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パンドラ 【目黒雅叙園のお店】

前回ご紹介した目黒雅叙園 百段階段の展示を観る前に、同じ目黒雅叙園の中にあるパンドラというお店でお茶してきました。

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【店名】
 パンドラ(Pandora)

【ジャンル】
 レストラン・カフェ

【公式サイト】
 https://www.hotelgajoen-tokyo.com/restaurant/shop/pandora
 食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1316/A131601/13014103/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 目黒駅

【近くの美術館】
 目黒雅叙園 百段階段
 目黒区美術館
 目黒寄生虫館
  など

【この日にかかった1人の費用】
 1700円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_③_4_5_名店

【感想】
ちょうど満席くらいとなっていました。待たされることが多いので、この日は空いていた方かも。

さて、このお店は目黒雅叙園の中にあり、軽食とデザートを楽しめるお店となっています。冒頭の写真のようにガラス張りで庭園を望みながらお茶ができる眺めの良い空間です。ソファもリラックスできるし贅沢な雰囲気。

こんな感じで滝も見えます。
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この滝を眺めていると、ちょくちょく結婚式の記念撮影なんかもしています。目黒雅叙園といえば式場としても有名ですもんね。

しばらくしたらピアノの生演奏が流れてきました。
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14:00~17:30の間で30分程度演奏してくれるようです。この日はグリーンスリーブスとか流していて優雅なひと時となりました。

この日は遅く行ったこともあってケーキセットは売り切れでした。

その為、あんみつと心太のセットを頼みました。お茶も付いてきます。
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メニュー表では1400円ですが、13%のサービス料と消費税がつくので1708円もしましたw めちゃくちゃ高級なあんみつですw

まずはあんみつ。
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小豆がしっかりしていて風味が良かったです。蜜は普通だけど、フルーツやアイスもたっぷりで爽やかでした。意外とボリュームありますw

続いてところてん
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梅の風味があり、胡麻と共に良い香りです。酸と心太自体の匂いはあまりせず上品な感じかな。プツプツした食感が気持ち良い。あんみつと交互に食べると口の中がリフレッシュしました。同じ寒天でもだいぶ違いますw

こちらは一緒についてくる ほうじ茶
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味も香りも薄くて出涸らしかな?w ぬるいし、これは無料でも要らないレベル。


ということで、確かに美味しいけど味は値段に釣り合わない気がしますw しかし接客や店の雰囲気は非常に良いので、場所代と考えれば納得行くかな。百段階段や結婚式などで雅叙園に行く機会があったら寄ってみるのも良いかもしれません。


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和のあかり×百段階段2019 ~こころの色彩~ 【目黒雅叙園 百段階段】

今日は写真多めです。先週の土曜日に目黒雅叙園の百段階段で「和のあかり×百段階段2019 ~こころの色彩~」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 https://www.hotelgajoen-tokyo.com/100event/wanoakari2019

【公式サイト】
 和のあかり×百段階段2019 ~こころの色彩~

【会場】目黒雅叙園 百段階段
【最寄】目黒駅

【会期】2019年7月6日(土)~9月1日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_4_⑤_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
金曜・土曜にだけ行なわれている夜間開催の時間帯だったこともあって、例年よりも空いている環境で鑑賞することができました。

さて、この展示は毎年この百段階段で行われているアートイルミネーションの展示で、夏の風物詩となりつつあります。(ブログ休止中も含めて何度か行っているのですが、どういう訳か記事にしてなかったので 今年はしっかり記事に残しておこうと思います。) 今年も「和」をテーマに、ちょっとステレオタイプにデフォルメされた感じもありますが、分かりやすい美しさのイルミネーションが並んでいました。詳しくは写真と共にご紹介していこうと思います。

北本春一 「青森ねぶた祭り」
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入口すぐのところでねぶたのお出迎えがありました。観た感じ鍾馗様かな。手を出して鬼気迫る勢いです。日本の灯りのアートと言えばこれを真っ先に思い浮かべますね。

福島哲郎 「よみがえる和 和柄行燈」
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こちらは浮世絵をモチーフにした行灯。写楽と北斎の代表作を灯りにしていました。

百段階段を下から順に観ていきました。
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実は99段だったりします。天井にまで装飾があるので、建物自体も見所です。

NITTAKE 「竹あかり 宮崎県 日南市」
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竹の一部に穴を開けて切子のような文様を付けた作品。一種異様な感じもしますが、幻想的な光景となってました。

こちらは漁樵の間の入口あたりにあった提灯。
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真っ赤で中国風な雰囲気を醸し出しています。やや妖しい雰囲気。

長崎県 長崎市 「長崎ランタンフェスティバル」
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こちらは長崎の冬の風物詩。今回は竜宮城をテーマにしているようです。

少しアップにするとこんな感じ。
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鮮やかで美しい光が幻想世界を作っています。中国風の異国情緒も感じられて非常に見事でした。

尾竹竹坡 「五節句」
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今回の展示でなくても観られますが、この漁樵の間は特に豪華で、壁面から天井に至るまで日本画に囲まれています。この色彩溢れる部屋にランタンを取り合わせたのも面白い。

熊本県 山鹿市 「山鹿灯籠浪漫 百華百彩」
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こちらは熊本県山鹿市の冬のお祭りだそうで、和傘を使った艶やかな空間となっています

青木文明
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こちらは作品名は分かりませんが、切り絵師による龍の切り絵。ボリュームたっぷりで力強い龍ですね。

一葉式いけ花 家元 粕谷尚弘 「雲龍」
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こちらは和傘の部屋にあった生花。雲のような木と稲光のような枝を用いてタイトル通り雲龍を想起させました。こちらも中々の迫力です。

ここまでは大型作品が中心でしたが、ここから上の部屋は小さめの作品が多めです。
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暗めの部屋で灯りが静かに灯っています。「東京手仕事」という東京で手作りにこだわる伝統工芸の匠の作品が並んでいました。

寺沢ブラシ製作所
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こちらは何とブラシを使った影絵のような作品。大きさが違うのに影は同じようなサイズになっているのが面白い。植木鉢と植物をイメージしたブラシのようでした。

山田硝子加工所
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こちらはガラス器に光を当てて菊花紋を出した作品。単純な仕組みですが、発想が面白く幻想的でした。

高橋工房
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再び写楽をモチーフにした作品。影まで写楽になっていてユーモアを感じました。

漉工房 高山しげこ
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こちらは有機的なデザインの灯りで、私は蓮を思い起こしました。紙の原料を手漉きでこのように作っているのだとか。ぬくもりが感じられますね。

錆和紙作家 伊藤咲穂
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まるで月面を思わせる襖絵。静かで神秘的な雰囲気です。宇宙的なロマンを感じました。

中野形染工場+ハナブサデザイン 「越谷 籠染灯籠」
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こちらは透かしの部分が模様になって照らす灯籠。万華鏡のような美しさで、プロジェクションマッピングに通じるようなw これを置くだけで洒落た空間になりそうで、自宅に欲しいw

折り紙作家 布施知子 照明デザイナー 阿曾正彦 「オリテラス」
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金平糖のような複雑な折り紙が色とりどりに輝いています。紙の色でグラデーションを出しているのかな? どこかSF的な感じもして好みの作品でした。

山口県 柳井市 「柳井金魚ちょうちん祭り」
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こちらは山口県柳井市の夏のお祭りで、「金魚ねぶた」が祭り会場を練り歩くそうです。ゆるキャラみたいで可愛いw

鏑木清方 「四季美人図 雪しぐれ」
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清方の間には日本画家の鏑木清方の絵が頭上に飾られています。特に清廉な美女は清方の得意な画題なので注目です。

「かんざし作家 榮」
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透き通る花のような簪で、緩やかな曲線が何とも優美。 実際につけた美女をみてみたいものですw

サンドアートデュオ emullenuett
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こちらは砂絵を使った作品。微妙な濃淡で砂とは思えない出来栄えです。実際に砂絵を描いている映像作品なんかもあって、儚くも可憐な雰囲気となっていました。

入江千春 「あかり絵」
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昭和の頃の子どもたちを思わせる作品。よく観ると月でウサギが餅つきしています。ほのぼのしていてノスタルジックな気分になりました。


ということで、様々な祭りや伝統工芸などをモチーフにした作品が並び、華やかな展示となっていました。特に難しい解釈も必要ないので、万人が楽しめる内容だと思います。ここは建物自体も魅力的ですので、気になる方はチェックしてみてください。



