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「覚醒する写真たち」 今 道子 + 佐藤時啓 Part1 今 道子「蘇生するものたち」 【FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)】

先週の土曜日に六本木のミッドタウンにあるFUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)で「覚醒する写真たち」 今 道子 + 佐藤時啓 という展示を観てきました。この展示はPart1とPart2の会期があり、この日観たのはPart1 今 道子「蘇生するものたち」という内容でした。

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【展覧名】
 「覚醒する写真たち」 今 道子 + 佐藤時啓 Part1 今 道子「蘇生するものたち」

【公式サイト】
 http://fujifilmsquare.jp/detail/19090104.html

【会場】FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)
【最寄】六本木駅/乃木坂駅

【会期】2019年9月1日(日)~10月29日(火)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_②_3_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は異色の写真家と呼ばれた今道子(こんみちこ)氏と佐藤時啓(さとうときひろ)氏の2人を取り上げたミニ展示で、前半の会期が今道子 氏、後半が佐藤時啓 氏の作品を展示する内容となっています。2人とも現在も活躍されている写真家で、国内外で美術的に高い評価を受けているようです。どう異色なのかは作品を観れば一目瞭然でしたので、いくつか気になった作品と共に簡単に展示の様子を振り返ってみようと思います。なお、1点以外は白黒の写真となっていました。

今道子 「鯖+枕」
こちらは枕の上に乗った5匹の鯖が撮られた写真です。鯖たちは列を組むように並んでいて、演出されているのは明らかです。何故 枕と鯖を取り合わせたのかは不明ですが、この後に出てくる作品をすべて観るとこの作品はまだ控え目な方かもw 現実の光景なのにシュールさが漂い、一瞬目を疑うような作品でした。

この近くには鰯の頭を使った写真や、イナダの尻尾を帽子に付けた写真などもありました。素材感が魚そのものなので、魚でオブジェを作って撮っているんでしょうね…。

今道子 「タコ+メロン」 ★こちらで観られます
こちらはメロンを縦半分に切って、その表面にタコの吸盤を付けたような写真です。周りにはチェリーも散らされていますが、何と言っても吸盤とメロンの種のブツブツした所に目が行きます。生々しくグロテスクで集合体恐怖症の人は卒倒しそうなキモさですw 2つの動植物を合体することで得体のしれないエイリアン的な雰囲気になるのは面白いかな。かなりパンチの効いた個性です。

今道子 「イカ+スニーカー」
こちらはイカとスニーカーを組み合わせた作品で、紐の部分や表面はイカっぽい素材感なのですが 形状や靴底はスニーカーそのものという面白い作りをしています。たまたま会場にいた係の方が教えてくれたところ、今道子 氏は魚の写真を撮るために築地の近くに住んでいたこともあったそうです。すぐに劣化するので手を洗う暇もなく、撮り終わるとカメラが魚臭くなることもあったのだとか。そうした制作秘話を聞くとちょっと可笑しいですが、これを作るのは相当な根気と技術がいるように思えました。

今道子 「鮭+鰈+ハイヒール」 ★こちらで観られます
こちらは鮭とカレイを使ったハイヒールの写真です。靴の中に何か入っているけど判別がつかず… ハイヒールの模様が鱗になっているので、恐らくここに鮭を使っているのかな。こういう柄のハイヒールは存在しそうw これは不気味さよりもハイヒールの華やかさが目立つように思えました。

今道子 「赤い燕尾服」 ★こちらで観られます
この作品だけカラーでした。タイトル通り赤い燕尾服なのですが、よくよく観ると赤く見えているのはザリガニで、服の表面を埋め尽くすように貼り付けられています。何だか一種の執念のようなものすら感じるw 遠くから観ると赤黒のお兄系のジャケットにも見えるけど、近くで観ると中々に狂気でしたw

今道子 「イカ+アヒル+少女+キビナゴ」
こちらはイカやキビナゴなどを集めて人の顔らしきものを作ったオブジェの写真です。いくつもの魚の目があって、ちょっと不気味w 歌川国芳の寄せ絵やアルチンボルドの絵に観られるような発想で、これを実際に作って写真に撮るというのは驚きでした。
 参考記事:アルチンボルド展 (国立西洋美術館)

今道子 「潤目鰯+シルクハット」 ★こちらで観られます
こちらはシルクハットの表面にぎっしりと潤目鰯の頭が敷き詰められている写真です。ツバの部分に小さな時計があり、背景にも大きめの時計があり、シルクハットの上には眼鏡もあります。この組み合わせから『不思議の国のアリス』のウサギを連想しましたが、こんなのを装備したウサギが出てきたらアリスもドン引きで付いていかないでしょうねw かなり攻めてる写真でした。

この辺は同様に魚を使った写真が並んでいました。

今道子 「蟹+剣道面(セルフポートレート)」
こちらは剣道の面を付けた自画像で、喉の辺りと頭の上に伊勢海老?がいて、その他の部分は無数の蟹が腹を見せて規則正しく並んでいます。ここまで観てくると、自画像にうってつけで 作風が一目で分かるように思えるかなw まさに異色の写真家たる所以を表していました。


ということで、点数が少ないので充実度は下げましたが、濃密で驚きの作風となっていました。気持ち悪いようでシュールな可笑しみもあって印象に残りました。ここは無料で観ることができるので、六本木に行く機会があったら気軽に寄ってみるとよろしいかと思います。



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宇都宮餃子館 【宇都宮界隈のお店】

前々回・前回とご紹介した那須からの帰りに、宇都宮で下車して東口駅前イベント広場にある「宇都宮餃子館」というお店で名物の餃子を食べてきました。

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【店名】
 宇都宮餃子館 東口駅前イベント広場店 本館

【ジャンル】
 餃子・ラーメン

【公式サイト】
 https://www.gyozakan.jp/shop/ekimaeibentohiroba-honkan/%E9%A7%85%E5%89%8D%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88%E5%BA%83%E5%A0%B4%E5%BA%97%E3%80%80%E6%9C%AC%E9%A4%A8/ 
 食べログ:https://tabelog.com/tochigi/A0901/A090101/9010073/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 宇都宮駅

【近くの美術館】
 無し

【この日にかかった1人の費用】
 1000円程度

【味】
 不味_1_2_③_4_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_③_4_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日18時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_③_4_5_名店

【感想】
夕飯時でしたがすんなり入ることができました。

さて、このお店は宇都宮駅の東口を降りてすぐのところにあるお店で、この辺り一帯が餃子屋さんが立ち並ぶイベント広場となっています。何度も宇都宮駅で降りていながら東口に行ったのは初めてで、駅の目の前に餃子屋さんがいくつもあるとは知りませんでした。電車の車窓から見えたので見物がてらに寄ってみました。

こちらは同じ広場にある宇都宮みんみん。宇都宮でも特に有名なお店です。
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こちらは流石に大行列になっていたので、諦めましたw 以前も食べたことがあるし空腹だったのでw
 参考記事:
  正嗣 宮島本店 【宇都宮界隈のお店】
  宇都宮みんみん 【宇都宮界隈のお店】  
  宇味家(うまいや) 【宇都宮界隈のお店】

イベント広場は何となく中華風なオブジェがいくつか置かれています。
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微妙に観光地っぽい雰囲気を出していますが、ポツンとした感じが…w

こちらは福虎という像。
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虎だったのか…。家内安全・開運招福の守護神だそうです。

こちらは横綱土俵入の像
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相撲は神事だから縁起が良いというのと、初代横綱が宇都宮出身ということで置かれているそうです。B級感溢れる昭和テイストがたまりませんw

こちらは宇都宮餃子館のマスコットのスタミナ健太
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どうして健太と言う名前なのか調べても分かりませんが、健太餃子というのが宇都宮餃子館の名物となっています。

お店の前に餃子成形機がありました。
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平成8年まで使っていたそうで、1日に45000個もの餃子を作っていたのだとか。こう見えて凄い数を作れるんですね。
ちなみにこの写真の右下に写ってるのはゴジラみたいな像の尻尾です。もはや縁起物なのかも分からないカオスw

一通り広場を観終わったので入店して、この日は健太餃子&佐野ラーメンのセットを頼みました。ラーメンは2種類で、私はこってり(1120円)、奥さんはあっさり(1020円)でした。

こちらはあっさりのラーメン。半玉がついてきます。
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その名の通りかなりさっぱりです。昔ながらの中華そばと言った感じで、シンプルでちょっと懐かしい味。

こちらはこってりのラーメン。脂が浮いています。
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これでも十分にさっぱりしているので、私には丁度いいくらいでした。柔らかいチャーシューも付いて、特別に美味い程でもないけど こういうので良いんだよw 

