関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

記憶の珍味 諏訪綾子展 Taste of Reminiscence Delicacies from Nature 【資生堂ギャラリー】

先週の土曜日に銀座の資生堂ギャラリーで「記憶の珍味 諏訪綾子展 Taste of Reminiscence Delicacies from Nature」を観てきました。この展示は撮影可能となっていました写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 記憶の珍味 諏訪綾子展 Taste of Reminiscence Delicacies from Nature

【公式サイト】
 https://gallery.shiseido.com/jp/exhibition/

【会場】資生堂ギャラリー
【最寄】銀座駅 新橋駅など

【会期】2020年1月18日(土)~3月22日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_②_3_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は世界的に展覧会を開催して注目を集める諏訪綾子 氏という食を表現媒体としたフードアーティストの個展となっています。タイトルにある通り自然物の味を試すことができる体験型の作品もあるようでしたが、私が行った時は予定人数を超えていたため実際に味わうことはできませんでした。しかし、その匂いを嗅ぐコーナーがあり、それは体験できましたので写真と共にご紹介していこうと思います。

会場の様子はこんな感じ
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中央にテーブルがあり、周りにいくつかの匂いを嗅ぐサンプルが置かれています。

中央のテーブルでは週に1度「記憶の珍味をあじわうリチュアル」というイベントが開催されるようです。
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諏訪氏本人と観客でできたての「記憶の珍味」を味わうそうで、資生堂ギャラリーのイベント情報で告知しています。現在判明しているところでは2020年2月6日(木)の14:30からと17:00から行われるようです。(既に参加者は定員に達したので受付は終了しているようです。観覧は可能なようです)

「記憶の珍味」のあじわい方は、いくつか並んでいる「ある記憶の匂い」を嗅いで、鑑賞者が自分の記憶を一番鮮やかに呼び覚まされたものを1つ選び、それを味わうそうです。味わうことは出来ませんでしたが、とりあえず匂いを嗅ぐことにしました。

こちらは炭の欠片みたいなもの
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焼け焦げた匂いがしたかな。この風味のものを食べるの?とちょっと衝撃ですw とは言え、まだこれは序の口

こちらは見た目はライチみたいな感じだけどちょっとカビてるような…
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甘い香水のような匂いがしました。まあこれはまだ食べられるかも??

こちらは何だかよく分からず。
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こちらもウッディな香水みたいな香りに思えたかな。

こちらも謎の物体。
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これはお香のような匂いだったかな(沈香?) ちょっと苦い香りだけど記憶を呼び起こすのはこれかも

そして一番強烈だったのはこちら。何かの毛のような物体
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動物園の匂いを凝縮したような獣臭というか、ムワッとくる刺激臭がしましたw これを食べたら卒倒しそうw


ということで、かなり攻めたラインナップだったので体験できたかったのが吉に出たような気がしますw 匂いによって色々と連想することが出来ただけでも ある程度意図が汲めたように思えます。今後も活躍が期待される方ですが、その度にこの展示を思い出しそうですw


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RESTAURANT salon(レストラン サロン) 【東京都美術館のお店】

前々回・前回とご紹介した展示を観る前に、同じ東京都美術館の中にあるRESTAURANT salon(レストラン サロン)というお店でお昼を摂りました。

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【店名】
 RESTAURANT salon(レストラン サロン)

【ジャンル】
 レストラン

【公式サイト】
 https://www.seiyoken.co.jp/restaurant/tobikan/salon.html
 食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13209040/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 上野駅

【近くの美術館】
 東京都美術館(館内)
 東京国立博物館
 国立科学博物館
 国立西洋美術館
 東京藝術大学大学美術館
 黒田記念館
 上野の森美術館
 東京文化会館
 上野動物園
  など

【この日にかかった1人の費用】
 3500円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(日曜日13時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
遅めの昼食だったこともあってそれほど混んでいませんでした。

さて、このお店は2017年4月1日に東京都美術館の1階の奥(図書館の辺り)にオープンしたお店で、精養軒の系列店のようです。2012年のリニューアル以降、5年ほどはIVORY(アイボリー)というローストビーフの美味しいお店があったのですが、そこが閉店してこのお店となりました。(愛用してたので閉店は結構ショックでした) 基本的にコースメニューが中心で、3000~4000円くらいが相場となっています。今回はお店が変わってから初めて入ってみました。
 参考記事:IVORY(アイボリー) 【上野界隈のお店】

お店の中はこんな感じ。
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アイボリーの頃から大きく変わった感じはなく高級感ある店内です。

この日、私は貴婦人のランチ(3300円)にデザート(+300円)を頼みました。このランチコースの内容は恐らく日によって変わると思われます。奥さんはプリフィックスメニューからメインで鴨のローストオレンジソースを選び、2品くらい追加していました。プリフィックスメニューは追加するごとに料金が変わるシステムです。

こちらは奥さんが頼んだワイン。
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香りがよく飲みやすいとのことでした。これはプリフィックスメニューで追加したものだったかな。

