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information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美 【サントリー美術館】

今日は写真多めです。ちょっと間が空きましたが、先日ご紹介したデザインハブに行った後、サントリー美術館で「サントリー芸術財団50周年 nendo × Suntory Museum of Art information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美」を観てきました。この展示は撮影可能となっていたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 サントリー芸術財団50周年
 nendo × Suntory Museum of Art
 information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美 

【公式サイト】
 https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2019_2/index.html

【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅

【会期】2019年4月27日(土)~6月2日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
思った以上に多くの人で賑わっていました。この記事を書いている時点で会期末なので一層混んでいるかもしれません。

さて、この展示はサントリー美術館が所蔵する名品が並ぶ内容ですが、佐藤オオキ氏率いるデザインオフィスnendoがプロデュースしていて、いつもの展示とは一味違う趣向となっています。展示ルートが「information」と「inspiration」の2つあり、同じ作品を観る角度を変えて鑑賞するという斬新な構成です。「information」は説明・解説が多いルートで、歴史や文化的な背景、製造法などを知って感動を得るコース、一方の「inspiration」は解説の類いは一切なく、通常では観ることが出来ないような展示方法を通じて直感的な感動を味わうコースとなっています。2コースを観るためには会場を2回周回することになるので、私は「information」→「inspiration」の順序で観ることにしました(コース選択は自由にできます) 詳しくは気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<information>
まずは解説多めの左脳的アプローチのコースから観ていきました。過去の展覧会で何度も目にしている作品が多いので、解説も知っていることが多かったですが、今まで紹介されていなかったことなどもあっていつも以上に深い説明となっていました。流石にここに記載するのは大変過ぎるので、ごく簡単にご紹介していきますw

「切子蓋付三段重」
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こちらは江戸時代の切子。ヨーロッパに倣ってガラス器が作られた経緯などと共に紹介されています。何と言ってもこの幾何学的なカットが特徴です。

こちらのコースは文様の種類やその意味なども解説しています。
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一見しただけでは分からないような意図も知ることが出来て、知識欲が刺激されますね。好奇心旺盛な方はこちらのコースから観ると良いかも。
他にもカットの仕方なども解説されていました。

「色絵鶏形香炉」
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こちらは有田の柿右衛門様式の香炉。首の付け根から上が蓋のようになっていて取り外し可能で、嘴から香が出てくるようです。彩色も見事でかなり派手な印象かな。有田はヨーロッパに輸出されていたことなどが紹介されていました。

「薄蝶螺鈿蒔絵香枕」
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こちらは中に香を入れて髪に香を炊き込む枕。正面にジグザグな謎の穴が空いているのに注目です。

こちらは穴の部分の解説
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これは源氏物語の巻名になぞらえた組香となっていて、香5種類×5包=25包を入れて、組み合わせを当てるようです。そのパターン表などもあって、これはかつてない深い情報ですね…。 他にも先程の枕は『夫木抄』の和歌の歌意をくんでいるという解説などもありました。

本阿弥光悦 「赤楽茶碗 銘 熟柿」
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まさに熟した柿のような色形の作品。本阿弥光悦は刀剣の浄拭と鑑定を生業とする家に生まれ、書・漆芸・茶湯などに秀でていたことなどが紹介されていました。これは趣味として作ったそうで、まさに天才ですねw
他にも楽焼とは何ぞやという解説や、黒楽・赤楽の違いなども説明されていました。

本阿弥光悦(書)・俵屋宗達(絵) 「蔦下絵新古今和歌集」
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金泥の蔦を俵屋宗達、書を本阿弥光悦が書いたレジェンド同士のコラボ作品。後に琳派の代表的な手法となる滲みを活用した「たらし込み」を使い、その上に流麗な文字が舞っています。雅やかで気品漂う作品です。
この辺では「たらし込み」の描き方なんかも解説されていました。日本画に大きな影響を与えたので、これは美術鑑賞する上で良い機会かも。

「藍色ちろり」
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色と取っ手のねじりが特に美しいちろり。冷酒用に使われていたと考えられるようで、涼し気な色合いです。この色は着色剤にコバルトが含まれている等、科学的なアプローチの解説などがありました。

「薩摩切子 紅色被皿」
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こちらは力強い色彩の薩摩切子。幻の切子とも言える貴重な品です。文様や被せガラスについて等も解説されていました。

この辺で上階のルートは一旦終了で、下階でまたルート選択をすることになります。

階段下には参加型のインスタレーション作品がありました。
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係の人が透明の傘を渡してくれるので、ライトに照らされた路を歩いて鑑賞することになります。

傘の影にはこんな感じで様々な光景が映し出されます。
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これは傘が偏光フィルムになっているようで、映像が傘を通すことで映る仕掛けのようです。四季折々の映像で幻想的な光景となっていました。花火やビルなんかも出てくるので探してみると楽しいです。

本阿弥光悦(書)・俵屋宗達(絵) 「蓮下絵百人一首和歌巻断簡」
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再び巨匠たちのコラボ作品。小倉百人一首を25mに渡って書いていたものが、分断されてしまった上に関東大震災で前半の25首と後半の31首が失われたという悲しい歴史があります。何とも伸びやかで軽やかな絵と書が融合していて、この展示でも特に見どころではないかと思います。

こんな感じで断簡になってしまったのを説明しています。
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蓮の一生をストーリーにしているということなど、非常に簡潔で分かりやすい説明ですね。
この辺では小倉百人一首に関する解説などもありました。

尾形乾山 「銹絵染付松樹文茶碗」
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こちらは絵付けされるのが前提になった形となっている茶碗。円筒形は平面性が高いので多彩な絵付けが出来たことや、中国明代の詩を題材にしていることなどが紹介されていました。裏面も鏡で観ることが出来るのが良いですね。

こちらはタイトル失念。
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黒と金のコントラストが美しい蒔絵です。曲線が多く優美な雰囲気の意匠となっていました。

「薩摩切子 藍色被船型鉢」
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この美術館の人気作品。涼しげで流麗なフォルムが何とも美しい。吉祥文様である蝙蝠の由来やルーツなども紹介していました。


この辺で一旦観終わったので、一度会場を出てから再入場してinspirationのルートで観ていきました。

<inspiration>
こちらのコースは解説はなく、とにかくいつもとは違う変わった見方を提示してくれます。

「朱漆塗瓶子」
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こちらは元々朱色の瓶子を赤いフィルタを通じて観るという斬新な見方となっています。informationコースには無いような発想の展示方法です。

「矢羽根蒔絵香炉」
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こちらは裏側から観ることができました。真横から観ると文様もよく見えて非常に精巧にできているのがよく分かります。

これは先程の「蔦下絵新古今和歌集」を絵の層 と 書の層 に分けたもの
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正面から観ると、重なって見える仕組みになっています。実際にはこんな感じでは観られないですが、2人の担当が分かりやすいですねw

こちらも「銹絵染付松樹文茶碗」をモチーフにした作品。
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いわゆる「鞘絵」(アナモルフォーシス)です。鏡の反射の歪みで元の作品のように見えるのが面白い。

こちらは蒔絵の提重を体験するコーナー
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嵌め込もうとしましたが上手くいきませんでしたw 装飾を無くすと機能性が際立ちますね。

これは薩摩切子だったかな。
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もはや展示方法自体が一種のアート作品となっていましたw 

こちらのルートから観る「薩摩切子 藍色被船型鉢」
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妙な角度になっていて、こんな経験はめったにできるもんじゃないw 最後まで驚きの展示方法でした。


ということで、1つの展示で2度楽しい斬新な構成となっていました。見慣れた作品も情報の追加や見方の違いで印象が変わってくるのを体験できました。美術初心者にも分かりやすいので多くの人が楽しめそうです。この記事を書いている時点で既に会期末となっていますので、気になる方はお早めにどうぞ。


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東京国立博物館の案内 【2019年05月】

今日は写真多めです。前回ご紹介した東京国立博物館で特別展を観てきた際、常設も観てきました。いつもどおり写真を撮ってきましたので、それを使ってご紹介していこうと思います。

 ※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れます。(撮影禁止の作品もあります)
 ※当サイトからの転載は画像・文章ともに一切禁止させていただいております。


今回も観て周った順にご紹介していこうと思います。日本美術の名品展で一部の通路が封鎖されていたのでいつもと違うルートで回りました。また、1階は4月に観た内容に近かったので、今回は2階だけとなります。

