関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

MAY I START?計良宏文の越境するヘアメイク 【埼玉県立近代美術館】

今日は写真多めです。この前の土曜日に北浦和の埼玉県立近代美術館で「MAY I START?計良宏文の越境するヘアメイク」を観てきました。この展示は一部を除き撮影可能となっていましたので写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 MAY I START?計良宏文の越境するヘアメイク

【公式サイト】
 http://www.pref.spec.ed.jp/momas/?page_id=413

【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅

【会期】2019年7月6日 (土) ~ 9月1日 (日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
台風接近の日だったこともあり、空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示はヘアメイクアップアーティストとして活躍されている計良宏文(けら ひろふみ)氏の個展です。私は15年くらい今のペースで各地の展覧会を観ていますが、ヘアメイクの展示というのは初めて(しかも公立の美術館)で、かなり未知の世界だったので興味を引かれました。計良宏文 氏は資生堂のトップヘアメイクアップアーティストで、「TSUBAKI」などの宣伝広告をはじめ、パリコレクションなど国内外のファッションショーや、アイドルグループのヘアメイク、現代美術家の森村泰昌など様々なアーティストとのコラボレーションなど、幅広く活躍されているようです。この展示ではそうした様々な仕事を紹介していましたので、詳しくは写真と共にご紹介していこうと思います。

<1>
章立てはタイトルがなく1章はヘアメイクの写真を中心とした内容でした。ちなみに展覧会の後世は気鋭の建築家の海法圭 氏が手掛けたそうです。また、今回の展覧会名は計良宏文 氏がファッションショーのバックステージでヘアメイクを施す前にかける言葉だそうで、この展示で新しい挑戦を目撃して欲しいという意味が込められているようでした。

まず最初は雑誌で使われた写真などが並んでいました。

計良宏文 「『IZANAGI』2015年4月号」 (写真:勅使河原城一 スタイリスト:色部聖子)
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モードについては詳しくないですが、絵画的で赤と白が華麗な印象を受ける写真。髪型と衣の動きがよく合っているように思います。

計良宏文 「造形美/上昇」「造形美/ボリューム」「造形美/不定形」「造形美/スクエア」「造形美/下降」「造形美/サークル」 (写真:勅使河原城一 スタイリスト:Masaya Kudaka)
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それぞれのタイトルが示す通りの斬新な髪型に驚きました。特に左上の「スクエア」はバッサリ切られた後ろ髪が近未来的に思えました。

この近くには撮影できない資生堂「TSUBAKI」やドルチェ・アンド・ガッバーナでの仕事が紹介されていました。

計良宏文 「でんぱ組.inc [いのちのよろこび]コスチューム、ウィッグ」
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こちらはアイドルのでんぱ組のコスチュームデザイン。頭に原始人が食べる肉みたいなのを載せているのが気になるw ちょっと奇抜な印象を受けるかなw 蜷川実花 氏が撮った写真などもありました。

こちらはでんぱ組のウィッグ
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いずれも個性的で、オタク文化を取り入れたようなデザインとなっていました。


<2>
続いてはファッションショーで使われたヘアメイクに関するコーナーです。

会場はこんな感じでマネキンが並んでいます。
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奥に写っているモニタの前に舞台のような所があって、計良宏文がヘアメイクライブをする日もあるようです(整理券制2019年8月6日予定 詳細は公式サイトをご覧ください)

計良宏文 「ヘアフォン」 2009年パリコレクション
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こちらはヘッドフォンの部分がウィッグになっている面白い発想。実際に音楽を聴くこともできるようで、モデルさんのイメージに合わせてパターンやボリューム感が異なるバージョンになるようです。

計良宏文 「PRIMITIVE」 2019年春夏コレクション
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こちらはタイトル通り原始をテーマにしたコレクションのようで、隣には縄文土器も並んでいました。服装も含めて呪術や土器を思わせる力強さがあります。

計良宏文 「2019年春夏コレクションPRIMITIVEのためのヘッドピース(別ヴァージョン)」
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こちらは別バージョン。渦巻く様子が一層強く出ているように思います。一方で装飾としてはまとまってる気がするのでさっきの方がインパクトあったかなw

計良宏文 「SOMARTA×smart fortwoのためのヘア」 2012年春夏コレクション
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こちらは鳥をテーマにしていそうですが、恐ろしく尖っていてまるで昔のポリゴンのキャラクターの頭のように観えるw 

後ろから観るとこんな感じ
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この髪型は発泡スチロールを土台にしてモデルの髪を繋げるそうです。スプレーで固めるのか??と思ったけど、そういう技術もあるんですね。

計良宏文 「gege」 2016年秋冬コレクション
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こちらは妖怪をテーマにした作品。むちゃくちゃ怖くてヘアメイクのイメージを軽くぶっ飛ばしてくれましたw 民話や伝承などをモチーフにした小西紀行 氏の絵が着想源になっているようです。

計良宏文 「MIKIKO SAKABE」 2018年春夏コレクション
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こちらも驚きのファッション。髪は風に吹かれているような勢いや動きを感じさせました。

近くにヘアメイクで使う道具が並んでいました。
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って、糸ノコなんて使うんですねw これだけ観たらどんな工作をするんだ?って感じですw

こちらも道具類
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トンカチとかニッパーとか、まさに工芸品を作るアーティストなんでしょうね。

部屋の奥は様々な髪型の女性の映像が流れていました。
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どんどん人が入れ替わって行く映像で、どれも個性的なヘアメイクばかりです。


<3>
3章は他ジャンルのアーティストとのコラボレーション作品が並んでいました。

まず森村泰昌 氏とのコラボ作品(撮影不可)のコーナーで、2013年に資生堂ギャラリーで行われた「森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」の写真が並んでいました。このヘアメイクをしたのが計良宏文 氏だったようで、会場外ではそのメイキング映像も流していたのですが、ベラスケスの絵の中の人の髪型を忠実に再現していました。卓越した技術力が伺えますね。
 参考記事:森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る (資生堂ギャラリー)
       ↑この記事にある写真と同じものが並んでいました。

計良宏文×勅使河原城一 「Flowers わたしを咲かせなさい」
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こちらは写真家で華道家でもある勅使河原城一 氏とのコラボ作品。2016年にヒカリエで行われた展覧会の為に同名の作品が作られたそうですが、今回の展示のために新作に取り組んだそうです。勅使河原城一 氏が花を選び、2人で即興的に作り上げていったとのことで、花と人の融合をテーマにしているようでした。

小部屋に文楽人形が3体置かれていました
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こちらは文楽の人形遣いの勘緑 氏とのコラボ作品。3Dプリンタでオリジナルの文楽人形を作るという徳島大学のプロジェクトに2人が参加して以来、コラボレーションしているそうです。

計良宏文 「文楽人形(ココン)」
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かしらは計良宏文 氏が作っているようです。髪型のせいか普通の人形より生気を感じます。

映像では計良宏文 氏がヘアメイクする様子を流していました。
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ということで、全く知らない世界でしたが予想以上に面白い展示でした。モードやアートの世界でヘアメイクが担う重要性なども分かったように思います。解説等は少ないですが、素人目にも驚きが多いので幅広い人が楽しめると思います。特にファッションやヘアメイクに興味がある方におすすめです。



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みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ-線の魔術 (感想後編)【Bunkamura ザ・ミュージアム】

今日は前回に引き続き渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムの「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ-線の魔術」についてです。前半は3章の途中までについてでしたが、後編は3~5章についてご紹介して参ります。まずは概要のおさらいです。

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ-線の魔術

【公式サイト】
 https://www.ntv.co.jp/mucha2019/
 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_mucha/

【会場】Bunkamura ザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅

【会期】2019/7/13(土)~9/29(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
前半はミュシャ本人についてでしたが、後半(4~5章)は後世への影響に関するコーナーとなっていました。

  
<3章 ミュシャ様式の「言語」>
前編に引き続き、3章では撮影可能だった作品について写真を使ってご紹介していこうと思います。

アルフォンス・ミュシャ 「『鏡によって無限に変化する装飾モティーフ』のためのデザイン」
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こちらは図柄のサンプル集。読者はこれを2枚の鏡を使って無限に変化させて、新たなデザインの糧となるよう勧められているそうです。一部は具象ですが、音符を思わせる有機的な文様が面白い。

アルフォンス・ミュシャ 「『鏡によって無限に変化する装飾モティーフ』 図6・図18・図42・図54」
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こちらも同様の装飾モティーフ。シンプルながらもミュシャらしい優美さが感じられます。軽やかで流れるような曲線に特徴があるように思いました。

アルフォンス・ミュシャ 「『装飾資料集』図47」
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こちらはデザインの見本集。女性像に目が行きますが、花や周りの装飾などもミュシャ独特のものとなっています。これもQ字型の構図ですね。

アルフォンス・ミュシャ 「『装飾資料集』図33」
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こちらは裸婦像。面白いのが背景の文字で、DOCUMENTS DECORATIESと描いてあるのが分かります。タイポグラフィまで装飾的にあらわしていて、まさにミュシャ装飾の辞典のようです。

アルフォンス・ミュシャ 「『装飾資料集』図13」
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こちらは花の装飾。後ろにはミュシャがよく使った雪輪文様が表されています。上下・左右が繋がるように描けば無限に続いてテキスタイルに使えそうなのになあw 

アルフォンス・ミュシャ 「三つの季節:春、夏、冬」
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こちらは何故 秋がないのか分かりませんが、季節の擬人化かな。絵柄が変化してきているのを感じます。

アルフォンス・ミュシャ 「『装飾人物集』図26の最終習作」
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こちらは人物集のための素描。ミュシャの作品の魅力の1つに女性のポーズが挙げられると思います。特に下の女性の誘うようなポーズと表情に色気を感じました。

アルフォンス・ミュシャ 「チェコの音楽界のパンテオン:ポスター/カレンダー」
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これはチェコ時代の作品じゃないかな。絵柄はスラブ叙事詩のものに近く、写実性が増しているように思います。バイオリンを引いているのは音楽の擬人像でしょうか。神話的な雰囲気は健在です。

アルフォンス・ミュシャ 「闘志(ヤン・ジジュカ):市長ホールのペンデンティブ画のための大型習作」
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これも恐らくチェコ時代と思われます。グアッシュで描かれた大型の習作で、等身大くらいありました。詳しくは解説がなかったので分かりませんが、モティーフもスラブの歴史と何か関係あるのかもしれませんね。