そしてこちらが名物の健太餃子
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食べたらニラとニンニクの香りが口の中に広がりました。キャベツがしゃきしゃきして、野菜たっぷりなのが特徴かも。私が好きなのは肉々しいやつですが、これも中々いけました。


ということで、突き抜けた美味しさというよりは 日々食べても飽きないような定番の味と言った感じでした。付近一帯はややカオスな空間でしたが、駅前に餃子のための広場があるのは宇都宮で餃子が愛されている証かもしれません。ちょっとした観光にもなるので、宇都宮に行った際に立ち寄ってみるのも楽しいかと思います。

おまけ:
今回は宇都宮では夕飯を食べただけでしたが、宇都宮には宇都宮美術館や大谷資料館などの見どころがあります。餃子のお店も沢山あるし、色々楽しめる街です。
 参考記事:
  大谷資料館 坑道内の写真



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【那須どうぶつ王国】の案内(2019年09月後編)

今日も写真多めです。前回に引き続き那須どうぶつ王国についてご紹介していこうと思います。まずは概要のおさらいです。

 前編はこちら

【公式サイト】
 https://www.nasu-oukoku.com/

【会場】那須どうぶつ王国
【最寄】無し

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 4時間00分程度

【感想】
前編は王国タウンの半分程度でしたが、今日は王国タウンの残りと王国ファームについてです。

こちらは2018年3月24日にオープンしたウェットランド。
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中は湿地をイメージした空間になっていて、あちこちに動物が放し飼いになっています。

こちらはモモイロペリカン
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可愛いけど、子供の頭くらいはパクっと丸かじりすることがあるので注意。こう見えて危険な鳥です。

このウェットランドで一番存在感があるのがこちらのハシビロコウ
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こちらも放し飼いになっていて、私の目の前で飛び立ちました。雄大な飛び姿がとても迫力があり、びっくりしていたらカメラを構える暇もなく飛んでいってしまったw

こちらはワオキツネザル
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先日の『ダーウィンが来た!』で恋のシーズン以外はオスは何もしないと言っていましたが、この日はみんなボーッと座っていました。 奥さんには誰かにそっくりやな…と言われる始末w
 参考リンク:ダーウィンが来た! 第612回「ワオキツネザル 期間限定!ぐうたらオスが大変身」

こちらはジャガー。かなり目の前で観られます。
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寝ていましたがカメラを向けたらむくりと振り返ってくれました。時間帯によっては飼育員がお肉を投入してジャガーが狩るところも観られるそうです。

続いてこちらはふれあいドッグパーク
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様々なワンちゃんたちと触れ合えるようです。このワンちゃん達は英語で話すそうで、お座りはSit、お手はShake、おいではCome、褒める時はGoodと言ってあげる必要があります。

このワンちゃんたちは20分800円で一緒にお散歩できるようです。(当日予約制)
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散歩できる範囲は決まっていますが、犬好きには嬉しいサービスです。何組か歩いているのを見かけました。

この近くにはアニマルスタジアムという劇場があり、猫の芸を観られる建物もありました。かなり行列してたので諦めましたが、猫って芸を覚えるんですね…。また行く機会があったら観てみたい。

続いてこちらはカピバラの森。
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ここではカピバラの餌(100円)も売っていて、餌やりもできました。もぐもぐ食べる姿がまた可愛いw いつもぬぼーっとした顔をしていますw

続いては保全の森。絶滅の恐れがある種がいる建物で、以前はマヌルネコもここにいたみたいです。

こちらは保全の森にいたスバールバルライチョウ。ノルウェーやロシアにいる雷鳥です。
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ふわふわのモフモフでやけに丸っこいw 夏は茶色い毛になるはずですが、冬毛みたいな色でした。

こちらはアムールヤマネコ。見た目は普通の猫そのものw
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ずっと毛づくろいしていてこちらを向いてくれませんでした。 ツシマヤマネコとアムールヤマネコは同じベンガルヤマネコの地域別の個体群なのだとか。

フクロウもいました。(何フクロウか忘れました)
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2匹並んで表裏が観られた感じw 目が非常に綺麗で凛々しい。

こちらはミーアキャット。
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記念撮影してくれと言わんばかりのポーズを取っていましたw 群れで生活して見張りをすることでも有名です。これも見張りなのだろうか。

王国タウンは以上で、裏手の草原で何かイベントもやっていました。王国ファームに行くには無料のシャトルバスか300円のリフトがあり、せっかくなので行きはリフトに乗ることにしました。

これは王国リフトの乗り場に行く途中の風景。
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周りに何もなく、地平線まで見えるほどの絶景です。この日は晴れて清々しい光景でした。

こちらが王国リフト。スキーのリフトと同じような乗り物です。
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多分、5分くらいだったかな。景色はずっとこんな感じですが、最後にちょっと見晴らしが良いところもありました。

リフトを降りると、今度は上り坂が待ち受けているのですが、坂の手前に無料のトラクターバスの乗り場があります。
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思ってた以上に豪快な乗り物で、待ってた人たちから驚きの歓声が上がりました。急斜面もパワフルに登っていく逞しい奴です。

この近くにイワナの掴み取りや釣り堀ができる場所(500円)もありましたが、炎天下だったのでやめておきました

トラクターでぐいぐい坂を登るとアスレチックが見えました。
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結構、子供連れで賑わっていました。近くにはドッグランもあるので、ワンちゃん連れにも楽しいところです。

ちなみに、王国タウンは日陰だけ歩いて廻ることができましたが、王国ファームはほぼ日向しかありません。風は涼しくても日差しは強いので、夏は帽子か日傘が必須です。特にお子様連れは気をつけたほうが良いかも。我々は舐めてたので日射病になるかと思いましたw

王国ファームは馬や羊などがいて、その名の通り牧場みたいなところです。
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馬にも有料で餌やりをすることができて、スコップのようなもので餌を上げる人たちがいました。馬も前掻きしておねだりしてたりw

こちらはニュージーランドファームショー
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牧羊犬が犬笛で自在に操られていました。時期によっては羊の毛刈りショーもあるそうです。

こちらはラクダライド。1周700円で乗ることもできます
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ラクダは何度か動物園で観たことがありますが、こんなにデカいっけ?って驚くくらい大きかったです。並んでいたので諦めましたが、日本でラクダに乗れる機会は滅多にないかも。

こちらはカンガルーファーム
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柵で仕切られた中に入って、間近で観ることができます。みんなお昼寝中でしたが…w

こちらはアルパカの丘
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触ってみるとモコモコして流石は高級な素材w このアルパカにも餌やり体験ができるようで、多くの人が餌をあげていました。

こちらはふれあいウサギ王国
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変わった毛をしたモフモフのウサギたちと触れ合うことができました。たれ耳なのも可愛い

こちらは世界最大種のウサギ「コンチネンタルジャイアント」
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小型犬より大きいかもw この子にも人参(100円)を与えることができるようでした。肥え過ぎちゃうかw

王国ファームにもレストラン/カフェがあります。こちらはBOCCAというお店。
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テラス席のお店で、ここでジュースを飲んで日差しで火照った体を休ませました。アルパカの形にカレーをかけたアルパカレーというのを食べている人が多く、ここの名物のようでした。

王国ファームも観終わったので、帰りはシャトルバスに乗ることにしました。結構並んで、15分くらいは待ったかな。
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これは多分ビーバーのバス。犬や猫のバスはワンワンニャーニャー鳴いて発車していました。何に乗れるかは運次第です。

最後に再びアジアの森に行ってマヌルネコを観てきました。王国の出入口付近にいるので帰りのバスを待ちながら観ることができるのが嬉しい。

ちょうど餌やりが終わった頃で、何故か威嚇の顔をしていました。
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この顔が人気の理由の1つだったりします。怒ると野生むき出しです。

こちらは子供のマヌルネコ。お土産屋さんの中から観られるようになっています
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くりっとした目でまだ幼い感じもあるかな。健康に成長してどんどん増えていって欲しいものです。

コマヌルの観られるお店ではマヌルネコグッズも沢山売っていました
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ぬいぐるみも迷ったのですが、手ぬぐいとTシャツを買いました。他にも色々とあります。


ということで、那須どうぶつ王国を存分に楽しんできました。2018年以降に新しく出来たエリアもあり、放し飼いされていたり餌やりできたりと普通の動物園とはまた違った魅力がある施設だと思います。車以外のアクセスは非常に大変ですが、動物好きやお子様連れの方はチェックしてみてください。


