関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

映画「ミッドサマー」(ややネタバレあり)

先週末に映画「ミッドサマー」を観てきました。この記事にはネタバレが含まれますので、ネタバレなしで観たい方はご注意ください。

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【作品名】
 ミッドサマー

【公式サイト】
 https://www.phantom-film.com/midsommar/

【時間】
 2時間30分程度

【ストーリー】
 退屈_1_2_3_④_5_面白

【映像・役者】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【総合満足度】
 駄作_1_2_3_④_5_名作

【感想】
かなり混んでいて予想以上に注目されているようでした。

さて、この映画は映画好きの中で怖すぎると話題となった「ヘレディタリー 継承」のアリ・アスター監督の2作目で、やはりホラーな内容となっています。私はこの監督の作品は初めてですが、北欧の祝祭をテーマにした神話的な映像が気になって観に行ってみました。ここからネタバレとなりますが、この映画の怖さは超常現象的なものではなく、サイコ・スリラーのような怖さです。主人公たちは大学の論文などを目的に伝統的で独特な宗教を信じて共同生活を送る村へと行くわけですが、そこがドニの絵に出てきそうな美しく幻想的な光景となってます。村人は優しくもてなしてくれるし、主人公たちも楽しそうに過ごしていたのですが、徐々に異様なカルト性が見えてくるようになります…。たまにショッキングなことが起きても当事者たちには神事や儀式だったりするので悪意はなく、そこが却って恐ろしいw 価値基準が分からない集団の中で戸惑う主人公たちの気持ちがよく分かって、カルト教団の中に潜入するドキュメントみたいな要素もあるかも。そこに主人公のトラウマや恋人との関係なども加わって先の読めない展開となっていました。役者も知らない人ばかりだからそれを頼りに予想することもできないしw
強いて言えば、若干 尺が長すぎると思う所もあるけど、何事も無く終わる儀式もあるのが逆にいつ何が起こるか分からない緊張感を生んでいるように思えました。

一方、映像は輪になって踊る儀式や花飾りをまとった衣装など全般的に理想郷のような印象で、白夜の光に溢れた中で美しく描かれています。所々に儀式の絵やルーン文字が描いてあるのが伏線なんだろうなと思いつつも、意味までは分からず 後でそういうことか となるのもよく出来ていました。多分、私が気づいていない仕掛けが沢山あると思います。 とにかくカルトの異様さと美しい神話的な光景のギャップが一層怖くて妙に印象に残りました。

ということで、美しさと不気味さが上手いこと織り交ぜられていてジワジワ来る怖さでした。観ている方も村人に洗脳されそうなw コロナウィルスが懸念される今の時期に映画館に行くのはオススメできませんが、安心して観られる環境に戻ったらホラー好きの方はチェックしてみると良いかもしれません。



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東京国立博物館の案内 【2020年02月】

今日は写真多めです。前回ご紹介した東京国立博物館の企画展を観てきた際、本館の常設も観てきました。今回も写真を撮ってきましたので、それを使ってご紹介していこうと思います。

 ※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れます。(撮影禁止の作品もあります)
 ※当サイトからの転載は画像・文章ともに一切禁止させていただいております。


今回も平成館から入って2階をグルっと回るコースで観ていったので、その順でご紹介していこうと思います。なお、1階の蒔絵のコーナーから先は封鎖されていました。

大智勝観 「梅と蓮」
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再興日本美術院に参加した画家で、横山大観に師事したこともあって名前もそれっぽいです。薄く繊細な色彩と緩やかなデフォルメ具合で 優しく穏やかな印象を受けました。

今尾景年 「鷲猿」
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浮世絵師の梅川東居や円山四条派に学んだ画家で、写生を重視して花鳥画が得意だったようです。ここでは鷲の迫力と慌てて逃げる猿の可愛さの対比が面白い場面となっていました。猿の毛のフワフワ感が森狙仙みたいな

松林桂月 「玉蘭に雀」
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こちらは南画の掛け軸。雀が横向きで何処かをじっと観ている様子で、可愛いようで緊張感もあります。デフォルメ具合が洒脱で好みの作品でした。

橋本雅邦 「竹林猫」
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竹林の下で寝ている猫。目を細めて表情が人間っぽく見えるw 竹の輪郭が濃くなっていて力強さを感じるけど、何故か途中でいきなり切れてるのか気になりました。ここで竹を切ったのか、構図的な計算なのか…。

竹内久一 「神鹿」
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こちらは春日明神の使いの鹿を表した作品。リアルな鹿の感じもありつつ神聖なオーラが漂っています。特に表情が凛として賢そうに思えました。

チャールズ・ワーグマン 「飴売」
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明治時代に日本の風俗などを油彩で描いた画家によるもの。素朴ながら楽しげな光景となっていて温かみを感じます。写実的なので昔は実際こういう感じだったんでしょうね。

高橋由一 「花」
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日本の油彩の先駆者による作品。写実的でやや重めの色彩に感じるのが特徴かな。華やかさよりもどこか寂しさを感じました。

「埴輪 鶏」 栃木県真岡市 鶏塚古墳出土 古墳時代6世紀
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よく出来た造形の鶏の埴輪! 鶏は夜明けを告げるので光をもたらす神聖な鳥だったようです。魔除けのような意味でお墓に埋葬されたのかもしれませんね。それにしても見事なフォルムです。

「須恵器 子持高坏」 岐阜市 鎌磨5号墳出土 古墳時代6世紀
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何だか変わった形の須恵器。この日観てきた特別展でもキモい造形の須恵器がありましたが、これも中々に独創的に思えます。何に使ったのか気になりますねw

「阿弥陀如来および両脇侍立像(善光寺式)」
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こちらはインド伝来とされる善光寺の秘仏本尊を模した阿弥陀三尊像とのことで、中尊の衣の着方や両脇侍の両手を重ねるポーズに特徴があるそうです。確かに見慣れない形式かな。お顔もちょっと日本とは趣が異なるように思えました。

秀峰(印) 「山水図屏風」
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こちらは六曲一双の屏風。緩やかなリズムが感じられる山々が描かれていて、幻想的な光景に思えます。解説によると瀟湘八景の図様を盛り込んでいるそうで、雪村の様式にかなり近い作風のようでした。

円山応挙 「秋冬山水図屏風」
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空気の流れまで感じられるような風景画。冬の雪の表現はもしかして地の白を活かしているのかな? 叙情的で 左隻の舟人の存在が牧歌的に思えて好みでした。

岸駒 「虎に波図屏風」
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やけに左隻の余白が広く感じる構図に驚きました。一方の虎は非常にダイナミック。

虎をアップするとこんな感じ
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表情の迫力もさることながら よく観ると細かい毛が描かれていて質感豊かに表現されていました。虎を得意としていただけあって見事です。

円山応挙 「波濤図屏風」
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こちらは元は京都府亀岡市の金剛寺の襖絵だった品を改装した屏風です。確かに丸い把手らしき跡が見えるかなw 線で表された波が荒々しく動きを感じさせます。元の絵はこれが3面に渡って続くようなので、臨場感ある光景だったのかも知れませんね。

長沢芦雪 「呉美人図」
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巻物を読んで微笑んでいる中国の呉の美人。清廉な印象で、特に髪の毛の軽やかな感じに気品を感じます。ちょっと分かりづらいですが、足元にはレンゲがあり春を暗示しているようです。美人画は斜めの構図になってるとサマになりますね。

この近くには円山応挙の虎嘯生風図もありました。今回は円山派の揃えが良いです。

歌川広重 「江戸近郊八景之内・飛鳥山暮雪」
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こちらは歌川広重の8枚揃えのシリーズのうちの1枚。見た目は代表作である東海道五十三次の「雪の蒲原」を思わせます。飛鳥山はお花見のイメージだけど、雪も風情がありますね。どこか寂しげな感じがとても好み。


ということで、今回は円山派・四条派の作品が充実していたように思えます。残念ながら東京国立博物館はコロナウィルスの影響で休館に入ってしまいましたが、ここの常設は特別展なみに面白いので 足を運ばれる際には常設も観ることをオススメします。