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【東京国立近代美術館】の案内 (2019年07月後編)

今回も写真多めです。前回に引き続き東京国立近代美術館の常設についてで、後半部分は現代に近い作品が中心です。まずは概要のおさらいです。

 → 前編はこちら

【展覧名】
 所蔵作品展 MOMAT コレクション

【公式サイト】
 http://www.momat.go.jp/am/exhibition/permanent20190129/

【会場】
  東京国立近代美術館 本館所蔵品ギャラリー

【最寄】
  東京メトロ東西線 竹橋駅

【会期】2019年6月4日(火)~ 10月20日(日)
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【感想】
上階から下っていくルートで観ていて、観た順にご紹介していこうと思います。

 ※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れますが、撮影禁止の作品もあります。
 ※当サイトからの転載は画像・文章ともに一切禁止させていただいております。

小川原脩 「成都爆撃」
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太平洋戦争の頃の中国爆撃の様子を描いたもの。この時代、多くの画家が従軍してこうした絵を描いています。暗い時代の証言者といった所でしょうか。空中から観た光景が斬新です。

三輪晁勢 「ツラギ夜襲戦」
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こちらはソロモン諸島での戦いの様子。水柱と炎が劇的な場面で、炎は仏像の光背を思わせる様式に思えました。恐ろしい光景です。

原弘 「日本の彫刻:上代(埴輪・金銅仏・伎楽面)と現代」
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こちらは国立近代美術館の開館当初の展覧会のポスター。近代美術館なのに古いものをテーマに、現代の目で新しいものを引き出すという意図があったようです。古代の日本のデザインは現代アートに通じるものを感じます。

鳥海青児 「畑」
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畑の風景のようで抽象のようでもある。素朴さとモダンな感じの両面が出ているように思えます。ちょっとクレーにも似ているように思えました。

斎藤清 「門」
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モンドリアンの絵を見て障子を感じ、桂離宮を訪れてこうした絵を描いたようです。シンプルで幾何学的な美しさは日本の建物の基本となっているように思えます。

濱田庄司 「失透釉格子文角皿」
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濱田庄司は民藝運動を行った陶芸家で、こうした素朴ながらも力強さを感じる作品が多いように思います。大胆な格子模様が面白い。

間所紗織 「神話 神々の誕生」
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何だかハッキリしないけどドラゴンかと思いました。トゲトゲして鱗みたいな文様がいかつい印象ですw これも縄文土器的なセンスを感じます。

榎戸庄衛 「奈良」
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こちらは「てのかみ・あしのかみ」のシリーズの1つだそうです。奈良の仏足石と4本の腕を持つ梵天をイメージしているようで、どことなく卍のような感じです。宗教めいた雰囲気もあって神秘的な雰囲気でした。

今回の写真コーナーは「並べられた時間-伊藤義彦の仕事」という内容になっていました。

伊藤義彦 「imagery72 850007」
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72枚の像から成る写真作品。連続して階段が繋がっているように見えたり、木が回転しているように見えたり、並べることで1枚では表現できない奇妙な世界となっていました。

近藤浩一路 「鵜飼六題(夜涼)」
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こちらはかなり横長の水墨画。鵜飼の様子らしく、火に照らされてぼんやり浮かぶ舟が何とも幻想的です。

一部をアップするとこんな感じ。
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何かが飛び交っているように見えます。花火でもないだろうし、何だろ…。

他にも同様に5枚あり、いずれも神秘性のあるぼんやりした光景となっていました。

徳岡神泉 「仔鹿」
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これ、仔鹿なんですね。アルパカかと思ったw 緑に赤という対比的な色使いなのに、落ち着いた色調に感じられます。後ろ向きで何かをじっと見つめる姿が印象的でした。

北野恒富 「戯れ」
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カメラを持った芸姑というちょっと変わったモチーフな上、やけに下の方にいるのも大胆な構図です。戯れというのはカメラ遊びのことでしょうかね。

中村岳陵 「豊幡雲」
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こちらは夕空の茜雲で、万葉集の天智天皇の歌意を描き表したものだそうです。抽象的で、色彩感覚もこれまでの日本画とは異なる雰囲気に思えました。

今回のギャラリー4は「コレクションによる小企画 解放され行く人間性 女性アーティストによる作品を中心に」という展示となっていました。今回はここも撮影可能でしたのでいくつかご紹介。
 会期:2019年6月18日(火)~ 10月20日(日)

間所紗織 「女(I)」
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再び間所紗織 氏の作品。髪が逆立ち赤い目が釣り上がっていて女というより鬼みたいに見えますw こちらも凄いエネルギーが伝わる作品でした。

丸木俊(赤松俊子) 「解放され行く人間性」
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堂々たる立ち姿で原初的な雰囲気を感じる裸婦像。これが描かれたのは1947年で、GHQによる女性の解放の改革が進められていた頃のようです。逞しく新しい時代を象徴するような雰囲気でした。

草間彌生 「集積の大地」
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こちらは草間彌生が20代前半の頃の作品。何かが大地の上にいくつも並んでいるんだけど、生き物の足か工業用品か分からない奇妙な物体です。全体的に陰鬱な雰囲気でシュールさも感じました。

宮本和子 「エジプト」
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何故これがエジプトなのだろうか?と思う一方で、何となくピラミッドの壁画とかを思い起こしました。微妙に三角形の幅が違っているのも気になる所です。

草間彌生 「No.H.Red」
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一見すると真っ赤な画面ですが、よく観ると細かい黒い点が無数に打たれています。

アップするとこんな感じ。
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草間彌生は幼い頃から幻視体験に悩まされていて、それを表現した作品が無数にあります。これもその1つのようで、観ているとちょっと目がチカチカしましたw 水玉もこれと似た方向性なのかもしれませんね。

イケムラレイコ 「横たわる少女」
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暗闇の中、横たわる少女がぼんやりと浮かび上がってくる様子が描かれています。幻想的で夢の中の世界のような。 今年、回顧展を観に行けなかったのが悔やまれる所です…。

再び常設コーナーに戻ってきました。

横山裕一 「アウトドアー」
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漫画の原画が展示されていました。直線の多用、無表情、擬音の多用、セリフが少ないといった特徴がある漫画のようで、少しだけ読めますが全く内容が分かりませんw かなりシュールで独特の世界観がありました。

杉戸洋 「the secret tower」
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かなり分かりづらいですが、左側の空にシミのように描かれているのは火を吹く戦闘機だそうです。童話的な雰囲気かと思ったら、深い意味がありそう。この柔らかい色彩を出すために日本画で使われる材料が用いられているのだとか。

石川順惠 「Impermanence 青女」
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「Impermanence」は「無常」の英語で、「青女」は前漢時代の論集を出典とした霜や雪を降らす女神(=霜・雪)のことだそうです。実際、これを観てもタイトルとの相関性は分かりませんが、無数の直線の重なりや色の明るさが現代的な感性に思えました。リズムが心地良い作品です。


ということで、今回も盛り沢山の内容となっていました。ここの常設も行く度に観たことがない作品があって、常に発見があります。幅広く個性的な作家ばかりですので、この美術館に訪れる機会があったら常設も合わせて観ることをオススメします。


参考記事:
 東京国立近代美術館の案内 (2019年07月前編)
 東京国立近代美術館の案内 (2019年07月後編)
 東京国立近代美術館の案内 (2019年03月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年11月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年06月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年12月前編)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年12月後編)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2014年01月)
 東京国立近代美術館の案内 (2013年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2013年03月)
 東京国立近代美術館の案内 (2012年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2011年12月)
 東京国立近代美術館の案内 (2011年06月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年12月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年04月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)


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【東京国立近代美術館】の案内 (2019年07月前編)

今日は写真多めです。前回ご紹介した展示を観た際、東京国立近代美術館本館の常設展も観てきました。こちらは撮影可能で 目新しい作品が多かったので、前編・後編に分けて写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
 所蔵作品展 MOMAT コレクション

【公式サイト】
 http://www.momat.go.jp/am/exhibition/permanent20190129/

【会場】
  東京国立近代美術館 本館所蔵品ギャラリー

【最寄】
  東京メトロ東西線 竹橋駅

【会期】2019年6月4日(火)~ 10月20日(日)
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【感想】
この日は結構お客さんが多かったですが、概ね自分のペースで鑑賞することができました。今回も気に入った作品の中から今までご紹介していないものを写真で並べていこうと思います。
 ※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れますが、撮影禁止の作品もあります。
 ※当サイトからの転載は画像・文章ともに一切禁止させていただいております。