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【那須どうぶつ王国】の案内(2019年09月前編)

今日は写真多めです。前回ご紹介した那須どうぶつ王国の中のお店で食事を済ませた後、早速 園内を見て回りました。写真を沢山撮ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

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【公式サイト】
 https://www.nasu-oukoku.com/

【会場】那須どうぶつ王国
【最寄】無し

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 4時間00分程度

【感想】
前回の記事にも書きましたが、ここは山の中にあるので空いているか?と思ったら結構多くのお客さんで賑わっていました。 可愛い動物しかいない動物園なので親子連れに特に人気があるようです。
 参考記事:モンサンク 【那須どうぶつ王国のお店】

こちらは園内のマップ。大きく分けて王国タウンと王国ファームの2つのエリアに分かれています。
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王国タウンには小動物、王国ファームには馬・羊・ラクダなど牧場の動物たちがいます。エリアの行き来には無料の園内シャトルバスか、300円のリフトを使うことになります。それについては後半で取り上げることにして、今日は王国タウンの半分程度をご紹介していきます。

王国タウンにはこんな感じで屋根付きの回廊があります。
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これを伝って行けば雨の日も傘をささずに各建物を移動できるので便利。この日は夏の日差しが強いので日除けに使いました。夏でも風は涼しいので、ここを通れば快適です。

まずは2019年4月20日にオープンしたばかりの「アジアの森」から見て回ることにしました。ここに今回のお目当ての動物がいます。

こちらはレッサーパンダ。
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仕切りが無く、目の前ですやすやと寝ていました。距離の近さに驚きです。

レッサーパンダは何匹かいて、みんな寝ていましたw
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木を抱きかかえるような感じで寝ているのが可愛い。

こちらはコツメカワウソ。マングローブに住むカワウソです。
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世界で最も小さいカワウソで、ちょこちょこ動いていました。本当に可愛い動物しかいませんw

そしてこちらが今回のお目当てのマヌルネコ! モンゴルなどの砂漠や岩石地に住むヤマネコです。
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この子たちも体は小さいけど大人じゃないかな。マヌルとはモンゴル語で「小さいヤマネコ」という意味で、ネコ科の中では最も古い種類です。以前にも埼玉県こども動物自然公園で観ましたが、わざわざここまで足を伸ばしたのは今年(2019年)に生まれたばかりの子供もいる為で、この後出てきます。
 参考記事:埼玉県こども動物自然公園の写真 前編

マヌルネコのアップ。
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耳が横についているのが独特で、顔芸とまで呼ばれる多彩な表情を見せるのも特徴です。

そしてその先にコマヌルたちがいました! 2019年4月22日生まれです
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オスメス1匹ずついて、オスはモンゴル語のエルール(健康)から「エル」と名付けられ、メスはモンゴル語で幸福の「アズ」という名前になったようです。私にはどっちがどっちか分かりませんがw

4時間近くかけて観に行ったのでじっくり観てきました。
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木に同化するような色合いになっているように思えます。小さくても鋭い目つきをしているのが野性的で、普通の猫よりもワイルドな所が魅力です。

じーっと上を見上げているのは猫じゃらしを見ています。
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狩りの練習中らしく、備え付けの猫じゃらしを振ると反応してくれました。この辺は子猫っぽいw 時間帯によっては係員さんが餌やりをやって、立ち上がったりしていました。

マヌルネコをじっくり見て一旦満足したので園内を端から見て回ることにしました。(帰り際にもう一度マヌルネコに会いに行ったので後編でもまた出てきます)

こちらはスカンクハウスにいたスカンク。
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何故か走りまくっていたので写真もブレてしまったw スカンクも2019年5月26日にオス2頭・メス1頭が生まれたらしく、7月から公開されていました。赤ちゃんたちは隅っこでぐったり寝てましたが…w

こちらはスカンクの匂いを体験するコーナー。
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私も試しましたが焼けたゴムみたいな感じに思えたかな。 実際はこの体験コーナーの1万倍の匂いらしいので、かなり強烈でしょうね。

続いてこちらはワンニャンリビング。その名の通り、犬と猫が沢山いる建物です。
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キャットタワーで寛ぐ猫たち。結構色々な猫種がいて、もふもふの子なんかもいました。軽く猫カフェに来た気分。

ワンちゃんたちも沢山います。
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まだ子犬じゃないかな。寄り添って寝ているのが微笑ましい。

続いてはこちらは熱帯の森。
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ここも多くの動物が放し飼いになっていて、目の前に動物が来てくれたりします。

足元に亀が歩いていたりするので注意が必要です。
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この亀はアカアシガメだそうで、割と機敏に動いていました。

ガラスケースに入っている動物もいました。こちらはミナミコアリクイ
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ゴロゴロ転がって遊んでいました。長い首が特徴で、歯はほとんどないのだとか。

こちらはコモンマーモセットという猿
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枝から枝へと飛び移る様子が間近で観られます。かなりアクティブに動いていました。

こちらはルリコンゴウインコ
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モノマネが得意なインコらしいですが、この時はただボーッとしていました。色も美しく、南国らしい印象を受けます。

こちらはギニアエボシドリ
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緑の羽毛とオレンジの目がキュート。熱帯の鳥は色合いが見事です。

続いてこちらはビーバークリーク
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こちらも2018年7月14日にオープンした比較的新しいエリアです。ガラス越しに色々な角度から観察できるのが売りのようです。

この日はビーバーは陸で寝てましたw
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ダムを作る所とか観てみたい。

こちらはオッタークリーク。ビーバークリークと同日にオープンしたエリアです。
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ここではユーラシアカワウソが泳いだり岸で遊んでいたりしました。ちょうどポーズを取ったような姿勢をしていて滑らかな体つきが美しい。

こちらはアクアステージにいたオットセイ
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観客席があり時間帯によってはパフォーマンスも観られるようですが、この時はのんびりと休憩していました。

近くには2019年4月28日に生まれたミナミアメリカオットセイの赤ちゃん(名前はプーロ)がいる水槽もありました。あちこちに赤ちゃんがいるのが凄い。

こちらはペンギンビレッジ
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ジェンツーペンギン、フンボルトペンギン、ケープペンギンなどがいるようです。それぞれ模様の違いなどが確認できます・

一体何を一生懸命観ているんだろうか?w 一点を見つめてじっとしていました。
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ペンギンと言っても暑いところのペンギンなので、真夏でも平気のようでした。


ということで長くなってきたので今日はこの辺までにしようと思います。やはりマヌルネコの子どもたちに会えたのが感激で、それだけでも行った甲斐がありました。この後も可愛い動物ばかり観ることが出来ましたので、次回は残りのエリアについてご紹介の予定です。

 → 後編はこちら




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モンサンク 【那須どうぶつ王国のお店】

先週の土曜日に那須の那須どうぶつ王国に行ってきました。電車からシャトルバスに乗って行ったところ、ちょうどお昼前くらいに着いたのでまずは入口近くの「モンサンク」というお店で早めの昼食を摂りました。今回はそのお店と那須どうぶつ王国へのアクセスについてご紹介していこうと思います。

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【店名】
 モンサンク 

【ジャンル】
 カフェ/ハンバーガーショップ 

【公式サイト】
 https://nasu-oukoku.com/restaurant/cafemontcinq/  
 食べログ:https://tabelog.com/tochigi/A0905/A090501/9013533/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 無し 

【近くの美術館】
 那須どうぶつ王国(園内のお店です)

【この日にかかった1人の費用】
 1000円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_③_4_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_③_4_5_名店

【感想】
割と混んでいて10分くらい待ちました。

さて、このお店は那須どうぶつ王国の入口付近にあるハンバーガーショップで、お手軽な値段でランチを摂ることができます。
店内はこんな感じの至って普通のハンバーガー屋さんです。
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先に注文してトレイで運ぶ形式になっています。混んでいる場合は先に席を確保したほうが良いかも。外にはテラス席もあり、そちらは愛犬連れで利用できるようです。

この日は「キングダムWチーズハンバーガー」(480円)とドリンク&ポテト(370円)、ナンチーズドッグ(460円)を頼みました。チーズドッグだけ2人で分けたので1人あたり大体1000円で収まりました。

こちらはWチーズバーガー。中にトマトのスライスも入っています。
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ボイルされた厚めのハンバーグが味わい深くて美味しい。モスバーガーに似た感じかな。

こちらはナンチーズドッグ。名前の通りナンで包まれたチーズドッグです。
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見た目がショボく思えた(失礼w)けど、実際に食べたらチーズたっぷりでナンとよく合い美味しかったです。ハンバーガーより気に入ったかも。

