Archive | 2019年08月
前回ご紹介した展示を観た後、資生堂ギャラリーで「第13回 shiseido art egg 小林 清乃展」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
第13回 shiseido art egg 小林 清乃展
【公式サイト】
https://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/
【会場】資生堂ギャラリー
【最寄】銀座駅 新橋駅など
【会期】2019年8月2日(金)~8月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_②_3_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、このshiseido art eggは毎年恒例の公募展で、新進アーティストの入選者が毎年3人ずつ選ばれ この資生堂ギャラリーで1人ずつ展覧会が開かれるものです。今年は269件の応募があったそうで、今村文(いまむら ふみ)氏、小林清乃(こばやし きよの)氏、遠藤薫(えんどう かおり)氏が入選したようです。私が行った時は既に今村文 氏の展示は会期終了で、小林清乃 氏の展示を観ることができました。この展示では写真を撮ることができましたので、写真でご紹介していこうと思います。
参考記事:第12回 shiseido art egg 展 (資生堂ギャラリー)
階段の踊り場に封筒と便箋がありました。

今回の展示は、女学校を卒業したばかりの女性たちが1945年3月から1年間に渡って書いた手紙がメインとなり、これは当時使われた品のようです。
こちらは手紙の束。7人の女性が1人の同級生宛に書いた手紙のようです。

作者の小林清乃 氏は無名の人・市井の人によって語られる言葉や書かれている言葉に関心があり、それらの言葉と協同することで「『私』とそれ以外の世界との関わり」をテーマに作品を制作してきたそうです。と、キャプションを読んでもこの時点ではあまりピンと来ませんでしたが、下のフロアに行くとそれがよくわかります。
下の部屋には7台のスピーカーが円状に並んでいました。スピーカーからは女性たちの手紙の朗読が流れてきます。

同時にいくつか話しているので注意しないと聞き取るのが難しいですが、話を聞いていると戦時中の雰囲気が非常に身近に感じられます。
東京から焼け出されたとか話している一方で、それでも音楽を聞きたいとか社会に出て働きたいといった前向きな話もあったりします。中には広島に行くことになったので早く行きたいという話があって、背筋が凍る思いがしました。手紙を書いた人の運命が気になりますね…。みんな再び会いたいという旨や相手を心配する文面が多いのが何とも哀しい。また、この朗読で面白いのが文面の口調が非常に上品なことで、所謂お嬢様っぽい話し方となっています。最近こうした雅な文面を観ることはないので、それが逆に新鮮に思えました。
こちらは少女たちが描かれたアメリカのグリーティングカレンダー(1945年)

戦時中にもこうした明るい絵柄のカレンダーも存在していたんですね。戦争中でも人々の生活があって、そこには喜怒哀楽もあったという当たり前のことを再認識させられます。
奥の部屋にはテーブルが置かれ、楽譜が載っていました。

これはバッハの「平均律クラヴィア」で、昭和28年の楽譜のようです。

会場内で時折流れてきました。戦時中もラジオでクラシックの放送はあったそうです。手紙の中で音楽好きの子もいるみたいだったし、ささやかな楽しみだったのでしょうか。
こちらはコンサートのポスター

開催予定日の9/14は終戦後ですが、開催されたのかな??
小部屋には映像の「ワークショップ光景-Polyphony 1945」という作品や「朗読のまえに役者と話したこと-Polyphony 1945」といた作品もありました。
ということで、2つの原爆の日や終戦記念日のあるこの時期に、当時の市井の人々の感情を追体験できるような展示となっていました。特にお互いを思いやる手紙の朗読は健気で胸打つものもあると思います。ここは無料で観られますので、銀座・新橋に行く機会があったらチェックしてみてください。

【展覧名】
第13回 shiseido art egg 小林 清乃展
【公式サイト】
https://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/
【会場】資生堂ギャラリー
【最寄】銀座駅 新橋駅など
【会期】2019年8月2日(金)~8月25日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間20分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_②_3_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、このshiseido art eggは毎年恒例の公募展で、新進アーティストの入選者が毎年3人ずつ選ばれ この資生堂ギャラリーで1人ずつ展覧会が開かれるものです。今年は269件の応募があったそうで、今村文(いまむら ふみ)氏、小林清乃(こばやし きよの)氏、遠藤薫(えんどう かおり)氏が入選したようです。私が行った時は既に今村文 氏の展示は会期終了で、小林清乃 氏の展示を観ることができました。この展示では写真を撮ることができましたので、写真でご紹介していこうと思います。
参考記事:第12回 shiseido art egg 展 (資生堂ギャラリー)
階段の踊り場に封筒と便箋がありました。

今回の展示は、女学校を卒業したばかりの女性たちが1945年3月から1年間に渡って書いた手紙がメインとなり、これは当時使われた品のようです。
こちらは手紙の束。7人の女性が1人の同級生宛に書いた手紙のようです。

作者の小林清乃 氏は無名の人・市井の人によって語られる言葉や書かれている言葉に関心があり、それらの言葉と協同することで「『私』とそれ以外の世界との関わり」をテーマに作品を制作してきたそうです。と、キャプションを読んでもこの時点ではあまりピンと来ませんでしたが、下のフロアに行くとそれがよくわかります。
下の部屋には7台のスピーカーが円状に並んでいました。スピーカーからは女性たちの手紙の朗読が流れてきます。

同時にいくつか話しているので注意しないと聞き取るのが難しいですが、話を聞いていると戦時中の雰囲気が非常に身近に感じられます。
東京から焼け出されたとか話している一方で、それでも音楽を聞きたいとか社会に出て働きたいといった前向きな話もあったりします。中には広島に行くことになったので早く行きたいという話があって、背筋が凍る思いがしました。手紙を書いた人の運命が気になりますね…。みんな再び会いたいという旨や相手を心配する文面が多いのが何とも哀しい。また、この朗読で面白いのが文面の口調が非常に上品なことで、所謂お嬢様っぽい話し方となっています。最近こうした雅な文面を観ることはないので、それが逆に新鮮に思えました。
こちらは少女たちが描かれたアメリカのグリーティングカレンダー(1945年)

戦時中にもこうした明るい絵柄のカレンダーも存在していたんですね。戦争中でも人々の生活があって、そこには喜怒哀楽もあったという当たり前のことを再認識させられます。
奥の部屋にはテーブルが置かれ、楽譜が載っていました。

これはバッハの「平均律クラヴィア」で、昭和28年の楽譜のようです。

会場内で時折流れてきました。戦時中もラジオでクラシックの放送はあったそうです。手紙の中で音楽好きの子もいるみたいだったし、ささやかな楽しみだったのでしょうか。
こちらはコンサートのポスター

開催予定日の9/14は終戦後ですが、開催されたのかな??
小部屋には映像の「ワークショップ光景-Polyphony 1945」という作品や「朗読のまえに役者と話したこと-Polyphony 1945」といた作品もありました。
ということで、2つの原爆の日や終戦記念日のあるこの時期に、当時の市井の人々の感情を追体験できるような展示となっていました。特にお互いを思いやる手紙の朗読は健気で胸打つものもあると思います。ここは無料で観られますので、銀座・新橋に行く機会があったらチェックしてみてください。
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この間の日曜日に新橋の旧新橋停車場 鉄道歴史展示室で「流線形の鉄道 1930年代を牽引した機関車たち」という展示を観てきました。

【展覧名】
流線形の鉄道 1930年代を牽引した機関車たち
【公式サイト】
http://www.ejrcf.or.jp/shinbashi/
【会場】旧新橋停車場 鉄道歴史展示室
【最寄】新橋駅
【会期】2019年7月9日(火)~10月14日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は高速化の為に空気抵抗を減らす「流線形」を採用した鉄道に関する展示となっています。流線形は乗り物の高速化が盛んに競われた1920年代後半から現れ、1930年代に世界的な流行現象となり、乗り物だけでなく家具や家電といった日用品のデザインにも用いられたそうです。日本では1934年に既存のC53形式蒸気機関車の原設計を変更し流線形の鉄道が誕生し、その後 C55形式蒸気機関車やEF55形式電気機関車といった機関車も登場しました。
まず展示室に向かう途中の階段に、天賞堂などが所有するHOゲージの模型が並んでいました。「C53 43」「C55」、ムーミンの愛称の「EF55」南満州鉄道のあじあ号の「パシナ型」、小豆色の車体がかっこいい「05形」、小豆色の地に金色のラインの入った「コロネーション」などがあり、いずれも滑らかな曲線が優美な印象を受けます。特にコロネーションは色も気品があって有機的な美しさがあります。
展示室内にも模型が多々ありました。Oゲージの模型では、紫色の車体で顔の部分に髭みたいな突起がある「フリーゲンダー・ハンブルガー」、銀色の車体で後ろには展望室のある「ゼファー号」、黄色と茶色の車体の「M10000」、一際大きく緑の車体が特徴の「グリーンダイヤモンド」などがあります。グリーンダイヤモンドはいかつい顔をしてますが、滑らかな車体ばかりで未来感・スピード感が溢れんばかりです。さらに大きいGゲージの「CG-1形」などもあり、模型の大きさも見応えのある要素の1つとなっていました。
鉄道以外にも空想上の車や飛行機の模型もありました。ヤリイカみたいな形の「OCEAN LINER」、451人乗りの飛行機「AIR LINER」、8人乗りの自動車などで、いずれも1932年のノーマン・ベル・ゲデスによる『ホライズン』で発表されたプロダクトデザインです。特に飛行機はナウシカに出てきた飛空艇みたいなデザインでSF感があるw ややレトロな雰囲気もあって、レトロ・フューチャー好きにはたまらない造形でした。
その先も再び鉄道模型が並んでいます。南満州鉄道のパシナ形「あじあ号」はHOゲージで、水色の機関車と緑の車体の色合いも美しく爽やかな雰囲気です。当時のパンフレットなど貴重な品も展示されていました。
他に列挙すると、Oゲージは「モハ52」、「EF55」、「C55」、「C53」、「4008」、「2906」、「ハイアワサ(初代)」、「ハイアワサ」、「マーキュリー号」、「J3a 20世紀特急」「J3a エンパイアービルダー」「K4S」「マラード」「ジョン・ウィルクス」、1番ゲージは「コモドアーバンダービルド」といった車体が並んでいました。外国のとかは結構知らないのがありましたが、どれも個性的な流線型となっています。特に好みは金色でロケットのような丸いドーム型の車体の「J3a 20世紀特急」と、横から見える車輪の大きさも魅力の「マーキュリー号」でした。
最後にこれらの流線型の鉄道の資料などがありました。当時の子供向けの科学雑誌には「マーキュリー号」が載っていたり、カッサンドルの「ノールエクスプレス(北方特急)」のポスターが展示されています。私はカッサンドルが大好きなので、流線形の鉄道が好きな理由も根本は同じなのかも?と思えましたw アール・デコと流線形は切っても切れない関係にあると思います。
他にも流線形の鉄道・車・飛行機のブリキの玩具などもありました。デフォルメされているものもありますが、結構本格的で大人でも魅了されるような出来具合です。
そんな感じで、速くて美しい流線形の鉄道は一世を風靡した訳ですが、第二次世界大戦の頃になると外皮の整備性の悪さから軍事物資輸送の増大に適応できず、改装前の質実剛健な姿に再改造される憂き目にあったようです。欧米においてもより速い飛行機の台頭や 利便性の高い車によって 鉄道の立場も変わり、質のサービスを目指す方向性へと変わっていったようです。それでも新幹線などにはその系譜が生きているように思えますね。
ということで、流線形デザインの鉄道模型を多数観ることが出来ました。アール・デコが好きで鉄道好きでもある私にとっては非常に満足度が高い内容ですw ちょっとレトロな感じもあってロマン溢れる展示でした。ここは無料で観ることができるので、鉄道好きの方にオススメです。


