関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

新・桃山の茶陶 【根津美術館】

前回ご紹介した根津美術館の庭園の紅葉を楽しんだ後、館内の特別展「新・桃山の茶陶」も観てきました。

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【展覧名】
 特別展 新・桃山の茶陶

【公式サイト】
 http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html

【会場】根津美術館
【最寄】表参道駅

【会期】2018年10月20日(土)~12月16日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんがいて場所によっては人だかりが出来る感じでした。

さて、この展示は桃山時代の茶器を取り上げた内容ですが、当時の茶器の流通に目を向けるというちょっと変わったテーマとなっています。タイトルに「新」と入っているのは1989年にも「桃山の茶陶」という展示を開催していた為のようですが、それから30年で研究も進展したそうで、最も大きな発見は発掘調査をきっかけとして明らかになった京都三条瀬戸物屋町の存在と それを営んだ商人達の働きとのことです。展示の中盤あたりにはその生産と流通を紹介するコーナーもあり、伝世の名品と共に並んでいました。4つの章で構成されていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います


<第1章 和物茶陶の誕生>
まずは日本の茶陶の誕生に関するコーナーです。茶陶は元々は唐物を写していたようですが、信楽鬼桶水指など唐物にない侘びた新しい形が見出されるようになり、16世紀後半には備前水指や利休好みの長次郎の楽茶碗など特別な注文品と考えられるものが少なからず生まれたようです。ここにはそうした時期の品が並んでいました。

1 「白天目」 美濃
こちらは黄緑がかった天目茶碗で、縁が金彩されています。底の辺りが特に緑がかって見えるかな。解説によると胴部が丸く灰釉が白く発色していて、単なる唐物の写しではなく和物ならではの魅力があるとのことです。落ち着いた色合いで、素人目にも美しい形となっていました。

5 長次郎 「黒樂茶碗 銘 あやめ」
こちらはザラついたような質感の筒型の茶碗で、千利休の創意によって長次郎が作った品です。割と厚手で手捏ねの特徴である厚みの変化が観てとれるようで、ちょっとだけ歪みもあるかな。時代の風格が感じられる長次郎の貴重な茶碗のようでした。


<第2章 桃山の茶陶の始まり>
続いては桃山の茶陶の隆盛についてです。16世紀末期になると和物茶陶には新しい様式と産地が誕生し、生産量が増加していったようです。また、九州では朝鮮半島より渡来した陶工によって唐津の生産が開始され、奥高麗と呼ばれる茶碗が作られるようになりました。ここにはそうした今までに無かった焼き物が並んでいました。

11 「黄瀬戸輪花向付」 美濃
こちらは円筒形のお椀みたいな5つセットの向付です。底に花が描かれていて素朴な可憐さがあるかな。名前の通り黄色がかった色合いも魅力的で、気品も兼ね備えてるように思いました。
この辺は黄瀬戸が多く並んでいました。

15 「奥高麗茶碗 銘 もろこし舟」 唐津
こちらは高台のついた茶碗で、やや黄色がかった色合いで朝鮮半島の高麗茶碗の井戸茶碗に似た形となっているようです。釉薬が腰までかかってない点や丁寧な高台周りの削りが奥高麗の茶碗であることを示しているのだとか。この頃までに唐物や朝鮮半島の影響から一歩踏み出した作品が生まれていたのが伺えるように思いました。


<第3章 桃山の茶陶と京都三条瀬戸物屋町>
続いては今回のメインとも言える桃山の茶陶と京都三条瀬戸物屋町に関する章です。1599年の古田織部の茶会で歪んだ瀬戸(美濃)の茶碗を使用されると、桃山の茶陶の造形・意匠は大胆になり 器種・生産量ともに爆発的に増加していったようです。その背景として京都三条瀬戸物屋町の商人の働きがあったと考えられているようです。

26 「志野茶碗 銘 卯花墻」 美濃
こちらは国宝で、口が歪んでやや三角形の形になっている志野の茶碗です。側面には銹絵で格子のような模様が付いていて、幾何学的な印象を受けます。ぽつぽつした穴があるのは志野の特徴ですが、色合いなども独特の温かみがあり、歪んでいるのも柔らかい印象となっていました。

22 「三角花入」 備前
こちらは円筒形の備前の花入れで、側面が大きく凹んでいてかなり歪んだ形に見えます。肌もあらく素朴で力強い印象を受けるかな。歪みが珍重された価値観がよく分かる作品だと思います。

この先で、京都三条瀬戸物屋町についてパネルや陶片などで紹介されていました。5箇所の瀬戸物屋町があったようで、それぞれ地点ごとに異なる産地や器種の特徴が観られるようです。この事から各地区で扱う品の独自性があったと考えられるようで、陶片を観てみると確かに扱う品の方向性が違っているのも頷けます。中には何で廃棄されたんだろ?ってくらい面白い陶器もあって、壊れていないものもあります。特に織部の屋敷跡の四坊堀川町の出土品は面白い造形の品が多いので好みでした。この後のコーナーでも織部の良品がいくつも出て楽しませてくれます。

43 「黒織部茶碗 銘 松風」 備前
こちらは黒々した茶碗で、側面に掻き落とされた白い地が見えて縞模様のようになっています。形も変わっていて、口は楕円形なのに底は円形に近く、側面が出っ張っていたりしています。また、底には一本の白い線が掻き落とされていて、非常に斬新な印象を受けました。銘は松風とのことなので、黒と白で夜の海岸のようにも見えるかも。ある意味、前衛芸術ですw

この辺には変わった形の品が並んでいました。慶長年間後半に織部と高取が登場したことで、ますます多彩で歪みが極端になっていったようです。

57 「織部松皮菱形手鉢」 美濃
こちらは取っ手の付いた菱形を組み合わせたような形の手鉢です。茶・緑・焦げ茶などで模様を描いていて、恐らく草花だと思うけど抽象的で 何処と無く近代抽象画のパウル・クレーを想起しましたw 形も絵も見事で、現代的な感性すら感じられます。

この辺は意匠が面白い作品が多く、特に満足できました。

69 「絵唐津葦文徳利」 唐津
こちらは白地の大きな徳利の側面に銹絵で葦が描かれた作品です。さらっと描いたような伸びやかな筆致で、即興じゃないかな。それが却って生き生きとした感じで、微妙なかすれ具合が陰影のように見えて面白かったです。この隣にも同様の作品があり、洒脱な雰囲気を漂わせていました。

62 「美濃伊賀耳付水指」 美濃
こちらはかなり厚手の水指で、上に耳が付いています。側面には垂れるような焦げ茶の釉薬があり、風化した独特の地と共に素朴ながらもどっしりとした力強い雰囲気となっています。歪みもあって豪快な作品でした。
この辺は花入れや水指が並んでいました。


<第4章 桃山の茶陶の諸相 ―さまざまな流通経路を考える―>
最後は京都三条瀬戸物屋町以外の流通経路と考えられる器のコーナーです。例えば薩摩茶入は大名が生産や流通に携わったことが判明していたり、楽茶碗は直接顧客に渡っていたようです。ここは点数少なめですが、そうした作品が並んでいました。

77 「肩衝茶入 銘 サイノホコ」 薩摩
こちらは黒い円筒形の茶入で、銘の「サイノホコ」は平安時代の検非違使が持っていた鉾のことを表しているようです。黒々した鉄釉に所々の藁灰釉が白く浮き上がるようで、山のようにも見えるかな。解説によると、薩摩茶入は島津家が徳川家に信頼関係を築くために贈ったものとのことで、クオリティも高いように思えました。

83 「耳付水指」 伊賀
こちらは底に向かって広がる取っ手付きの水指です。緑の濃淡のあるビロード釉がかかっていて、形の歪みと共にかなり重厚かつ落ち着いた印象を受けました。


ということで、生産と流通をテーマにするというこれまでに観たことがない切り口だったのが斬新で、特に織部の名品が楽しめました。織部は現代でも斬新さを感じるほどで素人が観ても分かる面白さがあります。この美術館は庭園も美しい所なので、この展示とセットで楽しめるのではないかと思います。茶器などに感心がある方は是非どうぞ。

おまけ;
今回の2階の常設は手鑑の特集で、達筆などが並んでいました。これも流麗な文字で書かれた詩句を楽しめる展示です。


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【根津美術館】の紅葉 2018年11月

今日は写真多めです。この間の日曜日(2018年11月25日)に根津美術館の庭園で紅葉の写真を撮ってきました。今が見頃となっていますので、早めにご紹介しておこうと思います。

