図」が圧倒的な存在感の展示となっていました。これだけ見事な作品を一挙に観られたのは貴重な機会だったと思います。もう終わってしまった展示ですが、コレクション展はちょくちょく開催されるので今後再会できる機会を楽しみにしたいと思います。

【展覧名】
藝大コレクション展2018
【公式サイト】
https://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2018/collection18/collection18_ja.htm
【会場】東京藝術大学大学美術館
【最寄】上野駅
【会期】2018年10月2日(火)~ 11月11日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
行ったのが最終日だったこともあり 結構多くの人で賑わっていましたが概ね自分のペースで観ることができました。
さて、今回の展示は芸大の持つ優れたコレクションが並ぶ恒例の展示で、毎年のように出てくる品もある一方で 今回は柴田是真の「千種之間天井綴織下図」という会場の壁を埋め尽くすほどの圧倒的な作品が展示されていました。構成は特に章分けがなく 時代順という訳でもなかったので、私のてきとーな感想だけですが、簡単に好みの作品をいくつか挙げていこうと思います。
曾我蕭白 「群仙図屏風」 ★こちらで観られます ★こちらで観られます
こちらは水墨の二曲一双の屏風です。右隻には芭蕉扇のようなものを持つ仙女と、お盆に桃を持っている従女・謎の果実のようなものを載せている従女が描かれていて、おそらく西王母じゃないかな。鱗のような羽を持つ鳥もいて、ちょっと異様な雰囲気です。左隻はかめを持っている男、巻物を持って岩場に座る男、うねる水流を飛び跳ねるような鯉などが描かれていてダイナミックな印象を受けます。特に座っている男のニヤッとした表情や、不自然なほどに腕を捻るようなポーズあたりに蕭白の個性を感じました。
高橋由一 「鮭」 ★こちらで観られます
こちらはこの美術館のマスコット的な人気作品です。実物大の鮭を吊るした様子が描かれていて、1mくらいあって見事な大きさです。首の下辺りは切り身みたいになっていて、やや乾燥している感じも出ているかな。これ観る度に鮭の燻製を食べたくなりますw 日本洋画の始まりを感じさせる作品です。
近くには原田直次郎の「靴屋の親爺」もありました。親爺というよりは偉人みたいな風貌の肖像ですw
参考記事:コレクションの誕生、成長、変容―藝大美術館所蔵品選― (東京藝術大学大学美術館)
和田英作 「野遊び」
こちらは笛や琵琶のような楽器を持って森の中を歩く3人の女性を描いた作品です。天平時代を思わせるような華麗な装いで、髪も古代の結び方みたいに見えるかな。背景の森は藤などが垂れ下がっているのですが、陰影は少なく平面的で装飾的な雰囲気となっています。全体的に神話の世界のような神秘性のある作品となっていました。
この隣には青木繁の日本神話をテーマにした作品などもありました。
橋本関雪 「玄猿」
こちらは水墨で、枝に掴まり もう一方の手を挙げる猿を描いた作品で、その傍らには同じ枝で伏せている猿の姿もあります。これはクロテナガザルらしく、遠くを観るような表情やフワフワした毛並みなどは四条派や竹内栖鳳に学んだ技法が活かされているように思えました。ちょっと賢人のような雰囲気すらあるかもw 静かな光景となっていました。
沼田一雅 「猿」 ★こちらで観られます
こちらは木の上でかがんでいる猿の陶器彫像です。沼田一雅はフランスのセーヴルで働いていた人物(セーヴル初の外国人作家)で、この作品はセーヴルが得意としたビスキュイ(無釉白磁)という大理石を模した素材となっています。艷やかで滑らかな素地に やや憂いを帯びたような猿の顔が表され、細やかな表現となっていました。
沼田一雅は他にも鷲やライオンなどの頭部のレリーフのような作品もありました。
参考記事:フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年 (サントリー美術館)
吉田博 「溶鉱炉」 ★こちらで観られます
こちらは暗い製鉄所の中を赤々と光る溶鉱炉が流れる所を描いたもので、その周りで働く人たちの姿もあります。これは戦時特別文展の出品作らしく、溶鉱炉のエネルギーを感じると共に、戦時下であることを意識させるテーマと言えそうです。照らし出す光の陰影が見事で、手前が逆光となっていることも光を強く感じさせました。
参考記事:生誕140年 吉田博展 山と水の風景 (東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)
杉山寧 「野」
こちらは正方形の大画面の作品で、ススキの野の中で遊ぶ5人の着物の子供たちが描かれています。画面上部に地平線があり、低い位置に太陽があって秋の夕暮の光景のようです。ススキの穂の向きが揃っていて、風が流れているようにも見えるかな。手前にある枯れ草の曲線などもリズムを生んでいるように思えました。郷愁を誘うと共に構図の妙が楽しめる作品です。
この隣にはこの絵の下絵もありました。
中沢弘光 「夜明け」
こちらは浜辺で腰の後ろに手を組んで立つ女性らしき人物の後姿を描いた作品です。海の向こうから昇る赤い太陽を見つめているようで、全体的に暗くて まだ夜が明ける直前といった頃合いに観えます。波は高く押し寄せてきていて、これを描いた1946年(戦後すぐ)の日本の状況を暗示しているような感じもしました。幻想的で、希望を感じさせる逸品です。
柴田是真 「千種之間天井綴織下図」 ★こちらで観られます
こちらは今回の看板にもなっている作品で、1m四方の絵が縦3枚×横17枚の合計51枚がずら~~~っと並んでいました。いずれも円の中に草花が描かれていて、流水や枝などを含めてデフォルメされていて優美な印象を受けます。デフォルメされているのに写実的なところもあって、色の鮮やかさと共に生き生きとしているのも特徴です。こちらは明治21年に竣工した明治宮殿の「千種の間」の格天井の装飾画の下絵として作られ、全部で112枚あるらしく この度クラウドファウンディングによって修復することができたようです。1つ1つ異なる花を様々なデフォルメしているのが驚きで、どれも格調高いのが素晴らしい作品でした。これだけでも今回見に行った甲斐があったと思います。
参考記事:
ZESHIN 柴田是真の漆工・漆絵・絵画 (根津美術館)
柴田是真の漆×絵 (三井記念美術館)
和田英作 「落穂拾い(原作:ジャン=フランソワ・ミレー)」
こちらはミレーの落ち穂拾いをルーヴル美術館で模写した作品です。実物とかなりそっくりで、ややくすんで見えるのは劣化のせいかもしれませんが 和田英作の高い技量が見て取れました。これが本物として展示されていたら気づけないかもw
この近くには平山郁夫がチマブーエの聖母子を模写した作品もありました。
柴田是真 「師承過去帖」 ★こちらで観られます
こちらは柴田是真が師と仰いだ蒔絵師 古満寛哉(こまんかんさい)や 絵師の鈴木南嶺、岡本豊彦らの戒名を書いた掛け軸です。画中画風に巻物が描かれ、そこに○○居士といった感じで名前が書かれていて、その周りは金で楽器や宝物など天界を思わせる品々が描かれていました。巻物の素材感が見事に表現されていて、ちょっとトリックアート的な面白さもある作品でした。
ということで、今回は甦った柴田是真の「千種之間天井綴織下図」が圧倒的な存在感の展示となっていました。これだけ見事な作品を一挙に観られたのは貴重な機会だったと思います。もう終わってしまった展示ですが、コレクション展はちょくちょく開催されるので今後再会できる機会を楽しみにしたいと思います。
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今日も写真多めです。前回ご紹介した東博に行く前に東京藝術大学大学美術館でいくつか展示を観てきました。まずは陳列館の「うるしのかたち展 2018」をご紹介しようと思います。こちらの展示は撮影可能となっていましたので、写真を使って参ります。

【展覧名】
うるしのかたち展 2018
【公式サイト】
https://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2018/forms_of_urushi_2018/forms_of_urushi_2018_ja.htm
【会場】東京藝術大学大学美術館 陳列館1、2階
【最寄】上野駅
【会期】2018年11月6日(火)~11月18日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
結構多くのお客さんで賑わっていましたが、概ね自分のペースで観ることができました。
さて、この展示は東京藝術大学(旧 東京美術学校)の開校当初からある漆芸研究室が2007年より行っている研究成果を発表する展示です。漆芸というと蒔絵の手箱とかお盆などをイメージしがちですが、この展示は伝統を継承する一方で 予想を遥かに越えた形態の品々が並ぶ現代的な内容となっています。それほど点数がなかったので充実度3にしていますが濃密な展示で、冒頭に書いたように撮影可能となっていましたので、気に入った作品をいくつか写真を使ってご紹介していこうと思います。
大西長利 「木の葉の記憶」

こちらは東京藝術大学の名誉教授による作品。複雑な曲線が柔らかく、非常に艷やかな漆が黒光りして反射していました。どの角度から観ても優美な形状が素晴らしい作品です。
増村紀一郎 「乾漆葉盤 ゼラニウム」

こちらも東京藝術大学の名誉教授にして人間国宝による作品。確かにゼラニウムの葉っぱを思わせる形が面白い。朱色が色鮮やかで、形と共にスポーツカーを思わせるような先進性と流麗な雰囲気があるように思えました。
小椋範彦 「割貝蒔絵膳 野花菖蒲」

こちらは伝統的な題材である菖蒲を螺鈿で表した作品。単に伝統を受け継ぐだけでなく、色の配置などに現代的なセンスを感じました。可憐で格調高い雰囲気です。
青木宏憧 「守箱 海月」

まさかのクラゲ!w モチーフに驚かされますが、模様など細部まで高い技術が使われていて、造形自体も近未来的で面白い作品でした。
奥窪聖美 「乾漆蒔絵赤抜盤 花筏」

こちらは流水紋かな? 渦巻く様子自体も花のように見えます。リズミカルで金と黒の取り合わせが蒔絵ならではの雅な雰囲気となっていました。
佐々木岳人 「Bipolarity」

まるで革製のバッグみたいなw 他の作品に比べると反射を抑えているのが革のような質感が出ているように思えます。ジッパー下げたら中が開くのか気になりますw
石榑祐奈 「いぬ」

マスコット的な可愛らしい犬の像! って、これ漆なの?と驚き。何か訴えるような目をしているように観えました。
許琦 「Life」

何処と無く巻貝を思わせるフォルムが美しい逸品。この方は中国でも漆芸を学んでいたようで、深めの赤の色彩感覚が洗練されていて好みでした。
橋本遙 「蒔絵螺鈿箔濃」

真っ黒な骸骨に螺鈿の花という現代的な作品で、笑っている猿のようにも見えるw 蒔絵という伝統的な工芸なのにシニカルな雰囲気が面白い。
十時嵩 「昇華」

こちらもフォルムと色合いが美しい作品。美しさの本質が凝縮されてるように思えます。
大崎風実 「雨の日の桜並木、タクシーの中から」

こちらはタイトルから察するに桜並木でしょうか。所々にある線が流れていく景色や雨を思わせます。形も含めて軽やかな雰囲気が好み。
小田伊織 「海の空船」

こちらも漆芸作品とは思えないほど自由さを感じる作品。シュールさもありつつ何処と無く懐かしいような。色の取り合わせも海や空を思わせて静かな雰囲気に思えました。
中村早希 「散歩道」

まるでネガポジ反転した写真のような漆芸による絵画的作品。鬱蒼とした森の小道に木漏れ日が降り注ぐ様子が目の前に広がるような感覚になりました。
ということで、非常に自由な発想と高い技術を堪能することができました。この記事を書いている時点で既に最終日となってしまいましたが、無料で観られる上に写真まで撮れるので、ムンクやフェルメールを観に行く予定のある方は少し足を伸ばしてこの展示をルートに入れてみるのもよろしいのではないかと思います。

【展覧名】
うるしのかたち展 2018
【公式サイト】
https://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2018/forms_of_urushi_2018/forms_of_urushi_2018_ja.htm
【会場】東京藝術大学大学美術館 陳列館1、2階
【最寄】上野駅
【会期】2018年11月6日(火)~11月18日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
結構多くのお客さんで賑わっていましたが、概ね自分のペースで観ることができました。
さて、この展示は東京藝術大学(旧 東京美術学校)の開校当初からある漆芸研究室が2007年より行っている研究成果を発表する展示です。漆芸というと蒔絵の手箱とかお盆などをイメージしがちですが、この展示は伝統を継承する一方で 予想を遥かに越えた形態の品々が並ぶ現代的な内容となっています。それほど点数がなかったので充実度3にしていますが濃密な展示で、冒頭に書いたように撮影可能となっていましたので、気に入った作品をいくつか写真を使ってご紹介していこうと思います。
大西長利 「木の葉の記憶」

こちらは東京藝術大学の名誉教授による作品。複雑な曲線が柔らかく、非常に艷やかな漆が黒光りして反射していました。どの角度から観ても優美な形状が素晴らしい作品です。
増村紀一郎 「乾漆葉盤 ゼラニウム」

こちらも東京藝術大学の名誉教授にして人間国宝による作品。確かにゼラニウムの葉っぱを思わせる形が面白い。朱色が色鮮やかで、形と共にスポーツカーを思わせるような先進性と流麗な雰囲気があるように思えました。
小椋範彦 「割貝蒔絵膳 野花菖蒲」

こちらは伝統的な題材である菖蒲を螺鈿で表した作品。単に伝統を受け継ぐだけでなく、色の配置などに現代的なセンスを感じました。可憐で格調高い雰囲気です。
青木宏憧 「守箱 海月」


まさかのクラゲ!w モチーフに驚かされますが、模様など細部まで高い技術が使われていて、造形自体も近未来的で面白い作品でした。
奥窪聖美 「乾漆蒔絵赤抜盤 花筏」

こちらは流水紋かな? 渦巻く様子自体も花のように見えます。リズミカルで金と黒の取り合わせが蒔絵ならではの雅な雰囲気となっていました。
佐々木岳人 「Bipolarity」

まるで革製のバッグみたいなw 他の作品に比べると反射を抑えているのが革のような質感が出ているように思えます。ジッパー下げたら中が開くのか気になりますw
石榑祐奈 「いぬ」