 参考記事:
   東京国立博物館の案内 【建物編】
   東京国立博物館の案内 【常設・仏教編】
   東京国立博物館の案内 【常設・美術編】
   東京国立博物館の案内 【2009年08月】
   東京国立博物館の案内 【2009年10月】
   東京国立博物館の案内 【2009年11月】
   東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放】
   東京国立博物館の案内 【2009年12月】
   東京国立博物館の案内 【2009年12月】 その2
   東京国立博物館の案内 【2010年02月】
   東京国立博物館の案内 【2010年06月】
   東京国立博物館の案内 【2010年11月】
   博物館に初もうで (東京国立博物館 本館)
   本館リニューアル記念 特別公開 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2011年02月】
   東京国立博物館の案内 【2011年07月】
   東京国立博物館の案内 【2011年11月】
   博物館に初もうで 2012年 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館140周年 新年特別公開 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2012年03月】
   東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放 2012】
   東京国立博物館の案内 【2012年11月】
   博物館に初もうで 2013年 (東京国立博物館 本館)
   東洋館リニューアルオープン (東京国立博物館 東洋館)
   東京国立博物館の案内 【2013年04月】
   東京国立博物館 平成25年度 秋の特別公開 (東京国立博物館)
   東京国立博物館の案内 【2013年12月】
   博物館に初もうで 2014年 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2017年08月】
   東京国立博物館の案内 【2017年09月】
   マジカル・アジア(前編)【東京国立博物館 東洋館】
   マジカル・アジア(後編)【東京国立博物館 東洋館】
   博物館に初もうで 2018年 犬と迎える新年 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【法隆寺宝物館 2018年01月】
   東京国立博物館の案内 【2018年02月】
   東京国立博物館の案内 【2018年07月】
   東京国立博物館の案内 【2018年10月】
   博物館に初もうで 2019年 (東京国立博物館 本館)
   博物館に初もうで イノシシ 勢いのある年に (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2019年02月】
   東京国立博物館の案内 【2019年04月】
   東京国立博物館の案内 【2019年05月】
   東京国立博物館の案内 【2019年10月】
   東京国立博物館の案内 【2019年12月】
   博物館に初もうで 子・鼠・ねずみ 2020年(東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2020年01月】
   東京国立博物館の案内 【2020年02月】


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朝鮮王朝の宮廷文化 【東京国立博物館 平成館】

今日は写真多めです。先日ご紹介した東京国立博物館 平成館の特別展を観た後、企画展の「朝鮮王朝の宮廷文化」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。なお、この展示は東京国立博物館の臨時休館によって実質上の終了となっています。

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【展覧名】
 朝鮮王朝の宮廷文化

【公式サイト】
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2006

【会場】東京国立博物館 平成館 企画展示室
【最寄】上野駅

【会期】2020年2月4日(火)~ 3月15日(日)→2月26日(水)をもって閉幕
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は平成館の1階の企画展示室で行われていたミニ特集で、朝鮮王朝の宮廷に関わる調度や服飾などが並ぶ内容となっていました。朝鮮王朝は1394年に首都を開京(現在の開城)から漢陽(現在のソウル)に遷し漢城と改称したそうで、漢城は風水に適した地でもあったようです。そこに古代中国の礼制に基づいた景福宮を造営し、その後 東方には離宮として昌徳宮が作られました。そして景福宮で国家行事を行い、昌徳宮で日常政務を行う体制となったようで、今回はそうした宮廷の品が並んでいました。ちょうどこの記事を書いた日から東京国立博物館は臨時休館になってしまったので、もう観ることはできませんが どのような内容だったかご紹介しておこうと思います。
 参考リンク:全館臨時休館のお知らせ 2020年2月27日~3月16日

「宮廷儀式図屏風」 朝鮮時代・19世紀
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こちらは宮廷で儀式を行う場面を描いた屏風。解説によると、王に慶賀を言上する礼のようです。

王の辺りをアップするとこんな感じ。
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肝心の王がいない!w これは玉座の後ろの日月五峰図屏風を王の象徴としているとのことです。日本や中国と似ているけどちょっと違う服装をしてますね。

「雑像(穿山甲)」「雑像(二口龍)」「雑像(沙和尚)」 朝鮮時代・19世紀
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こちらは何やらゆるい造形の像が並んでました。一番左のとか謎すぎる造形です。朝鮮の品って大体こういう緩さがあるような気がします。

趙斗淳 他(撰)「大典会通」 朝鮮時代・高宗2年(1865)
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こちらは1865年に編纂された法典です。1485年に施行された根本法典と補完するための書をまとめたものらしく、完全版と言った所でしょうか。意味は分かりませんが漢字で書かれていて読みやすい字体でした。

「団領(武官服)」「団領(文官服)」 朝鮮時代・19世紀
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団は丸、領は襟のことらしく 襟の部分が丸くなっています。似たような服に見えますが真ん中の絵の部分で文官・武官の見分けがつきます。

こちらは鳥のマークの文官
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この鳥の種類や数で階級を識別していたようです。2羽の鶴は身分が高そうな感じがしますが、実際の所は分かりません。時代によって規定も変わったらしいので、覚えるのも大変だったのでは。

こちらは獣のマークの武官
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モチーフは2頭の虎ですが、やはりゆる~いデザインですw 武官がこんな可愛い虎の服を着てたんですねw

「科挙及第図」 原本:朝鮮時代・16世紀
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こちらは官吏になる為の試験「科挙」の合格者の祝宴の様子を描いたもの。たくさん並んでいるのが文官と武官の合格者のようです。下の方には合格者の名前も書いてあります。中国の科挙は驚異的な記憶力や文字の上手さが求められるものですが、朝鮮もそうだったんでしょうね。まさにエリートの集まりです。

こちらは景福宮勤政殿の唐家の写真
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玉座の後ろにあるのが先程の王の象徴の日月五峰図屏風のようです。確かに太陽・月・5つの山が描かれています。

こちらは昌徳宮宣政殿の写真
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日常政務を行った宮殿の一部のようですが、かなり質素でお寺みたいな…。建築様式は日本とよく似ています。

「金冠」 朝鮮時代・19~20世紀
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こちらは宮廷で被っていた冠。見た目からして偉い人のものだろうと予測しましたが、縦に並ぶ金の線で階級が分かるようです。この5本の線(五梁)の冠は延臣の最高位の正一品という身分を表しているのだとか。金細工の鳳凰も豪華で、よくこんな冠が日本にあるものだとちょっと驚きでした。

「白磁硯」「長生白磁面取筆筒」「筆」「金銅水滴」 朝鮮時代・18~20世紀
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こちらは朝鮮王朝の上流階級の両班が使った文房具。特に教養がある両班をソンビと呼ぶそうで、清廉を心がけてこうした簡素な文房具で書画や詩文に親しんだようです。結構使い込んだ感じがするし、日本の侘び寂びに似たような質素さですね。

「鳳凰長生螺鈿二層箪笥」 朝鮮時代・19世紀
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こちらは同じ形の箪笥を2層にした籠(ノン)という品。右は下の段のアップです。螺鈿細工で蝶や鳳凰、鹿など様々な吉祥文様が埋めています。華やかでこの展示の中でも特に見栄えのする作品でした。

「日月松竹螺鈿衣装箱」 朝鮮時代・18~19世紀
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こちらも螺鈿細工による箱。分かりづらいですが、表面の右上に太陽、左上に三日月らしきものが表されています。木は松や竹で、勢いよく茂っています。朝鮮王朝は太陽と月のモチーフがよく出てくるのかな? 日本の品でも観ることはありますが、この展示だけでも何度も出てきました。

「牡丹蝶螺鈿箱」 朝鮮時代・17~18世紀
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こちらも黒漆に螺鈿の箱。日本でもこの組み合わせの工芸は数多くありますが、デザインに違いが感じられて面白い。

「長生七宝簪・粧刀・眼鏡入」 朝鮮時代・19~20世紀
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こちらは七宝でできた品々。簪は女性の髷髪に刺して使ったもので、夏は玉製 冬は七宝製を用いたとのことなので、ここにあるのは冬用のようです。

特に目を引いたのはこちらの眼鏡入
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鮮やかな青と透明感が見事です。形も丸っこくって可愛らしい

「三回装襦」「裳」 朝鮮時代・19~20世紀
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韓国の民族衣装といえばチマチョゴリですが、上衣の襦(チョゴリ)と下衣の裳(チマ)から成るようです。脇の部分に色がついてるこちらは両班が着た「三回装襦」で、庶民は「半回装襦」という脇下部分以外が色の違うものを着ていたのだとか。色で年代を分けたりもしてたようなので、服だけで身分がわかったんでしょうね。中国と似た制度に思えます。

「真鍮飯床器」 朝鮮時代・19世紀
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こちらは食器。これも身分ごとに食器の数が違うそうです。真鍮製のようですが私は焼肉屋とかで出てくる金属の食器がめちゃくちゃ苦手ですw これも日本と同じようで異なる点ですね。


ということで、ミニ展示でしたがあまり知らない韓国の宮廷文化について知ることができました。韓国の美術品というと青磁・白磁・ゆるい感じの書画あたりしか思い浮かばなかったので、目新しい感じがしました。もう実質的に終わってしまいましたが、今後の参考になる展示でした。


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今後の更新について

今後の更新についてのお知らせです。

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昨今、コロナウィルスのニュースが世間を騒がせていますが、私の会社でも自宅勤務を行うようになりました。感染を危惧して仕事に出かけないのに遊びに出かけるのも如何なものか?と思いますので、しばらく休日の外出も控えようと考えております。
一応、この間まで観てきた展示等のメモは1週間分くらいストックしていますので、その分については明日以降ご紹介する予定ですが、自分が出かけないのにお出かけを勧めるのも気が引けるので、単なる私の備忘録として捉えて頂ければと思います。(ついでにアクセス数がどうなっているか見たらめっちゃ減ってました。そりゃそうだ。)