こちらは飲み物。ソフトドリンクの選択肢は少ないかなw
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紙製のストローを使うなど動物園ならではの自然への配慮もみられました。

店内には携帯・スマフォの無料充電サービスもありました。
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ここは陸の孤島みたいなところなので、バッテリー切れになったらピンチですw 私が行った時は3台中2台が故障中でしたが、バッテリー切れが近かったら地獄に仏のようなサービスかも

帰りのバスを待つ際、アイスクリームも買ってみました。
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バニラ、チョコ、ミックスの3種類だったかな。これもよくあるアイスクリームと言った感じでしたが、暑い日だったので一際美味しく思えました。

と、まあ町中にあれば普通のハンバーガーショップではあるのですが、那須どうぶつ王国の中で手軽にお昼を済ませたい時に非常に頼りになる存在でした。 何せここはバスで行くにはかなりキツい場所にあります。

そのアクセスについてですが、車を出せる方は特に問題ないと思います。しかし、鉄道を利用して駅からシャトルバスに乗る場合は手続きが必要となります。事前に公式サイト内の申請フォームからバスの往復の予約を取って、当日にはバス乗車の際に出欠確認もあります。
 参考リンク:那須どうぶつ王国シャトルバス
私は那須塩原駅から乗ったのですが、とにかく朝早い!w 本数も1~2本しかないのであまり選択の余地はありません。那須塩原駅から40~50分かかるのでタクシーでは無理だと思います。

那須塩原駅を出ると、ひと目で分かるバスが待っていました。
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猫バス!w 園内にもこうした動物を表したバスはいくつかあります。ただ、帰りのシャトルバスは至って普通の大型バスだったので、いつもこのバスとは限らないようです。

こんな感じで、アクセスに結構苦労しました。そこまでしてこの那須どうぶつ王国に行きたかったのは理由があり、それについては次回ご紹介の予定です。

おまけ:
那須どうぶつ王国の中にはいくつか飲食店があります。多分、一番多くのお客さんが並んでいたのが「バーベキューガーデン」でした。
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こちらはバーベキュー60分食べ放題で、大人でも2180円とそれほど高くないようでした。もし次に行く時はこちらを試したいかな。
 参考リンク:https://nasu-oukoku.com/restaurant/bbq/


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マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展 (感想後編)【三菱一号館美術館】

今日は前回に引き続き三菱一号館美術館の「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」についてです。前編は2章まででしたが、後半は3章から最後までご紹介していこうと思います。まずは概要のおさらいです。

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展

【公式サイト】
 https://mimt.jp/fortuny/

【会場】三菱一号館美術館
【最寄】東京駅/有楽町駅など

【会期】2019年7月6日(土)~10月6日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
3章の大部屋は指定された場所からだけ撮影可能となっていて、そこだけはちょっと混雑していたように思います。後編も引き続き各章ごとに簡単にご紹介していこうと思います


<第3章 最新の染織と服飾 輝く絹地と異国の文様>
3章は特に名高い服装に関するコーナーです。20世紀初頭の欧米では古代遺跡ブームが起きたそうで、マリアノ・フォルチュニはクレタ文明の草花文様や抽象文様を染め付けた絹のストール「クノッソス」をデザインしました。また、中世やルネサンス、極東、中東などの文様を取り入れたテキスタイルなども制作していたようです。そして「デルフォス」は紀元前5世紀の青銅彫刻「デルフォイの御者」の服装に着想を得てデザインされました。デルフォスはコルセットが不要で女性の自然な体型を美しく演出することができ、現代のファッションの先駆けとなる画期的なドレスだったようです。ここにはそうした異国趣味から着想された作品が並んでいました。

先述の通り、3章は一部だけ撮影可能でした。こちらはデルフォスやクノッソスの展示風景
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この距離だと分かりづらいですが、裾の辺りに細かいプリーツ(ひだ)があります。ギリシア時代の御者の像が着想源になっただけあって、神話的な印象を受けますね。

こちらはマリアノ・フォルチュニの奥さんの肖像画
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マリアノ・フォルチュニはデルフォスを考案したのは妻のアンリエットであると言っていたそうです。若干、怪訝そうな顔でこちらを見ているように思えますが…w 着物のようなガウンについては後の章で出てきます。

この近くには「デルフォイの御者」の写真もありました。ひだのある真っ直ぐな衣を着ていて、確かにデルフォスと共通する部分が多いように思えます。ただし、御者の服のひだはプリーツではなくドレープなのだとか。その違いが私には区別が難しいですが、プリーツのほうが規則正しく細かいひだのように思えました。

続いて奥に見えるのがテキスタイル
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幾何学文様となっていて、異国情緒が漂います。

こちらもテキスタイル
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優美な雰囲気で、同じく中世美術の復興を目指したアーツ・アンド・クラフツともまた少し異なる印象を受けます。

カーペットなどもありました。
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この後の部屋にもテキスタイルの試し刷りなどがあり、中東やアジア的な文様が多かったように思います。プリミティブさもありつつ気品もある感じです。

こちらは照明。これは当時のものではなく模造品のようです。
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模造品でも分かるデザインの面白さがあります。文様は中東風で渦巻くような造形も見事でした。

この章には他に、赤のデルフォス、テキスタイル工房や販売店舗の写真、デルフォスの特許証書、自宅で自作の服をモデルに着させて撮ったカラー写真などもありました。特にカラー写真は豪華な印象を受け、写真の腕も良かったことが伺えました。


<第4章 写真の探求>
続いては写真作品のコーナーです。写真にも活動を広げたマリアノ・フォルチュニは、No.4パノラム・コダックというカメラで撮影していたそうで、これは140度の画角を持ちオートクローム方式で当時のあらゆる種類のプリントを試すことができたようです。

ここにはヴェネツィアの町並みやサンマルコ大聖堂、路地、自宅、ギリシャ彫刻などを撮った写真が並び、中には「デルフォイの御者」も写っているアルバムもあり、写真が着想の源になっていたのかも知れません。また、「雲の習作、パリ」という写真は横長のパノラマ画面となっていて、雲が主役というちょっと変わった題材に思えました。逆光で黒くなった街のシルエットが陰影を感じさせて風情があり、服だけでなく風景や建物についても関心を寄せていたのではないかと思わせました。

部屋の中央にはデルフォスのドレスや、イスラム風のコートなども展示されていました。


<第5章 異国、そして日本への関心と染織作品への応用>
続いてはマリアノ・フォルチュニと日本の関係についてです。マリアノ・フォルチュニの両親は裕福で世界各地の品々を蒐集していたそうで、その中には日本の品も含まれていました。マリアノ・フォルチュニも両親から異国への興味を受け継ぎ、日本文化や芸術に関する書籍を集めていたようで、それをテキスタイルの下図や作品に利用していきました。特に型染めの技術に関する知識は深く、自らの作品にも取り込んでいます。

ここには着物から転用されたテキスタイルがずらりと並んでいて、母のセシリアが収集していた「桜藤流水模様小袖」など純和風の品も展示されています。この小袖は母が亡くなった後は妻のアンリエットが室内着として着用していた(ガウンのように羽織る感じ)ようです。黄緑地に流水や藤の文様がある文様で、涼し気な印象を受けました。

他には日本の染型紙がいくつかあり、これらはパリで売られていたものを入手していたようです。これから着想を得て型紙を使って自らの作品も作っていました。また、日本の着物そのものに見える室内着もあり、その観察眼と再現性の高さが伺えました。

その先には当時出版されてマリアノ・フォルチュニの書斎に置かれた日本の図案集もありました。ジャポニスムからの影響はこの章を観ると明らかです。


<終章 世紀を超えるデザイン>
最後は現代に続く内容の章となります。マリアノ・フォルチュニは1949年にヴェネツィアで没し、妻のアンリエットの意向によってデルフォスの制作は打ち切られてしまいました。しかしデルフォスは今でも愛好されているそうで、その輝きは失っていないようです。また、先程の絹吊りランプなどは今でも生産されているのだとか。

ここには絹吊りランプやデルフォスのドレス、コートなどがいくつかありました。また、「ヴァレンティノ、オート・クチュール、2016 年春夏コレクション」の映像ではマリアノ・フォルチュニをオマージュしたデザインの服を着たモデル達が映され、確かにその精神性が現代でも息づいているのが見て取れました。


ということで、後半は異国情緒ある服飾と共に着想源に関しても知ることができました。日本からの影響も少なくなさそうなので、親近感の湧くデザインもありました。色々なジャンルの作品がありますが、特に服飾関係に興味がある方向けの内容のように思います。



