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山口蓬春展 新日本画創造への飽くなき挑戦 (感想前編)【日本橋タカシマヤ】

この間の土曜日に日本橋の日本橋タカシマヤ8階で「山口蓬春展 新日本画創造への飽くなき挑戦」を観てきました。この展示は既に終了していますが、大阪への巡回があり 今後の参考にもなりそうでしたので前編・後編に分けて記事にしておこうと思います。

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【展覧名】
 山口蓬春展 新日本画創造への飽くなき挑戦

【公式サイト】
 https://www.takashimaya.co.jp/store/special/event/hoshun.html

【会場】日本橋タカシマヤ(日本橋高島屋)
【最寄】日本橋駅

【会期】2019年8月7日(水)~8月19日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
会場が狭いこともあって場所によっては混雑感もありましたが、概ね自分のペースで観ることが出来ました。

さて、この展示は大正から戦後に活躍し「蓬春モダニズム」と呼ばれる西洋画の要素を感じさせる日本画で名高い山口蓬春の個展となっています。デパートの催事場での展示ということで50点程度の内容ですが、初期から晩年まで網羅的に並び 代表作も数点あるなど充実のラインナップとなっていました。
まず簡単に山口蓬春の略歴があり それによると、1893年に北海道の松前で生まれ1915年に東京美術学校西洋画科に入学しました。後に日本画科に移り、そこで松岡映丘に師事しています。卒業後は松岡映丘が主催する「新興大和絵会」の同人となり、1926年に帝展に出品した作品が特選・帝国美術院賞・皇室買い上げという三重の栄誉を受けて華々しいデビューを飾りました。その後、大和絵の第一線で活躍していたものの、より自由な表現を求めて流派を超えた「六潮会」に参加し、絵画感覚を磨いていきます。戦後は伝統的な日本画の技法を規範としつつ、マティスやブラックら西洋近代絵画の表現を吸収して「蓬春モダニズム」と呼ばれる清新な作風を作り上げました。しかし、その作風にも留まることはなく写実的な画風を経て 晩年は日本と西洋の融合を目指し、再び日本の伝統的な画題へと回帰していったようです。 この展示ではそうした画風の変遷を6章に分けて構成していましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<Ⅰ やまと絵の頂点へ>
まずは初期のコーナーです。西洋画科に入学した山口蓬春(洋画時代は本名の山口三郎)は二科展に入選するなど洋画家への道を進んでいましたが、指導教授の長原孝太郎から助言を受けて 悩んだ末に日本画科へと転科し、そこで指導に当たったのが松岡映丘でした。この頃の生活は苦しかったようで、京都に移住して古都の風景を描いて生計を建てていたようです。そこで観た新鮮な感動を卒業制作の「晩秋(深草)」や帝展で初入選した「秋二題」などで叙情的に表していきました。その後 日本画科を主席で卒業し、松岡映丘の新興大和絵会の同人となり更なる研鑽を積みます。そして第7回帝展に出品した「三熊野の那智の御山」で三重の栄誉を得て、翌年の帝展でも鮮烈な色調を復活させた近代的な作品を発表していきました。ここにはそうした時代の作品が並んでいました。
 参考記事:生誕130年 松岡映丘-日本の雅-やまと絵復興のトップランナー (練馬区立美術館)

3 山口蓬春 「小径」
こちらは油彩の洋画で、木に囲まれた道を細かい点描を重ねるように描いています。厚塗りで筆跡が残る感じで、近くで観ると抽象画のようにも見えるほどです。緑とオレンジの補色関係が力強く、全体的に落ち着いているものの鮮やかな色彩に思えました。 色合いや手法などに後期印象派からの強い影響が感じられました。

この辺は油彩画が並んでいました。

6 山口蓬春 「ニコライ堂」
こちらはニコライ堂の見える風景を描いた洋画で、手前に赤と緑の葉っぱの木が描かれています。簡略化されていて、外国の風景のようにも思えるかな。一見してゴーギャンのような画風ですが、やや沈んでいながら力強い色彩が印象的でした。

この隣にあった路面電車を描いた作品も好みでした。指導教授の長原孝太郎は山口三郎の絵を「君の絵は渋い。日本画のようなところがある」と評していたのだとか。
この先は日本画が並びます。

8 山口蓬春 「伊都久嶋」
こちらは日本画の掛け軸で、厳島神社の回廊と海岸に佇む鹿が描かれています。松の緑青と柱の朱色が明るく、背景の木々も緑鮮やかな色彩です。滲みを使った屋根の表現も面白く、松岡映丘だけでなく琳派なども研究していたのかも? 先人に学びつつ新しい作風にたどり着いているように思えました。

10 山口蓬春 「秋二題」
こちらは二曲一隻の屏風で、右隻は薬師寺の塔が見える奈良の新秋の農村風景で 笠をかぶり腰に手を当てている農夫らしき姿があります。左隻は月の浮かぶ野を背景に農家の家屋が描かれ、柿の実が成る晩秋のようです。こちらは人がいない寂しげな風景ですが、非常に詩情溢れる光景で秋の風情や郷愁が感じられました。空のグラデーションなど柔らかく繊細な色彩で表現されていました。

近くにあった「木場」も良い作品でした。幾何学的でセザンヌのような要素を感じます。


<Ⅱ 蓬春美への飛躍>
続いては日本画家として認められ飛躍していく時代のコーナーです。山口蓬春は新興大和絵会の活動に限界を感じ、1930年に六潮会に入りました。ここでは洋画家・日本画家・評論家が集まり、流派を超えて自由な雰囲気で学び合っていたようで、この上ない研鑽の場として10年続いたそうです。一方この頃、山口蓬春は画壇で派閥の板挟みとなって苦しみ、1935年には六潮会以外の全団体と決別したそうです。そして古典の模写に励みつつ新しい日本画を模索し、1936年には初の個展を開催しています。また、徹底した自然観察を行い、西洋美術に関心を寄せて美術画集を蒐集し、省略や強調を交えた新しい表現を追求していき、これが戦後の蓬春モダニズムに繋がっていきました。ここにはそうした時期の作品が並んでいました。

15 山口蓬春 「那智の滝」
こちらは第7回帝展に出品した「三熊野の那智の御山」と同じく那智の滝をモチーフにした作品で、水が流れ落ちる様子が描かれています。奥には山々の合間に大きな月が浮かび、宮曼荼羅の形式に則った古典的な題材です。しかし画面は青・赤・黄・緑といった色彩鮮やかな光景となっていて、斬新さが伝わってきました。やはり色彩感覚は西洋っぽいのかも。

ちなみに第7回帝展の少し前の1926年に、山口蓬春は日本画家を志す斎藤春子(はる)と結婚しました。茶の湯や三味線も嗜む女性で、蓬春の生前から死後まで支えになった奥さんだったようです。

13 山口蓬春 「緑庭」
こちらも帝展で特選を得た作品で、手前に牛のいない牛車(網代車)が3台、奥には水辺に松などが並ぶ森の様子が描かれています。緑青をふんだんに使っていて、全体的に緑がかって初夏の生い茂る生命感が感じられます。一部に金泥を使って光が差し込む様子も表されていて一層に清々しく見えるかな。置かれた車は人の余韻を感じさせて、物語性があるように思えました。

この近くには琳派風の「扇面流し」という屏風もありました。

17 山口蓬春 「夏雨秋晴」
こちらは二曲一双の屏風で、右隻は水墨で水辺と竹林が描かれています。そこに2羽の鷺?がいて、1羽は飛び立って行く姿となっています。全体的に霧が霞むような幽玄の光景で、繊細な濃淡で表されています。一方、左隻は金色の三角形の山と、金と赤に染まる紅葉した急斜面が描かれています。こちらも霧が沸き立つような感じですが、雅な雰囲気で右隻とは大分違った印象を受けました。1つの作品でモノクロとカラフルな世界を同居させていて面白い作品でした。

18 山口蓬春 「如月」
こちらは曲がりくねった梅の木を描いた作品です。カクカク曲がった枝は軽やかでリズミカルな印象すら受けるかな。花は単純化されていて、琳派風のように思えます。全体的にモノクロで静かな色ですが、動きを感じるようなうねりが見事な作品でした。


ということで、長くなってきたので今日はここまでにしようと思います。ありそうで中々無かった山口蓬春の個展で、前半は山口蓬春が西洋画家としてスタートした異色の経歴がよく分かる内容となっていました。後半はその感覚が新日本画として花開く様子を観ることができましたので、次回は残りの章についてご紹介していこうと思います。

 → 後編はこちら



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メガロマニア植物学 【インターメディアテク】

前々回・前回とご紹介した東京ステーションギャラリーの展示を観た後、近くのkitteにあるインターメディアテクで特別展示『メガロマニア植物学』という展示を観てきました。

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【展覧名】
 特別展示『メガロマニア植物学』

【公式サイト】
 http://www.intermediatheque.jp/ja/schedule/view/id/IMT0188

【会場】インターメディアテク
【最寄】東京駅

【会期】2019年05月21日~10月06日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_②_3_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は巨大な植物の乾燥標本を額装して展示するもので、普段は分断したり縮体して保存するようなものを あえて原寸大で原型をとどめて提示する内容となっています。会場は1部屋のみで点数も少ないので15分もあればじっくり観られる位でしたが、巨大な葉っぱなどが並び驚くような品もありました。いくつかメモしてきたので簡単にご紹介していこうと思います。


「ホウライショウ(蓬莱蕉)」
こちらは中央アメリカに分布するサトイモ科の植物で、アロハシャツなどによく描かれる葉っぱです。属名はモンステラ(怪物的な)というそうで、1mくらいある大きな葉に所々穴が空いています。規則正しく枝分かれするように並んでる形も面白く、広く愛される理由も分かる気がしました。

近くには蛍光灯の台に乗せて展示していているキリなどもありました。葉脈が広がる様子なども観られます。

「ショクダイオオコンニャクの花」
こちらはマレーシア原産のコンニャクの花で、高さ3.5mに達し世界最大の花の集合体をつけるそうです。腐肉臭を発して死肉食性の甲虫を引き寄せて花粉を運ばせるらしいので、絶対臭いw(確信) 人の背丈ほどもある花が展示されていて、中央に突起のようなものがあり 周りに花びらがあるように見えますが、これは花びらではなく仏炎芭と呼ばれるそうです。以前に植物園で見た気もしますが、中々驚きの大きさでした。

「パラグアイオニバス」
こちらは綺麗な円形の葉っぱで、一部は切れているものの太い葉脈が広がって幾何学的な文様のようにも見えます。水面に浮かぶそうですが、かなり巨大です。このトゲトゲはうっかり触ったら手を切りそう。