こちらはオニオンスープ
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オニオンスープは塩っぱいイメージがありますが、これは優しい味付けで素材の味が出ていました。

こちらは奥さんの頼んでいた前菜盛り合わせ
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彩りも綺麗で美味しそうです。自分もこれにすれば良かったかもw

こちらも奥さんの頼んでいた鴨のローストオレンジソース。これは少し貰いました。
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鴨の風味と結構オレンジの味がするやや甘めのソースの組み合わせが本格的で美味しかったです。よく観るメニューですが、肉に甘いソースって発想が凄いw

こちらは私の頼んだセットのメイン。
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「ハタのポワレと牡蠣のムニエル シブレット入り白ワインソース」と「イベリコ豚ベジョータ ロースのソテー ノルマンド風」でした。特に牡蠣が食べたかったw いずれもソースが凝っていて、素材自体の味も臭みがなく美味しかったです。

と、やや量は少なめですがどれも美味しい。この他にパンもついています。

こちらはデザート
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この緑のやつが変わった味だった気がしますが、忘れましたw コーヒーも美味しかったけど、いずれもあまり覚えていないので飛び抜けて美味しいという程でも無かったかな。


ということで、ちょっと贅沢なランチを楽しんできました。美術館の中にあるので、展示を観る前後に気分を盛り上げてくれそうなお店です。高級感もあるので、デートなどにも良いかもしれません。



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ハマスホイとデンマーク絵画 (感想後編)【東京都美術館】

今日は前回に引き続き東京都美術館の「ハマスホイとデンマーク絵画」についてです。前編は1~2章についてご紹介しましたが、後編は残りの3~4章についてです。まずは概要のおさらいです。

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 ハマスホイとデンマーク絵画

【公式サイト】
 https://artexhibition.jp/denmark2020/
 https://www.tobikan.jp/exhibition/2019_hammershoi.html

【会場】東京都美術館
【最寄】上野駅

【会期】2020年1月21日(火)~3月26日(木)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半も前半同様に自分のペースで鑑賞することができました。引き続き気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<3 19世紀末のデンマーク絵画─国際化と室内画の隆盛>
3章は19世紀末の頃のデンマーク絵画のコーナーです。1870年代半ばまで王立美術アカデミーでは愛国主義的な価値観の指導が行われていましたが、旧態然としたアカデミーに対する反発が強まり官展に対抗した独立展が組織されたそうです。1893年にはゴッホとゴーギャンの作品を展示するなど外国の最新の動向を紹介し、デンマーク美術の国際化に大きな役割を果たしていきます。また、1880年以降のコペンハーゲンでは画家の自宅の室内を主題とするのが人気を博したそうで、幸福な家庭のイメージが特徴となったようです。やがて20世紀が近づくにつれ無人の室内のように物語性が希薄になり 居間や寝室を美的空間として捉えて 洗練された色彩やモチーフの配置などの統合を追求するようになっていったようです。ここにはそうした時代の作品が並んでいました。

33 クレスチャン・モアイェ=ピーダスン 「花咲く桃の木、アルル」
こちらはゴッホとイーゼルを並べて描いたのではないかと考えられている作品です。この画家はアルルでゴッホに出会い刺激を受けたそうで、この絵ではゴッホの「桃の木(マウフェの思い出に)」と非常によく似た構図で桃の木が描かれています。ピンクの花を咲かせていて、地面も柔らかいピンク色になっています。全体的に淡く優しい色彩なのでゴッホとは趣きが違うようにも思えますが、解説によると輝くような明るさと洗練された色彩はゴッホとの出会いの成果とのことでした。最初はゴッホは頭がおかしいのでは?と思ったという記述も残っているそうで、そう思ったのも仕方ないのかも。

36 ユーリウス・ポウルスン 「夕暮れ」
こちらは夕焼けを背景に草原に立つ2本の大きな木が描かれています。手前では人が寝そべっていて、全体的にぼんやりした画面でピントがずれた写真みたいな印象を受けます。近くで見ると筆致が大胆で、印象派的なものもあるかもしれません。地平線のグラデーションが郷愁を誘う作品でした。

この隣にあったヨハン・ローゼの「夜の波止場、ホールン」という作品も静かで叙情的な雰囲気で好みでした。

40 ヴィゴ・ヨハンスン 「きよしこの夜」 ★こちらで観られます
こちらは暗い室内の中、蝋燭に火の灯ったクリスマスツリーを囲って手を繋ぐ女性と子供たちが描かれています。歌って踊っているようで楽しそうな表情を受けべていて、ささやかな幸せを感じさせる光景です。明暗は強いものの、柔らかい階調となっていて神秘的な明るさを感じます。こうした心地よさや癒やしを「ヒュゲ」と呼ぶそうで、この頃 多くの人が求めていたようです。ちなみにクリスマスにツリーを囲う風習は今でもデンマークに残っているそうで、ヒュゲという概念も健在です。

