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ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展 (感想後編)【Bunkamura ザ・ミュージアム】

今日は前回に引き続きBunkamura ザ・ミュージアムの「建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展」についてです。前半は3章まででしたが、後半は残りの4~7章についてご紹介していこうと思います。

 → 前編はこちら

【展覧名】
 建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展

【公式サイト】
 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_liechtenstein/

【会場】Bunkamura ザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅

【会期】2019/10/12(土)~12/23(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半の方が空いていたようにも思いますが、最後の7章は撮影可能ということもあって順番待ちをしたりして時間がかかりました。後編も引き続き気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
 参考記事:
  リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝 感想前編(国立新美術館)
  リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝 感想後編(国立新美術館)
  ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史 感想前編(国立西洋美術館)
  ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史 感想後編(国立西洋美術館)


<第4章 磁器-西洋と東洋の出会い>
4章は日本や中国から伝わった磁器のコーナーです。ここには磁器そのものに加え、装飾を施した品なども展示されていました。

50 中国・景徳鎮窯 「色絵花唐草文大皿」
こちらは円形の大皿で、一見すると伊万里の金襴手様式に見えますが 中国の景徳鎮窯で伊万里を写した「チャイニーズイマリ」と呼ばれる品です。中央に花瓶に入った花、周りにも花や茎が金や赤で表されていて、豪華な文様となっています。ややゴチャゴチャした感じまで金襴手様式そのものですw 外国人にはこういう派手なのが受けたんでしょうね。

この辺には有田焼や柿右衛門様式の作品もありました。

61 有田窯・金属装飾:イグナーツ・ヨーゼフ・ヴュルト 「青磁色絵鳳凰文金具付蓋物」 ★こちらで観られます
こちらは鳳凰や雲紋の描かれた蓋付きの有田焼の周りに装飾的な金色の金具が杯状に取り付けられた作品です。陶器の蓋の上にはラッパを吹くサテュロスらしき人物像(解説によると森の精シラノス?)が表され、両脇には花のような文様の把手が付けられています。私には要らん装飾をつけたようにしか思えませんが、元々高価な有田をさらにパワーアップさせてゴージャスに見せたような感じです。この時代にヨーロッパに渡った陶器はこうして装飾されることが多いので、当時の美意識なのだと思います。情緒もへったくれもないですねw

この部屋の中央にも大きな磁器を金具で装飾した品がありました。

76 ビンビ(本名:バルトロメオ・デル・ビンボ) 「花と果物の静物とカケス」
こちらはユリ・バラ・カーネーションなどの花と、さくらんぼ・リンゴなどが描かれた大きな静物画です。東洋の磁器なども描かれていて、この時代の富の象徴の1つとなっていそうです。一見すると瑞々しく豪華な雰囲気ですが、大きな鉢は壊れ 花は枯れているものがあるなどヴァニタス画としての側面もあるようです(寓意を含む静物画で、この世の虚しさとそれに対する信仰の永遠性などが暗に示される) 光の反射や質感表現が見事で、目を引く静物でした。


<第5章 ウィーンの磁器製作所>
続いてはウィーンで作られた陶器のコーナーです。1718年に開設されたウィーンの磁器製作所は20世紀初めまでまでの200年ほどの間、リヒテンシュタイン家の夏の離宮に隣接した場所に工房を構えていたそうで、両者は密接な関係があったようです。リヒテンシュタイン家は大規模な注文を行ったり、絵付け師たちにギャラリーの作品を見せて学ばせて製作所に寄与したようです。ここにはそうしたウィーンの磁器製作所で作られた作品が並んでいました。

77 ウィーン窯(デュ・パキエ時代) 「インド文様花鳥文カップと受皿(トランブルーズ)」
こちらはカップと受け皿のセットで、受け皿の中央部分にカップを支えるようなものが付いているのが特徴です。これはベッドで当時貴重だったホットチョコレートを飲むために作られた容器で、傾けても倒れないような作りとなっているようです。こうしたものは「トランブルーズ」と呼ばれ、当時は流行したようです。花模様でピンク色となっていて女性的な華やかさがあるかな。起きて飲めよ!と誰もが突っ込みたくなると思いますが、ギミックも面白い品でした。

この辺はウィーン窯で作られた優美な陶器が並んでいました。東洋の品と違って形自体から西洋的です。

88 ウィーン窯・帝国磁器製作所(ゾルゲンタール時代) 「カウニッツ=リートベルク侯ヴェンツェル・アントンの肖像のある嗅煙草入」 ★こちらで観られます
こちらはピンク色を背景に人物の横顔がカメオのように描かれていて、周りに月桂樹の装飾が描かれた嗅ぎタバコ入れです。色合い的に女性のものかな?? この人物は国務大臣を務めた人物でウィーン芸術アカデミーの後ろ盾でもあったそうです。陶器とは思えないほど精緻な作りで、可愛らしく小ぶりな印象を受けました。

72 ウィーン窯・帝国磁器製作所(ゾルゲンタール時代) 「黒地金彩楼閣唐人物文水差」
こちらは深い赤地に金で東洋風の建物や椰子の木などが描かれたカップとソーサーです。淵は黒地に金となっていて、日本の蒔絵を思わせる色の取り合わせになっています。中国や日本の趣味を取り入れたような面白い品となっていました。


<第6章 風景画>
続いては再び絵画のコーナーです。フランドルやオランダ絵画が特に多かったかな。風景画が並んでいました。

96 ヤン・ブリューゲル(父) 「市場への道」 ★こちらで観られます
こちらはかなり小さめの作品で、崖に立つ大きな木とその近くで休む人たちが描かれています。背景は城や川、遠くの山などが見える見渡しのいい場所となっています。遠くは青みがかっていて空気遠近法を使っているんじゃないかな。小さい画面であるのに関わらずかなり緻密な描写で、雄大かつ伸び伸びとした印象を受けました。

101 サロモン・ファン・ロイスダール 「オランダの河川風景」
こちらは川に浮かぶ船が描かれた作品です。奥には教会、河岸には馬車、手前の小舟では網を張って漁をする様子となっていて、オランダの日常風景を観ている気分になります。全体的にどんよりとしていて、この日の空気まで伝わって来るような臨場感でした。

107 フェルディナンド・ゲオルグ・ヴァルトミュラー 「イシュル近くのヒュッテンエック高原からのハルシュタット湖の眺望」 ★こちらで観られます
こちらは小さめの風景画で、高原の小屋とその周りの人々が描かれています。背景には雄大な山々の連なりや湖が描かれていて、写真以上にリアリティを感じるような表現です。特に緻密な明暗表現が見事で、陽の光や自然の美しさをつぶさにあらわしていて 質感だけでなく情感も豊かでした。


<第7章 花の静物画>
最後は花の静物画のコーナーで、ここは撮影可能となっていました。私も撮影してきたつもりだったのですが、コンデジにSDカードを入れ忘れていたようで、スマフォで撮った数枚だけ残っていましたw 作品名も撮ってなかったので、簡単にいくつかご紹介。