この近くにはフキなどもありました。北海道の伝説に出てくる小人のコロポックルはフキの葉っぱを屋根にして暮らすという話があるそうで、それも頷けるくらいの大きさです。

「タビビトノキ」
こちらはマダガスカル原産の植物で、鳥の羽のような形の2mくらいある葉っぱが展示されていました。葉柄が水を貯めたり葉面が東西方向を向くので旅の助けになるということでこの名前がついたそうです。とんでもなく大きな葉っぱですが、この木の写真を検索するとその葉っぱの生え方も変わっていて、放射状に伸びているのが奇妙な植物でした。

「モダマ豆果」
こちらは熱帯・亜熱帯の巨大な蔓性の豆の一種で、幹の直径は30mにも及ぶそうです。木質のサヤが展示されていて、巨大なえんどう豆みたいな形かな。円が連なって芋虫的な見た目でもあるw 長さは1m近くもあり乾燥して硬そうな質感です。 この種子は水に浮かんで海流に乗って広く散布するようで、「モダマ」は「藻玉」の意味で海藻の種子と誤解されて名がついたようです。こんなのが浮いているのを観たら蛇かと思いそうですw

この隣には巨大な松ぼっくりもありました。2~5kgもあるアメリカのコールターパインの松ぼっくりで、こんなのが落ちてきて直撃したら死ぬかも…

「ゴボウの葉っぱ」
こちらは普段食べているゴボウの葉っぱです。都会では葉っぱを観る機会はありませんが、真っ直ぐ立てれば2~3mくらいありそうな巨大な葉っぱの標本が展示されていました。こんなに大きくなるとは知らなかった…。 しかも若い葉っぱは食べることもできるそうです。ちょっと検索するとレシピとかもありました。栄養抜群とのことですが、どんな味なんだろか??


ということで巨大な植物標本の数々を観ることができました。やはり南方の植物が多かったけどゴボウなど割と身近なものもあって、変わった生態を知ることができました。ここは東京駅のすぐ近くで無料で観られますので、東京駅に行くついでに寄ってみるのもよろしいかと思います。


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メスキータ (感想後編)【東京ステーションギャラリー】

今日は前回に引き続き東京ステーションギャラリーの「メスキータ」についてです。前半は上階の1~2章についてでしたが、後編は下階の3章~5章についてご紹介して参ります。まずは概要のおさらいです。

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 メスキータ

【公式サイト】
 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201906_mesquita.html

【会場】東京ステーションギャラリー
【最寄】東京駅

【会期】2019年6月29日(土)~8月18日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
下階も上階と同じくらいの混み具合でした。下階は4章と5章の順が入れ替わっていたようでしたが、観た順に気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<第3章:自然>
3章は植物や動物を描いた作品のコーナーです。メスキータは動物や植物のモチーフの多くをアムステルダムのアルティス動物園に取材したそうで、オランダでは普通は目にすることがないモチーフが選ばれているようです。特に木版の作品ではデッサンをもとに細部を捨象してモチーフを単純化し、デザイン的に研ぎ澄ますことで装飾性や幾何学性の強い作品を生み出したのだとか。ここにはそうした自然を題材にした作品が並んでいました。

3-33 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「鹿」 ★こちらで観られます
こちらは鹿の横顔を描いた版画で、鹿の形を含めて三角や四角、直線の組み合わせで構成されています。特に2本の角が折れ曲がって三角形を成すような構図が独特で、平面的かつ幾何学的な作風です。細長い線で陰影をつけていたりして、素朴さと斬新さの両面が感じられました。

3-74 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「アーティチョーク」
こちらはアンティークの花を描いたもので、輪郭線がなく細い線を並べることで花びらなどを表しています。線の太さを変えることで明暗(太いほど白い部分が多くなり明るく感じる)をつけていて、渦巻くような規則的な彫りとなっています。こちらも素朴さと緻密さが同居していて、力強い印象を受けました。

この辺は植物の静物画多かったように思います。

3-36 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「二頭のガゼル(習作)」「二頭のガゼル」
こちらはスケッチと木版が並んで展示されていました。いずれもガゼルが草地で足を畳んで伏せている様子で、習作スケッチでは1頭なのが木版では向き合うようにもう1頭加えられています。また、2つを比べるとスケッチから木版にする際の単純化の様子が伺え、特に毛並みの表現が色面だったのが線刻による針のような表現に変わっているのが伺えました。同じモチーフでも受ける印象はかなり異なるのが面白かったです。

この近くには「バッファロー」という作品もありました。ステート違いで印象が変わってくるのを観ることができます。

3-73 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「パイナップル」 ★こちらで観られます
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写真は撮影可能エリアで撮った複製です。こちらは逆さ吊りにされたパイナップルを描いた木版で、表面と葉っぱは文様のように単純化されて細い線刻で表されています。パイナップルの周りだけ切り取られたように白い地になっていて、コントラストによってパイナップルの存在感が強まっているように思えました。

3-35 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「ホウカンチョウ」
こちらは木の上にとまるホウカンチョウを描いた作品で、かなり単純化されて丸々した体躯となっています。黒々とした毛を細かい線で文様のようにリズミカルに描いていて、装飾性が感じられます。また、木の枝も直角に曲がっているなど幾何学的な要素も感じられました。

3-09 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「死せる鳩(無事の死)」
こちらは十字架に磔になってぶら下げられているような白い鳩を描いた版画です。まるでキリストの磔刑を思わせる構図ですが、反転したステート違いでは十字架の部分が改変されて十字架っぽさが減っているように思えます。解説によると、メスキータはユダヤ人であったものの熱心なユダヤ教信者ではなかったようです。それでもこの絵に宗教的な含意があるかは分からないとのことですが、鳩はキリスト教では精霊の象徴でもあるので、見る側からすればすぐに連想するような構成となっていました。

この辺には鳥をモチーフにした作品がありました。今回のポスターにんっている「ワシミミズク」(★こちらで観られます)もこの章にありました。

3-30 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「シマウマ」 ★こちらで観られます
こちらは小屋の中で草を食むシマウマを描いた版画です。元から白黒のモチーフだけにモノクロの版画でも違和感がないかなw 縞々も写実的に表現されているように思えます。解説によると、メスキータは鮮やかに黒と白に色分けされている自然界のモチーフを白黒が明確な木版画の題材にすることに反対していたそうです。エッシャーはその言葉を覚えていたので、この作品を後で知って驚いたのだとかw 近くには白黒の牛を描いたものもあって、これだけが例外という訳でも無さそうな…。中々面白いエピソードでした。

3-70 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「アヤメ 第9ステート」
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写真は撮影可能エリアで撮った複製です。花は写実的な単純化に思えますが、葉っぱの部分が謎の横線でボヤけて見えます。第3ステートあたりまでは普通の表現なので、装飾性を高めるためにこうした表現を用いているようでした。


<第5章:ウェンディンゲン>
続いては雑誌『ウェンディンゲン』に関するコーナーです。この雑誌はオランダの建築家H. Th. ワイデフェルトを中心に1918年に創刊されたもので、1933年の廃刊まで116号に渡って建築・絵画、彫刻、家具、工芸、東洋美術、演劇などを紹介していたようです。この雑誌の表紙は1920年代のさまざまなスタイルの作家がデザインしたそうで、メスキータは9回ほどデザインしました。また、第7巻1号(1925年5月)と第12巻1号(1932年1月)ではメスキータの特集もあったようで、ここではそうした部分が紹介されていました。

『ウェンディンゲン』
こちらは正方形の雑誌の表紙で、平面的でロシア・アヴァンギャルドのような表紙もあります。開いた時に長辺が短辺の2倍になる形状はワイデフェルトが日本の畳に着想を得たと考えられるそうで、本としてはちょっと変わってるかも。中には今回の展示でも観られるメスキータの「象」などもありました。メスキータが当時から前衛芸術家として認識されていたことが伺える作品です。

5-08 『ウェンディンゲン』第12巻1号 [特集:S.イェスルン・デ・メスキータ]
こちらは2回目のメスキータ特集号で、青色を背景に白いフクロウが単純化されて表されています。一見すると可愛らしいようで 白目の部分が黄色く目やくちばしが鋭くて緊張感があります。シンプルながらもフクロウの特徴を捉えていて、白黒版画とは違った魅力もありました。


<第4章:空想>
最後は幻想・空想を描いた作品のコーナーです。メスキータは版画作品を制作する傍ら、生涯を通じて膨大な数のドローイングを描いていたそうです。これらは「全く意図していない無意識の現れ」と語っていたらしく、思いつくままに描いていたと考えられるようです。シュルレアリスムのオートマティスムの先駆的な試みと見なすこともできるようで、ここにはそうして作られた空想的な作品が並んでいました。

4-01 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「ファンタジー:エジプト風の像を見る男」
こちらは横向きで獣のような謎の仮面をかぶった人物像と、それを観ている男(中国人みたいな)を描いたペン画です。確かにエジプトの壁画を思わせる平面性と仮面ですが、架空のものに思えます。ここまで観てきた画風とガラリと変わっていたのでその点についても驚きでした。

この辺は割と人物画が多いかな。意味ありげな表情や構図で、たまにシュールな雰囲気があります。

4-26 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「幻想的なイマジネーション:さまざまな人々」
こちらは中央で向き合う男女を中心に、無数の人物が描かれた作品です。背景なのか手前なのか分からない平面的な構成で、前後で組み合うような表現はエッシャーに通じるものを感じます。もはや人間なのかも怪しいくらい戯画っぽく表現されているのもここまでと違った作風に思えました。

4-42 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「ファンタジー:少女と死との会話」
こちらは油彩とテンペラによる作品で、左上に目の黒いドクロのような顔があり、やや笑ったような表情をしています。その右下に赤い髪(赤いフード?)の少女の顔があり、目は描かれていません。また、右上・左下にも顔らしきものがあるけどこちらも目は無く何かを話しかけるように観えるかな。くすんだ色彩で版画の作風のような明確さはなく、少々不気味で幻想的な雰囲気でした。これもメメント・モリがテーマなのかも

4-43-52 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「10点のリトグラフ」
こちらは10点のリトグラフで、戯画的な表現で人物(特に横顔)が描かれた作品が中心となっています。1つ1つの意味は分かりませんが、天体と交信しているような作品など、現実ではない空想世界を思いつくままに描いているような感じです。これも今までの作風とは異なる絵柄に思えました。

4-55-70 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「グロテスクなイマジネーション」
こちらは全18点から成るエッチング作品で、一層に戯画的に誇張された人物が多く描かれています。もはや妖怪みたいな絵もあって、意図不明の不気味さもあります。 解説によると 10部という少部数での出版だったそうで、個々の作品の意味は曖昧で 見る人間によっていかようにでも解釈しうる多義性を備えているとのことでした。