鳥文斎栄之 「舟遊び図」
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鳥文斎栄之の肉筆画。川遊びの優美な雰囲気が出ていて楽しげです。背景の橋が薄っすら描かれているなど、肉筆ならではの微妙な表現も面白い作品でした。

宮川一笑 「柳下美人図」
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こちらも美人画の肉筆。涼しげでこれからの季節に合った題材かな。この作者は稲荷橋狩野家との抗争事件に関連して伊豆新島に流されたそうですが、絵師たちの抗争って何だろ…w

歌川国芳 「東都名所・するがたひ」
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こちらは駿河台にかかる虹を描いた作品。見事なアーチ状ですが七色というよりは光の帯みたいな感じでしょうか。眺める仕草をして愛でる様子は昔も今も変わりませんね。

英一蝶 「雨宿り図屏風」
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門前で行商人や職人などが雨宿りしている様子を描いた作品。空を見上げたり、ダッシュで避難してくる人の姿もあって非常に臨場感があります。人々の心情が伝わってくるような風情溢れる作品でした。

冷泉為恭 「鏡売図」
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こちらは今昔物語の巻第24第48話を絵画化した作品。飢饉の年の長雨の日に、三河の国司である大江定基の屋敷に鏡売の女が訪れ、鏡に添えられた和歌に感銘を受けている様子のようです。この後、哀れに思い鏡を返して米10石渡したそうで、やがて大江定基は出家したのだとか。あちこちに縦に流れる線があり、雨が流れ落ちる様子など物語に沿った描写になっているようでした。

椿椿山 「雑貨果ら図」
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こちらは輪郭線を使わない没骨法と呼ばれる技法で描いた中国風の作品。中国の陳淳に倣ったそうで、写実的だけど軽やかな印象を受けます。近くで観ると滲みの表現が巧みだったりして、離れて観た時と違う印象を受けました。

狩野探幽 「波濤群燕図」
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燕が連なっていて、それが動きの軌跡のようにも見えるかな。飛んでいるフォルムも美しく、軽やかに舞う様子が華麗に表現されていました。

狩野探幽 「尾長鳥図」
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こちらは海棠の木にとまる尾長鳥を描いた作品。樹の下には川も流れていて、木・尾・川の曲線の組み合わせが優美に感じられます。淡く気品ある画風が狩野探幽らしく思えました。

狩野山雪 「玄鶴芦雁図」
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こちらは雁と鶴を描いた作品。鶴はじっとして寝ているらしく、雁は何かに向かって鳴いているように見えます。こちらも輪郭を用いない技法で描かれていますが、質感豊かに描き分けているのが見事でした。

長谷川等伯 「瀟湘八景図屏風」
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こちらは長谷川等伯50代半ばの作品で、ちょっと人が多くて引きで撮れなかったので、まずこちらは左隻。

こちらは右隻
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左右合わせてみると眼の前に光景が広がるような奥行きが感じられます。モヤが漂うような幻想的な光景となっていました。

永樂和全 「色絵絵替小角皿」
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こちらは尾形乾山の方型の皿をもとに作った色絵皿。描かれている模様は乾山とは全く異なる雰囲気で独自性を感じます。色鮮やかで幾何学的な模様もあって、むしろ抽象画のような先進性があるように思えました。

岡本秋暉 「四季花鳥図屏風」
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こちらも可憐な雰囲気の屏風で、1曲ずつに各月の風物が描かれているように見えます。淡く精密な描写で落ち着いた雰囲気となっていました。

海北友雪 「花鳥図屏風」
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様々な鳥が描かれた花鳥図で、木も左右で向き合うように描かれています。飛んだり休んだりしていてのんびりして優美な印象を受けるかな。右下の方にいる尾の長い鳥が特に可愛かったですw

曽我二直庵 「花鳥図屏風」
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こちらも引きで撮れなかったのでまずは右隻。先程と同じく花鳥図ですが、打って変わって勇ましく力強い印象を受けます。今まさに襲撃する様子も描かれていて驚き。

こちらは左隻
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ここでは岩・滝・木が豪快に表されているのと、花が緻密に表されているのが対比的となっていました。勢いと可憐さの両方を併せ持っているように思えます。

もう隠(印) 「三酸図」
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こちらは蘇軾・黄庭堅・仏印禅師の3人がカメに入った酢をなめている様子。儒教・道教・仏教の3つの教えは根本的に同じということを示しているようですが、なんとも渋い顔をしていてちょっと可笑しいw どれも酸っぱいってことになるのでは…w なお、もう隠は狩野派の画家・之信にあたると考えられているのだとか。

伝 狩野元信 「釈迦図」
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こちらは真・行・草のうち行体で表した釈迦図。かなりよく観ないと分かりませんが、唇には朱も使われています。衣と顔で表現がだいぶ違って見えるし、墨の使い分けも流石と言った作品でした。

「千手観音像」
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今回の国宝室は平安時代に描かれたこちらの作品でした。ちょっと傷んでいて分かりづらいですが、金箔や銀箔を使って非常に精緻に描かれています。当時は今以上に荘厳な雰囲気だったんでしょうね。


ということで、今回は特に狩野派の面々の作品が目につく内容となっていました。ここの常設は少しの間でもどんどん入れ替わる上に貴重な品ばかりなので観る度に発見があります。最近は外国人にも人気でいつも混んでいますが、幅広い層にオススメのスポットです。


 参考記事:
   東京国立博物館の案内 【建物編】
   東京国立博物館の案内 【常設・仏教編】
   東京国立博物館の案内 【常設・美術編】
   東京国立博物館の案内 【2009年08月】
   東京国立博物館の案内 【2009年10月】
   東京国立博物館の案内 【2009年11月】
   東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放】
   東京国立博物館の案内 【2009年12月】
   東京国立博物館の案内 【2009年12月】 その2
   東京国立博物館の案内 【2010年02月】
   東京国立博物館の案内 【2010年06月】
   東京国立博物館の案内 【2010年11月】
   博物館に初もうで (東京国立博物館 本館)
   本館リニューアル記念 特別公開 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2011年02月】
   東京国立博物館の案内 【2011年07月】
   東京国立博物館の案内 【2011年11月】
   博物館に初もうで 2012年 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館140周年 新年特別公開 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2012年03月】
   東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放 2012】
   東京国立博物館の案内 【2012年11月】
   博物館に初もうで 2013年 (東京国立博物館 本館)
   東洋館リニューアルオープン (東京国立博物館 東洋館)
   東京国立博物館の案内 【2013年04月】
   東京国立博物館 平成25年度 秋の特別公開 (東京国立博物館)
   東京国立博物館の案内 【2013年12月】
   博物館に初もうで 2014年 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2017年08月】
   東京国立博物館の案内 【2017年09月】
   マジカル・アジア(前編)【東京国立博物館 東洋館】
   マジカル・アジア(後編)【東京国立博物館 東洋館】
   博物館に初もうで 2018年 犬と迎える新年 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【法隆寺宝物館 2018年01月】
   東京国立博物館の案内 【2018年02月】
   東京国立博物館の案内 【2018年07月】
   東京国立博物館の案内 【2018年10月】
   博物館に初もうで 2019年 (東京国立博物館 本館)
   博物館に初もうで イノシシ 勢いのある年に (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2019年02月】
   東京国立博物館の案内 【2019年04月】



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美を紡ぐ 日本美術の名品 -雪舟、永徳から光琳、北斎まで- 【東京国立博物館 本館】

先週の土曜日に東京国立博物館 本館で特別展「美を紡ぐ 日本美術の名品 -雪舟、永徳から光琳、北斎まで-」を観てきました。色々とネタを貯めていますが会期末の展示なので先にご紹介しておこうと思います。

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【展覧名】
 特別展「美を紡ぐ 日本美術の名品 -雪舟、永徳から光琳、北斎まで-」

【公式サイト】
 https://tsumugu-exhibition2019.jp/masterpiece/index.html
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1942

【会場】東京国立博物館 本館
【最寄】上野駅

【会期】2019年5月3日(金)~6月2日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
会期末ということもあって結構混んでいました。狭いところも多いので一層そう感じたのかも。

さて、この展示は「日本美を守り伝える『紡ぐプロジェクト』―皇室の至宝・国宝プロジェクト―」の一環として行われるもので、以前ご紹介した現上皇の文化交流に関する展示とワンセットで行われるものです。今回は狩野永徳の「唐獅子図屏風」をはじめ、少数ながらも日本の至宝とも言える作品が惜しげもなく並び、大変見応えある内容となっています。構成は特に時系列やテーマがある訳ではなさそうですが、第4会場まで分かれていましたので各会場ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
 参考記事:両陛下と文化交流―日本美を伝える― (東京国立博物館 本館)