こちらは今回の展示のポスターにもなっている作品
20191103 163401
黒を背景に写真以上にくっきりとした色彩となっています。質感表現の局地ですね。

こちらはオウムがいる静物画
20191103 163414
実際にこんなに花が入るのか分かりませんが、色とりどりの花がぎっしり詰まる様子は絢爛そのもの。配置に流れも感じられます。

こちらは絵皿
20191103 163428
絵皿になっても精密さ・豪華さは変わりません。何を盛り付けたら合うのか気になりますw

こちらはブドウの静物画
20191103 163436
非常に瑞々しくツヤのある描写です。思わずそこにあるのかと思ってしまいそうなリアルさw 

再び花の静物
20191103 163446
これもぎっしりと様々な花を咲かせています。蝶みたいなのもいるかな。
これは分かりませんが、こうした作品の中には季節を超えた取り合わせがあったりします。

最後に花模様のカップ・ソーサーのセット
20191103 163507
金ピカ過ぎて私の趣味ではないですが、これだけ揃うと壮観ですね。


ということで、リヒテンシュタインのコレクションの数々を楽しむことができました。後半は風景画と花の静物画が見どころだったように思います。最後の章は撮影可能なので、観に行く予定の方はスマフォやカメラを持っていくと思い出になると思います。質の高い展覧会でした。



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ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展 (感想前編)【Bunkamura ザ・ミュージアム】

インフルエンザになってしばらくお休みしていました。2週間ほど前に渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで「建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展」を観てきました。充実の内容となっていましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

20191103 163401

【展覧名】
 建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展

【公式サイト】
 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_liechtenstein/

【会場】Bunkamura ザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅

【会期】2019/10/12(土)~12/23(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
多くのお客さんで賑わっていて 場所によっては人だかりもあるくらいでしたが、概ね自分のペースで観ることができました。

さて、この展示はスイスとオーストリアの間にある小豆島くらいの大きさの国「リヒテンシュタイン」の建国300年を記念し、その美術コレクションを紹介する内容となっています。リヒテンシュタインは神聖ローマ帝国の時代に皇帝から自治権を与えられ、神聖ローマ帝国崩壊後は独立した国となりました(連邦国家に入った時期もあったみたいですが再独立して現在に至ります) 歴代のリヒテンシュタイン侯は芸術を庇護したことから小国ながらも美術品のコレクションが充実しているようで、2012年にも大規模な展覧会を日本で開催しました。今回はその時と被ってる作品は少なかったように思うので、コレクションの厚みは相当なものだと思われます。展示はテーマ別に分かれていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
 参考記事:
  リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝 感想前編(国立新美術館)
  リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝 感想後編(国立新美術館)
  ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史 感想前編(国立西洋美術館)
  ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史 感想後編(国立西洋美術館)


<第1章 リヒテンシュタイン侯爵家の歴史と貴族の生活>
まずはリヒテンシュタイン侯爵家の歴史に関する作品のコーナーです。リヒテンシュタイン家は12世紀から歴史の記録に現れ、当初からハプスブルク家と結びついて政治や軍事の面から支配を助けていたようです。カール1世(1569年~1627年)の時代に世襲侯爵位を獲得して貴族の仲間入りを果たすと、以降は権力の拡張を目指していきます。そして1719年(今から300年前)に神聖ローマ皇帝カール6世によってリヒテンシュタイン侯国が承認されました。ここにはそうした歴代のリヒテンシュタイン家の人々を描いた作品などが並んでいました。

2 フランチェスコ・ソリメーナに帰属 「リヒテンシュタイン侯ヨーゼフ・ヴェンツェル1世」 ★こちらで観られます
こちらは黒光りする甲冑を着て、その上から衣を羽織っている侯爵の姿を描いた作品です。武勲の誉れ高い人物だったそうで、傍らには剣が置かれていてそれを示し、目も軍人らしい強い眼差しです。しかし、白い巻毛のかつらを被っているので貴族っぽさのほうが強く感じられるかな。実際の年よりも若く描かせたとのことで、覇気ある雰囲気となってありました。なお、この侯爵はリヒテンシュタイン家のコレクションの相続ルールやコレクション目録を作ったらしいので、長年の方向性を決めた存在とも言えそうです。

この辺は歴代侯爵の肖像などが並びます。

8 フリードリヒ・フォン・アマーリング 「リヒテンシュタイン侯女カロリーネ、1歳半の肖像」
こちらはつぶらな瞳をした1歳半の女の子の肖像です。白い衣を着ていて、キリッとした表情は年齢以上に賢そうな凛々しさです。幼くても貴族らしい雰囲気なので理想化しているのかな? この目力は以前に観たような気がしました。

10 ヨーゼフ・ノイゲバウアー 「リヒテンシュタイン侯フランツ1世、8歳の肖像」 ★こちらで観られます
こちらは今回のポスターにもなっている作品で、長い金髪の8歳の少年が描かれた肖像です。色白で一見すると女性のように思えるのは 慈愛のような優しい目をしているからかな。柔和で賢そうな印象の少年です。まさに貴族の美少年と言ったところですが、晩年は激動の人生だったのだとか。

この辺には音楽や宴に関する作品もありました。また、馬を描いた作品もいくつかあり、リヒテンシュタイン家は馬の繁殖を飼育に力を注いでいたことが紹介されていました。


<第2章 宗教画>
続いては宗教画のコーナーです。ここには聖書や聖人に関するの話を絵画化したものが並んでいました。

18 ジモラモ・フォラボスコ 「ゴリアテの首を持つダヴィデ」
こちらは背中に巨大なゴリアテの生首を担いでいるダヴィデを描いた作品です。ダヴィデはうつむいていて何処かをじっと観ているような静かな表情に見えます。一方、ゴリアテの額からは血が出ていて、ダヴィデの投石機によって倒されたこと想起させます。(ダヴィデの腰にも投石機が描かれています) 明暗が劇的で、暗闇の中から浮かび上がるような雰囲気となっていました。

この辺には東方三博士の礼拝や楽園追放を題材にした作品も並んでいました。

27 ヤン・ブリューゲル(子)、ヘンドリク・ファン・バーレン 「風景の中の聖母子」
こちらは森の中の樹の下で座っているマリアと、その膝の上に乗った赤ん坊のキリストを描いた聖母子像です。近くには洗礼者ヨハネっぽい子供やプットーらしき羽根の生えた子が2人いて、他にもリスや子猿などの姿もあります。一方で背景は長閑な光景が広がっていて、理想郷的な雰囲気もありました。フランドルっぽさを感じる構図の作品です。

28 ルーカス・クラーナハ(父) 「聖エウスタキウス」
これは以前に観たのを覚えていました。古代ローマの騎士であるエウスタキウスが狩りをしにいって鹿をしとめようとしたところ、鹿の頭からキリストの磔刑像が表れたという奇跡を絵画化したものです。画面上に鹿がいて角の間に十字架にかけられたキリストの姿があり、その下では跪いて手を合わせ仰ぎ見る赤い鎧のエウスタキウスがいて、周りには馬や犬たちも描かれています。鹿は堂々たる雰囲気で神秘的な印象を受けるかな。緻密で色鮮やかに表されていて、目の前の光景のような臨場感もありました。なお、エウスタキウスはこの奇跡によってキリスト教に改宗し、後に殉教して列聖されました。