【展覧名】
流線形の鉄道 1930年代を牽引した機関車たち
【公式サイト】
http://www.ejrcf.or.jp/shinbashi/
【会場】旧新橋停車場 鉄道歴史展示室
【最寄】新橋駅
【会期】2019年7月9日(火)~10月14日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_③_4_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は高速化の為に空気抵抗を減らす「流線形」を採用した鉄道に関する展示となっています。流線形は乗り物の高速化が盛んに競われた1920年代後半から現れ、1930年代に世界的な流行現象となり、乗り物だけでなく家具や家電といった日用品のデザインにも用いられたそうです。日本では1934年に既存のC53形式蒸気機関車の原設計を変更し流線形の鉄道が誕生し、その後 C55形式蒸気機関車やEF55形式電気機関車といった機関車も登場しました。
まず展示室に向かう途中の階段に、天賞堂などが所有するHOゲージの模型が並んでいました。「C53 43」「C55」、ムーミンの愛称の「EF55」南満州鉄道のあじあ号の「パシナ型」、小豆色の車体がかっこいい「05形」、小豆色の地に金色のラインの入った「コロネーション」などがあり、いずれも滑らかな曲線が優美な印象を受けます。特にコロネーションは色も気品があって有機的な美しさがあります。
展示室内にも模型が多々ありました。Oゲージの模型では、紫色の車体で顔の部分に髭みたいな突起がある「フリーゲンダー・ハンブルガー」、銀色の車体で後ろには展望室のある「ゼファー号」、黄色と茶色の車体の「M10000」、一際大きく緑の車体が特徴の「グリーンダイヤモンド」などがあります。グリーンダイヤモンドはいかつい顔をしてますが、滑らかな車体ばかりで未来感・スピード感が溢れんばかりです。さらに大きいGゲージの「CG-1形」などもあり、模型の大きさも見応えのある要素の1つとなっていました。
鉄道以外にも空想上の車や飛行機の模型もありました。ヤリイカみたいな形の「OCEAN LINER」、451人乗りの飛行機「AIR LINER」、8人乗りの自動車などで、いずれも1932年のノーマン・ベル・ゲデスによる『ホライズン』で発表されたプロダクトデザインです。特に飛行機はナウシカに出てきた飛空艇みたいなデザインでSF感があるw ややレトロな雰囲気もあって、レトロ・フューチャー好きにはたまらない造形でした。
その先も再び鉄道模型が並んでいます。南満州鉄道のパシナ形「あじあ号」はHOゲージで、水色の機関車と緑の車体の色合いも美しく爽やかな雰囲気です。当時のパンフレットなど貴重な品も展示されていました。
他に列挙すると、Oゲージは「モハ52」、「EF55」、「C55」、「C53」、「4008」、「2906」、「ハイアワサ(初代)」、「ハイアワサ」、「マーキュリー号」、「J3a 20世紀特急」「J3a エンパイアービルダー」「K4S」「マラード」「ジョン・ウィルクス」、1番ゲージは「コモドアーバンダービルド」といった車体が並んでいました。外国のとかは結構知らないのがありましたが、どれも個性的な流線型となっています。特に好みは金色でロケットのような丸いドーム型の車体の「J3a 20世紀特急」と、横から見える車輪の大きさも魅力の「マーキュリー号」でした。
最後にこれらの流線型の鉄道の資料などがありました。当時の子供向けの科学雑誌には「マーキュリー号」が載っていたり、カッサンドルの「ノールエクスプレス(北方特急)」のポスターが展示されています。私はカッサンドルが大好きなので、流線形の鉄道が好きな理由も根本は同じなのかも?と思えましたw アール・デコと流線形は切っても切れない関係にあると思います。
他にも流線形の鉄道・車・飛行機のブリキの玩具などもありました。デフォルメされているものもありますが、結構本格的で大人でも魅了されるような出来具合です。
そんな感じで、速くて美しい流線形の鉄道は一世を風靡した訳ですが、第二次世界大戦の頃になると外皮の整備性の悪さから軍事物資輸送の増大に適応できず、改装前の質実剛健な姿に再改造される憂き目にあったようです。欧米においてもより速い飛行機の台頭や 利便性の高い車によって 鉄道の立場も変わり、質のサービスを目指す方向性へと変わっていったようです。それでも新幹線などにはその系譜が生きているように思えますね。
ということで、流線形デザインの鉄道模型を多数観ることが出来ました。アール・デコが好きで鉄道好きでもある私にとっては非常に満足度が高い内容ですw ちょっとレトロな感じもあってロマン溢れる展示でした。ここは無料で観ることができるので、鉄道好きの方にオススメです。
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前々回・前回とご紹介した練馬区立美術館の展示を観た後、中村橋駅のすぐ近くにあるREINO COFFEE STORE(レイノ コーヒーストア)というお店でお茶してきました。

【店名】
REINO COFFEE STORE(レイノ コーヒーストア)
【ジャンル】
カフェ
【公式サイト】
https://reinocoffeestore.com/
食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1321/A132102/13222173/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
中村橋駅
【近くの美術館】
練馬区立美術館
【この日にかかった1人の費用】
810円程度
【味】
不味_1_2_3_4_⑤_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
満席に近い状態でしたが、落ち着いた雰囲気の中でゆっくりすることが出来ました。
さて、このお店は中村橋駅のすぐ近くで練馬区立美術館からも程近いところにある自家焙煎のカフェで、2017年に出来たようです。表にあった自家焙煎の幟に釣られて入ってみました。
中はこんな感じ。ボサノバが流れる洒落た雰囲気で、本棚にはアート系の本や雑誌も並びボナール展の図録とかもありました。

テーブル席・ソファ席・カウンター席があり 外にはペット同伴できるテラス席もありました。真夏に行ったので勿論 店内にしました。
先に会計するシステムだったので、本日のコーヒーのラージサイズとチーズケーキ(合わせて810円)を頼みました。

ブレンド以外にもストレートコーヒーもあります。本日のコーヒーはブラジルの中煎りで、アイスも出来るようだったのでアイスにしました。煎り方も注文できるようで、かなり凝ったお店です。
まずはチーズケーキ

滑らかかつ濃厚で、香りも豊かです。これほど美味しいチーズケーキは中々出会えないかも。
続いてコーヒー。

予想以上に酸味が強めで、一方で焙煎したての風味があります。アイスによく合うスッキリした後味で かなり美味しかったです。
ということで、期待以上に美味しいコーヒーとケーキを頂くことができました。これは練馬区美術館に行く際に必ず寄りたくなるレベルw 沢山試してみたいメニューがあったので、また展示を観に行く際にでも再訪してみたいと思います。

【店名】
REINO COFFEE STORE(レイノ コーヒーストア)
【ジャンル】
カフェ
【公式サイト】
https://reinocoffeestore.com/
食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1321/A132102/13222173/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
中村橋駅
【近くの美術館】
練馬区立美術館
【この日にかかった1人の費用】
810円程度
【味】
不味_1_2_3_4_⑤_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_④_5_快適
【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
満席に近い状態でしたが、落ち着いた雰囲気の中でゆっくりすることが出来ました。
さて、このお店は中村橋駅のすぐ近くで練馬区立美術館からも程近いところにある自家焙煎のカフェで、2017年に出来たようです。表にあった自家焙煎の幟に釣られて入ってみました。
中はこんな感じ。ボサノバが流れる洒落た雰囲気で、本棚にはアート系の本や雑誌も並びボナール展の図録とかもありました。

テーブル席・ソファ席・カウンター席があり 外にはペット同伴できるテラス席もありました。真夏に行ったので勿論 店内にしました。
先に会計するシステムだったので、本日のコーヒーのラージサイズとチーズケーキ(合わせて810円)を頼みました。

ブレンド以外にもストレートコーヒーもあります。本日のコーヒーはブラジルの中煎りで、アイスも出来るようだったのでアイスにしました。煎り方も注文できるようで、かなり凝ったお店です。
まずはチーズケーキ

滑らかかつ濃厚で、香りも豊かです。これほど美味しいチーズケーキは中々出会えないかも。
続いてコーヒー。

予想以上に酸味が強めで、一方で焙煎したての風味があります。アイスによく合うスッキリした後味で かなり美味しかったです。
ということで、期待以上に美味しいコーヒーとケーキを頂くことができました。これは練馬区美術館に行く際に必ず寄りたくなるレベルw 沢山試してみたいメニューがあったので、また展示を観に行く際にでも再訪してみたいと思います。
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今日は前回に引き続き中村橋の練馬区立美術館の「没後50年 坂本繁二郎展」についてです。前半は3章までについてでしたが、後編は4~5章についてご紹介して参ります。まずは概要のおさらいです。
→ 前編はこちら

【展覧名】
没後50年 坂本繁二郎展
【公式サイト】
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=201906011559351169
【会場】練馬区立美術館
【最寄】中村橋駅
【会期】2019年7月14日(日)~9月16日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
後半は4章の途中から下階に移動する感じになっていました。後編も引き続き各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<第4章 成熟-静物画の時代 1945-1963年>
4章は戦後のコーナーです。坂本繁二郎は1943年頃から野菜や果物に加え、能面や植木鉢、レンガなどを描くようになりました。能面は1944~1963年まで30点程度存在し、モチーフは由緒ある面でなくても良かったようです。また、静物が増える一方で馬も再び取り上げていて、戦前は二科会を中心に馬の大作を発表していましたが戦後は二科展には参加せず清光会や草人社展で主に発表していたようです。
この頃、芸術院会員推挙を皮切りに受賞や回顧展を重ねていたようで、1956年には文化勲章も受けています。その際、天皇陛下からの「何を描いていますか?」との質問に「静物を描いています」と答えたようです。ここにはそうした時代の作品が並んでいました。
71 坂本繁二郎 「植木鉢」
こちらは何の変哲もない2つの空っぽの植木鉢を描いた作品です。周りには落ち葉らしきものもあるかな。植木鉢は上向きと下向きに置かれていて、地の色と同じような色彩となっています。ぽつんと寂しげな印象で静かな雰囲気となっていました。
この辺は静物が並んでいます。本や砥石なんかもありました。
82 坂本繁二郎 「能面」
こちらは朱色を地に、表向きの能面と裏面の能面が置かれている静物です。近くには謡本や扇子なども置かれているのですが、気になるのは背景の朱で、まるで事件現場の血の川のように見えますw 能面の顔もちょっと怖いし、どんな意図でこれを描いたのか知りたいw ちょっと不穏さもあって記憶に残る作品でした。
この近くは能面をモチーフにした作品多めでした。
90 坂本繁二郎 「モートル図」
こちらは安川電機40年史の冊子の巻頭を飾る為に依頼されたもので、安川電機のモートル(モーター)が描かれています。横向きの円筒形に台の付いた形で、画面に対してモーターは大きめに見えます。変わったモチーフではあるものの、色合いは茶色や水色を多用した繁二郎らしい雰囲気です。解説によると、一度は絵にならぬと断ったとのことですが、異色の題材でもしっかりと個性が出ているように思えました。
91 坂本繁二郎 「猩々面」
こちらは全体的にピンクがかった地に、謡本を積んで そこに立て掛けた赤い顔の能面を描いた静物です。この猩々面というのは 酒を嗜み 酔っ払って戯れる妖精の面だそうで、赤い顔で口を開いてニヤッと笑い、歯が見える感じです。妙に生き生きしていて、不気味だけど愛嬌を感じるかなw 特に面白い顔の能面でした。
この辺にも能面を描いた静物が並んでいました。ただの石ころを描いた静物なんかもあります。
93 坂本繁二郎 「暁明の根子岳」
こちらは阿蘇山の根子岳を描いた作品です。全体的に淡い水色で、山と空を水色の濃淡で分けています。山頂付近には小さな雲がいくつか浮かんでいて、朝日の光を受けて輝くような白さです。清々しく神々しい朝の山景を観た感動がストレートに伝わってくる風景でした。
この後は再び静物で、植木鉢や野菜が並んでいました。
109 坂本繁二郎 「林檎・柿等」
こちらは薄紫の地に林檎や柿などが6つほど置かれている静物です。小さく丸々していてリズムを感じる配置となっていますが、中央付近に集まっていて四隅は空白が目立ちます。余白を活かすのはちょっと日本画っぽい気もするかな。この近くの静物も赤紫地で中央寄せの構図となっていたので、この頃の画風の特徴なのかもしれません。
この近くには能面と鼓などを描いた作品が並んでいました。そしてこの辺で下階に続きます。下階は4章と5章が混じっているような感じですが、引き続き能面などの静物が並んでいました。
105 坂本繁二郎 「雲仙の春・阿蘇の秋」
こちらは六曲一双の屏風で、油彩のようですが水彩のような軽やかな色彩です。左隻に山、右隻に海を描いていていずれも地平線が低く広々として清々しい雰囲気です。特に左隻は輝くような美しさでした。解説によると、10年経っても完成しなかったのを、6年後に再び取り組んで完成させた作品のようでした。
123 坂本繁二郎 「能面と鼓の胴」 ★こちらで観られます
こちらはいくつもの箱を積み重ねた静物で、箱は赤紫の濃淡で立体感を出しています。直角の多いスッキリした構図で、優しい色彩とソリッドな線の取り合わせが相反しているようで面白い作風でした。
<第5章 「はなやぎ」-月へ 1964-1969年>
最後の章は晩年のコーナーです。坂本繁二郎は1964年(82歳)の頃に月雲を描き始めたようで、この頃は視力の衰えが著しくアトリエにも出かけなくなって自宅の2階がアトリエとなっていました。そして晩年の坂本繁二郎は「一生絵を描いて生きた事を幸せに思っています」とか「生まれ変わっても画家になりたい」と語っていたそうです。そんな坂本繁二郎について、亡くなった翌年の追悼展の際に作家の井上靖は「氏の晩年のはなやぎ は美しいと思う」と述べていたそうで、この章のタイトルはそれに因んでいるようです。ここには晩年によく描いた月の作品などが並んでいました。
126 坂本繁二郎 「達磨」 ★こちらで観られます
こちらは赤い達磨を描いた静物で、目は黒丸2つ、口は横一文字に近い「へ」の字というシンプルな顔つきです。背景には雲のようなものが棚引いているのですが、これは「起」を絵画的に処理したものだそうです。つまり「七転び八起き」を意味しているらしく、繁二郎を慕う飲食店の店主を励ます為に描いたようです。素朴でマスコット的な可愛さがあり、意外な一面に思えました。
141 坂本繁二郎 「幽光」
こちらは絶筆で、青緑っぽい地にぼんやりとオレンジがかった箇所があり、そこが月のようです。雲に隠れているらしく、ぼんやりとして周りもまるで抽象画のような雰囲気に思えます。解説によるとこの頃には視力をほとんど失っていたようで、タイトル没後につけられたようです。目が見えなくなっても絵を描こうとするとは、心底 絵が好きだったんでしょうね。
この近くでは映像で坂本繁二郎のアトリエなども紹介していました。ガラス張りの部屋なのに、光にこだわって暗くして行ったらしく、それが視力を低下させる原因にもなっているようでした。
139 坂本繁二郎 「月光」
こちらはかなり繊細な色彩で馬小屋の中から月が出ている様子を描いています。手前に馬の首の影があり、空にぼんやりと月が光っている構図です。静かで神秘的な光景で、観ていてホッとするような穏やかさもありました。
この近くにはこの作品とよく似た構図の作品もありました。これに比べると形がハッキリしているかな。この構図が気に入ってたのかも?
127 坂本繁二郎 「月」
こちらは今回のポスターになっている作品で、深い青緑の地に煌々と輝く満月が描かれています。月の黄色の中には青や白があり、周りは虹のように薄っすらと赤くなっています。また、下の方には様々な色の雲もあって、繊細な色彩で風情を出しているように思いました。
この隣には月シリーズ最大の作品「月」もありました。3年掛けて描いた大作です。
131 坂本繁二郎 「牛」
こちらは1919年から描き始めたものの未完成だったのですが、1965年に発見して83歳の時に4ヶ月かけて完成させた作品です(実に45年後!) 地面に伏せている白い牛の後ろ姿で、細かく厚めのタッチで描かれています。色は落ち着いているものの、どっしりとした印象を受けるかな。久々に牛の絵で、時期によってモチーフも移り変わって行ったのが感じられました。
ということで、初期から晩年まで坂本繁二郎の代表作をじっくりと観ることが出来ました。充実した展示だったので図録も買って かなり満足です。 坂本繁二郎は絵画ファンの中でも人気の画家ですので、洋画好きの方は是非チェックしてみてください。貴重な機会だと思います。
おまけ:
美術館の入口に「達磨」をモチーフにしたマスコットが置かれていました。