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マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展 (感想前編)【三菱一号館美術館】

1ヶ月ほど前のお盆の時期に丸の内の三菱一号館美術館で「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」を観てきました。メモを多めに取ってきましたので前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展

【公式サイト】
 https://mimt.jp/fortuny/

【会場】三菱一号館美術館
【最寄】東京駅/有楽町駅など

【会期】2019年7月6日(土)~10月6日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
お盆中とは言え平日に行ったこともあり、それほど混むことなく快適に鑑賞することができました。

さて、この展示はマリアノ・フォルチュニという「ヴェネツィアの魔術師」と呼ばれた作家に関する個展となっています。マリアノ・フォルチュニは特に服飾の世界で活躍し「デルフォス」と呼ばれるドレスで時代の寵児となったようで、その活動を軸に絵画、版画、写真、舞台装置なども手掛けたようです。その多岐に渡る活動やルーツについて7章構成で展示していましたので、各章ごとにその様子を簡単にご紹介していこうと思います。


<序章 マリアノ・フォルチュニ ヴェネツィアの魔術師>
まずはマリアノ・フォルチュニとは何者か?を簡単に紹介する序章です。マリアノ・フォルチュニは1871年にスペインのグラナダで生まれ、同じ名前の父マリアノは中東の風俗画で人気を誇った画家、母セシリアも芸術家一族の出身という家系だったようです。3歳の時に父が亡くなりパリに移ると、画家の叔父やオリエンタリスムの画家バンジャマン=コンスタンに絵を学び、印象派の動向には目もくれず父の油彩や版画を模写し、オールドマスターたちの作品を研究したようです。そして1889年にヴェネツィアに一家で移住すると、現在はマリアノ・フォルチュニの美術館になっている邸宅で伝説的なドレス「デルフォス」などを世に送っていきました。

マリアノ・フォルチュニ 「自画像」
こちらは10代後半頃の若い自画像で、窓の外の海を見ている横顔で描かれています。印象派には関心が無かったとのことですが、結構大胆な筆致に見えるかな。写実的な画風です。賢そうな顔つきで、育ちが良さそうに見えました。

この近くには父の描いた小さな油彩や、9歳の時の絵画、父の作品を模写した花の静物などもありました。ちなみに母親はプラド美術館の館長の娘だったのだとか。芸術界のサラブレッドみたいな感じですね。

マリアノ・フォルチュニ 「デルフォス(紫)」
こちらは3章の内容ですが、序章にありました。胸元がV字の紫色のドレスで、足元の裾が広がり花のような美しい形となっています。私はマリアノ・フォルチュニの名前を知らなかったものの、このドレスは今までに何度か観ているのでこの時代を象徴するドレスなのは間違いなさそうです。この後いくつかのパターンが出てきますが、特に見どころはプリーツ(細かいヒダ)で、100年経っても解れることなく形を保っていて、現在では製法が分からなくなっているそうです。このプリーツのおかげで優美な印象を受けました。

この章には他に当時の本人や家族の写真、家の写真などもありました。ヴェネツィアに引っ越したのはマリアノ・フォルチュニが喘息を起こすので、馬車の無い街へということが理由だったようです。


<第1章 絵画からの出発>
続いてはマリアノ・フォルチュニの芸術活動の始まりである絵画に関するコーナーです。父はスペインを代表する画家でしたが、36歳(マリアノ・フォルチュニが3歳の時)亡くなり、マリアノ・フォルチュニはその父への賞賛を胸に才能を広げていったそうです。ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼ、ティエポロなどヴェネツィア派の巨匠を模写し研究する一方で、父の作品も模写しています。また、ワーグナーの舞台を観て感激し、舞台の場面も多く描くようになったようです。マリアノ・フォルチュニは自身を第一義に画家であると認識していたようで、ここにはそうした絵画作品が並んでいました。

マリアノ・フォルチュニ 「仏陀伝の一場面」
こちらは白い馬にまたがり両手を挙げる青年らしい人物の後ろ姿が描かれた作品です。水辺の様子らしく、近くには象らしき姿もあります。細部はあまり分かりませんが、幻想的で珍しいテーマの作品に萌えました。

この辺にはティントレットやティエポロ、ルーベンスの模写などもありました。流石に本人の作品に比べると粗めに見えますが、かなりの腕前であるのが分かります。また、裸婦の写真などもあり絵の構想を練る際にスケッチ代わりに本人が撮影したものとのことでした。


<第2章 総合芸術、オペラ ワーグナーへの心酔>
続いては舞台美術やワグナーへの傾倒に関するコーナーです。マリアノ・フォルチュニはワグナーのオペラに感激し、それを教えてくれたスペインの画家と共に1892年にヴァイロイトの(ワグネリアンの聖地)に旅し、その関心を絵画から舞台美術と照明技術へと移していきました。そして応用電気工学や物理学、光学を研究し、音楽・演技・照明・舞台装置の共感覚の実現を目指していったようです。その結果、「クーポラ」と呼ばれる半球形のステージセットに拡散光と間接照明を用いた照明装置を組み合わせ、革新的な舞台機構を発明したそうです。やがてこのイリュージョンを創出する「クーポラ・フォルチュニ」は舞台装置と照明に革命をもたらし、ヨーロッパ各地の主要な劇場で採用されていきました。ここにはそうした舞台装置に関する品が並んでいました。

マリアノ・フォルチュニ 「舞台装置[クーポラ・フォルチュニ]構想スケッチ」
マリアノ・フォルチュニ 「パリ、ベアルン伯爵夫人私設劇場のための遠隔操作舞台照明装置の構想」
これらは舞台装置の為の構想で、細かい字や絵でスケッチされています。後者は円と線で描かれていて配線図みたいに見えるかな。解説によると、マリアノ・フォルチュニはヴァイロイトの舞台を見て舞台装置や照明に失望し、新しい装置を作ろうと考えたようです。「クーポラ・フォルチュニ」は絵の具のように舞台で色を混ぜることのできる照明で、これがあれば書き割りの色も照明で変えられるという画期的なものだったようです。近くにクーポラの写真もあり、光の色や強さで朝や夜など微妙な雰囲気の違いも出せるようでした。

マリアノ・フォルチュニ 「リヒャルト・ワーグナーのオペラ『パルジファル』より クンドリ」 ★こちらで観られます
こちらは十字架を背負ってゴルゴタの丘を登るキリストを嘲笑したことで呪われて永遠に生きることになった美女を描いた作品です。黒髪の裸婦がピンクの花に囲まれていて、キリッとした表情の妖艶な女性に見えます。全体的に明るいのに妖しい雰囲気なのが面白いかな。この展示でも特に気に入った作品です。

この辺にはワグナーの舞台を描いた絵画や舞台の模型の写真などもありました。また、「デルフォス」のドレスや着物をジャケットにした作品もありました。日本の着物そのものといった感じですが西洋製のようです。


ということで、今日はここまでにしておこうと思います。多彩な活動をしていたということで、早くも絵画・写真・服飾・舞台装置などの作品があったのですが、模写や資料などちょっとピンと来ないものも多かったように思います。3章は撮影可能の箇所もありましたので、次回は3章から最後までご紹介の予定です。


 → 後編はこちら



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没後90年記念 岸田劉生展 (感想後編)【東京ステーションギャラリー】

今日は前回に引き続き東京ステーションギャラリーの「没後90年記念 岸田劉生展」についてです。前半は上階についてでしたが、後編は下階の内容についてご紹介して参ります。まずは概要のおさらいです。

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 没後90年記念 岸田劉生展

【公式サイト】
 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201908_kishida.html

【会場】東京ステーションギャラリー
【最寄】東京駅

【会期】2019年8月31日(土)~10月20日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
下階も引き続き年代順の構成になっていました。前編同様に気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<第三章 「実在の神秘」を超えて:1915~1918>
三章は上階からの続きです。ここには静物や初めての麗子像などが並んでいました。

78 岸田劉生 「静物(手を描き入れし静物)」
こちらは左側に赤い垂れ幕、右側に緑の垂れ幕が描かれ、中央に白い高坏に乗った林檎が描かれた静物です。高坏の周りにも4つの林檎があり、そのうちの1つは数珠に囲まれているなど何かの儀式めいた雰囲気となっています。解説によると、以前は高坏の林檎に差し伸びる手も描かれていたそうで、自信満々で二科展に出品したものの落選し「何かマジックのようだ」と評されたそうです。今は手を描いた痕跡はありませんが、写実なのに神秘的でシュールな要素もあるように思えました。