32 シモーネ・カンタリーニ 「少年の洗礼者聖ヨハネ」 ★こちらで観られます
こちらは十字架のついた杖を持ち、羊を抱きかかえるようなポーズの洗礼者ヨハネを描いた作品です。光があたっているような劇的な明暗表現となっていて、これはカラヴァッジョの影響のようです。少年姿で描かれていて、やや不安げな表情をしているかな。羊はキリストの犠牲を暗示しているとのことなので、それを暗に感じ取っているような雰囲気でした。


<第3章 神話画・歴史画>
続いてはギリシャ神話などを描いた作品のコーナーです。ここには絵皿や陶器なども並んでいました。

37 ペーテル・パウル・ルーベンスと工房 「ペルセウスとアンドロメダ」 ★こちらで観られます
こちらは鎧姿のペルセウスが海辺の岩に繋がれたアンドロメダを助けているシーンを描いた作品です。その背後には羽の生えた馬ペガサスや、羽根の生えた子供たち(クピド?)などもいて、左下には小さく退治されて苦悶の表情を浮かべる海獣の姿もあります。甲冑の輝きやアンドロメダの肌ツヤなどが非常に見事な質感となっていて、ルーベンスらしい生き生きとした描写に思えます。うつむいて目を合わせようとしないアンドロメダは困惑している心情を表しているとこのことで、内面までも感じさせる劇的な場面となっていました。

この近くにあったフランチェスコ・マジョットの「バッカスとアリアドネ」も優美な群像となっていました。

36 ヘンドリク・ファン・バーレン 「エウロパの略奪」 ★こちらで観られます
こちらは「エウロパの略奪」を題材にした作品です。赤や青の美しい衣を着た女性たちが並び、その中心に羽根飾りを付けた一際鮮やかな青の服の女性(エウロパ)が描かれ、その傍らには花輪を首にかけた白い牛が描かれています。周りにはプットーや白牛に衣をかけたり花輪を繕う女性もいて一種のパレードのような華やかさがあります。しかし、実はこの白い牛はユピテルの変身した姿で、この後エウロパを背に乗せて略奪していく話となっていて、背景の海辺には小さくそのシーンが描かれています。1つの画面で2つのシーンがそれとなく盛り込まれているのが面白い構図です。色鮮やかで動きもあって見栄えのする作品でした。


ということでまだ今日は本調子でないのでここまでにしようと思います。長年のコレクションだけあって質の高い作品ばかりで、特に3章の神話画は前半の見どころではないかと思います。後半は撮影可能なエリアもあったので、次回は写真も使ってご紹介していこうと思います(コンデジにSDを入れ忘れたためスマフォの画像ですが…w)

 → 後編はこちら




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インフルエンザの為、明日まで休養

インフルエンザA型に罹患してしまいました。
もうだいぶ良くなってきましたが、明日までブログはお休みしようと思います。


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印象派からその先へ-世界に誇る吉野石膏コレクション展 (感想後編)【三菱一号館美術館】

今日は前回に引き続き三菱一号館美術館の「印象派からその先へ-世界に誇る吉野石膏コレクション展」についてです。前編は1章の印象派の前後についてご紹介しましたが、今日はそれ以降のフォーヴやエコール・ド・パリの時代の章についてです。まずは概要のおさらいです。
 
 → 前編はこちら

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【展覧名】
 印象派からその先へ-世界に誇る吉野石膏コレクション展

【公式サイト】
 https://mimt.jp/ygc/

【会場】三菱一号館美術館
【最寄】東京駅/有楽町駅

【会期】2019年10月30日(水)~2020年1月20日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半も引き続き各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<2章 フォーヴから抽象へ ~モダン・アートの諸相~>
2章は色彩が野獣のようだと言われたフォーヴィスム、幾何学的で多面的な作風のキュビスム、平坦な色面などを用いる総合主義、既存の美術に囚われない素朴派など印象派以降の作品が並んでいました。こちらも有名な画家の作品ばかりとなっています。

41 アンリ・マティス 「緑と白のストライプのブラウスを着た読書する若い女」 ★こちらで観られます
こちらは緑と白のストライプの服の女性が額に手を当てて肘をついて読書をしている様子が描かれた作品です。全体的に色鮮やかで、全体的に単純化され背景に装飾的なカーテンが見えています。解説によるとこれはマティスのニース時代の作品のようで、フォーヴィスムを始めた頃に比べて色がぶつかりあうような強さではなく、調和の取れた色彩になっているように思えました。この頃のマティスの作品は本当に素晴らしい。

マティスは他にも「静物、花とコーヒーカップ」という静物(これもニース時代)などもありました。他にフォーヴィスムと交流があったけど穏やかな作風のマルケなども並んでいます。

49 アンリ・ルソー 「工場のある町」 ★こちらで観られます
こちらは煙突のある工場と、その周りの風景を描いた作品です。何故か煙突は手前の木に隠れ気味となっていて、手前は畑が広がり所々に人影らしきものが描かれています。人々はやけに小さくて、家や道ともサイズが合っていないのがルソーらしい素朴さですw 穏やかな光景だけどどこか超現実的な雰囲気を感じる作品でした。

この近くにはボナールの「靴下をはく若い女」もありました。後の妻のマルトを描いた作品です。

51 ジョアン・ミロ 「シウラナ村」
こちらは抽象画で有名なミロが初個展を開いた時の風景画で、当時はフォーヴやセザンヌ的な作風となっていたようです。病気療養したカタルーニャの風景で、家々・丘陵・木々などをちょっとぐにゃぐにゃした感じで強い色彩で描いています。ミロのこうした作風の時代は中々見る機会がないので、これは目新しく感じられました。

39 ジョルジュ・ルオー 「ジョルジュ・ルオー」
こちらは帽子にバラの髪飾りを付け、真珠のネックレスを身につけた目の大きな女性を描いた作品です。太い輪郭で描かれ、パッチリした目が印象的な美人で、唇とバラの赤が目を引きました。宗教的な画題が多い画家だけに少し珍しいようにも思えました。

ルオーはこれを入れて3点ほどありました。その先にはピカソやブラックのキュビスム作品もありました。

55 ワシリー・カンディンスキー 「結びつける緑」 ★こちらで観られます
こちらは円・楕円・三角・四角・線などの幾何学的なモチーフを組み合わせた抽象画です。組み合った部分の色が重なって見えたり、違う色になっていたりと色彩もリズムとバランスが取れていて、どこか宇宙的なものを感じます。解説によると、これはカンディンスキーがバウハウスで教鞭を摂っていた頃の作品とのことでした。カンディンスキーは音楽が好きだったので、絵にも音楽のような軽やかさが感じられると思います。

46 モーリス・ド・ヴラマンク 「大きな花瓶の花」
こちらは花瓶に入った花を描いた縦長の作品です。平坦で大きな筆跡がそのまま残っていて、原色で暗い色と明るい色を使い分けて力強く強烈な色彩となっています。花が迫りくるような雰囲気すらあるかな。まさにフォーヴといった感じの色彩感覚でした。