元々の絵がマスコットそのものなので、違和感無いですw
→ 前編はこちら


【展覧名】
没後50年 坂本繁二郎展
【公式サイト】
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=201906011559351169
【会場】練馬区立美術館
【最寄】中村橋駅
【会期】2019年7月14日(日)~9月16日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
後半は4章の途中から下階に移動する感じになっていました。後編も引き続き各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<第4章 成熟-静物画の時代 1945-1963年>
4章は戦後のコーナーです。坂本繁二郎は1943年頃から野菜や果物に加え、能面や植木鉢、レンガなどを描くようになりました。能面は1944~1963年まで30点程度存在し、モチーフは由緒ある面でなくても良かったようです。また、静物が増える一方で馬も再び取り上げていて、戦前は二科会を中心に馬の大作を発表していましたが戦後は二科展には参加せず清光会や草人社展で主に発表していたようです。
この頃、芸術院会員推挙を皮切りに受賞や回顧展を重ねていたようで、1956年には文化勲章も受けています。その際、天皇陛下からの「何を描いていますか?」との質問に「静物を描いています」と答えたようです。ここにはそうした時代の作品が並んでいました。
71 坂本繁二郎 「植木鉢」
こちらは何の変哲もない2つの空っぽの植木鉢を描いた作品です。周りには落ち葉らしきものもあるかな。植木鉢は上向きと下向きに置かれていて、地の色と同じような色彩となっています。ぽつんと寂しげな印象で静かな雰囲気となっていました。
この辺は静物が並んでいます。本や砥石なんかもありました。
82 坂本繁二郎 「能面」
こちらは朱色を地に、表向きの能面と裏面の能面が置かれている静物です。近くには謡本や扇子なども置かれているのですが、気になるのは背景の朱で、まるで事件現場の血の川のように見えますw 能面の顔もちょっと怖いし、どんな意図でこれを描いたのか知りたいw ちょっと不穏さもあって記憶に残る作品でした。
この近くは能面をモチーフにした作品多めでした。
90 坂本繁二郎 「モートル図」
こちらは安川電機40年史の冊子の巻頭を飾る為に依頼されたもので、安川電機のモートル(モーター)が描かれています。横向きの円筒形に台の付いた形で、画面に対してモーターは大きめに見えます。変わったモチーフではあるものの、色合いは茶色や水色を多用した繁二郎らしい雰囲気です。解説によると、一度は絵にならぬと断ったとのことですが、異色の題材でもしっかりと個性が出ているように思えました。
91 坂本繁二郎 「猩々面」
こちらは全体的にピンクがかった地に、謡本を積んで そこに立て掛けた赤い顔の能面を描いた静物です。この猩々面というのは 酒を嗜み 酔っ払って戯れる妖精の面だそうで、赤い顔で口を開いてニヤッと笑い、歯が見える感じです。妙に生き生きしていて、不気味だけど愛嬌を感じるかなw 特に面白い顔の能面でした。
この辺にも能面を描いた静物が並んでいました。ただの石ころを描いた静物なんかもあります。
93 坂本繁二郎 「暁明の根子岳」
こちらは阿蘇山の根子岳を描いた作品です。全体的に淡い水色で、山と空を水色の濃淡で分けています。山頂付近には小さな雲がいくつか浮かんでいて、朝日の光を受けて輝くような白さです。清々しく神々しい朝の山景を観た感動がストレートに伝わってくる風景でした。
この後は再び静物で、植木鉢や野菜が並んでいました。
109 坂本繁二郎 「林檎・柿等」
こちらは薄紫の地に林檎や柿などが6つほど置かれている静物です。小さく丸々していてリズムを感じる配置となっていますが、中央付近に集まっていて四隅は空白が目立ちます。余白を活かすのはちょっと日本画っぽい気もするかな。この近くの静物も赤紫地で中央寄せの構図となっていたので、この頃の画風の特徴なのかもしれません。
この近くには能面と鼓などを描いた作品が並んでいました。そしてこの辺で下階に続きます。下階は4章と5章が混じっているような感じですが、引き続き能面などの静物が並んでいました。
105 坂本繁二郎 「雲仙の春・阿蘇の秋」
こちらは六曲一双の屏風で、油彩のようですが水彩のような軽やかな色彩です。左隻に山、右隻に海を描いていていずれも地平線が低く広々として清々しい雰囲気です。特に左隻は輝くような美しさでした。解説によると、10年経っても完成しなかったのを、6年後に再び取り組んで完成させた作品のようでした。
123 坂本繁二郎 「能面と鼓の胴」 ★こちらで観られます
こちらはいくつもの箱を積み重ねた静物で、箱は赤紫の濃淡で立体感を出しています。直角の多いスッキリした構図で、優しい色彩とソリッドな線の取り合わせが相反しているようで面白い作風でした。
<第5章 「はなやぎ」-月へ 1964-1969年>
最後の章は晩年のコーナーです。坂本繁二郎は1964年(82歳)の頃に月雲を描き始めたようで、この頃は視力の衰えが著しくアトリエにも出かけなくなって自宅の2階がアトリエとなっていました。そして晩年の坂本繁二郎は「一生絵を描いて生きた事を幸せに思っています」とか「生まれ変わっても画家になりたい」と語っていたそうです。そんな坂本繁二郎について、亡くなった翌年の追悼展の際に作家の井上靖は「氏の晩年のはなやぎ は美しいと思う」と述べていたそうで、この章のタイトルはそれに因んでいるようです。ここには晩年によく描いた月の作品などが並んでいました。
126 坂本繁二郎 「達磨」 ★こちらで観られます
こちらは赤い達磨を描いた静物で、目は黒丸2つ、口は横一文字に近い「へ」の字というシンプルな顔つきです。背景には雲のようなものが棚引いているのですが、これは「起」を絵画的に処理したものだそうです。つまり「七転び八起き」を意味しているらしく、繁二郎を慕う飲食店の店主を励ます為に描いたようです。素朴でマスコット的な可愛さがあり、意外な一面に思えました。
141 坂本繁二郎 「幽光」
こちらは絶筆で、青緑っぽい地にぼんやりとオレンジがかった箇所があり、そこが月のようです。雲に隠れているらしく、ぼんやりとして周りもまるで抽象画のような雰囲気に思えます。解説によるとこの頃には視力をほとんど失っていたようで、タイトル没後につけられたようです。目が見えなくなっても絵を描こうとするとは、心底 絵が好きだったんでしょうね。
この近くでは映像で坂本繁二郎のアトリエなども紹介していました。ガラス張りの部屋なのに、光にこだわって暗くして行ったらしく、それが視力を低下させる原因にもなっているようでした。
139 坂本繁二郎 「月光」
こちらはかなり繊細な色彩で馬小屋の中から月が出ている様子を描いています。手前に馬の首の影があり、空にぼんやりと月が光っている構図です。静かで神秘的な光景で、観ていてホッとするような穏やかさもありました。
この近くにはこの作品とよく似た構図の作品もありました。これに比べると形がハッキリしているかな。この構図が気に入ってたのかも?
127 坂本繁二郎 「月」
こちらは今回のポスターになっている作品で、深い青緑の地に煌々と輝く満月が描かれています。月の黄色の中には青や白があり、周りは虹のように薄っすらと赤くなっています。また、下の方には様々な色の雲もあって、繊細な色彩で風情を出しているように思いました。
この隣には月シリーズ最大の作品「月」もありました。3年掛けて描いた大作です。
131 坂本繁二郎 「牛」
こちらは1919年から描き始めたものの未完成だったのですが、1965年に発見して83歳の時に4ヶ月かけて完成させた作品です(実に45年後!) 地面に伏せている白い牛の後ろ姿で、細かく厚めのタッチで描かれています。色は落ち着いているものの、どっしりとした印象を受けるかな。久々に牛の絵で、時期によってモチーフも移り変わって行ったのが感じられました。
ということで、初期から晩年まで坂本繁二郎の代表作をじっくりと観ることが出来ました。充実した展示だったので図録も買って かなり満足です。 坂本繁二郎は絵画ファンの中でも人気の画家ですので、洋画好きの方は是非チェックしてみてください。貴重な機会だと思います。
おまけ:
美術館の入口に「達磨」をモチーフにしたマスコットが置かれていました。

元々の絵がマスコットそのものなので、違和感無いですw
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この間の土曜日に練馬区立美術館で「没後50年 坂本繁二郎展」を観てきました。充実の内容でメモを多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