マスコット的な可愛らしい犬の像! って、これ漆なの?と驚き。何か訴えるような目をしているように観えました。
許琦 「Life」

何処と無く巻貝を思わせるフォルムが美しい逸品。この方は中国でも漆芸を学んでいたようで、深めの赤の色彩感覚が洗練されていて好みでした。
橋本遙 「蒔絵螺鈿箔濃」

真っ黒な骸骨に螺鈿の花という現代的な作品で、笑っている猿のようにも見えるw 蒔絵という伝統的な工芸なのにシニカルな雰囲気が面白い。
十時嵩 「昇華」

こちらもフォルムと色合いが美しい作品。美しさの本質が凝縮されてるように思えます。
大崎風実 「雨の日の桜並木、タクシーの中から」

こちらはタイトルから察するに桜並木でしょうか。所々にある線が流れていく景色や雨を思わせます。形も含めて軽やかな雰囲気が好み。
小田伊織 「海の空船」

こちらも漆芸作品とは思えないほど自由さを感じる作品。シュールさもありつつ何処と無く懐かしいような。色の取り合わせも海や空を思わせて静かな雰囲気に思えました。
中村早希 「散歩道」

まるでネガポジ反転した写真のような漆芸による絵画的作品。鬱蒼とした森の小道に木漏れ日が降り注ぐ様子が目の前に広がるような感覚になりました。
ということで、非常に自由な発想と高い技術を堪能することができました。この記事を書いている時点で既に最終日となってしまいましたが、無料で観られる上に写真まで撮れるので、ムンクやフェルメールを観に行く予定のある方は少し足を伸ばしてこの展示をルートに入れてみるのもよろしいのではないかと思います。
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今日は写真多めです。先週の日曜日に上野の東京国立博物館東洋館で日中平和友好条約締結40周年記念 特別企画「中国近代絵画の巨匠 斉白石」を観てきました。この展示は常設扱いで撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。なお、この展示は前期・後期の会期があり私が観たのは前期の内容でした。

【展覧名】
日中平和友好条約締結40周年記念 特別企画
「中国近代絵画の巨匠 斉白石」
【公式サイト】
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1929
【会場】東京国立博物館 東洋館
【最寄】上野駅
【会期】
前期:2018年10月30日(火)~11月25日(日)
後期:2018年11月27日(火)~12月25日(火)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構多くのお客さんで賑わっていましたが、概ね快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は中国近代絵画の巨匠である斉白石を特集したもので、日本初公開の北京画院の所蔵品が並ぶ内容となっています。斉白石は1864年に湖南省の農家に生まれ、はじめは大工・指物師として生計を立てていたようですが、後に画譜や古画を学んで写生に励み、やがて北京で活動し画家として歩み、かつて日本で開催された日中連合の絵画展で好評を得たのを契機に、大家としての道を進んだそうです。毛沢東や周恩来にも称賛されて「人民芸術家」の称号を得たらしく、今でも中国では最も有名かつ人気のある画家の1人となっているようです。1957年に亡くなっていますが北京画院の初代名誉館長でもあったようで、北京画院のコレクションが豊富なのはそういう経緯があるようです。部屋には所狭しと125点もの作品がテーマごとに並んでいましたので、早速写真を使ってご紹介していこうと思います。
<花木:白石画の華麗なる出発点>
まずは花や木をテーマにしたコーナーです。職人時代に伝統的な花の文様の図柄を考案し顧客の称賛を浴びていたようで、画家を志してからも模写や写生などの修練を重ねていたようです。ここはかなり面白い作品が並んでいました。
斉白石 「桃花源図」

こちらは76歳の作品。清代初期の文人山水画の様式を残すということで、日本にも伝わってきた南画っぽい感じがします。桃の花が咲く理想郷のような光景です。
斉白石 「荷花図」

展覧会序盤にあったこの作品を観て、これは凄い展示かもしれないと直感しました。このセンスは近代の日本画にも通じるものを感じます。デフォルメぶりと濃淡の使い分けが見事で、花も控えめな色ながら可憐な雰囲気となっています。
斉白石 「三祝図」

「竹」は中国の発音で「祝」と音が同じらしく、めでたい意味があるそうです。こちらも濃淡と緩急をつけた描写が面白く、リズミカルな印象を受けました。
斉白石 「蓮池図」

もうこの絵とか天才でしょw 特に下の方の茎と葦の葉の表現が好みで、スピード感があって風になびいているような感じがします。墨跡のような要素があるのも中国的で面白いです。
斉白石 「秋荷図」

こちらは打って変わって色付きの作品。茶色く豊かな秋の訪れを感じさせます。緩さもありつつ風情もあって、日本人にも親しみやすい画風です。
斉白石 「清白伝家図」

連なって流れるような配置の白菜! 白黒なのに瑞々しくて 素朴な力強さもあります。今回の展示でも特に気に入った作品です。
<鳥獣:愛くるしいまなざし>
続いては鳥獣のコーナーです。こちらは可愛らしい生き物などが描かれていました。
斉白石 「葡萄松鼠図」

小さな鼠と葡萄が可愛らしい作品。いずれも子孫繁栄の象徴かな。日本の江戸時代の人気画家達の作品なんかを思い起こすような滲みやぼかしを活かした表現も味わい深いです。
斉白石 「葡萄大鶏図」

こちらは木がうねって絡まっているようなw この奔放な感じの描写に魅力を感じます。観たまま描くよりも生い茂る様子がよく出ているように思えました。鶏もちょっとトボけた顔して可愛いw
斉白石 「松鷹図」

こちらも粗い筆跡や滲みなどを使った作品。この大胆さと繊細さの共存みたいな所が面白い。鷹のフワフワした羽毛の感じも簡素な表現でよく出ていますね。
<山水:全国を旅して描いた造形美>
続いては中国全国を旅して描いた風景画のコーナーです。
斉白石 「借山図(第三図)」

夕日が雲間に落ちていく様子かな? えらく変わった構図で山の頂上から観ているような光景に思えました。余白が奥行きを感じさせるのは日本画と同じですね。
<昆虫:超絶技巧を誇る細密描写>
続いては昆虫を描いた作品のコーナー。ゆるいデフォルメだけでなく、超細密な描写も得意としていたのが分かる作品が並びます。私としてはこの章も推したいw
斉白石 「工虫画冊(第一図:白花と鳳蛾)」

花は滲みやデフォルメで味わい深く描いている一方、虫はかなり精密な印象を受けました。よく観察しています。
斉白石 「工虫画冊(第三図:筍と飛蝗)」

こちらはバッタ。何故か宙に浮いているような感じで描かれているのが不思議。離れてみると、実際にここにバッタが留まっているみたいに見えましたw
斉白石 「飛蝗図(画稿)」

バッタのアップ。手足のトゲとか腹の部分までしっかり描写しているのが分かります。かなり細かい表現もきっちり描いていて、まさに超絶技巧。
斉白石 「工虫画冊(第五図:霊芝と草葉、天牛虫)」

こちらのカミキリムシもかなり精緻で花のデフォルメぶりと対照的です。この緩急の使い分けが非常に面白い画家ですね。
斉白石 「蝉図(画稿)」

確か、実物大くらいの大きさだったかな。ぽつんとした感じで描かれています。
アップにするとこんな感じ。

めちゃくちゃ小さいのに羽が透ける感じまで表現されています。これには驚きでした。
斉白石 「穀穂蝗虫図」

こちらのバッタは他と違って簡略化して描かれています。それでも生き生きとしていて、今にも飛び立ちそうな緊張感がありました。
<書斎:創作の源>
続いては書斎のコーナー。若い頃、勉強の為に画譜に薄い紙を重ねてトレースして複写していたようです。古画を丁寧に模写したり色々と学んでいたようです。
こちらは書斎の再現と遺愛の品々。

当時の写真なんかもあり、仙人みたいな雰囲気ですw
斉白石 「小猴棒桃図(画稿)」

なんだかトボけた猿に観えますが、これは孫悟空が西王母の不老長寿を得る桃を盗んだ様子が描かれているようです。漫画みたいなゆるいタッチで親しみ持てますw
斉白石 「臨金農精えん書図(画稿)」

こちらも画稿。下絵のようなものかな。簡素ながら情感ある風景となっていました。
<魚蝦:慣れ親しんだ得意の画題>
続いては魚やエビを描いたコーナーです。
斉白石 「魚蝦蟹図」

魚、エビ、蟹の濃淡と配置が面白い作品。特に魚のすい~っと泳ぐ様子が優美で好みです。
斉白石 「白菜群蝦図」

こちらは白菜とエビという変わった題材。お鍋のセットだろうか?と思っていたら本当に料理が題材のようで、干しエビの出汁で似た白菜が素晴らしいという調理法を論じているのだとか。流石、中国人だけあって食にも造形が深いw
<神仏と人物:白石画の独創的な到達点>
続いては神仏を題材にしたコーナー。
斉白石 「坐仏図」

ここまで観てきた作品と異なる金泥を使って羅漢を描いた作品。ここでも緻密な描写となっていて、荘厳さを感じさせました。
他にも仙人などを描いた作品もありました。
<書と印:凝縮された美意識と感性>
最後は書と篆刻のコーナーです。浙派や趙之謙を学び、篆書を研究して独自の字体・刀法を確立したそうで、大工と指物師の経験も活かされているようです。
斉白石 「篆書馬忠公語」

こちらは馬文忠という明朝滅亡に殉じた人物の言葉で、人生で活躍できる30年という短い時間を大切にせよと書いてあるそうです。細く正方形を意識したような形の字が篆書らしく思えます。
斉白石 「篆書五言聯」

こちらは世の中は公平であるべきという意味の籠められた作品。こちらはやや太めでダイナミックな感じ。記号的な面白さがありました。
斉白石 「三百石印富翁 朱文印」

印章もたくさん並んでいました。300もの印材を収蔵していたので三百石印斉を号していたのだとか。三百と石あたりは読めましたw
ということで、それほど広くない会場ですが十分に堪能することができました。本気出して特別展をやったら 相当に人気が出るのではないか?というくらい面白い画家で、流石は中国の人気画家と言ったところでした。これが常設扱いで写真も撮れるというのは貴重な機会ですので、東博に行く機会があったら是非足を運ぶことをお勧めします。
おまけ:
本館では2018年12月2日(日)まで潜伏キリシタンのミニ企画もやってます。
参考記事:世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」登録記念 キリシタンの遺品 (東京国立博物館 本館)
おまけ2:
同じく2018年12月2日(日)まで秋の庭園開放をやっていました。私が行った時はお茶会やってて入れない所ばかりでしたがw 紅葉すると綺麗な所です。
参考リンク:秋の庭園開放
参考記事:
東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放 2009】
東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放 2012】
今年の秋の東博も盛りだくさんですね。

【展覧名】
日中平和友好条約締結40周年記念 特別企画
「中国近代絵画の巨匠 斉白石」
【公式サイト】
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1929
【会場】東京国立博物館 東洋館
【最寄】上野駅
【会期】
前期:2018年10月30日(火)~11月25日(日)
後期:2018年11月27日(火)~12月25日(火)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構多くのお客さんで賑わっていましたが、概ね快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は中国近代絵画の巨匠である斉白石を特集したもので、日本初公開の北京画院の所蔵品が並ぶ内容となっています。斉白石は1864年に湖南省の農家に生まれ、はじめは大工・指物師として生計を立てていたようですが、後に画譜や古画を学んで写生に励み、やがて北京で活動し画家として歩み、かつて日本で開催された日中連合の絵画展で好評を得たのを契機に、大家としての道を進んだそうです。毛沢東や周恩来にも称賛されて「人民芸術家」の称号を得たらしく、今でも中国では最も有名かつ人気のある画家の1人となっているようです。1957年に亡くなっていますが北京画院の初代名誉館長でもあったようで、北京画院のコレクションが豊富なのはそういう経緯があるようです。部屋には所狭しと125点もの作品がテーマごとに並んでいましたので、早速写真を使ってご紹介していこうと思います。
<花木:白石画の華麗なる出発点>
まずは花や木をテーマにしたコーナーです。職人時代に伝統的な花の文様の図柄を考案し顧客の称賛を浴びていたようで、画家を志してからも模写や写生などの修練を重ねていたようです。ここはかなり面白い作品が並んでいました。
斉白石 「桃花源図」

こちらは76歳の作品。清代初期の文人山水画の様式を残すということで、日本にも伝わってきた南画っぽい感じがします。桃の花が咲く理想郷のような光景です。
斉白石 「荷花図」

展覧会序盤にあったこの作品を観て、これは凄い展示かもしれないと直感しました。このセンスは近代の日本画にも通じるものを感じます。デフォルメぶりと濃淡の使い分けが見事で、花も控えめな色ながら可憐な雰囲気となっています。
斉白石 「三祝図」

「竹」は中国の発音で「祝」と音が同じらしく、めでたい意味があるそうです。こちらも濃淡と緩急をつけた描写が面白く、リズミカルな印象を受けました。
斉白石 「蓮池図」

もうこの絵とか天才でしょw 特に下の方の茎と葦の葉の表現が好みで、スピード感があって風になびいているような感じがします。墨跡のような要素があるのも中国的で面白いです。
斉白石 「秋荷図」

こちらは打って変わって色付きの作品。茶色く豊かな秋の訪れを感じさせます。緩さもありつつ風情もあって、日本人にも親しみやすい画風です。
斉白石 「清白伝家図」

連なって流れるような配置の白菜! 白黒なのに瑞々しくて 素朴な力強さもあります。今回の展示でも特に気に入った作品です。
<鳥獣:愛くるしいまなざし>
続いては鳥獣のコーナーです。こちらは可愛らしい生き物などが描かれていました。
斉白石 「葡萄松鼠図」

小さな鼠と葡萄が可愛らしい作品。いずれも子孫繁栄の象徴かな。日本の江戸時代の人気画家達の作品なんかを思い起こすような滲みやぼかしを活かした表現も味わい深いです。
斉白石 「葡萄大鶏図」

こちらは木がうねって絡まっているようなw この奔放な感じの描写に魅力を感じます。観たまま描くよりも生い茂る様子がよく出ているように思えました。鶏もちょっとトボけた顔して可愛いw
斉白石 「松鷹図」