撮影可能なのはここまでです。4章以降は再び撮影不可となっていました。


<4章 よみがえるアール・ヌーヴォーとカウンター・カルチャー>
4章はミュシャの再発見と影響に関するコーナーです。ミュシャの没後24年となる1963年に、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館と2つの画廊でミュシャ展が同時に開催されたそうで、その頃は冷戦だったこともあってミュシャは西側諸国の記憶から薄れていたようです。特にパリ以降の作品は鉄のカーテンの向こう側にあった訳ですが、これら回顧展によって忘れられたミュシャの業績が再評価されるようになったようです。批評家たちが注目したのは渦巻くミュシャの描線で、曲線表現の「システム」でした。このミュシャの曲線にロンドンやサンフランシスコの若者文化の担い手たちが即座に反応し、当時のベトナム戦争の反戦運動にミュシャの優美で平和的なモティーフの感性が共鳴したようです。そして1960年代以降はロックのポスターやジャケットに続々とミュシャ風の絵柄が現れ、1990年代にはアメリカンコミックなどにも波及し その影響は現在に至っています。ここにはそうしたミュシャに影響を受けた事例が並んでいました。

まずはミュシャの寓意画などがありました「椿姫」(★こちらで観られます)や「舞踏ー連作[四芸術より]」(★こちらで観られます)などお馴染み作品で、Q字型方式となっています。こうした作品が1970年代のレコードのジャケットに応用されていくことになります。

109 デヴィッド・エドワード・バード 「ニューヨーク、トリトン・ギャラリーでの個展-ダンディーとしてのセルフポートレート(個展のための宣伝用ポスター)」 ★こちらで観られます
こちらはミュシャのアール・ヌーヴォー様式を取り入れて描いた自画像で、作者はジミ・ヘンドリックスやローリング・ストーンズなどのロックバンドのアートワークを手掛けた人物です。この絵はミュシャの「椿姫」を元に反転させた構図となっているようで、星模様などを含めて雰囲気がよく似ています。意図的に絵柄を寄せている感じがするかな。ミュシャへのリスペクトも感じました。

この隣にはローリング・ストーンズやジミ・ヘンドリックス、ピンク・フロイドのコンサートのポスターなどもありました。私はピンク・フロイド好きですが、これは知らなかったw 曲線が装飾的な点にミュシャからの影響を感じさせます。
また、スタンレー・マウス&オールトン・ケリーの「ジム・クウェスキン・ジャグ・バンド コンサート」というポスター(★こちらで観られます)はミュシャの「ジョブ」そのものでしたw 色と周りの文字が違うけど、女性像はまんまですw

その先にLPジャケットが壁にづらりと並んでいます。やはりミュシャそのものの絵もあって、ジプシーの「ジプシー」なんかはそのままですw しかし独自解釈している絵もあって、キング・クリムゾンの「リザード」なんかはサイケな感じです(今まで私はインド風のジャケットだと思ってましたw) 他にもローリング・ストーンズの「フラワーズ」(★こちらで観られます)などはミュシャ要素低めかな。むしろLSDやってそうな…w

その後は1990~2000年代頃のアメコミのコーナーです。マーベルコミックの「ノヴァ」はアイアンマンが表紙になっているのですが、Q字型の中にアイアンマンが入っていて、ミュシャの「舞踏」等からの引用と思われます。まさかアイアンマンとミュシャが繋がるとは意外ですねw コミックもミュシャをまんま使っているものと、アレンジしているものがありました。Q字型の構図はよく使われているようでした。


<5章 マンガの新たな流れと美の研究>
最後は日本のマンガとミュシャの関係性のコーナーです。ミュシャ作品はパリの美術学校に通っていた日本人学生によって日本に紹介され、1900年代初頭の僅かな期間に文芸誌の表紙がミュシャ風に染まったようです。『明星』の表紙や与謝野晶子の『みだれ髪』などで描かれた女性はやがて少女画の起源になっていったようですが、大正・昭和と時間が経るに連れて忘れられていきました。しかし1960年代末にトキワ荘の一員で女性漫画家の水野英子は北米の音楽シーン経由でミュシャと「再会」してミュシャの様式を取り入れたようです。水野英子以降の少女漫画家たちもミュシャやヨーロッパ世紀末芸術に自ら追い求めていたものを見出したようで、その影響が観られます。また、1980年代以降はゲームやファンタジー小説にも影響を与えているようで、ここにはそうした日本のサブカルチャーの品々が並んでいました。

まずはミュシャの「メディア」や「モナコ・モンテカルロ」(★こちらで観られます)、「ヒヤシンス姫」(★こちらで観られます)などの代表作が並んでいました。「メディア」はちょっと怖い題材ですが、「ヒヤシンス姫」なんかは特に少女漫画との親和性は高そうに思います。可憐で優美なお姫様といった感じです。


147 藤島武二 「みだれ髪 表紙」 ★こちらで観られます
こちらは有名な与謝野晶子の著作で、縦長の本の表紙が展示されていました。ハート型の枠にアール・ヌーヴォー風の女性の横顔が表され、その下の白地には文様化された赤文字で「みだれ髪」と描かれています。ミュシャに影響を受けているのは確かでしょうが、一般的なアール・ヌーヴォーのイメージに近いようにも思えます。特に花をイメージさせるタイトル部の文字が面白く思えました。

この近くには『明星』の表紙などもありました。ミュシャから色濃く影響を受けているのが分かります。他にもミュシャの「ジョブ」そのもののデザインの雑誌の表紙なんかもあって、「ジョブ」は本当に人気作なのが伺えますw

その後は水野英子 氏の『ファイヤー!』などの漫画のイラスト(複製)などが並んでいました。瞳の中に星を描く流れを作ったのはこの方らしいですが、この作品ではミュシャそのものという訳でもなくエッセンスを取り入れているように思えました。『トリスタンとイゾルデ』という作品はかなりミュシャに寄せてるかな。

その先には山岸凉子 氏や花郁悠紀子 氏、松苗あけみ氏、波津彬子 氏などの女性向け漫画の原画などが並んでいました。人物画の髪の流れや衣の表現にミュシャからの影響を感じるものがあります。たまに意図的にミュシャ風にしているものもありました。

その後にゲームの「ファイナルファンタジー」でお馴染みの天野喜孝 氏の原画がありました。天野喜孝 氏は20代半ばでミュシャ展を観て魅力を感じたそうですが、絵柄自体はミュシャにそれほど似ていません。影響されたもののファンタジーの違うものを描こうとしたようで、線が細く幻想的な作風となっていました。

最後に出渕裕 氏による『ロードス島戦記』のイラストなどもありました。この辺も中学くらいの時に観た覚えがあったのでちょっと懐かしいw


ということで、後半はミュシャが与えたサブカルチャーへの影響が中心となっていました。私は音楽好きでもあるので、特にジャケットやポスターのコーナーはそうだったのか!?という驚きもあって面白かったです。今までのミュシャ展とはちょっと違っていて、一層身近な存在に感じる内容でした。



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みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ-線の魔術 (感想前編)【Bunkamura ザ・ミュージアム】

今日は写真多めです。先週の日曜日に渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ-線の魔術」を観てきました。この展示は一部で撮影可能となっていましたので、前編・後編に分けてじっくりご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ-線の魔術

【公式サイト】
 https://www.ntv.co.jp/mucha2019/
 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_mucha/

【会場】Bunkamura ザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅

【会期】2019/7/13(土)~9/29(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
チケットはすんなり買えたものの、中はかなり混んでいてあちこちで列や人だかりができるような感じでした。さらにミュージアムショップはかなり並んでいたかな。これから行こうとされている方はなるべく時間を多めにスケジュールしておいたほうがよろしいかと思います。

さて、この展示はアール・ヌーヴォーの代表的なポスターデザインなどで有名なアルフォンス・ミュシャに関する展示です。ミュシャの展示は頻繁に開催されていて、最近だと2017年の国立新美術館での大型展示(ブログ休止中)が開催されるなど人気の高い画家と言えます。その為、今回の展示もまた似たような内容かと予想したら、前半はオーソドックスなものの 後半はミュシャに影響されたフォロワーを漫画や映画・音楽の世界にまで広げて観るという一風変わった企画となっていました。5章構成で1~3がミュシャ、4~5章はミュシャと共に影響の様子を観る感じです。今日はそのうち、3章の途中までご紹介していこうと思います。なお、解説はそれほど多くなかったので、過去の記事などをご参照ください。

 参考記事:
  アルフォンス・ミュシャ展 感想前編(小田急新宿店)
  アルフォンス・ミュシャ展 感想後編(小田急新宿店)
  アルフォンス・ミュシャ展 (三鷹市美術ギャラリー)
  ミュシャ財団秘蔵 ミュシャ展 パリの夢 モラヴィアの祈り 感想前編(森アーツセンターギャラリー)
  ミュシャ財団秘蔵 ミュシャ展 パリの夢 モラヴィアの祈り 感想後編(森アーツセンターギャラリー)
  
  
<1章 ミュシャ様式へのインスピレーション>
まずはミュシャが影響を受けた芸術の数々についてのコーナーで、チェコのモラヴィアの少年時代からポスターデザインとして名声を築く1890年代までの足取りと共に紹介されています。ミュシャの初期作品など共に、様式の成立に寄与した様々な作品が並んでいました。

1 アルフォンス・ミュシャ 「磔刑像」 ★こちらで観られます
こちらはミュシャが8歳の時に描いたキリストの磔刑像です。全体的にバランスが細いように観えますが、これが8歳の作品とは思えないほどの完成度です。水彩で十字架の木の質感や、キリストの血が滴り脇腹を刺されている様子などもリアルに描いています。解説によると、ミュシャは音楽が好きだったそうで、教会が好きで音楽が好きになったのか、音楽が好きで教会が好きになったのか どっちか本人でも分からないという言葉を残しているようです。幼くして非凡な才能があったことが伺えました。

この辺には香炉や ガラス画による宗教画など、教会関係の品などがありました。また、他にはモラヴィアの民芸品の花瓶があり、これはアール・ヌーヴォー的な要素を感じました。ミュシャは民芸や民族衣装のモチーフを取り入れているので、こうした品は間違いなく影響を与えていそうです。

その先には日本や中国の品がありました。七宝の花瓶、真鍮製の箱、刺繍、浮世絵などが並び、当時のジャポニスムも盛り上がりと共に紹介されています。この辺はアール・ヌーヴォーの成立に深く関わるので、当然ミュシャも研究してたのではないかと思います。アール・ヌーヴォーの仕掛け人とも言えるジークフリート・ビングによる『芸術の日本』などもありました。