【展覧名】
没後50年 坂本繁二郎展
【公式サイト】
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=201906011559351169
【会場】練馬区立美術館
【最寄】中村橋駅
【会期】2019年7月14日(日)~9月16日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
お客さんは結構いましたが、快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は独特の静けさを漂わせる馬や牛を描いた作品を多く残した坂本繁二郎の回顧展となります。坂本繁二郎は幼い頃から神童と呼ばれ、小学校時代の同級生には青木繁がいて互いに切磋琢磨した青春時代を過ごします。後にフランス留学を経て己の目指す美術の道が正しいことを確信し、やがて独自の絵画表現を切り開いていきました。この展示では幼少期から晩年まで時系列や作品テーマ別に構成されていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<第1章 神童と呼ばれて 1897-1902年>
まずは幼少期の頃のコーナーです。坂本繁二郎は1882年に久留米で生まれ、父も母も絵心があったそうです。10歳の時にそんなに絵が好きならと知人の紹介で洋画家の森三美の画塾へと通いはじめ、日本画が普通の時代に洋画家に接して遠近法などに驚いたようです。坂本繁二郎の4ヶ月遅れで青木繁も久留米に生まれ、小学校で2人は出会って青木繁も森三美の画塾へと入っています。森の画塾では模写が中心で、手製の絵の具とカンバスの作り方なども教わっていたようです。やがて坂本繁二郎は神童と呼ばれ、森の後任として久留米の高等小学校の代行教員も務めましたが、本格的な洋画習得には東京を目指す必要性を感じていました。一足先に東京美術学校で学んだ青木繁が徴兵の検査で帰省すると、その上達ぶりに触発されて上京を決意するようになりました。ここには上京前の作品などが並んでいました。
1 坂本繁二郎 「立石谷」 ★こちらで観られます
こちらは15歳の時の作品で、流れ落ちる滝を描いています。白黒で表された日本画で、水が勢いよく流れて飛沫を上げる様子や、岩の硬そうな質感などを濃淡のみで見事に描き分けています。卓越した技術や構成で、神童と呼ばれた理由がよく分かる作品でした。
2 坂本繁二郎 「夏野」
こちらは16歳の頃(森三美の画塾で学んでいた頃)の作品で、畑と小高い丘が広がる風景が描かれています。空には暗い雲が去りつつあり、虹も掛かっています。夕立の後らしく まだ暗いものの晴れ初めて光が差してきているような感じです。畑のあたりには前かがみで歩く人などもいて、夕立の臨場感なども出ていました。遠近法を見事に使いこなして結構大胆な画風に思いました。
5 坂本繁二郎 「刈入れ」 6 森三美 「刈入れ」
こちらは同じような構図の作品が2つ並んでいました。藁束の側に休む人や馬、衝立のようなものが観える光景で 所々にモチーフの違いがありますがほとんど同じ様子となっています。森のほうは水彩、繁二郎は和製絵具で色の乗りが違って見えて、森の方が精緻な印象を受けるかな。繁二郎はのんびりした雰囲気に思えました。
この辺には森三美の作品や、青木繁の海を描いた絶筆などもありました。青木繁とは1902年に群馬や長野にスケッチ旅行にも出かけていて、切磋琢磨しあう仲でした。
参考記事:没後100年 青木繁展ーよみがえる神話と芸術 (ブリヂストン美術館)
<第2章 青春-東京と巴里 1902-1924年>
続いては上京からパリ留学の頃のコーナーです。坂本繁二郎は1902年に青木繁と上京し、画塾 不同舎に入門し 後に太平洋画会研究所で学んでいます。東京では自己流を精算し本格的な洋画の会得を目指していたようです。青木繁の方が先に名が売れたようですが、1907年の東京勧業博覧会で青木繁は不本意な結果を受け、父の死もあって帰郷しています。その後は九州で放浪の末に1911年に病に倒れて若くして亡くなってしまいました。 一方で坂本繁二郎は文展に入選(青木繁は落選)し、1910年には妻を描いた作品で褒状を獲得、1912年の第6回文展では夏目漱石の目にとまり理解を得て大きな励みになったようです。1914年には文展から独立を図る二科会に誘われ、以降は二科展が主な発表の場となっています。夏目漱石の目にとまった「うすれ日」以降、牛のテーマにこだわって描いていましたが、1920年の「牛」を総決算としてフランス留学を決意しました。1921年にはパリに渡って、二科会をはじめとした多くの日本人留学生と交流し、アカデミー・コラッシでシャルル・ゲランに師事しました。しかし半年で辞めてしまい、以降はパリ近郊のブルターニュ地方で写生したり、アトリエで人物画制作に励んだようです。ここにはそうした時代の作品が並んでいました。
22 坂本繁二郎 「うすれ日」
こちらは千葉県の御宿で描いた作品で、第6回文展で夏目漱石に注目されて出世作となりました。木の脇で佇む牛が描かれ、ぼんやりした印象ですが背中の部分に光が当たっているなど、柔らかい日差しが感じられます。後の繁二郎らしい画風に繋がっていくような特徴も観られて、静かで繁二郎の精神的なものが出ているようにも思いました。
16 坂本繁二郎 「町裏」
こちらは画壇のデビュー作で、町の裏通りのような所の人々が描かれています。不同舎では石膏像やヌードモデルを用いた本格的な人物デッサンを学んでいたそうで、ここでは薪を運ぶ半纏の男性たちを力強く描いています。色は落ち着いていて 若干ぼんやりした感じもありますが、逞しい体つきで動きまで感じられるデッサン力でした。
20 坂本繁二郎 「張り物」
こちらは第4回文展で褒状を貰った作品です。縁側で奥さんが張り物(着物にノリや染料を塗る作業)をする為に前かがみになっている様子が描かれ、周りには赤い水の入ったタライなども置かれています。衣は赤く、そこに光があたって反射していて 奥さんは下からの照り返しで赤く染まっている部分もあります。全体的に明るく爽やかな色彩で、生き生きとした雰囲気となっていました。
この近くには牛、馬、豚などを描いた作品が並んでいました。
30 坂本繁二郎 「牛」
こちらは第7回文展の出品作で、これを総決算としてパリに留学する決意をしました。全体的に白黒の沈んだ色彩で、樹の下で伏せている白黒の牛を描いています。牛はうずくまるような姿勢で、色彩と共に静かで重々しい印象を受けるかな。画面が大きいこともあって異色の作品に思えました。
36 坂本繁二郎 「ヴァンヌ郊外」
こちらは北仏ブルターニュのヴァンヌの光景を描いた作品で、坂本繁二郎はここに1ヶ月滞在したようです。ピンクや水色を多く使ってぼんやり淡い色彩で描いていて、家々が連なり 通りには猫らしき影もあります。細部はハッキリしないものの、この地で活躍したナビ派やゴーギャンに通じるものがあるかな。実際、坂本繁二郎はゴーギャンに惹かれていたようです。繁二郎のルーツが垣間見られる作品でした。
この辺にはアーティゾン美術館(旧ブリヂストン美術館)の「帽子を持てる女」などもありました。フランス時代の代表作です。
<第3章 再び故郷へ-馬の時代 1924-1944年>
続いては帰国後のコーナーです。坂本繁二郎は1924年9月に帰国すると、東京ではなく久留米に戻りました。フランス留学で得たのは「画人としての歩みようについて日本で抱いていた気持ちに少しも迷いが生じなかった」ことだったそうで、豊かな明るい色調に堅牢なマチエールの獲得も留学の成果と言えるようです。1931年には画壇の煩わしさを避けて八女に転居し、自宅から1キロの場所にアトリエを建てて毎日通って制作に没頭しました。当時の関心は馬にあり、九州各地の放牧場や馬市に出かけて取材したそうで 馬を描くきっかけとなったのは友人でアトリエの土地を提供した梅野満雄だったそうです。1939年には専属の画商も得て坂本繁二郎の作品が世の中に出ていきましたが、一方で戦時色が強まり旅行なども不便になり、馬も減って 自身の視力も衰えた事から身近な自然である柿・栗・馬鈴薯などを描くようになっていきました。ここにはそうした時代の作品が並んでいました。
46 坂本繁二郎 「自像」
こちらはフランス時代から描いて帰国後に仕上げた自画像です。薄い黄土色を地に、似たような色の服と帽子の姿で描かれていて 振り返るようなポーズでやや怪訝そうな顔でこちらを見ています。解説によると厳しい表情に1人で信じる絵の道を進む覚悟が出ているのではないかとのことで、この頃の心境が現れた作品のようでした。
47 坂本繁二郎 「鳶形山」 ★こちらで観られます
こちらは自宅から見える八女の山を描いた作品です。地平線がかなり下の方にあり 画面の大半は空と雲になっているのですが、雲はやけにカクカクした十字形の不思議な形をしています。文豪の川端康成は、この絵の雲を随筆『花は眠らない』の中で「食パンを切ったような十字型の雲」と著しているそうで、確かにその通りに見えますw 山よりも雲が目立っていて、ややシュールな印象を受けました。
この辺には林檎、馬鈴薯、柿などを描いた作品も並んでいました。
58 坂本繁二郎 「柿」
こちらは枝のついた4つの柿を描いた作品です。枝は連続した流れのように配置されていて、リズムがあって面白い効果となっています。全体的に落ち着いた色調で明暗は浅めに見えるかな。素朴な自然を感じる作品でした。
この部屋の最後には帰国後に初めて描いた馬の絵もありました。坂本繁二郎は「馬と柿は一生描く」と言っていたそうで、牛から馬に乗り換えたという旨の発言もあったようです。坂本繁二郎が馬のイメージが強いのはこの時代の為でしょうね。
56 坂本繁二郎 「窓の馬」
こちらは馬房の窓から頭を出している馬を描いた作品です。こちらを観ている馬の目が優しくて何とも可愛いw 茶色と水色で陰影をつける表現は坂本繁二郎ならではで、馬への愛情も感じられる穏やかな雰囲気となっていました。
この部屋は馬の作品がズラリと並んで壮観でした。坂本繁二郎の代表的な画風というとこのコーナーの作品ではないかと思います。
48 坂本繁二郎 「放牧三馬」
こちらは第19回二科展の出品作で、坂本繁二郎の代表作の1つです。青空を背景に3頭の馬が寄り添っていて、特に中央の白馬が目を引きます。金色のたてがみで光を浴びて神々しい雰囲気です。また、隣の馬は後ろ向きで、ポーズの対比なども面白く感じられました。動きもあるし、この展覧会でも指折りの傑作だと思います。
ちなみにこの作品は旧ブリヂストン美術館の所蔵品です。来年早々にアーティゾン美術館として生まれ変わるので、また観られる機会もありそうです。
ということで、長くなってきたので今日はこの辺までにしておこうと思います。3章には坂本繁二郎の代名詞とも言える馬の作品が多く並んでいて、それを観られただけでも満足度の高い内容でした。後半は静物を中心に晩年の幻想的な作品なども並んでいましたので、次回は残りの4~5章をご紹介していこうと思います。
→ 後編はこちら