この辺はヴラマンクの作品があり、「村はずれの橋」という作品ではセザンヌからかなり影響を受けたのがよく分かりました。こうした画風の変遷過程が分かる作品も貴重ですね。
今回は三菱一号館美術館の所蔵品であるルドンの「グラン・ブーケ」も展示されていました。


<3章 エコール・ド・パリ~前衛と伝統のはざまで~>
最後の3章はエコール・ド・パリと呼ばれる主に外国からパリに集まった画家たちの作品が並んでいました。エコール・ド・パリは画風が統一された画派ではなく、それぞれが個性的な作風となっています。吉野石膏のコレクションはその中でも特にシャガールが充実しているようでした。

57 モーリス・ユトリロ 「モンマルトルのミュレ通り」 ★こちらで観られます
こちらはユトリロの中でも特に評価の高い「白の時代」に描かれた作品で、建物の上のほうから通りを見渡すように描いた風景画となっています。長い階段があり、画面上部には白いサクレクール寺院が堂々たる姿で描かれ、当時のモンマルトルの日常風景が目の前に広がるような感じです。どんよりした空がやや寂しく、道の質感などにユトリロの個性が感じられました。解説によると、この通りは今ではユトリロ通りと呼ばれてるようです。

この辺はユトリロの作品が並んでいました。色彩の時代の作品もありました。

59 マリー・ローランサン 「五人の奏者」
こちらは5人の女性の群像で、神話の中の人物のような格好でいずれも白く透き通るような肌をしています。淡く優美な色調で、手を挙げたりして動きのあるポーズをしています。ややメルヘンチックな画風で、ローランサンの特徴がよく現れているように思えました。

62 モイーズ・キスリング 「背中を向けた裸婦」
こちらは裸婦の背中を描いた肖像で、背景はオレンジ色となっています。頭を布で巻いてこちらをチラッと振り返っていて、妖艶な雰囲気に思えるかな。非常に滑らかな肌で背景の色と相まって、温もりまで伝わってくるような描写となっていました。

この近くにはドンゲンの作品もありました。

63 マルク・シャガール 「パイプを持つ男」
こちらはシャガールがパリに出てきた頃の作品で、パイプ(というよりはピストルのように見えるw)を持って首を傾げているような男性像となっています。目の周りが黒かったり割と沈んだ色調で、キュビスム的な印象を受ける画風です。ややぎこちなさも感じられ、荒削りな部分もあるように思えました。

この部屋は10点程度のシャガールの作品が並びます。お馴染みのモチーフが多用され、シャガール独特の世界が広がります。

67 マルク・シャガール 「夢」
こちらは第二次世界大戦でアメリカに亡命していた頃に完成させた作品です。テーブルに座る男性と、街の上に浮かぶウェディングドレスの女性が描かれ、空にはバイオリンを弾く馬や人、空飛ぶ絨毯みたいなものも描かれています。解説によると、これを完成させたのは最愛の妻ベラを亡くした直後だったそうで、そのせいか男性は1人ぽつんと佇んでいるようにも思えます。ウェディングドレスの女性は神々しく、恐らくベラの花嫁姿を回想しているのではないかと思えました。寂しくも美しい夢想の世界です。

72 マルク・シャガール 「グランド・パレード」 ★こちらで観られます
こちらは92歳頃の作品で、サーカスの舞台と客席が描かれ 周りにはヴァイオリンや笛を演奏する人たち、馬、裸婦、ブランコをする人、花束を持って浮かぶ男などの姿が描かれています。赤・緑・青・紫・オレンジといった色彩がブロックごとに分かれているような感じで、不思議と調和して温かみのある雰囲気です。様々な感情が1枚に表されたような晩年とは思えないほど生命感ある作品でした。


ということで、後半も素晴らしいコレクションの数々を観ることができました。本当に有名な画家の作品が多いので、美術に詳しくない方もこの展示を観れば近代以降の西洋絵画の主要な流れを知ることが出来るのではないかと思います。幅広い層にオススメの展示です。



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印象派からその先へ-世界に誇る吉野石膏コレクション展 (感想前編)【三菱一号館美術館】

前回ご紹介したカフェに寄った後、三菱一号館美術館で「印象派からその先へ-世界に誇る吉野石膏コレクション展」を観てきました。メモを多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 印象派からその先へ-世界に誇る吉野石膏コレクション展

【公式サイト】
 https://mimt.jp/ygc/

【会場】三菱一号館美術館
【最寄】東京駅/有楽町駅

【会期】2019年10月30日(水)~2020年1月20日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
多くのお客さんがいて場所によっては人だかりができるような感じでしたが、概ね自分のペースで観ることができました。

さて、この展示は吉野石膏株式会社の西洋画コレクションを一挙に公開する内容で、特に印象派前後の時代の作品が並んでいました。吉野石膏は社内の創造的環境作りを目的に1970年代に日本近代絵画を集め始め、1980年代後半からはフランス絵画の収集に力を入れたようです。1991年には創業の地である山形県の山形美術館に作品を寄託し、以降も寄託を続けています。特にモネとピサロは優品が多く、ルノワールも初期から晩年まで重要作品を所有しているようです。詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<1章 印象派、誕生 ~革新へと向かう絵画~>
まずは印象派を中心としたコーナーです。ここには印象派に先駆けて風景・風俗を描いたバルビゾン派の作品や、印象派に影響を受けたセザンヌ、ゴッホなどまで有名画家の作品ばかりが並んでいました。

1 ジャン=バティスト・カミーユ・コロー 「牧場の休息地、農婦と三頭の雌牛」
こちらはバルビゾン派のコローの作品で、縦長の画面の半分は並木が描かれ、手前の牧草地には3頭の牛たちと杖をついた農婦の姿が描かれています。ややぼんやりした描写はコローらしい叙情的な雰囲気を出していて、のんびりとした理想郷のようにも思えました。

この隣にも晩年のコローの作品がありました。写実的でもあり幻想的でもある作風です。

3 ジャン=フランソワ・ミレー 「群れを連れ帰る羊飼い」
こちらはバルビゾン派のミレーのパステル画です。夕暮れの中でマントと帽子姿の羊飼いが道を歩いていて、傍らには犬、後ろには沢山の羊たちの姿も描かれています。空には三日月があり、全体的にオレンジがかっていることもあって郷愁を誘う風景となっていました。1日の労働の終わりを感じさせる1枚です。

4 ジャン=フランソワ・ミレー 「バター作りの女」 ★こちらで観られます
こちらはミレーが最後にサロンに出品した作品で、ミルクを入れた桶に攪拌棒を入れてバターを作っている農婦が描かれています。足元には猫がすり寄って邪魔してるのが可愛いw また、右の背景には室内の様子をじっと伺う鶏の姿もあって微笑ましい印象を受けます。さらにその背景には向かいの建物や草原のような風景も見えていて、幾重にも空間が重なる構図も面白く思えました。一方、女性は堂々たる雰囲気で、労働讃歌を感じさせる主題です。

29 カミーユ・ピサロ 「ポントワーズの橋」
こちらは印象派のまとめ役だったピサロの作品で、橋の近くから川と川沿いの風景画描かれています。塀の上にもたれて川の様子を観る女性や、数人の人々の姿があり のんびりしているように見えるかな。背景の街は煙突から煙を上げていて工業化しつつある光景のようです。全体的に淡い色彩で優しい雰囲気となっていました。解説によると、これは第4回印象派展の出品作なのだとか。