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さて、この美術館は日本や中国の美術コレクションが充実している所ですが、庭園も見事で特にゴールデンウィークの頃の燕子花と11月末頃の紅葉が美しいことで知られています。これまでも何度かご紹介していますが、ブログ休業でしばらく期間が空いたので久々にご紹介しておこうと思います。私が行った時はまだ染まり始めた頃だったので、12月上旬くらいまでは楽しめると思います。公式サイトでは紅葉の具合を紹介するページもあるので、お出かけの際にはそちらも参考にすることをおすすめします。

 参考リンク:
  根津美術館の公式サイト(いまの庭園)

 参考記事:
  根津美術館の紅葉 2012年11月
  根津美術館の紅葉 2010年12月
  根津美術館の紅葉 (2009年)

今回も庭園をぐるりと周るコースで観てきました。まず本館から坂を降りていくと早速赤く染まった様子が観られました。
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この日は天気も良くて非常に爽やかでした。都会の真ん中でこれだけ綺麗な紅葉が観られるのは本当に凄いことです。

今回は普段は入れない茶室の付近も入ることができました。
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こちらは閑中庵・牛部屋という建物。山間の庵のような雰囲気があります。

こちらにも楓が落ちていて風情がありました。
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この辺りは紅葉だけでなく鳥の鳴き声も聞こえてきて、軽く登山に来たような気分になれます。

こちらは閑中庵・牛部屋を側面から撮ったもの
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水平・垂直が多く、日本の美意識はこういうシンプルさにあるのだと思います。

左は最近 歩道が整備された辺り。右は天神の飛梅祠。
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この辺はまだ染まりきっていない感じがするかな。ここも黄色く染まると更に美しくなります。

こちらは斑鳩庵・清渓亭という茶室。元は本所に建てられたものが昭和30年に移築されてきました。
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ここも普段は入れないので貴重な機会と言えそうです。

この辺も楓は染まっていますが、それ以外はまだちょっと早かったかなw
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竹垣がちょっとずつ高くなっていくのが面白い造りです。

こちらも普段は入れない披錦斉・一樹庵。元は大阪にあった茶室を移築したものです。
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着物を着た方が写っていますが、この日は結構見かけました。お茶席もやってたみたいなので、非常に風情があります。

こちらは弘仁亭・無事庵を望む光景。
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春は燕子花が一番綺麗に見えるポイントですが、秋も美しい光景が広がっています。

水面にも紅葉が写っていて、これぞ日本の秋といった感じです。
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たまたま鯉も泳いでいて、実景・反射・水面下の3つが一緒になった光景も観ることができました。

先程の弘仁亭・無事庵の近くまで回ってきた辺り。
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毎回感心するくらい計算された作庭ぶりです。春も秋も楽しめるって凄い

ススキのアップ。
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フワフワしていて立派なススキでした。

最後に日が当たった楓。
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今回は赤ばかりでしたw 


ということで、若干フライング気味だったですが、美しい光景を観ることができました。写真には誰も写っていませんが、最近では外国人の観光客も増えていて結構賑わっています。今週末辺りにはピークが来そうなので、ご興味ある方はカメラを持ってお出かけしてみるのも良いかと思います。

おまけ1:
この根津美術館の最寄りの表参道から地下鉄で1駅行った外苑前には有名なイチョウ並木もあります。2018年も12月2日までいちょう祭をやってるので、根津美術館と合わせてハシゴしてみるのも良いかもしれません。
 参考記事:聖徳記念絵画館/イチョウ祭り/クラシックカーフェスティバルの写真

おまけ2:
根津美術館はゴールデンウィークの頃の燕子花も毎年の楽しみです。琳派の展示を同時期に行うことも多いので、東京観光などに行く際にはルートに入れてみるのもよろしいかと思います。

 参考記事:
  根津美術館の燕子花 2018  
  根津美術館の燕子花 2013  
  根津美術館の燕子花 2012  
  根津美術館の燕子花 2011
  根津美術館の燕子花 2010
  燕子花図と夏秋渓流図 (根津美術館)

  根津美術館の桜 2018

  新・根津美術館の庭園の写真(2009年11月) 



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アジアにめざめたら アートが変わる、世界が変わる 1960-1990 年代 【東京国立近代美術館】

前回ご紹介した東京国立近代美術館の常設を観る前に、企画展「アジアにめざめたら アートが変わる、世界が変わる 1960-1990 年代」も観てきました。

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【展覧名】
 アジアにめざめたら アートが変わる、世界が変わる 1960-1990 年代

【公式サイト】
 http://www.momat.go.jp/am/exhibition/asia/

【会場】東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
【最寄】東京メトロ東西線 竹橋駅

【会期】2018年10月10日(水)~12月24日(月・休)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
結構お客さんはいましたが快適に鑑賞することができました。

さて、この展示はその名の通り1960~90年代にかけてのアジアのアートを紹介する内容となっています。10を超える国と地域のそれぞれの歴史や政治運動を背景とした作品が多いので、並んでいる作品は結構深刻な社会問題を取り上げていたりするのですが、観てもピンと来ない作品が多かったので、ささっと流す感じで観てしまったw 目録の冊子で各作品の時代背景とかをちゃんと説明してるのですが、アジアのアートというと 抑圧との戦い/急激な都市化・近代化の軋轢/アジアとしてのアイデンティティ/マイノリティ といういくつかの主題にパターン化されてるので、あまり目新しさが無いと言うか… 暗いテーマが苦手なので途中から早足になっていきましたw その為、メモもほとんど取っていませんが、備忘録程度に各章の様子を振り返ってみようと思います。


<0章 イントロダクション>
まず最初はアジアの各地域の複雑な社会背景を紹介するコーナーです。この章には1つだけ写真OKの作品がありました。

FXハルソノ 「もしこのクラッカーが本物の銃だったらどうする?」
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こちらはインドネシアの作家。この銃はクラッカーでできています。インドネシアはクーデーター以降に強権的な政治の時代があったそうで、それを批判するのも許されなかったようですが、この作家らが立ち上がって新しい美術運動を起こしたそうです。

クラッカーのアップ
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色もピンクで玩具っぽい感じ。

これが本物だったらどうする?という感想を書くノートもありました。
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食べるとか溶かすという意見が多かったかな。本物だったら食べられないですがw

この部屋には東南アジア風の音楽と共に人形を焼いている映像なども流れていました。人々が踊ったりするシーンもあって、エネルギッシュです。
他にも韓国なども紹介してたかな。アジアはクーデーターや革命の歴史ばかりで暗澹たる気分になります。


<1章 構造を疑う>
この章は近代化に対する問題意識から「美術」という西洋の概念に疑問を持つというコーナーです。破壊的な作品も結構ありました。

[1-1 美術の境界]
ここには川の上で燃えているキャンバスを撮った写真や、河原の枯れ草を燃やしてブロック状の模様を造る写真などの作品がありました。(どちらも韓国だったと思います) 破壊的で既存の枠組みに囚われていない作品でした。

[1-2 再物質化]
ここは素材をテーマにした作品が並んでいて、まずは綿と金属で出来た大きな正六面体が目を引きました。異なる質感が組み合わさっているのが面白いかな。東近美の中西夏之「コンパクト・オブジェ」もあって、これは光沢と卵型の形が美しい作品です。
ここには他にも野村仁のドライアイス が溶けていく様子を撮った作品や、韓国のハ・ジョンヒョンによる「Untitled 1973-1」というバネをキャンバスに並べて伸ばしたり縮めたりして表現した作品などもあったので、結構楽しめました。

[1-3 メディアとしての身体]
ここは台湾の張照堂(チャン・チャオタン)という人による首の無い人物像の写真が並んでいたのがインパクトがありました。(★こちらで観られます)不吉でシュールな印象を受けます。顔があっても睨んでいたり不穏です。台湾は40年間も戒厳令下にあったので、それを暗示する政治的要素がありそうです。


<2章 アーティストと都市>
続いては近代化する都市で実験的な表現が育まれていったことを振り返るコーナーです。

[2-1 資本主義批判]
こちらにはまず今回のポスターに1つにもなっているジム・スパンカットの「ケン・デデス」(★こちらで観られます)という仏像の下の台座にジーパンを履いた上半身裸体の女性が描かれた作品がありました。宗教的な像にエロティックな表現をしているので、既存の価値観への挑戦のように思えます。また、コーラに星条旗を詰めた火炎瓶の写真なんかもあって、資本主義やアメリカへの皮肉的な雰囲気となっていました。

このコーナーにも1点だけ撮影可能な作品がありました。

タン・ダウ 「彼らは犀を密漁し、角を切ってこのドリンクを作った」
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サイが倒れていて、斧が傍らに置いてあります。そして祭壇のように取り囲むのは飲料の容器です。

飲料の容器のアップ。
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このパッケージとタイトルから察するに、サイのツノが入った飲料でしょうか。何の効果があると信じているのか分かりませんが、サイは絶滅危惧種でもあり 斧を置くことで残虐性を分かりやすく伝えているように思えました。