菊池契月 「供燈」
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左にいるのは平重盛で、邸宅に48の灯籠を連ねていたことで知られています。雅な雰囲気で、女性たちは楽しそう。この作品が描かれた頃は過去の武士政権は逆臣と思われていて 描くのがはばかられていたようですが、この平重盛は尊皇派で父の平清盛を諌めることもあったので、主題にしやすかったのだとか。

尾竹国観 「油断」
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これは特定の歴史的な戦を描いた訳ではないようですが、宴会をして油断していたところに敵襲の報を受けたシーンとなっています。急いで弓を取り出したり甲冑をつけたり リアルな慌てぶりです。

長谷川利行 「岸田国士像」
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こちらは演劇界の岸田國士の40歳の頃の肖像です。黄色と白を背景に黒いスーツと白いチーフが目を引きます。タッチも大胆で、長谷川利行独特の画風の特徴がよく出ているように思えました。
 参考記事:長谷川利行展 七色の東京 (府中市美術館)

狩野芳崖 「桜下勇駒図」
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この作品はフェノロサの指導を受けはじめた頃の作品だそうで、それまでの狩野派の形式的な表現からリアルな馬の表現となっているそうです。陰影もついて西洋風なところもありました。

橋本雅邦 「蓬莱山」
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こちらも近代化した日本画。繊細な濃淡で霧がかった山を表現しています。遠近感も感じられて見事です。

寺崎広業 「溪四題(雲の峰・夏の月・秋霧・雨後)」
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こちらは長野の天竜峡や上林温泉に滞在した際の写生を元にした作品。それぞれの季節や溪谷の空気まで感じられるような情感がありました。特に霧の表現が好み。

吉田博 「パリ風景」
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恐らくこれは妹と外遊に出た頃の作品。パリの公園で休む人々が穏やかな雰囲気です。吉田博は日本では冷遇されたこともあってそれほど有名ではないですが、最近 再評価の流れが来ている気がします。
 参考記事:生誕140年 吉田博展 山と水の風景 (東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)

久米桂一郎 「ブレア島」
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こちらはフランスのブルターニュ地方の北にある島を描いた作品。赤みがかった岩が特に目を引き、質感を複雑な色で表現しています。全体的には明るめの色彩感覚で、現地の様子が伝わってくるようでした。

原田直次郎 「ガブリエル・マックス像」
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この人は原田直次郎が師事した画家で、博学多識の人だったそうです。ちょっと頑固そうな表情が印象的。それにしても原田直次郎が描くオッサンは名品揃いですねw

中沢弘光 「非水像」
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モデルは光風会の盟友で日本のグラフィックデザインの先駆者である杉浦非水。じっとマッチを見つめているので、そこに自然と目が向きます。さらにそこから背景に抱き合う像があるのも目を引いて、面白い構成となっていました。

正宗得三郎 「モレーの冬」
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フランスのモレーを描いた風景画。手前に枯れ木が立ち並んで風景を遮っているのが面白い。人はほとんど見当たらず、馬車が橋の上にポツンと描かれているのが寂しげな感じに見えました。

川上涼花 「植物園風景」
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厚塗りで大胆な筆致で描かれた風景画。萬鉄五郎らと仲間だったらしいのでフォーヴ的な要素もあるように思えますが、色彩は爽やかで方向性が違うようにも思えます。結構好みの画風でした。

萬鉄五郎 「手袋のある静物」
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こちらは郷里の岩手県の土沢に戻っていた頃の作品。この頃の特徴としてはこの土気色です。キュビスム風に単純化された形態もこの頃の画風の典型に思えました。
 参考記事:【番外編】没後90年 萬鐵五郎展 (岩手県立美術館)

梅原龍三郎 「静物」
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大胆な色使いが目を引く静物。緑と赤が引き立てあって一層に鮮やかに感じます。形態の単純化も面白くて、見ごたえのある静物でした。

この辺は白樺派関連の画家が並んでいました。

中川一政 「柚子たん図」
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こちらも『白樺』に触発された画家です。色は強めだけど、くすんでいるせいか落ち着いた印象を受けました。単純化されている一方で微妙な光の反射なども表現されていて良いバランスでした。

木村荘八 「永井荷風著『墨東綺譚』挿絵 挿絵1」
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こちらは永井荷風の小説に木村荘八が挿絵を入れたもの。墨田区辺りらしく戦中に戦火で失われた光景のようです。素描を重視した画家だけに、当時の町の様子がありありと浮かんでくるようでした。
 参考記事:素描礼讃 ―岸田劉生と木村荘八― (うらわ美術館)

木村荘八 「永井荷風著『墨東綺譚』挿絵 挿絵14」
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こちらも挿絵。この辺は飲み屋の看板を掲げながら売春もしていた店があったそうで、当時の猥雑な賑わいが表現されているように思えました。

織田一磨 「画集東京近郊八景より 玉の井雪景」
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こちらも先程の墨東綺譚の舞台となった玉ノ井辺りを描いたもの。しんしんと降り積もる雪と家の明かりが何ともロマンチック。って、飲み屋街なんですけどねw

川口軌外 「静物(マンドリン)」
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言われてみるとマンドリンっぽいかなw キュビスム的な表現とくすんだ色彩が斬新な印象の作品でした。

山口長男 「二人像」
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こちらもピカソっぽい作品。2人は何処にいるのか中々分かりづらいですが、紙の長い女性でしょうか? 色と形態のリズムがありつつ落ち着いた色調なのが心地よく感じられて好みでした。

神原泰 「スクリアビンの『エクスタシーの詩』に題す」
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こちらはロシアの神秘主義の作曲家アレクサンドル・スクリアビンの「法悦の詩」を聴いた時の精神昂揚を絵にしたもの。完全に抽象画ですが、燃え立つような色と形態になっているように思えます。ネットで調べて聴いてみたのですが、中々幻想的な雰囲気なのでこの絵の印象とよく合っているように思えます。

村井正誠 「URBAIN」
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こちらはモンドリアンの「幾何学的抽象」を作者が自由に解釈したもので、タイトルはフランス語で「都市の」を意味するそうです。言われてみると右半分は都市や街を思わせるかな。左半分は郊外なのか人なのか…。 色々と想像が膨らんでくる作品でした。

佐分真 「午後」
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パリのカフェでくつろぐ人々を描いた作品。深い青を基調とするのがこの画家の特徴らしく、落ち着いた雰囲気です。でもちょっと虚ろな感じもするかな。退屈そうというか。これも人々の心情を考えさせる作品でした。

前田寛治 「労働者」
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何とも読み取りづらい独特の表情を浮かべた労働者。静かに目で何かを訴えているようにも思えました。

野田英夫 「都会」
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こちらは複数の断片をあわせて画面を構成するモンタージュの手法で描かれた作品。アメリカのワシントンD.C.やニューヨークあたりを描いているようです。割と生活感があって人々の力強さも感じられました。


ということで、今回は久々に観る作品や記憶に無い作品が多くていつも以上に楽しめました。後半も見所が多かったので、次回も同様に写真を使ってご紹介の予定です。

 → 後編はこちら

参考記事:
 東京国立近代美術館の案内 (2019年07月前編)
 東京国立近代美術館の案内 (2019年07月後編)
 東京国立近代美術館の案内 (2019年03月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年11月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年06月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年12月前編)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年12月後編)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2014年01月)
 東京国立近代美術館の案内 (2013年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2013年03月)
 東京国立近代美術館の案内 (2012年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2011年12月)
 東京国立近代美術館の案内 (2011年06月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年12月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年04月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)


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高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの (感想後編)【東京国立近代美術館】

今日は前回に引き続き竹橋の東京国立近代美術館の「高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの」についてです。前半は1章まででしたが、後編は2~4章についてご紹介して参ります。

 → 前編はこちら

DSC00511_201907152208004db.jpg

【展覧名】
 高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの

【公式サイト】
 https://takahata-ten.jp/
 https://www.momat.go.jp/am/exhibition/takahata-ten/

【会場】東京国立近代美術館
【最寄】竹橋駅

【会期】2019年7月2日(火)~10月6日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半は各時代ごとにアニメ作品のセル画や原画などが並んでいました。引き続き、気になったキャプションなどと共にご紹介していこうと思います。

<第2章 日常生活のよろこび アニメーションの新たな表現領域を開拓>
2章は日常生活を舞台にした作品が多いコーナーです。東映動画を去った高畑勲 氏はAプロに入り、「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」「赤毛のアン」といったテレビの名作シリーズを手がけ、新境地を開きます。ここにはそういった作品にまつわる品が並んでいました。