【展覧名】
没後50年 坂本繁二郎展
【公式サイト】
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=201906011559351169
【会場】練馬区立美術館
【最寄】中村橋駅
【会期】2019年7月14日(日)~9月16日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
お客さんは結構いましたが、快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は独特の静けさを漂わせる馬や牛を描いた作品を多く残した坂本繁二郎の回顧展となります。坂本繁二郎は幼い頃から神童と呼ばれ、小学校時代の同級生には青木繁がいて互いに切磋琢磨した青春時代を過ごします。後にフランス留学を経て己の目指す美術の道が正しいことを確信し、やがて独自の絵画表現を切り開いていきました。この展示では幼少期から晩年まで時系列や作品テーマ別に構成されていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<第1章 神童と呼ばれて 1897-1902年>
まずは幼少期の頃のコーナーです。坂本繁二郎は1882年に久留米で生まれ、父も母も絵心があったそうです。10歳の時にそんなに絵が好きならと知人の紹介で洋画家の森三美の画塾へと通いはじめ、日本画が普通の時代に洋画家に接して遠近法などに驚いたようです。坂本繁二郎の4ヶ月遅れで青木繁も久留米に生まれ、小学校で2人は出会って青木繁も森三美の画塾へと入っています。森の画塾では模写が中心で、手製の絵の具とカンバスの作り方なども教わっていたようです。やがて坂本繁二郎は神童と呼ばれ、森の後任として久留米の高等小学校の代行教員も務めましたが、本格的な洋画習得には東京を目指す必要性を感じていました。一足先に東京美術学校で学んだ青木繁が徴兵の検査で帰省すると、その上達ぶりに触発されて上京を決意するようになりました。ここには上京前の作品などが並んでいました。
1 坂本繁二郎 「立石谷」 ★こちらで観られます
こちらは15歳の時の作品で、流れ落ちる滝を描いています。白黒で表された日本画で、水が勢いよく流れて飛沫を上げる様子や、岩の硬そうな質感などを濃淡のみで見事に描き分けています。卓越した技術や構成で、神童と呼ばれた理由がよく分かる作品でした。
2 坂本繁二郎 「夏野」
こちらは16歳の頃(森三美の画塾で学んでいた頃)の作品で、畑と小高い丘が広がる風景が描かれています。空には暗い雲が去りつつあり、虹も掛かっています。夕立の後らしく まだ暗いものの晴れ初めて光が差してきているような感じです。畑のあたりには前かがみで歩く人などもいて、夕立の臨場感なども出ていました。遠近法を見事に使いこなして結構大胆な画風に思いました。
5 坂本繁二郎 「刈入れ」 6 森三美 「刈入れ」
こちらは同じような構図の作品が2つ並んでいました。藁束の側に休む人や馬、衝立のようなものが観える光景で 所々にモチーフの違いがありますがほとんど同じ様子となっています。森のほうは水彩、繁二郎は和製絵具で色の乗りが違って見えて、森の方が精緻な印象を受けるかな。繁二郎はのんびりした雰囲気に思えました。
この辺には森三美の作品や、青木繁の海を描いた絶筆などもありました。青木繁とは1902年に群馬や長野にスケッチ旅行にも出かけていて、切磋琢磨しあう仲でした。
参考記事:没後100年 青木繁展ーよみがえる神話と芸術 (ブリヂストン美術館)
<第2章 青春-東京と巴里 1902-1924年>
続いては上京からパリ留学の頃のコーナーです。坂本繁二郎は1902年に青木繁と上京し、画塾 不同舎に入門し 後に太平洋画会研究所で学んでいます。東京では自己流を精算し本格的な洋画の会得を目指していたようです。青木繁の方が先に名が売れたようですが、1907年の東京勧業博覧会で青木繁は不本意な結果を受け、父の死もあって帰郷しています。その後は九州で放浪の末に1911年に病に倒れて若くして亡くなってしまいました。 一方で坂本繁二郎は文展に入選(青木繁は落選)し、1910年には妻を描いた作品で褒状を獲得、1912年の第6回文展では夏目漱石の目にとまり理解を得て大きな励みになったようです。1914年には文展から独立を図る二科会に誘われ、以降は二科展が主な発表の場となっています。夏目漱石の目にとまった「うすれ日」以降、牛のテーマにこだわって描いていましたが、1920年の「牛」を総決算としてフランス留学を決意しました。1921年にはパリに渡って、二科会をはじめとした多くの日本人留学生と交流し、アカデミー・コラッシでシャルル・ゲランに師事しました。しかし半年で辞めてしまい、以降はパリ近郊のブルターニュ地方で写生したり、アトリエで人物画制作に励んだようです。ここにはそうした時代の作品が並んでいました。
22 坂本繁二郎 「うすれ日」
こちらは千葉県の御宿で描いた作品で、第6回文展で夏目漱石に注目されて出世作となりました。木の脇で佇む牛が描かれ、ぼんやりした印象ですが背中の部分に光が当たっているなど、柔らかい日差しが感じられます。後の繁二郎らしい画風に繋がっていくような特徴も観られて、静かで繁二郎の精神的なものが出ているようにも思いました。
16 坂本繁二郎 「町裏」
こちらは画壇のデビュー作で、町の裏通りのような所の人々が描かれています。不同舎では石膏像やヌードモデルを用いた本格的な人物デッサンを学んでいたそうで、ここでは薪を運ぶ半纏の男性たちを力強く描いています。色は落ち着いていて 若干ぼんやりした感じもありますが、逞しい体つきで動きまで感じられるデッサン力でした。
20 坂本繁二郎 「張り物」
こちらは第4回文展で褒状を貰った作品です。縁側で奥さんが張り物(着物にノリや染料を塗る作業)をする為に前かがみになっている様子が描かれ、周りには赤い水の入ったタライなども置かれています。衣は赤く、そこに光があたって反射していて 奥さんは下からの照り返しで赤く染まっている部分もあります。全体的に明るく爽やかな色彩で、生き生きとした雰囲気となっていました。
この近くには牛、馬、豚などを描いた作品が並んでいました。
30 坂本繁二郎 「牛」
こちらは第7回文展の出品作で、これを総決算としてパリに留学する決意をしました。全体的に白黒の沈んだ色彩で、樹の下で伏せている白黒の牛を描いています。牛はうずくまるような姿勢で、色彩と共に静かで重々しい印象を受けるかな。画面が大きいこともあって異色の作品に思えました。
36 坂本繁二郎 「ヴァンヌ郊外」
こちらは北仏ブルターニュのヴァンヌの光景を描いた作品で、坂本繁二郎はここに1ヶ月滞在したようです。ピンクや水色を多く使ってぼんやり淡い色彩で描いていて、家々が連なり 通りには猫らしき影もあります。細部はハッキリしないものの、この地で活躍したナビ派やゴーギャンに通じるものがあるかな。実際、坂本繁二郎はゴーギャンに惹かれていたようです。繁二郎のルーツが垣間見られる作品でした。
この辺にはアーティゾン美術館(旧ブリヂストン美術館)の「帽子を持てる女」などもありました。フランス時代の代表作です。
<第3章 再び故郷へ-馬の時代 1924-1944年>
続いては帰国後のコーナーです。坂本繁二郎は1924年9月に帰国すると、東京ではなく久留米に戻りました。フランス留学で得たのは「画人としての歩みようについて日本で抱いていた気持ちに少しも迷いが生じなかった」ことだったそうで、豊かな明るい色調に堅牢なマチエールの獲得も留学の成果と言えるようです。1931年には画壇の煩わしさを避けて八女に転居し、自宅から1キロの場所にアトリエを建てて毎日通って制作に没頭しました。当時の関心は馬にあり、九州各地の放牧場や馬市に出かけて取材したそうで 馬を描くきっかけとなったのは友人でアトリエの土地を提供した梅野満雄だったそうです。1939年には専属の画商も得て坂本繁二郎の作品が世の中に出ていきましたが、一方で戦時色が強まり旅行なども不便になり、馬も減って 自身の視力も衰えた事から身近な自然である柿・栗・馬鈴薯などを描くようになっていきました。ここにはそうした時代の作品が並んでいました。
46 坂本繁二郎 「自像」
こちらはフランス時代から描いて帰国後に仕上げた自画像です。薄い黄土色を地に、似たような色の服と帽子の姿で描かれていて 振り返るようなポーズでやや怪訝そうな顔でこちらを見ています。解説によると厳しい表情に1人で信じる絵の道を進む覚悟が出ているのではないかとのことで、この頃の心境が現れた作品のようでした。
47 坂本繁二郎 「鳶形山」 ★こちらで観られます
こちらは自宅から見える八女の山を描いた作品です。地平線がかなり下の方にあり 画面の大半は空と雲になっているのですが、雲はやけにカクカクした十字形の不思議な形をしています。文豪の川端康成は、この絵の雲を随筆『花は眠らない』の中で「食パンを切ったような十字型の雲」と著しているそうで、確かにその通りに見えますw 山よりも雲が目立っていて、ややシュールな印象を受けました。
この辺には林檎、馬鈴薯、柿などを描いた作品も並んでいました。
58 坂本繁二郎 「柿」
こちらは枝のついた4つの柿を描いた作品です。枝は連続した流れのように配置されていて、リズムがあって面白い効果となっています。全体的に落ち着いた色調で明暗は浅めに見えるかな。素朴な自然を感じる作品でした。
この部屋の最後には帰国後に初めて描いた馬の絵もありました。坂本繁二郎は「馬と柿は一生描く」と言っていたそうで、牛から馬に乗り換えたという旨の発言もあったようです。坂本繁二郎が馬のイメージが強いのはこの時代の為でしょうね。
56 坂本繁二郎 「窓の馬」
こちらは馬房の窓から頭を出している馬を描いた作品です。こちらを観ている馬の目が優しくて何とも可愛いw 茶色と水色で陰影をつける表現は坂本繁二郎ならではで、馬への愛情も感じられる穏やかな雰囲気となっていました。
この部屋は馬の作品がズラリと並んで壮観でした。坂本繁二郎の代表的な画風というとこのコーナーの作品ではないかと思います。
48 坂本繁二郎 「放牧三馬」
こちらは第19回二科展の出品作で、坂本繁二郎の代表作の1つです。青空を背景に3頭の馬が寄り添っていて、特に中央の白馬が目を引きます。金色のたてがみで光を浴びて神々しい雰囲気です。また、隣の馬は後ろ向きで、ポーズの対比なども面白く感じられました。動きもあるし、この展覧会でも指折りの傑作だと思います。
ちなみにこの作品は旧ブリヂストン美術館の所蔵品です。来年早々にアーティゾン美術館として生まれ変わるので、また観られる機会もありそうです。
ということで、長くなってきたので今日はこの辺までにしておこうと思います。3章には坂本繁二郎の代名詞とも言える馬の作品が多く並んでいて、それを観られただけでも満足度の高い内容でした。後半は静物を中心に晩年の幻想的な作品なども並んでいましたので、次回は残りの4~5章をご紹介していこうと思います。
→ 後編はこちら
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前回ご紹介したカフェに寄った後、浦和のうらわ美術館で「ブラティスラヴァ世界絵本原画展―BIBで出会う絵本のいま」という展示を観てきました。
【展覧名】
ブラティスラヴァ世界絵本原画展―BIBで出会う絵本のいま
【公式サイト】
https://www.city.saitama.jp/urawa-art-museum/exhibition/whatson/exhibition/p064849.html
【会場】うらわ美術館
【最寄】浦和駅
【会期】2019年7月13日(土)~8月28日(水)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示はスロヴァキア共和国の首都ブラティスラヴァで2年ごとに開催されている世界最大規模の絵本原画コンクール「ブラティスラヴァ世界絵本原画展(Bienniel of Illustrations Brastislavaで略称BIB)」に関する展示です。ブラティスラヴァ世界絵本原画展は1967年に第1回が開催された半世紀に及ぶ歴史があり、実験的でユニークな作品が集まる原画展らしく、1作家につき10点程度と絵本2冊まで、1ヶ国あたり15名の応募が可能となっているようです。この展示ではそのBIBの2017年の作品を3つの部に分けて紹介していて、1部:2017年の受賞作、2部:2017年の日本代表作、3部:2017年に特に注目された4ヶ国の作品 という構成となっていました。詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<第1部 BIB2017受賞作家>
まずは2017年の受賞作に関するコーナーです。第26回となる2017年は373組488冊2657点の原画が出品されたそうで、9名の審査員が4日間かけて審査しグランプリ1件、金のりんご賞5件、金牌5件、出版社賞4件の受賞となったようです。ここにはそうした選りすぐりの作品が並んでいました。
1-16 ペテル・ウフナール 「ボイニツェに暮らすブーベルたち」 子ども審査員賞
こちらはスロヴァキアの8~14歳の子供審査員7名によって選ばれた作品で、小さな架空の生き物と人間の交流を描くファンタジーです。淡く幻想的な色彩で、シュールさと懐かしさを感じる絵柄となっていました。特に色の使い方が美しい作風です。
この展示では実際の絵本も置かれていて、手にとって読むことも出来ます。外国語で読めなくても絵が素晴らしい作品が多いので、これは嬉しい。この辺に並んでいた受賞作は西洋妖怪のようなものが出てくる絵本が多かったように思いますw
1-11 ロマナ・ロマニーシンとアンドリー・レシヴ 「うるさく、しずかに、ひそひそと」 金牌
こちらは赤・青・黄色といった限られた色でビルや道路、人々などを単純化して幾何学的に描いた絵柄となっています。様々な音の大きさをデシベルで説明をしているようで、核爆発は220db、ツングースカの隕石は315dbとか 最強クラスの音まで載っています。また、沢山の文字が雨のように降ってきている場面があり、「時には静けさで過ごすのも必要」と書いてあり、傘で降ってくるような街の音をブロックしているようなシーンとなっていました。この示唆に富んだ場面とモダンな絵柄はかなり秀逸でした。
ロマナ・ロマニーシンとアンドリー・レシヴ 「イヴァン・フランコーのすべて」
こちらは先程と同じ作家の別の絵本で、様々な技法を使った絵柄となっています。ロシア・アヴァンギャルドやアウトサイダー・アートみたいな表現もあって、多彩な表現を楽しめます。この作家は今回の展示でも特に面白く気に入りました。
1-7 ハンネ・バルトリン 「すべてについての話」 金牌
こちらは今回の展示のポスターにもなっている作品。会場の外で1つのページを拡大したコピーを撮影できました。