こちらも粗い筆跡や滲みなどを使った作品。この大胆さと繊細さの共存みたいな所が面白い。鷹のフワフワした羽毛の感じも簡素な表現でよく出ていますね。
<山水:全国を旅して描いた造形美>
続いては中国全国を旅して描いた風景画のコーナーです。
斉白石 「借山図(第三図)」

夕日が雲間に落ちていく様子かな? えらく変わった構図で山の頂上から観ているような光景に思えました。余白が奥行きを感じさせるのは日本画と同じですね。
<昆虫:超絶技巧を誇る細密描写>
続いては昆虫を描いた作品のコーナー。ゆるいデフォルメだけでなく、超細密な描写も得意としていたのが分かる作品が並びます。私としてはこの章も推したいw
斉白石 「工虫画冊(第一図:白花と鳳蛾)」

花は滲みやデフォルメで味わい深く描いている一方、虫はかなり精密な印象を受けました。よく観察しています。
斉白石 「工虫画冊(第三図:筍と飛蝗)」

こちらはバッタ。何故か宙に浮いているような感じで描かれているのが不思議。離れてみると、実際にここにバッタが留まっているみたいに見えましたw
斉白石 「飛蝗図(画稿)」

バッタのアップ。手足のトゲとか腹の部分までしっかり描写しているのが分かります。かなり細かい表現もきっちり描いていて、まさに超絶技巧。
斉白石 「工虫画冊(第五図:霊芝と草葉、天牛虫)」

こちらのカミキリムシもかなり精緻で花のデフォルメぶりと対照的です。この緩急の使い分けが非常に面白い画家ですね。
斉白石 「蝉図(画稿)」

確か、実物大くらいの大きさだったかな。ぽつんとした感じで描かれています。
アップにするとこんな感じ。

めちゃくちゃ小さいのに羽が透ける感じまで表現されています。これには驚きでした。
斉白石 「穀穂蝗虫図」

こちらのバッタは他と違って簡略化して描かれています。それでも生き生きとしていて、今にも飛び立ちそうな緊張感がありました。
<書斎:創作の源>
続いては書斎のコーナー。若い頃、勉強の為に画譜に薄い紙を重ねてトレースして複写していたようです。古画を丁寧に模写したり色々と学んでいたようです。
こちらは書斎の再現と遺愛の品々。

当時の写真なんかもあり、仙人みたいな雰囲気ですw
斉白石 「小猴棒桃図(画稿)」

なんだかトボけた猿に観えますが、これは孫悟空が西王母の不老長寿を得る桃を盗んだ様子が描かれているようです。漫画みたいなゆるいタッチで親しみ持てますw
斉白石 「臨金農精えん書図(画稿)」

こちらも画稿。下絵のようなものかな。簡素ながら情感ある風景となっていました。
<魚蝦:慣れ親しんだ得意の画題>
続いては魚やエビを描いたコーナーです。
斉白石 「魚蝦蟹図」

魚、エビ、蟹の濃淡と配置が面白い作品。特に魚のすい~っと泳ぐ様子が優美で好みです。
斉白石 「白菜群蝦図」

こちらは白菜とエビという変わった題材。お鍋のセットだろうか?と思っていたら本当に料理が題材のようで、干しエビの出汁で似た白菜が素晴らしいという調理法を論じているのだとか。流石、中国人だけあって食にも造形が深いw
<神仏と人物:白石画の独創的な到達点>
続いては神仏を題材にしたコーナー。
斉白石 「坐仏図」

ここまで観てきた作品と異なる金泥を使って羅漢を描いた作品。ここでも緻密な描写となっていて、荘厳さを感じさせました。
他にも仙人などを描いた作品もありました。
<書と印:凝縮された美意識と感性>
最後は書と篆刻のコーナーです。浙派や趙之謙を学び、篆書を研究して独自の字体・刀法を確立したそうで、大工と指物師の経験も活かされているようです。
斉白石 「篆書馬忠公語」

こちらは馬文忠という明朝滅亡に殉じた人物の言葉で、人生で活躍できる30年という短い時間を大切にせよと書いてあるそうです。細く正方形を意識したような形の字が篆書らしく思えます。
斉白石 「篆書五言聯」

こちらは世の中は公平であるべきという意味の籠められた作品。こちらはやや太めでダイナミックな感じ。記号的な面白さがありました。
斉白石 「三百石印富翁 朱文印」

印章もたくさん並んでいました。300もの印材を収蔵していたので三百石印斉を号していたのだとか。三百と石あたりは読めましたw
ということで、それほど広くない会場ですが十分に堪能することができました。本気出して特別展をやったら 相当に人気が出るのではないか?というくらい面白い画家で、流石は中国の人気画家と言ったところでした。これが常設扱いで写真も撮れるというのは貴重な機会ですので、東博に行く機会があったら是非足を運ぶことをお勧めします。
おまけ:
本館では2018年12月2日(日)まで潜伏キリシタンのミニ企画もやってます。
参考記事:世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」登録記念 キリシタンの遺品 (東京国立博物館 本館)
おまけ2:
同じく2018年12月2日(日)まで秋の庭園開放をやっていました。私が行った時はお茶会やってて入れない所ばかりでしたがw 紅葉すると綺麗な所です。
参考リンク:秋の庭園開放
参考記事:
東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放 2009】
東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放 2012】
今年の秋の東博も盛りだくさんですね。
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前回に引き続き国立新美術館の「生誕110年 東山魁夷展」についてです。前編は3章までご紹介しましたが、今日は残りの4~6章についてです。まずは概要のおさらいです。
前編はこちら

【展覧名】
生誕110年 東山魁夷展
【公式サイト】
http://kaii2018.exhn.jp/
http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/kaii2018/
【会場】国立新美術館
【最寄】六本木駅・乃木坂駅
【会期】2018年10月24日(水)~12月3日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前半に比べると後半の方がやや空いていたようにも思いますが、5章は見どころだけあって多くの人がいました。後編も引き続き各章ごとに気に入った作品のをご紹介していこうと思います。
<4章 古都を描く・ドイツ、オーストリア>
前回ご紹介した京都シリーズを公表した翌年に、東山魁夷はドイツ・オーストリアへと旅立ちました。ドイツは東京美術学校卒業後に2年間留学していたこともあって、懐かしい街だったようです。ドイツ・オーストリアでもやはり古都を描いたようですが、京都の連作と比べると建物を描いた作品が中心とのことで、このコーナーにはそうしたドイツ・オーストリアの建物の絵が並んでいました。
42 東山魁夷 「石の窓」
こちらは石造りの建物の壁と、赤いドアを描いた作品です。柱や階段、装飾窓のようなものが描かれていますが、石の質感のある画面となっていて平坦な印象を受けます。幾何学模様が抽象画のようでもあり、トリミングしたような構図は京都シリーズに通じるものがありました。
37 東山魁夷 「窓」 ★こちらで観られます
こちらも建物の窓や戸を描いた作品です。アーチ型や四角の窓、ベンチなどといった幾何学的な模様が横に連続する構図となっていて、リズムがあります。また、壁のシミや劣化までしっかり表現していて、歴史の重みまでも感じさせるかな。解説によるとこれはドイツのローテンブルクの街で、第二次世界大戦では壊滅的な被害を受けたようですが、復興したようです。この作品もトリミングしたような構図が楽しめて、建物好きの視点になっているように思えました。
41 東山魁夷 「晩鐘」
こちらは中央に細長い尖塔の教会が描かれ、背景には雲間から夕日が降り注ぐ町並みが描かれています。こちらはあまり単純化せずに緻密に描いている感じで、尖塔が存在感強めとなっています。神々しい光と共に静かで荘厳な光景となっていました。
<5章 唐招提寺御影堂障壁画>
続いては今回の目玉である唐招提寺御影堂の障壁画のコーナーです。1971年に奈良の唐招提寺から受けた開山の鑑真和上の像を安置する御影堂の障壁画制作の依頼を受託し、10年の歳月をかけて1期、2期、残り と段階的に奉納していったようです。この制作の為には日本中を取材して回った他、日中平和友好条約締結前に中国に3回訪問して取材してきたようです。一方、この頃には「白馬のいる風景」という森の中に白い馬を描くシリーズも描いていたようです。このコーナーでは最初に「白馬のいる風景」のシリーズがあり、その後に唐招提寺御影堂障壁画の実物再現のような空間構成となっていました。
46 東山魁夷 「白馬の森」
こちらは青の闇と白の木々が並ぶ暗い森の中に、ぽつんと1頭の青白い馬が立っている様子を描いた作品です。ぼんやり浮かんでくるような感じで、これが人間だったら幽霊みたいに思えるかもしれませんw しかしこの馬はすらりとした細身で、森の精のような気品も感じられます。解説によると、この頃 急に白い馬を描くようになったそうで、画家本人にとってもそれは突然の事だったようです。この年(1972年)に描いた18点全てに白い馬が描かれたということで、これまでの静かで誰もいない画面から 少し超現実的な雰囲気が加味されたように感じられました。
60 東山魁夷 「緑響く」 ★こちらで観られます
こちらは水面に写った緑の山と、その畔を歩く白い馬を描いた作品です。この反射で画面を二分する構図はこれまでもいくつかありましたが、白い馬がいると色彩にアクセントがついて、視線がそこに集まるように感じます。この景色は蓼科高原を描いたもののようですが、もちろん実際に白い馬がいたわけではなく、この馬は平安を願う祈りの象徴として描かれているようでした。白い馬がいるだけで神話的な雰囲気が漂います。
この辺には白い馬を描いた作品が並んでいました。近くの休憩室には映像があったのですが、人で溢れていたので諦めましたw そしていよいよ今回の見所である唐招提寺御影堂障壁画のコーナーです。
51 東山魁夷 「唐招提寺御影堂障壁画 濤声」 ★こちらで観られます
こちらは 「 の字のような配置で ずら~~~っと並ぶ襖絵で、青緑色の浜辺の様子が描かれ全てが繋がって大画面のパノラマのようになっています。押し寄せる波濤がやや荒れた感じに見え、落ち着いた色なのに鮮やかに感じられます。この展示方法は実際の唐招提寺御影堂の配置をそのまま再現しているようで、包み込まれるような臨場感がありました。この章までは割とよくある東山魁夷の展示だなと思っていましたが、この作品には本当に驚かされました。(と、思ってたら序の口だったわけですがw) まるで波の音が聞こえてきそうなくらい迫りくる作品です。
50 東山魁夷 「唐招提寺御影堂障壁画 山雲」 ★こちらで観られます
こちらは壁画・違棚・襖などに描かれた作品で、山間を漂うモヤや滝などが描かかれ緑と白が主体の画面となっています。仙境のような幽玄さとなっていて、神秘と自然の雄大さを感じさせ、ここまで観てきた東山魁夷の持ち味が活かされているように思います。特に巨大な壁画部分は高さ3~4mくらい、横も6mくらいある大画面で、目の前にこの光景が広がっているかのような錯覚すら感じます。書院の小襖などにまで描かれている徹底ぶりも含め、この展示でも特に驚きの作品でした。(この辺、驚いてばかりですw)
なお、この「山雲」と先ほどの「濤声」は鑑真和上が観たかったであろう日本の風景(鑑真は日本に来た時には失明していた)を第一期の仕事として1975年に描き上げたそうです。これだけでも4年かかっている訳ですが、そりゃ時間かかるわな…と、誰もが納得するであろうスケールです。
54 東山魁夷 「唐招提寺御影堂障壁画 黄山暁雲」 ★こちらで観られます
こちらは中国の縦長の山々が立ち並ぶ黄山の光景を描いた水墨の襖絵です。東山魁夷の水墨画という珍しい作品(純粋な水墨はこの障壁画の2期のみ)ですが、墨の濃淡だけでも東山魁夷と分かる特徴がよく出ているように思います。モヤが立ち込める光景なんかは日本の山と共通するモチーフかな。こちらも幻想的な光景となっていました。
56 東山魁夷 「唐招提寺御影堂障壁画 揚州薫風」 ★こちらで観られます
こちらもずらりと並ぶ水墨による襖絵で、水面に点々と小島のようなものがありそこに木々が立ち並ぶ様子が描かれています。タイトルの通り風が吹き渡るように葉や枝が右から左へと流れていて、墨のかすれ具合が良い味を出していました。解説によると、こちらは鑑真和上の出身地の光景のようで、鑑真和上への敬意といたわりも感じられる作品です。
58 東山魁夷 「唐招提寺御影堂障壁画 桂林月宵」 ★こちらで観られます
こちらも水墨画に見える作品ですが、焼き群青などを使った厚塗りの画面なので正確には水墨ではないようです。とは言えほぼモノトーンで縦長の楕円形のような山が並び、空に満月が浮かぶ光景を描いていて、静けさが漂っています。解説によると、この地は鑑真和上が第5回渡航に失敗した際に1年間滞在した所のようです。鑑真の話は歴史でも習いますが、本当に苦労して日本に来てくれたのを思い出しました。
なお、「黄山暁雲」「揚州薫風」「桂林月宵」は第二期の仕事として1980年に奉納したそうです。そしてもう1点、鑑真和上が初めて日本にたどり着いた地をテーマにした「瑞光」を御厨子内に描き1981年に奉納したそうです。構想から10年という偉業とも言える大プロジェクトなのがよく分かりました。
<6章 心を写す風景画>
最後は唐招提寺御影堂障壁画を描き終わって以降、晩年までのコーナーです。この頃、東山魁夷は前章の白馬のように描くことは祈りであり、心が籠められていれば上手い下手はどうでもいいことだと考えるようになったようです。70歳を越えてからは写生に出ることも難しくなってきたようですが、それまでに観てきた風景やスケッチを元に日本でも外国でもない心の中の風景を描くようになっていったようです。ここにはそうした心を写す風景画が並んでいました。
59 東山魁夷 「静唱」
こちらは背の高い木々が整列して並ぶ湖畔の光景を描いた作品です。画面の上下で鏡写しになる構図はここまでも観てきた通りですが、ここでは青さよりも白味が強く、一層に静かで時間が止まったかのようです。この作品には白い馬だけでなく動物は全くいなくなり、日本か外国かも分からないような感じとなっていました。まさにタイトル通りの雰囲気の作品です。
67 東山魁夷 「行く秋」 ★こちらで観られます
こちらは黄色く染まる落ち葉と、木の根の部分をクローズアップして描いた作品です。1枚1枚の葉っぱを輪郭を使って描いていて、金砂子が使われているようで、鮮やかな色合いとなっています。解説によると、東山魁夷がドイツに行った際にハンブルグの婦人が「ドイツの落ち葉は木の形に落ちる」というのを聴いて、落ち葉で木の形を表現できると考えてこうした構図にしたようです。放射状に広がるような葉っぱの配置がその意図を感じさせるように思いました。
70 東山魁夷 「夕星」
こちらは湖畔に立つ4本の木と、その背後の森や星を描いた作品です。これも画面の上下で鏡写しになっているお得意の構図ですが、現実ではなく夢の中の光景のようです。1つの星が明るくて目を引き、4本の木はまるで墓標のように見えると思ったら、家族を示すのではないかと考えられるようです。その為か、夜の光景でも希望や温かみを感じさせる作品のように思えました。なお、この作品は一度完成したようですが直し続けたそうで、再び完成することはなく絶筆となったとのことです。奇しくも東山魁夷の眠る墓所から見える風景にも似ているのだとか。
ということで、特に唐招提寺御影堂障壁画に驚かされる展示で、記憶に留めたかったので図録も買いました。本来ならもっとこの空間に没入して堪能したかったのですが、ちょっと混んでいてそうもいかなかったのが残念かな。(周りを見ずにアタックしてくるおばちゃんとかいたので…w) 会期が短めで混雑しているのが難点ですが、東山魁夷が好きな方は是非どうぞ。障壁画に囲まれる体験が圧倒的な展示です。
前編はこちら