[パンダコパンダ]
まず「パンダコパンダ」の絵コンテや「長くつ下のピッピ」に関する品がありました。元々は「長くつ下のピッピ」のアニメを企画していたそうですが、原作者に不許可とされ 代わりに立てた企画が「パンダコパンダ」だったそうです。当時のパンダブームに乗って人気となり、映画化もされていて、映画館では馴染みやすい「パンダコパンダ」の主題歌を歌う子供で溢れたようです。この作品はCSで観たことがあるけど、確かに一度聞いたら耳に残るフレーズかなw トトロの原点はパンダコパンダのパパンダではないか?と思うほどキャラクター的に似たものを感じます。

[アルプスの少女ハイジ]
そしてその後は「アルプスの少女ハイジ」のコーナーで、最初に「レイアウト」というものがありました。このレイアウトは絵コンテと作画の間に描かれるもので、これによって画面の設計をしてクオリティの維持を図ることもできるようです。書き込みも入っていて意図を徹底して統一しているようでした。また、ハイジで面白いエピソードが海外へのロケハンで、高畑勲 氏、宮崎駿 氏、小田部羊一 氏(作画監督)の3人で実際にアルプスに出向いて行ったようです。現地ではハイジの家のモデルとなった山小屋を観たり、物語に出てくる町並みを観たりと 制作において大きな収穫となった様子が伺えました。この後の作品でも高畑勲 氏はロケハンを行っているようなので、やはりリアリティを出すためには欠かせないのでしょうね。

この先にはセル画などもありました。井岡雅宏 氏による背景は絵画的で、これだけでも絵画作品と思えるくらい情感溢れる光景でした。また、オープニングでハイジとペーターが輪になって踊っている原画なんかもあって、ちょっと懐かしい感じw 会場ではハイジのオープニングの映像も流していました。

ハイジのコーナーには舞台となった山小屋や町並みのジオラマがありました。ここだけ撮影可能です。
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山小屋がやたら大きい気がしますが、よく出来ています。モデルになったのはマイエンフェルトという町です。

丘を観ると走って登るペーターの姿があります。
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とんでもない急勾配ですw 厚着していたハイジが、暑くてどんどん脱いで下着姿で駆け上るシーンとかありますが、それも納得ですw

山小屋ではハイジだけでなくおじいさんとヨーゼフもいました。
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おじいさんは元傭兵という設定があります。村人と離れて暮らしたいので山小屋に住んでいたり、割と闇は深いw

山の麓には鉄道も走っている町があります。
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鉄道に乗ってフランクフルトに行く話とかありましたね…

こうした地形もしっかり設定としてあるようで、アニメをじっくり観るとこのジオラマの造りになっているのかも?? 観る機会があったら注意して観ようと思います。

その後に、小田部羊一 氏によるハイジのキャラクター設定がありました。最初は三つ編みのおさげでソバカスのある顔となっていて、イメージがだいぶ違います。むしろ赤毛のアンみたいな感じでした。

[母をたずねて三千里]
このコーナーには原画や背景画がありました。やはり22日間のロケハンをしていたようで、美しい背景画が物語を彩ります。郷愁と旅情を誘う異国情緒がたまりません。このアニメは全部観たことは無いので話をあまり覚えていません… ちなみに英語のタイトルは「アペニン山脈からアンデス山脈まで」となるので、終着地の壮大なネタバレ感がありますw

[赤毛のアン]
続いては「赤毛のアン」のコーナーで、絵コンテやラフ原画、レイアウトなどが並んでいます。原作のセリフを重視して作っていたそうで、独特の美化された表現がこの物語の魅力と言って良いのではないかと思います。ここにはキャラクタースケッチなどもあったのですが、この作品から小田部羊一 氏ではなく近藤喜文 氏が担当したようです。また、途中で宮崎駿 氏が抜けて「ルパン三世 カリオストロの城」の監督となったようで、絵柄もテイストが少しだけ変わった感じもしました。


<第3章 日本文化への眼差し 過去と現在の対話>
続いては主に1980年代の作品のコーナーです。これまで海外が舞台の作品が多かったですが、この頃から高畑勲 氏は日本を舞台にした作品を手がけていきました。1981年の「じゃりン子チエ」、1982年の「セロ弾きのゴーシュ」、以降は日本に特化し、日本の風土や庶民の生活のリアリティを追求していきます。そして1985年にはスタジオジブリの設立に参画し、「火垂るの墓」など代表作となる作品も手がけて行くことになります。ここにはそうした時代の作品が並んでいました。

[じゃりン子チエ]
大阪の下町を舞台にした作品で、これもドヤ街の木賃宿に宿泊してロケハンを行ったそうです。レイアウトも町のごちゃごちゃ猥雑な感じが出ているかな。私が2000年くらいに新世界の辺りに行った時、じゃりン子チエの世界そのもので驚いたのをよく覚えています。妙にリアルで子供の頃はちっとも面白いと思わなかったけど、今見たら面白いのかも。。。

[セロ弾きのゴーシュ]
こちらは自主制作のアニメで、宮沢賢治の童話を原作とした作品です。背景画がファンタジーっぽい感じもあって、映像を観ていると音楽にも凝っているようでした。この話、猫がちょっと気の毒なんですよね…w

[柳川堀割物語]
こちらは実写のドキュメンタリー映画で、福岡県柳川市の水路「堀割」に関する内容となっているようです。ロケハンで九州を訪れた際、汚染の進む堀割の埋め立て計画を撤回させた市職員(広松伝 氏)に出会い、市民との協働で美しい堀割を取り戻した実話に感銘を受けてこの映画を作ることにしたそうです。5年もかけて自主制作したらしく、里山をテーマに繋がる視点を獲得し、ドキュメンタリー的なアニメに舵を切ったそうで、後の「平成狸合戦ぽんぽこ」などにも影響を与えているようでした。これは存在自体を知らなかったので、ちょっと興味が湧きました。テーマや内容がジブリの作品のメッセージに近しいように思えます。

[火垂るの墓]
高畑勲 氏の作品の中でも特に評価の高いのはこの「火垂るの墓」ではないでしょうか。ここには絵コンテ、レイアウト、イメージボードなどが並び、駅でうなだれて死ぬシーンをはじめ 見覚えがあるシーンが多々ありました。会場にはB29の焼夷弾とホタルの光が一体化したポスターの大型版があり、光が揺らめいていました。他にも美術ボードがあり、リアリティを感じる暗い雰囲気になっています。また、ここには色指定の資料もあり、同じキャラクターでもいくつかバージョンがあり、夜色や橙色バージョンなどかなり細かい指定となっていました。他にも人形、レコード、食器など一瞬しか出ないようなものまでしっかりと色指定しています。こうした入念な色の指定が印象的なシーンを生むんですね…。 
 参考記事:「映画を塗る仕事」展 (三鷹の森ジブリ美術館)

[おもひでぽろぽろ]
私が高畑勲 氏の作品で最も好きなのがこの映画ですw 子供の時はちっとも面白いと思わなかったのですが、大人になったら非常に面白くなりましたw ここにもレイアウトがあり、やはり山形でロケハンしてきた成果が生かされているのが分かります。また、この映画は先に声を録るプリレコの方式で作られたそうで、その際の役者たちの顔の動きなどを記録し、シワや筋肉の動きを作画にも生かしているようです。以前 私がこの映画で苦手だったのは やたら人物のシワが多い点だった訳ですが、これはシワなどで心の表現をしている為のようでした。 …今でもちょっとやりすぎじゃないかとは思いますw
他にはセル画などが並んでいました。失われつつある昭和の頃の風景などが懐かしく、ノスタルジックな気分になります。

[平成狸合戦ぽんぽこ]
こちらも高畑勲 氏の中でも有名な作品かな。ここにはタピストリーのように繋がれたイメージボード(の複製)や美術ボードなどがありました。季節感がある絵もあるけど、一方で多摩丘陵が無残に削り取られるシーンなんかもあって、この映画のテーマを如実に示しているように思います。ここまで観てくると、この作品は先程の「柳川堀割物語」のドキュメンタリー性や、浮世絵や祭りといった日本文化の研究成果を融合させたものだというのがよく分かります。この作品も歳を取るに連れて好きになったので、子供より大人向けなのかもしれませんね。