真っ赤なヌリカベみたいなw しかしこの作品は実は深くて、『あなたについての話』という箇所では「思考があなたなら、何も考えていない時のあなたは一体誰?」といった哲学的な問いをしてくる内容となっています。淡い水彩の具象だったり、抽象だったりと絵柄も様々で流石は受賞作といった感じでした。
1-9 ミロコマチコ 「けもののにおいがしてきたぞ」 金牌 ★こちらで観られます(pdf)
こちらはかなり勢いを感じるプリミティブな絵柄の作品。強烈な色彩と素早い筆致で、草むらに潜む虎などの獣を描いています。割と怖いので子供が怖がらないのかな?w 一見すると子供の絵のような感じにも観えますが、アートとしても非常に見応えがあると思います。
この近くにはミロコマチコ氏が受賞した金牌と賞状、アイディア帳なども展示されていました。
1-3~5 荒井真紀 「たんぽぽ」 金のりんご賞 ★こちらで観られます(pdf)
こちらは道端のたんぽぽの一生を水彩で丁寧に描いた作品です。地下深くまで根が伸びている様子の断面や、花が綿毛に変わっていき枯れて行く様子など 普段観られないような生態までしっかりと表現しています。繊細で瑞々しい絵柄で、透明感がありました。
荒井真紀 氏は朝顔とヒマワリに関して同様の作品があるようで、これが3作目のようです。近くにはラフ画やトロフィー、賞状などもありました。金のりんご賞のトロフィーは本当にりんごの形をしていますw
1-12 ガング・デザイン/パニ・ユレック 「いたずら雑種犬をつくろう」 出版社賞 ★こちらで観られます(pdf)
こちらは多様性の大切さを子供に伝えるプロジェクトから生まれた参加型の絵本で、40種類の純血種の犬のカードの体の部分を組み合わせ、雑種犬を作るというコラージュ遊びの仕掛けとなっています。入れ物も犬の形になっていて、耳と舌が箱からはみ出しているのが可愛いw 面白いだけでなく現代的な主題で興味深い作品です。
1-1 ルトウィヒ・フルベーダ 「鳥たち」 グランプリ
こちらはグランプリ作品で、街に立つ2つの彫像の物語となっています。2人は愛し合っているのですが、触れ合うことはできず 2人の間を結ぶのは行き交う鳥たち…という話です。線の細い写実性のある素描と、細い点線が並ぶ抽象的で色とりどりな渦のような背景が特徴で、幻想的な印象を受けます。空の色も郷愁を誘い、ちょっと内容も読んでみたくなる画風でした。(置いてあるのは外国語なので中身は分かりませんでしたが…w)
<第2部 BIB2017日本代表作家-絵本づくりとそのひみつ>
続いては日本代表のコーナーです。2017年は15組16タイトルが選ばれたそうですが、日本では年間1000冊も新刊絵本が出るので狭き門となっているようです。
2-1 あずみ虫 「わたしのこねこ」
こちらは女の子が飼っている子猫の気持ちが分かるようになるまでの話です。切り絵の優しい絵柄と色彩で、小さい黒猫と一緒に寝たりしている微笑ましい場面となっています。解説によるとラフを描いてからハサミで形を作ってアクリルで色付けしているそうで、あずみ虫 氏は実際に黒猫を一時期飼っていたことがあるそうです。心温まる作風でした。
この近くにはアイヌの文化を描いた絵本などもありました。
2-10 町田尚子 「ネコヅメのよる」 ★こちらで観られます(pdf)
こちらも猫を描いた絵本ですが、ちょっと怖い猫ですw 瞳が細くなった猫の顔を画面いっぱいに描いたり、暗闇の中にいる猫の集団を描いたり、大量の猫が夜の住宅街を行進しているような絵があったり… 化け猫みたいw 中身も気になるので読みたかったのですが、子供たちが読んでいたので諦めました…。気になる…。
この近くには原爆ドームを擬人化したスズキコージ「ドームがたり」や点字を使った村山純子「さわるめいろ」などもありました。「さわるめいろ」の原画は点々で描かれていますが、本ではツブツブの突起があって、指で追いながら迷路を楽しむことができました。
2-13 ヨシタケシンスケ 「このあとどうしちゃおう」
こちらはほのぼのした漫画のような絵柄で、死ぬ前にお爺さんが考えてノートに残した死後の世界を描いています。天国はこんな所という絵では、温泉があるとか、有名人に結構会えるとか、お刺身が美味しいとか、発想が素朴で可愛いw しかし、お爺さんは本当はすごく悲しくて、このノートを残したのでは?というシーンが何とも言えない寂しさを出しています。満員の喫茶店で1人ぽつんと座っている様子で、リアルな孤独感と共に考えさせられるものがありました。
<第3部 いま気になる絵本の国-中国・イラン・イスラエル・韓国>
最後は注目の4つの国の絵本についてです。中国・イラン・イスラエル・韓国の作品がいくつか並んでいました。
3-2 熊亮 「風と一緒に散歩」 中国
こちらは西遊記の孫悟空の話で、モノクロームの水墨画のような感じです。絵柄は独特で、かなり勢いがあり力強く原始的なパワーがありました。
他の中国の絵本は割と日本の絵本に似た雰囲気のが多いように思えたかな。日中戦争をテーマにした絵本なんかもあるのが如何にも中国的ですが。
3-30 リオラ・グロスマン 「愛の羽」 イスラエル
こちらは孔雀のオスがメスに好かれたくて自慢の羽を見せるものの、自惚れ屋は嫌いと言われる物語です。それでもメスに好かれるために自分の羽を欲しがる動物たちに羽を抜き与えていき、その辛さに耐えていくうちに愛は与えるものだと気づくというストーリーのようです。社会主義的な側面や宗教的な示唆があるのはイスラエルっぽい所でしょうか。絵は子供向けらしい優しく可愛い絵柄でした。
3-37 リ・ジョンホ 「散策」 韓国
こちらは巨大な本をモチーフにしたシュールな光景の作品。巨大な本の側面がカーテンのようになっていて中に入ろうとしている子供の絵や、宇宙の本を広げ、それを釣り堀のように釣りをしている子供の絵など、超現実的で静けさを感じる作風となっています。色も落ち着いていて神秘性の高い絵本でした。
3-18 ファルシード・シャフィーイー 「ザッハーク」 イラン
こちらは11世紀に完成した民族叙事詩『シャー・ナーメ(王書)』に登場する肩から蛇を生やした邪悪な王の物語です。様々なエピソードを紹介しているようですが、抽象がかった王の顔や馬の影絵など、表現が現代的です。現代アートや素朴な版画を思わせる斬新さがあって絵として面白い作品でした。
出口あたりで観覧者による人気投票がありました。金と銀が子供で、ピンクが大人による投票です。

一番人気がありそうなのは町田尚子 氏の「ネコヅメのよる」だったかな。怖いけど子供にも人気w
私はロマナ・ロマニーシンとアンドリー・レシヴ 「うるさく、しずかに、ひそひそと」に一票

子供より大人に人気でした。 この芸術性を理解できる子供は有望でしょうねw
ということで、かなり多様な作風を観ることができて満足度高めでした。最近の絵本はこんなに芸術性が高いのかと驚かされます。親子連れが多く訪れていましたが、子供だけでなく親御さんもアートとして十分に楽しめると思います。この夏、親子で観るのにオススメの展示です。

【展覧名】
ブラティスラヴァ世界絵本原画展―BIBで出会う絵本のいま
【公式サイト】
https://www.city.saitama.jp/urawa-art-museum/exhibition/whatson/exhibition/p064849.html
【会場】うらわ美術館
【最寄】浦和駅
【会期】2019年7月13日(土)~8月28日(水)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示はスロヴァキア共和国の首都ブラティスラヴァで2年ごとに開催されている世界最大規模の絵本原画コンクール「ブラティスラヴァ世界絵本原画展(Bienniel of Illustrations Brastislavaで略称BIB)」に関する展示です。ブラティスラヴァ世界絵本原画展は1967年に第1回が開催された半世紀に及ぶ歴史があり、実験的でユニークな作品が集まる原画展らしく、1作家につき10点程度と絵本2冊まで、1ヶ国あたり15名の応募が可能となっているようです。この展示ではそのBIBの2017年の作品を3つの部に分けて紹介していて、1部:2017年の受賞作、2部:2017年の日本代表作、3部:2017年に特に注目された4ヶ国の作品 という構成となっていました。詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<第1部 BIB2017受賞作家>
まずは2017年の受賞作に関するコーナーです。第26回となる2017年は373組488冊2657点の原画が出品されたそうで、9名の審査員が4日間かけて審査しグランプリ1件、金のりんご賞5件、金牌5件、出版社賞4件の受賞となったようです。ここにはそうした選りすぐりの作品が並んでいました。
1-16 ペテル・ウフナール 「ボイニツェに暮らすブーベルたち」 子ども審査員賞
こちらはスロヴァキアの8~14歳の子供審査員7名によって選ばれた作品で、小さな架空の生き物と人間の交流を描くファンタジーです。淡く幻想的な色彩で、シュールさと懐かしさを感じる絵柄となっていました。特に色の使い方が美しい作風です。
この展示では実際の絵本も置かれていて、手にとって読むことも出来ます。外国語で読めなくても絵が素晴らしい作品が多いので、これは嬉しい。この辺に並んでいた受賞作は西洋妖怪のようなものが出てくる絵本が多かったように思いますw
1-11 ロマナ・ロマニーシンとアンドリー・レシヴ 「うるさく、しずかに、ひそひそと」 金牌
こちらは赤・青・黄色といった限られた色でビルや道路、人々などを単純化して幾何学的に描いた絵柄となっています。様々な音の大きさをデシベルで説明をしているようで、核爆発は220db、ツングースカの隕石は315dbとか 最強クラスの音まで載っています。また、沢山の文字が雨のように降ってきている場面があり、「時には静けさで過ごすのも必要」と書いてあり、傘で降ってくるような街の音をブロックしているようなシーンとなっていました。この示唆に富んだ場面とモダンな絵柄はかなり秀逸でした。
ロマナ・ロマニーシンとアンドリー・レシヴ 「イヴァン・フランコーのすべて」
こちらは先程と同じ作家の別の絵本で、様々な技法を使った絵柄となっています。ロシア・アヴァンギャルドやアウトサイダー・アートみたいな表現もあって、多彩な表現を楽しめます。この作家は今回の展示でも特に面白く気に入りました。
1-7 ハンネ・バルトリン 「すべてについての話」 金牌
こちらは今回の展示のポスターにもなっている作品。会場の外で1つのページを拡大したコピーを撮影できました。