8 ハンス・マカルト 「マカルト・アルバム」
こちらはウィーンで活躍したハンス・マカルトのアルバムです。ミュシャは1879年から2年間ほど舞台美術の工房で見習いとして働いていたようで、こうした作品を参考にしていたようです。ここでは広くて宮殿のようなアトリエの内部の様子が描かれて、細密で華麗な印象を受けます。ちなみにハンス・マカルトに大きな影響を受けた画家にグスタフ・クリムトがいます。クリムトとミュシャの優美な女性像などに共通するものを感じるのはハンス・マカルトを源流の1つにしているからかもしれませんね。
 参考記事:クリムト展 ウィーンと日本 1900 感想前編(東京都美術館)

17 オーウェン・ジョーンズ 「仏語版 装飾の文法」
こちらは建築家オーウェン・ジョーンズが世界の装飾様式を集めたデザインの百科事典のような本です。アジア風の文様のページを展示していましたが、カラフルで異国情緒を感じます。この本はアーツ・アンド・クラフツ運動やアール・ヌーヴォーにも影響を与えているようなので、美術史上で意義の大きい本だと言えそうです。


<2章 ミュシャの手法とコミュニケーションの美学>
続いてはミュシャの挿絵や素描に関するコーナーです。ミュシャはパトロンを得てパリのアカデミー・コラロッシに在籍していたのですが、パトロンからの学費援助が突然打ち切られたことで経済的独立を余儀なくされ、得意の素描で身を立てていくことにしました。1889年から本格的に挿絵画家として働き始め、挿絵を美術作品とみなしてコンセプトからスケッチ、習作というアカデミックな手段と方法で挿絵を制作していきました。そして1890年代までに出版社や編集者にはよく知られた存在となり、高い評価を得ていたようです。ここにはそうした頃からの作品が並んでいました。

19 アルフォンス・ミュシャ 「ミュシャ自画像、ミュンヘンのアトリエにて」
こちらは油彩で、テーブルで何かを描いている自画像です。椅子に腰掛けていて、傍らにその絵を除き混む赤い服の女性の姿も描かれています。落ち着いた色調で写実的な画風で、ポスター作品とはだいぶイメージが異なって静かな雰囲気です。油彩とポスターでは作風も違うのかな。中々貴重な作品です。

23 アルフォンス・ミュシャ 「風刺雑誌のためのページレイアウト、コマ割りマンガ風」 ★こちらで観られます
こちらは故郷の友人の風刺雑誌の為に描いたカリカチュア(戯画)的な作品です。コマ割りもあって確かに漫画っぽさがあるかな。やたら誇張されて面白おかしい雰囲気となっていました。これも後の作品とはだいぶ印象が違います。

32 アルフォンス・ミュシャ 「幻影:『ファウスト』の挿絵の習作」
こちらはアカデミー・ジュリアンにいた頃に描いた挿絵で、上半身裸のファウストと、その頭上から降りてくる悪魔(メフィスト?)が描かれています。ファウストは驚いていて、誇張した遠近感や強い明暗などと共にドラマチックな雰囲気です。緻密でアカデミックな作風で、むしろ晩年の画風に近いようにも思えました。

この近くにはミュシャの挿絵の本や、素描などが並んでいました。人物素描が多いかな。

42-b アルフォンス・ミュシャ 「サロメ:『レスタンプ・モデルヌ(現代版画)』誌 1897年6月号No.2」
こちらは既にアール・ヌーヴォー風の画風になった後の作品で、版画家たちの作品集のような冊子です。のけぞって丸い物を持って踊るサロメ(その褒美で聖ヨハネの首を所望する悪女)が描かれていて、薄く透けた布や睥睨するような目つきが妖艶さを漂わせていました。

この辺からアール・ヌーヴォー的な作品が並んでいました。

50 アルフォンス・ミュシャ 「『ハースト・インターナショナル』誌・表紙(1922年1月号)」
こちらはアメリカの雑誌の表紙で、雪の女王と花を持った裸の男の子が描かれています。隣には同じポーズの写真が展示されていて、升目状にグリッドが引かれていて、素描に生かしたことが見て取れました。写真と完成した絵を比べると、ますますミュシャのデザインセンスに驚かされます。この頃になるとだいぶ画風も変わっているのも感じられました。


<3章 ミュシャ様式の「言語」>
続いてはミュシャの代表的な様式に関するコーナーです。この章の一部だけ撮影可能となっていました。ミュシャは大女優のサラ・ベルナールのポスターを手掛けて大評判になったことで有名になりました。ポスターを芸術に押し上げるだけでなく、その後6年間サラ・ベルナールの専属デザイナーとして舞台や衣装のデザインも担当しています。また、観賞用の装飾パネルを企画制作して大成功を収め、当時最先端だったアール・ヌーヴォーの典型として人気を博しました。その後、祖国に帰ってからも進化し、やがて大作の「スラブ叙事詩」に応用されています。ここにはそうしたミュシャの魅力がよく分かる作品が並んでいました。

まずは素描のコーナーで、人物だけでなくや手足・トルソといった体の一部を描いたもの、ドレープなど細部を描いたものなどがありました。ここにも同じ構図の写真が並んでいて、素描に写真を活用していたことが伺えました。

52 アルフォンス・ミュシャ 「ジスモンダ」
こちらがミュシャの出世作で、女優のサラ・ベルナールの立ち姿が大きく描かれています。クリスマス休暇だったポスター画家の代わりに仕事を引き受けてこれを手掛け、サラ・ベルナールに非常に気に入られて世間でも大評判となっていきました。上半身と下半身を分けて制作しているようで、下半身は急いで完成させたのでミュシャは不安だったとのことです。確かに全体的なバランスとしては妙な感じもしますが、圧倒的に可憐な印象を受けるのでマイナスに感じることはないかな。運命的な作品ですね。

この辺はサラ・ベルナールの舞台のポスターが多めでした。そしてその後に撮影可能コーナーがあります。撮影は2列目からのみ可能なので、ズームがないと結構つらいかもw

アルフォンス・ミュシャ 「冬の景色の中にいる少女」
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こちらはアール・ヌーヴォーっぽさはないパステル画。どこか寂しげで寓意的な感じもします。何かの作品のための素描かな?

アルフォンス・ミュシャ 「黄道十二宮」
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こちらは装飾パネルで、カレンダー用に考案された作品です。円形の中に12星座が描かれていて、優美な印象を受けます。ミュシャの代表作の1つで、真っ先にイメージするのはこの画風ではないかと思います。

アルフォンス・ミュシャ 「リュイナール・シャンパン」
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こちらは広告の為のデザイン。シャンパンを持ってたつ女性像で、髪の広がりなどにミュシャの個性を感じます。

この近くにはタバコの「ジョブ」のポスターもありました。これも代表的な傑作の1つです。

アルフォンス・ミュシャ 「トラピスチティーヌ」
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こちらもミュシャの典型的な画風の作品。背景に円形を重ねた幾何学模様があるのが特徴じゃないかな。花やドレープなども優美さを引き立ててますね。

アルフォンス・ミュシャ 「サロン・デ・サン ミュシャ展」
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こちらはミュシャの大回顧展のポスター。着ているのはモラヴィアの民族衣装で、祖国の受難と未来への希望を表すイバラの花がパネルにかかれています。ミュシャは後にスラブ叙事詩を手掛けるなど祖国に強い愛があり、祖国の為にお札のデザインなども手掛けているほどです。ここでもそれが垣間見られますね。

アルフォンス・ミュシャ 「絵画 連作[四芸術より]」
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こちらは四芸術の中の絵画を擬人化した女性像。背景の円と人物がQの字を描く「Q型方式」がこの連作では顕著にあらわれています。この形式は後のアーティストたちに多く取り入れられていくことになります(次の章で紹介されています)

アルフォンス・ミュシャ 「スラヴィア:プラハ、スラヴィア保険相互銀行のためのポスター」
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こちらもQ字方式で、祖国に帰って祖国の為に描いた作品。若干、作風が変わっているように感じるかな。膝においた剣は平和主義と専守防衛の精神を表しているとのことでした。

アルフォンス・ミュシャ 「カサン・フィス印刷所」
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こちらは大型のポスター。丸い舵のようなのは印刷所のプレスのレバーかな? 各業態の特徴を踏まえつつミュシャ風にしているように思えました。

アルフォンス・ミュシャ 「ルビー 連作[四つの宝石]より」
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こちらはルビーの擬人像。全体的に赤が多くてルビーの印象によく合います。単純化された花も非常に優美。

他の3つの宝石も並んでいました。どれも見応えがあります。

アルフォンス・ミュシャ 「浜辺のアザミ」
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こちらはノルマンディー風の女性像で、ブルターニュ風の女性を描いた「崖に咲くヒース」と2点1組になっています。ミュシャは民俗衣装をよく作品に取り入れているけど、この服は他では観ないかも。可憐な雰囲気です。


ということで、3章の途中ですが次回も写真を使おうと思うので今日はここまでにしておこうと思います。前半はミュシャの流麗な作品の数々が並び、しかも撮影可能な作品もあるのでミュシャ好きには満足度の高い内容ではないかと思います。後半は趣向が変わって驚きの多い内容となっていましたので、次回はそちらをご紹介の予定です。

 → 後編はこちら



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アートアクアリウム展2019 & ナイトアクアリウム 【日本橋三井ホール】

今日は写真多めです。10日ほど前の会社帰りに日本橋三井ホールで「アートアクアリウム展2019 & ナイトアクアリウム」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 アートアクアリウム展2019 & ナイトアクアリウム 

【公式サイト】
 http://artaquarium.jp/

【会場】日本橋三井ホール
【最寄】三越前駅

【会期】2019年7月5日(金)~9月23日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_4_⑤_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
平日の夜だったこともあって空いていて快適に鑑賞することができました。この展示は毎年やっていますが、土日や会期末に混む傾向にあります。平日夜は空いていることが多いんじゃないかな。

さてこの展示は先述のように毎年恒例となった金魚のアクアリウムで、日本の伝統芸能もモチーフにしつつインスタレーション的な感じの見せ方が特徴となっています。2011年から日本橋三井ホールで開催されていましたが、この会場での開催は今年が最後ということで 今までの集大成となる代表作が並び、合計1万匹を超える金魚たちを鑑賞することができました。詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。なお、この展示は時間ごとに呼び名が違うようで私が行ったのはナイトアクアリウムの時間帯でした。(夜はイベントとかお酒の販売があります)