【展覧名】
生誕110年 東山魁夷展
【公式サイト】
http://kaii2018.exhn.jp/
http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/kaii2018/
【会場】国立新美術館
【最寄】六本木駅・乃木坂駅
【会期】2018年10月24日(水)~12月3日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前半に比べると後半の方がやや空いていたようにも思いますが、5章は見どころだけあって多くの人がいました。後編も引き続き各章ごとに気に入った作品のをご紹介していこうと思います。
<4章 古都を描く・ドイツ、オーストリア>
前回ご紹介した京都シリーズを公表した翌年に、東山魁夷はドイツ・オーストリアへと旅立ちました。ドイツは東京美術学校卒業後に2年間留学していたこともあって、懐かしい街だったようです。ドイツ・オーストリアでもやはり古都を描いたようですが、京都の連作と比べると建物を描いた作品が中心とのことで、このコーナーにはそうしたドイツ・オーストリアの建物の絵が並んでいました。
42 東山魁夷 「石の窓」
こちらは石造りの建物の壁と、赤いドアを描いた作品です。柱や階段、装飾窓のようなものが描かれていますが、石の質感のある画面となっていて平坦な印象を受けます。幾何学模様が抽象画のようでもあり、トリミングしたような構図は京都シリーズに通じるものがありました。
37 東山魁夷 「窓」 ★こちらで観られます
こちらも建物の窓や戸を描いた作品です。アーチ型や四角の窓、ベンチなどといった幾何学的な模様が横に連続する構図となっていて、リズムがあります。また、壁のシミや劣化までしっかり表現していて、歴史の重みまでも感じさせるかな。解説によるとこれはドイツのローテンブルクの街で、第二次世界大戦では壊滅的な被害を受けたようですが、復興したようです。この作品もトリミングしたような構図が楽しめて、建物好きの視点になっているように思えました。
41 東山魁夷 「晩鐘」
こちらは中央に細長い尖塔の教会が描かれ、背景には雲間から夕日が降り注ぐ町並みが描かれています。こちらはあまり単純化せずに緻密に描いている感じで、尖塔が存在感強めとなっています。神々しい光と共に静かで荘厳な光景となっていました。
<5章 唐招提寺御影堂障壁画>
続いては今回の目玉である唐招提寺御影堂の障壁画のコーナーです。1971年に奈良の唐招提寺から受けた開山の鑑真和上の像を安置する御影堂の障壁画制作の依頼を受託し、10年の歳月をかけて1期、2期、残り と段階的に奉納していったようです。この制作の為には日本中を取材して回った他、日中平和友好条約締結前に中国に3回訪問して取材してきたようです。一方、この頃には「白馬のいる風景」という森の中に白い馬を描くシリーズも描いていたようです。このコーナーでは最初に「白馬のいる風景」のシリーズがあり、その後に唐招提寺御影堂障壁画の実物再現のような空間構成となっていました。
46 東山魁夷 「白馬の森」
こちらは青の闇と白の木々が並ぶ暗い森の中に、ぽつんと1頭の青白い馬が立っている様子を描いた作品です。ぼんやり浮かんでくるような感じで、これが人間だったら幽霊みたいに思えるかもしれませんw しかしこの馬はすらりとした細身で、森の精のような気品も感じられます。解説によると、この頃 急に白い馬を描くようになったそうで、画家本人にとってもそれは突然の事だったようです。この年(1972年)に描いた18点全てに白い馬が描かれたということで、これまでの静かで誰もいない画面から 少し超現実的な雰囲気が加味されたように感じられました。
60 東山魁夷 「緑響く」 ★こちらで観られます
こちらは水面に写った緑の山と、その畔を歩く白い馬を描いた作品です。この反射で画面を二分する構図はこれまでもいくつかありましたが、白い馬がいると色彩にアクセントがついて、視線がそこに集まるように感じます。この景色は蓼科高原を描いたもののようですが、もちろん実際に白い馬がいたわけではなく、この馬は平安を願う祈りの象徴として描かれているようでした。白い馬がいるだけで神話的な雰囲気が漂います。
この辺には白い馬を描いた作品が並んでいました。近くの休憩室には映像があったのですが、人で溢れていたので諦めましたw そしていよいよ今回の見所である唐招提寺御影堂障壁画のコーナーです。
51 東山魁夷 「唐招提寺御影堂障壁画 濤声」 ★こちらで観られます
こちらは 「 の字のような配置で ずら~~~っと並ぶ襖絵で、青緑色の浜辺の様子が描かれ全てが繋がって大画面のパノラマのようになっています。押し寄せる波濤がやや荒れた感じに見え、落ち着いた色なのに鮮やかに感じられます。この展示方法は実際の唐招提寺御影堂の配置をそのまま再現しているようで、包み込まれるような臨場感がありました。この章までは割とよくある東山魁夷の展示だなと思っていましたが、この作品には本当に驚かされました。(と、思ってたら序の口だったわけですがw) まるで波の音が聞こえてきそうなくらい迫りくる作品です。
50 東山魁夷 「唐招提寺御影堂障壁画 山雲」 ★こちらで観られます
こちらは壁画・違棚・襖などに描かれた作品で、山間を漂うモヤや滝などが描かかれ緑と白が主体の画面となっています。仙境のような幽玄さとなっていて、神秘と自然の雄大さを感じさせ、ここまで観てきた東山魁夷の持ち味が活かされているように思います。特に巨大な壁画部分は高さ3~4mくらい、横も6mくらいある大画面で、目の前にこの光景が広がっているかのような錯覚すら感じます。書院の小襖などにまで描かれている徹底ぶりも含め、この展示でも特に驚きの作品でした。(この辺、驚いてばかりですw)
なお、この「山雲」と先ほどの「濤声」は鑑真和上が観たかったであろう日本の風景(鑑真は日本に来た時には失明していた)を第一期の仕事として1975年に描き上げたそうです。これだけでも4年かかっている訳ですが、そりゃ時間かかるわな…と、誰もが納得するであろうスケールです。
54 東山魁夷 「唐招提寺御影堂障壁画 黄山暁雲」 ★こちらで観られます
こちらは中国の縦長の山々が立ち並ぶ黄山の光景を描いた水墨の襖絵です。東山魁夷の水墨画という珍しい作品(純粋な水墨はこの障壁画の2期のみ)ですが、墨の濃淡だけでも東山魁夷と分かる特徴がよく出ているように思います。モヤが立ち込める光景なんかは日本の山と共通するモチーフかな。こちらも幻想的な光景となっていました。
56 東山魁夷 「唐招提寺御影堂障壁画 揚州薫風」 ★こちらで観られます
こちらもずらりと並ぶ水墨による襖絵で、水面に点々と小島のようなものがありそこに木々が立ち並ぶ様子が描かれています。タイトルの通り風が吹き渡るように葉や枝が右から左へと流れていて、墨のかすれ具合が良い味を出していました。解説によると、こちらは鑑真和上の出身地の光景のようで、鑑真和上への敬意といたわりも感じられる作品です。
58 東山魁夷 「唐招提寺御影堂障壁画 桂林月宵」 ★こちらで観られます
こちらも水墨画に見える作品ですが、焼き群青などを使った厚塗りの画面なので正確には水墨ではないようです。とは言えほぼモノトーンで縦長の楕円形のような山が並び、空に満月が浮かぶ光景を描いていて、静けさが漂っています。解説によると、この地は鑑真和上が第5回渡航に失敗した際に1年間滞在した所のようです。鑑真の話は歴史でも習いますが、本当に苦労して日本に来てくれたのを思い出しました。
なお、「黄山暁雲」「揚州薫風」「桂林月宵」は第二期の仕事として1980年に奉納したそうです。そしてもう1点、鑑真和上が初めて日本にたどり着いた地をテーマにした「瑞光」を御厨子内に描き1981年に奉納したそうです。構想から10年という偉業とも言える大プロジェクトなのがよく分かりました。
<6章 心を写す風景画>
最後は唐招提寺御影堂障壁画を描き終わって以降、晩年までのコーナーです。この頃、東山魁夷は前章の白馬のように描くことは祈りであり、心が籠められていれば上手い下手はどうでもいいことだと考えるようになったようです。70歳を越えてからは写生に出ることも難しくなってきたようですが、それまでに観てきた風景やスケッチを元に日本でも外国でもない心の中の風景を描くようになっていったようです。ここにはそうした心を写す風景画が並んでいました。
59 東山魁夷 「静唱」
こちらは背の高い木々が整列して並ぶ湖畔の光景を描いた作品です。画面の上下で鏡写しになる構図はここまでも観てきた通りですが、ここでは青さよりも白味が強く、一層に静かで時間が止まったかのようです。この作品には白い馬だけでなく動物は全くいなくなり、日本か外国かも分からないような感じとなっていました。まさにタイトル通りの雰囲気の作品です。
67 東山魁夷 「行く秋」 ★こちらで観られます
こちらは黄色く染まる落ち葉と、木の根の部分をクローズアップして描いた作品です。1枚1枚の葉っぱを輪郭を使って描いていて、金砂子が使われているようで、鮮やかな色合いとなっています。解説によると、東山魁夷がドイツに行った際にハンブルグの婦人が「ドイツの落ち葉は木の形に落ちる」というのを聴いて、落ち葉で木の形を表現できると考えてこうした構図にしたようです。放射状に広がるような葉っぱの配置がその意図を感じさせるように思いました。
70 東山魁夷 「夕星」
こちらは湖畔に立つ4本の木と、その背後の森や星を描いた作品です。これも画面の上下で鏡写しになっているお得意の構図ですが、現実ではなく夢の中の光景のようです。1つの星が明るくて目を引き、4本の木はまるで墓標のように見えると思ったら、家族を示すのではないかと考えられるようです。その為か、夜の光景でも希望や温かみを感じさせる作品のように思えました。なお、この作品は一度完成したようですが直し続けたそうで、再び完成することはなく絶筆となったとのことです。奇しくも東山魁夷の眠る墓所から見える風景にも似ているのだとか。
ということで、特に唐招提寺御影堂障壁画に驚かされる展示で、記憶に留めたかったので図録も買いました。本来ならもっとこの空間に没入して堪能したかったのですが、ちょっと混んでいてそうもいかなかったのが残念かな。(周りを見ずにアタックしてくるおばちゃんとかいたので…w) 会期が短めで混雑しているのが難点ですが、東山魁夷が好きな方は是非どうぞ。障壁画に囲まれる体験が圧倒的な展示です。
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2週間ほど前の土曜日に六本木の国立新美術館で「生誕110年 東山魁夷展」を観てきました。見どころの多い展示でしたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。なお、この展示は前期・後期に分かれていて、私が観たのは前期の内容でした。