<第4章 スケッチの躍動 新たなアニメーションへの挑戦>
最後は90年代以降のコーナーです。90年代は絵巻の研究に没頭し、日本の視覚文化の伝統を掘り起こすことに力を入れていたようで、人物と背景が一体化したアニメーションの新しい表現を模索したようです。そしてそれは「ホーホケキョ となりの山田くん」と「かぐや姫の物語」に結実し、デジタル技術を利用し、手書きの線を活かした水彩画風の描法に挑み、セル画様式とは一線を画した表現となりました。

ここにはフレデリック・バックの「木を植えた男」についてのコーナーがありました。何年か前にこの作品の展示をやってた記憶がありますが、このアニメーションは高畑勲 氏にも大きな影響を与えていて、フレデリック・バックをアニメーションの師と仰いでいたようです。素描をアニメにしたような感じなので、確かに方向性は共通しているように思えます。高畑勲 氏はフレデリック・バックが亡くなる8日前に「かぐや姫の物語」を観て貰って賞賛されたそうで、2人の関係性も伺えました。

[ホーホケキョ となりの山田くん]
こちらは素朴な線が動くアニメで、普通のセル画のアニメとは違った味わいとなっています。まさに水彩画が動いているような感じなのですが、これを作るのには気の遠くなるような作業が必要だそうで、素朴に見えてかなりの力作のようです。この映画は観ていないのですが、アニメに疎いので普通のアニメよりシンプルな造りなのかと思っていましたw MoMAのパーマネントコレクションにもなっているそうで、詳しい人には評価が高いアニメのようでした。

[かぐや姫の物語]
こちらは最後の映画で、8年かけて映画化したものです。山田くんで培った表現をさらに進化させ、線の力を活かし、あえて塗り残したりして、ドローイングアニメーションの原点に立ち戻ったようです。そのため、線画のダイナミズムが生まれて迫力ある映像を生んでいるようです。ここでは かぐや姫がいたたまれなくなってダッシュで屋敷から逃げるシーンを流していて、非常に躍動感がありました。物凄いスピードで走っているのがよく分かるw わずか2秒の為に52枚もの絵を描いていたりするそうで、この作品も荒々しく見えて非常に手間がかかっているようでした。観た当時はそんなこと分からなかったので、この展示を観て納得。アニメの表現の革新とか、一般の視聴者が期待するものとは違う次元で挑戦していたのですね…。
 参考記事:映画「かぐや姫の物語」(ややネタバレあり)


ということで、後半は代表作が目白押しとなっていて各作品の意図などもよく分かるようになっていました。今まで映画を観ても気づかなかった点や、各作品を並べることで表現を発展させていったことも理解できたように思います。高畑勲 氏やスタジオジブリの作品が好きな方はこれを観ることで一層に理解が深まると思いますので、ファンの方にオススメの展示です。

おまけ:
会場出口にあったハイジの山小屋の内部の模型
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こうしてみると結構狭いかも


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高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの (感想前編)【東京国立近代美術館】

先週の土曜日に東京国立近代美術館で「高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの」を観てきました。ボリューム感のある展示となっていましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの

【公式サイト】
 https://takahata-ten.jp/
 https://www.momat.go.jp/am/exhibition/takahata-ten/

【会場】東京国立近代美術館
【最寄】竹橋駅

【会期】2019年7月2日(火)~10月6日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構多くの人で賑わっていて、特に冒頭の辺りは混雑感がありました。後半はそれほどでもなかったかな。

さて、この展示は昨年(2018年)の4月に亡くなったアニメーション監督の高畑勲 氏の個展で、初期作品から晩年の作品まで紹介する内容となっています。高畑勲監督作品と言えば映画だと「火垂るの墓」や「かぐや姫の物語」、連続アニメだと「アルプスの少女ハイジ」や「赤毛のアン」などが有名なところでしょうか。まず簡単に略歴があり、それによると高畑勲 氏は三重で生まれ岡山で育ち、東京大学仏文学科を卒業しました。そして1959年に東映動画(東映アニメーション)に入社し、1968年に「太陽の王子ホルスの大冒険」で初の長編演出(監督)を務めました。この「太陽の王子ホルスの大冒険」は大人の鑑賞にも耐える壮大なスケールの映像世界だったようで、その後続々と表現の領域を開拓していくことになります。その後、「アルプスの少女ハイジ」や「赤毛のアン」など人間ドラマを手がけ、1980年代以降は日本を舞台とした「じゃりン子チエ」や「火垂るの墓」、「平成狸合戦ぽんぽこ」といったリアリティを持った作品を手がけます。そして晩年の「かぐや姫の物語」ではスケッチの線を活かした表現に挑み、従来のセル画様式を乗り越える革新的な表現を確立したようです。
構成は時代を追いながら各アニメの制作の様子をブースで展示する感じとなっていましたので、詳しくは各章ごとに気になったキャプションなどと共にご紹介していこうと思います。
 参考記事:映画「かぐや姫の物語」(ややネタバレあり)


<冒頭>
まずは高畑勲 氏が手がけた作品を振り返るコーナーです。最初に「かぐや姫の物語」のかぐや姫が生まれるシーンと、竹林を模した回廊がありました。ジブリの世界観を再現するのは東京都現代美術館の十八番かと思ってましたが、東京国立近代美術館もこういう凝った展示をするんですね。
その後、年譜があり2018年に82歳で亡くなった時点から遡るような感じとなっていました。「かぐや姫の物語」は2013年、「平成狸合戦ぽんぽこ」は1994年、「おもひでぽろぽろ」は1991年、「火垂るの墓」は1988年(となりのトトロと同時上映)、スタジオジブリ設立は1985年となります。さらにジブリより前は「じゃりン子チエ」の映画や、「赤毛のアン」は1979年、「母をたずねて三千里」は1977年、「アルプスの少女ハイジ」は1974年 といった感じです。 私は「じゃりン子チエ」はそれほど観ませんでしたが、それ以外は子供の頃に観た覚えがあるので、結構お世話になっていたのかも。私の年齢的に本放送ではないので、名作として何度も再放送していたんでしょうね。不朽の名作ばかりです。

さらにここには面白いものがいくつかありました。まず「ドラえもん」のアニメ(日テレ版かテレ朝版か分からず)の企画書があり、これを書いたのが高畑勲 氏だったようです。また、「ルパン三世」の制作絵コンテなどもありました。ルパンは元々シリアスな感じだったのが、高畑勲 氏らによってコミカルな要素を取り入れられました。 ルパンは知っていたけど、ドラえもんにも関わっていたとは驚きでした。高畑勲 氏がいなかったらこの2大国民的キャラクターも今ほど世に出てこなかったのかも…。
 参考記事:ルパン三世展 (松屋銀座)

他には「風の谷のナウシカ」の資料があり、文字でストーリーを説明していました。これはどちらかというと宮崎駿 氏のほうが手がけた感じに思えます。

そしてここにはフランス映画の「やぶにらみの暴君」と「王と鳥」という作品についてのコーナーがありました。簡単にいうと「王と鳥」は「やぶにらみの暴君」のリメイクみたいなもので、アニメ監督のポール・グリモーと国民的詩人のジャック・プレヴェールが手がけました。「やぶにらみの暴君」は1947年から制作していたようですが、制作が遅れて制作費も尽きたことから1952年にプロデューサーが勝手に完成させてしまったそうです。しかし、皮肉にもそんな中途半端な状態でも世界的な評価を得て人気となったそうで、1955年には日本でも公開されて日本のアニメ界にも大きな影響を与え、高畑勲 氏もその1人のようです。アニメーションで内面性や思想を語れるのかと驚いたようで、それがきっかけでアニメの世界へと入っていったのだとか。ここでも「やぶにらみの暴君」の映像を流していましたが、確かに凄いクオリティで、階段を下っていくシーンの滑らかな動きは戦後間もない頃のアニメとは思えない出来栄えでした。
その後、1967年にポール・グリモーが作品の権利とネガフィルムを買い取り、再びジャック・プレヴェールと組んで手を加えて1979年に「王と鳥」と改めて発表されました。


<第1章 出発点 アニメーション映画への情熱>
1章は初期のコーナーです。高畑勲 氏は1959年に東映動画に入社し、演出助手時代には「安寿と厨子王丸」に関わり、「狼少年ケン」でも技術とセンスを発揮したそうです。そして「太陽の王子ホルスの大冒険」は同僚と共に試みた集団制作などにも特徴があるそうで、ここではそうした制作の様子も踏まえて紹介されていました。