45 ピーダ・イルステズ 「ピアノに向かう少女」 ★こちらで観られます
この画家はハマスホイの妻の兄で、室内でピアノに向かう少女の後ろ姿を描いた作品です。全体的に明るい色彩で柔らかい光に包まれているように感じます。女の子は椅子に座っていて、足が地面に届いていないのが可愛らしい。解説によると、ピーダ・イルステズはオランダ室内画に影響を受けたそうです。隣にあった「縫物をする少女」(★こちらで観られます)もどこかフェルメールの作品を彷彿とさせる画面となっていて、静謐さと穏やかさが感じられました。
ハマスホイの姻戚関係だけあって、後ろ姿を描いているのは偶然ではないでしょうね。この画家は子供がよく登場するのが特徴かもしれません。

47 カール・ホルスーウ 「読書する少女のいる室内」
こちらは室内の窓辺で読書している少女を描いた作品です。周りには洗練された家具や調度品、絵画などに囲まれていて モダンな印象を受けます。そうした家具などに水平・垂直の線が多用されているので幾何学的なリズム感すら感じられました。

こうして同時代の画家たちを観ていると、ハマスホイもこの流れを汲んでいるのが分かるように思えます。部屋の中の後ろ姿の人物を描いた作品もいくつかありました。


<4 ヴィルヘルム・ハマスホイ─首都の静寂の中で>
最後は今回の主役のハマスホイについてのコーナーです。ヴィルヘルム・ハマスホイはコペンハーゲンに生まれ、この街で画家になり歴史の降り積もった建物や旧市街に建つ古いアパートの室内を繰り返し描きました。ピーザ・スィヴェリーン・クロイアに師事し21歳でデビューしたものの当時は不評だったそうですが、クロイアは高く評価していたようで 理解は出来ないが優れた画家になると言っていたようです。ハマスホイは初期には肖像や人物、風景に取り組んでいたようで、室内画を初めて描いたのは1888年頃だったようです。そして1890年代半ばからは室内画が徐々に主要な地位になり、1889年に移り住んだアパートを描いた一連の作品で名声を獲得しました。それ以降、この世を去るまでコペンハーゲンの異なるアパートに住みながら古い室内を描き続けていくことになります。ここにはそうしたハマスホイの作品と共にハマスホイが描く室内を再現したような扉と窓が設置されてムードを盛り上げていました。

56 ヴィルヘルム・ハマスホイ 「自画像」
こちらは斜め向きの自画像で、全体的に沈んだ色調となっています。黒い服に黒い髪で、かなり地味めな感じかなw 表情も静かでちょっと神秘的ですらありました。
この隣には古代のレリーフを模写した作品などもありました。アカデミーで学んだ際にギリシャのレリーフを模写したもののようです。

その先には肖像画もありました。やはり暗い色調でやや荒目の筆致です。これは確かに個性を理解されるには時間がかかりそうw

52 ヴィルヘルム・ハマスホイ 「夏の夜、ティスヴィレ」
こちらは草原に建つ2軒の家を描いた作品です。画面の3/4くらいは淡い空で、白夜なのかもしれません。海らしきものも見える光景で、寂しげで静かで人っ子一人いません。風景画においても まるで時間が止まったような静寂となっていました。

54 ヴィルヘルム・ハマスホイ 「古いストーブのある室内」
こちらは初めて描いた室内画です。ドアの開いた白い壁の室内に、古いストーブだけ置かれていて空き部屋のような雰囲気です。奥から光が差し込む様子が柔らかく表現されていて、寂しさと温かみの両面が感じられます。シンプルな構図も面白く、不思議な魅力がありました。

63 ヴィルヘルム・ハマスホイ 「三人の若い女性」
こちらはハマスホイゆかりの3人の女性を描いた作品で、左から順に 椅子に座る義理の兄の妻インゲボー、ハマスホイの妻イーダ、本を読むハマスホイの妹アナとなっています。割と密集しているけどお互いに関心がなさそうで、それぞれ独立した肖像のようにも思えます。全体的にくすんだ色彩となっていて、ややシュールさを感じるほどに静かでした。解説によると、敬愛したホイッスラーの画風に似ていると言われているのだとか。

70 ヴィルヘルム・ハマスホイ 「室内」 ★こちらで観られます
こちらは手前に白いクロスのテーブル、その奥に黒い服の奥さんの後ろ姿が描かれた作品です。傍らには楕円の鏡と黒い机が置かれていて、全体的に白~黒のモノクロームの色調となっています。窓からは光が差し 繊細な明暗で表されていますが、温かみよりも静けさが漂っています。室内+奥さんの後ろ姿 はハマスホイの代表的なモチーフの組み合わせのように思いました。