[2-2 都市生活を撹乱する]
こちらにはまず、家が積み重ねるような感じの絵画がありました。デ・キリコの形而上絵画みたいなシュールさがあり、犬や鳥が沢山いるのに人間はいないという奇妙な光景です。これは1975年にインドで起きた反体制勢力を抑え込むための非常事態宣言下の恐怖に包まれた街を描いているそうで、直接それを描くのではなく隠喩的に犬や鳥で表しているようでした。

その先には日本のゼロ次元による全裸のパフォーマンス映像なんかもありました。ムカデ競走みたいに連なって踊る様子は祭りみたいで、プリミティブな雰囲気もありますが過激でアート・テロリストと呼ばれるだけありますw 他にもガスマスクだけ付けて全裸で町中を歩く様子の写真なんかもあって、まさに都市を撹乱するような作品が並んでいました。


<3章 新たな連帯>
最後は民衆との連帯を主張するグループや、民主化運動の中で壁画・看板・ビデオ等で多くの人々と現実を共有する試みのコーナーです。

[3-1 アート・アクティヴィズムと社会運動]
ここにはタイ統一美術家戦線による大きな絵画作品があり、鉄条網や兵士などが描かれていて、滴る赤が血の様な背景となっています。その上には青空に鳩が舞っている様子もあり、戦争と平和の対のようになっていました。タイ統一美術家戦線はタイの現実を民衆に知らせる為にこうした大型作品を使って直接訴えたそうで、マルクス主義に基づき 軍事政権とアメリカの新帝国主義への批判も込められているとのことです。

他にもフィリピンの戦いを思わせる絵画や民主化運動のうねりを感じさせるような作品もありました。

ここでもう1つ目を引いたのは韓国のホン・ソンダムの版画で、素朴な作風で棟方志功みたいな感じも合わせ持ってるのですが、光州事件という動乱を描いていて、素朴さが逆に怖さを引き立てていました。この素朴さが民衆の共感を呼んでいたようです。

[3-2 集団行動とアートの実験]
ここはちょっとよく分からない作品が少数あった感じ。裸の人たちが折り重なっていくシュールな映像など、実験的な作品が展示されていました。

[3-3 ジェンダーと社会]
ここは主に女性の社会的地位に関するテーマかな。裸婦の彫像が鏡に向かって考えている様子とか、差別的な待遇を感じさせる女性像、鉄条網に咲いたバラを身に絡みつけた女性たち など差別や抑圧を告発するような作品が並んでいました。


ということで、政治批判&西洋批判&社会批判という感じで、アートを通じて各国の当時の様子なども分かるようになっていましたが、やっぱりこういうのか…と予想通りでした。別に政治批判が悪いと言うのではなく、美術がそれだけのものになってるのが表現の幅が狭いように感じます。そもそも美よりも思想やメッセージが先に来るのでノンポリの私には脂っこいと言うか…。アジアの歴史や政治運動に興味がある方には面白いかもしれません。私にはあまり刺さらない展示でした。


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【東京国立近代美術館】の案内 (2018年11月)

今回は写真多めです。前回ご紹介した東京国立近代美術館の展示を観た前に、本館所蔵品ギャラリーで常設作品も観てきました。ここの常設は期間が設けられているので、まずは概要についてです。

【展覧名】
 所蔵作品展 MOMAT コレクション

【公式サイト】
 http://www.momat.go.jp/am/exhibition/permanent20181006/

【会場】
  東京国立近代美術館 本館所蔵品ギャラリー

【最寄】
  東京メトロ東西線 竹橋駅

【会期】2018年10月6日(土)~ 2019年1月20日(日)
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【感想】
この日は空いていて快適に鑑賞することができました。今回も気に入った作品の中から今までご紹介していないものを写真で並べていこうと思います。
 ※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れますが、撮影禁止の作品もあります。
 ※当サイトからの転載は画像・文章ともに一切禁止させていただいております。

参考記事:
 東京国立近代美術館の案内 (2018年06月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年12月前編)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年12月後編)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2014年01月)
 東京国立近代美術館の案内 (2013年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2013年03月)
 東京国立近代美術館の案内 (2012年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2011年12月)
 東京国立近代美術館の案内 (2011年06月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年12月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年04月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)

菱田春草 「王昭君」
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こちらは元帝の時代に後宮から匈奴の王へ女性を差し出すシーン。肖像画で一番醜い女性を選んだつもりが、絵師に賄賂を送らなかった王昭君という美しい女性が選ばれてしまったという話です。本人よりも周りの方が悲嘆にくれてるようにも見えるかな。横から観た構図が面白く、それぞれの心情も比較できるように思えました。

川合玉堂 「彩雨」
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こちらは川合玉堂が得意とした水車を題材にした作品。霧に烟る秋の農家が何とも叙情的です。
 参考記事:没後60年記念 川合玉堂 ―四季・人々・自然― (山種美術館)

中川八郎 「北国の冬」
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写実的な雪国の光景。輝くような雪の表現に臨場感があります。なんか足跡らしきものがあって気になるw

小杉放菴(未醒) 「水郷」
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観た瞬間にシャヴァンヌの「貧しき漁夫」を思い起こしました。ポーズと題材がよく似ています。何処と無く内省的な雰囲気があって静けさが漂っていました。
 参考記事:
  国立西洋美術館の案内 (常設 2010年06月)
  シャヴァンヌ展 感想前編(Bunkamuraザ・ミュージアム)

坂本繁二郎 「馬」
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坂本繁二郎といえば馬ですw こちらは繋がれて前掻きしてるのかな。ややほっそりした馬で、遠くを見るような視線が気になりました。

萬鉄五郎 「羅布かづく人」
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萬鉄五郎による白黒の対比が明確な力強い版画。ちょっとカクついた感じとか とってもプリミティブ

この辺には新版画の良い作品が多くて見ごたえがあります。山村豊成(耕花)による「十三世守田勘弥のジャン・バルジャン」もありました。

伊藤久三郎 「燕」
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写実と幻想が混じったようなシュルレアリスム的な作品。コウモリ天井のような緑の連なりがツバメの軌道のようにも観ました。色彩と共に夢の中の世界のようです。

和田三造 「興亜曼荼羅」
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何かの神話の場面かと思ったら、大東亜共栄圏の理想を図案化した作品らしく中央の大理石の像が日本なのだとか。プロパガンダ的で時代を感じさせます。それにしても何で日本なのに西洋風な馬車なんだろかw 

この辺は「彩管報国」(絵で国に報いる)をテーマにした戦時の作品が並んでいまいた。1942年の軍用機献納作品展に出品された作品は三越に買い上げられ、代価20万円(現在の5億円)は陸海軍に収められたそうです。

畠山錦成 「菖蒲」
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こちらは1942年の軍用機献納作品展に出された品の1つ。特にテーマは決まってなかったようですが、日本の伝統的なモチーフとなっています。琳派的な雰囲気もあるかな。

中村大三郎 「春雨」
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こちらも軍用機献納作品展の出品作。色合いが鏑木清方みたいに見えましたが京都の画家です。こんな清廉な女性を描いた作品も戦争に使われた時代があったんですね…。

山口華楊 「基地に於ける整備作業」
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こちらは完全に戦地の様子を描いた作品。南方の島でしょうか。意気揚々といった感じに見えました。

続いては戦後のコーナー。

川島猛 「1968-N.Y.203」
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一見すると家紋のように見えるけど、よくよく見ると工業製品みたいなものが描かれた作品。インスピレーションの源は高度成長期の団地だそうで、作者は航空機科と機械科で学んでいたらしいので、そういうデザインも加味されているのかも。近くでみると色がチカチカしましたw

ハンネ・ダルボーヴェン 「世界劇場79」
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壁一面に同じような絵がずらっと並んでいて何じゃこりゃ?と驚きました。1日1枚365日描いたらしく、きっかり365枚あります。

世界劇場79のアップ。1枚1枚絵柄が違っています
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この絵は19世紀末にコーヒーのパッケージに入っていたオマケの図像らしく、左側の幕は舞台を表しているようです。…と、ちょっと深い意味は分からないですが、これだけ数が集まると目を引きますねw

この近くには私の好きな河口龍夫の天文写真をモチーフにした作品もありました。そして、今回の写真の部屋は北井一夫の「村へ」を取り上げていました。

北井一夫 「[村へ]より 夜 宮崎県石巻市」
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面を被った人がひょっこり出てくる様子。子供が観たらめっちゃトラウマになりそうw 村の持つ土着のフォークロア的なものを感じます。
他にも結婚式などの風俗を撮った写真もあり、面白いコーナーでした。