まず「安寿と厨子王丸」のセル画がいくつかあり、その近くに入社して間もなく書いた「竹取物語」の漫画映画の企画書がありました。これはプロットの社内募集にも出さず実現しなかったものの、「ぼくらのかぐや姫」という企画ノートにぎっしり書いていたようです。晩年に「かぐや姫の物語」を手がけたことを考えると、およそ半世紀も前から構想はあったのかも知れませんね。

その後に「狼少年ケン」の絵コンテや資料、ゴリラと戦う172話の映像などを流していました。ちょっとこの辺は現代には通じないかも…。

そして「太陽の王子ホルスの大冒険」のコーナーがありました。この作品は企画から3年半かかっているようで、交渉資料なども残っています。作画が完了するのは何時か?などのやり取りがあり、スケジュールの遅延で制作を中断を言い渡されたこともあったようです。また、この作品ではスタッフの意見を取り入れる方式が取られたそうで、分業になっても全員が何を作っているのか分かるようにキャラクター・企画・脚本なども全員で意見する民主的な環境だったようです。最若手の動画員として宮崎駿 氏が参加していて、村の労働の様子を緻密に描くことでリアリティが生まれるなどの意見があったようです。この方式があったからこそクオリティが上がったのが伺えます。これは一般的な企業でも重要と言われる目的意識に繋がる施策だけに学ぶ所は大きいですね。

ここで面白いのが、物語を観る感情の起伏を表現した「番盤表」というもので、どこで感情が盛り上がるのかが時系列的に表現されています。また、登場人物の登場している箇所をガントチャートのように表したり、人物の関係図を描くなど、様々な角度で物語性を深く追求しているようでした。

その先には東映動画のアニメーターの机などもありました。割と普通の学習机みたいなw そして「太陽の王子ホルスの大冒険」の一部を映像で流していました。絵柄は時代を感じますが、動きが多く躍動感があり民族音楽のような音楽も印象的です。元々はアイヌの神話をベースに脚本を組んでいるらしく、音楽は間宮芳生 氏に依頼したのだとか。

少し先にはもう1人の主人公であるヒルダという少女のコーナーもありました。このヒルダは悪魔の妹で村を滅ぼす一方で、人間的な感情もあるそうで、ベテランアニメーターの森康二 氏が担当して 苦悩と悲しみの目・眉と、嗤いの口をモンタージュした般若のような複雑な表情となったそうです。私はこの映画を観たことがありませんが、これらの資料を観ていると相当に考え抜かれて作られているようなので、一度観てみたくなりました。

その後は「やぶにらみの暴君」も手がけた詩人ジャック・プレヴェールの本がいくつか並んでいました。これらは高畑勲 氏が翻訳し、現代アーティストの奈良美智 氏が挿絵を描いたもので、奈良美智 氏らしい女の子の絵が字の上にまで描いてありますw 豪華なコラボレーションですが、ジャック・プレヴェールは反権力・反権威的な作風らしいので、3人の共通項が何となく納得できました。
 参考記事:奈良美智 君や 僕に ちょっと似ている (横浜美術館)


ということで、長くなったので今日はこの辺にしておこうと思います。前半は資料が多かったように思えますが、早くも高畑勲 氏らしさを感じられるエピソードもあって興味深い内容でした。後半はセル画や原画が多めとなっていましたので、次回はそちらについてご紹介予定です。

 → 後編はこちら



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CHRISTIAN BOLTANSKI - ANIMITAS II 【エスパス ルイ・ヴィトン東京】

日付が変わって昨日となりましたが、金曜日の会社帰りに表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京で「CHRISTIAN BOLTANSKI - ANIMITAS II SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 CHRISTIAN BOLTANSKI - ANIMITAS II SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION

【公式サイト】
 http://www.espacelouisvuittontokyo.com/ja/

【会場】エスパス ルイ・ヴィトン東京
【最寄】原宿駅、明治神宮前駅、表参道駅

【会期】2019年6月13日~11月17日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_②_3_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は現代のフランスを代表する作家クリスチャン・ボルタンスキーのミニ個展で、「アニミタス」という映像のシリーズ作品の中から2点を上映するものです。クリスチャン・ボルタンスキーについては先日の国立新美術館での回顧展の記事を参照して頂ければと思いますが、死や記憶などをテーマにした作品を多く手がけ、国立新美術館の展示でも「アニミタス(白)」という作品がありました。この展示ではアニミタスについて解説していましたので、それと共に会場の様子を簡単にご紹介していこうと思います。
 参考記事:クリスチャン・ボルタンスキー - Lifetime (国立新美術館)

会場を入るとこんな感じです。
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奥に1つ、手前の写真に写っていないところに1つスクリーンがあり2つの作品を上映しています。スクリーンの周りには草が生えていて、部屋に入ると草の香りがしました。

クリスチャン・ボルタンスキー 「アニミタス(死せる母たち)」
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こちらはイスラエルで撮られた映像。このシリーズの1作目はチリの砂漠で作られ、そこは独裁化で消えていった人を偲ぶ霊廟・巡礼地でもあった場所だったらしく、タイトルの「アニミタス」はチリの人々が視野の例を祀るために路傍に置く小さな墓標を示すそうです。このバージョンはイスラエルの死海となっていて、300個の日本の風鈴が並んでいます。この風鈴は作者の生まれた1944年9月6日の夜の星座の配置に置かれているそうで、短冊もついています。他に何も無い所で非常に寂しい光景に見えるかな。時の流れや哀悼の意味が込められているように思えました。

クリスチャン・ボルタンスキー 「アニミタス(ささやきの森)」
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こちらは日本で撮られた映像で、チリチリとなる風鈴と、背後でセミの声が響いて 結構風情ある感じになってるかなw 何と12時間もあるようで、日の出から日没までをワンカットで連続撮影しているようです。こちらは見慣れた日本の風土ということもあって、それほど死や寂しさは感じませんでした。

映像の前には草が敷き詰められています。
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会期中に時間と共に変化していくのも作品の一部のようです。そう言えば国立新美術館にも会期中に電球が徐々に消えていく作品がありましたね。

会場の外ではボルタンスキーへのインタビューを流していました。
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ドイツとの繋がり、特にカール・ヴァレンティン(喜劇役者)からの影響の強さなどを語っていました。

最後にボルタンスキーに関する著作物
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ということで、ミニ展示でしたが国立新美術館では理解しきれなかった「アニミタス」の意図が分かって楽しめました。この展示は期間が長めですが、できれば国立新美術館のボルタンスキーの回顧展と合わせて観たほうが一層面白いと思います。 ここは無料で観られますので、表参道に行く機会があったらチェックしてみてください。


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Cafe 椿 (2019年07月)【山種美術館のお店】

前回ご紹介した山種美術館の速水御舟の展示を観た後、館内にある「Cafe 椿」でお茶してきました。このお店は以前にご紹介したことがありますが、9年前のことなので改めてご紹介しようと思います。

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【店名】
 Cafe 椿

【ジャンル】
 カフェ

【公式サイト】
 http://www.yamatane-museum.jp/museumshop/
 食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130302/13098102/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 JR・東京メトロ 恵比寿駅

【近くの美術館】
 山種美術館 ※館内のお店です

【この日にかかった1人の費用】
 1000円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
展覧会も盛況だったこともあって、ほぼ満席となっていました。それでも特に待つことは無かったのでラッキーでした。

さて、このお店は山種美術館のロビーにあるカフェで、速水御舟の「名樹散椿」に因んだ名前となっています。展覧会ごとに工夫を凝らした和菓子・洋菓子のコラボメニューが用意されるのが特徴で、今回も速水御舟展に合わせたメニューがありました。
 参考記事:Cafe 椿 【山種美術館のお店】

この日は速水御舟の「白芙蓉」「牡丹」「翠苔緑芝」「和蘭陀菊図」「炎舞」に因んだ和菓子のセットがあったので、「炎舞」をモチーフにした「ほの穂」とお茶のセットにしました。(この時の展示の期間限定メニューです)
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飲み物はコーヒー、紅茶、今月のお茶から選べます。100円高いけど抹茶、東方美人、らん香湯とのセットもありました。

こちらが「ほの穂」 燃え盛る火焔を思わせる見た目で、上には金粉が乗っています。
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きんとんが結構ポロポロ落ちるのが難点ですが、柿のような香りで非常に爽やかな和菓子となっています。

中にはこし餡が入っていました。
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あんこは黒糖風味大島あんだそうで、濃厚だけど甘過ぎず香りも楽しめました。上品で美味しい和菓子です。