<第1会場>
最初の会場では初っ端に「唐獅子図屏風」が展示されています。その後も驚くほどに豪華な作品が並んでいました。

1 狩野永徳(右隻)・狩野常信(左隻) 「唐獅子図屏風」 ★こちらで観られます
こちらは非常に大型の六曲一双の屏風で、右隻を狩野永徳、左隻をひ孫の狩野常信が描いています。まず右隻は日本人なら誰しもが知っているであろう有名作で、2頭の唐獅子が並んで歩いている様子が描かれています。渦巻く尻尾やたてがみ、金雲たなびく背景など全体的に豪放かつ力強い印象を受けます。獅子の体躯もどっしりしていて堂々たる雰囲気となっていました。一方の左隻は唐獅子というよりは犬が駆け寄ってくるような感じで、コミカルで親しみの湧く表情となっています。背景に滝などもあってこちらは全体的に動きを感じさせる構成になっているように思えます。解説によると、この作品は豊臣秀吉が毛利攻略の際に携えていて、信長の訃報が来たのでこの品を講和の証として送ったという伝承があるようです。しかし実際には秀吉が建てた大坂城本丸御殿または聚楽第などの建物の障壁画として作られたと考えられているようです。その後、毛利家の所蔵となり1639年には江戸に移されていることから、孫の狩野探幽による極書きと ひ孫の狩野常信の左隻制作は江戸で行われたと考えられるとのことでした。実に10年ぶりに観られてこれだけでも大満足です。
 参考記事:皇室の名宝―日本美の華 <1期> 感想前編 (東京国立博物館 平成館)

この近くにあった長沢芦雪の「花鳥遊魚図巻」も見事でした。11mにも及ぶ巻物で、様々な動物が描かれていて 特に犬がコロコロしていて可愛かったw

2 狩野永徳 「檜図屏風」 ★こちらで観られます
こちらは元は襖絵だった作品で、今は四曲一双の屏風となっています。金地を背景にうねるヒノキの大木と青々とした川が描かれ、色が非常に強く感じられます。木の幹には苔のようなものもあり風格を漂わせ、単純化されつつも生命感に溢れる表現となっていました。狩野永徳の最晩年の傑作です。

この隣には狩野永徳の作と伝わる「四季草花図屏風」もありました。こちらはだいぶ雰囲気が変わって雅な印象となっています。
また、この近くには藤原定家による更級日記の写本(★こちらで観られます)や、後伏見天皇による古今和歌集の写本などもありました。

12 雪舟等楊 「秋冬山水図」 ★こちらで観られます
こちらは2幅対の水墨画で、右が秋、左が冬の光景となっていて、いずれも岩場の向こうに楼閣が見える光景となっています。南宋の夏珪の水墨山水画に学んで描いたもので、結構太めのカクカクした輪郭を用いています。幾重にも連なり、遠景、中景、近景といった感じで奥行きを感じさせるかな。遠くのほうは薄っすら描いていたり繊細さも持ち合わせているように思いました。
 参考記事:本館リニューアル記念 特別公開 (東京国立博物館 本館)

この隣には尾形光琳、尾形乾山の兄弟の作品がありました。いずれも伊勢物語の東下りをテーマにしていて、燕子花が描かれています。兄弟の作風の違いも比較できました。

16 葛飾北斎 「西瓜図」
こちらは北斎直筆の肉筆画の掛け軸で、画面下方に赤い断面の半球状のスイカが置かれ、断面に和紙を敷いてその上に包丁が乗っています。また、その上にはスイカの皮を紐状にして吊るしている様子も描かれていて、謎の静物となっています。解説によると、この和紙を天の川、包丁とスイカをそれぞれ彦星と織姫に見立てて七夕を意味しているという説があるようです。細くむかれたスイカの皮の透き通る感じや、和紙越しのスイカの質感などを繊細な色彩で表現していて見事でした。

18 野々村仁清 「色絵若松図茶壺」 ★こちらで観られます
こちらは仁清黒と呼ばれる黒光りする壺で、側面に松や椿などが描かれています。松の幹や背景の山は金色で描かれ、黒地と強いコントラストになっています。また、葉っぱの緑や花の赤(花の輪郭も金)などの色彩が豊かで、リズミカルな配置と共に軽やかな印象を受けました。


<第2会場>
続いての会場は明治の帝室技芸員の作品が並んでいました。

特21 濤川惣助 「七宝富嶽図額」
こちらは1893年シカゴ・コロンブス世界博覧会への出品作で、無線七宝の技法で富士山が雲間から頭だけ出している様子を描いています。雲は柔らかく表現されていて、薄っすらと富士の稜線が透けて見えていたりします。焼き物とは思えないほど繊細な技術に驚きでした。

近くにはもう1人のナミカワ(並河靖之)による「七宝花蝶文瓶」もありました。こちらも超絶技巧の作品です。

20 海野勝珉 「太平楽置物」
こちらは舞楽『太平楽』を舞う演者を彫金で表した人形です。鎧兜に刀を持った姿で、右足を前に出すポーズをしています。本物さながらの質感で、緊張感が漂っているように思います。解説によると、明治天皇が美術工芸振興のために作らせた品だそうで、1900年のパリ万博に出品する目的もあったようです。恐ろしく高い技術を感じるのは明治の帝室技芸員の作品ならではかなw

この部屋の壁には文化財の修復に関するパネル展示がありました。和紙の産地や種類なども紹介していて修復の奥深さを感じます。先程の狩野永徳の「檜図屏風」はしばらく観なかったと思ったら2012年から18ヶ月に及ぶ修復をしていたようで、その様子なども紹介されていました。


<第3会場>
続いて第3会場は2階となります。ここからは特別展示の作品が多かったかな。

特2 狩野探幽 「唐子遊図屏風」
こちらは中国の子どもたち(唐子)が笛を吹いたり太鼓を鳴らしたりしている様子が描かれた屏風です。鶏合、花合、獅子舞、春駒など初春にちなんだ遊びをしているようで、獅子舞の獅子の顔は狩野永徳の唐獅子に通じるものを感じます。全体的に輪郭の細い典雅な作風で、楽しそうな雰囲気となっていました。

この近くには万葉集や古今和歌集を題材にした作品がありました。また、仁清の「色絵牡丹図水指」などもありました。

特3 久隅守景 「納涼図屏風」
こちらは家の前にある瓢箪のなる棚の下で農民らしき親子3人がござを敷いて寛いでいる様子が描かれていて、その目の先にはぼんやりと浮かぶ月が描かれています。割と荒々しい筆致で、瓢箪などは素朴な表現にも思えますが、女性は細い輪郭を使い男性には太い輪郭を使うなど対象によって使い分けているようでした。中々味わいのある作品です。

この近くの円山応挙の「牡丹孔雀図」も久々に観ました。見事な写生ぶりで応挙の代表作です。


<第4会場>
最後は江戸から明治の頃の作品が並ぶコーナーです。

特9 谷文晁 「虎図」
こちらは掛け軸で、川で水を飲もうとする虎が描かれています。水面には虎の顔が写っていて、中々リアルな描写です。解説によると、西洋から渡来したヨンストン著「動物図譜」をヒントに描いたようです。かなり筋肉質で頭はやけに小さいように見えますが、虎っぽさをよく表しているように思います。特に毛並みの表現が驚異的で、全身の毛を1本1本表現していました。

この近くには俵屋宗達による「西行物語絵巻 巻一」もありました。幾何学的な構成で画中画の襖絵も面白い作品です。

特13 西村五雲 「秋茄子」
こちらは大きな掛け軸で、中央に木になったナスが描かれ、その周りに3匹の狐の姿があります。1匹は寝ていて2頭は戯れている感じかな。体の形は簡単な輪郭で表す一方、毛並みはふんわりと描いているのが面白く、柔らかみを感じます。この西村五雲は竹内栖鳳の弟子なので、その表現は師匠譲りと言えそうです。徹底した写生をするために自宅で狐を飼っていたというエピソードも紹介されていました。

特6 伊藤若冲 「玄圃瑤華 [檀特・華鬘草][花菖蒲・棕櫚]」
こちらは白黒が反転した48図から成る拓版画です。黒地に白で植物や虫、トカゲなどを描いていて、写実と簡略のバランスが面白く感じられます。超細密の世界とはまた違った伊藤若冲の別の魅力が感じられる作品でした。