ということで、後編もメスキータの作品を楽しむことができました。こうして観ると作風も色々と変わっているようにも思えますが、単純化されたコントラストの強い版画が特に面白い画風ではないかと思います。非常に気に入ったので図録も購入しました(注文生産で届くのが3週間くらいかかりましたw) もうすぐ終わってしまいますが、美術ファン注目の展示だと思います。



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メスキータ (感想前編)【東京ステーションギャラリー】

3週間ほど前に東京駅の東京ステーションギャラリーで「メスキータ」を観てきました。メモを多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 メスキータ

【公式サイト】
 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201906_mesquita.html

【会場】東京ステーションギャラリー
【最寄】東京駅

【会期】2019年6月29日(土)~8月18日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
結構お客さんが多くて場所によっては混雑感もありましたが、概ね自分のペースで観ることができました。

さて、この展示はサミュエル・イェスルン・デ・メスキータという19世紀末から20世紀前半にかけてオランダで活躍した画家・版画家・デザイナーの日本初の本格的な個展となっています。メスキータは美術学校で教鞭を取っていて、教え子の中にはだまし絵で有名なM. C. エッシャーもいるようです。明暗のコントラストの強い作風は独創的で、エッシャーにも影響を与えたのも伺えるほどの画家ですが、メスキータはユダヤ人だった為にナチスのゲシュタポに捕まり、1944年にアウシュヴィッツで亡くなるなど過酷な運命を辿ります。そんな状況下でもアトリエに残された多くの作品をエッシャーたち教え子が決死の思いで救い出し、大切に保管したことで戦後もメスキータの名声が守られたようです。この展示ではそうしたメスキータの作品を題材ごとに章分けして紹介していました。詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
 参考記事:
  ミラクル エッシャー展 奇想版画家の謎を解く8つの鍵 感想前編(上野の森美術館)
  ミラクル エッシャー展 奇想版画家の謎を解く8つの鍵 感想後編(上野の森美術館)


<第1章:メスキータ紹介>
まずはメスキータ自身に関するコーナーです。サミュエル・イェスルン・デ・メスキータは1868年にアムステルダムでユダヤ人の子供として生まれ、14歳の時に建築事務所に見習いとして勤め、17歳の時に国立美術工芸学校に入学しました。さらにその1年後には国立師範学校に転籍して美術教員の資格も取得しています。初期は油彩・水彩・ドローイングを制作していたそうですが、1890年代以降は、エッチング・リトグラフ・木版画などの版画の技法や、一時期はろうけつ染めの技法を試みるようになったようです。ここには主に版画の自画像や家族の肖像などが並んでいました。

1-01 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「小さな自画像(最初の木版画)」
こちらは横向きの自画像で、1896年に最初に作った木版画のようです。口髭をはやして鏡を覗き込む様子となっていて、画面の下半分は沢山の彫り跡が線状に並んでいます。これは恐らく試し彫りと考えられるようですが、何故かそのまま残されているのがちょっと奇妙ながらも面白い効果となっています。コントラストが強く単純化されていて力強さを感じました。

この隣も自画像で、いくつか自画像がありました。歳も様々で自画像はメスキータの重要なテーマの1つだったようです。

1-05 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「メメント・モリ(頭蓋骨と自画像)」
こちらは横向きの自画像を鉛筆で描いたもので、白髪の短髪でシワだらけの首すじが目を引きます。晩年の様子を描いているようで、解説で諦めのような表情と言っていたのも頷けます。近くにはこれと同じ肖像が頭蓋骨と向き合っている作品もあり、「メメント・モリ(死を忘れることなかれ)」をテーマにしているようでした。

1-14 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「ヤープ・イェスルン・デ・メスキータの肖像」 ★こちらで観られます
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写真は撮影可能エリアで撮った複製です。丸い黒メガネを掛けた息子の肖像で、髭や目つきが獣っぽいかなw 黒の割合も多くちょっと異様な感じすらしますが、迫力があり一度観たら忘れられない個性です。

この近くには息子の幼少期を描いた作品もありました。繰り返し描いていたようです。また、フリーハンドで描いたとは思えないほど精緻な「ハールレムの市庁舎」などもあり、建築事務所で見習いをしていたのが活かされている様子も伺えました。


<第2章:人々>
続いては主に人物を描いた作品のコーナーです。メスキータは1902年にハールレムの応用美術学校の教師となり、24年間ほど教鞭をとっていたようで、教え子の中で最も有名なのはM. C. エッシャーです。(エッシャーの初期作品にはメスキータからの影響も伺えるそうです)
メスキータの版画は単純化されて平面的なもので、日本の浮世絵の影響が指摘される一方、シャープな線やくっきりしたコントラストを用いた装飾的な要素はアール・デコやモダン・デザインの時代の反映を観ることができるようです。ここにはそうした特徴を持つ作品が並んでいました。

2-22~25 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「ユリ」
こちらはステート違いの4点が並んでいました。ユリを中心に男女が向かい合うような構図となっているのですが、第1ステートでは男の姿はありません。また、女性は裸体で 肌を縞々の波線で表現していたのが第3ステートからは真っ白で滑らかな肌になっているなど、ステートごとに雰囲気が異なります。この展示に無い最終ステートは更に変わっているようで、ステートを重ねながら検討している様子が伺えました。

2-04 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「椅子に座る女」
こちらは初期の油彩作品で、椅子に座っている横向きの女性が描かれています。白のブラウスに黒いスカートの姿で、背景の部屋まで丹念に描かれていて、版画とはだいぶ違う画風です。滑らかで濃淡強めの色彩で、静かな雰囲気となっていました。

2-37 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「窓辺の裸婦」
こちらは真っ暗の背景に裸婦が描かれた作品で、手前が窓辺になっているので暗闇の中は部屋のようです。やけに大きな窓で暗い部分が多く、観ていてちょっと不安になるというか…w この近くにはこれを反転した作品もあり、メスキータはしばしば版木と同じ構図(摺りと逆転した構図)も試していたようです。理由は不明とのことですが、反転するだけでも結構印象が違って見えました。

2-14 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「緑色の背景の女」
こちらはパステルのカラー作品で、緑色を背景に やや斜め向きの女性が描かれています。目がぱっちりしていて清廉な印象を受けるかな。色は軽やかで、これも版画とはかなり印象が異なる作品でした。

2-47 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「エクスタシー」
こちらは両手を挙げて上を向いている裸婦と、その両脇で上を向いている女性の顔が描かれた版画です。周りにはオーラみたいな感じで立ち上る点線があって、官能的な雰囲気です。この作品もいくつかのステートが並んでいて、左右の足の踏み出し方が反転しているなどの違いがありました。一種の儀式のような妖しさがあって、ちょっとクリムトを思い起こしました(最近観たばかりなのでw)

この章にはこの「トーガを着た男」もありました(写真は撮影可能エリアで撮った複製です。)
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周りの線がオーラを発しているように見えて強い存在感です。

2-50 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「帽子の女」
こちらは黒地を背景に細く少ない線刻で表した帽子をかぶった女性像です。線だけで輪郭はなく、帽子や服は黒が多く残っていて大胆な表現です。少ない彫りなのに離れてみると顔の表情までよく分かるのも驚きでした。解説によると、線によって面とその陰影までを表現する方法はエッシャーの初期作品に影響を与えているとのことでした。

2-58 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「歌う女」
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写真は撮影可能エリアで撮った複製です。やや大きめの作品で、背景の左右対称の線が羽のようにも見えます。コントラストや白い縦線が独特の効果を生んでいるように思いました。


この辺までが上階の内容なので今日はここまでにしておこうと思います。前半から個性溢れる作品ばかりで、素晴らしい画家を知ることが出来て非常に満足です。後半にも面白い作品が多々ありましたので次回は残りの3~5章をご紹介予定です。

 → 後編はこちら



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遊びの流儀 遊楽図の系譜 【サントリー美術館】

前回ご紹介した展示を観た後、同じ東京ミッドタウンの中にあるサントリー美術館で「サントリー芸術財団50周年 遊びの流儀 遊楽図の系譜」を観てきました。

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【展覧名】
 サントリー芸術財団50周年 遊びの流儀 遊楽図の系譜

【公式サイト】
 https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2019_3/

【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅

【会期】2019年6月26日(水)~8月18日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
会期末が近いこともあってか結構お客さんが多かったですが、概ね自分のペースで観ることができました。

さて、この展示は日本古来の「遊び」をテーマにした展示で、中国の君子(文人)たちのたしなみとされた琴棋書画(琴・囲碁・書道・絵画)を中心に遊びの歴史を紹介する内容となっています。時代や展示品も多岐に渡り、8つの章から構成されていました。詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。なお、この展示は4期に分かれていて、私が観たのは最後の後期の内容でした。


<第1章 「月次風俗図」の世界 暮らしの中の遊び>
まずは12ヶ月の行事や風物を描く「月次絵」のコーナーです。「月次絵」は大和絵の重要なテーマで、その中には行事に伴う遊びの様子も描かれていました。

2 「月次風俗図屏風」
こちらは六曲一隻の屏風で、上下に画面を分けて一扇ごとに2ヶ月分の行事が描かれています。1月:正月、2月:涅槃会、3月:桜の花見、4月:藤の花見、5月:端午の節句、6月:祇園祭、7月:盂蘭盆会、8月:中秋の月見、9月:貴船狭小神輿、10月:亥子祭、11月:御火焚、12月:師走の風景 となっていて、右上から反時計回りに17世紀前半頃の京都の町の様子のようです。かなり細かく描かれていて、にぎやかで楽しげな雰囲気となっていました。季節ごとのイベントや遊びは現代と大差ないかもしれません。一周するとまた季節が巡るような構図となっているのも面白かったです。


<第2章 遊戯の源流 五感で楽しむ雅な遊び>
続いては五感を使った遊びに関するコーナーです。視覚だけでなく、嗅覚の組香や聴覚の琴、触覚の蹴鞠などが例に挙げられるようで、それらは武芸の上達をはかり古典的教養を高める意義をもつ遊戯でもあったようです。

8 海北友雪 「徒然草絵巻」
こちらは吉田兼好の『徒然草』の全章段を絵画化したもので、双六の名人についての9巻第110段を展示していました。要約すると、双六の名人は「勝とうと思って打ってはならない。負けないように打つべき」と言っていたのを含蓄ある教訓として紹介していて、双六をしている様子が描かれています。この言葉、現代でも通じると思うんですよね…。海北友雪の壮麗な絵も見どころの1つとなっていました。