28 カミーユ・ピサロ 「モンフーコーの冬の池、雪の効果」
こちらもピサロで、友人の画家リュドヴィク・ピエットの所有地だったモンフーコーの池を描いています。雪景色で全体的に青白い色彩となっていて、池で3頭の牛が水を飲み 牛飼いらしき人の姿もあります。中央に二股に分かれた木が大きく描かれているのが大胆な構図で、これは恐らく浮世絵からの影響と思われます。寒々しいけれど寂しいというよりは しんみりとした雰囲気に思えました。

この部屋はピサロの名品が並んでいました。点描を取り入れた時期の作品などもあります。

18 アルフレッド・シスレー 「ロワン川沿いの小屋、夕べ」
こちらは最も印象派らしい印象派と言われたシスレーの晩年(亡くなる3年前)の作品です。やや高い位置から川の流れを描いていて、川は大きくカーブし向かい側にはこんもりした木々が並びます。手前には小さな小屋がいくつかあって、のどかな光景です。明るい色彩で清々しい雰囲気となっていて、穏やかな光が感じられました。晩年まで印象派を貫いたのがよく分かる1枚です。

この部屋はシスレーの作品がいくつかありました。「モレ=シュル=ロワン、朝の光」なども良い作品です。

22 ピエール=オーギュスト・ルノワール 「シュザンヌ・アダン嬢の肖像」
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こちらは今回のポスターにもなっている作品で、写真は休憩室にあった撮影可能な複製画です。この娘は10歳の少女で、ブリジストン美術館が所蔵する「少女」と同じモデルとなっているようです。青い目が印象的で、微笑んでいるようにも見えるかな。ルノワールにしては輪郭がしっかりしていて「アングル様式」と呼んだ新古典主義に回帰した頃の作品のようです。肌の色が透き通るようで子供らしい瑞々しさを感じる一方で、大人のような理知的な雰囲気も持っているように思えました。
 参考記事:ルノワール-伝統と革新 感想前編 (国立新美術館)

26 エドガー・ドガ 「踊り子たち(ピンクと緑)」
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写真は休憩室にあった撮影可能な複製画です。緑の服とピンクのスカートのバレリーナが2人描かれ、背を向けて舞台袖に立っているようです。1人は腰に両手を当てていて、もう1人は舞台を伺いながら手のひらを向けて制止しているように見えます。画面右の方で見切れているのも大胆な構図で、まるでこの場に居合わせたような臨場感と緊張感がありました。ドガらしい要素が詰まった1枚です。

21 ピエール=オーギュスト・ルノワール 「庭で犬を膝にのせて読書する少女」 ★こちらで観られます
こちらは膝に黒い犬を乗せて草むらで読書する少女が描かれた作品です。頬に手を当てて静かな雰囲気となっていて、ドレスは縞模様を流れるような筆致で描いています。これは第1回印象派展が開かれた年の作品のようで、まだ印象派としての画風が強めのように思えました。

この辺はルノワールの作品が並んでいました。肖像画が多めです。

9 クロード・モネ 「サン=ジェルマンの森の中で」
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写真は休憩室にあった撮影可能な複製画です。こちらはトンネルのように木々に囲まれた森の風景で、奥へと続いていて色とりどりの葉っぱが明るく感じられます。筆跡がそのまま残っていて、原色の絵の具を混ぜないで重ねるという印象派の技法が特によく分かる作品じゃないかな。まるで抽象画のようにも思える点も斬新に思えます。

この辺にはモネのロンドンの霧を描いた作品などもありました。

12 クロード・モネ 「睡蓮」
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写真は休憩室にあった撮影可能な複製画です。こちらはモネの代名詞的な水辺の睡蓮を描いた作品です。水面には鏡のように空の雲や周りの木々が写っていて、実景と反射が混じり合った画面となっています。割と具象的な感じが残っていて形がハッキリしているように思えるかな。柔らかく爽やかな色調の作品でした。

34 ポール・セザンヌ 「マルセイユ湾、レスタック近郊のサンタンリ村を望む」
こちらは近代絵画の父とも呼ばれるセザンヌの作品で、海辺の街を描いた風景画となっています。四角形の家々が立ち並び、教会やいくつかの煙突など幾何学的なモチーフが多めかな。平坦で全体的に青みがかった色調となっていて、短い線状の筆致などセザンヌ独特の表現も観られました。

35 フィンセント・ファン・ゴッホ 「雪原で薪を運ぶ人々」
こちらはゴッホがオランダにいた頃(ハーグ派に影響を受けていた頃)の作品で、雪原を4人の農民たちが薪を背負って歩いている様子が描かれています。やや項垂れていて疲れた感じが滲み出ていて労働のきつさが伺えます。背景には大きなオレンジの夕日があるものの、全体的に沈んだ色彩となっていて、人物はずんぐりした感じの描写となっていました。労働への畏敬や自然の厳しさを感じる作品です。

この近くにはマネの肖像画などもありました。


ということで、前半だけでも名品の数々を観ることが出来ました。割と展覧会で見慣れた作品が多いようにも思えますが、それだけ名品揃いだと言えます。これだけまとまって観られる機会は無かったので満足度も高めでした。後半はフォーヴやエコール・ド・パリの作品が並んでいましたので、次回はそれについてご紹介の予定です。



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パパスカフェ 丸の内本店 【丸の内界隈のお店】

前回ご紹介した展示を観た後、三菱一号館美術館の展示を観に行ったのですが その前にすぐ近くのパパスカフェ 丸の内本店でお茶してきました。

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【店名】
 パパスカフェ 丸の内本店

【ジャンル】
 レストラン/カフェ

【公式サイト】
 https://papas.jpn.com/ja/brand/cafe
 食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130102/13023553/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 有楽町駅/東京駅

【近くの美術館】
 三菱一号館美術館

【この日にかかった1人の費用】
 1200円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_③_4_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_③_4_5_名店

【感想】
結構混んでいてほぼ満席となっていました。結構人気のお店なのかも

このお店は三菱一号館美術館の前の交差点を渡った辺りにあり、ビルの1Fにあって目につきやすいので一度入ってみようと思っていました。この日は三菱一号館美術館のCafe 1894が何故か15時半で終わってしまったので、こちらに足を運んでみました。
 参考記事:Cafe 1894 【東京駅界隈のお店】

公式サイトを観ると、カフェ以外にアパレルやフォトスタジオなども手掛ける企業のようで、カフェだけでも8店舗ほど各地にあります。

中はこんな感じ。各テーブルにネームプレートがあって昔は会員制だったようなのかな? 
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パリの下町のカフェを再現したとのことで、外国風の雰囲気となっています、私は奥のソファに座りましたがテーブルちょっと高めなのも外国っぽいw この日はお客さんが多かった為かやけに蒸し暑かったのが難点。

この日はコーヒーとフルーツケーキのセットを頼みました。
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1200円くらいと中々の高級セットです。

まずはフルーツケーキ
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ベリーや洋梨が入っていて、バナナの風味がしたかな。予想以上に甘くてちょっと驚き。