特14 横山大観 「龍蛟躍四溟」
こちらは第1回帝展の出品作の六曲一双の屏風で、龍と蛟(みずち。龍の一種)が水墨で向き合うように大きく描かれています。お互いに視線を交わすようですが、何だか可愛いというかトボけた顔に見えるかなw しかし水や風が大きく渦巻く様子はダイナミックで、迫力ある画面となっていました。


ということで、1品1品が展覧会の目玉となってもおかしくないような作品ばかりとなっていました。三の丸尚蔵館の作品が多いので10年前の皇室の名宝展を凝縮したような感じかも。この記事を書いている時点で残り数日ですが、日本美術が好きな方は是非どうぞ。



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紙わざ大賞展 -「紙」の可能性を追求するアートコンペティション 【東京ミッドタウン・デザインハブ】

今日は写真多めです。前回ご紹介した展示を観た後、同じミッドタウンの中にある東京ミッドタウン・デザインハブで「東京ミッドタウン・デザインハブ特別展 紙わざ大賞展 -「紙」の可能性を追求するアートコンペティション」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 東京ミッドタウン・デザインハブ特別展 紙わざ大賞展 -「紙」の可能性を追求するアートコンペティション

【公式サイト】
 https://designhub.jp/exhibitions/4770/

【会場】東京ミッドタウン・デザインハブ
【最寄】六本木駅

【会期】2019年5月16日(木)~6月5日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
お客さんは結構いましたが快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は特種東海製紙株式会社が主催する紙の可能性を追求するアートコンペで、その歴史は1991年から始まり今まで4000点もの応募があったようです。この展示ではその中でも選りすぐりの まさに「神ワザ」と言える作品が並んでいて、驚くべきアイディアのオンパレードとなっていました。撮影可能となっていたので、詳しくは気に入った作品をいくつか写真と共にご紹介していこうと思います。

斉藤歩 「P-REX」
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こちらは第五回の大賞作品。紙をつなぎ合わせて作った恐竜がダイナミックに表現されています。バランスを取るのが難しそうだけど、意外と強度が強いのかな。中々カッコいい造形でした。

赤木利正 「The paper world」
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こちらは第6回の準大賞作品。隙間から見える側面が連なって地球儀に見えるのが面白い。平面が立体になる発想に驚きでした。

河村友里恵 「LOOK FOR THE WOOD!」
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こちらは第8回優秀賞作品。この中に紙で出来た木があるのですが、どれだかわかりますでしょうか。 って答えは左下に出ているのですが、実は本物の木は4つしかありませんw 答えを観てもさっぱり分からないくらいの見事なフェイクぶりでした。

河村友里恵 「かわにぐつ」
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こちらは第9回大賞作品。8回に続いて凄いアイディアで、この人は天才かな?w この展示が紙の展示と分かっていても革にしか見えません。デザインセンスもユーモアがありますね。

長谷川克夫 「空器」
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こちらは第10回の準大賞作品。どれも金属的な質感漂わせていますが紙です。ワイヤーで出来ているのかと勘違いしてしまいそうw 紙なのに無機的な雰囲気が出ているのも面白かったです。

益田勤三 「COSMOS 920503」
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こちらは第2回優秀賞作品。一見すると抽象画のような作品。結構大型で見栄えがします。

一部分を拡大するとこんな感じ
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ボール紙のようなものの目の違いで文様を表現していたようです。紙ごとの性質を上手く利用して抽象画のようにしている発想が面白かったです。

黒須和清 「ウルト欄間」
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こちらは第3回大賞作品。茶色い紙から飛び出す感じでウルトラマンの怪獣が欄間のようになっています。それぞれの怪獣のクオリティも高くて、バルタン星人とかお馴染みの怪獣が可愛かったw

大久保昭一 「赤い帆」
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こちらは第7回大賞作品。観た感じは完全に絵画です。水面に反射まであって点描画みたいな感じ。

アップするとこんな感じ。
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かなり緻密に色分けされていました。これはどうやって作ったのか気になりますね

中村開己 「鳥と魚の空間充填形」
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こちらは第11回大賞作品。エッシャーの作品を紙で作ったような感じですね。見事に組み合っていて積み木みたいなw 

平井一博 「キングペンギン」
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こちらは第12回入選作品。実物大くらいのキングペンギンで、卵を温めているのがなんとも可愛いw お腹の辺りとか帯状の紙が幾重にも重なっていました。

赤木利正 「線と画」
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こちらは第13回入選作品。先程の地球儀と同じ方の作品で、発想の方向性は似ているかも。ちょっと離れてみると球体が浮かんで見えるのが面白い仕掛けとなっていました。

羽根田英世 「ファッションショー アレ・コレ」
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こちらは第16回大賞作品。コヨリにしたティッシュみたいなもので作ったパリコレのファッションショーかなw ポーズも生き生きしていて動きを感じます。これも凄い発想力ですね。

西川一子 「思わず ふぅーっ としたくなる」
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こちらは第15回大賞作品。作品のタイトル通り、吹きたくなりますw 種までしっかり作ってあり、特に綿毛のふわふわ感が非常にリアルでした。周りに落ちてる演出も面白い。

長谷川克夫 「生のぬけがら」
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こちらは第17回大賞作品。先程の空き缶と同じ作者で、今度はリアルなセミの抜け殻です。羽根まで付いていて、紙ということを忘れてしまいそうになる作品でした。

長谷川克夫 「カラッから」
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こちらは第16回奨励賞作品。この人は何度も受賞しているようですねw ボール紙のようなもので出来たピーナッツで、素材感を出しているのでこちらのほうが抜け殻より発想としては面白いように思えました。

木皿昇吾 「mirror」
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こちらは第21回特殊東海製紙賞作品。まるで鏡合わせのように左右対称に作られたミニチュアです。この写真もまるで鏡を撮ったみたいになってますが、微妙な影の落ち方で鏡じゃないことがようやく分かるかなw もはやここまで来ると紙とか関係なく凄いw 

福島章夫 「Wave」
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こちらは第20回優秀賞・特殊東海製紙賞作品。紙で出来た椅子で、シンプルで気品あるデザインセンスも素晴らしいと思います。軽そうだし、販売して欲しいくらいw

西岡柊 「海にとける月」
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こちらは第23回大賞作品。海月(くらげ)に因んだタイトルになっていて、トイレットペーパーをコヨリにして作ったのかな。確かにこれなら水に溶けますね。これも着想が面白い作品でした。

折戸朗子 「フェイクかいわれ・1パック39円」
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こちらは第24回準大賞作品。もはや本物のかいわれにしか見えないw これ出てきたら食べてしまいそうなくらいにリアルさがありました。

紙バンド造形倶楽部 「Kids☆Birthday Party」
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こちらは第24回新生パルプ商事賞作品。豪華なパーティーメニューが全部紙で出来ていますw それぞれの素材感の違いもあって、ツヤツヤのターキーらしきお肉が一番おいしそうw 華やかな雰囲気の作品でした。

芦沢拓郎 「マトリョー紙・CAR」
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こちらは第24回竹尾賞作品。まさにマトリョーシカのように入れ子になっている車で、タイトルがダジャレのようですが作品をよく表していますねw

Narrative illustrations 「Pay per paper」
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こちらは第27回平和紙業賞作品。何とこちらは映像作品で、紙を破る音で音楽を奏でるという これまでの作品とは全く異なる発想となっていました。ちょっとテクノっぽさと部族音楽っぽさがあってリズミカルな音楽でした。


ということで、想像を超える紙の可能性を提示している作品ばかりで驚きました。素材感を変えたり、表現方法を工夫したりと方向性も色々で楽しめました。ここは無料で観ることができるので、サントリー美術館などに行かれる際は合わせて足を運んで観るのもよろしいかと思います。



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吉村和敏写真展 「Du CANADA」 【FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)】

今日は写真多めです。前回ご紹介した展示を観た後、同じミッドタウンの中にあるFUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)で、 FUJIFILM企画展 GFXシリーズ特別企画 中判デジタルカメラGFXで描く、カナダ新絶景を巡る旅 吉村和敏写真展 「Du CANADA」を観てきました。この展示は既に終了していますが、撮影可能となっていましたので写真と共に振り返ってみようと思います。

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【展覧名】
 FUJIFILM企画展 GFXシリーズ特別企画
 中判デジタルカメラGFXで描く、カナダ新絶景を巡る旅
 吉村和敏写真展 「Du CANADA」 