他の和菓子も見た目が綺麗なので試してみたかったけど、食べ過ぎになるのでやめておきましたw 和菓子は持ち帰りもできるようです(確か2つ以上だったと思います)

続いてコーヒー
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こちらは濃厚でやや苦味があり、酸味はそれほどない感じでした。飲みやすくて和菓子にも合いました。


ということで、展覧会の余韻を楽しめるようなメニューで 見た目も味も満足できました。いつも混んでいるイメージがあるものの、それに見合う内容だと思います。山種美術館の展示を観たら、それに因んだ甘味を味わうのも楽しいと思います。


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生誕125年記念 速水御舟 【山種美術館】

この前の日曜日に恵比寿の山種美術館で「山種美術館 広尾開館10周年記念特別展 生誕125年記念 速水御舟」を観てきました。この展示は前期・後期で入れ替えがあり、私が観たのは後期の内容でした。

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【展覧名】
 山種美術館 広尾開館10周年記念特別展 生誕125年記念 速水御舟

【公式サイト】
 http://www.yamatane-museum.jp/exh/2019/hayamigyoshu.html

【会場】山種美術館
【最寄】恵比寿駅

【会期】2019年6月8日(土)~8月4日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構混んでいて場所によっては人だかりができるような感じでした。

さて、今回の展示はかつては幻の画家とも呼ばれた速水御舟の個展となっています。この山種美術館が現在の地に移ってきて10年になるのを記念したもので、開館記念の際にも速水御舟展をやっていた訳ですが今回はその展示以来となる山種美術館の速水御舟作品の全公開(前期・後期で入れ替えあり)の機会となっています。速水御舟は40歳で亡くなるまでに700点あまりの作品を残しましたが、その多くは所蔵家に秘匿されて公開される機会が少なかったそうです。1976年に旧安宅産業コレクションの御舟作品105点を山崎種二(山種美術館創設者)が一括で買ったことでこうして速水御舟を我々も観ることができるようになったようです。展示は4章構成となっていましたので、各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
 参考記事:
  速水御舟展 -日本画への挑戦- (山種美術館)
  再興院展100年記念 速水御舟-日本美術院の精鋭たち- (山種美術館)


<第1章 画塾からの出発>
まずは画業の始まりに関するコーナーです。速水御舟は1829年に質屋を営む蒔田良三郎と いと の次男として浅草に生まれ、本名は蒔田栄一という名前です。後に祖母の速水キクの養子になったことで速水姓になり、御舟というのは俵屋宗達の「源氏物語澪標関屋図屏風」の舟から取った後の時代の画号です。幼い頃から絵が好きで、14歳で著名な歴史画家だった松本楓湖に入門、10代の頃には屋外の写生や個展の模写で学びました。その画塾で今村紫紅と出会い、紫紅の参加する紅児会に入りました。しかし紅児会が解散すると、今村紫紅が中心に結成された赤曜会で行動を共にしたようで、今村紫紅の「僕は壊すから君たちは建設してくれたまえ」という言葉は速水御舟を大いに刺激したようです。1914~1916年にかけては極端な縦長の画面にリズム感のある筆触で、鮮やかな色調なのが特徴らしく、今村紫紅の南画風の影響を受けたようです。ここにはそうした初期の作品が並んでいました。

11 速水御舟 「春昼」 ★こちらで観られます
こちらは埼玉県の新座市辺りの茅葺きの農家を描いた作品で、速水御舟はこの辺に滞在して多くの風景画を残しています。1人も人がいない光景ですが、軒先の屋根に6~7羽の鳩の姿があり、巣箱も見えています。全体的にややぼんやりしていて静けさや長閑さを感じるかな。こちらは院展への出品作とのことでした。

この近くにはこぶとり爺さんを題材にした「瘤取之巻」、初期作の「錦木」、南画風の「赤城路之巻 (小下図)」などもありました。

5 速水御舟 「富士 (小下図)」
こちらは横長で中央に富士山が描かれた作品で、末広がりで山の中腹あたりに雲がかかっています。稜線などに輪郭線が使われていて、色は淡く滲むような表現となっていました。雄大さより静けさを感じるような作品でした。

近くには南画に影響を受けた「山科秋」などもありました。


<第2章 古典への挑戦>
続いては古典を取り込んだ作風のコーナーです。速水御舟は1920年の「京の舞妓」以降、徹底した写実に向かい日本画の絵の具で油彩画的な質感表現に迫ろうとしたようです。その結果、「桃花 」のような厳密な自然観察に基づき精緻に描く宋代院体花鳥画を意識した境地に辿りついたようです。しかしその後は細密描写から離れ、琳派の装飾構成へ志向を強めていきました。速水御舟は生涯を通じて琳派を意識していたようで、先述の通り画号の由来にもしているほどです。ここにはそうした先人から学んだ作品などが並んできました。

8 速水御舟 「桃花」 ★こちらで観られます
こちらは長女の為に描いた桃の花の枝先の絵です。一部をクローズアップしているのは院体花鳥画を意識している為で、「折枝画」の様式に則っているようです。油彩画に質感を寄せていて、淡い金地に写実的で陰影もついて立体的に見えます。この頃、洋画家の岸田劉生と交流があったようで、中国画の話に花を咲かせることがあったのだとか。落款も徽宗皇帝の書に倣っているとのことで、深い研究の成果を観ることができました。

この近くには関東大震災直後の街の様子を描いたキュビスム風の「灰燼」もありました。西洋画も研究していたんでしょうね。

12 速水御舟 「百舌巣」
こちらは最後の部屋にある「炎舞」と同時期の作品で、巣の中に入っている2羽の百舌鳥の雛が描かれています。右の方を見つめていて、その先に親鳥でもいるのかもしれません。羽根の質感や体躯がふわっとした感じですが 目つきは割と鋭くて、可愛いようで警戒しているような緊張感がありました。

42 速水御舟 紅梅・白梅 のうち 「紅梅」「白梅」 ★こちらで観られます
こちらは2幅対で、右幅に紅梅、左幅に白梅が描かれていて、白梅の隣には細長い月も浮かんでいます。背景にはぼんやりと墨が流れるように塗られていて、空間の広がりや梅の香りなどを連想させます。全体的に静寂が漂い、神秘的な光景となっていました。解説によると、これは琳派を学んだ頃に描いたそうで、写実と様式化のバランスが絶妙に思えました。

19 速水御舟 「供身像」
こちらは埴輪の武人を描いたもので、笑みを浮かべてちょっと眉をひそめるような顔つきをしています。全体的に茶色っぽい画面なのですが、ボリュームたっぷりに埴輪が描かれ、さらにその周りにオーラのような流れがあるので存在感がありました。特に解説はありませんでしたが、これも洋画からの影響じゃないかなと思ったり。

この近くには「炎舞」と同じく昆虫を主題にした「葉蔭魔手」や「粧蛾舞戯」などもありました。

23 速水御舟 「翠苔緑芝」
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こちらの作品だけ撮影可能となっていました。速水御舟の作品の中でも特に琳派風に思える作品です。

注目はこの紫陽花の花で、ひび割れの表現に工夫があります。
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ひび割れを作るために胡粉を焼いたりしたそうです。紫陽花の雰囲気がよく出ているように思います。

こちらは紫陽花の近くのウサギのアップ
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金地・緑に白が映えます。赤目もアクセントになっているように思えました。

こちらは黒猫のアップ。
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視線の先には何があるのかな? ウサギとは若干角度が違うように思うけど… 毛並みのふわっとした感じが可愛い。

この隣には同じく装飾的な「名樹散椿」もありました。


<第3章 10ヶ月にわたる渡欧と人物画への試み>
続いては10ヶ月の渡欧とその後の人物画に関するコーナーです。速水御舟は1930年にローマ日本美術展覧会の為に横山大観らと共にイタリアに2ヶ月以上滞在し、さらにギリシャ、フランス、スペイン、イギリス、ドイツ、エジプトなどを10ヶ月間かけて歴訪しました。特にエル・グレコに興味を持っていたようで、スペインでエル・グレコの絵を見るのが大きな目的の1つだったようです。そして帰国すると日本画家のデッサン力不足を痛感し、モデルを使った裸婦デッサンを頻繁に行ったり、人体解剖の講義を聞きに行って人物画に意欲的に取り込んだようです。翌年以降は毎回 人物画を出品していたとのことで、ここにはそうした渡欧や人物画に関する品が並んでいました。
 参考記事:大倉コレクションの精華II-近代日本画名品選- (大倉集古館)

61 速水御舟 「聖フランチェスコ寺のあるアッシジの村 (写生)」
こちらはヨーロッパでのスケッチで、急な坂道とそこに建つ家が描かれています。坂道には女性の姿があり、遠くには山が見えていて、水彩と色鉛筆で写実的に描いています。それが何とも異国情緒があって、風情が感じられました。

他にも同様のスケッチが数点ありました。ギリシャ遺跡を描いた日本画などもあり、変わった画題で面白いです。

80 速水御舟 「裸婦 (素描 9)」
こちらは椅子に座る裸婦の素描です。頭が小さくて、やけに体が大きく見えるかな。肉感的だけどちょっとバランスが妙な感じに見えました。裸婦はそれほど得意じゃなかったのかな??