真っ赤なヌリカベみたいなw しかしこの作品は実は深くて、『あなたについての話』という箇所では「思考があなたなら、何も考えていない時のあなたは一体誰?」といった哲学的な問いをしてくる内容となっています。淡い水彩の具象だったり、抽象だったりと絵柄も様々で流石は受賞作といった感じでした。
1-9 ミロコマチコ 「けもののにおいがしてきたぞ」 金牌 ★こちらで観られます(pdf)
こちらはかなり勢いを感じるプリミティブな絵柄の作品。強烈な色彩と素早い筆致で、草むらに潜む虎などの獣を描いています。割と怖いので子供が怖がらないのかな?w 一見すると子供の絵のような感じにも観えますが、アートとしても非常に見応えがあると思います。
この近くにはミロコマチコ氏が受賞した金牌と賞状、アイディア帳なども展示されていました。
1-3~5 荒井真紀 「たんぽぽ」 金のりんご賞 ★こちらで観られます(pdf)
こちらは道端のたんぽぽの一生を水彩で丁寧に描いた作品です。地下深くまで根が伸びている様子の断面や、花が綿毛に変わっていき枯れて行く様子など 普段観られないような生態までしっかりと表現しています。繊細で瑞々しい絵柄で、透明感がありました。
荒井真紀 氏は朝顔とヒマワリに関して同様の作品があるようで、これが3作目のようです。近くにはラフ画やトロフィー、賞状などもありました。金のりんご賞のトロフィーは本当にりんごの形をしていますw
1-12 ガング・デザイン/パニ・ユレック 「いたずら雑種犬をつくろう」 出版社賞 ★こちらで観られます(pdf)
こちらは多様性の大切さを子供に伝えるプロジェクトから生まれた参加型の絵本で、40種類の純血種の犬のカードの体の部分を組み合わせ、雑種犬を作るというコラージュ遊びの仕掛けとなっています。入れ物も犬の形になっていて、耳と舌が箱からはみ出しているのが可愛いw 面白いだけでなく現代的な主題で興味深い作品です。
1-1 ルトウィヒ・フルベーダ 「鳥たち」 グランプリ
こちらはグランプリ作品で、街に立つ2つの彫像の物語となっています。2人は愛し合っているのですが、触れ合うことはできず 2人の間を結ぶのは行き交う鳥たち…という話です。線の細い写実性のある素描と、細い点線が並ぶ抽象的で色とりどりな渦のような背景が特徴で、幻想的な印象を受けます。空の色も郷愁を誘い、ちょっと内容も読んでみたくなる画風でした。(置いてあるのは外国語なので中身は分かりませんでしたが…w)
<第2部 BIB2017日本代表作家-絵本づくりとそのひみつ>
続いては日本代表のコーナーです。2017年は15組16タイトルが選ばれたそうですが、日本では年間1000冊も新刊絵本が出るので狭き門となっているようです。
2-1 あずみ虫 「わたしのこねこ」
こちらは女の子が飼っている子猫の気持ちが分かるようになるまでの話です。切り絵の優しい絵柄と色彩で、小さい黒猫と一緒に寝たりしている微笑ましい場面となっています。解説によるとラフを描いてからハサミで形を作ってアクリルで色付けしているそうで、あずみ虫 氏は実際に黒猫を一時期飼っていたことがあるそうです。心温まる作風でした。
この近くにはアイヌの文化を描いた絵本などもありました。
2-10 町田尚子 「ネコヅメのよる」 ★こちらで観られます(pdf)
こちらも猫を描いた絵本ですが、ちょっと怖い猫ですw 瞳が細くなった猫の顔を画面いっぱいに描いたり、暗闇の中にいる猫の集団を描いたり、大量の猫が夜の住宅街を行進しているような絵があったり… 化け猫みたいw 中身も気になるので読みたかったのですが、子供たちが読んでいたので諦めました…。気になる…。
この近くには原爆ドームを擬人化したスズキコージ「ドームがたり」や点字を使った村山純子「さわるめいろ」などもありました。「さわるめいろ」の原画は点々で描かれていますが、本ではツブツブの突起があって、指で追いながら迷路を楽しむことができました。
2-13 ヨシタケシンスケ 「このあとどうしちゃおう」
こちらはほのぼのした漫画のような絵柄で、死ぬ前にお爺さんが考えてノートに残した死後の世界を描いています。天国はこんな所という絵では、温泉があるとか、有名人に結構会えるとか、お刺身が美味しいとか、発想が素朴で可愛いw しかし、お爺さんは本当はすごく悲しくて、このノートを残したのでは?というシーンが何とも言えない寂しさを出しています。満員の喫茶店で1人ぽつんと座っている様子で、リアルな孤独感と共に考えさせられるものがありました。
<第3部 いま気になる絵本の国-中国・イラン・イスラエル・韓国>
最後は注目の4つの国の絵本についてです。中国・イラン・イスラエル・韓国の作品がいくつか並んでいました。
3-2 熊亮 「風と一緒に散歩」 中国
こちらは西遊記の孫悟空の話で、モノクロームの水墨画のような感じです。絵柄は独特で、かなり勢いがあり力強く原始的なパワーがありました。
他の中国の絵本は割と日本の絵本に似た雰囲気のが多いように思えたかな。日中戦争をテーマにした絵本なんかもあるのが如何にも中国的ですが。
3-30 リオラ・グロスマン 「愛の羽」 イスラエル
こちらは孔雀のオスがメスに好かれたくて自慢の羽を見せるものの、自惚れ屋は嫌いと言われる物語です。それでもメスに好かれるために自分の羽を欲しがる動物たちに羽を抜き与えていき、その辛さに耐えていくうちに愛は与えるものだと気づくというストーリーのようです。社会主義的な側面や宗教的な示唆があるのはイスラエルっぽい所でしょうか。絵は子供向けらしい優しく可愛い絵柄でした。
3-37 リ・ジョンホ 「散策」 韓国
こちらは巨大な本をモチーフにしたシュールな光景の作品。巨大な本の側面がカーテンのようになっていて中に入ろうとしている子供の絵や、宇宙の本を広げ、それを釣り堀のように釣りをしている子供の絵など、超現実的で静けさを感じる作風となっています。色も落ち着いていて神秘性の高い絵本でした。
3-18 ファルシード・シャフィーイー 「ザッハーク」 イラン
こちらは11世紀に完成した民族叙事詩『シャー・ナーメ(王書)』に登場する肩から蛇を生やした邪悪な王の物語です。様々なエピソードを紹介しているようですが、抽象がかった王の顔や馬の影絵など、表現が現代的です。現代アートや素朴な版画を思わせる斬新さがあって絵として面白い作品でした。
出口あたりで観覧者による人気投票がありました。金と銀が子供で、ピンクが大人による投票です。

一番人気がありそうなのは町田尚子 氏の「ネコヅメのよる」だったかな。怖いけど子供にも人気w
私はロマナ・ロマニーシンとアンドリー・レシヴ 「うるさく、しずかに、ひそひそと」に一票

子供より大人に人気でした。 この芸術性を理解できる子供は有望でしょうねw
ということで、かなり多様な作風を観ることができて満足度高めでした。最近の絵本はこんなに芸術性が高いのかと驚かされます。親子連れが多く訪れていましたが、子供だけでなく親御さんもアートとして十分に楽しめると思います。この夏、親子で観るのにオススメの展示です。
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前回ご紹介した埼玉県立近代美術館の展示を観た後、うらわ美術館にも行ったのですが その前に浦和駅近くの「楽風(らふ)」というお店でお茶をしてきました。

【店名】
楽風
【ジャンル】
和カフェ
【公式サイト】
http://rafu-urawa.com/
食べログ:https://tabelog.com/saitama/A1101/A110102/11000125/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
浦和駅
【近くの美術館】
うらわ美術館
【この日にかかった1人の費用】
850円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_4_⑤_快適
【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
お客さんは半分くらい埋っていましたが、快適でした。
さて、このお店は浦和の調神社の近くにある日本茶屋さんがやっている和カフェで、古民家の1階がカフェ 2階がギャラリーとなっています。ギャラリーでは期間ごとに様々な展示を開催しているなど、美術ファンには嬉しいアートスポットです。
お店の前はこんな感じで木々が生い茂る庭となっています。

この近くは高層マンションが立ち並んでいますが、この空間は落ち着いた昔ながらの光景となっています。
お店の中はこんな感じ。中も古民家らしい和風で様々な小物が洒落ています。

大きく分けて2部屋あって、大きな円卓の部屋と普通のテーブルが並ぶ部屋になっています。この日は円卓の方に座りました。
アート関連のパンフレットのコーナーなんかもあります。

先程の写真にも少し写っていましたが、器や小物などの販売もやっています。私は以前ここで買ったカップを愛用しています。
ここはお茶にこだわっているお店なので、お茶の種類を選ぶこともできます。

一番美味しいのは玉露ですが、量は少なめですw この日は暑かったので、この中からは選ばず冷煎茶にしました。
こちらが冷煎茶のセット(815円) 日替わりの洋菓子か和菓子を選べるの洋菓子にしました。この日はモンブランでした。

グラスもしっかり冷えて出てくる所に細かい気配りを感じます。
まずはモンブランを頂きました。

中に栗も入っていてしっかり栗の風味がします。甘さ控えめで上品な美味しさでした。
続いて冷煎茶。グラスに2~3杯分くらいはあります。

あまり苦味はなく甘みすら感じるくらいで、香りも味も濃いのが特徴かな。かなり美味しいお茶です。暑いので一気に飲みたかったけど勿体ないのでゆっくり味わって飲みましたw
お茶が終わってお会計した後は2階のギャラリー展示を観てきました。2つの小部屋なので10分くらいで観られるスペースです

大体1~3週間くらいで展示替えがあるようで、様々なジャンルのアーティストが展示を開催しています。即売会もやってることが多いので、思わず買ってしまうこともありますw
ということで、アートと昔懐かしい古民家に癒やされながら、こだわりのお茶を頂くことができました。美術ファンには特にシンパシーを感じるお店ではないかと思います。うらわ美術館とは駅からちょっと方向が違いますが、近くには大きな神社もあるので合わせて訪れてみるのもよろしいかと思います。

【店名】
楽風
【ジャンル】
和カフェ
【公式サイト】
http://rafu-urawa.com/
食べログ:https://tabelog.com/saitama/A1101/A110102/11000125/
※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。
【最寄駅】
浦和駅
【近くの美術館】
うらわ美術館
【この日にかかった1人の費用】
850円程度
【味】
不味_1_2_3_④_5_美味
【接客・雰囲気】
不快_1_2_3_4_⑤_快適
【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【総合満足度】
地雷_1_2_3_④_5_名店
【感想】
お客さんは半分くらい埋っていましたが、快適でした。
さて、このお店は浦和の調神社の近くにある日本茶屋さんがやっている和カフェで、古民家の1階がカフェ 2階がギャラリーとなっています。ギャラリーでは期間ごとに様々な展示を開催しているなど、美術ファンには嬉しいアートスポットです。
お店の前はこんな感じで木々が生い茂る庭となっています。

この近くは高層マンションが立ち並んでいますが、この空間は落ち着いた昔ながらの光景となっています。
お店の中はこんな感じ。中も古民家らしい和風で様々な小物が洒落ています。

大きく分けて2部屋あって、大きな円卓の部屋と普通のテーブルが並ぶ部屋になっています。この日は円卓の方に座りました。
アート関連のパンフレットのコーナーなんかもあります。

先程の写真にも少し写っていましたが、器や小物などの販売もやっています。私は以前ここで買ったカップを愛用しています。
ここはお茶にこだわっているお店なので、お茶の種類を選ぶこともできます。

一番美味しいのは玉露ですが、量は少なめですw この日は暑かったので、この中からは選ばず冷煎茶にしました。
こちらが冷煎茶のセット(815円) 日替わりの洋菓子か和菓子を選べるの洋菓子にしました。この日はモンブランでした。

グラスもしっかり冷えて出てくる所に細かい気配りを感じます。
まずはモンブランを頂きました。

中に栗も入っていてしっかり栗の風味がします。甘さ控えめで上品な美味しさでした。
続いて冷煎茶。グラスに2~3杯分くらいはあります。

あまり苦味はなく甘みすら感じるくらいで、香りも味も濃いのが特徴かな。かなり美味しいお茶です。暑いので一気に飲みたかったけど勿体ないのでゆっくり味わって飲みましたw
お茶が終わってお会計した後は2階のギャラリー展示を観てきました。2つの小部屋なので10分くらいで観られるスペースです

大体1~3週間くらいで展示替えがあるようで、様々なジャンルのアーティストが展示を開催しています。即売会もやってることが多いので、思わず買ってしまうこともありますw
ということで、アートと昔懐かしい古民家に癒やされながら、こだわりのお茶を頂くことができました。美術ファンには特にシンパシーを感じるお店ではないかと思います。うらわ美術館とは駅からちょっと方向が違いますが、近くには大きな神社もあるので合わせて訪れてみるのもよろしいかと思います。
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前回ご紹介した埼玉県立近代美術館の特別展を観た後、常設展も観てきました。今回は「2019 MOMASコレクション 第2期」というタイトルとなっていました。