【公式サイト】
 http://fujifilmsquare.jp/detail/1905100123.html

【会場】FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)
【最寄】六本木駅/乃木坂駅

【会期】2019年5月10日(金)~5月23日(木)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_4_⑤_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構多くのお客さんで賑わっていました。

さて、この展示はカナダの美しい風景や建物を撮った写真が並んでいて、非常に明快で誰もが楽しめる内容となっていました。吉村和敏 (よしむら かずとし)氏はカナダで1年間暮らしたことがきっかけで写真家になったそうで、カナダの様々な側面を見せてくれる作品となっていました。詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。

吉村和敏 「ケベック州 モントリオール」
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こちらは今回の看板にもなっている作品。ノートルダム大聖堂で、セリーヌ・ディオンもここで結婚式を挙げたそうです。荘厳でカナダの伝統を感じさせます。パイプオルガンのパイプの数は7000本にも及ぶのだとか。

吉村和敏 「オンタリオ州 トロント」
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こちらはカナダ最大の都市トロント。人口500万人以上ということで先進国らしい大都会です。所々に雪が積もってるのが北国っぽいかな。こんな高いビルの着雪とかどうしてるのか気になりますねw

吉村和敏 「ブリティッシュ・コロンビア州 キャピラノ川」
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こちらはトリンギッド族のウェイン・カーリック氏という人物が掘ったトーテムポール。先住民の文化とクリスマスイルミネーションが一体化しているのはカナダならではの文化かも。結構合っていますね。

吉村和敏 「オンタリオ州 ブロックビル」
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こちらはカナダで最初に作られた鉄道のトンネル。今は線路は無さそうですが、夏になるとライトアップされるようです。荒々しい堀跡と淡い光で幻想的な光景となっていました。

吉村和敏 「オンタリオ州 ナイアガラの滝」
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こちらは世界一の滝として名高いナイアガラの滝。私も冬の時期に行ったことがありますが、冬でも凍らずに物凄い迫力で流れ落ちて行きます。水煙も上がって水流の激しさを感じさせました。

吉村和敏 「オンタリオ州 ナイアガラの滝」
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こちらもナイアガラで、カナダ側から見たアメリカ滝だそうです。崖のような大瀑布の大きさを感じられます。

吉村和敏 「オンタリオ州 サウザンド・アイランズ」
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本当に1000個くらい島がありそうな光景。手前には建物らしきものもあり、船も結構いるかな。横切る橋もダイナミックだし、カナダならではの大自然と共存している光景に思えました。

吉村和敏 「ブリティッシュ・コロンビア州 ビクトリア」
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こちらは採石場の跡に作られた人気の観光地ブッチャートガーデン。なんの花か分かりませんが、ピンクの花のトンネルになっていて非常に可憐です。ローズガーデンやイタリア庭園、日本庭園まであるそうで、いつか訪れてみたいです…

吉村和敏 「プリンス・エドワード・アイランド州 フレンチ川」
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カナダの美しい村の風景。赤毛のアンに出てきそうな理想的な光景に見えます。家のカラーがカナダっぽさを感じさせるのかも

吉村和敏 「ノバ・スコシア州 ルーネンバーグ」
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こちらも幾何学的でカラフルな家が密集していて洒落た雰囲気です。日に照らされて金色に輝く船体など、夢のような美しさでした。

吉村和敏 「ブリティッシュ・コロンビア州 バンクーバー」
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この街の桜は1930年代に横浜市と神戸市の市長が日系カナダ人戦没者記念慰霊碑に追悼を込めて寄贈したのが始まりだそうです。ソメイヨシノではなさそうですが、満開の並木が春を感じさせます。ちょっと子どもたちがブレ気味に写っているのが逆に動きを感じさせて生き生きしてますね。

吉村和敏 「オンタリオ州 アガワ渓谷」
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こちらは鉱物や物資を運んでいる6月~10月だけ運行される鉄道。人の大きさと比べるとその大きさも分かるかな。大自然の中を走るだけあって堂々たる雰囲気がありました。


ということで、カナダの魅力がよく伝わってくる写真ばかりでした。大自然がありつつ先進国らしい側面もあり、歴史も感じられて面白かったです。もう終わってしまいましたが、人気の写真家さんのようなので、今後も機会があったらチェックしてみたいと思います。


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ストリートミュージアム(2019) 【東京ミッドタウン】

GWの休み中に六本木で美術館めぐりをした際、東京ミッドタウンの地下で開催されている毎年恒例の「ストリートミュージアム」を観てきました。

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【展覧名】
 ストリートミュージアム

【公式サイト】
 https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/openthepark/museum.html

【会場】東京ミッドタウン プラザB1 メトロアベニュー
【最寄】六本木駅/乃木坂駅

【会期】2019年3月15日(金)~5月26日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
広い通路での開催ということもあって快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は毎年このミッドタウンの地下通路で行われているもので、今年は「Tokyo Midtown Award 2018」のアートコンペ受賞作家と、HML FESTIVAL 2019とも連動し、ハワイ在住のアーティストの作品も特別展示されているようです。今年も撮影することができましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

 参考記事:
  ストリートミュージアム 2018 (東京ミッドタウン)
  ストリートミュージアム 2013 (東京ミッドタウン)
  ストリートミュージアム 2012 (東京ミッドタウン)


Kat Kazlauskas 「The One. The Few. The Many.」
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こちらがハワイの特別参加のアーティスト。見る角度によってだいぶ見え方が違ってくる立体作品で、複雑に絡み合っています。解説によると、この作者は海洋プラスティックごみの問題に深い関心があるようで、この作品もプラスティックでできているようです。また、国境や境界線を超えた結びつきの可視化も力を入れているらしいので、この絡み合うのは世界中のネットワークを表しているのかも。海洋プラスティックのごみはどこの国が原因とは言えないくらい複雑な問題らしいので、それを暗示しているようでした。

髙瑞 「"Stand Up!"」
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こちらは既存の一般流通している犬の置物を組み直して立ち上がらせるという作品。足以外にも銀色のラメみたいなのがついていて、ちょっと近未来的な雰囲気にも思えました。

青沼優介 「意図をほぐす」
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こちらは映像と立体作品のセットで、いくつか展示されていました。正面から観ると椅子のドローイングに見えます。

角度違いで観るとこんな感じ
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何枚かのアクリル板を多層にして、細かい線をあわせて観ると椅子の形になるような仕掛けでした。意図をほぐすというタイトルが何となく分かった気がしました。

田中優菜 「出る杭だって生きている」
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これを観ていたらモグラたたきみたい…と言っている人がいて同感でしたw 実際にモグラたたきをモチーフにしているようで、叩かれても負けない人を表現しているのだとか。「出る杭は打たれる」って日本の悪い所を凝縮したような最悪の発想ですよね…。

泉里歩 「意味のある偶然の一致」
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こちらは絵画作品。踊る人たちを描いているのかな? 色がかなり強く、やや不穏な雰囲気もあるように思えます。

周りには期間中に描かれたドローイングが並んでいました。
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夢の中の世界のような言い知れぬ怖さがありますw 公式サイトを観ると作者は若い女性でめっちゃ笑顔の写真があるのですが、絵の印象とのギャップに驚きですw

YU SODA 「普通の日」
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こちらは韓国出身のアーティスト。離れてみると椅子と服のドローイングに見えます。

こちらは一部分のアップ
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実は1つ1つ刺繍しているようで、所々にその痕跡をみることができました。微妙に立体感があるのは実際に凹凸があるからだったんですね。

下村奈那 「遡上」
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こちらは描くという行為を遡上して根源を探るという作品のようです。パッと見た感じでは抽象画みたいにも思えます。何を描いているのか分からないのに、右と左でだいぶ描法と印象が違って見えるのが面白く思えました。


ということで、今年も若手を中心としたアイディア豊富な作品が並んでいました。こちらは地下通路での開催ということもあって気軽に立ち寄れるので、六本木に行く機会があったら寄ってみるのもよろしいかと思います。明日・明後日行われる六本木アートナイトの終了と共にこちらも最終日となります。


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「六本木アートナイト2019」の予告

今年も毎年恒例の六本木アートナイトが今週の土日に行われます。記事にする頃にはとっくに終わっているので、先に概要だけご紹介しておこうと思います

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【展覧名】
 六本木アートナイト2019

【公式サイト】
 http://www.roppongiartnight.com/2019/

【会場】
 六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、
 国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース

【最寄】
 千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅

【会期】
  2019年5月25日(土)10:00~26日(日)18:00

このイベントは六本木の街全体が現代アートの展示場のようになる一種のお祭りで、街のあちこちにインスタレーションが置かれたり、パフォーマンスがあったりします(毎年内容は変わります) 去年と同じ5月末の開催ということで、今年はいい天気で夏日になる天気予報のようです。

前回は「DUNDU(ドゥンドゥ)光の巨人」をはじめとしたパレードが見応えがありましたが、今年はメインプログラム・アーティストをチェ・ジョンファ(崔正化)という韓国人アーティストが務めるようです。崔正化 氏は昨年の平昌2018パラリンピック冬季競技大会の開会式・閉会式のアートディレクターを務めた実績があるようで、世界各地の芸術祭で活躍しているようです。そして今回のテーマは「夜の旅 昼の夢」で、94件ものプログラムが用意されているらしく、アーティストの中には野沢雅子とかバンクシーの名前もあってカオスw(バンクシーは映画の上映会のようです) また、「FUROSHIKI TOKYO展」という毛利庭園のプログラムは入場整理券が必要となるようなので注意したほうが良さそうです。他にもパフォーマンスや体験型の作品も数多くあるようなので、例年通りアート初心者でも楽しめる内容になるのではないかと思います。割と年によって当たり外れがあるので観るまではどれくらい盛り上がるか分かりませんが、現代アート好きの方はチェックしてみてください。

 参考記事:
  「六本木アートナイト2012」と「アートフェア東京2012」の予告
  「六本木アートナイト2013」と「アートフェア東京2012」の予告
  「六本木アートナイト2014」の予告
  「六本木アートナイト2017」の予告
  「六本木アートナイト2018」の予告

 「写真で旅する世界遺産」と「六本木アートナイト」と桜装飾 (2009年)
  六本木アートナイト2010 (前編)
  六本木アートナイト2010 (後編)
  六本木アートナイト2012 (前編)
  六本木アートナイト2012 (後編)
  六本木アートナイト2013 (前編)
  六本木アートナイト2013 (後編)
  六本木アートナイト2014 (前編)
  六本木アートナイト2014 (後編)
   ※2011年は東日本大震災で中止。2015、2016年はブログ休止中、2017年は記事にしませんでした。
  六本木アートナイト2018 六本木ヒルズ会場付近
  六本木アートナイト2018 東京ミッドタウン会場付近
  六本木アートナイト2018 国立新美術館会場付近


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印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション (感想後編)【Bunkamura ザ・ミュージアム】

今日は前回に引き続き渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムの「Bunkamura30周年記念 印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション」についてです。前半は2章の半分まででしたが、今日は2章~3章の最後までご紹介して参ります。


 → 前編はこちら


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【展覧名】
 Bunkamura30周年記念 印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション

【公式サイト】
 https://burrell.jp/
 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_burrell/

【会場】Bunkamura ザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅

【会期】2019/4/27(土)~6/30(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
前半に比べると後半は撮影可能なエリアがある為 やや混雑感があったように思います。今回も各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<第2章 戸外に目を向けて>
前編に引き続き2章についてです。

[2-2 郊外へ]
2章の後半は郊外の風景を描いたコーナー。

40 アンリ・ル・シダネル 「雪」 ★こちらで観られます
こちらは雪の降り積もる井戸のある広場を描いた作品です。全体的にぼんやりしていて、奥の家からはレンジ色の光が漏れて1点だけ人の気配を感じさせます。これはシダネルが得意とした「アンティミスム」という 人がいないけど人の温もりを感じさせる特徴の表れだと思います。周りはピンクや青の混ざる寒そうな光景ですが、落ち着いていてどこかほっとするような光景でした。
 参考記事:アンリ・ル・シダネル展 (埼玉県立近代美術館)

41 カミーユ・コロー 「フォンテーヌブローの農家」 ★こちらで観られます
こちらは鶏小屋の前で木に脚立を立てて何か作業している女性と、その傍らで身をかがめている女性や母子、鶏などが描かれた作品です。牧歌的で田舎の日常生活を描いたような感じかな。解説によると、日常に目を向ける素朴な主題は17世紀オランダ絵画を思わせるとのことで、落ち着いた色彩と共に古き良き時代を思わせる作品となっていました。

49 マテイス・マリス 「蝶」
こちらは横たわる青い服を着た髪の長い少女を描いた作品で、その視線の先に蝶が2羽舞っていて楽しげに見ています。背景は黒っぽい空間となっているのが神秘的に思えます。解説によると、女性への成長を表現しているとのことでしたが、あどけない雰囲気があるようにも見えました。

48 ピエール・オーギュスト・ルノワール 「画家の庭」 ★こちらで観られます
写真は表通りのショーウィンドウにあったコピーを写したものです。
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こちらはルノワールが住んだカーニュかエッソワの家の庭を描いた作品で、見た感じで多分エッソワじゃないかな。両脇に木々が立ち並び、奥に建物がある構図で、樹の下には読書をしている女性の姿もあります。全体的にぼんやりしていて温かみがあり、日差しを感じさせます。天気の良い日にのんびりしているような清々しい作品でした。
 参考記事:ルノワール美術館 【南仏編 カーニュ・シュル・メール】

この近くにはゴッホが影響を受けたモンティセリの作品もありました。モンティセリの割にはあまりグニャグニャしてないかもw また、素描やグワッシュも数点あり、ミレーの素描に良いのがありました。

54 シャルル=フランソワ・ドービニー 「牛のいる風景」
こちらは白い牛と荷台、その後ろにもう1頭の牛がいる様子が描かれた作品です。背景ではぶどう畑で作業している3人の農夫の姿があり、更に奥にはなだらなか山が見えています。静かな農村風景を描いていますが、割と大胆な筆致で空は曇っていてやや寂しい印象を受けました。
 参考記事:シャルル=フランソワ・ドービニー展 (東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)

60 ポール・セザンヌ 「エトワール山稜とピロン・デュ・ロワ峰」 ★こちらで観られます
こちらはセザンヌが住んでいたエクスの南にある山並みを描いた作品で、手前には家々が並んでいます。画面の上半分は空となっているので広々とした印象を受け、オレンジの屋根と土肌が緑と引き立てあって色も爽やかです。しかしセザンヌはこの絵が気に入らなかったのか、切込みの跡もあるのだとか。結構、セザンヌの典型に見えるんですけどね…。
 参考記事:セザンヌゆかりの地めぐり 【南仏編 エクス】

この近くにあったドガの「木につながれた馬」という作品も見ごたえがありました。また、ジョゼフ・クロホールというグラスゴーの画家の作品がいくつかあり、ウィリアム・バレルが支援していたというエピソードが紹介されていました。他にもゴッホに絵の手ほどきをしたハーグ派のアントン・モーヴの水彩なども並んでいます。


<第3章 川から港、そして外洋へ>
最後の3章は水辺を描いた作品のコーナーです。バレルは海運王だけあって水辺の美しい光景を好んでいたようで、爽やかな作品が並んでいました。

[3-1 川辺の風景]
まずは川辺の光景です。

61 シャルル=フランソワ・ドービニー 「ガイヤール城」 ★こちらで観られます
こちらはアトリエ船で川の上から描いたと思われる作品で、川の両岸と遠くに古城が見える光景となっています。これはガイヤール城というイングランド王リチャード1世が建てたセーヌ河沿いの城らしく、塔が一際目を引きます。城が小さく見えることで川の広さや奥行き、遠近感なども感じられるかな。ピンクがかった雲は夕暮れのようで郷愁を誘われました。解説によると、波も少なく穏やかなこの光景がバレルの故郷のスコットランドに似ているとのことでした。

64 ウジェーヌ・ブーダン 「トゥーク川土手の洗濯女」
こちらは川に向かって洗濯している3人の女性の後ろ姿を描いた作品です。かなり素早い筆致が残っていて、印象派を先取りしたような作風に思えます。色彩感覚も見事で、非常に爽やかな光景となっていました。

なんと、この先の最後の部屋は撮影可能となっていました。せっかくなのでここから写真を使ってご紹介していこうと思います。

66 ウジェーヌ・ブーダン 「ブリュッセルの船着場」
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曇っていて人もいないのでちょっと寂しい雰囲気です。それがその場にいるような情感を出しているようにも思えました。

[3-2 外洋への旅]
最後は海を描いた作品のコーナーです。

73 ウィリアム・マクタガート 「海からの便り」
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こちらはスコットランドの画家の水彩。海で拾った瓶の中に手紙が入っていたのかな? 手に持った瓶を見せる仕草などに子供のときめく気持ちが表れているように思えます。水彩による海面の反射も爽やかでした。