参考記事:
 アートアクアリウム展2018 & ナイトアクアリウム (日本橋三井ホール)
 アートアクアリウム展2017 & ナイトアクアリウム (日本橋三井ホール)
 アートアクアリウム展2013 & ナイトアクアリウム (日本橋三井ホール)
 アートアクアリウム展2012 & ナイトアクアリウム (日本橋三井ホール)
 スカイ アクアリウム2011 (森アーツセンターギャラリー)
 スカイアクアリウムⅢ (TOKYO CITY VIEW)


今年は冒頭に様々な金魚の品種を紹介する水槽がありました。こちらはタイガーオランダ
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もこもこした感じでちょっとコミカルな印象も受けます。水槽内はどんどん光の色が変わっていくのは例年通りです。

こちらは らんちゅう
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頭の形などに特徴があるように思います。この金魚も定番ですね。

こちらはピンポンパール
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たしかにピンポン玉みたいな体つきで、鱗はパールのようにツブツブしています。泳ぐ姿もキュートです。

その先は様々な水槽が並び、色とりどりの光で演出しています。
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こちらはタイトルは忘れましたが、万華鏡のように観える仕組みがあります。ビー玉などもあってカラフルな水槽です。

こちらは行灯をモチーフにした水槽。
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暗闇に浮かび上がるようで幻想的な雰囲気となっています。

こちらは「リフレクトリウム」 一昨年あたりに観た覚えがあります。
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円形のくぼみが泡状のようになっているのが特徴です。光が当たると屈折してこのように不思議な反射となっていました。

中を覗くとこんな感じ。
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内側も色が複雑に混じり合う美しい光景となっています。

続いてこちらは和風の文様の水槽。これも新作かな?
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若干、中の金魚が見えづらいかなw しかし和の雰囲気が特に強くて雅な印象を受けました。

こちらは「プリズムリウムF12」
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これは金魚も見やすくて光の変化も楽しめます。シンプルで良いw

こちらは「アクアゲート」
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品種ごとに水槽がブロックごとに分かれていました。

中はこんな感じ。
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割と金魚自体を鑑賞しやすいかな。尾の立派な金魚たちが優美な印象です。

こちらは「超花魁」「花魁」 (大奥という似た作品もあるのでタイトルが違うかもしれません)
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これは何度か観ているかな。規模が大きく、一際目を引く作品です。

こちらは「ロータスリウム」 新作かも。
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これも色が変わるとだいぶ印象が違ってきますが、この色が特に蓮の花っぽい雰囲気でした。金魚も薄っすら観えていて華やか。

こちらは「金魚品評」
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これは様々な角度から金魚を観ることができるので、タイトル通り鑑賞に適しているように思います。

中を見るとこんな感じ。
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涼しげにスイスイ泳いでいる姿を観ているだけでも楽しめます。何だかんだで金魚は可愛いですね。

こちらは「ジャグジリウム」 これは新作じゃないかな。
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まるで遊郭の中のような妖艶な雰囲気があります。わざわざマネキンのお姉さんまでいるしw

浴槽の中のアップ
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勿論、ここにも金魚たちが泳いでいました。

こちらは「天井金魚」 先程のジャグジーのやつの手前の天井はこうなっています。
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格子状の部分に金魚が泳いでいました。見落とす人もいそうなのでご注意w

最後に「キモノリウム」
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これも見覚えがありました。影も含めて金魚たちが小袖の模様に観える面白い発想です。


ということで、今年も例年通りの展示となっていましたが、新作もいくつか観ることができました。来年以降はどうなるか分からないので、気になる方はこの夏に行っておくのもよろしいかと思います。(多分、会場が変わるだけだとは思いますけどw) 日によっては混雑も予想されますので、お出かけの際は時間に余裕を持っていくと良いかと思います。


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平成30年度新収品展 【東京国立博物館 平成館】

今日も写真多めです。前々回・前回とご紹介した東京国立博物館 平成館の特別展を観た後、同じ平成館の1階で「平成30年度新収品展」を観てきました。この記事を書いている時点で既に終了していますが、撮影可能となっていましたので写真を使ってご紹介しておこうと思います。

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【展覧名】
 平成30年度新収品展 

【公式サイト】
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1970

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅

【会期】2019年6月4日(火) ~ 7月15日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
閉館間近だったこともあって空いていましたが、早足での鑑賞となりましたw

この展示は昨年度に新収蔵されたコレクションのお披露目展で、34点ほどの小さな展示となっていました。こちらも撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介して参ります。

伝・伊藤若冲 「鶴図」
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こちらは伊藤若冲の作と伝わる鶴図。

1枚にすると反射が写ってしまうので縦撮りで2枚に分割してみました。
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透けるような羽根の表現やポーズなどに伊藤若冲の特徴が出ているように思います。素人目には本人の作品にしか思えませんが、模倣者だとしたら相当の腕でしょうね。

野呂介石 「山水図」
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こちらは江戸時代の和歌山の画家が描いた山水図。同じ和歌山の桑山玉洲からの影響が顕著とのことですが、素朴さのある文人画風なのが分かるかな。穏やかな光景となっていました。

加藤千蔭 「桜図画賛」
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こちらは与力を務めた歌人で、書家でもあるという多才な人物によるもの。絵も写実性と風情があって絵画センスも感じられました。

春深房道朝 「詩歌屏風」
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こちらは狩野探幽に大師流の書法を教授した高野山西方院の僧侶による書。『三十六人大歌合』から和歌と作者名を書写しているようです。流れるような文字と、力強い文字があってリズム感のある書体となっているように思いました。

王建章 「蘭亭春禊図扇面」
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こちらは王羲之の蘭亭の宴をモチーフにした扇面。作者は中国福建の文人画家で、特に江戸時代の日本で高く評価されたそうです。かなり繊細な線で人々が小さく描かれています。描法自体は文人画っぽさもあって面白い作品でした。

趙之謙 「行書七言律詩扇面」
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こちらは篆刻家でもあった書家による作品。顔真卿や北魏の古碑から学んで野趣あふれる書風(行楷書)を創出しました。太く動きを感じる書体が独特の迫力となっていました。
 参考記事:
  書聖 王羲之 感想後編(東京国立博物館 平成館)
  顔真卿 王羲之を超えた名筆 感想後編(東京国立博物館 平成館)

呉昌碩 「臨石鼓文扇面」
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こちら「石鼓文」という古代の石碑を臨書したもので、冒頭に書いてある田車という部分の一節が書かれているようです。この展示ではオリジナルがどのような字体か分かりませんでしたが、原本にとらわれることなく動きのある字体で独自性を確立しているのが分かるとのことでした。

「花簪・びらびら簪」
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こちらは江戸時代の簪で、赤い玉は珊瑚を模したガラス製だそうです。色も形も花のように可憐で、非常に繊細な印象を受けました。

「ガルダ形飾り金具」 カンボジア周辺 アンコール時代・12~13世紀
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こちらはカンボジアの飾り金具。猛禽のガルーダが蛇のナーガの口から吐き出された様子を表されているそうです。どちらも複雑な造形で日本の仏像と大きく違っている様子が伺えました。

「阿弥陀如来立像」
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こちらは江戸時代初期の阿弥陀如来。よく浄土真宗のご本尊とされることが多い仏様ですが、柔和な印象を受けるかな。穏やかな雰囲気があるように思いました。

「舞楽面 陵王」
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こちらは明治時代の舞楽面。岡倉天心とも交流のあった加納鉄哉の作であるとも考えられているようです。蘭陵王は美貌を隠すためにこうした恐ろしげな面をつけて戦った伝説があります。目が飛び出ていているし、凹凸が深くて迫力がありますね。

初代宮川香山 「染付龍濤文有蓋壺」
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こちらは明治時代にヨーロッパに輸出する為に作られた作品。中国風でもありながらかなり細かい表現が見事です。帝室技芸員になった人は尋常じゃない技術を持っていますw

「雛人形および雛道具」
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人形は京都、雛道具は江戸で作られた一式。源氏物語をモチーフにした雛道具などもあって優美な雰囲気です。よほどの名家の雛人形でしょうね。

「雲龍端渓石硯」
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装飾が見事な中国 明~清時代頃の硯。2頭の龍が向き合っている様子となっています。背面には左に写っているような亀が彫られ、「宮中之宝」と書いてあるようです。硯にまで装飾を施すとは驚きでした。


ということで、小展ながらも様々なジャンルの作品があって見応えがありました。この展示は終わってしまいましたが、今後も常設展示で観る機会もあると思います。再会が楽しみな作品ばかりの展示でした。



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特別展「三国志」 (感想後編)【東京国立博物館 平成館】

今日も写真多めで、前回に引き続き上野の東京国立博物館 平成館で日中文化交流協定締結40周年記念 特別展「三国志」についてです。前半は第一会場についてでしたが、後編は第二会場についてご紹介して参ります。

 → 前編はこちら

【展覧名】
 日中文化交流協定締結40周年記念 特別展「三国志」

【公式サイト】
 https://sangokushi2019.exhibit.jp/
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1953

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅

【会期】2019年7月9日(火)~9月16日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 3時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半は閉館時間が迫ってきたので前半よりは混雑が解消してたかな。今回も各章ごとに目を引いた作品の写真と共にご紹介していこうと思います。


<第三章 魏・蜀・呉―三国の鼎立>
第三章は第二会場にも続いていて、ここでは定軍山の戦いなどを取り上げていました。

[偏将軍印章] 金印 重慶市江北区聚賢岩付近収集 後漢時代・1世紀
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こちらは曹操の元にいた時の関羽も任じられた「偏将軍」という職の印章。誰のものかは特にキャプションでは言及していませんでしたが、当時の将軍が使っていたのでしょうね。この時代の印章って亀がつまみになってるのが多いのかな?