69 ヴィルヘルム・ハマスホイ 「若いブナの森、フレズレクスヴェアク」
こちらはやや斜面状の森の中に木々が立ち並ぶ様子が描かれた作品です。これまた抑えがちな色彩で、空は白っぽく曇りがちで 周りに動物の姿は無く時間が止まったような光景です。解説によると、ハマスホイは自然の中でイーゼルを立てて描いていたようですが、この絵では自然観察と言うよりは記憶の中の風景を描いているのではないかとのことでした。何を描いても静寂が漂ってくるのが面白い個性です。

この隣にあった「ライラの風景」も風景画で、珍しく明るい色彩に思えましたが それでも静かでシュールさすら感じる画面でした。この辺はそうした風景画が並んでいます。

75 ヴィルヘルム・ハマスホイ 「ロンドン、モンタギュー・ストリート」
こちらはロンドンの大英博物館の近くを描いた作品です。霧がかった中、整然とした町並みとなっていて人の姿は1人もありません。全体的に白みがかっていて、早朝を思わせるかな。外国の街を描いたのは珍しいようですが、紛れもなくハマスホイらしさが伺えましたw

73 ヴィルヘルム・ハマスホイ 「背を向けた若い女性のいる室内」 ★こちらで観られます
こちらは壁に向いている黒い服の奥さん?の後ろ姿を描いた作品です。脇には銀のトレイを抱え、前にある閉じたピアノには染め付けのようなパンチボウルが置かれてます。また、壁の左上には飾られていて、画面内に水平・垂直の多いスッキリとした構図となっています。女性はやや右下に視線を向けていて表情は見えず、謎めいた雰囲気となっていました。どれも写実的なのに超現実的に思えてしまうw

この近くにはこの作品に出てくるパンチボウルや奥さんが持っていたトレイなども展示していました。ボウルは割れて鎹で接いでいるため蓋が少し開いているようで、絵でもそれが確認できるようでした。

この隣には国立西洋美術館の「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」もありました。
 参考記事:国立西洋美術館の案内 (常設 2009年10月)

76 ヴィルヘルム・ハマスホイ 「イーダ・ハマスホイの肖像」
こちらは奥さんが38歳頃の肖像です。コーヒーカップにスプーンを入れて左の方に視線を向けていて、顔や手が緑がかっているのがちょっと不気味。この前の年に手術を受けたそうで、顔色が悪いのかも知れませんが異様な感じを受けます。解説によると、目の隈や血管の浮き上がりなど細部に渡ってありのままを描いているようで、愛情と感謝を表しているとのことでした。って そうは思えないなあw

77 ヴィルヘルム・ハマスホイ 「聖ペテロ聖堂」 ★こちらで観られます
こちらは教会の尖塔と屋根の部分を描いた縦長の大型作品です。コペンハーゲンの歴史的建造物らしくオレンジの屋根が重厚な印象ですが、やはり全体的に白い霧のようなものが漂い、手前には枯れ木が立っているなど静かな画面です。むしろ廃墟感すらあるw これはクレステン・クプゲがよく描いた主題だそうで、ハマスホイはクプゲを最も敬愛していたようです。それでもハマスホイらしさがよく表れていて個性を感じました。

この辺は建物を描いた作品が並んでいました。

80 ヴィルヘルム・ハマスホイ 「室内─開いた扉、ストランゲーゼ30番地」 ★こちらで観られます
こちらは10年住んだ家の食堂から続く部屋の眺めを描いた作品です。白い扉が2つ並ぶように開け放たれていて、構図にリズムが感じられます。部屋の中はガランとしていて空き家か廃墟のようにも思えます。扉の上部が妙に歪んでいて奇妙な印象ですが、これはカンヴァスが引き延ばされて歪んでしまったようです。床にはシミがあり、生活の痕跡を残しているかな。日本の侘び寂びにも似た感覚を覚えました。

この近くの「カード・テーブルと鉢植えのある室内、ブレズゲーゼ25番地」は温かみを感じる作品でした。
ハマスホイは没後しばらく忘れ去られ、1980年代にようやく再評価されたようです。この いぶし銀のような味わいを発見した人は凄いw


ということで、ハマスホイとデンマークの絵画を楽しむことが出来ました。思ったよりハマスホイの割合が少なかったものの、周辺画家の作品を観ることでハマスホイも一連の流れを受けた作風であることが理解できたように思います。独特の魅力が記憶に残る画家ですので、洋画好きの方にオススメの展示です。


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ハマスホイとデンマーク絵画 (感想前編)【東京都美術館】

先週の日曜日に上野の東京都美術館で「ハマスホイとデンマーク絵画」を観てきました。見どころが多くメモを多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 ハマスホイとデンマーク絵画

【公式サイト】
 https://artexhibition.jp/denmark2020/
 https://www.tobikan.jp/exhibition/2019_hammershoi.html

【会場】東京都美術館
【最寄】上野駅

【会期】2020年1月21日(火)~3月26日(木)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構多くのお客さんがいましたが、概ね自分のペースで観ることができました。