続いてコーヒー
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苦味と深いコクがあり、酸味はあまりなくてどっしりした感じでした。甘いケーキによく合います。


ということで洒落たお店で一息つくことができました。場所柄もあってかこの値段は強気な気がしますが、フランスのカフェの気分を味わえるようにも思います。三菱一号館美術館に近いので、展示を観る前後に寄るにも便利なお店です。



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Surface and Custom 【資生堂ギャラリー】

前回ご紹介した展示を観た後、資生堂ギャラリーで「Surface and Custom ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダ、サーラ・ドゥラート、ピエール・ルギヨン、クララ・リーデン、カリッサ・ロドリゲス、竹岡雄二」という展示を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので写真と共にご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 Surface and Custom
 ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダ、サーラ・ドゥラート、ピエール・ルギヨン、クララ・リーデン、カリッサ・ロドリゲス、竹岡雄二

【公式サイト】
 https://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/index.html

【会場】資生堂ギャラリー
【最寄】銀座駅 新橋駅など

【会期】2019年10月18日(金)~12月22日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_②_3_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することことができました。

さて、この展示はベルリンを拠点に活動する新進気鋭のアーティスト・デュオ「ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダ」が選んだ5名のアーティスト、サーラ・ドゥラート、ピエール・ルギヨン、クララ・リーデン、カリッサ・ロドリゲス、竹岡雄二の作品が並ぶ内容となっています。と言ってもそれぞれ数点程度なので15分くらいで観られる小規模な展示です。ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダは資生堂とも関係が深いようで、資生堂のビジュアルイメージの変遷などを交えた作品もありました。詳しくは写真と共にご紹介していこうと思います。

ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダ 「Moulting」
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こちらは階段付近にあった今回の展示のテーマとなる作品です。1923年~1959年までの資生堂の広告や雑誌から抜粋された80枚のスライドショーで、タイトルは脱皮や羽化を意味するそうです。このスライドではモダンな女性が映され、気品溢れる姿となっていました。

こちらもスライドの1つ
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こちらは銀座の町かな。いくつもの写真をコラージュしたような感じで、サイズがまちまちでミニチュアみたいな印象を受けます。みんな洒落た格好で楽しげな雰囲気です。

こちらもスライドで、花椿の表紙
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カンディンスキーの絵などを彷彿とさせる抽象となっています。躍動感があって生き生きとしたイメージとなっていました。

続いてメインフロアの展示です。

クララ・リーデン 「ライトボックス」
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こちらは部屋の中央に置かれていた4点セットの立体作品。東京の路上で拾った素材で作っているらしく、椅子の足とか標識などをダンボールと組み合わせていました。ちょっと意味は分かりませんが、大量生産品を使っているけど割と手作り感があったように思えました。

竹岡雄二 「マルセル・デュシャン[自転車の車輪] 1913へのオマージュ」
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こちらはマルセル・デュシャンの「自転車の車輪」の台座となった椅子を描いたもの。って、主役の車輪じゃないのかよ!とツッコミたくなりますが、このドローイングでは彫刻における台座の必要性・不必要性についてを考察しているそうです。あの作品は既製品を組み合わせているので、椅子も台座というより作品の一部のように思っていましたが…w 見た目以上に深い意味のある作品です。
 参考記事:マルセル・デュシャンと日本美術 (東京国立博物館 平成館)

竹岡雄二 「オーギュスト・ロダン[青銅時代]」
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こちらもロダンの作品の台座を描いたもの。もはや只の平べったい段差みたいなw ちょっと可笑しく思えますが、彫刻家の中では私が思っている以上に台座の存在の論議は尽きることがないようです。

サーラ・ドゥラート 「ケルン大聖堂」
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こちらはドイツの有名なケルン大聖堂の素描。濃淡のみで荘厳な尖塔を見事に表現しています。日本で言うと鎌倉時代くらいから明治時代くらいまでかけて作ってたとてつもない聖堂だけに装飾も複雑で圧倒的な存在感ですね。

ピエール・ルギヨン 「メリダ絵画(メートル毎の切り売り)」
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こちらは5点ならんでいて、タイトルの通り1mごとに本当に切り売りしているようで、約7万円で買うことができるようですw(しかもどんどん値上がりしていく)今まで23枚売れたのだとか。

アップするとこんな感じ。八女市の絣(かすり)で作られたテキスタイルです。
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作者はメキシコの都市メリダのバーで観た迷彩風の壁に魅了され、それを織物で再現しているようです。パターン化されているように見えるけど1つ1つ微妙に異なる模様らしく、和と洋の融合といった雰囲気です。それにしても今回の展示でも買う人は現れるのかな??

カリッサ・ロドリゲス 「The Maid」
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こちらはシェリー・レヴィーンの彫刻シリーズ「ニューボーン」を搬送している映像が移されていました。アート作品を取り巻く流通などを通して関係者を家族と見なしているとのことですが、ちょっと映像ではそうしたところまでは分からなかったかなw 卵みたいな形の美しい作品が如何に運ばれていくかは中々興味深いものがありました。


ということで、解説があっても中々難解な作品が多かったようにも思えますが、面白い発想の作品もありました。ここは無料で観られますので、銀座に行く機会があったら寄ってみるのもよろしいかと思います。



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日本のアートディレクション展 2019 【ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)】

今日は写真多めです。前回ご紹介した展示を観た後、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)に移動して「日本のアートディレクション展 2019」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 日本のアートディレクション展 2019

【公式サイト】
 http://www.dnp.co.jp/CGI/gallery/schedule/detail.cgi?l=1&t=1&seq=00000741

【会場】ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
【最寄】銀座駅

【会期】2019年10月23日(水)~11月16日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
意外と多くの人で賑わっていて、場所によっては人だかりができるような感じでした。

さて、この展示は日本を代表するアートディレクター79名により構成される「ADC」(正式名称:東京アートディレクターズクラブ)の全員が審査員となって行われる年次の公募展で、日本の広告やグラフィックデザインの先端の動向を反映するアートディレクション賞となっています。今年度は2018年5月から2019年4月までに発表・使用・掲載された約8,500点の中から受賞作品・優秀作品を紹介する内容となっていました。以前に観た日本グラフィックデザイナー協会の展示とはまた別のようですが、割と同じ作品もあったかな。詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。なお、デザイナー等関係者の名前がかなり多いので、今回は作品名だけ記載しておきます。
 参考記事:日本のグラフィックデザイン2019 (東京ミッドタウン・デザインハブ)

「酔独楽のジェネラルグラフィック、パッケージデザイン、環境空間、マーク&ロゴタイプ」
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こちらは白と黒のサイコロを振って 飲む盃の大きさと酒の等級を決めるという体験型の作品。カラフルな盃が洒落ていて、確かに独楽みたいな形に見えるかな。デザインを使った面白いブランド作りに思えました。

「Yohji Yamamoto hommage M.Cubisme/Mon cher Azzedine のブック&エディトリアル」
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こちらはヨウジヤマモト氏のブックレットかな。大胆な構図で高級感ある写真となっていて、服の魅力が伝わってくるようでした。