この辺には定軍山の戦いで使われたマキビシなどもありました。

「童子図盤」 安徽省馬鞍山市雨山区朱然墓出土 三国時代(呉)・3世紀
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こちらは呉の名将 朱然の墓から出土した漆器で、作られたのは蜀のようです。関羽を捕らえた将軍ですが、蜀と何か関係があったんでしょうか。中央にぼんやりと童子が戯れる様子が描かれていました。

この近くには諸葛亮の南征と銅資源に関するコーナーや、曹操の甥で石亭の戦いで騙されて敗れた曹休にまつわる品、魏と呉による合肥新城の戦いで使われた武器などもありました。


<第四章 三国歴訪>
続いては三国(と公孫氏)の特色を紹介するコーナーです。西晋時代の文学者 左思が書いた『三都賦』にならい「おごそかなる魏」「めぐみの蜀」「にぎわいの呉」というサブタイトルでそれぞれの文化が紹介されていました。

まず魏は古くから文明が発達した黄河流域とその北側で、人口密度も高く人材にも恵まれていたようです。しかし元々 冷涼乾燥な土地な上に気候の寒冷化や戦乱が起こり、人口は減少し農業生産もふるわなくなっていたようです。そこで曹操は土地を人民に与えて開梱させる屯田制で食料増産を行い、その成功によって戦いを有利に進めたのだとか。

「定規」 甘粛省嘉峪関市新城2号墓出土 三国時代(魏)・3世紀
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こちらは動物の骨で作った物差し。これによって当時の1尺が24cm程度だったと分かるようです。見た目が現代の物差しに似ててちょっと驚き。当時の長さが正確に分かる貴重な資料ですね。

続いては三国時代に存在した第四勢力とも考えられる公孫氏に関するコーナーです。中国東北部の遼寧省遼陽市(遼東半島の付け根あたり)に拠点を置いた公孫氏は魏・蜀・呉とも違う文化を持っていたようで、日本との関係も伺わせる品が出てくるようです。

「方格規矩鳥文鏡」 遼寧省遼陽市三道壕1号壁画墓出土 後漢~三国時代(魏)・2~3世紀
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こちらが日本との関係が注目されている銅鏡。日本の古墳で出土する鏡と共通する要素があるようで、銘文や文様、つまみの孔が長方形である点などが類似するようです。割と近いし、何らかの交流があったのかもしれませんね。

続いては蜀のコーナー。蜀は内陸にあり後漢時代から農作物・絹・漆・鉄・塩などの物産が豊かだったそうです。さらに天険に囲まれて敵を防ぎやすい地形だったようで、地域色の濃い文化や信仰が花開きました。

「説唱俑」 重慶市忠県花灯墳墓群11号墓出土 後漢~三国時代(蜀)・2~3世紀
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やけに楽しそうなオッサンの像w 蜀の辺りではこうした柔和で動きに富んだ俑が作られたそうです。話芸を披露する男性だそうですが、デフォルメ具合などは現代アートに通じるものを感じますw

他にも一風変わったゆるキャラみたいな俑が並んでいました。蜀の俑は楽しげな雰囲気です。

「犬」 四川省成都市天迴山3号墓出土 後漢~三国時代(蜀)・2~3世紀
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こちらも墓の付近にあった土製の犬。墓を守る番犬のようですが、中々ごつい体つきです。迫力あるワンちゃんでした。

「神木図磚」 四川省綿陽市梓潼県出土 後漢時代・2世紀
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樹木を崇拝する人が描かれた碑。木蓮はおめでたい神木とされたようで、中央のが木かな?神様っぽい感じもします。確かに独特の宗教観が伺えました。

つづいては呉のコーナーです。呉は高い造船技術と地の利を活かし、東南アジアや南アジアと繋がり交易を行っていたようです。

「俑」 湖北省武漢市黄陂区蔡塘角1号墓出土 三国時代(呉)・3世紀
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呉の俑は素朴ながらも場面構成が多彩とのことで、この俑たちを観ているとその特徴がよく分かります。それぞれの役割もしっかり表現されているのが面白い。

「画文帯環状乳神獣鏡」 湖北省鄂州市卾鋼630工地出土 後漢~三国時代(呉)・2~3世紀
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こちらは日本でも出土する形式の鏡。呉では銅鏡の生産が盛んだったようですが、日本では出土例は少ないのだとか。5世紀頃の倭の五王の時代になると呉の地域から本格的に影響を受けるようになったそうです。

「羊尊」 江蘇省南京市草場門外墓出土 三国時代(呉)・甘露元年(265)
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頭の孔や脇腹に羽根のようなものが刻まれているのが特徴の羊の像。宗教的な意味と用途があったと考えられるようです。それにしても滑らかで美しい形をしています。歴史的な意味は分かりませんが、造形が特に良い品でした。

「盤口壺」 江蘇省南京市大行宮地区出土 三国時代(呉)・3世紀
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こちらは仏像や鳳凰、龍などが表された壺。異国風の華やかな貼付文から対外交易で栄えた豊かな文化土壌を観ることができるとのことです。浮き彫りになっていて中々面白い。呉では青磁の技術が成熟していたようで、明器(副葬品)として盛んに用いられたそうです。

「銅鼓」 広西チワン族自治区藤県和平区古竹郷出土 三国(呉)~南北朝時代・3~6世紀
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こちらは中国南部の漢族ではない人々が祭祀儀礼で使ってきたもの。太鼓のように叩いたのかな? 山越と呼ばれる人たちとの関連も考えられるそうで、これも独特の宗教観を伺わせる品です。なお、山越は呉と協力関係にあったようですが、呉が交易を独占しようと統治に踏み切ると呉に背き、呉の滅亡の一因となっていったようです。

「ガラス連珠」 広西チワン族自治区貴港市風流嶺13号墓出土 後漢時代・1~3世紀
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こちらは中国産のようですが、山越を懐柔し呉に服従した士しょう からの贈り物と考えられるようです。隣には東南アジア産の品もあり、広い交易の様子が伺えました。


<第五章 曹操高陵と三国大墓>
続いては曹操のお墓と、三国の墓についてのコーナーです。2008~2009年にかけて発掘された曹操高陵は質素なものだったようで、それまでの豪華さを競うものとは異なる路線だったようです。

こちらが曹操高陵の様子。
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河南省安陽市にあり、「魏武王」と記した石牌が発見され、曹操の墓であるというのが確実となったそうです。

会場内は曹操高陵を再現した空間となっていました。
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独特のドーム型の屋根が特徴に思えます。中はそれほど広くは無いかな。

現地はこんな感じのようです。
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ド派手な訳ではなく、結構質素な空間なのかもしれません。

「鼎」 河南省安陽市曹操高陵出土 後漢~三国時代(魏)・3世紀
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こちらは曹操高陵から出土したもの。この頃、複数の鼎を副葬できた人物は有力者だけで、最大は皇帝の12口だったそうです。ここには6口あったけど、これで全部だったのかは分かりません。鼎の数で地位とか分かるんですね。

ちなみにお墓が質素なのは曹操の遺言だった為のようです。情勢が不安なので喪に服することもせず、職務を遂行するようにとのことで、かなり国の行く末を考えていた様子が伺えました。

「飾板」 河南省安陽市曹操高陵出土 後漢~三国時代(魏)・3世紀
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こちらも曹操高陵の品。展示されてた出土品ではこれが一番豪華じゃないかなw 用途不明だそうですが、槍の先っちょのように観えました。

「画像石」 河南省安陽市曹操高陵出土 後漢~三国時代(魏)・3世紀
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こちらは曹操高陵の墓室内にあった壁画彫刻。この人物たちは「こう人」といて主君に近侍した美少年たちだそうです。

他にもいくつか曹操高陵出土の品が並んでいました。続いては曹操の子・曹丕に関するコーナーです。

「金製獣文帯金具」 安徽省淮南市寿県寿春鎮古墓出土 後漢時代・2世紀
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こちらは文帝(曹丕)も欲した鮮卑頭という帯先の金具。この時代には既に造り手が途絶えていたので貴重なものだったようです。ひと目で分かる緻密で豪華な作りに驚かされました。これは皇帝が欲しがるのも無理はないw

続いては曹操の子で曹丕の弟である曹植のコーナー。文才があったけど都から遠ざけられ失意の晩年を送った人物ですが、兄の曹丕に「七歩 歩く間に詩を作ってみよ。さもなくば極刑じゃ」と言われ、その仕打ちを嘆く詩を作って曹丕は恥じ入ったという話が有名です。

「水鳥、鶏、犬」 山東省聊城市東阿県曹植墓出土 三国時代(魏)・3世紀
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凄くゆるい動物の模型。素朴で可愛らしくて、曹植の哀しい境遇とは対照的にも思えました。

続いては蜀の大墓に関するコーナー。

「揺銭樹」 四川省広漢市新豊鎮獅象村出土 後漢時代・2世紀
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まさに金のなる木!w 不老不死の西王母や仙人の姿もあり、いずれも信仰に関するモチーフのようです。こうした「揺銭樹」は大半は蜀の支配した地域で見つかるのだとか。

「墓門」 四川省成都市郫都区蘭家院子出土 後漢時代・2世紀
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こちらは蜀の大型墓の門。箒を持っているのがちょっと変な感じに思いましたが、中国では貴人を迎える時に敬意を表して箒を持つことがあったそうです。

続いては呉の大墓に関するコーナー。

「虎形棺座」 江蘇省南京市江寧区上坊1号墓出土 三国時代(呉)・3世紀
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こちらは棺を置くための台座。口を大きく開けた虎がデザインされていて、うずくまる虎は武功により地域をおさめるという意味があるそうです。割と可愛い顔してますw


<エピローグ 三国の終焉―天下は誰の手に>
最後は三国時代の終焉についてです。最終的に三国のどこが勝ち残ったか?というと魏の武将の司馬氏で、魏ではなく西晋として王朝が建ちました。ここには西晋時代の文物が並んでいました。

「蟬文冠飾」 山東省臨沂市王羲之故居洗硯池1号墓出土 西晋時代・3世紀
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こちらは書聖として名高い王羲之の生家の近くで見つかった品です。王氏は呉を滅ぼした晋の名家だったそうで、王羲之の家の近くでは大型墓が2基見つかっているようです。セミの形をしているのが面白く、豪華な作りとなっていました。

「[晋平呉天下大平] 磚」 江蘇省南京市江寧区索墅磚瓦廠1号墓出土 西晋時代・280年
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こちらは墓の碑文で、側面にかけて「晋が呉を平らげ、天下太平となった」と書いてあるそうです。凄くあっさりしているけど、当時の歴史を物語る貴重な資料のようでした。


ということで、後半も驚く品々が並んでいました。これだけの品を日本で観られるというのはかなり貴重な機会ではないでしょうか。三国志の物語だけでなく当時の時代背景を知ることができるので、これを観ることによって三国志の世界観にも深みが出るのではないかと思います。三国志が好きな方は是非チェックしてみてください。