75 ギュスターヴ・クールベ 「マドモアゼル・オーブ・ドゥ・ラ・オルド」 ★こちらで観られます
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こちらは今回の展示の中でも特に見どころじゃないかな。やや強い眼差しで端正な雰囲気です。古代風の髪型などと共に気品が感じられました。

76 ウジェーヌ・ブーダン 「トゥルーヴィルの海岸の皇后ウジェニー」
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ブーダンのこういう絵は何枚か見た覚えがありますが、ブーダンの魅力が詰まった画題はこうした海景だと思います。爽やかで華やかで穏やかな…。水平線が低い位置にあるのも開放的に感じられる要素に思えました。ちなみに白い服の女性はナポレオン三世の妃で、後景の中流階級の人たちとの違いも描いているのだとか。美しい光景の中にそんな世相もあるとは面白いですね。

79 ウジェーヌ・ブーダン 「ドーヴィル、波止場」 ★こちらで観られます
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こちらもブーダンの美しい海景画。描き方も大胆で、まさに印象派の先駆けといった感じです。黄色い部分がアクセントになって白と青の透明感ある画面となっていました。

80 アンリ・ル・シダネル 「月明かりの入り江」 ★こちらで観られます
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シダネルの海景画は初めて観るかも。静かな中に所々で光る灯りがシダネルらしいように思います。神秘的で心休まる風景です。


ということで、印象派のタイトルがついていますが、それより前の時代の作品やグラスゴーならではの画家の作品もあり、素晴らしいコレクションとなっていました。後半は撮影可能だったのも驚きで、特にクールベの肖像やシダネルの海景が気に入りました。この機会が最初で最後となる可能性もあるので、気になる方は是非どうぞ。静岡・広島にも巡回予定です。



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印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション (感想前編)【Bunkamura ザ・ミュージアム】

この前の休みに渋谷のbunkamuraで「Bunkamura30周年記念 印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション」を観てきました。見どころが多かったので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 Bunkamura30周年記念 印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション

【公式サイト】
 https://burrell.jp/
 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_burrell/

【会場】Bunkamura ザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅

【会期】2019/4/27(土)~6/30(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
思ったよりは空いていましたが、場所によっては人だかりが出来るくらいでした。

さて、この展示はイギリスのグラスゴー出身で海運王として財を成したウィリアム・バレルのコレクションを紹介する日本初の展示となっています。バレルコレクションは寄贈の条件として海外に持ち出さないことを挙げていたため、日本だけでなくイギリス国外にもほとんど公開されたことがないという貴重な機会となっています。フランス絵画を中心に写実主義から印象派に向かう時期のコレクションが多いようで、数千点のコレクションの中から70点が展示されていました。モチーフによって章分けされていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<序>
まずはバレルコレクションについてのコーナーで、ここは1点のみとなっています。

1 フィンセント・ファン・ゴッホ 「アレクサンダー・リードの肖像」 ★こちらで観られます
写真は表通りのショーウィンドウにあったコピーを写したものです。
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こちらはグラスゴー出身の画商の肖像で、ウィリアム・バレルはこの同郷のアレクサンダー・リードから多くの絵画を購入しコレクションを築いたようです。リードはゴッホの弟のテオの元で働いていたそうで、ゴッホ兄弟と暮らしていたこともあるようです。おでこの広い痩せた感じで、やや物憂げな視線でじっとこちらを観ています。細長い筆致の点描で、背景は流れのように線が並んでいるのが面白い表現です。オレンジの背景に緑のジャケットという補色関係になっていることもあり、明るく温かみが感じられました。


<第1章 身の回りの情景>
続いての1章は室内画と静物のコーナーです。ウィリアム・バレルは15歳の頃には美術品をオークションで買っていたそうで、19世紀フランスやオランダの落ち着いた雰囲気の作品を好んだそうです。印象派以降の前衛芸術には興味が無かったらしく、ここには穏やかな作風の品々が並んでいました。ビジネスで忙しいので絵に癒やしを求めたそうですが、15歳でその嗜好は中々渋い趣味ですね…

[1-1 室内の情景]
まずは室内の光景を描いた作品のコーナー。

6 フランソワ・ボンヴァン 「スピネットを弾く女性」 ★こちらで観られます
こちらは画家の2番目の妻(音楽家)がスピネットというオルガンのような楽器を弾いている後ろ姿を描いた作品です。スピネットには花瓶と つばの広い帽子を置いて、床には散った花が落ちています。女性の表情は見えそうで見えず、静かな色彩と共に 手元しか動きのない 音楽だけが聞こえるような光景となっています。動きが1点集中するようなモチーフはオランダのフェルメールに通じるものがあるように思えました。散った花も意味ありげに見えるけどどうかな…

8 テオデュール・リボー 「勉強熱心な使用人」
こちらは立って本を読む使用人の女性を描いた作品です。脇に箒を抱えて掃除中に読んでいるようで、二宮金次郎に通じるものがるかもw 背景は暗く静かな雰囲気ですが、女性には強い光があたって劇的な表現になっています。解説によると、これは17世紀スペインのリベーラやスルバランのテネブリズムの影響なのだとか。そのために使用人が崇高な感じに見えました。

11 ヤーコブ・マリス 「孔雀の羽を持つ少女」
こちらはソファに腰掛けて足を組み 孔雀の羽を持つ白い服の少女を描いた作品です。じっと羽を見ていて、あどけないようで女王のような風格があります。孔雀の羽根は虚栄や男を表すとのことで、可愛らしい少女が女性へと成長しているのを暗に示しているようでした。

この辺にはアンリ・ファンタン=ラトゥールの「入浴する女性」という幻想的な作品もありました。

2 カミーユ・コロー 「耳飾り」
こちらは耳飾りをつける上半身裸の女性を描いた作品で、うつむいて耳元に集中しているように見えます。ちょっと虚ろな表情にも見えますが、柔らかい光の表現で落ち着いた雰囲気がありました。陰影が特に見事です。


[1-2 静物]
続いては静物のコーナーです。イギリスはガーデニングが盛んなこともあって花の絵が特に好まれたのだとか。

26 エドゥアール・マネ 「シャンパングラスのバラ」 ★こちらで観られます
こちらはシャンパングラスに入っているピンクと黄色のバラを描いた作品です。色が淡く、花も葉っぱも明るい印象を受けるかな。ガラスには透明感があり、全体的に素早い筆跡が残っているので一層に軽やかに感じます。解説によると、これは病気で苦しんだ晩年の頃の作品で、重症化してからは扱いやすい小さめの作品を描いていたようです。そんな制作背景があるとは思えないほど生命感があり爽やかな作品でした。

この辺にはサミュエル・ジョン・ペプローというグラスゴーの画家の作品もありました。先程のリードと共に展覧会を開いたこともあるようです。厚塗りで大胆な筆致の画家のようでした。

27 アンリ・ファンタン=ラトゥール 「春の花」 ★こちらで観られます
こちらは白い花を咲かす水仙と 赤いビバーナムが花瓶に入っている様子をリアルに描いた作品です。色彩は静かで、写実的ながら明暗のバランスのせいか瞑想的なものを感じます。ラトゥールは元々好きな画家なのでこれは特に気に入りました。特に静物は流石ですね。

この隣にあったラトゥールの「桃」も浮かび上がるような写実性と神秘性がありました。

18 ルイ・ギュスターヴ・リカール 「静物-洋ナシと皿」
こちらは銀の皿に入った木の実?と脇に置かれた半分に斬られたリンゴ(洋ナシ?)を描いた作品です。何故かモチーフが中央ではなく端っこにあるのが面白くガランとした印象を受けます。また、右から光が辺り、静けさ漂う画面となっていました。

この近くにはクールベの静物やフランソワ・ボンヴァンの大型の静物などもありました。

22 ポール・セザンヌ 「倒れた果物かご」 ★こちらで観られます
こちらはカゴからリンゴや黄色い果実が転げ出たような構図の静物です。印象派を脱して独自の様式を模索していた頃の作品のようで、青いテーブルクロスを観ると四角く大きい筆を重ねて描いているのがよくわかります。まだ様式が完成されていないものの確実にセザンヌと分かる個性が芽生えている様子が伺えました。

23 ピエール・オーギュスト・ルノワール 「静物-コーヒーカップとミカン」
こちらはコーヒーカップと葉っぱのついた3つのミカンを描いた静物で、背景は柔らかい色彩で全体的に温かみが感じられます。青っぽいコーヒーカップとオレンジのミカンの色の取り合わせも面白く、視線が自然とミカンに向かいました。解説によると、これはルノワールの晩年の作品なのだとか。