この近くには「草花蒔絵双六盤」もありました。毎回これを観てもルールは分からないですが、バックギャモンとは違うルールとのことです。また、蹴鞠の鞠を挟んでおく器具なども展示されていました。

18 「打毬具」
こちらは馬に乗った人々が2組に分かれて長い柄の先に網をつけたもので鞠をすくい、自分の鞠門に入れるポロに似た競技の道具です。鞠には紅白の色がついていて、十字模様になった鞠もありルールによって使い分けていたようです。こんな競技が日本にもあったとは知らなかったので面白く思えました。

この近くには組香の道具「菊折枝蒔絵四種盤」もありました。緻密で豪華な装飾のセットです。


<第3章 琴棋書画の伝統 君子のたしなみ>
続いては君子の嗜みとされた琴棋書画に関するコーナーです。日本画でもお馴染みの題材で、屏風などと共に実際の道具類も展示されていました。

26 「芒菊桐紋蒔絵碁笥・碁盤」
こちらはクルミ材で出来た碁盤と、蒔絵の碁笥(ごけ。石の入れ物)で、碁石は天然の石を使った不揃いなものとなっています。碁笥にはススキや菊、桐などを繊細な高台寺蒔絵で表していて、煌やかな雰囲気です。解説によると、この碁笥と碁盤は豊臣秀吉から千利休へと下賜されたものだそうです。そんな貴重なものが伝わっているとは驚きでした。

24 海北友松 「琴棋書画図屏風」
こちらは六曲一双の屏風です。右隻には松の木の下で 碁盤の上に琴を置いて そこで頬杖をついて寝ている人や、それを観て呆れるような2人が描かれています。背後には大きな衝立に描かれた絵もあります。 一方、左隻では黄色い服の高士が書を差し出し、2人の人物が掛け軸を差し出している様子となっていました。合わせると琴棋書画が揃っていますが、何だかのんびりしていて緩いw 題材は定番だけど、ちょっと変わった構成となっていて面白かったです。


<第4章 「遊楽図」の系譜(1)「邸内遊楽図」の諸様相>
続いては遊びの様子を描いた「遊楽図」のコーナーで、特にこの章では邸内(庭先も含める)で遊ぶ様子を描いた作品が並んでいました。

36 「歌舞遊宴図屏風」
こちらは横長の六曲一双の屏風で、遊郭で沢山の人々が遊ぶ様子が描かれています。茶会、囲碁、双六、煙草、花見、舟遊び、水遊び、三味線などあらゆる遊びを描いているのではないかという位あります。賑やかで華麗な印象で、当時の遊興の様子が伝わってくる作品でした。

37 「婦女遊楽図屏風」
こちらは六曲一双の屏風で、屋敷や軒先で遊ぶ人たちが描かれています。ほとんどが女性で、縁側で寝てたり 扇を水辺で流していたり、円になって踊っていたり、身支度していたり、犬の世話をする女性なども描かれています。右隻は夏の光景のようで、涼し気な着物も可憐な印象となっていました。

近くには貝合わせの道具や煙管などもありました。また35「邸内遊楽図屏風」も小さい屏風ながらも鮮やかな色彩で目を引きました。


<第5章 「遊楽図」の系譜(2) 野外遊楽と祭礼行事>
続いても「遊楽図」のコーナーで、この章では野外での遊びや祭礼行事を描いた作品が並んでいました。

43 「四条河原遊楽図屏風」 ★こちらで観られます
こちらは京都の四条河原の賑わいを描いた屏風で、遊女歌舞伎の舞台や 犬の曲芸、ヤマアラシの見世物、弓の射的など様々な小屋が描かれています。中央に流れる鴨川では水遊びや釣りをしていて、さながらテーマパークのような感じです。河原は大水で流されたりするので、誰かの所有地という訳でなく、こうした見世物などが集まってきたと聞いたことがあります。歌舞伎の原点もここなので、そう考えると当時の大衆文化の賑わいは今でも生き続けているのかも。

ちかくには「四条河原図巻」という作品もありました。こちらもアシカ・熊・孔雀・鷲などの見世物や遊女歌舞伎の活況が描かれていました。


<第6章 双六をめぐる文化史 西洋双六盤・盤双六・絵双六>
続いては双六のコーナーです。双六は8世紀の正倉院の時代に日本に伝来して、身分を超えて多くの人が熱中して しばしば禁令が出さるほどだったようです。ここには双六盤などが展示されてました。

55 「清水・住吉図蒔絵螺鈿西洋双六盤」 ★こちらで観られます
こちらは西洋のバックギャモンも双六盤で、蒔絵に螺鈿で輝くような緻密な細工が施されています。表面には清水寺と住吉大社の境内を表したものがあるようで、私が観た時は住吉大社となっていました。輸出用の華美な装飾で、これで遊ぶのは相当に身分の高い人なのでは…。遊ぶのが勿体ないくらいの出来栄えでした。

59 「葵・浮線菊紋散唐草蒔絵碁盤・将棋盤・双六盤」
こちらは碁盤・将棋盤・双六盤の3つのセットで、この3つは特に普及して三面と呼ばれて婚礼の調度品とされたようです。尾張徳川家12代の正室の品と考えられるとのことで、碁笥には葵の御紋も表されています。全体的には蒔絵で唐草文様が施され、優美かつ威厳を感じさせるかな。名古屋の婚礼道具は流石ですねw


<第7章 カルタ遊びの変遷 うんすんかるたから花札まで>
続いてはカルタのコーナーです。カルタは南蛮文化の交流の際にポルトガル辺りから伝わったそうで、和歌と結びつき「百人一首かるた」など遊びを通じて教養を身につける用途にも使われました。ここには様々なカルタが並んでいました。

70 「金地うんすんかるた」 ★こちらで観られます
こちらは金地の75枚組のカルタで、花札くらいのやや小ぶりな大きさとなっています。トランプのように5種類のマークが15枚ずつ並んでいて、1~9はマークの数、10は福の神や達磨、11は中国の皇帝?、12は龍?などがマークを持っている絵柄となっています。また、解説によると ウンは一、スンは最高点を意味するとか、ウンは福の神、スンは唐人姿の絵札という意味を示すとか諸説あるようでした。いずれにせよ豪華なかるたです。

近くにはポルトガルから伝わったカルタを模倣した「天正かるた」などもありました。

77 「職人尽絵合かるた」
こちらは2枚セットで様々な職人を片方だけ文字入りにして描いたカルタです。櫛職人や団扇職人、人形職人などが描かれていて身分の高い人が世の中の仕組みを遊びながら学んだようです。視覚的に覚えやすいし、カルタは教育と相性が良いのは昔からなんでしょうね。
近くには諺を描いた子供向けのいろはかるた や、野菜のカルタ等もありました。いろはかるたは日本人なら誰しもが子供の頃に遊んでいるのでは? 現代に通じるものを感じました。

さらに花札もありました。任天堂の花札と似た絵柄でちょっと驚きw


<第8章 「遊楽図」の系譜(3) 舞踊・ファッションを中心に>
最後は再び「遊楽図」のコーナーで、踊りとファッションに着目した作品が並んでいました。

91 「輪舞図屏風」
こちらは60人近くの遊女と禿が手を繋いで円を組んでいる様子が描かれた屏風です。これから踊りだすところで、かなり真円に近い円形です。解説によると、これが描かれた寛政の頃に算術書『塵劫記』が普及し、幾何学的な形態への関心が高まっていたそうです。そう考えると遊びに算術にと様々な文化が花開いていた時期だったとわかりますね。江戸時代は知れば知るほど凄い時代です。

93 「舞踊図屏風」
こちらは六曲一隻の屏風で、一扇ごとに扇を持って踊る女性が1人ずつ描かれています。それぞれポーズが違っていて連続した動きのように思えるのが面白い構図です。優美で艶やかな雰囲気もあり、かなりの優品だと思います。

104 「婦女遊楽図屏風(松浦屏風)」 ★こちらで観られます
こちらは六曲一双の屏風に18人の等身大に近い女性が描かれた作品です。三味線を引いたり、カード遊びをしたり、何かを書いていて、琴棋書画の見立てになっているようです。立姿や座り姿など様々なポーズで、当時流行の小袖を着ているなど一種のファッションショーみたいな雰囲気もあり、非常に生き生きとして華やぎがあります。国宝指定されているだけあって、この展示で最も見応えのある作品でした。

この辺は女性を描いた掛け軸などが並んでいました。遊女が多く艶やかです。最後には「遊びの行方」ということで明治時代の双六なども並んでいました。


ということで、遊びについての歴史と共に優品の数々を観ることができました。特に「婦女遊楽図屏風(松浦屏風)」を観られただけでも満足です。もう会期末となっていますが、日本美術が好きな方には面白い内容だと思います。




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「放散虫(ほうさんちゅう)」~ 小さな ふしぎな 生き物の 形 ~ 【FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)】

今日は写真多めです。日付が変わって昨日となりましたが、六本木のFUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)で 夏休み特別イベント【生物がつくる形のふしぎ】写真展「放散虫(ほうさんちゅう)」~ 小さな ふしぎな 生き物の 形 ~ という展示を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 夏休み特別イベント【生物がつくる形のふしぎ】
 写真展「放散虫(ほうさんちゅう)」~ 小さな ふしぎな 生き物の 形 ~

【公式サイト】
 http://fujifilmsquare.jp/detail/19080902.html

【会場】FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)
【最寄】六本木駅/乃木坂駅

【会期】2019年8月9日(金)~8月22日(木)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構子供が多くて賑わっていました。混雑というほどでは無いかな。

さて、この展示は「放散虫(ほうさんちゅう)」という聞き慣れない生き物に関する写真展となっていて、放散虫は簡単に言えば海のプランクトンの一種で単細胞の原生生物です。放散虫は5億年前の地層からも化石が見つかっているそうで、5回の大量絶滅でも生き残り 地層自体も含めると1万種以上にもなる驚異的な生き物のようです。この展示ではその放散虫を電子顕微鏡で写した作品が並んでましたので、それらの写真を使ってご紹介していこうと思います。

こちらは様々な形をした放散虫の写真。
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幾何学的な文様みたいな不思議な形をしているだけでなく、骨格は石英やガラス製品と同じ物質の二酸化ケイ素(SiO2)で出来ているそうです。単細胞なのに複雑な形をしていて一層に謎が深まるw 最大でも数ミリ程度しかないようですが、肉眼で見えない世界にこんなのがいるんですね。5億年前のカンブリア紀からこうした骨格を持つようになったようで、どうやってこうした形を作り出すのかはまだ謎のままだそうです。

