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紙漉図絵 ~絵巻・和本にみる紙漉工程~ 【紙の博物館】

前回ご紹介した飛鳥山公園でお花見をしている途中、飛鳥山にある3つの博物館のうちの1つ紙の博物館で「紙漉図絵 ~絵巻・和本にみる紙漉工程~」を観てきました。

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【展覧名】
 紙漉図絵 ~絵巻・和本にみる紙漉工程~

【公式サイト】
 http://www.papermuseum.jp/exhibit/temporary/2012/0317.html

【会場】紙の博物館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】JR・東京メトロ 王子駅

【会期】2012年03月17日(土)~2012年05月27日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間45分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
恐らく飛鳥山が一年で最も活況となっている日に行ったこともあり、沢山のお客さんがいましたが混んでいるというほどでもなく自分のペースで観ることができました。

さて、今回は江戸時代の紙漉き(かみすき)に関する書画の特別展が開催されていました。あまりメモを取らなかったのですが、簡単にご紹介しておこうと思います。常設については以前もご紹介したので割愛しますが、常設30分+特別展15分くらいでした。
 参考記事:
  おもちゃ絵の世界 ~見る・作る・遊ぶ・学ぶ~ (紙の博物館)
  紙の博物館 (王子 飛鳥山)


<第1章 紙漉大概>
まずは「紙漉大概(かみすきたいがい)」という図解入りの巻物についての章でした。これは1784年に描かれたもので、葉っぱ(コウゾ?)を釜で煮ている様子や紙をこしている様子などが図解されていました。この少し前まで紙の製造は門外不出の技術だったようで、こうした図解入りの本が広まったことで紙が一般に普及していったようです。

<第2章 紙漉重宝記>
2章は「紙漉重宝記」という本が展示されていました、これは1824年に刊行された紙漉きの工程を初めて図解した本のようです。驚くことにこれは世界各国でも刊行されたようで、同じ絵柄でドイツ語、英語、フランス語、スペイン語などの翻訳版も展示されていました。同じページで比較しているのが面白かったです。 この本では閑農期に紙漉きを行うことを評価していたとのことでした。

この辺には鎌や紙漉きの道具なども展示されていました。

<第3章 江戸・明治時代の紙漉図絵>
江戸時代はコウゾがとれる藩では紙の専売制をしいて特産品として全国に流通させて利益を得ていたそうです。明治時代には殖産興業の流れで紙も推進されていたようで、明治時代の頃の紙漉きの様子などが展示されていました。

<第4章 製紙勤労之図>
ここは江戸末期に描かれた「製紙勤労之図」という巻物のコーナーでした。文字はなく絵巻的に工程が描かれています。文字が無いけど工程は分かりやすそうでした。

<第5章 日本製紙論>
江戸時代から明治にかけて、吉井源太という土佐藩の御用紙漉きの家系の人物が紙漉きの発展に大きく寄与したそうです。明治時代に、このままの生産では需要に間に合わなくなると量産の為の技術を色々と開発したらしく、それを世に広めたそうです。ここにはそれに関連した作品が並んでいました。昔は秘伝だった紙漉きもこの人のおかげで効率良く生産できるようになったと思うと偉人と言えそうです。

<第6章 越前紙漉之巻>
最後は大正天皇・皇后の銀婚式記念のために全国48カ所の風俗を日本画家たちに分担して描かせた作品のうち、冨田渓仙という人が描いた「越前紙漉之巻」という紙漉きを描いた作品が展示されていました。越前は特に良質な和紙の生産地だったそうで横山大観をはじめとする多くの日本画家にも評価されていたようです。


常設には役者絵にかつらを乗せて遊ぶおもちゃ絵や金唐紙、紙人形、紙の着物、美しい料紙などもありました。


ということで、紙の博物館ならではの主題となっていました。日本画には欠かせない和紙の歴史もわかって興味深い内容でした。 なお、今回は3つの博物館のうち1つしか観ませんでしたが、すぐ隣には北区飛鳥山博物館と渋沢史料館もあるので、お花見に行くついでに覗いてみるのも面白いかと思います。


おまけ:
博物館の前にはコウゾがありました。
DSC_19946.jpg


 参照記事:★この記事を参照している記事


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