【展覧名】
生誕110年 東山魁夷展
【公式サイト】
http://kaii2018.exhn.jp/
http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/kaii2018/
【会場】国立新美術館
【最寄】六本木駅・乃木坂駅
【会期】2018年10月24日(水)~12月3日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
予想以上に混んでいて場所によっては人だかりが出来るような感じで、やや混雑感がありました。
さて、この展示は戦後の国民的画家として知られる東山魁夷の大規模な回顧展で、大型作品を含め本画68点、習作・スケッチ45点という充実した内容となっています。特に後半にはアッと驚くような部屋があり、今回の見どころは5章と言えそうです。今回も簡単にメモを取ってきましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
参考記事:没後10年記念 東山魁夷と昭和の日本画 (山種美術館)
<冒頭>
まず最初に東山魁夷のざっくりした経歴がありました。東山魁夷は1908年に横浜で生まれ、東京美術学校で日本画を学びました。2年間のドイツ留学の後に戦争へ招集され、その頃には肉親も亡くすなど苦難の時期だったようです。戦後になると日展を舞台に活躍し、1956年には日本芸術院賞を受賞、1969年には文化勲章受賞など、まさに国民的画家と言える地位を築いていきました。冒頭には3点ほど1941年の作品が並び、苦しい時期ながら美しい風景を題材としていた様子が伺えます。
東山魁夷 「自然と形象 雪の谷間」「自然と形象 秋の山」「自然と形象 早春の麦畑」
こちらは29歳の頃の3点セットの作品で、それぞれ雪の合間の川、赤や黄色に染まる紅葉の山、上空から観たような構図の早春の畑が描かれています。単純化された画風で、曲線が滑らかかつリズムを感じさせて面白い造形となっています。色は控えめで淡い印象を受けるかな。冷たい川でも柔らかく感じるほどです。まだ晩年の画風とは異なりますが、これはこれで素晴らしい作品だと思います。
<1章 国民的風景画家>
1章は東山魁夷と言えばこの画風と言った感じの作品が並ぶコーナーです。戦前から官展に出品していた東山魁夷ですが、ようやく特選を受けたのは戦後の1947年だったようです。終戦前後に父・母・弟を亡くし、さらに空襲で自宅も無くすなど この頃はどん底にいたようです。しかし死を覚悟した時に平凡な風景が生命に満ち溢れて輝き 何よりも美しく感じたそうで、それ以降 素直な眼と心で自然を見つめ、自分の心を重ねた風景画を描くようになったそうです。ここにはそうした東山魁夷の得意とした風景画が多く並んでいました。
4 東山魁夷 「残照」 ★こちらで観られます
こちらは人生のどん底の時期に写生のために訪れた千葉県鹿野山の山頂からの風景を描いた作品です。遠くの山が赤く染まる開けた視界で、広々とした雰囲気となっていて、割と単純化された平坦な印象を受けます。東山魁夷はこの山頂からの光景を見つめていた時、自然が作り出す光景と自分の心の動きが重なる充実感を味わったそうで、この頃から風景画家となる決意をしたようです。まだ画風や色彩はそれほど印象的ではないですが、東山魁夷のターニングポイントとなった風景なのかもしれません。
この辺には大型作品が立て続けに並んでいました。「郷愁」という作品あたりから、独特の緑色が使われていました。
8 東山魁夷 「道」 ★こちらで観られます
※この写真は以前に東京国立近代美術館の常設展で撮影可能な時に撮ったものです。(今回の展示では撮影不可です)

こちらの作品は今回のポスターにもなっているもので、青森のスケッチを元に心象風景として描いたもののようです。1950年という終戦5年後に描かれ、当時の日本の状況を考えると、これからどう生きていくのかを表すような象徴としての道、これから歩む道と言えそうです。ざらついたマチエールでややぼんやりとしてしんみりした雰囲気が漂っていますが、潔くまっすぐ伸びているのが気持ちの良い作品です(よーく観ると、途中で右に曲がって行くんですけどねw)
この近くにあった「たにま」は冒頭の「自然と形象 雪の谷間」に似た雰囲気がありましたが、単純化が進んでいるように思えました。
16 東山魁夷 「青響」
※この写真は以前に東京国立近代美術館の常設展で撮影可能な時に撮ったものです。(今回の展示では撮影不可です)

こちらも非常に単純化された光景で、緑が印象的な作品です。この落ち着いて心に染み入るような色彩が東山魁夷の特徴だと思います。静けさの中に滝の音だけが聞こえてくるような情感漂う作品となっていました。
この近くにあった「雪降る」という作品も雪の表現が大胆かつ静かで面白い作品でした。他にも東近美の「秋翳」(★こちらで観られます)などもありました。
<2章 北欧を描く>
続いての2章は北欧を題材とした作品のコーナーです。前章で観た「残照」や「道」を発表以降、日本芸術院賞を受賞し皇室の依頼を受けるなど一躍人気画家となった東山魁夷ですが、1962年にドイツ時代からの憧れでもあった北欧へと旅立ちました。北欧での風景は東山魁夷の想像通りの光景だったようで、帰国後に連作を発表すると高い評価を得て、青が多用されたことから「青の画家」のイメージも生まれたようです。ここにはそうした北欧に取材した作品が並んでいました。
20 東山魁夷 「映象」 ★こちらで観られます
こちらは絵の中央付近に湖の水面が広がり、上下が鏡写しのようになった森の光景を描いた作品です。木々は白く枯れているような感じで、真っ暗な背景に浮かび上がるようで、神秘的な光景となっています。波1つ立たず、動物もいない静寂の世界でどこか内省的な心象風景のような雰囲気すらありました。
26 東山魁夷 「冬華」 ★こちらで観られます
こちらは雪が付いて真っ白になったサンゴのような形の木を描いた作品です。真昼の光景のはずですが、木の上に浮かんでいる太陽はむしろ月のように見えます。解説によると、これは実際には雪のない日に写生して帰国してから描いたらしいので、想像で描いている部分もあるようです。とにかく白が印象的で、微妙なムラがあって輝くような白さに見えるかな。色数は少ないのが却って叙情的な作品となっていました。
この辺には東近美の「白夜光」などもありました。
<3章 古都を描く・京都>
続いては京都をテーマにした作品が並ぶコーナーです。東山魁夷は北欧に旅立つ前から作家の川端康成から急速に失われつつあった京都を描くように勧められたようです。また、帰国後に皇室に依頼された新宮殿の大壁画制作は日本的なものを前面に押し出す必要性があったので、日本古来の文化が集まる京都は避けて通れず、京都をテーマとした作品に取り掛かったようです。大壁画の完成した年には「京洛四季」展で連作が発表され、北欧シリーズとは全く異なる大和絵的な表現となったようで、ここにはそうした時期の作品が並んでいました。
30 東山魁夷 「花明り」 ★こちらで観られます
こちらの作品は先程の「冬華」とよく似た構図で、木の上に浮かぶのが太陽から月に、木は桜に代わった感じです。月の周りには光輪も出来ていて、春の夜の穏やかな光景に思えます。こちらは京都の円山公園の枝垂れ桜だそうで、見事な枝ぶりで長年この地で培ってきた人々と木の関係も伺えるようでした。
この辺には山を描いた作品が何点かありました。稜線が平行に並ぶ構図がお気に入りだったのかも。紅葉した山などは対比的なのに静かに感じる色彩感覚が流石でした
36 東山魁夷 「京洛四季スケッチ」
こちらは京都の様々な光景を描いたスケッチで、いずれもトリミングしたような構図や、普通の人が思いつかないような独特の視点が面白い作品となっています。小品ながらも日本の美しさを凝縮したような絵ばかりで、水平・垂直・直線を使った建物なんかが特に好みです。30点ほどあるので、いくつか手持ちの写真でご紹介
※この写真は以前に成川美術館の展示で撮影可能な時に撮ったものです。(今回の展示では撮影不可です)

色も構図も好みで、この展示の中でも特にお気に入りはこの作品です。京都下京区の一力亭という場所のようです。
※この写真は以前に成川美術館の展示で撮影可能な時に撮ったものです。(今回の展示では撮影不可です)

こちらは桂離宮の書院。シンプルかつ機能的な日本の美の粋が表れていると思います。
参考記事;戦後日本画の山脈 第一回 (成川美術館)箱根編
この他にも魅力的な作品ばかりなので、ここはスケッチでもかなり見応えがあると思います。
35 東山魁夷 「京洛四季習作」
こちらも習作のシリーズで14枚ほど展示されていました。タイトル通り季節を感じさせる作品が多く、特に山を描いた物が多いかな。群青や深い緑、オレンジに染まった山などが出てきます。ここで一番好きなのは「年暮る」で、山種美術館の作品と同じ構図の習作となっていました。本当に素晴らしい作品です。
ということで、前半から東山魁夷の代表作品をいくつも観ることができました。絵自体は単純な構図が多いのですが、色彩感覚がしんみりした雰囲気で分かりやすい美しさがあると思います。後半には今回の目玉となる作品もありましたので、次回はそれについてご紹介していこうと思います。
→ 後編はこちら

【展覧名】
生誕110年 東山魁夷展
【公式サイト】
http://kaii2018.exhn.jp/
http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/kaii2018/
【会場】国立新美術館
【最寄】六本木駅・乃木坂駅
【会期】2018年10月24日(水)~12月3日(月)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
予想以上に混んでいて場所によっては人だかりが出来るような感じで、やや混雑感がありました。
さて、この展示は戦後の国民的画家として知られる東山魁夷の大規模な回顧展で、大型作品を含め本画68点、習作・スケッチ45点という充実した内容となっています。特に後半にはアッと驚くような部屋があり、今回の見どころは5章と言えそうです。今回も簡単にメモを取ってきましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
参考記事:没後10年記念 東山魁夷と昭和の日本画 (山種美術館)
<冒頭>
まず最初に東山魁夷のざっくりした経歴がありました。東山魁夷は1908年に横浜で生まれ、東京美術学校で日本画を学びました。2年間のドイツ留学の後に戦争へ招集され、その頃には肉親も亡くすなど苦難の時期だったようです。戦後になると日展を舞台に活躍し、1956年には日本芸術院賞を受賞、1969年には文化勲章受賞など、まさに国民的画家と言える地位を築いていきました。冒頭には3点ほど1941年の作品が並び、苦しい時期ながら美しい風景を題材としていた様子が伺えます。
東山魁夷 「自然と形象 雪の谷間」「自然と形象 秋の山」「自然と形象 早春の麦畑」
こちらは29歳の頃の3点セットの作品で、それぞれ雪の合間の川、赤や黄色に染まる紅葉の山、上空から観たような構図の早春の畑が描かれています。単純化された画風で、曲線が滑らかかつリズムを感じさせて面白い造形となっています。色は控えめで淡い印象を受けるかな。冷たい川でも柔らかく感じるほどです。まだ晩年の画風とは異なりますが、これはこれで素晴らしい作品だと思います。
<1章 国民的風景画家>
1章は東山魁夷と言えばこの画風と言った感じの作品が並ぶコーナーです。戦前から官展に出品していた東山魁夷ですが、ようやく特選を受けたのは戦後の1947年だったようです。終戦前後に父・母・弟を亡くし、さらに空襲で自宅も無くすなど この頃はどん底にいたようです。しかし死を覚悟した時に平凡な風景が生命に満ち溢れて輝き 何よりも美しく感じたそうで、それ以降 素直な眼と心で自然を見つめ、自分の心を重ねた風景画を描くようになったそうです。ここにはそうした東山魁夷の得意とした風景画が多く並んでいました。
4 東山魁夷 「残照」 ★こちらで観られます
こちらは人生のどん底の時期に写生のために訪れた千葉県鹿野山の山頂からの風景を描いた作品です。遠くの山が赤く染まる開けた視界で、広々とした雰囲気となっていて、割と単純化された平坦な印象を受けます。東山魁夷はこの山頂からの光景を見つめていた時、自然が作り出す光景と自分の心の動きが重なる充実感を味わったそうで、この頃から風景画家となる決意をしたようです。まだ画風や色彩はそれほど印象的ではないですが、東山魁夷のターニングポイントとなった風景なのかもしれません。
この辺には大型作品が立て続けに並んでいました。「郷愁」という作品あたりから、独特の緑色が使われていました。
8 東山魁夷 「道」 ★こちらで観られます
※この写真は以前に東京国立近代美術館の常設展で撮影可能な時に撮ったものです。(今回の展示では撮影不可です)

こちらの作品は今回のポスターにもなっているもので、青森のスケッチを元に心象風景として描いたもののようです。1950年という終戦5年後に描かれ、当時の日本の状況を考えると、これからどう生きていくのかを表すような象徴としての道、これから歩む道と言えそうです。ざらついたマチエールでややぼんやりとしてしんみりした雰囲気が漂っていますが、潔くまっすぐ伸びているのが気持ちの良い作品です(よーく観ると、途中で右に曲がって行くんですけどねw)
この近くにあった「たにま」は冒頭の「自然と形象 雪の谷間」に似た雰囲気がありましたが、単純化が進んでいるように思えました。
16 東山魁夷 「青響」
※この写真は以前に東京国立近代美術館の常設展で撮影可能な時に撮ったものです。(今回の展示では撮影不可です)

こちらも非常に単純化された光景で、緑が印象的な作品です。この落ち着いて心に染み入るような色彩が東山魁夷の特徴だと思います。静けさの中に滝の音だけが聞こえてくるような情感漂う作品となっていました。
この近くにあった「雪降る」という作品も雪の表現が大胆かつ静かで面白い作品でした。他にも東近美の「秋翳」(★こちらで観られます)などもありました。
<2章 北欧を描く>
続いての2章は北欧を題材とした作品のコーナーです。前章で観た「残照」や「道」を発表以降、日本芸術院賞を受賞し皇室の依頼を受けるなど一躍人気画家となった東山魁夷ですが、1962年にドイツ時代からの憧れでもあった北欧へと旅立ちました。北欧での風景は東山魁夷の想像通りの光景だったようで、帰国後に連作を発表すると高い評価を得て、青が多用されたことから「青の画家」のイメージも生まれたようです。ここにはそうした北欧に取材した作品が並んでいました。
20 東山魁夷 「映象」 ★こちらで観られます
こちらは絵の中央付近に湖の水面が広がり、上下が鏡写しのようになった森の光景を描いた作品です。木々は白く枯れているような感じで、真っ暗な背景に浮かび上がるようで、神秘的な光景となっています。波1つ立たず、動物もいない静寂の世界でどこか内省的な心象風景のような雰囲気すらありました。
26 東山魁夷 「冬華」 ★こちらで観られます
こちらは雪が付いて真っ白になったサンゴのような形の木を描いた作品です。真昼の光景のはずですが、木の上に浮かんでいる太陽はむしろ月のように見えます。解説によると、これは実際には雪のない日に写生して帰国してから描いたらしいので、想像で描いている部分もあるようです。とにかく白が印象的で、微妙なムラがあって輝くような白さに見えるかな。色数は少ないのが却って叙情的な作品となっていました。
この辺には東近美の「白夜光」などもありました。
<3章 古都を描く・京都>
続いては京都をテーマにした作品が並ぶコーナーです。東山魁夷は北欧に旅立つ前から作家の川端康成から急速に失われつつあった京都を描くように勧められたようです。また、帰国後に皇室に依頼された新宮殿の大壁画制作は日本的なものを前面に押し出す必要性があったので、日本古来の文化が集まる京都は避けて通れず、京都をテーマとした作品に取り掛かったようです。大壁画の完成した年には「京洛四季」展で連作が発表され、北欧シリーズとは全く異なる大和絵的な表現となったようで、ここにはそうした時期の作品が並んでいました。
30 東山魁夷 「花明り」 ★こちらで観られます
こちらの作品は先程の「冬華」とよく似た構図で、木の上に浮かぶのが太陽から月に、木は桜に代わった感じです。月の周りには光輪も出来ていて、春の夜の穏やかな光景に思えます。こちらは京都の円山公園の枝垂れ桜だそうで、見事な枝ぶりで長年この地で培ってきた人々と木の関係も伺えるようでした。
この辺には山を描いた作品が何点かありました。稜線が平行に並ぶ構図がお気に入りだったのかも。紅葉した山などは対比的なのに静かに感じる色彩感覚が流石でした
36 東山魁夷 「京洛四季スケッチ」
こちらは京都の様々な光景を描いたスケッチで、いずれもトリミングしたような構図や、普通の人が思いつかないような独特の視点が面白い作品となっています。小品ながらも日本の美しさを凝縮したような絵ばかりで、水平・垂直・直線を使った建物なんかが特に好みです。30点ほどあるので、いくつか手持ちの写真でご紹介
※この写真は以前に成川美術館の展示で撮影可能な時に撮ったものです。(今回の展示では撮影不可です)