81 岸田劉生 「麗子肖像(麗子五歳之像)」 ★こちらで観られます
こちらは東近美でよく見かけるコレクションで、娘の麗子が5歳の頃に描かれた作品です。麗子がモデルになった最初の油彩だそうで、手には花を摘み やや左方向に視線を向けています。つぶらな瞳やもしゃもしゃっとした髪など子供らしい純朴な雰囲気となっていて、可愛らしい肖像です。この後、麗子像は何度も描かれて行きますが、この作品は特に写実的で無垢な印象になっているように思います。(中国画に傾倒した後は寒山拾得のような妖怪っぽい雰囲気の麗子もあるので…w)


<第四章 「東洋の美」への目覚め:1919~1921>
続いては東洋美術へ関心を寄せていた頃のコーナーです。「麗子肖像(麗子五歳之像)」によって写実を極めることで「内なる美」を「外界の形象に即した美」に昇華させることができたと確信したそうで、写実の道だけでなく短時間のさらりとした描写の「内なる美」の表現の為に、水彩と素描に取り組んだそうです。1919~1921年にかけて麗子と近所の村娘のお松をモデルに肖像を多く手掛け、その後2人が成長すると水彩画は減って日本画の制作が始まりました。また、この頃 京都旅行での感動や日本画家の榊原紫峰が所有していた宋元の花鳥画への関心が作品にも反映されていきました。ここにはそうした時期の作品が並んでいました。

90 岸田劉生 「麗子坐像」
こちらは暗闇の中に光が当たるような感じで赤と黄色の着物を着て正座している麗子の肖像です。おかっぱ頭で座敷わらしみたいなw かなり細密で麗子の脇に置かれた林檎を含めて写実的ではありますが、段々と妖怪のような雰囲気も出てきているように思えます。麗子のイメージというとこの絵の姿を思い浮かべるかな。
ちなみにこの麗子は本当は結構な美人で、後に自らも絵筆を取っています。(その娘の岸田夏子 氏も画家で清春白樺美術館の館長をしているようです。) 普通に描いていれば可愛い肖像が多くなったはずですが、そうではないのが面白いところですw

この近くには鵠沼の畑の風景の中に麗子を描いた「麦二三寸」もありました。これは爽やかな雰囲気の作品です。また、妻の姉の息子の肖像の「信行之像」もありました。この子は岸田劉生が引き取ったのですが、翌年に病死してしまい 岸田劉生の悲しみも並々ならぬものがあったそうです。

107 岸田劉生 「麗子八歳洋装之図」
こちらは赤と黒のチェックのワンピースを着て微笑む麗子像です。手にはピンクのエゾギクを持ち、おかっぱ頭をしています。麗子像は大抵は3/4くらい横向きの構図となっていて、この作品でも洋装になっている以外は他の麗子像と共通点が多いように思います。しかし表情のせいか他の作品の麗子よりも楽しそうで、子供らしい無邪気さも感じられました。

この辺は同様の構図の麗子像がズラりと並んでいました。


<第五章 「卑近美」と「写実の欠除」を巡って:1922~1926>
続いては「卑近美」に関するコーナーです。岸田劉生は1922年6月に宋元画を購入したのを皮切りに、初期肉筆浮世絵なども含めて収入の大部分を買い物に使うという状況になったようです。そして西洋の美術に対する東洋の美術の優位性の論文を執筆し、「現実的で動的で露骨で作為的な西洋とは対照的に、神秘的で静的で無為の自然物的な東洋にこそ、美の深い境地がある」と説き、「初期肉筆浮世絵には、倫理的な美の露骨性を避けるために、正反対の矮小で醜くグロテスクな[卑近美]が現われ、宋元画には、民族的な個性として[偉大なる間ぬけさ]すなわち稚拙感や[写実の欠除]が現われる」としたそうです。そしてこの時期は宋元画に学んだ静物を描いたり日本画の個展も開催したようで、ここにはそうした時代の作品が並んでいました。

120 岸田劉生 「鯰坊主」
こちらは歌舞伎の隈取をした人物像で、歌舞伎十八番「暫(しばらく)」の登場人物を描いているそうです。眉をひそめて口をへの字に曲げているのがちょっと可笑しな表情です。これはこの役が、悪役で道化のような役柄もある為らしく、東洋的な卑近美を見出して描いたようです。戯画的な印象も受けますが、確かに東洋にはこうした作品が西洋より多いように思えました。

この辺には寒山拾得のような子供が描かれた掛け軸もありました。

126 岸田劉生 「林六先生閑居図」
こちらは掛け軸で、上から順に 山、楼閣、坂道、庵、蓮池などが描かれています。全体的に南画のような感じで、かなり簡略化されて緩い画風となっています。これまで写実を極めて来たのに完全に逆の方向に向かっていて、同じ画家とは思えないほどの変化です。東洋的な精神性の表現方法へと関心が移っているのがよく分かる作品でした。

近くには椿の静物や冬瓜の静物などもありました。

140 岸田劉生 「四時有甘」
こちらも掛け軸で、縦長の画面にザクロ、桃、柿、栗、イチゴなど様々な果実が描かれています。色鮮やかですが画風は油彩と全く異なり南画のような雰囲気となっています。各果実の配置が流れるようになっているのも面白いかな。しみじみと味わいのある静物画でした。

この辺は掛け軸がいくつかありました。この頃は日本画を多く手掛けたようです。


<第六章 「新しい余の道」へ:1926~1929>
最後は晩年のコーナーです。この頃、岸田劉生は洋画壇での活躍よりも むしろ日本画を制作していたようですが、友人の武者小路実篤は油彩画の制作に復帰させるべく、大調和美術展を開催したそうです。しかし茶屋遊びの放蕩で生活と制作に支障をきたしたので京都から鎌倉へと移住しました。1929年には依頼が多く自由な制作がままならなかったようですが、「今年は本当にいい年にしたい」と日記に書き、華やかな静物画や最後の麗子像を油彩で描きあげたそうです。そして南満州鉄道株式会社の招聘により満洲に渡り、そこでも旺盛な制作意欲を見せて、「新しい余の道」を見つけたようですが、帰国直後に38歳で急逝しました。ここには亡くなる直前までの作品が並んでいました。

151 岸田劉生 「岡崎義郎氏之肖像」
こちらは煙草を持つ友人の画家を描いた油彩の肖像で、写実的な作風となっています。スーツ姿で翡翠の指輪をつけていてダンディな雰囲気です。唇が妙に赤々としているところが妖艶さや不気味さがあり、岸田劉生が言う所の「デロリの美」に通じているんじゃないかな。晩年の傑作と言える作品です。

この近くには冬瓜を描いた静物画や南画風の掛け軸もいくつかありました。また、3歳頃からの岸田劉生の写真が並ぶコーナーがあり、顔つきは自画像で観たまんまです。関東大震災で倒壊した自宅の上で記念撮影した写真なんかもありました。

158 岸田劉生 「路傍秋晴」
こちらは石が転がっている土の道を描いた作品で、奥には家があり 周りは木が生えているなど素朴な田舎の光景となっています。背景は真っ青な晴々した空で、大胆な画風になっていますが前編でご紹介した代表作の「道路と土手と塀(切通之写生)」とテイストは似ているように思えます。これは大連の光景らしく、隣によく似た「路傍秋晴(大連風景)」という作品もありました。

160 岸田劉生 「満鉄総裁邸の庭」
こちらは草木の生い茂る庭を描いた作品です。遠くには青い水平線が見えていて、小高いところにあるのかな? 黄色い枯れ草と緑の木々などを軽やかな筆致で描いていて、筆跡も残っています。これまでの画風とも違った新しい表現になってきているように思え、色鮮やかで清々しい作品です。これまでも画風が変わり続けた岸田劉生が、また新たな進化を見せそうな所で人生が終わってしまったというのを目の当たりにしたような作品でした。


ということで、年代順に観ることで岸田劉生の画風の変遷をよく知ることが出来たように思います。集まっている作品も有名作が多いので、岸田劉生のベスト盤のような感じです。特に洋画好きの方にオススメの展示です。



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没後90年記念 岸田劉生展 (感想前編)【東京ステーションギャラリー】

この間の日曜日に東京駅の東京ステーションギャラリーで「没後90年記念 岸田劉生展」を観てきました。メモを多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 没後90年記念 岸田劉生展

【公式サイト】
 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201908_kishida.html

【会場】東京ステーションギャラリー
【最寄】東京駅

【会期】2019年8月31日(土)~10月20日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構多くのお客さんがいて場所によっては人だかりが出来るくらいでしたが、概ね自分のペースで観ることができました。