「Tartine」
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こちらは菓子メーカープレジィールの新ブランド「Tartine(タルティン)」のパッケージ。ポップで可愛らしく心浮き立つような雰囲気があります。平面的でちょっと絵本のような絵柄が親しみやすい

「AUDREY」
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こちらも菓子メーカープレジィール「AUDREY(オードリー)」のパッケージ。こちらもテイストは似てるけど乙女チックな感じがするかな。どっちも食べてみたいものですw

「COMME des GARCONS SEIGEN ONO/日本コロムビアのポスター、ジェネラルグラフィック」
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こちらはADCグランプリ作品。鳥をアップに撮った写真で、特に左から2番目の鳥の顔がインパクト大! 威嚇するようであり叫ぶようであり何かを訴えているように思えました。この写真はポスター以外にCDのジャケットなどにも使われたようで、近くにそうした品も並んでいます。

「AUDIO ARCHITECTURE:音のアークテクチャ展」
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こちらは21_21 DESIGN SIGHTの展示風景を映像で紹介していました。この展示は斬新な映像と音楽が融合して かなり面白かったのでよく覚えていました。
 参考記事:AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展 (21_21 DESIGN SIGHT)

続いて地下の展示。

「デザインあ」
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こちらはNHKの番組「デザインあ」の関連グッズ。「デザインあ展」なども行われ、根強い人気のある番組です。先程の音のアーキテクチャと同じく中村勇吾 氏や佐藤卓 氏、コーネリアスなんかが関わっているので共通するものがあるように思えます。

「JINS Inc.」
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こちらは眼鏡のJINSの紙袋やメガネケースなど。だまし絵のように紐と絵が一体化したデザインで、ポップな雰囲気です。紙袋だけでも一気にオシャレなブランドに思えるんじゃないかなw

「コクヨ」
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こちらはコクヨのグラフィックマーカーで、芯を交換できるパステルみたいな商品です。パステルで絵を描くと結構手についたり 短くなって描きづらくなるので、こうしたプロダクトデザインは確かに描きやすそうです。画材も進化しているんですね。

「イッセイミヤケ」
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こちらは佐藤卓 氏にようポスター。まるで蛸みたいw 他にもクラゲのように見えるポスターもあって発想が面白い。何度観ても傑作だと思います。

「Sense of Humor展」
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こちらも昨年の21_21 DESIGN SIGHTのポスター。割とカオスな展示だったけど、浅葉克己 氏のセンスを感じさせる内容でした。このカエルの玩具も表情豊かで迫ってくるようですねw
 参考記事:ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR  (21_21 DESIGN SIGHT)

「輝く人のSTAR FLYER」
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こちらは動きと表情が面白く感じられました。ジョジョ立ちみたいなw 右の写真にも小さく飛行機が写り込んでいるのが面白い。

「良品計画」
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こちらも絵柄が気に入った作品。直線や三角錐など単純な形のみで自然とキャンプの様子を表していて、ちょっとぼやけた所がノスタルジックな雰囲気もだしているように思えました。それにしても無印のキャンプ場なんてあるんですね。

「東日本旅客鉄道」
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こちらは「行くぜ東北」のポスター。遠近感を圧縮して絵画的な構図に思えるかな。電車に乗ったワクワク感が詰まったような光景です。JRのポスターは詩的でどれも傑作揃い。


ということで、見覚えのある品も多く 入選も納得の優れたデザインばかりとなっていました。商品や広告もデザインによって一層に価値が高まるのが見て取れると思います。ここは無料で観られますので、グラフィックデザインに興味がある方はチェックしてみるとよろしいかと思います。



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Colliu「ディア マイ プリンス―Dear My Plinth―」 【LIXILギャラリー】

今日は写真多めです。前回ご紹介したLIXILギャラリー1の展示を観た後、隣のギャラリー2でクリエイションの未来展 第20回 清水敏男監修 Colliu「ディア マイ プリンス―Dear My Plinth―」を観てきました。こちらも撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 クリエイションの未来展 第20回 清水敏男監修 Colliu「ディア マイ プリンス―Dear My Plinth―」 

【公式サイト】
 https://www.livingculture.lixil/topics/gallery/g2-1910/

【会場】LIXILギャラリー
【最寄】京橋駅(東京)

【会期】2019年10月12日(土)~12月24日(火)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は清水敏男 氏(アートディレクター)、宮田亮平 氏(金工作家)、伊東豊雄 氏(建築家)、隈研吾 氏(建築家)という日本を代表するクリエイター4人を監修者に迎えて3ヶ月毎に行われる現代美術の展示で、今回は女性アーティストでモデルでもあるColliu(コリュ)氏が紹介されていました。Colliu氏は2009年に武蔵野美術大学を卒業して、個展を何度も開催し 六本木アートナイト2015では六本木交差点に作品を展示するなど、現在活躍中のアーティストです。一方では企業広告から雑誌、ファッションショーで活躍するモデルでもあり、多才な方のようです。その作品はドローイングや絵画、立体、インスタレーションなど様々なメディアに渡るようで、普遍的な親しみを感じる作風が特徴となっています。今回の展示では「台座」をテーマにしていて、楽しげな作品が並んでいました。解説と作品名は無かったので、簡単に感想のみを書いていこうと思います。

会場内はこんな感じ。
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1部屋のみですが、明るく爽やかな色彩で楽しげな空間となっています。

こちらは踊る人々を表した作品。
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台座をテーマにということですが、青いカーペットが台座なのかな? それも含めて作品だと思われます。平面的なのも含めてマティスのダンスが飛び出てきたような印象を受けました。動きがあって生き生きしていました。

こちらは赤い円形は背景で、緑の台座に白い瓶が乗っているような作品です。
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こうして写真にすると遠近感が分からなくなるような色面を使ったシンプルさが特徴と言えそうです。この色彩が軽やかでポップに感じられます。

こちらも形態と色彩感覚が好みの作品。
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この単純化にセンスを感じます。やはりマティスやブラックに通じる感性じゃないかな。

会場の隅に謎の人物像がw
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ちょっとトボけた表情をしていて可愛い。

こちらは階段状に台座が並んでいました。
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個々の作品だけでなく空間そのものを表現しているように思えます。この黄色い台座がリズムを生んでいますね。

こちらはもはや作品なのか台座なのか判別できませんw
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白い床にシンプルな赤が美しい。会場自体がモンドリアンの絵のような引き算の美学を感じさせます。

こちらも独特な台座に座っている人物像
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乗っているのは裸婦像かな? キュビスム的な幾何学性があって、昔の巨匠の作品を思い起こさせます。

こちらも台座に乗った立体作品。
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いずれも台座の色と共に調和している感じがあります。ちょっとプリミティブな感じの人物像が特に面白い

こちらも人物像の作品
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青い部分は台座ではなく壁に色が塗ってあります。即興的で自由闊達な雰囲気です。

人物像のアップ
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こちらもキュビスム彫刻のようで平坦でもあるのが面白い。この単純化具合が特にセンスを感じました。


ということで、詳しいことは分かりませんでしたが単純に色や形のリズムが心地よい展示空間となっていました。かなり好みのツボだったので今後も個展があったら観てみたいアーティストです。ここは無料で観ることができるので、京橋・銀座に行く機会があったら ふらっと立ち寄ってみるのもよろしいかと思います。