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特別展「三国志」 (感想前編)【東京国立博物館 平成館】

今日は写真多めです。10日ほど前の日曜日に上野の東京国立博物館 平成館で日中文化交流協定締結40周年記念 特別展「三国志」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 日中文化交流協定締結40周年記念 特別展「三国志」

【公式サイト】
 https://sangokushi2019.exhibit.jp/
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1953

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅

【会期】2019年7月9日(火)~9月16日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 3時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
入場まではすんなり行けたのですが、会場内はかなり混んでいて鑑賞するのに予想以上に時間がかかりました。今回は全作品 撮影可能となっているので写真を撮っている人が多いのも混雑の要因になっているかもw

さて、この展示は日本でも人気のある中国の魏、蜀、呉の三国時代について取り上げていて、その時代の品や各国の文化などを紹介する内容となっています。日本で『三国志』が語られる場合、大半は史実についてではなく 中国の明代に書かれた『三国志演義』から派生したものがほとんど(日本だとそれを元にした吉川英治の『三国志』)で、史実をベースにしたフィクションと言えます。この展示では史実の当時の品と 『三国志演義』によって後世に創作された品などが並び、前者の割合が高めとなっていました。展示は7章構成となっていましたので、今日は第1会場のプロローグから三章まで気に入った作品の写真と共にご紹介していこうと思います。なお、三国志および三国志演義については説明すると限がないので、知っているを前提に記事を書いています。知らない方はすみません。


<プロローグ 伝説のなかの三国志>
まずは三国志にまつわる 後の時代に創作された品々を紹介するコーナーです。

横山光輝 「漫画『三国志』」
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こちらは1972年~87年にかけて連載された三国志の漫画の原画。私が一番親しんだ三国志はこれですw 正直、私の中ではこれとアニメ版のイメージが三国志のベースになってます。 小説版も読んだけど、やはり分かりやすいですからね。名作です。

この漫画の原画は各章の冒頭にいくつかありました。各章の趣旨に近いページの原画が展示されています。

「関帝廟壁画」 内モンゴル自治区フフホト市清水河県水門塔伏龍寺伝来 清時代・18世紀
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こちらは蜀の武将で、信義の厚さから後世で神格化された関羽雲長にまつわる壁画。6つほどの場面が描かれていて、主に蜀の活躍ぶりがテーマになっています。

お気に入りはこの「張飛、督郵を鞭打つ」のシーン。
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てっきり木から吊るして鞭打っていたのかと思ってましたw 張飛の真っ直ぐだけど短気な性格が如実に現れているシーンに思いますが、正史では劉備がやったのではないか?という説を聞いたことがあります。

他にも諸葛亮が三顧の礼で出山するシーンを描いた掛け軸などもありました。

「関羽像」 明時代・15~16世紀
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非常に威厳のある関羽の像。16世紀以降は恰幅が良くなり髭も増えるなど誇張されていったそうですが、この像は神格化の表現はしていないようです。リアルで、この展覧会随一の名品だと思います。

張玉亭 「関羽・張飛像」 清時代・19世紀
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こちらは曹操の元で客人となっていた関羽が帰ってきた際、張飛は関羽が寝返ったと勘違いしたものの その後に誤解が解けて謝っているシーン。厳しい感じだけど張飛はえらく小物感があるようなw 関羽も完全にブチ切れてるように観えましたw

「趙雲像」 安徽省亳州市花戯楼伝来 清時代・17~18世紀
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こちらは趙雲が単騎で劉備の子 阿斗を救出したシーンを彫刻にしたもの。懐に阿斗が入っているのが可愛いw とは言え、この子はろくでもない暗君になって蜀を滅ぼすことになると思うと、趙雲の無駄骨ぶりが哀しい。

「三国故事図」 清時代・18~19世紀
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こちらは貂蝉(しょうぜん・ちょうせん)によって董卓と呂布の間に亀裂を生じさせたシーン。貂蝉は架空の人物らしいですが、ハニートラップの典型で、その身を犠牲にして2人を仲違いさせた功労者。呂布=裏切り者のイメージはこの女性も一枚噛んでますね。


<第一章 曹操・劉備・孫権―英傑たちのルーツ>
続いては三国志の各国のルーツについてのコーナーです。父祖伝来の勢力基盤を引き継いだ魏の曹操、漢皇室の血統を自認して漢王朝復興を掲げた蜀の劉備、海洋ネットワークを駆使して勢力を伸ばした呉の孫権。3者3様のルーツを当時の文物から探る章となっていました。

NHK 人形劇三国志 「曹操」
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こちらは1982~84年にNHKで放送された人形劇の人形。抜け目無さそうな顔をしてますね…。曹操の一家は漢王朝創立の功臣の曹参から名家のようで、曹操が生まれた頃も有力な豪族だったようです。 曹操ってCao Caoって読むのかと、妙な所が気になりましたw

勿論、劉備と孫権の人形もありました。他にも後の章で何人か出てきます。

「玉豚」 安徽省亳州市董園村1号墓出土 後漢時代・2世紀 
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こちらは玉で出来た豚で、死後の世界でも豚が食べられるようにとの願いで埋葬されたものだそうです。これが埋まっていた墓は曹操の父(曹嵩)と夫人の墓ではないかとのことです。伏せてる豚みたいで可愛らしい。

「玉装剣」 河北省保定市満城区中山靖王劉勝夫婦墓出土 前漢時代・前2世紀
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こちらは劉備の祖と伝わる中山靖王劉勝の銅剣。昔は美しく飾っていた宝剣だったと考えられるようですが、今は剣と玉器のみ残っているようです。この時代から青銅から鉄製に代わりつつあったらしく、これが青銅製宝剣の最後の時代のものなのだとか。


「貨客船」 広西チワン族自治区貴港市梁君垌14号墓出土 後漢~三国時代(呉)・3世紀
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孫権は孫子を先祖に持ち、父の孫堅が海賊退治と黄巾の乱で勢力を広げ、現在の広東省やベトナム辺りと交易を掌握して富を築きました。これは当時の交易の舟らしく、底がなだらかなので浅い河川でも航行できたようです。呉は海に強いイメージがあるかな。


<第二章 漢王朝の光と影>
続いては三国時代の直前の漢王朝の末期に関するコーナーです。漢は巨大な帝国でしたが、政争で疲弊して行き 黄巾の乱などで混迷を深めていきました。

「獅子」 山東省淄博市臨淄県学署旧蔵 後漢時代・2世紀
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こちらは有力者の墓にあったと考えられる獅子像。漢王朝時代には実際に西域から獅子が献上されたこともあったそうで、実際にライオンを観て作った可能性もあるようです。顔やたてがみにリアリティがあるので、確かに姿を知っていたのではないか?と思わせます。

こちらは獅子像の首筋にある銘文。
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「洛陽で作られた獅子」という意味の銘文のようです。洛陽は当時の都で、遠い国の動物が来るほど栄えていたんでしょうね。

184年に起きた黄巾の乱を抑えようと地方の武将に頼んだ結果、群雄割拠を招いて漢王朝は弱体化していったようです。中でも董卓は洛陽に入った後に洛陽を焼き払い、漢王朝も末期を迎えていくことになります。

「儀仗俑」 甘粛省武威市雷台墓出土 後漢時代・2~3世紀
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こちらは張将軍という有力者の墓の副葬品で、董卓の武将だった可能性もあるそうです。やたら手が長いのがちょっと怖いけど、精巧に出来ていて埋葬された人物の位の高さが伺えました。

「[倉天] 磚」 安徽省亳州市元宝坑1号墓出土 後漢時代・2世紀
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こちらは黄巾の乱のスローガン「蒼天は死に、黄天が立とうとしている」とよく似た碑文。黄巾の乱は太平道という原始道教の教団が中心だったようで、この時代は人口減少や寒冷化など不安の多い中で勢力を伸ばしたようです。中国の歴史って、ちょくちょく宗教で国が傾きますよね。

「[天帝使者] 印」 陝西省宝鶏市陽平郷居家村出土 後漢時代・2世紀
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こちらは「天の最高神の使い」という意味の印章。太平道などの原始道教が役所の印章を真似て使用していたようです。可愛らしいけど、やはり亀がモチーフなのは道教っぽさを感じます。

ちなみに太平道は現在の道教の源流の1つになっているようです。何回も帝国が勃興しては消えていったのに、何だかんだで宗教は強いですね…w

「銅製食器 案、盤、耳杯、碗、箸」 河北省涿州市上念頭磚室墓出土 後漢時代・2世紀
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こちらは墓に納める為に作られた非実用的な食器セット。それでも当時の食事の様子が分かるようです。これだけ観ると現代ともそんなに違わないような…w 何を食べていたのかのほうが気になりました。

「多層灯」 河北省涿州市凌雲闊丹工地1号墓出土 後漢時代・2世紀
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こちらは死後の世界を照らす灯り。かなり凝った作りで、これも埋葬された人の身分が高そうですね。造形の単純化が面白い。

「五層穀倉楼」 河南省焦作市山陽区馬作出土 後漢時代・2世紀
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こちらは漢王朝最後の皇帝の献帝が魏の文帝に譲位した後、余生を送った地から出土した品。こんな立派な楼閣ができるほど豊かな土地なので、献帝は厚遇されていたようです。最後の皇帝というと悲運な感じもしますが、苛烈な終わり方でないだけマシだったのかも。


<第三章 魏・蜀・呉―三国の鼎立>
続いては三国の覇権争いの時代のコーナーです。ここには武具や当時の文物などが並んでいました。

この部屋に入ってすぐにこの光景が広がっていて驚きました。
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弓矢が雨あられと飛んでいく様子を表現しています。赤壁の戦いなどを彷彿とさせました。

「弩」 湖北省荊州市紀南城出土 三国時代(呉)・黄武元年(222)
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呉の元号や作者の名前まで刻まれた弓。一種のボウガンみたいな。当時の武器でも特に重要な武器です。

「戟」 四川省綿陽市松林坡1号墓出土 後漢~三国時代(蜀)・2~3世紀
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こちらは「戟(げき)」という三国志時代のスタンダードな武器。突くだけでなく、横に伸びた部分で相手を引き倒す使い方もしたそうです。かなり実用的な作り。

「鉤鑲」 四川省綿陽市白虎嘴崖墓出土 後漢~三国時代(蜀)・3世紀
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こちらは盾の一種で、突起の部分で攻撃を受けて押し返すことが出来たようです。両手にこれを付けて戦う武将もいたようですが、実用的だったんでしょうか。 このトリッキーさは中二病っぽくて好きですw