メモのストックが切れた後は休止にするか 何か別の美術ネタを書くかはまだ未定ですが、とりあえず様子を見て判断しようと思います。今の調子だと収まるのに時間がかかりそうな気はしますね…。2011年3月の時もこんな感じだったのを思い出しましたが、あの時も何だかんだで平穏へと戻って行きましたので、時間が経てば収まるのではないかと期待したいところです。少なくともロンドン・ナショナル・ギャラリー展は観たいw 心残りは東京国立近代美術館の工芸館の最終展示で、これは観られずに見送りになりそうで残念です…

と、ちょっと他人事のように書きましたが 我が家でも感染に最大限の警戒をしていて今日は買い物にも出ませんでした。ここ1~2週間が拡大するかどうかの瀬戸際とニュースで言っていたので、可能な限り気をつけようと思っています。しばらく週末は油彩でも描いていようかな。



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日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」 (感想後編)【東京国立博物館 平成館】

今日は前回に引き続き東京国立博物館 平成館の日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」についてです。前編は第一会場についてご紹介しましたが、後編では残りの第二会場についてご紹介していこうと思います。まずは概要のおさらいです。

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」

【公式サイト】
 https://izumo-yamato2020.jp/
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1971

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅

【会期】2020年1月15日(水)~ 3月8日(日) → 2月26日(水)をもって閉幕
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半は作品が大きいこともあり前半以上に快適に鑑賞することができました。引き続き各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<第3章:大和 王権誕生の地>
第二会場に入っても3章が続いています。第一会場と同じく大和に伝わった品々が並んでいました。

57 「ガラス椀」「ガラス皿」「金製垂飾付耳壺」「金製方形板」など 新沢千里126号墳出土 古墳時代5世紀
こちらはペルシャ由来のガラス椀や、シルクロードを渡ってきた深い青色のガラス皿、朝鮮半島の新羅から来た金製垂飾付耳壺、中国東北部から伝わった「金製方形板」など新沢千里126号墳から出土した品々です。特に「金製方形板」は文様も唐草と龍という中国っぽいモチーフで海外から渡来した感じがあります。豪華なだけでなく国際色豊かな埋葬品となっていて、解説によると中国か朝鮮から来た女性のお墓なのではないかとのことでした。

この近くには大陸や朝鮮と交流した際の舟「模造 準備造船」もありました。一部だけ木材が残っているようですが、こんな小さい舟で渡れるの?とやや心もとない感じがしました。

58-1 「七支刀」 古墳時代4世紀 ★こちらで観られます
こちらは4世紀に百済王から倭王へと贈られたと考えられる刀です。剣の横に6つの枝状の部分がある唯一無二の形をしていて、そこに碑文が書かれています。かすれて分かりづらいものの、年記とご利益などが書かれているようです。また、裏面には作刀の経緯などが記されているようですが、金の象嵌の抜けが多いので内容については議論が交わされているのだとか。教科書などでも観られる特に有名な国宝で、目の当たりにできる貴重な機会と言えそうです。何故こんな形なのか、当時の日本と朝鮮の関係はどのようなものだったのか、色々と想像させるミステリアスな刀です。GB世代としてはsaga2で最強の武器だったのが真っ先に思い出されるw

61-2 「埴輪 見返りの鹿」 平所遺跡出土 古墳時代5~6世紀
こちらは振り返る姿勢をしている鹿の埴輪です。かなり写実的で鹿の仕草を忠実に表現していて、耳をピンと立てているのは人の気配を感じて慌てて振り返ったのを表しているようです。さらに口の上下がやや歪んでいるのは草を食んでいた感じが出ていて、彫刻としても見事な造形となっていました。この作者は相当な観察眼と技術の持ち主だと思います。

この近くには各地の遺跡の太刀や馬具などが並んでいました。

73 「須恵器 出雲型子持壺」 山代二子塚古墳出土 古墳時代6世紀
こちらは球形の壺に吸盤のように小さな壺が無数に貼り付けられている変わった形をした品です。プラネタリウムの真ん中にある機械みたいなイメージと言うか…w さらに足の部分には三角の穴も無数にあってちょっとキモいw 解説によると6~7世紀の出雲東部で見られる特殊な須恵器らしく、供物の供献を象徴化した儀式用の壺と考えられるようです。何故こんなキモい造形が生まれたのか好奇心が湧きますが、集合体恐怖症を引き起こしそうな異様な雰囲気でした。

76 「勾玉・管玉」 上野1号墳出土 古墳時代4世紀
こちらは瑪瑙、ガラス、翡翠を使って作られた勾玉と管玉です。瑪瑙は宍道湖辺りの山で取れたものらしく、出雲で作られた品のようです。この辺には出雲産の勾玉なども展示されていて、平安時代あたりまでは玉作りの地として大量に生産していたようです。そうした勾玉などは全国各地の権力者に渡ったようなので、信仰の道具においても出雲は存在感があったのかもしれません。出雲の意外な側面を知ることが出来る品々でした。

この近くには神賀詞(かんよごと)という祝詞の映像を流していました。何を言っているのかさっぱり分かりませんが、字幕で何となく意味が分かりますw これは出雲国造が新任した際などに都に上って天皇の長寿と国の安寧を祈って奏上するそうで、内容は国譲り神話の際に八咫鏡に魂を入れ込めて贈った話などを語っているようでした。祝詞は素人には日本語なのかも判別つきません…


<第4章:仏と政(まつりごと)>
最後は仏教伝来に関するコーナーです。6世紀半ばに仏教が伝来すると、古墳が果たした政治や権力の象徴の役割は寺院が担うようになっていきました。飛鳥時代後期には全国各地に寺院が作られ、遣隋使や遣唐使の派遣で大陸から最新の制度や知識が伝わり、やがて中央集権国家へと歩んでいきます。仏像なども多く作られていたようで、この章では主に仏像が並んでいました。

94 「観音菩薩立像」 飛鳥時代(692年)
こちらは頭が大きめでほっそりした身体つきの観音菩薩像です。左手で水瓶を摘んでいたりしてやや見慣れない表現に思えます。解説によると、これは出雲の有力者が両親のために作った像のようです。7世紀末期には日本各地に仏教が広まっていたようで、神道の中心地である出雲でも仏教を信仰している様子が伺えました。当時の歴史を考えると宗教を使った権力闘争みたいな側面もありますからね…。

96 「持国天立像」 飛鳥時代7世紀 ★こちらで観られます
こちらは当麻寺に伝わる脱活乾漆造の四天王像のうちの持国天像です。脱活乾漆造は漆を重ねる技法で、有名な所では興福寺の阿修羅像なんかもこの技法が使われています。この持国天は邪鬼の上に乗って剣を持ち、体躯は2mくらいはありそうな堂々たる印象です。中国初唐時代の様式に影響を受けているそうで、髭を生やしていることもあって中国の武将のような顔つきに思えました。金彩が一部に残っているので昔は金ピカだったのかな??

この近くには日本現存最古級の石仏「浮彫伝薬師三尊像」(★こちらで観られます)もありました。また、少し先には伎楽面のコーナーもあります。

102-1.2 四天王像のうち「多聞天立像」「広目天立像」 奈良時代8世紀
こちらは唐招提寺の四天王像のうちの2天で、鑑真と共に来日した工人の関与が推定されている仏像です。多聞天は左手に宝塔、右手に槍を持ち眉をひそめて険しい顔つきをしています。どっしりとした体つきなのも威圧的な感じを受けます。一方の広目天は右手に筆、左手に巻物を持っていてこちらも定番の持ち物です。足元に衣の裾があり、こうした表現はそれまでの日本になかった表現らしく 中国彫刻からの直接的な影響を受けた工人が関わったことを推定する根拠になっているようでした。この頃は何でも中国から学んでいたのが伺えますね。

この近くにあった奈良の金剛山寺と世尊寺の2体の「十一面観音菩薩立像」も巨大で迫力がありました。いずれも一木造りで、そうとは思えないほど大きくて威厳のある仏様です。

その先には島根の萬福寺(大寺薬師)の四天王像(★こちらで観られます)が全員揃って並んでいました。こちらも一木造りで、等身大よりやや大きめです。特に剣を振りかざし叫ぶような顔つきの増長天に勇ましさを感じました。

111 「法隆寺金堂壁画 複製登板(第一号壁)」 令和元年
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こちらは撮影可能となっていました。オリジナルは7世紀末~8世紀初頭に制作されましたが、1949年の金堂火災によって焼失してしまいました。その火事によって文化財保護が成立したので、今では文化財保護の本尊と言えるかも。こうした壁が第12号壁まであったようなので、損失は計り知れませんね。