その先は横山操と盟友の加山又造の作品が数点並んでいました。
 参考記事:
  横山操展 ~アトリエより~ (三鷹市美術ギャラリー)
  Re 又造 MATAZO KAYAMA|加山又造アート展 (EBiS303 イベントホール)

横山操 「塔」
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こちらは台東区谷中にあった五重塔が焼け落ちた際の様子を描いたもの。トリミングで黒焦げになった部分がクローズアップされているようで、廃墟となってもそびえ立つ雰囲気がありました。何とも力強い廃墟です。

加山又造 「月と犀」
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日本画なのにシュルレアリスム的な雰囲気の作品。ややキュビスム的な要素もあるかな。日本画とは何か?を問い、新しいものを造ろうとする意思が強く現れているように思えます。

加山又造 「悲しき鹿」
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こちらは敗戦後の不安を表した作品。この頃、ジョアン・ミロの強い色彩対比に惹かれていたそうで、日本画の極度の様式性と装飾性にそれを応用しているそうです。 線が流れるようで、彫刻の彫り跡を思わせるかな。斬新で面白い作品です。

横山操 「ウォール街」
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こちらも日本画らしくないモチーフですが、質感や構図が圧巻の作品。周りの廃墟のようなビルと対比的に中央の真っ青な空が何とも爽やか。

横山操 「カラガンダの印象」
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こちらは油彩画。重厚で単純化された山が非常に強い存在感となっています。セザンヌっぽい雰囲気もあるように思えるかな。色も強くてかなり好みの作品でした。

竹内栖鳳 「禁城翠色」
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皇居のお堀を描いた作品。淡い色彩を背景に松だけが水墨のようでダイナミックに描かれています。滲みもあるし、繊細さと豪快さが同居した感じでした。

下村観山 「東都名所より 日本橋」
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こちらは日本美術院の同人達が描いた全22面からなる作品の1つ。街頭が灯り霞む様子が何とも幻想的。当時のモダンな様子も伺えるのも好みでした。

今回、2階は「遠くへ行きたい」というタイトルの部屋となっていて、遠くを想う様子や異世界的な雰囲気の作品が並んでいました。

中村宏 「円環列車・B-飛行する蒸気機関車」
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「銀河鉄道の夜」というか「銀河鉄道999」を思い起こしましたが、1969年作なのでこちらのほうが999より古いようです。セーラー服の女性も奇妙な感じだし、シュールな世界観が面白い作品でした。

三岸好太郎 「雲の上を飛ぶ蝶」
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モチーフ自体は写実的だけど、ありえない光景が超現実的な作品。ルドンや速水御舟も蝶を描いていましたが、蝶が集まると儚く幻想的に見えますよね。

遠藤彰子 「遠い日」
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どこか懐かしくもあり、奇妙でもある光景。遠近感や立体がありえない感じですが、心惹かれるものがあります。螺旋で中央に目が行くと、そこには青空があり、何か希望を感じさせました。

大岩オスカール 「ガーデニング(平和への道)」
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廃墟らしき建物を背景に白い花のようなものが舞っている作品。淡い色彩で不思議な柔らかさを感じました。

最後に2階の奥の部屋。

ジョセフ・クーデルカ 「亡命者たち より」
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巨大な船を見つめる背中が哀愁漂う作品。周りに何もないのでシュールな雰囲気すらあります。タイトルから察するに亡命者でしょうか。ジョセフ・クーデルカは本当に良い写真が多いです。
 参考記事:
  ジョセフ・クーデルカ展 感想前編(東京国立近代美術館)
  ジョセフ・クーデルカ 「プラハ1968」 (東京都写真美術館)

フランシス・ベーコン 「スフィンクス-ミュリエル・ベルチャーの肖像」
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ちょっとキモさもあって生きる痛みのようなものを感じるベーコンの肖像。背景が鮮やかだけに色が不穏に見えますw 余談ですが、最近AIが描いた肖像画が話題になりましたが、ベーコンみたい…と思ったのは私だけじゃないはずw
 参考記事:フランシス・ベーコン展 感想前編(東京国立近代美術館)
 参考リンク:AI(人工知能)が描いた裸婦画が世界的な芸術賞でグランプリを獲得


ということで、今回も見どころたっぷりの常設となっていました。ここは常設と言っても中々お目にかけない作品も多いので、特別展と同じくらい楽しめる内容です。東近美に行く機会があったら、是非こちらも合わせてみることをオススメします。



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インゲヤード・ローマン展 【東京国立近代美術館 工芸館】

2週間ほど前の土曜日に竹橋の東京国立近代美術館 工芸館で「日本・スウェーデン外交関係樹立150周年 インゲヤード・ローマン展」を観てきました。この展示は一部だけ撮影可能となっていましたので、写真を交えながらご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 日本・スウェーデン外交関係樹立150周年
 インゲヤード・ローマン展

【公式サイト】
 http://www.momat.go.jp/cg/exhibition/ingegerd_2018/

【会場】東京国立近代美術館 工芸館
【最寄】竹橋駅

【会期】2018年9月14日(金)~12月9日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 時間分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構多くのお客さんで賑わっていて、場所によっては人だかりが出来るくらいでしたが概ね自分のペースで見ることができました。

さて、この展示はインゲヤード・ローマンという現役のスウェーデンを代表するデザイナーの作品を紹介するもので、ガラス器と陶芸作品が主な展示物となっています。デザインに詳しい方はその名を聞いたことがあるかも知れませんが 簡単に経歴をご紹介すると、インゲヤード・ローマンは1943年のストックホルム生まれで、ストックホルムのコンストファク(スウェーデン国立美術工芸デザイン大学)や、英国のルートン・カレッジ・オブ・テクノロジー、イタリアの国立ファエンツァ陶芸美術学校などでデザインや陶芸などを学びました。そして、1968年の卒業と同時にガラス王国と呼ばれるスモーランドにあるガラスメーカーのヨハンスフォース社に入社しました。当時の世相としては高度な職人技術は不要な贅沢とされ、鮮やかなガラス製品だけがもてはやされていたようですが、インゲヤード・ローマンはその時代に逆らい、透明なガラスで水差しをデザインしました。それは堂々とした彫刻のようでありながらシンプルなデザインで、今では伝説的な作品となっているようです。 そして1972年に自身の陶芸工房を構え、ティーカップとしても器しても使うことができる「te-mat(テマ)ボウル」を作り始めました。 それ以降もずっとこのボウルを作り続けているようで、評価も高まり1995年にはスウェーデン政府からプロフェッサーの称号も得ています。
インゲヤード・ローマンの作風としては素材本来の美しさを活かすこと、普段の生活で使用可能であること、長きに渡って生産され続けること、多目的に使えるもの といったことにこだわっているようです。この展示でもそのこだわりを感じられる作品が並んでいました。 部屋ごとの様子をメモしてきましたので簡単に振り返っていこうと思います。

まず最初の部屋には真っ黒なボウルとガラスのコップが並んでいました。この陶器のボウルは漆のように艷やかな黒をしていて、かなりシンプルな形ですが使いやすそうなデザインとなっています。また、少し先には「クリスタルアイ」という円筒形の切子のような花瓶?があり、幾何学的でリズミカルな美しさを持っていました。他にはお椀みたいな形のティーカップもありました。やはり黒が独特で、シンプルかつ優美な雰囲気です。

次の和室にはダンボールで作った円筒形のボウルがあり、確かに彫刻のような花瓶となっていてダンボールとは思えないほどの気品が漂っています。しかし素材は一目でダンボールと分かる面もあって、これには驚かされました。和室の雰囲気にもあっているし、和との相性も良さそうなデザインです。他にも編みカゴのような蓋の作品もありました。

その先には「カラカラ」という灰色・白・黒の縞模様の作品があり、マーブル紋を彷彿とさせました。これもシンプルなようで洗練されたデザインです。また、金彩した作品などは日本の器のような雰囲気を感じました。結構、漆器に通じるものがあるので、日本の伝統工芸からの影響もあるのではないかと思います。
同じ部屋には薄い青のガラス瓶もあり、薄手で曲線が美しいデザインとなっていました。雫のような形の小さなガラス器などを観ていると、最小限の形で美しさを感じるのは自然の中にもある形だからなのかもしれないと思えました。

その先は1部屋だけ撮影可能となっていましたので、写真を使っていこうと思います。

こんな感じでずらっと並んでいます。
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ここ以外もこんな感じの展示方法です。

ここまで文章だったので中々伝わりづらかったと思いますが、ガラス器はこんな感じの作風です。
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割と素朴さもありつつ、普遍的な美しさがあります。必要以上に華美ではなく、用の美も兼ね備えた感じです。