「鏃」 湖北省赤壁市赤壁古戦場跡出土 後漢~三国時代(呉)・3世紀
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こちらは赤壁の戦いで使われた「鏃(ぞく)」という矢。先程の「弩」から発射されたもので銅製と鉄製が混じっているようです。意外と小さいですが、1つでも当たったら大怪我じゃ済まないでしょうね。

「軍船模型」
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こちらは2015年に作られた当時の呉の「楼船」の模型。望楼を供えていたと記録されているようで、かなりの大型船です。呉は水上戦に秀でてたでしょうね。造船技術も相当だったと思われます


ということで、この辺までが第一会場となります。史実と演義は違うと分かっていながらも、実際に当時の文物などを観ると 一層に三国志の世界に入り込めるように思えました。 後半も驚くべき品が展示されていましたので、次回は第ニ会場の様子をご紹介の予定です。

  → 後編はこちら


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映画「天気の子」 (ややネタバレあり)

この間の土曜日に映画「天気の子」を観てきました。この記事にはややネタバレが含まれていますので、ネタバレなしで観たい方はご注意ください。

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【作品名】
 天気の子

【公式サイト】
 https://tenkinoko.com/

【時間】
 2時間00分程度

【ストーリー】
 退屈_1_2_3_④_5_面白

【映像・役者】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【総合満足度】
 駄作_1_2_3_④_5_名作

【感想】
IMAX版で鑑賞しましたが、公開2日目だったこともありほぼ満席の盛況ぶりでした。

さて、この映画は2016年に大ヒットとなった「君の名は。」の新海誠監督が手がけたアニメ映画で、現代の日本を舞台にした内容となっています。
 参考記事:
  創刊40周年記念 ムー展 (パルコミュージアム)
  新海誠展「ほしのこえ」から「君の名は。」まで (国立新美術館)

ここからはネタバレとなりますが、今回も前作の「君の名は。」やそれ以前の新海誠作品に共通する超常現象的な力が話の鍵となっていて、思春期の男女の恋愛も大きな要素となっています。とは言え、前作との共通点も多いけど安易に2匹めのドジョウを狙いに来た訳でもない感じで、これは一般受けしないのでは?という予測が事前にあったのも頷けます。(私は前作を観た時も、そんなにヒットするとは思わなかったのでアテになりませんが…w)

ストーリーは序盤から中盤にかけて大方の予想通りでしたが、それ以降は意外性がありました。私は結構楽しめたものの、納得できない人がいるのも理解できます。これまでの新海誠作品(特に前作)と比べて、共通点と思われるのは
 ・初々しい男女の純粋さを描く点
 ・前半はコメディ要素もある点
 ・現実世界をベースに超常現象が起きる点
 ・日本の神話や古典などを織り交ぜる点
 ・雑誌『ムー』が登場するなど新海誠のオカルト好きが濃く出ている点
 ・RADWIMPSが音楽を担当している点
 ・多彩な雨のシーンが描かれている点。(ちょうど公開された2019年の長梅雨がリンクします)
 ・電車や都内のリアルな描写と、輝くような光の表現
などが挙げられるかな。それ以外はネタバレの核心になりそうなので控えますが、ちょい役でサプライズがあったりして、新海誠の作品のファンなら楽しめる要素は多いと思います。
一方で、今回は主人公たちがあまり共感できない行動を多々引き起こすので、これが一般的なジュブナイル物とは異なる所だと思います。割と無駄に騒動を起こすのがどうなんだ?って気はしますw やってることが子供っぽという意味ではリアルさがあるのかも。

映像と音楽に関しては前作を踏襲している感があるので、この辺はファンにとって期待通りだと思います。今回は協賛企業が多いのかやけに商品やチェーン店舗等が出てくる気はしますが、入念なロケハンが伺えるシーンが多かったように思えます。また、事前に声優に関する不安の声もありましたが、全く違和感がなくてどのキャラも個性的で良かったです。何人か本人にしか聞こえない人もいるけどw


ということで、前作との共通点も多いものの テイストの違いも結構あったように思います。前作を観た時も大満足というほどでも無かったので、これに対して世間がどう反応するのか楽しみでもあります。ちなみに奥さんの反応は私より薄かったので、人によっては微妙に思うのかもしれません。割と賛否が分かれそうな予感がする作品です。

おまけ:
劇場で新海誠ヌードルというのを貰いました。日清も協賛してるのかな? 
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中身は至って普通のシーフードのカップヌードルでした。

おまけ2:
注目の作品だけあってポスター等がいくつかパターンがありました。
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太田喜二郎と藤井厚二 (感想後編)【目黒区美術館】

今日は前回に引き続き目黒区美術館の「太田喜二郎と藤井厚二-日本の光を追い求めた画家と建築家」についてです。前半は1章の太田喜二郎についてでしたが、後編は藤井厚二と2人の交流についてご紹介して参ります。

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 太田喜二郎と藤井厚二-日本の光を追い求めた画家と建築家

【公式サイト】
 https://mmat.jp/exhibition/archive/2019/20190713-64.html

【会場】目黒区美術館
【最寄】目黒駅

【会期】2019年7月13日(土)~2019年9月8日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半の方が不思議と人が多かった気がしますが、快適に鑑賞することができました。2章以降は会場の様子を簡単にご紹介していこうと思います。


<第2章 太田喜二郎と藤井厚二の交流>
2章は太田喜二郎と藤井厚二の交流についてです。2人が知り合ったのは京都帝国大学工学部に建築学科が開設された1920年で、2人が共に講師に就任したのがきっかけでした。1923年には太田喜二郎が京都の上京区に家を新築する際に藤井厚二に設計を依頼し、翌年に完成しています。1929年には縁側の増築、1931年には座敷の増築なども行っているようです。この建築を機に2人の交流は活発になり、加藤源之助という洋画家の作品集を共に作成したり、共通の趣味の茶事においても交流しました。1937年に藤井厚二が入院すると、太田喜二郎は熱心に見舞いに行っていたようですが、翌年に藤井厚二が死去。葬式後には同僚の村田治良から依頼されて藤井厚二の肖像も手がけています。ここにはそうした2人の交流を示す品が並んでいました。

まずここには太田喜二郎の邸宅のバーチャル映像と模型がありました(★こちらで観られます)写真もあって今でも現存してるのかな? 全体的には和風で、L字の字のように折れ曲がっていて、屋根の形が幾重にも重なるようになっているのが特徴に思えます。これは窓から光が取り入れられるようにする工夫がある為ようです。また、居間は椅子式と座敷が両立していて、部屋の一部が座敷として盛り上がっているのが独特でした。ここの天井は高く金銀砂子を散らし、格子状の梁があって幾何学的な印象を受けます。さらに画室も北向きの採光が出来て天井が高いなど、アトリエとしての機能も考慮されているように思えました。

少し先には2人が手がけた加藤源之助という洋画家の画集や、藤井厚二による太田邸の増改築の為のスケッチもあります。

他に目についたのは太田喜二郎による「寿月庵茶会絵巻」で、これは日本画の絵巻です。1935年4月12日に行われた茶会の様子を描いていて、太田喜二郎の隣に藤井厚二が座っている様子も確認できます。画風は文人画風でやや漫画っぽい感じもあるかな。茶会に出てきた道具類なども描いていて、つぶさに記録しているようでした。
ここには藤井厚二による茶碗も展示されていました。素朴で民芸品のような感じですが、素人とは思えないセンスが感じられます。

その先には2人の間で交わされた書簡がありました。太田喜二郎の絵が描かれていて、親しみを持って接していた様子がよく伝わってきます。次の章の前には藤井厚二の肖像もあって、これが亡くなった後に描いたやつでしょうね…。2人の親密さが伺えるようでした。


<第3章 藤井厚二>
最後は藤井厚二に関するコーナーです。藤井厚二は1888年に広島県の福山にある十数代続く造酒屋「くろがねや」を営む家に生まれました。家は素封家(財産家)だったので、一級の絵画や書、茶道具が所蔵されていて、それによって藤井厚二の審美眼が養われていったようです。1910年に東京帝国大学工科大学建築学科へと進み、そこで西洋化一辺倒から脱し日本独自の建築様式を追求していた建築家 伊東忠太に教えを受けて影響を受けました。1913年に竹中工務店に入社し、大阪朝日新聞の建物などを手がけたようです。しかし1919年には退社し、翌年にかけて欧米に視察旅行に出ています。そして1920年に京都帝国大学工学部の講師として招かれて太田喜二郎と知り合っていきました。
藤井厚二は財力を生かして自邸を実験住宅をしていたそうで、その中には代表作と言える家もあります。1938年の中田邸が遺作となり、1938年に49歳で亡くなりました。ここには藤井厚二の設計した建物の写真や模型が並んでいました。

まず「聴竹居」という自邸の四季の写真や、配置図などが並んでいました。これは5回目の自邸らしく、日本の住宅の理想形とも言えるもののようです。藤井厚二は環境工学の知見を活かして日本の気候風土と日本のライフスタイルや趣向に適合した日本住宅を志向して実験していたようで、ここでも工学的な理論に基づいたモダニズムを実践しています。2017年にはその先駆的な事例に高い価値が認められ、自邸としては初の重要文化財にも指定されているほどのようです。(★こちらで観られます
近くには模型と写真、設計図などがあり、丘の上に建つ平屋で幾何学的なデザインが印象的かな。秋は縁側から綺麗な紅葉が観られるなど、非常に美しくて贅沢な空間となっています。和紙や竹などを使って日本らしさを感じる一方で、アールデコに通じる雰囲気もあり 特にオリジナルの照明などにそうした感性が観られました。

さらに他の自邸も含めた広域の模型もあったのですが、これが驚きです。国鉄山崎駅の裏手の山一帯が敷地となっていて、いくつもの自邸が並んでいる上、テニスコートやプールなどもあります。…どんだけ金持ちやねんw こちらも写真などがあって、食事室や居室はアールデコも取り入れたモダンな雰囲気でした。和とアールデコって親和性高いですね。
また、ここで面白いのが通気の仕組みに関するキャプションで、クールチューブという地下の管で冷気を取り込む一方、熱い空気を排出する流れも作っているのが分かります。自然を利用したエアコンみたいなものでしょうか。見た目だけでなく機能性も考え抜かれている点に感心させられました。