最後に神と仏の習合についても触れられていました。日本人は昔から何でも日本化してしまいますが、神は仏の化身の1つと考えて同一視していく独特の信仰です。スサノオノミコトと習合した牛頭天王の坐像や、修験道の蔵王権現などが並んでいました。


ということで、後半も貴重な品々を観ることが出来ました。特に七支刀は今回の展示でも見どころではないかと思います。早くも会期末が迫ってきていますので、気になる方はお早めにどうぞ。コロナウィルスが怖いので、お出かけの際は感染予防だけは万全を期すようお願いします。



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日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」 (感想前編)【東京国立博物館 平成館】

前回ご紹介したお店でお茶した後、東京国立博物館平成館で日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」を観てきました。ボリュームある内容でしたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。なお、この展示には前期・後期の会期があり私が観たのは後期の内容でした。

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【展覧名】
 日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」

【公式サイト】
 https://izumo-yamato2020.jp/
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1971

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅

【会期】2020年1月15日(水)~ 3月8日(日) → 2月26日(水)をもって閉幕
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
意外と空いていて概ね自分のペースで観ることができました。これほど空いている東博はかなり久々で、やはりコロナウィルスで外国人観光客が激減しているのが原因だと思われます。まあ いつもよりは空いているとはいえそれなりに人は多いので、感染予防の対策をするのは必須ですね。

さて、この展示は養老4年(720)に日本最古の正史『日本書紀』が編纂されて1300年を記念したもので、出雲と大和という2つの土地について紹介する内容となっています。8年前にも古事記1300年記念で出雲の展示がありましたが、その際は本館4・5室のみだったのが今回は倍以上のスケールにパワーアップしてしています。 『日本書紀』には出雲は「幽」すなわち神話や祭祀の世界を司り、大和は「顕」つまり目に見える現実世界や政治の世界を司るとされているようで、幽と顕の世界を比較するような趣向となっていました。詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
 参考記事:古事記1300年・出雲大社大遷宮 特別展「出雲―聖地の至宝―」 (東京国立博物館)


<第1章:巨大本殿 出雲大社>
まずは出雲大社のコーナーです。出雲大社は幽の世界を司るオオクニヌシを祀る神社で、日本で最も古い由緒があります。古代には48mもの高さを誇る本殿があったようで、2000年には境内から巨大な「心御柱」「宇豆柱」という柱が発見されました。ここにはそうした出雲大社にまつわる品や奉納された宝物などが並んでいました。

2 「日本書紀 巻二」 南北朝時代 永和元~3年 ★こちらで観られます
こちらは『日本書紀』の模写で、熱田神宮に伝わる全15巻のうちの1巻です。オリジナルは全30巻で神代から持統天皇(697年)まで記された歴史書ですが、これは14世紀の南北朝時代の写本のようです。かなり保存状態が良く、朱書きで本文の右側に送り仮名がついていて漢文のように読める部分も結構あります。ここにオオクニヌシの国譲りの神話と共に件の「幽」と「顕」について書かれているようで、展示ケースの近くには該当箇所が分かるように印が付けられていました。写本とは言え、この本が日本の歴史を伝えていると思うと歴史の重みがありますね。ちなみに私は昔に訳本を読んだことがありますが大半は忘れましたw 

13 「宇豆柱」 鎌倉時代 ★こちらで観られます
こちらは鎌倉時代に遷宮された本殿の柱材と考えられる木の塊です。直径1.3mもある3本の柱を1本の柱として用いていたようで、朽ちたとは言え圧倒的な風格をたたえています。運搬用の穴や手斧の痕跡も残っているようで、当時の様子を忍ばせるようでした。
この近くには本殿中央にあった「心御柱」もありました。3本セットの柱は9本あったようで、3×3のマス目状に並び、中央が「心御柱」で、その手前が「宇豆柱」となります。宇豆柱は以前にも観たことがありますが、心御柱とセットで観るとさらに威容が感じられました。

14 「模型 出雲大社本殿」 平成11年
こちらは当時の造営の資料などを元に作られた1/10サイズの復元模型です。平安時代10世紀頃を想定していて、高さ48m、長さ109mもあり本殿まで延々と長い階段が一直線に続いています。柱の上には社殿があり、とんでもない迫力です。模型でも驚くのに本物は相当なものだったと想像できますが、正直 ほんまかいな??と疑ってしまいますw しかし、かつては「雲太(出雲大社)」「和二(東大寺大仏殿)」「京三(御所の大極殿)」と並び称されたので大仏殿(45m)より高かったと推測されています。これも以前観たので心構えはありましたが、何度観てもこんな姿だったのか…という驚きがありました。今ではこんな木材無さそうだしw

その先は境内の出土品が並んでいました。勾玉や須恵器・土師器などの素朴な土器、立柱の儀式に使われた手斧などがあります。中には「金輪御造営差図」という本殿の平面図があり、これにサイズも記載されているので先程の模型ができたようでした。

24 「秋野鹿蒔絵手箱」 鎌倉時代 ★こちらで観られます
こちらは蒔絵の手箱で表面に鹿、鳥、草花など秋のモチーフが描かれています。小鳥などには螺鈿も使われていて、豪華かつ可憐な印象を受けます。これは鎌倉時代13世紀の品とのことで、宝治2年(1248)の造営の際に奉納されたものと考えられているようです。かなり繊細で高い技術と優美さが感じられました。

26 「色々威胴丸」 室町時代 15世紀 ★こちらで観られます
こちらは守護大名だった尼子氏が奉納した鎧兜です。立物(兜の額の部分の飾り)が三叉に分かれて切透かしとなっていて、中央に「天照大神宮」右に「八幡大菩薩」 左に「春日大明神」と書かれています。神仏習合した様子が伺えるけど、何しろ見た目がカッコいいw 厨ニ心をくすぐるようなデザインで、神々しい雰囲気もありました。

他にも刀や檜扇、御簾、舞楽を描いた屏風なども並んでいました。


<第2章:出雲 古代祭祀の源流>
続いても出雲で、出雲大社や日本書紀より前の古代の時代についてです。出雲は古代から日本海を通じた交流によって独自の文化があったようで、青銅器を用いた祭祀が行われていたようです。しかしその一方では弥生時代後期には他の地域に先駆けて青銅器祭祀をやめて四隅突出型墳丘墓と呼ばれる巨大な墳墓を舞台にした祭祀へと移り変わったようです。ここにはそうした古代祭祀に関する品が並んでいました。

こちらは撮影OKだった加茂岩倉遺跡の銅鐸埋納状況の復元。
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日本最多の39個の銅鐸が出土したそうで、銅鐸が入れ子状になっていたのだとか。埋まり方も規則的な感じがしますね。

32 「貝輪」 弥生時代 前4~前3世紀
こちらは白っぽくいびつな5角形みたいな形をした貝製の腕輪です。こうした腕輪は弥生時代中期広範に北部九州で隆盛したそうで、日本海を通じて出雲にまで伝わったようです。貝は奄美以南に分布する大型の巻き貝を加工していて、有力者か儀式を司る男性がつけていたのだとか。当時の交流の範囲の広さが伺えると共に、シャーマンが使っていそうな品に思えました。

この先は荒神谷遺跡や加茂岩倉遺跡についてのコーナーです。見つかった当時の様子を踏まえて銅剣や銅鐸を展示しています。埋納の方法にも色々あるようでしたが、素人の私には違いの理解は難しいw

42-2 「銅鐸」 加茂岩倉遺跡 弥生時代 前2~前1世紀 ★こちらで観られます
こちらは先程の模型の銅鐸の実物で、一気に見つかったものです。横倒しに埋められていて、大きな銅鐸の中に小さな銅鐸が入れられていたようで、17個の小さめのグループが展示されています。錆びて緑色になっているので模様はよく分かりませんが、同じ形をしていて四国や近畿でも同じ鋳型の銅鐸が出土しているようです。同じということは交流があったんでしょうね。考古学のロマンが感じられる品でした。

41-2 「銅鐸」 荒神谷遺跡 弥生時代 前2~前1世紀
こちらも銅鐸で、側面に袈裟のような「袈裟襷文」と「流水文」の2種類の文様が描かれています。河内平野南部の銅鐸工房で作られたものらしく、袈裟襷文の中には人々の生活や トンボ、鹿、歯朶のような渦巻きなどが描かれています。プリミティブな雰囲気があり、呪術めいた印象を受けました。

この辺には銅矛もずらりと並んでいました。

41-1 「銅剣」 荒神谷遺跡 弥生時代 前2~前1世紀
こちらは150本くらいの銅剣で、発見された時は358本もの銅剣が4列に整然と並んでいたようです。何しろその数が圧巻で、全長50cmくらいの銅剣が同じ形・同じサイズでズラッと並んでいるのは壮観な眺めです。一括で作られたと考えられるようで、当時の生産技術の高さが伺えました。