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椅子の神様 宮本茂紀の仕事 【LIXILギャラリー】

今日は写真多めです。この前の土曜日に京橋のLIXILギャラリーで「椅子の神様 宮本茂紀の仕事」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真と共にご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 椅子の神様 宮本茂紀の仕事

【公式サイト】
 https://www.livingculture.lixil/topics/gallery/g-1906/

【会場】LIXILギャラリー
【最寄】京橋駅(東京)

【会期】2019年09月05日(木)~11月23日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は椅子張り職人で日本初の家具モデラーでもある宮本茂紀 氏の仕事ぶりを紹介するもので、宮本茂紀 氏が携わってきた名作やオリジナルの椅子などが並ぶ内容となっています。名だたるデザイナー・建築家たちの椅子の試作に携わり、製品化を支える家具モデラーとして「やってみなければ、分からない」と開発に挑み デザイナーたちの意向を形にしてきたそうで、彼らの厚い信頼を得ているようです。また、過去には迎賓館や明治村に残された椅子の修復も行ってきたそうで、その経験から得た知識や技術を椅子づくりに活かし、次世代に継承する取り組みも行っているようです。この展示ではそうした活動と共に椅子が並んでいましたので、詳しくは写真を使ってご紹介して参ります。

展示室の中はこんな感じ。
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資料など合わせて35点ということで、じっくり観ても30分程度くらいです。実際に座ることができる椅子もいくつかあります。

宮本茂紀 氏は1953年に15彩で斎藤巳之三郎 氏に弟子入りして椅子の修復からキャリアをスタートさせたそうです。そして1970~80年代にかけてヨーロッパのトップ家具メーカーでの研修中に デザイナーと職人を繋いで製品化を支えるモデラーの姿を目の当たりにして、帰国後に日本でいち早く家具モデラーと名乗り その道を切り開いてきたのだとか。

デザイン:佐藤卓 「SPRING」「同試作」
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佐藤卓 氏が初めて手掛けた椅子だそうで、シンプルなデザインの中に天然素材とコイルスプリングを使っているようです。中身を観ると外側だけでは分からない苦労もありそうですね。釘を一本も使わない日本の木組みの技術が使われているのだとか。

「宮本茂紀の椅子スケッチ集(雑誌『室内』での連載原画)」
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こちらは1995年当時の山形新幹線のシートのスケッチ。その乗り心地の悪さに驚いてシートの中身を調べて、その顛末を雑誌の連載に乗せたそうです。その結果、秋田新幹線や寝台特急カシオペアのシート開発の顧問などを手掛けるようになったのだとか。山形新幹線が乗り心地悪いのは椅子だけのせいでは無いとは思いますが…w 椅子への熱意を感じるエピソードでした。

デザイン:ザハ・ハディド・アーキテクツ 「Fluffy Chair(試作)」
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こちらは札幌のイタリアンレストランの内装を手掛けたザハ・ハディド氏がデザインした椅子の試作。尖った金属とモコモコの素材の相反する感じが斬新です。宮本茂紀 氏はデザインに忠実に作りつつ角を丸く滑らかにすることで安全性を確保したそうです。細かい気配りがプロならではの視点ですね。

デザイン:梅田正徳「月苑」
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こちらは桔梗をモチーフにした椅子。赤が印象的で滑らかなフォルムをしています。

横から見るとこんな感じ
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よくこれでバランスが取れるなと驚きますw 宮本茂紀 氏は本物の花のように先端に向かって厚さを薄くする構造で表現しつつ強度や座り心地を追求したようです。これはデザインを実現するのは大変そうなのが一目で分かりました。
なお、イタリア研修時代の宮本茂紀 氏はエットレ・ソットサスの右腕として活躍していたそうで、その頃に梅田正徳 氏と知り合ったようです。
 参考記事:倉俣史朗とエットレ・ソットサス (21_21 DESIGN SIGHT)

デザイン:黒川雅之「ZO」
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こちらは写真のみの展示で、象に似ているのでZOという名前になったそうです。太い足を如何に軽くするかが課題になり紙管を使っていたようですが、20年以上経って経年劣化することが分かり現在はブナベニアが使用されているのだとか。一回作って終わりじゃないんですね。見た目の可愛さからは想像もできない素材への挑戦があった作品です。

「竹塗蒔絵小椅子」
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こちらは華族会館(旧鹿鳴館)で使われていた椅子で、竹製に見えるけど木で節を作って蒔絵で竹っぽくしているようです。恐らく戦後にGHQがそこにペンキを塗ったと思われますが、宮本茂紀 氏はそれを落として修復したそうです。クッション材も当時の技法でないものが詰められていたらしいので、以前は雑な修復を受けていたのかも。宮本茂紀 氏は椅子を作るだけでなく修復に関しても高い技術を持ち、先人の椅子づくりへの敬意を持っていることを感じさせるエピソードです。

こちらは宮本茂紀 氏の会社の職人に各時代の椅子のクッションの構造の変遷を教えるために作った椅子。実際に座ることができます。
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左:1870年頃の椅子で、やけにフカフカして座ってて逆に疲れそうな感じ
中:1950年頃の椅子で、ちょっと硬いかな。悪くないけど長く座ってたら腰が痛くなりそう
右:2000年頃の椅子で、適度に柔らかくて馴染みのある座り心地。しかしへたりやすくて長年の使用に耐えられないのだとか。
クッション材が違うだけでまるで座り心地が違うのがよく分かって、これは後進育成にも効果的でしょうね。

デザイン:宮本茂紀 「Mychair」
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こちらも実際に座ることができました。安定した座り心地を目指したとのことで、人の身長によってサイズが異なる4種類あるそうです。これは170cmの人向けということでしたが180cmの私でも十分に快適で、特に背もたれが心地よかったです。長く座ってると寝そうw

デザイン:宮本茂紀 「BOSCO」
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こちらはイタリア語で森を意味する名前の椅子です。背もたれの優美なカーブが特徴で、隣には木取りの見本もありました。これはブナのようですが、1974年から今に至るまでに200種を超える樹種で作られたのだとか。

こちらのタイトルは失念。Mプロジェクトという美大生を対象に開かれた実験的な開発企画で生まれた作品
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学生が1年がかりで研究・開発を行うそうで、費用はすべて宮本茂紀 氏が持つという太っ腹なプロジェクトのようです。 学生だからこその冒険をして欲しいという考えもあったようで、現在活躍しているデザイナーを多く輩出したのだとか。これはかなり大胆なデザインで先進的に思えますが、クラシックのリデザインなどのテーマも多いようです。

他にも「家具塾」という活動なども主催されているようで、後進育成にも力を注いでいるのが伺えました。

最後に椅子作りをしている映像もありました。
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先程の「SPRING」を作っているようです。椅子はデザイナーだけでなく、モデラーの存在も大きいのがよく分かりました。


ということで、今まであまり意識していなかったモデラーの仕事ぶりを知ることができました。優れたデザインを実現させているのは宮本茂紀 氏のような椅子や素材を知り尽くした人のおかげですね。椅子好きの方には特に面白い展示だと思います。



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