さて、この展示はデンマークの画家で「北欧のフェルメール」とも称される画家ヴィルヘルム・ハマスホイと、その前後の時代のデンマークの画家たちについて取り上げた内容となっています。2008年9月に国立西洋美術館で「ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情」が開催された際(当時は当ブログはありませんでした)、多くの美術ファンを魅了し その個性が強く記憶に残りました。今回は個展という感じではありませんが、再びその一風変わった作品の数々が観られる機会となっています。展覧会の前半はハマスホイ以前のデンマークの絵画の流れ、最後辺りにハマスホイのコーナーといった構成となっていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
なお、国立西洋美術館では「ヴィルヘルム・ハンマースホイ」の表記ですが、この展示では「ヴィルヘルム・ハマスホイ」の表記となっています。どちらが現地の発音に近いのか分かりませんが、他の画家も同じような表記の違いがあったりします。


<1 日常礼賛─デンマーク絵画の黄金期>
まずはハマスホイ以前のデンマーク絵画の黄金期についてのコーナーです。1800年~1864年までのデンマーク絵画は黄金期と呼ばれ、特に1820年前後から1850年頃まではかつてないほど多くの芸術家が現れたようです。この時代に活躍したのは1818年に王立美術アカデミーの教授になったクリストファ・ヴィルヘルム・エガスベアの弟子の世代の画家たちで、デンマークの風景に価値観を見出し、肖像画では打ち解けた飾り気のない描写へと移っていったようです。また、注文主も王侯貴族から市民階級へと変わっていったようで、ここにはそうした時代の作品が並んでいました。

13 クレステン・クプゲ 「フレズレクスボー城の棟─湖と町、森を望む風景」
こちらは正方形に近い形の大型作品です。北欧で最も美しいと言われる城の上から川の対岸を見渡す風景画で、画面の2/3くらいは空が広がっています。変わっているのが下の1/3くらいの画面で、ここには城の屋根と尖塔・煙突が視界を遮るような面白い構図となっています。こういう構図を観ると浮世絵っぽいように思うけど、時代的にはまだジャポニスムって訳でもないかも。色彩は穏やかで、静けさを感じました。

この辺は1830年頃の画家の作品が並んでいました。クレステン・クプゲはデンマーク絵画黄金期を代表する画家で、ハマスホイも敬愛してクプゲの作品をコレクションしていたのだとか。戸外制作した作品や身近な画題の作品が並んでいます。

8 コンスタンティーン・ハンスン 「果物籠を持つ少女」 ★こちらで観られます
こちらは大きな帽子をかぶり果物籠を持つ少女が描かれた作品です。やや上目遣いでこちらを観ていて、可愛いけどちょっと大人びて見えるかな。この作品も落ち着いた色調で色数も少なめとなっているので、デンマーク絵画の特徴なのかもしれません。解説によると、この画家も黄金期の代表的な画家だそうで、ハマスホイも後に作品を所有したそうです。こうして観ていくとハマスホイの作風も突然生まれた訳でなく、デンマーク絵画の系譜に連なっているのが分かる気がしました。

15 ヨハン・トマス・ロンビュー 「シェラン島、ロズスコウの小作地」
こちらはシェイクスピアの『ハムレット』の舞台となった城がある島の風景画です。牛の後ろ姿があり、近くに農家と黄金色に染まる穂が並んでいる長閑な光景となっています。農家の上にはツバメが軽やかに舞っているなど、何処か温かみが感じられます。解説によると、スケッチの段階では牛やツバメはおらず、岩なども追加されているようで 自然のありのままというよりは理想化された光景のようです。全体的に明るく、黄色がかった画面が穏やかで懐かしいような素朴さがありました。

この辺にはこの作品のようにデンマークらしい光景を描いた風景画がいくつかありました。当時ナショナルロマン主義という愛国的な風景画が流行ったのだとか。近代化する前に残したいと思うのは何処も同じかもしれませんね。


<2 スケーイン派と北欧の光>
続いてはデンマークの芸術村とも言えるスケーイン派についてです。(2017~2018年頃に日本とデンマークの外交樹立150周年でいくつか展示が行われた際には「スケーエン派」という表記でした) 1840年代のデンマークではナショナリズムが高まり、美術でもデンマーク固有の風景や伝統的な風習を残す人々の生活を描くのが推奨されたようです。そして1840年代以降 画家たちは未開の地同然のユラン半島へと足を伸ばすようになり、1870年代初頭にユラン半島北端の漁師町スケーインを「発見」しました。画家たちはプリミティブでヒロイックな漁師の労働に魅了され、1880年代には多くの芸術家が国境を超えて集まり、スケーイン派と呼ばれるようになっていったようです。やがて画家たちの関心は徐々にスケーイン特有の光の描写と画家同士の交流へと移って行き、フランスの印象派を始めとした外国の動向を取り入れた革新的なものとなったようです。ここにはそうしたスケーイン派の作品が並んでいました。
 参考記事:
  スケーエン:デンマークの芸術家村 (国立西洋美術館)
  デンマーク・デザイン (横須賀美術館)