46-5 「勾玉・管玉」 西谷3号墓出土 弥生時代1~3世紀
こちらは中国で作られたガラス製の青く小さな勾玉と、朝鮮半島の碧玉製の緑がかった管玉です。さらに隣にあった管玉はローマ帝国領内で生産されたガラスを中国で加工した可能性があるとのことで、弥生時代とは思えないほどにワールドワイドな品となっています。素朴なように見えて こんな早い時期から広範に交流していたことに驚かされました。


<第3章:大和 王権誕生の地>
続いては大和のコーナーです。前方後円墳は政治や権力の象徴で、大和を中心として1つの国へとまとまっていく様子を示しているようです。また、大陸を通じて様々な文物や技術を獲得し、そこで得た品や模倣品を各豪族に与えて王権の基盤を堅固にしていったと考えられるようです。ここにはそうした王権誕生の地にまつわる品が並んでいました。

49-1 「画文帯神獣鏡」 ホケノ山古墳出土 古墳時代4世紀
こちらは2~3世紀にかけて中国河北地域で作られた銅鏡です。龍、東王父、西王母、黄帝といった中国的なモチーフが表されていて、中国からの直輸入品と言った所でしょうか。当時の大陸との交易や銅鏡が権力の象徴であったことなどが伺えました。

51-5.6 「鉄弓・鉄矢」 メスリ山古墳出土 古墳時代4世紀
こちらは鉄でできた弓と矢で、弦まで鉄でできています。そのため実用品ではなく儀礼用と考えられるようで、大きく迫力のある弓矢となっています。わざわざ矢羽まで鉄で出来てて芸が細かいw 何故鉄で作ったのか不思議で仕方ないですw

51-7.8 「円筒埴輪」 メスリ山古墳出土 古墳時代4世紀 ★こちらで観られます
こちらは高さ2.5mもある世界一巨大な円筒形の埴輪です。出土したメスリ山古墳は全長224mもある前方後円墳で、こうした円筒形の埴輪を方形にいくつも並べてたようです。ここには2点置かれていて、上部の口の辺りが広がっていて埴輪というよりは土器と言ったほうがイメージしやすいかも。側面には逆三角形の穴が規則的に並んでいて、素朴さと無機質さの両面が感じられます。よく観るとバラバラになったのを貼り付けて展示しているようで、長い年月を物語っているようでした。

この近くには黒塚古墳から出土した古墳時代3世紀頃の「三角縁神獣鏡」(★こちらで観られます)が33枚も並んでいました。全国最大の出土数だそうです。また、宮山古墳出土の埴輪は家、兜、盾などの形の大型の埴輪で見栄えがしました。


ということで、この辺で第一会場は終わりとなります。前半の見どころはやはり出雲の柱と遺跡からの出土品の数々でしょうか。この時代は考古学的な要素も強いので古代好きの方には特に面白いと思います。後半は仏教伝来後の仏像などもありましたので、次回はそちらについてご紹介の予定です。

 → 後編はこちら



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ゆりの木 (2020年02月)【東京国立博物館のお店】

先週の土曜日に東京国立博物館に行った際、展示を観る前に東洋館に隣接する「ホテルオークラレストラン ゆりの木」でお茶してきました。このカフェは以前にも記事にしましたが7年前なので再度ご紹介しようと思います。

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【店名】
 ホテルオークラレストラン ゆりの木

【ジャンル】
 レストラン/カフェ

【公式サイト】
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=124#yurinoki
 食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13129190/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 上野駅

【近くの美術館】
 東京国立博物館(館内)
 東京都美術館
 国立科学博物館
 国立西洋美術館
 東京藝術大学大学美術館
 黒田記念館
 上野の森美術館
 東京文化会館
 上野動物園
  など

【この日にかかった1人の費用】
 1000円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_③_4_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
ここはいつもは混んでいますが、この日は空いていました。近年は外国人観光客が多い東京国立博物館ですが、この時期は新型コロナウィルスが中国で蔓延し 日本にも一部に入ってきたこともあり、外国人観光客はほとんどいない状態で日本人も少なめでした。

さて、このお店は東博の本館と東洋館の間にあるお店で、カフェというよりはレストランとなっています。カレーもあれば天丼やらワンタンやらもあって和食・洋食・中華が揃っているようです。何度か利用していますが この日は久々でした。(いつもは混んでいるので他に行ってましたw)
 参考記事:ゆりの木 【上野界隈のお店】

中はこんな感じ。
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美術館の中のお店の割にはファミレスみたいな感じですが、接客が素早くて頼んだ品もすぐ出てきました。

この日はカウンター席につきました
DSC05251.jpg
ここだと庭園を観ながらお茶することができます。

この日はチーズケーキセット(1000円)を頼みました。
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まずはチーズケーキ。甘さはかなり控えめでほんのり香る程度です。ベリーのソースは香り濃いめで酸味がありました。普通に美味しい

飲み物はコーヒーにしました。
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こちらは軽い酸味と少々の苦味で、バランスが良くて無難に美味しかったです。
どちらも飛び抜けてる訳ではないけど、十分に美味しく落ち着くことができました。まあ内容の割には値段はちょっと高いかなw


ということで、展覧会前に一息入れて 入館のピークタイムをやり過ごすことができました。ただ意外と閉まるのが早くて金曜日・土曜日の夜間開館の日でも18時までとなっているので注意が必要です。東博で疲れたらここで休むのもよろしいかと思います。


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奇蹟の芸術都市バルセロナ (感想後編)【東京ステーションギャラリー】

今日は前回に引き続き東京ステーションギャラリーの「奇蹟の芸術都市バルセロナ」についてです。前編では1~3章についてご紹介しましたが、後編では残りの4~6章についてご紹介していこうと思います。まずは概要のおさらいです

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 奇蹟の芸術都市バルセロナ

【公式サイト】
 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202002_barcelona.html

【会場】東京ステーションギャラリー
【最寄】東京駅

【会期】2020年2月8日(土)~4月5日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
上階に比べると下階のほうがやや空いていて概ね自分のペースで観ることができました。引き続き各章ごとに気に入った作品と共にご紹介して参ります。


<4章 「四匹の猫」>-
4章は「四匹の猫」というサロン的なカフェについてのコーナーです。3章でも観てきたラモン・カザス、サンティアゴ・ルシニョル、ミケル・ウトリリョ、ペラ・ルメウの4人はパリのカフェ「黒猫」(シャ・ノワール)からヒントを得てバルセロナに「四匹の猫」を開きました。 ここにはバルセロナ内外から芸術家たちが集まり、芸術談義をしたり展覧会、音楽会、人形劇、朗読会などの催しが行われ雑誌・パンフレットなども発刊したようです。そうした発刊物には若い芸術家に手掛けさせていたようで、グループ展でも後進の画家を参加させて活動の機会を与えていたようです。そんな「四匹の猫」にはピカソも18歳の頃から通い、初の展覧会を開いたり芸術家同士の交流を持っていたようです。ここにはそうした活動を伝える品々が並んでいました。

まずは人形劇や影絵のパンフレットやポスターがありました。ラモン・カザスの「影絵芝居のポスター」はロートレックを思わせるデザインで、パリのカフェ文化からの影響がうかがえます。また、人形劇の人形もあり当時の「四匹の猫」で大人気だったそうです。大人だけでなく子供向けの公演もあったらしいので幅広く支持されていたのかも知れません。

4-21 リカル・カナルス 「カフェ・コンセール」
こちらは観客席から舞台で踊る踊り子たちを眺めている構図の絵画です。手前には演奏している楽団や着飾った女性たちの姿もあります。割と筆致が粗めで印象派のような感じで、題材的にもドガなどを思い起こしました。当時の賑やかな様子が生き生きと伝わってきます。この画家はセザンヌなどポスト印象派も含めて研究していたそうで、フランス風な絵に見えました。

この隣にあった同じ画家の「化粧」という作品もマネを彷彿とする主題でした。

4-9 10 ラモン・カザス 「貞奴の肖像」「川上音二郎の肖像」
こちらは日本人の夫妻をモデルにした素描の肖像画です。2人の一座は欧米各地で日本舞踊や歌舞伎を披露して人気を博したのですが、この絵は1902年に3日間のバルセロナ公演を行った際、カザスが自宅のアトリエに招いて描いたようです。やや不安げな様子で座る洋装の貞奴と、寛いだ感じで足を組む川上音二郎が対照的に思えます。素早い筆致でやや簡素ではありますが表情が読み取れるほどに特徴を捉えていました。
 参考記事:文化のみち二葉館の写真 (名古屋編)

4-19 エルマン・アングラダ・カマラザ 「夜の女」
こちらは花柄の黄色いドレスを着た女性の肖像で、胸に手を当てて微笑んでいます。足をやや捻って優美なポーズとなっていて、背景も薄緑色の花柄で華やいだ印象を受けます。等身大くらいあるので見栄えが良く、筆致は粗めですが妖しい色気が漂っていました。