この佇まいが凛とした雰囲気でした。
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使い勝手も良さそうです。

こちらは重ね置きしたもの。重ね置きできるって便利ですよねw
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江戸時代の三つ重ねの杯を彷彿としました。

こちらは陶器のカップ
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白も美しいですが、この艷やかな黒が好みです。

こちらもカップやボウル。
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いずれも円や直線で構成されていて、リズムさえ感じられます(配置も中々良い感じw)

ボウルのアップ。
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同心円状に並べると芸術品そのものといったオーラがありますね。

こちらも水差しなどを並べたもの。
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このシンプルさ故に観ていて飽きないデザインです。

再びガラス器
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どの角度から観ても美しく見えるのが凄いw


と、こんな感じです。
休憩室では作業の様子を映像で流していました。日本語訳が無いのが残念w

その次の部屋では小さなガラス瓶やグラスを展示していました。ここまで観た作風と似ていて、可憐な印象を受けます。また、スウェーデン議会の為の椅子用紋章をデザインしたものもあり、左右のライオンのような生物が王冠の載った紋章を支えるデザインとなっています。周りには王冠を彫刻したスウェーデン議会のガラス器も展示されていました。

この辺りで気になったのは、「りんご」という冷たいシードルのためのグラスで、丸みを帯びて流れるようなフォルムが美しく感じられました。一方、コニャックの為のグラスは底に金色の三角錐が立っている変わったデザインで、飲む時に見た目も楽しめそうでした。この辺は飲み物に応じてデザインも変えているのかな? 他には幾重にも重なる楕円形の平皿があり、同心円状で植物を思わせる優美さを持ち、影も縞模様になっていて非常に美しい作品でした。

最後の部屋はかなり驚きで、滝が流れ落ちる映像が壁一面に投影されていました。ここまで陶器とガラスが中心だったので面くらいましたが、これもインゲヤード・ローマンの作品で、カロリンスカ研究所で実際に使われているもののようです。涼しげで雄大さを感じる作品です。 この部屋には他にもそら豆のような形の池をデザインした「ビーン」といった作品や、ワシントンのハウス・オブ・スウェーデン(大使館)の水の流れを使ったようなデザインの写真などもあり、器だけでなく建築デザインにも参加している様子が伺えました。


ということで、インゲヤード・ローマンの魅力がよく分かる展示となっていました。日本でも実際に販売もされていてファンも多いようです。シンプルさが日本の感性にも通じる所があるので、その人気も納得かな。ガラスや器が好きな方にオススメの展示です。


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カフェ 麦わらぼうし (2018年11月)【三鷹の森ジブリ美術館のお店】

今日でジブリ美術館については最後です。常設・企画展を観た後、美術館の中にあるカフェ 麦わらぼうしというお店で軽い食事を摂ってきました。

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【店名】
 カフェ 麦わらぼうし

【ジャンル】
 レストラン・カフェ

【公式サイト】
 http://www.ghibli-museum.jp/cafe/
 食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1320/A132002/13010001/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 吉祥寺駅・三鷹駅

【近くの美術館】
 三鷹の森ジブリ美術館(館内のレストランです)

【この日にかかった1人の費用】
 1500円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(日曜日17時頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
非常に混んでいて、時間によっては入店1時間待ちくらいだったので夕方に再訪したら30分待ちくらいとなっていました。いつも混んでいるようですが閉館近くは流石に減ってくるようです(うっかりするとラストオーダーになってしまうリスクがありますがw)

さて、このお店はジブリ美術館の中にあるカフェで、トトロのメイの麦わら帽子を思わせるロゴがあります。家庭料理が基本となっているようで、季節ごとにメニューも変わるようです。手作り感と温かみのある料理がジブリ作品のイメージに合った感じです。残念ながら店内は撮影不可でしたが、料理はOKとのことでしたので内観以外をご紹介していこうと思います。

こちらは店の前の待合所。この日は11月でやや寒かったですが毛布があったりストーブを炊いていて心配りが感じられました。
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ちなみにこの美術館には麦わら帽子のカフェ以外にテイクアウトできるお店もあります。そっちはそれほど並ばなそうでした。

待合には本もおいてあります。
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絵本から うつほ物語のような作品などもあって、ちょっとジブリっぽいテイストのチョイスです。

奥さんのチョイスはこちらのグリム童話
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読もうとしたら呼ばれましたw 最初に言われていた30分待ちに比べるとやや早かったように思います。

内観は暖炉(本物かは不明)や帽子掛けなどの装飾がありますが基本的には結構シンプルで、屋根の一部がガラスになっていることもあって開放感がありました。

メニューは公式サイトにも載っているのですが、軽食、デザート、飲み物などがあり アルコールも少しだけあるようです。この日はパスタとパイと飲み物を頼みました。

まず最初に来たのがこちらの「よくばりさんのチキンクリームパスタ(1500円)」 お皿にトトロがいます。
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これが予想以上の美味しさで、中に黒いチキンが入っています。恐らく宮崎料理とかにある燻製のチキンで、香ばしさとクリームの取り合わせが絶品でした。

こちらは「ふわふわミルク入りコーヒー(500円)」 麦わら帽子のラテ・アートをしてくれます。
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コーヒーはブラックとこちらを選べます。私はブラック派ですがラテ・アートがこの店のシンボルなのでラテをチョイスw ミルクたっぷりであまり苦さを感じず柔らかい味となっていました。 写真を撮り忘れましたが奥さんはアールグレイ ノヴァ(450円)を頼んでいて、こちらも香りが良かったそうです。

最後にデザートの こんがりふんわりチーズパイ(650円) こちらのお皿はジジでした。
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こちらは やや焼き目のついたチーズパイで、チーズケーキのような味です。ふんわりして風味が軽やかで美味しいですが、パイ生地が結構固くて苦戦しましたw 付け合せは桃だったかな。 


ということで、ラテ・アートやジブリ作品をモチーフにした皿などもあり こちらでもジブリっぽい世界観を大事にしているようでした。かなり混んでいるのが難点ですが、せっかくの機会に美味しい料理を食べられて満足でした。ここも時間を取ることになると思いますので、ジブリ美術館に行かれる際にはスケジュールに余裕を持って行くことをおすすめします。


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「映画を塗る仕事」展 【三鷹の森ジブリ美術館】

前回ご紹介した三鷹の森ジブリ美術館の常設を観て周る途中、企画展示「映画を塗る仕事」展も観てきました。

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【展覧名】
 企画展示「映画を塗る仕事」展

【公式サイト】
 http://www.ghibli-museum.jp/exhibition/012928/

【会場】三鷹の森ジブリ美術館
【最寄】吉祥寺駅・三鷹駅

【会期】 2018年11月17日(土)~2019年11月3日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらも非常に混んでいました。なお、前回ご紹介したようにこの美術館は完全事前予約制となっていて、この企画展もその一部となっています。1階の一部の部屋で行われているミニ展示で、点数もそれほど多くないので充実度を3にしましたが所狭しと貴重な資料やセル画が並んでいます。
 参考記事:三鷹の森ジブリ美術館の案内(2018年11月)

さて、この展示はスタジオジブリの映画の「塗る」仕事にフォーカスしたもので、場面やキャラクターによって色を使い分ける様子を紹介する内容となっていました。公式ページの案内によると、故・高畑勲監督や宮崎駿監督は、商業アニメーションの黎明期から、「登場人物とその日常を丁寧に描き、実写とは違ったリアリティをもたせることで、観客の心に訴えることができる作品」を目指してきた とのことで、まさにその通りの仕事ぶりであるのがよく分かる展示です。少しだけメモを撮ってきましたので、簡単に振り返ってみようと思います。

まず入口付近に傘を持ったトトロと稲荷前のバス停がありました。バス停には時間も書いてあって、七国山とは1日4往復で、昭和32年4月の改訂と書かれています。こういう細かい設定もリアルさを出す徹底ぶりなのかもしれません。

そしてその先は数多くのセル画が並んでいます。「魔女の宅急便」「おもひでぽろぽろ」「紅の豚」「もののけ姫」などの人気作があり、絵に影をつけるのをテーマにした解説があります。影をつけることで立体感が生まれ、大きさ、心情、距離、状況などが伝わってくるようになります。この辺は絵画でも重要なテーマで、陰影を強くすればその分 光も強く感じるし、陰影を浅くすると平面的な感じになります。絵を描く際に特に重要な要素と言えそうです。

その先にはトトロのシーンがあり、朝・昼・夜のシーンごとの色の違いを取り上げていました。ネコバスも時刻によって色が違っていて、黄昏色・夕方色・街頭色といった感じで3つ並んでそれぞれの指定色の違いを見比べることができます。(★こちらで観られます)割と黄昏色と夕方色は似ていますが、客席の電灯が灯っていたり、影が濃くなっていたり細かい違いがあって、ほんの僅かな時間差でもしっかり表現を変えているのが伺えました。