色も構図も好みで、この展示の中でも特にお気に入りはこの作品です。京都下京区の一力亭という場所のようです。
※この写真は以前に成川美術館の展示で撮影可能な時に撮ったものです。(今回の展示では撮影不可です)

こちらは桂離宮の書院。シンプルかつ機能的な日本の美の粋が表れていると思います。
参考記事;戦後日本画の山脈 第一回 (成川美術館)箱根編
この他にも魅力的な作品ばかりなので、ここはスケッチでもかなり見応えがあると思います。
35 東山魁夷 「京洛四季習作」
こちらも習作のシリーズで14枚ほど展示されていました。タイトル通り季節を感じさせる作品が多く、特に山を描いた物が多いかな。群青や深い緑、オレンジに染まった山などが出てきます。ここで一番好きなのは「年暮る」で、山種美術館の作品と同じ構図の習作となっていました。本当に素晴らしい作品です。
ということで、前半から東山魁夷の代表作品をいくつも観ることができました。絵自体は単純な構図が多いのですが、色彩感覚がしんみりした雰囲気で分かりやすい美しさがあると思います。後半には今回の目玉となる作品もありましたので、次回はそれについてご紹介していこうと思います。
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先週金曜日のレイトショーで公開初日の映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観てきました。この記事には少しだけネタバレが含まれていますので、ネタバレなしで観たい方はご注意ください。

【作品名】
ボヘミアン・ラプソディ
【公式サイト】
http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/
【時間】
2時間10分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_4_⑤_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_4_⑤_名作
【感想】
結構混んでいて、IMAX版でもほぼ満席となっていました。非常に面白く、映画館で観る価値の高い映画なので今後もますます人気が出るのではないかと思います。
さて、この映画は今や伝説級のバンドとなったQUEENのフレディ・マーキュリーを主人公にしたストーリーで、最初から最後までQUEENの音楽が使われているというファン待望の内容となっています。冒頭の20世紀フォックスのBGMすらQUEEN風になっている位ですw この映画はかなり前(調べたら2010年)に映画化するという一報があって以来、主役が変わったとか、監督だったブライアン・シンガーが降ろされたとか もう駄目だろこれ…と思わせるようなニュースが届いてばかりでしたが、何と言ってもQUEENのメンバーのブライアン・メイとロジャー・テイラーが音楽プロデューサーを務めているという点が魅力だったので非常に楽しみにしていました。私はQUEENについては年齢的に後追いにならざるを得なかったのですが、少なくとも20年以上はQUEENのファンとしてその音楽を楽しんできました(というかHR/HM全般を愛して止まない訳ですがw) この映画を観る前にもQUEEN漬けになってテンションを上げて、初日にIMAXで挑みました。
まず、間違いなく言えるのはこの映画はIMAXや4DXといった高品質の劇場で観ることをお勧めします。音楽が中心の映画で、特にライブシーンなどが見どころなのですが、高音質の劇場であれば まるでライブの中にいるような臨場感を味わえるのが醍醐味と言えると思います。また、QUEENについて知らなくても十分楽しめる内容となっているものの、事前に楽曲をある程度知っておいた方が楽しいのではないかと思います。この辺はライブに行く前の予習みたいなものかなw 楽曲の魅力は折り紙付きなので、この機にファンになる人も多いのではないかと思います。
ストーリーについては詳しく書くのは止めておこうと思いますが、フレディ・マーキュリーの人生はまさにドラマチックで、インド出身の英国人という点でもマイノリティであり、ファンなら誰もが知るあの話も出てきます。仕事上だけでなく私生活もしっかり描かれていて、この辺はファンでも知らない話が結構ありました。フレディは基本的に人間も出来ているのですが、苛立ってくると結構な荒れ方をするのもちゃんと出てきます。そうした光と影が伝説のラストシーンに向かっていくタメのような演出になっているように思えました。また、QUEENはフレディだけでなく他のメンバーも才能豊かなバンドなのもよく分かるようになっているのも良かったです。誰もが知る名曲が誕生するシーンなどもあるので、これも見どころかなと。
次に役者についてですが、主役のフレディ・マーキュリー役の見た目はやや違和感はあるかなw 特に目つきと体格については何か違うなあと思いながら観ていましたが、演技自体は素晴らしいなりきりっぷりだったように思えます。特にラストに向けての辺りは引き込まれます。 そして、驚いたのがブライアン・メイ(g)役のグウィリム・リーで、これ本人だろ!?ってくらい似てますw いや、この人がいなかったらフレディ役だって似てると思ったかもしれませんw それくらいそっくりです。ロジャー・テイラー(ds)はまあまあ、ジョン・ディーコン(b)も似てるので、よく集めたな…と感心しました。他にも大切な人々が出てきますが、その人達も含めて熱のこもった演技となっていてリアリティがありました。
そして映像と音楽については最早これ以上は無いだろうというくらい満足できました。特に後半に凄いシーンが続く所があって、当時の熱まで伝わってくるようです。 実際、映画を観てからもまだ熱が冷めやらず今週もQUEENばかり聴いてもう一度観に行く気満々ですw そして、エンドロールのthe show must go on…。この曲の歌詞と当時の状況を知ると、一層に心に響くのではないかと思います。
ということで、元からQUEENが好きだったこともあって全部満点つけてしまいましたが、私の中では今年一番の映画であるのは間違いない作品でした。本当に紆余曲折あって待ちに待ったので、伝説のチャンピオンの歌詞そのものみたいな映画ですw 特に音楽ものの映画が好きな方は必見だと思います。

【作品名】
ボヘミアン・ラプソディ
【公式サイト】
http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/
【時間】
2時間10分程度
【ストーリー】
退屈_1_2_3_4_⑤_面白
【映像・役者】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【総合満足度】
駄作_1_2_3_4_⑤_名作
【感想】
結構混んでいて、IMAX版でもほぼ満席となっていました。非常に面白く、映画館で観る価値の高い映画なので今後もますます人気が出るのではないかと思います。
さて、この映画は今や伝説級のバンドとなったQUEENのフレディ・マーキュリーを主人公にしたストーリーで、最初から最後までQUEENの音楽が使われているというファン待望の内容となっています。冒頭の20世紀フォックスのBGMすらQUEEN風になっている位ですw この映画はかなり前(調べたら2010年)に映画化するという一報があって以来、主役が変わったとか、監督だったブライアン・シンガーが降ろされたとか もう駄目だろこれ…と思わせるようなニュースが届いてばかりでしたが、何と言ってもQUEENのメンバーのブライアン・メイとロジャー・テイラーが音楽プロデューサーを務めているという点が魅力だったので非常に楽しみにしていました。私はQUEENについては年齢的に後追いにならざるを得なかったのですが、少なくとも20年以上はQUEENのファンとしてその音楽を楽しんできました(というかHR/HM全般を愛して止まない訳ですがw) この映画を観る前にもQUEEN漬けになってテンションを上げて、初日にIMAXで挑みました。
まず、間違いなく言えるのはこの映画はIMAXや4DXといった高品質の劇場で観ることをお勧めします。音楽が中心の映画で、特にライブシーンなどが見どころなのですが、高音質の劇場であれば まるでライブの中にいるような臨場感を味わえるのが醍醐味と言えると思います。また、QUEENについて知らなくても十分楽しめる内容となっているものの、事前に楽曲をある程度知っておいた方が楽しいのではないかと思います。この辺はライブに行く前の予習みたいなものかなw 楽曲の魅力は折り紙付きなので、この機にファンになる人も多いのではないかと思います。
ストーリーについては詳しく書くのは止めておこうと思いますが、フレディ・マーキュリーの人生はまさにドラマチックで、インド出身の英国人という点でもマイノリティであり、ファンなら誰もが知るあの話も出てきます。仕事上だけでなく私生活もしっかり描かれていて、この辺はファンでも知らない話が結構ありました。フレディは基本的に人間も出来ているのですが、苛立ってくると結構な荒れ方をするのもちゃんと出てきます。そうした光と影が伝説のラストシーンに向かっていくタメのような演出になっているように思えました。また、QUEENはフレディだけでなく他のメンバーも才能豊かなバンドなのもよく分かるようになっているのも良かったです。誰もが知る名曲が誕生するシーンなどもあるので、これも見どころかなと。
次に役者についてですが、主役のフレディ・マーキュリー役の見た目はやや違和感はあるかなw 特に目つきと体格については何か違うなあと思いながら観ていましたが、演技自体は素晴らしいなりきりっぷりだったように思えます。特にラストに向けての辺りは引き込まれます。 そして、驚いたのがブライアン・メイ(g)役のグウィリム・リーで、これ本人だろ!?ってくらい似てますw いや、この人がいなかったらフレディ役だって似てると思ったかもしれませんw それくらいそっくりです。ロジャー・テイラー(ds)はまあまあ、ジョン・ディーコン(b)も似てるので、よく集めたな…と感心しました。他にも大切な人々が出てきますが、その人達も含めて熱のこもった演技となっていてリアリティがありました。
そして映像と音楽については最早これ以上は無いだろうというくらい満足できました。特に後半に凄いシーンが続く所があって、当時の熱まで伝わってくるようです。 実際、映画を観てからもまだ熱が冷めやらず今週もQUEENばかり聴いてもう一度観に行く気満々ですw そして、エンドロールのthe show must go on…。この曲の歌詞と当時の状況を知ると、一層に心に響くのではないかと思います。
ということで、元からQUEENが好きだったこともあって全部満点つけてしまいましたが、私の中では今年一番の映画であるのは間違いない作品でした。本当に紆余曲折あって待ちに待ったので、伝説のチャンピオンの歌詞そのものみたいな映画ですw 特に音楽ものの映画が好きな方は必見だと思います。
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前回ご紹介した展示を観る前に新橋の旧新橋停車場 鉄道歴史展示室で「浜離宮と新橋停車場~東京150年 江戸から明治へ~」を観てきました。

【展覧名】
浜離宮と新橋停車場~東京150年 江戸から明治へ~
【公式サイト】
http://www.ejrcf.or.jp/shinbashi/
【会場】旧新橋停車場 鉄道歴史展示室
【最寄】新橋駅
【会期】2018年10月30日(火)~12月2日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_①_2_3_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は日本で初めて鉄道が通った新橋と、そのすぐ近くの浜離宮恩賜庭園の歴史を振り返るという少々マニアックな展示となっています。ほとんどがパネル展示とコピーなので美術展と言うほどのものではないように思えますが、意外な歴史を知ることができる内容で4章構成となっていました。ごく簡単にメモしてきたので、各章ごとにご紹介していこうと思います。
<冒頭>
まずは江戸時代の江戸の鳥瞰図がありました。新橋の辺りは昔から水の多い土地で、上野辺りまで水辺が広がっています。地震の際に液状化が心配なエリアもこれで分かるかも… 東京は地盤が柔い所が多いのも納得です。 また、明治の頃の地図は新橋駅があり、他には鹿鳴館など今は無い建物なども乗っているので、別の観点からも面白い地図でした。
<1章 浜御殿から浜離宮へ>
この章は浜離宮の成り立ちのコーナーでした。江戸初期の浜離宮の辺りは葦が生い茂る海辺の土地で、将軍家の御鷹場だったようです。それを4代将軍 徳川綱吉の弟の松平綱重がこの土地を下屋敷として使う為に埋め立てて整備したのが浜離宮の始まりとなりました。さらに綱重の息子が養子に出て6代将軍 徳川家宣となると、この地は将軍の庭として浜御殿となったようです。浜御殿はその後も整備されたようで、御茶屋や3つの屋敷が乗っている地図などもありました。
明治時代に入ると、浜御殿は政府に接収され浜離宮に代わりました。そして浜離宮には国賓や外国公使をもてなす延遼館が建てられたようです。しかしこの延遼館も明治23年には老朽化で解体され、その後の関東大震災や東京大空襲などで浜離宮自体も大きく損壊してしまいました。そして戦後の昭和27年に下賜されて、今のように公園として整備されていったようです。
まあここはほぼパネルのみかな。取り敢えず歴史の流れが分かる内容でした。
<2章 日本文化と西洋文化の融合「築地居留地」>
続いては「築地居留地」についてのコーナーです。1868年(明治元年)に築地に外国人の居留地が設けられ、築地辺りは治外法権の特別地域となり外国公使館や教会、ミッションスクールなどができたようです。青山学院や立教学院、明治学院などのミッションスクールもこの頃に作られたようで、当時の居留地の錦絵のコピーを観ると大きな洋館が立ち並ぶ風景となっています。また、築地ホテル館という塔のある洋風の建物が一際目立っていて、この辺りのシンボルタワーのように見えました(しかしこの築地ホテル館はわずか4年後に銀座大火で燃えてしまって今では跡形ないようです) そう言えば慶応も築地が発祥の地だし、築地は現在も続く名門大学が多く生まれた地のようですね。
<3章 浜離宮おもてなし事始め「延遼館の誕生」>
こちらは前述の延遼館についてのコーナーです。1866年に浜御殿は幕府の海軍管轄となり、洋風の海軍所という庁舎 兼 教育施設の建設が検討され、西洋風の石造の建物が建てられました。それも明治になると接収され、1868年には東京府に移管され国賓を持て成す「延遼館」として生まれ変わりました。その翌年の1869年にはイギリスの第2王子エジンバラ公を迎え、その後も多くの国賓をもてなしたようです。1879年にはジョサイア・コンドルが改修したこともあったようですが、建設から20年くらいで老朽化してしまったようで、既に実物を観ることは出来ません。当時の絵のコピーを観ると、コの字の形をした平屋みたいな建物で、瓦葺きの屋根で和風も混ざった和洋折衷となっていました。
この章には当時の晩餐会のメニューと その再現があって、羊肉のカツレツ、ザリガニ・鶏肉の濃厚スープ、鴨のロースト、栗のプリンなどの模型がありました。 割と分かりやすい豪華さで、昔の成金のご飯のイメージw 当時使われていたお皿なんかも展示されていましたが、完全に洋風といった感じでした。ちなみに、延遼館からは浜離宮の庭や景色が綺麗に見えていたらしく、評判が良かったようです。川端玉章などもその景色を描き残しているほどなのだとか。
<4章 鉄道発祥の地「汐留」と浜離宮>
最後は鉄道記念館らしく鉄道に関してです。汐留は江戸以前は湿地だったのを埋め立てて大名屋敷や町家、蔵などが立ち並んでいた土地で、明治時代に大名屋敷が接収され、そこに1872年に新橋停車場が作られました。これによって横浜から東京に西洋文化がもたらされるようになり、文明開化の象徴みたいな感じだったのではないかと思います。
ここには鉄道開業当時の絵があり、我々が真っ先に思い浮かべるような大きなSLではなく小さな機関車と客車が描かれています。(冒頭の写真の絵です) これでも明治天皇のお召し列車だったようで、洋風の格好の人たちが祝う様子が伺えました。鉄道も最初から立派なものだったわけではないのがこの絵で分かるかな。他にも当時の錦絵や写真のコピーなんかもありました。
ということで、それほど展示物はありませんでしたが、実際に観てみたら知らなかったことが多くて楽しめました。特に延遼館の存在を知らなかったので驚きもありました。ここは無料で観られるし、パナソニックミュージアムや新橋駅のすぐ近くにあるので新橋に行く機会があったら気軽に覗いてみるのもよろしいかと思います。