この辺で映像コーナーがありました。先述の通りバレルコレクションはイギリス国外には出さないという方針ですが、今は改修工事をしているのでこの展示が開催できたようです。これが最初で最後の機会かも知れませんね。


<第2章 戸外に目を向けて>
続いては街と郊外をモチーフにしたコーナーです。長くなるので今日はそのうちの2-1だけご紹介しておきます。

[2-1 街中で]
まずは街中を描いた作品のコーナーです。

33 アーサー・メルヴィル 「グランヴィルの市場」
こちらは市場の様子を書いた作品で、手前には野菜の少ない台と痩せた女性、奥にはたっぷり野菜が置かれた台と太った女性が店番として描かれています。対比的に2人を描いているようで、明暗も奥のほうが明るく見えるかな。また、全体的に滲んだような表現となっていて路面が濡れて反射しているような効果を生んでいます。解説によると、この手法は亜鉛白を薄めて紙に染み込ませ、それが乾かないうちに描くので染みのようになるとのことです。この隣にはそれが遺憾なく発揮された作品もあり、この画家の個性となっていました。

30 オノレ・ドーミエ 「よき仕事仲間」
こちらは黒い衣の2人の弁護士が廊下ですれ違い 帽子を脱いで挨拶を交わす様子が描かれています。お互いに不敵な笑みを浮かべていて何か企んでいるような感じがします。背景には貧しそうな女性が両手を顔に当てて泣いていて、身分によって不孝な裁判結果が生まれることを示唆しているようです。ドーミエらしく法曹界を皮肉っているようですが、割とタイムリーな話かも。ゴーンとか上級国民の話とか、時代と場所は変われど…って感じですね。

29 エドガー・ドガ 「リハーサル」 ★こちらで観られます
写真は表通りのショーウィンドウにあったコピーを写したものです。
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こちらは今回の目玉作品で、ドガがバレエを描いた最初の作品の1つです。片脚を上げるアラベスクの練習や、それを見守る赤い服の指導者らしき男性、手前にはバレリーナの衣装を直している老婆など、あたかもその場にいるような自然な光景が広がっています。大胆に切り取られたような構図も驚きで、特に左上の螺旋階段には足だけ描かれている人物まであって臨場感があります。こうした構図は浮世絵からの影響かな。全体的に透明感があるのも爽やかで、動きのある軽やかな画面に華を添えているように思えました。


長くなってきたので2章の途中ですが今日はこの辺にしておこうと思います。初めて観る作品ばかりな上に良い作品が多いので見ごたえがあります。特にドガの「リハーサル」は前半の見どころとなっていました。後半は撮影可能な場所もありましたので、次回は写真を使いつつご紹介する予定です。


 → 後編はこちら





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華麗なる淑女の饗宴 オークス展 【JRA競馬博物館】

今日は写真多めです。GW中にNHKマイルカップを観に府中の東京競馬場に行った際、ついでに場内にあるJRA競馬博物館で「華麗なる淑女の饗宴 オークス展」を観てきました。この展示は写真を撮ることができましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。(今回は競馬を知っている人向けの記事になります。)

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【展覧名】
 春季特別展 「華麗なる淑女の饗宴 オークス展」 

【公式サイト】
 http://www.bajibunka.jrao.ne.jp/keiba/event/event_20190427_1.html

【会場】JRA競馬博物館
【最寄】府中競馬正門前駅

【会期】2019年4月20日(土)~6月23日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_②_3_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
最終レース後の閉館前に行ったので空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、このJRA競馬博物館は競馬に関する展示を常時行っていて、今回は3歳牝馬の祭典オークスに関する内容となっていました。今年のオークスは桜花賞馬不在でいまいち盛り上がりに欠けてたように思いますが、この展示では過去の名馬を振り返ったり、海外のオークスについて紹介していました。撮影可能でしたので、詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。

最初に海外のオークスについて紹介されていました。
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日本では競馬は未だに鉄火場のイメージがありますが、欧米では元々は上流階級の社交場だったこともあって、オークスでは女性の華やかな装い(特に帽子)が話題になります。

こちらはフランスオークスのディアヌ賞のポスター
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レンピッカの絵にこういう服の女性像があったのを思い起こしました。ターフと一体化しているのが面白い

会場は2つあって、最初の会場は過去のオークス馬の実績のパネル展示となっていました。
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今や日本最強馬とも言えるアーモンドアイも去年のオークス勝ち馬です。昔はこんな強い女馬が出るのはダビスタの世界の話と思われていましたw

こちらも殿堂入りした名牝ジェンティルドンナ。
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牝馬三冠を達成して直後にジャパンカップを制し、更に翌年のジャパンカップも勝っています。ドバイシーマクラシックやラストランの有馬記念も勝っていて、伝説的な強さでした。 …私はジェンティルドンナの初子をPOG指名したのですがようやく未勝利抜けた辺りですw 今後の子供に期待かな。

こちらも歴史に残る2頭。カワカミプリンセスは3歳だけ強かった感があるけど、キングヘイロー産駒なのでめっちゃ応援してました。
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シーザリオは桜花賞は負けたものの、オークス、アメリカンオークスを勝った名牝中の名牝です。しかも子供がガンガン活躍して今年もサートゥルナーリアが無敗で皐月賞を制してダービーも取りそうな勢いです。毎年POGで1位指名してたのにサートゥルナーリアだけ競合して持って行かれて複雑な気持ちw

パネルだけでなく過去の勝ち馬に関する品も少しだけありました。これはソウルスターリングの優勝記念メダル
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この馬も3歳までは強かったw 牝馬はクラシックが終わると牡馬と戦うことになるので昔はそれが普通でした。

こちらはソウルスターリングの勝負服。
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黄色に黒縞の社台レースホースの勝負服です。競馬を始めると最初に覚える勝負服と言っても過言では無いw

こちらはちょっと懐かしい名前ですが、両方大好きな馬でした。メジロドーベルは一瞬だけメジロライアンの時代が来たか!?と思いましたw 初めて現地で観たオークスでした。
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エアグルーヴは子供も活躍しましたが、その点はライバルのビワハイジのほうが上かなw しかし母ダイナカールとのオークス親子制覇を果たし、歴代でも2組くらいしかいないことも考えると偉大な一族です。

こちらはオークスのファッションコーナー。
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これはどこの国だったか忘れましたが、日本でこういう格好しているのは鈴木淑子氏くらいしか観たことはない…w

こちらはアメリカのケンタッキーオークスのオフィシャルプログラム
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日本で言う所のレーシングプログラムでしょうか? アメリカにもレープロがあるのかな?

この辺になると古すぎてリアルタイムでは観ていませんが未だに語られることの多いオークス馬。この頃に遡ると流石に紹介されない年がありますね
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マックスビューティは初子のマックスジョリーが中ヒットくらいでしたが、メジロラモーヌは子供が全く走らず、名牝の子は走らないという説がかつてありました。10冠ベイビーと呼ばれたシンボリルドルフとメジロラモーヌの子のメジロリベーラは今でも語り草です。

こちらはマックスビューティの口取り
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この馬も3歳(当時は4歳)がピークだった。 初めてPOGやった時にマックスビューティ産駒のアーサーズフェイム(父カーリアン)を取り合った記憶が蘇るw

こちらはあなたが選ぶ思い出のベストオークス馬の投票。最近の名前ばかりですがw
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流石に3頭とも名馬中の名馬です。アーモンドアイはどこまで伝説を残せるか楽しみですね。

こちらはシーザリオのアメリカンオークスの優勝カップ。
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この時もかなりの驚きでした。日本馬がどんどん強くなって来ていて、JCでショボい外国馬に負けてた時代が逆に懐かしいw


ということで、競馬歴25年の私としては思い出が蘇ってくる内容となっていました。オークスが終わってもしばらく展示しているようなので、今週のダービーや安田記念などで東京競馬場を訪れることがあるなら、この展示を観ながら思い出話をするのも楽しいと思います。競馬ファンには面白い展示でした。

おまけ:
この日はPOG指名馬が3頭(アドマイヤマーズ、グランアレグリア、ダノンチェイサー)出てきたので、ボックスで勝負しました。
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桜花賞馬グランアレグリアが冴えずに降着にもなってしまいましたがアドマイヤマーズが勝って一安心。中々良いレースでした。




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■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
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■2009/10/28
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