23 オスカル・ビュルク 「スケーインの海に漕ぎ出すボート」
こちらは大型作品で、3人の男たちが木製のボートを浜辺で引っ張り、1人がオールで漕いでいる様子が描かれています。明暗が強く非常にドラマチックで力強い雰囲気となっていて、ここまで観てきた穏やかな黄金期の気質とは異なる方向性に思えます。海の飛沫は絵の具が盛り上がっていて、飛び散る感じがよく表れています。また、海や浜の筆致は荒くて印象派のような感じに思えました。

19 ミケール・アンガ 「ボートを漕ぎ出す漁師たち」 ★こちらで観られます
この画家は恐らく西洋美術館ではミカエル・アンカーと表記されていた人かな。大型作品で、たくさんの漁師が海難救助の為にボートを荒れた海へと押し出している様子が描かれています。力を入れている姿が逞しく、暗めの色調が労働者たちの貧しさと気骨を表しているように思えます。群像がみんな左向きになっているのでそちらに海が広がり難破船がいるのかもしれません。 画面外の奥行きも感じられました。

このミケール・アンガはスケーイン派の中心人物で、奥さんのアナ・アンガの作品も近くに展示されていました。また、ムンクを指導したことで知られるノルウェーの画家クリスティアン・クローグの作品などもありました。

25 ヴィゴ・ヨハンスン 「9月の夕暮れ、スケーイン」
この画家は西洋美術館だとヴィゴー・ヨハンセンの表記かな。草原で草を食む羊たちが描かれた風景画となっています。タイトルでは9月の夕暮れとありますが、空は青白く 日本の夕暮れとはちょっと雰囲気が違います。落ち着いた色調で印象派のような筆致となっているのが面白く、モネに影響を受けたようです。穏やかで心安らぐ作品でした。

31 ピーザ・スィヴェリーン・クロイア 「スケーイン南海岸の夏の夕べ、アナ・アンガとマリーイ・クロイア」 ★こちらで観られます
こちらはそれぞれペーダー・セヴェリン・クロヤー、アンナ・アンカー、マリー・クロヤーのことだと思います。ミケール・アンガの奥さんのアナ・アンガ(画家)と、この作品の画家の奥さんであるマリーイ・クロイア(この人も画家)が砂浜で散歩する様子が描かれ、全体的に淡く白っぽい色彩となっています。目の前の砂浜が大きく取られ、点々と足跡が並んでいるのが叙情的です。2人は小さく描かれているものの、仲良く談笑しているように見えるかな。夕暮れ時を「青い時間」と言うそうで、やや寂しさもありつつ幻想的な感じも受けました。

このクロイアはフランスで研鑽を積んで既に国内で名が知られていたようで、この画家と奥さんが中心となってスケーイン派が集まったようです。


ということで、まだハマスホイの作品が出てきていませんが今日はここまでにしておこうと思います。ハマスホイ目当てで行ったのでやや肩透かしを食らった感じですが、デンマーク黄金期の画家やスケーインの画家の作品も目新しくて楽しめました。後半はハマスホイのコーナーがありましたので、次回は残りの3~4章についてご紹介の予定です。

 → 後編はこちら


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上村松園と美人画の世界 【山種美術館】

前回ご紹介したカフェに行く前に山種美術館で「山種美術館 広尾開館10周年記念特別展 上村松園と美人画の世界」を観てきました。

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【展覧名】
 【山種美術館 広尾開館10周年記念特別展】
 上村松園と美人画の世界 

【公式サイト】
 http://www.yamatane-museum.jp/exh/2020/uemurashoen.html

【会場】山種美術館
【最寄】恵比寿駅

【会期】2020年1月3日(金)~3月1日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
多くのお客さんで賑わっていましたが、概ね自分のペースで観ることができました。

さて、この展示は清廉な美人画で人気の上村松園をはじめ、鏑木清方や伊東深水といった美人画の名手たちの作品が集まる展示となっています。全60点程度なので大半は上村松園以外の画家の作品ですが、山種美術館が所蔵する上村松園の作品18点が一挙に公開される機会は3年ぶりとなっていて、久々に観た作品もありました。展示は3つの章と特集から成る構成となっていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<第1章 上村松園―珠玉の美>
まずは早速 上村松園のコーナーです。上村松園については今までも何度も記事にしていますので詳しくはそちらを参照頂けばと思いますが、観ていて清らかな気分になるような美人画を目指し、特に女性の髪型・着物・風習の時代考証を徹底した作風となっています。ここには代表的な作品を含めて15点が並んでいました。
 参考記事:
  上村松園と鏑木清方展 (平塚市美術館)
  和のよそおい -松園・清方・深水- (山種美術館)
  上村松園展 (東京国立近代美術館)
  上村松園 素描、下絵と本画 (川村記念美術館)
  没後60年記念上村松園/美人画の粋(すい) (山種美術館)
  上村松園-美人画の精華- (山種美術館)