【展覧名】
浜離宮と新橋停車場~東京150年 江戸から明治へ~
【公式サイト】
http://www.ejrcf.or.jp/shinbashi/
【会場】旧新橋停車場 鉄道歴史展示室
【最寄】新橋駅
【会期】2018年10月30日(火)~12月2日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_①_2_3_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は日本で初めて鉄道が通った新橋と、そのすぐ近くの浜離宮恩賜庭園の歴史を振り返るという少々マニアックな展示となっています。ほとんどがパネル展示とコピーなので美術展と言うほどのものではないように思えますが、意外な歴史を知ることができる内容で4章構成となっていました。ごく簡単にメモしてきたので、各章ごとにご紹介していこうと思います。
<冒頭>
まずは江戸時代の江戸の鳥瞰図がありました。新橋の辺りは昔から水の多い土地で、上野辺りまで水辺が広がっています。地震の際に液状化が心配なエリアもこれで分かるかも… 東京は地盤が柔い所が多いのも納得です。 また、明治の頃の地図は新橋駅があり、他には鹿鳴館など今は無い建物なども乗っているので、別の観点からも面白い地図でした。
<1章 浜御殿から浜離宮へ>
この章は浜離宮の成り立ちのコーナーでした。江戸初期の浜離宮の辺りは葦が生い茂る海辺の土地で、将軍家の御鷹場だったようです。それを4代将軍 徳川綱吉の弟の松平綱重がこの土地を下屋敷として使う為に埋め立てて整備したのが浜離宮の始まりとなりました。さらに綱重の息子が養子に出て6代将軍 徳川家宣となると、この地は将軍の庭として浜御殿となったようです。浜御殿はその後も整備されたようで、御茶屋や3つの屋敷が乗っている地図などもありました。
明治時代に入ると、浜御殿は政府に接収され浜離宮に代わりました。そして浜離宮には国賓や外国公使をもてなす延遼館が建てられたようです。しかしこの延遼館も明治23年には老朽化で解体され、その後の関東大震災や東京大空襲などで浜離宮自体も大きく損壊してしまいました。そして戦後の昭和27年に下賜されて、今のように公園として整備されていったようです。
まあここはほぼパネルのみかな。取り敢えず歴史の流れが分かる内容でした。
<2章 日本文化と西洋文化の融合「築地居留地」>
続いては「築地居留地」についてのコーナーです。1868年(明治元年)に築地に外国人の居留地が設けられ、築地辺りは治外法権の特別地域となり外国公使館や教会、ミッションスクールなどができたようです。青山学院や立教学院、明治学院などのミッションスクールもこの頃に作られたようで、当時の居留地の錦絵のコピーを観ると大きな洋館が立ち並ぶ風景となっています。また、築地ホテル館という塔のある洋風の建物が一際目立っていて、この辺りのシンボルタワーのように見えました(しかしこの築地ホテル館はわずか4年後に銀座大火で燃えてしまって今では跡形ないようです) そう言えば慶応も築地が発祥の地だし、築地は現在も続く名門大学が多く生まれた地のようですね。
<3章 浜離宮おもてなし事始め「延遼館の誕生」>
こちらは前述の延遼館についてのコーナーです。1866年に浜御殿は幕府の海軍管轄となり、洋風の海軍所という庁舎 兼 教育施設の建設が検討され、西洋風の石造の建物が建てられました。それも明治になると接収され、1868年には東京府に移管され国賓を持て成す「延遼館」として生まれ変わりました。その翌年の1869年にはイギリスの第2王子エジンバラ公を迎え、その後も多くの国賓をもてなしたようです。1879年にはジョサイア・コンドルが改修したこともあったようですが、建設から20年くらいで老朽化してしまったようで、既に実物を観ることは出来ません。当時の絵のコピーを観ると、コの字の形をした平屋みたいな建物で、瓦葺きの屋根で和風も混ざった和洋折衷となっていました。
この章には当時の晩餐会のメニューと その再現があって、羊肉のカツレツ、ザリガニ・鶏肉の濃厚スープ、鴨のロースト、栗のプリンなどの模型がありました。 割と分かりやすい豪華さで、昔の成金のご飯のイメージw 当時使われていたお皿なんかも展示されていましたが、完全に洋風といった感じでした。ちなみに、延遼館からは浜離宮の庭や景色が綺麗に見えていたらしく、評判が良かったようです。川端玉章などもその景色を描き残しているほどなのだとか。
<4章 鉄道発祥の地「汐留」と浜離宮>
最後は鉄道記念館らしく鉄道に関してです。汐留は江戸以前は湿地だったのを埋め立てて大名屋敷や町家、蔵などが立ち並んでいた土地で、明治時代に大名屋敷が接収され、そこに1872年に新橋停車場が作られました。これによって横浜から東京に西洋文化がもたらされるようになり、文明開化の象徴みたいな感じだったのではないかと思います。
ここには鉄道開業当時の絵があり、我々が真っ先に思い浮かべるような大きなSLではなく小さな機関車と客車が描かれています。(冒頭の写真の絵です) これでも明治天皇のお召し列車だったようで、洋風の格好の人たちが祝う様子が伺えました。鉄道も最初から立派なものだったわけではないのがこの絵で分かるかな。他にも当時の錦絵や写真のコピーなんかもありました。
ということで、それほど展示物はありませんでしたが、実際に観てみたら知らなかったことが多くて楽しめました。特に延遼館の存在を知らなかったので驚きもありました。ここは無料で観られるし、パナソニックミュージアムや新橋駅のすぐ近くにあるので新橋に行く機会があったら気軽に覗いてみるのもよろしいかと思います。
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今日は写真多めです。前回ご紹介した展示を観る前に、新橋の資生堂ギャラリーで「資生堂ギャラリー100周年記念 それを超えて美に参与する 福原信三の美学 Shinzo Fukuhara / ASSEMBLE, THE EUGENE Studio」を観てきました。この展示は会期があるようで、今回観たのは1stの内容となっていました。

【展覧名】
資生堂ギャラリー100周年記念
それを超えて美に参与する 福原信三の美学 Shinzo Fukuhara / ASSEMBLE, THE EUGENE Studio
【公式サイト】
https://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/
【会場】資生堂ギャラリー
【最寄】銀座駅 新橋駅など
【会期】
1st:2018年10月19日(金)~12月26日(水)
2nd:2019年01月16日(水)~03月17日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は資生堂ギャラリーの開廊100周年を記念したもので、資生堂の初代社長で資生堂ギャラリーの創設者でもある福原信三の残した写真や美学を紹介するものとなっています。以前に福原信三の写真を観たことはあったものの その人物像は全く知らない状態で観たのですが、かなり美意識の強い人だったのが伝わってくる内容となっています。今回の展示も撮影可能となっていましたので、早速その様子をご紹介していこうと思います。
入口から観た展示光景。

なんだかロハスなカフェみたいな雰囲気になっていて驚きましたw 実際、ここに座ってコーヒーを頂くこともできます。私は先に展示を観てから頂くことにしました。
展示の様子もこんな感じ。

堅苦しさがなくインテリア的な雰囲気で並んでいました。
福原信三 「河岸と船」巴里とセイヌ

こちらはパリのセーヌ川を撮ったもの。ややボヤけたような味わいある写真となっています。以前に印象派みたいな写真だと感じたのを思い出しました。
参考記事:コレクション展「旅」 第3部「異邦へ 日本の写真家たちが見つめた異国世界」 (東京都写真美術館)
福原信三 「越後赤倉」「塔」

いずれも何の変哲もない光景ですが、超然とした感じがあるように思えるかな。時代の古さを感じさせません。
Marion & co. 「Tropical Soho Reflex」

このカメラで撮っていたようです。カメラのことは詳しくないですが、意外と小さいカメラです。
「花椿マーク」

こちらは花椿のマーク。福原信三のスケッチを元にしたマークのようで、何度か形を変えながら今でも似た図案が使われているようです。福原信三の精神が今でも引き継がれている証なのかも
福原信三 「花椿」

書と絵が一体となったような作品。赤い椿が一際目を引きました。
「福原信三を訪ねて」写真文化 昭和16年11月号

福原信三は写真について語った随筆などもあるようで、こちらでは写真について取材を受けた雑誌記事となっています。様々な媒体で美学を語っていたようなので、やはり相当に信念があったのでしょうね。化粧品で成功する人だけに美への信念があるのも当然かもしれませんがw
設計 フランク・ロイド・ライト 「FUKUHARA HOUSE(福原有信邸)」

こちらは資生堂創業者で福原信三の父である福原有信の箱根の別荘の写真。福原信三が帝国ホテルに感銘を受けてフランク・ロイド・ライトに設計を依頼して建てたものです。流石、お金の使い方をよく知ってると言ったところですが、残念ながら関東大震災で築3年で倒壊したのだとか…。残っていたら日本の宝だったでしょうね。
参考記事:【番外編】博物館明治村の写真 後編(2013年12月)
こちらも別荘の写真。

この玄関?の作りは帝国ホテルに通じるものを感じさせます。本当に惜しい。
こちらは1916年頃の資生堂出雲町店と竹川町店。現在の銀座7丁目あたりでしょうか。

当時から洒落た雰囲気のお店だったようです。
「芸術写真集」

こちらは1924年の写真集。社長であり写真家であったのが、美を取り扱う仕事に活かされたんでしょうね。
一通り観たので、先程の椅子のある所に戻ってコーヒーを頂きました。

無料の紙コップなのでそれほど期待していませんでしたが、割と美味しかったですw 流石は資生堂ですねw
テーブルにはタブレットが置かれていて今回の展示の趣旨などを動画で紹介していました。

今回の展示は福原信三の残した言葉をテキストマイニングし、彼の思考をAIで解析してキュレーションしたのだとか。私もこの手の仕事をしているので中々興味深い動画でした。パンフレットにはさらに詳細に可視化したものも載っていました。
最後に会場にあった器。

てっきりこれにコーヒーを入れてくれるのかと思いましたが…w これは何だったのかは分かりませんでした。
ということで、テキストマイニング→AI解析によるキュレーションという先進的な取り組みでしたが、しっかりと福原信三の美意識も分かるような内容だったと思います。無料の展示なのに写真も撮れるしコーヒーまで頂けて得した気分w part2は内容も違うみたいなので、改めて観に行こうかと思います。銀ブラしてる時にでも寄ってみると楽しいかと思います。

【展覧名】
資生堂ギャラリー100周年記念
それを超えて美に参与する 福原信三の美学 Shinzo Fukuhara / ASSEMBLE, THE EUGENE Studio
【公式サイト】
https://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/
【会場】資生堂ギャラリー
【最寄】銀座駅 新橋駅など
【会期】
1st:2018年10月19日(金)~12月26日(水)
2nd:2019年01月16日(水)~03月17日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は資生堂ギャラリーの開廊100周年を記念したもので、資生堂の初代社長で資生堂ギャラリーの創設者でもある福原信三の残した写真や美学を紹介するものとなっています。以前に福原信三の写真を観たことはあったものの その人物像は全く知らない状態で観たのですが、かなり美意識の強い人だったのが伝わってくる内容となっています。今回の展示も撮影可能となっていましたので、早速その様子をご紹介していこうと思います。
入口から観た展示光景。

なんだかロハスなカフェみたいな雰囲気になっていて驚きましたw 実際、ここに座ってコーヒーを頂くこともできます。私は先に展示を観てから頂くことにしました。
展示の様子もこんな感じ。

堅苦しさがなくインテリア的な雰囲気で並んでいました。
福原信三 「河岸と船」巴里とセイヌ

こちらはパリのセーヌ川を撮ったもの。ややボヤけたような味わいある写真となっています。以前に印象派みたいな写真だと感じたのを思い出しました。
参考記事:コレクション展「旅」 第3部「異邦へ 日本の写真家たちが見つめた異国世界」 (東京都写真美術館)
福原信三 「越後赤倉」「塔」