その先にはキャラクターの色指定のコーナーがありました。R-40とかBC-1といった識別子で色を指定しているのですが、かなり微妙な色の違いです。ポルコの飛空艇の色が天候によって変わる様子などもあり、光を反射することで天候の雰囲気を増しているのがよく分かります。この辺は映画を観ていると自然過ぎてあまり気がつきませんが、こういう機会に改めて見ると苦労して作っているのが伝わってきました。
この辺もトトロ多めでしたが「アルプスの少女ハイジ」や「母をたずねて三千里」など古いアニメのセル画なんかもありました。

続いてはリアリティの追求のコーナーで、ここには「火垂るの墓」の節子がホタルの光で顔が照らされるシーンなどがありました。下からの光でちょっと不気味な顔になっていますが、実際の陰影のリアルさを感じます。また、「おもひでぽろぽろ」に出てくる車やオフィス用品などの小物についてもかなり細かい採寸や色指定をしていて、こんな所までこだわるのかという驚きがあります。ほんの一瞬で記憶にも残らないようなところでもこのクオリティは流石です。

その先に、ちょっと面白い話がありました。宮崎駿 氏はテートでウィリアム・ウォーターハウス(ラファエル前派の画家)の「シャーロット姫(シャロットの女)」という絵(アーサー王の伝説を下敷きにしたテニスンの詩を題材にした作品)を観て大きな衝撃を受けて、そうした絵を目指していたようです。確かにジブリの絵は緻密かつ濃いめの色彩なのでラファエル前派に通じるものがあるかな。室内の絵なんかもミレイの室内画みたいな雰囲気があるし。聞いて納得と言ったルーツで興味深いエピソードです。
 参考記事:ラファエル前派展 感想前編(森アーツセンターギャラリー)
さらにその近くには「長靴のピッピ」というロシアの昔話の絵本の挿絵もありました。(スウェーデンの話のようですが) こちらも壮麗な絵柄の絵本で、ジブリ的な要素もあって影響を受けているのが伺えます。ナビ派やラファエル前派を彷彿とするようなところもあったかな。

続いては植物や自然描写に関するコーナーで、水の表現などを取り上げています。ジブリの水はタプンタプンでちょっと粘度が高そうな水を思い浮かべるかなw ジブリの水にまつわる各シーンのセル画が並び、水の厚みや、深さ、状況を色と形で表情豊かに描き分けている様子が比較できました。水は特にジブリらしさを感じる要素じゃないかな。特に紅の豚は多彩な水の表現になっている様子を紹介していました。

続いては光と影に関するコーナーです。ここにはトトロやもののけ姫などから月光に照らされたシーンが紹介されていて、微妙な色の違いで陰影を表現しているのが観られました。夜になると色味が減って闇を感じさせるようになっていたりします。さらに少し先には光源と光の使い方のコーナーもあり、照らされる表現1つを取ってもランプとロウソクの火では異なる色のを比較していました。ラピュタの飛行石の表現なんかは神秘的な雰囲気を盛り上げてくれますよね。

この近くにはベレー帽を被った鳩みたいな等身大くらいのキャラクターがいる小部屋がありました。鼻が逆さになったりんごになっているキャラクターなんですが、ここのキャラクターなのかな? 沢山の絵の具の瓶に囲まれていて、ジブリの色彩へのこだわりも感じさせます。

続いては塗り方の表現についてのコーナーで、石や金、ガラスなどの輝きの表現を取り上げていました。特に「おもひでぽろぽろ」の夜行列車で外を眺めるシーンでは窓に反射したタエ子の姿が印象的です。(余談ですが「おもひでぽろぽろ」は子供の頃に観た時は大して面白く無いと感じていましたが、大人になってから観たら本当に心に染みる名作でした。今ではジブリの中でも首位争いする位好きな作品です)
他にも、「魔女の宅急便」でトンボの自転車のプロペラが回転するシーンなんかは、ちゃんと羽が回転しているように見えるのが素晴らしい表現です。半透明のようになりながら光を微妙に反射しているのがそう感じさせると思うのですが、この辺の表現力がジブリの印象深さに繋がっているのは確かだと思います。

その先には集合体の塗り分けを説明したコーナーで、「紅の豚」のマンマユート団や「平成狸合戦ぽんぽこ」の狸たちが出てくるシーンを題材にしていました。私も絵を描くことがあるのですが、群像ってごちゃごちゃしがちなんですよねw しかも陰影の差がバラバラだと光がちぐはぐになったりするので、集合体の塗り分けというのは思っている以上に難しい技術ではないかと思います。

そして最後に顔の色のコーナーです。ここにはカラー・チャートもあって、本当に微妙な色彩の違いを観ることができます。ジブリのキャラクターは人ごとに肌の色や目の色、口の色なんかの他に 口の中の色、影の色まで設定されているようです(さらに状況によってバリエーションがあります) ここでは各キャラごとの設定が観られるのですが、ナウシカとシータの2人は肌の色と口の中の色が共通していたり、パズーとアシタカの影は同じ色だったりと意外な共通点を探すことができました。他にも色々あったのですが、映画を観ながら比較してみたくなりますw ちなみに「もののけ姫」は歴代最高の580色を使ったのだとか。色へのこだわりが感じられますね。


ということで、ジブリの絵がなぜ魅力的なのか種明かしを知ることが出来るような内容となっていました。色を最大限に活かして情感やリアリティを出すのに苦労しているのも伝わってきます。映画を観ているだけでは分からない設定なども観られるので、ジブリ好きの方には特に面白い展示だと思います。


おまけ:
冒頭の写真のアップ。
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偽の入口に立っているトトロの警備員ですw


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【三鷹の森ジブリ美術館】の案内(2018年11月)

この間の日曜日に井の頭公園の外れにある三鷹の森ジブリ美術館に初めて行ってきました。常設・企画展・カフェを楽しんできたので、まずは常設について一部撮影可能な場所の写真と共にご紹介していこうと思います。

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【公式サイト】
 http://www.ghibli-museum.jp/welcome/

【会場】三鷹の森ジブリ美術館
【最寄】吉祥寺駅・三鷹駅

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【感想】
非常に混み合っていて、子供がかなり多いので気を使って結構疲れましたw 
しかし、この美術館はすぐに入れる訳でなく、予約制となっていて毎月10日の朝10時から翌月の入場券をローソンチケットで販売しています。このチケットがあっという間に無くなるようで、私は発売開始して20分くらいの時に買いに行ったら既に売り切れている日もありました。さらに発売初日の夕方にもう一度観たら全部売り切れていたので、発売初日に完売するのは確実だと思います。かなり人気なので今までチケットを取れず、今回ようやく初めての訪問となりましたw
 参考リンク:三鷹の森ジブリ美術館 チケットの購入方法

さて、この施設は「となりのトトロ」や「千と千尋の神隠し」などで大人気のスタジオジブリをコンセプトにした美術館で、ジブリの魅力を伝える展示を行っています。単に原画やセル画が並んでいるだけではなく、建物全体にジブリのキャラクターが溢れ、アーツ・アンド・クラフツを思わせるインテリアなどスタジオジブリの作品に出てきそうな雰囲気を再現しているのが魅力です。建物は地下1階~2Fと屋上となっていて全部見るのに2時間くらいかかったかな(カフェなど入れると3時間半は美術館にいました) 建物の中は撮影不可ですが、屋上や中庭(要するに屋外)では撮影可能となっていましたので、いくつか写真を使いながらコーナーごとに簡単にご紹介していこうと思います。

まずは入口。入口からトトロのステンドグラスがありました。
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14時からの回で予約していたのですが、10分くらい並びました。チケットの他に予約者本人であることを確認する身分証の提示を求められます。

こちらも入口のステンドグラス。
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トトロ、サツキとメイが可愛らしい。

入口を通過すると地下1階のパティオ(中庭)付近にロッカーやベビーカー置き場もありました。
ここから先は観た順ではなく、地下から屋上に向かって行く順序でご紹介していこうと思います。


<映像展示室「土星座」> ★詳細
こちらはミニシアターで10~15分程度のオリジナル短編アニメ映画を上映しています。

下の写真は映画のチケット。入場の際に1人1枚貰えます。映画は来場につき1回だけ観られるようになっていて、20分おきくらいに入れ替え制となっています(1回80人程度)
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それぞれフィルム部分が異なるようで、何種類あるか分かりませんが私たちはポニョとコクリコ坂のワンシーンのようでした。