13 上村松園 「牡丹雪」 ★こちらで観られます
こちらは前屈みで傘をさす2人の着物の女性が描かれた作品です。画面には白い雪が舞い、傘に雪が積もっています。2人はやけに画面の左下の辺りに描かれていて画面の大半は空白となっているのが大胆な構図に思えるかな。2人は色白で気品があり、口紅の赤が艶やかでした。

2 上村松園 「新蛍」 ★こちらで観られます
こちらは簾を開けて足元辺りのホタルを観る立ち姿の女性を描いた作品です。団扇を持って口元を隠し、視線を下に向けているのが何とも涼し気な雰囲気です。簾越しの表現も見事で、女性のやや反った背中のラインと簾の紐のラインが緩やかな曲線を描いている構図も優美でした。

隣によく似た「夕べ」もありました。こちらはホタルはいませんが、簾やホタルは上村松園の好みのモチーフだったようです。

5 上村松園 「春のよそをひ」 ★こちらで観られます
こちらは今回のポスターの作品で、簪をつまんで俯いている水色の着物の女性を描いた作品です。視線を簪に向けていて、やや微笑んでいるように見えるかな。顔や指先はほんのり赤みがかっていて、柔らかい色彩に思えます。解説によるとこの女性の髪型は島田髷と呼ばれるそうで、上村松園の日本髪への愛着が反映されています。また、簪をつまむ仕草は喜多川歌麿の「あらはるる恋」に影響が指摘されるようです。指先の動きが特に優美さを感じさせました。
 参考記事:大浮世絵展―歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演 感想前編(江戸東京博物館)

3 上村松園 「盆踊り」
こちらは簡潔な素描のような感じで、色紙くらいの大きさの作品です。月の下で盆踊りしている2人の人物が描かれ、手付きや身振りに動きを感じます。ささっと描いたような筆致と共に軽やかな雰囲気となっていました。

8 上村松園 「折鶴」
こちらは折り鶴の両翼を摘んでいる薄い緑の着物の女性を描いた作品です。その傍らでは着物の女の子が床に紙を置いて折り紙をしているようです。女性は折り鶴を観て微笑んでいて、楽しげで穏やかな光景となっていました。

14 上村松園 「庭の雪」 ★こちらで観られます
こちらは上村松園が女性初の文化勲章受章者となった年の作品です。水色の着物の女性が雪が舞う中、胸前で腕を交差させて身を縮めるように寒がっています。解説によるとこの女性の髪型はお染髷という江戸時代後半から明治にかけて上方で流行したものらしく、襟の部分には「襟袈裟」と呼ばれるピンク色の布が掛けられています。これは髷の油が着物に付くのを防ぐものだそうで、まるでその時代の女性を観てきたかのような非常に入念な時代考証を行っていることが伺えます。着物や帯の色なども可憐で、襟の部分の花模様など表現も繊細さを感じさせました。

この近くには上村松園が描いた髷の種類の解説ボードもありました。小さな頃から友達の髷を結ったりしていたそうで、髷に深い興味を持っていたエピソードも紹介されていました。


<第2章 美人画の精華>
続いては上村松園と共に美人画を盛り上げた近現代の画家のコーナーです。

20 上村松園 「蛍」 ★こちらで観られます
こちらは蚊帳をセットしている青い浴衣の良家の娘を描いた作品です。足元にホタルがいて、それを微笑みながら観ている表情に慈しみを感じます。女性の浴衣や蚊帳など夏に相応しい爽やかさで、浴衣の縦に流れる白い線が流水のようにも見えました。

24 鏑木清方 「伽羅」
こちらは小袖を布団のようにして寝ている女性を描いた作品です。伽羅枕があり、これで髪に香を炊きしめているようです。ややぼんやりした表情でまだ夢見心地といった感じかな。解説によると女性の小袖の模様は花菖蒲なので伊勢物語(の東下り)、伽羅枕は組香の初音(源氏物語の各帖の名前がついている)を思わせるそうで、春・夏・秋の季節が描かれているとのことでした。

この隣には池田輝方の「夕立」もありました。夕立の雨宿りの様子を描いた群像が面白い作品です。

21 伊藤小坡 「虫売り」
こちらは市松模様の屋根のある屋台で虫を売る 紫色の頬かむりをした着物の女性を描いた作品です。近くには虫籠を持って喜ぶ幼い姉弟もいて何とも可愛らしい。女性の顔は見えませんが、色白でしなやかな指をしていて気品があります。どこか懐かしいような光景でした。

33 伊東深水 「春」
こちらはピンクの着物の女性に何か耳打ちをして楽しげな表情の女性を描いた作品です。幾何学文様のようなモダンなデザインの着物で、髪も単純な輪郭線を使った表現でキュビスムなどからの影響を感じさせます。華やかさと革新的な雰囲気のある作品でした。