いずれも何の変哲もない光景ですが、超然とした感じがあるように思えるかな。時代の古さを感じさせません。
Marion & co. 「Tropical Soho Reflex」

このカメラで撮っていたようです。カメラのことは詳しくないですが、意外と小さいカメラです。
「花椿マーク」

こちらは花椿のマーク。福原信三のスケッチを元にしたマークのようで、何度か形を変えながら今でも似た図案が使われているようです。福原信三の精神が今でも引き継がれている証なのかも
福原信三 「花椿」

書と絵が一体となったような作品。赤い椿が一際目を引きました。
「福原信三を訪ねて」写真文化 昭和16年11月号

福原信三は写真について語った随筆などもあるようで、こちらでは写真について取材を受けた雑誌記事となっています。様々な媒体で美学を語っていたようなので、やはり相当に信念があったのでしょうね。化粧品で成功する人だけに美への信念があるのも当然かもしれませんがw
設計 フランク・ロイド・ライト 「FUKUHARA HOUSE(福原有信邸)」

こちらは資生堂創業者で福原信三の父である福原有信の箱根の別荘の写真。福原信三が帝国ホテルに感銘を受けてフランク・ロイド・ライトに設計を依頼して建てたものです。流石、お金の使い方をよく知ってると言ったところですが、残念ながら関東大震災で築3年で倒壊したのだとか…。残っていたら日本の宝だったでしょうね。
参考記事:【番外編】博物館明治村の写真 後編(2013年12月)
こちらも別荘の写真。

この玄関?の作りは帝国ホテルに通じるものを感じさせます。本当に惜しい。
こちらは1916年頃の資生堂出雲町店と竹川町店。現在の銀座7丁目あたりでしょうか。

当時から洒落た雰囲気のお店だったようです。
「芸術写真集」

こちらは1924年の写真集。社長であり写真家であったのが、美を取り扱う仕事に活かされたんでしょうね。
一通り観たので、先程の椅子のある所に戻ってコーヒーを頂きました。

無料の紙コップなのでそれほど期待していませんでしたが、割と美味しかったですw 流石は資生堂ですねw
テーブルにはタブレットが置かれていて今回の展示の趣旨などを動画で紹介していました。

今回の展示は福原信三の残した言葉をテキストマイニングし、彼の思考をAIで解析してキュレーションしたのだとか。私もこの手の仕事をしているので中々興味深い動画でした。パンフレットにはさらに詳細に可視化したものも載っていました。
最後に会場にあった器。

てっきりこれにコーヒーを入れてくれるのかと思いましたが…w これは何だったのかは分かりませんでした。
ということで、テキストマイニング→AI解析によるキュレーションという先進的な取り組みでしたが、しっかりと福原信三の美意識も分かるような内容だったと思います。無料の展示なのに写真も撮れるしコーヒーまで頂けて得した気分w part2は内容も違うみたいなので、改めて観に行こうかと思います。銀ブラしてる時にでも寄ってみると楽しいかと思います。
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先週の日曜日に銀座のポーラミュージアム アネックスでSHIMURAbros 「Seeing Is Believing 見ることは信じること」を観てきました。この展示は既に終了していますが、撮影可能となっていたので写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
SHIMURAbros 「Seeing Is Believing 見ることは信じること」
【公式サイト】
https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/exhibition/archive/detail_201810.html
【会場】ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX
【最寄】銀座駅・京橋駅
【会期】2018年10月5日(金)~11月4日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間15分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_②_3_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
お客さんは結構いましたが、作品が大きめなので快適に鑑賞することができました。
さて、この展示はSHIMURAbros(シムラブロス)という ユカ氏とケンタロウ氏からなる姉弟ユニットの展示となっています。その経歴を見ると、2009~2011年には文化庁メディア芸術祭で受賞、2014年には六本木アートナイトに参加、今年は東京都写真美術館での第10回恵比寿映像祭『インヴィジブル』に参加と言った感じで活躍されているようで、日本だけでなくイタリアや中国などでも受賞し海外でも高い評価を受けているようです。2人の作品は多岐に渡る表現方法となっているようで、今回はインスタレーション作品と映像作品がありました。(充実度を低めにしたのは作品は4点だけだった為です) 早速、写真を使ってご紹介していこうと思います。
SHIMURAbros 「Half moon sunset」

こちらは真鍮やガラスで作られた作品。半透明で透過している黄色い部分と床の緑の部分がありますが、後ろの壁が無かったらどっちも床の模様と思ってしまいそうw この写真だと反射で半月部分が満月のように見えていたり、確かに観ているものが本当なのか?というテーマに沿った作品のように思えました。解説が無いので、そういう意図なのかは定かではないですがw
SHIMURAbros 「Seeing is believing」

こちらはシャワーのように水が流れ出ている作品で、こちらも鏡が使われていました。こちらもちょっと難解で意図は分かりませんが、どこか超現実的な光景のように思えました。
SHIMURAbros 「ソーマトロープ」

これは普通のソーマトロープじゃないかと思うのですが、両面に絵を描いて回転させると2つの像が重なって見えるという目の錯覚を利用した玩具の解説です。これも観ているものは真実なのか?と問うような玩具と言えるのかも。映像自体がこの仕組と同じですね。
SHIMURAbros 「Seeing is believing」

こちらは2つの画面から成る映像作品で16分と30分となっているようでした。7~8分くらいは観てたと思います。
こちらは螺旋状に流れる水を触ったりしている映像。こちらでも鏡が使われています。

この螺旋の水がどうやって流しているのか分からず結構不思議でした。少なくとも触ってる部分は水になっていると思うのですが、どうやって曲げてるんだろ?? 不思議さが面白い映像です。
もう一方はミーアキャットなどの動物が映されていました

たまに真っ赤になったりして、こちらは全く分かりませんでしたw
ちなみに今回のパンフレットは真ん中に小さな丸い穴が空いていて、一見するとそれが模様のように見えるという仕掛けがありました。さらに裏にすると、穴は地図上の会場の場所に空いているという機知に富んだものとなっていました。こんな所まで凝っているとはw
ということで、私は意図が理解できていない感じですが、視覚の曖昧さや ちょっと不思議な映像を目の当たりにしたように思います。もう終わってしまった展示ですが、今後も活躍されるアーティストだと思いますので、また出会う機会もあるかと思います。もっと詳細を知りたくなるアーティストでした。

【展覧名】
SHIMURAbros 「Seeing Is Believing 見ることは信じること」
【公式サイト】
https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/exhibition/archive/detail_201810.html
【会場】ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX
【最寄】銀座駅・京橋駅
【会期】2018年10月5日(金)~11月4日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間15分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_②_3_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
お客さんは結構いましたが、作品が大きめなので快適に鑑賞することができました。
さて、この展示はSHIMURAbros(シムラブロス)という ユカ氏とケンタロウ氏からなる姉弟ユニットの展示となっています。その経歴を見ると、2009~2011年には文化庁メディア芸術祭で受賞、2014年には六本木アートナイトに参加、今年は東京都写真美術館での第10回恵比寿映像祭『インヴィジブル』に参加と言った感じで活躍されているようで、日本だけでなくイタリアや中国などでも受賞し海外でも高い評価を受けているようです。2人の作品は多岐に渡る表現方法となっているようで、今回はインスタレーション作品と映像作品がありました。(充実度を低めにしたのは作品は4点だけだった為です) 早速、写真を使ってご紹介していこうと思います。
SHIMURAbros 「Half moon sunset」

こちらは真鍮やガラスで作られた作品。半透明で透過している黄色い部分と床の緑の部分がありますが、後ろの壁が無かったらどっちも床の模様と思ってしまいそうw この写真だと反射で半月部分が満月のように見えていたり、確かに観ているものが本当なのか?というテーマに沿った作品のように思えました。解説が無いので、そういう意図なのかは定かではないですがw
SHIMURAbros 「Seeing is believing」

こちらはシャワーのように水が流れ出ている作品で、こちらも鏡が使われていました。こちらもちょっと難解で意図は分かりませんが、どこか超現実的な光景のように思えました。
SHIMURAbros 「ソーマトロープ」

これは普通のソーマトロープじゃないかと思うのですが、両面に絵を描いて回転させると2つの像が重なって見えるという目の錯覚を利用した玩具の解説です。これも観ているものは真実なのか?と問うような玩具と言えるのかも。映像自体がこの仕組と同じですね。
SHIMURAbros 「Seeing is believing」

こちらは2つの画面から成る映像作品で16分と30分となっているようでした。7~8分くらいは観てたと思います。
こちらは螺旋状に流れる水を触ったりしている映像。こちらでも鏡が使われています。

この螺旋の水がどうやって流しているのか分からず結構不思議でした。少なくとも触ってる部分は水になっていると思うのですが、どうやって曲げてるんだろ?? 不思議さが面白い映像です。
もう一方はミーアキャットなどの動物が映されていました

たまに真っ赤になったりして、こちらは全く分かりませんでしたw
ちなみに今回のパンフレットは真ん中に小さな丸い穴が空いていて、一見するとそれが模様のように見えるという仕掛けがありました。さらに裏にすると、穴は地図上の会場の場所に空いているという機知に富んだものとなっていました。こんな所まで凝っているとはw
ということで、私は意図が理解できていない感じですが、視覚の曖昧さや ちょっと不思議な映像を目の当たりにしたように思います。もう終わってしまった展示ですが、今後も活躍されるアーティストだと思いますので、また出会う機会もあるかと思います。もっと詳細を知りたくなるアーティストでした。
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前回ご紹介した展示を観る前に、東京国際フォーラムの中にあるカフェ レクセル 東京国際フォーラム店というお店でお茶をしてきました。

【店名】
カフェ レクセル 東京国際フォーラム店
【ジャンル】
カフェ
【公式サイト】
https://www.doutor.co.jp/lex/
食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130102/13199386/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
有楽町駅
【近くの美術館】
出光美術館、相田みつを美術館、三菱一号館美術館など
【この日にかかった1人の費用】
800円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
意外とお客さんが多かったですが、待たずに座れました。
さて、このお店は東京国際フォーラムの地下にあるお店で、以前はエクセルシオールカフェがあった場所に出来たカフェです。見た目もエクセルシオールっぽいと思ったら同じドトール系列のお店みたいなので、正直全く期待していませんでしたw どうせエクセルシオールに毛が生えた程度だろ?と思いながら他にお店を探すのも時間がかかるので、とりあえず入ってみた感じです。
先にレジで注文と会計を済ますシステムなのはドトールやエクセルシオールと同じで、終わったらセルフで片付けるところまでシステムは同じです。店内だけでなく、店外にもいくつかの席がありました。元々建物の中なので、どちらでも大差ないかも。
この日はグアテマラ(680円)を頼みました。この手の店でストレートがあるのにちょっと驚きましたw

ストレートとは言え、ドトールのくせにやたら高いなと思いながら飲んでみたら… あれっ??これ美味しいぞ?? と、飲んだ瞬間に予想外の展開で正直面食らいましたw 右の写真のようにやけにこだわりを感じるようなカードがあって大袈裟な…と思っていましたが、ちゃんと味もそれに見合っていた感じです。いや、ほんとナメてましたw 驚いて調べてみたところ、どうやらコンセプトはサードウェーブの店を目指しているようなので、ブルーボトルコーヒーと似たような路線のようです。期待値が低かったこともあって、やけに美味しく感じましたw
奥さんは水出しコーヒー(430円)を頼んでいました。

こちらもちゃんとした水出しコーヒーで、ただのアイスコーヒーじゃありませんでしたw まろやかで冷たくても香りも豊かです。
ついでにティラミス(530円)も頼んでいました。

エスプレッソを使ったティラミスで、甘さ控えめでこちらも予想外の出来栄えですw
ということで、お店の雰囲気自体は普通のエクセルシオールみたいなのが玉に瑕ですが、意外や意外と言った感じでした。まだ店舗数も多くないようですが、これなら気軽に美味しいお茶が出来そうです。場所も良いので、様々なシーンで使えそうなお店です。

【店名】
カフェ レクセル 東京国際フォーラム店
【ジャンル】
カフェ
【公式サイト】
https://www.doutor.co.jp/lex/
食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130102/13199386/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
有楽町駅
【近くの美術館】
出光美術館、相田みつを美術館、三菱一号館美術館など
【この日にかかった1人の費用】
800円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_③_4_5_快適
【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
意外とお客さんが多かったですが、待たずに座れました。
さて、このお店は東京国際フォーラムの地下にあるお店で、以前はエクセルシオールカフェがあった場所に出来たカフェです。見た目もエクセルシオールっぽいと思ったら同じドトール系列のお店みたいなので、正直全く期待していませんでしたw どうせエクセルシオールに毛が生えた程度だろ?と思いながら他にお店を探すのも時間がかかるので、とりあえず入ってみた感じです。
先にレジで注文と会計を済ますシステムなのはドトールやエクセルシオールと同じで、終わったらセルフで片付けるところまでシステムは同じです。店内だけでなく、店外にもいくつかの席がありました。元々建物の中なので、どちらでも大差ないかも。
この日はグアテマラ(680円)を頼みました。この手の店でストレートがあるのにちょっと驚きましたw


ストレートとは言え、ドトールのくせにやたら高いなと思いながら飲んでみたら… あれっ??これ美味しいぞ?? と、飲んだ瞬間に予想外の展開で正直面食らいましたw 右の写真のようにやけにこだわりを感じるようなカードがあって大袈裟な…と思っていましたが、ちゃんと味もそれに見合っていた感じです。いや、ほんとナメてましたw 驚いて調べてみたところ、どうやらコンセプトはサードウェーブの店を目指しているようなので、ブルーボトルコーヒーと似たような路線のようです。期待値が低かったこともあって、やけに美味しく感じましたw
奥さんは水出しコーヒー(430円)を頼んでいました。

こちらもちゃんとした水出しコーヒーで、ただのアイスコーヒーじゃありませんでしたw まろやかで冷たくても香りも豊かです。
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エスプレッソを使ったティラミスで、甘さ控えめでこちらも予想外の出来栄えですw
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