こちらは放散虫の一種の体の仕組みを図解したもの
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こうして観ると生物っぽいかなw 北極海から赤道まであらゆる海に漂っているそうで、海面から深海5000m(8000mでも確認あり)まで生息している意外とポピュラーな生物です。

一体何を食べているのか気になりますが、それも図解されていました。
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さらに小さな生き物を捕食しているようです。群体になったり藻類と共生する種もいるようで予想以上に複雑な生態のようですね…。

展示室内には 1993年に「しんかい6500」がマリアナ海溝の水深6300m付近で採取した石の中から見つかった放散虫の写真などが並んでいました。およそ1億4000年前の中生代白亜紀最初期の頃の化石のようです。

「アーケオセノスフェラのなかま」
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綺麗な球体で、中にもう1層骨格があると考えられているようです。骨格がこんなに規則正しく作られるのが不思議で仕方ないですね。

「ヘキサスチルス?のなかま」
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ウルトラマンのブルトンかエヴァのラミエルか…w こんなエイリアンじみた生物がいるとは知りませんでした。これがガラス質なのもヤバいw

「シューム・フェリフォルミス」
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網状の中に外側の骨格を支える柱のようなものがあるそうです。猫の後ろ姿のように見えましたw

「オービキュリフォルマのなかま」
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かつてはドーナツ状の真ん中に骨格があったはずと考えられるようです。これが生物の化石とは信じがたい形ですw

生態だけでも驚きの連続の放散虫ですが、放散虫を調べると時代ごとに特徴的な種類がいるので年代測定に使えるそうです。地殻変動が多く地層が変形する日本において、放散虫による年代測定は「放散虫革命」と呼ばれるほど大きな役割を果たしているのだとか。

「アカントサークス・エキノサークス」
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こちらは泡状の孔が空いていないツルッとした表面に見えるかな。メリケンサックみたいなw

「パンタネリウムのなかま」
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もはや金剛杵だろ これw どうしてこんな形に進化するのか想像もつきません。ちなみに放散虫は種類が多すぎて名前がついていない種類もいるそうです。まだまだ新種発見があるかもしれませんね。

「ナポラのなかま」
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古代中国の鼎に似ていることから明治時代にはこのような3本足の放散虫は「かなえ」と呼ばれたそうです。足が4本ならエッフェル塔とか東京タワーみたいにも見えたかもなあw

放散虫は英名はラジオラリアというそうで、ラジオはラテン語で光線、放射、車輪を支える棒などを示すそうです。確かに放出して散った形の虫ですね。

「ミリフスス・ディアネ」
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こちらは綺麗に均整の取れたフォルムの放散虫。貝殻とかを思い起こしました。

エルンスト・ヘッケル 「自然の芸術的形態」(複写)
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こちらはちょうど100年前に亡くなったドイツの生物学者いよる放散虫のスケッチ。放散虫の形に魅了されたらしく、こうしたスケッチを沢山残しているそうです。

実際に電子顕微鏡で放散虫を観るコーナーもありました。
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かなりくっきり映っていました。これは子供たちが科学に興味を持つきっかけになりそう。

こちらはジュエリーデザイナーの横山隼 氏によるアクセサリー。
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放散虫の形をしていますw しかしこれを観て放散虫だ!と思う人はあまりいないかもw


ということで、小規模な写真展だったものの こんな生物がいたのかという驚きの連続となっていました。ちょっとキモいけど進化の不思議を感じられて、会場の子供たちも好奇心旺盛に観ているようでした。子供から大人まで楽しめる展示だと思います。

おまけ:
こちらの展示もまだ開催中ですので合わせて観ることができます。
 参考記事:明治に生きた“写真大尽” 鹿島清兵衛 物語 (FUJIFILM SQUARE フジフイルム スクエア)



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【横浜美術館】の案内 (2019年08月)

今日は写真多めです。前々回・前回とご紹介した横浜美術館の特別展を観た後、常設も観てきました。常設は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
 横浜美術館コレクション展

【公式サイト】
 https://yokohama.art.museum/special/2019/MeetTheCollection/index.html
 https://yokohama.art.museum/exhibition/index/20190413-536.html

【会期】2019年7月13日~9月1日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

 ※常設展はフラッシュ禁止などのルールを守れば撮影可能です。
  掲載等に問題があったらすぐに削除しますのでお知らせください。


こちらも結構お客さんがいましたが、概ね快適に鑑賞することができました。今回の常設は5つの章立てとなっていて、それぞれのテーマに沿った作品が展示されていました。詳しくは気に入った作品の写真と共にご紹介して参ります。
 参考記事:
  横浜美術館の案内 (2019年03月前編)
  横浜美術館の案内 (2019年03月後編)
  横浜美術館の案内 (2018年07月)
  横浜美術館の案内 (2018年04月)


<Ⅰいのちの木>
まずは淺井裕介 氏の「いのちの木」を中心に動植物を主題とする作品が並ぶコーナーです。

淺井裕介 「いのちの木」
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こちらは壁を覆い尽くすほどの作品で、マスキングテープの上にペンで図像を描く「マスキングプラント」と称する手法で作られています。他の作品と共に生き生きとした空間を作り上げていて、多くの人が感嘆の声を上げていました。色彩感覚も生命力を感じさせて素晴らしい。

ダナ・ザメチニコヴァ 「小サーカス」
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ガラスで出来た作品で半透明になっていました。猫や犬などが軽やかな印象で、背景に「いのちの木」が展示されているのと合わさって絶妙なハーモニーです。これは今回の展示ならではの面白さでしょうね。


<Ⅱ まなざしの交差 >
続いては目や眼差しをテーマにした作品のコーナーです。

ギョーム=バンジャマン=アマン・デュシェンヌ・ド・ブローニュ 「人間の表情のメカニズム(「イコノ・フォトグラフィク」より)」
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こちらは神経科学者による人間の表情のメカニズムを解明するための検証で、人が心から笑う時は 口と合わせて目の周りの不随意筋も動くが、作り笑いの時は口の周りしか動かないと定義したそうです。目は笑っていないとはこのことで、この研究のおかげで欧米では本物の笑顔のことをデュシェンヌ・スマイルと呼ぶのだとか。 この写真だけ観ると随分怪しげな実験に思えますが…w 日本人の愛想笑いは目は笑ってない典型かもしれませんねw

河野通勢 「自画像」
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岸田劉生の弟子でデューラーから影響を受けた作風の自画像。左右の目で大きく印象が違って見えるのが面白い。右目は快活そうだけど左目はやや虚ろというか。重厚な色彩と共に異様な存在感がありました。

ヘレン・ハイド
 「かたこと」

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こちらはアメリカの女性版画家による作品。赤ちゃんと母親には目のコミュニケーションがあり、強い絆が感じられます。愛情深いシーンで、アメリカ人とは思えないほど日本の風俗をしっかりと表現していました。

パブロ・ピカソ 「本を読むジャクリーヌ」
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こちらはリノカット。髪をかきあげながら本を読む姿が色っぽい。輪郭が強く量感ある表現で力強さも感じられました。

マン・レイ 「カザティ候爵夫人」
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私の写真が失敗したのではなく、こういう作品ですw 相手の目が4つあると脳が混乱して目がチカチカしますw 眼力も強いし、印象深い作品でした。

マルティン・フルスカ 「目」
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むちゃくちゃ怖い!w 内側にチェーンがあるということは外から来た者の目でしょうか。ホラー映画さながらのシーンとなっていました。

郭徳俊 「レーガンと郭」「カーターと郭」「フォードと郭」
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こちらは『Time』誌の表紙と作者の顔を物理的にコラージュするシリーズ。サングラスの上から目が出ているように見えますが、サングラスは作者のものです。特にカーターとの融合ぶりが違和感がなくて面白い。

フランシス・ベーコン 「座像」
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こちらは写実的なようで不穏な雰囲気のあるベーコンの特徴がよく出ているように思います。観ていて不安になってくるw

ギュスターヴ・モロー 「岩の上の女神」
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こちらを見つめる目が魅惑的な女神。幻想的かつ輝くような美しさで、この美術館でも特に好きなコレクションです。


<Ⅲ あのとき、ここで>
続いては災害や戦争・紛争などテーマにした作品のコーナー。大半は写真で報道写真とは異なるアプローチで歴史の記録に取り組む作家たちの作品が並んでいました。

川崎小虎 「神田明神焼跡(「大正震火災木版画集」より)」
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震災で何も残っていない神田明神を描いた木版画。真っ白になっているのは灰なのかな? ガランとした雰囲気が死の世界のように思えました。

この辺は関東大震災に関する作品が多く並んでいました。原三溪のコレクション展でも横浜は関東大震災で大きな被害を受けたことが紹介されていたので、横浜には因縁が深い地震でしょうね。

織田觀潮 「東海道保土ヶ谷隧道前山崩(「大正震火災木版画集」より)」
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保土ヶ谷のトンネルが土砂崩れで埋まってしまった様子が表されています。不謹慎かもしれませんが、キュビスム的な表現とリズム感が絵としては面白く感じられました。

ロバート・キャパ 「前線へ赴く兵士との別れ、バルセロナ 1936年8月」
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仲睦まじいカップルの写真ですが、この後戦争に向かう劇的な場面となっています。この後2人はどうなったのか気になるところです。

この辺はロバート・キャパの作品が多く並んでいました。歴史の中の象徴的な場面を捉えた作品が多いのが見事です。

ロバート・キャパ 「Dデイ、オマハ・ビーチ、ノルマンディー海岸、1944年6月6日」
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まさに存亡をかけた決戦の写真。ややブレてる感じが逆に緊迫感を出しているように思いました。貴重な歴史の証人ですね。

ロバート・キャパ 「解放の日、パリ 1944年8月26日」
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ナチスからの解放を祝うパリの様子。みんな歓喜の表情でイギリスやアメリカの旗も確認できます。これも激動の時代を伝えてくれました。

師岡宏次 「上野地下道の戦災者(「東京シリーズ」より)」
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こちらは敗戦後の日本の様子。地下鉄に続く道の辺りかな…倒れた子供がいて当時の困窮ぶりが伺えます。

浜口タカシ 「強制執行の駒井砦(「成田闘争」より)」
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こちらは成田闘争を捉えた作品。放水されて強制執行されています。戦後の平和の時代でも色々と争いがあったことを伝えて来ました。

土田ヒロミ 「橋(「ヒロシマ・モニュメント」より)」
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こちらは同じ地点から10~11年ごとに撮った3つの写真。木が成長して切られる所や背景の建物に時代の変化を感じます。このシリーズはいくつかあって、これでも変化は少ない方かも。