43 青山亘幹 「舞妓四題のうち 正月」
こちらは黒を基調に波・鶴・宝尽くし等の派手な柄が描かれた着物の舞妓を描いた作品です。立ち姿で四角いコンパクトみたいなので簪を直しているようです。背景は金、床は赤と言った感じで色が対比的で、明るい色彩に思えます。女性も凛とした雰囲気が漂っていて存在感がありました。
この隣には同じく「舞妓四題のうち 11月」もありました。こちらは何か祈っているような静かな感じの舞妓です。


<第3章 物語と歴史を彩った女性たち>
続いては謡曲や古典、歴史ものを題材にした作品のコーナーです。

45 上村松園 「砧」 ★こちらで観られます
こちらは中国の古典を元にした謡曲を題材にした作品です。武家の娘らしき女性が外(の月)を観て、夫の無事を祈りながら砧を打つという場面のようです。しかしこの絵では砧を叩いておらず、立ち姿で遠くを観るような顔つきとなっているかな。やや口を開いて語りかけるようで、少し不安げな感じです。打ち掛けには金・銀で枯れ葉模様が描かれていて、季節を示しているようでした。

56 守屋多々志 「葛の葉」
こちらは陰陽師として有名な安倍晴明の母が狐だったという伝説に基づく人形浄瑠璃の演目『芦屋道満大内鑑』に取材した作品です。安倍晴明の父が狐を助けたところ、許嫁に変身して子供までもうけたのですが 許嫁本人が現れて正体を知られ森に帰るという話のようです。ここでは大きな笠を被った裸婦が薄野で膝をついて天を仰ぐというかなり変わった構図で描かれていて、悲しげな顔をしていました。ちょっと異様で寂しげな作品です。


<特集>
最後の第二会場は特集コーナーとなっていました。

62 京都絵美 「ゆめうつつ」
こちらは現代の画家による2016年の作品です。何かに持たれかかって虚ろな目つきで夢想している現代女性が描かれ、ペイズリー柄の黒い服を来ています。周りは黒いモヤのようなものに包まれていて、写実的ながらも幻想的な雰囲気となっています。まだ夢の中にいるようなちょっと妖しい魅力がありました。

他に村上華岳の「裸婦図」(★こちらで観られます)や和田英作の「黄衣の少女」などこの美術館の珠玉の名品が並んでいました。


ということで、上村松園の作品と共に様々な美人画を楽しむことができました。同じ趣旨の展示は定期的に開催されているようにも思いますが、18点一挙公開は見ごたえがあると思います。特に日本画の美人が好きな方には楽しい展示だと思います。



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パパスカフェ 広尾cafe (2020年01月)【恵比寿界隈のお店】

2週間ほど前に恵比寿の山種美術館で展示を観に行った際、すぐ近くにある「パパスカフェ 広尾cafe」というお店でお茶してきました。このお店は以前にもご紹介したことがありますが、9年ほど前なので改めて記事にしておこうと思います。

DSC03433.jpg

【店名】
 パパスカフェ 広尾cafe

【ジャンル】
 カフェ

【公式サイト】
 https://papas.jpn.com/ja/brand/cafe
 食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130302/13014203/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 恵比寿駅

【近くの美術館】
 山種美術館

【この日にかかった1人の費用】
 1100円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
美術館帰りに寄ったので16時を過ぎていましたが、ほぼ満席となっていました。

さて、このお店は山種美術館から恵比寿駅方面に100mくらい歩いた所にあるカフェで、以前ご紹介した丸の内にあるお店と姉妹店となっています。カフェ以外にもアパレルやフォトスタジオを手掛ける企業で、カフェ部門は全8店舗、都内に4店舗あるようです。
 参考記事:
  CAFE PAPAS 【恵比寿界隈のお店】
  パパスカフェ 丸の内本店 【丸の内界隈のお店】

お店の中はこんな感じ。
DSC03439_20200201023139fba.jpg
パリの下町をイメージしたお店で、落ち着いた雰囲気となっています。

テーブルにはネームプレートがあります。
DSC03436_20200201023138168.jpg
これは会員制だった時の名残のようです。

何を頼むか悩んだので、ケーキのケースを覗いてみました。
DSC03434_20200201023136982.jpg
どれも美味しそうw わざわざ覗かなくてもサンプルを持ってきてくれることもあるようですw

結局、この日はケーキセット1100円にしました。
DSC03445_20200201023144b5c.jpg
ベイクドチーズケーキとコーヒーを選びました。

まずはベイクドチーズケーキ。
DSC03442_20200201023142a8f.jpg
ややポロポロと落ちて食べづらさもありましたが、甘さ軽めで爽やかな香りがしました。

続いてコーヒー。
DSC03440_20200201023141417.jpg
苦味強め深いコクがあり、どっしりとした感じでした。(以前の記事と比べると味が変わったのかも??)


ということで、今回も落ち着いた空間で美味しくお茶することができました。ここは山種美術館のすぐ近くにあるので、時々使っています。展示を観る前後に寄るのに便利なお店です。

このお店に行く前に山種美術館の展示を観てきました。次回はそちらについてご紹介の予定です。


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