【展覧名】
2019 MOMASコレクション 第2期
【公式サイト】
http://www.pref.spec.ed.jp/momas/?page_id=420
【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅
【会期】2019年7月27日(土)~10月20日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
意外と人が多かったですが、快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は常設展で、埼玉県立近代美術館では年4回テーマを決めて入れ替えていて、今回は2019年度の2期となってきました。大きく分けて3つの章から構成されていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
参考記事:2019 MOMASコレクション 第1期 (埼玉県立近代美術館)
<セレクション:モネとかピカソとか>
まずは洋画中心のコレクションのコーナーです。
マルク・シャガール 「二つの花束」
手前に黄色いバラと赤いバラが置かれ、奥に町並みが広がる様子が描かれた作品です。空には三日月が浮かび、街はシャガールの故郷のヴィテブスクではないかと思います。鶏や牛などお馴染みのモチーフが並んでいるものの、全体的に色は抑えめで静かで神秘的な印象を受けました。
他にもピサロ、モネ、ルノワール、シニャック、ピカソ、キスリングなどこの美術館が誇る洋画コレクションが並んでいました(各画家1点づつ)
斎藤豊作 「装飾画(蓮と鯉I)」
こちらは色鮮やかで単純化された池の光景を描いた作品です。沢山の鯉たちが時計回りに連なって泳ぎ、動きとうねりのようなものを感じます。水色の地に赤や黄色が目に鮮やかです。また、睡蓮の花も可憐で、全体的には涼しげな雰囲気となっていました。
この辺には同じく斎藤豊作の装飾画が2点ほどありました。これは初めて観たかも。
<うつしと重なり―版画の諸相>
続いては版画のコーナーです。今回は「うつし」をテーマにしていて、「移し」「写し」「映し」「現し」「虚し」の5つの意味での「うつし」について節分けされていました。
[移し]
まずは動きなどを感じる「移し」のコーナーです。
靉嘔 「Love letter」
こちらは「I love you」を筆記体でひたすら書いたラブレターと、花束を持った男性が描かれた作品です。赤・緑・黄色の版が微妙にズレていて、ダブって観えるような感じとなっていて、揺らぐような面白い効果となっていました。近くには縦や横にズラしたバリエーション作品などもありました。
宮脇愛子 「UTSUROHI k」
こちらは真っ青な地に筆記体のように黄色い線がスラリと描かれたシリーズの1つです。不定形な形で抽象画のように思えますが、何処と無く有機的で軽やかな動きを感じられました。かなりシンプルだけどリズミカルで好みです。
立石大河亞 「Milano-Torino Superway」 ★こちらで観られます
こちらは今回のポスターにもなっている作品。極端な一点透視図法で描かれた高速道路らしき真っ直ぐな道路ですが、消失点が絵の一番下の方にあるので下に吸い込まれて落ち込んでいくような不安感があります。また、上の方は坂になっているような表現だったり、平面的だったりと奇妙な世界となっていて面白い作品でした。
[写し]
続いてはコピーなど「写し」をテーマにしたコーナーです。
小山愛人 「Prism and hand」
こちらは手を写した写真で、手の上に他の指の写真を重ねているようです。その合成ぶりがキュビスム的なコラージュとなっていて、違和感とシュールさを感じました。
この近くには磯崎新による建築物の写真と設計図などもありました。
[映し]
続いては記録などをテーマにした作品が並ぶコーナー。
郭徳俊 「レーガンIIと郭」
こちらは当時のレーガン大統領の顔が写った『TIME』誌を上下で切り、その上半分を手に持って自分の下半分の顔と合わせてモンタージュ写真のように合成するという作品です。このシリーズは長年続けているようで、最近だとオバマ大統領のバージョンなんかもあります。作者がちょっとずつ老いてるのも含めて面白い発想の作品でした。
野田哲也 「日記:1980年7月11日、成田へ」
こちらはバスの中から観た高速道路を走る様子です。もはや白黒写真か絵なのか分からないくらいぼんやりしていて、全体的に物哀しく観える一方でどこか懐かしいような光景に思えました。
[現し]
続いては現実に向き合う人間の生など、確固たる存在感のある作品が並ぶコーナーです。
ヘンリー・ムーア 「作家の手IV」
こちらは線で描かれた素描で、彫刻家として有名な作者自身の手のようです。無数の線で影を表現していて、シワも多い手に思えます。ムーアの彫刻は滑らかな印象なのに、この作品だと生の痛みのようなものを感じるのも面白かったです。
[虚し]
5つめのうつしは存在するはずのないものを描いた作品が並ぶコーナーです。
長谷川潔 「二つのアネモネ」
こちらはガラスの花瓶に入った2輪のアネモネの花を描いた静物です。1つはこちら向きで花盛り、もう1つは萎れて項垂れるような感じに観えます。写実的なのにどこか不気味さが漂い、死を連想させるかな。背景の花柄のレースもうねるような感じに見えて、不思議な作品でした。
ルフィーノ・タマヨ 「窓辺の男」
こちらはタイトル通り窓に立っている白い服の男性を描いています。棒立ちしていて顔は単純化されていて、全体的にはくすんだマチエールになっていることもあって、亡霊のようにも観えます。静かで奇妙でやや怖さを感じる作品でした。
<小特集:バウハウス100年>
最後は小部屋の小特集で、今年で創立100年となるバウハウスについて取り上げていました。わずか14年しか運営されなかった芸術の総合的な学校ですが、美術史に大きく名を残す存在となっています。
参考記事:バウハウス・テイスト バウハウス・キッチン展 (パナソニック電工 汐留ミュージアム)
ルートヴィヒ・ミース・ファンデル・ローエ 「MRチェア」
こちらは「 ⊃ 」の形の足を持つ椅子です。滑らかでシンプルな形状が非常に優美で、皮とスチールで機能的にも優れたデザインとなっています。この椅子があるだけでモダンな空間になりそうなw
近くにはマルセル・ブロイヤーの「ヴァシリー」などもありました。
アルマ・ブッシャー 「バウハウス積み木」
こちらは赤・青・黄色・緑・白など色鮮やかなパーツの積み木のセットです。パーツそのものは三角や視覚などシンプルな形状となっていて、船の形に組み合わせて展示していました。このシンプルさと色彩感覚はバウハウスらしさを感じるかな。カンディンスキーの抽象画にも通じるように思います。モダンな雰囲気の積み木でした。
ということで、今回の常設も楽しむことができました。特に今回は版画の章が凝っていて まとめかたが面白かったと思います。ここで紹介しなかった作品も素晴らしいものが多いので、もし埼玉県立近代美術館に行く機会があったら、常設も合わせて観ることをおすすめします。


【展覧名】
2019 MOMASコレクション 第2期
【公式サイト】
http://www.pref.spec.ed.jp/momas/?page_id=420
【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅
【会期】2019年7月27日(土)~10月20日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_③_4_5_満足
【感想】
意外と人が多かったですが、快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は常設展で、埼玉県立近代美術館では年4回テーマを決めて入れ替えていて、今回は2019年度の2期となってきました。大きく分けて3つの章から構成されていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
参考記事:2019 MOMASコレクション 第1期 (埼玉県立近代美術館)
<セレクション:モネとかピカソとか>
まずは洋画中心のコレクションのコーナーです。
マルク・シャガール 「二つの花束」
手前に黄色いバラと赤いバラが置かれ、奥に町並みが広がる様子が描かれた作品です。空には三日月が浮かび、街はシャガールの故郷のヴィテブスクではないかと思います。鶏や牛などお馴染みのモチーフが並んでいるものの、全体的に色は抑えめで静かで神秘的な印象を受けました。
他にもピサロ、モネ、ルノワール、シニャック、ピカソ、キスリングなどこの美術館が誇る洋画コレクションが並んでいました(各画家1点づつ)
斎藤豊作 「装飾画(蓮と鯉I)」
こちらは色鮮やかで単純化された池の光景を描いた作品です。沢山の鯉たちが時計回りに連なって泳ぎ、動きとうねりのようなものを感じます。水色の地に赤や黄色が目に鮮やかです。また、睡蓮の花も可憐で、全体的には涼しげな雰囲気となっていました。
この辺には同じく斎藤豊作の装飾画が2点ほどありました。これは初めて観たかも。
<うつしと重なり―版画の諸相>
続いては版画のコーナーです。今回は「うつし」をテーマにしていて、「移し」「写し」「映し」「現し」「虚し」の5つの意味での「うつし」について節分けされていました。
[移し]
まずは動きなどを感じる「移し」のコーナーです。
靉嘔 「Love letter」
こちらは「I love you」を筆記体でひたすら書いたラブレターと、花束を持った男性が描かれた作品です。赤・緑・黄色の版が微妙にズレていて、ダブって観えるような感じとなっていて、揺らぐような面白い効果となっていました。近くには縦や横にズラしたバリエーション作品などもありました。
宮脇愛子 「UTSUROHI k」
こちらは真っ青な地に筆記体のように黄色い線がスラリと描かれたシリーズの1つです。不定形な形で抽象画のように思えますが、何処と無く有機的で軽やかな動きを感じられました。かなりシンプルだけどリズミカルで好みです。
立石大河亞 「Milano-Torino Superway」 ★こちらで観られます
こちらは今回のポスターにもなっている作品。極端な一点透視図法で描かれた高速道路らしき真っ直ぐな道路ですが、消失点が絵の一番下の方にあるので下に吸い込まれて落ち込んでいくような不安感があります。また、上の方は坂になっているような表現だったり、平面的だったりと奇妙な世界となっていて面白い作品でした。
[写し]
続いてはコピーなど「写し」をテーマにしたコーナーです。
小山愛人 「Prism and hand」
こちらは手を写した写真で、手の上に他の指の写真を重ねているようです。その合成ぶりがキュビスム的なコラージュとなっていて、違和感とシュールさを感じました。
この近くには磯崎新による建築物の写真と設計図などもありました。
[映し]
続いては記録などをテーマにした作品が並ぶコーナー。
郭徳俊 「レーガンIIと郭」
こちらは当時のレーガン大統領の顔が写った『TIME』誌を上下で切り、その上半分を手に持って自分の下半分の顔と合わせてモンタージュ写真のように合成するという作品です。このシリーズは長年続けているようで、最近だとオバマ大統領のバージョンなんかもあります。作者がちょっとずつ老いてるのも含めて面白い発想の作品でした。
野田哲也 「日記:1980年7月11日、成田へ」
こちらはバスの中から観た高速道路を走る様子です。もはや白黒写真か絵なのか分からないくらいぼんやりしていて、全体的に物哀しく観える一方でどこか懐かしいような光景に思えました。
[現し]
続いては現実に向き合う人間の生など、確固たる存在感のある作品が並ぶコーナーです。
ヘンリー・ムーア 「作家の手IV」
こちらは線で描かれた素描で、彫刻家として有名な作者自身の手のようです。無数の線で影を表現していて、シワも多い手に思えます。ムーアの彫刻は滑らかな印象なのに、この作品だと生の痛みのようなものを感じるのも面白かったです。
[虚し]
5つめのうつしは存在するはずのないものを描いた作品が並ぶコーナーです。
長谷川潔 「二つのアネモネ」
こちらはガラスの花瓶に入った2輪のアネモネの花を描いた静物です。1つはこちら向きで花盛り、もう1つは萎れて項垂れるような感じに観えます。写実的なのにどこか不気味さが漂い、死を連想させるかな。背景の花柄のレースもうねるような感じに見えて、不思議な作品でした。
ルフィーノ・タマヨ 「窓辺の男」
こちらはタイトル通り窓に立っている白い服の男性を描いています。棒立ちしていて顔は単純化されていて、全体的にはくすんだマチエールになっていることもあって、亡霊のようにも観えます。静かで奇妙でやや怖さを感じる作品でした。
<小特集:バウハウス100年>
最後は小部屋の小特集で、今年で創立100年となるバウハウスについて取り上げていました。わずか14年しか運営されなかった芸術の総合的な学校ですが、美術史に大きく名を残す存在となっています。
参考記事:バウハウス・テイスト バウハウス・キッチン展 (パナソニック電工 汐留ミュージアム)
ルートヴィヒ・ミース・ファンデル・ローエ 「MRチェア」
こちらは「 ⊃ 」の形の足を持つ椅子です。滑らかでシンプルな形状が非常に優美で、皮とスチールで機能的にも優れたデザインとなっています。この椅子があるだけでモダンな空間になりそうなw
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美術鑑賞のお供
細かい美術品を見るのに非常に重宝しています。
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このブログの写真を撮ってます。上は気合入れてる時のカメラ、下は普段使いのカメラです。
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