さて、この展示は日本の近代洋画の中でも特に存在感のある画家である岸田劉生の個展となっています。初期から晩年まで俯瞰する感じで代表作が並び、岸田劉生のベスト盤のような内容となっていました。制作年代順に章分けされていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
 参考記事:
  素描礼讃 ―岸田劉生と木村荘八― (うらわ美術館)
  没後80年 岸田劉生 -肖像画をこえて (損保ジャパン東郷青児美術館)


<第一章 「第二の誕生」まで:1907~1913>
まず1章は初期のコーナーです。岸田劉生は新聞記者や実業家であった岸田吟香を父とし、銀座界隈で育ちました。父の勧めで教会に通ってキリスト教の洗礼を受け、父親の死後には牧師を志しましたが、独学で水彩画を制作する中で画家への道を歩みだしました。17歳で白馬会の葵橋洋画研究所で本格的に洋画を学びはじめ黒田清輝のもとで外光派の画風を学んでようで、1910年には白馬会第13回展に出品し、第4回文展でも初入選するなど順調にスタートしたようです。しかし研究所のアカデミックな勉強に疑問を抱くようになり、1911年に雑誌『白樺』に紹介されたゴッホ、ゴーギャンら後期印象派の画家に衝撃を受けました。それによって画風も変わり、自身で「第二の誕生」と呼ぶほどに影響を受けたようです。ここにはそうした時期までの作品が並んでいました。
 参考記事:白樺派の世界展 (清春白樺美術館) 山梨 北杜編 

1 岸田劉生 「緑」
こちらは16歳の頃の水彩画で、水辺の緑の木々や草を描いた作品です。細密というほどではないですが、写実的で水彩らしい瑞々しさを感じます。まだこれからと言った感じではありますが、既にこうした風景に感心を寄せていた様子が伺えました。

この辺は16歳頃からの水彩が並んでいました。「子守り(想像画)」という作品の人物はやや等身が妙な気はしますが、情緒がありました。

7 岸田劉生 「薄暮之海」
こちらは右半分は手前から奥に伸びていく道、左半分は帆船が浮かぶ海の風景が描かれた作品です。大森海岸の辺りだそうで、細かい斑点で道の質感を出しています。作品の裏に午後2時半から4時まで描いたとのことですが、その割には影が長いので冬なのかな? この頃、水彩画ブームがあったそうで、この絵も水彩画らしい軽やかな雰囲気となっていました。

この隣にあった「雨の街路」も雨の寂しげな雰囲気が出ていて好みの作品でした。

10 岸田劉生 「橋」
こちらは油彩で、木製の橋が描かれているのですが橋を行き交う人々は画面の上端辺りになっていて、橋桁が画面の大半を占めるという面白い構図となっています。水面の反射が爽やかな色彩で、黒田清輝の影響があるように思えます。これだけ観たら岸田劉生とは分からなそうな作品でした。

14 岸田劉生 「自画像」
こちらは帽子を被って正面を向く自画像です。眼鏡を掛けていて、顔には緑や赤の線を使って陰影を出しています。強い色彩感覚で、ゴッホから影響を受けた様子が伺えます。(ゴッホ以外のフォーヴ的な要素も感じるかな。) 目の力が強く、意志の強さも感じられる生き生きとした自画像でした。

15 岸田劉生 「虎ノ門風景」
こちらは平坦な色面と黒い太めの輪郭で表現した虎ノ門辺りの通りの風景画です。オレンジと緑など対比的な色合いで、かなりフォーヴィスム的な要素を感じます。岸田劉生の作品の中では簡略化もかなり進んでいるように思えるかな。解説によると、この絵を描いた半年くらい前(1911年12月)に同じ研究所の木村荘八と懇意になったようで、この絵を描いた日の木村の日記にはは木村荘八宅に行ってから共に岸田劉生宅に行き、その後に虎ノ門辺で描いたと記載があるそうです。2人の親密さが伺えるエピソードでした。


<第二章 「近代的傾向…離れ」から「クラシックの感化」まで:1913~1915>
続いては肖像画を描きまくった時代を含むコーナーです。1913年3月の第2回フュウザン会展の頃には岸田劉生の「近代的傾向…離れ」の準備が始まっていたようで、生きた人間を慕う心から「人間の顔」を描き始めました。10人に及ぶ友人(白樺派や民藝運動の関係者)を描き、顔に集中していくことで 次第に大振りな筆致から繊細な筆致へと写実描写が細密になっていったようです。結婚後は妻の蓁(しげる)をモデルにした肖像が主流となると共に自画像の連作なども手掛け、写実の道を見出していきました。この模索の過程で西洋古典絵画の巨匠(特に北方ルネサンスのデューラーなど)に感銘を受けて細密描写に倣った肖像画も制作したようです。ここにはそうした時期の作品が並んでいました。

21 岸田劉生 「B.L.の肖像(バーナード・リーチ像)」 ★こちらで観られます
こちらは友人で陶芸家のバーナード・リーチの肖像で、外の日差しの下で寛いでいるように見えます。帽子に眼鏡の姿で、日差しの強さと影の濃さで表情はやや分かりづらいかな。その明暗によって全体的には明るい印象を受けます。筆致は粗めですが、人となりや臨場感を感じさせるような肖像でした。解説ではセザンヌからの影響を指摘していました。

25 岸田劉生 「木村荘八像」
こちらは盟友の木村荘八の肖像で、画面一杯に実寸大くらいの顔だけが描かれています。ざらついてくすんだ感じの筆致で 色彩はだいぶ落ち着いた印象になっていて、細部までは描かれていないものの離れて観ると人物の雰囲気がよく分かります。また画風が変化しているように感じられました。

この辺は顔だけの肖像画もいくつかありました。この頃は肖像画だらけで岸田の首狩りと呼ばれたのも納得ですw

30 岸田劉生 「自画像」
こちらは自画像で、東近美のコレクション展でよく見かけます。楕円形の眼鏡をつけてこちらをチラッと観ている肖像で、「21.Nov.1913」と描いた日も記載されています。ざらついた絵肌で、表情はキリッとした印象を受けるかな。岸田劉生というとこの自画像の顔を思い浮かべます。

この近くには珍しく夜に描かれた自画像や、聖書を題材にした版画などもいくつかありました。

42 岸田劉生 「武者小路実篤像」
こちらは親友で白樺派の武者小路実篤の肖像です。短髪で楕円形の眼鏡に口髭という容貌で、やや横向きにかかれています。まだ細密描写ではありませんが、丹念に描かれていてどっしりとした存在感が感じられました。徐々に近代的な単純化から離れていっているように思えます。

この隣には椿貞雄が岸田劉生に師事するきっかけとなったと思われる自画像もありました。「SEND TO TUBAKI 24th MAY 1915」と記載されているので椿貞雄に贈られたものでしょうね。

47 岸田劉生 「画家の妻」
こちらは胸に手を当てる正面向きの奥さんを描いた作品です。この妻の蓁(しげる)は学習院大学で教鞭をとる漢学者の父を持ち、鏑木清方に入門して日本画を学ぶなどの才女だったようで、この絵からも理知的な印象を受けます。まだちょっと絵肌はざらついている感じもしますが、岸田劉生はこの絵を描いた頃にクラシックの感化が進んでいたようで、かなり細密でリアルな描写で描いていました。

この隣には同じく奥さんをモデルにしたと考えられる「黒き土の上に立てる女」(★こちらで観られます)もありました。胸を顕にする西洋の農婦風に描かれていて、神話的な印象を受けました。

51 岸田劉生 「画家の妻」
こちらも奥さんの肖像で、横向きで胸元の服を摘むようなポーズで描かれています。「PORTRAIT OF SHIGERU」と書いてあり、その下には盾型の紋章のようなものに「R.KISHIDA」のエンブレムもあります。背景はアーチ状になっているなど全体的に中世ヨーロッパを思わせる雰囲気となっていて、この頃はデューラーやファン・エイクなどの北方ルネサンスに惹かれてたようです。かなり写実的で肌の艶などまで表現されている辺りにその影響を感じさせました。そう言えばデューラーは自作にモノグラムを入れるので、エンブレムもそれを真似たのかも?