米田知子 「教室(遺体仮安置所をへて、震災資料室として使われていた)」
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こちらは見覚えがありました。阪神淡路大震災の被災地を撮った写真シリーズで、写真のイメージとタイトルのギャップに衝撃を受けます。忘れてはいけない出来事ですね…。
 参考記事:カタストロフと美術のちから展 先行き不透明な混沌とした時代に、アートだからできること(森美術館)


<Ⅳ イメージをつなぐ>
続いては横浜美術館が得意とするシュルレアリスムや、その影響を受けたネオダダ、ポップアートなどのコーナーです。

マックス・エルンスト 「白鳥はとてもおだやか・・・」
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こちらは写真をコラージュした作品。お互い無関係な写真が合わさることで白昼夢のような不思議な世界が生まれています。まさにシュルレアリスム的な作品です。

ロベルト・マッタ 「コンポジション」
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何を描いたのかハッキリしませんが、人が拷問されているように見えなくもない。左下の部分も不穏で攻撃的な雰囲気があるようにも思えました。

ジョエル・オターソン 「眠りの国(地獄のベッド)」
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1988年の作で、当時のハードロック/ヘヴィメタルバンドのロゴなどが組み合わさったベッドかな? 奇妙な形もしていて寝心地は悪そうだけどメタル好きの私には面白く思えましたw

アンドレ・ケルテス 「ディストーション No.40、パリ」
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私のイチオシの写真家アンドレ・ケルテスの裸婦像ですが、タイトル通りひどく歪んでいます。どうしてこんなに引き伸ばしたのか分かりませんが強烈なインパクトがありました。


<Ⅴ モノからはじめる>
最後は素材を自律的なモノとして捉え、モノと空間の関係の構築を制作の基本趣旨とした「もの派」の作家などのコーナーです。

菅木志雄 「放囲空」
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意味は分かりませんが、遺跡のようで何処か宗教的なモニュメントを思わせます。規則正しい中でリズムもあって、心地よく感じられました。

斎藤義重 「反対称 対角線 No.1、No.2」
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これも抽象的で意味は理解していませんが、素材感と幾何学性が目を引きました。確かに作品名通りではあるw


ということで、今回も幅広いコレクションを観ることができました。定番の作品もありつつ観たことが無い作品も多かったので満足できました。もしこの美術館の特別展を観に行く機会があったら常設も観ることをオススメします。



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原三溪の美術 伝説の大コレクション (感想後編)【横浜美術館】

今日は前回に引き続き横浜美術館の「横浜美術館開館30周年記念 生誕150年・没後80年記念 原三溪の美術 伝説の大コレクション」についてです。前半は2-1章までについてでしたが、後編は2-2章~5章についてご紹介して参ります。まずは概要のおさらいです。

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 横浜美術館開館30周年記念 生誕150年・没後80年記念
 原三溪の美術 伝説の大コレクション

【公式サイト】
 https://harasankei2019.exhn.jp/
 https://yokohama.art.museum/exhibition/index/20190713-538.html

【会場】横浜美術館
【最寄】JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅

【会期】2019年7月13日(土)~9月1日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半は「古美術のコレクター」「茶人」「アーティスト」「パトロン」のそれぞれの顔について紹介する内容となっていました。引き続き各章ごとに気になった作品と共にご紹介していこうと思います。

  
<2章-2 コレクター三溪>
原三溪は江戸時代を「創作の盛時」と捉え、輝かしい時代と考えていたようです。中でも渡辺始興を明治大正の先駆を成すと高く評価していました。また、茶道具の関心と共に本阿弥光悦や尾形乾山の器物に価値を認め、俵屋宗達や尾形光琳にいち早く着目して 琳派の再評価に深く関わったようです。ここには主に江戸時代の絵画が並んでいました。

45 渡辺始興 「竹林七賢図」
竹林(2~3本の竹)を背景に、7人の中国風の格好の賢人たちが描かれたお馴染みの題材の掛け軸です。しかし賢人たちはやけに密集していて、ぎっしり並んでいるようなw 割と緩い雰囲気の画風で巻物などを眺めていたりします。解説によると原三溪は渡辺始興を光琳門下の出色と評したそうですが、渡辺始興が光琳に師事したことは確認されていません。とは言え、確かにそう思えるくらい似た雰囲気はあるかな。ちょっと可愛い賢人たちでした。
 
42 尾形光琳 「伊勢物語図 武蔵野・河内越」 ★こちらで観られます
こちらは2幅対の掛け軸で、いずれも伊勢物語を題材にしています。左幅には2人の駆け落ちした貴族風の男女が武蔵野の野に隠れ、追手がそこに火をかけようとしている様子、右幅には家の中の妻と軒先で膝をついている夫が描かれ、妻が遠出する夫を心配した詩を詠んだのを、浮気で遠出していた夫が聞いて心を改めているシーンのようです。画面の中に多くある曲線が美しく、草の描写などが軽やかなリズムを生んでいました。色彩も優美で気品溢れる作品でした。

48 円山応挙 「中寿老左右鴛鴦鴨」
こちらは3幅対で、中央に寿老人、左幅と右幅にはオシドリ・カモが描かれています。水鳥たちが静かに泳ぐ様子や羽ばたく様子が写実的に描かれている一方で、雪や波紋などに叙情的なものを感じます。寿老人は白い鹿を連れてやや微笑むような穏やかな表情となっていました。何故この3枚がセットなのかは分かりませんでしたが、特に左幅・右幅に応挙の魅力が詰まっているように思いました。

この隣には同じく円山応挙の「虹図」がありました。虹の画題は珍しいかも。


<3章 茶人三溪>
続いては茶人としてのコーナーです。原三溪は20代の頃から煎茶を趣味として、大正時代からは数寄者と交流して本格的に茶の湯の世界に入ったようです。関東大震災後に美術収集やパトロンを自粛しても茶道具は購入し続け、独自のコレクションを形成していきました。49歳の時に大規模な茶会を開催して以降、亡くなる4ヶ月前まで70回を超える茶会を開催したそうで、中でも46歳の若さで他界した長男を追悼する茶会が最も印象深いものと記録されているようです。原三溪は形式によらず茶の湯に仏教美術を取り入れるなど自由闊達な趣向だったとのことで、ここにはそうした茶会で使った茶道具などが並んでいました。

66 源実朝 「日課観音」
こちらは鎌倉幕府の3大将軍による掛け軸で、日課で観音を描いていたものの1枚のようです。座禅した観音を さらっとした細い筆使いで描いていて、穏やかな雰囲気です。毎日描いているので迷いもなくすらすら描いた感じでしょうか。この掛け軸は原三溪の息子の善一郎の追悼茶会で床に掛けて使ったそうで、冥福を祈る意味もあったのかもしれませんね。

75 「ラッカ香炉」
こちらは黄土色地で鈍く虹色に光る中東の焼き物です。原三溪はイスラムの陶器を茶器として用いたこともあるらしく、確かに自由闊達な発想です。器としても日本には無い素材感で面白い品でした。

83 「黒織部茶碗 銘 文覚」
こちらは真っ黒な地に幾何学的な文様が付いた織部の茶碗です。歪んだ口をしているのも面白く、特に目を引きました。

この近くには棗や茶碗、茶杓などの茶道具が並んでいました。

86 森川如春庵 「信楽茶碗 銘 熟柿」
こちらは茶色地の大きな茶碗で、かなりザラついた表面となっています。この隣に同じような茶碗があったのですが、友人にこの器の箱書きをして欲しいと頼まれた原三溪が器を大いに気に入って「熟柿」と名付けた上、作者で尾張の茶人 森川如春庵に自分にも作って欲しいと頼んだそうです。有機的で素朴な印象の茶碗で、どこか温かみがあるように思えました。

この近くには森川如春庵に宛てた手紙もありました。自分が開いた茶席で森川如春庵の茶道具が一番だったと讃えているようです。


<4章 アーティスト三溪>
続いては原三溪自身が作った作品に関するコーナーです。原三溪は1902年頃から現在の三渓園内に私邸を建て、造園に着手しました。そこでは美術品の収集や作家支援、茶を通じた文化人との交わりを楽しんだそうで、自らも漢詩を詠み絵画を描きました。書画を自ら多く制作したのは関東大震災の後で、横浜の復興に専念し美術品の購入や作家の支援を自粛した頃からのようです。画題は多岐に渡りますが、特に蓮を好みました。また、三渓園を具現した際、各建物の移築には原型をそのまま移すのではなく 改変を加えていたようで、庭石の配置や植栽までも自ら入念に計画するなど空間アーティストみたいなこともしていたようです。そして三渓園外苑は万人に無料開放され多くの人に刺激を与えていきました。 ここではそうしたアーティストとしての側面が紹介されていました。
 参考記事:
  三渓園の写真 (2013年6月 外苑編)
  三渓園の写真 (2013年6月 内苑編)

106 原三溪 「白蓮」
こちらはプロローグで観た作品によく似た白い蓮の花を描いた作品です。色面で描いていて柔らかい印象を受けます。解説によるとこの作品は小林古径に贈られたそうで、隣には古径に宛てた書簡もあります。そこでは仏画のように仕立てた表具について光栄の至りと述べているようで、古径への敬愛なども綴られていました。

この近くに大正の頃の三渓園の様子を描いた牛田雞村による「三溪園全図」もありました。現在と同じく三重塔などが見えますが、遠くに富士山が見えたり 善一郎の銅像が立っているなど現在は観られないような光景もあるようでした。

109 原三溪 「濱自慢」
こちらはカモメが羽ばたく様子の絵と、「濱自慢」という震災からの復興を唄った小唄の歌詞が書かれた作品です。鳥は大きく描かれ素朴な感じがするかな。一方、小唄は「横浜は良い所~」から始まる風光を盛り込んだ歌詞らしく、市民に愛され花柳界でも流行したそうです。音声ガイドではその唄の音源も聴くことができました。絵や漢詩だけでなく小唄の作詞もこなすとはマルチな才能です。

この隣には「蚕桑」という絵があり、桑を食べる蚕が描かれていました。本業は製糸業ですもんねw

107 原三溪 「燕子花」
こちらは燕子花を描いた作品で、モチーフ的にも一見すると琳派風に思えます。輪郭がなく淡い色彩で、素朴さと華やかさの両面を感じます。琳派などを汲みつつ先程の白蓮にも似た表現に思えました。

この近くには南画風の作品もありました。風景は南画風になるのかも。

120 原三溪 「鵜」
こちらは岩場の上で口を開けて振り返るようなポーズの鵜を描いた作品です。墨の濃淡で描かれ輪郭はありません。体は割と単純化されていますが、顔は鋭い表情で緊張感があります。その緩急の付け方が面白くて目を引きました。