続いては四匹の猫でのピカソについてのコーナーです。ピカソは14歳頃からバルセロナに住んでいて、四匹の猫に通い画家たちとの交流の中でエル・グレコを意識した作品やデッサンを数多く残したようです。主催者のラモン・カザスにも対抗意識を持っていたようで、既にこの頃から評価は高かったそうです。

4-27 パブロ・ピカソ 「エル・グレコ風の肖像」
こちらは顎髭を生やした黒髪の男性が描かれ、背景も黒で溶け込むように見えます。縦に引き伸ばされた感じの筆跡で、顔も細長くなっているので確かにエル・グレコに影響されていることが伺えます。ピカソの貴重な初期作品を観られて驚きでした。

この近くにはピカソが手掛けた雑誌の挿絵もありました。また、友人のカルラス・カザジェマスの「酒場のジェルメーヌ」という絵がありました。カルラス・カザジェマスは失恋して自殺するわけですが、恐らくその女性を描いているようです。彼の自殺はピカソにも大きなショックを与え、「青の時代」に移るきっかけになりました。

4-13 イジドラ・ヌネイ 「ジプシー女の横顔」
こちらは赤い服を着た黒髪に褐色の肌のジプシー女が描かれた作品です。俯いて疲れた感じの後ろ姿となっていて、全体的にくすんだ色彩で 背景は緑がかっていて、服の赤が強めに見えても派手さは無く貧しく沈んだ印象を受けます。解説によると、この画家はかつては風景を中心に描いていたようですが、病に苦しむ人々を目にしてから都市に生きる貧しい人や病人・社会の底辺に追いやられた人などを描くようになったそうです。そしてその主題はピカソにも大きな影響を与えたそうで、確かにピカソの青の時代の寂しげな雰囲気と共通するものを感じました。


<5章 ノウサンティズマ - 地中海へのまなざし>
続いては「ノウサンティズマ」という芸術家派についてのコーナーです。1898年の米西戦争敗北を機にスペイン中央政府との対立が激しくなったカタルーニャでは民族性を重視する保守的思想が強くなったそうで、3章でご紹介した芸術運動(ムダルニズマ)のようなアール・ヌーヴォー的な表現様式は形骸化したものとみなされ批判の対象となっていったようです。そして代わりに地中海文明への回帰を特徴とした「ノウサンティズマ」というローカルな表現様式が生まれたようです。ここにはそうした作品が並んでいました。

5-7 ジュアキム・スニェー 「森の中の三人の女たち」
こちらは畑の見える樹の下で3人の裸婦が描かれた作品です。ポーズを取ったり、座ったり、様子を伺う仕草をしたりと三者三様となっていますが、色彩・構図・描法などはセザンヌそのものと言った感じです。背景に現実風景があるのはマネみたいな…。まあエクス・アン・プロヴァンスもバルセロナからそれほど遠くないとは思うけど、やっぱりフランス風なのでは…w 「ノウサンティズマ」って何だろう?と逆に分からなくなりましたw

5-4 ホアキン・トーレス=ガルシア 「村の女たち」
こちらは様々な果実を籠に淹れて運ぶ3人の女性と、座っている1人の女性を描いた作品です。平面的な描法で、解説によると地中海的な古典美やアルカイックな造形が特徴となっているようです。何処と無くドニの神話を描いた作品などに似ているように思えましたが、牧歌的で理想郷のような光景となっていました。

5-9 パブロ・ガルガーリョ 「ピカソの頭部」
こちらは前髪を分けたピカソの頭部の彫刻で、遠くから観てもピカソと分かるw キュビスム的な要素もありつつ単純化の具合が面白く、風貌や特徴をよく捉えていました。

この近くにはカダファルクによる「1917年開催予定のバルセロナ国際博覧会俯瞰図」という計画図もありました。この博覧会は第一次大戦の影響により1929年に延期され、この案の完全な実現には至らなかったそうです。当時の写真やポスターもあり、ポスターはアール・デコ風でした。


<6章 前衛美術の勃興、そして内戦へ>
最後はミロやダリをはじめとする前衛美術の勃興と スペイン内戦の頃に関するコーナーです。1906年にバルセロナにダルマウ画廊がオープンし、この店のオーナーのジュゼップ・ダルマウは かつて四匹の猫で個展も開いた元画家で、アートディーラーになった人物のようです。この画廊では国内外の新しい芸術を紹介し、若い前衛芸術家に刺激を与えると共に 彼らを国際市場へと送り出していきました。ジョアン・ミロやサルバトール・ダリもそうした画家で、この画廊から世界へと進出したようです。また、モダニズム建築の巨匠ル・コルビュジエやミース・ファン・デル・ローエに影響を受けたバルセロナの建築家たちも新時代の建築を示し 建築界でも前衛運動が起きたようです。しかし1930年にダルマウ画廊は経済的な理由で閉廊し、1934年になると10月革命によってスペイン情勢に暗雲が立ち込め 前衛芸術の流れが絶たれてしまいます。さらに1936年7月18日についに内戦が勃発し、以後長い独裁が続きます(民主化するのはなんと1977~78年頃です) ここにはそうした内戦時代直前までの品が並んでいました。

6-1 メラ・ムッテルミルヒ 「画商ジュゼップ・ダルマウの肖像」
こちらはソファに腰掛けてポケットに手を入れている画商ジュゼップ・ダルマウを描いた肖像です。こちらをじっと観ているような視線を感じます。かなり大胆な筆致で、ざらついたマチエールとなっていて 塗り残しのような白い部分も多くあります。個性的な画風で驚きました。

6-4 ジュアン・ミロ 「花と蝶」 ★こちらで観られます
こちらは横浜美術館でよく見かける作品で、晩年のミロの画風とは異なった画風です。花瓶に入った木と蝶が描かれ、みんな正面を向いて描かれています。それが何とも平面的でシュールな雰囲気で、控えめな色彩と共に素朴さすら感じられました。明るい色彩で有名なミロの作品とは思えないほどですw なお、ミロは1918年にダルマウ画廊で初個展を開催したそうです。この画廊で大いに刺激を受けて前衛芸術に大きな関心を寄せてセザンヌ、ゴッホ、フォーヴ、キュビスムなどを吸収していったのだとか。

この隣にあったミロの「赤い扇」はフォーヴ的な作品でした。

6-11 サルバドール・ダリ 「ヴィーナスと水兵(サルバット=パパサイットへのオマージュ)」
こちらは1925年にダルマウ画廊で開いた初個展に出品された作品です。水兵がヴィーナスを後ろから抱くような感じで、恐らく建物から海を見ているような光景です。キュビスム的な面もありつつ新古典主義の時代のピカソの作風に近いものを感じます。(というか、遠目で観てピカソかと思ったw) 水兵とヴィーナスという突拍子もない組み合わせがシュールで、既にシュルレアリスムへの傾倒の萌芽がみられました。

この近くにはピカソの作品などもありました。

6-30 ル・コルビュジエ 「無題(バルセロナ陥落)」
こちらは絵画のリトグラフで、2人の人物が描かれた作品となっています。狭い所に押し込められているように身をかがめていて、タイトルから察するにスペイン内戦でのバルセロナの抑圧ぶりを表現しているのではないかと思います。キュビスムを発展させたピュリスムでの表現となっていて、ル・コルビュジエの画家としての一面がよく分かる作品でした。
 参考記事:ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代 感想前編(国立西洋美術館)

内戦前にル・コルビュジエはバルセロナを訪れていたようで、その時の写真などもありました。当時のバルセロナの建築家に関する資料などもあります。

スペイン内戦は反乱軍が勝利し、フランコ将軍の軍事独裁時代となりました。フランコ政権下では公的な場でのカタルーニャ語の使用が禁止されるなど、カタルーニャは再び抑圧の時代を迎えます。(またかという感じですね…)

6-27 パブロ・ピカソ 「フランコの夢と嘘Ⅱ」
こちらは共和国陣営への支援金を得る為の版画作品です。漫画のようにいくつかのコマ割りがあり、そこに戯画的な感じで人々が描かれているのですが、手を挙げて苦しむ人や殺される母子などショッキングな場面となっています。「フランコの夢と嘘」を描いた年には有名な「ゲルニカ」も描いているので、フランコとそれを支援したナチスへの怒りが込められているように思えました。

6-25 ジュアン・ミロ 「スペインを救え」
こちらもスペイン内戦中の1937年に開催されたパリ万博のスペイン共和国パビリオンで共和国陣営への支援金を募るために販売されたポスターです。力こぶを見せる農民らしき人が描かれ、画面下には「私はファシスト陣営に対して時代遅れの暴力しか認めない。その反対の陣営に対しては計り知れない創造性を持った人々を認める。その創造性は世界を圧倒する力をスペインに与えるだろう。」と書いてあるそうです。ミロの力強く屈しない姿勢がそのまま現れているような作品でした。