この辺には横浜美術館のコレクション展でよく目にする「椿君之肖像」もありました。


<第三章 「実在の神秘」を超えて:1915~1918>
続いては風景画や静物なども手掛けた時代のコーナーです。この頃「クラシックの感化」を通過し、自画像の合間に制作した風景画を題材として新たな道を見出していったようです。1913年10月に代々木に転居すると、付近の赤土と畑の風景を繰り返し描きました。しかし、1916年に肺病と診断されると戸外での写生も禁止となり、室内で出来る静物画に挑戦することになったようです。また、愛娘の麗子を描くようになったのもこの頃のようで、ここにはそうした時期の作品が並んでいました。

56 岸田劉生 「代々木附近(代々木附近の赤土風景)」
こちらは重要文化財に指定されている代表作の「道路と土手と塀(切通之写生)」(★こちらで観られます)の20日ほど前に描かれた作品で、「道路と土手と塀(切通之写生)」と並んで展示されていました。手前に坂の斜面で畑を耕す2人の人物、奥に白い壁のある土の坂道があり、そこに帽子の黒い人影が登っている様子が描かれています。赤土・白壁・青空の3つが呼応して色彩が強く感じられるかな。解説によると坂の人影は自画像を想像で描き加えているとのことです。この人物がいる辺りから坂を見上げると丁度「道路と土手と塀(切通之写生)」の光景になるように思えます。見慣れた作品の角度違いを観たような感じで非常に興味深い作品でした。

65 岸田劉生 「古屋君の肖像(草持てる男の肖像)」
こちらも代表作で、草を摘んで持つ隣人の医師の肖像です。顔のテカりや皺などまで表現していてリアルな描写となっています。髭の剃り残しまで分かる感じw 細身で誠実そうな人物で、生き生きとした印象を受けました。

この隣には鉛筆によるスケッチもありました。また、近くには写真かと思うほどリアルな細密描写の「高須光治君之肖像」などもありました。

67 岸田劉生 「壺の上に林檎が載って在る」 ★こちらで観られます
こちらはバーナード・リーチの作った丸みを帯びた縦長の壺と、その口の部分に緑の林檎が乗っている様子が描かれた静物画です。全体的に細密で写実的に描かれていますが、近くでよく観ると光の反射の部分は白が厚塗りされているなど意外と大胆な筆致です。蓋のように置かれた林檎がちょっとシュールで茶目っ気を感じさせて面白い構図でした。

この近くには3つの林檎が等間隔で並ぶ「林檎三個」もありました。娘の麗子によると、これは闘病する岸田一家の3人の姿を託したものなのだとか。


ということで、上階の展示はこの辺までなので今日はここまでにしておこうと思います。前半は肖像やデューラー風の作品など岸田劉生を語る上で欠かせない作品が観られました。見慣れた作品が多いですが、それだけ代表作が集まっているということだと思います。 後半も麗子像を始め岸田劉生の代表的な作品が並んでいましたので、次回は下階の内容をご紹介の予定です。

  → 後編はこちら


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1933年の室内装飾 朝香宮邸をめぐる建築素材と人びと (感想後編)【東京都庭園美術館】

今日も写真多めで、前回に引き続き東京都庭園美術館の「1933年の室内装飾 朝香宮邸をめぐる建築素材と人びと」についてです。前半は1階部分についてでしたが後編は2階・ウインターガーデン・新館の写真をご紹介していこうと思います。

 → 前編はこちら

DSC05013_20190909003849571.jpg

【展覧名】
 1933年の室内装飾 朝香宮邸をめぐる建築素材と人びと

【公式サイト】
 https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/190720-0923_Interior.html

【会場】東京都庭園美術館
【最寄】目黒駅・白金台駅

【会期】2019年7月20日(土)~ 9月23日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_4_⑤_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
2階以降も結構多くのお客さんがいました。

前編で紹介し忘れましたが、今回の展示は素材や技法についての解説が充実しています。当時の職人や企業、工事仕様書なども紹介されていていつも以上に深い情報があったように思います。とは言え、そうした品は撮影不可だったので、後編も引き続き撮影可能だった部分をご紹介していこうと思います。

階段を上がって行くと、階段の装飾に似た模様の照明が現れます。
DSC04619_20190909003958eef.jpg
この建物はそれぞれの照明を観て廻るだけでも見ごたえがあります。

階段を登りきった所の広間。
DSC04626.jpg
この備え付けのソファの辺りにかつてはピアノが置かれ、ご一家のくつろぎの場所となっていたそうです。

この広間には普段は置かれていない椅子とテーブル、そして朝香宮允子妃殿下の肖像がありました。
DSC04622_20190909003959cb1.jpg DSC04624_2019090900400102e.jpg
1階で観た写真の特徴がよく現れています。妃殿下はアールデコやフランス語に通じ、この建物の建築にも尽力しました。しかしこの建物が竣工して1年くらいで亡くなってしまったようです…。

広間の頭上の照明。
DSC04635.jpg
シンプルな幾何学文様となっていますが、細かい装飾もあって建物によく合います。

こちらは若宮の寝室。
DSC04643_2019090900400597a.jpg
この部屋も照明やラジエーターカバーが見どころとなっています。この窓から外を見ると、玄関前の道がよく見えます。

こちらは 合の間
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ここは何に使ったか分かりませんが、ここの照明は特に好みです。

こちらは若宮居間。
DSC04656_2019090900400889a.jpg
ここの照明はステンドグラスのような模様が洒落ています。ちょうど正面玄関の真上辺りにあり、窓の外には車寄せの屋根のベランダがあります。

こちらは書庫。
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ここに入れるのは建物公開時だけなので、貴重な機会です。ハシゴを掛けて本の出し入れをしたんでしょうね。

こちらは書斎。
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ここは中まで入ったのは初めてかも?? しかも書庫から抜けて入れるようになっていて、今回一番じっくり観たのはこの部屋でしたw

こちらは殿下の居間。
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壁紙やカーテンの模様までモダンな雰囲気となっています。

こちらは広間の隣の北側ベランダ(北の間)
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北側にあるので夏場の家族の団らんの場となっていたようです。窓が広くて中庭がよく見えます。

こちらは妃殿下寝室の照明と暖房器用カバー。
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レースのついた照明が何とも可愛らしい。この部屋の暖房器用カバーは妃殿下自身がデザインしたもので、日本的な感性とアール・デコの館が非常にマッチしていて面白い。

こちらはベランダ。ここから芝生や日本庭園が一望できます。
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市松模様は和風でもありアール・デコ風でもあるw ここはベンチもあるので、展覧会の途中でゆっくり休むのに最適です。そのためここを無人の状態で撮影するのは中々難しかったりします(閉館頃が狙い目です)

こちらは奥の階段あたりにある照明。
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星型のステンドグラスのようになっていて、光が天井に映っているのがお洒落です。

こちらは姫宮居間。
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寄木の床やストライプの壁紙など他の部屋より軽やかな印象を受けます。鏡も大きいし女性向けの内装になっています。

今回の展示では屋上のウインターガーデンに入ることができました。消防法の関係でこの部屋には定員があるので観るのに列に並んで待つ必要があります。
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この部屋は元々は温室だったので、蛇口があったりします。すっきりとした開放的な空間です。

こちらは階段を降りて1階に戻ってきた所にある小食堂
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普段はここで食事していたそうです。あまり広くなく、和風な感じも漂います。

この辺で本館は終了ですが、展示は新館にも続いています。新館では家具や装飾、設計などについて資料と共に展示していました。

こちらは普段は書斎に置いてある机。後ろ側から観られる機会は中々ありませんw
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これもアンリ・ラパンによるもので、円と直線を組み合わせたデザイン性と共に機能性も兼ね備えている見事な机です。

こちらは『イリュストラシオン』1933年5月号
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アンリ・ラパンによる構想図のようです。この近くには架空のフランス大使館の構想図や、「A・プリンスのためのヴィラ」(=朝香宮)という構想図もあり、アンリ・ラパンが如何にプランニングしていたかが伺えました。

こちらはマックス・アングランの「四季」
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前編の大客室などの扉を装飾した画家で工芸家による大きな油彩画です。ユートピア的な光景をモダンな画風で描いていて絵として面白い。

こちらのテーブルは鉄工芸家のレイモン・シュブによるもの。
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マックス・アングランと共に大客室の扉の半円形の部分を手掛けた工芸家です。ここでも側面に緻密な装飾が施されていました。

会場を出て最後に庭園から香水塔の辺りを撮ってみました。
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普段は外から見えないのでちょっとめずらしい光景です。壁や柱で区切られた1枚の絵のように見えて、改めて行き届いた設計に感心します。


ということで、今年は書斎にも入れて満足度高めでした。ここを訪れればアール・デコとは何か?が すぐに理解できるのではないかと思います。何処を観ても洗練されたデザインばかりで、今回の展示はじっくり建物を観る好機となっています。(しかもグルっとパスなら提示だけで入れるのがお得です)



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■2011/9/29
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