<5章 パトロン三溪>
最後はパトロンとしてのコーナーです。原三溪は横浜出身の美術史家 岡倉天心を通じて1899年に日本美術院の名誉賛助会員となり、岡倉天心の仲介で同院を中心にパトロンとして本格的な支援をはじめました。作家たちの生活費/研究費の工面、作品の注文・購入だけでなく、自らの蒐集品を実見させる場を作り、夜を徹して共に議論する共同研究の機会も設けたようです。こうした活動によって作家たちは着想を得て、名品の数々を生み出していきました。震災後はパトロンの活動は自粛したものの、美術家たちとの交流は晩年まで続き、間接的な支えとなっていったようです。ここにはそうした活動から生まれた作品が並んでいました。

131 下村観山 「弱法師」 ※写真は以前に東京国立博物館で撮ったものです。(この展示では撮影禁止です)
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こちらは六曲一双の金地の屏風で、謡曲「弱法師」に取材した作品です。杖を持った盲目の男が梅の木の下で手を合わせ、左隻の大きな夕陽に西方浄土を観想しているところのようです。原三溪は下村観山を特に目をかけて、三渓園の近くに住まわせていたようです。この絵の梅は三渓園の梅がモチーフになっているのだとか。何度も観ている絵ですが、何度観ても感動があります。

この近くは前田青邨の「御輿振」や今村紫紅の「近江八景」、安田靫彦の「夢殿」など東京国立博物館の所蔵品が多めでした。この辺は見慣れた感じ。

143 小林古径 「極楽井」 ※写真は以前に東京国立近代美術館で撮ったものです。(この展示では撮影禁止です)
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こちらは柄杓で井戸から水を汲む少女たちを描いた作品で、小石川の極楽井をモチーフにしているそうです。少女たちは白い肌をして清廉な印象で、着物は明るく華やかな印象を受けます。この着物などは桃山時代の風俗だそうで、原三溪の桃山愛好の影響を受けているとのことでした。

最後に速水御舟の「萌芽」(★こちらで観られます)もありました


ということで、原三溪が実業家としてだけでなく美術界においても大きな足跡を残したことがよく分かる内容となっていました。自身の絵を含めて卓越したセンスの持ち主であり 深い教養も伺える まさに偉人です。特に横浜に縁が深い人物なので、横浜の方は是非知っておいた方が良いと思います。充実の展覧会です。



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原三溪の美術 伝説の大コレクション (感想前編)【横浜美術館】

日付が変わって昨日となりましたが、土曜日に桜木町の横浜美術館で「横浜美術館開館30周年記念 生誕150年・没後80年記念 原三溪の美術 伝説の大コレクション」を観てきました。見所が多い展示でしたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 横浜美術館開館30周年記念 生誕150年・没後80年記念
 原三溪の美術 伝説の大コレクション

【公式サイト】
 https://harasankei2019.exhn.jp/
 https://yokohama.art.museum/exhibition/index/20190713-538.html

【会場】横浜美術館
【最寄】JR桜木町駅/みなとみらい線みなとみらい駅

【会期】2019年7月13日(土)~9月1日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんが多くて場所によっては混雑していました(ちょうど高校生以下が無料の日だったようです)

さて、この展示は横浜と深い縁のある原三溪のコレクションを紹介する内容となっています。原三溪は生糸貿易や製糸業で財を成した実業家で、関東大震災以降の横浜の復興に大きく貢献した偉人でもある訳ですが、美術に造形が深く「古美術のコレクター」「茶人」「アーティスト」「パトロン」の4つの顔も持っていました。生涯5000点ものコレクションがあったようで、この展示ではそのうち150点を前述の4つの顔ごとに章分けするという趣旨となっていました。詳しくは各章ごとに気になった作品と共にご紹介していこうと思います。なお、この展示は細かく6つの会期に分けられていて、私が観たのは4期(2019/8/10)の内容でした。
 参考記事:
  三渓園の写真 (2013年6月 外苑編)
  三渓園の写真 (2013年6月 内苑編)

  
<プロローグ>
まずは2~5章に属する作品を数点ずつ紹介し、簡単に原三溪の人物像を紹介するコーナーとなっていました。

104 原三溪 「白蓮」 ★こちらで観られます
こちらは原三溪 自らが描いた掛け軸で、白い花を咲かせる蓮が描かれています。蓮は生涯で最も多く描いたモチーフらしく、故郷の岐阜で生産が盛んなことや茶席で供する食材としても親しみがあったようです。淡い色彩で輪郭を使わない没骨法や付立法を用いて描いているようで、優しい印象を受けます。原三溪は円山四条派の作品を所有したり、琳派をいち早く評価していたようで、そうした先人の作風を自らの表現に組み込んでいったとのことでした。中々素人離れしたセンスを感じる作品です。

46 伝 本阿弥光悦 「沃懸地青貝金貝蒔絵群鹿文笛筒」 ★こちらで観られます
こちらは蒔絵の笛の筒で、側面には螺鈿や鉛貼付で白・黒・青の鹿が23頭も表されています。軽やかなリズム感があり、何とも雅な雰囲気です。この展示の中でも特に目を引く作品でした。

この近くには茶人の側面として、掛け軸・香炉・硯台などもありました。また、パトロンとして今村紫紅の「伊達政宗」、下村観山の「十六羅漢」が並んでいました。いずれも横浜美術館の所蔵品なので見慣れた感じでした。


<1章 三溪前史-岐阜の富太郎>
続いては原三溪がまだ原家に婿養子となる前のコーナーです。原三溪は今の岐阜市で代々庄屋を務めていた青木家の長男「富太郎」として生まれました。父は村長を務め、母は南画家の娘(生まれる数ヶ月前に他界した母方の祖父は南画家の高橋杏村)だったようです。幼い頃から勉学に励む傍ら、母方の叔父(高橋抗水)に絵画や詩歌を学び、12歳からは漢詩・漢文・儒教の素養も身につけていきました。17歳で上京し、東京専門学校(今の早稲田大学)に政治と法律を学び、その後に跡見学校で助教師として教鞭を取っています。そこで教え子だった原善三郎の孫娘のやす(安)に見初められ、1981年23歳の時に結婚して原家に入籍しました。1899年に原家の家業の生糸・製糸業を継ぐと、近代的な経営手段を積極的に取り入れて事業を拡大したようです。 この章では原三溪が青木富太郎だった時代を中心に、生涯において重要な心的支えであった岐阜との関わりなども紹介されていました。

1 高橋杏村 「紅葉山水」
こちらは母方の祖父の作品で、富太郎が生まれる頃には亡くなっていたそうです。溪谷の様子が描かれた風景画で、天秤を担いで橋を渡る人の姿なども描かれています。控えめな色彩でのんびりした雰囲気があり、米点描法を用いて南画らしい作風です。
この隣には富太郎が師事した叔父の高橋抗水の作品もあり、高橋杏村の画風を受け継いでいることが伺えました。

4 原富太郎 「乱牛図」
こちらは16歳の頃に描いた掛け軸で、書経の故事『帰馬放牛』に取材した場面となっています。無数の牛が野山でのんびりしていて、人が乗ってたり、水に入ったり、寝転んだりとほのぼのした雰囲気です。筆致は結構細かくて生き生きしてるかな。かなりの腕前で、旧藩主から声が掛かるほどだったそうです。漢詩も書かれ、16歳にして深い造詣を得ていたことが伺えました。

この近くには岐阜にいた頃の写真や、日記などもありました。


<2章-1 コレクター三溪>
続いては古美術コレクターとしてのコーナーです。原三溪は原家に入籍してきてから晩年までの37年間に売買した実績を全5冊の買入覚に書いていたようで、大正中頃をピークとして 関東大震災を境に大幅に収集を縮小していたのが分かるようです。巨費を投じて豪華な所蔵名品選『三溪帖』を企てたものの、出版直前に関東大震災で消失してしまい未刊となったようです。(草稿は残ってたみたいです) ここでは『三溪帖』に掲載される予定だった作品を中心に紹介していました。

5 「愛染明王像」 ★こちらで観られます
こちらは真っ赤な体に6本の腕と3つの目を持つ愛染明王の仏画です。愛欲を悟りに変えてくれる仏で、平安時代に信仰を集めたようです。目を見開き口を開けて、迫りくる勢いと力強さを感じます。色彩も驚くほどに鮮やかで一際目を引きました。原三溪はこの愛染明王像について「余ガ見タル愛染像中ノ最古ニシテ最良ナルモノナリ」と評していたようです。確かにこれだけの愛染明王像は滅多になさそうな名品です。

この辺は仏画や仏像などが多かったかな。今回のポスターにもなっている「孔雀明王像」は既に展示終了となっていました。残念。

56 最澄 「尺牘(久隔帖)」
こちらは最澄が空海の元にいた弟子の泰範に宛てた書状で、現存唯一の最澄自筆の書状です(国宝)。中身は空海の五言律詩に不明な書名があるから大意を聞いて欲しいといったことが書いてあるようで、徐々に左下がりに改行してたり、列が斜めっているような気もしますw しかし、大阿闍梨と書くところで改行するなど、年下の空海に対して敬意を表す様子も見て取れるとのことでした。まだ仲が良かった頃でしょうね…。

近くには「寝覚物語絵巻」(★こちらで観られます)や、伝 藤原伊房の「万葉集巻第九残巻(藍紙本)」、藤原伊行の「芦手絵和漢朗詠抄 上巻」といった国宝がズラリと並んでいました。個人でこれだけ国宝となる作品を集めていたとは恐るべきコレクションです

24 雪舟等楊 「四季山水図(秋)」
こちらは恐らく雪舟が明に渡っていた頃に描かれたものと考えられる掛け軸です。大きな山を背景に山間の家々などが描かれています。岩のカクカクした感じや木の表現に雪舟らしさを感じるかな。幾何学的なリズムもあって面白い作品です。

すぐ近くには伝 雪舟等楊「四季山水図巻」(★こちらで観られます)もありました。これも雪舟らしい画風で、原三溪は亡くなる2日前にも開いて観ていたほど気に入っていたそうです。雪舟自身の作かどうかは異論もあるようですが、名品なのは確かに思えました。

34 伝 狩野山楽 「黄初平・許由巣父図」
こちらは水墨の六曲一双の屏風で、右隻は晋時代の仙人の黄初平、左隻には許由と巣父が描かれています。黄初平は白石を数万頭の羊に変える仙術を使うそうですが、ここでは岩に腰掛けて枝を手に持っていて、隣に座っている人と対話しているようにも見えます(後ろにもう1人、お供らしき人の姿も) 一方の左隻は有名な故事を題材としていて、堯帝から汚れた話(帝位を譲るという話)を聞いたので耳を清めようと滝で耳を洗う許由と、その水を牛に飲ませずに立ち去る巣父の姿が描かれています。いずれも輪郭や濃淡に強弱を付けていて、動きを感じる闊達な雰囲気となっていました。