ということで、後半はピカソ、ミロ、ダリといった巨匠を輩出した背景を知ることが出来ました。合わせてカタルーニャやスペインの歴史も知ることができるので、バルセロナに旅行に行ったことがある方や行ってみたい方にオススメの展示です。



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奇蹟の芸術都市バルセロナ (感想前編)【東京ステーションギャラリー】

2週間ほど前に東京駅の東京ステーションギャラリーで「奇蹟の芸術都市バルセロナ」を観てきました。メモを多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

DSC05244_20200219232437aa6.jpg

【展覧名】
 奇蹟の芸術都市バルセロナ

【公式サイト】
 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202002_barcelona.html

【会場】東京ステーションギャラリー
【最寄】東京駅

【会期】2020年2月8日(土)~4月5日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
予想以上に混んでいて、場所によっては人だかりが出来るくらいでした。

さて、この展示はスペインのカタルーニャ自治州の州都であるバルセロナをテーマとしていて、バルセロナの近代化を促進させた都市計画の誕生(1859年)からバルセロナ万博(1888年)を経てスペイン内戦(1936~39年)までの80年間の歴史と芸術を紹介する内容となっています。バルセロナというとスペインの東端にあるスペイン第二の大都市というイメージがありますが、実際には他のスペインの州とは異なる文化圏で、言葉もカタルーニャ語を用いていたり、近年ではカタルーニャの独立運動がしばしばニュースになったりします。この展示ではバルセロナの芸術が花開くまでの流れを観ると共に、その苦難の歴史を知ることもできるので、その辺りの事情も見えてくるように思えました。構成は6つの章に分かれていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<プロローグ>
まずは近代化前についてのコーナーです。現在のカタルーニャ州はフランス国境に近い逆三角形の自治区で、カタルーニャ語を話し独自の文化を持っています。キリスト教・イスラム教・地中海の古代文明が交錯した場所(かつてローマやイスラムなどに支配されたことがあります)で、バルセロナは中世盛期には海洋貿易で黄金期を迎えたようです。しかし15世紀末のスペインの統一後はマドリードが政治・経済・文化の中心地となりバルセロナは輝き失って行き、新大陸発見によって低迷に追い打ちをかけられたようです。さらに1701年~1714年のスペイン継承戦争では王位継承者を指名されたブルボン家ではなくハプスブルク家に与して戦い、敗北してバルセロナは陥落し カタルーニャの地方特権は剥奪されて公的な場でのカタルーニャ語を禁止されるなど決定的な痛手を受けたようです。そしてバルセロナには監視要塞が作られるなど抑圧された時期が続きましたが、18世紀から20世紀前半に独自の文化が花開いて行くことになります。

このプロローグは地図と歴史の紹介のみとなっていました。前述の監視要塞の存在が後々重要となってきます。


<1章 都市の拡張とバルセロナ万博>
続いて1章はバルセロナ万博までのコーナーです。18世紀初頭になるとカタルーニャは植民地との貿易や産業革命に伴い徐々に活気を取り戻していきました。しかしその一方でバルセロナは人口増加と衛生環境が悪化し、コレラなどが蔓延したようです。その為、旧壁を取り壊しと都市の拡張が急務となり、1859年にイルダフォンス・サルダーによる都市拡張プランが採用されました。このプランは旧壁を取り払い 街を碁盤の目のように整備するもので、これによってバルセロナの近代化が進み、1888年には監視要塞の跡地で万国博覧会も開催されました。この時期にはカタルーニャ独自の言語と文化の復興運動「ラナシェンサ」も興り、文化的アイデンティティも確立していったようです。ここにはそうした時代の作品が並んでいました。

1-1 アウゼビ・アルナウ 「バルセロナ」
こちらは冠を被って目を閉じている女性像で、バルセロナを擬人化したブロンズ像です。冠には鎖状の飾りがあり、カタルーニャ州やバルセロナなどの紋章などが表されているようです。台座部分が石灰石となっていて、それもバルセロナ旧市街地で取れたものを使うなど徹底した郷土愛が感じられます。重厚で厳粛な雰囲気があり、気高い美人となっていました。

1-6 モデスト・ウルジェイ 「共同墓地のある風景」
こちらは横長の画面に広い荒れ地の中にある共同墓地の門と壁が描かれています。夕日で空が赤くなり、人が全くいない光景が寂しげです。荒涼としていてバルセロナの歴史の悲哀が感じられました。

この近くには『ラベンス』というカタルーニャの文芸復興運動「ラナシェンサ」を担った雑誌も展示されていました。言葉は文化そのものなので、こうした流れはバルセロナの文化にとって重要なものでしょうね。

1-10 G. L. ルイス 「1888年バルセロナ万博のポスター」
こちらはバルセロナ万博の会場を正面から描いたポスターです。抑圧の象徴だった要塞の跡地が会場で、鉄塔やレンガで作られた左右対称の巨大な建物がそびえています。手前にはスペイン・イスラーム建築の意匠をオマージュした凱旋門などもあって非常に洗練された雰囲気です。近くには当時の写真のコピーもあり、凱旋門はかなり大きく30~40mくらいはありそうに見えました。屈辱的だった場所がハレの舞台となるとは劇的な万博ですね。

この近くには万博内にあったジャポニスム風のレストランの壁画の写真と、その壁画の参考となった瀧澤清「潜龍堂画譜 魚類之部」などもありました。

1-9 ジュアン・プラネッリャ 「織工の娘」
こちらは織工の機械に向かう10歳くらいの少女を描いた作品です。周りは暗く、少女と機械に光が当たったような明暗の強い場面となっています。淡々と作業をしているようで、奥の方にそれをじっと観る男性らしき影があるのがちょっと怖い。当時の貧富の差や過酷な労働の悲哀を感じさせる作品でした。

1-8 フランセスク・マスリエラ 「1882年の冬」
こちらはフードを被って ふわふわの毛皮で口元を隠している若い女性を描いた作品です。やや上目がちに何処かを見つめているような表情かな。毛のふわふわした質感や寒さに震えている様子など細部まで丹念な描写となっています。解説によると、この作品のタイトルになっている1882年に パリの株式市場の大暴落が起きてバルセロナの経済は一気に衰退したそうで、寒そうな様子は不安げな表情はそれを予見するようでもあるとのことでした。


<2章 コスモポリスの光と影>
続いてはバルセロナの建築や庶民の暮らしに関するコーナーです。1875年に建築家資格を授与できる公的な機関となったバルセロナ建築学校ではリュイス・ドゥメナク・イ・ムンタネーの指導のもとアントニ・ガウディやジュゼップ・プッチ・イ・カダファルクなどが巣立っていきました。中でも拡張地域のグラシア通りにある「不和の街区」はカタルーニャ建築の精華を伝える一画となっているようで、そこには
カダファルクの「カザ・アマッリェー」
ドゥメナクの「カザ・リェオー・ムレラ」
ガウディの「カザ・バッリョー」
があります。この「不和の街区」は神話のパリスの審判に由来するそうで、3柱の女神が誰が一番美しいか競った話なので、3つの建物をそれになぞらえているものと思われます。依頼主は経済発展を支えた上流階級やブルジョワだったようです。
一方、労働者階級には生活格差への不満があり、しばしば爆弾テロも行われ「爆弾の都市」とも呼ばれていたようです。ここにはそうしたバルセロナの光と影の部分が紹介されていました。

2-12 13 アントニ・ガウディ(デザイン)、カザス・イ・バルデス工房 「カザ・バッリョーの組椅子」「カザ・バッリョーの扉」 ★こちらで観られます
こちらは「カザ・バッリョー」の為の椅子と扉で、椅子は木製の椅子が2つくっついているようなデザイン、扉は有機的な丸みのある装飾で凹凸がついています。いずれもカザ・バッリョーの全体の雰囲気によく合っていて、家具も含めて1つの作品であるように思えました。

この辺には「カザ・バッリョー」の映像が流れていました。骨や貝殻を思わせる優美なデザインで、ガラス片が散りばめられた壁面となっています。ガウディの魅力が詰まった建物です。

その先はドゥメナクの「カザ・リェオー・ムレラ」のコーナーで、ムレラというのは桑の実のことだそうです。映像を観るとステンドグラスやたくさんの彫刻がある装飾的な建物で、花柄が多くてアール・ヌーヴォーに通じるものを感じるかな。寄せ木を使っているのもそう感じさせました。机や椅子も展示されています。

2-10 ガスパー・オマー、ジュゼップ・ペイ(デザイン)、ジュアン・カレラス・ファレー(彫刻)、ジュアン・サガラ・イ・フィス(寄木象嵌) 「庭の婦人」
こちらは寄せ木でできた女性の後姿を表した作品です。ドレスを着た線の細い感じの美人で、平面的な感じなのでナビ派のような印象を受けるかな。寄せ木とは思えないほど繊細な色調で表現されていました。