70 速水御舟 「埃及所見」
こちらはロバに乗った2人のエジプト人と、その後ろで荷物を背負って後を追うロバが描かれています。背景は無地なのですが、紙の繊維?が砂漠のような質感となっていて、余白が見事に生かされていました。構図も面白いし、中々の傑作だと思います。

近くには朝鮮を訪れた時の作品や、裸婦の素描などもありました。


<第4章 更なる高みを目指して>
最後は晩年のコーナーです。速水御舟は渡欧で人物画に挑戦する一方で花鳥画の佳作も制作していました。しかし、自分の絵に批判的だったようで、「世間が褒めてくれる絵を描くのは簡単だけども、これからは売れない絵を描くから覚悟しておいてくれ」と夫人に語っていたようです。1つの画風を極めてはまた崩して新しい画風に挑んでいたのが速水御舟の大きな特徴と言えそうです。晩年には親友の小山大月と共に伊豆に隠棲して制作に没頭する計画を建てていたようですが、40歳の若さで急逝して叶わなかったようです。ここにはそうした時期の作品が並んでいました。

89 速水御舟 「春池温」
こちらは手前にピンクの桃、背景に水面をターンしている鯉が描かれています。鯉と水面は水墨なので、モノクロとカラーが混ざった斬新な試みとなっています。枝と鯉の体は円を描くような流れとなっているのも面白い構図でした。

この辺には無地を背景にした花のスケッチなどが並んでいました。写実的だけど簡潔な線で簡略化しているように見えました。

91 速水御舟 「椿ノ花」
こちらは無地を背景にした椿の花で、花には滲みを使った「たらし込み」のような技法が観られます。かなり色が強く、特に緑が濃く感じられるかな。やや装飾的で、枝ぶりが窮屈な感じにも思えました。

この近くには「あけぼの」と「春の宵」などもありました。続いては第二展示室です。

98 速水御舟 「白芙蓉」
こちらは白い花と赤い雄しべが目を引く芙蓉を描いた作品です。葉っぱや茎は墨で描いていて、特に茎は安田靫彦が「二度と引けない またと引けない天来の線」と賞賛していたらしく、優美な線となっています。滲みを生かしていて、琳派風となっているように思えました。

13 速水御舟 「炎舞」 ★こちらで観られます
今回のポスターにもなっている速水御舟の代表作です。炎の周りを蛾が舞っている様子を描いたもので、炎はまるで仏画や不動明王の光背の炎を思わせる装飾性があり、螺旋を描くように舞い上がっています。一方、蛾はみんな正面向きで舞っていて神秘的な光景です。解説によると、速水御舟は軽井沢に3ヶ月間滞在し、毎晩 焚き火をして群がる蛾を観察していたそうです。西洋画のルドンにも蝶を描いた幻想的な作品がありますが、この作品はそれに勝るとも劣らない象徴姓を感じる大傑作だと思います。日本の伝統も組み込んでいるし、観れば観るほど素晴らしい作品です。


ということで、見覚えのある作品が多かったですが、久々に観るものもあって貴重な機会となっていました。画業の変遷も観られるのはこれだけの速水御舟のコレクションを持っている山種美術館でしかできない展示だと思います。特に「炎舞」は近代日本画の中でも屈指の名作ですので、興味がある方は是非どうぞ。



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中山英之展 , and then 【TOTOギャラリー・間】

前回ご紹介した展示を観た後、乃木坂のTOTOギャラリー・間(TOTO GALLERY・MA)で「中山英之展 , and then」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 中山英之展 , and then

【公式サイト】
 https://jp.toto.com/gallerma/ex190523/index.htm

【会場】TOTOギャラリー・間(TOTO GALLERY・MA)
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅など

【会期】2019年5月23日(木)~8月4日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
結構多くの人で賑わっていて、上階の映像コーナーは満席に近い状態でした。それ以外の所は概ね自分のペースで観られるくらいかな。注目されている展示のようです。

さて、この展示は現在活躍されている建築家であり東京藝術大学准教授でもある中山英之 氏の個展です。中山英之 氏は東京藝術大学建築学科を卒業して伊東豊雄建築設計事務所に勤務した後、自身の設計事務所を設立し、コンペティションや住宅設計などで評価を高めているようです。現在進行中のプロジェクトの中にはベルギーでの設計などもあるようで、今後も国際的な活躍が見込まれる建築家です。どこかで名前を観たことがあったので調べてみたら、以前に「建築はどこにあるの?」展にも出品されていたようでした。 今回の展示では中山英之 氏の建築の模型や、それを映像化したミニシアターなどがありました。写真を撮ってきましたので、それと共に簡単に感想を書いていこうと思います。
 参考記事:建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション (東京国立近代美術館)

こちらは代表作の岡田邸の実際の写真
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屋根の姿や色を規定した景観条例のある場所だったとのことで、色々と模型を作って試したようです。

こちらが模型。
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家だけでなく周りも模型にしていて、静かな木陰や家と家の隙間などが勝手に生まれてくることに気づいたそうです。現地のロケーションをよく考えて設計されてるようですね。

この細長い建物が気になりました。
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詳しいことは分かりませんが、微妙にカーブしているのかな。

今回の展示は手書きのキャプションがあるけど、ちょっと難しいw 実のところ、私は今回の展示の大半を理解しきれていません…

こちらも模型
DSC00285.jpg
詳しいことが分かりませんが、模型の合間に女の子の描かれた紙や矢印と数字の入った旗などが立っていました。

恐らくこちらは先程の模型の中央にあった建物と思われます。
DSC00286.jpg

こちらは2階建てに見える建物
DSC00297.jpg
中の設計図を観ると4層になっているようです。段差があって連続しているような構造かな。

横から観るとこんな感じ
DSC00304.jpg
家の中にハシゴがあったりして楽しそう。半地下のようになっている部分もあるようで、外観からは分からない構造でした。

ヒッチコックに関する著作がいくつかありました。
DSC00301.jpg
中山英之 氏は全体像がまだ無いままにとても具体的なシーンをバラバラなまま深めていくというヒッチコックの映画術に計り知れない影響を受けたそうです。映画の造りが建築のヒントになるとは、観てる視点が凄いですね…

こちらは「小さすぎるビル」という作品
DSC00307.jpg
テーブルやハシゴを組み合わせた感じにも見えますが、確かに多層構造のビルっぽさもあるかなw インスタレーションとしても面白い発想でした。

こちらは一見すると先程の家に似てますがちょっと違うかな。
DSC00312.jpg
これも詳細は分かりませんでした。

こちらは曲線が美しい建物
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これも詳しいことは分かりませんが、オフィスかな? 優美な雰囲気です。

こちらは「かみのいし」 こう見えて紙で出来ているようです。
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庭石があるなら部屋石があってもいいという思いつきから生まれたそうですが、これは面白い発想だと思います。軽いのに重厚感あって不思議な空間が生まれそう。

こちらは「きのいし」
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木の板にプリントを貼っているようですが、見た目はカットされた石にしか見えませんw これも何かに応用できそう。

そして上の階はミニシアターになっていて、中山英之 氏の建築を5人の監督が撮った短編を上映していました。
DSC00334.jpg
映画は撮影禁止で全部観たわけではないですが、中山英之 氏の建築の特性を活かしつつ独特の視点やカメラワークで映し出していて、そのコラボぶりが面白かったです。


ということで、展覧会の構成が分かりづらかったこともあって、理解できていない部分が多かった気がします。しかし、模型や映画を観ているだけでも魅力的な建物を設計されているのは伝わってきたかな。建築に造形が深い方ほど面白い展示ではないかと思います。



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多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

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