この近くには中国の重要な画家たちの掛け軸も並んでいました。また、『三溪帖』の草稿なども並んでいました。

36 「南蛮図屏風」
こちらは六曲一双の屏風で、金雲棚引く中に南蛮船が到着した港町が描かれています。マント姿や宣教師の姿など異国情緒がある雰囲気で、中には黒人なども描かれています。また、町並を描いた辺りが連続しないような場面となっていて、これはいくつかの典型的な南蛮図を参照して描いた町絵師が、新しい新しい表現を試みたのではないかとのことでした。そこはちょっと不自然さはあるものの、当時の様子が伝わってくる作品だと思います。

この近くには宮本武蔵による掛け軸などもありました。原三溪は武人など専門の絵師ではない人の絵を好んでいたようで、そうした絵を集めて『余技』という本も出しているそうです。自分の境遇と重なる部分があったのかもしれませんね。


ということで長くなってきたので今日はここまでにしようと思います。原三溪のコレクションには国宝となった品も含まれていて、雪舟や本阿弥光悦など非常に豪華な顔ぶれとなっています。特に2章は点数も多くて見ごたえがありました。後半も珠玉のコレクションが並んでいましたので、次回は残りの展示についてご紹介の予定です。

  → 後編はこちら 



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マイセン動物園展 【パナソニック汐留美術館】

今日は写真多めです。前回ご紹介した展示を観る前に新橋のパナソニック汐留美術館で「マイセン動物園展」を観てきました。この展示は一部を除き撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 マイセン動物園展

【公式サイト】
 https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/19/190706/index.html

【会場】パナソニック汐留美術館
【最寄】新橋駅/汐留駅

【会期】2019年7月6日(土)~9月23日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんが多かったですが、概ね自分のペースで観ることができました。

さて、この展示はドイツのマイセン磁器製作所についての展示で、特に動物をモチーフにした作品が並ぶ内容となっています。一部を除いて撮影可能となっているのも特徴で、可愛らしい動物の形の磁器と一緒に記念撮影しているお客さんもいました。構成は4つの章に分かれていましたので、詳しくは各章ごとに目を引いた作品と共にご紹介していこうと思います。なお、マイセン磁器の歴史については以前にも記事にしたことがあるので、そちらをご参照ください。
 参考記事:マイセン磁器の300年 壮大なる創造と進化 (サントリー美術館)


<第1章 神話と寓話の中の動物>
まずは神話や寓話をモチーフにした作品のコーナーです。それぞれの物語の中に出てくる動物が組み込まれた作品が並んでいました。

ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー 「神話人物群像 [ヒッポカンポスの引く凱旋車に乗るネプトゥヌス]」
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こちらは「シャウエッセン」と呼ばれたテーブル装飾で、ヒッポカンポスという半馬半魚の海馬に牽かれる凱旋車に乗ったネプトゥヌス(ネプチューン/ポセイドン)が表されています。陶器とは思えないほどの複雑な形で、彩色も含めて見事です。馬の表情がちょっと可愛いw

ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー 「神話人物群像 [アンフィトリテの勝利]」
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こちらはネプトゥヌスの妻のアンフィトリテ(アムピトリーテー) こちらはプットーなどの人の姿が多いですが、口から水を吐く怪獣みたいなイルカもいました。一層複雑な造形で、優美な雰囲気です。

ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー、ペーター・ライニッケ 「猿の楽団」
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こちらは一連の作品群で、様々な楽器を奏でる猿たちが表されています。フランス画家ゲラールの連作版画「人間の生活を営む猿たち」から着想を得たそうで、いずれもユーモラスな仕草をしています。大仰なポーズをしてたりするのでちょっと皮肉も込められてるんじゃないか?と勘ぐってみたり。

ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー 「山羊に乗る仕立屋」
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デカいメガネをかけたヤギと仕立て屋の像。これは風刺的要素があるようで、目の悪い仕立て屋が目の悪いヤギに乗って目的の晩餐会にたどり着けない様子を表しているそうです。ヤギは可愛いけど、仕立て屋はバイクに乗ったヤンキーのように見えるw 

ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー 「人物像水注 四大元素の寓意〈火〉」「人物像水注 四大元素の寓意〈水〉」
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こちらは地・空気・火・水の四大元素のうちの2点。それぞれにまつわるモチーフが水注の周りに貼り付けてあります。ゴテゴテしてヤリ過ぎ感もあるようなw しかし軽やかな動きを感じる造形で、陶器とは思えないほど繊細でした。

ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー/19世紀後半エルンスト・アウグスト・ロイテリッツ 「花鳥飾プット像シャンデリア」
ヨハン・ゴッドリープ・エーダー 「花鳥飾プット像鏡」
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この2点は並んで展示されていました。これも私の趣味ではないかなw ロココ趣味のゴテゴテ感が強いように思えました。


<第2章 器に表された動物>
続いては器に表された動物のコーナーです。特に「スノーボール」と呼ばれるマイセンを代表するシリーズの文様と共に表された動物が並んでいました。

ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー 「スノーボール貼花装飾蓋付昆虫鳥付透かし壺」
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大型の壺と、その上部のアップです。めちゃくちゃ細かくて技術が高いのは分かるけど、これもToo muchと言うか…w 周りの花模様の密集をスノーボールというようですが、フジツボみたいに見えてキモいw この辺は私の趣味に合いません。

不詳 「昆虫鳥図皿」
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こちらは虫や昆虫を表した絵皿。こういうので良いんだよw 余白が多く、どことなく柿右衛門様式などを彷彿とさせるかな。気品ある雰囲気となっていました。

不詳 「スノーボール貼花装飾[狩猟図] カップアンドソーサー」
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こちらはカップとソーサーのセット。内側に金と絵付けをしている豪華な品です。

横から観るとスノーボールになっています。
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集合恐怖症ではないですが、ちょっと怖いw 世の中的には人気のシリーズらしいです。

不詳 「スノーボール貼花装飾蓋付カナリア付センターピース」
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その他にもスノーボールと動物のセットとなっている器が多く並んでいました。しかし、これを使ったらどうやって洗うんだろう…w


<第3章 アール・ヌーヴォーの動物>
続いてはアール・ヌーヴォー(ドイツ圏ではユーゲント・シュティール)のコーナーです。19世紀末から20世紀初頭に流行ったアール・ヌーヴォーはマイセンにも取り入れられ、曲線を活かすために色彩部分でイングレイズという技法を導入したそうです。これは釉薬の中に絵具を染み込まれる技法で、柔らかな見た目と定着性が特徴とのことでした。

ペーター・ライニッケ 「二匹の猫」
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手や尻尾がやけに細かったりして ちょっと造形が妙な感じがしますが、滑らかな形をした猫の像。一気に作風が変わったのがわかります。

エーリッヒ・オスカー・ヘーゼル 「座る子猫」
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こちらはリアルな雰囲気の猫。上を見上げて何かをねだっているような顔が可愛い。色合いも柔らかく、猫の毛並みを上手く表現していました。

エーリッヒ・オスカー・ヘーゼル 「毛糸玉と子猫」
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こちらをじっと伺う顔が警戒しているように見えるかな。可愛さだけでなく仕草をよく研究しているように思えます。模様もかなりリアル。

近くには犬のコーナーもありました(その辺は撮影不可) 犬はコリー、ジャーマンシェパード、コッカースパニエルなどの猟犬が多く、貴族にとって重要な存在だったようです。野うさぎをくわえた姿や捜し物をする姿など、生き生きとしています。中には救助犬なんてのもありました。

「野生大型ネコ科動物のスケッチ」
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こちらはライオンの母子かな。非常に特徴を捉えたスケッチで、鋭い観察眼と描写力です。こうした観察が作品のクオリティを上げたんでしょうね。

この近くにはユキヒョウなどの猫科の動物の像もありました(撮影不可) 取っ組み合ったり獲物を襲う様子で、動物をつぶさに研究した成果が出ているように思えました。

オットー・ヤール 「シロクマ」
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親子のシロクマ像。真に迫るものがあり、モコモコした毛並みまで見て取れます。この展示の中でも特にクオリティが高く感じられました。

この隣にはペンギンもありました(撮影不可) ペンギン好きなので撮影したかったんだけどなあw

不詳 「蓋物 [コイ]」
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こちらはアール・ヌーヴォー期以降の写実的な鯉。ドイツでも鯉を食べるらしく、養殖されることもあるそうです。蓋物にするユーモアは日本の江戸時代に通じるものを感じました。


<第4章 マックス・エッサーの動物>
最後はマックス・エッサーという彫刻家のコーナーです。マックス・エッサーは1920~30年代にマイセンの成型師として活躍したそうで、マイセンにおけるアール・デコ様式を確立しました。とりわけ動物彫刻がその名を知らしめたそうで、ここにはマックス・エッサーの作品や、エッサーに影響を受けた成型師の動物作品が並んでいました。

マックス・エッサー 「マントヒヒのマスク」「トラのマスク」「マンドリルのマスク」「オランウータンのマスク」「クマのマスク」
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こちらは目が赤く光るように展示されていました。磁器焼成の前段階として開発された赤色炻器というものらしく、硬く滑らかな素材感が魅力だそうです。ちょっとデフォルメされて表情豊かに表現されていました。

エーリッヒ・オスカー・ヘーゼル 「騎乗用ヒトコブラクダ」
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これも赤色炻器かな? 色はついていないものの、かなりリアルなラクダ像。布の質感や筋肉の張りなどまで緻密に表現されていました。

マックス・エッサー 「ライネケのキツネ」
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こちらはゲーテの叙事詩をテーマにした作品で、ずる賢い狐がライオンの王すら説き伏せて出世するという話のようです。てっぺんでちょっと偉そうに立っているのが物語の内容を伝えているように思えました。

マックス・エッサー 「カワウソ」
DSC03045_20190810024246bc0.jpg DSC03043.jpg
こちらは1937年のパリ万博でグランプリを受賞した作品。今にも動き出しそうな見事な造形で、滑らかな体つきも真に迫るものがありました。流石ですね。


ということで、ロココの辺りは趣味が合いませんでしたが、アール・ヌーヴォー以降のコーナーは陶器とは思えないほどリアリティのある作品が並んでいました。タイトルの通り様々な動物がいて、撮影もできるので幅広い層が楽しめる展示だと思います。夏休みに親子で訪れたりするのに良さそうです。



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