その先はカダファルクの「カザ・アマッリェー」のコーナーで、中世ゴシックを思わせる折衷様式となっています。三角屋根が階段状になっているのが面白く、北欧の破風にも似ているようです。ここには図面や花柄の装飾タイルなどもあり、タイルは赤・オレンジ・緑などでツヤがあり色鮮やかでした。

2-31 ルマー・リベラ 「休息」
こちらはピンクのドレスの女性が赤いソファで横になって休んでいる様子が描かれた作品です。疲れて倒れ込んだような感じで、その後ろには食卓と給仕らしき姿が見えます。豪華な生活ぶりの貴族の日常といった所でしょうか。解説によると、この頃 上流階級が理想とした豪奢で壮麗な生活を表象する作品が好まれたそうで、こちらはまさにその代表のような作品でした。

この近くにはアール・ヌーヴォー的なポスターがありました。また、バルセロナでも東洋趣味が流行したようで、七宝などを使った作品もありました。

2-30 ルマー・リベラ 「夜会のあとで」 ★こちらで観られます
こちらは豪華な調度品に囲まれ ソファに座って靴を脱いでいる白いドレスの女性を描いた作品です。背景には日本の屏風のような衝立があったり団扇らしきものも見受けられます。女性は穏やかで寛いでいる雰囲気があり、緊張から開放された姿のように思えました。

2-40 リカル・ウピス 「アナーキストの集会」
こちらはストライキの様子を描いた作品で、大きく口を開けて何かを叫ぶ人や拳を振り上げる人など多くの労働者が描かれています。臨場感と熱気が伝わってくるようで、当時の人々の怒りの様子が伺えます。
この隣には爆弾テロが起きた祭を描いた作品もありました。一見するとにぎやかな祭の絵ですが、当時の人々はそれを観て悲劇を想起したようです。この時代は労働者にとっては決して楽なものじゃなかったようですね。

上階はこの辺までとなり次の章から下階となります。


<3章 パリへの憧憬とムダルニズマ>
3章はラモン・カザスとサンティアゴ・ルシニョルという2人の巨匠画家についてのコーナーです。2人はパリと母国の往来を繰り返し、新しい様式や手法を吸収し故郷の芸術に新しい可能性を見出そうとしました。確かな技量と表現力を持つラモン・カザスはパリの人々を描いた作品や、社会的な主題の大作、肖像、企業ポスターなどを手掛けています。そして後に「四匹の猫」というグループでも中心的な役割を担っていました(それについては4章の内容となります) もう1人のサンティアゴ・ルシニョルは画家でありながら文学者・美術コレクター・総合芸術オーガナイザーの資質も持っていたようです。シッジャスという小さい村を拠点とし分野の垣根を超えた総合芸術の祭典「ムダルニズマ祭」を主催しました。ルシニョルはエル・グレコの再評価運動を行った功績も大きく、後にピカソもエル・グレコから影響を受けています。
また、こうした新しい芸術の一方でキリスト教の道徳観に基づく芸術を目指す「サン・リュック美術協会」という団体も生まれたようで、ここにはそうした芸術家たちの作品も並んでいました。

3-7 ミケル・ウトリリョ 「シュザンヌ・ヴァラドン」
こちらはユトリロの母であるシュザンヌ・ヴァラドンを描いた肖像画です。ミケル・ウトリリョはバルセロナの画家で美術評論家でもあったそうで、一応はユトリロの父(認知した父)ということになっています。ヴァラドンは斜め横向きでやや不機嫌そうな感じに見えます。写実的で輪郭が強めの画風となっていました。

3-3 ラモン・カザス 「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの室内」
こちらはパリのモンマルトルの有名な店の店内で、丸いテーブルに3人の男女が座っています。手前の女性は横を向いて周りの様子を観ていて、奥の2人は抱き合うように寄り添っています。背景には2階に座っている人の姿もあり、あちこちに人の気配が感じられるかな。筆致は粗めで題材やロケーションも印象派やロートレックなどを思い起こします。解説によるとカザスはこの店の敷地内のアパルトマンに滞在していたこともあったのだとか。完全にパリの絵といった雰囲気でした。

3-2 サンティアゴ・ルシニョル 「ムーラン・ド・ラ・ギャレットでのミケル・ウトリリョ」
こちらは大型作品で、店の門の前に立つミケル・ウトリリョが描かれています。帽子に黒い服でポケットに手を入れてステッキをついた姿となっていてダンディな出立ちです。ややぼんやりした筆致ですが、落ち着いた色調でカザスよりも写実的な感じに思えました。

この近くにはカザスが挿絵を描いた『風車小屋便り』という随筆もありました。モンマルトルの生活の様子を伝えたものだそうです。

3-15 ジュゼップ・リモーナ 「初聖体拝領」
こちらは聖体(パン)を受け取ろうと口を開ける少女と胸に手を当てて目を閉じて不安げに待つ少女を表した彫像です。唇は赤く塗られていて、表情や動きにかなりリアリティがあります。ロダンやルネサンスの巨匠から影響を受けたそうで、劇的な印象を受けました。解説によるとこの作者はカトリックの芸術団体「サン・リュック美術協会」の設立の中心的な役割を担ったそうで、それも納得の実力の高さとなっていました。

この近くには同じくサン・リュック美術協会でジュゼップ・リモーナの兄弟であるジュアン・リモーナの「読書」という絵もありました。シスターの読書姿を描いていて、静けさ漂う作品です。

3-10 サンティアゴ・ルシニョル 「夢想」
こちらはベッドで白い玉のようなものを静かに観ている黒髪の女性が描かれた作品です。全体的に青みがかっている静かな雰囲気で、エル・グレコからの影響が考えられるようです。また、この女性は物思いに耽っているように見えて 実はモルヒネ中毒者の姿とのことで、作者自身も腎臓の痛みを抑えるためにモルヒネ中毒となっていたようです。そう聞くと死を連想させるようにも思えました。

3-8 サンティアゴ・ルシニョル 「青い中庭」
こちらは青い壁に囲まれた中庭の様子を描いた作品です。井戸や洗濯物干しがあり、女性が洗濯カゴを抱えています。全体的に明るく軽やかな色彩で、特に青が爽やかな光景となっていました。


ということで長くなってきたので今日はここまでにしておこうと思います。バルセロナというとガウディが特に有名ですが、それだけでなく様々な芸術家を知ることができて満足度高めです。後半もバルセロナの芸術の系譜を観ることができましたので、次回はそれについてご紹介の予定です。
 → 後編はこちら



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映画 「1917 命をかけた伝令」 (ややネタバレあり)

この前の日曜日に映画 「1917 命をかけた伝令」を観てきました。この記事にはネタバレが含まれますので、ネタバレなしで観たい方はご注意ください。

DSC05592_20200219012703c82.jpg

【作品名】
 1917 命をかけた伝令

【公式サイト】
 https://1917-movie.jp/

【時間】
 2時間00分程度

【ストーリー】
 退屈_1_2_③_4_5_面白

【映像・役者】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【総合満足度】
 駄作_1_2_3_④_5_名作

【感想】
かなり混んでいて注目度の高さが伺えました。

さてこの映画はアカデミー賞で撮影賞・録音賞・視覚効果賞の3部門を受賞した戦争もので、1917年の第一次世界大戦の西部戦線をテーマにした内容となっています。特に話題となっているのは全編ワンカットとなる長回しで、まるでその場の一員になっているような視点で戦場への伝令を一部始終観ていくことになります。ここからはネタバレとなりますが、実際にはワンカットではなく いくつかの映像を繋げているようで、普通に観ている分にも2回ほど途切れる箇所があります。それでも延々と続く映像は驚異的で、どうやって撮っているのか分からないようなシーンも多々あります。全編に渡って緊張感があり 予測がつかない展開と相まって戦場の臨場感がありました。
話はごくシンプルで台詞もそれほど無いものの、長回しでこれだけ完璧な演技が続くのもやはり画期的です。セットもリアルで、どこまでも戦場が続いているような感覚になります。第一次世界大戦で悪名高い塹壕もあちこちにあり、戦火で破壊された街もある等 当時の様子も追体験するような作りでした。まあ、ストーリーはそうした描写の為みたいな展開かなw 割と偶然過ぎるだろ…と思うシーンもいくつかあるし、今までの戦争映画と違うメッセージ性があるかと言うと その点は特筆する所はなかったと思います。

と、言うことで映像と緊迫感が凄いのは間違い無い作品でした。映像で1つだけ不満があるとしたらIMAXでの上映劇場が少なすぎる点です。これこそIMAXで観たいのに…。可能な限り映像と音響の良い映画館で観ておきたい作品だと思います。 それにしてもこれだけの映像をどうやって作ったのかも興味が湧くところで、メイキング映像などが出たら観てみたいと思いました。観終わってからも興味が増すのは名作の証ですね。



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