なお、毎月上映される作品が異なるようで、私が観たのは「星をかった日」という作品でした。この作品は井上直久 氏の「イバラード」を原作とした2006年の作品で、時期的には「ハウルの動く城」~「ゲド戦記」の頃に制作されたものらしく、この映画でも神木隆之介 氏が主役の声優を務めていました。ちょっと詳細なストーリーは謎でしたが、SFっぽさとノスタルジックな雰囲気を併せ持つ話で不思議な美しさのある作品で楽しめました。他にも「水グモもんもん」「ちゅうずもう」「パン種とタマゴ姫」「たからさがし」「毛虫のボロ」「くじらとり」「コロの大さんぽ」「めいとこねこバス」「やどさがし」といった作品もあるようなので、お目当ての作品がある場合は公式サイトで上映スケジュールを確認するのが良さそうです。「めいとこねこバス」が特に観てみたいですが、ただでさえチケットを入手するのが困難なのでハードルが高いw


<常設展示室「動きはじめの部屋」>
こちらはアニメの仕組みを知ることが出来るコーナーです。人形を使ったゾートロープの仕掛けがあり、似ているけどちょっとずつ異なる人形を円形に並べて、それを高速で回転させるとアニメのように見えるという錯覚を利用した仕組みを目の当たりにできます。トトロ、サツキ、メイたちの人形が動き出す様子は面白く、縄跳びしたり躍動感があります。回転したり止まったりを繰り返すので、子供にも原理を理解しやすいと思います。

他にもパノラマボックスという多重に絵を重ねた箱がありました。正面から見ると奥行きを感じさせる光景となっていて、トトロや毛虫のボロなどを題材とした作品が並びます。8層くらい重なるとかなり立体感を感じました。

この部屋にはフィルムぐるぐるといういくつかのフィルムが回転している装置もありました。複雑に回っている感じが面白く、所々にフィルムに光を当てて映像となっているところもあります。これも具体的にフィルムの流れが映像になっている所を目の当たりに出来るので、アニメのみならず映画の原点を知ることが出来るのではないかと思いました。

地下1階はこのくらいで、中央部分が吹き抜けになっている上階へと進んでいきます。


<常設展示室「映画の生まれる場所」>
続いては1階の展示で、こちらは映画製作の様子などを再現したコーナーです。最初にラフ案のような絵が壁を埋め尽くしている部屋があり、足の長いカオナシなど見慣れないキャラクターなどを見ることができます。他には昔の写真やポスター、石や家のスクラップブックのようなものがあり、制作の為の取材の様子が伺えます。
その先の書斎にはたくさんの小物や本に囲まれた机があり、工具や玩具なども所狭しと置かれて ジブリのイメージぴったりな書斎となっています。セル画は風景が多めかな。机には筆と絵の具、天井からはドライフラワーが干してあったり山積みの本があったり… 単なる仕事部屋というよりは創造の源泉を垣間見られるような空間です。ここは特にこの美術館でも魅力的な部屋だと思います。

この部屋の辺りには屈んでいる禿頭に緑がかった裸の妖怪のようなものが沢山いました。これは「怪人ジブリブリ」というそうで、仕事が捗らない者の冷や汗と脂汗を慕って集まり、頭痛・腰痛・暗い気分を引き起こすと説明させていました。…映画作りは楽しそうに見えても実際には相当なプレッシャーと焦燥があるのは想像に難くないですが、それさえもユーモアにしているのは流石ですねw この部屋を訪れる際にはあちこちにいる怪人ジブリブリを探してみると面白いと思います。

その先は絵コンテ室となっていて、「天空の城 ラピュタ」の絵コンテを見ることができました。ノートを縦線で画面・内容・秒という3つのブロックで区切っていて、コマごとに絵・セリフや動きの説明・秒数が描かれています。1ページで10秒にも満たないのもザラなので、絵コンテだけでもかなりのボリュームです。しかも1つ1つがしっかりとした描き込み具合なので、これはファン必見のコーナーだと思います。他にもいくつか展示されていて、ナウシカの絵コンテでは王蟲の登場シーンなどがあったのですが、絵が内容と秒の部分にまでぶち抜いて描いてあって 映画でのこのシーンの迫力が絵コンテの時点で既に表されているように思えました。
他に「星をかった日」の絵コンテや着色してある絵コンテなどもあって、ここは結構じっくり観てきました。

続いては作画室で、ここには昔のアニメ映画の制作風景が広がります。当時の様子を絵に描いたものが壁に展示されていたり、トレースの実例を紹介したもの、作画机などがありました。作画机は表面がガラスになっていて、下から光を通すことでトレースしたりできる机です。また、ここにはアニメの撮影セットもあって、簡単なアニメの仕組みも分かります。アニメはいくつかの絵を重ねて、それを上から撮影しているのですが、このセットではハンドルを回すと前景が移動しているように見える仕組みとなっています。また、もう一方のハンドルを回すとカメラが上下するので、恐らくアップになったり引きになったりするのはこれで調整しているんじゃないかな。この辺は単純そうで面白い仕掛けとなっていました。

他にフィルムの仕組みを観られるようなものもありました。
1階には他にも企画展の部屋もありますが、そこについては次回ご紹介しようと思います。


<図書閲覧室「トライホークス」> ★詳細
続いては2階です。ここは宮崎駿 氏とジブリ美術館のオススメの絵本や児童書が並んでいるコーナーです。ここは軽く見た程度だったのですが、お子様連れの方などはここで一緒に本を読むのも良い体験となるのではないかと思います。


<ネコバスルーム> ★詳細
こちらは大きなネコバスのぬいぐるみ?を置いている部屋です。小学生以下限定のコーナーなので大人は見るだけしかできませんが、全長5mくらいあるネコバスの内部にも入れるようになっているようで中々の再現度です。また、隣にはまっくろくろすけ の穴のようなものもあって、子供たちが一心不乱に遊んでいましたw これは子供に一番人気がありそうなコーナーでした。


<ミュージアムショップ「マンマユート」> ★詳細
こちらはミュージアムショップで、もちろんジブリのグッズが沢山置いてありました。絵葉書みたいなお手頃なものからTシャツやカップなど定番の品、ポルコの飛空艇の模型のような高級な品まで幅広いラインナップです。ここにお子様連れで行くと財布がえらいことになるのは確実な気がしてなりませんが、会計に列が出来るほどの盛況ぶりでした。

続いて屋上へと向かいます。このラセン階段塔を登っていきます。
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この階段もラピュタとかを想起しますね。蔦が良い感じに絡まってます

こちらは夜の光景ですが、ラセン階段を登りきった辺りから撮ったジブリ美術館の入口
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思った以上に敷地が広くて何度もぐるぐる回ってきましたw

そしてこちらが屋上にいる守り神! ラピュタに出てくるロボットですね
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周りに花が咲いている点なんかもラピュタっぽさが漂っています。

後ろからのアップ。
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ちょっと壊れていたり、腰から草が生えているのが特に面白かったです。

ちょっと離れた場所からと夜になってライトアップされた姿
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夜のほうが生気ある感じw そのまま動きそう

屋上の奥には何やら見覚えのある石がありました。
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ラピュタの内部にあったやつです。

表面にはしっかり楔文字みたいなのが書かれています。
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ここに石をかざして「見ろ!人がゴミのようだ!」ってやるやつですねw

屋上は昼と夕方で2回行ったのですが、それぞれ雰囲気が違いました。
続いてはまた下の階へと戻っていくルートです。

こちらは美術館の展示部分の奥にあるバックヤード。この建物には入れません。
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しかしちょっと気になる光景となっています。

こちらは気になる部分をアップで撮ったもの。
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ちょっと目つきの悪い猫でしたw 猫の恩返しのSPかな?