その後はそれ以外の代表的な作品の写真などが並んでいました。やはり和風が主になっているのが特徴かな。他にはパスポートや海外視察の際の日記なども展示されています。

最後に竹中工務店時代の大阪朝日新聞の写真もありました。こちらはゼツェッション(分離派)風の外観で、完全に西洋風です。部分的にはアール・ヌーヴォーにも通じる装飾性もあって気品ある佇まいでした。
 参考リンク:竹中工務店HP(竹中のデザイン)


ということで、後半は主に藤井厚二の建築について楽しむことができました。1つの展示で2人の主要な作品を観ることが出来て得した気分です。世の中的には知名度はそれほどでも無いように思いますが、2人とも魅力的な作品を残しているので、美術好きはチェックしておきたい展示だと思います。



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太田喜二郎と藤井厚二 (感想前編)【目黒区美術館】

前々回・前回とご紹介した目黒雅叙園に行く前に、目黒区美術館で「太田喜二郎と藤井厚二-日本の光を追い求めた画家と建築家」という展示を観てきました。メモを多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 太田喜二郎と藤井厚二-日本の光を追い求めた画家と建築家

【公式サイト】
 https://mmat.jp/exhibition/archive/2019/20190713-64.html

【会場】目黒区美術館
【最寄】目黒駅

【会期】2019年7月13日(土)~2019年9月8日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
お客さんはそこそこいましたが、自分のペースで快適に鑑賞することができました。

さて、この展示はベルギーに渡ってリュミニスム(光輝主義)を学んだ近代画家 太田喜二郎と建築家の藤井厚二の2人展で、それぞれの作品と2人の関係について取り上げています。2人は同時期に京都帝国大学で教鞭を取ったことで知り合い、茶の湯など共通の趣味で親交を深めていき、やがて藤井厚二は太田喜二郎の邸宅も手がけています。3章構成でその辺の事情も紹介されていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品等と共にご紹介していこうと思います。


<第1章 太田喜二郎>
まずは太田喜二郎に関するコーナーです。私はこの章を目当てにこの展示を観に行きましたw 太田喜二郎は1883年に京都で生まれ、東京美術学校に入学して黒田清輝や藤島武二に学びました。黒田清輝の勧めで1908年に芸術の中心地であるフランスではなくベルギーの留学することとなり、そこでベルギー印象派の画家エミール・クラウスに師事しました。そして、逆光に向かって光そのものを描こうとするクラウスの光の表現に衝撃を受け、太田喜二郎も多様な光の表現を求めるようになります。1915年頃に帰国すると、ベルギー印象派仕込みの点描で日本の農村で働く人を描いて、文展や帝展に出品を重ねていき、やがて帝展の審査員に就任するなど要職の地位を得ていきました。しかし1917年頃に点描の限界を感じたのか、この技法を放棄し 平滑で平面的な画風へと変化します。それでもこの方法でも光の表現を模索し続けたようです。この章ではそうした光の多様な表現を観ることができました。
 参考記事:
  エミール・クラウスとベルギーの印象派 (東京ステーションギャラリー)
  フランダースの光 ベルギーの美しき村を描いて (Bunkamuraザ・ミュージアム)
  ベルギー王立美術館コレクション『ベルギー近代絵画のあゆみ』 (損保ジャパン東郷青児美術館)

1-20 太田喜二郎 「雪の朝」
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1階のこの作品だけ撮影可能となっていました。雪の日の聖堂を光り輝く雰囲気で描いています。この全体的に白っぽい表現はエミール・クラウスの光輝主義に非常に似ているように思えました。印象派よりもさらに光を重視した作風です。後ほどこれと同じ構図の「サン・ピエール寺」の連作のコーナーもあります。

[留学前-東京に学ぶ]
この節はベルギー留学前のコーナーです。太田喜二郎は小学校の頃に巌本冬嶺に日本画家を習い、中学の頃に図画の教員の影響で西洋画に関心を持ちました。そして美術批評家の弟(岩村)と出会い、フランス留学するか東京美術学校に行くか彼らと相談した結果、東京美術学校を卒業してから留学したほうがアドバイスされたそうです。ここにはそうして進学した学生時代の作品などが並んでいました。

1-7 太田喜二郎 「黒田清輝筆<裸体・女>模写」
こちらは膝を両手で持って座る日本人の裸婦を描いた作品です。輪郭線が強いせいか若干だけど硬い感じも受けるかな。肩の辺りにも違和感あるし…。まだこれからといった印象を受けました。

1-2 太田喜二郎 「目黒」
こちらは目黒不動尊を描いた水彩画です。かなり精緻に描かれていて、朱色に塗られた梁や柱が目を引きます。裏にもスケッチがあり、木々の立ち並ぶ様子などが描かれていました。熱心にスケッチをしていたのが伺える品です。

この辺は水彩のスケッチが並んでいました。やはり精緻な描写で、当時の風情を感じさせる風景が多めです。

[ベルギー留学]
ベルギーに留学した太田喜二郎は、ゲント近郊にあるエミール・クラウスの自宅兼アトリエで直接教えを受けました。最初はクラウスのように描けないことに悩み、目に先天的な問題があるからではないか?と考えていたことが日記に残っているようです。しかし次第に腕を上げていき、やがてクラウスにも認められるようになっていきました。ここにはそうした留学時代の作品が並んでいました。

1-9 太田喜二郎 「木陰の少女」
こちらは緑生い茂る中で立つ女性を描いた作品で、白い服に白い帽子の姿でこちらをチラッと見ています。緑の濃淡や青を使って陰影を表現する様子や、大胆な筆致は印象派風に思えます。帽子の部分などは盛り上がっていて割と厚塗りになっているようです。近寄ると大胆に観えても 離れて観るとリアルな表現に思えるのも面白い作品でした。

1-10 太田喜二郎 「窓辺読書」
こちらは窓辺で本を読んでいる女性を描いた作品です。窓の向こうに植木鉢に入ったゼラニウムもあって、穏やかな光景です。比較的落ち着いた色彩となっていますが、筆致は大胆なのはこの時期の特徴かな。解説によると、この女性は下宿先の娘だそうで、静かで知的な雰囲気です。また、読んでいるのはエミール・ゾラの『制作』だそうで、ゾラとセザンヌの仲違いの原因になった本です。
 参考記事:映画「セザンヌと過ごした時間」 (軽いネタバレあり)

[サン・ピエール寺の連作]
続いてはサン・ピエール寺という聖堂を描いた同じ構図の連作(先程の1階の絵もその1つ)を中心としたコーナーです。

1-25 太田喜二郎 「赤い日傘」 ★こちらで観られます
こちらは赤い日傘を差して 木になる赤い実を摘んでいる女性を描いた作品です。大型の斑点を使った点描で、印象派というよりは新印象主義のような描法となっています。緑地に赤い傘が特に目を引く色の対比となっていて、光が透過して女性の方まで赤くなっている様子もリアリティを感じます。かなり大胆なのに、やはり離れて観ると凄く自然に観えるのが面白い。解説によると、この女性は新しい下宿先の娘のマデレンという子らしく、近くに同じモデルの作品が3点くらいありました。

1-16 太田喜二郎 「サン・ピエール寺(夏の朝)」「サン・ピエール寺(夕陽)」「サン・ピエール寺(冬の朝)」など ★こちらで観られます
こちらがサン・ピエール寺の連作で、同じ場所から時間を変えて描いています。夕景で赤く染まったり、寒色系中心で寒々しい感じだったりと同じ構図でも色と印象がだいぶ違って観えます。こうした「連作」の制作はモネをはじめとした印象派が行った手法でもあるので、印象派からの影響も強く感じられました。

[帰国後-点描で描く日本の光]
太田喜二郎は帰国すると京都の農村に居を定め、文展などで受賞を重ねていきますが、日本での作品の評価は芳しくなかったようです。(適切に評価されるまで時を待たねばならなかったのかもしれないようです) その後、京都の丹波や京都市内に転居したそうで、ここにはそうした帰国後の作品が並んでいました。

1-28 太田喜二郎 「帰り路(樵婦帰路)」
こちらは頭の上に木の束を載せて運ぶ2人の大原女を描いた作品です。こちらも点描で大胆に描かれていて、顔は暗く 周りは明るいという逆光の構図となっています。その対比が強めで、その分 日差しの強さが感じられました。

この辺の作品は農婦を描いた作品が並んでいて、風土が変わってもベルギー時代と共通するものが多いように思います。

1-34 太田喜二郎 「田植」
こちらは田植えをしている笠を被った女性たちを描いた作品です。手に苗を持って立っていて、顔は影になって 田んぼや体が光に照らされています。全体的に光り輝くような明るさとなっていて、4~5月頃の強い日差しまで感じられました。

[新たな日本の光を追い求めて]
太田喜二郎は1917年に個展を開き、美術講師や帝展審査員に任命され、1920年には京都帝国大学工学部の講師の嘱託になるなど画家としての地位を築いていきました。しかしこの頃から平滑・平坦な画風となっていったようです。ここにはそうした晩年の作品が並んでいました。

1-35 太田喜二郎 「夏の昼」 ★こちらで観られます
こちらはかなり平面的な表現となった作品で、夏の茶屋の中らしき様子が描かれています。店の中には休んでいる人や 赤ちゃんにお乳を与えている女性などがいて、店の外では牛が荷物を引っ張り、農婦らしき荷物を運ぶ女性の姿もあります。中と外の光の強さがかなり違っていて、この辺りの表現は以前と変わっていないようにも思えます。何故 点描から平面になったのかは特に解説されていませんでしたが、点描に比べると強烈さが和らぎ モダンな雰囲気が増したように思えました。

1-39 太田喜二郎 「雪晴れの港」
こちらは絶筆と同じ構図の作品で、彦根の風景を描いています。手前に横に広がる湖面があり、その奥に家々が立ち並び雪が積もっています。空は薄暗くどんよりしていて、水面の反射や雪の様子などから寒々した空気感が伝わってきました。雪の日の光景そのものと言った感じで、これも表現は滑らかな印象を受けます。こうした繊細な光の表現も追い求めていたのが伝わってきました。


ということで、長くなってきたので今日はこの辺までにしておこうと思います。目当ての太田喜二郎の作品が多く観られただけでも満足な内容で、画風の変遷も実感することができました。後半はもう1人の主役である藤井厚二との関係や藤井厚二の作品が並んでいましたので、次回はそれについてご紹介の予定です。

 → 後編はこちら




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