美術館を振り返るとこんな感じ。
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ここに写っている鉄橋は先程のバックヤードの前を通っています。黄色いテントの奥にはテイクアウトできるコーナーもありました。

最後に地下1階に戻ってきました。最初にロッカーがあると書いたパティオです。
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ここには井戸や薪置き場なんかがありました。右の写真はこの辺にあった窓。まっくろくろすけがぎっしり詰まっていますw こういう細かいところまで遊び心にあふれていました。


ということで、ジブリの世界を十分に満喫できる美術館となっていました。ジブリ好きの方は絶対に楽しめると思いますが、唯一の難点はチケットを取るのが大変な点でしょうか。(毎月10日の10時からローソンで次月分の予約開始です) 結構見るのに時間もかかりますので、ご興味ある方は早めに計画を立てておくとよろしいかと思います。
次回は今期の企画展についてご紹介していこうと思います。




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刻まれた時間 ― もの語る存在 【東京藝術大学大学美術館】

今日も写真多めです。前回ご紹介した東京藝術大学大学美術館の展示と共に同時開催の「刻まれた時間 ― もの語る存在」という展示も観てきました。この展示は既に終了していますが、撮影可能となっていましたので写真を使ってご紹介しておこうと思います。

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【展覧名】
 刻まれた時間 ― もの語る存在

【公式サイト】
 https://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2018/sculpted_in_time/sculpted_in_time_ja.htm

【会場】東京藝術大学大学美術館 本館 展示室2
【最寄】上野駅

【会期】2018年11月1日(木)~11月11日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
最終日だったこともあってか結構混んでいて場所によっては人だかりが出来るほどの盛況でした。

さて、この展示は前回ご紹介した深井隆教授の退任展に合わせた企画で、彫刻科の同じ空間で制作し 教えを受けて育った 次世代の彫刻家たちの作品が並ぶ内容となっています。点数はそれほど多くないので充実度は3にしましたが その作風は実に様々で、個性溢れる彫刻ばかりとなっていました。撮影可能の展示となっていましたので、気に入ったいくつかの作品を写真と共にご紹介していこうと思います。この展示も特に解説はないので私のてきとーな感想のみですが…w

深井隆 「時の降る夜」
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こちらは前回ご紹介した深井隆教授の作品で、この展示にも1点だけ出品されていました。馬と羽が深井隆 氏の作風の特徴のようなので、この作品はその両方を兼ね備えているように思えます。
 参考記事:退任記念 深井隆展 ― 7つの物語 ― (東京藝術大学大学美術館)

赤穂進 「金貨の肖像」
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こちらは巨大な金貨風の肖像。ざらついて ちょっと風化したような表面に髭の老人が浮かんで観えます。文字とかもあって、遺跡から出てきたような質感が面白かったです。

高見直宏 「エクトプラズムの群像」
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こちらはちょっと不気味な群像w 体は仲良く並んでいるようにも観えますが、頭部がエクトプラズムのタイトル通りちょっと悪霊みたいなw 中々大胆で驚きの作品です。

田中圭介 「学習机」
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こちらはなんと学習机を素材に彫った彫刻。緑に侵食された遺跡のように見える点や、ちょっと懐かしい子供向けシールが貼ってあるのが面白い。使い込んだ感じが温もりも感じさせました。

角田優 「カロリックサイクル~熱は物質だったのか」
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こちらは「カロリック」という熱は粒子でできた気体の一種と捉える学説(18~19世紀初め頃の説)を表した作品。最早 彫刻の域を越えてインスタレーションのようで、発想も仕組みも興味深いものとなっていました。

竹内紋子 「ゴリラ/観察」
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タイトル通りゴリラっぽいですが、メタリックで古代彫刻のような素朴な味わいがある作品。ちょっと錆びたような感じも遺物のように観えました。

滝上優 「自由自在」
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こちらはリフティングする子供の彫像。あまりボールを観てる感じは無く、余裕の表情をしてるかなw 動きを感じる作品でした。

舘山拓人 「空色の旅」
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手だけ表され、風に舞うような衣と共に軽やかさを感じます。神話的で超現実的な雰囲気がありました。

棚田康司 「12の現れた少女たち」
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どこかエジプトのマスクを彷彿とするような顔立ちが印象的です。微笑むわけでもなく独特の表情が魅力的に思えました。

古屋一弘 「Kindergarten,Moon」
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日本語にすると幼稚園・月というタイトルでしょうか。顔のない着ぐるみと月らしきものがシュール。童話のワンシーンみたいに思えました。

土屋仁応 「森」
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立派な角を持った鹿の像。よく観ると背中は空洞になっていて穴が空いています。滑らかでスラリとした細身の体が優美で、神聖な雰囲気がありました。

清水淳 「両面宿儺/RS1DA」
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手がカマキリのカマのようなロボット風の彫像。近未来的で彫刻のイメージを越えているように思えました。

海谷慶 「煙猫」
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可愛らしい猫の彫像。しっぽの辺りに煙のようなものがあるから煙猫なのかな? ちょっと踏み出す足が動きを感じさせました。

今野健太 「タツカオ No.3」
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こちらは女性の顔と身体がダブルイメージみたいになっている作品。この角度だとだいぶ裸婦像に観えますがw 発想が面白い作品でした。

磯崎有輔 「デケム/Decem」
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Decemはラテン語で10のことのようなので、突起が10個あるのかも。ちょっとピーナッツを想像しましたが、こういう植物が実在しそうな不思議なリアルさがありました。


ということで、個性的な作品が並ぶ内容でこれからの活躍が期待される方ばかりでした。この中から未来の巨匠が生まれる可能性は高いと思うので、ここで観たのが貴重な機会となるかもしれません。もう終わってしまった展示ですが、記憶に留めておきたい彫刻家の方々です。


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退任記念 深井隆展 ― 7つの物語 ― 【東京藝術大学大学美術館】

前回ご紹介した展示の後、同じ東京藝術大学大学美術館で同時期に開催されていた「退任記念 深井隆展 ― 7つの物語 ―」という展示も観てきました。この展示は既に終了していますが、撮影可能となっていたので写真を使ってご紹介しておこうと思います。

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【展覧名】
 退任記念 深井隆展 ― 7つの物語 ―

【公式サイト】
 https://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2018/fukai/fukai_ja.htm

【会場】東京藝術大学大学美術館 本館 展示室3、4
【最寄】上野駅

【会期】2018年11月1日(木)~11月11日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
最終日ということもあって、結構お客さんはいましたが作品自体が大きいので快適に鑑賞することができました。

さて、今回は東京藝術大学の美術学部彫刻家で1984年から教鞭を執ってきた深井隆 教授の退任を記念した個展で、7つの部屋に分けて代表作品を展示するという内容となっています。深井隆 氏は椅子・翼・馬をモチーフにした幻想的な作風のようで、現代を代表する彫刻家であると共に多くの作家を排出した教育者として2013年には紫綬褒章も授与されています。特に章分けや解説は無かったのですが、撮影可能となっていましたので簡単な感想と共に振り返ってみたいと思います。

深井隆 「逃れゆく思念 -森羅-」
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金の翼のついた椅子に黄金の林檎が転がっている作品。モチーフの選び方の為か神話的な光景に観えます。素材感を出している部分もあって木の持つ生命感も感じられるかな。

深井隆 「月の庭 -時の降る庭-」
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こちらは部屋全体に配置された木彫と共に馬が逆さになってるのが超現実的な雰囲気です。なぜ胸から前だけ質感が違うのだろう?とか、色々不思議な点もありタイトルと共に詩的な印象を受けました。

深井隆 「逃れゆく思念 -海-」
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こちらは羽の付いた椅子の周りに無数の羽が置かれた作品。部屋の空間自体が作品のようになっていて、世界観が広がるような展示となっています。タイトルは海とのことで、羽が打ち寄せる波のように観えました。

深井隆 「月の庭 -黒い月-」
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こちらも馬をモチーフにした作品。波紋のような凹凸もあるので静かな水面の中を馬が歩いているように観えましたが、実際の意図は分かりません。どこか瞑想的な雰囲気を感じます。

深井隆 「スケッチ -うさぎ-」「森羅 -時-」「栖A」
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こちらはミニチュアサイズの作品。習作なのかな?と思いましたがこれも詳細は分からず。このウサギ、どこかで見覚えがあるんですよね…。

深井隆 「光と風」
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こちらは唯一展示されていた絵画作品。絵画作品も静かな色彩が印象的です。

深井隆 「羽衣」
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こちらは高さ4~5mくらいの高さがあった作品。見上げるようで、どこか神々しく観えました。十字架のように見えるからかな?

深井隆 「泉」
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こちらも金の羽をモチーフにしたもの。シュールさもありますが、どちらかというと気品や優美さのほうが強く感じられました。

深井隆 「月の庭 -星が降りた日-」
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今回、最も広い部屋に展示されていたのが こちらの足の長い馬と台座から成る作品。会場内のライティングも含めて夢の中の光景のような空間が広がっていました。具象的でありながら形而上学的な感じがするんですよね…。

深井隆 「王と王妃」
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こちらは冒頭の作品に似た感じ。金が王なのかな? 何となく椅子が人の形に観えました。

深井隆 「月の庭 -旅-」
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最後にこちらの作品。ちょっとダリの象を思い起こしましたが、部屋自体がシュールな光景となっていました。タイトルのようにどこかへ旅する一団でしょうか。羽の生えた馬もいて、宙を歩く光景を想像しました。


ということで、彫刻単体だけでなく空間そのものを作品としていて、幻想世界に入り込むような面白さのある展示でした。どこか懐かしいような奇妙なような感じが好みで、予想以上に楽しめました。もう終わってしまいましたが、退任された後もまた作品を観られる機会があったら是非 足を運びたいと思える作風でした。



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